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特表2024-525514耐火材用液状バインダー及びこれを含む耐火レンガ
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  • 特表-耐火材用液状バインダー及びこれを含む耐火レンガ 図1
  • 特表-耐火材用液状バインダー及びこれを含む耐火レンガ 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-12
(54)【発明の名称】耐火材用液状バインダー及びこれを含む耐火レンガ
(51)【国際特許分類】
   C04B 35/63 20060101AFI20240705BHJP
   C04B 35/632 20060101ALI20240705BHJP
   C04B 35/636 20060101ALI20240705BHJP
   C04B 35/043 20060101ALI20240705BHJP
   C21C 5/44 20060101ALI20240705BHJP
   C21C 7/00 20060101ALI20240705BHJP
   C21C 1/06 20060101ALI20240705BHJP
   C21C 5/52 20060101ALI20240705BHJP
【FI】
C04B35/63 030
C04B35/632
C04B35/636
C04B35/043 500
C21C5/44 Z
C21C7/00 Q
C21C1/06
C21C5/52
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023581019
(86)(22)【出願日】2021-06-30
(85)【翻訳文提出日】2023-12-28
(86)【国際出願番号】 KR2021008260
(87)【国際公開番号】W WO2023277216
(87)【国際公開日】2023-01-05
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524003220
【氏名又は名称】トーヨー ケミカル カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジャハニ,モルテジャ ファシバフ
【テーマコード(参考)】
4K013
4K014
4K070
【Fターム(参考)】
4K013CF19
4K014AD04
4K014AD23
4K014CD03
4K070CC03
(57)【要約】
本発明は、アルカリ金属及びアルカリ土類金属からなる群から選択される1種以上を含む塩基性化合物;及び、3個以上の官能基を含む有機酸;の反応物を含む、耐火材用液状バインダー、及びこれを含む耐火レンガに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルカリ金属及びアルカリ土類金属からなる群から選択される1種以上を含む塩基性化合物;及び
3個以上の官能基を含有する有機酸;の反応物を含む、耐火材用液状バインダー。
【請求項2】
前記アルカリ金属は、ナトリウム(Na)及びカリウム(K)からなる群から選択される1種以上の金属、その酸化物、水和物、ハロゲン化物、硫化物、窒化物、酸素酸塩、炭酸塩及び有機酸塩からなる群から選択される1種以上を含む、請求項1に記載の耐火材用液状バインダー。
【請求項3】
前記アルカリ土類金属は、マグネシウム(Mg)及びカルシウム(Ca)からなる群から選択される1種以上の金属、その酸化物、水和物、ハロゲン化物、硫化物、窒化物、酸素酸塩、炭酸塩及び有機酸塩からなる群から選択される1種以上を含む、請求項1に記載の耐火材用液状バインダー。
【請求項4】
前記有機酸は、クエン酸及びエチレンジアミン四酢酸(Ethylenediaminetetraacetic acid)からなる群から選択される1種以上を含む、請求項1に記載の耐火材用液状バインダー。
【請求項5】
水をさらに含み、
水と有機酸を1.0:0.2から0.8の重量比で含む、請求項1に記載の耐火材用液状バインダー。
【請求項6】
有機酸と塩基性化合物を5から100:1.0の重量比で含む、請求項1に記載の耐火材用液状バインダー。
【請求項7】
安定化剤及び粘力増進剤からなる群から選択される1種以上をさらに含む、請求項1に記載の耐火材用液状バインダー。
【請求項8】
前記安定化剤は、酒石酸、乳酸、シュウ酸、ホウ酸及びリン酸からなる群から選択される1種以上を含む、請求項7に記載の耐火材用液状バインダー。
【請求項9】
前記粘力増進剤は、トウモロコシ澱粉、ジャガイモ澱粉、カルボマー、キサンタンガム、メチルセルロース、メタメチルセルロース及び糖蜜からなる群から選択される1種以上を含む、請求項7に記載の耐火材用液状バインダー。
【請求項10】
耐火材用液状バインダーの総重量に対して0.1から15重量%の安定化剤及び0.1から10重量%の粘力増進剤を含む、請求項7に記載の耐火材用液状バインダー。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載の耐火材用液状バインダー;及び耐火材料;を含む、耐火材。
【請求項12】
