(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-12
(54)【発明の名称】アルツハイマー病治療用バイオマーカー
(51)【国際特許分類】
G01N 33/68 20060101AFI20240705BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20240705BHJP
A61P 25/28 20060101ALI20240705BHJP
C07K 16/18 20060101ALI20240705BHJP
C12Q 1/02 20060101ALI20240705BHJP
【FI】
G01N33/68
A61K39/395 N
A61P25/28
C07K16/18 ZNA
C12Q1/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024500220
(86)(22)【出願日】2022-07-08
(85)【翻訳文提出日】2024-02-26
(86)【国際出願番号】 US2022073576
(87)【国際公開番号】W WO2023283650
(87)【国際公開日】2023-01-12
(32)【優先日】2021-07-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-07-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-11-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-11-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-02-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-03-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-05-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506137147
【氏名又は名称】エーザイ・アール・アンド・ディー・マネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100126653
【氏名又は名称】木元 克輔
(72)【発明者】
【氏名】スワンソン, チャド
(72)【発明者】
【氏名】小山 彰比古
(72)【発明者】
【氏名】兼清 道雄
(72)【発明者】
【氏名】イリザリー, マイケル
(72)【発明者】
【氏名】クレイマー, リン
(72)【発明者】
【氏名】カプロウ, ジューン
(72)【発明者】
【氏名】バーベル, デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】ダッダ, ショバ
(72)【発明者】
【氏名】サチデヴ, パラヴィ
(72)【発明者】
【氏名】レイダーマン, ラリサ
(72)【発明者】
【氏名】早戸 誠一
(72)【発明者】
【氏名】ランドリー, イシャニ
(72)【発明者】
【氏名】ゴードン, ロバート
【テーマコード(参考)】
2G045
4B063
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
2G045AA13
2G045CA25
2G045CA26
2G045DA36
2G045FA34
2G045FA36
2G045FB03
2G045FB06
4B063QA01
4B063QA19
4B063QQ03
4B063QQ79
4B063QS39
4B063QX10
4C085AA14
4C085BB11
4C085DD62
4C085EE01
4C085GG02
4H045AA30
4H045BA09
4H045DA76
4H045EA20
(57)【要約】
本明細書には、アルツハイマー病(AD)を有するか、又はAD若しくは脳内のアミロイド蓄積に関連する別の障害を有する疑いがある対象を診断し、選択し、モニタし、及び治療する方法が開示される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗アミロイドβ(Aβ)プロトフィブリル抗体による治療に対象を選択する方法であって、
a.前記対象から入手された血液試料中のアミロイドβ1-42(Aβ42)の濃度及びアミロイドβ1-40(Aβ40)の濃度を測定することにより、Aβ40に対するAβ42の比(Aβ42/40比)を決定すること;及び
b.前記比が0.092の閾値を下回る場合、前記対象を治療に選択すること
を含み、
前記抗Aβプロトフィブリル抗体が、配列番号7のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、配列番号8のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含む、方法。
【請求項2】
ADを有する又は有する疑いがある対象の治療有効性をモニタする方法であって、
a.前記対象に治療有効用量の抗Aβプロトフィブリル抗体を投与すること;
b.前記対象から入手された血液試料中のAβ42及びAβ40の濃度を測定することにより、Aβ42/40比を決定すること;
c.任意選択で、前記血液試料中のリン酸化タウ181(p-タウ181)の濃度を測定すること;
d.前記試料の前記Aβ42/40比を治療前の前記患者からの試料における比と比較することであって、治療後の前記試料におけるAβ42/40比の上昇が、有効な治療を指示していること;及び
e.任意選択で、治療前の前記患者からの試料中のp-タウ181の濃度を比較することであって、治療後の前記試料中のp-タウ181濃度の減少が、有効な治療を指示していること
を含み、
前記抗Aβプロトフィブリル抗体が、配列番号7のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、配列番号8のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含む、方法。
【請求項3】
抗Aβプロトフィブリル抗体による治療下の対象における脳Aβレベルの低下を検出する方法であって、
a.治療前の前記対象から入手された第1の血液試料中のAβ42の濃度及びAβ40の濃度を測定することにより、Aβ40に対するAβ42の第1の比(Aβ42/40比)を決定すること;
b.任意選択で、治療前の前記対象から入手された第1の血液試料中のリン酸化タウ181(p-タウ181)の濃度を測定すること;
c.前記第1の試料採取後に前記対象から入手された第2の血液試料中のAβ42及びAβ40の濃度を測定することにより、治療有効用量の抗Aβプロトフィブリル抗体を投与した後の第2のAβ42/40比を決定すること;
d.任意選択で、前記第1の試料採取後に前記対象から入手された前記第2の血液試料中のp-タウ181の濃度を測定することにより、治療有効用量の抗Aβプロトフィブリル抗体を投与した後の第2の濃度を決定すること;
e.前記第1及び第2のAβ42/40比を比較することであって、前記第1の試料と比べた前記第2の試料におけるAβ42/40比の上昇が、前記第1の試料採取と比べた前記第2の試料採取時における前記対象の脳アミロイドβの低減を指示していること;及び
f.任意選択で、前記第1及び第2のp-タウ181濃度を比較することであって、前記第1の試料と比べた前記第2の試料中の濃度の低減が、前記第1の試料採取と比べた前記第2の試料採取時における前記対象の脳アミロイドβの低減を指示していること
を含み、
前記抗Aβプロトフィブリル抗体が、配列番号7のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、配列番号8のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含む、方法。
【請求項4】
アルツハイマー病(AD)を有する又は有する疑いがある対象のADを治療する方法であって、
a.前記対象から入手された血液試料中のアミロイドβ1-42(Aβ42)の濃度及びアミロイドβ1-40(Aβ40)の濃度を測定することにより、Aβ40に対するAβ42の比(Aβ42/40比)を決定すること;及び
b.約0.092の閾値を下回るAβ42/40比を有する前記対象に抗アミロイドβ(Aβ)プロトフィブリル抗体の治療有効用量を含む治療を投与すること
を含み、
前記抗Aβプロトフィブリル抗体が、配列番号7のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、配列番号8のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含む、方法。
【請求項5】
a.前記第1の試料採取後に前記対象から入手された第2の血液試料中のAβ42及びAβ40の濃度を測定することにより、第2のAβ42/40比を決定すること;及び
b.約0.092の閾値を下回る第2の比を有する前記対象に、前記第1の用量と同じ量の前記抗Aβプロトフィブリル抗体を含む第2の治療有効用量を投与すること
を更に含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
a.前記対象から入手された第1の血液試料中のリン酸化タウ181(p-タウ181)の第1の濃度を測定すること;
b.前記p-タウ181濃度が閾値を上回る場合、前記抗Aβプロトフィブリル抗体の前記第1の治療有効用量を前記対象に投与すること;及び
c.任意選択で、前記第1の試料採取後に前記対象から入手された前記第2の血液試料中のp-タウ181濃度を測定することにより、第2のp-タウ181濃度を決定すること;及び閾値を上回る第2のp-タウ181濃度を有する前記対象に前記第1の用量と同じ量の前記抗Aβプロトフィブリル抗体を含む前記第2の治療有効用量を投与すること
を更に含む、請求項4又は5に記載の方法。
【請求項7】
PETによる脳アミロイド測定なしに前記Aβ42/40比及び/又はp-タウ181濃度が測定される、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
治療前及び/又は治療後に、例えば、PET SUVr値を測定することにより前記対象の脳アミロイドレベルを測定することを更に含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
例えば、12ヵ月にわたる前記治療有効用量による治療後における、少なくとも約0.10、又は0.15、又は0.20の前記PET SUVr値のベースラインからの調整平均変化量で例えば測定したときの前記PET SUVr値の低減が、脳アミロイドレベルの低減を指示している、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記対象がアルツハイマー病を有する、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記対象が初期アルツハイマー病を有する、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記対象が前駆アルツハイマー病(前駆AD)を有する、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記対象が、アルツハイマー病、ダウン症候群、慢性外傷性脳症、脳アミロイドアンギオパチー、レビー小体認知症、又はAβペプチド含有可溶性及び/又は不溶性Aβ凝集体による別の脳疾患又は病態を有する、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記対象が、
a.アルツハイマー病による軽度認知障害-可能性が中等度及び/又は軽度アルツハイマー病型認知症を有すると診断されている;
b.米国国立老化研究所-アルツハイマー病協会(NIA-AA)コア臨床判定基準によるアルツハイマー病による軽度認知障害-可能性が中等度;
c.治療前に0.5のCDR全般スコア及び0.5以上のメモリーボックススコアによるアルツハイマー病による軽度認知障害-可能性が中等度;
d.例えば、情報提供者によって裏付けられるとおりの、治療前の過去1年に徐々に始まり、緩徐に進行しつつある主観的な記憶力衰退の経過歴によるアルツハイマー病による軽度認知障害-可能性が中等度;
e.ほぼ確実なアルツハイマー病型認知症に関する前記NIA-AAコア臨床判定基準による軽度アルツハイマー病型認知症;又は
f.治療前に0.5~1.0のCDRスコア及び0.5以上のメモリーボックススコアによる軽度アルツハイマー病型認知症
と診断されている、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記対象が、例えば、PET判定、Aβ(1-42)のCSF判定、MRI、網膜アミロイド蓄積、及び/又は特定の行動/認知表現型によって指示されるとおり、投与前にアミロイド陽性である、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記対象が、前記ApoE4遺伝子を少なくとも1コピー有する、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記Aβ42/40比が、LC MS/MSプラットフォームを使用して測定される、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
Aβ42/40比が約0.092の閾値又はそれを上回るまでに上昇することが、治療により前記対象がアミロイド陽性からアミロイド陰性に転換したことを指示するものであり、又は約0.092の閾値又はそれを上回るAβ42/40比にならない場合、治療が中断される、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記抗Aβプロトフィブリル抗体が、前記対象の体重を基準として10mg/kgの治療有効用量で静脈内注入として投与される、請求項1~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記治療有効用量が2週間毎に投与される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
18ヵ月間の治療後に前記投与頻度が、例えば、4、6、8、10、又は12週間毎の頻度に低減される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
18ヵ月間の治療後に前記治療有効用量が低減される、請求項20又は21に記載の方法。
【請求項23】
対象が約0.092の閾値又はそれを上回る血液試料中のAβ42/40比を呈した後に、前記投与頻度が、例えば、4、6、8、10、又は12週間毎の頻度に低減される、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
対象が約0.092の閾値又はそれを上回る血液試料中のAβ42/40比を呈した後に、前記治療有効用量が低減される、請求項20又は23に記載の方法。
【請求項25】
前記抗Aβプロトフィブリル抗体が、720mgの治療有効用量で皮下投与される、請求項1~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記治療有効用量が毎週投与される、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
18ヵ月間の治療後に前記投与頻度が低減される、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
18ヵ月間の治療後に前記治療有効用量が、例えば、360mgに低減される、請求項26又は27に記載の方法。
【請求項29】
対象が約0.092の閾値又はそれを上回る血液試料中のAβ42/40比を呈した後に、前記投与頻度が、例えば、2、4、6、8、10、又は12週間毎の頻度に低減される、請求項26に記載の方法。
【請求項30】
対象が約0.092の閾値又はそれを上回る血液試料中のAβ42/40比を呈した後に、前記治療有効用量が、例えば、360mgに低減される、請求項26又は29に記載の方法。
【請求項31】
対象が約0.092の閾値を下回る血液試料中のAβ42/40比を呈する場合、前記低減した治療有効用量及び/又は頻度を増加させる、請求項21~30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記抗Aβプロトフィブリル抗体が、配列番号9のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号10のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む、請求項1~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記対象に少なくとも1つの追加的なAD薬物療法、例えば、E2814が逐次投与又は同時投与される、請求項1~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記方法の結果、治療前と比較したとき、
a.脳脊髄液バイオマーカー、例えば、Aβ1-42、総タウ、リン酸化タウ、ニューログラニン、神経フィラメント軽鎖ペプチドの増加の低減又は緩徐化;及び/又は
b.血漿又は血清バイオマーカー、例えば、総タウ、リン酸化タウ、グリア線維性酸性タンパク質(GFAP)、神経フィラメント軽鎖(NfL)の増加の低減又は緩徐化;
が生じる、請求項1~33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記治療が、
a.ADCOMSにより決定したときの臨床的衰退を遅延させる;
b.ADAS MCI-ADLにより決定したときの臨床的衰退を遅延させる;
c.修正iADRSにより決定したときの臨床的衰退を遅延させる;
d.CDR-SBで測定したときの臨床的衰退を遅延させる;又は
e.ADAS-Cogで測定したときの臨床的衰退を遅延させる、
請求項1~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
例えば、MRIによって観察されるとおりのARIA、例えば、ARIA-E及び/又はARIA-Hをモニタすることを更に含む、請求項1~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記対象に第1の治療有効用量の前記抗Aβプロトフィブリル抗体を投与する前に用量調節段階を必要としない、請求項1~36のいずれか一つに記載の方法。
【請求項38】
対象の前駆アルツハイマー病(前駆AD)を治療する方法であって、
a.前記対象から入手された血液試料中のアミロイドβ1-42(Aβ42)の濃度及びアミロイドβ1-40(Aβ40)の濃度を測定することにより、Aβ40に対するAβ42の比(Aβ42/40比)を決定すること;及び
b.約0.092の閾値を下回るAβ42/40比を有する前記対象に抗アミロイドβ(Aβ)プロトフィブリル抗体の治療有効用量を含む治療を投与すること
を含み、
前記抗Aβプロトフィブリル抗体が、配列番号7のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、配列番号8のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含み、及び前記対象が、少なくとも1つのADバイオマーカー(例えば、約0.092の閾値を下回るAβ42/40比)を呈するが、認知機能は正常である、方法。
【請求項39】
前記対象が、治療18ヵ月で又はそれ以前に、例えば、Aβ42/40比が約0.092であるか、又はそれを上回るとき、維持用量投与レジメンに切り替えられる、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記対象が、例えば、PET SUVrで測定したとき、中等度の脳アミロイドを有する、請求項38又は39に記載の方法。
【請求項41】
アルツハイマー病(AD)を有する又は有する疑いがある対象のADを治療する方法であって、
a.前記対象から入手された血液試料中のアミロイドβ1-42(Aβ42)の濃度及びアミロイドβ1-40(Aβ40)の濃度を測定することにより、Aβ40に対するAβ42の比(Aβ42/40比)を決定すること;
b.約0.092の閾値を下回るAβ42/40比を有する前記対象に抗アミロイドβ(Aβ)プロトフィブリル抗体の治療有効用量を含む治療用量投与レジメンを投与すること;及び
c.前記患者からの血液試料中における後続のAβ42/40比が約0.092の閾値であるか、又はそれを上回ると決定すること、及び維持用量投与レジメンに切り替えること、
を含み、
前記抗Aβプロトフィブリル抗体が、配列番号7のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、配列番号8のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含む、方法。
【請求項42】
前記維持用量への切り替えが、前記治療用量投与レジメンの開始から少なくとも6ヵ月後(例えば、6ヵ月後、又は12ヵ月後、又は18ヵ月後、又は24ヵ月後、又は36ヵ月後)に行われる、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記治療用量投与レジメンが、前記抗Aβプロトフィブリル抗体を静脈内注入として前記対象の体重を基準として10mg/kgの治療有効用量で2週間毎に投与することを含む、請求項41又は42に記載の方法。
【請求項44】
前記治療用量投与レジメンが、前記抗Aβプロトフィブリル抗体を毎週720mgの治療有効用量で皮下投与することを含む、請求項41~43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
前記維持用量投与レジメンが、前記対象の体重を基準として10mg/kgの治療有効用量で2週間毎の静脈内注入を含む、請求項41~44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
前記維持用量投与レジメンが、前記抗Aβプロトフィブリル抗体を隔週720mgの治療有効用量で、又は毎週360mgの用量で皮下投与することを含む、請求項41~44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
前記対象からの血液試料においてp-タウ181の低下が検出された後、維持用量に切り替える、請求項41~46のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
前記対象においてPET SUVrで測定したときの脳アミロイド陰性、例えば、1.17であるか、又はそれを下回るフロルベタピルPET SUVrレベルが検出された後、維持用量に切り替える、請求項40~47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
前記維持用量が、
a.約0.092の閾値であるか、又はそれを上回る、前記患者からの血液試料中のAβ42/40比;及び/又は
b.1.17であるか、又はそれを下回るフロルベタピルPET SUVrレベル
を維持するように選択される用量及び/又は頻度で投与される、請求項40~48のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一部が、国立衛生研究所(National Instituted of Health)から交付された助成金第R01AG054029号、第R01AG061848号、及び第5U24AG057437-04号に基づく政府の支援を受けて行われた。連邦政府は本発明に一定の権利を有する。
【0002】
本願は、各々「BIOMARKERS FOR ALZHEIMER’S DISEASE TREATMENT」と題される、2021年7月9日に出願された米国仮特許出願第63/220,434号;2021年7月22日に出願された同第63/203,444号;2021年10月29日に出願された同第63/263,255号;2021年11月11日に出願された同第63/263,928号;2021年11月24日に出願された同第63/264,551号;2022年2月2日に出願された同第63/306,028号;2022年3月15日に出願された同第63/269,372号;及び2022年5月12日に出願された同第63/364,618号の利益及びそれに対する優先権を主張するものであり、これらの内容は、全体として参照により本明細書に明示的に援用される。
【背景技術】
【0003】
アルツハイマー病(AD)は、未知の病因の進行性神経変性障害であり、高齢者では最も一般的な形態の認知症である。2006年には、世界で2660万例のAD症例があり(範囲:1140万~5940万例)(Brookmeyer,R.,et al.,Forecasting the global burden of Alzheimer’s Disease.Alzheimer Dement.2007;3:186-91)、一方、米国では500万人を超える人がADを抱えて生きていると報告された(Alzheimer’s Association,Alzheimer’s Association report,2010 Alzheimer’s disease facts and figures.Alzheimer Dement.2010;6:158-94)。2050年までに世界全体のAD患者数は1億680万例(範囲:4720万~2億2120万例)に上ると予測され、一方、米国単独では患者数は1100万~1600万例と推定される。(Brookmeyer,前掲、及び2010 Alzheimer’s disease facts and figures,前掲)。
【0004】
この疾患には、概して認知機能の全般的な衰退が関わり、これが緩徐に進行し、末期の対象では寝たきり状態となる。AD対象は、典型的には症状の発症後僅か3~10年しか生存しないが、2年及び20年の極端な例も知られている(Hebert,L.E.,et al.,Alzheimer disease in the U.S.population:prevalence estimates using the 2000 census.Arch Neurol.2003;60:1119-1122)。死亡診断書において死因がADとされることはまれであるため、ADに起因する死亡率は大幅に低く見積もられているという事実があるにも関わらず、ADは米国におけるあらゆる死亡原因の中で7番目に多く、年齢が65歳を超えるアメリカ人の死亡原因として5番目に多い(Alzheimer’s Association.Alzheimer’s Association report.2010 Alzheimer’s disease facts and figures.Alzheimer Dement.2010;6:158-94)。
【0005】
ADは、工業先進国全般で重い経済的負担となっており、医療制度及び国庫並びに対象及びその家族に多大な影響が及んでいる。米国単独では、2010年の総支払い額は、メディケア及びメディケイドへの1230億ドルを含め、1720億ドルと推定された。
【0006】
組織学的には、この疾患は、連合皮質、辺縁系及び基底核に主に見られる老人斑を特徴とする。こうした老人斑の主要な構成成分は、アミロイドベータペプチド(Aβ)である。Aβは、様々な立体構造状態-単量体、オリゴマー、プロトフィブリル、及び不溶性フィブリルで存在する。アルツハイマー病の発症とAβ産生との間の機構的関係の詳細は不明である。しかしながら、現在、幾つかの抗Aβ抗体が、アルツハイマー病の治療用薬剤候補として臨床試験段階にある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
Aβを標的とするものを含めたAD治療の最近の進展にもかかわらず、治療有効性を評価し、及び対象の治療レジメンを調整するための非侵襲的アッセイを含め、治療をより良くモニタすることが依然として求められている。現在、疾患のモニタリングは、高価な、且つ対象の合併症リスクが増大し得るアッセイ、Aβ陽電子放射断層撮影法(PET)及び脳脊髄液(CSF)バイオマーカーアッセイに大きく依存している。
【課題を解決するための手段】
【0008】
よって、本明細書には、AD患者を選択し、モニタし、及び治療する改良された方法が開示される。一部の実施形態において、患者は、
a.対象から入手された血液試料中のアミロイドβ1-42(Aβ42)の濃度及びアミロイドβ1-40(Aβ40)の濃度を測定することにより、Aβ40に対するAβ42(Aβ42/40比)を決定すること;
b.任意選択で、対象から入手された血液試料中のリン酸化タウ181(p-タウ181)の濃度を測定すること;
c.閾値(例えば、約0.092の閾値)を下回るAβ42/40比を有し、及び、任意選択で、閾値を上回るp-タウ181濃度もまた有する患者を治療に選択すること
によって治療に選択される。
【0009】
様々な実施形態において、本方法は、アルツハイマー病(AD)を有する又は有する疑いがある対象のADを治療することを含み、これは、
a.対象から入手された第1の血液試料中のアミロイドβ1-42(Aβ42)の濃度及びアミロイドβ1-40(Aβ40)の濃度を測定することにより、Aβ40に対するAβ42の第1の比(Aβ42/40比)を決定すること;
b.任意選択で、対象から入手された第1の血液試料中のリン酸化タウ181(p-タウ181)の第1のレベルを測定すること;
c.対象に第1の治療有効用量の抗アミロイドβ(Aβ)プロトフィブリル抗体を投与すること;
d.第1の試料採取後に対象から入手された第2の血液試料中のAβ42及びAβ40の濃度を測定することにより、第2のAβ42/40比を決定すること;
e.任意選択で、対象から入手された第2の血液試料中の第2のp-タウ181レベルを測定すること;
及び
f.i)第1の比と比べて上昇した第2の比及び/又はii)第1のp-タウ181レベルよりも低い第2のp-タウ181レベルを有する対象に、第1の用量と同じか又はそれより低量の抗Aβプロトフィブリル抗体を含む第2の治療有効用量を投与すること
を含む。
【0010】
一部の実施形態において、抗Aβプロトフィブリル抗体の第1の用量が2回以上及び第2の用量が2回以上投与され、ここで第2の用量は、第1の用量と比べてより低量で及び/又は減少した頻度で投与される。
【0011】
一部の実施形態において、本方法は、ADを有する又は有する疑いがある対象のADを治療することを含み、これは、
a.対象から入手された第1の血液試料中のAβ42の濃度及びAβ40の濃度を測定することにより、Aβ40に対するAβ42の第1の比(Aβ42/40比)を決定すること;
b.任意選択で、対象から入手された第1の血液試料中のリン酸化タウ181(p-タウ181)の第1のレベルを測定すること;
c.対象に第1の治療有効用量の抗Aβプロトフィブリル抗体を投与すること;
d.第1の試料採取後に対象から入手された第2の血液試料中のAβ42及びAβ40の濃度を測定することにより、第2のAβ42/40比を決定すること;
e.任意選択で、対象から入手された第2の血液試料中の第2のp-タウ181レベルを測定すること;及び
f.i)第1の比と比べて同じ又は減少した第2の比及び/又はii)第1のp-タウ181レベルと同じであるか、又はそれより高い第2のp-タウ181レベルを有する対象に、第1の用量よりも高量の抗Aβプロトフィブリル抗体を含む第2の治療有効用量又は別のAD治療を投与すること
を含む。
【0012】
一部の実施形態において、本方法は、ADを有する又は有する疑いがある対象の脳アミロイドベータを低減することを含み、これは、
a.対象から入手された第1の血液試料中のアミロイドβ1-42(Aβ42)の濃度及びアミロイドβ1-40(Aβ40)の濃度を測定することにより、Aβ40に対するAβ42の第1の比(Aβ42/40比)を決定すること;
b.任意選択で、対象から入手された第1の血液試料中のリン酸化タウ181(p-タウ181)の第1のレベルを測定すること;
c.対象に第1の治療有効用量の抗アミロイドβ(Aβ)プロトフィブリル抗体を投与すること;
d.第1の試料採取後に対象から入手された第2の血液試料中のアミロイドβ1-42(Aβ42)及びアミロイドβ1-40(Aβ40)の濃度を測定することにより、第2のAβ42/40比を決定すること;
e.任意選択で、対象から入手された第2の血液試料中の第2のp-タウ181レベルを測定すること;
及び
f.i)第1の比と比べて上昇した第2の比及び/又はii)第1のp-タウ181レベルよりも低い第2のp-タウ181レベルを有する対象に、第1の用量と同じか又はそれより低量の抗Aβプロトフィブリル抗体を含む第2の治療有効用量を投与すること
を含み、
それによって対象の脳アミロイドベータを低減する。
【0013】
一部の実施形態において、本方法は、ADを有する又は有する疑いがある対象の脳アミロイドベータを低減することを含み、これは、
a.対象から入手された第1の血液試料中のアミロイドβ1-42(Aβ42)の濃度及びアミロイドβ1-40(Aβ40)の濃度を測定することにより、Aβ40に対するAβ42の第1の比(Aβ42/40比)を決定すること;
b.任意選択で、対象から入手された第1の血液試料中のリン酸化タウ181(p-タウ181)の第1のレベルを測定すること;
c.対象に第1の治療有効用量の抗アミロイドβ(Aβ)プロトフィブリル抗体を投与すること;
d.第1の試料採取後に対象から入手された第2の血液試料中のアミロイドβ1-42(Aβ42)及びアミロイドβ1-40(Aβ40)の濃度を測定することにより、第2のAβ42/40比を決定すること;
e.任意選択で、対象から入手された第2の血液試料中の第2のp-タウ181レベルを測定すること;
及び
f.i)第1の比と比べて同じ又は減少した第2の比及び/又はii)第1のp-タウ181レベルと同じであるか、又はそれより高い第2のp-タウ181レベルを有する対象に、第1の用量よりも高量の抗Aβプロトフィブリル抗体を含む第2の治療有効用量を投与すること
を含み、
それによって対象の脳アミロイドベータを低減する。
【0014】
一部の実施形態において、本方法は、ADを有する又は有する疑いがある対象の治療有効性をモニタすることを含み、これは、
a.対象に治療有効用量の抗Aβプロトフィブリル抗体を投与すること;
b.対象から入手された血液試料中のAβ42及びAβ40の濃度を測定することにより、Aβ42/40比を決定すること;
c.任意選択で、血液試料中のリン酸化タウ181(p-タウ181)のレベルを測定すること;
d.試料のAβ42/40比を治療前の患者からの試料中又は対照中の比と比較することであって、治療後のAβ42/40比が同じであるか、又は高くなることが、有効な治療を指示していること;及び
任意選択で、治療前の患者からの試料中又は対照中のp-タウ181レベルを比較することであって、治療後のp-タウ181レベルの減少が、有効な治療を指示していること
を含む。
【0015】
一部の実施形態において、本方法は、対象の前駆アルツハイマー病(前駆AD)を治療することを含み、これは、
a.対象から入手された血液試料中のアミロイドβ1-42(Aβ42)の濃度及びアミロイドβ1-40(Aβ40)の濃度を測定することにより、Aβ40に対するAβ42の比(Aβ42/40比)を決定すること;及び
b.約0.092の閾値を下回るAβ42/40比を有する対象に抗アミロイドβ(Aβ)プロトフィブリル抗体の治療有効用量を含む治療を投与すること、
を含み、
ここで抗Aβプロトフィブリル抗体は、配列番号7のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、配列番号8のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含み、及び対象は、少なくとも1つのADバイオマーカー(例えば、約0.092の閾値を下回るAβ42/40比)を呈するが、認知機能は正常である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】人口統計学的患者特性及び用量投与レジメンの要約表。
【
図2】コア、ギャップ及び非盲検延長(OLE)フェーズの間におけるコア治療群別及び来院時別のAβ42/40比の平均変化量。
【
図3】コア、ギャップ及びOLEフェーズの間におけるコア治療群別のAβ42/40比及びPET SUVRの平均変化量。
【
図4】コア及びOLEフェーズの間におけるPET SUVr及び血漿Aβ42/40比の変化量の要約表。
【
図5】OLEの間におけるコア治療群別のAβ42/40比及びPET SUVRの平均変化量。
【
図6】PET SUVrで測定したコアベースラインからの平均変化量は、Aβ42/40比のコアベースラインからの平均変化量と負の相関関係がある。
【
図7】PET SUVrで測定したOLEベースラインからの平均変化量は、Aβ42/40比のOLEベースラインからの平均変化量と負の相関関係がある。
【
図8】コアフェーズの間における全ての用量についてプロットした個人別の血漿Aβ42/40比及びPET SUVr変化量。
【
図9】OLEフェーズの間における全ての用量についてプロットした個人別の血漿Aβ42/40比及びPET SUVr変化量。
【
図10A】コア、ギャップ、及びOLEフェーズの間におけるPET SUVrとADCOMSの相関関係を指し示している個々の対象別のデータ。
【
図10B】コア、ギャップ、及びOLEフェーズの間におけるPET SUVrとADCOMSの相関関係を指し示している個々の対象別のデータ。
【
図11A】コア、ギャップ、及びOLEフェーズの間におけるAβ42/40比とADCOMSの相関関係を指し示している個々の対象別のデータ。
【
図11B】コア、ギャップ、及びOLEフェーズの間におけるAβ42/40比とADCOMSの相関関係を指し示している個々の対象別のデータ。
【
図12】18ヵ月を超えて治療を継続又は中断した対象の投薬量に対するAβ42/40比のデータモデル化。
【
図13】18ヵ月を超えて治療を継続又は中断した対象の投薬量に対するアミロイドPET SUVrのデータモデル化。
【
図14】治療前の個人別のAβ42/40比及びアミロイドPET値(右)及び要約プロット(左)。AHEAD3-45の対象を2つの姉妹試験:A3中間アミロイド(約20~40センチロイド)及びA45アミロイド高値(40センチロイド超)のうちの一方の群に分けた。
【
図15】コア研究の間における集団で見たADCOMS対血漿Aβ42/40比の相関関係プロット。
【
図16】コア研究の間における個人別に見たADCOMS対血漿Aβ42/40比の相関関係プロット。
【
図17】レカネマブ濃度とAβ42/40比の経時的変化との間の関係を記述するために使用されるモデル。
【
図18】血漿Aβ42/40比のCFBと臨床的有効性評価項目との間の関係を記述するために使用されるモデル。
【
図19】血清レカネマブ濃度とアミロイドSUVr減少の経時変化との間の関係を記述するために使用されるモデル。
【
図20】血漿Aβ42/40比及びアミロイドPET SUVrのベースラインからの変化量のコア研究からの患者データを使用した相関関係プロット。
【
図21】PET SUVrで測定したOLEベースラインからの平均変化量及びAβ42/40比のOLEベースラインからの平均変化量;分析には追加の患者データが含まれる。
【
図22】コア研究の間における集団で見たベースラインに対する血漿Aβ42/40比対CDR-SBの相関関係プロット。
【
図23】コア研究の間における集団で見たベースラインに対する血漿Aβ42/40比対ADAS-Cogの相関関係プロット。
【
図24】コア、ギャップ及びOLEフェーズの間におけるコア治療群別のAβ42/40比及びPET SUVRの平均変化量;分析には追加の患者データが含まれる。
【
図25】コア、ギャップ、及びOLEフェーズの間におけるPET SUVrとCDR-SBの相関関係を指し示している個々の対象別のデータ;分析には追加の患者データが含まれる。
【
図26】コア、ギャップ、及びOLEフェーズの間におけるPET SUVrとADCOMSの相関関係を指し示している個々の対象別のデータ;分析には追加の患者データが含まれる。
【
図27】コア、ギャップ、及びOLEフェーズの間におけるPET SUVrとADAS-Cogの相関関係を指し示している個々の対象別のデータ;分析には追加の患者データが含まれる。
【
図28】コア、ギャップ、及びOLEフェーズの間におけるAβ42/40比とCDR-SBの相関関係を指し示している個々の対象別のデータ;分析には追加の患者データが含まれる。
【
図29】コア、ギャップ、及びOLEフェーズの間におけるAβ42/40比とADCOMSの相関関係を指し示している個々の対象別のデータ;分析には追加の患者データが含まれる。
【
図30】コア、ギャップ、及びOLEフェーズの間におけるAβ42/40比とADAS-Cogの相関関係を指し示している個々の対象別のデータ;分析には追加の患者データが含まれる。
【
図31】コアフェーズの間における治療群別のAβ42/40比のベースラインからの平均変化量。
【
図32】OLEフェーズの間における治療群別のAβ42/40比のOLEベースラインからの平均変化量。
【
図33】コアフェーズの間における全ての用量についてプロットした個人別のベースラインからのPET SUVr及び血漿Aβ42/40比変化量。
【
図34】モデル予測による10mg/kg隔週又は10mg/kg毎月のレカネマブで18ヵ月間治療した後のSUVr及び血漿Aβ42/40比及びp-タウ181
【
図35】モデル予測による治療中断がある又はない場合の10mg/kg隔週を継続後のSUVr及び血漿Aβ42/40比及びp-タウ181。
【発明を実施するための形態】
【0017】
「アミロイド仮説」は、ADの発病にアミロイドβ(Aβ)ペプチドが中心的な役割を担っていることを提唱する。具体的には、Aβ産生とAβクリアランスとの間の不均衡に起因して脳組織にAβプラークが沈着し、それがタウタンパク質を含む神経原線維のもつれの形成につながることによってADの神経変性が引き起こされ得ると仮定されている。Aβペプチドは、概して立体構造状態の動的連続体で存在し、即ち種はモノマーAβから可溶性Aβ集合体(これには低分子量オリゴマーから、より高分子量のプロトフィブリルにまで及ぶ範囲が含まれる)へと進み、最後には不溶性の原線維(プラーク)となる傾向がある。こうした可溶性及び不溶性のAβのもつれ及びプラークを標的化することにより、治療利益がもたらされ得る。
【0018】
脳に沈着する不溶性Aβフィブリルの量を低減しようと、幾つもの免疫療法が開発されている。しかしながら、不溶性アミロイドプラークの分量及び進行性蓄積とADの臨床経過との間の単純な相関については、未だ確定されていない。治療戦略は引き続き不溶性アミロイドプラークの除去に焦点が置かれるものの、更なる療法アプローチには、ADの神経変性特徴に寄与し得るプロトフィブリルなどの毒性Aβ凝集体を低減することが含まれ得る(例えば、Dodort,J.-C.and May,P.,“Overview on rodent models of Alzheimer’s disease”.Curr.Protocols Neurosci.2005;9.22-1-9.22-6;Englund,H.et al.,“Sensitive ELISA detection of amyloid-β protofibrils in biological samples”.J.Neurochem.2007;103:334-45;及びGotz,J.et al.,“Transgenic animal models of Alzheimer’s disease and related disorders:histopathology,behavior and therapy”.Mol.Psychiat.2004;9:664-83を参照のこと)。
【0019】
様々な実施形態において、対象、例えば、疾患の初期段階にあって、脳にアミロイドが沈着しているが、そこでアミロイド沈着によって惹起されると考えられている下流の神経変性カスケードは、なおもその経過の比較的初期にある(即ち、生じている脳組織の喪失が限られており、関連する臨床的欠損が最小限である)対象における、例えばADの進行を緩徐にすることによるADの治療に、BAN2401などの抗Aβプロトフィブリル抗体、及び他の抗Aβプロトフィブリル抗体を使用し得る。
【0020】
様々な実施形態において、本明細書には、BAN2401などの抗Aβプロトフィブリル抗体の投与を受けている患者を治療し、治療をモニタし、及びAβレベルを変化させる方法であって、アミロイドβ1-40(Aβ40)及びアミロイドβ1-42(Aβ42)のレベルを評価することによりAβ40に対するAβ42の比(Aβ42/40比)を決定することを含む方法が開示される。一部の実施形態において、本方法は、ADを有する又は有する疑いがある対象からの治療前の試料(例えば、血漿試料)においてAβ42/40比を測定し、及び/又は治療中に別の試料において再び測定することを含む(しかしながら、それらの試料採取時点の合間に追加の用量が投与されることもあり得ると理解されるべきである)。一部の実施形態において、Aβ42/40比の増加は、治療有効性、例えば、脳Aβの減少を指示している。一部の実施形態において、Aβ42/40比の上昇が検出された場合には、2回目の試料採取の後に後続用量の治療が与えられる。一部の実施形態において、治療はAβ42/40比の変化に基づき用量調節されてもよく、例えば、Aβ42/40比の増加が検出された場合には、単独で、又はBACE阻害薬若しくは抗タウ抗体などの追加療法との組み合わせで投薬量又は治療頻度が低減されてもよい。一部の実施形態において、2回目の試料採取後にAβ42/40比が増加しない場合、投薬量又は治療頻度を増加させてもよく、又は別の治療が選択されてもよい。一部の実施形態において、年齢など、追加的な人口統計学的患者特性、及び対象がアポリポタンパク質E ε4遺伝子アレルの保有者かどうかを用いてアミロイド陽性を予測し得る(例えば、West et al,Mol Neurodegen(2021)16-30、Jansen et al,JAMA(2015)1924-1938、Ossenkoppele et al,JAMA(2015)1939-1950)。一部の実施形態において、年齢及び/又はアポリポタンパク質E ε4遺伝子アレルで正規化した対象からのAβ42/40比の測定値を使用して、対象からの試料(例えば、血漿試料)が対象をアミロイド陽性又は陰性であると指示しているかどうかを評価する。例えば、一部の実施形態では、アポリポタンパク質E ε4遺伝子アレルの保有者である患者は、保有者でない対象においてアミロイド陽性を指示しているとするのに必要な比よりも高いAβ42/40比でアミロイド陽性と見なし得る。同様に、別の例では、年齢の高い対象は、年齢の低い対象において陽性を指示しているとするのに必要な比よりも高いAβ42/40比でアミロイド陽性と見なし得る。一部の実施形態において、Aβ42/40を受信者動作特性(ROC)分析で使用することにより、アミロイド陽性が予測される。一部の実施形態において、年齢など、追加的な人口統計学的患者特性、及び対象がアポリポタンパク質E ε4遺伝子アレルの保有者であるかどうかを、Aβ42/40比と共にROC分析において使用することにより、アミロイド陽性であることを予測する。一部の実施形態において、患者がアミロイド陽性であるという予測を使用して、投薬量又は治療頻度が決定される。
【0021】
一部の実施形態において、本方法は、ADを有する又は有する疑いがある対象からの治療前の試料、例えば、血液試料においてAβ42/40比を測定することにより治療に好適な患者を同定すること、及び/又は治療中に別の試料において再び測定することにより治療有効性をモニタすることを含む(しかしながら、それらの試料採取時点の合間に追加の用量が投与されることもあり得ると理解されるべきである)。一部の実施形態において、第1回目と2回目との試料採取の間にAβ42/40比の増加が検出された場合、治療は中止及び/又は低減されてもよい(例えば、頻度及び/又は投薬量の低減)。一部の実施形態において、治療が中止又は低減された後、対象からの試料においてAβ42/40比の更なる測定が行われてもよい。一部の実施形態において、Aβ42/40比の減少が検出された場合、治療を再開し、投薬量を増加させ、及び/又は投与頻度を増加させる。一部の実施形態において、投薬量又は治療頻度は、例えば、用量低減及び/又は投与頻度の延長が開始された以前の、過去の治療で使用した投薬量及び/又は頻度に戻るまで増加させる。一部の実施形態において、本方法は、対象からの試料のAβ42/40比を治療中に測定し、治療の中止後又は投薬量若しくは治療頻度を低減した後に再び測定することを含む(それらの試料採取時点の合間に追加の用量が投与されることもあり得ると理解されるべきである)。一部の実施形態において、Aβ42/40比の減少が検出された場合、治療を再開するか、又は比の低下があった期間中の用量若しくは頻度と比較して投薬量若しくは治療頻度を増加させる。一部の実施形態において、治療中に測定を複数回行った後に、Aβ42/40比の上昇に基づいて(例えば、続く測定時に毎回Aβ42/40比が増加を示す傾向があることに基づいて)治療の中止及び/又は治療の低減が決断されてもよい。一部の実施形態において、治療を中止又は低減した後に複数回の測定が取られてもよく、Aβ42/40比の減少に基づいて(例えば、続く測定時に毎回Aβ42/40比が減少を示す傾向があることに基づいて)治療を再開する及び/又は治療を増加させるという決断が取られてもよい。一部の実施形態において、治療の再開後又は増加した治療レジメンの後、対象からの試料においてAβ42/40比の追加的な測定が1回以上行われてもよい。一部の実施形態において、続く測定でAβ42/40比の増加が観察される場合、治療は継続される。一部の実施形態において、Aβ42/40の測定は、1つ以上の追加のバイオマーカーの測定と併せて(例えば、治療中及び/又は治療後のアミロイドプラーク減少の指標としてPET SUVrの減少を使用して)行われる。一部の実施形態において、1回目の試料採取と、後続の、例えば、2回目、3回目、又は4回目の試料採取との間でAβ42/40比の低下が検出された場合、治療は中止されてもよい。一部の実施形態において、治療は、治療効果が低いことに起因して中止されてもよい。
【0022】
一部の実施形態において、Aβ42/40比を測定することを含む方法のいずれも、1つ以上の追加のバイオマーカーを測定すること、例えば、リン酸化タウ(P-タウ)(例えば、P-タウ181)を測定することを更に含み得る。一部の実施形態において、P-タウ(例えば、P-タウ181)の測定は、ADを有する又は有する疑いがある対象からの試料、例えば、血液試料において治療前に行われ、及び治療中に別の試料において再び行われる(しかしながら、それらの試料採取時点の合間に追加の用量が投与されることもあり得ると理解されるべきである)。一部の実施形態において、1回目と2回目の試料採取の間でP-タウ181の低下が検出された場合、治療は中止及び/又は低減されてもよい(例えば、頻度及び/又は投薬量の低減)。一部の実施形態において、治療が中止又は低減された後、対象からの試料においてP-タウ181の更なる測定が行われてもよい。一部の実施形態において、P-タウ181の増加が検出された場合、治療を再開し、投薬量を増加させ、及び/又は投与頻度を増加させる。一部の実施形態において、投薬量又は治療頻度は、例えば、用量低減及び/又は投与頻度の延長が開始された以前の、過去の治療で使用した投薬量及び/又は頻度に戻るまで増加させる。一部の実施形態において、本方法は、対象からの試料のP-タウ181を治療中に測定し、治療の中止後又は投薬量若しくは治療頻度を低減した後に再び測定することを含む(それらの試料採取時点の合間に追加の用量が投与されることもあり得ると理解されるべきである)。一部の実施形態において、P-タウ181の増加が検出された場合、治療を再開するか、又はP-タウ181のレベルの低下があった期間中の用量若しくは頻度と比較して投薬量若しくは治療頻度を増加させる。一部の実施形態において、治療中に測定を複数回行った後に、P-タウ181の低下に基づいて(例えば、続く測定時に毎回P-タウ181が低下を示す傾向があることに基づいて)治療が中止され、及び/又は治療が低減されてもよい。一部の実施形態において、治療を中止又は低減した後に複数回の測定が取られてもよく、その後、P-タウ181の増加に基づいて(例えば、続く測定時に毎回P-タウ181が増加を示す傾向があることに基づいて)治療を再開し、及び/又は治療を増加させてもよい。一部の実施形態において、治療の再開後又は増量した治療レジメンの後、対象からの試料においてP-タウ181の追加的な測定が1回以上行われてもよい。一部の実施形態において、続く測定でP-タウ181の低下が観察される場合、治療は継続される。一部の実施形態において、P-タウ181の測定は、1つ以上の追加のバイオマーカーの測定と併せて(例えば、治療中及び/又は治療後のアミロイドプラーク減少の指標としてAβ42/40比の増加を使用して)行われる。
【0023】
一部の実施形態において、対象において1回目と2回目の試料採取の間でP-タウ(例えば、P-タウ181)の低下が検出され、及びそれらの試料においてAβ42/40比の増加が検出された場合、治療を中止し、及び/又は低減する(例えば、頻度及び/又は投薬量の低減)。一部の実施形態において、対象における初期治療の中止後及び/又は低減後にP-タウ(例えば、P-タウ181)の増加が検出され、及びAβ42/40比の低下が検出された場合、治療を再開し、及び/又は増加させる(例えば、頻度及び/又は投薬量の増加)。
【0024】
一部の実施形態において、1回目の試料採取と、後続の、例えば、2回目、3回目、又は4回目の試料採取との間でP-タウ181の増加が検出された場合、治療は中止されてもよい。一部の実施形態において、治療は、治療効果が低いことに起因して中止されてもよい。
【0025】
一部の実施形態において、本明細書には、対象、例えば、前駆AD又は初期アルツハイマー病を有する対象の臨床的衰退を低減する及び/又は緩徐化する方法であって、約0.092未満のAβ42/40比を有する患者に治療有効量の少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体(例えば、BAN2401)を投与することを含む方法が提供される。一部の実施形態において、抗Aβプロトフィブリル抗体(例えば、BAN2401)は、Aβ42/40比が約0.092を上回るまで増加するような治療有効量で投与される。一部の実施形態において、Aβ42/40比が増加すると、患者(例えば、前駆AD又は初期ADを有する患者)の認知機能の衰退が、治療がないときの衰退と比べて緩徐になる。
【0026】
一部の実施形態において、治療は、抗Aβプロトフィブリル抗体を静脈内投与した後、維持用量に切り替えることを含む。一部の実施形態において、治療は、抗Aβプロトフィブリル抗体を隔週で、例えば、少なくとも18ヵ月間にわたって、又は例えば、患者がアミロイド陰性になるまで10mg/kgで静脈内投与すること(例えば、BAN2401を10mg/kgで投与すること)を含む。一部の実施形態において、治療は、抗Aβプロトフィブリル抗体を隔週で、例えば、少なくとも18ヵ月間にわたって、又は例えば、患者がアミロイド陰性になるまで10mg/kgで静脈内投与した後(例えば、BAN2401を10mg/kgで投与した後)、維持用量に切り替えることを含む。一部の実施形態において、対象は、維持用量に至るまでの初期の用量調節段階なしに維持用量に切り替えられる。一部の実施形態において、対象は、維持用量に至るまで少なくとも1段階の用量調節を経て維持用量に切り替えられ、例えば、対象の投薬量又は投与頻度は、最終的な維持用量設定レジームが実現するまで多段階で低減されてもよい(例えば、毎週720mgの皮下治療用量投与レジメンから毎週360mg又は隔週720mgの維持用量投与レジメンへの、毎週540mg又は10日毎に720mgなど、中間的な量又は期間での中間的用量設定を経る段階的低減)。一部の実施形態において、対象の維持用量は、治療期間中の用量と同じ量及び/又は頻度で投与される。一部の実施形態において、対象の維持用量は、治療期間中の用量の50%である。BAN2401などの抗Aβプロトフィブリル抗体は、PCT/IB2021/000155号明細書(国際公開第2021/186245号パンフレット)(これは参照により本明細書に援用される)に開示されるとおりの医薬組成物に製剤化されてもよい。一部の実施形態において、組成物は、80mg/mL~120mg/mL BAN2401、240mM~360mMアルギニン、0.03%w/v~0.08%w/vポリソルベート80、及び30mM~70mMクエン酸塩緩衝液を含む。一部の実施形態において、アルギニンは、アルギニン、アルギニン塩酸塩、又はこれらの組み合わせである。一部の実施形態において、組成物は、100mg/mL BAN2401、50mmol/Lクエン酸塩、350mmol/Lアルギニン、及び0.05%ポリソルベート80を含む液体投薬形態を含む。一部の実施形態において、組成物は、80mg/mL~240mg/mL BAN2401、140mM~260mMアルギニン塩酸塩、0.01%w/v~0.1%w/vポリソルベート80、及び15mM~35mMヒスチジン緩衝液を含む。一部の実施形態において、組成物は、100mg/mL BAN2401、25mmol/Lヒスチジン、200mmol/Lアルギニン、及び0.05%ポリソルベート80を含む液体投薬形態を含む。一部の実施形態において、1つ以上のバイオマーカー又は他の治療アウトカム尺度の所望の改善が実現するまで、例えば、治療前、例えば、18ヵ月間の治療の前に対象から採取された試料の比と比べて試料(例えば、血漿試料)にAβ42/40比の増加が観察されるときまで、治療は継続される。一部の実施形態において、維持用量投与レジメンは、抗Aβプロトフィブリル抗体に加えて1つ以上の追加的な治療を更に含んでもよく、例えばそれは、E2814を投与することを含み得る。
【0027】
一部の実施形態において、治療は、抗Aβプロトフィブリル抗体、例えば、BAN2401を皮下投与した後、皮下維持用量に切り替えることを含む。一部の実施形態において、治療は、例えば、患者がアミロイド陰性になるまで、又は例えば、少なくとも18ヵ月間にわたってBAN2401を毎週皮下投与すること、例えば、2回の並行して行われる360mg(2×1.8mLの400mg/2mL)の皮下製剤の注射、例えば、逐次的な注射での720mgの毎週の皮下注射を含む。一部の実施形態において、治療は、BAN2401を毎週、例えば、720mgの用量で、例えば、少なくとも18ヵ月間にわたって、又は例えば、患者がアミロイド陰性になるまで皮下投与すること、及び次に維持用量に切り替えることを含む。一部の実施形態において、治療は、BAN2401を毎週、例えば、720mgの用量で、例えば、少なくとも18ヵ月間にわたって、又は例えば、患者がアミロイド陰性になるまで皮下投与した後、毎週の皮下維持用量、例えば、360mgの用量に切り替えることを含む。一部の実施形態において、治療は、BAN2401を毎週、例えば、720mgの用量で、例えば、少なくとも18ヵ月間にわたって、又は例えば、患者がアミロイド陰性になるまで皮下投与した後、隔週の皮下維持用量、例えば、720mgの用量に切り替えることを含む。一部の実施形態において、治療は、BAN2401を毎週、例えば、720mgの用量で、例えば、少なくとも18ヵ月間にわたって、又は例えば、患者がアミロイド陰性になるまで皮下投与した後、毎月の皮下維持用量、例えば、720mgの用量に切り替えることを含む。一部の実施形態において、対象の維持用量は、治療期間中の用量と同じ量及び/又は頻度で投与される。一部の実施形態において、対象の維持用量は、治療期間中の用量の50%である。一部の実施形態において、BAN2401は、PCT/IB2021/000155号明細書(国際公開第2021/186245号パンフレット)(これは参照により本明細書に援用される)に開示されるとおり製剤化される。一部の実施形態において、組成物は、80mg/mL~240mg/mL BAN2401、140mM~260mMアルギニン塩酸塩、0.01%w/v~0.1%w/vポリソルベート80、及び15mM~35mMヒスチジン緩衝液を含む。一部の実施形態において、組成物は、200mg/mL BAN2401、25mmol/Lヒスチジン、200mmol/Lアルギニン、及び0.05%ポリソルベート80を含む液体投薬形態を含む。一部の実施形態において、治療は、BAN2401を週2回、例えば、1用量当たり720mgで、例えば、少なくとも18ヵ月間にわたって、又は例えば、患者がアミロイド陰性になるまで皮下投与することを含む。一部の実施形態において、1つ以上のバイオマーカー又は他の治療アウトカム尺度の所望の改善が実現するまで、例えば、治療前、例えば、18ヵ月間の治療の前に対象から採取された試料の比と比べて試料(例えば、血漿試料)にAβ42/40比の増加が観察されるときまで、治療は継続される。
【0028】
一部の実施形態において、治療期間に続き、維持用量が投与される。一部の実施形態において、治療は、抗Aβプロトフィブリル抗体を静脈内投与した後、静脈内維持用量に切り替えることを含む。一部の実施形態において、治療は、抗Aβプロトフィブリル抗体を隔週で、例えば、少なくとも18ヵ月間にわたって、又は例えば、患者がアミロイド陰性になるまで10mg/kgで静脈内投与した後(例えば、BAN2401を10mg/kgで投与した後)、静脈内維持用量に切り替えることを含む。一部の実施形態において、治療は、抗Aβプロトフィブリル抗体を静脈内投与した後、皮下維持用量に切り替えることを含む。一部の実施形態において、治療は、抗Aβプロトフィブリル抗体を隔週で、例えば、少なくとも18ヵ月間にわたって、又は例えば、患者がアミロイド陰性になるまで10mg/kgで静脈内投与した後(例えば、BAN2401を10mg/kgで投与した後)、皮下維持用量、例えば、毎週又は隔週で投与される720mg、又は毎週投与される360mgに切り替えることを含む。
【0029】
