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特表2024-525521隔壁係合のために構成された器具前進デバイス
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-12
(54)【発明の名称】隔壁係合のために構成された器具前進デバイス
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/08 20060101AFI20240705BHJP
【FI】
A61M25/08 500
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024500003
(86)(22)【出願日】2022-06-28
(85)【翻訳文提出日】2024-01-04
(86)【国際出願番号】 US2022035199
(87)【国際公開番号】W WO2023278366
(87)【国際公開日】2023-01-05
(31)【優先権主張番号】63/218,107
(32)【優先日】2021-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】595117091
【氏名又は名称】ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100158920
【弁理士】
【氏名又は名称】上野 英樹
(72)【発明者】
【氏名】ノイマン,エリカ,イー.
(72)【発明者】
【氏名】シェリヒ,ミーガン
(72)【発明者】
【氏名】バークホルツ,ジョナサン,カール
(72)【発明者】
【氏名】ブランチャード,カーティス,エイチ.
(72)【発明者】
【氏名】ラッキー,ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ハーディング,ウェストン,エフ.
(72)【発明者】
【氏名】ベイリー,リサ
(72)【発明者】
【氏名】ソンデレッガー,ラルフ,エル.
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA04
4C267AA12
4C267AA17
4C267AA28
4C267AA32
4C267BB04
4C267BB11
4C267BB12
4C267BB20
4C267BB54
4C267CC01
4C267CC08
4C267HH08
(57)【要約】
器具前進デバイスは、スロットを含み得るハウジングを含み得る。器具前進デバイスは、カテーテルアセンブリに結合するように構成され得る。器具前進デバイスは、スロットを通って延在し得、かつ後退位置と前進位置との間でスロットに沿って直線状に移動するように構成され得る前進要素を含み得る。後退位置から前進位置までの前進要素の移動に応答して、器具前進デバイスの器具は、ハウジングの遠位端部を越えて前進し得、カテーテルアセンブリ又は脈管構造中の閉塞を通る経路を開放するように構成され得る。器具前進デバイスは、ハウジングの封止を容易にし、かつ/又は器具の座屈を防止するように係合され得る隔壁を含み得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
器具前進デバイスであって、
ハウジングであって、近位端部と、遠位端部と、前記近位端部と遠位端部との間に配設された管腔と、前記近位端部と前記遠位端部との間に配設されたスロットと、前記ハウジング内に配設され、かつ隔壁を受容するように構成された隔壁ポケットと、を備える、ハウジングと、
前記スロットを通って延在し、かつ後退位置と前進位置との間で前記スロットに沿って直線状に移動するように構成された前進要素と、
第1の端部及び第2の端部を備える器具であって、前記前進要素を前記後退位置から前記前進位置まで前記スロットに沿って直線状に移動させるときに、前記器具の前記第2の端部が、前記ハウジングの前記遠位端部を越えて前進する、器具と、を備え、
前記隔壁が、前記器具に結合されており、前記前進要素を前記後退位置から前記前進位置まで前記スロットに沿って直線状に移動させるときに、前記隔壁ポケットに挿入されて、前記隔壁に対して近位の前記管腔の一部分を封止するように、前記隔壁が構成されている、器具前進デバイス。
【請求項2】
前記遠位端部が、カテーテルアセンブリに結合するように構成されたコネクタを備える、請求項1に記載の器具前進デバイス。
【請求項3】
前記器具が、ガイドワイヤを備える、請求項1に記載の器具前進デバイス。
【請求項4】
前記隔壁ポケットに対して遠位の前記ハウジングの前記遠位端部から延在する拡張チューブを更に備える、請求項1に記載の器具前進デバイス。
【請求項5】
前記隔壁が、環状テーパ部を備え、前記隔壁ポケットが、別の環状テーパ部を備える、請求項1に記載の器具前進デバイス。
【請求項6】
前記隔壁の断面が、長円形又は円形である、請求項1に記載の器具前進デバイス。
【請求項7】
前記隔壁の断面が、長方形又は正方形である、請求項1に記載の器具前進デバイス。
【請求項8】
器具前進デバイスであって、
ハウジングであって、近位端部と、遠位端部と、前記近位端部と遠位端部との間に配設された管腔と、前記近位端部と前記遠位端部との間に配設されたスロットと、
前記ハウジング内に配設され、かつ分割された隔壁を受容するように構成された隔壁ポケットと、を備える、ハウジングと、
前記スロットを通って延在し、かつ後退位置と前進位置との間で前記スロットに沿って直線状に移動するように構成された前進要素と、
第1の端部及び第2の端部を備える器具であって、前記前進要素を前記後退位置から前記前進位置まで前記スロットに沿って直線状に移動させるときに、前記器具の前記第2の端部が、前記ハウジングの前記遠位端部を越えて前進する、器具と、を備え、
前記分割された隔壁が、前記隔壁ポケットに対して近位であり、かつ前記隔壁ポケットから離間して配置されており、前記前進要素を前記スロットに沿って直線状に移動させるときに、前記隔壁ポケットに挿入されるように、前記分割された隔壁が構成されるとともに、圧縮されて、前記器具の周囲に封止を形成し、かつ前記隔壁に対して近位の前記管腔の一部分を封止するように、前記分割された隔壁が構成される、器具前進デバイス。
【請求項9】
