(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-12
(54)【発明の名称】自動診断分析システムの場所特異的適応
(51)【国際特許分類】
G16H 50/20 20180101AFI20240705BHJP
G01N 35/00 20060101ALI20240705BHJP
【FI】
G16H50/20
G01N35/00 F
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024500168
(86)(22)【出願日】2022-07-06
(85)【翻訳文提出日】2024-02-09
(86)【国際出願番号】 US2022073473
(87)【国際公開番号】W WO2023283583
(87)【国際公開日】2023-01-12
(32)【優先日】2021-07-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508147326
【氏名又は名称】シーメンス・ヘルスケア・ダイアグノスティックス・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100216105
【氏名又は名称】守安 智
(72)【発明者】
【氏名】ヴェンカテーシュ・ナラシマムルティ
(72)【発明者】
【氏名】ヴィヴィック・シンフ
(72)【発明者】
【氏名】イャオ-ジェン・チャン
(72)【発明者】
【氏名】ベンジャミン・エス・ポラック
(72)【発明者】
【氏名】アンカー・カプール
(72)【発明者】
【氏名】ラヤル・ラジュ・プラサド・ナラム・ヴェンカット
【テーマコード(参考)】
2G058
5L099
【Fターム(参考)】
2G058BA06
2G058CA02
2G058GB03
2G058GC02
2G058GC05
2G058GD05
5L099AA03
(57)【要約】
人工知能(AI)アルゴリズムを使用して自動診断分析システムにおいて試料容器または生体試料を特性評価する方法は、不十分であると判定された特性評価信頼水準に応じたAIアルゴリズムの再訓練を含む。AIアルゴリズムは、AIアルゴリズムを最初に訓練するために使用された訓練データには十分に、またはまったく含まれていなかった、自動診断分析システムが動作される場所で広く認められる特徴を有するデータ(画像データおよび/または非画像データを含む)を用いて再訓練される。AIアルゴリズムを使用して試料容器または生体試料を特性評価するシステムも、他の態様と同様に提供される。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動診断分析システムにおいて、試料容器または試料を特性評価する方法であって:
撮像デバイスを使用することによって試料を含む試料容器の画像を取り込むことと;
自動診断分析システムのシステムコントローラ上で実行される第1の人工知能(AI)アルゴリズムを使用して画像を特性評価することと;
システムコントローラを使用して画像の特性評価信頼水準を判定することと;
特性評価信頼水準が事前に選択された閾値未満であると判定されたことに応答して、再訓練データを用いた第1のAIアルゴリズムの再訓練をトリガすることと、を含み、該トリガすることはシステムコントローラによって開始され、ここで、
再訓練データは、第1のAIアルゴリズムを最初に訓練するために使用された訓練データには十分に、またはまったく含まれていなかった、自動診断分析システムの現在地で広く認められる特徴を含む、撮像デバイスによって取り込まれた画像データまたは非画像データを含む、前記方法。
【請求項2】
トリガすることは:
特性評価信頼水準が事前に選択された閾値未満であると判定されたことに応答して、自動診断分析システムのユーザインタフェースを介してユーザに通知することをさらに含み、ここで該通知は第1のAIアルゴリズムが再訓練データを用いて再訓練されることを意味し、トリガすることはシステムコントローラによって開始され;
トリガすることはさらに、
再訓練を遅延させるためのユーザ入力を受信したことに応答して、再訓練データを用いて第1のAIアルゴリズムの再訓練を遅延させること
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
特性評価することは、撮像デバイスによって撮像される試料容器内に含まれる試料における溶血、黄疸または脂肪血症の存在を判定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
特性評価することは、キャップが撮像デバイスによって撮像される試料容器に存在するかどうかを判定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
判定された特性評価信頼水準が事前に選択された閾値未満である取り込まれた画像を記憶することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
自動診断分析システムの現在地で広く認められる特徴は、第1のAIアルゴリズムを最初に訓練するために使用された訓練データには十分に、またはまったく含まれていない試料容器構成またはタイプを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
自動診断分析システムの現在地で広く認められる特徴は、第1のAIアルゴリズムを最初に訓練するために使用された訓練データには十分に、またはまったく含まれていない試料のHILNサブクラスを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
再訓練データは、システムコントローラによって自動的に生成された注釈を有するか、またはユーザによって手動で注釈が付けられる、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
再訓練データは、自動診断分析システムのユーザインタフェースを介してユーザにより提供されるデータをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
第1のAIアルゴリズムを再訓練することにより、第2のAIアルゴリズムが生成され、方法は、第2のAIアルゴリズムを検証データセットを用いて検証することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
第1のAIアルゴリズムを再訓練することにより、第2のAIアルゴリズムが生成され、方法は、自動診断分析システムのユーザインタフェースを介して第2のAIアルゴリズムの利用可能性をユーザに報告することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
第1のAIアルゴリズムを再訓練することにより、第2のAIアルゴリズムが生成され、方法は、自動診断分析システムのユーザインタフェースを介して受信されたユーザ入力に応答して、第1のAIアルゴリズムを第2のAIアルゴリズムに置き換えることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
ユーザインタフェースを介して受信されたさらなるユーザ入力に応答して、第2のAIアルゴリズムを第1のAIアルゴリズムに置き換えることをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
自動診断分析システムであって:
試料を含む試料容器の画像を取り込むように構成された撮像デバイスと;
該撮像デバイスに連結されたシステムコントローラと
を含み、該システムコントローラは:
該システムコントローラ上で実行される第1の人工知能(AI)アルゴリズムを使用して、撮像デバイスによって取り込まれた画像を特性評価し;
システムコントローラを使用して画像の特性評価信頼水準を判定し;
