(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-12
(54)【発明の名称】カテーテルアセンブリアダプタ、器具送達装置、及び、関連する方法
(51)【国際特許分類】
A61M 25/06 20060101AFI20240705BHJP
A61M 25/08 20060101ALI20240705BHJP
A61B 5/15 20060101ALI20240705BHJP
【FI】
A61M25/06 502
A61M25/08 500
A61B5/15
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024500060
(86)(22)【出願日】2022-06-28
(85)【翻訳文提出日】2024-02-14
(86)【国際出願番号】 US2022035191
(87)【国際公開番号】W WO2023278359
(87)【国際公開日】2023-01-05
(32)【優先日】2021-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】595117091
【氏名又は名称】ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジョナサン カール バークホルツ
(72)【発明者】
【氏名】ジョン ラッキー
(72)【発明者】
【氏名】エリカ イー.ニューマン
(72)【発明者】
【氏名】ウェストン エフ.ハーディング
【テーマコード(参考)】
4C038
4C267
【Fターム(参考)】
4C038TA10
4C267AA04
4C267AA12
4C267AA17
4C267AA28
4C267BB10
4C267BB11
4C267BB12
4C267BB20
4C267BB40
4C267BB54
4C267CC08
4C267CC20
4C267GG02
4C267GG22
4C267HH08
(57)【要約】
カテーテルアセンブリは、遠位端、近位端、サイドポート、及び、アダプタ管腔を有するアダプタを含み得る。カテーテルアセンブリは、遠位端、近位端、カテーテルハブ管腔、及び、別のサイドポートを含み得るカテーテルハブを含み得る。カテーテルアセンブリは、延長チューブを含み得る。延長チューブの遠位端は、別のサイドポートに結合され得、アダプタの遠位端は、延長チューブの近位端に結合され得る。流体シールは、チューブがアダプタ内に前進するときに、器具前進装置のチューブの周りに形成され得る。一例として、アダプタの遠位端とサイドポートとの間のアダプタ管腔の一部は、流体シールを形成するように構成された環状突起部を含み得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カテーテルアセンブリであって、
アダプタであって、遠位端と、前記アダプタの前記遠位端と整列した近位端と、前記アダプタの前記遠位端と前記アダプタの前記近位端との間に配置されたサイドポートと、前記アダプタの前記遠位端、前記アダプタの前記近位端、及び、前記サイドポートを通って延びる、アダプタ管腔と、を備え、前記アダプタの前記遠位端と前記サイドポートとの間の前記アダプタ管腔の一部は、器具前進装置のチューブの周りに、流体シールを形成するように構成された、環状突起部を備える、アダプタと、
カテーテルハブであって、遠位端と、近位端と、前記カテーテルハブの前記遠位端及び前記カテーテルハブの前記近位端を通って延びるカテーテルハブ管腔と、前記カテーテルハブ管腔と流体連通するように配置された別のサイドポートと、を備える、カテーテルハブと、
遠位端及び近位端を備える延長チューブであって、前記延長チューブの前記遠位端が、前記別のサイドポートに結合され、前記アダプタの前記遠位端が、前記延長チューブの前記近位端に結合される、延長チューブと、
を備える、カテーテルアセンブリ。
【請求項2】
前記アダプタは、T字型コネクタ、又は、Y字型コネクタを備える、請求項1に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項3】
別の延長チューブをさらに備え、
前記サイドポートが、前記別の延長チューブに結合される、請求項1に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項4】
前記アダプタの前記遠位端と前記サイドポートとの間の前記アダプタ管腔の前記一部が、前記延長チューブの前記近位端、及び、外向きのテーパのそれぞれ近接する、円筒形の均一な直径部分からなり、前記環状突起部が、前記外向きのテーパに近接する、請求項1に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項5】
前記環状突起部が、前記延長チューブの前記近位端に近接する、請求項1に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項6】
前記延長チューブの前記近位端に近接する、前記環状突起部の縁部が、前記環状突起部に近接する前記延長チューブの内面よりも、前記アダプタの長手方向軸から等しいかそれ以上の距離に配置される、請求項5に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項7】
カテーテルアセンブリであって、
アダプタであって、遠位端と、前記アダプタの前記遠位端と整列した近位端と、前記アダプタの前記遠位端と前記アダプタの前記近位端との間に配置されたサイドポートと、前記アダプタの前記遠位端、前記アダプタの前記近位端、及び、前記サイドポートを通って延びるアダプタ管腔と、を備えるアダプタと、
前記延長チューブの前記近位端と別のサイドポートとの間のアダプタ管腔内に配置される、環状エラストマーシールであって、器具前進装置のチューブの周囲に流体シールを形成するように構成される、環状エラストマーシールと、
カテーテルハブであって、遠位端と、近位端と、前記カテーテルハブの前記遠位端及び前記カテーテルハブの前記近位端を通って延びるカテーテルハブ管腔と、前記カテーテルハブ管腔と流体連通するように配置された前記サイドポートと、を備えるカテーテルハブと、
