(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-12
(54)【発明の名称】多重光学刺激および読出
(51)【国際特許分類】
C12M 1/00 20060101AFI20240705BHJP
C12M 1/34 20060101ALI20240705BHJP
G01N 21/27 20060101ALI20240705BHJP
【FI】
C12M1/00 A
C12M1/34 B
G01N21/27 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023580812
(86)(22)【出願日】2022-06-30
(85)【翻訳文提出日】2024-02-26
(86)【国際出願番号】 US2022035684
(87)【国際公開番号】W WO2023278672
(87)【国際公開日】2023-01-05
(32)【優先日】2021-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516056971
【氏名又は名称】キュー-ステート バイオサイエンシーズ, インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Q-State Biosciences, Inc.
【住所又は居所原語表記】179 Sidney Street, Cambridge, Massachusetts 02139 United States
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ボルジャ, ガブリエル ベニート
(72)【発明者】
【氏名】ルー, ヤン
(72)【発明者】
【氏名】ハーウッド, ベンジャミン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン, ホンカン
(72)【発明者】
【氏名】ワーリー, クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】マクマナス, オーウェン
(72)【発明者】
【氏名】デンプシー, グラハム ティー.
【テーマコード(参考)】
2G059
4B029
【Fターム(参考)】
2G059AA05
2G059BB14
2G059CC16
2G059DD06
2G059EE07
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2G059FF11
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2G059KK04
4B029AA07
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4B029FA15
4B029GA03
(57)【要約】
本発明は、同時の複数の明確に異なる波長におけるマルチウェルプレートの個々のウェルへの刺激光の伝送およびそれからの放出光の検出を提供するためのマルチウェルプレートリーダを提供する。本発明は、生物学的活性の光遺伝学的アッセイを実施する際の使用のためのマルチウェルプレートリーダを提供する。プレートリーダは、複数の独立した光学チャネルを含み、各チャネルは、複数のスペクトル的に明確に異なる波長においてマルチウェルプレートのウェルのセット内のサンプルに光を伝送し、それから後続放出を検出する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチウェルプレートリーダであって、
マルチウェルプレートを受容するための読取プラットフォームと、
複数の光学チャネルであって、各光学チャネルは、前記マルチウェルプレートのウェルのセットに、複数の異なる波長において光を伝送し、前記マルチウェルプレートのウェルのセットから複数の異なる波長において光を検出することが可能である、複数の光学チャネルと
を備える、マルチウェルプレートリーダ。
【請求項2】
各光学チャネルは、
前記ウェルのセットに伝送されるように、3つの明確に異なる波長において3つの光のビームを放出するための少なくとも3つの光源と、
1つまたはそれを上回るダイクロイックミラーであって、前記1つまたはそれを上回るダイクロイックミラーは、空間内の前記光のビームのうちの少なくとも2つを接合し、前記2つの接合された光のビームを空間的に均質化するために少なくとも1つのホモジナイザを通して前記2つの接合された光のビームを通過させる、1つまたはそれを上回るダイクロイックミラーと
を備える、請求項1に記載のマルチウェルプレートリーダ。
【請求項3】
前記ホモジナイザは、前記2つの接合された光のビームを略均一かつ長方形の照明の領域に形成する、請求項2に記載のマルチウェルプレートリーダ。
【請求項4】
各光学チャネルは、前記2つの接合された光のビームをリフレクタアレイに向かって指向される均一な光のビームレットに分割するマイクロレンズアレイを備える、請求項2に記載のマルチウェルプレートリーダ。
【請求項5】
前記リフレクタアレイは、前記均一な光のビームレットのそれぞれを前記ウェルのセットの別個の個別のウェルの中心の中に指向し、ウェル壁の照明を回避するための金属リフレクタのアレイを備える、請求項4に記載のマルチウェルプレートリーダ。
【請求項6】
前記ウェルのセットに向かって指向される均一な光のビームレットの数は、前記マルチウェルプレートのウェルの全体的数に正比例する、請求項5に記載のマルチウェルプレートリーダ。
【請求項7】
前記マルチウェルプレートは、96-、384-、または1,536-ウェルプレートである、請求項6に記載のマルチウェルプレートリーダ。
【請求項8】
前記リフレクタアレイは、約4つの均一な光のビームレットを96-ウェルプレートの4つのウェルのセットの中に指向するように動作可能である、請求項7に記載のマルチウェルプレートリーダ。
【請求項9】
前記リフレクタアレイは、約16個の均一な光のビームレットを384-ウェルプレートの16個のウェルのセットの中に指向するように動作可能である、請求項7に記載のマルチウェルプレートリーダ。
【請求項10】
前記リフレクタアレイは、約64個の均一な光のビームレットを1,536-ウェルプレートの64個のウェルのセットの中に指向するように動作可能である、請求項7に記載のマルチウェルプレートリーダ。
【請求項11】
ウェル内のサンプルから画像センサ上に光を指向するための撮像レンズをさらに備える、請求項1に記載のマルチウェルプレートリーダ。
【請求項12】
前記画像センサは、sCMOS画像センサを備える、請求項11に記載のマルチウェルプレートリーダ。
【請求項13】
伝送される少なくとも1つの光は、光の刺激ビームであり、各光学チャネルは、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)を備え、前記光の刺激ビームは、前記DMDから反射し、前記DMDによって定義されたパターンを用いて前記ウェルのセットのウェルの底部を照明する、請求項1に記載のマルチウェルプレートリーダ。
【請求項14】
各光学チャネルは、前記複数の異なる波長における前記光を同時に検出する、請求項1に記載のマルチウェルプレートリーダ。
【請求項15】
前記光は、刺激光である、請求項1に記載のマルチウェルプレートリーダ。
【請求項16】
前記光は、細胞内の蛍光体を励起する波長における刺激光である、請求項15に記載のマルチウェルプレートリーダ。
【請求項17】
前記光は、細胞内の光開口型イオンチャネルを活性化する波長における活性化光である、請求項15に記載のマルチウェルプレートリーダ。
【請求項18】
前記光開口型イオンチャネルは、シナプスを介して非選択細胞に接続されるシナプス前神経細胞内にある、請求項17に記載のマルチウェルプレートリーダ。
【請求項19】
前記非選択細胞は、シナプス活性の光学レポータを含む、請求項18に記載のマルチウェルプレートリーダ。
【請求項20】
前記プラットフォームはさらに、前記複数の光学チャネルに対して前記プレートを変位させるための機構を備える、請求項1に記載のマルチウェルプレートリーダ。
【請求項21】
前記機構は、モータである、請求項20に記載のマルチウェルプレートリーダ。
【請求項22】
前記機構は、プレートプッシャを備え、前記プレートプッシャは、前記複数の光学チャネルに対して前記マルチウェルプレートを変位させ、それによって、前記マルチウェルプレートの複数のウェルのセットを異なる光学チャネルと整合させる、請求項20に記載のマルチウェルプレートリーダ。
【請求項23】
前記複数の光学チャネルのそれぞれは、前記ウェルからの放出光を使用して、ウェル内の細胞の活性をモデル化するように動作可能な処理システムに結合される、請求項1に記載のマルチウェルプレートリーダ。
【請求項24】
前記活性は、生物学的信号である、請求項23に記載のマルチウェルプレートリーダ。
【請求項25】
前記生物学的信号は、活動電位、シナプス信号、膜電位の変化、細胞内イオン濃度の変化、および細胞内媒介物の濃度の変化から選択される、請求項24に記載のマルチウェルプレートリーダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、生物学的アッセイにおける使用のためのプレートリーダに関する。
【背景技術】
【0002】
神経学的障害は、全世界で約10億人の人々に影響を及ぼしている。神経学的障害を含む、神経系の疾患のための創薬は、他の療法エリアを標的化する薬物と比較されるとき、より長い開発スケジュールならびにより低い承認率に起因して、特に困難になっている。
【0003】
神経科学創薬における進歩の主要な障害は、ヒト有効性をより良好に予測し、療法候補の迅速な識別および最適化を可能にするための情報量および処理能力の両方を提供し得る、変換可能なアッセイ、モデル、および技術の欠如である。神経科学創薬のために使用される現在の器具プラットフォームは、創薬の異なる側面への適用においてある程度の成功を示している。例えば、プレート全体撮像が、多様な形における細胞の電気生理学を査定するために使用されている。しかしながら、既存のプレートイメージャおよびそれらの関連付けられる技法は、固有の問題に悩まされている。
【0004】
より具体的には、自動化電気生理学が、サンプル内の細胞の電気活性を査定するために使用されている。神経細胞および心筋細胞等の電気活性細胞を伴う多数の疾患が、存在する。結果として、それらの細胞の特性および相互作用を研究することが、重要視されている。
【0005】
例えば、自動化電気生理学は、細胞を刺激および記録するための物理的電極を使用して、細胞のイオンチャネルおよび電気活性の直接測定を使用する。しかしながら、刺激および記録のために物理的電極を使用することは、細胞膜において孔を開け得、これは、細胞を損傷させる。これは、自動化電気生理学が、細胞の再使用を要求する、ある複雑な実験において使用されないように妨げる。加えて、自動化電気生理学器具は、典型的には、解離された細胞の使用を要求し、これは、神経細胞および他の細胞タイプを損傷させ、細胞コンパートメントの喪失につながり、細胞間連絡に関与するプロセスの測定を限定し得る。また、自動化電気生理学アッセイは、主に特殊化アッセイプレートが要求されることに起因して、高価であり得る。
【0006】
蛍光撮像運動学的プレートリーダ(FLIPR)器具は、マルチウェルプレートフォーマットを使用して、細胞における細胞電圧開口型、リガンド開口型、および構造性チャネル活性の測定を提供することができる。FLIPRアッセイでは、細胞活性は、概して、電圧開口型チャネルの化学的刺激を使用して活性化される。しかしながら、使用される化学的刺激は、生理学的プロセスを反映しない、または生体内細胞活性を示さない場合があり、これは、アッセイにおいて測定される薬理学的応答を改変し得る。これは、特に、薬物候補をスクリーニングするために使用されるアッセイにおいて問題となる。
【0007】
蛍光読出を伴う電場刺激(EFS)は、FLIPRの変形例である。これらの方法および器具では、電極が、電気的に興奮性の細胞を刺激するために、アッセイウェルの中に組み込まれる。しかしながら、本電気刺激のための電圧制御は、限定され、電場における不均一性は、過剰刺激または電気穿孔につながり得、これは、アッセイ性能に悪影響を及ぼし得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、生物学的活性の光遺伝学的アッセイを実施する際の使用のためのマルチウェルプレートリーダを提供する。プレートリーダは、複数の独立した光学チャネルを含み、各チャネルは、複数のスペクトル的に明確に異なる波長においてマルチウェルプレートのウェルのセット内のサンプルに光を伝送し、それから後続放出を検出する。より具体的には、複数の光学チャネルはそれぞれ、同時に、個々のウェルに複数のスペクトル的に明確に異なる波長の刺激光を伝送しながら、個々のウェル内のサンプルから複数のスペクトル的に明確に異なる波長の放出光を検出する。本発明のマルチウェルプレートリーダは、同時に、複数の異なる波長における刺激光を伝送し、放出光を検出することができるため、プレートリーダは、細胞活性の光学アクチュエータおよびレポータの多くの組み合わせを使用するアッセイにおいて有用である。これは、本発明のプレートリーダに、複雑な光遺伝学的アッセイを含む、多数のアッセイを実施するための柔軟性を提供する。
【0009】
本明細書に開示されるマルチウェルプレートリーダは、現在利用可能である方法よりも桁違いに高い、極めて高い処理能力のスクリーニングを提供する。例えば、本発明の方法およびシステムは、細胞活性の光学レポータおよびアクチュエータを発現する細胞を使用する光遺伝学的アッセイを含む。レポータおよびアクチュエータを発現する細胞が、マルチウェルプレートのウェル内に設置される。プレートリーダの独立した光学チャネルが、刺激および励起光を個々のウェル内の細胞に提供する。開示されるプレートリーダは、制御された強度および波長において個々のウェルに刺激光を伝送するための比類のない能力を保有し、したがって、それらは、離散的パルスにおいて、段階的、パルス状、またはランプ状強度において、ならびに/もしくは一定の刺激として、細胞に刺激光を伝送することができる。
【0010】
より具体的には、各光学チャネルは、複数のウェルに伝送されるべき1つまたはそれを上回る光のビームを成形するための一意のビーム成形光学系を含む。特に、ビーム成形光学系は、1つまたはそれを上回る光のビーム(別個の光源から放出される)を、リフレクタアレイを介してウェルのセットの別個の個別のウェルの中心に向かって指向される複数の均一な光のビームレットに成形する。ビーム成形光学系は、光のビームを受光し、均一かつ長方形の照明の領域に成形するためのビームホモジナイザを含む。光学系はさらに、均質化された光ビームを、均一な光のビームレットのそれぞれをウェルのセットの別個の個別のウェルの中心の中に指向するための金属リフレクタのアレイから成る、リフレクタアレイに向かって指向される均一な光のビームレットのセットに分割するためのマイクロレンズアレイを含む。
【0011】
故に、ビームホモジナイザは、不規則な形状でマイクロレンズアレイに衝突する代わりに、光が、パターンにわたって均質な屈折力レベルを伴う略長方形パターンにおいてマイクロレンズアレイに入射するように、光源からの光を成形する。そのような配列は、各ウェル内のサンプル全体が、そうでなければ自己蛍光を引き起こし得る、各ウェルの壁を不注意に照明することを回避しながら、強力かつ均一な照明を受光することを確実にする。したがって、ウェルの底部におけるサンプルは、画像センサ(すなわち、sCMOS画像センサ)を介して撮像するための良好な屈折力を伴って均一に照明される。故に、プレートリーダは、マルチウェルプレートの複数のウェル内の生細胞を正常に撮像し、例えば、生神経細胞内で伝搬する活動電位を示すために有用な電気活性の動画を記録することができる。
【0012】
さらに、ビーム成形光学系を介して分配される均一な光のビームレットの数は、単一のウェルにのみ指向されることと対照的に、ウェルのセットにわたる具体的エリアを網羅する。言い換えると、各光学チャネルは、具体的波長の複数の光のビームレットを所与のエリアにわたる複数の別個の個別のウェルの中に伝送し、引き換えに、別個の個別のウェルのそれぞれからの放出を検出するように構成される。均一なビームレットの数、したがって、そのようなビームレットを受光することが可能な関連付けられるウェルの数は、使用されている所与のマルチウェルプレートのウェルの全体的数に正比例し、概して、24倍である。例えば、プレートリーダは、96-、384-、または1,536-ウェルプレート等の少なくとも3つのタイプのマルチウェルプレートとともに動作可能であってもよい。結果として、リフレクタアレイは、約4つの均一な光のビームレットを96-ウェルプレートの4つのウェルのセットの中に指向し、約16個の均一な光のビームレットを384-ウェルプレートの16個のウェルのセットの中に指向し、64個の均一な光のビームレットを1,536-ウェルプレートの64個のウェルのセットの中に指向するように動作可能である。したがって、プレートフォーマットにかかわらず、約24個のカメラ視野(FOV)が、全プレートを記録するために必要とされ、これは、依然として、従来の技法と比較して、改良された全体的処理能力をもたらす。
【0013】
故に、一意のビーム成形光学系およびsCMOS画像センサの包含は、増加された処理能力、増加された器具の堅牢性および安定性、ウェル間の信号強度および均一性の向上、光学クロストークの低減、および大幅に改良された空間分解能を可能にする。結果として、本発明のプレートリーダは、標的ベースのスクリーニングおよび一次神経細胞培養のためのHEK 293細胞等のNavチャネルベースのヒト胚腎臓(HEK)細胞を含む、神経学的障害ベースの創薬のために特に有用である、広い範囲の興奮性の細胞タイプに対して最適化されたアッセイの広範な一式を実施しながら、敏感な光学検出および刺激を可能にする。