特性評価信頼水準が事前に選択された閾値未満であると判定されたことに応答して、第1のAIアルゴリズムを最初に訓練するために使用された訓練データには十分に、またはまったく含まれていなかった、自動診断分析システムの現在地で広く認められる特徴を含む、撮像デバイスによって取り込まれた画像データまたは非画像データを含む再訓練データを用いて、システムコントローラによって実行される第1のAIアルゴリズムの再訓練をトリガするように構成されている、前記自動診断分析システム。
【請求項15】
システムコントローラは:
トリガすることに応答して、第1のAIアルゴリズムが再訓練データを用いて再訓練されることを、自動診断分析システムのユーザインタフェースを介してユーザに通知し;
再訓練を遅延させるために、所定の期間内にユーザ入力を受信したことに応答して、第1のAIアルゴリズムの再訓練を遅延させるようにさらに構成されている、請求項14に記載の自動診断分析システム。
【請求項16】
システムコントローラは、判定された特性評価信頼水準が事前に選択された閾値未満である取り込まれた画像を自動診断分析システムの記憶デバイスに記憶するようにさらに構成されている、請求項14に記載の自動診断分析システム。
【請求項17】
自動診断分析システムの現在地で広く認められる特徴は:
第1のAIアルゴリズムを最初に訓練するために使用された訓練データには十分、もしくはまったく含まれていない試料容器構成もしくはタイプ;または
第1のAIアルゴリズムを最初に訓練するために使用された訓練データには十分に、もしくはまったく含まれていない試料のHILNサブクラスを含む、請求項14に記載の自動診断分析システム。
【請求項18】
第1のAIアルゴリズムの再訓練により、第2のAIアルゴリズムが生成され、システムコントローラは、第2のAIアルゴリズムを検証データセットを用いて検証するようにさらに構成されている、請求項14に記載の自動診断分析システム。
【請求項19】
第1のAIアルゴリズムの再訓練により、第2のAIアルゴリズムが生成され、システムコントローラは、自動診断分析システムのユーザインタフェースを介して第2のAIアルゴリズムの利用可能性をユーザに報告するようにさらに構成されている、請求項14に記載の自動診断分析システム。
【請求項20】
第1のAIアルゴリズムの再訓練により、第2のAIアルゴリズムが生成され、システムコントローラは、自動診断分析システムのユーザインタフェースを介して受信されたユーザ入力に応答して、第1のAIアルゴリズムを第2のAIアルゴリズムに置き換えるようにさらに構成されている、請求項14に記載の自動診断分析システム。
【請求項21】
非画像データは、現在地で1つまたはそれ以上の測定センサから受信される、請求項14に記載の自動診断分析システム。
【請求項22】
1つまたはそれ以上の測定センサは、1つまたはそれ以上の、温度センサ、音響センサ、湿度センサ、液量センサ、重量センサ、振動センサ、電流センサまたは電圧センサである、請求項21に記載の自動診断分析システム。
【請求項23】
現在地で広く認められる特徴を含む非画像データは、テキストデータである、請求項14に記載の自動診断分析システム。
【請求項24】
テキストデータは、第1のAIアルゴリズムによって実行された特性評価の自己評価および分析レポート、実行中の検査に関連するデータ、または患者情報である、請求項23に記載の自動診断分析システム。
【請求項25】
自動診断分析システムにおいて、試料容器または試料を特性評価する方法であって:
光検知デバイス、音響検知デバイス、湿度検知デバイス、液量検知デバイス、振動検知デバイス、重量検知デバイス、測光検知デバイス、熱検知デバイス、温度検知デバイス、電流検知デバイス、または電圧検知デバイスのうちの1つまたはそれ以上を使用することによって、試料を含む試料容器を表すデータを取り込むことと;
自動診断分析システムのシステムコントローラ上で実行される第1の人工知能(AI)アルゴリズムを使用してデータを特性評価することと;
システムコントローラを使用してデータの特性評価信頼水準を判定することと;
特性評価信頼水準が事前に選択された閾値未満であると判定されたことに応答して、再訓練データを用いた第1のAIアルゴリズムの再訓練をトリガすることと、を含み、該トリガすることはシステムコントローラによって開始され、ここで、
再訓練データは、第1のAIアルゴリズムを最初に訓練するために使用された訓練データには十分に、またはまったく含まれていなかった、自動診断分析システムの現在地で広く認められる特徴を含む、前記方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年7月7日に出願された「SITE-SPECIFIC ADAPTATION OF AUTOMATED DIAGNOSTIC ANALYSIS SYSTEMS」と題する米国仮特許出願第63/219,342号の利益を主張し、この開示はあらゆる目的のために参照によってその全文を本明細書に組み入れる。
【0002】
本開示は、自動診断分析システムに関する。
【背景技術】
【0003】
医療検査では、自動診断分析システムを使用して生体試料を分析し、試料に含まれる分析物または他の成分を識別することができる。生体試料は、例えば、尿、全血、血清、血漿、間質液、脳脊髄液等であってもよい。このような試料は、通常、試料容器(採取管、試験管、バイアルなどとも呼ぶ)に収容される。試料容器は、自動化されたトラック上の容器キャリアを介して、自動診断分析システム内の様々な撮像ステーション、処理ステーション、および分析器ステーションとの間で輸送される。
【0004】
自動診断分析システムは、典型的には、試料容器および/またはその中の試料の様々な特徴を「特性評価」するための試料の前処理または事前スクリーニング手順を含む。特性評価(例えば、特徴の識別または分類)は、自動診断分析システムのシステムコントローラ、プロセッサ、または同様のデバイス上で実行される人工知能(AI)アルゴリズムによって実行される。AIアルゴリズムは、試料容器および/またはその中の試料の様々な領域が識別および/または分類される「セグメンテーション」を実行し得る。AIアルゴリズムを使用した試料の特性評価は、HILN判定も実行し得る。HILN判定は、溶血(H)、黄疸(I)、および/または脂肪血症(L)のような、検査結果に悪影響を及ぼす可能性のある干渉物が分析対象の試料中に存在するかどうか、または試料が正常(N)であるかどうか、およびさらに処理することができるかどうかを識別する。干渉物が存在する場合、その干渉物の程度もAIアルゴリズムによって分類される。
【0005】
特性評価は、典型的には、試料容器およびその中の試料の撮像データを使用して実行される。すなわち、試料容器およびその中の試料の画像をまず自動診断分析システムの撮像ステーションで取り込み、次にAIアルゴリズムを使用して分析することができる。
【0006】
AIアルゴリズムが特性評価に使用される前に、AIアルゴリズムは、撮像試料データにおいてある可能性が高い特徴を特性評価するように「訓練」される。訓練は、AIアルゴリズムに、注釈付き(識別済み)特徴を有する訓練データ(例えば、撮像試料データ)を提供することによって実行される。この訓練データは「グラウンドトゥルース」と呼ばれる。
【0007】
自動診断分析システムがどこに配備されても一貫して機能することを確実にするために、AIアルゴリズムは、AIアルゴリズムによる特性評価対象の共通の特徴のサンプリングを含む訓練データの標準セットを用いて訓練される。
【0008】
しかし、AIアルゴリズムは、AIアルゴリズムを訓練するために使用される訓練データに含まれていない場合がある特定の特徴または特徴の特定のバリエーションを正確に特性評価することができないか、またはその可能性が低い場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、自動診断分析システムで使用するAIアルゴリズムの訓練の改善が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
