IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ボード・オブ・リージエンツ,ザ・ユニバーシテイ・オブ・テキサス・システムの特許一覧

特表2024-525492CD70陽性がんを標的とするポリペプチド
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-12
(54)【発明の名称】CD70陽性がんを標的とするポリペプチド
(51)【国際特許分類】
   C07K 16/28 20060101AFI20240705BHJP
   C12N 15/13 20060101ALI20240705BHJP
   C12N 15/62 20060101ALI20240705BHJP
   C12N 15/86 20060101ALI20240705BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20240705BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20240705BHJP
   A61K 39/00 20060101ALI20240705BHJP
   A61K 38/20 20060101ALI20240705BHJP
   A61K 35/17 20150101ALI20240705BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240705BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20240705BHJP
   A61P 37/04 20060101ALI20240705BHJP
   C12N 15/12 20060101ALN20240705BHJP
   C12N 5/078 20100101ALN20240705BHJP
【FI】
C07K16/28 ZNA
C12N15/13
C12N15/62 Z
C12N15/86 Z
C12N5/10
A61K39/395 N
A61K39/00 H
A61K38/20
A61K35/17
A61P35/00
A61P35/02
A61P37/04
C12N15/12
C12N5/078
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023580800
(86)(22)【出願日】2022-06-29
(85)【翻訳文提出日】2024-02-14
(86)【国際出願番号】 US2022035441
(87)【国際公開番号】W WO2023278520
(87)【国際公開日】2023-01-05
(31)【優先権主張番号】63/216,753
(32)【優先日】2021-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500039463
【氏名又は名称】ボード オブ リージェンツ,ザ ユニバーシティ オブ テキサス システム
【氏名又は名称原語表記】BOARD OF REGENTS,THE UNIVERSITY OF TEXAS SYSTEM
【住所又は居所原語表記】210 West 7th Street Austin,Texas 78701 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】レズヴァニ、ケイティ
(72)【発明者】
【氏名】ボーヴァー、ローラ デル カーメン
(72)【発明者】
【氏名】バサール、ラフェット
(72)【発明者】
【氏名】アチャリヤ、スニル
(72)【発明者】
【氏名】ビエン、ロン
(72)【発明者】
【氏名】ウプレティ、ナディマ
(72)【発明者】
【氏名】エンスリー、エミリー
【テーマコード(参考)】
4B065
4C084
4C085
4C087
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA90X
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065CA44
4C084AA02
4C084BA01
4C084BA08
4C084BA22
4C084BA23
4C084BA44
4C084DA12
4C084MA02
4C084NA05
4C084ZB022
4C084ZB091
4C084ZB092
4C084ZB261
4C084ZB271
4C084ZC751
4C085AA13
4C085AA14
4C085AA16
4C085BB11
4C085DD62
4C085EE01
4C085GG01
4C087AA01
4C087AA02
4C087AA03
4C087BB64
4C087BB65
4C087CA04
4C087NA14
4C087ZB02
4C087ZB09
4C087ZB26
4C087ZB27
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045DA76
4H045EA20
4H045FA74
(57)【要約】
本開示の実施形態はCD70標的化ポリペプチドに関係する方法および組成物を含む。一定の態様では抗CD70抗体が開示される。いくつかの態様では、CD70に結合するように工学的に操作されたキメラ受容体が開示される。CD70結合領域と1つ以上の免疫細胞結合領域とを含む免疫細胞エンゲージャーも開示される。CD70標的化ペプチドを発現する細胞(例えばNK細胞、T細胞)が記載される。本開示のポリペプチドを使用する治療方法も記載される。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)
(i)配列番号45に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR-H1、
(ii)配列番号46に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR-H2、および
(iii)配列番号47に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR-H3
を含む重鎖可変領域(V)と、
(b)
(i)配列番号49に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR-L1、
(ii)配列番号50に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR-L2、および
(iii)配列番号51に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR-L3
を含む軽鎖可変領域(V)と
を含む、抗CD70抗体。
【請求項2】
前記CDR-H1が配列番号45を含む、請求項1に記載の抗CD70抗体。
【請求項3】
前記CDR-H2が配列番号46を含む、請求項1または2に記載の抗CD70抗体。
【請求項4】
前記CDR-H3が配列番号47を含む、請求項1~3のいずれかに記載の抗CD70抗体。
【請求項5】
前記CDR-L1が配列番号49を含む、請求項1~4のいずれかに記載の抗CD70抗体。
【請求項6】
前記CDR-L2が配列番号50を含む、請求項1~5のいずれかに記載の抗CD70抗体。
【請求項7】
前記CDR-L3が配列番号51を含む、請求項1~6のいずれかに記載の抗CD70抗体。
【請求項8】
前記Vが配列番号44に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項1~7のいずれかに記載の抗CD70抗体。
【請求項9】
前記Vが配列番号44に対して少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項1~8のいずれかに記載の抗CD70抗体。
【請求項10】
前記Vが配列番号44に対して少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項1~9のいずれかに記載の抗CD70抗体。
【請求項11】
前記Vが配列番号44を含む、請求項1~10のいずれかに記載の抗CD70抗体。
【請求項12】
前記Vが配列番号48に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項1~11のいずれかに記載の抗CD70抗体。
【請求項13】
前記Vが配列番号48に対して少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項1~12のいずれかに記載の抗CD70抗体。
【請求項14】
前記Vが配列番号48に対して少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項1~13のいずれかに記載の抗CD70抗体。
【請求項15】
前記Vが配列番号48を含む、請求項1~14のいずれかに記載の抗CD70抗体。
【請求項16】
(a)
(i)配列番号53に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR-H1、
(ii)配列番号54に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR-H2、および
(iii)配列番号55に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR-H3
を含むVと、
(b)
(i)配列番号57に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR-L1、
(ii)配列番号58に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR-L2、および
(iii)配列番号59に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR-L3
を含むV
を含む、抗CD70抗体。
【請求項17】
前記CDR-H1が配列番号53を含む、請求項16に記載の抗CD70抗体。
【請求項18】
前記CDR-H2が配列番号54を含む、請求項16または17に記載の抗CD70抗体。
【請求項19】
前記CDR-H3が配列番号55を含む、請求項16~18のいずれかに記載の抗CD70抗体。
【請求項20】
前記CDR-L1が配列番号57を含む、請求項16~19のいずれかに記載の抗CD70抗体。
【請求項21】
前記CDR-L2が配列番号58を含む、請求項16~20のいずれかに記載の抗CD70抗体。
【請求項22】
前記CDR-L3が配列番号59を含む、請求項16~21のいずれかに記載の抗CD70抗体。
【請求項23】
前記Vが配列番号52に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項16~22のいずれかに記載の抗CD70抗体。
【請求項24】
前記Vが配列番号52に対して少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項16~23のいずれかに記載の抗CD70抗体。
【請求項25】
前記Vが配列番号52に対して少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項16~24のいずれかに記載の抗CD70抗体。
【請求項26】
前記Vが配列番号52を含む、請求項16~25のいずれかに記載の抗CD70抗体。
【請求項27】
前記Vが配列番号56に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項16~26のいずれかに記載の抗CD70抗体。
【請求項28】
前記Vが配列番号56に対して少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項16~27のいずれかに記載の抗CD70抗体。
【請求項29】
前記Vが配列番号56に対して少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項16~28のいずれかに記載の抗CD70抗体。
【請求項30】
前記Vが配列番号56を含む、請求項16~29のいずれかに記載の抗CD70抗体。
【請求項31】
(a)
(i)配列番号61に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR-H1、
(ii)配列番号62に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR-H2、および
(iii)配列番号63に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR-H3
を含むVと、
(b)
(i)配列番号65に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR-L1、
(ii)配列番号66に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR-L2、および
(iii)配列番号67に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR-L3
を含むV
を含む、抗CD70抗体。
【請求項32】
前記CDR-H1が配列番号61を含む、請求項31に記載の抗CD70抗体。
【請求項33】
前記CDR-H2が配列番号62を含む、請求項31または32に記載の抗CD70抗体。
【請求項34】
前記CDR-H3が配列番号63を含む、請求項31~33のいずれかに記載の抗CD70抗体。
【請求項35】
前記CDR-L1は配列番号65を含む、請求項31~34のいずれかに記載の抗CD70抗体。
【請求項36】
前記CDR-L2が配列番号66を含む、請求項31~35のいずれかに記載の抗CD70抗体。
【請求項37】
前記CDR-L3が配列番号67を含む、請求項31~36のいずれかに記載の抗CD70抗体。
【請求項38】
前記Vが配列番号60に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項31~37のいずれかに記載の抗CD70抗体。
【請求項39】
前記Vが配列番号60に対して少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項31~38のいずれかに記載の抗CD70抗体。
【請求項40】
前記Vが配列番号60に対して少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項31~39のいずれかに記載の抗CD70抗体。
【請求項41】
前記Vが配列番号60を含む、請求項31~40のいずれかに記載の抗CD70抗体。
【請求項42】
前記Vが配列番号64に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項31~41のいずれかに記載の抗CD70抗体。
【請求項43】
前記Vが配列番号64に対して少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項31~42のいずれかに記載の抗CD70抗体。
【請求項44】
前記Vが配列番号64に対して少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項31~43のいずれかに記載の抗CD70抗体。
【請求項45】
前記Vが配列番号64を含む、請求項31~44のいずれかに記載の抗CD70抗体。
【請求項46】
請求項1~45のいずれかに記載の抗体をコードするポリヌクレオチド。
【請求項47】
請求項46に記載のポリヌクレオチドを含むベクター。
【請求項48】
請求項1~45のいずれかに記載の抗体を作製するための方法であって、(a)前記抗体をコードするポリヌクレオチドを細胞に与えること、および(b)前記細胞を、前記ポリヌクレオチドから前記抗体を発現させるのに十分な条件に付すことを含む、方法。
【請求項49】
(a)請求項1~45のいずれかに記載の抗体、請求項46に記載のポリヌクレオチド、または請求項47に記載のベクターと、
(b)薬学的に許容されうる賦形剤と
を含む、薬学的組成物。
【請求項50】
追加の治療薬をさらに含む、請求項49に記載の薬学的組成物。
【請求項51】
前記追加の治療薬が化学治療薬である、請求項50に記載の薬学的組成物。
【請求項52】
対象をがんについて処置するための方法であって、請求項1~45のいずれかに記載の抗体、請求項46に記載のポリヌクレオチド、または請求項47に記載のベクターを含む組成物の治療有効量を前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項53】
前記対象がCD70がんを有する、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記対象が、リンパ腫、白血病、膠芽腫、黒色腫、非小細胞肺がん、腎細胞癌、膵がん、卵巣がん、または乳がんを有する、請求項52または53に記載の方法。
【請求項55】
前記対象に追加治療を施行することをさらに含む、請求項52~54のいずれかに記載の方法。
【請求項56】
前記追加治療が、放射線治療、化学治療、または免疫治療である、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
CD70特異的な工学的に操作された受容体をコードするポリヌクレオチドであって、前記受容体が、
(a)
(i)
(1)配列番号45に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR-H1、
(2)配列番号46に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR-H2、および
(3)配列番号47に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR-H3
を含むVと、
(ii)
(1)配列番号49に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR-L1、
(2)配列番号50に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR-L2、および
(3)配列番号51に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR-L3
を含むV
を含む、抗原結合領域、
(b)膜貫通ドメイン、ならびに
(c)細胞内ドメイン
を含む、ポリヌクレオチド。
【請求項58】
前記CDR-H1が配列番号45を含む、請求項57に記載のポリヌクレオチド。
【請求項59】
前記CDR-H2が配列番号46を含む、請求項57または58に記載のポリヌクレオチド。
【請求項60】
前記CDR-H3が配列番号47を含む、請求項57~59のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
【請求項61】
前記CDR-L1が配列番号49を含む、請求項57~60のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
【請求項62】
前記CDR-L2が配列番号50を含む、請求項57~61のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
【請求項63】
前記CDR-L3が配列番号51を含む、請求項57~62のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
【請求項64】
前記Vが配列番号44に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項57~63のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
【請求項65】
前記Vが配列番号44に対して少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項57~64のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
【請求項66】
前記Vが配列番号44に対して少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項57~65のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
【請求項67】
前記Vが配列番号44を含む、請求項57~66のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
【請求項68】
前記Vが配列番号48に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項57~67のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
【請求項69】
前記Vが配列番号48に対して少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項57~68のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
【請求項70】
前記Vが配列番号48に対して少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項57~69のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
【請求項71】
前記Vが配列番号48を含む、請求項57~70のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
【請求項72】
前記抗原結合領域がリンカーを含む、請求項57~71のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
【請求項73】
前記リンカーが配列番号74を含む、請求項72に記載のポリヌクレオチド。
【請求項74】
前記ポリヌクレオチドのうちの前記Vをコードする領域が、5’から3’に向かって、前記ポリヌクレオチドのうちの前記Vをコードする領域の上流にある、請求項57~73のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
【請求項75】
前記抗原結合領域が配列番号68を含む、請求項74に記載のポリヌクレオチド。
【請求項76】
前記ポリヌクレオチドのうちの前記Vをコードする領域が、5’から3’に向かって、前記ポリヌクレオチドのうちの前記Vをコードする領域の上流にある、請求項57~73のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
【請求項77】
前記抗原結合領域が配列番号69を含む、請求項76に記載のポリヌクレオチド。
【請求項78】
CD70特異的な工学的に操作された受容体をコードするポリヌクレオチドであって、前記受容体が、
(a)
(i)
(1)配列番号53に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR-H1、
(2)配列番号54に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR-H2、および
(3)配列番号55に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR-H3
を含むVと、
(ii)
(1)配列番号57に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR-L1、
(2)配列番号58に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR-L2、および
(3)配列番号59に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR-L3
を含むV
を含む、抗原結合領域、
(b)膜貫通ドメイン、ならびに
(c)細胞内ドメイン
を含む、ポリヌクレオチド。
【請求項79】
前記CDR-H1が配列番号53を含む、請求項78に記載のポリヌクレオチド。
【請求項80】
前記CDR-H2が配列番号54を含む、請求項78または79に記載のポリヌクレオチド。
【請求項81】
前記CDR-H3が配列番号55を含む、請求項78~80のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
【請求項82】
前記CDR-L1が配列番号57を含む、請求項78~81のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
【請求項83】
前記CDR-L2が配列番号58を含む、請求項78~82のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
【請求項84】
前記CDR-L3が配列番号59を含む、請求項78~83のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
【請求項85】
前記Vが配列番号52に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項78~84のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
【請求項86】
前記Vが配列番号52に対して少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項78~85のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
【請求項87】
前記Vが配列番号52に対して少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項78~86のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
【請求項88】
前記Vが配列番号52を含む、請求項78~87のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
【請求項89】
前記Vが配列番号56に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項78~88のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
【請求項90】
前記Vが配列番号56に対して少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項78~89のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
【請求項91】
前記Vが配列番号56に対して少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項78~90のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
【請求項92】
前記Vが配列番号56を含む、請求項78~91のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
【請求項93】
前記抗原結合領域がリンカーを含む、請求項78~92のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
【請求項94】
前記リンカーが配列番号74を含む、請求項93に記載のポリヌクレオチド。
【請求項95】
前記ポリヌクレオチドのうちの前記Vをコードする領域が、5’から3’に向かって、前記ポリヌクレオチドのうちの前記Vをコードする領域の上流にある、請求項78~94のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
【請求項96】
前記抗原結合領域が配列番号70を含む、請求項95に記載のポリヌクレオチド。
【請求項97】
前記ポリヌクレオチドのうちの前記Vをコードする領域が、5’から3’に向かって、前記ポリヌクレオチドのうちの前記Vをコードする領域の上流にある、請求項78~94のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
【請求項98】
前記抗原結合領域が配列番号71を含む、請求項97に記載のポリヌクレオチド。
【請求項99】
CD70特異的な工学的に操作された受容体をコードするポリヌクレオチドであって、前記受容体が、
(a)
(i)
(1)配列番号61に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR-H1、
(2)配列番号62に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR-H2、および
(3)配列番号63に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR-H3
を含むVと、
(ii)
(1)配列番号65に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR-L1、
(2)配列番号66に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR-L2、および
(3)配列番号67に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR-L3
を含むV
を含む、抗原結合領域、
(b)膜貫通ドメイン、ならびに
(c)細胞内ドメイン
を含む、ポリヌクレオチド。
【請求項100】
前記CDR-H1が配列番号61を含む、請求項99に記載のポリヌクレオチド。
【請求項101】
前記CDR-H2が配列番号62を含む、請求項99または100に記載のポリヌクレオチド。
【請求項102】
前記CDR-H3が配列番号63を含む、請求項99~101のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
【請求項103】
前記CDR-L1が配列番号65を含む、請求項99~102のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
【請求項104】
前記CDR-L2が配列番号66を含む、請求項99~103のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
【請求項105】
前記CDR-L3が配列番号67を含む、請求項99~104のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
【請求項106】
前記Vが配列番号60に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項99~105のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
【請求項107】
前記Vが配列番号60に対して少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項99~106のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
【請求項108】
前記Vが配列番号60に対して少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項99~107のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
【請求項109】
前記Vが配列番号60を含む、請求項99~108のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
【請求項110】
前記Vが配列番号64に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項99~109のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
【請求項111】
前記Vが配列番号64に対して少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項99~110のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
【請求項112】
前記Vが配列番号64に対して少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項99~111のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
【請求項113】
前記Vが配列番号64を含む、請求項99~112のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
【請求項114】
前記抗原結合領域がリンカーを含む、請求項99~113のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
【請求項115】
前記リンカーが配列番号74を含む、請求項114に記載のポリヌクレオチド。
【請求項116】
前記ポリヌクレオチドのうちの前記Vをコードする領域が、5’から3’に向かって、前記ポリヌクレオチドのうちの前記Vをコードする領域の上流にある、請求項99~115のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
【請求項117】
前記抗原結合領域が配列番号72を含む、請求項116に記載のポリヌクレオチド。
【請求項118】
前記ポリヌクレオチドのうちの前記Vをコードする領域が、5’から3’に向かって、前記ポリヌクレオチドのうちの前記Vをコードする領域の上流にある、請求項99~115のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
【請求項119】
前記抗原結合領域が配列番号73を含む、請求項118に記載のポリヌクレオチド。
【請求項120】
前記膜貫通ドメインが、CD28、T細胞受容体のアルファ鎖、T細胞受容体のベータ鎖、T細胞受容体のゼータ鎖、CD3ゼータ、CD3イプシロン、CD3ガンマ、CD3デルタ、CD45、CD4、CD5、CD8、CD9、CD16、CD22、CD33、CD37、CD64、CD80、CD86、CD134、CD137、CD154、ICOS/CD278、GITR/CD357、NKG2D、DAP10、またはDAP12からの膜貫通ドメインである、請求項57~113のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
【請求項121】
前記膜貫通ドメインがCD28膜貫通ドメインである、請求項120に記載のポリヌクレオチド。
【請求項122】
前記膜貫通ドメインが配列番号75を含む、請求項120または121に記載のポリヌクレオチド。
【請求項123】
前記細胞内ドメインが、CD3ゼータ、CD27、CD28、4-1BB、DAP12、NKG2D、OX-40(CD134)、DAP10、CD40L、2B4、DNAM、CS1、CD48、NKp30、NKp44、NKp46、またはNKp80からの細胞内ドメインである、請求項57~122のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
【請求項124】
前記細胞内ドメインがCD28細胞内ドメインである、請求項123に記載のポリヌクレオチド。
【請求項125】
前記細胞内ドメインがCD3ゼータ細胞内ドメインである、請求項123に記載のポリヌクレオチド。
【請求項126】
前記細胞内ドメインが配列番号81または配列番号82を含む、請求項125に記載のポリヌクレオチド。
【請求項127】
前記工学的に操作された受容体が2つ以上の細胞内ドメインを含む、請求項57~126のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
【請求項128】
前記2つ以上の細胞内ドメインが、CD3ゼータ細胞内ドメインと、CD28、DAP10、DAP12、4-1BB、NKG2D、および2B4細胞内ドメインから選択される追加の細胞内ドメインとを含む、請求項127に記載のポリヌクレオチド。
【請求項129】
前記2つ以上の細胞内ドメインが、CD3ゼータ細胞内ドメインとCD28細胞内ドメインとを含む、請求項128に記載のポリヌクレオチド。
【請求項130】
シグナルペプチドをさらに含む、請求項57~129のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
【請求項131】
前記シグナルペプチドが、CD8、CD27、顆粒球-マクロファージコロニー刺激因子受容体(GMSCF-R)、Ig重鎖、キラー細胞免疫グロブリン様受容体(KIR)、CD3、またはCD4からのシグナルペプチドである、請求項130に記載のポリヌクレオチド。
【請求項132】
前記シグナルペプチドがCD8シグナルペプチドである、請求項131に記載のポリヌクレオチド。
【請求項133】
前記抗原結合領域と前記膜貫通ドメインとの間にヒンジをさらに含む、請求項57~132のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
【請求項134】
前記ヒンジが、IgGヒンジ、CD28ヒンジ、またはCD8αヒンジである、請求項133に記載のポリヌクレオチド。
【請求項135】
前記ヒンジが、IgG1ヒンジ、IgG2ヒンジ、IgG3ヒンジ、またはIgG4ヒンジである、請求項133または134に記載のポリヌクレオチド。
【請求項136】
前記ヒンジがIgG1ヒンジである、請求項135に記載のポリヌクレオチド。
【請求項137】
追加のポリペプチドをさらにコードする、請求項57~136のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
【請求項138】
前記追加のポリペプチドが、治療タンパク質であるか、または細胞の活性、拡大、および/もしくは持続性を強化するタンパク質である、請求項137に記載のポリヌクレオチド。
【請求項139】
前記追加のポリペプチドが、自殺遺伝子、サイトカイン、または増殖、拡大および/もしくは代謝フィットネスを強化するヒトもしくはウイルスのタンパク質である、請求項137または138に記載のポリヌクレオチド。
【請求項140】
前記追加のポリペプチドがサイトカインである、請求項139に記載のポリヌクレオチド。
【請求項141】
前記サイトカインが、IL-15、IL-2、IL-12、IL-18、IL-21、IL-23、またはIL-7である、請求項140に記載のポリヌクレオチド。
【請求項142】
前記サイトカインがIL-15である、請求項141に記載のポリヌクレオチド。
【請求項143】
前記CD70特異的な工学的に操作された受容体がキメラ抗原受容体(CAR)である、請求項57~142のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
【請求項144】
前記CD70特異的な工学的に操作された受容体がT細胞受容体である、請求項57~142のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
【請求項145】
請求項57~144のいずれか一項に記載のポリヌクレオチドを含むベクター。
【請求項146】
ウイルスベクターである、請求項145に記載のベクター。
【請求項147】
前記ウイルスベクターが、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、レンチウイルスベクター、またはレトロウイルスベクターである、請求項146に記載のベクター。
【請求項148】
非ウイルスベクターである、請求項145に記載のベクター。
【請求項149】
前記非ウイルスベクターがプラスミドである、請求項148に記載のベクター。
【請求項150】
請求項57~144のいずれか一項に記載のポリヌクレオチドまたは請求項145~149のいずれか一項に記載のベクターを含む、免疫細胞。
【請求項151】
ナチュラルキラー(NK)細胞、T細胞、ガンマ・デルタT細胞、アルファ・ベータT細胞、インバリアントNKT(iNKT)細胞、B細胞、マクロファージ、間葉系間質細胞、または樹状細胞である、請求項150に記載の免疫細胞。
【請求項152】
NK細胞である、請求項151に記載の免疫細胞。
【請求項153】
前記NK細胞が、臍帯血、末梢血、誘導多能性幹細胞、造血幹細胞、骨髄に由来するか、または細胞株に由来する、請求項152に記載の免疫細胞。
【請求項154】
前記NK細胞が細胞株に由来し、前記NK細胞株がNK-92である、請求項153に記載の免疫細胞。
【請求項155】
前記NK細胞が臍帯血単核球に由来する、請求項153に記載の免疫細胞。
【請求項156】
前記NK細胞がCD56NK細胞である、請求項150~155のいずれかに記載の免疫細胞。
【請求項157】
前記NK細胞が組換えサイトカインを発現する、請求項150~156のいずれかに記載の免疫細胞。
【請求項158】
前記サイトカインが、IL-15、IL-2、IL-12、IL-18、IL-21、IL-7、またはIL-23である、請求項157に記載の免疫細胞。
【請求項159】
前記サイトカインがIL-15である、請求項158に記載の免疫細胞。
【請求項160】
請求項150~159のいずれか一項に記載の免疫細胞を含む免疫細胞の集団。
【請求項161】
個体内のCD70陽性細胞を殺す方法であって、請求項57~144のいずれかに記載のポリヌクレオチドを内包する細胞の有効量を前記個体に投与することを含む、方法。
【請求項162】
対象をがんについて処置するための方法であって、請求項150~159のいずれかに記載の免疫細胞または請求項160に記載の免疫細胞の集団の治療有効量を前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項163】
前記対象がCD70がんを有する、請求項162に記載の方法。
【請求項164】
前記対象が、リンパ腫、白血病、膠芽腫、黒色腫、非小細胞肺がん、腎細胞癌、膵がん、卵巣がん、または乳がんを有する、請求項162または163に記載の方法。
【請求項165】
前記対象に追加治療を施行することをさらに含む、請求項162~164のいずれかに記載の方法。
【請求項166】
前記追加治療が、放射線治療、化学治療、または免疫治療である、請求項165に記載の方法。
【請求項167】
(a)請求項150~159のいずれかに記載の免疫細胞または請求項160に記載の免疫細胞の集団と、
(b)薬学的に許容されうる賦形剤と
を含む、薬学的組成物。
【請求項168】
追加の治療薬をさらに含む、請求項167に記載の薬学的組成物。
【請求項169】
前記追加の治療薬が化学治療薬である、請求項168に記載の薬学的組成物。
【請求項170】
(a)
(i)
(1)配列番号45に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR-H1、
(2)配列番号46に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR-H2、および
(3)配列番号47に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR-H3
を含むVと、
(ii)
(1)配列番号49に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR-L1、
(2)配列番号50に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR-L2、および
(3)配列番号51に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR-L3
を含むV
を含むCD70結合領域、ならびに
(b)免疫細胞結合領域
を含む、免疫細胞エンゲージャー。
【請求項171】
前記CDR-H1が配列番号45を含む、請求項170に記載の免疫細胞エンゲージャー。
【請求項172】
前記CDR-H2が配列番号46を含む、請求項170または171に記載の免疫細胞エンゲージャー。
【請求項173】
前記CDR-H3が配列番号47を含む、請求項170~172のいずれかに記載の免疫細胞エンゲージャー。
【請求項174】
前記CDR-L1が配列番号49を含む、請求項170~173のいずれかに記載の免疫細胞エンゲージャー。
【請求項175】
前記CDR-L2が配列番号50を含む、請求項170~174のいずれかに記載の免疫細胞エンゲージャー。
【請求項176】
前記CDR-L3が配列番号51を含む、請求項170~175のいずれかに記載の免疫細胞エンゲージャー。
【請求項177】
前記Vが配列番号44に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項170~176のいずれかに記載の免疫細胞エンゲージャー。
【請求項178】
前記Vが配列番号44に対して少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項170~177のいずれかに記載の免疫細胞エンゲージャー。
【請求項179】
前記Vが配列番号44に対して少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項170~178のいずれかに記載の免疫細胞エンゲージャー。
【請求項180】
前記Vが配列番号44を含む、請求項170~179のいずれかに記載の免疫細胞エンゲージャー。
【請求項181】
前記Vが配列番号48に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項170~180のいずれかに記載の免疫細胞エンゲージャー。
【請求項182】
前記Vが配列番号48に対して少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項170~181のいずれかに記載の免疫細胞エンゲージャー。
【請求項183】
前記Vが配列番号48に対して少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項170~182のいずれかに記載の免疫細胞エンゲージャー。
【請求項184】
前記Vが配列番号48を含む、請求項170~183のいずれかに記載の免疫細胞エンゲージャー。
【請求項185】
前記CD70結合領域がリンカーを含む、請求項170~184のいずれかに記載の免疫細胞エンゲージャー。
【請求項186】
前記リンカーが配列番号74を含む、請求項185に記載の免疫細胞エンゲージャー。
【請求項187】
前記CD70結合領域のVが、5’から3’に向かって、前記CD70結合領域のVの上流にある、請求項170~186のいずれかに記載の免疫細胞エンゲージャー。
【請求項188】
前記CD70結合領域が配列番号68を含む、請求項187に記載の免疫細胞エンゲージャー。
【請求項189】
前記CD70結合領域の前記Vが、5’から3’に向かって、前記CD70結合領域の前記Vの上流にある、請求項170~186のいずれかに記載の免疫細胞エンゲージャー。
【請求項190】
前記CD70結合領域が配列番号69を含む、請求項189に記載の免疫細胞エンゲージャー。
【請求項191】
(a)
(i)
(1)配列番号53に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR-H1、
(2)配列番号54に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR-H2、および
(3)配列番号55に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR-H3
を含むVと、
(ii)
(1)配列番号57に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR-L1、
(2)配列番号58に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR-L2、および
(3)配列番号59に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR-L3
を含むV
を含むCD70結合領域、ならびに
(b)免疫細胞結合領域
を含む、免疫細胞エンゲージャー。
【請求項192】
前記CDR-H1が配列番号53を含む、請求項191に記載の免疫細胞エンゲージャー。
【請求項193】
前記CDR-H2が配列番号54を含む、請求項191または192に記載の免疫細胞エンゲージャー。
【請求項194】
前記CDR-H3が配列番号55を含む、請求項191~193のいずれかに記載の免疫細胞エンゲージャー。
【請求項195】
前記CDR-L1が配列番号57を含む、請求項191~194のいずれかに記載の免疫細胞エンゲージャー。
【請求項196】
前記CDR-L2が配列番号58を含む、請求項191~195のいずれかに記載の免疫細胞エンゲージャー。
【請求項197】
前記CDR-L3が配列番号59を含む、請求項191~196のいずれかに記載の免疫細胞エンゲージャー。
【請求項198】
前記Vが配列番号52に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項191~197のいずれかに記載の免疫細胞エンゲージャー。
【請求項199】
前記Vが配列番号52に対して少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項191~198のいずれかに記載の免疫細胞エンゲージャー。
【請求項200】
前記Vが配列番号52に対して少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項191~199のいずれかに記載の免疫細胞エンゲージャー。
【請求項201】
前記Vが配列番号52を含む、請求項191~200のいずれかに記載の免疫細胞エンゲージャー。
【請求項202】
前記Vが配列番号56に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項191~193のいずれかに記載の免疫細胞エンゲージャー。
【請求項203】
前記Vが配列番号56に対して少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項191~201のいずれかに記載の免疫細胞エンゲージャー。
【請求項204】
前記Vが配列番号56に対して少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項191~202のいずれかに記載の免疫細胞エンゲージャー。
【請求項205】
前記Vが配列番号56を含む、請求項191~203のいずれかに記載の免疫細胞エンゲージャー。
【請求項206】
前記CD70結合領域がリンカーを含む、請求項191~205のいずれかに記載の免疫細胞エンゲージャー。
【請求項207】
前記リンカーが配列番号74を含む、請求項206に記載の免疫細胞エンゲージャー。
【請求項208】
前記CD70結合領域の前記Vが、5’から3’に向かって、前記CD70結合領域の前記Vの上流にある、請求項191~207のいずれかに記載の免疫細胞エンゲージャー。
【請求項209】
前記CD70結合領域が配列番号70を含む、請求項208に記載の免疫細胞エンゲージャー。
【請求項210】
前記CD70結合領域の前記Vが、5’から3’に向かって、前記CD70結合領域の前記Vの上流にある、請求項191~207のいずれかに記載の免疫細胞エンゲージャー。
【請求項211】
前記CD70結合領域が配列番号71を含む、請求項210に記載の免疫細胞エンゲージャー。
【請求項212】
(a)
(i)
(1)配列番号61に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR-H1、
(2)配列番号62に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR-H2、および
(3)配列番号63に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR-H3
を含むVと、
(ii)
(1)配列番号65に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR-L1、
(2)配列番号66に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR-L2、および
(3)配列番号67に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR-L3
を含むV
を含むCD70結合領域、ならびに
(b)免疫細胞結合領域
を含む、免疫細胞エンゲージャー。
【請求項213】
前記CDR-H1が配列番号61を含む、請求項212に記載の免疫細胞エンゲージャー。
【請求項214】
前記CDR-H2が配列番号62を含む、請求項212または213に記載の免疫細胞エンゲージャー。
【請求項215】
前記CDR-H3が配列番号63を含む、請求項212~214のいずれかに記載の免疫細胞エンゲージャー。
【請求項216】
前記CDR-L1が配列番号65を含む、請求項212~215のいずれかに記載の免疫細胞エンゲージャー。
【請求項217】
前記CDR-L2が配列番号66を含む、請求項212~216のいずれかに記載の免疫細胞エンゲージャー。
【請求項218】
前記CDR-L3が配列番号67を含む、請求項212~217のいずれかに記載の免疫細胞エンゲージャー。
【請求項219】
前記Vが配列番号60に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項212~218のいずれかに記載の免疫細胞エンゲージャー。
【請求項220】
前記Vが配列番号60に対して少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項212~219のいずれかに記載の免疫細胞エンゲージャー。
【請求項221】
前記Vが配列番号60に対して少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項212~220のいずれかに記載の免疫細胞エンゲージャー。
【請求項222】
前記Vが配列番号60を含む、請求項212~221のいずれかに記載の免疫細胞エンゲージャー。
【請求項223】
前記Vが配列番号64に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項212~222のいずれかに記載の免疫細胞エンゲージャー。
【請求項224】
前記Vが配列番号64に対して少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項212~223のいずれかに記載の免疫細胞エンゲージャー。
【請求項225】
前記Vが配列番号64に対して少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項212~224のいずれかに記載の免疫細胞エンゲージャー。
【請求項226】
前記Vが配列番号64を含む、請求項212~225のいずれかに記載の免疫細胞エンゲージャー。
【請求項227】
前記CD70結合領域がリンカーを含む、請求項212~226のいずれかに記載の免疫細胞エンゲージャー。
【請求項228】
前記リンカーが配列番号74を含む、請求項227に記載の免疫細胞エンゲージャー。
【請求項229】
前記CD70結合領域の前記Vが、5’から3’に向かって、前記CD70結合領域の前記Vの上流にある、請求項212~228のいずれかに記載の免疫細胞エンゲージャー。
【請求項230】
前記CD70結合領域が配列番号72を含む、請求項229に記載の免疫細胞エンゲージャー。
【請求項231】
前記CD70結合領域の前記Vが、5’から3’に向かって、前記CD70結合領域の前記Vの上流にある、請求項212~228のいずれかに記載の免疫細胞エンゲージャー。
【請求項232】
前記CD70結合領域が配列番号73を含む、請求項231に記載の免疫細胞エンゲージャー。
【請求項233】
前記免疫細胞結合領域が、免疫細胞の表面に発現したタンパク質に特異的に結合する、請求項170~226のいずれかに記載の免疫細胞エンゲージャー。
【請求項234】
前記免疫細胞が、NK細胞、T細胞、ガンマ・デルタT細胞、アルファ・ベータT細胞、iNKT細胞、B細胞、マクロファージ、間葉系間質細胞、または樹状細胞である、請求項233に記載の免疫細胞エンゲージャー。
【請求項235】
前記免疫細胞がT細胞である、請求項234に記載の免疫細胞エンゲージャー。
【請求項236】
前記免疫細胞結合領域が、CD3、T細胞受容体(TCR)、CD28、Ox40、4-1BB、CD2、CD5、CD95、CD27、IL-7R、ICOS、IL2Rβ、CD45、CD48、およびCD137に特異的に結合する、請求項235に記載の免疫細胞エンゲージャー。
【請求項237】
前記免疫細胞結合領域がCD3に特異的に結合する、請求項236に記載の免疫細胞エンゲージャー。
【請求項238】
前記免疫細胞結合領域が抗CD3抗体からのscFvを含む、請求項237に記載の免疫細胞エンゲージャー。
【請求項239】
前記免疫細胞がNK細胞である、請求項234に記載の免疫細胞エンゲージャー。
【請求項240】
前記免疫細胞結合領域が、CD16A、NKp46、またはNKG2Dに特異的に結合する、請求項239に記載の免疫細胞エンゲージャー。
【請求項241】
前記免疫細胞結合領域がCD16Aに特異的に結合する、請求項240に記載の免疫細胞エンゲージャー。
【請求項242】
前記免疫細胞結合領域が抗CD16A抗体からのscFvを含む、請求項241に記載の免疫細胞エンゲージャー。
【請求項243】
請求項170~242のいずれかに記載の免疫細胞エンゲージャーをコードするポリヌクレオチド。
【請求項244】
請求項243に記載の免疫細胞エンゲージャーを含むベクター。
【請求項245】
請求項170~242のいずれかに記載の免疫細胞エンゲージャーを作製するための方法であって、(a)前記免疫細胞エンゲージャーをコードするポリヌクレオチドを細胞に与えること、および(b)前記細胞を、前記ポリヌクレオチドから前記免疫細胞エンゲージャーを発現させるのに十分な条件に付すことを含む、方法。
【請求項246】
(a)請求項170~242のいずれかに記載の免疫細胞エンゲージャー、請求項243に記載のポリヌクレオチド、または請求項244に記載のベクターと、
(b)薬学的に許容されうる賦形剤と
を含む、薬学的組成物。
【請求項247】
追加の治療薬をさらに含む、請求項246に記載の薬学的組成物。
【請求項248】
前記追加の治療薬が化学治療薬である、請求項247に記載の薬学的組成物。
【請求項249】
対象をがんについて処置するための方法であって、請求項170~242のいずれかに記載の免疫細胞エンゲージャー、請求項243に記載のポリヌクレオチド、または請求項244に記載のベクターを含む組成物の治療有効量を前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項250】
前記対象がCD70がんを有する、請求項249に記載の方法。
【請求項251】
前記対象が、リンパ腫、白血病、多発性骨髄腫、膠芽腫、中皮腫、頭頸部がん、骨肉腫、黒色腫、非小細胞肺がん、腎細胞癌、膵がん、卵巣がん、胚細胞性腫瘍、または乳がんを有する、請求項249または250に記載の方法。
【請求項252】
前記対象に追加治療を施行することをさらに含む、請求項249~251のいずれかに記載の方法。
【請求項253】
前記追加治療が、放射線治療、化学治療、または免疫治療である、請求項252に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2021年6月30日に出願された米国仮特許出願第63/216,753号に基づく優先権を主張し、この仮特許出願は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
(配列表)
本願は、ASCII形式で提出された配列表を含み、その配列表は参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。2022年6月27日に作成された該ASCIIコピーは、「MDACP1300WO_Sequence_Listing.txt」と名付けられており、サイズは178キロバイトである。
【0003】
本開示の実施形態には、少なくとも、細胞生物学、分子生物学、免疫学、およびがん医学を含む医学の分野が含まれる。
【背景技術】
【0004】
CD70タンパク質は腫瘍壊死因子(TNF)スーパーファミリーの一員である。このタンパク質の発現は正常組織では制限されている。CD70は系譜特異的マーカーではなく、高度に活性化されたTリンパ球、Bリンパ球および樹状細胞のサブセットにおいて一時的に発現されるだけである。CD70は、非リンパ組織には存在しないと報告されているが[1]、CD70の異常発現は、卵巣がんおよび乳がん、腎細胞癌、ならびに膠芽腫を含むさまざまな固形がんに関連づけられている[2]。CD70の標的化については記載があり、このマーカーはホジキン病ならびにB細胞およびT細胞起源の他のいくつかのリンパ腫に存在するので、血液悪性疾患における腫瘍の縮小と排除をもたらしている[3~8]。CD70は多くの固形悪性疾患において異常発現することが特定されているので、固形腫瘍に対する標的治療のための実用的腫瘍バイオマーカーとしても探求されている。
【0005】
がん処置のために、CD70およびCD70陽性腫瘍を標的とするための方法および組成物が必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
本開示の実施形態は、抗体および工学的に操作されたポリペプチド、例えばキメラ抗原受容体(CAR)、免疫細胞エンゲージャー(例えば二重特異性または多重特異性エンゲージャー)などを含む、CD70を標的とするポリペプチドに関係する方法および組成物を包含する。一定の態様では、抗CD70抗体、およびがんを含むさまざまな状態の処置における使用方法が開示される。さらなる態様では、CD70結合領域と免疫細胞結合領域(例えばCD3結合領域、CD16結合領域、NCR結合領域など)とを含む免疫細胞エンゲージャーが開示される。CD70結合領域を含むCARおよびTCRなどの工学的に操作されたポリペプチドも開示される。具体的実施形態において、CD70を標的とする本開示のポリペプチドは、免疫細胞を含む任意の種類の細胞の表面上に含まれる。
【0007】
本開示の実施形態には、ポリヌクレオチド、ポリペプチド、ベクター、発現構築物、工学的に操作された受容体、キメラ抗原受容体、免疫細胞エンゲージャー、抗体、抗体フラグメント、薬学的組成物、抗体の作製方法、CARの作製方法、免疫細胞エンゲージャーの作製方法、CAR T細胞の作製方法、CAR NK細胞の作製方法、および対象をがんについて処置する方法が含まれる。本開示のポリペプチドは、抗原結合領域、CD70結合領域、可変重鎖領域、可変軽鎖領域、膜貫通ドメイン、細胞内ドメイン、共刺激ドメイン、ヒンジ領域、シグナルペプチド、ポリペプチドリンカーおよび免疫細胞結合領域のうちの、少なくとも1つ、2つ、3つまたはそれ以上を含むことができる。前述の構成要素のうちの1つまたは複数は、一定の実施形態では、本開示のポリペプチドから排除されうる。
【0008】
いくつかの実施形態において、開示されるポリペプチドは重鎖可変領域(V)を含む。いくつかの実施形態において、本開示のポリペプチドは、配列番号45、配列番号46、配列番号47、配列番号53、配列番号54、配列番号55、配列番号61、配列番号62、または配列番号63に対して、少なくとも、または最大で、または正確に80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、または99.9%の、またはそれらのうちの任意の2つの間の、配列同一性を有する1つ以上のCDRを含むVを含む。いくつかの実施形態において、Vは、配列番号45、配列番号46、配列番号47、配列番号53、配列番号54、配列番号55、配列番号61、配列番号62、もしくは配列番号63、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの実施形態において、Vは、配列番号44、配列番号52、または配列番号60に対して、少なくとも、または最大で、または正確に75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、または99.9%の、またはそれらのうちの任意の2つの間の、配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、Vは、配列番号44、配列番号52、または配列番号60を含む。
【0009】
いくつかの実施形態において、開示されるポリペプチドは軽鎖可変領域(V)を含む。いくつかの実施形態において、本開示のポリペプチドは、配列番号49、配列番号50、配列番号51、配列番号57、配列番号58、配列番号59、配列番号65、配列番号66、または配列番号67に対して、少なくとも、または最大で、または正確に80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、または99.9%の、またはそれらのうちの任意の2つの間の、配列同一性を有する1つ以上のCDRを含むVを含む。いくつかの実施形態において、Vは、配列番号49、配列番号50、配列番号51、配列番号57、配列番号58、配列番号59、配列番号65、配列番号66、もしくは配列番号67、またはそれらの任意の組合せを含む。いくつかの実施形態において、Vは、配列番号48、配列番号56、または配列番号64に対して、少なくとも、または最大で、または正確に75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、または99.9%の、またはそれらのうちの任意の2つの間の、配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、Vは、配列番号48、配列番号56、または配列番号64を含む。1つ以上のVと1つ以上のVとの任意の組合せを含むポリペプチドが開示される。本明細書に記載する1つ以上のVおよび/またはVはいずれも、一定の実施形態では、本開示のポリペプチドから排除されうる。
【0010】
特定の態様では、配列番号44~74のいずれかに対して、少なくとも、または最大で、または正確に75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、または99.9%の、またはそれらのうちの任意の2つの間の、配列同一性を有する配列を含むポリペプチド(例えば抗体、キメラ抗原受容体、免疫細胞エンゲージャー)が開示される。いくつかの実施形態では、配列番号44~74のいずれか1つまたは複数を含むポリペプチドが開示される。
【0011】
本開示のポリヌクレオチドを含むベクターも、ここに提示される。ここで想定されるベクターには、ウイルスベクター(例えばアデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、レンチウイルスベクターおよびレトロウイルスベクター)および非ウイルスベクター(例えばプラスミド)が含まれる。
【0012】
本開示の実施形態には、ここに包含される任意のポリヌクレオチドおよび/またはポリペプチドを含む任意の種類の免疫細胞が含まれる。具体的実施形態において、免疫細胞は、NK細胞、T細胞、ガンマ・デルタ(γδ)T細胞、アルファ・ベータ(αβ)T細胞、インバリアントNKT(iNKT)細胞、B細胞、マクロファージ、MSC、または樹状細胞である。免疫細胞がNK細胞である場合、そのNK細胞は、臍帯血(プール臍帯血ユニットを含む)、末梢血、誘導多能性幹細胞、骨髄に由来し、および/または細胞株に由来しうる。具体的態様において、NK細胞株は、NK-92細胞株であるか、または腫瘍に由来する、もしくは健常なNK細胞もしくは前駆細胞に由来する、他のNK細胞株である。免疫細胞がT細胞である場合、そのT細胞は、臍帯血(プール臍帯血ユニットを含む)、末梢血、誘導多能性幹細胞、骨髄に由来し、および/または細胞株に由来しうる。
【0013】
具体的実施形態において、免疫細胞は、NK細胞、例えば臍帯血に由来するもの、例えば臍帯血単核球に由来するものである。NK細胞は、具体的事例では、CD56NK細胞でありうる。NK細胞は、IL-15、IL-2、IL-12、IL-18、IL-21、IL-23、IL-7、またはそれらの組合せなどといった、1つ以上の、外因的に与えられたサイトカインを発現しうる。特定の実施形態は、本開示の任意の種類の免疫細胞の集団を含み、それらの細胞は、任意の種類の適切な培地または適切な担体中に存在しうる。
【0014】
がんを改善もしくは予防し、またはがんのリスクを低減し、がんの重症度を低減し、転移もしくはそのリスクを防止し、またはがんの発病を遅延させるために、特定の抗CD70ポリペプチド(例えば抗体、CAR、免疫細胞エンゲージャー)を発現する細胞を、治療有効量で投与することによる方法を含む、任意の種類のがんを処置または防止する方法が、ここに包含される。
【0015】
いくつかの実施形態では、個体内のCD70陽性細胞を殺す方法であって、任意の本開示のポリヌクレオチドおよび/またはポリペプチド(例えば本開示の抗CD70抗体、本開示のCD70 CAR)を内包する細胞の有効量を、前記個体に投与することを含む方法が開示される。具体的実施形態において、細胞は、NK細胞、T細胞、ガンマ・デルタT細胞、アルファ・ベータT細胞、インバリアントNKT(iNKT)細胞、B細胞、マクロファージ、間葉系間質細胞(MSC)、または樹状細胞である。NK細胞は、臍帯血、末梢血、誘導多能性幹細胞、造血幹細胞、骨髄に由来するか、または細胞株に由来しうる。NK細胞は臍帯血単核球に由来しうる。いくつかの事例において、CD70陽性細胞は、造血器がんまたは固形腫瘍からのがん細胞を含む、がん細胞である。細胞は、ヒトであってもヒトでなくてもよいその個体に関して、同種異系または自家でありうる。細胞は、個体には、注射によって、静脈内に、動脈内に、腹腔内に、気管内に、腫瘍内に、筋肉内に、内視鏡的に、病巣内に、頭蓋内に、経皮的に、皮下に、局部的に、灌流によって、腫瘍微小環境内に、またはそれらの組合せで投与されうる。
【0016】
本方法の特定の実施形態において、細胞は、個体に1回または複数回投与されうる。個体への細胞の投与間隔は、1~24時間、1~7日、1~4週間、1~12ヶ月、または1年以上でありうる。本方法は、前記個体に有効量の追加治療、例えば外科手術、放射線照射、遺伝子治療、免疫治療,および/またはホルモン治療を提供する工程を、さらに含みうる。追加治療は、いくつかの事例では、1つ以上の抗体または抗体に基づく作用物質を含みうる。本方法のいくつかの態様において、それらは、個体内のCD70陽性細胞を同定する工程を、さらに含みうる。
【0017】
本明細書では、いくつかの態様において、(a)(i)配列番号45に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR-H1、(ii)配列番号46に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR-H2、および(iii)配列番号47に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む重鎖可変領域(V)と、(b)(i)配列番号49に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR-L1、(ii)配列番号50に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR-L2、および(iii)配列番号51に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む軽鎖可変領域(V)とを含む、抗CD70抗体が開示される。いくつかの実施形態において、CDR-H1は配列番号45を含み、CDR-H2は配列番号46を含み、および/またはCDR-H3は配列番号47を含む。いくつかの実施形態において、CDR-L1は配列番号49を含み、CDR-L2は配列番号50を含み、および/またはCDR-L3は配列番号51を含む。いくつかの実施形態において、Vは、配列番号44に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列、配列番号44に対して少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列、または配列番号44に対して少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。具体的実施形態において、Vは配列番号44を含む。いくつかの実施形態において、Vは、配列番号48に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列、配列番号48に対して少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列、または配列番号48に対して少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、Vは配列番号48を含む。
【0018】
本明細書では、いくつかの態様において、(a)(i)配列番号53に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR-H1、(ii)配列番号54に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR-H2、および(iii)配列番号55に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR-H3を含むVと、(b)(i)配列番号57に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR-L1、(ii)配列番号58に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR-L2、および(iii)配列番号59に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR-L3を含むVとを含む、抗CD70抗体が開示される。いくつかの実施形態において、CDR-H1は配列番号53を含み、CDR-H2は配列番号54を含み、および/またはCDR-H3は配列番号55を含む。いくつかの実施形態において、CDR-L1は配列番号57を含み、CDR-L2は配列番号58を含み、および/またはCDR-L3は配列番号59を含む。いくつかの実施形態において、Vは、配列番号52に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列、配列番号52に対して少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列、または配列番号52に対して少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、Vは配列番号52を含む。いくつかの実施形態において、Vは、配列番号56に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列、配列番号56に対して少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列、または配列番号56に対して少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、Vは配列番号56を含む。
【0019】