【0014】
一側面では、マルチウェルプレートリーダが、提供される。マルチウェルプレートリーダは、マルチウェルプレートを受容するための読取プラットフォームを含む。マルチウェルプレートは、96-、384-、および1,536-ウェルプレートのうちのいずれか1つを含んでもよい。プレートリーダはさらに、複数の光学チャネルを含み、各光学チャネルは、マルチウェルプレートのウェルのセットに、複数の異なる波長において光を伝送し、それから複数の異なる波長において光を検出することが可能である。
【0015】
特に、各光学チャネルは、ウェルのセットに伝送されるように、3つの明確に異なる波長において3つの光のビームを放出するための少なくとも3つの光源を含んでもよい。前述で記述されるように、プレートリーダは、生物学的活性の光遺伝学的アッセイを実施する際に有用であり得る。故に、光源は、神経細胞等の電気活性細胞およびそのような活性細胞によって発現される電気活性の具体的光学アクチュエータのタイプに基づいて選択される。例えば、あるチャネルロドプシンが、次いで、電気活性の光学アクチュエータとして機能する、光開口型イオンチャネルとして使用されてもよい。それらのタンパク質が、細胞によって発現され、次いで、ある波長の光によって照明されると、光は、それらのタンパク質に、細胞膜を横断してイオンを圧送させ、膜分極をもたらし、その細胞にその長さを辿って活動電位を伝達させる等の電気活性につながる。サンプル中の複数の細胞が、光学アクチュエータを発現しているとき、空間的にパターン化された照明が、それらの細胞のうちの選択されたもののみにおいて電気活性(活動電位等)を誘起するために有用である。
【0016】
したがって、第1の光源は、光開口型イオンチャネルとして機能するチャネルロドプシン等の光遺伝学的アクチュエータに特有の第1の波長において光のビームを放出するために使用されてもよい。第2の光源は、イオン濃度の蛍光レポータ等の第2の光遺伝学的タンパク質の励起波長等の第2の波長において光のビームを放出するために使用されてもよい。なおもまた、光源のうちのいずれか1つは、蛍光体の励起波長において光のビームを放出してもよい。カルシウムイオン濃度または膜電位等のそれらの環境の具体的物理的性質に敏感である蛍光インジケータである。
【0017】
本発明との併用のための環境感受性蛍光インジケータの一実施例は、赤色光によって励起され、細胞膜電位の関数として強度において変動する信号を生産する光遺伝学的レポータである、アーチロドプシン系タンパク質QuasAr2である。
【0018】
蛍光インジケータに加えて、本発明のプレートリーダは、細胞を化学的または電気的に摂動させるための光感受性化合物を光学的に活性化するために使用されることができる。本発明は、米国特許第10,613,079号および米国公開第2014/0295413号(そのそれぞれの全内容は、参照することによって組み込まれる)に開示されるもの等の電圧指示タンパク質と併用されることができる。光制御活性化因子を使用して、刺激が、照明パターンを変動させることによって、サンプル全体、選択された領域、または個々の細胞に印加されることができる。光制御活性化因子の一実施例は、それに当たる青色光の強度にほぼ比例して増加する大きさの電流を生産する、チャネルロドプシンタンパク質CheRiffである。1つの研究では、CheRiffは、約22mW/cm2の青色光によって照明されたとき、タンパク質を発現する全細胞において約1nAの電流を発生させた。
【0019】
光学的に変調された活性化因子は、興奮性等の具体的細胞形質の全光学的特性評価を可能にするために、蛍光インジケータと組み合わせられることができる。例えば、CheRiff等のチャネルロドプシンが、QuasAr2等の蛍光インジケータと組み合わせられる。プレートリーダは、異なる波長の光を提供し、それぞれ、レポータおよび活性化因子タンパク質を照明および活性化し、活動電位が光によって開始されると同時に膜電位が測定されることを可能にする。
【0020】
プレートリーダは、付加的レポータおよびそれらを活性化するための関連付けられるシステム上で使用されてもよい。遺伝子的にエンコードされたカルシウムインジケータ(GECI)等の細胞内カルシウムレベルの変化を報告するタンパク質が、使用されてもよい。プレートリーダは、RCaMPのための黄色光等のGECIのための活性化光を提供してもよい。例示的GECIは、例えば、jRCaMP1a、jRGECO1a、またはRCaMP2等のGCaMPまたはRCaMP変形を含む。複数の光学モダリティ(例えば、光学励起、活性化、電圧撮像、カルシウム撮像)を組み合わせる際の重要となる課題は、モダリティの間の光学クロストークを回避することである。光学活性化をもたらすために使用される光のパルスは、レポータの蛍光を誘発するべきではなく、レポータを撮像するために使用される光は、光開口型イオンチャネルを活性化するべきではなく、1つのレポータの蛍光は、他のレポータの蛍光から容易に区別されるべきである。本発明のいくつかの側面では、モダリティの本分離は、スペクトル重複を殆どまたは全く伴わない活性化因子およびレポータを選択することによって達成される。一実施形態では、活性化因子は、青色光によって活性化され、Ca2+レポータが、黄色光によって励起され、橙色光を放出し、電圧レポータが、赤色光によって励起され、近赤外光を放出する。故に、所与の光学チャネルの3つの光源は、青色光と、赤色光と、黄色光とを含んでもよい。
【0021】
複数の光学チャネルはそれぞれさらに、空間内の光のビームのうちの少なくとも2つを接合し、2つの接合された光のビームを空間的に均質化するための少なくとも1つのホモジナイザを通して2つの接合された光のビームを通過させるための1つまたはそれを上回るダイクロイックミラーを含んでもよい。例えば、一実施形態では、ダイクロイックミラーは、赤色および黄色光ビームを接合するために使用されてもよい。ホモジナイザは、2つの接合された光のビームを略均一かつ長方形の照明の領域に形成するために使用される。
【0022】
各光学チャネルはさらに、ホモジナイザを通して通過した接合された光のビームをリフレクタアレイに向かって指向される均一な光のビームレットに分割する、マイクロレンズアレイを含む。リフレクタアレイは、均一な光のビームレットのそれぞれをウェルのセットの別個の個別のウェルの中心の中に指向するための金属リフレクタのアレイを備え、ウェル壁の壁の照明を回避する。より具体的には、ウェルのセットに向かって指向される均一な光のビームレットの数は、マルチウェルプレートのウェルの全体的数に正比例し、概して、24倍である。例えば、96-ウェルプレートに関して、リフレクタアレイは、約4つの均一な光のビームレットを4つのウェルのセットの中に指向するように動作可能である。384-ウェルプレートに関して、リフレクタアレイは、約16個の均一な光のビームレットを16個のウェルのセットの中に指向するように動作可能である。1,536-ウェルプレートに関して、リフレクタアレイは、約64個の均一な光のビームレットを64個のウェルのセットの中に指向するように動作可能である。
【0023】
マルチウェルプレートリーダはさらに、ウェル内のサンプルから画像センサ上に光を指向するための撮像レンズを含む。画像センサは、例えば、sCMOS画像センサを備える。画像センサは、光放出の動画を記録するために使用されてもよく、動画は、正常な神経伝達を検出し、さらには神経活性を伴う疾患関連問題等の具体的生物学的神経表現型を示す傾向がある(動画内の記録された光放出における)具体的特徴を検出するために分析されることができる。
【0024】
いくつかの実施形態では、伝送される少なくとも1つの光は、光の刺激ビームであり、各光学チャネルは、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)を備え、光の刺激ビームは、DMDから反射し、DMDによって定義されたパターンを用いてウェルのセットのウェルの底部を照明する。
【0025】
前述で説明されるように、個別の光源から放出される光ビームのうちの少なくとも1つは、細胞内の蛍光体を励起する波長における刺激光である。いくつかの実施形態では、放出される光の光ビームのうちの少なくとも1つは、細胞内の光開口型イオンチャネルを活性化する波長における活性化光である。例えば、光開口型イオンチャネルは、シナプスを介して非選択細胞に接続されるシナプス前神経細胞内にある。非選択細胞は、シナプス活性の光学レポータを含んでもよい。
【0026】
マルチウェルプレートリーダの読取プラットフォームは、複数の光学チャネルに対してプレートを変位させるための機構を含んでもよい。機構は、例えば、モータを含んでもよい。より具体的には、機構は、複数の光学チャネルに対してマルチウェルプレートを変位させ、それによって、マルチウェルプレートの複数のウェルのセットを異なる光学チャネルと整合させる、プレートプッシャを含む、自動化精密線形モータステージを含んでもよい。
【0027】
複数の光学チャネルはそれぞれ、ウェルからの放出光を使用して、ウェル内の細胞の活性をモデル化するように動作可能な処理システムに結合される。活性は、例えば、生物学的信号である。より具体的には、生物学的信号は、限定ではないが、活動電位、シナプス信号、膜電位の変化、細胞内イオン濃度の変化、および細胞内媒介物の濃度の変化を含んでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【0029】
【
図2】
図2は、本発明の例示的プレートリーダの概略図を提供する。
【0030】
【
図3】
図3は、本発明のプレートリーダにおけるウェルにわたる例示的撮像経路を示す。
【0031】
【
図4】
図4は、適応的マッピングワークフローの側面を示す。
【0032】
【0033】
【
図6】
図6は、基準および試験信号として使用される光の概略図を示す。
【0034】
【0035】
【
図8】
図8は、本発明による、センチネルプレートを使用する例示的方法を示す。
【0036】
【0037】
【0038】
【
図11】
図11は、本発明のプレートリーダにおける使用のための例示的光学チャネルを示す。
【0039】
【
図12】
図12は、例示的光学チャネルモジュールの断面を示す。
【0040】
【
図13】
図13は、本発明の光学チャネルを通した光学経路を示す。
【0041】
【
図14】
図14は、それぞれ、12個の対物レンズを伴う、2つの読取ヘッドを伴う本発明の例示的プレートリーダの部分を示す。
【0042】
【
図15】
図15は、本発明における使用のための例示的読取ヘッドの分解図を示す。
【0043】
【0044】
【0045】
【
図18】
図18は、随意のケースを伴う、本発明による、プレートリーダを示す。
【0046】
【0047】
【
図20】
図20は、本発明のプレートリーダの制御および使用のためのシステムを示す。
【0048】
【
図21】
図21は、本発明に従って行われる、アッセイからの結果を示す。
【0049】
【0050】
【0051】
【
図24】
図24は、24個の対物レンズから収集された蛍光トレースを示す。
【0052】
【
図25】
図25は、センチネルプレートからのヒートマップを示す。
【0053】
【
図26】
図26は、プレートのウェルの第1のセットからの走査を示す。
【0054】
【0055】
【0056】
【
図29】
図29は、2つのパルスからの結果のオーバーレイを示す。
【0057】
【0058】
【
図31】
図31は、あるチャネルに関する4波長刺激アッセイの結果を提供する。
【0059】
【
図32】
図32は、4波長刺激アッセイまたは他のチャネルの結果を提供する。
【0060】
【0061】
【0062】
【0063】
【0064】
【
図37】
図37は、Nav1.5に対するサブタイプ選択性の散布プロットである。
【0065】
【
図38】
図38は、Nav1.7に対する効能に関する散布プロットである。
【0066】
【
図39】
図39は、本発明のプレートリーダを使用した同時電圧7およびカルシム撮像の結果を示す。
【0067】
【0068】
【
図41】
図41は、
図40に示される波形を使用した、異なる濃度における3つのウェルからの電圧ピーク振幅および積分されたカルシウムエリアの定量化を示す。
【0069】
【
図42】
図42は、本発明のプレートリーダの例示的光学チャネルの一部を示す。
【0070】
【
図43】
図43Aは、本開示と一貫する、光遺伝学的アッセイを受けるスパイキングHEK細胞の例示的成分を示す。
図43Bは、本開示と一貫する、光遺伝学的アッセイを受けるHEK細胞の試験パルスの代表的トレースを示す。
図43Cおよび43Dは、本開示と一貫する、光遺伝学的アッセイを受けるHEK細胞の用量応答曲線を示す。
【0071】
【
図44】
図44Aおよび44Bは、海馬神経細胞におけるシナプス前および全細胞カルシウムアッセイ機能データを示す。
【0072】
【
図45】
図45A、45B、および45Cは、本発明のプレートリーダによって実行されるべき384-ウェル多重プレートレイアウトおよび撮像パターンを示す。
【0073】
【
図46】
図46は、種々のアッセイにおいて、かつ種々の条件下でVoltronを使用する撮像に関する情報を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0074】
詳細な説明
本発明は、生物学的活性の光遺伝学的アッセイを実施する際の使用のためのマルチウェルプレートリーダを提供する。プレートリーダは、複数の独立した光学チャネルを含み、各チャネルは、複数のスペクトル的に明確に異なる波長においてマルチウェルプレートのウェルのセット内のサンプルに光を伝送し、それから後続放出を検出することができる。より具体的には、複数の光学チャネルはそれぞれ、同時に、個々のウェルに複数のスペクトル的に明確に異なる波長の刺激光を伝送しながら、個々のウェル内のサンプルから複数のスペクトル的に明確に異なる波長の放出光を検出することができる。本発明のマルチウェルプレートリーダは、同時に、複数の異なる波長における刺激光を伝送し、放出光を検出することができるため、プレートリーダは、細胞活性の光学アクチュエータおよびレポータの多くの組み合わせを使用するアッセイにおいて有用である。これは、本発明のプレートリーダに、複雑な光遺伝学的アッセイを含む、多数のアッセイを実施するための柔軟性を提供する。
【0075】
光遺伝学では、光が、生細胞内のある事象を制御および観察するために使用される。例えば、蛍光電圧レポータ等の光応答性遺伝子が、サンプルの細胞において発現されることができる。例示的レポータは、細胞膜電位の変化に応答して光学信号を発生させ、それによって、光学レポータとして機能する、膜貫通タンパク質である。ある波長における励起光を用いて励起されると、レポータは、活発化され、膜電位の変化を示す、異なる波長の放出光を生産する。サンプル内の細胞はまた、光開口型イオンチャネル等の光遺伝学的アクチュエータを含み得る。そのようなチャネルは、特定の波長の刺激光に応答し、これは、チャネルに細胞における活動電位を開始させる。本発明のマルチウェルプレートリーダはまた、細胞活性の付加的レポータおよびそれらを作動させるための関連付けられるシステムと併用されることができる。例えば、具体的細胞内コンパートメント内の細胞の細胞質内で生じる細胞内カルシウム、細胞内代謝物、または第2のメッセンジャレベルの変化、もしくはミトコンドリア、リソソーム、小胞体、および他のコンパートメントを含む、膜画定細胞内コンパートメント内で生じる膜電位の変化を報告するタンパク質が、使用されてもよい。
【0076】
複数の光学モダリティ(例えば、光学励起、活性化、電圧撮像、カルシウム撮像)を組み合わせる際の課題は、モダリティの間の光学クロストークを回避することである。例えば、光学活性化をもたらすために使用される光のパルスは、レポータの蛍光を誘発するべきではなく、レポータを活発化するために使用される光は、光開口型イオンチャネルを活性化するべきではなく、1つのレポータの蛍光は、他のレポータの蛍光から容易に区別されるべきである。さらに、複数のウェルおよび/またはマルチウェルプレートを横断して光学信号を同時に検出するとき、プレートおよび/またはウェルの間の読取値が、較正および正規化されることが、不可欠である。異なる波長の光を正確に検出し、伝送するための本開示されるプレートリーダの能力は、単一のアッセイ内でのこれらのモダリティの使用を可能にする。
【0077】
本発明のプレートリーダは、生物学的信号等のそれらの環境の具体的物理的性質に敏感である蛍光レポータを観察するために使用されることができる。生物学的信号は、例えば、活動電位、シナプス信号、イオン濃度(例えば、カルシウムおよびナトリウム)、または膜電位を含んでもよい。これらのインジケータによって生産される時変信号は、生細胞の化学的または電子的状態の経過を図表化するために、繰り返し測定される。
【0078】
本発明のプレートリーダは、同時の異なる波長の刺激光の伝送および放出光の検出を可能にするため、プレートリーダは、多数の光学的に作動され、および/または検出可能なタンパク質を伴う複雑なアッセイを実施することができる。
【0079】
