(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-12
(54)【発明の名称】メッシュ及び発泡体を含む複合インプラント並びにそれに関連する方法
(51)【国際特許分類】
A61L 27/14 20060101AFI20240705BHJP
A61L 27/44 20060101ALI20240705BHJP
A61L 27/58 20060101ALI20240705BHJP
A61L 27/18 20060101ALI20240705BHJP
A61L 27/20 20060101ALI20240705BHJP
A61L 27/24 20060101ALI20240705BHJP
A61L 27/50 20060101ALI20240705BHJP
【FI】
A61L27/14
A61L27/44
A61L27/58
A61L27/18
A61L27/20
A61L27/24
A61L27/50 100
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024500295
(86)(22)【出願日】2022-07-08
(85)【翻訳文提出日】2024-01-05
(86)【国際出願番号】 EP2022069057
(87)【国際公開番号】W WO2023281051
(87)【国際公開日】2023-01-12
(32)【優先日】2021-07-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】597147278
【氏名又は名称】ソフラディム・プロダクション
(74)【代理人】
【識別番号】100107489
【氏名又は名称】大塩 竹志
(72)【発明者】
【氏名】スルニ, ニコラ
(72)【発明者】
【氏名】ブルーヌ, ティエリ
【テーマコード(参考)】
4C081
【Fターム(参考)】
4C081AB11
4C081BA12
4C081BC02
4C081CA18
4C081CD02
4C081CD12
4C081CD15
4C081CE07
4C081DA05
4C081DA16
4C081DB07
4C081DC04
4C081EA02
4C081EA04
4C081EA12
(57)【要約】
本開示は、概して、軟組織の修復又は治療のために構成される複合インプラント(10)に関し、複合インプラントは、1つ以上のグリップ部材(25)を有するメッシュ(20)と、メッシュ(20)に適用される圧縮性発泡体(30)とを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複合インプラントであって、
第1の面と、前記第1の面に対向する第2の面と、を含むメッシュと、
メッシュの第1の面から延びる複数のグリップ部材であって、複数のグリップ部材のそれぞれが、メッシュに付着された第1の端とメッシュから自由な第2の端との間に延びる本体を含む、複数のグリップ部材と、
複数のグリップ部材の少なくとも第2の端を覆う圧縮性発泡体であって、圧縮性発泡体が、圧力が加えられると、第1の厚さを有する第1の発泡体構成から、第1の厚さよりも小さい第2の厚さを有する第2の発泡体構成に移行するように構成されている、圧縮性発泡体と、を含む、複合インプラント。
【請求項2】
前記グリップ部材が、前記第1の発泡体構成において前記圧縮性発泡体内に非活性グリップ構成で隠され、前記第2の発泡体構成において前記圧縮性発泡体によって非活性構成で間接的に露出され、かつ/又は
前記グリップ部材が、前記圧縮性発泡体が湿潤すると、前記非活性グリップ構成から活性グリップ構成に移行するように構成されている、請求項1に記載の複合インプラント。
【請求項3】
(a)前記第1の構成における前記圧縮性発泡体が、前記複数のグリップ部材のそれぞれの前記本体を更に覆い、又は
(b)前記発泡体の前記第1の厚さが、前記複数のグリップ部材のそれぞれの前記本体の長さ以上であり、又は
(c)前記第1の構成における前記圧縮性発泡体が、前記複数のグリップ部材のそれぞれの前記本体の一部のみを更に覆い、又は
(d)前記発泡体の前記第1の厚さが、前記複数のグリップ部材のそれぞれの長さよりも小さい、請求項1に記載の複合インプラント。
【請求項4】
前記複合インプラントが、前記第1の構成及び任意選択で前記第2の構成において、前記メッシュの前記第1の面と前記圧縮性発泡体の第2の面との間に間隙を更に含む、請求項1に記載の複合インプラント。
【請求項5】
前記メッシュが、スリット、中央開口部、又はその両方のうちの少なくとも1つを更に含み、前記圧縮性発泡体は、前記スリット、前記開口部、又はその両方のうちの少なくとも1つに沿って配置されている、請求項1に記載の複合インプラント。
【請求項6】
前記複数のグリップ部材が、前記圧縮性発泡体内に隠され、前記第1の発泡体構成及び前記第2の発泡体構成の両方において、非活性グリップ構成にあり、又は
前記グリップ部材が、前記第1の発泡体構成において前記圧縮性発泡体内に非活性グリップ構成で隠され、前記第2の発泡体構成において活性グリップ構成で直接露出される、請求項1に記載の複合インプラント。
【請求項7】
第1のフラップ面及び前記第1のフラップ面の反対側の第2のフラップ面を含むフラップメッシュを更に備え、前記フラップメッシュは、前記スリットを横切って延び、前記第1のメッシュ面の第1の部分に重なる前記第2のフラップ面の第1の部分を含み、前記複数のグリップ部材は、前記第1のメッシュ面の前記第1の部分又は前記第2のフラップ面の前記第1の部分のうちの1つから延び、前記複数のグリップ部材のそれぞれが、第1の付着端と第2の自由端との間に延びる本体を含む、請求項1に記載の複合インプラント。
【請求項8】
複合インプラントを製造する方法であって、
生体適合性ポリマー発泡剤、生体適合性可塑剤、及び溶媒を混合して溶液を形成することと、
溶液をガスと混合して湿潤非流動発泡体材料を形成し、湿潤非流動性発泡体材料を、移植可能なメッシュの第1の面から延びる複数のグリップ部材のそれぞれの少なくとも第2の自由端に適用することと、
前記湿潤非流動発泡体を乾燥させて、第1の厚さを有する第1の構成の圧縮性発泡体を含む前記複合インプラントを形成することであって、前記圧縮性発泡体が、前記第1の厚さを有する第1の発泡体構成から、前記第1の厚さよりも小さい第2の厚さを有する第2の発泡体構成に移行するように構成されている、ことと、を含む、方法。
【請求項9】
前記生体適合性ポリマー発泡剤が、ゼラチン、コラーゲン、ポロキサマー、ポリソルベート、メチルセルロース(MC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)及びそれらの混合物からなる群から選択され、任意選択で
(a)前記生体適合性ポリマー発泡剤がヒドロキシプロピルメチルセルロースであり、任意選択で
(i)前記ヒドロキシプロピルメチルセルロースが、1~2.5のメチル置換度を含み、かつ/又は
(b)前記生体適合性ポリマー発泡剤が、前記水溶液の約0.1~約20重量パーセントの範囲の濃度に相当する、請求項7に記載の複合インプラントを製造する方法。
【請求項10】
前記生体適合性可塑剤が、グリセロール、ソルビトール、キシリトール、マンニトール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、及びそれらの混合物からなる群から選択され、任意選択で
(a)前記生体適合性ポリマー可塑剤が、グリセロール、ソルビトール、若しくは両方のうちの少なくとも1つであり又は
(b)前記生体適合性可塑剤が、前記水溶液の約0.5~約40重量パーセントの範囲の濃度に相当する、請求項7に記載の複合インプラントを製造する方法。
【請求項11】
前記溶媒が、湧水、滅菌水、蒸留水、脱イオン水、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項7に記載の複合インプラントを製造する方法。
【請求項12】
前記水溶液が、アルギン酸塩、ペクチン、カラギーナン、メチルセルロース(MC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、キサンタンガム、グアーガム、デキストラン、ヒアルロナン、プルラン、マルトデキストリン、ゼラチン、コラーゲン、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール及びそれらの混合物からなる群から選択される生体適合性添加剤を更に含み、任意選択で
(a)前記生体適合性添加剤が、1~2.5のメチル置換度及び0.1~1のヒドロキシプロピルモル置換を有するヒドロキシプロピルメチルセルロースであり、又は
(b)前記生体適合性添加剤が、前記水溶液の約0.1~約10重量パーセントの範囲の濃度に相当する、請求項7に記載の複合インプラントを製造する方法。
【請求項13】
前記溶液をガスと混合して湿潤非流動発泡体材料を形成することが、前記溶液を泡立てて気泡を前記溶液に組み込んで前記湿潤非流動発泡体材料を形成することを含む、請求項7に記載の複合インプラントを製造する方法。
【請求項14】
移植可能なメッシュの第1の面から延びる複数のグリップ部材のそれぞれの少なくとも第2の自由端に前記湿潤非流動発泡体材料を適用することが、前記複数のグリップ部材のそれぞれの少なくとも前記自由端を覆うのに十分な厚さまで不活性支持体上に前記湿潤非流動発泡体材料をキャストすることと、前記湿潤非流動材料の第1の上面上に前記グリップ部材が前記湿潤非流動材料に面した状態で前記移植可能なメッシュを配置することとを含む、請求項7に記載の複合インプラントを製造する方法。
【請求項15】
前記湿潤非流動発泡体材料を乾燥させることが、前記湿潤非流動発泡体材料をオーブン内で約50℃に加熱することを含む、請求項7に記載の複合インプラントを製造する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、メッシュ及び発泡体を含む複合インプラントに関し、特に、少なくとも1つのグリップ部材を含むメッシュと、その上に圧縮されるように構成された発泡体とを含む複合インプラントに関する。複合インプラントは、軟組織開口部又は創傷の治療又は修復に適している。
【背景技術】
【0002】
追加の固定を使用することなく生物学的組織上での固定を確実にするグリップを含む自己固定メッシュは、最初は切開手術のために開発された。その後、腹腔鏡手術の増加とともに、自己固定メッシュは、この外科的アプローチの需要のために適合された。腹腔鏡手術において一般的に使用されるトロカールを通して自己固定メッシュを導入するために、自己固定メッシュは、それ自体の上に巻かれる必要があり得る。巻かれたとき、メッシュ上のグリップは、メッシュの任意の重なり合う部分の本体に絡まる可能性があり、これは、移植部位におけるメッシュのその後の展開を妨げる可能性がある。
【0003】
国際公開第2011027087号は、水溶性溶液からなるフィルムコーティングで個々のグリップを覆うことを提案することによって、自己グリップ効果を制限しようと試みている。ブラシを用いてグリップをポリエチレングリコール(PEG)溶液でコーティングする方法が記載されている。ポリエチレングリコール溶液を乾燥させた後、フィルムコーティングされたグリップは、巻かれたときにバック織物上でのグリップを制限するために互いの上を摺動する能力を有する。コーティングされたグリップが移植部位で生物学的組織と接触すると、グリップを覆うフィルムコーティングは少しずつ可溶化し、したがって、ある期間をかけて個々のグリップから分離する。更に、著者らは、必要な可溶化時間により、外科医が周囲組織に対してメッシュを配置(及び再配置)することが可能になることを記載している。しかしながら、ブラッシングを介して個々のグリップをコーティングする方法は、個々のグリップのそれぞれにわたるコーティングの均質性を良好に制御する能力を提供しない。したがって、フィルムコーティングに関連する任意の起こり得る不均一性に起因して、コーティングの溶解時間、及び最終的にグリップの自己固定性能は、全てのグリップにわたって同じではなく、かつ/又は移植後まで外科医によって決定可能ではない。
【0004】
加えて、グリップは、コーティングが溶解するまで組織に付着し始めず、フィルムコーティングは、移植されて組織と接触して配置されるまで溶解し始めないので、外科医は、メッシュの部分が組織に付着する順序を選択することを妨げられる。むしろ、この決定は、メッシュの製造プロセス中に効果的に予め決定される。また、必要に応じてメッシュを正しい位置に固定及び/又は再固定するための制御が欠如している。
【0005】
国際公開第2011/026987号は、メッシュの裏側(グリップを有するメッシュの側の反対側)を連続生体吸収性層で覆うことによって自己グリップ効果を制限する別の解決策を記載している。生体吸収性層は、メッシュがそれ自体の上に巻かれるときに自己グリップを制限するように設計された不貫通性障壁として説明されている。グリップは、生体吸収性層のためにメッシュの本体(メッシュの裏側)に貫入することができない。更に、この層は、生理学的条件下で数時間から数ヶ月で再吸収され、したがって、術後の組織接着に対する障壁として作用する。しかしながら、連続層が巻かれたときにメッシュ自体への自己グリップをどの程度妨げるとしても、生体吸収性層がグリップ上に配置されていないので、連続層はメッシュ挿入中に周囲組織へのグリップに影響を及ぼさない。また、再吸収速度が長いことに起因して、連続層は、グリップに直接適用される場合に有効ではない。なぜなら、外科的処置は、適切な配向の後、外科的処置が終了する前に、そして数週間から数ヶ月後ではなく、メッシュが組織に付着することを必要とするからである。
【0006】
米国特許第9629703号は、溶解性マトリックス層でグリップを覆うことを提案している。著者らは、対応する技術の例を挙げていないが、グリップが生物学的組織に固定される前の時間を増加させるために自己固定メッシュのグリップ側を覆う可能性を記載している。溶解性マトリックスは、自己固定メッシュの取り扱い(挿入、展開)を改善することができ、外科医がメッシュを正しい位置に(再)配置する可能性を提供することができる。メッシュを適切に配置した後、メッシュは、層が溶解するまで組織に付着せず、したがって、メッシュは、少なくとも層の十分な部分が溶解するまで組織と接触して維持されなければならない。マトリックス材料の溶解を助けるために、著者らは、生理食塩水などの液体溶媒をマトリックスに添加することを提案している。更に、著者らは、制御された様式で溶解されるマトリックス層を有する可能性について論じている(マトリックス層の配合又は/及び液体溶媒の添加)。しかしながら、不可能ではないにしても、各患者について手術部位によって提供される天然体液の量を予測すること、実際の手術ごとにメッシュを挿入し、展開させ、(再)配置によって提供される流体の対流移動を予測することは、不可能ではないにしても困難である。また、グリップが自己グリップ及び/又は組織へのグリップが可能になる前の時間を増加させるためだけに、インプラントの製造中に層を追加することは、十分ではない場合があり、製造後に最初にメッシュのどの位置を固定するかを外科医が決定する可能性を提供しない。
したがって、現在、巻かれたときの自己グリップ効果及び自己固定メッシュの挿入時の周囲組織への時期尚早なグリップを制限しようとするいくつかの技術がある。これらの技術は全て、グリップのグリップ能力を一時的に抑制するための溶解可能な層の使用に基づく。しかしながら、コーティング方法及び/又はマトリックス層の構造に起因して、これらの技術は全て、制限を有し、メッシュを正しい場所に、所望の特定の時間に固定するための完全な制御を外科医に提供しない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開第2011/027087号
【特許文献2】国際公開第2011/026987号
【特許文献3】米国特許第9629703号明細書
【発明の概要】
【0008】
本開示は、軟組織修復に適した複合インプラントを説明し、複合インプラントは、そこから延びるグリップ部材を有する少なくとも1つのメッシュと、グリップ部材の少なくとも一部に配置された圧縮性発泡体とを含む。本明細書に説明される複合インプラントは、インプラントの製造後に、メッシュ又はインプラントのどの部分又は位置がその上のグリップ部材のグリップ能力を作動させるか、及び/又はそれらのグリップ部材が作動させないかを決定する能力を医療スタッフ又は外科医に提供するように構成されている。加えて、本明細書に説明される複合インプラントは、圧縮性発泡体の溶解速度にかかわらず、又はそれとは無関係に、複合インプラントのグリップ部材の活性化又は不活性化を決定するように構成されてもよい。
【0009】
いくつかの実施形態では、複合インプラントは、第1の面及び第1の面の反対側の第2の面を含むメッシュと、メッシュの第1の面から延びる複数のグリップ部材であって、複数のグリップ部材のそれぞれが、メッシュに付着された第1の端とメッシュから自由な第2の端との間に延びる本体を含む、複数のグリップ部材と、複数のグリップ部材の少なくとも第2の端を覆う圧縮性発泡体とを含む。圧縮性発泡体は、第1の厚さを有する第1の発泡体構成から、第1の厚さよりも小さい第2の厚さを有する第2の発泡体構成に移行するように構成されている。いくつかの実施形態では、第2の構成における発泡体は、複数のグリップ部材の第2の端を直接又は間接的に露出させる。
【0010】
グリップ部材は、発泡体の除去時に、発泡体によって覆われた第1の非活性グリップ構成から第2の活性グリップ構成に移行するように構成されている。
【0011】
いくつかの実施形態では、第1の構成における圧縮性発泡体は、複数のグリップ部材のそれぞれの本体全体を覆う第1の厚さを有する。発泡体の第1の厚さは、複数のグリップ部材のそれぞれの本体の長さ以上である。
【0012】
いくつかの実施形態では、第1の構成における圧縮性発泡体は、複数のグリップ部材のそれぞれの本体の一部のみを覆い、メッシュの第1の面と第1の構成における圧縮性発泡体の第2の面との間に間隙を生成する。発泡体の第1の厚さは、複数のグリップ部材のそれぞれの本体の長さよりも小さい。間隙は、発泡体が第2の構成に移行した後であっても残る。
【0013】
本開示は、メッシュと、フラップメッシュと、圧縮性発泡体とを含む複合インプラントを更に説明する。メッシュは、第1のメッシュ面と、第1のメッシュ面の反対側の第2のメッシュ面と、メッシュ面を貫通して画定されたスリットとを含む。フラップメッシュは、第1のフラップ面と、第1のフラップ面の反対側の第2のフラップ面とを含み、フラップメッシュは、スリットを横切って延び、メッシュの第1の面の第1の部分に重なる第2のフラップ面の第1の部分を含む。複数のグリップ部材は、メッシュの第1の面の第1の部分又は第2のフラップ面の第1の部分のうちの1つから延び、複数のグリップ部材のそれぞれは、第1の付着端と第2の自由端との間に延びる本体を含む。圧縮性発泡体は、複数のグリップ部材の少なくとも第2の自由端を覆い、圧縮性発泡体は、第1の厚さを有する第1の発泡体構成から、第1の厚さよりも小さい第2の厚さを有する第2の発泡体構成に移行するように構成されている。いくつかの実施形態では、第2の構成における発泡体は、複数のグリップ部材の第2の端を直接又は間接的に露出させる。
【0014】
