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特表2024-525572改良された電池セル及びその構成要素
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  • 特表-改良された電池セル及びその構成要素 図1
  • 特表-改良された電池セル及びその構成要素 図2
  • 特表-改良された電池セル及びその構成要素 図3A
  • 特表-改良された電池セル及びその構成要素 図3B
  • 特表-改良された電池セル及びその構成要素 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-12
(54)【発明の名称】改良された電池セル及びその構成要素
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/489 20210101AFI20240705BHJP
   H01M 50/417 20210101ALI20240705BHJP
   H01M 50/449 20210101ALI20240705BHJP
   H01M 50/457 20210101ALI20240705BHJP
   H01M 10/052 20100101ALI20240705BHJP
   H01M 10/058 20100101ALI20240705BHJP
【FI】
H01M50/489
H01M50/417
H01M50/449
H01M50/457
H01M10/052
H01M10/058
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024500278
(86)(22)【出願日】2022-07-06
(85)【翻訳文提出日】2024-03-04
(86)【国際出願番号】 US2022036178
(87)【国際公開番号】W WO2023283216
(87)【国際公開日】2023-01-12
(31)【優先権主張番号】63/223,231
(32)【優先日】2021-07-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/218,629
(32)【優先日】2021-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】598064680
【氏名又は名称】セルガード エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100115679
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 勇毅
(74)【代理人】
【識別番号】100114177
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 龍
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】チャン,チェンミン
(72)【発明者】
【氏名】イン,ウェンビン
【テーマコード(参考)】
5H021
5H029
【Fターム(参考)】
5H021CC04
5H021EE04
5H021HH00
5H029AJ12
5H029DJ04
5H029EJ12
5H029HJ00
5H029HJ20
(57)【要約】
1つの態様では、電池セパレータは、1つ又は複数の層のポリオレフィンを有する微多孔質膜を備え、この微多孔質膜は、1,000lbsの圧縮圧で10Ω/mm未満の電気抵抗(ER)を有する。いくつかの実施形態では、この微多孔質膜は、5,000lbsの圧縮圧で25Ω/mm未満の電気抵抗、7,500lbsの圧縮圧で37Ω/mm未満の電気抵抗、及び/又は10,000lbsの圧縮圧で47Ω/mm未満の電気抵抗を有する。いくつかの実施形態では、この微多孔質膜は、8N/mmの応力下約5%~約10%の圧縮を示し、この微多孔質膜は、50%~100%の弾性回復を示す。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ又は複数の層のポリオレフィンを含む微多孔質膜を備え、
前記微多孔質膜は、1,000lbsの圧縮圧で10Ω/mm未満の電気抵抗(ER)を有する、
電池セパレータ。
【請求項2】
前記微多孔質膜は、5,000lbsの圧縮圧で25Ω/mm未満の電気抵抗を有する、
請求項1に記載の電池セパレータ。
【請求項3】
前記微多孔質膜は、7,500lbsの圧縮圧で37Ω/mm未満の電気抵抗を有する、
請求項1に記載の電池セパレータ。
【請求項4】
前記微多孔質膜は、10,000lbsの圧縮圧で47Ω/mm未満の電気抵抗を有する、
請求項1に記載の電池セパレータ。
【請求項5】
前記微多孔質膜は、1,000lbsの圧縮圧で7Ω/mm未満、より具体的には5Ω/mm未満の電気抵抗(ER)を有する、
請求項1に記載の電池セパレータ。
【請求項6】
前記微多孔質膜は、5,000lbsの圧縮圧で20Ω/mm未満、より具体的には15Ω/mm未満の電気抵抗(ER)を有する、
請求項1に記載の電池セパレータ。
【請求項7】
前記微多孔質膜は、7,500lbsの圧縮圧で35Ω/mm未満、より具体的には30Ω/mm未満、より具体的には25Ω/mm未満の電気抵抗(ER)を有する、
請求項1に記載の電池セパレータ。
【請求項8】
前記微多孔質膜は、10,000lbsの圧縮圧で45Ω/mm未満、より具体的には40Ω/mm未満、より具体的には35Ω/mm未満、より具体的には30Ω/mm未満の電気抵抗(ER)を有する、
請求項1に記載の電池セパレータ。
【請求項9】
前記微多孔質膜は、乾式延伸プロセス微多孔質膜である、請求項1~8のいずれかに記載の電池セパレータ。
【請求項10】
前記微多孔質膜は、被覆されている、請求項9に記載の電池セパレータ。
【請求項11】
前記微多孔質膜は、1つ又は複数のポリオレフィンを含む、請求項1に記載の電池セパレータ。
【請求項12】
前記ポリオレフィンは、ポリエチレン、ポリプロピレン、又は両者の組合せである、
請求項1に記載の電池セパレータ。
【請求項13】
前記微多孔質膜は、単層フィルム、二層フィルム、三層フィルム、又は多層フィルムである、請求項1~12のいずれか一項に記載の電池セパレータ。
【請求項14】
1つ又は複数の層のポリオレフィンを含む微多孔質膜を備え、
前記微多孔質膜は、8N/mmの応力下約5%~約10%の圧縮を示し、前記微多孔質膜は、応力を除去すると、50%~100%の弾性回復を示す、
電池セパレータ。
【請求項15】
前記微多孔質膜は、応力を除去すると、90%~100%の弾性回復を示す、
請求項14に記載の電池セパレータ。
【請求項16】
前記微多孔質膜は、乾式延伸プロセス微多孔質膜である、請求項14に記載の電池セパレータ。
【請求項17】
前記微多孔質膜は、被覆されている、請求項16に記載の電池セパレータ。
【請求項18】
前記微多孔質膜は、1つ又は複数のポリオレフィンを含む、請求項14に記載の電池セパレータ。
【請求項19】
前記ポリオレフィンは、ポリエチレン、ポリプロピレン、又は両者の組合せである、
請求項14に記載の電池セパレータ。
【請求項20】
前記微多孔質膜は、単層フィルム、二層フィルム、三層フィルム、又は多層フィルムである、請求項14に記載の電池セパレータ。
【請求項21】
アノード、
カソード、及び
前記アノード及び前記カソードの間に配置されたセパレータを備え、前記カソードは、丸みのある端部を備える、
電池セル。
【請求項22】
前記アノード及び前記カソードの少なくとも1つは、動作中少なくとも1%、少なくとも3%、少なくとも5%、少なくとも7%、又は少なくとも10%膨張する、
請求項21に記載の電池セル。
【請求項23】
前記アノードは、充電中少なくとも1%、少なくとも3%、少なくとも5%、又は少なくとも7%の容積の増加を示す、
請求項21に記載の電池セル。
【請求項24】
前記電池セルは、円筒型である、
請求項21に記載の電池セル。
【請求項25】
前記セパレータは、請求項1~20のいずれかに記載の電池セパレータを備える、
請求項21に記載の電池セル。
【請求項26】
前記カソードは、ポリマー被覆カソード端を備える、
請求項21に記載の電池セル。
【請求項27】
従来の電池セル及び電池セル構成要素よりも高い性能又は安全特性を示し、改善された性能及び/又は安全性を更に与える、本明細書に記載した、示した又は主張する新しい又は改善された膜、乾式プロセスポリオレフィン、乾式プロセスポリプロピレン及び/又はポリエチレン膜、セパレータ、カソード、電池セル、及び電池セル構成要素。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願データ
本願は、2021年7月6日に出願された米国仮特許出願第63/218,629号、及び2021年7月19日に出願された米国仮特許出願第63/223,231号に対する特許協力条約第8条に従った優先権を主張し、これらの各々は、その全体を参照により本明細書に援用される。
【0002】
本明細書に記載の技術は概して、フィルム、薄膜、膜、セパレータ、電池及び/又はセル、電池構成要素、及びこれらの製造、試験及び/又は使用方法に関する。
【背景技術】
【0003】
電池セパレータは、他の役割の中でもとりわけ、電池のカソード及びアノードの間に位置してこれらの電極が物理的に接触し、例えば、短絡を生じるのを防止する物理的バリアを形成する微多孔質膜である。電池セルの動作中に、電池セルの電極は膨張及び収縮し、セパレータに圧力を加えることができ、電池セルの性能に影響を及ぼすことができる。
【0004】
したがって、従来の電池セル及び電池セル構成要素を上回る高い性能又は安全特性を示し、改善された性能及び/又は安全性を更に与える新しい又は改善された膜、セパレータ、カソード、電池セル、及び電池セル構成要素の必要性がある。