前記耐火材料は、マグネシア系、アルミナ系、クロム系、ドロマイト系及び黒鉛系耐火材料からなる群から選択される1種以上を含む、請求項11に記載の耐火材。
【請求項13】
熱間特性改善剤をさらに含む、請求項11に記載の耐火材。
【請求項14】
前記熱間特性改善剤は、ピッチ(Pitch)、窒化ケイ素(Si)、ボロンカーバイド(BC)及びカーボンブラックからなる群から選択される1種以上を含む、請
求項13に記載の耐火材。
【請求項15】
請求項1から10のいずれか一項に記載の耐火材用液状バインダー;及び
耐火材料;を含む、耐火レンガ。
【請求項16】
マグネシア-カーボン系耐火レンガ、マグネシア-アルミナ-カーボン系耐火レンガ、アルミナ-シリカ系耐火レンガ、マグネシア-クロム系耐火レンガ、マグネシア-スピネル系耐火レンガ、アルミナ-炭化ケイ素-カーボン系耐火レンガ、アルミナ-カーボン系耐火レンガ、アルミナ-炭化ケイ素-マグネシア系耐火レンガ又はマグネシア系耐火レンガである、請求項15に記載の耐火レンガ。
【請求項17】
還元焼成レンガ、焼成レンガ又は不焼成レンガである、請求項15に記載の耐火レンガ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有害ガスの発生が少なく品質に優れた耐火材を製造することができるため、親環境性に優れた耐火材用液状バインダー及びこれを含む耐火レンガに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、製鉄及び/又は製鋼工程で用いられる耐火材は、高耐食性及び高耐熱性が必要であり、このような耐火材は、電気炉、転炉、レードル(Ladle)、混銑車などに主に用いられる。従来、耐火材は、フェノール樹脂を結合剤として用いて製造されたが、フェノール樹脂を用いて製造された耐火材は、製鉄、製鋼作業時に発生する熱により熱分解されて多様な分解ガスを生成する。このような分解ガスは、多量の芳香族有機化合物を含有しているため、人体に悪影響を及ぼすものと知られている。特に、分解ガスにおけるフェノール、クレゾール、キシレノールなどは、強い刺激性の匂いを有して深刻な悪臭を発生させ、作業環境及び周辺環境を汚染させる。
【0003】
従来、このような問題を改善させるための方法として、フェノール樹脂の熱分解が完了する時点まで耐火材を予備加熱して用いたりもしたが、このような方法は、悪臭低減の効果が大きくなく、耐火材の物性に悪影響を及ぼすという限界があった。また、前記予備加熱方法は、使用現場ではなく製造現場においても有害ガスが発生するので、これは根本的な解決方法とならなかった。
【0004】
これに対する代案として、韓国登録特許第967408号(特許文献1)には、カーボン含有耐火性骨材及び結合剤を含むカーボン含有耐火材組成物として、前記結合剤が硫酸マグネシウム、リグノスルホン酸塩及び水からなるカーボン含有耐火材組成物が開示されている。しかし、特許文献1のように、硫酸マグネシウム、リグノスルホン酸塩などを含む耐火材は、高温露出時に熱分解が発生して熱間物性が足りず、耐浸食性などが足りない問題があった。
【0005】
したがって、高温露出時に有害ガスの発生が少なく、熱間特性、強度、耐浸食性などの物性に優れた耐火材を製造することができる耐火材用バインダー及びこれを含む耐火レンガに対する研究と開発が必要な実情である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そのため、本発明は、高温露出時に有害ガスの発生が少なく、熱間特性、強度、耐浸食性などの物性に優れた耐火材を製造することができる耐火材用液状バインダー、及びこれを含む耐火レンガの提供を図る。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、アルカリ金属及びアルカリ土類金属からなる群から選択される1種以上を含む塩基性化合物;及び
3個以上の官能基を含有する有機酸;の反応物を含む、耐火材用液状バインダーを提供する。
【0008】
また、本発明は、前記耐火材用液状バインダー;及び耐火材料;を含む、耐火材を提供する。
【0009】
また、本発明は、前記耐火材用液状バインダー;及び耐火材料;を含む、耐火レンガを
提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明による耐火材用液状バインダーは、従来のバインダーであるフェノール樹脂の問題点である、加熱により熱分解されながら発生する芳香族有機化合物の排出がないため親環境的である。また、フェノール樹脂は、混練以後、3から24時間の熟成時間が必要である反面、本発明による耐火材用液状バインダーは、混練のすぐ後に成形が可能なので、生産性に優れ、混練性に優れて混練時間の短縮が可能である。さらに、フェノール樹脂などの熱可塑性樹脂は、成形後、強度を発現させるために一定の温度以上で熱処理が必要である反面、本発明による耐火材用液状バインダーは、水系用バインダーなので、乾燥時間を大幅に短縮させてエネルギー費用を節減することができる。
【0011】
また、前記耐火材用液状バインダーを含む耐火材及び/又は耐火レンガは、熱間特性、強度、耐浸食性などの物性に優れるため、製鉄、製鋼などの高温の溶融物が用いられる産業分野に適用可能である。特に、前記耐火材及び/又は耐火レンガは、耐火性能に優れるため、電気炉、レードル(ladle)、転炉、混銑車、製鋼、製鉄などの精錬工程などの多様な分野に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施例52の耐火材から放出される分解ガスの成分分析の結果である。