いくつかの実施形態では、自動診断分析システムにおいて試料容器または試料を特性評価する方法が提供される。本方法は、撮像デバイスを使用することによって、試料を含む試料容器の画像を取り込むことと、自動診断分析システムのシステムコントローラ上で実行される第1の人工知能(AI)アルゴリズムを使用して画像を特性評価することと、システムコントローラを使用して画像の特性評価信頼水準を判定することと、特性評価信頼水準が事前に選択された閾値未満であると判定されたことに応答して、再訓練データを用いた第1のAIアルゴリズムの再訓練をトリガすることとを含む。トリガすることは、システムコントローラによって開始され、再訓練データは、第1のAIアルゴリズムを最初に訓練するために使用された訓練データには十分に、またはまったく含まれていなかった、自動診断分析システムの現在地で広く認められる特徴を含む、撮像デバイスによって取り込まれた画像データまたは非画像データを含む。
【0011】
いくつかの実施形態では、試料を含む試料容器の画像を取り込むように構成された撮像デバイスと、撮像デバイスに連結されたシステムコントローラとを含む自動診断分析システムが提供される。システムコントローラは:システムコントローラ上で実行される第1の人工知能(AI)アルゴリズムを使用して、撮像デバイスによって取り込まれた画像を特性評価し、システムコントローラを使用して画像の特性評価信頼水準を判定し、特性評価信頼水準が事前に選択された閾値未満であると判定されたことに応答して、第1のAIアルゴリズムの再訓練をトリガするように構成されている。再訓練は、第1のAIアルゴリズムを最初に訓練するために使用された訓練データには十分に、またはまったく含まれていなかった、自動診断分析システムの現在地で広く認められる特徴を含む、撮像デバイスによって取り込まれた画像データまたは非画像データを含む再訓練データを用いて、システムコントローラによって実行される。
【0012】
いくつかの実施形態では、自動診断分析システムにおいて試料容器または試料を特性評価する方法が提供される。本方法は、光検知デバイス、音響検知デバイス、湿度検知デバイス、液量検知デバイス、振動検知デバイス、重量検知デバイス、測光検知デバイス、熱検知デバイス、温度検知デバイス、電流検知デバイス、または電圧検知デバイスのうちの1つまたはそれ以上を使用することによって、試料を含む試料容器を表すデータを取り込むことと、自動診断分析システムのシステムコントローラ上で実行される第1の人工知能(AI)アルゴリズムを使用してデータを特性評価することと、システムコントローラを使用してデータの特性評価信頼水準を判定することと、特性評価信頼水準が事前に選択された閾値未満であると判定されたことに応答して、再訓練データを用いた第1のAIアルゴリズムの再訓練をトリガすることとを含む。トリガすることは、システムコントローラによって開始され、再訓練データは、第1のAIアルゴリズムを最初に訓練するために使用された訓練データには十分に、またはまったく含まれていなかった、自動診断分析システムの現在地で広く認められる特徴を含む。
【0013】
本開示のさらに他の態様、特徴、および利点は、本発明を実施するために企図された最良の態様を含む複数の例示的実施形態および実施態様の以下の詳細な説明および図示から容易に明らかになるであろう。本開示はまた、他の異なる実施形態が可能であり得、そのいくつかの詳細は、すべて本発明の範囲から逸脱することなく、様々な点で変更することができる。例えば、以下の説明は、撮像データに基づいて試料容器およびその中の試料を前処理/事前スクリーニングするために使用されるAIアルゴリズムに関するものであるが、本明細書に記載の方法およびシステムは、AIアルゴリズムが実行される場所で広く認められる特徴、条件および制約が元の訓練データに適切に含まれていないセンサ、テキスト、および/または他の非画像データに基づいて測定結果を分析するために、かつ/または他の用途のために、AIアルゴリズムに容易に適用される。
【0014】
本開示は、添付の特許請求の範囲(さらに以下を参照)内にあるすべての変更、均等物、および代替物を網羅することが意図されている。
【0015】
以下に説明する図面は、例示を目的として提供されるものであり、必ずしも縮尺通りに描かれているわけではない。したがって、図面および説明は、本質的に例示的なものとみなされ、限定的なものとはみなされない。図面は、本発明の範囲を限定することを一切意図していない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本明細書で提供される実施形態による、前処理/事前スクリーニング特性評価および1つまたはそれ以上の生体試料分析を行うように構成された自動診断分析システムの上面概略図である。
【
図2A】本明細書で提供される実施形態による、干渉物を含み得る血清または血漿部分を含有している分離試料を含む試料容器の側面立面図である。
【
図2B】本明細書で提供される実施形態による、
図1の自動診断分析システム内で輸送可能なホルダに直立の向きに保持された
図2Aの試料容器の側面図である。
【
図3】本明細書で提供される実施形態による、
図1の自動診断分析システムと共に使用するためのコンピュータのブロック図である。
【
図4】本明細書で提供される実施形態による、
図1の自動診断分析システムにおいて試料容器および/または試料を特性評価する方法のフローチャートである。
【
図5】本明細書で提供される実施形態による、画像を取り込むように構成された
図1の自動診断分析システム(明瞭さを期してチャンバ上部が取り除かれている)の品質検査ステーションの概略上面図である。
【
図6】本明細書で提供される実施形態による、
図1の自動診断分析システムにおける試料容器および/またはその中に含まれる試料のセグメンテーションおよび干渉物判定を実行するように構成されたAIアルゴリズムを含む、事前スクリーニング特性評価アーキテクチャのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本明細書に記載の自動診断分析システムは、試料容器およびその中に含まれる生体試料の前処理/事前スクリーニング特性評価を実行し、自動化された容器の取り扱いを容易にし、分析用の試料を準備し、自動診断分析システムによって実行される1つまたはそれ以上の生物学的分析に対する試料の適合性を判定する。特性評価は、試料容器およびその中に含まれる生体試料の取り込まれた画像において認識可能な特徴を識別および/または分類することを含み得る。代替的実施形態では、取り込まれた画像の代わりに、または取り込まれた画像に加えて、非画像データ(例えば、1つもしくはそれ以上の、例えば、温度センサ、音響センサ、湿度センサ、液量センサ、重量センサ、振動センサ、電流センサおよび/もしくは電圧センサのような1つもしくはそれ以上のセンサから)ならびに/またはテキストデータが入力として使用されることに留意されたい。試料容器の特性評価は、例えば、容器のサイズおよびタイプ、容器内の液体レベルまたは容積、容器にキャップが付いているかどうか、キャップが付いている場合はどのようなタイプのキャップかを示すことができる。この情報を用いて、自動診断分析システムのロボット容器ハンドラをプログラムし、試料容器の輸送および位置決め、ならびに試料容器からの試料の吸引を容易にすることができる。生体試料の特性評価は、例えば、干渉物(例えば、溶血、黄疸および/または脂肪血症)の存在および/または程度を判定することができ、したがって、生体試料がさらに処理および分析されるのに十分であるか/許容可能であるかを判定することができる。
【0018】
前処理/事前スクリーニング特性評価は、自動診断分析システムのコンピュータ(例えば、システムコントローラ、プロセッサ、または同様のデバイス)上で実行される人工知能(AI)アルゴリズムを使用して実行される。AIアルゴリズムは、より多くのデータを処理するにつれて「学習」する(すなわち、それ自体を再プログラミングする)ことが可能な任意の適切な機械学習ソフトウェアアプリケーションであってもよい。AIアルゴリズムは、予想される特徴または共通の特徴を特性評価するために訓練データを用いて訓練することができる。訓練データは、特性評価対象の特徴の画像を含むことができる。いくつかの実施形態では、特性評価対象の特徴の画像の大規模な訓練データセットは、1つまたはそれ以上の撮像デバイス(例えば、カメラなど)によって様々なビューおよび/または照明条件で取り込むことができる。いくつかの実施形態では、訓練データは、追加的に、または代替的に、非画像データを含んでいてもよい。