【発明の概要】
【0005】
本要約は、概念の抜粋を詳細な説明で以下に更に記載する単純化された形式で導入するために提供される。本要約は、主張される主題の重要な特徴又は本質的な特徴を特定することを意図せず、主張される主題の範囲を決定する補助として単独で使用されることも意図していない。
【0006】
本明細書に記載の技術の実施形態は、電池セル及び、例えばアノード、カソード、及びセパレータ又は微多孔質膜などのその構成要素に関する。
【0007】
いくつかの実施形態によれば、1つ又は複数の層のポリオレフィンを含む微多孔質膜を備え、
この微多孔質膜は、1,000lbsの圧縮圧で10Ω/mm未満の電気抵抗(ER)を有する、5,000lbsの圧縮圧で25Ω/mm未満の電気抵抗、7,500lbsの圧縮圧で37Ω/mm未満の電気抵抗、及び/又は10,000lbsの圧縮圧で47Ω/mm未満の電気抵抗を有する、電池セパレータを提供する。
【0008】
いくつかの他の実施形態では、1つ又は複数の層のポリオレフィンを含む微多孔質膜を備え、この微多孔質膜は、8N/mmの応力下約5%~約10%の圧縮を示し、この微多孔質膜は、50%~100%の弾性回復を示す、電池セパレータを提供する。例によっては、この微多孔質膜は、8N/mmの応力下約6%~約10%の圧縮を示し、この微多孔質膜は、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、及び/又は95%~100%の弾性回復を示す、
【0009】
いくつかの他の実施形態では、改善された耐圧縮性、回復、又は両方を有する1つ又は複数の層の乾式プロセスポリオレフィン膜又は複数の膜を備える微多孔質膜を備える電池セパレータを提供する。
【0010】
いくつかの更なる実施形態では、アノード、カソード、及びセパレータを備え、このカソードは丸みのある端部を備える及び/又はポリマー被覆カソード端を備える、例えば円筒型電池などの、電池を提供する。
【0011】
本発明の更なる目的、利点及び新規な特徴は、続く記載にある程度記載され、以下の試験により当事者にある程度明らかになり、又は本発明の実行により学習することができる。
【0012】
本明細書に示される技術の態様は、添付の図面を参照して以下に詳述される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本明細書に記載の技術のいくつかの実施形態による、セパレータ又は微多孔質膜の電気抵抗対加えられた圧力曲線を示し、
図2図2は、本明細書に記載の技術のいくつかの実施形態による、セパレータ又は微多孔質膜の耐圧性及び弾性曲線を示し、
図3A図3Aは、本明細書に記載の技術のいくつかの実施形態による、電池の略図の例を示し、
図3B図3Bは、本明細書に記載の技術のいくつかの実施形態による、電池の略図の例を示し、
図4図4は、本明細書に記載の技術のいくつかの実施形態による、セパレータ又は微多孔質膜の例の圧縮曲線を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本開示の主題となる態様を、法廷要件を満たすような特異性で本明細書に記載する。しかしながら、記載自体は本特許の範囲を限定することを意図しない。むしろ、本発明者らは、主張した主題はまた、他の現在の又は将来の技術と併せて、本文書に記載したものと類似する別のステップ又はステップの組合せを含む、他の方法で具体化されてもよいと企図している。さらに、用語「ステップ」及び/又は「ブロック」は、利用される方法の異なる要素を暗示するために本明細書で使用することができるが、この用語は、個別のステップが明確に記載されていない限り及び記載されている場合を除いて、本明細書に開示される様々なステップの中の又は間のいかなる特定の順序を意味すると解釈されるべきではない。
【0015】
本明細書に記載された実施形態は、以下の詳細な説明、実施例、及び図面を参照することによって、より容易に理解することができる。しかしながら、本明細書に記載された要素、装置、及び方法は、詳細な説明、実施例、及び図面に示された特定の実施形態に限定されない。本明細書の例示的実施形態は、本発明の原理の単なる実例にすぎないと認識されるべきである。多くの変更および改変は、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく当業者に容易に明らかである。
【0016】
さらに、本明細書に開示された全ての範囲が、本明細書に含まれるありとあらゆるサブ範囲を包含すると理解されるべきである。例えば、「1.0~10.0」と記述された範囲は、1.0以上の最小値で開始して10.0以下の最大値で終端するありとあらゆるサブ範囲、例えば、1.0~5.3、又は4.7~10.0、又は3.6~7.9を含むと考えられるべきである。
【0017】
本明細書に開示された全ての範囲はまた、別途明確に記述されていない限り、当該範囲の両端を含むと考えられなければならない。例えば、「5及び10の間」、又は「5から10まで」、又は「5~10」の範囲は、概して両端5及び10を含むと考えられるべきである。
【0018】
さらに、語句「最大で(up to)」が量(amount)又は量(quantity)と併せて使用されているときには、当該量が、少なくとも検出可能な量(amount)又は量(quantity)であることが理解されるべきである。例えば、「最大で」特定量の量で存在する材料は、検出可能な量から当該特定量まで及びこれを含んで存在することができる。
【0019】
さらに、全ての開示された実施形態では、用語「実質的に(substantially)」、「およそ(approximately)」及び「約(about)」は、百分率が0.1、1,5、及び10%を含む場合、特定されるものの範囲内で置換されてもよい。
【0020】
1.セパレータ及び微多孔質膜
セパレータ又は微多孔質膜(本明細書で電池セパレータとも呼ばれる)は、電池又はセルに組み込まれて様々な機能、例えばとりわけ電池の正極及び負極間の電子的接触を防ぎ、電極間のイオン輸送を可能とし、シャットダウン特性などの温度ヒューズとして機能する。セパレータの作製プロセスは、大きく湿式及び乾式プロセスに分けることができる。湿式プロセスは概して、炭化水素液又は別の低分子量材料をポリオレフィン樹脂と混合すること、混合物を加熱し、溶融すること、溶融物をシートに押し出すこと、シートを機械方向(MD)、横方向(TD)、及び/又は二軸に配向すること、及び次いで液体を溶媒で抽出することを含む。乾式プロセスは概して、ポリオレフィン樹脂を溶融すること、フィルム又はシートに押し出すこと、押し出したフィルムを熱的にアニーリングすること、及び続けてシートを上昇した温度又は高温で、例えばMD、TD、及び/又は二軸に配向して微細孔を形成することを含む。
【0021】
いくつかの実施形態では、電池又はセルに組み込むことができる微多孔質フィルム、膜、セパレータ、電池セパレータ、弾性セパレータ又は基材が本明細書に記載され、例えば圧力を受けた場合の改善された電気抵抗(ER)特性及び/又は改善された弾性特性などの、従来の膜又はセパレータに勝る1つ又は複数の利点を有することができる。例えば、いくつかの実施形態では、本明細書に記載の微多孔質フィルム又は電池セパレータのER特性は、フィルム多孔率、細孔径、電解質を収容する容積、電気化学的堆積物による閉塞に対する抵抗、及び/又は電池の使用中の酸化又は還元に対する抵抗を含むがこれらに限定されない、1つ又は複数の構造特性を変えることにより高めることができる。
【0022】
本明細書に記載のセパレータ又は微多孔質膜は、1つ又は複数の層のポリオレフィン、フルオロカーボン、ポリアミド、ポリエステル、ポリアセタール(又はポリオキシメチレン)、ポリスルフィド、ポリビニルアルコール、ポリビニリデン、これらの共重合体、又はこれらの組合せを含むことができる。
【0023】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のセパレータ又は微多孔質膜は、ポリプロピレン(PP)又はポリエチレン(PE)などのポリオレフィン(PO)、ポリオレフィンのブレンド、ポリオレフィンの1つ又は複数の共重合体、又は前述のいずれかの組合せを含む。
【0024】
本発明の技術にしたがって使用されるポリオレフィンは、本明細書に記載の微多孔質膜又はセパレータの特性と矛盾しない任意の分子量とすることができると理解される。
【0025】
いくつかの実施形態では、ポリオレフィンは、中間又は高分子量ポリエチレン(PE)又はポリプロピレン(PP)などの、超低分子量、低分子量、中間分子量、高分子量、又は超高分子量ポリオレフィンとすることができる。例えば、超高分子量ポリオレフィンは、450,000(450k)以上、例えば、500k以上、650k以上、700k以上、800k以上、100万以上、200万以上、300万以上、400万以上、500万以上、600万以上などの分子量を有することができる。高分子量ポリオレフィンは、250k~400k、250k~350k、又は250k~300kなどの、250k~450kの分子量を有することができる。中間分子量ポリオレフィンは、100k、125k、130K、140k、150k~225k、150k~200k、150k~200k、などの150~250kの分子量を有することができる。低分子量ポリオレフィンは、100k~125kなどの、100k~150kの範囲の分子量を有することができる。超低分子量ポリオレフィンは、100k未満の分子量を有することができる。前述の値は、重量平均分子量である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の多孔質膜又は同一のものを含む電池の強度又は他の特性を高めるために、分子量のより高いポリオレフィンを使用することができる。いくつかの実施形態では、中間、低、又は超低分子量ポリマーなどの分子量のより低いポリマーが有利であることができる。例えば、いかなる特定の理論によって拘束されることを望むものではないが、分子量のより低いポリオレフィンの結晶化挙動は、細孔を形成する少なくともMD延伸プロセスから生じるより小さな細孔を有する多孔質膜を生じることができる。
