IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ローゼン 2 ホールディング アー・ゲーの特許一覧

特表2024-525520タワー状の建造物用の接続装置を製造する方法ならびにタワー状の建造物
<>
  • 特表-タワー状の建造物用の接続装置を製造する方法ならびにタワー状の建造物 図1
  • 特表-タワー状の建造物用の接続装置を製造する方法ならびにタワー状の建造物 図2
  • 特表-タワー状の建造物用の接続装置を製造する方法ならびにタワー状の建造物 図3
  • 特表-タワー状の建造物用の接続装置を製造する方法ならびにタワー状の建造物 図4
  • 特表-タワー状の建造物用の接続装置を製造する方法ならびにタワー状の建造物 図5
  • 特表-タワー状の建造物用の接続装置を製造する方法ならびにタワー状の建造物 図6
  • 特表-タワー状の建造物用の接続装置を製造する方法ならびにタワー状の建造物 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-12
(54)【発明の名称】タワー状の建造物用の接続装置を製造する方法ならびにタワー状の建造物
(51)【国際特許分類】
   F03D 13/20 20160101AFI20240705BHJP
   E04H 12/00 20060101ALI20240705BHJP
【FI】
F03D13/20
E04H12/00 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023581083
(86)(22)【出願日】2022-06-29
(85)【翻訳文提出日】2024-02-07
(86)【国際出願番号】 EP2022067915
(87)【国際公開番号】W WO2023275154
(87)【国際公開日】2023-01-05
(31)【優先権主張番号】BE2021/5505
(32)【優先日】2021-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】BE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524005523
【氏名又は名称】ローゼン 2 ホールディング アー・ゲー
【氏名又は名称原語表記】ROSEN 2 Holding AG
【住所又は居所原語表記】Obere Spichermatt 14, 6370 Stans, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ダーフィト メラー
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー リンドナー
【テーマコード(参考)】
3H178
【Fターム(参考)】
3H178AA03
3H178AA25
3H178AA43
3H178BB77
3H178CC23
3H178DD67X
(57)【要約】
本発明は、特に洋上風力発電設備のタワー状の建造物用の接続装置を製造する方法であって、この接続装置は、特にプレート状の複数の接続エレメントを含んでおり、これらの接続エレメントは、スリップジョイントを形成する際に、建造物の上側の構造部分と建造物の下側の構造部分との間に配置することができ、上側の構造部分と下側の構造部分との間の荷重伝達の目的で、建造物の中央の長手方向軸線に関して、長手方向軸線を中心とする周方向でかつ/または長手方向軸線の長手方向で、互いに隣接するように位置決めされてよく、下側および上側の構造部分の実際サイズに関するデータを提供し、次いで、荷重伝達を最適化するために、かつ/または下側および/または上側の構造部分の、場合によっては存在する目標サイズからの偏差を補償するために、接続装置の、1つの接続エレメント、または複数の接続エレメントならびに特にすべての接続エレメントの形状、位置、および/または特性を少なくとも部分的に、接続エレメント特有に決定し、事前に製造されたかつ/またはそのときに製造される接続エレメントを、構造部分のうちの少なくとも1つに組付けるために提供する方法に関する。さらに、本発明は、特に洋上風力発電設備の一部であるタワー状の建造物、ならびに風力発電設備、特に洋上風力発電設備に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