したがって、本発明のプレートリーダにおいて使用されるサンプルは、限定ではないが、電気活性の光学アクチュエータおよび電気活性の光学レポータを発現する細胞を含む。一構成では、サンプルは、アクチュエータを発現する第1の細胞と、レポータを発現する第2の細胞とから成ってもよい。プレートリーダは、刺激光ビームを用いて光感受性アクチュエータタンパク質を活性化し、タンパク質の変化を引き起こし、それによって、細胞内の膜電位の変化を開始することができる。結果は、細胞が「発火」すること、すなわち、活動電位または再生信号が、電気活性細胞内で伝搬することとなる。プレートリーダは、光学レポータを刺激するために使用されるものとスペクトル的に明確に異なるビームを用いて、蛍光光学レポータタンパク質に刺激光ビームを同時に伝送することができる。プレートリーダは、レポータによって放出された蛍光を測定し、膜電位の対応する変化を測定することができる。
【0080】
本発明との併用のための環境感受性蛍光レポータの一実施例は、膜電位の変化に応答して光学信号を発生させ、それによって、膜電位の光学レポータとして機能する、ロドプシンタイプ膜貫通タンパク質である。アーチロドプシン系タンパク質QuasAr2およびQuasAr3が、赤色光によって励起され、細胞膜電位の関数として強度において変動する信号を生産する。これらのタンパク質は、遺伝子導入または電気穿孔等の遺伝子工学技法を使用して細胞の中に導入され、膜電位の光学測定を促進することができる。本発明のプレートリーダは、580~650nmの波長を有する光を使用して、サンプル内のQuasAr2またはQuasAr3を測定することができる。励起光は、QuasArに関して、約0.01W/cm2~約400W/cm2、好ましくは、約100W/cm2の強度を有してもよい。
【0081】
蛍光インジケータに加えて、本発明のプレートリーダは、細胞を化学的または電気的に摂動させるための光感受性化合物を光学的に活性化するために使用されることができる。本発明は、2014年6月12日に出願された、米国特許公開第2014/0295413号(その全内容は、参照することによって本明細書に組み込まれる)に開示されるもの等の電圧指示タンパク質と併用されることができる。例えば、細胞活性の光学アクチュエータは、微生物チャネルロドプシン等の遺伝子的にエンコードされたロドプシンまたは修飾されたロドプシンであってもよい。例えば、Scherffelia dubiaからのチャネルロドプシンであるsdChRが、使用されてもよい、またはCheRiffと呼ばれる、sdChRの改良されたバージョンが、光学アクチュエータとして使用されてもよい。「CheRiff」は、本明細書に説明されるようなマウスコドン最適化、トラフィッキング配列、および突然変異E154Aを使用するsdChRのバージョンを指す。
【0082】
プレートリーダは、付加的レポータおよびそれらを作動させるための関連付けられるシステムと併用されてもよい。例えば、遺伝子的にエンコードされたカルシウムインジケータ(GECI)等の細胞内カルシウムレベルの変化を報告するタンパク質が、使用されてもよい。プレートリーダは、RCaMPのための黄色光等のGECIのための刺激光を提供してもよい。例示的GECIは、例えば、jRCaMP1a、jRGECO1a、またはRCaMP2等のGCaMPまたはRCaMP変形を含む。一実施形態では、アクチュエータは、青色光によって活性化され、Ca2+レポータが、黄色光によって励起され、橙色光を放出し、電圧レポータが、赤色光によって励起され、近赤外光を放出する。
【0083】
ある側面では、本発明のプレートリーダは、興奮性等の具体的細胞形質の全光学的特性評価を可能にするために、蛍光レポータと組み合わせられる光学的に変調されたアクチュエータを使用するアッセイを実施することができる。例えば、OptoPatch方法は、CheRiff等の電気アクチュエータタンパク質をQuasAr2等の蛍光レポータと組み合わせる。アクチュエータおよびレポータタンパク質は、異なる波長の光に応答し、細胞がある範囲の光電流の大きさにわたって励起されると同時に膜電位が測定されることを可能にする。
【0084】
細胞の電気的性質または活性を測定することは、心臓および脳細胞(例えば、神経細胞および心筋細胞)等の電気活性細胞を伴う疾患の研究、診断、および処置のために有用である。これらの細胞に影響を及ぼす条件は、心疾患、心房細動、筋萎縮性側索硬化症、原発性側索硬化症、疼痛、神経障害、および多くのその他を含む。全光学的測定は、それらが、精密な微小機械的操作またはサンプル内の細胞との直接接触を要求しないため、パッチクランプのような従来の方法に対する魅力的な代替を提供する。光学方法は、特に、本発明のプレートリーダと併用されるとき、高処理能力用途により適している。全光学的測定によってもたらされる処理能力の劇的な増加は、これらの条件の研究、診断、および治療に革命をもたらす潜在性を有する。
【0085】
したがって、本発明は、観察されるべきマルチウェルプレートの具体的ウェル内の細胞を励起するステップ、または活動電位もしくは再生信号を開始するために細胞を刺激するステップを含む、開示されるプレートリーダを使用する方法を提供する。刺激は、直接的または間接的であってもよい(例えば、光学アクチュエータの光学刺激または観察されるべき細胞とギャップ結合する、またはシナプス連絡する上流細胞の刺激)。刺激は、光学的、電気的、化学的である、または任意の他の好適な方法によるものであってもよい。刺激は、例えば、規則的、周期的パルス、単一のパルス、不規則なパターン、または任意の好適なパターンを含む、任意のパターンの活性化を伴ってもよい。方法は、細胞機能の特定の側面を強調するために、空間または時間において光学刺激パターンを変動させるステップを含んでもよい。例えば、パルスパターンは、増加する周波数を有してもよい。ある実施形態では、本方法は、光のパルスを使用して、光学活性化因子を発現する電気活性細胞を刺激するステップを含んでもよい。
【0086】
例えば、本発明のプレートリーダは、細胞活性の蛍光レポータおよび光感受性アクチュエータを使用して、細胞の物理的性質を特性評価するために使用されることができる。そのようなアッセイは、例えば、細胞に対する潜在的な薬物化合物の効果を研究するために設計されることができる。例えば、プレートリーダは、幹細胞由来の心筋細胞から活動電位(AP)およびカルシウム過渡(CT)波形を光学的に取得し、心筋細胞における不整脈を特性評価するために使用されることができる。マルチウェルプレートのウェル内に位置するサンプル内の心筋細胞は、ロドプシンタイプ膜貫通光学レポータを発現させられることができる。プレートリーダは、刺激光を用いて微生物チャネルロドプシンを活性化し、心筋細胞を通してAPを伝搬させることができる。レポータタンパク質を含有する細胞は、プレートリーダからの刺激光を介して照明され、APは、レポータの蛍光の変化を引き起こす。レポータからの光は、プレートリーダによって検出され、AP波形を構築するために分析される。構築されたAP波形における不整脈は、例えば、既知の標準との比較または他の分析技法によって、検出または特性評価されることができる。
【0087】
本発明のプレートリーダは、したがって、細胞に対する化合物の効果を研究するために使用されることができる。プレートリーダは、マルチウェルプレートのウェル内に見出されるサンプルを分析することができるため、サンプルの細胞は、支持細胞培地中にある間に観察されることができる。これは、細胞の活性が、サンプルへの潜在的薬物等の着目化合物の導入の前および後の両方で分析されることを可能にする。プレートリーダは、したがって、検出されたAP波形に対する結果として生じる摂動および化合物への暴露と関連付けられる他の特性を検出することができる。光学レポータは、電圧レポータ、イオンレポータ(例えば、[Ca2+]に関して)、その他、またはそれらの組み合わせを含むことができるため、プレートリーダは、AP波形の全ての特徴を通して露見されるような細胞の複数のイオンチャネルを横断する化合物の効果を検出することができる。
【0088】
また、本発明のプレートリーダは、マルチウェルプレートのウェル内の生細胞を分析することができるため、細胞は、特定の生体内条件を模倣するために使用される、媒介物等の化合物を含む培地に暴露されることができる。例えば、媒介物は、具体的タイプの疼痛信号、腫瘍、または他の疾患または条件と関連付けられる組織の局所環境を模倣するように選択されてもよい。これらのモデル条件における細胞は、モデル化された疾患または条件と関連付けられる療法剤を発見または開発するために使用されてもよい。
【0089】
例えば、本発明のプレートリーダによって分析されるサンプルは、生体外疼痛モデルからの細胞を含んでもよい。これらのモデルでは、選択された疼痛媒介物の組成物が、培養された神経細胞に導入され、これは、次いで、大幅に増加された速さの発火および過敏化を呈する。後根神経節細胞等の感覚神経細胞は、疼痛信号を脳に送信することが公知である。後根神経節細胞等の感覚神経細胞は、疼痛として脳によって経験されるであろうモデル神経細胞信号を生成するために、マルチウェルプレートのウェル内の疼痛媒介物組成物に暴露され得る。試験化合物が、疼痛媒介物組成物の存在下で神経細胞信号をベースライン状態に戻す化合物をスクリーニングするために、モデルの中に導入されることができる。
【0090】
図1は、生物学的活性をアッセイするための本発明の例示的方法101を提供する。本方法は、細胞活性の光学レポータを有する細胞を備える、サンプル103を提供するステップを含む。光学レポータを伴う細胞は、例えば、神経細胞、筋肉細胞、HEK細胞、心筋細胞、内分泌細胞、および/または工学設計された細胞を含んでもよい。好ましくは、サンプルは、マルチウェルプレートのウェル内に細胞を含む。
【0091】
細胞活性の光学レポータは、光遺伝学的アッセイにおいて使用されるレポータを含んでもよい。レポータは、例えば、具体的細胞内コンパートメント内の細胞の細胞質内で生じる膜電位、活動電位、シナプス信号、細胞内イオン濃度の変化、および/または細胞内媒介物の濃度の変化、もしくはミトコンドリア、リソソーム、小胞体、および他のコンパートメントを含む、膜画定細胞内コンパートメント内で生じる膜電位の変化の蛍光レポータを含んでもよい。細胞活性の例示的レポータは、膜電位の変化に応答して光学信号を発生させる、膜貫通タンパク質を含んでもよい。ある波長における刺激光を用いて励起されると、そのようなレポータは、活発化され、異なる波長の放出光を生産し、これは、膜電位の変化を示す。アーチロドプシン系タンパク質QuasAr2およびQuasAr3が、そのようなレポータであり、これは、赤色光によって励起され、細胞膜電位の関数として強度において変動する信号を生産する。同様に、レポータは、遺伝子的にエンコードされたカルシウムインジケータ(GECI)等の細胞内イオン濃度のレポータを含んでもよい。例示的GECIは、例えば、jRCaMP1a、jRGECO1a、またはRCaMP2等のGCaMPまたはRCaMP変形を含む。
【0092】
方法101はさらに、細胞活性を引き起こす基準刺激を用いてサンプルを刺激するステップ105を含む。光遺伝学的アッセイでは、刺激は、特定の波長の光であってもよく、これは、細胞活性の光学的に変調されたアクチュエータを刺激する。例示的な光学的に変調されたアクチュエータは、CheRiffを含む、藻類チャネルロドプシン等の光開口型イオンチャネルを含む。刺激光ビームが、CheRiff等のアクチュエータに衝突すると、これは、タンパク質の立体配座変化を引き起こし、それによって、タンパク質を発現する細胞における膜電位の変化を開始する。ある側面では、本基準刺激は、細胞活性の光学的に変調されたアクチュエータの決定的な活性化を示す、飽和刺激である。
【0093】
方法101はまた、基準刺激によって引き起こされた、光学レポータからの光学基準信号を検出するステップ107を含む。本発明の光遺伝学的アッセイでは、これは、基準刺激によるCheRiffの活性化によって引き起こされた膜電位のレベルまたは変化を示す、QuasAr2等のレポータからの放出光を検出するステップを含んでもよい。ある側面では、サンプルが、マルチウェルプレートのウェル内にあるとき、検出するステップ107は、ウェル内の1つまたはそれを上回る光学レポータからの、経時的なものを含む、放出光の平均レベルを検出するステップを含んでもよい。
【0094】
方法101はまた、サンプルを、細胞活性の生物学的および/または化学的刺激をモデル化する試験条件に暴露するステップ109を含んでもよい。ある側面では、暴露するステップは、1つまたはそれを上回る波長の光を用いてサンプルを刺激し、サンプルの細胞における細胞活性の1つまたはそれを上回る光学アクチュエータを刺激するステップを含んでもよい。これは、規定された間隔または強度における刺激光を用いてアクチュエータを刺激するステップを含んでもよい。いったん刺激されると、アクチュエータは、具体的生体内条件をモデル化する細胞活性を引き起こし得る。例えば、ある様式(例えば、周波数、強度、および持続時間)における刺激光を用いてCheRiffを刺激することは、疼痛のようなある神経条件を示す、特定の膜電位につながり得る。代替として、または加えて、化合物または媒介物が、サンプルに添加されてもよく、これは、電位を有する、またはサンプル内の細胞の活性を変化させることが公知である。例えば、光学レポータによって報告される活性を変調させる化合物が、使用されることができる。
【0095】
暴露するステップ109の後、光学レポータからの信号が、検出される(111)。これらの検出された信号111は、モデル化された生物学的および/または化学的刺激に応答する細胞の活性のレベルを予測するために、検出された(107)基準信号を用いて較正される(113)。
【0096】
ある側面では、信号が較正された後、試験化合物が、細胞に対するその効果を確認するために、サンプルに導入されることができる。
【0097】
図2は、本発明の方法およびシステムと併用され得る、プレートリーダ203の概略図を示す。サンプルを伴うマルチウェル205プレートが、プレートリーダ203上に位置付けられる。マルチウェルプレート205は、例えば、48-、96-、384-、または1,536-ウェルプレートであってもよい。マルチウェルプレートの1つまたはそれを上回るウェルが、サンプルの細胞を含んでもよい。1つまたはそれを上回るモータ制御ユニット206が、プレートリーダ203の動作を駆動する。
【0098】
マルチウェルプレートリーダ203は、マルチウェルプレート205の複数の個々のウェルからの光学信号を読み取るように配列される、複数の対物レンズ207を含む。プレートリーダ203は、マルチウェルプレートの複数のウェルからの光学信号を同時に読み取ってもよい。マルチウェルプレートは、マルチウェルプレート205の複数のウェル内に光学基準標準を含んでもよい。
【0099】
ある側面では、プレートリーダ203は、マルチウェルプレート205のウェルを対物レンズ207と整合させるために、プレートプッシャまたは平行移動ステージ209を含む。プレートリーダはまた、光学信号を処理システムに送信するために、信号/ドライバ基板を含んでもよい。
【0100】
方法101およびプレートリーダ203に再び目を向けると、方法101を実施するためにプレートリーダ203を使用するとき、方法101は、適応的マッピング104のステップを含んでもよい。適応的マッピングは、プレートリーダが、2つの読取ヘッド上の複数の対物レンズを使用して、同時にマルチウェルプレートの具体的ウェルを測定することを可能にする。
【0101】
図3は、マルチウェルプレートを横断して撮像するために複数の対物レンズを使用する、本発明のプレートリーダを使用したウェルにわたる撮像経路を示す。具体的には、図は、マルチウェルプレート2500を示す。プレート2500は、特定の対物レンズが、プレートの具合的ウェルに、この場合では、プレート2500の座標系2501によって定義されるウェルA,1に位置するように位置付けられる。プレートリーダは、対物レンズの間の距離を提供する、構成ファイルを具備してもよい。したがって、特定の対物レンズが、ウェルA,1と整合されるとき、本システムは、プレートのウェルに関連する他の対物レンズの位置を内挿してもよい。
【0102】
図3では、正方形2503は、第1の画像または視野(FOV)における対物レンズの場所を示す。本例示的実施形態では、プレートリーダは、本明細書に説明されるような2つの読取ヘッドを横断して24個の対物レンズを有する。プレートプッシャまたは平行移動ステージは、対物レンズが、経路2505に従ってウェルを反復的に走査するように、プレートを移動させる。それぞれの間の移動と相まった8つの画像/FOVの後、プレートリーダは、プレート2503のウェルの半分を測定している。経路2505を完了することによって、プレートの全てのウェルが、プレートリーダの対物レンズを使用して、個々に測定されるであろう。
【0103】
図4は、適応的マッピングステップを使用するワークフローの側面を提供する。適応的マッピングステップは、例えば、本明細書に説明され、
図17に例示されるようなプレートリーダと通信するコンピュータシステム上で実行されるソフトウェアを使用してもよい。
【0104】
そのようなシステムを使用して、ユーザは、撮像されるべきマルチウェルプレートのタイプ2603および規定された対物レンズと指定されたウェル2603、この場合では、マルチウェルプレートの命名規則によって説明されるようなウェルA,1との整合を示す、入力2601を提供する。
【0105】
本システム/ユーザは、使用されている具体的読取ヘッド上の対物レンズの間の距離を定義する、構成ファイルを提供してもよい。例示される構成ファイルでは、対物レンズの間の距離は、ウェルA,1と整合される対物レンズに対する座標系を使用して、ミリメートル単位の距離として示される。新しい構成ファイルが、新しい読取ヘッドに適応するために、プレートリーダまたはプレートリーダシステムに提供されてもよい。同様に、構成ファイルは、例えば、修理を要求し、したがって、スクリーンの間に使用されるべきではない読取ヘッドまたは対物レンズを考慮するように修正されてもよい。
【0106】
