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▶ レール・リキード−ソシエテ・アノニム・プール・レテュード・エ・レクスプロワタシオン・デ・プロセデ・ジョルジュ・クロードの特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-12
(54)【発明の名称】液化水素を分配する設備及び方法
(51)【国際特許分類】
   F17C 6/00 20060101AFI20240705BHJP
   F17C 13/00 20060101ALI20240705BHJP
【FI】
F17C6/00
F17C13/00 302D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024500006
(86)(22)【出願日】2022-06-14
(85)【翻訳文提出日】2024-01-03
(86)【国際出願番号】 EP2022066130
(87)【国際公開番号】W WO2023001457
(87)【国際公開日】2023-01-26
(31)【優先権主張番号】2107747
(32)【優先日】2021-07-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591036572
【氏名又は名称】レール・リキード-ソシエテ・アノニム・プール・レテュード・エ・レクスプロワタシオン・デ・プロセデ・ジョルジュ・クロード
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】アロリデール,ローラン
(72)【発明者】
【氏名】ジラール,クレア
(72)【発明者】
【氏名】リーゴール,グレゴール
(72)【発明者】
【氏名】グネゴ,ベルティーユ
【テーマコード(参考)】
3E172
【Fターム(参考)】
3E172AA03
3E172AA06
3E172AB01
3E172BA04
3E172BB12
3E172BB17
3E172BD04
3E172BD05
3E172DA90
3E172EA03
3E172EA22
3E172EA35
3E172EA52
3E172EB03
3E172HA04
3E172HA14
3E172KA03
3E172KA22
(57)【要約】
【解決手段】 気体水素の源(2)と、液化器(3)と、液体水素を貯蔵する少なくとも1つの手段(4)とを含む、液化水素を分配する設備であって、液化器(3)は、液体回路(5)を介して貯蔵手段(4)の入口に接続されている出口を含み、設備(1)は、貯蔵手段(4)に接続されている第1の端部、及び充填されるべき移動液体タンク(6)の第1の端部に着脱可能に接続されるように意図されている第2の端部が設けられている液体充填回路(12)を含み、設備(1)は、タンク(6)の第2の端部に着脱可能に接続されるように意図されている第1の端部、及び設備(1)の受入部材に接続されている第2の端部が設けられている気体回収回路(7)を更に含み、気体回収回路(7)は、移動液体タンク(6)内の圧力を所定の充填圧力(Pr)に下げる圧力及び/又は流量調整部材(8)(例えば、弁)を含み、設備(1)は、移動液体タンク(6)から少なくとも1つの充填要求信号(13)を受信するように構成されているマイクロプロセッサを含む電子制御ユニット(10)を含み、圧力及び/又は流量調整部材(8)は、調整可能であり、電子制御ユニット(10)は、圧力及び/又は流量調整部材(8)を作動させ、受信充填要求信号(13)に基づいて移動液体タンク(6)内の圧力レベルを所定の充填圧力(Pr)に調整するように構成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
気体水素の源(2)と、液化器(3)と、少なくとも1つの液体水素貯蔵容器(4)とを含む、液化水素を分配する設備であって、前記液化器(3)は、前記源(2)に接続されている入口と、前記液化器(3)によって生成される液化水素を前記貯蔵容器(4)に貯蔵するために液体回路(5)を介して前記貯蔵容器(4)の入口に接続されている出口とを含み、前記設備(1)は、前記貯蔵容器(4)に接続されている第1の端部、及び充填されるべき移動液体タンク(6)(例えば、セミトレーラー)の第1の端部に着脱可能に接続されるように意図されている第2の端部が設けられている液体充填回路(12)を含み、前記設備(1)は、前記タンク(6)の第2の端部に着脱可能に接続されるように意図されている第1の端部、及び前記設備(1)の受入部材(例えば、前記液化器(3)の入口)に接続されている第2の端部が設けられている気体回収回路(7)を更に含み、前記気体回収回路(7)は、前記移動液体タンク(6)内の圧力を所定の充填圧力(Pr)に下げることができる圧力及び/又は流量調整部材(8)(例えば、弁)を含み、前記設備(1)は、前記設備(1)の全部又は一部を制御するように構成されているマイクロプロセッサを含む電子制御ユニット(10)を含み、前記電子制御ユニット(10)は、移動液体タンク(6)の充填を要求する少なくとも1つの信号(13)を受信するように構成されており、