図2】比較例1の耐火材から放出される分解ガスの成分分析の結果である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0014】
耐火材用液状バインダー
本発明の耐火材用液状バインダーは、塩基性化合物及び3個以上の官能基を含有する有機酸の反応物を含む。
【0015】
前記耐火材用液状バインダーは、液状形態なので、保管上の安定性に優れ、耐火材料との混練性に優れており、フェノール樹脂の問題点である有害ガスの排出がないので、親環境性に優れるという効果がある。
【0016】
塩基性化合物
塩基性化合物は、有機酸と反応してバインダーに粘性を付与する役割を担う。
【0017】
前記塩基性化合物は、アルカリ金属及びアルカリ土類金属からなる群から選択される1種以上を含む。
【0018】
前記アルカリ金属は、ナトリウム(Na)及びカリウム(K)からなる群から選択される1種以上の金属、その酸化物、水和物、ハロゲン化物、硫化物、窒化物、酸素酸塩、炭酸塩及び有機酸塩からなる群から選択される1種以上を含むことができる。具体的に、前記アルカリ金属は、NaOH、NaCl、NaO、NaCO、NaHCO、2NaCO・3H、KO、KOH、KCl、KS及びKNHからなる群から選択される1種以上を含むことができる。
【0019】
前記アルカリ土類金属は、マグネシウム(Mg)、及びカルシウム(Ca)からなる群から選択される1種以上の金属、その酸化物、水和物、ハロゲン化物、硫化物、窒化物、酸素酸塩、炭酸塩及び有機酸塩からなる群から選択される1種以上を含むことができる。具体的に、前記アルカリ土類金属は、MgO、Mg(OH)、MgCO、MgO・C
aO、MgCO・CaCO、CaO、CaCO、及びCaOHからなる群から選択される1種以上を含むことができる。このとき、前記酸化マグネシウム(MgO)は、軽焼(acustic calcined)マグネシア、電融(fused)マグネシア、焼成(sintered)マグネシア及び重焼(dead burned)マグネシアからなる群から選択される1種以上であってよい。
【0020】
前記塩基性化合物は、平均直径が5.0mm以下、0.01mmから5.0mm、0.01から1.0mm、0.01mmから0.3mm、又は0.01mmから0.045mmであってよい。塩基性化合物の平均直径が前記範囲内である場合、高い比表面積により有機酸との反応活性度が高いため、高い純度の反応生成物を生成することができる。また、前記塩基性化合物の平均直径が前記範囲超過である場合、有機酸との反応活性度が足りず、バインダーに十分な粘力を発現させるためには反応時間が長くなる問題、及び未反応成分がバインダーの均質度に悪影響を及ぼして熱間強度などの製造された製品の物性に悪影響を及ぼす問題が発生し得る。
【0021】
有機酸
有機酸は、塩基性化合物と反応してバインダーに粘性を付与する役割を担う。
【0022】
前記有機酸は、3個以上の官能基を含有する。このとき、前記官能基は、カルボキシ基(COOH)であってよい。前述したように、3個以上の官能基を含有する有機酸を用いると、塩基性化合物と反応して強い粘性を発揮するという効果がある。
【0023】
具体的に、前記有機酸は、クエン酸及びエチレンジアミン四酢酸(Ethylenediaminetetraacetic Acid)からなる群から選択される1種以上を含むことができる。
【0024】
前記有機酸と塩基性化合物は、5から100:1.0の重量比、5から50:1.0の重量比、又は5から25:1.0の重量比で含むことができる。有機酸と塩基性化合物の重量比が前記範囲未満である場合、すなわち、塩基性化合物の重量を基準として少量の有機酸を含む場合、有機酸と反応して残った塩基性化合物が反応生成物と追加反応し、バインダーの粘力が喪失されるか、バインダーに沈澱などが発生するか、製造された耐火材料の強度が低下し得る。また、有機酸と塩基性化合物の重量比が前記範囲超過である場合、塩基性化合物の重量を基準として過量の有機酸を含む場合、有機酸と反応することができる塩基性化合物の陽(+)イオンが足りないのでバインダーの粘力が足りなくなり、未反応有機酸がバインダーに残存して製品の製造時に耐火材料と反応することにより発熱し、可使時間が短縮したり製品の表面乾燥が発生して強度が低下することがある。
【0025】
前記耐火材用液状バインダーは、水をさらに含むことができる。
【0026】

例えば、前記液状バインダーは、有機酸及び水を含む有機酸水溶液に塩基性化合物を添加して塩基性化合物の陽(+)イオンと有機酸が反応した反応物を含むことができる。
【0027】
水と有機酸は、1.0:0.2から0.8の重量比、1.0:0.3から0.8の重量比、又は1.0:0.33から0.75の重量比で含むことができる。このとき、水と有機酸の含量比が前記範囲未満である場合、すなわち、水の重量を基準として少量の有機酸を含む場合、バインダーの濃度低下により製造された耐火材の強度が下がる問題が発生し得る。また、水と有機酸の含量比が前記範囲超過である、すなわち、水の重量を基準として過量の有機酸を含む場合、バインダー内に沈澱が発生してバインダーの粘力低下を発生し、製造された耐火材の強度が下がることがある。