一部の実施形態において、維持用量は、例えば、上記に開示されるとおりの静脈内治療期間後に静脈内投与される。一部の実施形態において、静脈内維持用量、例えば、10mg/kg BAN2401の用量設定は、毎週、2週間、毎月、2ヵ月毎、又は3ヵ月毎(4分の1年毎)に投与される。一部の実施形態において、静脈内維持用量は、2週間毎に投与される。一部の実施形態において、静脈内維持用量は、4週間毎に投与される。一部の実施形態において、静脈内維持用量は、6週間毎に投与される。一部の実施形態において、静脈内維持用量は、8週間毎(2ヵ月毎)に投与される。一部の実施形態において、静脈内維持用量は、3ヵ月毎(4分の1年毎)に投与される。一部の実施形態において、静脈内維持用量は、24週間毎(6ヵ月毎又は半年毎)に投与される。一部の実施形態において、静脈内維持用量は、2.5mg/kg~10mg/kgである。一部の実施形態において、維持用量は、隔週の10mg/kg BAN2401の静脈内用量として投与される。一部の実施形態において、維持用量は、10mg/kgの静脈内用量として4週間毎に(毎月)投与される。一部の実施形態において、維持用量は、10mg/kgの静脈内用量として6週間毎に投与される。一部の実施形態において、維持用量は、10mg/kgの静脈内用量として8週間毎(2ヵ月毎)に投与される。一部の実施形態において、維持用量は、10mg/kgの静脈内用量として12週間毎(3ヵ月毎又は4分の1年毎)に投与される。一部の実施形態において、維持用量は、10mg/kgの静脈内用量として24週間毎(6ヵ月毎又は半年毎)に投与される。一部の実施形態において、治療は、抗Aβプロトフィブリル抗体を隔週で、例えば、少なくとも18ヵ月間にわたって、又は例えば、患者がアミロイド陰性になるまで10mg/kgで静脈内投与した後、毎週の静脈内維持用量に切り替えることを含む。一部の実施形態において、治療は、抗Aβプロトフィブリル抗体を隔週で、例えば、少なくとも18ヵ月間にわたって、又は例えば、患者がアミロイド陰性になるまで10mg/kgで静脈内投与した後、隔週の静脈内維持用量に切り替えることを含む。一部の実施形態において、治療は、抗Aβプロトフィブリル抗体を隔週で、例えば、少なくとも18ヵ月間にわたって、又は例えば、患者がアミロイド陰性になるまで10mg/kgで静脈内投与した後、毎月の静脈内維持用量に切り替えることを含む。一部の実施形態において、治療は、抗Aβプロトフィブリル抗体を隔週で、例えば、少なくとも18ヵ月間にわたって、又は例えば、患者がアミロイド陰性になるまで10mg/kgで静脈内投与した後、6週間毎の静脈内維持用量に切り替えることを含む。一部の実施形態において、治療は、抗Aβプロトフィブリル抗体を隔週で、例えば、少なくとも18ヵ月間にわたって、又は例えば、患者がアミロイド陰性になるまで10mg/kgで静脈内投与した後、8週間毎の静脈内維持用量に切り替えることを含む。一部の実施形態において、治療は、抗Aβプロトフィブリル抗体を隔週で、例えば、少なくとも18ヵ月間にわたって、又は例えば、患者がアミロイド陰性になるまで10mg/kgで静脈内投与した後、4分の1年毎の静脈内維持用量に切り替えることを含む。
【0030】
一部の実施形態において、維持用量は、皮下投与される(例えば、1回以上の皮下注射として投与される)。一部の実施形態において、治療は、抗Aβプロトフィブリル抗体を静脈内投与した後、皮下維持用量に切り替えることを含む。他の実施形態において、治療は、抗Aβプロトフィブリル抗体を皮下投与した後、静脈内維持用量に切り替えることを含む。一部の実施形態において、治療は、抗Aβプロトフィブリル抗体を隔週で、例えば、少なくとも18ヵ月間にわたって、又は例えば、患者がアミロイド陰性になるまで10mg/kgで静脈内投与した後(例えば、BAN2401を10mg/kgで投与した後)、皮下維持用量に切り替えることを含む。一部の実施形態において、治療は、抗Aβプロトフィブリル抗体を隔週で、例えば、少なくとも18ヵ月間にわたって、又は例えば、患者がアミロイド陰性になるまで10mg/kgで静脈内投与した後、毎週の皮下維持用量に切り替えることを含む。一部の実施形態において、治療は、抗Aβプロトフィブリル抗体を隔週で、例えば、少なくとも18ヵ月間にわたって、又は例えば、患者がアミロイド陰性になるまで10mg/kgで静脈内投与した後、毎週の360mgの皮下維持用量に切り替えることを含む。一部の実施形態において、治療は、抗Aβプロトフィブリル抗体を隔週で、例えば、少なくとも18ヵ月間にわたって、又は例えば、患者がアミロイド陰性になるまで10mg/kgで静脈内投与した後、毎週の720mgの皮下維持用量に切り替えることを含む。一部の実施形態において、治療は、抗Aβプロトフィブリル抗体を隔週で、例えば、少なくとも18ヵ月間にわたって、又は例えば、患者がアミロイド陰性になるまで10mg/kgで静脈内投与した後、隔週の720mgの皮下維持用量に切り替えることを含む。一部の実施形態において、治療は、抗Aβプロトフィブリル抗体を隔週で、例えば、少なくとも18ヵ月間にわたって、又は例えば、患者がアミロイド陰性になるまで10mg/kgで静脈内投与した後、毎月の720mgの皮下維持用量に切り替えることを含む。一部の実施形態において、治療は、抗Aβプロトフィブリル抗体を隔週で、例えば、少なくとも18ヵ月間にわたって、又は例えば、患者がアミロイド陰性になるまで10mg/kgで静脈内投与した後、4分の1年毎の720mgの皮下維持用量に切り替えることを含む。
【0031】
一部の実施形態において、患者は、抗Aβプロトフィブリル抗体を、例えば、10mg/kgの用量で静脈内投与することを含む治療を開始し、次に、抗Aβプロトフィブリル抗体を、例えば、720mgの用量で皮下投与することを含む治療(例えば、維持治療)に切り替えることになる。一部の実施形態において、患者は、抗Aβプロトフィブリル抗体を10mg/kg、隔週で静脈内投与することを含む治療を開始し、次に、BAN2401を毎週、例えば、720mgの用量で、例えば、少なくとも18ヵ月の総治療期間にわたって、又は例えば、患者がアミロイド陰性になるまで皮下投与することを含む治療に切り替えることになる。一部の実施形態において、患者は、抗Aβプロトフィブリル抗体を10mg/kg、隔週で静脈内投与することを含む治療を開始し、次に、BAN2401を毎週、例えば、720mgの用量で皮下投与した後、毎週の360mgの皮下維持用量に切り替えることを含む治療に切り替えることになる。一部の実施形態において、患者は、抗Aβプロトフィブリル抗体を10mg/kg、隔週で静脈内投与することを含む治療を開始し、次に、BAN2401を毎週、例えば、720mgの用量で皮下投与した後、毎月の720mgの皮下維持用量に切り替えることを含む治療に切り替えることになる。
【0032】
一部の実施形態において、維持用量は、抗Aβプロトフィブリル抗体(例えば、BAN2401)の皮下注射として投与される。一部の実施形態において、維持用量は、抗Aβプロトフィブリル抗体の皮下製剤の毎週の皮下注射として投与される。一部の実施形態において、維持用量は、2回の並行して行われる360mg(2×1.8mLの400mg/2mL)の皮下製剤の注射、例えば、逐次的な注射を含む毎週の720mgの皮下注射として投与される。一部の実施形態において、維持用量は、2回の並行して行われる360mg(2×1.8mLの400mg/2mL)の皮下製剤の注射、例えば、逐次的な注射を含む毎月の720mgの皮下注射として投与される。一部の実施形態において、維持用量は、2回の並行して行われる360mg(2×1.8mLの400mg/2mL)の皮下製剤の注射、例えば、逐次的な注射を含む4分の1年毎の720mgの皮下注射として投与される。一部の実施形態において、維持用量は、2回の並行して行われる360mg(2×1.8mLの400mg/2mL)の皮下製剤の注射、例えば、逐次的な注射を含む隔週の720mgの皮下注射として投与される。一部の実施形態において、維持用量は、2回の並行して行われる360mg(2×1.8mLの400mg/2mL)の皮下製剤の注射、例えば、逐次的な注射を含む毎月の720mgの皮下注射として投与される。一部の実施形態において、維持用量は、2回の並行して行われる360mg(2×1.8mLの400mg/2mL)の皮下製剤の注射、例えば、逐次的な注射を含む4分の1年毎の720mgの皮下注射として投与される。一部の実施形態において、皮下維持用量は、毎週投与される。一部の実施形態において、皮下維持用量は、2週間毎に投与される。一部の実施形態において、皮下維持用量は、4週間毎に(毎月)投与される。一部の実施形態において、皮下維持用量は、6週間毎に投与される。一部の実施形態において、皮下維持用量は、8週間毎(2ヵ月毎)に投与される。一部の実施形態において、皮下維持用量は、3ヵ月毎(12週間毎又は4分の1年毎)に投与される。一部の皮下の実施形態において、維持用量は、毎週、2週間毎、4週間毎、6週間毎、8週間毎、10週間毎、12週間毎、16週間毎、24週間毎、48週間毎、毎月、2ヵ月毎、3ヵ月毎、4ヵ月毎、6ヵ月毎、又は12ヵ月毎に投与される。一部の実施形態において、皮下維持用量は、抗Aβプロトフィブリル抗体を300mg~800mg、300mg~400mg、400mg~500mg、400mg~450mg、450mg~500mg、500mg~600mg、500mg~550mg、550mg~600mg、600mg~700mg、600mg~650mg、650mg~700mg、700mg~800mg、700mg~750mg、又は750mg~800mgの用量で含む。一部の実施形態において、維持用量は、300mg、310mg、320mg、330mg、340mg、350mg、360mg、370mg、380mg、又は390mgである。一部の実施形態において、維持用量は、400mg、410mg、420mg、430mg、440mg、450mg、460mg、470mg、480mg、又は490mgである。一部の実施形態において、維持用量は、500mg、510mg、520mg、530mg、540mg、550mg、560mg、570mg、580mg、又は590mgである。一部の実施形態において、維持用量は、600mg、610mg、620mg、630mg、640mg、650mg、660mg、670mg、680mg、又は690mgである。一部の実施形態において、維持用量は、700mg、710mg、720mg、730mg、740mg、750mg、760mg、770mg、780mg、又は790mgである。一部の実施形態において、維持用量は、800mg~1600mg、800mg~1000mg、800mg~900mg、900mg~1000mg、1000mg~1200mg、1000mg~1100mg、1100mg~1200mg、1200mg~1400mg、1200mg~1300mg、1300mg~1400mg、1400mg~1600mg、1400mg~1500mg、又は1500mg~16000mgである。一部の実施形態において、維持用量は、800mg、820mg、840mg、860mg、880mg、900mg、920mg、940mg、960mg、又は980mgである。一部の実施形態において、維持用量は、1000mg、1020mg、1040mg、1060mg、1080mg、1100mg、1120mg、1140mg、1160mg、又は1180mgである。一部の実施形態において、維持用量は、1200mg、1220mg、1240mg、1260mg、1280mg、1300mg、1320mg、1340mg、1360mg、又は1380mgである。一部の実施形態において、維持用量は、1400mg、1420mg、1440mg、1460mg、1480mg、1500mg、1520mg、1540mg、1560mg、又は1580mgである。一部の実施形態において、維持用量は単回投与で提供され、例えば、720又は1440mgの単回皮下注射として投与されるか、又は2回以上の投与、例えば、2回の並行して行われる360mgで合計720mgの投与又は2回の720mgで合計1440mgの投与、又は4回の360mgで合計1440mgの投与で提供される。一部の実施形態において、維持用量は、440mgである。一部の実施形態において、維持用量は、580mgである。一部の実施形態において、維持用量は、720mgの単回投与又は2回の360mgの投与として投与される。一部の実施形態において、維持用量は、1440mgである。一部の実施形態において、維持用量は、毎週の720mgの皮下注射として投与される。一部の実施形態において、維持用量は、毎週の360mgの皮下注射として投与される。一部の実施形態において、維持用量は、隔週の720mgの皮下注射として投与される。一部の実施形態において、維持用量は、隔週の1440mgの皮下注射として投与される。一部の実施形態において、維持用量は、2回の並行して行われる720mgで合計1440mgの皮下製剤の投与、例えば、逐次的な投与を含む単回の1440mgの隔週投与で提供される。
【0033】
一部の実施形態において、治療は、抗Aβプロトフィブリル抗体、例えば、BAN2401を皮下投与した後、静脈内維持用量に切り替えることを含む。一部の実施形態において、治療は、例えば、患者がアミロイド陰性になるまで、又は例えば、少なくとも18ヵ月間にわたってBAN2401を毎週皮下投与すること、例えば、2回の並行して行われる360mg(2×1.8mLの400mg/2mL)の注射、例えば、逐次的な注射を含む720mgの皮下注射を含む。一部の実施形態において、治療は、BAN2401を毎週、例えば、720mgの用量で、例えば、少なくとも18ヵ月間にわたって、又は例えば、患者がアミロイド陰性になるまで皮下投与すること、及び次に維持用量に切り替えることを含む。一部の実施形態において、治療は、BAN2401を毎週、例えば、720mgの用量で、例えば、少なくとも18ヵ月間にわたって、又は例えば、患者がアミロイド陰性になるまで皮下投与した後、毎週10mg/kgの静脈内維持用量に切り替えることを含む。一部の実施形態において、治療は、BAN2401を毎週、例えば、720mgの用量で、例えば、少なくとも18ヵ月間にわたって、又は例えば、患者がアミロイド陰性になるまで皮下投与した後、隔週で10mg/kgの静脈内維持用量に切り替えることを含む。一部の実施形態において、治療は、BAN2401を毎週、例えば、720mgの用量で、例えば、少なくとも18ヵ月間にわたって、又は例えば、患者がアミロイド陰性になるまで皮下投与した後、毎月10mg/kgの静脈内維持用量に切り替えることを含む。一部の実施形態において、治療は、BAN2401を毎週、例えば、720mgの用量で、例えば、少なくとも18ヵ月間にわたって、又は例えば、患者がアミロイド陰性になるまで皮下投与した後、6週間毎に10mg/kgの静脈内維持用量に切り替えることを含む。一部の実施形態において、治療は、BAN2401を毎週、例えば、720mgの用量で、例えば、少なくとも18ヵ月間にわたって、又は例えば、患者がアミロイド陰性になるまで皮下投与した後、8週間毎に10mg/kgの静脈内維持用量に切り替えることを含む。一部の実施形態において、治療は、BAN2401を毎週、例えば、720mgの用量で、例えば、少なくとも18ヵ月間にわたって、又は例えば、患者がアミロイド陰性になるまで皮下投与した後、4分の1年毎に10mg/kgの静脈内維持用量に切り替えることを含む。一部の実施形態において、対象の維持用量は、治療期間中の用量と同じ量及び/又は頻度で投与される。一部の実施形態において、対象の維持用量は、治療期間中の用量の50%である。
【0034】
一部の実施形態において、維持用量は、例えば、上記に開示されるとおりの静脈内治療期間後に静脈内投与される。一部の実施形態において、静脈内維持用量、例えば、10mg/kg BAN2401の用量設定は、毎週、2週間、毎月、2ヵ月毎、又は3ヵ月毎(4分の1年毎)に投与される。一部の実施形態において、静脈内維持用量は、2週間毎に投与される。一部の実施形態において、静脈内維持用量は、4週間毎に投与される。一部の実施形態において、静脈内維持用量は、6週間毎に投与される。一部の実施形態において、静脈内維持用量は、8週間毎(2ヵ月毎)に投与される。一部の実施形態において、静脈内維持用量は、3ヵ月毎(4分の1年毎)に投与される。一部の実施形態において、静脈内維持用量は、24週間毎(6ヵ月毎又は半年毎)に投与される。一部の実施形態において、静脈内維持用量は、2.5mg/kg~10mg/kgである。一部の実施形態において、維持用量は、隔週の10mg/kg BAN2401の静脈内用量として投与される。一部の実施形態において、維持用量は、10mg/kgの静脈内用量として4週間毎に(毎月)投与される。一部の実施形態において、維持用量は、10mg/kgの静脈内用量として6週間毎に投与される。一部の実施形態において、維持用量は、10mg/kgの静脈内用量として8週間毎(2ヵ月毎)に投与される。一部の実施形態において、維持用量は、10mg/kgの静脈内用量として12週間毎(3ヵ月毎又は4分の1年毎)に投与される。一部の実施形態において、維持用量は、10mg/kgの静脈内用量として24週間毎(6ヵ月毎又は半年毎)に投与される。一部の実施形態において、治療は、抗Aβプロトフィブリル抗体を隔週で、例えば、少なくとも18ヵ月間にわたって、又は例えば、患者がアミロイド陰性になるまで10mg/kgで静脈内投与した後、毎週の静脈内維持用量に切り替えることを含む。一部の実施形態において、治療は、抗Aβプロトフィブリル抗体を隔週で、例えば、少なくとも18ヵ月間にわたって、又は例えば、患者がアミロイド陰性になるまで10mg/kgで静脈内投与した後、隔週の静脈内維持用量に切り替えることを含む。一部の実施形態において、治療は、抗Aβプロトフィブリル抗体を隔週で、例えば、少なくとも18ヵ月間にわたって、又は例えば、患者がアミロイド陰性になるまで10mg/kgで静脈内投与した後、毎月の静脈内維持用量に切り替えることを含む。一部の実施形態において、治療は、抗Aβプロトフィブリル抗体を隔週で、例えば、少なくとも18ヵ月間にわたって、又は例えば、患者がアミロイド陰性になるまで10mg/kgで静脈内投与した後、6週間毎の静脈内維持用量に切り替えることを含む。一部の実施形態において、治療は、抗Aβプロトフィブリル抗体を隔週で、例えば、少なくとも18ヵ月間にわたって、又は例えば、患者がアミロイド陰性になるまで10mg/kgで静脈内投与した後、8週間毎の静脈内維持用量に切り替えることを含む。一部の実施形態において、治療は、抗Aβプロトフィブリル抗体を隔週で、例えば、少なくとも18ヵ月間にわたって、又は例えば、患者がアミロイド陰性になるまで10mg/kgで静脈内投与した後、4分の1年毎の静脈内維持用量に切り替えることを含む。
【0035】
一部の実施形態において、患者は静脈内維持用量、例えば、上記に開示されるとおりの10mg/kg BAN2401の用量設定で開始した後、皮下維持用量、例えば、2回の並行して行われる360mg(2×1.8mLの400mg/2mL)の皮下製剤の注射、例えば、逐次的な注射を含む720mgの皮下注射に切り替える。一部の実施形態において、患者は、皮下維持用量、例えば、2回の並行して行われる360mg(2×1.8mLの400mg/2mL)の皮下製剤の注射、例えば、逐次的な注射を含む720mgの皮下注射で開始した後、静脈内維持用量、例えば、上記に開示されるとおりの10mg/kg BAN2401の用量設定に切り替える。
【0036】
一部の実施形態において、例えば、維持用量への切り替え後に採取した血液試料において約0.092を下回るAβ42/40比が測定されることにより判定したとき、及び/又はPET SUVrにより決定したとき、患者がもはやアミロイド陰性でないと決定された場合、患者は維持用量から初期治療用量に戻される。一部の実施形態において、例えば、維持用量への切り替え後に採取した血液試料において0.092を下回るAβ42/40比が測定されることにより判定したとき、患者がもはやアミロイド陰性でないと決定された場合、患者の治療は中断される。
【0037】
一部の実施形態において、維持用量は、少なくとも3ヵ月毎(例えば、4分の1年毎)又は12週間毎に投与される。一部の実施形態において、維持用量への切り替え後、対象からの試料(例えば、血漿試料)においてAβ42/40比が測定される。一部の実施形態において、維持用量及び/又は頻度は、初期治療の完了後(例えば、18ヵ月間の治療後)に実現したAβ42/40比が維持されるように選択される。一部の実施形態において、維持用量及び/又は頻度は、Aβ42/40比が0.092~0.094に又はそれを上回って(例えば、0.092に又はそれを上回って)維持されるように選択される。一部の実施形態において、維持用量及び/又は頻度は、Aβ42/40比が0.092を上回って維持されるように選択される。一部の実施形態において、Aβ42/40比が変化しないままであるか、又は増加する場合、維持用量が継続される。一部の実施形態において、維持用量で治療中、患者のアミロイドレベルが、例えば、血液バイオマーカーによってモニタされてもよい。一部の実施形態において、維持用量で治療中、患者のアミロイドレベルが、限定はされないが:(a)PETスキャンによって目視読影又は半定量的閾値(SUVr又はセンチロイド)のいずれかから検出されるアミロイド;(b)脳脊髄液(CSF)Aβ1-42、及び/又はAβ1-42/1-40比;及び/又は(c)血液バイオマーカー(血漿Aβ1-42、総タウ(T-タウ)、及び/又はリン酸化タウ(P-タウ)(例えば、P-タウ181)など)など、1つ以上のバイオマーカーによってモニタされてもよい。一部の実施形態において、患者のバイオマーカーは、維持用量への切り替え後に少なくとも1回モニタされてもよい。一部の実施形態において、患者のバイオマーカーは、維持用量への切り替えから少なくとも1週間、2週間、3週間、1ヵ月、2ヵ月、3ヵ月、6ヵ月、12ヵ月、18ヵ月、又は24ヵ月経った後に評価される。一部の実施形態において、対象は、1つ以上のバイオマーカーが悪化した場合、例えば初期治療期間の終了時(例えば、治療の開始後18ヵ月)の試料において測定される比と比べてAβ42/40比が減少した場合、元の用量設定(例えば、隔週10mg/kg BAN2401)に戻される。一部の実施形態において、1つ以上のバイオマーカーが悪化した場合、例えば、初期治療期間の終了時(例えば、治療の開始後18ヵ月)の試料において測定される比と比べてAβ42/40比が減少した場合、対象には、より高い用量が投与される(例えば、維持用量の50%の増加)。一部の実施形態において、1つ以上のバイオマーカーが悪化した場合、例えば、初期治療期間の終了時(例えば、治療の開始後18ヵ月)の試料において測定される比と比べてAβ42/40比が減少した場合、対象には、治療がより高い頻度で投与される(例えば、隔週投与から毎週投与への変更)。
【0038】
一部の実施形態において、対象の維持用量は、治療期間中の用量と同じである。一部の実施形態において、維持用量は、患者がApoE4保有者かどうかに基づいて(例えば、Aβ42/40比の変化の評価と併せて)選択され、例えば、保有者は非保有者と比べて初期治療から維持用量への移行にAβ42/40比のより大きい増加が要求される。一部の実施形態において、維持用量は2つ以上の用量設定を含み、ここでは第1の用量設定が、上記に例示したとおりの維持用量から選択され、第2の及び/又は後に続く用量設定が、それぞれ第1の又は前の用量設定と比べて低い量及び/又は頻度の用量設定を含む。一部の実施形態において、第2の又は後に続く用量設定への切り替えは、上記に例示したとおりの1つ以上のバイオマーカーに基づいて決定され、ここでバイオマーカーのレベルは、初期用量から維持用量における第1の用量設定への切替えで用いられたレベルと異なる(例えば、それと比べて改善されている)。
【0039】
一部の実施形態において、維持用量への切り替え後、対象のバイオマーカーレベルは、脳内のアミロイドレベルの増加を指し示すことになる。一部の実施形態において、維持用量への切り替え後、対象のバイオマーカーレベル、例えば血漿Aβ42/40比は低下し始め、脳内のアミロイドレベルの増加を指し示すことになる。一部の実施形態において、維持用量服用中の対象は、Aβ42/40比の低下を呈することになる。一部の実施形態において、対象には、対象がAβ42/40比の低下を呈することになるが、Aβ42/40比はアミロイド陽性の閾値を例えば少なくとも1年間(例えば、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10年間)にわたって下回ったままであるように選択される維持用量が処方される。
【0040】
一部の実施形態において、維持用量への切り替え後、対象のバイオマーカーレベル、例えばp-タウ181は増加し始め、脳内のアミロイドレベルが増加していることを指し示すことになる。一部の実施形態において、維持用量服用中の対象は、血漿p-タウ181の増加を呈することになる。一部の実施形態において、維持用量服用中の対象はp-タウ181の増加を呈することになるが、レベルp-タウ181はアミロイド陽性の閾値を例えば少なくとも1年間(例えば、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10年間)にわたって上回ったままである。
【0041】
一部の実施形態において、例えば、認知機能評価、PET SUVr、及び/又はAβ42/40比などの血漿バイオマーカーにより判定したときに患者がもはや初期ADを有しない場合(例えば、Aβ42/40比が0.092を下回るまで下がった場合及び/又はフロルベタピルを使用して測定したときSUVr陰性が1.17を上回るまで増加した場合)、患者の治療は中断される。
【0042】
一部の実施形態において、有利なバイオマーカーレベルが実現した場合、治療は中断される。一部の実施形態において、初期治療の完了後に有利なバイオマーカーレベルが実現した場合、治療は中断される。一部の実施形態において、維持用量設定の間に(例えば、6ヵ月又は1年など、設定された期間にわたって)有利なバイオマーカーレベルが実現した及び/又は維持されている場合、治療は中断される。一部の実施形態において、例えば、初期治療の完了後又は維持用量投与レジメンの間に、高いAβ42/40比(例えば、0.09、0.091、0.092、0.093、0.094、0.095、0.096、0.097、0.099、0.1であるか、又はおよそその値であるAβ42/40比)が実現した場合、治療は中断される。一部の実施形態において、0.092の、又はそれを上回るAβ42/40比が実現した場合、治療は中断される。一部の実施形態において、0.092を上回るAβ42/40比が実現した場合、治療は中断される。一部の実施形態において、初期治療の完了後に又は維持用量投与レジメンの間に、SUVrアミロイド陰性レベルがフロルベタピルを使用して測定したとき1.17であるか、又はそれを下回る場合、治療は中断される。
【0043】
一部の実施形態において、維持治療に設定された期間(例えば、6ヵ月又は1年)の完了後に有利なバイオマーカーレベルが実現した場合、維持用量は中断される。一部の実施形態において、高いAβ42/40比(例えば、0.09、0.091、0.092、0.093、0.094、0.095、0.096、0.097、0.099、0.1であるか、又はおよそその値であるAβ42/40比)が実現した場合、維持用量は中断される。一部の実施形態において、0.092の、又はそれを上回るAβ42/40比が実現した場合、維持用量は中断される。一部の実施形態において、0.092を上回るAβ42/40比が実現した場合、維持用量は中断される。一部の実施形態において、SUVrアミロイド陰性レベルがフロルベタピルを使用して測定したとき1.17であるか、又はそれを下回る場合、維持用量は中断される。
【0044】
一部の実施形態において、維持治療の経過中に有利なバイオマーカーレベルが維持されない場合(例えば、Aβ42/40比が約0.092を下回るまで下がった場合、及び/又はフロルベタピルを使用して測定したときSUVr陰性が1.17を上回るまで増加した場合)、維持用量は中断される。一部の実施形態において、維持治療の経過中に有利なバイオマーカーレベルが維持されない場合(例えば、Aβ42/40比が0.092を下回るまで下がった場合及び/又はフロルベタピルを使用して測定したときSUVr陰性が1.17を上回るまで増加した場合)、維持用量は中断される。
【0045】
一部の実施形態において、治療中断後、患者のアミロイドレベルが退縮に関して、例えば、血液バイオマーカーによりモニタされてもよい。一部の実施形態において、治療中断後、患者のアミロイドレベルが退縮に関して、限定はされないが:(a)PETスキャンによって目視読影又は半定量的閾値(SUVr又はセンチロイド)のいずれかから検出されるアミロイド;(b)脳脊髄液(CSF)Aβ1-42、及び/又はAβ1-42/1-40比;及び/又は(c)血液バイオマーカー(血漿Aβ1-42、タウ、総タウ(T-タウ)、及び/又はP-タウ(例えば、P-タウ181)など)など、1つ以上のバイオマーカーによりモニタされてもよい。一部の実施形態において、患者のバイオマーカーは、治療中断後に少なくとも1回モニタされてもよい。一部の実施形態において、患者のバイオマーカーは、治療中断から少なくとも1週間、2週間、3週間、1ヵ月、2ヵ月、3ヵ月、6ヵ月、12ヵ月、18ヵ月、又は24ヵ月経った後にモニタされる。一部の実施形態において、患者のバイオマーカーレベルがあまり有利でなくなった場合(例えば、Aβ42/40比の、例えば、約0.092未満への減少)、治療が再び開始される。一部の実施形態において、患者のバイオマーカーレベルがあまり有利でなくなった場合(例えば、Aβ42/40比の、例えば、0.092未満への減少)、治療が再び開始される。
【0046】
一部の実施形態において、維持用量は、少なくとも3ヵ月毎に(例えば、3ヵ月毎、2ヵ月毎、毎月、隔週、又は毎週)投与される。一部の実施形態において、維持用量及び/又は頻度は、初期治療の完了後に実現したPET SUVrレベルが維持されるように選択される。一部の実施形態において、維持用量は、アミロイド陰性であるか、又はそれを下回るPET SUVrレベル(例えばフロルベタピルについて、1.17のPET SUVr)が維持されるように選択される。
【0047】
一部の実施形態において、対象は、初期ADと診断されている。一部の実施形態において、対象は、アルツハイマー病による軽度認知障害-可能性が中等度を有すると診断されている、及び/又は軽度アルツハイマー病型認知症を有すると診断されている。
【0048】
一部の実施形態において、本治療方法は、対象から入手された第1の血液試料中のアミロイドβ1-42(Aβ42)の濃度及びアミロイドβ1-40(Aβ40)の濃度を測定することにより、Aβ40に対するAβ42の第1の比(Aβ42/40比)を決定することを含む。一部の実施形態において、次に対象に治療有効用量の抗アミロイドβ(Aβ)プロトフィブリル抗体が投与される。一部の実施形態において、第1の試料の後に第2の血液試料が入手され、第2のAβ42/40比が決定される。一部の実施形態において、第2の血液試料は、治療が中止された後又は低減された後に対象から入手される。一部の実施形態において、Aβ42/40比の変化を用いて第2の治療有効用量が決定される。一部の実施形態において、第1の比と比べて上昇した第2の比を有する対象には、その対象に対する第1の用量と同じか又はそれより低量の抗Aβプロトフィブリル抗体を含む第2の治療有効用量が投与される。一部の実施形態において、第1の比と比べて低い第2の比を有する対象には、第1の用量よりも高量の抗Aβプロトフィブリル抗体を含む第2の治療有効用量が投与される。一部の実施形態において、第1の比と比べて低い第2の比を有する対象には、別のAD治療が投与される。第1の治療有効用量が複数回(例えば、6~18ヵ月間にわたって隔週又は毎月)投与された後、第2のAβ42/40比の測定後に第2の治療有効用量又は用量投与レジメンに変更されてもよい。一部の実施形態において、第1の治療有効用量が少なくとも18ヵ月間にわたって投与された後、維持用量に切り替えられてもよい。一部の実施形態において、患者がアミロイド陰性になるまで第1の治療有効用量が投与された後、維持用量に切り替えられてもよい。一部の実施形態において、患者がアミロイド陰性になるまで(例えば、アミロイド又はタウ陽電子放射断層撮影法(PET)、脳脊髄液Aβ1-42レベル及び/又はAβ1-42/1-40比、脳脊髄液総タウレベル、脳脊髄液ニューログラニンレベル、脳脊髄液神経フィラメント軽鎖ペプチド(NfL)レベル、及び血清中又は血漿中で測定したときの血液バイオマーカー(例えば、Aβ1-42レベル、2つの形態のアミロイド-βペプチドの比(Aβ1-42/1-40比)、血漿総タウ(T-タウ)の血漿レベル、リン酸化タウ(P-タウ)アイソフォームのレベル(181(P-タウ181)、217(P-タウ217)、及び231(P-タウ231)でリン酸化したタウを含む)、グリア線維性酸性タンパク質(GFAP)、及び/又は神経フィラメント軽鎖(NfL)で測定したとき)第1の治療有効用量が投与された後、維持用量に切り替えられてもよい。一部の実施形態において、患者が例えば0.092~0.094であるか又はそれを上回る(例えば、0.092であるか又はそれを上回る)Aβ42/40比によって測定されるとおりのアミロイド陰性になるまで、又は1.17であるか若しくはそれを下回るフロルベタピルアミロイドPET SUVr陰性になるまで第1の治療有効用量が投与された後、維持用量に切り替えられてもよい。一部の実施形態において、患者が例えば0.092を上回るAβ42/40比によって測定されるとおりのアミロイド陰性になるまで、又は1.17であるか若しくはそれを下回るフロルベタピルアミロイドPET SUVr陰性になるまで第1の治療有効用量が投与された後、維持用量に切り替えられてもよい。一部の実施形態において、第1の治療有効用量は、抗Aβプロトフィブリル抗体を隔週で、例えば、少なくとも18ヵ月間にわたって、又は例えば、患者がアミロイド陰性になるまで10mg/kgで静脈内投与した後(例えば、BAN2401を10mg/kgで投与した後)、維持用量に切り替えることを含む。
【0049】
一部の実施形態において、第1の治療有効用量は、抗Aβプロトフィブリル抗体を隔週で、例えば、少なくとも18ヵ月間にわたって、又は例えば、患者がアミロイド陰性になるまで10mg/kgで静脈内投与した後(例えば、BAN2401を10mg/kgで投与した後)、静脈内維持用量(例えば、10mg/kgで、例えば、隔週、又は4、6、8、10、若しくは12週間毎)に切り替えることを含む。一部の実施形態において、第1の治療有効用量は、抗Aβプロトフィブリル抗体を隔週で、例えば、少なくとも18ヵ月間にわたって、又は例えば、患者がアミロイド陰性になるまで10mg/kgで静脈内投与した後(例えば、BAN2401を10mg/kgで投与した後)、隔週の静脈内維持用量に切り替えることを含む。一部の実施形態において、第1の治療有効用量は、抗Aβプロトフィブリル抗体を隔週で、例えば、少なくとも18ヵ月間にわたって、又は例えば、患者がアミロイド陰性になるまで10mg/kgで静脈内投与した後(例えば、BAN2401を10mg/kgで投与した後)、毎月の静脈内維持用量に切り替えることを含む。一部の実施形態において、第1の治療有効用量は、抗Aβプロトフィブリル抗体を隔週で、例えば、少なくとも18ヵ月間にわたって、又は例えば、患者がアミロイド陰性になるまで10mg/kgで静脈内投与した後(例えば、BAN2401を10mg/kgで投与した後)、6週間毎の静脈内維持用量に切り替えることを含む。一部の実施形態において、第1の治療有効用量は、抗Aβプロトフィブリル抗体を隔週で、例えば、少なくとも18ヵ月間にわたって、又は例えば、患者がアミロイド陰性になるまで10mg/kgで静脈内投与した後(例えば、BAN2401を10mg/kgで投与した後)、8週間毎の静脈内維持用量に切り替えることを含む。一部の実施形態において、第1の治療有効用量は、抗Aβプロトフィブリル抗体を隔週で、例えば、少なくとも18ヵ月間にわたって、又は例えば、患者がアミロイド陰性になるまで10mg/kgで静脈内投与した後(例えば、BAN2401を10mg/kgで投与した後)、2ヵ月毎の静脈内維持用量に切り替えることを含む。一部の実施形態において、第1の治療有効用量は、抗Aβプロトフィブリル抗体を隔週で、例えば、少なくとも18ヵ月間にわたって、又は例えば、患者がアミロイド陰性になるまで10mg/kgで静脈内投与した後(例えば、BAN2401を10mg/kgで投与した後)、4分の1年毎の静脈内維持用量に切り替えることを含む。
【0050】
一部の実施形態において、第1の治療有効用量は、抗Aβプロトフィブリル抗体を毎週、例えば、少なくとも18ヵ月間にわたって、又は例えば、患者がアミロイド陰性になるまで720mgで皮下投与した後(例えば、BAN2401を720mgで投与した後)、皮下維持用量(例えば、720mgで、例えば、毎週、隔週、又は4、6、8、10、若しくは12週間毎)に切り替えることを含む。一部の実施形態において、維持用量は、毎週360mgである。
【0051】
一部の実施形態において、第1の治療有効用量は、抗Aβプロトフィブリル抗体を隔週で、例えば、少なくとも18ヵ月間にわたって、又は例えば、患者がアミロイド陰性になるまで10mg/kgで静脈内投与した後(例えば、BAN2401を10mg/kgで投与した後)、毎週の皮下維持用量(例えば、720mgの用量)に切り替えることを含む。一部の実施形態において、第1の治療有効用量は、抗Aβプロトフィブリル抗体を隔週で、例えば、少なくとも18ヵ月間にわたって、又は例えば、患者がアミロイド陰性になるまで10mg/kgで静脈内投与した後(例えば、BAN2401を10mg/kgで投与した後)、毎週の皮下維持用量(例えば、360mgの用量)に切り替えることを含む。一部の実施形態において、第1の治療有効用量は、抗Aβプロトフィブリル抗体を隔週で、例えば、少なくとも18ヵ月間にわたって、又は例えば、患者がアミロイド陰性になるまで10mg/kgで静脈内投与した後(例えば、BAN2401を10mg/kgで投与した後)、隔週の皮下維持用量(例えば、720mgの用量又は360mgの用量)に切り替えることを含む。一部の実施形態において、第1の治療有効用量は、抗Aβプロトフィブリル抗体を隔週で、例えば、少なくとも18ヵ月間にわたって、又は例えば、患者がアミロイド陰性になるまで10mg/kgで静脈内投与した後(例えば、BAN2401を10mg/kgで投与した後)、毎月の皮下維持用量(例えば、720mgの用量又は360mgの用量)に切り替えることを含む。一部の実施形態において、第1の治療有効用量は、抗Aβプロトフィブリル抗体を隔週で、例えば、少なくとも18ヵ月間にわたって、又は例えば、患者がアミロイド陰性になるまで10mg/kgで静脈内投与した後(例えば、BAN2401を10mg/kgで投与した後)、6週間毎の皮下維持用量(例えば、720mgの用量又は360mgの用量)に切り替えることを含む。一部の実施形態において、第1の治療有効用量は、抗Aβプロトフィブリル抗体を隔週で、例えば、少なくとも18ヵ月間にわたって、又は例えば、患者がアミロイド陰性になるまで10mg/kgで静脈内投与した後(例えば、BAN2401を10mg/kgで投与した後)、8週間毎の皮下維持用量(例えば、720mgの用量又は360mgの用量)に切り替えることを含む。一部の実施形態において、第1の治療有効用量は、抗Aβプロトフィブリル抗体を隔週で、例えば、少なくとも18ヵ月間にわたって、又は例えば、患者がアミロイド陰性になるまで10mg/kgで静脈内投与した後(例えば、BAN2401を10mg/kgで投与した後)、2ヵ月毎の皮下維持用量(例えば、720mgの用量又は360mgの用量)に切り替えることを含む。一部の実施形態において、第1の治療有効用量は、抗Aβプロトフィブリル抗体を隔週で、例えば、少なくとも18ヵ月間にわたって、又は例えば、患者がアミロイド陰性になるまで10mg/kgで静脈内投与した後(例えば、BAN2401を10mg/kgで投与した後)、4分の1年毎の皮下維持用量(例えば、720mgの用量又は360mgの用量)に切り替えることを含む。
【0052】
一部の実施形態において、第1の治療有効用量は、抗Aβプロトフィブリル抗体を毎週、例えば、少なくとも18ヵ月間にわたって、又は例えば、患者がアミロイド陰性になるまで皮下投与すること、例えば、ある所与の週に2回の並行して行われる360mg(2×1.8mLの400mg/2mL)の皮下製剤の注射、例えば、逐次的な注射を含む720mgの皮下注射の後、毎週の皮下維持用量(例えば、720mgの用量又は360mgの用量)に切り替えることを含む。一部の実施形態において、第1の治療有効用量は、抗Aβプロトフィブリル抗体を毎週、例えば、少なくとも18ヵ月間にわたって、又は例えば、患者がアミロイド陰性になるまで皮下投与すること、例えば、ある所与の週に2回の並行して行われる360mg(2×1.8mLの400mg/2mL)の皮下製剤の注射、例えば、逐次的な注射を含む720mgの皮下注射の後、隔週の皮下維持用量(例えば、720mgの用量)に切り替えることを含む。一部の実施形態において、第1の治療有効用量は、抗Aβプロトフィブリル抗体を毎週、例えば、少なくとも18ヵ月間にわたって、又は例えば、患者がアミロイド陰性になるまで皮下投与すること、例えば、ある所与の週に2回の並行して行われる360mg(2×1.8mLの400mg/2mL)の皮下製剤の注射、例えば、逐次的な注射を含む720mgの皮下注射の後、毎週の皮下維持用量(例えば、360mgの単回用量)に切り替えることを含む。一部の実施形態において、第1の治療有効用量は、抗Aβプロトフィブリル抗体を毎週、例えば、少なくとも18ヵ月間にわたって、又は例えば、患者がアミロイド陰性になるまで皮下投与すること、例えば、ある所与の週に2回の並行して行われる360mg(2×1.8mLの400mg/2mL)の皮下製剤の注射、例えば、逐次的な注射を含む720mgの皮下注射の後、毎月の皮下維持用量(例えば、720mgの用量)に切り替えることを含む。一部の実施形態において、第1の治療有効用量は、抗Aβプロトフィブリル抗体を毎週、例えば、少なくとも18ヵ月間にわたって、又は例えば、患者がアミロイド陰性になるまで皮下投与すること、例えば、ある所与の週に2回の並行して行われる360mg(2×1.8mLの400mg/2mL)の皮下製剤の注射、例えば、逐次的な注射を含む720mgの皮下注射の後、6週間毎の皮下維持用量(例えば、720mgの用量)に切り替えることを含む。一部の実施形態において、第1の治療有効用量は、抗Aβプロトフィブリル抗体を毎週、例えば、少なくとも18ヵ月間にわたって、又は例えば、患者がアミロイド陰性になるまで皮下投与すること、例えば、ある所与の週に2回の並行して行われる360mg(2×1.8mLの400mg/2mL)の皮下製剤の注射、例えば、逐次的な注射を含む720mgの皮下注射の後、8週間毎の皮下維持用量(例えば、720mgの用量)に切り替えることを含む。一部の実施形態において、第1の治療有効用量は、抗Aβプロトフィブリル抗体を毎週、例えば、少なくとも18ヵ月間にわたって、又は例えば、患者がアミロイド陰性になるまで皮下投与すること、例えば、ある所与の週に2回の並行して行われる360mg(2×1.8mLの400mg/2mL)の皮下製剤の注射、例えば、逐次的な注射を含む720mgの皮下注射の後、2ヵ月毎の皮下維持用量(例えば、720mgの用量)に切り替えることを含む。一部の実施形態において、第1の治療有効用量は、抗Aβプロトフィブリル抗体を毎週、例えば、少なくとも18ヵ月間にわたって、又は例えば、患者がアミロイド陰性になるまで皮下投与すること、例えば、ある所与の週に2回の並行して行われる360mg(2×1.8mLの400mg/2mL)の皮下製剤の注射、例えば、逐次的な注射を含む720mgの皮下注射の後、4分の1年毎の皮下維持用量(例えば、720mgの用量)に切り替えることを含む。
【0053】
以下は、本願で使用される用語の定義である。
【0054】
本明細書で使用されるとき、単数形の用語「ある(a)」、「ある(an)」、及び「その(the)」には、文脈上特に明確に指示されない限り、複数形の参照が含まれる。
【0055】
語句「及び/又は」は、本明細書で使用されるとき、そのように等位接続された要素の「いずれか一方又は両方」、即ち、ある場合には等位接続的に存在し、他の場合には離接接続的に存在する要素を意味する。このように、非限定的な例として、「A及び/又はB」は、「~を含んでいる(comprising)」などの非制限的な文言と併せて使用されるとき、一部の実施形態ではAのみ(任意選択でB以外の要素を含む)を指してもよく;他の実施形態では、Bのみ(任意選択でA以外の要素を含む)を指してもよく;更に他の実施形態では、A及びBの両方(任意選択で他の要素を含む)を指してもよい;等である。
【0056】
本明細書で使用されるとき、「少なくとも1つ」は、要素のリスト中にある要素のうちの1つ以上であるが、必ずしも要素のリストの中に具体的に列挙されているありとあらゆる要素のうちの少なくとも1つを含んで、要素のリストにある要素の任意の組み合わせを除外するとは限らないことを意味する。この定義はまた、具体的に特定される要素に関係があるか否かにかかわらず、語句「少なくとも1つ」が参照する要素のリストの中に具体的に列挙されている要素以外の要素が任意選択で存在してもよいことを許容する。このように、非限定的な例として、「A及びBの少なくとも1つ」(又は、等価に、「A又はBの少なくとも1つ」、又は、等価に「A及び/又はBの少なくとも1つ」)は、一実施形態では、少なくとも1つの、任意選択で2つ以上を含めたAであって、Bが存在しないもの(及び任意選択でB以外の要素を含む)を指してもよく;別の実施形態では、少なくとも1つの、任意選択で2つ以上を含めたBであって、Aが存在しないもの(及び任意選択でA以外の要素を含む)を指してもよく;更に別の実施形態では、少なくとも1つの、任意選択で2つ以上を含めたA、及び少なくとも1つの、任意選択で2つ以上を含めたB(及び任意選択で他の要素を含む)を指してもよい;等である。
【0057】
本明細書で使用されるとき、「約」は、用量、量、又は比に関連して使用されるとき、指定されている用量、量、又は比から得られるものと等価な治療効果をもたらすと当業者が認識するような、指定されている用量、量、又は比の値又は用量、量、若しくは比の範囲を含む。用語「約」は、当業者が決定するとおりの、ある特定の値についての許容できる誤差を指すことができ、それは、一部には、それらの値がどのように測定又は決定されるかに依存する。一部の実施形態において、用語「約」は、所与の値又は範囲から5%以内を意味する。
【0058】
本明細書で使用されるとき、「ベースラインからの調整平均変化量」は、時間の経過に伴うバイオマーカー値の変化量の統計的分析を用いた計算を指す。一部の実施形態において、線形混合効果モデル(MMRM)を用いて少なくとも1つの追加的な共変量を考慮することにより、ベースラインからの調整平均変化量を決定する。
【0059】
数字が記載されるときは、単独であれ、又は数値範囲の一部としてであれ、その数値が、表示されている値から上方及び下方に、その表示されている値の10%の変動分だけ変わり得ることが理解されなければならない。
【0060】
本明細書に値の範囲が挙げられるとき、それには、その範囲内にある各値及び部分的範囲が包含されることが意図される。例えば、「2.5mg/kg~10mg/kg」には、例えば、2.5mg/kg、3mg/kg、3.5mg/kg、4mg/kg、4.5mg/kg、5mg/kg、5.5mg/kg、6mg/kg、6.5mg/kg、7mg/kg、7.5mg/kg、8mg/kg、8.5mg/kg、9mg/kg、9.5mg/kg、10mg/kg、2.5mg/kg~3mg/kg、2.5mg/kg~4.5mg/kg、3mg/kg~4.5mg/kg、4.5mg/kg~8mg/kg、2.5mg/kg~9mg/kgなどが包含されることが意図される。
【0061】
アミロイドβ1-42(Aβ42)とは、完全長タンパク質のアミノ酸1~42からのアミロイドベータ単量体を指す(表5、配列番号13)。アミロイドβ1-40(Aβ1-40)とは、完全長タンパク質のアミノ酸1~42からのアミロイドベータ単量体を指す(表5、配列番号14)。
【0062】
本明細書に記載されるとおりの「前臨床AD」又は「前駆AD」の患者は、脳内のアミロイドレベルが中等度であるか又は上昇している認知機能正常者であり、記憶愁訴を伴う又は伴わない無症候期にあること、並びにエピソード記憶及び実行機能障害が出現しつつあることによって同定され得る。認知機能正常には、CDR 0の者、又は認知機能検査スコア(MMSE、インターナショナルショッピングリスト課題、論理的記憶等)が正常範囲内の者が含まれ得る。前臨床ADは、重大な不可逆的神経変性及び認知機能障害に先立って起こり、典型的には、ADのインビボ分子バイオマーカーの出現及び臨床症状の欠如によって特徴付けられる。将来アルツハイマー病が発症することを示唆し得る前臨床ADバイオマーカーとしては、限定はされないが、中等度の又は上昇したアミロイド又はタウ陽電子放射断層撮影法(PET)による脳内のアミロイドレベル(例えば、約20~40のセンチロイド尺度、例えば、約20~32の尺度)、脳脊髄液Aβ1-42レベル及び/又はAβ1-42/1-40比、脳脊髄液総タウレベル、脳脊髄液ニューログラニンレベル、脳脊髄液神経フィラメント軽鎖ペプチド(NfL)レベル、及び血清中又は血漿中で測定したときの血液バイオマーカー(例えば、Aβ1-42レベル、2つの形態のアミロイド-βペプチドの比(Aβ1-42/1-40比、例えば、約0.092~0.094の間の比、又は約0.092を下回る比)、血漿総タウ(T-タウ)の血漿レベル、リン酸化タウ(P-タウ)アイソフォームのレベル(181(P-タウ181)、217(P-タウ217)、及び231(P-タウ231)でリン酸化したタウを含む)、グリア線維性酸性タンパク質(GFAP)、及び神経フィラメント軽鎖(NfL))のうちの1つ以上が挙げられる。例えば、βサイトアミロイド前駆体タンパク質切断酵素(BACE)阻害薬であるエレンベセスタット(E2609)で治療した対象であって、1.4~1.9のアミロイドベースライン陽電子放射断層撮影法(PET)標準取込値比(SUVr値)を有した対象は、治療継続中である間に呈した認知機能衰退の緩徐化が最も大きかったことが分かっている。Lynch,S.Y.et al.“Elenbecestat,a BACE inhibitor:results from a Phase 2 study in subjects with mild cognitive impairment and mild-to-moderate dementia due to Alzheimer’s disease”.Poster P4-389,Alzheimer’s Association International Conference,July 22-26,2018,Chicago,IL,USAを参照のこと。同様に、1.2を下回るベースラインフロルベタピルアミロイドPET SUVrレベルを有する対象は、検出可能となるのに十分な認知機能の衰退を呈しない一方、1.6を上回るSUVrレベルを有する対象は、アミロイドレベルが飽和レベルに達していて、治療による認知機能尺度の変化が生じないプラトー効果と相関関係があるように見えることが分かっている。Dhadda,S.et al.,“Baseline florbetapir amyloid PET standard update value ratio(SUVr)can predict clinical progression in prodromal Alzheimer’s disease(pAD).”Poster P4-291,Alzheimer’s Association International Conference,July 22-26,2018,Chicago,IL,USAを参照のこと。
【0063】
「初期AD」又は「初期アルツハイマー病」(EAD)は、本明細書で使用されるとき、ADによる軽度認知障害-可能性が中等度から軽度アルツハイマー病型認知症に至るまでのAD重症度の連続体である。初期ADの対象には、本明細書に定義するとおりの軽度アルツハイマー病型認知症の対象及び本明細書に定義するとおりのADによる軽度認知障害(MCI)-可能性が中等度の対象が含まれる。一部の実施形態において、初期ADの対象は、22~30のMMSEスコアを有し、臨床的認知症尺度(CDR)全般が0.5~1.0の範囲である。初期AD疾患を検出する他の方法は、McKhann,G.M.et al.,“The diagnosis of dementia due to Alzheimer’s disease:Recommendations from the National Institute on Aging-Alzheimer’s Association workgroups on diagnostic guidelines for Alzheimer’s disease”.Alzheimer Dement.2011;7:263-9におけるほぼ確実なアルツハイマー病型認知症の米国国立老化研究所-アルツハイマー病協会(NIA-AA)コア臨床判定基準を含め、以下に具体的に示す検査及びアッセイを利用するものであり得る。他の方法としては、CDR-SB、ADCOMS総合臨床スコア、ミニメンタルステート検査、ADAS-Cog、ADAS MCI-ADL、修正iADRS、ウェクスラー記憶尺度-IV論理的記憶(下位尺度)I(WMS-IV LMI)、及びウェクスラー記憶尺度-IV論理的記憶(下位尺度)II(WMS-IV LMII)が挙げられる。一部の実施形態において、初期ADの対象は、脳内のアミロイド高値又は陽性アミロイド負荷のエビデンスを有する。一部の実施形態において、脳内のアミロイド高値又は陽性アミロイド負荷は、PET判定により指示され、及び/又は確認される。一部の実施形態において、脳内のアミロイド高値又は陽性アミロイド負荷は、Aβ1-42などのマーカーのCSF判定(例えば、可溶性CSFバイオマーカー分析)により指示され、及び/又は確認される。一部の実施形態において、脳内のアミロイド高値又は陽性アミロイド負荷は、アミロイドβ1-42(Aβ42)の濃度及びアミロイドβ1-40(Aβ40)の濃度を測定し、Aβ40に対するAβ42の比(Aβ42/40比)を計算することにより指示され、及び/又は確認される。一部の実施形態において、脳内のアミロイド高値又は陽性アミロイド負荷は、MRIにより指示され、及び/又は確認される。一部の実施形態において、脳内のアミロイド高値又は陽性アミロイド負荷は、網膜アミロイド蓄積により指示される。一部の実施形態において、2つ以上の判定方法が用いられる。
【0064】
対象からの試料における血清又は血漿Aβ1-42/1-40比を測定することに加えて、対象のアミロイドレベルは、限定はされないが:(a)PETスキャンによって目視読影又は半定量的閾値(SUVr又はセンチロイド)のいずれかから検出されるアミロイド;(b)脳脊髄液(CSF)Aβ1-42、及び/又はAβ1-42/1-40比;及び/又は(c)血液バイオマーカー(血漿Aβ1-42、タウ、総タウ(T-タウ)、及び/又はP-タウ(例えば、P-タウ181)など)など、1つ以上のバイオマーカーによって或いは検出され、又は加えて確認されてもよい。二次的なマーカーは、一次的なアミロイドの決定を確認するものであってよく、限定はされないが、神経フィラメント軽鎖ペプチド(NfL)などの神経損傷マーカー及びグリア線維性酸性タンパク質(GFAP)などの神経炎症マーカーが挙げられる。
【0065】
「アミロイド」は、分岐していない、通常は細胞外にある、インビボで見出される線維を指す;加えて、この線維は色素コンゴレッドに結合し、次には交差偏光子間で観察すると緑色複屈折を示す。アミロイド形成タンパク質は同定されており、アルツハイマー病(AD)に関連するアミロイド-βペプチド(Aβ)、2型糖尿病に関連する膵島アミロイドポリペプチド(IAPP)、及び海綿状脳症に関連するプリオンタンパク質(PrP)を含め、重篤な疾患と関連付けられている。本明細書で使用されるとき、「アミロイド」、「脳アミロイド」、及び「アミロイド-βペプチド(Aβ)」は、同義的に使用される。
【0066】
一部の実施形態において、対象は、「アミロイド高値」又は「中間アミロイド」を示す。当業者は認識するであろうとおり、アミロイドPETからのアミロイドレベルは、センチロイド法を用いて「センチロイド」単位(CL)で報告することができる(Klunk WE et al.The Centiloid Project:standardizing quantitative amyloid plaque estimation by PET.Alzheimer’s Dement.2015;11:1-15 e1-4)。センチロイド法ではトレーサーが0CL~100CLの尺度で測定され、ここでは0が基準点と見なされ、若年健常対照の平均値に相当し、100CLが、軽度から中等度の重症度のADによる認知症を有する対象に見られる平均アミロイド負荷量に相当する(同上)。当業者に公知のとおり、センチロイド閾値は様々であってよく、例えば新規の又は追加的な科学的情報に基づき精緻化し得る(例えば、http://www.gaain.org/centiloid-projectを参照のこと)。アミロイドレベルの上昇は、POSAに公知の方法に従い決定された健常対照のベースライン閾値に対する相対で設定することができる。例えば、32.5のセンチロイド値を「アミロイド高値」の閾値として使用することができ、「中間アミロイド」レベルは、20~32.5CLの範囲(例えば、30CL)のAβアミロイドPETを指す。別の例において、40のセンチロイド値を「アミロイド高値」の閾値として使用することができ、「中間アミロイド」レベルは、20~40CLの範囲のAβアミロイドPETを指す。
【0067】
「軽度アルツハイマー病型認知症」、又は「軽度AD認知症」の対象とは、本明細書で使用されるとき、McKhann,G.M.et al.,“The diagnosis of dementia due to Alzheimer’s disease:Recommendations from the National Institute on Aging-Alzheimer’s Association workgroups on diagnostic guidelines for Alzheimer’s disease.”Alzheimer Dement.2011;7:263-9におけるほぼ確実なアルツハイマー病型認知症についての米国国立老化研究所-アルツハイマー病協会(NIA-AA)コア臨床判定基準を満たす対象である。また、本明細書では、スクリーニング及びベースライン時のCDRスコアが0.5~1.0及びメモリーボックススコアが0.5以上である対象並びにウェクスラー記憶尺度-改訂論理的記憶下位尺度II(WMS-R LM II)のスコアの変化を呈する対象も含まれる。
【0068】
「ADによるMCI-可能性が中等度」の対象は、本明細書で使用されるとき、アルツハイマー病による軽度認知障害-可能性が中等度のNIA-AAコア臨床判定基準(McKhann 前掲を参照のこと)に従うようなものとして同定される対象である。例えば、対象は症候性であるが、認知症ではなく、脳アミロイド病変のエビデンスがあるため、こうした対象の不均一性は低くなり、本明細書に定義されるADCOMS総合臨床スコアで測定したときの認知及び機能衰退の点で軽度アルツハイマー病型認知症対象との類似性が一層高い。また、スクリーニング及びベースライン時にCDRスコアが0.5及びメモリーボックススコアが0.5以上である対象も含まれる。更に、本明細書には、スクリーニング前の過去1年に徐々に始まり、緩徐に進行しつつある主観的な記憶力衰退の経過歴を訴え、それが情報提供者によって裏付けられる対象もまた含まれる。記憶力の衰退及び/又はエピソード記憶障害は、対象において、ウェクスラー記憶尺度-改訂論理的記憶下位尺度II(WMS-R LM II)のスコアの変化によって判定することができる。
【0069】
本明細書で使用されるとき、「MMSE」は、スクリーニング目的によく使用されるが、またAD臨床試験で縦断的に測定されることも多い認知機能インスツルメントであるミニメンタルステート検査を指し、これは30点満点の尺度を有し、点数が高いほど機能障害が少ないことを指し示し、点数が低いほど機能障害が多いことを指し示し、0点(最も大きく障害されている)から30点(機能障害なし)までの範囲である。一部の実施形態において、MMSEスコアの一部として、時間及び場所に対する見当識、記銘、想起、注意、言語、及び描画を測定する7項目を判定し得る(Folstein,M.F.et al.,“Mini-mental state.A practical method for grading the cognitive state of patients for the clinician.”J.Psychiatr.Res.1975;12:189-98)。
【0070】
本明細書で使用されるとき、「ADAS-Cog」は、アルツハイマー病評価尺度-認知機能を指す。ADAS-Cogは、アルツハイマー病の試験で広く使用されている認知機能尺度であり、記憶(単語想起、遅延単語想起、及び単語認識)、論理的思考(命令に従う)、言語(呼称、理解力)、見当識、観念行為(封筒に便箋を入れる)及び構成行為(幾何学模様を模写する)を評価する構造化された尺度を有する(Rosen,W.G.et al.,“A new rating scale for Alzheimer’s disease.”Am.J.Psychiatry 1984;141:1356-64)。口頭言語、言語理解、喚語困難、検査教示の記憶能力、迷路、及び数字の消去の評定もまた、入手されてもよい。一部の実施形態において、ADAS-Cogは、アルツハイマー病評価尺度-認知機能下位尺度14(ADAS-Cog14)の使用を指す。一部の実施形態において、本明細書では修正版が使用されてもよく、これは0点から90点までの点数が付けられ、0点の点数が機能障害無しを指示し、90点の点数が最も大きい機能障害を指示している。一部の実施形態において、ADAS-Cog14課題には、記憶(単語想起、遅延単語想起、及び単語認識)、論理的思考(命令に従う)、言語(呼称、理解力)、見当識、観念行為(封筒に便箋を入れる)、構成行為(幾何学模様を模写する)、口頭言語、言語理解、喚語困難、検査教示の記憶能力、迷路、及び数字の消去が含まれる(Rosen et al,1984)。
【0071】
本明細書で使用されるとき、「CDR-SB」は、臨床的認知症尺度-項目合計を指す。CDRは、記憶、見当識、判断力及び問題解決、地域社会活動、家庭及び趣味、及び身の回りの世話を含む6つの機能カテゴリーの各々における5段階のパフォーマンス障害度を記述する臨床尺度である(Berg,L.et al.,“Mild senile dementia of the Alzheimer type:2.Longitudinal assessment.”Ann.Neurol.1988;23:477-84)。6つの機能カテゴリーの各々で入手された障害度の評定が合成され、認知症CDRスコア(0~3の範囲)の1つの総合評定となる。項目合計スコアは、変化の追加的な尺度を提供し、ここで各カテゴリーの可能な最大スコアは3点であり、合計スコアはカテゴリースコアの和であるため、可能な合計スコアは0~18となり、スコアが高いほど、機能障害が大きいことを指示している。この全般スコアは、認知症の重症度の臨床的尺度として使用し得る。
【0072】
本明細書で使用されるとき、「ADCOMS」は、本実施例及びWang,J.et al.,“ADCOMS:a composite clinical outcome for prodromal Alzheimer’s disease trials.”J.Neurol.Neurosurg.Psychiatry.2016;87:993-999において考察されるとおりの、ADAS-Cogの4項目(遅延単語想起、見当識、単語認識、及び喚語困難)、ミニメンタルステート検査(MMSE)の2項目(時間に対する見当識、及び描画)、及びCDR-SBの全6項目(身の回りの世話、地域社会活動、家庭及び趣味、記憶、見当識、並びに判断力及び問題解決)の分析に基づく総合臨床スコアであるアルツハイマー病総合スコアを指す。ADCOMSは、ADの初期段階における疾患進行(即ち、前臨床AD又は初期AD)に特に高い感度を示すように開発された。
