(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-12
(54)【発明の名称】高い固定炭素含有量及び最適化された反応性を有するバイオカーボンペレットを製造するためのプロセス、並びにこれから得られるバイオカーボンペレット
(51)【国際特許分類】
C01B 32/05 20170101AFI20240705BHJP
【FI】
C01B32/05
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024500284
(86)(22)【出願日】2022-07-07
(85)【翻訳文提出日】2024-03-04
(86)【国際出願番号】 US2022036294
(87)【国際公開番号】W WO2023283290
(87)【国際公開日】2023-01-12
(32)【優先日】2021-07-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520490314
【氏名又は名称】カーボン テクノロジー ホールディングス, エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100097456
【氏名又は名称】石川 徹
(72)【発明者】
【氏名】ダスティン スラック
(72)【発明者】
【氏名】ジェームス エー. メネル
(72)【発明者】
【氏名】ダレン ドーガード
【テーマコード(参考)】
4G146
【Fターム(参考)】
4G146AA01
4G146AB03
4G146AC25A
4G146BA32
4G146BB04
4G146BB05
4G146BB06
4G146BB07
4G146BC33B
(57)【要約】
いくつかの変形形態は、第1の熱分解反応器内でバイオマス含有原料を熱分解して、第1の生体試薬及び熱分解蒸気を生成することと、熱分解蒸気を分離ユニットに導入して、液体又は固体の形態の熱分解沈殿物を生成することと、第1の生体試薬を熱分解沈殿物と接触させ、それによって、中間体材料を生成することと、中間体材料をペレット化して、中間体ペレットを生成することと、任意選択的に、中間体ペレットを乾燥させることと、第2の熱分解反応器内で中間体ペレットを別々に熱分解して、第2の生体試薬及び熱分解排ガスを生成することと、第2の生体試薬をバイオカーボンペレットとして回収することと、を含む、バイオカーボンペレットを製造するためのプロセスを提供する。いくつかの変形形態は、必ずしも熱分解沈殿物ではない炭素含有凝縮物質材料を利用する同様のプロセスを提供する。本開示は、特に炭素収率及びバイオカーボン特性、例えば反応性に関して、バイオカーボン組成物を製造するための改善されたプロセスを提供する。
【選択図】無し
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイオカーボンペレット組成物であって、前記バイオカーボンペレットが、少なくとも60重量%の固定炭素含有量を含み、前記バイオカーボンペレットが、熱重量分析から決定して、99%の炭素酸化に達するために少なくとも240分を必要とし、前記バイオカーボンペレットの酸素反応性を測定する熱重量分析からの重量損失対時間の熱重量分析グラフに記録され、前記熱重量分析を、純粋な酸素の存在下で、25℃~950℃で40℃/分の温度傾斜を使用して実施する、バイオカーボンペレット。
【請求項2】
前記熱重量分析からの重量損失対時間の前記TGAグラフによると、前記バイオカーボンペレットが、99%の炭素酸化に達するために少なくとも270分を必要とする、請求項1に記載のバイオカーボンペレット。
【請求項3】
前記熱重量分析からの重量損失対時間の前記TGAグラフによると、前記バイオカーボンペレットが、99%の炭素酸化に達するために少なくとも300分を必要とする、請求項1に記載のバイオカーボンペレット。
【請求項4】
熱重量分析をアントラサイト対照サンプルに対して実施し、前記アントラサイト対照サンプルが、99%の炭素酸化に達するための対照時間を必要とし、前記バイオカーボンペレットが99%の炭素酸化に達するために必要な時間が、前記対照時間の約85%~約100%である、請求項1~3のいずれか一項に記載のバイオカーボンペレット。
【請求項5】
前記バイオカーボンペレットが、揮発性炭素を含み、前記TGAグラフが、固定炭素の酸化に関連する第2の炭素酸化レジームによって引き継がれる、揮発性炭素の酸化に関連する第1の炭素酸化レジームを示す、請求項1~4のいずれか一項に記載のバイオカーボンペレット。
【請求項6】
前記熱重量分析が、少なくとも約500℃の温度において前記バイオカーボンペレットについて前記第1の炭素酸化レジーム内で一次導関数曲線ピークを示す、請求項5に記載のバイオカーボンペレット。
【請求項7】
前記バイオカーボンペレットが、少なくとも60重量%の固定炭素を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載のバイオカーボンペレット。
【請求項8】
前記バイオカーボンペレットが、少なくとも70重量%の固定炭素を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載のバイオカーボンペレット。
【請求項9】
前記バイオカーボンペレットが、少なくとも80重量%の固定炭素を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載のバイオカーボンペレット。
【請求項10】
前記バイオカーボンペレットが、少なくとも85重量%の固定炭素を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載のバイオカーボンペレット。
【請求項11】
前記バイオカーボンペレットが、少なくとも90重量%の固定炭素を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載のバイオカーボンペレット。
【請求項12】
前記バイオカーボンペレットが、最大10重量%の灰を含む、請求項1~11のいずれか一項に記載のバイオカーボンペレット。
【請求項13】
前記バイオカーボンペレットが、最大5重量%の灰を含む、請求項1~11のいずれか一項に記載のバイオカーボンペレット。
【請求項14】
前記バイオカーボンペレットが、最大1重量%の灰を含む、請求項1~11のいずれか一項に記載のバイオカーボンペレット。
【請求項15】
前記バイオカーボンペレットが、最大20重量%の総揮発性物質を含む、請求項1~14のいずれか一項に記載のバイオカーボンペレット。
【請求項16】
前記バイオカーボンペレットが、最大10重量%の総揮発性物質を含む、請求項1~14のいずれか一項に記載のバイオカーボンペレット。
【請求項17】
前記バイオカーボンペレットが、結合剤を含む、請求項1~16のいずれか一項に記載のバイオカーボンペレット。
【請求項18】
前記結合剤が、デンプン、熱可塑性デンプン、架橋デンプン、デンプンポリマー、セルロース、セルロースエーテル、ヘミセルロース、メチルセルロース、キトサン、リグニン、ラクトース、スクロース、デキストロース、マルトデキストリン、バナナ粉、小麦粉、小麦デンプン、大豆粉、トウモロコシ粉、木粉、石炭タール、石炭微粉、メトコークス、アスファルト、石炭タールピッチ、石油ピッチ、瀝青、熱分解タール、ギルソナイト、ベントナイト粘土、ホウ砂、石灰石、石灰、ワックス、植物性ワックス、重曹、ベーキングパウダー、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、鉄鉱石精鉱、シリカヒューム、石膏、ポートランドセメント、グアーガム、キサンタンガム、ポリビドン、ポリアクリルアミド、ポリラクチド、フェノール-ホルムアルデヒド樹脂、植物性樹脂、リサイクルされた屋根板、リサイクルされたタイヤ、それらの誘導体、又は前述のものの任意の組み合わせから選択される、請求項17に記載のバイオカーボンペレット。
【請求項19】
前記結合剤が、デンプン、熱可塑性デンプン、架橋デンプン、デンプンポリマー、それらの誘導体、又は前述のものの任意の組み合わせから選択される、請求項17に記載のバイオカーボンペレット。
【請求項20】
前記バイオカーボンペレットが、結合剤を含まない、請求項1~16のいずれか一項に記載のバイオカーボンペレット。
【請求項21】
前記バイオカーボンペレットが、添加剤を含む、請求項1~20のいずれか一項に記載のバイオカーボンペレット。
【請求項22】
前記添加剤が、酸、塩基、又はそれらの塩から選択される、請求項21に記載のバイオカーボンペレット。
【請求項23】
前記添加剤が、金属、金属酸化物、金属水酸化物、金属ハロゲン化物、又はそれらの組み合わせから選択される、請求項21に記載のバイオカーボンペレット。
【請求項24】
前記添加剤が、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、酸化マグネシウム、臭化水素、塩化水素、ケイ酸ナトリウム、過マンガン酸カリウム、マグネシウム、マンガン、アルミニウム、ニッケル、クロム、ケイ素、ホウ素、セリウム、モリブデン、リン、タングステン、バナジウム、ハロゲン化鉄、塩化鉄、臭化鉄、ドロマイト、ドロマイト石灰、蛍石、フルオロスパー、ベントナイト、酸化カルシウム、石灰、二酸化チタン、又はそれらの組み合わせから選択される、請求項21に記載のバイオカーボンペレット。
【請求項25】
前記バイオカーボンペレット中の総炭素が、前記総炭素の
14C/
12C同位体比率の測定から決定して、少なくとも50%再生可能である、請求項1~24のいずれか一項に記載のバイオカーボンペレット。
【請求項26】
前記バイオカーボンペレット中の総炭素が、前記総炭素の
14C/
12C同位体比率の測定から決定して、少なくとも90%再生可能である、請求項1~24のいずれか一項に記載のバイオカーボンペレット。
【請求項27】
前記バイオカーボンペレット中の総炭素が、前記総炭素の
14C/
12C同位体比率の測定から決定して、完全に再生可能である、請求項1~24のいずれか一項に記載のバイオカーボンペレット。
【請求項28】
前記バイオカーボンペレットが、少なくとも30のハードグローブ粉砕性指数によって特徴付けられる、請求項1~27のいずれか一項に記載のバイオカーボンペレット。
【請求項29】
前記バイオカーボンペレットが、乾燥ベースで少なくとも約20lb/ft
3のかさ密度によって特徴付けられる、請求項1~28のいずれか一項に記載のバイオカーボンペレット。
【請求項30】
前記バイオカーボンペレットが、前記バイオカーボンペレットの有効直径として計算される、約1mm~約10cmから選択される平均ペレットサイズを有する、請求項1~29のいずれか一項に記載のバイオカーボンペレット。
【請求項31】
前記バイオカーボンペレットが、球形、円筒形、立方体、八角形、六角形、ハニカム、楕円形、柱形、棒形、枕形、レンズ豆形、ランダムな粒状、又はそれらの組み合わせから選択されるペレット形状を有する、請求項1~30のいずれか一項に記載のバイオカーボンペレット。
【請求項32】
前記バイオカーボンペレットが、少なくとも約100lb
f/in
2の25℃でのペレット圧縮強度によって特徴付けられる、請求項1~31のいずれか一項に記載のバイオカーボンペレット。
【請求項33】
前記バイオカーボンペレットが、少なくとも約150lb
f/in
2の25℃でのペレット圧縮強度によって特徴付けられる、請求項1~31のいずれか一項に記載のバイオカーボンペレット。
【請求項34】
前記バイオカーボンペレットが、水中での24時間の浸漬後に25℃での水取り込みが最大20重量%であることによって特徴付けられる、請求項1~33のいずれか一項に記載のバイオカーボンペレット。
【請求項35】
前記バイオカーボンペレットが、Manual of Tests and Criteria,Seventh revised edition 2019,United Nations,Page 375,33.4.6 Test N.4:“Test method for self-heating substances”に従って自己加熱試験を受けた場合、非自己加熱性として特徴付けられる、請求項1~34のいずれか一項に記載のバイオカーボンペレット。
【請求項36】
前記バイオカーボンペレットを、
(a)第1の熱分解反応器内で、バイオマス含有原料を熱分解し、それによって、第1の生体試薬及び熱分解蒸気を生成することと、
(b)分離ユニットに、前記熱分解蒸気を導入し、それによって、熱分解沈殿物を生成することであって、前記熱分解沈殿物が、液体、固体、又はスラリーの形態である、生成することと、
(c)前記第1の生体試薬を前記熱分解沈殿物と接触させ、それによって、中間体材料を生成することであって、前記中間体材料が、前記第1の生体試薬及び前記熱分解沈殿物を含む、生成することと、
(d)前記中間体材料をペレット化し、それによって、中間体ペレットを生成することと、
(e)任意選択的に、前記中間体ペレットを乾燥させることと、
(f)ステップ(a)とは別に、第2の熱分解反応器内で、前記中間体ペレットを熱分解し、それによって、第2の生体試薬及び熱分解排ガスを生成することであって、前記第1の熱分解反応器及び前記第2の熱分解反応器が、同じ反応器又は異なる反応器である、生成することと、
(g)前記第2の生体試薬を前記バイオカーボンペレットとして回収することと、を含み、
前記第2の生体試薬の固定炭素含有量が、前記第1の生体試薬の固定炭素含有量よりも多く、
熱重量分析によると、前記第2の生体試薬の酸素反応性が前記第1の生体試薬の酸素反応性よりも低く、前記熱重量分析を、純粋な酸素の存在下で、25℃~950℃で40℃/分の温度傾斜を使用して実施する、プロセスによって処理する、請求項1~35のいずれか一項に記載のバイオカーボンペレット。
【請求項36】
前記バイオカーボンペレットを、
(a)第1の熱分解反応器内で、バイオマス含有原料を熱分解し、それによって、第1の生体試薬及び熱分解蒸気を生成することと、
(b)炭素含有凝縮物質材料を提供することであって、前記炭素含有凝縮物質材料が、液体、固体、又はスラリーである、提供することと、
(c)前記第1の生体試薬を前記炭素含有凝縮物質材料と接触させ、それによって、中間体材料を生成することであって、前記中間体材料が、前記第1の生体試薬及び前記炭素含有凝縮物質材料を含む、生成することと、
(d)前記中間体材料をペレット化し、それによって、中間体ペレットを生成することと、
(e)任意選択的に、前記中間体ペレットを乾燥させることと、
(f)ステップ(a)とは別に、第2の熱分解反応器内で、前記中間体ペレットを熱分解し、それによって、第2の生体試薬及び熱分解排ガスを生成することであって、前記第1の熱分解反応器及び前記第2の熱分解反応器が、同じ反応器又は異なる反応器である、生成することと、
(g)前記第2の生体試薬を前記バイオカーボンペレットとして回収することと、を含み、
前記第2の生体試薬の固定炭素含有量が、前記第1の生体試薬の固定炭素含有量よりも多く、
前記第2の生体試薬が、純粋な酸素の存在下で25℃~950℃で40℃/分の温度傾斜を使用した熱重量分析による前記第1の生体試薬の酸素反応性よりも低い、プロセスによって処理する、請求項1~35のいずれか一項に記載のバイオカーボンペレット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年7月9日に出願された米国仮特許出願第63/220,073号の優先利益を主張するものであり、これは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、一般に、高収率バイオカーボン組成物を作製するための熱分解プロセス、及びこれから製造されるバイオカーボン組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
炭素は、多種多様な産業におけるプラットフォーム要素であり、化学、材料、及び燃料用途が膨大にある。炭素は、電気を含むエネルギーを生成するための燃料として使用される。炭素はまた、金属、金属合金、複合材、炭素繊維、電極、及び触媒支持体を含む、様々な商品及び先端材料に対して化学的価値を有する。金属作製のために、炭素は、処理中に金属酸化物を金属に還元するための反応物として、処理のための熱を提供するための燃料として、及び金属合金の成分として有用である。
【0004】
炭素は、炭素質材料の多くの供給源から製造され得る。炭素質材料は、一般に、天然ガス、石油、石炭、及び亜炭などの化石資源、並びにリグノセルロース系バイオマス及び様々な炭素に富む廃棄物などの再生可能な資源を含む。化石資源に関連する経済的、環境的、及び社会的コストが上昇しているため、再生可能なバイオマスを利用して炭素系試薬を製造することが好ましい。
【発明の概要】
【0005】
開示されている技術は、当技術分野における前述の必要性に対処する。
【0006】
いくつかの変形形態は、バイオカーボンペレットを製造するためのプロセスであって、プロセスが、
(a)第1の熱分解反応器内で、バイオマス含有原料を熱分解し、それによって、第1の生体試薬及び熱分解蒸気を生成することと、
(b)分離ユニットに、熱分解蒸気を導入し、それによって、熱分解沈殿物を生成することであって、熱分解沈殿物が、液体、固体、又はスラリーの形態である、生成することと、
(c)第1の生体試薬を熱分解沈殿物と接触させ、それによって、中間体材料を生成することであって、中間体材料が、第1の生体試薬及び熱分解沈殿物を含む、生成することと、
(d)中間体材料をペレット化し、それによって、中間体ペレットを生成することと、
(e)任意選択的に、中間体ペレットを乾燥させることと、
(f)ステップ(a)とは別に、第2の熱分解反応器内で、中間体ペレットを熱分解し、それによって、第2の生体試薬及び熱分解排ガスを生成することであって、第1の熱分解反応器及び第2の熱分解反応器が、同じ反応器又は異なる反応器である、生成することと、
(g)第2の生体試薬をバイオカーボンペレットとして回収することと、を含み、
第2の生体試薬の固定炭素含有量が、第1の生体試薬の固定炭素含有量よりも多く、
熱重量分析によると、第2の生体試薬の酸素反応性が第1の生体試薬の酸素反応性よりも低く、熱重量分析を、純粋な酸素の存在下で、25℃~950℃で40℃/分の温度傾斜を使用して実施される、プロセスを提供する。
【0007】
いくつかの実施形態では、熱重量分析からの重量損失対時間のTGAグラフによると、第2の生体試薬は、第1の生体試薬と比較して、99%の炭素酸化に達するために少なくとも5%長い時間を必要とする。ある特定の実施形態では、TGAグラフによると、第2の生体試薬は、第1の生体試薬と比較して、99%の炭素酸化に達するために少なくとも10%長い時間を必要とする。
【0008】
いくつかの実施形態では、TGAグラフは、固定炭素の酸化に関連する第2の炭素酸化レジームによって引き継がれる、揮発性炭素の酸化に関連する第1の炭素酸化レジームを示す。
【0009】
いくつかの実施形態では、揮発性炭素酸化時間は、第1の炭素酸化レジームの開始から第2の炭素酸化レジームの開始までと定義される。揮発性炭素酸化時間中に、第1の生体試薬の質量損失は、第2の生体試薬の質量損失よりも少なくとも25%又は少なくとも50%大きくてもよい。
【0010】
いくつかの実施形態では、第1の炭素酸化レジーム中に、熱重量分析は、第1の生体試薬の質量損失率が、第1の炭素酸化レジーム中の第2の生体試薬の質量損失率よりも少なくとも25%又は少なくとも50%大きいことを示す。
【0011】
いくつかの実施形態では、熱重量分析は、第1の生体試薬が、第2の炭素酸化レジームと比較して、第1の炭素酸化レジーム中に、少なくとも10%高い平均質量損失率を有することを示す。
【0012】
いくつかの実施形態では、熱重量分析は、少なくとも約500℃の温度において第2の生体試薬について第1の炭素酸化レジーム内で一次導関数曲線ピークを示し、熱重量分析は、200℃~500℃の温度において第1の生体試薬について第1の炭素酸化レジーム内で一次導関数曲線ピークを示す。
【0013】
バイオマス含有原料は、軟材チップ、硬材チップ、材木収穫残渣、木の枝、木の切り株、葉、樹皮、おがくず、トウモロコシ、トウモロコシ茎葉、小麦、小麦わら、イネ、イネわら、サトウキビ、サトウキビバガス、サトウキビわら、エネルギーサトウキビ、サトウダイコン、サトウダイコンパルプ、ヒマワリ、モロコシ、キャノーラ、藻類、ススキ、アルファルファ、スイッチグラス、果物、果物の殻、果物の茎、果物の皮、果物の種子、野菜、野菜の殻、野菜の茎、野菜の皮、野菜の種子、ブドウの搾りかす、アーモンドの殻、ペカンの殻、ココナッツの殻、コーヒー澱、食品廃棄物、商業廃棄物、草ペレット、干し草ペレット、木材ペレット、厚紙、紙、紙パルプ、紙包装、紙の切り屑、食品包装、建築若しくは解体廃棄物、枕木、リグニン、動物性肥料、都市固形廃棄物、都市下水、又はそれらの組み合わせから選択することができる。
【0014】
いくつかの実施形態では、分離ユニットは、凝縮システムを含む。凝縮システムは、複数の段階を有していてもよく、この場合、熱分解沈殿物は、複数の段階のうちの第1の凝縮器段階の凝縮生成物であり得る。熱分解沈殿物は、複数の段階のうちの別の凝縮器段階の凝縮生成物であり得る。
【0015】
様々な実施形態では、分離ユニットは、凝縮システム、液体-蒸気サイクロン分離機、デミスタ、蒸留ユニット、濾過ユニット、膜ユニット、スクラビングユニット、化学沈殿ユニット、液体-液体抽出ユニット、静電集塵ユニット、又はそれらの組み合わせを含む。
【0016】
いくつかの実施形態では、中間体材料は、第1の生体試薬の表面上に吸着された熱分解沈殿物を含む。代替的に又は追加的に、中間体材料は、第1の生体試薬のバルク相内に吸収された熱分解沈殿物を含み得る。
【0017】
熱分解沈殿物は、液体形態、固体形態、又はスラリー形態(液体中の固体の懸濁液を意味するスラリー)であり得る。
【0018】
いくつかの実施形態では、ステップ(c)及び(d)が統合されている。
【0019】
結合剤を中間体材料に導入することができる。結合剤は、デンプン、熱可塑性デンプン、架橋デンプン、デンプンポリマー、セルロース、セルロースエーテル、ヘミセルロース、メチルセルロース、キトサン、リグニン、ラクトース、スクロース、デキストロース、マルトデキストリン、バナナ粉、小麦粉、小麦デンプン、大豆粉、トウモロコシ粉、木粉、石炭タール、石炭微粉、メトコークス、アスファルト、石炭タールピッチ、石油ピッチ、瀝青、熱分解タール、ギルソナイト、ベントナイト粘土、ホウ砂、石灰石、石灰、ワックス、植物性ワックス、重曹、ベーキングパウダー、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、鉄鉱石精鉱、シリカヒューム、石膏、ポートランドセメント、グアーガム、キサンタンガム、ポリビドン、ポリアクリルアミド、ポリラクチド、フェノール-ホルムアルデヒド樹脂、植物性樹脂、リサイクルされた屋根板、リサイクルされたタイヤ、それらの誘導体、又は前述のものの任意の組み合わせから選択することができる。ある特定の実施形態では、結合剤は、デンプン、熱可塑性デンプン、架橋デンプン、デンプンポリマー、それらの誘導体、又は前述のものの任意の組み合わせから選択される。
【0020】
いくつかの実施形態では、外部結合剤をペレット化中に中間体材料に導入しない。(プロセスからの)熱分解沈殿物自体がインサイチュ結合剤として機能し得ることに留意されたい。インサイチュ結合剤は、外部結合剤ではない。
【0021】
いくつかの実施形態では、乾燥のためのステップ(e)を行う。この場合、ステップ(d)及び(e)が統合され得る。追加的に又は代替的に、ステップ(e)及び(f)が統合され得る。
【0022】
いくつかの実施形態では、第1の生体試薬を、ハンマーミル、押出機、アトリションミル、ディスクミル、ピンミル、ボールミル、コーンクラッシャ、ジョークラッシャ、又はそれらの組み合わせから選択される第1の機械的処理装置を利用して粉砕する。
【0023】
いくつかの実施形態では、中間体材料を、ハンマーミル、押出機、アトリションミル、ディスクミル、ピンミル、ボールミル、コーンクラッシャ、ジョークラッシャ、又はそれらの組み合わせから選択される第2の機械的処理装置を利用して粉砕する。
【0024】
いくつかの実施形態では、ステップ(d)は、押出機、リングダイペレットミル、フラットダイペレットミル、ロールコンパクタ、ロールブリケッタ、湿式凝集ミル、乾式凝集ミル、又はそれらの組み合わせから選択されるペレット化装置を利用する。
【0025】
第1の熱分解反応器は、第2の熱分解反応器とは異なり得る。代替的に、第1の熱分解反応器及び第2の熱分解反応器は、同じユニットであり得、ステップ(a)及び(f)をプロセスのキャンペーンモードなどの異なる時間で行う。
【0026】
いくつかの実施形態では、第1の生体試薬は、熱分解沈殿物の固定炭素形成反応のための触媒又は反応マトリックスとして作用する。
【0027】
ステップ(a)を、例えば、約250℃~約700℃から選択される第1の熱分解温度で行うことができる。ステップ(a)を、例えば、約1分~約4時間から選択される第1の熱分解時間にわたって行うことができる。
【0028】
ステップ(f)を、例えば、約300℃~約1250℃から選択される第2の熱分解温度で行うことができる。ステップ(f)を、例えば、約1分~約4時間から選択される第2の熱分解時間にわたって行うことができる。
【0029】
いくつかの実施形態では、熱分解非沈殿物を分離ユニット内で生成し、熱分解非沈殿物を、任意選択的に回収し、少なくとも部分的に酸化して、熱を生成し、熱をプロセス内で任意選択的に使用する。
【0030】
いくつかの実施形態では、熱分解蒸気のうちの一部を少なくとも部分的に酸化して、熱を生成し、熱をプロセス内で任意選択的に使用する。
【0031】
いくつかの実施形態では、熱分解排ガスを少なくとも部分的に酸化して、熱を生成し、熱をプロセス内で任意選択的に使用する。
【0032】
熱分解排ガスを分離ユニットに任意選択的に搬送する。代替的に又は追加的に、熱分解排ガスを、第2の熱分解沈殿物を生成するための効果的な沈殿条件下で動作される第2の分離ユニット(ステップ(b)の分離ユニットとは異なる)に搬送することができ、第2の熱分解沈殿物は、液体、固体、又はスラリーの形態である。プロセスは、第2の熱分解沈殿物を第1の生体試薬又は第2の生体試薬と接触させることを更に含み得る。
【0033】
バイオカーボンペレットは、少なくとも60重量%の固定炭素を含み得る。様々な実施形態では、バイオカーボンペレットは、少なくとも70重量%の固定炭素、少なくとも80重量%の固定炭素、少なくとも85重量%の固定炭素、又は少なくとも90重量%の固定炭素を含む。
【0034】
バイオカーボンペレットは、最大10重量%の灰を含み得る。様々な実施形態では、バイオカーボンペレットは、最大5重量%の灰又は最大1重量%の灰を含む。
【0035】
熱分解沈殿物自体は、最大1重量%の灰を含み得るか、最大0.1重量%の灰を含み得るか、又は灰を本質的に含まない場合がある。低灰熱分解沈殿物は、灰が第1の生体試薬に添加されず、低灰最終製品をもたらすために有益である。
【0036】
いくつかの実施形態では、バイオカーボンペレットは、最大20重量%の総揮発性物質を含む。ある特定の実施形態では、バイオカーボンペレットは、最大10重量%の総揮発性物質を含む。
【0037】
いくつかの実施形態では、熱分解沈殿物中に含まれる少なくとも10重量%の炭素を、バイオカーボンペレット中の固定炭素に変換する。様々な実施形態では、熱分解沈殿物中に含まれる炭素の少なくとも20重量%又は少なくとも50%を、バイオカーボンペレット中の固定炭素に変換する。ある特定の実施形態では、熱分解沈殿物中に含まれる30重量%~90重量%の炭素を、バイオカーボンペレット中の固定炭素に変換する。
【0038】
いくつかの実施形態では、バイオカーボンペレット中の固定炭素の1重量%~50重量%が、熱分解沈殿物に由来する。ある特定の実施形態では、バイオカーボンペレット中の固定炭素の10重量%~40重量%が、熱分解沈殿物に由来する。
【0039】
いくつかの実施形態では、中間体材料は、プロセスのステップ(b)から提供されたものではない追加の熱分解沈殿物を更に含む。
【0040】
ステップ(c)で、全てよりも少ない又は全ての第1の生体試薬を熱分解沈殿物と接触させることができる。ステップ(c)で、全てよりも少ない又は全ての熱分解沈殿物を第1の生体試薬と接触させることができる。
【0041】
いくつかの実施形態では、バイオカーボンペレット中の総炭素は、総炭素の14C/12C同位体比率の測定から決定して、少なくとも50%再生可能である。バイオカーボンペレット中の総炭素は、総炭素の14C/12C同位体比率の測定から決定して、少なくとも90%再生可能であり得る。バイオカーボンペレット中の総炭素は、総炭素の14C/12C同位体比率の測定から決定して、完全に再生可能であり得る。
【0042】
バイオカーボンペレットは、例えば、少なくとも30のハードグローブ粉砕性指数によって特徴付けることができる。
【0043】
バイオカーボンペレットは、例えば、乾燥ベースで少なくとも約20lb/ft3のかさ密度によって特徴付けることができる。
【0044】
バイオカーボンペレットは、例えば、バイオカーボンペレットの有効直径として計算される、約1mm~約10cmから選択される平均ペレットサイズを有し得る。
【0045】
バイオカーボンペレットは、中間体ペレットの有効ペレット直径の10%以内又は5%以内のペレット有効直径を有し得る。他の実施形態では、バイオカーボンペレットは、中間体ペレットの有効ペレット直径の110%超又は90%未満である有効ペレット直径を有する。
【0046】
バイオカーボンペレットは、球形、円筒形、立方体、八角形、六角形、ハニカム、楕円形、柱形、棒形、枕形、レンズ豆形、ランダムな粒状、又はそれらの組み合わせから選択されるペレット形状を有し得る。
【0047】
バイオカーボンペレットは、例えば、少なくとも約100lbf/in2又は少なくとも約150lbf/in2の25℃でのペレット圧縮強度によって特徴付けることができる。
【0048】
バイオカーボンペレットは、水中での24時間の浸漬後に25℃での水取り込みが最大20重量%であることによって特徴付けることができる。
【0049】
バイオカーボンペレットは、Manual of Tests and Criteria,Seventh revised edition 2019,United Nations,Page 375,33.4.6 Test N.4:“Test method for self-heating substances”に従って自己加熱試験を受けた場合、非自己加熱性として特徴付けることができる。
【0050】
プロセスは、プロセス中に添加剤を導入することを更に含み得る。添加剤は、酸、塩基、又はそれらの塩から選択することができる。代替的に又は追加的に、添加剤は、金属、金属酸化物、金属水酸化物、金属ハロゲン化物、又はそれらの組み合わせから選択することができる。いくつかの実施形態では、添加剤は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、酸化マグネシウム、臭化水素、塩化水素、ケイ酸ナトリウム、過マンガン酸カリウム、マグネシウム、マンガン、アルミニウム、ニッケル、クロム、ケイ素、ホウ素、セリウム、モリブデン、リン、タングステン、バナジウム、ハロゲン化鉄、塩化鉄、臭化鉄、ドロマイト、ドロマイト石灰、蛍石、フルオロスパー、ベントナイト、酸化カルシウム、石灰、二酸化チタン、又はそれらの組み合わせから選択される。
【0051】
いくつかの実施形態では、第2の生体試薬の酸素反応性を、第2の生体試薬に添加物を添加することによって低減する。
【0052】
添加剤を、バイオカーボンペレットの濾液pHを調整するように選択することができ、濾液pHを、乾燥ベースで20グラムのバイオカーボンペレット又はその粉末形態を100ミリリットルの蒸留水と合わせて、混合物を形成し、混合物を濾紙で濾過し、pHメータで濾液のpHを測定することによって測定する。
【0053】
添加剤を第2の生体試薬に添加して、第2の生体試薬の濾液pHを調整することができ、濾液pHを、乾燥ベースで20グラムの第2の生体試薬を100ミリリットルの蒸留水と合わせて、混合物を形成し、混合物を濾紙で濾過し、pHメータで濾液のpHを測定することによって測定する。いくつかの実施形態では、添加剤を第2の生体試薬に添加して、第2の生体試薬の濾液pHを低下させる。他の実施形態では、添加剤を第2の生体試薬に添加して、第2の生体試薬の濾液pHを増加させる。
【0054】
いくつかの実施形態では、プロセスは、バイオマス含有原料中に含まれる炭素のパーセンテージとしてのバイオカーボンペレット中に含まれる炭素として計算される、少なくとも50%の全炭素収率を提供する。様々な実施形態では、全炭素収率は、少なくとも60%、少なくとも70%、又は少なくとも80%である。
【0055】
プロセスは、連続的又は半連続的であり得る。
【0056】
いくつかの実施形態では、バイオカーボンペレットを機械的に処理して、バイオカーボン粉末を生成する。代替的に又は追加的に、バイオカーボンペレットを別の量の第2の生体試薬と組み合わせて、バイオカーボン物体を生成することができる。他の量の第2の生体試薬は、例えば、それ自体がペレット形態であり得るか、又は粉末形態であり得る。
【0057】
他の変形形態は、バイオカーボンペレットを製造するためのプロセスであって、プロセスが、
(a)第1の熱分解反応器内で、バイオマス含有原料を熱分解し、それによって、第1の生体試薬及び熱分解蒸気を生成することと、
(b)炭素含有凝縮物質材料を提供することであって、炭素含有凝縮物質材料が、液体、固体、又はスラリーである、提供することと、
(c)第1の生体試薬を炭素含有凝縮物質材料と接触させ、それによって、中間体材料を生成することであって、中間体材料が、第1の生体試薬及び炭素含有凝縮物質材料を含む、生成することと、
(d)中間体材料をペレット化し、それによって、中間体ペレットを生成することと、
(e)任意選択的に、中間体ペレットを乾燥させることと、
(f)ステップ(a)とは別に、第2の熱分解反応器内で、中間体ペレットを熱分解し、それによって、第2の生体試薬及び熱分解排ガスを生成することであって、第1の熱分解反応器及び第2の熱分解反応器が、同じ反応器又は異なる反応器である、生成することと、
(g)第2の生体試薬をバイオカーボンペレットとして回収することと、を含み、
第2の生体試薬の固定炭素含有量が、第1の生体試薬の固定炭素含有量よりも多く、
第2の生体試薬が、純粋な酸素の存在下で25℃~950℃で40℃/分の温度傾斜を使用した熱重量分析による第1の生体試薬の酸素反応性よりも低い、プロセスを提供する。
【0058】
いくつかの実施形態では、熱重量分析からの重量損失対時間のTGAグラフによると、第2の生体試薬は、第1の生体試薬と比較して、99%の酸化に達するために少なくとも5%又は少なくとも10%長い時間を必要とする。
【0059】
いくつかの実施形態では、TGAグラフは、固定炭素の酸化に関連する第2の炭素酸化レジームによって引き継がれる、揮発性炭素の酸化に関連する第1の炭素酸化レジームを示す。
【0060】
いくつかの実施形態では、揮発性炭素酸化時間は、第1の炭素酸化レジームの開始から第2の炭素酸化レジームの開始までと定義される。揮発性炭素酸化時間中に、第1の生体試薬は、第2の生体試薬と比較して少なくとも25%又は少なくとも50%の質量損失を有し得る。
【0061】
いくつかの実施形態では、熱重量分析は、第1の生体試薬が、第1の炭素酸化レジーム中の第2の生体試薬の質量損失率よりも少なくとも25%又は少なくとも50%高い、第1の炭素酸化レジーム中の質量損失率を有することを示す。
【0062】
いくつかの実施形態では、熱重量分析は、第1の生体試薬が、第2の炭素酸化レジームと比較して、第1の炭素酸化レジーム中に、少なくとも10%高い平均質量損失率を有することを示す。
【0063】
いくつかの実施形態では、熱重量分析は、少なくとも約500℃の温度において第2の生体試薬について第1の炭素酸化レジーム内で一次導関数曲線ピークを示し、熱重量分析は、200℃~500℃の温度において第1の生体試薬について第1の炭素酸化レジーム内で一次導関数曲線ピークを示す。
【0064】
バイオマス含有原料は、軟材チップ、硬材チップ、材木収穫残渣、木の枝、木の切り株、葉、樹皮、おがくず、トウモロコシ、トウモロコシ茎葉、小麦、小麦わら、イネ、イネわら、サトウキビ、サトウキビバガス、サトウキビわら、エネルギーサトウキビ、サトウダイコン、サトウダイコンパルプ、ヒマワリ、モロコシ、キャノーラ、藻類、ススキ、アルファルファ、スイッチグラス、果物、果物の殻、果物の茎、果物の皮、果物の種子、野菜、野菜の殻、野菜の茎、野菜の皮、野菜の種子、ブドウの搾りかす、アーモンドの殻、ペカンの殻、ココナッツの殻、コーヒー澱、食品廃棄物、商業廃棄物、草ペレット、干し草ペレット、木材ペレット、厚紙、紙、紙パルプ、紙包装、紙の切り屑、食品包装、建築若しくは解体廃棄物、枕木、リグニン、動物性肥料、都市固形廃棄物、都市下水、又はそれらの組み合わせから選択することができる。
【0065】
いくつかの実施形態では、炭素含有凝縮物質材料は、熱分解蒸気に由来する熱分解沈殿物である。他の実施形態では、炭素含有凝縮物質材料は、異なるプロセスから外部的に提供された熱分解沈殿物である。熱分解沈殿物はまた、前述のものの混合物であり得る。
【0066】
いくつかの実施形態では、炭素含有凝縮物質材料は、芳香族種を含む。例えば、炭素含有凝縮物質材料は、規格外又は廃棄芳香族流であり得る。ある特定の実施形態では、カーボン含有凝縮物質材料は、リグニンを含む。
【0067】
いくつかの実施形態では、カーボン含有凝縮物質は、糖又は糖分解生成物を含む。
【0068】
いくつかの実施形態では、カーボン含有凝縮物質材料は、ポリマー又はポリマー分解生成物を含む。
【0069】
いくつかの実施形態では、炭素含有凝縮物質材料は、合成ガスの化学反応によって生成された液体生成物を含み、合成ガスは、熱分解蒸気又は熱分解排ガスから任意選択的に得られる。
【0070】
いくつかの実施形態では、炭素含有凝縮物質材料は、14C/12C同位体比率の測定から決定して、少なくとも50%、少なくとも90%、又は100%(完全に)再生可能な炭素を含む。
【0071】
いくつかの実施形態では、中間体材料は、第1の生体試薬の表面上に吸着された炭素含有凝縮物質材料を含む。代替的に又は追加的に、中間体材料は、第1の生体試薬のバルク相内に吸収された炭素含有凝縮物質材料を含み得る。
【0072】
いくつかの実施形態では、ステップ(c)及び(d)が統合されている。
【0073】
いくつかの実施形態では、結合剤を中間体材料に導入する。結合剤は、デンプン、熱可塑性デンプン、架橋デンプン、デンプンポリマー、セルロース、セルロースエーテル、ヘミセルロース、メチルセルロース、キトサン、リグニン、ラクトース、スクロース、デキストロース、マルトデキストリン、バナナ粉、小麦粉、小麦デンプン、大豆粉、トウモロコシ粉、木粉、石炭タール、石炭微粉、メトコークス、アスファルト、石炭タールピッチ、石油ピッチ、瀝青、熱分解タール、ギルソナイト、ベントナイト粘土、ホウ砂、石灰石、石灰、ワックス、植物性ワックス、重曹、ベーキングパウダー、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、鉄鉱石精鉱、シリカヒューム、石膏、ポートランドセメント、グアーガム、キサンタンガム、ポリビドン、ポリアクリルアミド、ポリラクチド、フェノール-ホルムアルデヒド樹脂、植物性樹脂、リサイクルされた屋根板、リサイクルされたタイヤ、それらの誘導体、又は前述のものの任意の組み合わせから選択することができる。ある特定の実施形態では、結合剤は、デンプン、熱可塑性デンプン、架橋デンプン、デンプンポリマー、それらの誘導体、又は前述のものの任意の組み合わせから選択される。
【0074】
いくつかの実施形態では、外部結合剤をペレット化中に中間体材料に導入しない。(プロセスからの)熱分解沈殿物自体がインサイチュ結合剤として機能し得ることに留意されたい。インサイチュ結合剤は、外部結合剤ではない。
【0075】
いくつかの実施形態では、乾燥のためのステップ(e)を行う。ステップ(e)を行う場合、ステップ(d)及び(e)が統合され得る。また、ステップ(e)を行う場合、ステップ(e)及び(f)が統合され得る。
【0076】
いくつかの実施形態では、第1の生体試薬を、ハンマーミル、押出機、アトリションミル、ディスクミル、ピンミル、ボールミル、コーンクラッシャ、ジョークラッシャ、又はそれらの組み合わせから選択される第1の機械的処理装置を利用して粉砕する。
【0077】
いくつかの実施形態では、中間体材料を、ハンマーミル、押出機、アトリションミル、ディスクミル、ピンミル、ボールミル、コーンクラッシャ、ジョークラッシャ、又はそれらの組み合わせから選択される第2の機械的処理装置を利用して粉砕する。
【0078】
いくつかの実施形態では、ステップ(d)は、押出機、リングダイペレットミル、フラットダイペレットミル、ロールコンパクタ、ロールブリケッタ、湿式凝集ミル、乾式凝集ミル、又はそれらの組み合わせから選択されるペレット化装置を利用する。
【0079】
いくつかの実施形態では、第1の熱分解反応器は、第2の熱分解反応器とは異なる。代替的に、第1の熱分解反応器及び第2の熱分解反応器は、同じユニットであり得、ステップ(a)及び(f)を異なる時間で行う。
【0080】
いくつかの実施形態では、第1の生体試薬は、炭素含有凝縮物質の固定炭素形成反応のための触媒又は反応マトリックスとして作用する。
【0081】
いくつかの実施形態では、ステップ(a)を、約250℃~約700℃から選択される第1の熱分解温度で、又は約1分~約4時間から選択される第1の熱分解時間にわたって行う。
【0082】
いくつかの実施形態では、ステップ(f)を、約300℃~約1250℃から選択される第2の熱分解温度で、又は約1分~約4時間から選択される第2の熱分解時間にわたって行う。
【0083】
いくつかの実施形態では、熱分解蒸気を少なくとも部分的に酸化して、熱を生成し、熱をプロセス内で任意選択的に使用する。
【0084】
いくつかの実施形態では、熱分解排ガスを少なくとも部分的に酸化して、熱を生成し、熱をプロセス内で任意選択的に使用する。
【0085】
いくつかの実施形態では、熱分解排ガスを、第2の熱分解沈殿物を生成するための効果的な沈殿条件下で動作される分離ユニットに搬送し、第2の熱分解沈殿物は、液体又は固体の形態である。ある特定の実施形態では、プロセスは、第1の生体試薬を第2の熱分解沈殿物と接触させることを更に含む。ある特定の実施形態では、プロセスは、第2の生体試薬を第2の熱分解沈殿物と接触させることを更に含む。
【0086】
いくつかの実施形態では、バイオカーボンペレットは、少なくとも60重量%の固定炭素を含む。ある特定の実施形態では、バイオカーボンペレットは、少なくとも70重量%、少なくとも80重量%、少なくとも85重量%、又は少なくとも90重量%の固定炭素を含む。
【0087】
いくつかの実施形態では、バイオカーボンペレットは、最大10重量%の灰を含む。ある特定の実施形態では、バイオカーボンペレットは、最大5重量%の灰又は最大1重量%の灰を含む。
【0088】
いくつかの実施形態では、バイオカーボンペレットは、最大20重量%の総揮発性物質、例えば、最大10重量%の総揮発性物質を含む。
【0089】
いくつかの実施形態では、炭素含有凝縮物質材料中の炭素の少なくとも25重量%、少なくとも50重量%、又は少なくとも75重量%を、バイオカーボンペレット中の固定炭素に変換する。
【0090】
いくつかの実施形態では、バイオカーボンペレット中の固定炭素の1重量%~50重量%が、炭素含有凝縮物質材料に由来する。ある特定の実施形態では、バイオカーボンペレット中の固定炭素の10重量%~40重量%が、炭素含有凝縮物質材料に由来する。
【0091】
いくつかの実施形態では、ステップ(c)では、全てよりも少ない又は全ての第1の生体試薬を炭素含有凝縮物質材料と接触させる。
【0092】
いくつかの実施形態では、ステップ(c)では、全てよりも少ない又は全ての炭素含有凝縮物質を第1の生体試薬と接触させる。
【0093】
いくつかの実施形態では、バイオカーボンペレット中の総炭素は、総炭素の14C/12C同位体比率の測定から決定して、少なくとも50%再生可能である。ある実施形態では、バイオカーボンペレット中の総炭素は、総炭素の14C/12C同位体比率の測定から決定して、少なくとも90%再生可能であるか、又は完全に再生可能である。
【0094】
いくつかの実施形態では、バイオカーボンペレットは、少なくとも30のハードグローブ粉砕性指数によって特徴付けられる。
【0095】
いくつかの実施形態では、バイオカーボンペレットは、乾燥ベースで少なくとも約20lb/ft3のかさ密度によって特徴付けられる。
【0096】
いくつかの実施形態では、バイオカーボンペレットは、バイオカーボンペレットの有効直径として計算される、約1mm~約10cmから選択される平均ペレットサイズを有する。
【0097】
バイオカーボンペレットは、中間体ペレットの有効ペレット直径の10%以内又は5%以内のペレット有効直径を有し得る。他の実施形態では、バイオカーボンペレットは、中間体ペレットの有効ペレット直径の110%超又は90%未満である有効ペレット直径を有する。
【0098】
いくつかの実施形態では、バイオカーボンペレットは、球形、円筒形、立方体、八角形、六角形、ハニカム、楕円形、柱形、棒形、枕形、レンズ豆形、ランダムな粒状、又はそれらの組み合わせから選択されるペレット形状を有する。
【0099】
いくつかの実施形態では、バイオカーボンペレットは、少なくとも約100lbf/in2の25℃でのペレット圧縮強度によって特徴付けられる。
【0100】
いくつかの実施形態では、バイオカーボンペレットは、少なくとも約150lbf/in2の25℃でのペレット圧縮強度によって特徴付けられる。
【0101】
いくつかの実施形態では、バイオカーボンペレットは、水中での24時間の浸漬後に25℃での水取り込みが最大20重量%であることによって特徴付けられる。
【0102】
いくつかの実施形態では、バイオカーボンペレットは、Manual of Tests and Criteria,Seventh revised edition 2019,United Nations,Page 375,33.4.6 Test N.4:“Test method for self-heating substances”に従って自己加熱試験を受けた場合、非自己加熱性として特徴付けられる。
【0103】
いくつかの実施形態では、プロセスは、プロセス中に添加剤を導入することを更に含む。添加剤は、酸、塩基、又はそれらの塩から選択することができる。添加剤は、金属、金属酸化物、金属水酸化物、金属ハロゲン化物、又はそれらの組み合わせから選択することができる。例えば、添加剤は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、酸化マグネシウム、臭化水素、塩化水素、ケイ酸ナトリウム、過マンガン酸カリウム、マグネシウム、マンガン、アルミニウム、ニッケル、クロム、ケイ素、ホウ素、セリウム、モリブデン、リン、タングステン、バナジウム、ハロゲン化鉄、塩化鉄、臭化鉄、ドロマイト、ドロマイト石灰、蛍石、フルオロスパー、ベントナイト、酸化カルシウム、石灰、二酸化チタン、又はそれらの組み合わせから選択することができる。
【0104】
添加剤を、バイオカーボンペレットの濾液pHを調整するように選択することができ、濾液pHを、乾燥ベースで20グラムのバイオカーボンペレット又はその粉末形態を100ミリリットルの蒸留水と合わせて、混合物を形成し、混合物を濾紙で濾過し、pHメータで濾液のpHを測定することによって測定する。
【0105】
添加剤を第2の生体試薬に添加して、第2の生体試薬の濾液pHを調整することができ、濾液pHを、乾燥ベースで20グラムの第2の生体試薬を100ミリリットルの蒸留水と合わせて、混合物を形成し、混合物を濾紙で濾過し、pHメータで濾液のpHを測定することによって測定する。添加剤を第2の生体試薬に添加して、第2の生体試薬の濾液pHを低下させることができる。代替的に、添加剤を第2の生体試薬に添加して、第2の生体試薬の濾液pHを増加させることができる。添加剤をpH調整とは異なる理由で添加する場合、第2の生体試薬に添加される添加剤は、第2の生体試薬の濾液pHに変化をもたらし得ない。
【0106】
いくつかの実施形態では、第2の生体試薬の酸素反応性を、第2の生体試薬に添加物を添加することによって低減する。
【0107】
いくつかの実施形態では、プロセスは、バイオマス含有原料中の炭素と炭素含有凝縮物質材料中の炭素との合計のパーセンテージとしてのバイオカーボンペレット中に含まれる炭素として計算される、少なくとも50%の全炭素収率を提供する。ある特定の実施形態では、全炭素収率は、少なくとも60%、少なくとも70%、又は少なくとも80%である。
【0108】
プロセスは、連続的又は半連続的であり得る。
【0109】
任意選択的に、バイオカーボンペレットを、これを形成した後に、機械的に処理して、バイオカーボン粉末を生成する。
【0110】
任意選択的に、バイオカーボンペレットを別の量の第2の生体試薬と組み合わせて、バイオカーボン物体を生成する。
【0111】
いくつかの変形形態は、少なくとも60重量%の固定炭素含有量を有する固定炭素を含むバイオカーボンペレットであって、バイオカーボンペレットが、バイオカーボンペレットの酸素反応性を測定する熱重量分析によって特徴付けられ、熱重量分析が、純粋な酸素の存在下で、25℃~950℃で40℃/分の温度傾斜を使用して実施され、重量損失対時間の熱重量分析グラフ(「TGAグラフ」)によると、バイオカーボンペレットが、99%の炭素酸化に達するために少なくとも240分を必要とする、バイオカーボンペレットを提供する。
【0112】
バイオカーボンペレットのいくつかの実施形態では、純粋な酸素の存在下で、25℃~950℃で40℃/分の温度傾斜を使用して実施された熱重量分析からの重量損失対時間のTGAグラフによると、バイオカーボンペレットは、99%の炭素酸化に達するために、少なくとも250分、260分、270分、280分、290分、300分、310分、又は320分を必要とする。
【0113】