遠位端及び近位端を備える延長チューブであって、前記延長チューブの前記遠位端が、前記別のサイドポートに結合され、前記アダプタの前記遠位端が、前記延長チューブの前記近位端に結合される、延長チューブと、
を備える、カテーテルアセンブリ。
【請求項8】
前記アダプタ管腔を形成する前記アダプタの内面は、環状溝を備え、前記環状エラストマーシールは、前記環状溝内に着座する、請求項7に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項9】
前記環状エラストマーシールが、Oリングを備える、請求項8に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項10】
前記アダプタの前記遠位端と前記サイドポートとの間の前記アダプタ管腔の一部が、外向きのテーパに近接する、円筒形の均一な直径部分からなり、前記環状エラストマーシールが、前記外向きのテーパに近接する、請求項7に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項11】
カテーテルアセンブリであって、
アダプタであって、遠位端と、前記アダプタの前記遠位端と整列した近位端と、前記アダプタの前記遠位端と前記アダプタの前記近位端との間に配置されたサイドポートと、前記アダプタの前記遠位端、前記アダプタの前記近位端、及び、前記サイドポートを通って延びるアダプタ管腔と、を備えるアダプタと、
カテーテルハブであって、遠位端と、近位端と、前記カテーテルハブの前記遠位端及び前記カテーテルハブの前記近位端を通って延びるカテーテルハブ管腔と、前記カテーテルハブ管腔と流体連通するように配置された別のサイドポートと、を備えるカテーテルハブと、
遠位端及び近位端を備える延長チューブであって、前記延長チューブの前記遠位端が、前記別のサイドポートに結合され、前記延長チューブの内面は、器具前進装置のチューブの周囲に流体シールを形成するように構成される、環状突起部を備え、前記アダプタの前記遠位端は、前記延長チューブの前記近位端に結合される、延長チューブと、
を備える、カテーテルアセンブリ。
【請求項12】
前記延長チューブの前記内面が、別の環状突起部を備える、請求項11に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項13】
器具前進装置であって、
近位端、遠位端、前記近位端と前記遠位端との間に配置される管腔、及び、前記近位端と前記遠位端との間に配置されるスロットを備える、ハウジングと、
前記スロットを通って延在し、後退位置と前進位置との間で前記スロットに沿って直線的に移動するように構成された前進要素と、
遠位端及び近位端を備えるチューブであって、前記前進要素が前記後退位置から前記前進位置まで前記スロットに沿って直線的に移動されるとき、前記器具の前記第2の端部が、前記ハウジングの前記遠位端を越えて前進し、前記チューブの前記遠位端が、環状突起部又は外向きのフレアを備え、前記環状突起部及び前記外向きのフレアが、カテーテルアセンブリのアダプタ内に流体シールを形成するように構成される、チューブと、
を備える、器具前進装置。
【請求項14】
器具前進装置であって、
近位端、遠位端、前記近位端と前記遠位端との間に配置される管腔、及び、前記近位端と前記遠位端との間に配置されるスロットを備える、ハウジングと、
前記スロットを通って延在し、後退位置と前進位置との間で前記スロットに沿って直線的に移動するように構成された前進要素と、
第1の端部及び第2の端部を備えるチューブであって、前記前進要素が、前記後退位置から前記前進位置まで、前記スロットに沿って直線的に移動されるとき、前記器具の前記第2の端部が、前記ハウジングの前記遠位端を越えて前進し、前記チューブは、カテーテルアセンブリのアダプタ内に流体シールを形成するように構成される、増大された直径部分を備える、チューブと、
を備える、器具前進装置。
【請求項15】
採血方法であって、
カテーテルアセンブリのアダプタ内でチューブを遠位側に前進させるステップであって、前記アダプタが、サイドポートを備え、前記カテーテルアセンブリの前記アダプタ内で前記チューブを遠位側に前進させることに応答して、前記アダプタ内で前記サイドポートの遠位側にある前記チューブの周囲に流体シールが形成される、ステップを備える、採血方法。
【請求項16】
前記アダプタの遠位端が、開口部を備え、前記流体シールが前記開口部の近位側に形成される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記チューブが、環状突起部を備え、前記カテーテルアセンブリの前記アダプタ内で前記チューブを遠位側に前進させることに応答して、前記流体シールが前記環状突起部に形成される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記アダプタが、遠位端と、前記アダプタの前記遠位端と整列した近位端と、前記アダプタの前記遠位端と前記アダプタの前記近位端との間に配置されたサイドポートと、前記アダプタの前記遠位端、前記アダプタの前記近位端、及び、前記サイドポートを通って延びるアダプタ管腔と、を備え、前記アダプタの前記遠位端と前記サイドポートとの間の前記アダプタ管腔の一部が、前記カテーテルアセンブリの前記アダプタ内で前記チューブを遠位側に前進させることに応答して、前記流体シールを形成するように構成される、環状突起部を備える、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記アダプタが、遠位端と、前記アダプタの前記遠位端と整列した近位端と、前記アダプタの前記遠位端と前記アダプタの前記近位端との間に配置されたサイドポートと、前記アダプタの前記遠位端、前記アダプタの前記近位端、及び、前記サイドポートを通って延びるアダプタ管腔と、を備え、エラストマーOリングが、前記延長チューブの前記近位端と前記サイドポートとの間の前記アダプタ管腔内に配置され、前記エラストマーOリングが、前記カテーテルアセンブリの前記アダプタ内で前記チューブを遠位側に前進させることに応答して、流体シールを形成する、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記アダプタが、遠位端と、前記アダプタの前記遠位端と整列した近位端と、前記アダプタの前記遠位端と前記アダプタの前記近位端との間に配置されたサイドポートと、前記アダプタの前記遠位端、前記アダプタの前記近位端、及び、前記サイドポートを通って延びるアダプタ管腔と、を備え、延長チューブが、前記アダプタの前記遠位端からカテーテルアダプタまで延びており、前記延長チューブの内面が、前記カテーテルアセンブリの前記アダプタ内で、前記チューブを遠位側に前進させるのに応答して、器具前進装置の前記チューブの周囲に流体シールを形成する環状突起部を構成する、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年7月2日に出願された「カテーテルアセンブリアダプタ、器具送達装置、及び、関連する方法」と題する米国仮出願第63/218,127号の優先権を主張するものであり、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
