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特表2024-525494ポリマー複合物、およびその調製方法と使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-12
(54)【発明の名称】ポリマー複合物、およびその調製方法と使用
(51)【国際特許分類】
   C08L 101/00 20060101AFI20240705BHJP
   C08J 3/20 20060101ALI20240705BHJP
   B29C 64/314 20170101ALI20240705BHJP
   B33Y 70/00 20200101ALI20240705BHJP
   C08K 3/013 20180101ALI20240705BHJP
   C08L 21/00 20060101ALI20240705BHJP
   C08L 23/00 20060101ALI20240705BHJP
   C08L 25/04 20060101ALI20240705BHJP
   C08L 33/10 20060101ALI20240705BHJP
   C08L 69/00 20060101ALI20240705BHJP
   C08L 77/00 20060101ALI20240705BHJP
   C08K 3/36 20060101ALI20240705BHJP
   C08K 3/22 20060101ALI20240705BHJP
   C08K 3/34 20060101ALI20240705BHJP
【FI】
C08L101/00
C08J3/20 Z CER
C08J3/20 CEZ
B29C64/314
B33Y70/00
C08K3/013
C08L21/00
C08L23/00
C08L25/04
C08L33/10
C08L69/00
C08L77/00
C08K3/36
C08K3/22
C08K3/34
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023580814
(86)(22)【出願日】2021-08-31
(85)【翻訳文提出日】2023-12-28
(86)【国際出願番号】 CN2021115611
(87)【国際公開番号】W WO2023028824
(87)【国際公開日】2023-03-09
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516296371
【氏名又は名称】万華化学集団股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】WANHUA CHEMICAL GROUP CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】NO.17, TIANSHAN ROAD, YEDA, YANTAI CITY,SHANDONG PROVINCE, CHINA.
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100108903
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 和広
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100208225
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 修二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100217179
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 智史
(72)【発明者】
【氏名】楊 杰
(72)【発明者】
【氏名】婁 冠軍
【テーマコード(参考)】
4F070
4F213
4J002
【Fターム(参考)】
4F070AA15
4F070AA44
4F070AA53
4F070AC23
4F070AD04
4F070AE09
4F070FA01
4F070FB07
4F070FB09
4F213AA03
4F213AA21
4F213AA28
4F213AA29
4F213AA45
4F213AB16
4F213AB17
4F213AR12
4F213AR15
4F213WA25
4F213WB01
4F213WL02
4F213WL23
4F213WL25
4F213WL96
4J002AA001
4J002AA011
4J002AA021
4J002AC001
4J002BB001
4J002BC021
4J002BG051
4J002CG001
4J002CL001