特に洋上風力発電設備(2)のタワー状の建造物用の接続装置を製造する方法であって、前記接続装置は、特にプレート状の複数の接続エレメント(12)を含んでおり、前記接続エレメントは、スリップジョイントを形成する際に、前記建造物の上側の構造部分(8)と前記建造物の下側の構造部分(6)との間に配置され、前記上側の構造部分(8)と前記下側の構造部分(6)との間の荷重伝達の目的で、前記建造物の中央の長手方向軸線(14)に関して、前記長手方向軸線(14)を中心とする周方向でかつ/または前記長手方向軸線の長手方向で、互いに隣接するように位置決めされる、方法において、
前記下側および前記上側の構造部分(6,8)の実際サイズに関するデータを提供し、次いで、前記荷重伝達を最適化するために、かつ/または前記下側および/または前記上側の構造部分(6,8)の、場合によっては存在する目標サイズからの偏差を補償するために、前記接続装置の、1つの接続エレメント(12)、または複数の接続エレメント(12)ならびに特にすべての接続エレメント(12)の形状、位置、および/または特性を少なくとも部分的に、接続エレメント特有に決定し、事前に製造されたかつ/またはそのときに製造される前記接続エレメントを、前記構造部分(6,8)のうちの少なくとも1つに組付けるように提供することを特徴とする方法。
【請求項2】
各前記接続エレメント(12)の前記決定のために、前記構造部分(6,8)の取付け状態で存在する、前記上側の構造部分(8)と前記下側の構造部分(6)との間の隙間の形状を、両前記構造部分の実際のサイズに基づき決定する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
各接続エレメント(12)の厚さを、特に10mm~120mmの間にある所定のモジュール寸法から選択する、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
接続エレメント特有の前記決定を、EDP装置(26)によって行う、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
特に、下側の構造部分(6)と上側の構造部分(8)との間の荷重伝送に基づき、前記接続エレメント(12)によって受け取られる負荷を考慮して前記決定を行い、この際に特に、前記構造部分のためのそれぞれ2Dおよび/または3Dモデルを使用する、請求項4記載の方法。
【請求項6】
接続エレメント特有の前記決定のために、前記下側および/または前記上側の構造部分(6,8)の目標サイズに関するデータを、場合によっては存在する各目標サイズからの偏差も含めて提供する、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
前記上側および/または下側の構造部分(6,8)の前記データは、少なくとも、接続領域における高さ、円錐度、楕円率、表面曲率、および/または溶接シーム隆起度を示すまたは表す、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
前記建造物のために使用すべき前記接続エレメント(12)を、特に着色により、かつ/または情報担体により特徴付ける、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
少なくとも1つの接続エレメント(12)を予め製造し、接続エレメント特有の前記決定に基づき適合させる、請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
前記接続エレメント(12)を、下側の構造部分(6)および/または上側の構造部分(8)に取り付け、特にこの場合、それぞれ互いに接続させるべき表面のうちの少なくとも一方を、予め前処理し、特に、クリーニングし、表面活性化し、かつ/または付着促進剤および/または接着剤でコーティングする、請求項1から9までのいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
好ましくは塗布装置によって、前記構造部分のうちの1つの構造部分の前記表面および/または前記接続エレメントのうちの1つの接続エレメントの前記表面を、特に摩擦を減じるように、好ましくはPTFEでコーティングする、請求項10記載の方法。
【請求項12】
前記構造部分の外周面が、特にローラ装置上に置かれている間に、前記接続エレメントを前記構造部分に配置する、請求項10または11記載の方法。
【請求項13】
前記接続エレメントのうちの少なくとも1つを、予め規定された力で各前記構造部分に押し付けるプレス装置が設けられている、請求項10から12までのいずれか1項記載の方法。
【請求項14】
前記構造部分(6,8)の実際サイズに関するデータを、レーザーに基づく測定装置(18)によって、かつ/または前記構造部分により作成された画像に基づく画像分析によって取得する、請求項1から13までのいずれか1項記載の方法。
