(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-12
(54)【発明の名称】生物起源残渣を好適に乾燥させる方法、およびその方法を実行するためのバイオリアクター
(51)【国際特許分類】
F26B 11/14 20060101AFI20240705BHJP
F26B 3/04 20060101ALI20240705BHJP
F26B 21/00 20060101ALI20240705BHJP
B01F 23/53 20220101ALI20240705BHJP
B01F 27/171 20220101ALI20240705BHJP
B01F 27/1143 20220101ALI20240705BHJP
B01F 27/921 20220101ALI20240705BHJP
B01F 35/91 20220101ALI20240705BHJP
B01F 101/25 20220101ALN20240705BHJP
【FI】
F26B11/14
F26B3/04
F26B21/00 A
F26B21/00 P
B01F23/53
B01F27/171
B01F27/1143
B01F27/921
B01F35/91
B01F101:25
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023581041
(86)(22)【出願日】2022-07-01
(85)【翻訳文提出日】2024-02-28
(86)【国際出願番号】 EP2022068321
(87)【国際公開番号】W WO2023275377
(87)【国際公開日】2023-01-05
(31)【優先権主張番号】102021116025.1
(32)【優先日】2021-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】102021122391.1
(32)【優先日】2021-08-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】102021123157.4
(32)【優先日】2021-09-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524003688
【氏名又は名称】ムーテック マークグラフ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】カムス, ウド
(72)【発明者】
【氏名】マークグラフ, カール
【テーマコード(参考)】
3L113
4G035
4G037
4G078
【Fターム(参考)】
3L113AA04
3L113AB02
3L113AC29
3L113AC48
3L113AC58
3L113AC59
3L113AC67
3L113BA36
3L113DA24
4G035AB46
4G035AE15
4G037CA01
4G037EA04
4G078AB05
4G078BA05
4G078DA09
4G078EA03
4G078EA08
(57)【要約】
本発明は、生物起源残渣を乾燥塊まで好適に乾燥させるための方法およびバイオリアクターに関する。本方法は、以下のステップa)~d)を含む:a)球体(3)が充填され、且つミキサー(2)を有するバイオリアクター(0)に、液体を含有する残渣(4)を充填し、前記残渣(4)のフィルムが前記球体(3)の表面に形成されるように、充填中および/または充填後に前記ミキサー(2)を少なくとも断続的に動作させることにより前記球体(3)と前記残渣(4)を混合するステップ;b)少なくとも前記ミキサー(2)を一時的に動作させた状態で、前記球体(3)の周囲を流れる乾燥媒体を前記バイオリアクター(0)に供給することにより、前記球体(3)の表面に残留水分を含有する乾燥塊(4.1)のクラストを形成しつつ、前記残渣(4)のフィルムを乾燥させるステップ;c)前記球体(3)から粉末状の乾燥塊(4.2)を粉砕・剥離しながら前記ミキサー(2)を少なくとも断続的に動作させることにより前記乾燥塊(4.1)を粉砕し、さらに乾燥させるステップ;およびd)前記バイオリアクター(0)から前記粉末状の乾燥塊(4.2)を排出するステップ。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生物起源残渣を乾燥塊まで好適に乾燥させる方法であって、以下のステップa)~d)を含む、方法。
a)球体(3)が充填され、且つミキサー(2)を有するバイオリアクター(0)に、液体を含有する前記残渣(4)を充填し、前記残渣(4)のフィルムが前記球体(3)の表面に形成されるように、充填中および/または充填後に前記ミキサー(2)を少なくとも断続的に動作させることにより前記球体(3)と前記残渣(4)を混合するステップ
b)少なくとも前記ミキサー(2)を一時的に動作させた状態で、前記球体(3)の周囲を流れる乾燥媒体を前記バイオリアクター(0)に供給することにより、前記球体(3)の表面に残留水分を含有する乾燥塊(4.1)のクラストを形成しつつ、前記残渣(4)のフィルムを乾燥させるステップ
c)前記球体(3)から粉末状の乾燥塊(4.2)を粉砕・剥離しながら前記ミキサー(2)を少なくとも断続的に動作させることにより前記乾燥塊(4.1)を粉砕し、さらに乾燥させるステップ
d)前記バイオリアクター(0)から前記粉末状の乾燥塊(4.2)を排出するステップ
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
前記乾燥媒体は、特に温かい不飽和空気および/または不飽和過熱水蒸気である、方法。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の方法であって、
前記球体(3)が吸水能力を有し、且つ、特に木材、好ましくはブナ材で作られている、方法。
【請求項4】
請求項1~請求項3の何れか1つに記載の方法であって、
前記残渣(4)が供給される前に、特に前記乾燥媒体を前記バイオリアクター(0)に供給することによって、前記球体(3)が乾燥される、方法。
【請求項5】
請求項1~請求項4の何れか1つに記載の方法であって、
液体(5)、特に水またはより高い含水量を有するさらなる残渣が、前記残渣(4)が充填される際に前記球体(3)の表面に追加的に供給され、特にスプレーされる、方法。
【請求項6】
請求項5に記載の方法であって、
供給される前記液体(5)が鉄塩および/または石灰を含有する、方法。
【請求項7】
請求項1~請求項6の何れか1つに記載の方法であって、
前記残渣(4)の前記充填および/または前記乾燥および/または前記粉砕の間に、混合プロセスが断続的に行われる、方法。
【請求項8】
請求項1~請求項7の何れか1つに記載の方法であって、
前記乾燥媒体の供給中に、水分が前記乾燥媒体とともに水蒸気として、特に、より飽和度の高い空気として、および/または余剰蒸気として排出される、方法。
【請求項9】
請求項1~請求項8の何れか1つに記載の方法であって、
前記粉砕の間に、前記乾燥塊のクラスト(4.1)が前記球体(3)の表面から粉砕・剥離され、前記バイオリアクター(0)の底部(1.1)に残留水分を含有する前記粉末状の乾燥塊(4.2)として沈着する、方法。
【請求項10】
請求項1~請求項9の何れか1つに記載の方法であって、
前記粉砕の間に、前記粉末状の乾燥塊(4.2)は、前記バイオリアクター(0)の底部領域における前記粉末状の乾燥塊(4.2)中に位置している前記球体(3)の表面を介して前記バイオリアクター(0)の底部(1.1)で乾燥され、
前記粉末状の乾燥塊(4.2)を通る前記乾燥媒体の直接的な流れは存在しない、方法。
【請求項11】
請求項1~請求項10の何れか1つに記載の方法であって、
