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特表2024-525578C型肝炎ウイルスのためのP7含有ヌクレオシド-改変されたmRNA-脂質ナノ粒子系統ワクチン
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-12
(54)【発明の名称】C型肝炎ウイルスのためのP7含有ヌクレオシド-改変されたmRNA-脂質ナノ粒子系統ワクチン
(51)【国際特許分類】
   A61K 48/00 20060101AFI20240705BHJP
   A61P 31/14 20060101ALI20240705BHJP
   A61P 37/04 20060101ALI20240705BHJP
   A61K 39/39 20060101ALI20240705BHJP
   A61K 47/14 20170101ALI20240705BHJP
   A61K 9/51 20060101ALI20240705BHJP
   C12N 15/40 20060101ALI20240705BHJP
   A61K 39/29 20060101ALN20240705BHJP
【FI】
A61K48/00
A61P31/14
A61P37/04
A61K39/39
A61K47/14
A61K9/51
C12N15/40 ZNA
A61K39/29
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024500303
(86)(22)【出願日】2022-07-06
(85)【翻訳文提出日】2024-03-04
(86)【国際出願番号】 US2022073463
(87)【国際公開番号】W WO2023283576
(87)【国際公開日】2023-01-12
(31)【優先権主張番号】63/218,685
(32)【優先日】2021-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500429103
【氏名又は名称】ザ トラスティーズ オブ ザ ユニバーシティ オブ ペンシルバニア
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100138210
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 達則
(74)【代理人】
【識別番号】100225598
【弁理士】
【氏名又は名称】桐島 拓也
(72)【発明者】
【氏名】エリン キャスリーン リーガン
(72)【発明者】
【氏名】ドリュー ウェイスマン
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C085
【Fターム(参考)】
4C076AA65
4C076BB15
4C076BB16
4C076BB25
4C076BB27
4C076CC06
4C076CC07
4C076DD44
4C084AA13
4C084MA38
4C084NA14
4C084ZB091
4C084ZB331
4C085AA03
4C085AA38
4C085BA92
4C085CC31
4C085DD62
4C085EE01
4C085EE05
4C085EE06
4C085FF24
4C085GG03
4C085GG04
4C085GG05
4C085GG10
(57)【要約】
発症予防的HCVワクチンを開発すること、及び治療的ワクチンが、慢性的に感染した患者の治療において補助することができるかどうかを決定することの、緊急の必要性が存在する。少なくとも1種の追加のHCV抗原、アジュバント、又はそれらの組合せと一緒に、HCV p7タンパク質をコードしている、ヌクレオシド-改変されたRNA分子を含有する組成物、並びにHCVに対する免疫応答を誘導するためのそれらの使用が、説明される。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象においてC型肝炎ウイルス(HCV)に対する免疫応答を誘導する組成物であって、p7ウイルスタンパク質をコードし、及び更に少なくとも1種のHCV抗原をコードしている少なくとも1個のヌクレオシド-改変されたRNA分子を含有する、組成物。
【請求項2】
前記少なくとも1個のヌクレオシド-改変されたRNA分子が、シュードウリジン又は1-メチル-シュードウリジンを1又は複数含む、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
前記少なくとも1個のヌクレオシド-改変されたRNA分子が、精製されたmRNA分子である、請求項1記載の組成物。
【請求項4】
前記少なくとも1種のHCV抗原が、エンベロープタンパク質E1(E1)、エンベロープタンパク質E2(E2)、及びコアタンパク質(C)からなる群から選択される少なくとも1種のHCV抗原を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項5】
前記ヌクレオシド改変されたRNA分子が、HCV C、E1、E2及びp7をコードしている、請求項1記載の組成物。
【請求項6】
前記mRNA分子が、配列番号:2、配列番号:3、配列番号:4、配列番号:5、配列番号:6、配列番号:7、配列番号:8、配列番号:9、及び配列番号:10からなる群から選択されるDNA配列によりコードされる、請求項5記載の組成物。
【請求項7】
前記組成物が更に、アジュバントを含有する、請求項1記載の組成物。
【請求項8】
前記少なくとも1個のヌクレオシド-改変されたRNA分子が更に、少なくとも1種のアジュバントをコードしている、請求項1記載の組成物。
【請求項9】
前記組成物が、単離されたヌクレオシド-改変されたRNA分子を被包している脂質ナノ粒子(LNP)を含有する、請求項1記載の組成物。
【請求項10】
前記組成物が、ワクチンである、請求項1記載の組成物。
【請求項11】
2種以上のLNPを含有する系統ワクチンであって、ここで各LNPが、p7ウイルスタンパク質をコードし、及び更に少なくとも1種のHCV抗原をコードしている、少なくとも1個のヌクレオシド-改変されたRNA分子を含む、ワクチン。
【請求項12】
前記系統ワクチンの各LNPが、p7ウイルスタンパク質をコードし、及び更に単独の系統の少なくとも1種のHCV抗原をコードしている、ヌクレオシド-改変されたRNA 分子を含む、請求項11記載の系統ワクチン。
【請求項13】
対象へ、p7ウイルスタンパク質をコードし、及び更に少なくとも1種のHCV抗原をコードしている、少なくとも1個のヌクレオシド-改変されたRNA分子を含有する組成物の有効量を投与することを含む、対象におけるC型肝炎ウイルス(HCV)に対する適応免疫応答を誘導する方法。
【請求項14】
前記少なくとも1個のヌクレオシド-改変されたRNA分子が、シュードウリジン又は1-メチル-シュードウリジンを1又は複数含む、請求項13記載の方法。
【請求項15】
前記少なくとも1個のヌクレオシド-改変されたRNA分子が、精製されたmRNA分子である、請求項13記載の方法。
【請求項16】
前記少なくとも1種のHCV抗原が、エンベロープタンパク質E1(E1)、エンベロープタンパク質E2(E2)、及びコアタンパク質(C)からなる群から選択される少なくとも1種のHCV抗原を含む、請求項13記載の方法。
【請求項17】
前記ヌクレオシド改変されたRNA分子が、HCV C、E1、E2及びp7をコードしている、請求項13記載の方法。
【請求項18】
前記mRNA分子が、配列番号:2、配列番号:3、配列番号:4、配列番号:5、配列番号:6、配列番号:7、配列番号:8、配列番号:9、及び配列番号:10からなる群から選択されるDNA配列によりコードされる、請求項13記載の方法。
【請求項19】
前記組成物が更に、アジュバントを含有する、請求項13記載の方法。
【請求項20】
前記少なくとも1個のヌクレオシド-改変されたRNA分子が更に、少なくとも1種のアジュバントをコードしている、請求項13記載の方法。
【請求項21】
前記組成物が、単離されたヌクレオシド-改変されたRNA分子を被包している脂質ナノ粒子(LNP)を含有する、請求項13記載の方法。
【請求項22】
前記方法が更に、アジュバントの有効量を対象へ投与することを含む、請求項13記載の方法。
【請求項23】
前記組成物が、皮内、皮下、吸入、鼻腔内、及び筋肉内からなる群から選択される送達経路により投与される、請求項13記載の方法。
【請求項24】
前記方法が、本組成物の単回投与を含む、請求項13記載の方法。
【請求項25】
本方法が、本組成物の複数回投与を含む、請求項13記載の方法。
【請求項26】
前記方法が、対象において、HCVに関連した感染症、疾患、又は障害を治療又は予防する、請求項13記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2021年7月6日に出願された米国特許仮出願第63/218,685号の優先権を主張するものであり、この出願はその全体が引用により本明細書中に組み込まれている。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
C型肝炎ウイルス(HCV)感染症は、米国だけでもかなりの臨床上の負担があり、世界中で1億6千万人以上が及びアメリカで460万人が罹患し、並びに北米における肝移植手術の主因である。未治療の慢性HCV感染症は、肝硬変、門脈圧亢進症、及び肝細胞癌を生じ得る。インターフェロン-ベースの治療を含む、これまでの治療は、成功率が低く、且つ著しい有害作用がある。新世代の経口抗ウイルス薬療法の出現は、有効性及び認容性の大きな改善に繋がったが、本疾患の予防は、この疾患の負担を管理するための重要な戦略であり続けている。これらの理由のために、発症予防的HCVワクチンを開発すること、並びに治療的ワクチンが慢性的に感染した患者の治療において助けとなり得るかどうかを決定することの、喫緊の必要性が存在する。
【0003】
治癒療法の現在の標準は、直接作用する抗ウイルス薬(DAA)、ウイルスNS3/4Aプロテアーゼ、NS5A、もしくはNS5Bポリメラーゼの薬理阻害剤の組合せによる治療を含み、全体的治療効率は90%を超える。この進歩にもかかわらず、これらの治療に対するウイルス耐性が臨床的に認められ、且つ治療不成功に関連づけられている。世界中でほとんどの感染した個体は、自身の感染状態に気がつかず、他者を感染し続けることがあり、及び治療は治癒後の再感染を防ぐことができない。これらの新規療法の高い経費及び多数のHCV-感染した個体は、先進国内であっても、ヘルスケアシステムが、全ての患者を治療する余裕がないことを意味する。この制限は、開発途上国において更により顕著である。従って、急性又は慢性HCV感染症を予防するワクチンの開発が必須である。
【発明の概要】
【0004】
従って、当該技術分野において、改善されたC型肝炎ウイルス(HCV)ワクチンの必要性が存在する。本発明は、この必要性に対処している。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図面の簡単な説明
以下の本発明の実施態様の詳細な説明は、添付された図面と結びつけて読む場合、より良く理解されるであろう。本発明は、これらの図面に示された実施態様の正確な配置及び手段に限定されないことは理解されなければならない。
図1-1】図1Aから図1Cは、p7タンパク質を伴う又は伴わないmRNA構築体のインビトロ試験及びウイルスタンパク質発現を明らかにしている、例証的実験の結果を描いている。図1Aは、これらの構築体デザインを描いている。図1Bは、様々な細胞株の溶解液中の遺伝子の発現を描いている。p7タンパク質は、ウェスタンブロットを用いて可視化されるには、余りにも小さかった。
図1-2】図1Aから図1Cは、p7タンパク質を伴う又は伴わないmRNA構築体のインビトロ試験及びウイルスタンパク質発現を明らかにしている、例証的実験の結果を描いている。図1Cは、予備実験において分泌されたウイルスタンパク質は、可視化されないことを明らかにするデータを描いている。
図2図2は、免疫原性試験デザインを描いている。
図3-1】図3Aから図3Cは、抗体の結合を明らかにする、例証的実験の結果を描いている。図3Aは、-p7、+p7、及びsE2構築体は、良好な自己結合を誘発する抗体を産生したことを明らかにするデータを描いている。
図3-2】図3Aから図3Cは、抗体の結合を明らかにする、例証的実験の結果を描いている。図3Bは、+p7構築体は、良好な異種結合を誘発する抗体を産生したことを明らかにするデータを描いている。
図3-3】図3Aから図3Cは、抗体の結合を明らかにする、例証的実験の結果を描いている。図3Cは、抗体の異種結合を明らかにするデータを描いている。