軟組織修復の方法も記載される。いくつかの実施形態では、軟組織修復の方法は、修復を必要とする軟組織内の創傷の近くの患者の移植部位に複合インプラントを挿入することであって、複合インプラントは、第1の面及び第1の面の反対側の第2の面を有するメッシュと、メッシュの第1の面から延びる複数のグリップ部材であって、複数のグリップ部材のそれぞれは、メッシュに付着された第1の端とメッシュから自由な第2の端との間に延びる本体を含む、複数のグリップ部材と、複数のグリップ部材の少なくとも第2の端を覆う圧縮性発泡体であって、圧縮性発泡体は、第1の厚さを有する第1の発泡体構成から、第1の厚さよりも小さい第2の厚さを有する第2の発泡体構成に移行するように構成され、グリップ部材は、発泡体の除去時に、第1の非活性グリップ構成から第2の活性グリップ構成に移行するように構成されている、圧縮性発泡体と、を含む、ことと、軟組織内の創傷を横切って複合インプラントを展開することと、圧縮性発泡体の一部に圧力を加えて、第1の発泡体構成から第1の厚さよりも小さい第2の厚さを有する第2の発泡体構成に移行させることと、グリップ部材を非活性グリップ構成から活性グリップ構成に移行させて、グリップ部材及び/又はインプラントを組織に固定することと、を含む。いくつかの実施形態では、第2の構成における発泡体は、複数のグリップ部材の第2の端を直接又は間接的に露出させる。
【0015】
複合インプラントを製造する方法も提供される。いくつかの実施形態では、軟組織創傷を修復又は治療するように構成された複合インプラントを製造する方法は、生体適合性ポリマー発泡剤、生体適合性可塑剤、及び溶媒又は薬学的担体を混合して水溶液を形成することと、水溶液をガスと混合して、湿潤非流動発泡体材料を形成することと、湿潤非流動発泡体材料を、移植可能なメッシュの第1の面から延びる複数のグリップ部材のそれぞれの少なくとも第2の自由端に適用することと、湿潤非流動発泡体を乾燥させて、第1の厚さを有する第1の発泡体構成の圧縮性発泡体を含む複合インプラントを形成することであって、圧縮性発泡体は、第1の厚さを有する第1の発泡体構成から、第1の厚さよりも小さい第2の厚さを有する第2の発泡体構成に移行するように構成されている、ことと、を含む。いくつかの実施形態では、第2の構成における発泡体は、複数のグリップ部材の第2の端を直接又は間接的に露出させる。
【0016】
いくつかの実施形態では、生体適合性ポリマー発泡剤はヒドロキシプロピルメチルセルロースであり、生体適合性可塑剤はグリセリン及び/又はソルビトールである。
【0017】
添付の図面は、本明細書に組み込まれ、その一部を構成し、本開示の実施形態を示し、上で与えられた開示の一般的な説明及び以下に与えられる実施形態(複数可)の詳細な説明と共に、本発明の原理を説明するために役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本明細書中の少なくとも1つの実施形態に記載されるような移植可能なメッシュの概略断面図である。
【0019】
【
図2A】本明細書の少なくとも1つの実施形態に記載される少なくとも1つのグリップ部材の概略断面図である。
【
図2B】本明細書の少なくとも1つの実施形態に記載される少なくとも1つのグリップ部材の概略断面図である。
【0020】
【
図3A】本明細書の少なくとも1つの実施形態に記載される少なくとも1つの複合インプラントの概略断面図である。
【
図3B】本明細書の少なくとも1つの実施形態に記載される少なくとも1つの複合インプラントの概略断面図である。
【
図3C】本明細書の少なくとも1つの実施形態に記載される少なくとも1つの複合インプラントの概略断面図である。
【
図3D】本明細書の少なくとも1つの実施形態に記載される少なくとも1つの複合インプラントの概略断面図である。
【0021】
【
図4A】本明細書の少なくとも1つの実施形態に記載される少なくとも1つの複合インプラントの概略断面図である。
【
図4B】本明細書の少なくとも1つの実施形態に記載される少なくとも1つの複合インプラントの概略断面図である。
【
図4C】本明細書の少なくとも1つの実施形態に記載される少なくとも1つの複合インプラントの概略断面図である。
【
図4D】本明細書の少なくとも1つの実施形態に記載される少なくとも1つの複合インプラントの概略断面図である。
【0022】
【
図5A】本明細書の少なくとも1つの実施形態に記載される少なくとも1つの複合インプラントの概略断面図である。
【
図5B】本明細書の少なくとも1つの実施形態に記載される少なくとも1つの複合インプラントの概略断面図である。
【0023】
【
図6A】本明細書の少なくとも1つの実施形態に記載される少なくとも1つの複合インプラントの概略断面図である。
【
図6B】本明細書の少なくとも1つの実施形態に記載される少なくとも1つの複合インプラントの概略断面図である。
【0024】
【
図7】本明細書の少なくとも1つの実施形態に記載される少なくとも1つの複合インプラントの概略断面図である。
【0025】
【
図8】
図8A~
図8Dは、本明細書の少なくとも1つの実施形態に記載される少なくとも1つの複合インプラントの概略上面図である。
【0026】
【
図9A】本明細書の少なくとも1つの実施形態に記載される少なくとも1つの複合インプラントの概略上面図である。
【
図9B】本明細書の少なくとも1つの実施形態に記載される少なくとも1つの複合インプラントの概略上面図である。
【
図9C】本明細書の少なくとも1つの実施形態に記載される少なくとも1つの複合インプラントの概略上面図である。
【
図9D】本明細書の少なくとも1つの実施形態に記載される少なくとも1つの複合インプラントの概略上面図である。
【
図9E】本明細書の少なくとも1つの実施形態に記載される少なくとも1つの複合インプラントの概略上面図である。
【0027】
【
図10】本明細書中の少なくとも1つの実施形態において記載されるような移植可能なメッシュと組み合わされた湿潤非流動発泡体材料の上面図である。
【0028】
【
図11A】本明細書の少なくとも1つの実施形態に記載されるような型又はフレームと組み合わされた湿潤非流動発泡体材料の上面図である。
【0029】
【
図11B】本明細書の少なくとも1つの実施形態で説明されるような型又はフレーム内の湿潤非流動発泡体層の上面図である。
【0030】
【
図11C】本明細書の少なくとも1つの実施形態に記載されるような種々の複合インプラントを形成するために、湿潤非流動材料を移植可能なメッシュに間接的に適用する方法の概略図である。
【0031】
【
図12A】本明細書の少なくとも1つの実施形態に記載されるような移植可能なメッシュの走査型電子顕微鏡の画像である。
【0032】
【
図12B】本明細書の少なくとも1つの実施形態に記載されるような種々の複合インプラントの走査型電子顕微鏡の画像である。
【
図12C】本明細書の少なくとも1つの実施形態に記載されるような種々の複合インプラントの走査型電子顕微鏡の画像である。
【0033】
【
図13A】本明細書の少なくとも1つの実施形態に説明されるように、圧縮性発泡体を含まない自己固定メッシュを折り畳むか、又は巻く斜視図である。
【
図13B】本明細書の少なくとも1つの実施形態に説明されるように、圧縮性発泡体を含まない自己固定メッシュを折り畳むか、又は巻く斜視図である。
【
図13C】本明細書の少なくとも1つの実施形態に説明されるように、圧縮性発泡体を含まない自己固定メッシュを折り畳むか、又は巻く斜視図である。
【0034】
【
図13D】本明細書の少なくとも1つの実施形態に説明されるような複合インプラントを折り畳み、又は巻く斜視図である。
【
図13E】本明細書の少なくとも1つの実施形態に説明されるような複合インプラントを折り畳み、又は巻く斜視図である。
【
図13F】本明細書の少なくとも1つの実施形態に説明されるような複合インプラントを折り畳み、又は巻く斜視図である。
【0035】
【
図14A】本明細書の少なくとも1つの実施形態に説明されるような組織における切開部の斜視図である。
【0036】
【
図14B】本明細書の少なくとも1つの実施形態に説明されるような圧縮性発泡体を含まない自己固定メッシュの挿入及び折り畳み又は巻きの斜視図である。
【
図14C】本明細書の少なくとも1つの実施形態に説明されるような圧縮性発泡体を含まない自己固定メッシュの挿入及び折り畳み又は巻きの斜視図である。
【
図14D】本明細書の少なくとも1つの実施形態に説明されるような圧縮性発泡体を含まない自己固定メッシュの挿入及び折り畳み又は巻きの斜視図である。
【0037】
【
図14E】本明細書の少なくとも1つの実施形態に説明されるような複合インプラントの挿入及び折り畳み又は巻きの斜視図である。
【
図14F】本明細書の少なくとも1つの実施形態に説明されるような複合インプラントの挿入及び折り畳み又は巻きの斜視図である。
【
図14G】本明細書の少なくとも1つの実施形態に説明されるような複合インプラントの挿入及び折り畳み又は巻きの斜視図である。
【0038】
【
図15A】本明細書の少なくとも1つの実施形態に説明されるように、複合インプラントに間接的に圧力を加え、複合インプラントを組織に付着させる斜視図である。
【
図15B】本明細書の少なくとも1つの実施形態に説明されるように、複合インプラントに間接的に圧力を加え、複合インプラントを組織に付着させる斜視図である。
【
図15C】本明細書の少なくとも1つの実施形態に説明されるように、複合インプラントに間接的に圧力を加え、複合インプラントを組織に付着させる斜視図である。
【
図15D】本明細書の少なくとも1つの実施形態に説明されるように、複合インプラントに間接的に圧力を加え、複合インプラントを組織に付着させる斜視図である。
【
図15E】本明細書の少なくとも1つの実施形態に説明されるように、複合インプラントに間接的に圧力を加え、複合インプラントを組織に付着させる斜視図である。
【0039】
【
図16】少なくともグリップ部材から発泡体を除去及び/又は溶解した後の、自己固定メッシュのグリップ性能を、本明細書に記載される複合インプラントのグリップ性能と比較するチャートである。
【0040】
【
図17A】本明細書の少なくとも1つの実施形態に記載される圧縮性発泡体の走査型電子顕微鏡の画像である。
【
図17B】本明細書の少なくとも1つの実施形態に記載される圧縮性発泡体の走査型電子顕微鏡の画像である。
【0041】
【
図18A】本明細書の少なくとも1つの実施形態で説明されるように、複合インプラントの圧縮性発泡体に直接圧力を加え、複合インプラントのグリップ部材の自由端を間接的に露出させる上面図である。
【0042】
【
図18B】第2の構成にあり、本明細書の少なくとも1つの実施形態に記載される複合インプラントのグリップ部材の自由端を間接的に露出している、圧縮性発泡体の走査型電子顕微鏡の画像である。
【0043】
【
図19A】本明細書の少なくとも1つの実施形態で説明されるように、圧縮性発泡体及び種々の複合インプラントを含まない自己固定メッシュを組織から除去するために必要とされるグリップ力を比較するチャートである。
【
図19B】本明細書の少なくとも1つの実施形態で説明されるように、圧縮性発泡体及び種々の複合インプラントを含まない自己固定メッシュを組織から除去するために必要とされるグリップ力を比較するチャートである。
【0044】
【
図20】本明細書の少なくとも1つの実施形態に記載されるような不活性化及び活性化グリップ試験の結果を表示するチャートである。
【0045】
【
図21A】本明細書に記載される圧縮性発泡体を評価する方法において使用される摩耗試験機の画像である。
【
図21B】本明細書に記載される圧縮性発泡体を評価する方法において使用される摩耗試験機の画像である。
【
図21C】本明細書に記載される圧縮性発泡体を評価する方法において使用される摩耗試験機の画像である。
【
図21D】本明細書に記載される圧縮性発泡体を評価する方法において使用される摩耗試験機の画像である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
本開示は、移植可能なメッシュ及び圧縮性発泡体を含む複合インプラントに関する。移植可能なメッシュは、組織及び/又は移植可能なメッシュの他の部分をグリップするように構成されている。圧縮性発泡体は、第1の初期の厚さを有する第1の構成から、第2のそれに続く厚さを有する第2の構成に移行するように構成されている。
移植可能なメッシュ
【0047】
図1は、本明細書に記載されるような移植可能なメッシュ20の概略断面図を示す。移植可能なメッシュ20は、第1の面21と、第1の面21の反対側の第2の面22とを有するメッシュ本体23を含み、第1の面21は、1つ以上のグリップ部材25を含む。各グリップ部材25は、メッシュ本体23(及び/又はメッシュ面21、22のうちの1つ)に付着されるか、又はそこから延びるグリップ本体26の第1の端部26aを含む。第1の端部26aの反対側の第2の自由端部26bは、メッシュ本体23(及び/又はメッシュ面21、22のうちの1つ)から最も遠くに延び、重ね合わされたとき、すなわち折り畳まれたとき、巻かれたときなどに、組織をグリップするように、及び/又はメッシュ20の部分をグリップするように構成されたヘッド部分27を含んでもよい。
【0048】
図1のメッシュ20は、自己固定メッシュの1つの非限定的な例である。
図1のメッシュ20は、その任意の部分、特にグリップ部材25上に位置された圧縮性発泡体を含まない。したがって、本明細書で説明されるような複合インプラントではない。
【0049】
メッシュ本体及び任意選択で1つ以上のグリップ部材を含む、移植可能なメッシュは、1つ以上の絡み合わされたフィラメントから形成されることができる。フィラメントは、モノフィラメント又はマルチフィラメントであってもよい。移植可能なメッシュ、特にメッシュ本体は、製織、編成、編組、かぎ針編み、刺繍などを含むがこれらに限定されない、当業者に公知の任意の適切な方法を使用して形成されてもよい。
【0050】
いくつかの実施形態では、移植可能なメッシュは、ニットメッシュ本体を含む。いくつかの実施形態では、移植可能なニットメッシュは、少なくとも2つ又は3つのガイドバーを有するトリコット又はラッセルタイプの経編機上で編まれてもよい。いくつかの実施形態では、移植可能なメッシュは、米国特許第6,596,002号、同第7,331,199号、同第9,750,595号、同第9,186,235号、同9,510,927号のいずれかにおいて提供されるように作製されてもよく、これらは参照により本明細書に組み込まれる。
【0051】
いくつかの実施形態では、移植可能なメッシュは、二次元メッシュ本体を含む。例えば、メッシュ本体は、略平面又は水平十字交差パターン、すなわち、横糸/縦糸パターンで絡み合った1つ以上のフィラメントを含んでもよく、絡み合ったフィラメント(複数可)の単一層を含むメッシュ本体を形成する。
【0052】
いくつかの実施形態では、移植可能なメッシュは、三次元メッシュ本体を含む。例えば、メッシュ本体は、スペーサフィラメント、すなわち、2つ以上の層の間に延び、それらを接続し、2つ以上の層間の空間又は深さを画定するフィラメントによって互いに接続される、絡み合わせられたフィラメント(複数可)の2つ以上の層を含むメッシュ本体を形成する、水平及び垂直パターンの両方で絡み合わせられた1つ以上のフィラメントを含んでもよい。
【0053】
移植可能なメッシュ、特にメッシュを形成するフィラメントは、生体吸収性材料、非生体吸収性材料、及びこれらの組み合わせを含む任意の生体適合性材料から作製することができる。本明細書で使用される場合、「生体吸収性」という用語は、生体吸収性材料及び生体再吸収性材料の両方を含むと定義される。生体吸収性とは、その材料が身体条件下で分解するか又は構造的一体性を失うか(例えば酵素分解若しくは加水分解)、又は分解生成物が体内から排出可能若しくは吸収可能であるように、体内での生理的条件の下で(物理的又は化学的に)分解されることを意味する。
【0054】
代表的な天然生体吸収性材料としては、多糖類、例えばアルギン酸塩、デキストラン、キチン、ヒアルロン酸、セルロース、コラーゲン、ゼラチン、フカン、グリコサミノグリカン、及びそれらの化学的誘導体(化学基、例えばアルキル、アルキレンの置換及び/又は付加、ヒドロキシル化、酸化、及び当業者によって日常的に行われる他の修飾)、並びに例えばアルブミン、カゼイン、ゼイン、絹、並びにそれらのコポリマー及びブレンドなど、単独又は合成ポリマーと組み合わせられた、タンパク質が挙げられるが、これらに限定されない。
【0055】
合成的に修飾された天然ポリマーとしては、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、セルロースエーテル、セルロースエステル、ニトロセルロース、及びキトサンなどのセルロース誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。好適なセルロース誘導体の例としては、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシブチルメチルセルロース、酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、酢酸フタル酸セルロース、カルボキシメチルセルロース、三酢酸セルロース、及び硫酸セルロースナトリウム塩が挙げられる。
【0056】
代表的な合成生体吸収性ポリマーとしては、ラクトンモノマー(例えば、グリコリド、ラクチド、カプロラクトン、ε-カプロラクトン、バレロラクトン、及びδ-バレロラクトン)から調製されるポリヒドロキシ酸、並びにプルロニック(登録商標)、カーボネート(例えば、トリメチレンカーボネート、テトラメチレンカーボネートなど)、ジオキサノン(例えば、1,4-ジオキサノン及びp-ジオキサノン)、1,ジオキセパノン(例えば、1,4-ジオキセパン-2-オン及び1,5-ジオキセパン-2-オン)、並びにこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。それから形成されるポリマーは、ポリラクチド、ポリ(乳酸)、ポリグリコリド、ポリ(グリコール酸)、ポリ(トリメチレンカーボネート)、ポリ(ジオキサノン)、ポリ(ヒドロキシ酪酸)、ポリ(ヒドロキシ吉草酸)、ポリ(ラクチド-co-(ε-カプロラクトン-))、ポリ(グリコリド-co-(ε-カプロラクトン))、ポリカーボネート、ポリ(擬似アミノ酸)、ポリ(アミノ酸)、ポリ(ヒドロキシアルカノエート)、ポリ無水物、シュウ酸ポリアルキレン、ポリオキサエステル、ポリ無水物、ポリオルトエステル、並びにコポリマー、ブロックコポリマー、ホモポリマー、ブレンド、並びにこれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。
【0057】