【0073】
一部の実施形態において、ADCOMSは、以下の式を用いて計算することができる:
【数1】
式中、A
i(t)、B
i(t)及びC
i(t)は、それぞれ、ADAS-cog、逆にしたMMSEスコア、及びCDR-SBからの項目に対応する時点tにおける項目スコアである(Wang,J.et al.,“ADCOMS:a composite clinical outcome for prodromal Alzheimer’s disease trials)。ADCOMSは、ADの初期段階における疾患進行、即ち、前駆及び軽度ADに特に高い感度を示す。
【0074】
本明細書で使用されるとき、「ADCS MCI-ADL」は、アルツハイマー病共同研究-軽度認知障害の日常生活活動尺度(ADCS MCI-ADL)を指す。ADCS MCI-ADLは、6つの基本的な日常生活活動での患者の能力レベルを判定する臨床尺度である。更なる例については、Kreutzer J.S.,DeLuca J.,Caplan B.(eds)Encyclopedia of Clinical Neuropsychology.Springer,New York,NYに考察されている。
【0075】
本明細書で使用されるとき、「修正iADRS」又は「iADRS」は、ADAS Cog14(全項目)及びADCS MCI-ADL(全項目)からのスコアを組み合わせる総合的ツールを指す。修正iADRSスコアを用いると、疾患進行を評価することができる:
修正iADRSスコア=[-1(ADAS-cog14)+90]+ADCS MCI-ADL。
【0076】
本明細書で使用されるとき、「ApoE4陽性」対象及び「ApoE4保有者」は、アポリポタンパク質(APOE)遺伝子のε4バリアントを内包する対象を指す。ε4バリアントは、アポリポタンパク質遺伝子の幾つかのメジャーアレルのうちの1つである。この遺伝子は、概して脂肪の代謝に関与する。アポリポタンパク質ε4の保有者は、非保有者と比較したとき、アミロイド貯留速度の大幅な増加を示すことが分かっている(Drzezga,A.et al,“Effect of APOE genotype on amyloid plaque load and gray matter volume in Alzheimer disease.”Neurology.2009;72:1487-94)。一部の実施形態において、本明細書で治療される対象は、アポリポタンパク質E ε4遺伝子アレルのヘテロ接合体保有者である。一部の実施形態において、対象は、アポリポタンパク質E ε4遺伝子アレルのホモ接合体保有者である。ApoE4保有者は、抗Aβプロトフィブリル抗体(即ちレカネマブ)を含む組成物を投与されたとき、ApoE4非保有者と比べて高い治療反応性を示し得る。
【0077】
本明細書で使用されるとき、初期AD対象が「アミロイド陽性」か、それとも「アミロイド陰性」かは、対象が陽性アミロイド負荷を有するかどうかに基づいて決定し得る。一部の実施形態において、対象は、脳内へのアミロイド造影剤取り込みの縦断的陽電子放射断層撮影法(PET)判定によって指示されるとおり、アミロイド陽性又はアミロイド陰性であると決定される。一部の実施形態において、対象は、フロルベタピルアミロイドPET SUVr陰性が1.17を下回る場合、「アミロイド陰性」である。一部の実施形態において、対象は、対象からの試料(例えば、血漿試料)におけるAβ42/40比の評価により、単独で、又は脳アミロイドのPET測定など、別の方法と組み合わせて、アミロイド陽性又はアミロイド陰性と決定される。一部の実施形態において、試料のAβ42/40比が0.092~0.094であるか、又はおよそその値を上回る、例えば、約0.092である場合、対象は「アミロイド陰性」である。一部の実施形態において、試料のAβ42/40比が0.092を上回る場合、対象は「アミロイド陰性」である。一部の実施形態において、対象は、Aβ1-42などのマーカーの判定(例えば、可溶性CSFバイオマーカー分析)を用いたアミロイド病変の存在のCSF判定により、単独で、又は脳アミロイドのPET測定など、別の方法と組み合わせて、アミロイド陽性又はアミロイド陰性と決定される。一部の実施形態において、PETスキャンの定性的な目視読影を用いて、PET画像パターンに基づき対象が「正常な」取り込み又は「異常な」取り込みのいずれを有するかを分類することにより、アミロイド陽性及びアミロイド陰性が決定されてもよい。読影者は、異常又は正常な取り込みパターンの脳PET画像を認識するように訓練を受けた有資格者であることになり、又はアミロイドの検出は、半定量的又は定量的手法を通じて行われる。一部の実施形態において、バイオマーカー(例えば、血清又はCSF)及び/又はPETスキャンから、Aβ脳負荷量が対象のアミロイド陽性を指示しているのか、それとも陰性を指示しているのかを定量的に決定するための閾値が設定されることになる。一部の実施形態において、対象は、MRIによりアミロイド陽性又はアミロイド陰性と決定される。一部の実施形態において、対象は、網膜アミロイド蓄積によりアミロイド陽性又はアミロイド陰性と決定される。一部の実施形態において、対象は、行動/認知表現型によりアミロイド陽性又はアミロイド陰性と決定される。
【0078】
当業者であれば理解するであろうとおり、デジタルの、コンピューター化された、及び/又は従来の(例えば、筆記式)認知機能検査を用いて初期の認知変化を検出することができ、そうした変化は軽度認知障害及び/又は認知症の発症リスクを警告し得るため、ひいてはそれを用いて本明細書に開示されるとおりの治療を必要としている対象を同定し得る。かかる検査によれば、例えば、認知機能障害をスクリーニングし、場合によってはMCIを持つ個体を同定し得る。検査では、人工知能を用いて認知機能検査結果を分析してもよく、ある軽度認知障害症例が1年以内にアルツハイマー病へと進むことになるかどうかを決定し得る。症状が出現し始める前の、病態の早期診断を用いると、本明細書に開示されるとおりの治療を必要としている対象を医師がより早く同定する助けとなり得るため、神経変性疾患の発病が遅れ、又はその重症度が軽くなる可能性がある。
【0079】
本明細書で使用されるとき、用語「治療」は、対象の疾患又は障害に対する治療用薬剤の任意の投与又は適用を指し、疾患を阻害すること、疾患の進行を緩徐にすること、進行を遅らせること、その発症を止めること、疾患の進行を食い止めること(例えば、Aβフィブリルの増大を食い止めること)、疾患の発病又は発症を予防すること、疾患の1つ以上の症状又は根底にある1つ又は複数の病態を軽減し又は改善すること、疾患を治癒すること、1つ以上の臨床測定基準を好転させること、又は疾患の1つ以上の症状の再発を予防することを含む。一部の実施形態において、対象のADの治療は、抗アミロイドβ(Aβ)プロトフィブリル抗体の投与、例えば、静脈内注入を含む。
【0080】
本明細書で使用されるとき、用語「注入」は、1つ以上の薬剤の、例えば約60分の注入時間をかけた能動的投与を指す。一部の実施形態において、本明細書に記載される抗アミロイドβ(Aβ)プロトフィブリル抗体は、ヒト対象に注入を用いて全身投与される。一部の実施形態において、抗アミロイドβ(Aβ)プロトフィブリル抗体は、或いはヒト対象に、例えば皮下注射によって投与される。一部の実施形態において、皮下注射は、毎週の注射である。一部の実施形態において、皮下注射は、隔週の注射である。一部の実施形態において、抗アミロイドβ(Aβ)プロトフィブリル抗体は、ヒト対象に静脈内注入によって投与される。
【0081】
一部の実施形態において、対象には、治療の維持用量が投与される。本明細書で使用されるとき、用語「維持用量」は、所望の治療効果を維持するために対象に投与される投薬量を指す。一部の実施形態において、維持用量は、毎週、2週間毎、毎月、2ヵ月毎、又は3ヵ月毎(4分の1年毎)又は24週間毎(6ヵ月毎又は半年毎)に投与される。一部の実施形態において、維持用量は、抗Aβプロトフィブリル抗体を含む。一部の実施形態において、維持用量は、静脈内注入として投与される。一部の実施形態において、静脈内注入は、隔週で(Q2W)投与される。一部の実施形態において、静脈内注入は、4週間毎に(Q4W)投与される。一部の実施形態において、静脈内注入は、3ヵ月毎に(Q3M)投与される。一部の実施形態において、静脈内注入は、10mg/kg用量のBAN2401である。一部の実施形態において、静脈内注入は、隔週で投与される10mg/kg用量のBAN2401である。一部の実施形態において、維持用量は、皮下投与、経口投与、又は鼻腔投与される。一部の実施形態において、維持用量は、皮下投与される。
【0082】
一部の実施形態において、維持用量は、皮下注射として投与される。一部の実施形態において、維持用量は、毎週の皮下注射として投与される。一部の実施形態において、維持用量は、隔週の皮下注射として投与される。一部の実施形態において、維持用量は、毎月の皮下注射として投与される。一部の実施形態において、維持用量は、4分の1年毎の皮下注射として投与される。一部の実施形態において、維持用量は、毎週又はより低頻度で、例えば、2週間毎(隔週)、4週間毎、毎月、6週間毎、8週間毎(2ヵ月)、3ヵ月毎(4分の1年毎)又は6ヵ月毎(半年毎)に投与される。一部の実施形態において、維持用量は単回投与で提供され、例えば、720又は1440mgの単回皮下注射として投与されるか、又は2回以上の投与、例えば、2回の並行して行われる360mgで合計720mgの投与又は2回の720mgで合計1440mgの投与又は4回の360mgで合計1440mgの投与で提供される。一部の実施形態において、維持用量は120mgである。一部の実施形態において、維持用量は180mgである。一部の実施形態において、維持用量は240mgである。一部の実施形態において、維持用量は360mgである。一部の実施形態において、維持用量は、440mgである。一部の実施形態において、維持用量は480mgである。一部の実施形態において、維持用量は540mgである。一部の実施形態において、維持用量は、440mgである.一部の実施形態において、維持用量は、580mgである。一部の実施形態において、維持用量は600mgである。一部の実施形態において、維持用量は720mgである。一部の実施形態において、維持用量は840mgである。一部の実施形態において、維持用量は900mgである。一部の実施形態において、維持用量は960mgである。一部の実施形態において、維持用量は1080mgである。一部の実施形態において、維持用量は、1200mgである。一部の実施形態において、維持用量は1260mgである。一部の実施形態において、維持用量は1320mgである。一部の実施形態において、維持用量は、1440mgである。一部の実施形態において、維持用量は、毎週の720mgの皮下注射として投与される。一部の実施形態において、維持用量は、2回の並行して行われる360mg(2×1.8mLの400mg/2mL)の皮下製剤の注射、例えば、逐次的な注射を含む毎週の720mgの皮下注射として投与される。一部の実施形態において、維持用量は、隔週の720mgの皮下注射として投与される。一部の実施形態において、維持用量は、2回の並行して行われる360mg(2×1.8mLの400mg/2mL)の皮下製剤の注射、例えば、逐次的な注射を含む隔週の720mgの皮下注射として投与される。一部の実施形態において、維持用量は、隔週の1440mgの皮下注射として投与される。一部の実施形態において、維持用量は、2回の並行して行われる、例えば、2回の逐次的な720mgの皮下製剤で合計1440mgの投与又は4回の逐次的な360mgで合計1440mgの投与を含む単回の1440mgの隔週投与で提供される。
【0083】
一部の実施形態において、維持用量は、1回又は複数回投与される。一部の実施形態において、維持用量は、治療経過初期の間よりも低い用量で投与され、及び/又は治療経過初期の間よりも低い頻度で投与される。
【0084】
一部の実施形態において、維持用量への切り替え後、対象のバイオマーカーレベルは、脳内のアミロイドレベルが増加していることを指示し得る。一部の実施形態において、維持用量への切り替え後、対象のバイオマーカーレベル、例えば血漿Aβ42/40比は低下し始めてもよく、これは脳内のアミロイドレベルが増加していることを指示している。一部の実施形態において、維持用量服用中の対象は、Aβ42/40比の低下を示し得る。一部の実施形態において、対象には、対象がAβ42/40比の低下を呈し得るが、Aβ42/40比はアミロイド陽性の閾値を例えば少なくとも1年間(例えば、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10年間)にわたって上回ったままであり得るように選択された維持用量が処方される。
【0085】
一部の実施形態において、維持用量への切り替え後、対象のバイオマーカーレベル、例えばp-タウ181は増加し始めてもよく、これは脳内のアミロイドレベルが増加していることを指示している。一部の実施形態において、維持用量投与中の対象は、血漿p-タウ181の増加を示し得る。一部の実施形態において、維持用量服用中の対象はp-タウ181の増加を呈し得るが、p-タウ181のレベルはアミロイド陽性の閾値を例えば少なくとも1年間(例えば、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10年間)にわたって下回ったままであり得る。
【0086】
本明細書で使用されるとき、用語「予防する」は、限定はされないが予防利益を含め、有益な又は所望の結果を達成することを指す。予防利益について、本組成物は、アルツハイマー病を有するという臨床診断が下されていなくても、アルツハイマー病を発症するリスクがある対象、アルツハイマー病の臨床症状ではなく、前臨床症状を1つ以上有する対象、又はアルツハイマー病の生理学的症状の1つ以上を訴える対象に投与され得る。本明細書で使用されるとき、「予防」には治療利益が更に含まれてもよく、治療利益とは、治療下の根底にある病態の、又はそれに付随する生理学的症状のうちの1つ以上の根絶又は改善を意味する。
【0087】
本明細書で使用されるとき、用語「ARIA」は、MRIを用いて評価したときのアミロイド関連画像異常を指す。一部の実施形態において、ARIAには、アミロイド関連画像異常浮腫/浸出(ARIA-E)が含まれる。一部の実施形態において、ARIAには、アミロイド関連画像異常出血(ARIA-H)が含まれる。一部の実施形態において、ARIAの対象には頭痛、錯乱、及び/又は発作が認められ、これらを用いてARIAの対象を同定し、又はARIAの更なる評価を指示し得る。一部の実施形態において、ARIAは、治療中、指定された間隔で評価される。一部の実施形態において、ARIAは、対象にARIAの症状が認められるときに評価される。一部の実施形態において、抗Aβプロトフィブリル抗体の最大血清濃度(Cmax)をARIA-Eリスクの予測因子として使用することができる。一部の実施形態において、皮下製剤の使用が、IV投与と比較して(例えば、Cmaxがより低いことに起因した)ARIA-Eリスクの低下をもたらし得る。
【0088】
本明細書で使用されるとき、用語「臨床的衰退」は、ADの1つ以上の臨床症状の悪化を指す。臨床的衰退の測定方法は、本明細書に指定される検査及びアッセイを用いるものであり得る。一部の実施形態において、臨床的衰退は、ADCOMSの悪化により決定される。一部の実施形態において、臨床的衰退は、MMSEの悪化により決定される。一部の実施形態において、臨床的衰退は、ADAS-Cogの悪化により決定される。一部の実施形態において、臨床的衰退は、FAQの悪化により決定される。一部の実施形態において、臨床的衰退は、CDR-SBの悪化により決定される。一部の実施形態において、臨床的衰退は、ウェクスラー記憶尺度-IV論理的記憶(下位尺度)I及び/又は(下位尺度)IIの悪化により決定される。一部の実施形態において、臨床的衰退は、CDRスコアの悪化により決定される。一部の実施形態において、臨床的衰退とは、1つ以上のADバイオマーカー又は脳測定値(例えば、PET又はMRIによる)、例えば、脳萎縮及び/又はアミロイド蓄積の脳測定値の悪化を指す。
【0089】
本明細書で使用されるとき、用語「血液試料」又は「血液」は、ヒト対象からの血清及び/又は血漿を含めた血液の試料を指す。一部の実施形態において、血液は、AD診断、アミロイド又はタウ負荷量、又は疾患修飾との関連について、アミロイド断片及びアイソフォーム、タウ、及び他のタンパク質バイオマーカー(例えば、NFL)が含まれ得る潜在的ADバイオマーカーを評価するために対象から採取されることになる。一部の実施形態において、対象は、96週目及び216週目の採取前に、可能であれば絶食を求められる。他の実施形態においては、及び/又は他の時点では、対象は絶食する必要はない。アルツハイマー病の発症を示唆し得る前駆ADバイオマーカーレベルとしては、限定はされないが、脳アミロイドレベル、脳脊髄液Aβ1-42レベル、脳脊髄液総タウレベル、脳脊髄液ニューログラニンレベル、及び脳脊髄液神経フィラメント軽鎖(NfL)レベルが挙げられる。
【0090】
Aβ42/40比の測定
本明細書で考察される開示及び方法は、一部には、Aβ42及び40を測定すると血液試料における比を計算し得るというのみならず、また、BAN2401などの抗Aβプロトフィブリル抗体を含む治療が、対象の脳アミロイド負荷量の減少及び認知機能アウトカムの改善と相関関係のある比の増加につながり得るという意外な発見に依存する。従って比の変化量は、様々な実施形態において、治療有効性の低侵襲性尺度として使用することができ、投与する抗体の量を増加させるか、それとも低下させるか、投与頻度を増加させるか、それとも低下させるか、更なる治療用薬剤を導入するかどうか、及び/又は抗Aβプロトフィブリル抗体による治療を中断するかどうかなど、モニタリング及び治療の意志決定が可能となる。
【0091】
Aβ42/40比の測定方法は、LC MS/MSを用いるアッセイなど、当該技術分野において公知である。方法には、比の計算に使用される試料中のAβ42及びAβ40を測定するための、PrecivityAD(商標)アッセイ(例えば、Kirmess et al.,J.Clinica Chimica Acta 519:267-275(2021)を参照のこと)及びSysmexアッセイ(https://www.eisai.com/news/2019/news201990.html)が含まれ得る。
【0092】
Aβ42/40比の測定は、治療有効性の評価に単独で用いられてもよく、又は本明細書で考察するとおりの、Aβ放射性トレーサー取り込み(update)のPET測定、AβプラークのMRI評価、及び/又は行動測定など、1つ以上の追加的な判定基準と併せて用いられてもよい。かかるアッセイはまた、治療に適格な患者の診断にも(例えば、Aβ42/40比を測定し、健常対照対象で観察されるよりも低い比であるという理由で対象が治療に好適であると、単独で、又は対象の1つ以上の追加的なAD病変マーカーを測定することと併せて決定することによる)使用し得る。一部の実施形態において、Aβ42/40比の測定は、対象が治療に好適であると決定するための、PETスキャンなど、脳アミロイドレベルを測定する別の方法の代わりに使用されてもよい。一部の実施形態において、Aβ42/40比の測定は、治療有効性を決定するための、及び/又は治療を継続するかどうか、維持用量に切り替えるかどうか等、治療意志決定を行うための、PETスキャンなど、脳アミロイドレベルを測定する別の方法の代わりに使用されてもよい。
【0093】
一部の実施形態において、Aβ42/40比の測定は、ベースライン測定値からの相対変化量を利用するものであり得る。一部の実施形態において、Aβ42/40比の測定は、設定された閾値を利用して脳アミロイドレベルの変化量を決定するもの、例えば、例えば抗Aβプロトフィブリル抗体による治療に好適な患者を同定するもの、又は治療を継続するかどうかを決定するもの、又は維持用量に切り替えるかどうかを決定するもの、又は患者がアミロイド陰性であると結論付けるものであり得る。一部の実施形態において、閾値は、対象が治療に好適かどうか、又は治療を継続するかどうかの決定を支援するため、PETスキャンなど、脳アミロイド負荷量の別の測定と併せて評価されてもよい。一部の実施形態において、Aβ42/40比閾値は、PETスキャンなど、脳アミロイドレベルを測定する別の方法の代わりに使用されてもよい。一部の実施形態において、Aβ42/40比閾値は、0.09、0.091、0.092、0.093、0.094、0.095、0.096、0.097、0.099、0.1であるか、又はおよそその値である。一部の実施形態において、閾値は約0.092である。一部の実施形態において、閾値は0.092である。一部の実施形態において、閾値は約0.094である。一部の実施形態において、Aβ42/40比の閾値を下回るまでの低下は、治療を継続する必要があること、又は用量投与レジメンの増加を選択する必要があることを指示している。一部の実施形態において、Aβ42/40比の閾値を上回るまでの増加を用いて、治療を終了し得ること(例えば、維持レジメンの方を選んで終了し得ること)、及び/又は他の場合には用量投与レジメンの減量又は治療の中断を決定し得ることが指示されてもよい。一部の実施形態において、Aβ42/40比の閾値を下回るまでの低下を用いて、維持用量投与レジメンを中断し、例えば、以前の治療レジメンに戻すかどうかを決定し得る。
【0094】
抗Aβプロトフィブリル抗体
一部の実施形態において、本明細書に開示される方法に任意の抗Aβプロトフィブリル抗体を使用し得る。一部の実施形態において、抗体は、例えば、表1~表4からの完全な一組の6つの相補性決定領域(CDR)及び/又は完全な一組の可変領域及び/又は完全な一組の重鎖及び軽鎖配列を含む、これらの表に掲載される配列のうちの1つ以上を含む。一部の実施形態において、抗Aβプロトフィブリル抗体は、配列番号1(HCDR1)、配列番号2(HCDR2)、及び配列番号3(HCDR3)のアミノ酸配列を含む3つの重鎖相補性決定領域(HCDR1、HCDR2、及びHCDR3)と;配列番号4(LCDR1)、配列番号5(LCDR2)、及び配列番号6(LCDR3)のアミノ酸配列を含む3つの軽鎖相補性決定領域(LCDR1、LCDR2、及びLCDR3)とを含む。一部の実施形態において、抗Aβプロトフィブリル抗体は、配列番号7のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、配列番号8のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含む。一部の実施形態において、抗Aβプロトフィブリル抗体は、配列番号9のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号10のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む。本明細書において抗体配列又は構造の文脈で使用される「CDR」とは、抗原結合の主要な決定基を提供する相補性決定領域を指す。概して、抗原結合部位は6つのCDR;VHに3つ(HCDR1、HCDR2、HCDR3)、及びVLに3つ(LCDR1、LCDR2、LCDR3)を有する。CDRは、Kabatの番号付けスキームに従い決定されてもよい。これは、Kabatの番号付けスキームに従い決定されてもよい(Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,Md.,1991、以下「Kabatレポート」と称する)。
【0095】
一部の実施形態において、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体は、ヒト定常領域を含む。一部の実施形態において、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体のヒト定常領域は、Kabatレポートに開示されるとおりのIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgM、IgA、IgE、及びその任意のアレル変異から選択される重鎖定常領域を含む。本開示では、かかる配列の任意の1つ以上を使用し得る。一部の実施形態において、重鎖定常領域は、IgG1及びそのアレル変異から選択される。ヒトIgG1定常領域のアミノ酸配列は当該技術分野において公知であり、配列番号11に示される。
【0096】
一部の実施形態において、少なくとも1つの抗Aβ抗体のヒト定常領域は、Kabatレポートで考察されるとおりのκ-λ鎖定常領域及びその任意のアレル変異から選択される軽鎖定常領域を含む。本開示では、かかる配列の任意の1つ以上を使用し得る。一部の実施形態において、軽鎖定常領域は、κ及びそのアレル変異から選択される。ヒトκ鎖定常領域のアミノ酸配列は当該技術分野において公知であり、配列番号12に示される。
【0097】
一部の実施形態において、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体は、ヒト重鎖及び軽鎖可変領域フレームワークを含む。一部の実施形態において、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体は、配列番号7のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、配列番号8のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含む。一部の実施形態において、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体は、ヒトIgG1重鎖定常領域と、ヒトIgκ軽鎖定常領域とを含む。一部の実施形態において、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体は、配列番号11のアミノ酸配列を含む重鎖定常領域と、配列番号12のアミノ酸配列を含む軽鎖定常領域とを含む。
【0098】
一部の実施形態において、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体は、BAN2401、別名レカネマブである。用語「BAN2401」及び「レカネマブ」は同義的に使用され、プロトフィブリルを標的とするように産生された、国際公開第2007/108756号パンフレット及びJournal of Alzheimer’s Disease 43:575-588(2015)に開示されるマウスモノクローナル抗体であるmAb158のヒト化IgG1モノクローナルバージョンを指す。BAN2401は、配列番号1(HCDR1)、配列番号2(HCDR2)、及び配列番号3(HCDR3)のアミノ酸配列を含む3つの重鎖相補性決定領域(HCDR1、HCDR2、及びHCDR3)と;配列番号4(LCDR1)、配列番号5(LCDR2)、及び配列番号6(LCDR3)のアミノ酸配列を含む3つの軽鎖相補性決定領域(LCDR1、LCDR2、及びLCDR3)とを含み、国際公開第2007/108756号パンフレット及びJournal of Alzheimer’s Disease 43:575-588(2015)に記載されている。BAN2401は、(i)配列番号7のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、(ii)配列番号8のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含む。BAN2401の重鎖及び軽鎖の完全長配列は、配列番号9及び10に示され、国際公開第2007/108756号パンフレット及びJournal of Alzheimer’s Disease 43:575-588(2015)に記載されている。
【0099】
本開示における少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体としての使用に好適な抗体の他の非限定的な例としては、アデュカヌマブ、並びに国際公開第2002/003911号パンフレット、国際公開第2005/123775号パンフレット、国際公開第2007/108756号パンフレット、国際公開第2011/001366号パンフレット、国際公開第2011/104696号パンフレット、及び国際公開第2016/005466号パンフレットに開示されているものが挙げられる。
【0100】
一部の実施形態において、単離された抗Aβプロトフィブリル抗体は、少なくとも80mg/mLの濃度で存在する。一部の実施形態において、単離された抗Aβプロトフィブリル抗体は、少なくとも100mg/mLの濃度で存在する。一部の実施形態において、単離された抗Aβプロトフィブリル抗体は、少なくとも200mg/mLの濃度で存在する。一部の実施形態において、単離された抗Aβプロトフィブリル抗体は、少なくとも250mg/mLの濃度で存在する。一部の実施形態において、単離された抗体又はその断片は、80mg/mL~300mg/mLの範囲の濃度で存在する。一部の実施形態において、単離された抗Aβプロトフィブリル抗体は、85mg/mL~275mg/mLの範囲の濃度で存在する。一部の実施形態において、単離された抗Aβプロトフィブリル抗体は、90mg/mL~250mg/mLの範囲の濃度で存在する。一部の実施形態において、単離された抗Aβプロトフィブリル抗体は、95mg/mL~225mg/mLの範囲の濃度で存在する。一部の実施形態において、単離された抗Aβプロトフィブリル抗体は、100mg/mL~200mg/mLの範囲の濃度で存在する。一部の実施形態において、単離された抗体又はその断片は、80mg/mL、90mg/mL、100mg/mL、110mg/mL、120mg/mL、130mg/mL、140mg/mL、150mg/mL、160mg/mL、170mg/mL、180mg/mL、190mg/mL、200mg/mL、210mg/mL、220mg/mL、230mg/mL、240mg/mL、250mg/mL、260mg/mL、270mg/mL、280mg/mL、290mg/mL、又は300mg/mLの濃度で存在する。一部の実施形態において、単離された抗体又はその断片は、100mg/mLの濃度で存在する。一部の実施形態において、単離された抗体又はその断片は、200mg/mLの濃度で存在する。一部の実施形態において、単離された抗体又はその断片は、250mg/mLの濃度で存在する。一部の実施形態において、単離された抗体又はその断片は、300mg/mLの濃度で存在する。一部の実施形態において、単離された抗体又はその断片は、BAN2401である。
【0101】
本明細書で使用されるとき、抗体の「断片」は、抗体の一部分、例えばその抗原結合領域又は可変領域を含む一部分を含む。断片の非限定的な例としては、Fab断片、Fab’断片、F(ab’)2断片、Fv断片、ダイアボディ、線状抗体、及び単鎖抗体分子が挙げられる。
【0102】
治療有効量の少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体
様々な実施形態において、本開示の方法は、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物を対象に投与することを含む。本明細書で使用されるとき、用語「治療有効量」は、所望の治療効果を生み出すのに十分な化合物又は医薬組成物の量を指す。様々な実施形態において、治療有効量とは、治療前及び治療後の試料、例えば、血液試料における比を比較したとき、Aβ42/40比を増加させるのに十分な量である。一部の実施形態において、治療有効量は、最初は2.5~15mg/kg、例えば、約10mg/kgである。一部の実施形態において、第1の治療有効量をある期間、例えば、6~12ヵ月間又はそれ以上投与した後、例えば、第1の治療有効量を投与する前及び投与した後でAβ42/40比の増加が観察された場合、第2の治療有効量が、それより低い投薬量で投与される。一部の実施形態において、第2の治療有効量には、1つ以上の追加的な療法、例えば、BACE阻害薬及び/又は抗タウ抗体療法が付随する。一部の実施形態において、少なくとも1つの追加的な治療用薬剤は、BACE阻害薬、γセクレターゼ阻害薬、γセクレターゼ調節薬、前記少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体以外のAβペプチド生成阻害薬、前記少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体以外のAβペプチドレベルを下げる薬剤のうちの1つ以上、及びこれらの組み合わせを含む。一部の実施形態において、少なくとも1つの追加的な治療用薬剤は、BACE阻害薬を含む。一部の実施形態において、BACE阻害薬は、CNP520、BI-1181181、LY2886721、LY3202626、PF-06751979、RG7129、アタベセスタット、エレンベセスタット、ラナベセスタット、及びベルベセスタットから選択される。一部の実施形態において、BACE阻害薬は、エレンベセスタットである。
【0103】
当業者は、対象に投与される少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量が、薬力学的特性、投与経路、治療頻度、並びに治療されることになる対象の健康、年齢、及び体重を含め、幾つもの要因に依存し得ることを理解するであろうとともに、本明細書に開示される情報を用いれば、各対象に適切な量を決定することが可能であろう。
【0104】
一部の実施形態において、治療有効量とは、有効性を改善し、及び/又は有効性を維持して、安全性及び忍容性のうちの少なくとも一方を改善するように選択される用量である。一部の実施形態において、治療有効量は、少なくとも1つの副作用を減じると同時に有効性を改善し、及び/又は有効性を維持するように選択される。
【0105】
一部の実施形態において、対象には、対象の体重を基準として0.5mg/kg~45mg/kg、0.5mg/kg~40mg/kg、0.5mg/kg~35mg/kg、0.5mg/kg~30mg/kg、0.5mg/kg~25mg/kg、0.5mg/kg~20mg/kg、0.5mg/kg~15mg/kg、0.5mg/kg~10mg/kg、0.5mg/kg~5mg/kg、又は0.5mg/kg~2.5mg/kgの少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体が投与される。
【0106】
一部の実施形態において、対象には、対象の体重を基準として2.5mg/kg~45mg/kg、2.5mg/kg~40mg/kg、2.5mg/kg~35mg/kg、2.5mg/kg~30mg/kg、2.5mg/kg~25mg/kg、2.5mg/kg~20mg/kg、2.5mg/kg~15mg/kg、2.5mg/kg~10mg/kg、又は2.5mg/kg~5mg/kgの少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体が投与される。
【0107】
一部の実施形態において、対象には、対象の体重を基準として5mg/kg~45mg/kg、5mg/kg~40mg/kg、5mg/kg~35mg/kg、5mg/kg~30mg/kg、5mg/kg~25mg/kg、5mg/kg~20mg/kg、5mg/kg~15mg/kg、又は5mg/kg~10mg/kgの少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体が投与される。
【0108】
一部の実施形態において、対象には、対象の体重を基準として7.5mg/kg~45mg/kg、7.5mg/kg~40mg/kg、7.5mg/kg~35mg/kg、7.5mg/kg~30mg/kg、7.5mg/kg~25mg/kg、7.5mg/kg~20mg/kg、7.5mg/kg~15mg/kg、又は7.5mg/kg~10mg/kgの少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体が投与される。
【0109】
一部の実施形態において、対象には、対象の体重を基準として0.5mg/kg、1mg/kg、2mg/kg、3mg/kg、4mg/kg、5mg/kg、6mg/kg、7mg/kg、8mg/kg、9mg/kg、10mg/kg、11mg/kg、12mg/kg、13mg/kg、14mg/kg、15mg/kg、16mg/kg、17mg/kg、18mg/kg、19mg/kg、20mg/kgからの少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体が投与される。一部の実施形態において、対象には、対象の体重を基準として20mg/kg、19mg/kg、18mg/kg、17mg/kg、16mg/kg、15mg/kg、14mg/kg、13mg/kg、12mg/kg、11mg/kg、10mg/kg、9mg/kg、8mg/kg、7mg/kg、6mg/kg、5mg/kg、4mg/kg、3mg/kg、2mg/kg、1mg/kg、又は0.5mg/kgまでの少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体が投与される。
【0110】
一部の実施形態において、対象には、対象の体重を基準として0.5mg/kgの少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体が投与される。一部の実施形態において、対象には、対象の体重を基準として1mg/kgの少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体が投与される。一部の実施形態において、対象には、対象の体重を基準として2mg/kgの少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体が投与される。一部の実施形態において、対象には、対象の体重を基準として2.5mg/kgの少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体が投与される。一部の実施形態において、対象には、対象の体重を基準として3mg/kgの少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体が投与される。一部の実施形態において、対象には、対象の体重を基準として4mg/kgの少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体が投与される。一部の実施形態において、対象には、対象の体重を基準として5mg/kgの少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体が投与される。一部の実施形態において、対象には、対象の体重を基準として6mg/kgの少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体が投与される。一部の実施形態において、対象には、対象の体重を基準として7mg/kgの少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体が投与される。一部の実施形態において、対象には、対象の体重を基準として7.5mg/kgの少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体が投与される。一部の実施形態において、対象には、対象の体重を基準として8mg/kgの少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体が投与される。一部の実施形態において、対象には、対象の体重を基準として9mg/kgの少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体が投与される。一部の実施形態において、対象には、対象の体重を基準として10mg/kgの少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体が投与される。一部の実施形態において、対象には、対象の体重を基準として11mg/kgの少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体が投与される。一部の実施形態において、対象には、対象の体重を基準として12mg/kgの少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体が投与される。一部の実施形態において、対象には、対象の体重を基準として12.5mg/kgの少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体が投与される。一部の実施形態において、対象には、対象の体重を基準として13mg/kgの少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体が投与される。一部の実施形態において、対象には、対象の体重を基準として14mg/kgの少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体が投与される。一部の実施形態において、対象には、対象の体重を基準として15mg/kgの少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体が投与される。一部の実施形態において、対象には、対象の体重を基準として16、17、18、19、又は20mg/kgの少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体が投与される。一部の実施形態において、対象には、対象の体重を基準として21、22、23、24、又は25mg/kgの少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体が投与される。
【0111】
一部の実施形態において、対象には、対象の体重を基準として27.5mg/kg、30mg/kg、32.5mg/kg、35mg/kg、37.5mg/kg、40mg/kg、42.5mg/kg、45mg/kg、47.5mg/kg、又は50mg/kgの少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体が投与される。
【0112】
既述のとおり、一部の実施形態において、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体は、BAN2401である。それに応じて、一部の実施形態において、対象には、対象の体重を基準として0.5mg/kg~45mg/kg、0.5mg/kg~40mg/kg、0.5mg/kg~35mg/kg、0.5mg/kg~30mg/kg、0.5mg/kg~25mg/kg、0.5mg/kg~20mg/kg、0.5mg/kg~15mg/kg、0.5mg/kg~10mg/kg、0.5mg/kg~5mg/kg、又は0.5mg/kg~2.5mg/kgのBAN2401が投与される。
【0113】
一部の実施形態において、対象には、対象の体重を基準として2.5mg/kg~45mg/kg、2.5mg/kg~40mg/kg、2.5mg/kg~35mg/kg、2.5mg/kg~30mg/kg、2.5mg/kg~25mg/kg、2.5mg/kg~20mg/kg、2.5mg/kg~15mg/kg、2.5mg/kg~10mg/kg、又は2.5mg/kg~5mg/kgのBAN2401が投与される。
【0114】
一部の実施形態において、対象には、対象の体重を基準として5mg/kg~45mg/kg、5mg/kg~40mg/kg、5mg/kg~35mg/kg、5mg/kg~30mg/kg、5mg/kg~25mg/kg、5mg/kg~20mg/kg、5mg/kg~15mg/kg、又は5mg/kg~10mg/kgのBAN2401が投与される。
【0115】
一部の実施形態において、対象には、対象の体重を基準として7.5mg/kg~45mg/kg、7.5mg/kg~40mg/kg、7.5mg/kg~35mg/kg、7.5mg/kg~30mg/kg、7.5mg/kg~25mg/kg、7.5mg/kg~20mg/kg、7.5mg/kg~15mg/kg、又は7.5mg/kg~10mg/kgのBAN2401が投与される。
【0116】
一部の実施形態において、対象には、対象の体重を基準として0.5mg/kg、1mg/kg、2mg/kg、3mg/kg、4mg/kg、5mg/kg、6mg/kg、7mg/kg、8mg/kg、9mg/kg、10mg/kg、11mg/kg、12mg/kg、13mg/kg、14mg/kg、15mg/kg、16mg/kg、17mg/kg、18mg/kg、19mg/kg、20mg/kgからのBAN2401が投与される。一部の実施形態において、対象には、対象の体重を基準として20mg/kg、19mg/kg、18mg/kg、17mg/kg、16mg/kg、15mg/kg、14mg/kg、13mg/kg、12mg/kg、11mg/kg、10mg/kg、9mg/kg、8mg/kg、7mg/kg、6mg/kg、5mg/kg、4mg/kg、3mg/kg、2mg/kg、1mg/kg、又は0.5mg/kgまでのBAN2401が投与される。
【0117】
一部の実施形態において、対象には、対象の体重を基準として0.5mg/kgのBAN2401が投与される。一部の実施形態において、対象には、対象の体重を基準として1mg/kgのBAN2401が投与される。一部の実施形態において、対象には、対象の体重を基準として2mg/kgのBAN2401が投与される。一部の実施形態において、対象には、対象の体重を基準として2.5mg/kgのBAN2401が投与される。一部の実施形態において、対象には、対象の体重を基準として3mg/kgのBAN2401が投与される。一部の実施形態において、対象には、対象の体重を基準として4mg/kgのBAN2401が投与される。一部の実施形態において、対象には、対象の体重を基準として5mg/kgのBAN2401が投与される。一部の実施形態において、対象には、対象の体重を基準として6mg/kgのBAN2401が投与される。一部の実施形態において、対象には、対象の体重を基準として7mg/kgのBAN2401が投与される。一部の実施形態において、対象には、対象の体重を基準として7.5mg/kgのBAN2401が投与される。一部の実施形態において、対象には、対象の体重を基準として8mg/kgのBAN2401が投与される。一部の実施形態において、対象には、対象の体重を基準として9mg/kgのBAN2401が投与される。一部の実施形態において、対象には、対象の体重を基準として10mg/kgのBAN2401が投与される。一部の実施形態において、対象には、対象の体重を基準として11mg/kgのBAN2401が投与される。一部の実施形態において、対象には、対象の体重を基準として12mg/kgのBAN2401が投与される。一部の実施形態において、対象には、対象の体重を基準として12.5mg/kgのBAN2401が投与される。一部の実施形態において、対象には、対象の体重を基準として13mg/kgのBAN2401が投与される。一部の実施形態において、対象には、対象の体重を基準として14mg/kgのBAN2401が投与される。一部の実施形態において、対象には、対象の体重を基準として15mg/kgのBAN2401が投与される。一部の実施形態において、対象には、対象の体重を基準として16、17、18、19、又は20mg/kgのBAN2401が投与される。一部の実施形態において、対象には、対象の体重を基準として21、22、23、24、又は25mg/kgのBAN2401が投与される。一部の実施形態において、対象には、対象の体重を基準として27.5mg/kg、30mg/kg、32.5mg/kg、35mg/kg、37.5mg/kg、40mg/kg、42.5mg/kg、45mg/kg、47.5mg/kg、又は50mg/kgのBAN2401が投与される。
【0118】
一部の実施形態において、対象には、対象の体重を基準として2.5mg/kg~10mg/kgのBAN2401が投与される。一部の実施形態において、対象には、対象の体重を基準として5mg/kg~10mg/kgのBAN2401が投与される。一部の実施形態において、対象には、対象の体重を基準として2.5mg/kgのBAN2401が投与される。一部の実施形態において、対象には、対象の体重を基準として5mg/kgのBAN2401が投与される。一部の実施形態において、対象には、対象の体重を基準として7.5mg/kgのBAN2401が投与される。一部の実施形態において、対象には、対象の体重を基準として10mg/kgのBAN2401が投与される。一部の実施形態において、初期治療前及び後の比を比較したとき、初期用量設定により試料、例えば、血液試料のAβ42/40比が増加した場合、低減した濃度のBAN2401が投与される。
【0119】
一部の実施形態において、対象には、第1の用量の抗Aβプロトフィブリル抗体が、治療用量まで初期用量調節段階なしに投与される(例えば、対象は10mg/kgで治療を開始し、用量調節はない)。一部の実施形態において、ある用量のBAN2401を先行する用量調節段階の必要なしにADの治療に使用し得る。一部の実施形態において、対象は、維持用量に至るまでの初期の用量調節段階なしに維持用量に切り替えられる。理論によって拘束されるものではないが、用量調節段階なしに治療用量を提供すると、患者に追加的な治療利益がもたらされ、例えば、血漿バイオマーカーがアミロイド陰性に向かうシフトが速まり得るか、又は抗Aβプロトフィブリル抗体に応答した血漿バイオマーカーの治療的変化が見られない(ノンレスポンダー)、且つ別の治療から利益を受けるであろう患者のより早い同定が促進され得る。
【0120】
少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の用量投与レジメン
様々な実施形態において、本開示の方法は、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物を、固定的であっても、及び/又は時間の経過に伴い調整されてもよいスケジュールで対象に投与することを含む。当業者は、上記に開示される少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量のいずれかが、1つ以上の用量投与レジメンに従い1回以上投与され得ることを理解するであろう。当業者は、薬力学的特性、投与経路、用量、並びに治療しようとする対象の健康、年齢、及び体重を含めた幾つもの要因に応じて、及び本明細書に開示される情報を用いれば、各対象に適切な1つ又は複数の用量投与レジメンを決定することが可能であろう。
【0121】
一部の実施形態において、例えば、対象の体重を基準として2.5~15mg/kg、例えば、10mg/kgの少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体を含む組成物が、対象に2~4週間毎に1回投与される。一部の実施形態において、組成物は、対象に毎月1回投与される。様々な実施形態において、組成物は、治療前及び治療後の試料、例えば、血液試料における比を比較したときAβ42/40比が増加するように、例えば、隔週又は毎月投与される。一部の実施形態において、第1の組成物を、例えば、ある期間、例えば、6~12ヵ月又はそれ以上にわたって隔週又は毎月投与した後、Aβ42/40比の増加が観察された場合には、低減した投与頻度、例えば、3、4、5、6、7、又は8週間毎、又は2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、又は12ヵ月毎、又はそれ以上が用いられる。一部の実施形態において、頻度の低減には、1つ以上の追加的な療法、例えば、BACE阻害薬及び/又は抗タウ抗体療法が付随する。
【0122】
一部の実施形態において、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体を含む組成物は、毎日、隔日、3日毎、毎週1回、2週間毎に1回(「隔週(bi-weekly)」、「隔週(biweekly)」又は「bw」)、3週間毎に1回、4週間毎に1回(「4週間間隔」)、毎月1回(「mo」)、5週間毎に1回、6週間毎に1回、7週間毎に1回、8週間毎に1回、2ヵ月毎に1回、9週間毎に1回、10週間毎に1回、11週間毎に1回、12週間毎に1回、3ヵ月毎(4分の1年毎)に1回、14週間毎に1回、16週間毎に1回、4ヵ月毎に1回、18週間毎に1回、20週間毎に1回、5ヵ月毎に1回、22週間毎に1回、24週間毎に1回、6ヵ月毎(半年毎)に1回、7ヵ月毎に1回、8ヵ月毎に1回、9ヵ月毎に1回、10ヵ月毎に1回、11ヵ月毎に1回、12ヵ月毎に(毎年)1回、13ヵ月毎に1回、14ヵ月毎に1回、15ヵ月毎に1回、16ヵ月毎に1回、17ヵ月毎に1回、又は18ヵ月毎に1回投与される。一部の実施形態において、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体を含む組成物は、毎日、隔日、3日毎、毎週1回、2週間毎に1回(「隔週」)、4週間毎に1回(「4週間間隔」)、又は毎月1回投与される。一部の実施形態において、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物は、2週間毎に1回又は4週間毎に1回投与される。一部の実施形態において、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物は、2週間毎に1回投与される。一部の実施形態において、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物は、4週間毎に1回投与される。
【0123】
一部の実施形態において、初期治療は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18ヵ月間、又はそれ以上の月数にわたって投与される。一部の実施形態において、初期治療の前及び後に、対象からの試料、例えば、血液試料においてAβ42/40比が測定される。
【0124】
一部の実施形態において、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物は、毎週1回投与される。一部の実施形態において、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物は、2週間毎に1回投与される。一部の実施形態において、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物は、3週間毎に1回投与される。一部の実施形態において、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物は、4週間毎に1回投与される。一部の実施形態において、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物は、毎月1回投与される。
【0125】
一部の実施形態において、BAN2401の治療有効量を含む組成物は、毎週1回投与される。一部の実施形態において、BAN2401の治療有効量を含む組成物は、2週間毎に1回投与される。一部の実施形態において、BAN2401の治療有効量を含む組成物は、3週間毎に1回投与される。一部の実施形態において、BAN2401の治療有効量を含む組成物は、4週間毎に1回投与される。一部の実施形態において、BAN2401の治療有効量を含む組成物は、毎月1回投与される。
【0126】
一部の実施形態において、対象の体重を基準として2.5mg/kg、5mg/kg、7.5mg/kg、又は10mg/kgの少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体を含む組成物が、対象に毎週1回投与される。一部の実施形態において、対象の体重を基準として2.5mg/kg、5mg/kg、7.5mg/kg、又は10mg/kgの少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体を含む組成物が、対象に2週間毎に1回投与される。一部の実施形態において、対象の体重を基準として2.5mg/kg、5mg/kg、7.5mg/kg、又は10mg/kgの少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体を含む組成物が、対象に3週間毎に1回投与される。一部の実施形態において、対象の体重を基準として2.5mg/kg、5mg/kg、7.5mg/kg、又は10mg/kgの少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体を含む組成物が、対象に4週間毎に1回投与される。一部の実施形態において、対象の体重を基準として2.5mg/kg、5mg/kg、7.5mg/kg、又は10mg/kgの少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体を含む組成物が、対象に毎月1回投与される。
【0127】
一部の実施形態において、対象の体重を基準として2.5mg/kg、5mg/kg、7.5mg/kg、又は10mg/kgのBAN2401を含む組成物が、対象に毎週1回投与される。一部の実施形態において、対象の体重を基準として2.5mg/kg、5mg/kg、7.5mg/kg、又は10mg/kgのBAN2401を含む組成物が、対象に2週間毎に1回投与される。一部の実施形態において、対象の体重を基準として2.5mg/kg、5mg/kg、7.5mg/kg、又は10mg/kgのBAN2401を含む組成物が、対象に3週間毎に1回投与される。一部の実施形態において、対象の体重を基準として2.5mg/kg、5mg/kg、7.5mg/kg、又は10mg/kgのBAN2401を含む組成物が、対象に4週間毎に1回投与される。一部の実施形態において、対象の体重を基準として2.5mg/kg、5mg/kg、7.5mg/kg、又は10mg/kgのBAN2401を含む組成物が、対象に毎月1回投与される。
【0128】
一部の実施形態において、対象の体重を基準として10mg/kgのBAN2401を含む組成物が、対象に2週間毎に1回投与される。一部の実施形態において、対象の体重を基準として10mg/kgのBAN2401を含む組成物が、対象に毎月1回投与される。一部の実施形態において、試料、例えば、血液試料における初期治療前及び後の比を比較したとき、初期用量設定(例えば、2又は4週間毎に6~12ヵ月間又はそれ以上)によりAβ42/40比が増加した場合には、低減した投薬頻度のBAN2401及び/又は低減した濃度のBAN2401が投与される。
【0129】
少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体を含む組成物
一部の実施形態において、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体は、組成物に含まれる。一部の実施形態において、組成物は、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体からなる。一部の実施形態において、抗体は、50~250mg/ML、例えば、100~200mg/mLの濃度で存在する。一部の実施形態において、組成物は少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体を含み、更には少なくとも1つの追加的な活性及び/又は不活性成分を含む。一部の実施形態において、少なくとも1つの追加的な成分は、ヒト及び/又は動物への使用に好適な生理学的に許容可能な賦形剤を1つ以上含み得る。
【0130】
本開示の組成物は、錠剤、丸薬、カプセル、溶液の形態、及び/又は当業者が適切と見なす任意の他の好適な形態であってよい。本開示の組成物の投与経路は、静脈内、皮下、経口、及び鼻腔を含め、任意の好適な経路であってよい。一部の実施形態において、組成物は、静脈内投与用の無菌のノンパイロジェニック液体として製剤化される。一部の実施形態において、組成物は生理食塩水である。
【0131】
一部の実施形態において、組成物中の少なくとも1つの追加的な成分は、1つ又は複数の緩衝液を含む。一部の実施形態において、少なくとも1つの追加的な成分は、1つ又は複数の乳化剤を含む。一部の実施形態において、少なくとも1つの追加的な成分は、クエン酸ナトリウム、塩化ナトリウム、ヒスチジン、アルギニン、アルギニン塩酸塩、及び/又はポリソルベート80を含む。一部の実施形態において、クエン酸ナトリウムは、1mM~150mMの範囲の濃度で存在し得る。一部の実施形態において、クエン酸ナトリウムは、25mMの濃度で存在し得る。一部の実施形態において、クエン酸ナトリウムは、50mMの濃度で存在し得る。一部の実施形態において、塩化ナトリウムは、25mM~250mMの範囲の濃度で存在し得る。一部の実施形態において、アルギニンは、240mM~360mMの範囲の濃度で存在し得る。一部の実施形態において、アルギニン塩酸塩は、100mM~250mMの範囲の濃度で存在し得る。一部の実施形態において、ヒスチジンは、10mM~50mMの範囲の濃度で存在し得る。一部の実施形態において、クエン酸ナトリウムは、125mMの濃度で存在し得る。一部の実施形態において、ポリソルベート80は、0.001%(w/v)~2%(w/v)の範囲の濃度で存在し得る。一部の実施形態において、ポリソルベート80は、0.02%(w/v)の濃度で存在し得る。一部の実施形態において、ポリソルベート80は、0.05%(w/v)の濃度で存在し得る。
【0132】
一部の実施形態において、組成物は、BAN2401など、抗Aβプロトフィブリル抗体を少なくとも1つ含み、更には、例えば、クエン酸ナトリウム、塩化ナトリウム、及びポリソルベート80を含む液体投薬形態である。一部の実施形態において、組成物は、50mmol/Lクエン酸塩、350mmol/Lアルギニン、及び0.05%ポリソルベート80を含む液体投薬形態である。
【0133】
一部の実施形態において、組成物は、BAN2401など、抗Aβプロトフィブリル抗体を少なくとも1つ含み、更には、例えば、アルギニン塩酸塩、ヒスチジン、及びポリソルベート80を含む液体投薬形態である。一部の実施形態において、組成物は、25mmol/Lヒスチジン、200mmol/Lアルギニン、0.05%ポリソルベート80を含む液体投薬形態である。好適な静脈内及び皮下製剤について、PCT/IB2021/000155号明細書(国際公開第2021/186245号パンフレット)が参照により本明細書に援用される。
【0134】
少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体とBAN2401以外の少なくとも1つのアルツハイマー病薬物療法との併用投与
