(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-12
(54)【発明の名称】複数の動作モードを有するエアロゾル発生システム
(51)【国際特許分類】
A24F 40/53 20200101AFI20240705BHJP
A24F 40/57 20200101ALI20240705BHJP
A24F 40/465 20200101ALI20240705BHJP
【FI】
A24F40/53
A24F40/57
A24F40/465
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024500114
(86)(22)【出願日】2022-07-12
(85)【翻訳文提出日】2024-01-04
(86)【国際出願番号】 EP2022069510
(87)【国際公開番号】W WO2023285486
(87)【国際公開日】2023-01-19
(32)【優先日】2021-07-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(74)【代理人】
【識別番号】100158551
【氏名又は名称】山崎 貴明
(72)【発明者】
【氏名】ブタン ヤニック
(72)【発明者】
【氏名】シャトー マキシム
(72)【発明者】
【氏名】ストゥラ エンリコ
【テーマコード(参考)】
4B162
【Fターム(参考)】
4B162AA03
4B162AA05
4B162AA22
4B162AB01
4B162AB12
4B162AC22
4B162AC34
4B162AC50
4B162AD02
4B162AD06
4B162AD23
4B162AD40
(57)【要約】
誘導加熱式エアロゾル発生システムは、インダクタおよびサセプタを有する誘導加熱配設と、電力を誘導加熱配設に供給するための電源と、電源から誘導加熱配設に供給される電力を制御し、電気制御パラメータを監視するように構成されたコントローラとを備える。コントローラは、複数の動作モードでエアロゾル発生システムを動作させるように構成され、複数の動作モードは、少なくとも、較正モード、加熱モード、再較正モード、および安全モードを含む。複数の動作モード間で切り替えることによって、システムは、サセプタが誘導加熱配設の使い捨ての構成要素である場合でさえも、誘導加熱を使用したエアロゾルの一貫した信頼性のある生成を可能にする。
【選択図】
図2B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インダクタおよびサセプタを有する誘導加熱配設と、
電力を前記誘導加熱配設に供給するための電源と、
前記電源から前記誘導加熱配設に供給される電力を制御し、電気制御パラメータを監視するように構成されたコントローラと、を備え、
前記コントローラが、複数の動作モードで前記エアロゾル発生システムを動作させるように構成され、
前記複数の動作モードが、少なくとも、前記電気制御パラメータの目標値を判定するための較正モード、
前記サセプタを動作温度に維持するために電力が前記インダクタに供給される加熱モードであって、前記動作温度が、前記電気制御パラメータの前記目標値を参照して、前記インダクタに供給される電力を制御することによって維持される、加熱モード、
前記電気制御パラメータの前記目標値を定期的または断続的に再判定するための再較正モード、および、
一つ以上の所定の基準が満たされることに応答して、前記誘導加熱配設に提供される前記電力を調整するための安全モード、を含む、誘導加熱式エアロゾル発生システム。
【請求項2】
前記電気制御パラメータが、前記サセプタの電気抵抗、前記誘導加熱配設の見かけの電気抵抗、前記サセプタの電気コンダクタンス、前記誘導加熱配設の見かけの電気コンダクタンス、前記誘導加熱配設に供給される電流、および前記誘導加熱配設に供給される電力から成るリストから選択されるパラメータである、請求項1に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項3】
前記加熱モードが、所定の温度プロファイルに従って前記サセプタの温度を維持するように構成される、請求項1または2のいずれかに記載のエアロゾル発生システム。
【請求項4】
前記加熱モード中に前記インダクタに供給される前記電力が、電力パルス、例えば、電流パルスとして供給され、前記サセプタの前記温度が、前記インダクタの負荷サイクルを変化させることによって制御され、好ましくは、前記コントローラが、前記誘導加熱配設の見かけのコンダクタンスの目標値を参照して、前記加熱モード中に前記サセプタの前記温度を制御するように構成され、前記見かけのコンダクタンスの目標値が、前記較正モード中または前記再較正モード中に判定される、請求項1~3のいずれかに記載のエアロゾル発生システム。
【請求項5】
前記安全モードが、前記誘導加熱配設に供給される電力の減少、例えば、前記サセプタを冷却することを可能にするのに十分な期間の間の前記インダクタに供給される前記負荷サイクルの減少を伴う、請求項1~4のいずれかに記載のエアロゾル発生システム。
【請求項6】
前記システムが、ユーザー吸煙を判定するための吸煙センサを備え、例えば、前記吸煙センサが、気流センサ、またはエアロゾル発生装置の気流経路内に取り付けられたサーミスタなどの温度センサであり得る、請求項1~5のいずれかに記載のエアロゾル発生システム。
【請求項7】
前記加熱モードが、非吸煙加熱レジームおよび吸煙加熱レジームを含み、前記コントローラが、ユーザーが前記加熱モード中に吸煙していることが検出される場合に、前記吸煙加熱レジームに従って動作し、ユーザーが前記加熱モード中に吸煙していることが検出されない場合に、前記非吸煙加熱レジームに従って動作するように構成される、請求項1~6のいずれかに記載のエアロゾル発生システム。
【請求項8】
前記コントローラが、ユーザーが吸煙していると判定される場合に、前記加熱モードに従った動作から前記再較正モードに従った動作への切り替えを防止または遅延させる、請求項1~7のいずれかに記載のエアロゾル発生システム。
【請求項9】
温度、例えば、エアロゾル発生装置の温度を監視するために、気流経路の外側に位置する温度センサ、例えば、前記エアロゾル発生装置のPCB上に取り付けられた熱電対またはサーミスタ、またはエアロゾル発生装置の基体受容空洞内に取り付けられた熱電対またはサーミスタなどのセンサを備え、好ましくは、前記装置が、前記装置の一部分の温度が所定の範囲外であると判定される場合に前記安全モードに切り替わる、または前記装置の一部分の温度が所定の範囲外であると判定される場合に動作が終結する、請求項1~8のいずれかに記載のエアロゾル発生システム。
【請求項10】
前記再較正モードが、所定の持続時間、所定の数のユーザー吸煙、所定の数の温度ステップ、および測定された電源の電圧のうちの一つ以上の基準に基づいて定期的に行われる、請求項1~9のいずれかに記載のエアロゾル発生システム。
【請求項11】
前記安全モードの前記一つ以上の所定の基準、例えば、安全基準または安全トリガが、動作イベント、監視された動作パラメータに関する基準、または監視されたパラメータの微分値であり、前記コントローラが、一つ以上の前記所定の基準が満たされることに応答して、前記安全モードを行うように構成される、請求項1~10のいずれかに記載のエアロゾル発生システム。
【請求項12】
前記一つ以上の所定の基準のうちの少なくとも一つが、前記エアロゾル発生システムの電子構成要素の温度が所定の温度を超えること、前記エアロゾル発生システムの基体受容空洞またはチャンバーの温度が所定の温度を超えること、前記サセプタの温度が最大動作温度を超えること、前記サセプタの温度が前記サセプタの材料成分のキュリー温度を超えること、前記加熱モード中に前記誘導加熱配設に供給される電力に対する前記電気制御パラメータの応答が、所定の条件を満たさないこと、および前記電源の電圧が所定のレベル未満に低下することから成る基準のリストから選択される、請求項11に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項13】
前記安全モードが、前記誘導加熱配設に供給される電力を減少させる工程、前記誘導加熱配設に供給される電力を終結する工程、前記複数の動作モードのうちの別の一つ、例えば、較正モードまたは再較正モードを開始する工程、およびシステムの動作を終結する工程のうちの一つ以上を含み得る、請求項1~12のいずれかに記載のエアロゾル発生システム。
【請求項14】
前記安全モードで動作することが、前記誘導加熱配設に提供される前記電力の調整、例えば、一つ以上の過熱または冷却イベントに応答した前記誘導加熱配設に提供される前記電力の調整を含む、請求項1~13のいずれかに記載のエアロゾル発生システム。
【請求項15】
前記サセプタの少なくとも一部分が、所定の温度範囲を通して加熱または冷却されたときに可逆的相転移を経るように構成され、好ましくは、前記コントローラが、前記相転移の上方および下方境界に関連付けられた前記電気制御パラメータの上方および下方境界値を特定するように構成され、好ましくは、前記電気制御パラメータの前記目標値が、前記上方境界値と前記下方境界値との間の値に設定される、請求項1~14のいずれかに記載のエアロゾル発生システム。
【請求項16】
前記再較正モードが、前記加熱モードを必要以上に中断することなく動作するように構成される、請求項1~15のいずれかに記載のエアロゾル発生システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、複数の動作モードで制御されるように構成された誘導加熱式エアロゾル発生システムに関する。
【背景技術】
【0002】
エアロゾル形成基体を加熱してエアロゾルを生成するように構成された誘導加熱配設を備える、eシガレットおよび加熱式たばこシステムなどのエアロゾル発生システムの数が増えている。誘導加熱配設は典型的に、サセプタに誘導的に結合されるインダクタを備える。インダクタは、サセプタの加熱を引き起こす交番磁界を発生する。典型的には、サセプタはエアロゾル形成基体と直接接触し、熱はサセプタから主に伝導によってエアロゾル形成基体に伝達される。サセプタの温度は、発生するエアロゾルの量の観点から、およびその組成物の観点からの両方で最適なエアロゾル発生を提供するために制御する必要がある。
【0003】
誘導加熱配設は、無接触のサセプタの加熱を提供する。これは、多くの状況、特にサセプタがインダクタとは別個のシステムの構成要素内に提供される場合に有益である。同じ理由から、サセプタへの直接的な電気的接続を必要とすることなく、かつサセプタに接続される別個の専用の温度センサを必要とすることなく、サセプタ温度を監視および制御することが望ましい。サセプタの温度を正確に監視することの困難さは、過熱リスクにつながり得る。改善された温度判定および障害軽減を提供するように構成された、誘導加熱式エアロゾル発生システムを提供することが望ましい。
【発明の概要】
【0004】
本発明の一実施形態によると、インダクタおよびサセプタを有する誘導加熱配設と、電力を誘導加熱配設に供給するための電源と、電源から誘導加熱配設に供給される電力を制御するように構成されたコントローラとを備える誘導加熱式エアロゾル発生システムが提供される。コントローラはまた、電気制御パラメータを監視するように構成されてもよい。コントローラは、複数の動作モードでエアロゾル発生システムを動作させるように構成されてもよい。複数の動作モードは、例えば、電気制御パラメータの目標値を判定するための較正モードを含むことが好ましい。複数の動作モードは、サセプタを動作温度に維持するために電力がインダクタに供給される、加熱モードを含むことが好ましい。動作温度は、電気制御パラメータの目標値を参照して、インダクタに供給される電力を制御することによって維持されることが好ましい。複数の動作モードは、例えば、電気制御パラメータの目標値を定期的または断続的に再判定するための再較正モードを含むことが好ましい。複数の動作モードは、安全モード、例えば一つ以上の所定の基準、例えば一つ以上の所定の安全基準が満たされることに応答して、コントローラが誘導加熱配設に提供される電力を調整するモードを含むことが好ましい。
【0005】
したがって、インダクタおよびサセプタを有する誘導加熱配設と、電力を誘導加熱配設に供給するための電源と、電源から誘導加熱配設に供給される電力を制御し、電気制御パラメータを監視するように構成されたコントローラとを備える誘導加熱式エアロゾル発生システムが提供され得る。コントローラは、複数の動作モードでエアロゾル発生システムを動作させるように構成され、複数の動作モードは、少なくとも、
電気制御パラメータの目標値を判定するための較正モード、
サセプタを動作温度に維持するために電力がインダクタに供給される加熱モードであって、動作温度が、電気制御パラメータの目標値を参照して、インダクタに供給される電力を制御することによって維持される、加熱モード、
電気制御パラメータの目標値を定期的または断続的に再判定するための再較正モード、および、
一つ以上の所定の基準が満たされることに応答して、誘導加熱配設に提供される電力を調整するための安全モード、を含む。
【0006】
複数の動作モードはさらに、異なる動作モード、例えば較正モードまたは加熱モードで動作する前の、サセプタの温度を所定の温度に上昇させるための予熱モードを含み得る。
【0007】
複数の動作モードで動作する能力は、コントローラが制御パラメータを判定し、サセプタの温度をより正確に制御すること、およびユーザーがエアロゾルを発生している使用セッションの持続時間にわたって温度が正確に制御されることを確保することを可能にする。コントローラは、異なる動作目的を有する異なるモードに従って動作するよう命令でプログラムすることができる。例えば、較正モードの目的は、監視可能な制御パラメータと遠隔サセプタの温度との間の関係を判定することであってもよく、加熱モードの目的は、システムの使用中にサセプタの温度を可能な限り所望の動作温度近くに維持することであってもよい。再較正モードの目的は、特に、加熱モードを必要以上に中断することなく、制御パラメータとサセプタの温度との間の関係を検証または修正することであってもよい。予熱モードの目的は、サセプタの温度を、較正モードまたは加熱モードの前提のいずれかとして、動作温度まで上昇させることであってもよい。安全モードの目的は主に、特に、過熱イベントのリスクがある場合に、潜在的な故障または異常状態を示し得る一つ以上の信号または基準に反応することである。安全モードはまた、例えば、較正モードまたは再較正モードを開始することによって、潜在的な障害状態を補正するために是正措置が取られる回復モードであってもよい。複数のモードで動作する能力を有し、かつ必要に応じてモード間で切り替えるように構成されることによって、本発明によるエアロゾル発生システムは、より信頼性があり、かつ一貫したユーザー体験を提供することができる。利点は、エアロゾル発生装置と、装置を使用して消費されるように構成されたエアロゾル発生物品とを備えるエアロゾル発生システムにおいて特に顕著であり得る。こうしたエアロゾル発生物品は使い捨ての物品であってもよく、一体型のサセプタが提供されてもよい。こうした物品における、例えばサセプタの寸法および位置の変動、ならびにこうした物品をエアロゾル発生装置内の同じ位置に正確に繰り返し位置付けることの困難さは、エアロゾル発生の制御を困難にする。本明細書に記載の複数の動作モードで動作するように構成されたエアロゾル発生システムは、ユーザー体験を大幅に改善し、過熱障害が発生するリスクを軽減し得る。
【0008】
サセプタの少なくとも一部分は、加熱されたとき、例えば特定の温度範囲、または所定の温度範囲を通して加熱または冷却されたときに、可逆的相転移を経るように構成されることが好ましい。コントローラは、例えば、較正モードでの動作中に、相転移の上方および下方境界、および相転移の上方および下方境界に関連付けられた電気制御パラメータの上方および下方境界値を特定するように構成されることが好ましい。較正の結果、電気制御パラメータの目標値が、電気制御パラメータの上方境界値と下方境界値との間の値であると判定され得る。
【0009】