前記圧力及び/又は流量調整部材(8)は、調整可能であり、前記電子制御ユニット(10)は、前記圧力及び/又は流量調整部材(8)を制御し、受信充填要求信号(13)に応じて移動液体タンク(6)内の圧力レベルを所定の充填圧力(Pr)に調整するように構成されていることを特徴とする、設備。
【請求項2】
前記気体回収回路(7)は、前記圧力及び/又は流量調整部材(8)と前記液化器に接続されている前記第2の端部との間に配置されている圧縮部材(11)を含み、前記圧縮部材(11)は、前記液化器回路(3)に気体を再注入する目的で、前記第1の端部から来る気体の流れを所定の圧力に圧縮するように構成されていることを特徴とする、請求項1に記載の設備。
【請求項3】
前記所定の充填圧力(Pr)は、所定の最低圧力(Pmini)と所定の最高圧力(Pmax)との間で選択されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の設備。
【請求項4】
前記所定の最低圧力(Pmini)は、1.05バールに等しいことを特徴とする、請求項3に記載の設備。
【請求項5】
前記圧縮部材(11)は、前記圧縮部材(11)の入口における最低吸入圧力で動作するように構成されており、前記所定の最低圧力(Pmini)は、前記第1の端部と前記圧縮部材(11)の前記入口との間の前記気体回収回路(7)の圧力損失に少なくとも対応する所定の値だけ増加された前記圧縮部材(11)の前記最低吸入圧力に等しいことを特徴とする、請求項2又は3に記載の設備。
【請求項6】
前記所定の最高圧力(Pmax)は、前記貯蔵容器(4)と前記液体充填回路(12)の前記第2の端部との間の圧力損失の値だけ必要に応じて減少された前記貯蔵容器(4)内の圧力の値に等しいことを特徴とする、請求項3~5のいずれか一項に記載の設備。
【請求項7】
前記電子制御ユニット(10)は、次の充填パラメータ:前記タンク(6)で許容される最高圧力レベル、前記タンク(6)が充填後に液化水素を送出する必要がある受入点で必要な流体圧力レベル、前記タンク(6)に充填されるべき液化水素の量、前記タンク(6)が、充填後に走行し、次に、液化水素を前記受入点に送出する必要がある距離、前記タンク(6)が充填後に液化水素を送出する必要がある受入点の数、前記貯蔵容器(4)の温度、前記タンク(6)の体積のうち少なくとも1つを含む移動液体タンク(6)の充填を要求する少なくとも1つの信号(13)を受信するように構成されており、前記電子制御ユニット(10)は、前記パラメータに応じて前記所定の充填圧力レベル(Pr)を計算するように構成されていることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の設備。
【請求項8】
前記液化器(3)は、制御可変冷却力を有するタイプ、即ち、生成液体水素の温度(Tl)を変更する、特に、飽和状態に対してサブクール状態である液体水素を生成することができるタイプであり、前記電子制御ユニット(10)は、前記受信要求信号に応じて前記貯蔵容器(4)で生成される前記液体水素の温度レベルを制御するように構成されていることを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の設備。
【請求項9】
前記液体充填回路(12)は、異なる各熱力学的状態下で前記貯蔵容器から水素を出すために、前記貯蔵容器の2つの異なる高さに接続されている2つの引き出し管(121、122)を含むことを特徴とする、請求項8に記載の設備。
【請求項10】