本システム/ユーザは、プレートのウェルの間の距離、したがって、その場所を含む、具体的タイプのマルチウェルプレートに関するプレートマップを提供してもよい。プレートリーダに結合されるソフトウェアは、適切な構成ファイル、第1のFOVにおけるウェル整合、および適切なプレートマップを使用し、第1のFOV内の各対物レンズによって撮像されているウェルの識別を判定する。本システムは、本情報を使用し、プレートが対物レンズに対して命令された経路2609に沿って移動される(2607)際に対物レンズに一連の画像を取得させる命令をプレートリーダに提供する。結果として、画像が、所望のウェル毎に取得される。本システムは、特定の画像内のウェルの識別を含む、取得された画像を伴うメタデータを提供してもよい。
【0107】
具体的ウェルに関連する個々の対物レンズの位置を追跡することによって、ユーザは、プレート上のウェルのサブセットのみを撮像するようにプレートリーダに命令してもよい。したがって、対物レンズが、走査されないウェル2601と整合する場合、プレートリーダは、対物レンズを非アクティブ化してもよい。同様に、プレートリーダが、例えば、これがマルチウェルプレートの境界を越えて位置付けられるため、対物レンズがウェルと整合されないことを判定する場合、本システムは、そのFOVに関する対物レンズを非アクティブ化してもよい。
【0108】
ある側面では、本発明のシステムは、プレートリーダからの画像データおよび位置メタデータをユーザによって打ち込まれるプレート/ウェル毎の実験メタデータと自動的に相関させる、ソフトウェアを組み込んでもよい。
【0109】
図5は、マルチウェルプレートリーダ203を使用する、本発明の別の例示的システム301を提供する。システム301は、プレートリーダ203と、処理システム303とを含む。処理システム303は、コンピュータ305である、またはそれを含んでもよい。随意に、処理システム301は、サーバコンピュータ307を含む、またはそれにアクセスしてもよい。処理システムのコンポーネントのうちの1つまたはそれを上回るものは、ネットワーク309接続を介して、相互に、またはプレートリーダ203と通信してもよい。
【0110】
処理システムは、本システムに、対物レンズ207を介してウェルから光学基準標準を読み取らせ、バイオアッセイのために、プレート間ウェル読取値およびプレート内ウェル読取値の両方を較正させるために実行可能な命令を含んでもよい。較正するステップは、例えば、マルチウェルプレート205の複数の試験ウェルからの光学信号試験および基準信号を読み取るステップを含んでもよい。較正するステップは、生体外神経アッセイを含む、生体外アッセイを横断する固有の変動性を補正し得る。
【0111】
ある側面では、マルチウェルプレート205は、基準プレートである。基準プレートは、地理的場所、時間、および/またはバイオアッセイ条件を横断して読取値を標準化するために、異なるユーザに提供されてもよい。
【0112】
本発明のある方法およびシステムは、マルチウェルプレートの個々のウェルの検出された光学信号を較正するステップを含む。例えば、プレートのウェル内の細胞内の光学アクチュエータは、光学アクチュエータを刺激するための青色光によって刺激される。経時的に、刺激光は、パルスにおいて細胞に伝送され、強度において漸増され、および/または一定の刺激として提供されることができる。開示されるプレートリーダは、制御された強度および波長において個々のウェルに刺激光を伝送するための比類のない能力を提供する。結果として、対応する光学レポータは、光学アクチュエータによって引き起こされる細胞活性を示す放出光を生産する。放出光は、経時的に検出され、刺激光に応答する細胞活性の測度を提供する。
【0113】
刺激光は、飽和または定義されたレベルにおいて伝送される、または伝送されるように漸増されることができる。飽和レベルの刺激光は、細胞内の光学アクチュエータが、細胞信号を生産するであろうことを保証することができる。これは、最大レベルの細胞活性を含み得る。飽和レベルにおけるレポータからの光学信号は、アッセイにおける特定のウェルが達成し得る最大信号を提供することができる。定義された刺激は、ゼロmV膜電位において、または具体的膜伝導度機構の平衡電位において等、定義されたレベルの細胞活性における細胞活性の測度を提供し得る。これは、例えば、ウェルがアクチュエータおよび/またはレポータを発現する様々な数の細胞を含有すること、ハードウェアにおける変動性、および生体外アッセイの固有の変動性のため、プレートのウェルを横断して変動し得る。飽和刺激は、「基準」刺激であり得、飽和または定義された刺激の間のウェルからの結果として生じる光学信号は、「基準」信号を提供することができる。細胞が、細胞活性の生物学的および/または化学的刺激をモデル化する試験条件に暴露されると、光学レポータは、活性を示す光学信号を提供する。ウェルからの結果として生じる「試験」信号は、試験条件への暴露によって引き起こされる細胞活性を確認するために、「基準」信号を使用して較正されることができる。
【0114】
基準刺激は、生物学的および/または化学的刺激であってもよい。化学的基準刺激を使用するとき、飽和刺激は、基準信号として使用され得る、細胞活性の活性化または抑制を引き起こす特定の化合物の濃度を含む。
【0115】
ある側面では、基準信号は、ある閾値または活性が満たされるまで、基準信号を提供することによって取得される。例えば、細胞内の細胞が、活動電位または再生信号を示す信号を生産するまで、細胞内の光学アクチュエータにある持続時間および/または強度にわたる刺激光を提供する。基準信号はまた、具体的タイプの疼痛信号、腫瘍、または他の疾患または条件と関連付けられる組織等のある生物学的状態を示す信号であり得る。ある側面では、基準刺激は、。
【0116】
ある側面では、マルチウェルプレートの複数または全てのウェルからの基準信号は、それに対して個々のウェルからの試験信号が較正される基準信号を提供するために、平均化される。
【0117】
図6は、青色光が基準刺激およびモデル化された生物学的条件を提供するための刺激として使用される、アッセイの例示的概略
図401を提供する。アッセイにおける細胞は、マルチウェルプレート内にあり、例えば、蛍光電圧レポータ、膜電位を変調させるための光学アクチュエータを発現させられる。刺激光の短パルス(403、407)が、アクチュエータを刺激し、活動電位等の生物学的条件をモデル化するために、サンプルに伝送され得る。これらの試験パルスの結果として検出される光学信号は、試験信号である。青色光の定常状態パルス405は、基準刺激として使用される。試験パルス(403、407)の間に検出される光学信号は、基準パルス405に較正されることができる。ある側面では、定常状態基準パルス405は、その強度および/または持続時間に起因して、サンプルを飽和させ、したがって、試験化合物を含む、アッセイにおける成分からの干渉に敏感ではない基準信号を提供する。
【0118】
図7は、本発明の方法およびシステムにおいて使用され得る、「センチネルプレート」501を提供する。本例示的「センチネルプレート」は、96-ウェルプレートである。しかしながら、48-、384-、および1,536-ウェルプレートを含む、任意のサイズのプレートが、本発明の方法およびシステムと併用されることができる。
【0119】
実施例では、プレートは、「健常」および「疾患」と標識化されるウェルを含む。「健常」ウェルは、基準信号を用いて刺激される(105)と、光学基準信号として検出される(107)光学信号を提供する、光学レポータを伴う細胞を含むことができる。「疾患」ウェルは、細胞活性の生物学的および/または化学的刺激をモデル化する試験条件に暴露される(109)、光学レポータを伴う細胞を含むことができる。「疾患」ウェルは、例えば、特定の疾患または条件に対応する公知の遺伝子突然変異を伴う細胞、疾患または条件に特徴的である表現型応答を活性化されるときに引き起こす光学アクチュエータを発現する細胞、ならびに/もしくは疾患または条件に特徴的な様式で細胞に応答させる1つまたはそれを上回る化合物または媒介物を含んでもよい。
【0120】
本発明のシステムおよび方法では、「健常」または基準ウェルから読み取られた光学基準信号は、細胞活性の特定の生物学的および/または化学的刺激をモデル化する「疾患」または試験ウェルからの光学試験信号を正規化するために使用されることができる。
【0121】
図8は、本発明の方法およびシステムによる、センチネルプレートを使用する例示的方法601を提供する。ある側面では、センチネルプレート501は、光学基準および試験信号を使用して、サンプル内の基準/「健常」および試験/「疾患」細胞の表現型特性を露見させるために使用される。処理システム303と通信する、またはその一部である、機械学習モデルが、これらの特性を確認するために使用されることができる。センチネルプレート501である場合とそうではない場合がある、プレートが、調製され、基準/「健常」および試験/「疾患」細胞ウェルが、刺激、例えば、調査中の化学化合物を導入される。本プレートの基準/「健常」および試験/「疾患」細胞ウェルのうちのいくつかは、プレート間正規化を可能にするために、本刺激がない状態にされることができる。
【0122】
図9は、方法701のものに対する代替または派生方法701を提供する。いったん表現型特性が、把握されると、センチネルプレート501を使用することは、必要ではない場合がある。むしろ、単純な内部正規化が、正確なスクリーニング結果を生産するために要求されるものの全てである。
【0123】
図10は、本発明の方法およびシステムにおいて使用されるマルチウェルプレートリーダにおいて使用される光学チャネルモジュールの例示的な独立した光学チャネル800の一般的概略図を提供する。光学チャネル800は、マルチウェルプレートのウェル803と整合する、対物レンズ801を含む。蛍光レポータからのもの等の異なる波長の放出光805が、異なる光学経路に沿って対応する光検出器に通過する。例示的光学チャネルモジュール800では、第1の波長807の放出光が、第1の光学経路809に沿って第1の光検出器811に通過される。第2の波長813の放出光が、第2の光学経路815に沿って第2の光検出器817に通過される。第3の波長819の放出光が、第3の光学経路821に沿って第3の光検出器823に通過される。
【0124】
光学チャネルモジュール800はまた、異なる波長827において刺激/励起光を伝送し、各波長は、異なる光学経路829に沿って、対物レンズ801を通して、サンプルを含有するウェル803まで伝送する、光源825を含む。光源825は、独立して、LED、ダイオードレーザバー、レーザ、ダイオードレーザ、または任意の他の好適な光源を含むことができる。各光源(825)は、各他の光源(825)の刺激/励起光およびサンプルからの放出光の両方とスペクトル的に明確に異なる刺激/励起光を伝送するように構成されてもよい。それに沿って刺激/励起光(827)が進行する光学経路(829)のうちの1つまたはそれを上回るものは、光学経路を通して、かつサンプル上に上向きに刺激光を反射させるために、1つまたはそれを上回るダイクロイックミラーを含んでもよい。ダイクロイックミラーは、サンプルからの放出光(807、813、819)が、ミラーを通して、かつ放出光光学経路(809、815、821)に沿って検出器(811、817、823)に下向きに通過することを可能にするように構成されてもよい。
【0125】
ある側面では、光源(825)のうちの1つまたはそれを上回るものは、光感受性アクチュエータタンパク質を刺激することが可能な波長における光を伝送する。光感受性アクチュエータタンパク質は、例えば、CheRiff等の光開口型イオンチャネルであってもよく、刺激光の波長は、例えば、450~495nmであり得る。刺激光は、約22mW/cm2の強度を有してもよい。ある側面では、光源(825)のうちの1つまたはそれを上回るものは、QuasAr2またはQuasAr3等の微生物ロドプシンを励起することが可能な波長における光を伝送する。励起光の波長は、例えば、580~650nmであってもよい。励起光は、QuasArに関して、0.01W/cm2~400W/cm2、好ましくは、約100W/cm2の強度を有してもよい。並行して、または代替として、光源のうちの1つまたはそれを上回るものは、例えば、光感受性カルシウム指示タンパク質等の光感受性レポータタンパク質を励起することが可能な波長を伴う刺激光を提供してもよい。
【0126】
いくつかの実施形態では、刺激/活性化光源は、独立して、ダイオードレーザバー、ダイオードレーザ、別のタイプのレーザ、またはLEDのうちの1つまたはそれを上回るものを含む。照明光送達は、光ファイバを含んでもよい。刺激/励起光源は、不要な反射または屈折刺激/励起光が対物レンズに入射しないように防止するように位置付けられる、バッフルを含み得る、刺激/励起光サブシステムの一部であってもよい。刺激/励起光サブシステムはまた、それに沿って刺激光が進行する光学経路のうちの1つの中に配置される、他のビーム成形光学系を有してもよい。
【0127】
プレートリーダは、同時の異なる波長の刺激/励起光の伝送および放出光の検出を可能にするため、プレートリーダは、本発明の方法およびシステムにおいて使用されるとき、多数の光学的に作動され、および/または検出可能なタンパク質を伴う複雑なアッセイを実施することができる。
【0128】
したがって、本発明の方法およびシステムにおいて使用されるサンプルは、電気活性の光学アクチュエータおよび電気活性の光学レポータを発現する細胞を含むことができる。サンプルは、第1の細胞がアクチュエータを発現し、第2の細胞がレポータを発現するように構成されてもよい。プレートリーダは、刺激光ビームを用いて光感受性アクチュエータタンパク質を刺激し、タンパク質の立体配座変化を引き起こし、それによって、細胞内の膜電位の変化を開始することができる。結果は、細胞が「発火」すること、すなわち、活動電位または再生信号が、電気活性細胞内で伝搬することとなる。プレートリーダは、光学レポータを刺激するために使用されるものとスペクトル的に明確に異なるビームを用いて、蛍光光学レポータタンパク質に励起光ビームを同時に伝送することができる。プレートリーダは、レポータによって放出された蛍光を測定し、膜電位の対応する変化を測定することができる。
【0129】
本発明との併用のための環境感受性蛍光レポータの一実施例は、膜電位の変化に応答して光学信号を発生させ、それによって、膜電位の光学レポータとして機能する、ロドプシンタイプ膜貫通タンパク質である。アーチロドプシン系タンパク質QuasAr2およびQuasAr3が、赤色光によって励起され、細胞膜電位の関数として強度において変動する信号を生産する。これらのタンパク質は、遺伝子導入または電気穿孔等の遺伝子工学技法を使用して細胞の中に導入され、膜電位の光学測定を促進することができる。本発明のプレートリーダは、580~650nmの波長を有する光を使用して、サンプル内のQuasAr2またはQuasAr3を励起することができる。光は、QuasArに関して、0.01W/cm2~400W/cm2、好ましくは、約100W/cm2の強度を有してもよい。
【0130】
蛍光インジケータに加えて、プレートリーダは、細胞を化学的または電気的に摂動させるための光感受性化合物を光学的に活性化するために使用されることができる。本発明は、2014年6月12日に出願された、米国特許公開第2014/0295413号(その全内容は、参照することによって本明細書に組み込まれる)に開示されるもの等の電圧指示タンパク質と併用されることができる。例えば、細胞活性の光学アクチュエータは、微生物チャネルロドプシン等の遺伝子的にエンコードされたロドプシンまたは修飾されたロドプシンであってもよい。例えば、Scherffelia dubiaからのチャネルロドプシンであるsdChRが、使用されてもよい、またはCheRiffと呼ばれる、sdChRの改良されたバージョンが、光学アクチュエータとして使用されてもよい。「CheRiff」は、本明細書に説明されるようなマウスコドン最適化、トラフィッキング配列、および突然変異E154Aを使用するsdChRのバージョンを指す。プレートリーダは、付加的レポータおよびそれらを作動させるための関連付けられるシステムと併用されてもよい。例えば、遺伝子的にエンコードされたカルシウムインジケータ(GECI)等の細胞内カルシウムレベルの変化を報告するタンパク質が、使用されてもよい。プレートリーダは、RCaMPのための黄色光等のGECIのための刺激光を提供してもよい。例示的GECIは、例えば、jRCaMP1a、jRGECO1a、またはRCaMP2等のGCaMPまたはRCaMP変形を含む。一実施形態では、アクチュエータは、青色光によって活性化され、Ca2+レポータが、黄色光によって励起され、橙色光を放出し、電圧レポータが、赤色光によって励起され、近赤外光を放出する。
【0131】
ある側面では、本発明のシステムおよび方法は、興奮性等の具体的細胞形質の全光学的特性評価を可能にするために、蛍光レポータと組み合わせられる光学的に変調されたアクチュエータを使用するステップを含むことができる。例えば、OptoPatchシステムは、CheRiff等の電気アクチュエータタンパク質をQuasAr2等の蛍光レポータと組み合わせる。アクチュエータおよびレポータタンパク質は、異なる波長の光に応答し、細胞がある範囲の光電流の大きさにわたって励起されると同時に膜電位が測定されることを可能にする。
【0132】
細胞の電気的性質または活性を測定することは、心臓および脳細胞(例えば、神経細胞および心筋細胞)等の電気活性細胞を伴う疾患の研究、診断、および処置のために有用である。これらの細胞に影響を及ぼす条件は、心疾患、心房細動、筋萎縮性側索硬化症、原発性側索硬化症、疼痛、神経障害、および多くのその他を含む。全光学的測定は、それらが、精密な微小機械的操作またはサンプル内の細胞との直接接触を要求しないため、パッチクランプのような従来の方法に対する魅力的な代替を提供する。光学方法は、特に、本発明の方法およびシステムと併用されるとき、高処理能力用途により適している。全光学的測定によってもたらされる処理能力の劇的な増加は、これらの条件の研究、診断、および治療に革命をもたらす潜在性を有する。