較正モードに従った動作中、コントローラは、所定の温度範囲を通してサセプタを加熱する工程と、所定の温度範囲を通してサセプタを冷却することを可能にする工程と、電気制御パラメータを監視する工程と、相転移の上方および下方境界に関連付けられた電気制御パラメータの上方および下方境界値を特定する工程と、電気制御パラメータの目標値を判定する工程とを実施するように構成され得る。
【0010】
較正モードに従った動作中、コントローラは、サセプタを加熱する工程と、サセプタを加熱する間に電気制御パラメータを監視する工程と、相転移の上方および下方境界に関連付けられた電気制御パラメータの上方および下方境界値を特定する工程と、サセプタを所定の温度範囲を通して冷却することを可能にする工程と、サセプタを冷却することを可能にする間に電気制御パラメータを監視する工程と、電気制御パラメータの目標値を判定する工程とを実施するように構成され得る。
【0011】
サセプタを加熱する工程は、電力を誘導加熱配設に供給することを伴い得る。較正モード中にサセプタを加熱するために供給される電力は、80%超、例えば90%超、例えば100%の負荷サイクルで供給されてもよい。
【0012】
サセプタを冷却することを可能にする工程は、低減された負荷サイクルで電力を誘導加熱配設に供給すること、および電気制御パラメータを監視することを伴い得る。冷却中にいくらかの電力を供給することによって、コントローラは、電気制御パラメータの値を監視し、それによって、サセプタの冷却されるにつれた温度を監視することができる。サセプタを冷却することを可能にする工程は、エネルギーのパルス、例えば電流のパルス、例えば10%未満、例えば2%未満または1%未満の負荷サイクルを有するエネルギーのパルスとして電力を誘導加熱配設に供給することと、パルスの各々の間に電気制御パラメータの値を監視することとを伴い得る。
【0013】
サセプタは、インダクタによって発生された交流電磁場内に位置する、および/または位置可能であることが好ましい。サセプタは、所定の温度範囲を通して加熱されるときに、可逆的相転移を経るように構成されてもよく、相転移開始点および相転移終了点は、サセプタが所定の温度範囲を通して加熱される際、例えば、サセプタが較正モード中に較正プロトコルに従って加熱されるときに、電気制御パラメータの値の変化によって識別可能である。電気制御パラメータの目標値は、好ましくは、相転移開始点および相転移終了点における電気制御パラメータの値の間にあると判定される。
【0014】
有利なことに、誘導加熱配設は、相転移を経ている間に、見かけの抵抗の反転を呈し得る。例えば、誘導加熱配設は、相転移を経ている間に、見かけのコンダクタンスの反転を呈し得る。
【0015】
システムは、誘導加熱システムの見かけの抵抗が、相転移の開始前は増加し、相転移を通した加熱時は減少し、相転移の終了を超えた加熱時は増加するように構成され得る。見かけのコンダクタンスは、見かけの抵抗の逆数である。したがって、誘導加熱システムの見かけのコンダクタンスは、相転移の開始前は減少し、相転移を通した加熱時は増加し、相転移の終了を超えた加熱時は減少し得る。
【0016】
電気制御パラメータは、サセプタの温度を示す、および/もしくは温度の関数として変化するサセプタの材料特性を示すことが好ましく、ならびに/または電気制御パラメータは、サセプタの温度の関数として変化するパラメータである。電気制御パラメータは、サセプタの電気抵抗、誘導加熱配設の見かけの電気抵抗、サセプタの電気コンダクタンス、誘導加熱配設の見かけの電気コンダクタンス、誘導加熱配設に供給される電流、および誘導加熱配設に供給される電力から成るリストから選択されるパラメータであり得る。
【0017】
コントローラは、動作中に誘導加熱配設に供給される電力を表す少なくとも一つの電力パラメータを監視するように構成されてもよい。少なくとも一つの電力パラメータは、電気制御パラメータとして使用されてもよく、または少なくとも一つの電力パラメータは、電気制御パラメータを導出するために使用されてもよい。少なくとも一つの電力パラメータは、動作中に誘導加熱配設に供給される電流であってもよく、またはこれを含んでもよい。少なくとも一つの電力パラメータは、動作中の誘導加熱配設にわたる電圧であってもよく、またはこれを含んでもよい。
【0018】
一例として、誘導加熱配設の見かけのコンダクタンスは、式σ=I/Vによって計算されてもよく、式中、σは誘導加熱配設の見かけの導電率であり、Iは誘導加熱配設に送達される電流であり、Vは誘導加熱配設にわたる電圧である。したがって、電力が定電圧で送達される場合、見かけのコンダクタンスは、電流を監視し、式を適用することによってリアルタイムに判定され得る。電流および電圧の両方を監視してもよく、監視されたこれらのパラメータの両方を使用して、見かけのコンダクタンスを計算してもよい。見かけの抵抗は見かけのコンダクタンスの逆数であり、式ρ=V/Iを使用して計算することができ、式中、ρは見かけの抵抗である。
【0019】
一部の実施例では、エアロゾル発生システムは、エアロゾル発生物品と、エアロゾル発生物品を受容するように構成されたエアロゾル発生装置とを備える。エアロゾル発生物品は、エアロゾル形成基体を含み、サセプタは、好ましくはエアロゾル形成基体と熱連通して配設される。エアロゾル発生物品は、使い捨ての物品、例えば、従来的な紙巻たばこに似た物品であってもよい。
【0020】
エアロゾル発生装置は、インダクタ、コントローラ、および電力をコントローラに供給するための電源を備えてもよい。エアロゾル発生装置は、電源によって供給される直流を、インダクタに電力供給するための交流電流に変換するためのDC/ACコンバータをさらに備えてもよい。
【0021】
エアロゾル発生装置は、使用セッション中に吸入可能なエアロゾルを発生させるために、エアロゾル形成基体を誘導加熱するように構成されることが好ましい。
【0022】
エアロゾル発生装置は、エアロゾル発生物品がエアロゾル発生装置内に受容されたときを検出するように構成されてもよい。例えば、装置は、装置のインダクタ内に配置される物品のサセプタに関連付けられた電気信号を検出するように構成されてもよい。さらなる例として、装置は、装置内に正しく位置するときにエアロゾル発生物品の存在を検出する、光学センサなどのセンサで構成されてもよい。エアロゾル発生装置は、エアロゾル発生装置内に受容されたエアロゾル発生物品が、エアロゾル発生装置と共に使用するように構成された物品であるかどうかを判定するようにさらに構成されてもよく、好ましくは、検出された物品がエアロゾル発生装置と共に使用するように構成されていない場合に、エアロゾル発生物品を加熱するためのエアロゾル発生装置の動作が防止される。例えば、物品は、物品のサセプタまたは電磁インジケータがインダクタによって発生された交番電界と相互作用するときに、特定の電気的応答を提供するように構成されてもよい。別の方法として、物品は、物品が装置と共に使用するために構成されているかどうかを判定するための判定可能なマーキングまたはコードを含んでもよい。
【0023】
サセプタの相転移は、磁相転移または結晶相転移であってもよい。相転移は、電力を誘導加熱配設に供給することによってサセプタが加熱されるときに既知の温度で生じる相転移であることが好ましい。こうした相転移は、動作中、例えば較正モード中に装置の電気パラメータを監視することによって検出可能であってもよく、監視された電気パラメータまたは複数のパラメータの値とサセプタの実際の温度との間の関係の表示を提供し得る。この関係は、物品ごとにわずかに異なる場合があり、また、物品が装置内に正しく挿入されたかどうかに応じて異なり得る。典型的には、相転移は、強磁性/常磁性相転移、またはフェリ磁性/常磁性相転移、または反強磁性/常磁性相転移であってもよい。
【0024】
サセプタは、エアロゾル形成基体を迅速かつ効率的に加熱する能力を有するべきである。サセプタは、サセプタ自体の加熱においてエネルギーを無駄にすることなく、基体をエアロゾルを発生するのに必要な温度に加熱することができることが好ましい。また、電力が減少またはオフされた時に、サセプタが迅速に冷却され得ることも望ましい。したがって、サセプタの寸法および材料は、物品を効率的に加熱するようサセプタを構成するように選択され得る。
【0025】
サセプタは、所定の加熱サイクル、または所定の温度範囲を通した加熱時に可逆的相転移を経ない第一の材料と、所定の加熱サイクルまたは所定の温度範囲を通して加熱されたときに可逆的相転移を経る第二の材料とを含み得る。
【0026】
動作温度範囲、または動作温度範囲は、エアロゾル形成基体からのエアロゾルの発生を最適化するように選択されることが好ましい。動作温度範囲は、目標動作温度によって設定されてもよく、システムは、サセプタの温度を可能な限り目標動作温度近くに維持するように構成されてもよい。動作温度範囲は、100°C~500°C、例えば200°C~400°Cであってもよい。好ましい動作温度範囲は、300°C~400°C、例えば350°C~390°Cであってもよい。動作加熱モードは、300°C~400°C、例えば350°C~390°C、例えば約350°C、または360°C、または370°C、または380°Cの目標動作温度を有してもよい。
【0027】
サセプタが所定の温度範囲を通して加熱されたときに可逆的相転移を呈する実施例では、相転移は、磁相転移または結晶相転移であってもよい。例えば、相転移は、強磁性/常磁性相転移、またはフェリ磁性/常磁性相転移、または反強磁性/常磁性相転移であってもよい。例えば、サセプタ、またはサセプタの一部分は、所定の温度範囲内でキュリー転移を経る材料であってもよい。
【0028】
サセプタは、加熱効率を最適化するよう構成される一方で、依然として所定の温度範囲内で可逆的相転移を経るように構成されてもよい。したがって、サセプタは、所定の温度範囲中に可逆的相転移を経ない第一の材料と、所定の温度範囲中に可逆的相転移を経る第二の材料とを含み得る。第一の材料は、サセプタの50%超の体積、好ましくは60%超の体積、または70%超の体積、または80%超の体積、または90%超の体積、または95%超の体積を含んでもよい。第一の材料は、鉄系合金、例えばステンレス鋼であってもよい。第二の材料は、ニッケルまたはニッケル系合金であってもよい。第二の材料は、第一の材料上に配置された材料のパッチとして存在してもよい。第二の材料は、第一の材料によって封入されてもよい。第二の材料は、第一の材料上に積層されるか、または第一の材料を封入してもよい。
【0029】
有利なことに、電気制御パラメータの目標値は、サセプタ内の材料のキュリー温度以下のサセプタ温度に対応するように判定されてもよい。サセプタは、第一のキュリー温度を有する第一のサセプタ材料と、第二のキュリー温度を有する第二のサセプタ材料とを含み得る。第二のキュリー温度は第一のキュリー温度より低くてもよい。電気制御パラメータの目標値は、第二のキュリー温度以下のサセプタ温度に対応してもよい。
【0030】
第一および第二のサセプタ材料は、一緒に結合され、それ故に互いに物理的に密着して接触し、それによって両方の材料が熱伝導に起因して同じ温度を有することが確保される、二つの別個の材料であることが好ましい。二つのサセプタ材料は、好ましくは、それらの主表面のうちの一つに沿って結合される二つの層またはストリップであることが好ましい。サセプタはさらに、サセプタ材料のさらなる第三の層を含んでもよい。サセプタ材料の第三の層は、第一のサセプタ材料で作製されることが好ましい。サセプタ材料の第三の層の厚さは、第二のサセプタ材料の層の厚さ未満であることが好ましい。
【0031】
電気制御パラメータの目標値は、温度が上昇するにつれてサセプタのコンダクタンスが単調に増加する温度範囲内にあるサセプタ温度に対応し得る。この温度範囲の下限において、サセプタ内の材料は、強磁性またはフェリ磁性状態から常磁性状態への相変化を開始し得る。この温度範囲の上限において、材料は、強磁性またはフェリ磁性状態から常磁性状態への相変化を完了し得る。
【0032】
サセプタは、単一の構成要素として、例えば細長いピン、ブレード、ワイヤ、もしくはストリップとして、またはシートもしくはメッシュとして形成されてもよい。サセプタは、幅寸法または厚さ寸法より大きな長さ寸法を有する細長いサセプタであってもよい。サセプタは、長方形の横断断面、または円形の横断断面を有してもよい。サセプタは、材料のストリップまたは箔のストリップの形態であってもよい。
【0033】
サセプタは、8mm~100mm、例えば10mm~30mm、例えば12mm~20mmの長さを有してもよい。サセプタは、2mm~6mm、例えば3mm~5mm、例えば3.5mm~4.5mmの幅を有してもよい。サセプタは、0.01mm~2mm、例えば0.05mm~1.5mm、例えば0.1mm~1mmの厚さを有してもよい。
【0034】
サセプタは、複数の個別の構成要素から、例えば、複数の細長いピン、ブレード、ワイヤ、もしくはストリップから、複数のシートもしくはメッシュから、または複数の粒子から形成されてもよく、例えば、サセプタは、エアロゾル形成基体と熱的に接触して、またはエアロゾル形成基体内に配置された複数の粒子から形成されてもよい。
【0035】
電源は、DC電源、例えば、エアロゾル発生装置内に位置する電池であってもよく、エアロゾル発生装置はさらに、AC電力をインダクタに供給するためのDCからACへのコンバータ、例えばDCからACへのインバータを含む。
【0036】
インダクタは、インダクタコイルを含み得る。インダクタコイルは、らせん状コイルまたは平坦な平面状コイル、特にパンケーキコイルまたは湾曲した平面状コイルであってもよい。インダクタは、変化する磁界を発生するために使用されてもよい。変化する磁界は、高周波の変化する磁界であってもよい。変化する磁界は、500kHz(キロヘルツ)~30MHz(メガヘルツ)、具体的には5MHz~15MHz、好ましくは5MHz~10MHzの範囲内であってもよい。変化する磁界は、サセプタ材料の電気的および磁性に応じて、渦電流またはヒステリシス損失のうちの少なくとも一つに起因してサセプタを誘導加熱するために使用される。
【0037】
誘導加熱配設は、DC/ACコンバータと、DC/ACコンバータに接続されたインダクタとを含み得る。サセプタは、誘導的に結合して、インダクタに配設されてもよい。電源からの電力は、DC/ACコンバータを介して、複数の電流パルスとして、インダクタに供給されてもよく、各パルスは時間間隔で分離される。誘導加熱配設に提供される電力を制御することは、複数のパルスのそれぞれの間の時間間隔を制御することを含み得る。誘導加熱配設に提供される電力を制御することは、複数のパルスの各パルスの長さを制御することを含んでもよい。
【0038】
システムは、DC/ACコンバータの入力側において、電源から引き出されるDC電流を測定するように構成されてもよい。サセプタに関連付けられたコンダクタンス値または抵抗値は、電源のDC供給電圧に基づいて、および電源から引き出されるDC電流から判定され得る。システムはさらに、DC/ACコンバータの入力側において、電源のDC供給電圧を測定するように構成されてもよい。これは、サセプタの実際のコンダクタンス(サセプタが物品の一部を形成する場合には、判定できない)と、このように判定される見かけのコンダクタンス(サセプタが、結合される(DC/ACコンバータの)LCR回路のコンダクタンスを付与するため、負荷(R)の大部分がサセプタの抵抗によるものであるため)との間に単調な関係があるという事実による。コンダクタンスは1/Rである。したがって、このテキストにおいてサセプタのコンダクタンスに言及する場合、サセプタが別個のエアロゾル発生物品の一部を形成する場合の見かけのコンダクタンスに言及している。
【0039】
エアロゾル発生装置は、インダクタ、コントローラ、および電力をコントローラに供給するための電源を備えることが好ましい。エアロゾル発生装置は、電源によって供給される直流を、インダクタに電力供給するための交流電流に変換するためのDC/ACコンバータをさらに備えてもよい。DC/ACコンバータに供給される電流は、監視されてもよく、電気制御パラメータを形成してもよく、または電気制御パラメータの導出に使用されてもよい。エアロゾル発生装置は、使用セッション中に吸入可能なエアロゾルを発生させるために、エアロゾル形成基体を誘導加熱するように構成され得る。
【0040】
一部の実施例では、誘導加熱配設の見かけの抵抗は、相転移の下方境界の直下および相転移の上方境界の真上の温度で正の関係、および相転移の上方境界と下方境界との間の温度で負の関係を呈する。