一部の実施形態において、本明細書には、対象、例えば、前駆AD又は初期アルツハイマー病を有する対象を治療する方法であって、BAN2401などの少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量と、BAN2401以外の少なくとも1つのアルツハイマー病薬物療法の治療有効量とを併用して投与することを含む方法が提供される。一部の実施形態において、本明細書には、対象、例えば、前駆AD又は初期アルツハイマー病を有する対象の臨床的衰退を低減する及び/又は緩徐化する方法であって、BAN2401などの少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量と、BAN2401以外の少なくとも1つのアルツハイマー病薬物療法の治療有効量とを併用して投与することを含む方法が提供される。少なくとも1つの追加的な療法は、アデュカヌマブなどの追加的な抗Aβ抗体を含み得る。一部の実施形態において、少なくとも1つの追加的な療法は、BACE阻害薬及び/又は抗タウ抗体を含み得る。一部の実施形態において、追加的な療法は、最初の抗体による初期治療がAβ42/40比の増加につながらない場合にBAN2401などの抗Aβプロトフィブリル抗体の代わりに与えられ、又は追加的な療法は、最初の抗体の投薬量又は頻度の増加と組み合わせて与えられる。一部の実施形態において、追加的な療法は、最初の抗体による初期治療がAβ42/40比の増加につながる場合、BAN2401などの抗Aβプロトフィブリル抗体の投薬量又は投与頻度の低減と組み合わせて与えられる。
【0135】
一部の実施形態において、本明細書には、前駆ADを有する対象、又はアルツハイマー病(例えば、初期アルツハイマー病)に関して症候性の患者を治療する方法であって、BAN2401などの少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量と、ヒトタウへの結合能を有する抗タウ抗体又はその抗原結合断片の治療有効量とを併用して投与することを含む方法が提供され、例えば、抗タウ抗体又は抗原結合断片は、E2814又はその抗原結合断片を含む。E2814については、米国特許出願公開第2019/0112364 A1号明細書にクローン7G6-HCzu25/LCzu18として開示されており、その配列は参照によって本明細書に援用される。一部の実施形態において、本明細書には、対象、例えば、前駆ADを有する対象、又はアルツハイマー病(例えば、初期アルツハイマー病)に関して症候性の患者の臨床的衰退を低減する及び/又は緩徐化する方法であって、BAN2401などの少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量と、ヒトタウへの結合能を有する抗タウ抗体又はその抗原結合断片の治療有効量とを併用して投与することを含む方法が提供され、例えば、抗タウ抗体又は抗原結合断片は、E2814又はその抗原結合断片を含む。E2814については、米国特許出願公開第2019/0112364 A1号明細書にクローン7G6-HCzu25/LCzu18として開示されており、その配列は参照によって本明細書に援用される。一部の実施形態において、ヒトタウへの結合能を有する単離された抗タウ抗体又はその抗原結合断片は、配列番号15(HCDR1)、配列番号16(HCDR2)、配列番号17(HCDR3)、配列番号18(LCDR1)、配列番号19(LCDR2)、及び配列番号20(LCDR3)のアミノ酸配列を含む6つのCDR(HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3)を含む。例えば、表11を参照のこと。一部の実施形態において、ヒトタウへの結合能を有する単離された抗タウ抗体又はその抗原結合断片は、配列番号21の重鎖可変領域及び配列番号22の軽鎖可変領域からの6つのCDR(HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3)を含む。一部の実施形態において、ヒトタウへの結合能を有する抗タウ抗体又はその抗原結合断片は、配列番号21の重鎖可変領域と配列番号22の軽鎖可変領域とを含む。例えば、表12を参照のこと。一部の実施形態において、重鎖定常領域は配列番号23を含む。一部の実施形態において、重鎖定常領域は配列番号24を含む。例えば、表13を参照のこと。
【0136】
一部の実施形態において、アルツハイマー病に関して症候性の患者は、抗Aβプロトフィブリル抗体(例えば、BAN2401)を少なくとも24週間投与され、次に、ヒトタウへの結合能を有する単離された抗タウ抗体又はその抗原結合断片(例えば、E2814)を、単離された抗Aβプロトフィブリル抗体と併せて投与される。一部の実施形態において、アルツハイマー病に関して症候性の患者は、抗Aβプロトフィブリル抗体を、例えば、24週間にわたって、又は患者のAβ42/40比が閾値(例えば、0.092)を上回って増加するまで投与され、次に、ヒトタウへの結合能を有する単離された抗タウ抗体又はその抗原結合断片を、単離された抗Aβプロトフィブリル抗体と併せて投与される。一部の実施形態において、アルツハイマー病に関して症候性の患者は、抗Aβプロトフィブリル抗体を24週間にわたって、又は患者がアミロイド陰性になるまで投与され、次に、ヒトタウへの結合能を有する単離された抗タウ抗体又はその抗原結合断片を、単離された抗Aβプロトフィブリル抗体と併せて投与される。
【0137】
一部の実施形態において、患者はアルツハイマー病に関して無症候性であり(前駆AD)、初めに、ヒトタウへの結合能を有する単離された抗タウ抗体又はその抗原結合断片(例えば、E2814)を例えば52週間にわたって投与された後、ヒトタウへの結合能を有する単離された抗タウ抗体又はその抗原結合断片を、単離された抗Aβプロトフィブリル抗体(例えば、BAN2401)と併せて投与される。一部の実施形態において、アルツハイマー病に関して無症候性の患者は、ヒトタウへの結合能を有する単離された抗タウ抗体又はその抗原結合断片を52週間にわたって、又は患者のAβ42/40比が閾値(例えば、0.092)を上回って増加するまで投与され、次にヒトタウへの結合能を有する単離された抗タウ抗体又はその抗原結合断片を、単離された抗Aβプロトフィブリル抗体と併せて投与される。一部の実施形態において、アルツハイマー病に関して無症候性の患者は、ヒトタウへの結合能を有する単離された抗タウ抗体又はその抗原結合断片を52週間にわたって、又は患者がアミロイド陰性になるまで投与され、次にヒトタウへの結合能を有する単離された抗タウ抗体又はその抗原結合断片を、単離された抗Aβプロトフィブリル抗体と併せて投与される。
【0138】
一部の実施形態において、少なくとも1つのアルツハイマー病薬物療法は、エレンベセスタット、ドネペジル、ガランタミン、メマンチン、及びリバスチグミンから選択される。一部の実施形態において、少なくとも1つのアルツハイマー病薬物療法は、ドネペジルとメマンチンとの組み合わせである。一部の実施形態において、少なくとも1つの追加的な治療用薬剤は、BACE阻害薬、γセクレターゼ阻害薬、γセクレターゼ調節薬、前記少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体以外のAβペプチド生成阻害薬、前記少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体以外のAβペプチドレベルを下げる薬剤のうちの1つ以上、及びこれらの組み合わせを含む。一部の実施形態において、少なくとも1つの追加的な治療用薬剤は、BACE阻害薬である。一部の実施形態において、BACE阻害薬は、CNP520、BI-1181181、LY2886721、LY3202626、PF-06751979、RG7129、アタベセスタット、エレンベセスタット、ラナベセスタット、及びベルベセスタットから選択される。一部の実施形態において、BACE阻害薬は、エレンベセスタットである。一部の実施形態において、BACE阻害薬は、CNP520、BI-1181181、LY2886721、LY3202626、PF-06751979、RG7129、アタベセスタット、エレンベセスタット、ラナベセスタット、及びベルベセスタットから選択される。
【0139】
一部の実施形態において、ドネペジルは、その承認済みの用量で投与されてもよい。一部の実施形態において、ガランタミンは、その承認済みの用量で投与されてもよい。一部の実施形態において、メマンチンは、その承認済みの用量で投与されてもよい。一部の実施形態において、リバスチグミンは、その承認済みの用量で投与されてもよい。
【0140】
一部の実施形態において、エレンベセスタットは、5mg/日~100mg/日、10mg/日~75mg/日、5mg/日~50mg/日、又は15mg/日~50mg/日の範囲の用量で投与されてもよい。一部の実施形態において、エレンベセスタットは、約5mg/日~約100mg/日、約10mg/日~約75mg/日、約5mg/日~約50mg/日、又は約15mg/日~約50mg/日の範囲の用量で投与されてもよい。一部の実施形態において、エレンベセスタットは、5mg/日、10mg/日、15mg/日、20mg/日、25mg/日、30mg/日、又は50mg/日投薬量の用量で投与されてもよい。一部の実施形態において、エレンベセスタットは、5mg/日の用量で投与されてもよい。一部の実施形態において、エレンベセスタットは、15mg/日の用量で投与されてもよい。一部の実施形態において、エレンベセスタットは、50mg/日の用量で投与されてもよい。
【0141】
一部の実施形態において、エレンベセスタットは、5mg/日~100mg/日、10mg/日~75mg/日、5mg/日~50mg/日、又は15mg/日~50mg/日の範囲の用量で投与されてもよい。一部の実施形態において、エレンベセスタットは、約5mg/日~約100mg/日、約10mg/日~約75mg/日、約5mg/日~約50mg/日、又は約15mg/日~約50mg/日の範囲の用量で投与されてもよい。一部の実施形態において、エレンベセスタットは、5mg/日、10mg/日、15mg/日、20mg/日、25mg/日、30mg/日、又は50mg/日投薬量の用量で投与されてもよい。一部の実施形態において、エレンベセスタットは、5mg/日の用量で投与されてもよい。一部の実施形態において、エレンベセスタットは、15mg/日の用量で投与されてもよい。一部の実施形態において、エレンベセスタットは、50mg/日の用量で投与されてもよい。
【0142】
治療効果
様々な実施形態において、本明細書には、初期アルツハイマー病を有する対象の臨床的衰退を低減する方法であって、本明細書に開示される少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物を前記対象に投与することを含む方法が提供される。一部の実施形態において、初期アルツハイマー病を有する対象は、アルツハイマー病による軽度認知障害-可能性が中等度を有すると診断されている、及び/又は軽度アルツハイマー病型認知症を有すると診断されている。一部の実施形態において、初期アルツハイマー病を有する対象は、ApoE4陽性である。
【0143】
初期アルツハイマー病を有する対象の臨床的衰退を低減する方法においては、本明細書に開示される抗Aβプロトフィブリル抗体、その治療的に許容可能な量、それについての用量投与レジメン、及びそれを含む組成物のいずれも使用し得る。例えば、一部の実施形態において、対象の体重を基準として2.5mg/kg、5mg/kg、7.5mg/kg、又は10mg/kgのBAN2401などの少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体を含む組成物が、対象に毎週1回、2週間毎に1回、3週間毎に1回、4週間毎に1回、毎月1回、5週間毎に1回、6週間毎に1回、7週間毎に1回、8週間毎に1回、2ヵ月毎に1回、9週間毎に1回、10週間毎に1回、11週間毎に1回、12週間毎に1回、3ヵ月毎(4分の1年毎)に1回、14週間毎に1回、16週間毎に1回、4ヵ月毎に1回、18週間毎に1回、20週間毎に1回、5ヵ月毎に1回、22週間毎に1回、24週間毎に1回、6ヵ月毎(半年毎)に1回、7ヵ月毎に1回、8ヵ月毎に1回、9ヵ月毎に1回、10ヵ月毎に1回、11ヵ月毎に1回、12ヵ月毎に(毎年)1回、13ヵ月毎に1回、14ヵ月毎に1回、15ヵ月毎に1回、16ヵ月毎に1回、17ヵ月毎に1回、又は18ヵ月毎に1回投与される。一部の実施形態において、臨床的衰退は、ADCOMSにより決定したとき、プラセボと比べて少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも6%、少なくとも7%、少なくとも8%、少なくとも9%、少なくとも10%、少なくとも11%、少なくとも12%、少なくとも13%、少なくとも14%、少なくとも15%、少なくとも16%、少なくとも17%、少なくとも18%、少なくとも19%、少なくとも20%、少なくとも21%、少なくとも22%、少なくとも23%、少なくとも24%、少なくとも25%、少なくとも26%、少なくとも27%、少なくとも28%、少なくとも29%、少なくとも30%、少なくとも31%、少なくとも32%、少なくとも33%、少なくとも34%、少なくとも35%、少なくとも36%、少なくとも37%、少なくとも38%、少なくとも39%、少なくとも40%、少なくとも41%、少なくとも42%、少なくとも43%、少なくとも44%、少なくとも45%、又は少なくとも46%低減される。一部の実施形態において、上記に挙げる臨床的衰退の低減は、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物の1ヵ月、6ヵ月、12ヵ月、18ヵ月、60ヵ月、及び/又は63ヵ月の投与後に決定される。
【0144】
一部の実施形態において、臨床的衰退は、ADCOMSにより決定したとき、プラセボと比べて20%~35%低減される。一部の実施形態において、臨床的衰退は、ADCOMSにより決定したとき、プラセボと比べて20%~30%低減される。一部の実施形態において、臨床的衰退は、ADCOMSにより決定したとき、プラセボと比べて27%~35%低減される。一部の実施形態において、臨床的衰退は、ADCOMSにより決定したとき、プラセボと比べて少なくとも20%低減される。一部の実施形態において、臨床的衰退は、ADCOMSにより決定したとき、プラセボと比べて少なくとも35%低減される。一部の実施形態において、臨床的衰退は、ADCOMSにより決定したとき少なくとも20%低減される。一部の実施形態において、臨床的衰退は、ADCOMSにより決定したとき少なくとも30%低減される。一部の実施形態において、上記に挙げる臨床的衰退の低減は、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物の1ヵ月、6ヵ月、12ヵ月、18ヵ月、60ヵ月、及び/又は63ヵ月の投与後に決定される。
【0145】
一部の実施形態において、臨床的衰退は、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物の6ヵ月の投与後にADCOMSにより決定したとき、プラセボと比べて少なくとも45%低減される。一部の実施形態において、臨床的衰退は、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物の12ヵ月の投与後にADCOMSにより決定したとき、プラセボと比べて少なくとも35%低減される。一部の実施形態において、臨床的衰退は、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物の18ヵ月の投与後にADCOMSにより決定したとき、プラセボと比べて少なくとも30%低減される。一部の実施形態において、臨床的衰退は、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物の18ヵ月の投与後にADCOMSにより決定したとき、プラセボと比べて少なくとも46%低減される。一部の実施形態において、組成物は10mg/kgの少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体を含み、2週間毎に1回又は毎月1回投与される。一部の実施形態において、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体は、BAN2401である。
【0146】
一部の実施形態において、臨床的衰退は、ADCOMSにより決定したとき、プラセボと比べて少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも6%、少なくとも7%、少なくとも8%、少なくとも9%、少なくとも10%、少なくとも11%、少なくとも12%、少なくとも13%、少なくとも14%、少なくとも15%、少なくとも16%、少なくとも17%、少なくとも18%、少なくとも19%、少なくとも20%、少なくとも21%、少なくとも22%、少なくとも23%、少なくとも24%、少なくとも25%、少なくとも26%、少なくとも27%、少なくとも28%、少なくとも29%、少なくとも30%、少なくとも31%、少なくとも32%、少なくとも33%、少なくとも34%、少なくとも35%、少なくとも36%、少なくとも37%、少なくとも38%、少なくとも39%、少なくとも40%、少なくとも41%、少なくとも42%、少なくとも43%、少なくとも44%、少なくとも45%、少なくとも46%、少なくとも47%、少なくとも48%、少なくとも49%、少なくとも50%、少なくとも51%、又は少なくとも52%低減され、ここで対象は、アルツハイマー病による軽度認知障害-可能性が中等度を有すると診断されている。一部の実施形態において、上記に挙げる臨床的衰退の低減は、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物の1ヵ月、6ヵ月、12ヵ月、18ヵ月、60ヵ月、及び/又は63ヵ月の投与後に決定される。
【0147】
一部の実施形態において、臨床的衰退は、ADCOMSにより決定したとき、プラセボと比べて28%~33%低減され、ここで対象は、アルツハイマー病による軽度認知障害-可能性が中等度を有すると診断されている。一部の実施形態において、臨床的衰退は、ADCOMSにより決定したとき、プラセボと比べて25%又は少なくとも28%など、少なくとも20%低減され、ここで対象は、アルツハイマー病による軽度認知障害-可能性が中等度を有すると診断されている。一部の実施形態において、臨床的衰退は、ADCOMSにより決定したとき、プラセボと比べて少なくとも30%又は少なくとも33%など、少なくとも25%低減され、ここで対象は、アルツハイマー病による軽度認知障害-可能性が中等度を有すると診断されている。一部の実施形態において、臨床的衰退は、ADCOMSにより決定したとき、プラセボと比べて少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、又は少なくとも52%など、少なくとも25%低減され、ここで対象は、アルツハイマー病による軽度認知障害-可能性が中等度を有すると診断されている。一部の実施形態において、臨床的衰退は、ADCOMSにより決定したとき、プラセボと比べて少なくとも52%低減され、ここで対象は、アルツハイマー病による軽度認知障害-可能性が中等度を有すると診断されている。一部の実施形態において、上記に挙げる臨床的衰退の低減は、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物の1ヵ月、6ヵ月、12ヵ月、18ヵ月、60ヵ月、及び/又は63ヵ月の投与後に決定される。
【0148】
一部の実施形態において、アルツハイマー病による軽度認知障害-可能性が中等度を有すると診断される対象の臨床的衰退は、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物の6ヵ月の投与後にADCOMSにより決定したとき、プラセボと比べて少なくとも30%低減される。一部の実施形態において、アルツハイマー病による軽度認知障害-可能性が中等度を有すると診断される対象の臨床的衰退は、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物の12ヵ月の投与後にADCOMSにより決定したとき、プラセボと比べて少なくとも25%低減される。一部の実施形態において、アルツハイマー病による軽度認知障害-可能性が中等度を有すると診断される対象の臨床的衰退は、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物の18ヵ月の投与後にADCOMSにより決定したとき、プラセボと比べて少なくとも30%低減される。一部の実施形態において、アルツハイマー病による軽度認知障害-可能性が中等度を有すると診断される対象の臨床的衰退は、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物の18ヵ月の投与後にADCOMSにより決定したとき、プラセボと比べて少なくとも52%低減される。一部の実施形態において、組成物は10mg/kgの少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体を含み、2週間毎に1回又は毎月1回投与される。一部の実施形態において、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体は、BAN2401である。
【0149】
一部の実施形態において、臨床的衰退は、ADCOMSにより決定したとき、プラセボと比べて少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも6%、少なくとも7%、少なくとも8%、少なくとも9%、少なくとも10%、少なくとも11%、少なくとも12%、少なくとも13%、少なくとも14%、少なくとも15%、少なくとも16%、少なくとも17%、少なくとも18%、少なくとも19%、少なくとも20%、少なくとも21%、少なくとも22%、少なくとも23%、少なくとも24%、少なくとも25%、少なくとも26%、少なくとも27%、少なくとも28%、少なくとも29%、少なくとも30%、少なくとも31%、少なくとも32%、又は少なくとも33%低減され、ここで対象は、アルツハイマー病による軽度認知障害-可能性が中等度を有すると診断されている。一部の実施形態において、上記に挙げる臨床的衰退の低減は、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物の1ヵ月、6ヵ月、12ヵ月、18ヵ月、60ヵ月、及び/又は63ヵ月の投与後に決定される。
【0150】
一部の実施形態において、臨床的衰退は、ADCOMSにより決定したとき、プラセボと比べて28%~38%低減され、ここで対象は、アルツハイマー病による軽度認知障害-可能性が中等度を有すると診断されている。一部の実施形態において、臨床的衰退は、ADCOMSにより決定したとき、プラセボと比べて25%、少なくとも28%、又は少なくとも33%など、少なくとも20%低減され、ここで対象は、アルツハイマー病による軽度認知障害-可能性が中等度を有すると診断されている。一部の実施形態において、臨床的衰退は、ADCOMSにより決定したとき、プラセボと比べて少なくとも30%又は少なくとも33%など、少なくとも25%低減され、ここで対象は、アルツハイマー病による軽度認知障害-可能性が中等度を有すると診断されている。一部の実施形態において、臨床的衰退は、ADCOMSにより決定したとき、プラセボと比べて少なくとも33%低減され、ここで対象は、アルツハイマー病による軽度認知障害-可能性が中等度を有すると診断されている。一部の実施形態において、上記に挙げる臨床的衰退の低減は、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物の1ヵ月、6ヵ月、12ヵ月、18ヵ月、60ヵ月、及び/又は63ヵ月の投与後に決定される。
【0151】
一部の実施形態において、アルツハイマー病による軽度認知障害-可能性が中等度を有すると診断される対象の臨床的衰退は、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物の18ヵ月の投与後にADCOMSにより決定したとき、プラセボと比べて少なくとも33%低減される。一部の実施形態において、組成物は10mg/kgの少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体を含み、2週間毎に1回又は毎月1回投与される。一部の実施形態において、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体は、BAN2401である。
【0152】
一部の実施形態において、臨床的衰退は、ADCOMSにより決定したとき、プラセボと比べて少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも6%、少なくとも7%、少なくとも8%、少なくとも9%、少なくとも10%、少なくとも11%、少なくとも12%、少なくとも13%、少なくとも14%、少なくとも15%、少なくとも16%、少なくとも17%、少なくとも18%、少なくとも19%、少なくとも20%、少なくとも21%、少なくとも22%、少なくとも23%、少なくとも24%、少なくとも25%、少なくとも26%、少なくとも27%、少なくとも28%、少なくとも29%、少なくとも30%、少なくとも31%、少なくとも32%、少なくとも33%、少なくとも34%、少なくとも35%、少なくとも36%、少なくとも37%、少なくとも38%、少なくとも39%、少なくとも40%、少なくとも41%、少なくとも42%、少なくとも43%、少なくとも44%、少なくとも45%、少なくとも46%、少なくとも47%、少なくとも48%、少なくとも49%、少なくとも50%、少なくとも51%、少なくとも52%、少なくとも53%、少なくとも54%、少なくとも55%、少なくとも56%、少なくとも57%、少なくとも58%、少なくとも59%、少なくとも60%、少なくとも61%、少なくとも62%、少なくとも63%、少なくとも64%、少なくとも65%、少なくとも66%、少なくとも67%、少なくとも68%、少なくとも69%、少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、又は少なくとも78%低減され、ここで対象は、軽度アルツハイマー病型認知症を有すると診断されている。一部の実施形態において、上記に挙げる臨床的衰退の低減は、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物の1ヵ月、6ヵ月、12ヵ月、18ヵ月、60ヵ月、及び/又は63ヵ月の投与後に決定される。
【0153】
一部の実施形態において、臨床的衰退は、ADCOMSにより決定したとき、プラセボと比べて20%~80%低減され、ここで対象は、アルツハイマー病型認知症を有すると診断されている。一部の実施形態において、臨床的衰退は、ADCOMSにより決定したとき、プラセボと比べて35%~78%低減され、ここで対象は、アルツハイマー病型認知症を有すると診断されている。一部の実施形態において、臨床的衰退は、ADCOMSにより決定したとき、プラセボと比べて少なくとも35%低減され、ここで対象は、軽度アルツハイマー病型認知症を有すると診断されている。一部の実施形態において、臨床的衰退は、ADCOMSにより決定したとき、プラセボと比べて少なくとも52%又は少なくとも53%など、少なくとも50%低減され、ここで対象は、軽度アルツハイマー病型認知症を有すると診断されている。一部の実施形態において、臨床的衰退は、ADCOMSにより決定したとき、プラセボと比べて少なくとも75%又は少なくとも78%など、少なくとも70%低減され、ここで対象は、軽度アルツハイマー病型認知症を有すると診断されている。一部の実施形態において、上記に挙げる臨床的衰退の低減は、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物の1ヵ月、6ヵ月、12ヵ月、18ヵ月、60ヵ月、及び/又は63ヵ月の投与後に決定される。
【0154】
一部の実施形態において、軽度アルツハイマー病型認知症を有すると診断される対象の臨床的衰退は、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物の6ヵ月の投与後にADCOMSにより決定したとき、プラセボと比べて少なくとも70%低減される。一部の実施形態において、軽度アルツハイマー病型認知症を有すると診断される対象の臨床的衰退は、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物の12ヵ月の投与後にADCOMSにより決定したとき、プラセボと比べて少なくとも50%低減される。一部の実施形態において、軽度アルツハイマー病型認知症を有すると診断される対象の臨床的衰退は、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物の18ヵ月の投与後にADCOMSにより決定したとき、プラセボと比べて少なくとも30%低減される。一部の実施形態において、軽度アルツハイマー病型認知症を有すると診断される対象の臨床的衰退は、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物の18ヵ月の投与後にADCOMSにより決定したとき、プラセボと比べて少なくとも52%低減される。一部の実施形態において、組成物は10mg/kgの少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体を含み、2週間毎に1回又は毎月1回投与される。一部の実施形態において、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体は、BAN2401である。
【0155】
一部の実施形態において、臨床的衰退は、ADCOMSにより決定したとき、プラセボと比べて少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも6%、少なくとも7%、少なくとも8%、少なくとも9%、少なくとも10%、少なくとも11%、少なくとも12%、少なくとも13%、少なくとも14%、少なくとも15%、少なくとも16%、少なくとも17%、少なくとも18%、少なくとも19%、少なくとも20%、少なくとも21%、少なくとも22%、少なくとも23%、少なくとも24%、少なくとも25%、少なくとも26%、少なくとも27%、少なくとも28%、少なくとも29%、少なくとも30%、少なくとも31%、少なくとも32%、少なくとも33%、少なくとも34%、又は少なくとも35%低減され、ここで対象は、軽度アルツハイマー病型認知症を有すると診断されている。一部の実施形態において、上記に挙げる臨床的衰退の低減は、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物の1ヵ月、6ヵ月、12ヵ月、18ヵ月、60ヵ月、及び/又は63ヵ月の投与後に決定される。
【0156】
一部の実施形態において、臨床的衰退は、ADCOMSにより決定したとき、プラセボと比べて28%~38%低減され、ここで対象は、軽度アルツハイマー病型認知症を有すると診断されている。一部の実施形態において、臨床的衰退は、ADCOMSにより決定したとき、プラセボと比べて25%、少なくとも28%、又は少なくとも35%など、少なくとも20%低減され、ここで対象は、軽度アルツハイマー病型認知症を有すると診断されている。一部の実施形態において、臨床的衰退は、ADCOMSにより決定したとき、プラセボと比べて少なくとも30%又は少なくとも35%など、少なくとも25%低減され、ここで対象は、軽度アルツハイマー病型認知症を有すると診断されている。一部の実施形態において、臨床的衰退は、ADCOMSにより決定したとき、プラセボと比べて少なくとも35%低減され、ここで対象は、軽度アルツハイマー病型認知症を有すると診断されている。一部の実施形態において、上記に挙げる臨床的衰退の低減は、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物の1ヵ月、6ヵ月、12ヵ月、18ヵ月、60ヵ月、及び/又は63ヵ月の投与後に決定される。
【0157】
一部の実施形態において、軽度アルツハイマー病型認知症を有すると診断される対象の臨床的衰退は、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物の18ヵ月の投与後にADCOMSにより決定したとき、プラセボと比べて少なくとも35%低減される。一部の実施形態において、組成物は10mg/kgの少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体を含み、2週間毎に1回又は毎月1回投与される。一部の実施形態において、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体は、BAN2401である。
【0158】
一部の実施形態において、臨床的衰退は、ADAS-cogにより決定したとき、プラセボと比べて少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも6%、少なくとも7%、少なくとも8%、少なくとも9%、少なくとも10%、少なくとも11%、少なくとも12%、少なくとも13%、少なくとも14%、少なくとも15%、少なくとも16%、少なくとも17%、少なくとも18%、少なくとも19%、少なくとも20%、少なくとも21%、少なくとも22%、少なくとも23%、少なくとも24%、少なくとも25%、少なくとも26%、少なくとも27%、少なくとも28%、少なくとも29%、少なくとも30%、少なくとも31%、少なくとも32%、少なくとも33%、少なくとも34%、少なくとも35%、少なくとも36%、少なくとも37%、少なくとも38%、少なくとも39%、少なくとも40%、少なくとも41%、少なくとも42%、少なくとも43%、少なくとも44%、少なくとも45%、少なくとも46%、少なくとも47%、少なくとも48%、少なくとも49%、少なくとも50%、少なくとも51%、少なくとも52%、少なくとも53%、少なくとも54%、少なくとも55%、少なくとも56%、少なくとも57%、少なくとも58%、少なくとも59%、少なくとも60%、少なくとも61%、少なくとも62%、少なくとも63%、少なくとも64%、少なくとも65%、少なくとも66%、少なくとも67%、少なくとも68%、少なくとも69%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも100%、少なくとも110%、少なくとも120%、少なくとも130%、少なくとも140%、又は少なくとも150%低減される。一部の実施形態において、上記に挙げる臨床的衰退の低減は、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物の1ヵ月、6ヵ月、12ヵ月、18ヵ月、60ヵ月、及び/又は63ヵ月の投与後に決定される。
【0159】
一部の実施形態において、臨床的衰退は、ADAS-cogにより決定したとき、プラセボと比べて40%~150%低減される。一部の実施形態において、臨床的衰退は、ADAS-cogにより決定したとき、プラセボと比べて45%~145%低減される。一部の実施形態において、臨床的衰退は、ADAS-cogにより決定したとき、プラセボと比べて45%~55%低減される。一部の実施形態において、臨床的衰退は、ADAS-cogにより決定したとき、プラセボと比べて少なくとも30%低減される。一部の実施形態において、臨床的衰退は、ADAS-cogにより決定したとき、プラセボと比べて少なくとも35%低減される。一部の実施形態において、臨床的衰退は、ADAS-cogにより決定したとき少なくとも40%低減される。一部の実施形態において、臨床的衰退は、ADAS-cogにより決定したとき少なくとも45%低減される。一部の実施形態において、臨床的衰退は、ADAS-cogにより決定したとき少なくとも47%低減される。一部の実施形態において、上記に挙げる臨床的衰退の低減は、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物の1ヵ月、6ヵ月、12ヵ月、18ヵ月、60ヵ月、及び/又は63ヵ月の投与後に決定される。
【0160】
一部の実施形態において、臨床的衰退は、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物の6ヵ月の投与後にADAS-cogにより決定したとき、プラセボと比べて少なくとも120%又は少なくとも140%など、少なくとも100%低減される。一部の実施形態において、臨床的衰退は、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物の12ヵ月の投与後にADAS-cogにより決定したとき、プラセボと比べて少なくとも45%など、少なくとも40%低減される。一部の実施形態において、臨床的衰退は、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物の18ヵ月の投与後にADAS-cogにより決定したとき、プラセボと比べて少なくとも45%など、少なくとも40%低減される。一部の実施形態において、臨床的衰退は、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物の18ヵ月の投与後にADAS-cogにより決定したとき、プラセボと比べて少なくとも47%低減される。一部の実施形態において、組成物は10mg/kgの少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体を含み、2週間毎に1回又は毎月1回投与される。一部の実施形態において、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体は、BAN2401である。
【0161】
一部の実施形態において、臨床的衰退は、ADAS-cogにより決定したとき、プラセボと比べて少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも6%、少なくとも7%、少なくとも8%、少なくとも9%、少なくとも10%、少なくとも11%、少なくとも12%、少なくとも13%、少なくとも14%、少なくとも15%、少なくとも16%、少なくとも17%、少なくとも18%、少なくとも19%、少なくとも20%、少なくとも21%、少なくとも22%、少なくとも23%、少なくとも24%、少なくとも25%、少なくとも26%、少なくとも27%、少なくとも28%、少なくとも29%、少なくとも30%、少なくとも31%、少なくとも32%、少なくとも33%、少なくとも34%、少なくとも35%、少なくとも36%、少なくとも37%、少なくとも38%、少なくとも39%、少なくとも40%、少なくとも41%、少なくとも42%、少なくとも43%、少なくとも44%、少なくとも45%、少なくとも56%、少なくとも47%、少なくとも48%、少なくとも49%、少なくとも50%、少なくとも51%、少なくとも52%、少なくとも53%、少なくとも54%、少なくとも55%、少なくとも56%、少なくとも57%、又は少なくとも58%低減され、ここで対象は、アルツハイマー病による軽度認知障害-可能性が中等度を有すると診断されている。一部の実施形態において、上記に挙げる臨床的衰退の低減は、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物の1ヵ月、6ヵ月、12ヵ月、18ヵ月、60ヵ月、及び/又は63ヵ月の投与後に決定される。
【0162】
一部の実施形態において、臨床的衰退は、ADAS-cogにより決定したとき、プラセボと比べて50%~70%低減され、ここで対象は、アルツハイマー病による軽度認知障害-可能性が中等度を有すると診断されている。一部の実施形態において、臨床的衰退は、ADAS-cogにより決定したとき、プラセボと比べて52%、少なくとも55%、又は少なくとも58%など、少なくとも50%低減され、ここで対象は、アルツハイマー病による軽度認知障害-可能性が中等度を有すると診断されている。一部の実施形態において、臨床的衰退は、ADAS-cogにより決定したとき、プラセボと比べて少なくとも58%低減され、ここで対象は、アルツハイマー病による軽度認知障害-可能性が中等度を有すると診断されている。一部の実施形態において、上記に挙げる臨床的衰退の低減は、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物の1ヵ月、6ヵ月、12ヵ月、18ヵ月、60ヵ月、及び/又は63ヵ月の投与後に決定される。
【0163】
一部の実施形態において、アルツハイマー病による軽度認知障害-可能性が中等度を有すると診断される対象の臨床的衰退は、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物の18ヵ月の投与後にADAS-cogにより決定したとき、プラセボと比べて少なくとも58%低減される。一部の実施形態において、組成物は10mg/kgの少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体を含み、2週間毎に1回又は毎月1回投与される。一部の実施形態において、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体は、BAN2401である。
【0164】
一部の実施形態において、臨床的衰退は、ADAS-cogにより決定したとき、プラセボと比べて少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも6%、少なくとも7%、少なくとも8%、少なくとも9%、少なくとも10%、少なくとも11%、少なくとも12%、少なくとも13%、少なくとも14%、少なくとも15%、少なくとも16%、少なくとも17%、少なくとも18%、少なくとも19%、少なくとも20%、少なくとも21%、少なくとも22%、少なくとも23%、少なくとも24%、少なくとも25%、少なくとも26%、少なくとも27%、少なくとも28%、少なくとも29%、少なくとも30%、少なくとも31%、少なくとも32%、少なくとも33%、少なくとも34%、少なくとも35%、少なくとも36%、少なくとも37%、少なくとも38%、少なくとも39%、少なくとも40%、又は少なくとも41%低減され、ここで対象は、軽度アルツハイマー病型認知症を有すると診断されている。一部の実施形態において、上記に挙げる臨床的衰退の低減は、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物の1ヵ月、6ヵ月、12ヵ月、18ヵ月、60ヵ月、及び/又は63ヵ月の投与後に決定される。
【0165】
一部の実施形態において、臨床的衰退は、ADAS-cogにより決定したとき、プラセボと比べて30%~50%低減され、ここで対象は、軽度アルツハイマー病型認知症を有すると診断されている。一部の実施形態において、臨床的衰退は、ADAS-cogにより決定したとき、プラセボと比べて38%、少なくとも40%、又は少なくとも41%など、少なくとも35%低減され、ここで対象は、軽度アルツハイマー病型認知症を有すると診断されている。一部の実施形態において、臨床的衰退は、ADAS-cogにより決定したとき、プラセボと比べて少なくとも41%低減され、ここで対象は、軽度アルツハイマー病型認知症を有すると診断されている。一部の実施形態において、上記に挙げる臨床的衰退の低減は、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物の1ヵ月、6ヵ月、12ヵ月、18ヵ月、60ヵ月、及び/又は63ヵ月の投与後に決定される。
【0166】
一部の実施形態において、軽度アルツハイマー病型認知症を有すると診断される対象の臨床的衰退は、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物の18ヵ月の投与後にADAS-cogにより決定したとき、プラセボと比べて少なくとも41%低減される。一部の実施形態において、組成物は10mg/kgの少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体を含み、2週間毎に1回又は毎月1回投与される。一部の実施形態において、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体は、BAN2401である。
【0167】
一部の実施形態において、臨床的衰退は、CDR-SBにより決定したとき、プラセボと比べて少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも6%、少なくとも7%、少なくとも8%、少なくとも9%、少なくとも10%、少なくとも11%、少なくとも12%、少なくとも13%、少なくとも14%、少なくとも15%、少なくとも16%、少なくとも17%、少なくとも18%、少なくとも19%、少なくとも20%、少なくとも21%、少なくとも22%、少なくとも23%、少なくとも24%、少なくとも25%、少なくとも26%、少なくとも27%、少なくとも28%、少なくとも29%、少なくとも30%、少なくとも31%、少なくとも32%、少なくとも33%、少なくとも34%、少なくとも35%、少なくとも36%、少なくとも37%、少なくとも38%、少なくとも39%、又は少なくとも40%低減される。一部の実施形態において、上記に挙げる臨床的衰退の低減は、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物の1ヵ月、6ヵ月、12ヵ月、18ヵ月、60ヵ月、及び/又は63ヵ月の投与後に決定される。
【0168】
一部の実施形態において、臨床的衰退は、CDR-SBにより決定したとき、プラセボと比べて20%~60%低減される。一部の実施形態において、臨床的衰退は、CDR-SBにより決定したとき、プラセボと比べて25%~60%低減される。一部の実施形態において、臨床的衰退は、CDR-SBにより決定したとき、プラセボと比べて25%~50%低減される。一部の実施形態において、臨床的衰退は、CDR-SBにより決定したとき、プラセボと比べて少なくとも20%低減される。一部の実施形態において、臨床的衰退は、CDR-SBにより決定したとき、プラセボと比べて少なくとも30%低減される。一部の実施形態において、臨床的衰退は、CDR-SBにより決定したとき、少なくとも26%又は少なくとも28%など、少なくとも25%低減される。一部の実施形態において、臨床的衰退は、CDR-SBにより決定したとき、少なくとも35%又は少なくとも38%など、少なくとも30%低減される。一部の実施形態において、上記に挙げる臨床的衰退の低減は、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物の1ヵ月、6ヵ月、12ヵ月、18ヵ月、60ヵ月、及び/又は63ヵ月の投与後に決定される。
【0169】
一部の実施形態において、臨床的衰退は、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物の6ヵ月の投与後にCDR-SBにより決定したとき、プラセボと比べて少なくとも35%又は少なくとも40%など、少なくとも30%低減される。一部の実施形態において、臨床的衰退は、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物の12ヵ月の投与後にCDR-SBにより決定したとき、プラセボと比べて少なくとも35%又は少なくとも45%など、少なくとも30%低減される。一部の実施形態において、臨床的衰退は、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物の18ヵ月の投与後にCDR-SBにより決定したとき、プラセボと比べて少なくとも25%など、少なくとも20%低減される。一部の実施形態において、組成物は10mg/kgの少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体を含み、2週間毎に1回又は毎月1回投与される。一部の実施形態において、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体は、BAN2401である。
【0170】
一部の実施形態において、臨床的衰退は、CDR-SBにより決定したとき、プラセボと比べて少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも6%、少なくとも7%、少なくとも8%、少なくとも9%、少なくとも10%、少なくとも11%、少なくとも12%、少なくとも13%、又は少なくとも14%低減され、ここで対象は、アルツハイマー病による軽度認知障害-可能性が中等度を有すると診断されている。一部の実施形態において、上記に挙げる臨床的衰退の低減は、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物の1ヵ月、6ヵ月、12ヵ月、18ヵ月、60ヵ月、及び/又は63ヵ月の投与後に決定される。
【0171】
一部の実施形態において、臨床的衰退は、CDR-SBにより決定したとき、プラセボと比べて10%~20%低減され、ここで対象は、アルツハイマー病による軽度認知障害-可能性が中等度を有すると診断されている。一部の実施形態において、臨床的衰退は、CDR-SBにより決定したとき、プラセボと比べて10%、少なくとも12%、又は少なくとも14%など、少なくとも5%低減され、ここで対象は、アルツハイマー病による軽度認知障害-可能性が中等度を有すると診断されている。一部の実施形態において、臨床的衰退は、CDR-SBにより決定したとき、プラセボと比べて少なくとも14%低減され、ここで対象は、アルツハイマー病による軽度認知障害-可能性が中等度を有すると診断されている。一部の実施形態において、上記に挙げる臨床的衰退の低減は、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物の1ヵ月、6ヵ月、12ヵ月、18ヵ月、60ヵ月、及び/又は63ヵ月の投与後に決定される。
【0172】
一部の実施形態において、アルツハイマー病による軽度認知障害-可能性が中等度を有すると診断される対象の臨床的衰退は、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物の18ヵ月の投与後にCDR-SBにより決定したとき、プラセボと比べて少なくとも14%低減される。一部の実施形態において、組成物は10mg/kgの少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体を含み、2週間毎に1回又は毎月1回投与される。一部の実施形態において、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体は、BAN2401である。
【0173】
一部の実施形態において、臨床的衰退は、CDR-SBにより決定したとき、プラセボと比べて少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも6%、少なくとも7%、少なくとも8%、少なくとも9%、少なくとも10%、少なくとも11%、少なくとも12%、少なくとも13%、少なくとも14%、少なくとも15%、少なくとも16%、少なくとも17%、少なくとも18%、少なくとも19%、少なくとも20%、少なくとも21%、少なくとも22%、少なくとも23%、少なくとも24%、少なくとも25%、少なくとも26%、少なくとも27%、少なくとも28%、少なくとも29%、少なくとも30%、少なくとも31%、少なくとも32%、少なくとも33%、少なくとも34%、少なくとも35%、少なくとも36%、少なくとも37%、少なくとも38%、少なくとも39%、少なくとも40%、少なくとも41%、少なくとも42%、少なくとも43%、少なくとも44%、少なくとも45%、少なくとも46%、少なくとも47%、少なくとも48%、少なくとも49%、少なくとも50%、又は少なくとも51%低減され、ここで対象は、軽度アルツハイマー病型認知症を有すると診断されている。一部の実施形態において、上記に挙げる臨床的衰退の低減は、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物の1ヵ月、6ヵ月、12ヵ月、18ヵ月、60ヵ月、及び/又は63ヵ月の投与後に決定される。
【0174】
一部の実施形態において、臨床的衰退は、CDR-SBにより決定したとき、プラセボと比べて40%~60%低減され、ここで対象は、軽度アルツハイマー病型認知症を有すると診断されている。一部の実施形態において、臨床的衰退は、CDR-SBにより決定したとき、プラセボと比べて48%、少なくとも50%、又は少なくとも51%など、少なくとも45%低減され、ここで対象は、軽度アルツハイマー病型認知症を有すると診断されている。一部の実施形態において、臨床的衰退は、CDR-SBにより決定したとき、プラセボと比べて少なくとも51%低減され、ここで対象は、軽度アルツハイマー病型認知症を有すると診断されている。一部の実施形態において、上記に挙げる臨床的衰退の低減は、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物の1ヵ月、6ヵ月、12ヵ月、18ヵ月、60ヵ月、及び/又は63ヵ月の投与後に決定される。
【0175】
一部の実施形態において、軽度アルツハイマー病型認知症を有すると診断される対象の臨床的衰退は、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物の18ヵ月の投与後にCDR-SBにより決定したとき、プラセボと比べて少なくとも51%低減される。一部の実施形態において、組成物は10mg/kgの少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体を含み、2週間毎に1回又は毎月1回投与される。一部の実施形態において、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体は、BAN2401である。
【0176】
一部の実施形態において、臨床的衰退の低減は、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物の1ヵ月、2ヵ月、3ヵ月、4ヵ月、5ヵ月、6ヵ月、7ヵ月、8ヵ月、9ヵ月、10ヵ月、11ヵ月、12ヵ月、13ヵ月、14ヵ月、15ヵ月、16ヵ月、17ヵ月、18ヵ月、19ヵ月、20ヵ月、21ヵ月、22ヵ月、23ヵ月、24ヵ月、30ヵ月、36ヵ月、42ヵ月、48ヵ月、54ヵ月、60ヵ月、63ヵ月、66ヵ月、及び/又は72ヵ月の投与後に決定される。一部の実施形態において、臨床的衰退の低減は、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物の1ヵ月、6ヵ月、12ヵ月、18ヵ月、60ヵ月、及び/又は63ヵ月の投与後に決定される。
【0177】
一部の実施形態において、臨床的衰退の低減は、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物の1ヵ月の投与後に決定される。一部の実施形態において、臨床的衰退の低減は、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物の6ヵ月の投与後に決定される。一部の実施形態において、臨床的衰退の低減は、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物の12ヵ月の投与後に決定される。一部の実施形態において、臨床的衰退の低減は、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物の18ヵ月の投与後に決定される。一部の実施形態において、臨床的衰退の低減は、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物の60ヵ月の投与後に決定される。一部の実施形態において、臨床的衰退の低減は、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物の63ヵ月の投与後に決定される。
【0178】
一部の実施形態において、臨床的衰退の低減は、BAN2401の治療有効量を含む組成物の投与後に決定される。
【0179】
一部の実施形態において、臨床的衰退の低減は、BAN2401の治療有効量を含む組成物の1ヵ月、2ヵ月、3ヵ月、4ヵ月、5ヵ月、6ヵ月、7ヵ月、8ヵ月、9ヵ月、10ヵ月、11ヵ月、12ヵ月、13ヵ月、14ヵ月、15ヵ月、16ヵ月、17ヵ月、18ヵ月、19ヵ月、20ヵ月、21ヵ月、22ヵ月、23ヵ月、24ヵ月、30ヵ月、36ヵ月、42ヵ月、48ヵ月、54ヵ月、60ヵ月、63ヵ月、66ヵ月、及び/又は72ヵ月の投与後に決定される。一部の実施形態において、臨床的衰退の低減は、BAN2401の治療有効量を含む組成物の1ヵ月、6ヵ月、12ヵ月、18ヵ月、60ヵ月、及び/又は63ヵ月の投与後に決定される。一部の実施形態において、臨床的衰退の低減は、BAN2401の治療有効量を含む組成物の1ヵ月の投与後に決定される。一部の実施形態において、臨床的衰退の低減は、BAN2401の治療有効量を含む組成物の6ヵ月の投与後に決定される。一部の実施形態において、臨床的衰退の低減は、BAN2401の治療有効量を含む組成物の12ヵ月の投与後に決定される。一部の実施形態において、臨床的衰退の低減は、BAN2401の治療有効量を含む組成物の18ヵ月の投与後に決定される。一部の実施形態において、臨床的衰退の低減は、BAN2401の治療有効量を含む組成物の60ヵ月の投与後に決定される。一部の実施形態において、臨床的衰退の低減は、BAN2401の治療有効量を含む組成物の63ヵ月の投与後に決定される。
【0180】
一部の実施形態において、対象は、ApoE4陽性である。
【0181】
一部の実施形態において、臨床的衰退は、ADCOMSにより決定したとき、プラセボと比べて少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも6%、少なくとも7%、少なくとも8%、少なくとも9%、少なくとも10%、少なくとも11%、少なくとも12%、少なくとも13%、少なくとも14%、少なくとも15%、少なくとも16%、少なくとも17%、少なくとも18%、少なくとも19%、少なくとも20%、少なくとも21%、少なくとも22%、少なくとも23%、少なくとも24%、少なくとも25%、少なくとも26%、少なくとも27%、少なくとも28%、少なくとも29%、少なくとも30%、少なくとも31%、少なくとも32%、少なくとも33%、少なくとも34%、少なくとも35%、少なくとも36%、少なくとも37%、少なくとも38%、少なくとも39%、少なくとも40%、少なくとも41%、少なくとも42%、少なくとも43%、少なくとも44%、少なくとも45%、少なくとも46%、少なくとも47%、少なくとも48%、少なくとも49%、少なくとも50%、少なくとも51%、少なくとも52%、少なくとも53%、少なくとも54%、少なくとも55%、少なくとも56%、少なくとも57%、少なくとも58%、少なくとも59%、少なくとも60%、少なくとも61%、少なくとも62%、少なくとも63%、少なくとも64%、少なくとも65%、少なくとも66%、少なくとも67%、少なくとも68%、少なくとも69%、少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、又は少なくとも74%低減され、ここで対象は、ApoE4陽性である。一部の実施形態において、上記に挙げる臨床的衰退の低減は、少なくとも1つの抗Aβ抗体の治療有効量を含む組成物の1ヵ月、6ヵ月、12ヵ月、18ヵ月、60ヵ月、及び/又は63ヵ月の投与後に決定される。
【0182】
一部の実施形態において、臨床的衰退は、ADCOMSにより決定したとき、プラセボと比べて63%~74%など、60%~80%低減され、ここで対象は、ApoE4陽性である。一部の実施形態において、臨床的衰退は、ADCOMSにより決定したとき、プラセボと比べて少なくとも63%など、少なくとも60%低減され、ここで対象は、ApoE4陽性である。一部の実施形態において、臨床的衰退は、ADCOMSにより決定したとき、プラセボと比べて少なくとも67%など、少なくとも65%低減され、ここで対象は、ApoE4陽性である。一部の実施形態において、臨床的衰退は、ADCOMSにより決定したとき、プラセボと比べて少なくとも74%など、少なくとも70%低減され、ここで対象は、ApoE4陽性である。
【0183】
一部の実施形態において、ApoE4陽性対象の臨床的衰退は、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物の6ヵ月の投与後にADCOMSにより決定したとき、プラセボと比べて少なくとも70%低減される。一部の実施形態において、ApoE4陽性対象の臨床的衰退は、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物の12ヵ月の投与後にADCOMSにより決定したとき、プラセボと比べて少なくとも60%低減される。一部の実施形態において、ApoE4陽性対象の臨床的衰退は、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物の18ヵ月の投与後にADCOMSにより決定したとき、プラセボと比べて少なくとも55%又は少なくとも60%など、少なくとも50%低減される。一部の実施形態において、ApoE4陽性対象の臨床的衰退は、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物の18ヵ月の投与後にADCOMSにより決定したとき、プラセボと比べて少なくとも63%低減される。一部の実施形態において、組成物は10mg/kgの少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体を含み、2週間毎に1回又は毎月1回投与される。一部の実施形態において、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体は、BAN2401である。
【0184】