前記乾燥の間に、前記乾燥媒体が、前記バイオリアクター(0)の異なる高さに配置された複数の乾燥媒体入口(6,6.1,6.2,6.3)、特に前記バイオリアクター(0)の下部3分の1に配置された乾燥媒体入口(6)、中央充填レベル領域に配置された乾燥媒体入口(6.1)、最大充填レベル(H
max)の上方に配置された乾燥媒体入口(6.2)、および底部領域に配置された乾燥媒体入口(6.3)を介して供給される、方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法であって、
前記バイオリアクター(0)の下部領域における前記乾燥媒体の供給、特に前記バイオリアクター(0)の下部3分の1に配置された乾燥媒体入口(6)および前記底部領域に配置された前記乾燥媒体入口(6.3)からの前記乾燥媒体の供給は、前記球体(3)の表面でクラスト形成が開始したときに減少されるか、またはスイッチが切られる、方法。
【請求項13】
請求項1~請求項12の何れか1つに記載の方法を実行するために設計されたバイオリアクター(0)であって、以下を備える、バイオリアクター(0)。
- 少なくとも1つの底部(1.1)と周壁(1.2)を有するハウジング(1)
- 垂直軸(A)を中心に回転可能に取り付けられ、前記ハウジング(1)内に配置されるミキサー(2)
- 前記ハウジング(1)の高さまたは最大充填レベル(H
max)に関して、前記ハウジング(1)の前記周壁(1.2)の中央領域に配置される少なくとも1つの乾燥媒体入口(6.1)
- 少なくとも1つの乾燥媒体出口(7)
- 初期充填レベル(H
start)での、複数の球体(3)からの前記バイオリアクター(0)の充填
- 残渣(4)のための少なくとも1つの供給ライン
- 乾燥した残渣を除去するための少なくとも1つの排出装置(8)
【請求項14】
請求項13に記載のバイオリアクター(0)であって、前記バイオリアクター(0)の上部開口部を閉じる蓋(1.3)をさらに備える、バイオリアクター(0)。
【請求項15】
請求項13または請求項14に記載のバイオリアクター(0)であって、
複数の乾燥媒体入口(6,6.1,6.2,6.3)、特に前記周壁(1.2)において前記バイオリアクター(0)の下部3分の1に配置された乾燥媒体入口(6)、前記周壁(1.2)において中央充填レベル領域に配置された乾燥媒体入口(6.1)、前記周壁(1.2)または前記蓋(1.3)において前記最大充填レベル(H
max)の上方に配置された乾燥媒体入口(6.2)、および/または前記底部(1.1)に配置された乾燥媒体入口(6.3)をさらに備える、バイオリアクター(0)。
【請求項16】
請求項13~請求項15の何れか1つに記載のバイオリアクター(0)であって、
液体、特に水のための供給ライン(5)が、前記最大充填レベル(H
max)の上方に配置される、方法。
【請求項17】
請求項13~請求項16の何れか1つに記載のバイオリアクター(0)であって、
前記排出装置(8)の上流側で、ハウジング(1)内にふるい装置、特に多孔板または格子または棒が配置される、バイオリアクター(0)。
【請求項18】
請求項17に記載のバイオリアクター(0)であって、
前記排出装置(8)を選択的に開閉するための装置が、前記ハウジング(1)の内側に向かって前記ふるい装置の前に配置される、バイオリアクター(0)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乾燥媒体を供給することにより、生物起源残渣を好適に乾燥させる方法に関する。本発明はまた、この方法を実行するためのバイオリアクターに関する。
【背景技術】
【0002】
生物起源残渣は、特に栄養素、エネルギー、リン、金属など、いくつかの可能性を秘めているが、現在のプロセスチェーンでは十分に利用されていないことが多い。生物起源残渣は、多くの場合、廃棄されるだけであり、利用されていない。
【0003】
生物起源残渣に含まれる栄養素は化学的に不安定で水性の形態であることが多く、長距離の輸送には適していない。例えば、液肥や発酵残渣などが挙げられる。
【0004】
生物起源残渣のエネルギーポテンシャルとは、複雑な有機分子に化学的に結合したエネルギーのことであり、化石燃料を直接置き換えるためのバイオマス燃料として利用できる。
【0005】
別のポテンシャルのある資源は、代替も再生も不可能な必須原料であるリンである。このため、現在、リンを含有する生物起源残渣からリンを回収する種々の方法が開発されている。
【0006】
金属は、固体中にさまざまな濃度や組み合わせで含まれ得る。金属の中には、地殻中に低濃度でしか存在しない希少元素もある。例えばコバルトが挙げられるが、コバルトはエレクトロモビリティ用のバッテリー製造に必要であり、この原料は現在需要が高いということを意味している。
【0007】
最後に、残渣に含まれる水分の形態で結合した水は、飲料水やプロセス水として貴重な商品である。
【0008】
これに基づき、本発明の目的は、特に生物起源残渣を処理することにより、残渣に存在するポテンシャル、特に栄養素、エネルギー、リン、金属および水を価値ある物質として利用できるようにする方法を説明することである。本発明のさらなる目的は、この方法を実行できるバイオリアクターを作製することである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図0】
図0は、本発明の一実施形態に係る未充填バイオリアクターの概略図を示す。
【
図1】
図1は、充填高さがH
startであり、表面が清浄な(非湿潤)球体が充填された、
図0からのバイオリアクターの概略図を示す。
【
図2】
図2は、最大充填高さがH
wetであり、表面にバイオフィルムが形成された球体が充填された、
図0からのバイオリアクターの概略図を示す。
【
図3】
図3は、球体が充填され、表面にクラストが形成され、平均充填高さがH
dryである、
図0からのバイオリアクターの概略図を示す。
【
図4】
図4は、球体が充填され、表面は再び清浄であり、粉末が容器の底部に堆積した状態であり、最小充填レベルがH
powderである、
図0からのバイオリアクターの概略図を示す。
【
図5】
図5は、磁性リン含有化合物、特にリン酸鉄を、磁石を通電した状態で分離するためのシステムの概略図を示す。
【
図6】
図6は、磁石が不活性化された
図5のシステムの概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
この問題を解決するために、本方法は以下のステップにより特徴付けられる。
a)バイオリアクターに液体を含有する生物起源残渣を充填するステップ
b)残渣を乾燥塊まで乾燥させるステップ
c)乾燥塊を粉砕するステップ
d)乾燥塊を除去するステップ
ステップc)における粉砕の間に、乾燥塊をさらに乾燥させることができる。
【0011】
より具体的な説明によれば、本方法は以下のステップを含む。
a)液体を含有する残渣を、(好ましくは乾燥した)球体で満たされ、かつミキサーを有するバイオリアクターに充填し、球体の表面に残渣のフィルムが形成されるように、充填中および/または充填後にミキサーを少なくとも断続的に動作させることによって球体と残渣を混合するステップ
b)ミキサーを少なくとも一時的に動作させながら、球体の周囲を流れる乾燥媒体をバイオリアクターに供給することにより、球体の表面に残留水分を含有する乾燥塊のクラストを形成しつつ、残渣のフィルムを乾燥させるステップ
c)球体から粉末状の乾燥塊を粉砕・剥離しながら、ミキサーを少なくとも断続的に動作させることにより、乾燥塊を粉砕し、さらに乾燥させるステップ
d)バイオリアクターから粉末状の乾燥塊を排出するステップ
【0012】
本方法の結果は、非常に乾燥した、非常に細かく分割された粉末状の乾燥塊(以下、単に粉末ともいう)であり、これは出発材料(残渣)に応じて様々な方法で使用することができる。
【0013】