4J002DE077
4J002DE136
4J002DE137
4J002DE147
4J002DJ006
4J002DJ007
4J002DJ016
4J002DJ017
4J002DJ047
4J002EG037
4J002FD016
4J002FD017
4J002FD176
4J002FD177
4J002FD206
4J002FD207
4J002GB00
4J002GH01
4J002GT00
(57)【要約】
本発明は、ポリマー複合物、その調製方法および使用を開示する。前記ポリマー複合物は、重量部で100部のポリマー粉末、0.1~3部のナノ粒子Aおよび0.05~1.5部のナノ粒子Bを含み、ただし、ナノ粒子Aの粒径がナノ粒子Bよりも小さく、前記ナノ粒子Aとナノ粒子Bの質量比は(1~9):1である。本発明は、使用される小粒径および大粒径のナノ粒子が特定の比率で配合され、両者が協働し、ポリマー粉末の流動剤として、前記ポリマー複合物が、優れた流動性、透過性および高温安定性を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
重量部で、100部のポリマー粉末、0.1~3部のナノ粒子Aおよび0.05~1.5部のナノ粒子Bという成分を含むポリマー複合物であって、
ナノ粒子Aの粒径がナノ粒子Bよりも小さく、
前記ナノ粒子Aとナノ粒子Bの質量比が(1~9):1である、ポリマー複合物。
【請求項2】
前記ナノ粒子Aとナノ粒子Bの質量比が(1.5~4):1である、請求項1に記載のポリマー複合物。
【請求項3】
前記ナノ粒子Aの粒径が5~50nmである、請求項1または2に記載のポリマー複合物。
【請求項4】
前記ナノ粒子Bの粒径が50~600nmである、請求項1または2に記載のポリマー複合物。
【請求項5】
前記ポリマー粉末のメジアン径が5~500μmである、請求項1~4のいずれか一項に記載のポリマー複合物。
【請求項6】
前記ポリマー粉末は、熱可塑性ポリマー粉末および/または熱硬化性ポリマー粉末を含み、
好ましくは、前記ポリマー粉末は、熱可塑性ポリマー粉末を含み、
好ましくは、前記熱可塑性ポリマー粉末は、熱可塑性エラストマー、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリメタクリレート、ポリカーボネートまたはポリスチレンのうちのいずれか1種または少なくとも2種の組合せを含み、
好ましくは、前記ナノ粒子Aは、ナノシリカ、ナノ二酸化チタンまたはナノ炭化ケイ素のうちのいずれか1種または少なくとも2種の組合せを含み、
好ましくは、前記ナノ粒子Bは、ナノシリカ、ナノ二酸化チタン、ナノ炭化ケイ素、ナノ酸化アルミニウム、タルク粉末、ステアリン酸マグネシウムまたは酸化マグネシウムのうちのいずれか1種または少なくとも2種の組合せを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載のポリマー複合物。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載のポリマー複合物の調製方法であって、
ポリマー粉末とナノ粒子Aを1回目撹拌混合した後、混合後の原料とナノ粒子Bを2回目撹拌混合し、篩分けして、前記ポリマー複合物を得るステップを含む、調製方法。
【請求項8】
前記1回目撹拌混合の時間は1~15minであり、
好ましくは、前記2回目撹拌混合の時間は1~6minである、請求項7に記載の調製方法。
【請求項9】
前記篩分けは篩で行い、
好ましくは、前記篩のメッシュ数は50~300メッシュである、請求項7または8に記載の調製方法。
【請求項10】
ポリマー粉末とナノ粒子Aを1~15minで1回目撹拌混合した後、混合後の原料とナノ粒子Bを1~6minで2回目撹拌混合し、最後に、メッシュ数が50~300メッシュの篩で篩分けして、前記ポリマー複合物を得るステップを含む、請求項7~9のいずれか一項に記載の調製方法。
【請求項11】
請求項1~6のいずれか一項に記載のポリマー複合物の、粉末塗料または3D印刷における使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、高分子材料の技術分野に関し、特に、ポリマー複合物、およびその調製方法と使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリマー材料とは、多くの同様で簡単な構造単位が共有結合により繰り返して結合した高分子量化合物を指す。ポリマー粉体は、化学方法または物理方法により調製される、一定の粒度および分布や、一定の粒子形態を有するファインケミカルである。ポリマー粉末は、粉末塗料、3Dプリント、化粧品、添加剤、医薬などの分野において広く使用されている。
【0003】