好適な非生体吸収性材料のいくつかの非限定的な例としては、アタクチック、アイソタクチック、シンジオタクチック、及びこれらのブレンドを含むポリエチレン及びポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、超高分子量ポリエチレン、ポリエチレン及びポリプロピレンのコポリマー、ポリイソブチレン及びエチレン-アルファオレフィンコポリマー、フッ素化ポリオレフィン、例えば、延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)及び縮合ポリテトラフルオロエチレンc(PTFE)を含むフルオロエチレン、フルオロプロピレン、フッ素PEGS、及びポリテトラフルオロエチレン、ナイロン、ポリカプロラクタム等のポリアミド類、ポリアミン、ポリイミン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル類、脂肪族ポリエステル、ポリエーテル、ポリブテステルなどのポリエーテルエステル、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、1,4-ブタンジオール、ポリウレタン、アクリルポリマー及びコポリマー、モダクリル、ハロゲン化ビニルポリマー及びコポリマー、例えばポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルエーテル、例えばポリビニルメチルエーテル、ポリフッ化ビニリデン、ポリ塩化ビニリデン等のポリハロゲン化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリアリールエーテルケトン、ポリビニルケトン、ポリビニル芳香族、例えばポリスチレン、ポリビニルエステル、例えばポリ酢酸ビニル、ビニルモノマー同士及びオレフィンとの共重合体、例えば、エチレン-メタクリル酸メチル共重合体、アクリロニトリル-スチレン共重合体、ABS樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体、アルキド樹脂、ポリカーボネート、ポリオキシメチレン、ポリホスファジン、ポリイミド、エポキシ樹脂、アラミド、レーヨン、レーヨン-トリアセテート、スパンデックス、シリコーン、及びこれらの組み合わせを含む。
【0058】
いくつかの実施形態では、移植可能なメッシュは、生体吸収性フィラメントと非生体吸収性フィラメントとの組み合わせから形成される。例えば、非生体吸収性フィラメントの第1のセットは、メッシュ本体を形成するために使用されてもよく、吸収性フィラメントの第2のセットは、そこから延びるグリップ部材を形成するために使用されてもよい。吸収性及び/又は非吸収性フィラメントの他の種々の組み合わせが、本明細書に説明されるメッシュを形成するために使用されてもよい。
【0059】
いくつかの実施形態では、移植可能なメッシュは、Parietex Progrip(商標)又はParietex Progrip(商標)のような自己固定メッシュであり、両方ともCovidienから市販されている。Parietex Progrip(商標)は、1つ以上のポリエステルフィラメントから作製されたメッシュ本体と、ポリ乳酸(PLA)などの生体吸収性材料から作製され、メッシュ本体から延びるグリップ部材とを含む。
【0060】
メッシュ本体に加えて、本明細書に説明される移植可能なメッシュは、第1及び/又は第2のメッシュ面の全部ではないとしても、少なくともある部分から延びる、1つ以上のグリップ部材を含む。グリップ部材は、組織及び/又は移植可能なメッシュ(又は第2の移植可能なメッシュ)の他の部分に直接付着するように構成された任意の好適な形態をとってもよい。くつかの非限定的な例としては、スパイク付きナップ、フック、返し、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0061】
図1に示されるように、いくつかの実施形態では、1つ以上のグリップ部材25は、スパイク付きナップであり、ヘッド部分27は、細長い本体26よりも広い。各スパイク付きナップは、メッシュ本体23の第1の面21から突出する本体26と、本体26の第2の自由端26bにおいて、本体26の幅よりも大きい幅を含むヘッド27とを有する。ヘッド27は、略回転楕円体形状又はマッシュルーム形状であってもよい。ヘッド部分27は、滑らかな外面を有していてもよいし、凹凸を有する粗い外面を有していてもよい。スパイク付きナップの本体26の第1の端26aは、移植可能なメッシュ20のメッシュ本体23のフィラメントと織り合わされている。
【0062】
図2A及び
図2Bは、他の可能な非限定的な形態の1つ以上のグリップ部材25を示す。
図2Aに示されるように、いくつかの実施形態では、1つ以上のグリップ部材25は、フック設計を含んでもよい。各グリップ部材25は、メッシュ本体23から突出する細長い本体26を含み、本体26の第2の自由端26bにおいて、ヘッド部分27はフックを含む。本体26の第1の端26aは、移植可能なメッシュ20のメッシュ本体23のフィラメントと織り合わされている。
【0063】
図2Bに示されるように、いくつかの実施形態では、1つ以上のグリップ部材25は、返し又は貫通先端設計を含んでもよい。各グリップ部材25は、メッシュ本体23から突出する細長い本体26を含み、本体26の第2の自由端26bにおいて、ヘッド部分27は、返し又は貫通先端を含む。本体26の第1の端26aは、移植可能なメッシュ20のメッシュ本体23のフィラメントと織り合わされている。
【0064】
グリップ部材は、残りの図を通じてスパイクナップとして概略的に描写されるが、本明細書に説明されるメッシュ及び/又はインプラントは、単独又は任意の組み合わせで、本明細書にも描写されるフック設計、返し、又は貫通先端設計を含むが、それらに限定されない、組織に付着又はグリップするように構成された任意の好適なグリップ部材を含んでもよい。
【0065】
グリップ部材は、形態にかかわらず、移植可能なメッシュの少なくとも1つの面の任意の部分上に配置されてもよく、及び/又はそこから延びてもよい。いくつかの実施形態では、メッシュ本体と同様に、グリップ部材は、本明細書で前述される生体吸収性及び/又は非生体吸収性材料のいずれかから作製され得る、1つ以上のフィラメントから形成されてもよい。いくつかの実施形態では、グリップ部材は、生体吸収性材料、すなわち、ポリ乳酸(PLA)又はPLAとトリメチレンカーボネート(TMC)とのコポリマーから作製されてもよい。
【0066】
グリップ部材が突出するメッシュの面からグリップ部材の第2の自由端の端まで測定されたグリップ部材のそれぞれの長さは、グリップ部材が貫入して絡む可能性がある移植可能なメッシュ本体の厚さよりも小さい。いくつかの実施形態では、グリップ部材のそれぞれの長さは、約0.1~5ミリメートルであってもよい。いくつかの実施形態では、グリップ部材のそれぞれの長さは、約0.5~3.5ミリメートルであってもよい。いくつかの実施形態では、グリップ部材のそれぞれの長さは、約1~3ミリメートルであってもよい。いくつかの実施形態では、グリップ部材のそれぞれの長さは、約1.5~2.5ミリメートルであってもよい。
【0067】
1つ以上のグリップ部材に加えて、移植可能なメッシュは、略中央開口部及び/又はスリットを更に含んでもよい。開口部は、メッシュの本体を通して画定され、精索又は腸の一部等の身体部分の通過を可能にするように構成されている。スリットは、メッシュの外縁から内側に延びる切れ目である。スリットは、メッシュ本体の第1の部分をメッシュ本体の第2の部分から分離する。
【0068】
いくつかの実施形態では、移植可能なメッシュは、略中央開口部と、そこから延びるスリットとの両方を含む。このような実施形態では、移植可能なメッシュは、フラップメッシュの形態の第2のメッシュを更に含んでもよい。フラップメッシュは、移植可能なメッシュ本体の第1の部分に固定され、スリットを横切ってメッシュ本体の第2の部分まで選択的に延びるように構成されている。そのような実施形態では、1つ以上のグリップ部材は、移植可能なメッシュ、フラップメッシュ、又は両方の上に配置されてもよい。
圧縮性発泡体
【0069】
本明細書に記載の複合インプラントは、圧縮性発泡体も含む。「圧縮性」とは、発泡体が、乾燥形態で圧力を加えると、第1の厚さ又は初期の厚さを有する第1の発泡体構成から、第2の厚さ又はそれに続く厚さを有する第2の発泡体構成に移行するように構成され、第2の厚さ又はそれに続く厚さ(又は構成)は、第1の厚さ又は初期の厚さ(又は構成)よりも小さいか又は薄く、第2の厚さ又はそれに続く厚さ(又は構成)は、圧力の印加が除去された後も維持される。第2の厚さ又はそれに続く厚さ(又は構成)はまた、生体内での圧縮性発泡体の最初の吸収又は溶解の前に維持されてもよい。
【0070】
圧縮性発泡体は、概して、長さ、幅、及び厚さを画定する。長さは長手方向に延び、幅は横断方向に延び、厚さは、長さ及び幅の両方に概ね垂直な方向における発泡体の高さ又は垂直性を指す。例えば、第1及び第2の厚さは、発泡体の第1の外面と、第1の外面に対向する発泡体の第2の内面との間に画定されてもよい。発泡体の内面及び外面は、発泡体が概して配置されているメッシュ本体の第1及び/又は第2の面に概して平行である。いくつかの実施形態では、厚さは、発泡体の第1の外面と第2の外面との間、又はメッシュの第1の面と第2の面との間の最大距離によって決定されてもよい。
【0071】
圧縮性発泡体は、第1及び第2の構成の両方において、開放細孔及び相互接続細孔を含む多孔質構造である。「開放及び相互接続細孔」によって、発泡体は、発泡体の外側からアクセスすることができ、細孔が互いに連通して発泡体全体にわたって三次元ネットワークを形成する開放多孔性を有する。
【0072】
圧縮性発泡体は、第1の構成又は初期構成(又は厚さ)において、メッシュの少なくとも1つの面から延び又は突出する1つ以上のグリップ部材(例えば、スパイク付きナップ、フック、返し等)の少なくとも自由端、特にヘッド部分上に配置されている。発泡体は、1つ以上のグリップ部材の本体の任意の長さに沿って延びてもよい。第1の構成又は初期構成では、1つ以上のグリップ部材の第2の自由端、特にヘッド部分は、圧縮性発泡体によって、組織又はメッシュ(又は第2のメッシュ若しくはメッシュフラップ)の他の部分に直接付着することを防止されている。
【0073】
いくつかの実施形態では、圧縮性発泡体は、第1の構成又は初期構成(又は厚さ)において、1つ以上のグリップ部材の本体の全長上に配置されてもよい。そのような実施形態では、発泡体の第2の内側面は、少なくとも、圧縮性発泡体が概して配置されているメッシュの第1の面又は第2の面に当接する。したがって、圧縮性発泡体の第2の内面と、発泡体が一般的に配置されているメッシュの第1の面又は第2の面との間に間隙は存在しない。
【0074】
いくつかの実施形態では、圧縮性発泡体は、第1の構成又は初期構成(又は厚さ)において、メッシュの第1の面又は第2の面(そこからグリップ本体が延び又は突出する)と圧縮性発泡体の第2の内面との間に間隙を生成する、1つ以上のグリップ部材の本体の長さの一部のみに配置されてもよい。そのような実施形態では、発泡体の第2の内面は、メッシュの第1の面又は第2の面に当接しない。
【0075】
いくつかの実施形態では、(第1の構成における)圧縮性発泡体の第1の厚さ又は初期の厚さは、1mm以上、1.5mm、又は2mmであってもよい。いくつかの実施形態では、(第1の構成における)圧縮性発泡体の第1の厚さ又は初期の厚さは、1mm以下、1.5mm、又は2mmであってもよい。いくつかの実施形態では、(第1の構成における)圧縮性発泡体の第1の厚さ又は初期の厚さは、0.1~3mm、0.1~2mm、0.25~1.5mm、0.5~1.25mm、1~3mm、1.25~2.75mm、又は1.5~2.5mmの範囲であってもよい。いくつかの実施形態では、(第1の構成における)圧縮性発泡体の第1の厚さ又は初期の厚さは、複数のグリップ部材のそれぞれの長さ以上であってもよい。いくつかの実施形態では、(第1の構成における)圧縮性発泡体の第1の厚さ又は初期の厚さは、複数のグリップ部材のそれぞれの長さ以下であってもよい。
【0076】
圧縮性発泡体は、第2の構成又はそれに続く構成(又は厚さ)において、1つ以上のグリップ部材(例えば、スパイク付きナップ、フック、返し等)の本体の少なくともある部分上に配置されている。いくつかの実施形態では、第2の発泡体構成における圧縮性発泡体は、依然として、1つ以上のグリップ部材の第2の自由端、特に、ヘッド部分を覆ってもよく、それによって、グリップ部材が、非活性グリップ構成において、組織又はメッシュに付着することを防止する。いくつかの実施形態では、被覆されたグリップ部材は、圧縮発泡体を介して間接的に露出されてもよい。いくつかの実施形態では、覆われたグリップ部材は、圧縮発泡体によって隠れたままであってもよく、又は視界から隠されてもよい。いくつかの実施形態では、第2の発泡体構成における圧縮性発泡体は、1つ以上のグリップ部材の第2の自由端、特にヘッド部分上になくてもよく、それによって、グリップ部材を直接露出させて、活性グリップ構成において組織に付着させる。活性グリップ構成では、1つ以上のグリップ部材の第2の自由端、特にヘッド部分は、発泡体を含まず、組織又はメッシュ(又は第2のメッシュ若しくはメッシュフラップ)の他の部分に直接付着するように構成されている。
【0077】
いくつかの実施形態では、(第2の構成における)圧縮性発泡体の第2の厚さ又はそれに続く厚さは、1mm以上、1.5mm又は2mmであってもよい。いくつかの実施形態では、(第2の構成における)圧縮性発泡体の第2の厚さ又はそれに続く厚さは、1mm以下、1.5mm又は2mmであってもよい。いくつかの実施形態では、(第2の構成における)圧縮性発泡体の第2の厚さ又はそれに続く厚さは、0.1~3mm、0.1~2mm、0.25~1.5mm、0.5~1.25mm、1~3mm、1.25~2.75mm、又は1.5~2.5mmの範囲であってもよい。
【0078】
いくつかの実施形態では、(第1の構成における)圧縮性発泡体の第1の厚さ又は初期の厚さは、1mm以上、1.5mm又は2mmであってもよく、(第2の構成における)圧縮性発泡体の第2の厚さ又はそれに続く厚さは、それぞれ1mm以下、1.5mm又は2mmであってもよい。いくつかの実施形態では、(第1の構成における)圧縮性発泡体の第1の厚さ又は初期の厚さは、1mmより大きく、1.5mm又は2mmであってもよく、(第2の構成における)圧縮性発泡体の第2の厚さ又はそれに続く厚さは、それぞれ1mm以下、1.5mm又は2mmであってもよく、第2の厚さ又はそれに続く厚さは、第1の厚さ又は初期の厚さよりも小さい。
【0079】
いくつかの実施形態では、(第1の構成における)圧縮性発泡体の第1の厚さ又は初期の厚さは、1~4mm、1.25~3.75mm、1.5~3.5mm、1.75mm~3.25mm、又は2~3mmの範囲であってもよく、(第2の構成における)圧縮性発泡体の第2の厚さ又はそれに続く厚さは、それぞれ0.01~1mm、0.1~1.25mm、0.25~1.5mm、0.5~1.75mm、又は0.75~2mmの範囲であってもよく、第2の厚さ又はそれに続く厚さは、第1の厚さ又は初期の厚さ未満である。
【0080】
いくつかの実施形態では、圧縮性発泡体は、メッシュの少なくとも1つの面にわたって広がる各グリップ部材の第2の自由端、特にヘッド部上に配置されてもよい。いくつかの実施形態では、圧縮性発泡体は、圧縮性発泡体パターンを形成するメッシュの少なくとも1つの面にわたって広がる選択されたグリップ部材のみの第2の自由端、特にヘッド部分上に配置されてもよい。圧縮性発泡体のパターンは、ストライプ、多角形、円形、楕円形、リング、ドット、ダッシュ、矢印、数字、文字、涙滴などを含むがこれらに限定されない任意の形状をとることができる。
【0081】
本明細書に記載される圧縮性発泡体は、少なくとも1つの生体適合性ポリマー発泡剤、及び任意選択で少なくとも1つの生体適合性可塑剤、少なくとも1つの生体適合性添加剤、又はその両方から構成されてもよい。発泡剤、可塑剤、及び添加剤のそれぞれは、軟組織修復の部位、すなわち、ヘルニア、脱出症、若しくはストーマの部位、又は生理食塩水などの同様の流体での生理学的条件内で可溶性である。「部位の生理学的条件内で可溶性」とは、選択された材料が、ヘルニア部位上の組織のpH、温度及び/又は浸透圧に従って可溶性であることを意味する。例えば、いくつかの実施形態では、乾燥発泡体は、37℃で溶解するが20℃では溶解しないゼラチンを含んでもよく、及び/又は乾燥発泡体は、pH=7で溶解するがpH=3では溶解しないヒアルロン酸ナトリウムを含んでもよく、及び/又は乾燥発泡体は、ナトリウム塩を含有する溶液に溶解するがカルシウム塩を含有する溶液には溶解しないアルギン酸ナトリウムを含んでもよい。
【0082】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される圧縮性発泡体は、少なくとも1つの生体適合性ポリマー発泡剤及び少なくとも1つの生体適合性可塑剤から構成されてもよい。
【0083】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される圧縮性発泡体は、少なくとも1つの生体適合性ポリマー発泡剤及び少なくとも1つの生体適合性添加剤から構成されてもよい。
【0084】
本明細書に記載される圧縮性発泡体は、少なくとも1つの生体適合性ポリマー発泡剤、少なくとも1つの生体適合性可塑剤、及び少なくとも1つの生体適合性添加剤から構成されてもよい。
【0085】
生体適合性ポリマー発泡剤は、以下により詳細に提供されるように、水溶液から発泡体を形成するのを助けるように構成されている。発泡剤のいくつかの好適な非限定的な例としては、ゼラチン、コラーゲン、ポロキサマー、ポリソルベート、メチルセルロース(MC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)及びこれらの混合物などのタンパク質が挙げられる。
【0086】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される圧縮性発泡体は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどの生体適合性ポリマー発泡剤を含んでもよい。いくつかの実施形態では、ヒドロキシプロピルメチルセルロースは、1~2.5、1.5~2の範囲のメチル置換度(DSメトキシ)を有してもよい。いくつかの実施形態では、ヒドロキシプロピルメチルセルロースは、0.1~1、0.2~0.5の範囲のヒドロキシプロピルモル置換度(MSヒドロキシプロポキシル)を有してもよい。
【0087】
いくつかの実施形態では、ヒドロキシプロピルメチルセルロースは、1~2.5の範囲のDSメトキシ及び0.1~1の範囲のMSヒドロキシプロポキシルを有してもよい。いくつかの実施形態では、ヒドロキシプロピルメチルセルロースは、1.5~2の範囲のDSメトキシ及び0.2~0.5の範囲のMSヒドロキシプロポキシルを有してもよい。
【0088】
少なくとも1つの生体適合性可塑剤の添加は、圧縮性発泡体が柔らかく柔軟であるように、乾燥した圧縮性発泡体に可撓性及び柔軟性を提供する。生体適合性可塑剤のいくつかの非限定的な適切な例としては、多価アルコール(例えば、グリセロール、ソルビトール、キシリトール、マンニトール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、及びこれらの混合物)が挙げられる。いくつかの実施形態では、圧縮性発泡体は、グリセロール、ソルビトール、又はその両方などの可塑剤を含む。
【0089】