図4-1】図4Aから図4Cは、+p7及びsE2構築体による免疫処置は、立体構造エピトープを主に標的化する、広範に反応性の抗体を誘発することを明らかにする、例証的実験の結果を描いている。図4Aは、-p7構築体による免疫処置により産生された抗体は、自己ウイルスタンパク質及び異種ウイルスタンパク質の両方の線状エピトープに主に結合することを明らかにする、例証的実験の結果を描いている。
図4-2】図4Aから図4Cは、+p7及びsE2構築体による免疫処置は、立体構造エピトープを主に標的化する、広範に反応性の抗体を誘発することを明らかにする、例証的実験の結果を描いている。図4Bは、+p7構築体による免疫処置により産生された抗体は、自己ウイルスタンパク質の事実上全ての線状エピトープ、及び異種ウイルスタンパク質の立体構造エピトープに結合することを明らかにする例証的実験の結果を描いている。
図4-3】図4Aから図4Cは、+p7及びsE2構築体による免疫処置は、立体構造エピトープを主に標的化する、広範に反応性の抗体を誘発することを明らかにする、例証的実験の結果を描いている。図4Cは、sE2構築体による免疫処置により産生された抗体は、自己ウイルスタンパク質の線状エピトープのみ、及び異種ウイルスタンパク質の主に立体構造エピトープに結合することを明らかにする例証的実験の結果を描いている。
図5-1】図5A及び図5Bは、中和抗体の産生を明らかにする、例証的実験の結果を描いている。図5Aは、+p7構築体による免疫処置は、自己中和抗体を誘発したことを明らかにするデータを描いている。
図5-2】図5A及び図5Bは、中和抗体の産生を明らかにする、例証的実験の結果を描いている。図5Aは、+p7構築体による免疫処置は、自己中和抗体を誘発したことを明らかにするデータを描いている。
図5-3】図5A及び図5Bは、中和抗体の産生を明らかにする、例証的実験の結果を描いている。図5Bは、どの群も、異種中和抗体を誘発するようにはみえないことを明らかにするデータを描いている。
図5-4】図5A及び図5Bは、中和抗体の産生を明らかにする、例証的実験の結果を描いている。図5Bは、どの群も、異種中和抗体を誘発するようにはみえないことを明らかにするデータを描いている。
図6-1】図6は、広範に中和する抗体の誘導を検出する免疫原性試験のための、例証的実験デザインを描いている。
図6-2】図6は、広範に中和する抗体の誘導を検出する免疫原性試験のための、例証的実験デザインを描いている。
図7図7Aから図7Cは、p7を含むことは、ウイルスタンパク質のより高い発現に繋がることを明らかにする例証的実験の結果を描いている。図7Aは、-p7由来のC、E1、及びE2のウェスタンブロット(WB)を描いており、これはウイルスタンパク質は、予想されたサイズで発現されたことを示している。図7Bは、E1+/-p7の半定量的WBを描いており、これはピーク発現は、24時間であることを示している。図7Cは、+/-p7溶解液のELISAからのデータを描いており、これは+p7溶解液中には、-p7よりも有意に高いCタンパク質が存在することを明らかにしている。
図8図8Aから図8Cは、ウイルスタンパク質は、+/-p7で分泌され、並びに濃縮され得ることを明らかにする、例証的実験の結果を描いている。図8Aは、タンパク質が、上清中に分泌され、72時間でピークに達したことを示す、生上清の定量的WB(qWB)を描いている。図8Bは、E1E2ヘテロ二量体の生成を示す、+p7上清の定量的WBを描いている。図8Cは、E1E2ヘテロ二量体の生成を示している、+/-p7上清の定量的WBを描いている。
図9図9は、p7の免疫原性に対する効果を試験するためのデザインを示す図式を描いている。
図10図10は、-p7及び+p7の両方は、多機能性CD4 CD8 T細胞反応を誘発することを明らかにしている、データを描いている。対照的に、sE2は、機能性CD4又はCD8反応を、誘発しなかった。
図11図11は、インビボにおける免疫原性に対するp7の効果を試験するための、試験のデザインを示す、図式を描いている。
図12図12は、p7を含むことは、異種立体構造エピトープのより高い結合に繋がることを明らかにする、例証的データを描いている。
図13図13は、p7を含むことは、はるかに広範な抗体結合に繋がることを明らかにする、例証的データを描いている。
図14図14は、p7を含むことは、より良い全体的中和に繋がることを明らかにする、例証的データを描いている。
図15図15は、p7を含むことは、多様なHCVバリアントのより広範で、より強力な中和を引き起こすことを明らかにする、例証的データを描いている。
【発明を実施するための形態】
【0006】
詳細な説明
本発明は、対象における、C型肝炎ウイルス(HCV)に対する免疫応答を誘導する、組成物及び方法に関する。一部の実施態様において、本発明は、HCV p7タンパク質及び少なくとも1種のHCV抗原をコードしている少なくとも1個のヌクレオシド-改変されたRNAを含有する組成物を提供する。例えば一実施態様において、本組成物は、HCV p7タンパク質及び少なくとも1種のHCV抗原をコードしている少なくとも1個のヌクレオシド-改変されたRNAを含有するワクチンであり、ここでこのワクチンは、少なくとも1種のHCV抗原に対し、対象において免疫応答を誘導し、その結果、C型肝炎ウイルスに対し、又はC型肝炎ウイルスに関連した病理に対し、対象において免疫応答を誘導する。一部の実施態様において、このヌクレオシド-改変されたRNAは、HCVのコアタンパク質、HCVのエンベロープE1タンパク質、HCVのエンベロープE2タンパク質の少なくとも1つ、又はそれらの組合せをコードし、並びに更にHCV p7タンパク質をコードしている。一部の実施態様において、このヌクレオシド-改変されたRNAは、HCVコアタンパク質、エンベロープE1タンパク質、エンベロープE2タンパク質、及びHCV p7タンパク質コードしている。一部の実施態様において、少なくとも1個のヌクレオシド-改変されたRNAは、脂質ナノ粒子(LNP)中に被包される。
【0007】
一実施態様において、本発明は、2個以上のヌクレオシド-改変されたRNA分子を含有する系統ワクチン(lineage vaccine)を提供し、ここでこの2個以上のヌクレオシド-改変されたRNA分子は、HCVタンパク質のシーケンシャル系統をコードしている。一実施態様において、本系統ワクチンは、2種以上のLNPの組合せを含有し、ここで各LNPは、HCVコアタンパク質、エンベロープE1タンパク質、エンベロープE2タンパク質、及びHCV p7タンパク質をコードしているヌクレオシド-改変されたRNAを含む。一部の実施態様において、2種以上のLNPは、HCVに対する免疫応答を誘導するために、対象へ逐次投与される。
【0008】
一部の実施態様において、本発明は、HCVコアタンパク質、エンベロープE1タンパク質、エンベロープE2タンパク質、及びHCV p7タンパク質をコードしているヌクレオシド-改変されたRNAを含む少なくとも1種のLNPを投与することにより、それを必要とする対象において、HCVに対する免疫応答を誘導する方法を提供する。一部の実施態様において、本発明は、少なくとも2種のLNPを含有する系統ワクチンを投与することにより、それを必要とする対象においてHCVに対する免疫応答を誘導する方法を提供し、ここで各LNPは、同じ系統のHCVコアタンパク質、エンベロープE1タンパク質、エンベロープE2タンパク質、及びHCV p7タンパク質をコードしているヌクレオシド-改変されたRNAを含む。
【0009】
一部の実施態様において、本発明は、HCVコアタンパク質、エンベロープE1タンパク質、エンベロープE2タンパク質、及びHCV p7タンパク質をコードしているヌクレオシド-改変されたRNAを含む少なくとも1種のLNPを投与することにより、それを必要とする対象においてHCVを治療又は予防する方法を提供する。一部の実施態様において、本発明は、少なくとも2種のLNPを含有する系統ワクチンを投与することにより、それを必要とする対象においてHCVを治療又は予防する方法を提供し、ここで各LNPは、HCVコアタンパク質、エンベロープE1タンパク質、エンベロープE2タンパク質、及びHCV p7タンパク質をコードしているヌクレオシド-改変されたRNAを含む。
【0010】
定義
別に定義されない限りは、本明細書において使用される全ての技術用語及び科学用語は、この発明が属する技術分野の業者により通常理解されるものと同じ意味を有する。
【0011】
本明細書において使用される、以下の用語の各々は、このセクションにおけるそれに関連している意味を有する。
【0012】
冠詞「ある(a,an)」は、その冠詞の文法上の目的語の1の又は2以上の(すなわち少なくとも1)を指すように、本明細書において使用される。例として「ある要素」は、1つの要素又は2以上の要素を意味する。
【0013】
本明細書において使用される「約」は、量、時間、及び同類のものなどの測定可能な値を指す場合、変動が明らかにされた方法を実施するために適切であるように、特定された値からの±20%、±10%、±5%、±1%、又は±0.1%の変動を包含することを意味する。
【0014】
本明細書において使用される用語「抗体」は、抗原と特異的に結合する免疫グロブリン分子を指す。抗体は、天然給源由来の又は組換え給源由来の無傷の免疫グロブリンであることができ、並びに無傷の免疫グロブリンの免疫反応性部分であることができる。抗体は典型的には、免疫グロブリン分子の四量体である。本発明において抗体は、例えば、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、Fv、Fab及びF(ab)2、並びに一本鎖抗体及びヒト化抗体などを含む、様々な形状で存在してよい(Harlowら、1999, Using Antibodies: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, NY;Harlowら、1989, Antibodies: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor, New York;Houstonら、1988, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:5879-5883;Birdら、1988, Science 242:423-426)。
【0015】
用語「抗体断片」は、無傷の抗体の一部を指し、及び無傷の抗体の抗原決定可変領域を指す。抗体断片の例は、Fab、Fab´、F(ab´)2、及びFv断片、線状抗体、scFv抗体、及び抗体断片から形成された多重特異性抗体を含むが、これらに限定されるものではない。
【0016】
本明細書において使用される「抗体重鎖」は、それらの天然の立体構造において、全ての抗体分子に存在するポリペプチド鎖の2つの型のより大きいものを指す。
【0017】
本明細書において使用される「抗体軽鎖」は、それらの天然の立体構造において、全ての抗体分子に存在するポリペプチド鎖の2つの型のより小さいものを指す。κ軽鎖及びλ軽鎖は、2種の主な抗体軽鎖アイソタイプを指す。
【0018】
本明細書において使用される用語「合成抗体」は、組換えDNA技術を用いて作出された抗体を意味する。この用語はまた、抗体をコードしているDNA分子の合成により作出される抗体、及びそのDNA分子が、抗体タンパク質、もしくは抗体を特定するアミノ酸配列を発現する抗体を意味し、ここでDNA又はアミノ酸配列は、当該技術分野において利用可能で且つ周知である合成DNA又はアミノ酸配列技術を用いて得られるように解釈されるべきである。この用語はまた、その抗体をコードしているRNA分子の合成により産生される抗体を意味するとも解釈されるべきである。このRNA分子は、抗体タンパク質、又は抗体を特定するアミノ酸配列を発現し、ここでRNAは、DNA(合成又はクローニングされた)の転写、RNAの合成、又は入手可能であり且つ当該技術分野において周知である他の技術により、入手される。
【0019】
本明細書において使用される用語「抗原」又は「Ag」は、適応免疫応答を引き起こす分子として定義される。この免疫応答は、抗体産生、又は特異的免疫原性-コンピテント細胞の活性化、又は両方のいずれかに関与し得る。当業者は、事実上全てのタンパク質又はペプチドを含む任意の高分子は、抗原として利用され得ることを理解するであろう。更に抗原は、組換え又はゲノムDNA又はRNAに由来することができる。当業者は、適応免疫応答を誘発するタンパク質をコードしているヌクレオチド配列もしくは部分的ヌクレオチド配列を含む任意のDNA又はRNAは、その用語が本明細書において使用されるように「抗原」をコードしていることを、理解するであろう。更に当業者は、必要な抗原は、遺伝子の完全長ヌクレオチド配列によってのみコードされないことを、理解するであろう。本発明は、2個以上の遺伝子の部分的ヌクレオチド配列の使用を含むが、これらに限定されるものではないこと、並びにこれらのヌクレオチド配列は、様々な組合せで配置され、所望の免疫応答を誘発することは、容易に明らかである。更に当業者は、必要な抗原は、全く「遺伝子」によりコードされないことを、理解するであろう。抗原は、作製され、合成され得るか、又は生物学的試料に由来することができることは容易に明らかである。そのような生物学的試料は、組織試料、腫瘍試料、細胞又は生物学的液体を含むが、これらに限定されるものではない。