一部の実施形態において、臨床的衰退は、ADAS-cogにより決定したとき、プラセボと比べて少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも6%、少なくとも7%、少なくとも8%、少なくとも9%、少なくとも10%、少なくとも11%、少なくとも12%、少なくとも13%、少なくとも14%、少なくとも15%、少なくとも16%、少なくとも17%、少なくとも18%、少なくとも19%、少なくとも20%、少なくとも21%、少なくとも22%、少なくとも23%、少なくとも24%、少なくとも25%、少なくとも26%、少なくとも27%、少なくとも28%、少なくとも29%、少なくとも30%、少なくとも31%、少なくとも32%、少なくとも33%、少なくとも34%、少なくとも35%、少なくとも36%、少なくとも37%、少なくとも38%、少なくとも39%、少なくとも40%、少なくとも41%、少なくとも42%、少なくとも43%、少なくとも44%、少なくとも45%、少なくとも46%、少なくとも47%、少なくとも48%、少なくとも49%、少なくとも50%、少なくとも51%、少なくとも52%、少なくとも53%、少なくとも54%、少なくとも55%、少なくとも56%、少なくとも57%、少なくとも58%、少なくとも59%、少なくとも60%、少なくとも61%、少なくとも62%、少なくとも63%、少なくとも64%、少なくとも65%、少なくとも66%、少なくとも67%、少なくとも68%、少なくとも69%、少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも100%、少なくとも101%、少なくとも102%、少なくとも103%、少なくとも104%、少なくとも105%、少なくとも106%、少なくとも107%、少なくとも108%、少なくとも109%、少なくとも110%、少なくとも115%、少なくとも120%、少なくとも125%、少なくとも130%、少なくとも135%、少なくとも140%、少なくとも145%、少なくとも150%、少なくとも155%、少なくとも160%、少なくとも165%、少なくとも170%、少なくとも175%、少なくとも180%、少なくとも185%、少なくとも190%、少なくとも195%、少なくとも200%、少なくとも205%、少なくとも210%、少なくとも215%、少なくとも220%、少なくとも225%、少なくとも230%、少なくとも235%、少なくとも240%、少なくとも245%、少なくとも250%、少なくとも255%、少なくとも260%、少なくとも265%、少なくとも270%、少なくとも275%、少なくとも280%、少なくとも290%、少なくとも295%、少なくとも300%、少なくとも305%、少なくとも310%、少なくとも315%、少なくとも320%、少なくとも325%、少なくとも330%、又は少なくとも331%低減され、ここで対象は、ApoE4陽性である。一部の実施形態において、上記に挙げる臨床的衰退の低減は、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物の1ヵ月、6ヵ月、12ヵ月、18ヵ月、60ヵ月、及び/又は63ヵ月の投与後に決定される。
【0185】
一部の実施形態において、臨床的衰退は、ADAS-cogにより決定したとき、プラセボと比べて80%~350%など、70%~400%低減され、ここで対象は、ApoE4陽性である。一部の実施形態において、臨床的衰退は、ADAS-cogにより決定したとき、プラセボと比べて少なくとも75%又は少なくとも80%など、少なくとも70%低減され、ここで対象は、ApoE4陽性である。一部の実施形態において、臨床的衰退は、ADAS-cogにより決定したとき、プラセボと比べて少なくとも90%又は少なくとも100%など、少なくとも80%低減され、ここで対象は、ApoE4陽性である。一部の実施形態において、臨床的衰退は、ADAS-cogにより決定したとき、プラセボと比べて少なくとも330%など、少なくとも300%低減され、ここで対象は、ApoE4陽性である。一部の実施形態において、上記に挙げる臨床的衰退の低減は、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物の1ヵ月、6ヵ月、12ヵ月、18ヵ月、60ヵ月、及び/又は63ヵ月の投与後に決定される。
【0186】
一部の実施形態において、ApoE4陽性対象の臨床的衰退は、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物の6ヵ月の投与後にADAS-cogにより決定したとき、プラセボと比べて少なくとも300%低減される。一部の実施形態において、ApoE4陽性対象の臨床的衰退は、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物の12ヵ月の投与後にADAS-cogにより決定したとき、プラセボと比べて少なくとも90%又は少なくとも100%など、少なくとも80%低減される。一部の実施形態において、ApoE4陽性対象の臨床的衰退は、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物の18ヵ月の投与後にADAS-cogにより決定したとき、プラセボと比べて少なくとも75%、少なくとも80%、又は少なくとも84%など、少なくとも70%低減される。一部の実施形態において、ApoE4陽性対象の臨床的衰退は、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物の18ヵ月の投与後にADAS-cogにより決定したとき、プラセボと比べて少なくとも84%低減される。一部の実施形態において、組成物は10mg/kgの少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体を含み、2週間毎に1回又は毎月1回投与される。一部の実施形態において、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体は、BAN2401である。
【0187】
一部の実施形態において、臨床的衰退は、CDR-SBにより決定したとき、プラセボと比べて少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも6%、少なくとも7%、少なくとも8%、少なくとも9%、少なくとも10%、少なくとも11%、少なくとも12%、少なくとも13%、少なくとも14%、少なくとも15%、少なくとも16%、少なくとも17%、少なくとも18%、少なくとも19%、少なくとも20%、少なくとも21%、少なくとも22%、少なくとも23%、少なくとも24%、少なくとも25%、少なくとも26%、少なくとも27%、少なくとも28%、少なくとも29%、少なくとも30%、少なくとも31%、少なくとも32%、少なくとも33%、少なくとも34%、少なくとも35%、少なくとも36%、少なくとも37%、少なくとも38%、少なくとも39%、少なくとも40%、少なくとも41%、少なくとも42%、少なくとも43%、少なくとも44%、少なくとも45%、少なくとも46%、少なくとも47%、少なくとも48%、少なくとも49%、少なくとも50%、少なくとも51%、少なくとも52%、少なくとも53%、少なくとも54%、少なくとも55%、少なくとも56%、少なくとも57%、少なくとも58%、少なくとも59%、少なくとも60%、少なくとも61%、少なくとも62%、少なくとも63%、少なくとも64%、少なくとも65%、少なくとも66%、少なくとも67%、少なくとも68%、少なくとも69%、少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、又は少なくとも87%低減され、ここで対象は、ApoE4陽性である。一部の実施形態において、上記に挙げる臨床的衰退の低減は、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物の1ヵ月、6ヵ月、12ヵ月、18ヵ月、60ヵ月、及び/又は63ヵ月の投与後に決定される。
【0188】
一部の実施形態において、臨床的衰退は、CDR-SBにより決定したとき、プラセボと比べて40%~100%又は45%~90%など、35%~150%低減され、ここで対象は、ApoE4陽性である。一部の実施形態において、臨床的衰退は、CDR-SBにより決定したとき、プラセボと比べて少なくとも40%又は少なくとも45%など、少なくとも35%低減され、ここで対象は、ApoE4陽性である。一部の実施形態において、臨床的衰退は、CDR-SBにより決定したとき、プラセボと比べて少なくとも55%又は少なくとも60%など、少なくとも50%低減され、ここで対象は、ApoE4陽性である。一部の実施形態において、臨床的衰退は、CDR-SBにより決定したとき、プラセボと比べて少なくとも80%又は少なくとも85%など、少なくとも70%低減され、ここで対象は、ApoE4陽性である。一部の実施形態において、上記に挙げる臨床的衰退の低減は、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物の1ヵ月、6ヵ月、12ヵ月、18ヵ月、60ヵ月、及び/又は63ヵ月の投与後に決定される。
【0189】
一部の実施形態において、ApoE4陽性対象の臨床的衰退は、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物の6ヵ月の投与後にCDR-SBにより決定したとき、プラセボと比べて少なくとも40%又は少なくとも45%など、少なくとも35%低減される。一部の実施形態において、ApoE4陽性対象の臨床的衰退は、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物の12ヵ月の投与後にCDR-SBにより決定したとき、プラセボと比べて少なくとも75%又は少なくとも80%など、少なくとも70%低減される。一部の実施形態において、ApoE4陽性対象の臨床的衰退は、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物の18ヵ月の投与後にCDR-SBにより決定したとき、プラセボと比べて少なくとも55%又は少なくとも60%など、少なくとも50%低減される。一部の実施形態において、ApoE4陽性対象の臨床的衰退は、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物の18ヵ月の投与後にCDR-SBにより決定したとき、プラセボと比べて少なくとも60%低減される。一部の実施形態において、組成物は10mg/kgの少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体を含み、2週間毎に1回又は毎月1回投与される。一部の実施形態において、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体は、BAN2401である。
【0190】
一部の実施形態において、臨床的衰退は、ADCOMSにより決定したとき、プラセボと比べて少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも6%、少なくとも7%、少なくとも8%、少なくとも9%、少なくとも10%、少なくとも11%、少なくとも12%、少なくとも13%、少なくとも14%、少なくとも15%、少なくとも16%、少なくとも17%、少なくとも18%、少なくとも19%、少なくとも20%、少なくとも21%、少なくとも22%、少なくとも23%、少なくとも24%、少なくとも25%、少なくとも26%、少なくとも27%、少なくとも28%、少なくとも29%、少なくとも30%、少なくとも31%、少なくとも32%、少なくとも33%、少なくとも34%、少なくとも35%、少なくとも36%、少なくとも37%、少なくとも38%、少なくとも39%、少なくとも40%、少なくとも41%、少なくとも42%、少なくとも43%、少なくとも44%、少なくとも45%、少なくとも46%、少なくとも47%、少なくとも48%、少なくとも49%、少なくとも50%、少なくとも51%、少なくとも52%、少なくとも53%、少なくとも54%、少なくとも55%、少なくとも56%、少なくとも57%、少なくとも58%、又は少なくとも59%低減され、ここで対象は、ApoE4陽性であり、及び対象は、アルツハイマー病による軽度認知障害-可能性が中等度を有すると診断されている。一部の実施形態において、上記に挙げる臨床的衰退の低減は、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物の1ヵ月、6ヵ月、12ヵ月、18ヵ月、60ヵ月、及び/又は63ヵ月の投与後に決定される。
【0191】
一部の実施形態において、臨床的衰退は、ADCOMSにより決定したとき、プラセボと比べて38%~59%など、30%~70%低減され、ここで対象は、ApoE4陽性であり、及び対象は、アルツハイマー病による軽度認知障害-可能性が中等度を有すると診断されている。一部の実施形態において、臨床的衰退は、ADCOMSにより決定したとき、プラセボと比べて少なくとも35%又は少なくとも38%など、少なくとも30%低減され、ここで対象は、ApoE4陽性であり、及び対象は、アルツハイマー病による軽度認知障害-可能性が中等度を有すると診断されている。一部の実施形態において、臨床的衰退は、ADCOMSにより決定したとき、プラセボと比べて少なくとも50%又は少なくとも53%など、少なくとも45%低減され、ここで対象は、ApoE4陽性であり、及び対象は、アルツハイマー病による軽度認知障害-可能性が中等度を有すると診断されている。一部の実施形態において、臨床的衰退は、ADCOMSにより決定したとき、プラセボと比べて少なくとも55%又は少なくとも59%など、少なくとも50%低減され、ここで対象は、ApoE4陽性であり、及び対象は、アルツハイマー病による軽度認知障害-可能性が中等度を有すると診断されている。一部の実施形態において、上記に挙げる臨床的衰退の低減は、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物の1ヵ月、6ヵ月、12ヵ月、18ヵ月、60ヵ月、及び/又は63ヵ月の投与後に決定される。
【0192】
一部の実施形態において、アルツハイマー病による軽度認知障害-可能性が中等度を有すると診断されるApoE4陽性対象の臨床的衰退は、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物の6ヵ月の投与後にADCOMSにより決定したとき、プラセボと比べて少なくとも55%など、少なくとも50%低減される。一部の実施形態において、アルツハイマー病による軽度認知障害-可能性が中等度と診断されるApoE4陽性対象の臨床的衰退は、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物の12ヵ月の投与後にADCOMSにより決定したとき、プラセボと比べて少なくとも35%など、少なくとも30%低減される。一部の実施形態において、アルツハイマー病による軽度認知障害-可能性が中等度を有すると診断されるApoE4陽性対象の臨床的衰退は、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物の18ヵ月の投与後にADCOMSにより決定したとき、プラセボと比べて少なくとも50%又は少なくとも55%など、少なくとも45%低減される。一部の実施形態において、組成物は10mg/kgの少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体を含み、2週間毎に1回又は毎月1回投与される。一部の実施形態において、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体は、BAN2401である。
【0193】
一部の実施形態において、臨床的衰退は、ADCOMSにより決定したとき、プラセボと比べて少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも6%、少なくとも7%、少なくとも8%、少なくとも9%、少なくとも10%、少なくとも11%、少なくとも12%、少なくとも13%、少なくとも14%、少なくとも15%、少なくとも16%、少なくとも17%、少なくとも18%、少なくとも19%、少なくとも20%、少なくとも21%、少なくとも22%、少なくとも23%、少なくとも24%、少なくとも25%、少なくとも26%、少なくとも27%、少なくとも28%、少なくとも29%、少なくとも30%、少なくとも31%、少なくとも32%、少なくとも33%、少なくとも34%、少なくとも35%、少なくとも36%、少なくとも37%、少なくとも38%、少なくとも39%、少なくとも40%、少なくとも41%、少なくとも42%、少なくとも43%、少なくとも44%、少なくとも45%、少なくとも46%、少なくとも47%、少なくとも48%、少なくとも49%、少なくとも50%、少なくとも51%、少なくとも52%、少なくとも53%、少なくとも54%、少なくとも55%、少なくとも56%、少なくとも57%、少なくとも58%、少なくとも59%、少なくとも60%、少なくとも61%、少なくとも62%、少なくとも63%、少なくとも64%、少なくとも65%、少なくとも66%、少なくとも67%、少なくとも68%、少なくとも69%、少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも100%、少なくとも101%、少なくとも102%、少なくとも103%、少なくとも104%、少なくとも105%、少なくとも106%、少なくとも107%、少なくとも108%、少なくとも109%、少なくとも110%、少なくとも115%、少なくとも120%、少なくとも125%、少なくとも130%、少なくとも135%、少なくとも140%、少なくとも145%、少なくとも150%、少なくとも155%、少なくとも160%、少なくとも165%、少なくとも170%、少なくとも175%、少なくとも180%、少なくとも185%、少なくとも190%、少なくとも195%、少なくとも200%、少なくとも205%、少なくとも210%、又は少なくとも211%低減され、ここで対象は、ApoE4陽性であり、及び対象は、軽度アルツハイマー病型認知症を有すると診断されている。一部の実施形態において、上記に挙げる臨床的衰退の低減は、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物の1ヵ月、6ヵ月、12ヵ月、18ヵ月、60ヵ月、及び/又は63ヵ月の投与後に決定される。
【0194】
一部の実施形態において、軽度アルツハイマー病型認知症を有すると診断されるApoE4陽性対象の臨床的衰退は、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物の6ヵ月の投与後にADCOMSにより決定したとき、プラセボと比べて少なくとも110%など、少なくとも100%低減される。一部の実施形態において、軽度アルツハイマー病型認知症を有すると診断されるApoE4陽性対象の臨床的衰退は、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物の12ヵ月の投与後にADCOMSにより決定したとき、プラセボと比べて少なくとも110%など、少なくとも100%低減される。一部の実施形態において、軽度アルツハイマー病型認知症を有すると診断されるApoE4陽性対象の臨床的衰退は、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物の18ヵ月の投与後にADCOMSにより決定したとき、プラセボと比べて少なくとも70%又は少なくとも75%など、少なくとも65%低減される。一部の実施形態において、組成物は10mg/kgの少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体を含み、2週間毎に1回又は毎月1回投与される。一部の実施形態において、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体は、BAN2401である。
【0195】
一部の実施形態において、臨床的衰退は、ADAS-Cogにより決定したとき、プラセボと比べて少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも6%、少なくとも7%、少なくとも8%、少なくとも9%、少なくとも10%、少なくとも11%、少なくとも12%、少なくとも13%、少なくとも14%、少なくとも15%、少なくとも16%、少なくとも17%、少なくとも18%、少なくとも19%、少なくとも20%、少なくとも21%、少なくとも22%、少なくとも23%、少なくとも24%、少なくとも25%、少なくとも26%、少なくとも27%、少なくとも28%、少なくとも29%、少なくとも30%、少なくとも31%、少なくとも32%、少なくとも33%、少なくとも34%、少なくとも35%、少なくとも36%、少なくとも37%、少なくとも38%、少なくとも39%、少なくとも40%、少なくとも41%、少なくとも42%、少なくとも43%、少なくとも44%、少なくとも45%、少なくとも46%、少なくとも47%、少なくとも48%、少なくとも49%、少なくとも50%、少なくとも51%、少なくとも52%、少なくとも53%、少なくとも54%、少なくとも55%、少なくとも56%、少なくとも57%、少なくとも58%、少なくとも59%、少なくとも60%、少なくとも61%、少なくとも62%、少なくとも63%、少なくとも64%、少なくとも65%、少なくとも66%、少なくとも67%、少なくとも68%、少なくとも69%、少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも100%、少なくとも101%、少なくとも102%、少なくとも103%、少なくとも104%、少なくとも105%、少なくとも106%、少なくとも107%、少なくとも108%、少なくとも109%、少なくとも110%、少なくとも115%、少なくとも120%、少なくとも125%、少なくとも130%、少なくとも135%、少なくとも140%、少なくとも145%、少なくとも150%、少なくとも155%、少なくとも160%、少なくとも165%、少なくとも170%、少なくとも175%、少なくとも180%、少なくとも185%、少なくとも190%、少なくとも195%、少なくとも200%、少なくとも205%、少なくとも210%、又は少なくとも211%低減され、ここで対象は、ApoE4陽性であり、及び対象は、アルツハイマー病による軽度認知障害-可能性が中等度を有すると診断されている。一部の実施形態において、上記に挙げる臨床的衰退の低減は、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物の1ヵ月、6ヵ月、12ヵ月、18ヵ月、60ヵ月、及び/又は63ヵ月の投与後に決定される。
【0196】
一部の実施形態において、臨床的衰退は、ADAS-Cogにより決定したとき、プラセボと比べて45%~250%又は50%~250%など、40%~300%低減され、ここで対象は、ApoE4陽性であり、及び対象は、アルツハイマー病による軽度認知障害-可能性が中等度を有すると診断されている。一部の実施形態において、臨床的衰退は、ADAS-Cogにより決定したとき、プラセボと比べて少なくとも45%又は少なくとも50%など、少なくとも40%低減され、ここで対象は、ApoE4陽性であり、及び対象は、アルツハイマー病による軽度認知障害-可能性が中等度を有すると診断されている。一部の実施形態において、臨床的衰退は、ADAS-Cogにより決定したとき、プラセボと比べて少なくとも70%、少なくとも75%、又は少なくとも80%など、少なくとも60低減され、ここで対象は、ApoE4陽性であり、及び対象は、アルツハイマー病による軽度認知障害-可能性が中等度を有すると診断されている。一部の実施形態において、臨床的衰退は、ADAS-Cogにより決定したとき、プラセボと比べて少なくとも150%又は少なくとも200%など、少なくとも100%低減され、ここで対象は、ApoE4陽性であり、及び対象は、アルツハイマー病による軽度認知障害-可能性が中等度を有すると診断されている。一部の実施形態において、上記に挙げる臨床的衰退の低減は、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物の1ヵ月、6ヵ月、12ヵ月、18ヵ月、60ヵ月、及び/又は63ヵ月の投与後に決定される。
【0197】
一部の実施形態において、アルツハイマー病による軽度認知障害-可能性が中等度を有すると診断されるApoE4陽性対象の臨床的衰退は、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物の6ヵ月の投与後にADAS-cogにより決定したとき、プラセボと比べて少なくとも150%又は少なくとも200%など、少なくとも100%低減される。一部の実施形態において、アルツハイマー病による軽度認知障害-可能性が中等度と診断されるApoE4陽性対象の臨床的衰退は、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物の12ヵ月の投与後にADAS-cogにより決定したとき、プラセボと比べて少なくとも45%又は少なくとも50%など、少なくとも40%低減される。一部の実施形態において、アルツハイマー病による軽度認知障害-可能性が中等度を有すると診断されるApoE4陽性対象の臨床的衰退は、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物の18ヵ月の投与後にADAS-cogにより決定したとき、プラセボと比べて少なくとも60%、少なくとも70%、又は少なくとも75%など、少なくとも50%低減される。一部の実施形態において、組成物は10mg/kgの少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体を含み、2週間毎に1回又は毎月1回投与される。一部の実施形態において、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体は、BAN2401である。
【0198】
一部の実施形態において、臨床的衰退は、CDR-SBにより決定したとき、プラセボと比べて少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも6%、少なくとも7%、少なくとも8%、少なくとも9%、少なくとも10%、少なくとも11%、少なくとも12%、少なくとも13%、少なくとも14%、少なくとも15%、少なくとも16%、少なくとも17%、少なくとも18%、少なくとも19%、少なくとも20%、少なくとも21%、少なくとも22%、少なくとも23%、少なくとも24%、少なくとも25%、少なくとも26%、少なくとも27%、少なくとも28%、少なくとも29%、少なくとも30%、少なくとも31%、少なくとも32%、少なくとも33%、少なくとも34%、少なくとも35%、少なくとも36%、少なくとも37%、少なくとも38%、少なくとも39%、少なくとも40%、少なくとも41%、少なくとも42%、少なくとも43%、少なくとも44%、又は少なくとも45%低減され、ここで対象は、ApoE4陽性であり、及び対象は、アルツハイマー病による軽度認知障害-可能性が中等度を有すると診断されている。一部の実施形態において、上記に挙げる臨床的衰退の低減は、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物の1ヵ月、6ヵ月、12ヵ月、18ヵ月、60ヵ月、及び/又は63ヵ月の投与後に決定される。
【0199】
一部の実施形態において、臨床的衰退は、CDR-SBにより決定したとき、プラセボと比べて25%~80%又は30%~75%など、20%~90%低減され、ここで対象は、ApoE4陽性であり、及び対象は、アルツハイマー病による軽度認知障害-可能性が中等度を有すると診断されている。一部の実施形態において、臨床的衰退は、CDR-SBにより決定したとき、プラセボと比べて少なくとも30%など、少なくとも25%低減され、ここで対象は、ApoE4陽性であり、及び対象は、アルツハイマー病による軽度認知障害-可能性が中等度を有すると診断されている。一部の実施形態において、臨床的衰退は、CDR-SBにより決定したとき、プラセボと比べて少なくとも35%又は40%など、少なくとも30%低減され、ここで対象は、ApoE4陽性であり、及び対象は、アルツハイマー病による軽度認知障害-可能性が中等度を有すると診断されている。一部の実施形態において、臨床的衰退は、CDR-SBにより決定したとき、プラセボと比べて少なくとも40%又は45%など、少なくとも35%低減され、ここで対象は、ApoE4陽性であり、及び対象は、アルツハイマー病による軽度認知障害-可能性が中等度を有すると診断されている。一部の実施形態において、上記に挙げる臨床的衰退の低減は、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物の1ヵ月、6ヵ月、12ヵ月、18ヵ月、60ヵ月、及び/又は63ヵ月の投与後に決定される。
【0200】
一部の実施形態において、アルツハイマー病による軽度認知障害-可能性が中等度を有すると診断されるApoE4陽性対象の臨床的衰退は、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物、CDR-SBにより決定したとき、プラセボと比べて少なくとも40%又は少なくとも45%など、少なくとも35%低減される。一部の実施形態において、アルツハイマー病による軽度認知障害-可能性が中等度と診断されるApoE4陽性対象の臨床的衰退は、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物の12ヵ月の投与後にCDR-SBにより決定したとき、プラセボと比べて少なくとも25%又は少なくとも30%など、少なくとも20%低減される。一部の実施形態において、アルツハイマー病による軽度認知障害-可能性が中等度を有すると診断されるApoE4陽性対象の臨床的衰退は、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物の18ヵ月の投与後にCDR-SBにより決定したとき、プラセボと比べて少なくとも40%など、少なくとも35%低減される。一部の実施形態において、組成物は10mg/kgの少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体を含み、2週間毎に1回又は毎月1回投与される。一部の実施形態において、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体は、BAN2401である。
【0201】
一部の実施形態において、臨床的衰退は、ADCOMSにより決定したとき、プラセボと比べて少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも6%、少なくとも7%、少なくとも8%、少なくとも9%、少なくとも10%、少なくとも11%、少なくとも12%、少なくとも13%、少なくとも14%、少なくとも15%、少なくとも16%、少なくとも17%、少なくとも18%、少なくとも19%、少なくとも20%、少なくとも21%、少なくとも22%、少なくとも23%、少なくとも24%、少なくとも25%、少なくとも26%、少なくとも27%、少なくとも28%、少なくとも29%、少なくとも30%、少なくとも31%、少なくとも32%、少なくとも33%、少なくとも34%、少なくとも35%、少なくとも36%、少なくとも37%、少なくとも38%、少なくとも39%、少なくとも40%、少なくとも41%、少なくとも42%、少なくとも43%、少なくとも44%、少なくとも45%、少なくとも46%、少なくとも47%、少なくとも48%、少なくとも49%、少なくとも50%、少なくとも51%、少なくとも52%、少なくとも53%、少なくとも54%、少なくとも55%、少なくとも56%、少なくとも57%、少なくとも58%、少なくとも59%、少なくとも60%、少なくとも61%、少なくとも62%、少なくとも63%、少なくとも64%、少なくとも65%、少なくとも66%、少なくとも67%、少なくとも68%、少なくとも69%、少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも100%、少なくとも101%、少なくとも102%、少なくとも103%、少なくとも104%、少なくとも105%、少なくとも106%、少なくとも107%、少なくとも108%、少なくとも109%、少なくとも110%、少なくとも111%、少なくとも112%、少なくとも113%、少なくとも114%、少なくとも115%、少なくとも116%、少なくとも117%、少なくとも118%、又は少なくとも119%低減され、ここで対象は、ApoE4陽性であり、及び対象は、軽度アルツハイマー病型認知症を有すると診断されている。一部の実施形態において、上記に挙げる臨床的衰退の低減は、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物の1ヵ月、6ヵ月、12ヵ月、18ヵ月、60ヵ月、及び/又は63ヵ月の投与後に決定される。
【0202】
一部の実施形態において、臨床的衰退は、ADCOMSにより決定したとき、プラセボと比べて76%~119%低減され、ここで対象は、ApoE4陽性であり、及び対象は、軽度アルツハイマー病型認知症を有すると診断されている。一部の実施形態において、臨床的衰退は、ADCOMSにより決定したとき、プラセボと比べて76%低減され、ここで対象は、ApoE4陽性であり、及び対象は、軽度アルツハイマー病型認知症を有すると診断されている。一部の実施形態において、臨床的衰退は、ADCOMSにより決定したとき、プラセボと比べて113%低減され、ここで対象は、ApoE4陽性であり、及び対象は、軽度アルツハイマー病型認知症を有すると診断されている。一部の実施形態において、臨床的衰退は、ADCOMSにより決定したとき、プラセボと比べて119%低減され、ここで対象は、ApoE4陽性であり、及び対象は、軽度アルツハイマー病型認知症を有すると診断されている。一部の実施形態において、上記に挙げる臨床的衰退の低減は、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物の1ヵ月、6ヵ月、12ヵ月、18ヵ月、60ヵ月、及び/又は63ヵ月の投与後に決定される。
【0203】
一部の実施形態において、臨床的衰退は、ADAS-Cogにより決定したとき、プラセボと比べて少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも6%、少なくとも7%、少なくとも8%、少なくとも9%、少なくとも10%、少なくとも11%、少なくとも12%、少なくとも13%、少なくとも14%、少なくとも15%、少なくとも16%、少なくとも17%、少なくとも18%、少なくとも19%、少なくとも20%、少なくとも21%、少なくとも22%、少なくとも23%、少なくとも24%、少なくとも25%、少なくとも26%、少なくとも27%、少なくとも28%、少なくとも29%、少なくとも30%、少なくとも31%、少なくとも32%、少なくとも33%、少なくとも34%、少なくとも35%、少なくとも36%、少なくとも37%、少なくとも38%、少なくとも39%、少なくとも40%、少なくとも41%、少なくとも42%、少なくとも43%、少なくとも44%、少なくとも45%、少なくとも46%、少なくとも47%、少なくとも48%、少なくとも49%、少なくとも50%、少なくとも51%、少なくとも52%、少なくとも53%、少なくとも54%、少なくとも55%、少なくとも56%、少なくとも57%、少なくとも58%、少なくとも59%、少なくとも60%、少なくとも61%、少なくとも62%、少なくとも63%、少なくとも64%、少なくとも65%、少なくとも66%、少なくとも67%、少なくとも68%、少なくとも69%、少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも100%、少なくとも101%、少なくとも102%、少なくとも103%、少なくとも104%、少なくとも105%、少なくとも106%、少なくとも107%、少なくとも108%、少なくとも109%、少なくとも110%、少なくとも111%、少なくとも112%、少なくとも113%、少なくとも114%、少なくとも115%、少なくとも116%、少なくとも117%、少なくとも118%、少なくとも119%、少なくとも120%、少なくとも121%、少なくとも122%、少なくとも123%、少なくとも124%、少なくとも125%、少なくとも126%、少なくとも127%、少なくとも128%、少なくとも129%、少なくとも130%、少なくとも131%、少なくとも132%、少なくとも133%、少なくとも134%、少なくとも135%、少なくとも136%、少なくとも137%、少なくとも138%、少なくとも139%、少なくとも140%、少なくとも141%、少なくとも142%、少なくとも143%、少なくとも144%、少なくとも145%、少なくとも146%、少なくとも147%、少なくとも148%、少なくとも149%、少なくとも150%、少なくとも151%、少なくとも152%、少なくとも153%、少なくとも154%、少なくとも155%、少なくとも156%、少なくとも157%、少なくとも158%、少なくとも159%、少なくとも160%、少なくとも161%、少なくとも162%、少なくとも163%、少なくとも164%、少なくとも165%、少なくとも166%、少なくとも167%、少なくとも168%、少なくとも169%、少なくとも170%、少なくとも171%、少なくとも172%、少なくとも173%、少なくとも174%、少なくとも175%、少なくとも176%、少なくとも177%、少なくとも178%、少なくとも179%、少なくとも180%、少なくとも190%、少なくとも200%、少なくとも210%、少なくとも220%、少なくとも230%、少なくとも240%、少なくとも250%、少なくとも275%、少なくとも300%、少なくとも325%、少なくとも350%、少なくとも375%、少なくとも400%、少なくとも425%、少なくとも450%、少なくとも475%、少なくとも500%、少なくとも550%、少なくとも600%、少なくとも650%、少なくとも700%、少なくとも750%、少なくとも800%、少なくとも850%、少なくとも900%、少なくとも950%、少なくとも1000%、少なくとも1001%、少なくとも1002%、少なくとも1003%、少なくとも1004%、少なくとも1005%、少なくとも1006%、少なくとも1007%、少なくとも1008%、少なくとも1009%、少なくとも1010%、少なくとも1011%、少なくとも1012%、少なくとも1013%、少なくとも1014%、少なくとも1015%、少なくとも1016%、少なくとも1017%、少なくとも1018%、少なくとも1019%、少なくとも1020%、少なくとも1021%、少なくとも1022%、又は少なくとも1023%低減され、ここで対象は、ApoE4陽性であり、及び対象は、軽度アルツハイマー病型認知症を有すると診断されている。一部の実施形態において、上記に挙げる臨床的衰退の低減は、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物の1ヵ月、6ヵ月、12ヵ月、18ヵ月、60ヵ月、及び/又は63ヵ月の投与後に決定される。
【0204】
一部の実施形態において、臨床的衰退は、ADAS-Cogにより決定したとき、プラセボと比べて58%~1023%低減され、ここで対象は、ApoE4陽性であり、及び対象は、軽度アルツハイマー病型認知症を有すると診断されている。一部の実施形態において、臨床的衰退は、ADAS-Cogにより決定したとき、プラセボと比べて58%低減され、ここで対象は、ApoE4陽性であり、及び対象は、軽度アルツハイマー病型認知症を有すると診断されている。一部の実施形態において、臨床的衰退は、ADAS-Cogにより決定したとき、プラセボと比べて171%低減され、ここで対象は、ApoE4陽性であり、及び対象は、軽度アルツハイマー病型認知症を有すると診断されている。一部の実施形態において、臨床的衰退は、ADAS-Cogにより決定したとき、プラセボと比べて1023%低減され、ここで対象は、ApoE4陽性であり、及び対象は、軽度アルツハイマー病型認知症を有すると診断されている。一部の実施形態において、上記に挙げる臨床的衰退の低減は、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物の1ヵ月、6ヵ月、12ヵ月、18ヵ月、60ヵ月、及び/又は63ヵ月の投与後に決定される。
【0205】
一部の実施形態において、臨床的衰退は、CDR-SBにより決定したとき、プラセボと比べて少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも6%、少なくとも7%、少なくとも8%、少なくとも9%、少なくとも10%、少なくとも11%、少なくとも12%、少なくとも13%、少なくとも14%、少なくとも15%、少なくとも16%、少なくとも17%、少なくとも18%、少なくとも19%、少なくとも20%、少なくとも21%、少なくとも22%、少なくとも23%、少なくとも24%、少なくとも25%、少なくとも26%、少なくとも27%、少なくとも28%、少なくとも29%、少なくとも30%、少なくとも31%、少なくとも32%、少なくとも33%、少なくとも34%、少なくとも35%、少なくとも36%、少なくとも37%、少なくとも38%、少なくとも39%、少なくとも40%、少なくとも41%、少なくとも42%、少なくとも43%、少なくとも44%、少なくとも45%、少なくとも46%、少なくとも47%、少なくとも48%、少なくとも49%、少なくとも50%、少なくとも51%、少なくとも52%、少なくとも53%、少なくとも54%、少なくとも55%、少なくとも56%、少なくとも57%、少なくとも58%、少なくとも59%、少なくとも60%、少なくとも61%、少なくとも62%、少なくとも63%、少なくとも64%、少なくとも65%、少なくとも66%、少なくとも67%、少なくとも68%、少なくとも69%、少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも100%、少なくとも101%、少なくとも102%、少なくとも103%、少なくとも104%、少なくとも105%、少なくとも106%、少なくとも107%、少なくとも108%、少なくとも109%、少なくとも110%、少なくとも111%、少なくとも112%、少なくとも113%、少なくとも114%、少なくとも115%、少なくとも116%、少なくとも117%、少なくとも118%、少なくとも119%、少なくとも120%、少なくとも121%、少なくとも122%、少なくとも123%、少なくとも124%、少なくとも125%、少なくとも126%、少なくとも127%、少なくとも128%、少なくとも129%、少なくとも130%、少なくとも131%、少なくとも132%、少なくとも133%、少なくとも134%、少なくとも135%、少なくとも136%、少なくとも137%、少なくとも138%、少なくとも139%、少なくとも140%、少なくとも141%、少なくとも142%、少なくとも143%、少なくとも144%、少なくとも145%、少なくとも146%、少なくとも147%、少なくとも148%、少なくとも149%、少なくとも150%、少なくとも151%、少なくとも152%、少なくとも153%、少なくとも154%、少なくとも155%、少なくとも156%、少なくとも157%、少なくとも158%、少なくとも159%、少なくとも160%、少なくとも161%、少なくとも162%、少なくとも163%、少なくとも164%、少なくとも165%、少なくとも166%、少なくとも167%、少なくとも168%、少なくとも169%、少なくとも170%、少なくとも171%、少なくとも172%、少なくとも173%、又は少なくとも174%低減され、ここで対象は、ApoE4陽性であり、及び対象は、軽度アルツハイマー病型認知症を有すると診断されている。一部の実施形態において、上記に挙げる臨床的衰退の低減は、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物の1ヵ月、6ヵ月、12ヵ月、18ヵ月、60ヵ月、及び/又は63ヵ月の投与後に決定される。
【0206】
一部の実施形態において、臨床的衰退は、CDR-SBにより決定したとき、プラセボと比べて75%~180%又は82%~174%など、70%~200%低減され、ここで対象は、ApoE4陽性であり、及び対象は、軽度アルツハイマー病型認知症を有すると診断されている。一部の実施形態において、臨床的衰退は、CDR-SBにより決定したとき、プラセボと比べて少なくとも80%など、少なくとも70%低減され、ここで対象は、ApoE4陽性であり、及び対象は、軽度アルツハイマー病型認知症を有すると診断されている。一部の実施形態において、臨床的衰退は、CDR-SBにより決定したとき、プラセボと比べて少なくとも80%又は少なくとも85%など、少なくとも75%低減され、ここで対象は、ApoE4陽性であり、及び対象は、軽度アルツハイマー病型認知症を有すると診断されている。一部の実施形態において、臨床的衰退は、CDR-SBにより決定したとき、プラセボと比べて少なくとも160%又は170%など、少なくとも150%低減され、ここで対象は、ApoE4陽性であり、及び対象は、軽度アルツハイマー病型認知症を有すると診断されている。一部の実施形態において、上記に挙げる臨床的衰退の低減は、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物の1ヵ月、6ヵ月、12ヵ月、18ヵ月、60ヵ月、及び/又は63ヵ月の投与後に決定される。
【0207】
一部の実施形態において、軽度アルツハイマー病型認知症を有すると診断されるApoE4陽性対象の臨床的衰退は、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物、CDR-SBにより決定したとき、プラセボと比べて少なくとも75%、少なくとも80%、又は少なくとも85%など、少なくとも70%低減される。一部の実施形態において、軽度アルツハイマー病型認知症を有すると診断されるApoE4陽性対象の臨床的衰退は、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物の12ヵ月の投与後にCDR-SBにより決定したとき、プラセボと比べて少なくとも140%、少なくとも150%、少なくとも160%、又は少なくとも170%など、少なくとも130%低減される。一部の実施形態において、軽度アルツハイマー病型認知症を有すると診断されるApoE4陽性対象の臨床的衰退は、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物の18ヵ月の投与後にCDR-SBにより決定したとき、プラセボと比べて少なくとも70%、少なくとも75%、又は少なくとも80%など、少なくとも65%低減される。一部の実施形態において、組成物は10mg/kgの少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体を含み、2週間毎に1回又は毎月1回投与される。一部の実施形態において、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体は、BAN2401である。
【0208】
一部の実施形態において、対象は、ApoE4陰性である。
【0209】
一部の実施形態において、臨床的衰退は、ADCOMSにより決定したとき、プラセボと比べて少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも6%、少なくとも7%、少なくとも8%、少なくとも9%、少なくとも10%、少なくとも11%、又は少なくとも12%低減され、ここで対象は、ApoE4陰性である。一部の実施形態において、上記に挙げる臨床的衰退の低減は、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物の1ヵ月、6ヵ月、12ヵ月、18ヵ月、60ヵ月、及び/又は63ヵ月の投与後に決定される。
【0210】
一部の実施形態において、臨床的衰退は、ADCOMSにより決定したとき、プラセボと比べて5%~15%低減され、ここで対象は、ApoE4陰性である。一部の実施形態において、臨床的衰退は、ADCOMSにより決定したとき、プラセボと比べて少なくとも7%など、少なくとも5%低減され、ここで対象は、ApoE4陰性である。一部の実施形態において、臨床的衰退は、ADCOMSにより決定したとき、プラセボと比べて少なくとも12%など、少なくとも10%低減され、ここで対象は、ApoE4陰性である。一部の実施形態において、上記に挙げる臨床的衰退の低減は、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物の1ヵ月、6ヵ月、12ヵ月、18ヵ月、60ヵ月、及び/又は63ヵ月の投与後に決定される。
【0211】
一部の実施形態において、ApoE4陰性対象の臨床的衰退は、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物の6ヵ月の投与後にADCOMSにより決定したとき、プラセボと比べて少なくとも-2%低減される。一部の実施形態において、ApoE4陰性対象の臨床的衰退は、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物の12ヵ月の投与後にADCOMSにより決定したとき、プラセボと比べて少なくとも10%低減される。一部の実施形態において、ApoE4陰性対象の臨床的衰退は、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物の18ヵ月の投与後にADCOMSにより決定したとき、プラセボと比べて少なくとも7%など、少なくとも5%低減される。一部の実施形態において、ApoE4陰性対象の臨床的衰退は、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物の18ヵ月の投与後にADCOMSにより決定したとき、プラセボと比べて少なくとも7%低減される。一部の実施形態において、組成物は10mg/kgの少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体を含み、2週間毎に1回又は毎月1回投与される。一部の実施形態において、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体は、BAN2401である。
【0212】
一部の実施形態において、臨床的衰退は、ADAS-cogにより決定したとき、プラセボと比べて少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも6%、少なくとも7%、少なくとも8%、少なくとも9%、少なくとも10%、少なくとも11%、少なくとも12%、少なくとも13%、少なくとも14%、少なくとも15%、少なくとも16%、少なくとも17%、少なくとも18%、少なくとも19%、少なくとも20%、少なくとも21%、少なくとも22%、少なくとも23%、少なくとも24%、少なくとも25%、少なくとも26%、少なくとも27%、少なくとも28%、少なくとも29%、少なくとも30%、少なくとも31%、少なくとも32%、少なくとも33%、少なくとも34%、少なくとも35%、少なくとも36%、少なくとも37%、少なくとも38%、少なくとも39%、少なくとも40%、少なくとも41%、少なくとも42%、少なくとも43%、少なくとも44%、少なくとも45%、少なくとも46%、少なくとも47%、少なくとも48%、少なくとも49%、少なくとも50%、少なくとも51%、少なくとも52%、少なくとも53%、少なくとも54%、少なくとも55%、少なくとも56%、少なくとも57%、少なくとも58%、少なくとも59%、少なくとも60%、少なくとも61%、少なくとも62%、少なくとも63%、少なくとも64%、少なくとも65%、少なくとも66%、少なくとも67%、少なくとも68%、少なくとも69%、少なくとも70%、少なくとも71%、又は少なくとも72%低減され、ここで対象は、ApoE4陰性である。一部の実施形態において、上記に挙げる臨床的衰退の低減は、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物の1ヵ月、6ヵ月、12ヵ月、18ヵ月、60ヵ月、及び/又は63ヵ月の投与後に決定される。
【0213】
一部の実施形態において、臨床的衰退は、ADAS-cogにより決定したとき、プラセボと比べて40%~80%低減され、ここで対象は、ApoE4陰性である。一部の実施形態において、臨床的衰退は、ADAS-cogにより決定したとき、プラセボと比べて少なくとも40%又は少なくとも43%など、少なくとも35%低減され、ここで対象は、ApoE4陰性である。一部の実施形態において、臨床的衰退は、ADAS-cogにより決定したとき、プラセボと比べて少なくとも45%又は少なくとも46%など、少なくとも40%低減され、ここで対象は、ApoE4陰性である。一部の実施形態において、臨床的衰退は、ADAS-cogにより決定したとき、プラセボと比べて少なくとも70%又は少なくとも72%など、少なくとも65%低減され、ここで対象は、ApoE4陰性である。一部の実施形態において、臨床的衰退は、ADAS-cogにより決定したとき、プラセボと比べて少なくとも43%低減され、ここで対象は、ApoE4陰性である。一部の実施形態において、上記に挙げる臨床的衰退の低減は、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物の1ヵ月、6ヵ月、12ヵ月、18ヵ月、60ヵ月、及び/又は63ヵ月の投与後に決定される。
【0214】
一部の実施形態において、臨床的衰退は、CDR-SBにより決定したとき、プラセボと比べて7%、6%、5%、5%、3%、2%、又は1%増加し、ここで対象は、ApoE4陰性である。一部の実施形態において、臨床的衰退は、CDR-SBにより決定したとき、プラセボと比べて少なくとも1%、少なくとも2%、又は少なくとも3%低減され、ここで対象は、ApoE4陰性である。一部の実施形態において、上記に挙げる臨床的衰退の低減は、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物の1ヵ月、6ヵ月、12ヵ月、18ヵ月、60ヵ月、及び/又は63ヵ月の投与後に決定される。
【0215】
一部の実施形態において、臨床的衰退は、CDR-SBにより決定したとき、プラセボと比べて3%低減され、ここで対象は、ApoE4陰性である。一部の実施形態において、上記に挙げる臨床的衰退の低減は、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物の1ヵ月、6ヵ月、12ヵ月、18ヵ月、60ヵ月、及び/又は63ヵ月の投与後に決定される。一部の実施形態において、臨床的衰退は、ADCOMSにより決定したとき、プラセボと比べて少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも6%、少なくとも7%、少なくとも8%、少なくとも9%、少なくとも10%、少なくとも11%、少なくとも12%、少なくとも13%、少なくとも14%、少なくとも15%、少なくとも16%、少なくとも17%、少なくとも18%、少なくとも19%、少なくとも20%、少なくとも21%、少なくとも22%、少なくとも23%、少なくとも24%、少なくとも25%、又は少なくとも26%低減され、ここで対象は、ApoE4陰性であり、及び対象は、アルツハイマー病による軽度認知障害-可能性が中等度を有すると診断されている。一部の実施形態において、上記に挙げる臨床的衰退の低減は、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物の1ヵ月、6ヵ月、12ヵ月、18ヵ月、60ヵ月、及び/又は63ヵ月の投与後に決定される。
【0216】
一部の実施形態において、臨床的衰退は、ADCOMSにより決定したとき、プラセボと比べて15%~26%低減され、ここで対象は、ApoE4陰性であり、及び対象は、アルツハイマー病による軽度認知障害-可能性が中等度を有すると診断されている。一部の実施形態において、臨床的衰退は、ADCOMSにより決定したとき、プラセボと比べて15%低減され、ここで対象は、ApoE4陰性であり、及び対象は、アルツハイマー病による軽度認知障害-可能性が中等度を有すると診断されている。一部の実施形態において、臨床的衰退は、ADCOMSにより決定したとき、プラセボと比べて26%低減され、ここで対象は、ApoE4陰性であり、及び対象は、アルツハイマー病による軽度認知障害-可能性が中等度を有すると診断されている。一部の実施形態において、上記に挙げる臨床的衰退の低減は、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物の1ヵ月、6ヵ月、12ヵ月、18ヵ月、60ヵ月、及び/又は63ヵ月の投与後に決定される。
【0217】
一部の実施形態において、臨床的衰退は、ADAS-Cogにより決定したとき、プラセボと比べて少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも6%、少なくとも7%、少なくとも8%、少なくとも9%、少なくとも10%、少なくとも11%、少なくとも12%、少なくとも13%、少なくとも14%、少なくとも15%、少なくとも16%、少なくとも17%、少なくとも18%、少なくとも19%、少なくとも20%、少なくとも21%、少なくとも22%、少なくとも23%、少なくとも24%、少なくとも25%、少なくとも26%、少なくとも27%、少なくとも28%、少なくとも29%、少なくとも30%、少なくとも31%、少なくとも32%、少なくとも33%、少なくとも34%、少なくとも35%、少なくとも36%、少なくとも37%、少なくとも38%、少なくとも39%、少なくとも40%、少なくとも41%、少なくとも42%、少なくとも43%、少なくとも44%、少なくとも45%、少なくとも46%、少なくとも47%、少なくとも48%、少なくとも49%、少なくとも50%、少なくとも51%、少なくとも52%、少なくとも53%、少なくとも54%、少なくとも55%、少なくとも56%、少なくとも57%、少なくとも58%、少なくとも59%、少なくとも60%、少なくとも61%、少なくとも62%、少なくとも63%、少なくとも64%、少なくとも65%、少なくとも66%、少なくとも67%、少なくとも68%、少なくとも69%、少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも100%、少なくとも101%、少なくとも102%、少なくとも103%、少なくとも104%、少なくとも105%、少なくとも106%、少なくとも107%、少なくとも108%、少なくとも109%、少なくとも110%、少なくとも115%、少なくとも120%、少なくとも125%、少なくとも130%、少なくとも135%、少なくとも140%、少なくとも145%、少なくとも150%、少なくとも155%、少なくとも160%、少なくとも165%、又は少なくとも166%低減され、ここで対象は、ApoE4陰性であり、及び対象は、アルツハイマー病による軽度認知障害-可能性が中等度を有すると診断されている。一部の実施形態において、上記に挙げる臨床的衰退の低減は、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物の1ヵ月、6ヵ月、12ヵ月、18ヵ月、60ヵ月、及び/又は63ヵ月の投与後に決定される。
【0218】
一部の実施形態において、臨床的衰退は、ADAS-Cogにより決定したとき、プラセボと比べて60%~180%又は65%~170%など、50%~200%低減され、ここで対象は、ApoE4陰性であり、及び対象は、アルツハイマー病による軽度認知障害-可能性が中等度を有すると診断されている。一部の実施形態において、臨床的衰退は、ADAS-Cogにより決定したとき、プラセボと比べて少なくとも55%又は少なくとも65%など、少なくとも50%低減され、ここで対象は、ApoE4陰性であり、及び対象は、アルツハイマー病による軽度認知障害-可能性が中等度を有すると診断されている。一部の実施形態において、臨床的衰退は、ADAS-Cogにより決定したとき、プラセボと比べて少なくとも75%又は少なくとも80%など、少なくとも70%低減され、ここで対象は、ApoE4陰性であり、及び対象は、アルツハイマー病による軽度認知障害-可能性が中等度を有すると診断されている。一部の実施形態において、臨床的衰退は、ADAS-Cogにより決定したとき、プラセボと比べて少なくとも160%など、少なくとも150%低減され、ここで対象は、ApoE4陰性であり、及び対象は、アルツハイマー病による軽度認知障害-可能性が中等度を有すると診断されている。一部の実施形態において、上記に挙げる臨床的衰退の低減は、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物の1ヵ月、6ヵ月、12ヵ月、18ヵ月、60ヵ月、及び/又は63ヵ月の投与後に決定される。
【0219】
一部の実施形態において、ApoE4陰性対象の臨床的衰退は、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物の6ヵ月の投与後にADAS-Cogにより決定したとき、プラセボと比べて少なくとも160%など、少なくとも150%低減さる。一部の実施形態において、ApoE4陰性対象の臨床的衰退は、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物の12ヵ月の投与後にADAS-Cogにより決定したとき、プラセボと比べて少なくとも75%又は少なくとも80%など、少なくとも70%低減される。一部の実施形態において、ApoE4陰性対象の臨床的衰退は、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物の18ヵ月の投与後にADAS-Cogにより決定したとき、プラセボと比べて少なくとも60%又は少なくとも65%など、少なくとも50%低減される。一部の実施形態において、組成物は10mg/kgの少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体を含み、2週間毎に1回又は毎月1回投与される。一部の実施形態において、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体は、BAN2401である。
【0220】
一部の実施形態において、臨床的衰退は、CDR-SBにより決定したとき、プラセボと比べて少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、又は少なくとも5%低減され、ここで対象は、ApoE4陰性であり、及び対象は、アルツハイマー病による軽度認知障害-可能性が中等度を有すると診断されている。一部の実施形態において、上記に挙げる臨床的衰退の低減は、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物の1ヵ月、6ヵ月、12ヵ月、18ヵ月、60ヵ月、及び/又は63ヵ月の投与後に決定される。
【0221】