少なくとも1つの生体適合性添加剤の添加は、乾燥した圧縮性発泡体に機械的強度を提供することができ、かつ/又は圧縮性発泡体の製造中に増粘剤として働く(溶液の粘度を増加させる)ことができる。いくつかの実施形態では、添加剤は非ポリマー添加剤である。いくつかの実施形態では、添加剤はポリマー添加剤である。生体適合性添加剤のいくつかの非限定的な好適な例としては、アルギン酸塩、ペクチン、カラギーナン、セルロース系誘導体、例えばセルロースエーテル、例えばメチルセルロース(MC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、多糖類ガム、例えばキサンタンガム及びグアーガム、デキストラン、ヒアルロナン、プルラン、マルトデキストリン、ゼラチン、コラーゲン、ポリビニルアルコール及びポリエチレングリコール、並びにそれらの混合物が挙げられる。
【0090】
いくつかの実施形態では、圧縮性発泡体は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどの添加剤を含む。いくつかの実施形態では、ヒドロキシプロピルメチルセルロースは、1~2.5、1.5~2の範囲のメチル置換度(DSメトキシ)を有してもよい。いくつかの実施形態では、ヒドロキシプロピルメチルセルロースは、0.1~1、0.2~0.5の範囲のヒドロキシプロピルモル置換度(MSヒドロキシプロポキシル)を有してもよい。
【0091】
いくつかの実施形態では、ヒドロキシプロピルメチルセルロースは、1~2.5の範囲のDSメトキシ及び0.1~1の範囲のMSヒドロキシプロポキシルを有してもよい。いくつかの実施形態では、ヒドロキシプロピルメチルセルロースは、1.5~2の範囲のDSメトキシ及び0.2~0.5の範囲のMSヒドロキシプロポキシルを有してもよい。
複合インプラント
【0092】
図3Aは、少なくとも移植可能なメッシュ20及び圧縮性発泡体30を含む複合外科用インプラント10の概略断面図を示す。圧縮性発泡体30は、1つ以上の、特に複数のグリップ部材25の少なくともヘッド部分27を覆う。発泡体30は、グリップ部材25、特に少なくともヘッド部分27を覆い、それによって、グリップ部材25が組織に付着すること、及び/又は重なったときにメッシュ20の他の部分と絡まることを防止する。
【0093】
図3Aでは、圧縮性発泡体30は、第1の初期膨張又は非圧縮発泡体構成で示されている。第1の構成では、発泡体30は、略平面状又は平坦な外側上面31を画定してもよい。第1の構成では、グリップ部材25は、インプラント10の少なくとも上面図からグリップ部材25が発泡体30によって隠される及び/又は隠されるように、発泡体30内に十分に埋め込まれていてもよい。第1の構成では、グリップ部材25は、非グリップ又は非活性構成にある。
【0094】
図3Aに更に示されるように、第1の構成において、発泡体30は、概して、第1の厚さT
1を画定し、グリップ部材25は、長さL
1を画定する。いくつかの実施形態では、第1の構成における発泡体30は、グリップ部材25の長さL
1以上の第1の厚さT
1を有する。
【0095】
図3Aに更に描写されるように、いくつかの実施形態では、圧縮性発泡体30は、メッシュ本体23の第1の面21に隣接してもよく、及び/又は第1の面21から延び若しくは突出するグリップ本体26の少なくとも全長L
1を覆ってもよい。
【0096】
図3Bは、
図3Bの矢印によって示される力又は圧力P
1が圧縮性発泡体30に加えられた後の、
図3Aの複合外科用インプラント10の概略断面図を示す。図示されるように、圧縮性発泡体30は、第1の厚さT
1よりも小さい第2のそれに続く厚さT
2を概ね画定する、第2のそれに続く構成及び/又は圧縮構成にある。圧縮性発泡体30は、力又は圧力P
1が除去された後であっても(かつ、発泡体30が生体内で溶解する前であっても)、第2の構成を維持する。
【0097】
いくつかの実施形態では、
図3Bの矢印によって示されるように、力又は圧力P
1は、概してメッシュ本体23(及び/又は第1若しくは第2のメッシュ面21、22)に向かう方向に、発泡体30の第1の外面31に直接加えられてもよい。矢印は、力又は圧力P
1が発泡体30(及び/又は第1の外面31)に略垂直に加えられることを描写するが、いくつかの実施形態では、力又は圧力P
1は、代替として、発泡体30の第1の外面31に対して任意の角度で加えられてもよいことが想定される。いくつかの非限定的な例は、圧力が、45~135度の範囲の角度で加えられること、及び/又は発泡体30の第1の外面31の少なくともいくつかの部分に対して概して平行に、かつ直接横切って摺動されることを含む。
【0098】
図3Bに描写されるように、第2の構成では、発泡体30は、略平面又は平坦な外側上面31を画定してもよく、及び/又はグリップ部材25は、グリップ部材25が第2の構成において(インプラント10の少なくとも上面図から)圧縮発泡体30によって隠されたままである、及び/又は隠されたままである(すなわち、直接的又は間接的に露出されない)ように、発泡体30内に十分に埋め込まれていてもよい。第2の構成では、圧縮発泡体30が依然としてグリップ部材25の全部ではなくても大部分の少なくともヘッド部分27を覆うことができ、ヘッド部分27が組織及び/又はメッシュの他の部分をグリップすることができないようにするので、グリップ部材25は非活性非グリップ構成のままであってもよい。圧縮性発泡体を除去すると、グリップ部材25は、活性グリップ構成(
図3C)に移行する。
【0099】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される複合インプラント10は、第1の拡張発泡体構成及び第2の圧縮発泡体構成(
図3A~
図3B)の両方において、略平面状又は平坦な外側上面31を画定する圧縮性発泡体30を含んでもよい。
【0100】
いくつかの実施形態では、本明細書に説明される複合インプラント10は、第1の拡張発泡体構成及び第2の圧縮発泡体構成(
図3A~
図3B)の両方において、発泡体30内にグリップ部材25を覆い隠す又は隠すように構成された圧縮性発泡体30を含んでもよい。
【0101】
いくつかの実施形態では、本明細書に説明される複合インプラント10は、第1の拡張発泡体構成及び第2の圧縮発泡体構成(
図3A~
図3B)の両方において、グリップ部材25を非活性非グリップ構成にするように構成された圧縮性発泡体30を含んでもよい。そのような実施形態では、グリップ部材25は、グリップ部材25の少なくともヘッド部分27を取り囲む圧縮性又は圧縮発泡体30が、グリップ部材25全体ではないとしても、少なくともヘッド部分27から除去及び/又は溶解された後、活性グリップ構成に変換されてもよい。活性グリップ構成では、グリップ部材25の少なくともヘッド部分27は、組織15(及び/又はメッシュ20の他の部分)と接触して配置されたときに組織15に直接付着することができる。
【0102】
図3Bは、いくつかの実施形態では、圧縮性発泡体30が、第2の構成において、上面31、メッシュ本体23(及び/又は第1の面21)、及び/又はグリップ部材25の全体にわたって均一に圧縮されてもよいことを更に示す。しかしながら、いくつかの実施形態では、発泡体30は、上面31、メッシュ本体23(及び/又は第1若しくは第2の面21、22)の限定された部分のみ、及び/又は特定のグリップ部材25のみにおいて、第2の圧縮構成に移行することができる(
図5B参照)。
【0103】
図3Cは、グリップ部材25、特にグリップ部材25の第2の自由端部26b及び/又はヘッド部分27を介して組織15を直接グリップしている
図3A~
図3Bの複合外科用インプラント10の概略断面図を示す。圧縮性発泡体30はまた、グリップ部材25のヘッド部分27を覆う発泡体30の少なくとも一部の溶解後に、組織15とメッシュ本体23(及び/又はメッシュの第1の面21)との間に配置されて示される。21
【0104】
図3Dでは、発泡体30は、
図3A~
図3Cの発泡体30の全部ではないにしても大部分が組織15内に見られる生理液中に溶解しているので、もはや組織15とメッシュ本体23(及び/又は第1の面21)との間には示されていない。第2の圧縮構成の圧縮性発泡体30は、第1の拡張形態の圧縮性発泡体30よりも速く溶解する。
【0105】
いくつかの実施形態では、
図3Dに描写されるように、圧縮性発泡体30は、少なくとも第2の構成、及び任意選択で第1の構成において、30分未満で生理学的流体中に(100%ではないにしても)圧縮性発泡体の90%を超えて実質的に溶解するように構成することができ、いくつかの実施形態では15分未満である。いくつかの実施形態では、発泡体30は、5分未満で生理液中に実質的に溶解する。
【0106】
更に他の実施形態では、圧縮性発泡体30は、少なくとも第2の構成及び任意選択で第1の構成において、1秒~30分で生理学的流体に実質的に溶解してもよい。更に他の実施形態では、発泡体30は、少なくとも第2の構成及び任意選択で第1の構成において、5秒から15分生理液中に実質的に溶解することができる。更に他の実施形態では、発泡体30は、少なくとも第2の構成及び任意選択で第1の構成において、15秒~10分で生理液中に実質的に溶解する。更に他の実施形態では、発泡体30は、少なくとも第2の構成及び任意選択で第1の構成において、30秒~5分で生理液中に実質的に溶解する。
【0107】
図4A~
図4Dを参照すると、組織15(
図4C~
図4D)に付着される前に、第1の構成(
図4A)から第2の構成(
図4B)に移行するように構成されたメッシュ20及び圧縮性発泡体30を含む複合インプラント10が示されている。
【0108】
図4Aでは、圧縮性発泡体30は、第1の初期拡張又は非圧縮構成で示されている。第1の構成では、発泡体30は、略平面状又は平坦な外側上面31を画定してもよい。第1の構成では、グリップ部材25は、インプラント10の少なくとも上面図からグリップ部材25が発泡体30によって隠される及び/又は隠されるように、発泡体30内に十分に埋め込まれていてもよい。第1の構成では、グリップ部材25は、非活性非グリップ構成にある。
【0109】
図4Aに更に示されるように、第1の構成において、発泡体30は、概して、第1の厚さT1を画定し、グリップ部材25は、長さL1を画定する。いくつかの実施形態では、第1の構成における発泡体30は、グリップ部材25の長さL1以上の第1の厚さT1を有する。
【0110】
図4Bは、
図4Bの矢印によって示される力又は圧力P1が圧縮性発泡体30に加えられた後の、
図4Aの複合外科用インプラント10の概略断面図を示す。
図4Bに示されるように、いくつかの実施形態では、第2の圧縮構成における発泡体30は、グリップ部材25のヘッド部分27の外側輪郭に従う。ヘッド部分27の外側輪郭に従うことによって、第2の圧縮構成にある発泡体30は、圧縮発泡体30の下のグリップ部材25の全体的な位置を示す不均一なテクスチャを示すことができる。第2の構成では、圧縮発泡体30が、グリップ部材25の全部ではないにしても大部分の少なくともヘッド部分27を依然として覆って、ヘッド部分27が組織及び/又はメッシュの他の部分をグリップすることができないようにすることができるため、グリップ部材25は、非グリップ又は非活性構成のままであってもよい。
【0111】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される複合インプラント10は、第1の拡張発泡体構成において略平面又は平坦な外側上面31を画定し、第2の圧縮発泡体構成において不均一なテクスチャを画定する圧縮性発泡体30を含んでもよい(
図4A、
図4B)。
【0112】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される複合インプラント10は、第1の拡張発泡体構成において発泡体30内にグリップ部材25を覆い隠す又は隠し、第2の圧縮発泡体構成においてグリップ部材25を間接的に露出させるように構成された圧縮性発泡体30を含んでもよい(
図4A~
図4B)。
【0113】
いくつかの実施形態では、本明細書に説明される複合インプラント10は、第1の拡張発泡体構成及び第2の圧縮発泡体構成(
図4A~
図4B)の両方において、グリップ部材25を非グリップ又は不活性にするように構成された圧縮性発泡体30を含んでもよい。このような実施形態では、グリップ部材25は、グリップ部材25の少なくともヘッド部分27を取り囲む圧縮性又は圧縮発泡体30が、グリップ部材25全体ではないとしても、少なくともヘッド部分27から除去及び/又は溶解された後、グリップ又は活性構成に変換されてもよい。グリップ又は活性構成では、グリップ部材25の少なくともヘッド部分27は、組織15(及び/又はメッシュ20の他の部分)と接触して配置されたときに、組織15に直接付着することができる。
【0114】
図4Cは、グリップ部材25、特にグリップ部材25の第2の自由端部26b及び/又はヘッド部分27を介して組織15を直接グリップしている
図4A~
図4Bの複合外科用インプラント10の概略断面図を示す。圧縮性発泡体30はまた、グリップ部材25のヘッド部分27を覆う圧縮発泡体30の少なくとも一部の溶解後に、組織15とメッシュ本体23(及び/又はメッシュの第1の面21)との間に配置されて示される。
【0115】
図4Dでは、発泡体30は、
図4A~
図4Cの発泡体30の全部ではないにしても大部分が組織15内に見られる生理学的流体に溶解しているので、もはや組織15とメッシュ本体23(及び/又は第1の面21)との間には示されていない。第2の圧縮構成の圧縮性発泡体30は、第1の拡張形態の圧縮性発泡体30よりも速く溶解する。
【0116】
図5A~
図5Bを参照すると、いくつかの実施形態では、メッシュ20と、第1の拡張構成(
図5A)から第2の圧縮構成(
図5B)に移行するように構成された圧縮性発泡体30とを含む複合インプラント10が示されている。
図5Aにおいて、複合インプラント10は、本明細書に記載され、特に
図3A及び
図4Aに記載された複合インプラントと同様である。
図5Bでは、発泡体30は、第2の圧縮構成で示されている。
【0117】
図5Bは、
図5Bの矢印によって示される力又は圧P1が、発泡体30及び/又はメッシュ20の対向する端上の圧縮性発泡体30に加えられた後の、
図5Aの複合外科用インプラント10の概略断面図を示す。
図5Bに示されるように、いくつかの実施形態では、発泡体30は、第1の拡張構成にある1つ以上の第1のゾーン33と、第2の圧縮構成にある1つ以上の第2のゾーン34とを同時に含んでもよい。いくつかの実施形態では、中央の第1のゾーン33は、一対の外側の第2のゾーン34の間に配置されてもよい。第1及び第2のゾーン33、34の任意の組み合わせは、発泡体及び/又はメッシュの全体ではないとしても一部にわたって組み合わされてもよい。発泡体は、本明細書に説明されるように、除去又は溶解され、グリップ部材を活性化し、組織及び/又はメッシュ本体の他の部分をグリップすることができる。
【0118】
第2のゾーン34は、
図5Bでは、グリップ部材25のヘッド部分27の輪郭に従って、第2のゾーン34の外面31に沿って不均一なテクスチャ加工された外側発泡体面を生成するように示されているが、いくつかの実施形態では、
図5Bの2つの第2のゾーンのうちの少なくとも1つは、第1のゾーンと同様に(
図3Bに示されるものと同様に)、略平面又は平坦な外側上面を含んでもよい。
【0119】
図6A~
図6Bを参照すると、いくつかの実施形態では、メッシュ20と、第1の拡張構成(
図6A)から第2の圧縮構成(
図6B)に移行するように構成された圧縮性発泡体30とを含む複合インプラント10が示されている。
図6Aにおいて、複合インプラント10は、本明細書に記載され、特に
図3A及び
図4Aに記載された複合インプラントと同様である。
図6Bでは、発泡体30は、第2の圧縮構成で示されている。
【0120】
図6Bは、
図6Bの矢印によって示される力又は圧力P1が圧縮性発泡体30に加えられた後の、
図6Aの複合外科用インプラント10の概略断面図を示す。図示されるように、圧縮性発泡体30は、第1の厚さT1よりも小さく、かつ/又はグリップ部材25の長さL1よりも小さい第2のそれに続く厚さT2を概して画定する第2のそれに続く構成及び/又は圧縮構成にある。いくつかの実施形態では、第2の構成における発泡体30は、グリップ部材25の少なくともヘッド部分27、及び場合によっては遠位端部26bを露出させ、それによって、グリップ部材25が、組織15(及び/又はメッシュ20の他の部分)と接触して配置されるときに、組織15に直接付着されることを可能にする。
図6A~
図6Bに示すような実施形態では、圧縮性及び/又は圧縮発泡体30は、グリップ部材25が圧縮された第2の構成において発泡体30の外面31を越えて直接露出して延びるので、グリップ部材25が活性になるために溶解される必要はない。
【0121】
図7を参照すると、いくつかの実施形態では、圧縮性発泡体30は、第1の初期構成又は非圧縮構成において、グリップ要素25の長さl1以下の第1の厚さT1を有してもよい。そのような実施形態では、圧縮性発泡体30、特に圧縮性発泡体30の第2の内面32とメッシュ本体23(及び/又はメッシュ21の第1の面)との間に間隙40が存在してもよい。間隙40は、発泡体30によって覆われていないグリップ本体26の部分に概ね沿って間隙厚さT3を画定する。いくつかの実施形態では、第1の構成における圧縮性発泡体の間隙厚さT3及び第1の厚さT1は等しい。いくつかの実施形態では、間隙厚さT3は、第1の構成における圧縮性発泡体の第1の厚さT1未満である。
【0122】
間隙40は、インプラント10又はメッシュ20がその中に組織成長を組み込むか、又は促進する能力を高め得ることが想定される。加えて、間隙40は、複合インプラントと共に移植される圧縮性発泡体の量を減少させ、それによって、複合インプラント全体に組み込まれる異物の量を減少させる。間隙40は、生体内での圧縮性発泡体の吸収時間を短縮することが更に想定される。
【0123】
図8A~
図8Dは、様々な設計の移植可能なメッシュ20及び圧縮性発泡体30を含む略矩形の複合インプラント10のいくつかの非限定的な例を提供する。例えば、
図8Aは、圧縮性発泡体30が、メッシュ20の第1の面21の全体にわたってグリップ部材上に配置されている、実施形態を描写する。別の例では、
図8Bは、圧縮性発泡体30が、メッシュ20の第1の面21の第1の半分のみにわたってグリップ部材上に配置され、それによって、メッシュ20の第1の面21の第2の半分を発泡体30によって覆われないままにする、実施形態を描写する。更に別の例では、
図8Cは、圧縮性発泡体30がメッシュ20の第1の面21の大部分を超えてグリップ部材上に配置され、メッシュ20の外縁23aに沿ったバンドを発泡体30によって覆われないままにしている実施形態を示す。更に別の例では、
図8Dは、グリップ部材上に配置された圧縮性発泡体30が、メッシュ20の第1の面21の一部、特に第1の面21の中央部分上のリング(又は文字、数字、多角形など)などの特定の所与の形状を形成することができる実施形態を示す。
図8A~
図8Dのインプラントの組み合わせ及び/又は変形も可能であることが想定される。
【0124】
図8A~
図8Dのそれぞれにおいて、グリップ部材は、発泡体が位置するメッシュ20の第1の面21の少なくとも第1の部分上に、すなわち発泡体30の下に配置されている。更に、グリップ部材25は、
図8A~