いくつかの実施形態では、熱重量分析をアントラサイト対照サンプルに対して実施し、アントラサイト対照サンプルは、99%の炭素酸化に達するための対照時間を必要とし、バイオカーボンペレットが99%の炭素酸化に達するために必要な時間は、対照時間の約85%~約100%である。様々な実施形態では、バイオカーボンペレットが99%の炭素酸化に達するために必要な時間は、対照時間の約90%~約100%、例えば、約95%~約98%である。
【0114】
いくつかの実施形態では、バイオカーボンペレットは、揮発性炭素を含み、TGAグラフは、固定炭素の酸化に関連する第2の炭素酸化レジームによって引き継がれる、揮発性炭素の酸化に関連する第1の炭素酸化レジームを示す。ある特定の実施形態では、熱重量分析は、少なくとも約500℃の温度においてバイオカーボンペレットについて第1の炭素酸化レジーム内で一次導関数曲線ピークを示す。
【0115】
いくつかの実施形態では、バイオカーボンペレットは、少なくとも60重量%の固定炭素、少なくとも70重量%の固定炭素、少なくとも80重量%の固定炭素、少なくとも85重量%の固定炭素、又は少なくとも90重量%の固定炭素を含む。
【0116】
いくつかの実施形態では、バイオカーボンペレットは、最大10重量%の灰、最大5重量%の灰、又は最大1重量%の灰を含む。
【0117】
いくつかの実施形態では、バイオカーボンペレットは、最大20重量%の総揮発性物質、又は最大10重量%の総揮発性物質を含む。
【0118】
いくつかの実施形態では、バイオカーボンペレットは、結合剤を含む。結合剤は、デンプン、熱可塑性デンプン、架橋デンプン、デンプンポリマー、セルロース、セルロースエーテル、ヘミセルロース、メチルセルロース、キトサン、リグニン、ラクトース、スクロース、デキストロース、マルトデキストリン、バナナ粉、小麦粉、小麦デンプン、大豆粉、トウモロコシ粉、木粉、石炭タール、石炭微粉、メトコークス、アスファルト、石炭タールピッチ、石油ピッチ、瀝青、熱分解タール、ギルソナイト、ベントナイト粘土、ホウ砂、石灰石、石灰、ワックス、植物性ワックス、重曹、ベーキングパウダー、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、鉄鉱石精鉱、シリカヒューム、石膏、ポートランドセメント、グアーガム、キサンタンガム、ポリビドン、ポリアクリルアミド、ポリラクチド、フェノール-ホルムアルデヒド樹脂、植物性樹脂、リサイクルされた屋根板、リサイクルされたタイヤ、それらの誘導体、又は前述のものの任意の組み合わせから選択することができる。ある特定の実施形態では、結合剤は、デンプン、熱可塑性デンプン、架橋デンプン、デンプンポリマー、それらの誘導体、又は前述のものの任意の組み合わせから選択される。
【0119】
いくつかの実施形態では、バイオカーボンペレットは、結合剤を含まない。いくつかの実施形態では、バイオカーボンペレットは、熱分解沈殿物以外の結合剤を含まない。
【0120】
いくつかの実施形態では、バイオカーボンペレットは、添加剤を含む。添加剤は、酸、塩基、又はそれらの塩から選択することができる。添加剤は、金属、金属酸化物、金属水酸化物、金属ハロゲン化物、又はそれらの組み合わせから選択することができる。様々な実施形態では、添加剤は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、酸化マグネシウム、臭化水素、塩化水素、ケイ酸ナトリウム、過マンガン酸カリウム、マグネシウム、マンガン、アルミニウム、ニッケル、クロム、ケイ素、ホウ素、セリウム、モリブデン、リン、タングステン、バナジウム、ハロゲン化鉄、塩化鉄、臭化鉄、ドロマイト、ドロマイト石灰、蛍石、フルオロスパー、ベントナイト、酸化カルシウム、石灰、二酸化チタン、又はそれらの組み合わせから選択される。
【0121】
いくつかの実施形態では、バイオカーボンペレット中の総炭素は、総炭素の14C/12C同位体比率の測定から決定して、少なくとも50%、少なくとも90%、又は完全に再生可能である。
【0122】
いくつかの実施形態では、バイオカーボンペレットは、少なくとも30のハードグローブ粉砕性指数によって特徴付けられる。
【0123】
いくつかの実施形態では、バイオカーボンペレットは、乾燥ベースで少なくとも約20lb/ft3のかさ密度によって特徴付けられる。
【0124】
いくつかの実施形態では、バイオカーボンペレットは、バイオカーボンペレットの有効直径として計算される、約1mm~約10cmから選択される平均ペレットサイズを有する。
【0125】
いくつかの実施形態では、バイオカーボンペレットは、球形、円筒形、立方体、八角形、六角形、ハニカム、楕円形、柱形、棒形、枕形、レンズ豆形、ランダムな粒状、又はそれらの組み合わせから選択されるペレット形状を有する。
【0126】
いくつかの実施形態では、バイオカーボンペレットは、少なくとも約100lbf/in2又は少なくとも約150lbf/in2の25℃でのペレット圧縮強度によって特徴付けられる。
【0127】
いくつかの実施形態では、バイオカーボンペレットは、水中での24時間の浸漬後に25℃での水取り込みが最大20重量%であることによって特徴付けられる。
【0128】
いくつかの実施形態では、バイオカーボンペレットは、Manual of Tests and Criteria,Seventh revised edition 2019,United Nations,Page 375,33.4.6 Test N.4:“Test method for self-heating substances”に従って自己加熱試験を受けた場合、非自己加熱性として特徴付けられる。
【0129】
バイオカーボンペレットを、
(a)第1の熱分解反応器内で、バイオマス含有原料を熱分解し、それによって、第1の生体試薬及び熱分解蒸気を生成することと、
(b)分離ユニットに、熱分解蒸気を導入し、それによって、熱分解沈殿物を生成することであって、熱分解沈殿物が、液体、固体、又はスラリーの形態である、生成することと、
(c)第1の生体試薬を熱分解沈殿物と接触させ、それによって、中間体材料を生成することであって、中間体材料が、第1の生体試薬及び熱分解沈殿物を含む、生成することと、
(d)中間体材料をペレット化し、それによって、中間体ペレットを生成することと、
(e)任意選択的に、中間体ペレットを乾燥させることと、
(f)ステップ(a)とは別に、第2の熱分解反応器内で、中間体ペレットを熱分解し、それによって、第2の生体試薬及び熱分解排ガスを生成することであって、第1の熱分解反応器及び第2の熱分解反応器が、同じ反応器又は異なる反応器である、生成することと、
(g)第2の生体試薬をバイオカーボンペレットとして回収することと、を含み、
第2の生体試薬の固定炭素含有量が、第1の生体試薬の固定炭素含有量よりも多く、
熱重量分析によると、第2の生体試薬の酸素反応性が第1の生体試薬の酸素反応性よりも低く、熱重量分析を、純粋な酸素の存在下で、25℃~950℃で40℃/分の温度傾斜を使用して実施する、プロセスによって製造することができる。
【0130】
バイオカーボンペレットを、
(a)第1の熱分解反応器内で、バイオマス含有原料を熱分解し、それによって、第1の生体試薬及び熱分解蒸気を生成することと、
(b)炭素含有凝縮物質材料を提供することであって、炭素含有凝縮物質材料が、液体、固体、又はスラリーである、提供することと、
(c)第1の生体試薬を炭素含有凝縮物質材料と接触させ、それによって、中間体材料を生成することであって、中間体材料が、第1の生体試薬及び炭素含有凝縮物質材料を含む、生成することと、
(d)中間体材料をペレット化し、それによって、中間体ペレットを生成することと、
(e)任意選択的に、中間体ペレットを乾燥させることと、
(f)ステップ(a)とは別に、第2の熱分解反応器内で、中間体ペレットを熱分解し、それによって、第2の生体試薬及び熱分解排ガスを生成することであって、第1の熱分解反応器及び第2の熱分解反応器が、同じ反応器又は異なる反応器である、生成することと、
(g)第2の生体試薬をバイオカーボンペレットとして回収することと、を含み、
第2の生体試薬の固定炭素含有量が、第1の生体試薬の固定炭素含有量よりも多く、
第2の生体試薬が、純粋な酸素の存在下で25℃~950℃で40℃/分の温度傾斜を使用した熱重量分析による第1の生体試薬の酸素反応性よりも低い、プロセスによって製造することができる。
【0131】
いくつかの変形形態は、少なくとも60重量%の固定炭素含有量を有する固定炭素を含むバイオカーボン組成物であって、バイオカーボン組成物が、バイオカーボンペレットの酸素反応性を測定する熱重量分析によって特徴付けられ、熱重量分析が、純粋な酸素の存在下で、25℃~950℃で40℃/分の温度傾斜を使用して実施され、熱重量分析からの重量損失対時間のTGAグラフによると、バイオカーボンペレットが、99%の炭素酸化に達するために少なくとも240分を必要とする、バイオカーボン組成物を提供する。
【0132】
バイオカーボン組成物(例えば、粉末)を、
(a)第1の熱分解反応器内で、バイオマス含有原料を熱分解し、それによって、第1の生体試薬及び熱分解蒸気を生成することと、
(b)分離ユニットに、熱分解蒸気を導入し、それによって、熱分解沈殿物を生成することであって、熱分解沈殿物が、液体、固体、又はスラリーの形態である、生成することと、
(c)第1の生体試薬を熱分解沈殿物と接触させ、それによって、中間体材料を生成することであって、中間体材料が、第1の生体試薬及び熱分解沈殿物を含む、生成することと、
(d)ステップ(a)とは別に、第2の熱分解反応器内で、中間体材料を熱分解し、それによって、第2の生体試薬及び熱分解排ガスを生成することであって、第1の熱分解反応器及び第2の熱分解反応器が、同じ反応器又は異なる反応器である、生成することと、
(e)第2の生体試薬をバイオカーボン組成物として回収することと、を含み、
第2の生体試薬の固定炭素含有量が、第1の生体試薬の固定炭素含有量よりも多く、
熱重量分析によると、第2の生体試薬の酸素反応性が第1の生体試薬の酸素反応性よりも低く、熱重量分析を、純粋な酸素の存在下で、25℃~950℃で40℃/分の温度傾斜を使用して実施する、プロセスによって製造することができる。
【0133】
バイオカーボン組成物(例えば、粉末)を、
(a)第1の熱分解反応器内で、バイオマス含有原料を熱分解し、それによって、第1の生体試薬及び熱分解蒸気を生成することと、
(b)炭素含有凝縮物質材料を提供することであって、炭素含有凝縮物質材料が、液体、固体、又はスラリーである、提供することと、
(c)第1の生体試薬を炭素含有凝縮物質材料と接触させ、それによって、中間体材料を生成することであって、中間体材料が、第1の生体試薬及び炭素含有凝縮物質材料を含む、生成することと、
(d)ステップ(a)とは別に、第2の熱分解反応器内で、中間体材料を熱分解し、それによって、第2の生体試薬及び熱分解排ガスを生成することであって、第1の熱分解反応器及び第2の熱分解反応器が、同じ反応器又は異なる反応器である、生成することと、
(e)第2の生体試薬をバイオカーボン組成物として回収することと、を含み、
第2の生体試薬の固定炭素含有量が、第1の生体試薬の固定炭素含有量よりも多く、
第2の生体試薬が、純粋な酸素の存在下で25℃~950℃で40℃/分の温度傾斜を使用した熱重量分析による第1の生体試薬の酸素反応性よりも低い、プロセスによって製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0134】
【
図1】バイオマスを第1の熱分解反応器内で熱分解して、生体試薬及び熱分解蒸気を生成する、プロセス及びシステムの例示的なブロックフロー図を描示する。熱分解蒸気を、熱分解沈殿物及び熱分解非沈殿物を生成する分離ユニットに送る。熱分解沈殿物を任意選択的な混合ユニットに供給し、そこに生体試薬も供給する。組み合わされた材料をペレット化ユニットに送って、中間体ペレットを生成する。代替的に、混合ユニットはなく、熱分解沈殿物及び生体試薬をペレット化ユニットに直接供給する。結合剤をペレット化ユニットに任意選択的に添加する。次いで、ペレットを、バイオカーボン製品を生成する第2の熱分解反応器に供給する。第2の熱分解反応器はまた、熱分解排ガスを生成し、これを、リサイクルすることができる(例えば、分離ユニットに戻すことができる)か、又は別の方法で処理することができる(例えば、燃焼させることができる)。点線のボックス及び線は、それぞれ、任意選択的なユニット及び流れを示す。
【0135】
【
図2】バイオマスを第1の熱分解反応器内で熱分解して、生体試薬及び熱分解蒸気を生成する、プロセス及びシステムの例示的なブロックフロー図を描示する。炭素含有凝縮物質材料を任意選択的な混合ユニットに供給し、そこに生体試薬も供給する。組み合わされた材料をペレット化ユニットに送って、中間体ペレットを生成する。代替的に、混合ユニットはなく、炭素含有凝縮物質材料及び生体試薬をペレット化ユニットに直接供給する。結合剤をペレット化ユニットに任意選択的に添加する。次いで、ペレットを、バイオカーボン製品を生成する第2の熱分解反応器に供給する。点線のボックス及び線は、それぞれ、任意選択的なユニット及び流れを示す。
【0136】
【
図3】熱分解タール炭化なしのバイオカーボンペレットのプロファイルと比較した、熱分解タール炭化ありの実施例1のバイオカーボンペレットのTGA結果を示す。
【0137】
【
図4】アントラサイト対照サンプルと比較した、それらの酸素反応性を特徴付けするための、実施例2のサンプルのTGA結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0138】
いくつかの変形形態は、生体試薬をペレット化し、熱分解蒸気に由来する熱分解沈殿物を同時に又は順次添加することによって、ペレット化された固体が、固定炭素を形成する反応を強化し、それによって、固定炭素の収率を大幅に増加させるという発見を前提としている。また、製造されたバイオカーボンペレットは、多くの商業的用途のために、最適化された反応性、特に、低減された酸素反応性を有することが見出されている。
【0139】
バイオマスは、生物学的に製造された物質又は生体物質を説明するために使用される用語である。バイオマスに含まれる化学エネルギーは、光合成の自然プロセスを使用する太陽エネルギーに由来する。光合成は、植物が、それらの周囲から二酸化炭素及び水を取り込み、日光からのエネルギーを使用して、これらを、糖、デンプン、セルロース、ヘミセルロース、及びリグニンに変換するプロセスである。全ての再生可能なエネルギー供給源のうち、バイオマスは、それが効果的に貯蔵された太陽エネルギーであるという点で独特である。更に、バイオマスは、唯一の再生可能な炭素供給源である。
【0140】
バイオマス原料を高炭素質材料にするための種々の変換技術が存在する。熱分解は、酸化剤(空気若しくは酸素)の完全な非存在下で、かつ酸化が感知できる程度に起こらないような制限された供給で、固体材料を熱変換するためのプロセスである。プロセス条件及び添加剤に応じて、バイオマス熱分解を調節して、広く変動する量のガス、液体、及び固体を生成することができる。より低いプロセス温度及びより長い蒸気滞留時間は、固体の生成に有利である。高温及びより長い滞留時間は、合成ガスへのバイオマス変換を増加させ、中程度の温度及び短い蒸気滞留時間は、一般に、液体を生成するために最適である。歴史的に、木材のゆっくりとした熱分解は、大きなパイルにおいて、単純なバッチプロセスで、排出制御なしに実施されてきた。伝統的な木炭作製技術は、エネルギー効率が悪いばかりでなく、汚染性が高い。
【0141】
特に炭素収率及びバイオカーボン特性、例えば反応性に関して、バイオカーボン組成物を製造するための改善又は最適化されたプロセスが所望される。
【0142】
この説明は、当業者が本発明を作製及び使用することを可能にし、本発明のいくつかの実施形態、適合、変形形態、代替、及び使用を説明する。本発明のこれら及び他の実施形態、特徴、及び利点は、添付の図面と併せて本開示の以下の詳細な説明を参照すると、当業者にはより明らかになるであろう。
【0143】
技術的な開示を可能にする目的で、様々な説明、仮説、理論、推測、仮定などが開示される。本発明は、実際に真であるこれらのいずれにも依存しない。この詳細な説明における説明、仮説、理論、推測、又は仮定のいずれも、本発明の範囲を何ら限定するものと解釈されるべきではない。
【0144】
定義
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈が明らかにそうでないことを示さない限り、複数の指示対象を含む。別途定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術的及び科学的用語は、本発明が属する当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。
【0145】
別段の指示がない限り、本明細書及び特許請求の範囲で使用される反応条件、化学量論、成分の濃度などを表す全ての数字は、全ての場合において「約」という用語によって修飾されるものとして理解されるべきである。したがって、そうでないと示されない限り、以下の明細書及び添付の特許請求の範囲に記載される数値パラメータは、少なくとも特定の分析技術に応じて変動し得る近似値である。
【0146】
本明細書で使用される場合、「約」という用語は、別段の指示がない限り、示された範囲、値、又は構造の±20%を意味する。
【0147】
本明細書で使用される場合、任意の濃度範囲、百分率範囲、比範囲、又は整数範囲は、別段の指示がない限り、列挙されている範囲内の任意の整数の値、及び適切な場合、その分数(整数の10分の1及び100分の1など)を含むと理解されるべきである。また、本明細書に列挙されている任意の数の範囲は、別段の指示がない限り、列挙されている範囲内の任意の整数を含むと理解されるべきである。
【0148】
本明細書で使用される場合、「約~からの範囲又はそれらの間の範囲」、例えば、「約X、Y、若しくはZからの範囲又はそれらの間の範囲」は、「少なくともX~最大Z」を含む。
【0149】
「含む(including)」、「含有する(containing)」、又は「~によって特徴付けられる(characterized by)」と同義である用語「含む(comprising)」は、包括的又はオープンエンドであり、追加の列挙されていない要素又は方法ステップを除外しない。「含む(comprising)」は、指定された請求項要素が必須であることを意味する請求項文言において使用される技術用語であるが、他の請求項要素を追加することができ、依然として請求項の範囲内の構成物を形成することができる。
【0150】
本明細書で使用される場合、「からなる(consisting of)」は、請求項に指定されていない任意の要素、ステップ、又は成分を除外する。「からなる(consists of)」という句(又はその変形)が、プリアンブルの直後ではなく、請求項の本文の節に現れる場合、その句は、その節に記載された要素のみを限定し、他の要素も全体として請求項から除外されない。本明細書で使用される場合、「から本質的になる(consisting essentially of)」という句は、請求項の範囲を、指定された要素又は方法ステップに加えて、特許請求される主題の基礎及び新規の特徴に実質的に影響を及ぼさないものに限定する。
【0151】
「含む(comprising)」、「からなる(consisting of)」、及び「から本質的になる(consisting essentially of)」という用語に関して、これら3つの用語のうちの1つが本明細書で使用される場合、本明細書で開示され、特許請求される主題は、他の2つの用語のいずれかの使用を含み得る。したがって、他に明示的に列挙されていないいくつかの実施形態では、「含む(comprising)」の任意の事例は、「からなる(consisting of)」によって、又は代替的に「から本質的になる(consisting essentially of)」によって置き換えることができる。
【0152】
本明細書で使用される場合、明示的に反対の記載がない限り、「又は(or)」は、包括的な「又は(or)」を指し、排他的な「又は(or)」を指さない。「又は(or)」という語が、2つ以上の項目のリストに関して他の項目から排他的な1つの項目のみを意味することに明示的に限定されない限り、そのようなリストにおける「又は(or)」の使用は、(a)リスト内の任意の1つの項目、(b)リスト内の全ての項目、又は(c)リスト内の項目の任意の組み合わせを含むと解釈されるべきである。本明細書で使用される場合、「A及び/又はB(A and/or B)」のような句「及び/又は(and/or)」は、A単独、B単独、並びにA及びBの両方を指す。文脈が許す場合、単数形又は複数形の用語は、それぞれ、複数形又は単数形の用語も含み得る。
【0153】
本明細書で使用される場合、「生体」は、数ヶ月、数年、又は数十年の時間スケールで再生可能である炭素などの元素を含有する材料(原料、製品、又は中間体のいずれか)である。非生体材料は、非再生可能であり得るか、又は数世紀、数千年、数百万年、若しくは更に長い地質学的時間スケールの時間スケールで再生可能であり得る。例えば、石炭及び石油の従来の燃料源は、非再生可能であり、非生体である。生体材料は生体源から本質的になり得る。天然源としての又は天然に由来する生体材料は、微量の非生体材料を含み得ることが当業者によって理解されるであろう。更に、本明細書に開示されるプロセスは、有益な環境影響がそれほど大きくない場合があるが、非生体材料とともに使用することができる。
【0154】
炭素の3つの天然同位体、12C、13C、及び14Cが存在する。12C及び13Cは、安定しており、約93:1の天然割合で生じる。14Cは、上層大気中の宇宙放射線からの熱中性子によって生成され、地球に輸送されて、生きている生物学的材料によって吸収される。同位体的に、14Cは、無視可能な部分を構成するが、これは、5,700年の半減期で放射性であるため、放射測定で検出可能である。死んだ組織は、14Cを吸収しないため、14Cの量は、生物学的材料の放射年代測定に使用される方法のうちの1つである。
【0155】
植物は、光合成を通して大気炭素を固定することによって14Cを取り込む。次いで、動物は、植物を消費するとき、又は植物を消費する他の動物を消費するとき、14Cをそれらの体内に取り込む。したがって、生きている植物及び動物は、大気中のCO2と同じ14C対12C比率を有する。生物が死ぬと、生物は、大気との炭素の交換を停止し、したがって、それ以上新たな14Cを取り込まない。次いで、放射性崩壊は、生物中の14Cを徐々に枯渇させる。この効果は、放射性炭素年代測定のベースである。
【0156】
石炭などの化石燃料は、何百万年も前に堆積した植物材料から主に作製されている。この期間は、14Cの何千もの半減期に等しいため、化石燃料中の本質的に全ての14Cが崩壊している。また、化石燃料は、生きている生物から元々形成されたため、大気に対して13Cが枯渇している。したがって、化石燃料からの炭素は、生体炭素と比較して、13C及び14Cの両方が枯渇している。
【0157】
再生可能な資源からのものなどの、最近減少した有機物の炭素同位体と、石炭などの化石燃料の炭素同位体との間のこの差異は、組成物中の炭素供給源の決定を可能にする。具体的には、組成物中の炭素が、再生可能な資源に由来するか、又は化石燃料に由来するかどうか、言い換えるなら、再生可能な資源又は化石燃料が、組成物の生成に使用されたかどうかである。
【0158】
バイオマスは、生物学的に製造された物質又は生体物質を説明するために使用される用語である。バイオマスは、植物、動物、及び微生物を含む生物の塊、又は生化学的観点から、セルロース、リグニン、糖、脂肪、及びタンパク質を指す。バイオマスは、植物の地上部及び地下部の両方の組織、例えば、葉、小枝、枝、幹、並びに樹木の根及び草の根茎を含む。バイオマスに含まれる化学エネルギーは、光合成の自然プロセスを使用する太陽エネルギーに由来する。これは、植物がその周囲から二酸化炭素及び水を取り込み、日光からのエネルギーを使用して、それらを糖、デンプン、セルロース、ヘミセルロース、及びリグニンに変換するプロセスである。バイオマスは、効果的に貯蔵された太陽エネルギーであるという点で有用である。バイオマスは、唯一の再生可能な炭素源である。
【0159】
本明細書で使用される場合、「総炭素」は、揮発性物質中に存在する固定炭素と非固定炭素との和である。いくつかの実施形態では、成分の重量パーセンテージは、絶対ベースであり、これは、特に言及されていない限り仮定される。他の実施形態では、成分重量パーセンテージは、無水及び無灰ベースである。
【0160】
本明細書で使用される場合、「ゾーン」は、単一の物理的ユニット、物理的に分離されたユニット、又はそれらの任意の組み合わせ内の空間の領域である。連続反応器に関して、ゾーンの境界は、反応器内のフライトの存在又は別々のゾーンに熱を提供するための別個の加熱要素などの構造に関連し得る。代替的に又は追加的に、連続反応器内のゾーンの境界は、別個の温度、流体フローパターン、固体フローパターン、又は反応の程度などの機能に関連し得る。単一バッチ反応器では、「ゾーン」は、空間ではなく時間での動作レジームである。あるゾーンから別のゾーンへの急激な遷移は、必ずしもない。例えば、予熱ゾーンと熱分解ゾーンとの間の境界は、いくらか任意であり得、いくらかの量の熱分解が、予熱ゾーンの一部において起こり得、いくらかの量の「予熱」が、熱分解ゾーンにおいて起こり続け得る。反応器内の温度プロファイルは、反応器内のゾーン境界を含めて、典型的には連続的である。
【0161】
本目的では、「試薬」とは、その最も広い意味での材料を意味することを意図しており、試薬は、燃料、化学物質、材料、化合物、添加剤、ブレンド成分、溶媒などであり得る。試薬は、必ずしも化学反応を引き起こすか又は化学反応に関与する化学試薬である必要はない。試薬は、化学反応物であるか、又はそうでない場合があり、反応において消費されるか、又はされない場合がある。試薬は、特定の反応のための化学触媒であり得る。試薬は、試薬が添加され得る材料の機械的、物理的、又は流体力学的特性を調節することを引き起こすか、又はそれに関与し得る。例えば、試薬を金属に導入して、金属にある特定の強度特性を付与することができる。試薬は、化学分析又は物理的試験で使用するのに十分な純度(現在の状況では、典型的には炭素純度)の物質であり得る。
【0162】
本明細書で使用される場合、「誘導体」は、化学反応によって別の物質から誘導される化合物、分子、又はイオンである。誘導体が誘導される物質は、添加剤である。誘導体も添加剤である。
【0163】
「低固定炭素」及び「高固定炭素」という用語は、本明細書では、様々な実施形態では、開示されるようなプロセス及びシステムによって製造することができる材料を説明するために実用的な目的で使用される。炭素含有量又は他の任意の濃度に関する制限は、用語自体からではなく、特定の実施形態及びその同等物を参照することによってのみ帰属されるべきである。
【0164】
いくつかの変形形態は、バイオカーボンペレットを製造するためのプロセスであって、プロセスが、
(a)第1の熱分解反応器内で、バイオマス含有原料を熱分解し、それによって、第1の生体試薬及び熱分解蒸気を生成することと、
(b)分離ユニットに、熱分解蒸気を導入し、それによって、熱分解沈殿物を生成することであって、熱分解沈殿物が、液体、固体、又はスラリーの形態である、生成することと、
(c)第1の生体試薬を熱分解沈殿物と接触させ、それによって、中間体材料を生成することであって、中間体材料が、第1の生体試薬及び熱分解沈殿物を含む、生成することと、
(d)中間体材料をペレット化し、それによって、中間体ペレットを生成することと、
(e)任意選択的に、中間体ペレットを乾燥させることと、
(f)ステップ(a)とは別に、第2の熱分解反応器内で、中間体ペレットを熱分解し、それによって、第2の生体試薬及び熱分解排ガスを生成することであって、第1の熱分解反応器及び第2の熱分解反応器が、同じ反応器又は異なる反応器である、生成することと、
(g)第2の生体試薬をバイオカーボンペレットとして回収することと、を含み、
第2の生体試薬の固定炭素含有量が、第1の生体試薬の固定炭素含有量よりも多く、
熱重量分析によると、第2の生体試薬の酸素反応性が第1の生体試薬の酸素反応性よりも低く、熱重量分析を、純粋な酸素の存在下で、25℃~950℃で40℃/分の温度傾斜を使用して実施する、プロセスを提供する。
【0165】
熱重量分析(TGA)は、温度が変化するにつれてサンプルの質量が経時的に測定される周知の分析方法である。第1の生体試薬及び第2の生体試薬の両方についてTGAを実施するために、第1の生体試薬のサンプルをステップ(a)でのその生成後に収集することができ、一方、第2の生体試薬のサンプルをステップ(g)によって提供する。TGA測定は、多くのサンプルを収容する商業的なTGA装置を使用して、両方のサンプル及び他のサンプル(例えば、対照サンプル)について同時に行ってもよい(例えば、
図4を参照)。
【0166】
いくつかの実施形態では、熱重量分析からの重量損失対時間のTGAグラフによると、第2の生体試薬は、第1の生体試薬と比較して、99%の炭素酸化に達するために少なくとも5%長い時間を必要とする。ある特定の実施形態では、TGAグラフによると、第2の生体試薬は、第1の生体試薬と比較して、99%の炭素酸化に達するために少なくとも10%長い時間を必要とする。
【0167】
いくつかの実施形態では、TGAグラフは、固定炭素の酸化に関連する第2の炭素酸化レジームによって引き継がれる、揮発性炭素の酸化に関連する第1の炭素酸化レジームを示す。
【0168】
いくつかの実施形態では、揮発性炭素酸化時間は、第1の炭素酸化レジームの開始から第2の炭素酸化レジームの開始までと定義される。揮発性炭素酸化時間中に、第1の生体試薬の質量損失は、第2の生体試薬の質量損失よりも少なくとも25%又は少なくとも50%大きくてもよい。
【0169】
いくつかの実施形態では、第1の炭素酸化レジーム中に、熱重量分析は、第1の生体試薬の質量損失率が、第1の炭素酸化レジーム中の第2の生体試薬の質量損失率よりも少なくとも25%又は少なくとも50%大きいことを示す。
【0170】
いくつかの実施形態では、熱重量分析は、第1の生体試薬が、第2の炭素酸化レジームと比較して、第1の炭素酸化レジーム中に、少なくとも10%高い平均質量損失率を有することを示す。
【0171】
いくつかの実施形態では、熱重量分析は、少なくとも約500℃の温度において第2の生体試薬について第1の炭素酸化レジーム内で一次導関数曲線ピークを示し、熱重量分析は、200℃~500℃の温度において第1の生体試薬について第1の炭素酸化レジーム内で一次導関数曲線ピークを示す。
【0172】
バイオマス含有原料は、軟材チップ、硬材チップ、材木収穫残渣、木の枝、木の切り株、葉、樹皮、おがくず、トウモロコシ、トウモロコシ茎葉、小麦、小麦わら、イネ、イネわら、サトウキビ、サトウキビバガス、サトウキビわら、エネルギーサトウキビ、サトウダイコン、サトウダイコンパルプ、ヒマワリ、モロコシ、キャノーラ、藻類、ススキ、アルファルファ、スイッチグラス、果物、果物の殻、果物の茎、果物の皮、果物の種子、野菜、野菜の殻、野菜の茎、野菜の皮、野菜の種子、ブドウの搾りかす、アーモンドの殻、ペカンの殻、ココナッツの殻、コーヒー澱、食品廃棄物、商業廃棄物、草ペレット、干し草ペレット、木材ペレット、厚紙、紙、紙パルプ、紙包装、紙の切り屑、食品包装、建築若しくは解体廃棄物、枕木、リグニン、動物性肥料、都市固形廃棄物、都市下水、又はそれらの組み合わせから選択することができる。
【0173】
いくつかの実施形態では、分離ユニットは、凝縮システムであるか、又はそれを含む。ある特定の実施形態では、凝縮システムは、複数の段階を有する。熱分解沈殿物は、例えば、複数の段階のうちの第1の凝縮器段階の凝縮生成物であり得る。代替的に又は追加的に、熱分解沈殿物は、複数の段階のうちの第2、第3、又は後の凝縮器段階の凝縮生成物であり得る。熱分解沈殿物は、凝縮システム内に存在する複数の段階に等しいか又はそれ未満であり得る複数の段階の複数の凝縮生成物の組み合わせである凝縮生成物であり得る。
【0174】
ステップ(b)の分離は、一般に、熱的手段、化学的手段、機械的手段、電気的/静電気的手段、若しくは他の手段、又はそれらの組み合わせを利用し得る。熱的手段を利用する場合、間接熱交換(例えば、分離ユニット壁の反対側の空気若しくは油との熱交換)又は直接熱交換(例えば、水若しくは冷却熱分解沈殿物の直接注入)があり得る。化学的手段は、例えば、吸着、吸収、又は抽出を利用し得る。機械的手段は、例えば、遠心力又は分子サイズの排除を利用し得る。電気的/静電気的手段は、例えば、電磁場の存在を利用し得る。
【0175】
様々な実施形態では、分離ユニットは、凝縮ユニット、液体-蒸気サイクロン分離機、デミスタ、蒸留ユニット、濾過ユニット、膜ユニット、スクラビングユニット、化学沈殿ユニット、液体-液体抽出ユニット、静電集塵ユニット、又はそれらの組み合わせであるか、又はそれらを含む。
【0176】
分離ユニットが凝縮ユニットを含む場合、凝縮ユニットは、先に論じられているように、単一段階の凝縮器又は多段階の凝縮システムであり得る。例示的なタイプの凝縮ユニットは、例えば、液体冷却凝縮器(例えば、水冷却凝縮器)、ガス冷却凝縮器(例えば、空気冷却凝縮器)、及び蒸発凝縮器を含む。凝縮ユニットは、直接接触凝縮器又は間接凝縮器(例えば、シェルアンドチューブ凝縮器などの表面凝縮器)であり得る。
【0177】
分離ユニットが液体-蒸気サイクロン分離機を含む場合、(例えば、Sulzer,Winterthur,Switzerlandからの)例示的なタイプの液体-蒸気サイクロン分離機が商業的に知られている。液体-蒸気サイクロン分離機は、特に遠心力が他の力を上回るほど十分である場合に、液体-蒸気分離を引き起こすために、遠心力、浮力、及び抗力の組み合わせを利用する。例示的な遠心力は、約10g~約1000g、例えば、約100~500gであり、gは、重力である。
【0178】
分離ユニットがデミスタを含む場合、例示的なタイプのデミスタは、例えば、メッシュデミスタ、ベーンデミスタ、サイクロンデミスタ、及びファイバーベッドデミスタを含む。
【0179】
分離ユニットが蒸留ユニットを含む場合、例示的なタイプの蒸留ユニットは、例えば、単一カラムユニット、複数カラムユニット、及び反応性蒸留ユニットを含む。蒸留ユニットは、垂直又は水平であり得、連続モード又はバッチモードで動作され得る。
【0180】
分離ユニットが濾過ユニットを含む場合、例示的なタイプの濾過ユニットは、例えば、重力フィルタ、真空フィルタ、圧力フィルタ、空気圧プレスフィルタ、遠心フィルタ、及びクロスフローフィルタを含む。濾過媒体は、例えば、分子量、粒子サイズ、又は粘度によって成分を分離するように選択することができる。
【0181】
分離ユニットが膜ユニットを含む場合、例示的なタイプの膜ユニットは、例えば、精密濾過ユニット、限外濾過ユニット、ナノ濾過ユニット、逆浸透ユニット、及び電気透析ユニットを含む。
【0182】
分離ユニットがスクラビングユニットを含む場合、例示的なタイプのスクラビングユニットは、例えば、吸引スクラバ及びベントスクラバを含む。いくつかの実施形態では、スクラビングは、回収/リサイクルされた熱分解沈殿物を利用する。
【0183】
分離ユニットが化学沈殿ユニットを含む場合、例えば、化学沈殿を、溶媒、酸、又は塩基を使用して触媒又は補助して、蒸気から液体又は固体への熱分解蒸気成分の沈殿を誘導することができる。
【0184】
分離ユニットが液体-液体抽出ユニットを含む場合、例示的なタイプの液体-液体抽出ユニットは、例えば、ミキサセトラ、遠心抽出器、静的抽出カラム、撹拌抽出カラム、及び多段階逆流抽出ユニットを含む。液体-液体抽出は、例えば、芳香族炭化水素であるか又はそれを含む抽出溶媒を使用することができる。いくつかの実施形態では、抽出溶媒は、回収された熱分解沈殿物である。液体-液体抽出ユニットは、連続モード又はバッチモードで動作させることができる。
【0185】
分離ユニットが静電集塵ユニットを含む場合、例示的なタイプの静電集塵ユニットは、静電集塵器、静電分離機、電気力学的分離機、コンデンサベースの分離機、及び電気力による分離の原理を用いる他の手段又は装置を含む。静電集塵ユニットは、電界力を使用して液滴を収集するように設計することができる。静電集塵器は、粒子(例えば、液滴)を荷電させ、次いで、荷電した粒子を電界に収集することによって作動する。荷電は、拡散荷電及びフィールド荷電の2つの機構によって起こる。拡散荷電では、ガス中のイオンが、ブラウン運動によって跳ね返り、粒子に衝突し、それらの電荷を粒子に移す。フィールド荷電は、イオンを含む電界内に粒子が位置しているときに生じる。静電集塵器は、高電圧電源を使用して、荷電又は分極した液滴を捕捉するために放電電極と収集電極との間に電位差を生成する。
【0186】
いくつかの実施形態では、静電集塵器は、材料が流れる1つ以上のチューブ、チャネル、又はダクトを備え、液滴のための電気的接地及び収集面として作用する。放電電極は、パイプの中心に懸濁させることができ、高電圧(例えば、±10~100kVのDC)電極として作用する。電極に印加される高電圧は、電極と接地チャネルとの間に静電界を形成する。このフィールドは、これを通過する粒子に力を投射する。粒子がフィールドを通過すると、粒子は、接地壁に向かって移動し、したがって、壁上に集まる。重力によって、収集された液体は、静電集塵器を流れ落ちて回収される。静電集塵器は、正極性又は負極性電源を使用する。
【0187】
分離ユニットの組み合わせが可能である。例えば、分離ユニットは、一次熱分解沈殿物を生成するための第1のサブユニットとしての単一段階の凝縮器と、一次熱分解沈殿物を複数の画分の沈殿物に分画するための第2のサブユニットとしての分画凝縮部又は蒸留部とを備え得る。別の例では、分離ユニットは、液体流及び蒸気流を生成するための第1のサブユニットとしての液体-蒸気サイクロン分離機と、熱分解沈殿物としての液体流の一部を回収するための第2のサブユニットとしての液体-液体抽出ユニットと、追加の熱分解沈殿物としての蒸気流の一部を回収するための濾過ユニットとを備え得る。他の実施形態は、個々の液体生成物を収集するために、凝縮ユニットと静電集塵器との組み合わせを利用する。
【0188】
いくつかの実施形態では、中間体材料は、第1の生体試薬の表面上に吸着された熱分解沈殿物を含む。これらの又は他の実施形態では、中間体材料は、第1の生体試薬のバルク相内に吸収された熱分解沈殿物を含み得る。
【0189】
熱分解沈殿物は、液体形態(1つ以上の液相)、固体形態(1つ以上の固相)、又は1つ以上の液相と1つ以上の固相との組み合わせ(例えば、スラリー)であり得る。固相は、粘度及び密度が広く変動し得る。例えば、固相、又は組み合わされた固体-液体材料は、ゲル状材料、粘着性材料、又はゴム状材料であり得る。
【0190】
第1の生体試薬に対する熱分解沈殿物の比率を変動させて、最終的なペレットの様々な特性(例えば、反応性)を達成することができる。比率を変動させることは、第1の生体試薬の一部を迂回させ、第1の生体試薬の残りの部分を熱分解沈殿物とブレンドすることによって達成することができる。代替的に又は追加的に、2つの熱分解反応器は、第1の熱分解反応器から収集された熱分解沈殿物を第2の熱分解反応器に迂回させて、並行して動作させることができる。1つのシナリオでは、一方の熱分解反応器が、熱分解沈殿物の2倍部分の追加の熱分解を組み込んだより低い反応性の生成物を生成し、一方、他方の熱分解反応器が、熱分解沈殿物の追加の熱分解なしでより高い反応性の生成物を生成する。
【0191】
いくつかの実施形態では、ステップ(c)及び(d)が統合されている。例えば、熱分解沈殿物をペレット化ユニット内で第1の生体試薬と接触させることができる。
【0192】
結合剤を中間体材料に導入することができる。結合剤は、デンプン、熱可塑性デンプン、架橋デンプン、デンプンポリマー、セルロース、セルロースエーテル、ヘミセルロース、メチルセルロース、キトサン、リグニン、ラクトース、スクロース、デキストロース、マルトデキストリン、バナナ粉、小麦粉、小麦デンプン、大豆粉、トウモロコシ粉、木粉、石炭タール、石炭微粉、メトコークス、アスファルト、石炭タールピッチ、石油ピッチ、瀝青、熱分解タール、ギルソナイト、ベントナイト粘土、ホウ砂、石灰石、石灰、ワックス、植物性ワックス、重曹、ベーキングパウダー、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、鉄鉱石精鉱、シリカヒューム、石膏、ポートランドセメント、グアーガム、キサンタンガム、ポリビドン、ポリアクリルアミド、ポリラクチド、フェノール-ホルムアルデヒド樹脂、植物性樹脂、リサイクルされた屋根板、リサイクルされたタイヤ、それらの誘導体、又は前述のものの組み合わせから選択することができる。ある特定の実施形態では、結合剤は、デンプン、熱可塑性デンプン、架橋デンプン、デンプンポリマー、それらの誘導体、又は前述のものの組み合わせから選択される。
【0193】
他の実施形態では、外部結合剤をペレット化中に中間体材料に導入しない。中間体材料内のある特定の成分、特に、例えば、熱分解沈殿物自体又はその中に含まれる成分は、結合剤として機能することができる。
【0194】
いくつかのプロセスでは、乾燥のためのステップ(e)を行う。ステップ(d)及び(e)は、乾燥がペレット化とともに起こるように統合され得る。また、ステップ(e)及び(f)は、中間体ペレットの熱分解及び乾燥の両方が起こるように統合され得る。ある特定の実施形態では、ステップ(d)、(e)、及び(f)は、全て統合されている。
【0195】
いくつかの実施形態では、第1の生体試薬を、ハンマーミル、押出機、アトリションミル、ディスクミル、ピンミル、ボールミル、コーンクラッシャ、ジョークラッシャ、又はそれらの組み合わせから選択される機械的処理装置を利用して粉砕する。これらの又は他の実施形態では、中間体材料を、ハンマーミル、押出機、アトリションミル、ディスクミル、ピンミル、ボールミル、コーンクラッシャ、ジョークラッシャ、又はそれらの組み合わせから選択される機械的処理装置を利用して粉砕することができる。中間体材料を、第1の生体試薬の代わりに粉砕することができるか、又はそれに加えて粉砕することができる。
【0196】
いくつかの実施形態では、ステップ(d)は、押出機、リングダイペレットミル、フラットダイペレットミル、ロールコンパクタ、ロールブリケッタ、湿式凝集ミル、乾式凝集ミル、又はそれらの組み合わせから選択されるペレット化装置を利用する。
【0197】
いくつかのプロセスでは、第1の熱分解反応器は、第2の熱分解反応器とは異なる。代替的に、第1の熱分解反応器及び第2の熱分解反応器は、同じユニットであり得、ステップ(a)及び(f)を異なる時間で行う。
【0198】
いくつかの実施形態では、ステップ(a)を、約250℃~約1250℃、例えば、約300℃~約700℃から選択される第1の熱分解温度で行う。これらの又は他の実施形態では、ステップ(f)を、約250℃~約1250℃、例えば、約400℃~約1000℃から選択される第2の熱分解温度で行う。第2の熱分解温度は、少なくとも約第1の熱分解温度であり得るが、これは必須ではない。
【0199】
いくつかの実施形態では、ステップ(a)を、約10秒~約24時間、例えば、約1分~約4時間から選択される第1の熱分解時間にわたって行う。これらの又は他の実施形態では、ステップ(f)を、約10秒~約24時間、例えば、約1分~約4時間から選択される第2の熱分解時間にわたって行う。第2の熱分解時間は、第1の熱分解時間よりも長い場合があるが、これは必須ではない。
【0200】
ステップ(f)中などのプロセスでは、第1の生体試薬は、熱分解沈殿物の固定炭素形成反応のための触媒又は反応マトリックスとして作用することができる。
【0201】
熱分解非沈殿物は、典型的には、分離ユニット内で生成される。熱分解非沈殿物は、典型的には、蒸気流であり、プロセスからパージすることができる。分離ユニットからのパージ流は、分離ユニットの選択に応じて、必ずしも蒸気相である必要はない。例えば、パージ流は、液体-液体抽出溶媒などの液体流、又は同伴された液体若しくは固体を含む蒸気流であり得る。いくつかの実施形態では、熱分解非沈殿物を回収し、少なくとも部分的に酸化して、熱を生成し、これをプロセス内で任意選択的に使用する。
【0202】
いくつかの実施形態では、(第2の熱分解反応器からの)熱分解排ガスを少なくとも部分的に酸化して、熱を生成し、これをプロセス内で任意選択的に使用する。任意選択的に、熱分解排ガスの少なくとも一部を分離ユニットに搬送して戻す。この手法で熱分解排ガスをリサイクルすることによって、固定炭素として最終的なバイオカーボンペレットに到達する可能性を(熱分解排ガス中の)炭素原子にもたらすことができる。
【0203】
代替的に又は追加的に、熱分解排ガスを、第2の熱分解沈殿物を生成するための効果的な沈殿条件下で動作される第2の分離ユニット(ステップ(b)の分離ユニットとは異なる)に搬送することができ、第2の熱分解沈殿物は、液体、固体、又はスラリーの形態である。プロセスは、第2の熱分解沈殿物を第1の生体試薬又は第2の生体試薬と接触させることを更に含み得る。
【0204】
ステップ(g)で回収されたバイオカーボンペレットは、例えば、少なくとも60重量%の固定炭素、少なくとも70重量%の固定炭素、少なくとも80重量%の固定炭素、少なくとも85重量%の固定炭素、又は少なくとも90重量%の固定炭素を含み得る。バイオカーボンペレットは、例えば、10重量%未満の灰、5重量%未満の灰、又は1重量%未満の灰を含み得る。
【0205】
いくつかのプロセスでは、熱分解沈殿物は、1重量%未満の灰を含むか、0.1重量%未満の灰を含むか、又は灰を本質的に含まない。低灰熱分解沈殿物は、灰が第1の生体試薬に添加されず、低灰最終製品をもたらすために有益である。
【0206】
いくつかの実施形態では、バイオカーボンペレットは、20重量%未満の総揮発性物質又は10重量%未満の総揮発性物質を含む。
【0207】
いくつかの実施形態では、熱分解沈殿物中に含まれる少なくとも10重量%の炭素を、バイオカーボンペレット中の固定炭素に変換する。様々な実施形態では、熱分解沈殿物中に含まれる炭素の少なくとも20重量%、少なくとも30重量%、少なくとも40重量%、少なくとも50重量%、又は30重量%~90重量%を、バイオカーボンペレット中の固定炭素に変換する。
【0208】
いくつかの実施形態では、バイオカーボンペレット中の固定炭素の約1重量%~約50重量%が、熱分解沈殿物に由来する。ある特定の実施形態では、バイオカーボンペレット中の固定炭素の約10重量%~約40重量%が、熱分解沈殿物に由来する。
【0209】
任意選択的に、中間体材料は、プロセスのステップ(b)から提供されたものではない追加の熱分解沈殿物を更に含む。例えば、追加の熱分解沈殿物を、(i)異なるバイオマス含有原料及び(ii)異なる時間又は場所を使用して行われる熱分解プロセスによって提供することができる。
【0210】
ステップ(c)で、全てよりも少ない又は全ての第1の生体試薬を熱分解沈殿物と接触させることができる。ステップ(c)で、全てよりも少ない又は全ての熱分解沈殿物を第1の生体試薬と接触させることができる。
【0211】
バイオカーボンペレット中の総炭素は、総炭素の14C/12C同位体比率の測定から決定して、少なくとも50%再生可能であり得る。バイオカーボンペレット中の総炭素は、総炭素の14C/12C同位体比率の測定から決定して、少なくとも90%又は完全に(約100%)再生可能であり得る。
【0212】
いくつかの実施形態では、バイオカーボンペレットは、少なくとも30又は少なくとも50のハードグローブ粉砕性指数によって特徴付けられる。
【0213】
いくつかの実施形態では、バイオカーボンペレットは、乾燥ベースで少なくとも約25lb/ft3、少なくとも約30lb/ft3、少なくとも約35lb/ft3、少なくとも約40lb/ft3、又は少なくとも約45lb/ft3のかさ密度によって特徴付けられる。
【0214】
バイオカーボンペレットは、中間体ペレットの有効ペレット直径の10%以内又は5%以内のペレット有効直径を有し得る。これらの実施形態では、第2の熱分解反応器内での熱分解は、ペレットサイズを有意には変化させず、代替的に、追加のプロセスステップを行って、ペレットサイズを増加又は減少させて、中間体ペレットのサイズに戻すか、又はそのサイズの10%以内に戻す。他の実施形態では、バイオカーボンペレットは、中間体ペレットの有効ペレット直径の110%超又は90%未満である有効ペレット直径を有する。これらの実施形態では、第2の熱分解反応器内での熱分解は、ペレットサイズを有意に変化させ、代替的に、追加のプロセスステップを行って、ペレットサイズを増加又は減少させる。
【0215】
いくつかの実施形態では、バイオカーボンペレットは、球形、円筒形、立方体、八角形、六角形、ハニカム、楕円形、柱形、棒形、枕形、レンズ豆形、ランダムな粒状、又はそれらの組み合わせから選択されるペレット形状を有する。
【0216】
いくつかの実施形態では、バイオカーボンペレットは、少なくとも約100lbf/in2の25℃でのペレット圧縮強度によって特徴付けられる。ある特定の実施形態では、バイオカーボンペレットは、少なくとも約150lbf/in2の25℃でのペレット圧縮強度によって特徴付けられる。様々な実施形態では、バイオカーボンペレットは、任意の介在範囲を含む、約又は少なくとも約25、50、75、100、125、150、175、若しくは200lbf/in2の25℃でのペレット圧縮強度によって特徴付けられる。
【0217】
いくつかの実施形態では、バイオカーボンペレットは、疎水性である。いくつかの実施形態では、バイオカーボンペレットは、水中での24時間の浸漬後に25℃での水取り込みが最大20重量%であることによって特徴付けられる。ある特定の実施形態では、バイオカーボンペレットは、水中での24時間の浸漬後に25℃での水取り込みが最大15重量%、10重量%、又は5重量%であることによって特徴付けられる。
【0218】
いくつかの実施形態では、バイオカーボンペレットは、Manual of Tests and Criteria,Seventh revised edition 2019,United Nations,Page 375,33.4.6 Test N.4:“Test method for self-heating substances”に従って自己加熱試験を受けた場合、非自己加熱性として特徴付けられる。
【0219】
いくつかの実施形態では、バイオカーボンペレットは、
図3又は