カテーテルは、一般的にさまざまな輸液治療に用いられる。例えば、カテーテルは、生理食塩水、さまざまな薬剤、および総合的な非経口栄養のような流体を患者へと注入するために使用し得る。また、カテーテルは、患者から血液を採取するために使用され得る。
【0003】
一般的なタイプのカテーテル装置には、「オーバー・ザ・ニードル」と呼ばれるカテーテルがある。その名が示すように、オーバー・ザ・ニードル型カテーテルは、鋭利な遠位先端を持つ導入針の上に取り付け得る。カテーテルアセンブリは、カテーテルハブと、カテーテルハブから遠位に延びるカテーテルと、カテーテルを通って延びる導入針とを含んでもよい。カテーテル及び導入針は、導入針の遠位先端が、カテーテルの遠位先端を越えて延伸し、針の斜角(bevel)を患者の皮膚から離れる方向に向くように組み立てられ得る。カテーテルと導入針は、通常、皮膚から浅い角度で患者の血管系に挿入される。
【0004】
血管内の導入針および/またはカテーテルの適切な配置を検証すべく、臨床医は、一般的に、カテーテルアセンブリのフラッシュバックチャンバ内に血液の「フラッシュバック」があることを確認する。針の配置が一度確認されると、臨床医は、血管系内の流れを一時的に塞いで、針を除去し、後の採血または輸液のためにカテーテルを定位置に残し得る。
【0005】
カテーテルを使用した注入及び採血は、いくつかの理由により、特にカテーテルの留置時間が増加する場合に困難であり得る。フィブリンシース又は血栓は、カテーテルアセンブリの内面、カテーテルアセンブリの外面、又は、カテーテルの遠位先端近くの血管系内に形成され得る。フィブリンシース又は血栓は、カテーテルを通る流体経路を遮断又は狭める可能性があり、これは、高品質の血液試料の注入、及び/又は、収集を損なう可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本明細書で請求される主題は、任意の欠点を解決する実施形態や、上記のような環境でのみ動作する実施形態に限定されない。むしろ、この背景技術は、本明細書で記載された具体化したもののいくつかを実施し得る技術領域の一例を示すために適用されるにすぎない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、一般に、血管アクセス装置及び関連するシステムならびに方法に関する。より詳細には、いくつかの実施形態では、本開示は、カテーテルアセンブリのアダプタ、器具送達装置、及び、関連する方法に関する。いくつかの実施形態では、カテーテルアセンブリは、遠位端と、アダプタの遠位端と位置合わせされた近位端と、アダプタの遠位端とアダプタの近位端との間に配置されたサイドポートと、アダプタ管腔と、を含むアダプタを含むことができる。いくつかの実施形態では、アダプタ管腔は、アダプタの遠位端、アダプタの近位端、及び、サイドポートを貫通して延びることがある。
【0008】
いくつかの実施形態では、カテーテルアセンブリは、カテーテルハブを含むことがあり、このカテーテルハブは、遠位端、近位端、カテーテルハブの遠位端及びカテーテルハブの近位端を通って延びるカテーテルハブ管腔、ならびにカテーテルハブ管腔と流体連通するように配置された別のサイドポートを含むことがある。
【0009】
いくつかの実施形態では、カテーテルアセンブリは、遠位端と近位端を含む延長チューブを含むことができる。いくつかの実施形態では、延長チューブの遠位端は、他方のサイドポートに結合され得る。いくつかの実施形態では、アダプタの遠位端は延長チューブの近位端に結合される。いくつかの実施形態では、アダプタの遠位端とサイドポートとの間のアダプタ管腔の一部は、器具前進装置のチューブの周囲に流体シールを形成するように構成された環状突起部を含むことができる。
【0010】
いくつかの実施形態では、アダプタは、T字型コネクタ又はY字型コネクタを含むことができる。いくつかの実施形態では、カテーテルアセンブリは別の延長チューブを含むことができる。いくつかの実施形態では、サイドポートはもう一方の延長チューブに結合される。いくつかの実施形態では、アダプタの遠位端とサイドポートとの間のアダプタ管腔の部分は、延長チューブの近位端と外向きのテーパとに近接する、円筒形の均一な直径部分を含むことができる。いくつかの実施形態では、環状突起部は、外向きテーパの近位にあることがある。
【0011】
いくつかの実施形態では、環状突起部は、延長チューブの近位端に近接していてもよい。いくつかの実施形態では、延長チューブの近位端に近接する突出部の縁部は、環状突起部に近接する延長チューブの内面よりもアダプタの長手方向軸から等しいかそれ以上の距離に配置され得る。
【0012】
いくつかの実施形態では、カテーテルアセンブリは、延長チューブの近位端とサイドポートとの間のアダプタ管腔内に配置された環状エラストマーシールを含むことができる。いくつかの実施形態では、環状エラストマーシールは、器具前進装置のチューブの周囲に流体シールを形成するように構成されることがある。いくつかの実施形態では、アダプタ管腔を形成するアダプタの内面は環状溝を含むことができ、環状エラストマーシールは環状溝内に着座する。いくつかの実施形態では、環状エラストマーシールは、Oリングを含むことができる。いくつかの実施形態では、アダプタの遠位端とサイドポートとの間のアダプタ管腔の部分は、外向きテーパに近接する円筒形の均一な直径部分を含み、環状エラストマーシールは、外向きテーパの近位にあり得る。
