(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-12
(54)【発明の名称】注入飲料調製用自動機械およびそのような自動機械の洗浄方法
(51)【国際特許分類】
A47J 31/057 20060101AFI20240705BHJP
A47J 31/06 20060101ALI20240705BHJP
A47J 31/44 20060101ALI20240705BHJP
A47J 31/60 20060101ALI20240705BHJP
【FI】
A47J31/057
A47J31/06 110
A47J31/06 140
A47J31/44 193
A47J31/60
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023580976
(86)(22)【出願日】2022-07-12
(85)【翻訳文提出日】2024-02-26
(86)【国際出願番号】 EP2022069520
(87)【国際公開番号】W WO2023285493
(87)【国際公開日】2023-01-19
(32)【優先日】2021-07-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CH
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524001857
【氏名又は名称】クリニチコ,ボグダン
(74)【代理人】
【識別番号】110002516
【氏名又は名称】弁理士法人白坂
(72)【発明者】
【氏名】クリニチコ,ボグダン
【テーマコード(参考)】
4B104
【Fターム(参考)】
4B104AA12
4B104AA20
4B104BA39
4B104BA53
4B104EA17
4B104EA20
(57)【要約】
注入飲料を調製するための自動機械が開示されており、この機械は、ハウジング(1)と、ハウジング(1)に挿入されまたは挿入可能な注入容器(3)とを備えている。注入容器(3)は、下部内面(31)と側部内面(32)を有し、これら下部内面(31)と側部内面(32)は、注入材料と水とを受け入れる内部空間(33)と出口開口部(34)を画定する。注入容器(3)から注入飲料を排出するために、出口導管(26)が出口開口部(34)に接続されまたは接続可能である。出口バルブ(26)により、出口導管(26)を通る注入飲料の排出を開閉することができる。自動機械はまた、液体を注入容器(3)に入れるための入口装置(4)を有し、この入口装置は、液体が注入容器(3)の内部(33)に側部内面(32)にわたって均一に流れるように構成されている。また、注入飲料の調製に使用される注入容器の自動洗浄方法も規定されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
注入飲料を調製するための自動機械であって、
ハウジング(1)と、
前記ハウジング(1)内に挿入されまたは挿入可能であり、下部内面(31)および側部内面(32)を有し、前記下部内面(31)および側部内面(32)がともに、注入材料および水を受け入れるための内部空間(33)、ならびに出口開口部(34)を画定する注入容器(3)と、
前記注入容器(3)から注入飲料を排出するために、出口開口部(34)に接続されまたは接続可能な出口導管(26)と、
前記出口導管(26)を通る前記注入飲料の排出を遮断および遮断解除するための出口バルブ(27)と、
を備え、
前記自動機械は、前記注入容器(3)に液体を入れるための入口装置(4)を備え、前記入口装置(4)は、前記液体が前記注入容器(3)の前記内部空間(33)に前記側部内面(32)にわたって均一に流れるように構成されている、自動機械。
【請求項2】
前記自動機械は、注入材料用のホルダ(5)をさらに備え、前記ホルダ(5)は、前記注入容器(3)の前記内部空間(33)に配置されるように構成され、前記注入容器(3)の前記下部内面(31)および前記側部内面(32)から前記注入材料および前記ホルダ(5)自体の両方が距離をおいて配置されるように、注入中に前記注入材料を保持する役割を果たす、請求項1に記載の自動機械。
【請求項3】
前記ホルダが、底部(51)と、前記底部(51)から上方に延びる周側壁(52)とを含む保持ふるい(5)として構成されている、請求項2に記載の自動機械。
【請求項4】
前記ホルダ(5)の前記側部内面(32)からの間隔および前記注入容器(3)の前記下部内面(31)からの間隔のうちの少なくともいずれか一方を確保するために、1つまたは複数のスペーサ(54)が前記ホルダ(5)に取り付けられている、請求項2または3に記載の自動機械。
【請求項5】
前記注入容器(3)が、前記出口開口部(34)として形成され、前記出口導管(26)を前記出口開口部(34)に接続するように構成された接続片(35)を有する、請求項1~4のいずれか1項に記載の自動機械。
【請求項6】
前記注入容器(3)が前記ハウジング(1)内に正しく挿入されているか否かを検出するように構成された注入容器センサ(61)をさらに備え、前記注入容器センサ(61)は、好ましくは、機械的または電気機械的センサとして構成される、請求項1~5のいずれか1項に記載の自動機械。
【請求項7】
前記注入容器(3)を閉じるための蓋(7)と、好ましくは前記蓋(7)が開状態であるか閉状態であるかを検出するための蓋センサ(62)とをさらに備える、請求項1~6のいずれか1項に記載の自動機械。
【請求項8】
前記入口装置(4)が、前記注入容器(3)内に液体を受け入れるための複数の入口開口部(41)を有し、前記複数の入口開口部は、好ましくは、前記注入容器(3)の前記側部内面(32)に沿って均一な間隔で分布して配置されている、請求項1~7のいずれか1項に記載の自動機械。
【請求項9】
前記入口装置(4)は、前記液体が前記注入容器(3)の前記側部内面(32)を越えて螺旋状に入るように構成されている、請求項1~8のいずれか1項に記載の自動機械。
【請求項10】
前記入口装置(4)は、前記注入容器(3)の上側に対して開閉可能に構成されている、請求項1~9のいずれか1項に記載の自動機械。
【請求項11】
前記注入容器(3)に対する前記入口装置(4)の位置を検出する入口装置センサ(63)が設けられている、請求項1~10のいずれか1項に記載の自動機械。
【請求項12】
前記入口装置(4)は、前記注入容器(3)を閉じるための蓋(7)を形成する、請求項1~11のいずれか1項に記載の自動機械。