【請求項15】
前記接続エレメント(12)を、特に矩形の型に流し込み成形し、ならびに次いで、特に焼き戻しをし、かつ/またはクリーニングする、請求項1から14までのいずれか1項記載の方法。
【請求項16】
請求項1から15までのいずれか1項記載の方法により製造された接続装置を含む、特に洋上風力発電設備の一部であるタワー状の建造物。
【請求項17】
請求項16記載のタワー状の建造物を含む、風力発電設備、特に洋上風力発電設備(2)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タワー状の建造物用の接続装置を製造する方法に関する。さらに本発明は、タワー状の建造物、およびこのようなタワー状の建造物を含む風力発電設備に関する。
【0002】
欧州特許第3443224号明細書により、冒頭で述べた方法が公知である。しかしながら、典型的には金属板から製造される、メートル高さの構造部分の、その目標寸法からの偏差に基づいて、特に上側の構造部分の下端部および下側の構造部分の上端部において望ましくない応力ピークが生じるおそれがあることが判った。
【0003】
本発明の課題は、このような応力ピークを最小にすることである。
【0004】
この課題は、請求項1記載の方法により、ならびに請求項16または17記載の対象物により解決される。本発明の有利な構成は、従属請求項ならびに以下の説明により明らかである。
【0005】
本発明による方法は、特に洋上風力発電設備のタワー状の建造物用の接続装置の製造に到り、この場合、接続装置は、特にプレート状の複数の接続エレメントを含んでおり、これらの接続エレメントは、スリップジョイントを形成するために、建造物の上側の構造部分と建造物の下側の構造部分との間に配置することができ、上側の構造部分と下側の構造部分との間の荷重伝達の目的で、建造物の中央の長手方向軸線に関して、長手方向軸線を中心とする周方向でかつ/または長手方向軸線の長手方向で、互いに隣接するように位置決めされてよい。この方法は、下側および上側の構造部分の実際サイズに関するデータを提供し、次いで、荷重伝達を最適化するために、かつ/または下側および/または上側の構造部分の、場合によっては存在する(下側および/または上側の構造部分の)各目標サイズからの偏差を補償するために、接続装置の1つの接続エレメント、または複数の接続エレメントならびに特にすべての接続エレメントの形状、位置、および/または特性を、少なくとも部分的に、接続エレメント特有に決定し、既に事前に製造されたまたはそのときに製造される接続エレメントを、構造部分のうちの少なくとも1つに組付けるために提供することを特徴とする。
【0006】
接続エレメントが既に事前に製造されていて、特に様々な構成で保管されているならば、これらの接続エレメントは、接続エレメント特有の規定にしたがって、組み立てられる、もしくは提供される。代替的または補足的には、接続エレメントは、規定にしたがって特別に製造され、相応に組み立てられる、もしくは提供される。したがって、提供には、特に少なくとも部分的に、好ましくは完全に自動化された組立と、設置場所へ搬送しそこで構造部分の少なくとも一方に組付けるために接続エレメントを使用可能にすることとが含まれる。組付け自体のためには、各接続エレメントは、付加的に、以下に説明するように、さらに処理および準備されてよい。
【0007】
接続エレメントの接続におけるプレート状の接続エレメントの特に形状および位置の接続エレメント特有の決定は、好ましくはさらに、下側の構造部分の側面においても上側の構造部分の側面においてもプレート状の接続エレメントの最適な接触を達成するために行われる。両構造部分もしくは構造部分のうちの一方の構造部分の各目標サイズからの偏差により、例えば、一方の側で拡大された隙間を、より厚くされた接続エレメントによって補償することができ、これにより負荷がかけられた場合、そこでも最適な力の流れもしくは荷重伝達が生じ得る。接続エレメントの設計では、目標サイズからの構造部分の偏差は必ずしも補償されなくてもよい。構造部分間の荷重伝達が最適化されているならば、例えばやや楕円形の一方の構造部分における接続エレメントの配置は必ずしも、他方の構造部分のために楕円形の接触面がもはや生じないように行われる必要はない。一方の構造部分から他方の構造部分に伝達すべき荷重が、所望のように伝達されるならば、例えばすなわち、可能な限り大きな面積を介して特に均一に分配されていて、点状または小さな面で伝達されるのではないならば、荷重伝達の最適化が行われている。
【0008】