図4の熱重量分析に示されるように、酸素反応性によって実質的に特徴付けられる(以下の実施例1及び2を参照)。バイオカーボンペレットは、約750~950℃の温度で、ステップ(c)の炭素再捕捉なしという点以外は同等の熱分解プロセスによって製造されたバイオカーボンペレットと比較して、酸素との反応性がより低い。
【0220】
バイオカーボンペレットは、「コークス反応性指数」又はCRI値によって特徴付けることができる。CRIは、ASTM D5341,Coke Reactivity Indexに従って決定することができる。コークス塊が高炉内で降下するとき、コークス塊は、逆流CO2との反応に供され、塊が一緒になって炉の壁に対して擦れることから摩耗を受ける。プロセス流は、コークス塊を物理的に弱体化及び化学的に反応させて、透過性を低下させ、かつコークス率の増加及び溶銑製造の損失をもたらし得る過剰な微粉を生成する。CRI試験方法は、高炉内のコークス又は代替的にバイオカーボンのこの挙動を間接的に測定するように設計される。CRI値によって明示的に考慮される化学反応は、炭素酸化ではなく、むしろ、逆ブードア反応であることに留意されたい(C+CO2→2CO)。ある特定の実施形態では、CRI値を、19~22.5mmの粒子サイズを有する200グラムのサンプルを反応器内に入れ、不活性雰囲気中で1100℃に加熱することによって測定する。その後、炭素を100%のCO2ガス雰囲気中で2時間にわたって等温的に脱気し、次いで、窒素ガスで冷却する。冷却後に、炭素を秤量し、Iドラム内で600回転回させ、続いて、+10及び-0.5mmのメッシュサイズを有するスクリーンを通して材料を篩分けする。炭素の重量損失は、コークス反応性指数CRIを表し、+10mmの篩上の残りの炭素は、反応後のコークス強度CSRを表す。いくつかの実施形態では、バイオカーボンペレットのCRIは、約20%~約80%、例えば、約又は最大約20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、若しくは80%である。
【0221】
プロセスは、バイオマス含有原料中に含まれる炭素のパーセンテージとしてのバイオカーボンペレット中に含まれる炭素として計算される、少なくとも50%の全炭素収率を提供することができる。いくつかの実施形態では、全炭素収率は、少なくとも60%、少なくとも70%、又は少なくとも80%である。
【0222】
プロセスは、バイオマス含有原料中に含まれる総炭素のパーセンテージとしてのバイオカーボンペレット中に含まれる固定炭素として計算される、少なくとも50%の全固定炭素収率を提供することができる。いくつかの実施形態では、全固定炭素収率は、少なくとも60%、少なくとも70%、又は少なくとも80%である。固定炭素収率は、少なくとも約炭素収率ではあり得ない。いくつかの実施形態では、第2の熱分解反応器内で行われる追加の熱分解によって、炭素の大部分又は全ては、最終的なバイオカーボンペレット中の固定炭素であり、炭素収率に近い又はほぼ同じでさえある固定炭素収率をもたらす。
【0223】
いくつかの実施形態では、プロセスは、プロセス中に添加剤を導入することを更に含む。添加剤は、酸、塩基、又はそれらの塩から選択することができる。添加剤は、金属、金属酸化物、金属水酸化物、金属ハロゲン化物、又はそれらの組み合わせから選択することができる。例えば、添加剤は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、酸化マグネシウム、臭化水素、塩化水素、ケイ酸ナトリウム、過マンガン酸カリウム、マグネシウム、マンガン、アルミニウム、ニッケル、クロム、ケイ素、ホウ素、セリウム、モリブデン、リン、タングステン、バナジウム、ハロゲン化鉄、塩化鉄、臭化鉄、ドロマイト、ドロマイト石灰、蛍石、フルオロスパー、ベントナイト、酸化カルシウム、石灰、二酸化チタン、又はそれらの組み合わせから選択することができる。
【0224】
添加剤を、バイオカーボンペレットの濾液pHを調整するように選択することができ、濾液pHを、乾燥ベースで20グラムのバイオカーボンペレット又はその粉末形態を100ミリリットルの蒸留水と合わせて、混合物を形成し、混合物を濾紙で濾過し、pHメータで濾液のpHを測定することによって測定する。
【0225】
添加剤を第2の生体試薬に添加して、第2の生体試薬の濾液pHを調整することができ、濾液pHを、乾燥ベースで20グラムの第2の生体試薬を100ミリリットルの蒸留水と合わせて、混合物を形成し、混合物を濾紙で濾過し、pHメータで濾液のpHを測定することによって測定する。添加剤を第2の生体試薬に添加して、第2の生体試薬の濾液pHを低下させることができる。代替的に、添加剤を第2の生体試薬に添加して、第2の生体試薬の濾液pHを増加させることができる。添加剤をpH調整とは異なる理由で添加する場合、第2の生体試薬に添加される添加剤は、第2の生体試薬の濾液pHに変化をもたらし得ない。
【0226】
いくつかの実施形態では、第2の生体試薬の酸素反応性を、第2の生体試薬に添加物を添加することによって低減する。添加剤を、第2の生体試薬が形成された後にこれに添加することができるか、又は添加剤を、例えば、第2の熱分解反応器、第1の熱分解反応器、又はペレット化ユニットに供給することができる。添加剤をプロセス内の複数の位置に導入することができる。
【0227】
いくつかの実施形態では、プロセスは、バイオマス含有原料中の炭素と炭素含有凝縮物質材料中の炭素との合計のパーセンテージとしてのバイオカーボンペレット中に含まれる炭素として計算される、少なくとも50%の全炭素収率を提供する。ある特定の実施形態では、全炭素収率は、少なくとも60%、少なくとも70%、又は少なくとも80%である。
【0228】
プロセスは、連続的又は半連続的であり得る。
【0229】
任意選択的に、バイオカーボンペレットを、これを形成した後に、機械的に処理して、バイオカーボン粉末を生成する。例えば、バイオカーボンペレットを製造し、別の位置に配送することができる。使用の現場では、ペレットを、粉末化し、例えば、燃焼、ガス化、金属鉱石還元などのために、反応器に供給することができる。
【0230】
任意選択的に、バイオカーボンペレットを別の量の第2の生体試薬と組み合わせて、バイオカーボン物体を生成する。他の量の第2の生体試薬は、ペレット、粉末、又は他の形態であり得る。いくつかの実施形態では、複数のペレットを機械的に一緒にプレスして、金属作製炉のための構造炭素要素などであり得るバイオカーボン物体を形成する。
【0231】
他の変形形態は、バイオカーボンペレットを製造するためのプロセスであって、プロセスが、
(a)第1の熱分解反応器内で、バイオマス含有原料を熱分解し、それによって、第1の生体試薬及び熱分解蒸気を生成することと、
(b)炭素含有凝縮物質材料を提供することであって、炭素含有凝縮物質材料が、液体、固体、又はスラリーである、提供することと、
(c)第1の生体試薬を炭素含有凝縮物質材料と接触させ、それによって、中間体材料を生成することであって、中間体材料が、第1の生体試薬及び炭素含有凝縮物質材料を含む、生成することと、
(d)中間体材料をペレット化し、それによって、中間体ペレットを生成することと、
(e)任意選択的に、中間体ペレットを乾燥させることと、
(f)ステップ(a)とは別に、第2の熱分解反応器内で、中間体ペレットを熱分解し、それによって、第2の生体試薬及び熱分解排ガスを生成することであって、第1の熱分解反応器及び第2の熱分解反応器が、同じ反応器又は異なる反応器である、生成することと、
(g)第2の生体試薬をバイオカーボンペレットとして回収することと、を含み、
第2の生体試薬の固定炭素含有量が、第1の生体試薬の固定炭素含有量よりも多く、
第2の生体試薬が、純粋な酸素の存在下で25℃~950℃で40℃/分の温度傾斜を使用した熱重量分析による第1の生体試薬の酸素反応性よりも低い、プロセスを提供する。
【0232】
いくつかの実施形態では、熱重量分析からの重量損失対時間のTGAグラフによると、第2の生体試薬は、第1の生体試薬と比較して、99%の酸化に達するために少なくとも5%又は少なくとも10%長い時間を必要とする。
【0233】
いくつかの実施形態では、TGAグラフは、固定炭素の酸化に関連する第2の炭素酸化レジームによって引き継がれる、揮発性炭素の酸化に関連する第1の炭素酸化レジームを示す。
【0234】
いくつかの実施形態では、揮発性炭素酸化時間は、第1の炭素酸化レジームの開始から第2の炭素酸化レジームの開始までと定義される。揮発性炭素酸化時間中に、第1の生体試薬は、第2の生体試薬と比較して少なくとも25%又は少なくとも50%の質量損失を有し得る。
【0235】
いくつかの実施形態では、熱重量分析は、第1の生体試薬が、第1の炭素酸化レジーム中の第2の生体試薬の質量損失率よりも少なくとも25%又は少なくとも50%高い、第1の炭素酸化レジーム中の質量損失率を有することを示す。
【0236】
いくつかの実施形態では、熱重量分析は、第1の生体試薬が、第2の炭素酸化レジームと比較して、第1の炭素酸化レジーム中に、少なくとも10%高い平均質量損失率を有することを示す。
【0237】
いくつかの実施形態では、熱重量分析は、少なくとも約500℃の温度において第2の生体試薬について第1の炭素酸化レジーム内で一次導関数曲線ピークを示し、熱重量分析は、200℃~500℃の温度において第1の生体試薬について第1の炭素酸化レジーム内で一次導関数曲線ピークを示す。
【0238】
バイオマス含有原料は、軟材チップ、硬材チップ、材木収穫残渣、木の枝、木の切り株、葉、樹皮、おがくず、トウモロコシ、トウモロコシ茎葉、小麦、小麦わら、イネ、イネわら、サトウキビ、サトウキビバガス、サトウキビわら、エネルギーサトウキビ、サトウダイコン、サトウダイコンパルプ、ヒマワリ、モロコシ、キャノーラ、藻類、ススキ、アルファルファ、スイッチグラス、果物、果物の殻、果物の茎、果物の皮、果物の種子、野菜、野菜の殻、野菜の茎、野菜の皮、野菜の種子、ブドウの搾りかす、アーモンドの殻、ペカンの殻、ココナッツの殻、コーヒー澱、食品廃棄物、商業廃棄物、草ペレット、干し草ペレット、木材ペレット、厚紙、紙、紙パルプ、紙包装、紙の切り屑、食品包装、建築若しくは解体廃棄物、枕木、リグニン、動物性肥料、都市固形廃棄物、都市下水、又はそれらの組み合わせから選択することができる。
【0239】
「炭素含有凝縮物質材料」は、炭素を含む凝縮物質の少なくとも1つの相を含む材料を指す。本明細書では、凝縮物質相は、25℃の温度及び1barの圧力において、固体、液体、又はそれらの組み合わせである(物質の純粋な蒸気又はプラズマ状態ではない)。様々な実施形態では、炭素含有凝縮物質材料は、約25℃以下、約50℃以下、約75℃以下、約100℃以下、約125℃以下、約150℃以下、約175℃以下、約200℃以下、約225℃以下、約250℃以下、約275℃以下、又は約300℃以下の温度で固体又は液体形態であり、これらの温度は全て、1barの大気圧での凝縮物質材料の形態を指す。
【0240】
例を示すと、トルエンは、1barの圧力で、約-95℃~111℃の温度で液体形態であり、かつ111℃を超えると蒸気である、炭素含有凝縮物質材料である。したがって、トルエンは、開示されているプロセスにおいて、炭素含有凝縮物質材料であり得る。比較例として、メタンは、1barの圧力で-162℃の沸点を有し、したがって、開示されているプロセスでは、好ましい炭素含有凝縮物質材料ではない。
【0241】
任意の炭素含有凝縮物質材料は、一般に、ある時点で、すなわち、十分に高い温度で(及び圧力の影響を受けて)蒸発する。炭素含有材料が蒸気相でのプロセスに存在し得るという事実は、その材料が最終的に液体(又は固体)に凝縮される限り、炭素含有凝縮物質材料としてのその使用を不適格にしない。いくつかの実施形態では、炭素含有材料は、ステップ(c)の第1の生体試薬との混合中に液体(又は固体)に凝縮する。
【0242】
炭素含有凝縮物質材料は、典型的には混合ユニット又はペレット化ユニットのいずれかである、第1の生体試薬を炭素含有凝縮物質材料と接触させるために用いられる接触ユニットの温度前後の温度で固体又は液体の形態であり得る。例えば、接触ユニットを約100℃で動作させる場合、炭素含有凝縮物質材料は、100℃で、蒸気相のみではなく、固相又は液相であるべきである。本質的に、炭素含有凝縮物質材料の沸点は、接触ユニットの温度と同じであるべきであるか、又はそれよりも高くあるべきである(ここでの沸点は、接触ユニットの圧力で計算される)。接触ユニットを非常に低い温度(例えば、極低温)で動作させる場合、通常、蒸気炭素含有材料は、炭素含有材料が実際に凝縮物質相である場合に用いることができる。
【0243】
炭素含有凝縮物質材料は、液体、固体、液体及び固体のスラリー、気体-液体材料(例えば、液体に溶解した気泡を有するか、又は液滴が同伴した蒸気を有する)、気体-液体-固体材料、ゲル、プラスチック、ゴム状材料、粘着性材料、又はべたついた材料であり得る。炭素含有凝縮物質材料の相及び特性(例えば、レオロジー特性)は、分離ユニットのタイプにある程度依存する。
【0244】
いくつかの実施形態では、炭素含有凝縮物質材料は、熱分解蒸気に由来する熱分解沈殿物である。他の実施形態では、炭素含有凝縮物質材料は、異なるプロセスから外部的に提供された熱分解沈殿物である。いくつかの実施形態では、炭素含有凝縮物質材料は、熱分解沈殿物ではなく、むしろいくつかの他の液体又は固体材料である。
【0245】
いくつかの実施形態では、炭素含有凝縮物質材料は、芳香族種を含む。例えば、炭素含有凝縮物質材料は、規格外又は廃棄芳香族流(例えば、ベンゼン/トルエン/キシレン流)であり得る。
【0246】
いくつかの実施形態では、炭素含有凝縮物質材料は、リグニンであるか、又はそれを含む。リグニンは、リグノセルロース系バイオマスから得られるリグニンポリマーなどの高分子量を有する天然リグニンであり得る。代替的に、リグニンは、天然リグニンと比較して分子量が減少した解重合されたリグニンであり得る。
【0247】
いくつかの実施形態では、炭素含有凝縮物質材料は、1つ以上の糖若しくは1つ以上の糖分解生成物であるか、又はそれらを含む。糖は、例えば、C5糖(例えば、キシロース)、C6糖(例えば、グルコース)、C12糖(例えば、スクロース)、又は糖オリゴマー(例えば、キシラン)であり得る。糖分解生成物は、例えば、フルフラール、ヒドロキシメチルフルフラール、レブリン酸、又はギ酸を含み得る。炭素含有凝縮物質材料は、例えば、酢酸、タンパク質、又は分解タンパク質などの糖又はリグニン以外のバイオマス由来材料であり得るか、又はそれらを含み得る。
【0248】
ある特定の実施形態では、炭素含有凝縮物質材料は、石炭タール、石炭液化生成物、石油タール、又は原油などの非生体材料であるか、又はそれを含む。しかしながら、そのような非生体材料は、最終的なバイオカーボンペレットの再生可能な炭素含有量を減少させる。
【0249】
いくつかの実施形態では、炭素含有凝縮物質材料は、1つ以上のポリマー若しくは1つ以上のポリマー分解生成物であるか、又はそれらを含む。例えば、炭素含有凝縮物質材料は、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ゴム(例えば、リサイクルされたタイヤにおける天然ゴム若しくは合成ゴム)、又はそれらの熱処理された形態であり得る。リサイクルされたタイヤの場合、ポリイソプレン又はスチレンブタジエンゴムからの炭素、並びにカーボンブラックからの炭素をバイオカーボンペレットに組み込むことができる。
【0250】
いくつかの実施形態では、炭素含有凝縮物質材料は、合成ガスの化学反応によって生成された液体生成物を含み、合成ガスは、熱分解蒸気又は熱分解排ガスから任意選択的に得られる。
【0251】
炭素含有凝縮物質材料は、14C/12C同位体比率の測定から決定して、少なくとも50%再生可能な炭素を含み得る。炭素含有凝縮物質材料は、14C/12C同位体比率の測定から決定して、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、又は約100%再生可能な炭素を含み得る。
【0252】
中間体材料は、第1の生体試薬の表面上に吸着された炭素含有凝縮物質材料を含み得る。代替的に又は追加的に、中間体材料は、第1の生体試薬のバルク相内に吸収された炭素含有凝縮物質材料を含み得る。
【0253】
炭素含有凝縮物質材料を利用するいくつかのプロセスでは、ステップ(c)及び(d)が統合されている。
【0254】
結合剤を中間体材料に導入することができる。結合剤は、デンプン、熱可塑性デンプン、架橋デンプン、デンプンポリマー、セルロース、セルロースエーテル、ヘミセルロース、メチルセルロース、キトサン、リグニン、ラクトース、スクロース、デキストロース、マルトデキストリン、バナナ粉、小麦粉、小麦デンプン、大豆粉、トウモロコシ粉、木粉、石炭タール、石炭微粉、メトコークス、アスファルト、石炭タールピッチ、石油ピッチ、瀝青、熱分解タール、ギルソナイト、ベントナイト粘土、ホウ砂、石灰石、石灰、ワックス、植物性ワックス、重曹、ベーキングパウダー、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、鉄鉱石精鉱、シリカヒューム、石膏、ポートランドセメント、グアーガム、キサンタンガム、ポリビドン、ポリアクリルアミド、ポリラクチド、フェノール-ホルムアルデヒド樹脂、植物性樹脂、リサイクルされた屋根板、リサイクルされたタイヤ、それらの誘導体、又は前述のものの任意の組み合わせから選択することができる。ある特定の実施形態では、結合剤は、デンプン、熱可塑性デンプン、架橋デンプン、デンプンポリマー、それらの誘導体、又は前述のものの任意の組み合わせから選択される。
【0255】
他のプロセスでは、外部結合剤をペレット化中に中間体材料に導入しない。結合は、なおも起こり得る。例えば、炭素含有凝集物質材料自体は、ペレット結合剤として機能することができる。
【0256】
乾燥が所望されるいくつかの実施形態では、ステップ(e)を行う。
【0257】
いくつかのプロセスでは、ステップ(d)及び(e)が統合されている。いくつかのプロセスでは、ステップ(e)及び(f)が統合されている。ある特定のプロセスでは、ステップ(d)、(e)、及び(f)は、全て統合されている。
【0258】
第1の生体試薬を、ハンマーミル、押出機、アトリションミル、ディスクミル、ピンミル、ボールミル、コーンクラッシャ、ジョークラッシャ、又はそれらの組み合わせから選択される機械的処理装置を利用して粉砕することができる。代替的に又は追加的に、中間体材料を、ハンマーミル、押出機、アトリションミル、ディスクミル、ピンミル、ボールミル、コーンクラッシャ、ジョークラッシャ、又はそれらの組み合わせから選択される機械的処理装置を利用して粉砕することができる。
【0259】
いくつかのプロセスでは、ステップ(d)は、押出機、リングダイペレットミル、フラットダイペレットミル、ロールコンパクタ、ロールブリケッタ、湿式凝集ミル、乾式凝集ミル、又はそれらの組み合わせから選択されるペレット化装置を利用する。
【0260】
第1の熱分解反応器は、第2の熱分解反応器とは異なり得る。代替的に、第1の熱分解反応器及び第2の熱分解反応器は、同じユニットであり得、ステップ(a)及び(f)を異なる時間で行う。
【0261】
いくつかのプロセスでは、ステップ(a)を、約250℃~約1250℃、例えば、約300℃~約700℃から選択される第1の熱分解温度で行う。いくつかのプロセスでは、ステップ(f)を、約250℃~約1250℃、例えば、約400℃~約1000℃から選択される第2の熱分解温度で行う。
【0262】
いくつかのプロセスでは、ステップ(a)を、約10秒~約24時間、例えば、約1分~約4時間から選択される第1の熱分解時間にわたって行う。いくつかのプロセスでは、ステップ(f)を、約10秒~約24時間、例えば、約1分~約4時間から選択される第2の熱分解時間にわたって行う。
【0263】
ステップ(f)中に又は潜在的にこのステップの前に、第1の生体試薬は、炭素含有凝縮物質材料の固定炭素形成反応のための触媒又は反応マトリックスとして作用することができる。
【0264】
いくつかの実施形態では、熱分解蒸気を少なくとも部分的に酸化して、熱を生成し、これをプロセス内で任意選択的に使用する。これらの又は他の実施形態では、熱分解排ガスを少なくとも部分的に酸化して、熱を生成し、これをプロセス内で任意選択的に使用する。
【0265】
バイオカーボンペレットは、少なくとも60重量%、少なくとも70重量%、少なくとも80重量%、少なくとも85重量%、又は少なくとも90重量%の固定炭素を含み得る。バイオカーボンペレットは、10重量%未満、5重量%未満、又は1重量%未満の灰を含み得る。バイオカーボンペレットは、20重量%未満又は10重量%未満の総揮発性物質を含み得る。
【0266】
いくつかのプロセスでは、炭素含有凝縮物質材料中の炭素の少なくとも25重量%を、バイオカーボンペレット中の固定炭素に変換する。ある特定のプロセスでは、炭素含有凝縮物質材料中の炭素の少なくとも50重量%を、バイオカーボンペレット中の固定炭素に変換する。ある特定のプロセスでは、炭素含有凝縮物質材料中の炭素の少なくとも75重量%を、バイオカーボンペレット中の固定炭素に変換する。
【0267】
いくつかの実施形態では、バイオカーボンペレット中の固定炭素の約1重量%~約50重量%が、炭素含有凝縮物質材料に由来する。ある特定の実施形態では、バイオカーボンペレット中の固定炭素の約10重量%~約40重量%が、炭素含有凝縮物質材料に由来する。
【0268】
ステップ(c)では、全てよりも少ない第1の生体試薬を炭素含有凝縮物質材料と接触させる。ステップ(c)では、全てよりも少ない炭素含有凝縮物質材料を第1の生体試薬と接触させる。
【0269】
バイオカーボンペレット中の総炭素は、総炭素の14C/12C同位体比率の測定から決定して、少なくとも50%再生可能であり得る。バイオカーボンペレット中の総炭素は、総炭素の14C/12C同位体比率の測定から決定して、少なくとも90%、少なくとも95%、又は完全に(約100%)再生可能であり得る。
【0270】
バイオカーボンペレットは、例えば、少なくとも30又は少なくとも50のハードグローブ粉砕性指数によって特徴付けることができる。
【0271】
バイオカーボンペレットは、乾燥ベースで少なくとも約25、30、35、40、又は45lb/ft3のかさ密度によって特徴付けることができる。
【0272】
いくつかの実施形態では、バイオカーボンペレットは、バイオカーボンペレットの有効直径として計算される、約1mm~約10cmから選択される平均ペレットサイズを有する。
【0273】
バイオカーボンペレットは、中間体ペレットの有効ペレット直径の10%以内又は5%以内のペレット有効直径を有し得る。他の実施形態では、バイオカーボンペレットは、中間体ペレットの有効ペレット直径の110%超又は90%未満である有効ペレット直径を有する。
【0274】
いくつかの実施形態では、バイオカーボンペレットは、球形、円筒形、立方体、八角形、六角形、ハニカム、楕円形、柱形、棒形、枕形、レンズ豆形、ランダムな粒状、又はそれらの組み合わせから選択されるペレット形状を有する。
【0275】
いくつかの実施形態では、バイオカーボンペレットは、少なくとも約100lbf/in2、例えば少なくとも約150lbf/in2の25℃でのペレット圧縮強度によって特徴付けられる。
【0276】
バイオカーボンペレットは、疎水性又は部分的に疎水性であり得る。いくつかの実施形態では、バイオカーボンペレットは、水中での24時間の浸漬後に25℃での水取り込みが最大20重量%であることによって特徴付けられる。
【0277】
いくつかの実施形態では、バイオカーボンペレットは、Manual of Tests and Criteria,Seventh revised edition 2019,United Nations,Page 375,33.4.6 Test N.4:“Test method for self-heating substances”に従って自己加熱試験を受けた場合、非自己加熱性として特徴付けられる。
【0278】
いくつかの実施形態では、プロセスは、プロセス中に添加剤を導入することを更に含む。添加剤は、酸、塩基、又はそれらの塩から選択することができる。添加剤は、金属、金属酸化物、金属水酸化物、金属ハロゲン化物、又はそれらの組み合わせから選択することができる。例えば、添加剤は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、酸化マグネシウム、臭化水素、塩化水素、ケイ酸ナトリウム、過マンガン酸カリウム、マグネシウム、マンガン、アルミニウム、ニッケル、クロム、ケイ素、ホウ素、セリウム、モリブデン、リン、タングステン、バナジウム、ハロゲン化鉄、塩化鉄、臭化鉄、ドロマイト、ドロマイト石灰、蛍石、フルオロスパー、ベントナイト、酸化カルシウム、石灰、二酸化チタン、又はそれらの組み合わせから選択することができる。
【0279】
添加剤を、バイオカーボンペレットの濾液pHを調整するように選択することができ、濾液pHを、乾燥ベースで20グラムのバイオカーボンペレット又はその粉末形態を100ミリリットルの蒸留水と合わせて、混合物を形成し、混合物を濾紙で濾過し、pHメータで濾液のpHを測定することによって測定する。
【0280】
添加剤を第2の生体試薬に添加して、第2の生体試薬の濾液pHを調整することができ、濾液pHを、乾燥ベースで20グラムの第2の生体試薬を100ミリリットルの蒸留水と合わせて、混合物を形成し、混合物を濾紙で濾過し、pHメータで濾液のpHを測定することによって測定する。添加剤を第2の生体試薬に添加して、第2の生体試薬の濾液pHを低下させることができる。代替的に、添加剤を第2の生体試薬に添加して、第2の生体試薬の濾液pHを増加させることができる。添加剤をpH調整とは異なる理由で添加する場合、第2の生体試薬に添加される添加剤は、第2の生体試薬の濾液pHに変化をもたらし得ない。
【0281】
いくつかの実施形態では、第2の生体試薬の酸素反応性を、第2の生体試薬に添加物を添加することによって低減する。
【0282】
バイオカーボンペレットは、Manual of Tests and Criteria,Seventh revised edition 2019,United Nations,Page 375,33.4.6 Test N.4:“Test method for self-heating substances”に従って自己加熱試験を受けた場合、非自己加熱性として特徴付けられる。
【0283】
いくつかの実施形態では、プロセスは、バイオマス含有原料中の炭素と炭素含有凝縮物質材料中の炭素との合計のパーセンテージとしてのバイオカーボンペレット中に含まれる炭素として計算される、少なくとも50%の全炭素収率を提供する。全炭素収率は、少なくとも60%、少なくとも70%、又は少なくとも80%であり得る。
【0284】
本技術はまた、開示されているプロセスのいずれかによって製造されたバイオカーボンペレットを提供する。
【0285】
いくつかの変形形態は、少なくとも60重量%の固定炭素含有量を有する固定炭素を含むバイオカーボンペレットであって、バイオカーボンペレットが、バイオカーボンペレットの酸素反応性を測定する熱重量分析によって特徴付けられ、熱重量分析が、純粋な酸素の存在下で、25℃~950℃で40℃/分の温度傾斜を使用して実施され、熱重量分析からの重量損失対時間のTGAグラフによると、バイオカーボンペレットが、99%の炭素酸化に達するために少なくとも240分を必要とする、バイオカーボンペレットを提供する。
【0286】
バイオカーボンペレットのいくつかの実施形態では、純粋な酸素の存在下で、25℃~950℃で40℃/分の温度傾斜を使用して実施された熱重量分析からの重量損失対時間のTGAグラフによると、バイオカーボンペレットは、99%の炭素酸化に達するために、少なくとも250分、260分、270分、280分、290分、300分、310分、又は320分を必要とする。
【0287】
いくつかの実施形態では、熱重量分析をアントラサイト対照サンプルに対して実施し、アントラサイト対照サンプルは、99%の炭素酸化に達するための対照時間を必要とし、バイオカーボンペレットが99%の炭素酸化に達するために必要な時間は、対照時間の約85%~約100%である。様々な実施形態では、バイオカーボンペレットが99%の炭素酸化に達するために必要な時間は、対照時間の約90%~約100%、例えば、約95%~約98%である。
【0288】
いくつかの実施形態では、バイオカーボンペレットは、揮発性炭素を含み、TGAグラフは、固定炭素の酸化に関連する第2の炭素酸化レジームによって引き継がれる、揮発性炭素の酸化に関連する第1の炭素酸化レジームを示す。ある特定の実施形態では、熱重量分析は、少なくとも約500℃の温度においてバイオカーボンペレットについて第1の炭素酸化レジーム内で一次導関数曲線ピークを示す。
【0289】
いくつかの実施形態では、バイオカーボンペレットは、少なくとも60重量%の固定炭素、少なくとも70重量%の固定炭素、少なくとも80重量%の固定炭素、少なくとも85重量%の固定炭素、又は少なくとも90重量%の固定炭素を含む。
【0290】
いくつかの実施形態では、バイオカーボンペレットは、最大10重量%の灰、最大5重量%の灰、又は最大1重量%の灰を含む。
【0291】
いくつかの実施形態では、バイオカーボンペレットは、最大20重量%の総揮発性物質、又は最大10重量%の総揮発性物質を含む。
【0292】
いくつかの実施形態では、バイオカーボンペレットは、結合剤を含む。結合剤は、デンプン、熱可塑性デンプン、架橋デンプン、デンプンポリマー、セルロース、セルロースエーテル、ヘミセルロース、メチルセルロース、キトサン、リグニン、ラクトース、スクロース、デキストロース、マルトデキストリン、バナナ粉、小麦粉、小麦デンプン、大豆粉、トウモロコシ粉、木粉、石炭タール、石炭微粉、メトコークス、アスファルト、石炭タールピッチ、石油ピッチ、瀝青、熱分解タール、ギルソナイト、ベントナイト粘土、ホウ砂、石灰石、石灰、ワックス、植物性ワックス、重曹、ベーキングパウダー、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、鉄鉱石精鉱、シリカヒューム、石膏、ポートランドセメント、グアーガム、キサンタンガム、ポリビドン、ポリアクリルアミド、ポリラクチド、フェノール-ホルムアルデヒド樹脂、植物性樹脂、リサイクルされた屋根板、リサイクルされたタイヤ、それらの誘導体、又は前述のものの任意の組み合わせから選択することができる。ある特定の実施形態では、結合剤は、デンプン、熱可塑性デンプン、架橋デンプン、デンプンポリマー、それらの誘導体、又は前述のものの任意の組み合わせから選択される。
【0293】
いくつかの実施形態では、バイオカーボンペレットは、結合剤を含まない。いくつかの実施形態では、バイオカーボンペレットは、熱分解沈殿物以外の結合剤を含まない。
【0294】
いくつかの実施形態では、バイオカーボンペレットは、添加剤を含む。添加剤は、酸、塩基、又はそれらの塩から選択することができる。添加剤は、金属、金属酸化物、金属水酸化物、金属ハロゲン化物、又はそれらの組み合わせから選択することができる。様々な実施形態では、添加剤は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、酸化マグネシウム、臭化水素、塩化水素、ケイ酸ナトリウム、過マンガン酸カリウム、マグネシウム、マンガン、アルミニウム、ニッケル、クロム、ケイ素、ホウ素、セリウム、モリブデン、リン、タングステン、バナジウム、ハロゲン化鉄、塩化鉄、臭化鉄、ドロマイト、ドロマイト石灰、蛍石、フルオロスパー、ベントナイト、酸化カルシウム、石灰、二酸化チタン、又はそれらの組み合わせから選択される。
【0295】
いくつかの実施形態では、バイオカーボンペレット中の総炭素は、総炭素の14C/12C同位体比率の測定から決定して、少なくとも50%、少なくとも90%、又は完全に再生可能である。
【0296】
いくつかの実施形態では、バイオカーボンペレットは、少なくとも30のハードグローブ粉砕性指数によって特徴付けられる。
【0297】
いくつかの実施形態では、バイオカーボンペレットは、乾燥ベースで少なくとも約20lb/ft3のかさ密度によって特徴付けられる。
【0298】
いくつかの実施形態では、バイオカーボンペレットは、バイオカーボンペレットの有効直径として計算される、約1mm~約10cmから選択される平均ペレットサイズを有する。
【0299】
いくつかの実施形態では、バイオカーボンペレットは、球形、円筒形、立方体、八角形、六角形、ハニカム、楕円形、柱形、棒形、枕形、レンズ豆形、ランダムな粒状、又はそれらの組み合わせから選択されるペレット形状を有する。
【0300】
いくつかの実施形態では、バイオカーボンペレットは、少なくとも約100lbf/in2又は少なくとも約150lbf/in2の25℃でのペレット圧縮強度によって特徴付けられる。
【0301】
いくつかの実施形態では、バイオカーボンペレットは、水中での24時間の浸漬後に25℃での水取り込みが最大20重量%であることによって特徴付けられる。
【0302】
いくつかの実施形態では、バイオカーボンペレットは、Manual of Tests and Criteria,Seventh revised edition 2019,United Nations,Page 375,33.4.6 Test N.4:“Test method for self-heating substances”に従って自己加熱試験を受けた場合、非自己加熱性として特徴付けられる。
【0303】
バイオカーボンペレットを、
(a)第1の熱分解反応器内で、バイオマス含有原料を熱分解し、それによって、第1の生体試薬及び熱分解蒸気を生成することと、
(b)分離ユニットに、熱分解蒸気を導入し、それによって、熱分解沈殿物を生成することであって、熱分解沈殿物が、液体、固体、又はスラリーの形態である、生成することと、
(c)第1の生体試薬を熱分解沈殿物と接触させ、それによって、中間体材料を生成することであって、中間体材料が、第1の生体試薬及び熱分解沈殿物を含む、生成することと、
(d)中間体材料をペレット化し、それによって、中間体ペレットを生成することと、
(e)任意選択的に、中間体ペレットを乾燥させることと、
(f)ステップ(a)とは別に、第2の熱分解反応器内で、中間体ペレットを熱分解し、それによって、第2の生体試薬及び熱分解排ガスを生成することであって、第1の熱分解反応器及び第2の熱分解反応器が、同じ反応器又は異なる反応器である、生成することと、
(g)第2の生体試薬をバイオカーボンペレットとして回収することと、を含み、
第2の生体試薬の固定炭素含有量が、第1の生体試薬の固定炭素含有量よりも多く、
熱重量分析によると、第2の生体試薬の酸素反応性が第1の生体試薬の酸素反応性よりも低く、熱重量分析を、純粋な酸素の存在下で、25℃~950℃で40℃/分の温度傾斜を使用して実施する、プロセスによって製造することができる。
【0304】
バイオカーボンペレットを、
(a)第1の熱分解反応器内で、バイオマス含有原料を熱分解し、それによって、第1の生体試薬及び熱分解蒸気を生成することと、
(b)炭素含有凝縮物質材料を提供することであって、炭素含有凝縮物質材料が、液体、固体、又はスラリーである、提供することと、
(c)第1の生体試薬を炭素含有凝縮物質材料と接触させ、それによって、中間体材料を生成することであって、中間体材料が、第1の生体試薬及び炭素含有凝縮物質材料を含む、生成することと、
(d)中間体材料をペレット化し、それによって、中間体ペレットを生成することと、
(e)任意選択的に、中間体ペレットを乾燥させることと、
(f)ステップ(a)とは別に、第2の熱分解反応器内で、中間体ペレットを熱分解し、それによって、第2の生体試薬及び熱分解排ガスを生成することであって、第1の熱分解反応器及び第2の熱分解反応器が、同じ反応器又は異なる反応器である、生成することと、
(g)第2の生体試薬をバイオカーボンペレットとして回収することと、を含み、
第2の生体試薬の固定炭素含有量が、第1の生体試薬の固定炭素含有量よりも多く、
第2の生体試薬が、純粋な酸素の存在下で25℃~950℃で40℃/分の温度傾斜を使用した熱重量分析による第1の生体試薬の酸素反応性よりも低い、プロセスによって製造することができる。
【0305】
いくつかの変形形態は、バイオカーボンペレットが広範囲の実施形態では有益であるが、最終的なバイオカーボン組成物がペレット形態ではなく、むしろ粉末又はフィルムなどの別の形態である他の実施形態が存在するという認識を前提としている。
【0306】
いくつかの変形形態は、少なくとも60重量%の固定炭素含有量を有する固定炭素を含むバイオカーボン組成物であって、バイオカーボン組成物が、バイオカーボンペレットの酸素反応性を測定する熱重量分析によって特徴付けられ、熱重量分析が、純粋な酸素の存在下で、25℃~950℃で40℃/分の温度傾斜を使用して実施され、熱重量分析からの重量損失対時間のTGAグラフによると、バイオカーボンペレットが、99%の炭素酸化に達するために少なくとも240分を必要とする、バイオカーボン組成物を提供する。
【0307】
バイオカーボン組成物を、
(a)第1の熱分解反応器内で、バイオマス含有原料を熱分解し、それによって、第1の生体試薬及び熱分解蒸気を生成することと、
(b)分離ユニットに、熱分解蒸気を導入し、それによって、熱分解沈殿物を生成することであって、熱分解沈殿物が、液体、固体、又はスラリーの形態である、生成することと、
(c)第1の生体試薬を熱分解沈殿物と接触させ、それによって、中間体材料を生成することであって、中間体材料が、第1の生体試薬及び熱分解沈殿物を含む、生成することと、
(d)ステップ(a)とは別に、第2の熱分解反応器内で、中間体材料を熱分解し、それによって、第2の生体試薬及び熱分解排ガスを生成することであって、第1の熱分解反応器及び第2の熱分解反応器が、同じ反応器又は異なる反応器である、生成することと、
(e)第2の生体試薬をバイオカーボン組成物として回収することと、を含み、
第2の生体試薬の固定炭素含有量が、第1の生体試薬の固定炭素含有量よりも多く、
熱重量分析によると、第2の生体試薬の酸素反応性が第1の生体試薬の酸素反応性よりも低く、熱重量分析を、純粋な酸素の存在下で、25℃~950℃で40℃/分の温度傾斜を使用して実施する、プロセスによって製造することができる。
【0308】
バイオカーボン組成物を、
(a)第1の熱分解反応器内で、バイオマス含有原料を熱分解し、それによって、第1の生体試薬及び熱分解蒸気を生成することと、
(b)炭素含有凝縮物質材料を提供することであって、炭素含有凝縮物質材料が、液体、固体、又はスラリーである、提供することと、
(c)第1の生体試薬を炭素含有凝縮物質材料と接触させ、それによって、中間体材料を生成することであって、中間体材料が、第1の生体試薬及び炭素含有凝縮物質材料を含む、生成することと、
(d)ステップ(a)とは別に、第2の熱分解反応器内で、中間体材料を熱分解し、それによって、第2の生体試薬及び熱分解排ガスを生成することであって、第1の熱分解反応器及び第2の熱分解反応器が、同じ反応器又は異なる反応器である、生成することと、
(e)第2の生体試薬をバイオカーボン組成物として回収することと、を含み、
第2の生体試薬の固定炭素含有量が、第1の生体試薬の固定炭素含有量よりも多く、
第2の生体試薬が、純粋な酸素の存在下で25℃~950℃で40℃/分の温度傾斜を使用した熱重量分析による第1の生体試薬の酸素反応性よりも低い、プロセスによって製造することができる。
【0309】
ある特定の実施形態は、バイオカーボン組成物を製造するためのプロセスであって、プロセスが、
(a)第1の熱分解反応器内で、バイオマス含有原料を熱分解して、第1の生体試薬及び第1の熱分解蒸気を生成することと、
(b)第1の熱分解蒸気の少なくとも一部を凝縮システムに導入して、凝縮器液体及び凝縮器蒸気を生成することと、
(c)第1の生体試薬の少なくとも一部を凝縮器液体と接触させ、それによって、第1の生体試薬及び凝縮器液体を含む中間体材料を生成することと、
(d)任意選択的に、中間体材料をペレット化することと、
(e)任意選択的に、ステップ(a)とは別に、第2の熱分解反応器内で中間体材料を更に熱分解して、第2の生体試薬及び第2の熱分解蒸気を生成することと、
(f)任意選択的に、第2の生体試薬を乾燥させることと、
(g)第2の生体試薬をバイオカーボン組成物として回収することと、を含む、プロセスを提供する。
【0310】
ステップ(d)を用いるいくつかの実施形態では、ステップ(c)及び(d)が統合されている。いくつかの実施形態では、ステップ(d)をペレット化ユニット内で実施し、ステップ(c)をペレット化ユニットでも行う。ステップ(d)を用いる他の実施形態では、ステップ(d)は、ステップ(c)に続く。
【0311】
ステップ(d)を実施する場合、中間体材料の少なくとも一部をペレット化する。任意選択的に、第1の生体試薬を、凝縮器液体と接触させる前又は後に、ペレット化する。
【0312】
中間体材料をペレット化するいくつかの実施形態では、結合剤を中間体材料に導入する。結合剤は、デンプン、熱可塑性デンプン、架橋デンプン、デンプンポリマー、セルロース、セルロースエーテル、ヘミセルロース、メチルセルロース、キトサン、リグニン、ラクトース、スクロース、デキストロース、マルトデキストリン、バナナ粉、小麦粉、小麦デンプン、大豆粉、トウモロコシ粉、木粉、石炭タール、石炭微粉、メトコークス、アスファルト、石炭タールピッチ、石油ピッチ、瀝青、熱分解タール、ギルソナイト、ベントナイト粘土、ホウ砂、石灰石、石灰、ワックス、植物性ワックス、重曹、ベーキングパウダー、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、鉄鉱石精鉱、シリカヒューム、石膏、ポートランドセメント、グアーガム、キサンタンガム、ポリビドン、ポリアクリルアミド、ポリラクチド、フェノール-ホルムアルデヒド樹脂、植物性樹脂、リサイクルされた屋根板、リサイクルされたタイヤ、それらの誘導体、又は前述のものの任意の組み合わせから選択することができる。ある特定の実施形態では、結合剤は、デンプン、熱可塑性デンプン、架橋デンプン、デンプンポリマー、それらの誘導体、又は前述のものの任意の組み合わせから選択される。
【0313】
中間体材料をペレット化する他の実施形態では、外部結合剤をペレット化中に中間体材料に導入しない。これらの場合、凝縮器液体は、ペレットの結合剤として作用することができる。
【0314】
いくつかの実施形態では、炭素再捕捉ユニットは、第2の熱分解反応器の上流に配置されている。他の実施形態では、炭素再捕捉ユニットは、第2の熱分解反応器の第1の段階である。炭素再捕捉ユニットは、例えば、ペレット上に凝縮器液体のコーティングを形成するように構成され得る。
【0315】
ステップ(e)を用いるいくつかのプロセスでは、ステップ(c)及び(e)が統合されている。
【0316】
凝縮システムは、複数の凝縮器段階を含み得る。いくつかの実施形態では、凝縮器液体は、複数の凝縮器段階を有する凝縮システムの第1の段階の凝縮生成物である。
【0317】
いくつかの実施形態では、第2の熱分解蒸気の少なくとも一部も凝縮システムに搬送する。
【0318】
中間体材料は、第1の生体試薬の表面上に吸着された凝縮器液体を含み得る。代替的に又は追加的に、中間体材料は、第1の生体試薬のバルク相内に吸収された凝縮器液体を含み得る。
【0319】
ステップ(e)を伴ういくつかの実施形態では、第1の熱分解反応器は、第2の熱分解反応器とは異なる。他の実施形態では、第1の熱分解反応器及び第2の熱分解反応器は、同じユニットであり、ステップ(a)及び(e)を異なる時間で行う。
【0320】
第1の生体試薬は、凝縮器液体の固定炭素形成反応のための触媒又は反応マトリックスとして作用することができる。
【0321】
いくつかの実施形態では、凝縮器液体中に含まれる総炭素の少なくとも25重量%を、第2の生体試薬中の固定炭素に変換する。様々な実施形態では、凝縮器液体中に含まれる総炭素の約、少なくとも約、又は最大約10重量%、20重量%、30重量%、40重量%、50重量%、60重量%、70重量%、80重量%、若しくは90重量%(全ての介在範囲を含む)を、第2の生体試薬中の固定炭素に変換する。
【0322】
いくつかの実施形態では、第2の生体試薬中の固定炭素の約10重量%~約80重量%が、第1の凝縮器液体に由来する。ある特定の実施形態では、第2の生体試薬中の固定炭素の約20重量%~約60重量%が、第1の凝縮器液体に由来する。様々な実施形態では、第2の生体試薬中の固定炭素の約、少なくとも約、又は最大約1重量%、2重量%、5重量%、10重量%、15重量%、20重量%、25重量%、30重量%、40重量%、50重量%、60重量%、70重量%、75重量%、若しくは80重量%(全ての介在範囲を含む)が、第1の生体試薬に由来する。
【0323】
いくつかのプロセスでは、ステップ(a)を、約250℃~約1250℃、例えば、約300℃~約700℃から選択される第1の熱分解温度で行う。これらの又は他のプロセスでは、ステップ(e)を、約300℃~約1350℃、例えば、約350℃~約800℃から選択される第2の熱分解温度で行う。第1の熱分解温度は、第2の熱分解温度未満であっても、それに等しくても、又はそれよりも大きくてもよい。いくつかの実施形態では、第2の熱分解温度は、第1の熱分解反応器内で固定炭素を形成しなかった化合物の効果的な熱分解を可能にするために、少なくとも約第1の熱分解温度である。そのような実施形態では、第2の熱分解温度は、例えば、少なくとも約第1の熱分解温度の約5℃、10℃、25℃、50℃、100℃、150℃、若しくは200℃であり得る。
【0324】
いくつかのプロセスでは、ステップ(a)を、約10秒~約24時間、例えば、約10分~約4時間から選択される第1の熱分解時間にわたって行う。これらの又は他のプロセスでは、ステップ(e)を、約10秒~約24時間、例えば、約15分~約5時間から選択される第2の熱分解時間で行う。第1の熱分解時間は、第2の熱分解時間未満であっても、それに等しくても、又はそれよりも大きくてもよい。いくつかの実施形態では、第2の熱分解時間は、第1の熱分解反応器内で固定炭素を形成しなかった化合物の効果的な熱分解を可能にするために、第1の熱分解時間よりも長い。そのような実施形態では、第2の熱分解時間は、例えば、第1の熱分解時間よりも、約5、10、15、20、30、40、50、60、90、又は120分長くなり得る。
【0325】
いくつかの実施形態では、凝縮器蒸気のうちの一部又は全てを少なくとも部分的に酸化して、熱を生成し、熱をプロセス内で任意選択的に使用する。これらの又は他の実施形態では、第2の熱分解蒸気のうちの一部又は全てを(凝縮器蒸気とともに又は別に)少なくとも部分的に酸化して、熱を生成し、熱をプロセス内で任意選択的に使用する。
【0326】
ある特定の実施形態では、熱分解排ガス又は凝縮器蒸気を少なくとも部分的に酸化して、水素又は一酸化炭素を含む還元ガスを生成する。そのような部分酸化は、有用な熱をなおも生成するが、所望であれば他の化学物質(例えば、メタノール又はフィッシャー・トロプシュ炭化水素)に変換することができる還元ガスも生成する。
【0327】
いくつかの実施形態では、第1の生体試薬を、ハンマーミル、押出機、アトリションミル、ディスクミル、ピンミル、ボールミル、コーンクラッシャ、ジョークラッシャ、又はそれらの組み合わせから選択される機械的処理装置を利用して粉砕する。これらの又は他の実施形態では、中間体材料を、ハンマーミル、押出機、アトリションミル、ディスクミル、ピンミル、ボールミル、コーンクラッシャ、ジョークラッシャ、又はそれらの組み合わせから選択される機械的処理装置を利用して粉砕することができる。
【0328】
ステップ(d)を用いる実施形態では、ステップ(d)は、押出機、リングダイペレットミル、フラットダイペレットミル、ロールコンパクタ、ロールブリケッタ、湿式凝集ミル、乾式凝集ミル、又はそれらの組み合わせから選択されるペレット化装置を利用することができる。
【0329】
いくつかのプロセスでは、炭素含有微粉を第2の熱分解反応器内で生成する。任意選択的に、炭素含有微粉をステップ(c)にリサイクルする。ステップ(d)を行う場合、第2の熱分解反応器内で生成された炭素含有微粉を、ステップ(c)にリサイクルする代わりに、又はそれに加えて、ステップ(d)にリサイクルすることができる。代替的に又は追加的に、炭素含有微粉を、エネルギーを生成するために燃焼させることができるか、又は他の目的のために使用することができる。
【0330】
いくつかの実施形態では、バイオカーボン組成物は、粉末の形態である。いくつかの実施形態では、バイオカーボン組成物は、ペレットの形態である。いくつかの実施形態では、バイオカーボン組成物は、フィルム又はコーティングの形態である。
【0331】
バイオカーボン組成物は、少なくとも50重量%の固定炭素、少なくとも60重量%の固定炭素、少なくとも70重量%の固定炭素、少なくとも75重量%の固定炭素、少なくとも80重量%の固定炭素、少なくとも85重量%の固定炭素、又は少なくとも90重量%の固定炭素を含み得る。様々な実施形態では、バイオカーボン組成物は、約、少なくとも約、又は最大約55、60、65、70、75、80、85、若しくは90重量%の固定炭素を含む。
【0332】
バイオカーボン組成物は、少なくとも55重量%の総炭素、少なくとも60重量%の総炭素、少なくとも70重量%の総炭素、少なくとも75重量%の総炭素、少なくとも80重量%の総炭素、少なくとも85重量%の総炭素、少なくとも90重量%の総炭素、又は少なくとも95重量%の総炭素を含み得る。様々な実施形態では、バイオカーボン組成物は、全ての介在範囲を含む、約、少なくとも約、又は最大約60、65、70、75、80、85、90、若しくは95重量%の総炭素を含む。
【0333】
いくつかの実施形態では、バイオカーボン組成物は、10重量%未満の灰、5重量%未満の灰、2重量%未満の灰、又は1重量%未満の灰を含む。様々な実施形態では、バイオカーボン組成物は、全ての介在範囲を含む、約又は最大約10、9、8、7、6、5、4、3、2、1、0.5、0.2、若しくは0.1重量%の灰を含む。
【0334】
比較的低い灰を有する凝縮器液体を第2の熱分解反応器内の材料に組み込む場合、バイオカーボン組成物の灰分は有益である(すなわち、より低い)。いくつかの実施形態では、第1の凝縮器液体は、1重量%未満の灰を含むか、0.1重量%未満の灰を含むか、又は灰を本質的に含まない。様々な実施形態では、第1の凝縮器液体は、全ての介在範囲を含む、約又は最大約5、4、3、2、1、0.5、0.2、0.1、0.05、0.02、若しくは0.01重量%の灰を含む。