【請求項13】
前記注入容器(3)は、ガラス、セラミック、またはコーティングされた材料で作られ、好ましくは一体で製造される、請求項1~12のいずれか1項に記載の自動機械。
【請求項14】
前記注入容器(3)内の前記注入材料を機械的に処理するための処理装置(9)をさらに備える、請求項1~13のいずれか1項に記載の自動機械。
【請求項15】
前記入口装置(4)は、作動状態において、前記入口開口部(41)から前記側部内面(32)に流れる前記液体が、前記注入容器(3)の前記内部空間(33)に流入する前に前記側部内面(32)を濡らすことができるように、前記側部内面(32)に整列された少なくとも1つの入口開口部(41)を備える、請求項1~14のいずれか1項に記載の自動機械。
【請求項16】
前記入口装置(4)は単一の入口開口部(41)を備える、請求項1~15のいずれか1項に記載の自動機械。
【請求項17】
前記入口装置(4)は、複数の連続的に作動可能な入口開口部(41)を備える、請求項1から15のいずれか1項に記載の自動機械。
【請求項18】
前記側部内面(32)が、60%から100%までの濡れ性を有する、請求項1~17のいずれか1項に記載の自動機械。
【請求項19】
前記側部内面(32)の前記濡れ性は、前記液体による前記側部内面(32)の同時被覆が達成可能であるように構成される、請求項1~18のいずれか1項に記載の自動機械。
【請求項20】
前記ハウジング(1)は複数の入口装置(4)を含む、請求項1~19のいずれか1項に記載の自動機械。
【請求項21】
注入を調製するための注入容器(3)を自動的に洗浄する方法であって、前記注入容器(3)は、下部内面(31)と側部内面(32)とを有し、これらが一体となって注入および水のための内部空間(33)を画定し、前記方法は、特に、前記請求項のいずれか1項に記載の自動機械によって実施され、少なくとも、特に水のような液体を、前記液体が前記注入容器(3)の前記内部空間(33)に前記側部内面(32)にわたって一様に流れ、好ましくは螺旋状に流れるように、前記注入容器(3)に導入するステップを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、注入飲料を調製するための自動機械に関する。この機械は、特に茶のような注入飲料を調製するために使用される。さらに、注入飲料の調製に使用される注入容器の自動洗浄方法が開示されている。
【背景技術】
【0002】
通常、一杯の茶を調製するには、ストレーナー容器に入れたお湯の中にティーバッグまたはティーパウダーを入れたり、湯を注いだりして、一定の抽出時間が経てば茶が出来上がり、飲料として飲むことができる。一杯の茶に実際に必要な量よりも多くの水が加熱されることが非常に多く、茶の調製には手間がかかることが多いため、この調製は通常、不必要な量の電気エネルギーを消費する。まず、水を容器に入れて加熱し、次にその加熱した湯を、通常はティーバッグに入った茶に加え、さらに沸騰した容器に入れ、茶が準備できたら、沸騰した容器からティーバッグを取り出さなければならない。そうして初めて、茶を飲料として楽しむことができる。
【0003】
自動ティーメーカーもある。これらは容器内で水を沸点まで加熱し、その結果発生する蒸気が茶を透過性のカプセルに入れた浸漬容器を通過する。このタイプの茶の調製方法は、古典的な調製方法とは異なり、茶を抽出する時間がほとんどなく、飲料として直接飲料受容器に茶を移す。この自動調製は、茶を抽出しまたは浸漬する時間をほとんど与えないため、「古典的な茶葉の調製方法」には該当しない。その結果、味覚の損失は受け入れなければならない。加熱およびその後の必要な水の蒸発のために、このタイプも不必要な量の電気エネルギーを消費する。これとは対照的に、古典的な茶の調製方法では、湯は沸点までずっと加熱しないのが普通であり、これはエネルギー消費の面だけでなく、香りの発現の面でも明らかに有利であることが証明されている。
【0004】
例えば、特許文献1は、加熱された湯が茶またはコーヒーと接触する上部容器に導入されるティーマシンを開示している。茶またはコーヒーは、上部容器に上から挿入されるフィルターに保持される。一定時間後、このようにして調製された煎じ出しは、出口ラインを通って下部の容器に入り、そこで保温される。
【0005】
注入飲料を調製するための他の汎用機械は、例えば、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6、特許文献7という文献に開示されている。特許文献4には、ホット飲料用の抽出装置が示されており、この装置は、フィルターホルダ内に配置された飲料の表面に水を分配するための回転可能な分配要素を備えている。特許文献5には、高品質のコーヒー飲料のための最適な抽出を達成するために、フィルターに入れられたコーヒー粉の表面に複数のポイントで湯を導入するマニホールドが示されている。特許文献6には、茶またはコーヒーに交互に使用できる抽出装置が示されている。コーヒーフィルターを含有するコーヒー受け容器と、ティーフィルターを含有する茶受け容器を追加で使用することで、これら2種類のホット飲料の異なる抽出プロセスが考慮されている。特に、茶の調製のために追加のバルブが設けられ、茶の所望の抽出時間に応じて出口開口部を閉じる。湯は、コーヒー受け容器にあるコーヒー粉に供給することもできるし、複数の入口開口部を介して、茶受け容器にあるティーバッグまたは茶葉に供給することもできる。また、特許文献7には、ホット飲料を抽出するための粒子状注入材に湯を分配するための管状液体分配器が開示されている。湯の注入材料への分配をより良くするために、管状液体分配器は、垂直方向に対して斜めに配置された複数の開口部を含む。
【0006】
特許文献8は、同じ発明者によるもので、注入飲料を調製するための別の汎用自動機械が開示されている。
【0007】
注入飲料を調製する自動機械の場合、茶またはハーブが煎じられ、対応する飲料が調製される注入容器は、定期的に洗浄されなければならない。この作業は面倒で忘れられがちなため、時間が経つと注入容器の内面に頑固な沈殿物ができることが多い。このような沈殿物は、手作業で取り除くのは困難で、かなりの労力を要する。また、調製した飲料の味を歪めてしまうため、異なる種類の茶またはハーブを使用する場合は特に不満が残る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】欧州特許出願公開第1808110号明細書
【特許文献2】国際公開第99/34716号