【0026】
フルオロカーボンは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)、エチレンクロロトリフルオロエチレン(ECTFE)、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)、パーフルオロアルコキシ(PFA)樹脂、これらの共重合体、又はこれらの組合せを含むことができる。ポリアミドは、ポリアミド6、ポリアミド6/6、ナイロン10/10、ポリフタルアミド(PPA)、これらの共重合体、又はこれらの組合せを含むことができるが、これらに限定されない。ポリエステルは、ポリエステルテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリ1-4シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート(PCT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、又は液晶ポリマー(LCP)を含むことができる。ポリスルフィドは、ポリフェニレンスルフィド、ポリエチレンスルフィド、これらの共重合体、又はこれらの組合せを含むことができるが、これらに限定されない。ポリビニルアルコールは、エチレンビニルアルコール、この共重合体、又はこの組合せを含むことができるが、これらに限定されない。ポリビニリデンは、フッ素化ポリビニリデン(ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデンなど)、この共重合体、及びこの組合せを含むことができるが、これらに限定されない。
微多孔質膜又はセパレータは、例によっては、20~80%の範囲の結晶化度を有するポリマーなどの、半結晶ポリマーを含むことができる。
【0027】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の微多孔質膜又はセパレータは、単層、二層、三層、又は多層の構造を有することができる。例えば、三層又は多層膜は、2つの外側層及び1つ又は複数の内側層を含むことができる。いくつかの例では、微多孔質膜は、1、2、3、4、5、又はそれ以上の内側層を含むことができる。いくつかの他の例では、これらの層の各々は、共に共押し出し及び/又は積層することができる。
【0028】
したがって、微多孔質膜又はセパレータは、1つ又は複数のポリマーを共押し出しして膜を形成する乾式延伸プロセスによって作製することができる。外側層及び内側層の各々は、単押出であることができ、この場合層はいかなるサブ層(層(plies))が無くても、単独で押し出されるか、又は各層は、複数の共押出サブ層を含むことができる。例えば、各層は、共押出二サブ層、三サブ層、又は多サブ層膜などの複数のサブ層を含むことができ、その各々はまとめて1つの「層」とみなすことができる。共押出二層中のサブ層の数は、2であり、共押出三層中の層の数は、3であり、共押出多層膜中の層の数は、2以上、3以上、4以上、5以上などである。共押出層中のサブ層の正確な数は、ダイ設計によって定められ、必ずしも、共押出されて共押出層を形成する材料によって定まるわけではない。例えば、共押出の二、三又は多サブ層膜は、2、3、又は4以上のサブ層の各々に同じ材料を使用して形成されることができ、これらのサブ層は、各サブ層が同じ材料から作製されていても、依然として別々のサブ層であるとみなされる。
【0029】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の三層又は多層微多孔質膜は、2つの外側層(第1の外側層及び第2の外側層など)及び単一の又は複数の内側層を含むことができる。複数の内側層は、単押出又は共押出層であることができる。内側層の各々の間及び/又は外側層の各々及び内側層の1つの間に積層バリアを形成することができる。積層バリアは、別の膜又は層の2つの面などの、2つの面を、熱、圧力、又は熱及び圧力を使用して共に積層する場合に形成することができる。
【0030】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の微多孔質膜又はセパレータは、PP及び/又はPEの任意の単層、二層、三層、又は多層構造を有することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の微多孔質膜は、以下の、PP、PE、PP/PP、PP/PE、PE/PP、PE/PE、PP/PP/PP、PP/PP/PE、PP/PE/PE、PP/PE/PP、PE/PP/PE、PE/PE/PP、PP/PP/PP/PP、PP/PE/PE/PP、PE/PP/PP/PE、PP/PE/PP/PP、PE/PE/PP/PP、PE/PP/PE/PP、PP/PE/PE/PE/PP、PE/PP/PP/PP/PE、PP/PP/PE/PP/PP、PE/PE/PP/PP/PE/PE、PP/PE/PP/PE/PP、PP/PP/PE/PE/PP/PP、PE/PE/PP/PP/PE/PE、PE/PP/PE/PP/PE/PP、PP/PE/PP/PE/PP/PE、PP/PP/PP/PE/PP/PP/PP、PE/PE/PE/PP/PE/PE/PE、PP/PE/PP/PE/PP/PE/PP、PE/PP/PE/PP/PE/PP/PE、PE/PP/PE/PP/PE/PP/PE/PP、PP/PE/PP/PE/PP/PE/PP/PE、PP/PP/PE/PE/PP/PP/PE/PE、PP/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PP、PE/PP/PP/PP/PP/PP/PP/PE、PP/PP/PE/PE/PEPE/PP/PP、PP/PP/PP/PP/PE/PE/PE/PE、PP/PP/PP/PP/PE/PP/PP/PP/PP、PE/PE/PE/PE/PP/PE/PE/PE/PE、PP/PE/PP/PE/PP/PE/PP/PE/PP、PE/PP/PE/PP/PE/PP/PE/PP/PE、PE/PE/PE/PE/PE/PP/PP/PP/PP、PP/PP/PP/PP/PP/PE/PE/PE/PE、PP/PP/PP/PP/PP/PE/PE/PE/PE/PE、PE/PE/PE/PE/PE/PP/PP/PP/PP/PP、PP/PE/PP/PE/PP/PE/PP/PE/PP/PE、PE/PP/PE/PP/PE/PP/PE/PP/PE/PP、PE/PP/PP/PP/PP/PP/PP/PP/PP/PP/PE、PP/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PP、PP/PP/PE/PE/PP/PP/PE/PE/PP/PP、PE/PE/PP/PP/PP/PP/PP/PP/PP/PE/PE、PP/PP/PP/PE/PE/PP/PP/PP/PP/PE、又はPE/PE/PE/PP/PP/PE/PE/PE/PP/PPの、非限定的な構造を有することができる。本明細書で参照の目的で、PEとは、PEを含む多層膜内の単層を意味する。同様に、PPとは、PPを含む多層膜内の単層を意味する。したがって、PP/PEという指定があれば、ポリプロピレン(PP)層及びポリエチレン(PE)層を有する二層膜を表す。
【0031】
セパレータ又は微多孔質膜の個別の層は、複数のサブ層を含むことができ、この層は共押出により形成することができ、又は個別のサブ層を合わせて多層膜の個別の層を形成する。構造PP/PE/PPを有する多層膜を使用すると、各個別のPP又はPE層は、2つ以上の共押出サブ層を含むことができる。例えば、各個別のPP又はPE層が3つのサブ層を含む場合、各個別のPP層は、PP=(PP1、PP2、PP3)と表すことができ、各個別のPE層は、PE=(PE1、PE2、PE3)と表すことができる。したがって、PP/PE/PPの構造は、(PP1、PP2、PP3)/(PE1、PE2、PE3)/(PP1、PP2、PP3)と表すことができる。PP1、PP2、及びPP3サブ層の各々の組成は、同一であることができ、又は各サブ層は、他のポリプロピレンサブ層の一方又は両方と異なるポリプロピレン組成を有することができる。同様に、PE1、PE2、及びPE3サブ層の各々の組成は、同一であることができ、又は各サブ層は、ポリエチレンサブ層の一方又は両方と異なるポリエチレン組成を有することができる。この原理は、上述の例示的三層膜が有するくらいの層を有する他の多層膜に適用される。
【0032】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の微多孔質膜又はセパレータは、1ミクロン~60ミクロン、1ミクロン~55ミクロン、1ミクロン~50ミクロン、1ミクロン~45ミクロン、1ミクロン~40ミクロン、1ミクロン~35ミクロン、1ミクロン~30ミクロン、1ミクロン~25ミクロン、1ミクロン~20ミクロン、1ミクロン~15ミクロン、1ミクロン~10ミクロン、5ミクロン~50ミクロン、5ミクロン~40ミクロン、5ミクロン~30ミクロン、5ミクロン~25ミクロン、5ミクロン~20ミクロン、5ミクロン~10ミクロン、10ミクロン~40ミクロン、10ミクロン~35ミクロン、10ミクロン~30ミクロン、又は10ミクロン~20ミクロンの全体の厚さを有する。
【0033】