前記遠位端部が、カテーテルアセンブリに結合するように構成されたコネクタを備える、請求項8に記載の器具前進デバイス。
【請求項10】
前記ハウジング内に配設され、かつ前記分割された隔壁の近位端部に近接するばねを更に備え、前記前進要素を前記後退位置から前記スロットに沿って直線状に移動させるときに、前記分割された隔壁が前記隔壁ポケットに挿入される前に前記分割された隔壁を圧縮するように、前記ばねが構成される、請求項8に記載の器具前進デバイス。
【請求項11】
前記器具が、ガイドワイヤを備える、請求項8に記載の器具前進デバイス。
【請求項12】
器具前進デバイスであって、
ハウジングであって、近位端部と、遠位端部と、前記近位端部と遠位端部との間に配設された管腔と、前記近位端部と前記遠位端部との間に配設されたスロットと、を備える、ハウジングと、
前記スロットを通って延在し、かつ後退位置と前進位置との間で前記スロットに沿って直線状に移動するように構成された前進要素と、
第1の端部及び第2の端部を備える器具であって、前記前進要素を前記後退位置から前記前進位置まで前記スロットに沿って直線状に移動させるときに、前記器具の前記第2の端部が、前記ハウジングの前記遠位端部を越えて前進する、器具と、
前記ハウジング内に固定された隔壁であって、前記隔壁の近位端部が、テーパ状ポケットを備える、隔壁と、
近位円錐形状部に結合された遠位柱を備える漏斗形状要素であって、前記器具が、前記漏斗形状要素を通って延在し、前記前進要素を前記後退位置から前記前進位置まで前記スロットに沿って直線状に移動させるときに、前記遠位柱が、前記隔壁を通って延在するように構成されるとともに、前記近位円錐形状部が、前記隔壁の前記テーパ状ポケット内に配設される、漏斗形状要素と、を備える、器具前進デバイス。
【請求項13】
前記遠位端部が、カテーテルアセンブリに結合するように構成されたコネクタを備える、請求項12に記載の器具前進デバイス。
【請求項14】
前記器具が、ガイドワイヤを備える、請求項12に記載の器具前進デバイス。
【請求項15】
器具前進デバイスであって、
近位端部と、遠位端部と、前記近位端部と前記遠位端部との間に配設されたスロットと、支持壁と、を備えるハウジングであって、前記支持壁が、通り抜けるガイドワイヤを受容するように構成された開口部を備える、ハウジングと、
前記ハウジング内に配設された隔壁であって、前記隔壁の遠位面が、前記支持壁と接触している、隔壁と、
前記スロットを通って延在し、かつ後退位置と前進位置との間で前記スロットに沿って直線状に移動するように構成された前進要素と、を備え、
前記ガイドワイヤが、第1の端部及び第2の端部を備え、前記前進要素を前記後退位置から前記前進位置まで前記スロットに沿って直線状に移動させるときに、前記ガイドワイヤの前記第2の端部が、前記ハウジングの前記遠位端部を越えて前進し、前記前進要素が前記前進位置にあるときよりも、前記前進要素が前記後退位置にあるときのほうが、前記ガイドワイヤが前記隔壁を大きく圧縮するように、前記ガイドワイヤの外径が遠位方向に増加している、器具前進デバイス。
【請求項16】
前記隔壁の近位面が、潤滑剤を含む、請求項15に記載の器具前進デバイス。
【請求項17】
前記前進要素が前記後退位置にあるときに、前記ガイドワイヤが、前記隔壁を通って延在し、前記ガイドワイヤの前記外径が、前記隔壁から離間して配置される、請求項16に記載の器具前進デバイス。
【請求項18】
器具前進デバイスであって、
ハウジングであって、近位端部と、遠位端部と、前記近位端部と遠位端部との間に配設された管腔と、前記近位端部と前記遠位端部との間に配設されたスロットと、を備える、ハウジングと、
前記ハウジング内に配設された隔壁と、
前記スロットを通って延在し、かつ第1の後退位置と第1の前進位置との間で前記スロットに沿って直線状に移動するように構成された第1の前進要素と、
前記スロットを通って延在し、かつ第2の後退位置と第2の前進位置との間で前記スロットに沿って直線状に移動するように構成された第2の前進要素であって、前記第2の前進要素が、前記第1の前進要素に対して近位である、第2の前進要素と、
前記第1の前進要素に結合されたチューブであって、前記第1の前進要素が前記第1の前進位置にあるときに、前記チューブが、前記隔壁を通って延在する、チューブと、
前記第2の前進要素及び前記チューブに結合されているか、又は前記第2の前進要素及び前記チューブを通って延在する、ガイドワイヤと、を備え、
前記ガイドワイヤが、第1の端部及び第2の端部を備え、前記第2の前進要素を前記後退位置から前記前進位置まで前記スロットに沿って直線状に移動させるときに、前記ガイドワイヤの前記第2の端部が、前記ハウジングの前記遠位端部を越えて前進する、器具前進デバイス。
【請求項19】
前記第1の前進要素が前記第1の後退位置にあるときに、前記チューブの遠位端部が、前記隔壁に対して近位である、請求項18に記載の器具前進デバイス。
【請求項20】
前記第2の前進要素が、前記後退位置に配設される、請求項19に記載の器具前進デバイス。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、2021年7月2日に出願された、“Instrument Advancement Device Configured for Septum Engagement”と題された米国仮出願第63/218,107号のために構成された器具前進デバイス優先権を主張し、その開示は、その全体が参照によって本明細書に構成された器具前進デバイス組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
カテーテルは、多様な注入療法に一般的に使用されている。例えば、カテーテルは、生理食塩水、様々な薬剤、及び完全非経口栄養などの流体を患者に注入するために使用され得る。カテーテルはまた、患者から血液を採血するために使用され得る。
【0003】
一般的なタイプのカテーテルは、オーバーザニードル式であるカテーテルを含む。その名称が含意するように、オーバーザニードル式であるカテーテルは、尖鋭な遠位先端を有するイントロデューサ針を介して設置され得る。カテーテルアセンブリは、カテーテルアダプタを含み、カテーテルは、カテーテルアダプタから遠位に延在し、イントロデューサ針は、カテーテルを通って延在し得る。カテーテル及びイントロデューサ針は、イントロデューサ針の遠位先端が、針が患者の皮膚から上に向いた射角を有してカテーテルの遠位先端を越えて延在するように、組み立てられ得る。カテーテル及びイントロデューサ針は、一般に、皮膚を通して患者の脈管構造に浅い角度で挿入される。