【特許文献3】米国特許第6,964,222号明細書
【特許文献4】米国特許第7,717,026号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2007/017380号明細書
【特許文献6】米国特許出願公開第2015/182063号明細書
【特許文献7】米国特許第9,820,607号明細書
【特許文献8】国際公開第2016/041835号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、上述した洗浄の問題が軽減された、使い勝手のよい注入飲料調製用自動機械を提供することにある。特に、本発明の目的は、洗浄のために注入容器を取り外すことなく、また洗浄剤を使用することなく、注入飲料の調製前、調製中または調製後に注入容器を洗浄できるようにすることである。こうして、注入容器の洗浄は、抽出材料がまだ保持ふるいの中にあるときにすでに行うことができる。この課題を解決するために、請求項1に示すような注入飲料を調製するための自動機械が提案されている。さらに、請求項16には、注入飲料の調製に供される注入容器を自動的に洗浄する方法が開示されている。本発明の有利な実施形態は、従属請求項に示されている。
【0010】
従って、本発明は、注入飲料を調製するための自動機械を提供し、自動機械は、ハウジングと、ハウジングに挿入され、または挿入可能であり、注入材料および水を受容するための内部空間を画定する下部内面および側部内面と、出口開口部とを有する注入容器と、注入容器から注入飲料を排出するために、出口開口部に接続されまたは接続可能な出口導管と、出口導管を通る注入飲料の排出を遮断および遮断解除するための出口バルブと、を備える。
【0011】
自動機械はまた、特に水のような液体を注入容器に入れるための入口装置を有し、この入口装置は、液体が注入容器の内部空間に側部内面にわたって均一に流れるように構成されている。液体が注入容器の側部内面にわたって均一に流れるようにすることで、入口装置は、非常に単純だが効率的な方法で、注入容器の内面から前に使用した注入材料の残留物および沈殿物を除去する。例えば、液体は、この目的のために特別に提供される洗浄工程で注入飲料を調製した直後に、入口装置を通して注入容器に導入することができる。特に、このような洗浄工程は、自動機械のスイッチが切られる前のそれぞれの場合に実施されるようにすることができる。液体は、例えば洗浄液または飲料水である。代替的または追加的に、飲料を調製するために使用される水は、入口装置を通して、および注入容器の側部内面を介して注入容器に導入することができる。こうすることで、飲料の調製中にすでにセルフクリーニングが行われ、水およびエネルギーの消費を最小限に抑えることができる。
【0012】
注入容器の側部内面にわたる液体の均一な流入とは、注入容器に導入された液体が、飲料調製中に注入材料および/または注入された飲料と接触する注入容器の側部内面の一部の大部分を覆うことを意味する。好ましくは、処理中に、循環液膜が形成され、その結果側部内面が循環的に汚れ、付着物などから洗浄される。有利には、この液膜は側部内面の大部分、さらに有利には側部内面の全体を覆っている。特に、入口装置は、作動状態において、入口開口部から側部内面に流れる液体が、注入容器の内部空間に流入する前に側部内面を濡らすことができるように、側部内面と位置合わせされた少なくとも1つの入口開口部を備える。
【0013】
一実施形態によれば、入口装置は単一の入口開口部を含む。一実施形態によれば、入口装置は、次々に作動可能な複数の入口開口部を含む。
【0014】
一実施形態によれば、側部内面は、60%から100%までの液体での濡れ性を有する。好ましくは、側部内面は、70%から100%までの範囲の液体での濡れ性を有する。
【0015】
特に、側部内面は、側部内面すべてを同時に液体で覆うことができるように濡らされる。すなわち、側部内面は同時に液体で濡れている。例えば、側部内面がシリンダージャケットとして構成されている場合、シリンダージャケット全体が同時に濡れる。こうすることで、側部内面を特に迅速かつ徹底的に洗浄することができる。さらに、下部内面も同時に液体で覆うことができる。
【0016】
一実施形態によれば、ハウジングは複数の入口装置を含む。
【0017】
好ましくは、入口装置も、液体が下部内面を均一に流れて注入容器の内部に入るように構成される。有利には、注入容器の下部内面の大部分、さらに好ましくは全体を覆う液膜が形成される。
【0018】
注入容器の下部内面は、好ましくは円形または楕円形の外輪郭を有するが、必ずしもそうである必要はない。側部内面は、好ましくは円筒形または楕円筒形であるが、必ずしもそうである必要はない。後者の場合、側部内面は断面図で楕円形をしている。このような形状の注入容器では、内面への汚れの付着が少ない。掃除もしやすい。
【0019】
出口開口部は、好ましくは、注入容器の最下点または最下点の一つに重力方向に沿って配置される。こうして完成した注入飲料は、注入容器から容易に流れ出ることができる。好ましくは、注入容器は底部にさらなる開口部を有さず、注入容器が意図通りにハウジングに挿入されたときに、注入飲料が専ら出口開口部を介して流出できるようにする。
【0020】
注入容器は、好ましくは、出口開口部を形成する接続片を有する。有利には注入容器から下方に突出する接続片は、好ましくは、出口導管をそれに接続するために使用される。出口導管は、特に可撓性ホースで形成することができる。これに代えて、接続片自体が出口ラインを形成することもできるし、出口ラインを、可撓性ホースの形でもって、出口開口部の近傍で注入容器に直接しっかりと取り付けることもできる。
【0021】
出口バルブは、注入飲料の調製中に注入容器の内部に水を保持するように、または調製完了後に注入容器から水を排出するように構成されている。出口バルブは、このように出口導管を遮断または遮断解除するのに使用できる。
【0022】
煎じる材料は、特に茶またはハーブである。例えば茶の場合、粉茶またはティーバッグの形で注入容器に導入し、水で煎じることができる。茶の種類にもよるが、水は好ましくはそれに応じた温度を有する。例えば、アイスティーを作る場合、水を冷やすこともできる。しかしながら、自動機械の用途は基本的に茶およびハーブに限らない。例えば、あらゆる果物、より一般的には植物および植物の部分を煎じることができる。例えば、生姜のかけら、ペパーミントの葉、レモンまたはオレンジのスライス、およびそれらの任意の組み合わせを注入容器に入れ、お湯または水で煎じることができる。この機械はシロップ飲料の調製にも使用できる。この場合、濃縮シロップが注入材料を形成する。コーヒーを注入材料として使うことも考えられる。