本明細書では、いくつかの態様において、(a)(i)配列番号61に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR-H1、(ii)配列番号62に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR-H2、および(iii)配列番号63に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR-H3を含むVと、(b)(i)配列番号65に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR-L1、(ii)配列番号66に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR-L2、および(iii)配列番号67に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR-L3を含むVとを含む、抗CD70抗体が開示される。いくつかの実施形態において、CDR-H1は配列番号61を含み、CDR-H2は配列番号62を含み、および/またはCDR-H3は配列番号63を含む。いくつかの実施形態において、CDR-L1は配列番号65を含み、CDR-L2は配列番号66を含み、および/またはCDR-L3は配列番号67を含む。いくつかの実施形態において、Vは配列番号60に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはVは配列番号60に対して少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはVは配列番号60に対して少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、Vは配列番号60を含む。いくつかの実施形態において、Vは配列番号64に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはVは配列番号64に対して少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはVは配列番号64に対して少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、Vは配列番号64を含む。
【0020】
本明細書記載の抗CD70抗体のいくつかの実施形態において、抗CD70抗体はポリヌクレオチドによってコードされる。いくつかの実施形態において、本明細書記載の抗CD70抗体のいずれか一つをコードするポリヌクレオチドはベクターに含まれる。
【0021】
本明細書では、いくつかの態様において、本明細書記載の抗CD70抗体のいずれか一つを作製するための方法であって、(a)前記抗体をコードするポリヌクレオチドを細胞に与えること、および(b)前記細胞を、前記ポリヌクレオチドから前記抗体を発現させるのに十分な条件に付すことを含む方法が開示される。
【0022】
本明細書では、いくつかの態様において、(a)本明細書記載の抗CD70抗体のいずれか一つ、本明細書記載の抗CD70抗体のいずれか一つをコードするポリヌクレオチド、または本明細書記載の抗CD70抗体のいずれか一つをコードするポリヌクレオチドを含むベクターと、(b)薬学的に許容されうる賦形剤とを含む、薬学的組成物が開示される。いくつかの実施形態において、薬学的組成物は追加の治療薬をさらに含む。いくつかの実施形態において、追加の治療薬は化学治療薬である。
【0023】
本明細書では、いくつかの態様において、対象をがんについて処置するための方法であって、本明細書記載の抗CD70抗体のいずれか一つ、本明細書記載の抗CD70抗体のいずれか一つをコードするポリヌクレオチド、または本明細書記載の抗CD70抗体のいずれか一つをコードするポリヌクレオチドを含むベクターを含む組成物の治療有効量を前記対象に投与することを含む方法が開示される。いくつかの実施形態において、対象はCD70がんを有する。いくつかの実施形態において、対象は、リンパ腫、白血病、多発性骨髄腫、膠芽腫、中皮腫、頭頸部がん、骨肉腫、黒色腫、非小細胞肺がん、腎細胞癌、膵がん、卵巣がん、胚細胞性腫瘍、または乳がんを有する。いくつかの実施形態において、本方法は前記対象に追加治療を施行することをさらに含む。いくつかの実施形態において、追加治療は放射線治療、化学治療、または免疫治療である。
【0024】
本明細書では、いくつかの態様において、CD70特異的な工学的に操作された受容体をコードするポリヌクレオチドであって、前記受容体が、(a)(i)(1)配列番号45に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR-H1、(2)配列番号46に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR-H2、および(3)配列番号47に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR-H3を含むVと、(ii)(1)配列番号49に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR-L1、(2)配列番号50に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR-L2、および(3)配列番号51に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR-L3を含むVとを含む、抗原結合領域、(b)膜貫通ドメイン、ならびに(c)細胞内ドメインを含む、ポリヌクレオチドが開示される。いくつかの実施形態において、CDR-H1は配列番号45を含み、CDR-H2は配列番号46を含み、および/またはCDR-H3は配列番号47を含む。いくつかの実施形態において、CDR-L1は配列番号49を含み、CDR-L2は配列番号50を含み、および/またはCDR-L3は配列番号51を含む。いくつかの実施形態において、Vは、配列番号44に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列、配列番号44に対して少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列、または配列番号44に対して少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、Vは配列番号44を含む。いくつかの実施形態において、Vは、配列番号48に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列、配列番号48に対して少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列、または配列番号48に対して少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、Vは配列番号48を含む。いくつかの実施形態において、抗原結合領域はリンカーを含む。いくつかの実施形態において、リンカーは配列番号74を含む。いくつかの実施形態において、ポリヌクレオチドのうちのVをコードする領域は、5’から3’に向かって、ポリヌクレオチドのうちのVをコードする領域の上流にあり、抗原結合領域は配列番号68を含む。いくつかの実施形態において、ポリヌクレオチドのうちのVをコードする領域は、5’から3’に向かって、ポリヌクレオチドのうちのVをコードする領域の上流にあり、抗原結合領域は配列番号69を含む。
【0025】
本明細書では、いくつかの態様において、CD70特異的な工学的に操作された受容体をコードするポリヌクレオチドであって、前記受容体が、(a)(i)(1)配列番号53に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR-H1、(2)配列番号54に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR-H2、および(3)配列番号55に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR-H3を含むVと、(ii)(1)配列番号57に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR-L1、(2)配列番号58に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR-L2、および(3)配列番号59に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR-L3を含むVとを含む、抗原結合領域、(b)膜貫通ドメイン、ならびに(c)細胞内ドメインを含む、ポリヌクレオチドが開示される。いくつかの実施形態において、CDR-H1は配列番号53を含み、CDR-H2は配列番号54を含み、および/またはCDR-H3は配列番号55を含む。いくつかの実施形態において、CDR-L1は配列番号57を含み、CDR-L2は配列番号58を含み、および/またはCDR-L3は配列番号59を含む。いくつかの実施形態において、Vは、配列番号52に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列、配列番号52に対して少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列、または配列番号52に対して少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、Vは配列番号52を含む。いくつかの実施形態において、Vは、配列番号56に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列、配列番号56に対して少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列、または配列番号56に対して少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、Vは配列番号56を含む。いくつかの実施形態において、抗原結合領域はリンカーを含む。いくつかの実施形態において、リンカーは配列番号74を含む。いくつかの実施形態において、ポリヌクレオチドのうちのVをコードする領域は、5’から3’に向かって、ポリヌクレオチドのうちのVをコードする領域の上流にあり、抗原結合領域は配列番号70を含む。いくつかの実施形態において、ポリヌクレオチドのうちのVをコードする領域は、5’から3’に向かって、ポリヌクレオチドのうちのVをコードする領域の上流にあり、抗原結合領域は配列番号71を含む。
【0026】
本明細書では、いくつかの態様において、CD70特異的な工学的に操作された受容体をコードするポリヌクレオチドであって、前記受容体が、(a)(i)(1)配列番号61に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR-H1、(2)配列番号62に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR-H2、および(3)配列番号63に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR-H3を含むVと、(ii)(1)配列番号65に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR-L1、(2)配列番号66に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR-L2、および(3)配列番号67に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR-L3を含むVとを含む、抗原結合領域、(b)膜貫通ドメイン、ならびに(c)細胞内ドメインを含む、ポリヌクレオチドが開示される。いくつかの実施形態において、CDR-H1は配列番号61を含み、CDR-H2は配列番号62を含み、および/またはCDR-H3は配列番号63を含む。いくつかの実施形態において、CDR-L1は配列番号65を含み、CDR-L2は配列番号66を含み、および/またはCDR-L3は配列番号67を含む。いくつかの実施形態において、Vは、配列番号60に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列、配列番号60に対して少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列、または配列番号60に対して少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、Vは配列番号60を含む。いくつかの実施形態において、Vは、配列番号64に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列、配列番号64に対して少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列、または配列番号64に対して少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、Vは配列番号64を含む。いくつかの実施形態において、ポリヌクレオチドのうちのVをコードする領域は、5’から3’に向かって、ポリヌクレオチドのうちのVをコードする領域の上流にあり、抗原結合領域は配列番号72を含む。いくつかの実施形態において、ポリヌクレオチドのうちのVをコードする領域は、5’から3’に向かって、ポリヌクレオチドのうちのVをコードする領域の上流にあり、抗原結合領域は配列番号73を含む。本明細書記載のCD70特異的な工学的に操作された受容体をコードするポリヌクレオチドのいくつかの実施形態において、抗原結合領域はリンカーを含む。いくつかの実施形態において、リンカーは配列番号74を含む。
【0027】
本明細書記載のCD70特異的な工学的に操作された受容体をコードするポリヌクレオチドのいくつかの実施形態において、膜貫通ドメインは、CD28、T細胞受容体のアルファ鎖、T細胞受容体のベータ鎖、T細胞受容体のゼータ鎖、CD3ゼータ、CD3イプシロン、CD3ガンマ、CD3デルタ、CD45、CD4、CD5、CD8、CD9、CD16、CD22、CD33、CD37、CD64、CD80、CD86、CD134、CD137、CD154、ICOS/CD278、GITR/CD357、NKG2D、DAP10、またはDAP12からの膜貫通ドメインである。いくつかの実施形態において、膜貫通ドメインはCD28膜貫通ドメインである。いくつかの実施形態において、膜貫通ドメインは配列番号75を含む。
【0028】
本明細書記載のCD70特異的な工学的に操作された受容体をコードするポリヌクレオチドのいくつかの実施形態において、細胞内ドメインは、CD3ゼータ、CD27、CD28、4-1BB、DAP12、NKG2D、OX-40(CD134)、DAP10、CD40L、2B4、DNAM、CS1、CD48、NKp30、NKp44、NKp46、またはNKp80からの細胞内ドメインである。いくつかの実施形態において、細胞内ドメインはCD28細胞内ドメインである。いくつかの実施形態において、細胞内ドメインはCD3ゼータ細胞内ドメインである。いくつかの実施形態において、細胞内ドメインは配列番号81または配列番号82を含む。いくつかの実施形態において、工学的に操作された受容体は2つ以上の細胞内ドメインを含む。いくつかの実施形態において、前記2つ以上の細胞内ドメインは、CD3ゼータ細胞内ドメインと、CD28、DAP10、DAP12、4-1BB、NKG2D、および2B4細胞内ドメインから選択される追加の細胞内ドメインとを含む。いくつかの実施形態において、前記2つ以上の細胞内ドメインはCD3ゼータ細胞内ドメインとCD28細胞内ドメインとを含む。
【0029】
本明細書記載のCD70特異的な工学的に操作された受容体をコードするポリヌクレオチドのいくつかの実施形態において、ポリヌクレオチドはシグナルペプチドをさらに含む。いくつかの実施形態において、シグナルペプチドは、CD8、CD27、顆粒球-マクロファージコロニー刺激因子受容体(GMSCF-R)、Ig重鎖、キラー細胞免疫グロブリン様受容体(KIR)、CD3、またはCD4からのシグナルペプチドである。いくつかの実施形態において、シグナルペプチドはCD8シグナルペプチドである。
【0030】
本明細書記載のCD70特異的な工学的に操作された受容体をコードするポリヌクレオチドのいくつかの実施形態において、ポリヌクレオチドは、抗原結合ドメインと膜貫通ドメインとの間にヒンジをさらに含む。いくつかの実施形態において、ヒンジは、IgGヒンジ、CD28ヒンジ、またはCD8αヒンジである。いくつかの実施形態において、ヒンジは、IgG1ヒンジ、IgG2ヒンジ、IgG3ヒンジ、またはIgG4ヒンジである。いくつかの実施形態において、ヒンジはIgG1ヒンジである。
【0031】
本明細書記載のCD70特異的な工学的に操作された受容体をコードするポリヌクレオチドのいくつかの実施形態において、ポリヌクレオチドは追加のポリペプチドをコードする。いくつかの実施形態において、追加のポリペプチドは、治療タンパク質であるか、または細胞の活性、拡大、および/もしくは持続性を強化するタンパク質である。いくつかの実施形態において、追加のポリペプチドは、自殺遺伝子、サイトカイン、または増殖、拡大および/もしくは代謝フィットネスを強化するヒトもしくはウイルスのタンパク質である。いくつかの実施形態において、追加のポリペプチドはサイトカインである。いくつかの実施形態において、サイトカインは、IL-15、IL-2、IL-12、IL-18、IL-21、IL-23、またはIL-7である。いくつかの実施形態において、サイトカインはIL-15である。
【0032】
本明細書記載のCD70特異的な工学的に操作された受容体をコードするポリヌクレオチドのいくつかの実施形態において、CD70特異的な工学的に操作された受容体はキメラ抗原受容体(CAR)である。本明細書記載のCD70特異的な工学的に操作された受容体をコードするポリヌクレオチドのいくつかの実施形態において、CD70特異的な工学的に操作された受容体はT細胞受容体である。
【0033】
本明細書記載のCD70特異的な工学的に操作された受容体をコードするポリヌクレオチドのいくつかの実施形態において、ポリヌクレオチドはベクターに含まれる。いくつかの実施形態において、ベクターはウイルスベクターである。いくつかの実施形態において、ウイルスベクターは、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、レンチウイルスベクター、またはレトロウイルスベクターである。いくつかの実施形態において、ベクターは非ウイルスベクターである。いくつかの実施形態において、非ウイルスベクターはプラスミドである。
【0034】
本明細書記載のCD70特異的な工学的に操作された受容体をコードするポリヌクレオチドのいくつかの実施形態において、ポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドを含むベクターは、免疫細胞に含まれる。いくつかの実施形態において、免疫細胞は、ナチュラルキラー(NK)細胞、T細胞、ガンマ・デルタT細胞、アルファ・ベータT細胞、インバリアントNKT(iNKT)細胞、B細胞、マクロファージ、間葉系間質細胞、または樹状細胞である。いくつかの実施形態において、免疫細胞はNK細胞である。いくつかの実施形態において、NK細胞は、臍帯血、末梢血、誘導多能性幹細胞、造血幹細胞、骨髄に由来するか、または細胞株に由来する。いくつかの実施形態において、NK細胞は細胞株に由来し、そのNK細胞株はNK-92である。いくつかの実施形態において、NK細胞は臍帯血単核球に由来する。いくつかの実施形態において、NK細胞はCD56NK細胞である。いくつかの実施形態において、NK細胞は組換えサイトカインを発現する。いくつかの実施形態において、サイトカインは、IL-15、IL-2、IL-12、IL-18、IL-21、IL-7、またはIL-23である。いくつかの実施形態において、サイトカインはIL-15である。本明細書には、本明細書記載のCD70特異的な工学的に操作された受容体をコードするポリヌクレオチドまたは前記ポリヌクレオチドを含むベクターを含む免疫細胞を含む、免疫細胞の集団も開示される。
【0035】
本明細書では、いくつかの態様において、個体内のCD70陽性細胞を殺す方法であって、本明細書記載のCD70特異的な工学的に操作された受容体をコードするポリヌクレオチドを内包する細胞の有効量を、前記個体に投与することを含む方法が開示される。
【0036】
本明細書では、いくつかの態様において、対象をがんについて処置するための方法であって、本明細書記載のCD70特異的な工学的に操作された受容体をコードするポリヌクレオチドまたは前記ポリヌクレオチドを含むベクターを組む免疫細胞の、または本明細書記載のCD70特異的な工学的に操作された受容体をコードするポリヌクレオチドもしくは前記ポリヌクレオチドを含むベクターを含む免疫細胞を含む免疫細胞の集団の、治療有効量を、前記対象に投与することを含む、方法が、開示される。いくつかの実施形態において、対象はCD70がんを有する。いくつかの実施形態において、対象は、リンパ腫、白血病、多発性骨髄腫、膠芽腫、中皮腫、頭頸部がん、骨肉腫、黒色腫、非小細胞肺がん、腎細胞癌、膵がん、卵巣がん、胚細胞性腫瘍、または乳がんを有する。いくつかの実施形態において、本方法は前記対象に追加治療を施行することをさらに含む。いくつかの実施形態において、追加治療は放射線治療、化学治療、または免疫治療である。
【0037】
本明細書では、いくつかの態様において、(a)本明細書記載のCD70特異的な工学的に操作された受容体をコードするポリヌクレオチドまたは本明細書記載のCD70特異的な工学的に操作された受容体をコードするポリヌクレオチドを含むベクターを含む免疫細胞、または本明細書記載のCD70特異的な工学的に操作された受容体をコードするポリヌクレオチドもしくは本明細書記載のCD70特異的な工学的に操作された受容体をコードするポリヌクレオチドを含むベクターを含む免疫細胞を含む免疫細胞の集団と、(b)薬学的に許容されうる賦形剤とを含む、薬学的組成物が開示される。いくつかの実施形態において、薬学的組成物は追加の治療薬をさらに含む。いくつかの実施形態において、追加の治療薬は化学治療薬である。
【0038】
本明細書では、いくつかの態様において、(a)(i)(1)配列番号45に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR-H1、(2)配列番号46に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR-H2、および(3)配列番号47に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR-H3を含むVと、(ii)(1)配列番号49に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR-L1、(2)配列番号50に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR-L2、および(3)配列番号51に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR-L3を含むVとを含む、CD70結合領域、ならびに(b)免疫細胞結合領域を含む、免疫細胞エンゲージャーが開示される。いくつかの実施形態において、CDR-H1は配列番号45を含み、CDR-H2は配列番号46を含み、および/またはCDR-H3は配列番号47を含む。いくつかの実施形態において、CDR-L1は配列番号49を含み、CDR-L2は配列番号50を含み、および/またはCDR-L3は配列番号51を含む。いくつかの実施形態において、Vは、配列番号44に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列、配列番号44に対して少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列、または配列番号44に対して少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、Vは配列番号44を含む。いくつかの実施形態において、Vは、配列番号48に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列、配列番号48に対して少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列、または配列番号48に対して少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、Vは配列番号48を含む。いくつかの実施形態において、CD70結合領域はリンカーを含む。いくつかの実施形態において、リンカーは配列番号74を含む。いくつかの実施形態において、CD70結合領域のVは、5’から3’に向かって、CD70結合領域のVの上流にあり、CD70結合領域は配列番号68を含む。いくつかの実施形態において、CD70結合領域のVは、5’から3’に向かって、CD70結合領域のVの上流にあり、CD70結合領域は配列番号69を含む。
【0039】
本明細書では、いくつかの態様において、(a)(i)(1)配列番号53に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR-H1、(2)配列番号54に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR-H2、および(3)配列番号55に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR-H3を含むVと、(ii)(1)配列番号57に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR-L1、(2)配列番号58に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR-L2、および(3)配列番号59に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR-L3を含むVとを含む、CD70結合領域、ならびに(b)免疫細胞結合領域を含む、免疫細胞エンゲージャーが開示される。いくつかの実施形態において、CDR-H1は配列番号53を含み、CDR-H2は配列番号54を含み、および/またはCDR-H3は配列番号55を含む。いくつかの実施形態において、CDR-L1は配列番号57を含み、CDR-L2は配列番号58を含み、および/またはCDR-L3は配列番号59を含む。いくつかの実施形態において、Vは、配列番号52に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列、配列番号52に対して少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列、または配列番号52に対して少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、Vは配列番号52を含む。いくつかの実施形態において、Vは、配列番号56に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列、配列番号56に対して少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列、または配列番号56に対して少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、Vは配列番号56を含む。いくつかの実施形態において、CD70結合領域はリンカーを含む。いくつかの実施形態において、リンカーは配列番号74を含む。いくつかの実施形態において、CD70結合領域のVは、5’から3’に向かって、CD70結合領域のVの上流にあり、CD70結合領域は配列番号70を含む。いくつかの実施形態において、CD70結合領域のVは、5’から3’に向かって、CD70結合領域のVの上流にあり、CD70結合領域は配列番号71を含む。
【0040】
本明細書では、いくつかの態様において、(a)(i)(1)配列番号61に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR-H1、(2)配列番号62に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR-H2、および(3)配列番号63に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR-H3を含むVと、(ii)(1)配列番号65に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR-L1、(2)配列番号66に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR-L2、および(3)配列番号67に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR-L3を含むVとを含む、CD70結合領域、ならびに(b)免疫細胞結合領域を含む、免疫細胞エンゲージャーが開示される。いくつかの実施形態において、CDR-H1は配列番号61を含み、CDR-H2は配列番号62を含み、および/またはCDR-H3は配列番号63を含む。いくつかの実施形態において、CDR-L1は配列番号65を含み、CDR-L2は配列番号66を含み、および/またはCDR-L3は配列番号67を含む。いくつかの実施形態において、Vは、配列番号60に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列、配列番号60に対して少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列、または配列番号60に対して少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、Vは配列番号60を含む。いくつかの実施形態において、Vは、配列番号64に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列、配列番号64に対して少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列、または配列番号64に対して少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、Vは配列番号64を含む。いくつかの実施形態において、CD70結合領域はリンカーを含む。いくつかの実施形態において、リンカーは配列番号74を含む。いくつかの実施形態において、CD70結合領域のVは、5’から3’に向かって、CD70結合領域のVの上流にあり、抗原結合領域は配列番号72を含む。いくつかの実施形態において、CD70結合領域のVは、5’から3’に向かって、CD70結合領域のVの上流にあり、抗原結合領域は配列番号73を含む。
【0041】
本明細書に開示される免疫細胞エンゲージャーのいくつかの実施形態において、免疫細胞結合領域は、免疫細胞の表面に発現したタンパク質に特異的に結合する。いくつかの実施形態において、免疫細胞は、NK細胞、T細胞、ガンマ・デルタT細胞、アルファ・ベータT細胞、iNKT細胞、B細胞、マクロファージ、間葉系間質細胞、または樹状細胞である。いくつかの実施形態において、免疫細胞はT細胞である。いくつかの実施形態において、免疫細胞結合領域は、CD3、T細胞受容体(TCR)、CD28、Ox40、4-1BB、CD2、CD5、CD95、CD27、IL-7R、ICOS、IL2Rβ、CD45、CD48、およびCD137に特異的に結合する。いくつかの実施形態において、免疫細胞結合領域はCD3に特異的に結合する。いくつかの実施形態において、免疫細胞結合領域は抗CD3抗体からのscFvを含む。いくつかの実施形態において、免疫細胞はNK細胞である。いくつかの実施形態において、免疫細胞結合領域は、CD16A、NKp46、またはNKG2Dに特異的に結合する。いくつかの実施形態において、免疫細胞結合領域はCD16Aに特異的に結合する。いくつかの実施形態において、免疫細胞結合領域は抗CD16A抗体からのscFvを含む。
【0042】
本明細書記載の免疫エンゲージャーのいくつかの実施形態において、免疫細胞エンゲージャーはポリヌクレオチドによってコードされる。いくつかの実施形態において、本明細書記載の免疫細胞エンゲージャーをコードするポリヌクレオチドはベクターに含まれる。
【0043】
本明細書では、いくつかの態様において、本明細書記載の免疫細胞エンゲージャーを作製するための方法であって、(a)前記免疫細胞エンゲージャーをコードするポリヌクレオチドを細胞に与えること、および(b)前記細胞を、前記ポリヌクレオチドから前記免疫細胞エンゲージャーを発現させるのに十分な条件に付すことを含む、方法が開示される。
【0044】
本明細書では、いくつかの態様において、(a)本明細書記載の免疫細胞エンゲージャー、本明細書記載の免疫細胞エンゲージャーをコードするポリヌクレオチド、または本明細書記載の免疫細胞エンゲージャーをコードするポリヌクレオチドを含むベクターと、(b)薬学的に許容されうる賦形剤とを含む、薬学的組成物が開示される。いくつかの実施形態において、薬学的組成物は追加の治療薬をさらに含む。いくつかの実施形態において、追加の治療薬は化学治療薬である。
【0045】
本明細書では、いくつかの態様において、対象をがんについて処置するための方法であって、本明細書記載の免疫細胞エンゲージャー、本明細書記載の免疫細胞エンゲージャーをコードするポリヌクレオチド、または本明細書記載の免疫細胞エンゲージャーをコードするポリヌクレオチドを含むベクターを含む組成物の治療有効量を前記対象に投与することを含む方法が開示される。いくつかの実施形態において、対象はCD70がんを有する。いくつかの実施形態において、対象は、リンパ腫、白血病、多発性骨髄腫、膠芽腫、中皮腫、頭頸部がん、骨肉腫、黒色腫、非小細胞肺がん、腎細胞癌、膵がん、卵巣がん、胚細胞性腫瘍、または乳がんを有する。いくつかの実施形態において、本方法は前記対象に追加治療を施行することをさらに含む。いくつかの実施形態において、追加治療は放射線治療、化学治療、または免疫治療である。
【0046】
本発明の一実施形態に関して論述される制限はいずれも、本発明の他の任意の態様に適用しうると、明確に想定される。さらにまた、本発明の組成物はいずれも、本発明の任意の方法において使用することができ、本発明の方法はいずれも、本発明の任意の組成物を生産しまたは利用するために使用することができる。本開示の一態様に関して論述される実施形態はいずれも、本開示の他の態様にも当てはまり、その逆も同様である。例えば、本明細書記載の方法の工程はいずれも、他の任意の方法に適用することができる。さらにまた、本明細書記載のいずれの方法からも、任意の工程または工程の組合せが排除されうる。実施例で説明する実施形態の態様は、異なる実施例中のどこか、または本願のどこか、例えば発明の概要、発明の詳細な説明、特許請求の範囲、および図面の簡単な説明において論述される実施形態との関連において履行されうる実施形態でもある。
【0047】
本発明の他の目的、特徴および利点は以下の詳細な説明から明らかになるだろう。ただし、詳細な説明および具体的実施例は、本発明の具体的態様を示してはいるものの、単なる例示であると理解すべきである。というのも、本発明の要旨内および範囲内にあるさまざまな変更および改変は、この詳細な説明から、当業者には明白になるだろうからである。
【図面の簡単な説明】
【0048】
以下の図面は本明細書の一部を形成し、本発明の一定の態様をさらに論証するために含まれる。これらの図面のうちの1つまたは複数を、本明細書に提示される具体的実施形態の詳細な説明と併せて参照することにより、本開示は、よりよく理解されうる。
図1図1はモノクローナル抗ヒトCD70抗体に関するELISA細胞ベースアッセイからの結果を示す。
図2図2は、CD70抗体クローンが細胞表面上のCD70抗原に結合することを検証している。
図3図3A図3Bは、m6-CD70抗体クローンのscFv配列から作製されるCD70 CARが含まれているベクターマップの概略図である。
図4図4A図4Bは、m7-CD70抗体クローンのscFv配列から作製されるCD70 CARが含まれているベクターマップの概略図である。
図5図5A図5Bは、m14-CD70抗体クローンのscFv配列から作製されるCD70 CARが含まれているベクターマップの概略図である。
図6図6A図6Bは、さまざまなCD70 CAR構築物が形質導入されたCBNK細胞の形質導入効率を示す。
図7図7は、さまざまなCD70 CAR構築物が形質導入されたCBNK細胞の細胞増殖アッセイからの結果を示す。
図8図8は、さまざまながん細胞と共培養した場合の、さまざまなCD70構築物が形質導入されたCBNK細胞におけるCD107a発現を示す。
図9図9は、さまざまながん細胞と共培養した場合の、さまざまなCD70構築物が形質導入されたCBNK細胞におけるインターフェロンガンマ産生を示す。
図10図10は、さまざまながん細胞と共培養した場合の、さまざまなCD70構築物が形質導入されたCBNK細胞における腫瘍壊死因子アルファ産生を示す。
図11図11A図11Bは、さまざまなCD70 CAR構築物が形質導入されたCBNK細胞の、Raji細胞およびKarpas細胞に対する細胞傷害活性を評価するための、クロム放出アッセイからの結果を示す。
図12図12A図12Bは、CD70 CAR CBNK細胞が多発性骨髄腫(MM1.s)のマウスモデルにおける腫瘍量を低減したことを示している。
図13図13A~13Bは、CD70 CAR CBNK細胞が急性骨髄性白血病(MOLM-14)のマウスモデルにおける腫瘍量を低減したことを示している。
図14図14A~14Bは、m14-CD70クローンから作製されたCD70 CAR T細胞が、ARGX-110から作製されたCD70 CAR T細胞と比較して、急性骨髄性白血病(MOLM-14)のマウスモデルにおける腫瘍量を低減することに関して優れていたことを示している。
図15図15A図15Bは、CD70 CAR構築物が形質導入されたT細胞の、Raji細胞およびMec-1細胞に対する細胞傷害活性を評価するための、クロム放出アッセイからの結果を示す。
図16図16は、CD70 CAR T細胞が、非形質導入T細胞と比較した場合に、SKOV3細胞に対する細胞傷害性を改良したことを示している。
【発明の詳細な説明】
【0049】
本開示は、少なくとも部分的には、scFv、その一部分、およびそのようなscFvまたはその一部分を含むさまざまなポリペプチド(例えば抗体、CAR、エンゲージャー)などといった、CD70結合ポリペプチドの開発に基づいている。したがって、一定の実施形態では、CD70陽性がんを含むがんを標的とするための、抗体、抗体フラグメント、および工学的に操作されたポリペプチドに関係する方法および組成物が、ここに提供される。本開示の一定の態様は、抗CD70抗体および治療的使用方法に向けられる。本開示のさらなる態様は、CD70標的ポリペプチド(例えばキメラ抗原受容体またはT細胞受容体)および治療的使用方法に向けられる。一定の実施形態では、CD70と1つ以上の免疫細胞ターゲット(例えばCD3、CD16A、NCR)とを標的とする免疫細胞エンゲージャー(例えば二重特異性エンゲージャー)も開示される。加えて、本開示のCD70標的ポリペプチドおよびそのようなポリペプチドを含む細胞の使用を含む、がん処置の方法が記載される。
【0050】
I.定義の例
長年にわたる特許法の慣例に合わせて、「a」および「an」(ある、一つの)という単語は、それが本明細書において、comprising(を含む)という単語と一緒に使用される場合、特許請求の範囲を含めて、「1つの」を意味しうるが、「1つ以上の」、「少なくとも1つの」および「1つまたは1つより多い」という意味とも矛盾しない。本開示のいくつかの実施形態は、本開示の1つ以上の要素、方法工程および/または方法からなるか、または本発明の1つ以上の要素、方法工程および/もしくは方法から本質的になる。本明細書記載の方法または組成物はいずれも、本明細書記載の他の任意の方法または組成物に関して履行することができ、また異なる実施形態を組み合わせうると想定される。
【0051】
本明細書全体を通して、文脈上別段の必要がある場合を除き、「comprising」(を含む)(およびcomprisingの任意の形態、例えば「comprise」および「comprises」)、「having」(を有する)(およびhavingの任意の形態、例えば「have」および「has」)、「including」(を含む)(およびincludingの任意の形態、例えば「includes」および「include」)または「containing」(を含有する)(およびcontainingの任意の形態、例えば「contains」および「contain」)という単語は、言明した工程もしくは要素または工程もしくは要素の群の包含を含意するが、他の工程もしくは要素または工程もしくは要素の群の排除は含意しない。「consisting of」(からなる)とは、「consisting of」という表現に続くものを含み、それに限定されることを意味する。したがって「consisting of」(からなる)という表現は、列挙された要素が必要または必須であること、および他の要素は存在しえないことを示す。「consisting essentially of」(から本質的になる)とは、この表現の後に列挙される任意の要素、および列挙される要素に関して本開示において明記された活性または作用に干渉も寄与もしない他の要素に限定される任意の要素を含むことを意味する。したがって、「consisting essentially of」(から本質的になる)という表現は、列挙された要素は必要または必須であるが、他の要素は随意ではなく、それが列挙された要素の活性または作用に影響を及ぼすかどうかに依存して、存在しうるか、または存在しえないことを示す。
【0052】
治療的、診断的または生理的な目的または効果との関連において、任意の方法は、記載の治療的、診断的または生理的な目的または効果を達成または履行するための、本明細書において論述される任意の化合物、組成物または作用物質「の使用」などといった「使用」クレーム表現でも、記載されうる。
【0053】
本明細書の全体を通して、「一実施形態」、「ある実施形態」、「特定の実施形態」、「関連実施形態」、「一定の実施形態」、「追加の実施形態」もしくは「さらなる実施形態」またはそれらの組合せへの言及は、その実施形態に関連して記載される特定の特徴、構造または特性が、本発明の少なくとも一つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体を通してさまざまな場所に現れる前記の表現は、必ずしもすべてが同じ実施形態に言及しているわけではない。さらにまた、特定の特徴、構造または特性は、1つ以上の実施形態において、任意の適切な方法で組み合わされうる。
【0054】
本明細書において使用される「または」および「および/または」という用語は、複数の構成要素を組合せとしてまたは互いに排他的に記載するために利用される。例えば「x、y、および/またはz」は、「x」のみ、「y」のみ、「z」のみ、「x、y、およびz」、「(xおよびy)またはz」、「xまたは(yおよびz)」、または「xまたはyまたはz」を表すことができる。ある実施形態からx、y、またはzが特に排除されうることは、明確に想定される。
【0055】
本願全体を通して、「約」という用語は、細胞生物学および分子生物学の分野におけるその平易な通常の意味に従って、それが付された値の±10%の逸脱を示すために使用される。
【0056】
本明細書における値の範囲の具陳は、その範囲内に含まれる独立した値のそれぞれに個別に言及することを簡略化した方法として機能することを意図しているに過ぎない。本明細書において別段の表示がある場合を除き、個々の値は、それがあたかも本明細書に個別に具陳されているかのように、本明細書に組み入れられる。
【0057】
本明細書において使用される「工学的に操作された」という用語は、細胞、核酸、ポリペプチド、ベクターなどを含む、人間の手によって作製された実体を指す。少なくとも一部の事例において、工学的に操作された実体は合成物であり、天然には存在しないか、または本開示において利用されるような形では構成されていない要素を含む。
【0058】
本明細書において使用される「単離された」という用語は、他の物質を実質的に含まない分子または生物学的製剤または細胞物質を指す。一態様において、「単離された」という用語は、それぞれ、他のDNAもしくはRNA、またはタンパク質もしくはポリペプチド、または細胞もしくは細胞小器官、または組織もしくは器官、例えば天然供給源中に存在するものなどから分離された、DNAもしくはRNAなどの核酸、またはタンパク質もしくはポリペプチド、または細胞もしくは細胞小器官、または組織もしくは器官を指す。「単離された」という用語は、組換えDNA技法によって生産された場合には細胞物質、ウイルス物質、または培養培地を、また化学合成された場合には化学前駆体または他の化学物質を、実質的に含まない核酸またはペプチドも指す。さらにまた、「単離された核酸」とは、天然に存在するフラグメントではなく自然状態では見いだされないであろう核酸フラグメントを包含するものとする。「単離された」という用語は、本明細書では、他の細胞タンパク質から単離されたポリペプチドを指すためにも使用され、精製ポリペプチドと組換えポリペプチドをどちらも包含するものとする。「単離された」という用語は、本明細書では、他の細胞または組織から単離された細胞または組織を指すためにも使用され、この用語は、培養された細胞または組織と工学的に操作された細胞または組織をどちらも包含するものとする。
【0059】
2つのアミノ酸配列間の「配列同一性」は、それらの配列の間で同一であるアミノ酸のパーセンテージを示す。2つの核酸配列間の「配列同一性」は、それらの配列の間で同一であるヌクレオチドのパーセンテージを示す。
【0060】
「%同一」、「%同一性」、またはそれに類する用語は、特に、比較される配列間の最適なアライメントにおいて同一であるヌクレオチドまたはアミノ酸のパーセンテージを指すものとする。該パーセンテージは純粋に統計値であり、2つの配列の相違は、比較される配列の全長にわたってランダムに分布しうる(ただし必ずしもそうとは限らない)。2つの配列の比較は、通常は、対応する配列の局所領域を同定するための、セグメントまたは「比較ウィンドウ」に関する、最適アライメント後に、それらの配列を比較することによって実行される。比較のための最適アライメントは、手作業で、またはSmith and Waterman,1981,Ads App.Math.2,482による局所相同性アルゴリズムを利用して、またはNeddleman and Wunsch,1970,J.Mol.Biol.48,443による局所相同性アルゴリズムを利用して、またはPearson and Lipman,1988,Proc.Natl Acad.Sci.USA 88,2444による類似性検索アルゴリズムを利用して、または該アルゴリズムを使ったコンピュータプログラム(Genetics Computer GroupのWisconsin Geneticsソフトウェアパッケージ中のGAP、BESTFIT、FASTA、BLAST P、BLAST N、およびTFASTA)を利用して、実行されうる。いくつかの態様において、2つの配列のパーセント同一性は、米国国立バイオテクノロジー情報センター(NCBI)ウェブサイトで利用できるBLASTNまたはBLASTPアルゴリズムを使って決定される。
【0061】
パーセンテージ同一性は、比較される配列間で一致する同一位置の数を決定し、その数を比較した位置の数(例えばリファレンス配列中の位置の数)で割り、その結果に100を掛けることによって得られる。
【0062】
いくつかの態様では、類似性または同一性の程度が、リファレンス配列の全長の少なくとも、または最大で、または正確に約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、または約100%であるか、またはそれらのうちの任意の2つの間である領域について与えられる。例えば、リファレンス核酸配列が200ヌクレオチドからなる場合、同一性の程度は、少なくとも、または最大で、または正確に約100、約120、約140、約160、約180、または約200個の、またはそれらのうちの任意の2つの間の、いくつかの態様では連続する、ヌクレオチドについて、与えられる。いくつかの態様において、類似性または同一性の程度は、リファレンス配列の全長について与えられる。
【0063】
本明細書において使用される「防止する」や、それに類似する「防止された」、「防止すること」などの単語は、疾患または状態、例えばがんの発生または再発を防止し、阻害し、またはその可能性を低減するためのアプローチを示す。これは、疾患または状態の発病または再発を遅延させること、または疾患もしくは状態の症状の発生または再発を遅延させることも指す。本明細書において使用される「防止」や、それに類似する単語には、疾患または状態の発病または再発に先だって、その疾患または状態の強さ、効果、症状、および/または負荷を低減することも含まれる。
【0064】
本明細書にいう「処置」または「処置すること」には、疾患または病的状態の症状または病状に対する任意の有益なまたは望ましい効果が含まれ、処置される疾患または状態の、例えばがんの、1つ以上の測定可能なマーカーのごくわずかな低減も含まれうる。処置は、任意で、疾患もしくは状態の症状の低減もしくは改善、または疾患もしくは状態の進行の遅延のうちの、どちらか一方を伴うことができる。「処置」は、疾患もしくは状態またはその関連症状の完全な根絶または治癒を、必ずしも示さない。
【0065】
「阻害すること」、「減少させること」もしくは「低減すること」、またはこれらの用語の任意のバリエーションには、所望の結果を達成するための、任意の測定可能な減少(例えば5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または99%の減少)または完全な阻害が含まれる。「改良する」、「促進する」もしくは「増加させる」、またはこれらの用語の任意のバリエーションには、所望の結果またはタンパク質もしくは分子の産生を達成するための、任意の測定可能な増加(例えば5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または99%の増加)が含まれる。
【0066】
文脈から理解されるであろうとおり、疾患、障害および/または状態の「リスク」とは、特定の個体がその疾患、障害および/または状態を発症することになる可能性を指す。いくつかの実施形態において、リスクはパーセンテージとして表現される。いくつかの実施形態において、リスクは、少なくとも、または最大で、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、60、70、80、90%から100%までである。いくつかの実施形態において、リスクは、リファレンス試料またはリファレンス試料の群に付随するリスクと比較したリスクとして表現される。いくつかの実施形態において、リファレンス試料またはリファレンス試料の群は、ある疾患、障害、状態および/または事象の、既知のリスクを有する。いくつかの実施形態において、リファレンス試料またはリファレンス試料の群は、特定の個体に匹敵する個体からのものである。いくつかの実施形態において、リスクは、例えば個体に特定の疾患、障害および/または状態を発症する(または発症しない)素因を与えうる、1つ以上の遺伝的属性を反映しうる。いくつかの実施形態において、リスクは、1つ以上のエピジェネティックな事象もしくは属性および/または1つ以上の生活様式もしくは環境上の事象もしくは属性を反映しうる。に陥りやすい(susceptible to):ある疾患、障害および/または状態「に陥りやすい」個体とは、その疾患、障害および/または状態を発症するリスクが一般社会の構成員よりも高い個体である。いくつかの実施形態において、ある疾患、障害および/または状態に陥りやすい個体は、その疾患、障害および/または状態と診断されたことがなくてもよい。いくつかの実施形態において、ある疾患、障害および/または状態に陥りやすい個体は、その疾患、障害および/または状態の症状を呈してもよい。いくつかの実施形態において、ある疾患、障害および/または状態に陥りやすい個体は、その疾患、障害および/または状態の症状を呈さなくてもよい。いくつかの実施形態において、ある疾患、障害および/または状態に陥りやすい個体は、その疾患、障害および/または状態を発症することになる。いくつかの実施形態において、ある疾患、障害および/または状態に陥りやすい個体は、その疾患、障害および/または状態を発症しない。
【0067】
本明細書において使用される「試料」という用語は、広く生物学的試料を指す。試料は、個体からの組織または細胞から採取されうる。いくつかの例において、試料は、組織生検、血液(例えば全血)、血漿、細胞外液、乾燥血液スポット、培養細胞、廃棄組織を含むか、またはそれらに由来しうる。試料は、収集前に、供給源から単離されていてもよい。非限定的な例として、血液、脳脊髄液、胸水、羊水、リンパ液、唾液、尿、糞便、涙、汗、または粘膜排出物、および収集前に一次供給源から単離された他の体液が挙げられる。いくつかの例において、試料は、その一次供給源(細胞、組織、血液などの体液、環境試料など)から、試料調製中に単離される。試料は、その一次供給源から精製されるか、または他の形で濃縮されてもよいし、されなくてもよい。いくつかの事例において、一次供給源は、さらなる処理に先だってホモジナイズされる。試料は、バフィーコート、脂質、または粒子状物質を除去するために、濾過または遠心分離されうる。試料は核酸について精製または濃縮されてもよいし、RNaseで処理されてもよい。試料は、無傷の、または断片化された、または部分的に減成された、組織または細胞を含有しうる。
【0068】
本明細書において使用される「対象」という用語は、広く、その生物学的試料が処理または分析を受けている個体であって、特別な事例では、がんを有するか、またはがんを有すると疑われる個体を指す。対象は、ある方法または物質の目的となる任意の生物対象または動物対象であることができ、これには、哺乳動物、例えばヒト、実験動物(例えば霊長類、ラット、マウス、ウサギ)、家畜(例えばウシ、ヒツジ、ヤギ、ブタ、シチメンチョウ、およびニワトリ)、ハウスホールドペット(例えばイヌ、ネコ、および齧歯類動物)、ウマ、およびトランスジェニック非ヒト動物が含まれる。対象は、例えば、良性もしくは悪性の新形成またはがんなどの、(医学的状態と呼びうる)疾患を有するかまたは疾患を有すると疑われる患者であることができる。対象は、処置を受けているか、または受けたことがあってもよい。対象は無症候性であってもよい。対象は、健康だが、がんの予防を切望している個体であってもよい。「個体」という用語が、少なくともいくつかの事例では、相互可換的に使用されうる。本明細書にいう「対象」または「個体」は、医療施設に収容されていてもされていなくてもよく、医療施設の外来患者として処置されてもよい。個体はインターネットを介して1つ以上の医薬組成物を受け取っていてもよい。個体は、任意の齢のヒトまたは非ヒト動物を含みうるので、成人と年少者(すなわち小児)および乳幼児をどちらも含み、胎内の個体も含む。この用語が医学的処置の必要を暗示することは意図していないので、個体は、自由意志により、または非自発的に、臨床試験であるか基礎科学研究に資するものであるかを問わず、実験の一部でありうる。
【0069】
II.抗体
本開示の態様は抗CD70抗体およびそのフラグメントに関する。「抗体」という用語は、任意のアイソタイプのインタクト免疫グロブリン、またはターゲット抗原への特異的結合に関してインタクト抗体と競合することができるそのフラグメントを指し、これには、キメラ抗体、ヒト化抗体、完全ヒト抗体、および二重特異性抗体が含まれる。本明細書において使用される「抗体」または「免疫グロブリン」という用語は、相互可換的に使用され、動物の免疫応答の一部として機能する構造的に関連する数種類のタンパク質のいずれかを指し、これには、IgG、IgD、IgE、IgA、IgM、および関連タンパク質、ならびに抗体CDRドメインを含むポリペプチドであって抗原結合活性を保っているものが含まれる。
【0070】
「抗原」という用語は、抗体などの選択的結合剤によって結合されることのできる分子または分子の一部分を指す。抗原は、異なる抗体と相互作用することができる1つ以上のエピトープを有しうる。
【0071】
「エピトープ」という用語は、免疫グロブリンへの結合またはT細胞受容体への結合によって免疫応答を引き出すことができる分子の任意の領域または一部分を包含する。エピトープ決定基は、アミノ酸、糖側鎖、リン酸基またはスルホニル基などの化学的に活性な表面基を含みうると共に、特有の三次元構造特性および/または特有の電荷特性を有しうる。一般に、特定のターゲット抗原に特異的な抗体は、複雑な混合物内のターゲット抗原上のエピトープを優先的に認識するだろう。
【0072】
所与のポリペプチドのエピトープ領域は、x線結晶解析、核磁気共鳴分光法、部位指定変異導入マッピング、タンパク質ディスプレイアレイを含む当技術分野において周知の数多くの異なるエピトープマッピング技法を使って同定することができる。例えば「Epitope Mapping Protocols」(Johan RockbergおよびJohan Nilvebrant編,2018)Humana Press、ニューヨーク州ニューヨークを参照されたい。そのような技法は当技術分野において知られており、例えば米国特許第4,708,871号、Geysenら Proc.Natl.Acad.Sci.USA 81:3998-4002(1984)、Geysenら Proc.Natl.Acad.Sci.USA 82:178-182(1985)、Geysenら Molec.Immunol.23:709-715(1986に記載されている。例えば前掲の「Epitope Mapping Protocols」を参照されたい。加えて、タンパク質の抗原性領域は、標準的な抗原性プロットおよびハイドロパシープロットを使って予測し、同定することもできる。
【0073】
インタクト抗体は一般的には2本の完全長重鎖と2本の完全長軽鎖とで構成されるが、場合によっては、例えば重鎖だけを含みうるラクダ科動物に天然に存在する抗体など、含んでいる鎖の数が少ない場合もある。本明細書に開示される抗体は単一の供給源だけに由来してもよいし、「キメラ」であってもよい(すなわち、抗体の異なる部分が2つの異なる抗体に由来してもよい)。例えば、可変領域またはCDR領域が、ラットまたはマウス供給源に由来する一方で、定常領域は異なる動物供給源、例えばヒトに由来しうる。抗体または結合性フラグメントは、ハイブリドーマ中で生産されるか、または組換えDNA技法によって生産されるか、またはインタクト抗体の酵素的または化学的開裂によって生産されうる。別段の表示がある場合を除き、「抗体」という用語には、その誘導体、バリアント、フラグメント、およびムテインが含まれ、それらの例については後述する(Sela-Culangら Front Immunol.2013;4:302;2013)。
【0074】
「軽鎖」という用語には、完全長軽鎖と、結合特異性を付与するのに十分な可変領域配列を有するそのフラグメントとが含まれる。完全長軽鎖は25,000ダルトン前後の分子量を有しうる。完全長軽鎖は可変領域ドメイン(本明細書ではVと略記する)と定常領域ドメイン(本明細書ではCと略記する)とを含む。軽鎖にはカッパ(κ)およびラムダ(λ)と特定される2つの類型がある。「Vフラグメント」という用語は、モノクローナル抗体の軽鎖のフラグメントであって、CDRを含む軽鎖可変領域の全部または一部を含むものを意味する。Vフラグメントは軽鎖定常領域配列をさらに含むことができる。軽鎖の可変領域ドメインはポリペプチドのアミノ末にある。
【0075】
「重鎖」という用語には、完全長重鎖と、結合特異性を付与するのに十分な可変領域配列を有するそのフラグメントとが含まれる。完全長重鎖は50,000ダルトン前後の分子量を有しうる。完全長重鎖は可変領域ドメイン(本明細書ではVと略記する)と3つの定常領域ドメイン(本明細書ではC1、C2、およびC3と略記する)とを含む。「Vフラグメント」という用語は、モノクローナル抗体の重鎖のフラグメントであって、CDRを含む重鎖可変領域の全部または一部を含むものを意味する。Vフラグメントは重鎖定常領域配列をさらに含むことができる。重鎖定常領域ドメインの数はアイソタイプに依存することになる。Vドメインはポリペプチドのアミノ末にあり、Cドメインはカルボキシ末にあって、C3が-COOH端に最も近い。抗体のアイソタイプはIgM、IgD、IgG、IgA、またはIgEであることができ、存在する重鎖によって規定されるが、これには、それぞれミュー(μ)、デルタ(δ)、ガンマ(γ)、アルファ(α)、またはイプシロン(ε)鎖という5つの類型がある。IgGにはいくつかのサブタイプがあり、これにはIgG1、IgG2、IgG3、およびIgG4が含まれるが、それらに限るわけではない。IgMサブタイプにはIgM1およびIgM2が含まれる。IgAサブタイプにはIgA1およびIgA2が含まれる。
【0076】
抗体は、任意のアイソタイプまたは類型の全免疫グロブリン、キメラ抗体、または2つ以上の抗原に対する特異性を持つハイブリッド抗体であることができる。それらは、ハイブリッドフラグメントを含むフラグメント(例えばF(ab’)2、Fab’、Fab、Fvなど)であってもよい。免疫グロブリンには、特異的抗原に結合することによって抗体のように作用して複合体を形成する天然タンパク質、合成タンパク質または遺伝子操作されたタンパク質も含まれる。抗体という用語には、遺伝子操作その他の方法で改変された形態の免疫グロブリン、例えば本明細書に別途記載するものが含まれる。
【0077】
「単量体」という用語はIg単位を1つだけ含有する抗体を意味する。単量体は抗体の基本機能単位である。「二量体」という用語は、抗体重鎖の定常ドメイン(Fc領域、すなわちフラグメント結晶化可能領域)を介して互いに取り付けられた2つのIg単位を含有する抗体を意味する。この複合体は、接続(joining;J)鎖タンパク質によって安定化されうる。「多量体」という用語は、抗体重鎖の定常ドメイン(Fc領域)を介して互いに取り付けられた3つ以上のIg単位を含有する抗体を意味する。この複合体は、接続(J)鎖タンパク質によって安定化されうる。
【0078】
「二価抗体」という用語は、2つの抗原結合部位を含む抗体を意味する。それら2つの結合部位は同じ抗原特異性を有してもよいし、二重特異性であっても(つまり2つの抗原結合部位は異なる抗原特異性を有しても)よい。
【0079】
二重特異性抗体は、2つ以上の明確に異なるエピトープに対して異なる結合部位を持つ2つのパラトープを有する種類の抗体である。いくつかの実施形態において、二重特異性抗体は二パラトープ性であることができ、この場合、二重特異性抗体は同じ抗原からの異なるエピトープを特異的に認識しうる。いくつかの実施形態において、二重特異性抗体は、一対の異なる単一ドメイン抗体(「ナノボディ」と呼ばれるもの)から構築することができる。単一ドメイン抗体は軟骨魚類およびラクダ科動物に由来し、改変される。ナノボディは、リンカーにより、当業者には典型的な技法を使って一つに接合することができ、ナノボディの選択と結合のためのそのような方法は、PCT公開番号WO2015044386A1、WO2010037838A2、およびBeverら,Anal Chem.86:7875-7882(2014)に記載されており、これらの文献のそれぞれは参照によりその全体が本明細書に特に組み込まれる。
【0080】
二重特異性抗体は、全IgG、Fab’2、Fab’PEG、ダイアボディとして構築するか、あるいはscFvとして構築することができる。Fc領域を使わずに可変ドメインだけを使ってダイアボディおよびscFvを構築することで、抗イディオタイプ反応の効果を潜在的に低減することができる。二重特異性抗体は、ハイブリドーマの融合またはFab’フラグメントの連結などを含む(ただしこれらに限定されない)さまざまな方法によって、生産されうる。例えばSongsivilai and Lachmann,Clin.Exp.Immunol.79:315-321(1990)、Kostelnyら,J.Immunol.148:1547-1553(1992)を参照されたい。これらの文献のそれぞれは参照によりその全体が本明細書に特に組み込まれる。
【0081】
一定の態様において、抗原結合ドメインは、異なる抗原に結合するVおよびV領域ペアを使って多量体化することにより、多重特異性またはヘテロ特異性になりうる。例えば抗体は、(a)細胞表面抗原、(b)エフェクター細胞の表面上のFc受容体、または(c)少なくとも1つの他の構成要素と、結合しまたは相互作用しうる。したがって態様には、エピトープと、エフェクター細胞上のFc受容体などの他のターゲットとを指向する、二重特異性、三重特異性、四重特異性、および他の多重特異性抗体、またはそれらの抗原結合フラグメントが含まれうるが、それらに限るわけではない。
【0082】
いくつかの実施形態では、多重特異性抗体を使用することができ、多重特異性抗体は、当技術分野において知られている常法を使って、短いフレキシブルなポリペプチド鎖を介して直接連結することができる。そのような例の一つは、VドメインとVドメインとが単一のポリペプチド鎖上に発現される二価二重特異性抗体であって、同じ鎖上のドメイン間でペアを形成するには短すぎて、その結果、それらのドメインが別の鎖の相補的ドメインとペアを形成することを強いられて、2つの抗原結合部位を作り出すことになるリンカーを利用する、ダイアボディである。このリンカー機能は、トリアボディ、テトラボディ、およびそれ以上の高次抗体多量体の実施形態に応用可能である(例えばHollingerら,Proc Natl.Acad.Sci.USA 90:6444-6448(1993)、Polijakら,Structure 2:1121-1123(1994)、Todorovskaら,J.Immunol.Methods 248:47-66(2001)参照)。
【0083】
二重特異性ダイアボディは、二重特異性全抗体とは対照的に、大腸菌(E.coli)中で容易に構築し発現させることができる点でも、有利でありうる。適当な結合特異性を持つダイアボディ(および抗体フラグメントなどの他のポリペプチド)は、ファージディスプレイ(WO94/13804)を使ってライブラリーから容易に選択することができる。ダイアボディの一方のアームを例えばあるタンパク質に対する特異性を持つように一定に保てば、他方のアームを変化させたライブラリーを作って、適当な特異性を持つ抗体を選択することができる。二重特異性全抗体は、Ridgewayら,(Protein Eng.,9:616-621,1996)およびKrahら,(N Biotechnol.39:167-173,2017)に記載の代替的な工学的操作方法によって作ることもでき、これらの参考文献のそれぞれは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0084】
ヘテロコンジュゲート抗体は、共有結合で連結された、異なる特異性を持つ2つのモノクローナル抗体で構成される。例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第6,010,902号を参照されたい。
【0085】
抗体分子のFvフラグメントのうち、抗原のエピトープに高い特異性で結合する部分を、本明細書では「パラトープ」という。パラトープは、抗原のエピトープと接触することで抗原認識を容易にするアミノ酸残基からなる。抗体の2つのFvフラグメントのそれぞれは、二量体化した構成の2つの可変ドメインVとVとで構成される。可変ドメインのそれぞれの一次構造は、隣接するフレームワーク領域(FR)で分離された3つの超可変ループを含む。超可変ループは、任意の哺乳動物からの抗体分子の間で一次配列の可変性が最も高い領域である。超可変ループという用語を、「相補性決定領域(CDR)」という用語と相互可換的に使用する場合もある。超可変ループ(またはCDR)の長さは抗体分子間でさまざまである。所与の哺乳動物からのすべての抗体分子のフレームワーク領域は、高い一次配列類似性/コンセンサスを有する。当業者はフレームワーク領域のコンセンサスを使って、フレームワーク領域とフレームワーク領域の間に点在する超可変ループ(またはCDR)との両方を同定することができる。超可変ループには、ポリペプチド内でのそれぞれの位置とそれらがどのドメインに存在するかを見分ける識別名が与えられる。Vドメイン中のCDRは、L1(CDR-L1ともいう)、L2(CDR-L2ともいう)、およびL3(CDR-L3ともいう)と同定され、CドメインにはL1が最も遠く、L3が最も近い。CDRには、CDR-1、CDR-2、およびCDR-3という名称を与えることもできる。L3(CDR-3)は、一般に、所与の生物が産生するすべての抗体分子の間で最も可変性の高い領域である。CDRは、一次構造中で直線状に配置されたポリペプチド鎖の領域であり、それらはフレームワーク領域によって互いに分離されている。V鎖のアミノ末(N末)端はFR1と名付けられる。FR2と同定される領域はL1超可変ループとL2超可変ループの間に存在する。FR3はL2超可変ループとL3超可変ループの間に存在し、FR4領域はCドメインに最も近い。この構造と命名法は、H1(CDR-H1)、H2(CDR-H2)、およびH3(CDR-H3)と同定される3つのCDRを含むV鎖でも繰り返される。可変ドメインまたはFvフラグメント(VおよびV)中のアミノ酸残基の大部分は、フレームワーク領域の一部である(およそ85%)。抗体分子の三次元構造または四次構造は、フレームワーク領域がより分子の内部にあってその構造の大部分を与え、CDRが分子の外表面に位置するようになっている。
【0086】
これらの領域のそれぞれを構成する厳密なアミノ酸を同定するための方法はいくつか開発されており、当業者はそれらを使用することができる。これは、フレームワーク領域を作り上げている保存されたアミノ酸残基を同定し、それゆえに、長さはさまざまでありうるがフレームワーク領域間に位置するCDRを同定する、いくつかの多重配列アライメント方法およびアルゴリズムを使って、行うことができる。抗体のCDRを同定するために、よく使用される3つの方法が開発されている:Kabat(T.T.Wu and E.A.Kabat,「AN ANALYSIS OF THE SEQUENCES OF THE VARIABLE REGIONS OF BENCE JONES PROTEINS AND MYELOMA LIGHT CHAINS AND THEIR IMPLICATIONS FOR ANTIBODY COMPLEMENTARITY」,J Exp Med,vol.132,no.2,pp.211-250、Aug.1970に記載)、Chothia(C.Chothiaら,「Conformations of immunoglobulin hypervariable regions」,Nature,vol.342,no.6252,pp.877-883,Dec.1989に記載)、およびIMGT(M.-P.Lefrancら,「IMGT unique numbering for immunoglobulin and T cell receptor variable domains and Ig superfamily V-like domains」,Developmental&Comparative Immunology,vol.27,no.1,pp.55-77,Jan.2003に記載)。これらの方法はそれぞれ、可変領域を構成するアミノ酸残基を同定するためのユニークな番号付与システムを含んでいる。大半の抗体分子では、抗原のエピトープと実際に接触するアミノ酸残基がCDR中に存在するが、いくつかの事例では、フレームワーク領域内の残基が抗原結合に寄与する。
【0087】
当業者は、抗体のパラトープを決定するために、いくつかある方法をどれでも使用することができる。それらの方法には以下に挙げるものがある。1)抗体可変領域のアミノ酸配列とエピトープの組成との化学的性質に基づく抗体/エピトープ結合相互作用の三次構造の計算による予測。2)水素-重水素交換および質量分析。3)ポリペプチドの全長から複数のオーバーラップするフラグメントを作製し、それらのペプチドのエピトープに対する結合アフィニティを評価する、ポリペプチド断片化およびペプチドマッピングアプローチ。4)哺乳動物の抗体Fabフラグメントコード遺伝子が、バクテリオファージにより、ファージのコート中に組み込まれるような形で発現される、抗体ファージディスプレイライブラリー解析。次に、このFab発現ファージの集団を、固定化された抗原と、あるいは異なる外因的発現系によって発現された抗原と、相互作用させる。非結合性Fabフラグメントを洗い流すことによって、特異的結合性Fabフラグメントだけが抗原に付着している状態にする。結合性Fabフラグメントは容易に単離することができ、それらをコードする遺伝子が決定される。このアプローチは、Fvフラグメントまたは適宜、特異的VドメインおよびVドメインなど、Fabフラグメントのより小さな領域にも使用することができる。
【0088】
一定の態様では、親和性成熟抗体が、その1つ以上のCDRにおける1つ以上の改変であって、それらの改造を持たない親抗体と比較してターゲット抗原に対する抗体のアフィニティの改良をもたらす改変によって、強化される。一定の親和性成熟抗体は、ターゲット抗原に対してナノモル濃度域またはピコモル濃度域のアフィニティを有するだろう。親和性成熟抗体は、当技術分野において既知の手順によって作出される。例えばMarksら,Bio/Technology 10:779(1992)には、VおよびVドメインシャフリングによる親和性成熟が記載されており、ファージディスプレイにおいて使用されるCDRおよび/またはフレームワーク残基のランダム変異導入は、Tillerら,Front.Immunol.8:986(2017)において実証された計算方法と共に、Rajpalら,PNAS.24:8466-8471(2005)およびThieら,Methods Mol Biol.525:309-22(2009)に記載されている。
【0089】
キメラ免疫グロブリンとは異なる種に由来する融合遺伝子の産物をいう。「ヒト化」キメラは一般にヒト免疫グロブリンからのフレームワーク領域(FR)を有し、1つ以上のCDRが非ヒト供給源に由来する。
【0090】
一定の態様において、重鎖および/または軽鎖の一部分は、別の特定種からの対応する配列または特定抗体クラスもしくはサブクラスに属する対応する配列と、同一または相同であると共に、その鎖の残りの部分は、別の種に由来する抗体または別の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体中の対応する配列と、同一または相同であり、そのような抗体のフラグメントも、それらが所望の生物学的活性を呈する限り、同様である。米国特許第4,816,567号およびMorrisonら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 81:6851(1984)。キメラ抗体に関係する方法については、例えば米国特許第4,816,567号およびMorrisonら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 81:6851-6855(1985)を参照されたい。これらの文献のそれぞれは参照によりその全体が本明細書に特に組み込まれる。CDR移植は、例えば米国特許第6,180,370号、同第5,693,762号、同第5,693,761号、同第5,585,089号、および同第5,530,101号に記載されており、これらはすべて参照によりあらゆる目的で本明細書に組み込まれる。
【0091】