図8Dのメッシュ20の第1の面21の第2の覆われていない部分に配置されてもよいし、配置されなくてもよい。
【0125】
図9A~
図9Eは、貫通する中央開口部28及びスリット29を有する移植可能なメッシュ20と、様々な設計の圧縮性発泡体30とを含む略楕円形の複合インプラント10のいくつかの非限定的な例を提供する。重なり合うフラップメッシュは、明確にするために
図9A~
図9Dには示されていないが、
図9Eに示すように、メッシュ20の面上に配置され、スリット29の一部にわたって延びてもよい。
【0126】
図9Aは、圧縮性発泡体30がメッシュ20の第1の面21の全体にわたってグリップ部材上に配置されている実施形態を示す。
図9Bは、圧縮性発泡体30が、メッシュ20の第1の面21の概ね第1の半分にわたってグリップ部材上に配置され、それによって、中央開口部28及びスリット29を含むメッシュ20の第1の面21の概ね第2の半分が発泡体30によって覆われないままにされる実施形態を示す。
図9Cは、圧縮性発泡体30が、メッシュ20の第1の面21の大部分を超えて(中央開口部28及びスリット29の縁部に沿う場合を含む)グリップ部材上に配置され、メッシュ20の外側縁部37に沿ったバンドを発泡体30によって覆われないままにする実施形態を示す。
図9Dは、グリップ部材上に配置された圧縮性発泡体30が、スリット29の縁部に沿ってではなく、中央開口部28の縁部に沿って配置され得る実施形態を示す。
【0127】
図9Eは、複合インプラント10が、それを通る中央開口部28及びスリット29を有する移植可能なメッシュ20と、少なくともスリット29を横切って延びるように構成された重複フラップメッシュ35と、圧縮性発泡体30とを含む実施形態を示す。圧縮性発泡体30は、メッシュ20の第1の面21とフラップメッシュ35の内面との間に配置されている。いくつかの実施形態では、グリップ部材及び圧縮性発泡体30は、メッシュ21の第1の面上に配置されられてもよいが、フラップの内側面は、グリップ部材及び/又は発泡体を含まない。他の実施形態では、グリップ部材及び圧縮性発泡体30は、フラップメッシュ35の内面上に配置されてもよく、一方、メッシュ20の第1の面21は、グリップ部材及び/又は発泡体を含まない。
【0128】
図9A~
図9Eのインプラントの組み合わせ及び/又は変形も可能であることが想定される。
図9A~
図9Eのそれぞれにおいて、グリップ部材25は、発泡体30が位置するメッシュ20の第1の面21の少なくとも第1の部分上に、すなわち発泡体の下に配置されている。更に、グリップ部材25は、
図9A~
図9Eのメッシュ20の第1の面21の第2の覆われていない部分に配置されてもよいし、配置されなくてもよい。
【0129】
メッシュ20の面21を圧縮性発泡体30で部分的にのみ覆うことは、医療スタッフ又は外科医によるいかなる外科的実践も変更する必要なく、複合インプラントの取り扱いの改善を含む、いくつかの利点を提供する。例えば、組織上での展開中の移植可能なメッシュの摺動を防止するために、医療スタッフ又は外科医は、メッシュに縫合糸を加えてメッシュの一部を組織に固定する一方で、メッシュの残りの部分を適切に配向しようと試みることによって外科的処置を開始することができる。メッシュの面の一部を圧縮性発泡体30で覆われないままにすることによって(
図8B~
図8D及び
図9B~
図9E)、医療スタッフ又は外科医は、圧縮性発泡体30を損傷又は貫通することなく、はるかに良好な視認性を伴って、メッシュ20の面21の覆われない部分に直接縫合糸を追加する能力を維持し、したがって、神経等のいくつかの重要な解剖学的構造を捕捉するリスクを制限する。
【0130】
更に、特定の部分を覆わないことは、メッシュの覆われていない部分上に別個の配向マーカ又はマーキング手段を追加する可能性を提供する。例えば、
図8C及び
図9Cに示されるように、メッシュの外縁に沿ったメッシュの被覆されていない又は非発泡バンドは、恥骨上に配置されるように構成されてもよい。したがって、メッシュのバンドを発泡体によって覆われないままにすることは、メッシュの適切な挿入及び展開を容易にするのを助けるために、医療スタッフ又は外科医に配向マーキングを提供することができる。
【0131】
別の実施例では、医療スタッフ又は外科医は、メッシュの配向中に、グリップ部材及び/又はメッシュの側方縁による精索への損傷を回避又は防止しようとすることに関心がある場合があり、それは、そのような損傷が、重度の術後疼痛をもたらし得るためである。圧縮性発泡体をグリップ部材の様々な組み合わせに選択的に組み込むことによって、メッシュの中心開口部の周囲及び/又はスリットに沿って(
図9A、9C、9D)など、精索と接触するように設計されたメッシュ上に位置されたグリップ部材を選択的に覆うこと、又はこの部分の発泡体被覆を補強して潜在的な損傷及び痛みを防止することが可能である。
製造方法
【0132】
本明細書に記載される複合インプラントは、少なくとも移植可能なメッシュ及び圧縮性発泡体を含み、これらのそれぞれは、種々の方法を使用して製造され得る。
【0133】
上記のように、移植可能なメッシュ(及び/又はフラップメッシュ)は、当業者に公知の任意の適切な方法を使用して形成され得、この方法としては、製織、編成、編組、かぎ針編み、刺繍などが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、移植可能なメッシュ(及び/又はフラップメッシュ)は、編まれてニットメッシュを形成することによって形成されてもよい。いくつかの実施形態では、移植可能なメッシュ(及び/又はフラップメッシュ)は、米国特許第6,596,002号、同第7,331,199号、同第9,750,595号、同第9,186,235号、同第9,510,927号のいずれかに提供されるように作製されてもよく、これらは参照により本明細書に組み込まれる。
【0134】
上記で更に言及したように、本明細書に記載の圧縮性発泡体は、乾燥又は乾燥形式である。圧縮性発泡体は、乾燥前の湿潤非流動性発泡体材料から得られる。「非流動性」とは、湿潤発泡体材料が、乾燥前に移植可能なメッシュに適用されたときに、湿潤発泡体が流動又は流れるのを防止するのに十分に高い粘度を有することである。湿潤非流動発泡体材料は、本明細書に記載の溶液から形成されてもよい。溶液は、10MPa.s-1~1000Pa.s-1、100mPa.s-1~100Pa.s-1、又は1Pa.s-1~50Pa.s-1sの範囲の動的粘度(0剪断で)を有してもよい。
【0135】
圧縮性発泡体を形成する方法は、最初に湿潤非流動性発泡体材料を形成し、続いて湿潤非流動性発泡体材料を乾燥させて圧縮性発泡体(乾燥形態)を形成することを含む。
【0136】
本開示の湿潤非流動性発泡体材料(及び/又は乾燥圧縮性発泡体)を形成又は製造するために、生理学的条件内で可溶性である少なくとも1つの生体適合性ポリマー発泡剤を薬学的担体と混合して溶液を形成する。
溶液は、必要に応じて、1つ以上の生体適合性可塑剤及び/又は1つ以上の生体適合性添加剤を含み得、これらのそれぞれはまた、生理学的条件又は類似の流体(例えば、生理食塩水)内で可溶性である。加えて、溶液は、1つ以上の生物活性剤を更に含んでもよい。
【0137】
1つ以上の生体適合性ポリマー発泡剤は、0.01~25重量パーセント、溶液の0.1~20重量%、0.5~15重量%、又は1~10重量%に相当し得る。
【0138】
適切な溶媒のいくつかの非限定的な例としては、水(例えば、滅菌水、非滅菌水、蒸留水、湧水など)、生理食塩水、デキストロース溶液などが挙げられる。いくつかの実施形態では、溶媒は水であり、溶液は水溶液である。
【0139】
1つ以上の生体適合性ポリマー発泡剤のいくつかの好適な非限定的な例としては、ゼラチン、ポロキサマー、ポリソルベート、メチルセルロース(MC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、及びこれらの混合物などのタンパク質が挙げられる。いくつかの実施形態では、生体適合性ポリマー発泡剤は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースである。ヒドロキシプロピルメチルセルロースは、1~2.5又は1.5~2の範囲のメチル置換度(DSメトキシ)を有してもよい。ヒドロキシプロピルメチルセルロースは、0.1~1又は0.2~0.5の範囲のヒドロキシプロピルモル置換(MSヒドロキシプロポキシル)を有してもよい。いくつかの実施形態では、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを水と混合して水溶液を形成してもよい。ヒドロキシプロピルメチルセルロースの動的粘度は、Ubbelohde型粘度計を使用して20℃で2重量%水溶液として測定した場合、1~100MPa.s-13~50MPa.s-1に相当し得る。
【0140】
1つ以上の可塑剤のいくつかの適切な非限定的な例としては、多価アルコール(例えば、グリセロール、ソルビトール、キシリトール、マンニトール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、及びこれらの混合物)が挙げられる。いくつかの実施形態では、溶液は、グリセロール、ソルビトール、又はその両方などの可塑剤を含んでもよい。溶液中に組み込まれる場合、可塑剤は、溶液の0.5~40重量パーセント、1~20重量%、又は2~10重量%に相当し得る。
【0141】
1つ以上の生体適合性添加剤のいくつかの好適な非限定的な例としては、アルギン酸塩、ペクチン、カラギーナン、セルロース系誘導体、例えばセルロースエーテル、例えばメチルセルロース(MC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、多糖類ガム、例えばキサンタンガム及びグアーガム、デキストラン、ヒアルロナン、プルラン、マルトデキストリン、ゼラチン、ポリビニルアルコール及びポリエチレングリコール、並びにそれらの混合物が挙げられる。いくつかの実施形態では、溶液は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどの生体適合性添加剤を含んでもよい。ヒドロキシプロピルメチルセルロースは、1~2.5又は1.5~2の範囲のメチル置換度(DSメトキシ)を有してもよい。ヒドロキシプロピルメチルセルロースは、0.1~1又は0.2~0.5の範囲のヒドロキシプロピルモル置換(MSヒドロキシプロポキシル)を有してもよい。ヒドロキシプロピルメチルセルロースの粘度は、Ubbelohde型粘度計を使用して20℃で2重量%水溶液として測定した場合、1~100MPa.s-1、3~50MPa.s-1に相当し得る。溶液中に組み込まれる場合、添加剤は、溶液の0.1~10重量%、0.5~5重量%、又は1~3重量%に相当し得る。
【0142】
生物活性剤は、有益であり、治癒プロセスを促進する傾向がある物質を含む。生物活性剤の適切な例としては、例えば、殺生物剤、抗菌剤、抗生物質、抗増殖剤、薬剤、成長因子、抗凝固剤、凝固剤、鎮痛剤、麻酔剤、抗炎症剤、創傷修復剤など、化学療法剤、生物製剤、タンパク質治療薬、モノクローナル抗体又はポリクローナル抗体、DNA、RNA、ペプチド、多糖類、レクチン、脂質、プロバイオティクス、診断薬、血管新生剤、抗血管新生薬、ポリマー薬、及びこれらの組み合わせが挙げられる。いくつかの実施形態では、生物活性剤は、溶液の10%未満、特に5%未満に相当してもよい。
【0143】
ポリマー発泡剤、及び任意選択で可塑剤又は添加剤の少なくとも1つを担体と混合して溶液を形成した後、空気を機械的又は物理的に溶液中に同伴又は分散させて、第1の不連続空気相及び第2の連続水相を含む湿潤発泡体材料を形成することができる。湿潤発泡体材料内に同伴又は分散された気泡のラメラ又は流体膜は、ポリマー発泡剤の存在により粘性である。気泡のラメラ内に保持された任意の液体の流れは、得られた湿潤発泡体材料において最小限に抑えられ、低減され、又は防止され、したがって、湿潤発泡体材料は、「非流動」と記載することができる。湿潤非流動発泡体材料は、約0.05g.cm-3~0.50g.cm-3、0.10g.cm-3~0.40g.cm-3、又は0.20g.cm-3~0.30g.cm-3の範囲の密度を有する。
【0144】
有利なことに、湿潤発泡体材料のこの「非流動」特性は、キャスト、成形、ローリング、スクリーニング、注射器、スプーン、スパチュラ、ブラシ、スポンジ、ローラーなどの器具による落下のうちの少なくとも1つを含むがこれらに限定されない様々な異なる方法を使用して、様々な形状、設計、又は厚さでグリップ部材を覆う可能性を提供する。例えば、移植可能な自己固定メッシュの面の全て又は選択された部分のみを湿潤非流動性発泡体材料及び/又は乾燥圧縮性発泡体で覆う(又は覆わない)ことが可能である。
【0145】
湿潤非流動発泡体材料は、直接的又は間接的のいずれかで、移植可能なメッシュに適用されるように構成される。
図10に図示されるように、いくつかの実施形態では、湿潤非流動発泡体材料50は、移植可能なメッシュ20のグリップ部材に直接適用されることができる。例えば、
図10では、湿潤非流動発泡体材料50は、文字「M」の形状などのパターンでメッシュ20のグリップ部材上に描かれている。非流動性湿潤発泡体材料の粘度に起因して、湿潤発泡体は、ストライプ、多角形、円形、楕円形、リング、ドット、ダッシュ、矢印、数字、文字、涙滴などを含むがこれらに限定されない任意の様々なパターンでメッシュに直接適用することができる。適用されると、パターンは、乾燥プロセスを通して維持され、同一又は類似パターンの乾燥圧縮性発泡体を生成する。
【0146】
図11A-11Cは、湿潤非流動発泡体材料がメッシュに間接的に適用される、複合インプラントを製造する方法を描写する。図示されるように、本方法は、湿潤非流動発泡体材料50をフレーム又は型45(
図11A)に適用することと、型又はフレーム45の上部46を直接横切って湿潤非流動発泡体材料50をキャスト及び/又は平坦化して、型又はフレーム45の厚さに等しい一貫した厚さの湿潤非流動発泡体層50aを画定する(
図11B)することと、移植可能なメッシュ20のグリップ部材25を平らな湿潤非流動発泡体層50a内に配置することと、湿潤発泡体層50aを乾燥させて、メッシュ20のグリップ部材25上に乾燥した圧縮性発泡体30を形成し、複合インプラント10を形成することと、(
図11C)を含む。
【0147】
図11Aは、湿潤発泡体をフレーム又は型に適用する最初のステップを示す。例えば、湿潤非流動発泡体材料50の1つ以上の塊51を型又はフレーム45内に配置することができる。湿潤非流動発泡体の体積は、フレームの体積よりも大きくてもよい。フレーム又は型は、水平面に配置されてもよい。
【0148】
図11Bは、不活性及び/又は非粘着性の型又はフレーム45の厚さに等しい一貫した厚さの略平坦な湿潤非流動発泡体層50aを画定するために、型又はフレーム45の上部46にわたって直接キャスト及び平坦化された湿潤非流動発泡体層50aを描写する。湿潤発泡体層のキャスト及び/又は平坦化の任意の好適な方法が使用されてもよく、スタンピング、成形、スプレッディング、プレスなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0149】
図11Cは、メッシュ20が湿潤非流動発泡体層50aの最上層上に下降され得ることを具体的に示しており、グリップ部材25は下向きであり、湿潤発泡体の層50aに向かう進路を導き、メッシュ本体23はグリップ部材25の後ろに続く。メッシュ本体は、湿潤非流動層に入っても入っていなくてもよい。
【0150】
湿潤非流動発泡体材料は、フレーム又は型の上部に対して水平にされるので、フレーム又は型の厚さを使用して、湿潤非流動発泡体層の厚さ、結果として、乾燥圧縮性発泡体の厚さを画定することができる。例えば、
図11Cに示されるように、フレーム45の厚さがグリップ部材25の本体26の長さよりも小さい場合、湿潤発泡体層50aは、グリップ部材25が表面的にのみ覆われ、それによってメッシュ本体23と湿潤非流動発泡体層50a(及び/又は乾燥時の圧縮性発泡体30)との間に間隙40を生成するように、フレーム45全体を充填するようにキャスト及び平坦化されることができる。別の例では、フレーム45の厚さがグリップ部材25の本体26の長さよりも大きいとき、湿潤発泡体層50aは、グリップ部材25が典型的には完全に覆われ、メッシュ本体23及び湿潤非流動発泡体層50a(及び/又は乾燥したときの圧縮性発泡体30)が互いに当接し得るように、フレーム45全体を充填するようにキャスト及び平坦化され得る。
【0151】
いくつかの実施形態では、フレーム内に湿潤発泡体層を形成するための湿潤発泡体材料のキャスト及び平坦化に続いて、フレーム化された湿潤発泡体層は、移植可能なメッシュのグリップ部材と組み合わせられる前に、部分的に硬化又は乾燥するように加温されてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、フレーム化された湿潤非流動発泡体層は、強制空気オーブン等のオーブンを使用して加温されてもよい。フレーム化された湿潤発泡体層が、メッシュの付加前に乾燥圧縮性発泡体に完全に移行することを防止するために、フレーム化された湿潤非流動材料は、メッシュの適用前に最大5分間、50℃に加熱されることができる。
【0152】
フレーム化された湿潤非流動発泡体層とグリップ部材を含む移植可能なメッシュとが組み合わされた後、湿潤非流動発泡体層は、組み合わされた湿潤発泡体層及びメッシュを強制空気オーブンなどのオーブン内で加熱することによって、圧縮性発泡体へと完全に乾燥され得る。組み合わせられた湿潤発泡体層及びメッシュは、50℃に2時間加熱され、メッシュ上に乾燥圧縮性発泡体を形成し、複合インプラントを形成することができる。
【0153】
複合インプラント上の圧縮性発泡体表面密度は、インプラント塊の約0.1mg/cm2~10mg/cm2、0.5mg/cm2~5mg/cm2、又は1mg/cm2~3mg/cm2の範囲であってもよい。
【0154】
圧縮性発泡体は、約5%~50%、10%~40%、又は15%~30%量に相当し得る。
【0155】
一旦形成されると、本明細書に記載される複合インプラントは、当業者に公知の適切な様式を使用して、滅菌及び包装され得る。
【0156】
図12Aは、圧縮性発泡体と組み合わされる前の好適な自己固定移植可能なメッシュ20の一例を示す走査電子顕微鏡からの画像であり、移植可能なメッシュ20は、メッシュ本体23を形成するように絡み合わされた1つ以上のフィラメント17と、そこから延びるスパイク付きナップ等の複数のグリップ部材25とを含む。
【0157】
図12Bは、圧縮性発泡体30で完全に又は完全に覆われたグリップ部材を含む移植可能なメッシュ20を含む複合インプラント10の一例を示す走査型電子顕微鏡の画像であり、圧縮性発泡体30は、圧縮されてメッシュ20の面21に当接する前に、第1の初期の厚さを有する第1の非圧縮構成で示されている。
【0158】
図12Cは、圧縮性発泡体30で部分的にのみ覆われたグリップ部材25を含む移植可能なメッシュ20を含む複合インプラント10の一例を示す走査型電子顕微鏡の画像であり、圧縮性発泡体30は、圧縮前に第1の初期の厚さを有する第1の非圧縮構成で示されている。間隙40は、発泡体32の内側第2の面とメッシュ20の面21との間に配置されている。
【0159】