【0028】
前記液状バインダーは、水、有機酸及び塩基性化合物を1:0.3から1.0:0.01から0.20の重量比、1:0.3から0.75:0.02から0.17の重量比、又は1:0.33から0.75:0.025から0.15の重量比で含むことができる。
【0029】
また、耐火材用バインダーは、安定化剤及び粘力増進剤からなる群から選択される1種以上をさらに含むことができる。
【0030】
安定化剤
前記安定化剤は、未反応有機酸と余剰塩基性化合物を反応させて未反応有機酸による可使時間の短縮を予防し、余剰塩基性化合物によるバインダーの沈澱の発生を防止する役割を担う。
【0031】
また、前記安定化剤は、有機酸又は無機塩であってよく、具体的に、酒石酸、乳酸、リン酸、シュウ酸、ホウ酸及びリン酸からなる群から選択される1種以上を含むことができる。
【0032】
前記安定化剤は、耐火材用バインダーの総重量に対して0.1から15重量%、又は1から8重量%の含量で含まれてよい。安定化剤の含量が前記範囲未満である場合、バインダーの可使時間が短縮したり沈澱が発生して製造された耐火材の強度及び熱間強度が低下することがあり、前記範囲超過である場合、過量の安定化剤によるバインダーの沈澱の発生及び粘力の低下により、製造された耐火材の強度及び/又は熱間強度が低下することがある。
【0033】
粘力増進剤
前記粘力増進剤は、耐火材用液状バインダーの粘度を増進させて水分蒸発による安定性の低下を防止し、耐火材料との混練性を改善させる役割を担う。
【0034】
また、前記粘力増進剤は、例えば、トウモロコシ澱粉、ジャガイモ澱粉、カルボマー、キサンタンガム、メチルセルロース、メタメチルセルロース及び糖蜜からなる群から選択される1種以上を含むことができる。
【0035】
前記粘力増進剤は、耐火材用液状バインダーの総重量に対して0.1から10重量%、又は0.5から5.0重量%の含量で含まれてよい。粘力増進剤の含量が前記範囲未満である場合、粘力増進剤の添加による効果を得難く、前記範囲超過である場合、過量の粘力増進剤によりバインダーの凝集が発生して耐火材料との混練時に混練均質度が低下し、製造された製品の比重及び乾燥強度などの物性の低下が発生し得る。
【0036】
また、前述したような本発明による耐火材用液状バインダーは、コークス粉末をさらに含むことができる。このようにコークス粉末をさらに含む場合、前記液状バインダーは、耐火材の表面処理用、特に、コーティング用バインダーとして用いられてよい。このとき、前記コークス粉末の含量は、表面処理用、特に、コーティング用として用いるために適切な粘度及び作業性を有する程度であれば、特別な制限なく用いることができる。
【0037】
前述したような本発明による耐火材用液状バインダーは、従来、通常用いていたバインダーであるフェノール樹脂に比べ、混練性に優れて混練時間が短縮され、経済性に優れる。また、フェノール樹脂の場合、混練後、3から24時間の熟成時間が必要である反面、本発明による耐火材用液状バインダーは、混練のすぐ後に成形が可能なので、生産性も向上させることができ、乾燥時間も短縮されてエネルギー節減の効果もある。
【0038】
耐火材
本発明による耐火材は、前述したような耐火材用液状バインダー;及び耐火材料;を含む。
【0039】
前記耐火材料は、通常、耐火材に原料として用いられるものであれば、特別な制限なく用いることができ、例えば、マグネシア系、アルミナ系、クロム系、ドロマイト系及び黒鉛系の耐火材料からなる群から選択される1種以上を含むことができる。具体的に、前記耐火材料は、マグネシア-カーボン系、マグネシア-アルミナ-カーボン系、アルミナ-シリカ系、マグネシア-クロム系、マグネシア-スピネル系、アルミナ-炭化ケイ素-カーボン系、アルミナ-カーボン系及びマグネシア系の耐火材料からなる群から選択される1種以上を含むことができる。前記黒鉛系耐火材料は、天然黒鉛、鱗状黒鉛又は膨張黒鉛などを挙げることができる。
【0040】
また、前記耐火材は、100重量部の耐火材料に対して1から10重量部又は1から5重量部の耐火材用液状バインダーを含むことができる。耐火材料と液状バインダーの重量部が前記範囲未満である場合、耐火材料の重量に対して少量の液状バインダーを含む場合、成形強度及び熱間強度の低下による耐火材の耐浸食性の低下が発生し、耐火材料と液状バインダーの重量部が前記範囲超過である場合、耐火材料の重量に対して過量の液状バインダーを含む場合、混練時の凝集現象や成形(Press)時の割れ現象、及び高温におけるバインダーの揮発による強度の低下及び気孔率の上昇による寿命の低下(耐浸食性の低下)などの問題が発生し得る。
【0041】
また、前記耐火材は、安定化剤及び粘力増進剤からなる群から選択される1種以上をさらに含むことができる。このとき、前記安定化剤及び粘力増進剤は、前記液状バインダーで説明したとおりである。
【0042】
前記耐火材は、熱間特性改善剤をさらに含むことができる。
【0043】
熱間特性改善剤
前記熱間特性改善剤は、耐火材の熱間強度、耐浸食性、耐酸化性などを改善する役割を担う。
【0044】