特に、接続エレメントの形状の少なくとも一部を決定する場合に、接続エレメントの厚さが決定され、この場合、長さおよび幅が既に規定された一連の接続エレメントを利用することができる。接続エレメントの厚さが、長さまたは幅よりも著しく小さいならば、接続エレメントは特にプレート状であり、ただしこれにより、ある程度の可撓性をもった、面状に延在するプレートが形成される。特に、厚さは、長さおよび/または幅の、少なくとも1/2または1/3である。
【0009】
下側および上側の構造部分の実際サイズは、特に、好ましくは1つの高さに沿ってある少なくとも2つの点によって決定され、より良好には1つの高さに沿ってある4つの点、ならびに上方および下方およびその相互の位置によって決定される。この場合、個々の点の間で、形状が近似的に仮定され、特に、例えば円錐形状を前提として内挿される。特に好適には、複数の、少なくとも10よりも多い測定点が使用され、これらの測定点によって、下側の構造部分の外面、ならびにスリップジョイントを形成するために下側の構造部分上に被せられる上側の構造部分の内面が決定される。例えば、レーザースキャン測定法によって、100を超える測定点が記録される。したがって、実際値は、少なくともほぼ下側の構造部分の実際の外面ならびに上側の構造部分の実際の内面を示している。好適には、各ジオメトリは、複数の点によって、自由曲面によって、2Dモデルおよび/または3Dモデルによって描かれるので、接続装置をできるだけ正確に形成することができる。個々の構造部分の実際サイズは、場合によっては存在する製造誤差に基づき所望の寸法、すなわち各構造部分の目標寸法とは異なっている可能性のある、これらの構造部分の実際の寸法である。特に、使用すべきデータは、円錐度、楕円率に関して、かつ/または各構造部分を製造する個々の金属板の相互のずれに関しても、下側および/または上側の構造部分の実際サイズを示す。溶接シームの隆起度、凹凸等も、データによって示すことができ、少なくとも接続装置の各誤差の範囲で補償することができる。接続エレメントの特性は、特に、そのショア硬さ、粘弾性率、圧縮率、表面性質、および/または場合によっては存在する層構造を含む。
【0010】
接続エレメントの形状には、この場合、特にプレート状の接続エレメントの長さ、幅および/または厚さが含まれる。代替的にまたは補足的に、形状には、各接続エレメントの凹部および/または斜め面取部、および/または接続エレメント全体にわたる厚さの延在が含まれる。これらの変数のうちの少なくとも1つは、両構造部分間の荷重伝達が最適化されるように決定される。
【0011】
接続エレメントの位置には、特に、接続エレメントの、場合によっては存在する粘弾性的な変形、ならびに下側または上側の構造部分における各接続エレメントの位置決めも考慮するために、接続エレメント相互の間隔が含まれる。
【0012】
下側および上側の構造部分としては、例えば、モノパイル、およびいわゆるトランジションピース、またはその各支持部を介してトランジションピースが設置されるトリポットまたはテトラポットが考えられる。また、上側および下側の構造部分は、トランジションピースおよびタワー、もしくはナセルおよび場合によっては風向き調整装置を含む風力発電設備の最上方の部分であってもよい。
【0013】
本発明による接続装置によって、下側および上側の構造部分の、目標サイズもしくは目標寸法からの場合によっては存在する偏差を補償することにより、タワー状の建造物の様々な負荷状況において実際に所望される力の流れが実現される。
【0014】
有利には、各接続エレメントの決定のために、構造部分の取付け状態で存在する、上側の構造部分と下側の構造部分との間の隙間の形状を、両構造部分の実際サイズに基づき決定する。場合によっては、使用される接続エレメントの材料にも依存する、構造部分の最適化された相互間隔の所望の最適化された構成を基準として、各接続エレメントの厚さを選択することができる。この場合、-場合によっては、接続装置のために使用される材料に応じて-接続装置によって少なくとも部分的に閉鎖すべき、上側の構造部分と下側の構造部分との間の隙間のための最適な平均厚さを設定することができ(例えば、3cm、4cmまたは5cm)、次いで、各接続エレメントの厚さを、実際サイズに応じて決定する。
【0015】