【0020】
本明細書において使用される用語「アジュバント」は、抗原-特異的適応免疫応答を増強するための任意の分子として定義される。
【0021】
「疾患」は、動物が、ホメオスタシスを維持することができず、及びその疾患が改善されない場合は、動物の健康状態は、悪化し続けるような、動物の健康状態である。対照的に、動物における「障害」は、その動物は、ホメオスタシスを維持することができるが、その動物の健康状態は、その障害が存在しない場合よりも好ましくない、健康状態である。未治療のままで、障害は、動物の健康状態の更なる低下を必ずしも引き起こさない。
【0022】
本明細書において使用される「有効量」は、治療的又は予防的恩恵を提供する量を意味する。
【0023】
「コードしている」は、規定されたヌクレオチド配列(すなわち、rRNA、tRNA及びmRNA)又は規定されたアミノ酸配列のいずれか、及びそれから生じる生物学的特性を有する生物学的プロセスにおいて他のポリマー及び高分子の合成のための鋳型として働く、遺伝子、cDNA、又はmRNAなどの、ポリヌクレオチド内のヌクレオチドの特定の配列の固有の特性を指す。従って、遺伝子に対応するmRNAの転写及び翻訳が、細胞又は他の生物学的システム内でタンパク質を生成する場合に、その遺伝子は、そのタンパク質をコードしている。そのヌクレオチド配列がmRNA配列と同一であり且つ配列表に通常提供されるコード鎖、及び遺伝子又はcDNAの転写のための鋳型として使用される非コード鎖の両方は、タンパク質又はその遺伝子もしくはcDNAの他の産物をコードしていると言及されることができる。
【0024】
「発現ベクター」は、発現されるべきヌクレオチド配列に機能的に連結された発現制御配列を含む組換えポリヌクレオチドを含むベクターを指す。発現ベクターは、発現のために十分なシス作用エレメントを含み;発現のための他のエレメントは、宿主細胞により又はインビトロ発現系において供給されることができる。発現ベクターは、コスミド、プラスミド(例えば、裸の又はリポソームに含まれた)RNA、及び組換えポリヌクレオチドを組込むウイルス(例えば、レンチウイルス、レトロウイルス、アデノウイルス、及びアデノ随伴ウイルス)など、当該技術分野において公知のもの全てを含む。
【0025】
「相同」は、2つのポリペプチド間の又は2つの核酸分子間の、配列類似性又は配列同一性を指す。2つの比較される配列の両方における位置が、同じ塩基又はアミノ酸モノマーサブユニットにより占拠されている場合、例えば2つのDNA分子の各々におけるある位置が、アデニンにより占拠されている場合、これらの分子は、その位置で相同である。2つの配列間の相同性の割合は、2つの配列により共有される一致するか又は相同な位置の数を、比較される位置の数で除算し、×100した関数である。例えば、2つの配列中の10の位置のうち6が、一致する又は相同である場合、これら2つの配列は、60%相同である。例として、DNA配列ATTGCC及びTATGGCは、50%の相同性を共有している。一般に比較は、2つの配列が最大の相同性を生じるように整列された場合に、行われる。
【0026】
「免疫原」は、免疫応答を生じるために、体へ導入された任意の物質を指す。その物質は、生理的分子、例えばタンパク質であるか、又はベクター、例えばDNA、mRNA、もしくはウイルスなどによりコードされることができる。
【0027】
本明細書において使用される用語「免疫応答」は、非限定的例として、T細胞、B細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、及び/又は抗原-提示細胞(APC)などの、エフェクター機能の活性化及び/又は誘導に関与するプロセスを意味する。従って当業者に理解されるように、免疫応答は、ヘルパーT細胞もしくは細胞傷害性T細胞の活性もしくは反応、抗体の産生、抗原提示細胞の活性もしくは浸潤、マクロファージの活性もしくは浸潤、好中球の活性もしくは浸潤、及び同類のもののいずれか検出可能な抗原-特異的活性化及び/又は誘導を含むが、これらに限定されるものではない。
【0028】
「単離された」は、天然の状態から変更又は除去されたことを意味する。例えば、生存動物中に天然に存在する核酸又はペプチドは、「単離されていない」が、その天然の状態で同時に存在する物質から部分的に又は完全に分離された同じ核酸又はペプチドは、「単離されている」。単離された核酸又はタンパク質は、実質的に精製された形状で存在することができるか、或いは例えば宿主細胞など、非天然の環境中に存在することができる。
【0029】
本発明の文脈において、一般に生じるヌクレオシド(N-グリコシド結合を介してリボース糖又はデオキシリボース糖に結合した核酸塩基)に関する以下の略語が使用される。「A」はアデノシンを指し、「C」はシチジンを指し、「G」はグアノシンを指し、「T」はチミジンを指し、及び「U」はウリジンを指す。
【0030】
別に特定しない限りは、「アミノ酸配列をコードしているヌクレオチド配列」は、互いに縮重型である、及び同じアミノ酸配列をコードしている、全てのヌクレオチド配列を含む。語句タンパク質又はRNAをコードしているヌクレオチド配列もまた、そのタンパク質をコードしているヌクレオチド配列が、一部の型においてイントロン(複数可)を含んでよい程度に、イントロンを含んでよい。
【0031】
本明細書において使用される用語「調節する」は、治療もしくは化合物が存在しない対象における反応のレベルと比べ、並びに/又はそれ以外は同一であるが治療されていない対象における反応のレベルと比べ、対象における反応のレベルの検出可能な増加又は減少を媒介することを意味する。この用語は、未変性のシグナル又は反応をかき乱す及び/又は影響を及ぼし、これにより対象、例えばヒトなどにおいて有益な治療的反応を媒介することを包含する。
【0032】
別に特定しない限りは「アミノ酸配列をコードしているヌクレオチド配列」は、互いの縮重型である、及び同じアミノ酸配列をコードしている、全てのヌクレオチド配列を含む。タンパク質及びRNAをコードしているヌクレオチド配列は、イントロンを含んでよい。加えてヌクレオチド配列は、細胞内の翻訳機構により翻訳されることが可能である修飾されたヌクレオシドを含んでよい。例証的な修飾されたヌクレオシドは、本明細書において別に説明される。例えばmRNAは、その一部又は全てのウリジンが、シュードウリジン、1-メチルシュードウリジン、又は本明細書において別に説明されるものなど、別の修飾されたヌクレオシドにより置き換えられている。一部の実施態様において、ヌクレオチド配列は、一部又は全てのシチジン(cytodine)が、メチル化シチジン、又は本明細書において別に説明されるものなど、別の修飾されたヌクレオシドにより置き換えられた配列を含んでよい。
【0033】
用語「機能的に連結された」は、異種核酸配列の発現を生じる、調節配列と異種核酸配列の間の機能的連結を指す。例えば第一の核酸配列が、第二の核酸配列と機能的関係で配置される場合に、第一の核酸配列は第二の核酸配列と機能的に連結される。例として、プロモーターがコード配列の転写又は発現に影響を及ぼす場合に、プロモーターは、コード配列に機能的に連結されている。一般に、機能的に連結されたDNA配列又はRNA配列は、連続しており、並びに2つのタンパク質コード領域が結合する必要がある場合は、同じリーディングフレーム内にある。
【0034】
用語「患者」、「対象」「個体」及び同類のものは、本明細書において互換的に使用され、且つインビトロ又はインサイチュにおいて、本明細書において説明された方法に従うかどうかにかかわらず、任意の動物、又はそれらの細胞を指す。一部の非限定的実施態様において、患者、対象又は個体は、ヒトである。
【0035】
本明細書において使用される用語「ポリヌクレオチド」は、ヌクレオチドの鎖と定義される。更に核酸は、ヌクレオチドのポリマーである。従って本明細書において使用される核酸及びポリヌクレオチドは、互換性がある。当業者は、核酸は、単量体「ヌクレオチド」に加水分解され得るポリヌクレオチドであるという一般的知識を有する。単量体ヌクレオチドは、ヌクレオシドに加水分解され得る。本明細書において使用されるポリヌクレオチドは、非限定的に、組換え手段、すなわち通常のクローニング技術及びPCR(商標)及び同類のものを使用する、組換えライブラリーもしくは細胞ゲノム由来の核酸配列のクローニング、並びに合成手段によるものを含む、当該技術分野において利用可能な任意の手段により入手される全ての核酸配列を含むが、これらに限定されるものではない。
【0036】
場合によっては、本発明のポリヌクレオチド又は核酸は、少なくとも1個の改変されたヌクレオシドを含む核酸を指す、「ヌクレオシド-改変された核酸」である。「改変されたヌクレオシド」は、改変を伴うヌクレオシドを指す。例えば、100を超える異なるヌクレオシド改変が、RNAにおいて同定されている(Rozenskiら、1999, The RNA Modification Database: 1999改訂、Nucl Acids Res 27: 196-197)。
【0037】
一部の実施態様において、「シュードウリジン」は、m1acp3Ψ(1-メチル-3-(3-アミノ-3-カルボキシプロピル)シュードウリジン)を指す。別の実施態様において、この用語は、m1Ψ(1-メチルシュードウリジン)を指す。別の実施態様において、この用語は、Ψm(2´-O-メチルシュードウリジンを指す。別の実施態様において、この用語は、m5D(5-メチルジヒドロウリジン)を指す。別の実施態様において、この用語は、m3Ψ(3-メチルシュードウリジン)を指す。別の実施態様において、この用語は、更には改変されないシュードウリジン部分を指す。別の実施態様において、この用語は、前記シュードウリジンのいずれかの一リン酸エステル、二リン酸エステル、又は三リン酸エステルを指す。別の実施態様において、この用語は、当該技術分野において公知のいずれか他のシュードウリジンを指す。各可能性は、本発明の個別の実施態様を表す。
【0038】
本明細書において使用される用語「ペプチド」、「ポリペプチド」、及び「タンパク質」は、互換的に使用され、且つペプチド結合により共有結合されたアミノ酸残基からなる化合物を指す。タンパク質又はペプチドは、少なくとも2個のアミノ酸を含まなければならず、且つタンパク質の配列又はペプチドの配列を構成することができるアミノ酸の最大数に制限はない。ポリペプチドは、ペプチド結合により互いに結合された2個以上のアミノ酸を含む、任意のペプチド又はタンパク質を含む。本明細書において使用される用語は、当該技術分野において通常例えばペプチド、オリゴペプチド及びオリゴマーとも称される短鎖、並びに当該技術分野において一般にタンパク質と称され、それは多くの種類があるより長鎖の両方を指す。「ポリペプチド」は、例えば、生物学的活性断片、とりわけ、実質的に相同のポリペプチド、オリゴペプチド、ホモ二量体、ヘテロ二量体、ポリペプチドのバリアント、改変されたポリペプチド、誘導体、アナログ、融合タンパク質を含む。ポリペプチドは、天然のペプチド、組換えペプチド、合成ペプチド、又はそれらの組合せを含む。
【0039】
本明細書において使用される用語「プロモーター」は、ポリヌクレオチド配列の特異的転写を開始するために必要とされる、細胞の合成機構、又は導入された合成機構により認識されるDNA配列と定義される。非限定的一例として、バクテリオファージRNAポリメラーゼにより認識されるプロモーター、及びインビトロ転写によりmRNAを生成するために使用されるプロモーターがある。
【0040】
抗体に関して本明細書において使用される用語「特異的に結合する」とは、特異的抗原を認識するが、試料中の他の分子は実質的に認識も結合もしない抗体を意味する。例えば、1つの種由来の抗原に特異的に結合する抗体はまた、1又は複数の他の種由来の抗原にも結合することができる。しかし、そのような異種間の反応性は、特異性としての抗体の分類をそれ自身変更しない。別の例において、抗原に特異的に結合する抗体は、その抗原の異なるアレル型にも結合することができる。しかしそのような異種間の反応性は、特異性としての抗体の分類をそれ自身変更しない。場合によっては、用語「特異的結合」又は「特異的に結合している」は、抗体、タンパク質、又はペプチドの、第二の化学種との相互作用に関して使用されることができ、この相互作用は、この化学種上の特定の構造(例えば、抗原決定基又はエピトープ)の存在に左右され;例えば抗体は、一般的にタンパク質よりもむしろ、特異的タンパク質構造を認識し且つ結合することを意味する。抗体が、エピトープ「A」に関して特異的である場合、標識された「A」及びこの抗体を含む反応における、エピトープA(又はフリー、標識されないA)を含む分子の存在は、この抗体に結合した標識されたAの量を減少するであろう。