【0023】
調製のために、注入材料はどんな形であれ、例えば粉末であれ袋入りであれ、注入容器に入れられる。その後、ユーザによって設定された、または自動的に選択された調製プログラムが開始される。実施形態によっては、ユーザは、自動機械上で直接、またはスマートフォンを介して遠隔操作で、調製プログラムの選択および/または設定を行うことができる。調製中、好ましくはあらかじめ温調された水が注入容器に導入され、それに応じて注入材料が煎じられる。
【0024】
これに代えて、注入容器の中で水を温調することもできる。調製プログラムを選択することにより、例えば、必要な水の量、水の注入温度、調製時間または注入時間が決定される。自動機械が選択された調製プログラムを完了した後、予め調製された注入飲料は、好ましくは、適切な飲料容器に完全に自動的に排出される。有利なことに、ユーザが自動機械に注入飲料を入れ、プログラムを開始すれば、ユーザは注入飲料の調製または提供について心配する必要はない。調製後、注入された飲料はカップの中ですぐに飲むことができる。自動機械は、音響的および/または視覚的に調製の終了を知らせるように構成することができる。
【0025】
特に、特定の自動機械は、最小限の電気エネルギーを消費し、取り扱いの手間を省くことができるという利点がある。こうしてユーザにとって調製が容易になり、時間的にも最適化される。同時に、自動機械は、煎じられた飲料、特に茶飲料を、煎じられたか、茶飲料の場合は古典的な方法で抽出されたのと同じ高品質の状態で提供することが可能である。特に好ましい実施形態では、自動機械はどこからでも遠隔操作できる。
【0026】
好ましくは、自動機械は、注入容器の内部に配置されるように構成され、注入中に注入材料を保持する役割を果たす、注入材料用のホルダを備える。特に好ましくは、ホルダは、注入中、注入材料およびホルダ自体の両方が、注入容器の下部内面および側部内面から距離を置いて配置されるように構成される。すなわち、ホルダは、好ましくは、その中に保持される注入材料とホルダ自体との両方が注入容器の下部内面および側部内面から距離を置いて配置されるように、専ら意図された使用中に注入容器の内部空間に配置されるように構成される。このような注入容器の構成は、例えば、注入飲料の洗浄または排水の際に、注入材料の残留物およびその他の粒子が、注入容器の内面に沿って障害なく流れ落ちることができるという大きな利点を有する。加えて、排出液に乱流が生じないか、または生じにくいため、注入容器からの残留物の除去も良好になる。注入容器の内面にわたる注入容器の内部空間への液体の均一な流れと、注入容器の内面からホルダおよびその中に保持された注入材料の間隔と、の組み合わせは、したがって、洗浄の労力を大幅に削減することにつながる。
【0027】
ホルダは、例えば、垂直保持ロッドの下端の側面に取り付けられた小さなプレートとすることができる。この場合、例えば、ティーバッグをプレートの上に置き、保持ロッドを使って注入容器に下げることができる。しかしながら、特に好ましい実施形態では、ホルダは、基部と、基部から上方に延びる周側壁とを有する保持ふるいである。底部および/または側壁は、好ましくは、注入中に水が通過できるように穴または穿孔を有する。好ましくは、底部および/または側壁は、有利にはレーザーの助けを借りて製造され、好ましくは各々が最大2mm、より好ましくは最大1mmの直径を有する穴または穿孔を備えるシートである。意図したとおりに使用する場合、保持ふるいは、好ましくは、保持ふるいの底部および側壁が注入容器の下部内面および側部内面から距離をおいて配置されるように、注入容器の内部に排他的に配置することができる。
【0028】
保持ふるいは金属製またはプラスチック製、特にシリコーン製とすることができる。しかしながら、例えば紙で作ることもできる。
【0029】
好ましくは、1つ以上の保持アームがホルダに取り付けられ、この保持アームはホルダを注入容器内に保持する役割を果たす。例えば、保持アームは、注入容器の上側、特に上縁に載るように構成することができる。
【0030】
注入容器の側部内面および/または下部内面からのホルダの間隔を確保するために、好ましくは1つ以上のスペーサがホルダに取り付けられる。スペーサは特に、前述の保持アームに取り付けるか、またはそれによって形成することができる。
【0031】
注入容器は、好ましくは、出口開口部を形成し、出口導管を接続する役割を果たす接続片を有する。
【0032】
注入容器を時々徹底的に洗浄するため、あるいは必要に応じて交換するためにさえ、注入容器はハウジングから簡単に取り外せることが好ましい。したがって、有利なことに工具は必要ない。
【0033】
取り扱いをさらに簡単にするため、および/または飲料の調製を改善するため、および/または誤った操作を防止するため、自動機械は、好ましくは、調製プログラムを制御するために使用される制御部に接続される1つまたは複数のセンサを有する。
【0034】
例えば、機械は、注入容器がハウジング内に正しく挿入されているかどうかを検出するための注入容器センサを有することができる。そして、制御部は、例えば、注入容器がハウジング内に正しく挿入されていないことを注入容器センサが検出した場合に、音響信号または視覚信号を発する、ならびに/もしくは飲料調製を停止または防止するように構成することができる。注入容器センサは、好ましくは機械式または電気機械式のセンサである。
【0035】
熱が逃げたり、汚れ粒子が入ったりするのを防ぐため、自動機械は好ましくは、注入容器を閉じるための蓋を備えている。蓋で注入容器を閉じることは、ホルダが注入容器に挿入されているときにも有利に可能である。好ましくは、蓋が開いた状態か閉じた状態かを検出する蓋センサが設けられる。制御部は、蓋が開いていることを蓋センサが検出した場合、音響信号または視覚信号を発する、ならびに/もしくは飲料の調製を停止または防止するように構成することができる。
【0036】
入口装置は、好ましくは全体として一体で、有利にはプラスチック材料からの射出成形によって製造される。しかしながら、入口装置が、射出成形によってプラスチック材料から作ることができる複数の部品を有することも可能である。
【0037】