各接続エレメントの厚さの決定のために有利には、厚さは、特に10mm~120mmの間にある所定のモジュール寸法から選択される。これにより、相応の接続エレメントをストックして製造することができ、これにより、接続エレメントの寸法の決定の際には、接続エレメントを、各プレートサイズもしくは接続エレメントサイズから選択することができる。この場合、接続エレメントのサイズおよび/または形状の決定の際に存在する厚さの分布は、負荷された状態ですべての接続エレメントで可能な限り完全な接触が生じるように、すなわち、下側の構造部分の側面でも上側の構造部分の側面でも、構造部分と接続エレメントとのそれぞれ互いに向き合う面が互いに接触するようになっている。接続エレメントの接触面とは、面状またはプレート状に形成された接続エレメントの最大表面を成す面であると理解されたい。例えば、接続エレメント厚に関するモジュール寸法が10mmの場合、10mm~120mmの間で10種の異なる厚さを提供することができ、この場合、接続エレメントは、この厚さもしくは高さに対して、例えば400mm×800mmの延在を有している。
【0016】
接続エレメント特有の決定は、好ましくはEDP装置によって行われ、EDP装置では、構造部分の実際寸法が記憶されていて、目標寸法からの偏差に基づき、その都度の接続エレメントが決定される。例えば、下側の構造部分がやや楕円形の横断面形状で、上側の構造部分の横断面が(水平方向で)円形の場合には、楕円の主軸の領域にそれぞれ配置すべき接続エレメントは、副軸の領域に配置される接続エレメントよりもやや薄く形成すべきである。この場合、例えば、下側の構造部分に配置された接続エレメントの周囲を取り囲む包絡線は、横断面で見てやはり円形とすることができる。しかしながら、円形の包絡線であるか否かにかかわらず、むしろ、生じている荷重が、相応の接続エレメントを介して正しく伝達されることが必要である。この場合、接続エレメントの粘弾性の変形および/または圧縮性も、場合により生じる、例えば構造部分の設置場所に基づき存在する、例えば主風向きに基づく特有の荷重と同様に考慮することができる。
【0017】
EDP装置(電子データ処理装置)は、ローカルに動作するシステムであってよく、または少なくとも部分的にオペレータから遠隔に配置されるEDP装置であってもよい。EDP装置は、通常、入力手段、出力手段、通信手段および記憶手段ならびに対応するデータ処理手段を含む。例えば、EDP装置は、データを記録して情報を表示するためにローカルで使用可能なEDP機器であり、このEDP機器は、接続エレメントの計算のためにデータをクラウドベースのEDPユニットに伝送する。接続エレメントの決定がここで行われた後、これに付随するデータを、その後再び、ローカルで動作する計算機に伝送することができる。
【0018】
EDP装置によって特に、すべての接続エレメントを、好ましくは予め規定された順序でできるだけ迅速に装着することを設定する装着プランを作成することができる。このことは特に、装着中に少なくとも連続して回転させるべき構造部分の、有利に置かれる位置を考慮して行われる。好ましくは、上側の構造部分はこのためにローラ装置の上に位置している。上側の構造部分の内面で接続エレメントの取付けが行われる場合には、例えば、まず、より厚い接続エレメントを内面上に置くことができ、次いで、より薄いエレメントがこれに続く。構造部分の長手方向軸線を中心として、例えば90°の回転が行われると、次いで、周方向でその隣に位置する領域を被覆することができ、これにより全部で3回の回転後には、下側の構造部分の内面が周方向で完全に覆われる。この場合、完全に覆うとは、このために設けられたすべての接続エレメントの装着を意味しており、これらの接続エレメントが、互いに間隔を置いて配置されていてもよい。
【0019】
好ましくは、接続エレメントの決定は、接続エレメントが受ける負荷を考慮して行われ、すなわち特に、下側の構造部分と上側の構造部分との間の荷重移行に基づき行われる。好ましくは、これは、上側の構造部分から下側の構造部分への荷重移行であり、例えば、荷重は、場合によってはその上に取り付けられる風力発電設備の一部を含む上側の構造部分の重量によってかつ/または風荷重によって生じ得る。代替的にまたは補足的に、荷重は、例えば風力発電システムが設置されている浮動プラットフォームの動きによる、波誘発性の荷重でもあり得る。特に、構造部分および構造部分間に配置された接続エレメントのために、それぞれ2Dモデルおよび/または3Dモデルが、例えばFEMシミュレーションによって使用される。
【0020】
EDP装置によって行うべき、接続エレメントの決定は、特にニューラルネットワークを用いたAIベースの方法によって、接続エレメントの、特に接続エレメントの厚さの決定を可能にする最適化問題である。場合によっては存在するトレーニングデータセットは、FEM計算に基づきシミュレーションを介して得ることができる。
【0021】