このとき、前記熱間特性改善剤は、通常、耐火材に熱間特性の改善のために添加可能なものであれば、特別な制限なく用いることができ、例えば、ピッチ(Pitch)、窒化ケイ素(Si)、ボロンカーバイド(BC)及びカーボンブラックからなる群から選択される1種以上を含むことができる。
【0045】
前記熱間特性改善剤は、100重量部の耐火材料に対して0.1から3.0重量部又は0.1から1.0重量部の含量で含まれてよい。熱間特性改善剤の含量が前記範囲未満である場合、耐火材の熱間特性改善の効果を十分発現することができず、前記範囲超過である、耐火材の成形強度及び乾燥物性が低下するか鋼種に影響を与えることがある。
【0046】
耐火レンガ
また、本発明による耐火レンガは、前記耐火材用バインダー;及び耐火材料;を含む。
【0047】
このとき、前記耐火材料は、前記耐火材で説明したとおりである。
【0048】
前記耐火レンガは、マグネシア-カーボン系耐火レンガ、マグネシア-アルミナ-カーボン系耐火レンガ、アルミナ-シリカ系耐火レンガ、マグネシア-クロム系耐火レンガ、マグネシア-スピネル系耐火レンガ、アルミナ-炭化ケイ素-カーボン系耐火レンガ、ア
ルミナ-カーボン系耐火レンガ、アルミナ-炭化ケイ素-マグネシア系耐火レンガ又はマグネシア系耐火レンガであってよい。
【0049】
また、前記耐火レンガは、還元焼成レンガ、焼成レンガ又は不焼成レンガであってよい。
【0050】
前述したような本発明による耐火材及び/又は耐火レンガは、フェノール樹脂などの有機樹脂を含まず、製造過程で揮発性有機化合物(VOC)が発生しないため親環境的である。また、前記耐火材及び/又は耐火レンガは、耐火材に必要物性、例えば、圧縮強度、気孔率、耐浸食性、耐スポーリング性などに優れるため、製鉄、製鋼などの高温の溶融物が用いられる産業分野に適用可能である。特に、前記耐火材及び/又は耐火レンガは、耐火性能に優れるため、電気炉、レードル(ladle)、転炉、混銑車、製鋼、製鉄などの精錬工程などの多様な分野に適用することができる。
【実施例
【0051】
以下、下記実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。しかし、下記実施例による説明は、本発明の具体的な実施様態を特定して説明しようとするものに過ぎず、本発明の権利範囲をこれら実施例に記載された内容に限定したり制限して解釈することを意図するものではない。
【0052】
[実施例]
実施例1から8.耐火材用液状バインダーの製造
表1に記載の通りの含量で各成分を用いて耐火材用液状バインダーを製造した。
【0053】
具体的に、水と有機酸を混合した後、塩基性化合物を添加して塩基性陽(+)イオンを有機酸と反応させることで、耐火材用液状バインダーを製造した。液状バインダーの製造時に反応温度、反応時間、粘力を測定し、反応温度及び反応時間は、デジタル温度計を用いて温度値の最大値を測定し、反応時間は、反応温度が最高点に到達したときの時間を測定した。また、液状バインダーの粘力は、触感で上、中、下に区分して測定した。
【0054】
【表1】
【0055】
表1に示されている通り、塩基性化合物と有機酸の反応速度は、KOH、NaOH、NaO、KO、2NaCO・3H、NaHCO、KCl及びNaClの順に表れた。また、バインダーの粘力は、反応温度及び反応速度と関係なく、NaOH、NaHCO及び2NaCO・3Hを用いて製造されたバインダーの粘力が強く、KO、KOH、KCl、NaO、及びNaClを用いて製造されたバインダーが相対的に低い粘力を示した。
【0056】
実施例9から13.耐火材用液状バインダーの製造
表2に記載の通りの含量で各成分を用いて耐火材用液状バインダーを製造した。
【0057】
具体的に、水と有機酸を2:1の重量比で混合して塩基性化合物として水酸化ナトリウム(NaOH)を添加した後、反応温度、反応時間及び粘力を前記実施例1と同一の方法で測定した。
【0058】
【表2】
【0059】
表2に示されている通り、塩基性化合物であるNaOHの添加量による反応温度、反応時間、及び粘力を示した。塩基性化合物の添加量が3から15重量部に増加するに伴って反応温度は増加したが、粘力は5から7.5重量部で強く表れた。また、NaOHの添加量が10重量%以上である実施例9及び10は、5時間以上常温保管時に沈殿物が形成され、沈殿物が形成された状態では粘力が減少する傾向を見せた。
【0060】
実施例14から25.耐火材用液状バインダーの製造
表3に記載の通りの含量で各成分を用いて耐火材用液状バインダーを製造した。
【0061】
具体的に、水と有機酸を2:1の重量比で混合し、塩基性化合物を添加した後、バインダーの製造時に反応温度、反応時間、及び粘力を測定した。このとき、反応温度は、デジタル温度計を用いて温度値の最大値を測定し、反応時間は、反応温度が最高点に到達した時間を測定した。バインダーの粘力は、触感で上、中、下に区分して測定した。
【0062】
【表3】
【0063】
表3に示されている通り、アルカリ土類金属類の塩基性化合物と有機酸の反応速度は、CaO、焼成ドロマイト、CaOH、軽焼マグネシア、CaCO、MgCO・CaCO、Mg(OH)、重焼マグネシア(DBM)、焼成マグネシア、MgCO、MgCl、及び電融マグネシアの順に表れ、バインダーの粘力は、反応速度及び反応温度と関係なく、軽焼マグネシア、重焼マグネシア、焼成マグネシア、Mg(OH)、電融マグネシア、MgCO、MgCO・CaCO、CaCO、Ca(OH)、MgCl、焼成ドロマイト、及びCaOの順に表れた。