【0041】
一部の実施例では、誘導加熱配設の見かけのコンダクタンスは、相転移の下方境界の真下および相転移の上方境界の真上の温度で負の関係、および相転移の上方境界と下方境界との間の温度で正の関係を呈する。
【0042】
加熱モード中の動作温度は、相転移の上方および下方境界、すなわち相転移開始と相転移終了との間の温度であることが好ましい。
【0043】
加熱モードは、所定の温度プロファイルに従ってサセプタの温度を維持するように構成されることが好ましい。電力は、加熱モード中に電力パルス、例えば電流パルスとしてインダクタに供給されてもよく、サセプタの温度は、インダクタの負荷サイクルを変化させることによって制御される。コントローラは、誘導加熱配設の見かけの抵抗の目標値を参照して、加熱モード中のサセプタの温度を制御するように構成されてもよく、見かけの抵抗の目標値は、較正モード中または再較正モード中に判定される。コントローラは、誘導加熱配設の見かけのコンダクタンスの目標値を参照して、加熱モード中のサセプタの温度を制御するように構成されてもよく、見かけのコンダクタンスの目標値は、較正モード中または再較正モード中に判定される。
【0044】
電気制御パラメータは、電気制御パラメータの値が、相転移の上方よび下方境界に関連付けられた電気制御パラメータの上方境界値と下方境界値との間にあることを検証するために、加熱モード中に監視され得る。これが検証できない場合、装置は、安全モードに従って動作するように構成されてもよい。
【0045】
誘導加熱配設に供給される電力、例えば誘導加熱配設に供給される電力パルスに対する電気制御パラメータの応答は、サセプタが動作温度範囲内にあることを検証するために、加熱モード中に監視されてもよい。これが検証できない場合、装置は、安全モードに従って動作するように構成されてもよい。
【0046】
安全モードに従った動作は、誘導加熱配設に供給される電力の減少、例えば、サセプタを、例えば、相転移の下方境界を下回る温度に冷却することを可能にするのに十分な期間の間のインダクタに供給される負荷サイクルの減少を伴い得る。
【0047】
エアロゾル発生装置は、動作状態についてのフィードバックを提供するために一つ以上のセンサを備えてもよい。例えば、エアロゾル発生装置は、ユーザー吸煙を判定するための吸煙センサ、例えば、気流センサ、またはエアロゾル発生装置の気流経路内に取り付けられたサーミスタなどの温度センサを備えてもよい。
【0048】
加熱モードは、二つ以上の制御プロトコルを含み得る。例えば、加熱モードは、非吸煙加熱レジームまたは吸煙加熱レジームのいずれかに従って動作するように構成されてもよい。コントローラは、ユーザーが加熱モード中に吸煙していることが検出される場合に、吸煙加熱レジームに従って動作し、ユーザーが加熱モード中に吸煙していることが検出されない場合に、非吸煙加熱レジームに従って動作するように構成されてもよい。
【0049】
コントローラは、例えば、負荷サイクルを最大負荷サイクルの50%、または最大負荷サイクルの60%、または最大負荷サイクルの70%、または最大負荷サイクルの80%に制限することによって、吸煙加熱レジーム中に誘導加熱配設に供給される電力に限度を適用するように構成され得る。これは、サセプタの温度を動作温度に維持するために増加させる電力要件が、サセプタの実際の温度が動作温度を超えるリスクを増加させる、ユーザー吸煙中の不注意による過熱を防止し得る。
【0050】
システムは、ユーザーが較正モードまたは再較正モード下の動作中に吸煙すると判定された場合に、較正モードまたは再較正モードが終結するように構成されてもよい。コントローラは、ユーザーが吸煙していると判定された場合に、再較正モードの開始を防止または遅延させてもよい。
【0051】
エアロゾル発生システムは、温度、例えば、エアロゾル発生装置の温度を監視するために、気流経路の外側に位置する温度センサ、例えば、エアロゾル発生装置のPCB上に取り付けられた熱電対またはサーミスタ、またはエアロゾル発生装置の基体受容空洞内に取り付けられた熱電対またはサーミスタなどのセンサを備えてもよい。
【0052】
装置は、装置の一部分の温度が所定の範囲外であると判定される場合に、安全モードに従って動作する、または、装置の一部分の温度が所定の範囲外であると判定される場合に、動作が終結するように構成されてもよい。
【0053】
コントローラは、加熱モードを中断して、再較正モードに従って再較正を実施するように構成されてもよく、好ましくは、再較正が正常に実施される場合に、加熱モードが再開される。再較正モードは、所定の持続時間、所定の数のユーザー吸煙、所定の数の温度ステップ、および測定された電源の電圧のうちの一つ以上の要件に基づいて定期的に行われてもよい。
【0054】
安全モードの一つ以上の所定の基準、例えば、安全基準または安全トリガは、動作イベントまたは監視された動作パラメータに関連する基準であることが好ましい。コントローラは、一つ以上の所定の基準が満たされることに応答して、安全モードを行うように構成されることが好ましい。
【0055】
例えば、一つ以上の所定の基準のうちの少なくとも一つは、エアロゾル発生システムの電子構成要素の温度が所定の温度を超えることであってもよい。例えば、エアロゾル発生システムのPCBの温度は、所定の温度、例えば、50℃、60℃、または70℃、または80℃、または100℃超の温度を超える。好ましくは、電子構成要素の温度は、電子構成要素上またはその近くに取り付けられた温度センサによって監視される。
【0056】
例えば、一つ以上の所定の基準のうちの少なくとも一つは、エアロゾル発生システムの基体受容空洞またはチャンバーの温度が所定の温度を超えることであってもよい。例えば、エアロゾル発生装置の加熱チャンバーの温度は、所定の温度、例えば、400℃、または410℃、または450℃、または480℃超の温度を超える。好ましくは、空洞またはチャンバーの温度は、基体受容空洞またはチャンバー内に取り付けられた温度センサによって監視される。
【0057】
例えば、一つ以上の所定の基準のうちの少なくとも一つは、サセプタの温度が最大動作温度、例えば、400℃、または410℃、または450℃、または480℃超の温度を超えることであり得る。これは、電気制御パラメータを監視することによって判定され得る。例えば、一つ以上の所定の基準のうちの少なくとも一つは、サセプタの温度がサセプタの材料成分のキュリー温度を超えることであってもよい。
【0058】
例えば、一つ以上の所定の基準のうちの少なくとも一つは、加熱モード中に誘導加熱配設に供給される電力に対する電気制御パラメータの応答が、所定の条件を満たさない、例えば、加熱モード中に供給される電力に応答して誘導加熱配設の見かけのコンダクタンスが増加しないことであってもよい。
【0059】
例えば、一つ以上の所定の基準のうちの少なくとも一つは、電源の電圧が所定のレベル未満に低下することであり得る。
【0060】
サセプタの温度は、安全モードに従って、動作中に低下する、または最初に低下することが好ましい。
【0061】
安全モードは、誘導加熱配設に供給される電力を減少させる工程、誘導加熱配設に供給される電力を終結する工程、複数の動作モードのうちの別の一つ、例えば、較正モードまたは再較正モードを開始する工程、およびユーザーセッションを終結する工程のうちの一つ以上を含み得る。
【0062】
安全モードに従って動作することは、誘導加熱配設に提供される電力の調整、例えば、一つ以上の過熱または冷却イベントに応答した誘導加熱配設に提供される電力の調整を含むことが好ましい。
【0063】
一実施例では、エアロゾル発生システムは、エアロゾル発生装置とエアロゾル発生物品とを備え得る。エアロゾル発生装置は、電源、DC/ACコンバータ、インダクタコイル、およびコントローラを備えてもよい。エアロゾル発生物品は、エアロゾル形成基体およびサセプタ要素を備えてもよく、サセプタ要素は、使用時にインダクタコイルに誘導的に結合され、かつエアロゾル形成基体を加熱するように構成される。コントローラは、
較正モードで動作して、誘導加熱配設に提供される電力の増加に伴うサセプタ要素に関連付けられたコンダクタンスまたは抵抗の変化の測定に基づいて、サセプタ要素の望ましい温度範囲に対応する、サセプタ要素に関連付けられたコンダクタンスまたは抵抗値の範囲を計算し、
加熱モードで動作して、サセプタ要素に関連付けられたコンダクタンスまたは抵抗を、コンダクタンスまたは抵抗値の範囲内の目標値に維持するために、電力を誘導加熱配設に提供し、
再較正モードで動作して、誘導加熱配設に提供される電力の増加に伴うコンダクタンスまたは抵抗の変化の測定に基づいて、サセプタ要素の望ましい温度範囲に対応する、コンダクタンスまたは抵抗の範囲を定期的または断続的に再計算し、
安全モードで動作して、一つ以上の過熱または冷却イベントに応答して誘導加熱配設に提供される電力を調整するように構成され得る。
【0064】
好ましい実施例では、コントローラは、複数の動作モードのいずれかを実施するよう命令でプログラムされる。コントローラは、複数の動作モードのいずれかを実施するために実行可能な命令を含むメモリを含み得る。
【0065】
本発明の一実施形態によると、エアロゾル発生装置が提供されてもよく、エアロゾル発生装置は、本明細書に記載のエアロゾル発生システムで使用されるように構成される。
【0066】
本発明の一実施形態によると、エアロゾル発生物品が提供されてもよく、エアロゾル発生物品は、本明細書に記載のエアロゾル発生システムで使用されるように構成される。
【0067】
本発明の一実施形態によると、インダクタおよびサセプタを有する誘導加熱配設を備える誘導加熱式エアロゾル発生システムを制御する方法は、
電気制御パラメータの目標値を判定するために、較正モードでシステムを動作させる工程と、
電気制御パラメータの目標値を参照して、サセプタを動作温度に維持するために、電力を誘導加熱配設に提供することによって、加熱モードでシステムを動作させる工程と、
電気制御パラメータの目標値を再判定するために、再較正モードでシステムを定期的または断続的に動作させる工程と、
一つ以上の所定の安全基準が満たされることに応答して、誘導加熱配設に提供される電力を調整する工程と、を含み得る。
【0068】
サセプタの少なくとも一部分は、可逆的相転移を経るように構成されることが好ましく、較正モードは、所定の温度範囲を通してサセプタを加熱して、例えば、相転移の上方境界を検出するまでサセプタを加熱することによって、相転移の上方および下方境界を判定する工程を含む。方法は、相転移の上方および下方境界に関連付けられた電気制御パラメータの上方および下方境界値を特定する工程を含み得る。
【0069】
方法は、本明細書に記載するエアロゾル発生システムを制御する方法であり得る。
【0070】
本明細書で使用される「エアロゾル発生装置」という用語は、エアロゾルを発生するためにエアロゾル形成基体と相互作用する装置を指す。エアロゾル発生装置は、エアロゾル形成基体を含むエアロゾル発生物品と、エアロゾル形成基体を含むカートリッジとのうちの一方または両方と相互作用してもよい。
【0071】
本明細書で使用される「エアロゾル発生システム」という用語は、エアロゾル形成基体とのエアロゾル発生装置の組み合わせを指す。エアロゾル形成基体が、エアロゾル発生物品の一部を形成する時、エアロゾル発生システムは、エアロゾル発生物品とのエアロゾル発生装置の組み合わせを指す。エアロゾル発生システムでは、エアロゾル形成基体およびエアロゾル発生装置は協働して、エアロゾルを発生する。
【0072】
本明細書で使用される「エアロゾル形成基体」という用語は、エアロゾルを形成することができる揮発性化合物を放出する能力を有する基体を指す。揮発性化合物はエアロゾル形成基体を加熱する、または燃焼することによって放出されてもよい。加熱または燃焼に代わるものとして、一部の場合において、化学反応によって、または超音波などの機械的な刺激によって揮発性化合物が放出されてもよい。エアロゾル形成基体は固体であってもよく、または固体構成成分と液体構成成分の両方を含んでもよい。エアロゾル形成基体は、エアロゾル発生物品の一部であってもよい。
【0073】
本明細書で使用される「エアロゾル発生物品」という用語は、エアロゾルを形成することができる揮発性化合物を放出する能力を有するエアロゾル形成基体を含む物品を指す。エアロゾル発生物品は使い捨てであってもよい。たばこを含むエアロゾル形成基体を含むエアロゾル発生物品は、本明細書においてたばこスティックと呼ばれる場合がある。
【0074】
エアロゾル形成基体はニコチンを含んでもよい。エアロゾル形成基体はたばこを含んでもよく、例えば加熱に伴いエアロゾル形成基体から放出される揮発性のたばこ風味化合物を含有するたばこ含有材料を含んでもよい。好ましい実施形態において、エアロゾル形成基体は、均質化したたばこ材料、例えばキャストリーフたばこを含んでもよい。エアロゾル形成基体は、固体構成成分と液体構成成分の両方を含んでもよい。エアロゾル形成基体は、加熱に伴い基体から放出される揮発性のたばこ風味化合物を含有するたばこ含有材料を含んでもよい。エアロゾル形成基体は非たばこ材料を含んでもよい。エアロゾル形成基体はエアロゾル形成体をさらに含んでもよい。適切なエアロゾル形成体の例は、グリセリンおよびプロピレングリコールである。
【0075】
本明細書で使用される場合、「マウスピース」という用語は、エアロゾルを直接吸入するためにユーザーの口の中へと入れられる、エアロゾル発生物品、エアロゾル発生装置、またはエアロゾル発生システムの一部分を意味する。
【0076】
本明細書で使用される場合、「サセプタ」という用語は、磁場のエネルギーを熱へと変換する能力を有する材料を含む要素を指す。サセプタが交番磁界内に位置しているときに、サセプタは加熱される。サセプタの加熱は、サセプタ材料の電気的特性および磁性に依存して、サセプタ内で誘導されるヒステリシス損失および渦電流のうちの少なくとも一つの結果であり得る。
【0077】
本明細書で使用される場合、「誘導的に結合する」という用語は、交番磁界によって貫通されたときにサセプタを加熱することを指す。加熱は、サセプタ内の渦電流の発生によって引き起こされ得る。加熱は、磁気ヒステリシス損失によって引き起こされてもよい。
【0078】
本明細書で使用される場合、電流パルスの「負荷サイクル」という用語は、電流パルスが供給される合計期間に対するパルス持続時間、またはパルス幅の比の割合を意味する。
【0079】
本明細書で使用される場合、「吸煙」という用語は、ユーザーが、エアロゾルをユーザーの口または鼻を介してユーザーの身体に吸い込む動作を意味する。
本発明は特許請求の範囲に定義されている。しかしながら、以下に非限定的な実施例の非網羅的なリストを提供している。これらの実施例の特徴のうちのいずれか一つ以上は、本明細書に記載の別の実施例、実施形態、または態様の特徴うちのいずれか一つ以上と組み合わされうる。
【0080】
実施例1
誘導加熱式エアロゾル発生システムであって、
インダクタおよびサセプタを有する誘導加熱配設と、
電力を誘導加熱配設に供給するための電源と、
電源から誘導加熱配設に供給される電力を制御し、電気制御パラメータを監視するように構成されたコントローラと、を備え、
コントローラが、複数の動作モードでエアロゾル発生システムを動作させるように構成され、複数の動作モードが、少なくとも、
電気制御パラメータの目標値を判定するための較正モード、
サセプタを動作温度に維持するために電力がインダクタに供給される加熱モードであって、動作温度が、電気制御パラメータの目標値を参照して、インダクタに供給される電力を制御することによって維持される、加熱モード、
電気制御パラメータの目標値を定期的または断続的に再判定するための再較正モード、および、
一つ以上の所定の基準が満たされることに応答して、誘導加熱配設に提供される電力を調整するための安全モード、を含む、誘導加熱式エアロゾル発生システム。
実施例2
複数の動作モードがさらに、異なる動作モード、例えば較正モードまたは加熱モードで動作する前の、サセプタの温度を所定の温度に上昇させるための予熱モードを含む、実施例1によるエアロゾル発生システム。
実施例3
サセプタの少なくとも一部分が、所定の温度範囲を通して加熱または冷却されたときに可逆的相転移を経るように構成される、先行する実施例のいずれかによるエアロゾル発生システム。
実施例3a.