ポリマー粉体は、化学合成法、例えば、懸濁重合または乳化重合により調製されることができるが、その調製工程は、複雑であり、ポリマーの種類について制限もあり、スチレン類またはアクリル酸(エステル)類のポリマーしか調製できない情況が多い。現在、ポリマー粉体を取得する主要な手段は、依然として機械的粉砕の方式であり、その利点は、工程過程がシンプルであり、連続する生産を行うことができるが、調製された粒子の形状が乱雑で無秩序であり、粒径の分布も広い。
【0004】
上述した2種類の方法は、ポリマー粉末を調製するためによく用いられる方法である。しかしながら、この2種類の方法により調製された粉末の形状が不規則であり、流動性が悪いが、良好な流動性は、ポリマー粉末の使用の肝心である。現在、ポリマー粉末の流動性を向上させる方法は、主に粒子界面作用力の低減(例えば、流動助剤を添加するか、またはポリマーを被覆すること)や、転がり抵抗の低減(例えば、ポリマーに対して粒子形状を修正し、たとえば球形に修正すること)などの方法である。また、ポリマーの耐温度性には限界があり、使用温度が上昇すると、粉末の流動性の低下が明らかとなり、使用範囲が制限された。第1種の方法では、流動性助剤の混合過程は、任意の適切な混合機器(流動床と、1つまたは複数の、回転軸が装着された様々なドラムまたはミキサーと、を含む)で行うことができる。
【0005】
CN1102954Cでは、粒子洗浄剤組成物を調製する方法が開示されている。開示された方法は、平均粒径が250~900ミクロンの範囲である過炭酸塩、および一部水和された結晶性アルミノケイ酸ナトリウムの粉末流動性助剤を粒子洗浄剤の粉末粒子に添加するステップを含む。
【0006】
CN109929242Aでは、ナイロンポリマー粉末吸熱材料およびその調製方法が開示されている。開示された調製方法は、ナイロン原料、分子量調節剤および脱イオン水を重合釜に加入し、釜内の圧力を常圧に減圧させた後、熱媒体を投入し、撹拌し、糸を引いて切断し、ナイロン熱媒体ペレットを得るステップと、ナイロン熱媒体ペレットをポストシュリンクバレルに加入し、昇温して真空吸引撹拌を行い、ナイロン熱媒体重縮合ペレットを得るステップと、ナイロン熱媒体重縮合ペレットに対して極低温粉砕を行い、ナイロン熱媒体粉末材料を得るステップと、20部のナイロン熱媒体粉末材料および0.1~2部のカーボンブラックを撹拌缶に加入して高速撹拌し、ナイロン-カーボンブラック混合粉末材料を得るステップと、ナイロン-カーボンブラック混合粉末材料、流動助剤および80部のナイロン熱媒体粉末材料を粉末混合缶に加入し、高速撹拌した後、篩分けし、ナイロンポリマー粉末吸熱材料を得るステップと、を含む。開示された方法は、ナイロンポリマー粉末をファイバーレーザー焼結に適用した製品の表面品質および機械的性能が良い。
【0007】
CN108727814Aでは、選択的にレーザー焼結するための複合ナイロン粉末材料およびその調製方法が開示されている。開示された複合ナイロン粉末材料は、重量比でナイロン樹脂粉末30~70部、中空ガラスマイクロビーズ30~50部、ガラス繊維0~20部、カップリング剤0.2~2部、流動助剤0.1~1.5部、および酸化防止剤0.2~2部という成分を含む。その開示された変性後のガラス繊維および中空ガラスマイクロビーズをナイロン樹脂粉末に添加することは、単純にガラス繊維を添加することに対して、中空ガラスマイクロビーズとガラス繊維とを同時に添加したナイロン複合粉末は流動性がより良いとともに、粉末敷き効果がより良く、焼結材の強度モジュラスも高くなり、中空ガラスマイクロビーズとガラス繊維とのナイロン複合材料はナイロンの適用分野を拡張している。
【0008】
現在、粒子界面作用力および転がり抵抗を低減させる方式によりポリマー流動性を向上させることには限界がある。従って、流動性に優れたポリマー材料の開発がかなり重要となる。
【発明の概要】
【0009】
以下は、本願において詳しく説明する主題についての概説である。この概説は、特許請求の保護範囲を限定するためのものではない。
【0010】
従来技術における欠陥に対して、本願は、優れた流動性、透過性および高温安定性を有するポリマー複合物、およびその調製方法と使用を提供することを目的とする。
【0011】
この目的を達成するために、本願は、以下の技術案を採用する。
【0012】
第1態様として、本願は、重量部で、100部のポリマー粉末、0.1~3部のナノ粒子Aおよび0.05~1.5部のナノ粒子Bという成分を含むポリマー複合物であって、
ナノ粒子Aの粒径がナノ粒子Bよりも小さく、
前記ナノ粒子Aとナノ粒子Bの質量比が(1~9):1であり、ただし、1~9は、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5などであってもよい、ポリマー複合物を提供する。
【0013】