乾燥後、本明細書に記載の複合インプラントは、第1の厚さを有する第1の初期構成の圧縮性発泡体で覆われた、全てではないが少なくともいくつかのグリップ部材を有するメッシュを含み、圧縮性発泡体は、第1の厚さよりも小さい第2の厚さを有する第2の構成に移行するように構成されている。
【0160】
第1の構成における圧縮性発泡体は、被覆されたグリップ部材が組織に付着すること、及び/又はメッシュの他の部分と絡まることを防止する。いくつかの実施形態では、第2の圧縮構成にある圧縮性発泡体は、被覆されたグリップ部材が組織に付着すること、及び/又はメッシュの他の部分と絡まることを防止し得る。そのような実施形態では、第1の構成又は第2の構成のいずれかにおける複合インプラントは、グリップ部材が巻かれたメッシュの重複部分に付着し、したがって、付着せずに展開するように構成されたままである恐れなく、巻かれるか又は折り畳まれてもよい。また、そのような実施形態では、グリップ部材の作動は、生理学的流体又は生理食塩水、水等の存在を必要とする。
【0161】
移植及び生理学的流体への曝露の際に、いずれかの構成における圧縮性発泡体は、水和し始める。いずれかの構成からの圧縮性発泡体の吸収又は溶解後、複合インプラントのグリップ性能は、圧縮性発泡体と組み合わされる前の自己固定メッシュのグリップ性能に概ね等しい。
【0162】
いくつかの実施形態では、第2の圧縮構成における圧縮性発泡体は、グリップ部材の少なくともヘッド部分を直接露出させ、それによって、グリップ部材が組織に直接付着される、及び/又はメッシュの他の部分と絡まることを可能にする。
【0163】
圧縮性発泡体はまた、メッシュに剛性を加え、それにより、複合インプラントが自然に自己展開、すなわち、展開又は折り畳み状態から広がる。追加された剛性はまた、複合インプラントを概してしわのないものにし、すなわち、複合インプラントの表面積の95%又は100%ではないとしても、すなわち90%超が、切開部又はトロカールを通して直接挿入された後に折り畳み状態から広がるとき又は展開されたときに絡み合い又はしわがないままである。
【0164】
図13A~
図13Fは、本明細書に記載の複合インプラント10の折り畳み及び折り畳み状態からの広がりの容易性と比較して、圧縮性発泡体を含まない典型的な自己固定メッシュ12の折り畳み及び折り畳み状態からの広がりの困難性を示す。具体的には、
図13A~
図13Cは、圧縮性発泡体を含まない自己固定メッシュ12が、強制的に(例えば、手によって)折り畳まれるか、又はそれ自体の上に巻かれるとき、被覆されていないグリップ部材がメッシュの重複部分と絡み合い、力の除去時にメッシュの自然な展開又は折り畳み状態からの広がりを防止することを図示する。しかしながら、
図13D~
図13Fに具体的に示されているように、本明細書に記載されている複合インプラント10が折り畳まれるか又はそれ自体の上に巻かれるとき、発泡体30は、グリップ部材がメッシュ20の重なり合う部分と絡み合うことを防止し、それによって、力が除去されたときに複合インプラント10の自然な自己展開、すなわち自己による折り畳み状態からの広がり又は自己展開を可能にする。
【0165】
図14A~
図14Gは、圧縮性発泡体を含まない自己固定メッシュと比較して、コーティングされたグリップの不活性化、並びに本明細書に記載される複合インプラントの追加された剛性が、複合インプラントを概して絡み合いなしにすること、すなわち、切開を通した挿入後に折り畳み状態から広がるとき又は展開されたときに、複合インプラントの表面積の95%又は100%ではないとしても90%超が絡み合い又はしわがないままであることを示す。
図14Aは、動物組織14における切開部13を示す。
図14B~
図14Dは、圧縮性発泡体を含まない、折り畳まれた又は巻かれた自己固定メッシュ12の挿入後に、自己固定メッシュ12(圧縮性発泡体を含まない)が、切開部を通して挿入された後に絡み合ったままであることを示す。
図14Dに示されるように、メッシュの表面積の約40~60%のみが、メッシュ12の重複部分とのグリップ部材の絡み合いに起因して、折り畳み状態から広がる、又は展開される。しかしながら、
図14E~
図14Gに示されるように、本明細書に記載されるような折り畳まれた又は巻かれた複合インプラント10の挿入に続いて、圧縮性発泡体30が、巻かれ、かつ折り畳み状態から広がる(又は折り畳まれかつ展開する)間にグリップ部材が絡み合うことを防止するので、挿入された複合インプラント10は、絡み合いがないままであるか、又はインプラント10の表面積の90%又は95%超は、絡み合いがない状態のままである。
【0166】
いくつかの実施形態では、複合インプラントを製造する方法は、そこから延び又は突出する1つ以上のグリップ部材を有する、移植可能なメッシュを提供することであって、各グリップ部材が、患者の組織に直接付着するように構成されていること、及び/又は重ね合わせられると、移植可能なメッシュの他の部分に固定又は絡み合うように構成されている、ことと、1つ以上のグリップ部材のそれぞれの少なくとも第2の自由端に湿潤非流動性発泡体材料を適用することと、湿潤非流動性発泡体を乾燥させて、第1の厚さを有する第1の構成の圧縮性発泡体を形成することであって、圧縮性発泡体は、第1の厚さを有する第1の構成から、第1の厚さよりも小さい第2の厚さを有する第2の構成に移行するように構成されている、ことと、を含む。湿潤状態では、発泡体が第2の構成にあるとき、複数のグリップ部材の第2の自由端は、組織に付着するように露出される。
使用方法
【0167】
本明細書に記載の複合インプラントは、軟組織開口部又は創傷の修復又は治療に有用である。いくつかの非限定的な例としては、ヘルニア修復、脱出症修復、硬膜修復、オストミー修復などが挙げられる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の複合外科用インプラントは、腹壁ヘルニア、鼠径ヘルニア、臍ヘルニアなどから選択されるヘルニア修復に有用である。
【0168】
軟組織修復又は治療は、切開又は腹腔鏡手技を介して行われてもよい。いくつかの実施形態では、軟組織修復又は治療は、経腹前腹膜(TAPP)修復又は完全腹膜外(TEP)修復などの腹腔鏡処置によるヘルニア修復のためのものであってもよい。
【0169】
いくつかの実施形態では、複合インプラントは、軟組織修復の方法において使用されてもよい。本方法は、修復を必要とする軟組織内の創傷の近くの患者の移植部位に複合インプラントを挿入することであって、複合インプラントが、メッシュと、第1の面及び第1の面の反対側の第2の面を有する本明細書に記載の圧縮性発泡体と、メッシュの第1の面から延びる複数のグリップ部材であって、複数のグリップ部材のそれぞれが、メッシュに付着された第1の端とメッシュから自由な第2の端との間に延びる本体を含む複数のグリップ部材と、複数のグリップ部材の少なくとも第2の端を覆い、第1の厚さを有する第1の構成から第1の厚さよりも小さい第2の厚さを有する第2の構成に移行するように構成された圧縮性発泡体とを含む複数のグリップ部材と、を含む、ことと、複数のグリップ部材の第2の端を露出させることとを含むことができる。挿入に続いて、本方法は、軟組織内の創傷にわたって複合インプラントを配向することと、圧縮性発泡体の一部に圧力を加えて、第1の構成から第1の厚さ未満の第2の厚さを有する第2の構成に移行させ、それによって、複数のグリップ部材の少なくとも一部の第2の端を露出させることと、体液の存在を利用して、第2の構成の圧縮性発泡体を含むグリップ部材を組織に固定することと、を更に含む。
【0170】
複合インプラントを挿入する前に、軟組織修復の方法は、複合インプラントを挿入する前に患者に切開部を形成することと、任意選択で、切開部を通して複合インプラントを挿入するためにそこにトロカールを配置することとを更に含むことができる。加えて、本方法は、移植部位に挿入する前に複合インプラントを巻くか又は折り畳むことと、移植部位に挿入された後に複合インプラントを折り畳み状態から広げること又は展開することとを更に含んでもよい。
【0171】
いくつかの実施形態では、圧縮性発泡体の一部に圧力を加えるステップは、圧縮性発泡体の第1の外側面に直接、圧縮性発泡体を含むメッシュの第1の面の反対側のメッシュの第2の面に間接的に、又は両方とも、生物学的組織と接触して圧力を加えることとを含んでもよい。
【0172】
いくつかの実施形態では、圧縮性発泡体の一部に圧力を加えるステップは、生体組織と接触している圧縮性発泡体の外面に直接圧力を加えることを含んでもよい。圧力は、圧縮性発泡体の長手方向軸に対して概ね垂直な角度位置で、圧縮性発泡体の長手方向軸に対して約15°~約75°の範囲の角度で、又は圧縮性発泡体の第1の外面にわたって圧力を摺動させることにより、発泡体に直接加えられてもよい。
【0173】
いくつかの実施形態では、生体組織と接触して圧縮性発泡体の一部に圧力を加えるステップは、圧縮性発泡体を含むメッシュの第1の面の反対側のメッシュの第2の面に間接的に、メッシュ(又は圧縮性発泡体)の長手方向軸に対して概して垂直な角度位置で、メッシュ(又は圧縮性発泡体)の長手方向軸に対して約15°~約75°の範囲の角度で、又はメッシュの第2の面にわたって圧力を摺動させることにより、圧力を加えることを含んでもよい。
【0174】
図15Aに示されるように、いくつかの実施形態では、挿入後、複合インプラント10は、軟組織65内の創傷又は開口部60にわたって配向されることができ、圧縮性発泡体は、第1の構成において、軟組織65に面し、メッシュ22の第2の反対面は、創傷60及び軟組織65から離れて面する。複合インプラントは、第1の構成の圧縮性発泡体がその中に配置されるため、非活性状態のグリップ部材を含む。
【0175】
図15Bに示すように、医療スタッフ又は外科医は、自身の手又は手術器具でメッシュ20の第2の面22に圧力を加えて、メッシュ20の反対側の圧縮性発泡体30を湿潤組織に押し込み、第2の構成に移行又は圧縮させることができる。加えて、メッシュ20の第2の面22に加えられる圧力は、グリップ部材を作動させ、グリップ部材をメッシュの第1の面から延ばし、第2の構成における圧縮性発泡体30の外側面を通過させてもよい。
【0176】
図15C及び
図15Dは、
図15Bの活性化されたグリップ部材が、単独で、又は第2の構成における発泡体30の溶解と組み合わせて、複合インプラント10の組織65への付着を引き起こすことを示す。
【0177】
図15Eは、
図153Dの組織から完全に除去された後の複合インプラント10を示す。図示のように、圧縮性発泡体の大部分は、インプラントの半分以上のグリップ部材に依然として固定されている。発泡体がもはやグリップ部材に固定されていない複合インプラント10の唯一の部分は、組織に付着する前にグリップ部材を作動させるために生体組織と接触して間接的に圧力が加えられたインプラントの同じ部分を表す。
【0178】
いくつかの実施形態では、圧力を加えるステップは更に、複合インプラントを配向する前に、圧縮性発泡体の第1の部分のみに圧力を加えて、第1の構成から第2の構成に移行させることと、複合インプラントを配向した後に、圧縮性発泡体の第2の異なる部分に圧力を加えて、第2の構成の発泡体の第1の部分が、その上に配置されたグリップ部材を組織に付着させて、第1の部分を定位置に係留する一方で、複合インプラントの残りの部分は、適切な配向のために調節又は再調節されることとを含んでもよい。
【0179】
一旦複合インプラントが適切に配向され、第2の構成の圧縮性発泡体を含むグリップ部材が周囲組織に取り付けられると、修復の方法は、縫合糸、ステープル、接着剤、鋲等の好適な外科用締結具を用いて、創傷の周囲の組織に移植可能なメッシュを締結することと、切開部を閉じること、又はその両方を行うことと、を更に含んでもよい。
【0180】
図16は、圧縮性発泡体の溶解後、残りのメッシュのグリップ能力が、全く被覆されていない自己固定メッシュのグリップ能力に匹敵することを示す。
【0181】
図17A及び
図17Bは、圧縮性発泡体の高レベルの相互接続孔76を示す。
図17Aは、高レベルの相互接続孔76に起因して、圧縮性発泡体30の任意の部分が指75で容易に圧縮されて、
図17Bに示されるような第2の構成に移行することを示す。
図17A及び
図17Bの両方において、第2の構成における発泡体30は、グリップ部材25を間接的に露出させ、不均一なテクスチャ面を形成する。
【実施例】
【0182】
本開示の複合インプラントの実施形態には、様々な修正が行われ得ることが理解されるであろう。したがって、上記の説明は、限定するものとして解釈されるべきではなく、単に実施形態の例示として解釈されるべきである。当業者であれば、本開示の範囲及び趣旨内での他の改変を想定するであろう。
実施例1
【0183】
国際公開第01/81667号に記載されているように、15×10cm2のサイズ(矩形形状)又は12×8cm2のサイズ(解剖学的形状)を有し、メッシュの第1の面から延びる複数のグリップ部材を含む移植可能な外科用メッシュを提供した。グリップ部材は、ポリ乳酸(PLA)などの生体吸収性材料で作られたモノフィラメント糸から製造される。
【0184】
乾燥した圧縮性発泡体の形態の発泡体層を、移植可能なメッシュのグリップ部材と組み合わせて、以下の方法で複合インプラントを形成した。
1)湿潤発泡体を形成するための生理学的条件下での可溶性物質の水溶液の調製:
5.0重量%のヒドロキシプロピルメチルセルロースと2.5重量%のグリセロールを以下のように調製した。
【0185】
使用したヒドロキシプロピルメチルセルロースは、28~30パーセントのメトキシル含量、7~12パーセントのヒドロキシプロピル含量、及び約50MPa.s-1の粘度を有していた。使用したヒドロキシプロピルメチルセルロースは、The Shinetsu CompanyからMETOLOSE(登録商標)60 SHの商標で市販されていた。使用したグリセロールは、The Merck CompanyからEMPROVE(登録商標)exp無水グリセロールの商標で市販されていた。
【0186】
最初に、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを加熱滅菌水(80℃)中に分散させて、HPMC水性分散液を形成した。グリセロールをHPMC水性分散液に添加し、室温で2時間冷却した。水溶液を発泡ステップまで4℃に維持した。4℃での水溶液の動的粘度η0(0剪断速度)は、約2Pa.s-1であった。水溶液の動的粘度を、TA Instruments Company製のDHR2レオメータで記録した。溶液の動的粘度を決定するために、40mm、2.019°円錐スチールプレートを用いて、フローランプ手順を溶液に適用した(初期剪断速度0.01Hz~最終剪断速度1000Hz)。Carreau-Yasudaフィットを使用して、0速度粘度値を決定した。
2)湿潤非流動発泡体材料の調製。
【0187】
先のステップで得られた水溶液をミキサボウルに注いだ。溶液を室温で15分間泡立てて、水溶液中に気泡を導入した。気泡の取り込みに続いて、「非流動」湿潤発泡体材料が形成された。湿潤発泡体材料の湿潤発泡体密度は、約0.30g/cm3であった。湿潤発泡体密度は、185mLのガラス容器を満たすのに必要な湿潤発泡体の重量から決定した。
3)プロテーゼ布のグリップを覆う。
【0188】
ステップ2)の湿潤非流動性発泡体材料を、厚さ1.0mmのABSフレーム中に、テフロン(登録商標)シート製の平坦な疎水性不活性支持体上にキャストした。湿潤非流動性発泡体材料を、金属棒を使用して型の上部にわたって平坦化して、一貫した発泡体厚さを提供した。次に、キャストされ平坦化された湿潤非流動発泡体材料を含有するフレームを強制空気オーブン(50℃/5分)に入れて、湿潤発泡体を部分的に固化又は硬化させた。移植可能なメッシュを、グリップ部材が湿潤発泡体に向かって下向きになるように、湿潤非流動発泡体の上部外面上に置いた。
4)湿潤発泡体/プロテーゼ布を乾燥させる。
【0189】
メッシュ/湿潤発泡体の組み合わせを強制空気オーブン(50℃/2時間)で乾燥させた。生体吸収性グリップ部材、すなわちPLAグリップ部材を有し、第1の構成の乾燥圧縮性発泡体の層で少なくとも表面が覆われ、第1の厚さを有する複合インプラントが得られた。発泡体表面密度は2.1mg/cm2に等しかった。乾燥した発泡体は布質量の22%を占めた。
実施例2
【0190】
国際公開第01/81667号に記載されているように、15×10cm2のサイズ(矩形形状)又は12×8cm2のサイズ(解剖学的形状)を有し、メッシュの第1の面から延びる複数のグリップ部材を含む移植可能な外科用メッシュを提供した。グリップ部材は、ポリ乳酸(PLA)などの生体吸収性材料で作られたモノフィラメント糸から製造される。移植可能な外科用メッシュを水で洗浄して、糸の表面の残留油を除去した。
【0191】
乾燥した圧縮性発泡体の形態の発泡体層を、移植可能なメッシュのグリップ部材と組み合わせて、以下の方法で複合インプラントを形成した。
1)湿潤発泡体を形成するための生理学的条件下での可溶性物質の水溶液の調製:
5.0重量パーセントのヒドロキシプロピルメチルセルロース及び2.5重量パーセントのグリセロールを含有する水溶液を、以下のように調製した。
【0192】
使用したヒドロキシプロピルメチルセルロースは、28~30パーセントのメトキシル含量、7~12パーセントのヒドロキシプロピル含量、及び約50MPa.s-1の粘度を有していた。使用したヒドロキシプロピルメチルセルロースは、The Shinetsu CompanyからMETOLOSE(登録商標)60 SHの商標で市販されていた。使用したグリセロールは、The Merck CompanyからEMPROVE(登録商標)exp無水グリセロールの商標で市販されていた。
【0193】
最初に、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを加熱滅菌水(80℃)中に分散させて、HPMC水性分散液を形成した。グリセロールをHPMC水性分散液に添加し、室温で2時間冷却した。水溶液を発泡ステップまで4℃に維持した。4℃における水溶液の動的粘度η0(0剪断速度)は、約2Pa・s-1であった。水溶液の動的粘度を、TA Instruments Company製のDHR2レオメータで記録した。溶液の動的粘度を決定するために、40mm、2.019°円錐スチールプレートを用いて、フローランプ手順を溶液に適用した(初期剪断速度0.01Hz~最終剪断速度1000Hz)。Carreau-Yasudaフィットを使用して、0速度粘度値を決定した。
2)湿潤非流動発泡体材料の調製。
【0194】
先のステップで得られた水溶液をミキサボウル(BOSCH社製Kitchen machine MUM 5)に注いだ。溶液を室温で15分間泡立てて、水溶液中に気泡を導入した。気泡の取り込みに続いて、「非流動」湿潤発泡体材料が形成された。湿潤発泡体材料の湿潤発泡体密度は、約0.30g/cm3であった。湿潤発泡体密度は、185mLのガラス容器を満たすのに必要な湿潤発泡体の重量から決定した。
3)プロテーゼ布のグリップを覆う。
【0195】