いくつかの実施形態では、非ヒト種からの抗体ポリペプチド配列を最小限に抑えることにより、キメラ抗体の機能が最適化され、免疫原性が低減される。非ヒト抗体の非抗原認識領域からの特定アミノ酸残基は、ヒトの抗体またはアイソタイプ中の対応する残基と相同になるように改変しうる。一例は「CDR移植」抗体であり、この場合、抗体は、特定の種からの1つ以上のCDR、または一定の抗体クラスもしくはサブクラスに属する1つ以上のCDRを含むと共に、抗体鎖の残りの部分は、別の種に由来する抗体または別の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体中の対応する配列と同一または相同である。ヒトでの使用のために、軽鎖可変領域と重鎖可変領域の両方について非ヒト免疫グロブリンからのCDR1、CDR2、および部分的CDR3で構成されるV領域にヒト抗体フレームワーク領域が移植されて、ヒト抗体の天然の抗原受容体が非ヒトCDRで置き換えられる。場合によっては、対応する非ヒト残基でヒト免疫グロブリンのフレームワーク領域残基を置き換える。さらにまたヒト化抗体は、性能をさらに洗練させるために、レシピエント抗体中にもドナー抗体中にも見いだされない残基を含みうる。ヒト化抗体は、免疫グロブリン定常領域(Fc)の、典型的にはヒト免疫グロブリンのFcの、少なくとも一部分も含みうる。例えばJonesら,Nature 321:522(1986)、Riechmannら,Nature 332:323(1988)、Presta,Curr.Op.Struct.Biol.2:593(1992)、Vaswani and Hamilton,Ann.Allergy,Asthma and Immunol.1:105(1998)、Harris,Biochem.Soc.Transactions 23;1035(1995)、Hurle and Gross,Curr.Op.Biotech.5:428(1994)、Verhoeyenら,Science 239:1534-36(1988)を参照されたい。
【0092】
イントラボディは、細胞内に局在する免疫グロブリンであり、これは、細胞外間隙中の抗原に結合する分泌抗体とは対照的に、細胞内抗原に結合する。
【0093】
ポリクローナル抗体調製物は典型的には異なる決定基(エピトープ)に対する異なる抗体を含む。ポリクローナル抗体を生産するには、ウサギまたはヤギなどの宿主を、抗原または抗原フラグメントで、一般的にはアジュバントと共に、必要であれば担体にカップリングして、免疫処置する。その後、抗原に対する抗体が宿主の血清から収集される。ポリクローナル抗体は、抗原に対してアフィニティ精製することで、それを単一特異性にすることができる。
【0094】
モノクローナル抗体または「mAb」とは、唯一の親細胞からの均質な抗体の集団から得られる抗体を指し、例えばこの集団は、微量に存在しうる天然の変異を除けば、同一である。各モノクローナル抗体は単一の抗原決定基を指向する。
【0095】
A.機能的抗体フラグメントおよび抗原結合フラグメント
1.抗原結合フラグメント
本開示の一定の態様は、CD70に結合する抗体フラグメントなどの抗体フラグメントに関する。機能的抗体フラグメントという用語には、抗原に特異的に結合する能力を保っている抗体の抗原結合フラグメントが含まれる。これらのフラグメントは、さまざまな配置の可変領域重鎖(V;「重鎖可変領域」ともいう)および/または可変領域軽鎖(V;「軽鎖可変領域」ともいう)から構成され、いくつかの実施形態では、定常領域重鎖1(C1)および定常領域軽鎖(C)を含む。いくつかの実施形態において、それらは重鎖2(C2)および3(C3)ドメインから構成されるFc領域を欠く。抗原結合フラグメントとそれらの改変体の実施形態には、(i)V、V、C、およびC1ドメインで構成されるFabフラグメント型、(ii)VおよびC1ドメインで構成されるFdフラグメント型、(iii)VおよびVドメインで構成されるFvフラグメント型、(iv)単一のVドメインまたはVドメインで構成される単一ドメインフラグメント型、dAb(Ward、1989、McCaffertyら,1990、Holtら,2003)、(v)単離された相補性決定領域(CDRs)が含まれうる。これらの用語は、例えばHarlow and Lane,Antibodies:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory,NY(1989)、Molec.Biology and Biotechnology:A Comprehensive Desk Reference(Myers,R.A.編,ニューヨーク:VCH Publisher,Inc.)、Hustonら,Cell Biophysics,22:189-224(1993)、Pluckthun and Skerra,Meth.Enzymol.,178:497-515(1989)およびDay,E.D.,Advanced Immunochemistry,第2版,Wiley-Liss,Inc.ニューヨーク州ニューヨーク(1990)、Antibodies,4:259-277(2015)に記載されている。この段落内の引用はいずれも参照によって組み込まれる。
【0096】
抗原結合フラグメントには、正確に、少なくとも、または最大で、1つ、2つ、または3つの、軽鎖可変領域からの相補性決定領域(CDR)を保っている抗体のフラグメントも、含まれる。Fc領域(またはそのC2もしくはC3領域)へのCDR含有配列の融合物は、この定義の範囲内に含まれ、例えばFc領域に直接的または間接的に融合されたscFvは、ここに包含される。
【0097】
Fabフラグメントという用語は、V、V、CおよびC1ドメインを含有する、抗体の一価抗原結合フラグメントを意味する。Fab’フラグメントという用語は、Fabフラグメントより大きいモノクローナル抗体の一価抗原結合フラグメントを意味する。例えばFab’フラグメントは、V、V、CおよびC1ドメインと、ヒンジ領域の全部または一部とを含む。F(ab’)2フラグメントという用語は、ヒンジ領域にあるジスルフィド結合によって連結された2つのFab’フラグメントを含むモノクローナル抗体の二価抗原結合フラグメントを意味する。F(ab’)2フラグメントは、例えば2つのVおよびVドメインの全部または一部を含み、2つのCおよびC1ドメインの全部または一部を、さらに含むことができる。
【0098】
Fdフラグメントという用語は、CDRを含むVの全部または一部を含むモノクローナル抗体の重鎖のフラグメントを意味する。FdフラグメントはC1領域配列をさらに含むことができる。
【0099】
Fvフラグメントという用語は、VおよびVの全部または一部を含み、CおよびC1ドメインを欠く、モノクローナル抗体の一価抗原結合フラグメントを意味する。VおよびVは例えばCDRを含む。一本鎖抗体(sFvまたはscFv)は、V領域とV領域とがフレキシブルなリンカーで繋がれて単一ポリペプチドを形成しており、それが抗原結合フラグメントを形成する、Fv分子である。一本鎖抗体は、国際特許出願公開番号WO88/01649ならびに米国特許第4,946,778号および同第5,260,203号に詳述されており、これらの文献の開示は参照により本明細書に組み込まれる。(scFv)2という用語は、ヒンジ領域によってsFvから分離されたオリゴマー化ドメインをそのC末に含む二価または二重特異性sFvポリペプチド鎖を意味する(Packら,1992)。オリゴマー化ドメインは、追加のジスルフィド結合によってさらに安定化することができる自己会合性α-ヘリックス、例えばロイシンジッパーを含む。(scFv)2フラグメントは「ミニ抗体」または「ミニボディ」としても知られている。
【0100】
単一ドメイン抗体はVドメインまたはVドメインだけを含有する抗原結合フラグメントである。場合によっては、2つ以上のV領域をペプチドリンカーを使って共有結合で接続することで、二価ドメイン抗体が作り出される。二価ドメイン抗体の2つのV領域は同じ抗原または異なる抗原を標的としうる。
【0101】
2.フラグメント結晶化可能領域Fc
Fc領域は、抗体のC2ドメインとC3ドメインとを含む2つの重鎖フラグメントを含有する。これら2つの重鎖フラグメントは、2つ以上のジスルフィド結合によって、またC3ドメインの疎水相互作用によって結びついている。本明細書において使用される「Fcポリペプチド」という用語には、抗体のFc領域に由来するネイティブ型およびムテイン型のポリペプチドが含まれる。二量体化を促進するヒンジ領域を含有するそのようなポリペプチドの切断型も含まれる。
【0102】
B.抗体CDRとCDRをディスプレイする足場ドメインとを持つポリペプチド
実施形態に従ってタンパク質結合分子を作製するために、抗原結合ペプチドスキャフォールド、例えば相補性決定領域(CDR)が使用される。一般に当業者は、少なくとも1つのCDRを移植するためのタンパク質スキャフォールドのタイプを決定することができる。スキャフォールドが、最適であるには、次に挙げるようないくつかの基準を満たさなければならないことは知られている:良好な系統的保存、既知の三次元構造、小さなサイズ、転写後修飾が少ないかもしくはないこと、および/または生産、発現および精製が容易であること。Skerra,J Mol Recognit,13:167-87(2000)。
【0103】
タンパク質スキャフォールドは、限定するわけではないが、次に挙げるものに由来しうる:フィブロネクチンIII型FN3ドメイン(「モノボディ」としても知られている)、フィブロネクチンIII型ドメイン10、リポカリン、アンチカリン、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)のプロテインAのZドメイン、チオレドキシンAまたは「アンキリンリピート」、「アルマジロリピート」、「ロイシンリッチリピート」および「テトラトリコペプチドリピート」などの繰り返しモチーフを持つタンパク質。そのようなタンパク質は、米国特許出願公開第2010/0285564号、同第2006/0058510号、同第2006/0088908号、同第2005/0106660号、およびPCT公開番号WO2006/056464に記載されており、これらの文献のそれぞれは参照によりその全体が本明細書に特に組み込まれる。サソリ、昆虫、植物、軟体動物などの毒素、およびニューロンNOシンターゼ(PIN)のタンパク質阻害因子に由来するスキャフォールドも使用しうる。
【0104】
C.抗体結合
「選択的結合剤」という用語は、抗原に結合する分子を指す。非限定的な例として、抗体、抗原結合フラグメント、scFv、Fab、Fab’、F(ab’)2、一本鎖抗体、ペプチド、ペプチドフラグメントおよびタンパク質が挙げられる。
【0105】
「結合」という用語は、2つの分子間の、例えば共有結合相互作用、静電相互作用、疎水性相互作用、ならびに塩橋および水橋などの相互作用を含むイオン性および/または水素結合相互作用による、直接的会合を指す。「免疫学的に反応性」とは、関心対象の選択的結合剤または抗体が生物学的試料中に存在する抗原と結合することを意味する。「免疫複合体」という用語は、抗体または選択的結合剤が抗原上のエピトープに結合した場合に形成される組合せを指す。
【0106】
1.アフィニティ/アビディティ
「アフィニティ」という用語は、抗体または選択的結合剤がエピトープに結合する強さを指す。抗体結合反応の場合、これは、任意の所与の抗体または選択的結合剤に対する親和定数(Kaまたはka、会合定数と呼ばれる場合もある)として表現される。アフィニティは、無関係なアミノ酸配列への抗体の結合強度と比較した、抗体のその抗原への結合強度として測定される。アフィニティは、例えば、無関係なアミノ酸配列よりも20倍強い、抗体のその抗原への結合能などと表現することができる。本明細書において使用される「アビディティ」という用語は、2つ以上の作用物質の複合体の、希釈後の解離に対する耐性を指す。「免疫反応性」および「優先的に結合する」という用語は、抗体および選択的結合剤に関して、本明細書では相互可換的に使用される。
【0107】
所与の抗体または選択的結合剤の、その抗原に対する結合アフィニティを評価するために、当業者が使用することのできる実験方法はいくつかある。これは、一般的には、KD=koff/kon=[A][B]/[AB]という等式を使って平衡解離定数(KDまたはKd)を測定することによって行われる。koffという用語は、単位時間あたりの抗体と抗原の間の解離の速度であり、平衡時の、未結合の形態で溶液中に存在する抗体と抗原の濃度に関係する。konという用語は、単位時間あたりの抗体と抗原の会合の速度であり、平衡時の、結合した抗原-抗体複合体の濃度に関係する。KDを測定するために使用される単位はmol/L(モル濃度、またはM)または濃度である。抗体のKaはKDの逆数であり、等式Ka=1/KDによって決定される。KD値を決定するために使用することができるいくつかの実験方法の例は、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、等温滴定熱量測定(ITC)、蛍光異方性、表面プラズモン共鳴(SPR)、およびアフィニティキャピラリー電気泳動(ACE)である。抗体の親和定数(Ka)はKDの逆数であり、等式Ka=1/KDによって決定される。
【0108】
一定の実施形態において有用であるとみなされる抗体は、約、少なくとも約、または最大で約、10、10、10,10、もしくは1010Mの、またはその中で導き出しうる任意の範囲の、親和定数(Ka)を有しうる。同様に、いくつかの実施形態において、抗体は、約、少なくとも約、または最大で約、10-6、10-7、10-8、10-9、10-10Mの、またはその中で導き出しうる任意の範囲の、解離定数を有しうる。本明細書において論述される抗体についてはこれらの値が報告され、そのような抗体の結合性を評価するには、同じアッセイが使用されうる。本発明の抗体は、解離定数(KD)が≦10-8Mである場合に、そのターゲット抗原に「特異的に結合する」という。抗体は、KDが≦5×10-9Mである場合には「高いアフィニティ」で、またKDが≦5×10-10Mである場合には「極めて高いアフィニティ」で、抗原に特異的に結合する。
【0109】
2.エピトープ特異性
抗原のエピトープは、抗原のうちの、抗体が結合アフィニティを示す特異的領域である。タンパク質またはポリペプチド抗原の場合、エピトープは、抗体が高いアフィニティで結合する特異的残基(または指定されたアミノ酸もしくはタンパク質フラグメント)である。抗体は必ずしもタンパク質内のあらゆる残基と接触するわけではない。また、タンパク質内の単一のアミノ酸置換またはアミノ酸欠失が、結合アフィニティに必ず影響を及ぼすわけでもない。本明細書および添付の特許請求の範囲では、「エピトープ」および「抗原決定基」という用語が、抗原上の、B細胞および/またはT細胞が応答または認識する部位を指すために、相互可換的に使用される。ポリペプチドエピトープは、連続したアミノ酸から形成されることも、ポリペプチドの三次フォールディングによって並置される不連続なアミノ酸から形成されることもできる。エピトープは典型的には、少なくとも3アミノ酸、典型的には5~10アミノ酸を、ユニークな空間的コンフォメーションで含む。
【0110】
抗体のエピトープ特異性はさまざまな方法で決定することができる。あるアプローチは、例えば、タンパク質の全配列にまたがり、少数のアミノ酸(例えば3~30個のアミノ酸)の増分が異なる、約15アミノ酸のオーバーラップペプチドの集合体を試験することを伴う。ペプチドはマイクロタイターディッシュの別々のウェルに固定化される。固定化は、例えばペプチドの一端をビオチン化することなどによって、達成することができる。このプロセスは、エピトープに対する抗体アフィニティに影響を及ぼしうるので、同じペプチドの異なる試料をそのN末およびC末においてビオチン化し、比較のために別々のウェルに固定化することができる。これは端部特異的抗体を同定するのに役立つ。任意で、関心対象の特定アミノ酸で終わる追加のペプチドを含めることができる。このアプローチは、内部フラグメントに対する端部特異的抗体を同定するのに有用である。抗体または抗原結合フラグメントは、さまざまなペプチドのそれぞれへの結合についてスクリーニングされる。エピトープは、抗体が高アフィニティ結合を示すすべてのペプチドに共通するアミノ酸のセグメントと定義される。
【0111】
3.抗体抗原結合ドメインの改変
本開示の抗体は、それらが抗体ポリペプチド配列またはそのフラグメントと実質的に同一であり、本開示のエピトープに依然として結合するような形で、改変されうる。ポリペプチド配列は、Clustal Omega、IGBLAST、GAPまたはBESTFITなどのプログラムをデフォルトのギャップ重み(gap weight)で使って最適にアライメントした場合に、それらが少なくとも80%の配列同一性、少なくとも90%の配列同一性、少なくとも95%の配列同一性、少なくとも96%の配列同一性、少なくとも97%の配列同一性、少なくとも98%の配列同一性、もしくは少なくとも99%の配列同一性、またはその中の任意の範囲を有するのであれば、「実質的に同一」である。
【0112】
本明細書において論述されるとおり、抗体またはその抗原結合領域のアミノ酸配列の軽微なバリエーションは、アミノ酸配列の変異が少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、そして最も好ましくは少なくとも99%の配列同一性を維持しているのであれば、本開示に包含されると想定される。特に、保存的なアミノ酸の置換えが想定される。
【0113】
保存的な置換えとは、側鎖同士が関連しているアミノ酸のファミリー内で起こる置換えである。遺伝的にコード化されているアミノ酸は一般に、側鎖の化学的性質に基づいて、それぞれのファミリー、例えば酸性(アスパラギン酸、グルタミン酸)、塩基性(リジン、アルギニン、ヒスチジン)、非極性(アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、および非荷電極性(グリシン、アスパラギン、グルタミン、システイン、セリン、スレオニン、チロシン)に分類される。例えば、イソロイシン部分またはバリン部分によるロイシン部分の孤立した置換え、または同じファミリー内の構造的に関連するアミノ酸によるアミノ酸の同様の置換えは、その置換えにフレームワーク部位内のアミノ酸が関与しないのであれば特に、結果として生じる分子の結合または性質に大きな効果を有しないだろうと予想することは妥当である。あるアミノ酸変化が機能的ペプチドをもたらすかどうかは、ポリペプチド誘導体の具体的活性をアッセイすることによって、容易に決定することができる。当業者は、無修飾抗体と、当業者が利用できるいくつかの方法のいずれかによって作製された保存的置換を持つ任意のポリペプチド誘導体との間で抗原結合アフィニティの定量的比較を行うために、標準的なELISA、表面プラズモン共鳴(SPR)、バイオレイヤー干渉法(BLI))、または他の抗体結合アッセイを行うことができる。
【0114】
当業者は抗体または免疫グロブリン分子のフラグメントまたは類似体を容易に調製することができる。フラグメントまたは類似体の好ましいアミノ末およびカルボキシ末は、機能ドメインの境界近くに存在する。構造ドメインおよび機能ドメインは、ヌクレオチド配列データおよび/またはアミノ酸配列データを、パブリックなまたはプロプリエタリな配列データベースと比較することによって、同定することができる。好ましくは、コンピュータによる比較方法を使って、既知の構造および/または機能を持つタンパク質中に存在する配列モチーフまたは予想タンパク質コンフォメーションドメインが同定される。既知の三次元構造に折りたたまれるタンパク質配列を同定するための標準的方法を当業者は利用することができる;Dill and McCallum.,Science 338:1042-1046(2012)。タンパク質構造およびそれらをコードする遺伝子配列を予測するためのアルゴリズムはいくつか開発されており、それらのアルゴリズムの多くは国立バイオテクノロジー情報センター(ワールドワイドウェブ上のncbi.nlm.nih.gov/guide/proteins/)およびBioinformatics Resource Portal(ワールドワイドウェブ上expasy.org/proteomics)に見いだすことができる。したがって上記の例は、本発明に従って構造ドメインおよび機能ドメインを画定するために使用しうる配列モチーフおよび構造コンフォメーションを当業者は認識できるということを、実証している。
【0115】
免疫原性を減少させるために、例えば1つ以上のフレームワーク残基を対応する生殖細胞系列配列に「復帰変異」させることによって、抗体にフレームワーク改変を加えることができる。
【0116】
同じ抗原(多価)または異なる抗原(多重特異性)に結合するVおよびV領域ペアを使って抗原結合ドメインを多量体化することにより、抗原結合ドメインが多重特異性または多価となりうることも、想定される。
【0117】
D.抗体の化学修飾
いくつかの態様では、グリコシル化部位の数および/またはタイプが親ポリペプチドのアミノ酸配列と比べて改造されている抗体のグリコシル化バリアントも想定される。抗原に対するポリペプチドのアフィニティを増加させるために、例えばポリペプチド配列内の1つ以上のグリコシル化部位を改変することによって、ポリペプチドのグリコシル化を改造することができる(米国特許第5,714,350号および同第6,350,861号)。一定の実施形態において、抗体タンパク質バリアントは、ネイティブ抗体よりも多い数または少ない数のN結合型グリコシル化部位を含む。N結合型グリコシル化部位は、配列:Asn-X-SerまたはAsn-X-Thrを特徴都市、ここで、Xで指定されるアミノ酸残基はプロリンを除く任意のアミノ酸残基でありうる。この配列を作り出すアミノ酸残基の置換は、N結合型炭水化物鎖を付加するための新しい潜在的部位を与える。あるいは、この配列を除去しまたは改造する置換は、ネイティブポリペプチド中に存在するN結合型炭水化物鎖の付加を妨げることになる。例えばグリコシル化は、Asnの欠失によって、またはAsnを異なるアミノ酸で置換することによって、低減することができる。別の実施形態では、1つ以上の新しいN結合型グリコシル化部位が作り出される。抗体は、典型的には、Fc領域にN結合型グリコシル化部位を有する。
【0118】
さらなる抗体バリアントには、親またはネイティブアミノ酸配列中の1つ以上のシステイン残基が除去されているか、または別のアミノ酸(例えばセリン)で置換されている、システインバリアントが挙げられる。システインバリアントは、なかんずく、抗体を生物学的に活性なコンフォメーションにリフォールディングさせなければならない場合に、有用である。システインバリアントは、ネイティブ抗体よりシステイン残基の数が少なく、対を形成していないシステインがもたらす相互作用を最小限に抑えるために、典型的には偶数のシステイン残基を有する。
【0119】
いくつかの態様では、生物学的半減期を増加させるために、ポリペプチドをポリエチレングリコール(PEG)またはPEGの反応性エステルもしくはアルデヒド誘導体と、1つ以上のPEG基がポリペプチドに取り付けられた状態になる条件下で反応させることによって、ポリペプチドをPEG化することができる。ポリペプチドのPEG化は、反応性PEG分子(または同様の反応性水溶性ポリマー)とのアシル化反応またはアルキル化反応によって実行されうる。タンパク質をPEG化するための方法は当技術分野では知られており、抗体のPEG化誘導体を得るために、本開示のポリペプチドに応用することができる。例えばEP0154316およびEP0401384を参照されたい。本明細書において使用される「ポリエチレングリコール」という用語は、他のタンパク質を誘導体化するために使用されてきたどの形態のPEGも包含するものとする。
【0120】
1.コンジュゲーション
本明細書に記載される抗体および抗原結合フラグメントの誘導体も提供される。誘導体化された抗体またはそのフラグメントは、その抗体またはフラグメントに所望の性質を付与する任意の分子または物質を含みうる。誘導体化された抗体は、検出可能(または標識)部分(例えば放射性、比色用、抗原性、もしくは酵素的分子、または検出可能ビーズ)、別の分子に結合する分子(例えばビオチンまたはストレプトアビジン)、治療用または診断用部分(例えば放射性部分、細胞毒性部分、または薬学的に活性な部分)、または特定の用途(例えばヒト対象などの対象への投与、または他のin vivoもしくはin vitro用途)に対する抗体の適性を増大させる分子を含むことができる。
【0121】
任意で、抗体または抗体の免疫学的部分は、他のタンパク質との融合タンパク質に化学的にコンジュゲートするか、または他のタンパク質との融合タンパク質として発現させることができる。いくつかの態様において、ポリペプチドは、結果として生じる分子の半減期を増加させるためにポリペプチドをヒト血清アルブミンなどの血清タンパク質にコンジュゲートまたは融合することによって、化学修飾しうる。例えばEP0322094およびEP0486525を参照されたい。いくつかの態様では、ポリペプチドを診断剤にコンジュゲートし、それを、例えば疾患の発症または進行をモニターし、所与の処置レジメンの効力を決定するために、診断的に使用しうる。いくつかの態様では、ある治療を、ポリペプチドの治療効果と組み合わせて提供するために、ポリペプチドを治療剤にコンジュゲートしうる。他の適切な、コンジュゲートされる分子には、リボヌクレアーゼ(RNase)、DNaseI、アンチセンス核酸、siRNA分子などの阻害性RNA分子、免疫刺激性核酸、アプタマー、リボザイム、三重鎖形成分子、および外部ガイド配列がある。機能的核酸分子は、ターゲット分子が持つ特異的活性のエフェクター、阻害剤、調節物質、および刺激物質として作用しうるか、または機能的核酸分子は他のどの分子にも依存せずにデノボ(de novo)活性を有しうる。
【0122】
いくつかの態様では、少なくとも1つの作用物質に連結されて抗体コンジュゲートまたはペイロードを形成する抗体または抗体様分子が開示される。診断剤または治療剤としての抗体分子の効力を増加させるために、少なくとも1つの所望の分子または部分を連結するか、共有結合するか、または複合体を形成させるのが、常套手段である。そのような分子または部分は、少なくとも1つのエフェクター分子またはレポーター分子でありうるが、それらに限るわけではない。エフェクター分子は、所望の活性、例えば細胞傷害活性を有する分子を含む。エフェクター分子の非限定的な例には、毒素、治療用酵素、抗生物質、放射性標識ヌクレオチドなどがある。これに対し、レポーター分子は、アッセイを使って検出されうる任意の部分と定義される。抗体にコンジュゲートされてきたレポーター分子の非限定的な例としては、酵素、放射性ラベル、ハプテン、蛍光ラベル、リン光分子、化学発光分子、発色団、ルミネセンス分子、光親和性分子、着色粒子、またはリガンドが挙げられる。
【0123】
a.コンジュゲートタイプ
抗体コンジュゲートの一定の例は、抗体が検出可能ラベルに連結されているコンジュゲートである。「検出可能ラベル」とは、それを使えば抗体を検出しおよび/またはさらには所望であれば定量することが可能になる、それらが持つ特有の機能的性質および/または化学的特性ゆえに、検出することができる化合物および/または元素である。検出可能ラベルの例としては、放射性同位体、発蛍光体、半導体ナノ結晶、化学発光体、発色団、酵素、酵素基質、酵素補因子、酵素阻害剤、色素、金属イオン、金属ゾル、リガンド(例えばビオチン、ストレプトアビジンまたはハプテン)などが挙げられるが、それらに限るわけではない。ラベルの特定例は、セイヨウワサビペルオキシダーゼ(HRP)、フルオレセイン、FITC、ローダミン、ダンシル、ウンベリフェロン、ジメチルアクリジニウムエステル(DMAE)、テキサスレッド、ルミノール、NADPHおよびα-またはβ-ガラクトシダーゼであるが、それらに限るわけではない。抗体コンジュゲートには、主としてin vitroでの使用が意図されたものであって、発色性基質と接触した時に着色生成物を生成するように、抗体が二次結合リガンドおよび/または酵素に連結されているものが含まれる。適切な酵素の例としては、ウレアーゼ、アルカリホスファターゼ、(セイヨウワサビ)ハイドロゲンペルオキシダーゼ、またはグルコースオキシダーゼが挙げられるが、それらに限るわけではない。好ましい二次結合リガンドはビオチンならびに/またはアビジンおよびストレプトアビジン化合物である。そのようなラベルの使用は当業者には周知であり、例えば米国特許第3,817,837号、同第3,850,752号、同第3,939,350号、同第3,996,345号、同第4,277,437号、同第4,275,149号および同第4,366,241号に記載されており、これらの文献はそれぞれ参照により本明細書に組み込まれる。アジド基を含有する分子も、低強度紫外光によって生成する反応性ナイトレン中間体を経由してタンパク質への共有結合を形成させるために使用しうる(Potter&Haley,1983)。
【0124】
いくつかの態様では、化学治療剤、薬物、成長阻害剤、毒素(例えば細菌、真菌、植物または動物由来の酵素活性を持つ毒素、またはそれらのフラグメント)、または放射性同位体(すなわち放射性コンジュゲート)などの細胞毒性剤にコンジュゲートされた抗体またはその抗原結合フラグメントを含むイムノコンジュゲートが想定される。このようにして、関心対象の作用物質を、細胞表面抗原を保持する細胞に直接ターゲティングすることができる。抗体と作用物質は、静電力によるなど、非共有結合相互作用によって、または共有結合によって、会合させうる。イムノコンジュゲートを形成させるには、当技術分野において知られるさまざまなリンカーを使用することができる。加えて、イムノコンジュゲートは融合タンパク質の形態で提供することができる。ある態様では、細胞表面抗原を標的とするために、抗体をさまざまな治療物質にコンジュゲートしうる。コンジュゲートされる作用物質の例として、金属キレート錯体、薬物、毒素および他のエフェクター分子、例えばサイトカイン、リンホカイン、ケモカイン、免疫調節物質、放射線増感剤、アスパラギナーゼ、カルボラン、および放射性ハロゲンが挙げられるが、それらに限るわけではない。
【0125】
抗体薬物コンジュゲート(ADC)では、抗体(Ab)が1つ以上の薬物部分(D)にリンカー(L)を介してコンジュゲートされている。ADCは、次に挙げるものを含む当業者に知られる有機化学反応、条件および試薬類を使用して、いくつかの経路で調製しうる:(1)抗体の求核基と二価リンカー試薬との反応による共有結合を介したAb-Lの形成と、それに続く薬物部分Dとの反応、および(2)薬物部分の求核基と二価リンカー試薬との反応による共有結合を介したD-Lの形成と、それに続く抗体の求核基との反応。抗体薬物コンジュゲートは、抗体を修飾して、リンカー試薬または薬物上の求核性置換基と反応することができる求電子部分を導入することによっても生産されうる。あるいは、抗体と細胞毒性剤とを含む融合タンパク質は、例えば組換え技法またはペプチド合成によっても作りうる。DNAの全長は、隣り合った、またはコンジュゲートの所望の性質を破壊しないリンカーペプチドをコードする領域によって分離された、コンジュゲートの2つの部分をコードする各領域を含みうる。さらにもう一つの態様では、腫瘍またはがん細胞プレターゲティングにおいて利用するために、抗体を「受容体」(ストレプトアビジンなど)にコンジュゲートすることができ、ここでは、抗体-受容体コンジュゲートが患者に投与され、結合していないコンジュゲートを除去剤を使って循環から除去してから、細胞毒性(例えば放射性ヌクレオチド)にコンジュゲートされた「リガンド」(例えばアビジン)が投与される。
【0126】
当業者に知られている抗体-薬物コンジュゲートの例は、細胞毒性剤または細胞増殖抑制剤(すなわちがんの処置において腫瘍細胞を殺しまたは阻害するための薬物)の局所送達に有用なプロドラッグである(Syrigos and Epenetos,Anticancer Res.19:605-614(1999)、Niculescu-Duvaz and Springer,Adv.Drg.Del.Rev.26:151-172(1997)、米国特許第4,975,278号)。これに対し、コンジュゲートされていないこれらの薬剤の全身性投与は、ターゲット腫瘍細胞だけでなく正常細胞にも、許容できないレベルの毒性をもたらしうる(Baldwinら,Lancet 1:603-5(1986)、Thorpe,(1985)「Antibody Carriers of Cytotoxic Agents in Cancer Therapy:A Review」,「Monoclonal Antibodies ’84:Biological and Clinical Applications」,A.Pinceraら編の475~506頁)。これらの戦略においてポリクローナル抗体とモノクローナル抗体はどちらも有用であると報告されている(Rowlandら,Cancer Immunol.Immunother.21:183-87(1986))。
【0127】
一定の態様において、ADCは、抗体またはその抗原結合フラグメントと、他のタンパク質またはポリペプチドとの、例えば抗体ポリペプチドのN末またはC末に融合された異種ポリペプチドを含む組換え融合タンパク質の発現などによる、共有結合コンジュゲートまたは凝集コンジュゲートを含む。例えば、コンジュゲートされるペプチドは、異種シグナル(またはリーダー)ポリペプチド、例えば酵母アルファ因子リーダーであるか、またはエピトープタグ(例えばV5-His)などのペプチドでありうる。抗体含有融合タンパク質は、抗体の精製または同定を容易にするために付加されたペプチド(例えばポリ-His)を含みうる。抗体ポリペプチドは、Hoppら,Bio/Technology 6:1204(1988)および米国特許第5,011,912号に記載されているように、FLAG(登録商標)(Sigma-Aldrich、ミズーリ州セントルイス)ペプチドに連結することもできる。1つ以上の抗体ポリペプチドを含有するオリゴマーをアンタゴニストとして使用しうる。オリゴマーは、共有結合的に連結されたまたは非共有結合的に連結された二量体、三量体、またはさらに高次のオリゴマーの形態をとりうる。2つ以上の抗体ポリペプチドを含むオリゴマーの使用が想定される。他のオリゴマーには、ヘテロ二量体、ホモ三量体、ヘテロ三量体、ホモ四量体、ヘテロ四量体などがある。一定の態様において、オリゴマーは、抗体ポリペプチドに融合されたペプチド部分間の共有結合相互作用または非共有結合相互作用によって接続された複数の抗体ポリペプチドを含む。そのようなペプチドは、ペプチドリンカー(スペーサー)であるか、またはオリゴマー化を促進する性質を有するペプチドでありうる。ロイシンジッパーおよび抗体に由来する一定のポリペプチドは、以下に詳述するように、それに取り付けられた抗体ポリペプチドのオリゴマー化を促進することができるペプチドの一例である。
【0128】
b.コンジュゲーションの方法
抗体をそのコンジュゲート部分に取り付けまたはコンジュゲートするための方法は当技術分野ではいくつか知られている。一部の取付け方法では、例えば抗体に取り付けられたジエチレントリアミン五酢酸無水物(DTPA)、エチレントリアミン四酢酸、N-クロロ-p-トルエンスルホンアミド、および/またはテトラクロロ-3-6-ジフェニルグリコウリル-3(tetrachloro-3-6-diphenylglycouril-3)などの有機キレート剤を使った金属キレート錯体を使用する(米国特許第4,472,509号および同第4,938,948号、それぞれ参照により本明細書に組み込まれる)。モノクローナル抗体を、グルタルアルデヒドまたは過ヨウ素酸などのカップリング剤の存在下で酵素と反応させてもよい。コンジュゲートは、さまざまな二官能性タンパク質カップリング剤、例えばN-スクシンイミジル-3-(2-ピリジルジチオール)プロピオネート(SPDP)、イミノチオラン(IT)、イミドエステルの二官能性誘導体(ジメチルアジポイミデートHClなど)、活性エステルの二官能性誘導体(スベリン酸ジスクシンイミジルなど)、アルデヒドの二官能性誘導体(グルタルアルデヒドなど)、ビスアジド化合物(ビス(p-アジドベンゾイル)ヘキサンジアミンなど)、ビスジアゾニウム誘導体(ビス(p-ジアゾニウムベンゾイル)-エチレンジアミンなど)、ジイソシアネート(トルエン2,6-ジイソシアネートなど)、およびビス活性フッ素化合物(1,5-ジフルオロ-2,4-ジニトロベンゼンなど)を使って作ることもできる。いくつかの態様では、抗体結合部位を改造しない反応条件を使って免疫グロブリンのFc領域にスルフヒドリル基を選択的に導入することによる免疫グロブリンの誘導体化が想定される。この方法に従って製作された抗体コンジュゲートは改良された寿命、特異性および感度を呈することが開示されている(参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,196,066号)。レポーター分子またはエフェクター分子がFc領域にある炭水化物残基にコンジュゲートされる場合のエフェクター分子またはレポーター分子の部位特異的取付けも文献に開示されている(O’Shannessyら,1987)。
【0129】
III.抗体の生産
A.抗体の生産
診断および検出アッセイ用、精製用、ならびに治療薬として使用するための抗体を調製し特徴づけるための方法は、例えば米国特許第4,011,308号、同第4,722,890号、同第4,016,043号、同第3,876,504号、同第3,770,380号および同第4,372,745号に開示されているとおり、当技術分野では周知である(例えば参照により本明細書に組み込まれる「Antibodies:A Laboratory Manual」,Cold Spring Harbor Laboratory,1988を参照されたい)。これらの抗体は、ポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体調製物、単一特異性抗血清、ヒト抗体、ハイブリッド抗体またはキメラ抗体、例えばヒト化抗体、改造抗体、F(ab’)2フラグメント、Fabフラグメント、Fvフラグメント、単一ドメイン抗体、二量体型または三量体型抗体フラグメント構築物、ミニボディ、または問題の抗原に結合するそれらの機能的フラグメントでありうる。一定の態様において、さまざまな実施形態で使用するためのポリペプチド、ペプチド、およびタンパク質ならびにそれらの免疫原性フラグメントは、従来の技法に従って、溶液中でまたは固形支持体上で合成することもできる。例えば、それぞれ参照により本明細書に組み込まれるStewart and Young,(1984)、Tarn et al,(1983)、Merrifield,(1986)、およびBarany and Merrifield(1979)を参照されたい。
【0130】
簡単に述べると、ポリクローナル抗体は、動物を抗原またはその一部分で免疫処置し、免疫処置されたその動物から抗血清を収集することによって調製される。抗原は、自然界に見いだされる抗原配列と比べて改造されうる。いくつかの実施形態では、バリアントまたは改造抗原性ペプチドもしくはポリペプチドが、抗体を生成させるために使用される。接種材料は、典型的には、抗原組成物を生理的に忍容される希釈剤に分散させて水性組成物を形成させることによって調製される。次に、当技術分野において既知の方法によって抗血清を収集する。この血清はさまざまな応用にそのまま使用するか、そうでない場合は、アフィニティクロマトグラフィーなどの周知の方法で所望の抗体画分を精製することができる(Harlow and Lane,「Antobidies:A Laboratory Manual」1988)。
【0131】
モノクローナル抗体を作る方法も当技術分野では周知である(参照によりあらゆる目的でその全体が本明細書に組み込まれるKohler and Milstein,1975、Harlow and Lane,1988、米国特許第4,196,265号)。典型的には、この技法では、選択された免疫原性組成物、例えば精製または部分精製されたタンパク質、ポリペプチド、ペプチドまたはドメインで、適切な動物を免疫処置する。次に、その結果生じた免疫処置動物からの抗体産生B細胞、解離した脾細胞、および/または解離したリンパ節を、不死化細胞株からの細胞と融合するように誘導して、ハイブリドーマを形成させる。ハイブリドーマを作出する融合手順における使用に適した骨髄腫細胞株は、好ましくは、非抗体産生性であり、高い融合効率、および所望の融合細胞(ハイブリドーマ)の成長だけをサポートする一定の選択培地での成長を不可能にする酵素欠損性を有する。典型的には、融合パートナーは、結果として生じるハイブリドーマの、一定の培地を使った選択を可能にする性質を含む。例えば融合パートナーはヒポキサンチン/アミノプテリン/チミジン(HAT)感受性であることができる。抗体を産生する脾細胞またはリンパ節細胞と骨髄腫細胞とのハイブリドーマを作製するための方法は、通常、細胞膜の融合を促進する1つまたは複数の作用因子(化学的因子または電気的因子)の存在下で体細胞を骨髄腫細胞と混合することを含む。次に、ハイブリドーマの選択は、マイクロタイタープレートにおける単一クローン希釈によって細胞を培養した後、(約2~3週間後に)個々のクローン上清を所望の反応性について試験することによって行うことができる。ハイブリドーマを作るための融合手順、免疫処置プロトコール、および免疫処置された脾細胞を融合用に単離するための技法は、当技術分野において知られている。
【0132】
モノクローナル抗体を作出するための他の技法には、Bリンパ球のウイルス形質転換または発がん性形質転換、核酸またはポリペプチドの作製に使用されうる分子クローニングアプローチ、選択リンパ球抗体法(selected lymphocyte antibody method:SLAM)(例えばBabcookら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 93:7843-7848(1996)参照、免疫処置された動物の脾臓から単離されたRNAからのコンビナトリアル免疫グロブリンファージミドライブラリーの調製および適当な抗体を発現するファージミドの選択、またはCre媒介部位特異的組換えを使った改変免疫グロブリン座位を含む細胞のゲノム配列から抗体を発現する細胞の作出(例えば米国特許第6,091,001号)、または免疫処置された動物から、もしくは腫瘍を保持するヒト個体から、もしくは体液性免疫応答の引き金を引く一定の病態もしくは感染性疾患に冒されていて血漿B細胞循環を有することがわかっているヒト個体から、もしくは同様の個体から凍結されたPBMCから、免疫グロブリンのV鎖およびV鎖に特異的な核酸を単離するための単一B細胞クローニングの実施(参照によりその全体が本明細書に組み込まれるVon Boehmer L,Liu C,Ackerman S,Gitlin AD,Wang Q,Gazumyan A,Nussenzweig MC.(2016)「Sequencing and cloning of antigen-specific antibodies from mouse memory B cells」,Nature Protocols 11:1908-1923参照)が含まれる。
【0133】
モノクローナル抗体は、濾過、遠心分離、およびHPLCまたはアフィニティクロマトグラフィーなどのさまざまなクロマトグラフィー法を使って、さらに精製しうる。モノクローナル抗体は、特異性、アビディティ、半減期、免疫原性、結合会合(binding association)、結合解離(binding disassociation)、または感染の処置であることに関係する総合的な機能的性質について、さらにスクリーニングし、または最適化しうる。したがってモノクローナル抗体は、CDRのアミノ酸配列に、挿入、欠失、または保存的アミノ酸もしくは非保存的アミノ酸による置換を含む改造を有しうる。
【0134】
特定の免疫原組成物の免疫原性は、アジュバントとして知られている免疫応答の非特異的刺激物質の使用によって強化することができる。実施形態に従って使用されうるアジュバントには、IL-1、IL-2、IL-4、IL-7、IL-12、γ-インターフェロン、GMCSF、BCG、水酸化アルミニウム、MDP化合物、例えばthur-MDPおよびnor-MDP、CGP(MTP-PE)、リピドA、およびモノホスホリルリピドA(MPL)などがあるが、それらに限るわけではない。例示的アジュバントとしては、完全フロイントアジュバント(死滅結核菌(Mycobacterium tuberculosis)を含有する免疫応答の非特異的刺激物質)、不完全フロイントアジュバント、および/または水酸化アルミニウムアジュバントを挙げることができる。アジュバントに加えて、限定するわけではないが、シメチジン(CIM;1200mg/d)(Smith/Kline、ペンシルバニア州)、低用量シクロホスファミド(CYP;300mg/m)(Johnson/Mead、ニュージャージー州)、β-インターフェロン、IL-2、もしくはIL-12などのサイトカイン、またはB-7などの免疫ヘルパー機能に関与するタンパク質をコードする遺伝子などといった、生体応答修飾物質(BRM)を共投与することが望ましいかもしれない。抗体分子集団をin vitroで拡大するには、ファージディスプレイ系を使用することができる。Saiki、et al.,Nature 324:163(1986)、Scharfら,Science 233:1076(1986)、米国特許第4,683,195号および同第4,683,202号、Yangら,J Mol Biol.254:392(1995)、Barbas、IIIら,Methods:Comp.Meth Enzymol.(1995)8:94、Barbas、IIIら,Proc Natl Acad Sci USA 88:7978(1991)。
【0135】
B.完全ヒト抗体の生産
完全ヒト抗体を作るための方法は利用可能である。完全ヒト抗体を使用することで、非ヒトモノクローナル抗体を治療剤としてヒトに投与することによって引き起こされる可能性がある免疫原性およびアレルギー応答を最小限に抑えることができる。一実施形態において、ヒト抗体は、非ヒトトランスジェニック動物、例えばV-D-J組換えおよびアイソタイプスイッチングを起こすことによってタンパク質に対するヒト抗体の複数のアイソタイプ(例えばIgG、IgAおよび/またはIgE)を産生することができるトランスジェニックマウスにおいて生産されうる。したがってこの態様は、抗体、抗体フラグメント、およびその薬学的組成物に当てはまるが、非ヒトトランスジェニック動物、B細胞、宿主細胞、およびモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマにも当てはまる。ヒト抗体の応用には、in vivoまたはin vitroで、予期されるタンパク質を発現する細胞を検出すること、本開示の抗体を含有する薬学的調製物、および抗体を投与することによる障害を処置する方法などがあるが、それらに限るわけではない。
【0136】
完全ヒト抗体は、内在性免疫グロブリン産生の非存在下でヒト抗体のレパトアを産生することができるトランスジェニック動物(例えばマウス)を免疫処置することによって生産することができる。この目的のための抗原は、典型的には6つ以上の連続アミノ酸を有し、任意で、ハプテンなどの担体にコンジュゲートされる。例えばJakobovitsら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:2551-2555(1993)、Jakobovitsら,Nature 362:255-258(1993)、Bruggermannら,Year in Immunol.7:33(1993)を参照されたい。一例において、トランスジェニック動物は、マウスの免疫グロブリン重鎖および免疫グロブリン軽鎖をコードする内在性マウス免疫グロブリン座位を非働化し、そのマウスゲノムに、ヒト重鎖および軽鎖タンパク質をコードする座位を含有するヒトゲノムDNAの大きなフラグメントを挿入することによって、作出される。次に、完全ではないヒト免疫グロブリン座位を有する部分的に改変された動物を交雑することで、所望の免疫系改変のすべてを有する動物を得る。これらのトランスジェニック動物は、免疫原を投与された場合に、その免疫原に対して免疫特異的な抗体を産生するが、それは可変領域を含めてマウスアミノ酸配列ではなくヒトアミノ酸配列を有する。そのような方法のさらなる詳細については、例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる国際特許出願WO96/33735およびWO94/02602を参照されたい。ヒト抗体を作るためのトランスジェニックマウスに関するさらなる方法は、米国特許第5,545,807号、同第6,713,610号、同第6,673,986号、同第6,162,963号、同第6,300,129号、同第6,255,458号、同第5,877,397号、同第5,874,299号および同第5,545,806号、国際特許出願公開番号WO91/10741およびWO90/04036、ならびに欧州特許EP546073B1およびEP546073A1に記載されており、これらはすべて、参照によりその全体があらゆる目的のために本明細書に組み込まれる。
【0137】
上述のトランスジェニックマウスを本明細書では「HuMAb」マウスといい、これは、再編成されていないヒト重鎖(μおよびγ)およびκ軽鎖免疫グロブリン配列をコードするヒト免疫グロブリン遺伝子ミニ座位(minilocus)を、内在性μおよびκ鎖座位を不活化する標的変異と共に含有する(Lonbergら,Nature 368:856-859(1994))。したがってこれらのマウスは、マウスIgMまたはκ鎖発現の低減を呈し、免疫処置に応答して、導入されたヒト重鎖および軽鎖導入遺伝子がクラススイッチおよび体細胞変異を起こすことで、高親和性ヒトIgGκモノクローナル抗体を生成する(Lonbergら,前掲、Lonberg and Huszar、Intern.Ref.Immunol.13:65-93(1995)、Harding and Lonberg、Ann.N.Y.Acad.Sci.764:536-546(1995))。HuMabマウスの調製は、Taylorら,Nucl.Acids Res.20:6287-6295(1992)、Chenら,Int.Immunol.5:647-656(1993)、Tuaillonら,J.Immunol.152:2912-2920(1994)、Lonbergら,前掲、Lonberg,Handbook of Exp.Pharmacol.113:49-101(1994)、Taylorら,Int.Immunol.6:579-591(1994)、Lonberg and Huszar、Intern.Ref.Immunol.13:65-93(1995)、Harding and Lonberg、Ann.N.Y.Acad.Sci.764:536-546(1995)、Fishwildら,Nat.Biotechnol.14:845-851(1996)に詳述されており、前記参考文献は、参照によりそれぞれの全体があらゆる目的で本明細書に組み込まれる。さらに、米国特許第5,545,806号、同第5,569,825号、同第5,625,126号、同第5,633,425号、同第5,789,650号、同第5,877,397号、同第5,661,016号、同第5,814,318号、同第5,874,299号、同第5,770,429号および同第5,545,807号、ならびに国際特許出願公開番号WO93/1227、WO92/22646およびWO92/03918も参照されたい。これらの文献はすべて、その開示の全体が、参照によりあらゆる目的のために本明細書に組み込まれる。これらのトランスジェニックマウスにおけるヒト抗体の生産に利用される技術は、WO98/24893、およびMendezら,Nat.Genetics 15:146-156(1997)にも開示されており、これらの文献は参照により本明細書に組み込まれる。例えば、ヒト抗体の作製にはHCo7およびHCo12トランスジェニックマウス株を使用することができる。
【0138】
ハイブリドーマ技術を使って、所望の特異性を持つ抗原特異的ヒト化モノクローナル抗体を、上述のようなトランスジェニックマウスから産生させ、選択することができる。そのような抗体は、適切なベクターおよび宿主細胞を使ってクローニングし、発現させるか、または培養ハイブリドーマ細胞から抗体を収穫することができる。完全ヒト抗体は(Hoogenboomら,J.Mol.Biol.227:381(1991)およびMarksら,J.Mol.Biol.222:581(1991)に開示されているように)ファージディスプレイライブラリーから得ることもできる。そのような技法の一つは、国際特許出願公開番号WO99/10494(この文献は参照により本明細書に組み込まれる)に記載されており、この文献には、そのようなアプローチを使った、MPL受容体およびmsk受容体に対する、高親和性の機能的なアゴニスト抗体の単離が記載されている。B細胞ドナーがヒトである場合は、免疫処置された動物から、または腫瘍を保持するヒト個体から、もしくは体液性免疫応答の引き金を引く一定の病態もしくは感染性疾患に冒されていて血漿B細胞循環を有することがわかっているヒト個体から、もしくは同様の個体から凍結されたPBMCから、免疫グロブリンのV鎖およびV鎖に特異的な核酸を単離するための単一B細胞クローニングを行うことによって、ヒト化抗体または完全ヒト抗体を得ることもできる(参照によりその全体が本明細書に組み込まれるVon Boehmer L,Liu C,Ackerman S,Gitlin AD,Wang Q,Gazumyan A,Nussenzweig MC.(2016)「Sequencing and cloning of antigen-specific antibodies from mouse memory B cells」,Nature Protocols 11:1908-1923参照)。
【0139】
C.抗体フラグメントの生産
関心対象の抗原を認識する能力を保っている抗体フラグメントも、ここでは役立つだろう。インタクト抗体分子の免疫学的結合性を呈することができる抗原結合部位を含み、続いて当技術分野において既知の方法によって改変することができる抗体フラグメントは、当技術分野においていくつか知られている。重鎖および軽鎖の可変領域だけを含む機能的フラグメントも、組換え生産または免疫グロブリン分子の優先的タンパク質分解的開裂などといった標準的技法を使って生産することができる。これらのフラグメントはFvとして知られている。例えばInbarら,Proc.Nat.Acad.Sci.USA 69:2659-2662(1972)、Hochmanら,Biochem.15:2706-2710(1976)、およびEhrlichら,Biochem.19:4091-4096(1980)を参照されたい。
【0140】
一本鎖可変フラグメント(scFv)は、2つの可変ドメインポリペプチド(VおよびV)をコードするDNAの間にペプチドリンカーをコードするDNAを融合することによって調製しうる。scFvは抗原結合性単量体を形成するか、または2つの可変ドメインの間のフレキシブルリンカーの長さに依存して多量体(例えば二量体、三量体、または四量体)を形成することができる(Korttら,Prot.Eng.10:423(1997)、Kortら,Biomol.Eng.18:95-108(2001))。異なるV含有ポリペプチドおよびV含有ポリペプチドを組み合わせることにより、異なるエピトープに結合する多量体型scFvを形成させることができる(Kriangkumら,Biomol.Eng.18:31-40(2001))。抗原結合フラグメントは典型的には当業者に知られている組換えDNA法によって生産される。Fvフラグメントの2つのドメインVおよびVは別々の遺伝子によってコードされるが、組換え法を使用し、それらを一本鎖ポリペプチド(これは一本鎖Fv(sFvまたはscFv)として知られている)として作ることを可能にする合成リンカーによって、それらを接続することができる。例えばBirdら,Science 242:423-426(1988)およびHustonら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:5879-5883(1988)を参照されたい。設計基準には、一方の鎖のC末と他方の鎖のN末との間の距離を橋渡しするための適当な長さを決定することが含まれ、ここで、リンカーは一般的にはコイル状になったり二次構造を形成したりする傾向を示さない小さな親水性アミノ酸残基から形成される。適切なリンカーは、一般的には、グリシン残基とセリン残基のセットが交互するポリペプチド鎖を含み、溶解性を高めるためにグルタミン酸残基およびリジン残基を含みうる。抗原結合フラグメントはインタクト抗体と同じ方法で有用性についてスクリーニングされる。そのようなフラグメントには、アミノ末および/またはカルボキシ末欠失によって得られるフラグメントであって、残りのアミノ酸配列は例えば完全長cDNA配列などから推定される天然配列中の対応する位置と実質的に同一であるものが含まれる。
【0141】
抗体は、本明細書に開示されるエピトープ決定基のペプチド類似体であって、テンプレートペプチドの性質と類似する性質を有する非ペプチド化合物からなりうるものを使って生成させることもできる。これらのタイプの非ペプチド化合物は「ペプチドミメティック」(peptide mimeticまたはpeptidomimetic)と呼ばれる。Fauchere,J.Adv.Drug Res.15:29(1986)、Veber and Freidinger TINS p.392(1985)、およびEvansら J.Med.Chem.30:1229(1987)。「抗体様結合性ペプチドミメティック」(antibody like binding peptidomimetic:ABiP)も、Liuら(2003)によって記載されており、これは短縮型(pared-down)抗体として作用するペプチドであって、血清中半減期がより長く、合成方法がそれほど面倒でないという、一定の利点を有する。これらの類似体は、ペプチド、非ペプチド、またはペプチド領域と非ペプチド領域の組合せであることができる。Fauchere、Adv.Drug Res.15:29(1986)、Veber and Freidiner,TINS p.392(1985)、およびEvansら,J.Med.Chem.30:1229(1987)。これらの文献は参照によりそれぞれの全体があらゆる目的で本明細書に組み込まれる。治療上有用なペプチドと構造的に類似するペプチドミメティックは、類似する治療効果または予防効果を生じさせるために使用しうる。そのような化合物は、コンピュータ分子モデリングを利用して開発されることが多い。一般に、本開示のペプチドミメティックは、所望の生物学的活性、例えばタンパク質に結合する能力を示す抗体に構造的に類似するが、1つ以上のペプチド結合が、当技術分野において周知の方法によって、-CHNH-、-CHS-、-CH-CH-、-CH=CH-(シスおよびトランス)、-COCH-、-CH(OH)CH-、および-CHSO-から選択される結合で置き換えられていてもよいタンパク質である。本開示の一定の実施形態では、より安定なタンパク質を生成させるために、同じタイプのD-アミノ酸によるコンセンサス配列の1つ以上のアミノ酸の系統的置換(例えばL-リジンの代わりにD-リジン)が使用されうる。加えて、コンセンサス配列または実質上同一であるコンセンサス配列バリエーションを含む拘束されたペプチドは、当技術分野において既知の方法(参照により本明細書に組み込まれるRizo and Gierasch、Ann.Rev.Biochem.61:387(1992))により、例えばペプチドを環化する分子内ジスルフィド架橋を形成することができる内部システイン残基を付加することなどによって、作製しうる。
【0142】
ひとたび作製したら、Fab分子の免疫学的結合アフィニティを既知の技法を用いて改良するために、ファージディスプレイライブラリーを使用することができる。例えばFiginiら,J.Mol.Biol.239:68(1994)を参照されたい。ファージディスプレイライブラリーから選択されたFab分子の重鎖部分および軽鎖部分のコード配列を単離するか、または合成し、発現させるために任意の適切なベクターまたはレプリコンにクローニングすることができる。任意の適切な発現系を使用することができる。
【0143】
IV.ポリペプチド
本明細書にいう「タンパク質」、「ペプチド」、または「ポリペプチド」とは、少なくとも5つのアミノ酸残基を含む分子を指す。本明細書において使用される「野生型」という用語は、生物中に天然に存在する内在性バージョンの分子を指す。いくつかの実施形態では野生型バージョンのタンパク質またはポリペプチドが使用されるが、本開示の多くの実施形態では、免疫応答を生じさせるために改変されたタンパク質またはポリペプチドが使用される。上述の用語は相互可換的に使用されうる。「改変タンパク質」または「改変ポリペプチド」または「バリアント」とは、その化学構造、特にそのアミノ酸配列が、野生型のタンパク質またはポリペプチドと比較して改造されているタンパク質またはポリペプチドを指す。いくつかの実施形態において、改変/バリアントタンパク質またはポリペプチドは(タンパク質またはポリペプチドが複数の活性または機能を有しうるという認識のもとで)少なくとも1つの改変された活性または機能を有する。改変/バリアントタンパク質またはポリペプチドは、1つの活性または機能に関して改造されているかもしれないが、免疫原性など、他の面では野生型の活性または機能を依然として維持しうることが、明確に想定される。
【0144】
本明細書においてあるタンパク質が具体的に言及される場合、それは、一般的には、ネイティブ(野生型)もしくは組換え(改変)タンパク質、または任意で、いかなるシグナル配列も除去されているタンパク質への言及である。タンパク質は、その由来である生物から直接単離するか、組換えDNA/外因的発現法によって生産するか、または固相ペプチド合成(SPPS)もしくは他のin vitro法で生産しうる。特定の実施形態には、ポリペプチド(例えば抗体またはそのフラグメント)をコードする核酸配列を組み込んだ、単離された核酸セグメントおよび組換えベクターがある。「組換え」という用語が、ポリペプチドと一緒に、または具体的ポリペプチドの名前と一緒に使用される場合があり、これは、一般に、in vitroで操作された核酸分子またはそのような分子の複製産物である核酸分子から産生されるポリペプチドを指す。
【0145】
一定の実施形態において、(野生型または改変)タンパク質またはポリペプチドのサイズは、限定するわけではないが、本明細書に記載しまたは言及する対応するアミノ酸配列のうちの、少なくとも、または最大で、または正確に5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475、500、525、550、575、600、625、650、675、700、725、750、775、800、825、850、875、900、925、950、975、1000、1100、1200、1300、1400、1500、1750、2000、2250、2500個もしくはそれ以上の、またはそれらのうちの任意の2つの間の、およびその中で導き出しうる任意の範囲の、アミノ酸残基または誘導体を含みうる。ポリペプチドは、それらを対応するその野生型よりも短くするトランケーションによって変異させうること、また、ポリペプチドは、(例えば、ターゲティングまたは局在化、免疫原性の強化、精製などを目的として)特定の機能を持つ異種タンパク質またはポリペプチド配列を融合しまたはコンジュゲートすることによって、改造しうることが想定される。本明細書において使用される「ドメイン」という用語は、任意の明確に異なる機能単位または構造単位を指し、一般的には、当業者によって認識されうる構造または機能を持つアミノ酸配列を指す。
【0146】
本開示のポリペプチド、タンパク質、またはそのようなポリペプチドもしくはタンパク質をコードするポリヌクレオチドは、少なくとも、多くとも、正確に、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、もしくは50個(またはそこから誘導可能な任意の範囲)以上の変異アミノ酸もしくはヌクレオチド置換を含むか、または少なくとも、多くとも、正確に、もしくは60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%(またはそこから誘導可能な任意の範囲)の間で、配列番号1-105の、少なくとも、多くとも、正確に、または3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、200、201、202、203、204、205、206、207、208、209、210、211、212、213、214、215、216、217、218、219、220、221、222、223、224、225、226、227、228、229、230、231、232、233、234、235、236、237、238、239、240、241、242、243、244、245、246、247、248、249、250、300、400、500、550、1000個もしくはそれ以上の連続するアミノ酸もしくはヌクレオチドの任意の2つの間、またはそこから誘導可能な任意の範囲と、類似、同一、または相同である。
【0147】
いくつかの実施形態において、タンパク質またはポリペプチドは、配列番号44-105のアミノ酸1から2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、200、201、202、203、204、205、206、207、208、209、210、211、212、213、214、215、216、217、218、219、220、221、222、223、224、225、226、227、228、229、230、231、232、233、234、235、236、237、238、239、240、241、242、243、244、245、246、247、248、249、250、251、252、253、254、255、256、257、258、259、260、261、262、263、264、265、266、267、268、269、270、271、272、273、274、275、276、277、278、279、280、281、282、283、284、285、286、287、288、289、290、291、292、293、294、295、296、297、298、299、300、301、302、303、304、305、306、307、308、309、310、311、312、313、314、315、316、317、318、319、320、321、322、323、324、325、326、327、328、329、330、331、332、333、334、335、336、337、338、339、340、341、342、343、344、345、346、347、348、349、350、351、352、353、354、355、356、357、358、359、360、361、362、363、364、365、366、367、368、369、370、371、372、373、374、375、376、377、378、379、380、381、382、383、384、385、386、387、388、389、390、391、392、393、394、395、396、397、398、399、400、401、402、403、404、405、406、407、408、409、410、411、412、413、414、415、416、417、418、419、420、421、422、423、424、425、426、427、428、429、430、431、432、433、434、435、436、437、438、439、440、441、442、443、444、445、446、447、448、449、450、451、452、453、454、455、456、457、458、459、460、461、462、463、464、465、466、467、468、469、470、471、472、473、474、475、476、477、478、479、480、481、482、483、484、485、486、487、488、489、490、491、492、493、494、495、496、497、498、499、500、501、502、503、504、505、506、507、508、509、510、511、512、513、514、515、516、517、518、519、520、521、522、523、524、525、526、527、528、529、530、531、532、533、534、535、536、537、538、539、540、541、542、543、544、545、546、547、548、549、550、551、552、553、554、555、556、557、558、559、560、561、562、563、564、565、566、567、568、569、570、571、572、573、574、575、576、577、578、579、580、581、582、583、584、585、586、587、588、589、590、591、592、593、594、595、596、597、598、599、600、601、602、603、604、605、606、607、608、609、610、611、612、613、614、615、616、617、618、619、620、621、622、623、624、625、626、627、628、629、630、631、632、633、634、635、636、637、638、639、640、641、642、643、644、645、646、647、648、649、650、651、652、653、654、655、656、657、658、659、660、661、662、663、664、665、666、667、668、669、670、671、672、673、674、675、676、677、678、679、680、681、682、683、684、685、686、687、688、689、690、691、692、693、694、695、696、697、698、699、700、701、702、703、704、705、706、707、708、709、710、711、712、713、714、715、716、717、718、719、720、721、722、723、724、725、726、727、728、729、730、731、732、733、734、735、736、737、738、739、740、741、742、743、744、745、746、747、748、749、750、751、752、753、754、755、756、757、758、759、760、761、762、763、764、765、766、767、768、769、770、771、772、773、774、775、776、777、778、779、780、781、782、783、784、785、786、787、788、789、790、791、792、793、794、795、796、797、798、799、800、801、802、803、804、805、806、807、808、809、810、811、812、813、814、815、816、817、818、819、820、821、822、823、824、825、826、827、828、829、830、831、832、833、834、835、836、837、838、839、840、841、842、843、844、845、846、847、848、849、850、851、852、853、854、855、856、857、858、859、860、861、862、863、864、865、866、867、868、869、870、871、872、873、874、875、876、877、878、879、880、881、882、883、884、885、886、887、888、889、890、891、892、893、894、895、896、897、898、899、900、901、902、903、904、905、906、907、908、909、910、911、912、913、914、915、916、917、918、919、920、921、922、923、924、925、926、927、928、929、930、931、932、933、934、935、936、937、938、939、940、941、942、943、944、945、946、947、948、949、950、951、952、953、954、955、956、957、958、959、960、961、962、963、964、965、966、967、968、969、970、971、972、973、974、975、976、977、978、979、980、981、982、983、984、985、986、987、988、989、990、991、992、993、994、995、996、997、998、999、または1000個、(またはそこから誘導可能な任意の範囲)を含み得る。
【0148】
いくつかの実施形態において、タンパク質またはポリペプチドは、配列番号44-105の連続するアミノ酸1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、200、201、202、203、204、205、206、207、208、209、210、211、212、213、214、215、216、217、218、219、220、221、222、223、224、225、226、227、228、229、230、231、232、233、234、235、236、237、238、239、240、241、242、243、244、245、246、247、248、249、250、251、252、253、254、255、256、257、258、259、260、261、262、263、264、265、266、267、268、269、270、271、272、273、274、275、276、277、278、279、280、281、282、283、284、285、286、287、288、289、290、291、292、293、294、295、296、297、298、299、300、301、302、303、304、305、306、307、308、309、310、311、312、313、314、315、316、317、318、319、320、321、322、323、324、325、326、327、328、329、330、331、332、333、334、335、336、337、338、339、340、341、342、343、344、345、346、347、348、349、350、351、352、353、354、355、356、357、358、359、360、361、362、363、364、365、366、367、368、369、370、371、372、373、374、375、376、377、378、379、380、381、382、383、384、385、386、387、388、389、390、391、392、393、394、395、396、397、398、399、400、401、402、403、404、405、406、407、408、409、410、411、412、413、414、415、416、417、418、419、420、421、422、423、424、425、426、427、428、429、430、431、432、433、434、435、436、437、438、439、440、441、442、443、444、445、446、447、448、449、450、451、452、453、454、455、456、457、458、459、460、461、462、463、464、465、466、467、468、469、470、471、472、473、474、475、476、477、478、479、480、481、482、483、484、485、486、487、488、489、490、491、492、493、494、495、496、497、498、499、500、501、502、503、504、505、506、507、508、509、510、511、512、513、514、515、516、517、518、519、520、521、522、523、524、525、526、527、528、529、530、531、532、533、534、535、536、537、538、539、540、541、542、543、544、545、546、547、548、549、550、551、552、553、554、555、556、557、558、559、560、561、562、563、564、565、566、567、568、569、570、571、572、573、574、575、576、577、578、579、580、581、582、583、584、585、586、587、588、589、590、591、592、593、594、595、596、597、598、599、600、601、602、603、604、605、606、607、608、609、610、611、612、613、614、615、616、617、618、619、620、621、622、623、624、625、626、627、628、629、630、631、632、633、634、635、636、637、638、639、640、641、642、643、644、645、646、647、648、649、650、651、652、653、654、655、656、657、658、659、660、661、662、663、664、665、666、667、668、669、670、671、672、673、674、675、676、677、678、679、680、681、682、683、684、685、686、687、688、689、690、691、692、693、694、695、696、697、698、699、700、701、702、703、704、705、706、707、708、709、710、711、712、713、714、715、716、717、718、719、720、721、722、723、724、725、726、727、728、729、730、731、732、733、734、735、736、737、738、739、740、741、742、743、744、745、746、747、748、749、750、751、752、753、754、755、756、757、758、759、760、761、762、763、764、765、766、767、768、769、770、771、772、773、774、775、776、777、778、779、780、781、782、783、784、785、786、787、788、789、790、791、792、793、794、795、796、797、798、799、800、801、802、803、804、805、806、807、808、809、810、811、812、813、814、815、816、817、818、819、820、821、822、823、824、825、826、827、828、829、830、831、832、833、834、835、836、837、838、839、840、841、842、843、844、845、846、847、848、849、850、851、852、853、854、855、856、857、858、859、860、861、862、863、864、865、866、867、868、869、870、871、872、873、874、875、876、877、878、879、880、881、882、883、884、885、886、887、888、889、890、891、892、893、894、895、896、897、898、899、900、901、902、903、904、905、906、907、908、909、910、911、912、913、914、915、916、917、918、919、920、921、922、923、924、925、926、927、928、929、930、931、932、933、934、935、936、937、938、939、940、941、942、943、944、945、946、947、948、949、950、951、952、953、954、955、956、957、958、959、960、961、962、963、964、965、966、967、968、969、970、971、972、973、974、975、976、977、978、979、980、981、982、983、984、985、986、987、988、989、990、991、992、993、994、995、996、997、998、999、または1000個、(またはそこから誘導可能な任意の範囲)を含み得る。