一部の実施形態において、臨床的衰退は、CDR-SBにより決定したとき、プラセボと比べて少なくとも5%低減され、ここで対象は、ApoE4陰性であり、及び対象は、アルツハイマー病による軽度認知障害-可能性が中等度を有すると診断されている。一部の実施形態において、上記に挙げる臨床的衰退の低減は、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物の1ヵ月、6ヵ月、12ヵ月、18ヵ月、60ヵ月、及び/又は63ヵ月の投与後に決定される。
【0222】
一部の実施形態において、臨床的衰退は、CDR-SBにより決定したとき、プラセボと比べて少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも6%、少なくとも7%、少なくとも8%、少なくとも9%、少なくとも10%、少なくとも11%、少なくとも12%低減され、ここで対象は、ApoE4陰性であり、及び対象は、軽度アルツハイマー病型認知症を有すると診断されている。一部の実施形態において、上記に挙げる臨床的衰退の低減は、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物の1ヵ月、6ヵ月、12ヵ月、18ヵ月、60ヵ月、及び/又は63ヵ月の投与後に決定される。
【0223】
一部の実施形態において、臨床的衰退は、CDR-SBにより決定したとき、プラセボと比べて少なくとも12%など、少なくとも10%低減され、ここで対象は、ApoE4陰性であり、及び対象は、軽度アルツハイマー病型認知症を有すると診断されている。一部の実施形態において、上記に挙げる臨床的衰退の低減は、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物の1ヵ月、6ヵ月、12ヵ月、18ヵ月、60ヵ月、及び/又は63ヵ月の投与後に決定される。
【0224】
対象のアミロイド陽性からアミロイド陰性への転換
様々な実施形態において、対象は、ADの認知症状を呈する前に(前駆AD)、本明細書に開示される少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体を含む組成物の投与を受ける。一部の実施形態において、前駆AD患者は、例えば、PET SUVrにより決定したとき、及び/又は血液試料のAβ42/40比などの血漿バイオマーカーにより決定したとき、アミロイド陰性である。一部の実施形態において、前駆AD患者は、0.092を上回るAβ42/40比、例えば、約0.092~0.094の比を有し、及び任意選択で患者は、例えば、治療前にPET SUVrで測定したとき、中間アミロイドβを有する。一部の実施形態において、前駆ADの患者には、アミロイド陽性を予防するため、抗Aβプロトフィブリル抗体(即ちレカネマブ)を含む治療レジメンを投与し得る。一部の実施形態において、前駆ADの患者には、アミロイド陽性の発生を遅延させるため、抗Aβプロトフィブリル抗体(即ちレカネマブ)を含む治療レジメンを投与し得る。一部の実施形態において、前駆ADの患者には、1つ以上のADバイオマーカー又は脳測定(例えば、PET又はMRIによる)、例えば、脳萎縮及び/又はアミロイド蓄積の脳測定の悪化を予防するため、抗Aβプロトフィブリル抗体(即ちレカネマブ)を含む治療レジメンを投与し得る。一部の実施形態において、アミロイド陰性である前駆AD患者には、アミロイド陽性の患者に与えられる用量又は頻度と比較したとき低減された用量又は投与頻度が投与される(例えば、静脈内注入は10mg/kg未満若しくは隔週未満で与えられ、又は皮下投与は720mg未満若しくは毎週未満で提供される)。一部の実施形態において、アミロイド陰性の前駆AD患者は、より早く(例えば、18ヵ月未満で)維持用量投与レジメンに移行する。
【0225】
一部の実施形態において、前駆AD患者は、約0.092未満のAβ42/40比を有し、この患者に抗Aβプロトフィブリル抗体(即ちレカネマブ)を含む治療レジメンを投与すると、Aβ42/40比が約0.092又はそれを上回るまでに増加する。一部の実施形態において、患者は、例えば、治療前にPET SUVrで測定したとき、中間アミロイドβを有する。一部の実施形態において、治療により、例えば、PET SUVrで測定したとき、アミロイドβが低減される。一部の実施形態において、治療により、例えば、Aβ42/40比及び/又はPET SUVr)により判定したとき、患者がアミロイド陽性状態からアミロイド陰性状態へと転換される。
【0226】
様々な実施形態において、本明細書にはまた、アミロイド陽性対象をアミロイド陰性対象に転換する方法も提供される。一部の実施形態において、前記方法は、本明細書に開示される少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体を含む組成物を前記対象に投与することを含む。一部の実施形態において、初期アルツハイマー病を有する前記対象は、アルツハイマー病による軽度認知障害-可能性が中等度を有すると診断されている、及び/又は軽度アルツハイマー病型認知症を有すると診断されている。一部の実施形態において、本方法は、抗Aβプロトフィブリル抗体を含む組成物の第1の用量を投与する前にAβ42/40比を測定することにより治療の有効性を評価すること、及び抗体を投与した後、例えば、6~12又は18又は24又は36ヵ月の治療後に再び測定することを更に含む。一部の実施形態において、Aβ42/40比は、対象から入手された血液試料中のアミロイドβ1-42(Aβ42)の濃度及びアミロイドβ1-40(Aβ40)の濃度を測定して、Aβ40に対するAβ42の第1の比(Aβ42/40比)を決定することにより計算される。一部の実施形態において、抗Aβプロトフィブリル抗体を含む組成物の第1の用量の投与後のAβ42/40比の増加、例えば、約0.05~0.1、例えば、約0.08~0.1、例えば、約0.092の比への増加は、対象の脳におけるアミロイド陽性からアミロイド陰性への変化を指示している。一部の実施形態において、抗Aβプロトフィブリル抗体を含む組成物の第1の用量の投与後のAβ42/40比の増加、例えば、0.092を上回る比への増加は、対象の脳におけるアミロイド陽性からアミロイド陰性への変化を指示している。一部の実施形態において、抗Aβプロトフィブリル抗体を含む組成物の投与開始に続く6ヵ月又は12ヵ月後又は18ヵ月後又は24ヵ月後又は36ヵ月後のAβ42/40比の増加、例えば、約0.05~0.1、例えば、約0.08~0.1、例えば、約0.092の比への増加は、対象の脳におけるアミロイド陽性からアミロイド陰性への変化を指示している。一部の実施形態において、アミロイド陰性に変化する対象には、低減した用量又は頻度の抗Aβプロトフィブリル抗体が、単独で、又は少なくとも1つの追加的な療法、例えば、BACE阻害薬及び/又は抗タウ抗体と組み合わせて与えられる。
【0227】
アミロイド陽性対象をアミロイド陰性対象に転換する方法においては、本明細書に開示される抗Aβプロトフィブリル抗体、その治療的に許容可能な量、それについての用量投与レジメン、及びそれを含む組成物のいずれも使用し得る。例えば、一部の実施形態において、対象の体重を基準として2.5mg/kg、5mg/kg、7.5mg/kg、又は10mg/kgのBAN2401などの少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体を含む組成物が、対象に毎週1回、2週間毎に1回、3週間毎に1回、4週間毎に1回、毎月1回、5週間毎に1回、6週間毎に1回、7週間毎に1回、8週間毎に1回、2ヵ月毎に1回、9週間毎に1回、10週間毎に1回、11週間毎に1回、12週間毎に1回、3ヵ月毎(4分の1年毎)に1回、14週間毎に1回、16週間毎に1回、4ヵ月毎に1回、18週間毎に1回、20週間毎に1回、5ヵ月毎に1回、22週間毎に1回、24週間毎に1回、6ヵ月毎(半年毎)に1回、7ヵ月毎に1回、8ヵ月毎に1回、9ヵ月毎に1回、10ヵ月毎に1回、11ヵ月毎に1回、12ヵ月毎に(毎年)1回、13ヵ月毎に1回、14ヵ月毎に1回、15ヵ月毎に1回、16ヵ月毎に1回、17ヵ月毎に1回、又は18ヵ月毎に1回投与される。
【0228】
一部の実施形態において、本方法は、抗Aβプロトフィブリル抗体を含む組成物の第1の用量を投与する前にAβ42/40比を測定すること、及び抗体を投与した後、例えば、6~12又は18又は24ヵ月の治療後に再び測定することを含む。一部の実施形態において、Aβ42/40比の増加、例えば、約0.08~0.1、例えば、約0.092の比への増加は、対象の脳におけるアミロイド陽性からアミロイド陰性への変化を指示している。一部の実施形態において、Aβ42/40比の増加、例えば、0.092を上回る比への増加は、対象の脳におけるアミロイド陽性からアミロイド陰性への変化を指示している。一部の実施形態において、アミロイド陰性に変化する対象には、低減した用量又は頻度の抗Aβプロトフィブリル抗体が、単独で、又は少なくとも1つの追加的な療法、例えば、BACE阻害薬及び/又は抗タウ抗体と組み合わせて与えられる。
【0229】
一部の実施形態において、組成物の投与の結果、アミロイドPET画像の目視読影により決定したとき、少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも6%、少なくとも7%、少なくとも8%、少なくとも9%、少なくとも10%、少なくとも11%、少なくとも12%、少なくとも13%、少なくとも14%、少なくとも15%、少なくとも16%、少なくとも17%、少なくとも18%、少なくとも19%、少なくとも20%、少なくとも21%、少なくとも22%、少なくとも23%、少なくとも24%、少なくとも25%、少なくとも26%、少なくとも27%、少なくとも28%、少なくとも29%、少なくとも30%、少なくとも31%、少なくとも32%、少なくとも33%、少なくとも34%、少なくとも35%、少なくとも36%、少なくとも37%、少なくとも38%、少なくとも39%、少なくとも40%、少なくとも41%、少なくとも42%、少なくとも43%、少なくとも44%、少なくとも45%、少なくとも46%、少なくとも47%、少なくとも48%、少なくとも49%、少なくとも50%、少なくとも51%、少なくとも52%、少なくとも53%、少なくとも54%、少なくとも55%、少なくとも56%、少なくとも57%、少なくとも58%、少なくとも59%、少なくとも60%、少なくとも61%、少なくとも62%、少なくとも63%、少なくとも64%、少なくとも65%、少なくとも66%、少なくとも67%、少なくとも68%、少なくとも69%、少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、又は少なくとも81%の対象がアミロイド陽性からアミロイド陰性に転換される。
【0230】
一部の実施形態において、組成物の投与の結果、アミロイドPET画像の目視読影により決定したとき、60%~90%など、50%~100%の対象についてアミロイド陽性からアミロイド陰性への転換が生じることになる。一部の実施形態において、組成物の投与の結果、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物の12ヵ月の投与後に、アミロイドPET画像の目視読影により決定したとき、少なくとも60%又は少なくとも65%など、少なくとも55%の対象がアミロイド陰性になる。一部の実施形態において、組成物の投与の結果、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物の18ヵ月の投与後に、アミロイドPET画像の目視読影により決定したとき、少なくとも75%又は少なくとも80%など、少なくとも70%の対象がアミロイド陰性になる。一部の実施形態において、組成物は10mg/kgの少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体を含み、2週間毎に1回又は毎月1回投与される。一部の実施形態において、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体は、BAN2401である。
【0231】
一部の実施形態において、組成物の投与の結果、アミロイドPET画像の目視読影により決定したとき、少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも6%、少なくとも7%、少なくとも8%、少なくとも9%、少なくとも10%、少なくとも11%、少なくとも12%、少なくとも13%、少なくとも14%、少なくとも15%、少なくとも16%、少なくとも17%、少なくとも18%、少なくとも19%、少なくとも20%、少なくとも21%、少なくとも22%、少なくとも23%、少なくとも24%、少なくとも25%、少なくとも26%、少なくとも27%、少なくとも28%、少なくとも29%、少なくとも30%、少なくとも31%、少なくとも32%、少なくとも33%、少なくとも34%、少なくとも35%、少なくとも36%、少なくとも37%、少なくとも38%、少なくとも39%、少なくとも40%、少なくとも41%、少なくとも42%、少なくとも43%、少なくとも44%、少なくとも45%、少なくとも46%、少なくとも47%、少なくとも48%、少なくとも49%、少なくとも50%、少なくとも51%、少なくとも52%、少なくとも53%、少なくとも54%、少なくとも55%、少なくとも56%、少なくとも57%、少なくとも58%、少なくとも59%、少なくとも60%、少なくとも61%、少なくとも62%、少なくとも63%、少なくとも64%、少なくとも65%、少なくとも66%、少なくとも67%、少なくとも68%、少なくとも69%、少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の対象がアミロイド陰性になり、ここでこれらの対象は、ApoE4陽性である。
【0232】
一部の実施形態において、組成物の投与の結果、アミロイドPET画像の目視読影により決定したとき、80%~100%又は85%~100%など、75%~100%の対象がアミロイド陰性になり、ここでこれらの対象は、ApoE4陽性である。一部の実施形態において、組成物の投与の結果、アミロイドPET画像の目視読影により決定したとき、少なくとも80%又は少なくとも85%など、少なくとも75%の対象がアミロイド陰性になり、ここでこれらの対象は、ApoE4陽性である。一部の実施形態において、組成物の投与の結果、アミロイドPET画像の目視読影により決定したとき、100%の対象がアミロイド陰性になり、ここでこれらの対象は、ApoE4陽性である。
【0233】
一部の実施形態において、少なくとも80%又は少なくとも85%など、少なくとも75%のApoE4陽性対象が、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物の12ヵ月の投与後に、アミロイドPET画像の目視読影により決定したとき、アミロイド陰性である。一部の実施形態において、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、又は少なくとも95%など、少なくとも75%のApoE4陽性対象が、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物の18ヵ月の投与後に、アミロイドPET画像の目視読影により決定したとき、アミロイド陰性である。一部の実施形態において、組成物は10mg/kgの少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体を含み、2週間毎に1回又は毎月1回投与される。一部の実施形態において、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体は、BAN2401である。
【0234】
一部の実施形態において、組成物の投与の結果、アミロイドPET画像の目視読影により決定したとき、少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも6%、少なくとも7%、少なくとも8%、少なくとも9%、少なくとも10%、少なくとも11%、少なくとも12%、少なくとも13%、少なくとも14%、少なくとも15%、少なくとも16%、少なくとも17%、少なくとも18%、少なくとも19%、少なくとも20%、少なくとも21%、少なくとも22%、少なくとも23%、少なくとも24%、少なくとも25%、少なくとも26%、少なくとも27%、少なくとも28%、少なくとも29%、少なくとも30%、少なくとも31%、少なくとも32%、少なくとも33%、少なくとも34%、少なくとも35%、少なくとも36%、少なくとも37%、少なくとも38%、少なくとも39%、少なくとも40%、少なくとも41%、少なくとも42%、少なくとも43%、少なくとも44%、少なくとも45%、少なくとも46%、少なくとも47%、少なくとも48%、少なくとも49%、少なくとも50%、少なくとも51%、少なくとも52%、少なくとも53%、少なくとも54%、少なくとも55%、少なくとも56%、少なくとも57%、少なくとも58%、少なくとも59%、少なくとも60%、少なくとも61%、少なくとも62%、少なくとも63%、少なくとも64%、少なくとも65%、少なくとも66%、少なくとも67%、少なくとも68%、少なくとも69%、少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、又は少なくとも79%の対象がアミロイド陰性になり、ここでこれらの対象は、ApoE4陰性である。
【0235】
一部の実施形態において、組成物の投与の結果、アミロイドPET画像の目視読影により決定したとき、55%~90%など、50%~100%の対象がアミロイド陰性になり、ここでこれらの対象は、ApoE4陰性である。一部の実施形態において、組成物の投与の結果、アミロイドPET画像の目視読影により決定したとき、少なくとも50%の対象がアミロイド陰性になり、ここでこれらの対象は、ApoE4陰性である。一部の実施形態において、組成物の投与の結果、アミロイドPET画像の目視読影により決定したとき、少なくとも70%の対象がアミロイド陰性になり、ここでこれらの対象は、ApoE4陰性である。
【0236】
脳アミロイドレベルの低減
様々な実施形態において、本明細書にはまた、必要としている対象の脳アミロイドレベルを低減する方法も提供される。一部の実施形態において、本方法は、抗Aβプロトフィブリル抗体を含む組成物の第1の用量を投与する前にAβ42/40比を測定すること、及び抗体を投与した後、例えば、6~12ヵ月の治療後に再び測定することを含む。一部の実施形態において、Aβ42/40比の増加は、脳対象の脳におけるアミロイドの減少を指示している。一部の実施形態において、Aβ42/40比の変化量により決定したとき脳アミロイドの減少を呈する対象には、低減した用量又は頻度の抗Aβプロトフィブリル抗体が、単独で、又は少なくとも1つの追加的な療法、例えば、BACE阻害薬及び/又は抗タウ抗体と組み合わせて与えられる。
【0237】
一部の実施形態において、対象は初期アルツハイマー病を有する。一部の実施形態において、対象は、アルツハイマー病、ダウン症候群、慢性外傷性脳症、脳アミロイドアンギオパチー、レビー小体認知症、又はAβペプチド含有可溶性及び/又は不溶性Aβ凝集体による別の脳疾患又は病態を有する。
【0238】
当業者は、対象がアルツハイマー病を有することに加えて、他の神経変性疾患及び病態を有する対象の脳にAβプラーク沈着が存在すること、従ってかかる神経変性疾患及び/又は病態を有する対象には、本明細書に開示される方法が有益となり得ることを理解するであろう。かかる疾患及び病態には、例えば、ダウン症候群、慢性外傷性脳症、脳アミロイドアンギオパチー、及びレビー小体認知症が含まれることが公知である(例えば、Catafau et al.,“Amyloid PET imaging:applications beyond Alzheimer’s disease,”Clin.Transl.Imaging 3(1):39-55(2015);及びBanerjee,G.et al.,“The increasing impact of cerebral amyloid angiopathy:essential new insights for clinical practice,”J.Neurol.Neurosurg.Psychiatry 88:982-994(2017)を参照のこと)。
【0239】
一部の実施形態において、初期アルツハイマー病を有する対象は、アルツハイマー病による軽度認知障害-可能性が中等度を有すると診断されている、及び/又は軽度アルツハイマー病型認知症を有すると診断されている。一部の実施形態において、初期アルツハイマー病を有する対象は、ApoE4陽性である。
【0240】
初期アルツハイマー病を有する対象の脳アミロイドレベルを低減する方法においては、本明細書に開示される抗Aβプロトフィブリル抗体、その治療的に許容可能な量、それについての用量投与レジメン、及びそれを含む組成物のいずれも使用し得る。例えば、一部の実施形態において、対象の体重を基準として2.5mg/kg、5mg/kg、7.5mg/kg、又は10mg/kgのBAN2401などの少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体を含む組成物が、対象に毎週1回、2週間毎に1回、3週間毎に1回、4週間毎に1回、毎月1回、5週間毎に1回、6週間毎に1回、7週間毎に1回、8週間毎に1回、2ヵ月毎に1回、9週間毎に1回、10週間毎に1回、11週間毎に1回、12週間毎に1回、3ヵ月毎(4分の1年毎)に1回、14週間毎に1回、16週間毎に1回、4ヵ月毎に1回、18週間毎に1回、20週間毎に1回、5ヵ月毎に1回、22週間毎に1回、24週間毎に1回、6ヵ月毎(半年毎)に1回、7ヵ月毎に1回、8ヵ月毎に1回、9ヵ月毎に1回、10ヵ月毎に1回、11ヵ月毎に1回、12ヵ月毎に(毎年)1回、13ヵ月毎に1回、14ヵ月毎に1回、15ヵ月毎に1回、16ヵ月毎に1回、17ヵ月毎に1回、又は18ヵ月毎に1回投与される。一部の実施形態において、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体は、BAN2401である。
【0241】
一部の実施形態において、前記方法の結果、前記投与前の脳アミロイドレベルと比べて投与後に脳アミロイドレベルの低減が生じる。一部の実施形態において、脳アミロイドレベルは、前記投与前の脳アミロイドレベルと比べて少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも6%、少なくとも7%、少なくとも8%、少なくとも9%、少なくとも10%、少なくとも11%、少なくとも12%、少なくとも13%、少なくとも14%、少なくとも15%、少なくとも16%、少なくとも17%、少なくとも18%、少なくとも19%、少なくとも20%、少なくとも21%、少なくとも22%、少なくとも23%、少なくとも24%、少なくとも25%、少なくとも26%、少なくとも27%、少なくとも28%、少なくとも29%、少なくとも30%、少なくとも31%、少なくとも32%、少なくとも33%、少なくとも34%、少なくとも35%、少なくとも36%、少なくとも37%、少なくとも38%、少なくとも39%、少なくとも40%、少なくとも41%、少なくとも42%、少なくとも43%、少なくとも44%、少なくとも45%、少なくとも46%、少なくとも47%、少なくとも48%、少なくとも49%、少なくとも50%、少なくとも51%、少なくとも52%、少なくとも53%、少なくとも54%、少なくとも55%、少なくとも56%、少なくとも57%、少なくとも58%、少なくとも59%、少なくとも60%、少なくとも61%、少なくとも62%、少なくとも63%、少なくとも64%、少なくとも65%、少なくとも66%、少なくとも67%、少なくとも68%、少なくとも69%、少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%低減される。一部の実施形態において、上記に挙げる脳アミロイドレベルの低減は、アミロイドPET画像の目視読影により決定され、PET標準取込値比(SUVr値)として表される。
【0242】
本明細書で使用されるとき、用語「PET」又は「アミロイドPET」は、アミロイド陽電子放射断層撮影画像法を指す。一部の実施形態において、PET画像法(PETスキャンとも称される)を実施することにより、アミロイド病変が判定される。一部の実施形態において、アミロイドPETはPETトレーサーで判定され、フォローアップ判定においても同じトレーサーを使用する。一部の実施形態において、PET画像法はフロルベタピルトレーサーを使用する。一部の実施形態において、PET画像法は、フルテメタモルトレーサーを使用する。
【0243】
アミロイド陽電子放射断層撮影法(PET)画像法を用いると、研究のスクリーニングフェーズにおいて初期AD対象の脳内のアミロイド病変の存在を確認することができ、及び/又は少なくとも1つの抗AB抗体が脳内のアミロイドレベルに及ぼす効果を、全脳分析(例えば、5~6つの皮質領域の平均)及び脳領域分析の両方により評価することができる。一部の実施形態において、PETスキャンはフロルベタピルを使用する。一部の実施形態において、アミロイドプラーク負荷は、例えば、熟練した放射線科医によるPET画像の取り込み目視読影によって同定することができる。一部の実施形態において、2人の読影者(1人が主任読影者に指名される)が画像を目視で判定して、スキャンがアミロイドに関して陽性か、それとも陰性かを決定する。更なる実施形態において、造影剤の取り込みに関して脳の4つの領域:側頭葉、後頭葉、前頭前野、及び頭頂葉皮質が判定され、陽性アミロイドスキャンは、白質への取り込みよりも灰白質に一層集中的に取り込まれ、脳の外縁にまで及んでいる領域を1つ有するか、又は灰白質-白質のコントラストが減少している範囲のある領域を2つ有するかのいずれかである。更なる実施形態において、2人の読影者の間で意見の相違があった場合、両者が集まってスキャンを見直し、読影の一致を得る。
【0244】
一部の実施形態において、アミロイドプラーク負荷は、参照領域と比較したときの標準取込値比(SUVr)により同定することができる。PET SUVrの計算方法は当該技術分野において公知であり、本明細書に記載されるものが含まれ得る。一部の実施形態において、アミロイドレベルの標準取込値比定量分析は、PMOD生物医学画像定量化ソフトウェア(PMOD Technologies、チューリッヒ、スイス)を使用して完遂される。一部の実施形態において、PET画像は初めにX、Y、及びZ平面における対象の動きが判定され、必要に応じて動きが補正された後、個々の画像(例えば、5分間の放射フレーム)が、例えば、PMOD平均化機能(Averaging Function)を用いて平均化される(信号対雑音比が増加するようにPETフレームが平均化される)。一部の実施形態において、対象からの対応するMRIが準備される(例えば、行列サイズリダクション処理、脳のみを含めるためのMRIのクロッピング、画像を灰白質、白質、及びCSFのバイナリマップに分けるためのセグメンテーション、及び脳マスクのみを残す頭蓋の画像のストリッピングを用いる)。一部の実施形態において、平均化したPET画像及び準備したMRIが、PMODマッチング機能を用いて、画像を同じ向きに置いてマッチングされる。一部の実施形態において、例えば、PMODソフトウェアによって提供されるとおりの脳標準化(Brain Normalization)機能を脳ノルム(Brain Norm)及びリジッドマッチング(Rigid Matching)変換行列と共に使用すると、平均化されたPETが生じる。一部の実施形態において、この平均化されたPET、これはMNInst空間(Senjem et al,2005)に対して標準化され、定量分析のため対象のセグメンテーションされたMRIと同じ向きにある。一部の実施形態において、PMODマスク機能(Mask Function)を用いて脳をマスクし、画像をマスクの外側についてゼロ化して、標準化された灰白質PET及び標準化された白質PETを作成する。SUVの単位に達するように、標準化されたPET、対象の体重、及びトレーサーの注入用量を用いて計算されるPMODソフトウェアを使用して、全ての灰白質マッピング領域及び3つの白質領域(橋、小脳白質、及び皮質下白質)についての標準取込値(SUV)を計算し得る。一部の実施形態において、SUVrは、選択の参照領域と比較したときの総皮質平均の比である。一部の実施形態において、全小脳マスクが参照領域として使用される。一部の実施形態において、参照領域は、皮質下白質、由来の全小脳、皮質下白質によって調整される全小脳、小脳灰白質、並びに小脳皮質、橋皮質下白質、及び小脳白質からなる複合参照領域である。
【0245】
一部の実施形態において、組成物の第1の用量の投与後に、対象のPET SUVr値のベースラインからの調整平均変化量は、ベースラインと比べて少なくとも-0.10、少なくとも-0.15、少なくとも-0.20、少なくとも-0.25、少なくとも-0.30、少なくとも-0.35、少なくとも-0.40、少なくとも-0.45、少なくとも-0.50、少なくとも-0.55、少なくとも-0.60、少なくとも-0.65、少なくとも-0.70、少なくとも-0.75、少なくとも-0.80、少なくとも-0.85、少なくとも-0.90、又は少なくとも-0.95低減される。一部の実施形態において、対象のPET SUVr値のベースラインからの調整平均変化量は、-0.20~-0.30低減される。
【0246】
一部の実施形態において、脳内のアミロイドベータプラークレベルは、PET画像法を用いて評価される。一部の実施形態において、PET画像法はフロルベタピルトレーサーを使用する。一部の実施形態において、PET画像法はフルテメタモルトレーサーを使用した。一部の更なる実施形態において、異なるトレーサーは異なる結果を生み出し得る。一部の実施形態において、調整平均低減閾値は、使用されるトレーサーに依存する。一部の実施形態において、総皮質平均と全小脳参照を比較すると、対象のPET SUVr値のベースラインからの調整平均変化量は、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物の12ヵ月の投与後に、少なくとも-0.25など、少なくとも-0.20低減される。一部の実施形態において、対象のPET SUVr値のベースラインからの調整平均変化量は、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物の18ヵ月の投与後に、少なくとも-0.30など、少なくとも-0.25低減される。
【0247】
一部の実施形態において、脳内のアミロイドの低減は、脳Aβアミロイドへの放射性トレーサーの結合を用いた画像法により決定され、PETで可視化される。一部の実施形態において、ベースラインからの調整平均変化量の低減は、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物の12ヵ月の投与後に、少なくとも-55又は少なくとも-59など、少なくとも-50センチロイドである。一部の実施形態において、ベースラインからの調整平均変化量の低減は、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物の18ヵ月の投与後に、少なくとも-65又は少なくとも-70など、少なくとも-60センチロイドである。
【0248】
一部の実施形態において、前記方法の結果、前記投与前の脳脊髄液Aβ1-42レベルと比べて脳脊髄液Aβ1-42レベルの増加が生じる。一部の実施形態において、前記方法の結果、前記投与前の脳脊髄液Aβ1-42レベルと比べて、脳脊髄液Aβ1-42レベルの少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも6%、少なくとも7%、少なくとも8%、少なくとも9%、少なくとも10%、少なくとも11%、少なくとも12%、少なくとも13%、少なくとも14%、少なくとも15%、少なくとも16%、少なくとも17%、少なくとも18%、少なくとも19%、少なくとも20%、少なくとも21%、少なくとも22%、少なくとも23%、少なくとも24%、少なくとも25%、少なくとも26%、少なくとも27%、少なくとも28%、少なくとも29%、少なくとも30%、少なくとも31%、少なくとも32%、少なくとも33%、少なくとも34%、少なくとも35%、少なくとも36%、少なくとも37%、少なくとも38%、少なくとも39%、少なくとも40%、少なくとも41%、少なくとも42%、少なくとも43%、少なくとも44%、少なくとも45%、少なくとも46%、少なくとも47%、少なくとも48%、少なくとも49%、少なくとも50%、少なくとも51%、少なくとも52%、少なくとも53%、少なくとも54%、少なくとも55%、少なくとも56%、少なくとも57%、少なくとも58%、少なくとも59%、少なくとも60%、少なくとも61%、少なくとも62%、少なくとも63%、少なくとも64%、少なくとも65%、少なくとも66%、少なくとも67%、少なくとも68%、少なくとも69%、少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の増加が生じる。
【0249】
一部の実施形態において、組成物の投与の結果、アミロイドPET画像の目視読影により決定したとき、-0.25~-0.35など、-0.20~-0.45の脳アミロイドレベル低減が生じ、ここで対象は、ApoE4陽性である。一部の実施形態において、組成物の投与の結果、アミロイドPET画像の目視読影により決定したとき、少なくとも-0.25の脳アミロイドレベル低減が生じ、ここで対象は、ApoE4陽性である。一部の実施形態において、組成物の投与の結果、アミロイドPET画像の目視読影により決定したとき、少なくとも0.30の脳アミロイドレベル低減が生じ、ここで対象は、ApoE4陽性である。
【0250】
一部の実施形態において、対象の脳アミロイドレベルは、アミロイドPET画像の目視読影により決定され、PET標準取込値比(SUVr値)として表される。一部の実施形態において、組成物の投与の結果、PET SUVr値で測定したとき、プラセボと比べて少なくとも-0.01、少なくとも-0.02、少なくとも-0.03、少なくとも-0.04、少なくとも-0.05、少なくとも-0.06、少なくとも-0.07、少なくとも-0.08、少なくとも-0.09、少なくとも-0.10、少なくとも-0.11、少なくとも-0.12、少なくとも-0.13、少なくとも-0.14、少なくとも-0.15、少なくとも-0.16、少なくとも-0.17、少なくとも-0.18、少なくとも-0.19、少なくとも-0.20、少なくとも-0.21、少なくとも-0.22、少なくとも-0.23、少なくとも-0.24、少なくとも-0.25、少なくとも-0.26、少なくとも-0.27、少なくとも-0.28、又は少なくとも-0.29の脳アミロイドレベル低減が生じ、ここで対象は、ApoE4陰性である。
【0251】
一部の実施形態において、組成物の投与の結果、PET SUVr値で測定したとき、-0.10~-0.40の脳アミロイドレベル低減が生じ、ここで対象は、ApoE4陰性である。一部の実施形態において、組成物の投与の結果、PET SUVr値で測定したとき、少なくとも-0.20の脳アミロイドレベル低減が生じ、ここで対象は、ApoE4陰性である。一部の実施形態において、組成物の投与の結果、少なくとも-0.25の脳アミロイドレベル低減が生じ、PET SUVr値で測定したとき、ここで対象は、ApoE4陰性である。
【0252】
一部の実施形態において、対象の脳アミロイドレベルは、アミロイドPET画像の目視読影により決定され、PET標準取込値比(SUVr値)として表される。一部の実施形態において、組成物の投与の結果、PET SUVr値で測定したとき、-0.10~-0.40の脳アミロイドレベル低減が生じ、ここで対象は、ApoE4陰性である。一部の更なる実施形態において、対象は、抗Aβプロトフィブリル抗体を含む組成物の第1の用量の投与後にAβ42/40比の増加、例えば、約0.05~0.1、例えば、約0.08~0.1、例えば、約0.092の比への増加を呈し、これは、対象の脳におけるアミロイド陽性からアミロイド陰性への変化を指示している。一部の更なる実施形態において、対象は、抗Aβプロトフィブリル抗体を含む組成物の第1の用量の投与後にAβ42/40比の増加、例えば、0.092を上回る比への増加を呈し、これは、対象の脳におけるアミロイド陽性からアミロイド陰性への変化を指示している。一部の実施形態において、対象は、抗Aβプロトフィブリル抗体を含む組成物の第1の用量の投与から6ヵ月又は12ヵ月又は18ヵ月又は24ヵ月経った後に、Aβ42/40比の増加、例えば、約0.05~0.1、例えば、約0.08~0.1、例えば、約0.092の比への増加を呈し、これは、対象の脳におけるアミロイド陽性からアミロイド陰性への変化を指示している。一部の実施形態において、対象は、抗Aβプロトフィブリル抗体を含む組成物の第1の用量の投与から6ヵ月又は12ヵ月又は18ヵ月又は24ヵ月経った後にAβ42/40比の増加、例えば、0.092を上回る比への増加を呈し、これは、対象の脳におけるアミロイド陽性からアミロイド陰性への変化を指示している。一部の実施形態において、Aβ42/40比の増加は、アミロイドPET画像の目視読影により決定したとき、脳アミロイドレベルの減少を指示している。一部の実施形態において、脳アミロイドレベルの減少のある対象には、低減した用量又は頻度の抗Aβプロトフィブリル抗体が、単独で、又は少なくとも1つの追加的な療法、例えば、BACE阻害薬及び/又は抗タウ抗体と組み合わせて与えられる。
【0253】
追加的なバイオマーカーの変化
脳脊髄液ニューログラニンレベル
一部の実施形態において、対象への本明細書に開示される少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物の投与の結果、対象の脳脊髄液ニューログラニンレベルの低減が生じる。一部の実施形態において、本明細書に開示される少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物の対象への投与の結果、ベースラインと比べて脳脊髄液ニューログラニンレベルの少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも6%、少なくとも7%、少なくとも8%、少なくとも9%、又は少なくとも10%の低減が生じる。
【0254】
一部の実施形態において、本明細書に開示される少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物の対象への投与の結果、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物の18ヵ月の投与後に脳脊髄液ニューログラニンレベルの低減が生じる。一部の実施形態において、本明細書に開示される少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物の対象への投与の結果、本組成物の18ヵ月の投与後に、ベースラインと比べて脳脊髄液ニューログラニンレベルの少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも6%、少なくとも7%、少なくとも8%、少なくとも9%、又は少なくとも10%の低減が生じる。
【0255】
一部の実施形態において、本明細書に開示される少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物の対象への投与の結果、ベースラインと比べて脳脊髄液ニューログラニンレベルの少なくとも約25pg/mL、少なくとも約30pg/mL、少なくとも約35pg/mL、少なくとも約40pg/mL、少なくとも約45pg/mL、少なくとも約50pg/mL、少なくとも約55pg/mL、少なくとも約60pg/mL、又は少なくとも約65pg/mLの低減が生じる。一部の実施形態において、本明細書に開示される少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物の対象への投与の結果、ベースラインと比べて脳脊髄液ニューログラニンレベルの少なくとも約65pg/mLの低減が生じる。
【0256】
一部の実施形態において、本明細書に開示される少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物の対象への投与の結果、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物の18ヵ月の投与後に、ベースラインと比べて脳脊髄液ニューログラニンレベルの少なくとも約25pg/mL、少なくとも約30pg/mL、少なくとも約35pg/mL、少なくとも約40pg/mL、少なくとも約45pg/mL、少なくとも約50pg/mL、少なくとも約55pg/mL、少なくとも約60pg/mL、又は少なくとも約65pg/mLの低減が生じる。一部の実施形態において、本明細書に開示される少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物を対象に投与することにより、本組成物の18ヵ月の投与後に、ベースラインと比べて脳脊髄液ニューログラニンレベルの少なくとも65pg/mLの低減が生じる。
【0257】
一部の実施形態において、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体は、BAN2401である。
【0258】
一部の実施形態において、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量は、10mg/kgである。一部の実施形態において、本明細書に開示される少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物は、隔週又は毎月投与される。一部の実施形態において、10mg/kgのBAN2401を含む組成物が、隔週で投与される。一部の実施形態において、10mg/kgのBAN2401を含む組成物が、毎月投与される。
【0259】
脳脊髄液神経フィラメント軽鎖レベル
一部の実施形態において、本明細書に開示される少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物の対象への投与の結果、プラセボと比べて脳脊髄液神経フィラメント軽鎖レベルの低減が生じる。一部の実施形態において、本明細書に開示される少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物の対象への投与の結果、プラセボと比べて脳脊髄液神経フィラメント軽鎖レベルの少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、又は少なくとも50%の低減が生じる。
【0260】
一部の実施形態において、本明細書に開示される少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物の対象への投与の結果、本組成物の18ヵ月の投与後にプラセボと比べて脳脊髄液神経フィラメント軽鎖レベルの低減が生じる。一部の実施形態において、本明細書に開示される少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物の対象への投与の結果、プラセボと比べて、本組成物の18ヵ月の投与後にベースラインと比べて脳脊髄液神経フィラメント軽鎖レベルの少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、又は少なくとも50%の低減が生じる。
【0261】
一部の実施形態において、本明細書に開示される少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物の対象への投与の結果、ベースラインと比べて脳脊髄液神経フィラメント軽鎖レベルの約35pg/mL、約40pg/mL、約45pg/mL、約50pg/mL、約55pg/mL、約60pg/mL、約65pg/mL、約70pg/mL、約75pg/mL超の産生が生じる。一部の実施形態において、本明細書に開示される少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物の対象への投与の結果、ベースラインと比べて脳脊髄液神経フィラメント軽鎖レベルの約75pg/mL以下の産生が生じる。
【0262】
一部の実施形態において、本明細書に開示される少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物の対象への投与の結果、本組成物の18ヵ月の投与後に、ベースラインと比べて脳脊髄液神経フィラメント軽鎖レベルの約35pg/mL、約40pg/mL、約45pg/mL、約50pg/mL、約55pg/mL、約60pg/mL、約65pg/mL、約70pg/mL、約75pg/mL超の産生が生じる。一部の実施形態において、本明細書に開示される少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物の対象への投与の結果、本組成物の18ヵ月の投与後に、ベースラインと比べて脳脊髄液神経フィラメント軽鎖レベルの約75pg/mL以下の産生が生じる。
【0263】
一部の実施形態において、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体は、BAN2401である。
【0264】
一部の実施形態において、本明細書に開示される少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量は、10mg/kgである。一部の実施形態において、本明細書に開示される少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物は、隔週又は毎月投与される。一部の実施形態において、10mg/kgのBAN2401を含む組成物が、隔週で投与される。一部の実施形態において、10mg/kgのBAN2401を含む組成物が、毎月投与される。
【0265】
脳脊髄液ホスホタウレベル
一部の実施形態において、本明細書に開示される少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物の対象への投与の結果、脳脊髄液ホスホタウ(p-タウ)レベルの低減が生じる。一部の実施形態において、本明細書に開示される少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物の対象への投与の結果、ベースラインと比べて脳脊髄液ホスホタウレベルの少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも6%、少なくとも7%、少なくとも8%、少なくとも9%、少なくとも10%、少なくとも11%、少なくとも12%、又は少なくとも13%の低減が生じる。
【0266】
一部の実施形態において、本明細書に開示される少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物の対象への投与の結果、本組成物の18ヵ月の投与後に脳脊髄液ホスホタウレベルの低減が生じる。一部の実施形態において、本明細書に開示される少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物の対象への投与の結果、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物の18ヵ月の投与後に、ベースラインと比べて脳脊髄液ホスホタウレベルの少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも6%、少なくとも7%、少なくとも8%、少なくとも9%、少なくとも10%、少なくとも11%、少なくとも12%、又は少なくとも13%の低減が生じる。
【0267】
一部の実施形態において、本明細書に開示される少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物の対象への投与の結果、ベースラインと比べて脳脊髄液ホスホタウレベルの少なくとも約65pg/mL、少なくとも約70pg/mL、少なくとも約75pg/mL、少なくとも約80pg/mL、少なくとも約85pg/mL、少なくとも約90pg/mL、又は少なくとも約95pg/mLの低減が生じる。一部の実施形態において、本明細書に開示される少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物の対象への投与の結果、ベースラインと比べて脳脊髄液ホスホタウレベルの少なくとも約95pg/mLの低減が生じる。
【0268】
一部の実施形態において、本明細書に開示される少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物の対象への投与の結果、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物の18ヵ月の投与後に、ベースラインと比べて脳脊髄液ホスホタウレベルの少なくとも約65pg/mL、少なくとも約70pg/mL、少なくとも約75pg/mL、少なくとも約80pg/mL、少なくとも約85pg/mL、少なくとも約90pg/mL、又は少なくとも約95pg/mLの低減が生じる。一部の実施形態において、本明細書に開示される少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物の対象への投与の結果、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物の18ヵ月の投与後にベースラインと比べて脳脊髄液ホスホタウレベルの少なくとも95pg/mLの低減が生じる。
【0269】
一部の実施形態において、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体は、BAN2401である。
【0270】
一部の実施形態において、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量は、10mg/kgである。一部の実施形態において、本明細書に開示される少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物は、隔週又は毎月投与される。一部の実施形態において、10mg/kgのBAN2401を含む組成物が、隔週で投与される。一部の実施形態において、10mg/kgのBAN2401を含む組成物が、毎月投与される。
【0271】
脳体積
一部の実施形態において、本明細書に開示される少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物の対象への投与の結果、プラセボと比べてボリューメトリックMRI(vMRI)で測定したときの総海馬萎縮の改善が生じる。一部の実施形態において、治療前に対象の脳体積(例えば、総脳室体積、総海馬、右海馬及び/又は左海馬体積)が測定される。一部の実施形態において、治療後6及び12ヵ月で対象の脳体積(例えば、総脳室体積、総海馬、右海馬及び/又は左海馬体積)が測定される。一部の実施形態において、本明細書に開示される少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物の対象への投与の結果、プラセボと比べてvMRIで測定したときの脳体積萎縮の改善が生じる。
【0272】
初期アルツハイマー病を有する対象を治療すると、治療前の重症度と比べて症状の重症度の低減が生じる
様々な実施形態において、本明細書にはまた、初期アルツハイマー病を有する対象の治療方法も提供される。一部の実施形態において、本方法は、本明細書に開示される少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物を前記対象に投与することを含む。一部の実施形態において、初期アルツハイマー病を有する対象は、アルツハイマー病による軽度認知障害-可能性が中等度を有すると診断されている、及び/又は軽度アルツハイマー病型認知症を有すると診断されている。一部の実施形態において、初期アルツハイマー病を有する対象は、ApoE4陽性である。一部の実施形態において、本方法は、抗Aβプロトフィブリル抗体を含む組成物の第1の用量を投与する前に対象のAβ42/40比を測定すること、及び抗体を投与した後、例えば、6~12ヵ月の治療後に再び測定することを含む。一部の実施形態において、Aβ42/40比の増加は、アルツハイマー病に関連する少なくとも1つの症状の重症度の低減を指示しているものであり、ここでアルツハイマー病に関連する少なくとも1つの症状の重症度は、同じ対象の治療前の同じ症状の重症度と比べて少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、又は95%低減される。一部の実施形態において、アルツハイマー病に関連する少なくとも1つの症状の重症度は、ADCOMS、PET、MMSE、CDR-SB、及び/又はADAS-Cogにより決定される。一部の実施形態において、アルツハイマー病に関連する少なくとも1つの症状は、臨床的衰退及び脳アミロイドレベルから選択される。
【0273】
一部の実施形態において、アルツハイマー病に関連する少なくとも1つの症状の重症度は、少なくとも1%低減される。一部の実施形態において、アルツハイマー病に関連する少なくとも1つの症状の重症度は、少なくとも10%低減される。一部の実施形態において、アルツハイマー病に関連する少なくとも1つの症状の重症度は、少なくとも20%低減される。一部の実施形態において、アルツハイマー病に関連する少なくとも1つの症状の重症度は、少なくとも30%低減される。一部の実施形態において、アルツハイマー病に関連する少なくとも1つの症状の重症度は、少なくとも40%低減される。一部の実施形態において、アルツハイマー病に関連する少なくとも1つの症状の重症度は、少なくとも50%低減される。一部の実施形態において、アルツハイマー病に関連する少なくとも1つの症状の重症度は、少なくとも60%低減される。一部の実施形態において、アルツハイマー病に関連する少なくとも1つの症状の重症度は、少なくとも70%低減される。一部の実施形態において、アルツハイマー病に関連する少なくとも1つの症状の重症度は、少なくとも80%低減される。一部の実施形態において、アルツハイマー病に関連する少なくとも1つの症状の重症度は、少なくとも90%低減される。一部の実施形態において、アルツハイマー病に関連する少なくとも1つの症状の重症度は、少なくとも95%低減される。
【0274】
一部の実施形態において、上記に挙げる重症度の低減は、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物の1ヵ月、6ヵ月、12ヵ月、18ヵ月、60ヵ月、及び/又は63ヵ月の投与後に決定される。
【0275】
一部の実施形態において、Aβ42/40比の増加により決定されるとおりの脳アミロイドの低減がある対象は、アルツハイマー病に関連する少なくとも1つの症状の重症度の低減を呈する。一部の実施形態において、Aβ42/40比の増加がある対象には、低減した用量又は頻度の抗Aβプロトフィブリル抗体が、単独で、又は少なくとも1つの追加的な療法、例えば、BACE阻害薬及び/又は抗タウ抗体と組み合わせて与えられる。
【0276】
アルツハイマー病発病の予防及び/又は遅延
様々な実施形態において、本明細書にはまた、例えば、ApoE4陽性対象のアルツハイマー病発病を予防し及び/又は遅延させる方法も提供される。一部の実施形態において、前記方法は、対象の脳アミロイドレベルを決定すること、次に、対象の脳アミロイドレベルが第1の所定のレベルを上回る場合、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物を投与することを含む。
【0277】
一部の実施形態において、対象は前症候性であり(認知機能が損なわれていない)、健常対象からの血液試料の比又はかかる健常対象の集団からの比の平均値と比べた血液(例えば、血漿)試料におけるAβ42/40比の減少に基づいて治療(例えば、BAN2401などの少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体を含む治療)に選択される。一部の実施形態において、前症候性の対象は、ApoE4陽性である。一部の実施形態において、治療は、AD症状の発病を予防し、又は遅延させるものである。一部の実施形態において、対象は55~80歳である。
【0278】
一部の実施形態において、本方法は、対象の投与後脳アミロイドレベルを測定することを更に含む。一部の実施形態において、治療は、抗Aβプロトフィブリル抗体を含む治療の前の対象からの試料におけるレベルと比べて血液試料のAβ42/40比を増加させるものである。一部の実施形態において、抗Aβプロトフィブリル抗体を含む治療の前の対象からの試料におけるレベルと比べてAβ42/40比の増加が観察された場合、治療は継続される。
【0279】
様々な実施形態において、1つ以上の追加的なバイオマーカーが測定されることにより、前症候性の対象が治療に選択され、及び/又は治療有効性がモニタされる。
【0280】
一部の実施形態において、脳アミロイドレベルは、対象からの血液試料におけるAβ42/40比の測定と併せて、対象においてPETで測定される。一部の実施形態において、脳アミロイドレベルはPETで測定されない(例えば、費用を削減するため、又はスクリーニング速度を上げるため)。一部の実施形態において、対象からの血液試料におけるAβ42/40比は、レカネマブで治療する対象のスクリーニング又は選択のため治療前にPETによる脳アミロイド測定と共に又はそれ無しで測定される。一部の実施形態において、本方法は、脳脊髄液Aβ1-42レベル及び/又は脳脊髄液総タウレベルを決定することを更に含む。一部の実施形態において、血中の総タウレベルが測定される。一部の実施形態において、血中のp-タウレベルが測定され、例えば、p-181又はp-217タウの1つ以上が測定される。
【0281】
一部の実施形態において、本方法は、脳脊髄液ニューログラニンレベルを決定することを更に含む。
【0282】
一部の実施形態において、本方法は、脳脊髄液神経フィラメント軽鎖レベルを決定することを更に含む。
【0283】
一部の実施形態において、前記方法は、投与後脳アミロイドレベルが第2の所定のレベルを上回る場合、組成物を投与することを更に含む。
【0284】
一部の実施形態において、前記方法は、投与後に、対象の脳アミロイドレベルが第1の所定のレベルを下回るまで、対象の脳アミロイドレベルをモニタすることを更に含む。
【0285】
一部の実施形態において、前記方法は、投与後脳脊髄液Aβ1-42レベル及び/又は脳脊髄液総タウレベルが所定のレベルを上回る場合、組成物を投与することを更に含む。
【0286】
一部の実施形態において、前記方法は、投与後脳脊髄液ニューログラニンレベルが所定のレベルを上回る場合、組成物を投与することを更に含む。
【0287】
一部の実施形態において、前記方法は、投与後神経フィラメント軽鎖が所定のレベルを上回る場合、組成物を投与することを更に含む。
【0288】
一部の実施形態において、前記方法は、少なくとも1つの追加的な治療用薬剤を投与することを更に含む。一部の実施形態において、少なくとも1つの追加的な治療用薬剤は、BACE阻害薬、γセクレターゼ阻害薬、γセクレターゼ調節薬、前記少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体以外のAβペプチド生成阻害薬、前記少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体以外のAβペプチドレベルを下げる薬剤、及びこれらの組み合わせから選択される。一部の実施形態において、少なくとも1つの追加的な治療用薬剤は、BACE阻害薬である。一部の実施形態において、BACE阻害薬は、CNP520、BI-1181181、LY2886721、LY3202626、PF-06751979、RG7129、アタベセスタット、エレンベセスタット、ラナベセスタット、及びベルベセスタットから選択される。一部の実施形態において、BACE阻害薬は、エレンベセスタットである。
【0289】
初期アルツハイマー病を有する対象の脳アミロイドレベルを低減する方法においては、本明細書に開示される抗Aβプロトフィブリル抗体、その治療的に許容可能な量、それについての用量投与レジメン、及びそれを含む組成物のいずれも使用し得る。例えば、一部の実施形態において、対象の体重を基準として2.5mg/kg、5mg/kg、7.5mg/kg、又は10mg/kgのBAN2401などの少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体を含む組成物が、対象に毎週1回、2週間毎に1回、3週間毎に1回、4週間毎に1回、毎月1回(「mo」)、5週間毎に1回、6週間毎に1回、7週間毎に1回、8週間毎に1回、2ヵ月毎に1回、9週間毎に1回、10週間毎に1回、11週間毎に1回、12週間毎に1回、3ヵ月毎(4分の1年毎)に1回、14週間毎に1回、16週間毎に1回、4ヵ月毎に1回、18週間毎に1回、20週間毎に1回、5ヵ月毎に1回、22週間毎に1回、24週間毎に1回、6ヵ月毎(半年毎)に1回、7ヵ月毎に1回、8ヵ月毎に1回、9ヵ月毎に1回、10ヵ月毎に1回、11ヵ月毎に1回、12ヵ月毎に(毎年)1回、13ヵ月毎に1回、14ヵ月毎に1回、15ヵ月毎に1回、16ヵ月毎に1回、17ヵ月毎に1回、又は18ヵ月毎に1回投与される。
【0290】
一部の実施形態において、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体は、BAN2041である。
【0291】
一部の実施形態において、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体を含む組成物の投与の結果、アミロイドPET画像の目視読影により決定したとき、少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも6%、少なくとも7%、少なくとも8%、少なくとも9%、少なくとも10%、少なくとも11%、少なくとも12%、少なくとも13%、少なくとも14%、少なくとも15%、少なくとも16%、少なくとも17%、少なくとも18%、少なくとも19%、少なくとも20%、少なくとも21%、少なくとも22%、少なくとも23%、少なくとも24%、少なくとも25%、少なくとも26%、少なくとも27%、少なくとも28%、少なくとも29%、少なくとも30%、少なくとも31%、少なくとも32%、少なくとも33%、少なくとも34%、少なくとも35%、少なくとも36%、少なくとも37%、少なくとも38%、少なくとも39%、少なくとも40%、少なくとも41%、少なくとも42%、少なくとも43%、少なくとも44%、少なくとも45%、少なくとも46%、少なくとも47%、少なくとも48%、少なくとも49%、少なくとも50%、少なくとも51%、少なくとも52%、少なくとも53%、少なくとも54%、少なくとも55%、少なくとも56%、少なくとも57%、少なくとも58%、少なくとも59%、少なくとも60%、少なくとも61%、少なくとも62%、少なくとも63%、少なくとも64%、少なくとも65%、少なくとも66%、少なくとも67%、少なくとも68%、少なくとも69%、少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の対象がアミロイド陰性になる。