異なる液体水素温度で充填されている2つの別々の貯蔵容器(4)を含み、前記液体充填回路の前記第1の端部は、前記貯蔵容器に接続されており、前記液体充填回路は、前記貯蔵容器(4)から来る液体の混合物をタンク(6)に充填し、所定の液体温度を得ることができるように構成されている弁のセットを含むことを特徴とする、請求項8又は9に記載の設備。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載の設備を用いて液化水素を分配する方法であって、移動液体タンク(6)の充填を要求する信号(13)を生成するステップと、前記信号に応じて所定の充填圧力レベル(Pr)を計算するステップと、前記所定の充填圧力レベル(Pr)で液体水素を前記タンク(6)に充填するステップとを含む方法。
【請求項12】
前記所定の充填圧力レベル(Pr)を、圧力及び/又は流量調整部材(8)の開きを制御することによって前記充填ステップ中に調整することを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記圧力及び/又は流量調整部材(8)の前記開きの前記制御を、液体水素の前記タンク(6)への移送の間に及び/又は前に及び/又は後に、タンク(6)の脱気動作時に実行することを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
充填要求信号(13)を生成する前記ステップを、手動で及び/又は遠隔で実行し、前記信号を前記設備(1)に伝送することを特徴とする、請求項11~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
液体水素を前記貯蔵容器(4)から前記タンク(6)に移送する前に、前記信号(13)に応じて前記貯蔵容器(4)で生成される液化水素の所定の温度値(Tl)を計算するステップと、前記所定の温度(Tl)で液化水素を前記貯蔵容器(4)に充填するステップとを含むことを特徴とする、請求項11~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
液体水素を前記貯蔵容器(4)から前記タンク(6)に移送する前に、異なる温度(Tl1、Tl2)で液化水素を2つの別々の貯蔵容器(4)に充填するステップと、前記信号に応じて所定の液化水素温度値(Tl)を計算するステップと、前記貯蔵容器(4)から来る液化水素の混合物を介して前記所定の温度でタンク(6)に充填するステップとを含むことを特徴とする、請求項11~15のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液化水素を分配する設備及び方法に関する。
【0002】
本発明は、より詳細には、気体水素の源と、液化器と、少なくとも1つの液体水素貯蔵容器とを含む、液化水素を分配する設備であって、液化器は、源に接続されている入口と、液化器によって生成される液化水素を貯蔵容器に貯蔵するために液体回路を介して貯蔵容器の入口に接続されている出口とを含み、設備は、貯蔵容器に接続されている第1の端部、及び充填されるべき移動液体タンク(例えば、セミトレーラー)の第1の端部に着脱可能に接続されるように意図されている第2の端部が設けられている液体充填回路を含み、設備は、このタンクの第2の端部に着脱可能に接続されるように意図されている第1の端部、及び設備の受入部材(特に、液化器の入口)に接続されている第2の端部が設けられている気体回収回路を更に含み、気体回収回路は、移動液体タンク内の圧力を所定の充填圧力に下げることができる圧力及び/又は流量調整部材(例えば、弁)を含み、設備は、設備の全部又は一部を制御するように構成されているマイクロプロセッサを含む電子制御ユニットを含み、電子制御ユニットは、移動液体タンクの充填を要求する少なくとも1つの信号を受信するように構成されている設備に関する。
【背景技術】
【0003】
水素液化器は一般的に、定格負荷で動作し、所与の温度で液体水素を生成するように構成されている。生成液体水素を、移動タンク(セミトレーラー)に充填する1つ又は複数の貯蔵容器に貯蔵する。
【0004】
更に、液化器貯蔵容器、及び貯蔵容器からトレーラーに充填する関連積み込み手順は、固定動作条件下で動作するように設計されている。実際、全てのこれらのパラメータを一般的に、設計段階中に最適化する。次に、動作段階中に、充填されるべきトレーラー及び顧客受入送出にかかわらず、これらのパラメータは、同じままである。
【0005】
しかし、通常、数人の顧客(受入点)は、異なるロジスティックス及び異なる期待(様々な程度で濃密な又は冷たい水素)で、この設備からの液体水素の送出を受け入れることになっている。
【0006】