【0004】
血管中でのイントロデューサ針及び/又はカテーテルの適正な配置を検証するために、臨床医は、一般に、カテーテルアセンブリのフラッシュバックチャンバに血液の「フラッシュバック」があることを確認する。針の配置が確認されると、臨床医は、脈管構造中のフローを一次的に遮断し、針を取り出し、その後の採血又は流体注入のためにカテーテルを適所に放置し得る。
【0005】
カテーテルを使用する注入及び採血は、特にカテーテルの留置時間が増加するときに、いくつかの理由で困難となり得る。線維鞘又は血栓が、カテーテルアセンブリの内面上、カテーテルアセンブリの外面上、又はカテーテルの遠位先端近くの脈管構造内に形成され得る。線維鞘又は血栓は、カテーテルを通る流体通路を遮断し得るか、又は狭め得、これにより、高品質の血液試料の注入及び/又は収集が損なわれ得る。
【0006】
本明細書で特許請求される主題は、欠点を解決する実施形態や、上述した環境などの環境でのみ作用する実施形態に限定されない。むしろ、この背景は、本明細書に記載のいくつかの実装態様が実践され得る例示的な一技術分野を例示するために提供されるにすぎない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、一般に、血管アクセスデバイス並びに関連のシステム及び方法に関する。特に、いくつかの実施形態では、本開示は、流体通路の封止及び流体通路からの分離を容易にするための隔壁に係合する器具前進デバイスに関する。いくつかの実施形態では、流体通路は、前進要素が前進位置まで移動して、隔壁が流体通路をハウジングの近位部分から封止する結果となり得るまで、ハウジングの近位部分と流体連通し得る。いくつかの実施形態では、器具前進デバイスはまた、器具前進デバイスの器具の座屈を低減し得る。
【0008】
いくつかの実施形態では、器具前進デバイスは、器具をカテーテルアセンブリ内に、及び/又はカテーテルアセンブリを通して患者の脈管構造内に前進させるように構成され得る。いくつかの実施形態では、器具は、カテーテルアセンブリのカテーテルを通って前進して、カテーテル又は脈管構造中にある閉塞(例えば、カテーテルの先端にある血栓若しくは線維鞘、静脈コラプス、又は弁)を押しのけて、流体フローのための空いた通路を作成し得る。いくつかの実施形態では、器具は、閉塞を低減又は除去して、カテーテルのドウェル時間中の、薬物治療及び流体送達のためのカテーテルの開存性、並びに血液取得を改善し得る。いくつかの実施形態では、カテーテルアセンブリ中で器具を前進させる前に患者の脈管構造に挿入され得、かつ器具前進デバイスを介して器具を前進させるときに脈管構造中に残存し得るカテーテル。いくつかの実施形態では、カテーテルは、末梢挿入型中心静脈カテーテル、ミッドラインカテーテル、又は末梢静脈カテーテルを含み得る。
【0009】
いくつかの実施形態では、器具前進デバイスは、ハウジングを含み得、ハウジングは、近位端部と、遠位端部と、ハウジングの近位端部とハウジングの遠位端部との間に配設されたスロットと、を含み得る。いくつかの実施形態では、ハウジングは、ハウジングの近位端部とハウジングの遠位端部との間に配設された管腔を含み得る。いくつかの実施形態では、ハウジングは、ハウジング内に配設され、かつ隔壁を受容するように構成された隔壁ポケットを含み得る。
【0010】
いくつかの実施形態では、器具前進デバイスは、スロットを通って延在し、かつ後退位置と前進位置との間でスロットに沿って直線状に移動するように構成された前進要素を含み得る。いくつかの実施形態では、後退位置は、初期位置、及び/又は前進要素が前進位置に移動した後に戻り得る位置に対応し得る。いくつかの実施形態では、器具前進デバイスは、第1の端部及び第2の端部を備える器具を含み得る。いくつかの実施形態では、前進要素を後退位置から前進位置までスロットに沿って直線状に移動させるときに、器具の第2の端部が、ハウジングの遠位端部を越えて前進し得る。
【0011】
いくつかの実施形態では、器具前進デバイスは、器具に結合され得る隔壁を含み得る。いくつかの実施形態では、前進要素を後退位置から前進位置までスロットに沿って直線状に移動させるときに、隔壁ポケットに挿入されて、隔壁に対して近位の管腔の一部分を封止するように、隔壁が構成され得る。
【0012】
いくつかの実施形態では、ハウジングの遠位端部は、カテーテルアセンブリに結合するように構成されたコネクタを含み得る。いくつかの実施形態では、器具は、ガイドワイヤを含み得る。いくつかの実施形態では、器具送達デバイスは、ハウジングの遠位端部から延在し得、かつ隔壁ポケットに対して遠位であり得る拡張チューブを含み得る。いくつかの実施形態では、隔壁は、環状テーパ部を含み得る。いくつかの実施形態では、隔壁ポケットは、別の環状テーパ部を含み得る。いくつかの実施形態では、隔壁の断面が、長円形又は円形である。いくつかの実施形態では、隔壁の断面が、長方形又は正方形である。
【0013】
いくつかの実施形態では、隔壁ポケットは、ハウジング内に配設され、分割された隔壁を受容するように構成され得る。いくつかの実施形態では、分割された隔壁は、隔壁ポケットに対して近位であり、隔壁ポケットから離間して配置され得る。いくつかの実施形態では、スロットに直線状に沿った前進要素の移動に応答して、隔壁ポケットに挿入されるように、分割された隔壁が構成され得、互いに押圧して、隔壁に対して近位の管腔の一部分を封止するように、分割された隔壁の2つの側部が構成され得る。
【0014】
いくつかの実施形態では、器具前進デバイスは、ハウジング内に配設され、かつ/又は分割された隔壁の近位端部に近接し得るばねを含み得る。いくつかの実施形態では、前進要素を後退位置からスロットに沿って直線状に移動させるときに、隔壁が隔壁ポケットに挿入される前に隔壁を圧縮するように、ばねが構成され得る。
【0015】