【0019】
前処理/事前スクリーニング後、試料容器およびその中に含まれる生体試料は、自動診断分析システムの適切な分析器ステーションに輸送され、そこで試料は、反応ベッセル内で1つもしくはそれ以上の試薬および/または他の物質と組み合わされる。次いで、分析測定が測光技術または他の分析技術により行われる。いくつかの実施形態では、分析測定は、適切に訓練されたAIアルゴリズムを使用して分析され、試料中の分析物もしくは他の成分の量を測定し、かつ/または1つもしくはそれ以上の疾患状態を識別することができる。以下の開示は、主に、前処理/事前スクリーニング特性評価に使用されるAIアルゴリズムに関して記載されるが、本明細書に開示される場所特異的な(現在地の)特徴に基づいてAIアルゴリズムを再訓練する方法およびシステムは、例えば、試料測定結果の分析のような他の目的に使用されるAIアルゴリズムにも適用される。
【0020】
自動診断分析システム、特にそこで使用されるAIアルゴリズムの性能を監視するために、「信頼」水準は、1つまたはそれ以上の実施形態に従って、(AIアルゴリズムそれ自体、および/または)自動診断分析システム(の1つもしくはそれ以上の他のアルゴリズムもしくはプログラム)によって日常的に、または連続的に判定される。判定された信頼水準は、AIアルゴリズムによって実行される特性評価および/または分析が正確である、かつ/または正しい可能性を示す。いくつかの実施形態では、判定される信頼水準は、値(例えば、1~100、または0.0~1.0)またはパーセンテージ(0%~100%)の形態であることができる。他の適切な信頼度の尺度を用いることができる。所定の閾値未満の低い信頼水準は、AIアルゴリズムの訓練が不十分であることを示す場合がある。
【0021】
例えば、現在地(特定の地理的地域を含む)または特定の方法(例えば、特定の地理的地域に関連する特殊なタイプの診断分析を実行する)で自動診断分析システムを動作させ、特定の特徴または特徴のバリエーションが、独特であるか、または自動診断分析システムのAIアルゴリズムを最初に訓練するために使用された訓練データに含まれる特徴よりも広く認められる場合に低い特性評価信頼水準が生じ得る。低い特性評価信頼水準は、自動診断分析システムをある期間動作させた後、例えば、季節的または地域的な疾病の発生により、新しいもしくは様々なタイプの試料容器が使用され始め得、かつ/または生体試料の新しいもしくは様々な特徴が出現し得た場合にも生じ得る。
【0022】
低い信頼水準と判定された場合には、AIアルゴリズムを再訓練することが望ましい場合がある。従来のシステムにおけるAIアルゴリズムの再訓練プロセスは、比較的煩雑で人手を要する場合がある。例えば、いくつかの従来のシステムでは、AIアルゴリズムの欠陥は、システムが誤動作を起こすまで特定されない(例えば、信頼水準が日常的に動作中に判定されない)。不正確な検査結果のトラブルシューティングは、特にシステムが誤動作によりオフラインにされる場合、手動で時間がかかり、コストがかかる可能性がある。原因がAIアルゴリズムの欠陥だと特定されたとき、再訓練データが収集され(これも通常は手作業)、診断システムの製造業者のエンジニアリングチームに送られる。次いで、AIアルゴリズムは製造業者で再訓練され、ユーザのいる場所でシステムに再搬入するために返送される。明らかに、従来の再訓練プロセスは非常に高価で時間がかかり得る。
【0023】
1つまたはそれ以上の実施形態によれば、自動診断分析システムにおける試料容器または試料を特性評価する改良された自動診断分析システムおよび方法を、
図1~
図6に関連して以下により詳細に説明する。改良されたシステムおよび方法は、AIアルゴリズム性能の監視、再訓練のための場所特異的データの収集および注釈付け、ならびに/または自動診断分析システムが動作される場所(現在地)におけるAIアルゴリズムの再訓練を含み得る。
【0024】
図1は、1つまたはそれ以上の実施形態による自動診断分析システム100を示す。自動診断分析システム100は、試料容器102に含まれる生体試料を自動で特性評価し、処理し、かつ/または分析するように構成されている。試料容器102は、搬入エリア106に設けられた1つまたはそれ以上のラック104でシステム100にて受け取られ、その後、品質検査ステーション107へと輸送され、そこで特性評価され、システム100の1つまたはそれ以上の分析器ステーション108A~108Dにて分析される。
【0025】
分析器ステーション108A~108Dのうちの少なくとも1つ(例えば、分析器ステーション108D)は、前処理を行うことができ、例えば、生体試料の様々な成分を分離するための遠心分離機、および/または試料容器102からキャップを取り外すためのデキャッパを含むことができる。1つまたはそれ以上の分析器ステーション108A~108Dは、1つもしくはそれ以上の臨床化学分析器、アッセイ機器、および/または同等のものを含むことができ、例えばDNAまたはRNAのような標的エンティティ(分析物)の存在、量、もしくは機能活性を化学的に分析するか、またはアッセイするために使用される。臨床化学分析器で一般的に検査される分析物としては、代謝産物、抗体、酵素、ホルモン、脂質、基質、電解質、特定のタンパク質、乱用薬物、および治療薬物のような化学成分が挙げられる。システム100では、使用する分析器ステーション108A~108Dの数は多くしても、少なくしてもよい。
【0026】
ロボット容器ハンドラ110は、搬入エリア106に設けられ、1つまたはそれ以上のラック104から試料容器102を把持し、試料容器102をトラック114に位置する容器キャリア112に搬入することができ、この容器キャリア112を介して、試料容器102がシステム100全体に輸送される。
【0027】
試料容器102は、採血管、試験管、試料カップ、キュベット、またはその中に含まれる生体試料を収容し、撮像できる他の容器のような透明または半透明の容器を含む、任意の適切な容器であってもよい。試料容器102のサイズは様々であることができ、異なるタイプのキャップおよび/またはキャップ(インジケータ)の色を有することができる。
【0028】
図2Aおよび
図2Bは、試料容器およびその中にある生体試料の実施形態を示す。試料容器202は、試料容器102(
図1)を表すことができ、生体試料216は、試料容器102にある試料を表すことができる。試料容器202はチューブ218を含むことができ、キャップ220でキャップされる。異なる試料容器のキャップは、異なるタイプおよび/または色(例えば、赤、ロイヤルブルー、水色、緑、灰色、褐色、黄色、もしくは色の組み合わせ)であってもよく、これらは、例えば、試料容器202が使用される特定の検査、その中に含まれる添加剤のタイプ、試料容器がゲル分離剤を含むかどうかなどを示すことができる。いくつかの実施形態では、キャップのタイプは、以下でさらに説明するように、試料容器202の特性評価によって識別される。
【0029】
試料容器202は、バーコード、英字、数字、またはそれらの組み合わせなどの識別情報222I(すなわち、印)を含むことができる少なくとも1つのラベル222を備えることができる。識別情報222Iは、検査室情報システムデータベース(例えば、
図1のLIS124)を介して患者情報を含んでもよいか、または患者情報と関連付けられる。データベースは、患者名、生年月日、住所、健康状態、もしくは疾患、および/または本明細書に記載の他の個人情報のような患者情報(テキストデータと呼ぶ)を含んでもよい。データベースは、試料216に対して実行される検査、試料216が取得された日時、医療施設情報、ならびに/または追跡および経路情報のような他のテキストデータも含んでもよい。他のテキストデータも含めることができる。
【0030】