コントローラが、相転移の上方および下方境界に関連付けられた電気制御パラメータの上方および下方境界値を特定するように構成される、実施例3によるエアロゾル発生システム。
実施例3b.
電気制御パラメータの目標値が、上方境界値と下方境界値との間の値に設定される、実施例3aによるエアロゾル発生システム。
実施例4
較正モード中、コントローラが、所定の温度範囲を通してサセプタを加熱する工程と、所定の温度範囲を通してサセプタを冷却することを可能にする工程と、電子制御パラメータを監視する工程と、相転移の上方および下方境界に関連付けられた電気制御パラメータの上方および下方境界値を特定する工程と、電気制御パラメータの目標値を判定する工程とを実施するように構成される、実施例3、3a、または3bによるエアロゾル発生システム。
実施例5
較正モード中、コントローラが、サセプタを加熱する工程と、サセプタを加熱する間に電気制御パラメータを監視する工程と、相転移の上方および下方境界に関連付けられた電気制御パラメータの上方および下方境界値を特定する工程と、所定の温度範囲を通してサセプタを冷却することを可能にする工程と、サセプタを冷却することを可能にする間に電気制御パラメータを監視する工程と、電気制御パラメータの目標値を判定する工程とを実施するように構成される、実施例3~4のいずれかによるエアロゾル発生システム。
実施例6
サセプタを加熱する工程が、誘導加熱配設に電力を供給することを伴う、先行する実施例のいずれかによるエアロゾル発生システム。
実施例7
較正モード中にサセプタを加熱するために供給される電力が、80%超、例えば90%超、例えば100%の負荷サイクルで供給される、実施例4~6のいずれかによるエアロゾル発生システム。
実施例8
サセプタを冷却することを可能にする工程が、低減された負荷サイクルで誘導加熱配設に電力を供給すること、および電気制御パラメータを監視することを伴う、実施例4~7のいずれかによるエアロゾル発生システム。
実施例9
サセプタを冷却することを可能にする工程が、エネルギーのパルス、例えば電流のパルス、例えば10%未満、例えば2%未満または1%未満の負荷サイクルを有するエネルギーのパルスとして電力を誘導加熱配設に供給することと、パルスの各々の間に電気制御パラメータの値を監視することとを伴う、実施例4~8のいずれかによるエアロゾル発生システム。
実施例10
サセプタが、インダクタによって発生される交流電磁場内に位置する、および/または位置可能である、先行する実施例のいずれかによるエアロゾル発生システム。
実施例11
サセプタが、所定の温度範囲を通して加熱されるときに、可逆的相転移を経るように構成され、相転移開始点および相転移終了点が、サセプタが所定の温度範囲を通して加熱される際、例えば、サセプタが較正モード中に較正プロトコルに従って加熱されるときに、電気制御パラメータの値の変化によって識別可能である、先行する実施例のいずれかによるエアロゾル発生システム。
実施例12
電気制御パラメータの目標値が、相転移開始点および相転移終了点における電気制御パラメータの値の間にあると判定される、実施例11によるエアロゾル発生システム。
実施例13
誘導加熱配設が、相転移を経る間に見かけの抵抗の反転を呈する、実施例3~12のいずれかによるエアロゾル発生システム。
実施例14
誘導加熱配設が、相転移を経る間に、見かけのコンダクタンスの反転を呈する、実施例3~13のいずれかによるエアロゾル発生システム。
実施例15
誘導加熱システムの見かけの抵抗が、相転移の開始前は増加し、相転移を通した加熱時は減少し、相転移の終了を超えた加熱時は増加する、実施例3~14のいずれかによるエアロゾル発生システム。
実施例16
誘導加熱式システムの見かけのコンダクタンスが、相転移の開始前は減少し、相転移を通した加熱時は増加し、相転移の終了を超えた加熱時は減少する、実施例3~15のいずれかによるエアロゾル発生システム。
実施例17
電気制御パラメータが、サセプタの温度を示す、および/もしくは温度の関数として変化するサセプタの材料特性を示す、ならびに/または電気制御パラメータが、サセプタの温度の関数として変化するパラメータである、先行する実施例のいずれかによるエアロゾル発生システム。
実施例18
電気制御パラメータが、サセプタの電気抵抗、誘導加熱配設の見かけの電気抵抗、サセプタの電気コンダクタンス、誘導加熱配設の見かけの電気コンダクタンス、誘導加熱配設に供給される電流、および誘導加熱配設に供給される電力から成るリストから選択されるパラメータである、先行する実施例のいずれかによるエアロゾル発生システム。
実施例19
コントローラが、動作中に誘導加熱配設に供給される電力を表す少なくとも一つの電力パラメータを監視するように構成される、先行する実施例のいずれかによるエアロゾル発生システム。
実施例20
少なくとも一つの電力パラメータが、電気制御パラメータとして使用される、または少なくとも一つの電力パラメータが、電気制御パラメータを導出するために使用される、実施例19によるエアロゾル発生システム。
実施例21
少なくとも一つの電力パラメータが、動作中に誘導加熱配設に供給される電流であるか、またはこれを含む、実施例19または20によるエアロゾル発生システム。
実施例22
少なくとも一つの電力パラメータが、動作中の誘導加熱配設にわたる電圧であるか、またはこれを含む、実施例19~21のいずれかによるエアロゾル発生システム。
実施例23
システムが、エアロゾル発生物品と、エアロゾル発生物品を受容するように構成されるエアロゾル発生装置と、を備える、先行する実施例のいずれかによるエアロゾル発生システム。
実施例24
エアロゾル発生物品が、エアロゾル形成基体を含み、サセプタが、エアロゾル形成基体と熱連通して配設される、実施例23によるエアロゾル発生システム。
実施例25
エアロゾル発生物品が使い捨ての物品である、実施例23または24によるエアロゾル発生システム。
実施例26
エアロゾル発生装置が、インダクタ、コントローラ、および電力をコントローラに供給するための電源を備える、実施例23~25のいずれかによるエアロゾル発生システム。
実施例27
エアロゾル発生装置が、電源によって供給される直流を、インダクタに電力供給するための交流電流に変換するDC/ACコンバータをさらに備える、実施例26によるエアロゾル発生システム。
実施例28
使用セッション中に、エアロゾル形成基体を誘導加熱して吸入可能なエアロゾルを発生するように構成されたエアロゾル発生装置を備える、先行する実施例のいずれかによるエアロゾル発生システム。
実施例29
エアロゾル発生装置が、エアロゾル発生物品がエアロゾル発生装置内に受容されたときを検出するようにさらに構成される、実施例23~28のいずれかによるエアロゾル発生システム。
実施例30
エアロゾル発生装置が、エアロゾル発生装置内に受容されたエアロゾル発生物品が、エアロゾル発生装置と共に使用するように構成された物品であるかどうかを判定するようにさらに構成され、好ましくは、検出された物品がエアロゾル発生装置と共に使用するように構成されていない場合に、エアロゾル発生物品を加熱するためのエアロゾル発生装置の動作が防止される、実施例29によるエアロゾル発生システム。
実施例31
相転移が、磁相転移または結晶相転移である、実施例3~30のいずれかによるエアロゾル発生システム。
実施例32
相転移が、強磁性/常磁性相転移、またはフェリ磁性/常磁性相転移、または反強磁性/常磁性相転移である、実施例31によるエアロゾル発生システム。
実施例33
サセプタが、所定の温度範囲を通した加熱時に可逆的相転移を経ない第一の材料と、所定の温度範囲を通して加熱されたときに可逆的相転移を経ない第二の材料とを含み、好ましくは、所定の温度範囲が、100°C~500°C、例えば200°C~400°である、先行する実施例のいずれかによるエアロゾル発生システム。
実施例34
第一の材料が、サセプタの50%超の体積、好ましくは60%超の体積、または70%超の体積、または80%超の体積、または90%超の体積、または95%超の体積を含む、実施例33によるエアロゾル発生システム。
実施例35
第一の材料が、鉄系合金、例えばステンレス鋼である、実施例33または34によるエアロゾル発生システム。
実施例36
第二の材料が、ニッケルまたはニッケル系合金である、実施例33~35のいずれかによるエアロゾル発生システム。
実施例37
サセプタが、単一の構成要素として、例えば細長いピン、ブレード、ワイヤ、もしくはストリップとして、またはシートもしくはメッシュとして形成される、先行する実施例のいずれかによるエアロゾル発生システム。
実施例38
サセプタが、幅寸法または厚さ寸法より大きな長さ寸法を有する細長いサセプタである、先行する実施例のいずれかによるエアロゾル発生システム。
実施例39
サセプタが、長方形の横断断面、または円形の横断断面を有する、先行する実施例のいずれかによるエアロゾル発生システム。
実施例40
サセプタが、8mm~100mm、例えば10mm~30mm、例えば12mm~20mmの長さを有する、先行する実施例のいずれかによるエアロゾル発生システム。
実施例41
サセプタが、2mm~6mm、例えば3mm~5mm、例えば3.5mm~4.5mmの幅を有する、先行する実施例のいずれかによるエアロゾル発生システム。
実施例42
サセプタが、0.1mm~2mm、例えば0.2mm~1.5mm、例えば0.4mm~1mmの厚さを有する、先行する実施例のいずれかによるエアロゾル発生システム。
実施例43
サセプタが、複数の個別の構成要素から、例えば、複数の細長いピン、ブレード、ワイヤ、もしくはストリップから、複数のシートもしくはメッシュから、または複数の粒子から形成され、例えば、サセプタが、エアロゾル形成基体と熱的に接触して、またはエアロゾル形成基体内に配置された複数の粒子から形成され得る、先行する実施例のいずれかによるエアロゾル発生システム。
実施例44
電源が、DC電源、例えば、エアロゾル発生装置内に位置する電池であってもよく、エアロゾル発生装置が、AC電力をインダクタに供給するためのDCからACへのコンバータ、例えばDCからACへのインバータをさらに備える、先行する実施例のいずれかによるエアロゾル発生システム。
実施例45
誘導加熱配設の見かけの抵抗が、相転移の下方境界の真下および相転移の上方境界の真上の温度で正の関係、および相転移の上方境界と下方境界との間の温度で負の関係を呈する、実施例3~44のいずれかによるエアロゾル発生システム。
実施例46
誘導加熱配設の見かけのコンダクタンスが、相転移の下方境界の真下および相転移の上方境界の真上の温度で負の関係、および相転移の上方境界と下方境界との間の温度で正の関係を呈する、実施例3~44のいずれかによるエアロゾル発生システム。
実施例47
加熱モード中の動作温度が、相転移の上方および下方境界、すなわち相転移開始と相転移終了との間の温度である、実施例3~46のいずれかによるエアロゾル発生システム。
実施例48
加熱モードが、所定の温度プロファイルに従ってサセプタの温度を維持するように構成される、先行する実施例のいずれかによるエアロゾル発生システム。
実施例49
加熱モード中にインダクタに供給される電力が、電力パルス、例えば電流のパルスとして供給され、サセプタの温度が、インダクタの負荷サイクルを変化させることによって制御される、先行する実施例のいずれかによるエアロゾル発生システム。
実施例50
コントローラが、誘導加熱配設の見かけの抵抗の目標値を参照して、加熱モード中のサセプタの温度を制御するように構成され、見かけの抵抗の目標値が、較正モード中または再較正モード中に判定される、実施例49によるエアロゾル発生システム。
実施例51
コントローラが、誘導加熱配設の見かけのコンダクタンスの目標値を参照して、加熱モード中のサセプタの温度を制御するように構成され、見かけのコンダクタンスの目標値が、較正モード中または再較正モード中に判定される、実施例49によるエアロゾル発生システム。
実施例52
電気制御パラメータが、電気制御パラメータの値が、相転移の上方よび下方境界に関連付けられた電気制御パラメータの上方境界値と下方境界値との間にあることを検証するために、加熱モード中に監視され、これを検証することができない場合、装置が安全モードに入る、実施例3~51のいずれかによるエアロゾル発生システム。
実施例53
誘導加熱配設に供給される電力、例えば誘導加熱配設に供給される電力パルスに対する電気制御パラメータの応答が、サセプタが動作温度範囲内にあることを検証するために、加熱モード中に監視され、これを検証することができない場合、装置が安全モードに入る、実施例3~52のいずれかによるエアロゾル発生システム。
実施例54
安全モードが、誘導加熱配設に供給される電力の減少、例えば、サセプタを、例えば、相転移の下方境界を下回る温度に冷却することを可能にするのに十分な期間の間のインダクタに供給される負荷サイクルの減少を伴う、先行する実施例のいずれかによるエアロゾル発生システム。
実施例55
エアロゾル発生装置が、ユーザー吸煙を判定するための吸煙センサ、例えば、気流センサ、またはエアロゾル発生装置の気流経路内に取り付けられたサーミスタなどの温度センサを備える、先行する実施例のいずれかによるエアロゾル発生システム。
実施例56
加熱モードが、非吸煙加熱レジームおよび吸煙加熱レジームを含み、コントローラが、ユーザーが加熱モード中に吸煙していることが検出される場合に、吸煙加熱レジームに従って動作し、ユーザーが加熱モード中に吸煙していることが検出されない場合に、非吸煙加熱レジームに従って動作するように構成される、実施例55によるエアロゾル発生システム。
実施例57
コントローラが、例えば、負荷サイクルを最大負荷の50%、または最大負荷サイクルの60%、または最大負荷サイクルの70%、または最大負荷サイクルの80%に制限することによって、吸煙加熱レジーム中に誘導加熱配設に供給される電力に限度を適用する、実施例56によるエアロゾル発生装置。
実施例58
較正モードまたは再較正モード下の動作中にユーザーが吸煙すると判定される場合に、較正モードまたは再較正モードが終結する、実施例55~57のいずれかによるエアロゾル発生装置。
実施例59
コントローラが、ユーザーが吸煙していると判定される場合に、再較正モードの開始を防止または遅延させる、実施例55~58のいずれかによるエアロゾル発生装置。
実施例60
エアロゾル発生システムは、温度、例えば、エアロゾル発生装置の温度を監視するために、気流経路の外側に位置する温度センサ、例えば、エアロゾル発生装置のPCB上に取り付けられた熱電対またはサーミスタ、またはエアロゾル発生装置の基体受容空洞内に取り付けられた熱電対またはサーミスタなどのセンサを備ええる、先行する実施例のいずれかによるエアロゾル発生システム。
実施例61
装置が、装置の一部分の温度が所定の範囲外であると判定される場合に、安全モードに従って動作する、または、装置の一部分の温度が所定の範囲外であると判定される場合に、動作が終結するように構成される、実施例60によるエアロゾル発生システム。
実施例62
コントローラが、加熱モードを中断して、再較正モードに従って再較正を実施するように構成され、好ましくは、再較正が正常に実施される場合、加熱モードが再開される、先行する実施例のいずれかによるエアロゾル発生システム。
実施例63
再較正モードが、所定の持続時間、所定の数のユーザー吸煙、所定の数の温度ステップ、および測定された電源の電圧のうちの一つ以上の基準に基づいて定期的に行われる、先行する実施例のいずれかによるエアロゾル発生システム。
実施例64