接続エレメントの計算において、決定すべき値の一部を予め定めることもでき、例えば接続エレメント材料を、既存の圧縮率、粘弾性率および/またはさらに例えば平均サイズの形態で予め定めることもできる。負荷計算においては、主風向きの他に、例えばまず、上側の構造部分の形態の第1の荷重が下側の構造部分上に載置され、次いで追加的に、上側の構造部分上に、ロータおよび所属の伝動装置アセンブリを含むナセルが載置される場合、下側の構造部分上での上側の構造部分の動的な設置工程も考慮することができる。
【0022】
接続エレメント特有の指示の決定のために使用されるデータは、一方では、個々の測定点または実際サイズのモデルであってもよい。それは例えば、場合によっては存在する各目標サイズからの偏差を含む、下側および上側の構造部分の目標サイズの形態の、構造部分のイメージであってもよい。したがってこの計算を、例えば最適化計算の形態で、目標サイズからの偏差に基づいて行うことができる。
【0023】
同様に、接続エレメント特有の決定においては、構造部分および/または接続エレメントの許容誤差を、例えば測定に基づいて考慮することができ、これにより、この許容誤差に伴う、決定における不確実な点を、例えば特に圧縮可能な材料による考慮することができる。
【0024】
特に、上側および/または下側の構造部分のデータは、少なくとも、接続領域における高さ、円錐度、楕円率、表面曲率、および/または溶接シーム隆起度を含み、対応する値は、絶対値であってよく、または例えば目標寸法およびその偏差に関する場合と同様に、同データのイメージであってもよい。したがって、比較的僅かなデータで、接続エレメントの決定を行うことができる。接続領域は、最上方の接続エレメントの最上方の縁部と、下方の接続エレメントの最下方の縁部との間にある、建造物の領域である。溶接シームの隆起度は、構造部分の稼働時に、接続エレメントに面した構造部分の側で、溶接シームがない周囲の領域と比較した、溶接シームの高さおよび輪郭である。
【0025】
有利には、建造物のために使用すべき接続エレメントが、特に着色により、かつ/または情報担体により特徴付けられており、これにより装着が相応に容易になる。これは、例えば無線技術に基づく、RFIDチップのような情報担体であってよく、これらの情報担体には、自動的に、相応の位置マーキングが設けられ、これにより接続エレメントを倉庫から出して託販売する過程を可能な限り全自動で行うことができる。代替的にまたは補足的に、情報担体は、各接続エレメント上のステッカーまたはマーキングであってよい。
【0026】
特に、可変の厚さを有する接続エレメントでは、このような情報担体を介して、接続エレメントの相対位置、すなわち各構造部分に関する縁部に対する向き(上、下、左、右)を決定することもでき、これにより、接続エレメントの誤回転された配置および/または鏡像反転された配置を排除することができる。
【0027】
本発明による方法のさらなる構成によれば、少なくとも1つの接続エレメントを予め製造し、接続エレメント特有の決定に基づき適合させる。このような適合は、例えば、寸法の短縮、個々の領域の切り取り、圧縮率を変更するための空洞の形成、空洞の充填、表面の折曲げおよび処理、接着剤、接着剤フィルムまたは例えば減摩用のその他のコーティングによる被覆であってよい。個々のサイズをストックしておくことにより、必要な部品を迅速に製作することができる。
【0028】
特に、接続エレメントを、下側の構造部分または上側の構造部分に取り付け、この場合好ましくは、それぞれ互いに接続させるべき表面のうちの少なくとも一方を、前処理し、特に、クリーニングし、表面活性化し、かつ/または付着促進剤および/または接着剤でコーティングする。表面活性化は、好ましくは、機械的に、化学的に、または電気化学的に、例えばプラズマ処理を介して行うことができる。付着促進剤、接着剤またはその他のコーティングの塗布は、接続エレメントの表面の処理と同様に、それぞれ少なくとも各接続エレメントの表面の一部において行われ、この場合、例えば、表面の正確な加工/装備を可能にする塗布装置が使用される。
【0029】
装着は、共にまたは相並んで配置されるべき個々の接続エレメントの位置と、場合によっては順序も示す装着プランにしたがって行われる。
【0030】
接続エレメントを互いに取り付けることもでき、これにより、異なる厚さの接続エレメントを組み合わせることにより、厚さの組み合わせにより生じる厚さを有するさらなる接続エレメントを提供することができる。
【0031】
手動でまたは塗布装置によって、構造部分のうちの一方の構造部分の表面および/または接続エレメントのうちの1つの接続エレメントの表面を、特に摩擦を減じるように、例えばPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)でコーティングすることができる。塗布装置は、装着のために構成された可動の装置であってよく、例えば、供給領域と引き渡し領域とを有しており、これらの領域間で、1つの接続エレメントが、塗布ローラに沿って動かされる。塗布装置は、接続エレメントを構造部分に取り付ける直前に、例えば接着剤を塗布するために用いられる。