【0149】
いくつかの実施形態において、ポリペプチドまたはタンパク質は、配列番号44-105のうちの1つと、少なくとも、多くとも、正確に、または60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%(またはそこから誘導可能な任意の範囲)のうちの任意の2つの間で類似、同一、もしくは相同である、配列番号44-105の連続するアミノ酸1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、200、201、202、203、204、205、206、207、208、209、210、211、212、213、214、215、216、217、218、219、220、221、222、223、224、225、226、227、228、229、230、231、232、233、234、235、236、237、238、239、240、241、242、243、244、245、246、247、248、249、250、251、252、253、254、255、256、257、258、259、260、261、262、263、264、265、266、267、268、269、270、271、272、273、274、275、276、277、278、279、280、281、282、283、284、285、286、287、288、289、290、291、292、293、294、295、296、297、298、299、300、301、302、303、304、305、306、307、308、309、310、311、312、313、314、315、316、317、318、319、320、321、322、323、324、325、326、327、328、329、330、331、332、333、334、335、336、337、338、339、340、341、342、343、344、345、346、347、348、349、350、351、352、353、354、355、356、357、358、359、360、361、362、363、364、365、366、367、368、369、370、371、372、373、374、375、376、377、378、379、380、381、382、383、384、385、386、387、388、389、390、391、392、393、394、395、396、397、398、399、400、401、402、403、404、405、406、407、408、409、410、411、412、413、414、415、416、417、418、419、420、421、422、423、424、425、426、427、428、429、430、431、432、433、434、435、436、437、438、439、440、441、442、443、444、445、446、447、448、449、450、451、452、453、454、455、456、457、458、459、460、461、462、463、464、465、466、467、468、469、470、471、472、473、474、475、476、477、478、479、480、481、482、483、484、485、486、487、488、489、490、491、492、493、494、495、496、497、498、499、500、501、502、503、504、505、506、507、508、509、510、511、512、513、514、515、516、517、518、519、520、521、522、523、524、525、526、527、528、529、530、531、532、533、534、535、536、537、538、539、540、541、542、543、544、545、546、547、548、549、550、551、552、553、554、555、556、557、558、559、560、561、562、563、564、565、566、567、568、569、570、571、572、573、574、575、576、577、578、579、580、581、582、583、584、585、586、587、588、589、590、591、592、593、594、595、596、597、598、599、600、601、602、603、604、605、606、607、608、609、610、611、612、613、614、615、616、617、618、619、620、621、622、623、624、625、626、627、628、629、630、631、632、633、634、635、636、637、638、639、640、641、642、643、644、645、646、647、648、649、650、651、652、653、654、655、656、657、658、659、660、661、662、663、664、665、666、667、668、669、670、671、672、673、674、675、676、677、678、679、680、681、682、683、684、685、686、687、688、689、690、691、692、693、694、695、696、697、698、699、700、701、702、703、704、705、706、707、708、709、710、711、712、713、714、715、716、717、718、719、720、721、722、723、724、725、726、727、728、729、730、731、732、733、734、735、736、737、738、739、740、741、742、743、744、745、746、747、748、749、750、751、752、753、754、755、756、757、758、759、760、761、762、763、764、765、766、767、768、769、770、771、772、773、774、775、776、777、778、779、780、781、782、783、784、785、786、787、788、789、790、791、792、793、794、795、796、797、798、799、800、801、802、803、804、805、806、807、808、809、810、811、812、813、814、815、816、817、818、819、820、821、822、823、824、825、826、827、828、829、830、831、832、833、834、835、836、837、838、839、840、841、842、843、844、845、846、847、848、849、850、851、852、853、854、855、856、857、858、859、860、861、862、863、864、865、866、867、868、869、870、871、872、873、874、875、876、877、878、879、880、881、882、883、884、885、886、887、888、889、890、891、892、893、894、895、896、897、898、899、900、901、902、903、904、905、906、907、908、909、910、911、912、913、914、915、916、917、918、919、920、921、922、923、924、925、926、927、928、929、930、931、932、933、934、935、936、937、938、939、940、941、942、943、944、945、946、947、948、949、950、951、952、953、954、955、956、957、958、959、960、961、962、963、964、965、966、967、968、969、970、971、972、973、974、975、976、977、978、979、980、981、982、983、984、985、986、987、988、989、990、991、992、993、994、995、996、997、998、999、または1000個(またはそこから誘導可能な任意の範囲)を含み得る。
【0150】
いくつかの態様において、配列番号44-105のいずれかの1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、200、201、202、203、204、205、206、207、208、209、210、211、212、213、214、215、216、217、218、219、220、221、222、223、224、225、226、227、228、229、230、231、232、233、234、235、236、237、238、239、240、241、242、243、244、245、246、247、248、249、250、251、252、253、254、255、256、257、258、259、260、261、262、263、264、265、266、267、268、269、270、271、272、273、274、275、276、277、278、279、280、281、282、283、284、285、286、287、288、289、290、291、292、293、294、295、296、297、298、299、300、301、302、303、304、305、306、307、308、309、310、311、312、313、314、315、316、317、318、319、320、321、322、323、324、325、326、327、328、329、330、331、332、333、334、335、336、337、338、339、340、341、342、343、344、345、346、347、348、349、350、351、352、353、354、355、356、357、358、359、360、361、362、363、364、365、366、367、368、369、370、371、372、373、374、375、376、377、378、379、380、381、382、383、384、385、386、387、388、389、390、391、392、393、394、395、396、397、398、399、400、401、402、403、404、405、406、407、408、409、410、411、412、413、414、415、416、417、418、419、420、421、422、423、424、425、426、427、428、429、430、431、432、433、434、435、436、437、438、439、440、441、442、443、444、445、446、447、448、449、450、451、452、453、454、455、456、457、458、459、460、461、462、463、464、465、466、467、468、469、470、471、472、473、474、475、476、477、478、479、480、481、482、483、484、485、486、487、488、489、490、491、492、493、494、495、496、497、498、499、500、501、502、503、504、505、506、507、508、509、510、511、512、513、514、515、516、517、518、519、520、521、522、523、524、525、526、527、528、529、530、531、532、533、534、535、536、537、538、539、540、541、542、543、544、545、546、547、548、549、550、551、552、553、554、555、556、557、558、559、560、561、562、563、564、565、566、567、568、569、570、571、572、573、574、575、576、577、578、579、580、581、582、583、584、585、586、587、588、589、590、591、592、593、594、595、596、597、598、599、600、601、602、603、604、605、606、607、608、609、610、611、612、613、614、615、616、617、618、619、620、621、622、623、624、625、626、627、628、629、630、631、632、633、634、635、636、637、638、639、640、641、642、643、644、645、646、647、648、649、650、651、652、653、654、655、656、657、658、659、660、661、662、663、664、665、666、667、668、669、670、671、672、673、674、675、676、677、678、679、680、681、682、683、684、685、686、687、688、689、690、691、692、693、694、695、696、697、698、699、700、701、702、703、704、705、706、707、708、709、710、711、712、713、714、715、716、717、718、719、720、721、722、723、724、725、726、727、728、729、730、731、732、733、734、735、736、737、738、739、740、741、742、743、744、745、746、747、748、749、750、751、752、753、754、755、756、757、758、759、760、761、762、763、764、765、766、767、768、769、770、771、772、773、774、775、776、777、778、779、780、781、782、783、784、785、786、787、788、789、790、791、792、793、794、795、796、797、798、799、800、801、802、803、804、805、806、807、808、809、810、811、812、813、814、815、816、817、818、819、820、821、822、823、824、825、826、827、828、829、830、831、832、833、834、835、836、837、838、839、840、841、842、843、844、845、846、847、848、849、850、851、852、853、854、855、856、857、858、859、860、861、862、863、864、865、866、867、868、869、870、871、872、873、874、875、876、877、878、879、880、881、882、883、884、885、886、887、888、889、890、891、892、893、894、895、896、897、898、899、900、901、902、903、904、905、906、907、908、909、910、911、912、913、914、915、916、917、918、919、920、921、922、923、924、925、926、927、928、929、930、931、932、933、934、935、936、937、938、939、940、941、942、943、944、945、946、947、948、949、950、951、952、953、954、955、956、957、958、959、960、961、962、963、964、965、966、967、968、969、970、971、972、973、974、975、976、977、978、979、980、981、982、983、984、985、986、987、988、989、990、991、992、993、994、995、996、997、998、999、または1000個目から開始し、配列番号1-105のいずれかの少なくとも、多くとも、または正確に2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、200、201、202、203、204、205、206、207、208、209、210、211、212、213、214、215、216、217、218、219、220、221、222、223、224、225、226、227、228、229、230、231、232、233、234、235、236、237、238、239、240、241、242、243、244、245、246、247、248、249、250、251、252、253、254、255、256、257、258、259、260、261、262、263、264、265、266、267、268、269、270、271、272、273、274、275、276、277、278、279、280、281、282、283、284、285、286、287、288、289、290、291、292、293、294、295、296、297、298、299、300、301、302、303、304、305、306、307、308、309、310、311、312、313、314、315、316、317、

318、319、320、321、322、323、324、325、326、327、328、329、330、331、332、333、334、335、336、337、338、339、340、341、342、343、344、345、346、347、348、349、350、351、352、353、354、355、356、357、358、359、360、361、362、363、364、365、366、367、368、369、370、371、372、373、374、375、376、377、378、379、380、381、382、383、384、385、386、387、388、389、390、391、392、393、394、395、396、397、398、399、400、401、402、403、404、405、406、407、408、409、410、411、412、413、414、415、416、417、418、419、420、421、422、423、424、425、426、427、428、429、430、431、432、433、434、435、436、437、438、439、440、441、442、443、444、445、446、447、448、449、450、451、452、453、454、455、456、457、458、459、460、461、462、463、464、465、466、467、468、469、470、471、472、473、474、475、476、477、478、479、480、481、482、483、484、485、486、487、488、489、490、491、492、493、494、495、496、497、498、499、500、501、502、503、504、505、506、507、508、509、510、511、512、513、514、515、516、517、518、519、520、521、522、523、524、525、526、527、528、529、530、531、532、533、534、535、536、537、538、539、540、541、542、543、544、545、546、547、548、549、550、551、552、553、554、555、556、557、558、559、560、561、562、563、564、565、566、567、568、569、570、571、572、573、574、575、576、577、578、579、580、581、582、583、584、585、586、587、588、589、590、591、592、593、594、595、596、597、598、599、600、601、602、603、604、605、606、607、608、609、610、611、612、613、614、615、616、617、618、619、620、621、622、623、624、625、626、627、628、629、630、631、632、633、634、635、636、637、638、639、640、641、642、643、644、645、646、647、648、649、650、651、652、653、654、655、656、657、658、659、660、661、662、663、664、665、666、667、668、669、670、671、672、673、674、675、676、677、678、679、680、681、682、683、684、685、686、687、688、689、690、691、692、693、694、695、696、697、698、699、700、701、702、703、704、705、706、707、708、709、710、711、712、713、714、715、716、717、718、719、720、721、722、723、724、725、726、727、728、729、730、731、732、733、734、735、736、737、738、739、740、741、742、743、744、745、746、747、748、749、750、751、752、753、754、755、756、757、758、759、760、761、762、763、764、765、766、767、768、769、770、771、772、773、774、775、776、777、778、779、780、781、782、783、784、785、786、787、788、789、790、791、792、793、794、795、796、797、798、799、800、801、802、803、804、805、806、807、808、809、810、811、812、813、814、815、816、817、818、819、820、821、822、823、824、825、826、827、828、829、830、831、832、833、834、835、836、837、838、839、840、841、842、843、844、845、846、847、848、849、850、851、852、853、854、855、856、857、858、859、860、861、862、863、864、865、866、867、868、869、870、871、872、873、874、875、876、877、878、879、880、881、882、883、884、885、886、887、888、889、890、891、892、893、894、895、896、897、898、899、900、901、902、903、904、905、906、907、908、909、910、911、912、913、914、915、916、917、918、919、920、921、922、923、924、925、926、927、928、929、930、931、932、933、934、935、936、937、938、939、940、941、942、943、944、945、946、947、948、949、950、951、952、953、954、955、956、957、958、959、960、961、962、963、964、965、966、967、968、969、970、971、972、973、974、975、976、977、978、979、980、981、982、983、984、985、986、987、988、989、990、991、992、993、994、995、996、997、998、999、または1000個(またはそこから誘導可能な任意の範囲)の連続するアミノ酸またはヌクレオチドを含むポリペプチドが存在する。
【0151】
さまざまな遺伝子のヌクレオチド配列ならびにタンパク質、ポリペプチド、およびペプチド配列はこれまでに開示されており、それらは一般に認識されているコンピュータ化されたデータベースに見いだしうる。国立バイオテクノロジー情報センターのGENBANK(登録商標)およびGENPEPT(登録商標)データベース(ワールドワイドウェブ上のncbi.nlm.nih.gov/)とUniversal Protein Resource(UNIPROT(登録商標);ワールドワイドウェブ上のuniprot.org)の2つは、よく使用されるデータベースである。これらの遺伝子のコード領域は、本明細書に開示される技法を使って、または当技術分野における通常の技能を有する者に知られているであろうとおりに、増幅しおよび/または発現させうる。
【0152】
本開示の組成物中のポリペプチド、ペプチド、および/またはタンパク質の総量は1mlあたり約0.001mg~約10mgであると想定される。組成物中のタンパク質の濃度は、少なくとも、または最大で、または正確に約0.001、0.010、0.050、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、7.5、8.0、8.5、9.0、9.5、10.0mg/ml、もしくはそれ以上、またはそれらのうちの任意の2つの間(またはその中で導き出しうる任意の範囲)であることができる。
【0153】
A.バリアントポリペプチド
以下に、等価な、またはさらには改良された、バリアントポリペプチドまたはバリアントペプチドを作り出すためにタンパク質のアミノ酸サブユニットを変更することについて論述する。例えば、一定のアミノ酸で、タンパク質配列またはポリペプチド配列中の他のアミノ酸を置換すると、例えば抗体の抗原結合領域または基質分子の結合部位などといった構造との相互結合能の、容易に検知しうる喪失が起こる場合も、起こらない場合もありうる。タンパク質の機能的活性を規定するのは、この相互作用能とタンパク質の性質であるから、タンパク質配列中および対応するそのDNAコード配列中に、一定のアミノ酸置換を加え、それでもなお、類似する性質または所望の性質を持つタンパク質を作出することができる。したがって、タンパク質をコードする遺伝子のDNA配列には、その生物学的な有用性または活性の容易に検知しうる喪失を伴わずに、さまざまな変更を加えうると、本発明者らは想定している。
【0154】
「機能的に等価なコドン」という用語は、本明細書では、アルギニンの6つの異なるコドンなど、同じアミノ酸をコードするコドンを指すために使用される。生物学的に等価なアミノ酸をコードする1つまたは複数のコドンの変化を指す「中立置換」または「中立変異」も考慮される。
【0155】
本開示のアミノ酸配列バリアントは、置換、挿入または欠失バリアントであることができる。本開示のポリペプチド中のバリエーションは、野生型と比較して、タンパク質またはポリペプチドの少なくとも、または最大で、または正確に1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50個、またはそれ以上の、またはそれらのうちの任意の2つの間の、非連続アミノ酸または連続アミノ酸に影響を及ぼしうる。バリアントは、本明細書において提供されまたは言及される任意の配列に対して、少なくとも、または最大で、または正確に50%、60%、70%、80%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一であるか、またはそれらのうちの任意の2つの間のパーセンテージ同一である、アミノ酸配列を含むことができる。バリアントは、少なくとも、または最大で、または正確に2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20個、もしくはそれ以上の、またはそれらのうちの任意の2つの間の、置換アミノ酸を含むことができる。
【0156】
アミノ酸配列および核酸配列が追加の残基、例えば、それぞれ、追加のN末もしくはC末アミノ酸、または5’もしくは3’配列を含みうること、そしてそれでもなお、その配列が、タンパク質発現が関係する場合の生物学的タンパク質活性の維持を含む上述の基準を満たす限り、本明細書に開示される配列のうちの一つに示されるものと本質的に同一でありうることも、理解されるだろう。末端配列の付加は、特に、コード領域の5’部分または3’部分のいずれかに隣接するさまざまな非コード配列を含みうる核酸配列に当てはまる。
【0157】
欠失バリアントは、典型的には、ネイティブタンパク質または野生型タンパク質の1つ以上の残基を欠く。個々の残基を欠失させるか、またはいくつかの連続したアミノ酸を欠失させることができる。切断型のタンパク質を生成させるために、コード核酸配列中に停止コドンを(置換または挿入によって)導入しうる。
【0158】
挿入変異体は、典型的には、ポリペプチド中の非末端点におけるアミノ酸残基の付加を伴う。これは1つ以上のアミノ酸残基の挿入を含みうる。末端付加体を生成させてもよく、これには、本明細書記載の、または本明細書において言及される、1つ以上のペプチドもしくはポリペプチドの多量体またはコンカテマーである融合タンパク質が含まれうる。
【0159】
置換バリアントは、典型的には、タンパク質またはポリペプチド内の1つ以上の部位におけるあるアミノ酸の別のアミノ酸への交換を含有し、他の機能または性質の欠失を伴ってまたはそれを伴わずに、ポリペプチドの1つ以上の性質を調節するように設計されうる。置換は保存的でありうる。すなわち、この場合、あるアミノ酸は、化学的性質が類似するアミノ酸で置き換えられる。「保存的アミノ酸置換」は、あるアミノ酸クラスの一員の、同じクラスの別の一員との交換を伴いうる。保存的置換は当技術分野では周知であり、これには例えば以下に挙げる変更が含まれる:アラニンからセリンへの変更;アルギニンからリジンへの変更;アスパラギンからグルタミンまたはヒスチジンへの変更;アスパラギン酸からグルタミン酸への変更;システインからセリンへの変更;グルタミンからアスパラギンへの変更;グルタミン酸からアスパラギン酸への変更;グリシンからプロリンへの変更;ヒスチジンからアスパラギンまたはグルタミンへの変更;イソロイシンからロイシンまたはバリンへの変更;ロイシンからバリンまたはイソロイシンへの変更;リジンからアルギニンへの変更;メチオニンからロイシンまたはイソロイシンへの変更;フェニルアラニンからチロシン、ロイシンまたはメチオニンへの変更;セリンからスレオニンへの変更;スレオニンからセリンへの変更;トリプトファンからチロシンへの変更;チロシンからトリプトファンまたはフェニルアラニンへの変更;およびバリンからイソロイシンまたはロイシンへの変更。保存的アミノ酸置換は、典型的には生物系における合成によるのではなく化学的ペプチド合成によって組み込まれる非天然アミノ酸残基を包含しうる。これらにはペプチドミメティックまたは他の逆転(reversed)型もしくは反転(inverted)型のアミノ酸部分が含まれる。
【0160】
あるいは、置換は、ポリペプチドの機能または活性が影響を受けるように、「非保存的」であってもよい。非保存的変更は、典型的には、あるアミノ酸残基を化学的に似ていないもので置換すること、例えば非極性アミノ酸または非荷電アミノ酸を極性アミノ酸または荷電アミノ酸で置換すること、またはその逆を伴う。非保存的置換は、アミノ酸クラスのうちの1つのメンバーの、別のクラスからのメンバーへの交換を伴いうる。
【0161】
B.置換に関する考慮事項
当業者は、周知の技法を使って、本明細書に説明するように、ポリペプチドの適切なバリアントを決定することができる。当業者は、活性にとって重要でないと考えられる領域を標的とすることにより、活性を破壊することなく変更を加えうる分子の適切な区域を同定しうる。当業者は、類似するタンパク質またはポリペプチドの間で保存されているその分子のアミノ酸残基および部分を同定することもできるだろう。さらなる実施形態では、生物学的活性または構造にとって重要でありうる区域を、生物学的活性を有意に改造することなく、またはタンパク質もしくはポリペプチドの構造に有害な影響を及ぼすことなく、保存的アミノ酸置換に付すことができる。
【0162】
そのような変更を加える際には、アミノ酸のハイドロパシーインデックスを考慮しうる。タンパク質のハイドロパシープロファイルは、各アミノ酸に数値(「ハイドロパシーインデックス」)を割り当て、次にペプチド鎖に沿ってこれらの値の平均を繰り返しとることによって計算される。各アミノ酸にはその疎水性および電荷特性に基づく値が割り当てられている。それらは、イソロイシン(+4.5)、バリン(+4.2)、ロイシン(+3.8)、フェニルアラニン(+2.8)、システイン/システイン(+2.5)、メチオニン(+1.9)、アラニン(+1.8)、グリシン(-0.4)、スレオニン(-0.7)、セリン(-0.8)、トリプトファン(-0.9)、チロシン(-1.3)、プロリン(1.6)、ヒスチジン(-3.2)、グルタミン酸(-3.5)、グルタミン(-3.5)、アスパラギン酸(-3.5)、アスパラギン(-3.5)、リジン(-3.9)、およびアルギニン(-4.5)である。タンパク質に相互作用的生体機能を付与する際のハイドロパシーアミノ酸インデックスの重要性は、当技術分野では一般に理解されている(Kyteら,J.Mol.Biol.157:105-131(1982))。アミノ酸の相対的ハイドロパシー特徴が、結果として生じるタンパク質またはポリペプチドの二次構造に寄与し、次にそれが、そのタンパク質またはポリペプチドの、他の分子、例えば酵素、基質、受容体、DNA、抗体、抗原その他との相互作用を規定することは、受け入れられている。一定のアミノ酸で、類似するハイドロパシーまたはスコアを有する他のアミノ酸を置換しても、類似する生物学的活性が依然として保たれうることも知られている。ハイドロパシーに基づいて変更を加える場合、一定の実施形態では、ハイドロパシー指数が±2以内であるアミノ酸の置換が含まれる。本開示のいくつかの態様では、±1であるものが含まれ、本開示の別の態様では、±0.5以内のものが含まれる。
【0163】
親水性に基づいて類似アミノ酸の置換を効果的に行いうることも、当技術分野では理解されている。参照により本明細書に組み込まれる米国特許第4,554,101号には、その隣接アミノ酸の親水性によって決定されるタンパク質の最大局所平均親水性が、そのタンパク質の生物学的性質と相関することが述べられている。一定の実施形態において、その隣接アミノ酸の親水性によって決定されるタンパク質の最大局所平均親水性は、タンパク質の生物学的性質としての、その免疫原性および抗原結合と相関する。これらのアミノ酸残基には以下の親水性値が割り当てられている:アルギニン(+3.0)、リジン(+3.0)、アスパラギン酸(+3.0±1)、グルタミン酸(+3.0±1)、セリン(+0.3)、アスパラギン(+0.2)、グルタミン(+0.2)、グリシン(0)、スレオニン(-0.4)、プロリン(-0.5±1)、アラニン(-0.5)、ヒスチジン(-0.5)、システイン(-1.0)、メチオニン(-1.3)、バリン(-1.5)、ロイシン(-1.8)、イソロイシン(-1.8)、チロシン(-2.3)、フェニルアラニン(-2.5)、およびトリプトファン(-3.4)。類似する親水性値に基づいて変更を加える場合、一定の実施形態では、親水性値が±2以内であるアミノ酸の置換が含まれ、別の実施形態では、±1以内であるものが含まれ、さらに別の実施形態では、±0.5以内であるものが含まれる。場合によっては、親水性に基づいて、一次アミノ酸配列からエピトープを同定しうる。これらの領域は「エピトープコア領域」とも呼ばれる。あるアミノ酸で、類似する親水性値を有する別のアミノ酸を置換しても、依然として生物学的に等価かつ免疫学的に等価なタンパク質が生じうることは理解される。
【0164】
加えて、当業者は、類似するポリペプチドまたはタンパク質中の、活性または構造にとって重要な残基を同定する構造機能研究を、調査することができる。そのような比較に照らして、類似するタンパク質中で活性または構造にとって重要なアミノ酸残基に対応する、あるタンパク質中のアミノ酸残基の重要性を予測することができる。当業者は、予測されたそのような重要アミノ酸残基に対して、化学的に類似するアミノ酸置換を選びうる。
【0165】
当業者は、三次元構造およびアミノ酸配列を、類似するタンパク質またはポリペプチド中のその構造に関して解析することもできる。そのような情報に照らして、当業者は、ある抗体のアミノ酸残基のアライメントを、その三次元構造に関して予測しうる。当業者は、タンパク質の表面にあると予測されるアミノ酸残基に変更を加えないように選ぶことができる。そのような残基は他の分子との重要な相互作用に関与しうるからである。さらにまた、当業者は、所望の各アミノ酸残基に単一のアミノ酸置換を含有する試験バリアントを作製しうる。次に、標準的なアッセイを使って、これらのバリアントを、結合および/または活性に関してスクリーニングすることによって、そのような定型的実験から集められる情報を得ることができ、それにより、当業者は、単独での、または他の変異と組み合わせとしての、さらなる置換を避けるべきアミノ酸位置を決定することが可能になりうる。二次構造を決定するために利用することができるさまざまなツールは、ワールドワイドウェブ上のexpasy.org/proteomics/protein_structureに見いだすことができる。
【0166】
本開示のいくつかの実施形態では以下のアミノ酸置換が行われる:(1)タンパク質分解に対する感受性を低減するアミノ酸置換、(2)酸化に対する感受性を低減するアミノ酸置換、(3)タンパク質複合体を形成するための結合アフィニティを変化させるアミノ酸置換、(4)リガンドまたは抗原アフィニティを変化させるアミノ酸置換、および/または(5)他の物理化学的または機能的性質を当該ポリペプチドに付与しまたはそれを改変するアミノ酸置換。例えば、単一のまたは複数のアミノ酸置換(一定の実施形態では保存的アミノ酸置換)を天然配列に加えうる。置換は、抗体のうち、分子間接触点を形成するドメイン以外にある部分に加えることができる。そのような実施形態では、タンパク質またはポリペプチドの構造的特性を実質的に変化させない保存的アミノ酸置換(例えばネイティブ抗体を特徴づける二次構造を破壊しない1つ以上の置換えアミノ酸)を使用することができる。
【0167】
C.配列
抗体、キメラ抗原受容体、キメラポリペプチド、免疫細胞エンゲージャー、ならびにその一部分、領域およびドメインを含む、一定のポリペプチドのアミノ酸配列を、表1に掲載する。
【表1】
【0168】
D.CD70
CD70は、CD70抗原、CD27リガンド、および腫瘍壊死因子リガンドスーパーファミリーメンバー7としても知られ、CD70遺伝子(TNFSF7としても知られる)によってコードされている。CD70 mRNA配列は、RefSeqアクセッション番号NM_001252によって提供される。CD70タンパク質配列は、RefSeqアクセッション番号NP_001243によって提供される。
【0169】
V.核酸
一定の実施形態において、核酸配列は、抗体またはそのフラグメント、誘導体、ムテインもしくはバリアントの一方または両方の鎖をコードする組み込まれた配列または組換えポリヌクレオチドの単離されたセグメントおよび組換えベクター、キメラポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、キメラ抗原受容体をコードするポリヌクレオチド、免疫細胞エンゲージャーをコードするポリヌクレオチド、ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを同定し、分析し、変異させまたは増幅するためのハイブリダイゼーションプローブ、PCRプライマーまたはシークエンスプライマーとして使用するのに十分なポリヌクレオチド、ポリヌクレオチドの発現を阻害するためのアンチセンス核酸、および上述した配列の相補配列など、さまざまな事例で存在することができる。ここに提供される抗体のうちのいくつかに対するエピトープをコードする核酸も提供される。これらのペプチドを含む融合タンパク質をコードする核酸も提供される。核酸は一本鎖または二本鎖であることができ、RNAおよび/またはDNAヌクレオチドならびにその人工的バリアント(例えばペプチド核酸)を含むことができる。
【0170】
「ポリヌクレオチド」という用語は、組換え体であるか、または全ゲノム核酸から単離された、核酸分子を指す。「ポリヌクレオチド」という用語には、オリゴヌクレオチド(長さが100残基以下の核酸)、例えばプラスミド、コスミド、ファージ、ウイルスなどを含む組換えベクターが含まれる。ポリヌクレオチドは、一定の態様では、天然に存在する遺伝子またはタンパク質コード配列から実質的に切り離された制御配列を含む。ポリヌクレオチドは、一本鎖(コード鎖またはアンチセンス鎖)または二本鎖であることができ、RNA、DNA(ゲノム、cDNAまたは合成)、それらの類似体、またはそれらの組合せでありうる。追加のコード配列または非コード配列がポリヌクレオチド内に存在してもよいが、その必要があるわけではない。
【0171】
この点において、「遺伝子」、「ポリヌクレオチド」、または「核酸」という用語は、タンパク質、ポリペプチド、またはペプチドをコードする核酸(適正な転写、翻訳後修飾、または局在化のために必要な任意の配列を含む)を指すために使用される。当業者には理解されるだろうが、この用語は、タンパク質、ポリペプチド、ドメイン、ペプチド、融合タンパク質、および変異体を発現する、またはそれらを発現するように適合させうる、ゲノム配列、発現カセット、cDNA配列、およびそれより小さな工学的に操作された核酸セグメントを包含する。ポリペプチドの全部または一部をコードする核酸は、そのようなポリペプチドの全部または一部をコードする連続的核酸配列を含有しうる。特定のポリペプチドが、わずかに異なる核酸配列を有するバリエーションを含有するが、それでもなお、同じまたは実質的に類似するタンパク質をコードする核酸によってコードされうることも、想定される。
【0172】
一定の態様には、本明細書に開示される配列と実質的同一性を有するポリヌクレオチドバリアント、本明細書に記載する方法(例えば標準的パラメータを用いるBLAST解析)を使って、ここに提供されるポリヌクレオチド配列と比較して、少なくとも、または最大で、または正確に70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%またはそれ以上の、またはそれらのうちの任意の2つの間の、配列同一性(それらの間のすべての値および範囲を含む)を含むものがある。一定の態様において、単離されたポリヌクレオチドは、本明細書記載のアミノ酸配列に対し、その配列の全長にわたって、少なくとも90%、好ましくは95%以上の同一性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むか、または該単離されたポリヌクレオチドに相補的なヌクレオチド配列を含むだろう。
【0173】
核酸セグメントは、コード配列そのものの長さとは無関係に、例えばプロモーター、ポリアデニル化シグナル、追加の制限酵素部位、マルチクローニングサイト、他のコードセグメントなどといった、他の核酸配列と組み合わせうるので、それらの全長はかなり変動しうる。核酸は任意の長さであることができる。それらは、例えば少なくとも、または最大で、または正確に5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、75、100、125、175、200、250、300、350、400、450、500、750、1000、1500、3000、5000、またはそれ以上の、またはそれらのうちの任意の2つの間の、ヌクレオチド長であることができ、および/または1つ以上の追加配列、例えば制御配列を含むことができ、および/またはより大きな核酸、例えばベクターの一部であることができる。したがって、ほとんど任意の長さの核酸フラグメントを使用してよく、全長は、好ましくは、調製の容易さおよび意図する組換え核酸プロトコールにおける使用の容易さによって制限されることが想定される。いくつかの事例において、核酸配列は、例えばポリペプチドの精製、輸送、分泌、翻訳後修飾を可能にするために、または標的化または効力などの治療的利益のために、追加の異種コード配列と共に、ポリペプチド配列をコードしてもよい。上で論述したとおり、改変ポリペプチドコード配列にはタグまたは他の異種ポリペプチドを付加することができ、ここで「異種」とは、改変ポリペプチドと同じではないポリペプチドを指す。
【0174】
A.変異
変異によって核酸に変更を導入し、それによって、それがコードするポリペプチド(例えば抗体または抗体誘導体、キメラペプチドなど)のアミノ酸配列の変更をもたらすことができる。変異は、当技術分野において知られる任意の技法を使って導入することができる。一実施形態では、1つ以上の特定のアミノ酸残基が、例えば部位指定変異導入プロトコールを使って変更される。別の一実施形態では、1つ以上のランダムに選択された残基が、例えばランダム変異導入プロトコールを使って変更される。どのような方法で作られるにせよ、変異体ポリペプチドを発現させ、所望の性質についてスクリーニングすることができる。
【0175】
核酸には、それがコードするポリペプチドの生物学的活性を有意に改造することなく、変異を導入することができる。例えば、非必須アミノ酸残基におけるアミノ酸置換につながるヌクレオチド置換を行うことができる。あるいは、核酸には、それがコードするポリペプチドの生物学的活性を選択的に変更する1つ以上の変異を導入することができる。例えばRomain Studerら,Biochem.J.449:581-594(2013)を参照されたい。例えば変異は、生物学的活性を定量的または定性的に変更することができる。定量的変化の例には、活性を増加させること、低減すること、または除去することが含まれる。定性的変更の例には、抗体の抗原特異性を改造することが含まれる。
【0176】
B.プローブ
別の一態様において、核酸分子は、核酸配列を検出するためのプライマーまたはハイブリダイゼーションプローブとして使用するのに適している。核酸分子は、例えばプローブもしくはプライマーとして使用することができるフラグメントまたは所与のポリペプチドの活性部分をコードするフラグメントなど、完全長ポリペプチドをコードする核酸配列の一部分だけを含むことができる。
【0177】
別の一実施形態において、核酸分子は、特異的配列のためのプローブまたはPCRプライマーとして使用しうる。例えば、核酸分子プローブは診断方法において使用することができ、核酸分子PCRプライマーは、なかんずく抗体の可変ドメインの作出において使用するための核酸配列を単離するために使用されうるDNAの領域を増幅するために、使用することができる。例えばGaily Kiviら,BMC Biotechnol.16:2(2016)を参照されたい。いくつかの実施形態において、核酸分子はオリゴヌクレオチドである。いくつかの実施形態において、オリゴヌクレオチドは、関心対象の抗体の重鎖および軽鎖の高度に可変な領域に由来する。いくつかの実施形態において、オリゴヌクレオチドは、1つ以上のCDRの全部または一部をコードする。
【0178】
ある核酸の所望の配列に基づくプローブは、その核酸または類似する核酸、例えば関心対象のポリペプチドをコードする転写産物を検出するために使用することができる。プローブは、ラベル基、例えば放射性同位体、蛍光化合物、酵素、または酵素補因子を含むことができる。そのようなプローブは、当該ポリペプチドを発現する細胞を同定するために使用することができる。
【0179】
C.配列
抗体、キメラ抗原受容体、キメラポリペプチド、免疫細胞エンゲージャー、ならびにその一部分、領域およびドメインを含む、一定のポリペプチドをコードする核酸配列を、表2に掲載する。
【表2】
【0180】
VI.コードされたポリペプチド実施形態の取得
いくつかの態様には、抗体ポリペプチド(例えば重鎖または軽鎖、可変ドメインのみ、または完全長)、キメラポリペプチド(chimeric polyeptides)、キメラ抗原受容体(chimeric antigen eceptor)、または本明細書記載の他のポリペプチドをコードする核酸分子がある。これらは当技術分野において知られている方法によって作製することができ、例えば、免疫処置され単離されたマウスのB細胞から単離され、ファージディスプレイ、任意の適切な組換え発現系で発現させて、抗体分子を形成するように集合させうる。
【0181】
A.発現
核酸分子は、大量の組換え抗体を発現させるために、またはキメラ抗体、一本鎖抗体、イムノアドヘシン、ダイアボディ、変異型抗体、および他の抗体誘導体を生産するために、使用しうる。核酸分子が非ヒト非トランスジェニック動物に由来する場合、その核酸分子は抗体のヒト化に使用しうる。
【0182】
1.ベクター
いくつかの態様では、所望の配列のポリペプチドまたはその一部分(例えば1つ以上のCDRまたは1つ以上の可変領域ドメインを含有するフラグメント)をコードする核酸分子を含む発現ベクターが想定される。前記核酸分子を含む発現ベクターは、重鎖、軽鎖またはそれらの抗原結合部分をコードしうる。いくつかの態様において、核酸分子を含む発現ベクターは、融合タンパク質、改変抗体、抗体フラグメント、およびそれらのプローブをコードしうる。ベクターおよび発現ベクターは、転写および翻訳を管理するコントロール配列に加えて、他の機能を果たす核酸配列も含有しうる。
【0183】
いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントを発現させるために、遺伝子区域が転写および翻訳コントロール配列に作動的に連結されるように、部分的なまたは完全長の軽鎖および重鎖をコードするDNAが発現ベクターに挿入される。いくつかの態様では、機能的に完全なヒトCまたはC免疫グロブリン配列をコードするベクターは、任意のVまたはV配列を容易に挿入し、発現させることができるように工学的に操作された適当な制限部位を有する。いくつかの実施形態において、宿主細胞のいずれかにおいて使用される発現ベクターは、プラスミドまたはウイルスの維持のための配列、および外因性ヌクレオチド配列のクローニングと発現のための配列を含有する。「隣接配列」と総称されるそのような配列は、以下の作動的に連結されたヌクレオチド配列のうちの1つ以上を含みうる:プロモーター、1つ以上のエンハンサー配列、複製起点、転写終結配列、ドナースプライス部位とアクセプタースプライス部位とを含有する完全なイントロン配列、ポリペプチド分泌のためのリーダー配列をコードする配列、リボソーム結合部位、ポリアデニル化配列、発現させようとするポリペプチドをコードする核酸を挿入するためのポリリンカー領域、および選択可能なマーカー要素。そのような配列およびそれを使用する方法は当技術分野において周知である。
【0184】
2.発現系
上で論述した発現ベクターの少なくとも一部または全部を含む数多くの発現系が存在する。ある実施形態と共に使用することで、核酸配列、またはそれらのコグネイトポリペプチド、タンパク質およびペプチドを生産するために、原核生物に基づく系および/または真核生物に基づく系を使用することができる。市販の広く入手可能な系には、細菌、哺乳動物、酵母および昆虫の細胞系があるが、それらに限るわけではない。異なる宿主細胞は、タンパク質の翻訳後プロセシングおよび改変のための特有の特異的機序を有する。発現した外来タンパク質の正しい修飾およびプロセシングを保証するために、適当な細胞株または宿主系を選ぶことができる。当業者は、適当な発現系を使って、核酸配列またはそのコグネイトポリペプチド、タンパク質、もしくはペプチドを生産するために、ベクターを発現させることができる。
【0185】
3.遺伝子移入の方法
組成物の発現を達成するために核酸を送達する適切な方法には、本明細書に記載するとおり、または当技術分野における通常の技能を有する者にはわかるであろうとおり、核酸(例えばDNA、ウイルスベクターおよび非ウイルスベクターを含む)を細胞、組織または生物中に導入することができる事実上任意の方法が含まれると予期される。そのような方法には、DNAの直接送達、例えば注入によるもの(米国特許第5,994,624号、同第5,981,274号、同第5,945,100号、同第5,780,448号、同第5,736,524号、同第5,702,932号、同第5,656,610号、同第5,589,466号および同第5,580,859号、それぞれ参照により本明細書に組み込まれる)、マイクロインジェクション(Harland and Weintraub,1985、米国特許第5,789,215号、参照により本明細書に組み込まれる)を含む;エレクトロポレーションによるもの(米国特許第5,384,253号、参照により本明細書に組み込まれる);リン酸カルシウム沈殿によるもの(Graham and Van Der Eb,1973、Chen and Okayama,1987、Rippeら,1990);DEAE-デキストランと、それに続いてポリエチレングリコールとを使用することによるもの(Gopal,1985);直接的音波負荷(direct sonic loading)によるもの(Fechheimerら,1987);リポソーム媒介トランスフェクションによるもの(Nicolau and Sene,1982、Fraleyら,1979、Nicolauら,1987、Wongら,1980、Kanedaら,1989、Katoら,1991);マイクロプロジェクタイルボンバードメントによるもの(PCT出願WO94/09699およびWO95/06128、米国特許第5,610,042号、同第5,322,783号、同第5,563,055号、同第5,550,318号、同第5,538,877号および同第5,538,880号、それぞれ参照により本明細書に組み込まれる);炭化ケイ素繊維との撹拌によるもの(Kaepplerら,1990、米国特許第5,302,523号および同第5,464,765号、それぞれ参照により本明細書に組み込まれる);アグロバクテリウム(Agrobacterium)媒介形質転換によるもの(米国特許第5,591,616号および同第5,563,055号、それぞれ参照により本明細書に組み込まれる);またはプロトプラストのPEG媒介形質転換によるもの(Omirullehら,1993、米国特許第4,684,611号および同第4,952,500号、それぞれ参照により本明細書に組み込まれる);乾燥/阻害によるDNA取り込み(desiccation/inhibition-mediated DNA uptake)によるもの(Potrykusら,1985)があるが、それらに限るわけではない。他の方法には、ウイルス形質導入、例えばレンチウイルス形質導入またはレトロウイルス形質導入による遺伝子移入が含まれる。
【0186】
4.宿主細胞
別の一態様では、組換え発現ベクターが導入された宿主細胞の使用が想定される。抗体はさまざまな細胞タイプにおいて発現させることができる。抗体をコードする発現構築物は、当技術分野において知られるさまざまな方法に従って、細胞中にトランスフェクトすることができる。ベクターDNAは、従来の形質転換技法またはトランスフェクション技法によって、原核細胞または真核細胞に導入することができる。いくつかのベクターは、原核細胞と真核細胞の両方で複製しおよび/または発現することを可能にするコントロール配列を使用しうる。一定の態様において、抗体発現構築物は、T細胞活性化に関連づけられるプロモーターの、例えばNFAT-1またはNF-κB(これらはどちらもT細胞活性化時に活性化されうる転写因子である)によって制御されるものの、制御下に置くことができる。抗体発現のコントロールは、腫瘍標的化T細胞などのT細胞が、その周囲を感知して、T細胞そのものにおいても、周囲の内在性免疫細胞においても、サイトカインシグナル伝達のリアルタイム調節を行うことを可能にする。宿主細胞を維持し、ベクターの複製を可能にするために宿主細胞をインキュベートする条件は、当業者にはわかるだろう。ベクターの大量生産ならびにベクターがコードする核酸およびそれらのコグネイトポリペプチド、タンパク質またはペプチドの生産を可能にするであろう技法および条件も理解され、知られている。
【0187】
哺乳動物細胞の安定なトランスフェクションについては、使用する発現ベクターとトランスフェクション技法とに依存して、わずかな分率の細胞しか、それらのゲノム中に外来DNAを組み込みえないことが、知られている。これらの組込み体を同定し、選択するために、選択可能マーカー(例えば抗生物質に対する耐性のためのもの)が、一般に、関心対象の遺伝子と共に宿主細胞中に導入される。導入核酸が安定にトランスフェクトされた細胞は、薬物選択によって同定することができる(例えば選択可能マーカー遺伝子を組み込んでいる細胞は生き残り、他の細胞は死ぬことになる)他、当技術分野では複数の方法が知られている。
【0188】
B.単離
抗体の重鎖全体および軽鎖全体もしくはそれらの可変領域のどちらか一方または両方をコードしている核酸分子は、抗体を産生する任意の供給源から得ることができる。抗体をコードするmRNAを単離する方法は当技術分野において周知である。例えば前掲のSambrookらを参照されたい。ヒト重鎖および軽鎖定常領域遺伝子の配列も、当技術分野において知られている。例えば前掲のKabatら,1991を参照されたい。次に、完全長重鎖および/または完全長軽鎖をコードする核酸分子を、それらが導入された細胞中で発現させ、抗体を単離しうる。
【0189】
VII.遺伝子操作された受容体
本開示の免疫細胞は、CD70を標的とする1つ以上の抗原結合受容体、例えば工学的に操作されたCAR、あるいは工学的に操作されたTCRを発現するように遺伝子操作することができる。例えば免疫細胞は、CD70に対する抗原特異性を有するCARおよび/またはTCRを発現するように改変された免疫細胞でありうる。他のCARおよび/またはTCRを、CD70抗原受容体発現細胞と同じ細胞によって発現させて、それらを異なる抗原に向かわせてもよい。いくつかの態様において、免疫細胞は、CD70特異的CARまたはCD70特異的TCRを発現するように、例えばCRISPR/Cas技術を使った前記CARまたはTCRのノックインによって、工学的に操作される。
【0190】
適切な細胞改変方法は当技術分野において知られている。例えば前掲のSambrook and Ausubelを参照されたい。例えば細胞は、Heemskerkら,2008およびJohnsonら,2009に記載の形質導入技法を使って、がん抗原に対する抗原特異性を有するCARまたはTCRを発現するように形質導入されうる。
【0191】
いくつかの実施形態において、細胞は、1つ以上の抗原標的化受容体(そのうちの少なくとも1つはCD70を指向するもの)をコードする、遺伝子操作によって導入された、1つ以上の核酸と、そのような核酸の遺伝子操作された産物とを含む。いくつかの実施形態において、前記核酸は異種である。すなわち、前記核酸は、ある細胞中またはその細胞から得られる試料中には通常は存在せず、例えば工学的に操作される細胞および/またはそのような細胞が由来する生物には通常は見いだされない、別の生物または別の細胞から得られるものなどである。いくつかの実施形態において、前記核酸は天然には存在せず、例えば自然には見いだされない核酸(例えばキメラ)などである。
【0192】
CARおよび組換えTCRを含む例示的な抗原受容体、ならびに受容体を工学的に操作し細胞中に導入するための方法には、例えば国際特許出願公開番号WO200014257、WO2013126726、WO2012/129514、WO2014031687、WO2013/166321、WO2013/071154、WO2013/123061、米国特許出願公開番号US2002131960、US2013287748、US20130149337、米国特許第6,451,995号、同第7,446,190号、同第8,252,592号、同第8,339,645号、同第8,398,282号、同第7,446,179号、同第6,410,319号、同第7,070,995号、同第7,265,209号、同第7,354,762号、同第7,446,191号、同第8,324,353号、および同第8,479,118号、ならびに欧州特許出願番号EP2537416に記載されているもの、ならびに/またはSadelainら,2013、Davilaら,2013、Turtleら,2012、Wuら,2012に記載されているものが含まれる。いくつかの態様において、遺伝子操作された抗原受容体には、米国特許第7,446,190号に記載のCAR、および国際特許出願公開番号WO/2014055668A1に記載のものが含まれる。
【0193】
A.キメラ抗原受容体
特定の実施形態では、少なくともa)1つ以上の細胞内シグナル伝達ドメインと、b)膜貫通ドメインと、c)CD70に特異的に結合する少なくとも1つの抗原結合領域を含む細胞外ドメインとを含むCD70特異的CARが利用される。いくつかの実施形態において、抗原結合領域は抗体またはその機能的フラグメントである。別の事例において、CARの抗原結合領域は抗体でもその機能的フラグメントでもない(例えばCD70のリガンド、例えばCD27)。いくつかの実施形態において、CARの抗原結合領域は、CD27からの細胞外ドメインまたはその抗原結合部分を含まない。いくつかの実施形態において、CD70特異的CARはCD70だけに結合し、一方、別の事例においては、CARは、単一ポリペプチドとして、2つ以上の抗原結合ドメインを含み、そのうちの1つがCD70に結合し、そのうちの別のものは別の同一でない抗原に結合することにより、二重特異性である。
【0194】
いくつかの実施形態において、工学的に操作された抗原受容体には、活性化もしくは刺激CAR、または共刺激CARを含むCARが含まれる(WO2014/055668参照)。CARは、1つ以上の細胞内シグナル伝達構成要素に(いくつかの態様ではリンカーおよび/または膜貫通ドメインを介して)連結された細胞外抗原(またはリガンド)結合ドメインを、一般に含む。そのような分子は、典型的には、天然の抗原受容体によるシグナル、共刺激受容体と組み合わされたそのような受容体によるシグナル、および/または共刺激受容体単独によるシグナルを、擬態または模倣する。
【0195】
キメラ構築物は、裸のDNAとして、または適切なベクターに入れて、免疫細胞中に導入することができると想定される。裸のDNAを使用し、エレクトロポレーションによって、細胞に安定にトランスフェクトする方法は、当技術分野では知られている。例えば米国特許第6,410,319号を参照されたい。裸のDNAとは、一般に、発現にとって適切な向きでプラスミド発現ベクターに含まれているキメラ受容体をコードするDNAを指す。
【0196】
あるいは、キメラCAR構築物を免疫細胞中に導入するために、ウイルスベクター(例えばレトロウイルスベクター、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、またはレンチウイルスベクター)を使用することができる。本開示の方法による使用のための適切なベクターは、免疫細胞中で非複製性である。ウイルスに基づくベクターであって、細胞中で維持されるウイルスのコピー数が細胞の生存性を維持するのに十分な低さであるものは、例えばHIV、SV40、EBV、HSV、またはBPVに基づくベクターなど、数多く知られている。
【0197】
本開示の一定の実施形態は、核酸の使用、例えば少なくとも1つの細胞内シグナル伝達ドメイン、膜貫通ドメイン、および細胞外ドメインを含み、1つ以上のシグナル伝達モチーフを含む、CD70特異的CARポリペプチド(いくつかの事例では、免疫原性を低減するためにヒト化されているCAR(hCAR)を含む)をコードする核酸などの使用に関する。一定の実施形態において、CD70特異的CARは、1つ以上の抗原の間で共有された空間を含むエピトープを認識しうる。一定の実施形態において、結合領域は、モノクローナル抗体の相補性決定領域、モノクローナル抗体の可変領域、および/またはその抗原結合フラグメントを含むことができる。別の一実施形態において、その特異性は、受容体に結合するペプチド(例えばサイトカイン)に由来する。
【0198】
ヒトCD70 CAR核酸は、ヒト患者に対する細胞免疫治療を強化するために使用されうると想定される。具体的一実施形態において、本開示は、完全長CD70特異的CAR cDNAまたはコード領域を含む。抗原結合領域または抗原結合ドメインは、特定のヒトモノクローナル抗体に由来する一本鎖可変フラグメント(scFv)のVおよびV鎖のフラグメントを含むことができる。フラグメントは、ヒト抗原特異的抗体の任意の数の異なる抗原結合ドメインであることもできる。さらに具体的な一実施形態では、フラグメントが、ヒト細胞における発現のためにヒトのコドン使用頻度に最適化された配列によってコードされるCD70特異的scFvである。
【0199】
配置は多量体状、例えばダイアボディまたはマルチマーであることができる。マルチマーは、軽鎖および重鎖の可変部分をダイアボディへと交差ペアリングさせることによって形成されうる。構築物のヒンジ部分には、完全に欠失させることから、最初のシステインを保っておくことや、セリンではなくプロリンへの置換や、最初のシステインまでをトランケートすることまで、複数の代替選択肢がありうる。Fc部分は欠失させることができる。安定でありおよび/または二量体化するタンパク質はいずれも、この目的に役立ちうる。ヒト免疫グロブリンからのFcドメインのうちの1つだけ、例えばC2ドメインまたはC3ドメインのうちのいずれか一方を使用してもよい。二量体化が改良されるように改変されているヒト免疫グロブリンのヒンジ、C2およびC3領域を使用することもできる。免疫グロブリンのヒンジ部分だけを使用することもできる。CD8アルファまたはCD28の一部分を使用することもできる。
【0200】
いくつかの実施形態では、疾患細胞タイプ上に発現されるCD70などのCD70に対して特異性を持つ、CD70特異的CARが構築される。したがって、CARは典型的には、その細胞外部分に、1つ以上のCD70結合分子、例えばあらゆる種類の1つ以上の抗原結合フラグメント、ドメイン、抗体可変ドメイン、および/または抗体分子を含む。
【0201】
いくつかの実施形態において、CD70特異的CARは、抗体分子の1つまたは複数の抗原結合部分、例えばモノクローナル抗体(mAb)の可変重鎖(V)および可変軽鎖(V)に由来する一本鎖抗体フラグメント(scFv)を含む。具体的実施形態において、抗体またはその機能的フラグメントは41D12、2H5であるか、または41D12、2H5に由来する。抗体は、CD70に対して新規(de novo)に生成させたものであってもよく、scFv配列はそのようなデノボ抗体(de novo antibody)から入手し、または導き出しうる。
【0202】
一定の実施形態において、抗CD70 CARは、CD70のリガンドであるかまたはそれを含む細胞外ドメインを含む。具体的実施形態において、抗CD70 CARは、CD27からの細胞外ドメインまたはそのフラグメントもしくはミメティックを含む。一定の実施形態において、抗CD70 CARは、CD27からの細胞外ドメインを含まない。
【0203】
キメラ受容体をコードするオープンリーディングフレームの配列は、ゲノムDNA供給源、cDNA供給源から入手するか、または(例えばPCRによって)合成するか、またはそれらの組合せであることができる。ゲノムDNAのサイズおよびイントロンの数によってはcDNAまたはその組合せを使用することが望ましいかもしれない。イントロンはmRNAを安定化することがわかっているからである。また、mRNAを安定化するために内在性または外因性の非コード領域を使用することは、さらに有利でありうる。
【0204】
いくつかの態様において、抗原特異的な結合または認識構成要素は、1つ以上の膜貫通ドメインおよび細胞内シグナル伝達ドメインに連結される。いくつかの実施形態において、CARは、CARの細胞外ドメインに融合された膜貫通ドメインを含む。一実施形態では、CAR中のドメインのうちの1つと天然に関連している膜貫通ドメインが使用される。場合によっては、受容体複合体の他のメンバーとの相互作用を最小限に抑えるために、膜貫通ドメインは、同じまたは異なる表面膜タンパク質の膜貫通ドメインへのそのようなドメインの結合が回避されるように選択されるか、またはアミノ酸置換によって、そのように改変される。いくつかの実施形態における膜貫通ドメインは、天然供給源または合成供給源に由来する。供給源が天然である場合、いくつかの態様におけるドメインは、任意の膜結合タンパク質または膜貫通タンパク質に由来する。膜貫通領域には、T細胞受容体のアルファ、ベータまたはゼータ鎖、CD28、DAP12、DAP10、NKG2D、CD3ゼータ、CD3イプシロン、CD3ガンマ、CD3デルタ、CD45、CD4、CD5、CD8、CD9、CD16、CD22、CD33、CD37、CD64、CD80、CD86、CD134、CD137、CD154、ICOS/CD278、KIR、例えばKIR2DL4、GITR/CD357などに由来する(すなわち少なくともその膜貫通領域を含む)ものが含まれる。あるいは、いくつかの実施形態における膜貫通ドメインは合成物である。いくつかの態様において、合成膜貫通ドメインは、ロイシンおよびバリンなどの疎水性残基を、主に含む。いくつかの態様において、合成膜貫通ドメインの各端には、フェニルアラニン、トリプトファンおよびバリンのトリプレットが見いだされるだろう。
【0205】
いくつかの実施形態において、CD70 CAR核酸は、他の共刺激受容体、例えば膜貫通ドメインと1つ以上の細胞内シグナル伝達ドメインとをコードする配列を含む。CD3ζおよび/またはFcεRIγによって開始されうるような一次T細胞活性化シグナルに加えて、キメラ受容体とターゲット抗原とのエンゲージメントに続く免疫エフェクター細胞の増殖およびエフェクター機能のための追加の刺激シグナルも利用しうる。例えば、in vivo持続性を改良し養子免疫治療の治療的成功を高めるのに役立ちうる強化された細胞活性化のためのヒト共刺激受容体の一部または全部を利用しうる。例としては、DAP12、DAP10、NKG2D、CD2、CD28、CD27、4-1BB、(CD137)、OX40、ICOS、(CD278)、CD30、HVEM、CD40、LFA-1(CD11a/CD18)、ICAM-1、および/または活性化シグナルを誘導することができるCD70細胞質ドメインの一部などの分子からの共刺激ドメインが挙げられるが、具体的代替実施形態では、これら列挙したもののうちのいずれか一つは、CARにおける使用から排除されうる。
【0206】
一定の実施形態において、NK細胞などの免疫細胞を遺伝子改変するための、本明細書に開示されるプラットフォーム技術は、(i)エレクトロポレーションデバイス(例えばヌクレオフェクター(nucleofector))を使った非ウイルス遺伝子移入、(ii)エンドドメイン(例えばCD28/CD3-ζ、CD137/CD3-ζ、または他の組合せ)を介してシグナル伝達するCAR、(iii)細胞表面にCD70認識ドメインをつなぐさまざまな長さの細胞外ドメインを持つCAR、およびいくつかの事例では(iv)CAR免疫細胞をロバストにかつ数的に拡大することができるように、K562由来の人工抗原提示細胞(aAPC)を含む(例えばSinghら,2008、およびSinghら,2011参照)。
【0207】
B.具体的CAR実施形態の例
特定の実施形態では、具体的なCD70標的化CAR分子が、ここに包含される。いくつかの事例において、CARのCD70結合ドメインはscFvであり、ここではCD70に結合する任意のscFvを利用しうる。CARの細胞外ドメインに抗CD70 scFvが利用される場合、scFvの可変重鎖と可変軽鎖は、N末からC末に向かって、任意の順序であってよい。例えば可変重鎖は可変軽鎖のN末側にあってもよいし、逆であってもよい。可変重鎖と可変軽鎖はリンカーによって分離されうる。CAR中のCD70に結合するscFvおよび/またはリガンドはコドン最適化されていてもされていなくてもよい。特定の実施形態では、ベクターがCD70特異的CARをコードすると共に、1つ以上の他の分子もコードする。例えばベクターは、CD70特異的CARをコードしうると共に、関心対象の別のタンパク質、例えば別の工学的に操作された抗原受容体、自殺遺伝子、および/または特定サイトカインもコードしうる。
【0208】
CD70特異的CARは、同じ分子上に、1つ以上の抗原特異的細胞外ドメイン、特定ヒンジ、特定膜貫通ドメイン、1つ以上の特定共刺激ドメイン、および1つ以上の特定活性化シグナルを含みうる。2つの異なる抗原(そのうちの1つはCD70である)を標的化するなどの目的で、2つ以上の抗原特異的細胞外ドメインを利用する場合は、それら2つの抗原特異的細胞外ドメイン間にリンカーがあってもよい。
【0209】
具体的CAR分子の特定の実施形態において、CARは、DAP10、DAP12、4-1BB、NKG2D、または他の共刺激ドメイン(これらを本明細書では細胞質内ドメインという場合もある)を利用しうる。いくつかの事例において、CD3ζは、共刺激ドメインなしで利用される。具体的CAR分子の特定の実施形態において、CARは、DAP12、DAP10、4-1BB、2B4、OX40、CD27、NKG2D、CD8、またはCD28からの膜貫通ドメインなど、任意の適切な膜貫通ドメインを利用しうる。
【0210】
特定の実施形態には、特定の、CD70特異的な、工学的に操作された受容体をコードする配列を含む発現構築物がある。特定の実施形態において、どのCD70 CARも、配列番号68~73のうちの1つを含みうる。
【0211】
具体的配列実施形態の例を以下に掲載する。
【0212】
1.抗原特異的細胞外ドメイン
具体的配列実施形態の例を以下に掲載する。
【0213】
CD70結合領域アミノ酸配列の例は以下のとおりである:
【0214】
QVQLQQSGAELMKPGASVKISCKATGYTFSNHWIEWVKERPGHGLEWIGEILLGSGRAHYNEKFKGKATFTADTSSNTAYMQLSSLTSEDSAVYYCARHYRYDGWFAYWGQGTPVTVSAGGGGSGGGGSGGGASDIVLTQSPASLAVSLGQRATISCRASKSVSTSGYSYMHWYQQKPGQPPKLLIYLASNLESGVPARFSGSGSGTDFTLNIHPVEEEDAATYYCQHSRELPYTFGGGTKLEIK(配列番号68)
【0215】
本開示によって包含されるポリペプチドはいずれも、配列番号68、または配列番号68と少なくとも、または最大で、または正確に70、75、80、85、90、95、96、97、98、99%、もしくはそれ以上同一であるか、またはそれらのうちの任意の2つの間のパーセンテージ同一である配列を含みうる。