特に、現在化石燃料、特に石炭を使用して燃焼プロセスが行われているところでは、この粉末を化石燃料の代替燃料として使用することができる。一例としては、クリンカーを燃焼させるセメント産業が挙げられる。このようにして、化石燃料によるCO2排出を効果的に削減することができる。
【0014】
さらに、乾燥塊は、特に化学的に不安定な液肥または発酵残渣を特に乾燥した生物起源残渣と混合することにより、乾燥ミールの形態で農業において栄養豊富な肥料として使用することができ、それによって残渣中の栄養素を利用することができる。
【0015】
さらに、気相を介した窒素の濃縮排出が可能であり、これにより、酸スクラバーによる窒素の分離回収が可能になる。
【0016】
本方法により、残渣に含まれるリンを回収し、特に同様に肥料として使用することも可能になる。
【0017】
さらに、残渣から金属を抽出し、製品の製造プロセスにおける原料として利用することもできる。
【0018】
最後に、本方法の結果として乾燥媒体とともにリアクターから排出された水は、その後、それを用水または飲料水として処理することによって利用することができる。海水を乾燥させることにより、2つの貴重な物質が同時に生成される。すなわち、乾燥媒体から水を分離し、その後の処理により飲料水またはプロセス水を得ることを介して、乾燥塊としての塩と、水が生成される。
【0019】
本発明による方法は、上記の導入において説明したすべてのポテンシャルを利用することができる。
【0020】
「残渣」という用語は、本発明の文脈では広義に理解され、特に生物起源残渣を含むが、これに限定されない。生物起源残渣は、有機廃棄物および廃水、農林副産物および生物起源の生産残渣である。さらに、本方法の出発物質の説明における残渣という用語には、有機成分を有するすべての不均一な物質混合物が含まれる。これには、下水汚泥(一次汚泥、二次汚泥、三次汚泥、消化汚泥)、液肥、発酵残渣、池や川の汚泥、海水や藻類、海洋動植物からのその他の残渣、その他の有機物混合物、二次原料、工業汚泥が含まれる。
【0021】
ステップc)における粉砕の間に、乾燥塊をさらに乾燥させることができる。
【0022】
代替実施形態によれば、本方法は2つの段階を含み、第1段階は「湿潤」段階とも呼ばれ、第2段階は「乾燥」段階と呼ばれる。「湿潤」段階では、ミキサーが少なくとも一時的に動作している間に、球体の表面でクラストが形成されつつ残渣の膜が実質的に乾燥され、これによって粉末の球体からの分離も引き起こされる。「乾燥」段階では、球体の粉砕作用とバイオリアクターからの粉末状乾燥塊の排出によりミキサーが動作し、球体から既に分離された粉末状乾燥塊の粉砕とさらなる乾燥が起こる。このように、さらなる乾燥と粉砕を含む「乾燥」段階は、独立したプロセスとして実行することができ、第1段階に加えて実施することができる。
【0023】
本発明の好ましい実施形態において、乾燥媒体は乾燥流体、特に気体流体である。本発明の文脈では、気体乾燥流体として、温かい不飽和空気および/または不飽和過熱水蒸気が好ましく使用される。過熱水蒸気を使用する蒸気乾燥の原理を適用すると、乾燥媒体として温かい不飽和空気を使用する場合と比較して伝熱効率が大幅に向上し、時間の節約にもつながる。大気圧で過熱水蒸気を使用する蒸気乾燥の原理は、それ自体既知である。
【0024】
乾燥プロセスは、液体、特に水(水分)の蒸発を伴う。液体の蒸発は、液相から気相への相変化、すなわち液体の蒸気への変換として定義される。熱力学的な用語では、蒸気はリアクターから排出できる実在気体であり、この場合、乾燥媒体によって排出される。蒸発という用語は、液相から気相への相転移を一般に表す総称であり、液体の沸点未満の蒸発と、沸点を超える沸騰を含む。
【0025】
水蒸気は混合気体の成分であり得る。例えば、大気中の水蒸気は、混合気体である湿潤空気の成分である。湿潤空気は、乾燥した空気と水の混合物である。他の理想気体の混合物とは対照的に、湿潤空気には、水蒸気がいかなる量であっても乾燥した空気と混合できないという特別な特徴がある。空気は、水蒸気の分圧(分圧)が飽和圧に達するまで、そのような量の水蒸気しか含有することができない。水蒸気の分圧が飽和圧より低い場合、空気は不飽和である。
【0026】
飽和温度より高い温度の蒸気は不飽和過熱蒸気である。したがって、一方では、沸騰温度未満の不飽和湿潤空気中の水蒸気は過熱蒸気である。他方では、特に沸騰温度を超えるように保たれていれば、蒸気は完全に孤立して発生し、単独で部屋を満たすことができる。
【0027】
液体が蒸気となるためには、液体に気化熱(熱エネルギー)を加えなければならない。気化は、とりわけ体積の大幅な増加を伴うからである。例えば、圧力1barで水が気化する間の体積の増加は、1600倍を超える。等圧気化を考慮すると、気化熱は気化エンタルピーである。大気圧(1013.25hPa)、100℃で1kgの水が水蒸気に変化するのに必要なエネルギー入力は2257kJである。
【0028】
エネルギー入力は、対流(乾燥媒体の助けを借りる本発明に係る場合)および/または伝導(高温の接触面、例えば、本発明に係るバイオリアクターの加熱された外壁を介して)および/または輻射熱(例えば、後述する本発明に係るバイオリアクターの透明な外壁を介して)によって行うことができる。
【0029】
さらに、供給される生物起源残渣は、好ましくは供給前に(最大でも沸騰温度まで)加熱することができる。
【0030】
種々の伝熱プロセスの強度と組み合わせは、乾燥される生物起源残渣の材料特性と、殺菌/衛生化も含む所望の乾燥結果に依存する。乾燥媒体を用いた対流による伝熱が好ましい方法である。
【0031】
これに加えて、他のプロセスパラメータ、特に温度と圧力(負圧/真空、正圧)は、乾燥プロセスに直接影響を与えるため、プロセス制御と製品品質を最適化するために変化させることができる。例えば、沸騰温度は設定圧力レベルの依存関数である。好ましくは、0℃超250℃以下の温度および0~4barの正(正圧)または負(負圧)の圧力差は、大気圧を基準に設定される。
【0032】
球体は、吸湿性および/または毛細管現象の形での十分な吸水能力と強度を有する限り、任意の材料で作ることができる。球体は、好ましくは木材、特にブナ材で作られる。あるいは、球体は、特に調湿と強度に関して木材と同様の特性を有する別の材料で作ることもできる。例えば、木材-プラスチック複合材料で作ることができる。
【0033】
球体の直径は、好ましくは5mm~50mm、特に好ましくは15mm~30mmである。
【0034】
球体内の収着および付加的な毛管力によって表面に沈着する残渣フィルム(以下、バイオフィルムともいう)からの水分のさらなる除去を達成するために、残渣が充填または供給される前に、これらを乾燥させることができる。これは特に、乾燥媒体、特に温かい不飽和空気および/または不飽和過熱水蒸気をリアクターに供給することによって行うことができる。
【0035】
混合プロセスは、残渣の充填中に実行することができる。好ましくは、充填後に少なくとも1回の混合プロセスが実行される。これにより、残渣と球体とが少なくとも1回は完全に混合されることが保証される。
【0036】
1回以上の混合プロセスは、球体の表面に残渣の均一な薄膜が形成されるまで続けられる。
【0037】
比較的乾燥した残渣を球体の表面に固定し、球体の表面に膜を形成するために、残渣を充填する際に球体の表面に追加の液体を塗布することができる。このようにして、乾燥した残渣はスラリー化またはスラッジ化され、球体の表面に安定に付着する。液体は、特にスプレーミストの形態で液体をスプレーすることによって導入することができる。液体は、水またはより高い含水量を有する別の(生物起源の)残渣とすることができる。このようにして、同時に供給されたより乾燥した残渣とより湿潤した残渣を、薄いバイオフィルムとして球体の表面に固定することができる。
【0038】