本願に係るポリマー複合物は、特定の質量比のナノ粒子Aとナノ粒子Bをポリマー粉末の流動剤として協働し、ポリマー粉末の表面に被覆され、粒子の表面摩擦力および粒子間の作用力を低減させ、ポリマー粉末の流動性、透過性および高温下での安定性を向上させる。
【0014】
前記ナノ粒子Aの重量部は、0.1~3部、例えば、0.2部、0.5部、0.8部、1部、1.2部、1.4部、1.6部、1.8部、2部、2.2部、2.4部、2.6部、2.8部などである。
【0015】
前記ナノ粒子Bの重量部は、0.05~1.5部、例えば、0.1部、0.2部、0.3部、0.4部、0.5部、0.6部、0.7部、0.8部、0.9部、1部、1.1部、1.2部、1.3部、1.4部などである。
【0016】
好ましくは、前記ナノ粒子Aとナノ粒子Bとの質量比は、(1.5~4):1である。ただし、1.5~4は、2、2.2、2.5、2.8、3、3.2、3.5、3.8などであってもよい。
【0017】
本願に係るナノ粒子Aとナノ粒子Bとの質量比は、(1.5~4):1であることが好ましく、質量比がこの範囲である場合、得られるポリマー複合物の流動性および高温安定性がより優れる。
【0018】
好ましくは、前記ナノ粒子Aの粒径は、5~50nmであり、例えば、6nm、8nm、10nm、15nm、20nm、25nm、30nm、35nm、40nm、42nm、45nm、48nmなどであり、5~30nmであることが好ましい。
【0019】
本願に係るナノ粒子Aの粒径は、5~30nmであることが好ましい。これは、小粒径のナノ粒子がポリマーの表面に緻密な被覆を形成できることで、粒子間の作用力を低下させるためである。
【0020】
好ましくは、前記ナノ粒子Bの粒径は、50~600nm、例えば、100nm、150nm、200nm、250nm、300nm、350nm、400nm、450nm、500nm、550nmなどであり、50~300nmであることが好ましい。
【0021】
本願に係るナノ粒子Bの粒径は、50~300nmであることが好ましい。これは、大粒径のナノ粒子がポリマーの表面に転がり摩擦およびバリア作用を形成して、粒子間の作用力を低減させるためである。
【0022】
好ましくは、前記ポリマー粉末のメジアン径は、5~500μm、例えば、10μm、50μm、100μm、150μm、200μm、250μm、300μm、350μm、400μm、450μmなどであり、10~300μmであることが好ましく、50~150μmであることがより好ましい。
【0023】
好ましくは、前記ポリマー粉末は、熱可塑性ポリマー粉末および/または熱硬化性ポリマー粉末を含む。
【0024】
好ましくは、前記ポリマー粉末は、熱可塑性ポリマー粉末を含む。
【0025】
好ましくは、前記熱可塑性ポリマー粉末は、熱可塑性エラストマー、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリメタクリレート、ポリカーボネートまたはポリスチレンのうちのいずれか1種または少なくとも2種の組合せを含む。ただし、典型的な組み合わせは、熱可塑性エラストマーとポリアミドの組合せ、ポリオレフィン、ポリメタクリレートおよびポリカーボネートの組合せ、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリメタクリレート、ポリカーボネートおよびポリスチレンの組合せなどを含むが、これに制限的なものではない。
【0026】
好ましくは、前記ナノ粒子Aは、ナノシリカ、ナノ二酸化チタンまたはナノ炭化ケイ素のうちのいずれか1種または少なくとも2種の組合せを含む。ただし、典型的な組み合わせは、ナノシリカとナノ二酸化チタンの組合せ、ナノ二酸化チタンとナノ炭化ケイ素の組合せ、ナノシリカ、ナノ二酸化チタンおよびナノ炭化ケイ素の組合せなどを含むが、これに制限的なものではない。
【0027】
好ましくは、前記ナノ粒子Bは、ナノシリカ、ナノ二酸化チタン、ナノ炭化ケイ素、ナノ酸化アルミニウム、タルク粉末、ステアリン酸マグネシウムまたは酸化マグネシウムのうちのいずれか1種または少なくとも2種の組合せを含む。ただし、典型的な組み合わせは、ナノシリカとナノ二酸化チタンの組合せ、ナノ二酸化チタン、ナノ炭化ケイ素およびナノ酸化アルミニウムの組合せ、ナノ酸化アルミニウム、タルク粉末、ステアリン酸マグネシウムおよび酸化マグネシウムの組合せを含むが、これに制限的なものではない。
【0028】
第2態様として、本願は、第1態様に記載されたポリマー複合物の調製方法であって、
ポリマー粉末とナノ粒子Aを1回目撹拌混合した後、混合後の原料とナノ粒子Bを2回目撹拌混合し、篩分けして、前記ポリマー複合物を得るステップを含む、調製方法を提供する。
【0029】
本願では、ポリマー複合物を調製する過程において、ポリマー粉末を粒径がより小さいナノ粒子Aと混合することが優先であり、より良く緻密に粒子の表面に被覆させることができる。なお、ナノ粒子Bの粒径がより大きいので、先にナノ粒子Bを混合すれば、ポリマー粉末の表面に対する小粒径のナノ粒子の被覆に影響を及ぼす。