この目的のために、公称液化水素生成点を、最も要求の多い顧客を満足させるために必要なレベルに設定する。その結果、設備は、特定のユーザに対して「過剰に高い品質の」水素を生成するエネルギーの一部を浪費する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、上述の先行技術の欠点の全部又は一部を克服することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的のために、上述の前文で与えられる一般的定義に更に従う本発明による設備は、圧力及び/又は流量調整部材が、調整可能であり、電子制御ユニットが、圧力及び/又は流量調整部材を制御し、受信充填要求信号に応じて移動液体タンク内の圧力レベルを所定の充填圧力に調整するように構成されていることを基本的に特徴とする。
【0009】
本発明は、充填中に蒸発気体を過剰に生成することなく、顧客の送出への期待を満たす最適圧力でタンクに充填することができる。
【0010】
一方、既知の解決策によれば、低過ぎる圧力を、特定の送出に対して移動タンクに課した。これは、利用されず、設備に対して費用のかかる消費エネルギーを表す。実際、これは、より高い圧力の場合よりも多くのフラッシュ気体を生成する。比較的低い圧力でタンクに充填する場合に生成されるこのフラッシュ気体は、移送されない。この気体は、液化器に放出又は再液化される。しかし、タンクが低過ぎる圧力で去る場合、追加液体を、蒸発させ、ステーションで加圧する(ボイルオフ気体を増加する)。
【0011】
更に、本発明の実施形態は、次の特徴のうち1つ又は複数の特徴を含んでもよい。
【0012】
気体回収回路は、圧力及び/又は流量調整部材と液化器に接続されている第2の端部との間に配置されている圧縮部材を含み、圧縮部材は、液化器回路に気体を再注入する目的で、第1の端部から来る気体の流れを所定の圧力に圧縮するように構成されている。
-所定の充填圧力は、所定の最低圧力と所定の最高圧力との間で選択されている。
-所定の最低圧力(Pmini)は、1.05バールに等しい。
-圧縮部材は、この圧縮部材の入口における最低吸入圧力で動作するように構成されており、所定の最低圧力(Pmini)は、第1の端部とこの圧縮部材の入口との間の気体回収回路の圧力損失に少なくとも対応する所定の値だけ増加された圧縮部材の最低吸入圧力に等しい。
-所定の最高圧力は、貯蔵容器と液体充填回路の第2の端部との間の圧力損失の値だけ必要に応じて減少された貯蔵容器内の圧力の値に等しく、電子制御ユニットは、充填パラメータ(タンクで許容される最高圧力レベル、タンクが充填後に液化水素を送出する必要がある受入点で必要な流体圧力レベル、タンクに充填されるべき液化水素の量、タンクが、充填後に走行し、次に、液化水素を受入点に送出する必要がある距離、タンクが充填後に液化水素を送出する必要がある受入点の数、貯蔵容器の温度、タンクの体積)のうち少なくとも1つを含む移動液体タンクの充填を要求する少なくとも1つの信号を受信するように構成されており、電子制御ユニットは、これらのパラメータに応じて所定の充填圧力レベルを計算するように構成されている。
-液化器は、制御可変冷却力を有するタイプ、即ち、生成液体水素の温度を変更する、特に、飽和状態に対してサブクール状態である液体水素を生成することができるタイプであり、電子制御ユニットは、受信要求信号に応じて貯蔵容器で生成される液体水素の温度レベルを制御するように構成されている。
-液体充填回路は、異なる各熱力学的状態下で貯蔵容器から水素を出すために、貯蔵容器の2つの異なる高さに接続されている2つの引き出し管を含む。
-設備は、異なる液体水素温度で充填されている2つの別々の貯蔵容器を含み、液体充填回路の第1の端部は、貯蔵容器に接続されており、液体充填回路は、貯蔵容器から来る液体の混合物をタンクに充填し、所定の液体温度を得ることができるように構成されている弁のセットを含む。
【0013】
更に、本発明は、上記又は下記の特徴のいずれかに記載の設備を用いて液化水素を分配する方法であって、移動液体タンクの充填を要求する信号を生成するステップと、この信号に応じて所定の充填圧力レベルを計算するステップと、所定の充填圧力レベルで液体水素をタンクに充填するステップとを含む方法に関する。
【0014】
他の可能な特徴によれば、次の通りである。
-所定の充填圧力レベルを、圧力及び/又は流量調整部材の開きを制御することによって充填ステップ中に調整する。
-圧力及び/又は流量調整部材の開きの制御を、液体水素のタンクへの移送の間に及び/又は前に及び/又は後に、タンクの脱気動作時に実行する。