安全モードの一つ以上の所定の基準、例えば、安全基準または安全トリガが、動作イベント、または監視された動作パラメータに関連して設定された基準であり、コントローラが、一つ以上の所定の基準が満たされることに応答して、安全モードを行うように構成される、先行する実施例のいずれかによるエアロゾル発生システム。
実施例65
一つ以上の所定の基準のうちの少なくとも一つが、エアロゾル発生システムの電子構成要素の温度が、所定の温度を超える、例えば、エアロゾル発生システムのPCBの温度が所定の温度、例えば、50℃、または60℃、または70℃、または80℃、または100℃超の温度を超えることであり、好ましくは、電子構成要素の温度が、電子構成要素上またはその近くに取り付けられた温度センサによって監視される、実施例64によるエアロゾル発生システム。
実施例66
一つ以上の所定の基準のうちの少なくとも一つが、エアロゾル発生システムの基体受容空洞またはチャンバーの温度が、所定の温度、例えば、エアロゾル発生装置の加熱チャンバーの温度が所定の温度、例えば、400℃、または410℃、または450℃、または480℃超の温度を超えることであり、好ましくは、基体受容空洞またはチャンバーの温度が、基体受容空洞またはチャンバー上またはその近くに取り付けられた温度センサによって監視される、実施例64または65によるエアロゾル発生システム。
実施例67
一つ以上の所定の基準のうちの少なくとも一つが、サセプタの温度が、最大動作温度、例えば、400°C、または410°C、または450°C、または480°C超の温度を超えることである、実施例64~66のいずれかによるエアロゾル発生システム。
実施例68
一つ以上の所定の基準のうちの少なくとも一つが、サセプタの温度がサセプタの材料成分のキュリー温度を超えることである、実施例64~67のいずれかによるエアロゾル発生システム。
実施例69
一つ以上の所定の基準のうちの少なくとも一つが、加熱モード中に誘導加熱配設に供給される電力に対する電気制御パラメータの応答が、所定の条件を満たさない、例えば、加熱モード中に供給される電力に応答して誘導加熱配設の見かけのコンダクタンスが増加しないことである、実施例64~68のいずれかによるエアロゾル発生システム。
実施例70
一つ以上の所定の基準のうちの少なくとも一つが、電源の電圧が所定のレベル未満に低下することである、実施例64~69のいずれかによるエアロゾル発生システム。
実施例71
サセプタの温度が安全モード中に減少する、実施例64~70のいずれかによるエアロゾル発生システム。
実施例72
安全モードが、誘導加熱配設に供給される電力を減少させる工程、誘導加熱配設に供給される電力を終結する工程、複数の動作モードのうちの別の一つ、例えば、較正モードまたは再較正モードを開始する工程、およびユーザーセッションを終結する工程のうちの一つ以上を含み得る、実施例64~71のいずれかによるエアロゾル発生システム。
実施例73
安全モードで動作することが、誘導加熱配設に提供される電力の調整、例えば、一つ以上の過熱または冷却イベントに応答した誘導加熱配設に提供される電力の調整を含む、先行する実施例のいずれかによるエアロゾル発生システム。
実施例74
エアロゾル発生物品と、エアロゾルを発生するためにエアロゾル発生物品を受容するためのエアロゾル発生装置とを備え、
エアロゾル発生装置が、
電源に連結可能なインダクタと、
コントローラと、を備え、
エアロゾル発生物品が、
エアロゾル形成基体と、
エアロゾル形成基体と熱連通するサセプタであって、サセプタの少なくとも一部分が、所定の温度範囲を通して加熱または冷却されたときに可逆的相転移を経るように構成されたサセプタと、を備え、
エアロゾル発生装置が、
(a)所定の温度範囲を通してサセプタを加熱するための交番磁界を発生するために電力がインダクタに供給される、較正モードで動作することであって、電気制御パラメータが、相転移の開始および終了を特定するために監視され、相転移の開始が転移開始点であり、相転移の終了が転移終了点である、動作することと、
(b)エアロゾル形成基体からエアロゾルを発生するために、サセプタを動作温度範囲に維持するよう電力がインダクタに供給される、加熱モードで動作することであって、動作温度範囲が、較正モード中に判定される転移開始点および装填終了点のうちの少なくとも一つを参照して、および/または較正モード中に判定される電気制御パラメータの目標値を参照して、インダクタに供給される電力を制御することによって維持される、動作することと、
(c)加熱モードの継続時に、使用される転移開始点および転移終了点の値を更新するために、および/または電気制御パラメータの目標値を更新するために再較正モードを所定の間隔で動作することと、
(d)安全モードを開始するための一つ以上の所定の基準が満たされる場合に、安全モードで動作することと、を行うように構成される、先行する実施例のいずれかによるエアロゾル発生システム。
実施例75
エアロゾル発生装置と、エアロゾル発生物品とを備え、
エアロゾル発生装置が、電源、DC/ACコンバータ、インダクタコイル、およびコントローラを含み、
エアロゾル発生物品が、エアロゾル形成基体およびサセプタ要素を含み、サセプタ要素が、使用時に、インダクタコイルに誘導的に結合され、エアロゾル形成基体を加熱するように構成され、
コントローラが、
較正モードで動作して、誘導加熱配設に提供される電力の増加に伴うサセプタ要素に関連付けられたコンダクタンスまたは抵抗の変化の測定に基づいて、サセプタ要素の望ましい温度範囲に対応する、サセプタ要素に関連付けられたコンダクタンスまたは抵抗値の範囲を計算し、
加熱モードで動作して、サセプタ要素に関連付けられたコンダクタンスまたは抵抗を、コンダクタンスまたは抵抗値の範囲内の目標値に維持するために、電力を誘導加熱配設に提供し、
再較正モードで動作して、誘導加熱配設に提供される電力の増加に伴うコンダクタンスまたは抵抗の変化の測定に基づいて、サセプタ要素の望ましい温度範囲に対応する、コンダクタンスまたは抵抗の範囲を定期的または断続的に再計算し、
安全モードで動作して、一つ以上の過熱または冷却イベントに応答して誘導加熱配設に提供される電力を調整するように構成される、先行する実施例のいずれかによるエアロゾル発生システム。
実施例76
コントローラが、複数の動作モードのうちのいずれかを実施するよう命令でプログラムされ、例えば、コントローラが、複数の動作モードのうちのいずれか一つを実施するために実行可能な命令を含むメモリを含む、先行する実施例のいずれかによるエアロゾル発生システム。
実施例77
先行する実施例のいずれかに定義されるエアロゾル発生システムで使用されるように構成される、エアロゾル発生装置。
実施例78
実施例1~76のいずれかに定義されるエアロゾル発生システムで使用されるように構成される、エアロゾル発生物品。
実施例79
インダクタおよびサセプタを有する誘導加熱配設を備える誘導加熱式エアロゾル発生システムを制御する方法であって、方法が、
電気制御パラメータの目標値を判定するために、較正モードでシステムを動作させる工程と、
電気制御パラメータの目標値を参照して、サセプタを動作温度に維持するために、電力を誘導加熱配設に提供することによって、加熱モードでシステムを動作させる工程と、
電気制御パラメータの目標値を再判定するために、再較正モードでシステムを定期的または断続的に動作させる工程と、
一つ以上の所定の安全基準が満たされることに応答して、誘導加熱配設に提供される電力を調整する工程と、を含む、方法。
実施例80
サセプタの少なくとも一部分が、可逆的相転移を経るように構成され、較正モードが、所定の温度範囲を通してサセプタを加熱して、例えば、相転移の上方境界を検出するまでサセプタを加熱することによって、相転移の上方および下方境界を判定する工程を含む、実施例79による方法。
実施例81
相転移の上方および下方境界に関連付けられた電気制御パラメータの上方および下方境界値を特定する工程を含む、実施例80による方法。
実施例82
実施例79~81のいずれかによる誘導加熱式エアロゾル発生システムを制御する方法であって、システムが、エアロゾル発生物品と、エアロゾルを発生するためにエアロゾル発生物品を受容するためのエアロゾル発生装置とを備え、
エアロゾル発生装置が、
電源に連結可能なインダクタと、
コントローラと、を備え、
エアロゾル発生物品が、
エアロゾル形成基体と、
エアロゾル形成基体と熱連通するサセプタであって、サセプタの少なくとも一部分が、所定の温度範囲を通して加熱または冷却されるときに可逆的相転移を経るように構成されたサセプタと、を備え、
方法が、
(a)所定の温度範囲を通してサセプタを加熱するための交番磁界を発生するために電力がインダクタに提供される、較正モードで装置を動作させ、電源パラメータを監視して、サセプタの相転移の開始および終了を特定する工程であって、相転移の開始が転移開始点であり、相転移の終了が転移終了点である、工程と、
(b)構成モードが完了した後に、エアロゾル形成基体からエアロゾルを発生するために、サセプタを動作温度範囲に維持するよう電力がインダクタに供給される、加熱モードで動作する工程であって、所定の熱プロファイルが、転移開始点および転移終了点のうちの少なくとも一つ、または較正モード中に判定される転移開始点および転移終了点のうちの少なくとも一つから導出される目標を参照して、インダクタに供給される電力を制御することによって維持される、工程と、
(c)加熱モードの継続時に使用される転移開始点および転移終了点の値を更新するために、加熱モードの進行中に所定の間隔で再較正モードに切り替える工程と、
(d)所定の安全基準に関する一つ以上の信号を検出する工程と、
(e)検出された信号に応答して、誘導加熱配設に提供される電力が調整される、安全モードを開始する工程と、を含む、方法。
実施例83
エアロゾル発生物品がエアロゾル発生装置内に受容されたことを検出する工程をさらに含む、実施例79~82のいずれかによる方法。
実施例84
エアロゾル発生装置内に受容されたエアロゾル発生物品が、エアロゾル発生装置と共に使用するように構成された物品であるかどうかを判定する工程と、好ましくは、検出された物品がエアロゾル発生装置と共に使用するように構成された物品ではない場合に、エアロゾル発生物品を加熱するためのエアロゾル発生装置の動作を防止する工程と、をさらに含む、実施例79~83のいずれかによる方法。
実施例85
加熱モードが、サセプタの温度を、所定の温度プロファイルに従って動作温度範囲内に維持する工程を伴う、実施例79~84のいずれかによる方法。
実施例86
エアロゾル発生システムを制御する方法であって、システムが、サセプタ要素およびインダクタコイルを含む誘導加熱配設と、電流パルスとして誘導加熱配設に電力を提供するための電源とを備え、方法が、
誘導加熱配設に提供される電力の増加に伴う、サセプタ要素に関連付けられたコンダクタンスまたは抵抗の変化の測定に基づいて、サセプタの望ましい温度範囲に対応する、サセプタ要素に関連付けられたコンダクタンスまたは抵抗値の範囲を計算することと、
サセプタ要素に関連付けられたコンダクタンスまたは抵抗を、コンダクタンスまたは抵抗値の範囲内の目標値に維持するために、電力を誘導加熱配設に提供することと、
誘導加熱配設に提供される電力の増加に伴うコンダクタンスまたは抵抗の変化の測定に基づいて、サセプタ要素の望ましい温度範囲に対応する、コンダクタンスまたは抵抗の範囲を定期的または断続的に再計算することと、
一つ以上の過熱または冷却イベントに応答して誘導加熱配設に提供される電力を調整することと、を含む、方法。
実施例87
サセプタ要素の望ましい温度範囲に対応する、サセプタ要素に関連付けられたコンダクタンスまたは抵抗値の範囲を計算する工程が、サセプタの温度が上昇するにつれてコンダクタンスが増加する、コンダクタンス値の範囲を検出することを含む、実施例86による方法。
実施例88
サセプタ要素の望ましい温度範囲に対応する、サセプタ要素に関連付けられたコンダクタンスまたは抵抗値の範囲を計算する工程が、最大コンダクタンス値に達するまで最大電力が誘導加熱配設に提供される、第一の較正モードで動作することを含む、実施例86または87による方法。
実施例89
サセプタ要素に望ましい温度範囲に対応する、サセプタ要素に関連付けられたコンダクタンスまたは抵抗値の範囲を計算する工程が、最大コンダクタンス値に達するまで電力が低負荷サイクルで誘導加熱配設に提供される、第二の較正モードで動作することを含む、実施例86~88のいずれかによる方法。
実施例90
サセプタ要素に関連付けられたコンダクタンスまたは抵抗を目標値に維持するために、誘導加熱配設に電力を提供することが、誘導加熱配設に提供される電流パルスの負荷サイクルが、コンダクタンスまたは抵抗を目標コンダクタンスまたは抵抗に向けて調整するために調整される、加熱モードで動作することを含む、実施例86~89のいずれかによる方法。
実施例91
一つ以上の過熱または冷却イベントに応答して誘導加熱配設に提供される電力を調整することが、サセプタ要素を冷却し得る冷却イベントを検出することと、冷却イベント中に電流パルスの最大負荷サイクル限度を判定することと、冷却イベントを補償するために、電流パルスの負荷サイクルを最大負荷サイクル限度以下の負荷サイクルに増加させることと、を含む、実施例86~90のいずれかによる方法。
実施例92
一つ以上の過熱または冷却イベントに応答して誘導加熱配設に提供される電力を調整することが、過熱イベントを検出し、検出された過熱イベントに応答して、電流パルスの負荷サイクルを減少させることを含む、実施例86~91のいずれかによる方法。
実施例93
エアロゾル発生システムが、エアロゾル発生装置とエアロゾル発生物品とを備え、電源およびインダクタコイルが、エアロゾル発生装置の一部であり、サセプタ要素が、エアロゾル発生物品の一部である、実施例86~92のいずれかによる方法。
実施例94
過熱イベントが、装置の過熱、またはサセプタの過熱である、実施例92または93による方法。
実施例95
電源がDC/ACコンバータを含み、サセプタに関連付けられたコンダクタンス値または抵抗値が、電源のDC供給電圧から、および電源から引き出されるDC電流から判定される、実施例86~94のいずれかによる方法。
実施例96
実施例1~76のいずれかに定義されるエアロゾル発生システムを使用して、実施例79~95のいずれかに定義されるエアロゾル発生システムを制御する方法。
【図面の簡単な説明】
【0081】
ここで、以下の図を参照しながら実施例をさらに説明する。
【0082】
【
図1】
図1はエアロゾル発生物品の概略断面図を示す。
【
図2A】
図2Aは、
図1に示すエアロゾル発生物品と共に使用するためのエアロゾル発生装置の概略断面図を示す。
【
図2B】
図2Bは、
図1に示すエアロゾル発生物品と係合するエアロゾル発生装置の概略断面図を示す。
【
図3】
図3は
図2に関連して説明したエアロゾル発生装置の誘導加熱装置を示すブロック図である。
【
図4】
図4は
図3に関連して説明した誘導加熱装置の電子構成要素を示す概略図である。
【
図5】
図5は、
図4に関連して説明した誘導加熱装置のLC負荷ネットワークのインダクタ上の概略図である。
【
図6】
図6はサセプタ材料がそのキュリー点に関連する相転移を受けるときに発生する、遠隔検出可能な電流の変化を示したDC電流対時間のグラフである。
【
図7】
図7は、サセプタ材料がそのキュリー点に関連する相転移を経るときに生じる遠隔検出可能な電流の変化を示す、見かけのコンダクタンス対時間のグラフである。
【
図8】