ステップ2)の湿潤非流動性発泡体材料を、厚さ1.5mmの金属フレーム内に、テフロン(登録商標)シート製の平坦な疎水性不活性支持体上にキャストした。湿潤非流動性発泡体材料を、金属棒を使用して型の上部にわたって平坦化して、一貫した発泡体厚さを提供した。次に、キャストされ平坦化された湿潤非流動発泡体材料を含有するフレームを強制空気オーブン(50℃/5分)に入れて、湿潤発泡体を部分的に固化又は硬化させた。移植可能なメッシュを、グリップ部材が湿潤発泡体に向かって下向きになるように、湿潤非流動発泡体の上部外面上に置いた。
4)湿潤発泡体/プロテーゼ布を乾燥させる。
【0196】
メッシュ/湿潤発泡体の組み合わせを強制空気オーブン(50℃/2時間)で乾燥させた。第1の構成の乾燥圧縮性発泡体の層で完全に覆われ、第1の厚さを有する生体吸収性グリップ部材、すなわちPLAグリップ部材を有する複合インプラントが得られた。発泡体表面密度は3.0mg/cm2に等しかった。乾燥発泡体は布質量の28%に相当した。
5)複合インプラントの滅菌。
【0197】
複合インプラントをEtOサイクル(38℃で5時間、ΔP=400mBar)で滅菌した。
【0198】
グリップ強度試験は、1)被覆されていない自己固定メッシュ(GT9)、2)圧縮性発泡体(実施例1のGT9/HPMC発泡体)で表面的に被覆されたグリップ部材を含む自己固定メッシュを含む、本明細書に記載の第1の複合インプラント、3)圧縮性発泡体(実施例2のGT9/HPMC発泡体)で完全に覆われたグリップ部材を含む自己固定メッシュを含む、本明細書に記載される第2の複合インプラントを比較して実行された。圧縮性発泡体のそれぞれは、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)を含む。
【0199】
試験を行うために使用される装置は、50Nロードセルを備えた一軸試験機Instron 5965である。
【0200】
図19Aは、GT9被覆されていないメッシュと、実施例1のHPMC発泡体で表面的に被覆された第1の複合インプラントとを除去するのに必要な力を比較する。それぞれについての除去力を、展開に関して最初に測定した、すなわち、展開直後、展開1分後、及び展開5分後に測定した。低い圧縮力を水和複合インプラントに適用することによって展開をシミュレートした。低圧縮力は、インプラントの固定を開始するための力を意図的に加えることなく、手術部位にインプラントを配置することをシミュレートすることを意図したものであった。示されるように、展開後、実施例1の第1の複合インプラントは、HPMC発泡体によってグリップ部材による組織への付着が防止されたことから、被覆されていないGT9メッシュと比較してより小さい除去力を必要とした。
【0201】
GT9被覆されていないメッシュ及びHPMC発泡体で表面的に被覆された実施例1の第1の複合インプラントの両方についての除去力も、固定に関して、すなわち、固定直後、固定1分後、及び固定5分後に測定した。固定は、水和複合インプラントに高圧縮力を加えることによってシミュレートした。高い圧縮力は、インプラントを組織に固定することをシミュレートすることが意図された。示されるように、実施例1の第1の複合インプラントは、固定後に除去されるために、GT9被覆されていないメッシュよりも小さい力を最初に必要とした。しかし、経時的に、実施例1の第1の複合インプラントは、固定後に除去されるために、それ以上ではないとしても、同じ力を必要とした。
【0202】
展開後の除去のためにより小さい初期力を必要とすることと、固定後にGT9の被覆されていないメッシュ以上の力を必要とすることとの組み合わせは、医療スタッフ又は外科医が、固定時に実施例1の第1の複合インプラントの全強度を弱めることなく、展開後に実施例1の第1の複合インプラントを挿入し、次いで場合によっては再配置することをより容易にする。
【0203】
更に示されるように、圧縮性発泡体の大部分、すなわち50%超が、固定の5分以内に溶解した。
【0204】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される複合インプラントは、展開後に4N未満の除去力及び/又は自己固定後に4Nを超える除去力を必要とするように構成されてもよい。
【0205】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される複合インプラントは、展開の5分以内に4N未満の除去力及び/又は自己固定の5分以内に4Nを超える除去力を必要とするように構成されてもよい。
【0206】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される複合インプラントは、展開後に3N未満の除去力及び/又は自己固定後に6Nを超える除去力を必要とするように構成されてもよい。
【0207】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される複合インプラントは、展開の5分以内に3N未満の除去力及び/又は自己固定の5分以内に6Nを超える除去力を必要とするように構成されてもよい。
【0208】
図19Bは、被覆されていないGT9メッシュと、HPMC発泡体で完全に被覆された実施例2の第2の複合インプラントとを除去するのに必要な力を比較する。それぞれについての除去力を、再配置に関して最初に測定した(すなわち、再配置直後、再配置1分後、及び再配置5分後に測定した)。示されるように、再配置後、実施例2の第2の複合インプラントは、HPMC発泡体によってグリップ部材による組織への付着が防止されたことから、被覆されていないGT9メッシュと比較してより小さい除去力を必要とし、少なくとも5分間これを維持した。
【0209】
GT9被覆されていないメッシュ及びHPMC発泡体で完全に被覆された実施例2の第2の複合インプラントの両方についての除去力も、固定に関して、すなわち、固定直後、固定1分後、及び固定5分後に測定した。示されるように、実施例2の第2の複合インプラントは、固定後少なくとも5分間除去されるために、GT9被覆されていないメッシュよりも少ない力を必要とした。経時的に、第2の複合インプラントは、最終的に、固定後に除去されるために、GT9被覆されていないメッシュと同じ(それ以上ではないとしても)力を必要とすることが想定される。
【0210】
再配置の間、並びに固定後5分以内に、より小さい除去力を要求及び/又は維持することの組み合わせは、固定後長期間にわたって第2の複合材の全強度を弱めることなく、医療スタッフ又は外科医が第2の複合インプラントを再配置する時間を最大化する。
【0211】
図示されるように、圧縮性発泡体の大部分、すなわち50%超が固定の5分以内に溶解した。
更に示されるように、複合インプラントは、インプラントが覆われていない自己固定メッシュと同様に組織をグリップし始める前に、インプラントの展開及び/又は再配置のために約5分を提供する。
実施例3
【0212】
国際公開第01/81667号に記載されているように、15×10cm2のサイズ(矩形形状)又は12×8cm2のサイズ(解剖学的形状)を有し、メッシュの第1の面から延びる複数のグリップ部材を含む移植可能な外科用メッシュを提供した。グリップ部材は、ポリ乳酸(PLA)などの生体吸収性材料で作られたモノフィラメント糸から製造される。移植可能な外科用メッシュを水で洗浄して、糸の表面の残留油を除去した。
【0213】
乾燥した圧縮性発泡体の形態の発泡体層を、移植可能なメッシュのグリップ部材と組み合わせて、以下の方法で複合インプラントを形成した。
1)湿潤発泡体を形成するための生理学的条件下での可溶性物質の水溶液の調製:
2.5重量%のヒドロキシプロピルメチルセルロース、2.0重量%のヒアルロン酸ナトリウム及び2.0重量%のグリセロールを含有する水溶液を以下のように調製した。
【0214】
使用したヒドロキシプロピルメチルセルロースは、28~30パーセントのメトキシル含量、7~12パーセントのヒドロキシプロピル含量、及び約3MPa.s-1の粘度を有していた。使用したヒドロキシプロピルメチルセルロースは、The Shinetsu CompanyからPHARMACOAT(登録商標)603の商標で市販されていた。使用したグリセロールは、The Merck CompanyからEMPROVE(登録商標)exp無水グリセロールの商標で市販されていた。使用したヒアルロン酸ナトリウムは、1.02m3/Kgの固有粘度を有していた。使用したヒアルロン酸ナトリウムは、HTL Biotechnology社によって提供された。
【0215】
最初に、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを加熱滅菌水(80℃)中に分散させて、HPMC水性分散液を形成した。グリセロールをHPMC水性分散液に添加し、室温で2時間冷却した。次いで、ヒアルロン酸ナトリウムをHPMCGlycerol溶液に添加し、溶液を室温で16時間混合した。20℃での水溶液の動的粘度η0(0剪断速度)は、約9Pa.s-1であった。水溶液の動的粘度を、TA Instruments Company製のDHR2レオメータで記録した。溶液の動的粘度を決定するために、40mm、2.019°円錐スチールプレートを用いて、フローランプ手順を溶液に適用した(初期剪断速度0.01Hz~最終剪断速度1000Hz)。Carreau-Yasudaフィットを使用して、0速度粘度値を決定した。
2)湿潤非流動発泡体材料の調製。
【0216】
先のステップで得られた水溶液をミキサボウル(Kenwood社製Kitchen machine Cooking Chef)に注いだ。溶液を室温で2分間泡立てて、水溶液中に気泡を導入した。気泡の取り込みに続いて、「非流動」湿潤発泡体材料が形成された。湿潤発泡体材料の湿潤発泡体密度は、約0.26g/cm3であった。湿潤発泡体密度は、185mLのガラス容器を満たすのに必要な湿潤発泡体の重量から決定した。
3)プロテーゼ布のグリップを覆う。
【0217】
ステップ2)の湿潤非流動性発泡体材料を、厚さ1.5mmの金属フレーム内に、テフロン(登録商標)シート製の平坦な疎水性不活性支持体上にキャストした。湿潤非流動性発泡体材料を、金属棒を使用して型の上部にわたって平坦化して、一貫した発泡体厚さを提供した。移植可能なメッシュを、グリップ部材が湿潤発泡体に向かって下向きになるように、湿潤非流動発泡体の上部外面の上に置いた。
4)湿潤発泡体/プロテーゼ布を乾燥させる。
【0218】
次に、移植可能なメッシュ及び湿潤非流動発泡体材料を含有するフレームをオーブン(28℃/相対湿度35%)に入れた。メッシュ/湿潤発泡体の組み合わせを16時間乾燥させた(28℃/35%相対湿度)。生体吸収性グリップ部材、すなわちPLAグリップ部材を有し、第1の構成の乾燥圧縮性発泡体の層で少なくとも表面が覆われ、第1の厚さを有する複合インプラントが得られた。発泡体表面密度は3.5mg/cm2に等しかった。乾燥発泡体は布質量の33%に相当した。
5)複合インプラントの滅菌。
【0219】
複合インプラントをEtOサイクル(38℃で5時間、ΔP=400mBar)で滅菌した。
実施例4
【0220】
国際公開第01/81667号に記載されているように、15×10cm2のサイズ(矩形形状)又は12×8cm2のサイズ(解剖学的形状)を有し、メッシュの第1の面から延びる複数のグリップ部材を含む移植可能な外科用メッシュを提供した。グリップ部材は、ポリ乳酸(PLA)などの生体吸収性材料で作られたモノフィラメント糸から製造される。移植可能な外科用メッシュを水で洗浄して、糸の表面の残留油を除去した。
【0221】
乾燥した圧縮性発泡体の形態の発泡体層を、移植可能なメッシュのグリップ部材と組み合わせて、以下の方法で複合インプラントを形成した。
1)湿潤発泡体を形成するための生理学的条件下での可溶性物質の水溶液の調製:
2.5重量パーセントのコラーゲン、及び0.25重量パーセントのグリセロールを含有する水溶液を以下のように調製した。
【0222】
使用したコラーゲンは、The Sofradim Production社によって商標CPPの下で提供された。
【0223】
まず、コラーゲン及びグリセロールを加熱滅菌水(30℃)に注いだ。溶液を30℃で4時間混合した。水溶液の30℃での動的粘度η0(0剪断速度)は、約22Pa.s-1であった。水溶液の動的粘度を、TA Instruments Company製のDHR2レオメータで記録した。溶液の動的粘度を決定するために、40mm、2.019°円錐スチールプレートを用いて、フローランプ手順を溶液に適用した(初期剪断速度0.01Hz~最終剪断速度1000Hz)。Carreau-Yasudaフィットを使用して、0速度粘度値を決定した。
2)湿潤非流動発泡体材料の調製。
【0224】
先のステップで得られた水溶液をミキサボウル(Kenwood社製Kitchen machine Cooking Chef)に注いだ。溶液を30℃で2分間泡立てて、水溶液中に気泡を導入した。気泡の取り込みに続いて、「非流動」湿潤発泡体材料が形成された。湿潤発泡体材料の湿潤発泡体密度は、約0.23g/cm3であった。湿潤発泡体密度は、185mLのガラス容器を満たすのに必要な湿潤発泡体の重量から決定した。
3)プロテーゼ布のグリップを覆う。
【0225】
ステップ2)の湿潤非流動性発泡体材料を、厚さ1.5mmの金属フレーム内に、テフロン(登録商標)シート製の平坦な疎水性不活性支持体上にキャストした。湿潤非流動性発泡体材料を、金属棒を使用して型の上部にわたって平坦化して、一貫した発泡体厚さを提供した。移植可能なメッシュを、グリップ部材が湿潤発泡体に向かって下向きになるように、湿潤非流動発泡体の上部外面の上に置いた。
4)湿潤発泡体/プロテーゼ布を乾燥させる。
【0226】
次に、移植可能なメッシュ及び湿潤非流動発泡体材料を含有するフレームをオーブン(20℃/相対湿度40%)に入れた。メッシュ/湿潤発泡体の組み合わせを16時間乾燥させた(20℃/40%相対湿度)。生体吸収性グリップ部材、すなわちPLAグリップ部材を有し、第1の構成の乾燥圧縮性発泡体の層で少なくとも表面が覆われ、第1の厚さを有する複合インプラントが得られた。発泡体表面密度は1.3mg/cm2に等しかった。乾燥発泡体は布質量の14%に相当した。
5)複合インプラントの滅菌。
【0227】
複合インプラントは滅菌しなかった。
実施例5
【0228】
国際公開第01/81667号に記載されているように、15×10cm2のサイズ(矩形形状)又は12×8cm2のサイズ(解剖学的形状)を有し、メッシュの第1の面から延びる複数のグリップ部材を含む移植可能な外科用メッシュを提供した。グリップ部材は、ポリ乳酸(PLA)などの生体吸収性材料で作られたモノフィラメント糸から製造される。移植可能な外科用メッシュを水で洗浄して、糸の表面の残留油を除去した。
【0229】
乾燥した圧縮性発泡体の形態の発泡体層を、移植可能なメッシュのグリップ部材と組み合わせて、以下の方法で複合インプラントを形成した。
1)湿潤発泡体を形成するための生理学的条件下での可溶性物質の水溶液の調製:
2.5重量パーセントのコラーゲン、及び0.25重量パーセントのグリセロールを含有する水溶液を以下のように調製した。
【0230】
使用したコラーゲンは、The Sofradim Production社によって商標CPPの下で提供された。
【0231】
まず、コラーゲン及びグリセロールを加熱滅菌水(30℃)に注いだ。溶液を30℃で4時間混合した。動的粘度η30℃での水溶液の0(0剪断速度)は、約22Pa.s-1であった。水溶液の動的粘度を、TA Instruments Company製のDHR2レオメータで記録した。溶液の動的粘度を決定するために、40mm、2.019°円錐スチールプレートを用いて、フローランプ手順を溶液に適用した(初期剪断速度0.01Hz~最終剪断速度1000Hz)。Carreau-Yasudaフィットを使用して、0速度粘度値を決定した。
2)湿潤非流動発泡体材料の調製。
【0232】
先のステップで得られた水溶液をミキサボウル(Kenwood社製Kitchen machine Cooking Chef)に注いだ。溶液を30℃で2分間泡立てて、水溶液中に気泡を導入した。気泡の取り込みに続いて、「非流動」湿潤発泡体材料が形成された。湿潤発泡体材料の湿潤発泡体密度は、約0.23g/cm3であった。湿潤発泡体密度は、185mLのガラス容器を満たすのに必要な湿潤発泡体の重量から決定した。
3)プロテーゼ布のグリップを覆う。
【0233】
ステップ2)の湿潤非流動性発泡体材料を、厚さ1.5mmの金属フレーム内に、テフロン(登録商標)シート製の平坦な疎水性不活性支持体上にキャストした。湿潤非流動性発泡体材料を、金属棒を使用して型の上部にわたって平坦化して、一貫した発泡体厚さを提供した。移植可能なメッシュを、グリップ部材が湿潤発泡体に向かって下向きになるように、湿潤非流動発泡体の上部外面の上に置いた。
4)湿潤発泡体/プロテーゼ布を乾燥させる。
【0234】
次に、移植可能なメッシュ及び湿潤非流動発泡体材料を含有するフレームをオーブン(20℃/相対湿度40%)に入れた。メッシュ/湿潤発泡体の組み合わせを16時間乾燥させた(20℃/40%相対湿度)。生体吸収性グリップ部材、すなわちPLAグリップ部材を有し、第1の構成の乾燥圧縮性発泡体の層で少なくとも表面が覆われ、第1の厚さを有する複合インプラントが得られた。発泡体表面密度は1.3mg/cm2に等しかった。乾燥発泡体は布質量の14%に相当した。発泡体は滅菌しなかった。
5)複合インプラントの滅菌。
【0235】
複合インプラントをEtOサイクル(38℃で5時間、ΔP=400mBar)で滅菌した。
実施例6
【0236】
本明細書に記載の複合インプラントの自己グリップ能を不活性化及び/又は活性化する発泡体の有効性を評価する方法を実施した。具体的には、実施例2~5で提供された複合インプラントのそれぞれの複数の試料を、不活性化グリップ試験単独、又は不活性化グリップ試験の後に不活性化試験の15分以内に活性化グリップ試験のいずれかに個々に曝露して、発泡効率を評価した。結果を
図20に示す。
【0237】
不活性化グリップ試験を低い圧縮下で実施して、実施例2~5で提供された複合インプラントの試料のそれぞれの不活性化グリップ能力を決定した。患者の組織内で複合インプラントを展開すること及び/又は適切に配向することに関連する圧力の量を概ね模倣するために、低い圧縮が使用された。低圧縮下でのグリップ性能を評価する前に、種々の時間長を合格させた。
【0238】
高圧縮下で活性化グリップ試験を実施して、実施例2~5において提供される複合インプラントの試料のそれぞれの活性グリップ能力を決定した。高圧縮は、展開及び/又は適切な配向後に患者の組織に複合インプラントを固定することに関連する圧力の量を概ね模倣するために使用された。インプラントは、高圧縮中及び/又は高圧縮後に活性グリップ部材を介して組織に自己固定する。
【0239】
摩耗試験機(Elcometer(登録商標)1720 Abrasion Tester)を使用して、試料のそれぞれにわたって圧縮、例えば、低圧縮又は高圧縮を加え、Instron(登録商標)万能試験機を使用して、湿潤組織を模倣するように設計された湿潤多孔質基材から各試料を分離、すなわち、グリップ解除した。
【0240】
不活性化グリップ試験:
【0241】
多孔性フィルタなどの多孔性基材(16×12cm)を、より大きな金属プレート(30×12cm)に固定し、その中心に置いた。多孔質基材の厚さは5mmである。
【0242】