いくつかの実施形態では、二層、三層、又は多層微多孔質膜又はセパレータの各層は、他の層の厚さに等しい厚さを有することができる、又は他の層の厚さより小さい又は大きい厚さを有することができる。例えば、微多孔質膜がPP/PE/PP又はPE/PP/PEの構造を含む三層膜である場合、ポリプロピレン層は、ポリエチレン層の厚さに等しい厚さを有することができる、ポリエチレン層の厚さより小さい厚さを有することができる、又はポリエチレン層の厚さより大きい厚さを有することができる。
【0034】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の微多孔質膜は、三層積層PP/PE/PP(ポリプロピレン/ポリエチレン/ポリプロピレン)又はPE/PP/PE(ポリエチレン/ポリプロピレン/ポリエチレン)微多孔質膜であることができる。いくつかの例では、微多孔質膜の層の構造比は、45/10/45%、40/20/40%、39/22/39%、38/24/38%、37/26/37%、36/28/36%、35/30/35%、34.5/31/34.5%、34/32/34%、33.5/33/33.5%、33/34/33%、32.5/35/32.5%、32/36/32%、31.5/37/31.5%、31/38/31%、30.5/39/30.5%、30/40/30%、29.5/41/29.5%、29/42/29%、28.5/43/28.5%、28/44/28%、27.5/45/27.5%、又は27/46/27%を含むことができる。
【0035】
本明細書に記載の微多孔質膜は更に、フィラー、エラストマー、湿潤剤、潤滑剤、難燃剤、核剤、及び本開示の目的と矛盾しない他の追加の成分を含むことができる。例えば、膜は、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、珪藻土、タルク、カオリン、合成シリカ、雲母、粘土、窒化ほう素、二酸化ケイ素、二酸化チタン、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム及び同種のもの、又はこれらの組合せなどのフィラーを含むことができる。エラストマーは、エチレン・プロピレン(EPR)、エチレン・プロピレン・ジエン(EPDM)、スチレン・ブタジエン(SBR)、スチレン・イソプレン(SIR)、エチリデン・ノルボルネン(ENB)、エポキシ、及びポリウレタン又はこれらの組合せを含むことができる。湿潤剤は、エトキシ化アルコール、一次ポリマーカルボン酸、グリコール(ポリプロピレングリコール及びポリエチレングリコールなど)、官能化ポリオレフィン、及び同種のものを含むことができる。潤滑剤は、シリコーン、フルオロポリマー、オレアミド、ステアルアミド、エルカ酸アミド、ステアリン酸カルシウム、又は他のステアリン酸金属塩を含むことができる。難燃剤は、臭素化難燃剤、リン酸アンモニウム、水酸化アンモニウム、アルミナ三水和物、及びリン酸エステルを含むことができる。
【0036】
本明細書の実施形態の一部に記載の微多孔質膜又はセパレータは、例によっては、乾式延伸プロセスによって作製される。微多孔質膜は、貫通して延びる複数の細孔を有する、薄く、柔軟な、ポリマー性シート、箔又は膜と理解される。場合によっては、多孔質膜は、乾式延伸プロセスによって作製され、このプロセスは、細孔形成が、非多孔質、半結晶、押出ポリマー前駆体を機械方向(MD)、横方向(TD)、又はMD及びTDの両方(すなわち二軸に)に延伸することから生じるプロセスを指す。このような乾式延伸プロセスは、湿式プロセス及び粒子延伸プロセスとは異なる。概して、相転換プロセス、抽出プロセス、又はTIPSプロセスとしても知られる湿式プロセスでは、ポリマー原料を加工油(可塑剤と呼ばれるときもある)と混合し、この混合物を押し出し、加工油を除去する際に細孔が形成される。これらの湿式プロセス膜を、油の除去前後に延伸してもよく、一方細孔形成の原理的機構は、加工油の使用である。
【0037】
多孔質膜は、マクロ多孔質膜、メソ多孔質膜、微多孔質膜、又はナノ多孔質膜とすることができる。膜の多孔率は、本開示の目標と矛盾しない任意の多孔率とすることができる。例えば、許容される電池セパレータを形成することもある任意の多孔率が許容される。いくつかの実施形態では、多孔質基材の多孔率は、20~90%、20~80%、40~80%、20~70%、40~70%、40~60%、20%超、30%超、又は40%超である。多孔率は、ASTM D-2873を使用して測定し、基材の機械方向(MD)及び横方向(TD)に測定した、多孔質基材のある面積の、例えば、細孔などの、空隙の百分率として定義する。いくつかの実施形態では、細孔は、真球度因子が0.25~8.0の円形である、又は楕円形である、又は卵型である。
【0038】
微多孔質膜は、電池セパレータとしての使用に許容されるGurlyなどの、本開示の目的と矛盾しない任意のGurleyを有することができる。Gurleyは、日本工業規格(JIS Gurley)であり、OHKEN透過率試験機などの透過率試験機を使用して測定することができる。JIS Gurleyを、水の4.9インチの一定圧力において100ccの空気が1平方インチの膜を通過するのに必要とする時間を秒単位にして定義する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の多孔質フィルム又は膜は、150以上、160以上、170以上、180以上、190以上、200以上、210以上、220以上、230以上、240以上、250以上、260以上、270以上、280以上、290以上、300以上、310以上、320以上、330以上、340以上、350以上、100~800、200~700、200~600、200~500、200~400、200~300、又は300~600のJIS Gurley(s/100cc)を有する。
【0039】
微多孔質膜は、被覆されていないとき、200gf以上、210gf以上、220gf以上、230以上、240gf以上、250gf以上、260gf以上、270gf以上、280gf以上、290gf以上、300gf以上、310gf以上、320gf以上、330gf以上、340gf以上、350gf以上、又は400gf以上の高い穿刺強度を有することができる。
【0040】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の微多孔質膜は、多孔質膜の少なくとも1つの層に1つ又は複数の添加剤を含むことができる。いくつかの実施形態では、多孔質膜の少なくとも1つの層は、2、3、4、5種類、又はそれ以上などの、1種類超の添加剤を含む。添加剤は、多孔質膜の最外層の片方又は両方、1つ又は複数の内側層、内側層の全て、又は内側層の全て及び最外層の両方に存在することができる。いくつかの実施形態では、添加剤は、1つ又は複数の最外層及び1つ又は複数の最内層に存在することができる。このような実施形態では、添加剤は1つ又は複数の最外層から徐々に放出されることができ、1つ又は複数の最外層への添加剤の供給は、内側層の添加剤が最外層に移動することにより補充することができる。いくつかの実施形態では、微多孔質膜の各層は、微多孔質膜の隣接層と異なる添加剤又は添加剤の組合せを含むことができる。
【0041】
いくつかの実施形態では、添加剤は、機能性高分子を含む。機能性高分子は、高分子骨格から外れる官能基を有する高分子であると理解される。いくつかの実施形態では、機能性高分子は、無水マレイン酸機能性高分子である。いくつかの更なる実施形態では、無水マレイン酸変性ポリマーは、無水マレイン酸ホモポリマーポリプロピレン、共重合体ポリプロピレン、高密度ポリプロピレン、低密度ポリプロピレン、超高密度ポリプロピレン、超低密度ポリプロピレン、ホモポリマーポリエチレン、共重合体ポリエチレン、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、超高密度ポリエチレン、及び/又は超低密度ポリエチレンである。
【0042】
いくつかの実施形態では、添加剤は、イオノマーを含む。当業者によって理解されるイオノマーは、イオン含有及び非イオン性反復基の両方を含有する共重合体である。時には、イオン含有反復基は、イオノマーの25%未満、20%未満、又は15%未満を占めることができる。いくつかの実施形態では、イオノマーは、Li系、Na系、又はZn系イオノマーであることができる。いくつかの実施形態では、添加剤は、セルロースナノファイバーを含む。
【0043】
いくつかの実施形態では、添加剤は、粒度分布が狭い無機粒子を含む。例えば、分布におけるD10及びD90の間の差は、100ナノメートル未満、90ナノメートル未満、80ナノメートル未満、70ナノメートル未満、60ナノメートル未満、50ナノメートル未満、40ナノメートル未満、30ナノメートル未満、20ナノメートル未満、又は10ナノメートル未満である。いくつかの実施形態では、無機粒子は、SiO、TiO、又はこれらの組合せの少なくとも1つから選択される。
【0044】
いくつかの実施形態では、添加剤は、潤滑剤を含む。本明細書に記載の潤滑剤(lubricating agent)又は潤滑剤(lubricant)は、本開示の目的と矛盾しない任意の潤滑剤とすることができる。当業者によって理解されるように、潤滑剤は、以下の、ポリマー:ポリマー、ポリマー:金属、ポリマー:有機材料、及びポリマー:無機材料を含む、様々な異なる面間の摩擦力を低減するよう働くことができる化合物である。本明細書に記載の潤滑剤(lubricating agent)又は潤滑剤(lubricant)の具体例は、シロキサン及びポリシロキサンを含む、シロキシ官能基を含む化合物、及び金属ステアリン酸を含む脂肪酸塩である。
【0045】