【0335】
バイオカーボン組成物中の総炭素は、総炭素の14C/12C同位体比率の測定から決定して、少なくとも50%再生可能であり得る。いくつかの実施形態では、バイオカーボン組成物中の総炭素は、総炭素の14C/12C同位体比率の測定から決定して、少なくとも90%再生可能である。バイオカーボン組成物中の総炭素は、総炭素の14C/12C同位体比率の測定から決定して、完全に再生可能であり得る。
【0336】
いくつかのプロセスでは、第2の生体試薬を、ステップ(f)中、ステップ(g)中、又はステップ(g)後にペレット化する。したがって、最終的なバイオカーボン組成物は、ペレットの形態であり得る。
【0337】
いくつかのプロセスでは、バイオカーボン組成物は、少なくとも30又は少なくとも50のハードグローブ粉砕性指数によって特徴付けられる。様々な実施形態では、バイオカーボン組成物は、全ての介在範囲を含む、約、少なくとも約、又は最大約20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、若しくは100のハードグローブ粉砕性指数によって特徴付けられる。
【0338】
いくつかのプロセスでは、バイオカーボン組成物は、乾燥ベースで少なくとも約35lb/ft3又は乾燥ベースで少なくとも約45lb/ft3のかさ密度によって特徴付けられる。様々な実施形態では、バイオカーボン組成物のかさ密度は、全ての介在範囲を含む、乾燥ベースで約又は少なくとも約25、30、35、40、45、若しくは50lb/ft3である。
【0339】
いくつかのプロセスでは、バイオカーボン組成物は、疎水性バイオカーボン又は部分的に疎水性のバイオカーボンとして特徴付けられる。
【0340】
いくつかのプロセスでは、バイオカーボン組成物は、Manual of Tests and Criteria,Seventh revised edition 2019,United Nations,Page 375,33.4.6 Test N.4:“Test method for self-heating substances”に従って自己加熱試験を受けた場合、非自己加熱性として特徴付けられる。
【0341】
いくつかのプロセスでは、バイオカーボン組成物は、24時間にわたる25℃での臭気生成の欠如によって特徴付けられる。いくつかの実施形態では、バイオカーボン組成物は、24時間にわたる50℃での臭気生成の欠如によって特徴付けられる。いくつかの実施形態では、バイオカーボン組成物は、48時間にわたる25℃での臭気生成の欠如によって特徴付けられる。この文脈での臭気生成は、バイオカーボン組成物から蒸発した有機分子を指し、そのような有機分子は、通常、ヒトによって検出可能である。例は、ホルムアルデヒド、酢酸、エタノール、メタノール、又はメルカプタンを含む。
【0342】
いくつかの変形形態は、バイオマスを熱分解して、中間固体及び熱分解蒸気を生成することと、熱分解蒸気の一部を凝縮して、熱分解液体を生成することと、熱分解液体を中間固体に導入して、固体-液体混合物を生成することと、任意選択的に、ペレット化して、固体-液体混合物を含むペレットを生成することと、任意選択的に、固体-液体混合物を更に熱分解して、高収率の高固定炭素材料を生成することと、を含む、高固定炭素材料を作製する方法を提供する。
【0343】
いくつかの方法では、方法は、ペレット化して、固体-液体混合物を含むペレットを製造することを含む。いくつかの実施形態では、ペレット化は、熱分解液体以外に結合剤を利用しない。他の実施形態では、ペレット化は、熱分解液体以外に結合剤を利用する。固体-液体混合物を更に熱分解するステップを、固体-液体混合物中に含まれる炭素が追加の固定炭素を形成するための触媒又は反応マトリックスとして作用する場合などに、ペレット化によって強化することができる。
【0344】
いくつかの方法では、バイオマス中に含まれる総炭素の少なくとも60重量%が、高固定炭素材料中の固定炭素を形成する。ある特定の方法では、バイオマス中に含まれる総炭素の少なくとも70重量%、少なくとも80重量%、少なくとも90重量%、又は少なくとも95重量%が、高固定炭素材料中の固定炭素を形成する。
【0345】
いくつかの変形形態は、バイオマスを熱分解して、中間固体及び熱分解蒸気を生成することと、熱分解蒸気の一部を凝縮して、熱分解液体を生成することと、熱分解液体を中間固体に導入して、固体-液体混合物を生成することと、任意選択的に、ペレット化して、固体-液体混合物を含むペレットを生成することと、任意選択的に、固体-液体混合物を更に熱分解して、高収率の高固定炭素材料を生成することと、を含む、高固定炭素材料を作製する方法を含むプロセスによって製造される高固定炭素材料を提供する。
【0346】
他の変形形態は、バイオカーボン組成物を製造するためのプロセスであって、プロセスが、
(a)第1の熱分解反応器内で、バイオマス含有原料を熱分解して、第1の熱分解固体及び第1の熱分解蒸気を生成することと、
(b)第1の熱分解蒸気の少なくとも一部を凝縮システムに導入して、凝縮器液体及び凝縮器蒸気を生成することと、
(c)ステップ(a)とは別に、第2の熱分解反応器内で凝縮器液体を熱分解して、第2の熱分解固体及び第2の熱分解蒸気を生成することと、
(d)第1の熱分解固体を第2の熱分解固体とブレンドし、それによって、生体試薬を生成することと、
(e)任意選択的に、生体試薬をペレット化することと、
(f)任意選択的に、生体試薬を乾燥させるか、又は熱処理することと、
(g)生体試薬をバイオカーボン組成物として回収することと、を含む、プロセスを提供する。
【0347】
いくつかのプロセスでは、バイオマス含有原料は、軟材チップ、硬材チップ、材木収穫残渣、木の枝、木の切り株、葉、樹皮、おがくず、トウモロコシ、トウモロコシ茎葉、小麦、小麦わら、イネ、イネわら、サトウキビ、サトウキビバガス、サトウキビわら、エネルギーサトウキビ、サトウダイコン、サトウダイコンパルプ、ヒマワリ、モロコシ、キャノーラ、藻類、ススキ、アルファルファ、スイッチグラス、果物、果物の殻、果物の茎、果物の皮、果物の種子、野菜、野菜の殻、野菜の茎、野菜の皮、野菜の種子、ブドウの搾りかす、アーモンドの殻、ペカンの殻、ココナッツの殻、コーヒー澱、食品廃棄物、商業廃棄物、草ペレット、干し草ペレット、木材ペレット、厚紙、紙、紙パルプ、紙包装、紙の切り屑、食品包装、建築若しくは解体廃棄物、枕木、リグニン、動物性肥料、都市固形廃棄物、都市下水、又はそれらの組み合わせから選択される。
【0348】
いくつかのプロセスでは、生体試薬がペレット化されるようにステップ(e)を実施する。ステップ(e)は、ステップ(d)、ステップ(f)、又はこれらのステップの両方と統合され得る。
【0349】
ステップ(e)を用いるいくつかの実施形態では、結合剤を生体試薬に導入する。結合剤は、デンプン、熱可塑性デンプン、架橋デンプン、デンプンポリマー、セルロース、セルロースエーテル、ヘミセルロース、メチルセルロース、キトサン、リグニン、ラクトース、スクロース、デキストロース、マルトデキストリン、バナナ粉、小麦粉、小麦デンプン、大豆粉、トウモロコシ粉、木粉、石炭タール、石炭微粉、メトコークス、アスファルト、石炭タールピッチ、石油ピッチ、瀝青、熱分解タール、ギルソナイト、ベントナイト粘土、ホウ砂、石灰石、石灰、ワックス、植物性ワックス、重曹、ベーキングパウダー、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、鉄鉱石精鉱、シリカヒューム、石膏、ポートランドセメント、グアーガム、キサンタンガム、ポリビドン、ポリアクリルアミド、ポリラクチド、フェノール-ホルムアルデヒド樹脂、植物性樹脂、リサイクルされた屋根板、リサイクルされたタイヤ、それらの誘導体、又は前述のものの任意の組み合わせから選択することができる。ある特定の実施形態では、結合剤は、デンプン、熱可塑性デンプン、架橋デンプン、デンプンポリマー、それらの誘導体、又は前述のものの任意の組み合わせから選択される。
【0350】
ステップ(e)を用いるいくつかの実施形態では、外部結合剤をペレット化中に生体試薬に導入しない。
【0351】
いくつかのプロセスでは、凝縮システムは、複数の凝縮器段階を含む。凝縮器液体は、複数の凝縮器段階のうちの第1の段階の凝縮生成物であり得る。
【0352】
いくつかの実施形態では、第2の熱分解蒸気の少なくとも一部も、第1の熱分解蒸気を凝縮する同じ凝縮システム、又は別個の凝縮システムに搬送する。
【0353】
第1の熱分解反応器は、典型的には、第2の熱分解反応器とは異なり、すなわち、これらは、物理的に異なるユニットである。いくつかの実施形態では、第1の熱分解反応器及び第2の熱分解反応器は、同じユニットであり、ステップ(a)及び(c)を異なる時間で行う。
【0354】
いくつかのプロセスでは、凝縮器液体中に含まれる総炭素の少なくとも25重量%を、第2の熱分解固体中の固定炭素に変換する。ある特定のプロセスでは、凝縮器液体中に含まれる総炭素の少なくとも50重量%を、第2の熱分解固体中の固定炭素に変換する。様々な実施形態では、凝縮器液体中に含まれる総炭素の約、少なくとも約、又は最大約10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、若しくは90重量%(全ての介在範囲を含む)を、第2の熱分解固体中の固定炭素に変換する。
【0355】
第1の熱分解固体及び第2の熱分解固体をブレンドすることを組み込んだいくつかのプロセスでは、第2の熱分解固体は、絶対ベースで生体試薬の少なくとも5重量%を形成する。ある特定のプロセスでは、第2の熱分解固体は、絶対ベースで生体試薬の少なくとも10重量%又は少なくとも20重量%を形成する。
【0356】
いくつかのプロセスでは、生体試薬中の固定炭素の約10重量%~約80重量%が、凝縮器液体に由来する。ある特定のプロセスでは、生体試薬中の固定炭素の約20重量%~約60重量%が、凝縮器液体に由来する。様々な実施形態では、生体試薬中の固定炭素の約、少なくとも約、又は最大約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、若しくは90重量%(全ての介在範囲を含む)が、凝縮器液体に由来する。
【0357】
ステップ(a)を、約250℃~約1250℃から選択される第1の熱分解温度で行うことができる。任意選択的に、第1の熱分解温度は、約300℃~約700℃から選択される。ステップ(c)を、約250℃~約1250℃から選択される第2の熱分解温度で独立的に行うことができる。任意選択的に、第2の熱分解温度は、約300℃~約700℃から選択される。第2の熱分解温度は、第1の熱分解温度よりも低くなり得るか、若しくは少なくとも約第1の熱分解温度であり得るか、又はこれらは、潜在的に同じであり得る。
【0358】
ステップ(a)を、約10秒~約24時間から選択される第1の熱分解時間にわたって行うことができる。ステップ(c)を、約10秒~約24時間から選択される第2の熱分解時間にわたって独立的に行うことができる。第2の熱分解時間は、第1の熱分解時間よりも短くなり得るか、若しくは長くなり得るか、又はこれらは、潜在的に同じであり得る。
【0359】
いくつかのプロセスでは、凝縮器蒸気を少なくとも部分的に酸化して、熱を生成し、熱をプロセス内で任意選択的に使用する。これらの又は他のプロセスでは、第2の熱分解蒸気を少なくとも部分的に酸化して、熱を生成し、熱をプロセス内で任意選択的に使用する。
【0360】
生体試薬を、例えば、ハンマーミル、押出機、アトリションミル、ディスクミル、ピンミル、ボールミル、コーンクラッシャ、ジョークラッシャ、又はそれらの組み合わせから選択される機械的処理装置を利用して粉砕することができる。
【0361】
ステップ(e)を行う場合、ステップ(e)は、例えば、押出機、リングダイペレットミル、フラットダイペレットミル、ロールコンパクタ、ロールブリケッタ、湿式凝集ミル、乾式凝集ミル、又はそれらの組み合わせから選択されるペレット化装置を利用することができる。
【0362】
バイオカーボン組成物は、粉末、ペレット、又は別の幾何学的形状の形態であり得る。
【0363】
バイオカーボン組成物は、少なくとも50重量%の固定炭素、少なくとも60重量%の固定炭素、少なくとも70重量%の固定炭素、少なくとも80重量%の固定炭素、又は少なくとも90重量%の固定炭素を含み得る。他の固定炭素含有量は、前述されており、これらのプロセス実施形態(及び本明細書に開示されている他のプロセス)にも適用される。
【0364】
バイオカーボン組成物は、10重量%未満の灰、5重量%未満の灰、2重量%未満の灰、又は1重量%未満の灰を含み得る。他の灰分は、前述されており、これらのプロセス実施形態(及び本明細書に開示されている他のプロセス)にも適用される。
【0365】
いくつかの実施形態では、凝縮器液体は、1重量%未満の灰を含むか、0.1重量%未満の灰を含むか、又は灰を本質的に含まない。凝縮器液体の低い灰分は、バイオカーボン組成物の最終的な灰分を減少させる。他の凝縮器液体灰分は、前述されており、これらのプロセス実施形態(及び本明細書に開示されている他のプロセス)にも適用される。
【0366】
いくつかのプロセスでは、バイオカーボン組成物中の総炭素は、総炭素の14C/12C同位体比率の測定から決定して、少なくとも50%再生可能である。バイオカーボン組成物中の総炭素は、総炭素の14C/12C同位体比率の測定から決定して、少なくとも90%再生可能であり得る。バイオカーボン組成物中の総炭素は、総炭素の14C/12C同位体比率の測定から決定して、完全に再生可能であり得る。
【0367】
いくつかの変形形態は、バイオカーボン組成物を製造するためのプロセスであって、プロセスが、
(a)熱分解反応器内で、バイオマス含有原料を熱分解して、生体試薬及び熱分解蒸気を生成することと、
(b)熱分解蒸気の少なくとも一部を凝縮システムに導入して、凝縮器液体及び凝縮器蒸気を生成することと、
(c)出発バイオマス原料を凝縮器液体の少なくとも一部と接触させ、それによって、出発バイオマス原料と凝縮器液体の少なくとも一部とを含むバイオマス含有原料を生成することと、
(d)任意選択的に、生体試薬をペレット化することと、
(e)任意選択的に、生体試薬を乾燥させることと、
(f)生体試薬をバイオカーボン組成物として回収することと、を含む、プロセスを提供する。
【0368】
出発バイオマス原料は、軟材チップ、硬材チップ、材木収穫残渣、木の枝、木の切り株、葉、樹皮、おがくず、トウモロコシ、トウモロコシ茎葉、小麦、小麦わら、イネ、イネわら、サトウキビ、サトウキビバガス、サトウキビわら、エネルギーサトウキビ、サトウダイコン、サトウダイコンパルプ、ヒマワリ、モロコシ、キャノーラ、藻類、ススキ、アルファルファ、スイッチグラス、果物、果物の殻、果物の茎、果物の皮、果物の種子、野菜、野菜の殻、野菜の茎、野菜の皮、野菜の種子、ブドウの搾りかす、アーモンドの殻、ペカンの殻、ココナッツの殻、コーヒー澱、食品廃棄物、商業廃棄物、草ペレット、干し草ペレット、木材ペレット、厚紙、紙、紙パルプ、紙包装、紙の切り屑、食品包装、建築若しくは解体廃棄物、枕木、リグニン、動物性肥料、都市固形廃棄物、都市下水、又はそれらの組み合わせから選択することができる。
【0369】
いくつかの実施形態では、ステップ(c)は、凝縮器液体の少なくとも一部を出発バイオマス原料に噴霧することを利用する。バイオマス含有原料は、出発バイオマス原料の表面上に吸着された凝縮器液体を含み得る。代替的に又は追加的に、バイオマス含有原料は、出発バイオマス原料のバルク相内に吸収された凝縮器液体を含む。
【0370】
ステップ(d)を行う場合、結合剤を生体試薬に導入することができる。結合剤は、デンプン、熱可塑性デンプン、架橋デンプン、デンプンポリマー、セルロース、セルロースエーテル、ヘミセルロース、メチルセルロース、キトサン、リグニン、ラクトース、スクロース、デキストロース、マルトデキストリン、バナナ粉、小麦粉、小麦デンプン、大豆粉、トウモロコシ粉、木粉、石炭タール、石炭微粉、メトコークス、アスファルト、石炭タールピッチ、石油ピッチ、瀝青、熱分解タール、ギルソナイト、ベントナイト粘土、ホウ砂、石灰石、石灰、ワックス、植物性ワックス、重曹、ベーキングパウダー、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、鉄鉱石精鉱、シリカヒューム、石膏、ポートランドセメント、グアーガム、キサンタンガム、ポリビドン、ポリアクリルアミド、ポリラクチド、フェノール-ホルムアルデヒド樹脂、植物性樹脂、リサイクルされた屋根板、リサイクルされたタイヤ、それらの誘導体、又は前述のものの任意の組み合わせから選択することができる。ある特定の実施形態では、結合剤は、デンプン、熱可塑性デンプン、架橋デンプン、デンプンポリマー、それらの誘導体、又は前述のものの任意の組み合わせから選択される。
【0371】
ステップ(d)を行う場合、代替的に、外部結合剤をペレット化中に生体試薬に導入する。
【0372】
いくつかのプロセスでは、ステップ(c)及び(d)が統合されており、どちらもペレット化ユニット内で実施される。いくつかのプロセスでは、ステップ(d)及び(e)の両方が行われ、統合されている。
【0373】
凝縮システムは、複数の凝縮器段階を含み得る。凝縮器液体は、複数の凝縮器段階のうちの個々の段階(例えば、第1の段階)の凝縮生成物であり得る。
【0374】
いくつかのプロセスでは、凝縮器液体中に含まれる総炭素の少なくとも25重量%を、生体試薬中の固定炭素に変換する。ある特定のプロセスでは、凝縮器液体中に含まれる総炭素の少なくとも50重量%を、生体試薬中の固定炭素に変換する。
【0375】
いくつかのプロセスでは、生体試薬中の固定炭素の約10重量%~約80重量%が、凝縮器液体に由来する。ある特定のプロセスでは、生体試薬中の固定炭素の約20重量%~約60重量%が、凝縮器液体に由来する。
【0376】
ステップ(a)を、約250℃~約1250℃、例えば、約300℃~約700℃から選択される熱分解温度で行うことができる。ステップ(a)を、約10秒~約24時間から選択される第1の熱分解時間で行うことができる。
【0377】
いくつかのプロセスでは、凝縮器蒸気のうちの一部又は全てを少なくとも部分的に酸化して、熱を生成し、熱をプロセス内で任意選択的に使用する。
【0378】
生体試薬を、ハンマーミル、押出機、アトリションミル、ディスクミル、ピンミル、ボールミル、コーンクラッシャ、ジョークラッシャ、又はそれらの組み合わせから選択される機械的処理装置を利用して粉砕することができる。
【0379】
ステップ(d)を用いるプロセスでは、このステップは、押出機、リングダイペレットミル、フラットダイペレットミル、ロールコンパクタ、ロールブリケッタ、湿式凝集ミル、乾式凝集ミル、又はそれらの組み合わせから選択されるペレット化装置を利用することができる。
【0380】
最終的なバイオカーボン組成物は、例えば、粉末又はペレットの形態であり得る。
【0381】
いくつかの実施形態では、バイオカーボン組成物は、少なくとも50重量%の固定炭素、少なくとも60重量%の固定炭素、少なくとも70重量%の固定炭素、少なくとも80重量%の固定炭素、又は少なくとも90重量%の固定炭素を含む。
【0382】
いくつかの実施形態では、バイオカーボン組成物は、10重量%未満の灰、5重量%未満の灰、2重量%未満の灰、又は1重量%未満の灰を含む。
【0383】
いくつかの実施形態では、凝縮器液体は、1重量%未満の灰を含むか、0.1重量%未満の灰を含むか、又は灰を本質的に含まない。
【0384】
バイオカーボン組成物中の総炭素は、総炭素の14C/12C同位体比率の測定から決定して、少なくとも50%再生可能であり得る。バイオカーボン組成物中の総炭素は、総炭素の14C/12C同位体比率の測定から決定して、少なくとも90%再生可能であり得る。バイオカーボン組成物中の総炭素は、総炭素の14C/12C同位体比率の測定から決定して、完全に再生可能であり得る。
【0385】
低固定炭素材料及び高固定炭素材料は、平衡及び比較的低温で互いに溶解しない別個の相を形成し得る。いくつかの実施形態では、低固定炭素材料及び高固定炭素材料は、互いに高い平衡(熱力学的)溶解度を有し得るが、それにもかかわらず、別個の材料が観察可能であるように、組成物中で動力学的に凍結されたままである。別個の材料は、組成、密度、粒子サイズ、反応性、又は他の物理的若しくは化学的特性を測定することによって観察可能であり得る。バイオカーボン組成物の最終的な使用中に、(例えば、高温で又は炭素酸化中に)材料の区別が失われる可能性がある。
【0386】
所与のバイオカーボン組成物が低固定炭素材料及び別個の高固定炭素材料の両方を含むことを実証する1つの技術において、バイオカーボン組成物試験サンプルの酸化(燃焼)の熱重量分析(TGA)が実施される。いくつかの実施形態では、得られるTGA熱曲線は、低固定炭素材料及び高固定炭素材料と相関する別個の質量損失事象に特徴的な2つのピークを有する。これを、既知の均一な固定炭素濃度を有する単一の材料を含むバイオカーボン組成物の対照サンプルと比較して、材料の1つの質量損失事象に特徴的な単一のピークを有するTGA熱曲線を示すことができる。同様の実施形態では、試験サンプルのTGA熱曲線は、3つ以上のピークを有し、一方、対照サンプルのTGA熱曲線は、試験サンプルより少なくとも1つ少ないピークを有する。
【0387】
所与のバイオカーボン組成物が低固定炭素材料及び別個の高固定炭素材料の両方を含むことを実証する別の技術は、粒子サイズ分析である。これは、低固定炭素材料及び高固定炭素材料に関連する粒子サイズが異なる場合、又は低固定炭素材料及び高固定炭素材料に関連する粒子サイズ分布が異なる場合に実行可能なアプローチである。いくつかの実施形態では、高固定炭素材料は、低固定炭素材料と比較してより小さな粒子を有する傾向がある。いくつかの実施形態では、均一な材料に特徴的なユニモーダル粒子サイズ分布を有する対照サンプルとは対照的に、低固定炭素材料及び高固定炭素材料の両方の存在からバイモーダル粒子サイズ分布が生じる。同様の実施形態では、試験サンプルは、対照サンプルの粒子サイズ分布より少なくとも1つ多いモードを有する粒子サイズ分布を有し得る。例えば、低固定炭素材料及び高固定炭素材料の各々が、バイモーダル粒子サイズ分布(ピークが異なるサイズで中心に置かれている)を有すること、及び対照サンプルが、対照サンプルがどのように製造されたかに応じてバイモーダル粒子サイズ分布を有することも可能である。
【0388】
粒子サイズは、例えば、動的光散乱、レーザー回折、画像分析、又は篩分離を含む様々な技術によって測定することができる。動的光散乱は、典型的にはサブミクロン領域内の粒子のサイズ及びサイズ分布を測定するための非侵襲的で十分に確立された技術であり、最新の技術では1ナノメートルまで測定されている。レーザー回折は、数百ナノメートルから数ミリメートルまでのサイズの材料のために広く使用される粒子のサイズ決定技術である。粒子サイズを測定するための例示的な動的光散乱装置及びレーザー回折装置は、Malvern Instruments Ltd.、Worcestershire,UKから入手可能である。粒子サイズ及び分布を推定するための画像分析は、顕微鏡写真、走査型電子顕微鏡写真、又は他の画像上で直接行われ得る。最後に、篩分けは、粒子をサイズによって分離する従来の技術である。
【0389】
撮像技術は、代替的に又は追加的に、所与のバイオカーボン組成物が低固定炭素材料及び別個の高固定炭素材料の両方を含むことを実証するために利用され得る。撮像技術は、例えば、光学顕微鏡法、暗視野顕微鏡法、走査型電子顕微鏡法(SEM)、透過型電子顕微鏡法(TEM)、及びX線断層撮影法(XRT)を含むが、これらに限定されることはない。例えば、撮像技術を使用して、均質な材料ではなく、ブレンド中の別個の材料を実証することができる。又は、撮像技術を使用して、更なる分析のためにサブサンプルを選択することができる。更なる分析は、固定炭素含有量の三次元変動を示すための組成分析であり得る。更なる分析は、例えば、密度、粒子サイズ、又は反応性などの化学的又は物理的特性における三次元変動を示すための特性分析であり得る。
【0390】
分光法技術は、代替的に又は追加的に、所与のバイオカーボン組成物が低固定炭素材料及び別個の高固定炭素材料の両方を含むことを実証するために利用され得る。分光法技術は、例えば、エネルギー分散X線分光法(EDS)、X線蛍光法(XRF)、赤外線(IR)分光法、及び核磁気共鳴(NMR)分光法を含むが、これらに限定されることはない。
【0391】
いくつかの実施形態では、バイオカーボン組成物は、約10重量%~約90重量%の低固定炭素材料を含む。いくつかの実施形態では、バイオカーボン組成物は、約10重量%~約90重量%の高固定炭素材料を含む。高固定炭素材料に対する低固定炭素材料の重量比は、約0.1~約10、例えば、約0.2~約5、約0.5~約2、又は約0.8~約1.2から選択することができる。
【0392】
いくつかの実施形態では、第1の固定炭素濃度は、例えば、約20重量%~約40重量%、又は約25重量%~約50重量%、又は約30重量%~約55重量%である。
【0393】
いくつかの実施形態では、第2の固定炭素濃度は、例えば、約80重量%~約100重量%、又は約70重量%~約95重量%、又は約60重量%~約90重量%である。
【0394】
いくつかの実施形態では、第1の固定炭素濃度及び第2の固定炭素濃度の非加重平均は、約30重量%~約90重量%、例えば、約40重量%~約80重量%である。
【0395】
バイオカーボン組成物は、絶対ベースで約25重量%~約95重量%の全体固定炭素濃度を含み得る。いくつかの実施形態では、バイオカーボン組成物は、絶対ベースで約35重量%~約85重量%の全体固定炭素濃度を含む。
【0396】
低固定炭素材料は、絶対ベース(すなわち、灰及び水分を含む)で約45重量%~約80重量%の揮発性炭素を含み得る。様々な実施形態では、低固定炭素材料は、絶対ベースで約、少なくとも約、又は最大約45、50、55、60、65、70、75、若しくは80重量%の揮発性炭素を含み得る。低固定炭素材料は、例えば、絶対ベースで約1重量%~約20重量%の酸素を含み得る。低固定炭素材料は、例えば、絶対ベースで約0.1重量%~約10重量%の水素を含み得る。
【0397】
高固定炭素材料は、絶対ベースで約0~約50重量%の揮発性炭素を含み得る。様々な実施形態では、高固定炭素材料は、絶対ベースで約、少なくとも約、又は最大約1、5、10、15、20、25、30、35、40、45、若しくは50重量%の揮発性炭素を含み得る。高固定炭素材料は、例えば、絶対ベースで約1重量%~約20重量%の酸素を含み得る。高固定炭素材料は、例えば、絶対ベースで約0.1重量%~約10重量%の水素を含み得る。
【0398】
「バイオカーボン組成物」は、プロセスの最終組成物を参照する場合、一般に「バイオカーボン製品」と同義である。いくつかの実施形態では、バイオカーボン組成物は、約0.1重量%~約20重量%の水分を含む。様々な実施形態では、バイオカーボン組成物は、全ての介在範囲を含む、約、少なくとも約、又は最大約0、0.1、0.2、0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、若しくは20重量%の水分を含む。低固定炭素材料は、全ての介在範囲を含む、0~約50重量%の水分、例えば、約、少なくとも約、又は最大約0、0.1、0.2、0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、若しくは20重量%の水分を含み得る。独立的に、高固定炭素材料は、全ての介在範囲を含む、0~約50重量%の水分、例えば、約、少なくとも約、又は最大約0、0.1、0.2、0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、若しくは20重量%の水分を含み得る。乾燥は、プロセスの1つ以上の箇所で用いることができる。
【0399】
いくつかの実施形態では、バイオカーボン組成物は、約0.1重量%~約10重量%の灰を含む。様々な実施形態では、バイオカーボン組成物は、全ての介在範囲を含む、約、少なくとも約、又は最大約0、0.1、0.2、0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、若しくは10重量%の灰を含む。低固定炭素材料は、全ての介在範囲を含む、0~約25重量%の灰、例えば、約、少なくとも約、又は最大約0、0.1、0.2、0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、若しくは25重量%の灰を含み得る。独立的に、高固定炭素材料は、全ての介在範囲を含む、0~約50重量%の灰、例えば、約、少なくとも約、又は最大約0、0.1、0.2、0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、若しくは25重量%の灰を含み得る。
【0400】
いくつかの実施形態では、バイオカーボン組成物は、約0.1重量%~約10重量%の1つ以上の添加剤を含む。いくつかの実施形態では、バイオカーボン組成物は、約1重量%~約15重量%の1つ以上の添加剤を含む。いくつかの実施形態では、バイオカーボン組成物は、約3重量%~約18重量%の1つ以上の添加剤を含む。様々な実施形態では、バイオカーボン組成物は、全ての介在範囲を含む、約、少なくとも約、又は最大約0、0.1、0.2、0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、若しくは10重量%の添加剤を含む。
【0401】
低固定炭素材料は、全ての介在範囲を含む、0~約20重量%の添加剤、例えば、約、少なくとも約、又は最大約0、0.1、0.2、0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、若しくは20重量%の添加剤を含み得る。独立的に、高固定炭素材料は、全ての介在範囲を含む、0~約50重量%の添加剤、例えば、約、少なくとも約、又は最大約0、0.1、0.2、0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、若しくは20重量%の添加剤を含み得る。
【0402】
添加剤は、有機添加剤又は無機添加剤を含み得る。いくつかの実施形態では、1つ以上の添加剤は、再生可能な材料を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上の添加剤は、部分的に酸化又は燃焼することができる材料を含む。
【0403】
いくつかの実施形態では、1つ以上の添加剤は、結合剤を含む(又は結合剤である)。結合剤は、デンプン、熱可塑性デンプン、架橋デンプン、デンプンポリマー、セルロース、セルロースエーテル、ヘミセルロース、メチルセルロース、キトサン、リグニン、ラクトース、スクロース、デキストロース、マルトデキストリン、バナナ粉、小麦粉、小麦デンプン、大豆粉、トウモロコシ粉、木粉、石炭タール、石炭微粉、メトコークス、アスファルト、石炭タールピッチ、石油ピッチ、瀝青、熱分解タール、ギルソナイト、ベントナイト粘土、ホウ砂、石灰石、石灰、ワックス、植物性ワックス、重曹、ベーキングパウダー、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、鉄鉱石精鉱、シリカヒューム、石膏、ポートランドセメント、グアーガム、キサンタンガム、ポリビドン、ポリアクリルアミド、ポリラクチド、フェノール-ホルムアルデヒド樹脂、植物性樹脂、リサイクルされた屋根板、リサイクルされたタイヤ、それらの誘導体、又は前述のものの任意の組み合わせから選択することができる。
【0404】
ある特定の実施形態では、結合剤は、デンプン、熱可塑性デンプン、架橋デンプン、デンプンポリマー、それらの誘導体、又は前述のものの任意の組み合わせから選択される。結合剤は、任意選択的に架橋された熱可塑性デンプンであり得る。熱可塑性デンプンは、デンプンと、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセロール、ブタンジオール、ブタントリオール、エリスリトール、キシリトール、ソルビトール、又はそれらの組み合わせから選択することができるポリオールとの反応生成物であり得る。反応生成物は、ギ酸、酢酸、乳酸、クエン酸、シュウ酸、ウロン酸、グルクロン酸、又はそれらの組み合わせから選択することができる酸によって触媒された反応から形成することができる。代替的に、反応生成物は、塩基によって触媒された反応から形成することができる。
【0405】
1つ以上の添加剤は、1つ以上の添加剤なしという点以外は同等のバイオカーボン組成物と比較して、バイオカーボン組成物の反応性を低下させ得る。反応性は、熱反応性であり得る。例えば、1つ以上の添加剤を有するバイオカーボン組成物は、1つ以上の添加剤なしという点以外は同等のバイオカーボン組成物と比較して、より低い自己加熱性を有し得る。代替的に又は追加的に、反応性は、酸素、水、水素、一酸化炭素、又は金属(例えば、鉄)との化学反応性である。
【0406】
添加剤を用いる場合、添加剤は、バイオマス組成物全体に均一に分布している必要はない。添加剤は、低固定炭素材料若しくは高固定炭素材料のうちの一方に存在していても、又は更には、これらの材料のうちの一方のみに存在していてもよい。例えば、結合剤は、全バイオマス組成物中に5重量%で存在し得るが、その量のうち、4パーセンテージポイントが、低固定炭素材料内に配置されており、1パーセンテージポイントが、高固定炭素材料内に配置されている(すなわち、結合剤の80%が、低固定炭素材料内に配置されている)。様々な実施形態では、低固定炭素材料内に配置されている総添加剤のパーセンテージは、約、少なくとも約、又は最大約0、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、若しくは100%であり得、高固定炭素材料内に配置されている総添加剤のパーセンテージは、約、少なくとも約、又は最大約0、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、若しくは100%であり得、低固定炭素材料にも高固定炭素材料にも配置されていないがバイオカーボン組成物内の他の箇所に(例えば、別々の添加剤相として)配置されている総添加剤のパーセンテージは、約、少なくとも約、又は最大約0、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、若しくは100%であり得る。
【0407】
1つ以上の添加剤が存在する場合、添加剤の一部又は全ては、低固定炭素材料内で細孔充填することができる。1つ以上の添加剤が存在する場合、添加剤の一部又は全ては、高固定炭素材料内で細孔充填することができる。いくつかの実施形態では、1つ以上の添加剤が存在し、低固定炭素材料及び高固定炭素材料の両方の内部で細孔充填する。
【0408】
代替的に又は追加的に、1つ以上の添加剤をバイオカーボン組成物の外側表面(例えば、ペレット又は粉末粒子の外側表面)上に配置することができる。
【0409】
いくつかの実施形態では、バイオカーボン組成物は、粉末の形態である。
【0410】
いくつかの実施形態では、バイオカーボン組成物は、ペレットの形態である。形態がペレットである場合、1つ以上の添加剤は、ペレットのための結合剤を含み得る。代替的に又は追加的に、ペレットは、低固定炭素材料自体をペレット内の結合剤として利用することができる。
【0411】
1つ以上の添加剤が存在する場合、添加剤は、低固定炭素材料又は高固定炭素材料のうちの一方の内部に位置し得る。代替的に、添加剤は、添加剤が低固定炭素材料及び高固定炭素材料内で同じ平均濃度を有するように均一に分布し得る。
【0412】
いくつかの実施形態では、バイオカーボン組成物は、Manual of Tests and Criteria,Seventh revised edition 2019,United Nations,Page 375,33.4.6 Test N.4:“Test method for self-heating substances”(参照により本明細書に組み込まれる)に従って自己加熱試験を受けた場合、非自己加熱性として特徴付けられる。
【0413】
固定炭素濃度は、バイオカーボン組成物の重要なパラメータである。本開示は、様々な実施形態で、固定炭素濃度を最大化すること、又は最適化するが、必ずしも最大化するわけではないことを可能にする。
【0414】
いくつかの実施形態では、固定炭素濃度、及び任意選択的に添加剤の種類又は濃度は、バイオカーボン組成物に関連するエネルギー含有量を最適化するように選択される。
【0415】
いくつかの実施形態では、固定炭素濃度、及び任意選択的に添加剤の種類又は濃度は、バイオカーボン組成物に関連するかさ密度を最適化するように選択される。
【0416】
いくつかの実施形態では、固定炭素濃度、及び任意選択的に添加剤の種類又は濃度は、バイオカーボン組成物に関連する疎水性を最適化するように選択される。
【0417】
いくつかの実施形態では、固定炭素濃度、及び任意選択的に添加剤の種類又は濃度は、バイオカーボン組成物に関連する細孔サイズを最適化するように選択される。
【0418】
いくつかの実施形態では、固定炭素濃度、及び任意選択的に添加剤の種類又は濃度は、バイオカーボン組成物に関連する細孔サイズの比率を最適化するように選択される。
【0419】
いくつかの実施形態では、固定炭素濃度、及び任意選択的に添加剤の種類又は濃度は、バイオカーボン組成物に関連する表面積を最適化するように選択される。
【0420】
いくつかの実施形態では、固定炭素濃度、及び任意選択的に添加剤の種類又は濃度は、バイオカーボン組成物に関連する反応性を最適化するように選択される。
【0421】
いくつかの実施形態では、固定炭素濃度、及び任意選択的に添加剤の種類又は濃度は、バイオカーボン組成物に関連するイオン交換容量を最適化するように選択される。
【0422】
いくつかの実施形態では、バイオカーボン組成物は、ペレットの形態であり、固定炭素濃度、及び任意選択的に添加剤の種類又は濃度は、ペレットに関連するハードグローブ粉砕性指数を最適化するように選択される。
【0423】
いくつかの実施形態では、バイオカーボン組成物は、ペレットの形態であり、固定炭素濃度、並びに任意選択的に添加剤の種類又は濃度は、ペレットに関連するペレット耐久性指数を最適化するように選択される。
【0424】
バイオカーボン組成物中の総炭素は、総炭素の14C/12C同位体比率の測定から決定して、少なくとも50%再生可能であり得る。いくつかの実施形態では、総炭素は、総炭素の14C/12C同位体比率の測定から決定して、少なくとも90%再生可能である。ある特定の実施形態では、総炭素は、総炭素の14C/12C同位体比率の測定から決定して、完全に再生可能である。
【0425】
再生可能なバイオカーボン組成物が好ましいが、本開示の原理は、再生不可能な材料に適用することができることに留意することが重要である。ある特定の実施形態では、バイオマス含有原料は、バイオマス(本明細書に列挙されているバイオマス供給源など)、並びに石炭などの非再生可能な原料を含む。したがって、バイオマス-石炭混合物をバイオマス含有原料として利用することができ、これは、例えば、
図1~6のいずれかにある「バイオマス」と置き換えることができる。原料混合物に使用することができる他の非バイオマス原料は、例えば、熱分解石炭、コークス、石油コークス、冶金コークス、活性炭、カーボンブラック、グラファイト、グラフェン、熱分解ポリマー、又はそれらの組み合わせを含む。
【0426】
いくつかのプロセスでは、2つ以上の別個の熱分解反応器を用いる。熱分解反応器は、典型的には、全て連続的に行うか、又は全てバッチで行うが、原則として、反応モードの混合物を使用することができる。また、別個の熱分解反応器を用いる場合、これらは、共通の箇所にあってもよいか、又は異なる箇所にあってもよい。
【0427】
他の実施形態では、プロセスを、異なる製造キャンペーンなど、異なる時間で、共通の熱分解反応器内で行う。単一の熱分解反応器を使用する場合、これは、例えば、低固定炭素材料及び高固定炭素材料の別個のバッチを用いたバッチモードで、又は異なる熱分解条件を使用して、動作させることができる。代替的に、第1の材料を第1の期間にわたって生成し、次いで、第2の材料を第2の期間にわたって生成するように、単一の熱分解反応器を連続的又は半連続的に動作させることができ、その後、反応器を第1の材料又は何か別のものの製造に戻すことができる。
【0428】
いくつかのプロセス実施形態では、第1の熱分解反応器を、約250℃~約1250℃、例えば、約300℃~約700℃から選択される第1の熱分解温度で動作させる。第2の熱分解反応器を、約250℃~約1250℃、例えば、約300℃~約700℃から選択される第2の熱分解温度で動作させることができる。第2の熱分解温度は、第1の熱分解温度と同じであってもよいか、又は異なっていてもよい。
【0429】
いくつかの実施形態では、第1の熱分解反応器を、約10秒~約24時間から選択される第1の熱分解時間で動作させる。これらの又は他の実施形態では、第2の熱分解反応器を、約10秒~約24時間から選択される第2の熱分解時間で動作させる。第2の熱分解時間は、第1の熱分解時間と同じであってもよいか、又は異なっていてもよい。
【0430】
いくつかの実施形態は、炭素基材を生成するための本明細書で教示される原理を使用する炭素再捕捉を伴うバイオマスの最適化された熱分解、炭素基材の機械的サイズ縮小、及び炭素基材を凝集させてバイオカーボンペレットを形成するための結合剤の使用に基づく。炭素基材は、低固定炭素材料と高固定炭素材料とのブレンドであってもよいか、又はそれを含んでいてもよい。
【0431】
ハードグローブ粉砕性指数(「HGI」)は、バイオマス又は石炭などの材料の粉砕性の尺度である。石炭についてのHGIパラメータは、石炭が微粉砕されて懸濁液中で燃焼される微粉砕炭ボイラーなどの電力用途、及び微粉砕炭がランスを通して高炉に注入され、微粉砕炭がコークスと置き換わって鉄鉱石を金属鉄に還元することができる微粉砕炭注入などの製鉄において重要である。
【0432】
いくつかの実施形態では、固定炭素含有量を変動させることは、HGIの最適化を可能にする。結合剤又は他の添加剤の組み込みはまた、HGI調節性を可能にし得る。
【0433】
バイオカーボンペレットのHGIを調節する能力は、バイオカーボンペレットを利用する下流用途(例えば、ボイラー内の石炭の交換)が様々なHGI要件を有するため、有益である。HGI調節性は、粗バイオマスを粉砕する際の難点及びペレットを粉砕する際の難点という周知の問題に工業的に対処する。更に、各々独自の要件を有するバイオカーボンペレットの下流使用は非常に多いので、ペレットの粉砕性を調節することができることは非常に有利である。合成ガスを作製するためのボイラーでの燃焼、金属作製、又はガス化などの特定の用途に適合するようにHGIを調節することができることが望ましい。
【0434】
多くの用途では、配送、貯蔵、安全性の利点に基づいて、粉末(単離されたバイオマス粒子)よりもペレットが好ましい。最終的に、ペレットは、ある時点で粉末、又は少なくともより小さな物体に戻す必要がある場合がある。したがって、ペレットの粉砕性は、しばしば、運用コスト及び資本コストに影響を与える重要なパラメータである。
【0435】
場合によっては、ボイラー又はガス化装置が流動床又は炭素粒子の懸濁液を利用する場合など、ペレットを粉砕するか、又は微粉砕して粉末にする必要がある。別の例は、金属鉱石を金属に還元するための高炉への微粉砕炭素注入である。これらの場合、ペレットの高い粉砕性が望ましいが、ペレットが配送及び取り扱い中に崩壊するほど高すぎてはならない。他の場合には、金属作製プロセスなどのプロセスにペレット自体を供給することが望ましい。これらの場合、ある程度のペレット強度が、反応器内の材料床を支持するために必要とされ得るため、より低い粉砕性が望ましい場合がある。異なる技術は、異なるペレット粉砕性要件を有する。
【0436】
バイオカーボンペレットのハードグローブ粉砕性指数は、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも70、少なくとも80、少なくとも90、又は少なくとも100であり得る。いくつかの実施形態では、ハードグローブ粉砕性指数は、約30~約50又は約50~約70である。‘‘Standard Test Method for Grindability of Coal by the Hardgrove-Machine Method’’に関するASTM-Standard D409/D409Mは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。別段の指示がない限り、本開示におけるハードグローブ粉砕性指数又はHGIへの全ての言及は、ASTM-Standard D409/D409Mを参照している。
【0437】
様々な実施形態では、ハードグローブ粉砕性指数は、全ての介在範囲(例えば、25~40、30~60など)を含む、約、少なくとも約、又は最大約20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100である。
【0438】
バイオカーボンペレットは、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも99%のペレット耐久性指数によって特徴付けることができる。バイオカーボンペレットは、99%未満、95%未満、90%未満、85%未満、又は80%未満のペレット耐久性指数によって特徴付けることができる。別段の指示がない限り、本開示におけるペレット耐久性指数への全ての言及は、ISO17831-1:2015“Solid biofuels-Determination of mechanical durability of pellets and briquettes-Part 1:Pellets”(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)を参照している。
【0439】
いくつかの実施形態では、バイオカーボンペレットは、より小さな物体を作製するための出発材料として利用され、「ペレット」は、幾何形状を限定しないため、バイオカーボンペレットとも呼ばれ得る。例えば、平均ペレット直径が10mmである初期バイオカーボンペレットを作製することができる。次いで、これらの初期バイオカーボンペレットは、様々な機械的手段を使用して(例えば、ハンマーミルを使用して)破砕することができる。破砕したペレットは、スクリーニングなどによってサイズに応じて分離することができる。このようにして、例えば、約、少なくとも約、又は最大約50、100、150、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、1500、2000、3000、4000、若しくは5000ミクロンの平均ペレット直径を有する、より小さなバイオカーボンペレットを製造することができる。ある特定の実施形態では、より小さなバイオカーボンペレットの平均ペレット直径は、好ましくは、結合剤を用いてペレットを作製するために使用された初期炭素含有粒子の平均粒子直径よりも大きい。
【0440】
バイオカーボンペレットを破砕してより小さなバイオカーボンペレットを製造する場合、破砕(及び任意選択的にスクリーニング)のステップは、潜在的に工業的使用の箇所を含む別のプロセスステップと統合することができる。より小さなバイオカーボンペレットを製造するための任意選択的なステップは、ハンマーミル、アトリションミル、ディスクミル、ピンミル、ボールミル、コーンクラッシャ、ジョークラッシャ、ロッククラッシャ、又はそれらの組み合わせから選択される粉砕装置を利用することができる。
【0441】
様々なプロセス実施形態では、ハードグローブ粉砕性指数は、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも70、少なくとも80、少なくとも90、又は少なくとも100である。例えば、ハードグローブ粉砕性指数は、約30~約50又は約50~約70であり得る。
【0442】
様々なプロセスでは、プロセス条件は、全ての介在範囲(例えば、30~60、33~47など)を含む、約、少なくとも約、又は最大約20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100のハードグローブ粉砕性指数を有する最終バイオカーボンペレットを製造するように選択及び最適化される。
【0443】
いくつかのプロセスでは、バイオカーボンペレットは、少なくとも80%、少なくとも90%、又は少なくとも95%のペレット耐久性指数によって特徴付けられる。
【0444】
いくつかの実施形態では、プロセスは、ハードグローブ粉砕性指数を事前に選択することと、事前に選択されたハードグローブ粉砕性指数に基づいてプロセス条件を調節することと、バイオカーボンペレットについて事前に選択されたハードグローブ粉砕性指数の±20%以内を達成することと、を含み、調節プロセス条件は、熱分解温度、熱分解時間、機械的処理条件、ペレット化条件、結合剤タイプ、結合剤濃度、結合条件、及び乾燥のうちの1つ以上を調節することを含む。ある特定の実施形態のプロセスは、バイオカーボンペレットについて事前に選択されたハードグローブ粉砕性指数の±10%以内、又は±5%以内を達成することができる。
【0445】
バイオカーボンペレットのサイズ及び幾何形状は、変動し得る。本明細書で使用される場合、「ペレット」は、ルースパウダーではなく凝集した物体を意味する。ペレットの幾何学的形状は、球形又はほぼ球形に限定されることはない。また、本開示では、「ペレット」は、「ブリケット」と同義である。ペレットの幾何学的形状は、球状(円形又はボール形状)、円筒形、立方体(正方形)、八角形、六角形、ハニカム/蜂の巣形状、楕円形、卵形状、円柱形状、棒形状、枕形状、ランダム形状、又はそれらの組み合わせであり得る。開示の便宜上、「ペレット」という用語は、一般に、結合剤を使用して凝集した粉末を含む任意の物体について使用される。また、この技術は、ペレットの形態のバイオカーボン組成物に決して限定されないことを繰り返したい。例えば、開示されているプロセスを使用してペレットを製造した後に、ペレットを粉末化して、それから使用することができる。
【0446】