一実施形態によれば、液肥または発酵残渣は、より高い含水量を有するさらなる(生物起源の)残渣として使用される。化学的に不安定な液肥または発酵残渣を、非常に乾燥した、好ましくは生物起源の残渣と選択的に混合することにより、ここに示す方法を用いて、乾燥ミールとして、したがって乾燥安定剤として、栄養豊富な肥料混合物を製造することができる。
【0039】
好ましくは、使用される残渣の含水量が低い閾値を下回ると、追加の液体が導入される。
【0040】
追加した液体を鉄塩で濃縮し、残渣中の遊離リン酸塩をリン酸鉄として沈殿させることができる。
【0041】
液体は石灰(炭酸カルシウムCaCO3)を含むこともでき、例えば石灰乳の形で添加し、球体表面に均一に分布させることができる。
【0042】
あるいは、石灰を固体として、特に自由流動性のある粉末の形態でバイオリアクターに供給することもできる。石灰の添加は、球状表面に形成されるバイオフィルムのpH値を上昇させ、これにより、通常、生物起源残渣中にアンモニウムの形で利用可能である窒素の、液相から気相への相転移に必要な温度レベルを目標値まで低下させることができる。
【0043】
これにより、乾燥媒体の助けを借りて、アンモニア(NH3)のガス状の排出に特に影響を与えることができる。その結果、ガス状で排出された窒素をさらなる処理に供給し、栄養分として分離することができる。これは、硫酸アンモニウム溶液を生成することができるように、好ましくは硫酸(H2SO4)を使用する酸スクラバーによって行うことができる。
【0044】
乾燥媒体として温かい不飽和空気を使用する乾燥の場合、温かい不飽和空気は、好ましくは85℃までの温度でバイオリアクターに導入される。球体は導入された空気に取り囲まれ、球体表面に付着したフィルムは、空気中に水分を放出する。飽和空気は再びバイオリアクターから排出される。任意で、飽和空気中に含まれる水分は、さらに使用するために運ぶことができる。
【0045】
乾燥媒体として不飽和過熱水蒸気を使用する乾燥の場合、不飽和過熱水蒸気は、110℃~300℃、特に、好ましくは110℃~250℃の温度でバイオリアクターに導入される。設定されるプロセスパラメータは、蒸気圧曲線から得られる気相の限界値を考慮して、圧力および温度の観点で変化させることができる。好ましくは、水蒸気は大気圧でバイオリアクターに導入される。過熱された水蒸気は球体の周囲を流れる。残渣は対流的に熱を吸収する。球体の表面に付着している液体含有フィルムは水分を蒸発させ、高温の蒸気が実際の気体として吸収する。このようにして、生物起源残渣から排出された水分は余剰蒸気となり、バイオリアクターから再び排出される。任意で、排出された余剰蒸気に含まれる水分をさらに利用することができる。
【0046】
乾燥により球体の表面にクラストが形成され、当該クラストは残留水分を含有する乾燥塊からなる。混合プロセスの間、クラストは球体の表面から細かく粉砕され(こすり落とされ)、バイオリアクターの底部に残留水分を含有する粉末(粉末状の乾燥塊)として堆積する。
【0047】
好ましくは、乾燥中、乾燥媒体は、バイオリアクター内の異なる高さに配置された幾つかの乾燥媒体入口、特に、バイオリアクターの下部3分の1に配置された乾燥媒体入口、中央充填レベル領域に配置された乾燥媒体入口、最大充填レベルの上方に配置された乾燥媒体入口、および底部領域に配置された乾燥媒体入口を介して供給される。バイオリアクターの下部領域における乾燥媒体の供給、特に、バイオリアクターの下部3分の1に配置された乾燥媒体入口および底部領域に配置された乾燥媒体入口からの乾燥媒体の供給は、球体の表面でクラスト形成が始まると、減少させるか、またはスイッチを切ることができる。これにより、乾燥媒体が底部領域に蓄積する粉末状の乾燥塊を通って流れなくなることが保証される。これにより、可燃性の高い粉末が渦を巻いて排気や余剰蒸気とともに排出されるのを防ぐことができる。したがって、この方法は、粉末をリアクター内に保持するだけでなく、防爆対策としても機能する。
【0048】
バイオリアクターの底部にある粉末は、好ましくは間接的に乾燥され、乾燥媒体の直接的な流れは存在しない(「エアレーション」)。間接乾燥は、球体の表面を介して、特に吸着と追加の毛管吸引力によって起こり得るものであり、球体はバイオリアクターの底部領域の混合粉末中に位置し、好ましくはそれらを取り囲む粉末よりも乾燥している。
【0049】
バイオリアクターの底部領域で粉末を攪拌することなく、乾燥媒体は粉砕中に粉末上の球体の周りを流れることができ、当該プロセスにおいて乾燥させることができる。特に、乾燥媒体は、中央の充填レベル領域に位置する乾燥媒体入口および最大充填レベルの上方に位置する乾燥媒体入口を介して供給され、乾燥媒体は他の乾燥媒体入口を介して供給されない。
【0050】
粉末の粉砕と組み合わせて水分子の収着性の除去を行うと、凝集体が粉砕され、粉砕された材料の粒子径が連続的に小さくなる。
【0051】
凝集体の形態である個々の粒子のサイズ縮小は、とりわけ、粒子間の液体ブリッジとして働く水分子によって決定され、制限される。水分子を除去することで、粒子を1桁μmの範囲までさらに分離することができる。
【0052】
球体の表面/界面を介した間接乾燥は、完全に乾燥した球体を粉末層に混合することで粉末を低温乾燥させることも可能にし、球体と粉末の温度は大きな温度差を示さない。乾燥の結果、間接乾燥は乾燥残渣含有量98%までの粉末の完全乾燥を達成することができる。
【0053】
球体と粉末は、好ましくは間隔をおいて混合される。混合中、粉末は球体の表面での摩擦によって粉砕される。
【0054】
(生物起源)残渣の熱衛生化のために、バイオリアクター内の生物起源残渣の滞留時間は、衛生化のための法的に有効なそれぞれの仕様に基づき、所定の期間に設定することができる。
【0055】
本発明に係る方法を実行するために設置されるバイオリアクターは、以下の特徴を有する。
- 少なくとも1つの底部と、好ましくは閉じた周壁とを有するハウジング
- 好ましくは垂直軸を中心に回転可能に底部に取り付けられ、ハウジング内に配置されるミキサー
- ハウジングの高さまたはハウジングの最大充填レベル(Hmax)に関して、ハウジングの周壁の中央領域または中央に配置される少なくとも1つの乾燥媒体入口
- 少なくとも1つの乾燥媒体出口
- 初期充填レベル(Hstart)での、複数の球体からのバイオリアクターの充填
- 残渣のための少なくとも1つの供給ライン
- 乾燥した残渣を除去するための少なくとも1つの排出装置
【0056】
さらなる乾燥媒体入口は、底部または周壁に配置することができる。底部と周壁に累積的な配置を設けることもできる。
【0057】
乾燥媒体の十分な供給を確保するために、複数の乾燥媒体入口を周壁および底部に設けることができる。特に、バイオリアクターは、複数の乾燥媒体注入口、特に周壁のバイオリアクターの下部3分の1に配置された乾燥媒体注入口、周壁の中央充填レベル領域に配置された乾燥媒体入口、周壁の最大充填レベルの上方に配置された乾燥媒体入口、または底部に配置された蓋および/または乾燥媒体入口を含むことができる。
【0058】
乾燥媒体は、特定の箇所および/または分配板を介して供給・分配することができ、各分配板は複数の孔を有し、リアクター断面の少なくとも一部にわたって延在する。これにより、乾燥媒体を定義された領域に供給・分配することができる。
【0059】
好ましくは、ハウジングは蓋で覆うことができる。この場合、好ましくは残渣が供給され、対応する開口部が設けられた蓋を通して乾燥媒体が除去される。あるいは、対応する開口部を設けることにより、乾燥媒体を排出し、最大充填レベルより上方の側周壁を通して残渣を供給することができる。
【0060】
あるいは、バイオリアクターの設計に関係なく、蓋の有無に関係なく、残渣は、好ましくはスクリューを使用して、最大充填レベルの表面より下方の側周壁に供給することができる。本来、どこから、またはどのポイントで、生物起源残渣がバイオリアクターに供給されるかは無関係である。
【0061】