【0133】
したがって、本発明は、観察されるべきマルチウェルプレートの具体的ウェル内の細胞を励起するステップ、または活動電位もしくは再生信号を開始するために細胞を刺激するステップを含む、開示されるプレートリーダを使用する方法を提供する。刺激は、直接的または間接的であってもよい(例えば、光学アクチュエータの光学刺激または観察されるべき細胞とギャップ結合する、またはシナプス連絡する上流細胞の刺激)。刺激は、光学的、電気的、化学的である、または任意の他の好適な方法によるものであってもよい。刺激は、例えば、規則的、周期的パルス、単一のパルス、不規則なパターン、または任意の好適なパターンを含む、任意のパターンの活性化を伴ってもよい。方法は、細胞機能の特定の側面を強調するために、空間または時間において光学刺激パターンを変動させるステップを含んでもよい。例えば、パルスパターンは、増加する周波数を有してもよい。ある実施形態では、本方法は、光のパルスを使用して、光学活性化因子を発現する電気活性細胞を刺激するステップを含んでもよい。
【0134】
例えば、プレートリーダは、細胞活性の蛍光レポータおよび光感受性アクチュエータを使用して、細胞の物理的性質を特性評価するために使用されることができる。そのようなアッセイは、例えば、細胞に対する潜在的な薬物化合物の効果を研究するために設計されることができる。例えば、プレートリーダは、幹細胞由来の心筋細胞から活動電位(AP)およびカルシウム過渡(CT)波形を光学的に取得し、心筋細胞における不整脈を特性評価するために使用されることができる。マルチウェルプレートのウェル内に位置するサンプル内の心筋細胞は、ロドプシンタイプ膜貫通光学レポータを発現させられることができる。プレートリーダは、刺激光を用いて微生物チャネルロドプシンを活性化し、心筋細胞を通してAPを伝搬させることができる。レポータタンパク質を含有する細胞は、プレートリーダからの刺激光を介して照明され、APは、レポータの蛍光の変化を引き起こす。レポータからの光は、プレートリーダによって検出され、AP波形を構築するために分析される。構築されたAP波形における不整脈は、例えば、既知の標準との比較または他の分析技法によって、検出または特性評価されることができる。
【0135】
これらのプレートリーダを使用する本発明のシステムおよび方法は、したがって、細胞に対する化合物の効果を研究するために使用されることができる。プレートリーダは、マルチウェルプレートのウェル内に見出されるサンプルを分析することができるため、サンプルの細胞は、支持細胞培地中にある間に観察されることができる。これは、細胞の活性が、サンプルへの潜在的薬物等の着目化合物の導入の前および後の両方で分析されることを可能にする。プレートリーダは、したがって、検出されたAP波形に対する結果として生じる摂動および化合物への暴露と関連付けられる他の特性を検出することができる。光学レポータは、電圧レポータ、イオンレポータ(例えば、[Ca2+]に関して)、その他、またはそれらの組み合わせを含むことができるため、プレートリーダは、AP波形の全ての特徴を通して露見されるような細胞の複数のイオンチャネルを横断する化合物の効果を検出することができる。
【0136】
また、プレートリーダは、マルチウェルプレートのウェル内の生細胞を分析することができるため、細胞は、特定の生体内条件をモデル化するために使用される、媒介物等の化合物を含む培地に暴露されることができる。例えば、媒介物は、具体的タイプの疼痛信号、腫瘍、または他の疾患または条件と関連付けられる組織の局所環境をモデル化するように選択されてもよい。これらのモデル条件における細胞は、モデル化された疾患または条件と関連付けられる療法剤を発見または開発するために使用されてもよい。
【0137】
例えば、本発明の方法およびシステムにおいて使用されるサンプルは、生体外疼痛モデルを提供する細胞を含んでもよい。これらのモデルでは、選択された疼痛媒介物の組成物が、培養された神経細胞に導入され、これは、次いで、大幅に増加された速さの発火および過敏化を呈する。後根神経節細胞等の感覚神経細胞は、疼痛信号を脳に送信することが公知である。後根神経節細胞等の感覚神経細胞は、疼痛として脳によって経験されるであろうモデル神経細胞信号を生成するために、マルチウェルプレートのウェル内の疼痛媒介物組成物に暴露され得る。試験化合物が、疼痛媒介物組成物の存在下で神経細胞信号をベースライン状態に戻す化合物をスクリーニングするために、モデルの中に導入されることができる。
【0138】
ある側面では、プレートリーダは、正規化ステップを含む、細胞活性の光学レポータを有する細胞を備えるサンプルを使用して、生物学的活性をアッセイするための方法において使用されることができる。
【0139】
例示的方法では、マルチウェルプレートの1つまたはそれを上回るウェル内の細胞は、特定の細胞活性を引き起こす基準刺激を用いて刺激される。基準刺激は、プレートリーダからサンプルに伝送される刺激光、例えば、青色光であってもよい。本基準刺激は、飽和または基準刺激であってもよく、マルチウェルプレートの全てのウェルに伝送されてもよい。サンプルを含有する1つまたはそれを上回るウェルが、次いで、細胞活性の生物学的または化学的刺激をモデル化する試験条件に暴露される。これは、例えば、刺激波長の光を細胞活性の光学アクチュエータに提供するステップを含んでもよい。プレートリーダは、次いで、試験条件によって引き起こされたサンプルの細胞内の光学レポータからの光学試験信号を検出する。試験信号は、次いで、モデル化された生物学的/化学的刺激に応答する細胞の活性のレベルを予測するために、基準信号に対して正規化される。
【0140】
図11は、プレートリーダの例示的光学チャネル900の概略図を提供する。光学チャネルは、それを通して放出および刺激光が進行する、対物レンズ901を含む。異なる波長の刺激光が、異なる光学経路(903、905、907、909)に沿って、対物レンズ901を通して伝送される。異なる放出光波長に関する放出光光学経路(911、913、915)もまた、示される。
【0141】
図12は、例示的光学チャネルモジュール900の断面1000の写真を提供する。示されるように、モジュール900およびその光学経路(903、905、907、909、911、913、915)は、一連のダイクロイックミラーと、薄フィルムフィルタと、成型非球面レンズとを含む。
【0142】
図13は、光学チャネルの例示的光学経路の概略
図1100を提供する。刺激/励起光1109の光が、一連のダイクロイックミラー1103、薄フィルムフィルタ、パターン化マスク1107、および非球面レンズ1105を通して、かつ対物レンズ1101を通して通過される。本発明者らは、放出光を検出するために使用されるとき、本配列が驚くほど効率的であることを発見した。
【0143】
ある側面では、マルチウェルプレートリーダは、複数の独立した光学チャネルおよび/または光学チャネルモジュールを含む。
【0144】
図14は、例示的マルチウェルプレートリーダの部分1200を示す。プレートリーダは、それぞれ、6つの独立した光学チャネルモジュールを含み、マルチウェルプレート1205の下に配置される、2つの読取ヘッド(1201、1203)を含む。各独立した光学チャネルモジュールは、2つの独立した光学チャネルを含む。各独立した光学チャネルの対物レンズ1207は、マルチウェルプレート1205の異なるウェルと整合される。光学チャネル1209のうちの1つは、刺激光光学経路(1211、1213、1215、1217)および放出光光学経路(1219、1221、1223)を示すために、断面として図示される。
【0145】
図15は、本発明のマルチウェルプレートリーダの例示的読取ヘッド1300の分解図を示す。読取ヘッドは、6つの独立した光学チャネルモジュール1301を含む。各光学チャネルモジュールは、2つの独立した光学チャネルと、それらの個別の対物レンズとを含む。各光学チャネルモジュールは、フォトダイオードと、独立したピコ電流計回路とを含む、2つの印刷回路基板(PCB)(1303、1305)に取り付けられる。例示的読取ヘッド1300では、PCB1303および1305は、合計で12個のフォトダイオードおよび12個のピコ電流計回路を含み、それぞれのうちの3つが、光学チャネルモジュールの具体的光学チャネルに充てられる。1つのフォトダイオードおよび1つのピコ電流計回路が、個々の波長の放出光からの光学信号を検出することに充てられる。例示的読取ヘッド1300はまた、4つが個々の光学チャネル毎に異なる波長の刺激光を提供すること専用である、8つの高出力LEDを含む、光学チャネルモジュール毎のPCB1307を含む。読取ヘッドはまた、LED PCBを冷却するために、熱交換器1309を含む。
【0146】
図16は、代替ビューからの例示的読取ヘッド1300の概略図を提供する。本図では、各光学チャネルの対物レンズは、容易に明白である。
【0147】
図17は、本発明のシステムおよび方法において使用される、例示的プレートリーダ1500の概略図を提供する。マルチウェルプレート1503が、プレートリーダ1500の読取プラットフォーム1501上に配置される。プレートリーダはまた、プレートプッシャ1505を含み、これは、マルチウェルプレート1503を複数の方向に沿って平行移動させ、それらが光学チャネルの対物レンズと整合するように、マルチウェルプレート1503のウェルを整合させる。プレートリーダ1500はまた、モータコントローラを含み、これは、ウェルを整合させるために、プレートプッシャ1505のモータを制御する。
【0148】
プレートリーダ1500はまた、信号および/またはドライバ基板1509を含む。各光学チャネルモジュールは、信号/ドライバ基板1509に接続される。各信号/ドライバ基板は、電力分配バスおよびNational Instruments Corp.(Austin, TX)からのCOMPACTDAQ等のデータ入手システム(DAQ)に接続される。DAQは、光学チャネル、したがって、マルチウェルプレート1501のウェルを横断して、同期されたアナログ出力制御およびアナログ入力サンプリングを提供し得る。DAQは、例えば、USB接続によって、制御および/またはデータ入手ソフトウェアを実行するワークステーションに接続されてもよい。
【0149】
図18は、プレート読取プラットフォームから外光および空気中の汚染物質を遮断する、随意のケース1571を伴うプレートリーダを示す。ある側面では、ケース1571は、可撤性であってもよい。ある側面では、ケースは、プレート読取プラットフォームへのアクセスを提供するために、扉またはハッチ1572を含む。
【0150】
図19は、例示的プレートリーダ1500の接近図を提供する。本図では、ピコ電流計回路/フォトダイオード1305を伴うPCBを含む、2つの読取ヘッド1300が、見られることができる。
【0151】
ある側面では、プレートリーダは、リーダ上に位置付けられるマルチウェルプレート内のサンプルと関連付けられる環境条件を制御するように動作可能な環境制御サブシステムを含んでもよい。環境制御サブシステムは、例えば、サンプル領域の湿度、温度、CO2、および他の因子を制御することができる。環境制御サブシステムは、細胞サンプルがマルチウェルプレートのウェル内に含有される水性培地における条件が、細胞を生存させ、機能的にさせ続けるために維持されることを保証することができる。これは、特に、刺激に応答する細胞の活性を査定する光遺伝学的アッセイにおいて重要である。
【0152】
ある側面では、プレートリーダは、該マルチウェルプレート内のウェルに流体を送達するために、マイクロ流体アセンブリを含んでもよい。アセンブリは、例えば、細胞を生存させ続けるために、細胞培地等の栄養素を送達してもよい。アセンブリはまた、例えば、着目化合物等の試薬または基準刺激をマルチウェルプレートのウェル内のサンプルに送達することができる。プレートリーダはまた、器具内にプレートのバッチを順次装填するための設備を含有してもよい。
【0153】
ある側面では、光チャネルは、光サブシステムの一部である。プレートリーダの対物レンズおよび/または光サブシステムは、処理システム303に結合されてもよい。処理システム303は、ウェルからの放出光を使用して、ウェル内の細胞の活性をモデル化するように動作可能であってもよい。さらに、ある側面では、光学チャネルの光検出器は、光学信号をデジタル信号にデジタル化してもよい。処理システムは、デジタル化された信号を分析および/または記憶してもよい。処理システムはまた、例えば、デジタル化された信号から活性関連波形をモデル化してもよい。
【0154】
図20は、プレートリーダ1500の制御および使用のためのシステム1701の概略図を示す。プレートリーダ1500は、光学チャネルと、それらの対物レンズとを含む、光学システム1703を含む。プレートリーダ1500は、直接、またはネットワーク1743を介して、コンピュータデバイス1735に接続される。随意に、システム1701は、サーバコンピュータ1711を含む、またはそれにアクセスしてもよい。コンピュータデバイス1735は、アッセイからの結果を表示し、ユーザ入力を介して、例えば、放出光、プレートプッシャ1705、環境制御サブシステム1707、およびマイクロ流体アセンブリ1709を制御するように構成される、タッチスクリーン等の入/出力を含んでもよい。システム1701を使用して、ユーザは、タッチスクリーン上に表示される電気活性細胞を活性化し得る。
【0155】
システム1701は、プレートリーダ1500に接続される、コンピュータデバイス1735を含み、これは、典型的には、メモリに結合されるプロセッサと、1つまたはそれを上回る入/出力デバイスとを含むであろう。好適なI/Oデバイスは、モニタ、キーボード、マウス、ポインタ、トラックパッド、タッチスクリーン、カメラ、Wi-Fiカード、ネットワークインターフェースカード、USBポート、その他、およびそれらの組み合わせを含む。ある実施形態では、コンピュータ1735は、タッチスクリーンを含む。タッチスクリーンは、対物レンズによって捕捉されたリアルタイム画像を表示するように構成されてもよい。タッチスクリーンは、タッチスクリーンに触れるステップを含む、ユーザ入力を受け取るように動作可能であり得る。いくつかの実施形態では、タッチスクリーンは、刺激光をマルチウェルプレートのあるウェルに伝送するように、ユーザによって手動で制御されることができる。タッチスクリーンは、プレートプッシャの位置、刺激光強度および/または波長、またはプレートリーダの使用および制御に関連する任意の他の因子を含む、顕微鏡の全ての側面を制御するように動作可能であってもよい。
【0156】
(実施例)
(実施例1)
実施例1:単一ウェル検証アッセイ
単一の光学チャネルモジュールを伴うプレートリーダが、QuasAr2電圧レポータ、JRGeCO1カルシウムセンサ、およびCheRiffアクチュエータを発現するIPSC由来心筋細胞を含有する96-ウェルプレートをアッセイするために使用された。細胞は、プレート内で細胞培養において維持された。
【0157】
図21は、アッセイの結果を示す。
図21では、「青色刺激」と標識化される線は、プレートリーダによってプレートの単一のウェルに伝送された刺激光のパルスを示し、これは、CheRiffの作動を引き起こした。これは、細胞における電圧およびカルシウムイオン濃度の結果として生じる変化につながった。電圧の結果として生じる変化は、QuasAr2によって報告され、これは、プレートリーダから伝送された赤色光によって活発化され、カルシウムイオン濃度は、jRGECO1によって報告され、これは、黄色光によって活発化された。したがって、プレートリーダは、3つの別個の波長の光を用いて、マルチウェルプレートの単一のウェル内のアクチュエータおよび2つのレポータを正確に刺激することが可能であった。また、プレートリーダは、2つの別個の放出波長の光のレベルを同時に検出することが可能であった。
【0158】
(実施例2)
実施例2:光学チャネルモジュール検証アッセイ
単一の光学チャネルモジュールを伴う同一のプレートリーダが、384-ウェルプレートのウェル内のスパイキングHEK細胞をアッセイするために使用された。プレートリーダは、一度にプレートの1つのウェルを同時にアッセイし、光学チャネルモジュールの各光学チャネル/対物レンズを伴うものは、一度に1つのウェルに対処した。
【0159】
スパイキングHEKアッセイは、本明細書に説明されるSWARM器具上で実施された。結果は、Swarm器具におけるNav1.7スパイキングHEKアッセイ性能に関して提示される。
【0160】
図22は、電圧感受性染料BeRST1、CheRiff-eGFP、Kir2.1、および着目標的であるNav1.xチャネルを含む、Nav1.xスパイキングHEK細胞における重要となる成分の概略図である。
【0161】
図23は、10回試験パルス青色光刺激プロトコルを用いて刺激され、Swarm器具の対物レンズ1によって撮像される、DMSOまたは1mM TTXで処理されたNav1.7スパイキングHEK細胞の8つのウェルからの代表的蛍光トレースを示す。浸液[K+]は、8mMである。
【0162】
図24は、全ての24個の対物レンズから収集された蛍光トレースを示す。Nav1.7スパイキングHEK細胞は、DMSOまたは1mM TTXのいずれかを用いて処理され、10回試験パルス青色光刺激プロトコルによって刺激された。各トレースは、同一の対物レンズによって撮像される8つの隣接するウェルに基づいて平均化される。
【0163】