【0013】
いくつかの実施形態では、延長チューブの内面は、器具前進装置のチューブの周囲に流体シールを形成するように構成された環状突起部を含むことができる。いくつかの実施形態では、延長チューブの内面は、1つ以上の別の環状突起部を含むことができる。
【0014】
いくつかの実施形態では、器具送達装置は、ハウジングを含み得、このハウジングは、近位端、遠位端、近位端と遠位端との間に配置された管腔、及び、近位端と遠位端との間に配置されたスロットを含み得る。いくつかの実施形態では、器具送達装置は、スロットを通って延在し、後退位置と前進位置との間でスロットに沿って直線的に移動するように構成された前進要素を含み得る。
【0015】
いくつかの実施形態では、器具送達装置は、第1の端部及び第2の端部を含み得るチューブなどの器具を含み得る。いくつかの実施形態では、前進要素がスロットに沿って後退位置から前進位置まで直線的に移動させられるとき、器具の第2の端部は、ハウジングの遠位端を越えて前進させられることがある。いくつかの実施形態では、チューブの遠位端は、環状突起部又は外向きのフレア(flare)を含み得る。いくつかの実施形態では、チューブの環状突起部又は外向きのフレアは、カテーテルアセンブリのアダプタ内に流体シールを形成するように構成されている場合がある。いくつかの実施形態では、チューブは、カテーテルアセンブリのアダプタ内に流体シールを形成するように構成される、増大された直径部分を含むことができる。
【0016】
いくつかの実施形態では、採血方法は、カテーテルアセンブリのアダプタ内でチューブを遠位側に前進させることを含む場合がある。いくつかの実施形態では、アダプタはサイドポートを含むことができる。いくつかの実施形態では、カテーテルアセンブリのアダプタ内でチューブを遠位側に前進させることに応じて、アダプタ内でサイドポートから遠位側のチューブの周囲に流体シールが形成されることがある。いくつかの実施形態では、アダプタの遠位端は開口部を含み、流体シールは開口部の近位に形成される。いくつかの実施形態では、チューブは環状突起部を含み、カテーテルアセンブリのアダプタ内でチューブを遠位側に前進させることに応答して、流体シールがチューブの環状突起部に形成されることがある。
【0017】
いくつかの実施形態では、アダプタは、遠位端、アダプタの遠位端と整列した近位端、アダプタの遠位端とアダプタの近位端の間に配置されたサイドポート、及び、アダプタ管腔を含むことができる。いくつかの実施形態では、アダプタ管腔は、アダプタの遠位端、アダプタの近位端、及び、サイドポートを貫通して延びることがある。いくつかの実施形態では、アダプタの遠位端とサイドポートとの間のアダプタ管腔の部分は、環状突起部を含むことがあり、この環状突起部は、カテーテルアセンブリのアダプタ内でチューブを遠位側に前進させることに応答して、流体シールを形成するように構成されることがある。
【0018】
いくつかの実施形態では、エラストマーOリングが、延長チューブの近位端とサイドポートとの間のアダプタ管腔内に配置され、エラストマーOリングは、カテーテルアセンブリのアダプタ内でチューブを遠位側に前進させることに応答して、器具送達装置のチューブの周囲に流体シールを形成し得る。いくつかの実施形態では、延長チューブの環状突起部は、カテーテルアセンブリのアダプタ内でチューブを遠位側に前進させることに応答して、器具送達装置のチューブの周囲に流体シールを形成することがある。
【0019】
上述の概略の説明、及び、以下の詳細な説明の両方は、例示であり、また、説明のためのものであり、特許請求された発明を限定するものではないことが理解されるべきである。さまざまな実施形態は、図に示されている配置及び手段に限定されないことが理解されるべきである。また、実施形態は、組み合わされてよいこと、又は、他の実施形態が用いられてよいこと、及び、そのように特許請求されていない限り、本発明の様々な実施形態の範囲から逸脱することなく構造変更がなされてよいことが理解されるべきである。それ故に、以下の詳細な説明は、限定的な意味で解釈されてはならない。
【図面の簡単な説明】
【0020】
例示的な実施形態は、添付の図面を使用することにより、さらに具体的かつ詳細に記載および説明される。
【
図1A】
図1Aは、いくつかの実施形態による、例示的な初期位置又は後退位置にある例示的な前進要素を示す、例示的な器具送達装置の上方斜視図である。
【
図1C】
図1Cは、いくつかの実施形態による、
図1Aの器具送達装置の一部の拡大断面図である。
【
図1F】
図1Fは、いくつかの実施形態による、前進要素が初期位置又は後退位置にある器具送達装置を含む例示的なカテーテルシステムの断面図である。
【
図2A】
図2Aは、いくつかの実施形態による、環状突起部の一例を示すアダプタの一例の断面図である。
【
図2B】
図2Bは、アダプタ及び環状突起部を含むカテーテルシステムの断面図であり、いくつかの実施形態による、前進位置にある例示的なチューブを示す。
【
図3A】
図3Aは、アダプタ及び別の例示的な環状突起部を含むカテーテルシステムの断面図であり、いくつかの実施形態による、前進位置にあるチューブを示している。
【
図3B】
図3Bは、いくつかの実施形態による、別の環状突起部を示すアダプタの断面図である。
【
図4A】
図4Aは、いくつかの実施形態による、アダプタ及び例示的な環状エラストマーシールを含むカテーテルシステムの断面図である。
【
図5A】
図5Aは、アダプタ及び1つ以上の環状突起部を有する例示的な延長チューブを含むカテーテルシステムの断面図であり、いくつかの実施形態による、前進位置にあるチューブを示している。
【
図5B】
図5Bは、いくつかの実施形態による、環状突起部の例を有する延長チューブを示す、アダプタの断面図である。
【
図6A】
図6Aは、アダプタ及び例示的な環状突起部を有するチューブを含むカテーテルシステムの断面図であり、いくつかの実施形態による、前進位置にあるチューブを示している。
【
図6B】
図6Bは、いくつかの実施形態による、環状突起部を有するチューブの遠位端の上方斜視図である。
【
図6C】
図6Cは、いくつかの実施形態による、環状突起部を有するチューブの遠位端の断面図である。
【
図6D】