【0041】
本明細書において使用される用語「治療的」は、治療及び/又は発症予防を意味する。治療効果は、疾患又は障害の少なくとも1つの徴候もしくは症状の抑制、縮小、寛解、予防、又は根絶により得られる。
【0042】
用語「治療的有効量」は、研究者、獣医師、医師又は他の臨床医により求められる、組織、体系、又は対象の生物学的反応又は医学的反応を誘発するであろう対象化合物の量を指す。用語「治療的有効量」は、投与される場合に、治療される障害又は疾患の1又は複数の徴候又は症状の、発症を予防する、又はある程度軽減するのに十分である、化合物の量を含む。治療的有効量は、化合物、疾患及びその重症度並びに治療される対象の年齢、体重などに応じて、変動するであろう。
【0043】
本明細書に使用される用語の疾患を「治療する」とは、対象により経験される疾患又は障害の少なくとも1つの徴候又は症状の頻度又は重症度を軽減することを意味する。
【0044】
本明細書において使用される用語「トランスフェクションされた」又は「形質転換された」又は「形質導入された」は、それにより外因性核酸が、宿主細胞へ移行又は導入されるプロセスを指す。「トランスフェクションされた」又は「形質転換された」又は「形質導入された」細胞は、外因性核酸によりトランスフェクション、形質転換、又は形質導入されたものである。この細胞は、初代対象細胞及びその後代を含む。
【0045】
本明細書において使用される語句「転写制御下」又は「機能的に連結された」は、プロモータが、RNAポリメラーゼによる転写及びポリヌクレオチドの発現の開始を制御するために、ポリヌクレオチドに関して、正確な位置及び方向にあることを意味する。
【0046】
「ベクター」は、単離された核酸を含み、且つこの単離された核酸を細胞の内側へ送達するために使用されることができる物質の組成物である。数多くのベクターが、当該技術分野において公知であり、線状ポリヌクレオチド、イオン性もしくは両親媒性化合物に会合されたポリヌクレオチド、プラスミド、及びウイルスを含むが、これらに限定されるものではない。従って用語「ベクター」は、自律複製するプラスミド又はウイルスを含む。この用語はまた、核酸を細胞へ移行することを促進する非-プラスミド及び非-ウイルスの化合物、例えば、ポリリジン化合物、リポソーム、及び同類のものを含むと解釈されるべきである。ウイルスベクターの例は、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、レトロウイルスベクター、及び同類のものを含むが、これらに限定されるものではない。
【0047】
範囲:この開示を通じて、本発明の様々な局面は、範囲形式で提示され得る。範囲形式での説明は、単に便宜上及び簡潔さのためであることは理解されるべきであり、並びに本発明の範囲を柔軟性なく限定するとは解釈されてはならない。従って、範囲の説明は、具体的に開示された全ての可能性のある部分範囲、並びにその範囲内の個別の数値を有すると考えられるべきである。例えば、1から6までなどの範囲の説明は、1から3まで、1から4まで、1から5まで、2から4まで、2から6まで、3から6までなど具体的に開示された部分範囲、並びに例えば1、2、2.7、3、4、5、5.3、及び6などのその範囲内の個別の数を有すると考えられるべきである。これは、範囲の幅とは無関係に適用される。
【0048】
説明
本発明は、対象においてHCVに対する免疫応答を誘導する組成物及び方法に関する。一部の実施態様において、本発明は、HCV p7タンパク質及び1又は複数の追加のHCV抗原の組合せをコードしているヌクレオシド改変されたmRNA分子、並びにHCVに対し対象において予防的又は治療的免疫応答を誘導するためのこの構築体の使用に関する。一部の実施態様において、本組成物は、HCV p7タンパク質及び1又は複数の追加のHCV抗原の組合せをコードしている少なくとも1個のヌクレオシド改変されたmRNA分子を被包しているLNPを含有する。
【0049】
一部の実施態様において、このヌクレオシド-改変されたRNAは、HCVのコアタンパク質、HCVのエンベロープE1タンパク質、HCVのエンベロープE2タンパク質の少なくとも1種、又はそれらの組合せをコードしており、並びに更にHCV p7タンパク質をコードしている。一部の実施態様において、この誘導された免疫応答は、適応免疫応答である。一部の実施態様において、本組成物は、HCVのコアタンパク質、HCVのエンベロープE1タンパク質、HCVのエンベロープE2タンパク質の少なくとも1種、又はそれらの組合せをコードし、並びに更にHCV p7タンパク質をコードしているヌクレオシド-改変されたRNAを含むLNPを含有するワクチンを含む。一部の実施態様において、本組成物は、2種以上のLNPを含有する系統ワクチンを含み、ここで各LNPは、HCVのコアタンパク質、HCVのエンベロープE1タンパク質、HCVのエンベロープE2タンパク質の少なくとも1種、又はそれらの組合せをコードし、並びに更にHCV p7タンパク質をコードしているヌクレオシド-改変されたRNAを含む。本発明の組成物の例は、更にHCV p7タンパク質をコードしている、米国特許出願第16/608,392号に記載された1又は複数のmRNA分子を含むが、これに限定されるものではない。
【0050】
一部の実施態様において、このmRNA分子は、配列番号:2、配列番号:3、配列番号:4、配列番号:5、配列番号:6、配列番号:7、配列番号:8、配列番号:9、もしくは配列番号:10のヌクレオチド配列、又はそれらの断片もしくはバリアントを含むDNA分子によりコードされている。一部の実施態様において、配列番号:2、配列番号:3、配列番号:4、配列番号:5、配列番号:6、配列番号:7、配列番号:8、配列番号:9、又は配列番号:10の断片は、p7タンパク質をコードしている配列を含む。一部の実施態様において、配列番号:2、配列番号:3、配列番号:4、配列番号:5、配列番号:6、配列番号:7、配列番号:8、配列番号:9、又は配列番号:10の断片は、HCV p7タンパク質をコードしている配列を含み、並びに更に少なくとも1種のHCV抗原をコードしている配列を含む。
【0051】
一部の実施態様において、本組成物は、防御抗体の発現を誘導する。一部の実施態様において、本組成物は、中和抗体の発現を誘導する。一部の実施態様において、本組成物は、広範な中和抗体の発現を誘導する。
【0052】
一実施態様において、本発明の組成物は、インビトロ転写された(IVT)RNAを含有する。例えば一部の実施態様において、本発明の組成物は、HCV p7タンパク質をコードし、並びに更に少なくとも1種のHCV抗原をコードしている、IVT RNAを含有する。一部の実施態様において、このHCV抗原は、HCVエンベロープ(E1及び/又はE2)タンパク質、又はHCVコア(C)タンパク質、又はそれらの断片もしくはバリアントの少なくとも1種である。
【0053】
一部の実施態様において、本発明は、迅速に変異するHCVウイルスに対する免疫応答を開始し且つ成熟することができる系統ワクチンを提供する。一部の実施態様において、HCV抗原は、例えHCVゲノムが免疫監視機構を回避するように変異するとしても、HCVのゲノム中に、維持されるように選択されたものである。本発明の例証的系統ワクチンは、更にHCV p7タンパク質をコードしている、米国特許出願第16/608,392号に説明された1又は複数のmRNA分子を含むが、これに限定されるものではない。
【0054】
一部の実施態様において、本系統ワクチンは、配列番号:2、配列番号:3、配列番号:4、配列番号:5、配列番号:6、配列番号:7、配列番号:8、配列番号:9、もしくは配列番号:10のヌクレオチド配列、又はその断片もしくはバリアントを含むDNA分子によりコードされたmRNA分子を含む1又は複数のLNPを含有する。一部の実施態様において、配列番号:2、配列番号:3、配列番号:4、配列番号:5、配列番号:6、配列番号:7、配列番号:8、配列番号:9、又は配列番号:10の断片は、HCV p7タンパク質をコードしている配列を含む。一部の実施態様において、配列番号:2、配列番号:3、配列番号:4、配列番号:5、配列番号:6、配列番号:7、配列番号:8、配列番号:9、又は配列番号:10の断片は、HCV p7タンパク質をコードしている配列を含み、更に少なくとも1種のHCV抗原をコードしている配列を含む。
【0055】
一部の実施態様において、本組成物の核酸分子は、ヌクレオシド-改変されたRNAである。本発明は一部、HCV抗原をコードしているヌクレオシド-改変されたRNAは、HCVに対する強固で耐性のある免疫応答を誘導することができるという知見を基にしている。更にHCV抗原-コードしているヌクレオシド-改変されたRNAは、抗原-特異的抗体産生を誘導することができる。更にHCV抗原-コードしているヌクレオシド-改変されたRNAは、防御的T細胞反応を誘導することができる。このヌクレオシド-改変されたRNAは、現在のHCVワクチン戦略と同等の又はそれよりも優れた適応免疫応答を誘導することができる。
【0056】
一部の実施態様において、本組成物の核酸分子は、精製されたヌクレオシド-改変されたRNAである。例えば一部の実施態様において、本組成物は、二本鎖の夾雑物を含まないように、精製される。
【0057】
一部の実施態様において、本組成物は、脂質ナノ粒子(LNP)を含有する。例えば一実施態様において、本組成物は、LNP内に被包されたHCV抗原-コードしている核酸分子を含有する。場合によっては、LNPは、核酸分子の細胞取り込みを増強する。
【0058】
一部の実施態様において、本組成物は、アジュバントを含有する。一部の実施態様において、本組成物は、アジュバントをコードしている核酸分子を含有する。例えば一実施態様において、本組成物は、アジュバントをコードしているヌクレオシド-改変されたRNAを含有する。一実施態様において、本組成物は、HCV抗原及びアジュバントをコードしているヌクレオシド-改変されたRNAを含有する。一実施態様において、本組成物は、HCV抗原をコードしている第一のヌクレオシド-改変されたRNA、及びアジュバントをコードしている第二のヌクレオシド-改変されたRNAを含有する。
【0059】
一実施態様において、本発明は、対象においてHCVに対する免疫応答を誘導する方法を提供する。一部の実施態様において、本方法は、HCV抗原、アジュバント、又はそれらの組合せをコードしている1又は複数のヌクレオシド-改変されたRNAを含有する組成物を、対象へ投与することを含む。
【0060】
一実施態様において、本方法は、例えば皮内投与又は筋肉内投与を含む、本組成物を対象へ投与することを含む。一部の実施態様において、本方法は、対象へ複数回、投与量を投与することを含む。別の実施態様において、本方法は、本組成物の単回投与量を投与することを含み、ここで単回投与量は、適応免疫応答を誘導するのに有効である。一実施態様において、本方法は、持続された又は長期間の免疫応答を提供する。
【0061】
ワクチン
一実施態様において、本発明は、対象においてHCVに対する免疫応答を誘導するための、免疫原性組成物を提供する。例えば一実施態様において、この免疫原性組成物は、ワクチンである。ワクチンとして有用である組成物に関して、この組成物は、細胞、組織又は哺乳動物(例えばヒト)において、HCV抗原に対する免疫応答を誘導しなければならない。場合によっては、本ワクチンは、哺乳動物において、防御免疫応答を誘導する。本明細書において使用される「免疫原性組成物」は、抗原(例えばペプチドもしくはポリペプチド)、抗原をコードしている核酸、抗原もしくは細胞成分を発現もしくは提示している細胞、抗原もしくは細胞成分を発現もしくは提示するウイルス、又はそれらの組合せを含有してよい。特定の実施態様において、本組成物は、本明細書記載の任意のペプチド抗原の全てもしくは一部、又はその免疫原性機能同等物を含有するか又はコードしている。他の実施態様において、本組成物は、追加の免疫賦活剤又はそのような薬剤をコードしている核酸を含有する混合物である。免疫賦活剤は、追加抗原、免疫調節物質、抗原提示細胞、脂質ナノ粒子、又はアジュバントを含むが、これらに限定されるものではない。他の実施態様において、追加の薬剤(複数可)の1又は複数は、任意の組合せで、抗原又は免疫賦活剤に共有結合されている。
【0062】
本発明の文脈において用語「ワクチン」は、動物への接種時に免疫応答を誘導する組成物を指す。一部の実施態様において、誘導された免疫応答は、防御免疫を提供する。
【0063】
本発明のワクチンは、その組成物中で、核酸及び/又は細胞成分が変動してよい。非限定的例において、HCV抗原をコードしている核酸は、アジュバントと共に製剤化されてもよい。当然本明細書記載の様々な組成物は更に、追加の成分を含有してよいことは理解されるであろう。例えば、1又は複数のワクチン成分は、脂質、リポソーム、又は脂質ナノ粒子中に含まれてよい。別の非限定的例において、ワクチンは、1又は複数のアジュバントを含んでよい。本発明のワクチン及びその様々な成分は、本開示を考慮し、本明細書に開示されるかもしくは当業者に公知である任意の方法により調製及び/又は投与されてよい。