識別情報222Iは、識別情報222Iを容易に撮像またはスキャンできるように、機械可読であるか、およびラベル材料(例えば、白色の紙)よりも濃い色(例えば、黒色)であってもよい。識別情報222Iは、試料216に対して実行される検査と同様に、患者の識別を示すか、またはこれとLISもしくは他の検査発注システムを介して別様に相関関係を有することができる。識別情報222Iは、ラベル222に設けられてもよく、このラベル222は、チューブ218の外面に接着されるか、または別様に設けられる。いくつかの実施形態では、ラベル222は、試料容器202の全周または試料容器202の全長/全高に沿って延びていない場合がある。
【0031】
試料216は、チューブ218内に含まれる血清または血漿部分216SPおよび沈降血液部分216SBを含むことができる。ゲル分離剤216Gは、血清または血漿部分216SPと沈降血液部分216SBとの間に配置される。空気226は血清または血漿部分216SPの上にあり得る。血清または血漿部分216SPと空気226との間の境界線は、液体-空気界面LAとして画成される。血清または血漿部分216SPとゲル分離剤との間の境界線は、血清-ゲル界面SGとして画成される。沈降血液部分216SBとゲル分離剤216Gとの間の境界線は、血液-ゲル界面BGとして画成される。空気226とキャップ220との間の界面は、チューブ-キャップ界面TCとして画成される。
【0032】
チューブの高さHTは、チューブ218の最下部からキャップ220の底部までの高さとして画成され、チューブサイズ(例えば、チューブの高さおよび/またはチューブ容積)を決定するために使用される。血清または血漿部分216SPの高さはHSPであり、LAにおける血清または血漿部分216SPの最上部からSGにおけるゲル分離剤216Gの最上部までの高さとして画成される。ゲル分離剤216Gの高さはHGであり、SGとBGとの間の高さとして画成される。沈降血液部分216SBの高さはHSBであり、BGにおけるゲル分離剤216Gの底部から沈降血液部分216SBの底部までの高さとして画成される。HTOTは試料216の全高であり、HSP、HGおよびHSBの合計に等しい。チューブ218の内側の円筒部分の幅はWである。AIアルゴリズム(後述する)は、自動診断分析システム100の品質検査ステーション107で実行されるセグメンテーション特性評価の一部として、上記寸法の1つまたはそれ以上を決定してもよい。
【0033】
図2Bは、キャリア214に配置された試料容器202を示す。キャリア214は、
図1のキャリア112を表すことができる。キャリア214は、試料容器202を画成された直立位置および向きで保持するように構成されたホルダ214Hを含むことができる。ホルダ214Hは、試料容器202をキャリア214に固定する複数のフィンガまたは板ばねを含むことができ、そのうちのいくつかは、試料容器202の異なるサイズ(幅)に対応するように可動または可撓性であってもよい。いくつかの実施形態では、キャリア214は、ロボット容器ハンドラ110によってラック104のうちの1つから降ろされた後、
図1の搬入エリア106から輸送される。
【0034】
図1に戻ると、自動診断分析システム100は、コンピュータ128を含んでいてもよく、あるいは、外部のコンピュータ128と遠隔通信するように構成されている。コンピュータ128は、例えば、システムコントローラなどであってもよく、マイクロプロセッサベースの中央処理装置(CPU)を有し得る。コンピュータ128は、システム100の様々なコンポーネント(品質検査ステーション107および分析器ステーション108A~108Dを含む)を動作および/または制御するための適切なメモリ、ソフトウェア、電子機器、および/またはデバイスドライバを含むことができる。例えば、コンピュータ128は、搬入エリア106との間、トラック114の周り、品質検査ステーション107および分析器ステーション108A~108Dとの間、ならびにシステム100の他のステーションおよび/またはコンポーネントとの間のキャリア112の移動を制御することができる。品質検査ステーション107および分析器ステーション108A~108Dのうちの1つまたはそれ以上は、コンピュータ128に直接連結され、またはローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、もしくは有線および無線ネットワークを含む他の適切な通信ネットワークのようなネットワーク130を介してコンピュータ128と通信することができる。コンピュータ128は、システム100の一部として収容されるか、またはシステム100と離れていてもよい。
【0035】
いくつかの実施形態では、コンピュータ128は、コンピュータインタフェースモジュール(CIM)134に連結されている。CIM134および/またはコンピュータ128は、グラフィカルユーザインタフェースを含み得るディスプレイ136に連結されている。CIM134は、ディスプレイ136と連動して、ユーザが様々な制御およびステータスディスプレイスクリーンにアクセスし、コンピュータ128にデータを入力することを可能にする。これらの制御およびステータスディスプレイスクリーンは、試料容器102および/またはその中にある試料を準備、事前スクリーニング(特性評価)、および分析するための品質検査ステーション107および分析器ステーション108A~108Dのうちの一部またはすべての態様を表示し、この制御を可能にすることができる。CIM134を使用して、ユーザとシステム100との間のインタラクションを容易にする。ディスプレイ136を使用して、アイコン、スクロールバー、ボックス、およびボタンを含むメニューを表示し、これを通じて、ユーザ(例えば、システムオペレータ)は、システム100とインタフェースをとることができる。メニューは、システム100の機能的な面を表示および/または動作するようにプログラムされたいくつかの機能要素を含むことができる。
【0036】
図3は、自動診断分析システム100のシステムコントローラであってもよいコンピュータ328、およびコンピュータ128の一実施形態を示す。コンピュータ328は、プロセッサ328Aおよびメモリ328Bを含むことができ、プロセッサ328Aは、メモリ328Bに記憶されたプログラム328Cを実行するように構成されている。プログラム328Cは、自動診断分析システム100のコンポーネントを動作させることができ、さらに、本明細書で記載の通り、AIアルゴリズムの特性評価および/または再訓練を実行することができる。プログラム328Cの1つまたはそれ以上は、画像データおよび他のタイプのデータ(例えば、非画像データ(例えば、センサデータ)および/またはテキストデータ)を特性評価し、処理し、かつ/または分析する人工知能(AI)アルゴリズムであってもよい。いくつかの実施形態では、メモリ328Bは、第1のAIアルゴリズム332Aおよび第2のAIアルゴリズム332Bを記憶することができる。
【0037】
第1のAIアルゴリズム332Aおよび第2のAIアルゴリズム332Bはそれぞれ、プロセッサ328Aによって実行可能であり、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)を含むニューラルネットワーク、深層学習ネットワーク、再生(regenerative)ネットワーク、および他のタイプの機械学習アルゴリズムまたはモデルを含むがこれらに限定されない、任意の適切な形態の人工知能プログラミングに実装される。これに対応して、第1のAIアルゴリズム332Aおよび第2のAIアルゴリズム332Bは、例えば単純なルックアップテーブルではないことに留意されたい。むしろ、第1のAIアルゴリズム332Aおよび第2のAIアルゴリズム332Bはそれぞれ、種々の異なる撮像特徴を認識するように訓練され、それぞれ、明示的にプログラムされることなく改善する(より正確な判定または予測を行う)ことが可能である。いくつかの実施形態では、第1のAIアルゴリズム332Aおよび第2のAIアルゴリズム332Bは、それぞれ異なるタスクを実行することができる。例えば、第1のAIアルゴリズム332Aは、本明細書に記載の通り、自動診断分析システム100における試料容器および/または試料の特性評価を実行するように構成され、第2のAIアルゴリズム332Bは、試料測定結果を分析するように構成されている。他の実施形態では、第1のAIアルゴリズム332Aは、システム100に最初に提供されるAIアルゴリズムであってもよく、第2のAIアルゴリズム332Bは、第1のAIアルゴリズム332Aの再訓練バージョンであってもよい。