図6Dは、いくつかの実施形態による、拡大された直径部分を有するチューブを示す、カテーテルシステムの一部の断面図である。
【
図7A】
図7Aは、いくつかの実施形態による、外向きのフレアを有し、前進位置に配置されたチューブを示す、カテーテルシステムの断面図である
【
図7B】
図7Bは、いくつかの実施形態による、外向きフレアを有するチューブの断面図である。
【
図8】
図8は、いくつかの実施形態による、カテーテルアダプタと、カテーテルアダプタを通る流体通路をシールするように構成された遠位端を有するチューブの一例の断面図である。
【
図9A】
図9Aは、いくつかの実施形態による、アダプタの断面図である。
【
図9B】
図9Bは、いくつかの実施形態による、アダプタの断面図である。
【
図9C】
図9Cは、いくつかの実施形態による、アダプタの断面図である。
【
図10A】
図10Aは、いくつかの実施形態による、例示的な無針コネクタの断面図である。
【
図10B】
図10Bは、いくつかの実施形態による、例示的なコネクタに結合された無針コネクタの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
ここで
図1Aから
図1Eを参照すると、いくつかの実施形態では、器具送達装置10は、チューブ12、及び/又は、ガイドワイヤ13をカテーテルアセンブリ内へ、又は、カテーテルアセンブリを通して送達するように構成されることがある。いくつかの実施形態では、器具送達装置10は、チューブ12、及び/又は、ガイドワイヤ13をカテーテルアセンブリ内へ、又は、カテーテルアセンブリを通して無針で送達することができる。いくつかの実施形態では、チューブ12、及び/又は、ガイドワイヤ13をカテーテルアセンブリのカテーテルを通して前進させ、カテーテル又は血管系における閉塞(例えば、カテーテル先端の血栓又はフィブリンシース、静脈の崩壊、弁など)を押しのけて、カテーテルアセンブリへの流体流入のための明確な経路を形成し、採血を助けることがある。いくつかの実施形態では、チューブ12、及び/又は、ガイドワイヤ13は、閉塞を低減又は除去し、投薬及び流体供給、並びに、カテーテルの滞留時間中の血液取得のためのカテーテルの開存性を改善することができる。いくつかの実施形態では、器具送達装置10は、使用者による取り扱いを容易にするために小型サイズを維持しながら、採血流量、血液試料の品質、及び、流体経路の堅固性を改善し得る。
【0022】
いくつかの実施形態では、カテーテルは、末梢静脈内(IV)カテーテル、末梢挿入型中心カテーテル、又は、正中線カテーテルを含むことができる。いくつかの実施形態では、チューブ12、及び/又は、ガイドワイヤ13が送達されるカテーテルは、以前に患者の血管系に挿入されている可能性があり、チューブ12、及び/又は、ガイドワイヤ13がカテーテルアセンブリ内に前進されるときに、血管系内に留まっている可能性がある。カテーテル73は、
図1Fに示されるカテーテルの一例である。
【0023】
いくつかの実施形態では、チューブ12、及び/又は、ガイドワイヤ13は、ハウジング14内に配置されることがあり、このハウジング14は、チューブ12を周囲の外部環境からの損傷、及び/又は、汚染から保護するように構成されることがある。いくつかの実施形態では、ハウジング14は、剛性又は半剛性である。いくつかの実施形態では、ハウジング14は、ステンレス鋼、アルミニウム、ポリカーボネート、金属、セラミック、プラスチック、及び、他の適切な材料のうちの1つ又は複数で作られ得る。いくつかの実施形態では、ハウジング14は、近位端16、遠位端18、及び、スロット20を含み得る。いくつかの実施形態では、スロット20は、ハウジング14の長手方向軸に平行に延びることができる。
【0024】
いくつかの実施形態では、器具送達装置10は、前進要素22を含むことができ、この前進要素は、スロット20を通って延びることができ、例えば、
図1Aに図示されている後退位置と、後退位置の遠位にある前進位置との間でスロット20に沿って直線的に移動するように構成されることができる。いくつかの実施形態では、後退位置は、前進要素22がスロット20の近位端にある完全後退位置に対応することがある。いくつかの実施形態では、臨床医は前進要素22をつまんだり把持したりして、後退位置と前進位置との間で前進要素22を移動させることができる。
【0025】
いくつかの実施形態では、ハウジング14の遠位端18は、遠位コネクタ24を含み得る。いくつかの実施形態では、遠位コネクタ24は、対向するレバーアーム26a,26bを含むことができる。いくつかの実施形態では、対向するレバーアーム26a,26bの遠位端は、対向するレバーアーム26a,26bの近位端に加えられる圧力に応答して、互いから離れるように移動するように構成され得る。いくつかの実施形態では、対向するレバーアーム26a,26bの近位端に加えられた圧力の除去に応答して、対向するレバーアーム26a,26bの遠位端が互いに接近して移動し、例えば、ニードルレスコネクタ、別のコネクタ、又は、カテーテルハブの近位端などのカテーテルアセンブリの一部を挟み込むことがある。いくつかの実施形態では、遠位コネクタ24は、カテーテルアセンブリの一部に挿入するように構成された鈍いカニューレ又は雄型ルアーを含むことができる。
【0026】
いくつかの実施形態では、遠位コネクタ24は、任意の適切なコネクタを含むことができる。例えば、遠位コネクタ24は、ねじ雄型ルアー、スリップ雄型ルアー、スピンロック付きねじ雄型ルアー、取り外し可能な鈍いカニューレスナップ接続付きねじ雄型ルアー、取り外し可能な鈍いカニューレスナップ接続付きスリップ雄型ルアー、又は、他の適切なコネクタを含むことができる。いくつかの実施形態では、遠位コネクタ24は、1つ又は複数のボンドポケットを含むことがあり、これらのボンドポケットはそれぞれ、カテーテルアセンブリの一部であるか、又は、遠位コネクタ24とカテーテルアセンブリの間に延在する延長チューブを受容するように構成されることがある。いくつかの実施形態では、遠位コネクタ24は、スロット20を含むハウジング14の本体と単一ユニットとしてモノリシックに形成され得る。
【0027】