【0216】
DIVLTQSPASLAVSLGQRATISCRASKSVSTSGYSYMHWYQQKPGQPPKLLIYLASNLESGVPARFSGSGSGTDFTLNIHPVEEEDAATYYCQHSRELPYTFGGGTKLEIKGGGGSGGGGSGGGASQVQLQQSGAELMKPGASVKISCKATGYTFSNHWIEWVKERPGHGLEWIGEILLGSGRAHYNEKFKGKATFTADTSSNTAYMQLSSLTSEDSAVYYCARHYRYDGWFAYWGQGTPVTVSA(配列番号69)
【0217】
本開示によって包含されるポリペプチドはいずれも、配列番号69、または配列番号69と少なくとも、または最大で、または正確に70、75、80、85、90、95、96、97、98、99%、もしくはそれ以上同一であるか、またはそれらのうちの任意の2つの間のパーセンテージ同一である配列を含みうる。
【0218】
QVQLKQSGPGLVQPSQSLSITCTVSGFSLTSYGVHWVRQSPGKGLEWLGVIWSGGSTDYNAAFISRLSISKDNSKSQVFFKMNSLQANDTAIYYCATYYRYDGWFAYWGQGTLVTVSAGGGGSGGGGSGGGASDIVLTQSPASLAVSLGQRATISCRASKSVSTSGYSYMHWYQQKPGQPPKLLIYLASNLESGVPARFSGSGSGTDFTLNIHPVEEEDAATYSCQHSRELPWTFGGGTKLEIK(配列番号70)
【0219】
本開示によって包含されるポリペプチドはいずれも、配列番号70、または配列番号70と少なくとも、または最大で、または正確に70、75、80、85、90、95、96、97、98、99%、もしくはそれ以上同一であるか、またはそれらのうちの任意の2つの間のパーセンテージ同一である配列を含みうる。
【0220】
DIVLTQSPASLAVSLGQRATISCRASKSVSTSGYSYMHWYQQKPGQPPKLLIYLASNLESGVPARFSGSGSGTDFTLNIHPVEEEDAATYSCQHSRELPWTFGGGTKLEIKGGGGSGGGGSGGGASQVQLKQSGPGLVQPSQSLSITCTVSGFSLTSYGVHWVRQSPGKGLEWLGVIWSGGSTDYNAAFISRLSISKDNSKSQVFFKMNSLQANDTAIYYCATYYRYDGWFAYWGQGTLVTVSA(配列番号71)
【0221】
本開示によって包含されるポリペプチドはいずれも、配列番号71、または配列番号71と少なくとも、または最大で、または正確に70、75、80、85、90、95、96、97、98、99%、もしくはそれ以上同一であるか、またはそれらのうちの任意の2つの間のパーセンテージ同一である配列を含みうる。
【0222】
EVQLQQSGAELVKPGASVKLSCTASGFNIKDSYMHWVKQRPEQGLEWIGRIDPANANPKYDPKFQGKATITTDTSSNTAYLQLSSLTSEDTAVYYCARDYGGYFDVWGAGTTVTVSSGGGGSGGGGSGGGASDIQMTQSSSYLSVSLGGRVTITCKASDHINNWLAWYQQKPGNAPRLLISGATSLETGVPSRFSGSGSGKDYTLSITSLQTEDVATYYCQQYWSTPWTFGGGTKLEIK(配列番号72)
【0223】
本開示によって包含されるポリペプチドはいずれも、配列番号72、または配列番号72と少なくとも、または最大で、または正確に70、75、80、85、90、95、96、97、98、99%、もしくはそれ以上同一であるか、またはそれらのうちの任意の2つの間のパーセンテージ同一である配列を含みうる。
【0224】
DIQMTQSSSYLSVSLGGRVTITCKASDHINNWLAWYQQKPGNAPRLLISGATSLETGVPSRFSGSGSGKDYTLSITSLQTEDVATYYCQQYWSTPWTFGGGTKLEIKGGGGSGGGGSGGGASEVQLQQSGAELVKPGASVKLSCTASGFNIKDSYMHWVKQRPEQGLEWIGRIDPANANPKYDPKFQGKATITTDTSSNTAYLQLSSLTSEDTAVYYCARDYGGYFDVWGAGTTVTVSS(配列番号73)
【0225】
本開示によって包含されるポリペプチドはいずれも、配列番号73、または配列番号73と少なくとも、または最大で、または正確に70、75、80、85、90、95、96、97、98、99%、もしくはそれ以上同一であるか、またはそれらのうちの任意の2つの間のパーセンテージ同一である配列を含みうる。
【0226】
具体例において、本開示のCAR分子において利用されるCD70結合領域は、配列番号68-73のアミノ酸1-50、1-51、1-52、1-53、1-54、1-55、1-56、1-57、1-58、1-59、1-60、1-61、1-62、1-63、1-64、1-65、1-66、1-67、1-68、1-69、1-70、1-71、1-72、1-73、1-74、1-75、1-76、1-77、1-78、1-79、1-80、1-81、1-82、1-83、1-84、1-85、1-86、1-87、1-88、1-89、1-90、1-91、1-92、1-93、1-94、1-95、1-96、1-97、1-98、1-99、1-100、1-101、1-102、1-103、1-104、1-105、1-106、1-107、1-108、1-109、1-110、1-111、1-112、1-113、1-114、1-115、1-116、1-117、1-118、1-119、1-120、1-121、1-122、1-123、1-124、1-125、1-126、1-127、1-128、1-129、1-130、1-131、1-132、1-133、1-134、1-135、1-136、1-137、1-138、1-139、1-140、1-141、1-142、1-143、1-144、1-145、1-146、1-147、1-148、1-149、1-150、1-151、1-152、1-153、1-154、1-155、1-156、1-157、1-158、1-159、1-160、1-161、1-162、1-163、1-164、1-165、1-166、1-167、1-168、1-169、1-170、1-171、1-172、1-173、1-174、1-175、1-176、1-177、1-178、1-179、1-180、1-181、1-182、1-183、1-184、1-185、1-186、1-187、1-188、1-189、1-190、1-191、1-192、1-193、1-194、1-195、1-196、1-197、1-198、1-199、1-200、1-201、1-202、1-203、1-204、1-205、1-206、1-207、1-208、1-209、1-210、1-211、1-212、1-213、1-214、1-215、1-216、1-217、1-218、1-219、1-220、または全てからなる、これらからなる、またはこれらから本質的になる;具体的な実施形態において、これらの範囲のかかるアミノ酸は連続している。いくつかの実施形態において、配列番号68-73の領域は、N末端から少なくとも、多くとも、正確に、または1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20個、またはそれ以上のアミノ酸のうちの任意の2つの間など、N末端に切断を有するものが利用される。ある場合には、そのN末端において、少なくとも、多くとも、正確に、あるいは1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20個、あるいはそれ以上のアミノ酸のうちのいずれか2つの間で切断があり、C末端で切断がある。
【0227】
本開示のCD70結合領域は、(a)配列番号44、配列番号52、または配列番号60から選択されるVと、(b)配列番号48、配列番号56、または配列番号64から選択されるVとを含みうる。前記V配列はいずれも、本開示のポリペプチド(例えばCAR)のCD70結合領域において、前記V配列のいずれとも組み合わせうる。いくつかの実施形態において、CD70結合領域は、配列番号44を含むVと配列番号48を含むVとを含む。いくつかの実施形態において、CD70結合領域は、配列番号52を含むVと配列番号56を含むVとを含む。いくつかの実施形態において、CD70結合領域は、配列番号60を含むVと配列番号64を含むVとを含む。CD70結合領域は、ポリペプチドリンカーによって分離されたVとVを含みうる。リンカーは例えば配列番号74を含みうる。
【0228】
2.膜貫通ドメイン
本開示のCD70特異的CARには、任意の適切な膜貫通ドメインを利用しうる。例としては、DAP10、DAP12、CD28、NKG2D、CD3イプシロン、CD4、CD5、CD8、CD9、CD16、CD22、CD28、CD33、CD37、CD45、CD64、CD80、CD86、CD134、CD137、またはCD154、T細胞受容体α鎖またはβ鎖、CD3ゼータ鎖、ICOS、それらの機能的誘導体からの、少なくとも膜貫通ドメイン、およびそれらの組合せが挙げられる。具体的事例では、DAP10、DAP12、CD28、CD8、またはNKG2Dからの膜貫通ドメインが利用される。いくつかの実施形態では、CD70からの膜貫通ドメインが利用される。以下に挙げるように特定の膜貫通ドメイン配列の例を使用しうる。
【0229】
CD28膜貫通ドメインアミノ酸配列:
【0230】
FWVLVVVGGVLACYSLLVTVAFIIFWV(配列番号75)
【0231】
CD8膜貫通ドメインアミノ酸配列:
【0232】
TTTPAPRPPTPAPTIASQPLSLRPEACRPAAGGAVHTRGLDFACDIYIWAPLAGTCGVLLLSLVIT(配列番号76)
【0233】
4-1BB膜貫通ドメインアミノ酸配列:
【0234】
IISFFLALTSTALLFLLFFLTLRFSVV(配列番号77)
【0235】
DAP10膜貫通ドメインアミノ酸配列:
【0236】
LLAGLVAADAVASLLIVGAVF(配列番号78)
【0237】
DAP12膜貫通ドメインアミノ酸配列:
【0238】
GVLAGIVMGDLVLTVLIALAV(配列番号79)
【0239】
NKG2D膜貫通ドメインアミノ酸配列:
【0240】
AVMIIFRIGMAVAIFCCFFFP(配列番号80)
【0241】
本開示によって包含されるポリペプチドはいずれも、配列番号75~80のうちの1つ、または配列番号75~80のうちの1つと少なくとも、または最大で、または正確に70、75、80、85、90、95、96、97、98、99%、もしくはそれ以上同一であるか、またはそれらのうちの任意の2つの間のパーセンテージ同一である配列を含みうる。
【0242】
3.細胞内ドメイン
本開示の具体的抗CD70 CARでは、1つ以上の細胞内ドメイン(本明細書では適宜、シグナル活性化ドメインまたは共刺激ドメインという場合もある)を利用しても利用しなくてもよい。具体例としては、CD3ゼータ、4-1BB、NKG2D、OX-40、CD27、DAP10、DAP12、B7-1/CD80、CD28、2B4、4-1BBL、B7-2/CD86、CTLA-4、B7-H1/PD-L1、ICOS、B7-H2、PD-1、B7-H3、PD-L2、B7-H4、PDCD6、BTLAからの細胞内ドメイン、またはそれらの組合せが挙げられる。
【0243】
本開示のCARに使用しうる特定の細胞内ドメインの例は、以下のとおりである。
【0244】
CD3ζ細胞内ドメインアミノ酸配列の例:
【0245】
TRKKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPRG(配列番号81)
【0246】
CD3ζ細胞内ドメインアミノ酸配列の例:
【0247】
KRVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPRG(配列番号82)
【0248】
4-1BB細胞内ドメインアミノ酸配列:
【0249】
KRGRKKLLYIFKQPFMRPVQTTQEEDGCSCRFPEEEEGGCEL(配列番号83)
【0250】
DAP10細胞内ドメインアミノ酸配列:
【0251】
LCARPRRSPAQEDGKVYINMPGRG(配列番号84)
【0252】
DAP12細胞内ドメインアミノ酸配列:
【0253】
YFLGRLVPRGRGAAEAATRKQRITETESPYQELQGQRSDVYSDLNTQRPYYK(配列番号85)
【0254】
NKG2D細胞内ドメインアミノ酸配列:
【0255】
SANERCKSKVVPCRQKQWRTSFDSKKLDLNYNHFESMEWSHRSRRGRIWGM(配列番号86)
【0256】
本開示によって包含されるポリペプチドはいずれも、配列番号81~86、または配列番号81~86のうちの1つと少なくとも、または最大で、または正確に70、75、80、85、90、95、96、97、98、99%、もしくはそれ以上同一であるか、またはそれらのうちの任意の2つの間のパーセンテージ同一である配列を含みうる。
【0257】
4.ヒンジ
CARのいくつかの実施形態では、1つ以上の細胞外抗原結合ドメインと膜貫通ドメインとの間にヒンジ領域がある。具体的実施形態において、ヒンジは、例えば10~20、10~15、11~20、11~15、12~20、12~15、または15~20アミノ酸長など、特定の長さを持つ。ヒンジは任意の適切なヒンジであってよく、これには、いくつかの事例において、IgG、CD8、またはCD28からのヒンジが含まれる。具体的実施形態において、ヒンジは、IgG FcのC2-C3ドメインとC1ドメインとをつなぐ小さいフレキシブルなポリペプチドである。例えば、さまざまなIgGサブクラス(IgG1~4、改変体または無改変体)からのC2-C3ヒンジ(一部または全部)を利用しうる。ただしいくつかの事例では、C2-C3ヒンジ全体を利用するのではなく、ヒンジの一部分が使用される(C3単独またはC3単独の一部)。特定の実施形態では、IgG1由来のC2-C3ヒンジが利用され、いくつかの事例では、C2-C3ヒンジ全体が使用されるか(全229アミノ酸)、C3ヒンジだけ(119アミノ酸)が使用されるか、または短いヒンジ(12アミノ酸)が使用される。
【0258】
具体的事例では、CARの効率を最適化するために、スペーサーおよび/またはヒンジの実体または長さを改変することができる。例えばHudecekら(2014)およびJonnalagaddaら(2015)を参照されたい。具体的実施形態では、CD70 CARが、例えばIgG4ヒンジ+C3を利用するか、またはCD8aストークを利用する。
【0259】
このように、具体的実施形態では、利用されるIgGヒンジ領域が典型的にはIgG1またはIgG4であり、いくつかの事例では、CARがIgG FcのC2-C3ドメインを含む。IgG Fcドメインの使用は、CARにフレキシビリティを与えることができ、低い免疫原性を有し、抗Fc試薬を使ったCAR発現の検出を容易にし、異なるスペーサー長に対応するために、1つ以上のC2またはC3モジュールの除去を可能にする。ただし、ある実施形態では、FcγR結合を回避するための、一定のスペーサー中の変異が、CAR+T細胞の生着および抗腫瘍効力を改良し、例えば可溶性のおよび細胞表面のFcガンマ受容体の結合を回避し、しかも抗原特異的溶解を媒介する能力は維持されうる。例えば、C2領域が改変されたIgG4-Fcスペーサーを使用することができる。例えばC2領域は、点変異および/または点欠失を含む変異型でありうる。具体的改変は、C2領域内の2つの部位(L235E;N297Q)で実証されており、および/またはC2欠失を含む(Jonnalagadda et al,2015)。具体的実施形態では、IgG4ヒンジ-C2-C3ドメイン(229aa長)またはそのヒンジドメインのみ(12aa長)を使用しうる(Hudececkら,2015)。
【0260】
具体的実施形態において、ヒンジは、IgG、CD28、CD-8アルファ、4-1BB、OX40、CD3-ゼータ、T細胞受容体αまたはβ鎖、CD3ゼータ鎖、CD28、CD3ε、CD45、CD4、CD5、CD8、CD9、CD16、CD22、CD33、CD37、CD64、CD80、CD86、CD134、CD137、ICOS、またはCD154に由来する。
【0261】
利用しうるヒンジの具体的配列の例には、少なくとも以下に挙げるものがある。
【0262】
IgGヒンジアミノ酸配列:
【0263】
TVTVSSQDPAEPKSPDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEAL(配列番号87)
【0264】
CD28ヒンジアミノ酸配列:
【0265】
IEVMYPPPYLDNEKSNGTIIHVKGKHLCPSPLFPGPSKP(配列番号88)
【0266】
本開示によって包含されるポリペプチドはいずれも、配列番号87もしくは88、または配列番号87もしくは88と少なくとも、または最大で、または正確に70、75、80、85、90、95、96、97、98、99%、もしくはそれ以上同一であるか、またはそれらのうちの任意の2つの間のパーセンテージ同一である配列を含みうる。
【0267】
5.他のタンパク質
いくつかの実施形態では、本開示の抗CD70 CARと共に、1つ以上の他のタンパク質が利用される。前記1つ以上の他のタンパク質は、CARそのものおよび/またはCARを発現するあらゆる種類の細胞の効力を助長するための利用を含む、任意の理由で利用されうる。いくつかの事例において、前記他のタンパク質は、それがCARまたは細胞の活性に直接的または間接的に影響を及ぼすかどうかにかかわらず、治療としてCARを発現する細胞を受け入れる個体の処置を助長する。いくつかの事例において、前記他のタンパク質は、1つ以上の抗体または1つ以上の二重特異性もしくは多重特異性免疫細胞エンゲージャーである。いくつかの事例において、前記他のタンパク質は、自殺遺伝子、1つ以上のサイトカイン、またはその両方である。具体的実施形態において、前記1つ以上の他のタンパク質は、1つ以上のベクターから産生され、最終的に別々のポリペプチドとして産生される。具体的実施形態において、前記1つ以上の他のタンパク質は同じベクターから産生され、最終的には別々のポリペプチドとして産生される。例えば抗CD70 CARと1つまたは複数の前記他のタンパク質は、2A配列またはIRESによって隔てられていてもよい。
【0268】
具体的実施形態では、IL-15などのサイトカインが、抗CD70 CARと一緒に利用される。
【0269】
IL-15配列の一例は以下のとおりである。
【0270】
IL-15アミノ酸配列:
【0271】
ISKPHLRSISIQCYLCLLLNSHFLTEAGIHVFILGCFSAGLPKTEANWVNVISDLKKIEDLIQSMHIDATLYTESDVHPSCKVTAMKCFLLELQVISLESGDASIHDTVENLIILANNSLSSNGNVTESGCKECEELEEKNIKEFLQSFVHIVQMFINTS(配列番号89)
【0272】
本開示によって包含されるポリペプチドはいずれも、配列番号89、または配列番号89と少なくとも、または最大で、または正確に70、75、80、85、90、95、96、97、98、99%、もしくはそれ以上同一であるか、またはそれらのうちの任意の2つの間のパーセンテージ同一である配列を含みうる。
【0273】
同じベクター中のCARともう一つのタンパク質とを2つの異なるポリペプチドとして産生させようとする場合には、特定の2A配列を利用しうる。
【0274】
以下のとおりE2Aアミノ酸配列を利用しうる。
【0275】
QCTNYALLKLAGDVESNPGP(配列番号90)
【0276】
2Aの他の例を利用してもよく、それらは以下のとおりである。
【0277】
T2A:EGRGSLLTCGDVEENPGP(配列番号91)
【0278】
P2A:ATNFSLLKQAGDVEENPGP(配列番号92)
【0279】
F2A:VKQTLNFDLLKLAGDVESNPGP(配列番号93)
【0280】
本開示によって包含されるポリペプチドはいずれも、配列番号90~93、または配列番号90~93と少なくとも、または最大で、または正確に70、75、80、85、90、95、96、97、98、99%、もしくはそれ以上同一であるか、またはそれらのうちの任意の2つの間のパーセンテージ同一である配列を含みうる。
【0281】
本開示は、任意のタイプの免疫エフェクター細胞(例えばT細胞、NK細胞、NKT細胞など)における発現のためのものを含む、具体的CAR分子も包含する。
【0282】
いくつかの実施形態では、CD70結合ドメイン、IgG1ヒンジ、CD28細胞内ドメイン、およびCD3ζ細胞内ドメインを含む抗CD70 CARが利用される。あるベクターでは、CARをIL-15(例えばCARからは2A配列によって分離されていてもよい)と共に発現させうる。
【0283】
具体例において、そのようなCARおよびIL-15構築物は、以下のヌクレオチド配列またはアミノ酸配列のいずれか一つ、または以下のヌクレオチド配列もしくはアミノ酸配列と、少なくとも、または最大で、または正確に70、75、80、85、90、95、96、97、98、99%、もしくはそれ以上同一であるか、またはそれらのうちの任意の2つの間のパーセンテージ同一である配列を有しうる。
【0284】
IgGヒンジを有するm6-1CAR70VHVLCD28Z15
【0285】
ATGGGGATGGCCCTGCCTGTGACAGCTCTGCTCCTCCCTCTGGCCCTGCTGCTCCATGCCGCCAGACCCCAGGTTCAGCTGCAGCAGTCTGGAGCTGAGCTGATGAAGCCTGGGGCCTCAGTGAAGATATCCTGCAAGGCAACTGGCTACACATTCAGTAACCACTGGATAGAGTGGGTTAAGGAAAGGCCTGGACATGGCCTGGAGTGGATTGGAGAGATTTTACTTGGAAGTGGTAGAGCTCATTATAATGAGAAGTTCAAGGGCAAGGCCACATTCACTGCAGATACATCCTCCAACACAGCCTACATGCAACTCAGCAGCCTGACATCTGAGGACTCTGCCGTCTATTACTGTGCAAGACACTATAGGTACGACGGGTGGTTTGCTTACTGGGGCCAAGGGACTCCGGTCACTGTCTCTGCAGGTGGAGGCGGTTCAGGCGGAGGTGGCTCTGGCGGTGGCGCTAGCGACATTGTGCTGACACAGTCTCCTGCTTCCTTAGCTGTATCTCTGGGGCAGAGGGCCACCATCTCATGCAGGGCCAGCAAAAGTGTCAGTACATCTGGCTATAGTTATATGCACTGGTACCAACAGAAACCAGGACAGCCACCCAAACTCCTCATCTATCTTGCATCCAACCTAGAATCTGGGGTCCCTGCCAGGTTCAGTGGCAGTGGGTCTGGGACAGACTTCACCCTCAACATCCATCCTGTGGAGGAGGAGGATGCTGCAACCTATTACTGTCAGCACAGTAGGGAGCTTCCGTACACGTTCGGAGGGGGGACCAAGCTGGAAATAAAACGTACGGTCACTGTCTCTTCACAGGATCCCGCCGAGCCCAAATCTCCTGACAAAACTCACACATGCCCACCGTGCCCAGCACCTGAACTCCTGGGGGGACCGTCAGTCTTCCTCTTCCCCCCAAAACCCAAGGACACCCTCATGATCTCCCGGACCCCTGAGGTCACATGCGTGGTGGTGGACGTGAGCCACGAAGACCCTGAGGTCAAGTTCAACTGGTACGTGGACGGCGTGGAGGTGCATAATGCCAAGACAAAGCCGCGGGAGGAGCAGTACAACAGCACGTACCGTGTGGTCAGCGTCCTCACCGTCCTGCACCAGGACTGGCTGAATGGCAAGGAGTACAAGTGCAAGGTCTCCAACAAAGCCCTCCCAGCCCCCATCGAGAAAACCATCTCCAAAGCCAAAGGGCAGCCCCGAGAACCACAGGTGTACACCCTGCCCCCATCCCGGGATGAGCTGACCAAGAACCAGGTCAGCCTGACCTGCCTGGTCAAAGGCTTCTATCCCAGCGACATCGCCGTGGAGTGGGAGAGCAATGGGCAACCGGAGAACAACTACAAGACCACGCCTCCCGTGCTGGACTCCGACGGCTCCTTCTTCCTCTACAGCAAGCTCACCGTGGACAAGAGCAGGTGGCAGCAGGGGAACGTCTTCTCATGCTCCGTGATGCATGAGGCTCTGCACAACCACTACACGCAGAAGAGCCTCTCCCTGTCTCCGGGTAAAAAAGATCCCAAATTTTGGGTGCTGGTGGTGGTTGGTGGAGTCCTGGCTTGCTATAGCTTGCTAGTAACAGTGGCCTTTATTATTTTCTGGGTGAGGAGTAAGAGGAGCAGGCTCCTGCACAGTGACTACATGAACATGACTCCCCGCCGCCCCGGGCCCACCCGCAAGCATTACCAGCCCTATGCCCCACCACGCGACTTCGCAGCCTATCGCTCACGCGTGAAGTTCAGCAGGAGCGCAGACGCCCCCGCGTACCAGCAGGGCCAGAACCAGCTCTATAACGAGCTCAATCTAGGACGAAGAGAGGAGTACGATGTTTTGGACAAAAGACGTGGCCGGGACCCTGAGATGGGGGGAAAGCCGAGAAGGAAGAACCCTCAGGAAGGCCTGTACAATGAACTGCAGAAAGATAAGATGGCGGAGGCCTACAGTGAGATTGGGATGAAAGGCGAGCGCCGGAGGGGCAAGGGGCACGATGGCCTTTACCAGGGTCTCAGTACAGCCACCAAGGACACCTACGACGCCCTTCACATGCAGGCCCTGCCCCCTCGCGGACCGCAGTGTACTAATTATGCTCTCTTGAAATTGGCTGGAGATGTTGAGAGCAATCCCGGGCCCATGCGCATTAGCAAGCCCCACCTGCGGAGCATCAGCATCCAGTGCTACCTGTGCCTGCTGCTGAACAGCCACTTCCTGACCGAGGCCGGCATCCACGTGTTCATCCTGGGCTGCTTCAGCGCCGGACTGCCCAAGACCGAGGCCAACTGGGTGAACGTGATCAGCGACCTGAAGAAGATCGAGGACCTGATCCAGAGCATGCACATCGACGCCACCCTGTACACCGAGAGCGACGTGCACCCCAGCTGCAAGGTGACCGCCATGAAGTGCTTTCTGCTGGAACTGCAGGTGATCAGCCTGGAAAGCGGCGACGCCAGCATCCACGACACCGTGGAGAACCTGATCATCCTGGCCAACAACAGCCTGAGCAGCAACGGCAACGTGACCGAGAGCGGCTGCAAAGAGTGCGAGGAACTGGAAGAGAAGAACATCAAAGAGTTTCTGCAGAGCTTCGTGCACATCGTGCAGATGTTCATCAACACCAGCTGA(配列番号32)
【0286】
IgGヒンジを有するm6-1CAR70VHVLCD28Z15の対応するアミノ酸配列は以下の通りである:
【0287】
MGMALPVTALLLPLALLLHAARPQVQLQQSGAELMKPGASVKISCKATGYTFSNHWIEWVKERPGHGLEWIGEILLGSGRAHYNEKFKGKATFTADTSSNTAYMQLSSLTSEDSAVYYCARHYRYDGWFAYWGQGTPVTVSAGGGGSGGGGSGGGASDIVLTQSPASLAVSLGQRATISCRASKSVSTSGYSYMHWYQQKPGQPPKLLIYLASNLESGVPARFSGSGSGTDFTLNIHPVEEEDAATYYCQHSRELPYTFGGGTKLEIKRTVTVSSQDPAEPKSPDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGKKDPKFWVLVVVGGVLACYSLLVTVAFIIFWVRSKRSRLLHSDYMNMTPRRPGPTRKHYQPYAPPRDFAAYRSRVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPRGPQCTNYALLKLAGDVESNPGPMRISKPHLRSISIQCYLCLLLNSHFLTEAGIHVFILGCFSAGLPKTEANWVNVISDLKKIEDLIQSMHIDATLYTESDVHPSCKVTAMKCFLLELQVISLESGDASIHDTVENLIILANNSLSSNGNVTESGCKECEELEEKNIKEFLQSFVHIVQMFINTS(配列番号94)
【0288】
IgGヒンジを有するm6-1CAR70VLVHCD28Z15
【0289】
ATGGGGATGGCCCTGCCTGTGACAGCTCTGCTCCTCCCTCTGGCCCTGCTGCTCCATGCCGCCAGACCCGACATTGTGCTGACACAGTCTCCTGCTTCCTTAGCTGTATCTCTGGGGCAGAGGGCCACCATCTCATGCAGGGCCAGCAAAAGTGTCAGTACATCTGGCTATAGTTATATGCACTGGTACCAACAGAAACCAGGACAGCCACCCAAACTCCTCATCTATCTTGCATCCAACCTAGAATCTGGGGTCCCTGCCAGGTTCAGTGGCAGTGGGTCTGGGACAGACTTCACCCTCAACATCCATCCTGTGGAGGAGGAGGATGCTGCAACCTATTACTGTCAGCACAGTAGGGAGCTTCCGTACACGTTCGGAGGGGGGACCAAGCTGGAAATAAAAGGTGGAGGCGGTTCAGGCGGAGGTGGCTCTGGCGGTGGCGCTAGCCAGGTTCAGCTGCAGCAGTCTGGAGCTGAGCTGATGAAGCCTGGGGCCTCAGTGAAGATATCCTGCAAGGCAACTGGCTACACATTCAGTAACCACTGGATAGAGTGGGTTAAGGAAAGGCCTGGACATGGCCTGGAGTGGATTGGAGAGATTTTACTTGGAAGTGGTAGAGCTCATTATAATGAGAAGTTCAAGGGCAAGGCCACATTCACTGCAGATACATCCTCCAACACAGCCTACATGCAACTCAGCAGCCTGACATCTGAGGACTCTGCCGTCTATTACTGTGCAAGACACTATAGGTACGACGGGTGGTTTGCTTACTGGGGCCAAGGGACTCCGGTCACTGTCTCTGCACGTACGGTCACTGTCTCTTCACAGGATCCCGCCGAGCCCAAATCTCCTGACAAAACTCACACATGCCCACCGTGCCCAGCACCTGAACTCCTGGGGGGACCGTCAGTCTTCCTCTTCCCCCCAAAACCCAAGGACACCCTCATGATCTCCCGGACCCCTGAGGTCACATGCGTGGTGGTGGACGTGAGCCACGAAGACCCTGAGGTCAAGTTCAACTGGTACGTGGACGGCGTGGAGGTGCATAATGCCAAGACAAAGCCGCGGGAGGAGCAGTACAACAGCACGTACCGTGTGGTCAGCGTCCTCACCGTCCTGCACCAGGACTGGCTGAATGGCAAGGAGTACAAGTGCAAGGTCTCCAACAAAGCCCTCCCAGCCCCCATCGAGAAAACCATCTCCAAAGCCAAAGGGCAGCCCCGAGAACCACAGGTGTACACCCTGCCCCCATCCCGGGATGAGCTGACCAAGAACCAGGTCAGCCTGACCTGCCTGGTCAAAGGCTTCTATCCCAGCGACATCGCCGTGGAGTGGGAGAGCAATGGGCAACCGGAGAACAACTACAAGACCACGCCTCCCGTGCTGGACTCCGACGGCTCCTTCTTCCTCTACAGCAAGCTCACCGTGGACAAGAGCAGGTGGCAGCAGGGGAACGTCTTCTCATGCTCCGTGATGCATGAGGCTCTGCACAACCACTACACGCAGAAGAGCCTCTCCCTGTCTCCGGGTAAAAAAGATCCCAAATTTTGGGTGCTGGTGGTGGTTGGTGGAGTCCTGGCTTGCTATAGCTTGCTAGTAACAGTGGCCTTTATTATTTTCTGGGTGAGGAGTAAGAGGAGCAGGCTCCTGCACAGTGACTACATGAACATGACTCCCCGCCGCCCCGGGCCCACCCGCAAGCATTACCAGCCCTATGCCCCACCACGCGACTTCGCAGCCTATCGCTCACGCGTGAAGTTCAGCAGGAGCGCAGACGCCCCCGCGTACCAGCAGGGCCAGAACCAGCTCTATAACGAGCTCAATCTAGGACGAAGAGAGGAGTACGATGTTTTGGACAAAAGACGTGGCCGGGACCCTGAGATGGGGGGAAAGCCGAGAAGGAAGAACCCTCAGGAAGGCCTGTACAATGAACTGCAGAAAGATAAGATGGCGGAGGCCTACAGTGAGATTGGGATGAAAGGCGAGCGCCGGAGGGGCAAGGGGCACGATGGCCTTTACCAGGGTCTCAGTACAGCCACCAAGGACACCTACGACGCCCTTCACATGCAGGCCCTGCCCCCTCGCGGACCGCAGTGTACTAATTATGCTCTCTTGAAATTGGCTGGAGATGTTGAGAGCAATCCCGGGCCCATGCGCATTAGCAAGCCCCACCTGCGGAGCATCAGCATCCAGTGCTACCTGTGCCTGCTGCTGAACAGCCACTTCCTGACCGAGGCCGGCATCCACGTGTTCATCCTGGGCTGCTTCAGCGCCGGACTGCCCAAGACCGAGGCCAACTGGGTGAACGTGATCAGCGACCTGAAGAAGATCGAGGACCTGATCCAGAGCATGCACATCGACGCCACCCTGTACACCGAGAGCGACGTGCACCCCAGCTGCAAGGTGACCGCCATGAAGTGCTTTCTGCTGGAACTGCAGGTGATCAGCCTGGAAAGCGGCGACGCCAGCATCCACGACACCGTGGAGAACCTGATCATCCTGGCCAACAACAGCCTGAGCAGCAACGGCAACGTGACCGAGAGCGGCTGCAAAGAGTGCGAGGAACTGGAAGAGAAGAACATCAAAGAGTTTCTGCAGAGCTTCGTGCACATCGTGCAGATGTTCATCAACACCAGCTGA(配列番号33)
【0290】
IgGヒンジを有するm6-1CAR70VLVHCD28Z15の対応するアミノ酸配列は以下の通りである:
【0291】
MGMALPVTALLLPLALLLHAARPDIVLTQSPASLAVSLGQRATISCRASKSVSTSGYSYMHWYQQKPGQPPKLLIYLASNLESGVPARFSGSGSGTDFTLNIHPVEEEDAATYYCQHSRELPYTFGGGTKLEIKGGGGSGGGGSGGGASQVQLQQSGAELMKPGASVKISCKATGYTFSNHWIEWVKERPGHGLEWIGEILLGSGRAHYNEKFKGKATFTADTSSNTAYMQLSSLTSEDSAVYYCARHYRYDGWFAYWGQGTPVTVSARTVTVSSQDPAEPKSPDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGKKDPKFWVLVVVGGVLACYSLLVTVAFIIFWVRSKRSRLLHSDYMNMTPRRPGPTRKHYQPYAPPRDFAAYRSRVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPRGPQCTNYALLKLAGDVESNPGPMRISKPHLRSISIQCYLCLLLNSHFLTEAGIHVFILGCFSAGLPKTEANWVNVISDLKKIEDLIQSMHIDATLYTESDVHPSCKVTAMKCFLLELQVISLESGDASIHDTVENLIILANNSLSSNGNVTESGCKECEELEEKNIKEFLQSFVHIVQMFINTS(配列番号95)
【0292】
CD28ヒンジを有するm6-1CAR70VHVLCD28Z15
【0293】
ATGGGGATGGCCCTGCCTGTGACAGCTCTGCTCCTCCCTCTGGCCCTGCTGCTCCATGCCGCCAGACCCGACATCCAGATGACACAATCTTCATCCTACTTGTCTGTATCTCTAGGAGGCAGAGTCACCATTACTTGCAAGGCAAGTGACCACATTAATAATTGGTTAGCCTGGTATCAGCAGAAACCAGGAAATGCTCCTAGGCTCTTAATATCTGGTGCAACCAGTTTGGAAACTGGGGTTCCTTCAAGATTCAGTGGCAGTGGATCTGGAAAGGATTACACTCTCAGCATTACCAGTCTTCAGACTGAAGATGTTGCCACTTATTACTGTCAACAGTATTGGAGTACTCCGTGGACGTTCGGTGGAGGCACCAAGCTGGAAATCAAACccGGTGGAGGCGGTTCAGGCGGAGGTGGCTCTGGCGGTGGCGCTAGCGAGGTTCAGCTGCAGCAGTCTGGGGCAGAGCTTGTGAAGCCAGGGGCCTCAGTCAAGTTGTCCTGCACAGCTTCTGGCTTCAACATTAAAGACAGCTATATGCACTGGGTGAAGCAGAGGCCTGAACAGGGCCTGGAGTGGATTGGAAGGATTGATCCTGCGAATGCTAATCCTAAATATGACCCGAAGTTCCAGGGCAAGGCCACTATAACAACAGACACATCCTCCAACACAGCCTACCTGCAGCTCAGCAGCCTGACATCTGAGGACACTGCCGTCTATTACTGTGCTAGAGACTACGGAGGGTACTTCGATGTCTGGGGCGCAGGGACCACGGTCACCGTCTCCTCACGTACGGTCACTGTCTCTTCACAGGATCCCGCCGAGCCCAAATCTCCTGACAAAACTCACACATGCCCACCGTGCCCAGCACCTGAACTCCTGGGGGGACCGTCAGTCTTCCTCTTCCCCCCAAAACCCAAGGACACCCTCATGATCTCCCGGACCCCTGAGGTCACATGCGTGGTGGTGGACGTGAGCCACGAAGACCCTGAGGTCAAGTTCAACTGGTACGTGGACGGCGTGGAGGTGCATAATGCCAAGACAAAGCCGCGGGAGGAGCAGTACAACAGCACGTACCGTGTGGTCAGCGTCCTCACCGTCCTGCACCAGGACTGGCTGAATGGCAAGGAGTACAAGTGCAAGGTCTCCAACAAAGCCCTCCCAGCCCCCATCGAGAAAACCATCTCCAAAGCCAAAGGGCAGCCCCGAGAACCACAGGTGTACACCCTGCCCCCATCCCGGGATGAGCTGACCAAGAACCAGGTCAGCCTGACCTGCCTGGTCAAAGGCTTCTATCCCAGCGACATCGCCGTGGAGTGGGAGAGCAATGGGCAACCGGAGAACAACTACAAGACCACGCCTCCCGTGCTGGACTCCGACGGCTCCTTCTTCCTCTACAGCAAGCTCACCGTGGACAAGAGCAGGTGGCAGCAGGGGAACGTCTTCTCATGCTCCGTGATGCATGAGGCTCTGCACAACCACTACACGCAGAAGAGCCTCTCCCTGTCTCCGGGTAAAAAAGATCCCAAATTTTGGGTGCTGGTGGTGGTTGGTGGAGTCCTGGCTTGCTATAGCTTGCTAGTAACAGTGGCCTTTATTATTTTCTGGGTGAGGAGTAAGAGGAGCAGGCTCCTGCACAGTGACTACATGAACATGACTCCCCGCCGCCCCGGGCCCACCCGCAAGCATTACCAGCCCTATGCCCCACCACGCGACTTCGCAGCCTATCGCTCACGCGTGAAGTTCAGCAGGAGCGCAGACGCCCCCGCGTACCAGCAGGGCCAGAACCAGCTCTATAACGAGCTCAATCTAGGACGAAGAGAGGAGTACGATGTTTTGGACAAAAGACGTGGCCGGGACCCTGAGATGGGGGGAAAGCCGAGAAGGAAGAACCCTCAGGAAGGCCTGTACAATGAACTGCAGAAAGATAAGATGGCGGAGGCCTACAGTGAGATTGGGATGAAAGGCGAGCGCCGGAGGGGCAAGGGGCACGATGGCCTTTACCAGGGTCTCAGTACAGCCACCAAGGACACCTACGACGCCCTTCACATGCAGGCCCTGCCCCCTCGCGGACCGCAGTGTACTAATTATGCTCTCTTGAAATTGGCTGGAGATGTTGAGAGCAATCCCGGGCCCATGCGCATTAGCAAGCCCCACCTGCGGAGCATCAGCATCCAGTGCTACCTGTGCCTGCTGCTGAACAGCCACTTCCTGACCGAGGCCGGCATCCACGTGTTCATCCTGGGCTGCTTCAGCGCCGGACTGCCCAAGACCGAGGCCAACTGGGTGAACGTGATCAGCGACCTGAAGAAGATCGAGGACCTGATCCAGAGCATGCACATCGACGCCACCCTGTACACCGAGAGCGACGTGCACCCCAGCTGCAAGGTGACCGCCATGAAGTGCTTTCTGCTGGAACTGCAGGTGATCAGCCTGGAAAGCGGCGACGCCAGCATCCACGACACCGTGGAGAACCTGATCATCCTGGCCAACAACAGCCTGAGCAGCAACGGCAACGTGACCGAGAGCGGCTGCAAAGAGTGCGAGGAACTGGAAGAGAAGAACATCAAAGAGTTTCTGCAGAGCTTCGTGCACATCGTGCAGATGTTCATCAACACCAGCTGA(配列番号38)
【0294】
CD28ヒンジを有するm6-1CAR70VHVLCD28Z15の対応するアミノ酸配列は以下の通りである:
【0295】
MGMALPVTALLLPLALLLHAARPDIQMTQSSSYLSVSLGGRVTITCKASDHINNWLAWYQQKPGNAPRLLISGATSLETGVPSRFSGSGSGKDYTLSITSLQTEDVATYYCQQYWSTPWTFGGGTKLEIKPGGGGSGGGGSGGGASEVQLQQSGAELVKPGASVKLSCTASGFNIKDSYMHWVKQRPEQGLEWIGRIDPANANPKYDPKFQGKATITTDTSSNTAYLQLSSLTSEDTAVYYCARDYGGYFDVWGAGTTVTVSSRTVTVSSQDPAEPKSPDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGKKDPKFWVLVVVGGVLACYSLLVTVAFIIFWVRSKRSRLLHSDYMNMTPRRPGPTRKHYQPYAPPRDFAAYRSRVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPRGPQCTNYALLKLAGDVESNPGPMRISKPHLRSISIQCYLCLLLNSHFLTEAGIHVFILGCFSAGLPKTEANWVNVISDLKKIEDLIQSMHIDATLYTESDVHPSCKVTAMKCFLLELQVISLESGDASIHDTVENLIILANNSLSSNGNVTESGCKECEELEEKNIKEFLQSFVHIVQMFINTS(配列番号100)
【0296】
CD28ヒンジを有するm6-1CAR70VLVHCD28Z15
【0297】
ATGGGGATGGCCCTGCCTGTGACAGCTCTGCTCCTCCCTCTGGCCCTGCTGCTCCATGCCGCCAGACCCGACATTGTGCTGACACAGTCTCCTGCTTCCTTAGCTGTATCTCTGGGGCAGAGGGCCACCATCTCATGCAGGGCCAGCAAAAGTGTCAGTACATCTGGCTATAGTTATATGCACTGGTACCAACAGAAACCAGGACAGCCACCCAAACTCCTCATCTATCTTGCATCCAACCTAGAATCTGGGGTCCCTGCCAGGTTCAGTGGCAGTGGGTCTGGGACAGACTTCACCCTCAACATCCATCCTGTGGAGGAGGAGGATGCTGCAACCTATTACTGTCAGCACAGTAGGGAGCTTCCGTACACGTTCGGAGGGGGGACCAAGCTGGAAATAAAAGGTGGAGGCGGTTCAGGCGGAGGTGGCTCTGGCGGTGGCGCTAGCCAGGTTCAGCTGCAGCAGTCTGGAGCTGAGCTGATGAAGCCTGGGGCCTCAGTGAAGATATCCTGCAAGGCAACTGGCTACACATTCAGTAACCACTGGATAGAGTGGGTTAAGGAAAGGCCTGGACATGGCCTGGAGTGGATTGGAGAGATTTTACTTGGAAGTGGTAGAGCTCATTATAATGAGAAGTTCAAGGGCAAGGCCACATTCACTGCAGATACATCCTCCAACACAGCCTACATGCAACTCAGCAGCCTGACATCTGAGGACTCTGCCGTCTATTACTGTGCAAGACACTATAGGTACGACGGGTGGTTTGCTTACTGGGGCCAAGGGACTCCGGTCACTGTCTCTGCACGTACGGTCACTGTCTCTTCACAGGATCCCGCCGAGCCCAAATCTCCTGACAAAACTCACACATGCCCACCGTGCCCAGCACCTGAACTCCTGGGGGGACCGTCAGTCTTCCTCTTCCCCCCAAAACCCAAGGACACCCTCATGATCTCCCGGACCCCTGAGGTCACATGCGTGGTGGTGGACGTGAGCCACGAAGACCCTGAGGTCAAGTTCAACTGGTACGTGGACGGCGTGGAGGTGCATAATGCCAAGACAAAGCCGCGGGAGGAGCAGTACAACAGCACGTACCGTGTGGTCAGCGTCCTCACCGTCCTGCACCAGGACTGGCTGAATGGCAAGGAGTACAAGTGCAAGGTCTCCAACAAAGCCCTCCCAGCCCCCATCGAGAAAACCATCTCCAAAGCCAAAGGGCAGCCCCGAGAACCACAGGTGTACACCCTGCCCCCATCCCGGGATGAGCTGACCAAGAACCAGGTCAGCCTGACCTGCCTGGTCAAAGGCTTCTATCCCAGCGACATCGCCGTGGAGTGGGAGAGCAATGGGCAACCGGAGAACAACTACAAGACCACGCCTCCCGTGCTGGACTCCGACGGCTCCTTCTTCCTCTACAGCAAGCTCACCGTGGACAAGAGCAGGTGGCAGCAGGGGAACGTCTTCTCATGCTCCGTGATGCATGAGGCTCTGCACAACCACTACACGCAGAAGAGCCTCTCCCTGTCTCCGGGTAAAAAAGATCCCAAATTTTGGGTGCTGGTGGTGGTTGGTGGAGTCCTGGCTTGCTATAGCTTGCTAGTAACAGTGGCCTTTATTATTTTCTGGGTGAGGAGTAAGAGGAGCAGGCTCCTGCACAGTGACTACATGAACATGACTCCCCGCCGCCCCGGGCCCACCCGCAAGCATTACCAGCCCTATGCCCCACCACGCGACTTCGCAGCCTATCGCTCACGCGTGAAGTTCAGCAGGAGCGCAGACGCCCCCGCGTACCAGCAGGGCCAGAACCAGCTCTATAACGAGCTCAATCTAGGACGAAGAGAGGAGTACGATGTTTTGGACAAAAGACGTGGCCGGGACCCTGAGATGGGGGGAAAGCCGAGAAGGAAGAACCCTCAGGAAGGCCTGTACAATGAACTGCAGAAAGATAAGATGGCGGAGGCCTACAGTGAGATTGGGATGAAAGGCGAGCGCCGGAGGGGCAAGGGGCACGATGGCCTTTACCAGGGTCTCAGTACAGCCACCAAGGACACCTACGACGCCCTTCACATGCAGGCCCTGCCCCCTCGCGGACCGCAGTGTACTAATTATGCTCTCTTGAAATTGGCTGGAGATGTTGAGAGCAATCCCGGGCCCATGCGCATTAGCAAGCCCCACCTGCGGAGCATCAGCATCCAGTGCTACCTGTGCCTGCTGCTGAACAGCCACTTCCTGACCGAGGCCGGCATCCACGTGTTCATCCTGGGCTGCTTCAGCGCCGGACTGCCCAAGACCGAGGCCAACTGGGTGAACGTGATCAGCGACCTGAAGAAGATCGAGGACCTGATCCAGAGCATGCACATCGACGCCACCCTGTACACCGAGAGCGACGTGCACCCCAGCTGCAAGGTGACCGCCATGAAGTGCTTTCTGCTGGAACTGCAGGTGATCAGCCTGGAAAGCGGCGACGCCAGCATCCACGACACCGTGGAGAACCTGATCATCCTGGCCAACAACAGCCTGAGCAGCAACGGCAACGTGACCGAGAGCGGCTGCAAAGAGTGCGAGGAACTGGAAGAGAAGAACATCAAAGAGTTTCTGCAGAGCTTCGTGCACATCGTGCAGATGTTCATCAACACCAGCTGA(配列番号39)
【0298】
CD28ヒンジを有するm6-1CAR70VLVHCD28Z15の対応するアミノ酸配列は以下の通りである:
【0299】
MGMALPVTALLLPLALLLHAARPDIVLTQSPASLAVSLGQRATISCRASKSVSTSGYSYMHWYQQKPGQPPKLLIYLASNLESGVPARFSGSGSGTDFTLNIHPVEEEDAATYYCQHSRELPYTFGGGTKLEIKGGGGSGGGGSGGGASQVQLQQSGAELMKPGASVKISCKATGYTFSNHWIEWVKERPGHGLEWIGEILLGSGRAHYNEKFKGKATFTADTSSNTAYMQLSSLTSEDSAVYYCARHYRYDGWFAYWGQGTPVTVSARTVTVSSQDPAEPKSPDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGKKDPKFWVLVVVGGVLACYSLLVTVAFIIFWVRSKRSRLLHSDYMNMTPRRPGPTRKHYQPYAPPRDFAAYRSRVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPRGPQCTNYALLKLAGDVESNPGPMRISKPHLRSISIQCYLCLLLNSHFLTEAGIHVFILGCFSAGLPKTEANWVNVISDLKKIEDLIQSMHIDATLYTESDVHPSCKVTAMKCFLLELQVISLESGDASIHDTVENLIILANNSLSSNGNVTESGCKECEELEEKNIKEFLQSFVHIVQMFINTS(配列番号101)
【0300】
IgGヒンジを有するm7-1CAR70VHVLCD28Z15
【0301】
ATGGGGATGGCCCTGCCTGTGACAGCTCTGCTCCTCCCTCTGGCCCTGCTGCTCCATGCCGCCAGACCCCAGGTGCAGCTGAAGCAGTCAGGACCTGGCCTAGTGCAGCCCTCACAGAGCCTGTCCATCACCTGCACAGTCTCTGGTTTCTCATTAACTAGCTATGGTGTACACTGGGTTCGCCAGTCTCCAGGAAAGGGTCTGGAGTGGCTGGGAGTGATATGGAGTGGTGGAAGCACAGACTATAATGCAGCTTTCATATCCAGACTGAGCATCAGCAAGGACAATTCCAAGAGCCAAGTTTTCTTTAAAATGAACAGTCTGCAAGCTAATGACACAGCCATATATTACTGTGCCACGTACTATAGGTACGACGGGTGGTTTGCTTACTGGGGCCAAGGGACTCTGGTCACTGTCTCTGCAGGTGGAGGCGGTTCAGGCGGAGGTGGCTCTGGCGGTGGCGCTAGCGACATTGTGCTGACACAGTCTCCTGCTTCCTTAGCTGTATCTCTGGGGCAGAGGGCCACCATCTCATGCAGGGCCAGCAAAAGTGTCAGTACATCTGGCTATAGTTATATGCACTGGTATCAACAGAAACCAGGACAGCCACCCAAACTCCTCATCTATCTTGCATCCAACCTAGAATCTGGGGTCCCTGCCAGGTTCAGTGGCAGTGGGTCTGGGACAGACTTCACCCTCAACATCCATCCTGTGGAGGAGGAGGATGCTGCAACCTATTCCTGTCAGCACAGTAGGGAGCTTCCGTGGACGTTCGGTGGAGGCACCAAGCTGGAAATCAAACGTACGGTCACTGTCTCTTCACAGGATCCCGCCGAGCCCAAATCTCCTGACAAAACTCACACATGCCCACCGTGCCCAGCACCTGAACTCCTGGGGGGACCGTCAGTCTTCCTCTTCCCCCCAAAACCCAAGGACACCCTCATGATCTCCCGGACCCCTGAGGTCACATGCGTGGTGGTGGACGTGAGCCACGAAGACCCTGAGGTCAAGTTCAACTGGTACGTGGACGGCGTGGAGGTGCATAATGCCAAGACAAAGCCGCGGGAGGAGCAGTACAACAGCACGTACCGTGTGGTCAGCGTCCTCACCGTCCTGCACCAGGACTGGCTGAATGGCAAGGAGTACAAGTGCAAGGTCTCCAACAAAGCCCTCCCAGCCCCCATCGAGAAAACCATCTCCAAAGCCAAAGGGCAGCCCCGAGAACCACAGGTGTACACCCTGCCCCCATCCCGGGATGAGCTGACCAAGAACCAGGTCAGCCTGACCTGCCTGGTCAAAGGCTTCTATCCCAGCGACATCGCCGTGGAGTGGGAGAGCAATGGGCAACCGGAGAACAACTACAAGACCACGCCTCCCGTGCTGGACTCCGACGGCTCCTTCTTCCTCTACAGCAAGCTCACCGTGGACAAGAGCAGGTGGCAGCAGGGGAACGTCTTCTCATGCTCCGTGATGCATGAGGCTCTGCACAACCACTACACGCAGAAGAGCCTCTCCCTGTCTCCGGGTAAAAAAGATCCCAAATTTTGGGTGCTGGTGGTGGTTGGTGGAGTCCTGGCTTGCTATAGCTTGCTAGTAACAGTGGCCTTTATTATTTTCTGGGTGAGGAGTAAGAGGAGCAGGCTCCTGCACAGTGACTACATGAACATGACTCCCCGCCGCCCCGGGCCCACCCGCAAGCATTACCAGCCCTATGCCCCACCACGCGACTTCGCAGCCTATCGCTCACGCGTGAAGTTCAGCAGGAGCGCAGACGCCCCCGCGTACCAGCAGGGCCAGAACCAGCTCTATAACGAGCTCAATCTAGGACGAAGAGAGGAGTACGATGTTTTGGACAAAAGACGTGGCCGGGACCCTGAGATGGGGGGAAAGCCGAGAAGGAAGAACCCTCAGGAAGGCCTGTACAATGAACTGCAGAAAGATAAGATGGCGGAGGCCTACAGTGAGATTGGGATGAAAGGCGAGCGCCGGAGGGGCAAGGGGCACGATGGCCTTTACCAGGGTCTCAGTACAGCCACCAAGGACACCTACGACGCCCTTCACATGCAGGCCCTGCCCCCTCGCGGACCGCAGTGTACTAATTATGCTCTCTTGAAATTGGCTGGAGATGTTGAGAGCAATCCCGGGCCCATGCGCATTAGCAAGCCCCACCTGCGGAGCATCAGCATCCAGTGCTACCTGTGCCTGCTGCTGAACAGCCACTTCCTGACCGAGGCCGGCATCCACGTGTTCATCCTGGGCTGCTTCAGCGCCGGACTGCCCAAGACCGAGGCCAACTGGGTGAACGTGATCAGCGACCTGAAGAAGATCGAGGACCTGATCCAGAGCATGCACATCGACGCCACCCTGTACACCGAGAGCGACGTGCACCCCAGCTGCAAGGTGACCGCCATGAAGTGCTTTCTGCTGGAACTGCAGGTGATCAGCCTGGAAAGCGGCGACGCCAGCATCCACGACACCGTGGAGAACCTGATCATCCTGGCCAACAACAGCCTGAGCAGCAACGGCAACGTGACCGAGAGCGGCTGCAAAGAGTGCGAGGAACTGGAAGAGAAGAACATCAAAGAGTTTCTGCAGAGCTTCGTGCACATCGTGCAGATGTTCATCAACACCAGCTGA(配列番号34)
【0302】
IgGヒンジを有するm7-1CAR70VHVLCD28Z15の対応するアミノ酸配列は以下の通りである:
【0303】
MGMALPVTALLLPLALLLHAARPQVQLKQSGPGLVQPSQSLSITCTVSGFSLTSYGVHWVRQSPGKGLEWLGVIWSGGSTDYNAAFISRLSISKDNSKSQVFFKMNSLQANDTAIYYCATYYRYDGWFAYWGQGTLVTVSAGGGGSGGGGSGGGASDIVLTQSPASLAVSLGQRATISCRASKSVSTSGYSYMHWYQQKPGQPPKLLIYLASNLESGVPARFSGSGSGTDFTLNIHPVEEEDAATYSCQHSRELPWTFGGGTKLEIKRTVTVSSQDPAEPKSPDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGKKDPKFWVLVVVGGVLACYSLLVTVAFIIFWVRSKRSRLLHSDYMNMTPRRPGPTRKHYQPYAPPRDFAAYRSRVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPRGPQCTNYALLKLAGDVESNPGPMRISKPHLRSISIQCYLCLLLNSHFLTEAGIHVFILGCFSAGLPKTEANWVNVISDLKKIEDLIQSMHIDATLYTESDVHPSCKVTAMKCFLLELQVISLESGDASIHDTVENLIILANNSLSSNGNVTESGCKECEELEEKNIKEFLQSFVHIVQMFINTS(配列番号96)
【0304】
IgGヒンジを有するm7-1CAR70VLVHCD28Z15
【0305】
ATGGGGATGGCCCTGCCTGTGACAGCTCTGCTCCTCCCTCTGGCCCTGCTGCTCCATGCCGCCAGACCCGACATTGTGCTGACACAGTCTCCTGCTTCCTTAGCTGTATCTCTGGGGCAGAGGGCCACCATCTCATGCAGGGCCAGCAAAAGTGTCAGTACATCTGGCTATAGTTATATGCACTGGTATCAACAGAAACCAGGACAGCCACCCAAACTCCTCATCTATCTTGCATCCAACCTAGAATCTGGGGTCCCTGCCAGGTTCAGTGGCAGTGGGTCTGGGACAGACTTCACCCTCAACATCCATCCTGTGGAGGAGGAGGATGCTGCAACCTATTCCTGTCAGCACAGTAGGGAGCTTCCGTGGACGTTCGGTGGAGGCACCAAGCTGGAAATCAAAGGTGGAGGCGGTTCAGGCGGAGGTGGCTCTGGCGGTGGCGCTAGCCAGGTGCAGCTGAAGCAGTCAGGACCTGGCCTAGTGCAGCCCTCACAGAGCCTGTCCATCACCTGCACAGTCTCTGGTTTCTCATTAACTAGCTATGGTGTACACTGGGTTCGCCAGTCTCCAGGAAAGGGTCTGGAGTGGCTGGGAGTGATATGGAGTGGTGGAAGCACAGACTATAATGCAGCTTTCATATCCAGACTGAGCATCAGCAAGGACAATTCCAAGAGCCAAGTTTTCTTTAAAATGAACAGTCTGCAAGCTAATGACACAGCCATATATTACTGTGCCACGTACTATAGGTACGACGGGTGGTTTGCTTACTGGGGCCAAGGGACTCTGGTCACTGTCTCTGCACGTACGGTCACTGTCTCTTCACAGGATCCCGCCGAGCCCAAATCTCCTGACAAAACTCACACATGCCCACCGTGCCCAGCACCTGAACTCCTGGGGGGACCGTCAGTCTTCCTCTTCCCCCCAAAACCCAAGGACACCCTCATGATCTCCCGGACCCCTGAGGTCACATGCGTGGTGGTGGACGTGAGCCACGAAGACCCTGAGGTCAAGTTCAACTGGTACGTGGACGGCGTGGAGGTGCATAATGCCAAGACAAAGCCGCGGGAGGAGCAGTACAACAGCACGTACCGTGTGGTCAGCGTCCTCACCGTCCTGCACCAGGACTGGCTGAATGGCAAGGAGTACAAGTGCAAGGTCTCCAACAAAGCCCTCCCAGCCCCCATCGAGAAAACCATCTCCAAAGCCAAAGGGCAGCCCCGAGAACCACAGGTGTACACCCTGCCCCCATCCCGGGATGAGCTGACCAAGAACCAGGTCAGCCTGACCTGCCTGGTCAAAGGCTTCTATCCCAGCGACATCGCCGTGGAGTGGGAGAGCAATGGGCAACCGGAGAACAACTACAAGACCACGCCTCCCGTGCTGGACTCCGACGGCTCCTTCTTCCTCTACAGCAAGCTCACCGTGGACAAGAGCAGGTGGCAGCAGGGGAACGTCTTCTCATGCTCCGTGATGCATGAGGCTCTGCACAACCACTACACGCAGAAGAGCCTCTCCCTGTCTCCGGGTAAAAAAGATCCCAAATTTTGGGTGCTGGTGGTGGTTGGTGGAGTCCTGGCTTGCTATAGCTTGCTAGTAACAGTGGCCTTTATTATTTTCTGGGTGAGGAGTAAGAGGAGCAGGCTCCTGCACAGTGACTACATGAACATGACTCCCCGCCGCCCCGGGCCCACCCGCAAGCATTACCAGCCCTATGCCCCACCACGCGACTTCGCAGCCTATCGCTCACGCGTGAAGTTCAGCAGGAGCGCAGACGCCCCCGCGTACCAGCAGGGCCAGAACCAGCTCTATAACGAGCTCAATCTAGGACGAAGAGAGGAGTACGATGTTTTGGACAAAAGACGTGGCCGGGACCCTGAGATGGGGGGAAAGCCGAGAAGGAAGAACCCTCAGGAAGGCCTGTACAATGAACTGCAGAAAGATAAGATGGCGGAGGCCTACAGTGAGATTGGGATGAAAGGCGAGCGCCGGAGGGGCAAGGGGCACGATGGCCTTTACCAGGGTCTCAGTACAGCCACCAAGGACACCTACGACGCCCTTCACATGCAGGCCCTGCCCCCTCGCGGACCGCAGTGTACTAATTATGCTCTCTTGAAATTGGCTGGAGATGTTGAGAGCAATCCCGGGCCCATGCGCATTAGCAAGCCCCACCTGCGGAGCATCAGCATCCAGTGCTACCTGTGCCTGCTGCTGAACAGCCACTTCCTGACCGAGGCCGGCATCCACGTGTTCATCCTGGGCTGCTTCAGCGCCGGACTGCCCAAGACCGAGGCCAACTGGGTGAACGTGATCAGCGACCTGAAGAAGATCGAGGACCTGATCCAGAGCATGCACATCGACGCCACCCTGTACACCGAGAGCGACGTGCACCCCAGCTGCAAGGTGACCGCCATGAAGTGCTTTCTGCTGGAACTGCAGGTGATCAGCCTGGAAAGCGGCGACGCCAGCATCCACGACACCGTGGAGAACCTGATCATCCTGGCCAACAACAGCCTGAGCAGCAACGGCAACGTGACCGAGAGCGGCTGCAAAGAGTGCGAGGAACTGGAAGAGAAGAACATCAAAGAGTTTCTGCAGAGCTTCGTGCACATCGTGCAGATGTTCATCAACACCAGCTGA(配列番号35)
【0306】
IgGヒンジを有するm7-1CAR70VLVHCD28Z15の対応するアミノ酸配列は以下の通りである:
【0307】
MGMALPVTALLLPLALLLHAARPDIVLTQSPASLAVSLGQRATISCRASKSVSTSGYSYMHWYQQKPGQPPKLLIYLASNLESGVPARFSGSGSGTDFTLNIHPVEEEDAATYSCQHSRELPWTFGGGTKLEIKGGGGSGGGGSGGGASQVQLKQSGPGLVQPSQSLSITCTVSGFSLTSYGVHWVRQSPGKGLEWLGVIWSGGSTDYNAAFISRLSISKDNSKSQVFFKMNSLQANDTAIYYCATYYRYDGWFAYWGQGTLVTVSARTVTVSSQDPAEPKSPDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGKKDPKFWVLVVVGGVLACYSLLVTVAFIIFWVRSKRSRLLHSDYMNMTPRRPGPTRKHYQPYAPPRDFAAYRSRVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPRGPQCTNYALLKLAGDVESNPGPMRISKPHLRSISIQCYLCLLLNSHFLTEAGIHVFILGCFSAGLPKTEANWVNVISDLKKIEDLIQSMHIDATLYTESDVHPSCKVTAMKCFLLELQVISLESGDASIHDTVENLIILANNSLSSNGNVTESGCKECEELEEKNIKEFLQSFVHIVQMFINTS(配列番号97)
【0308】
CD28ヒンジを有するm7-1CAR70VHVLCD28Z15
【0309】
ATGGGGATGGCCCTGCCTGTGACAGCTCTGCTCCTCCCTCTGGCCCTGCTGCTCCATGCCGCCAGACCCCAGGTGCAGCTGAAGCAGTCAGGACCTGGCCTAGTGCAGCCCTCACAGAGCCTGTCCATCACCTGCACAGTCTCTGGTTTCTCATTAACTAGCTATGGTGTACACTGGGTTCGCCAGTCTCCAGGAAAGGGTCTGGAGTGGCTGGGAGTGATATGGAGTGGTGGAAGCACAGACTATAATGCAGCTTTCATATCCAGACTGAGCATCAGCAAGGACAATTCCAAGAGCCAAGTTTTCTTTAAAATGAACAGTCTGCAAGCTAATGACACAGCCATATATTACTGTGCCACGTACTATAGGTACGACGGGTGGTTTGCTTACTGGGGCCAAGGGACTCTGGTCACTGTCTCTGCAGGTGGAGGCGGTTCAGGCGGAGGTGGCTCTGGCGGTGGCGCTAGCGACATTGTGCTGACACAGTCTCCTGCTTCCTTAGCTGTATCTCTGGGGCAGAGGGCCACCATCTCATGCAGGGCCAGCAAAAGTGTCAGTACATCTGGCTATAGTTATATGCACTGGTATCAACAGAAACCAGGACAGCCACCCAAACTCCTCATCTATCTTGCATCCAACCTAGAATCTGGGGTCCCTGCCAGGTTCAGTGGCAGTGGGTCTGGGACAGACTTCACCCTCAACATCCATCCTGTGGAGGAGGAGGATGCTGCAACCTATTCCTGTCAGCACAGTAGGGAGCTTCCGTGGACGTTCGGTGGAGGCACCAAGCTGGAAATCAAACGTACGGTCACTGTCTCTTCACAGGATCCCGCCGAGCCCAAATCTCCTGACAAAACTCACACATGCCCACCGTGCCCAGCACCTGAACTCCTGGGGGGACCGTCAGTCTTCCTCTTCCCCCCAAAACCCAAGGACACCCTCATGATCTCCCGGACCCCTGAGGTCACATGCGTGGTGGTGGACGTGAGCCACGAAGACCCTGAGGTCAAGTTCAACTGGTACGTGGACGGCGTGGAGGTGCATAATGCCAAGACAAAGCCGCGGGAGGAGCAGTACAACAGCACGTACCGTGTGGTCAGCGTCCTCACCGTCCTGCACCAGGACTGGCTGAATGGCAAGGAGTACAAGTGCAAGGTCTCCAACAAAGCCCTCCCAGCCCCCATCGAGAAAACCATCTCCAAAGCCAAAGGGCAGCCCCGAGAACCACAGGTGTACACCCTGCCCCCATCCCGGGATGAGCTGACCAAGAACCAGGTCAGCCTGACCTGCCTGGTCAAAGGCTTCTATCCCAGCGACATCGCCGTGGAGTGGGAGAGCAATGGGCAACCGGAGAACAACTACAAGACCACGCCTCCCGTGCTGGACTCCGACGGCTCCTTCTTCCTCTACAGCAAGCTCACCGTGGACAAGAGCAGGTGGCAGCAGGGGAACGTCTTCTCATGCTCCGTGATGCATGAGGCTCTGCACAACCACTACACGCAGAAGAGCCTCTCCCTGTCTCCGGGTAAAAAAGATCCCAAATTTTGGGTGCTGGTGGTGGTTGGTGGAGTCCTGGCTTGCTATAGCTTGCTAGTAACAGTGGCCTTTATTATTTTCTGGGTGAGGAGTAAGAGGAGCAGGCTCCTGCACAGTGACTACATGAACATGACTCCCCGCCGCCCCGGGCCCACCCGCAAGCATTACCAGCCCTATGCCCCACCACGCGACTTCGCAGCCTATCGCTCACGCGTGAAGTTCAGCAGGAGCGCAGACGCCCCCGCGTACCAGCAGGGCCAGAACCAGCTCTATAACGAGCTCAATCTAGGACGAAGAGAGGAGTACGATGTTTTGGACAAAAGACGTGGCCGGGACCCTGAGATGGGGGGAAAGCCGAGAAGGAAGAACCCTCAGGAAGGCCTGTACAATGAACTGCAGAAAGATAAGATGGCGGAGGCCTACAGTGAGATTGGGATGAAAGGCGAGCGCCGGAGGGGCAAGGGGCACGATGGCCTTTACCAGGGTCTCAGTACAGCCACCAAGGACACCTACGACGCCCTTCACATGCAGGCCCTGCCCCCTCGCGGACCGCAGTGTACTAATTATGCTCTCTTGAAATTGGCTGGAGATGTTGAGAGCAATCCCGGGCCCATGCGCATTAGCAAGCCCCACCTGCGGAGCATCAGCATCCAGTGCTACCTGTGCCTGCTGCTGAACAGCCACTTCCTGACCGAGGCCGGCATCCACGTGTTCATCCTGGGCTGCTTCAGCGCCGGACTGCCCAAGACCGAGGCCAACTGGGTGAACGTGATCAGCGACCTGAAGAAGATCGAGGACCTGATCCAGAGCATGCACATCGACGCCACCCTGTACACCGAGAGCGACGTGCACCCCAGCTGCAAGGTGACCGCCATGAAGTGCTTTCTGCTGGAACTGCAGGTGATCAGCCTGGAAAGCGGCGACGCCAGCATCCACGACACCGTGGAGAACCTGATCATCCTGGCCAACAACAGCCTGAGCAGCAACGGCAACGTGACCGAGAGCGGCTGCAAAGAGTGCGAGGAACTGGAAGAGAAGAACATCAAAGAGTTTCTGCAGAGCTTCGTGCACATCGTGCAGATGTTCATCAACACCAGCTGA(配列番号40)
【0310】
CD28ヒンジを有するm7-1CAR70VHVLCD28Z15の対応するアミノ酸配列は以下の通りである:
【0311】
MGMALPVTALLLPLALLLHAARPQVQLKQSGPGLVQPSQSLSITCTVSGFSLTSYGVHWVRQSPGKGLEWLGVIWSGGSTDYNAAFISRLSISKDNSKSQVFFKMNSLQANDTAIYYCATYYRYDGWFAYWGQGTLVTVSAGGGGSGGGGSGGGASDIVLTQSPASLAVSLGQRATISCRASKSVSTSGYSYMHWYQQKPGQPPKLLIYLASNLESGVPARFSGSGSGTDFTLNIHPVEEEDAATYSCQHSRELPWTFGGGTKLEIKRTVTVSSQDPAEPKSPDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGKKDPKFWVLVVVGGVLACYSLLVTVAFIIFWVRSKRSRLLHSDYMNMTPRRPGPTRKHYQPYAPPRDFAAYRSRVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPRGPQCTNYALLKLAGDVESNPGPMRISKPHLRSISIQCYLCLLLNSHFLTEAGIHVFILGCFSAGLPKTEANWVNVISDLKKIEDLIQSMHIDATLYTESDVHPSCKVTAMKCFLLELQVISLESGDASIHDTVENLIILANNSLSSNGNVTESGCKECEELEEKNIKEFLQSFVHIVQMFINTS(配列番号102)
【0312】
CD28ヒンジを有するm7-1CAR70VLVHCD28Z15
【0313】