-充填要求信号を生成するステップを、手動で及び/又は遠隔で実行し、この信号を設備に伝送する。
-方法は、液体水素を貯蔵容器からタンクに移送する前に、この信号に応じて貯蔵容器で生成される液化水素の所定の温度値を計算するステップと、この所定の温度で液化水素を貯蔵容器に充填するステップとを含む。
-方法は、液体水素を貯蔵容器からタンクに移送する前に、異なる温度で液化水素を2つの別々の貯蔵容器に充填するステップと、この信号に応じて所定の液化水素温度値を計算するステップと、これらの貯蔵容器から来る液化水素の混合物を介してこの所定の温度でタンクに充填するステップとを含む。
【0015】
更に、本発明は、特許請求の範囲内で上記又は下記の特徴の任意の組み合わせを含む任意の代替のデバイス又は方法に関してもよい。
【0016】
他の特定の特徴及び利点は、図面を参照して与えられる下記の説明を読めば、明白になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、本発明による液化水素分配設備の実施形態の構造及び動作の例を示す略部分図である。
図2図2は、生成及び貯蔵液体水素の温度の制御を用いた第1の代替の実施形態におけるこのような設備の詳細図を示す。
図3図3は、貯蔵容器の異なるレベルで液体の引き出しを用いた第2の代替の実施形態におけるこのような設備の詳細図を示す。
図4図4は、幾つかの貯蔵容器を用いた第3の代替の実施形態におけるこのような設備の詳細図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1に示す液化水素分配設備1は、気体水素の源2と、液化器3と、少なくとも1つの液体水素貯蔵容器4とを含む。
【0019】
源2は、水素供給網及び/又は水素製造機器(例えば、電解槽)を含んでもよい。
【0020】
液化器3は、例えば、水素の液化を目的として冷却されるべき水素の流れとの熱交換に置かれたサイクル低温の一端部に生じる熱力学サイクルを受けるサイクル気体(例えば、水素及び/又はヘリウムを含む)を用いた液化器である。
【0021】
従って、液化器3は、源2に接続された入口と、液化器3によって生成される液化水素を貯蔵容器4に貯蔵するために液体回路5を介して貯蔵容器4の入口に接続された出口とを含む。
【0022】
更に、設備1は、貯蔵容器4の底部に接続された第1の端部、及び液体水素を移動液体タンク6に移送するために充填されるべき移動液体タンク6(例えば、セミトレーラー)の第1の端部に着脱可能に接続されるように意図されている第2の端部が設けられた液体充填回路12を含む。
【0023】
更に、設備1は、この貯蔵容器4の第2の端部(典型的に、上端部)に着脱可能に接続されるように意図されている第1の端部、及び設備1の受入部材に接続された第2の端部が設けられた気体回収回路7(充填されるべきタンク6に含まれる蒸発気体の回収用)を含む。
【0024】
気体回収回路7は、移動液体タンク6内の圧力を所定の充填圧力Prに下げることができる圧力及び/又は流量調整部材8(例えば、弁)を含む。この圧力及び/又は流量調整部材8は、調整可能であり、即ち、タンク6内の残留圧力レベル(制御脱気)を設定することができる。
【0025】
例えば、液化されるべき液化器回路における気体水素を回収するために、第2の端部を液化器3の入口に接続する。
【0026】
この目的のために、好ましくは、気体回収回路7は、圧力及び/又は流量調整部材8の間に配置された圧縮部材11(例えば、圧縮機)(又は圧縮ユニット)を含む。従って、圧縮機11は、例えば、液化器3の液化されるべき水素の回路に気体を再注入する目的で、第1の端部から来る気体の流れを所定の圧力に圧縮するように構成されていてもよい。
【0027】
図示のように、圧縮機11の下流で、回収蒸発気体の流れは、例えば、源によって供給される水素の液化のために主回路5から離れた液化器3を冷却する交換器のセットの通路で循環することができる。換言すれば、蒸発気体の流れを、主な水素の流れとは別々に液化してもよい。(例えば、貯蔵容器4への入口で又は入口の直前で、液化器3を出た後)液体回路5に接続可能な管17(多分、弁27が設けられている)で液化器3を出る時に、この回収及び冷却蒸発気体を移送してもよい。図示のように、この冷却(必要に応じて、少なくとも部分的に液化)気体を、例えば、液体回路5の最終膨張部材15(例えば、タービン及び/又は弁)の下流で、液体回路5の液体水素と混合してもよい。
【0028】