いくつかの実施形態では、隔壁は、ハウジング内に固定され得、隔壁の近位端部が、テーパ状ポケットを含み得る。いくつかの実施形態では、器具前進デバイスは、近位円錐形状部に結合された遠位柱を含み得る漏斗形状要素を含み得る。いくつかの実施形態では、器具は、漏斗形状要素を通って延在し得る。いくつかの実施形態では、前進要素を後退位置から前進位置までスロットに沿って直線状に移動させるときに、隔壁を通って延在するように、遠位柱が構成され得、近位円錐形状部は、隔壁のテーパ状ポケット内に配設される。
【0016】
いくつかの実施形態では、ハウジングは、通り抜けるガイドワイヤを受容するように構成された開口部を含み得る支持壁を含み得る。いくつかの実施形態では、隔壁の遠位面は、支持壁と接触し得る。いくつかの実施形態では、ガイドワイヤは、第1の端部及び第2の端部を含み得る。いくつかの実施形態では、前進要素を後退位置から前進位置までスロットに沿って直線状に移動させるときに、ガイドワイヤの第2の端部が、ハウジングの遠位端部を越えて前進し得る。
【0017】
いくつかの実施形態では、前進要素が前進位置にあるときよりも、前進要素が後退位置にあるときのほうが、ガイドワイヤが隔壁を大きく圧縮するように、ガイドワイヤの外径が近位方向に増加し得る。いくつかの実施形態では、隔壁の近位面が、潤滑剤を含み得る。いくつかの実施形態では、前進要素が後退位置にあるときに、ガイドワイヤは、隔壁を通って延在し得、ガイドワイヤの外径は、隔壁から離間して配置され得る。
【0018】
いくつかの実施形態では、器具前進デバイスは、スロットを通って延在し、かつ第1の後退位置と第1の前進位置との間でスロットに沿って直線状に移動するように構成された第1の前進要素を含み得る。いくつかの実施形態では、器具前進デバイスは、スロットを通って延在し、かつ第2の後退位置と第2の前進位置との間でスロットに沿って直線状に移動するように構成された第2の前進要素を含み得る。いくつかの実施形態では、第2の前進要素は、第1の前進要素に対して近位であり得る。
【0019】
いくつかの実施形態では、第1の前進要素にチューブが結合され得る。いくつかの実施形態では、第1の前進要素が第1の前進位置にあるときに、チューブは、隔壁を通って延在し得る。いくつかの実施形態では、ガイドワイヤは、第2の前進要素及びチューブに結合され得るか、又は第2の前進要素及びチューブを通って延在し得る。いくつかの実施形態では、ガイドワイヤは、第1の端部及び第2の端部を備え、第2の前進要素を後退位置から前進位置までスロットに沿って直線状に移動させるときに、ガイドワイヤの第2の端部は、ハウジングの遠位端部を越えて前進し得る。いくつかの実施形態では、第1の前進要素が第1の後退位置にあることに応答して、チューブの遠位端部が、隔壁に対して近位であり得る。いくつかの実施形態では、第2の前進要素は、後退位置に配設され得る。
【0020】
前述の一般の説明と以下の詳細な説明との両方は、例であって、例示的であり、特許請求される本発明を限定しないことを理解されたい。様々な実施形態は、図面に例示される配置及び手段に限定されないことが理解されるはずである。本発明の様々な実施形態の範囲を逸脱することなく、実施形態が組み合わされてもよいこと、又は他の実施形態が利用されてもよいこと、及び構造上の変更が、そのように特許請求されない限り、行われてもよいことも理解されるはずである。したがって、以下の詳細な説明は、限定する意味に捉えられるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0021】
例示的な実施形態を、添付の図面の使用を通じた追加の具体性及び詳細とともに記載及び説明する。
図1A】いくつかの実施形態による、例示的な後退位置にある例示的な前進要素を例示する、例示的な器具前進デバイスの上方斜視図である。
図1B】器具前進デバイスの断面図である。
図1C】いくつかの実施形態による、図1Aの1C-1C線に沿った器具前進デバイスの断面図である。
図1D】いくつかの実施形態による、図1Cの一部分の拡大図である。
図1E】いくつかの実施形態による、図1Aの1E-1E線に沿った器具前進デバイスの断面図である。
図2A】いくつかの実施形態による、例示的な器具に結合された例示的な隔壁を例示する、器具前進デバイスの断面図である。
図2B】いくつかの実施形態による、隔壁が例示的な隔壁ポケットに挿入されることを例示する、器具前進デバイスの断面図である。
図3A】いくつかの実施形態による、例示的な分割された隔壁を例示する、器具前進デバイスの断面図である。
図3B】いくつかの実施形態による、分割された隔壁が隔壁ポケットに挿入されることを例示する、器具前進デバイスの断面図である。
図4A】いくつかの実施形態による、漏斗形状要素を例示する、器具前進デバイスの断面図である。
図4B】いくつかの実施形態による、漏斗形状要素が例示的なテーパ状ポケット中にあることを例示する、器具前進デバイスの断面図である。
図5A】いくつかの実施形態による、例示的な支持壁を例示する、器具前進デバイスの断面図である。
図5B】いくつかの実施形態による、支持壁を例示する、図5Aの一部分の拡大断面図である。
図6A】いくつかの実施形態による、器具のテーパ状の外径を例示する、前進要素が後退位置にあるときの器具の概略図である。
図6B】いくつかの実施形態による、前進要素を後退位置に対して、又は前進位置に対して遠位に前進させるときの器具の概略図である。
図6C】いくつかの実施形態による、図6Aの一部分の拡大図である。
図6D】いくつかの実施形態による、図6Bの一部分の拡大図である。
図6E】いくつかの実施形態による、例示的な複数のテーパ部を例示する拡大図である。
図7A】いくつかの実施形態による、例示的な第1の前進位置にある第1の前進要素と、例示的な第2の後退位置にある第2の前進要素と、を例示する、器具前進デバイスの断面図である。
図7B】いくつかの実施形態による、第1の前進位置にある第1の前進要素と、第2の前進位置にある第2の前進要素と、を例示する、器具前進デバイスの断面図である。
図7C】いくつかの実施形態による、第1の後退位置にある第1の前進要素と、第2の後退位置にある第2の前進要素と、を例示する、器具前進デバイスの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