ATGGGGATGGCCCTGCCTGTGACAGCTCTGCTCCTCCCTCTGGCCCTGCTGCTCCATGCCGCCAGACCCGACATTGTGCTGACACAGTCTCCTGCTTCCTTAGCTGTATCTCTGGGGCAGAGGGCCACCATCTCATGCAGGGCCAGCAAAAGTGTCAGTACATCTGGCTATAGTTATATGCACTGGTATCAACAGAAACCAGGACAGCCACCCAAACTCCTCATCTATCTTGCATCCAACCTAGAATCTGGGGTCCCTGCCAGGTTCAGTGGCAGTGGGTCTGGGACAGACTTCACCCTCAACATCCATCCTGTGGAGGAGGAGGATGCTGCAACCTATTCCTGTCAGCACAGTAGGGAGCTTCCGTGGACGTTCGGTGGAGGCACCAAGCTGGAAATCAAAGGTGGAGGCGGTTCAGGCGGAGGTGGCTCTGGCGGTGGCGCTAGCCAGGTGCAGCTGAAGCAGTCAGGACCTGGCCTAGTGCAGCCCTCACAGAGCCTGTCCATCACCTGCACAGTCTCTGGTTTCTCATTAACTAGCTATGGTGTACACTGGGTTCGCCAGTCTCCAGGAAAGGGTCTGGAGTGGCTGGGAGTGATATGGAGTGGTGGAAGCACAGACTATAATGCAGCTTTCATATCCAGACTGAGCATCAGCAAGGACAATTCCAAGAGCCAAGTTTTCTTTAAAATGAACAGTCTGCAAGCTAATGACACAGCCATATATTACTGTGCCACGTACTATAGGTACGACGGGTGGTTTGCTTACTGGGGCCAAGGGACTCTGGTCACTGTCTCTGCACGTACGGTCACTGTCTCTTCACAGGATCCCGCCGAGCCCAAATCTCCTGACAAAACTCACACATGCCCACCGTGCCCAGCACCTGAACTCCTGGGGGGACCGTCAGTCTTCCTCTTCCCCCCAAAACCCAAGGACACCCTCATGATCTCCCGGACCCCTGAGGTCACATGCGTGGTGGTGGACGTGAGCCACGAAGACCCTGAGGTCAAGTTCAACTGGTACGTGGACGGCGTGGAGGTGCATAATGCCAAGACAAAGCCGCGGGAGGAGCAGTACAACAGCACGTACCGTGTGGTCAGCGTCCTCACCGTCCTGCACCAGGACTGGCTGAATGGCAAGGAGTACAAGTGCAAGGTCTCCAACAAAGCCCTCCCAGCCCCCATCGAGAAAACCATCTCCAAAGCCAAAGGGCAGCCCCGAGAACCACAGGTGTACACCCTGCCCCCATCCCGGGATGAGCTGACCAAGAACCAGGTCAGCCTGACCTGCCTGGTCAAAGGCTTCTATCCCAGCGACATCGCCGTGGAGTGGGAGAGCAATGGGCAACCGGAGAACAACTACAAGACCACGCCTCCCGTGCTGGACTCCGACGGCTCCTTCTTCCTCTACAGCAAGCTCACCGTGGACAAGAGCAGGTGGCAGCAGGGGAACGTCTTCTCATGCTCCGTGATGCATGAGGCTCTGCACAACCACTACACGCAGAAGAGCCTCTCCCTGTCTCCGGGTAAAAAAGATCCCAAATTTTGGGTGCTGGTGGTGGTTGGTGGAGTCCTGGCTTGCTATAGCTTGCTAGTAACAGTGGCCTTTATTATTTTCTGGGTGAGGAGTAAGAGGAGCAGGCTCCTGCACAGTGACTACATGAACATGACTCCCCGCCGCCCCGGGCCCACCCGCAAGCATTACCAGCCCTATGCCCCACCACGCGACTTCGCAGCCTATCGCTCACGCGTGAAGTTCAGCAGGAGCGCAGACGCCCCCGCGTACCAGCAGGGCCAGAACCAGCTCTATAACGAGCTCAATCTAGGACGAAGAGAGGAGTACGATGTTTTGGACAAAAGACGTGGCCGGGACCCTGAGATGGGGGGAAAGCCGAGAAGGAAGAACCCTCAGGAAGGCCTGTACAATGAACTGCAGAAAGATAAGATGGCGGAGGCCTACAGTGAGATTGGGATGAAAGGCGAGCGCCGGAGGGGCAAGGGGCACGATGGCCTTTACCAGGGTCTCAGTACAGCCACCAAGGACACCTACGACGCCCTTCACATGCAGGCCCTGCCCCCTCGCGGACCGCAGTGTACTAATTATGCTCTCTTGAAATTGGCTGGAGATGTTGAGAGCAATCCCGGGCCCATGCGCATTAGCAAGCCCCACCTGCGGAGCATCAGCATCCAGTGCTACCTGTGCCTGCTGCTGAACAGCCACTTCCTGACCGAGGCCGGCATCCACGTGTTCATCCTGGGCTGCTTCAGCGCCGGACTGCCCAAGACCGAGGCCAACTGGGTGAACGTGATCAGCGACCTGAAGAAGATCGAGGACCTGATCCAGAGCATGCACATCGACGCCACCCTGTACACCGAGAGCGACGTGCACCCCAGCTGCAAGGTGACCGCCATGAAGTGCTTTCTGCTGGAACTGCAGGTGATCAGCCTGGAAAGCGGCGACGCCAGCATCCACGACACCGTGGAGAACCTGATCATCCTGGCCAACAACAGCCTGAGCAGCAACGGCAACGTGACCGAGAGCGGCTGCAAAGAGTGCGAGGAACTGGAAGAGAAGAACATCAAAGAGTTTCTGCAGAGCTTCGTGCACATCGTGCAGATGTTCATCAACACCAGCTGA(配列番号41)
【0314】
CD28ヒンジを有するm7-1CAR70VLVHCD28Z15の対応するアミノ酸配列は以下の通りである:
【0315】
MGMALPVTALLLPLALLLHAARPDIVLTQSPASLAVSLGQRATISCRASKSVSTSGYSYMHWYQQKPGQPPKLLIYLASNLESGVPARFSGSGSGTDFTLNIHPVEEEDAATYSCQHSRELPWTFGGGTKLEIKGGGGSGGGGSGGGASQVQLKQSGPGLVQPSQSLSITCTVSGFSLTSYGVHWVRQSPGKGLEWLGVIWSGGSTDYNAAFISRLSISKDNSKSQVFFKMNSLQANDTAIYYCATYYRYDGWFAYWGQGTLVTVSARTVTVSSQDPAEPKSPDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGKKDPKFWVLVVVGGVLACYSLLVTVAFIIFWVRSKRSRLLHSDYMNMTPRRPGPTRKHYQPYAPPRDFAAYRSRVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPRGPQCTNYALLKLAGDVESNPGPMRISKPHLRSISIQCYLCLLLNSHFLTEAGIHVFILGCFSAGLPKTEANWVNVISDLKKIEDLIQSMHIDATLYTESDVHPSCKVTAMKCFLLELQVISLESGDASIHDTVENLIILANNSLSSNGNVTESGCKECEELEEKNIKEFLQSFVHIVQMFINTS(配列番号103)
【0316】
IgGヒンジを有するm14-1CAR701VHVLCD28Z15
【0317】
ATGGGGATGGCCCTGCCTGTGACAGCTCTGCTCCTCCCTCTGGCCCTGCTGCTCCATGCCGCCAGACCCGAGGTTCAGCTGCAGCAGTCTGGGGCAGAGCTTGTGAAGCCAGGGGCCTCAGTCAAGTTGTCCTGCACAGCTTCTGGCTTCAACATTAAAGACAGCTATATGCACTGGGTGAAGCAGAGGCCTGAACAGGGCCTGGAGTGGATTGGAAGGATTGATCCTGCGAATGCTAATCCTAAATATGACCCGAAGTTCCAGGGCAAGGCCACTATAACAACAGACACATCCTCCAACACAGCCTACCTGCAGCTCAGCAGCCTGACATCTGAGGACACTGCCGTCTATTACTGTGCTAGAGACTACGGAGGGTACTTCGATGTCTGGGGCGCAGGGACCACGGTCACCGTCTCCTCAGGTGGAGGCGGTTCAGGCGGAGGTGGCTCTGGCGGTGGCGCTAGCGACATCCAGATGACACAATCTTCATCCTACTTGTCTGTATCTCTAGGAGGCAGAGTCACCATTACTTGCAAGGCAAGTGACCACATTAATAATTGGTTAGCCTGGTATCAGCAGAAACCAGGAAATGCTCCTAGGCTCTTAATATCTGGTGCAACCAGTTTGGAAACTGGGGTTCCTTCAAGATTCAGTGGCAGTGGATCTGGAAAGGATTACACTCTCAGCATTACCAGTCTTCAGACTGAAGATGTTGCCACTTATTACTGTCAACAGTATTGGAGTACTCCGTGGACGTTCGGTGGAGGCACCAAGCTGGAAATCAAACccCGTACGGTCACTGTCTCTTCACAGGATCCCGCCGAGCCCAAATCTCCTGACAAAACTCACACATGCCCACCGTGCCCAGCACCTGAACTCCTGGGGGGACCGTCAGTCTTCCTCTTCCCCCCAAAACCCAAGGACACCCTCATGATCTCCCGGACCCCTGAGGTCACATGCGTGGTGGTGGACGTGAGCCACGAAGACCCTGAGGTCAAGTTCAACTGGTACGTGGACGGCGTGGAGGTGCATAATGCCAAGACAAAGCCGCGGGAGGAGCAGTACAACAGCACGTACCGTGTGGTCAGCGTCCTCACCGTCCTGCACCAGGACTGGCTGAATGGCAAGGAGTACAAGTGCAAGGTCTCCAACAAAGCCCTCCCAGCCCCCATCGAGAAAACCATCTCCAAAGCCAAAGGGCAGCCCCGAGAACCACAGGTGTACACCCTGCCCCCATCCCGGGATGAGCTGACCAAGAACCAGGTCAGCCTGACCTGCCTGGTCAAAGGCTTCTATCCCAGCGACATCGCCGTGGAGTGGGAGAGCAATGGGCAACCGGAGAACAACTACAAGACCACGCCTCCCGTGCTGGACTCCGACGGCTCCTTCTTCCTCTACAGCAAGCTCACCGTGGACAAGAGCAGGTGGCAGCAGGGGAACGTCTTCTCATGCTCCGTGATGCATGAGGCTCTGCACAACCACTACACGCAGAAGAGCCTCTCCCTGTCTCCGGGTAAAAAAGATCCCAAATTTTGGGTGCTGGTGGTGGTTGGTGGAGTCCTGGCTTGCTATAGCTTGCTAGTAACAGTGGCCTTTATTATTTTCTGGGTGAGGAGTAAGAGGAGCAGGCTCCTGCACAGTGACTACATGAACATGACTCCCCGCCGCCCCGGGCCCACCCGCAAGCATTACCAGCCCTATGCCCCACCACGCGACTTCGCAGCCTATCGCTCACGCGTGAAGTTCAGCAGGAGCGCAGACGCCCCCGCGTACCAGCAGGGCCAGAACCAGCTCTATAACGAGCTCAATCTAGGACGAAGAGAGGAGTACGATGTTTTGGACAAAAGACGTGGCCGGGACCCTGAGATGGGGGGAAAGCCGAGAAGGAAGAACCCTCAGGAAGGCCTGTACAATGAACTGCAGAAAGATAAGATGGCGGAGGCCTACAGTGAGATTGGGATGAAAGGCGAGCGCCGGAGGGGCAAGGGGCACGATGGCCTTTACCAGGGTCTCAGTACAGCCACCAAGGACACCTACGACGCCCTTCACATGCAGGCCCTGCCCCCTCGCGGACCGCAGTGTACTAATTATGCTCTCTTGAAATTGGCTGGAGATGTTGAGAGCAATCCCGGGCCCATGCGCATTAGCAAGCCCCACCTGCGGAGCATCAGCATCCAGTGCTACCTGTGCCTGCTGCTGAACAGCCACTTCCTGACCGAGGCCGGCATCCACGTGTTCATCCTGGGCTGCTTCAGCGCCGGACTGCCCAAGACCGAGGCCAACTGGGTGAACGTGATCAGCGACCTGAAGAAGATCGAGGACCTGATCCAGAGCATGCACATCGACGCCACCCTGTACACCGAGAGCGACGTGCACCCCAGCTGCAAGGTGACCGCCATGAAGTGCTTTCTGCTGGAACTGCAGGTGATCAGCCTGGAAAGCGGCGACGCCAGCATCCACGACACCGTGGAGAACCTGATCATCCTGGCCAACAACAGCCTGAGCAGCAACGGCAACGTGACCGAGAGCGGCTGCAAAGAGTGCGAGGAACTGGAAGAGAAGAACATCAAAGAGTTTCTGCAGAGCTTCGTGCACATCGTGCAGATGTTCATCAACACCAGCTGA(配列番号36)
【0318】
IgGヒンジを有するm14-1CAR701VHVLCD28Z15の対応するアミノ酸配列は以下の通りである:
【0319】
MGMALPVTALLLPLALLLHAARPEVQLQQSGAELVKPGASVKLSCTASGFNIKDSYMHWVKQRPEQGLEWIGRIDPANANPKYDPKFQGKATITTDTSSNTAYLQLSSLTSEDTAVYYCARDYGGYFDVWGAGTTVTVSSGGGGSGGGGSGGGASDIQMTQSSSYLSVSLGGRVTITCKASDHINNWLAWYQQKPGNAPRLLISGATSLETGVPSRFSGSGSGKDYTLSITSLQTEDVATYYCQQYWSTPWTFGGGTKLEIKPRTVTVSSQDPAEPKSPDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGKKDPKFWVLVVVGGVLACYSLLVTVAFIIFWVRSKRSRLLHSDYMNMTPRRPGPTRKHYQPYAPPRDFAAYRSRVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPRGPQCTNYALLKLAGDVESNPGPMRISKPHLRSISIQCYLCLLLNSHFLTEAGIHVFILGCFSAGLPKTEANWVNVISDLKKIEDLIQSMHIDATLYTESDVHPSCKVTAMKCFLLELQVISLESGDASIHDTVENLIILANNSLSSNGNVTESGCKECEELEEKNIKEFLQSFVHIVQMFINTS(配列番号98)
【0320】
IgGヒンジを有するm14-1CAR701VLVHCD28Z15
【0321】
ATGGGGATGGCCCTGCCTGTGACAGCTCTGCTCCTCCCTCTGGCCCTGCTGCTCCATGCCGCCAGACCCGACATCCAGATGACACAATCTTCATCCTACTTGTCTGTATCTCTAGGAGGCAGAGTCACCATTACTTGCAAGGCAAGTGACCACATTAATAATTGGTTAGCCTGGTATCAGCAGAAACCAGGAAATGCTCCTAGGCTCTTAATATCTGGTGCAACCAGTTTGGAAACTGGGGTTCCTTCAAGATTCAGTGGCAGTGGATCTGGAAAGGATTACACTCTCAGCATTACCAGTCTTCAGACTGAAGATGTTGCCACTTATTACTGTCAACAGTATTGGAGTACTCCGTGGACGTTCGGTGGAGGCACCAAGCTGGAAATCAAACccGGTGGAGGCGGTTCAGGCGGAGGTGGCTCTGGCGGTGGCGCTAGCGAGGTTCAGCTGCAGCAGTCTGGGGCAGAGCTTGTGAAGCCAGGGGCCTCAGTCAAGTTGTCCTGCACAGCTTCTGGCTTCAACATTAAAGACAGCTATATGCACTGGGTGAAGCAGAGGCCTGAACAGGGCCTGGAGTGGATTGGAAGGATTGATCCTGCGAATGCTAATCCTAAATATGACCCGAAGTTCCAGGGCAAGGCCACTATAACAACAGACACATCCTCCAACACAGCCTACCTGCAGCTCAGCAGCCTGACATCTGAGGACACTGCCGTCTATTACTGTGCTAGAGACTACGGAGGGTACTTCGATGTCTGGGGCGCAGGGACCACGGTCACCGTCTCCTCACGTACGGTCACTGTCTCTTCACAGGATCCCGCCGAGCCCAAATCTCCTGACAAAACTCACACATGCCCACCGTGCCCAGCACCTGAACTCCTGGGGGGACCGTCAGTCTTCCTCTTCCCCCCAAAACCCAAGGACACCCTCATGATCTCCCGGACCCCTGAGGTCACATGCGTGGTGGTGGACGTGAGCCACGAAGACCCTGAGGTCAAGTTCAACTGGTACGTGGACGGCGTGGAGGTGCATAATGCCAAGACAAAGCCGCGGGAGGAGCAGTACAACAGCACGTACCGTGTGGTCAGCGTCCTCACCGTCCTGCACCAGGACTGGCTGAATGGCAAGGAGTACAAGTGCAAGGTCTCCAACAAAGCCCTCCCAGCCCCCATCGAGAAAACCATCTCCAAAGCCAAAGGGCAGCCCCGAGAACCACAGGTGTACACCCTGCCCCCATCCCGGGATGAGCTGACCAAGAACCAGGTCAGCCTGACCTGCCTGGTCAAAGGCTTCTATCCCAGCGACATCGCCGTGGAGTGGGAGAGCAATGGGCAACCGGAGAACAACTACAAGACCACGCCTCCCGTGCTGGACTCCGACGGCTCCTTCTTCCTCTACAGCAAGCTCACCGTGGACAAGAGCAGGTGGCAGCAGGGGAACGTCTTCTCATGCTCCGTGATGCATGAGGCTCTGCACAACCACTACACGCAGAAGAGCCTCTCCCTGTCTCCGGGTAAAAAAGATCCCAAATTTTGGGTGCTGGTGGTGGTTGGTGGAGTCCTGGCTTGCTATAGCTTGCTAGTAACAGTGGCCTTTATTATTTTCTGGGTGAGGAGTAAGAGGAGCAGGCTCCTGCACAGTGACTACATGAACATGACTCCCCGCCGCCCCGGGCCCACCCGCAAGCATTACCAGCCCTATGCCCCACCACGCGACTTCGCAGCCTATCGCTCACGCGTGAAGTTCAGCAGGAGCGCAGACGCCCCCGCGTACCAGCAGGGCCAGAACCAGCTCTATAACGAGCTCAATCTAGGACGAAGAGAGGAGTACGATGTTTTGGACAAAAGACGTGGCCGGGACCCTGAGATGGGGGGAAAGCCGAGAAGGAAGAACCCTCAGGAAGGCCTGTACAATGAACTGCAGAAAGATAAGATGGCGGAGGCCTACAGTGAGATTGGGATGAAAGGCGAGCGCCGGAGGGGCAAGGGGCACGATGGCCTTTACCAGGGTCTCAGTACAGCCACCAAGGACACCTACGACGCCCTTCACATGCAGGCCCTGCCCCCTCGCGGACCGCAGTGTACTAATTATGCTCTCTTGAAATTGGCTGGAGATGTTGAGAGCAATCCCGGGCCCATGCGCATTAGCAAGCCCCACCTGCGGAGCATCAGCATCCAGTGCTACCTGTGCCTGCTGCTGAACAGCCACTTCCTGACCGAGGCCGGCATCCACGTGTTCATCCTGGGCTGCTTCAGCGCCGGACTGCCCAAGACCGAGGCCAACTGGGTGAACGTGATCAGCGACCTGAAGAAGATCGAGGACCTGATCCAGAGCATGCACATCGACGCCACCCTGTACACCGAGAGCGACGTGCACCCCAGCTGCAAGGTGACCGCCATGAAGTGCTTTCTGCTGGAACTGCAGGTGATCAGCCTGGAAAGCGGCGACGCCAGCATCCACGACACCGTGGAGAACCTGATCATCCTGGCCAACAACAGCCTGAGCAGCAACGGCAACGTGACCGAGAGCGGCTGCAAAGAGTGCGAGGAACTGGAAGAGAAGAACATCAAAGAGTTTCTGCAGAGCTTCGTGCACATCGTGCAGATGTTCATCAACACCAGCTGA(配列番号37)
【0322】
IgGヒンジを有するm14-1CAR701VLVHCD28Z15の対応するアミノ酸配列は以下の通りである:
【0323】
MGMALPVTALLLPLALLLHAARPDIQMTQSSSYLSVSLGGRVTITCKASDHINNWLAWYQQKPGNAPRLLISGATSLETGVPSRFSGSGSGKDYTLSITSLQTEDVATYYCQQYWSTPWTFGGGTKLEIKPGGGGSGGGGSGGGASEVQLQQSGAELVKPGASVKLSCTASGFNIKDSYMHWVKQRPEQGLEWIGRIDPANANPKYDPKFQGKATITTDTSSNTAYLQLSSLTSEDTAVYYCARDYGGYFDVWGAGTTVTVSSRTVTVSSQDPAEPKSPDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGKKDPKFWVLVVVGGVLACYSLLVTVAFIIFWVRSKRSRLLHSDYMNMTPRRPGPTRKHYQPYAPPRDFAAYRSRVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPRGPQCTNYALLKLAGDVESNPGPMRISKPHLRSISIQCYLCLLLNSHFLTEAGIHVFILGCFSAGLPKTEANWVNVISDLKKIEDLIQSMHIDATLYTESDVHPSCKVTAMKCFLLELQVISLESGDASIHDTVENLIILANNSLSSNGNVTESGCKECEELEEKNIKEFLQSFVHIVQMFINTS(配列番号99)
【0324】
CD28ヒンジを有するm14-1CAR701VHVLCD28Z15
【0325】
ATGGGGATGGCCCTGCCTGTGACAGCTCTGCTCCTCCCTCTGGCCCTGCTGCTCCATGCCGCCAGACCCGAGGTTCAGCTGCAGCAGTCTGGGGCAGAGCTTGTGAAGCCAGGGGCCTCAGTCAAGTTGTCCTGCACAGCTTCTGGCTTCAACATTAAAGACAGCTATATGCACTGGGTGAAGCAGAGGCCTGAACAGGGCCTGGAGTGGATTGGAAGGATTGATCCTGCGAATGCTAATCCTAAATATGACCCGAAGTTCCAGGGCAAGGCCACTATAACAACAGACACATCCTCCAACACAGCCTACCTGCAGCTCAGCAGCCTGACATCTGAGGACACTGCCGTCTATTACTGTGCTAGAGACTACGGAGGGTACTTCGATGTCTGGGGCGCAGGGACCACGGTCACCGTCTCCTCAGGTGGAGGCGGTTCAGGCGGAGGTGGCTCTGGCGGTGGCGCTAGCGACATCCAGATGACACAATCTTCATCCTACTTGTCTGTATCTCTAGGAGGCAGAGTCACCATTACTTGCAAGGCAAGTGACCACATTAATAATTGGTTAGCCTGGTATCAGCAGAAACCAGGAAATGCTCCTAGGCTCTTAATATCTGGTGCAACCAGTTTGGAAACTGGGGTTCCTTCAAGATTCAGTGGCAGTGGATCTGGAAAGGATTACACTCTCAGCATTACCAGTCTTCAGACTGAAGATGTTGCCACTTATTACTGTCAACAGTATTGGAGTACTCCGTGGACGTTCGGTGGAGGCACCAAGCTGGAAATCAAACCCCGTACGGTCACTGTCTCTTCACAGGATCCCGCCGAGCCCAAATCTCCTGACAAAACTCACACATGCCCACCGTGCCCAGCACCTGAACTCCTGGGGGGACCGTCAGTCTTCCTCTTCCCCCCAAAACCCAAGGACACCCTCATGATCTCCCGGACCCCTGAGGTCACATGCGTGGTGGTGGACGTGAGCCACGAAGACCCTGAGGTCAAGTTCAACTGGTACGTGGACGGCGTGGAGGTGCATAATGCCAAGACAAAGCCGCGGGAGGAGCAGTACAACAGCACGTACCGTGTGGTCAGCGTCCTCACCGTCCTGCACCAGGACTGGCTGAATGGCAAGGAGTACAAGTGCAAGGTCTCCAACAAAGCCCTCCCAGCCCCCATCGAGAAAACCATCTCCAAAGCCAAAGGGCAGCCCCGAGAACCACAGGTGTACACCCTGCCCCCATCCCGGGATGAGCTGACCAAGAACCAGGTCAGCCTGACCTGCCTGGTCAAAGGCTTCTATCCCAGCGACATCGCCGTGGAGTGGGAGAGCAATGGGCAACCGGAGAACAACTACAAGACCACGCCTCCCGTGCTGGACTCCGACGGCTCCTTCTTCCTCTACAGCAAGCTCACCGTGGACAAGAGCAGGTGGCAGCAGGGGAACGTCTTCTCATGCTCCGTGATGCATGAGGCTCTGCACAACCACTACACGCAGAAGAGCCTCTCCCTGTCTCCGGGTAAAAAAGATCCCAAATTTTGGGTGCTGGTGGTGGTTGGTGGAGTCCTGGCTTGCTATAGCTTGCTAGTAACAGTGGCCTTTATTATTTTCTGGGTGAGGAGTAAGAGGAGCAGGCTCCTGCACAGTGACTACATGAACATGACTCCCCGCCGCCCCGGGCCCACCCGCAAGCATTACCAGCCCTATGCCCCACCACGCGACTTCGCAGCCTATCGCTCACGCGTGAAGTTCAGCAGGAGCGCAGACGCCCCCGCGTACCAGCAGGGCCAGAACCAGCTCTATAACGAGCTCAATCTAGGACGAAGAGAGGAGTACGATGTTTTGGACAAAAGACGTGGCCGGGACCCTGAGATGGGGGGAAAGCCGAGAAGGAAGAACCCTCAGGAAGGCCTGTACAATGAACTGCAGAAAGATAAGATGGCGGAGGCCTACAGTGAGATTGGGATGAAAGGCGAGCGCCGGAGGGGCAAGGGGCACGATGGCCTTTACCAGGGTCTCAGTACAGCCACCAAGGACACCTACGACGCCCTTCACATGCAGGCCCTGCCCCCTCGCGGACCGCAGTGTACTAATTATGCTCTCTTGAAATTGGCTGGAGATGTTGAGAGCAATCCCGGGCCCATGCGCATTAGCAAGCCCCACCTGCGGAGCATCAGCATCCAGTGCTACCTGTGCCTGCTGCTGAACAGCCACTTCCTGACCGAGGCCGGCATCCACGTGTTCATCCTGGGCTGCTTCAGCGCCGGACTGCCCAAGACCGAGGCCAACTGGGTGAACGTGATCAGCGACCTGAAGAAGATCGAGGACCTGATCCAGAGCATGCACATCGACGCCACCCTGTACACCGAGAGCGACGTGCACCCCAGCTGCAAGGTGACCGCCATGAAGTGCTTTCTGCTGGAACTGCAGGTGATCAGCCTGGAAAGCGGCGACGCCAGCATCCACGACACCGTGGAGAACCTGATCATCCTGGCCAACAACAGCCTGAGCAGCAACGGCAACGTGACCGAGAGCGGCTGCAAAGAGTGCGAGGAACTGGAAGAGAAGAACATCAAAGAGTTTCTGCAGAGCTTCGTGCACATCGTGCAGATGTTCATCAACACCAGCTGA(配列番号42)
【0326】
CD28ヒンジを有するm14-1CAR701VHVLCD28Z15の対応するアミノ酸配列は以下の通りである:
【0327】
MGMALPVTALLLPLALLLHAARPEVQLQQSGAELVKPGASVKLSCTASGFNIKDSYMHWVKQRPEQGLEWIGRIDPANANPKYDPKFQGKATITTDTSSNTAYLQLSSLTSEDTAVYYCARDYGGYFDVWGAGTTVTVSSGGGGSGGGGSGGGASDIQMTQSSSYLSVSLGGRVTITCKASDHINNWLAWYQQKPGNAPRLLISGATSLETGVPSRFSGSGSGKDYTLSITSLQTEDVATYYCQQYWSTPWTFGGGTKLEIKPRTVTVSSQDPAEPKSPDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGKKDPKFWVLVVVGGVLACYSLLVTVAFIIFWVRSKRSRLLHSDYMNMTPRRPGPTRKHYQPYAPPRDFAAYRSRVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPRGPQCTNYALLKLAGDVESNPGPMRISKPHLRSISIQCYLCLLLNSHFLTEAGIHVFILGCFSAGLPKTEANWVNVISDLKKIEDLIQSMHIDATLYTESDVHPSCKVTAMKCFLLELQVISLESGDASIHDTVENLIILANNSLSSNGNVTESGCKECEELEEKNIKEFLQSFVHIVQMFINTS(配列番号104)
【0328】
CD28ヒンジを有するm14-1CAR701VLVHCD28Z15
【0329】
ATGGGGATGGCCCTGCCTGTGACAGCTCTGCTCCTCCCTCTGGCCCTGCTGCTCCATGCCGCCAGACCCGACATCCAGATGACACAATCTTCATCCTACTTGTCTGTATCTCTAGGAGGCAGAGTCACCATTACTTGCAAGGCAAGTGACCACATTAATAATTGGTTAGCCTGGTATCAGCAGAAACCAGGAAATGCTCCTAGGCTCTTAATATCTGGTGCAACCAGTTTGGAAACTGGGGTTCCTTCAAGATTCAGTGGCAGTGGATCTGGAAAGGATTACACTCTCAGCATTACCAGTCTTCAGACTGAAGATGTTGCCACTTATTACTGTCAACAGTATTGGAGTACTCCGTGGACGTTCGGTGGAGGCACCAAGCTGGAAATCAAACCCGGTGGAGGCGGTTCAGGCGGAGGTGGCTCTGGCGGTGGCGCTAGCGAGGTTCAGCTGCAGCAGTCTGGGGCAGAGCTTGTGAAGCCAGGGGCCTCAGTCAAGTTGTCCTGCACAGCTTCTGGCTTCAACATTAAAGACAGCTATATGCACTGGGTGAAGCAGAGGCCTGAACAGGGCCTGGAGTGGATTGGAAGGATTGATCCTGCGAATGCTAATCCTAAATATGACCCGAAGTTCCAGGGCAAGGCCACTATAACAACAGACACATCCTCCAACACAGCCTACCTGCAGCTCAGCAGCCTGACATCTGAGGACACTGCCGTCTATTACTGTGCTAGAGACTACGGAGGGTACTTCGATGTCTGGGGCGCAGGGACCACGGTCACCGTCTCCTCACGTACGGTCACTGTCTCTTCACAGGATCCCGCCGAGCCCAAATCTCCTGACAAAACTCACACATGCCCACCGTGCCCAGCACCTGAACTCCTGGGGGGACCGTCAGTCTTCCTCTTCCCCCCAAAACCCAAGGACACCCTCATGATCTCCCGGACCCCTGAGGTCACATGCGTGGTGGTGGACGTGAGCCACGAAGACCCTGAGGTCAAGTTCAACTGGTACGTGGACGGCGTGGAGGTGCATAATGCCAAGACAAAGCCGCGGGAGGAGCAGTACAACAGCACGTACCGTGTGGTCAGCGTCCTCACCGTCCTGCACCAGGACTGGCTGAATGGCAAGGAGTACAAGTGCAAGGTCTCCAACAAAGCCCTCCCAGCCCCCATCGAGAAAACCATCTCCAAAGCCAAAGGGCAGCCCCGAGAACCACAGGTGTACACCCTGCCCCCATCCCGGGATGAGCTGACCAAGAACCAGGTCAGCCTGACCTGCCTGGTCAAAGGCTTCTATCCCAGCGACATCGCCGTGGAGTGGGAGAGCAATGGGCAACCGGAGAACAACTACAAGACCACGCCTCCCGTGCTGGACTCCGACGGCTCCTTCTTCCTCTACAGCAAGCTCACCGTGGACAAGAGCAGGTGGCAGCAGGGGAACGTCTTCTCATGCTCCGTGATGCATGAGGCTCTGCACAACCACTACACGCAGAAGAGCCTCTCCCTGTCTCCGGGTAAAAAAGATCCCAAATTTTGGGTGCTGGTGGTGGTTGGTGGAGTCCTGGCTTGCTATAGCTTGCTAGTAACAGTGGCCTTTATTATTTTCTGGGTGAGGAGTAAGAGGAGCAGGCTCCTGCACAGTGACTACATGAACATGACTCCCCGCCGCCCCGGGCCCACCCGCAAGCATTACCAGCCCTATGCCCCACCACGCGACTTCGCAGCCTATCGCTCACGCGTGAAGTTCAGCAGGAGCGCAGACGCCCCCGCGTACCAGCAGGGCCAGAACCAGCTCTATAACGAGCTCAATCTAGGACGAAGAGAGGAGTACGATGTTTTGGACAAAAGACGTGGCCGGGACCCTGAGATGGGGGGAAAGCCGAGAAGGAAGAACCCTCAGGAAGGCCTGTACAATGAACTGCAGAAAGATAAGATGGCGGAGGCCTACAGTGAGATTGGGATGAAAGGCGAGCGCCGGAGGGGCAAGGGGCACGATGGCCTTTACCAGGGTCTCAGTACAGCCACCAAGGACACCTACGACGCCCTTCACATGCAGGCCCTGCCCCCTCGCGGACCGCAGTGTACTAATTATGCTCTCTTGAAATTGGCTGGAGATGTTGAGAGCAATCCCGGGCCCATGCGCATTAGCAAGCCCCACCTGCGGAGCATCAGCATCCAGTGCTACCTGTGCCTGCTGCTGAACAGCCACTTCCTGACCGAGGCCGGCATCCACGTGTTCATCCTGGGCTGCTTCAGCGCCGGACTGCCCAAGACCGAGGCCAACTGGGTGAACGTGATCAGCGACCTGAAGAAGATCGAGGACCTGATCCAGAGCATGCACATCGACGCCACCCTGTACACCGAGAGCGACGTGCACCCCAGCTGCAAGGTGACCGCCATGAAGTGCTTTCTGCTGGAACTGCAGGTGATCAGCCTGGAAAGCGGCGACGCCAGCATCCACGACACCGTGGAGAACCTGATCATCCTGGCCAACAACAGCCTGAGCAGCAACGGCAACGTGACCGAGAGCGGCTGCAAAGAGTGCGAGGAACTGGAAGAGAAGAACATCAAAGAGTTTCTGCAGAGCTTCGTGCACATCGTGCAGATGTTCATCAACACCAGCTGA(配列番号43)
【0330】
CD28ヒンジを有するm14-1CAR701VLVHCD28Z15の対応するアミノ酸配列は以下の通りである:
【0331】
MGMALPVTALLLPLALLLHAARPDIQMTQSSSYLSVSLGGRVTITCKASDHINNWLAWYQQKPGNAPRLLISGATSLETGVPSRFSGSGSGKDYTLSITSLQTEDVATYYCQQYWSTPWTFGGGTKLEIKPGGGGSGGGGSGGGASEVQLQQSGAELVKPGASVKLSCTASGFNIKDSYMHWVKQRPEQGLEWIGRIDPANANPKYDPKFQGKATITTDTSSNTAYLQLSSLTSEDTAVYYCARDYGGYFDVWGAGTTVTVSSRTVTVSSQDPAEPKSPDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGKKDPKFWVLVVVGGVLACYSLLVTVAFIIFWVRSKRSRLLHSDYMNMTPRRPGPTRKHYQPYAPPRDFAAYRSRVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPRGPQCTNYALLKLAGDVESNPGPMRISKPHLRSISIQCYLCLLLNSHFLTEAGIHVFILGCFSAGLPKTEANWVNVISDLKKIEDLIQSMHIDATLYTESDVHPSCKVTAMKCFLLELQVISLESGDASIHDTVENLIILANNSLSSNGNVTESGCKECEELEEKNIKEFLQSFVHIVQMFINTS(配列番号105)
【0332】
C.T細胞受容体(TCR)
いくつかの実施形態において、CD70を標的とする遺伝子操作された抗原受容体は、組換えTCRおよび/もしくは天然に存在するT細胞からクローニングされたTCR、またはそれらの1つ以上の部分を含む。「T細胞受容体」または「TCR」とは、可変αおよび可変β鎖(それぞれTCRαおよびTCRβとしても知られている)または可変γ鎖および可変δ鎖(それぞれTCRγおよびTCRδとしても知られている)を含有し、かつMHC受容体に結合した抗原ペプチドに特異的に結合することができる、分子を指す。いくつかの実施形態において、TCRはαβ型である。
【0333】
典型的には、αβ型およびγδ型で存在するTCRは、一般に、構造的に類似しているが、それらを発現するT細胞は、明確に異なる解剖学的場所または機能を有しうる。TCRは、細胞の表面上に、または可溶型で、見いだすことができる。一般に、TCRは、T細胞(またはTリンパ球)の表面に見いだされ、そこでは、一般に、主要組織適合遺伝子複合体(MHC)分子に結合した抗原の認識を担っている。いくつかの実施形態において、TCRは、定常ドメイン、膜貫通ドメインおよび/または短い細胞質テールも含有することができる(例えばJaneway et al,1997参照)。例えばいくつかの態様において、TCRの各鎖は、1つのN末免疫グロブリン可変ドメイン、1つの免疫グロブリン定常ドメイン、膜貫通領域、およびC末端の短い細胞質テールを持つことができる。いくつかの実施形態において、TCRは、シグナル伝達の媒介に関与するCD3複合体の不変タンパク質と会合する。別段の言明がある場合を除き、「TCR」という用語は、その機能的TCRフラグメントを包含すると理解すべきである。この用語は、αβ型またはγδ型のTCRを含む、無傷のまたは完全長のTCRも包含する。
【0334】
したがって本明細書において、TCRへの言及は、任意のTCRまたはその機能的フラグメント、例えばMHC分子に結合している特異的抗原ペプチド、すなわちMHC-ペプチド複合体に結合するTCRの抗原結合部分を包含する。TCRの「抗原結合部分」または抗原結合フラグメント」は、相互可換的に使用することができ、TCRの構造ドメインのうち、そのTCR全体が結合する抗原(例えばMHC-ペプチド複合体)に結合する部分を含有する分子を指す。いくつかの事例において、抗原結合部分は、特異的MHC-ペプチド複合体に結合するための結合部分を形成するのに十分な、一般的には各鎖が3つの相補性決定領域を含有する、TCRの可変αおよび可変β鎖などといった、TCRの可変ドメインを含有する。
【0335】
いくつかの実施形態において、TCR鎖の可変ドメインは会合して免疫グロブリンに類似するループまたは相補性決定領域(CDR)を形成し、それらが、TCR分子の結合部位を形成することによって抗原認識を付与してペプチド特異性を決定する。典型的には、免疫グロブリンのように、CDRはフレームワーク領域(FR)によって分離されている(例えばJoresら,1990、Chothiaら,1988、Lefrancら,2003参照)。いくつかの実施形態では、CDR3がプロセシングされた抗原の認識を担う主要CDRであるが、アルファ鎖のCDR1も、抗原ペプチドのN末部分と相互作用することが示されており、一方、ベータ鎖のCDR1はペプチドのC末部分と相互作用する。CDR2はMHC分子を認識すると考えられる。いくつかの実施形態において、β鎖の可変領域は、さらなる超可変性(HV4)領域を含有することができる。
【0336】
いくつかの実施形態において、TCR鎖は定常ドメインを含有する。例えば、免疫グロブリンのように、TCR鎖(例えばα、β鎖)の細胞外部分は、2つの免疫グロブリンドメイン、N末の可変ドメイン(例えばVαまたはVβ;KabatナンバリングKabatら「Sequences of Proteins of Immunological Interest」アメリカ合衆国保健福祉省、公衆衛生局国立衛生研究所、1991、第5版に基づけば、典型的にはアミノ酸1~116)と、細胞膜に隣接する定常ドメイン(例えばα鎖定常ドメインまたはCα、Kabatに基づけば、典型的にはアミノ酸117~259、β鎖定常ドメインまたはCβ、Kabatに基づけば、典型的にはアミノ酸117~295)を含有することができる。例えば、いくつかの事例において、2つの鎖によって形成されるTCRの細胞外部分は、2つの膜近位定常ドメインと、CDRを含有する2つの膜遠位可変ドメインとを含有する。TCRドメインの定常ドメインは、短い接続配列を含有し、ここではシステイン残基がジスルフィド結合を形成して、2つの鎖を連結している。いくつかの実施形態において、TCRは、TCRが定常ドメイン中に2つのジスルフィド結合を含有するように、α鎖とβ鎖のそれぞれに追加のシステイン残基を有しうる。
【0337】
いくつかの実施形態において、TCR鎖は、膜貫通ドメインを含有することができる。いくつかの実施形態において、膜貫通ドメインは正に荷電している。いくつかの事例において、TCR鎖は細胞質テールを含有している。いくつかの事例において、この構造はTCRがCD3のような他の分子と会合することを可能にする。例えば、膜貫通領域を持つ定常ドメインを含有するTCRは、タンパク質を細胞膜に固定し、CD3シグナル伝達装置または複合体の不変サブユニットと会合することができる。
【0338】
一般に、CD3は、哺乳動物では明確に異なる3つの鎖(γ、δ、およびε)とζ鎖とを持つことができる多タンパク質複合体である。例えば哺乳動物では、この複合体は、CD3γ鎖、CD3δ鎖、2つのCD3ε鎖、およびCD3ζ鎖のホモ二量体を含有することができる。CD3γ、CD3δ、およびCD3ε鎖は、1つの免疫グロブリンドメインを含有する免疫グロブリンスーパーファミリーの高度に近縁の細胞表面タンパク質である。CD3γ、CD3δ、およびCD3ε鎖の膜貫通領域は負に荷電しており、これは、これらの鎖が正に荷電しているT細胞受容体鎖と会合することを可能にする特徴である。CD3γ、CD3δ、およびCD3ε鎖の細胞内テールは、免疫受容体活性化チロシンモチーフまたはITAMとして知られる保存されたモチーフを、それぞれが1つずつ含有し、一方、各CD3ζ鎖はそれを3つ持っている。一般にITAMは、TCR複合体のシグナル伝達能に関与する。これらのアクセサリー分子は負に荷電した膜貫通領域を有し、TCRから細胞内へのシグナルの伝達に役割を果たす。CD3鎖およびζ鎖は、TCRと共に、T細胞受容体複合体として知られるものを形成する。
【0339】
いくつかの実施形態において、TCRは、2つの鎖αおよびβ(場合によってはγおよびδ)のヘテロ二量体であるか、または単一鎖TCR構築物であることができる。いくつかの実施形態において、TCRは、1つまたは複数のジスルフィド結合などによって連結された2つの別個の鎖(α鎖とβ鎖またはγ鎖とδ鎖)を含有するヘテロ二量体である。いくつかの実施形態では、ターゲット抗原(例えばがん抗原)に対するTCRが同定され、細胞中に導入される。いくつかの実施形態において、TCRをコードする核酸は、例えば公表されているTCR DNA配列のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅によるなど、さまざまな供給源から得ることができる。いくつかの実施形態において、TCRは、生物学的供給源から、例えば細胞から、例えばT細胞(例えば細胞傷害性T細胞)、T細胞ハイブリドーマまたは他の公的に利用可能な供給源から、得られる。いくつかの実施形態において、T細胞は、in vivo単離細胞から得ることができる。いくつかの実施形態では、高アフィニティT細胞クローンを患者から単離し、TCRを単離することができる。いくつかの実施形態において、T細胞は培養T細胞ハイブリドーマまたは培養T細胞クローンであることができる。いくつかの実施形態において、ターゲット抗原に対するTCRクローンは、ヒト免疫系遺伝子(例えばヒト白血球抗原系またはHLA)で工学的に操作されたトランスジェニックマウスにおいて作製されたものである。例えば腫瘍抗原参照(例えばParkhurstら,2009、およびCohenら,2005参照)。いくつかの実施形態では、ファージディスプレイを使って、ターゲット抗原に対するTCRが単離される(例えばVarela-Rohenaら,2008、およびLi,2005参照)。いくつかの実施形態において、TCRまたはその抗原結合部分は、TCRの配列の知識から、合成的に作製することができる。
【0340】
VIII.サイトカイン
1つ以上のサイトカインを、1つ以上のCD70を標的とする遺伝子操作された受容体、例えばCD70特異的CARと共に利用しうる。いくつかの事例では、1つ以上のサイトカインが工学的に操作された受容体と同じベクター分子上に存在するが、別の事例では、それらは別々のベクター分子上にある。特定の実施形態では、1つ以上のサイトカインが、工学的に操作された受容体と同じベクターから共発現される。1つ以上のサイトカインは、CD70特異的受容体とは別個のポリペプチドとして産生されうる。一例として、インターロイキン-15(IL-15)が利用される。IL-15を使用しうるのは、それが組織拘束性(tissue restricted)であり、どんなレベルであれ、それが血清中または全身性に観察されるのは、病的状態下に限るからである。IL-15は、養子治療にとって望ましい属性をいくつか持っている。IL-15は、ナチュラルキラー細胞の発生と細胞増殖を誘導し、定着した腫瘍の根絶を腫瘍常在細胞の機能的抑制を緩和することによって促進し、活性化誘導細胞死を阻害する恒常性維持サイトカインである。IL-15に加えて、他のサイトカインも考えられる。それらには、例えばサイトカイン、ケモカイン、ならびにヒトへの応用に使用される細胞の活性化および増殖に寄与する他の分子があるが、それらに限るわけではない。一例として、前記1つ以上のサイトカインは、IL-15、IL-12、IL-2、IL-18、IL-21、IL-23、IL-7、またはそれらの組合せである。IL-15を発現するNK細胞を利用することができ、それらは継続して支持的サイトカインシグナル伝達を行うことができ、それが注入後のそれらの生存に役立つ。
【0341】
具体的実施形態において、NK細胞は1つ以上の外因的に与えられたサイトカインを発現する。サイトカインは、それが細胞内の発現ベクターから発現されるという理由および/またはそれが細胞の培養培地に提供されるという理由で、NK細胞に外因的に与えられうる。これに代わる事例では、サイトカインの1つまたは複数のプロモーター部位における遺伝子組換えなどといった内在性サイトカインの発現の制御の操作を受けて、細胞中の内在性サイトカインがアップレギュレートされる。サイトカインが発現構築物に乗せて細胞に提供される場合、サイトカインは自殺遺伝子と同じベクターにコードされうる。サイトカインは、自殺遺伝子とは別個のポリペプチド分子として、かつ細胞の工学的に操作された受容体とは別個のポリペプチドとして、発現させうる。いくつかの実施形態において、本開示は、特にNK細胞における、CARおよび/またはTCRベクターとIL-15との同時利用に関する。
【0342】
IX.自殺遺伝子
特定の実施形態では、自殺遺伝子が、任意の種類の細胞治療と一緒に、その使用をコントロールし、所望の事象および/または時点における細胞治療の停止を可能にするために利用される。自殺遺伝子は、形質導入細胞において、必要な時に形質導入細胞の死を誘発する目的で使用される。本開示によって包含されるベクターを内包するように改変された本開示のCD70標的化細胞は、1つ以上の自殺遺伝子を含みうる。いくつかの実施形態において、本明細書において使用される「自殺遺伝子」という用語は、プロドラッグまたは他の作用物質が投与された時に、その宿主細胞を殺す化合物への遺伝子産物の移行を果たす遺伝子と定義される。別の実施形態において、自殺遺伝子は、所望する時に、その自殺遺伝子の産物を標的とする作用物質(例えば抗体)によって標的とされる遺伝子産物をコードしている。
【0343】
使用されうる自殺遺伝子/プロドラッグの組合せの例は、単純ヘルペスウイルス-チミジンキナーゼ(HSV-tk)とガンシクロビル、アシクロビル、またはFIAU;オキシドレダクターゼとシクロヘキシミド;シトシンデアミナーゼと5-フルオロシトシン;チミジンキナーゼ・チミジル酸キナーゼ(thymidine kinase thymidilate kinase)(Tdk::Tmk)とAZT;およびデオキシシチジンキナーゼとシトシンアラビノシドである。プロドラッグである6-メチルプリンデオキシリボシドを有毒なプリン6-メチルプリンに変換するいわゆる自殺遺伝子、大腸菌プリンヌクレオシドホスホリラーゼを利用してもよい。プロドラッグ治療と共に使用される自殺遺伝子の他の例は、大腸菌シトシンデアミナーゼ遺伝子およびHSVチミジンキナーゼ遺伝子である。
【0344】
例示的自殺遺伝子として、CD20、CD52、EGFRv3、または誘導性カスパーゼ9も挙げられる。一実施形態では、切断型のEGFRバリアントIII(EGFRv3)を、セツキシマブによって除去することができる自殺抗原として使用しうる。当技術分野において知られるさらなる自殺遺伝子であって、本開示において使用されうるものとしては、プリンヌクレオシドホスホリラーゼ(PNP)、シトクロムp450酵素(CYP)、カルボキシペプチダーゼ(CP)、カルボキシルエステラーゼ(CE)、ニトロレダクターゼ(NTR)、グアニンリボシルトランスフェラーゼ(XGRTP)、グリコシダーゼ酵素、メチオニン-α,γ-リアーゼ(MET)、およびチミジンホスホリラーゼ(TP)が挙げられる。
【0345】
特定の実施形態において、CD70標的化CARをコードするベクター、またはここに包含されるNK細胞中の任意のベクターは、1つ以上の自殺遺伝子を含む。自殺遺伝子は、CD70標的化CARと同じベクター上にあってもよいし、そうでなくてもよい。自殺遺伝子がCD70標的化CARと同じベクター上に存在する場合、自殺遺伝子とCARとは、例えばIRESまたは2A要素によって分離されうる。
【0346】
X.免疫細胞エンゲージャー
本開示の態様は、免疫細胞エンゲージャー(「免疫細胞エンゲージャーポリペプチド」または「エンゲージャー」ともいう)に向けられる。本明細書にいう「免疫細胞エンゲージャー」とは、少なくとも1つの抗原結合領域と少なくとも1つの免疫細胞結合領域とを有する任意のポリペプチドを指す。免疫細胞エンゲージャーは、対象に与えられると、抗原発現細胞(例えばがん抗原を発現するがん細胞)と免疫細胞(例えばT細胞、NK細胞など)との両方に結合しうる。いくつかの実施形態において、免疫細胞エンゲージャーの抗原結合領域はCD70結合領域である。いくつかの実施形態において、本開示の免疫細胞エンゲージャーは、本明細書記載のCD70結合領域、例えば配列番号44~105のうちのいずれか1つ以上を含むCD70結合領域を含む。
【0347】
本明細書にいう「免疫細胞結合領域」とは、例えば免疫細胞によって発現されるタンパク質などといった免疫細胞の構成要素に特異的に結合するポリペプチド領域を指す。いくつかの実施形態において、本開示の免疫細胞結合領域は、免疫細胞によって発現される細胞表面タンパク質に特異的に結合するポリペプチド領域である。免疫細胞結合領域によって標的とされうる免疫細胞には、T細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、ガンマ・デルタ(γδ)T細胞、アルファ・ベータ(αβ)T細胞、ナチュラルキラーT(NKT)細胞、B細胞、間葉系間質細胞、顆粒球、単球、マクロファージ、および樹状細胞などがあるが、それらに限るわけではない。本開示の免疫細胞結合領域の標的となりうる細胞表面タンパク質の例としては、T細胞についてはCD2、CD3およびCD3サブユニット、例えばCD3ε、CD5、CD28、4-1BB、OX40、CD2、CD5、CD95、CD27、IL-7R、ICOS、IL2Rβ、CD45、CD48、およびCD137;NK細胞についてはCD16A、CD25、CD38、CD44、CD56、CD69、CD94、CS1、DNAM、2B4、CD2、KIR、CD335(NKp46)、CD336(NKp44)、CD337(NKp30)、NKp80、NKG2A、NKG2C、NKG2D、DNAM、およびNCR;顆粒球についてはCD18、CD64およびCD89;単球およびマクロファージについてはCD18、CD32、CD47、CD64、CD89およびマンノース受容体;樹状細胞についてはCD64およびマンノース受容体;ならびにCD35が挙げられるが、それらに限るわけではない。いくつかの実施形態において、免疫細胞結合領域は、T細胞によって発現される細胞表面タンパク質に特異的に結合する。いくつかの実施形態において、免疫細胞結合領域はCD3に特異的に結合する。免疫細胞結合領域は、CD3のCD3γ鎖、CD3δ鎖、CD3ε鎖、またはCD3ζ鎖に特異的に結合しうる。いくつかの実施形態において、免疫細胞結合領域は抗CD3抗体からのscFvを含む。いくつかの実施形態において、免疫細胞結合領域は、NK細胞によって発現される細胞表面タンパク質に特異的に結合する。いくつかの実施形態において、免疫細胞結合領域はCD16Aに特異的に結合する。いくつかの実施形態において、免疫細胞結合領域は抗CD16A抗体からのscFvを含む。
【0348】
ここで想定される免疫細胞エンゲージャーの非限定的な例には、多重特異性抗体(例えば二重特異性抗体、三重特異性抗体、四価抗体など)、二重特異性T細胞エンゲージャー(「BiTE」とも呼ばれる)、二重特異性キラーエンゲージャー(「BiKE」とも呼ばれる)、三重特異性キラーエンゲージャー(「TriKE」とも呼ばれる)などがある。一定の免疫細胞エンゲージャーが、例えば米国特許出願公開第2017/0218075号、同第2019/0040155号、および同第2020/0405833号(それぞれ参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)ならびにGoebeler,ME.,Bargou,R.C.Nat Rev Clin Oncol 17,418-434(2020)、Felices,Martinら Methods in molecular biology(ニュージャージー州クリフトン)vol.1441(2016):333-46、およびTian、Z.ら J Hematol Oncol 14,75(2021)(それぞれ参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載されている。
【0349】
XI.抗原
本開示の態様は、1つ以上の特定の抗原を標的とするポリペプチド(例えば抗体、CAR、エンゲージャーなど)に向けられる。本開示の抗体および/または工学的に操作されたポリペプチドによって標的とされる抗原には、疾患、状態、または標的となる細胞タイプとの関連において発現されるものが含まれる。疾患および状態には、がんおよび腫瘍を含む増殖性、新生物性、および悪性の疾患および障害が含まれ、これには、血液がん、免疫系のがん、例えばB、Tおよび骨髄性の白血病、リンパ腫、および多発性骨髄腫などといった、リンパ腫、白血病、および/または骨髄腫が含まれる。いくつかの実施形態において、抗原は、疾患または状態の細胞上に、例えば腫瘍細胞または病原性細胞上に、正常細胞もしくは正常組織または非標的細胞もしくは非標的組織と比較して、選択的に発現するか、または過剰発現する。別の実施形態において、抗原は正常細胞上に発現し、および/または工学的に操作された細胞上に発現する。
【0350】
本方法では任意の適切な抗原を標的としうる。いくつかの事例では、抗原は、一定のがん細胞とは関連するが、非がん性細胞とは関連しないものでありうる。例示的な抗原として、感染性因子からの抗原性分子、自家/自己抗原、腫瘍/がん関連抗原、および腫瘍ネオ抗原が挙げられるが、それらに限るわけではない(Linnemannら,2015参照)。特定の態様において、抗原には、CD19、EBNA、CD123、HER2、CA-125、TRAIL/DR4、CD20、CD22、CD70、CD38、CD123、CLL1、癌胎児性抗原、アルファフェトプロテイン、CD56、AKT、Her3、上皮性腫瘍抗原、CD319(CS1)、ROR1、葉酸結合タンパク質、HIV-1エンベロープ糖タンパク質gp120、HIV-1エンベロープ糖タンパク質gp41、CD5、CD23、CD30、HERV-K、IL-11Rアルファ、カッパ鎖、ラムダ鎖、CSPG4、CD33、CD47、CLL-1、U5snRNP200、CD200、BAFF-R、BCMA、CD99、p53、変異型p53、Ras、変異型ras、c-Myc、細胞質セリン/スレオニンキナーゼ(例えばA-Raf、B-Raf、およびC-Raf、サイクリン依存性キナーゼ)、MAGE-A1、MAGE-A2、MAGE-A3、MAGE-A4、MAGE-A6、MAGE-A10、MAGE-A12、MART-1、黒色腫関連抗原、BAGE、DAM-6、-10、GAGE-1、-2、-8、GAGE-3、-4、-5、-6、-7B、NA88-A、MC1R、mda-7、gp75、Gp100、PSA、PSM、チロシナーゼ、チロシナーゼ関連タンパク質、TRP-1、TRP-2、ART-4、CAMEL、CEA、Cyp-B、hTERT、hTRT、iCE、MUC1、MUC2、ホスホイノシチド3キナーゼ(PI3K)、TRK受容体、PRAME、P15、RU1、RU2、SART-1、SART-3、ウィルムス腫瘍抗原(WT1)、AFP、β-カテニン/m、カスパーゼ-8/m、CDK-4/m、ELF2M、GnT-V、G250、HAGE、HSP70-2M、HST-2、KIAA0205、MUM-1、MUM-2、MUM-3、ミオシン/m、RAGE、SART-2、TRP-2/INT2、707-AP、アネキシンII、CDC27/m、TPI/mbcr-abl、BCR-ABL、インターフェロン制御因子4(IRF4)、ETV6/AML、LDLR/FUT、Pml/RAR、腫瘍関連カルシウムシグナル伝達因子1(TACSTD1)、TACSTD2、受容体チロシンキナーゼ(例えば上皮成長因子受容体(EGFR)(特にEGFRvIII)、血小板由来増殖因子受容体(PDGFR)、血管内皮増殖因子受容体(VEGFR)、VEGFR2、細胞質チロシンキナーゼ(例えばsrcファミリー、syk-ZAP70ファミリー)、インテグリン結合キナーゼ(ILK)、シグナル伝達兼転写活性化因子STAT3、STATS、およびSTATE、低酸素誘導因子(例えばHIF-1およびHIF-2)、核内因子カッパB(NF-κB)、Notch受容体(例えばNotch1~4)、NY ESO1、c-Met、哺乳類ラパマイシン標的タンパク質(mTOR)、WNT、細胞外シグナル制御キナーゼ(ERK)、およびそれらの制御サブユニット、PMSA、PR-3、MDM2、メソテリン、腎細胞癌-5T4、SM22-アルファ、炭酸脱水酵素I(CAI)およびIX(CAIX)(G250としても知られている)、STEAD、TEL/AML1、GD2、プロテイナーゼ3、hTERT、肉腫転座ブレークポイント、EphA2、ML-IAP、EpCAM、ERG(TMPRSS2 ETS融合遺伝子)、NA17、PAX3、ALK、アンドロゲン受容体、サイクリンB1、ポリシアル酸、MYCN、RhoC、GD3、フコシルGM1、メソテリアン、PSCA、sLe、PLAC1、GM3、BORIS、Tn、GLoboH、NY-BR-1、RGsS、SAGE、SART3、STn、PAX5、OY-TES1、精子タンパク質17、LCK、HMWMAA、AKAP-4、SSX2、XAGE1、B7H3、レグマイン、TIE2、Page4、MAD-CT-1、FAP、MAD-CT-2、fos関連抗原1、CBX2、CLDN6、SPANX、TPTE、ACTL8、ANKRD30A、CDKN2A、MAD2L1、CTAG1B、SUNC1、ならびにLRRN1が含まれる。抗原の配列の例は、当技術分野では、例えばGenBank(登録商標)データベースにおいて知られている:CD19(アクセッション番号NG_007275.1)、EBNA(アクセッション番号NG_002392.2)、WT1(アクセッション番号NG_009272.1)、CD123(アクセッション番号NC_000023.11)、NY-ESO(アクセッション番号NC_000023.11)、EGFRvIII(アクセッション番号NG_007726.3)、MUC1(アクセッション番号NG_029383.1)、HER2(アクセッション番号NG_007503.1)、CA-125(アクセッション番号NG_055257.1)、WT1(アクセッション番号NG_009272.1)、Mage-A3(アクセッション番号NG_013244.1)、Mage-A4(アクセッション番号NG_013245.1)、Mage-A10(アクセッション番号NC_000023.11)、TRAIL/DR4(アクセッション番号NC_000003.12)、および/またはCEA(アクセッション番号NC_000019.10)。
【0351】
腫瘍関連抗原は、例えば前立腺がん、乳がん、結腸直腸がん、肺がん、膵臓がん、腎臓がん、中皮腫、卵巣がん、肝臓がん、脳がん、骨がん、胃がん、脾臓がん、精巣がん、子宮頸がん、肛門がん、胆嚢がん、甲状腺がん、または黒色腫がんなどに由来しうる。例示的な腫瘍関連抗原または腫瘍細胞由来抗原として、MAGE1、3、およびMAGE4(または他のMAGE抗原、例えば国際特許公開番号WO99/40188に開示されているもの);PRAME;BAGE;RAGE、Lage(NY ESO 1としても知られている);SAGE、およびHAGEまたはGAGEが挙げられる。腫瘍抗原のこれらの非限定的な例は、黒色腫、肺癌、肉腫、および膀胱癌など、広範囲の腫瘍タイプにおいて発現する。例えば米国特許第6,544,518号参照。前立腺がん腫瘍関連抗原としては、例えば前立腺特異膜抗原(PSMA)、前立腺特異抗原(PSA)、前立腺酸性ホスファターゼ、NKX3.1、および前立腺の6回膜貫通型上皮抗原(STEAP)が挙げられる。
【0352】
他の腫瘍関連抗原には、Plu-1、HASH-1、HasH-2、クリプト(Cripto)およびクリプチン(Criptin)などがある。加えて、腫瘍抗原は自己ペプチドホルモン、例えば多くのがんの処置に役立つ10アミノ酸長の短いペプチドである全長ゴナドトロピンホルモン放出ホルモン(GnRH)であってもよい。
【0353】
抗原には、正常細胞と比較して腫瘍細胞では変異している遺伝子または腫瘍細胞では転写レベルが異なる遺伝子に由来するエピトープ領域またはエピトープペプチド、例えばテロメラーゼ酵素、サバイビン、メソテリン、変異型ras、bcr/abl再構成、Her2/neu、変異型または野生型p53、シトクロムP450 1B1、および異常に発現するイントロン配列、例えばN-アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼ-V;骨髄腫およびB細胞リンパ腫においてユニークなイディオタイプを生成する免疫グロブリン遺伝子のクローン再構成;腫瘍ウイルスプロセス由来のエピトープ領域またはエピトープペプチドを含む腫瘍抗原、例えばヒトパピローマウイルスタンパク質E6およびE7;エプスタインバーウイルスタンパク質LMP2;腫瘍選択的発現を伴う非変異型がん胎児性タンパク質、例えば癌胎児性抗原およびアルファ-フェトプロテインを含めうる。
【0354】
XII.ベクター
CD70標的化ポリペプチド(例えばCAR、キメラポリペプチド、免疫細胞エンゲージャーなど)は、任意の適切なベクターによって、例えばウイルスベクターまたは非ウイルスベクターによって、レシピエント免疫細胞に送達されうる。ウイルスベクターの例には、少なくともレトロウイルスベクター、レンチウイルスベクター、アデノウイルスベクター、またはアデノ随伴ウイルスベクターが含まれる。非ウイルスベクターの例には、少なくともプラスミド、トランスポゾン、脂質、ナノ粒子などが含まれる。
【0355】
免疫細胞が、CD70標的化ポリペプチドをコードするベクターで形質導入され、細胞中に他の1つまたは複数の遺伝子、例えば自殺遺伝子および/またはサイトカインおよび/または随意の治療用遺伝子産物の形質導入も必要とする場合、そのCD70標的化ポリペプチド、自殺遺伝子、サイトカイン、および随意の治療用遺伝子は、同じベクター上にまたは同じベクターと共に含まれてもよいし、そうでなくてもよい。いくつかの事例において、CD70標的化ポリペプチド、自殺遺伝子、サイトカイン、および随意の治療用遺伝子は、同じベクター分子から、例えば同じウイルスベクター分子から発現される。そのような場合、CD70標的化ポリペプチド、自殺遺伝子、サイトカイン、および随意の治療用遺伝子の発現は、同じ制御要素によって制御されてもよいし、そうでなくてもよい。CD70標的化ポリペプチド、自殺遺伝子、サイトカイン、および随意の治療用遺伝子が同じベクター上にある場合、それらは別々のポリペプチドとして発現されてもよいし、そうでなくてもよい。別個のポリペプチドとして発現される場合、それらはベクター上で、例えば2A要素またはIRES要素によって分離されうる(または同じベクター上で両方の種類を1回もしくは2回以上使用してもよい)。
【0356】
A.一般的実施形態
当業者であれば、本開示の抗原受容体を発現させるために、標準的組換え技法(例えばSambrookら,2001およびAusubelら,1996を参照されたい。これらはどちらも参照により本明細書に組み込まれる)によってベクターを構築するための知識は、身についているだろう。
【0357】
1.制御要素
本開示において有用なベクターに含まれる発現カセットは、(5’から3’に向かって)タンパク質コード配列に作動可能に連結された真核生物転写プロモーター、介在配列を含むスプライスシグナル、および転写終結/ポリアデニル化配列を、特に含有する。真核細胞におけるタンパク質コード遺伝子の転写をコントロールするプロモーターおよびエンハンサーは、複数の遺伝要素で構成されうる。細胞機構は、各要素によって運ばれる制御情報を集めて統合することができ、それにより、異なる遺伝子が、明確に異なる、しばしば複雑な、転写制御パターンを発達させることを可能にする。本開示との関連において使用されるプロモーターには、例えば恒常的、誘導性および組織特異的プロモーターが含まれる。がん治療を生成するためにベクターを利用する場合、プロモーターは低酸素条件下で有効でありうる。
【0358】
2.プロモーター/エンハンサー
ここに提供される発現構築物は、抗原受容体および他のシストロン遺伝子産物の発現を駆動するプロモーターを含む。プロモーターは一般に、RNA合成の開始部位を位置決めするように機能する配列を含む。最もよく知られているその例はTATAボックスであるが、TATAボックスを欠く一部のプロモーター、例えば哺乳類末端デオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ遺伝子のプロモーターおよびSV40後期遺伝子のプロモーターなどでは、開始部位そのものを覆う不連続な要素が開始場所を固定するのに役立っている。追加のプロモーター要素が転写開始の頻度を制御する。典型的には、これらは開始部位から上流の領域に位置するが、いくつかのプロモーターは開始部位の下流にも機能的要素を含有することが示されている。コード配列をプロモーターの「コントロール下」に置くために、転写読み枠の転写開始部位の5’端を、選ばれたプロモーターの「下流」(すなわち3’側)に位置づける。この「上流」プロモーターは、DNAの転写を刺激し、コードされたRNAの発現を促進する。
【0359】
プロモーター要素間の間隔は融通が利く場合が多いので、各要素を互いに逆にするか移動させても、プロモーター機能は保持される。例えばtkプロモーターでは、50bpまではプロモーター要素間の間隔を増やしても、活性の低下は始まらない。プロモーターによって、個々の要素は協調してまたは独立して機能することにより、転写を活性化できるようである。プロモーターは、核酸配列の転写活性化に関与するシス作用性制御配列を指す「エンハンサー」と一緒に使用してもよいし、そうでなくてもよい。
【0360】
プロモーターは、コードセグメントおよび/またはエクソンの上流に位置する5’非コード配列を単離することによって得られるであろうように、核酸配列に天然に付随しているものであってよい。そのようなプロモーターは「内在性」ということができる。同様に、エンハンサーも、ある核酸配列の下流または上流のいずれかに位置する、その配列に天然に付随しているものであってよい。あるいは、コード核酸セグメントを、組換えプロモーターまたは異種プロモーター(これは、ある核酸配列に、その天然環境において通常は付随していないプロモーターを指す)のコントロール下に位置づけることによって、一定の利点が得られるだろう。組換えエンハンサーまたは異種エンハンサーも、ある核酸配列に、その天然環境において通常は付随していないエンハンサーを指す。そのようなプロモーターまたはエンハンサーには、他の遺伝子のプロモーターまたはエンハンサー、他の任意のウイルスまたは原核生物もしくは真核細胞から単離されたプロモーターまたはエンハンサー、ならびに「天然に存在」しない、すなわち異なる転写制御領域の異なる要素、および/または発現を変化させる変異を含有する、プロモーターまたはエンハンサーが含まれうる。例えば、組換えDNA構築において最もよく使用されるプロモーターには、β-ラクタマーゼ(ペニシリナーゼ)、ラクトースおよびトリプトファン(trp)プロモーター系がある。本明細書に開示される組成物については、プロモーターおよびエンハンサーの核酸配列を合成的に作出することに加えて、PCR(商標)を含む組換えクローニングおよび/または核酸増幅技術を使って、配列を作出してもよい。さらにまた、ミトコンドリア、クロロプラストなどの核以外の細胞小器官内での配列の転写および/または発現を指示するコントロール配列も使用することができると想定される。
【0361】
もちろん、発現のために選んだ細胞小器官、細胞タイプ、組織、器官、または生物におけるDNAセグメントの発現を効果的に指示するプロモーターおよび/またはエンハンサーを使用することが重要だろう。分子生物学の当業者は、一般に、タンパク質発現のためのプロモーター、エンハンサー、および細胞タイプの組合せの使用を知っている(例えば、参照により本明細書に組み込まれるSambrookら 1989を参照されたい)。使用されるプロモーターは、恒常的であるか、組織特異的であるか、誘導性であるか、ならびに/または、組換えタンパク質および/もしくはペプチドの大量生産に有利であるような、導入されたDNAセグメントの高レベル発現を指示するための適当な条件下で、有用でありうる。プロモーターは異種または内在性でありうる。
【0362】
加えて、発現を駆動するために、任意のプロモーター/エンハンサーの組合せを(例えば、ワールドワイドウェブのepd.isb-sib.ch/により、真核生物プロモーターデータベースEPDBに従って)使用できるだろう。T3、T7またはSP6細胞質発現系の使用は、もう一つの考えうる実施形態である。真核細胞は、送達複合体の一部として、または追加の遺伝子発現構築物として、適当な細菌ポリメラーゼが与えられるのであれば、一定の細菌プロモーターからの細胞質転写に対応することができる。
【0363】
プロモーターの非限定的な例には、初期または後期ウイルスプロモーター、例えばSV40初期または後期プロモーター、サイトメガロウイルス(CMV)前初期プロモーター、ラウス肉腫ウイルス(RSV)初期プロモーター;真核細胞プロモーター、例えばベータアクチンプロモーター、GADPHプロモーター、メタロチオネインプロモーター、および連結された応答要素プロモーター、例えばサイクリックAMP応答要素プロモーター(cre)、血清応答要素プロモーター(sre)、ホルボールエステルプロモーター(TPA)および最小TATAボックス近くの応答要素プロモーター(tre)などが含まれる。ヒト成長ホルモンプロモーター配列(例えばGenBank(登録商標)、アクセッション番号X05244、ヌクレオチド283~341に記載のヒト成長ホルモン最小プロモーター)またはマウス乳房腫瘍プロモーター(ATCCカタログ番号ATCC45007から入手できる)を使用することもできる。一定の実施形態において、プロモーターは、CMV IE、デクチン-1、デクチン-2、ヒトCD11c、F4/80、SM22,RSV、SV40、AdMLP、ベータ-アクチン、MHCクラスIまたはMHCクラスIIプロモーターであるが、治療遺伝子の発現を駆動するのに役立つ他の任意のプロモーターを、本開示の実施に応用することができる。
【0364】
一定の態様において、本開示の方法は、エンハンサー配列、すなわちプロモーターの活性を増加させる核酸配列であって、シスに、その配向とは無関係に、比較的長い距離越しにでも(ターゲットプロモーターから最大数キロベース離れていても)作用する潜在能力を有する核酸配列にも関係する。ただし、エンハンサー機能は必ずしもそのような長距離に限られるわけではない。それらは、所与のプロモーターの近傍でも機能しうるからである。
【0365】
3.開始シグナルおよび連鎖的発現
コード配列の効率のよい翻訳のために、本開示において提供される発現構築物には、特異的開始シグナルも使用されうる。これらのシグナルには、ATG開始コドンまたは隣接配列が含まれる。ATG開始コドンを含む外因的な翻訳コントロールシグナルを用意する必要がありうる。当技術分野における通常の技能を有する者であれば、すぐに、これを決定して必要なシグナルを用意することができるだろう。インサート全体の翻訳を保証するために開始部位が所望のコード配列の読み枠と「インフレーム」でなければならないことは、周知である。外因性翻訳コントロールシグナルおよび開始コドンは天然または合成のいずれであることもできる。発現の効率は適当な転写エンハンサー要素を含めることによって強化されうる。
【0366】
一定の実施形態では、多重遺伝子またはポリシストロニックメッセージを作り出すために、配列内リボソーム進入部位(IRES)要素の使用が用いられる。IRES要素は、5’メチル化キャップ依存的翻訳のリボソームスキャニングモデルを回避して、配列内部位で翻訳を開始することができる。ピコルナウイルス科の2つのメンバー(ポリオおよび脳心筋炎)からのIRES要素が、哺乳類メッセージからのIRESと共に記載されている。IRES要素は異種オープンリーディングフレームに連結することができる。複数のオープンリーディングフレームを、それぞれがIRESで分離された状態で一緒に転写することで、ポリシストロニックメッセージを作成することができる。IRES要素のおかげで、各オープンリーディングフレームは、効率のよい翻訳のためにリボソームによって利用されうる。単一のプロモーター/エンハンサーを使って単一のメッセージを転写することで、複数の遺伝子を効率よく発現させることができる。
【0367】
本明細書の他の箇所で詳述するとおり、本開示において提供される構築物における遺伝子の連鎖的発現または共発現を引き起こすために、一定の2A配列要素を使用することができるだろう。例えば、オープンリーディングフレームを連結して単一のシストロンを形成させることによって遺伝子を共発現させるために、開裂配列を使用することができるだろう。例示的な開裂配列は、ウマ鼻炎Aウイルス(E2A)もしくはF2A(口蹄疫ウイルス2A)、または「2A様」配列(例えばトセア・アシグナ(Thosea asigna)ウイルス2A;T2A)もしくはブタテッショウウイルス-1(P2A)である。具体的実施形態において、単一のベクター中の複数の2A配列は非同一であるが、別の実施形態では、同じベクターが2つ以上の同じ2A配列を利用する。2A配列の例はUS2011/0065779に掲載されており、この文献は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる.