図25は、代表的Nav1.7スパイキングHEK 384-ウェルセンチネルプレートからのヒートマップを示す。全ての奇数列は、DMSO媒質対照群を用いて処理され、全ての偶数列は、1mM TTXを用いて処理された。アッセイは、スパイキングHEK細胞に関する。細胞は、電圧レポータとしてQuasAr2、膜電位を変調させるための電圧アクチュエータとしてCheRiff、膜電位を変調させるためのカリウムチャネルとしてKir2.1、および電圧開口型ナトリウムチャネルであるNav1.xチャネル(Nav1.5、Nav1.7、Nav1.8、Nav1.9等)を発現させられた。加えて、膜電位、細胞内カルシウム、または他の媒介物の化学センサが、本システムにおいて利用されてもよい。そのようなアッセイは、例えば、疼痛および他の条件を低減させるための着目標的である、Nav1.xチャネルの活性を遮断するための異なる機構および化合物を検出するために使用されることができる。本アッセイでは、Nav1.7が、細胞によって発現された。
【0164】
細胞に加えて、プレートの各ウェルは、185nMのNav1.7ブロッカ化合物TTX、5.6μMのアミトリプチリン、または媒質(0.5% DMSO)のいずれかを添加された。光学チャネルモジュールの各光学チャネルは、96-ウェルプレートの異なるウェルにパターン化された青色光を同時に伝送し、細胞が活動電位を発火するまでCheRiffを刺激した。刺激プロトコルは、添加された化合物に対する細胞の応答を測定するための青色光の8つのパルスから成り、基準刺激によって誘起されるプラトーが続き、次いで、以前の活性化信号に続くチャネル活性および薬理学的応答を測定するための青色光の最終伝送が続いた。
【0165】
図26は、例示的L/Rアッセイにおけるプレートのウェルの前半からの走査1、2、3、7、8、9、13、14、15、19、20、および21を提供する。データは、光学チャネルモジュールによってアッセイされた例示的プレートの前半からのウェルから取得される。
【0166】
図27は、例示的L/Rアッセイにおけるプレートのウェルの後半からの走査4、5、6、10、11、12、16、17、18、22、23、および24を与える。「L」および「R」と標識化される、異なる暗さ(または色)の線は、光学チャネルモジュールの2つの異なるチャネルからのものである。
【0167】
図28は、落射蛍光顕微鏡を使用する類似するアッセイを使用して以前に取得された結果および検証結果を提供する。プレートリーダからのL/Rアッセイの結果が、顕微鏡によって提供された検証結果に一致したことが明白である。
【0168】
図29は、光学チャネルモジュールの各光学チャネルによって検出されるような各ウェル内の最初の2つのパルスからの結果のオーバーレイを示す。本図は、各チャネルからの結果が、各チャネルの間のわずかな差異のみを伴って、一貫し、再現可能であることを示す。
【0169】
図30は、モジュールのチャネル毎に計算される、要約統計値Z-primeを提供する。これらの結果に基づいて、チャネルの間のわずかな差異を伴っても、望ましいZ-primeがこれらのアッセイに関して取得されたことが明白である。
【0170】
(実施例3)
実施例3:同時24-ウェル検証アッセイ
12個の光学チャネルモジュール(すなわち、2つの12個の読取ヘッドおよび24個の光学チャネル/対物レンズ)を伴うプレートリーダが、マルチウェルプレートの24個の個々のウェルを同時にアッセイするために使用された。プレートのウェルは、OptoPatchシステムサンプルを含有していた。OptoPatchシステムは、優れた信号対雑音性質を伴う膜貫通電位の変化を直接報告するために採用される、哺乳類神経細胞を使用する全光学的電気生理学システムである。各プレートのウェル内の神経細胞は、電圧レポータとしてArchベースのQuasArおよび膜電位を変調させるための電圧アクチュエータとしてCheRiffを発現させられた。
【0171】
本プレートリーダは、16ビット分解能および最大25kS/秒で、各ウェルへの各光学チャネルの全ての4つのLED波長に独立して刺激波形を印加することができる。72個のピコ電流計出力のそれぞれの出力は、最大10kS/秒において24ビット分解能で独立して、かつ同時にデジタル化される。これは、光学チャネルが、独立して、刺激光を発現されたCheRiffに伝送し、励起光をウェルのそれぞれの中に含有される神経細胞によって発現されたArchベースのQuasArに伝送することを可能にした。刺激光は、CheRiffを刺激し、神経細胞の膜電位の変化を引き起こした。励起光は、QuasArを励起し、これは、CheRiffの刺激によって引き起こされる活動電位の変化を示す光学信号を生産した。
【0172】
図31は、チャネル1、2、3、7、8、9、13、14、15、19、20、および21に関する4波長刺激アッセイの結果を提供する。
【0173】
図32は、チャネル4、5、6、10、11、12、16、17、18、22、23、および24に関する4波長刺激アッセイの結果を提供する。
【0174】
4波長刺激アッセイでは、光学トレースが、マルチウェルプレートのウェルにおいて整合される光学チャネルを使用して記録される。光学チャネル毎に、2つの別個のウェルからのデータが、オーバーレイされ、それぞれ、青色および赤紫色線として示される。撮像フレームレートは、2キロヘルツであり、ブリーチ補正が、適用された。全ての24ウェル光学チャネルは、完全に機能的であり、一貫した再現可能な結果を提供した。
【0175】
これらの結果は、本発明のプレートリーダが、マルチウェルプレートのいくつかのウェルを横断して同時、正確、かつ再現可能な結果を提供し得ることを実証している。各パルス化プロトコルは、完了するために5秒未満かかり、制御信号を設定し、プレートのウェルを対物レンズと整合させるために、約5秒かかる。これは、プレートを交換し、プレートリーダ上のプレートを走査するための約5分に等しい。したがって、96-ウェルプレートを使用するとき、約7,000個の個々のウェルが、1日あたりアッセイされることができる。384-ウェルプレートを使用するとき、本処理能力は、1日あたり約20,000個のウェルまで増加する一方、1,536-ウェルプレートは、1日あたり約40,000個の個々のウェルの処理能力を提供する。本発明のプレートリーダは、したがって、高処理能力スクリーニング(HTS)アッセイにおいて機能することができる。
【0176】
(実施例4)
実施例4:Navチャネルに対するツール化合物の濃度応答曲線分析
本発明の方法は、異なるNavサブタイプに対する種々のツール化合物の応答を評価するために使用された。本発明の方法は、スパイキングHEK細胞アッセイを使用して、Navサブタイプの治療を査定するために使用された。図に示されるように、Nav1.2およびNav1.5サブタイプが、500ミリ秒の長いパルスに先立って、8つの試験パルスを使用して、2Hzにおいて刺激された。第3~第8のパルスによって誘起された活動電位が、プロットされる。Nav1.7に関して、細胞は、4Hzにおいて刺激され、全ての誘起された活動電位が、プロットされた。
【0177】
濃度応答曲線(CRC)が、異なるNavサブタイプに対する種々のツール化合物に関して取得された。
【0178】
図33は、DMSO、1mM TTX、または10mMテトラカインで処理されたNav1.2スパイキングHEK細胞(8mM浸液[K+])、Nav1.5スパイキングHEK細胞(6mM浸液[K+])、およびNav1.7スパイキングHEK細胞(4mM浸液[K+])からの代表的蛍光トレースを与える。Nav1.2およびNav1.5スパイキングHEKアッセイに関して、細胞は、2Hzにおいて刺激された。8つの試験パルスが、500ミリ秒の長いパルスの前に印加され、第3~第8のパルスによって誘起された活動電位のみが、ここではプロットされ、Nav1.7スパイキングHEK細胞に関して、細胞は、4Hzにおいて刺激され、全ての誘起された活動電位が、プロットされる。
【0179】
図34は、Nav1.2(8mM浸液[K+])、Nav1.5(6mM浸液[K+])、およびNav1.7(8mM浸液[K+])に対する3つの非選択的Navチャネルブロッカ(アミトリプチリン、テトラカイン、ビクソトリジン)および3つのサブタイプ選択的Navチャネルブロッカ(JNJ63955918、PF-05089771、テトロドトキシン)の濃度応答曲線(CRC)を示す。表1は、異なる効能および作用機構を伴う15個のツール化合物からのNav1.x IC50値および状態依存性である。状態依存性は、8mM K+におけるTP10 IC50値に対する4mM K+におけるTP1におけるNav1.7スパイキングHEKアッセイのIC50値の比率として定義される。
図35は、使用された化合物を列挙する。
【0180】
結果は、Nav1.2、Nav1.5、およびNav1.7チャネルに対する3つの非選択的Navチャネルブロッカ(アミトリプチリン、トリカイン、およびビクソトリジン)および3つのサブタイプ選択的Navチャネルブロッカ(JNJ63955918、PF-05089771、およびテトロドトキシン)に関するCRCを与える。異なる効能および作用機構の15個のツール化合物を使用するIC50値および状態依存性が、示される。状態依存性は、8mM K+における時点10値に対する4mM K+における時点1におけるNav1.7スパイキングHEKアッセイのIC50値の比率として定義される。まとめると、これらの結果は、本発明の方法およびプレートリーダが、Navチャネルにおいて刺激を遮断する際の有効性に関して、既存ならびに未知の化合物を査定するために有用であることを実証している。
【0181】
(実施例5)
実施例5:選択性/効能アッセイ
散布プロットが、ツール化合物および試験化合物の効能および選択性を示すために、ツール化合物および識別されたヒット化合物に関して作製された。散布プロットは、ツール化合物および識別されたヒット化合物の効能、選択性、および状態依存性を示す。
【0182】
図36は、選択性を示すための散布プロットである。Nav1.7抑制剤毎に、Nav1.7 IC50値に対するNav1.2 IC50値の比率として定義される、Nav1.2に対するそのサブタイプ選択性が、そのNav1.7 IC50値に対してプロットされた。
【0183】
図37では、Nav1.7抑制剤毎に、Nav1.7 IC50値に対するNav1.5 IC50値の比率として定義される、Nav1.5に対するそのサブタイプ選択性が、そのNav1.7 IC50値に対してプロットされた。
【0184】
図38は、散布プロットである。Nav1.7抑制剤毎に、状態依存性のその逆数が、Nav1.7に対するその効能に対してプロットされた。全ての3つのパネルでは、所望の性質(効能、サブタイプ選択性、およびより低い状態依存性)を伴う化合物が、左上象限内に分布している。結果は、本発明のプレートリーダが、効能および/または種々の標的との選択的相互作用に関して化合物をスクリーニングするために有用な多重化された高処理能力結果を提供することを示す。結果は、ヒット化合物、すなわち、効果的な新しい薬物として有望な化合物を発見するために有用である。
【0185】
(実施例6)
実施例6:IPSC由来心筋細胞検証アッセイ
本発明の24対物レンズプレートリーダが、jRGECO1aカルシウムセンサ、CheRiffアクチュエータを発現し、BeRST1蛍光電圧感受性染料を装填されたIPSC由来心筋細胞を含有する96-ウェルプレートをアッセイするために使用された。
【0186】
図39は、Swarm器具上での同時電圧およびカルシウム撮像の結果を示す。「刺激」と標識化された線は、プレートリーダによって96-ウェルプレートの複数のウェルに伝送された刺激光のパルスを示し、これは、CheRiffの作動を引き起こした。これは、細胞における電圧およびカルシウムイオン濃度の結果として生じる変化につながった。電圧の結果として生じる変化は、BeRST1によって報告され、これは、プレートリーダから伝送された赤色光によって活発化された。カルシウムイオン濃度は、jRGECO1によって報告され、これは、黄色光によって活発化された。したがって、プレートリーダは、3つの別個の波長の光を用いて、マルチウェルプレートの複数のウェル内のアクチュエータおよび2つのレポータを正確に刺激することが可能であった。また、プレートリーダは、2つの別個の放出波長の光のレベルを同時に検出することが可能であった。
【0187】
図40は、カルシウムチャネルブロッカであるニフェジピン等のツール薬理学を用いたアッセイの検証を示す。
図40の電圧およびカルシウム蛍光波形は、10回試験パルス青色刺激プロトコルの平均エポックを示す。
【0188】
図41は、各濃度の3つのウェルからの電圧ピーク振幅および積分されたカルシウムエリアの定量化を示す。ニフェジピンの濃度を増加させることは、これが0.3μMにおいて完全に消滅されるまで、電圧活動電位波形およびカルシウム過渡信号の両方を改変した。
【0189】
前述で説明されるように、マルチウェルプレートリーダの別の実施形態は、複数の独立した光学チャネルを含み、各光学チャネルは、マルチウェルプレートのウェルのセットに、複数の異なる波長において光を伝送し、それから複数の異なる波長において光を検出することが可能である。各光学チャネルはさらに、複数のウェルに伝送されるべき1つまたはそれを上回る光のビームを成形するための一意のビーム成形光学系を含む。
【0190】
図42は、本発明のプレートリーダの例示的光学チャネルの一部を示す。示されるように、例示的光学チャネルは、マルチウェルプレートのウェルのセットに伝送されるべき光ビームを放出するための少なくとも3つの異なる光源を備える。第1の光源は、光開口型イオンチャネル(例えば、CheRiff)等の光感受性アクチュエータタンパク質を刺激することが可能な第1の波長における光を伝送してもよく、刺激光の波長は、例えば、450~495nmであり得る。刺激光は、約22mW/cm
2の強度を有してもよい。そのような光源は、(青色LEDの形態において)青色であってもよい。別の光源が、QuasAr2またはQuasAr3等の微生物ロドプシンを励起することが可能な波長における光を伝送してもよい。励起光の波長は、例えば、580~650nmであってもよい。励起光は、QuasArに関して、0.01W/cm
2~400W/cm
2、好ましくは、約100W/cm
2の強度を有してもよい。
【0191】
例えば、そのような光源は、高出力密度で大きいエリアを照明し、蛍光染料(1W/cm2)およびQuasAr(またはより明るいQuasAr変形)等の多くの遺伝子的にエンコードされたセンサを用いた撮像を可能にするために、約638nmの波長における赤色光を放出するための赤色ダイオードレーザであってもよい。最後に、別の光源が、光感受性カルシウム指示タンパク質等の光感受性レポータタンパク質を励起することが可能な波長(すなわち、約580nm)を伴う刺激光を提供してもよい。そのような光源は、黄色ダイオードレーザであってもよい。
【0192】
例証されるように、光学チャネルは、少なくとも赤色および黄色の光のビームを、リフレクタアレイを介してウェルのセットの別個の個別のウェルの中心に向かって指向される複数の均一な光のビームレットに成形するための一意のビーム成形光学系を含む。特に、ビーム成形光学系は、空間内の赤色および黄色の光のビームを接合し、接合された光のビームを空間的に均質化するための少なくとも1つのホモジナイザを通して接合されたビームを通過させるためのダイクロイックミラーを含む。好ましくは、ホモジナイザは、接合されたビームを略均一かつ長方形の照明の領域に形成する。レーザビーム均質化の異なる方法が、一意のビームプロファイルを生成するために使用されてもよい。均質化は、レンズアレイ光学系または光パイプロッドを使用してもよい。
【0193】
均質化の第1の方法は、並んでスタックされ、アレイを形成し、次いで、レーザビーム経路内に設置される、別個のレンズ要素から成る、レンズアレイ構成の使用である。均質化は、各レンズ要素を用いて最初の波面を別個のビームに分割し、次いで、集束レンズを用いてそれらの新しいビームを標的エリア上に集束させることによって生成される。別個のビームは、集束レンズを用いて集束された照明平面上に重畳される。好ましくは、照明エリアの形状は、レンズ要素開口のものと同一である。ぼやけたエッジを回避するために、第2のレンズアレイが、使用されることができる。1つのレンズアレイは、1つのアレイの焦点が、次のものの瞳面と一致し、第2のアレイの焦点が、最初のものの瞳面と一致するように、別のものに共役される。本設定は、エッジ鮮明度を改良するが、アレイは、これが適切に機能するために、相互と非常に正確に整合される必要がある。ホモジナイザ125は、1つまたは任意の数のマイクロレンズアレイを含むことができる。マイクロレンズアレイを通して光を通過させることは、光の屈折力プロファイルを「シルクハット」形状にすることができる。ビームホモジナイザは、レーザビームプロファイルにおける不規則性を平滑化し、より均一なプロファイルを生成する。好適なビームホモジナイザは、正方形のファセットを伴う多面的ミラーを使用してもよい。ミラーは、異なる角度において光を反射させ、全ビームプロファイルを横断して均一な屈折力を伴うビーム(「シルクハット」プロファイル)を生成する。ホモジナイザは、回折ビームホモジナイザまたはMLA(マイクロレンズアレイ)を含んでもよい。Voelkel(2008年)の「Laser beam homogenizing: limitations and constraints, Proc SPIE 7102, Optical Fabrication, Testing, and Metrology III」71020J(参照することによって組み込まれる)を参照されたい。
【0194】