【0292】
一部の実施形態において、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体を含む組成物の投与の結果、アミロイドPET画像の目視読影により決定したとき、80%~100%又は85%~100%など、75%~100%の対象がアミロイド陰性になる。一部の実施形態において、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体を含む組成物の投与の結果、アミロイドPET画像の目視読影により決定したとき、少なくとも80%又は少なくとも85%など、少なくとも75%の対象がアミロイド陰性になる。一部の実施形態において、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体を含む組成物の投与の結果、アミロイドPET画像の目視読影により決定したとき、100%の対象がアミロイド陰性になる。
【0293】
一部の実施形態において、少なくとも80%又は少なくとも85%など、少なくとも75%の対象が、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物の12ヵ月の投与後に、アミロイドPET画像の目視読影により決定したとき、アミロイド陰性である。一部の実施形態において、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、又は少なくとも95%など、少なくとも75%の対象が、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物の18ヵ月の投与後に、アミロイドPET画像の目視読影により決定したとき、アミロイド陰性である。一部の実施形態において、組成物は10mg/kgの少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体を含み、2週間毎に1回又は毎月1回投与される。一部の実施形態において、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体は、BAN2401である。
【0294】
一部の実施形態において、本方法の結果、投与前の脳アミロイドレベルと比べて投与後に脳アミロイドレベルの低減が生じる。一部の実施形態において、脳アミロイドレベルは、前記投与前の脳アミロイドレベルと比べて少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも6%、少なくとも7%、少なくとも8%、少なくとも9%、少なくとも10%、少なくとも11%、少なくとも12%、少なくとも13%、少なくとも14%、少なくとも15%、少なくとも16%、少なくとも17%、少なくとも18%、少なくとも19%、少なくとも20%、少なくとも21%、少なくとも22%、少なくとも23%、少なくとも24%、少なくとも25%、少なくとも26%、少なくとも27%、少なくとも28%、少なくとも29%、少なくとも30%、少なくとも31%、少なくとも32%、少なくとも33%、少なくとも34%、少なくとも35%、少なくとも36%、少なくとも37%、少なくとも38%、少なくとも39%、少なくとも40%、少なくとも41%、少なくとも42%、少なくとも43%、少なくとも44%、少なくとも45%、少なくとも46%、少なくとも47%、少なくとも48%、少なくとも49%、少なくとも50%、少なくとも51%、少なくとも52%、少なくとも53%、少なくとも54%、少なくとも55%、少なくとも56%、少なくとも57%、少なくとも58%、少なくとも59%、少なくとも60%、少なくとも61%、少なくとも62%、少なくとも63%、少なくとも64%、少なくとも65%、少なくとも66%、少なくとも67%、少なくとも68%、少なくとも69%、少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%低減される。一部の実施形態において、上記に挙げる脳アミロイドレベルの低減は、アミロイドPET画像の目視読影により決定され、PET標準取込値比(SUVr値)として表される。
【0295】
一部の実施形態において、対象のPET SUVr値の調整平均変化量は、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体を含む組成物の投与前の脳アミロイドレベルと比べて少なくとも-0.10、少なくとも-0.15、少なくとも-0.20、少なくとも-0.25、少なくとも-0.30、少なくとも-0.35、少なくとも-0.40、少なくとも-0.45、少なくとも-0.50、少なくとも-0.55、少なくとも-0.60、少なくとも-0.65、少なくとも-0.70、少なくとも-0.75、少なくとも-0.80、少なくとも-0.85、少なくとも-0.90、又は少なくとも-0.95低減される。一部の実施形態において、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体を含む組成物の投与前の脳アミロイドレベルからの対象のPET SUVr値の調整平均変化量は、-0.20~-0.30低減される。
【0296】
一部の実施形態において、総皮質平均と全小脳参照を比較すると、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体を含む組成物の投与前の脳アミロイドレベルからの対象のPET SUVr値の調整平均変化量は、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物の12ヵ月の投与後に、少なくとも-0.25など、少なくとも-0.20低減される。一部の実施形態において、対象のPET SUVr値の調整平均変化量は、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物の18ヵ月の投与後に、投与前の対象のPET SUVr値と比べて少なくとも-0.30など、少なくとも-0.25低減される。
【0297】
一部の実施形態において、脳内のアミロイドの低減は、脳Aβアミロイドへの放射性トレーサーの結合を用いた画像法により決定され、PETで可視化される。一部の実施形態において、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物の投与前の対象のレベルからの調整平均変化量の低減は、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物の12ヵ月の投与後に、少なくとも-55又は少なくとも-59など、少なくとも-50センチロイドである。一部の実施形態において、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物の投与前の対象のレベルからの調整平均変化量の低減は、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物の18ヵ月の投与後に、少なくとも-65又は少なくとも-70など、少なくとも-60センチロイドである。
【0298】
一部の実施形態において、本方法の結果、投与前の脳脊髄液Aβ1-42レベルと比べて脳脊髄液Aβ1-42レベルの増加が生じる。一部の実施形態において、本方法の結果、投与前の脳脊髄液Aβ1-42レベルと比べて少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも6%、少なくとも7%、少なくとも8%、少なくとも9%、少なくとも10%、少なくとも11%、少なくとも12%、少なくとも13%、少なくとも14%、少なくとも15%、少なくとも16%、少なくとも17%、少なくとも18%、少なくとも19%、少なくとも20%、少なくとも21%、少なくとも22%、少なくとも23%、少なくとも24%、少なくとも25%、少なくとも26%、少なくとも27%、少なくとも28%、少なくとも29%、少なくとも30%、少なくとも31%、少なくとも32%、少なくとも33%、少なくとも34%、少なくとも35%、少なくとも36%、少なくとも37%、少なくとも38%、少なくとも39%、少なくとも40%、少なくとも41%、少なくとも42%、少なくとも43%、少なくとも44%、少なくとも45%、少なくとも46%、少なくとも47%、少なくとも48%、少なくとも49%、少なくとも50%、少なくとも51%、少なくとも52%、少なくとも53%、少なくとも54%、少なくとも55%、少なくとも56%、少なくとも57%、少なくとも58%、少なくとも59%、少なくとも60%、少なくとも61%、少なくとも62%、少なくとも63%、少なくとも64%、少なくとも65%、少なくとも66%、少なくとも67%、少なくとも68%、少なくとも69%、少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の脳脊髄液Aβ1-42レベルの増加が生じる。
【0299】
一部の実施形態において、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体を含む組成物の投与の結果、アミロイドPET画像の目視読影により決定したとき、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体を含む組成物の投与前の脳アミロイドレベルと比べて-0.25~-0.35など、-0.20~-0.45の脳アミロイドレベル低減が生じる。一部の実施形態において、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体を含む組成物の投与の結果、アミロイドPET画像の目視読影により決定したとき、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体を含む組成物の投与前の脳アミロイドレベルと比べて少なくとも-0.25の脳アミロイドレベル低減が生じる。一部の実施形態において、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体を含む組成物の投与の結果、アミロイドPET画像の目視読影により決定したとき、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体を含む組成物の投与前の脳アミロイドレベルと比べて少なくとも0.30の脳アミロイドレベル低減が生じる。
【0300】
また、本明細書には、ApoE4陽性対象のアルツハイマー病の発病を予防し、及び/又は遅延させる別の方法も提供される。一部の実施形態において、前記方法は、対象の脳アミロイドレベルを決定すること、次に、対象の脳アミロイドレベルが第1の所定のレベルを上回る場合、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物と、BACE阻害薬、γセクレターゼ阻害薬、γセクレターゼ調節薬、前記少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体以外のAβペプチド生成阻害薬、及び前記少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体以外のAβペプチドレベルを下げる薬剤から選択される少なくとも1つの治療用薬剤の治療有効量を含む組成物とを投与することを含む。
【0301】
一部の実施形態において、本方法は、対象の投与後脳アミロイドレベルを測定することを更に含む。
【0302】
一部の実施形態において、本方法は、脳脊髄液Aβ1-42レベル及び/又は脳脊髄液総タウレベルを決定することを更に含む。
【0303】
一部の実施形態において、本方法は、脳脊髄液ニューログラニンレベルを決定することを更に含む。
【0304】
一部の実施形態において、本方法は、脳脊髄液神経フィラメント軽鎖レベルを決定することを更に含む。
【0305】
一部の実施形態において、前記方法は、投与後脳アミロイドレベルが第2の所定のレベルを上回る場合、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物と、BACE阻害薬、γセクレターゼ阻害薬、γセクレターゼ調節薬、前記少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体以外のAβペプチド生成阻害薬、及び前記少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体以外のAβペプチドレベルを下げる薬剤から選択される少なくとも1つの治療用薬剤の治療有効量を含む組成物とを投与することを更に含む。
【0306】
一部の実施形態において、前記方法は、投与後脳脊髄液Aβ1-42レベル及び/又は脳脊髄液総タウレベルが所定のレベルを上回る場合、組成物を投与することを更に含む。
【0307】
一部の実施形態において、前記方法は、投与後脳脊髄液ニューログラニンレベルが所定のレベルを上回る場合、組成物を投与することを更に含む。
【0308】
一部の実施形態において、前記方法は、投与後脳脊髄液神経フィラメント軽鎖レベルが所定のレベルを上回る場合、組成物を投与することを更に含む。
【0309】
一部の実施形態において、前記方法は、投与後に、対象の脳アミロイドレベルが第1の所定のレベルを下回るまで、対象の脳アミロイドレベルをモニタすることを更に含む。
【0310】
一部の実施形態において、前記方法は、少なくとも1つの追加的な治療用薬剤を投与することを更に含む。一部の実施形態において、少なくとも1つの追加的な治療用薬剤は、BACE阻害薬、γセクレターゼ阻害薬、γセクレターゼ調節薬、前記少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体以外のAβペプチド生成阻害薬、前記少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体以外のAβペプチドレベルを下げる薬剤、及びこれらの組み合わせから選択される。
【0311】
一部の実施形態において、少なくとも1つの追加的な治療用薬剤は、BACE阻害薬である。一部の実施形態において、BACE阻害薬は、エレンベセスタットである。
【0312】
初期アルツハイマー病を有する対象の脳アミロイドレベルを低減する方法においては、本明細書に開示される抗Aβプロトフィブリル抗体、その治療的に許容可能な量、それについての用量投与レジメン、及びそれを含む組成物のいずれも使用し得る。例えば、一部の実施形態において、対象の体重を基準として2.5mg/kg、5mg/kg、7.5mg/kg、又は10mg/kgのBAN2401などの少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体を含む組成物が、対象に毎週1回、2週間毎に1回、3週間毎に1回、4週間毎に1回、毎月1回(「mo」)、5週間毎に1回、6週間毎に1回、7週間毎に1回、8週間毎に1回、2ヵ月毎に1回、9週間毎に1回、10週間毎に1回、11週間毎に1回、12週間毎に1回、3ヵ月毎(4分の1年毎)に1回、14週間毎に1回、16週間毎に1回、4ヵ月毎に1回、18週間毎に1回、20週間毎に1回、5ヵ月毎に1回、22週間毎に1回、24週間毎に1回、6ヵ月毎(半年毎)に1回、7ヵ月毎に1回、8ヵ月毎に1回、9ヵ月毎に1回、10ヵ月毎に1回、11ヵ月毎に1回、12ヵ月毎に(毎年)1回、13ヵ月毎に1回、14ヵ月毎に1回、15ヵ月毎に1回、16ヵ月毎に1回、17ヵ月毎に1回、又は18ヵ月毎に1回投与される。
【0313】
一部の実施形態において、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体は、BAN2041である。
【0314】
一部の実施形態において、少なくとも1つの治療用薬剤は、BACE阻害薬である。一部の実施形態において、BACE阻害薬は、エレンベセスタットである。
【0315】
一部の実施形態において、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体を含む組成物と、少なくとも1つの治療用薬剤の治療有効量を含む組成物との投与の結果、アミロイドPET画像の目視読影により決定したとき、少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも6%、少なくとも7%、少なくとも8%、少なくとも9%、少なくとも10%、少なくとも11%、少なくとも12%、少なくとも13%、少なくとも14%、少なくとも15%、少なくとも16%、少なくとも17%、少なくとも18%、少なくとも19%、少なくとも20%、少なくとも21%、少なくとも22%、少なくとも23%、少なくとも24%、少なくとも25%、少なくとも26%、少なくとも27%、少なくとも28%、少なくとも29%、少なくとも30%、少なくとも31%、少なくとも32%、少なくとも33%、少なくとも34%、少なくとも35%、少なくとも36%、少なくとも37%、少なくとも38%、少なくとも39%、少なくとも40%、少なくとも41%、少なくとも42%、少なくとも43%、少なくとも44%、少なくとも45%、少なくとも46%、少なくとも47%、少なくとも48%、少なくとも49%、少なくとも50%、少なくとも51%、少なくとも52%、少なくとも53%、少なくとも54%、少なくとも55%、少なくとも56%、少なくとも57%、少なくとも58%、少なくとも59%、少なくとも60%、少なくとも61%、少なくとも62%、少なくとも63%、少なくとも64%、少なくとも65%、少なくとも66%、少なくとも67%、少なくとも68%、少なくとも69%、少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の対象がアミロイド陰性になる。
【0316】
一部の実施形態において、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体を含む組成物と、少なくとも1つの治療用薬剤の治療有効量を含む組成物との投与の結果、アミロイドPET画像の目視読影により決定したとき、80%~100%又は85%~100%など、75%~100%の対象がアミロイド陰性になる。一部の実施形態において、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体を含む組成物と、少なくとも1つの治療用薬剤の治療有効量を含む組成物との投与の結果、アミロイドPET画像の目視読影により決定したとき、少なくとも80%又は少なくとも85%など、少なくとも75%の対象がアミロイド陰性になる。一部の実施形態において、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体を含む組成物と、少なくとも1つの治療用薬剤の治療有効量を含む組成物との投与の結果、アミロイドPET画像の目視読影により決定したとき、100%の対象がアミロイド陰性になる。
【0317】
一部の実施形態において、少なくとも80%又は少なくとも85%など、少なくとも75%の対象が、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物と、少なくとも1つの治療用薬剤の治療有効量を含む組成物との12ヵ月の投与後に、アミロイドPET画像の目視読影により決定したとき、アミロイド陰性である。一部の実施形態において、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、又は少なくとも95%など、少なくとも75%の対象が、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物と、少なくとも1つの治療用薬剤の治療有効量を含む組成物との18ヵ月の投与後に、アミロイドPET画像の目視読影により決定したとき、アミロイド陰性である。一部の実施形態において、組成物は10mg/kgの少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体を含み、2週間毎に1回又は毎月1回投与される。一部の実施形態において、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体は、BAN2401である。
【0318】
一部の実施形態において、本方法の結果、投与前の脳アミロイドレベルと比べて投与後に脳アミロイドレベルの低減が生じる。一部の実施形態において、脳アミロイドレベルは、前記投与前の脳アミロイドレベルと比べて少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも6%、少なくとも7%、少なくとも8%、少なくとも9%、少なくとも10%、少なくとも11%、少なくとも12%、少なくとも13%、少なくとも14%、少なくとも15%、少なくとも16%、少なくとも17%、少なくとも18%、少なくとも19%、少なくとも20%、少なくとも21%、少なくとも22%、少なくとも23%、少なくとも24%、少なくとも25%、少なくとも26%、少なくとも27%、少なくとも28%、少なくとも29%、少なくとも30%、少なくとも31%、少なくとも32%、少なくとも33%、少なくとも34%、少なくとも35%、少なくとも36%、少なくとも37%、少なくとも38%、少なくとも39%、少なくとも40%、少なくとも41%、少なくとも42%、少なくとも43%、少なくとも44%、少なくとも45%、少なくとも46%、少なくとも47%、少なくとも48%、少なくとも49%、少なくとも50%、少なくとも51%、少なくとも52%、少なくとも53%、少なくとも54%、少なくとも55%、少なくとも56%、少なくとも57%、少なくとも58%、少なくとも59%、少なくとも60%、少なくとも61%、少なくとも62%、少なくとも63%、少なくとも64%、少なくとも65%、少なくとも66%、少なくとも67%、少なくとも68%、少なくとも69%、少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%低減される。一部の実施形態において、上記に挙げる脳アミロイドレベルの低減は、アミロイドPET画像の目視読影により決定され、PET標準取込値比(SUVr値)として表される。
【0319】
一部の実施形態において、対象のPET SUVr値の調整平均変化量は、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体を含む組成物と、少なくとも1つの治療用薬剤の治療有効量を含む組成物との投与前の脳アミロイドレベルと比べて少なくとも-0.10、少なくとも-0.15、少なくとも-0.20、少なくとも-0.25、少なくとも-0.30、少なくとも-0.35、少なくとも-0.40、少なくとも-0.45、少なくとも-0.50、少なくとも-0.55、少なくとも-0.60、少なくとも-0.65、少なくとも-0.70、少なくとも-0.75、少なくとも-0.80、少なくとも-0.85、少なくとも-0.90、又は少なくとも-0.95低減される。一部の実施形態において、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体を含む組成物と、少なくとも1つの治療用薬剤の治療有効量を含む組成物との投与前の脳アミロイドレベルからの対象のPET SUVr値の調整平均変化量は、-0.20~-0.30低減される。
【0320】
一部の実施形態において、総皮質平均と全小脳参照を比較すると、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体を含む組成物と、少なくとも1つの治療用薬剤の治療有効量を含む組成物との投与前の脳アミロイドレベルからの対象のPET SUVr値の調整平均変化量は、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物と、少なくとも1つの治療用薬剤の治療有効量を含む組成物との12ヵ月の投与後に、少なくとも-0.25など、少なくとも-0.20低減される。一部の実施形態において、対象のPET SUVr値の調整平均変化量は、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物と、少なくとも1つの治療用薬剤の治療有効量を含む組成物との18ヵ月の投与後に、投与前の対象のPET SUVr値と比べて少なくとも-0.30など、少なくとも-0.25低減される。
【0321】
一部の実施形態において、脳内のアミロイドの低減は、脳Aβアミロイドへの放射性トレーサーの結合を用いた画像法により決定され、PETで可視化される。一部の実施形態において、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物と、少なくとも1つの治療用薬剤の治療有効量を含む組成物との投与前の対象のレベルからの調整平均変化量の低減は、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物と、少なくとも1つの治療用薬剤の治療有効量を含む組成物との12ヵ月の投与後に、少なくとも-55又は少なくとも-59など、少なくとも-50センチロイドである。一部の実施形態において、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物の投与前の対象のレベルからの調整平均変化量の低減は、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効量を含む組成物と、少なくとも1つの治療用薬剤の治療有効量を含む組成物との18ヵ月の投与後に、少なくとも-65又は少なくとも-70など、少なくとも-60センチロイドである。
【0322】
一部の実施形態において、本方法の結果、投与前の脳脊髄液Aβ1-42レベルと比べて脳脊髄液Aβ1-42レベルの増加が生じる。一部の実施形態において、本方法の結果、投与前の脳脊髄液Aβ1-42レベルと比べて少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも6%、少なくとも7%、少なくとも8%、少なくとも9%、少なくとも10%、少なくとも11%、少なくとも12%、少なくとも13%、少なくとも14%、少なくとも15%、少なくとも16%、少なくとも17%、少なくとも18%、少なくとも19%、少なくとも20%、少なくとも21%、少なくとも22%、少なくとも23%、少なくとも24%、少なくとも25%、少なくとも26%、少なくとも27%、少なくとも28%、少なくとも29%、少なくとも30%、少なくとも31%、少なくとも32%、少なくとも33%、少なくとも34%、少なくとも35%、少なくとも36%、少なくとも37%、少なくとも38%、少なくとも39%、少なくとも40%、少なくとも41%、少なくとも42%、少なくとも43%、少なくとも44%、少なくとも45%、少なくとも46%、少なくとも47%、少なくとも48%、少なくとも49%、少なくとも50%、少なくとも51%、少なくとも52%、少なくとも53%、少なくとも54%、少なくとも55%、少なくとも56%、少なくとも57%、少なくとも58%、少なくとも59%、少なくとも60%、少なくとも61%、少なくとも62%、少なくとも63%、少なくとも64%、少なくとも65%、少なくとも66%、少なくとも67%、少なくとも68%、少なくとも69%、少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の脳脊髄液Aβ1-42レベルの増加が生じる。
【0323】
一部の実施形態において、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体を含む組成物と、少なくとも1つの治療用薬剤の治療有効量を含む組成物との投与の結果、アミロイドPET画像の目視読影により決定したとき、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体を含む組成物と、少なくとも1つの治療用薬剤の治療有効量を含む組成物との投与前の脳アミロイドレベルと比べて-0.25~-0.35など、-0.20~-0.45の脳アミロイドレベル低減が生じる。一部の実施形態において、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体を含む組成物と、少なくとも1つの治療用薬剤の治療有効量を含む組成物との投与の結果、アミロイドPET画像の目視読影により決定したとき、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体を含む組成物の投与前の脳アミロイドレベルと比べて少なくとも-0.25の脳アミロイドレベル低減が生じる。一部の実施形態において、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体を含む組成物と、少なくとも1つの治療用薬剤の治療有効量を含む組成物との投与の結果、アミロイドPET画像の目視読影により決定したとき、少なくとも1つの抗Aβプロトフィブリル抗体を含む組成物と、少なくとも1つの治療用薬剤の治療有効量を含む組成物との投与前の脳アミロイドレベルと比べて少なくとも0.30の脳アミロイドレベル低減が生じる。
【0324】
例示的実施形態
1.アルツハイマー病(AD)を有する又は有する疑いがある対象のADを治療する方法であって、
a.対象から入手された第1の血液試料中のアミロイドβ1-42(Aβ42)の濃度及びアミロイドβ1-40(Aβ40)の濃度を測定することにより、Aβ40に対するAβ42の第1の比(Aβ42/40比)を決定すること;
b.任意選択で、対象から入手された第1の血液試料中のリン酸化タウ181(p-タウ181)の第1のレベルを測定すること;
c.対象に第1の治療有効用量の抗アミロイドβ(Aβ)プロトフィブリル抗体を投与すること;
d.第1の試料採取後に対象から入手された第2の血液試料中のAβ42及びAβ40の濃度を測定することにより、第2のAβ42/40比を決定すること;
e.任意選択で、対象から入手された第2の血液試料中の第2のp-タウ181レベルを測定すること;
及び
f.i)第1の比と比べて上昇した第2の比及び/又はii)第1のp-タウ181レベルよりも低い第2のp-タウ181レベルを有する対象に、第1の用量と同じか又はそれより低量の抗Aβプロトフィブリル抗体を含む第2の治療有効用量を投与すること
を含む方法。
【0325】
2.ADを有する又は有する疑いがある対象のADを治療する方法であって、
a.対象から入手された第1の血液試料中のAβ42の濃度及びAβ40の濃度を測定することにより、Aβ40に対するAβ42の第1の比(Aβ42/40比)を決定すること;
b.任意選択で、対象から入手された第1の血液試料中のリン酸化タウ181(p-タウ181)の第1のレベルを測定すること;
c.対象に第1の治療有効用量の抗Aβプロトフィブリル抗体を投与すること;
d.第1の試料採取後に対象から入手された第2の血液試料中のAβ42及びAβ40の濃度を測定することにより、第2のAβ42/40比を決定すること;
e.任意選択で、対象から入手された第2の血液試料中の第2のp-タウ181レベルを測定すること;
及び
f.i)第1の比と比べて同じ又は減少した第2の比及び/又はii)第1のp-タウ181レベルと同じであるか、又はそれより高い第2のp-タウ181レベルを有する対象に、第1の用量よりも高量の抗Aβプロトフィブリル抗体を含む第2の治療有効用量又は別のAD治療を投与すること
を含む方法。
【0326】
3.対象がADを有する、実施形態1又は2に記載の方法。
【0327】
4.対象が初期ADと診断されている、実施形態1又は2に記載の方法。
【0328】
5.対象が、アルツハイマー病による軽度認知障害-可能性が中等度を有すると診断されている、及び/又は軽度アルツハイマー病型認知症を有すると診断されている、実施形態1又は2に記載の方法。
【0329】
6.対象が、国立老化研究所-アルツハイマー病協会(NIA-AA)コア臨床判定基準によりアルツハイマー病による軽度認知障害-可能性が中等度と診断されている、実施形態5に記載の方法。
【0330】
7.対象が、治療前の0.5のCDR全般スコア及び0.5以上のメモリーボックススコアによりアルツハイマー病による軽度認知障害-可能性が中等度と診断されている、実施形態5に記載の方法。
【0331】
8.対象が、例えば、情報提供者によって裏付けられるとおりの、治療前の過去1年に徐々に始まり、緩徐に進行しつつある主観的な記憶力衰退の経過歴によりアルツハイマー病による軽度認知障害-可能性が中等度と診断されている、実施形態5に記載の方法。
【0332】
9.対象が、ほぼ確実なアルツハイマー病型認知症に関するNIA-AAコア臨床判定基準により軽度アルツハイマー病型認知症と診断されている、実施形態5に記載の方法。
【0333】
10.対象が、治療前の0.5~1.0のCDRスコア及び0.5以上のメモリーボックススコアにより軽度アルツハイマー病型認知症と診断されている、実施形態5に記載の方法。
【0334】
11.対象が、例えば、PET判定、Aβ(1-42)のCSF判定、MRI、網膜アミロイド蓄積、及び/又は特定の行動/認知表現型によって指示されるとおり、投与前にアミロイド陽性である、実施形態1~10のいずれか一つに記載の方法。
【0335】
12.対象が、ApoE4遺伝子を少なくとも1コピー有する、実施形態1~11のいずれか一つに記載の方法。
【0336】
13.抗Aβプロトフィブリル抗体が、配列番号1(HCDR1)、配列番号2(HCDR2)、及び配列番号3(HCDR3)のアミノ酸配列を含む3つの重鎖相補性決定領域(HCDR1、HCDR2、及びHCDR3)と;配列番号4(LCDR1)、配列番号5(LCDR2)、及び配列番号6(LCDR3)のアミノ酸配列を含む3つの軽鎖相補性決定領域(LCDR1、LCDR2、及びLCDR3)とを含む、実施形態1~12のいずれか一つに記載の方法。
【0337】
14.抗Aβプロトフィブリル抗体が、配列番号7のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、配列番号8のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含む、実施形態13に記載の方法。
【0338】
15.抗Aβプロトフィブリル抗体が、配列番号9のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号10のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む、実施形態13又は14に記載の方法。
【0339】
16.第2の試料が、第1の試料の少なくとも1週間後、2週間後、3週間後、1ヵ月後、2ヵ月後、3ヵ月後、6ヵ月後、12ヵ月後、18ヵ月後又は24ヵ月後に入手される、実施形態1~15のいずれか一つに記載の方法。
【0340】
17.抗Aβプロトフィブリル抗体が、注入として投与される、実施形態1~16のいずれか一つに記載の方法。
【0341】
18.Aβ42/40比が、LC MS/MSプラットフォームを使用して測定される、実施形態1~17のいずれか一つに記載の方法。
【0342】
19.抗Aβプロトフィブリル抗体の第1の治療有効用量が、対象の体重を基準として2.5mg/kg~15mg/kg、例えば、約10mg/kgを含む、実施形態1~18のいずれか一つに記載の方法。
【0343】
20.抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効用量が、対象の体重を基準として10mg/kgを含み、この用量が、2週間毎に1回投与される、実施形態1~19のいずれか一つに記載の方法。
【0344】
21.組成物が、2週間毎に1回又は毎月1回投与される、実施形態19に記載の方法。
【0345】
22.第1のAβ42/40比と比べて上昇した第2のAβ42/40比、及び/又は第1のp-タウ181レベルよりも低い第2のp-タウ181レベルを示す対象において投与頻度を、例えば、毎月、隔月、4分の1年毎、又は半年毎の投与に低減する、実施形態1又は3~21に記載の方法。
【0346】
23.第1のAβ42/40比と比べて減少した第2のAβ42/40比及び/又は第1のp-タウ181レベルと同じか又はそれより高い第2のp-タウ181レベルを示す対象において投与頻度を増加させる、実施形態2~21のいずれか一つに記載の方法。
【0347】
24.第1のAβ42/40比と比べた第2のAβ42/40比の上昇が、治療によって対象がアミロイド陽性からアミロイド陰性に転換したことを指示している、実施形態1又は3~22のいずれか一つに記載の方法。
【0348】
25.第2の治療有効用量における抗Aβプロトフィブリル抗体の量が、第1の治療有効用量における量と比べて低減され、及び/又は投与頻度が、例えば、隔週から毎月に、又は6ヵ月毎に低減される、実施形態1に記載の方法。
【0349】
26.例えば、第1の治療有効用量の抗Aβプロトフィブリル抗体の少なくとも6ヵ月後に測定したとき、第2の比が第1の比と比べて少なくとも10%上昇し、及び/又は比が少なくとも約0.092に増加する、実施形態1に記載の方法。
【0350】
27.対象に少なくとも1つの追加的なAD薬物療法が逐次投与又は同時投与される、実施形態1~26のいずれか一つに記載の方法。
【0351】
28.第2の治療有効用量が第2の治療薬と組み合わせて投与される、実施形態1~27のいずれか一つに記載の方法。
【0352】
29.本方法の結果、Aβ1-42、総タウ、ホスホタウ、及び/又はニューログラニンの脳脊髄液レベルの低減が生じ、及び/又は治療前と比較したときの脳脊髄液神経フィラメント軽鎖レベルの増加が緩徐になる、実施形態1~28のいずれか一つに記載の方法。
【0353】
30.治療前及び/又は治療後に、例えば、PET SUVr値を測定することにより対象の脳アミロイドレベルを測定することを更に含む、実施形態1~29のいずれか一つに記載の方法。
【0354】
31.例えば、第1の治療有効用量による6ヵ月又は12ヵ月の治療後に、例えば、PET SUVr値のベースラインからの調整平均値低減により決定したとき、脳アミロイドレベルの少なくとも約0.10、又は0.15、又は0.20の低減が検出される場合、第2の治療有効用量の抗Aβプロトフィブリル抗体を投与することを含む、実施形態30に記載の方法。
【0355】
32.本方法により、PET SUVr値のベースラインからの調整平均変化量で測定したとき、対象の脳アミロイドレベルが低減される、実施形態1~31のいずれか一つに記載の方法。
【0356】
33.PET SUVr値のベースラインからの調整平均変化量が、例えば、第1の治療有効用量による12ヵ月の治療後に、少なくとも約0.10、又は0.15、又は0.20の低減である、実施形態32に記載の方法。
【0357】
34.治療により、ADCOMSによって決定したときの臨床的衰退が遅延する、実施形態1~33のいずれか一つに記載の方法。
【0358】
35.治療により、ADAS MCI-ADLによって決定したときの臨床的衰退が遅延する、実施形態1~33のいずれか一つに記載の方法。
【0359】
36.治療により、修正iADRSによって決定したときの臨床的衰退が遅延する、実施形態1~33のいずれか一つに記載の方法。
【0360】
37.治療により、CDR-SBで測定したときの臨床的衰退が遅延する、実施形態1~33のいずれか一つに記載の方法。
【0361】
38.治療により、ADAS-Cogで測定したときの臨床的衰退が遅延する、実施形態1~33のいずれか一つに記載の方法。
【0362】
39.治療方法が、例えば、MRIによって観察されるとおりのARIA、例えば、ARIA-E及び/又はARIA-Hをモニタすることを更に含む、実施形態1~38のいずれか一つに記載の方法。
【0363】
40.本方法により、例えば、MRIにより観察されるとおりのARIA、例えば、ARIA-E及び/又はARIA-Hのリスクが低減される、実施形態1又は3~39に記載の方法。
【0364】
41.治療後に、例えば、MRIで測定したときのARIA-Eのサイズ又は数が増加しない、実施形態40に記載の方法。
【0365】
42.治療後に、例えば、MRIで測定したときのARIA-Hのサイズ又は数が増加しない、実施形態40に記載の方法。
【0366】
43.ADを有する又は有する疑いがある対象の脳アミロイドベータを低減する方法であって、
a.対象から入手された第1の血液試料中のアミロイドβ1-42(Aβ42)の濃度及びアミロイドβ1-40(Aβ40)の濃度を測定することにより、Aβ40に対するAβ42の第1の比(Aβ42/40比)を決定すること;
b.任意選択で、対象から入手された第1の血液試料中のリン酸化タウ181(p-タウ181)の第1のレベルを測定すること;
c.対象に第1の治療有効用量の抗アミロイドβ(Aβ)プロトフィブリル抗体を投与すること;
d.第1の試料採取後に対象から入手された第2の血液試料中のアミロイドβ1-42(Aβ42)及びアミロイドβ1-40(Aβ40)の濃度を測定することにより、第2のAβ42/40比を決定すること;
e.任意選択で、対象から入手された第2の血液試料中の第2のp-タウ181レベルを測定すること;
及び
f.i)第1の比と比べて上昇した第2の比及び/又はii)第1のp-タウ181レベルよりも低い第2のp-タウ181レベルを有する対象に、第1の用量と同じか又はそれより低量の抗Aβプロトフィブリル抗体を含む第2の治療有効用量を投与すること
を含み、
それによって対象の脳アミロイドベータを低減する方法。
【0367】
44.ADを有する又は有する疑いがある対象の脳アミロイドベータを低減する方法であって、
a.対象から入手された第1の血液試料中のアミロイドβ1-42(Aβ42)の濃度及びアミロイドβ1-40(Aβ40)の濃度を測定することにより、Aβ40に対するAβ42の第1の比(Aβ42/40比)を決定すること;
b.任意選択で、対象から入手された第1の血液試料中のリン酸化タウ181(p-タウ181)の第1のレベルを測定すること;
c.対象に第1の治療有効用量の抗アミロイドβ(Aβ)プロトフィブリル抗体を投与すること;
d.第1の試料採取後に対象から入手された第2の血液試料中のアミロイドβ1-42(Aβ42)及びアミロイドβ1-40(Aβ40)の濃度を測定することにより、第2のAβ42/40比を決定すること;
e.任意選択で、対象から入手された第2の血液試料中の第2のp-タウ181レベルを測定すること;
及び
f.i)第1の比と比べて同じ又は減少した第2の比及び/又はii)第1のp-タウ181レベルと同じであるか、又はそれより高い第2のp-タウ181レベルを有する対象に、第1の用量よりも高量の抗Aβプロトフィブリル抗体を含む第2の治療有効用量を投与すること
を含み、
それによって対象の脳アミロイドベータを低減する方法。
【0368】
45.対象がADを有する、実施形態43又は44に記載の方法。
【0369】
46.対象が初期ADと診断されている、実施形態43又は44に記載の方法。
【0370】
47.対象が、アルツハイマー病による軽度認知障害-可能性が中等度を有すると診断されている、及び/又は軽度アルツハイマー病型認知症を有すると診断されている、実施形態43又は44に記載の方法。
【0371】
48.対象が、国立老化研究所-アルツハイマー病協会(NIA-AA)コア臨床判定基準によりアルツハイマー病による軽度認知障害-可能性が中等度と診断されている、実施形態47に記載の方法。
【0372】
49.対象が、治療前の0.5のCDR全般スコア及び0.5以上のメモリーボックススコアによりアルツハイマー病による軽度認知障害-可能性が中等度と診断されている、実施形態47に記載の方法。
【0373】
50.対象が、例えば、情報提供者によって裏付けられるとおりの、治療前の過去1年に徐々に始まり、緩徐に進行しつつある主観的な記憶力衰退の経過歴によりアルツハイマー病による軽度認知障害-可能性が中等度と診断されている、実施形態47に記載の方法。
【0374】
51.対象が、ほぼ確実なアルツハイマー病型認知症に関するNIA-AAコア臨床判定基準により軽度アルツハイマー病型認知症と診断されている、実施形態57に記載の方法。
【0375】
52.対象が、治療前の0.5~1.0のCDRスコア及び0.5以上のメモリーボックススコアにより軽度アルツハイマー病型認知症と診断されている、実施形態57に記載の方法。
【0376】
53.対象が、例えば、PET判定、Aβ(1-42)のCSF判定、MRI、網膜アミロイド蓄積、及び/又は特定の行動/認知表現型によって指示されるとおり、投与前にアミロイド陽性である、実施形態43~52のいずれか一つに記載の方法。
【0377】
54.対象が、ApoE4遺伝子を少なくとも1コピー有する、実施形態43~53のいずれか一つに記載の方法。
【0378】
55.抗Aβプロトフィブリル抗体が、配列番号1(HCDR1)、配列番号2(HCDR2)、及び配列番号3(HCDR3)のアミノ酸配列を含む3つの重鎖相補性決定領域(HCDR1、HCDR2、及びHCDR3)と;配列番号4(LCDR1)、配列番号5(LCDR2)、及び配列番号6(LCDR3)のアミノ酸配列を含む3つの軽鎖相補性決定領域(LCDR1、LCDR2、及びLCDR3)とを含む、実施形態43~54のいずれか一つに記載の方法。
【0379】
56.抗Aβプロトフィブリル抗体が、配列番号7のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、配列番号8のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含む、実施形態55に記載の方法。
【0380】
57.抗Aβプロトフィブリル抗体が、配列番号9のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号10のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む、実施形態55又は56に記載の方法。
【0381】
58.第2の試料が、第1の試料の少なくとも1週間後、2週間後、3週間後、1ヵ月後、2ヵ月後、3ヵ月後、6ヵ月後、12ヵ月後、18ヵ月後又は24ヵ月後に入手される、実施形態43~57のいずれか一つに記載の方法。
【0382】
59.抗Aβプロトフィブリル抗体が、注入として投与される、実施形態43~58のいずれか一つに記載の方法。
【0383】
60.Aβ42/40比が、LC MS/MSプラットフォームを使用して測定される、実施形態43~59のいずれか一つに記載の方法。
【0384】
61.抗Aβプロトフィブリル抗体の第1の治療有効用量が、対象の体重を基準として2.5mg/kg~15mg/kg、例えば、約10mg/kgを含む、実施形態43~60のいずれか一つに記載の方法。
【0385】
62.抗Aβプロトフィブリル抗体の治療有効用量が、対象の体重を基準として10mg/kgを含み、この用量が、2週間毎に1回投与される、実施形態43~61のいずれか一つに記載の方法。
【0386】
63.組成物が、2週間毎に1回又は毎月1回投与される、実施形態61に記載の方法。
【0387】
64.第1のAβ42/40比と比べて上昇した第2のAβ42/40比、及び/又は第1のp-タウ181レベルよりも低い第2のp-タウ181レベルを示す対象において投与頻度を、例えば、毎月、隔月、4分の1年毎、又は半年毎の投与に低減する、実施形態43又は45~63に記載の方法。
【0388】
65.第1のAβ42/40比と比べて減少した第2のAβ42/40比及び/又は第1のp-タウ181レベルと同じか又はそれより高い第2のp-タウ181レベルを示す対象において投与頻度を増加させる、実施形態44~63のいずれか一つに記載の方法。
【0389】
66.第1のAβ42/40比と比べた第2のAβ42/40比の上昇が、治療によって対象がアミロイド陽性からアミロイド陰性に転換したことを指示している、実施形態43又は45~64のいずれか一つに記載の方法。
【0390】
67.第2の治療有効用量における抗Aβプロトフィブリル抗体の量が、第1の治療有効用量における量と比べて低減され、及び/又は投与頻度が、例えば、隔週から毎月に、又は6ヵ月毎に低減される、実施形態43に記載の方法。
【0391】
68.第2の治療有効用量が第2の治療薬と組み合わせて投与される、実施形態43~67のいずれか一つに記載の方法。
【0392】
69.例えば、第1の治療有効用量の抗Aβプロトフィブリル抗体の少なくとも6ヵ月後に測定したとき、第2の比が第1の比と比べて少なくとも10%上昇し、及び/又は比が少なくとも約0.092に増加する、実施形態43に記載の方法。
【0393】
70.対象に少なくとも1つの追加的なAD薬物療法が逐次投与又は同時投与される、実施形態43~69のいずれか一つに記載の方法。
【0394】
71.本方法の結果、Aβ1-42、総タウ、ホスホタウ、及び/又はニューログラニンの脳脊髄液レベルの低減が生じ、及び/又は治療前と比較したときの脳脊髄液神経フィラメント軽鎖レベルの増加が緩徐になる、実施形態43~70のいずれか一つに記載の方法。
【0395】
72.治療前及び/又は治療後に、例えば、PET SUVr値を測定することにより対象の脳アミロイドレベルを測定することを更に含む、実施形態43~71のいずれか一つに記載の方法。
【0396】
73.例えば、第1の治療有効用量による6ヵ月又は12ヵ月の治療後に、例えば、PET SUVr値のベースラインからの調整平均値低減により決定したとき、脳アミロイドレベルの少なくとも約0.10、又は0.15、又は0.20の低減が検出される場合、第2の治療有効用量の抗Aβプロトフィブリル抗体を投与することを含む、実施形態72に記載の方法。
【0397】
74.本方法により、PET SUVr値のベースラインからの調整平均変化量で測定したとき、対象の脳アミロイドレベルが低減される、実施形態43~73のいずれか一つに記載の方法。
【0398】
75.PET SUVr値のベースラインからの調整平均変化量が、例えば、第1の治療有効用量による12ヵ月の治療後に、少なくとも約0.10、又は0.15、又は0.20の低減である、実施形態74に記載の方法。
【0399】
76.治療により、ADCOMSによって決定したときの臨床的衰退が遅延する、実施形態43~75のいずれか一つに記載の方法。
【0400】
77.治療により、ADAS MCI-ADLによって決定したときの臨床的衰退が遅延する、実施形態43~76のいずれか一つに記載の方法。
【0401】
78.治療により、修正iADRSによって決定したときの臨床的衰退が遅延する、実施形態43~77のいずれか一つに記載の方法。
【0402】
79.治療により、CDR-SBで測定したときの臨床的衰退が遅延する、実施形態43~78のいずれか一つに記載の方法。
【0403】
80.治療により、ADAS-Cogで測定したときの臨床的衰退が遅延する、実施形態43~79のいずれか一つに記載の方法。
【0404】
81.治療方法が、例えば、MRIによって観察されるとおりのARIA、例えば、ARIA-E及び/又はARIA-Hをモニタすることを更に含む、実施形態43~80のいずれか一つに記載の方法。
【0405】
82.方法により、例えば、MRIにより観察されるとおりのARIA、例えば、ARIA-E及び/又はARIA-Hのリスクが低減される、実施形態43又は45~81に記載の方法。
【0406】
83.治療後に、例えば、MRIで測定したときのARIA-Eのサイズ又は数が増加しない、実施形態82に記載の方法。
【0407】
84.治療後に、例えば、MRIで測定したときのARIA-Hのサイズ又は数が増加しない、実施形態82に記載の方法。
【0408】
85.ADを有する又は有する疑いがある対象の治療有効性をモニタする方法であって、
a.対象に治療有効用量の抗Aβプロトフィブリル抗体を投与すること;
b.対象から入手された血液試料中のAβ42及びAβ40の濃度を測定することにより、Aβ42/40比を決定すること;
c.任意選択で、血液試料中のリン酸化タウ181(p-タウ181)のレベルを測定すること;
d.試料のAβ42/40比を治療前の患者からの試料中又は対照中の比と比較することであって、治療後のAβ42/40比が同じであるか、又は高くなることが、有効な治療を指示していること;及び
e.任意選択で、治療前の患者からの試料中又は対照中のp-タウ181レベルを比較することであって、治療後のp-タウ181レベルの減少が、有効な治療を指示していること
を含む方法。
【0409】
86.治療後のAβ42/40比が同じか、又は高くなることが、脳Aβレベルの低減を指示している、実施形態85に記載の方法。
【0410】
87.治療後のp-タウ181レベルの減少が、脳Aβレベルの低減を指示している、実施形態85に記載の方法。
【0411】
88.治療前及び/又は治療後に、例えば、PET SUVr値を測定することにより対象の脳アミロイドレベルを測定することを更に含む、実施形態85に記載の方法。
【0412】
89.PET SUVr値のベースラインからの調整平均変化量が、例えば、第1の治療有効用量による12ヵ月の治療後に、少なくとも約0.10、又は0.15、又は0.20の低減である、実施形態88に記載の方法。
【0413】
90.PET画像の目視読影によって治療有効性が確認されることにより、対象がアミロイド陰性であると確認される、実施形態88に記載の方法。
【0414】
91.脳Aβレベルの低下を検出する方法であって、
a.治療前の対象から入手された第1の血液試料中のAβ42の濃度及びAβ40の濃度を測定することにより、Aβ40に対するAβ42の第1の比(Aβ42/40比)を決定すること;
b.任意選択で、治療前の対象から入手された第1の血液試料中のリン酸化タウ181(p-タウ181)のレベルを測定すること;
c.第1の試料採取後に対象から入手された第2の血液試料中のAβ42及びAβ40の濃度を測定することにより、治療有効用量の抗Aβプロトフィブリル抗体を投与した後の第2のAβ42/40比を決定すること;
d.任意選択で、第1の試料採取後に対象から入手された第2の血液試料中のp-タウ181レベルを測定することにより、治療有効用量の抗Aβプロトフィブリル抗体を投与した後の第2のレベルを決定すること;
e.第1及び第2の比を比較することであって、
第1の試料と比べた第2の試料におけるAβ42/40比の上昇が、第1の試料採取と比べた第2の試料採取時における対象の脳アミロイドβの低減を指示していること;及び
f.任意選択で、第1及び第2のレベルを比較することであって、第1の試料と比べた第2の試料のレベルの減少が、第1の試料採取と比べた第2の試料採取時における対象の脳アミロイドβの低減を指示していること
を含む方法。
【0415】
92.必要としている対象の脳アミロイドレベルを低減する方法であって、
a.対象から入手された第1の血液試料中のアミロイドβ1-42(Aβ42)の濃度及びアミロイドβ1-40(Aβ40)の濃度を測定することにより、Aβ40に対するAβ42の第1の比(Aβ42/40比)を決定すること;
b.任意選択で、対象から入手された第1の血液試料中のリン酸化タウ181(p-タウ181)のレベルを測定することにより第1のp-タウ181レベルを入手すること;
c.対象に第1の治療有効用量の抗アミロイドβ(Aβ)プロトフィブリル抗体を投与すること;
d.第1の試料採取後に対象から入手された第2の血液試料中のAβ42及びAβ40の濃度を測定することにより、第2のAβ42/40比を決定すること;
e.任意選択で、第2の血液試料中のp-タウ181レベルを測定することにより第2のレベルを決定すること;
及び
f.i)第1の比と比べた第2の比の上昇及び/又はii)第1のレベルと比べた第2のp-タウ181レベルの減少を示す対象に、第1の用量と同じか又はそれより低量の抗Aβプロトフィブリル抗体を含む第2の治療有効用量を投与すること
を含む方法。
【0416】
93.対象が、アルツハイマー病、ダウン症候群、慢性外傷性脳症、脳アミロイドアンギオパチー、レビー小体認知症、又はAβペプチド含有可溶性及び/又は不溶性Aβ凝集体による別の脳疾患又は病態を有する、実施形態92に記載の方法。
【0417】
94.抗Aβプロトフィブリル抗体が、配列番号1(HCDR1)、配列番号2(HCDR2)、及び配列番号3(HCDR3)のアミノ酸配列を含む3つの重鎖相補性決定領域(HCDR1、HCDR2、及びHCDR3)と;配列番号4(LCDR1)、配列番号5(LCDR2)、及び配列番号6(LCDR3)のアミノ酸配列を含む3つの軽鎖相補性決定領域(LCDR1、LCDR2、及びLCDR3)とを含む、実施形態92又は93に記載の方法。
【0418】
95.抗Aβプロトフィブリル抗体が、配列番号7のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、配列番号8のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含む、実施形態94に記載の方法。
【0419】
96.抗Aβプロトフィブリル抗体が、配列番号9のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号10のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む、実施形態94又は95に記載の方法。
【0420】
97.対象に維持用量が投与される、実施形態1~96のいずれか一つに記載の方法。
【0421】
98.維持用量が、抗アミロイドβ(Aβ)プロトフィブリル抗体を含む、実施形態97に記載の方法。
【0422】
99.維持用量が、1回又は複数回投与される、実施形態98に記載の方法。
【0423】
100.維持用量が、治療中に実現したPET SUVrレベルを維持するように選択される用量頻度で投与される、実施形態99に記載の方法。
【0424】
101.維持用量が、アミロイド陰性であるか、又はそれを下回るPET SUVrレベル(例えばフロルベタピルについて、1.17のPET SUVr)を維持するように選択される用量頻度で投与される、実施形態99に記載の方法。
【0425】
102.維持用量が、10mg/kgの投薬量で3ヵ月毎に投与される、実施形態99~101のいずれか一つに記載の方法。
【0426】
103.維持用量が、10mg/kgの投薬量で毎月投与される、実施形態99~101のいずれか一つに記載の方法。
【0427】
104.維持用量が、治療中に実現したAβ42/40比及び/又はp-タウ181レベルを維持するように選択される用量頻度で投与される、実施形態99に記載の方法。
【0428】
105.維持用量が、0.092又はそれを上回るAβ42/40比を維持するように選択される用量頻度で投与される、実施形態104に記載の方法。
【0429】
106.維持用量が、10mg/kgの投薬量で毎月投与される、実施形態104又は105に記載の方法。
【0430】
107.維持用量が、治療経過初期の間よりも低い用量で投与される、実施形態98又は99に記載の方法。
【0431】
108.維持用量が、治療経過初期の間よりも低い頻度で投与される、実施形態98又は99に記載の方法。
【0432】
109.維持用量が、毎週、隔週、毎月、又は3ヵ月毎に投与される、実施形態99に記載の方法。
【0433】
110.維持用量が、対象がAβ42/40比の低減、例えば、約0.092~0.094未満の比を達成した後に投与される、実施形態99に記載の方法。
【0434】
111.維持用量が、対象の体重を基準として2.5mg/kg~15mg/kgを含む、実施形態97~99のいずれか一つに記載の方法。
【0435】
112.維持用量が、10mg/kgを含む、実施形態111に記載の方法。
【0436】
113.抗アミロイドβ(Aβ)プロトフィブリル抗体による治療に対象を選択する方法であって、
a.対象から入手された血液試料中のアミロイドβ1-42(Aβ42)の濃度及びアミロイドβ1-40(Aβ40)の濃度を測定することにより、Aβ40に対するAβ42の比(Aβ42/40比)を決定すること;及び
b.比が閾値(例えば、約0.092~0.094)を下回る場合、対象を治療に選択すること
を含む方法。
【0437】
114.アルツハイマー病(AD)を有する又は有する疑いがある対象のADを治療する方法であって、
a.対象から入手された血液試料中のアミロイドβ1-42(Aβ42)の濃度及びアミロイドβ1-40(Aβ40)の濃度を測定することにより、Aβ40に対するAβ42の比(Aβ42/40比)を決定すること;及び
b.閾値(例えば、約0.092~0.094の閾値)を下回るAβ42/40比を有する対象に抗アミロイドβ(Aβ)プロトフィブリル抗体の治療有効用量を含む治療を投与すること
を含む方法。
【0438】
115.対象に第1の治療有効用量の抗Aβプロトフィブリル抗体を投与するのに用量調節段階が不要である、実施形態1~111のいずれか一つに記載の方法。
【0439】
116.アルツハイマー病(AD)を有する又は有する疑いがある対象のADを治療する方法であって、対象に抗アミロイドβ(Aβ)プロトフィブリル抗体の治療有効用量を含む治療を、隔週で、PET SUVrで測定したときに脳アミロイド陰性、例えば、1.17又はそれを下回るフロルベタピルPET SUVrレベルを実現するのに十分な期間にわたって投与すること、次に維持用量の抗体を少なくとも3ヵ月毎に投与することにより、アミロイド陰性であるか、又はそれを下回るPET SUVrレベル(例えばフロルベタピルについて、1.17のPET SUVr)を維持することを含む方法。
【0440】
117.抗体が、対象の体重1kg当たり10mgの投薬量で投与される、実施形態116に記載の方法。
【0441】
118.維持用量が、毎月投与される、実施形態116又は117に記載の方法。
【0442】
119.対象が初期ADを有する、実施形態97~118のいずれか一つに記載の方法。
【0443】
120.対象が前駆ADを有する、実施形態97~118のいずれか一つに記載の方法。
【0444】
121.Aβ42/40比が、治療前の対象からの血液試料において測定される、実施形態1~120のいずれか一つに記載の方法。
【0445】
122.p-タウ181レベルが、治療前の対象からの血液試料において測定される、実施形態1~121のいずれか一つに記載の方法。
【0446】
123.Aβ42/40比が、PETによる脳アミロイド測定なしに測定される、実施形態121又は122に記載の方法。
【0447】
124.アルツハイマー病(AD)を有する又は有する疑いがある対象のADを治療する方法であって、
a.対象から入手された第1の血液試料中のアミロイドβ1-42(Aβ42)の濃度及びアミロイドβ1-40(Aβ40)の濃度を測定することにより、Aβ40に対するAβ42の第1の比(Aβ42/40比)を決定すること;