【0032】
好ましくは、少なくとも1つの接続エレメントが配置される構造部分はその外周面で置かれていて、この場合、この構造部分は、特にローラ装置上に配置されている。このように配置されない場合は、水平の基礎に対して長手方向軸線を垂直に配置すべきこの構造部分は、すなわち、倒されており、これによりその長手方向軸線は、基礎に対して、例えば正確に平行ではないが、円錐度を無視すれば実質的に平行に延在している。長手方向軸線を周方向で取り囲むように接続エレメントを装着するためには、特にトランジションピースである構造部分を、この場合、連続的に、例えばローラ装置によって回転させることができる。したがって、構造部分の高さ全体にわたる装着が簡単になる。
【0033】
さらに、各接続エレメントを予め規定された力で各構造部分に押し付けるプレス装置を設けることができる。単純な場合、このような装置は、典型的な金属製の構造部分の表面に接続エレメントを保持する磁石であってよい。しかしながら、このような装置は、この装置自体が、構造部分に磁気的に保持され得る、接続エレメントのサイズに応じて調節可能な装置であってもよく、この装置は、相応のアームまたはその他の押付けエレメントを介して接続エレメントに対する押圧力を発生させる。
【0034】
好ましくは、接続エレメントのサイズは、接続エレメントが、一人の装着作業者のみによって運ぶことができ、構造部分への装着中に保持することができるように設計されている。この場合、1つの接続エレメントの重量は50kgである。
【0035】
好ましくは、構造部分の実際サイズに関するデータを、特に、光に基づく、好ましくはレーザーに基づく測定装置によって、かつ/または構造部分により作成された画像に基づく画像分析によって取得する。特に、後者は、実際サイズの記録を容易にする。取得されたデータは、構造部分メーカーによってオンラインで提供することができ、EDP装置に読み込むことができる。
【0036】
本発明による方法を簡略化するために、接続エレメントを矩形の型に流し込み成形し、この場合、使用される材料は、プレート状の接続エレメントを、各構造部分の表面の湾曲に適合させることができるように、所定の弾性を有していてよい。矩形の型を使用することにより、特に、開放された型の使用が可能となり、したがって製造が簡単になる。代替的に、湾曲された壁も含むことができる閉じられた型を使用することもできる。流し込み成形後、接続エレメントが通常、最初に硬化した後、接続エレメントは好ましくは補足的に焼き戻しをされ、かつ/または次いでクリーニングされ、例えば、イソプロパノールによってクリーニングされる。これにより、付着促進剤、接着剤またはその他のコーティングの後からの塗布が容易なる。接続エレメントは、設置場所への搬送前または搬送後に、コーティングかつ/または表面処理されてよい。
【0037】
冒頭で述べた課題は、請求項1から15までのいずれか1項記載の方法により製造された接続装置を含む、特に洋上風力発電設備の一部であるタワー状の建造物によっても解決される。このようなタワー状の建造物には、上述した接続装置の利点が含まれる。
【0038】
課題は、上述したタワー状の建造物を有する風力発電設備、特に洋上風力発電設備によっても解決される。
【0039】
本発明のさらなる利点と詳細は、以下の図面の説明により明らかである。図は概略的に示されている。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1】本発明による対象物を示す図である。
図2図1の本発明による対象物の一部を示す断面した斜視図である。
図3】さらなる本発明による対象物を示す断面図である。
図4図3の対象物の一部を示す図である。
図5】測定工程を示す図である。
図6】別の測定工程を示す図である。
図7】本発明による対象物の製造方法の一部を示す図である。
【0041】
以下に説明する実施例の個々の技術的特徴は、独立請求項の特徴との組み合わせにおいても、本発明によるさらなる構成を形成することができる。有意である限り、機能的に同一の作用を有する部材には、同一の符号を付してある。
【0042】
本発明による風力発電設備2は、水平に延在する基礎4上に垂直に設置される下側の構造部分6を含み、下側の構造部分上には上側の構造部分8が被せられ、この上側の構造部分はその端部で、ロータを備えたナセル10を有している(図1)。風力発電設備2、およびまだ示されていない接続装置と下側および上側の構造部分6もしくは8とから成るタワー状の建造物は、中央の長手方向軸線14を有しており、この長手方向軸線の周囲を取り囲むように接続エレメント12が配置されている。長手方向軸線14(図2参照)は、基礎4に対して垂直に延在している。