2つ以上、3つ以上、4つ以上、5つ以上、6つ以上、7つ以上、8つ以上、9つ以上、又は10個以上のシロキシ基を含む化合物を本明細書に記載の潤滑剤として使用することができる。シロキサンは、当業者によって理解されるように、交互のケイ素原子(Si)及び酸素(O)原子の骨格がある分子の種類であり、各ケイ素原子は、結合水素(H)又は-CH3若しくはC2H5などの、飽和若しくは不飽和有機基を有することができる。ポリシロキサンは、通常高分子量を有する重合したシロキサンである。本明細書に記載のいくつかの実施形態では、ポリシロキサンは、超高分子量ポリシロキサンなどの、高分子量であることができる。いくつかの実施形態では、高分子量及び超高分子量ポリシロキサンは、500,000~1,000,000に及ぶ重量平均分子量を有することができる。
【0046】
本明細書に記載の脂肪酸塩は、本開示の目的と矛盾しない任意の脂肪酸塩であることができる。いくつかの例では、脂肪酸塩は、潤滑剤として働く任意の脂肪酸塩であることができる。脂肪酸塩の脂肪酸は、12~22個の炭素原子を有する脂肪酸であることができる。例えば、金属脂肪酸は、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、パルミトレイン酸、ベヘン酸、エルカ酸、及びアラキジン酸から成る群から選択されることができる。金属は、本開示の目的と矛盾しない任意の金属であることができる。いくつかの例では、金属は、Li、Be、Na、Mg、K、Ca、Rb、Sr、Cs、Ba、Fr、及びRaなどのアルカリ又はアルカリ土類金属である。いくつかの実施形態では、金属は、Li、Be、Na、Mg、K、又はCaである。いくつかの例では、脂肪酸塩は、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸ナトリウム、オレイン酸リチウム、オレイン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム、パルミチン酸リチウム、ステアリン酸カリウム、又はオレイン酸カリウムであることができる。
【0047】
本明細書に記載の脂肪酸塩を含む潤滑剤は、200℃以上、210℃以上、220℃以上、230℃以上、又は240℃以上の融点を有することができる。ステアリン酸リチウム(融点220℃)又はステアリン酸ナトリウム(融点245~255℃)などの脂肪酸塩は、このような融点を有する。
【0048】
いくつかの実施形態では、添加剤は、1つ又は複数の核剤を含むことができる。当業者によって理解されるように、いくつかの実施形態では、核剤は、半結晶ポリマーを含む、ポリマーの結晶化の増加を助ける、又は強める材料、無機材料である。
【0049】
いくつかの実施形態では、添加剤は、キャビテーション促進剤を含むことができる。キャビテーション促進剤は、当業者によって理解されるように、ポリマー中に気泡又は空隙を形成する、形成を助ける、形成を増大させる、又は形成を強化する材料である。いくつかの実施形態では、添加剤は、本明細書で詳細に論じられるフルオロポリマーなどのフルオロポリマーを含むことができる。いくつかの実施形態では、添加剤は、架橋剤を含むことができる。
【0050】
いくつかの実施形態では、添加剤は、X線検出可能材料を含むことができる。X線検出可能材料は、本開示の目的と矛盾しない任意のX線検出可能材料であることができる。X線検出可能材料又は元素の好適な量は、例えば、使用することができる多孔質フィルム又は膜の全重量に基づいて最大で50重量%、最大で40重量%、最大で30重量%、最大で20重量%、最大で10重量%、最大で5重量%、又は最大で1重量%を含む。ある実施形態では、添加剤は、硫酸バリウムである。
【0051】
いくつかの実施形態では、添加剤は、ハロゲン化リチウムを含むことができる。ハロゲン化リチウムは、塩化リチウム、フッ化リチウム、臭化リチウム、又はヨウ化リチウムであることができる。ハロゲン化リチウムは、ヨウ化リチウムであることができ、これはイオン伝導性及び電気絶縁性の両方である。いくつかの例では、イオン伝導性及び電気絶縁性の両方である材料を電池セパレータの一部として使用することができる。
【0052】
いくつかの実施形態では、添加剤は、ポリマー加工剤を含むことができる。当業者によって理解されるように、ポリマー加工剤又は添加剤を、ポリマー化合物の加工効率及び品質を改善するために添加する。いくつかの実施形態では、ポリマー加工剤は、抗酸化剤、安定剤、潤滑剤、加工助剤、核剤、着色剤、帯電防止剤、可塑剤、又はフィラーであることができる。
【0053】
いくつかの実施形態では、添加剤は、高温メルトインデックス(HTMI)ポリマーを含むことができる。HTMIポリマーは、本開示の目的と矛盾しない任意のHTMIポリマーとすることができる。いくつかの例では、HTMIポリマーは、PMP、PMMA、PET、PVDF、アラミド、シンジオタクチックポリスチレン、及びこれらの組合せから成る群から選択される少なくとも1つであることができる。
【0054】
いくつかの実施形態では、添加剤は、電解質を含むことができる。本明細書に記載の電解質は、本開示の目的と矛盾しない任意の電解質であることができる。電解質は、電池製造業者、特にリチウム電池製造業者によって典型的には電池性能を改善するために添加される任意の添加剤であることができる。電解質はまた、ポリマー性多孔質膜に使用されるポリマーと、混ざる(miscible)など、組み合わせる(combined)又は、被覆スラリーと適合することができる必要がある。添加剤の混和性はまた、添加剤を被覆する又は部分的に被覆することにより助けられる又は改善することができる。いくつかの実施形態では、電解質は、固体電解質界面(SEI)改質剤、カソード保護剤、難燃添加剤、LiPF塩安定剤、過充電防止剤、アルミニウム腐食防止剤、リチウム析出剤若しくは析出調整剤、又は溶媒和促進剤、アルミニウム腐食防止剤、湿潤剤、及び粘度調整剤から成る群から選択される少なくとも1つである。いくつかの実施形態では、電解質は、湿潤剤及び粘度調整剤であることができるような、1つを超える特性を有することができる。
【0055】
SEI改質剤の例としては、VEC(炭酸ビニルエチレン)、VC(炭酸ビニレン)、FEC(炭酸フルオロエチレン)、LiBOB(リチウムビス(オキサラート)ボラート)が挙げられる。カソード保護剤の例としては、N,N’‐ジシクロヘキシルカルボジイミド、N,N-ジエチルアミノトリメチルシラン、LiBOBが挙げられる。難燃添加剤の例としては、TTFP(トリス(2,2,2-トリフルオロエチル)ホスファイト)、フッ素化炭酸プロピレン、MFE(メチルノナフルオロブチルエーテル)が挙げられる。LiPF塩安定剤の例としては、LiF、TTFP(トリス(2,2,2-トリフルオロエチル)ホスファイト)、1-メチル-2-ピロリドン、フッ素化カルバミン酸塩、ヘキサメチルホスホラミドが挙げられる。過充電防止剤の例としては、キシレン、シクロヘキシルベンゼン、ビフェニル、2,2-ジフェニルプロパン、炭酸フェニルtert-ブチルが挙げられる。Li析出調整剤の例としては、AlI、SnI、セチルトリメチルアンモニウムクロリド、パーフルオロポリエーテル、長アルキル鎖のテトラアルキルアンモニウムクロリドが挙げられる。イオン溶媒和促進剤の例としては、12-クラウン-4、TPFPB(トリス(ペンタフルオロフェニル))が挙げられる。Al腐食防止剤の例としては、ホウ酸塩などの、LiBOB、LiODFBが挙げられる。湿潤剤及び粘度希釈剤の例としては、シクロヘキサン及びPが挙げられる。
【0056】
いくつかの実施形態では、電解質添加剤は、空気に安定であるか又は耐酸化性がある。本明細書に開示の電解質添加剤を含む電池セパレータは、数週間から数か月、例えば1週間から11か月の寿命を有することができる。いくつかの実施形態では、添加剤は、エネルギー散逸非混和性添加剤を含むことができる。非混和性とは、添加剤が、添加剤を含有する多孔質フィルム又は膜の層を形成するために使用されるポリマーと混ざらないことを表す。
【0057】
本明細書に記載の膜は、膜を多孔質にするためにMD延伸又はTD延伸することができる。いくつかの例では、微多孔質膜は、MD延伸微多孔質膜を順次TD延伸を実行することにより、又はTD延伸微多孔質膜を順次MD延伸を実行することにより作製される。順次MD-TD延伸に加えて、微多孔質膜は、二軸MD-TD延伸を同時に受けることもできる。さらに、同時又は順次MD-TD延伸多孔質膜は、その後膜の厚さを低減する、粗さを低減する、多孔率を低減する、TD引張強度を高める、均一性を高める、及び/又はTD裂度を低減するために続けてカレンダーステップを行うことができる。
【0058】
いくつかの実施形態では、微多孔質膜は、0.01ミクロン~1ミクロン、0.02ミクロン~1ミクロン、0.03ミクロン~1ミクロン、0.04ミクロン~1ミクロン、0.05ミクロン~1ミクロン、0.06ミクロン~1ミクロン、0.07ミクロン~1ミクロン、0.08ミクロン~1ミクロン、0.09ミクロン~1ミクロン、0.1ミクロン~1ミクロン、0.2ミクロン~1ミクロン、0.3ミクロン~1ミクロン、0.4ミクロン~1ミクロン、0.5ミクロン~1ミクロン、0.6ミクロン~1ミクロン、0.7ミクロン~1ミクロン、0.8ミクロン~1ミクロン、0.9ミクロン~1ミクロン、0.01ミクロン~0.9ミクロン、0.01ミクロン~0.8ミクロン、0.01ミクロン~0.7ミクロン、0.01ミクロン~0.6ミクロン、0.01ミクロン~0.5ミクロン、0.01ミクロン~0.4ミクロン、0.01ミクロン~0.3ミクロン、0.01ミクロン~0.2ミクロン、0.01ミクロン~0.1ミクロン、0.01ミクロン~0.09ミクロン、0.01ミクロン~0.08ミクロン、0.01ミクロン~0.07ミクロン、0.01ミクロン~0.06ミクロン、0.01ミクロン~0.05ミクロン、0.01ミクロン~0.04ミクロン、0.01ミクロン~0.03ミクロン、1ミクロン、0.9ミクロン、0.8ミクロン、0.7ミクロン、0.6ミクロン、0.5ミクロン、0.4ミクロン、0.3ミクロン、0.2ミクロン、0.1ミクロン、0.09ミクロン、0.08ミクロン、0.07ミクロン、0.06ミクロン、0.05ミクロン、0.04ミクロン、0.03ミクロン、0.02ミクロン、又は0.01ミクロンの平均細孔径を有する細孔を含むことができる。