多孔質基材は、それに固定された金属プレートの少なくとも一部を含めて、37℃の生理食塩水溶液の浴中に一定時間置くことによって湿潤させた。浴から取り出した後、湿潤基材(及びプレート)を、短時間、浴の上に概ね垂直に基材を保持することによって、過剰な生理食塩水を基材の孔から浴に流し戻した。
【0243】
図21Aに示すように、湿潤多孔質基材90が取り付けられた金属板80を、摩耗試験機92(Elcometer(登録商標)1720 Abrasion Tester)の上面に固定された平面金属支持体84(48×17cm)内に画定された開口部82(30×12cm)内に配置した。テスター92の上面に固定された金属支持体84内に画定された開口部82内に金属板80を入れ子にすることにより、テスター92上の多孔性基板90の繰り返し可能な配置が確実になる。
【0244】
図21B~
図21Cに示すように、(実施例2~5のいずれかの)試料複合インプラント85を湿潤多孔質基材90の上面に配置した後、キャリッジ86をインプラント85の上で垂直位置から水平位置に下降させた。圧縮デバイス94(追加の重りなし)をキャリッジ86に追加し、圧縮デバイス94を含むキャリッジ86をインプラント85にわたって横方向に摺動させて、インプラント85に低い圧縮を加えた。圧縮装置94の重量は約146gであった。キャリッジ86は10の速度に設定され、テスター92上で2サイクルを実行するように設定された。
【0245】
キャリッジ86の横方向移動の終わりに、圧縮装置94をキャリッジ86から取り外し、キャリッジ86を垂直位置に戻した。
【0246】
実施例2~5のそれぞれの試料の第1の群を、低圧縮直後に(T0)試験した。この群の試料を、試料に触れることなく直ちに摩耗試験機から取り出し、Instron(登録商標)万能試験機の下部顎部材に固定した。
【0247】
実施例2~5のそれぞれの試料の第2及び第3の群を、より長い水和時間(それぞれT3分又はT6分)の後に試験した。第2群及び第3群のそれぞれについて、最初の低圧縮の適用後にタイマーを設定した。延長された水和時間の終わりに、摩耗試験機から取り出され、Instron(登録商標)万能試験機の下部顎部材に固定される前に、本明細書の上に記載されるような低い圧縮を各試料に再適用した。
【0248】
Instron(登録商標)試験機において、一対のクラスプを試料の下端に取り付けて、少なくとも2つの細孔柱を把持した。クラスプは、ポリアミド糸を介して、下顎部材の反対側の試験機の上部でロードセルに接続された。ロードセルは、試料が多孔質基材から分離されるまで、すなわち、グリップされなくなるまで、糸を通してクラスプに増加する量の力(N)及び仕事(mJ)を加えた。
【0249】
活性化グリップ試験:
【0250】
多孔性フィルタなどの多孔性基材(16×12cm)を、より大きな金属プレート(30×12cm)に固定し、その中心に置いた。多孔質基材の厚さは5mmである。
【0251】
多孔質基材は、それに固定された金属プレートの少なくとも一部を含めて、37℃の生理食塩水溶液の浴中に一定時間置くことによって湿潤させた。浴から取り出した後、湿潤基材(及びプレート)を、短時間、浴の上に概ね垂直に基材を保持することによって、過剰な生理食塩水を基材の孔から浴に流し戻した。
【0252】
湿潤多孔質基材が取り付けられた金属板を、摩耗試験機(Elcometer(登録商標)1720 Abrasion Tester)の上面に固定された平面金属支持体(48×17cm)内に画定された開口部(30×12cm)内に配置した。テスターの上面に固定された金属支持体内に画定された開口部内に金属板を入れ子にすることにより、テスター上の多孔性基板の繰り返し可能な配置が確実になる。
【0253】
(実施例2~5のいずれかの)試料複合インプラントを湿潤多孔質基材の上面に配置した後、キャリッジをインプラントの上で垂直位置から水平位置に下げた。圧縮デバイス(追加の重りなし)をキャリッジに追加し、圧縮デバイスを含むキャリッジをインプラントにわたって横方向に摺動させて、インプラントに低い圧縮を提供した。圧縮装置の重量は約146gであった。キャリッジ86は10の速度に設定され、テスター92上で2サイクルを実行するように設定された。
【0254】
実施例2~5のそれぞれの試料の第1の群を、低圧縮の直後(T0)に試験した。この群の試料を、試料に触れることなく直ちに摩耗試験機から取り出し、Instron(登録商標)万能試験機の下部顎部材に固定した。
【0255】
実施例2~5のそれぞれの試料の第2の群を、より長い水和時間(T3分)後に試験した。第2群については、低圧縮後にタイマーを設定した。延長された水和時間の終わりに、試料に更なる圧縮を加えないように試料に触れることなく、試料を摩耗試験機から取り出し、Instron(登録商標)万能試験機の下部顎部材に固定した。
【0256】
Instron(登録商標)試験機において、一対のクラスプを試料の下端に取り付けて、少なくとも2つの細孔柱を把持した。クラスプは、ポリアミド糸を介して、下顎部材の反対側の試験機の上部でロードセルに接続された。ロードセルは、試料が多孔質基材から分離されるまで、すなわち、グリップされなくなるまで、糸を通してクラスプに増加する量の力(N)及び仕事(mJ)を加えた。
【0257】
不活性化グリップ試験の後、多孔質基材(それに固定された金属プレートの少なくとも一部を含む)を、37℃の生理食塩水の浴中に一定時間置くことによって湿潤させた。浴から取り出した後、湿潤基材(及びプレート)を、短時間、浴の上に概ね垂直に基材を保持することによって、過剰な生理食塩水を基材の孔から浴に流し戻した。
【0258】
湿潤多孔質基材が取り付けられた金属板を、摩耗試験機(Elcometer(登録商標)1720 Abrasion Tester)の上面に固定された平面金属支持体(48×17cm)内に画定された開口部(30×12cm)内に配置した。テスターの上面に固定された金属支持体内に画定された開口部内に金属板を入れ子にすることにより、テスター上の多孔性基板の繰り返し可能な配置が確実になる。
【0259】
キャリッジを垂直位置からインプラント上の水平位置に下げる前に、試料複合体を湿潤多孔質基材の上面に配置した。圧縮装置(追加の重りなし)をキャリッジに加えた。300gの重り96を圧縮デバイスに加え、重り付き圧縮デバイスを含むキャリッジを、インプラントに対して2回目に横方向に摺動させて、インプラントに高圧縮を提供した(
図21D)。
【0260】
キャリッジの横方向移動の終了時に、重り付き圧縮装置をキャリッジから取り外し、キャリッジを垂直位置に戻した。試料に更なる圧縮を加えないように試料に触れることなく、試料を摩耗試験機から取り出し、Instron(登録商標)万能試験機の下顎部材に固定した。
【0261】
Instron(登録商標)試験機において、一対のクラスプを試料の下端に取り付けて、少なくとも2つの細孔柱を把持した。クラスプは、ポリアミド糸を介して、下顎部材の反対側の試験機の上部でロードセルに接続された。ロードセルは、試料が多孔質基材から分離されるまで、すなわち、グリップされなくなるまで、糸を通してクラスプに増加する量の力(N)及び仕事(mJ)を加えた。
【0262】
結果が
図20に示すように、いくつかの実施形態では、本明細書に記載の複合インプラントは、低圧縮及び/又は高圧縮の適用から6分以内、特に3分以内に、非活性グリップ構成から活性グリップ構成に移行するように構成されてもよい。
【0263】
いくつかの実施形態では、実施例3及び4の複合インプラント(それぞれ、滅菌されていないHA-HPMA発泡体及びコラーゲン発泡体)は、非活性グリップ構成から活性グリップ構成へのより速い移行時間に起因して、開放外科手術手技における使用のために、実施例5の複合インプラント(EtO滅菌コラーゲン)よりも好適であってもよい。
【0264】
代替として、いくつかの実施形態では、実施例5の複合インプラント(EtO滅菌コラーゲン)は、観血外科手術手技よりも長い展開/固定時間を必要とし得る、低侵襲手技における使用のために、実施例3及び4の複合インプラント(それぞれ、滅菌されていないHAHPMA発泡体及びコラーゲン発泡体)よりも好適であってもよい。
本発明は、以下の番号付けされた段落を参照することによって説明され得る。
1.複合インプラントであって、
第1の面と、第1の面に対向する第2面と、を含むメッシュと、
メッシュの第1の面から延びる複数のグリップ部材であって、複数のグリップ部材のそれぞれは、メッシュに付着された第1の端とメッシュから自由な第2の端との間に延びる本体を含む、複数のグリップ部材と、
複数のグリップ部材の少なくとも第2の端を覆う圧縮性発泡体であって、圧縮性発泡体は、圧力が加えられると、第1の厚さを有する第1の発泡体構成から、第1の厚さよりも小さい第2の厚さを有する第2の発泡体構成に移行するように構成されている、圧縮性発泡体と、を含む、複合インプラント。
2.グリップ部材は、第1の発泡体構成において、圧縮性発泡体内に非活性グリップ構成で隠され、第2の発泡体構成において、圧縮性発泡体によって非活性構成で間接的に露出される、段落1に記載の複合インプラント。
3.グリップ部材は、圧縮性発泡体が湿潤すると、非活性グリップ構成から活性グリップ構成に移行するように構成されている、段落1に記載の複合インプラント。
4.第1の構成における圧縮性発泡体は、複数のグリップ部材のそれぞれの本体を更に覆う、段落1に記載の複合インプラント。
5.発泡体の第1の厚さは、複数のグリップ部材のそれぞれの本体の長さ以上である、段落1に記載の複合インプラント。
6.第1の構成における圧縮性発泡体は、複数のグリップ部材のそれぞれの本体の一部のみを更に覆う、段落1に記載の複合インプラント。
7.発泡体の第1の厚さは、複数のグリップ部材のそれぞれの長さよりも小さい、段落6に記載の複合インプラント。
8.第1の構成及び任意選択で第2の構成において、メッシュの第1の面と圧縮性発泡体の第2の面との間に間隙を更に含む、段落1に記載の複合インプラント。
9.メッシュが、スリット、中央開口部、又はその両方のうちの少なくとも1つを更に含み、圧縮性発泡体が、スリット、開口部、又はその両方のうちの少なくとも1つに沿って配置されている、段落1に記載の複合インプラント。
10.複数のグリップ部材は、第1及び第2の発泡体構成の両方において、圧縮性発泡体内に隠され、非活性グリップ構成にある、段落1に記載の複合インプラント。
11.グリップ部材は、圧縮性発泡体内に隠され、第1の発泡体構成において非活性グリップ構成であり、第2の発泡体構成において活性グリップ構成で直接露出される、段落1に記載の複合インプラント。
12.複合インプラントであって、
第1のメッシュ面と、第1のメッシュ面に対向する第2のメッシュ面と、第1のメッシュ面を貫通するスリットと、を有するメッシュと、
第1のフラップ面と、第1のフラップ面の反対側の第2のフラップ面とを含むフラップメッシュであって、フラップメッシュは、スリットを横切って延び、第1のメッシュ面の第1の部分に重なる第2のフラップ面の第1の部分を含む、フラップメッシュと、
第1のメッシュ面の第1の部分又は第2のフラップ面の第1の部分のうちの1つから延びる複数のグリップ部材であって、複数のグリップ部材のそれぞれが、第1の付着端と第2の自由端との間に延びる本体を含む、複数のグリップ部材と、
複数のグリップ部材の少なくとも第2の自由端を覆う圧縮性発泡体であって、圧縮性発泡体は、圧力が加えられると、第1の厚さを有する第1の発泡体構成から、第1の厚さよりも小さい第2の厚さを有する第2の発泡体構成に移行するように構成されている、圧縮性発泡体と、を含む、複合インプラント。
13.軟組織修復の方法であって、
修復を必要とする軟組織における創傷の近くの患者の移植部位に複合インプラントを挿入することであって、複合インプラントは、第1の面及び第1の面の反対側の第2の面を有するメッシュと、メッシュの第1の面から延びる複数のグリップ部材であって、複数のグリップ部材のそれぞれは、メッシュに付着された第1の端とメッシュから自由な第2の端との間に延びる本体を含む、複数のグリップ部材と、複数のグリップ部材の少なくとも第2の端を覆う圧縮性発泡体であって、圧縮性発泡体は、第1の厚さを有する第1の発泡体構成から第1の厚さよりも小さい第2の厚さを有する第2の発泡体構成に移行するように構成され、グリップ部材は、非活性グリップ構成からグリップ構成に移行するように構成される、圧縮性発泡体と、を含む、ことと、
軟組織内の創傷を横切って複合インプラントを展開することと、
圧縮性発泡体の一部に圧力を加えて、第1の発泡体構成から第1の厚さ未満の第2の厚さを有する第2の発泡体構成に移行させ、それによって複数のグリップ部材の少なくとも一部の第2の端を露出させることと、
インプラントを軟組織に固定するために、グリップ部材を非活性グリップ構成から活性グリップ構成に移行させることと、を含む、方法。
14.複合インプラントを挿入する前に患者に切開部を形成することと、任意選択で、切開部を通して複合インプラントを挿入するためにそこにトロカールを配置することとを更に含む、段落13に記載の方法。
15.移植部位に挿入する前に複合インプラントを巻く又は折り畳むことと、移植部位に挿入された後に複合インプラントを展開すること又は折り畳み状態から広げることとを更に含む、段落13に記載の方法。
16.圧縮性発泡体に圧力を加えることは、複合インプラントを巻く又は折り畳むことの前に行われ、複合インプラントは、複数のグリップ部材が、移植部位に挿入されてその中の生理学的流体によって湿潤されるまで、第2の発泡体構成において非活性グリップ構成にあるので、引っ掛かることなく展開するように構成されている、段落15に記載の方法。
17.圧縮性発泡体に圧力を加えることは、圧縮性発泡体の第1の外側面に直接行われる、段落13に記載の方法。
18.圧縮性発泡体に圧力を加えることは、メッシュの第2の面に対して間接的に行われる、段落13に記載の方法。
19.圧縮性発泡体に圧力を加えることは、圧縮性発泡体の長手方向軸に対して概ね垂直な角度で圧力を加えることによって行われる、段落13に記載の方法。
20.圧縮性発泡体に圧力を加えることは、圧縮性発泡体の長手方向軸に対して約15°から約75°の範囲の角度で圧力を加えることによって行われる、段落13に記載の方法。
21.圧縮性発泡体に圧力を加えることは、圧縮性発泡体の第1の外面又はメッシュの第2の面にわたって圧力を摺動させることによって行われる、段落13に記載の方法。
22.第1の構成から第2の構成に移行するために圧縮性発泡体の一部分に圧力を加えることが、複合インプラントを展開する前に発泡体の第1の部分に対して行われ、複合インプラントを展開した後に発泡体の第2の異なる部分に対して行われ、したがって、発泡体の第1の部分は、その上に配置されたグリップ部材が組織に付着して第1の部分を固定することを可能にし、一方、複合インプラントの残りの部分は、適切な配向のために調節又は再調節される、段落13に記載の方法。
23.移植可能なメッシュの少なくとも一部を創傷の周囲の組織に固定することを更に含む、段落13に記載の方法。
24.切開部を閉鎖することを更に含む、段落14に記載の方法。
25.軟組織修復がヘルニア修復である、段落13に記載の方法。
26.複合インプラントを製造する方法であって、
生体適合性ポリマー発泡剤、生体適合性可塑剤、及び溶媒を混合して溶液を形成することと、
溶液をガスと混合して湿潤非流動発泡体材料を形成し、湿潤非流動性発泡体材料を、移植可能なメッシュの第1の面から延びる複数のグリップ部材のそれぞれの少なくとも第2の自由端に適用することと、
湿潤非流動発泡体を乾燥させて、第1の厚さを有する第1の構成の圧縮性発泡体を含む複合インプラントを形成することであって、圧縮性発泡体は、第1の厚さを有する第1の発泡体構成から、第1の厚さよりも小さい第2の厚さを有する第2の発泡体構成に移行するように構成されている、ことと、を含む、方法。
27.生体適合性ポリマー発泡剤が、ゼラチン、コラーゲン、ポロキサマー、ポリソルベート、メチルセルロース(MC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)及びそれらの混合物からなる群から選択される、段落26に記載の複合インプラントを製造する方法。
28.生体適合性ポリマー発泡剤は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースである、段落26に記載の複合インプラントの製造方法。
29.ヒドロキシプロピルメチルセルロースは、1~2.5のメチル置換度を含む、段落28に記載の複合インプラントを製造する方法。
30.生体適合性ポリマー発泡剤は、水溶液の約0.1~約20重量パーセントの範囲の濃度に相当する、段落26に記載の複合インプラントを製造する方法。
31.生体適合性可塑剤は、グリセロール、ソルビトール、キシリトール、マンニトール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、及びそれらの混合物からなる群から選択される、段落26に記載の複合インプラントの製造方法。
32.生体適合性ポリマー可塑剤は、グリセロール、ソルビトール、又はその両方のうちの少なくとも1つである、段落26に記載の複合インプラントを製造する方法。
33.生体適合性可塑剤は、水溶液の約0.5~約40重量パーセントの範囲の濃度に相当する、段落26に記載の複合インプラントを製造する方法。
34.溶媒は、湧水、滅菌水、蒸留水、脱イオン水、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、段落26に記載の複合インプラントを製造する方法。
35.水溶液は、アルギン酸塩、ペクチン、カラギーナン、メチルセルロース(MC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、キサンタンガム、グアーガム、デキストラン、ヒアルロナン、プルラン、マルトデキストリン、ゼラチン、コラーゲン、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール及びそれらの混合物からなる群から選択される生体適合性添加剤を更に含む、段落26に記載の複合インプラントの製造方法。
36.生体適合性添加剤は、メチル置換度が1~2.5であり、ヒドロキシプロピルモル置換が0.1~1であるヒドロキシプロピルメチルセルロースである、段落35に記載の複合インプラントを製造する方法。
37.生体適合性添加剤は、水溶液の約0.1~約10重量パーセントの範囲の濃度に相当する、段落35に記載の複合インプラントを製造する方法。
38.溶液をガスと混合して、湿潤非流動発泡体材料を形成することは、湿潤非流動発泡体材料を形成するために溶液中に気泡を組み込むために溶液を泡立てることを含む、段落26に記載の複合インプラントを製造する方法。
39.湿潤非流動発泡体材料を、移植可能なメッシュの第1の面から延びる複数のグリップ部材のそれぞれの少なくとも第2の自由端に適用することは、湿潤非流動発泡体材料を不活性支持体上に、複数のグリップ部材のそれぞれの少なくとも自由端を覆うのに十分な厚さにキャストすることと、湿潤非流動材料の第1の上面上に、グリップ部材が湿潤非流動材料に面した状態で移植可能なメッシュを配置することとを含む、段落26に記載の複合インプラントを製造する方法。
40.湿潤非流動発泡体材料を乾燥させることは、湿潤非流動発泡体材料をオーブン内で約50℃に加熱することを含む、段落26に記載の複合インプラントを製造する方法。
【国際調査報告】