【0368】
4.複製起点
宿主細胞中でベクターを増殖させるために、ベクターは、複製の開始点となる特異的核酸配列である1つ以上の複製起点部位(「ori」と呼ばれることが多い)、例えば上記EBVのoriPに対応する核酸配列、またはプログラミングにおいて類似するもしくは向上した機能を持つ遺伝子操作されたoriPを含有しうる。あるいは、上述した他の染色体外複製ウイルスの複製起点または自律複製配列(ARS)を使用することができる。
【0369】
5.選択マーカーおよびスクリーニング可能なマーカー
いくつかの実施形態において、本開示のCD70標的化受容体構築物を含むNK細胞は、発現ベクターにマーカーを含めることによってin vitroまたはin vivoで同定されうる。そのようなマーカーは同定可能な変化を細胞に付与して、その発現ベクターを含有する細胞の同定を容易にするだろう。一般に選択マーカーは、選択を可能にする性質を付与するものである。正の選択マーカーは、マーカーの存在がその選択を可能にするものであり、負の選択マーカーは、その存在がその選択を妨げるものである。正の選択マーカーの一例は薬剤耐性マーカーである。
【0370】
通常、薬剤選択マーカーを含めることは、形質転換体のクローニングと同定に役立ち、例えばネオマイシン、ピューロマイシン、ハイグロマイシン、DHFR、GPT、ゼオシンおよびヒスチジノールに対する耐性を付与する遺伝子は、有用な選択マーカーである。条件付けに基づく形質転換体の識別を可能にする表現型を付与するマーカーの他に、比色分析に基づくGFPなどのスクリーニング可能なマーカーを含む、他のタイプのマーカーも想定される。あるいは、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(tk)またはクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)などといった、負の選択マーカーとしてのスクリーニング可能な酵素を利用してもよい。当業者には、免疫学的マーカーをおそらくはFACS分析と併せて使用する方法も、わかるだろう。使用されるマーカーは、それが遺伝子産物をコードする核酸と同時に発現されうる限り、重要ではないと考えられる。選択マーカーおよびスクリーニング可能マーカーのさらなる例は、当業者には周知である。
【0371】
B.多シストロン性ベクター
特定の実施形態において、CD70標的化受容体、随意の自殺遺伝子、随意のサイトカイン、および/または随意の治療用遺伝子は、多シストロン性ベクター(本明細書において使用される「シストロン」という用語はそこから遺伝子産物が産生されうる核酸配列を指す)から発現される。具体的実施形態において、多シストロン性ベクターは、CD70標的化受容体、自殺遺伝子、および少なくとも1つのサイトカイン、および/または工学的に操作された受容体、例えばT細胞受容体および/または追加の非CD70標的化CARをコードする。いくつかの事例において、多シストロン性ベクターは、少なくとも1つのCD70標的化CAR、少なくとも1つのTNF-アルファ変異体、および少なくとも1つのサイトカインをコードする。サイトカインは、特定タイプのサイトカイン、例えばヒトまたはマウスまたは任意の種のサイトカインでありうる。具体的事例において、サイトカインはIL15、IL12、IL2、IL18、および/またはIL21である。
【0372】
一定の実施形態において、本開示は、複数のシストロンを実質的に同一レベルで発現させる能力を有するポリシストロニックベクターを利用する、フレキシブルなモジュール系を提供する(本明細書において使用される「モジュール」という用語は、シストロンまたはシストロンの構成要素であって、それぞれシストロン全体またはシストロンの構成要素を例えば標準的組換え技法を使用して取り除き置き換えることなどによる、互換性を見込めるものを指す)を提供する。この系は、複数の遺伝子のコンビナトリアル発現(過剰発現を含む)を可能にする工学的操作を細胞に加えるために使用しうる。具体的実施形態では、ベクターによって発現される遺伝子のうちの1つ以上が、1つ、2つまたはそれ以上の抗原受容体を含む。前記複数の遺伝子は、CAR、TCR、サイトカイン、ケモカイン、ホーミング受容体、CRISPR/Cas9媒介遺伝子変異、デコイ受容体、サイトカイン受容体、キメラサイトカイン受容体などを含みうるが、それらに限るわけではない。ベクターは、(1)1つ以上のレポーター、例えば蛍光レポーターまたは酵素レポーター、例えば細胞アッセイ用および動物イメージング用、(2)1つ以上のサイトカインまたは他のシグナル伝達分子、および/または(3)自殺遺伝子を、さらに含みうる。
【0373】
具体的事例において、ベクターは、2A開裂部位など、任意の種類の開裂部位によって分離された、少なくとも4つのシストロンを含みうる。ベクターは、pUC19バックボーン中の3’および5’LTRとプサイ・パッケージング配列とを含むモロニーマウス白血病ウイルス(MoMLVまたはMMLV)系であってもよいし、そうでなくてもよい。ベクターは、4つ以上のシストロンを、3つ以上の2A開裂部位および複数の遺伝子交換用ORFと共に含みうる。この系により、サブクローニングによる迅速な組込みのための制限部位が隣接する複数の遺伝子(7つ以上)のコンビナトリアル過剰発現が可能になる。またこの系は、いくつかの実施形態では、少なくとも3つの2A自己開裂部位も含む。したがってこの系により、複数のCAR、TCR、シグナル伝達分子、サイトカイン、サイトカイン受容体、および/またはホーミング受容体の発現が可能になる。この系は、例えば限定するわけではないがレンチウイルス、アデノウイルス、AAV、および非ウイルスプラスミドなど、他のウイルスおよび非ウイルスベクターにも応用しうる。
【0374】
この系のモジュール性は、例えば迅速な試験のための、ポリシストロニック発現ベクター中の4つのシストロンのそれぞれへの遺伝子の効率の良いサブクローニングおよび遺伝子の交換も可能にする。ポリシストロニック発現ベクター中に戦略的に配置された制限部位は効率の良い遺伝子の交換を可能にする。
【0375】
本開示の実施形態は、ポリシストロニックベクターを利用する系であって、そのベクターの少なくとも一部が、例えば1つ以上のシストロン(または1つ以上のシストロンの1つ以上の構成要素)の除去と置換えを可能にすることによって(これは例えば、その実体と場所とがベクターのモジュール使用を容易にするように特に選択されている1つ以上の制限酵素を利用することなどによる)モジュール式であるものを包含する。このベクターは、複数のシストロンが単一のポリペプチドに翻訳され、別々のポリペプチドにプロセシングされることにより、別々の遺伝子産物を実質上等モル濃度で発現させるという利点をベクターに付与する実施形態も有する。
【0376】
本開示のベクターは、そのモジュール性により、ベクターの1つ以上のシストロンを変更することおよび/または1つ以上の特定のシストロンの1つ以上の構成要素を変更することができるように構成される。ベクターは、1つ以上のシストロンの端部に隣接するおよび/または特定のシストロンの1つ以上の構成要素の端部に隣接する、ユニークな制限酵素部位を利用するように設計されうる。
【0377】
本開示の実施形態には、それぞれに1つ以上の制限酵素部位が隣接している少なくとも2つ、少なくとも3つ、または少なくとも4つのシストロンを含み、少なくとも1つのシストロンが少なくとも1つの抗原受容体をコードする、ポリシストロニックベクターが含まれる。いくつかの事例では、シストロンのうちの2つ、3つ、4つまたはそれ以上が単一のポリペプチドに翻訳され、開裂されて別々のポリペプチドになるが、別の事例では、複数のシストロンが単一のポリペプチドに翻訳され、開裂されて別々のポリペプチドになる。ベクター上の隣接するシストロンは2A自己開裂部位などの自己開裂部位によって分離されうる。いくつかの事例において、シストロンのそれぞれはベクターから別々のポリペプチドを発現させる。特定の事例では、ベクター上の隣接するシストロンがIRES要素によって分離される。
【0378】
一定の実施形態において、本開示は、例えば1つ、2つまたはそれ以上の抗原受容体を含みうる複数のシストロンの、過剰発現を含むコンビナトリアル発現を可能にする細胞の工学的操作のための系を提供する。特定の実施形態において、本明細書記載のポリシストロニックベクターの使用は、ベクターが同じmRNAから複数の遺伝子産物を等モルレベルで産生することを可能にする。前記複数の遺伝子は、CAR、TCR、サイトカイン、ケモカイン、ホーミング受容体、CRISPR/Cas9媒介遺伝子変異、デコイ受容体、サイトカイン受容体、キメラサイトカイン受容体などを含みうるが、それらに限るわけではない。ベクターは、例えば細胞アッセイおよび動物イメージングのために、1つ以上の蛍光レポーターまたは酵素レポーターを、さらに含みうる。ベクターは、そのベクターを内包する細胞がもはや必要ではなくなった場合またはそれらが提供された宿主にとって有害になった場合に、それらを終結させるための、自殺遺伝子産物も含みうる。
【0379】
具体的実施形態において、ベクターはウイルスベクター(例えばレトロウイルスベクター、レンチウイルスベクター、アデノウイルスベクター、またはアデノ随伴ウイルスベクター)または非ウイルスベクターである。ベクターは、モロニーマウス白血病ウイルス(MMLV)5’LTR、3’LTR、および/またはプサイ・パッケージング要素を含みうる。具体的事例では、プサイ・パッケージングが5’LTRと抗原受容体コード配列の間に組み込まれる。ベクターはpUC19配列を含んでもよいし、含まなくてもよい。ベクターのいくつかの態様において、少なくとも1つのシストロンは、サイトカイン(例えばIL-15、IL-7、IL-21、IL-23、IL-18、IL-12、またはIL-2)、ケモカイン、サイトカイン受容体、および/またはホーミング受容体をコードする。
【0380】
ベクター中に2A開裂部位が利用される場合、その2A開裂部位はP2A、T2A、E2Aおよび/またはF2A部位を含みうる。
【0381】
制限酵素部位は任意の種類であることができ、その認識部位に塩基を、例えば4~8塩基の間で、いくつでも含みうる。認識部位中の塩基の数は、少なくとも4、5、6、7、8、またはそれ以上でありうる。この部位は、切断された場合に、平滑端または付着端を生成しうる。制限酵素は、例えばI型、II型、III型、またはIV型でありうる。制限酵素部位は、Integrated relational Enzyme database(IntEnz)またはBRENDA(The Comprehensive Enzyme Information System)などの利用可能なデータベースから得ることができる。
【0382】
例示的ベクターは環状であることができ、慣例により、この場合、位置1(円の最上部の12時の位置、残りの配列は時計方向に描く)は、5’LTRの開始点に設定される。
【0383】
自己開裂性2Aペプチドを利用する実施形態において、その2Aペプチドは、真核細胞における翻訳中のポリペプチドの「開裂」を媒介する、18~22アミノ酸(aa)長のウイルスオリゴペプチドでありうる。「2A」という名称は、ウイルスゲノムの特定領域を指し、異なるウイルス2Aは一般にそれらが由来するウイルスに因んで名付けられている。最初に発見された2AはF2A(口蹄疫ウイルス)であり、その後、E2A(ウマ鼻炎Aウイルス)、P2A(ブタテッショウウイルス-1 2A)、およびT2A(トセア・アシグナ(Thosea asigna)ウイルス2A)も同定された。2Aが媒介する「自己開裂」の機序は、2AのC末におけるグリシル-プロリルペプチド結合の形成をリボソームがスキップすることであることが発見された。
【0384】
具体的事例において、ベクターはγ-レトロウイルス移入ベクターでありうる。レトロウイルス移入ベクターは、pUC19プラスミド(HindIII制限酵素部位とEcoRI制限酵素部位の間にある大フラグメント(2.63kb))などのプラスミド上のバックボーンを含みうる。バックボーンは5’LTR、プサイ・パッケージング配列および3’LTRを含むモロニーマウス白血病ウイルス(MoMLV)からのウイルス構成要素を保持しうる。LTRは、レトロウイルスプロウイルスの両側に見いだされる長い末端反復であり、移入ベクターの場合は、関心対象の遺伝子カーゴ、例えばCD70標的化CARおよび関連構成要素を挟み込んでいる。ヌクレオキャプシドによるパッケージングのターゲット部位であるプサイ・パッケージング配列もシスに組み込まれ、5’LTRとCARコード配列の間に挟まれる。したがって、移入ベクターの例の基本構造は、pUC19配列-5’LTR-プサイ・パッケージング配列-関心対象の遺伝子カーゴ-3’LTR-pUC19配列のように構成させることができる。この系は、例えば限定するわけではないがレンチウイルス、アデノウイルスAAV、および非ウイルスプラスミドなど、他のウイルスおよび非ウイルスベクターにも応用しうる。
【0385】
XIII.細胞
本開示は、任意の種類の免疫細胞および幹細胞を含む細胞であって、CD70標的化ポリペプチド(例えばCD70抗体、CD70 CAR、および/またはCD70エンゲージャー)をコードし、少なくとも1つのサイトカインおよび/または少なくとも1つの自殺遺伝子もコードしうる、少なくとも1つのベクターを内包する細胞を包含する。いくつかの事例では、CD70標的化ポリペプチドと、自殺遺伝子および/またはサイトカインとを、異なるベクターがコードする。NK細胞を含む免疫細胞は、臍帯血(複数の供給源からのプール臍帯血を含む)、末梢血、誘導多能性幹細胞(iPSC)、造血幹細胞(HSC)、骨髄、またはそれらの混合物に由来しうる。NK細胞は、例えばNK-92細胞などの細胞株に由来しうる。NK細胞は、臍帯血単核球、例えばCD56NK細胞でありうる。
【0386】
本開示は、例えば通常T細胞、ガンマ・デルタT細胞、NKT細胞およびインバリアントNKT細胞、制御性T細胞、マクロファージ、B細胞、樹状細胞、間葉系間質細胞(MSC)、またはそれらの混合物を含む、任意の種類の免疫細胞または他の細胞を包含する。
【0387】
いくつかの事例において、細胞は、任意の適切な比であることを含む、有効量のユニバーサル抗原提示細胞(UAPC)の存在下で拡大されたものである。細胞は、例えば1:2の比を含む10:1~1:10、9:1~1:9、8:1~1:8、7:1~1:7、6:1~1:6、5:1~1:5、4:1~1:4、3:1~1:3、2:1~1:2、または1:1の比で、UAPCと共に培養しうる。いくつかの事例では、NK細胞を、例えば10~500、10~400、10~300、10~200、10~100、10~50、100~500、100~400、100~300、100~200、200~500、200~400、200~300、300~500、300~400、または400~500U/mLの濃度のIL-2の存在下で拡大した。
【0388】
1つまたは複数のベクターによる遺伝子改変後は、NK細胞を直ちに注入するか、または貯蔵しうる。一定の態様では、遺伝子改変に続いて、細胞への遺伝子移入後、約1、2、3、4、5日以内に、細胞を、バルク集団として、数日、数週間、または数ヶ月にわたってex vivoで増殖させうる。さらなる一態様では、トランスフェクタントがクローニングされ、単一の組み込まれたまたはエピソームとして維持された発現カセットまたはプラスミドの存在とCD70標的化ポリペプチド(例えばCD70抗体、CD70 CAR、および/またはCD70エンゲージャー)の発現とを呈するクローンがex vivoで拡大される。拡大のために選択されるクローンは、CD70発現ターゲット細胞を特異的に認識して溶解する能力を呈する。組換え免疫細胞は、IL-2または共通ガンマ鎖(例えばIL-7、IL-12、IL-15、IL-21、IL-23、その他)に結合する他のサイトカインで刺激することによって拡大されうる。組換え免疫細胞は、人工抗原提示細胞で刺激することによって拡大されうる。さらなる一態様において、遺伝子改変細胞は凍結保存されうる。
【0389】
本開示の実施形態は、そこに含まれている1つ以上のCD70標的化CARと1つ以上の自殺遺伝子とを発現する細胞を包含する。NK細胞は、具体的実施形態では、1つ以上のCD70標的化CARと1つ以上の工学的に操作された非分泌性膜結合型TNF-アルファ変異体ポリペプチドとをコードする組換え核酸を含む。具体的実施形態では、1つ以上のCD70標的化CARとTNF-アルファ変異体ポリペプチドとを発現することに加えて、細胞は、1つ以上の治療用遺伝子産物をコードする核酸も含む。
【0390】
細胞は個体から直接得るか、または保管機関もしくは他の貯蔵施設から得ることができる。治療としての細胞は、その細胞を治療として与えられる個体にとって自家または同種異系でありうる。
【0391】
細胞は、ある医学的状態について治療を必要とする個体に由来し、CD70標的化ペプチド(例えばCD70抗体、CD70 CAR、および/またはCD70エンゲージャー)と、随意の自殺遺伝子、1つまたは複数の随意のサイトカイン、および1つまたは複数の随意の治療用遺伝子産物とを発現するようにそれらを(例えば養子細胞治療のための標準的形質導入および拡大技法を使って)操作した後、それらの元の供給源である個体に、それらを戻しうる。いくつかの事例において、細胞は、後で、その個体または別の個体に使用するために貯蔵される。
【0392】
免疫細胞は細胞の集団に含まれていてよく、その集団は大部分に1つ以上のCD70標的化ポリペプチドおよび/または1つ以上の自殺遺伝子および/または1つ以上のサイトカインが形質導入されていてよい。細胞集団では、免疫細胞の少なくとも、または最大で、または正確に51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、もしくは100%、またはそれらのうちの任意の2つの間のパーセンテージに、1つ以上のCD70標的化ポリペプチドおよび/または1つ以上の自殺遺伝子および/または1つ以上のサイトカインが形質導入されている。前記1つ以上のCD70標的化ポリペプチドおよび/または1つ以上の自殺遺伝子および/または1つ以上のサイトカインは別々のポリペプチドでありうる。
【0393】
免疫細胞は、前記1つ以上のCD70標的化ポリペプチドおよび/または1つ以上の自殺遺伝子および/または1つ以上のサイトカインを使って、特定の目的に関してモジュール式になるように作出されうる。例えば、CD70標的化CARおよび/または1つ以上の自殺遺伝子および/または1つ以上のサイトカインを発現する細胞が、商業的販売などのために作製され(またはその後の形質導入のための変異体をコードする核酸と共に販売され)、ユーザーは、意図された目的に応じて1つ以上の他の関心対象の遺伝子(治療用遺伝子を含む)を発現するように、それらを改変しうる。例えば、CD70陽性がんを含むCD70陽性細胞を処置することに関心を持つ個体は、自殺遺伝子発現細胞(または異種サイトカイン発現細胞)を入手しまたは作製して、CD70標的化ポリペプチドを含む状態を発現するように、それらを改変し、またはその逆を行いうる。
【0394】
特定の実施形態では、NK細胞が利用され、1つ以上のCD70標的化ポリペプチドおよび/または1つ以上の自殺遺伝子および/または1つ以上のサイトカインを発現する形質導入NK細胞のゲノムが改変される。ゲノムはどの方法でも改変されうるが、特定実施形態では、例えばCRISPR遺伝子編集によってゲノムが改変される。細胞のゲノムは任意の目的で細胞の有効性を強化するように改変されうる。
【0395】
XIV.細胞の遺伝子編集
特定の実施形態において、少なくともCD70標的化ポリペプチドを含む細胞は、その細胞中で1つ以上の内在性遺伝子の発現を改変するために遺伝子編集される。特定の事例では、CD70特異的CAR細胞が、1つ以上の内在性遺伝子の発現の阻害(これはノックアウトされたということもできる)を含めて、1つ以上の内在性遺伝子の発現のレベルが低減されるように改変される。そのような細胞は拡大されてもされなくてもよい。
【0396】
特定の事例では、CD70特異的CAR細胞の1つ以上の内在性遺伝子が改変され、例えば発現が破損されて、発現の部分的または完全な低減が起こる。具体的事例では、本開示のプロセスを使って1つ以上の遺伝子がノックダウンまたはノックアウトされる。具体的事例では、複数の遺伝子がノックダウンまたはノックアウトされ、それは、それらの作出における同じ工程で行われてもよいし、そうでなくてもよい。CD70特異的CAR細胞中の編集される遺伝子はどの種類であってもよいが、具体的実施形態では、それらの遺伝子は、その遺伝子産物が、CD70特異的CAR NK細胞、例えば一例として臍帯血に由来するものを含む、CD70特異的CAR細胞の活性および/または増殖を阻害する遺伝子である。具体的事例では、CD70特異的CAR細胞中の編集される遺伝子により、CD70特異的CAR細胞は、腫瘍微小環境においてより効果的に働くことが可能になる。具体的事例において、前記遺伝子は、NKG2A、SIGLEC-7、LAG3、TIM3、CISH、FOXO1、TGFBR2、TIGIT、CD96、ADORA2、NR3C1、PD1、PDL-1、PDL-2、CD47、SIRPA、SHIP1、ADAM17、RPS6、4EBP1、CD25、CD40、IL21R、ICAM1、CD95、CD80、CD86、IL10R、CD5、およびCD7のうちの1つ以上である。具体的な実施形態では、TGFBR2遺伝子が、CD70特異的CAR細胞においてノックアウトまたはノックダウンされる。
【0397】
いくつかの実施形態において、遺伝子編集は、1つ以上のDNA結合核酸を使って、例えばRNA誘導型エンドヌクレアーゼ(RGEN)による改造を使って、実行される。例えば改造は、クラスター化して規則的な配置の短い回文配列リピート(CRISPR)およびCRISPR関連(Cas)タンパク質を使って実行することができ、いくつかの実施形態ではCas9の代わりにCpF1が利用される。一般に「CRISPR系」とは、Cas遺伝子をコードする配列、tracr(トランス活性化型CRISPR)配列(例えばtracrRNAまたは活性部分tracrRNA)、tracrメイト配列(内在性CRISPR系との関連においては「ダイレクトリピート」およびtracrRNAでプロセシングされる部分ダイレクトリピートを包含する)、ガイド配列(内在性CRISPR系との関連においては「スペーサー」とも呼ばれる)、ならびに/またはCRISPR座位からの他の配列および転写産物を含む、CRISPR関連(「Cas」)遺伝子の発現に関与しまたはその活性を指示する転写産物および他の要素を一括して指す。
【0398】
CRISPR/CasヌクレアーゼまたはCRISPR/Casヌクレアーゼ系は、DNAに配列特異的に結合する非コードRNA分子(ガイド)RNAと、ヌクレアーゼ機能性(例えば2つのヌクレアーゼドメイン)を持つCasタンパク質(例えばCas9)とを含むことができる。CRISPR系の1つ以上の要素は、例えば化膿性レンサ球菌(Streptococcus pyogenes)などの内在性CRISPR系を含む特定生物に由来するI型、II型、またはIII型CRISPR系に由来することができる。
【0399】
いくつかの態様では、CasヌクレアーゼとgRNA(ターゲット配列に特異的なcrRNAと固定されたtracrRNAとの融合物を含む)とが細胞中に導入される。一般に、gRNAの5’端にあるターゲット部位は、相補的塩基対合を使って、Casヌクレアーゼをターゲット部位、例えば遺伝子にターゲティングする。ターゲット部位は、典型的にはNGGまたはNAGなどであるプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)配列のすぐ5’側というその場所に基づいて、選択されうる。これに関連して、gRNAは、ガイドRNAの最初の20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、または10ヌクレオチドをターゲットDNA配列に対応するように改変することによって、所望の配列にターゲティングされる。一般に、CRISPR系は、ターゲット配列の部位におけるCRISPR複合体の形成を促進する要素を特徴とする。通例、「ターゲット配列」とは、ガイド配列がそれに対して相補性を有するように設計される配列を広く指し、ターゲット配列とガイド配列の間のハイブリダイゼーションは、CRISPR複合体の形成を促進する。ハイブリダイゼーションを引き起こしてCRISPR複合体の形成を促進するのに足りる相補性があるのであれば、完全な相補性は必ずしも必要ない。
【0400】
CRISPR系は、本明細書において述べるように、ターゲット部位における二本鎖切断(double stranded break:DSB)と、それに続く破損または改造を誘導することができる。別の実施形態では、「ニッカーゼ」とみなされるCas9バリアントが、ターゲット部位において一本鎖にニックを入れるために使用される。例えば特異性を改良するために、ニックが同時に導入された時に5’オーバーハングが導入されるように、一対の異なるgRNA標的化配列によってそれぞれが指示される一対のニッカーゼを使用することができる。別の実施形態では、遺伝子発現に影響を及ぼすために、触媒不活性型Cas9が転写抑制因子または転写活性化因子などの異種エフェクタードメインに融合される。
【0401】
ターゲット配列は、DNAポリヌクレオチドまたはRNAポリヌクレオチドなど、任意のポリヌクレオチドを含みうる。ターゲット配列は、細胞の核または細胞質に、例えば細胞の細胞小器官内に、位置しうる。一般に、ターゲット配列を含む標的座位への組換えのための配列またはテンプレートは、「編集テンプレート」または「編集ポリヌクレオチド」または「編集配列」と呼ばれる。いくつかの態様では、外因性テンプレートポリヌクレオチドを編集テンプレートと呼びうる。いくつかの態様において、組換えは相同組換えである。
【0402】
通例、内在性CRISPR系との関連では、CRISPR複合体(ターゲット配列にハイブリダイズし、かつ1つ以上のCasタンパク質と複合体を形成している、ガイド配列を含む)の形成が、ターゲット配列中のまたはその近くの(例えばターゲット配列から1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、50塩基対内の、またはそれ以上離れた)一方の鎖または両方の鎖の開裂をもたらす。野生型tracr配列の全部または一部(例えば野生型tracr配列のうちの少なくとも、または最大で、または正確に約20、26、32、45、48、54、63、67、85個、またはそれ以上の、またはそれらのうちの任意の2つの間の、ヌクレオチド)を含むか、またはそれらからなるtracr配列も、例えばガイド配列に作動可能に連結されたtracrメイト配列の全部または一部へのtracr配列の少なくとも一部分に沿ったハイブリダイゼーションなどによって、CRISPR複合体の一部を形成しうる。tracr配列は、tracrメイト配列に対して、ハイブリダイズしてCRISPR複合体の形成に参加するのに足りる相補性、例えば最適にアライメントした場合にtracrメイト配列の全長にわたって少なくとも、または最大で、または正確に50%、60%、70%、80%、90%、95%もしくは99%の、またはそれらのうちの任意の2つの間のパーセンテージの、配列相補性を有する。
【0403】
CRISPR系の1つ以上の要素の発現を駆動する1つ以上のベクターを、それらCRISPR系の要素の発現が1つ以上のターゲット部位におけるCRISPR複合体の形成を指示するように、細胞中に導入することができる。構成要素はタンパク質および/またはRNAとして細胞に送達することもできる。例えばCas酵素、tracrメイト配列に連結されたガイド配列、およびtracr配列は、それぞれ別々のベクター上の別々の制御要素に作動可能に連結することができるだろう。あるいは、同じ制御要素または異なる制御要素から発現される2つ以上の要素を1つのベクター中で組み合わせ、1つ以上の追加ベクターが最初のベクターに含まれていないCRISPR系の任意の構成要素を提供するようにしてもよい。ベクターは、制限エンドヌクレアーゼ認識配列などの1つ以上の挿入部位(「クローニング部位」ともいう)を含みうる。いくつかの実施形態において、1つ以上の挿入部位は、1つ以上のベクターの1つ以上の配列要素の上流および/または下流に位置する。複数の異なるガイド配列を使用する場合は、単一の発現構築物を使って、CRISPR活性を、細胞内の複数の異なる対応ターゲット配列にターゲティングしうる。
【0404】
ベクターは、Casタンパク質などのCRISPR酵素をコードする酵素コード配列に作動可能に連結された制御要素を含みうる。Casタンパク質の非限定的な例としては、Cas1、Cas1B、Cas2、Cas3、Cas4、Cas5、Cas6、Cas7、Cas8、Cas9(Csn1およびCsx12としても知られている)、Cas10、Csy1、Csy2、Csy3、Cse1、Cse2、Csc1、Csc2、Csa5、Csn2、Csm2、Csm3、Csm4、Csm5、Csm6、Cmr1、Cmr3、Cmr4、Cmr5、Cmr6、Csb1、Csb2、Csb3、Csx17、Csx14、Csx10、Csx16、CsaX、Csx3、Csx1、Csx15、Csf1、Csf2、Csf3、Csf4、Cpf1(Cas12a)それらのホモログ、またはそれらの改変版が挙げられる。これらの酵素は知られており、例えば化膿性レンサ球菌Cas9タンパク質のアミノ酸配列はSwissProtデータベースにアクセッション番号Q99ZW2として見いだしうる。
【0405】
CRISPR酵素はCas9(例えば化膿性レンサ球菌または肺炎レンサ球菌からのもの)であることができる。いくつかの事例では、Cpf1(Cas12a)がCas9の代わりにエンドヌクレアーゼとして使用されうる。CRISPR酵素は、ターゲット配列の場所における、例えばターゲット配列内および/またはターゲット配列の相補鎖内での、一方または両方の鎖の開裂を指示することができる。ベクターは、変異型CRISPR酵素がターゲット配列を含有するターゲットポリヌクレオチドの一方の鎖または両方の鎖を開裂する能力を欠くような形で、対応する野生型酵素に対して変異しているCRISPR酵素を、コードすることができる。例えば、化膿性レンサ球菌由来のCas9のRuvCI触媒ドメインにおけるアスパラギン酸からアラニンへの置換(D10A)は、Cas9を両方の鎖を開裂するヌクレアーゼから、ニッカーゼ(これは単一の鎖を開裂する)へと変換する。いくつかの実施形態において、Cas9ニッカーゼは、DNAターゲットのセンス鎖およびアンチセンス鎖をそれぞれ標的とするガイド配列、例えば2つのガイド配列と、組み合わせて使用されうる。この組合せにより、両方の鎖にニックを入れ、それを使ってNHEJまたはHDRを誘導することができる。
【0406】
いくつかの実施形態において、CRISPR酵素をコードする酵素コード配列は、真核細胞など、特定の細胞における発現のために、コドン最適化される。真核細胞は、限定するわけではないがヒト、マウス、ラット、ウサギ、イヌ、または非ヒト霊長類を含む哺乳動物などといった特定生物の細胞であるか、またはそれら特定動物に由来しうる。一般に、コドン最適化とは、関心対象の宿主細胞における発現を強化するために、ネイティブ配列の少なくとも1つのコドンを、ネイティブアミノ酸配列を維持したまま、その宿主細胞の遺伝子中でより高頻度にまたは最も高頻度に使用されるコドンで置き換えることによって、核酸配列を改変するプロセスを指す。さまざまな種が、ある特定アミノ酸の一定のコドンに対して、特定のバイアスを呈する。コドンバイアス(生物間でのコドン使用頻度の相違)は、しばしば、メッセンジャーRNA(mRNA)の翻訳の効率と相関し、そしてそれは、なかんずく、翻訳されるコドンの性質と特定トランスファーRNA(tRNA)分子の利用可能性とに依存すると考えられている。ある細胞における、選択されたtRNAの優勢は、一般に、ペプチド合成において最も高頻度に使用されるコドンを反映している。したがって、コドン最適化に基づいて、遺伝子を、所与の生物における最適な遺伝子発現に適応させることができる。
【0407】
一般に、ガイド配列は、ターゲット配列とハイブリダイズして、ターゲット配列へのCRISPR複合体の配列特異的結合を指示するのに足りる、ターゲットポリヌクレオチド配列との相補性を有する任意のポリヌクレオチド配列である。いくつかの実施形態において、ガイド配列とその対応ターゲット配列の間の相補性の程度は、適切なアライメントアルゴリズムを使って最適にアライメントした場合に、少なくとも、または最大で、または正確に約50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、99%、もしくはそれ以上の、またはそれらのうちの任意の2つの間のパーセンテージである。
【0408】
最適なアライメントは、配列を整列させるための任意の適切なアルゴリズムを使って決定してよく、そのようなアルゴリズムの非限定的な例には、Smith-Watermanアルゴリズム、Needleman-Wunschアルゴリズム、Burrows-Wheeler変換に基づくアルゴリズム、(例えばBurrows Wheelerアライナー)、Clustal W、Clustal X、BLAT、Novoalign(Novocraft Technologies、ELAND(ILLUMINA(登録商標)、カリフォルニア州サンディエゴ)、SOAP(soap.genomics.org.cnで利用可能)、およびMaq(maq.sourceforge.netで利用可能)が含まれる。
【0409】
CRISPR酵素は1つ以上の異種タンパク質ドメインを含む融合タンパク質の一部であってもよい。CRISPR酵素融合タンパク質は任意の追加タンパク質配列と、随意で、任意の2つのドメイン間のリンカー配列とを含みうる。CRISPR酵素に融合しうるタンパク質ドメインの例としては、限定するわけではないが、エピトープタグ、レポーター遺伝子配列、および以下の活性のうちの1つまたは複数を有するタンパク質ドメインが挙げられる:メチラーゼ活性、デメチラーゼ活性、転写活性化活性、転写抑制活性、転写放出因子(transcription release factor)活性、ヒストン修飾活性、RNA開裂活性および核酸結合活性。エピトープタグの非限定的な例には、ヒスチジン(His)タグ、V5タグ、FLAGタグ、インフルエンザヘマグルチニン(HA)タグ、Mycタグ、VSV-Gタグ、およびチオレドキシン(Trx)タグが含まれる。レポーター遺伝子の例としては、グルタチオン-5-トランスフェラーゼ(GST)、セイヨウワサビペルオキシダーゼ(HRP)、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)ベータガラクトシダーゼ、ベータ-グルクロニダーゼ、ルシフェラーゼ、緑色蛍光タンパク質(GFP)、HcRed、DsRed、シアン蛍光タンパク質(CFP)、黄色蛍光タンパク質(YFP)、および青色蛍光タンパク質(BFP)を含む自己蛍光タンパク質が挙げられるが、それらに限るわけではない。CRISPR酵素は、DNA分子に結合するか、または他の細胞分子、例えば限定するわけではないが、マルトース結合タンパク質(MBP)、Sタグ、Lex A DNA結合ドメイン(DBD)融合物、GAL4A DNA結合ドメイン融合物、および単純ヘルペスウイルス(HSV)BP16タンパク質融合物に結合する、タンパク質またはタンパク質のフラグメントをコードする遺伝子配列に融合しうる。CRISPR酵素を含む融合タンパク質の一部を形成しうる追加ドメインは、参照により本明細書に組み込まれるUS20110059502に記載されている。
【0410】
XV.治療方法
本開示の組成物はin vivo、in vitroまたはex vivo投与に使用しうる。組成物の投与経路は、例えば皮内、皮下、静脈内、局所、外用、および腹腔内投与でありうる。
【0411】
A.がん治療
いくつかの実施形態において、開示される方法は患者にがん治療を施行することを含む。いくつかの実施形態において、がん治療は局所がん治療を含む。いくつかの実施形態において、がん治療からは全身性がん治療(systemic cancer therapy)が除外される。いくつかの実施形態において、がん治療からは局所治療が除外される。いくつかの実施形態において、がん治療は局所がん治療を含み、全身性がん治療(system cancer therapy)の施行を伴わない。いくつかの実施形態において、がん治療は免疫治療を含み、それは免疫チェックポイント治療でありうる。またこれらのがん治療はいずれも除外されうる。これらの治療の組合せも施行されうる。例えばいくつかの事例では、本開示の抗CD70 CARを発現する免疫細胞を、1つ以上の抗体または1つ以上の二重特異性もしくは多重特異性免疫細胞エンゲージャーと共に投与することができる。
【0412】
本明細書において使用される「がん」という用語は、固形腫瘍、転移がん、または非転移がんを記載するために使用されうる。一定の実施形態において、がんは、膀胱、血液、骨、骨髄、脳、乳房、結腸、食道、十二指腸、小腸、大腸、結腸、直腸、肛門、歯肉、頭部、腎臓、肝臓、肺、鼻咽頭、頸部、卵巣、膵臓、前立腺、皮膚、胃、精巣、舌、または子宮に生じうる。いくつかの実施形態において、がんは再発がんである。いくつかの実施形態において、がんはステージIのがんである。いくつかの実施形態において、がんはステージIIのがんである。いくつかの実施形態において、がんはステージIIIのがんである。いくつかの実施形態において、がんはステージIVのがんである。
【0413】
がんは、具体的には、以下の組織型のものでありうるが、それらに限るわけではない:新生物、悪性;癌;癌、未分化;巨細胞および紡錘細胞癌;小細胞癌;乳頭癌;扁平上皮癌;リンパ上皮癌;基底細胞癌;毛母癌;移行上皮癌;乳頭状移行上皮癌;腺癌;ガストリノーマ、悪性;胆管癌;肝細胞癌;混合型の肝細胞癌および胆管癌;索状腺癌;腺様嚢胞癌;腺腫性ポリープ中の腺癌;腺癌、家族性大腸腺腫症;固形癌;カルチノイド腫瘍、悪性;細気管支-肺胞腺癌;乳頭状腺癌;嫌色素性癌;好酸性癌;好酸性腺癌;好塩基性癌;明細胞腺癌;顆粒細胞癌;濾胞腺癌;乳頭状濾胞状腺;非被包性硬化性癌;副腎皮質癌;類内膜癌;皮膚付属器癌;アポクリン腺癌;皮脂腺癌;耳垢腺癌;粘膜表皮癌;嚢胞腺癌;乳頭状嚢胞腺癌;乳頭状漿液性嚢胞腺癌;粘液性嚢胞腺癌;粘液性腺癌;印環細胞癌;浸潤性導管癌;髄様癌;小葉癌;炎症性癌;パジェット病、乳房;腺房細胞癌;腺扁平上皮癌;扁平上皮化生随伴腺癌;胸腺腫、悪性;卵巣間質性腫瘍、悪性;莢膜細胞腫、悪性;顆粒膜細胞腫、悪性;アンドロブラストーマ、悪性;セルトリ細胞癌;ライディッヒ細胞腫瘍、悪性;リピド細胞腫、悪性;傍神経節腫、悪性;乳房外傍神経節腫、悪性;褐色細胞腫;グロムス血管肉腫;悪性黒色腫;メラニン欠乏性黒色腫;表在拡大型黒色腫;巨大色素性母斑中の悪性黒色腫;類上皮細胞黒色腫;青色母斑、悪性;肉腫;線維肉腫;線維性組織球腫、悪性;粘液肉腫;脂肪肉腫;平滑筋肉腫;横紋筋肉腫;胎児性横紋筋肉腫;胞巣状横紋筋肉腫;間質肉腫;混合腫瘍、悪性;ミュラー管混合腫瘍;腎芽腫;肝芽腫;癌肉腫;間葉腫、悪性;ブレンナー腫瘍、悪性;葉状腫瘍、悪性;滑膜肉腫;中皮腫、悪性;未分化胚細胞腫;胎児性癌;奇形腫、悪性;卵巣甲状腺腫、悪性;絨毛癌;中腎腫、悪性;血管肉腫;血管内皮腫、悪性;カポジ肉腫;血管周囲細胞腫、悪性;リンパ管肉腫;骨肉腫;傍骨性骨肉腫;軟骨肉腫;軟骨芽細胞腫、悪性;間葉性軟骨肉腫;骨巨細胞腫;ユーイング肉腫;歯原性腫瘍、悪性;エナメル上皮歯牙肉腫;エナメル上皮腫、悪性;エナメル上皮線維肉腫;松果体腫、悪性;脊索腫;神経膠腫、悪性;脳室上衣腫;星状細胞腫;原形質性星状細胞腫;原線維性星細胞腫;星状芽細胞腫;膠芽腫;乏突起神経膠腫;乏突起膠芽腫;未分化神経外胚葉性腫瘍;小脳肉腫;神経節芽細胞腫;神経芽細胞腫;網膜芽細胞腫;嗅神経原性腫瘍;髄膜腫、悪性;神経線維肉腫;神経鞘腫、悪性;顆粒細胞腫、悪性;悪性リンパ腫;ホジキン病;ホジキンリンパ腫;側肉芽腫;悪性リンパ腫、小リンパ球性;悪性リンパ腫、大細胞型、びまん性;悪性リンパ腫、濾胞性;菌状息肉腫;その他の特定されている非ホジキンリンパ腫;悪性組織球症;多発性骨髄腫;肥満細胞肉腫;免疫増殖性小腸疾患;白血病;リンパ性白血病;形質細胞性白血病;赤白血病;リンパ肉腫細胞性白血病;骨髄性白血病;好塩基球性白血病;好酸球性白血病;単球性白血病;肥満細胞性白血病;巨核芽球性白血病;骨髄肉腫;およびヘアリー細胞白血病。
【0414】
1.免疫治療
いくつかの実施形態において、本方法は、がん免疫治療の施行を含む。がん免疫治療(免疫腫瘍学、略してIOと呼ぶこともある)は、がんを処置するための免疫系の使用である。免疫治療は、能動的、受動的またはハイブリッド型(能動的および受動的)に分類することができる。これらのアプローチは、がん細胞が、多くの場合、免疫系によって検出されうる、腫瘍関連抗原(TAA)として知られる分子を、その表面に有するという事実を活用しており、それらの分子はタンパク質または他の高分子(例えば炭水化物)であることが多い。能動的免疫治療は、TAAを標的とすることにより、腫瘍細胞を攻撃するように免疫系に指示する。受動的免疫治療は既存の抗腫瘍応答を強化し、モノクローナル抗体、リンパ球およびサイトカインの使用を含む。免疫治療は当技術分野では知られており、その一部を以下に説明する。
【0415】
a.チェックポイント阻害剤および併用処置
本開示の実施形態は、以下にさらに詳しく述べる免疫チェックポイント阻害剤の投与を含みうる。
【0416】
(1)PD-1、PDL1、およびPDL2阻害剤
PD-1は、T細胞が感染または腫瘍と遭遇する腫瘍微小環境において作用することができる。活性化T細胞はPD-1をアップレギュレートし、末梢組織中でそれを発現し続ける。IFN-ガンマなどのサイトカインは、上皮細胞上および腫瘍細胞上のPDL1発現を誘導する。PDL2はマクロファージおよび樹状細胞上に発現する。PD-1の主な役割は、末梢におけるエフェクターT細胞の活性を制限し、免疫応答時の組織の過剰な損傷を防止することである。本開示の阻害剤は、PD-1および/またはPDL1活性の1つ以上の機能を遮断しうる。
【0417】
「PD-1」の別名にはCD279およびSLEB2が含まれる。「PDL1」の別名にはB7-H1、B7-4、CD274、およびB7-Hが含まれる。「PDL2」の別名にはB7-DC、Btdc、およびCD273が含まれる。いくつかの実施形態において、PD-1、PDL1、およびPDL2は、ヒトのPD-1、PDL1およびPDL2である。
【0418】
いくつかの実施形態において、PD-1阻害剤は、PD-1の、そのリガンド結合パートナーへの結合を阻害する分子である。具体的一態様において、PD-1リガンド結合パートナーはPDL1および/またはPDL2である。別の一実施形態において、PDL1阻害剤は、PDL1の、その結合パートナーへの結合を阻害する分子である。具体的一態様において、PDL1結合パートナーはPD-1および/またはB7-1である。別の一実施形態において、PDL2阻害剤は、PDL2の、その結合パートナーへの結合を阻害する分子である。具体的一態様において、PDL2結合パートナーはPD-1である。阻害剤は、抗体、その抗原結合フラグメント、イムノアドヘシン、融合タンパク質、またはオリゴペプチドでありうる。例示的抗体は、米国特許第8,735,553号、同第8,354,509号、および同第8,008,449号に記載されており、これらはすべて参照により本明細書に組み込まれる。ここに提供される方法と組成物のための他のPD-1阻害剤は、米国特許出願公開番号US2014/0294898、US2014/022021、およびUS2011/0008369に記載されているように、当技術分野において知られており、これらの文献はすべて参照により本明細書に組み込まれる。
【0419】
いくつかの実施形態において、PD-1阻害剤は抗PD-1抗体(例えばヒト抗体、ヒト化抗体、またはキメラ抗体)である。いくつかの実施形態において、抗PD-1抗体は、ニボルマブ、ペンブロリズマブ、およびピディリズマブからなる群より選択される。いくつかの実施形態において、PD-1阻害剤は、イムノアドヘシン(例えば定常領域(例えば免疫グロブリン配列のFc領域)に融合されたPDL1またはPDL2の細胞外部分またはPD-1結合部分を含むイムノアドヘシン)である。いくつかの実施形態において、PDL1阻害剤はAMP-224を含む。ニボルマブは、MDX-1106-04、MDX-1106、ONO-4538、BMS-936558、およびOPDIVO(登録商標)としても知られており、WO2006/121168に記載の抗PD-1抗体である。ペンブロリズマブは、MK-3475、Merck3475、ランブロリズマブ、KEYTRUDA(登録商標)、およびSCH-900475としても知られており、WO2009/114335に記載の抗PD-1抗体である。ピディリズマブは、CT-011、hBAT、またはhBAT-1としても知られており、WO2009/101611に記載の抗PD-1抗体である。B7-DCIgとしても知られているAMP-224は、WO2010/027827およびWO2011/066342に記載のPDL2-Fc融合可溶性受容体である。他のPD-1阻害剤には、AMP-514としても知られるMEDI0680、およびREGN2810が含まれる。
【0420】
いくつかの実施形態において、免疫チェックポイント阻害剤は、MEDI4736としても知られているデュルバルマブ、MPDL3280Aとしても知られているアテゾリズマブ、MSB00010118Cとしても知られているアベルマブ、MDX-1105、BMS-936559などのPDL1阻害剤、またはそれらの組合せである。一定の態様において、免疫チェックポイント阻害剤は、rHIgM12B7などのPDL2阻害剤である。
【0421】
いくつかの実施形態において、阻害剤は、ニボルマブ、ペンブロリズマブ、またはピディリズマブの重鎖および軽鎖CDRまたはVRを含む。したがって、一実施形態において、阻害剤は、ニボルマブ、ペンブロリズマブ、またはピディリズマブのV領域のCDR1、CDR2、およびCDR3ドメインと、ニボルマブ、ペンブロリズマブ、またはピディリズマブのV領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインとを含む。別の一実施形態において、抗体は、上記抗体と結合に関して競合し、および/または上記抗体と同じPD-1、PDL1またはPDL2上のエピトープに結合する。別の一実施形態において、抗体は、上述した抗体に対して、少なくとも約70、75、80、85、90、95、97、または99%(またはその中の任意の導き出しうる範囲)の可変領域アミノ酸配列同一性を有する。
【0422】
(2)CTLA-4、B7-1、およびB7-2
ここに提供される方法において標的とすることができるもう一つの免疫チェックポイントは、CD152としても知られている細胞傷害性Tリンパ球関連タンパク質4(CTLA-4)である。ヒトCTLA-4の全cDNA配列のGenbankアクセッション番号はL15006である。CTLA-4はT細胞の表面に見いだされ、抗原提示細胞表面上のB7-1(CD80)またはB7-2(CD86)に結合すると、「オフ」スイッチとして作用する。CTLA4は、ヘルパーT細胞の表面に発現してT細胞に阻害シグナルを伝える免疫グロブリンスーパーファミリーの一メンバーである。CTLA4はT細胞共刺激タンパク質CD28に類似しており、どちらの分子も、抗原提示細胞上のB7-1およびB7-2に結合する。CTLA-4がT細胞に阻害シグナルを伝えるのに対して、CD28は刺激シグナルを伝える。細胞内CTLAー4は制御性T細胞にも見いだされ、それらの機能にとって重要でありうる。T細胞受容体およびCD28によるT細胞活性化は、B7分子の阻害性受容体であるCTLA-4の発現増加につながる。本開示の阻害剤は、CTLA-4、B7-1、および/またはB7-2活性の1つ以上の機能を遮断しうる。いくつかの実施形態において、阻害剤はCTLA-4とB7-1の相互作用を遮断する。いくつかの実施形態において、阻害剤はCTLA-4とB7-2の相互作用を遮断する。
【0423】
いくつかの実施形態において、免疫チェックポイント阻害剤は、抗CTLA-4抗体(例えばヒト抗体、ヒト化抗体、またはキメラ抗体)、その抗原結合フラグメント、イムノアドヘシン、融合タンパク質、またはオリゴペプチドである。
【0424】
本方法における使用に適した抗ヒトCTLA-4抗体(またはそれに由来するVおよび/またはVドメイン)は、当技術分野において周知の方法を使って作製することができる。あるいは、当技術分野において認識されている抗CTLA-4抗体を使用することができる。例えば、本明細書に開示される方法では、US8,119,129、WO01/14424、WO98/42752、WO00/37504(CP675,206、トレメリムマブとしても知られている;旧名チシリムマブ)、米国特許第6,207,156号、Hurwitzら,1998に開示されている抗CTLA-4抗体を使用することができる。上述した刊行物のそれぞれの教示内容は、参照により本明細書に組み込まれる。CTLA-4への結合について当技術分野で認識されているこれらの抗体のいずれかと競合する抗体も、使用することができる。例えばヒト化CTLA-4抗体は、国際特許出願WO2001/014424、WO2000/037504、および米国特許第8,017,114号に記載されており、これらの文献はすべて参照により本明細書に組み込まれる。
【0425】
本開示の方法および組成物においてチェックポイント阻害剤として有用なさらにもう一つの抗CTLA-4抗体は、イピリムマブ(10D1、MDX-010、MDX-101、およびYervoy(登録商標)としても知られている)またはその抗原結合フラグメントおよびバリアントである(例えばWO01/14424参照)。
【0426】
いくつかの実施形態において、阻害剤は、トレメリムマブまたはイピリムマブの重鎖および軽鎖CDRまたはVRを含む。したがって、一実施形態において、阻害剤は、トレメリムマブまたはイピリムマブのV領域のCDR1、CDR2、およびCDR3ドメインと、トレメリムマブまたはイピリムマブのV領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインとを含む。別の一実施形態において、抗体は、上記抗体と結合に関して競合し、および/または上記抗体と同じPD-1、B7-1、またはB7-2上のエピトープに結合する。別の一実施形態において、抗体は、上述した抗体に対して、少なくとも約70、75、80、85、90、95、97、または99%(またはその中の任意の導き出しうる範囲)の可変領域アミノ酸配列同一性を有する。
【0427】
(3)LAG3
ここに提供される方法において標的とすることができるもう一つの免疫チェックポイントは、CD223およびリンパ球活性化3としても知られているリンパ球活性化遺伝子3(LAG3)である。ヒトLAG3の全mRNA配列のGenbankアクセッション番号はNM_002286である。LAG3は、活性化T細胞、ナチュラルキラー細胞、B細胞、および形質細胞様樹状細胞の表面上に見いだされる免疫グロブリンスーパーファミリーの一メンバーである。LAG3の主たるリガンドはMHCクラスIIであり、それは、CTLA-4およびPD-1と同様に、T細胞の細胞増殖、活性化およびホメオスタシスを負に制御し、Treg抑制機能において役割を果たすと報告されている。LAG3は、CD8T細胞を寛容原性状態に維持するのにも役立ち、PD-1と協働して、慢性ウイルス感染中のCD8疲弊を維持するのに役立つ。LAG3は、樹状細胞の成熟および活性化に関与することも知られている。本開示の阻害剤は、LAG3活性の1つ以上の機能を遮断しうる。
【0428】
いくつかの実施形態において、免疫チェックポイント阻害剤は、抗LAG3抗体(例えばヒト抗体、ヒト化抗体、またはキメラ抗体)、その抗原結合フラグメント、イムノアドヘシン、融合タンパク質、またはオリゴペプチドである。
【0429】
本方法における使用に適した抗ヒトLAG3抗体(またはそれに由来するVおよび/またはVドメイン)は、当技術分野において周知の方法を使って作製することができる。あるいは、当技術分野において認識されている抗LAG3抗体を使用することができる。例えば抗LAG3抗体には、GSK2837781、IMP321、FS-118、Sym022、TSR-033、MGD013、BI754111、AVA-017、またはGSK2831781を含めることができる。本明細書に開示される方法では、US9,505,839(BMS-986016、レラトリマブとしても知られている)、US10,711,060(IMP-701、LAG525としても知られている)、US9,244,059(IMP731、H5L7BWとしても知られている)、US10,344,089(25F7、LAG3.1としても知られている)、WO2016/028672(MK-4280、28G-10としても知られている)、WO2017/019894(BAP050)、Burova E.ら,J.ImmunoTherapy Cancer,2016;4(Supp.1):P195(REGN3767)、Yu、X.ら,mAbs,2019;11:6(LBL-007)に開示されている抗LAG3抗体を使用することができる。請求項に係る発明において有用なこれらのおよび他の抗LAG-3抗体は、例えばWO2016/028672、WO2017/106129、WO2017062888、WO2009/044273、WO2018/069500、WO2016/126858、WO2014/179664、WO2016/200782、WO2015/200119、WO2017/019846、WO2017/198741、WO2017/220555、WO2017/220569、WO2018/071500、WO2017/015560;WO2017/025498、WO2017/087589、WO2017/087901、WO2018/083087、WO2017/149143、WO2017/219995、US2017/0260271、WO2017/086367、WO2017/086419、WO2018/034227、およびWO2014/140180に見いだすことができる。上述した刊行物のそれぞれの教示内容は、参照により本明細書に組み込まれる。LAG3への結合について当技術分野で認識されているこれらの抗体のいずれかと競合する抗体も、使用することができる。
【0430】
いくつかの実施形態において、阻害剤は、抗LAG3抗体の重鎖および軽鎖CDRまたはVRを含む。したがって、一実施形態において、阻害剤は、抗LAG3抗体のV領域のCDR1、CDR2、およびCDR3ドメインと、抗LAG3抗体のV領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインとを含む。別の一実施形態において、抗体は、上述した抗体に対して、少なくとも約70、75、80、85、90、95、97、または99%(またはその中の任意の導き出しうる範囲)の可変領域アミノ酸配列同一性を有する。
【0431】
(4)TIM-3
ここに提供される方法において標的とすることができるもう一つの免疫チェックポイントは、A型肝炎ウイルス細胞受容体2(HAVCR2)およびCD366としても知られるT細胞免疫グロブリンおよびムチンドメイン含有-3(TIM-3)である。ヒトTIM-3の全mRNA配列のGenbankアクセッション番号はNM_032782である。TIM-3は、IFNγ産生CD4+Th1およびCD8Tc1細胞の表面に見いだされる。TIM-3の細胞外領域は、膜遠位単一可変免疫グロブリンドメイン(IgV)とそれより膜近くに位置するさまざまな長さのグリコシル化されたムチンドメインとからなる。TIM-3は免疫チェックポイントであり、PD-1およびLAG3を含む他の阻害性受容体と一緒に、T細胞疲弊を媒介する。TIM-3は、マクロファージ活性化を制御するCD4+Th1特異的細胞表面タンパク質としても示されている。本開示の阻害剤は、TIM-3活性の1つ以上の機能を遮断しうる。
【0432】
いくつかの実施形態において、免疫チェックポイント阻害剤は、抗TIM-3抗体(例えばヒト抗体、ヒト化抗体、またはキメラ抗体)、その抗原結合フラグメント、イムノアドヘシン、融合タンパク質、またはオリゴペプチドである。
【0433】
本方法における使用に適した抗ヒトTIM-3抗体(またはそれに由来するVおよび/またはVドメイン)は、当技術分野において周知の方法を使って作製することができる。あるいは、当技術分野において認識されている抗TIM-3抗体を使用することができる。例えば、本明細書に開示される方法では、MBG453、TSR-022(コボリマブとしても知られている)、およびLY3321367を含む抗TIM-3抗体を使用することができる。請求項に係る発明において有用なこれらのおよび他の抗TIM-3抗体は、例えばUS9,605,070、US8,841,418、US2015/0218274、およびUS2016/0200815に見いだすことができる。上述した刊行物のそれぞれの教示内容は、参照により本明細書に組み込まれる。TIM-3への結合について当技術分野で認識されているこれらの抗体のいずれかと競合する抗体も、使用することができる。
【0434】
いくつかの実施形態において、阻害剤は、抗TIM-3抗体の重鎖および軽鎖CDRまたはVRを含む。したがって、一実施形態において、阻害剤は、抗TIM-3抗体のV領域のCDR1、CDR2、およびCDR3ドメインと、抗TIM-3抗体のV領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインとを含む。別の一実施形態において、抗体は、上述した抗体に対して、少なくとも約70、75、80、85、90、95、97、または99%(またはその中の任意の導き出しうる範囲)の可変領域アミノ酸配列同一性を有する。
【0435】
b.共刺激分子の活性化
いくつかの実施形態において、免疫治療は共刺激分子の活性化因子を含む。いくつかの実施形態において、前記活性化因子は、B7-1(CD80)、B7-2(CD86)、CD28、ICOS、OX40(TNFRSF4)、4-1BB(CD137;TNFRSF9)、CD40L(CD40LG)、GITR(TNFRSF18)のアゴニスト、およびそれらの組合せを含む。活性化因子には、アゴニスト抗体、ポリペプチド、化合物、および核酸が含まれる。
【0436】
c.樹状細胞治療
樹状細胞治療は、リンパ球への腫瘍抗原の提示を樹状細胞にさせることによって抗腫瘍応答を惹起する。これは、リンパ球を活性化し、その抗原を提示する他の細胞を殺すようにリンパ球をプライミングする。樹状細胞は哺乳動物免疫系における抗原提示細胞(APC)である。がん処置では、それらががん抗原標的化を助ける。樹状細胞に基づく細胞がん治療の一例はシプロイセル-Tである。
【0437】
樹状細胞による腫瘍抗原の提示を誘導する方法の一つは、自家腫瘍溶解物または短いペプチド(がん細胞上のタンパク質抗原に対応するタンパク質の小部分)を使ったワクチン接種によるものである。これらのペプチドは、多くの場合、免疫および抗腫瘍応答を増加させるために、アジュバント(高免疫原性物質)と組み合わせて与えられる。他のアジュバントとしては、樹状細胞を誘引しおよび/または活性化するタンパク質その他の化学物質、例えば顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)が挙げられる。
【0438】
樹状細胞は、腫瘍細胞にGM-CSFを発現させることによって、in vivoで活性化することもできる。これは、GM-CSFを産生するように腫瘍細胞を遺伝子操作するか、またはGM-CSFを発現する腫瘍溶解性ウイルスに腫瘍細胞を感染させることによって達成することができる。
【0439】
もう一つの戦略は、患者の血液から樹状細胞を取り出し、それらを体外で活性化することである。樹状細胞は、腫瘍抗原の存在下で活性化され、その腫瘍抗原は、単一の腫瘍特異的ペプチド/タンパク質であってもよいし、腫瘍細胞溶解物(破壊された腫瘍細胞の溶液)であってもよい。これらの細胞は(随意のアジュバントと共に)注入され、免疫応答を惹起する。
【0440】
樹状細胞治療には、樹状細胞表面上の受容体に結合する抗体の使用が含まれる。この抗体には抗原を付加することができ、その抗原は樹状細胞の成熟を誘導して、腫瘍に対する免疫を与えることができる。TLR3、TLR7、TLR8またはCD40などの樹状細胞受容体が抗体ターゲットとして使用されている。
【0441】
d.CAR-T細胞およびCAR-NK細胞治療
キメラ抗原受容体(CAR;キメラ免疫受容体、キメラT細胞受容体または人工T細胞受容体としても知られている)は、がん細胞を標的とするために新しい特異性を免疫細胞と結びつける工学的に操作された受容体である。典型的には、これらの受容体はT細胞またはNK細胞にモノクローナル抗体の特異性を移植する。これらの受容体は、それらが供給源の異なるパーツの融合物であることから、キメラと呼ばれる。CAR-T細胞治療とは、そのような形質転換T細胞をがん治療に使用する処置を指す。CAR-NK細胞治療とは、そのような形質転換NK細胞をがん治療に使用する処置を指す。
【0442】
e.サイトカイン治療
サイトカインは、腫瘍内に存在する数多くのタイプの細胞によって産生されるタンパク質である。それらは免疫応答を調節することができる。腫瘍は、しばしば、それらを使って、腫瘍の成長と免疫応答の低減とを可能にする。これらの免疫調節効果は、免疫応答を惹起するための薬物としてそれらを使用することを可能にする。よく使用されるサイトカインの2つがインターフェロンとインターロイキンである。
【0443】
インターフェロンは免疫系によって産生される。それらは通常は抗ウイルス応答に関与するが、がんにも役立つ。それらは、I型(IFNαおよびIFNβ)、II型(IFNγ)およびIII型(IFNλ)の3群に分かれる。
【0444】
インターロイキンは一連の免疫系効果を有する。IL-2は例示的インターロイキンサイトカイン治療である。
【0445】
2.化学治療
いくつかの実施形態において、がん治療は化学治療を含む。適切な化学治療剤のクラスには、(a)アルキル化剤、例えばナイトロジェンマスタード(例えばメクロレタミン、シクロホスファミド、イホスファミド、メルファラン、クロラムブシル)、エチレンイミンおよびメチルメラミン類(例えばヘキサメチルメラミン、チオテパ)、アルキルスルホネート(例えばブスルファン)、ニトロソウレア類(例えばカルムスチン、ロムスチン、クロロゾトシン、ストレプトゾシン)およびトリアジン類(例えばダカルバジン)、(b)代謝拮抗物質、例えば葉酸類似体(例えばメトトレキサート)、ピリミジン類似体(例えば5-フルオロウラシル、フロクスウリジン、シタラビン、アザウリジン)ならびにプリン類似体および関連物質(例えば6-メルカプトプリン、6-チオグアニン、ペントスタチン)、(c)天然物、例えばビンカアルカロイド(例えばビンブラスチン、ビンクリスチン)、ポドフィロトキシン(例えばエトポシド、テニポシド)、抗生物質(例えばダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、ブレオマイシン、プリカマイシンおよびミトキサントロン、酵素(例えばL-アスパラギナーゼ)、および生物学的応答調整物質(例えばインターフェロン-α)、ならびに(d)その他の薬剤、例えば白金配位錯体(例えばシスプラチン、カルボプラチン)、置換尿素類(例えばヒドロキシ尿素)、メチルヒドラジン誘導体(例えばプロカルバジン)、および副腎皮質抑制薬(adreocortical suppressant)(例えばタキソールおよびミトタン)が含まれる。いくつかの実施形態において、シスプラチンは特に適切な化学治療剤である。