ミキサーは、好ましくは縦型スクリューである。縦型スクリューは、好ましくは円錐形または円筒形である。好ましくは、スクリューの始端にある少なくとも1つのブレードとスクレーパーバーも、スクリューターンまたはスクリューフライト(セグメント化されたスクリュー)に取り付けることができる。ミキサーは、好ましくはハウジングの底部に取り付けられる。
【0062】
ハウジングは、好ましくは円筒形または円錐形である。
【0063】
好ましくは、乾燥プロセスの間、バイオリアクター内の温度を一定に保つため、ハウジングは断熱されている。
【0064】
排気や余剰蒸気は、内圧により、または真空の適用により、密閉されたバイオリアクターから排出することができる。適用される温度は、適用される圧力を変えることによって変えることができる。負圧の場合は温度を下げることができ、正圧の場合は温度を上げることができる。バイオリアクターの構造は、選択した圧力条件に従って蓋とともに設計しなければならない。
【0065】
以下、個々の方法のステップをより詳細に説明する。
【0066】
(a)液体を含有する残渣を充填するステップ
【0067】
第1の方法のステップの目的は、供給された(生物起源の)残渣を、好ましくは数mmの層厚の薄膜の形態で球体の表面に均一に分布させることである。
【0068】
この目的のために、残渣は、好ましくはバイオリアクターに向けて、球体層の上に供給される。
【0069】
球体は、好ましくは木材、特にブナ材から作られる。あるいは、十分な強度の表面を有する他の調湿材料も使用できる。球体の直径は、好ましくは5~50mmである。例えば、バイオリアクターの使用容積1立方メートル当たり、平均直径25mmの球体が約73,000個使用される。したがって、1立方メートルあたりの球体表面の合計は144m2(平方メートル)である。
【0070】
幾何学的な観点では、本方法を実行するために、球体が好ましく使用される。あるいは、好ましくは円形または楕円形の物体も使用できる。
【0071】
球体と残渣を混合するために、残渣は、好ましくは、ミキサーが動作している間に、少なくとも断続的に添加される。混合プロセスは、すべての球体に均一なフィルムが形成されるように、好ましくは数分間継続すべきである。混合プロセスは、好ましくは、バイオリアクター内で縦型スクリューによって実行される。
【0072】
供給される残渣は、異なる材料特性と粒子径を有することができる。例えば、供給される混合物は、液体画分、湿潤(wet)画分、湿潤(moist)画分、粘着性画分、固体画分、砕けやすい画分、および粉末状の画分で同時に構成することができる。供給される固体粒子のサイズも、懸濁液中の1μmから固体塊の数センチメートルまで様々である。
【0073】
含水量70%未満の乾燥画分を有する残渣を供給する場合、乾燥成分についてスラリー化またはスラッジ化を行うために、好ましくはバイオリアクターに水が添加される。これは、好ましくは、球体の上方および混合プロセス中にスプレーミストによって行うことができる。
【0074】
特に供給される生物起源残渣のさらなる特徴は、それらが含有するリンである。リンが枯渇した燃料を得るためにリンを分離する場合、残渣中でリン酸鉄または他の常磁性金属リン酸塩の形態で利用できることが望ましく、これにより、特に磁気的に有効な分離器(アブソーバー)を用いた材料の磁気的な分離が可能になる。
【0075】
(生物起源)残渣に含まれるリン酸塩が非磁性金属塩または溶解リン酸塩の形態にある場合には、適当な鉄塩を豊富に含む水をバイオリアクターに添加することができる。好ましくは、残渣が供給されている間の混合プロセス中に、球体の上方にスプレーミストの形態で供給が行われる。添加された鉄塩水溶液は混合プロセスによって均一にフィルムに混合され、その後、水性フィルム中に溶解しているリン酸塩の存在下で、数分でリン酸鉄としてリン酸塩の沈殿をもたらす。
【0076】
生物起源残渣を肥料として使用する場合、リン酸鉄の生成は、植物によるリンの吸収をほぼ完全に阻害するため、避けるべきである。このため、リン酸鉄を生成された粉末状の乾燥塊から磁気的に分離し、後続の処理動作に供給することができる。
【0077】
供給される生物起源残渣に関するさらなる差別化は、有機物の化学的不安定性の程度である。エネルギーが豊富で複雑な有機脂肪とタンパク質の分子からなる、この分解しやすい有機物の部分は、化学的に結合したエネルギーを保存し、臭気を最小限に抑えるために、速やかに安定した形態に変換されることが好ましい。
【0078】
安定化の一形態は、乾燥安定状態への変換である。水分が不足することで、有機成分を非常に早く分解し始める従属栄養バクテリアの大部分の栄養素の輸送が妨げられ、分解しやすい有機物質の生物学的分解が効果的に停止する。
【0079】
したがって、球体は充填前に乾燥させることが好ましい。湿潤フィルムが球体の表面に分布しているとき、水分は、自由な水として、毛細管引力によって球体の境界面を経由して、球体の乾燥したセルの空洞に外側から内側に向かって、湿潤フィルムから引き込まれる。水分を内側に引き込むことでフィルムが乾燥し、その結果得られる乾燥剛性によってフィルムが安定化する。
【0080】
原理的には、球体の吸湿特性により、水分を一般的な外部条件に適合させることができる。関連する水分の貯蔵能力により、非常に水性の高い懸濁液をバイオリアクターに導入することが可能になり、その含有水分は球体の飽和限界まで吸収することができる。
【0081】
この方法ステップの結果、バイオリアクター内のすべての球体が薄膜で覆われる。
【0082】
(b)残渣を乾燥塊まで乾燥するステップ
【0083】
球体上に湿潤膜の形態で存在する生物起源残渣は、乾燥媒体として温かい不飽和空気が使用される場合には好ましくは室温を超えて85℃までの温度で、乾燥媒体として不飽和過熱水蒸気が使用される場合には好ましくは110℃を超える温度で、乾燥媒体を供給することによって乾燥される。乾燥媒体は、好ましくは、バイオリアクター内の異なる高さに配置された幾つかのポイントで供給される。乾燥媒体は、好ましくはリアクターの底部から、その周壁から供給されることが好ましく、具体的には、粉体蓄積部のレベルにある球体の領域および粉体蓄積部の上方にある球体の領域ならびに球体層の上方から供給されることが好ましい。
【0084】
温かい不飽和空気が乾燥媒体として使用される場合、フィルムの水性表面は、その周囲を流れる不飽和の温かい空気中に水蒸気として水を放出し、より飽和した排気を介してバイオリアクターから水蒸気として水を排出することによって、主にこの段階で乾燥する。
【0085】
乾燥媒体として不飽和過熱水蒸気を使用する場合、フィルムの水性表面は、その周囲を流れる不飽和過熱水蒸気中に実在気体の形態で水蒸気として水を放出し、余剰蒸気としてバイオリアクターから水を排出することによって、主にこの段階で乾燥する。
【0086】
球体の優先的な機械的混合は、湿潤フィルムがより乾燥した膜に水分を移動させ、混合後に再び均質な湿潤バイオフィルムに形成されるため、湿潤面の増加につながる。
【0087】
新鮮な残渣を加えない場合、湿潤フィルムは乾燥し、乾燥塊が木材球体の表面に乾燥クラスト(残留水分を含有する乾燥塊)の形態で生成される。
【0088】
乾燥クラストは、好ましくは球体の直径を5%~10%増加させる。これにより、リアクター内の利用体積が最大33%増加する。球体マトリックスの充填密度は約60%であり、約40%の自由体積(乾燥媒体として温かい不飽和空気を使用する場合は空気体積、乾燥媒体として不飽和過熱水蒸気を使用する場合は蒸気体積)が残る。
【0089】
クラスト形成が始まる際、または湿潤膜が表面的に乾燥したクラストに移行する際、遅くともクラスト形成が完了した後、リアクターの下部領域への乾燥媒体の供給は減らされるか、または中断され、乾燥媒体の供給は、実質的に下部リアクター領域に現在蓄積している粉末状の乾燥塊の上方にある球体の領域でのみ行われる。