【0038】
図4は、1つまたはそれ以上の実施形態による自動診断分析システムにおいて試料容器および/または試料を特性評価する方法400を示す。例えば、試料容器102もしくは202および/または試料216は、自動診断分析システム100の品質検査ステーション107で特性評価される。
【0039】
プロセスブロック402において、方法400は、撮像デバイスを使用することによって試料を含む試料容器の画像を取り込むことから開始することができる。例えば、試料容器の画像を取り込むことは、
図5に関連してより詳細に説明されるように、自動診断分析システム100の品質検査ステーション107で実行される。
【0040】
図5は、1つまたはそれ以上の実施形態による、品質検査ステーション107を表すことができる品質検査ステーション507を示す。品質検査ステーション507は、それにより取り込まれた画像に基づいて、試料および/または試料容器の事前スクリーニングを実行することができる。品質検査ステーション507は、外部照明の影響を最小化するために、トラック114を少なくとも部分的に取り囲む、または覆うことができるハウジング534を含むことができる。試料容器102または202は、ハウジング534内に配置され、画像取込みシーケンス中に撮像位置536でキャリア112内に位置し得る。ハウジング534は、キャリア112がトラック114を介して品質検査ステーション507に入り、かつ/または退出することを可能にする1つまたはそれ以上の開口部またはドア(図示せず)を含むことができる。
【0041】
品質検査ステーション507は、画像取込みシーケンス中に試料容器102もしくは202および/または試料216を照明するように構成された1つまたはそれ以上の光源538A、538Bおよび/または538Cをさらに含むことができる。光源538A、538Bおよび/または538Cは、コンピュータ128によって制御される(例えば、オン/オフ、および場合により輝度レベル)が、異なる波長の光で照明することもできる。
【0042】
品質検査ステーション507は、デジタル画像を取り込むように構成された任意の適切なデバイスであってよい、1つまたはそれ以上の撮像デバイス540A、540Bおよび/または540Cをさらに含み得る。いくつかの実施形態では、撮像デバイス540A、540Bおよび/または540Cの各々は、画素化された画像を取り込むことができる従来のデジタルカメラ、電荷結合素子(CCD)、光検出器のアレイ、1つまたはそれ以上のCMOSセンサなどであってもよい。いくつかの実施形態では、取り込まれた画像のサイズは、約2560×694画素であってもよい。他の実施形態ではサイズは、約1280×387画素であってもよい。取り込まれた画像は、他の適切な画素サイズを有してもよい。
【0043】
撮像デバイス540A、540Bおよび540Cの各々は、異なる視点(例えば、1、2および3とラベル付けされた視点)から、撮像位置536における試料容器102または202および試料216の画像を取り込むように位置し得る。3つの撮像デバイス540A、540Bおよび/または540Cが示されているが、場合により、2つ、4つ、またはそれ以上の撮像デバイスを使用することができる。視点1~3は、図示されているように、約120°間隔など、互いにほぼ等間隔に配置することができる。画像は、例えば、視点1からの1つまたはそれ以上の画像に続いて、視点2および3からの1つまたはそれ以上の画像を順次取り込むラウンドロビン方式で取り込まれる。画像を取り込む他のシーケンスを使用することができ、撮像デバイス540A、540Bおよび/または540Cの他の配置を使用することができる。撮像デバイス540A、540Bおよび/または540Cの各々は、コンピュータ128によって生成されたトリガ信号によってトリガされる。取り込まれた画像の各々は、
図6に関連してさらに後述するように、コンピュータ128によって処理される。
【0044】
図4に戻ると、方法400は、プロセスブロック404において、自動診断分析システムのシステムコントローラ上で実行される第1のAIアルゴリズムを使用して画像を特性評価することを含み得る。例えば、画像の特性評価は、コンピュータ128上で実行される第1のAIアルゴリズム332Aによって実行される。画像の特性評価は、自動診断分析システム100内での試料容器の取り扱いを容易にし、かつ/または試料の品質がシステム100の分析器ステーション108A~108Dのうちの1つもしくはそれ以上による分析に適しているかどうかを判定し得る。
【0045】
より詳細には、特性評価は、血清もしくは血漿部分、沈降血液部分、ゲル分離剤(使用されている場合)、空気領域、1つもしくはそれ以上のラベル領域、検体容器のタイプ(例えば、高さおよび幅もしくは直径を示す)、ならびに/または試料容器のキャップのタイプおよび/もしくは色など、試料容器および試料の種々の領域(エリア)を識別できるセグメンテーションデータを提供することができる。セグメンテーションデータは、試料容器および試料の特定の物理的寸法特性を含み得る。例えば、(
図2Aおよび
図2Bの)試料容器202および試料216のTC、LA、SG、BG、HSP、HSB、HT、Wおよび/またはHTOTの寸法および/または位置が決定される。また、例えば血清もしくは血漿部分216SPおよび/または沈降血液部分216SBのような1つまたはそれ以上の体積を推定することができる。他の定量可能な特徴も決定することができる。
【0046】
特性評価はさらに、(
図1の)1つまたはそれ以上の分析器ステーション108A~108Dによる分析の前に、試料216中の干渉物(例えば、溶血(H)、黄疸(I)および/または脂肪血症(L))の存在、ならびに場合によりそれらの程度、または試料が正常(N)であるかどうかに関する情報を提供することができる。このようにした事前スクリーニングは、十分な量の干渉物の存在が検査結果に悪影響を及ぼす可能性があることによって貴重な分析器リソースを浪費することなく、必要な場合の追加の処理ならびに/または試料の廃棄および/もしくは再抽出を可能にし得る。
【0047】
図6は、1つまたはそれ以上の実施形態による、第1のAIアルゴリズム332Aを表すことができるAIアルゴリズム632を含む、事前スクリーニング特性評価アーキテクチャ600を示す。事前スクリーニング特性評価アーキテクチャ600は、品質検査ステーション107および/または507に実装され、コンピュータ128または328(およびプログラム328C)によって制御される。機能ブロック642において、撮像デバイス540A、540Bおよび/もしくは540Cによって取り込まれた原画像、ならびに/または測定センサ132による測定データは、コンピュータ128上で実行されるプログラム328Cによって処理および/または統合され、画像および/または測定データ644を生成する。画像日付は、最適に露光され、正規化された画像データであってもよい。いくつかの実施形態では、原画像は、Wissmannらの米国特許出願公開第2019/0041318号に記載されているように処理され、統合される。画像データは、事前スクリーニング特性評価アーキテクチャ600に、より詳細にはAIアルゴリズム632に入力される。
【0048】
他の実施形態では、原画像および/または測定データは、事前スクリーニング特性評価アーキテクチャ600およびAIアルゴリズム632に直接入力される。さらに他の実施形態では、代替データまたは追加データは、コンピュータ128上で実行されるプログラム328Cによって機能ブロック642において処理および/または統合される。代替データまたは追加データとしては、光検知デバイス、音響検知デバイス、湿度検知デバイス、液量検知デバイス、振動検知デバイス、重量検知デバイス、測光検知デバイス、熱検知デバイス、温度検知デバイス、電流検知デバイス、または電圧検知デバイスを含むがこれらに限定されない、システム100の測定センサ132によって生成された測定データが挙げられる。さらに他の実施形態では、代替データまたは追加データは、テキストデータであってもよい。