【0030】
好ましくは、前記1回目撹拌混合の時間は、1~15min、例えば、2min、3min、4min、5min、6min、7min、8min、9min、10min、11min、12min、13min、14minなどであり、1~3minであることが好ましい。
【0031】
好ましくは、前記2回目の撹拌混合の時間は、1~6min、例えば、1.5min、2min、2.5min、3min、3.5min、4min、4.5min、5min、5.5minなどであり、1~2minであることが好ましい。
【0032】
本願に係る撹拌混合は、持続の撹拌混合であり、混合時間が十分ではないと、ポリマー粉末とナノ粒子が均一な混合を実現できず、混合時間が長すぎると、ナノ粒子の損失および埋め込みを引き起こして、複合ナノ粒子の効果を喪失する。
【0033】
好ましくは、前記篩分けは、篩で行う。
【0034】
好ましくは、前記篩のメッシュ数は、50~300メッシュ、例えば、60メッシュ、80メッシュ、100メッシュ、120メッシュ、140メッシュ、160メッシュ、180メッシュ、200メッシュ、220メッシュ、240メッシュ、260メッシュなどである。前記篩のメッシュ数は、50~300メッシュであり、前記篩で篩分けされた粒子の粒径は、30~500メッシュである。
【0035】
好ましい技術案として、前記調製方法は、
ポリマー粉末とナノ粒子Aを1~15minで1回目撹拌混合した後、混合後の原料とナノ粒子Bを1~6minで2回目撹拌混合し、最後に、メッシュ数が50~300メッシュの篩で篩分けして、前記ポリマー複合物を得るステップを含む。
【0036】
第3態様として、本願は、第1態様に記載されたポリマー複合物の、粉末塗料または3D印刷における使用を提供する。
【0037】
従来技術に対して、本願は、以下の有益な効果を有する。
【0038】
本願に用いられる小粒径のナノ粒子と大粒径のナノ粒子は、特定の比率で配合し、協働して、ポリマー粉末の流動剤として、前記ポリマー複合物が優れた流動性、透過性および高温安定性を有する。ポリマー粉末が熱可塑性ポリウレタンであることを例として、前記ポリマー複合物は、SE流動エネルギーが7.75mJ/g以下であり、FRIが1.35以下であり、透過性が4.11mbar以上である。
【0039】
詳細な説明を閲読し理解した後、他の態様が分かることができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1】実施例1に記載のポリマー複合物の走査電子顕微鏡写真である。
図2】実施例1に記載のポリマー複合物が100℃で加熱された後の走査電子顕微鏡写真である。
図3】実施例2に記載のポリマー複合物の走査電子顕微鏡写真である。
図4】実施例2に記載のポリマー複合物が135℃で加熱された後の走査電子顕微鏡写真である。
図5】実施例3に記載のポリマー複合物の走査電子顕微鏡写真である。
図6】実施例4に記載のポリマー複合物の走査電子顕微鏡写真である。
図7】実施例6に記載のポリマー複合物の走査電子顕微鏡写真である。
図8】実施例8に記載のポリマー複合物の走査電子顕微鏡写真である。
図9】比較例1に記載のポリマー複合物の走査電子顕微鏡写真である。
図10】比較例1に記載のポリマー複合物が100℃で加熱された後の走査電子顕微鏡写真である。
図11】比較例2に記載のポリマー複合物の走査電子顕微鏡写真である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
本願を容易に理解するために、本願は、以下のような実施例を例示する。当業者であれば、前記実施例は、本願を理解するためのものに過ぎず、本願を具体的に限定するためのものではないことを理解すべきである。
【0042】
実施例1
本実施例は、重量部で、100部のポリマー粉末、0.3部のナノ粒子Aおよび0.13部のナノ粒子Bという成分からなるポリマー複合物を提供する。
【0043】
前記ポリマー粉末:極低温粉砕後の熱可塑性ポリウレタン、メジアン径が65μmであり、硬さShoreA 90、原料は万華化学集団股フン有限公司から購入され、型番はWHT-1490IVである。
【0044】
ナノ粒子A:ナノシリカ、粒径が12nmである。
ナノ粒子B:ナノシリカ、粒径が50nmである。
【0045】
上記ポリマー複合物の調製方法は、以下のステップを含む。
【0046】
ポリマー粉末とナノ粒子Aを2minで1回目混合した後、混合後の原料とナノ粒子Bを1minで2回目混合し、最後に、50メッシュの篩で篩分けして、前記ポリマー複合物を得た。
【0047】
実施例2