特に好ましい実施形態では、入口装置は、液体を注入容器に入れるための複数の入口開口部を有する。これらは、好ましくは注入容器の側部内面に沿って、特に好ましくは互いに均一な間隔で配置される。その後、液体は入口開口部から側部内面を周方向に流れて注入容器に入る。この目的のために、入口装置は、液体を入口開口部に分配する役割を果たす円周状の環状空間を有することができる。この場合、入口開口部はそれぞれ環状空間に開口している。
【0038】
入口開口部は、好ましくは、注入容器に流入する液体の方向を規定する短いチューブ部分によってそれぞれ縁取られている。チューブ部分は、例えば、液体が注入容器に入る際に液体を霧状にするためのノズルを形成することができる。
【0039】
液体が注入容器の側部内面上を螺旋状に進入するように入口装置が構成されている場合、液体の消費量が少なく、特に効率的な洗浄効果が得られる。この目的のために、特に入口開口部を囲む管部分は、それに応じて整列させることができる。
【0040】
注入容器をハウジングから容易に取り外すことができるように、入口装置は、有利には、注入容器の上側に対して開閉することができる。
【0041】
好ましくは、注入容器に対する入口装置の位置を検出する入口装置センサが設けられる。制御部は、入口装置が注入容器上に正しく配置されていないことを入口装置センサが検出した場合、音響信号または視覚信号を発する、および/または飲料調製を停止または防止するように構成され得る。
【0042】
入口装置は同時に、注入容器を閉じるための蓋を形成することができる。
【0043】
注入容器は、好ましくはガラス、セラミック、特に磁器、またはコーティングされた材料で作られ、特に好ましくは単一片として製造される。そのため、洗浄の手間をさらに減らすことができる。好ましくは、注入容器は上部が開いている。
【0044】
自動機械はまた、注入された飲料が出口導管を通って飲料受容器に排出され得るように、飲料受容器が自動機械内または自動機械上に配置されているかどうかを検出するための飲料受容器センサを有することができる。そして、制御部は、特に、飲料受容器センサが、飲料受容器が存在しないこと、または飲料受容器が正しく配置されていないことを検出した場合に、音響信号または視覚信号を発するように、ならびに/もしくは調製飲料の排出を停止または防止するように構成することができる。
【0045】
注入材料の計量を可能にするために、1つ以上の重量センサを設けることができる。制御部は、特に、調製プログラムを注入材料の量に自動的に適合させるように構成することができる。好ましくは、重量センサは、ホルダが注入容器に挿入されたときに、その中に収容された注入材料を含むホルダの重量を測定するように構成されるように配置される。
【0046】
注入材料からの香味物質の抽出を強化するため、および/または注入中の注入材料と水との混合を改善するために、自動機械は、注入容器内の注入材料を機械的に処理するための処理装置をさらに有することができる。処理装置は、特に、注入材料を押し出すために保持ふるいの底に押し付けられるプランジャーとすることができる。処理装置は、ユーザが手動で操作することも、モータを使って自動的に操作することもできる。
【0047】
水および/または注入飲料を温調するために、自動機械は好ましくは加熱および/または冷却装置、特にクライオスタットを有する。加熱および/または冷却装置は、水タンクの近傍、または供給管路もしくは排出管路内に配置することができる。加熱および/または冷却装置が、注入容器または飲料受容器を加熱または冷却する役割を果たすことも考えられる。好ましくは、水の温度、特に加熱および/または冷却装置の領域における温度を制御するために、1つまたは複数の温度センサが設けられる。加熱および/または冷却装置が、加熱および/または冷却装置に入るときの水温を測定する入力温度センサと、加熱および/または冷却装置から出るときの水温を測定する出力温度センサを備えていれば、水温の特に良好な制御および調節が可能である。
【0048】
自動機械はまた、好ましくは、水および/または液体を注入容器、特に入口装置に送るためのポンプを有する。自動機械は、ミルクまたは濃縮シロップのような追加の媒体を注入飲料に加えることを可能にする追加の調製部を有してもよい。特に、追加調製部は、追加媒体を保持する役割を果たす追加タンクを有することができる。追加媒体を温調するために、加熱および/または冷却装置を設けてもよい。さらに、追加調製部は、圧縮空気ポンプ、圧縮空気接続部、および/または追加媒体を搬送するための流体ポンプを含むことができる。
【0049】
本発明は、さらに、注入飲料の調製に供される注入容器の自動洗浄方法に関し、注入容器は、下部内面と側部内面とを有し、これらの内面は、共に、注入材料および水の収容に供される内部空間を画定し、この方法は、特に、上記に示した自動機械によって実施され、少なくとも、特に水などの液体を、液体が均一に、好ましくは螺旋状に側部内面上を注入容器の内部空間に流れるように、注入容器に導入するステップを含む。有利には、流入液は、好ましくは少なくとも40℃、さらに好ましくは少なくとも60℃、最も好ましくは少なくとも70℃の温度を有する加熱水である。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【
図1】
図1は、本発明の第1の変形例による、保持ふるいが挿入され、その上に自動機械の入口装置が配置された注入容器の概略的に示された中央断面図である。
【
図2】
図2は、本発明の第2の変形例による、保持ふるいが挿入され、その上に自動機械の入口装置が配置された注入容器の概略的に示された中央断面図である。
【
図3】
図3は、本発明の第3の変形例による、保持ふるいが挿入され、その上に自動機械の入口装置が配置された注入容器の概略的に示された中央断面図である。
【
図4】
図4は、本発明の第4の変形例による、保持ふるいが挿入され、その上に自動機械の入口装置が配置された注入容器の概略的に示された中央断面図である。
【
図5】
図5は、第1の実施形態による、本発明による自動機械の概略的に示された中央断面図である。
【
図6】
図6は、
図5の自動機械の上方に配置された保持ふるいおよび入口装置を下から見た図である。
【
図7】
図7は、第2の実施形態による自動機械の注入容器の領域の、蓋と入口装置とが開いた状態の概略的に示された中央断面図である。
【
図8】
図8は、第3の実施形態による自動機械の注入容器の領域の概略的に示された中央断面図であり、蓋と入口装置とが開いた状態を示す図である。
【
図9】
図9は、第4の実施形態による、本発明による自動機械の注入容器の領域の概略的に示された中央断面図である。