【0049】
したがって、画像および/または測定データ644は、例えば、1D/2D/3Dセンサ画像、ならびに代替的または追加的に、一変量または多変量の時系列データ、テキストラベル、またはシステムログのような測定データを含むことができる。
【0050】
事前スクリーニング特性評価アーキテクチャ600は、AIアルゴリズム632を使用して、画像および/または測定データ644に対して、上記のセグメンテーションおよび/またはHILN判定のような特性評価を実行するように構成されている。AIアルゴリズム632は、特性評価対象の共通の特徴のサンプリングを含む訓練データの標準セットを用いて工場で訓練することができる。次いでAIアルゴリズム632は、自動診断分析システム100が使用開始される前に、検証データセット646を用いて検証される。検証データセット646は、AIアルゴリズム632が検証データセットのような入力に対して期待通りに動作すること、および自動診断分析システム100が必要に応じて規制基準を満たしていることを確認する。
【0051】
いくつかの実施形態では、検証データセット646は、自動診断分析システム100に含まれる(例えば、コンピュータ328のメモリ328Bに記憶される)。他の実施形態では、検証データセット646は、例えば(
図1の)ネットワーク130を介して自動診断分析システム100によってアクセス可能なクラウドサーバなど、遠隔で記憶および/または実行することができる。検証データセット646は、以下でさらに説明されるように、再訓練済みAIアルゴリズム632を検証するためにも使用することができる。
【0052】
いくつかの実施形態では、AIアルゴリズム632は、画素レベルの分類を実行することができ、取り込まれた画像のうちの1つまたはそれ以上の詳細な特性評価を提供することができる。AIアルゴリズム632は、例えば、フロントエンド容器セグメンテーションネットワーク(CSN)、セグメンテーション畳み込みニューラルネットワーク(SCNN)、および/または深層セマンティックセグメンテーションネットワーク(DSSN)のうちの1つまたはそれ以上を含み得る。アルゴリズム632は、セグメンテーションおよび/またはHILN判定を行うために、追加的または代替的に他のタイプのネットワークを含むこともできる。
【0053】
CSNは、試料容器および/またはその中に含まれる試料の画像に基づいて、セグメンテーション情報648を出力するように構成されている。セグメンテーション情報648は、上述したように、試料容器および試料の様々な領域、試料容器のタイプ(例えば、高さおよび幅もしくは直径を示す)、試料容器のキャップのタイプおよび/もしくは色、ならびに/または試料容器およびその中に含まれる試料の様々な物理的寸法特性の識別を含むことができる。
【0054】
SCNNおよび/またはDSSNは、干渉物分類650を出力することができる。いくつかの実施形態では、SCNNおよび/またはDSSNは、各画素の見た目に基づいて画像の各画素に分類インデックスを割り当てるように動作可能であり得る。画素インデックス情報は、SCNNおよび/またはDSSNによってさらに処理され、試料を表す画素群の最終的な分類インデックスを決定することができる。いくつかの実施形態では、特定の干渉物の存在、正常(N)試料(例えば、検出可能な干渉物なし)、または未遠心分離(U)試料(さらなる処理の前に遠心分離を必要とする場合がある)のいずれかを示す分類インデックスのみが出力されることがある。例えば、干渉物分類650は、未遠心分離クラス650U、正常クラス650N、溶血クラス650H、黄疸クラス650I、および脂肪血症クラス650Lを含み得る。いくつかの実施形態では、SCNNおよび/またはDSSNは、識別された干渉物の程度の推定値を提供し得る。例えば、いくつかの実施形態では、溶血クラス650Hは、サブクラスH0、H1、H2、H3、H4、H5およびH6を含み得る。黄疸クラス650Iは、サブクラスI0、I1、I2、I3、I4、I5およびI6を含み得る。また、脂肪血症クラス650Lは、サブクラスL0、L1、L2、L3およびL4を含み得る。溶血クラス650H、黄疸クラス650Iおよび/または脂肪血症クラス650Lの各々は、他の数の細かいサブクラスを有していてもよい。
【0055】
SCNNおよび/またはDSSNはそれぞれ、いくつかの実施形態では、単純なエッジ、テクスチャ、ならびに血清または血漿部分の一部および画像のラベル含有領域などの特徴を抽出するために、例えば、BatchNorm、ReLU活性化、畳み込み(例えば、2D)、ドロップアウト、およびデコンボリューション(例えば、2D)層を含む、100超の動作層を含み得る。完全畳み込み層などの最上位層を使用して、特徴間の相関関係を提供することができる。この層の出力はSoftMax層に供給され、SoftMax層は、各画素またはパッチがHILを含むか、正常であるか、または遠心分離されていないかに関する画素ごと(またはn×n画素を含むスーパー画素(パッチ)ごと)の出力を生成する。いくつかの実施形態では、CSNは、SCNNおよび/またはDSSNと同様だが層数が少ないネットワーク構造を有し得る。
【0056】
図4に戻ると、方法400は、プロセスブロック406にて、システムコントローラを使用して画像の特性評価信頼水準を判定することを含み得る。特性評価信頼水準は、第1のAIアルゴリズムが取り込まれた画像内の特徴を正しく識別した確率または可能性を示す。換言すれば、特性評価信頼水準は、取り込まれた画像内の特徴が、第1のAIアルゴリズムが同じ特徴である可能性が最も高いと判定した訓練データ内の特徴と、どの程度見た目が密接に一致しているかを示す。例えば、(0~100のスケールで)50または(0.0~1.0のスケールで)0.5の特性評価信頼水準は、第1のAIアルゴリズムによる取り込まれた画像内の特徴の識別が正しい確率は50%であることを示す。同様に、90または0.9の特性評価信頼水準は、取り込まれた画像内の特徴の識別が正しい確率は90%であることを示す。また、信頼水準ゼロは、第1のAIアルゴリズムが取り込まれた画像内の1つまたはそれ以上の特徴を識別できなかったことを示す。
【0057】
再び
図6を参照すると、特性評価信頼水準652は、コンピュータ128または328上で実行されるAIアルゴリズム632によって、取り込まれた画像内の識別された特徴の見た目が訓練データ内の特徴とどの程度密接に一致するかを定量化するための種々の公知の技術を使用して生成される。あるいは、特性評価信頼水準は、例えばメモリ328Bに記憶され、AIアルゴリズム632のサブルーチンとしてコンピュータ128または328によって実行される他のAIアルゴリズムまたはプログラムによって判定される。
【0058】
図4のプロセスブロック408において、方法400は、特性評価信頼水準が事前に選択された閾値未満であると判定されたことに応答して、再訓練データを用いた第1のAIアルゴリズムの再訓練をトリガすることを含むことができ、トリガすることは、システムコントローラによって開始される。再訓練データは、第1のAIアルゴリズムを最初に訓練するために使用された訓練データには十分に、またはまったく含まれていなかった、自動診断分析システムの現在地で広く認められる特徴を含む、撮像デバイスによって取り込まれた画像データを含む。
【0059】
いくつかの実施形態では、事前に選択された閾値は、例えば、0.7以上(0.0~1.0のスケールで)であってもよく、これは、特性評価が正しい可能性が高いことを示す。他の実施形態では、事前に選択された閾値は、例えば、0.9以上であってもよく、特性評価が正しいという信頼度がより高いことを示す。事前に選択された閾値は、ユーザによって、または自動診断分析システムが現在位置し動作される地理的地域における規制要件に基づいて決定される。
【0060】
信頼水準が事前に選択された閾値未満である特性評価済み特徴は、システムコントローラによって自動的にフラグを立てることができる。例えば、
図1、
図3および