バイオカーボンペレットは、球体若しくは円筒の場合には真の直径である平均ペレット直径、又は任意の他の3D幾何学的形状の場合には等価な直径によって特徴付けることができる。非球形ペレットの等価直径は、実際のペレットと等価な体積の球体の直径である。いくつかの実施形態では、平均ペレット直径は、全ての介在範囲を含む、約又は少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、20、若しくは25ミリメートルである。いくつかの実施形態では、平均ペレット直径は、全ての介在範囲を含む、約又は少なくとも約500、1000、1500、2000、2500、3000、3500、4000、4500、5000、5500、6000、若しくは6500ミクロンである。
【0447】
いくつかの実施形態では、平均ペレット直径の±100%未満、±50%未満、±25%未満、±10%未満、又は±5%未満の標準偏差など、サイズが比較的均一な複数のバイオカーボンペレットが存在する。他の実施形態では、これは一部の用途で有利であり得るので、広範囲のサイズのバイオカーボンペレットが存在する。
【0448】
バイオカーボンペレットは、水分を含み得る。バイオカーボンペレットに存在する水分は、炭素若しくは結合剤に化学的に結合している水、炭素若しくは結合剤に物理的に結合(吸収若しくは吸着)している水、炭素若しくは結合剤に化学的若しくは物理的に結合していない水相中に存在する自由水、又はそれらの組み合わせであり得る。結合プロセス中に水分が望まれる場合、そのような水分は、自由水であるのではなく、炭素又は結合剤に化学的又は物理的に結合することが好ましい。
【0449】
様々な水分レベルが存在し得る。例えば、バイオカーボンペレットは、約1重量%~約30重量%(例えば、32重量%)、例えば、約5重量%~約15重量%の水分、約2重量%~約10重量%の水分、又は約0.1重量%~約1重量%の水分を含み得る。いくつかの実施形態では、バイオカーボンペレットは、約4~8重量%の水分を含む。様々な実施形態では、バイオカーボンペレットは、全ての介在範囲を含む、約、少なくとも約、又は最大約0.5、1、1.5、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、若しくは35重量%の水分を含む。バイオカーボンペレットの水分レベルは、ペレット内の密度を変動させるように最適化することができる。
【0450】
農業などのいくつかの市場用途では、粉塵制御又は他の理由から、より高い水分レベルが望ましい。冶金などの他の市場用途では、より低い水分レベルが望ましい可能性がある(例えば、1重量%の水分又は更に低い水分)。水は、バイオカーボンペレットを作製するプロセス中に存在するが、次いで、これらのペレットは、任意選択的に乾燥され、このことは、最終的なバイオカーボンペレットが水分を必ずしも含まないことを意味することに留意されたい。
【0451】
いくつかのバイオカーボンペレットでは、バイオカーボンペレットは、約2重量%~約25重量%の結合剤、約5重量%~約20重量%の結合剤、又は約1重量%~約5重量%の結合剤を含む。様々な実施形態では、バイオカーボンペレットは、全ての介在範囲を含む、約、少なくとも約、又は最大約0.5、1、1.5、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、20、25、若しくは30重量%の結合剤を含む。いくつかの実施形態では、水分含有量と結合剤濃度との間には、逆の関係がある。
【0452】
結合剤は、バイオカーボンペレットの生体試薬内で細孔充填することができる。代替的に又は追加的に、結合剤をバイオカーボンペレットの表面上に配置することができる。
【0453】
結合剤は、有機結合剤又は無機結合剤であり得る。いくつかの実施形態では、結合剤は、再生可能な材料であるか、又はそれを含む。いくつかの実施形態では、結合剤は、生分解性の材料であるか、又はそれを含む。いくつかの実施形態では、結合剤を部分的に酸化又は燃焼させることができる。
【0454】
様々な実施形態では、結合剤は、デンプン、架橋デンプン、デンプンポリマー、セルロース、セルロースエーテル、ヘミセルロース、メチルセルロース、キトサン、リグニン、ラクトース、スクロース、デキストロース、マルトデキストリン、バナナ粉、小麦粉、小麦デンプン、大豆粉、トウモロコシ粉、木粉、石炭タール、石炭微粉、メトコークス、アスファルト、石炭タールピッチ、石油ピッチ、瀝青、熱分解タール、ギルソナイト、ベントナイト粘土、ホウ砂、石灰石、石灰、ワックス、植物性ワックス、重曹、ベーキングパウダー、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、鉄鉱石精鉱、シリカヒューム、石膏、ポートランドセメント、グアーガム、キサンタンガム、ポリビドン、ポリアクリルアミド、ポリラクチド、フェノール-ホルムアルデヒド樹脂、植物性樹脂、リサイクルされた屋根板、リサイクルされたタイヤ、それらの誘導体、又は前述のものの任意の組み合わせから選択される。結合剤は、粉砕可能な可塑剤であり得るか、又はそれを含み得る。
【0455】
ある特定の実施形態では、結合剤は、デンプン、熱可塑性デンプン、架橋デンプン、デンプンベースのポリマー(例えば、アミロース及びアミロペクチンをベースとするポリマー)、それらの誘導体、又は前述のもののいずれかの組み合わせから選択される。デンプンは、非イオン性デンプン、アニオン性デンプン、カチオン性デンプン、又は両性イオン性デンプンであり得る。
【0456】
デンプンは、最も豊富なバイオポリマーのうちの1つである。デンプンは、完全に生分解性であり、安価であり、再生可能であり、かつ容易に化学的に修飾され得る。デンプン分子の環状構造は、強い水素結合とともに、デンプンに剛性構造を与え、非常に秩序のある結晶及び粒状領域をもたらす。その粒状状態のデンプンは、概して、熱可塑性処理には適していない。熱可塑性デンプンを得るために、半結晶性デンプン顆粒は、熱的及び機械的力によって分解することができる。純粋なデンプンの融点は、相当に、少なくとも約その分解温度であるため、水又はグリコールなどの可塑剤を添加することができる。次いで、熱可塑性デンプンをもたらす高温での激しい混合(せん断)によって、天然の結晶性を破壊することができる。デンプンは、水、グリセロール、又はソルビトールなどのデンプンヒドロキシル基と水素結合することができる比較的低レベルの分子によって可塑化(破壊)することができる。
【0457】
熱可塑性デンプンは、化学的に修飾されるか、又は他のバイオポリマーとブレンドされて、より強く、より延性があり、かつ弾力性のあるバイオプラスチックを製造することができる。例えば、デンプンは、ポリ乳酸、ポリカプロラクトン、又はポリヒドロキシブチレートなどの天然及び合成(生分解性)ポリエステルとブレンドすることができる。デンプン/ポリエステルブレンドの相溶性を改善するために、ポリ(エチレン-コ-ビニルアルコール)又はポリビニルアルコールなどの好適な相溶性化剤を添加することができる。デンプンの親水性ヒドロキシル基(-OH)は、エステル化又はエーテル化などによって、疎水性反応性基で置き換えることができる。
【0458】
いくつかの実施形態では、デンプン含有結合剤は、架橋デンプンであるか、又はそれを含む。デンプンを架橋するための様々な方法は、当該技術分野において既知である。デンプン材料は、例えば、水性媒体に溶解又は分散した後、酸性又はアルカリ性条件下で架橋することができる。アルデヒド(例えば、グルタルアルデヒド又はホルムアルデヒド)を使用して、デンプンを架橋させることができる。
【0459】
架橋デンプンの一例は、デンプンと、グリセロール、又は(限定されないが)エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセロール、ブタンジオール、ブタントリオール、エリスリトール、キシリトール、ソルビトール、若しくはそれらの組み合わせなどの別のポリオールとの反応生成物である。反応生成物は、酸、例えば(限定されないが)、ギ酸、酢酸、乳酸、クエン酸、シュウ酸、ウロン酸、グルクロン酸、又はそれらの組み合わせによって触媒される架橋反応から形成することができる。硫酸などの無機酸はまた、架橋反応を触媒するために利用することができる。いくつかの実施形態では、熱可塑化又は架橋反応生成物は、代わりに、(限定されないが)アンモニア又はホウ酸ナトリウムなどの塩基によって触媒される架橋反応から形成することができる。
【0460】
いくつかの実施形態では、結合剤は、耐水性結合剤であるように設計される。例えば、デンプンの場合、親水性基は、より良好に水に抵抗する疎水性基によって置き換えることができる。
【0461】
いくつかの実施形態では、結合剤は、(限定されないが)バイオカーボンペレット内の水分保持、微生物のための食物供給源などの他の目的を果たす。
【0462】
いくつかの実施形態では、結合剤は、結合剤なしという点以外は同等のバイオカーボンペレットと比較して、バイオカーボンペレットの反応性を低下させる。反応性は、熱反応性若しくは化学反応性(又はその両方)を指すことができる。
【0463】
熱反応性の場合、バイオカーボンペレットは、結合剤なしという点以外は同等のバイオカーボンペレットと比較して低い自己加熱性を有し得る。「自己加熱性」は、バイオカーボンペレットの内部温度を上昇させるために、任意の外部点火の非存在下、比較的低温及び酸化雰囲気下で、自発的な発熱反応を受けるバイオカーボンペレットを指す。
【0464】
化学反応性は、酸素、水、水素、一酸化炭素、金属(例えば、鉄)、又はそれらの組み合わせとの反応性であり得る。化学反応性は、例えば、CO、CO2、H2O、熱分解油、及び熱に対する反応と関連付けられ得る。
【0465】
任意選択的に、バイオカーボンペレットは、無機ベントナイト粘土、石灰石、デンプン、セルロース、リグニン、又はアクリルアミドなどの1つ以上の添加剤(必ずしも結合剤ではない)を含む。リグニンを結合剤として又は他の添加剤として使用する場合、リグニンは、熱分解プロセスにおいて使用されるのと同じバイオマス原料から得ることができる。例えば、出発バイオマス原料をリグニン抽出ステップに供して、結合剤又は添加剤として使用するためにいくらかの量のリグニンを除去することができる。
【0466】
無機塩化物、無機フッ化物、又は石灰などのフラックス剤を含む他の可能な添加剤。いくつかの実施形態では、添加剤は、酸、塩基、又はそれらの塩から選択される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの添加剤は、金属、金属酸化物、金属水酸化物、金属ハロゲン化物、又はそれらの組み合わせから選択される。例えば、添加剤は、(限定されないが、)水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、酸化マグネシウム、臭化水素、塩化水素、ケイ酸ナトリウム、過マンガン酸カリウム、マグネシウム、マンガン、アルミニウム、ニッケル、クロム、ケイ素、ホウ素、セリウム、モリブデン、リン、タングステン、バナジウム、ハロゲン化鉄、塩化鉄、臭化鉄、ドロマイト、ドロマイト石灰、蛍石、フルオロスパー、ベントナイト、酸化カルシウム、石灰、又はそれらの組み合わせからなる群から選択することができる。添加剤は、原料が収穫される前後の任意の時点で原料自体に添加することを含む、プロセスの任意の1つ以上のステップの前、最中、又は後に添加することができる。
【0467】
本明細書に開示されているバイオカーボンペレットは、多種多様な下流使用を有する。バイオカーボンペレットは、貯蔵、販売、配送、及び他の製品に変換することができる。バイオカーボンペレットは、ボイラーで使用するために微粉砕して、炭素を燃焼させ、電気エネルギー又は熱を生成することができる。バイオカーボンペレットは、金属製造中の高炉などの炉に供給するために微粉砕、破砕、又はミリングすることができる。バイオカーボンペレットは、金属製造におけるTecnored炉などの炉に直接供給することができる。バイオカーボンペレットは、バイオカーボンペレットから合成ガスを作製する目的で、ガス化装置に供給するために微粉砕、破砕、又はミリングすることができる。
【0468】
多くの実施形態では、バイオカーボンペレットは、直接、又は微粉砕、破砕、ミリング、若しくは他の方法で粒子サイズを減少させるステップの後に、炉に供給される。炉は、高炉、炉頂ガス再循環高炉、シャフト炉、反射炉(空気炉としても既知である)、るつぼ炉、消音炉、レトルト炉、フラッシュ炉、Tecnored炉、Ausmelt炉、ISASMELT炉、パッドル炉、ボギー炉床炉、連続チェーン炉、プッシャー炉、回転炉床炉、ウォーキングビーム炉、電気アーク炉、誘導炉、塩基性酸素炉、パッドル炉、ベッセマー炉、直接還元金属炉、又はそれらの組み合わせ若しくは派生物であり得る。
【0469】
バイオカーボンペレットのハードグローブ粉砕性指数にかかわらず、これらは必ずしも後で粉砕プロセスを受けるわけではないことに留意されたい。例えば、バイオカーボンペレットは、農業用途において直接使用することができる。別の例として、バイオカーボンペレットは、造園壁などの人工(engineered)構造に直接組み込むことができる。次いで、バイオカーボンペレットを含む構造の寿命末期に、ペレットは、粉砕、燃焼、ガス化、又は他の方法で再利用若しくはリサイクルされ得る。
【0470】
熱分解プロセス及びシステム
これより、バイオマス原料、又は凝縮器液体と一緒になった生体試薬を熱分解するのに好適なプロセス及びシステムを更に詳細に説明する。熱分解反応器(又は反応)の説明は、いくつかの事例では、高固定炭素材料を製造するための反応器(又は反応)への言及として理解されるであろう。
【0471】
「熱分解」及び「熱分解する」は、概して、炭素質材料の熱分解を指す。熱分解では、完全燃焼に必要とされる酸素(O2モルベース)の10%、5%、1%、0.5%、0.1%、又は0.01%未満など、材料の完全燃焼に必要とされるよりも少ない酸素が存在する。いくつかの実施形態では、熱分解は、酸素の非存在下で実行される。
【0472】
熱分解中に生じ得る例示的な変化は、以下のうちのいずれかを含む:(i)熱供給源からの熱伝達は、原料内の温度を上昇させる;(ii)このより高い温度での一次熱分解反応の開始は、揮発物を放出し、チャーを形成する;(iii)より低温の固体に向かっての高温揮発物の流れは、高温揮発物とより低温の非熱分解原料との間の熱伝達をもたらす;(iv)原料のより低温の部分における揮発物の一部が凝縮し、続いて、二次反応が起こることで、タールが生成され得る;(v)一次熱分解反応が競合して同時に生じる間、自己触媒的二次熱分解反応が進行する;並びに(vi)更なる熱分解、改質、水性ガスシフト反応、フリーラジカル再結合、又は脱水も生じ得、これらは、滞留時間、温度、及び圧力プロファイルの関数である。
【0473】
熱分解は、出発原料(例えば、リグノセルロース系バイオマス)を少なくとも部分的に脱水することができる。様々な実施形態では、熱分解は、出発原料から水の約50%、75%、90%、95%、99%以上を除去する。
【0474】
いくつかの実施形態では、出発バイオマス原料は、軟材チップ、硬材チップ、材木収穫残渣、木の枝、木の切り株、葉、樹皮、おがくず、トウモロコシ、トウモロコシ茎葉、小麦、小麦わら、イネ、イネわら、サトウキビ、サトウキビバガス、サトウキビわら、エネルギーサトウキビ、サトウダイコン、サトウダイコンパルプ、ヒマワリ、モロコシ、キャノーラ、藻類、ススキ、アルファルファ、スイッチグラス、果物、果物の殻、果物の茎、果物の皮、果物の種子、野菜、野菜の殻、野菜の茎、野菜の皮、野菜の種子、ブドウの搾りかす、アーモンドの殻、ペカンの殻、ココナッツの殻、コーヒー澱、食品廃棄物、商業廃棄物、草ペレット、干し草ペレット、木材ペレット、厚紙、紙、紙パルプ、紙包装、紙の切り屑、食品包装、建築若しくは解体廃棄物、枕木、リグニン、動物性肥料、都市固形廃棄物、都市下水、又はそれらの組み合わせから選択される。典型的には、バイオマス原料は、少なくとも炭素、水素、及び酸素を含むことに留意されたい。
【0475】
生体試薬は、少なくとも約50重量%、少なくとも約75重量%、又は少なくとも約90重量%の総炭素を含み得る。様々な実施形態では、生体試薬は、約、少なくとも約、又は最大約20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、若しくは99重量%の炭素を含む。総炭素は、揮発性物質中に存在する固定炭素と非固定炭素との和である。いくつかの実施形態では、成分の重量パーセンテージは、絶対ベースであり、これは、特に言及されていない限り仮定される。他の実施形態では、成分重量パーセンテージは、無水及び無灰ベースである。低固定炭素材料及び高固定炭素材料の組成物は、先で詳細に論じられている。
【0476】
熱分解条件は、生体試薬及び熱分解排ガスの所望の組成、出発原料、反応器構成、並びに他の要因に応じて大きく変動し得る。
【0477】
いくつかの実施形態では、多重反応器ゾーンは、原料変動及び製品要件に対する柔軟性及び調節可能性を維持しながら、熱分解からの炭素収率及び製品品質を最適化するように設計され、動作される。
【0478】
いくつかの非限定的な実施形態では、温度及び滞留時間は、比較的遅い熱分解化学反応を達成するように選択される。利点は、バイオマス構造中に含まれる細胞壁の実質的な保存である可能性があり、これは、最終製品が出発バイオマスの形状及び強度の一部、大部分、又は全てを保持することができることを意味する。この潜在的な利益を最大化するために、細胞壁を機械的に破壊しない又は別の方法でバイオマス粒子を小さな微粉に変換する装置を使用することができる。ある特定のそのような反応器構成を、以下のプロセスの説明に従って論じる。
【0479】
追加的に、原料が木材チップ又はペレットなどのミリング又はサイズ決めされた原料である場合、原料を注意深くミリング又はサイズ決めすることが望ましくなり得る。慎重な初期処理は、天然原料供給源(例えば、木)に存在する強度及び細胞壁完全性を保存する傾向がある。これはまた、最終製品が出発バイオマスの形状及び強度の一部、大部分、又は全部を保持すべき場合に重要であり得る。
【0480】
いくつかの実施形態では、熱分解反応器の第1のゾーンは、バイオマスに「衝撃」を与えない様式でバイオマス(又は別の炭素含有原料)を供給するように構成され、衝撃は、細胞壁を破裂させ、蒸気及びガスへの固相の高速分解を開始させる。この第1のゾーンは、穏やかな熱分解と考えることができる。
【0481】
いくつかの実施形態では、熱分解反応器の第2のゾーンは、一次反応ゾーンとして構成され、予熱されたバイオマスは、ガス及び凝縮性蒸気を放出するために熱分解化学反応を受け、高炭素反応中間体であるかなりの量の固体材料を残す。バイオマス成分(主にセルロース、ヘミセルロース、及びリグニン)は、分解して蒸気を創出し、この蒸気は、細孔を貫通するか、又は新たなナノ細孔を創出することによって逃げる。後者の効果は、多孔性及び表面積の創出に寄与する。
【0482】
いくつかの実施形態では、熱分解反応器の第3のゾーンは、高炭素反応中間体を受け取り、固体をある程度冷却するように構成されている。典型的には、第3ゾーンは、第2ゾーンよりも低い温度である。第3のゾーンでは、化学反応及び物質移動は、驚くほど複雑であり得る。特定の理論又は提案された機構によって限定されることなく、二次反応が第3のゾーンで生じ得ると考えられる。本質的に、気相にある炭素含有成分は、分解して追加の固定炭素を形成するか、又は炭素上に吸着されるようになり得る。したがって、最終炭素質材料は、単に処理ステップの固体の脱気された残留物ではあり得ず、炭素を形成することができる有機蒸気(例えば、タール)の分解などによって気相から堆積された追加の炭素を含み得る。
【0483】
ある特定の実施形態は、製品の炭素含有量を高めるために、冷却された炭素が炭素含有種を含む環境に供される別々のユニットを含むことによって、追加の炭素形成の概念を拡張する。このユニットの温度が熱分解温度未満である場合、追加の炭素は、追加の固定炭素ではなく吸着された炭素質種の形態にあると予想される。
【0484】
任意の特定のゾーン中に存在する1つ以上の相の中間入力及び出力(パージ又はプローブ)流、様々な質量及びエネルギー再循環スキーム、プロセスのどこかに導入することができる様々な添加剤、製品分布を調整するための反応及び分離条件の両方を含むプロセス条件の調節可能性などに関して、多数の選択肢がある。ゾーン特有の入力及び出力流は、FTIRサンプリング及び動的プロセス調節などによって、良好なプロセス監視及び制御を可能にする。
【0485】
いくつかの実施形態は、高速熱分解を使用せず、いくつかの実施形態は、低速熱分解を使用しない。驚くべきことに、非常に高い割合の固定炭素を有する組成物を含む高品質の炭素材料を、開示されているプロセス及びシステムから得ることができる。
【0486】
いくつかの実施形態では、生体試薬を製造するための熱分解プロセスは、以下のステップ:
(a)バイオマスを含む炭素含有原料を提供するステップと、
(b)任意選択的に、原料を乾燥させて、原料中に含まれる水分の少なくとも一部を除去するステップと、
(c)任意選択的に、原料を脱気して、存在する場合、原料中に含まれる格子間酸素の少なくとも一部を除去するステップと、
(d)実質的に不活性な気相の存在下で、少なくとも10分間、約250℃~約700℃から選択される少なくとも1つの温度で、原料を熱分解して、高温熱分解固体、凝縮性蒸気、及び非凝縮性ガスを生成するステップと、
(e)高温熱分解固体から凝縮性蒸気の少なくとも一部と非凝縮性ガスの少なくとも一部とを分離するステップと、
(f)高温熱分解固体を冷却して、冷却された熱分解固体を生成するステップと、
(g)冷却された熱分解固体の少なくとも一部を含む生体試薬を回収するステップと、を含む。
【0487】
「バイオマス」は、本開示の目的では、任意の生体原料又は生体原料と非生体原料との混合物として解釈されるべきである。基本的に、バイオマスは、少なくとも炭素、水素、及び酸素を含む。方法及び装置は、様々な種類、サイズ、及び水分含有量の広範囲の原料に適応することができる。
【0488】
バイオマスは、例えば、植物及び植物由来材料、植生、農業廃棄物、林業廃棄物、木材廃棄物、紙廃棄物、動物由来廃棄物、家禽由来廃棄物、並びに都市固形廃棄物を含む。バイオマスを利用する様々な実施形態では、バイオマス原料は、木材収穫残渣、軟木チップ、硬材チップ、木の枝、木の切り株、節、葉、樹皮、おがくず、規格外紙パルプ、セルロース、トウモロコシ、トウモロコシストーバー、麦わら、稲わら、サトウキビバガス、スイッチグラス、ミスカンサス、動物の肥料、都市廃棄物、都市下水、商業廃棄物、ブドウの搾りかす、アーモンドの殻、ペカンの殻、ココナッツの殻、コーヒーのかす、草ペレット、干し草ペレット、木材ペレット、段ボール、紙、炭水化物、プラスチック、及び布から選択される1つ以上の材料を含み得る。当業者は、原料の選択肢が事実上無制限であることを容易に理解するであろう。
【0489】
本開示は、バイオマス以外の炭素含有原料、例えば、化石燃料(例えば、石炭若しくは石油コークス)、又はバイオマスと化石燃料との任意の混合物(例えば、バイオマス/石炭ブレンド)にも使用することができる。いくつかの実施形態では、生体原料は、石炭、オイルシェール、原油、アスファルト、若しくは原油処理からの固体(石油コークスなど)であるか、又はそれらを含む。原料は、廃タイヤ、リサイクルされたプラスチック、リサイクルされた紙、建設廃棄物、解体廃棄物、及び他の廃棄物又はリサイクルされた材料を含み得る。明確にするために記載すると、本明細書に記載される任意の方法、装置、又はシステムは、任意の炭素質原料とともに使用することができる。炭素含有原料は、トラック、列車、船、はしけ、トラクタートレーラー、又は任意の他の車両若しくは搬送手段などの任意の既知の手段によって輸送可能であり得る。
【0490】
特定の1つ以上の原料の選択は、技術的に重要とはみなされないが、経済的なプロセスに有利に働く傾向にある方法で実施される。典型的には、選定される原料にかかわらず、(いくつかの実施形態では)望ましくない物質を除去するためのスクリーニングが存在し得る。原料は、処理前に任意選択的に乾燥させることができる。
【0491】
用いられる原料は、多種多様な粒子サイズ又は形状に提供又は加工することができる。例えば、供給材料は、微粉末、又は微細粒子と粗大粒子との混合物であり得る。供給材料は、木材チップ又は他の形態の木材(例えば、円形、円筒形、正方形など)などの大きな材料片の形態にあり得る。いくつかの実施形態では、供給材料は、ペレット、又は一緒にプレスされているか、若しくは他の方法で、例えば結合剤などで結合されている他の凝集形態の粒子を含む。
【0492】
サイズ縮小は、費用がかかり、エネルギー集約的なプロセスであることに留意されたい。熱分解された材料は、著しく少ないエネルギー入力でサイズ決めすることができ、すなわち、原料ではなく製品の粒子サイズを低減することが好ましくなり得る。これは、プロセスが微細な出発材料を必要とせず、かつ処理中に必ずしも任意の大幅な粒子サイズ減少がないことから、オプションである。非常に大きな原料片を処理する能力は、重要な経済的利点である。特に、高炭素製品のいくつかの市場用途は、実際に、大きなサイズ(例えば、センチメートルのオーダー)を必要とし、そのためいくつかの実施形態では、大きな片が供給され、製造され、販売される。
【0493】
円筒形などの構造的完全性を有する最終炭素質生体試薬を製造することが望ましい場合、本開示の文脈において少なくとも2つの選択肢がある。第一に、プロセスから製造された材料を収集し、次いで、更に機械的に加工して所望の形態にすることができる。例えば、製品を結合剤とともにプレス又はペレット化することができる。最終製品のための所望のサイズ又は形状を一般に有する供給材料を利用して、供給材料の基本構造を破壊しない処理ステップを用いる、という第2の選択肢がある。いくつかの実施形態では、供給物及び製品は、球形、円筒形、又は立方体などの同様の幾何学的形状を有する。
【0494】
プロセス全体を通して供給材料のおおよそのサイズを維持する能力は、製品強度が重要である場合に有益である。また、これは、高固定炭素材料をペレット化する困難さ及びコストを回避する。
【0495】
出発供給材料は、理解されるように、ある範囲の水分レベルで提供され得る。いくつかの実施形態では、供給材料は、既に十分に乾燥している場合があるので、熱分解前に更に乾燥させる必要はない。典型的には、通常水分を含むバイオマスの商業的供給源を利用し、バイオマスを熱分解反応器に導入する前に乾燥ステップを通して供給することが望ましい。しかしながら、いくつかの実施形態では、乾燥原料を利用することができる。
【0496】
通常、熱分解反応器内において、気相で、約、又は最大約10mol%、5mol%、4mol%、3mol%、2mol%、1.5mol%、1mol%、0.5mol%、0.2mol%、0.1mol%、0.05mol%、0.02mol%、若しくは0.01mol%のO2などの比較的低い酸素環境を提供することが望ましい。第一に、制御されない燃焼は、安全上の理由から、熱分解反応器において回避されるべきである。CO2へのいくらかの量の総炭素酸化が生じ得、発熱酸化から放出される熱は、吸熱分解化学反応を補助し得る。合成ガスへの部分酸化を含む大量の炭素の酸化は、固体への炭素収率を低下させる。
【0497】
実際には、反応器内で厳密に無酸素環境を達成することは、困難であり得る。この限界に近づくことができ、いくつかの実施形態では、反応器は、気相中に分子酸素を実質的に含まない。熱分解反応器内に酸素がほとんど又は全く存在しないことを確実にするために、供給材料が反応器に導入される前に、供給材料から空気を除去することが望ましい場合がある。原料中の空気を除去又は低減する様々な方法がある。
【0498】
いくつかの実施形態では、乾燥の前後に、吸着された酸素を除去し、原料細孔に浸透して細孔から酸素を除去することができる別のガスの存在下で原料が搬送される脱気ユニットが利用される。本質的に、21体積%未満のO2を有する任意のガスを様々な有効性で用いることができる。いくつかの実施形態では、窒素が用いられる。いくつかの実施形態では、CO又はCO2が用いられる。窒素と少量の酸素との混合物などの混合物を使用することができる。水蒸気が脱気ガス中に存在してもよいが、供給物にかなりの水分を加えて戻すことは回避するべきである。脱気ユニットからの流出物は、(大気若しくは排出物処理ユニットに)パージされ得るか、又は再循環され得る。
【0499】
原則として、脱気ユニットからの流出物(又はその一部)は、固体から除去された酸素が高度に希釈されるので、熱分解反応器自体に導入することができる。この実施形態では、反応器が向流構成で動作される場合、脱気流出ガスを反応器の最後のゾーンに導入することが有利であり得る。
【0500】
様々なタイプの脱気ユニットを用いることができる。それを乾燥させることが実施される場合、存在する水分から可溶性酸素を洗浄することは非効率的であり得るので、乾燥させ、次いで脱気することが好ましくなり得る。ある特定の実施形態では、乾燥ステップ及び脱気ステップは、単一のユニットに組み合わされるか、又はいくらかの量の脱気が乾燥中に達成されるなどである。
【0501】
任意選択的に乾燥された、及び任意選択的に脱気された供給材料は、熱分解反応器又は直列若しくは並列の多重反応器に導入される。供給材料は、例えばスクリュー供給装置又はロックホッパーを含む任意の既知の手段を使用して導入することができる。いくつかの実施形態では、材料供給システムは、エアナイフを組み込む。
【0502】
単一の反応器を用いる場合、複数のゾーンが存在し得る。2つ、3つ、4つ、又はそれよりも多くのゾーンなどの複数のゾーンは、全体的なプロセス性能を調節するために、温度、固体滞留時間、ガス滞留時間、ガス組成、流れパターン、又は圧力の別々の制御を可能にすることができる。
【0503】
「ゾーン」への言及は、単一の物理的ユニット、物理的に分離されたユニット、又はそれらの任意の組み合わせ内の空間の領域を含むように広く解釈されるべきである。連続反応器に関して、ゾーンの境界は、反応器内のフライトの存在又は別々のゾーンに熱を提供するための別個の加熱要素などの構造に関連し得る。代替的に又は追加的に、連続反応器におけるゾーンの境界は、例えば、別個の温度、流体フローパターン、固体フローパターン、反応の程度などの機能に関連し得る。単一バッチ反応器では、「ゾーン」は、空間ではなく時間での動作レジームである。多重バッチ反応器を使用することもできる。
【0504】
あるゾーンから別のゾーンへの急激な遷移は、必ずしもないことが理解されよう。例えば、予熱ゾーンと熱分解ゾーンとの間の境界は、いくらか任意であり得、いくらかの量の熱分解が、予熱ゾーンの一部において起こり得、いくらかの量の「予熱」が、熱分解ゾーンにおいて起こり続け得る。反応器内の温度プロファイルは、反応器内のゾーン境界を含めて、典型的には連続的である。
【0505】
いくつかの実施形態は、予熱又は穏やかな熱分解の条件下で動作される第1のゾーンを用いる。第1のゾーンの温度は、約150℃~約500℃、例えば、約300℃~約400℃から選択することができる。第1のゾーンの温度は、バイオマス材料に衝撃を与えて細胞壁を破壊し、固相の蒸気及びガスへの高速分解を開始するほど高くないことが好ましい。
【0506】
本明細書におけるゾーン温度への全ての言及は、存在するバルク固体、又は気相、又は反応器壁(プロセス側)に適用することができる温度を含むように、非限定的に解釈されるべきである。軸方向及び半径方向の両方に、並びに時間的に(すなわち、始動後又は過渡現象に起因して)、各ゾーンにおいて温度勾配が存在することが理解されるであろう。したがって、ゾーン温度への言及は、実際の速度論に影響を及ぼし得る平均温度又は他の有効温度への言及であり得る。温度は、熱電対若しくは他の温度プローブによって直接測定することができるか、又は他の手段によって間接的に測定若しくは推定することができる。
【0507】
第2のゾーン、又は一般に一次熱分解ゾーンは、熱分解又は炭化の条件下で動作される。第2のゾーンの温度は、約250℃~約700℃、例えば、約、又は低くとも約、又は高くとも約300℃、350℃、400℃、450℃、500℃、550℃、600℃、又は650℃から選択することができる。このゾーン内で、予熱されたバイオマスは、熱分解化学反応を受けてガス及び凝縮性蒸気を放出し、高炭素反応中間体としてかなりの量の固体材料が残る。バイオマス成分(主にセルロース、ヘミセルロース、及びリグニン)は、分解して蒸気を創出し、この蒸気は、細孔を貫通するか、又は新たな細孔を創出することによって逃げる。好ましい温度は、少なくとも第2のゾーンの滞留時間、並びに原料の性質及び所望の製品特性に依存する。
【0508】
第3のゾーン又は冷却ゾーンは、高炭素反応中間体を様々な程度に冷却するように動作される。最低でも、第3のゾーンの温度は、第2のゾーンの温度よりも低い温度であるべきである。第3のゾーンの温度は、約100℃~約550℃、例えば約150℃~約350℃から選択することができる。
【0509】
化学反応は、冷却ゾーンで生じ続けることができる。特定の理論に限定されるものではないが、二次熱分解反応が、第3のゾーンにおいて開始され得ると考えられる。気相中にある炭素含有成分は、(第3のゾーンの温度の低下により)凝縮し得る。しかしながら、温度は、凝縮された液体から追加の固定炭素を形成することができる反応(二次熱分解)、又は少なくとも吸着種と固定炭素との間の結合を形成することができる反応を促進するのに十分に高いままである。起こり得る1つの例示的な反応は、一酸化炭素を二酸化炭素及び固定炭素に変換するためのブードア反応である。
【0510】
反応器ゾーンの滞留時間は、変動し得る。所望の量の熱分解のために、より高い温度がより短い反応時間を可能にすることができ、逆もまた同様であるように、時間及び温度の相互作用がある。連続反応器(ゾーン)における滞留時間は、体積を体積流量で除したものである。バッチ反応器内の滞留時間は、反応温度への加熱後のバッチ反応時間である。
【0511】
多相反応器では、複数の滞留時間が存在することを認識すべきである。本文脈では、各ゾーンにおいて、固相及び蒸気相の両方の滞留時間(及び滞留時間分布)が存在する。複数のゾーンを用いる所与の装置について、所与のスループットで、ゾーンにわたる滞留時間は、概して、固体側で結合されるが、複数の入口及び出口ポートが個々のゾーンで利用される場合、滞留時間は、蒸気側で結合されない場合がある。固体及び蒸気の滞留時間は、結合されない。
【0512】
予熱ゾーンの固体滞留時間は、約5分~約60分、例えば、約10、20、30、40、又は50分から選択することができる。温度に応じて、バイオマスを所望の予熱温度に到達させるのに十分な時間が望ましい。粒子のタイプ及びサイズ、物理的装置、並びに加熱パラメータに依存する熱伝達速度は、固体を所望の予熱温度に到達させるのに必要な最小滞留時間を規定する。追加の時間は、いくらかの量の穏やかな熱分解が予熱ゾーンにおいて意図されない限り、より高い資本コストに寄与するので、望ましくない場合がある。
【0513】
熱分解ゾーンの固体滞留時間は、約10分~約120分、例えば、約20、30、40、50、60、70、80、90、又は100分から選択することができる。このゾーンにおける熱分解温度に応じて、必要な熱伝達に続いて炭化の化学反応を起こさせるのに十分な時間があるべきである。約10分未満の時間では、多量の非炭素元素を除去するために、温度は、700℃超などの非常に高い必要がある。この温度は、高速熱分解並びに炭素自体に由来する蒸気及びガスのその生成を促進するが、意図される製品が固体炭素である場合には回避されるべきである。
【0514】
静的システムでは、ある特定の時間に実質的に到達し得る平衡変換が存在するであろう。ある特定の実施形態におけるように、蒸気が、連続的な揮発物除去を伴って固体上を連続的に流れている場合、平衡制約は、反応速度がゼロに近づくまで熱分解及び脱揮を継続させるように除去され得る。より長い時間は、残存する難分解性固体を実質的に変化させる傾向がない。
【0515】
冷却ゾーンの固体滞留時間は、約5分~約60分、例えば、約10、20、30、40、又は50分から選択することができる。このゾーンにおける冷却温度に応じて、炭素固体を所望の温度まで冷却させるのに十分な時間があるべきである。冷却速度及び温度は、炭素を冷却させるのに必要な最小滞留時間を規定する。いくらかの量の二次熱分解が望まれない限り、追加の時間は、望ましくない場合がある。
【0516】
先に論じられているように、蒸気相の滞留時間は、別々に選択及び制御することができる。予熱ゾーンの蒸気滞留時間は、約0.1分~約15分、例えば約0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10分から選択することができる。熱分解ゾーンの蒸気滞留時間は、約0.1分~約20分、例えば約0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、又は15分から選択することができる。冷却ゾーンの蒸気滞留時間は、約0.1分~約15分、例えば約0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10分から選択することができる。短い蒸気滞留時間は、システムからの揮発物の高速な一掃を促進し、一方、より長い蒸気滞留時間は、蒸気相中の成分と固相との反応を促進する。
【0517】
反応器、及びシステム全体の動作モードは、連続式、半連続式、バッチ式、又はそれらの任意の組み合わせ若しくは変形形態であり得る。いくつかの実施形態では、反応器は、固体及び蒸気が実質的に反対方向に流れる連続向流反応器である。反応器は、バッチで動作させることもできるが、例えば、バッチ容器から気相を周期的に導入及び除去することによって、シミュレートされた蒸気の向流で動作させることができる。
【0518】
様々な流れパターンが所望であり得るか、又は観察され得る。多重反応器ゾーンにおける複数の相を伴う化学反応及び同時分離では、流体力学は、非常に複雑になり得る。典型的には、固体の流れは、栓流(半径方向次元において十分に混合されている)に近づくことができ、一方、蒸気の流れは、完全混合流(半径方向次元及び軸方向次元の両方における高速輸送)に近づくことができる。蒸気のための複数の入口及び出口ポートは、全体的な混合に寄与することができる。
【0519】
各ゾーン中の圧力は、別々に選択及び制御することができる。各ゾーンの圧力は、約1kPa~約3000kPa、例えば約101.3kPa(標準大気圧)から独立的に選択することができる。圧力の独立したゾーン制御は、大気圧未満のゾーン圧力が所望されるときにガスを取り出すための真空ポートを含む、複数のガス入口及び出口が使用されるときに可能である。
【0520】
プロセスは、いくつかの実施形態では、大気圧で都合よく動作させることができる。大気圧での動作には、機械的な単純さから安全性の向上に及ぶ多くの利点がある。ある特定の実施形態では、熱分解ゾーンは、約90kPa、95kPa、100kPa、101kPa、102kPa、105kPa、又は110kPa(絶対圧力)の圧力で動作される。
【0521】
真空動作(例えば、10~100kPa)は、システムからの揮発物の高速な一掃を促進する。排ガスを高圧動作に供給する場合、より高い圧力(例えば、100~1000kPa)が有用であり得る。高い圧力はまた、熱伝達、化学反応、又は分離を促進するために有用であり得る。
【0522】
凝縮性蒸気の少なくとも一部と非凝縮性ガスの少なくとも一部とを高温熱分解固体から分離するステップは、反応器自体において、又は別個の分離ユニットを使用して実現することができる。実質的に不活性な掃引ガスを1つ以上のゾーンに導入することができる。次いで、凝縮性蒸気及び非凝縮性ガスは、掃引ガス中のゾーンから運び去られ、反応器から出る。
【0523】
掃引ガスは、例えば、N2、Ar、CO、CO2、H2、H2O、CH4、他の軽質炭化水素、又はそれらの組み合わせであり得る。掃引ガスを、導入前にまず予熱することができるか、又は加熱供給源から得られる場合には冷却することができる。
【0524】
掃引ガスは、揮発性成分が凝縮又は更に反応し得る前に揮発性成分をシステムから取り除くことによって、揮発性成分をより完全に除去する。掃引ガスは、所与のプロセス温度で単に揮発から得られるよりも高い速度で揮発物を除去することを可能にする。又は、掃引ガスの使用は、ある特定の量の揮発物を除去するために、より穏やかな温度が使用されることを可能にする。掃引ガスが揮発物の除去を改善する理由は、分離の機構が単に相対的な揮発性ではなく、むしろ掃引ガスによって補助される液体/蒸気相の分離であるからである。掃引ガスは、所与の揮発性種を連続的に枯渇させて、より多くの揮発性種を蒸発させて熱力学的平衡を達成することによって、揮発の物質移動制限を低減するとともに、熱力学的制限を低減することができる。
【0525】
いくつかの実施形態は、高い固定炭素を有する製品を製造するために、後続の処理段階から揮発性有機炭素でいっぱいのガスを除去する。除去しなければ、揮発性炭素は、熱分解された固体上に吸着又は吸収される場合があり、それによって、所望され得る炭素のより純粋な形態を達成するために追加のエネルギー(コスト)を必要とする。蒸気を迅速に除去することによって、熱分解固体中の多孔性を高めることができるとも推測される。より高い多孔性は、いくつかの製品にとって望ましい。
【0526】
ある特定の実施形態では、掃引ガスは、大気圧などの比較的低いプロセス圧力と併せて、大量の不活性ガスを必要とすることなく、高速蒸気除去を提供する。
【0527】
いくつかの実施形態では、掃引ガスは、原料の流れ方向に対して向流で流れる。他の実施形態では、掃引ガスは、原料の流れ方向に対して並流で流れる。いくつかの実施形態では、固体の流れパターンは、栓流に近づくが、掃引ガス及び気相の流れパターンは、概して、1つ以上のゾーンにおいて完全混合流に近づく。
【0528】
掃引は、反応器ゾーンのうちのいずれか1つ以上で実施することができる。いくつかの実施形態では、掃引ガスは、冷却ゾーンに導入され、冷却又は熱分解ゾーンから(生成された揮発物とともに)抽出される。いくつかの実施形態では、掃引ガスは、熱分解ゾーンに導入され、熱分解又は予熱ゾーンから抽出される。いくつかの実施形態では、掃引ガスは、予熱ゾーンに導入され、熱分解ゾーンから抽出される。これらの又は他の実施形態では、掃引ガスは、予熱ゾーン、熱分解ゾーン、及び冷却ゾーンの各々に導入することができ、ゾーンの各々から抽出することもできる。
【0529】
いくつかの実施形態では、分離が実施される1つ又は複数のゾーンは、反応器から物理的に分離されたユニットである。分離ユニット又はゾーンを、所望であれば、反応器ゾーンの間に配置することができる。例えば、熱分解ユニットと冷却ユニットとの間に分離ユニットを設置することができる。
【0530】
掃引ガスは、特に固体流が連続的である場合に、連続的に導入することができる。熱分解反応をバッチプロセスとして動作させる場合、掃引ガスは、揮発物を除去するために、ある特定の量の時間後に、又は周期的に導入され得る。熱分解反応を連続的に動作させる場合であっても、掃引ガスは、所望であれば、好適な弁及び制御を用いて、半連続的又は周期的に導入することができる。
【0531】
揮発物含有掃引ガスは、1つ以上の反応器ゾーンから出ることができ、複数のゾーンから得られる場合には組み合わせることができる。次いで、様々な蒸気を含む得られたガス流を空気排出の制御のために熱酸化装置に供給することができる。任意の既知の熱酸化ユニットを用いることができる。いくつかの実施形態では、熱酸化装置に天然ガス及び空気を供給して、その中に含まれる揮発物を実質的に破壊するのに十分な温度に達する。
【0532】
熱酸化装置の流出物は、水、二酸化炭素、及び窒素を含む高温ガス流である。この流出流は、所望であれば、空気排出に直接パージすることができる。好ましくは、熱酸化装置流出物のエネルギー含有量は、例えば廃熱回収ユニットにおいて回収される。エネルギー含有量は、別の流れ(掃引ガスなど)との熱交換によって回収することもできる。エネルギー含有量は、乾燥機又は反応器などのプロセスにおける他の場所のユニットを直接若しくは間接的に加熱するか、又は加熱を補助することによって利用することができる。いくつかの実施形態では、本質的に全ての熱酸化装置流出物が、乾燥機の間接加熱(ユーティリティ側)に用いられる。熱酸化装置は、天然ガス以外の燃料を用いることができる。
【0533】
炭素質材料の収率は、原料のタイプ及びプロセス条件を含む上述の要因に応じて変動し得る。いくつかの実施形態では、乾燥ベースでの出発原料のパーセンテージとしての固体の正味収率は、少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%又はそれ以上である。残りは、テルペン、タール、アルコール、酸、アルデヒド、又はケトンなどの凝縮性蒸気と、一酸化炭素、水素、二酸化炭素、及びメタンなどの非凝縮性ガスとの間で分割される。非凝縮性ガスと比較した凝縮性蒸気の相対量は、存在する水を含むプロセス条件にも依存する。
【0534】
炭素バランスに関して、いくつかの実施形態では、原料中の出発炭素のパーセンテージとしての炭素の正味収率は、少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、65%、70%、75%、80%又はそれ以上である。例えば、いくつかの実施形態では、炭素質材料は、出発原料中に含まれる炭素の約40%~約70%を含む。残りの炭素は、メタン、一酸化炭素、二酸化炭素、軽質炭化水素、芳香族化合物、タール、テルペン、アルコール、酸、アルデヒド、又はケトンを様々な程度で形成する。
【0535】
代替的な実施形態では、これらの化合物のいくらかの部分は、製品の炭素及びエネルギー含有量を富化するために炭素に富む固体と組み合わされる。これらの実施形態では、様々な蒸気を含む、反応器からの得られるガス流の一部又は全部を、少なくとも部分的に凝縮し、次いで、冷却ゾーン又は別々の冷却ユニットに由来する冷却された熱分解固体上を通過させることができる。これらの実施形態は、以下により詳細に記載される。
【0536】
冷却ゾーン(存在する場合)内での反応及び冷却に続いて、炭素質固体を別個の冷却ユニットに導入することができる。いくつかの実施形態では、固体が回収され、単に低速で冷却される。炭素質固体が空気中で反応性又は不安定である場合、不活性雰囲気を維持すること、又は固体を、例えば、周囲温度などの40℃未満の温度に急速に冷却することが望ましくなり得る。いくつかの実施形態では、急速冷却のために水クエンチが用いられる。いくつかの実施形態では、流動床冷却器が用いられる。「冷却ユニット」は、容器、タンク、パイプ、又はそれらの一部も含むように広く解釈されるべきである。
【0537】
いくつかの実施形態では、プロセスは、冷却ユニットを動作させて、温かい熱分解された固体をスチームで冷却し、それによって、低温の熱分解された固体及び過熱スチームを生成することを更に含み、乾燥は、少なくとも部分的に、外部冷却器から得られた過熱スチームを用いて実施される。任意選択的に、冷却ユニットは、最初に温かい熱分解固体を蒸気で冷却して第1の冷却ユニット温度に到達させ、次いで空気で冷却して第2の冷却ユニット温度に到達させるように動作させることができ、第2の冷却ユニット温度は、第1の冷却ユニット温度よりも低く、空気の存在下で温かい熱分解固体の燃焼リスクの低減に関連付けられる。
【0538】
周囲条件への冷却に続いて、炭素質固体は、回収及び貯蔵されるか、別の現場作業に搬送されるか、別の現場に輸送されるか、又はそうでなければ処分、取引、若しくは販売され得る。固体をユニットに供給して粒子サイズを減少させることができる。粉砕機、シュレッダー、グラインダー、微粉砕機、ジェットミル、ピンミル、及びボールミルを含む様々なサイズ縮小ユニットが当該技術分野で既知である。
【0539】
スクリーニング又は粒子サイズに基づく分離のためのいくつかの他の手段が含まれ得る。粉砕は、存在する場合、粉砕の上流又は下流であり得る。スクリーニングされた材料の一部(例えば、大きな塊)は、粉砕ユニットに戻すことができる。小さな粒子及び大きな粒子は、別々の下流使用のために回収され得る。いくつかの実施形態では、冷却された熱分解固体は、微粉砕炭素又は活性炭製品などの微粉末に粉砕される。
【0540】
本明細書に開示されている任意のステップの前、最中、又は後に、様々な添加剤をプロセス全体にわたって導入することができる。添加剤は、所望の炭素純度を達成するために炭素収率又は熱分解時間/温度などのプロセス性能を改善するように選択されるプロセス添加剤として、及び生体試薬の又は試薬を組み込んだ下流製品の1つ以上の特性を改善するように選択されるプロセス添加剤として広く分類することができる。ある特定の添加剤は、強化されたプロセス及び製品(生体試薬又は生体試薬を含む製品)特性を提供することができる。
【0541】
添加剤は、原料が収穫される前後の任意の時点で原料自体に添加することを含む、プロセスの任意の1つ以上のステップの前、最中、又は後に添加することができる。添加剤処理は、原料のサイジング、乾燥、又は他の調製の前、最中、若しくは後に組み込むことができる。添加剤は、原料供給施設、輸送トラック、揚陸設備、貯蔵ビン、コンベヤ(開放若しくは閉鎖コンベヤを含む)、乾燥機、プロセスヒーター、若しくは任意の他のユニットに、又はその上に組み込むことができる。添加剤は、添加剤を導入するための好適な手段を使用して、熱分解プロセス自体のどこにでも添加することができる。所望であれば、炭化後、又は微粉砕後であっても、添加剤を添加することができる。
【0542】
いくつかの実施形態では、添加剤は、金属、金属酸化物、金属水酸化物、又はそれらの組み合わせから選択される。例えば、添加剤は、決して限定されないが、マグネシウム、マンガン、アルミニウム、ニッケル、クロム、ケイ素、ホウ素、セリウム、モリブデン、リン、タングステン、バナジウム、塩化鉄、臭化鉄、酸化マグネシウム、ドロマイト、ドロマイト石灰、蛍石、フルオロスパー、ベントナイト、酸化カルシウム、石灰、又はそれらの組み合わせから選択することができる。
【0543】
いくつかの実施形態では、添加剤は、酸、塩基、又はそれらの塩から選択される。例えば、添加剤は、決して限定されないが、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、酸化マグネシウム、臭化水素、塩化水素、ケイ酸ナトリウム、過マンガン酸カリウム、又はそれらの組み合わせから選択することができる。
【0544】