【0064】
様々な実施態様において、HCV抗原の発現による免疫の誘導は、HCV抗原に対する宿主における免疫系の全て又は一部の反応を、インビボ又はインビトロにおいて観察することにより、検出され得る。
【0065】
例えば、細胞傷害性Tリンパ球の誘導を検出する方法は、周知である。生体に侵入する外来物質は、抗原提示細胞(APC)の作用により、T細胞及びB細胞へ提示される。抗原特異的様式でAPCにより提示された抗原に反応した一部のT細胞は、抗原による刺激のために、細胞傷害性T細胞(細胞傷害性Tリンパ球又はCTLとも称される)へ分化する。これらの抗原-刺激された細胞は次に、増殖する。本明細書においてこのプロセスは、T細胞の「活性化」と称する。従ってポリペプチドもしくはペプチドのエピトープ又はそれらの組合せによるCTL誘導は、APCによるT細胞へのポリペプチドもしくはペプチドのエピトープ又はそれらの組合せの提示、及びCTLの誘導の検出により評価されることができる。更にAPCは、B細胞、CD4+ T細胞、CD8+ T細胞、マクロファージ、好酸球及びNK細胞を活性化する作用を有する。
【0066】
APCとして樹状細胞(DC)を使用するCTLの誘導作用を評価する方法は、当該技術分野において周知である。DCは、APCの中でも、強固なCTL誘導作用を有する代表的APCである。本発明の方法において、ポリペプチドもしくはペプチドのエピトープ又はそれらの組合せは、最初にDCにより発現され、次にこのDCが、T細胞と接触される。DCとの接触後に関心対象の細胞に対し細胞傷害性作用を有するT細胞の検出は、ポリペプチドもしくはペプチドのエピトープ又はそれらの組合せが、細胞傷害性T細胞を誘導する活性を有することを示している。更に、誘導された免疫応答はまた、ELISPOTアッセイなど、抗-IFN-γ抗体を使用し可視化することにより、固定されたペプチド又はペプチドの組合せを保持する抗原-提示細胞の存在下で、CTLにより生成され且つ放出されたIFN-γを測定することにより、試験され得る。
【0067】
DCとは別に、末梢血単核細胞(PBMC)もまた、APCとして使用されてよい。CTLの誘導は、GM-CSF及びIL-4の存在下、PBMCを培養することにより増強されることが報告されている。同様にCTLは、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)及びIL-7の存在下、PBMCを培養することにより誘導されることが示されている。
【0068】
これらの方法によりCTL-誘導活性を有することが確認された抗原は、DC活性化作用、及びそれに続くCTL-誘導活性を有する抗原である。更に、APCによる抗原の提示により細胞傷害性を獲得したCTLはまた、抗原-関連した障害に対するワクチンとして使用されることもできる。
【0069】
HCV抗原の発現による免疫の誘導は更に、HCV抗原に対する抗体産生の誘導を観察することにより確認され得る。例えば、抗原に対する抗体が、この抗原をコードしている組成物により免疫処置された実験動物において誘導される場合、並びに抗原-関連した病理がそれらの抗体により抑制される場合、この組成物は、免疫を誘導すると決定される。
【0070】
動物において誘導される抗体反応の特異性は、送達された抗原の多くの領域への結合、並びに感染症を予防するか又は疾患重症度を低下する中和可能な抗体の誘導を含むことができる。
【0071】
HCV抗原の発現による免疫の誘導は更に、CD4+ T細胞の誘導を観察することにより、確認され得る。CD4+ T細胞はまた、標的細胞を溶解することもできるが、CTL及び抗体の生成を含む、他の型の免疫応答の誘導のヘルプを主に供給する。CD4+ T細胞のヘルプの型は、Th1、Th2、Th9、Th17、制御性T(Treg)細胞、又は濾胞性ヘルパーT(Tfh)細胞として特徴付けられることができる。CD4+ T細胞の各亜型は、免疫応答のある種の型へヘルプを供給する。一実施態様において、本組成物は、濾胞性ヘルパーT細胞を選択的に誘導し、これは強力な抗体反応を駆動する。
【0072】
本発明の治療的化合物又は組成物は、疾患又は障害に罹患しているか、又はそれを発症するリスクがある(又は易罹患性である)対象へ、発症予防的に(すなわち、疾患もしくは障害を予防する)又は治療的に(すなわち、疾患もしくは障害を治療する)投与されてよい。そのような対象は、標準の臨床的方法を使用し、確定されてよい。本発明の状況において、発症予防的投与は、疾患の明白な臨床症状の兆候の前に行われ、その結果疾患又は障害が、その進行が予防されるか又は代わりに遅延される。薬物療法の分野の状況において、用語「予防する」は、疾患からの死亡率又は罹患率の負担を低下する任意の活性を包含する。予防は、一次、二次及び三次の予防レベルで行われ得る。一次予防は、疾患の発症を回避するが、二次及び三次の予防レベルは、疾患の進行及び症状の出現を予防すること、並びに機能を回復し及び疾患-関連した合併症を減少することにより既に確立された疾患の負の影響を減少することを目的とした活性を包含している。
【0073】
抗原
本発明は、対象において免疫応答を誘導する組成物を提供する。一実施態様において、本組成物は、HCV抗原を含有する。一実施態様において、本組成物は、HCV抗原、又はその断片もしくはバリアントをコードしている核酸配列を含有する。例えば一部の実施態様において、本組成物は、HCV抗原、又はその断片もしくはバリアントをコードしているヌクレオシド-改変されたRNAを含有する。一部の実施態様において、本組成物は、HCV抗原、又はその断片もしくはバリアントをコードしている、精製された、ヌクレオシド-改変されたRNAを含有する。この抗原は、対象において免疫応答を誘導するポリペプチド、ペプチド、タンパク質、ウイルス、又は細胞を含むが、これらに限定されるものではない。
【0074】
一実施態様において、本抗原は、HCVに会合されたポリペプチド又はペプチドを含み、その結果この抗原は、この抗原に対する、従ってHCVに対する免疫応答を誘導する。一実施態様において、この抗原は、HCVに会合されたポリペプチド又はペプチドの断片を含み、その結果この抗原は、HCVに対する免疫応答を誘導する。
【0075】
一部の実施態様において、このHCV抗原は、HCVエンベロープE1タンパク質、HCVエンベロープE2タンパク質、HCVコア(C)タンパク質、又はそれらの断片の少なくとも1種である。
【0076】
一部の局面において、コアは、E1及びE2を含む分泌されたサブウイルス粒子の形成を可能にするために使用される。場合によっては、これらの分泌された粒子は、B細胞への提示に関してより良い形状である。
【0077】
一実施態様において、この抗原は、MHCクラスII由来のシグナルペプチド(SP)を含むタンパク質を含む。使用することができる他のシグナルペプチドは、IL-2、tPA、マウス及びヒトIgG由来のシグナル配列、並びに合成の最適化されたシグナル配列を含むが、これらに限定されるものではない。
【0078】
一実施態様において、本組成物は、C-E1-E2-p7をコードしている核酸配列を含む、ヌクレオシド-改変されたRNAを含有し、ここでこの核酸配列は、配列番号:2-10の少なくとも1種、又はその断片もしくはバリアントを含むDNA配列によりコードされており、ここでこの核酸配列は、少なくとも1個の改変されたヌクレオシドを含む。
【0079】
HCV p7タンパク質及びHCV抗原は、非限定的に、1a、1b、1c、1e、1g、1h、1l、2a、2b、2c、2d、2e、2i、2j、2k、2m、2q、2r、3a、3b、3g、3h、3i、3k、4a、4b、4c、4d、4f、4g、4k、4l、4m、4n、4o、4p、4q、4r、4t、4v、4w、5a、6a、6b、6c、6d、6e、6f、6g、6h、6i、6j、6k、6l、6m、6n、6o、6p、6q、6r、6s、6t、6u、6v、6w、6xa、及び7a、又はその断片もしくはバリアントを含む、HCVの任意の型又は系統であってよい。
【0080】
一部の実施態様において、このHCV抗原は、本明細書記載のHCV抗原のアミノ酸配列と実質的に相同であるアミノ酸配列を含み、並びに当初のアミノ酸配列の免疫原性機能を維持している。例えば一部の実施態様において、このHCV抗原のアミノ酸配列は、当初のアミノ酸配列に対して、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は少なくとも99.5%の同一性の程度を有する。
【0081】
一実施態様において、HCV p7タンパク質及び少なくとも1種HCV抗原は、核酸分子の核酸配列によりコードされている。一部の実施態様において、核酸配列は、DNA、RNA、cDNA、ウイルスDNA、それらのバリアント、それらの断片、又はそれらの組合せを含む。一実施態様において、この核酸配列は、改変された核酸配列を含む。例えば一実施態様において、HCV p7タンパク質及び少なくとも1種のHCV抗原-コードしている核酸配列は、本明細書の別所に詳細に記載されたように、ヌクレオシド-改変されたRNAを含む。場合によっては、この核酸配列は、リンカー配列又はタグ配列をコードしている1又は複数の追加の配列を含む。
【0082】
一実施態様において、HCV p7タンパク質及び少なくとも1種のHCV抗原は、配列番号:2、配列番号:3、配列番号:4、配列番号:5、配列番号:6、配列番号:7、配列番号:8、配列番号:9もしくは配列番号:10の核酸配列、又はその断片もしくはバリアントによりコードされている。一実施態様において、配列番号:2、配列番号:3、配列番号:4、配列番号:5、配列番号:6、配列番号:7、配列番号:8、配列番号:9又は配列番号:10の断片は、HCV p7タンパク質をコードしている。一部の実施態様において、配列番号:2、配列番号:3、配列番号:4、配列番号:5、配列番号:6、配列番号:7、配列番号:8、配列番号:9、又は配列番号:10の断片は、HCV p7タンパク質をコードしている配列を含み、並びに更に少なくとも1種HCV抗原をコードしている配列を含む。
【0083】
系統免疫原
ある種の変異するウイルスのための広範な中和抗体(BnAb)の単離に関して、コンピュータで誘導されたクローン性系統の使用が、代替のワクチンアプローチを提供するために提唱されている。系統-ベースのアプローチに関する3つの一般的工程が、想起され得る。第一に、モノクローナル抗体は、単独の-細胞技術による、クローン性に関連し且つ抗原-特異的なメモリーB細胞のセットから得られる。これは、未変性の免疫グロブリン重(VDJ)及び軽(VJ)遺伝子対の同定を補助する。第二に、コンピュータによる方法を使用し、非変異の祖先BCR(すなわち、抗原に結合し、且つ広範な中和抗体反応を開始するナイーブB細胞の推定受容体)を推測する。加えて、クローン性系統の発達に関する重要な分岐点で可能性のある中間体抗体が、同定される。最後に、最初に非変異BCRに結合し且つ拡大する免疫原が、引き続き祖先BCRを広範に中和反応するよう駆動する中間体抗原が、デザインされる(Nat Biotechnol. 2012 May 7; 30(5): 423-433. doi: 10.1038/nbt.2197において検証)。一部の実施態様において、本発明は、ヌクレオシド-改変されたRNA分子を含む、2種以上のLNPの逐次投与を含む、系統ワクチンに関し、ここでこの系統ワクチンは、広範な中和抗体を誘導する。一実施態様において、HCV p7タンパク質は、少なくとも1種の追加のHCV抗原と同じ系統のものである。
【0084】
本発明の例証的系統ワクチンは、更にHCV p7タンパク質をコードしている、米国特許出願第16/608,392号に説明されたような1又は複数のmRNA分子を含むが、これらに限定されるものではない。
【0085】
一部の実施態様において、この系統ワクチンは、配列番号:2、配列番号:3、配列番号:4、配列番号:5、配列番号:6、配列番号:7、配列番号:8、配列番号:9、もしくは配列番号:10のヌクレオチド配列、又はその断片もしくはバリアントを含むDNA分子によりコードされたmRNA分子を含む、1又は複数のLNPを含む。一部の実施態様において、配列番号:2、配列番号:3、配列番号:4、配列番号:5、配列番号:6、配列番号:7、配列番号:8、配列番号:9、又は配列番号:10の断片は、HCV p7タンパク質をコードしている配列を含む。一部の実施態様において、配列番号:2、配列番号:3、配列番号:4、配列番号:5、配列番号:6、配列番号:7、配列番号:8、配列番号:9、又は配列番号:10の断片は、HCV p7タンパク質をコードしている配列及び少なくとも1種のHCV抗原をコードしている配列を含む。
【0086】