ここで図1A~1Eを参照すると、いくつかの実施形態では、器具前進デバイス10が、カテーテルアセンブリのカテーテル中に、かつ/又はカテーテルを通して器具12を送達するように構成され得る。いくつかの実施形態では、器具12は、カテーテルを通って前進して、カテーテル又は脈管構造中にある閉塞(例えば、カテーテルの先端にある血栓若しくは線維鞘、静脈コラプス、又は弁など)を押しのけて、流体フローのための空いた通路を作成し得る。いくつかの実施形態では、器具12は、閉塞を低減又は除去して、カテーテルのドウェル時間中の、薬物治療及び流体送達のためのカテーテルの開存性、並びに血液取得を改善し得る。
【0023】
いくつかの実施形態では、器具12は、ガイドワイヤ、プローブ、1つ以上のセンサを有するガイドワイヤ若しくはプローブ、又は別の好適な器具を含み得る。いくつかの実施形態では、ガイドワイヤは、金属又は別の好適な材料で構築され得る。いくつかの実施形態では、センサは、患者又はデバイス監視に使用され得、圧力、温度、pH、血液化学、酸素飽和度、流量、又は別の物理的特性を測定するセンサを含み得る。いくつかの実施形態では、カテーテルは、末梢静脈(IV)カテーテル、末梢挿入型中心静脈カテーテル、又はミッドラインカテーテルを含み得る。いくつかの実施形態では、器具12が通して送達され得るカテーテルは、患者の脈管構造に事前に挿入されていることがあり、カテーテルを通して器具12を前進させるときに、脈管構造内に留置され得る。
【0024】
いくつかの実施形態では、器具12は、器具12を周囲の外部環境からの損傷及び/又は汚染から保護するように構成され得るハウジング14内に配設され得る。いくつかの実施形態では、ハウジング14は、剛性又は半剛性であり得る。いくつかの実施形態では、ハウジング14は、ステンレス鋼、アルミニウム、ポリカーボネート、金属、セラミック、プラスチック、及び別の好適な材料のうちの1つ以上で作製され得る。いくつかの実施形態では、ハウジング14は、近位端部16、遠位端部18、及びスロット20を含み得る。いくつかの実施形態では、スロット20は、ハウジング14の長手方向軸に平行に延在し得る。
【0025】
いくつかの実施形態では、器具前進デバイス10は、スロット20を通って延在し得、かつ例えば図1Aに例示される、後退位置と、前進位置と、の間でスロット20に沿って直線状に移動するように構成され得る、前進要素22を含み得る。いくつかの実施形態では、臨床医は、前進要素22をつまむか、又は把持して、後退位置と前進位置との間で前進要素22を移動させ得る。
【0026】
いくつかの実施形態では、ハウジング14の遠位端部18は、コネクタ24を含み得る。いくつかの実施形態では、コネクタ24は、対向するレバーアーム26a、26bを含み得る。いくつかの実施形態では、対向するレバーアーム26a、26bの遠位端部は、対向するレバーアーム26a、26bの近位端部に加えられた圧力に応答して、互いから離間して移動するように構成され得る。いくつかの実施形態では、対向するレバーアーム26a、26bの近位端部に加えられた圧力の除去に応答して、遠位端部は、互いに近づき、無針コネクタ、別のコネクタ、又はカテーテルアダプタの近位端部などのような、カテーテルアセンブリの一部分を握持し得る。いくつかの実施形態では、コネクタ24は、カテーテルアセンブリの一部分に挿入されるように構成されたブラントカニューレ又はオスルアーを含み得る。
【0027】
いくつかの実施形態では、コネクタ24は、任意の好適なコネクタを含み得る。例えば、コネクタ24は、ねじ式オスルアー、スリップオスルアー、スピンロック付きねじ式オスルアー、取り外し可能ブラントカニューレスナップ接続部付きねじ式オスルアー、取り外し可能ブラントカニューレスナップ接続部付きスリップオスルアー、又は別の好適なコネクタを含み得る。いくつかの実施形態では、コネクタ24は、各々が拡張チューブを受容し得る1つ以上のボンドポケットを含み得る。いくつかの実施形態では、コネクタ24は、スロット20を含むハウジング14の本体との単一のユニットとして一体構造に形成され得る。
【0028】
いくつかの実施形態では、器具12は、第1の端部28及び第2の端部30を含み得る。いくつかの実施形態では、後退位置から前進位置までの前進要素22の移動は、器具12の第2の端部30をハウジング14の遠位端部18を越えて前進させ得る。いくつかの実施形態では、前進位置への前進要素22の移動は、器具12をカテーテルアセンブリに、かつ/又はカテーテルを通して導入し得る。いくつかの実施形態では、器具12がカテーテルアセンブリに、かつ/又はカテーテルを通して導入されること応答して、器具12は、カテーテルアセンブリの流体通路及び/又は患者の脈管構造にアクセスし得る。
【0029】
いくつかの実施形態では、かなりの留置時間で脈管構造内にあるカテーテルアセンブリのカテーテルは、狭小化、コラプス、屈曲、残屑(例えば、線維素又は血小板凝集塊)による閉塞、及び脈管構造へのカテーテルの先端の固着の影響を受けやすくなり得る。それゆえ、カテーテルを使用する採血は、困難であり得る。いくつかの実施形態では、器具12は、いかなる追加の針刺しも伴わずに患者の脈管構造へのアクセスを提供するために、カテーテルアセンブリのカテーテルの直径未満の直径を有し得る。いくつかの実施形態では、器具12は、血液試料を収集するために通路を空け得る。それゆえ、いくつかの実施形態では、器具前進デバイス10は、無針血液収集及び/又は流体注入に使用され得る。
【0030】
いくつかの実施形態では、器具前進デバイス10に拡張チューブ32が結合され得、拡張チューブ32は、血液収集及び/又は流体注入に使用され得る。いくつかの実施形態では、拡張チューブ32は、ハウジング14のポート34又はハウジング14の別の部分から延在し得る。
【0031】
いくつかの実施形態では、器具12が閉じた流体路を維持しながら前進及び/又は後退することを可能にするための隔壁36が、ハウジング14内にあり得る。いくつかの実施形態では、器具12は、隔壁36を通って延在するように構成され得る。いくつかの実施形態では、隔壁36は、ポート34に対して遠位で、かつ/又は前進位置にある前進要素22に対して遠位であり得る。いくつかの実施形態では、隔壁36は、シリコーン、ゴム、エラストマー、又は別の好適な材料を含み得る。いくつかの実施形態では、隔壁36は、通る器具12を収容するためのスリットを含み得る。
【0032】