図8は、サセプタがコンダクタに対して位置を移動するときの見かけのコンダクタンス曲線のシフトを示すグラフである。
【
図9】
図9は、見かけのコンダクタンス曲線のシフトがシステムの温度制御に及ぼし得る効果を示す図である。
【
図10】
図10は、複数の動作モードにおけるエアロゾル発生システムの制御を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0083】
図1は、エアロゾル発生システムで使用するためのエアロゾル発生物品100を示す。
図1に示すエアロゾル発生物品100は、エアロゾル発生基体のロッド12と、エアロゾル発生基体のロッド12の下流の位置にある下流セクション14とを備える。さらに、エアロゾル発生物品100は、エアロゾル発生基体のロッド12の上流の位置に上流セクション16を備える。したがって、エアロゾル発生物品100は、上流または遠位端18から下流または口側端20まで延びる。
【0084】
下流セクション14は、エアロゾル発生基体のロッド12のすぐ下流に位置する支持要素22を備え、支持要素22は、ロッド12と長手方向に整列している。
図1の実施形態では、支持要素22の上流端は、エアロゾル発生基体のロッド12の下流端に当接している。加えて、下流セクション14は、支持要素22のすぐ下流に位置するエアロゾル冷却要素24を備え、エアロゾル冷却要素24は、ロッド12および支持要素22と長軸方向の整列の状態にある。
図1の実施形態において、エアロゾル冷却要素24の上流端は、支持要素22の下流端に当接している。
【0085】
支持要素22およびエアロゾル冷却要素24は共に、エアロゾル発生物品100の中間中空セクション50を画定する。全体として、中間中空セクション50は、エアロゾル発生物品の全体的なRTDに実質的に寄与しない。
【0086】
支持要素22は、第一の中空管状セグメント26を備える。第一の中空管状セグメント26は、セルロースアセテートで作製された中空円筒状管の形態で提供されている。第一の中空管状セグメント26は、第一の中空管状セグメントの上流端30から第一の中空管状セグメント26の下流端32まで全面的に延びる、内部空洞28を画定する。内部空洞28は、実質的に空であり、そのため、内部空洞28に沿って、実質的に制限のない気流が可能である。
【0087】
第一の中空管状セグメント26は、約8ミリメートルの長さ、約7.25ミリメートルの外径、および約1.9ミリメートルの内径(DFTS)を有する。したがって、第一の中空管状セグメント26の周辺壁の厚さは、約2.67ミリメートルである。
【0088】
エアロゾル冷却要素24は、第二の中空管状セグメント34を備える。第二の中空管状セグメント34は、セルロースアセテートで作製された中空円筒状管の形態で提供されている。第二の中空管状セグメント34は、第二の中空管状セグメントの上流端38から第二の中空管状セグメント34の下流端40にずっと延びる内部空洞36を画定する。内部空洞36は、実質的に空であり、そのため、内部空洞36に沿って、実質的に制限のない気流が可能である。
【0089】
第二の中空管状セグメント34は、約8ミリメートルの長さ、約7.25ミリメートルの外径、および約3.25ミリメートルの内径(DSTS)を有する。したがって、第二の中空の管状セグメント34の周辺壁の厚さは、約2ミリメートルである。
【0090】
エアロゾル発生物品100は、第二の中空管状セグメント34に沿った位置に提供された通気ゾーン60を備える。より詳細に、通気ゾーンは、第二の中空管状セグメント34の上流端から約2ミリメートルにて提供されている。エアロゾル発生物品100の通気レベルは、約25パーセントである。
【0091】
図1の実施形態では、下流セクション14は、中間中空セクション50の下流の位置にマウスピース要素42をさらに備える。より詳細には、マウスピース要素42は、エアロゾル冷却要素24のすぐ下流に位置付けられる。
図1の図面に示す通り、マウスピース要素42の上流端は、エアロゾル冷却要素18の下流端40に当接する。
【0092】
マウスピース要素42は、低密度酢酸セルロースの円筒形プラグの形態で提供されている。マウスピース要素42は、約12ミリメートルの長さ、および約7.25ミリメートルの外径を有する。
【0093】
ロッド12は、上述のタイプのうちの一つのエアロゾル発生基体を含む。エアロゾル発生基体のロッド12は、約7.25ミリメートルの外径、および約12ミリメートルの長さを有する。
【0094】
エアロゾル発生物品100は、エアロゾル発生基体のロッド12内に細長いサセプタ要素44をさらに備える。より詳細には、サセプタ要素44は、ロッド12の長手方向に対してほぼ平行になるように、エアロゾル発生基体内に実質的に長手方向に配置されている。
図1の図面に示されるように、サセプタ要素44は、ロッド内の半径方向で中央の位置に位置付けられており、ロッド12の長手方向軸に沿って効果的に延びる。
【0095】
サセプタ要素44は、ロッド12の上流端から下流端まで全面的に延びている。実際には、サセプタ要素44は、エアロゾル発生基体のロッド12と実質的に同じ長さを有する。
【0096】
図1の実施形態では、サセプタ要素44は、ストリップの形態で提供されており、約12ミリメートルの長さ、約60マイクロメートルの厚さ、および約4ミリメートルの幅を有する。上流セクション16は、エアロゾル発生基体のロッド12のすぐ上流に位置する上流要素46を備え、上流要素46は、ロッド12と長手方向に整列している。
図1の実施形態では、上流要素46の下流端は、エアロゾル発生基体のロッド12の上流端に当接する。これにより、有利なことに、サセプタ要素44が外れることを防止する。さらに、これにより、消費者が使用後に加熱されたサセプタ要素44に偶発的に接触し得ないことを確実にする。
【0097】
上流要素46は、硬質ラッパーによって囲まれたセルロースアセテートの円筒形プラグの形態で提供される。上流要素46は、約5ミリメートルの長さを有する。
【0098】
サセプタ44は、少なくとも二つの異なる材料を含む。サセプタ44は、少なくとも二つの層、すなわち、第二のサセプタ材料の第二の層と物理的に接触して配置される第一のサセプタ材料の第一の層を含む。第一のサセプタ材料および第二のサセプタ材料は各々、キュリー転移を経る材料であってもよく、従って各々がキュリー温度を有してもよい。この場合、第二のサセプタ材料のキュリー温度は第一のサセプタ材料のキュリー温度よりも低い。第一の材料は、キュリー転移を経ず、キュリー温度を有しない場合がある。第一のサセプタ材料は、アルミニウム、鉄またはステンレス鋼であってもよい。第二のサセプタ材料は、ニッケルまたはニッケル合金であってもよい。サセプタ44は、第二のサセプタ材料の少なくとも一つのパッチを第一のサセプタ材料のストリップ上に電気めっきすることによって形成されてもよい。サセプタは、第二のサセプタ材料のストリップを第一のサセプタ材料のストリップに被覆することによって形成され得る。
【0099】
使用において、空気は、遠位端18から口側端20に、ユーザーによってエアロゾル発生物品100を介して引き出される。エアロゾル発生物品100の遠位端18はまた、エアロゾル発生物品100の上流端として記述されてもよく、エアロゾル発生物品100の口側端20はまた、エアロゾル発生物品100の下流端として記述されてもよい。口側端20と遠位端18との間に位置するエアロゾル発生物品100の要素は、口側端20の上流、または代替的に遠位端18の下流にあると記述することができる。。エアロゾル形成基体12は、エアロゾル発生物品100の遠位端または上流端18に位置する。
【0100】
図1に示したエアロゾル発生物品100は、エアロゾルを生成するために、
図2Aに示したエアロゾル発生装置200などのエアロゾル発生システムのエアロゾル発生装置と係合するように設計される。エアロゾル発生装置200は、エアロゾル発生物品100を受容するよう構成された空洞220を有するハウジング210を含む。エアロゾル発生装置200は、エアロゾルを生成するためのエアロゾル発生物品100を加熱するように構成された誘導加熱装置230をさらに含む。
図2Bは、エアロゾル発生物品100が空洞220内に挿入されるときの、エアロゾル発生装置200を示す。
【0101】
誘導加熱装置230は、
図3にブロック図として示されている。誘導加熱装置230は、DC電源310および加熱配設320(電源電子回路とも呼ぶ)を備える。加熱配設は、コントローラ330、DC/ACコンバータ340、整合ネットワーク350、およびインダクタ240を含む。
【0102】
DC電源310は、DC電力を加熱配設320に提供するように構成される。具体的には、DC電源310は、DC供給電圧(VDC)およびDC電流(IDC)をDC/ACコンバータ340に提供するように構成される。電源310はリチウムイオン電池などの電池であることが好ましい。代替として、電源310はコンデンサなどの別の形態の電荷蓄積装置であってもよい。電源310は再充電を必要とする場合がある。例えば、電源310はおおよそ六分間、または六分の倍数の時間にわたるエアロゾルの連続的な発生を可能にするのに十分な容量を有してもよい。別の例において、電源310は所定の数の吸煙、または加熱配設の不連続的な起動を可能にするのに十分な容量を有してもよい。
【0103】
DC/ACコンバータ340は、高周波の交流電流でインダクタ240を供給するように構成される。本明細書で使用される場合、「高周波の交流電流」という用語は、約500キロヘルツ~約30メガヘルツの周波数を有する、交流電流を意味する。高周波の交流電流は、約1メガヘルツ~約30メガヘルツ(約1メガヘルツ~約10メガヘルツ、または約5メガヘルツ~約8メガヘルツなど)の周波数を有してもよい。
【0104】
図4は、誘導加熱装置230、特にDC/ACコンバータ340の電気構成要素を概略的に示す。DC/ACコンバータ340は、好ましくはクラスE電力増幅器を備える。クラスE電力増幅器は、電界効果トランジスタ420と、例えば、金属酸化膜半導体電界効果トランジスタを含むトランジスタスイッチ410、電界効果トランジスタ420に切換信号(ゲート・ソース電圧)を供給するための矢印430で示したトランジスタスイッチ供給回路と、分路コンデンサC1およびインダクタ240に対応するコンデンサC2とインダクタL2の直列接続を含むLC負荷ネットワーク440とを備える。さらに、チョークL1を備えるDC電源310が、動作中にDC電源310から引き出される、DC電流I
DCと共に、DC供給電圧V
DCを供給するために示されている。インダクタL2のオーム抵抗R
Coilと、サセプタ44のオーム抵抗R
loadの和である、合計オーム負荷450を表すオーム抵抗Rが、
図5により詳細に示される。
【0105】
DC/ACコンバータ340は、クラスE電力増幅器を含むものとして示されているが、DC/ACコンバータ340は、DC電流をAC電流に変換する任意の適切な回路を使用し得ることが理解されるべきである。例えば、DC/ACコンバータ340は、二つのトランジスタスイッチを含むクラスD電力増幅器を備えてもよい。別の例として、DC/ACコンバータ340は、対で作用する四つのスイッチングトランジスタを有するフルブリッジ電力インバータを備えてもよい。
【0106】
図3に戻ると、インダクタ240は、負荷への最適な適合のために整合ネットワーク350を介してDC/ACコンバータ340から交流電流を受信してもよいが、整合ネットワーク350は必須ではない。整合ネットワーク350は小型の整合変成器を備えうる。整合ネットワーク350は、DC/ACコンバータ340とインダクタ240との間の電力伝達効率を改善しうる。
【0107】
図2Aに示すように、インダクタ240は、エアロゾル発生装置200の空洞220の遠位部分225に隣接して位置する。したがって、エアロゾル発生装置200の動作中に、インダクタ240に供給される高周波の交流電流は、インダクタ240に、エアロゾル発生装置200の遠位部分225内に高周波の交番磁界を発生させる。交番磁界は、好ましくは1~30メガヘルツ、好ましくは2~10メガヘルツ、例えば5~7メガヘルツの周波数を有する。
図2Bから分かるように、エアロゾル発生物品100が空洞200に挿入されるとき、エアロゾル発生物品100のエアロゾル形成基体12は、エアロゾル発生物品100のサセプタ44がこの交番磁界内に位置するように、インダクタ240に隣接して位置する。交番磁界がサセプタ44を貫通すると、交番磁界がサセプタ44の加熱を引き起こす。例えば、渦電流は、結果として加熱されるサセプタ44内で発生される。さらなる加熱がサセプタ44内の磁気ヒステリシス損失により提供される。加熱されたサセプタ44は、エアロゾルを形成するのに十分な温度までエアロゾル発生物品100のエアロゾル形成基体12を加熱する。エアロゾルはエアロゾル発生物品100を通って下流に引き出され、ユーザーによって吸い込まれる。
【0108】
コントローラ330はマイクロコントローラ、好ましくはプログラム可能なマイクロコントローラであってもよい。コントローラ330は、サセプタ44の温度を制御するために、DC電源310から誘導加熱配設320への電力供給を調節するようにプログラムされる。コントローラは、複数の異なる動作モードに従ってエアロゾル発生システムを制御するために、電力供給を調節するようにプログラムされる。コントローラは、説明されるように、吸煙センサ360から、および一つ以上の温度センサから入力を受信してもよい。
【0109】
図6は、サセプタ44の温度(温度は破線620で示される)が上昇するにつれて経時的に電源310から引き出されるDC電流I
DC間の関係を示す。DC電流は線600で示される。電源310から引き出されるDC電流I
DCは、DC/ACコンバータ340の入力側で測定される。この図の目的上、電源310の電圧V
DCはほぼ一定であると想定されうる。インダクタおよびサセプタは、誘導加熱配設の一部を形成する。サセプタ44が誘導加熱されると、誘導加熱配設およびサセプタ自体の見かけの抵抗が増加し、コンダクタンスは抵抗の逆数であるため、誘導加熱配設の見かけのコンダクタンスは減少する。抵抗の増加は、電源310から引き出されるDC電流I
DCの減少として観察され、定電圧では、サセプタ44の温度が上昇するにつれて減少する。インダクタ240によって提供される高周波の交番磁界は、サセプタ表面の近くで、表皮効果として既知の効果である渦電流を誘導する。サセプタ44の抵抗は、第一のサセプタ材料の電気抵抗率、第二のサセプタ材料の抵抗率に部分的に、および誘導された渦電流に利用可能なそれぞれの材料の表皮層の深さに部分的に依存し、抵抗率は温度に依存する。第二のサセプタ材料がそのキュリー温度に達すると、その磁性が失われる。これにより、第二のサセプタ材料内で渦電流に利用可能な表皮層が増え、これによりサセプタ44の見かけの抵抗が減少する。その結果、第二のサセプタ材料の皮膚深度が増加し始め、抵抗が下がり始めると、検出されたDC電流I
DCの一時的な増加が生じる。これは
図6の谷602(局所最小値)として見られる。電流は、第二のサセプタ材料がその自然磁気特性を失った点と整合する最大皮膚深度に達するまで増加し続ける。この点はキュリー温度と呼ばれ、