更に図示のように、貯蔵容器4の上端部を、好ましくは弁24が設けられた管14を介して、圧縮機11の入口に接続してもよい。これにより、必要に応じて、再利用及び液化を目的として、圧縮機に貯蔵容器4から蒸発気体を更に回収することができる。
【0029】
設備1は、簡略化のために図示しない弁のセット及び適切な部材を含んでもよい。
【0030】
設備1は、設備1の全部又は一部を制御するように構成されているマイクロプロセッサ(例えば、コンピュータ又はプログラマブル電子計算機)を含む電子制御ユニット10を含む。この制御ユニット10を、設備1に及び/又は遠く離れて収容してもよく、1つ又は複数の電子ユニットから構成してもよい。
【0031】
この電子制御ユニット10は、充填されるべき移動液体タンク6の充填を要求する少なくとも1つの信号13を受信するように構成されている。
【0032】
電子制御ユニット10は、圧力及び/又は流量調整部材8を制御し、受信要求信号13に応じて充填移動液体タンク6内の圧力レベルを所定の充填圧力Prに調整するように構成されている。これにより、移動タンク6の要求及び制約を考慮して、特に、その後の送出に関して、最適圧力で充填されるタンク6の圧力を調整することができる。従って、液化気体をタンク6によって送出する顧客によって指定される限界を超えないために最適の熱力学的状態に対応するように、充填圧力Prを計算してもよい。
【0033】
この所定の充填圧力Prを、所定の最低圧力Pminiと所定の最高圧力Pmaxとの間で選択する。
【0034】
この所定の最低圧力Pminiは、特に、蒸発気体(BOG)の一部をタンク6から放出する場合(充填タンク6から出る前の追加減圧)、例えば、所定の固定値(例えば、1.05バール)に等しい。
【0035】
設備1でタンク6からこの蒸発気体の完全な回収がある場合、この最低圧力Pminiは、タンク6と圧縮ユニット11の入口との間のこの蒸発気体の帰還によって克服されるべき圧力損失を加えた圧縮ユニット11の最低吸入圧力に等しくてもよい。
【0036】
所定の最高圧力Pmaxは、貯蔵容器4と液体充填回路12の第2の端部との間の圧力損失の値だけ必要に応じて減少された貯蔵容器4内の圧力の値に等しい。換言すれば、液体を液体充填回路に移送するために移送ポンプが利用できない場合、貯蔵容器4とタンク6(トレーラー)との間の圧力損失を引いた設備1の貯蔵容器4の圧力によって、この所定の最高圧力Pmaxを指定してもよい。
【0037】
逆に、移送ポンプが液体充填回路で利用できる場合、設備の貯蔵容器4の圧力によって、この所定の最高圧力Pmaxを指定してもよい。
【0038】
従って、電子制御ユニット10は、少なくとも1つの充填パラメータを指定する移動液体タンク6の充填を要求する少なくとも1つの信号13を受信するように構成されている。
【0039】
この信号13は、例えば、次の充填パラメータ(タンク6で許容される最高圧力レベル、タンク6が充填後に液化水素を送出する必要がある受入点で必要な流体圧力レベル、タンク6に充填されるべき液化水素の量、タンク6が、充填後に走行し、次に、液化水素を受入点に送出する必要がある距離、タンク6が充填後に液化水素を送出する必要がある受入点の数、タンク6の体積)のうち少なくとも1つを含んでもよい。
【0040】
電子制御ユニット10は、これらのパラメータに応じて最適な所定の充填圧力レベルPrを計算するように構成されている。
【0041】
換言すれば、設備1は、次の送出に関する主要なロジスティックパラメータ(例えば、距離、及び液体水素が送出されるべき顧客の期待)に応じて移動タンク6に対する充填圧力を最適化して適合させる。
【0042】
これらの最適熱力学的充填状態を、プログラムツールによって自動的に判定してもよい。
【0043】
例えば、顧客(送出点)は、低温水素を特定の温度で単に購入するために、充填温度限界を設定してもよい。例えば、移動タンク6内の飽和圧力(従って、温度)は、(指定タンク6の液体レベルに対して直線的に)走行距離と共に増加する。顧客は、受入ステーションの最高許容送出温度を指定してもよい。
【0044】
更に、設備1は、送出を受けるステーションの数に関する情報を受信してもよい(圧力の増加率は、送出を受けるステーションの数、及び移動送出タンク6の液体レベルの減少と共に増加する)。
【0045】
電子制御ユニット10は、顧客によって指定される限界を超えないように、最適熱力学的充填点(PminとPmaxとの間の圧力)を計算するように構成されている。
【0046】