いくつかの実施形態では、チューブ12及び/又はガイドワイヤ13は、任意の適切なプローブ又は器具と置き換えることができる。いくつかの実施形態では、チューブ12、ガイドワイヤ13、又は、適切なプローブ、若しくは、器具は、患者又は器具モニタリング用の1つ以上のセンサを含むことができ、圧力、温度、pH、血液化学、酸素飽和度、流量、又は、別の生理学的特性を測定するセンサを含むことができる。
【0028】
いくつかの実施形態では、ガイドワイヤ13は、第1の端部27、及び、第2の端部28を含むことができる。いくつかの実施形態では、ガイドワイヤ13の第1の端部27は、ハウジング14内に固定されることがある。例えば、ガイドワイヤ13の第1の端部27はハウジング14の内面に固定することができる。いくつかの実施形態では、前進要素22がスロット20に沿って第1の距離だけ遠位側に移動するのに応答して、ガイドワイヤ13の第2の端部28が、第2の距離だけ前進するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、第2の距離は第1の距離の2倍であってもよい。これらの実施形態では、前進要素22とガイドワイヤ13は、前進要素22がスロット20に沿って移動される特定の距離に対して、ガイドワイヤ13の第2の端部28が、特定の距離の2倍移動されるように、1:2の前進比を有することができる。
【0029】
いくつかの実施形態では、ガイドワイヤ13は任意の適切な形状を含むことができる。例えば、ガイドワイヤ13は、コイルを含むことができる。いくつかの実施形態では、患者の血管系への損傷を防止するために、ガイドワイヤの第2の端部28は鈍く、及び/又は、丸くすることができる。
【0030】
いくつかの実施形態では、チューブ12は、遠位端30及び近位端32を含むことができる。いくつかの実施形態では、前進要素22がスロット20に沿って第1の距離だけ遠位側に移動するのに応答して、チューブ12の遠位端30は、第1の距離だけ前進するように構成され得る。これらの実施形態では、前進要素22及びチューブ12は、前進要素22がスロット20に沿って移動させられる特定の距離に対して、チューブ12の遠位端30が特定の距離に等しい距離だけ移動させられるように、1:1の前進比を有することができる。
【0031】
いくつかの実施形態では、チューブ12の近位端32は、前進要素22に結合されることがある。いくつかの実施形態では、器具送達装置10は、前進要素22に結合された延長チューブ34を含むことができ、採血経路36は、チューブ12、前進要素22、及び、延長チューブ34を通って延びることができる。
【0032】
いくつかの実施形態では、器具送達装置10は、前進要素22内に配置され、採血経路36とガイドワイヤ13が移動するガイドワイヤ経路の一部との間の流体連通を防止するシール38を含むことができる。いくつかの実施形態では、シール38は、エラストマー隔壁を含むことができる。いくつかの実施形態では、ガイドワイヤ13はコイルを含むことがあり、このコイルは、前進要素22が初期位置又は完全後退位置にあるときに、シール38の遠位側にあるか、又は、シール38を通って延びることがある。
【0033】
いくつかの実施形態では、前進要素22がスロット20に沿って第1の距離だけ遠位へ移動するのに応じて、ガイドワイヤ13の第2の端部28及びチューブ12の遠位端30は、ハウジング14の内側から外側へ移動することがある。いくつかの実施形態では、前進要素22がスロット20の近位端に配置されることに対応して、ガイドワイヤ13の第2の端部28及びチューブ12の遠位端30は、遠位コネクタ24の鈍いカニューレ、又は、雄型ルアーの遠位端40と整列するか、又は、遠位コネクタ24の雄型ルアーの遠位端40の近位に配置することができ、これにより、ガイドワイヤ13及びチューブ12を保護し、その汚染を防止することができる。
【0034】
いくつかの実施形態では、ハウジング14の内面42は、1つ以上の溝を含み得、これらの溝は、ハウジング14の近位端16と、ハウジング14の遠位端18との間に配置され得る。例えば、内面42は、第1の溝44、及び/又は、第2の溝46を含むことができる。いくつかの実施形態では、第1の溝44、及び/又は、第2の溝46は、近位端16と遠位端18との間のハウジング14内に配置され得る。いくつかの実施形態では、チューブ12は、チューブ12の案内を提供し得る第1の溝44内に配置され得る。いくつかの実施形態では、ガイドワイヤ13は、ガイドワイヤ13の案内を提供し得る第1の溝44及び第2の溝46内に配置され得る。いくつかの実施形態では、第1の溝44、及び/又は、第2の溝46は、支持壁48と、支持壁に対向する別の支持壁50と、支持壁48と別の支持壁50との間に延びる底部52と、を含むことができる。いくつかの実施形態では、第1の溝44、及び/又は、第2の溝46は、底部52とは反対側に開いていてもよい。いくつかの実施形態では、第1の溝44、及び/又は、第2の溝46は、ガイドワイヤ13が遠位側に前進、及び/又は、近位側に後退する際に、直線状、及び/又は、ガイドワイヤ13を案内するように構成されていてもよい。
【0035】
いくつかの実施形態では、ガイドワイヤ13は、第1の溝44、及び/又は、第2の溝内に配置され得る。いくつかの実施形態では、チューブ12は、第1の溝44内に配置されてもよい。いくつかの実施形態では、第1の溝44、及び/又は、第2の溝46は、前進要素22が移動する経路の全部又は一部に沿って、遠位端18から近位端16に向かって延びることができる。いくつかの実施形態では、器具送達装置10は、チューブ12、及び/又は、ガイドワイヤ13が座屈するのを防止するためにチューブ12に接触するように構成され得る支持機構を含み得る。いくつかの例示的な支持機構は、2022年3月22日に出願された米国特許出願第17/701,124号にさらに記載されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0036】
他の実施形態では、前進要素22は、U字型であってもよい円弧状のチャネル54を含むことができる。いくつかの実施形態では、ガイドワイヤ13は、円弧状のチャネル54を通って延び、移動することができる。いくつかの実施形態では、前進要素22の第1の距離の移動に応答して、ガイドワイヤ13の第2の端部28は、第1の距離の2倍を超える第2の距離を遠位側に前進するように構成され得る。これらの実施形態及び他の実施形態では、ガイドワイヤ13は複数の円弧状を通って延びることができる。