【0059】
ある実施形態では、多孔質膜は、機械方向延伸の後横方向延伸(機械方向緩和の有無にかかわらず)、並びに続けて、例えば多層多孔質膜などの延伸膜などの多孔率を制御された方法で低減するよう、及び/又は例えば多層多孔質膜などの延伸膜などの、強度、特性、及び/又は性能を制御された方法で、例えば多層多孔質膜などの延伸膜などの、穿刺強度、機械方向及び/又は横方向の引張強度、均一性、濡れ性、被覆性、実行可能性、圧縮、スプリングバック、屈曲度、透過率、厚さ、ピン除去力、機械的強度、表面粗さ、ホットチップ孔伝播、及び/又はこれらの組合せなどを制御された方法で改善するよう、及び/又は固有の構造、細孔構造、材料、膜、ベース膜、及び/又はセパレータを作製するよう、例えば多層多孔質膜などの延伸膜などの厚さを制御された方法で低減する方法としてのカレンダーステップを含む例示的プロセスを使用して製造することができる。
【0060】
いくつかの例では、TD延伸後にカレンダーステップを加えることにより、多層膜のTD引張強度をさらに改善することができる。カレンダープロセスには典型的には、多孔質膜の厚さを低減することができる熱及び圧力が関与する。カレンダープロセスステップでは、TD延伸によって引き起こされたMD及びTD引張強度の損失を回復することができる。更に、カレンダーによりMD及びTD引張強度に観察される増加は、MD及びTD引張強度のより釣り合いの取れた比率を生み出すことができ、このことは多層膜の機械的性能全体に有益であることができる。
【0061】
カレンダープロセスは、均一又は不均一な熱、圧力、及び/又は速度を使用して、感熱材料を選択的に緻密化し、(例えば、平滑なロール、粗いロール、パターン化ロール、マイクロパターンロール、ナノパターンロールの使用、速度変化、温度変化、圧力変化、湿度変化、ダブルロールステップ、多重ロールステップ、又はこれらの組合せにより)均一又は不均一なカレンダー状態を提供し、改良された、所望の又は固有の構造、特徴、及び/又は性能を生じさせ、得られる構造、特徴、及び/又は性能、及び/又は同種のものを生じさせ又は制御することができる。ある実施形態では、50℃~70℃のカレンダー温度及び40~80ft/分のライン速度を、50~200psiのカレンダー圧力と共に使用することができる。圧力が高いと、いくつかの例では、薄いセパレータを提供することができ、圧力が低いと厚いセパレータを提供する。
【0062】
いくつかの実施形態では、1つ又は複数の被覆層を多層膜の1つ又は2つの側部に適用することができる。いくつかの実施形態では、被覆の1つ又は複数は、高分子バインダ並びに有機及び/又は無機粒子を含むセラミック被覆であることができる。いくつかの実施形態では、セラミック被覆のみを微多孔質膜の1つ又は複数の側部に適用する。他の実施形態では、セラミック被覆の適用の前後に別の被覆を微多孔質膜に適用することができる。別の追加の被覆は、膜又はフィルムにも1つ又は複数の側部に適用することができる。いくつかの実施形態では、別のポリマー被覆層は、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)又はポリカーボネート(PC)の少なくとも1つを含むことができる。
【0063】
いくつかの実施形態では、被覆層の厚さは、約12μm未満、場合により10μm未満、場合により9μm未満、場合により8μm未満、場合により7μm未満、及び場合により5μm未満である。少なくとも特定の選択された実施形態では、被覆層は、4μm未満、2μm未満、又は1μm未満である。
【0064】
被覆方法は、さほど限定されず、本明細書に記載の被覆層は、以下の、押出被覆、ロール被覆、グラビア被覆、印刷、ナイフ被覆、エアーナイフ被覆、スプレー被覆、浸漬被覆、又はカーテン被覆の被覆方法の少なくとも1つによって多孔質基材上に被覆されることができる。被覆プロセスは、室温又は高温で実施されることができる。
【0065】
被覆層は、非多孔質、ナノ多孔質、微多孔質、メソ多孔質、又はマクロ多孔質のいずれか1つであることができる。被覆層は、700以下、場合により600以下、500以下、400以下、300以下、200以下、又は100以下のJIS Gurleyを有することができる。
【0066】
いくつかの実施形態では、微多孔質膜又はセパレータは、1,000lbsの圧縮圧をかけたとき、10Ω/mm以下、7Ω/mm以下、又は5Ω/mm以下の電気抵抗(ER)を有することができ、ERは圧縮厚さについて正規化される。いくつかの更なる実施形態では、微多孔質膜又はセパレータは、5,000lbsの圧縮圧をかけたとき25Ω/mm以下、20Ω/mm以下、又は15Ω/mm以下のERを有することができ、ERは圧縮厚さについて正規化される。いくつかの更なる実施形態では、微多孔質膜又はセパレータは、7,500lbsの圧縮圧をかけたとき、37Ω/mm以下、35Ω/mm以下、30Ω/mm以下、又は25Ω/mm以下のERを有することができ、ERは圧縮厚さについて正規化される。いくつかの更に別の実施形態では、微多孔質膜又はセパレータは、10,000lbsの圧縮圧をかけたとき47Ω/mm以下、45Ω/mm以下、40Ω/mm以下、35Ω/mm以下、又は30Ω/mm以下のERを有することができ、ERは圧縮厚さについて正規化される。図1を簡単に参照すると、図1は、典型的又は従来のセパレータと比較した本発明の技術のいくつかの実施形態によるセパレータ又は微多孔質膜のER及び弾性特性を示す。見てわかるように、本発明の技術によるセパレータ又は微多孔質膜(セルガード(Celgard)/セパレータ2)は、セパレータ又は微多孔質膜に加えられた圧力が増加するにつれ、より良好な弾性特性を有し、更に、セパレータ又は微多孔質膜に加えられた圧力が増加してもERの上昇は少ないので、かなり低いERを維持する(すなわち、加えられた圧力を増やしたときにセパレータER勾配はより緩やかである)。加えられた圧力が増加してもERは最小限しか増加しない又は増加しないという点で、セパレータ2は、例えば理想的なセパレータ挙動に近づいた。
【0067】
いくつかの実施形態では、微多孔質膜又はセパレータは、優れた弾性特性を示すことができる。したがって、いくつかの実施形態では、微多孔質膜又はセパレータは、8N/mmの応力下で約5%~約10%、又はより具体的には約6%~約10%の圧縮を示すことができる。いくつかの他の実施形態では、微多孔質膜又はセパレータは、微多孔質膜又はセパレータから加えられた圧力を除去した後、約50%~約100%、約60%~約100%、約70%~約100%、約80%~約100%、約90%~約100%、又は約95%~約100%の回復を示すことができる。図2を簡単に参照すると、図2は、本明細書に記載の技術による、耐圧性及びセパレータ弾性特性を示す。示されるように、本明細書に記載のセパレータ又は微多孔質膜は、セパレータ又は微多孔質膜上に加えられた圧縮圧を増加させた場合、比較例の従来の膜より良好な耐圧縮性及び良好な弾性及び/又は回復を示す。
【0068】
II.電池セル
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の微多孔質膜又はセパレータは、電池又はセルに組み込まれることができる。微多孔質膜又はセパレータは、本明細書のセクションIで上述した任意の組成及び/又は特性を有することができる。電池セルは、他の構成要素の中でもとりわけ、アノード、カソード、及びアノード及びカソードの間に配置されたセパレータを含むことができる。いくつかの実施形態では、電池セルは、円筒型電池であることができる。いくつかの実施形態では、電極(すなわちアノード及び/又はカソード)は、使用中少なくとも1%、少なくとも3%、少なくとも5%、少なくとも7%、又は少なくとも10%膨張することができる。いくつかの更なる実施形態では、アノードは、充電中に1%超、3%超、5%超、又は7%超容積の増加を示すことができる。
【0069】
本発明の技術のいくつかの実施形態によれば、カソードは、平滑な及び/又は丸みのあるカソード端を有することができ、及び/又は更にポリマー被覆カソード端を有することができる。
【0070】
図3Aを参照すると、図3Aは、本発明の技術の実施形態による、これらの構成要素を示す電池又はセル構造100の例の略図を図示する。本明細書に記載のこれ及び他の配置は、例としてのみ記載されるものと理解すべきである。示されるものに加えて、又は代わりに、他の配置及び要素を使用することができ、分かりやすくするためにいくつかの要素を完全に省略することができる。示される構成要素の中でも、電池構造100は、膜又はセパレータ102(例えば微多孔質膜)、アノード又は正極104及びカソード又は負極106を含む。示されるように、動作中又は充電中に、アノード104及びカソード106は、容積増加を受けることができ、これによりセパレータ又は膜上に圧力がかかる。本明細書で論じられるように、セパレータ102は、良好な電気抵抗、耐圧性、及び弾性を示すことができる。図3Bを参照すると、図3Bは、3Aの一部の拡大図を図示する。したがって、見てわかるように、カソード106は、丸みのある端部108を備えるように形成される。平滑で、丸みのある端部108は、例によっては、カソード106が膨張し、セパレータ又は膜102に圧力をかける場合にカソード106端部の切削力を低減又は除去することができる。いくつかの例では、カソード106に組み込まれた丸みのある端部108は、セパレータ又は膜102のTD及び/又はMD裂けを低減又は除去することができる。いくつかの実施形態では、カソード106を被覆してもよく、又はいくつかの他の実施形態では、カソードの一部、例えば丸みのある端部108に対応するカソード106の一部を被覆してもよい。