均質化のための第2の方法は、ロッドレンズの使用である。本レイアウトでは、初期ビームからの複数の反射が、ロッド(または光パイプ)の内側で混合される。光パイプ(均質化ロッド)の長さは、レーザビーム断面サイズの数倍を超えるべきではなく、これは、縦方向システムサイズを決定付ける。入力ビームが集束レンズを用いて光パイプの中に集束され得ることは、断面サイズおよび縦方向サイズを低減させるための選択肢である。TIR反射を提供する光パイプは、反射損失を低減させる一方、TIR角は、入力ビームの開口数(NA)を限定する。
【0195】
ホモジナイザを通して通過した後、光は、均質化された光ビームを、リフレクタアレイに向かって集束される均一な光のビームレットのセットに分割するように構成される、マイクロレンズアレイを通して通過する。リフレクタアレイは、パターン化された金属コーティングを使用し、集束された均一なビームレットを別個の個別のウェル内に提供されるサンプルに反射させるように設計される、新規のカスタムリフレクタガラスから成る。特に、リフレクタアレイは、ウェルの壁を照明することなく、ウェルのセットの別個の個別のウェルの中心の中に均一な光のビームレットのそれぞれを指向し、それによって、そうでなければ高出力赤色ダイオードレーザに部分的に起因して生じ得る自己蛍光を回避するために、金属リフレクタのアレイから成る。金属リフレクタは、所与のサンプルからガラスを通して戻るように放出される蛍光信号の大部分を伝送するために十分に小さい。リフレクタガラス基質は、光学収差の最小化を可能にする、超平坦光学系から成ってもよい。
【0196】
さらに、ビーム成形光学系を介して分配される均一な光のビームレットの数は、単一のウェルにのみ指向されることと対照的に、ウェルのセットにわたる具体的エリアを網羅する。言い換えると、各光学チャネルは、具体的波長の複数の光のビームレットを所与のエリアにわたる複数の別個の個別のウェルの中に伝送し、引き換えに、別個の個別のウェルのそれぞれからの放出を検出するように構成される。均一なビームレットの数、したがって、そのようなビームレットを受光することが可能な関連付けられるウェルの数は、使用されている所与のマルチウェルプレートのウェルの全体的数に正比例し、概して、24倍である。
【0197】
例えば、プレートリーダは、96-、384-、または1,536-ウェルプレート等の少なくとも3つのタイプのマルチウェルプレートとともに動作可能であってもよい。結果として、リフレクタアレイは、約4つの均一な光のビームレットを96-ウェルプレートの4つのウェルのセットの中に指向し、約16個の均一な光のビームレットを384-ウェルプレートの16個のウェルのセットの中に指向し、64個の均一な光のビームレットを1,536-ウェルプレートの64個のウェルのセットの中に指向するように動作可能である。したがって、プレートフォーマットにかかわらず、約24個のカメラ視野(FOV)が、全プレートを記録するために必要とされ、これは、依然として、従来の技法と比較して、改良された全体的処理能力をもたらす。
【0198】
故に、ビームホモジナイザは、不規則な形状でマイクロレンズアレイに衝突する代わりに、光が、パターンにわたって均質な屈折力レベルを伴う略長方形パターンにおいてマイクロレンズアレイに入射するように、光源からの光を成形する。結果として、各ウェル内のサンプル全体は、そうでなければ自己蛍光を引き起こし得る、各ウェルの壁を不注意に照明することを回避しながら、強力かつ均一な照明を受光する。したがって、ウェルの底部におけるサンプルは、画像センサ(すなわち、sCMOS画像センサ)を介して撮像するための良好な屈折力を伴って均一に照明される。故に、プレートリーダは、マルチウェルプレートの複数のウェル内の生細胞を正常に撮像し、例えば、生神経細胞内で伝搬する活動電位を示すために有用な電気活性の動画を記録することができる。
【0199】
画像センサは、Hamamatsu Photonics K.K.(Shizuoka, JP)によって部品番号C15440-20UPで販売されるORCA-Fusion BTデジタルCMOSカメラまたはHamamatsu Photonics K.K.によって部品番号C14120-20Pで販売されるORCA-LightningデジタルCMOSカメラ等のデジタルカメラユニットとして提供されてもよい。センサのために使用するべき別の好適なカメラは、Teledyne Photometries(Tucson, AZ)によって商標KINETIXとして販売される裏面照明型sCMOSカメラである。
【0200】
光学チャネルはさらに、好適な管レンズ等の撮像レンズを含む。レンズは、ZEISS Milvus 85mmレンズ等の85mm管レンズであってもよい。そのような撮像ハードウェアを用いることで、顕微鏡は、例えば、96-ウェルプレートにおける5.5mmの直径および384-ウェルプレートの全3.45mmのウェル幅を伴うエリアを撮像することができる。
【0201】
光学チャネルはさらに、青色光ビーム(青色LED光源から)を反射させ、それによって、DMDによって定義されたパターンを用いてウェルのセットのウェルの底部を照明するために、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)を含んでもよい。DMDは、例えば、個々のシナプス接続または接続された神経細胞上のわずかに遅延されたパルスを測定し、スパイクタイミング依存性の適応性を精査するための高速単一細胞刺激のための完全に同期された100μ秒パターンリフレッシュを提供する、Vialux V-9601 DMDを含んでもよい。
【0202】
制御ソフトウェアが、新しいハードウェア(カメラおよびDMD)を取り扱い、マルチウェルプレートを走査するときの不感時間を最小限にするために含まれてもよい。新しいDMDは、カメラフレームに同期されるデジタルトリガを用いて更新され得る、表示パターンを有する。新しいソフトウェアはまた、他の顕微鏡タスクの実行の間のピペット操作ロボット(先端を持ち上げる、薬物を装填する、プレートに移動する)の制御のためのマルチスレッドを可能にし、したがって、顕微鏡は、高速ビデオを殆ど連続的に記録することができる。容易なマルチスレッドを可能にするために、制御ソフトウェアは、C#または類似物において構築されてもよい。さらに、複数のウェルは、並行して撮像されるであろうため、付加的ソフトウェアアップグレードが、現在撮像されているウェルおよび関連付けられる実験メタデータを追跡するために必要とされるであろう。これは、ソフトウェアにおいて異なるプレートタイプのそれぞれの上の撮像エリアおよび位置の空間情報を追跡することを要求するであろう。追跡されたエリアは、次いで、現在撮像されているウェルを見出し、それらのウェルに関する関連実験情報を作成された動画に添付するために使用されるであろう。マッピング情報が、分析に応じて本メタデータを動画の適切な物理的部分と戻るように関連付けることを可能にするために生産されるであろう。
【0203】
sCMOSカメラからの6GB/FOVデータレートは、リアルタイムデータ保存のための専用サーバを要求する。本高データレートに対処するために、本システムは、提案されたアッセイモダリティのそれぞれにおいて存在する統一された信号を利用し、各ウェルからの情報を単一の信号に低減させるであろう。これは、動画内の個々のウェルを検出するための画像セグメント化を要求し、動画の各フレーム内のそれらのウェルのそれぞれにおけるピクセルの平均化が続き、各ウェルを単一の時間的トレースに低減させるであろう。これは、さらなるデータ分析のために、6GB動画ファイルをMBデータサイズに低減させるであろう。
【0204】
前述で記述されるように、プレートリーダは、撮像の間に高出力光源およびsCMOS画像センサ(例えば、sCMOSカメラ)によって発生される熱に適応するために、細胞プレート、撮像封入体、および全体的システムコンソール/キャビネット上に温度監視および環境制御装置を完全に装備してもよい。記述されるように、光遺伝学的アッセイ内の細胞は、周囲および撮像環境に特に敏感であり得る。温度監視および環境制御システムは、リーダ上に位置付けられるマルチウェルプレート内のサンプルと関連付けられる環境条件を制御するように動作可能であってもよい。環境制御システムは、例えば、サンプル領域の湿度、温度、CO2、および他の因子を制御することができる。環境制御システムは、細胞サンプルがマルチウェルプレートのウェル内に含有される水性培地における条件が、細胞を生存させ、機能的にさせ続けるために維持されることを保証することができる。これは、特に、刺激に応答する細胞の活性を査定する光遺伝学的アッセイにおいて重要である。
【0205】
故に、一意のビーム成形光学系およびsCMOS画像センサの包含は、増加された処理能力、増加された器具の堅牢性および安定性、ウェル間の信号強度および均一性の向上、光学クロストークの低減、および大幅に改良された空間分解能を可能にする。結果として、本発明のプレートリーダは、標的ベースのスクリーニングおよび一次神経細胞培養のためのNavチャネルベースのHEK細胞を含む、神経学的障害ベースの創薬のために特に有用である、広い範囲の興奮性の細胞タイプに対して最適化されたアッセイの広範な一式を実施しながら、敏感な光学検出および刺激を可能にする。
【0206】
(付加的実施例)
(実施例7)
実施例7:異種および疾患関連細胞タイプにおける光遺伝学的アッセイ
Optopatchベースのアッセイが、
図42のマルチウェルプレートリーダ設計と併用されるように、2つの細胞タイプにおいて開発されるであろう。アッセイは、NavチャネルベースのスパイキングHEK細胞および神経細胞を含むであろう。これらの細胞タイプは、疼痛または癲癇に焦点を当てた創薬プログラムのための小分子スクリーニング活動において不可欠であろう様々な細胞タイプを表すように選定される。NavチャネルベースのスパイキングHEK細胞は、標的ベースの一次スクリーニングのために使用されることができる。神経細胞アッセイは、疾患関連の天然の細胞タイプにおけるNavチャネル抑制剤の有効性を評価するための重要な二次アッセイである。
【0207】
(実施例7.1)
実施例7.1:NavチャネルスパイキングHEKアッセイ開発
光遺伝学的アクチュエータ(CheRiff)およびセンサ(QuasAr)を共発現する、多様なスペクトル((Nav1.1、Nav1.2、Nav1.6、Nav1.8)を網羅する異なるNavスパイキングHEK細胞が、発生されるであろう。アッセイにおける信号対雑音を増加させるために、電圧感受性染料(BeRST)が、最初に試験されるであろう。
図43Aは、本開示と一貫する、光遺伝学的アッセイを受けるスパイキングHEK細胞の例示的成分を示す。より具体的には、
図43Aは、アクチュエータ(CheRiff-GFP)、センサ(BeRST)、静止膜電位を設定するための内向き整流器(Kir2.1)、および標的(Nav1.8)を含む、スパイキングHEKアッセイにおける異なる成分を図示する、略図である。高処理能力Nav1.5およびNav1.7アッセイが、すでに展開されている。本計画に関して、本チャネルは、器具実証のための主要な基礎としての役割を果たすであろうため、検証される疼痛療法標的である、Nav1.8に強く焦点が当てられるであろう。予備結果は、Nav1.8チャネル特有信号が、過渡的に電気穿孔されたNav1.8発現を伴う384-ウェルプレート内のスパイキングHEK細胞における全ウェル平均分析を介して検出され得ることを示唆する。
【0208】
図43Bは、本開示と一貫する、光遺伝学的アッセイを受けるHEK細胞の試験パルスの代表的トレースを示す。再分極の傾き(
図43Bの矢印)は、スパイキングHEKアッセイにおけるNav1.8機能性を評価するためのメトリックとして使用される。6回試験パルス(TP)刺激プロトコルを使用して、Nav1.8選択的ブロッカが、単一の走査における異なる機構と区別されることができる。例えば、
図43Bは、PF-0124732423が長いパルス(TP5)後により効果的である一方、VX-150(NCT02660424、NCT03304522)が最初の試験パルス(TP1)においてより効果的であることを示す。初期再分極の間の傾き(例えば、青色矢印または青緑色矢印)は、異なるTP下の化合物効果を定量化するために使用された。急な傾きは、より多くのNav1.8遮断を示す。
【0209】
また、異なる選択性プロファイルを伴う異なるNavチャネルブロッカは全て、Nav1.8およびNav1.7スパイキングHEKアッセイにおける用量応答研究において予期される薬理学をもたらす(
図43C参照)。しかしながら、Nav1.8スパイキングHEKアッセイからの最初に有望な結果にもかかわらず、信号窓の大きさは、中程度にすぎず、さらなるアッセイ最適化が、HTS活動を支援するために必要とされる。これらの課題は、部分的に、Nav1.8が、Navスーパーファミリーの中で最も脱分極したコンダクタンス-電圧曲線を有し、現在の光遺伝学的アクチュエータCheRiffが、0mV24に近接する逆転電位を伴って、Nav1.8チャネルを完全に活性化するための適正な膜脱分極を生産することができないという事実からもたらされる。本問題を解決するために、0mVを上回って膜電位を脱分極させ得るチャネルロドプシン25の新しい変形が、探索され、これは、潜在的に、スパイキングHEKアッセイにおけるNav1.8依存性信号を増強し得る。さらに、赤色ダイオードレーザ強度と適合可能である改良された明るさを伴う新しく開発されたQuasAr変形が、試験され、これは、染料装填ステップを排除することによって、アッセイ処理能力をさらに改良することができる。Nav1.8に加えて、カウンタスクリーンアッセイとしての多くの他のNavサブタイプに関するOptopatchアッセイが、開発されるであろう。サブタイプ選択的ブロッカを含む、Navチャネルブロッカのパネルが、新しく開発されたアッセイを検証するために試験されるであろう。
【0210】
図43Cおよび43Dは、本開示と一貫する、光遺伝学的アッセイを受けるHEK細胞の用量応答曲線を示す。より具体的には、
図43Cは、Nav1.8スパイキングHEKアッセイにおけるTP5およびTP1におけるTTX、PF-01247324、VX-150の用量応答曲線を図示する。TTXは、TP1およびTP5を等しく遮断する。状態依存性ブロッカであるPF-01247324は、TP5を優先的に遮断する一方、VX-150は、TP1を優先的に遮断する。
図43Dは、異なるNavサブタイプチャネル(Nav1.7およびNav1.8)に対するTTX、PF-01247324、VX-150の用量応答曲線を図示する。化合物毎のIC50値が、各プロットに示される。TTXは、文献報告と一貫する、Nav1.7に関する1,000倍を上回る選択性を実証する。PF-01247324は、0.13μMのIC50値を伴ってNav1.8を遮断し、Nav1.7に対して40倍の選択性を示す。VX-150は、27nMのIC50を伴ってNav1.8を遮断し、最大30μMまでNav1.7に対していかなる効果も伴わない。
【0211】
(実施例7.2)
実施例7.2:DRG神経細胞カルシウムアッセイ開発
チャネルロドプシン刺激ベースの全細胞およびシナプス前カルシウムアッセイが、
図42のマルチウェルプレートリーダに類似する空間分解能を有する器具上でラットDRG神経細胞に関して開発されるであろう。
図44Aおよび44Bは、海馬神経細胞におけるシナプス前および全細胞カルシウムアッセイ機能データを示す。より具体的には、
図44Aおよび44Bは、CheRiff刺激が、96-ウェルプレート内のラット海馬神経細胞において同期された全細胞およびシナプス前カルシウム信号を誘起し得、カルシウム応答振幅が、薬理学的変調に敏感であることを実証する。同様の方略が、青色光を使用し、CheRiffを刺激し、スペクトル的に直交する赤色の遺伝子的にエンコードされたカルシウムセンサjRGECO1aから放出される蛍光を記録することによって、(生物学的変数としての性別に対処するためにオスおよびメス両方のラットを使用して)ラットDRG神経細胞における光遺伝学ベースのカルシウムアッセイを開発するために適用されるであろう。遺伝子的にエンコードされたカルシウムセンサjRGECO1aは、シナプス前トラフィッキングモチーフと融合され、次いで、DRG神経細胞における引き起こされたシナプス前カルシウム信号は、記録され、信号の識別は、シナプス前カルシウムチャネルブロッカを使用して検証されるであろう。薬理学的検証が、リドカイン、TTX、ω-アガトキシンIVA、およびω-コノトキシンGIVA等の既知の活性を伴う10個の化合物のパネルを使用して実施されるであろう。DRG神経細胞アッセイは、疼痛関連標的に関する不可欠な二次アッセイを表す。
【0212】
図44Aを参照すると、蛍光Syp-jRGECO1a信号が、全記録領域を横断して蛍光の平坦な平均をとることによって計算される。カルシウム過渡信号が、光遺伝学的刺激(5ミリ秒、125mW/cm
2の青色光パルス)に応答して、ラット海馬神経細胞において検出された。刺激された領域からの活動電位は、記録領域の中に伝搬し、シナプス前末端へのカルシウム流入を誘発する。カルシウムは、主にCav2.1および2.2である、電圧開口型カルシウムチャネルを通して細胞に進入し、これは、毒素ATX(0.5μMのω-アガトキシンIVA)およびCTX(1μMのω-コノトキシンGIVA)によって選択的に遮断される。
【0213】
図44Bを参照すると、記録は、シナプス前標的化jRGECO1aおよび細胞基質(非標的化)jRGECO1aの両方を使用して行われた。
図44Aに示されるような記録は、毒素添加の前(事前)および後(事後)に行われ、総カルシウム流入の測度として積分された。事後信号は、ウェル間変動性の効果を最小限にするために、事前信号に対して正規化され、その比率は、媒質条件に対して正規化された。