【0037】
ここで
図1Fを参照すると、器具送達装置10は、カテーテルアセンブリ56に結合され得る。いくつかの実施形態では、カテーテルアセンブリ56は、アダプタ58を含むことがあり、このアダプタ58は遠位端60と、アダプタ58の遠位端60と位置合わせされた近位端62とを含むことがある。いくつかの実施形態では、アダプタ58は、アダプタ58の遠位端60とアダプタ58の近位端62の間に配置されたサイドポート64を含むことができる。いくつかの実施形態では、アダプタ58はアダプタ管腔66を含むことがあり、この管腔は、アダプタの遠位端60、アダプタ58の近位端62、及び、サイドポート64を通って延びることがある。
【0038】
いくつかの実施形態では、カテーテルアセンブリ56は、カテーテルハブ68を含むことがあり、このカテーテルハブ68は、遠位端70、近位端72、カテーテルハブ68の遠位端70及びカテーテルハブ68の近位端72を通って延びるカテーテルハブ管腔74を含むことがある。いくつかの実施形態では、カテーテル73は、遠位端70から延び、カテーテルハブ68内に固定されてもよい。いくつかの実施形態では、カテーテルアセンブリ56は、直線状であってもよく、器具送達装置10は、カテーテルハブ68の近位端72に結合、及び/又は、これと整列させられてもよい。他の実施形態では、カテーテルハブ68は、カテーテルハブ管腔74と流体連通するように配置された別のサイドポート76を含むことができる。いくつかの実施形態では、隔壁77は、別のサイドポート76の近位側でカテーテルハブ管腔74内に配置されることがある。
【0039】
いくつかの実施形態では、カテーテルアセンブリ56は、遠位端80及び近位端82を含む延長チューブ78を含むことができる。いくつかの実施形態では、延長チューブ78の遠位端80は、別のサイドポート76に結合され得る。いくつかの実施形態では、アダプタ58の遠位端60は、延長チューブ78の近位端82に結合される。
【0040】
ここで
図2Aから
図3Cを参照すると、いくつかの実施形態では、アダプタ58の遠位端60とサイドポート64との間のアダプタ管腔66の一部は、流体シールを形成するように構成された環状突起部84を含むことができ、これにより採血経路36の希釈又は汚染の可能性を減少させることができる。いくつかの実施形態では、採血経路36を通って移動する血液は、患者の血管系から近位にカテーテル73を通って、サイドポート64から出て、延長チューブ78を通って、アダプタ58内に配置されたチューブ12内に移動することができる。いくつかの実施形態では、流体シールは、環状突起部84において器具送達装置10のチューブ12の周囲に形成され得る。
【0041】
いくつかの実施形態では、アダプタ58は、遠位端60、近位端62、及び、サイドポート64に加えて、1つ以上の別のポート又は開口部を含むことができる。他の実施形態では、アダプタ58は、
図2Aから
図3Cに示されるように、Y字型コネクタ又はT字型コネクタを含むことができる。いくつかの実施形態では、カテーテルアセンブリ56は、別の延長チューブ86を含むことができる。いくつかの実施形態では、サイドポート64は、コネクタ88に結合され得る、別の延長チューブ86に結合されてもよい。いくつかの実施形態では、コネクタ88は、カテーテル73を通して患者の血管系に遠位から流体を注入するための注入装置に結合するように構成され得る。
【0042】
図2Aに示されるように、いくつかの実施形態では、アダプタ58の遠位端60とサイドポート64との間のアダプタ管腔66の部分は、延長チューブ78の近位端82に近接し、外向きのテーパ92に近接する円筒形の均一な直径部分90を含み得る。
図2Bに示されるように、チューブ12及び前進要素22(例えば、
図1Aから
図1C参照)が前進位置にあるとき、チューブ12は、アダプタ58内で終端することがあり、これによりチューブ12の内径の増加を可能にし、そこを通る流体流量を増加させ得る。これらの実施形態では、環状突起部84は、外向きテーパ92の近位にあることができ、これは、チューブ12の内径を大きくしてそこを通る流体の流量を増加させることを容易にすることができる。アダプタ58内でのチューブ12の終端は、サイドポート64に近接しているために採血経路36の希釈又は汚染にもつながる可能性があるため、流体シールは、採血経路36とサイドポート64との間に、軽いシール及び分離を提供することができる。
【0043】
図3Aから
図3Cに示されるように、いくつかの実施形態では、環状突起部84は、延長チューブ78の近位端82に近接していてもよい。いくつかの実施形態では、延長チューブ78の近位端82に近接又は接触する環状突起部84の端部は、環状突起部84に近接する、延長チューブ78の内面よりもアダプタ58の長手方向軸94から等しいか又はそれ以上の距離だけ離れて配置されてもよく、これにより、血液が環状突起部84と延長チューブ78との間に溜まったり挟まったりするのを防ぐことができる。
【0044】
次に
図4Aから
図4Bを参照すると、いくつかの実施形態では、カテーテルアセンブリ56は、延長チューブ78の近位端82とサイドポート64との間のアダプタ管腔66内に配置された、1つ又は複数の環状エラストマーシール96を含むことができる。いくつかの実施形態では、カテーテルアセンブリ56は、環状エラストマーシール96a、及び/又は、別の環状エラストマーシール96b(本開示では、これらを総称して「エラストマーシール96」と呼ぶ場合がある)を含む場合があり、これらはそれぞれ、チューブ12の異なるサイズの周囲に流体シールを提供するのに適し得る。
【0045】
いくつかの実施形態では、環状エラストマーシール96はそれぞれ、器具送達装置10の特定のサイズのチューブ12の周囲に流体シールを形成するように構成され得る。いくつかの実施形態では、アダプタ58の遠位端60とサイドポート64との間のアダプタ管腔66の部分は、外向きテーパ92に近接する円筒形の均一な直径部分90を含み得、環状エラストマーシール96aは、外向きテーパ92に近接し得る。追加的又は代替的に、いくつかの実施形態では、別の環状エラストマーシール96bは、外向きテーパ92の遠位の円筒形の均一な直径部分90に配置されてもよく、それによって、環状エラストマーシール96aよりも小さい特定のチューブ12の周りに流体シールを形成するように構成され得る。