一部の実施態様において、この系統ワクチンは、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、又は9のmRNA分子の組合せを含む、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、又は9のLNPの組合せを含む。一実施態様において、mRNA分子の組合せは、配列番号:2、配列番号:3、配列番号:4、配列番号:5、配列番号:6、配列番号:7、配列番号:8、配列番号:9、もしくは配列番号:10のヌクレオチド配列、又はその断片もしくはバリアントを含む、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、又は9のDNA分子によりコードされる。一実施態様において、この系統ワクチンは、逐次投与のために製剤化されたLNPを含み、ここでワクチン中の各LNPは、配列番号:2、配列番号:3、配列番号:4、配列番号:5、配列番号:6、配列番号:7、配列番号:8、配列番号:9、又は配列番号:10によりコードされたmRNA分子を含む。一実施態様において、従って、この系統ワクチンは、配列番号:2、配列番号:3、配列番号:4、配列番号:5、配列番号:6、配列番号:7、配列番号:8、配列番号:9、及び配列番号:10によりコードされた、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、又は9のmRNA分子の組合せの投与を含む。
【0087】
アジュバント
一実施態様において、本組成物は、アジュバントを含有する。一実施態様において、本組成物は、アジュバントをコードしている核酸分子を含有する。一実施態様において、このアジュバント-コードしている核酸分子は、IVT RNAである。一実施態様において、このアジュバント-コードしている核酸分子は、ヌクレオシド-改変されたRNAである。
【0088】
例証的アジュバントは、α-インターフェロン、γ-インターフェロン、血小板由来増殖因子(PDGF)、TNFα、TNFβ、GM-CSF、上皮細胞増殖因子(EGF)、皮膚T細胞-誘引ケモカイン(CTACK)、上皮胸腺-発現ケモカイン(TECK)、粘膜-関連上皮ケモカイン(MEC)、IL-12、IL-15、MHC、CD80、CD86を含むが、これらに限定されるものではない。有用なアジュバントであり得る他の遺伝子は、以下をコードしているものを含む:MCP-I、MIP-Ia、MIP-Ip、IL-8、RANTES、L-セレクチン、P-セレクチン、E-セレクチン、CD34、GlyCAM-1、MadCAM-1、LFA-I、VLA-I、Mac-1、pl50.95、PECAM、ICAM-I、ICAM-2、ICAM-3、CD2、LFA-3、M-CSF、G-CSF、IL-4、IL-18の変異体、CD40、CD40L、血管増殖因子、線維芽細胞増殖因子、IL-7、神経成長因子、血管内皮増殖因子、Fas、TNF受容体、Fit、Apo-1、p55、WSL-I、DR3、TRAMP、Apo-3、AIR、LARD、NGRF、DR4、DR5、KILLER、TRAIL-R2、TRICK2、DR6、カスパーゼICE、Fos、c-jun、Sp-I、Ap-I、Ap-2、p38、p65Rel、MyD88、IRAK、TRAF6、IkB、不活性NIK、SAP K、SAP-I、JNK、インターフェロン反応遺伝子、NFkB、Bax、TRAIL、TRAILrec、TRAILrecDRC5、TRAIL-R3、TRAIL-R4、RANK、RANKリガンド、Ox40、Ox40リガンド、NKG2D、MICA、MICB、NKG2A、NKG2B、NKG2C、NKG2E、NKG2F、TAP1、TAP2、抗-CTLA4-sc、抗-LAG3-Ig、抗-TIM3-Ig、及びそれらの機能性断片。
【0089】
一部の実施態様において、本組成物は、脂質ナノ粒子を含有し、ここでこの脂質ナノ粒子は、アジュバントとして作用する。
【0090】
核酸
一実施態様において、本発明は、HCV p7タンパク質をコードしている核酸分子を含む。一実施態様において、本発明は、ヌクレオシド-改変された核酸分子を含む。一実施態様において、ヌクレオシド-改変された核酸分子は、HCV p7タンパク質をコードしている。一実施態様において、ヌクレオシド-改変された核酸分子は更に、少なくとも1種のHCV抗原をコードしている。一実施態様において、ヌクレオシド-改変された核酸分子は、HCV p7タンパク質、及び1又は複数のHCV抗原を含む複数の抗原をコードしている。一部の実施態様において、ヌクレオシド-改変された核酸分子は、HCV p7タンパク質、及びHCV抗原に対する適応免疫応答を誘導する少なくとも1種HCV抗原をコードしている。一実施態様において、本発明は、アジュバントをコードしているヌクレオシド-改変された核酸分子を含む。
【0091】
この核酸分子は、インビトロにおける転写、化学合成、又は同類のものを含むが、これらに限定されるものではない、当該技術分野における任意の技法を用い、作製することができる。
【0092】
本明細書記載の、HCV p7タンパク質及び少なくとも1種のHCV抗原をコードしているヌクレオチド配列は、生じるポリヌクレオチドが本発明のポリペプチドをコードしていることを条件に、当初のヌクレオチド配列に関する配列変動、例えば1又は複数のヌクレオチドの置換、挿入及び/又は欠失などを代わりに含むことができる。従って、本発明の範囲は、本明細書に列挙されたヌクレオチド配列に対し、実質的に相同であり、並びにHCV p7タンパク質及び少なくとも1種の関心対象のHCV抗原をコードしているヌクレオチド配列を含む。
【0093】
本明細書において使用されるヌクレオチド配列は、そのヌクレオチド配列が、当初のヌクレオチド配列に対し、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は少なくとも99.5%の同一性の程度を有する場合、本明細書記載のヌクレオチド配列のいずれかに対し「実質的に相同である」。抗原をコードしているヌクレオチド配列に対し実質的に相同であるヌクレオチド配列は、典型的には、例えば、保存的置換又は非保存的置換を導入することにより、そのヌクレオチド配列内に含まれる情報を基に、その抗原を生成する生物から単離されることができる。可能性のある他の改変の例は、配列中の1もしくは複数のヌクレオチドの挿入、配列のいずれかの末端での1もしくは複数のヌクレオチドの付加、又は配列のいずれかの末端もしくは内側での1もしくは複数のヌクレオチドの欠失を含む。2つのポリヌクレオチド間の同一性の程度は、コンピュータアルゴリズム及び当業者に広く知られている方法を用いて決定される。
【0094】
更に、本発明の範囲は、本明細書に列挙されたアミノ酸配列と実質的に相同であり、且つ当初のアミノ酸配列の免疫原性機能を保持している、アミノ酸配列をコードしているヌクレオチド配列を含む。
【0095】
本明細書において使用されるアミノ酸配列は、そのアミノ酸配列が、当初のアミノ酸配列に対し、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は少なくとも99.5%の同一性の程度を有する場合、本明細書記載のアミノ酸配列のいずれかと「実質的に相同である」。2つのアミノ酸配列間の同一性は、BLASTNアルゴリズムを用いて決定されることができる(BLAST Manual、Altschul、S.ら、NCBI NLM NIH Bethesda、Md. 20894、Altschul、S.ら、J. Mol. Biol. 215: 403-410 (1990))。
【0096】
一実施態様において、本発明は、HCV p7タンパク質及び少なくとも1種のHCV抗原をコードしているヌクレオチド配列を含む、構築体に関する。一実施態様において、この構築体は、複数のHCV抗原をコードしている複数のヌクレオチド配列を含む。例えば一部の実施態様において、この構築体は、1種以上、2種以上、3種以上、又は全てのHCV抗原をコードしている。一実施態様において、本発明は、アジュバントをコードしているヌクレオチド配列を含む、構築体に関する。一実施態様において、この構築体は、HCV p7タンパク質をコードしている第一のヌクレオチド配列、及び少なくとも1種HCV抗原をコードしている第二のヌクレオチド配列を含む。
【0097】
一実施態様において、本組成物は、各構築体が、HCV p7タンパク質及び少なくとも1種のHCV抗原をコードしている、複数の構築体を含有する。一部の実施態様において、本組成物は、1以上、2以上、3以上、4以上、5以上、6以上、7以上、8以上、9以上、10以上、15以上、又は20以上の構築体を含有する。一実施態様において、本組成物は、約5~11の構築体を含有する。一実施態様において、本組成物は、HCV p7タンパク質をコードしているヌクレオチド配列を含む第一の構築体;及び、少なくとも1種のHCV抗原をコードしているヌクレオチド配列を含む第二の構築体を含有する。
【0098】
別の実施態様において、本構築体は、転写制御エレメントへ機能的に結合される。この構築体は、本発明のヌクレオチド配列の発現のために機能的に結合された制御配列を組込み、従って発現カセットを形成することができる。
【0099】
ベクター
HCV p7タンパク質、少なくとも1種のHCV抗原、又はアジュバントをコードしている核酸配列は、例えば、標準の技術を使用する、遺伝子を発現する細胞由来のライブラリーのスクリーニングによるか、これを含むことがわかっているベクターからの遺伝子の誘導によるか、又はこれを含む細胞及び組織からの直接の単離によるなど、当該技術分野において公知の組換え方法を用いて得ることができる。或いは、関心対象の遺伝子は、合成により作製することができる。
【0100】
この核酸は、数多くの型のベクターにクローニングされることができる。例えば、核酸は、非限定的に、プラスミド、ファージミド、ファージ誘導体、動物ウイルス、PCR-作製された線状DNA配列、及びコスミドを含むベクターに、クローニングされることができる。特に関心があるベクターは、発現ベクター、複製ベクター、プローブ作製ベクター、シークエンシングベクター及びインビトロ転写のために最適化されたベクターを含む。
【0101】
ポリヌクレオチドを宿主細胞へ導入する化学手段は、例えば高分子複合体、ナノカプセル、ミクロスフェア、ビーズなど、コロイド分散系、及び水中油型エマルション、ミセル、混合ミセル、炭水化物、ペプチド、陽イオン性ポリマーを含む脂質-ベースの系、並びにリポソームを含む。インビトロ及びインビボにおける送達ビヒクルとしての使用のための例証的コロイド系は、リポソーム(例えば、人工膜小胞)である。
【0102】
非-ウイルス送達システムが利用される場合において、例証的送達ビヒクルは、リポソームである。脂質製剤の使用は、核酸の宿主細胞への導入(インビトロ、エクスビボ又はインビボにおいて)のために、意図される。別の局面において、この核酸は、脂質と会合されてよい。脂質と会合された核酸は、リポソームの水性内部に被包されるか、リポソームの脂質二重層内に散在されるか、リポソーム及びオリゴヌクレオチドの両方に会合される連結分子を介してリポソームへ結合されるか、リポソーム中に捕獲されるか、リポソームと複合体化されるか、脂質を含有する溶液中に分散されるか、脂質と混合されるか、脂質と化学結合させられるか、脂質中の懸濁液として含まれるか、ミセルに含まれるかもしくは複合体化されるか、又はそうでなければ脂質と会合されてよい。脂質、脂質/RNA又は脂質/発現ベクターと会合された組成物は、溶液中のいずれか特定の構造に限定されない。例えば、これらは、二重層構造中に、ミセルとして、又は「崩壊された」構造で存在してよい。これらはまた、単純に溶液中に散在されてもよく、サイズ又は形状が均一ではない凝集体を形成する可能性がある。脂質は、天然又は合成の脂質であってよい脂肪物質である。例えば脂質は、細胞質内に天然に生じる脂肪性液滴、並びに長鎖脂肪族炭化水素及びそれらの誘導体、例えば脂肪酸、アルコール、アミン、アミノアルコール、及びアルデヒドなどを含む化合物のクラスを含む。
【0103】
使用に適した脂質は、商業的供給業者から入手することができる。例えば、ジミリスチルホスファチジルコリン(“DMPC”)は、Sigma社、St. Louis、MOから入手し;リン酸ジセチル(“DCP”)は、K&K Laboratories社(Plainview、NY)から入手し;コレステロール(“Choi”)は、Calbiochem-Behring社から入手し;ジミリスチルホスファチジルグリセロール(“DMPG”)及び他の脂質は、Avanti Polar Lipids社(Birmingham、AL)から入手することができる。クロロホルム又はクロロホルム/メタノール中の脂質のストック溶液は、約-20℃で貯蔵されることができる。クロロホルムは、メタノールよりもより容易に蒸発するので、これを使用する。「リポソーム」とは、封入された脂質二重層又は凝集体の生成により形成される様々な単層状及び多重膜の脂質ビヒクルを包含する、一般的用語である。リポソームは、リン脂質二重層膜及び内側水性媒体を持つ小胞構造を有するとして、特徴付けることができる。多重膜リポソームは、水性媒体により分離された複数の脂質層を有する。これらは、リン脂質が過剰な水溶液中に懸濁された場合に、自発的に形成する。脂質成分は、自己-再構成を受け、その後閉鎖構造を形成し、且つこれらの脂質二重層間に水及び溶解した溶質を捕獲する(Ghoshら、1991 Glycobiology 5: 505-10)。しかし通常の小胞構造とは溶液中に異なる構造を有する組成物も、包含される。例えば、脂質は、ミセル構造を想定するか、又は単に脂質分子の不均一な凝集体として存在してよい。リポフェクタミン-核酸複合体も意図される。