b.対象に第1の治療有効用量の抗アミロイドβ(Aβ)プロトフィブリル抗体を投与すること;
c.第1の試料採取後に対象から入手された第2の血液試料中のAβ42及びAβ40の濃度を測定することにより、第2のAβ42/40比を決定すること;及び
d.第1の比と比べて上昇した第2の比を有する対象に、第1の用量と同じか又はそれより低量の抗Aβプロトフィブリル抗体を含む第2の治療有効用量を投与すること
を含む方法。
【0448】
125.ADを有する又は有する疑いがある対象のADを治療する方法であって、
a.対象から入手された第1の血液試料中のAβ42の濃度及びAβ40の濃度を測定することにより、Aβ40に対するAβ42の第1の比(Aβ42/40比)を決定すること;
b.対象に第1の治療有効用量の抗Aβプロトフィブリル抗体を投与すること;
c.第1の試料採取後に対象から入手された第2の血液試料中のAβ42及びAβ40の濃度を測定することにより、第2のAβ42/40比を決定すること;及び
d.第1の比と比べて同じであるか、又は減少した第2の比を有する対象に、第1の用量よりも高量の抗Aβプロトフィブリル抗体を含む第2の治療有効用量又は別のAD治療を投与すること
を含む方法。
【0449】
配列表
【0450】
【0451】
【0452】
【0453】
【0454】
【0455】
【0456】
【0457】
【0458】
【実施例】
【0459】
本開示は以下の例によって更に例示されるが、これらの例は、限定するものと解釈されてはならない。本願全体を通じて引用される全ての参考文献、特許、及び公開特許出願の内容、並びに図は、あらゆる目的から全体として参照により本明細書に援用される。
【0460】
1.初期アルツハイマー病を有する対象のBAN2401レカネマブによる治療
BAN2401-G000-201(研究201コア、NCT01767311)は、用量設定レスポンスアダプティブランダム化(RAR)デザインを利用して、ADによるMCI-可能性が中等度の対象、又は軽度AD認知症の対象(本研究では、まとめて初期ADと称される)におけるBAN2401の安全性、忍容性、及び有効性を評価した二重盲検、並行群間、プラセボ対照、多施設共同及び多国間研究である。854例の対象を治療について無作為化した。ADによるMCI-可能性が中等度及び軽度AD認知症は、米国国立老化研究所-アルツハイマー病協会(NIA-AA)コア臨床判定基準によって定義される。
【0461】
このコア研究は、プレランダム化フェーズ(スクリーニング期間及びベースライン期間)、及び計画された18ヵ月の治療期間と、続く3ヵ月のフォローアップ期間によるランダム化フェーズからなった。非盲検延長フェーズを実施して、最長60ヵ月(5年)の追加的な治療を可能にした。コア研究と非盲検延長との間には、9~59ヵ月の範囲(平均24ヵ月)の介在する無治療のギャップ期間があった。
【0462】
コア研究
プレランダム化フェーズ
プレランダム化フェーズは最長60日まで続き、スクリーニング期間(最長30日の継続期間)とベースライン期間(最長30日の継続期間)とからなった。このスクリーニング期間及びベースライン期間の間に、全ての対象について、臨床検査、安全性MRI、及びアミロイドPET判定を用いることにより、対象がADによるMCI-可能性が中等度又は軽度アルツハイマー病型認知症の診断基準を満たしていること、及び研究への参加の妨げとなり得る他の医学的病態が対象にないことを確認して適格性を判定した。全ての対象がアミロイド陽電子放射断層撮影法(PET)又は脳脊髄液(CSF)Aβ1-42によってアミロイド陽性と確認され、適格であった。
【0463】
ベースライン期間中、追加的な臨床評価、ファーマコゲノミクス(APOE4状態)のための義務付けられた血液試料採取、及び可溶性CSFバイオマーカー分析の同意者についてのCSF試料採取を含め、更なる判定を行った。ベースライン来院時には、臨床判定:MMSE、CDR、ADAS-Cog、及びFAQを行った。
【0464】
ランダム化フェーズ
プラセボ又は5つの用量のうちの1つのBAN2401(隔週で与えられる2.5、5、又は10mg/kg、又は4週間毎に[毎月]与えられる5又は10mg/kg)の投与を受けるように対象を無作為化し、ランダム化フェーズの継続期間(18ヵ月)にわたって静脈内(IV)注入により投与した。
【0465】
本研究の経過中、最も高い用量(10mg/kg隔週)のレカネマブの投与を受けるアポリポタンパク質E4(ApoE4)遺伝子保有者の安全性観察に関して注目すべきプロトコルの修正があった。350例の対象の中間分析の直前に本研究から新たに出たデータは、最も高い用量のレカネマブ服用中のApoE4陽性ホモ接合者について、症候性アミロイド関連画像異常-浮腫/浸出(ARIA-E)の発症リスクが最も高いことを指し示していた。包括的データレビューの後、ある規制当局から、今後はApoE4保有者(ホモ接合及びヘテロ接合;全対象集団の約70%)に10mg/kg隔週用量のレカネマブをそれ以上投与しないよう要請があり、全ての後続の無作為化にこの手法を採用した。同時に、10mg/kg隔週用量に無作為化された、且つ研究への参加が6ヵ月未満である全てのApoE4保有者(ホモ接合及びヘテロ接合)について、例外なく、研究薬物投与を中断するようにとの要請もまた行われた。
【0466】
・有効性判定
BAN2401の主要有効性は、ADCOMSで見た12ヵ月時点のベースラインからの変化量をベイズ分析でプラセボと比較することにより判定した。ADCOMSは、CDR(全6項目)、ADAS-Cog14(4項目)、及びMMSE(2項目)を含めた、完全にバリデートされていて且つ十分に確立されている3つの臨床ツールからの選択された項目(合計12項目)の新規分析手法に相当する総合臨床スコアである。
【0467】
BAN2401の鍵となる副次的有効性は、18ヵ月時点で以下のとおりを混合モデル反復測定(MMRM)分析を用いてプラセボと比較することにより判定した:PETで測定したときの脳アミロイド病態生理;ADCOMS、CDR-SB、及びADAS-Cog14で見た臨床状態;CSFバイオマーカー(Aβ[1-42]、t-タウ、及びp-タウを含む);18ヵ月時点における新たに出てくる可能性のあるCSFバイオマーカーの測定からの情報[例えば、ニューログラニン及び神経フィラメント軽鎖(NfL、血漿中でも測定する)];並びにvMRIで測定したときの総海馬体積。
【0468】
副次的有効性は、12ヵ月時点でMMRM分析を用いて、PETによる脳アミロイド病態生理、ADCOMS、CDR-SB、及びADAS-Cog14で見た臨床状態、及びCSFバイオマーカー(Aβ[1-42]、t-タウ、及びp-タウを含む);12ヵ月時点における新たに出てくる可能性のあるCSFバイオマーカーの測定からの情報[例えば、ニューログラニン、及びNfL(血漿中でも測定する)];並びに6及び12ヵ月時点におけるvMRIによる総海馬萎縮、及び6、12、及び18ヵ月時点におけるvMRIによる左及び右海馬、全脳、及び総脳室体積を用いて判定した。
【0469】
探索的有効性は、他の時点におけるADCOMS、CDR-SB、及びADAS-Cog14で見た臨床状態、並びにMMSE及びFAQにより評価した。
【0470】
・アミロイドPET及びCSF Aβ(1-42)
アミロイドPET画像法又はCSF Aβ(1-42)判定を用いて、全てのEAD対象が脳にアミロイド沈着を有することを確認した。この判定基準により、ADによるMCI-可能性が中等度の対象を定義することが可能となり、軽度アルツハイマー病型認知症対象にアミロイド病変が確認された。
【0471】
プレランダム化フェーズの間のベースライン時に、全ての対象について、プロトコルに従い研究への組み入れに適格となるのにアミロイドPET又はCSF Aβ(1-42)判定が要求され、画像法サブ群への参加に同意した対象は、治療の12及び18ヵ月時点でアミロイドPET画像法を受けた。PETスキャンの継続期間及び造影剤の注入に対するそのタイミングは、造影剤製造者の手引きのとおりとした。造影剤としてはフロルベタピル及びフルテメタモルを使用したが、しかしながら、アミロイドPETスキャンを有した対象は、多くがフロルベタピルを使用した。造影剤としてフロルベタピルの投与を受けた対象のデータを組み入れる。
【0472】
PET画像取り込みによって同定されるアミロイドプラーク負荷量を、2つの別個の方法論:目視読影及び参照領域と比べた皮質複合体を用いる標準取込値比(SUVr)を用いて決定した。
【0473】
探索的血漿バイオマーカー用の血液の試料採取
プレランダム化フェーズの間のベースライン時、アミロイドPET判定前に、並びに治療の12及び18ヵ月時点で対象から血液を採取して、可能性のある新規のADバイオマーカーを評価した。
【0474】
非盲検延長フェーズ(研究201 OLE)
継続中のこの延長フェーズは、以下のとおり概要を示すプロトコルに従い行われる。
【0475】
コア研究後、非盲検延長(OLE)フェーズを開始して、対象が非盲検BAN2401 10mg/kg隔週の投与を受けられるようにした。延長フェーズを継続している、且つ延長フェーズで少なくとも18ヵ月の治療を完了した全ての対象が、安全性、PK曝露、バイオマーカー、及びBAN2401の維持用量設定に関する別の用量投与レジメンの臨床的有効性に及ぼす効果を評価する任意選択の用量投与レジメンサブ研究に参加し得る。対象は、その以前の隔週での判定スケジュールに従ういずれの研究来院時においても、このサブ研究に入ることを選び得る。このサブ研究に参加することを選んだ対象は、2つの静脈内用量投与レジメンのうちの一方;BAN2401 10mg/kg 4週間毎に1回(Q4W)又はBAN2401 10mg/kg 3ヵ月毎に1回(Q3M)]のいずれかに無作為化されることになる。対象は全て、最長60ヵ月間(5年間)、対象の在住国で薬物が市販されるまで、又はBAN2401による治療からのリスク対効果比がもはや好ましいものではなくなるまでのうち、いずれか最も早く到来する時まで、延長フェーズに参加し続けることになる。研究治療を完了した(コア研究の来院42回目[79週目])、且つ延長フェーズ組入れ及び除外基準を満たす対象はいずれも、参加する選択肢があった。延長フェーズの実施前の任意の時点でコア研究を既に完了した(フォローアップ来院、来院43回目まで)、及び/又は延長フェーズ組入れ及び除外基準を満たす対象は、参加に適格であった。コア研究を中断した対象は、延長フェーズに関する組入れ及び除外基準を満たしたならば、延長フェーズへの参加に適格であった。コア研究の完了後すぐにOLEフェーズに入った対象はおらず、全ての対象について、コア研究の最終回用量とOLEフェーズの初回用量との間に少なくとも9ヵ月のギャップがあった。このギャップ期間の間、治療は与えられず、データは収集されなかった。
【0476】
延長フェーズを継続中の対象は全て、BAN2401 10mg/kg隔週用量(又は用量投与レジメンサブ研究に登録した場合には、Q4W若しくはQ3M)を受けており、及びそれを受け続けることになり、これにはAPOE4陽性(ヘテロ又はホモ接合)と確認される対象も含まれる。注入は全て、診療室で行われる;しかしながら、治験依頼者の承認があって、且つ国及び地域のガイドラインにより許容可能で、それに従い行われる場合、対象には、承認された来院について在宅注入の選択肢が与えられる。在宅注入は、新型コロナウイルス感染症2019(COVID-19)が大流行した結果として、様々な理由で診療施設に来院できない対象が治療を受け続けることができるように実施されるものである。在宅注入は、COVID-19大流行中及び許可される場合にはその解消後に、国及び地域のガイドラインに従い治験依頼者の承認を得て許容される。延長フェーズのフォローアップ来院は、研究薬の最終回用量から3ヵ月後に行われる。対象は、いかなる理由であれ、研究薬を中断し得る。研究薬を中断した対象は、早期中止来院(研究薬の最終投与後7日以内)及びフォローアップ来院(研究薬の最終投与後3ヵ月)を行うことが求められる。
【0477】
・有効性判定
ADCOMS:この総合臨床スコアは、MMSE、CDR、及びADAS-Cogを含めた、完全にバリデートされていて且つ十分に確立されている3つの臨床ツールからの選択された項目(合計12項目)の新規分析手法に相当する。アルツハイマー病ニューロイメージングイニシアチブ(ADNI)(MCIサブセット)、ADCS-008、E2020-A001-412及びE2020-E033-415を含む4研究からのデータが、MCI集団における時間の経過に伴う疾患進行に対する感度を最適化することを目的とした統計的にバリデートされたモデルで使用されている。MMSE、CDR、及びADAS-Cogは、各々が、標準方法を用いて対象で施行されることになり、結果を用いてADCOMSが計算されることになる。
【0478】
・アミロイドPET
コア研究に組み入れるためのアミロイドPETを行った全ての対象が、延長フェーズでの投与前にベースラインアミロイドPETスキャンを受けた。ベースラインアミロイドPETスキャンは、コア研究についてのベースライン来院時に組み入れのために使用したものと同じ画像法トレーサーで行われる必要があった。加えて、米国及び日本に住む適格の対象には、縦断的PETサブ研究に参加する選択肢があった。縦断的アミロイドPET分析には、米国ではフロルベタピルが使用され、日本ではフルテメタモルが使用された。延長スクリーニング来院時、縦断的画像法サブ研究に同意した対象を、コア研究中のその治療割り付けに基づき2つのコホートに層別化した。コホート1アミロイドPET判定は、ベースライン時(延長スクリーニング来院)、来院50回目(延長13週目)、延長フェーズ来院70回目[延長53週目]に実施し、毎年続く;コホート2アミロイドPET判定は、ベースライン時(延長スクリーニング来院)、来院57回目(延長27週目)、延長フェーズ来院70回目[延長53週目]に実施し、毎年続く。日本では、縦断的画像法サブ研究への同意者のみが、延長フェーズ来院70回目[延長53週目]にアミロイドPETを行っており、毎年続く。
【0479】
・探索的血漿バイオマーカー用の血液の試料採取
対象から、ベースライン時(延長スクリーニング来院)、延長フェーズ来院50回目[延長13週目]、延長フェーズ来院57回目[延長27週目]、延長フェーズ来院70回目[延長53週目]、延長フェーズ来院83回目[延長79週目]、延長フェーズ来院96回目[延長105週目]、延長フェーズ来院109回目[延長131週目]、延長フェーズ来院122回目[延長157週目]、延長フェーズ来院135回目[延長183週目]、延長フェーズ来院148回目[延長209週目]、延長フェーズ来院161回目[延長235週目]、延長フェーズ来院174回目[延長261週目]、及び早期中止来院時に血液を採取した。
【0480】
用量投与レジメンサブ研究では、対象はサブ研究への登録に伴いベースライン血漿採血を受けることになり、用量投与レジメンサブ研究の1年目については用量投与レジメンに関係なく、4週間毎の施設来院に通うことになる。用量投与レジメンサブ研究来院時には毎回、血漿バイオマーカーのモニタリング用の血液が抜き取られ、治療の全経過にわたって各用量投与レジメンでベースラインレベル(サブ研究登録時)が維持されているか判定されることになる。治験依頼者は、血漿バイオマーカー反応を定期的に判定することになり、最適なレジメンが確立された場合、そのサブ研究における全ての対象にそのレジメンを投与することになる。任意選択の縦断的PETサブ研究にも登録した対象については、サブ研究来院1回目(1週目)の前に、用量投与レジメンサブ研究ベースラインアミロイドPET判定を行わなければならず、但し、それが用量投与レジメンサブ研究来院1回目から3ヵ月以内に行われていた場合を除く。
【0481】
2.レカネマブによる治療中の血漿アミロイドベータ1-42/1-40比と脳アミロイドベータとの間の相関関係
コア研究におけるアミロイドPETサブ研究では、ベースライン、12ヵ月及び18ヵ月SUVrをフロルベタピルで判定し、及びOLEアミロイドPETサブ研究の参加者は、ベースライン、3又は6ヵ月、及び12ヵ月で画像法を受けた。血漿試料を同じ時点で採取した。血漿Aβ40及びAβ42レベル(pg/mL)、及びAβ42/40濃度比を、PrecivityAD(商標)LC MS/MSプラットフォーム(C2N Diagnostics,LLC)を使用して測定した(Kirmess,et.al.,Clinica Chimica Acta 519(2021)267-275、West et al,Mol Neurodegen(2021)16-30)。コア又はOLEベースラインからの平均変化量及びピアソン相関係数をアミロイドPET SUVr及び血漿Aβ42/40比に関して群レベル及び個人レベルで、反復測定を考慮して計算した。ベースライン及び人口統計学的特性は、以下の表に提供する。
【0482】
血漿Aβ42/40比の変化量対用量及び血漿Aβ42/40比の変化量対PET SUVrの変化量に関する分析を以下のデータで実施した。
・対象/データ:
・OLEに登録した対象で、OLE 12mを達成した、且つ最小限のコアベースライン血漿試料を有した対象のみを組み入れた(N=121例の対象)
・N=88例は、フロルベタピルによる目視読影を少なくとも1つ有した
・N=81例は、フロルベタピルによるPET SUVrを少なくとも1つ有した
・血漿試料分析(121例の対象の各々における7つの時点からの835例の試料):
・コア:ベースライン、12m、18、
・OLE:ベースライン、3m、6m、12m
・解析母集団:
・血漿バイオマーカー解析対象集団:コアベースライン時及び少なくとも1回のコア判定後に決定した血漿Aβ42/40比を有した対象の群として定義される
【0483】
図1は、人口統計学的患者特性及び用量投与レジメンの暫定的な要約表である。
【0484】
追加の患者データによる分析:表6は、最大データセット解析で使用した研究201コアにおける患者についての人口統計学的患者特性の要約である。表8は、研究201コアにおけるバイオマーカー結果の要約である。表7は、最大データセット解析で使用したOLEフェーズにおける患者についての人口統計学的患者特性の要約である。表9は、OLEフェーズにおけるバイオマーカー結果の要約である。表10は、研究201コアにおける臨床結果の要約である。
【0485】
コア研究については、284例の対象(プラセボ:n=88、レカネマブ2.5mg/kg隔週:n=13、レカネマブ5mg/kg毎月:n=16、レカネマブ5mg/kg隔週:n=29、レカネマブ10mg/kg毎月:n=95、レカネマブ10mg/kg隔週:n=43)からの血漿Aβ42/40を評価した(
図31)。Aβ42/40比のC2N PrecivityADアッセイには、500μLの血漿試料容積が必要である。この試料容積は、ベースライン時及びベースライン後の判定において限られた数の対象についてのみ利用可能であった;従って、標本サイズはAβ42/40比分析よりも小さかった。
【0486】
【0487】
【0488】
【0489】
【0490】
【0491】
【0492】
コア治療群別及び来院別のAβ42/40比の平均変化量-コア/非盲検延長(OLE)
解析母集団:コアベースライン(BL)時及び少なくとも1回のベースライン後来院時の血漿Aβ42/40比がある対象(
図2)
【0493】
[コア]コア研究の間にコア10mg/kg隔週(コア10bw)及びコア10mg/kg毎月(コア10mo)で血漿Aβ42/40比が増加したが、コアプラセボ群ではやや低下したことから、予想どおりのAβプラークの僅かな蓄積が指摘される。プラセボ及び10mg/kg隔週及び10mg/kg毎月レカネマブの変化は用量依存的であった。
【0494】
[ギャップ]コア研究とOLEフェーズとの間に介在する無治療のギャップ期間があった。ギャップ期間中、全3群とも、血漿Aβ42/40比はやや低下した。
【0495】
[OLE]OLE延長の間、全てのコホート(コア研究からのプラセボコホートを含む)が10mg/kg隔週の投与を受けた。OLEの間、全3群で血漿Aβ42/40比が増加した。血漿Aβ42/40比の平均変化量は、OLEベースラインアミロイドレベルに依存した。後続の分析は全て、プラセボ、10mg/kg隔週及び10mg/kg毎月に焦点を置いた。
【0496】
追加的な患者の分析においても同様の傾向が見られた。レカネマブは、プラセボと比べて全ての用量で血漿Aβ42/40の用量依存的及び時間依存的増加を実証し、レカネマブ10mg/kg毎月(P≦0.0388)及びレカネマブ10mg/kg隔週(P≦0.0036)用量群では12及び18ヵ月時点で統計的有意性が見られた。18ヵ月時点における血漿Aβ42/40比のベースラインからの最小二乗(LS)平均変化量を
図31に提示する。
【0497】
OLEフェーズでは、新規に治療したコア研究プラセボ対象並びに再治療したレカネマブ10mg/kg隔週及びレカネマブ10mg/kg毎月対象の両方が、レカネマブ10mg/kg隔週での治療後に血漿Aβ42/40比の増加を示したが(
図32)、これは、理論によって拘束されるものではないが、アミロイドプラークの除去後であっても、プロトフィブリルを含めた新規に生成されたアミロイドがレカネマブによってクリアランスされたことに関連するものと思われる。Aβ42/40比の最も大きい増加は、新規に治療したコアプラセボ群で見られ、この群は、OLEベースラインからのPET SUVrの低減が最も大きかった群であり、早くも3ヵ月で統計的に有意な低減P<0.001(13週目の来院、0.09SUVRのアミロイド低減)及び27週目に0.16(p<0.001)SUVRのアミロイド低減が見られ、それがOLEにおける24ヵ月の来院まで維持された。
【0498】
コア治療群別のAβ42/40比及びPET SUVRの平均変化量-コア/OLE
解析母集団:コアベースライン、コア18ヵ月、OLE BL、及びOLE12ヵ月における血漿比及びPET SUVR(フロルベタピルによる)の両方がある対象(
図3)。
図24に提供されるとおり、追加的な患者の分析でも同様の傾向が見られた。
【0499】
PET SUVrにより判定したアミロイドの縦断的変化は、コア、ギャップ、及び縦断的OLEで全3つのコア治療群(プラセボ、10mo、10bw)についてのAβ42/40比の変化(の逆)を反映していた。
【0500】
図4は、コア及びOLEフェーズの間におけるPET SUVr及び血漿Aβ42/40比の変化量の要約表である。
図20は、18ヵ月時点における血漿Aβ42/40比及びアミロイドPET SUVr値のベースラインからの変化量を比較するコアフェーズからの追加の患者データによる更なる分析を提供する(ピアソン相関係数=-0.790、P=0.112)。
図32は、18ヵ月時点における血漿Aβ42/40比及びアミロイドPET SUVr値のベースラインからの変化量を比較するコアフェーズからの個人別の患者データの散布図である(ピアソン相関係数=-0.355、P=0.001)。
【0501】
コア治療群別のAβ42/40比及びPET SUVRの平均変化量-OLE
解析母集団:OLE BL及びOLE 12mにおける血漿比及びPET SUVR(フロルベタピルによる)の両方がある対象(
図5)
【0502】
PET SUVrにより判定したOLEにおけるアミロイドの縦断的変化は、全3つのコア治療群(プラセボ、10M、10bw)についてのAβ42/40比の変化(の逆)を反映していた。
【0503】
PET SUVr及びAβ42/40比の両方の変化とも、コア治療の割り付け及びPET SUVrで測定したときの対応するOLEベースラインアミロイドレベルに依存した。
【0504】
コア治療群別及び来院別のAβ42/40比及びPET SUVRの平均変化量の散布図-OLE
解析母集団:コアBL、コア18m、OLE BL、及びOLE 12mにおける血漿比及びPET SUVR(フロルベタピルによる)の両方がある対象
・r=-0.939(P=0.0056)
・比の平均変化量はコア中のPET SUVRの平均変化量(集団レベル)と負の相関関係があった(
図6)
・r=-0.900(P=0.0009)
・比の平均変化量はOLE中のPET SUVRの平均変化量(集団レベル)と負の相関関係があった(
図7)。コアにプラセボの投与を受け、次にOLE中に10mg/kg隔週の投与を受けた患者には、12ヵ月の治療より前に、例えば、3ヵ月又は6ヵ月以内に血漿Aβ42/40比及びアミロイドPET SUVrの改善が見られた。OLEからの追加の患者データによる更なる分析を
図21に提供する。
【0505】
Aβ42/40比とPET SUVRとの間の散布図-コア
解析母集団:コアBL及びコア18mにおける血漿比及びPET SUVR(フロルベタピルによる)の両方がある対象(
図8)
・コアベースライン及びコア18mの両方における血漿比及びPET SUVRがある全ての対象に基づく
・コアプラセボにおける30例中11例の対象
・コア10moにおける43例中17例の対象
・コア10bwにおける24例中8例の対象
・10bw/10moは、コアにおいて血漿Aβ42/40比及びPET SUVRの両方の改善を示した(右から左に上がる矢印)
・全ての10mg/kg隔週対象が血漿Aβ42/40比及びPET SUVRの両方に関して改善を示す
【0506】
Aβ42/40比とPET SUVRとの間の散布図-OLE
解析母集団:OLE BL及びOLE 12mにおける血漿比及びPET SUVR(フロルベタピルによる)の両方がある対象(
図9)
・OLEベースライン及びOLE 12mの両方における血漿比及びPET SUVRがある全ての対象に基づく
・コアプラセボにおける30例中11例の対象
・コア10moにおける43例中21例の対象
・コア10bwにおける24例中12例の対象
コアプラセボ治療の対象は、OLEにおいて血漿Aβ42/40比及びPET SUVRの両方の改善を示した(右から左に上がる矢印)
ほぼ全てのコアプラセボ治療の対象が、血漿Aβ42/40比及びPET SUVRの両方の改善を示した
【0507】
血漿Aβ42/40比は、コアにおける18ヵ月間の治療で用量依存的増加を示した。コア、ギャップ、及びOLEにわたる全ての用量について、血漿Aβ42/40比及びPET SUVrの変化を追跡した。PET SUVr及びAβ42/40比の両方についてOLEにおける脳アミロイド低減の変化率(傾き)は、コア治療の割り付け及び関連するOLEベースライン時の脳アミロイドレベルに依存した。群レベル及び個人レベルの両方で、血漿Aβ42/40比の平均変化量はPET SUVRの平均変化量と負の相関関係があった。血漿Aβ42/40比はまた、CDR-SB、ADAS-Cog14、及びADCOMSなどの臨床評価項目とも相関関係があった。例えば、コア研究では、CDR-SBは血漿Aβ42/40比との相関関係を示した(r=-0.745、P=-0.0894)。これらの知見から、レカネマブによる治療下にある個々の対象/患者における薬物効果のモニタリングに血漿Aβ42/40比アッセイを使用できる可能性が示唆される。血漿Aβ42/40比アッセイを使用したかかるモニタリングによれば、レカネマブによる治療に対する反応を評価すること、及び/又は、レカネマブの用量低減若しくは増加、投与間隔の変更、レカネマブによる治療の中断、又はレカネマブを伴う若しくは伴わない他の治療選択肢への切り替えを挙げることのできる更なる治療レジメンの指針とすることが可能となり得る。
【0508】
コア、ギャップ、及びOLE中のPET SUVrとADCOMSの個人別データ相関関係
・PET SUVrは、コア中のCDR-SBと相関関係がある(r=0.936、p=0.0060)。これらの間の相関関係は、ギャップ(r=0.435、p=0.7137)及びOLE(r=-0.195、p=0.7114)の間は有意でないが、両方とも傾向は同じ方向である。標本サイズが小さいため、結果は注意して解釈する必要がある。追加の患者データによる更なる分析を
図25に提供する。
・PET SUVrは、コア中のADCOMSと相関関係がある(r=0.790、p=0.0614)。これらの間の相関関係は、ギャップ(r=0.663、p=0.5385)及びOLE(r=-0.154、p=0.7706)の間は有意でないが、両方とも傾向は同じ方向である(
図10)。追加の患者データによる更なる分析を
図26に提供する。
・PET SUVrは、コア中のADAS-Cogと相関関係がある(r=0.590、p=0.2177)。これらの間の相関関係は、ギャップ(r=0.958、p=0.1843)及びOLE(r=0.118、p=0.8237)の間は有意でないが、両方とも傾向は同じ方向である。追加の患者データによる更なる分析を
図27に提供する。
【0509】
コア、ギャップ、及びOLE中のAβ42/40比とADCOMSの個人別データ相関関係
血漿Aβ42/40比の縦断的変化は、コア中のCDR-SBと逆の相関関係がある(r=-0.745、p=0.0894)。これらの間の相関関係は、ギャップ(r=-0.190、p=0.8782)及びOLE(r=0.174、p=0.7420)の間は有意でないが、両方とも傾向は同じ方向である。追加の患者データによる更なる分析を
図28に提供する。
・血漿Aβ42/40比の縦断的変化は、コア中のADCOMSと逆の相関関係がある(r=-0.672、p=0.1435)。これらの間の相関関係は、ギャップ(r=0.054、p=0.9654)及びOLE(r=-0.005、p=0.9919)の間は有意でないが、両方とも傾向は同じ方向である(
図11)。追加の患者データによる更なる分析を
図29に提供する。
・ADAS-Cogについて同様の結果が見られるが、統計的に有意でない。コアにおいてr=-0.482、p=0.3330、ギャップにおいてr=0.558、p=0.6232及びOLEにおいてr=0.243、p=0.6432。追加の患者データによる更なる分析を
図30に提供する。
【0510】
コア中のAβ42/40比とADCOMS、CDR-SB及びADAS-Cogの個人別及び集団データ相関関係
ベースラインに対する血漿Aβ42/40比の集団での縦断的変化を対象において判定したところ、コア中のADCOMSと逆の相関関係があったが、これらの間の相関関係は有意でない(r=-0.306、p=.617)(
図15)。血漿Aβ42/40比の個人別の縦断的変化はコア中のADCOMSと逆の相関関係があった(r=-0.208、p=0.050)(
図16)。
【0511】
ベースラインに対する血漿Aβ42/40比の集団での縦断的変化を対象において判定したところ、コア中のCDR-SBと逆の相関関係があった(
図22)。ベースラインに対する血漿Aβ42/40比の集団での縦断的変化を対象において判定したところ、これもまた、コア中のADAS-Cogと逆の相関関係があることが分かった(
図23)。
【0512】
2.認知機能障害前の対象の治療
AHEAD3-45研究は、認知機能障害前に開始した、可溶性の凝集Aβを優先的に標的化するヒト化IgG1モノクローナル抗体レカネマブ(BAN2401)による介入が、タウの蓄積を緩徐にし、及び認知機能の衰退を防ぐことができるかどうかを試験するものである。このAHEAD研究は、年齢55~80歳の認知機能が損なわれていない(CU)個体における2つの姉妹試験(A3及びA45)からなる。A4研究及び前臨床ADにおける他の副次的予防試験での経験と同様に、何千ものPETスキャンがあることに伴いスクリーニング過程に時間及び費用がかかり得る。従って、CU個体の同定効率をPET画像法を超えて加速させ、及び改善する必要がある。血液ベースのバイオマーカーにおける最近の進歩からは、血漿尺度により、ADの前臨床ステージであってもAD病変のエビデンスを妥当な精度で検出することができ、ひいてはスクリーニングPET画像法を受けるべき最適な個体を有効に選別し得ることが示唆される。
【0513】
AHEAD3-45は、スクリーニングPETスキャンでのベースライン脳アミロイドレベル:A3については中間アミロイド(約20~40センチロイド)及びA45についてはアミロイド高値(40センチロイド超)に合わせて調整された具体的な用量投与レジメンによる2つの姉妹試験(A3及びA45)からなる。両方の試験とも、単一のプロトコル、スクリーニングプロセス、及び共通の判定スケジュールの下に存在する。これらの試験には、C2N Diagnosticsの質量分析法プラットフォーム(PrecivityAD(商標))での血漿スクリーニングにより、脳アミロイドレベルの信頼できる予測因子であることが以前示されているアミロイドベータ42/40比(Aβ42/40)の定量化が含まれることになる(
図14)。血液試料は短時間の初回来院時に採取され、それを使用して、スクリーニングプロセスをPET画像法に進めるのに適格かが決定されることになる。A3又はA45研究への無作為化についての適格性は、なおもスクリーニングPET画像法結果に基づくことになる。
【0514】
米国、日本、英国、シンガポール及びオーストラリアの80を超える稼働中の施設において、1150人を超える参加者がAHEAD研究のスクリーニングプロセス中であるか、又はそれを完了しており、717人がスクリーニングアミロイドPET画像法を完了している。現在のところ、これらの参加者のうち9.9%が中間アミロイドの範囲にあり(A3に適格である可能性)、及び22.4%が高値の範囲にあり(A45に適格である可能性)、しかしこれらの割合は年齢及びAPOE ε4保有状態によってばらつきがある。最初の700例の血漿試料を処理しているところである。PET画像法に進むための適格性の初期閾値は、これらの最初の700例の参加者からの受信者動作特性(ROC)曲線分析を用いたAUC結果に基づき決定されることになる。
【0515】
659例の参加者からのデータを分析した。調整後のAβ42/40比は、極めて良好なアミロイドPET適格性の予測能力(0.87のAUC)を実証したことから、A3及びA45への完全な登録に必要なPETスキャン数を血漿スクリーニングによって実質的に削減できる可能性があることが示唆される。
【0516】
AHEAD3-45研究は、血漿ベースのバイオマーカーを用いてスクリーニングプロセスを加速させ、スクリーニングPETスキャン数を実質的に減らせる可能性のある最初の副次的予防試験となるであろう。追加的な血漿バイオマーカー及び人口統計学的情報を利用してスクリーニングアルゴリズムを最適化することになる。
【0517】
3.18ヵ月にわたる隔週10mg/kgでの治療と、続く24ヵ月にわたる治療中断又は別の投与頻度
目的:用量設定及び投与頻度がアミロイドPET SUVr、及びAβ42/40に及ぼす効果を探索すること。
【0518】
方法:コア及びOLEを含めた先行する研究からのPKデータで先に開発したPKモデルから、非線形混合効果モデル(NONMEM)POSTHOC機能を用いて対象毎のPKパラメータのベイズ予測を行った。対象毎のPKパラメータのベイズ予測には、既存のデータセットによる最終的なPKモデルを使用した。これらの予測されたパラメータを使用して個人別の予測PKプロファイルを生成し、次にそれを、続くPK/PD分析に使用するPK/PDデータセットに組み込んだ。
【0519】
血漿Aβ42/40比のPK/PDモデル(研究201コア及びOLE)
時間の経過に伴う血漿Aβ42/40比の絶対測定値(R(t))は、判定時点におけるモデル予測によるレカネマブ血清濃度に関係した。低いAβ42/40比は、脳内アミロイドの上昇を指し示すものであり、従って脳アミロイドの低減を目指す治療が血漿Aβ42/40比を増加させるものと予想される。レカネマブ濃度とAβ42/40比経時変化との間の関係は、
図17に指示されるとおりの、レカネマブ濃度が血漿Aβ42/40比(K
in)を増加させる間接反応モデルによって記述された。
【0520】
Aβ42/40比PK/PDモデルの式を以下に提示する:
【数2】
【0521】
推定されたパラメータには、ベースライン血漿Aβ42/40比、間接反応パラメータ(Kin及びKout)及び薬物効果の傾き(SLOPE)が含まれた。Emax関数もまた探索した。ベースライン及びSLOPEについて個人間変動を推定した。残差変動は、比例モデルを用いてモデル化した。
【0522】
研究201コア及びOLEのレカネマブ治療アームと研究201コアのプラセボアームからのプールされたデータにこのモデルを適用した。モデルパラメータの推定は、相互作用法による一次条件付き推定(FOCEI)を用いて実施した。
【0523】
ベースライン、Kout及びSLOPEに対する年齢、体重、APOE4保有状態、性別、AD診断(MCI又は軽度AD)、抗薬物抗体(ADA)及び対象レベルの中和ADA(NAb)の効果、並びにSLOPEに対するベースラインAβ42/40比値の効果について共変量分析を実施した。ADA試料が陽性であった場合、NAbアッセイを実施した。対象レベルのNAb状態のカテゴリー共変量分析では、ADA(+)/NAb(+)をNAb陽性として割り当て、ADA(+)/NAb(-)又はNAbカテゴリーが不明の試料(NAbアッセイを実施しなかった)をNAb陰性として割り当てた。1例の対象(ID=195)はADA(-)でありながらNAb(+)であるという結果を有し、この対象はNAb陽性として割り当てた。
【0524】
血漿Aβ42/40比とアミロイドPET SUVr又は臨床的有効性評価項目との間の関係
第5.4.1.1節で開発した血漿Aβ42/40比のPK/PDモデルから、NONMEM POSTHOC機能を用いて対象毎のPDパラメータのベイズ予測を行った。これらの予測パラメータを使用して、血漿Aβ42/40比プロファイルについての個人別に予測したベースラインからの変化量(CFB)を生成し、次にそれを、続く分析に使用する血漿Aβ42/40比のCFBとアミロイドPET SUVrのCFB又は臨床的有効性評価項目としてのCFBとの間の関係についてのデータセットに組み込んだ。
【0525】
血漿Aβ42/40比とアミロイドPET SUVrとの間の関係のモデル(研究201コア及びOLE)
前出の分析では、血清レカネマブ濃度とアミロイドPET SUVr減少の経時変化との間の関係は、間接反応モデルによって最良に記述された。レカネマブ濃度の代わりに、血漿Aβ42/40比のCFBを予測因子として使用して、Aβ42/40比とアミロイドPET SUVr低減との間の関係を記述した。
【0526】
PET SUVrのCFB(CFB SUVr)は、判定時点におけるモデル予測による血漿Aβ42/40比のCFB(CFB ABETA)と関係があった。Aβ42/40比のCFBとPET SUVrのCFBとの間の関係は、以下の式に示されるとおりの直接反応モデルによって記述された:
CFB SUVr=INT+(Emax・CFB ABETA)/(E50+CFB ABETA)
【0527】
推定されたパラメータには、切片(INT)、最大薬物効果(Emax)及び最大薬物効果の半分を生じさせる血漿Aβ42/40比のCFB(E50)が含まれた。線形関数もまたテストした。切片及びEmaxについては、加法モデルとしての個人間変動を推定した。残差変動は、加法モデルを用いてモデル化した。
【0528】
研究201コア及びOLEからのデータにこのモデルを適用した。モデルパラメータの推定は、FOCEIを用いて実施した。
【0529】
血漿Aβ42/40比と臨床的有効性評価項目との間の関係のモデル(研究201コア)
前出の分析では、血清レカネマブ濃度と臨床的有効性評価項目(CDR-SB、ADCOMS、及びADAS-cog)経時変化との間の関係は、疾患進行に対する曝露効果を線形関数とするPK/PDモデルによって最良に記述された。CDR-SB、ADCOMS、及びADAS-Cogについての疾患進行速度の緩徐化は、レカネマブ平均定常状態濃度(Css,av)と正の相関関係があった。各臨床的有効性評価項目(EFF)は、絶対スコアとして表した。疾患進行に対するレカネマブ曝露効果(DESLOPE)及びベースライン臨床スコア(INT)及び疾患進行速度(SLP)を以下のとおり導入して、曝露-反応モデルを開発した:
EFF=INT+SLP・(1-DESLOPE・Css,av)・時間
【0530】
血漿Aβ42/40比のCFBと臨床的有効性評価項目(CDR-SB、ADCOMS及びADAS-Cog)との間の関係を探索するため、
図18に示されるとおり、有効性評価項目の予測因子としてモデル予測による血漿Aβ42/40比のCFBもまた評価した(血漿Aβ42/40比-有効性モデルと称される)。
【0531】
時間の経過に伴う臨床的有効性評価項目スコア(EFF)絶対値は、判定時点におけるモデル予測による血漿Aβ42/40比のCFBと関係があった。Aβ42/40比のCFBと臨床的有効性評価項目経時変化との間の関係は、血漿Aβ42/40比のベースラインからの変化量が大きいほど、より緩徐な疾患進行(SLP)と関連付けるモデルによって記述された。血漿Aβ42/40比-有効性の式を以下に提示する:
EFF=INT+SLP・(1-KABETA・CFB ABETA)・時間
【0532】
推定されたパラメータには、ベースライン臨床スコア(INT)、血漿Aβ42/40比のベースラインからの変化量が疾患進行に及ぼす効果(KABETA)及び疾患進行速度(SLP)が含まれた。ベースライン及びSLPについては、個人間変動を推定した。残差変動は、比例及び加法モデルを用いてモデル化した。
【0533】
研究201コア(プラセボ及びレカネマブ治療アーム)からのデータにこのモデルを適用した。モデルパラメータの推定は、FOCEIを用いて実施した。
【0534】
血漿Aβ42/40比のPK/PD分析には、血清PK情報のあるレカネマブの投与を受けた対象、又は研究201コアにおいてプラセボの投与を受けた対象であって、ベースライン及び少なくとも1つの投与後Aβ42/40比判定を有した対象全てを組み入れた。OLEにおいてレカネマブ10mg/kg隔週で治療した対象であって、ベースライン及び投与後Aβ42/40比判定を有した対象もまた組み入れた。
【0535】
血漿Aβ42/40比-アミロイドPET SUVrのモデル化には、研究201コア及びOLEにおいてレカネマブ又はプラセボの投与を受けた対象であって、ベースライン及び少なくとも1つの投与後Aβ42/40比判定並びにベースライン及び少なくとも1つの投与後PET SUVr値を有した対象を組み入れた。研究201コアにおいてレカネマブの投与を受けた対象であって、SUVrのコアベースライン値を有しなかった対象は、CFBを計算できなかったため除外した。
【0536】
血漿Aβ42/40比-有効性のモデル化には、研究201コアにおいてレカネマブ又はプラセボの投与を受けた対象であって、ベースライン及び少なくとも1つの投与後Aβ42/40比判定、ベースライン及び少なくとも1つの投与後CDR-SB、ADCOMS及びADAS-cog値を有した対象を組み入れた。
【0537】
以下の用量投与レジメンについて、最終的なPK/PDモデルからの推定に基づき集団平均血漿Aβ42/40比-時間プロファイルをシミュレートした。
【0538】
42ヵ月にわたる隔週の10mg/kg。
【0539】
18ヵ月にわたる隔週の10mg/kgと、続く24ヵ月の治療中断。
【0540】
18ヵ月にわたる隔週の10mg/kgと、続く24ヵ月にわたる毎月の10mg/kg。
【0541】
18ヵ月にわたる隔週の10mg/kgと、続く24ヵ月にわたる3ヵ月毎の10mg/kg。
【0542】
アミロイドPETについてのPK/PDモデル
研究201コアからのデータを使用した前出の分析では、血清レカネマブ濃度とアミロイドSUVr減少の経時変化との間の関係は、
図19に示されるとおりの、中心コンパートメントの血清レカネマブ濃度が分解速度K
outでのアミロイドプラークの低減を誘導するという間接反応モデルによって最良に記述された。
【0543】
SUVr PK/PDモデルの式を以下に提示する:
【数3】
【0544】
推定されたパラメータには、ベースラインSUVr(BSUVr0)、間接反応パラメータ(Kinはアミロイドプラークの産生速度であり、及びKoutはプラーク分解速度定数である)、最大薬物効果(Emax)及び最大薬物効果の半分を生じさせるレカネマブ濃度(EC50)が含まれた。Emaxモデルでは、ベースライン及びEmaxについて個人間変動(IIV)を推定したが、Kin及びEC50については、いずれもIIVを推定することができなかった。残差変動は、比例モデルを用いてモデル化した。研究201 OLEの対象からのデータを追加した後、このPK-SUVrモデルを再評価した。モデルパラメータの推定は、FOCEIを用いて実施した。
【0545】
年齢、体重、APOE4保有状態、性別、AD診断(MCI又は軽度AD)、ADA及び対象レベルのNAb状態並びにベースラインPET値(センチロイドについてのみ)の効果について共変量分析を実施した。ADA試料が陽性であった場合には、NAbアッセイを実施した。対象レベルでのNAb状態のカテゴリー共変量分析では、ADA(+)/NAb(+)をNAb陽性として割り当て、ADA(+)/NAb(-)又はNAbカテゴリーが不明の試料(NAbアッセイが実施されなかった)をNAb陰性として割り当てた。1例の対象(ID=195)は、ADA(-)でありながらNAb(+)であるという結果を有し、この対象はNAb陽性として割り当てた。
【0546】
共変量がSUVrの低減に及ぼす影響をフォレストプロット分析を用いて評価した。各個人別の共変量の極端な値(5番目及び95番目のパーセンタイル値)を含む18ヵ月時点におけるベースラインからのSUVr変化量をシミュレートし、集団の典型的な共変量値に基づいて導き出した参照SUVr変化量と比較した。最終的な典型値推定及び最終的なPK/PDモデルからの分散共分散行列を使用して、1000回のシミュレーションに基づき個人別共変量効果の中央値及び95%CIを生成した。
【0547】
センチロイド尺度を用いて同じ分析を行った。センチロイド尺度を用いたこのPK/PD分析には、研究201 OLEにおけるフルテメタモルによるアミロイドPET判定からのデータを組み入れた。加えて、センチロイド尺度での観察されるアミロイドPETデータが負の値になることを回避するため、モデル化は、元の値に100を加えることによって変換した値(即ち、変換後の値=元の値+100)を用いて実施した。残差変動は、加法モデルを用いてモデル化した。
【0548】
シミュレーション
18ヵ月にわたる10mg/kg隔週及び10mg/kg毎月について集団平均SUVr(又はセンチロイド)-時間プロファイルを比較することにより、レカネマブ曝露-アミロイド除去関係における用量依存性を示した。加えて、可能な用量調整の影響を探索するため、以下の用量設定シナリオについて集団平均SUVr(又はセンチロイド)-時間プロファイルをシミュレートした:
18ヵ月にわたる42ヵ月にわたる隔週の10mg/kg
18ヵ月にわたる隔週の10mg/kgと、続く24ヵ月の治療中断
18ヵ月にわたる隔週の10mg/kgと、続く24ヵ月にわたる毎月の10mg/kg
18ヵ月にわたる隔週の10mg/kgと、続く24ヵ月にわたる3ヵ月毎の10mg/kg
18ヵ月にわたる隔週の10mg/kgと、続く24ヵ月にわたる6ヵ月毎の10mg/kg
【0549】
これらのシミュレーションでは、PDパラメータ推定値の不確かさが考慮された。不確かさは、最終的な典型値推定及び最終的なPK/PDモデルからの分散共分散行列を用いて、1000組のPDパラメータをサンプリングすることにより判定した。
【0550】
加えて、PDパラメータの個人間変動を考慮した1000例のモデル予測による個人別プロファイルに基づき、10mg/kg隔週、10mg/kg毎月、10mg/kg 3ヵ月毎及び10mg/kg 6ヵ月毎のレカネマブによる継続治療後3、6、9、12、15及び18ヵ月時点でアミロイド陰性のSUVr(<1.17)及びPETセンチロイド(<30.0)を実現した対象の%をシミュレートした。アミロイド陰性の定量的閾値は、30センチロイドのセンチロイドカットオフに対応する1.17未満のPET SUVrとして定義した(Fleisher,et al.,2011)。
【0551】
結果:
図34は、モデル予測による、10mg/kg隔週又は10mg/kg毎月のレカネマブで18ヵ月間治療した後の用量依存的なSUVr及びp-タウ181の低下並びにAβ42/40比の増加を要約する。
【0552】
以下の
図12に描かれるとおり、10mg/kg隔週の治療を18ヵ月を超えて継続すると、血漿Aβ42/40比は更に増加し続けると予測され、一方で18ヵ月後に一旦治療を中断すると、血漿Aβ42/40比はゆっくり低下し始めると予測される。10mg/kg毎月の維持用量が、血漿Aβ42/40比を18ヵ月にわたる10mg/kg隔週での治療後に実現したレベルに維持すると予測される。
【0553】
18ヵ月にわたる維持用量を毎月10mg/kgとする10mg/kg隔週の別の用量投与レジメンについて、血漿Aβ42/40比は2年間の治療期間にわたって比較的一定のレベルに維持されることが予測される。しかしながら、18ヵ月にわたる隔週の10mg/kgと、続く2年にわたる3ヵ月毎の10mg/kgの維持用量の用量投与レジメンについては、10mg/kgで18ヵ月間の治療後に治療を中断した後と比較してやや遅い速度で血漿Aβ42/40比が徐々に低下し始める。
【0554】
図13に描かれるとおり、10mg/kg隔週での治療を18ヵ月を超えて継続すると、アミロイドPET SUVrは更に低下し続けると予測され、一方で18ヵ月後に一旦治療を中断すると、アミロイドPET SUVrはゆっくり増加し始めると予測され、これはアミロイドプラークの緩徐な再蓄積を指示するものである。18ヵ月にわたる隔週の10mg/kg後に投与頻度を下げる(毎月、3ヵ月毎及び6ヵ月毎)別の用量投与レジメンについて、SUVrは、シミュレートした全24ヵ月間の治療にわたり、フロルベタピルで測定したとき1.17のSUVrアミロイド陰性を下回って維持されると予測される。18ヵ月にわたる隔週の10mg/kgと、続く10mg/kg隔週又は10mg/kg毎月のいずれかの用量投与レジメンについては、SUVrは更に衰退し続けるが、しかしながら、10mg/kg毎月後の衰退速度は緩徐である。
【0555】
図35のデータのモデル化は、10mg/kg隔週での治療が18ヵ月を超えて継続されると、アミロイドPET SUVrがSUVrの下限=1.0まで低下し続けると予測される一方、18ヵ月後に治療が一旦中断されると、アミロイドPET SUVrが緩徐に増加し始め、15年かかってアミロイドがレカネマブによる治療開始前のベースラインレベルにまで再び蓄積すると予測されることを示している。血漿Aβ42/40比及びp-タウ181については、10mg/kg隔週での継続的なレカネマブ投与によって両方のバイオマーカーがプラトーに達するまでに、又は治療中断後にベースラインレベルに戻るまでに約6~8年かかると予測される。
【0556】
結論:
PK/PDデータモデル化におけるアミロイドPETと比べた血漿Aβ42/40比の変化率は、アミロイドPETと比較して血漿Aβ42/40比がアミロイド変化及びプラーク蓄積のより感度の高い指標であり得ることを示唆している。
【0557】
レカネマブ治療の臨床的有益性は、脳アミロイド低減(PET SUVr)及びアミロイド病変の血漿バイオマーカー(Aβ42/40比など)の変化と相関関係がある。
【0558】
血漿Aβ42/40比のPK/PD分析
研究201コア及びOLEにおける284例の対象からのデータに関するPK/PD分析によれば、血漿Aβ42/40比の縦断的変化が、レカネマブ濃度によって血漿Aβ42/40比が増加するという間接反応モデルによって判定時点におけるモデル予測によるレカネマブ血清濃度と関係付けられることが指摘された。推定されたモデルパラメータには、ベースライン血漿Aβ42/40比、血漿Aβ42/40比の分解速度定数(Kout)及び薬物効果の傾きが含まれた。曝露効果をEmax関数として記述するモデルは条件数が大きかったため(>1000)、従って曝露効果に線形関数を使用したモデルを選択した。集団で見たKoutの推定値に基づけば、血漿Aβ42/40比分解の半減期は約1.9年と推定された。これは、4~5半減期後、例えば、8~10年後にAβ42/40比が治療前のレベルにまで戻るであろうことを示唆している。
【0559】
年齢、体重、APOE4保有状態、性別、AD診断(MCI又は軽度AD)、ADA及び対象レベルの中和ADA並びにベースラインAβ42/40比値の効果について共変量分析を実施した。しかしながら、これらの共変量のうち、ベースライン、Kout又は傾きのいずれかに対して有意な効果を持つものは一つとしてないことが分かった。
【0560】
モデルに基づくシミュレーションを用いて、用量が血漿Aβ42/40比の増加に及ぼす効果を探索した。シミュレーションによれば、18ヵ月にわたる10mg/kg隔週での治療によってレカネマブ曝露量が増し、18ヵ月にわたる毎月10mg/kgの後と比べて時間とともにAβ42/40比のより大きく且つより速い増加が生じたことが示された。
【0561】
10mg/kg隔週での治療を18ヵ月を超えて継続すると、血漿Aβ42/40比は更に増加すると予測された一方、18ヵ月後に治療を一旦中断すると、血漿Aβ42/40比は緩徐に低下し始める。別の用量投与レジメンの中でも特に、18ヵ月の10mg/kg隔週治療と、続くより低頻度での毎月の投与では、血漿Aβ42/40比は、シミュレートした2年の治療期間にわたって比較的一定のままであると予測された。しかしながら、18ヵ月にわたる隔週の10mg/kgと、続く2年にわたる3ヵ月毎の10mg/kgの用量投与レジメンについては、10mg/kgでの18ヵ月間の治療後にレカネマブ治療を中断するのと比較してやや遅い速度で血漿Aβ42/40比が徐々に低下し始めると予測された。
【0562】
Aβ42/40比のPK/PD分析から得られる結論は、以下のとおりである:
研究201コアとOLEにおける血清レカネマブ濃度及び血漿Aβ42/40比経時変化との間の関係は、レカネマブによって血漿Aβ42/40比が増加するという間接反応モデルによって特徴付けられた。
【0563】
調べた共変量のいずれも(ベースライン、Kout及び傾きに対する年齢、体重、APOE4保有状態、性別、AD診断並びに傾きに対するADA、対象レベルの中和ADA及びベースライン血漿Aβ42/40比値)、有意でないと同定された。しかしながら、共変量分析から得られる結論は、データセットの標本サイズが小さいため、注意して観察しなければならない。
【0564】
血漿Aβ42/40比分解の半減期は約1.9年と推定されたが、これはPET SUVrの半減期(約4年)よりも短いことから、血漿Aβ42/40比の変化が、Aβフィブリルからアミロイドプラークへの緩徐な蓄積と比較した可溶性Aβ凝集体の初期の動的凝集過程を反映するものであることが指摘される。
【0565】
シミュレーションによれば、18ヵ月の治療後、10mg/kg隔週の用量設定により、10mg/kg毎月の用量設定と比較して、時間とともに血漿Aβ42/40比のより大きく且つより速い増加が生じることが示された。
【0566】
シミュレーションによれば、10mg/kg毎月の維持用量が、18ヵ月にわたる10mg/kg隔週での治療後に実現するレベルに血漿Aβ42/40比を維持すると予測されることが示唆される。
【0567】
血漿Aβ42/40比とアミロイドPET SUVrとの間の関係の探索的分析
血漿Aβ42/40比及びアミロイドPET SUVrのモデル化には、研究201コア及びOLEにおいてレカネマブ又はプラセボの投与を受けた127例の対象であって、ベースライン及び少なくとも1つの投与後Aβ42/40比判定並びにベースライン及び少なくとも1つの投与後PET SUVr値を有した対象を組み入れた。血漿Aβ42/40比は、SUVr低減の有意な予測因子であった。血漿Aβ42/40比のCFBとSUVrのCFBとの間の関係は、血漿Aβ42/40比のCFBによりSUVrのCFBが増加するという直接のEmaxモデルによって記述された。
【0568】
年齢、体重、APOE4保有状態、性別、AD診断(MCI又は軽度AD)、ADA及び対象レベルの中和ADA並びにベースラインAβ42/40比値の効果について共変量分析を実施した。しかしながら、これらの共変量のいずれも、血漿Aβ42/40比とアミロイドPET SUVrとの間の関係に有意な効果を及ぼさないことが分かった。
【0569】
血漿Aβ42/40比とアミロイドPETとの間の関係の探索的分析から得られる結論:
血漿Aβ42/40比は、SUVr低減の有意な予測因子であった。血漿Aβ42/40比のCFBとSUVrのCFBとの間の関係は、血漿Aβ42/40比のCFBによりSUVrのCFBが増加するという直接のEmaxモデルによって記述された。
【0570】
調べた共変量のいずれも(年齢、体重、APOE4保有状態、性別、AD診断、ADA、対象レベルの中和ADA及びベースライン血漿Aβ42/40比値)、血漿Aβ42/40比とアミロイドPET SUVrとの間の関係に有意でないと同定された。しかしながら、共変量分析から得られる結論は、データセットの標本サイズが小さいため、注意して観察しなければならない。
【0571】
血漿Aβ42/40比と臨床的有効性評価項目との間の関係の探索的分析
血漿Aβ42/40比の増加と鍵となる臨床評価項目(CDR-SB、ADCOMS及びADAS-Cog)との間の関係について、研究201コアにおけるベースライン及び少なくとも1つの投与後Aβ42/40比判定を有した対象のサブセット(N=284例)からのデータに基づき探索した。異なる用量投与レジメンのレカネマブ又はプラセボによる18ヵ月の治療での血漿Aβ42/40比のベースラインからの変化量(CFB)と臨床評価項目のCFBについての関係を非線形混合効果モデル化に供した。
【0572】
CDR-SB及びADCOMSについて、18ヵ月の治療期間にわたるベースラインからの血漿Aβ42/40比の増加は、認知機能衰退の緩徐化の有意な予測因子であった。ベースラインからの血漿Aβ42/40比の増加は、ADAS-Cog衰退の緩徐化の有意な予測因子ではなかった。軽度AD認知症の診断は、CDR-SB及びADCOMSベースラインに有意な効果を及ぼした。
【0573】
血漿Aβ42/40比-CDR-SB/ADCOMSモデルにより、血漿Aβ42/40比の増加が大きいほど、CDR-SB及びADCOMSで測定したときの疾患進行の緩徐化に関連付けられることが示された。モデル予測によるCDR-SB及びADCOMSの疾患進行速度は、血漿Aβ42/40比がベースラインから0.002単位増加する毎に、それぞれ6.76%及び5.97%低減された。モデル予測による18ヵ月にわたる10mg/kg隔週での血漿Aβ42/40比のベースラインからの増加は、0.0065であった;このモデルは、CDR-SB及びADCOMSの進行速度の22.0%及び19.4%の対応する低減を予測する。
【0574】
血漿Aβ42/40比と臨床的有効性評価項目との間の関係の探索的分析から得られる結論:
CDR-SB及びADCOMSについて、18ヵ月の治療期間にわたるベースラインからの血漿Aβ42/40比の増加は、認知機能衰退の緩徐化の有意な予測因子であった。推定された傾きからは、血漿Aβ42/40比の変化傾向がADAS-Cogの疾患進行の緩徐化に依存することが示唆されたが、恐らくはこの284例の対象からのデータセットにおけるADAS-Cogのばらつきが大きいことに起因して、ベースラインからの血漿Aβ42/40比の増加はADAS-Cog衰退の緩徐化の有意な予測因子ではなかった。
【0575】
CDR-SB及びADCOMSの両方について、臨床的に有意な共変量効果はなかった。
【0576】
血漿Aβ42/40比-CDR-SB/ADCOMSモデルによれば、血漿Aβ42/40比の増加が大きいほど、CDR-SB及びADCOMSの増加の緩徐化として測定される、認知機能の衰退速度の緩徐化に関連付けられることが示された。
【0577】
モデル予測によるCDR-SB及びADCOMSの疾患進行速度は、血漿Aβ42/40比がベースラインから0.002単位増加する毎に、それぞれ6.76%及び5.97%低減された。
【0578】
レカネマブ10mg/kg隔週については、モデル予測による18ヵ月にわたる血漿Aβ42/40比のベースラインからの増加は0.0065であった;対応するモデル予測によるCDR-SB及びADCOMSの疾患進行速度の低減は、それぞれ22.0%及び19.4%であった。
【0579】
アミロイドPET SUVrについてのPK/PD分析から得られる結論:
研究201コア及びOLEにおける血清レカネマブ濃度とSUVr減少の経時変化との間の関係は、レカネマブによりアミロイドプラークの低減が誘導されるという間接反応モデルによって特徴付けられた。
【0580】
SUVrについての最終的なPK/PDモデルにおいて同定された共変量によれば、APOE4保有者はベースラインSUVrがより高く、及び年齢の高い対象ほど、最大プラーク除去量(Emax)が多くなることが指摘された。
【0581】
最終的なPK/PDモデルによれば、ベースラインSUVrが高い対象ほど、全体的なSUVrの低減が大きくなることが指摘される。
【0582】
対象レベルのADA状態及び中和ADA状態はSUVrに薬物効果の影響を与えなかった。
【0583】
アミロイド再蓄積の半減期は約4年と推定され(0.693/Kout)、アミロイドが再び蓄積してそのレカネマブによる治療開始前の値に戻るのに約16~20年かかる(4~5半減期に基づく)ことが示唆される。
【0584】
シミュレーションによれば、18ヵ月にわたる10mg/kg隔週の用量設定での治療により、10mg/kg毎月の用量設定と比較して、時間の経過に伴うSUVrの低下がより大きく、より速くなることが示された。
【0585】
10mg/kg隔週後の3、6、9、12、15及び18ヵ月時点でSUVrに関してアミロイド陰性を実現する対象の割合は、10mg/kg毎月後の対応する値と比べて高い。
【0586】
シミュレーションによれば、18ヵ月にわたる隔週の10mg/kgと、続く3ヵ月毎の10mg/kgの維持用量での用量投与レジメンが、SUVrを一定に、アミロイドPET SUVr陰性値(例えばフロルベタピルについて、1.17のPET SUVr)を下回って維持すると予測されることが示唆される。
【0587】
本実施例で使用される略語
Aβ アミロイドベータ
Aβ(1-42) アミノ酸1~42からのアミロイドベータ単量体
AD アルツハイマー病
ADAS-Cog アルツハイマー病評価尺度 - 認知機能下位尺度
ADCOMS アルツハイマー病総合スコア
ADNI アルツハイマー病ニューロイメージングイニシアチブ
APOE アポリポタンパク質E
APOE4 アポリポタンパク質ε4バリアント
ARIA アミロイド関連画像異常
ARIA-E アミロイド関連画像異常浮腫/浸出
ARIA-H アミロイド関連画像異常出血
BAN2401 ヒト化IgG1モノクローナル抗体
CDR 臨床的認知症尺度
CDR-SB 臨床的認知症尺度-項目合計
COVID-19 新型コロナウイルス感染症
CSF 脳脊髄液
EAD 初期アルツハイマー病
FAQ 機能評価質問票
IV 静脈内
LC-MS/MS 液体クロマトグラフィー-タンデム質量分析法
MCI 軽度認知障害
MMSE ミニメンタルステート検査
MRI 磁気共鳴画像法
NIA-AA 米国国立老化研究所-アルツハイマー病協会
OLE 非盲検延長
PET 陽電子放射断層撮影法
p-タウ ホスホタウ
RAR レスポンスアダプティブランダム化
SUVR 標準取込値比
t1/2 終末相消失半減期
t-タウ 総タウ
vMRI ボリューメトリック磁気共鳴画像法
【配列表】
【国際調査報告】