【0071】
本明細書に記載の実施形態は、以下の実施例を参照することによってより容易に理解することができる。本明細書に記載の要素、装置、及び方法は、しかしながら、実施例に示すいかなる特定の実施形態に限定するものではない。これらは本開示のいくつかの原理を単に例示するにすぎず、限定しないと認識すべきである。本開示の精神及び範囲から逸脱することなく、多くの変形及び適合は容易に明らかとなる。
【実施例
【0072】
本明細書のセクションIに記載の技術の態様による、膜又はセパレータを、表1にしたがって調製した。例のセパレータを続けて試験し、様々な程度の圧力下、例えば良好な圧縮/回復特性、及び電気抵抗などの改善した特性を示す。
【0073】
【表1】
【0074】
試験装置で、圧縮及び弾性特性に関する乾燥フィルム試験により試料1~5を試験した。まず、大量の乾燥膜の初期厚さを測定し(すなわち、山の膜は1つも電解質で濡れていない)、例えば約5mmの厚さを本実施例で使用した。試料セパレータに1つ又は複数の機械的試験、例えば引張、圧縮、曲げ(flexure)/曲げ(bend)、剥離、引裂、及びせん断試験を実行するためにシングル又はダブルカラム万能試験機を実装した。圧縮試験の一部では、万能試験機を例えば46mm圧縮プラテンなどの圧縮プラテンと結合した。例えばTMA石英ディスクなどの石英ディスクも、試料の1つ又は複数に対する応力を上昇させるための試験足部領域として実装した。初期圧力をかける、例えば正確な初期厚さのために8psiの初期圧力をかけ、試料又は試料の山上の圧力を8psiから、例えば1232psiの最終圧力に上昇させ、圧力を開放し、その後試料又は試料の山の応力―ひずみ曲線を記録する。図4を参照すると、図4は、表1に記載した対応する構造を有する試料1~5の応力―ひずみ曲線を示す。図4に示すように、試験したセパレータは、様々な程度の圧縮率及び弾性率を有することが分かった。圧縮可能で弾性のセパレータ(又は膜)が望ましいことが理解される。試料1は、例えば5%超の圧縮及び試料上の圧力を解放した後ほぼ100%の回復を示す。本明細書に記載のものなどの、セパレータの良好な圧縮及び弾性特性は、膨張及び収縮する電極を含む電池に有用である。例えば、電池の動作中、セパレータは、セパレータ上に及ぼされる圧力を、膨張する電極によって対処、又は対応させ、圧力が弱まったときにセパレータの本来の厚さに戻るよう構成されてもよい。したがって、セパレータの良好な圧縮及び/又は弾性特性は、電池又はセルに圧力対処能力を与える。そうでなければ、不十分な圧縮及び/又は弾性特性では、圧縮後に電極の膨張のため、セパレータは本来の厚さ又はほぼ本来の厚さに戻らず、セパレータ及び電極の間に隙間が残ってもよい。このような隙間があると、デンドライトが成長する面積を提供し、電池又はセルに短絡回路を生じさせることができ、爆発又は他の安全上の問題が起こる可能性がある。
【0075】
別の試験装置で、実施例6のセパレータを、電気抵抗及び圧力に基づく特性に関して試験した。試料6は、その少なくとも片面上に2μmの架橋被覆がある乾式プロセス、多層PE/PP/PP膜構造として構成された。この試験装置では、セラミック被覆がある湿式プロセスPE膜として構成された比較例のセパレータをベースラインとして使用した。試料6及び比較例の試料を、圧縮試験の下湿潤した電気抵抗(ER)を使用して試験した。この試験装置では、セパレータを80mmの丸い円に切り取り、積層しておよそ2.5mm厚さの山を形成し、これを圧縮ダイ固定具中に設置した。次に、3mLの電解質又は電解質溶液をダイ固定具に添加して山を充分に湿潤させた。圧縮ダイ固定具を次いで、色々な負荷でのインピーダンス分析のため測定センサ(例えばSolartron Metrology測定センサ)と結合した。したがって、一連の負荷又は負荷の変化を山に適用し、一組の周波数も同様に適用した。負荷の変化は、以下の順番、0lbs、1,000lbs、0lbs、2,000lbs、0lbs、5,000lbs、0lbs、7,500lbs、0lbs、10,000lbsに適用した。各負荷の変化の間に待ち時間を使用し、30秒に設定した。応答試験の周波数を10Hz~0.1Hzの範囲に設定し、妨害電圧を5mVに設定した。図5は、この試験装置の結果を示し、オーム電気抵抗(ER)を圧縮圧の関数として測定した(セパレータ厚さで正規化した)。図5に見られるように、試料6の乾式プロセスセパレータは、圧力下で比較例の試料より電気抵抗(ER)の小さな上昇を示す。いくつかの実例では、ERの上昇は、30%低いことができる。この試験装置では、電池又はセルに実装された本明細書に記載の電池セパレータ又は膜の利点を示す。例えば、電池又はセル中の電気抵抗が上昇すると、リチウムイオンの析出がより容易に生じ、リチウムデンドライトの成長がより容易に生じる。したがって、セパレータ又は膜に関しては、圧力下でのERの上昇量が少ないことは、望ましい特性であり、他のセルより圧力が高い円筒型電池では特に重要である。
【0076】
少なくとも特定の実施形態、態様又は目的によれば、従来の電池セル及び電池セル構成要素を上回る高い性能又は安全特性を示し、改善された性能及び/又は安全性を更に与える新しい又は改善された膜、セパレータ、カソード、電池セル、及び電池セル構成要素を記載する又は提供する。
【0077】
少なくとも選択された実施形態、態様又は目的によれば、従来の電池セル及び電池セル構成要素を上回る高い性能又は安全特性を示し、改善された性能及び/又は安全性を更に与える新しい又は改善された乾式プロセスポリオレフィン、ポリプロピレン、及び/又はポリエチレン膜、セパレータ、電池セル、及び電池セル構成要素を記載する又は提供する。
【0078】
場合により好ましい実施形態は、従来の電池セル及び電池セル構成要素を上回る高い性能又は安全特性を示し、改善された性能及び/又は安全性を更に与える乾式プロセスポリオレフィン膜、セパレータ、電池セル、及び電池セル構成要素を備えてもよい。場合によりより好ましい実施形態は、本明細書に記載された、示された、又は主張された従来の電池セル及び電池セル構成要素を上回る高い性能又は安全特性を示し、改善された性能及び/又は安全性を更に与える乾式プロセスポリプロピレン及び/又はポリエチレン膜、セパレータ、電池セル、及び電池セル構成要素を含んでもよい。
【0079】
【表2】
【0080】
圧縮可能で弾性の膜が好ましくてもよい。例えば、上の実施例1は、5%超圧縮することができ、圧力を除去した後ほとんど100%回復する。これは、膨張及び収縮する電極を含む電池に理想的である。セパレータは、電極を膨張することによりその上に加えられた圧力に対処できるべきであり、圧力が弱まったときにセパレータの本来の厚さに戻ることができるべきである。電極の膨張により圧縮された後にセパレータが本来の厚さに戻らなかった場合、セパレータ及び電極の間に隙間が残ってもよい。隙間があると、デンドライトが成長する面積を提供し、電池に短絡回路を生じさせることができ、爆発することができる。
【0081】
実施例6のセパレータは、その面上に2ミクロンの架橋被覆がある乾式プロセスPE/PP/PP膜構造である。セラミック被覆がある湿式プロセスポリエチレン膜を含む比較例のセパレータも試験した。
【0082】
実施例6及び比較例の両方を圧縮試験の下湿潤した電気抵抗(ER)を使用して試験した。この試験では、セパレータを80mmの丸い円に切り取り、積層しておよそ2.5mm厚さの山を形成した。このセパレータの山を圧縮ダイ固定具中に設置した。次に、3mLの電解質を固定具に添加して山を充分に湿潤させた。圧縮ダイ固定具を次いで、色々な負荷でのインピーダンス分析のためSolartronと結合した。負荷の変化は、以下の、0lbs、次いで1,000lbs、次いで0lbs、次いで2,000lbs、次いで0lbs、次いで5,000lbs、次いで0lbs、次いで7500lbs、次いで0lbs、次いで10,0000lbsの通りである。各負荷の変化の待ち時間は、30分である。Solartron試験の周波数は、10Hz~0.1Hzである。妨害電圧は5mVである。必要なデータは、x軸の交差点曲線であり、オーム抵抗と呼ばれる。
【0083】
乾式プロセスセパレータの例は、圧力下で電気抵抗のより小さな上昇を示す。例によっては、この上昇は、30%より低い。電気抵抗が上昇すると、リチウムイオン析出、したがってリチウムデンドライトの成長がより容易に生じる。したがって、圧力下での抵抗の増加が少ないことが好ましい。この特性は、パウチセルなどの他の種類のセルより圧力が高い円筒型電池で特に重要である。
【0084】
実施例7は、カソードの端が湾曲しているか、又はその上にポリマー被覆を有するように形成される。
【0085】
一般的な意見
セパレータの機能(顧客要求若しくは製品仕様毎、又は電池技術に基づくセルガードの助言毎)
1.2つの電極を電子的に分離する(絶縁体)
2.イオン電導性を提供するための浸漬する又は浸漬しない液体電解質
3.セパレータ容積(厚さ)及び重量を低減することにより電池に最大エネルギー密度を提供する
4.特別な機能(シャットダウン、熱的分離など)
【0086】
したがって、電池動作範囲では、セパレータは安定である必要がある(顧客要件、電池技術又はセルガードの助言で変わる)
1.機械的
2.熱的
3.化学的
4.電気化学的
5.寸法的
6.特別な機能の必要性
7.その他
【0087】
セパレータの特性は、特定の電池で変わる
化学、
電池の設計、
フォーマット、
電極の化学及びプロセス、
電解質及び注入方法、
電池プロセス、組み立て及び環境、
性能要求、
誤用試験の必要性、