いくつかの実施形態では、拡張チューブ32の近位端部は、血液収集デバイス38に結合され得る。例えば、拡張チューブ32の近位端部は、血液収集デバイス38に結合され得るコネクタ40と一体化され得る。いくつかの実施形態では、コネクタ40と血液収集デバイス38との間に無針コネクタが配設され得る。いくつかの実施形態では、コネクタ40及び/又はポート34は、IVライン又は別の流体接続部に結合され得る。
【0033】
いくつかの実施形態では、ハウジング14の内面42は、1つ以上の溝を含み得る。例えば、内面42は、第1の溝44及び/又は第2の溝46を含み得る。いくつかの実施形態では、第1の溝44及び/又は第2の溝46は、近位端部16と遠位端部18との間のハウジング14内に配設され得る。いくつかの実施形態では、器具12は、第1の溝44及び/又は第2の溝46内に配設され得る。いくつかの実施形態では、第1の溝44及び/又は第2の溝46は、側壁48と、この側壁と反対側の別の側壁50と、側壁48と別の側壁50との間に延在する底部52と、を含み得る。いくつかの実施形態では、第1の溝44及び/又は第2の溝46は、底部52と反対側で開放され得る。いくつかの実施形態では、第1の溝44及び/又は第2の溝46は、直線状で、かつ/又は器具12を遠位に前進させ、及び/又は近位に後退させる際に、器具12を誘導するように構成され得る。
【0034】
いくつかの実施形態では、前進要素22は、U字形状であり得る弧形状チャネル54を含み得る。いくつかの実施形態では、器具12は、弧形状チャネル54を通って延在及び移動し得る。いくつかの実施形態では、器具12の第1の端部28は、固定され得る。いくつかの実施形態では、器具の第1の端部28は、ハウジング14内に固定され得る。いくつかの実施形態では、前進要素22の第1の距離だけの移動に応答して、第2の距離だけ遠位に前進するように、器具12の第2の端部が構成され得る。いくつかの実施形態では、第2の距離は、第1の距離の2倍であり得る。いくつかの実施形態では、第2の距離は、第1の距離の2倍を超え得る。これら及び他の実施形態では、器具12は、複数のU字形状又は他の弧形状を通って延在し得る。
【0035】
いくつかの実施形態では、器具前進デバイス10は、ハウジングのスロットに沿って直線状に移動して、器具12を前進及び/又は後退させるように構成された任意の好適な器具前進デバイスを含み得る。例えば、器具12の第1の端部28は、前進要素22に固定され得、前進要素22がある距離だけ移動することに応答して、器具12の第2の端部30は、器具12と前進要素22との間の前進比が1:1であるように、この距離に等しい距離だけ移動し得る。いくつかの実施形態では、第1の溝44及び/又は第2の溝46が底部52と反対側で開放されているため、器具12は、例えば図1Bに例示されるように、前進要素22を遠位に前進させることに応答して、座屈する傾向があり得る。
【0036】
いくつかの実施形態では、図1~7の器具前進デバイス10は、1つ以上の特徴及び/又は動作の観点で、2022年3月31日に出願された米国特許出願第17/709,980号の器具前進デバイス10と同様又は同一であり得、その開示は、参照により本明細書に組み込まれる。例えば、前進要素22は、1つ以上の特徴及び/又は動作の観点で、米国特許出願第17/709,980号におけるハウジング10と同様又は同一であり得る。
【0037】
ここで図2A~2Bを参照すると、いくつかの実施形態では、ハウジング14は、ハウジング14の近位端部16とハウジング14の遠位端部18との間に配設された管腔56を含み得る。いくつかの実施形態では、ハウジング14は、ハウジング14内に配設され、かつ管腔56に近接する隔壁ポケット58を含み得る。いくつかの実施形態では、隔壁ポケット58は、ハウジング14の壁に配設され得る。いくつかの実施形態では、隔壁ポケット58は、ハウジング14のコネクタ24の近位端部内に配設され得る。
【0038】
いくつかの実施形態では、隔壁ポケット58は、器具12に結合され得る隔壁36を受容するように構成され得る。いくつかの実施形態では、隔壁36は、隔壁36が器具12とともに移動するように、器具12に固定的に、結合され得るか、又は取り付けられ得る。いくつかの実施形態では、隔壁36は、接着剤、締りばめなどを介して、器具12に固定的に、結合され得るか、又は取り付けられ得る。
【0039】
いくつかの実施形態では、隔壁36の重量及び/又は第1の溝44内の隔壁36の位置付けは、器具12を遠位に前進させるときの器具12の座屈を低減し得る。いくつかの実施形態では、隔壁36は、第1の溝44内に配設され、前進要素22が後退位置にあるときに、隔壁ポケット58に対して近位であり得る。いくつかの実施形態では、隔壁ポケット58は、第1の溝44と位置整合し得、これにより、前進要素22を前進位置に移動させるときに、隔壁36が隔壁ポケット58に入ることがようになり得る。いくつかの実施形態では、隔壁ポケット58は、拡張チューブ32とコネクタ24及び/又はハウジング14との接合部に対して近位であり得る。いくつかの実施形態では、隔壁36が隔壁ポケット58に係合する前にハウジング14に到達する流体が、吸収され、かつハウジング14中に漏れないように、隔壁ポケット58に対して遠位のハウジング14に、吸収性の材料が配設され得る。
【0040】
いくつかの実施形態では、器具前進デバイス10が後退位置にあることに応答して、器具12の全体が、ハウジング14内に配設され得、かつ/又は前進要素22が、スロット20の近位端部に配設され得る。図2Aは、いくつかの実施形態による、前進要素22が後退位置と前進位置との間で移動することを例示している。いくつかの実施形態では、前進要素22が前進位置にあるときに、前進要素22は、スロット20の遠位端部に配設され得、器具12は、遠位方向に前進し切り得る。いくつかの実施形態では、前進要素22を後退位置から前進位置までスロット20に沿って直線状に移動させるときに、器具12の第2の端部30が、ハウジング14の遠位端部18を越えて前進し得る。
【0041】