【0046】
いくつかの実施形態では、アダプタ管腔66を形成するアダプタ58の内面は、一つ以上の環状溝98を含むことができる。いくつかの実施形態では、環状エラストマーシール96a、及び/又は、別の環状エラストマーシール96bは、それぞれ、環状溝98内に着座してもよく、これにより、チューブ12をより大きくすることができ、したがって、そこを通る血液の流れを増大させることができる。いくつかの実施形態では、環状エラストマーシール96a及び/又は、別の環状エラストマーシール96bは、Oリングを含み得る。
【0047】
ここで
図5Aから
図5Bを参照すると、いくつかの実施形態では、延長チューブ78の内面は、器具送達装置10のチューブ12の周囲に流体シールを形成するように構成された1つ以上の環状突起部100を含むことができる。例えば、延長チューブ78の内面には、環状突起部100が、1から3個含まれることがあり、これにより、チューブ12が過度の摩擦を受けることなく容易に通過することができる。いくつかの実施形態では、延長チューブ78の内面は、3つ以上の環状突起部100を含むことがあり、これにより、採血経路36とサイドポート64との間の強力な分離及び密封を促進することができる。
【0048】
ここで
図6Aから
図6Cを参照すると、いくつかの実施形態では、チューブ12の遠位端30は、環状突起部102を含むことがあり、この環状突起部102は、カテーテルアセンブリ56のアダプタ58内に流体シールを形成するように構成されてもよい。さらに詳細には、チューブ12と前進要素22(例えば、
図1Aから
図1C参照)が前進位置にあるとき、チューブ12は、アダプタ58内で終端し、環状突起部102は、アダプタ58の内面と流体シールを形成する。いくつかの実施形態では、アダプタ58内のチューブ12の終端は、チューブ12の内径を大きくし、そこを通る流体の流量を増加させることができる。さらに、いくつかの実施形態によれば、環状突起部102は、採血経路36の希釈又は汚染の可能性を低減し得る。
【0049】
ここで
図6Dを参照すると、いくつかの実施形態では、チューブ12は、アダプタ58内に流体シールを形成するように構成された、段差又はテーパ104及び増大された直径部分105を含むことができる。さらに詳細には、チューブ12及び前進要素22(例えば、
図1Aから
図1Cを参照)が前進位置にあるとき、増大された直径部分105は、アダプタ58内の環状突起部84内に配置されてもよく、環状突起部102は、サイドポート64の流体経路を採血経路36から分離する流体シールを形成する。これらの実施形態及び他の実施形態において、チューブ12の遠位端30は、チューブ12及び前進要素22が前進位置にあるとき、環状突起部102の遠位まで延びることができる。
【0050】
ここで
図7Aから
図7Bを参照すると、いくつかの実施形態では、チューブ12の遠位端30は、外向きのフレア106を含み得る。いくつかの実施形態では、アダプタ58の内面は、環状であってもよい、近位に延びる突起部108を含むことができる。いくつかの実施形態では、近位に延びる突起部108は、チューブ12及び前進要素22(例えば、
図1Aから
図1Cを参照)が前進位置にあるときに、外向きのフレア106内に適合し、流体シールを形成するように構成され得る。
【0051】
ここで
図8を参照すると、いくつかの実施形態では、チューブ12及び前進要素22(例えば、
図1Aから
図1C参照)が前進位置にあるとき、チューブ12は、カテーテル73を固定するウェッジ(wedge)110に接触して流体シールを形成し、流体がウェッジ110を通って流れるのを防止することができる。
【0052】
ここで
図9Aを参照すると、いくつかの実施形態では、採血方法は、アダプタ58内でチューブ12を遠位側に前進させることを含み得る。いくつかの実施形態では、アダプタ58は、サイドポート64を含むことができる。いくつかの実施形態では、カテーテルアセンブリ56のアダプタ58内でチューブ12を遠位側に前進させることに応じて、アダプタ58内でサイドポート64から遠位側のチューブ12の周囲に流体シールが形成されることがある。いくつかの実施形態では、アダプタ58の遠位端60は、開口部112を含むことができ、流体シールは、開口部112の近位に形成されることができる。
【0053】
ここで
図9Bを参照すると、いくつかの実施形態では、流体シールは、開口部112にあり得、アダプタ58内でチューブ12を遠位側に前進させることに応答して、チューブ12の外径が開口部112に接触して、開口部112を封鎖し、チューブ12とアダプタ58の内面との間を液体が流れるのを防ぎ得る。
【0054】
ここで
図9Cを参照すると、いくつかの実施形態では、チューブ12は、環状突起部114を含み得、アダプタ58内でチューブ12を遠位側に前進させることに応答して、流体シールが、チューブ12の環状突起部114に形成され得る。
【0055】
ここで
図10Aから
図10Bを参照すると、いくつかの実施形態では、カテーテルアセンブリ56が、サイドポート64及び延長チューブ78を有して一体化されているとき、カテーテルアセンブリ56は、サイドポート64と流体連通する無針コネクタ116(又、例えば、
図2B,3A,5A,6A、及び、7Aに図示されている)を含み得る。いくつかの実施形態では、サイドポート64は無針コネクタに近く、無針コネクタ116の隔壁118がアダプタ58内に延びる。いくつかの実施形態では、器具送達装置10の鈍いカニューレ又は雄型ルアーは、サイドポート64を封鎖するために長くされてもよく、遠位端40は、サイドポート64の遠位側に配置されてもよい。
【0056】
本明細書で記載されるすべての例示および条件付き文言は、本技術を促進するために、読者が本発明および本発明者によって提供される概念を理解することの助けとなるような教育的目的を意図しており、その具体的に列挙されている例示および条件に限定されないものとして解釈されるべきである。本発明の実施形態について詳細に説明されているが、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、さまざまな変更、置換、および改変が本明細書にされ得ることを理解されたい。
【国際調査報告】