【0064】
実施例26から33.耐火材用液状バインダーの製造
表4に記載の通りの含量で各成分を用いて耐火材用液状バインダーを製造した。
【0065】
具体的に、水と有機酸を2:1の重量比で混合し、塩基性化合物として軽焼マグネシア又はCaOの添加量を調節しながら製造時に反応時間及び反応温度、及びバインダーの粘力を測定し、反応時間、反応温度及びバインダーの粘力を実施例14と同一の方法で測定した。
【0066】
【表4】
【0067】
表4に示されている通り、軽焼マグネシアの添加量を3から10重量部に増加させた場合にバインダーの粘力も増加したが、10重量部の軽焼マグネシアを添加した実施例26は、バインダーの製造5時間後に沈澱が発生して粘力の低下が表れた。
【0068】
また、CaOの添加量を1から5重量部に変化させた実施例30から33は、CaOの添加量が2重量部である実施例32のバインダーの粘力が最も高く、3から5重量部のCaOを含む実施例30及び31は、沈澱が発生して粘力の低下が表れた。
【0069】
実施例34から39.耐火材用液状バインダーの製造
表5に記載の通りの含量で各成分を用いて耐火材用液状バインダーを製造した。
【0070】
具体的に、塩基性化合物の量を固定し、有機酸と水の重量比を調節しながら製造時に反応温度及び反応時間、及びバインダーの粘力を実施例14と同一の方法で測定した。
【0071】
【表5】
【0072】
表5に示されている通り、水と有機酸の比率が1.5:1、2:1、3:1とその濃度が高くなるほどバインダー製造時の反応温度が高くなり、バインダーの粘度も高くなった。
【0073】
表1から表5に示されている通り、塩基性化合物の添加量が増加するか、水に対する有機酸の含量が高くなると、バインダーの粘力が増加し、塩基性化合物の添加量が増加するほど溶出された陽(+)イオン形態の塩基性化合物の量が多くなり、塩基性化合物と有機酸の反応生成物が追加反応し、バインダー内の沈澱が形成されて粘力が下がることがある。このような追加反応は、反応速度が急激でないため、バインダーの製造後に漸進的に進められてバインダー内の沈澱が発生し、バインダーの貯蔵安定性及び品質安定性に影響を及ぼし得る。
【0074】
実施例40から44.耐火材用液状バインダーの製造
表6に記載の通りの含量で各成分を用いて耐火材用液状バインダーを製造した。このとき、酒石酸としては、SAMCHUN pure chemical社のL(+)-Tartaric acid(固形分含量:99.5重量%)を用い、乳酸としてはSAMCHUN pure chemical社のLactic acid(固形分含量:88±3重量%)を用いた。
【0075】
具体的に、安定化剤を添加してバインダーを製造した後のバインダーの貯蔵安定性及び品質安定性は、下記のような方法で測定して表6に示した。
【0076】
1)貯蔵安定性
2Lビーカーに耐火材用液状バインダー2Lを入れ、上部を密閉して2ヶ月間保管しながら、目視でバインダーの変質状態及び沈澱発生の有無を測定した。
【0077】
2)品質安定性:可使時間
耐火材料として82重量部のマグネシア、3重量部のアルミニウム、及び15重量部の鱗状黒鉛を混合し、2重量部の耐火材用液状バインダーを添加し、25~35℃で15分間混練した後、1時間単位で60mm×60mm×60mmに成形して耐火材を製造した。製造された耐火材の成形比重が3.0となったときを可使時間とした。
【0078】
【表6】
【0079】
表6に示されている通り、反応性が高い酒石酸及び乳酸、及び無機酸であるリン酸及びホウ酸の添加により、バインダーの貯蔵安定性及び品質安定性が改善された。また、安定化剤は、未反応有機酸と塩基性化合物を捕集するので、バインダー特性に大きく影響を及ぼさなかった。
【0080】
また、安定化剤が未反応有機酸と反応して可使時間の増大を示した。さらに、安定化剤
をバインダーの総重量に対して9重量%以上添加する場合、過量の安定化剤によりバインダー内沈澱が発生し得るので、3から9重量%以内に用いるのが好ましいといえる。
【0081】
また、水に対する有機酸の含量が高くなるとバインダーの粘力は増進されるが、製品製造時に耐火材料内のMgOと反応して成形前の耐火材料の表面乾燥が発生し得るところ、安定化剤の添加を介して耐火材料との反応性及び可使時間も確保することができる。
【0082】
実施例45から52.耐火材用液状バインダーの製造
表7に記載の通りの含量で各成分を用いて耐火材用液状バインダーを製造した。
【0083】
具体的に、本発明による耐火材用液状バインダーは、水系バインダーなので、保管時の水分蒸発による特性の低下、及び混練時の発熱による水分蒸発で品質安定性の低下があり得る。よって、粘力増進剤を添加してバインダーを製造した後、粘度、単味成形強度、及び水分蒸発性を下記のような方法で測定した。
【0084】
このとき、トウモロコシ澱粉としては株式会社デサンのマルトデキストリンを用い、ジャガイモ澱粉としては株式会社デミョンのジャガイモ澱粉パウダーを用い、カルボマーとしては株式会社ジャソンCnTのカルボマー(carbomer)を用い、キサンタンガムとしてはDEOSEN BIOCHEMICAL社のXantan Gumを用い、糖蜜としては株式会社デサンの糖蜜(固形分総含量:80%重量以上)を用いた。