【0214】
(実施例8)
実施例8:HTS適合性に関するNav1.8および二次多重化スパイキングHEKアッセイの最適化
異種Navチャネルアッセイを確立することに応じて、Nav1.8スパイキングHEKアッセイは、一次小分子HTSに備えるために適合および検証されるであろう。そのために、Nav1.8アッセイは、増加された処理能力およびHTSワークフローに統合された液体取扱手順の改良のために最適化されなければならない。本最適化は、本明細書に説明されるマルチウェルプレートリーダの処理能力の潜在性を完全に活用するために重要であり、マルチウェルプレートの準備を検証し、一次スクリーニング活動に備えるために不可欠である。一次Nav1.8スクリーンに続く二次アッセイのために使用されるであろうそれらのアッセイを含む、オンプレート多重化Navチャネルサブタイプアッセイが、検証されるであろう。
【0215】
(実施例8.1)
実施例8.1:HTSに関するNav1.8組織培養および液体取扱手順の合理化
384-ウェルフォーマットにおける高処理能力Nav1.7スパイキングHEKアッセイのための確立されたプロトコルは、5日組織培養手順を使用する。本プロトコルは、15cmの皿における細胞の初期プレーティングを含み、48時間の細胞増殖周期、Kir2.1レンチウイルスを用いたウイルス形質導入が続き、別の24時間のインキュベートが続く。第4日目に、細胞は、次いで、培養密度において384-ウェルプレートの中に再プレーティングされる。化合物処理およびスクリーニングが、第522日目に実施される。本プロトコルは、一貫した高品質のHTS結果を生産しているが、週あたり複数日のスクリーニングは、細胞培養プロセスの異なる段階における細胞ロットの慎重な調整を要求する。加えて、ロジスティクスおよび容量の制約に起因して、本プロトコルは、スクリーニングを週あたり3日に限定する。より合理化されたアプローチを確立するために、撮像に24または48時間先立って384-ウェルプレートの中に直接プレーティングされ得る、アッセイの準備ができた細胞が、調製されるであろう。
【0216】
予備実験は、Nav1.7スパイキングHEK細胞が、増殖され、Kir2.1を形質導入され、将来のアッセイのために収集および凍結され得ることを示唆する。細胞は、液体窒素保管庫から直接取り出され、384-ウェルプレートの中にプレーティングされ、24時間または48時間のインキュベート後に撮像されることができる。Nav1.8 HTS活動(実施例9において提案される)および将来の商業的機会のために、マルチウェルプレート上での週あたり4日のスクリーニングが可能であろうことが、要求されるであろう。本頻度を達成するために、実施例7において開発されたNav1.8スパイキングHEK細胞に関する48時間組織培養手順が、最適化されるであろう。実施例9において使用されるべきこれらのアッセイの準備ができた細胞の生産は、スケールアップされるであろう。各384-ウェルプレートが、1,152万個(3,000/ウェル)のアッセイの準備ができた細胞を要求すると推定される。
【0217】
384-ウェルプレートフォーマット(570個のプレート)において20万個の小分子ライブラリをスクリーニングするために、約70億個のアッセイの準備ができた細胞が、凍結保存される必要がある。細胞増殖に適応し、Kir2.1発現を促進するために、電気穿孔を使用するレンチウイルス形質導入および遺伝子導入が、大規模に試験されるであろう。現在の細胞増殖プロトコルは、NuncTM EasyFillTM Cell FactoryTMシステム(Thermofisher Scientific)等の大表エリア組織培養システムに適合されるであろう。レンチウイルス形質導入および電気穿孔を介したKir2.1の導入を比較するために、2層システムが、使用されるであろう。いったん本システムが検証され、Kir2.1の最も効率的な導入が識別されると、一次スクリーンのための細胞の生産が、6,320cm2の細胞培養表エリアを有する10層システムを用いて実施されることができる。これらの容器を使用して、本発明者らは、単一の標準的な175cm2のフラスコにおいて約36倍の数の細胞を培養することができる。Kir2.1プラスミド電気穿孔および大量(約80mL)の高力価Kir2.1レンチウイルス(>108 CFU/mL)の発生のための方法は、Q状態において前もって確立されている。いったん最終的な細胞方法が判定されると、10×10層のEasyFillシステムが、Nav1.8細胞を播種され、培養物は、増殖され、形質導入または電気穿孔され、等分され、凍結されるであろう。
【0218】
一次Nav1.8スクリーンのための細胞培養手順を合理化することに加えて、1日あたりの日単位プレート処理能力を増加させるために、より効率的な液体取扱手順が、開発されるであろう。商業的に入手可能な自動化遠心分離プレート洗浄機((Blue Washer, Bluecat bio)27を用いた予備試験は、BeRST染料装填に続けていかなる細胞損失ももたらさず、緩衝液交換プロトコルを約6.5分/プレートから1分/プレート未満に低減させた。化合物添加が、次いで、前もって確立された方法を使用して、緩衝液交換の直後に実施される。日単位処理能力の有意な改良(60プレート/日×4日/週)を達成するために、本発明者らの液体取扱手順および組織培養手順の両方における既知の障害が、アッセイ品質を損なうことなく対処されることができる。液体取扱の改良を探索すること以外に、実施例7において識別された任意の新しいQuasAr変形が、試験されるであろう。潜在的により明るい電圧センサと組み合わせた増加された赤色レーザ強度は、染料添加ステップを完全に排除し得る。可能である場合、これは、染料添加、インキュベート、および除去ステップが全て回避され得るため、アッセイ処理能力の潜在性をさらに増加させるであろう。
【0219】
例えば、Voltronと呼ばれるeFRET電圧センサは、本明細書に開示されるような光学電気生理学アッセイのためにわずか1W/cm2の照明を要求し得る。これは、例えば、優れた均質性を並行して提供しながら、レーザ照明の代わりにLED照明を使用することが可能である、簡略化された光学システムの使用を可能にし得る。
【0220】
図46は、多様なアッセイ条件下のVoltronのために必要な低照明入力を示す。
【0221】
(実施例8.2)
実施例8.2:スパイキングHEK Nav1.8アッセイ最適化およびNavチャネルのためのスクリーニングパネル
実施例8.1において調製されたNav1.8細胞の凍結アリコートが、前述で実施例7に説明される検証方法論を使用して、本開示の種々のマルチウェルプレートリーダ上でのアッセイ性能に関して最適化および検証されるであろう。TTX、テトラカイン、PF-01247324、およびVX-150等のツール化合物が、既知のNav1.8抑制剤の効能を査定するために使用されるであろう。
図42のマルチウェルプレートリーダに関する定義されたメトリックに基づいて計算されたIC50値は、文献において報告される値の±3倍以内であり、5日および48時間組織培養プロトコルの両方を使用する細胞から、前述で説明されるマルチウェルプレートリーダを使用して観察されるべきである。Nav1.8 HTSプロトコルのアッセイ検証は、384および1,536-ウェルプレートフォーマットの両方において実施されるであろう。現在の液体取扱システムおよび小分子ライブラリは、主として、384-ウェルプレートにおいて管理される。
【0222】
Navサブタイプ選択性を査定するために、ナトリウムチャネルNav1.2、1.5、および1.7特有アッセイが、更新された液体取扱手順およびNav1.Xツール化合物薬理学との適合性に関して検証されるであろう。より少ない処理能力が、二次アッセイのために要求されるため、実施例7において検証された5日組織培養手順が、全てのNavチャネルサブタイプのために使用されるであろう。本発明者らの一次スクリーンにおいて識別されたヒット化合物のサブタイプ選択性分析を合理化するために、Navチャネルサブタイプパネルは、オンプレート多重フォーマットにおいて適合されるであろう。
【0223】
図28A-28Cに示されるように、オンプレート多重化は、384-ウェルプレートの4つのウェル象限の中にプレーティングされた4つの異なるNavチャネルサブタイプを活用するであろう。最適な静止膜電位は、ナトリウムチャネルサブタイプ毎に特有であるため、実施例7において判定されたアッセイ緩衝液のカリウム濃度は、本発明者らの多重フォーマットにおいて維持されるであろう。深いウェルのマイクロプレートが、4つの異なるアッセイ緩衝液が、自動化液体取扱で単一のプレートに添加され得ることを確実にするために使用されるであろう。本明細書に説明され、
図42のマルチウェルプレートリーダに関して開発された、多用途性、カメラベースの撮像、パターン化された光遺伝学的刺激、およびソフトウェアベースの分析を活用して、全てが同一の化合物を用いて処理される異なるウェル内の4つのNavチャネルサブタイプからの同時記録が、存在するであろう(
図28Bおよび28C)。細胞は、384-ウェルプレートの96個のウェルの中に細胞を同時に分注することが可能である、96-ウェルViaflo電子ピペット(Integra Biosciences)を使用してプレーティングされるであろう。Nav1.8アッセイに関する検証と同様に、既知のツール化合物薬理学が、アッセイ性能を確認するために使用されるであろう(
図27Aおよび27B)。
【0224】
図28A-28Cは、本発明のプレートリーダによって実行されるべき384-ウェル多重プレートレイアウトおよび撮像パターンを示す。
図45Aは、個々のウェル内にプレーティングされた4つの異なるナトリウムチャネルサブタイプを伴う代表的象限を図示する。
図45Bは、赤色レーザ照明が、着目領域(ROI)全体を横断して均質性を伴って、384-ウェルプレート内の16個のウェルからの同時記録を可能にすることを示す。記録エリアは、プレートタイプから独立し、1,536-ウェルフォーマットでは、64個のウェルが、並行して撮像されるであろう。
図45Cは、撮像のための代表的水平蛇状または蛇行パターンである。列1-4から始まり、16個のウェル象限が、行A-Dを横断して読み取られ、右端のROIから始まる列E-Hにおける逆のパターンが続くであろう。本パターンは、プレート全体が約4分で撮像されるまで継続するであろう。
【0225】
(実施例8.3)
実施例8.3:検証されたNav1.8アッセイの高処理能力性能
アッセイ処理能力を査定し、堅牢性および厳密さを確認するために、内部小分子ライブラリの繰り返しのパイロットスクリーンが、行われるであろう。本集合は、商業的に入手可能な参照ライブラリ(Enzo life sciences、Prestwick Target Mol、およびApex Bio)からの3,140個のFDA承認化合物から成る。Nav1.8ツール化合物は、スクリーニングプレート上に含まれ、それらの識別および位置は、データ分析14のための確立された方法を使用して既知の抑制剤の識別を介してアッセイの堅牢性を評価するために、分析の間に盲検化されるであろう。目標は、3.5時間でZ’≧0.5および≦5%の変動係数を伴う≧20個の384-ウェルプレートのスクリーニングを実証することである。
【0226】
(実施例9)
実施例9:高処理能力スクリーニングおよびヒット化合物選択
図42のマルチウェルプレートリーダと関連付けられるシステムおよび方法の増加された安定性、処理能力、および堅牢性の実証として、スクリーニング活動が、Nav1.8の抑制剤に関する商業的に入手可能な源から集められた約200,000個の小分子の組織内ライブラリを使用して実施されるであろう。化合物の本集合は、3つの主要な基準、すなわち、CNS薬物様性質、好都合な薬理学的プロファイル、および構造的多様性を使用して選択された。ライブラリの前半は、ヒット化合物がスクリーニング活動につながるために理想的である高い構造的多様性に焦点が当てられている。ライブラリの後半は、顕著な特徴のCNS薬物様特性を有する化学構造から成る。加えて、フィルタが、下流の医薬化学の取り組みを促進するために、凝集体および反応基等の化学的不利益を除外するために使用された。
【0227】
(実施例9.1)
実施例9.1:新規の小分子抑制剤を識別するためのNav1.8 HTS活動
Nav1.8が、陽性(テトラカイン)および陰性(DMSO)対照群のために確保される2つの列(32個のウェル)を伴う3μMにおける384-ウェルフォーマット(n=1)においてスクリーニングされるであろう。プレート毎の走査時間は、約4分であり、これは、1日あたり60個のプレートのスクリーニングを可能にし、一次スクリーン全体を約10日で完了させるであろう。各日のスクリーニング後、アッセイ性能の分析が、実施されるであろう。0.5のZ-primeを超えることができないプレートは、繰り返しのためにフラグ付けされるであろう。
【0228】
一次スクリーンからの化合物は、各プレート上の媒質対照群に対して正規化された平均試験パルスピーク高値によってランク付けされるであろう。平均TP高分析は、二次ヒット化合物確認のための化合物を選択するために、Nav1.7に関する事前のナトリウムチャネルスクリーンにおいて正常に使用されている。Bスコア正規化が、ヒット化合物選択が、位置効果またはプレート間変動によって影響を受けていると考えられる場合、採用されるであろう。平均ピーク高の≧4~5SD低減のヒット化合物閾値が、ヒット化合物確認のための化合物を選択するために使用されるであろう。本閾値を下回ってピーク高を抑制する全ての化合物が、ヒット化合物確認のために選び出されるであろう。事前のNav1.7スクリーンは、化合物の約1.4%が、DMSO対照群ウェルの>5標準偏差を下回って平均TP値を抑制したことを示した。フォローアップヒット化合物確認が、3μMおよび1μMの小分子濃度において単一点において実施されるであろう。加えて、ヒット化合物リストは、Nav1.8が欠如する親細胞株に対して3μMにおいて試験されるであろう。CheRiff誘発脱分極を遮断するいかなる化合物も、本アッセイにおいて除去されるであろう。本アッセイは、CheRiff、Kir2.1を遮断する、電圧センサを修飾する、またはナトリウムチャネル非依存性機構において細胞を脱分極させる標的化合物を検出し、除くことができる。Nav1.8非依存性効果を伴ういかなる化合物も、さらなる分析のために持ち越されないであろうが、本発明者らは、そのような化合物の数が少なくなることを予期している。
【0229】
(実施例9.2)
実施例9.2:ヒット化合物確認および二次ナトリウムチャネルサブタイプ選択性
一次HTSからのNav1.8に関する最大2,000個の確認されたヒット化合物は、5点濃度応答曲線(CRC)アッセイにおける評価に前進されるであろう。本データから、おおよそのIC50値が、計算され、500個の最も効能がある化合物が、実施例8において検証されたNav1.xチャネルパネル上でのさらなる評価のために選択されるであろう(
図28A-28C参照)。プレートあたり4つのNavサブタイプを伴うオンプレート多重アッセイを使用する
図42のマルチウェルプレートリーダの有用性を活用して、上位500個の化合物が、10点CRCフォーマットにおいて試験されるであろう。2つの384-ウェルプレートにおいて、8つの化合物が、4つのNav1.xチャネルサブタイプを横断して繰り返し評価されることができる。各プレートは、320個の化合物ウェルと、64個の対照群ウェルとを有するであろう。各プレート上に、Navサブタイプ毎の8つの陽性(Nav1.xツール化合物)および8つの陰性(DMSO)対照群ウェルが、存在するであろう。全ての500個の化合物が、3日間の撮像において評価されるであろう。Navサブタイプを横断する化合物毎のIC50値が、10点CRCデータから計算されるであろう。TP1-TP6の平均ピーク高の分析に加えて、各化合物は、遮断機構毎に化合物を分類するために、個々の試験パルス1、5、および6を使用して分析されるであろう。個々の化合物に関して、計算されたIC50値における有意な差異が、TP1とTP5またはTP6との間に観察される場合、これは、状態依存性または使用依存性遮断機構を示すであろう。代替として、TP特有IC50値における最小差異が、存在する場合、これは、状態非依存性機構を示唆するであろう。化合物は、機構毎に編成され、主として、好都合なNav1.8サブタイプ選択性プロファイルに基づいて、前進に関して優先されるであろう。目標は、疼痛療法薬としての小分子を識別することであるため、Nav1.8および1.7に関して効能があるが、Nav1.2および1.5においてあまり有効ではない化合物が、効能のランク順序にかかわらず、将来の研究のために選択されるであろう。状態非依存性機構を伴う化合物が、サブタイプ選択性が、強い状態依存性機構を実証する化合物と同程度に有意ではない場合であっても、優先されるであろう。最後に、有効性が、全細胞Ca2+アッセイを使用して、ラット一次DRG神経細胞において評価され、これは、次の化学の取り組みのための最も好都合なプロファイルを伴う化合物を識別することを支援するであろう。
【0230】
参照による組み込み
特許、特許出願、特許公開、雑誌、書籍、論文、ウェブコンテンツ等の他の文書の参照および引用が、本開示全体を通して行われている。全てのそのような文書は、あらゆる目的のために、本明細書に参照することによってその全体として本明細書に組み込まれる。
【0231】
均等物
本明細書に示され、説明されるものに加えて、本発明の種々の修正およびその多くのさらなる実施形態が、本明細書に引用される科学および特許文献の参照を含む、本書の全内容から、当業者に明白となるであろう。本明細書の主題は、その種々の実施形態およびその均等物における本発明の実践に適合され得る、重要な情報、例示、および指針を含有する。
【国際調査報告】