【0090】
(c)乾燥塊を粉砕し、乾燥させるステップ
【0091】
木材球体の表面に付着した乾燥塊は、混合プロセス中の摩擦により、自由流動物質として擦り落とされるか、または粉砕される。流動物質のほとんどはバイオリアクターの底部に沈着する。
【0092】
自由流動原料の利用可能性が高まるにつれて、混合プロセスにより自由流動原料が微細粉末に粉砕されることになる。その結果、粒子径は100μm未満、好ましくは60μm未満である。個々の粒子は1桁μmの範囲まで粉砕される。
【0093】
湿潤相から乾燥粉末相への移行により、乾燥塊はさらに乾燥される。しかし、乾燥の種類が変わる。粉末はもはや乾燥媒体を介して直接乾燥されず、毛管吸引力と球体の乾燥界面での収着を介して間接的に乾燥される。したがって、粉末中の水分は、収着と毛管吸引力によって球体の境界面を介して、球体のセル空洞の外側から内側へと運ばれ、そこで結合される。
【0094】
この目的のために、粉末中で被覆されていない球体の部分であって、底部に堆積した粉末層の上方に位置する部分は、乾燥媒体として温かい不飽和空気が使用される場合には温かい不飽和空気の流れによって、乾燥媒体として不飽和過熱水蒸気が使用される場合には過熱不飽和水蒸気の流れによって、乾燥媒体によって乾燥され続ける。その後の混合プロセスにより、非常に乾燥した球体が、上部領域から、バイオリアクターの下部領域の粉末中に混合される。さらに、粉末中にあり、粉末からの水が事前に豊富である球体は、粉末からバイオリアクターの上部に混合され、これにより、粉末層の上方からそこに位置している球体に混合される。
【0095】
さらに乾燥させることで、粉末から水分が除去され、バインダーとして作用する水分がますます除去されるため、粉末のさらなる粉砕が可能になる。粉末の最終的な乾燥残渣含有量は、好ましくは90質量%~98質量%であるべきであり、すなわち、2質量%から最大でも10質量%の含水量を有するべきである。
【0096】
粉砕プロセスは、球体から実質的に乾燥塊がなくなるまで、すなわち、クラストが可能な限り除去されるまで実行されることが好ましい。
【0097】
その後、乾燥媒体の供給は完全に中断され、ミキサーの動作は停止される。乾燥媒体の排出は、継続的な負圧を維持するために、レベルを下げて継続される。
【0098】
(d)乾燥塊の排出
【0099】
好ましくは、粉末は乾燥媒体とともに空気の作用によって、特にサイクロンの助けを借りて吸引空気または負圧によって、リアクターから搬出することができる。より重い不純物は、空気分離プロセスにより、乾燥媒体の流れ、特に空気の流れの中で、容易に分離することができる。
【0100】
あるいは、粉末は、横方向の開口部またはリアクターの底部にある開口部を備える排出装置によって排出することができる。好ましくは、乾燥塊の少なくとも球体を、および任意に、より粗い成分を保持するために、開口部の前にふるい装置、特に多孔板または格子または棒を配置することができる。排出装置を任意に開閉する装置も、ハウジングの内側のふるい装置の前に配置することができる。
【0101】
排出された乾燥塊は、さらなる品質保証を受けることができる。これには、好ましくは、リン、特にリン酸鉄の形態のリンを分離するプロセスが含まれる。さらに、外部から供給された乾燥塊も、リン分離プロセスに組み込むことができる。
【0102】
リン酸鉄は常磁性体であり、特に5μm~50μmの粒子径で存在する。粉末状の吸湿性バルク材料からの分離を可能にするため、乾燥塊は好ましくは最大100μmのサイズに粉砕されなければならず、同時に90%超98%以下の高い乾燥残渣含有量を有していなければならない。これらの2つのパラメータは、自由流動性を実現し、粉末の凝集を避けるために不可欠である。パラメータを設定する際、磁場の強さによって分離の程度が徐々に異なるスムーズな移行が存在する。また、凝集が増加すると異物が付着するため、凝集は分離されたリン酸鉄粒子の純度に直接影響を与える。
【0103】
リン酸塩の分離を目的とした乾燥塊の粉砕は、粉砕機、または一般的に粉砕装置で行うことができる。この装置は、粒子を粒子径<100μmまで減少できるべきである。
【0104】
粒子の純粋な機械的粉砕は、乾燥塊中の残留水分によって制限される。外部から供給または排出された乾燥塊中の残留水分が高すぎる場合、粉砕が1桁μmの範囲まで阻害される可能性がある。さらに好ましい代替手順は、外部から供給または排出され、好ましくは粉砕された乾燥塊を、プロセス段階(c)「必要な乾燥残渣含有量に達するまで乾燥塊を粉砕・乾燥するステップ」に供給または返送することであり、これにより、好ましくは1桁μmの範囲までの粉砕が可能になる。
【0105】
あるいは、外部から供給または排出された、好ましくは粉末状の乾燥塊の乾燥および粉砕は、好ましくは、独立したプロセスとして、第2の別のミキサーで実行または継続することができる。
【0106】
乾燥塊の充填プロセス中、磁性金属化合物、特にリン酸鉄は、磁気分離器によって落下部にある粉末状の乾燥塊から分離することができる。リン酸鉄粒子は磁場によって引き寄せられ、直接磁石またはその前面の板の上に堆積する。その結果、副生成物のリン酸鉄は、主生成物の粉末状の乾燥塊から分離される。
【0107】
磁気分離はさまざまな方法で行うことができる。一方では、落下部のバッフル板は乾燥塊の微粒化につながり、そこから微細なリン酸鉄粒子が磁気的に分離される。他方では、チューブ状の磁石は、製薬業界においても磁化の弱い粒子を分離するために使用されているように、自由落下用途に使用することができる。さらに、ドラム磁石、オーバーバンド磁石、またはその他の磁気システムも分離に使用できる。
【0108】
磁石は有利には電磁石であり、特に好ましくは貯蔵容器のハウジングの壁を磁化する。このような設計では、バッフル板上で旋回するように粉末を自由落下で上方から貯蔵容器に充填するので十分な場合がある。その後、リン酸鉄粒子はハウジングの壁に沈着する。
【0109】
以下、図面の助けを借りて、液体を含有する生物起源残渣を出発物質として使用する拡張された方法に関する本発明の例示的な実施形態を詳細に説明する。
図0は、本発明の一実施形態に係る未充填バイオリアクターの概略図を示す。
図1は、充填高さがH
startであり、表面が清浄な(非湿潤)球体が充填された、
図0からのバイオリアクターの概略図を示す。
図2は、最大充填高さがH
wetであり、表面にバイオフィルムが形成された球体が充填された、
図0からのバイオリアクターの概略図を示す。
図3は、球体が充填され、表面にクラストが形成され、平均充填高さがH
dryである、
図0からのバイオリアクターの概略図を示す。
図4は、球体が充填され、表面は再び清浄であり、粉末が容器の底部に堆積した状態であり、最小充填レベルがH
powderである、
図0からのバイオリアクターの概略図を示す。
図5は、磁性リン含有化合物、特にリン酸鉄を、磁石を通電した状態で分離するためのシステムの概略図を示す。
図6は、磁石が不活性化された
図5のシステムの概略図を示す。
【0110】
バイオリアクター0は熱乾燥機であり、
図0に示す例示的な実施形態では、円錐形で、実質的に閉じた周壁1.2と底部1.1からなる上向きに開いたハウジング1からなる。
【0111】
バイオリアクター0内の温度をできるだけ一定に保つために、バイオリアクター0のハウジング1を断熱することができることは、概略図には示されていない。
【0112】
好ましくは、垂直軸Aを中心に回転駆動できるように、円錐形のスクリュー2が底部1.1に取り付けられる。スクリュー2は、少なくとも1回転2.1を有する。スクリュー2は、ここでは短く示されている。好ましくは、可能な限り迅速な混合を可能にするために、その軸方向の長さは最大充填高さHmaxまで延在する。
【0113】