正常な内部短絡の必要性、
その他
【0088】
セパレータを研究するための多くの公開された方法があるが、本発明の概念は、電池の安全性に対するセパレータの影響が大きく逸脱し、電池性能は、
1.セパレータのイオン電導能力(空気透過性は、イオン電導性ではない)
2.セパレータ湿潤(電解質で湿潤すると、ポリマーは膨張し、収縮しない)試験対多くの提案された乾燥試験(電解質無し)
(1)オーブン内にない電池の収縮又は膨張
(2)電解質で膨張したセパレータ対膨張しない試験データに基づく多孔率及び細孔径
(3)圧縮(Z-方向)変形(内部短絡抵抗)対穿刺強度及び引張強度
(4)電池中の湿潤したセパレータによる化学的及び電気化学的安定性(空気+オーブンでエージングしない)
(5)その他
に依存する。
【0089】
残念ながら、現在の多くのセパレータ試験は、繊維産業によるもので、実際の電池の必要性によるものではない。
【0090】
最新のセル設計(新しい電極活物質、大幅に改善された電極構造、新しい電解質、新しいセル設計及び一般的に使用される様々なセラミック被覆セパレータでは、セル(電池)安全性は主に、
1.設計経験
2.化学(電極、電解質など)
3.様々なセルプロセス及び品質管理
4.適用条件(機械的、熱的、電気化学的、誤用など)
5.新しい本発明の試験、比率、関係、
6.その他
に依存する。
【0091】
物理的特性
・空気透過性‐空気透過性試験は、規定圧力下での空気の通過に対するセパレータ材料の抵抗を評価することを目的とする。試験は、ASTM D726に詳述された試験方法に従い、電池内部には空気又は液体の流れはない(完全に濡らしたセパレータで)。電池のセパレータ中の実際の材料の「流れ」は、イオンであり→イオン伝導度である。最新のセパレータではイオン伝導度及び空気透過性の間にはわずかな関係性しかなく、又は関係性がない。
・細孔径及び分布‐この試験では、圧力及び気体が材料を通過する流速を測定することによりセパレータ材料中の細孔の径及び分布を決定する。使用される具体的な試験方法は、SAE J2983に記載されるが、様々なPVDF、固体電解質、セラミックバインダなどの多くのセパレータ構成要素の導入により、最新のセパレータにとってあまり意味がないことが多い。
・濡れ性‐濡れ性試験では、セパレータ材料が電解質と接触したとき、完全に湿潤されるのに必要とされる時間を測定し、具体的な試験及び測定方法は、NASA/TM 2010-216099に記載される。多層界面(電解質中の成分、カソード、アノード、セパレータ、減圧残留空気など)及び電解質注入プロセス(真空レベル、真空時間、電解質/注入量、配置時間など)に依存する。
【0092】
機械的特性
・引張強度‐引張強度試験では、張力をかけた場合の伸びに対するセパレータ材料の抵抗を評価する。引張強度試験は、ASTM D882に記載された試験方法に従い、セパレータにとってより重要なのは、Z方向の強度であり、内部短絡抵抗に関する以下のコメントを参照する。
・穿刺強度‐穿刺強度試験は、鋭利な物体又は鈍力のいずれかによる貫通に対する材料の抵抗を評価することを目的とする。試験は、ASTM D3763に記載される試験方法に従う。穿刺試験は、X-Y面のフィルムシート引張強度の試験である(詳細な説明の文章を参照する)。電池にとってより重要なのは、(Z方向の)内部短絡抵抗及び弾性(電池動作中の電極の膨張及び収縮による)である。
【0093】
熱的特性
・寸法安定性
・オーブンエージング後の穿刺強度‐オーブンエージング後の穿刺強度は、リチウムイオン電池内部で経験する内部高温にかけた後の鋭利な物体又は鈍力のいずれかによる貫通に対する材料の抵抗を評価することを目的とする。オーブンエージング後、オーブン中での空気又はO2との化学反応は、化学反応によりセパレータの機械的強度に深刻な影響を及ぼしてもよく、一方実際の電池では反応は起こらない(例えば、高温の空気中ではPPを酸化できる一方、電池内ではPPの酸化は起きない)。
・オーブンエージング後の収縮‐オーブンエージング後の収縮試験では、リチウムイオン電池内部で経験する内部高温にかけた後、材料が収縮に抵抗することができる能力を評価し、最も単純なベースフィルムは、50%超の非晶質高分子を含有し、電解質溶液と接触すると、収縮する代わりに膨張する。
・シャットダウン温度‐シャットダウン温度試験は、ある温度範囲にわたる材料インピーダンスの変化を評価するよう設計され、セルの化学、セル設計及び試験方法で変化する。
・融点‐融点試験では、熱への曝露によりセパレータ材料が分解する温度レベルを評価する。試験は、UL 746A (ASTM D3418)に記載される試験方法に従う。ほとんどの最新のセパレータはセラミック(Al2O3、BaSO4、SiO2など)被覆セパレータであり、セラミック含有量は、電池製造業者の要件で変わり、これはセパレータの融点に深刻な影響を及ぼす。
・潜在的な安全性リスク及び性能に関連するとみなされるべき他のセパレータ試験がある。多くは、顧客のセル設計で変わる。
【0094】
【表3】
【0095】
図示及び記載された様々な構成要素及び/又はステップの多くの色々な配置、並びに示されていないものが、特許請求の範囲の範囲を逸脱することなく可能である。本発明の技術の実施形態は、制限するよりむしろ例示する目的で記載している。本開示に対する参照から代わりの実施形態が明らかになるだろう。先述の物を実装する代わりの手段は、以下の特許請求の範囲から逸脱することなく完成することができる。特定の特徴及びサブ組合せは有用であり、他の特徴及びサブ組合せを参照することなく利用することができ、特許請求の範囲の範囲内にあると企図される。
図1
図2
図3A
図3B
図4
【手続補正書】
【提出日】2024-03-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ又は複数の層のポリオレフィンを含む微多孔質膜を備え、
前記微多孔質膜は、1,000lbsの圧縮圧で10Ω/mm未満の電気抵抗(ER)を有する、
電池セパレータ。
【請求項2】
前記微多孔質膜は、5,000lbsの圧縮圧で25Ω/mm未満の電気抵抗を有する、
請求項1に記載の電池セパレータ。
【請求項3】
前記微多孔質膜は、7,500lbsの圧縮圧で37Ω/mm未満の電気抵抗を有する、
請求項1に記載の電池セパレータ。
【請求項4】
前記微多孔質膜は、10,000lbsの圧縮圧で47Ω/mm未満の電気抵抗を有する、
請求項1に記載の電池セパレータ。
【請求項5】
前記微多孔質膜は、1,000lbsの圧縮圧で7Ω/mm未満、より具体的には5Ω/mm未満の電気抵抗(ER)を有する、
請求項1に記載の電池セパレータ。
【請求項6】
前記微多孔質膜は、5,000lbsの圧縮圧で20Ω/mm未満、より具体的には15Ω/mm未満の電気抵抗(ER)を有する、
請求項1に記載の電池セパレータ。
【請求項7】
前記微多孔質膜は、7,500lbsの圧縮圧で35Ω/mm未満、より具体的には30Ω/mm未満、より具体的には25Ω/mm未満の電気抵抗(ER)を有する、
請求項1に記載の電池セパレータ。
【請求項8】
前記微多孔質膜は、10,000lbsの圧縮圧で45Ω/mm未満、より具体的には40Ω/mm未満、より具体的には35Ω/mm未満、より具体的には30Ω/mm未満の電気抵抗(ER)を有する、
請求項1に記載の電池セパレータ。
【請求項9】
前記微多孔質膜は、乾式延伸プロセス微多孔質膜である、請求項1~8のいずれかに記載の電池セパレータ。
【請求項10】
前記微多孔質膜は、被覆されている、請求項9に記載の電池セパレータ。
【請求項11】
前記微多孔質膜は、1つ又は複数のポリオレフィンを含む、請求項1に記載の電池セパレータ。
【請求項12】
前記ポリオレフィンは、ポリエチレン、ポリプロピレン、又は両者の組合せである、
請求項1に記載の電池セパレータ。
【請求項13】
前記微多孔質膜は、単層フィルム、二層フィルム、三層フィルム、又は多層フィルムである、請求項1~12のいずれか一項に記載の電池セパレータ。
【請求項14】
1つ又は複数の層のポリオレフィンを含む微多孔質膜を備え、
前記微多孔質膜は、8N/mm2の応力下約5%~約10%の圧縮を示し、前記微多孔質膜は、応力を除去すると、50%~100%の弾性回復を示す、
電池セパレータ。
【請求項15】
前記微多孔質膜は、応力を除去すると、90%~100%の弾性回復を示すか、乾式延伸プロセス微多孔質膜であるか、被覆されているか、1つ又は複数のポリオレフィンを含み、前記ポリオレフィンは、ポリエチレン、ポリプロピレン、又は両者の組合せであるか、あるいは、単層フィルム、二層フィルム、三層フィルム、又は多層フィルムである、請求項14に記載の電池セパレータ。
【請求項16】
アノード、
カソード、及び
前記アノード及び前記カソードの間に配置されたセパレータを備え、前記カソードは、丸みのある端部を備える、
電池セル。
【請求項17】
前記アノード及び前記カソードの少なくとも1つは、動作中少なくとも1%、少なくとも3%、少なくとも5%、少なくとも7%、又は少なくとも10%膨張するか、前記アノードは、充電中少なくとも1%、少なくとも3%、少なくとも5%、又は少なくとも7%の容積の増加を示すか、前記電池セルは、円筒型であるか、前記セパレータは、請求項1~20のいずれかに記載の電池セパレータを備えるか、あるいは、前記カソードは、ポリマー被覆カソード端を備える、請求項16に記載の電池セル。
【請求項18】
従来の電池セル及び電池セル構成要素よりも高い性能又は安全特性を示し、改善された性能及び/又は安全性を更に与える、本明細書に記載した、示した又は主張する、請求項1~17のいずれかに記載される新しい又は改善された膜、乾式プロセスポリオレフィン、乾式プロセスポリプロピレン及び/又はポリエチレン膜、セパレータ、カソード、電池セル、及び電池セル構成要素。
【国際調査報告】