【0104】
外因性核酸を宿主細胞へ導入するか、又はそうでなければ細胞を本発明の組成物へ曝露するために使用される方法とは無関係に、宿主細胞におけるmRNA配列の存在を確認するために、様々なアッセイが実施されてよい。そのようなアッセイは、例えば、当業者に周知の「分子生物学的」アッセイ、例えばノーザンブロッティング及びRT-PCRなど;「生化学的」アッセイ、例えば免疫原性手段(ELISA及びウェスタンブロット)によるか、又は本発明の範囲内である物質を同定するための本明細書記載のアッセイによる、特定のペプチドの存在又は非存在の検出などを含む。
【0105】
インビトロ転写されたRNA
一実施態様において、本発明の組成物は、HCV p7タンパク質及び/又はHCV抗原をコードしている、インビトロ転写された(IVT)RNAを含有する。一実施態様において、本発明の組成物は、複数のHCV抗原をコードしているIVT RNAを含有する。一実施態様において、本発明の組成物は、アジュバントをコードしているIVT RNAを含有する。一実施態様において、本発明の組成物は、1又は複数のHCV抗原及び1又は複数のアジュバントをコードしているIVT RNAを含有する。
【0106】
一実施態様において、IVT RNAは、一過性トランスフェクションの形として、細胞へ導入されることができる。このRNAは、合成的に作製されたプラスミドDNA鋳型を用い、インビトロ転写により生成される。任意の給源由来の関心対象のDNAは、好適なプライマー及びRNAポリメラーゼを使用するインビトロmRNA合成のための鋳型へ、PCRにより、直接転換されることができる。DNAの給源は、例えば、ゲノムDNA、プラスミドDNA、ファージDNA、cDNA、合成DNA配列又はいずれか他の好適なDNA給源であることができる。一実施態様において、インビトロ転写に望ましい鋳型は、適応免疫応答の誘導が可能であるHCV抗原である。一実施態様において、インビトロ転写に望ましい鋳型は、適応免疫応答を増強することが可能であるアジュバントである。
【0107】
一実施態様において、PCRに使用されるDNAは、オープンリーディングフレームを含む。このDNAは、生物のゲノム由来の天然のDNA配列に由来することができる。一実施態様において、このDNAは、遺伝子の一部の関心対象の完全長遺伝子である。この遺伝子は、5´及び/又は3´非翻訳領域(UTR)の一部又は全てを含むことができる。この遺伝子は、エクソン及びイントロンを含むことができる。一実施態様において、PCRに使用されるDNAは、ヒト遺伝子である。別の実施態様において、PCRに使用されるDNAは、5´及び3´UTRを含むヒト遺伝子である。別の実施態様において、PCRに使用されるDNAは、細菌、ウイルス、寄生生物、及び真菌を含む、病原性生物又は共生生物由来の遺伝子である。別の実施態様において、PCRに使用されるDNAは、5´及び3´UTRを含む、細菌、ウイルス、寄生生物、及び真菌を含む、病原性生物又は共生生物に由来する。このDNAは代わりに、天然の生物においては通常発現されない、人工DNA配列であることができる。例証的人工的DNA配列は、共にライゲーションされ、融合タンパク質をコードしているオープンリーディングフレームを形成する、遺伝子の一部を含むものである。共にライゲーションされるDNAの部分は、単独の生物に由来するか又は2種以上の生物に由来することができる。
【0108】
PCRのためのDNA給源として使用され得る遺伝子は、生物において適応免疫応答を誘導又は増強するポリペプチドをコードしている遺伝子を含む。場合によっては、これらの遺伝子は、短期治療に有用である。場合によっては、これらの遺伝子は、発現された遺伝子の投薬に関して限定された安全性の懸念を有する。
【0109】
様々な実施態様において、プラスミドが、トランスフェクションに使用される、mRNAのインビトロ転写のための鋳型を作製するために使用される。
【0110】
安定性及び/又は翻訳効率を促進する能力を伴う化学構造も、使用されてよい。一部の実施態様において、このRNAは、5´及び3´UTRを有する。一実施態様において、5´UTRは、長さが0~3000ヌクレオチドの間である。コード領域に付加される5´及び3´UTR配列の長さは、非限定的に、UTRの異なる領域にアニーリングするPCRのためのプライマーをデザインすることを含む、様々な方法により、変更され得る。このアプローチを使用し、当業者は、転写されたRNAのトランスフェクション後に、最適な翻訳効率を達成するために必要とされる、5´及び3´UTR長さを変更することができる。
【0111】
この5´及び3´UTRは、関心対象の遺伝子のための、天然の、内在性5´及び3´UTRであることができる。或いは、関心対象の遺伝子に対し内在性ではないUTR配列は、UTR配列をフォワード及びリバースプライマーへ組込むことによるか、又はその鋳型の別の修飾により、付加されることができる。関心対象の遺伝子に対し内在性ではないUTR配列の使用は、そのRNAの安定性及び/又は翻訳効率を変更するために有用であることができる。例えば、3´UTR配列内のAU-リッチエレメントは、mRNAの安定性を減少し得ることは公知である。従って、3´UTRは、当該技術分野において周知であるUTRの特性を基に、転写されたRNAの安定性を増加するように、選択又はデザインされることができる。
【0112】
一実施態様において、5´UTRは、内在性遺伝子のコザック配列を含むことができる。或いは、関心対象の遺伝子に対し内在性でない5´UTRが、先に説明されたようにPCRにより付加される場合、コンセンサスコザック配列は、5´UTR配列を付加することにより、再デザインされることができる。コザック配列は、一部のRNA転写物の翻訳効率を増大することができるが、全てのRNAが効率的翻訳を可能にするのに必要であるようには見えない。多くのmRNAに関するコザック配列の必要要件は、当該技術分野において公知である。他の実施態様において、5´UTRは、そのRNAゲノムが細胞において安定しているRNAウイルスに由来することができる。他の実施態様において、様々なヌクレオチドアナログが、mRNAのエキソヌクレアーゼ分解を妨げるために、3´又は5´UTRにおいて使用されることができる。
【0113】
DNA鋳型からRNAの合成を可能にするために、転写プロモーターは、転写される配列の上流のDNA鋳型に結合されなければならない。RNAポリメラーゼのプロモーターとして機能する配列が、フォワードプライマーの5´末端に付加される場合、このRNAポリメラーゼプロモーターは、転写されるべきオープンリーディングフレームの上流のPCR産物に組込まれ始める。一実施態様において、このプロモーターは、本明細書別所記載のT7 RNAポリメラーゼプロモーターである。他の有用なプロモーターは、T3及びSP6 RNAポリメラーゼプロモーターを含むが、これらに限定されるものではない。T7、T3及びSP6プロモーターに関するコンセンサスヌクレオチド配列は、当該技術分野において公知である。
【0114】
一実施態様において、このmRNAは、5´末端、並びにリボソーム結合、翻訳開始及び細胞におけるmRNAの安定性を決定する3´ポリ(A)尾部の両方にキャップを有する。例えばプラスミドDNAなど、環状DNA鋳型について、RNAポリメラーゼは、長いコンカテマー産物を生成し、これは真核細胞における発現には適していない。3´UTRの末端で線状化されたプラスミドDNAの転写は、通常のサイズのmRNAを生じ、これは転写後にポリアデニル化される場合、真核生物のトランスフェクションに有効である。
【0115】
線状DNA鋳型に関して、ファージT7 RNAポリメラーゼは、鋳型の最後の塩基を超えて転写物の3´末端を延長することができる(Schenborn及びMierendorf、Nuc Acids Res.、13:6223-36 (1985);Nacheva及びBerzal-Herranz、Eur. J. Biochem.、270:1485-65 (2003))。
【0116】
ポリA/TストレッチのDNA鋳型への組込みの慣習的方法は、分子クローニングである。しかし、プラスミドDNAへ組込まれたポリA/T配列は、プラスミドの不安定さを引き起こし、これはプラスミド増殖の能力がない(incompetent)細菌細胞の組換えの使用を通じて、改善され得る。
【0117】
RNAのポリ(A)尾部は、大腸菌ポリAポリメラーゼ(E-PAP)又は酵母ポリAポリメラーゼなどの、ポリ(A)ポリメラーゼの使用により、インビトロ転写後に、更に延長され得る。一実施態様において、100ヌクレオチドから300~400ヌクレオチドまでのポリ(A)尾部の長さの増加は、RNAの翻訳効率の約2倍の増加を生じる。加えて異なる化学基の3´末端への結合は、mRNA安定性を増大することができる。そのような結合は、改変された/人工のヌクレオチド、アプタマー及び他の化合物を含むことができる。例えば、ATPアナログは、ポリ(A)ポリメラーゼを使用し、ポリ(A)尾部に組込まれることができる。ATPアナログは更に、RNAの安定性を増加することができる。
【0118】
5´キャップも、mRNA分子に安定性を提供する。一実施態様において、RNAは、5´キャップ1構造を含むように本方法により生成された。そのようなキャップ1構造は、ワクシニアキャッピング酵素及び2’-O-メチル転移酵素(CellScript、Madison、WI)を用いて作製され得る。或いは、5´キャップは、当該技術分野において公知で且つ本明細書に説明された技術を用いて提供される(Cougotら、Trends in Biochem. Sci.、29:436-444 (2001);Stepinskiら、RNA、7:1468-95 (2001);Elangoら、Biochim. Biophys. Res. Commun.、330:958-966 (2005))。
【0119】
RNAは、数多くの様々な方法のいずれか、例えば非限定的に、電気穿孔法(Amaxa Nucleofector-II (Amaxa Biosystems、Cologne、Germany))、(ECM 830 (BTX)(Harvard Instruments、Boston、Mass.)又はGene Pulser II(BioRad、Denver、Colo.)、マルチポレーター(Eppendort、Hamburg Germany)、リポフェクションを使用する陽イオン性リポソーム媒介したトランスフェクション、ポリマーカプセル化、ペプチド媒介型トランスフェクション、又は「遺伝子銃」などのバイオリスティック粒子送達システム(例えば、Nishikawaら、Hum Gene Ther.、12(8):861-70 (2001)参照)を含む市販の方法を用いて、標的細胞へ導入されることができる。一部の実施態様において、本発明のRNAは、場合によっては、高効率で、低毒性のトランスフェクションを提供する、TransIT(登録商標)-mRNAトランスフェクションキット(Mirus、Madison WI)の使用を含む方法により、細胞へ導入される。
【0120】
ヌクレオシド-改変されたRNA
一実施態様において、本発明の組成物は、本明細書記載のHCV p7タンパク質及び少なくとも1種の追加のHCV抗原をコードしているヌクレオシド-改変された核酸を含有する。一実施態様において、本発明の組成物は、HCV p7タンパク質及び少なくとも1種の追加のHCV抗原をコードしているヌクレオシド-改変されたmRNA分子を含有する。一実施態様において、本発明の組成物は、本明細書記載のアジュバントをコードしているヌクレオシド-改変された核酸を含有する。
【0121】
一実施態様において、本発明の組成物は、系統スキームに従うよう各後続の注入のために変化するHCV p7タンパク質をコードしている、一連のヌクレオシド-改変されたmRNA分子を含有する。一実施態様において、本発明の組成物は、一連のヌクレオシド-改変されたmRNA分子を含有し、ここで各mRNA分子は、系統スキームに従うよう各後続の注入のために変化するHCV p7タンパク質及び少なくとも1種の追加のHCV抗原をコードしている。
【0122】
ヌクレオシド-改変されたmRNAは、例えば、増大した安定性、低い又は存在しない先天性の免疫原性、及び増強された翻訳を含む、改変されないmRNAに勝る特定の利点を有する。本発明において有用なヌクレオシド-改変されたmRNAは更に、米国特許第8,278,036号、第8,691,966号、及び第8,835,108号に説明されており、その各々はその全体が引用により本明細書中に組み込まれている。