供給ライン6、6.1、6.2および6.3は、好ましくは雰囲気空気および/または不飽和過熱水蒸気である乾燥媒体のために底部1.1および周壁1.2に設けられており、この乾燥媒体は、生物起源残渣4を乾燥させる役割を果たすバイオリアクター0の内部に供給される。ハウジング1の最大充填高さH
maxに関連して、供給ライン6は下部3分の1に位置し、供給ライン6.1は中央に位置し、さらに供給ライン6.2は球体層の上方に位置する(
図1参照)。供給ライン6.3は底部1.1に位置する。乾燥媒体として温かい不飽和空気を使用する際、雰囲気空気は好ましくは20℃~85℃の範囲の温度に加熱することができる。乾燥媒体として不飽和過熱水蒸気を使用する場合、不飽和過熱水蒸気は、好ましくは110℃~250℃の範囲の温度に加熱することができる。
【0114】
生物起源残渣を乾燥させるための動作を開始できる前に、複数の球体、この場合、バルク材料として好ましくは直径5~50mmのブナ材で好ましく作られた木材球体3は、
図0に示す上部開口部を介して、バイオリアクター0内に充填高さH
startまで充填される。
【0115】
木材球体3がバイオリアクター0に充填されるとすぐに、
図1に示すように、バイオリアクター0を蓋1.3で閉じることができる。
【0116】
図1に示すバイオリアクター0は、
図0に示すバイオリアクター0と同じ構造を有するが、ハウジング1が蓋1.3によって閉じられ、バイオリアクター0には木材球体3が充填されている。生物起源残渣4と水5の供給ラインと、流出する乾燥媒体7の排出ラインは、蓋1.3を介して繋がっている。
【0117】
生物起源残渣4がバイオリアクター0に充填される前に、木材球体3は、好ましくは、木材球体3に水分を吸収するための高いポテンシャルを作り出すために乾燥される。
【0118】
乾燥媒体は、好ましくは、乾燥のためにバイオリアクター0に熱を導入するために、すべての供給ライン6、6.1、6.2および6.3を介して供給される。好ましくは、乾燥媒体は、温かい不飽和空気および/または不飽和過熱水蒸気である。供給ライン6.3を介した温かい空気および/または蒸気の供給は、以前に球体マトリックスを通って流れた、バイオリアクター0の下部からの飽和空気および/または余剰蒸気を排出するための漏洩媒体(漏洩空気および/または漏洩蒸気)として機能する。排気空気および/または蒸気は、蓋1.3の排出ライン7を介して排出される。空気の流れおよび/または蒸気の流れは、好ましくはバイオリアクター0内にわずかな負圧を生じさせる。通気および換気、ならびに/または蒸気の供給および除去は、好ましくは連続的に行われる。個々の空気供給ラインおよび/または蒸気供給ライン6、6.1、6.2および6.3を基準とした、持続時間、体積流量および温度に関する空気供給および/または蒸気供給の具体的な設計は、乾燥プロセスの最適な条件を得る目的で可変である。
【0119】
次に、垂直に配置されたスクリュー2が回転を開始し、生物起源残渣4が、好ましくは蓋1.3の供給パイプを介して同時に供給される。混合プロセスにより生物起源残渣4が木材球体3と混合され、好ましくは数分間かかる。混合プロセスは、木材球体3の表面にほぼ均質に形成されたバイオフィルムで終了する。
【0120】
供給された生物起源残渣4が乾燥しすぎており、バイオフィルムの形成が阻害され、したがって不十分である場合には、好ましくは、混合プロセス中に、蓋1.3の供給ラインを介してバイオリアクター0に水5が供給される。これにより、生物起源残渣4の乾燥画分がスラリー化され、スラッジ化される。水5が豊富な生物起源残渣4は、その後、混合プロセス中に木材球体3の表面上に連続的にバイオフィルムを形成する。
【0121】
乾燥プロセス後に分離されるべき生物起源残渣において、溶解したリン酸塩もしくは類似の形態のリン、または非磁性化合物の形態のリンが依然として利用可能である場合、リンを磁性化合物に変換するために、適切な磁性試薬が添加される。例えば、混合プロセス中、湿潤バイオフィルム中の溶解したリン酸塩がリン酸鉄として自然に沈殿するように、水5に鉄塩が添加される。
【0122】
図2に示すバイオリアクター0は、木材球体3の表面にバイオフィルムが首尾よく形成された後の状態を示している。バイオフィルムによって、バイオリアクター0内のレベルはH
wetまで上昇する。
【0123】
さらなるプロセスにおいて、湿潤バイオフィルムが乾燥される。上述したように、乾燥は、温かい空気および/または不飽和過熱水蒸気を、バイオフィルムの表面を介して、好ましくはすべての空気供給ラインおよび/または蒸気供給ライン6、6.1、6.2および6.3を介して連続的に、球体マトリックス内に供給することによって行われる。水蒸気で飽和した空気および/または余剰蒸気は、蓋1.3の排気ラインおよび/または蒸気排出口7を介して除去される。
【0124】
スクリュー2は、好ましくは間隔をおいて動作する。この目的のために、スクリュー2は、好ましくは約3~60分間、特に好ましくは30~60分間停止され、その後、好ましくは一度に10~30秒間回転を開始する。選択される間隔は、乾燥のためにバイオリアクターに供給される熱エネルギーに直接依存する。乾燥媒体として不飽和過熱水蒸気が供給される場合、ミキサーは、好ましくは準連続的に動作することができる。機械的摩擦プロセスにより、木材球体3の表面上のバイオフィルムが均質化され、バイオフィルムの水分が球体の全表面にほぼ均等に分布するため、蒸発についての有効表面積が最適化される。
【0125】
乾燥プロセスの目的は、木材球体3の表面に固体の乾燥クラスト4.1を形成することである。クラストは、木材球体3の直径を、好ましくは5%~10%増加させる。この指針値により、添加すべき固体の質量、したがって生物起源残渣の新鮮な質量を計算することができる。
【0126】
生物起源残渣は、好ましくは、いくつかの部分に分けて供給される。生物起源残渣4のさらなる部分の各々は、好ましくは、生物起源残渣4の供給の結果として形成された木材球体3上のバイオフィルムの部分乾燥後に供給される。
【0127】
生物起源残渣4の供給が完了すると、バイオフィルムは乾燥され、木材球体3の表面に固体の乾燥クラストが形成される。
【0128】
図3は木材球体3で満たされたバイオリアクター0を示しており、その上に固体の乾燥クラスト4.1が形成されている。充填レベルはわずかに低下し、H
dryとなっている。
【0129】
さらなる乾燥プロセスのために、バイオリアクター0の底部領域にますます沈着した粉末4.2の渦巻きを回避するために、底部のエアレーションおよび/または蒸気供給ライン6.3および下部側方のエアレーションおよび/または蒸気供給ライン6は、オフに切り替えられる。エアレーションおよび/または蒸気供給は、好ましくは、空気ラインおよび/または蒸気供給ライン6.1を介して、供給された温かい空気および/または供給された不飽和過熱水蒸気により、球体マトリックスを通して連続的に行われる。さらに、漏洩空気および/または漏洩蒸気は、好ましくは、供給空気ラインおよび/または蒸気供給ライン6.2を介して供給され、排気空気および/または余剰蒸気は、排気空気ラインおよび/または蒸気排出ライン7を介して連続的に排出される。
【0130】
スクリュー2はまた、好ましくは間隔をおいて動作する。この目的のために、スクリュー2は、好ましくは約3~60分間、特に好ましくは30~60分間停止され、その後、好ましくは一度に10~30秒間始動する。機械的摩擦工程は、木材球体3の表面の乾燥クラスト4.1を摩擦によって逐次除去する。ほとんどの場合、磨耗は粗大粉末粒子および微細粉末粒子4.2の形態で直接起こり、これらの大部分がバイオリアクターの底部領域に堆積する。バイオリアクター内に既にある粗大粉末粒子および部分的に微細な粒子4.2は、木材球体3の表面間の摩擦によって粉砕され、粒径100μm未満の微細粉末になる。
【0131】
粉砕プロセスに加えて、粉末粒子の分離プロセスは粉末の乾燥によって支援される。最初に乾燥していた粒子は、その少ない残留水分を失い、粉末として乾燥するため、以前に水分によって付着的に結合していた粒子の連続的な分離が可能になる。