【
図10】
図10は、第5の実施形態による、本発明による自動機械の注入容器の領域の概略的に示された中央断面図である。
【
図11】
図11は、第6の実施形態による、本発明による自動機械の概略的に示された中央断面図である。
【
図12】
図12は、第7の実施形態による、本発明による自動機械の概略的に示された中央断面図である。
【
図13a】
図13aは、本発明による自動機械の遮断状態にある出口バルブの概略的に示された中央断面図である。
【
図14】
図14は、本発明による別の自動機械のロック状態にある出口バルブの概略的に示された中央断面図である。
【
図15】
図15は、注入容器内の注入材料を機械的に処理するための処理装置を備えた本発明による自動機械の注入容器の領域の概略的に示された中央断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0051】
以下、本発明の好ましい実施形態を図面を参照して説明するが、図面は説明のためのものであり、制限的に解釈されるものではない。それは図面に示されている。
【0052】
以下に説明する
図1~
図15は、本発明による、注入飲料を調製するための自動機械およびその部品の様々な実施形態を示す。異なる実施形態からの要素であるが、同一または類似の機能を有するものには、それぞれ同一の参照数字が付されている。可能な限り、異なる実施形態の特徴は、もちろん、他の実施形態にどのような方法でも移し替えることができ、すなわち、異なる実施形態をどのような方法でも互いに組み合わせることができる。
【0053】
図1は、保持ふるい5がその中に挿入され、その上に入口装置4が配置された注入容器3の概略的断面図である。注入容器3は、ここでは円形の底部を有し、これが下部内面31を形成している。側部内面32を形成する円筒状の側壁が底部から円周方向に延びている。さらに、接続片35が底部から重力方向に短い距離で中央下方に延びている。接続片35は出口開口部34を形成する。下部内面31と側部内面32とは、共に注入容器3の内部空間33を画定する。注入容器3全体は、好ましくは一体に構成され、有利にはガラス、セラミック、またはコーティングされたプラスチック製である。
【0054】
保持ふるい5は、注入容器3の下部内面31および側部内面32のいずれにも接触しないように、内部空間33に挿入される。保持ふるい5は円形の底部51を有し、そこから円筒形の側壁52が円周方向に上向きに延びている。側壁52および有利には底部51は、複数の開口部および/または穿孔を有し、これらの開口部および/または穿孔は、水が通過できるが、保持ふるいに保持された注入材料は通過できないような寸法にされる。したがって、保持ふるい5は、飲料の調製中、特に注入中に、注入材料のホルダとしての役割を果たす。注入材料は、例えば粉末状、または葉状、または袋詰めなど、どのような形態でも保持ふるい5に収容することができる。保持ふるい5は、例えば、入口装置4または自動機械の他の要素に保持することができる。
【0055】
入口装置4は、導水管23に接続されており、飲料を調製する目的で、および/または注入容器3を洗浄するために、保持ふるい5に保持された注入材料を注入するために、注入容器3の内部空間33に水を導入するために使用される。この目的のために、入口装置4は、水がこれらから直接注入容器3の側部内面32に流れ、そこから内部空間33の下方に均等に流れるように配置された1つ以上の入口開口部41を有する。このようにして、先の飲料調製で注入容器3の内面に付着したままの残留物、沈殿物、および汚れ粒子が除去される。
【0056】
出口導管26は、ここでは可撓性ホースで形成された接続片35に取り付けられている。調製後、注入飲料は、出口導管26を通して、下方に位置する飲料受容器に排出することができる。
【0057】
図2に示す変形例では、注入容器3を閉じることができる蓋7も設けられている。蓋7には、蒸気または凝縮水を逃がすための1つ以上の開口部71が設けられている。代替的または追加的に、この目的のために、蓋7と注入容器3との間に対応する隙間を設けることもできる。保持ふるい5を閉じるために、ここには示していないが、追加のふるい蓋を設けることもできる。注入容器3は、ここで接続片35とともにハウジング1に挿入される。
【0058】
図3は、注入プロセス中、保持ふるい5を注入容器3の内面31、32に対して間隔をあけて配置することを保証する可能なホルダを示す。保持アーム53は、この目的のために保持ふるい5に取り付けられており、それぞれが半径方向外側に延び、注入容器3の上縁に載っている。保持アーム53は、入口装置4から注入容器3に流入する水が妨げられないように配置される。
【0059】
保持アーム53はそれぞれ、側部内面32の領域に垂直部を有し、これがスペーサ54を形成する。
【0060】
保持ふるい5が意図した通りに注入容器3に挿入されると、内面31および32に接触しないことが確実になる。その結果、保持ふるい5と注入容器3との間には、水が入口装置4から導入されたときに粒子が付着するような接触点は形成されない。
【0061】
図4は、保持アーム53が
図3のように保持ふるい5の上縁ではなく底部51に取り付けられている変形例を示している。さらに、注入容器3は、ここではハウジング1の壁によって周方向に囲まれている。
【0062】
図5は、注入飲料を調製するための本発明による自動機械を通る中央断面図を概略的に示す。この自動機械は、断面図が一般にC字状のハウジング1を備えている。C字状の下側の水平に延びる脚部は、飲料受容器Tを出口導管26の下方に収納するために使用される収納面11を形成する。飲料受容器Tは、調製された注入飲料を保持する役割を果たす。収納面11は、好ましくは、液体を透過する板、すなわち開口部を備えたプレートによって形成される。このプレートの下には、ドリップトレイを配置するのが好ましい。
【0063】
図5は、特に自動機械の水処理部2を示している。水処理装置は特に、水タンク22、ポンプ24、加熱または冷却装置25、およびこれらの要素を互いに接続する前述の導水管23を備えている。好ましくはハウジング1から容易に取り外し可能な水タンク22は、飲料の調製に必要な水を保持および供給する役割を果たす。水タンク22の代わりに、またはそれと組み合わせて、自動機械に水を連続的に供給するための水道を設けることもできる。導水管23を介して、水タンク22はポンプ24に接続されており、ポンプ24は水タンク22から入口装置4に水を送る役割を果たす。ポンプ24は、そうである必要はないが、例えばダイヤフラムポンプや振動アーマチュアポンプであってもよい。導水管23内のポンプ24と入口装置4との間に配置された加熱または冷却装置25は、注入容器3に入る前に水を温調する役割を果たす。加熱または冷却装置25は、加熱コイルまたはフローヒーターなどの加熱要素から構成することができ、および/または、例えばアイスティーの調製のために水を冷却する冷却装置を含むことができる。