【0446】
シスプラチンは、例えば転移性の精巣癌または卵巣癌、進行膀胱がん、頭頸部がん、子宮頸がん、肺がん、その他の腫瘍などといったがんの処置に、広く使用されてきた。シスプラチンは経口的には吸収されないので、例えば静脈内、皮下、腫瘍内または腹腔内注射などといった他の経路で送達されなければならない。シスプラチンは、単独でまたは他の作用物質と組み合わせて使用することができ、一定の実施形態では、5日間で約15mg/m2~約20mg/m2が3週間ごとに合計3クールなどといった、臨床応用において使用される有効な用量が想定される。いくつかの実施形態において、治療用ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドに作動可能に連結されたEgr-1プロモーターを含む構築物と一緒に細胞および/または対象に送達されるシスプラチンの量は、シスプラチンだけを使用する場合に送達されるであろう量よりも少ない。
【0447】
他の適切な化学治療剤には、抗微小管剤、例えばパクリタキセル(「タキソール」)およびドキソルビシン塩酸塩(「ドキソルビシン」)が含まれる。アデノウイルスベクターによって送達されるEgr-1プロモーター/TNFα構築物とドキソルビシンの組合せは、化学治療および/またはTNF-αに対する耐性を克服するのに有効であると決定されたことから、前記構築物とドキソルビシンによる併用処置は、ドキソルビシンとTNF-αの両方に対する耐性を克服することが示唆される。
【0448】
ドキソルビシンは吸収性が低いので、好ましくは静脈内に投与される。一定の実施形態において、成人の場合、適当な静脈内用量には、約21日間隔で約60mg/m2~約75mg/m2、または約3週間~約4週間の間隔で、連続する2日もしくは3日のそれぞれに約25mg/m2~約30mg/m2、または週に1回の約20mg/m2が含まれる。事前の化学治療もしくは新生物骨髄浸潤が引き起こす事前の骨髄抑制がある場合、または薬物を他の骨髄造血抑制薬と併用する場合、高齢の患者には最も低い用量を使用すべきである。
【0449】
ナイトロジェンマスタードは、本開示の方法において有用なもう一つの適切な化学療法剤である。ナイトロジェンマスタードとしては、メクロレタミン(HN2)、シクロホスファミドおよび/またはイホスファミド、メルファラン(L-サルコリシン)、およびクロラムブシルを挙げることができるが、それらに限るわけではない。シクロホスファミド(CYTOXAN(登録商標)はMead Johnsonから入手することができ、NEOSTAR(登録商標)はAdriaから入手することができる)はもう一つの適切な化学治療剤である。成人の場合、適切な経口用量には、例えば約1mg/kg/日~約5mg/kg/日が含まれ、静脈内用量には、例えば最初は約2日~約5日の期間にわたる分割投与での約40mg/kg~約50mg/kg、または約7日~約10日ごとに約10mg/kg~約15mg/kg、または週2回の約3mg/kg~約5mg/kg、または約1.5mg/kg/日~約3mg/kg/日が含まれる。有害な胃腸作用があるので、静脈内経路が好ましい。この薬物は、筋肉内に、または浸潤によって、または体腔中に、投与される場合もある。
【0450】
さらなる適切な化学療法剤として、ピリミジン類似体、例えばシタラビン(シトシンアラビノシド)、5-フルオロウラシル(フルオウラシル(fluouracil);5-FU)およびフロクスウリジン(フルオロデオキシウリジン;FudR)が挙げられる。5-FUは、約7.5~約1000mg/m2の間のいずれかの投薬量で対象に投与されうる。さらに5-FU投薬スケジュールは、例えば最大6週間までさまざまな期間にわたること、または本開示が属する技術分野における通常の技能を有する者によって決定されるとおりであることができる。
【0451】
もう一つの適切な化学療法剤ゲムシタビン二リン酸(GEMZAR(登録商標)、Eli Lilly&Co.、「ゲムシタビン」)は、進行および転移性膵がんの処置に推奨され、それゆえに、本開示ではこれらのがんにも有用だろう。
【0452】
患者に送達される化学治療剤の量はさまざまでありうる。適切な一実施形態において、化学治療剤は、その化学治療が本構築物と共に投与された場合に宿主におけるがんの停止または退縮を引き起こすのに有効な量で投与されうる。別の実施形態において、化学治療剤は、その化学治療剤の化学治療有効用量の2分の1~10,000分の1の間のいずれかの量で投与されうる。例えば化学治療剤は、その化学治療剤の化学治療有効用量の約20分の1、約500分の1、さらには約5000分の1の量で投与されうる。本開示の化学治療は、本構築物との併用での所望の治療活性について、および有効投薬量の決定のために、in vivoで試験することができる。例えばそのような化合物は、ヒトで試験する前に、適切な動物モデル系において、例えば限定するわけではないがラット、マウス、ニワトリ、ウシ、サル、ウサギなどにおいて、試験することができる。実施例に記載するように、適切な組合せおよび投薬量を決定するために、in vitro試験も使用しうる。
【0453】
3.放射線治療
いくつかの実施形態において、がん治療は、電離放射線などの放射線を含む。本明細書にいう「電離放射線」は、電離(電子の獲得または喪失)を生じさせるのに十分なエネルギーを有するまたは十分なエネルギーを核相互作用によって生じさせることができる粒子または光子を含む放射線を意味する。例示的な好ましい電離放射線はX線である。X線をターゲット組織またはターゲット細胞に送達するための手段は当技術分野では周知である。
【0454】
いくつかの実施形態において、電離放射線の量は20Gy超であり、1回で投与される。いくつかの実施形態において、電離放射線の量は18Gyであり、3回で投与される。いくつかの実施形態において、電離放射線の量は、少なくとも、または最大で、または正確に2、4、6、8、10、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、18、19、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、もしくは40Gy、またはそれらのうちの任意の2つの間(またはその中の任意の導き出しうる範囲)である。いくつかの実施形態において、電離放射線は、少なくとも、または最大で、または正確に1、2、3、4、5、6、7、8、9、もしくは10回、またはそれらのうちの任意の2つの間(またはその中の任意の導き出しうる範囲)の回数、投与される。投与が2回以上にわたる場合、投与の間隔は、少なくとも、または最大で、または正確に約1、4、8、12、もしくは24時間、または1、2、3、4、5、6、7、もしくは8日、または1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、14、もしくは16週間、またはそれらのうちの任意の2つの間、またはその中の任意の導き出しうる範囲でありうる。
【0455】
いくつかの実施形態において、IRの量はIRの総線量として表してもよく、それが次に分割された線量で投与される。例えばいくつかの実施形態において、総線量は50Gyであり、それが、10回に分割されたそれぞれ5Gyの線量で投与される。いくつかの実施形態において、総線量は50~90Gyであり、それが、20~60回に分割されたそれぞれ2~3Gyの線量で投与される。いくつかの実施形態において、IRの総線量は、少なくとも、または最大で、または正確に20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40,41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、125、130、135、140、もしくは150Gy、またはそれらのうちの任意の2つの間(またはその中の任意の導き出しうる範囲)である。いくつかの実施形態において、総線量は、少なくとも、または最大で、または正確に1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、14、15、20、25、30、35、40、45、または50Gyの、またはそれらのうちの任意の2つの間(またはその中の任意の導き出しうる範囲)の分割された線量で投与される。いくつかの実施形態において、少なくとも、または最大で、または正確に2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40,41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、または100回に分割された、またはそれらのうちの任意の2つの間(またはその中の任意の導き出しうる範囲)の回数に分割された、線量が投与される。いくつかの実施形態において、1日あたり、少なくとも、または最大で、または正確に1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12回に分割された、またはそれらのうちの任意の2つの間(またはその中の任意の導き出しうる範囲)の回数に分割された、線量が投与される。いくつかの実施形態において、1週間あたり、少なくとも、または最大で、または正確に1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30回に分割された、またはそれらのうちの任意の2つの間(またはその中の任意の導き出しうる範囲)の回数に分割された、線量が投与される。
【0456】
4.外科手術
がんを持つ人々のうちおよそ60%は何らかのタイプの外科手術を受けることになり、これには、予防的手術、診断またはステージ分類のための手術、治癒手術、および姑息手術が含まれる。治癒手術には、がん性組織の全部または一部が物理的に除去され、切り取られ、および/または、壊される切除術が含まれ、これは、本実施形態の処置、化学治療、放射線治療、ホルモン治療、遺伝子治療、免疫治療、および/または代替治療などといった他の治療と一緒に使用されうる。腫瘍切除とは、腫瘍の少なくとも一部の物理的除去を指す。外科手術による処置には、腫瘍切除の他にも、レーザー手術、冷凍手術、電気手術、および顕微鏡下手術(モース手術)が含まれる。
【0457】
がん性の細胞、組織、または腫瘍の一部または全部を切り取ると、体内に空洞が形成されうる。処置は、追加の抗がん治療による上記領域の灌流、直接注射、または局所適用によって達成されうる。そのような処置は、例えば少なくとも、または最大で、または正確に1、2、3、4、5、6、もしくは7日ごと、または1、2、3、4、および5週間ごと、または1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、もしくは12ヶ月ごとに、またはそれらのうちの任意の2つの間の間隔で、繰り返しうる。これらの処置は、投与量が変動するものであってもよい。
【0458】
がん処置からは本明細書記載のがん処置のいずれかが除外されうることが想定される。さらにまた、本開示の実施形態には、本明細書記載の治療について以前に処置されたことがある患者、本明細書記載の治療について現在処置されている患者、または本明細書記載の治療について処置されたことのない患者が含まれる。いくつかの実施形態において、患者は本明細書記載の治療に対して抵抗性であると決定された者である。いくつかの実施形態において、患者は本明細書記載の治療に対して感受性であると決定された者である。
【0459】
B.治療組成物の投与
本開示の治療剤は、同じ投与経路によって、または異なる投与経路によって、投与されうる。いくつかの実施形態において、がん治療は、静脈内投与、筋肉内投与、皮下投与、外用、経口投与、経皮投与、腹腔内投与、眼窩内投与、植込みによって投与、吸入によって投与、髄腔内投与、室内投与、または鼻腔内投与される。いくつかの実施形態において、抗生物質は、静脈内投与、筋肉内投与、皮下投与、外用、経口投与、経皮投与、腹腔内投与、眼窩内投与、植込みによって投与、吸入によって投与、髄腔内投与、室内投与、または鼻腔内投与される。適当な投薬量は、処置される疾患のタイプ、疾患の重症度および経過、その個体の臨床状態、その個体の病歴および処置に対する応答、ならびに主治医の自由裁量に基づいて決定されうる。
【0460】
処置はさまざまな「単位用量」を含みうる。単位用量は、予め決定された量の治療組成物を含有すると定義される。投与される量ならびに特定の経路および製剤は、臨床分野における当業者の決定の技量内である。単位用量は、1回の注射として投与される必要はなく、所定の期間にわたる持続注入を含みうる。いくつかの実施形態において、単位用量は単回投与可能用量を含む。
【0461】
投与される量は、処置の回数と単位用量との両方に応じて、所望の処置効果に依存する。有効用量とは、特定の効果を達成するのに必要な量を指すと理解される。一定の実施形態における実施では、10mg/kg~200mg/kgの範囲の用量がこれらの作用物質の保護能力に影響を及ぼすことができると想定される。したがって、用量には、少なくとも、または最大で、または正確に約0.1、0.5、1、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、および200、300、400、500、1000μg/kg、mg/kg、μg/日、またはmg/日の、またはそれらのうちの任意の2つの間の、またはその中で導き出しうる任意の範囲の用量が含まれると想定される。さらにまた、そのような用量は、1日の間に複数回、および/または複数の日、週、または月に、投与することができる。
【0462】
一定の実施形態において、薬学的組成物の有効用量は、約1μM~150μMの血中レベルを与えることができる用量である。別の一実施形態において、有効用量は、約4μM~100μM、または約1μM~100μM、または約1μM~50μM、または約1μM~40μM、または約1μM~30μM、または約1μM~20μM、または約1μM~10μM、または約10μM~150μM、または約10μM~100μM、または約10μM~50μM、または約25μM~150μM、または約25μM~100μM、または約25μM~50μM、または約50μM~150μM、または約50μM~100μM(またはその中で導き出しうる任意の範囲)の血中レベルを与える。別の実施形態において、用量は、対象に投与される治療剤に起因して、以下の血中作用物質レベルを与えることができる:少なくとも、または最大で、または正確に約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、もしくは100μM、またはそれらのうちの任意の2つの間、またはその中で導き出しうる任意の範囲。一定の実施形態において、対象に投与される治療剤は、体内で代謝型治療剤へと代謝されるが、その場合、前記血中レベルとは、その作用物質の量を指しうる。あるいは、治療剤が対象によって代謝されない場合には、本明細書において論述される血中レベルとは、非代謝型治療剤を指しうる。
【0463】
治療組成物の正確な量は実務家の判断にも依存し、個々の個体に特有である。用量に影響を及ぼす因子には、患者の身体的および臨床的状態、投与経路、意図している処置の目標(症状の緩和か治癒か)、ならびにその特定治療物質または対象が受けている他の治療の力価、安定性および毒性が含まれる。
【0464】
μg/kgまたはmg/kg体重という投与単位を変換して、例えば4μM~100μMなどといった、μg/mlまたはmM(血中レベル)という同等の濃度単位で表現できることは、当業者には理解され、気づかれるだろう。取込みが種および器官/組織依存的であることも理解される。適用可能な変換係数ならびに取込みおよび濃度測定に関して設けられる生理学的前提は周知であり、それらにより、当業者は、ある濃度測定値を別の想定値に変換することができ、本明細書に記載の用量、効力および結果に関して妥当な比較および結論を得ることができるだろう。
【0465】
一定の例では、組成物を複数回投与すること、例えば2、3、4、5、6回またはそれ以上投与することが望ましいだろう。投与は、少なくとも、または最大で、または正確に1、2、3、4、5、6、7、8~5、6、7、8、9、10、11、もしくは12週間隔、またはそれらのうちの任意の2つの間の間隔(それらの間のあらゆる範囲を含む)で行うことができる。
【0466】
「薬学的に許容されうる」または「薬理学的に許容されうる」という語句は、動物またはヒトに投与された場合に、有害反応、アレルギー反応、または他の不都合な反応を生じない分子実体および組成物を指す。本明細書にいう「薬学的に許容されうる担体」は、ありとあらゆる溶媒、分散媒、コーティング、抗細菌剤および抗真菌剤、等張化剤および吸収遅延剤などを包含する。薬学的活性物質のためのそのような媒質および薬剤の使用は、当技術分野において周知である。従来の媒質または薬剤は、それらが活性化合物と不適合でない限り、いずれも、免疫原性治療組成物におけるその使用が考慮される。補足的活性成分、例えば他の抗感染剤およびワクチンも、組成物に組み込むことができる。
【0467】
活性化合物は、非経口投与用に、例えば静脈内、筋肉内、皮下、または腹腔内経路による注射のために製剤化することができる。典型的には、そのような組成物は、溶液または懸濁液として調製することができる。また、注射前に液体を添加することで溶液または懸濁液を調製するための使用に適した固形物を調製することもでき、それらの調製物を乳化することもできる。
【0468】
注射可能な用途に適した薬学的形態としては、滅菌水性溶液または分散液;水性プロピレングリコールなどを含む製剤;および滅菌注射可能溶液または分散液の即時調製のための滅菌粉末が挙げられる。いずれの場合も、その形態は滅菌状態でなければならず、容易に注射されうる程度には流動性でなければならない。また、製造条件下および貯蔵条件下で安定であるべきであり、細菌および真菌などの微生物の汚染作用から保護されなければならない。
【0469】
タンパク質組成物は中性型または塩型に製剤化されうる。薬学的に許容されうる塩には、酸付加塩(タンパク質の遊離アミノ基を使って形成されるもの)が含まれ、これは、例えば塩酸もしくはリン酸などの無機酸、または酢酸、シュウ酸、酒石酸、マンデル酸などの有機酸を使って形成される。有機カルボキシル基を使って形成される塩も、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、水酸化カルシウム、もしくは水酸化第二鉄などの無機塩基、またはイソプロピルアミン、トリメチルアミン、ヒスチジン、プロカインなどの有機塩基から誘導することができる。
【0470】
薬学的組成物は、例えば水、エタノール、ポリオール(例えばグリセロール、プロピレングリコール、および液状ポリエチレングリコールなど)、それらの適切な混合物、および植物油を含有する溶媒または分散媒を含むことができる。適正な流動性は、例えばレシチンなどのコーティングの使用によって、分散系の場合には必要な粒径の維持によって、および界面活性剤の使用によって、維持することができる。微生物の作用の防止は、さまざまな抗細菌および抗真菌剤、例えばパラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサールなどによって、達成することができる。多くの事例において、等張化剤、例えば糖類または塩化ナトリウムを含めることが好ましいだろう。注射可能な組成物の持続的吸収は、吸収を遅延させる作用物質、例えばモノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンを組成物中に使用することによって達成することができる。
【0471】
滅菌注射可能溶液は、必要な量の活性化合物を必要に応じて上に列挙した他のさまざまな成分と共に適当な溶媒に組み込んだ後、濾過滅菌または等価な手順を行うことによって調製される。一般に、分散系は、滅菌されたさまざまな活性成分を、基礎分散媒と上に列挙した成分から選ばれる他の必要な成分とを含有する滅菌媒体に組み込むことによって、調製される。滅菌注射可能溶液を調製するための滅菌粉末の場合、好ましい調製方法は、真空乾燥および凍結乾燥技法であり、これらは、活性成分と、事前に滅菌濾過されたその溶液からの、所望する任意の追加成分との粉末を与える。
【0472】
組成物の投与は典型的には任意の一般的経路によるだろう。これには経口投与または静脈内投与が含まれるが、それらに限るわけではない。あるいは、投与は、同所性、皮内、皮下、筋肉内、腹腔内、または鼻腔内投与による投与であってもよい。そのような組成物は、通常は、生理学的に許容されうる担体、緩衝剤、または他の賦形剤を含む薬学的に許容されうる組成物として投与されるだろう。
【0473】
製剤化後に、溶液は、その投与製剤に適合する方法により、治療的または予防的に有効であるような量で、投与される。製剤は、上述した注射可能溶液のタイプなど、さまざまな剤形で、容易に投与される。
【0474】
1.併用治療
ここに提供される治療は、第1のがん治療と第2のがん治療などといった、治療剤の組合せの投与を含みうる。治療は当技術分野において知られる任意の適切な方法で実施されうる。例えば、第1のがん処置と第2のがん処置は、逐次的に(異なる時点で)施行されるか、または同時に(同じ時点で)施行されうる。いくつかの実施形態において、第1のがん処置と第2のがん処置は、別々の組成物で施行される。いくつかの実施形態において、第1のがん処置と第2のがん処置は、同じ組成物で施行される。
【0475】
いくつかの実施形態では、第1のがん治療と第2のがん治療が実質上同時に施行される。いくつかの実施形態では、第1のがん治療と第2のがん治療が逐次的に施行される。いくつかの実施形態では、第1のがん治療、第2のがん治療、および第3の治療が逐次的に施行される。いくつかの実施形態において、第1のがん治療は第2のがん治療を施行する前に施行される。いくつかの実施形態において、第1のがん治療は第2のがん治療を施行した後に施行される。
【0476】
本開示の実施形態は、治療組成物を含む組成物および方法に関する。異なる治療を、1つの組成物で、または2つ以上の組成物で、例えば2つの組成物、3つの組成物もしくは4つの組成物で、施行しうる。作用物質のさまざまな組合せを使用しうる。
【0477】
XVI.細胞の製剤および培養
特定の実施形態において、本開示の細胞は特に製剤化することができ、および/または特定の培地中で培養されうる。細胞は、有害な作用を伴わずにレシピエントに送達するのに適するような方法で製剤化されうる。
【0478】
一定の態様において、培地は、動物細胞を培養するためにそれらの基本培地として使用される培地、例えばAIM V、X-VIVO-15、NeuroBasal、EGM2、TeSR、BME、BGJb、CMRL1066、Glasgow MEM、Improved MEM Zinc Option、IMDM、Medium 199、Eagle MEM、αMEM、DMEM、Ham、RPMI-1640、およびフィッシャー培地のうちのいずれか、ならびにそれらの任意の組合せを使って調製することができるが、培地は、それを動物細胞の培養に使用することが可能である限り、特に上記に限定されるわけではない。特に培地は、異種成分不含培地または合成培地でありうる。
【0479】
培地は、血清含有培地もしくは無血清培地、または異種成分不含培地であることができる。異種動物由来構成要素による汚染を防止する態様から、血清は幹細胞と同じ動物に由来することができる。無血清培地とは、未加工または未精製の血清を含まない培地を指すので、無血清培地には、精製された血液由来構成要素または動物組織由来構成要素(成長因子など)を含む培地を含めることができる。
【0480】
培地は、何らかの血清代替物を含有してもよいし含有しなくてもよい。血清代替物は、アルブミン(例えば脂質リッチアルブミン、ウシアルブミン、アルブミン代用物、例えば組換えアルブミンまたはヒト化アルブミン、植物デンプン、デキストランおよびタンパク質加水分解物)、トランスフェリン(または他の鉄トランスポーター)、脂肪酸、インスリン、コラーゲン前駆体、微量元素、2-メルカプトエタノール、3’-チオグリセロール(thiolgiycerol)、またはそれらの等価物を適当に含有する材料を含むことができる。血清代替物は、例えば国際公開第98/30679号(その全体が本明細書に組み入れられる)に開示されている方法によって調製することができる。あるいは、さらに便利なように、任意の市販の材料を使用することができる。市販の材料には、KNOCKOUT(商標)血清代替品(KSR)、既知組成脂質濃縮物(Chemically-defined Lipid concentrated)(GIBCO(商標))、およびGLUTAMAX(商標)(GIBCO(商標))などがある。
【0481】
一定の実施形態において、培地は、次に挙げるもののうちの、少なくとも、または最大で、または正確に1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20個、もしくはそれ以上、またはそれらのうちの任意の2つの間を含みうる:ビタミン類、例えばビオチン;DLアルファトコフェロール酢酸;DLアルファ-トコフェロール;ビタミンA(酢酸塩);タンパク質、例えばBSA(ウシ血清アルブミン)またはヒトアルブミン、脂肪酸不含フラクションV;カタラーゼ;ヒト組換えインスリン;ヒトトランスフェリン;スーパーオキシドジスムターゼ;他の構成要素、例えばコルチコステロン;D-ガラクトース;エタノールアミンHCl;グルタチオン(還元型);L-カルニチンHCl;リノール酸;リノレン酸;プロゲステロン;プトレシン2HCl;亜セレン酸ナトリウム;および/またはT3(トリヨード-L-チロニン)。具体的実施形態では、これらのうちの1つ以上が明示的に除外されうる。
【0482】
いくつかの実施形態において、培地はビタミン類をさらに含む。いくつかの実施形態において、培地は、次に挙げる物質:ビオチン、DLアルファトコフェロール酢酸、DLアルファ-トコフェロール、ビタミンA、塩化コリン、パントテン酸カルシウム、パントテン酸、葉酸、ニコチンアミド、ピリドキシン、リボフラビン、チアミン、イノシトール、ビタミンB12、のうちの少なくとも、または最大で、または正確に1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、もしくは13個、またはそれらのうちの任意の2つの間(およびその中で導き出しうる任意の範囲)を含むか、または培地はそれらの組合せもしくはそれらの塩を含む。いくつかの実施形態において、培地は、ビオチン、DLアルファトコフェロール酢酸、DLアルファ-トコフェロール、ビタミンA、塩化コリン、パントテン酸カルシウム、パントテン酸、葉酸、ニコチンアミド、ピリドキシン、リボフラビン、チアミン、イノシトール、およびビタミンB12を含むか、または本質的にそれらからなる。いくつかの実施形態において、ビタミン類は、ビオチン、DLアルファトコフェロール酢酸、DLアルファ-トコフェロール、ビタミンA、またはそれらの組合せもしくは塩を含むか、または本質的にそれらからなる。いくつかの実施形態において、培地はタンパク質をさらに含む。いくつかの実施形態において、前記タンパク質は、アルブミンまたはウシ血清アルブミン、BSAのフラクション、カタラーゼ、インスリン、トランスフェリン、スーパーオキシドジスムターゼ、またはそれらの組合せを含む。いくつかの実施形態において、培地は、次に挙げる物質のうちの1つ以上をさらに含む:コルチコステロン、D-ガラクトース、エタノールアミン、グルタチオン、L-カルニチン、リノール酸、リノレン酸、プロゲステロン、プトレシン、亜セレン酸ナトリウム、またはトリヨード-I-チロニン、またはそれらの組合せ。いくつかの実施形態において、培地は、次に挙げる物質のうちの1つ以上を含む:B-27(登録商標)サプリメント、異種成分不含B-27(登録商標)サプリメント、GS21(商標)サプリメント、またはそれらの組合せ。いくつかの実施形態において、培地は、アミノ酸、単糖、無機イオンを含むか、またはそれらをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記アミノ酸は、アルギニン、シスチン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、グルタミン、フェニルアラニン、スレオニン、トリプトファン、ヒスチジン、チロシン、もしくはバリン、またはそれらの組合せを含む。いくつかの実施形態において、前記無機イオンは、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、窒素、もしくはリン、またはそれらの組合せもしくは塩を含む。いくつかの実施形態において、培地は、次に挙げる物質のうちの1つ以上をさらに含む:モリブデン、バナジウム、鉄、亜鉛、セレン、銅、もしくはマンガン、またはそれらの組合せ。一定の実施形態において、培地は、本明細書において論述される1つ以上のビタミン類および/または本明細書において論述される1つ以上のタンパク質、および/または以下に挙げる物質のうちの1つ以上を含むか、または本質的にそれらからなる:コルチコステロン、D-ガラクトース、エタノールアミン、グルタチオン、L-カルニチン、リノール酸、リノレン酸、プロゲステロン、プトレシン、亜セレン酸ナトリウム、またはトリヨード-I-チロニン、B-27(登録商標)サプリメント、異種成分不含B-27(登録商標)サプリメント、GS21(商標)サプリメント、アミノ酸(例えばアルギニン、シスチン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、グルタミン、フェニルアラニン、スレオニン、トリプトファン、ヒスチジン、チロシン、またはバリン)、単糖、無機イオン(例えばナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、窒素,および/またはリン)もしくはその塩、および/またはモリブデン、バナジウム、鉄、亜鉛、セレン、銅、もしくはマンガン。具体的実施形態では、これらのうちの1つ以上が明示的に除外されうる。
【0483】
培地は、1つ以上の外から加えられた脂肪酸もしくは脂質、アミノ酸(例えば非必須アミノ酸)、1つまたは複数のビタミン、成長因子、サイトカイン、酸化防止物質、2-メルカプトエタノール、ピルビン酸、緩衝剤、および/または無機塩を含有することもできる。具体的実施形態では、これらのうちの1つ以上が明示的に除外されうる。
【0484】
培地構成要素のうちの1つ以上は、少なくとも、または最大で、または正確に0.1、0.5、1、2、3、4、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、150、180、200、250ng/L、ng/ml、μg/ml、mg/ml、またはそれらのうちの任意の2つの間、またはその中で導き出しうる任意の範囲の濃度で加えうる。
【0485】
具体的実施形態において、本開示の細胞は特に製剤化される。それらは細胞懸濁液として製剤化してもよいし、そうでなくてもよい。具体的事例では、それらは単回投与型として製剤化される。それらは全身性投与用または局所投与用として製剤化されうる。いくつかの事例において、細胞は使用前の貯蔵のために製剤化され、その細胞製剤は、1つ以上の凍結保存剤、例えばDMSOを含みうる(例えば5%DMSO中)。細胞製剤はヒトアルブミンなどのアルブミンを含みうる。ある具体的製剤は2.5%ヒトアルブミンを含む。細胞は、特に静脈内投与用に製剤化されうる。例えばそれらは1時間未満での静脈内投与用に製剤化されうる。特定の実施形態において、細胞は、融解時点から1、2、3、4時間もしくはそれ以上にわたって室温において安定である、製剤化された細胞懸濁液中にある。
【0486】
特定の実施形態において、本開示の細胞は、外因性TCRを含み、それは、所定の抗原特異性を持つものでありうる。いくつかの実施形態において、TCRは、意図したレシピエントに対するアロ反応性の非存在または低減したアロ反応性に基づいて選択することができる。外因性TCRが非アロ反応性である実施例では、T細胞分化中に、外因性TCRが内在性TCR座位の再編成および/または発現を、アレル排除と呼ばれる発生過程によって抑制し、その結果、非アロ反応性外因性TCRだけを発現し、それゆえに非アロ反応性であるT細胞をもたらす。いくつかの実施形態において、外因性TCRの選択は、必ずしもアロ反応性の欠失に基づいて規定されるわけではない。いくつかの実施形態では、内在性TCR遺伝子が、ゲノム編集により、それらがタンパク質を発現しないように改変されている。遺伝子編集の方法は、CRISPR/Cas9系を使った方法など、当技術分野では知られており、本明細書にも記載する。
【0487】
いくつかの実施形態において、本開示の細胞は、1つ以上のキメラ抗原受容体(CAR)を、さらに含む。CARを指向させうる腫瘍細胞抗原の例としては、例えば少なくとも5T4、8H9、αvβ6インテグリン、BCMA、B7-H3、B7-H6、CAIX、CA9、CD19、CD20、CD22、CD30、CD33、CD38、CD44、CD44v6、CD44v7/8、CD70、CD123、CD138、CD171、CEA、CSPG4、EGFR、EGFRファミリー、例えばErbB2(HER2)、EGFRvIII、EGP2、EGP40、ERBB3、ERBB4、ErbB3/4、EPCAM、EphA2、EpCAM、葉酸受容体-α、FAP、FBP、胎児型AchR、FRα、GD2、G250/CAIX、GD3、グリピカン-3(GPC3)、Her2、IL-13Rα2、ラムダ、ルイスY、カッパ、KDR、MAGE、MCSP、メソテリン、Muc1、Muc16、NCAM、NKG2Dリガンド、NY-ESO-1、PRAME、PSC1、PSCA、PSMA、ROR1、SP17、サバイビン、TAG72、TEM、癌胎児性抗原、HMW-MAA、AFP、CA-125、ETA、チロシナーゼ、MAGE、ラミニン受容体、HPV E6、E7、BING-4、カルシウム活性化クロライドチャネル2、サイクリン-B1、9D7、EphA3、テロメラーゼ、SAP-1、BAGEファミリー、CAGEファミリー、GAGEファミリー、MAGEファミリー、SAGEファミリー、XAGEファミリー、NY-ESO-1/LAGE-1、PAME、SSX-2、Melan-A/MART-1、GP100/pmel17、TRP-1/-2、P.ポリペプチド、MC1R、前立腺特異抗原、β-カテニン、BRCA1/2、CML66、フィブロネクチン、MART-2、TGF-βRII、またはVEGF受容体(例えばVEGFR2)が挙げられる。CARは、第1、第2、第3世代、またはそれ以降のCARでありうる。CARは、任意の2つの非同一抗原に対して二重特異性であるか、または3つ以上の非同一抗原に対して特異的でありうる。
【0488】
A.細胞
一定の実施形態は、本開示のポリペプチドまたは核酸を含む細胞に関する。いくつかの実施形態において、細胞は免疫細胞である。いくつかの実施形態において、細胞はT細胞である。「T細胞」には、Tヘルパー細胞、インバリアントナチュラルキラーT(iNKT)細胞、細胞傷害性T細胞、制御性T細胞(Treg)、ガンマ・デルタT細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、および好中球など、CD3を発現するすべてのタイプの免疫細胞が含まれる。T細胞とは、CD4+T細胞またはCD8+T細胞を指しうる。
【0489】
適切な哺乳動物細胞には初代細胞および不死化細胞株が含まれる。適切な哺乳動物細胞株には、ヒト細胞株、非ヒト霊長類細胞株、齧歯類(例えばマウス、ラット)細胞株などが含まれる。適切な哺乳動物細胞株には、HeLa細胞(例えばAmerican Type Culture Collection(ATCC)No.CCL-2)、CHO細胞(例えばATCC No.CRL9618、CCL61、CRL9096)、ヒト胎児腎臓(HEK)293細胞(例えばATCC No.CRL-1573)、Vero細胞、NIH 3T3細胞(例えばATCC No.CRL-1658)、Huh-7細胞、BHK細胞(例えばATCC No.CCL10)、PC12細胞(ATCC No.CRL1721)、COS細胞、COS-7細胞(ATCC No.CRL1651)、RATI細胞、マウスL細胞(ATCC No.CCLI.3)、HLHepG2細胞、Hut-78、Jurkat、HL-60、NK細胞株(例えばNKL、NK92、およびYTS)などが含まれるが、それらに限るわけではない。
【0490】
場合によっては、細胞は不死化細胞株ではなく、その代わりに、個体から得られた細胞(例えば初代細胞)である。例えばいくつかの事例において、細胞は個体から得られた免疫細胞である。一例として、細胞は個体から得られたTリンパ球である。別の一例として、細胞は、個体から得られた細胞傷害性細胞である。別の一例として、細胞は、個体から得られた幹細胞(例えば末梢血幹細胞)または前駆細胞である。
【0491】
XVII.一般的な薬学的組成物
いくつかの実施形態では、薬学的組成物が対象に投与される。さまざまな態様が、有効量の組成物を対象に投与することを伴いうる。いくつかの実施形態では、CD70に結合することができる抗体または抗原結合フラグメントが、ある状態(例えばがん)から防御し、またはその状態を処置するために、対象に投与されうる。あるいは、1つ以上のそのような抗体またはポリペプチドもしくはペプチドをコードする発現ベクターを、予防措置として対象に与えうる。加えて、そのような組成物は、追加の治療剤(例えば化学治療薬、免疫治療薬、バイオ治療薬など)と組み合わせて投与することができる。そのような組成物は一般に、薬学的に許容されうる担体または水性媒体に溶解されまたは分散されるだろう。
【0492】
「薬学的に許容されうる」または「薬理学的に許容されうる」という語句は、動物またはヒトに投与された場合に、有害反応、アレルギー反応、または他の不都合な反応を生じない分子実体および組成物を指す。本明細書にいう「薬学的に許容されうる担体」は、ありとあらゆる溶媒、分散媒、コーティング、抗細菌剤および抗真菌剤、等張化剤および吸収遅延剤などを包含する。薬学的活性物質のためのそのような媒質および薬剤の使用は、当技術分野において周知である。従来の媒質または薬剤は、それらが活性化合物と不適合でない限り、いずれも、免疫原性治療組成物におけるその使用が考慮される。補足的活性成分、例えば他の抗感染剤およびワクチンも、組成物に組み込むことができる。
【0493】
活性化合物は、非経口投与用に、例えば静脈内、筋肉内、皮下、または腹腔内経路による注射のために製剤化することができる。典型的には、そのような組成物は、溶液または懸濁液として調製することができる。また、注射前に液体を添加することで溶液または懸濁液を調製するための使用に適した固形物を調製することもでき、それらの調製物を乳化することもできる。
【0494】
注射可能な用途に適した薬学的形態としては、滅菌水性溶液または分散液;水性プロピレングリコールなどを含む製剤;および滅菌注射可能溶液または分散液の即時調製のための滅菌粉末が挙げられる。いずれの場合も、その形態は滅菌状態でなければならず、容易に注射されうる程度には流動性でなければならない。また、製造条件下および貯蔵条件下で安定であるべきであり、細菌および真菌などの微生物の汚染作用から保護されなければならない。
【0495】
タンパク質組成物は中性型または塩型に製剤化されうる。薬学的に許容されうる塩には、酸付加塩(タンパク質の遊離アミノ基を使って形成されるもの)が含まれ、これは、例えば塩酸もしくはリン酸などの無機酸、または酢酸、シュウ酸、酒石酸、マンデル酸などの有機酸を使って形成される。有機カルボキシル基を使って形成される塩も、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、水酸化カルシウム、もしくは水酸化第二鉄などの無機塩基、またはイソプロピルアミン、トリメチルアミン、ヒスチジン、プロカインなどの有機塩基から誘導することができる。
【0496】
薬学的組成物は、例えば水、エタノール、ポリオール(例えばグリセロール、プロピレングリコール、および液状ポリエチレングリコールなど)、それらの適切な混合物、および植物油を含有する溶媒または分散媒を含むことができる。適正な流動性は、例えばレシチンなどのコーティングの使用によって、分散系の場合には必要な粒径の維持によって、および界面活性剤の使用によって、維持することができる。微生物の作用の防止は、さまざまな抗細菌および抗真菌剤、例えばパラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサールなどによって、達成することができる。多くの事例において、等張化剤、例えば糖類または塩化ナトリウムを含めることが好ましいだろう。注射可能な組成物の持続的吸収は、吸収を遅延させる作用物質、例えばモノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンを組成物中に使用することによって達成することができる。
【0497】
滅菌注射可能溶液は、必要な量の活性化合物を必要に応じて上に列挙した他のさまざまな成分と共に適当な溶媒に組み込んだ後、濾過滅菌または等価な手順を行うことによって調製される。一般に、分散系は、滅菌されたさまざまな活性成分を、基礎分散媒と上に列挙した成分から選ばれる他の必要な成分とを含有する滅菌媒体に組み込むことによって、調製される。滅菌注射可能溶液を調製するための滅菌粉末の場合、好ましい調製方法は、真空乾燥および凍結乾燥技法であり、これらは、活性成分と、事前に滅菌濾過されたその溶液からの、所望する任意の追加成分との粉末を与える。
【0498】
組成物の投与は典型的には任意の一般的経路によるだろう。これには経口投与または静脈内投与が含まれるが、それらに限るわけではない。あるいは、投与は、同所性、皮内、皮下、筋肉内、腹腔内、または鼻腔内投与による投与であってもよい。そのような組成物は、通常は、生理学的に許容されうる担体、緩衝剤、または他の賦形剤を含む薬学的に許容されうる組成物として投与されるだろう。
【0499】
製剤化後に、溶液は、その投与製剤に適合する方法により、治療的または予防的に有効であるような量で、投与される。製剤は、上述した注射可能溶液のタイプなど、さまざまな剤形で、容易に投与される。
【0500】
XVIII.キット
本明細書記載の組成物はいずれもキットに含まれうる。限定でない一例では、細胞、細胞を作出するための試薬、ベクター、ならびにベクターおよび/またはその構成要素を作出するための試薬を、キットに含めうる。一定の実施形態では、NK細胞をキットに含めることができ、それらはCD70標的化受容体、随意のサイトカイン、または随意の自殺遺伝子を発現してもよいし、まだ発現していなくてもよい。そのようなキットには、細胞を操作するための1つ以上の試薬が含まれていてもよいし、そうでなくてもよい。そのような試薬には、例えば低分子、タンパク質、核酸、抗体、緩衝液、プライマー、ヌクレオチド、塩、および/またはそれらの組合せが含まれる。1つ以上のCD70抗体、CD70 CAR、および/もしくはCD70エンゲージャー、自殺遺伝子産物、ならびに/またはサイトカインをコードするヌクレオチドを、キットに含めうる。サイトカインまたはモノクローナル抗体を含む抗体などのタンパク質を、キットに含めうる。工学的に操作されたCD70抗体、CD70 CAR、および/またはCD70エンゲージャーの構成要素をコードするヌクレオチドを、それを作製するための試薬を含めて、キットに含めうる。
【0501】
特定の態様において、キットは本開示のNK細胞治療を含み、それとは別のがん治療も含む。いくつかの事例において、キットは、細胞治療実施形態に加えて、例えば第2のがん治療、例えば化学治療、ホルモン治療、および/または免疫治療も含む。キットは、ある個体の特定のがんに合わせることができ、その個体のためのそれぞれの第2のがん治療を含みうる。
【0502】
キットは適切に小分けされた本開示の組成物を含みうる。キットの構成要素は、水性培地に入れて、または凍結乾燥された形態で、梱包されうる。キットの容器手段は一般に、構成要素を入れて、好ましくは適切に小分けしうる、少なくとも1つのバイアル、試験管、フラスコ、ボトル、シリンジまたは他の容器手段を含みうる。キットに2つ以上の構成要素が存在する場合、そのキットは、一般に、それら追加の構成要素を別々に入れることができる第2、第3、その他のさらなる容器も含有しうる。しかし、構成要素のさまざまな組合せを1つのバイアルに含めてもよい。本発明のキットは、典型的には、商業的販売のために本組成物および他の任意の試薬容器を厳密に閉じ込めて収容する手段も含むだろう。そのような容器には、所望のバイアルがその中に保持される射出成形または吹込成形プラスチック容器が含まれうる。
【実施例
【0503】
本発明の一定の実施形態を実証するために以下の実施例を含める。以下の実施例において開示される技法が、本発明者らにより、本発明の実施において十分に機能することが見いだされた技法を表すこと、そしてそれゆえに、本発明の実施のための一定の形態を構成するとみなしうることを、当業者は理解すべきである。ただし、開示される具体的実施形態には数多くの変更を加えることができ、それでもなお、本発明の要旨と範囲から逸脱することなく、同様のまたは類似する結果が得られることを、本開示に照らして、当業者は理解すべきである。
【0504】
実施例1-モノクローナル抗ヒトCD70抗体はヒトCD70に結合する。
m1、m5、m6、m7、m14、m15、m16、m19、およびm22クローン(m6、m7、およびm14クローンは下記表3に記載する)を含むモノクローナル抗ヒトCD70抗体を、ELISA細胞ベースアッセイでタイトレートした(図1)。完全長ヒトCD70分子を発現するように形質導入されたマウス線維芽細胞(L細胞)をコーティングした96ウェルプレートを精製抗体の段階希釈液および対照培地と共にインキュベートした。そのELISAを、ヤギ抗マウスIgG-HRPコンジュゲート二次抗体を使って呈色させ、450nmにおける吸光度を測定することにより、50%有効濃度(half-maximal effective concentration:EC50)を決定した。
【表3】
【0505】
実施例2-ヒトCD70抗体はNK細胞中で安定した発現を示す。
さまざまな細胞中で発現するCD70抗原へのさまざまなm1、m5、m6、m7、m14、m15、m16、m19、およびm22CD70抗体クローンの結合を検出するためにフローサイトメトリーアッセイを行った。
【0506】
臍帯血由来ナチュラルキラー(CBNK)細胞およびRaji野生型(WT)細胞はCD70抗原発現に関して陽性であり、Raji CD70ノックアウト(KO)細胞はCD70発現に関して陰性である。クローンm6、m7、m14、およびm16は、細胞表面のCD70抗原への強化された結合を示し、クローンm7、m14、およびm16は特異的結合を示した(図2)。
【0507】
実施例3-ヒトCD70抗体はNK細胞中で安定した発現を示す。
臍帯血由来NK細胞にさまざまなCD70 CAR構築物(図3~5に模式的に図解し、下記表4に記載するもの)を形質導入し、トランスフェクション効率をフローサイトメトリーによって測定した。陽性細胞百分率(図6A)および平均蛍光強度(MFI)(図6B)に基づく形質導入効率を示す。
【表4】
【0508】
実施例4-Rajiリンパ腫細胞に対するhuCD70CAR NK細胞の機能的性能
上記表4に示すさまざまなCD70 CAR構築物が形質導入されたCBNK細胞の細胞増殖アッセイからの結果を、図7に示す。200万個のNK細胞を、IL-2を補足した無血清幹細胞増殖培地(SCGM)中、照射uAPC細胞を使って拡大した。2サイクルの拡大データを示す。
【0509】
上記表4に示すさまざまなCD70構築物が形質導入されたCBNK細胞によるCD107a、インターフェロンガンマ、および腫瘍壊死因子アルファの産生も測定した。図8に示すように、非形質導入(NT)細胞と比較して、CD70 CARが形質導入されたCBNK細胞は、それぞれの細胞表面にCD70が高発現しているRaji細胞およびKarpas細胞と共培養した場合に、脱顆粒マーカーCD107aの発現の増加を示したことから、これらの細胞に対する細胞傷害性の強化が示唆された。K562細胞を陽性対照として使用した。この細胞はCBNK細胞死滅に対して感受性であるからである。また、がん細胞を加えずに、CD107aのベースライン発現を得た。図9に示すように、非形質導入(NT)細胞と比較して、CD70 CARが形質導入されたCBNK細胞は、それぞれの細胞表面にCD70が高発現しているRaji細胞およびKarpas細胞と共培養した場合に、インターフェロン・ガンマ(IFNg)の産生の増加を示した。K562細胞を陽性対照として使用した。この細胞はCBNK細胞死滅に対して感受性であるからである。また、がん細胞を加えずに、IFNgのベースライン分泌を得た。図10に示すように、非形質導入(NT)細胞と比較して、CD70 CARが形質導入されたCBNK細胞は、それぞれの細胞表面にCD70が高発現しているRaji細胞およびKarpas細胞と共培養した場合に、腫瘍壊死因子アルファ(TNFa)の産生の増加を示した。K562細胞を陽性対照として使用する。この細胞はCBNK細胞死滅に対して感受性であるからである。また、がん細胞を加えずに、TNFaのベースライン分泌を得た。
【0510】
上記表4に示すさまざまなCD70構築物が形質導入されたCBNK細胞の細胞傷害機能を、Raji細胞およびKarpas細胞に対して、クロム放出アッセイを使って評価した。非形質導入(NT)細胞と比較して、さまざまなCD70 CARが形質導入されたCBNK細胞は、クロム放出アッセイによって示されるとおり、Raji細胞(図11A)およびKarpas細胞(図11B)(それぞれの細胞表面にCD70の高発現を有するもの)の細胞傷害の増加を示したことから、CBNK CD70 CAR細胞は、CD70の高発現を伴うがん細胞に対して、より強い死滅活性を有することが示唆された。両グラフのX軸に示すとおり、このアッセイでは、さまざまなエフェクター対ターゲット比を使用した。
【0511】
上記表4に示すさまざまなCD70構築物が形質導入されたCD70 CAR CBNK細胞は、多発性骨髄腫(MM1.s;図12)および急性骨髄性白血病(MOLM-14;図13)のマウスモデルにおける腫瘍量を低減することも示された。ホタルルシフェラーゼ(FFLuc)を形質導入したMM1.s細胞をマウスに注射し、さまざまな群間で、バイオルミネセンスイメージングによってモニターした。処置群のマウスには、腫瘍注射の1日後に、1Mの各CBNK細胞を注射した。各群のマウスのバイオルミネセンスイメージ(図12A)およびルシフェラーゼシグナルの定量(図12B)は、m14-CD70クローンから作製されたCD70 CAR CBNK細胞が、非形質導入(NT)CBNK細胞と比較した場合に、MM1.s腫瘍量を低減することに関して優れていたことを示している。ホタルルシフェラーゼ(FFLuc)を形質導入したMOLM-14細胞をマウスに注射し、さまざまな群間で、バイオルミネセンスイメージングでモニターした。処置群のマウスには、腫瘍注射の1日後に、1Mの各CBNK細胞を注射した。各群のマウスのバイオルミネセンスイメージ(図13A)およびルシフェラーゼシグナルの定量(図13B)は、m14-CD70クローンから生成したCD70 CAR CBNK細胞が、非形質導入(NT)CBNK細胞と比較した場合およびARGX-110から作製されたCD70 CAR T細胞と比較した場合(図14A図14B)に、Molm14腫瘍量を低減することに関して優れていたことを示している。
【0512】
実施例5-Raji細胞およびMec-1細胞に対するhuCD70CAR T細胞の機能的性能
上記表4に示す配列番号42および104に対応するm14-CD70VHVL-IL15構築物が形質導入されたT細胞の細胞傷害機能を、Raji細胞およびMec-1細胞に対して、クロム放出アッセイを使って評価した。非形質導入(NT)細胞と比較して、m14-CD70VHVL-IL15構築物が形質導入されたT細胞は、クロム放出アッセイによって示されるとおり、Raji細胞(図15A)およびMec-1細胞(図15B)(それぞれの細胞表面にCD70の高発現を有するもの)の細胞傷害の増加を示したことから、CD70 CARが形質導入されたT細胞は、NT T細胞と比較して、CD70の高発現を伴うがん細胞に対して、より強い死滅活性を有することが示唆された。両グラフのX軸に示すとおり、このアッセイでは、さまざまなエフェクター対ターゲット比を使用した。
【0513】
上記表4に示す配列番号42および104に対応するm14-CD70VHVL-IL15構築物が形質導入されたT細胞の細胞傷害機能を、SKOV3 CD70発現卵巣がん細胞株に対して、Xcelligenceアッセイ(Agilent)を使って評価した。非形質導入(NT)細胞と比較して、m14-CD70VHVL-IL15構築物が形質導入されたT細胞は、SKOV3細胞の細胞傷害の増加を示した。CD70の高発現を有するSKOV3細胞を、96ウェルRTCA E-プレートで一晩成長させ、翌日、2:1のエフェクター対ターゲット(E:T)比で、m14-CD70VHVL-IL15 CAR T細胞を加えた。細胞傷害性をXcelligence機器によって連続的に測定し、正規化細胞インデックスとして表した。実験は、2人の異なるドナーから作製されたCAR T細胞で行った。
【0514】
ここに開示し特許請求する方法はいずれも、本開示に照らせば、過度の実験を行わなくても、これを行い、実施することができる。本発明の組成物および方法を好ましい実施形態に関して説明したが、本明細書に記載した方法や、それらの方法の工程の順序に、本発明の概念、要旨および範囲から逸脱することなく変更を加えうることは、当業者には明らかだろう。より具体的には、化学的にも生理学的にも関連する一定の作用物質を、本明細書記載の作用物質の代わりに使用しても、同じまたは類似する結果が達成されるであろうことは、明白だろう。当業者にとって明白なそれら類似の代替物および改変は、添付の特許請求の範囲が画定する本発明の要旨、範囲および概念内にあるとみなされる。
【0515】
(参考文献)
以下の参考文献および本明細書の他の箇所で引用された文献は、それらが本明細書に記載されたものを補足する例示的な手順または他の詳細を提供する限りにおいて、参照により本明細書に具体的に組み込まれる。
1. Borst, J., et al. (2005). “CD27 and CD70 in T cell and B cell activation.” Curr Opin Immunol 17(3): 275-281.
2. Jacobs, J., et al. (2015). “CD70: An emerging target in cancer immunotherapy.” Pharmacol Ther 155: 1-10.
3. Oflazoglu, E., et al. (2008). “Potent anticarcinoma activity of the humanized anti-CD70 antibody h1F6 conjugated to the tubulin inhibitor auristatin via an uncleavable linker.” Clin Cancer Res 14(19): 6171-6180.
4. Owonikoko, T. K., et al. (2016). “First-in-human multicenter phase I study of BMS-936561 (MDX-1203), an antibody-drug conjugate targeting CD70.” Cancer Chemother Pharmacol 77(1): 155-162.
5. Riether, C., et al. (2017). “CD70/CD27 signaling promotes blast stemness and is a viable therapeutic target in acute myeloid leukemia.” J Exp Med 214(2): 359-380.
6. Ryan, M. C., et al. (2010). “Targeting pancreatic and ovarian carcinomas using the auristatin-based anti-CD70 antibody-drug conjugate SGN-75.” Br J Cancer 103(5): 676-684.
7. Shaffer, D. R., et al. (2011). “T cells redirected against CD70 for the immunotherapy of CD70-positive malignancies.” Blood 117(16): 4304-4314.
8. Wajant, H. (2016). “Therapeutic targeting of CD70 and CD27.” Expert Opin Ther Targets 20(8): 959-973.
9. Goodwin RG, Alderson MR, Smith CA, Armitage RJ, VandenBos T, Jerzy R, Tough TW, Schoenborn MA, Davis-Smith T, Hennen K (1993) Molecular and biological characterization of a ligand for CD27 defines a new family of cytokines with homology to tumor necrosis factor. Cell 73: 447-456
10. van Gisbergen KP, van Olffen RW, van Beek J, et al. Protective CD8 T cell memory is impaired during chronic CD70-driven costimulation. J Immunol 2009; 182(9): 5352-62.
11. O’Neill RE, Du W, Mohammadpour H, et al. T Cell-Derived CD70 Delivers an Immune Checkpoint Function in Inflammatory T Cell Responses. J Immunol 2017; 199(10): 3700-10.
12. Claus C, Riether C, Schurch C, Matter MS, Hilmenyuk T, Ochsenbein AF. CD27 signaling increases the frequency of regulatory T cells and promotes tumor growth. Cancer Res 2012; 72(14): 3664-76.
13. Grewal IS. CD70 as a therapeutic target in human malignancies. Expert Opin Ther Targets 2008; 12(3): 341-51.
14. Maude SL, Laetsch TW, Buechner J, et al. Tisagenlecleucel in Children and Young Adults with B-Cell Lymphoblastic Leukemia. N Engl J Med 2018; 378(5): 439-48.
15. Neelapu SS, Locke FL, Bartlett NL, et al. Axicabtagene Ciloleucel CAR T-Cell Therapy in Refractory Large B-Cell Lymphoma. N Engl J Med 2017; 377(26): 2531-44.
16. Schuster SJ, Bishop MR, Tam CS, et al. Tisagenlecleucel in Adult Relapsed or Refractory Diffuse Large B-Cell Lymphoma. N Engl J Med 2019; 380(1): 45-56.
17. Daher M, Rezvani K. Next generation natural killer cells for cancer immunotherapy: the promise of genetic engineering. Curr Opin Immunol 2018; 51: 146-53.
18. Liu E, Tong Y, Dotti G, et al. Cord blood NK cells engineered to express IL-15 and a CD19-targeted CAR show long-term persistence and potent antitumor activity. Leukemia 2018; 32(2): 520-31.
19. Liu E, Marin D, Banerjee P, et al. Use of CAR-Transduced Natural Killer Cells in CD19-Positive Lymphoid Tumors. N Engl J Med 2020; 382(6): 545-53.
20. Silence K, Dreier T, Moshir M, et al. ARGX-110, a highly potent antibody targeting CD70, eliminates tumors via both enhanced ADCC and immune checkpoint blockade. MAbs 2014; 6(2): 523-32.
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図12A
図12B
図13A
図13B
図14A
図14B
図15A
図15B
図16
【配列表】
2024525492000001.app
【国際調査報告】