いくつかの実施形態では、前進要素22を後退位置から前進位置までスロット20に沿って直線状に移動させるときに、隔壁ポケット58に挿入されて、隔壁36に対して近位の管腔56の一部分を封止するように、隔壁36が構成され得る。いくつかの実施形態では、前進要素22が前進位置にあり、かつ器具12がカテーテルアセンブリ中に、及び/又はカテーテルアセンブリを通って前進すると、血液が、隔壁36に対して近位のハウジング14の一部分に入ることなく、収集のために、コネクタ24中に、及び/又は拡張チューブ32を通って流れ得る。これら及び他の実施形態では、器具12は、ガイドワイヤを含み得、それゆえ、血液収集に干渉し得る閉塞を空け得る。
【0042】
いくつかの実施形態では、隔壁ポケット58の形状は、隔壁ポケット58と隔壁36との間の封止を容易にするための隔壁36の形状に対応し得る。例えば、隔壁36は、環状テーパ部59を含み得る。いくつかの実施形態では、隔壁ポケット58は、別の環状テーパ部を含み得る。いくつかの実施形態では、隔壁36の断面は、圧入され、管腔56の断面を満たし、かつ封止を提供するように、隔壁ポケット58における管腔56の断面よりもわずかに大きくなり得る長円形又は円形であり得る。いくつかの実施形態では、隔壁36の断面は、長方形又は正方形であり得る。
【0043】
ここで図3A~3Bを参照すると、いくつかの実施形態では、隔壁ポケット58は、ハウジング14内に配設され、2つの側部60a、60bを含み得る分割された隔壁60を受容するように構成され得る。いくつかの実施形態では、分割された隔壁60は、分割された隔壁60と器具12との間の摩擦が低減又は排除されるように、器具12の外径よりも大きい直径を有する貫通する開口部を含む、任意の好適な環状隔壁を含み得る。いくつかの実施形態では、開口部は、概して円筒形又は別の好適な形状であり得る、分割された隔壁60の内面によって、形成され得る。いくつかの実施形態では、分割された隔壁60は、隔壁ポケット58に対して近位であり、隔壁ポケット58から離間して配置され得る。いくつかの実施形態では、スロット20に直線状に沿った前進要素22の移動に応答して、隔壁ポケット58に挿入されるように、分割された隔壁60が構成され得、互いに押圧して、分割された隔壁60に対して近位の管腔56の一部分を封止するように、分割された隔壁60の2つの側部60a、60bが構成され得る。更に詳細には、いくつかの実施形態では、隔壁ポケット58への分割された隔壁60の挿入に応答して、分割された隔壁60は、分割された隔壁60を通って延在する開口部の直径が減少し得、かつ分割された隔壁60の内面によって器具12の周囲に環状封止が作成されるように、圧縮され得る。いくつかの実施形態では、分割された隔壁60の遠位端部は、環状テーパ部59を含み得る。
【0044】
いくつかの実施形態では、に応答して、後退位置から前進位置へのスロット20に直線状に沿った前進要素22の移動に応答して、隔壁ポケット58に接触し、かつ押圧し合って、隔壁36に対して近位の管腔56の部分を封止するように、分割された隔壁60の2つの側部60a、60bが構成され得る。いくつかの実施形態では、前進要素22が後退位置にあるときに、器具12は、分割された隔壁60の開口部を形成する分割された隔壁60の内面から離間して配置され得、これにより、器具12の摩擦が減少し、器具12を遠位に前進させるときの座屈が低減され得る。
【0045】
いくつかの実施形態では、前進要素22が後退位置にあるときに、前進要素22は、スロット20の遠位端部に配設され得るか、又は(例えば、図3Bに例示されるように)スロット20の遠位端部から離間して配置され得る。いくつかの実施形態では、器具前進デバイス10は、ハウジング14内に配設され、かつ/又は分割された隔壁60の近位端部に近接し得るばね64を含み得る。いくつかの実施形態では、前進要素22を後退位置からスロット20に沿って直線状に移動させるときに、分割された隔壁60が隔壁ポケット58に挿入される前に分割された隔壁60を圧縮するように、ばね64が構成され得る。
【0046】
ここで図4A~4Bを参照すると、いくつかの実施形態では、隔壁36は、ハウジング14内に固定され得、隔壁36の近位端部は、環状テーパ部を含み得るテーパ状ポケット68を含み得る。いくつかの実施形態では、器具前進デバイス10は、近位円錐形状部74又はフレア状端部に結合された遠位柱72を含み得る漏斗形状要素70を含み得る。いくつかの実施形態では、器具12は、漏斗形状要素70を通って延在し得る。いくつかの実施形態では、前進要素22を後退位置から前進位置までスロット20に沿って直線状に移動させるときに、隔壁36を通って延在するように、遠位柱72が構成され得、近位円錐形状部74は、隔壁36のテーパ状ポケット68内に配設され得る。いくつかの実施形態では、遠位柱72又はチューブは、器具12の座屈を防止し得る。いくつかの実施形態では、近位円錐形状部74は、前進要素22が前進位置にあるときに、隔壁36内での漏斗形状要素70の固定を容易にし得る。
【0047】
ここで図5A~5Bを参照すると、いくつかの実施形態では、ハウジング14は、支持壁75を含み得、支持壁75は、通り抜けるガイドワイヤを含み得る、器具12を受容するように構成された開口部76を含み得る。いくつかの実施形態では、支持壁75は、コネクタ24及び/又はハウジング14の外壁との単一のユニットとして一体構造に形成され得、これにより、支持壁75に安定性が提供され得る。いくつかの実施形態では、支持壁75は、概して、ハウジング14の長手方向軸に対して横断し得る。
【0048】
いくつかの実施形態では、隔壁36の遠位面は、支持壁75と接触し、支持壁75によって支持され得る。いくつかの実施形態では、隔壁36は、開口部76を通る流体漏れを防止するように構成され得る。いくつかの実施形態では、器具12は、第1の端部28及び第2の端部30を含み得る。いくつかの実施形態では、前進要素22を後退位置から前進位置までスロット20に沿って直線状に移動させるときに、ガイドワイヤなどの器具12の第2の端部30が、ハウジング14の遠位端部18を越えて前進し得る。
【0049】
ここで図6A~6Eを参照すると、いくつかの実施形態では、前進要素22が前進位置にあるときよりも、前進要素22が後退位置にあるときのほうが、ガイドワイヤが隔壁36を大きく圧縮するように、ガイドワイヤの外径が近位方向に増加し得る。いくつかの実施形態では、前進要素22が後退位置にあるときに、ガイドワイヤは、隔壁36を通って延在し得、ガイドワイヤの外径は、隔壁36から離間して配置され得る。
【0050】