本実施例は、重量部で、100部のポリマー粉末、0.5部のナノ粒子Aおよび0.33部のナノ粒子Bという成分からなるポリマー複合物を提供する。
【0048】
前記ポリマー粉末:極低温粉砕後のポリプロピレン、メジアン径が50μmであり、原料は万華化学集団股フン有限公司から購入され、型番はWANFAB GP1000である。
ナノ粒子A:ナノ炭化ケイ素、粒径が5nmである。
ナノ粒子B:ナノ酸化アルミニウム、粒径が80nmである。
【0049】
上記ポリマー複合物の調製方法は、以下のステップを含む。
【0050】
ポリマー粉末とナノ粒子Aを3minで1回目混合した後、混合後の原料とナノ粒子Bを2minで2回目混合し、最後に、70メッシュの篩で篩分けして、前記ポリマー複合物を得た。
【0051】
実施例3
本実施例は、重量部で、ポリマー粉末100部、3部のナノ粒子Aおよび0.75部のナノ粒子Bという成分からなるポリマー複合物を提供する。
【0052】
前記ポリマー粉末:極低温粉砕後のフェノール樹脂、メジアン径が5μmであり、原料の型番は2123フェノール樹脂である。
ナノ粒子A:ナノ二酸化チタン、粒径が5nmである。
ナノ粒子B:ナノ炭化ケイ素、粒径が50nmである。
【0053】
上記ポリマー複合物の調製方法は、以下のステップを含む。
【0054】
ポリマー粉末とナノ粒子Aを15minで1回目混合した後、混合後の原料とナノ粒子Bを6minで2回目混合し、最後に、300メッシュの篩で篩分けして、前記ポリマー複合物を得た。
【0055】
実施例4
本実施例は、重量部で、100部のポリマー粉末、0.2部のナノ粒子Aおよび0.06部のナノ粒子Bという成分からなるポリマー複合物を提供する。
【0056】
前記ポリマー粉末:極低温粉砕後の熱可塑性ポリウレタン、メジアン径が500μmであり、硬さShoreA 90、原料は万華化学集団股フン有限公司から購入され、型番はWHT-1490IVである。
ナノ粒子A:ナノシリカ、粒径が50nmである。
ナノ粒子B:タルク粉末、粒径が600nmである。
【0057】
上記ポリマー複合物の調製方法は、以下のステップを含む。
【0058】
ポリマー粉末とナノ粒子Aを1minで1回目混合した後、混合後の原料とナノ粒子Bを1minで2回目混合し、最後に、50メッシュの篩で篩分けして、前記ポリマー複合物を得た。
【0059】
実施例5
本実施例は、重量部で、100部のポリマー粉末、0.1部のナノ粒子Aおよび0.05部のナノ粒子Bという成分からなるポリマー複合物を提供する。
【0060】
前記ポリマー粉末:極低温粉砕後の熱可塑性ポリウレタン、メジアン径が150μmであり、硬さShoreA 90、原料は万華化学集団股フン有限公司から購入され、型番はWHT-1490IVである。
ナノ粒子A:ナノ二酸化チタン、粒径が30nmである。
ナノ粒子B:タルク粉末、粒径が300nmである。
【0061】
上記ポリマー複合物の調製方法は、以下のステップを含む。
【0062】
ポリマー粉末とナノ粒子Aを1minで1回目混合した後、混合後の原料とナノ粒子Bを2minで2回目混合し、最後に、60メッシュの篩で篩分けして、前記ポリマー複合物を得た。
【0063】
実施例6
本実施例は、重量部で、100部のポリマー粉末、2部のナノ粒子Aおよび0.75部のナノ粒子Bという成分からなるポリマー複合物を提供する。
【0064】
前記ポリマー粉末:極低温粉砕後の熱可塑性ポリウレタン、メジアン径が10μmであり、硬さShoreA 90、原料は万華化学集団股フン有限公司から購入され、型番はWHT-1490IVである。
ナノ粒子A:ナノ炭化ケイ素、粒径が5nmである。
ナノ粒子B:ナノシリカ、粒径が50nmである。
【0065】
上記ポリマー複合物の調製方法は、以下のステップを含む。
【0066】
ポリマー粉末とナノ粒子Aを1.5minで1回目混合した後、混合後の原料とナノ粒子Bを1minで2回目混合し、最後に、300メッシュの篩で篩分けして、前記ポリマー複合物を得た。
【0067】
実施例7
本実施例は、重量部で、100部のポリマー粉末、2部のナノ粒子Aおよび0.5部のナノ粒子Bという成分からなるポリマー複合物を提供する。
【0068】
前記ポリマー粉末:極低温粉砕後の熱可塑性ポリウレタン、メジアン径が300μmであり、硬さShoreA 90、原料は万華化学集団股フン有限公司から購入され、型番はWHT-1490IVである。
ナノ粒子A:1部のナノシリカ、粒径が35nmであり、1部のナノ二酸化チタン、粒径が35nmである。
ナノ粒子B:0.25部のナノ炭化ケイ素、粒径が150nmであり、0.25部のナノ酸化アルミニウム、粒径が150nmである。
【0069】
上記ポリマー複合物の調製方法は、以下のステップを含む。
【0070】
ポリマー粉末とナノ粒子Aを2minで1回目混合した後、混合後の原料とナノ粒子Bを2minで2回目混合し、最後に、50メッシュの篩で篩分けして、前記ポリマー複合物を得た。