図6では丘601(局所最大値)として見られる。この時点で、第二のサセプタ材料は、強磁性またはフェリ磁性状態から常磁性状態への相変化を受けている。この時点で、サセプタ44は既知の温度(固有材料特異的温度であるキュリー温度)にある。インダクタ240が、キュリー温度に達した後、交番磁界を発生し続ける場合(すなわち、DC/ACコンバータ340への電力が中断されない)、サセプタ44内で発生される渦電流が、サセプタ44の抵抗に対して流れ、これにより、サセプタ44のジュール加熱が継続され、これにより、抵抗は再び増加し(抵抗は温度の多項式依存性を有し、大半の金属サセプタ材料については、発明者らの目的のために三次多項式依存性に近似することができる)、電流は、インダクタ240がサセプタ44に電力を供給し続ける限り、再び低下し始める。
【0110】
したがって、
図6から分かるように、サセプタ44の見かけの抵抗(および対応する電源310から引き出される電流I
DC)は、サセプタ44の特定の温度範囲にわたる厳密に単調な関係にあるサセプタ44の温度によって変化し得る。厳密に単調な関係により、見かけの抵抗または見かけのコンダクタンス(1/R)の判定からのサセプタ44の温度の明確な判定が可能になる。これは、見かけの抵抗の判定された値がそれぞれ、温度の一つの値のみを表すためであり、その関係に曖昧性がない。サセプタ44の温度と見かけの抵抗との単調な関係は、サセプタ44の温度を判定および制御することができるようにし、したがってエアロゾル形成基体12の温度を判定および制御することができる。サセプタ44の見かけの抵抗は、少なくともDC電源310から引き出されるDC電流I
DCを監視することによって遠隔的に検出することができる。
【0111】
少なくとも、電源310から引き出されるDC電流IDCは、コントローラ330によって監視される。好ましくは、電源310から引き出されるDC電流IDCおよびDC供給電圧VDCの両方が監視される。コントローラ330は、コンダクタンス値または抵抗値に基づいて、加熱配設320に提供される電力の供給を調節する。コンダクタンスは、DC電流IDCのDC供給電圧VDCに対する比率として定義され、抵抗は、DC供給電圧VDCのDC電流IDCに対する比率として定義される。加熱配設320は、DC電流IDCを測定するための電流センサ(図示せず)を備えてもよい。加熱配設は、DC供給電圧VDCを測定するための電圧センサ(図示せず)を随意に含みうる。電流センサおよび電圧センサは、DC/ACコンバータ340の入力側に位置する。DC電流IDC、および任意選択でDC供給電圧VDCは、コントローラ330へのフィードバックチャネルによって提供され、インダクタ240へのAC電力PACのさらなる供給を制御する。
【0112】
コントローラ330は、電気制御パラメータ(これは測定された見かけのコンダクタンス値または測定された見かけの抵抗値であり得る)を、サセプタ44の目標動作温度に対応する目標値に維持することによって、サセプタ44の温度を制御し得る。コントローラ330は、任意の適切な制御ループを使用して、例えば、比例積分微分制御ループを使用することによって、測定されたコンダクタンス値または測定された抵抗値を目標値に維持してもよい。
【0113】
サセプタ44の見かけの抵抗(または見かけのコンダクタンス)とサセプタ44の温度との間の厳密に単調な関係を利用するために、エアロゾルを生成するためのユーザー操作中、コンダクタンス値またはサセプタと関連付けられ、DC/ACコンバータ340の入力側で測定される抵抗値が、第一の較正温度に対応する第一の較正値と、第二の較正温度に対応する第二の較正値との間に維持される。第二の較正温度は、第二のサセプタ材料(
図6の電流プロットの丘601)のキュリー温度である。第一の較正温度は、第二のサセプタ材料の皮膚深度が増加し始める(抵抗の一時的な低下をもたらす)、サセプタの温度以上の温度である。したがって、第一の較正温度は、第二のサセプタ材料の最大透過性における温度以上の温度である。第一の較正温度は、第二の較正温度より少なくとも摂氏50度低いことが好ましい。少なくとも第二の較正値は、以下でより詳細に説明するように、サセプタ44の較正によって判定されてもよい。第一の較正値および第二の較正値は、コントローラ330のメモリ内に較正値として記憶されてもよい。
【0114】
コンダクタンス(抵抗)は、温度に対する多項式依存性を有するため、コンダクタンス(抵抗)は、温度の関数として非線形に挙動する。しかしながら、第一および第二の較正値は、第一の較正値と第二の較正値との間の差が小さいために、この依存性が第一の較正値と第二の較正値との間で線形として近似され得るように、そして第一および第二の較正値が動作温度範囲の上部にあるように選択される。したがって、温度を目標動作温度に調整するために、コンダクタンスは、線形方程式を介して、第一の較正値および第二の較正値に従って調整される。例えば、第一および第二の較正値がコンダクタンス値である場合、目標動作温度に対応する目標コンダクタンス値は、次のように与えられ得る:
GTarget=GLower+(x×ΔG)
式中、ΔGは、第一のコンダクタンス値と第二のコンダクタンス値との間の差であり、xはΔGの割合である。
【0115】
コントローラ330は、DC/ACコンバータ340のスイッチングトランジスタ410の負荷サイクルを調整することによって、加熱装置320への電力の提供を制御してもよい。例えば、加熱中に、DC/ACコンバータ340は、サセプタ44を加熱する交流電流を継続的に発生し、また同時にDC供給電圧VDCおよびDC電流IDCは、好ましくは一ミリ秒毎に100ミリ秒間測定されてもよい。コントローラ330によってコンダクタンスが監視される場合、コンダクタンスが目標動作温度に対応する値に達するまたは超えると、スイッチングトランジスタ410の負荷サイクルが低減される。コントローラ330によって抵抗が監視される場合、抵抗が目標動作温度に対応する値に達するまたは下回るとき、スイッチングトランジスタ410の負荷サイクルが低減される。例えば、スイッチングトランジスタ410の負荷サイクルは、約9%に低減されうる。言い換えれば、スイッチングトランジスタ410は、1ミリ秒の持続時間の間、10ミリ秒ごとにのみパルスを発生するモードに切り替わってもよい。スイッチングトランジスタ410のこの1ミリ秒のオン状態(導電状態)の間、DC供給電圧VDCの値およびDC電流IDCの値が測定され、コンダクタンスが判定される。コンダクタンスが減少する(または抵抗が増加する)と、サセプタ44の温度は目標動作温度を下回ることを示すため、トランジスタ410のゲートは、システムの選択された駆動周波数でパルスのトレーンを再び供給される。
【0116】
電力は、電流の連続した一連のパルスの形態でコントローラ330によってインダクタ240に供給されてもよい。特に、電力は、それぞれが時間間隔ごとに分離された一連のパルスで、インダクタ240に供給されてもよい。連続した一連のパルスは、二つ以上の加熱パルスおよび連続した加熱パルス間の一つ以上のプロービングパルスを含んでもよい。加熱パルスは、サセプタ44を加熱するなどの強度を有する。プロービングパルスは、サセプタ44を加熱するのではなく、むしろコンダクタンス値または抵抗値、次いでサセプタ温度の進化(減少)に関するフィードバックを得るような強度を有する分離された電力パルスである。コントローラ330は、DC電源によってインダクタ240に供給される電力の連続した加熱パルス間の時間間隔の持続時間を制御することによって、電力を制御してもよい。追加的または代替的に、コントローラ330は、DC電源によってインダクタ240に供給される電力の連続した加熱パルスのそれぞれの長さ(言い換えれば、持続時間)を制御することによって、電力を制御しうる。
【0117】
コントローラ330は、コンダクタンスがサセプタ44の既知の温度で測定される較正値を得るために、較正モードで動作して較正プロセスを実施するようにプログラムされる。サセプタの既知の温度は、第一の較正値に対応する第一の較正温度と、第二の較正値に対応する第二の較正温度とであってもよい。好ましくは、較正モードは、ユーザーがエアロゾル発生装置200を操作するたびに、例えば、ユーザーがエアロゾル発生物品100をエアロゾル発生装置200に挿入するたびに動作される。
【0118】
較正モード中、コントローラ330は、DC/ACコンバータ340を制御して、サセプタ44を加熱するために、継続的にまたは断続的に電力をインダクタ240に供給する。コントローラ330は、電源によって引き出される電流I
DC、および随意に供給電圧V
DCを測定することによって、誘導加熱配設またはサセプタ44に関連付けられたコンダクタンスまたは抵抗を監視する。
図6に関連して上述したように、サセプタ44が加熱されると、測定された電流は、第一の転換点602に達し、電流が増加するまで減少する。この第一の転換点または谷602は、局所最小コンダクタンス値(局所最大抵抗値)に対応する。コントローラ330は、第一の較正値として、コンダクタンスの局所最小値(または抵抗の局所最大値)を記録してもよい。コントローラは、最小電流に達した後の所定の時間におけるコンダクタンスまたは抵抗の値を第一の較正値として記録しうる。コンダクタンスまたは抵抗は、測定された電流I
DCおよび測定された電圧V
DCに基づいて判定されうる。あるいは、電源310の既知の特性である、供給電圧V
DCがほぼ一定であると仮定されてもよい。第一の較正値におけるサセプタ44の温度は、第一の較正温度と称される。第一の較正温度は、摂氏150度~摂氏350度であることが好ましい。より好ましくは、エアロゾル形成基体12がたばこを含む場合、第一の較正温度は摂氏320度である。第一の較正温度は、第二の較正温度より少なくとも摂氏50度低い。
【0119】
コントローラ330が、DC/ACコンバータ340によってインダクタ240に提供される電力を制御し続けると、測定された電流は、測定された電流が減少し始める前に、第二の転換点601に達し、最大電流(第二のサセプタ材料のキュリー温度に対応する)が観察されるまで増加する。この転換点または丘601は、局所最大コンダクタンス値(局所最小抵抗値)に対応する。コントローラ330は、コンダクタンスの局所最大値(または抵抗の局所最小値)を第二の較正値として記録する。第二の較正値でのサセプタ44の温度は、第二の較正温度と称される。好ましくは、第二の較正温度は、摂氏200度~摂氏400度である。最大値が検出されると、コントローラ330は、DC/ACコンバータ340を制御して、インダクタ240への電力の提供を中断し、その結果、サセプタが冷却される。
【0120】
サセプタ44を継続的に加熱して第一の較正値および第二の較正値を得るこの較正プロセスは、較正の信頼性を改善するために少なくとも一回繰り返されてもよい。
【0121】
較正プロセスの信頼性をさらに改善するために、コントローラ310は随意に、較正モードで動作する前に、予熱モードで動作して、予熱プロセスを実施するようにプログラムされてもよい。例えば、エアロゾル形成基体12が特に乾燥しているか、または類似の条件である場合、較正は、熱がエアロゾル形成基体12内に広がる前に実施され、較正値の信頼性が低減されことがある。エアロゾル形成基体12が湿っていた場合、サセプタ44は谷温度に達するのにより長い時間がかかる(基体12の含水量に起因して)。
【0122】
予熱モードに従った動作中、コントローラ330は、継続的に電力をインダクタ240に供給するように構成される。上述のように、電流は、最小値に達するまで、サセプタ44の温度が上昇するにつれて減少し始める。この段階で、コントローラ330は、加熱を続ける前にサセプタ44が冷却できるように所定の期間待機するように構成される。したがって、コントローラ330は、DC/ACコンバータ340を制御して、インダクタ240への電力の提供を中断する。所定の期間の後、コントローラ330は、DC/ACコンバータ340を制御して、最小値に達するまで電力を供給する。この時点で、コントローラはDC/ACコンバータ340を制御して、再度、インダクタ240への電力の提供を中断する。コントローラ330は再び、同じ所定の期間待機して、加熱を続ける前にサセプタ44を冷却させる。このサセプタ44の加熱および冷却は、予熱プロセスの所定の持続時間にわたって繰り返される。予熱プロセスの所定の持続時間は、好ましくは11秒である。予熱プロセスの所定の組み合わせた持続時間に続いて、較正プロセスは、好ましくは20秒である。
【0123】
エアロゾル形成基体12が乾燥している場合、予熱プロセスの第一の最小値は、所定の時間内に達し、電力の中断は、所定の期間の終了まで繰り返される。エアロゾル形成基体12が湿っている場合、予熱プロセスの第一の最小値は、所定の期間の終了に向かって達する。したがって、所定の持続時間の間予熱プロセスを実施することは、基体12の物理的状態にかかわらず、継続的に電力を供給して第一の最大値に達する準備ができている状態になるために、基体12が最低温度に達するのに十分な時間であることを確保する。これにより、基体12が事前に谷に達していないというリスクを負わずに、可能な限り早期に較正モードを動作させることが可能になる。
【0124】
さらに、エアロゾル発生物品100は、最小値が常に予熱プロセスの所定の持続時間内に達成されるように構成されてもよい。予熱プロセスの所定の持続時間内に最小値に達しない場合、これは、エアロゾル形成基体12を含むエアロゾル発生物品100が、エアロゾル発生装置200での使用に適さないことを示し得る。例えば、エアロゾル発生物品100は、エアロゾル発生装置200で使用することが意図されたエアロゾル形成基体100とは異なる、またはより低品質のエアロゾル形成基体12を含む場合がある。別の例として、エアロゾル発生物品100は、例えば、エアロゾル発生物品100およびエアロゾル発生装置200が異なる製造業者によって製造される場合、加熱配設320と共に使用するように構成されない場合がある。したがって、コントローラ330は、安全モードに入る、またはエアロゾル発生装置200の動作を停止する制御信号を発生するように構成されてもよい。
【0125】
予熱モードは、例えば、エアロゾル発生装置200のユーザー起動などのユーザー入力の受信に応答して実施されてもよい。追加的または代替的に、コントローラ330は、エアロゾル発生装置200内のエアロゾル発生物品100の存在を検出するように構成されてもよく、予熱プロセスは、エアロゾル発生装置200の空洞220内のエアロゾル発生物品100の存在を検出することに応答して実施されてもよい。
【0126】
予熱モードおよび較正モードの実施後、コントローラ330は、コントローラがDC/ACコンバータ340を制御して、サセプタ44に関連付けられたコンダクタンスまたは抵抗を目標値に維持する加熱モードに制御を切り替える。これは、加熱プロセスまたは動作加熱モードと称され得る。目標値は、連続的または段階的に経時的に変化してもよいが、常に較正プロセス中に判定される最大値と最小値との間にある。
【0127】
加熱モードは中断される場合があり、加熱モード中に再較正プロセスが設定された時間間隔で実施され得るように、再較正モードが動作されてもよい。これは、装置の使用期間にわたってドリフトし得る最大値および最小値を検証または再確立するために行われる。
【0128】
加熱モード中にサセプタ44に関連付けられたコンダクタンスまたは抵抗を目標値に維持するために、コントローラ330はDC/ACコンバータ340の負荷サイクルを変化させる。サセプタが、システムでのユーザー吸煙中など、サセプタを通過する増加した気流によって冷却される場合、サセプタに関連付けられたコンダクタンスは低下する。次いで、コントローラ330は、電流パルスの負荷サイクルを増加させてインダクタに提供される電力を増加させ、それによってサセプタのコンダクタンスを目標値に向けて戻す。