この情報又はこれらのパラメータを、手動で、及び/又は遠隔型伝送システムを介して伝送してもよい。例えば、ロジスティックス及びタンク(トレーラー)データを、最適充填圧力Prを後で計算する電子制御ユニット10に伝送する。
【0047】
代わりに、例えば、積み込みドックで、例えば、タンク6への充填を担当するオペレーターを介して、タンク6に対する最適充填圧力を、タンク6によって伝送する。
【0048】
幾つかのタイプの充填は、この計算最適熱力学的充填点に達することができる。
【0049】
例えば、電子制御ユニット10は、液体の次の計画送出を考慮して、タンク6に対する理想充填圧力を計算してもよい。好ましくは、最適圧力値は、顧客要件及び道路法律の遵守を保証する最大値である。より低いデフォルト値の代わりに、可能な最高圧力(多くの場合、1.15bara)を選択すると、タンク6に充填する場合のフラッシュのために生成される蒸発気体の量を制限することができる。これも、蒸発気体の再利用を促進する(より少ない必要な減圧)。
【0050】
従って、圧力及び/又は流量調整部材8を開いて(開きの程度及び/又は開く時間の長さ)、設備1に接続された充填されるべきタンク6内の圧力を下げることによって、タンク6に対する充填圧力を調整してもよい。
【0051】
幾つかの移動タンク6の同時充填を可能にする幾つかの充填線を設備1が含む場合、好ましくは、各部材8(例えば、弁)は、個別に制御可能である。
【0052】
例えば、この又はこれらの弁8は、可変設定点を用いて、制御されてもよく、及び/又は自動であってもよい。従って、この部材8の圧力設定点を、例えば、「PIC」値制御器18(圧力独立自動平衡及び制御弁)を介して、制御してもよい。当然、任意の他のタイプの適切な弁及び制御器を考慮してもよい。
【0053】
好ましくは、タンク6の制御減圧のこのステップを、液体を充填するステップの前に実行し、上述のように理想計算圧力まで実行する。これにより、外気に放出しないようにし、設備1内の蒸発気体の再利用が容易になる。更に、減圧ステップは、先行技術よりも短い。
【0054】
タンク6の充填の計画頻度、ロジスティックス、及び積み込みドックの数に応じて、設備1は、液化器3につながる1つ又は複数の気体回収回路7(断熱帰還線)を含んでもよい。
【0055】
例えば、比較的小さいサイズ又は容量の液化器3の場合、単一タンク6を、一度に減圧/充填することができ、単一帰還線7で十分でありうる。一方、幾つかのタンク6の充填動作が(異なる最適熱力学的充填点で潜在的に)可能である場合、別々の気体帰還線7を想定してもよい。
【0056】
従って、タンク6に充填する設定点は、関連帰還線7の圧力設定点に影響を与える。幾つかの帰還線は、同じ断熱から利益を得る。
【0057】
比較的長い期間(例えば、数日、特に、15日よりも長い)にわたって、期待送出条件が均一である場合、設備1は、液化器3からの液体を収容する貯蔵容器4内の所定の圧力を修正するように構成されていてもよい。これにより、必要に応じて、タンク6に充填する最適圧力に設備1を適合させることもできる。
【0058】
充填ポンプが液体充填回路12で利用できる場合、好ましくは、貯蔵容器4に対するこの目標圧力は、タンク6に対する充填圧力に等しい。
【0059】
タンク6の充填を、ポンプ無しで実行する場合、貯蔵容器4とタンク6との間の十分な圧力差を維持して、充填回路12の配管の圧力損失を克服し、所望の液体充填流量を維持する。この圧力差は、(例えば、回路12の配管の長さ及び直径に応じて)100ミリバールと500ミリバールとの間、より好ましくは200ミリバールと300ミリバールとの間であってもよい。
【0060】
好ましくは、蒸発管理システムは、より高い沸騰圧力を利用するために柔軟である必要がある。
【0061】
従って、構造が単純及び安価であるけれども、本発明は、液化器3から、移動タンク6が液化気体を送出する受入ステーションへの全連鎖を最適化することができる。本発明は、(特に、不必要な液化及び冷却力無しで)設備1のコストを最小化しながら、液体を送出する最終顧客の要件を満たすために、最適熱力学的状態にタンク6(トレーラー)の充填を適合させることができる。
【0062】
設備及び方法は、最適ロジスティックス連鎖(特に、タンク6の充填中の蒸発気体の最小化)のための極低温液体送出タンク6を可能にする。
【0063】
更に、上述のように、貯蔵容器4における熱力学的状態(例えば、圧力及び/又は温度)を、その後の送出を考慮して調整してもよい。
【0064】