【0085】
1)粘度
25℃でブルックフィールド粘度計を用いてKS M ISO2555に記載された方法で測定した。
【0086】
2)単味成形強度
耐火材料として82重量部のマグネシア、3重量部のアルミニウム及び15重量部の鱗状黒鉛を混合し、2重量部の耐火材用液状バインダーを添加して耐火材組成物を製造した。その後、40mm×70mm(横×縦)の金型に前記耐火材組成物300gを入れ、5t/cmの圧力で1分間加圧して試片を製造した。その後、200℃で12時間乾燥した後、圧縮強度計(株式会社クムガン機器)を用いて圧縮強度を測定し、単味成形強度とした。
【0087】
3)水分蒸発性
耐火材用液状バインダー100gを正確に秤量して初期質量を測定し、40℃の乾燥機で1時間処理した後、質量(熱処理後の質量)を測定した。その後、初期質量に対する熱処理後の質量の質量減少率(重量%)を測定した。
【0088】
【表7】
【0089】
表7に示されている通り、粘力増進剤を含んでいない実施例45のバインダーに比べて、粘力増進剤を含む実施例46から51のバインダーの25℃における粘度は、300~370cpsに増加した。また、粘力増進剤を含んでいない実施例46のバインダーに比べて、実施例47から52のバインダーから製造された試片は、成形強度が5~32%向上した。さらに、実施例45に比べて、実施例46から51は、水分蒸発による重量の減少が50%以上抑制された。
【0090】
また、従来のバインダーであるフェノール樹脂は、25℃における粘度が400cpsと高くて混練時に凝集現象が発生するが、本発明のバインダーは、粘力増進剤の添加量及び種類を制御して可使時間の確保及び混練性の改善が可能であった。
【0091】
実施例52から57及び比較例1及び2.マグネシア-カーボン(MgO-C)系耐火レンガの製造
表8に記載の通りの含量で各成分を用いて耐火材用液状バインダーを製造した。
【0092】
具体的に、水と有機酸を混合した後、塩基性化合物を添加して反応させてから、安定化剤及び粘力増進剤を添加して耐火材用液状バインダーを製造した。
【0093】
【表8】
【0094】
その後、表9に記載の通りの含量で各成分を用いて、耐火材である耐火レンガを製造した。このとき、耐火材料として、マグネシア、アルミニウム及び鱗状黒鉛を混合し、耐火材用液状バインダーを添加し、25~35℃で15分間混練した後、60mm×60mm×60mmに成形し、200℃で12時間乾燥して1000℃で12時間焼成することで耐火材を製造した。
【0095】
このとき、鱗状黒鉛としては、体積比重0.98g/cm、比表面積1m/g、及び平均粒径350μmである製品を用い、マグネシアは、平均粒径4mmである製品を用いた。また、フェノール樹脂としては、江南化成の8027(製品番号)を用い、糖蜜としては株式会社デサンの糖蜜(固形分総含量80%以上)を用いた。
【0096】
製造された耐火材の物性は下記のような方法で測定し、バインダー製造時の塩基性化合物の種類及び添加量による成形比重、乾燥後の物性、焼成後の物性、及び耐浸食性を比較した。
【0097】
1)体積比重
KSL 3114(2010)に基づいて白灯油(含浸液)に耐火材を入れ、下記数式1を用いて乾燥後又は焼成後の体積比重を計算した。
【0098】
[数式1]
ρ(体積比重)=m/(m-m)×ρliq
:耐火材の乾燥質量(g)
:含浸された耐火材の見掛け質量(g)
:含浸された試片の質量(g)
ρliq:含浸液の密度
【0099】
2)気孔率
KSL 3114(2010)に基づいて白灯油(含浸液)に耐火材を入れ、下記数式2を用いて乾燥後又は焼成後の見掛け気孔率を計算した。
【0100】
[数式2]
π(気孔率)=(m-m)/(m-m)×100
:耐火材の乾燥質量(g)
:含浸された耐火材の見掛け質量(g)
:含浸された試片の質量(g)
【0101】
3)圧縮強度
大きさ60mm×60mm×60mmの耐火材に対し、油圧圧縮強度試験機を用いてKSL 3115に記載された方法により圧縮強度を測定した。
【0102】
4)耐浸食性
回転式浸食性試験機を用い、バーナーで耐火材を1,650~1,700℃に加熱し、鋼(Steel)と浸食剤として製鋼スラグ(slag)を1:1の重量比で含む混合物を用いて耐浸食性を測定した。
【0103】
耐浸食性は、基準試片に対する相対的な浸食指数で示し、浸食指数は、実施例53の浸食量を100に表記した。このとき、浸食指数は、低いほど耐浸食性に優れていることを示す。
【0104】
5)有害ガスの分析
熱分析及び質量分析機(STA-MS)を用いて、耐火材の熱分解分析時に重量が減少するときに放出されるガスの質量を測定し、放出される分解ガスの成分を分析し、その結果を図1及び2に示した。図1は、実施例52の耐火材から放出される分解ガスの成分分析の結果であり、図2は、比較例1の耐火材から放出される分解ガスの成分分析の結果である。
【0105】
6)残存線膨張性
焼成後の耐火材の線変化率を測定することであって、50mm×40mm×60mmの耐火材をコークスが満たされているルツボに装入し、1,500℃で5時間焼成して常温に冷却した後、初期の長さに対する変化した長さの比率を計算して残存線変化性を測定した。
【0106】
【表9】
【0107】