【0071】
実施例8
本実施例は、重量部で、100部のポリマー粉末、1部のナノ粒子Aおよび0.3部のナノ粒子Bという成分からなるポリマー複合物を提供する。
【0072】
前記ポリマー粉末:極低温粉砕後のポリプロピレン、メジアン径が80μmであり、原料は万華化学集団股フン有限公司から購入され、型番はWANFAB GP1000である。
ナノ粒子A:0.5部のナノシリカ、粒径が15nmであり、0.5部のナノ炭化ケイ素、粒径が15nmである。
ナノ粒子B:0.15部のナノ炭化ケイ素、粒径が100nmであり、0.15部のナノシリカ、粒径が100nmである。
【0073】
上記ポリマー複合物の調製方法は、以下のステップを含む。
【0074】
ポリマー粉末とナノ粒子Aを2minで1回目混合した後、混合後の原料とナノ粒子Bを3minで2回目混合し、最後に、60メッシュの篩で篩分けして、前記ポリマー複合物を得た。
【0075】
実施例9~12
実施例9~12と実施例1との違いは、ナノ粒子Aとナノ粒子Bとの質量比が異なることであり、ナノ粒子Aとナノ粒子Bとの合計質量が0.6部であり、
実施例9~12において、ナノ粒子Aとナノ粒子Bとの質量比がそれぞれ9:1(実施例9)、1:1(実施例10)、4:1(実施例11)および1.5:1(実施例12)である以外は、いずれも実施例1と同様である。
【0076】
実施例13~16
実施例13~16と実施例1との違いは、ナノ粒子Aの粒径がそれぞれ5nm(実施例13)、50nm(実施例14)、3nm(実施例15)および60nm(実施例16)であることであり、それ以外は、実施例1と同様である。
【0077】
実施例17~19
実施例17~19と実施例1との違いは、ナノ粒子Bの粒径が600nm(実施例17)、30nm(実施例18)および700nm(実施例19)であることであり、それ以外は、実施例1と同様である。
【0078】
比較例1
本比較例は、重量部で、ポリマー粉末100部、小粒径のナノ粒子0.5部という成分からなるポリマー複合物を提供する。
【0079】
前記ポリマー粉末:極低温粉砕後の熱可塑性ポリウレタン、メジアン径が60μmであり、硬さShoreA 90、原料は万華化学集団股フン有限公司から購入され、型番はWHT-1490IVである。
小粒径のナノ粒子:ナノシリカ、粒径が15nmである。
【0080】
上記ポリマー複合物の調製方法は、以下のステップを含む。
【0081】
ポリマー粉末と小粒径のナノ粒子を2min混合した後、50メッシュの篩で篩分けして、前記ポリマー複合物を得た。
【0082】
比較例2
本比較例は、重量部で、ポリマー粉末100部、大粒径のナノ粒子0.7部という成分からなるポリマー複合物を提供する。
【0083】
前記ポリマー粉末:極低温粉砕後の熱可塑性ポリウレタン、メジアン径が80μmであり、硬さShoreA 90、原料は万華化学集団股フン有限公司から購入され、型番はWHT-1490IVである。
大粒径のナノ粒子:ナノシリカ、粒径が100nmである。
【0084】
上記ポリマー複合物の調製方法は、以下のステップを含む。
【0085】
ポリマー粉末と大粒径のナノ粒子を3min混合した後、80メッシュの篩で篩分けして、前記ポリマー複合物を得た。
【0086】
比較例3~4
比較例3~4と実施例1との違いは、ナノ粒子Aとナノ粒子Bとの質量比が異なることであり、ナノ粒子Aとナノ粒子Bとの合計質量が0.6部であり、
比較例3~4において、ナノ粒子Aとナノ粒子Bとの質量比がそれぞれ10:1および1:4である以外は、いずれも実施例1と同様である。
【0087】
性能試験
実施例1~19および比較例1~4に記載のポリマー複合物に対して、以下のように測定した。
【0088】
(1)流動性能:サンプルを十分に乾燥した後、フリーマン製FT4パウダーレオメーターを用いて測定した。試験ソフトウェアをオンした後、必要な試験方法「stability and variable flow rate」を選択して流動性を測定した。測定結果には、流動活性化エネルギーが含まれ、「permeability」で1~15kPaの通気性を測定した。測定結果には、1~15kPaの圧力損失が含まれる。最後に、データ処理を行った。
【0089】
(2)堆積密度:Baxter製BT-1000粉体総合特性試験機を用いて測定した。密度容器をきれいに清潔し、内部を乾燥に維持させた。そして、密度計を水平に調節し、ロート口を、密度カップの上縁から40mm調節した。粉体総合特性試験機をオンし、100mのかさ密度容器を装着した。
【0090】
100gの粉末サンプルを秤量して試験機の上方のロートに投入し、ロート排出口を閉塞した。
【0091】