いくつかの実施形態では、隔壁36の近位面が、開口部76を覆って延在する潤滑剤78を含み得る。いくつかの実施形態では、潤滑剤78は、器具12を遠位に前進させることに応答して、隔壁36の近位面上に集まり得るか、又は溜まり得、これにより、器具12の周囲の封止が容易になり得る。いくつかの実施形態では、潤滑剤78は、シリコン潤滑剤を含み得る。
【0051】
いくつかの実施形態では、第2の端部30は、均一な外径を有し得る、ガイドワイヤの一部分80の周囲に延在するコイル85を含み得る。いくつかの実施形態では、コイル85は、血液凝集塊又は血栓の除去を容易にし得る。いくつかの実施形態では、第2の端部30は、丸い先端82を含み得、これにより、患者の脈管構造を損傷するリスクが減少し得る。
【0052】
いくつかの実施形態では、部分80に対して近位の、ガイドワイヤの別の部分83は、テーパ部84を含み得、テーパ部84は、前進要素22が後退位置にあるときよりも、前進要素22が前進位置にあるときのほうが、ガイドワイヤが隔壁36を大きく圧縮するように、近位方向に増加するガイドワイヤの外径を含み得る。いくつかの実施形態では、テーパ部84は、漸次的であり得るか、又は急峻であり得る。
【0053】
いくつかの実施形態では、部分80に対して近位の、ガイドワイヤの別の部分83は、複数のテーパ部を含み得る。例えば、別の部分83は、テーパ部84及び/又はテーパ部87を含み得る。いくつかの実施形態では、テーパ部84及び/又はテーパ部87は、ガイドワイヤの残りの部分との単一ユニットとして一体構造に形成され得る。いくつかの実施形態では、テーパ部84及び/又はテーパ部87は、薄膜被覆層、スリーブ、又は別の付加的なプロセスを用いて形成され得る。いくつかの実施形態では、ガイドワイヤは、初期に、前進要素22が後退位置にあるときに、開口部76とのクリアランスを有し得る。
【0054】
いくつかの実施形態では、ガイドワイヤをかなり又は完全に前進させることに応答して、隔壁36を十分に押圧するように、ガイドワイヤが構成され得、これにより、ガイドワイヤの長い支持なしシャフトに起因する座屈のリスクが低減され得る。いくつかの実施形態では、ガイドワイヤ上の隔壁36の最大ドラッグ及び最大封止は、ガイドワイヤをかなり又は完全に前進させて、及び隔壁36、隔壁36が十分に圧縮されるまで、起こらないことがある。いくつかの実施形態では、ガイドワイヤをかなり又は完全に前進させることに応答した隔壁36の十分な圧縮は、テーパ部87、又は漸次的であり、かつ/若しくは長い単一のテーパ部の結果として起こり得る。
【0055】
いくつかの実施形態では、ガイドワイヤを隔壁36を通して第1の距離だけ遠位に前進させることに応答して、部分80は、隔壁36内に配設され得、隔壁36のわずかな圧縮を提供して、ハウジング14及び/又は拡張チューブ32の遠位部分内の流体通路(例えば、図2Aを参照)を封止する弱い流体封止を作成し得る。いくつかの実施形態では、ガイドワイヤを第1の距離よりも大きい第2の距離だけ隔壁36を通して遠位に前進させることに応答して、テーパ部84における、又はテーパ部84にごく近接するガイドワイヤの外径の増加が、隔壁36の圧縮の増加と、部分80よりも強い封止と、を提供し得る。いくつかの実施形態では、ガイドワイヤを第2の距離よりも大きい第3の距離だけ隔壁36を通して遠位に前進させることに応答して、テーパ部87における、又はテーパ部87にごく近接する外径の増加が、テーパ部84における、又はテーパ部84にごく近接するガイドワイヤの外径の増加よりも更に緊密な封止を提供し得、かつ/又は隔壁36を十分に圧縮し得る。いくつかの実施形態では、漸次的であり、かつ/又は長い単一のテーパ部は、更に緊密な封止を提供し得、かつ/又は隔壁36を十分に圧縮し得る。
【0056】
いくつかの実施形態では、ガイドワイヤと開口部76との間の封止は、ガイドワイヤの増加する外径に起因する遠位方向へのガイドワイヤの部分的な、ほぼ完全に、又は完全な前進に応答して、増加し得る。図6A~6Dにはハウジング14の一部分のみが例示されているが、ハウジング14は、図1~7と同様であり得る。
【0057】
ここで図7A~7Cを参照すると、いくつかの実施形態では、器具前進デバイス10は、スロット20を通って延在し、かつ第1の後退位置と第1の前進位置との間でスロット20に沿って直線状に移動するように構成された第1の前進要素86を含み得る。いくつかの実施形態では、器具前進デバイス10は、スロット20を通って延在し、かつ第2の後退位置と第2の前進位置との間でスロット20に沿って直線状に移動するように構成された第2の前進要素88を含み得る。いくつかの実施形態では、第2の前進要素88は、第1の前進要素86に対して近位であり得る。
【0058】
いくつかの実施形態では、第1の前進要素86にチューブ90が結合され得、チューブ90は、隔壁36を通る移動を容易にするように剛性又は半剛性であり得る。いくつかの実施形態では、第1の前進要素86が第1の前進位置にあるときに、チューブ90は、ハウジング14内に固定され得る隔壁36を通って延在し得る。いくつかの実施形態では、ガイドワイヤは、第2の前進要素88及びチューブ90に結合され得るか、又は第2の前進要素88及びチューブ90を通って延在し得る。いくつかの実施形態では、第1の前進要素86が第1の後退位置にあることに応答して、チューブ90の遠位端部92が、隔壁36に対して近位であり得る。いくつかの実施形態では、第2の前進要素88は、後退位置に配設され得る。いくつかの実施形態では、器具前進デバイス10を、図7Aにおける位置から図7Bにおける位置に、次いで、図7Cにおける位置まで移動させ得る。
【0059】
本明細書で列挙される全ての例及び条件の言葉は、読み手が、本発明者によって当該分野の増進に捧げられる本発明及び概念を理解することを支援する教授目的を意図されており、そのような特別に列挙される例及び条件に限定されないと解釈されるべきものである。本発明の実施形態を詳細に記載したが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、様々な変更、代替、及び改変がこれになされ得ることを理解されたい。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図7A
図7B
図7C
【国際調査報告】