【0043】
図1もしくは図2による実施例では、風力発電設備2もしくはタワー状の建造物は、それぞれ複数の接続エレメント12から成る5つのリングを含んでおり、これらの接続エレメントは、荷重伝達の目的で、下側の構造部分6の上方の外表面と構造部分8の下方の内表面との間に配置されており、負荷除去に関する、これらの構造部分の製造に伴う誤差を補償する。
【0044】
接続エレメント12の厚さの決定のために、下側および上側の構造部分6,8の製造後に、これらの構造部分の実際のサイズを、少なくとも、円錐状に形成された各区分において測定し、続いて、測定データの提供後に、EDP装置において、接続エレメントのための最適なサイズを、その位置決めも含めて決定した。これにより、図2の場合は、互いに上下に配置されたリングの接続エレメント12の厚さが互いに異なるように形成されていることが判る。このような最適化計算においては、接続領域の真ん中における、すなわち下側の構造部分6および上側の構造部分8の円錐状の区分の上縁部および下縁部から離れたところにおける主な荷重伝達部をより厚く形成し、そこでより多くの荷重を伝送するように、付加的に適合させることができる。
【0045】
本発明によるタワー状の建造物のさらなる実施例を示す図3による実施例では、上側の構造部分8の円錐の角度が、望ましくないことに製造誤差により下側の構造部分6の円錐の角度とは異なっているので、図示した稼働位置では、これらの間に、基礎に向かう下方に向かって大きくなる隙間が生じる。したがって、接続領域16の下端部における接続エレメント12の厚さもより大きくなっていて、この厚さは、一般的に、上に向かっては、最上方の接続エレメント12の上縁部によって画定されており、一般的に、下方に向かっては、最下方の接続エレメント12の下縁部によって画定されている。製造誤差の補償に基づき、本発明による接続装置によって、上側の構造部分と下側の構造部分との間の望ましい荷重伝達が達成される。
【0046】
図4による詳細図では、下方の接続エレメント12の厚さは、上方の接続エレメント12の厚さの約2倍となっていることが判る。厚さは、下側の構造部分6もしくは上側の構造部分8に対応する表面に対して垂直に延びる各矢印18の矢印先端の間隔である。この場合、厚さは、負荷状態にある接続エレメントの厚さである。接続エレメント12が変形されていない無負荷の場合の厚さは、より大きくなり得ることを理解されたい。したがって、好ましくは一般的に、例えば最適化計算の過程で接続エレメントを決定するためには、負荷された接続エレメント12に合わせられるが、製造および/または供給のためには、適切に、負荷されていない構造部分の厚さが記載される。
【0047】
構造部分6,8の実際寸法を測定するために、図5または図6による可動式の測定装置18を使用することができる。測定装置18は、このために、この場合、上側の構造部分8の外側の領域から、円錐における内表面をレーザーによって走査することができる。代替的に、測定装置18を、上側の構造部分8内に導入することができ、この場合、測定装置は、長手方向運動および旋回運動によって、同様に、その円錐の領域において上側の構造部分8の内面を走査するように、ロッド20に沿ってガイドされる。測定装置18によって取得されたデータは、例えば、無線で、インターネットを介して、EDP装置26へと伝送され、次いでEDP装置において、各接続エレメントの厚さならびにその位置が決定される。接続エレメント12の製造のために様々な材料が提供される場合には、上側の構造部分8と下側の構造部分6との間の荷重伝送の最適化の範囲内で、EDP装置26は接続エレメント12の材料も規定することができる。好ましくはPU流し込み法による製造後は、接続エレメント12は、クリーニングされ、表面処理され、コーティングされ、次いで支持装置22により、構造部分8内のこのために規定された位置にもたらされ、そこで接着される。接続エレメント12の装着は、好ましくは、内面の1つの下方領域で行われるので、すべての接続エレメントを装着するためには、構造部分の、稼働時に基礎に向かって垂直に延びる長手方向軸線14を中心とする周方向で、ローラ装置24によって構造部分8を回転させなければならない。接続装置の装着後は、この場合、トランジションピースとして形成された上側の構造部分8を使用場所に運び、そこに設置することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】