表9に示されている通り、フェノール樹脂を用いた比較例1に比べて、実施例は、成形比重、乾燥後の物性、焼成後の物性が同等であるか優れていた。特に、実施例52及び55の場合、フェノール樹脂及び糖蜜をバインダーとして用いた耐火材に比べて成形比重及び耐浸食性に優れていた。
【0108】
図1及び2に示されている通り、比較例1の耐火材は、ベンゼン(C)、トルエン(C)、フェノール(COH)が放出(図2参照)された反面、実施例52の耐火材は、有害物質であるベンゼン(C)、トルエン(C)、フェノール(COH)が全く放出(図1参照)されず、親環境性に優れていた。
【0109】
実施例58から63及び比較例3及び4.マグネシア-アルミナ-カーボン(MAC)系耐火レンガの製造
表8に記載の通りの含量で各成分を用いて耐火材用液状バインダーを製造した。その後、表10に記載の通りの含量で各成分を用いて、耐火材である耐火レンガを製造した。
【0110】
具体的に、耐火材料であるマグネシア、アルミナ、アルミニウム及び鱗状黒鉛を混合し
、耐火材用液状バインダーを添加し、25~35℃で15分間混練した後、大きさ60mm×60mm×60mmに成形して200℃で12時間乾燥し、1000℃で12時間焼成して耐火材を製造した。製造された耐火材の物性は、前記実施例52と同一の方法で測定し、浸食指数は、実施例63の浸食量を100に表記した。
【0111】
このとき、鱗状黒鉛としては、体積比重0.98g/cm、比表面積1m/g、及び平均粒径350μmである製品を用い、マグネシアは、平均粒径が4mmである製品を用いた。また、フェノール樹脂としては江南化成の8027(製品番号)を用い、糖蜜としては株式会社デサンの糖蜜(固形分総含量80%以上)を用いた。
【0112】
【表10】
【0113】
表10に示されている通り、比較例3に比べて、実施例58から63は、成形比重、乾燥後の物性、焼成後の物性が同等であるか優れていた。特に、従来のバインダーであるフ
ェノール樹脂又は糖蜜をバインダーとして用いた比較例3及び4に比べて、実施例61の耐火材は、成形比重が大きく、乾燥後及び焼成後の体積比重が大きく、気孔率が低くて圧縮強度が大きいので、物性に優れ、耐浸食性も優れていた。
【0114】
実施例64から69及び比較例5及び6.アルミナ-炭化ケイ素-マグネシア(AGM)系耐火レンガの製造
表8に記載の通りの含量で各成分を用いて耐火材用液状バインダーを製造した。その後、表11に記載の通りの含量で各成分を用いて、耐火材である耐火レンガを製造した。
【0115】
具体的に、耐火材料であるマグネシア、アルミナ、アルミニウム及び鱗状黒鉛を混合し、耐火材用バインダーを添加し、25~35℃で15分間混練した後、大きさ60mm×60mm×60mmに成形して200℃で12時間乾燥し、1000℃で12時間焼成して耐火材を製造した。製造された耐火材の物性は、前記実施例52と同一の方法で測定し、浸食指数は、実施例65の浸食量を100に表記した。
【0116】
このとき、鱗状黒鉛としては、体積比重0.98g/cm、比表面積1m/g、及び平均粒径350μmである製品を用い、マグネシアは、平均粒径が4mmである製品を用いた。また、フェノール樹脂としては江南化成の8027(製品番号)を用い、糖蜜としては株式会社デサンの糖蜜(固形分総含量80%以上)を用いた。
【0117】
【表11】
【0118】
表11に示されている通り、比較例5に比べて、実施例64から69は、成形比重、乾燥後の物性、焼成後の物性が同等であるか優れていた。特に、フェノール樹脂又は糖蜜をバインダーとして用いた比較例5及び6に比べて、実施例67の耐火材は、成形比重が大きく、乾燥後及び焼成後の体積比重が大きく、気孔率が低くて圧縮強度が大きいので、物性に優れ、耐浸食性も優れていた。
【0119】
実施例70から74及び比較例7及び8.耐火材の製造
表8に記載の通りの含量で各成分を用いて耐火材用液状バインダーを製造した。その後、表12に記載の通りの含量で各成分を用いて、耐火材である耐火レンガを製造した。
【0120】
具体的に、耐火材料であるマグネシア、アルミニウム及び鱗状黒鉛を混合し、熱間特性改善剤を添加し、耐火材用バインダーを添加した後、25~35℃で15分間混練した後
、大きさ60mm×60mm×60mmに成形して200℃で12時間乾燥し、1000℃で12時間焼成して耐火材を製造した。製造された耐火材の物性は、前記実施例53と同一の方法で測定し、浸食指数は、比較例1の浸食量を100に表記した。
【0121】
このとき、鱗状黒鉛としては、体積比重0.98g/cm、比表面積1m/g、及び平均粒径350μmである製品を用い、マグネシアは、平均粒径が4mmである製品を用いた。また、フェノール樹脂としては江南化成の8027(製品番号)を用い、糖蜜としては株式会社デサンの糖蜜(固形分総含量80%以上)を用いた。
【0122】
【表12】
【0123】
表12に示されている通り、熱間特性改善剤を含んでいない実施例70に比べて、ピッチ、カーボンブラック、BC、Siなどの熱間特性改善剤を添加した実施例71から74の耐火材は、成形比重、乾燥後の物性、及び焼成後の物性のいずれも同等であるか優れていた。特に、実施例71から74は、比較例7より耐浸食性及び耐スポーリング性に優れていた。
【0124】
また、窒化ケイ素(Si)を含む実施例74は、比較例1より耐浸食性が15%以上向上し、残存線膨張性も向上した。
図1
図2
【国際調査報告】