図6を再び参照すると、コンピュータ128または328は、信頼水準が事前に選択された閾値未満である特性評価済み特徴に自動的にフラグを立て、その対応する取り込まれた画像を、例えばメモリ328Bの一部であってもよい現在地に配置されたローカルデータベース654に記憶することができる。あるいは、事前に選択された閾値未満の信頼水準を有する特性評価済み画像は、ネットワーク130を介してアクセス可能なクラウドデータベース131に記憶される。
【0061】
信頼水準が事前に選択された閾値未満である特性評価済み特徴を有する記憶された画像(以下、「低信頼水準の特性評価済み画像」と呼ぶ)は、自動診断分析システム100が動作している現在の地理的位置(現在地)で広く認められるが、第1のAIアルゴリズムを最初に訓練するために使用された訓練データには十分に、またはまったく含まれていなかった試料容器の特徴および/または試料の特徴および/またはそのバリエーションを含む可能性が高い。例えば、自動診断分析システム100が動作している現在の地理的位置で使用される試料容器は、第1のAIアルゴリズムを最初に訓練するために使用された訓練データには十分に、またはまったく含まれていなかったサイズおよび/または形状を有する容器構成またはタイプを含み得る。同様に、システムが動作している地理的位置から収集された生体試料は、第1のAIアルゴリズムを最初に訓練するために使用された訓練データに十分に、またはまったく含まれていなかったHILNサブクラスを含み得る。
【0062】
図6のデータベース654に記憶される低信頼水準の特性評価済み画像に加えて、非画像データ656もデータベース654に記憶されている。非画像データ656は、自動診断分析システム100が動作している現在の地理的位置に関連し得る。そのような非画像データ656としては、例えば、センサデータ、テキストデータ、および/またはユーザ入力データが挙げられる。センサデータは、例えば、温度センサ、音響センサ、湿度センサ、液量センサ、重量センサ、振動センサ、電流センサ、電圧センサ、および現在地における自動診断分析システム100の動作に関連する他のセンサなどの、1つまたはそれ以上の測定センサ132によって測定され、そこから受信されるデータを含み得る。テキストデータは、低信頼水準の特性評価済み画像に関連し得、かつ/またはAIアルゴリズム632によって実行された特性評価の自己評価および分析レポートを含み得る。テキストデータは、代替的または追加的に、例えば、実行中の検査(例えば、アッセイタイプ)、患者情報(例えば、年齢、症状など)、検査日、検査時間、システムログ(例えば、システムステータス)、および自動診断分析システム100によって実行中の検査に関連する任意の他のデータを示すことができる。非画像データ656の一部は、コンピュータ128または328によって、例えば画像データが生成されると同時に、かつ/または特性評価の間もしくは後に自動的に生成される。非画像データ656の一部も、(
図1の)CIM134またはLIS124もしくは病院情報システム(HIS)125からアクセスされる検査もしくは患者情報を介してユーザによって手動で生成および入力される。
【0063】
いくつかの実施形態では、方法400は、システムコントローラを介して、記憶された低信頼水準の特性評価済み画像に自動的に注釈付けすることを含み得る。例えば、
図1、
図3および
図6を参照すると、自動診断分析システム100は、コンピュータ128または328を介して、記憶された低信頼水準の特性評価済み画像に自動的に注釈付けすることができる。追加的または代替的に、低信頼水準の特性評価済み画像の手動での注釈付けは、(
図1の)CIM134を介してユーザにより行われる。注釈付けされた低信頼水準の特性評価済み画像と、いくつかの実施形態では非画像データ656の一部とは、AIアルゴリズム632を再訓練するために使用される再訓練データ658として、コンピュータ128または328によって形成または識別される。
【0064】
いくつかの実施形態では、方法400は、バックグラウンドモードで動作するシステムコントローラを介して、再訓練データを用いて第1のAIアルゴリズムを自動的に再訓練することを含み得る。例えば、いくつかの実施形態では、AIアルゴリズム632は、自動診断分析システム100がAIアルゴリズム632で動作し続ける間、バックグラウンドモードで動作するコンピュータ128または328を介して、訓練データ658を用いて再訓練される。結果として再訓練されたAIアルゴリズム632は、第2のAIアルゴリズム332Bとしてメモリ328Bに記憶される。次いで、再訓練されたアルゴリズムは、検証データセット646を使用して検証される。
【0065】
方法400のいくつかの実施形態では、第1のAIアルゴリズムの再訓練は、判定された信頼水準が事前に選択された閾値未満になる度にシステムコントローラによって自動的にトリガされ、自動診断分析システムは、連続的または継続的な再訓練モードで動作している。
【0066】
他の実施形態では、方法400は、特性評価信頼水準が事前に選択された閾値未満であると判定されたことに応答して、第1のAIアルゴリズムが再訓練データを用いて再訓練されることを、自動診断分析システムのユーザインタフェースを介してまずユーザに通知することを含み得る。所定の期間内の通知に応答して、ユーザは、ユーザインタフェースを介してそのように返信することによって再訓練を遅延させることができる。所定の期間内にユーザが返信しない場合、再訓練は自動的に開始される。
【0067】
方法400のさらに他の実施形態では、再訓練は、低信頼水準の特性評価済み画像がある回数フラグが付けられ、(例えば、データベース654に)記憶されたときに自動的にトリガされる。他の実施形態では、再訓練は、所定の期間のシステム動作時間(例えば、数日または1~2週間)後、または第1の低信頼水準の特性評価済み画像の判定後に試料容器/試料が所定の回数特性評価されたときに、自動的にトリガされる。事前に選択された閾値未満の判定済み特性評価信頼水準に基づく他の基準を用いて、第1のAIアルゴリズムの再訓練を自動的にトリガすることができる。
【0068】
いくつかの実施形態では、第1のAIアルゴリズムを再訓練して第2のAIアルゴリズムを生成した後、方法400は、第1のAIアルゴリズムを第2のAIアルゴリズムに自動的に置き換えることを含むプロセスブロック(図示せず)をさらに含み得る。他の実施形態では、方法400は、ユーザインタフェースを介して第2のAIアルゴリズムの利用可能性をユーザに報告することと、ユーザインタフェースを介して受信されたユーザ入力に応答して、第1のAIアルゴリズムを第2のAIアルゴリズムに置き換えることとを含み得る。第2のAIアルゴリズムが期待通りに動作しないか、または第1のAIアルゴリズムよりも動作が優れない場合、ユーザは、ユーザインタフェースを介して(例えば、CIM134を使用して)、第2のAIアルゴリズムの第1のAIアルゴリズムによる置き換えを実施することができる。例えば、AIアルゴリズム632を再訓練し、次に、再訓練されたAIアルゴリズム632を検証データセット646を用いて検証し、再訓練されたAIアルゴリズム632を第2のアルゴリズム332Bとしてメモリ328Bに記憶すると、コンピュータ128または328は、第2のアルゴリズム332Bが事前スクリーニング特性評価アーキテクチャ600で使用可能であることを、CIM134およびディスプレイ136を介してユーザに報告し得る。次に、ユーザは、CIM134を介して、AIアルゴリズム632を第2のアルゴリズム332Bに置き換えることができる。元のAIアルゴリズム632(第1のAIアルゴリズム332Aとして記憶される)は、第2のアルゴリズム332Bが期待通りに動作せず、第1のAIアルゴリズム332A(元のAIアルゴリズム632)に置き換える必要がある場合に、記憶され、利用可能のままである。
【0069】
本開示は、様々な変更および代替形態に影響されるが、特定の方法および装置の実施形態が、図面において例として示され、本明細書において詳細に説明される。しかしながら、本明細書に開示される特定の方法および装置は、本開示または特許請求の範囲を限定することを意図するものではないことを理解すべきである。
【国際調査報告】