いくつかの実施形態では、添加剤は、金属ハロゲン化物から選択される。金属ハロゲン化物は、金属とハロゲン(フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、及びアスタチン)との間の化合物である。ハロゲンは、金属と多くの化合物を形成することができる。金属ハロゲン化物は、概して、塩基性金属塩とハロゲン化水素酸との直接結合、又はより一般には中和によって得られる。いくつかの実施形態では、添加剤は、塩化鉄(FeCl2若しくはFeCl3)、臭化鉄(FeBr2若しくはFeBr3)、又はそれらの水和物、及びそれらの任意の組み合わせから選択される。
【0545】
添加剤は、より高いエネルギー含有量(エネルギー密度)を有する最終製品をもたらすことができる。エネルギー含有量の増加は、総炭素、固定炭素、揮発性炭素、又は更に水素の増加から生じ得る。代替的に又は追加的に、エネルギー含有量の増加は、不燃性物質又は炭素よりも低いエネルギー密度を有する材料の除去から生じ得る。いくつかの実施形態では、添加剤は、固体及び気体の形成に有利になるように、又は固体の形成に有利になるように、液体形成の程度を低減する。
【0546】
いかなる特定の仮説にも限定されることなく、添加剤は、出発バイオマス、又は熱分解前の処理されたバイオマスを化学的に改変して、より大きな強度/完全性のために細胞壁の破壊を低減することができる。いくつかの実施形態では、添加剤は、熱分解前にバイオマス原料の固定炭素含有量を増加させることができる。
【0547】
添加剤は、改善された機械的特性、例えば、降伏強度、圧縮強度、引張強度、疲労強度、衝撃強度、弾性率、体積弾性率、又はせん断弾性率を有する生体試薬をもたらし得る。添加剤は、単に存在することによって(例えば、添加剤自体が混合物に強度を付与する)、又は添加剤相内若しくは得られた混合物内で起こる何らかの変換によって、機械的特性を改善することができる。例えば、ガラス化などの反応は、添加剤を含む生体試薬の一部内で生じ得、それによって、最終強度を改善する。
【0548】
化学添加剤は、湿潤又は乾燥バイオマス原料に適用することができる。添加剤は、固体粉末、スプレー、ミスト、液体、又は蒸気として適用することができる。いくつかの実施形態では、添加剤は、液体溶液(水溶液又は溶媒中など)の噴霧によって、又はタンク、ビン、バッグ、若しくは他の容器中に浸漬することによって導入することができる。
【0549】
ある特定の実施形態では、浸漬前処理が用いられ、固体原料は、バッチ式又は連続式のいずれかで、固体供給材料へ添加剤を浸透させるのに十分な時間、添加剤を含む浴に浸漬される。
【0550】
いくつかの実施形態では、原料に適用される添加剤は、熱分解のためのエネルギー必要量を低減するか、又は炭素質製品の収率を増加させることができる。これらの又は他の実施形態では、原料に適用される添加剤は、炭素質製品の意図された使用に望ましい機能性を提供することができる。
【0551】
スループット又はプロセス容量は、小さな実験室規模のユニットから、任意のパイロット規模、実証規模、又は半商業的規模を含む完全な動作まで広く変動し得る。様々な実施形態では、プロセス能力(原料、製品、又は両方について)は、少なくとも約1kg/日、10kg/日、100kg/日、1トン/日(全てのトンはメートルトンである)、10トン/日、100トン/日、500トン/日、1000トン/日、2000トン/日又はそれ以上である。
【0552】
いくつかの実施形態では、製造された固体の一部は、プロセスのフロントエンドに、すなわち、乾燥若しくは脱気ユニットに、又は直接反応器に再循環され得る。フロントエンドに戻り、再びプロセスを通過することによって、処理された固体は、固定炭素がより高くなり得る。プロセス内で生成又は存在する固体、液体、及びガス流は、独立的に再循環され、後続のステップに渡され、又は任意の時点でプロセスから除去/パージされ得る。
【0553】
いくつかの実施形態では、熱分解された材料は、回収され、次いで、更なる熱分解のために別個のユニットに供給されて、より高い炭素純度を有する製品を創出する(例えば、高固定炭素材料への低固定炭素材料の変換)。いくつかの実施形態では、二次プロセスは、加熱された不活性ガス(加熱されたN2など)が通過させられる鋼ドラムなどの単純な容器内で行うことができる。この目的に有用な他の容器は、プロセスタンク、バレル、ビン、トート、サック、及びロールオフを含む。揮発物を含むこの二次掃引ガスは、例えば、熱酸化装置に送ることができるか、又は主プロセス反応器に戻すことができる。最終製品を冷却するために、最初は例えば周囲温度である不活性ガスの別の流れを固体に通して固体を冷却し、次いで不活性ガス予熱システムに戻すことができる。
【0554】
いくつかの変形形態は、
(a)炭素含有原料を導入するように構成された供給装置と、
(b)供給装置と動作可能に連通して配置され、炭素含有原料中に含まれる水分を除去するように構成された任意選択的な乾燥機と、
(c)乾燥機と動作可能に連通して配置された多重ゾーン反応器であって、多重ゾーン反応器が、空間的に分離された冷却ゾーンと動作可能に連通して配置された少なくとも1つの熱分解ゾーンを含み、多重ゾーン反応器が、凝縮性蒸気及び非凝縮性ガスを固体から除去するための出口を有するように構成されている、多重ゾーン反応器と、
(d)多重ゾーン反応器と動作可能に連通して配置された固体冷却器と、
(e)固体冷却器と動作可能に連通して配置された生体試薬回収ユニットと、を備える、生体試薬製造システムを利用する。
【0555】
いくつかの変形形態は、
(a)炭素含有原料を導入するように構成された供給装置と、
(b)供給装置と動作可能に連通して配置され、炭素含有原料中に含まれる水分を除去するように構成された任意選択的な乾燥機と、
(c)乾燥機と動作可能に連通して配置され、原料を加熱又は穏やかに熱分解するように構成された任意選択的な予熱器と、
(d)予熱器と動作可能に連通して配置され、原料を熱分解するように構成された熱分解反応器と、
(e)熱分解反応器と動作可能に連通して配置され、熱分解固体を冷却するように構成された冷却器と、
(f)冷却器と動作可能に連通して配置された生体試薬回収ユニットと、を備える、生体試薬製造システムであって、
システムが、固体から凝縮性蒸気及び非凝縮性ガスを除去するための少なくとも1つのガス出口を備えて構成されている、生体試薬製造システムを利用する。
【0556】
供給装置は、供給固体を第1の反応ゾーンに導入するためのスクリュー供給装置又はオーガ機構の使用などによって、多重ゾーン反応器と物理的に統合することができる。
【0557】
いくつかの実施形態では、システムは、熱分解ゾーンと動作可能に連通して配置された予熱ゾーンを更に備える。熱分解ゾーン、冷却ゾーン、及び予熱ゾーン(それが存在する)の各々は、単一のユニット内に位置し得るか、又は別々のユニット内に位置し得る。
【0558】
任意選択的に、乾燥機は、多重ゾーン反応器内の乾燥ゾーンとして構成することができる。任意選択的に、固体冷却器は、多重ゾーン反応器内に配置することができる(すなわち、追加の冷却ゾーンとして構成されるか、又は主冷却ゾーンと統合される)。
【0559】
システムは、システムから酸素を除去するためのパージ手段を備え得る。例えば、パージ手段は、実質的に不活性なガスを導入するための1つ以上の入口と、実質的に不活性なガス及び置換された酸素をシステムから除去するための1つ以上の出口と、を備え得る。いくつかの実施形態では、パージ手段は、乾燥機と多重ゾーン反応器との間に動作可能に連通して配置された脱気装置である。
【0560】
多重ゾーン反応器は、好ましくは、少なくとも第1のガス入口及び第1のガス出口を備えて構成されている。第1のガス入口及び第1のガス出口を、異なるゾーン又は同じゾーンと連通して配置することができる。
【0561】
いくつかの実施形態では、多重ゾーン反応器は、第2のガス入口又は第2のガス出口を備えて構成されている。いくつかの実施形態では、多重ゾーン反応器は、第3のガス入口又は第3のガス出口を備えて構成されている。いくつかの実施形態では、多重ゾーン反応器は、第4のガス入口又は第4のガス出口を備えて構成されている。いくつかの実施形態では、多重ゾーン反応器内に存在する各ゾーンは、ガス入口及びガス出口を備えて構成されている。
【0562】
ガス入口及び出口は、蒸気の導入及び取り出しを可能にするだけでなく、特にガス出口(プローブ)は、プロセスの全ての段階まで、及び潜在的にプロセスの全ての段階を含む、プロセスの様々な段階にわたる正確なプロセス監視及び制御を可能にする。正確なプロセス監視は、動作履歴を利用してプロセス条件を調節することができる場合、動的にも、ある期間にわたっても、歩留まり及び効率の改善をもたらすことが予想される。
【0563】
好ましい実施形態では、反応ガスプローブは、熱分解ゾーンと動作可能に連通して配置されている。そのような反応ガスプローブは、反応の程度、熱分解選択性、又は他のプロセス監視を決定するために、ガスを抽出し、それらを分析するのに有用であり得る。次いで、測定に基づいて、プロセスは、供給速度、不活性ガス掃引の速度、(1つ以上のゾーンの)温度、(1つ以上のゾーンの)圧力、添加剤などを調節することによってなど、任意の数の方法で制御又は調節することができる。
【0564】
本明細書で意図されるように、反応ガスプローブを介した「監視及び制御」は、反応ガスプローブを介した任意の1つ以上のサンプル抽出を含み、及び任意選択的に、必要又は望ましいとみなされる場合、プロセス制御の周知の原理(フィードバック、フィードフォワード、比例積分微分論理など)を使用して、測定に基づいてプロセス作成又は設備調節を行うことを含むように解釈されるべきである。
【0565】
反応ガスプローブは、多くの方法でガスサンプルを取り出すように構成することができる。例えば、サンプリングラインは、熱分解反応器圧力よりも低い圧力を有することができ、その結果、サンプリングラインが開かれると、ある量のガスを熱分解ゾーンから容易に取り出すことができる。サンプリングラインは、熱分解ゾーンが大気圧に近い場合など、真空下であり得る。典型的には、反応ガスプローブは、1つのガス出力又はその一部(例えば、ガス出力ラインから分岐したライン)と関連付けられる。
【0566】
いくつかの実施形態では、ガス入力及びガス出力の両方が、不活性ガスをゾーンに周期的に導入し、不活性ガスをプロセスサンプルとともにガス出力から引き出す(「サンプル掃引」)ことによって、反応ガスプローブとして利用される。そのような構成は、処理のための実質的に不活性なガスのためのガス入口/出口を有しないゾーンで使用することができるか、又は、反応ガスプローブは、プロセス入口及び出口に加えて、別々のガス入口/出口と関連付けることができる。(サンプル掃引を利用する実施形態では)サンプリングのために周期的に導入及び取り出されるサンプリング不活性ガスは、所望であれば、分析の精度の理由から、又は分析トレーサーを導入するためのいずれかにより、プロセス不活性ガスとは異なる場合がある。
【0567】
例えば、熱分解ゾーンの気相中の酢酸濃度は、サンプルを抽出するためのガスプローブを使用して測定することができ、次いで、サンプルは、好適な技術(ガスクロマトグラフィー、GC;質量分析、MS;GC-MS、又はフーリエ変換赤外分光法、FTIRなど)を使用して分析される。ガス相中のCO又はCO2濃度を測定し、例えば、ガス/蒸気に対する熱分解選択性の指標として使用することができる。気相中のテルペン濃度を測定し、例えば、液体に対する熱分解選択性の指標として使用することができる。
【0568】
いくつかの実施形態では、システムは、冷却ゾーン、又は乾燥ゾーン(存在する場合)若しくは予熱ゾーン(存在する場合)と動作可能に連通して配置された少なくとも1つの追加のガスプローブを更に備える。
【0569】
冷却ゾーン用のガスプローブは、例えば、冷却ゾーン中で起こる任意の追加の化学反応の程度を決定するのに有用であり得る。冷却ゾーン中のガスプローブは、(例えば、冷却ゾーン内に配置された熱電対に加えて)温度の独立した測定としても有用であり得る。この独立した測定は、冷却温度とある特定の種の測定された量との相関であり得る。相関は、別々に展開され得るか、又はプロセス動作のある期間の後に確立され得る。
【0570】
乾燥ゾーン用のガスプローブは、例えば水分含有量を測定することによって、乾燥の程度を決定するのに有用であり得る。予熱ゾーン中のガスプローブは、例えば、起こる任意の穏やかな熱分解の程度を決定するのに有用であり得る。
【0571】
ある特定の実施形態では、冷却ゾーンは、ガス入口を備えて構成され、熱分解ゾーンは、ガス出口を備えて構成されて、固相に対して気相の実質的に向流の流れを生成する。代替的に又は追加的に、予熱ゾーン(存在する場合)は、ガス出口を備えて構成されて、固相に対して気相の実質的に向流の流れを生成することができる。代替的に又は追加的に、乾燥ゾーンは、ガス出口を備えて構成されて、実質的に向流の流れを生成することができる。
【0572】
1つ又は複数の熱分解反応器は、熱分解プロセスを実施することができる任意の好適な反応器構成から選択することができる。例示的な反応器構成は、固定床反応器、流動床反応器、噴流床反応器、オーガ、アブレーション反応器、回転コーン、回転ドラムキルン、か焼器、ロースター、移動床反応器、輸送床反応器、アブレーション反応器、回転コーン、又はマイクロ波支援熱分解反応器を含むが、これらに限定されることはない。
【0573】
オーガが使用されるいくつかの実施形態では、砂又は別の熱キャリアを任意選択的に、用いることができる。例えば、原料及び砂は、スクリューの一端で供給することができる。スクリューは、砂と原料とを混合し、それらを反応器を通して搬送する。スクリューは、原料滞留時間の良好な制御を提供することができ、熱分解生成物をキャリア又は流動化ガスで希釈しない。砂は、別々の容器で再加熱することができる。
【0574】
アブレーションプロセスが使用されるいくつかの実施形態では、原料は、溶銑表面に対して高速で移動させられる。表面に形成される任意のチャーのアブレーションは、高い熱伝達率を維持することができる。そのような装置は、製品の希釈を防止することができる。別法として、原料粒子をキャリアガス中に懸濁させ、壁が加熱されたサイクロンを通して高速で導入することができる。
【0575】
流動床反応器が使用されるいくつかの実施形態では、原料は、典型的には再循環生成ガスであるガスによって流動化された高温砂の床に導入することができる。本明細書における「砂」への言及は、ガラス粒子、回収された灰粒子などの同様の実質的に不活性な材料も含むものとする。流動砂からの高い熱伝達率は、原料の急速な加熱をもたらすことができる。砂粒子との摩擦によるいくらかのアブレーションがあり得る。熱は、通常、高温燃焼ガスが流れる熱交換器管によって提供される。
【0576】
ガス、砂、及び原料が一緒に移動する循環流動床反応器を用いることができる。例示的な輸送ガスは、再循環生成ガス及び燃焼ガスを含む。砂からの高い熱伝達率は、原料の急速な加熱を確実にし、アブレーションは、通常の流動床よりも強いと予想される。分離機を用いて、製品ガスを砂及びチャー粒子から分離することができる。砂粒子は、流動バーナー容器中で再加熱し、反応器に再循環させることができる。
【0577】
いくつかの実施形態では、多重ゾーン反応器は、原料入口と、反応ゾーンの各々内の温度及び混合を別々に制御するように構成された複数の空間的に分離された反応ゾーンと、炭素質固体出口と、を備える連続反応器であり、反応ゾーンのうちの1つは、実質的に不活性なガスを反応器に導入するための第1のガス入口を備えて構成され、反応ゾーンのうちの1つは、第1のガス出口を備えて構成されている。
【0578】
様々な実施形態では、反応器は、少なくとも2つ、3つ、4つ、又はそれよりも多くの反応ゾーンを含む。反応ゾーンの各々は、電気熱伝達、蒸気熱伝達、熱油熱伝達、相変化熱伝達、廃熱熱伝達、又はそれらの組み合わせから独立的に選択される別々に調節可能な加熱手段と連通して配置されている。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの反応器ゾーンは、存在する場合、熱酸化装置からの流出流で加熱される。
【0579】
反応器は、反応器中に存在する全ての反応ゾーンまでの少なくとも2つの反応ゾーンの気相組成及び気相滞留時間を別々に調節するように構成することができる。
【0580】
反応器は、第2のガス入口又は第2のガス出口を装備することができる。いくつかの実施形態では、反応器は、各反応ゾーンにガス入口を備えて構成されている。これらの又は他の実施形態では、反応器は、各反応ゾーンにガス出口を備えて構成されている。反応器は、並流又は向流反応器であり得る。
【0581】
いくつかの実施形態では、原料入口は、スクリュー又はオーガ供給機構を備える。いくつかの実施形態では、炭素質固体出口は、スクリュー又はオーガ出力機構を備える。
【0582】
ある特定の実施形態は、スクリュー供給装置を備えた回転か焼器を利用する。これらの実施形態では、反応器は、軸方向に回転可能であり、すなわち、反応器は、その中心軸を中心に回転する。回転速度は、固体流れパターン、並びに熱及び質量輸送に影響を与える。反応ゾーンの各々は、内壁上に配置されたフライトを備えて構成され、固体の撹拌を提供することができる。フライトは、反応ゾーンの各々において別々に調節可能であり得る。
【0583】
オーガ、スクリュー、又はパドルコンベヤなどの固体を撹拌する他の手段を用いることができる。いくつかの実施形態では、反応器は、反応ゾーンの各々の全体にわたって配置された単一の連続オーガを含む。他の実施形態では、反応器は、反応ゾーンの各々の全体にわたって配置された二軸スクリューを含む。
【0584】
いくつかのシステムは、特に、プロセス全体にわたって供給材料のおおよそのサイズを維持する能力、すなわち、その構造を破壊又は著しく損傷することなくバイオマス原料を処理する能力を伴って設計される。いくつかの実施形態では、熱分解ゾーンは、熱分解される供給材料のサイズを大幅に減少させる傾向があるオーガ、スクリュー、又はレーキを含まない。
【0585】
いくつかの実施形態では、システムは、凝縮性蒸気及び非凝縮性ガスが除去される出口と動作可能に連通して配置された熱酸化装置を更に含む。熱酸化装置は、好ましくは、別々の燃料(天然ガスなど)及び酸化剤(空気など)を、燃料及び凝縮性蒸気の少なくとも一部を燃焼させるように適合された燃焼室に受け入れるように構成されている。CO又はCH4などのある特定の非凝縮性ガスも酸化させてCO2にすることができる。
【0586】
熱酸化装置を用いる場合、システムは、燃焼の熱の少なくとも一部を乾燥機に利用するように構成された、熱酸化装置と乾燥機との間に配置された熱交換器を含み得る。この実施形態は、プロセスの全体的なエネルギー効率に著しく寄与することができる。
【0587】
いくつかの実施形態では、システムは、固体冷却器と動作可能に連通して配置され、少なくとも部分的に凝縮した形態の凝縮性蒸気を固体と組み合わせるように構成された炭素強化ユニットを更に備える。炭素強化ユニットは、回収ユニットから得られる生体試薬の炭素含有量を増加させ得る。
【0588】
システムは、生体試薬を更に熱分解してその炭素含有量を更に増加させるように適合された別々の熱分解ユニットを更に含み得る。別々の熱分解ユニットは、タンク、バレル、ビン、ドラム、トート、サック、若しくはロールオフなどの比較的単純な容器、ユニット、又はデバイスであり得る。
【0589】
システム全体は、固定位置にあってもよく、又はいくつかの位置に分布していてもよい。システムは、実際のスケールアップのために簡単に複製することができるモジュールを使用して構築することができる。システムはまた、プロセス産業において周知であるように、経済規模原理を使用して構築することができる。
【0590】
これより、固体の炭素強化に関するいくつかの変形形態を更に説明する。いくつかの実施形態では、生体試薬を製造するためのプロセスは、
(a)バイオマスを含む炭素含有原料を提供することと、
(b)任意選択的に、原料を乾燥させて、原料中に含まれる水分の少なくとも一部を除去するステップと、
(c)任意選択的に、原料を脱気して、存在する場合、原料中に含まれる格子間酸素の少なくとも一部を除去するステップと、
(d)熱分解ゾーンにおいて、実質的に不活性なガスの存在下で、少なくとも10分間及び約250℃~約700℃から選択される熱分解温度で、原料を熱分解して、高温熱分解固体、凝縮性蒸気、及び非凝縮性ガスを生成するステップと、
(e)高温熱分解固体から凝縮性蒸気の少なくとも一部と非凝縮性ガスの少なくとも一部とを分離するステップと、
(f)冷却ゾーンにおいて、実質的に不活性なガスの存在下で、少なくとも5分間及び熱分解温度未満の冷却温度で、高温熱分解固体を冷却して、温かい熱分解固体を生成することと、
(g)任意選択的に、温かい熱分解固体を冷却して、低温の熱分解固体を生成することと、
(h)その後、ステップ(e)からの凝縮性蒸気の少なくとも一部又は非凝縮性ガスの少なくとも一部を、温かい熱分解固体又は低温の熱分解固体に通過させて、炭素含有量が増加した強化熱分解固体を形成することと、
(i)強化された熱分解固体の少なくとも一部を含む生体試薬を回収することと、を含む。
【0591】
いくつかの実施形態では、ステップ(h)は、ステップ(e)からの凝縮性蒸気の少なくとも一部を、蒸気又は凝縮形態で、温かい熱分解固体に通過させて、炭素含有量が増加した強化熱分解固体を製造することを含む。いくつかの実施形態では、ステップ(h)は、ステップ(e)からの非凝縮性ガスの少なくとも一部を温かい熱分解固体に通過させて、炭素含有量が増加した強化熱分解固体を製造することを含む。
【0592】
代替的に又は追加的に、蒸気又はガスを低温の熱分解固体と接触させることができる。いくつかの実施形態では、ステップ(h)は、ステップ(e)からの凝縮性蒸気の少なくとも一部を、蒸気又は凝縮形態で、冷たい熱分解固体に通過させて、炭素含有量が増加した強化熱分解固体を製造することを含む。いくつかの実施形態では、ステップ(h)は、ステップ(e)からの非凝縮性ガスの少なくとも一部を冷たい熱分解固体に通過させて、炭素含有量が増加した強化熱分解固体を製造することを含む。
【0593】
ある特定の実施形態では、ステップ(h)は、ステップ(e)からの凝縮性蒸気の実質的に全てを、蒸気又は凝縮形態で、低温の熱分解固体に通過させて、炭素含有量が増加した強化熱分解固体を製造することを含む。ある特定の実施形態では、ステップ(h)は、ステップ(e)からの非凝縮性ガスの実質的に全てを、低温の熱分解固体に通過させて、炭素含有量が増加した強化熱分解固体を製造することを含む。
【0594】
プロセスは、炭素強化のために蒸気又はガスを使用する前に蒸気又はガスを処理又は分離する様々な方法を含み得る。例えば、ステップ(e)から得られた凝縮性蒸気の少なくとも一部及び非凝縮性ガスの少なくとも一部からなる中間供給流は、少なくとも第1及び第2の出力流を生成するように構成された分離ユニットに供給することができる。ある特定の実施形態では、中間供給流は、凝縮性蒸気の全て、非凝縮性ガスの全て、又はその両方を含む。
【0595】
分離技術は、蒸留カラム、フラッシュ容器、遠心分離機、サイクロン、膜、フィルタ、充填床、キャピラリーカラムなどを含むか、又は使用することができる。分離は、主に、例えば、蒸留、吸収、吸着、又は拡散に基づくことができ、蒸気圧、活性、分子量、密度、粘度、極性、化学官能性、固定相への親和性、及びそれらの任意の組み合わせにおける差異を利用することができる。
【0596】
いくつかの実施形態では、第1及び第2の出力流は、相対揮発度に基づいて中間供給流から分離される。例えば、分離ユニットは、蒸留カラム、フラッシュタンク、又は凝縮器であり得る。
【0597】
したがって、いくつかの実施形態では、第1の出力流は、凝縮性蒸気を含み、第2の出力流は、非凝縮性ガスを含む。凝縮性蒸気は、テルペン、アルコール、酸、アルデヒド、又はケトンから選択される少なくとも1つの炭素含有化合物を含み得る。熱分解からの蒸気は、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、及びキシレンなどの芳香族化合物を含み得る。難分解性タールなどのより重い芳香族化合物が蒸気中に存在し得る。非凝縮性ガスは、一酸化炭素、二酸化炭素、及びメタンから選択される少なくとも1つの炭素含有分子を含み得る。
【0598】
いくつかの実施形態では、第1及び第2の出力流は、相対的な極性に基づいて分離された中間供給流である。例えば、分離ユニットは、ストリッピングカラム、充填床、クロマトグラフィーカラム、又は膜であり得る。
【0599】
したがって、いくつかの実施形態では、第1の出力流は、極性化合物を含み、第2の出力流は、非極性化合物を含む。極性化合物は、メタノール、フルフラール、及び酢酸から選択される少なくとも1つの炭素含有分子を含み得る。非極性化合物は、一酸化炭素、二酸化炭素、メタン、テルペン、及びテルペン誘導体から選択される少なくとも1つの炭素含有分子を含み得る。
【0600】
ステップ(h)は、ステップ(h)なしという点以外は同一のプロセスに対して、生体試薬の総炭素含有量を増加させ得る。炭素含有量の増加の程度は、様々な実施形態では、例えば、約1%、2%、5%、10%、15%、25%、又は更にそれ以上であり得る。
【0601】
いくつかの実施形態では、ステップ(h)は、生体試薬の固定炭素含有量を増加させる。これらの又は他の実施形態では、ステップ(h)は、生体試薬の揮発性炭素含有量を増加させる。揮発性炭素含有量は、試薬中の揮発性物質に起因する炭素である。揮発性物質は、脂肪族又は芳香族化合物(例えば、テルペン);アルコール、アルデヒド、又はケトンを含む酸素化物;及び様々なタールを含む炭化水素であり得るが、これらに限定されない。揮発性炭素は、典型的には、周囲条件で固体に結合又は吸着されたままであるが、加熱されると、固定炭素が酸化されるか、ガス化されるか、又は他の方法で蒸気として放出される前に、放出される。
【0602】
ステップ(h)に関連する条件に応じて、いくらかの量の揮発性炭素が固定炭素になることが可能である(例えば、COからのブードア炭素形成を介して)。典型的には、揮発性物質は、固定炭素のミクロ細孔に入り、凝縮/吸着種として存在するが、比較的揮発性のままである。この残留揮発性は、高い表面積及び多孔性を必要とする製品用途と比較して、燃料用途にとってより有利であり得る。
【0603】
ステップ(h)は、生体試薬のエネルギー含有量(すなわち、エネルギー密度)を増加させることができる。エネルギー含有量の増加は、総炭素、固定炭素、揮発性炭素、又は更に水素の増加から生じ得る。エネルギー含有量の増加の程度は、様々な実施形態では、例えば、約1%、2%、5%、10%、15%、25%、又は更に高いものであり得る。
【0604】
更なる分離を用いて、プロセス又は更なる処理内で使用するために、1つ以上の非凝縮性ガス又は凝縮性蒸気を回収することができる。例えば、精製された一酸化炭素又は水素を生成するために、更なる処理を含めることができる。
【0605】
別の例として、酢酸の分離を行い、続いて酢酸をエタノールに還元することができる。酢酸の還元は、少なくとも部分的に、製造された非凝縮性ガスに由来する水素を使用して実現することができる。
【0606】
凝縮性蒸気は、生体試薬の炭素含有量を増加させるために、プロセス(熱酸化などによる)又は炭素濃縮のいずれかにおけるエネルギーのために使用することができる。CO又はCH4などのある特定の非凝縮性ガスは、プロセスにおけるエネルギーのために、又は熱分解ステップのための実質的に不活性なガスの一部として利用することができる。また、前述のものの任意の組み合わせも可能である。
【0607】
ステップ(h)を含むことの潜在的な利点は、ガス流が洗浄され、得られるガス流がCO及びCO2について濃縮されていることである。得られたガス流は、エネルギー回収のために利用することができるか、固体の炭素濃縮のために再循環させることができるか、又は反応器中で不活性ガスとして使用することができる。同様に、凝縮性蒸気から非凝縮性ガスを分離することによって、CO/CO2流は、例えば、反応器システム又は冷却システムにおける不活性ガスとしての使用のために調製される。
【0608】
他の変形形態は、炭素強化ステップの原理が、炭素を添加することが所望される任意の原料に適用され得るという認識を前提としている。
【0609】
いくつかの実施形態では、生体試薬を製造するためのバッチ又は連続プロセスは、
(a)炭素含有材料を含む固体流を提供することと、
(b)凝縮性炭素含有蒸気、非凝縮性炭素含有ガス、又は凝縮性炭素含有蒸気と非凝縮性炭素含有ガスとの混合物を含むガス流を提供することと、
(c)ガス流を好適な条件下で固体流を通過させて、炭素含有材料に対して増加した炭素含有量を有する炭素含有製品を形成することと、を含む。
【0610】
いくつかの実施形態では、出発炭素含有材料は、熱分解バイオマス又は焙焼バイオマスである。ガス流は、炭素含有材料を提供する統合プロセスの間に得ることができる。又は、ガス流は、炭素含有材料の別々の処理から得ることができる。ガス流又はその一部は、外部供給源(例えば、製材所のオーブン)から得ることができる。様々な供給源からのガス流の混合物、並びに炭素含有材料の混合物が可能である。
【0611】
いくつかの実施形態では、プロセスは、プロセスを繰り返して、炭素含有製品の炭素又はエネルギー含有量を更に増加させる、ガス流を再循環又は再利用することを更に含む。いくつかの実施形態では、プロセスは、プロセスを実施して、炭素含有材料とは異なる別の原料の炭素又はエネルギー含有量を増加させる、ガス流を再循環又は再利用することを更に含む。
【0612】
いくつかの実施形態では、プロセスは、少なくとも第1及び第2の出力流を生成するように構成された分離ユニットにガス流を導入することを更に含み、ガス流は、凝縮性炭素含有蒸気と非凝縮性炭素含有ガスとの混合物を含む。第1及び第2の出力流は、相対揮発度、相対極性、又は任意の他の特性に基づいて分離することができる。ガス流は、炭素含有材料の別々の処理から得ることができる。
【0613】
いくつかの実施形態では、プロセスは、プロセスを繰り返して、炭素含有製品の炭素含有量を更に増加させる、ガス流を再循環又は再利用することを更に含む。いくつかの実施形態では、プロセスは、プロセスを実施して、別の原料の炭素含有量を増加させる、ガス流を再循環又は再利用することを更に含む。
【0614】
炭素含有製品は、出発炭素含有材料に対して、増加した総炭素含有量、より高い固定炭素含有量、より高い揮発性炭素含有量、より高いエネルギー含有量、又はそれらの任意の組み合わせを有し得る。
【0615】
関連する変形形態では、生体試薬製造システムは、
(a)炭素含有原料を導入するように構成された供給装置と、
(b)供給装置と動作可能に連通して配置され、炭素含有原料中に含まれる水分を除去するように構成された任意選択的な乾燥機と、
(c)乾燥機と動作可能に連通して配置された多重ゾーン反応器であって、多重ゾーン反応器が、空間的に分離された冷却ゾーンと動作可能に連通して配置された少なくとも1つの熱分解ゾーンを含み、多重ゾーン反応器が、凝縮性蒸気及び非凝縮性ガスを固体から除去するための出口を有するように構成されている、多重ゾーン反応器と、
(d)多重ゾーン反応器と動作可能に連通して配置された固体冷却器と、
(e)固体冷却器と動作可能に連通して配置され、凝縮性蒸気又は非凝縮性ガスを固体に通過させて、炭素含有量が増加した強化固体を形成するように構成された材料濃縮ユニットと、
(f)材料濃縮ユニットと動作可能に連通して配置された生体試薬回収ユニットと、を備える。
【0616】
システムは、熱分解ゾーンと動作可能に連通して配置された予熱ゾーンを更に備えることができる。いくつかの実施形態では、乾燥機は、多重ゾーン反応器内の乾燥ゾーンとして構成されている。ゾーンの各々は、単一のユニット内又は別々のユニット内に位置し得る。また、固体冷却器を多重ゾーン反応器内に配置することができる。
【0617】
いくつかの実施形態では、冷却ゾーンは、ガス入口を備えて構成され、熱分解ゾーンは、ガス出口を備えて構成され、それによって固相に対する気相の実質的に向流の流れを生成する。これらの又は他の実施形態では、予熱ゾーン又は乾燥ゾーン(若しくは乾燥機)は、ガス出口を備えて構成され、固相に対して気相の実質的に向流の流れを生成する。
【0618】
特定の実施形態では、システムは、材料濃縮ユニットを組み込み、材料濃縮ユニットは、
(i)上部部分及び下部部分を有するハウジングと、
(ii)凝縮性蒸気及び非凝縮性ガスを運ぶように構成された、ハウジングの下部部分の底部にある入口と、
(iii)凝縮性蒸気及び非凝縮性ガスに由来する濃縮ガス流を運ぶように構成された、ハウジングの上部部分の頂部にある出口と、
(iv)ハウジングの上部部分と下部部分との間に画定された経路と、
(v)経路に続く輸送システムであって、輸送システムが、固体を輸送するように構成され、ハウジングが、固体が凝縮性蒸気のうちの少なくとも一部又は非凝縮性ガスのうちの少なくとも一部を吸着するように成形される、輸送システムと、を備える。
【0619】
開示されている技術は、生体試薬として有用な種々の組成物、及びそのような試薬を組み込んだ製品を製造することができる。いくつかの変形形態では、生体試薬は、本明細書に開示される任意のプロセス、例えば、
(a)バイオマスを含む炭素含有原料を提供するステップと、
(b)任意選択的に、原料を乾燥させて、原料中に含まれる水分の少なくとも一部を除去するステップと、
(c)任意選択的に、原料を脱気して、存在する場合、原料中に含まれる格子間酸素の少なくとも一部を除去するステップと、
(d)熱分解ゾーンにおいて、実質的に不活性なガスの存在下で、少なくとも10分間及び約250℃~約700℃から選択される熱分解温度で、原料を熱分解して、高温熱分解固体、凝縮性蒸気、及び非凝縮性ガスを生成するステップと、
(e)高温熱分解固体から凝縮性蒸気の少なくとも一部と非凝縮性ガスの少なくとも一部とを分離するステップと、
(f)冷却ゾーンにおいて、実質的に不活性なガスの存在下で、少なくとも5分間及び熱分解温度未満の冷却温度で、高温熱分解固体を冷却して、温かい熱分解固体を生成するステップと、
(g)温かい熱分解固体を冷却して、低温の熱分解固体を生成するステップと、
(h)低温の熱分解固体の少なくとも一部を含む生体試薬を回収するステップと、を含む、プロセスによって製造される。
【0620】
いくつかの実施形態では、試薬は、乾燥ベースで約少なくとも70重量%、少なくとも80重量%、少なくとも90重量%、又は少なくとも95重量%の総炭素を含む。総炭素は、少なくとも固定炭素を含み、揮発性物質からの炭素を更に含み得る。いくつかの実施形態では、揮発性物質からの炭素は、生体試薬中に存在する総炭素の約少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも25%、又は少なくとも50%である。例えば、固定炭素は、ASTM D3172を使用して測定することができ、揮発性炭素は、ASTM D3175を使用して測定することができる。
【0621】
生体試薬は、乾燥ベースで約10重量%以下、例えば約5重量%以下の水素を含み得る。生体試薬は、乾燥ベースで約1重量%以下、例えば約0.5重量%以下の窒素を含み得る。生体試薬は、乾燥ベースで約0.5重量%以下、例えば約0.2重量%以下のリンを含み得る。生体試薬は、乾燥ベースで約0.2重量%以下、例えば約0.1重量%以下の硫黄を含み得る。
【0622】
炭素、水素、及び窒素は、例えば、元素分析のためのASTM D5373を使用して測定することができる。酸素は、例えば、ASTM D3176を使用して測定することができる。硫黄は、例えば、ASTM D3177を使用して測定することができる。
【0623】
ある特定の実施形態は、水素(存在し得る任意の水分を除く)、窒素、リン、若しくは硫黄をほとんど又は本質的に含まず、実質的に炭素に加えて任意の灰及び存在する水分である試薬を提供する。したがって、いくつかの実施形態は、乾燥/無灰(DAF)ベースで100%以下の炭素を有する生体試薬を提供する。
【0624】
一般に言えば、バイオマスなどの原料は、熱分解中に容易に放出されない、シリカ及び様々な金属を含む不揮発性種を含む。もちろん、無灰原料を利用することも可能であり、この場合、熱分解固体中に実質的な量の灰が存在すべきではない。灰は、例えば、ASTM D3174を使用して測定することができる。
【0625】
灰などの様々な量の不燃性物質が存在し得る。生体試薬は、乾燥ベースで約10重量%以下、例えば、約5重量%、約2重量%、約1重量%以下の不燃性物質を含み得る。ある特定の実施形態では、試薬は、灰をほとんど含まないか、又は灰若しくは他の不燃性物質を本質的に全く含まない。したがって、いくつかの実施形態は、乾燥ベースで100%の炭素を含む本質的に純粋な炭素を提供する。
【0626】
様々な量の水分が存在し得る。総質量ベースで、生体試薬は、少なくとも1重量%、2重量%、5重量%、10重量%、15重量%、25重量%、35重量%、50重量%、又はそれより多くの水分を含み得る。本明細書で意図される場合、「水分」は、吸収された水分、吸着された水分子、化学的水和物、及び物理的水和物を含む、生体試薬中に存在する任意の形態の水を含むものとして解釈されるべきである。平衡含水量は、相対湿度などの少なくとも局所環境によって変動し得る。また、水分は、輸送、使用準備、及び他の物流中に変動し得る。水分は、例えば、ASTM D3173を使用して測定することができる。
【0627】
生体試薬は、本目的では絶乾試薬の全燃焼に関連するより高い発熱量に基づくエネルギー密度を意味する、様々なエネルギー含有量を有し得る。例えば、生体試薬は、約少なくとも11,000Btu/lb、少なくとも12,000Btu/lb、少なくとも13,000Btu/lb、少なくとも14,000Btu/lb、又は少なくとも15,000Btu/lbのエネルギー含有量を有し得る。ある特定の実施形態では、エネルギー含有量は、約14,000~15,000Btu/lbである。エネルギー含有量は、例えば、ASTM D5865を使用して測定することができる。
【0628】
生体試薬は、粗粉末又は微粉末などの粉末に形成することができる。例えば、試薬は、実施形態では、約200メッシュ、約100メッシュ、約50メッシュ、約10メッシュ、約6メッシュ、約4メッシュ、又は約2メッシュの平均メッシュサイズを有する粉末に形成することができる。
【0629】
いくつかの実施形態では、生体試薬は、圧縮された、結合された、又は凝集された粒子を含む構造物体に形成される。これらの物体を形成するための出発材料は、粒子サイズ縮小によって得られる中間体などの試薬の粉末形態であり得る。物体は、機械的プレス又は他の力によって、任意選択的に結合剤又は粒子を一緒に凝集させる他の手段を用いて形成することができる。
【0630】
いくつかの実施形態では、生体試薬は、その構造が原料に実質的に由来する構造物体の形態で製造される。例えば、原料チップは、生体試薬の生成物チップを生成し得る。又は、原料シリンダは、生体試薬シリンダを生成し得、これは、いくらかより小さくてもよいが、そうでない場合、出発材料の基本構造及び幾何学的形状を維持することができる。
【0631】
生体試薬は、少なくとも約1cm、2cm、3cm、4cm、5cm、6cm、7cm、8cm、9cm、10cm、又はそれよりも大きな最小寸法を有する物体として生成され得るか、又はそのような物体に形成され得る。様々な実施形態では、最小寸法又は最大寸法は、長さ、幅、又は直径であり得る。
【0632】
他の変形形態は、プロセスへの、製品への、又はその両方への添加剤の組み込みに関する。いくつかの実施形態では、生体試薬は、プロセス中に組み込まれる少なくとも1つのプロセス添加剤を含む。これらの又は他の実施形態では、試薬は、プロセス後に試薬に導入される少なくとも1つの製品添加剤を含む。
【0633】
いくつかの実施形態では、生体試薬は、乾燥ベースで、
70重量%以上の総炭素と、
5重量%以下の水素と、
1重量%以下の窒素と、
0.5重量%以下のリンと、
0.2重量%以下の硫黄と、
金属、金属酸化物、金属水酸化物、金属ハロゲン化物、又はそれらの組み合わせから選択される添加剤と、を含む。
【0634】
添加剤は、決して限定されないが、マグネシウム、マンガン、アルミニウム、ニッケル、クロム、ケイ素、ホウ素、セリウム、モリブデン、リン、タングステン、バナジウム、塩化鉄、臭化鉄、酸化マグネシウム、ドロマイト、ドロマイト石灰、蛍石、フルオロスパー、ベントナイト、酸化カルシウム、石灰、又はそれらの組み合わせから選択することができる。
【0635】
いくつかの実施形態では、生体試薬は、乾燥ベースで、
70重量%以上の総炭素と、
5重量%以下の水素と、
1重量%以下の窒素と、
0.5重量%以下のリンと、
0.2重量%以下の硫黄と、
酸、塩基、又はそれらの塩から選択される添加剤と、を含む。
【0636】
添加剤は、決して限定されないが、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、酸化マグネシウム、臭化水素、塩化水素、ケイ酸ナトリウム、過マンガン酸カリウム、又はそれらの組み合わせから選択することができる。
【0637】
ある特定の実施形態では、生体試薬は、乾燥ベースで、
70重量%以上の総炭素と、
5重量%以下の水素と、
1重量%以下の窒素と、
0.5重量%以下のリンと、
0.2重量%以下の硫黄と、
金属、金属酸化物、金属水酸化物、金属ハロゲン化物、又はそれらの組み合わせから選択される第1の添加剤と、
酸、塩基、又はそれらの塩から選択される第2の添加剤と、を含み、
第1の添加剤は、第2の添加剤とは異なる。
【0638】
第1の添加剤は、マグネシウム、マンガン、アルミニウム、ニッケル、クロム、ケイ素、ホウ素、セリウム、モリブデン、リン、タングステン、バナジウム、塩化鉄、臭化鉄、酸化マグネシウム、ドロマイト、ドロマイト石灰、蛍石、フルオロスパー、ベントナイト、酸化カルシウム、石灰、又はそれらの組み合わせから選択することができ、第2の添加剤は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、酸化マグネシウム、臭化水素、塩化水素、ケイ酸ナトリウム、過マンガン酸カリウム、又はそれらの組み合わせから独立的に選択することができる。
【0639】
ある特定の実施形態では、生体試薬は、乾燥ベースで、炭素、水素、窒素、リン、硫黄、不燃性物質、並びにマグネシウム、マンガン、アルミニウム、ニッケル、クロム、ケイ素、ホウ素、セリウム、モリブデン、リン、タングステン、バナジウム、塩化鉄、臭化鉄、酸化マグネシウム、ドロマイト、ドロマイト石灰、蛍石、フルオロスパー、ベントナイト、酸化カルシウム、石灰、又はそれらの組み合わせから選択される添加剤から本質的になる。
【0640】
ある特定の実施形態では、生体試薬は、乾燥ベースで、炭素、水素、窒素、リン、硫黄、不燃性物質、並びに水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、酸化マグネシウム、臭化水素、塩化水素、ケイ酸ナトリウム、又はそれらの組み合わせから選択される添加剤から本質的になる。
【0641】
添加剤(又は全添加剤)の量は、約0.1重量%、約1重量%、約5重量%、約10重量%、又は約20重量%を含む、約0.01重量%~約25重量%など、広く変動し得る。したがって、少なくとも約約1重量%などの比較的大量の添加剤が組み込まれる場合、全試薬重量(添加剤を含む)に基づいて計算されるエネルギー含有量が減少することが理解されよう。更に、様々な実施形態では、添加剤を有する生体試薬は、約少なくとも11,000Btu/lb、少なくとも12,000Btu/lb、少なくとも13,000Btu/lb、少なくとも14,000Btu/lb、又は少なくとも15,000Btu/lbのエネルギー含有量を有し得る。
【0642】
製品形態に関する上記の考察は、添加剤を組み込む実施形態にも適用される。実際、ある特定の実施形態は、特定の用途のための最終特性を向上させるために、結合剤、フラックス剤、又は他の改質剤として添加剤を組み込む。
【0643】
好ましい実施形態では、生体試薬中に含まれる炭素の大部分は、再生可能な炭素として分類される。いくつかの実施形態では、実質的に全ての炭素が再生可能な炭素として分類される。価値が生体試薬内の再生可能な炭素含有量に起因するある特定の市場機構(例えば、再生可能識別番号、税額控除など)が存在し得る。
【0644】
ある特定の実施形態では、固定炭素は、非再生可能な炭素(例えば、石炭由来)として分類することができ、一方、別々に添加することができる揮発性炭素は、エネルギー含有量だけでなく再生可能な炭素価も増加させるために再生可能な炭素とすることができる。
【0645】
本明細書に記載されているように製造される生体試薬は、多種多様な炭素質製品に有用である。生体試薬は、それ自体望ましい市場製品であり得る。本明細書で提供されるような生体試薬は、技術水準と比較して、より低いレベルの不純物、低減されたプロセス排出物、及び改善された持続可能性(より高い再生可能な炭素含有量を含む)と関連付けられる。
【0646】
変形形態では、製品は、開示されているプロセスによって得ることができるか若しくは本明細書に示される組成物に記載されている生体試薬のいずれか、又はそれらの任意の部分、組み合わせ、若しくは誘導体を含む。
【0647】
一般的に言えば、生体試薬は、エネルギー(電気及び熱を含む)を生成するために燃焼され得るか;合成ガスを生成するために部分的に酸化、ガス化、若しくは水蒸気改質され得るか;それらの吸着若しくは吸収特性のために利用され得るか;金属精製(金属酸化物の還元など)若しくは他の工業処理中のそれらの反応特性のために利用され得るか;又は炭素鋼及び様々な他の金属合金におけるそれらの材料特性のために利用され得る。本質的に、生体試薬は、開発すべき特殊使用を含む、炭素系商品又は先端材料の任意の市場用途に利用され得る。
【0648】
任意の製品用途における適合性又は実際の使用の前に、開示されている生体試薬は、様々な方法で分析、測定、及び任意選択的に(添加剤などによって)改変することができる。化学組成及びエネルギー含有量以外の潜在的に重要ないくつかの特性は、いくつかの特性を挙げると、密度、粒子サイズ、表面積、ミクロ多孔性、吸収性、吸着性、結合能、反応性、脱硫活性、及び塩基性を含む。
【0649】
これらの生体試薬を組み込むことができる製品又は材料は、炭素系高炉付加製品、炭素系タコナイトペレット付加製品、取鍋付加炭素系製品、メトコークス炭素系製品、石炭代替製品、炭素系コーキング製品、炭素ブリーズ製品、鋳物用炭素、焼結用炭素、流動床炭素系原料、炭素系炉付加製品、注入可能炭素系製品、微粉砕炭素系製品、ストーカー炭素系製品、炭素電極、又は活性炭製品を含み得るが、決してこれらに限定されることはない。
【0650】
金属製造における開示されている生体試薬の使用は、スラグを低減し、全体的効率を増加させ、ライフサイクル環境影響を低減することができる。したがって、いくつかの実施形態は、金属加工及び金属製造に特によく適している。
【0651】
いくつかの変形形態は、炭素系高炉付加製品として生体試薬を利用する。高炉は、(限定されないが)鉄などの工業用金属を製造するための製錬に使用される冶金炉の一種である。製錬は、抽出冶金の一形態であり、その主な用途は、その鉱石から金属を製造することである。製錬は、鉱石を分解するために熱及び化学還元剤を使用する。炭素又は炭素に由来する一酸化炭素は、鉱石から酸素を除去し、元素金属を残す。
【0652】
還元剤は、生体試薬からなり得るか、又はそれを含み得る。高炉では、生体試薬、鉱石、及び典型的には石灰石は、炉の頂部を通して連続的に供給することができ、一方、空気(任意選択的に酸素濃縮を伴う)は、チャンバの底部に吹き込まれ、そのため、化学反応は、材料が下方に移動するにつれて炉全体にわたって起こる。最終製品は、通常、底部から取り出される溶融金属及びスラグ相、並びに炉の頂部から出る煙道ガスである。高温の一酸化炭素濃縮ガスの上昇流と接触する鉱石の下降流は、向流プロセスである。
【0653】
高炉中の炭素品質は、その耐劣化性によって測定される。透過性媒体としての炭素の役割は、経済的な高炉動作において重要である。炭素の分解は、高炉での位置によって変動し、CO2、H2O、又はO2との反応と、炭素粒子同士の摩耗及び投入物の他の成分に対する炭素粒子の摩耗との組み合わせを伴う。分解された炭素粒子は、目詰まり及び性能低下を引き起こす場合がある。
【0654】
コークス反応性試験は、高炉中の炭素の性能の高く評価される尺度である。この試験は、2つの要素:コークス反応性指数(CRI)及び反応後コークス強度(CSR)を有する。低いCRI値(高い反応性)及び高いCSR値を有する炭素系材料は、より良好な高炉性能のために好ましい。CRIは、当該技術分野において既知の任意の好適な方法に従って、例えば、ASTM法DS341によって、受け取ったままの状態で決定することができる。
【0655】
いくつかの実施形態では、生体試薬は、高炉に直接導入するのに好適な特性を有する炭素製品を提供する。
【0656】
生体試薬の強度は、当該技術分野で既知の任意の好適な方法によって、例えば、落下飛散試験又はCSR試験によって決定することができる。いくつかの実施形態では、生体試薬は、別の炭素供給源と任意選択的にブレンドされた場合、少なくとも約50%、60%、又は70%のCSRを有する最終炭素製品を提供する。組み合わせ製品はまた、高炉での燃焼に好適な反応性を有する最終コークス製品を提供することができる。いくつかの実施形態では、生成物は、生体試薬が、メト石炭、メトコークス、コークスブリーズ、鋳物用コークス、焼結用炭素、若しくは注入可能な石炭のための添加剤又は代替物としての使用に好適であるようなCRIを有する。
【0657】
いくつかの実施形態は、高炉製品としての使用に不十分なCRI又はCSRを有する別の炭素供給源(例えば、コークス)に添加された場合に高炉内での使用に十分なCRI又はCSRを有する複合生成物を提供する生体試薬を提供するのに十分な量で1つ以上の添加剤を用いる。いくつかの実施形態では、1つ以上の添加剤は、約40%、30%、又は20%以下のCRIを有する生体試薬を提供するのに十分な量で存在する。
【0658】