【0064】
注入容器3から、調製された注入飲料は、出口導管26を経由して、その直下に配置された飲料受容器Tに入る。出口バルブ27の助けを借りて、注入容器3内に位置する液体のための出口導管26を通る通路は、必要に応じて開閉することができる。自動機械は、好ましくは、注入容器3への水の流入中およびその後の反応時間中、出口バルブ27を閉じた状態に保ち、注入容器3の出口開口部34から液体が漏れないように構成される。注入時間が経過し、飲料の調製が完了すると、出口バルブ27を自動的に開いて、注入された飲料を飲料受容器Tに排出することができる。出口バルブ27は、好ましくはピンチバルブとして構成される。すなわち、フレキシブルに設計された出口導管26を通る通路は、外部から機械的に圧縮されることによって後者によって閉じられる。
【0065】
図5に見られるように、入口装置4と蓋7とはそれぞれ、注入容器3に対して開閉可能である。したがって、注入容器3とそこに挿入された保持ふるい5は、ハウジングから非常に簡単に取り外すことができる。これにより、これらの部品のクリーニングがかなり容易になる。入口装置4のヒンジ42と蓋7のヒンジ72とが開閉のために設けられている。
【0066】
図5に示す実施形態では、保持ふるい5には保持アーム53が取り付けられており、その各アームは側壁52の上縁から水平方向外側に延び、注入容器3の上縁に載っている。保持ふるい5の側壁52を周方向に確実に支持するために、下方に突出するスペーサ54が保持アーム53の下面にそれぞれ設けられている。入口装置4から、飲料調製用の水も、側部内面32上を流れるように注入容器3内に流入し、それによって注入容器3の内面31、32から付着物および汚れの残留物を除去する。
【0067】
図5に示す自動機械は、調製プログラムの制御、すなわち実行に使用される制御部6も備えている。この目的のため、制御部6は、少なくともポンプ24、加熱または冷却装置25、および出口バルブ27に接続されている。
【0068】
また、図示しないユーザインタフェースを設け、ユーザが調製プログラムを選択および設定できるようにしてもよい。特に、ユーザインタフェースは、タッチスクリーンおよび/または従来の回転式スイッチおよびボタンを含んでもよい。代替的または追加的に、自動機械は、例えばスマートフォンと無線通信するための通信部を有してもよい。この場合、スマートフォンアプリがユーザインタフェースとして機能することができる。自動機械のユーザインタフェースまたは通信部は、制御部6に接続されており、この制御部6は、好ましくは、制御を実行するためのCPUおよび少なくとも1つの記憶素子を備えている。記憶素子により、制御部6の個別のパラメータ化および/またはプログラミングが有利に可能となる。個別プログラムにより、ユーザは異なる種類の茶のための複数の調製プログラムを作成することができ、これにより、異なる種類の茶のパッケージは、例えば、内蔵のデジタルカメラまたはスマートフォンアプリを介して記録され、その後、タッチスクリーンまたは自動機械のディスプレイに表示される。これにより、ユーザは、異なる飲料タイプにあらかじめ適合させた、希望する調製プログラムを選択しやすくなる。ユーザは、タッチスクリーンまたはスマートフォンのアプリで対応する茶種別のパッケージの画像をタップするだけで、制御部6によって予め正しい調製プログラムが処理される。
【0069】
自動機械の取り扱いを容易にし、誤作動を回避し、飲料調製をさらに最適化するために、自動機械は、好ましくは、
図5に示すように、制御部6に接続された複数のセンサを有する。
【0070】
例えば、水タンク22がハウジング1に正しく挿入されているかどうか、および/または水タンク22が水で十分に満たされているかどうかを検出するために、水タンクセンサ67を設けることができる。導水管23内に配置された流量計68は、飲料調製中に注入容器3に供給される水の量を測定するために使用される。蓋センサ62および入口装置センサ63も、蓋7および入口装置4が正しく閉じられ、注入容器3の上方に配置されているかどうかを検出するために設けることができる。さらに、注入容器3がハウジング1に正しく挿入されているかどうかを検出するために、注入容器センサ61を設けることができる。飲料受容器センサ64は、飲料受容器Tが収納面11上の出口導管26の下方に配置されているか否かを検出するために設けることができる。特に、上述の各センサ61、62、63、64および67には、機械式または電気機械式のセンサを使用することができる。これに代えて、例えば光学センサの使用も考えられる。制御部6は、好ましくは、センサ61、62、63、64および67から受信した信号に応じて、音響信号または視覚信号を発する、ならびに/もしくは飲料の調製を停止または阻止するように構成される。加熱または冷却装置25を制御し、注入容器3に流入する水の温度を制御するために、入口温度センサ65および出口温度センサ66が設けられており、これらは、加熱または冷却装置20の始端および終端の流れ方向にそれぞれ配置されている。
【0071】
すでに述べたように、水は、注入容器3の内部空間33に入口装置4によって導入され、側部内面32上を下部内面31に向かって均一に下方に流れる。
図5の実施形態では下部内面31が円錐形に設計されているため、水は側部内面32から下部内面31を越えて出口開口部34まで均一に流れる。こうして、注入容器3の内面31、32から汚れ粒子および付着物が除去される。
【0072】
このような注入容器3への水の導入を効果的に行うために、
図6に示すように、入口装置4は、注入容器3の側部内面32に沿って一定の間隔で配置された複数の入口開口部41を有する。上流側では、入口開口部41は、好ましくは、導水管23から入口開口部41に流れる水を分配するために入口装置4内で機能する環状空間に開口している。したがって、入口装置4は、特に、
図6に見られるように、全体として環状の構成を有することができる。
図6にもはっきりと示されているように、入口開口部41は、好ましくは、水が注入容器3に入るときに保持アーム53によって影響を受けたり妨げられたりしないように配置される。