【0132】
粉体乾燥プロセスは、毛細管吸引力によって木材球体3の表面を介して間接的に行われ、粉末粒子と木材球体3の表面との間のわずかな水分差を均等化する。
【0133】
事前にバイオリアクター0の上部領域で乾燥された木材球体3が、間欠混合プロセスを通じてバイオリアクター0の底部領域1.1に位置する粉末4.2に入ると、木材球体3のより乾燥した表面と粉末粒子4.2の湿潤した表面の界面における水分差を均等化するように、収着と毛管吸引力によって粉末粒子4.2の間接乾燥が行われる。
【0134】
事前に粉末4.2中の水分を吸収した木材球体3がバイオリアクター0の上部領域に入ると、木材球体3は温かい空気および/または不飽和過熱水蒸気によって直接乾燥される。
【0135】
断続的な混合プロセスにより、バイオリアクター0の上部領域と粉末4.2との間で、乾燥した木材球体3と湿潤した木材球体3とが間隔をおいて交換される。これにより、粉末4.2は乾燥残渣含有量98wt%まで乾燥され、含水量は約2wt%となる。
【0136】
図4は、バイオリアクターの底部1.1において、固体フリーの表面を有する木材球体3と粉末4.2で満たされたバイオリアクター0を示す。充填レベルは、H
powderのレベルまでわずかに低下した。
【0137】
粉末4.2は、排出装置8を介して除去することができる。原理的には、粉末4.2は任意の所望の方法で排出することができる。
【0138】
直径<100μmの微細粉末に加えて、より大きな粒子の割合が全重量の約15%まで生成されることが多い。これは、球状粒子または他の形状の乾燥塊であり、排出ユニット8を介して自由流動材料として排出される。排出される固体粒子の大きさは、選択された排出装置に依存し、1mm~数cmの範囲とできる。このように、乾燥塊4.1の粉末4.2は、直径の小さな粒子と、直径≧100μmのより粗い成分との不均質な混合物として存在することが多い。
【0139】
したがって、有利には、より粗い成分を含む粉末状の乾燥塊4.2は、吸引空気および/または負圧によって空気の作用によって排出され、その後、サイクロンの助けを借りて、空気の流れおよび/または抽出されたガスの流れ(蒸気の流れ)から、より粗い成分が分離される。2つの画分を分離するために、空気の流れおよび/または気体の流れにバッフル板を使用して空気分離を行うことができる。
【0140】
好ましくは、バイオリアクター0の周壁1.2において、排出口の前に、ふるいとして機能する多孔板が設けられる。これにより、容器から排出される粒子の最大サイズが決定され、木材球体3が保持される。多孔板は、好ましくは、バイオリアクター0の周壁1.2の内側にある覆いによって、循環する球体から保護される。孔が覆われていない場合、孔は供給された生物起源残渣によって液体成分で詰まり、その後固まる。開口は、ドリルまたはノミを使用して機械的にのみ可能である。この手順は、他の排出装置にも同様に適用され、したがって、好ましくは覆いによってバイオリアクターの内部から保護されなければならない。
【0141】
上記のリアクター0は、磁性リン含有化合物4.3を乾燥塊4.1から分離するための本発明に係るシステムの一部とすることができ、乾燥塊4.1を粉末4.2に粉砕するための粉砕装置を具体化する。このようにして粉末4.2の形態でリアクター0において得られた乾燥塊4.1は、次いで、磁性リン含有化合物の磁気分離のための分離装置に供給される。この分離装置は、例として、以下の
図5および
図6に記載されている。
【0142】
図5は、磁性粒子、特にリン酸鉄を分離するためのそのような分離器を示す。この分離器は、オプションの粉砕ユニット20、ホッパー21、角度のついたバッフル板23を備えた落下ハウジング(落下管)22、および磁石装置24、ならびにハウジング(図示せず)内に配置することができる貯蔵容器26を備える。
【0143】
リアクター0から得られた乾燥塊4.1は、磁性リン含有化合物4.3も含む粉末4.2の形態で分離器に供給される。特に、粉末4.2は、粉末4.2への均質な機械的粉砕のために、オプションの粉砕ユニット20に供給される。これは、直径≧100μmのより粗い乾燥塊粒子が粉末4.2から以前に分離されなかった場合、または、乾燥塊4.1がバイオリアクター0以外のプロセスから得られるものであり、十分に小さい粒径が得られなかった場合に、有用である。粉砕ユニット20は、機械的な粉砕機構、例えば、コーン粉砕機構またはディスク粉砕機構等を有していてもよい。
【0144】
粉砕ユニット20での粉砕後、微細粉末4.2としてほぼ均質になった塊全体は、下方に位置するホッパー21を通って落下チューブ22に自由落下し、そこで角度のついた衝突板23に衝突する。バッフル板23での衝突により、粉末4.2は旋回しながら粉の雲となり、落下パイプの内壁に沿って自由落下を続ける。磁石装置24は、好ましくは電磁石の形態で、落下チューブ22の中心に外側から配置される。通電されると、電磁石は、落下パイプの内側領域に作用する磁場25を発生させる。有効磁場25により、リン4.3の磁性金属化合物、例えばリン酸鉄は、内側から落下パイプの壁に磁気的に引き付けられ、その結果、非磁性残存粉末4.2から除去される。磁性金属化合物4.3から解放された粉末4.2は、落下パイプ22の下方に位置する貯蔵容器26に向けて自由落下し続け、底部領域で沈着する。
【0145】
代替的なプロセス制御は、バイオリアクター0から排出される物質を別々に処理するステップから構成することができる。直径≧100μmの粗大な乾燥塊粒子は、粉砕ユニット20で粉砕し、次いで磁気分離器でリン酸鉄から磁気的に分離することができる。直径<100μmの粉末4.2の微細部分は、磁気分離器に直接供給し、リン酸鉄から磁気的に分離することができる。
【0146】
乾燥塊の粒子径が十分に小さければ、(追加の)粉砕プロセスまたは粉砕ユニット20を省略できることが理解される。
【0147】
図6は、以前に
図5において記載されたような分離器を示しているが、貯蔵容器26は横に置かれ、貯蔵容器27が分離された磁性リン含有化合物(例えばリン酸鉄粒子)4.3を受けるために落下パイプ22の下に位置している。さらに、磁場25を発生させる電磁石24のスイッチが切られているため、磁性金属化合物4.3は貯蔵容器27内に自由落下し、底部で沈着する。このようにして、磁性リン含有化合物(例えばリン酸鉄粒子)4.3と残存する乾燥塊4.1は、それぞれ貯蔵容器27および26において互いに別々に受け取られ、回収される。
【符号の説明】
【0148】
0 バイオリアクター
1 ハウジング
1.1 底部
1.2 周壁
1.3 蓋
2 ミキサー/スクリュー
2.1 フライト
3 木材球体
4 生物起源残渣
4.1 乾燥塊
4.2 粉末状の乾燥塊/粉末
4.3 リン酸鉄粒子
5 給水口/供給(supply)ライン/供給(feed)ライン
6 乾燥媒体入口/空気入口および/または蒸気入口/供給(supply)ライン/供給(feed)ライン
6.1 乾燥媒体入口/空気入口および/または蒸気入口/供給(supply)ライン/供給(feed)ライン
6.2 乾燥媒体入口/空気入口および/または蒸気入口/供給(supply)ライン/供給(feed)ライン
6.3 乾燥媒体入口/空気入口および/または蒸気入口/供給(supply)ライン/供給(feed)ライン
7 乾燥媒体排出口/排出ライン/排気および/または蒸気排出口
8 排出装置
10 表面
20 粉砕ユニット付きハウジング
21 円錐漏斗
22 コニカルエンドピース付き落下パイプ
23 噴霧用角度付きバッフル板
24 磁石装置/電磁石
25 磁場
26 貯蔵容器
27 貯蔵容器
30.1 ハウジングの壁
A 軸
Hmax 充填高さ
Hstart 充填高さ
Hwet 充填高さ
Hdry 充填高さ
Hpowder 充填高さ
【国際調査報告】