いくつかの実施形態では、アルカリ土類金属、又はその酸化物若しくは炭酸塩から選択される1つ以上の添加剤は、生体試薬を製造するプロセスの最中又は後に導入される。例えば、カルシウム、酸化カルシウム、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、又は炭酸マグネシウムを添加剤として導入することができる。熱分解の前、最中、又は後にこれらの化合物を添加することによって、高炉内の生体試薬の反応性を増加させることができる。これらの化合物は、より強い材料、すなわちより高いCSRをもたらし、それによって高炉効率を改善することができる。更に、アルカリ土類金属、又はそれらの酸化物若しくは炭酸塩から選択されるものなどの添加剤は、より少ない排出(例えば、SO2)をもたらすことができる。
【0659】
いくつかの実施形態では、高炉代替製品は、少なくとも約55重量%の炭素、約0.5重量%以下の硫黄、約8重量%以下の不燃性材料、及び少なくとも約11,000Btu/ポンドの発熱量を含む、生体試薬である。いくつかの実施形態では、高炉代替製品は、約0.035重量%以下のリン、約0.5重量%~約50重量%の揮発性物質、及び任意選択的に1つ以上の添加剤を更に含む。いくつかの実施形態では、高炉代替製品は、約2重量%~約15重量%のドロマイト、約2重量%~約15重量%のドロマイト石灰、約2重量%~約15重量%のベントナイト、又は約2重量%~約15重量%の酸化カルシウムを含む。いくつかの実施形態では、高炉代替製品は、実質的に約1cm~約10cmの範囲の寸法を有する。
【0660】
いくつかの実施形態では、生体試薬は、鋳物用コークス代替製品として有用である。鋳物用コークスは、一般に、少なくとも約85重量%の炭素含有量、約0.6重量%の硫黄含有量、約1.5重量%以下の揮発性物質、約13重量%以下の灰、約8重量%以下の水分、約0.035重量%のリン、約30のCRI値、及び約5cm~約25cmの範囲の寸法を有すると特徴付けられる。
【0661】
いくつかの変形形態は、炭素系タコナイトペレット付加製品として生体試薬を利用する。鉄及び鋼の作製に使用される鉱石は、酸化鉄である。主な酸化鉄鉱石は、ヘマタイト、リモナイト(ブラウン鉱石とも呼ばれる)、タコナイト、及びマグネタイト、ブラック鉱石を含む。タコナイトは、低品位であるが重要な鉱石であり、マグネタイト及びヘマタイトの両方を含む。タコナイトの鉄含有量は、概して、25重量%~30重量%である。高炉は、典型的には、効率的な操業のために、少なくとも50重量%の鉄含有鉱石を必要とする。鉄鉱石は、破砕、スクリーニング、タンブリング、浮選、及び磁気分離を含む選鉱を受けることができる。精製された鉱石は、60%を超える鉄に濃縮され、配送前にペレットに形成されることが多い。
【0662】
例えば、タコナイトを微粉末に粉砕し、ベントナイト粘土及び石灰石などの結合剤と合わせることができる。例えば、約65重量%の鉄を含む直径約1センチメートルのペレットを形成することができる。ペレットは、焼成され、マグネタイトをヘマタイトに酸化する。ペレットは、耐久性があり、高炉装入物が、加熱されたガスを通過させ、ペレット化された鉱石と反応させるのに十分な多孔性のままであることを確実にする。
【0663】
タコナイトペレットは、高炉付加製品に関して上述したように、鉄を製造するために高炉に供給することができる。いくつかの実施形態では、生体試薬は、高炉に導入される。これらの又は他の実施形態では、生体試薬は、タコナイトペレット自体に組み込まれる。例えば、選鉱後のタコナイト鉱石粉末は、生体試薬及び結合剤と混合され、小さな物体に圧延され、次いで、硬くなるまで焼かれ得る。このような実施形態では、適切な組成を有するタコナイト-炭素ペレットを、別々の炭素源を必要とせずに、高炉に都合よく導入することができる。
【0664】
いくつかの変形形態は、生体試薬を取鍋付加炭素系製品として利用する。取鍋は、溶融金属を輸送して注ぎ出すために使用される容器である。鋳造取鍋は、溶融金属を鋳型に注入して鋳造品を製造するために使用される。移送取鍋は、大量の溶融金属をあるプロセスから別のプロセスへ移送するために使用される。処理取鍋は、取鍋への様々な元素の添加による鋳鉄のダクタイル鉄への変換など、溶融金属のいくつかの態様を変化させるために取鍋内で起こるプロセスのために使用される。
【0665】
生体試薬は、任意のタイプの取鍋に導入することができるが、典型的には、炭素は、目標炭素含有量に基づいて好適な量で処理取鍋に添加される。取鍋に注入される炭素は、最終組成物への炭素の良好な物質輸送のために微粉末の形態にあり得る。いくつかの実施形態では、生体試薬は、取鍋添加生成物として使用される場合、約0.5cm、例えば、約0.75cm、約1cm、約1.5cm、又はそれよりも大きな最小寸法を有する。
【0666】
いくつかの実施形態では、高炭素生体試薬は、例えば、炭素の取鍋添加が使用される(例えば、鋼製造中に取鍋炭素に添加される)塩基性酸素炉又は電気アーク炉施設において、取鍋付加炭素添加剤として有用である。
【0667】
いくつかの実施形態では、取鍋添加炭素添加剤は、最大約5重量%のマンガン、最大約5重量%の酸化カルシウム、又は最大約5重量%のドロマイト石灰を更に含む。
【0668】
海綿鉄とも呼ばれる直接還元鉄(DRI)は、天然ガス又は石炭から従来生成される還元ガスによる鉄鉱石(塊、ペレット、又は微粉の形態)の直接還元から生成される。還元ガスは、典型的には、還元剤として作用する水素と一酸化炭素の混合物である合成ガスである。本明細書で提供される生体試薬は、COを含むガス流に変換されて、還元剤として作用して直接還元鉄を製造することができる。
【0669】
鉄ナゲットは、高品質の製鋼及び鉄鋳造供給材料である。鉄ナゲットは、本質的に全て鉄及び炭素であり、脈石(スラグ)はほとんどなく、金属残留物は、低レベルである。それらは、優れた配送及び取り扱い特性を有する高級グレードの銑鉄製品である。鉄ナゲット又はその任意の部分に含まれる炭素は、本明細書で提供される生体試薬であり得る。鉄ナゲットは、生体試薬を還元剤及びエネルギー供給源として使用して、回転炉床炉内で鉄鉱石を還元することによって製造することができる。
【0670】
いくつかの変形形態は、冶金コークス炭素系製品として生体試薬を利用する。「メト」コークスとしても既知の冶金コークスは、通常、瀝青炭の様々なブレンドの分解蒸留によって製造される炭素材料である。最終固体は、冶金コークスと呼ばれる非溶融炭素である。揮発性ガスの損失及び部分的溶融の結果として、メトコークスは、開放多孔性形態を有する。メトコークスは、非常に低い揮発分を有する。しかしながら、元の瀝青炭原料の一部であった灰成分は、得られたコークス中に封入されたままである。メトコークス原料は、微粉末からバスケットボールサイズの塊までの広範囲のサイズで入手可能である。典型的な純度は、86~92重量%の固定炭素の範囲である。
【0671】
冶金コークスは、高品質で強靭で弾力性のある摩耗炭素が必要とされる場合に使用される。用途は、導電性床材、摩擦材料(例えば、炭素ライニング)、鋳造用コーティング、鋳造用炭素ライザー、腐食材料、掘削用途、還元剤、熱処理剤、セラミック充填媒体、電解プロセス、及び酸素排除を含むが、これらに限定されることはない。
【0672】
メトコークスは、約10,000~14,000Btu/ポンドの発熱量及び約10重量%以上の灰分を有するものとして特徴付けることができる。したがって、いくつかの実施形態では、メトコークス代替製品は、少なくとも約80重量%、85重量%、又は90重量%の炭素、約0.8重量%以下の硫黄、約3重量%以下の揮発性物質、約15重量%以下の灰、約13重量%以下の水分、及び約0.035重量%以下のリンを含む、生体試薬を含む。生体試薬は、メトコークス代替製品として使用される場合、例えば、約2cm~約15cmのサイズ範囲を有し得る。
【0673】
いくつかの実施形態では、メトコークス代替製品は、クロム、ニッケル、マンガン、酸化マグネシウム、ケイ素、アルミニウム、ドロマイト、フルオロスパー、酸化カルシウム、石灰、ドロマイト石灰、ベントナイト、又はそれらの組み合わせなどの添加剤を更に含む。
【0674】
いくつかの変形形態は、生体試薬を石炭代替製品として利用する。石炭を使用する任意のプロセス又はシステムは、原則として、生体試薬を使用するように適合させることができる。
【0675】
いくつかの実施形態では、生体試薬は、1つ以上の石炭系製品と組み合わされて、石炭系製品よりも高い品位を有するか、又は燃焼したときに純粋な石炭系製品よりも少ない排出を有する複合製品を形成する。
【0676】
例えば、亜瀝青炭などの低品位炭は、選択された量の生体試薬を低品位炭製品と組み合わせることによって、瀝青炭などの高品位炭製品を通常必要とする用途において使用することができる。他の実施形態では、混合石炭製品(例えば、異なる品位の複数の石炭の組み合わせ)の品位は、混合石炭をある量の生体試薬と組み合わせることによって改善することができる。石炭製品と混合すべき生体試薬の量は、石炭製品の品位、生体試薬の特性(例えば、炭素含有量、発熱量など)、及び最終組み合わせ生成物の所望の品位に応じて変動し得る。
【0677】
例えば、アントラサイト石炭は、少なくとも約80重量%の炭素、約0.6重量%の硫黄、約5重量%の揮発性物質、最大約15重量%の灰、最大約10重量%の水分、及び約12,494Btu/lbの発熱量を有すると一般に特徴付けられる。いくつかの実施形態では、アントラサイト石炭代替製品は、少なくとも約80重量%の炭素、約0.6重量%以下の硫黄、約15重量%以下の灰、及び少なくとも約12,000Btu/lbの発熱量を含む生体試薬である。
【0678】
いくつかの実施形態では、生体試薬は、熱石炭代替製品として有用である。熱石炭製品は、高い硫黄レベル、高いリンレベル、高い灰含有量、及び最大約15,000Btu/lbの発熱量を有すると一般に特徴付けられる。いくつかの実施形態では、熱石炭代替製品は、約0.5重量%以下の硫黄、約4重量%以下の灰、及び少なくとも約12,000Btu/lbの発熱量を含む生体試薬である。
【0679】
いくつかの変形形態は、生体試薬を炭素系コーキング製品として利用する。任意のコーキングプロセス又はシステムは、生体試薬を使用してコークスを製造するか、又は生体試薬をコークス原料として使用するように適合させることができる。
【0680】
いくつかの実施形態では、生体試薬は、熱石炭又はコークス代替製品として有用である。例えば、熱石炭又はコークス代替製品は、少なくとも約50重量%の炭素、約8重量%以下の灰、約0.5重量%以下の硫黄、及び少なくとも約11,000Btu/lbの発熱量を含む生体試薬からなり得る。他の実施形態では、熱コークス代替生成物は、約0.5重量%~約50重量%の揮発性物質を更に含む。熱石炭又はコークス代替製品は、約0.4重量%~約15重量%の水分を含み得る。
【0681】
いくつかの実施形態では、生体試薬は、石油(ペット)コークス又は焼成ペットコークス代替製品として有用である。か焼ペットコークスは、少なくとも約66重量%の炭素、最大4.6重量%の硫黄、最大約5.5重量%の揮発性物質、最大約19.5重量%の灰、及び最大約2重量%の水分を有すると一般に特徴付けられ、典型的には、約3メッシュ以下のサイズである。いくつかの実施形態では、焼成ペットコークス代替製品は、少なくとも約66重量%の炭素、約4.6重量%以下の硫黄、約19.5重量%以下の灰、約2重量%以下の水分を含む生体試薬であり、約3メッシュ以下のサイズである。
【0682】
いくつかの実施形態では、生体試薬は、コーキング炭素代替炭素(例えば、コーキング炉内で冶金用石炭と同時焼成される)として有用である。一実施形態では、コーキング炭素代替製品は、少なくとも約55重量%の炭素、約0.5重量%以下の硫黄、約8重量%以下の不燃性材料、及び少なくとも約11,000Btu/ポンドの発熱量を含む生体試薬である。いくつかの実施形態では、コーキング炭素代替製品は、約0.5重量%~約50重量%の揮発性物質、又は1つ以上の添加剤を含む。
【0683】
いくつかの変形形態は、生体試薬を炭素ブリーズ製品として利用し、炭素ブリーズ生成物は、典型的には、6mm、3mm、2mm、1mm、又はそれ未満などの非常に微細な粒子サイズを有する。いくつかの実施形態では、生体試薬は、コークスブリーズ代替製品として有用である。コークスブリーズは、一般に、約6mm以下の最大寸法、少なくとも約80重量%の炭素含有量、0.6~0.8重量%の硫黄、1%~20重量%の揮発性物質、最大約13重量%の灰、及び最大約13重量%の水分を有すると特徴付けられる。いくつかの実施形態では、コークスブリーズ代替製品は、少なくとも約80重量%の炭素、約0.8重量%以下の硫黄、約20重量%以下の揮発性物質、約13重量%以下の灰、約13重量%以下の水分、及び約6mmの最大寸法を含む、生体試薬である。
【0684】
いくつかの実施形態では、生体試薬は、例えば、タコナイトペレット製造中又は製鉄プロセスにおいて、炭素ブリーズ代替製品として有用である。
【0685】
いくつかの変形形態は、生体試薬を、様々な流動床のための原料として、又は流動床炭素系原料代替製品として利用する。炭素は、全燃焼、部分酸化、ガス化、水蒸気改質などのために流動床で用いることができる。炭素は、主に、エネルギー(例えば、熱及び電力の組み合わせ)又は液体燃料(例えば、メタノール又はフィッシャー・トロプシュディーゼル燃料)の生成を含む様々な下流使用のための合成ガスに変換することができる。
【0686】
いくつかの実施形態では、生体試薬は、例えば、流動床炉で、石炭が(例えば、プロセス熱又はエネルギー生成のために)使用される場所ならどこでも、流動床石炭代替製品として有用である。
【0687】
いくつかの変形形態は、生体試薬を炭素系炉付加製品として利用する。石炭系炭素炉付加製品は、一般に、高い硫黄レベル、高いリンレベル、及び高灰分を有するものとして特徴付けられ、これらは、金属製品の劣化に寄与し、大気汚染を引き起こす。いくつかの実施形態では、生体試薬を含む炭素炉付加代替製品は、約0.5重量%以下の硫黄、約4重量%以下の灰、約0.03重量%以下のリン、及び約7.5cmの最大寸法を含む。いくつかの実施形態では、炭素炉付加代替製品代替製品は、約0.5重量%~約50重量%の揮発性物質及び約0.4重量%~約15重量%の水分を含む。
【0688】
いくつかの実施形態では、生体試薬は、例えば、塩基性酸素炉又は電気アーク炉施設で、炉付加炭素が使用される場所ならどこでも、炉付加炭素添加剤として有用である。例えば、炉付加炭素は、電気アーク炉施設での鋼製造中にスクラップ鋼に添加することができる。電気アーク炉用途では、不純物の早期除去後に不純物がプロセスに戻されないように、高純度炭素が望ましい。
【0689】
いくつかの実施形態では、炉付加炭素添加剤は、少なくとも約80重量%の炭素、約0.5重量%以下の硫黄、約8重量%以下の不燃性材料、及び少なくとも約11,000Btu/ポンドの発熱量を含む生体試薬である。いくつかの実施形態では、炉付加炭素添加剤は、最大約5重量%のマンガン、最大約5重量%のフルオロスパー、約5重量%~約10重量%のドロマイト、約5重量%~約10重量%のドロマイト石灰、又は約5重量%~約10重量%の酸化カルシウムを更に含む。
【0690】
いくつかの変形形態は、生体試薬をストーカー炉炭素系製品として利用する。いくつかの実施形態では、生体試薬は、例えば、ストーカー炉施設で、石炭が(例えば、プロセス熱又はエネルギー生成のために)使用される場所ならどこでも、ストーカー石炭代替製品として有用である。
【0691】
いくつかの変形形態は、生体試薬を注入可能な(例えば、微粉砕)炭素系材料として利用する。いくつかの実施形態では、生体試薬は、注入グレードの焼成ペットコークス代替製品として有用である。注入グレードのか焼ペットコークスは、少なくとも約66重量%の炭素、約0.55~約3重量%の硫黄、最大約5.5重量%の揮発性物質、最大約10重量%の灰、最大約2重量%の水分を有すると一般に特徴付けられ、約6メッシュ以下のサイズである。いくつかの実施形態では、焼成ペットコークス代替製品は、少なくとも約66重量%の炭素、約3重量%以下の硫黄、約10重量%以下の灰、約2重量%以下の水分を含む生体試薬であり、約6メッシュ以下のサイズである。
【0692】
いくつかの実施形態では、生体試薬は、注入可能な炭素が使用される(例えば、鋼製造中にスラグ又は取鍋に注入される)任意の用途において、塩基性酸素炉又は電気アーク炉施設などにおける注入可能な炭素代替製品として有用である。
【0693】
いくつかの実施形態では、生体試薬は、例えば、微粉砕炭が(例えば、プロセス熱又はエネルギー生成のために)使用される場所ならどこでも、微粉砕炭代替製品として有用である。いくつかの実施形態では、微粉砕炭代替製品は、最大約10パーセントの酸化カルシウムを含む。
【0694】
いくつかの変形形態は、生体試薬を金属製造のための炭素付加製品として利用する。いくつかの実施形態では、本発明による生体試薬は、炭素鋼又は炭素を含む別の金属合金の生成のための炭素付加製品として有用である。石炭系後期段階炭素付加製品は、一般に、高い硫黄レベル、高いリンレベル、及び高灰分、並びに金属品質を低下させ、大気汚染に寄与する高い水銀レベルを有するものとして特徴付けられる。いくつかの実施形態では、炭素付加製品は、約0.5重量%以下の硫黄、約4重量%以下の灰、約0.03重量%以下のリン、約1~5mmの最小寸法、及び約8~12mmの最大寸法を含む。
【0695】
いくつかの変形形態は、炭素電極内の生体試薬を利用する。いくつかの実施形態では、生体試薬は、アルミニウム製造などにおける使用に好適な電極(例えば、アノード)材料として有用である。
【0696】
炭素電極における生体試薬の他の使用は、バッテリ、燃料電池、キャパシタ、及び他のエネルギー貯蔵又はエネルギー送達デバイスにおける用途を含む。例えば、リチウムイオンバッテリにおいて、生体試薬は、リチウムをインターカレートするためにアノード側で使用することができる。これらの用途では、炭素純度及び低灰分が非常に重要であり得る。
【0697】
いくつかの変形形態は、生体試薬を触媒担体として利用する。炭素は、炭素相に担持された硫化コバルト-モリブデン金属触媒を使用する合成ガスからの混合アルコール合成、又は合成ガスからの高級炭化水素のフィッシャー・トロプシュ合成のための炭素に担持された鉄系触媒などの広範囲の触媒化学反応における既知の触媒支持体である。
【0698】
いくつかの変形形態は、生体試薬を活性炭製品として利用する。活性炭は、水処理、空気浄化、溶媒蒸気回収、食品及び飲料処理、並びに医薬品を含む、多種多様な液相及び気相用途において使用される。活性炭については、材料の多孔性及び表面積が一般に重要である。本明細書で提供される生体試薬は、様々な実施形態で、(i)化石燃料系活性炭よりも大きな表面積;(ii)炭素再生可能性;(iii)添加剤と併用したバイオマス原料の脈管性(vascular nature)が、汚染物質制御を強化する添加剤の浸透/分布をより良好に可能にすること;並びに(iv)より少ない不活性材料(灰)が、より大きな反応性をもたらすこと、に起因して、優れた活性炭製品を提供し得る。
【0699】
生体試薬の市場用途の先の記載において、記載されている用途は排他的でも網羅的でもないと認識されるべきである。したがって、1つのタイプの炭素製品に好適であると記載されている生体試薬は、様々な実施形態で、記載されている任意の他の用途に好適であり得る。これらの用途は、例示にすぎず、生体試薬の他の用途がある。
【0700】
加えて、いくつかの実施形態では、同じ物理的材料が、統合された方法又は順番のいずれかで、複数の市場プロセスにおいて使用され得る。したがって、例えば、炭素電極又は活性炭として使用される生体試薬は、性能材料としてのその有効寿命の最後に、エネルギー価値のための燃焼プロセス又は金属作製(例えば、金属鉱石の還元)プロセスなどに導入することができる。
【0701】
いくつかの実施形態は、生体試薬を、その反応性/吸着特性のために、また燃料としても使用することができる。例えば、排出流中に注入される生体試薬は、汚染物質を除去し、続いて生体試薬粒子及び場合によっては汚染物質を燃焼させて、エネルギーを生成し、汚染物質を熱的に破壊又は化学的に酸化するのに好適であり得る。
【0702】
従来の化石燃料系製品と比較して、生体試薬には、著しい環境上及び製品使用上の利点が伴い得る。生体試薬は、環境的に優れているだけでなく、例えば、より高い純度を理由に処理の観点から機能的にも優れたものであり得る。
【0703】
金属製造のいくつかの実施形態に関して、開示されているプロセスによる生体試薬の製造は、金属製造における使用のためにそれらを調製するのに必要な石炭系製品のコーキングと比較して、CO、CO2、NOx、SO2、及び有害大気汚染物質の排出が大幅に低くなり得る。
【0704】
石炭又はコークスの代わりに生体試薬を使用することによっても、SO2、有害大気汚染物質、及び水銀の環境排出が著しく低減される。
【0705】
また、これらの生体試薬の純度(低い灰含有量を含む)を理由に、開示される生体試薬は、スラグを低減し、バッチ金属作製プロセスにおける生産能力を増加させる可能性を有する。
【0706】
いくつかの実施形態では、生体試薬は、活性炭として機能する。例えば、低固定炭素材料を活性化することができるか、高固定炭素材料を活性化することができるか、又はバイオカーボン組成物(ブレンド)が活性炭として機能するように両方の材料を活性化することができる。
【0707】
ある特定の実施形態では、生体試薬の一部は活性炭製品として回収され、生体試薬の別の部分(例えば、残りの部分)は、結合剤を使用してペレット化されて、バイオカーボンペレットを製造する。他の実施形態では、生体試薬は、結合剤を使用してペレット化されて、バイオカーボンペレットを製造し、これらのバイオカーボンペレットは、活性炭製品への後の変換のために配送される。後の変換は、微粉砕して粉末に戻すことを含み得、また、例えば、蒸気、酸、又は塩基による化学処理を含み得る。これらの実施形態では、バイオカーボンペレットは、活性炭前駆体ペレットとみなすことができる。
【0708】
ある特定の実施形態では、生体試薬内の固定炭素は、主に活性炭を作製するために使用することができ、生体試薬内の揮発性炭素は、主に還元ガスを作製するために使用することができる。例えば、ステップ(b)で生成された生体試薬内の固定炭素の少なくとも50重量%、少なくとも90重量%、又は本質的に全てをステップ(f)で活性炭として回収することができ、一方、例えば、ステップ(b)で生成された生体試薬内の揮発性炭素の少なくとも50重量%、少なくとも90重量%、又は本質的に全てを還元ガスに向けることができる(例えば、揮発性炭素のCOへの水蒸気改質反応を介して)。
【0709】
活性炭は、製造された場合、例えば、少なくとも約500、750、800、1000、1500、又は2000のヨウ素価によって特徴付けることができる。活性炭は、好ましくは、活性炭の14C/12C同位体比率の測定から決定して少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、又は95%の再生可能な炭素含有量によって特徴付けることができる。いくつかの実施形態では、活性炭は、活性炭の14C/12C同位体比率の測定から決定して、(完全に)再生可能な活性炭として特徴付けられる。
【0710】
いくつかの実施形態では、熱分解反応器は、異なるタイプの活性炭の製造を最適化するように構成されている。例えば、反応条件(例えば、時間、温度、及び水蒸気濃度)は、ヨウ素価などのある特定の属性を有する活性炭製品のために選択することができる。異なる反応条件は、より高いヨウ素価を有するものなどの異なる活性炭製品に対して選択することができる。熱分解反応器は、キャンペーンモードで動作してある製品を製造し、次いで、別の製品のための別のモードに切り替えることができる。第1の製品は、第1のキャンペーンの間に連続的に若しくは周期的に除去されていてもよく、又は熱分解反応器の反応条件を切り替える前に除去されてもよい。
【0711】
活性炭は、例えば、少なくとも約500、750、1000、1500、又は2000のヨウ素価によって特徴付けることができる。活性炭は、好ましくは、活性炭の14C/12C同位体比率の測定から決定して少なくとも90%の再生可能な炭素含有量によって特徴付けられる。いくつかの実施形態では、活性炭は、活性炭の14C/12C同位体比率の測定から決定して、(完全に)再生可能な活性炭として特徴付けられる。
【0712】
本明細書に開示されているプロセスによって製造される活性炭は、多くの方法で使用することができる。
【0713】
いくつかの実施形態では、活性炭は、1つ以上の一次製品を精製するために、加工現場において内部的に利用される。いくつかの実施形態では、活性炭は、水を浄化するために現場で利用される。これらの又は他の実施形態では、活性炭は、液相排出を低減するために液体廃棄物流を処理するために、又は空気排出を低減するために蒸気廃棄物流を処理するために、現場で利用される。いくつかの実施形態では、活性炭は、新たなバイオマスの生成を補助するための土壌改良剤として利用され、新たなバイオマスは、現場で現地原料として利用されるのと同じタイプのバイオマスであり得る。
【0714】
本明細書に開示されるプロセスに従って調製された活性炭は、従来の化石燃料ベースの活性炭と同じ又はより良好な特性を有し得る。いくつかの実施形態では、活性炭は、化石燃料ベースの活性炭に関連する表面積に匹敵するか、それに等しいか、又はそれよりも大きな表面積を有する。いくつかの実施形態では、活性炭は、従来の活性炭製品と同様に、又はそれよりも良好に汚染物質を制御することができる。いくつかの実施形態では、活性炭は、従来の活性炭製品に関連する不活性材料(例えば、灰)レベルに匹敵するか、それに等しいか、又はそれ未満の不活性材料(例えば、灰)レベルを有する。いくつかの実施形態では、活性炭は、従来の活性炭製品に関連する粒子サイズ又は粒子サイズ分布に匹敵する、それに等しい、それよりも大きい、又はそれ未満の粒子サイズ又は粒子サイズ分布を有する。いくつかの実施形態では、活性炭は、従来の活性炭製品に関連する粒子形状に匹敵するか、実質的に類似するか、又はそれと同じ粒子形状を有する。いくつかの実施形態では、活性炭は、従来の活性炭製品に関連する粒子形状とは実質的に異なる粒子形状を有する。いくつかの実施形態では、活性炭は、従来の活性炭製品に関連する細孔体積に匹敵するか、それに等しいか、又はそれよりも大きな細孔体積を有する。いくつかの実施形態では、活性炭は、従来の活性炭製品に関連する細孔寸法に匹敵するか、実質的に類似するか、又はそれと同じ細孔寸法を有する。いくつかの実施形態では、活性炭は、従来の活性炭製品に関連する粒子の耐摩耗性値に匹敵するか、実質的に類似するか、又はそれと同じ粒子の耐摩耗性値を有する。いくつかの実施形態では、活性炭は、従来の活性炭製品に関連する硬度値に匹敵するか、実質的に類似するか、又はそれと同じ硬度値を有する。いくつかの実施形態では、活性炭は、従来の活性炭製品に関連するかさ密度値に匹敵するか、実質的に類似するか、又はそれと同じかさ密度値を有する。いくつかの実施形態では、活性炭製品は、従来の活性炭製品に関連する吸着能力に匹敵するか、実質的に類似するか、又はそれと同じ吸着能力を有する。
【0715】
任意の製品用途における適合性又は実際の使用の前に、開示されている活性炭は、様々な方法で分析、測定、及び任意選択的に(添加剤などによって)改変することができる。潜在的に重要ないくつかの特性は、密度、粒子サイズ、表面積、ミクロ多孔性、吸収性、吸着性、結合能、反応性、脱硫活性、塩基性、硬度、及びヨウ素価を含む。
【0716】
活性炭は、水処理、空気浄化、溶媒蒸気回収、食品及び飲料処理、糖及び甘味料精製、自動車用途、及び医薬品を含む、多種多様な液相及び気相用途において商業的に使用される。活性炭について、鍵となる生成物属性は、粒子サイズ、形状、組成、表面積、細孔体積、細孔寸法、粒子サイズ分布、炭素表面及び内部の化学的性質、粒子の耐摩耗性、硬度、かさ密度、並びに吸着能力を含み得る。
【0717】
生体活性炭についてのかさ密度は、例えば、約50g/リットル~約650g/リットルであり得る。
【0718】
生物起源の活性炭の表面積は、広く変動し得る。例示的な表面積(例えば、BET表面積)は、約400m2/g~約2000m2/g以上の範囲、例えば、約500m2/g、600m2/g、800m2/g、1000m2/g、1200m2/g、1400m2/g、1600m2/g、又は1800m2/gである。表面積は、概して、吸着容量に相関する。
【0719】
細孔サイズ分布は、活性炭の最終的な性能を決定するために重要であり得る。細孔サイズ測定は、ミクロ細孔含有量、メソ細孔含有量、及びマクロ細孔含有量を含み得る。
【0720】
ヨウ素価は、活性炭性能を特徴付けるために使用されるパラメータである。ヨウ素価は、炭素の活性化の程度を測定し、ミクロ細孔(例えば、0~20Å)含有量の尺度である。これは液相用途にとって重要な測定である。本開示の実施形態によって生成される活性炭生成物についての例示的なヨウ素価は、全ての介在範囲を含む、約500、600、750、900、1000、1100、1200、1300、1500、1600、1750、1900、2000、2100、及び2200を含む。ヨウ素価の単位は、炭素1グラム当たりのヨウ素のミリグラム数である。
【0721】
別の細孔関連測定値は、メソ細孔含有量(例えば、20~500Å)を測定するMethylene Blue Number(メチレンブルー数)である。本開示の実施形態によって生成される活性炭生成物についての例示的なメチレンブルー数は、全ての介在範囲を含む、約100、150、200、250、300、350、400、450、及び500を含む。メチレンブルー数の単位は、炭素1グラム当たりのメチレンブルー(メチルチオニニウム塩化物)のミリグラム数である。
【0722】
別の細孔関連測定値は、マクロ細孔含有量(例えば、>500Å)を測定するMolasses Number(糖蜜数)である。本開示の実施形態によって生成される活性炭生成物の例示的な糖蜜数は、全ての介在範囲を含む、100、150、200、250、300、350、及び400を含む。糖蜜数の単位は、炭素1グラム当たりの糖蜜のミリグラム数である。
【0723】
いくつかの実施形態では、活性炭は、少なくとも約0.5cm3/g、例えば、少なくとも約1cm3/gのメソ細孔体積によって特徴付けられる。
【0724】
活性炭は、その保水能力によって特徴付けることができる。様々な実施形態では、本開示の実施形態によって製造される活性炭製品は、25℃で約10%~約300%(乾燥活性炭の重量で除した水の重量)、例えば、約50%~約100%、例えば、約60~80%の保水能力を有する。
【0725】
硬度又は摩耗数は、活性炭の耐摩耗性の尺度である。それは、取り扱い又は使用中の摩擦力及び機械的応力に耐える活性炭の物理的完全性の指標である。ある程度の硬度が望ましいが、硬度が高すぎると、過剰な装置摩耗が生じる可能性がある。ASTM D3802に従って測定される例示的な摩耗数は、約1%~約99%超の範囲、例えば、約1%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、又は少なくとも約99%超である。
【0726】
いくつかの実施形態では、活性炭が、適度に耐摩耗性であるが、活性炭を処理する資本設備において摩耗及び損耗を引き起こさない、最適な範囲の硬度を達成することができる。この最適条件は、本開示のいくつかの実施形態では、原料及び処理条件の選択により可能となる。下流使用が高硬度を扱うことができるいくつかの実施形態では、本開示のプロセスは、硬度を増加又は最大化して、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、若しくは少なくとも約99%の摩耗数を有する生体活性炭製品を製造するように動作させることができる。
【0727】
本開示によって提供される生体活性炭は、広範囲の商業的使用を有する。例えば、限定するものではないが、生体活性炭は、排出制御、水精製、地下水処理、廃水処理、エアストリッパー用途、PCB除去用途、臭気除去用途、土壌蒸気抽出、製造ガスプラント、工業用水濾過、工業用燻蒸、タンク及びプロセスベント、ポンプ、送風機、フィルタ、プレフィルタ、ミストフィルタ、配管、配管モジュール、吸着器、吸収器、及びカラムにおいて利用することができる。
【0728】
一実施形態では、排出を低減するために活性炭を使用する方法は、
(a)本明細書に開示される第2の反応器から回収された生体活性炭組成物を含む活性炭粒子を提供することと、
(b)少なくとも1つの選択された汚染物質を含む気相排出流を提供することと、
(c)気相排出流からの選択された汚染物質の除去を補助するように選択された添加剤を提供することと、
(d)活性炭粒子及び添加剤を気相排出流に導入し、それによって選択された汚染物質の少なくとも一部を活性炭粒子上に吸着させ、それによって気相排出流内に汚染物質吸着炭素粒子を生成することと、
(e)気相排出流から汚染物質吸着炭素粒子の少なくとも一部を分離して、汚染物質が低減された気相排出流を生成することと、を含む。
【0729】
生体活性炭組成物のための添加剤は、活性炭粒子の一部として提供され得る。代替的に又は追加的に、添加剤は、気相排出流、燃料床、又は燃焼ゾーンに直接導入することができる。当業者によって理解されるように、選択された汚染物質の除去のために添加剤を気相排出流に直接又は間接的に導入する他の方法も可能である。
【0730】
(気相排出流中の)選択された汚染物質は、金属であり得、例えば、金属は、水銀、ホウ素、セレン、ヒ素、並びにそれらの任意の化合物、塩及び混合物から選択される。選択された汚染物質は、例えば、有害な大気汚染物質、有機化合物(VOCなど)、又は非凝縮性ガスであり得る。いくつかの実施形態では、生物起源の活性炭製品は、比較可能な量の非生物起源の活性炭製品よりも多い量で、選択された汚染物質を吸着、吸収又は化学吸着する。いくつかのそのような実施形態では、選択された汚染物質は、金属、有害大気汚染物質、有機化合物(VOCなど)、非凝縮性ガス、又はそれらの任意の組み合わせである。いくつかの実施形態では、選択された汚染物質は水銀を含む。いくつかの実施形態では、選択された汚染物質は、1つ以上のVOCを含む。いくつかの実施形態では、生体活性炭は、少なくとも約1重量%の水素又は少なくとも約10重量%の酸素を含む。
【0731】
有害な大気汚染物質は、がん又は他の深刻な健康への影響(例えば、生殖への影響若しくは出生異常、又は有害な環境及び生態学的影響)を引き起こすか又は引き起こし得る汚染物質である。修正されたClean Air Actのセクション112は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。Clean Air Actのセクション112に従って、United States Environmental Protection Agency(米国環境保護庁(EPA))は、189個の有害大気汚染物質を制御するように義務付けられている。EPAによって有害大気汚染物質として分類される任意の現在又は将来の化合物は、本文脈における可能な選択された汚染物質に含まれる。
【0732】
揮発性有機化合物(その一部は有害大気汚染物質でもある)は、通常の室温条件で高い蒸気圧を有する有機化学物質である。例は、短鎖アルカン、オレフィン、アルコール、ケトン、及びアルデヒドを含む。多くの揮発性有機化合物は、ヒトの健康に危険であるか、又は環境に害を及ぼす。EPAは、空気、水及び土地における揮発性有機化合物を規制している。EPAの揮発性有機化合物の定義は、40 CFR Section 51.100(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載されている。
【0733】
非凝縮性ガスは、通常の室温条件下で凝縮しないガスである。非凝縮性ガスは、窒素酸化物、一酸化炭素、二酸化炭素、硫化水素、二酸化硫黄、三酸化硫黄、メタン、エタン、エチレン、オゾン、アンモニア、又はそれらの組み合わせを含み得るが、これらに限定されることはない。
【0734】
開示された活性炭粒子によって複数の汚染物質を除去することができる。いくつかの実施形態では、汚染物質吸着炭素粒子は、少なくとも2つの汚染物質、少なくとも3つの汚染物質、又はそれより多くを含む。本明細書に開示されている活性炭は、複数の汚染物質の制御並びにある特定の標的汚染物質(例えば、セレン)の制御を可能にすることができる。
【0735】
いくつかの実施形態では、汚染物質吸着炭素粒子は、活性炭粒子を再生するために処理される。いくつかの実施形態では、本方法は、汚染物質吸着炭素粒子を熱酸化することを含む。汚染物質吸着炭素粒子又はその再生形態は、燃焼してエネルギーを提供することができる。
【0736】
いくつかの実施形態では、活性炭のための添加剤は、酸、塩基、塩、金属、金属酸化物、金属水酸化物、金属ハロゲン化物、又はそれらの組み合わせから選択される。ある特定の実施形態では、添加剤は、マグネシウム、マンガン、アルミニウム、ニッケル、鉄、クロム、シリコン、ホウ素、セリウム、モリブデン、リン、タングステン、バナジウム、塩化鉄、臭化鉄、酸化マグネシウム、苦灰石、ドロマイト石灰、蛍石、フルオロスパー、ベントナイト、酸化カルシウム、石灰、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、臭化水素、塩化水素、ケイ酸ナトリウム、過マンガン酸カリウム、有機酸(例えば、クエン酸)、又はそれらの組み合わせから選択される。
【0737】
いくつかの実施形態では、気相排出流は、高硫黄含有量金属鉱石の処理などの金属処理に由来する。
【0738】
水銀制御に関する例示的実施形態として、活性炭は、静電集塵器又は織物フィルタなどの微粒子状物質制御デバイスの上流に(配管などに)注入されることができる。場合によっては、煙道ガス脱硫(乾式又は湿式)システムを活性炭注入点の下流に配置することができる。活性炭は、粉末として空気圧で注入することができる。注入位置は、既存のプラント構成(新しい場所でない限り)、及び追加の下流の微粒子状物質制御機器が改変されるかどうかによって決定することができる。
【0739】
微粒子状物質制御デバイスを現在装備しているボイラーについて、水銀制御のために生体活性炭注入を実施することは、(i)既存の微粒子状物質制御デバイス(静電集塵器若しくは織物フィルタ)の上流に粉末活性炭を注入すること、(ii)既存の静電集塵器の下流及びレトロフィット織物フィルタの上流に粉末活性炭を注入すること、又は(iii)静電集塵器の電界間に粉末活性炭を注入することを包含し得る。鉄又は鉄含有化合物を含めると、水銀制御のための静電集塵器の性能を劇的に改善することができる。更に、鉄又は鉄含有化合物を含めると、使用済み活性炭固体を他の灰から分離することができるので、寿命末期の選択肢が大幅に変化する可能性がある。
【0740】
いくつかの実施形態では、粉末活性炭注入アプローチは、既存のSO2制御デバイスと組み合わせて用いられ得る。活性炭は、注入点の下流で活性炭吸着剤を収集する手段の利用可能性に従って、SO2制御デバイスの前又はSO2制御デバイスの後に注入することができる。
【0741】
いくつかの実施形態では、同じ物理的材料が、統合された方法又は順番のいずれかで、複数のプロセスにおいて使用されることができる。したがって、例えば、活性炭は、性能材料としてのその有効寿命の終わりに、エネルギー価値のための燃焼プロセスに、又は炭素を必要とするが活性炭の特性を必要としない金属作製プロセスなどに導入することができる。
【0742】
本開示の生体活性炭及び原理は、例えば、水、様々な純度の水性流、溶媒、液体燃料、ポリマー、溶融塩、及び溶融金属の処理を含む液相用途に適用することができる。本明細書で意図される場合、「液相」は、スラリー、懸濁液、エマルション、多相系、又は少なくともいくらかの量の存在する液体状態を有する(又は有するように調節することができる)任意の他の材料を含む。
【0743】
一実施形態では、本開示は、液体を精製するために活性炭を使用する方法を提供し、いくつかの変形形態では、以下のステップ:
(a)第2の反応器から回収された活性炭粒子を提供するステップと、
(b)少なくとも1つの選択された汚染物質を含む液体を提供するステップと、
(c)液体からの選択された汚染物質の除去を補助するように選択された添加剤を提供するステップと、
(d)液体を活性炭粒子及び添加剤と接触させて、少なくとも一部の選択された汚染物質を活性炭粒子上に吸着させ、それによって、汚染物質吸着炭素粒子及び汚染物質低減液体を生成するステップと、を含む。
【0744】
添加剤は、活性炭粒子の一部として提供され得る。代替的に、添加剤は、液体に直接導入され得る。いくつかの実施形態では、添加剤(同じであるか、又は異なり得る)は、活性炭粒子の一部として、並びに液体に直接導入される。
【0745】
液相用途に関するいくつかの実施形態では、添加剤は、酸、塩基、塩、金属、金属酸化物、金属水酸化物、金属ハロゲン化物、又はそれらの組み合わせから選択される。例えば、添加剤は、マグネシウム、マンガン、アルミニウム、ニッケル、鉄、クロム、シリコン、ホウ素、セリウム、モリブデン、リン、タングステン、バナジウム、塩化鉄、臭化鉄、酸化マグネシウム、苦灰石、ドロマイト石灰、蛍石、フルオロスパー、ベントナイト、酸化カルシウム、石灰、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、臭化水素、塩化水素、ケイ酸ナトリウム、過マンガン酸カリウム、有機酸(例えば、クエン酸)、又はそれらの組み合わせから選択することができる。
【0746】
いくつかの実施形態では、(処理すべき液体中の)選択された汚染物質は、金属、例えば、ヒ素、ホウ素、セレン、水銀、並びにそれらの任意の化合物、塩及び混合物から選択される金属である。いくつかの実施形態では、選択された汚染物質は、有機化合物(VOCなど)、ハロゲン、生物学的化合物、殺虫剤、又は除草剤である。汚染物質吸着炭素粒子は、2つ、3つ、又はそれよりも多くの汚染物質を含み得る。いくつかの実施形態では、活性炭製品は、比較可能な量の非生物起源の活性炭製品よりも多い量で、選択された汚染物質を吸着、吸収又は化学吸着する。いくつかのそのような実施形態では、選択された汚染物質は、金属、有害大気汚染物質、有機化合物(VOCなど)、非凝縮性ガス、又はそれらの任意の組み合わせである。いくつかの実施形態では、選択された汚染物質は水銀を含む。いくつかの実施形態では、選択された汚染物質は、1つ以上のVOCを含む。いくつかの実施形態では、生体活性炭は、少なくとも約1重量%の水素又は少なくとも約10重量%の酸素を含む。
【0747】
処理すべき液体は、典型的には水性であってもよいが、必ずしも本開示の原理に必須というわけではない。いくつかの実施形態では、液体は、固定床において活性炭粒子で処理される。他の実施形態では、液体は、溶液中又は移動床中の活性炭粒子で処理される。
【0748】
一実施形態では、本開示は、生体活性炭組成物を使用して液体から硫黄含有汚染物質の少なくとも一部を除去する方法であって、
(a)本明細書に開示される第2の反応器から回収された活性炭粒子を提供することと、
(b)硫黄含有汚染物質を含む液体を提供することと、
(c)液体からの硫黄含有汚染物質の除去を補助するように選択された添加剤を提供することと、
(d)液体を活性炭粒子及び添加剤と接触させて、硫黄含有汚染物質の少なくとも一部を活性炭粒子上又は活性炭粒子内に吸着又は吸収させることと、を含む、方法を提供する。
【0749】
いくつかの実施形態では、硫黄含有汚染物質は、元素硫黄、硫酸、亜硫酸、二酸化硫黄、三酸化硫黄、硫酸アニオン、重硫酸アニオン、亜硫酸アニオン、重亜硫酸アニオン、チオール、スルフィド、ジスルフィド、ポリスルフィド、チオエーテル、チオアセタール、スルホキシド、スルホン、チオスルフィネート、スルフィミド、スルホキシミド、スルホンジイミン、ハロゲン化硫黄、チオケトン、チオアルデヒド、硫黄酸化物、チオカルボン酸、チオアミド、スルホン酸、スルフィン酸、スルフェン酸、スルホニウム、オキソスルホニウム、スルフラン、ペルスルフラン、又はそれらの組み合わせ、塩若しくは誘導体から選択される。例えば、硫黄含有汚染物質は、アニオン又は塩形態のスルフェートであり得る。
【0750】
液体は、水などの水性液体であり得る。いくつかの実施形態では、水は、金属鉱業、酸性鉱山排水、ミネラル処理、都市下水処理、パルプ及び紙、エタノール、並びに廃水中の硫黄含有汚染物質を排出することができる任意の他の工業プロセスから選択されるプロセスに関連する廃水である。水はまた、湖、川、又は小川などの天然の水域(又はその一部)であってもよい。
【0751】
一実施形態では、本開示は、水中の硫酸塩の濃度を低減するプロセスであって、
(a)本明細書に開示される第2の反応器から回収された活性炭粒子を提供することと、
(b)硫酸塩を含む水の体積又は流れを提供することと、
(c)水からの硫酸塩の除去を補助するように選択された添加剤を提供することと、
(d)水を活性炭粒子及び添加剤と接触させて、硫酸塩の少なくとも一部を活性炭粒子上又は活性炭粒子内に吸着又は吸収させることと、を含む、プロセスを提供する。
【0752】
いくつかの実施形態では、硫酸塩は、水中で約10mg/L以下の濃度など、水中で約50mg/L以下の濃度に低減される。いくつかの実施形態では、硫酸塩は、主に硫酸アニオン又は重硫酸アニオンの形態で存在する。pHに依存して、硫酸塩は硫酸塩の形態で存在することもできる。
【0753】
水は、廃水流の一部又は全部から誘導することができる。例示的な廃水流は、金属鉱業、酸性鉱山排水、ミネラル処理、都市下水処理、パルプ及び紙、エタノール、又は硫黄含有汚染物質を廃水に排出し得る任意の他の工業プロセスに関連し得る。水は、湖、川、又は小川などの天然の水域であり得る。いくつかの実施形態では、プロセスは連続的に行われる。他の実施形態では、プロセスはバッチで行われる。
【0754】
水を活性炭で処理する場合、水の濾過、水の浸透、又は活性炭粒子の水への直接添加(沈降、清澄化などを伴う)があり得る。浸透を使用する場合、活性炭は、浸透デバイス内で、又は浸透デバイスを補助するために、いくつかの方法で使用することができる。いくつかの実施形態では、活性炭粒子及び添加剤は、浸透の前に水に直接導入される。活性炭粒子及び添加剤は、任意選択的に、浸透の前の予備濾過において使用される。ある特定の実施形態では、活性炭粒子及び添加剤は、浸透のために膜に組み込まれる。
【0755】
いくつかの実施形態では、活性炭は、元素硫黄、硫酸、亜硫酸、二酸化硫黄、三酸化硫黄、硫酸アニオン、重硫酸アニオン、亜硫酸アニオン、重亜硫酸アニオン、チオール、スルフィド、ジスルフィド、ポリスルフィド、チオエーテル、チオアセタール、スルホキシド、スルホン、チオスルフィネート、スルフィミド、スルホキシミド、スルホンジイミン、ハロゲン化硫黄、チオケトン、チオアルデヒド、硫黄酸化物、チオカルボン酸、チオアミド、スルホン酸、スルフィン酸、スルフェン酸、スルホニウム、オキソスルホニウム、スルフラン、ペルスルフラン、又はそれらの組み合わせ、塩若しくは誘導体から選択される硫黄含有汚染物質を除去するのに効果的である。
【0756】
一般に言えば、開示されている活性炭は、従来の活性炭が使用され得る任意の用途において使用することができる。いくつかの実施形態では、活性炭は、従来の活性炭の全(すなわち、100%)代替物として使用される。いくつかの実施形態では、活性炭は、特定の用途に使用される活性炭の本質的に全て又は実質的に全てを含む。いくつかの実施形態では、活性炭は、約1%~約100%の生体活性炭を含む。
【0757】
例えば、限定するものではないが、活性炭は、単独で、又は従来の活性炭製品と組み合わせて、フィルタに使用することができる。いくつかの実施形態では、充填床又は充填カラムは、開示された活性炭を含む。そのような実施形態では、生物起源の活性炭は、特定の充填床又は充填カラムに好適なサイズ特性を有する。ガス流への生体活性炭の注入は、石炭火力発電所、バイオマス火力発電所、金属加工プラント、原油精製所、化学プラント、ポリマープラント、パルプ及び製紙プラント、セメントプラント、廃棄物焼却炉、食品処理プラント、ガス化プラント、並びに合成ガスプラントに由来するガス流又は液体流中の汚染物質排出の制御に有用であり得る。
【0758】
金属酸化物還元におけるバイオカーボン組成物の使用
バイオカーボンペレット又はその微粉形態又は本明細書に開示されている他のバイオカーボン組成物が金属鉱石炉又は化学還元炉に供給される様々な実施形態がある。
【0759】
金属鉱石炉又は化学還元炉は、高炉、炉頂ガス再循環高炉、シャフト炉、反射炉(空気炉としても既知である)、るつぼ炉、消音炉、レトルト炉、フラッシュ炉、Tecnored炉、Ausmelt炉、ISASMELT炉、パッドル炉、ボギー炉床炉、連続チェーン炉、プッシャー炉、回転炉床炉、ウォーキングビーム炉、電気アーク炉、誘導炉、塩基性酸素炉、パッドル炉、ベッセマー炉、直接還元金属炉、又はそれらの組み合わせ若しくは派生物であり得る。
【0760】
金属鉱石炉又は化学還元炉は、水平に、垂直に、又は傾斜して配置することができる。固体及び流体(液体若しくは気体)の流れは、並流又は向流であり得る。炉内の固体は、固定床又は流動床であり得る。金属鉱石炉又は化学還元炉は、温度、圧力、及び滞留時間の様々なプロセス条件で動作させることができる。
【0761】
いくつかの変形形態は、具体的には高炉に関する。高炉は、鉄又は銅などの工業用金属を製造するための製錬に使用される冶金炉の一種である。高炉は、鉄鉱石を製錬して、商業用の鉄及び鋼の製造に使用される中間体材料である銑鉄を製造する際に利用される。高炉はまた、例えば卑金属製錬において焼結プラントと組み合わせて使用される。
【0762】
「ブラスト」という用語は、燃焼空気が大気圧を超えて強制又は供給されることを指す。高炉では、金属鉱石、炭素(例えば、本開示では、生体試薬又はそれらの誘導体)、及び通常はフラックス(例えば、石灰石)が、炉の頂部を通して連続的に供給される一方で、空気の高温ブラスト(任意選択的に、酸素濃縮を伴う)が、羽口と呼ばれる一連のパイプを通して炉の下部に吹き込む。化学還元反応は、材料が下方に落下する際に炉全体にわたって起こる。最終製品は、通常、底部から取り出される溶融金属及びスラグ相、並びに炉の頂部から出る廃ガス(還元排ガス)である。高温のCO濃縮ガスの上昇流と向流接触するフラックスに沿った金属鉱石の下降流は、金属鉱石を金属に還元する効率的な化学反応を可能にする。
【0763】
空気炉(反射炉など)は、通常、煙突煙道における高温ガスの対流によって自然に吸引される。この広い定義によると、鉄のための塊鉄炉、スズのための吹き込みハウス、及び鉛のための製錬工場は、高炉として分類される。
【0764】