【0073】
より少ない水消費で注入容器3の特に効率的な洗浄を達成するために、好ましくは、入口装置4は、水を螺旋状に内部空間33に導入するように構成される。注入容器3内に流入する水の方向を特定するために、入口開口部41はそれぞれ短いチューブ部分で囲むことができる。
図6では、螺旋状の水流Wが矢印で示されている。
【0074】
図7は、追加の入口装置4’が設けられている点で、
図5とは異なる実施形態を示す。追加の入口装置4’は、注入飲料を調製するために飲料水を注入容器3に導入するために使用することができるが、入口装置4は、特に洗浄工程のために設けることができ、それに応じて、注入容器3に洗浄液を導入する役割を果たす。しかしながら、追加の入口装置4’は、飲料の調製時に注入容器3をより迅速に充填できるようにするために単に使用することもできる。
図5とは対照的に、
図7は入口装置4と蓋7とが開いた状態を示している。
【0075】
図7の実施形態では、入口装置4と蓋7とに別々のヒンジ42および72が設けられているが、
図8の実施形態では、入口装置4と蓋7とは、共通のヒンジ72を介してハウジング1に取り付けられている。入口装置4は、ここで蓋7の下面にしっかりと接続されるか、あるいは蓋7の一部を形成することもできる。
【0076】
図9は、保持ふるい5を、蓋7および入口装置4を通して上方から注入容器3内に挿入することができる実施形態を示す。別の実施形態では、蓋7をハウジング1に取り付けず、保持ふるい5に取り付けることも可能である。
【0077】
図10の実施形態では、重量センサ69が追加的に設けられており、注入材料の重量を測定することができる。重量センサ69は制御部6に接続され、例えば、注入材料の量に調製プログラムを自動的に適合させることを可能にする。注入材料の計量は、例えば、保持ふるい5が注入容器3に挿入されるとすぐに、および/または飲料の調製が開始される前に、自動的に行うことができる。
【0078】
図11の実施形態では、同じ目的の重量センサ69がハウジング1の上側に配置されている。ユーザは、飲料を調製する前に、保持ふるい5に収容された注入材料を重量センサ69の上に置かなければならない。
【0079】
図11の実施形態はまた、ミルクまたは濃縮シロップなどの追加の媒体を飲料受容器Tに供給するための追加の調製部8が設けられている点で、
図5の実施形態とは異なっている。追加の調製部8は、追加媒体のための容器81を有し、この容器は、導管83を介して、飲料受容器Tのための収納面11の上方に配置された出口片84に接続されている。追加媒体を容器81から出口片84に送るために、圧縮空気ポンプ82が設けられており、このポンプで圧縮空気を容器81および導管83に送り込むことができる。圧縮空気ポンプ82の代わりに、外部の圧縮空気システムへの接続を可能にする圧縮空気接続部を設けることもできる。
図12に示す実施形態では、追加の媒体を搬送するために、圧縮空気ポンプ82の代わりに流体ポンプ85が設けられている。この流体ポンプは、追加媒体用容器81と出口片84との間の導管83内に配置される。流体ポンプ85は、特に蠕動ポンプとして構成することができる。さらに、出口片84は、ここで注入容器3の内部空間33に開口する。さらに、加熱または冷却装置86が設けられ、容器81内の追加媒体を温調する役割を果たす。
【0080】
ここでピンチバルブとして構成された出口バルブ27の設計および機能は、
図13aおよび13bに示されている。ロック状態(
図13a)では、可撓性ホースで形成された出口導管26は、スライダーによって圧縮され、挟み込まれる。開放状態(
図13b)では、スライダーは出口導管26から離れた位置に配置され、出口導管26を通る通路は自由である。類似の状況が
図14に示されているが、ここでは出口導管26は注入容器3にしっかりと取り付けられており、例えば溶接されている。
【0081】
図15は、注入容器3内の注入材料の機械的処理に使用されるプランジャー9の形態の追加処理装置を備えた実施形態を示す。プランジャー9をモータまたは手で自動的に矢印の方向に沿って保持ふるい5内に押し下げることにより、注入材料を押し出すことができる。このような処理装置は、茶またはハーブ飲料の調製に特に有利である。プランジャー9は、押し下げ操作中に注入材料が上方に逃げるのを防止するために、半径方向の円周シール91を有する。
【0082】
もちろん、ここで説明した発明は、挙げた実施形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。例えば、液体を螺旋状に注入容器3内に流入させるために、入口装置は単一の出口開口部のみを有することもできる。しかしながら、出口開口部は、例えば、液体が途切れることなく注入容器3の側部内面32に導かれるように、環状であることも同様に可能である。
【0083】
さらに、他の実施形態では、保持ふるいを他のホルダに置き換え、あるいは完全に省略することもできる。注入材料は、注入容器3に直接入れることもできる。さらに、ここで有利であると考えられるとしても、他の実施形態では、注入容器はハウジング1にしっかりと接続され、したがってそこから取り外し不可能とすることも可能である。水タンクの代わりに、自動機械は、主水道からホースを接続するための水道片を備えることもできる。さらなる変形例として、入口装置は、注入容器または保持ふるいを閉じるための蓋、もしくは注入容器自体によって形成することもできる。さらに複数の変形例が考えられる。
【符号の説明】
【0084】
1 ハウジング
6 制御部
11 収納面
61 注入容器センサ
62 蓋センサ
2 水処理部
63 入口装置センサ
22 水タンク
64 飲料受容器センサ
23 導水管
65 入口温度センサ
24 ポンプ
66 出口温度センサ
25 加熱または冷却装置
67 水タンクセンサ
26 出口導管
68 流量計
27 出口バルブ
69 重量センサ
3 注入容器
7 蓋
31 下部内面
71 開口部
32 側部内面
72 蓋用ヒンジ
33 内部空間
34 出口開口部
8 追加調製部
35 接続片
81 追加媒体用容器
82 圧縮空気ポンプ
4、4’ 入口装置
83 導管
41 入口開口部
84 出口片
42 入口装置用ヒンジ
85 流体ポンプ
86 加熱または冷却装置
5 ホルダ、保持ふるい
9 プランジャー
51 底部
91 シール
52 側壁
53 保持アーム
T 飲料受容器
54 スペーサ
W 水流
【国際調査報告】