図2に概略的に示すように、サブクール状態の柔軟な液化水素を生成することができるタイプの液化器3の場合、上述のパラメータに応じて生成される液体の温度Tlを修正することによって、設備1を更に制御することができる。
【0065】
例えば、設備1が、タンク6の所与の充填圧力(例えば、1.15baraと2baraとの間、好ましくは1.15と1.5baraとの間)に対して単一の利用可能な貯蔵容器4を含む場合、液化水素の温度は、タンク6を移動させた場合、得られる圧力に影響を与える。
【0066】
具体的には、サブクール状態の液体水素が充填されたタンク6は、タンク6の移動中に平衡に達し、圧力は、飽和圧力に低下する。タンク6に入る液体水素の最適温度を、プログラム電子制御ユニット10によって判定してもよい。生成液化水素(サブクール状態又はそれ以外)の温度を、充填要求(次の送出又は複数の送出)のパラメータを考慮して調整し、貯蔵容器4の底部に注入してもよい。具体的には、サブクール状態の水素を、貯蔵容器4内の水素の層化によって貯蔵容器4の底部に貯蔵する。
【0067】
従って、例えば、顧客が、比較的高い品質の液体水素を必要とする場合、サブクール状態の水素の必要量を、生成し、底部に注入する必要がある。一方、要求の少ない顧客の場合、飽和液体水素の生成は、顧客の要件を満たすのに十分でありうる。
【0068】
タンク6の充填率は一般的に、貯蔵容器4の充填率よりも大きい。従って、特に温度の観点から、貯蔵容器4の充填を予想することが好ましい。
【0069】
従って、好ましくは、サブクール状態の液体水素をタンク6に充填する前に、貯蔵容器4の底部に充填する。貯蔵容器4の充填の終わりに、貯蔵容器4の底部に送出される生成サブクール状態の水素の量は、タンク6に充填される質量に少なくとも対応する必要がある。この質量を、回路線から入力される熱を更に補償するために最適化することができる。液化水素の生成率(温度が変化することがある)、及び充填されるべきタンク6内の予想質量に基づいて、設備1(例えば、ユニット10)は、例えば、最適なサブクール状態の水素の生成の開始時刻及び持続時間を判定するように構成されていてもよい。
【0070】
図3に概略的に示すように、変動が小さいサブクール状態の水素の生成の場合、液体充填回路12は、別々の線121、122を介して貯蔵容器4の異なる高さに接続された貯蔵容器4の1つ又は複数の他の出口を含んでもよい。これにより、貯蔵容器4内の水素の層化(サブクール状態の水素は、下部にある一方、飽和水素は、液体/気体界面に近い上部にある)を活用することによって、貯蔵容器4から液体を出すことができる。
【0071】
例えば、充填に必要な最適温度が、飽和温度である場合、中間貯蔵容器出口121を使用して、液体を出してもよい。出口を、独立線を介して接続(及び/又は共通管に接続)してもよい。
【0072】
図4に概略的に示すように、2つ(以上)の貯蔵容器4が設備1で利用できる場合、貯蔵容器4のうち1つに、飽和温度Tl1で飽和水素を充填してもよく、一方、別の貯蔵容器4に、サブクール状態の液体水素(温度Tl2)を充填してもよい。
【0073】
電子制御ユニット10は、最適目標温度でタンク6に充填するために、これらの貯蔵容器4から水素の適切な混合物を判定するように構成(プログラム)されていてもよい。貯蔵容器4から出された流量を制御する制御弁のセットによって、調整を達成してもよい。
【0074】
サブクール状態の液体を含む貯蔵容器4を使用して、フラッシュ及び冷却損失を補償してもよく、サブクール状態の液体を含む貯蔵容器4を使用して、必要に応じて非常に冷たい水素をタンク6に充填し、必要な最適熱力学的充填点を達成することができる。
【0075】
従って、この変型例において、設備1は、最適温度及び最適量で、サブクール状態の水素を生成することができる。この水素を、最適熱力学的充填点に達するために、タンク6に充填するために使用されるべき貯蔵容器4の底部に貯蔵してもよい。
【0076】
能動的ポンピング、及び/又は圧力差を用いた単純な受動的接続によって、タンク6に充填してもよい。
【0077】
従って、設備1は、液体をタンクに充填する目的で、圧力調整部材8の制御開きを介して、タンクを充填圧力に至らせることができる。充填後、この圧力調整部材8(移動タンク6の一部を形成してもよい)を開いて、例えば、移送又は送出に適している第2のより低い圧力にこのタンク6を更に減圧してもよい。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】