【0129】
装置の過熱を防止するために、加熱モードは、ユーザーが吸煙していると判定されたときに、異なるレジームで動作するように構成される。したがって、加熱モードは、説明した非吸煙レジームと、ユーザー吸煙が検出されたときに実施される吸煙レジームとを含む。実験は、ユーザー吸煙などのサセプタを冷却するイベント中、
図6に示すS字形状の曲線が圧縮を受け、その結果、DC電流(またはコンダクタンス)の局所最小値602がより高い値を有し、キュリー温度でのDC電流の局所最大値601が低減することを示す。
【0130】
図6に示す曲線のこの平坦化は、通常の制御プロセスが過熱につながる場合があることを意味する。例えば、目標コンダクタンスが較正プロセス中に確立される局所最大コンダクタンスに近いときにユーザー吸煙などの冷却イベントが発生する場合、目標コンダクタンスは実際には達成可能ではない場合がある。その状況では、コントローラが、サセプタが過熱される、すなわち望ましくないエアロゾルが提供される温度に加熱される点まで電流パルスの負荷サイクルを増加させ続けるリスクがある。
【0131】
ユーザーが加熱モード動作中に吸煙するときのサセプタの過熱の可能性を低減するために、コントローラは吸煙モードまたは吸煙加熱モードと呼ばれ得る吸煙レジームで動作する。したがって、コントローラは、ユーザー吸煙などの冷却イベントが加熱モード中に検出されたときに、負荷サイクル限度を導入するように構成される。例えば、ユーザー吸煙前の定常状態中、目標コンダクタンスを維持するために30%の負荷サイクルが必要である場合がある。サセプタが冷却されると、コントローラは、目標コンダクタンスを維持するために、負荷サイクルを50%に増加する必要があり得る。しかしながら、コントローラは、過熱を防止するために、50%未満の負荷サイクル限度を導入する場合がある。これは、吸煙中にサセプタが目標温度に達しない可能性があるが、最低限度の熱不足を防止するよりも過熱を防止する方が重要であることを意味する。
【0132】
動作中の装置またはサセプタの過熱を防止するために、一つ以上の安全モードまたは安全プロセスを実施してもよい。
【0133】
図7、8、および9に関して概略的に示した一つの安全プロセスは、誘導加熱配設に供給される電流パルスに対する電気制御パラメータの応答、すなわち、供給された電流に対する見かけのコンダクタンスの応答を監視して、所定の条件が満たされていることをチェックすることを伴う。所定の条件は、動作加熱モード中の各パルスの持続時間にわたってコンダクタンス値が増加することである。この条件が満たされない場合、コントローラは、サセプタが冷却され、再較正が行われてコンダクタンスの更新された目標値を判定する、回復モードと呼ばれ得る安全モードを実施する。
【0134】
図7は、例えば上述の較正モードにおけるような連続的な電力供給に対する、誘導加熱配設の計算された見かけのコンダクタンスの応答を示す。サセプタの過熱をもたらし得るため、較正モードが、参照番号704によって示される最大値を実質的に超えるサセプタの加熱をもたらす可能性は低いことに留意されたい。
図7では、例示の目的で、線705は最大値704を超えて続いている。物品および装置は、上述の通りである。インダクタに電流を供給すると、サセプタの温度が上昇する。サセプタの温度が上昇するにつれて、そのコンダクタンスは701でまず低下する。サセプタは、特定の温度(例えば、約300~400°Cの温度範囲内)で、相転移、特に強磁性相から常磁性相へのキュリー転移を経る材料(ニッケル合金など)の一部分を含む。上述した通り、この転移の開始は、コンダクタンスの局所最小値702によって検出可能である。電流供給の継続に伴いサセプタの温度が上昇するにつれて、703で相転移が進行し、コンダクタンスが増加し続ける。転移するサセプタ材料のキュリー温度において、相転移は完了する。これは、コンダクタンスの局所最大値704によって検出可能である。温度に対するコンダクタンスの関係はその元の状態に戻り、コンダクタンスは705で温度の上昇に伴い減少する。
【0135】
較正モードを動作させることによって、見かけのコンダクタンスの値を、任意の特定の誘導加熱配設(すなわち、特定のインダクタ/サセプタ結合によって形成される)の温度と整合させることができる。したがって、キュリー温度は既知であるため、この温度は、局所最大値704における見かけのコンダクタンスの値と等しいと判定することができる。次に、サセプタの温度が、較正されたコンダクタンスの時間曲線の局所最小値702と局所最大値704との間に設定された見かけのコンダクタンスの目標値750を参照して制御され得る。
【0136】
見かけのコンダクタンスの目標値は、最小値702と最大値701との間に設定されることに注目されたい。この領域では、見かけのコンダクタンスは、温度の上昇に伴い増加する。相転移の両側、すなわち、最小値702の前または最大値704の後において、見かけのコンダクタンスは温度と共に減少する。また、見かけのコンダクタンスの目標値750は、サセプタがその相転移を経ている間(すなわち、最小値702と最大値704の間)は目標動作温度に等しく、曲線のs字形状は、より低温、およびより高温においても見かけの抵抗の同じ値が生じることを意味する。
【0137】
エアロゾルを発生するための加熱モードの間、電流は電流パルスとして誘導加熱配設に供給され、これらのパルスは、上述した通り、見かけのコンダクタンスの目標値を参照して制御される。サセプタの温度が適切に制御されていることをチェックするために、電流パルスに対する見かけのコンダクタンスの応答が判定される。サセプタが適切な温度に維持されている場合、見かけのコンダクタンスは電流パルスに応答して増加する。これにより、サセプタの温度が較正によって判定される最大値と最小値との間にあり、見かけのコンダクタンスの目標値を参照して制御することによって、所望の動作温度が達成されることが確証される。見かけのコンダクタンスが、電流パルスに応答して増加するというこの所定の基準を満たさない場合、障害が想定され、コントローラは、サセプタが冷却されて較正モードが実施される回復モードを実施する。
【0138】
図7に示す曲線は、較正モードに対する見かけのコンダクタンスの応答の例である。こうしたモードは、エアロゾルを発生する前に物品が装置の中へと挿入されたときに実行されてもよい。較正を無効にし、サセプタの温度が不適切に維持されることになる可能性がある、いくつかのシナリオが発生する場合がある。
【0139】
例えば、較正が行われるときに、物品が装置の中に不適切に挿入される場合がある。これにもかかわらず、装置は通常、較正によって判定されるコンダクタンス目標値750に温度を調節する。しかしながら、使用中、物品を装置の中にさらに押し込み、それによってサセプタをインダクタに対して移動させる場合がある。これにより、S曲線は、
図8に示すように、その初期較正値700から新たな位置800へとシフトダウンする。
【0140】
問題は、コンダクタンス目標値750が、新たなs曲線800の最大値804の上方に位置することになることである。結果として、装置は、較正された目標値750を参照して電流供給を制御するよう試みるが、新たな最大値804が到達可能な最大コンダクタンス値となるs曲線の再配置に起因して、この目標値は、到達することができない。装置は、較正されたコンダクタンス目標750を満たすために加熱を継続するが、最終的には新たな最大値804に達する。新たな最大値804に達した後、装置は、最大値804を実際に通過するまで加熱を継続する。最大値804の後、温度に対するコンダクタンスの応答は反転し、これは、電力パルストリガにより見かけのコンダクタンスが減少することを意味する。
【0141】
効果は、
図9に見ることができる。初期較正後、目標コンダクタンス750は、較正曲線の最大値704と最小値702との間に設定される。最初、加熱モード中、電流パルスは誘導加熱配設に供給され、目標コンダクタンス値750を参照して制御される。こうした制御されたパルスは、
図9のパルスの群900に見られる。これらのパルスの傾斜は、コンダクタンスが各パルスの持続時間にわたって増加するにつれて、正であることが分かる。上述した通り、物品が装置内で移動した後はs曲線が変位する。その結果、この変則的な移動後の第一の電流パルス905は、低い見かけのコンダクタンスを記録する。コントローラがコンダクタンスを目標レベル750まで増加させようと試みるため、コンダクタンスは後続のパルスと共に増加する。しかしながら、新たな最大値804は、目標値750より低く、これは、電流パルスが制御されないことを意味する。サセプタの温度が上昇するにつれて、供給された電力に対する見かけのコンダクタンスの応答が変化し、コンダクタンスは各パルス910と共に低下し始める。安全機構がない場合、温度は、コンダクタンスが低下するにつれて上昇し続け得る。しかしながら、第一のパルスがその持続時間にわたってコンダクタンスの増加を示さないことが検出されると(例えば、パルス910)、コントローラは安全モードまたは回復モードを開始する。
【0142】
上述した通り、システムのコントローラは、様々な入力および信号を受信し、複数の動作モードに従って、誘導加熱配設への電力供給を制御する。この制御は、上述したエアロゾル発生システムについて
図10に概略的に示される。
【0143】
図10に示すように、コントローラ1000は、ユーザーインターフェース1001、誘導加熱配設のDC/ACコンバータの入力側にわたる電圧を判定する電圧センサ1010、誘導加熱配設に供給されるDC電流を判定する電流センサ1020、ユーザー吸煙を検出するための吸煙センサ1030、およびエアロゾル発生装置の制御電子回路の温度を判定するためのPCB温度センサ1040から入力信号を受信するように構成される。
【0144】
コントローラは、様々な入力信号を処理し、複数の動作モード1050のうちのいずれを適用するかを判定する。コントローラは次いで、複数の動作モード1050のうちの一つに従ってサセプタの温度を制御するために、電源1060から誘導加熱配設1070への電力供給を制御する。
【0145】
特定の実施例では、動作モードは、予熱モード1051、較正モード1052、加熱モード:非吸煙レジーム1053、加熱モード:吸煙レジーム1054、再較正モード1055、および安全モードまたは回復モード1056である。
【0146】
動作の例として、コントローラ1000は、ユーザーがエアロゾル発生物品を消費するための使用セッションを開始したとの信号をユーザーインターフェース1001から受信してもよい。コントローラは、予熱モード1051で動作するよう信号を送信する。電圧センサ1010および電流センサ1020からの信号は、コントローラ1000によって受信され、誘導加熱配設1070の見かけのコンダクタンスに対する値が計算される。見かけのコンダクタンスの値が監視される。
【0147】
予熱モード1051が、例えば、所定の期間後に終了すると、コントローラは、較正モード1052で動作するよう信号を送信する。較正モードは、例えば、上述のように進行し、見かけのコンダクタンスの目標値が判定される。
【0148】
較正モード1052が終了すると、例えば、見かけのコンダクタンスの目標値が判定されると、コントローラは、加熱モード:非吸煙レジーム1053で動作するよう信号を送信する。この加熱モードは、ユーザーが装置で吸煙していないときに適用される。サセプタの温度は、誘導加熱配設に電流パルスを供給し、コンダクタンスの目標値を参照して、供給される電力を制御することによって、動作温度に維持される。
【0149】
加熱モード:非吸煙レジーム1053の間に、ユーザーが吸煙していることを示す信号が吸煙センサ1030から受信される場合、コントローラは、動作モードを加熱モード:吸煙レジーム1054に切り替えるよう信号を発する。このモードは、加熱モード:非吸煙レジームと類似しているが、過熱を防止するために誘導加熱配設に供給される電力の負荷サイクルには限度がある。コントローラが、ユーザーがもはや吸煙していないと判定すると、加熱モード:非吸煙レジーム1053に戻るよう信号が発せられる。
【0150】
定期的な時間間隔で、または所定の数の吸煙が記録された後、コントローラは、再較正モード1055で動作するよう信号を発する。再較正モードは、コンダクタンスの目標値を検証または再判定する。再較正モードが正常に完了すると、コントローラは、加熱モード:非吸煙レジームに戻るよう信号を発する。再較正モードが正常に完了しない場合、障害の可能性があり、コントローラは安全モードに従って動作するよう信号を発する。
【0151】
コントローラが、ユーザーが吸煙していることを示す信号を受信する場合、ユーザーが吸煙を終了するまで、再較正モードへの切り替えが遅延される。コントローラが、再較正モード下で動作中にユーザーが吸煙していることを示す信号を受信する場合、再較正モードが終結し、動作モードが加熱モード:吸煙レジームに切り替わる。
【0152】
エアロゾル発生システムの使用中に、いくつかの異常または障害状態が発生する場合がある。例えば、監視されたコンダクタンスの値がサセプタが過熱されたことを示す場合がある。このような場合、コントローラは、安全モード1056に入るよう信号を発する。安全モードでは、誘導加熱配設に供給される電力が、サセプタを冷却することを可能にする期間の間に減少するか終結する。安全モードは、他の動作モードのうちの一つで継続される動作の前の再較正または再設定を含み得る。異常または障害が、回復モード中に動作する回復プロセスによっては修正できない場合、動作が終結する。
【0153】
障害状態のさらなる例は、加熱モード中に供給される電流パルスに応答してコンダクタンスが増加していないと判定されることであり得る。これは、サセプタが過度に高温または低温であることを示し得、コントローラは、安全モードに従って動作するよう信号を送信する。
【0154】
障害状態のさらなる例は、PCBの温度が所定の最大温度より高いと判定されることであり得る。これは、サセプタが過熱および装置を過熱していることを示し得、コントローラは、安全モードに従って動作するよう信号を送信する。
【0155】
障害状態のさらなる例は、電源の電圧が最小動作電圧未満に減少したと判定されることであり得る。これは、電源が、使用セッションを完了するには不十分な残りの充電を有することを示し得、コントローラは、安全モードに従って動作するよう信号を送信する。この場合、電源を再充電することなく動作を再開できる可能性は低くなり得る。
【0156】
本明細書および添付の特許請求の範囲の目的において、別途示されていない限り、量(amounts)、量(quantities)、割合などを表すすべての数字は、すべての場合において用語「約」によって修飾されるものとして理解されるべきである。また、全ての範囲は、開示された最大点及び最小点を含み、かつその中の任意の中間範囲を含み、これらは本明細書に具体的に列挙されている場合もあり、列挙されていない場合もある。この文脈内で、数字Aは、数字Aが修正する特性の測定値に対する一般的な標準誤差内にある数値を含むと考えられてもよい。数字Aは、添付の特許請求の範囲で使用される通りの一部の場合において、Aが逸脱する量が特許請求する本発明の基本的かつ新規の特性(複数可)に実質的に影響を及ぼさないという条件で、上記に列挙された割合だけ逸脱してもよい。また、全ての範囲は、開示された最大点及び最小点を含み、かつその中の任意の中間範囲を含み、これらは本明細書に具体的に列挙されている場合もあり、列挙されていない場合もある。
【国際調査報告】