高炉は、現代の鉄生成の重要な部分のままである。現代の炉は、非常に効率的であり、煙道ガスからの廃熱を伴って入ってくるブラスト空気を予熱するカウパーストーブ、及び炉を出る高温ガスから熱を抽出する回収システムを含む。高炉は、典型的には、耐火レンガで裏打ちされた背の高い構造の形態で構築され、供給材料がその下降中に加熱されるにつれて膨張し、その後、溶融が生じ始めるにつれてサイズを縮小させるような外形にされる。
【0765】
鉄製造に関するいくつかの実施形態では、バイオカーボンペレット、鉄鉱石(酸化鉄)、及び石灰石フラックスが、高炉の頂部に装入される。鉄鉱石又は石灰石フラックスは、バイオカーボンペレット内に組み込むことができる。任意選択的に、バイオカーボンペレットは、高炉に供給する前にサイズが縮小される。例えば、バイオカーボンペレットは、高炉に供給される粉末に微粉砕することができる。
【0766】
高炉は、一酸化炭素含有量が高い高温の汚れたガスを炉スロートから出させるように構成することができ、一方、ブリーダー弁は、突然のガス圧力サージから炉の頂部を保護することができる。排気ガス中の粗大粒子は、沈降し、処分することができ、一方、ガスは、ベンチュリスクラバー又は静電集塵器又はガス冷却器を通って流れて、浄化されたガスの温度を下げることができる。炉の底部にある鋳造室は、液体鉄及びスラグを鋳造するための設備を含む。液体鉄及びスラグが開口部を通って樋を流下し、鉄とスラグとを分離するように、出銑孔を耐火プラグに穿孔することができる。銑鉄及びスラグが出銑されると、出銑孔は、耐火粘土で塞ぐことができる。羽口と呼ばれるノズルは、高炉の効率を高めるために熱風を供給するために使用される。熱風は、基部近くの冷却された羽口を通して炉内に向けられる。熱風温度は、例えば、約900℃~1300℃(空気温度)であり得る。高炉内の温度は、少なくとも約2000℃以上であり得る。他の炭素質材料又は酸素を羽口レベルで炉に注入して、炭素(バイオカーボンペレットから)と結合させて、追加のエネルギーを放出し、存在する還元ガスの百分率を増加させることもでき、これは生産性を増加させる。
【0767】
高炉は、金属鉱石(例えば、鉄鉱石)中の酸素に対して対応する金属よりも強い親和性を有する一酸化炭素が金属をその元素形態に還元する化学還元の原理に基づいて動作する。高炉は、塊鉄炉及び反射炉とは異なり、高炉では、煙道ガスが鉱石及び金属と直接接触し、一酸化炭素を鉱石中に拡散させ、金属酸化物を炭素と混合された元素金属に還元させる。高炉は、通常、連続向流交換プロセスとして動作する。
【0768】
シリカは、通常、銑鉄から除去される。シリカは、酸化カルシウムと反応してケイ酸塩を形成し、これがスラグとして溶融銑鉄の表面に浮遊する。金属鉱石、フラックス、炭素、及び反応生成物の下方移動カラムは、煙道ガスが通過するのに十分な多孔性でなければならない。これは、生体試薬炭素が透過性であるのに十分な大きさの粒子(例えば、バイオカーボンペレット又はペレットに由来するより小さな物体)であることを必要とする。したがって、ペレット又は破砕したペレットは、その上の材料の重量によって破砕されないように十分に強くなければならない。炭素の物理的強度に加えて、硫黄、リン、及び灰も低いことが好ましい。
【0769】
多くの化学反応が高炉中で起こる。化学反応は、出発金属酸化物としてヘマタイト(Fe2O3)を参照して理解することができる。酸化鉄のこの形態は、初期原料において、又は高炉内で製造されたままのいずれかにおいて、鉄鉱石処理において一般的である。鉄鉱石の他の形態(例えば、タコナイト)は、様々な濃度の異なる酸化鉄(Fe3O4、Fe2O3、FeOなど)を有するであろう。
【0770】
高炉内で溶融鉄を製造する主な全体的化学反応は、以下の通りである。
Fe2O3+3 CO→2 Fe+3 CO2
これは吸熱反応である。この反応全体は、多くのステップにわたって生じ、第1のステップは、炉に吹き込む予熱されたブラスト空気が(例えば、バイオカーボンペレットからの)炭素と反応して一酸化炭素及び熱を生成することである:
2 C+O2→2 CO
高温の一酸化炭素は、鉄鉱石の還元剤であり、酸化鉄と反応して溶融鉄及び二酸化炭素を生成する。炉の異なる部分の温度(典型的には底部で最も高い)に応じて、鉄は、いくつかのステップで還元される。温度が通常200~700℃の範囲である頂部では、酸化鉄は、酸化鉄(II、III)Fe3O4に部分的に還元される:
3 Fe2O3+CO→2 Fe3O4+CO2
約850℃の温度で、炉の更に下方で、鉄(II、III)は、酸化鉄(II)FeOに更に還元される:
Fe3O4+CO→3 FeO+CO2
高温の二酸化炭素、未反応の一酸化炭素、及び空気からの窒素は、新鮮な供給材料が反応ゾーンへと下方に移動するにつれて、炉を上方に通過する。材料が下方に移動するにつれて、向流ガスは、供給装入物を予熱するとともに石灰石(用いられる場合)を酸化カルシウムと二酸化炭素とに分解する:
CaCO3→CaO+CO2
分解によって形成された酸化カルシウムは、鉄中の様々な酸性不純物(特に、シリカ)と反応して、主にケイ酸カルシウムCaSiO3であるスラグを形成する:
SiO2+CaO→CaSiO3
FeOが最大1200℃の範囲のより高い温度の領域に移動するにつれて、FeOは、鉄金属に更に還元され、再び一酸化炭素が反応物として用いられる:
FeO+CO→Fe+CO2
このプロセスで形成された二酸化炭素は、逆ブードア反応によって炭素と反応させることによって、一酸化炭素に変換し戻すことができる:
C+CO2→2 CO
【0771】
先に示した化学反応では、還元ガスは、炉内のインサイチュの製品であるのではなく、代替的に又は追加的に、高炉に直接導入することができることに留意することは重要である。典型的には、これらの実施形態では、還元ガスは水素及び一酸化炭素の両方を含み、これらは両方とも金属酸化物を化学的に還元するように機能する。任意選択的に、還元ガスは、改質、ガス化、又は部分的な酸化によってバイオカーボンペレットから別に製造することができる。
【0772】
従来の高炉では、金属酸化物の還元を引き起こすために利用可能な水素がない。本開示では、水素を高炉に直接注入することができる。代替的又は追加的に、水素は、バイオカーボンペレットが水素と関連する揮発性炭素(例えば、重質タール成分)を含む場合、高炉に供給されるバイオカーボンペレット内で利用可能であり得る。水素は、先のものと同様であるがCOをH2で置き換える追加の還元反応を引き起こすことができる:
3 Fe2O3+H2→2 Fe3O4+H2O
Fe3O4+4 H2→3 Fe+4 H2O
これらの反応は、COによる還元反応と並行して生じる。水素はまた、逆水性ガスシフト反応において二酸化炭素と反応してより多くのCOを生成することができる。ある特定の実施形態では、本質的に水素からなる還元ガスが高炉に供給される。
【0773】
高炉によって製造される「銑鉄」は、典型的には、約3~6重量%の比較的高い炭素含有量を有する。鋳鉄を作製するために銑鉄を使用することができる。高炉によって製造された銑鉄は、通常、炭素及び硫黄含有量を低減し、商業的に使用される様々なグレードの鋼を製造するために、更なる処理を受ける。塩基性酸素製鋼と呼ばれる更なるプロセスステップでは、炭素は、酸素を液体銑鉄に吹き付けることによって酸化されて、粗鋼を形成する。
【0774】
脱硫は、従来、銑鉄に含まれる硫化鉄と反応して硫化カルシウムを形成する酸化カルシウムを添加することによって、製鉄所への液体鉄の輸送中に実施される。いくつかの実施形態では、脱硫はまた、金属硫化物を(還元ガス中の)COと反応させて、金属及び硫化カルボニルCSOを形成することによって、炉内又は炉の下流で起こり得る。これらの又は他の実施形態では、脱硫はまた、金属硫化物を(還元ガス中の)H2と反応させて、金属及び硫化水素H2Sを形成することによって、炉内又は炉の下流で起こり得る。
【0775】
他のタイプの炉は、他の化学反応を用いることができる。変換において炭素又は還元ガスを用いる、金属酸化物の金属への化学変換では、その炭素は、好ましくは再生可能な炭素であることが理解されるであろう。本開示は、バイオマスの熱分解を介して製造される生体試薬中の再生可能な炭素を提供する。ある特定の実施形態では、炉中で利用される一部の炭素は、再生可能な炭素ではない。様々な実施形態では、金属鉱石炉で消費される総炭素のうち、再生可能な炭素のパーセンテージは、少なくとも約20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、99%、又は100%であり得る。
【0776】
いくつかの変形形態では、Tecnored炉、又はその変形が利用される。Tecnoredプロセスは、元々、ブラジルのTecnored Desenvolvimento Tecnologico S.A.によって開発され、冷間結合された、カーボン含有、自溶、及び自己還元ペレットを還元する低圧移動床還元炉に基づいている。還元は、低背型シャフト炉中で典型的な還元温度で実施される。プロセスは、高効率で溶銑(典型的には液体鉄)を製造する。
【0777】
Tecnored技術は、コークスレス製鉄プロセスであるように開発され、したがって、溶銑の製造における温室ガス放出を大幅に低減することに加えて、環境に有害なコークス炉の投資及び動作を回避した。Tecnoredプロセスは、高温ブラストと低温ブラストとの組み合わせを使用し、追加の酸素を必要としない。それは、コークスプラント、焼結プラント、及びトン数酸素プラントの必要性を排除する。したがって、このプロセスは、伝統的な製鉄ルートのものよりもはるかに低い動作コスト及び投資コストを有する。
【0778】
本開示において、Tecnoredプロセスは、様々な方法で生体試薬とともに使用するために適合させることができる。いくつかの実施形態は、鉄鉱石微粉又は鉄含有残留物に本明細書に開示されている生体試薬を加えたものから製造される自己還元凝集体(例えば、バイオカーボンペレット)を提供する。フラックス剤及び結合剤と混合されたこれらの材料は、凝集され、熱的に硬化されて、Tecnoredプロセスの物理的及び冶金学的要求に十分な強度を有するバイオカーボンペレットを製造する。次いで、生成された凝集物をTecnored炉中で製錬する。Tecnored炉のための燃料は、それ自体がバイオカーボンペレット、又は非ペレットバイオカーボ組成物(例えば、粉末)であり得る。
【0779】
ブリケット内で酸化鉄の微細粒子と還元剤とを合わせることによって、還元剤と接触する酸化物の表面積、したがって反応速度が劇的に増加する。自己還元ブリケットは、含まれる鉄含有原料を完全に還元させるのに十分な還元剤を含むように設計することができ、任意選択的に、所望のフラックスを使用して、スラグ化学を提供することもできる。自己還元ブリケットは、炉に供給する前に低温で硬化される。自己還元ブリケット内の反応を駆動するのに必要な熱は、ブリケットの形態でもあり得る固体燃料の床によって提供され、その上に自己還元ブリケットが炉内に供給される。
【0780】
Tecnored炉は、(i)上部シャフトゾーン、(ii)溶融ゾーン、及び(iii)下部シャフトゾーンの3つのゾーンを有する。上部シャフトゾーンでは、固体燃料(例えば、生体試薬)が装入される。このゾーンでは、ブードア反応(C+CO2→2CO)が防止され、それによって、エネルギーが節約される。炉のこのゾーンにおける後燃焼は、COを燃焼させ、これは、装入物の予熱及び還元のためのエネルギーを提供する。ペレット内部では、以下の反応が非常に速い速度で起こる。
FexOy+y CO→x Fe+y CO2
y CO2+y C=2y CO
式中、xは1~典型的には5であり、yは1~典型的には7である。
【0781】
溶融ゾーンでは、装入物中の還元雰囲気によって、再酸化が防止される。装入物の溶融は、還元雰囲気下で起こる。下部シャフトゾーンでは、固体燃料が装入される。固体燃料は、好ましくは、バイオカーボンペレットを含み、より好ましくは、本質的にそれからなる。このゾーンでは、残留酸化鉄の更なる還元、並びに脈石材料及び燃料灰のスラグ化反応が液体状態で起こる。また、金属及びスラグ小滴の過熱が起こる。これらの過熱された金属及びスラグの液滴は、重力によって炉の炉床に沈み、そこに蓄積する。
【0782】
この改変されたTecnoredプロセスは、カーボンユニットの2つの異なる入力、すなわち還元剤及び固体燃料を用いる。還元剤は、従来、石炭微粉であるが、本開示では、還元剤は、微粉砕バイオカーボンペレットを含み得る。自己還元凝集体は、本明細書に開示されているバイオカーボンペレットであり得る。必要とされる炭素微粉の量は、鉱石微粉に対する炭素の比率によって確立され、これは、好ましくは、金属酸化物の完全な還元を達成するように選択される。
【0783】
固体燃料は、微粉の形態にある必要はない。例えば、固体燃料は、Tecnoredプロセスにおいて固体燃料から必要とされる物理的及び熱的欲求に対処するために、約40~80mmのサイズなどの塊の形態にあり得る。これらの塊は、バイオカーボンペレットを分解(例えば、破砕)することによって作製することができるが、完全に粉末にすることはできない。固体燃料は、(上部シャフトにおける吸熱ブードア反応を回避するために)サイド供給装置を通して装入され、プロセスによって要求されるエネルギーの大部分を提供する。このエネルギーは、一次ブラスト(C+O2→CO2)及び二次ブラストによって形成され、炉床での固体燃料のガス化によって生成された上流COが燃焼される(2CO+O2→2CO2)。
【0784】
ある特定の例示的な実施形態では、改変されたTecnoredプロセスは、140メッシュ未満のサイズを有する鉄鉱石微粉、200メッシュ未満のサイズを有する生体反応物質微粉、及び140メッシュ未満のサイズの消石灰などのフラックスを、結合剤としてセメントを使用してペレット化することを含む。ペレットを硬化させ、200℃で乾燥させた後、Tecnored炉の頂部に供給する。炉中の装入物の全滞留時間は、約30~40分である。40mm~80mmの範囲のサイズの固体燃料の形態の生体試薬は、サイド供給装置を使用して高温ペレット領域の下の炉中に供給される。約1150℃の高温ブラスト空気が、炉の側面に位置している羽口を通して吹き込み、バイオカーボンのための燃焼空気を提供する。少量の炉ガスは、固体燃料の乾燥及び予熱に使用するために、サイド供給装置を通して流される。上部シャフトにおけるCOの後燃焼を促進するために、低温のブラスト空気がより高い点で吹き込む。製造された溶銑は、取鍋台車上の取鍋に出銑され、この取鍋台車は、スラグ除去のために取鍋を傾けることができる。液体鉄は、任意選択的に、取鍋中で脱硫され、スラグは、スラグポットにかき集められる。溶銑は、典型的には約3~5重量%の炭素を含む。
【0785】
従来、外部のCO又はH2は、Tecnored炉を使用する自己還元プロセスにおいて重要な役目を果たさない。しかしながら、外部H2又はCO(還元ガスから)は、先の反応(FexOy+yCO→xFe+yCO2)において、又は反応物としての水素との反応(FexOy+yH2→xFe+yH2O)において、酸化鉄の速度又は変換を増加させることによって、化学反応全体を補助することができる。還元化学反応は、高温還元ガスの物質移動が速いため、少なくともペレット又はブリケットの表面で、場合によってはペレット又はブリケットのバルク相内で補助することができる。本開示のいくつかの実施形態は、高炉の態様をTecnored炉の態様と合わせて、これによって炉内の還元ガスの使用に加えて、自己還元ペレット又はブリケットが利用される。
【0786】
言及したように、金属鉱石処理のための多数の可能な炉構成が存在する。本明細書は、全ての可能な炉で起こり得る様々な条件及び化学反応を詳細に説明しないが、本開示の原理は、金属鉱石から金属を作製するプロセスのどこかで炭素を使用する本質的に任意の炉又はプロセスに適用され得ることが、当業者によって理解される。
【0787】
いくつかのプロセスは、バイオカーボンペレットを利用し、いくつかのプロセスは、還元ガスを利用し、いくつかのプロセスは、バイオカーボンペレット及び還元ガスの両方を利用することも観察されるであろう。本明細書で提供されるプロセスは、固体バイオカーボンペレット及び還元ガスの両方を製造することができる。いくつかの実施形態では、固体バイオカーボンペレットのみが、金属鉱石変換プロセスにおいて用いられる。他の実施形態では、還元ガスのみが、金属鉱石変換プロセスにおいて用いられる。更に他の実施形態では、バイオカーボンペレット及び還元ガスの両方が、金属鉱石変換プロセスにおいて用いられる。再生可能な炭素の両方の供給源を用いるこれらの実施形態では、還元ガスからの金属鉱石変換における総炭素使用量のパーセンテージは、約、少なくとも約、又は最大約5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、若しくは100%であり得る。他の炭素使用量は、好ましくは、バイオカーボンペレットからのものである。代替的に、他の炭素使用量の一部又は全ては、石炭微粉などの従来の炭素入力からのものであり得る。
【0788】
還元ガスへのバイオカーボン組成物の変換
いくつかの変形形態は、還元ガスを生成するために(ペレット、粉末、又は他の形態としての)バイオカーボン組成物を用い、還元ガスは、プロセスにおいてインサイチュで利用することができるか、又は回収及び販売することができる。関連する実施形態では、低固定炭素材料の一部又は高固定炭素材料の一部(例えば、これらの材料のうちの1つの規格外の部分、又は最終製品の需要に必要とされない追加量の材料)は、ブレンド操作から分流され、代わりに、還元ガスを生成するために利用され得る。
【0789】
ここで、還元ガス(本明細書では「バイオ還元剤ガス」とも呼ばれる)の任意選択的な製造について更に説明する。還元ガスへのバイオカーボン組成物の変換は、バイオ還元剤形成ユニットと呼ばれ得る反応器内で起こる。
【0790】
反応物は、バイオカーボン組成物と反応させて還元ガスを生成するために用いることができる。反応物は、酸素、水蒸気、又はそれらの組み合わせから選択することができる。いくつかの実施形態では、酸素を水蒸気と混合し、得られた混合物を第2の反応器に添加する。酸素又は酸素濃縮空気を添加して、酸素による炭素の部分酸化若しくは全酸化などの発熱反応を引き起こすか;還元ガス中でより好ましいH2/CO比率を達成するか;(iii)還元ガスの収率を増加させるか;又は(iv)例えば、CO2、熱分解生成物、タール、芳香族化合物、若しくは他の望ましくない生成物の量を減少させることによって還元ガスの純度を増加させることができる。
【0791】
いくつかの実施形態では、水蒸気が好ましい反応物である。水蒸気(すなわち、蒸気相のH2O)は、1つ以上の入力流で反応器に導入することができる。水蒸気は、バイオカーボンペレット中に含まれる水分によって生成される水蒸気、並びに水を生成する任意の化学反応によって生成される水蒸気を含み得る。
【0792】
本明細書における化学種の「比」への全ての言及は、別段の指示がない限り、モル比への言及である。例えば、1のH2/CO比率は、二酸化炭素1モル当たり水素1モルを意味する。
【0793】
水蒸気改質、部分酸化、水性ガスシフト(WGS)、又は燃焼反応は、酸素又は水蒸気を添加する場合に起こり得る。例示的な反応を、例えばセルロース系原料中に見られるセルロース繰り返し単位(C
6H
10O
5)に関して以下に示す。バイオカーボンペレットを含む任意の炭素含有原料を用いて同様の反応が起こり得る。
【表1】
【0794】
バイオ還元剤形成ユニットは、還元ガスを製造する少なくとも1つの化学反応を引き起こすことができる任意の反応器である。当該技術分野で周知の従来の水蒸気改質装置は、触媒を用いても用いなくても使用することができる。他の可能性は、自己熱改質器、部分酸化反応器、及びいくつかの反応機構(例えば、部分酸化とそれに続く水性ガスシフト)を組み合わせた多段反応器を含む。反応器の構成は、固定床、流動床、複数のマイクロチャネル、又はいくつかの他の構成であり得る。
【0795】
いくつかの実施形態では、反応物としての水蒸気の総量は、供給材料中の炭素1モル当たり少なくとも約0.1モルの水蒸気である。様々な実施形態では、炭素1モル当たり少なくとも約0.5、1.0、1.5、2.0、3.0、4.0、5.0、又はそれよりも多くのいずれかのモルの水蒸気が添加されるか、又は存在する。いくつかの実施形態では、炭素1モル当たり約1.5~3.0モルの水蒸気が添加されるか、又は存在する。
【0796】
第2の反応器に添加される水蒸気の量は、熱分解反応器の条件などの要因に応じて変化し得る。熱分解が炭素リッチ固体材料を生成する場合、一般に、より多くの水蒸気(又はより多くの酸素)を使用して、必要なH及びO原子を、CO及びH2を生成するのに利用可能なCに添加する。システム全体の観点から、バイオカーボンペレット中に含まれる水分は、プロセスにおいてどれだけの追加の水(蒸気)を加えるかを決定する際に考慮することができる。
【0797】
水蒸気に対する酸素の例示的な比率(O2/H2O)は、第2の反応器において、約2、1.5、1、0.5、0.2、0.1、0.05、0.02、0.01、又はそれ未満のうちのいずれかに等しいか、又はそれ未満である。O2/H2Oの比率が1より大きい場合、燃焼反応は、部分酸化よりも優勢になり始め、これは、望ましくない低いCO/CO2比率をもたらし得る。
【0798】
いくつかの実施形態では、水蒸気を含まない酸素が反応物として使用される。酸素は、実質的に純粋な形態で添加され得るか、又は任意選択的に酸素が濃縮された空気の添加を介してプロセスに供給され得る。いくつかの実施形態では、酸素が濃縮されていない空気が添加される。他の実施形態では、例えば、近くの空気分離プラントからの流れとすることができる規格外流れ又は再循環流れからの濃縮空気を使用することができる。いくつかの実施形態では、N2の量が低減された(すなわち、79体積%未満)濃縮空気を使用すると、得られる還元ガス中のN2が少なくなる。N2の除去は高価であり得るため、N2が少ないか又は全くない還元ガスを生成する方法が典型的には望ましい。
【0799】
いくつかの実施形態では、酸素の存在は、酸素の非存在下で同じ方法によってもたらされる比率と比較して、還元ガスにおけるH2/COの比率を変化させる。還元ガスのH2/CO比率は、約0.5~約2.0、例えば、約0.75~1.25、約1~1.5、又は約1.5~2.0であり得る。認識されるように、(より高い水蒸気添加率による)増加した水性ガスシフトは、より高いH2/CO比率、例えば、少なくとも2.0、3.0、4.0、5.0、又は更により高いものを生成する傾向があり、これは、水素生成を含むある特定の用途に望ましい場合がある。
【0800】
触媒は、還元ガスを生成するために、任意選択的に反応器内で利用することができる。触媒は、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属酸化物及び塩、石炭中の無機物質又は灰、遷移金属及びそれらの酸化物及び塩、並びに共晶塩混合物を含み得るが、これらに限定されない。触媒の具体例は、これらに限定されないが、水酸化カリウム、炭酸カリウム、水酸化リチウム、炭酸リチウム、水酸化セシウム、酸化ニッケル、ニッケル置換合成雲母モンモリロナイト(NiSMM)、NiSMM担持モリブデン、鉄ヒドロキシ酸化物、鉄硝酸塩、鉄-カルシウム含浸塩、ニッケルウラニル酸化物、フッ化ナトリウム、及び氷晶石を含み得る。
【0801】
他の例示的な触媒は、ニッケル、酸化ニッケル、ロジウム、ルテニウム、イリジウム、パラジウム、及び白金を含むが、これらに限定されることはない。このような触媒は、例えば、ガンマ-アルミナ(任意選択的に、マグネシウム、ランタン、又はバリウムなどの安定化元素でドープされている)などの1つ以上の担体材料上にコーティング又は堆積させることができる。
【0802】
システムに添加される前に、全表面積、活性表面積、サイト密度、触媒安定性、触媒寿命、触媒組成、表面粗さ、表面分散、多孔性、密度、又は熱拡散率に影響を与える既知の技術を用いて、任意の触媒を前処理又は活性化することができる。触媒の前処理は、焼成、ウォッシュコート添加、粒子サイズ縮小、及び熱的又は化学的手段による表面活性化を含むが、これらに限定されることはない。
【0803】
触媒の添加は、最初に、水又はガス化若しくは改質され得る任意の炭化水素などの溶媒中に触媒を溶解又はスラリー化することによって実施され得る。いくつかの実施形態では、触媒は、そのようなスラリーを容器に直接注入することによって添加される。いくつかの実施形態では、触媒は水蒸気に添加され、水蒸気/触媒混合物がシステムに添加される。これらの実施形態では、添加される触媒は、水蒸気中でその平衡溶解度にあるか若しくはその近くにあることができるか、又は水蒸気中に同伴された粒子として導入され、それによってシステム中に導入されることができる。
【0804】
材料は、概して、単軸スクリュー、二軸スクリュー、ラムなどによって反応器の内外に搬送することができる。材料は、物理的力(金属接触)、圧力駆動流、空気圧駆動流、遠心流、重力流、流動化流、又は固相及び気相を移動させるいくつかの他の既知の手段によって機械的に搬送することができる。特に、機械的に堅牢である必要がある、バイオカーボンペレット床の上に配置された金属酸化物の床を使用する実施形態では、反応器におけるバイオカーボンペレットの固定床を利用することが好ましい場合がある。
【0805】
いくつかの実施形態では、反応器は、バイオカーボン組成物のガス化を用いて、還元ガスを生成する。ガス化は、高温、典型的には約600℃~約1100℃で行われる。反応性の低い生体試薬は、より高い動作温度を必要とする。導入される反応物(例えば、空気、酸素、濃縮空気、又は酸素-水蒸気混合物)の量は、典型的にはガス化温度を制御する主要な因子であろう。大気圧から約50barまでの動作圧力がバイオマスガス化において用いられてきた。ガス化はまた、反応物、一般に空気、高純度酸素、水蒸気、又はこれらのガスの何らかの混合物を必要とする。
【0806】
ガス化装置は、容器内で固体を支持する手段、固体及びガスの両方の流れの方向、並びに反応器に熱を供給する方法に基づいて区別することができる。ガス化装置がほぼ大気圧又は高圧で動作されるか否か、及びガス化装置が空気吹き又は酸素吹きであるか否かも際立った特徴である。一般的な分類は、固定床上昇流、固定床下降流、バブリング流動床、及び循環流動床である。
【0807】
固定床ガス化装置は、一般に、小麦わら、トウモロコシストーバー、又は庭ごみなどの繊維質草本供給原料を取り扱うことができない。しかしながら、開示されたプロセスでは、バイオマスが最初に生体試薬に熱分解され、ペレット化され、バイオカーボンペレットがガス化され得る。バイオカーボンペレットは、必ずしもペレットのサイズを縮小させることなく、固定床ガス化装置を使用して直接ガス化することができる。
【0808】
循環流動床ガス化技術は、Lurgi and Foster Wheelerから入手可能であり、バイオマス及び他の廃棄物に利用される既存のガス化技術の大部分を代表する。バブリング流動床ガス化(例えば、U-GAS(登録商標)技術)が商業的に使用されている。
【0809】
直接加熱ガス化装置は、単一の反応容器内で吸熱及び発熱ガス化反応を行い、追加の加熱は必要ない。対照的に、間接加熱ガス化装置は、外部熱供給源を必要とする。間接加熱ガス化装置は、一般に2つの容器を使用する。第1の容器は、供給物を水蒸気でガス化する(吸熱プロセス)。熱は、熱伝達媒体、通常は砂を循環させることによって供給される。第1の容器内で製造された還元ガス及び固体チャーは、砂とともに分離される。混合されたチャー及び砂は第2の容器に供給され、そこでチャーは空気で燃焼され、砂を加熱する。高温砂は第1の容器に循環して戻される。
【0810】
バイオカーボン組成物は、「乾燥供給物」(任意選択的に水分を含むが、遊離液相を含まない)として、又は水中のスラリー若しくは懸濁液としてガス化装置に導入することができる。乾燥供給ガス化装置は、典型的には還元ガスへの高い1パス当たりの炭素変換及び良好なエネルギー効率を可能にする。乾燥供給ガス化装置では、ガス化反応によって放出されるエネルギーによってガス化装置が極めて高い温度に達する可能性がある。この問題は、ウェットウォール設計を使用することによって解決することができる。
【0811】
いくつかの実施形態では、ガス化装置への供給物は、高い水素含有量を有するバイオカーボンペレットである。得られる還元ガスは、水素が比較的多く、H2/CO比率が高く、例えば、H2/CO>1.5であるか、又はそれを上回る。
【0812】
いくつかの実施形態では、ガス化装置への供給物は、低水素含有量を有するバイオカーボンペレットである。得られた還元ガスは、比較的低いH2/CO比率を有すると予想される。H2/CO>1を必要とする下流プロセスでは、水又は水蒸気をガス化装置に注入して、ガス化装置温度を緩和すること(顕熱効果又は吸熱化学作用によって)、並びにH2/CO比率をより高いより望ましい比率にシフトさせることの両方が望ましい場合がある。水の添加はまた、水蒸気改質化学を介して、吸熱消費による温度緩和に寄与し得る。水蒸気改質において、H2Oは、炭素と、又はタール若しくはベンゼン/トルエン/キシレンなどの炭化水素と反応して、還元ガスを生成し、断熱ガス化温度を低下させる。
【0813】
ある特定の変形形態では、ガス化装置は、バブリング流動ガス化反応器などの流動床ガス化装置である。流動化は、ガス化装置床内で実質的に均一な温度をもたらす。アルミナ砂又はケイ砂などの流動床材料は、潜在的な摩耗問題を低減することができる。ガス化装置温度は、好ましくは、灰粒子が固体から溶融形態に変化し始めないように、十分に低い温度に調節され、それはガス化装置内で凝集及び流動化の損失を引き起こす可能性がある。
【0814】
流動床ガス化装置を使用する場合、全ての成分の総流量は、ガス化装置床が流動化されることを確実にすべきである。全ガス流量及び床直径は、ガス化装置を通るガス速度を確立する。適切な流動化を確実にするために、正確な速度が維持されなければならない。
【0815】
変形形態では、ガス化装置のタイプは、同伴流スラグ化、同伴流非スラグ化、輸送、バブリング流動床、循環流動床、又は固定床であり得る。いくつかの実施形態は、ガス化触媒を使用する。
【0816】
ガス、砂、及び原料(例えば、破砕又は微粉砕バイオカーボンペレット)が一緒に移動する循環流動床ガス化装置を用いることができる。例示的な輸送ガスは、再循環生成ガス、燃焼ガス、又は再循環ガスを含む。砂からの高い熱伝達率は、原料の急速な加熱を確実にし、アブレーションは、通常の流動床よりも強いと予想される。分離機を用いて、還元ガスを砂及びチャー粒子から分離することができる。砂粒子は、流動バーナー容器中で再加熱し、反応器に再循環させることができる。
【0817】
向流固定床ガス化装置が使用されるいくつかの実施形態では、反応器は、ガス化剤(水蒸気、酸素、又は再循環ガスなど)が向流構成で流れる原料の固定床からなる。灰は、乾燥して又はスラグとして除去される。
【0818】
並流固定床ガス化装置が使用されるいくつかの実施形態では、反応器は向流型と同様であるが、ガス化剤ガスは原料と並流構成で流れる。熱は、少量の原料を燃焼させることによって、又は外部熱供給源から床の上部に添加される。製造されたガスは高温で反応器を出て、この熱の多くは床の上部に添加されたガス化剤に伝達され、良好なエネルギー効率をもたらす。
【0819】
流動床反応器が使用されるいくつかの実施形態では、原料は、再循環ガス、酸素、空気、又は水蒸気中で流動化される。灰は、乾燥して、又は脱流体化する重い凝集体として除去することができる。固体の再循環又はその後の燃焼を使用して変換率を増加させることができる。流動床反応器は、スラグ化反応器の壁を損傷するであろう腐食性が高い灰を形成する原料に有用である。
【0820】
同伴流ガス化装置が使用されるいくつかの実施形態では、バイオカーボンペレットは微粉砕され、並流で酸素、空気、又は再循環ガスを用いてガス化される。ガス化反応は、非常に微細な粒子の濃密な雲の中で起こる。高温を用いることができ、それによって還元ガス中のタール及びメタンの量を少なくすることができる。
【0821】
同伴流反応器は、動作温度が、典型的には灰溶融温度を十分に上回る可能性があるので、灰の大部分をスラグとして除去する。灰のより小さい部分は、非常に微細な乾燥フライアッシュとして、又はフライアッシュスラリーとして生成される。ある種の同伴床反応器は、部分的に固化したスラグで覆われた内部水冷壁又は水蒸気冷却壁を有する。
【0822】
ガス化装置チャンバは、フリーボードの適切な構成又は内部サイクロンの使用によって、固体下流動作のキャリーオーバーを、熱の回収に好適なレベルに保つように設計することができる。未反応の炭素は、ガス化装置チャンバの底部から引き出され、冷却され、回収され得る。
【0823】
ガス化装置は、炭素含有種の部分酸化、逆水性ガスシフト、又は乾燥(CO2)改質に有効な触媒などの1つ以上の触媒を含み得る。
【0824】
いくつかの実施形態では、バブリング流動床脱揮反応器が利用される。反応器は、少なくとも部分的に、高温再循環ガス流によって約600℃に加熱され、これは予想されるスラグ化温度より低い。水蒸気、酸素又は空気も第2の反応器に導入することができる。第2は、フリーボードの適切な構成又は内部サイクロンの使用によって、固体のキャリーオーバーを下流の熱の回収に好適なレベルに保つように設計することができる。未反応チャーは、脱揮チャンバの底部から引き出され、冷却され、次にユーティリティボイラーに供給されて、この流れの残りの発熱量を回収することができる。
【0825】
流動床ガス化装置を使用する場合、原料は、再循環ガスなどのガスによって流動化された高温砂の床に導入することができる。本明細書における「砂」への言及は、ガラス粒子、回収された灰粒子などの同様の実質的に不活性な材料も含むものとする。流動砂からの高い熱伝達率は、原料の急速な加熱をもたらすことができる。砂粒子との摩擦によるいくらかのアブレーションがあり得る。熱は、高温燃焼ガスが流れる熱交換器管によって提供することができる。
【0826】
ガス、砂、及び原料が一緒に移動する循環流動床反応器を用いることができる。例示的な輸送ガスは、再循環生成ガス、燃焼ガス、又は再循環ガスを含む。砂からの高い熱伝達率は、原料の急速な加熱を確実にし、アブレーションは、通常の流動床よりも強いと予想される。分離機を用いて、還元ガスを砂及びチャー粒子から分離することができる。砂粒子は、流動バーナー容器中で再加熱し、反応器に再循環させることができる。
【0827】
向流固定床反応器が使用されるいくつかの実施形態では、反応器は、ガス化剤(水蒸気、酸素、又は再循環ガスなど)が向流構成で流れる原料の固定床からなる。灰は、乾燥して又はスラグとして除去される。
【0828】
並流固定床反応器が使用されるいくつかの実施形態では、反応器は向流型と同様であるが、ガス化剤ガスは原料と並流構成で流れる。熱は、少量の原料を燃焼させることによって、又は外部熱供給源から床の上部に添加される。還元ガスは高温で反応器を離れ、この熱の多くは床の上部に添加された反応物に伝達され、良好なエネルギー効率をもたらす。この構成ではタールが高温の炭素床を通過するので、タールレベルは向流型を使用する場合よりも低いと予想される。
【0829】
流動床反応器が使用されるいくつかの実施形態では、原料は、再循環ガス、酸素、空気、又は水蒸気中で流動化される。灰は、乾燥して、又は脱流体化する重い凝集体として除去される。固体の再循環又はその後の燃焼を使用して変換率を増加させることができる。
【0830】
熱及び物質移動を向上させるために、ノズルを使用して水を反応器に導入することができ、ノズルは、概して、流体フローがオリフィスを介して密閉チャンバ又はパイプに入るときに、流体フローの方向又は特性を制御するように設計された機械的デバイスである。ノズルは、水滴サイズを減少させて、水の微細な噴霧を生成することができる。ノズルは、噴霧ノズル(燃料噴射器と同様)、液体を接線方向に噴射する旋回ノズルなどから選択することができる。
【0831】
水供給源は、プロセス凝縮液、他の再循環水、廃水、補給水、ボイラー給水、水道水などからの直接配管を含み得る。水は、任意選択的に、最初に洗浄、精製、処理、イオン化、蒸留などを行われ得る。いくつかの水供給源を使用する場合、水供給源の様々な体積比が可能である。いくつかの実施形態では、第2の反応器のための水の一部又は全ては廃水である。
【0832】
いくつかの変形形態では、還元ガスは、別の製品に変換される前に、濾過、精製、又は他の方法で調整される。例えば、冷却された還元ガスを調整ユニットに導入することができ、ここで、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、硫黄化合物、窒素、金属、又は他の不純物が、還元ガスから任意選択的に除去される。
【0833】
いくつかの実施形態は、還元ガス浄化ユニットを含む。還元ガス浄化ユニットは、その設計において特に限定されることはない。例示的な還元ガス浄化ユニットは、サイクロン、遠心分離機、フィルタ、膜、溶媒ベースのシステム、並びに微粒子又は他の特定の汚染物質を除去する他の手段を含む。いくつかの実施形態では、酸性ガス除去ユニットが含まれており、これは、還元ガスからH2S、CO2、又は他の酸性ガスを除去するための当該技術分野で既知の任意の手段であり得る。
【0834】
酸性ガス除去ステップの例は、CO2のための1つ以上の溶媒によるCO2の除去、又は圧力スイング吸着ユニットによるCO2の除去を含む。反応性溶媒ベースの酸性ガス除去に好適な溶媒は、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、ジイソプロピルアミン、及びアミノエトキシエタノールを含む。物理的溶媒ベースの酸性ガス除去に好適な溶媒は、ポリエチレングリコールのジメチルエーテル(Selexol(登録商標)プロセスなど)及び冷却メタノール(Rectisol(登録商標)プロセスなど)を含む。
【0835】
記載されるように生成された還元ガスは、多くの方法で利用することができる。還元ガスは、一般に、水素、一酸化炭素、メタン、オレフィン(エチレンなど)、酸素化物(ジメチルエーテルなど)、アルコール(メタノール及びエタノールなど)、パラフィン、及び他の炭化水素に化学的に変換又は精製することができる。還元ガスは、フィッシャー・トロプシュ化学反応によって、直鎖又は分岐C5~C15炭化水素、ディーゼル燃料、ガソリン、ワックス、又はオレフィンに;様々な触媒によって混合アルコールに;イソ合成によってイソブタンに;水素生成、続いてHaberプロセスによってアンモニアに;オキソ合成によってアルデヒド及びアルコールに;並びに様々なプロセスによって、ジメチルエーテル、酢酸、エチレン、プロピレン、及びホルムアルデヒドを含むメタノールの多くの誘導体に変換することができる。還元ガスは、固体酸化物燃料電池、スターリングエンジン、マイクロタービン、内燃機関、熱電発電機、スクロール膨張器、ガスバーナー、又は熱光起電力デバイスなどのエネルギー変換デバイスを使用してエネルギーに変換することもできる。
【0836】
この詳細な説明では、複数の実施形態、及び本技術がどのように理解及び実施され得るかに関する非限定的な例が参照されている。本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、本明細書に示される特徴及び利点の全てを提供しない他の実施形態を利用することができる。本開示は、本明細書に記載される方法及びシステムの日常的な実験及び最適化を組み込む。そのような修正及び変形形態は、特許請求の範囲によって定義される本技術の範囲内であると考えられる。
【0837】
本明細書に引用される全ての刊行物、特許、及び特許出願は、各刊行物、特許、又は特許出願が具体的かつ個別に本明細書に記載されているかのように、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0838】
上述の方法及びステップが特定の順序で生じる特定の事象を示す場合、当業者は、ある特定のことの順序を変更することができ、そのような変更が本開示の変形形態に従うことを認識するであろう。追加的に、ある特定のステップを、可能であれば並列プロセスで同時に実施することができ、また順次実施することができる。
【0839】
したがって、本開示の趣旨の範囲内であるか、又は添付の特許請求の範囲に均等である変形形態が存在する限りにおいて、本特許がそれらの変形形態も同様に包含することが意図されている。
【実施例】
【0840】
実施例1
ダグラスファーから本質的になるバイオマス原料を約25分間にわたって約650℃の温度で連続熱分解反応器内で熱分解する。
【0841】
熱分解反応器から収集された生成物は、チャー(固体生体試薬)及び熱分解蒸気を含む。熱分解蒸気を、凝縮器を使用して、重質熱分解タール(熱分解沈殿物とも呼ばれる)及び排ガスに分離する。乾燥ベースで、チャー収率は21.6重量%であり、重質タールの収率は9.1重量%であり、合わせた総収率は30.7重量%である。
【0842】
チャーは、2.0重量%の水分、7.6重量%の揮発性物質、及び3.0重量%の灰として特徴付けられ、残りは固定炭素である。重質タールは、46.6重量%の水分、85.6重量%の揮発性物質、0.04重量%の灰、及び14.3重量%の固定炭素(計算値)によって特徴付けられる。
【0843】
次に、重質タール及びチャーを、それらを最初に製造したのと同じ質量比で一緒にブレンドして、中間体材料を生成する。中間体材料は、ペレット化を補助するためのいくらかの水を除いて、添加剤を含まない。中間体材料は、乾燥ベースで70.3重量%のチャー及び29.7重量%の重質タールを含む。
【0844】
中間体材料を、フラットダイペレットミルを使用してペレット化し、ペレットを約18時間にわたって105℃の炉内で乾燥させる。
【0845】
次いで、乾燥したペレットを、15分間にわたって650℃で連続熱分解反応器内で炭化(更に熱分解)して、バイオカーボンペレットを生成する。バイオカーボンペレットの収率は、中間体材料の質量に基づいて88.3重量%である。この更なる熱分解は、出発木材原料に基づいて、全体収率を30.7重量%から28.8重量%に低下させる。バイオカーボンペレットは、7.4重量%のみの揮発性物質を含むが、典型的には、この加熱プロファイル(cook profile)では、通常のチャー中に約20重量%の揮発性物質が残っているであろう。バイオカーボンペレットの灰分は、2.7重量%である。完成品(バイオカーボンペレット)は、約90.0重量%の固定炭素である。添加された重質タールの60.4重量%が固定炭素に変換される。これは、この重質タールのいずれも第1の熱分解で固定炭素に変換されていないことを考慮すると、驚くべきことである。
【0846】
劇的に改善された収率は、同じ重質タールを同じ時間及び温度で熱分解しようとする別の副実験(side experiment)と比較して、更により驚くべきことである。副実験では、重質タールは、10~16重量%のチャー収率のみを達成する。別の副実験では、原料を40重量%の重質タール及び60重量%のバイオマス原料で調製する場合に、約16.5重量%のチャー収率が達成される。これらの収率は、先のこの実施例に記載されているバイオカーボンペレット中の重質タールからの固定炭素の約60重量%の収率よりも有意に低い。推測によって限定されるものではないが、重質タールの再炭化前の、又はそれと組み合わせたペレット化が優れた収率をもたらすと考えられる。具体的には、生体試薬は、熱分解沈殿物の固定炭素形成反応のための触媒又は反応マトリックスとして作用すると考えられる。
【0847】
バイオカーボンペレットは、
図3の熱重量分析(TGA)に示されているような酸素反応性によって特徴付けられる。TGA試験は、右側のy軸に示されているように、室温~900℃超で温度傾斜を使用して酸素中での酸化を評価し、質量損失は、左側のy軸に示されている。酸化反応は、約6時間以内に完了する(時間は、
図3のx軸である)。
【0848】
図3は、熱分解タール炭化なしのバイオカーボンペレットのプロファイルと比較した、熱分解タール炭化ありの実施例1のバイオカーボンペレットのTGA結果を示す。バイオカーボンペレット中に結合剤として熱分解沈殿物を組み込むことによって、ペレットの酸素反応性が著しく低減されることが観察され、これは、多くの商業的用途に有益である。調節された酸素反応性は、収率の利益に加えて、利点である。
【0849】
実施例2
この実施例2では、本開示のいくつかの実施形態によるバイオカーボンペレットのいくつかのサンプル(RC1、RC2、RC3、RC4、及びRC5と呼ばれる)を、熱重量分析を使用して、比較バイオカーボンサンプル及びアントラサイト対照サンプルと比較する。
【0850】
最初に、サンプルRC1を、50重量%の揮発性物質を含む低固定炭素バイオカーボン組成物を生成することによって製造する。バイオマスを反応器内で熱分解して、低固定炭素固体を生成する。この固体材料を結合剤なしでペレット化する。水を混合段階で添加して、ペレット化を補助する。ペレットを乾燥させ、次いで、二次熱分解を介して更に炭化させて、サンプルを生成する。
【0851】
バイオマスを最初に熱分解して高固定炭素バイオカーボン材料を生成し、この熱分解された材料を29.4重量%の熱分解沈殿物と混合して、混合物を生成することによって、サンプルRC2を製造する。熱分解沈殿物は、高固定炭素バイオカーボン材料を生成するためのバイオマスの熱分解から生成された熱分解蒸気の凝縮形態である。次いで、混合物を外部結合剤なしでペレット化する。水を混合段階で添加して、ペレット化を補助する。ペレットを乾燥させ、次いで、二次熱分解を介して更に炭化させて、サンプルを生成する。
【0852】
バイオマスを最初に熱分解して高固定炭素バイオカーボン材料を生成し、この熱分解された材料を10重量%の粉末フェノール樹脂と混合して、混合物を生成することによって、サンプルRC3を製造する。次いで、混合物をペレット化する。水を混合段階で添加して、ペレット化を補助する。ペレットを乾燥させ、次いで、二次熱分解を介して更に炭化させて、サンプルを生成する。
【0853】
バイオマスを最初に熱分解して高固定炭素バイオカーボン材料を生成し、この材料を20重量%の粉末フェノール樹脂と混合して、混合物を生成することによって、サンプルRC4を製造する。次いで、混合物をペレット化する。水を混合段階で添加して、ペレット化を補助する。ペレットを乾燥させ、次いで、二次熱分解を介して更に炭化させて、サンプルを生成する。
【0854】
固体炭素は、ユニット内での二次反応及び熱分解蒸気凝縮から形成される炭素回収ユニットから出て、材料は、回収され、二次熱分解ユニットに通して送られて、高(より高度な)固定炭素固体を生成した。
【0855】
固体炭素を最初に炭素回収ユニットから回収することによってサンプルRC5を製造し、固体炭素を、炭素回収ユニット内での二次反応及び熱分解蒸気の凝縮によって形成する。凝縮された熱分解蒸気を、固体炭素を生成するためのバイオマスの熱分解から生成する。次いで、固体炭素を二次熱分解ユニットに通して送り、より高い固定炭素固体サンプルを生成する。
【0856】
サンプルRC1、RC2、RC3、RC4、及びRC5、並びに顆粒比較サンプルは、最初は、約8ミリメートルの長さを有するほぼ円筒形のペレット形態である。全てのサンプルを熱重量分析のために粉末に粉砕して、酸化反応の質量移動制限を回避する(標準化された粒度分析)。アントラサイト対照サンプルも粉末形態である。全ての粉末は、約75ミクロンのD99粒子サイズを有し、粉末粒子の99%は、約75ミクロン以下の直径を有する。
【0857】
図4の「100mt顆粒」と分類された比較サンプルを、最初の熱分解後に追加の炭化又は熱分解なしでバイオマス熱分解から生成する。水を混合段階で添加して、ペレット化を補助する。
【0858】
アントラサイト対照サンプルは、典型的な粉末アントラサイト石炭材料である。アントラサイトは、最高グレードの変成作用を受けた石炭を表す高品位の石炭である。アントラサイトは、光沢のある黒色であり、硬く、かつ脆く、約90~95重量%の高い固定炭素含有量を有する。
【0859】
7つのサンプル全ては、
図4の熱重量分析(TGA)に示されているように、それらの酸素反応性によって特徴付けられる。TGA試験は、右側のy軸に示されているように、室温~約950℃で40℃/分の温度傾斜を使用して純粋な酸素(ASTM D7582)中での酸化を評価し、質量損失は、左側のy軸に示されている。酸化反応は、約5時間以内に完了する(時間は、
図4のx軸である)。
【0860】
サンプルRC2及びRC3、並びにアントラサイト対照サンプルは全て、
図4によると、約4時間51分で酸化の実質的な完了に達する。サンプルRC4は、約4時間25分で酸化の実質的な完了に達する。サンプルRC5は、約4時間35分で酸化の実質的な完了に達する。サンプルRC1は、約4時間20分で酸化の実質的な完了に達するように見えるが、質量損失曲線は、他のサンプルのように完全に平坦になるわけではない。比較サンプルは、約4時間25分で酸化の実質的な完了に達する。
【0861】
図4の各々のサンプルは、3つの異なる質量損失事象を示す。約100℃の温度及び約30分で、水蒸発に関連する第1の質量損失が観察される。約90分~約150分の時間で、揮発性炭素の酸化に関連する第2の質量損失が観察される。これは、第1の炭素酸化レジームとも呼ばれ得る。最後に、約165分の時間で、固定炭素の酸化に関連する第3の質量損失が観察される。これは、第2の炭素酸化レジームとも呼ばれる場合があり、この第2の炭素酸化レジームは、時間的に第1の炭素酸化レジームに続く。
図4の個々の曲線の検査は、第1及び第3の質量損失についての時間が全てのサンプルでほぼ同じであるが、第2の質量損失についての時間が変動することを示す。それに加えて、開始の正確な時間(及び温度)、時間又は温度による質量損失の導関数、並びに質量減少の程度を含む第2の質量損失の動特性(dynamics)は全て、サンプルにわたって著しく異なる。
【0862】
図4のTGAグラフによると、サンプルRC1、RC2、RC3、RC4、及びRC5の酸素反応性は、様々な程度で、アントラサイトのものと定性的に類似している。比較対照サンプルは、酸素反応性に関して、全てのサンプルRC1、RC2、RC3、RC4、及びRC5、並びにアントラサイトよりも性能が劣っている。これらの結果を見る際の別の手法は、サンプルRC1、RC2、RC3、RC4、及びRC5をもたらした追加の熱分解及び炭化が、これらの例示的なバイオカーボン材料を、酸素反応性に関してアントラサイトと同様に挙動させることである。この調節された酸素反応性は、バイオカーボン製品の多くの商業的用途に有益である。
【国際調査報告】