速やかにロート排出口を開き、ロート中のサンプルが自然状態で密度容器に垂直落下し、へらスプーンで密度カップの頂部の余計なサンプルを削り取り、密度カップを軽く叩いてサンプルを固定し、容器中の粉末の質量M1を記録し、堆積密度ρ(g/cm)=M1/100である。
【0092】
複数回測定して結果の再現性を確保し、測定結果を表1にまとめる。
【表1】
【0093】
表1に示したデータから分かるように、ポリマー粉末が熱可塑性ポリウレタンであることを例として、前記ポリマー複合物は、SE流動エネルギーが7.75mJ/g以下であり、FRIが1.35以下であり、透過性が4.11mbar以上である。本願に係るポリマー複合物は、用いられた小粒径のナノ粒子と大粒径のナノ粒子が協働し、ポリマー粉末の流動剤として、三者が混合されたポリマー複合物の凝集特性指標FRIおよびSE流動エネルギーが低くて、小粒径のナノ粒子と大粒径のナノ粒子を組み合わせて用いることにより、ポリマー粉体の流動抵抗を低下させる効果を有することを表明した。さらに、ポリマー複合物の透気性圧力損失が明らかに高くて、粉末の堆積がより緊密であり、粒子間の隙間がより少ないことを表明した。これは、堆積密度の結果と一致した。BFE流動エネルギーは、堆積密度および粉末の凝集特性を綜合的に示した。堆積密度が大きく、凝集特性が良い粉末は、パウダーレオメーター羽根の駆動に必要なエネルギーが高くなり、BFEも大きくなる傾向があった。そのため、本願に係るポリマー複合物は、優れた流動性および透過性を有した。
【0094】
比較例1~2および実施例1の分析から分かるように、比較例2において堆積密度は大粒径粉末の選択の原因で相対的に大きいが、堆積密度は粒径への影響ほど流動性に対する敏感度が大きくないので、比較例1~2の性能が依然として実施例1に及ばないことを推定することができて、用いられたナノ粒子Aおよびナノ粒子Bが協働し、ポリマー粉末の流動剤として、優れた流動性および高温安定性を有するポリマー複合物を形成できることが証明された。
【0095】
比較例3~4および実施例9~10の分析から分かるように、比較例3~4の性能が実施例9~10に及ばず、前記ナノ粒子Aとナノ粒子Bの質量比が(1~9):1範囲内にあれば、得られたポリマー複合物の性能がより良いことが証明された。
【0096】
実施例9~12の分析から分かるように、実施例9~10の性能が実施例11~12に及ばず、前記ナノ粒子Aとナノ粒子Bの質量比は(1.5~4):1が好ましく、得られたポリマー複合物の性能がより良いことが証明された。
【0097】
実施例13~16の分析から分かるように、実施例15~16の性能が実施例13~14に及ばず、ナノ粒子Aの粒径が5~50nmの範囲にあれば、ナノ粒子Bとより良く協働してポリマー複合物の性能を向上させることができることが証明された。
【0098】
実施例17~19および実施例1の分析から分かるように、実施例18~19の性能が実施例1および17に及ばず、ナノ粒子Bの粒径が50~600nmの範囲にあれば、ナノ粒子Aとより良く協働してポリマー複合物の性能を向上させることができることが証明された。
【0099】
図1図2を比較することから分かるように、図1には、ナノ粒子Bおよびナノ粒子Aがポリマー粉末基体に均一に分布した。図2には、100℃で加熱された後、ナノ粒子Bおよびナノ粒子Aがポリマー粉末基体において依然として均一に分布しており、損失および包埋の現象がなかった。本願に係るポリマー複合物が優れた高温安定性を有することが証明された。図3図4を比較すると、類似する結果がある。
【0100】
図9図10を比較することから分かるように、図9には、単一種類のナノ粒子がポリマー粉末基体に均一に分布しているが、加熱された後、図10中のナノ粒子は明らかな包埋および損失が現れ、ポリマー複合物の耐熱性および高温流動性に影響を及ぼした。
【0101】
そのため、ナノ粒子Aとナノ粒子Bを特定の配合比率で組み合わせて使用して、ポリマー粉末と混合した後形成したポリマー複合物は、優れた流動性および高温熱安定性を有した。
【0102】
図5図8の分析から分かるように、ナノ粒子A、ナノ粒子Bおよびポリマー粉末の粒径と種類を適当に調節すると、得られたポリマー複合物は、優れた流動性および恒温熱安定性を有する。本願において高温加熱された後の走査電子顕微鏡写真を与えていないが、実施例1~2および比較例1の結果から、実施例3~4、6、8も類似する結果を有することが推定された。即ち、ナノ粒子Aとナノ粒子Bを特定の配合比率で組み合わせて使用して、ポリマー粉末と混合した後形成したポリマー複合物は、優れた流動性および高温熱安定性を有する。図11にはナノ粒子が均一に分布しているが、比較例1と類似する結果を有することを予測できる。即ち、単一の粒径種類のナノ粒子がポリマー粉末の性能、特に高温安定性および流動性の向上に限界があった。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【国際調査報告】