【0123】
一部の実施態様において、ヌクレオシド-改変されたmRNAは、いずれの病理学的経路も活性化せず、非常に効率的且つほぼ送達直後に翻訳し、並びに数日から数週間持続するインビボにおける連続的タンパク質生成のための鋳型として働く(Karikoら、2008、Mol Ther 16:1833-1840;Karikoら、2012、Mol Ther 20:948-953)。生理的効果を発揮するのに必要とされるmRNAの量は、小さく、これをヒト療法に適用可能にしている。例えば本明細書記載のように、HCV抗原をコードしているヌクレオシド-改変されたmRNAは、抗原-特異的抗体産生を誘導する能力を明らかにしている。例えば場合によっては、ヌクレオシド-改変されたmRNAによりコードされた抗原は、非-改変mRNAによりコードされた抗原と比べ、抗原-特異的抗体産生のより大きい産生を誘導する。
【0124】
場合によっては、このコード化mRNAの送達によるタンパク質の発現は、タンパク質、プラスミドDNA又はウイルスベクターを使用する方法に勝る多くの恩恵を有する。mRNAトランスフェクション期間中に、所望のタンパク質のコード配列は、細胞へ送達される唯一の物質であり、結果的にプラスミド骨格、ウイルス遺伝子、及びウイルスタンパク質に関連したあらゆる副作用を回避する。より重要なことは、DNA-及びウイルス-ベースのベクターとは異なり、このmRNAは、mRNA送達直後に始まるゲノム及びタンパク質生成へ組込まれるリスクを有さない。例えば、高レベルの循環タンパク質が、コード化mRNAのインビボ注入の15~30分以内に測定されている。一部の実施態様において、タンパク質ではなくmRNAの使用もまた、多くの利点を有する。循環又は組織中のタンパク質の半減期は、短いことが多く、結果的にタンパク質治療は、頻繁な投薬が必要であるのに対し、mRNAは、数日から数週間の連続タンパク質生成のための鋳型を提供する。タンパク質の精製は、問題が多く、且つこれらは、有害作用を引き起こす凝集体及び他の不純物を含有し得る(Kromminga及びSchellekens、2005、Ann NY Acad Sci 1050:257-265)。
【0125】
一部の実施態様において、ヌクレオシド-改変されたRNAは、天然の改変された-ヌクレオシドシュードウリジンを含む。一部の実施態様において、シュードウリジンの包含は、mRNAをより安定で、非-免疫原性で、及び高度に翻訳可能にする(Karikoら、2008、Mol Ther 16:1833-1840;Andersonら、2010、Nucleic Acids Res 38:5884-5892;Andersonら、2011、Nucleic Acids Research 39:9329-9338;Karikoら、2011、Nucleic Acids Research 39:e142;Karikoら、2012、Mol Ther 20:948-953;Karikoら、2005、Immunity 23:165-175)。
【0126】
RNA中のシュードウリジンを含む、改変されたヌクレオシドの存在は、それらの先天性免疫原性を抑制することが、明らかにされている(Karikoら、2005、Immunity 23:165-175)。更に、シュードウリジンを含む、タンパク質-コードしているインビトロにおいて-転写されたRNAは、改変されたヌクレオシドを含まないか又は他のものを含むRNAよりもより効率的に翻訳され得る(Karikoら、2008、Mol Ther 16:1833-1840)。引き続き、シュードウリジンの存在は、RNAの安定性を改善し(Andersonら、2011、Nucleic Acids Research 39:9329-9338)、且つPKRの活性化及び翻訳の阻害の両方を減じる(Anderson ら、2010、Nucleic Acids Res 38:5884-5892)ことが示されている。
【0127】
シュードウリジンについて説明された類似の効果はまた、1-メチル-シュードウリジンを含むRNAについても認められている。
【0128】
一部の実施態様において、このヌクレオシド-改変された核酸分子は、精製されたヌクレオシド-改変された核酸分子である。例えば一部の実施態様において、本組成物は、二本鎖夾雑物を除去するよう、精製される。場合によっては、分取高速液体クロマトグラフィー(HPLC)精製手順が、優れた翻訳能を有し且つ先天性免疫原性を有さないシュードウリジン-含有RNAを得るために、使用される(Karikoら、2011、Nucleic Acids Research 39:e142)。マウス及びマカクへのエリスロポエチンをコードしているHPLC-精製されたシュードウリジン-含有RNAの投与は、血清EPOレベルの有意な増加を生じ(Karikoら、2012、Mol Ther 20:948-953)、従ってシュードウリジン-含有mRNAは、インビボタンパク質療法に適していることを確認した。一部の実施態様において、ヌクレオシド-改変された核酸分子は、非-HPLC法を用いて精製される。場合によっては、ヌクレオシド-改変された核酸分子は、非限定的にHPLC及びファストタンパク質液体クロマトグラフィー(FPLC)を含む、クロマトグラフィー法を用いて精製される。例証的FPLC-ベースの精製手順は、Weissmanらの文献(2013、Methods Mol Biol、969: 43-54)に説明されている。例証的精製手順はまた、米国特許出願第US2016/0032316号に説明されており、これはその全体が引用により本明細書中に組み込まれている。
【0129】
本発明は、シュードウリジン又は改変されたヌクレオシドを含む、RNA、オリゴリボヌクレオチド、及びポリリボヌクレオチドの分子を包含している。一部の実施態様において、本組成物は、抗原をコードしている単離された核酸を含有し、ここでこの核酸は、シュードウリジン又は改変されたヌクレオシドを含む。一部の実施態様において、本組成物は、抗原、アジュバント、又はそれらの組合せをコードしている単離された核酸を含むベクターを含有し、ここでこの核酸は、シュードウリジン又は改変されたヌクレオシドを含む。
【0130】
一実施態様において、本発明のヌクレオシド-改変されたRNAは、本明細書別所記載のIVT RNAである。例えば一部の実施態様において、このヌクレオシド-改変されたRNAは、T7ファージRNAポリメラーゼにより合成される。別の実施態様において、このヌクレオシド-改変されたmRNAは、SP6ファージRNAポリメラーゼにより合成される。別の実施態様において、このヌクレオシド-改変されたRNAは、T3ファージRNAポリメラーゼにより合成される。
【0131】
一実施態様において、この改変されたヌクレオシドは、m1acp3Ψ(1-メチル-3-(3-アミノ-3-カルボキシプロピル)シュードウリジンである。別の実施態様において、改変されたヌクレオシドは、m1Ψ(1-メチルシュードウリジン)である。別の実施態様において、改変されたヌクレオシドは、Ψm(2´-O-メチルシュードウリジン)である。別の実施態様において、改変されたヌクレオシドは、m5D(5-メチルジヒドロウリジン)である。別の実施態様において、改変されたヌクレオシドは、m3Ψ(3-メチルシュードウリジン)である。別の実施態様において、改変されたヌクレオシドは、更に改変されていないシュードウリジン部分である。別の実施態様において、改変されたヌクレオシドは、前記シュードウリジンのいずれかの一リン酸エステル、二リン酸エステル、又は三リン酸エステルである。別の実施態様において、改変されたヌクレオシドは、当該技術分野において公知のいずれか他のシュードウリジン-様ヌクレオシドである。
【0132】
別の実施態様において、本発明のヌクレオシド-改変されたRNAにおいて改変されるヌクレオシドは、ウリジン(U)である。別の実施態様において、改変されたヌクレオシドは、シチジン(C)である。別の実施態様において、改変されたヌクレオシドは、アデノシン(A)である。別の実施態様において、改変されたヌクレオシドは、グアノシン(G)である。
【0133】
別の実施態様において、本発明の改変されたヌクレオシドは、m5C(5-メチルシチジン)である。別の実施態様において、改変されたヌクレオシドは、m5U(5-メチルウリジン)である。別の実施態様において、改変されたヌクレオシドは、m6A(N6-メチルアデノシン)である。別の実施態様において、改変されたヌクレオシドは、s2U(2-チオウリジン)である。別の実施態様において、改変されたヌクレオシドは、Ψ(シュードウリジン)である。別の実施態様において、改変されたヌクレオシドは、Um(2´-O-メチルウリジン)である。
【0134】
他の実施態様において、この改変されたヌクレオシドは、m1A(1-メチルアデノシン);m2A(2-メチルアデノシン);Am(2´-O-メチルアデノシン);ms2m6A(2-メチルチオ-N6-メチルアデノシン);i6A(N6-イソペンテニルアデノシン);ms2i6A(2-メチルチオ-N6イソペンテニルアデノシン);io6A(N6-(cis-ヒドロキシイソペンテニル)アデノシン);ms2io6A(2-メチルチオ-N6-(cis-ヒドロキシイソペンテニル)アデノシン);g6A(N6-グリシニルカルバモイルアデノシン);t6A(N6-トレオニルカルバモイルアデノシン);ms2t6A(2-メチルチオ-N6-トレオニルカルバモイルアデノシン);m6t6A(N6-メチル-N6-トレオニルカルバモイルアデノシン);hn6A(N6-ヒドロキシノルバリルカルバモイルアデノシン);ms2hn6A(2-メチルチオ-N6-ヒドロキシノルバリルカルバモイルアデノシン);Ar(p)(2´-O-リボシルアデノシン(リン酸エステル));I(イノシン);m1I(1-メチルイノシン);m1Im(1,2´-O-ジメチルイノシン);m3C(3-メチルシチジン);Cm(2´-O-メチルシチジン);s2C(2-チオシチジン);ac4C(N4-アセチルシチジン);f5C(5-ホルミルシチジン);m5Cm(5,2´-O-ジメチルシチジン);ac4Cm(N4-アセチル-2´-O-メチルシチジン);k2C(ライシジン);m1G(1-メチルグアノシン);m2G(N2-メチルグアノシン);m7G(7-メチルグアノシン);Gm(2´-O-メチルグアノシン);m22G(N2,N2-ジメチルグアノシン);m2Gm(N2,2´-O-ジメチルグアノシン);m22Gm(N2,N2,2´-O-トリメチルグアノシン);Gr(p)(2´-O-リボシルグアノシン(リン酸エステル));yW(ワイブトシン);o2yW(ペルオキシワイブトシン);OHyW(ヒドロキシワイブトシン);OHyW*(改変されたヒドロキシワイブトシン);imG(ワイオシン);mimG(メチルワイオシン);Q(キューオシン);oQ(エポキシキューオシン);galQ(ガラクトシル-キューオシン);manQ(マンノシル-キューオシン);preQ0(7-シアノ-7-デアザグアノシン);preQ1(7-アミノメチル-7-デアザグアノシン);G+(アーカエオシン(archaeosine));D(ジヒドロウリジン);m5Um(5,2´-O-ジメチルウリジン);s4U(4-チオウリジン);m5s2U(5-メチル-2-チオウリジン);s2Um(2-チオ-2´-O-メチルウリジン);acp3U(3-(3-アミノ-3-カルボキシプロピル)ウリジン);ho5U(5-ヒドロキシウリジン);mo5U(5-メトキシウリジン);cmo5U(ウリジン5-オキシ酢酸);mcmo5U(ウリジン5-オキシ酢酸メチルエステル);chm5U(5-(カルボキシヒドロキシメチル)ウリジン));mchm5U(5-(カルボキシヒドロキシメチル)ウリジンメチルエステル);mcm5U(5-メトキシカルボニルメチルウリジン);mcm5Um(5-メトキシカルボニルメチル-2´-O-メチルウリジン);mcm5s2U(5-メトキシカルボニルメチル-2-チオウリジン);nm5s2U(5-アミノメチル-2-チオウリジン);mnm5U(5-メチルアミノメチルウリジン);mnm5s2U(5-メチルアミノメチル-2-チオウリジン);mnm5se2U(5-メチルアミノメチル-2-セレノウリジン);ncm5U(5-カルバモイルメチルウリジン);ncm5Um(5-カルバモイルメチル-2´-O-メチルウリジン);cmnm5U(5-カルボキシメチルアミノメチルウリジン);cmnm5Um(5-カルボキシメチルアミノメチル-2´-O-メチルウリジン);cmnm5s2U(5-カルボキシメチルアミノメチル-2-チオウリジン);m62A(N6,N6-ジメチルアデノシン);Im(2´-O-メチルイノシン);m4C(N4-メチルシチジン);m4Cm(N4,2´-O-ジメチルシチジン);hm5C(5-ヒドロキシメチルシチジン);m3U(3-メチルウリジン);cm5U(5-カルボキシメチルウリジン);m6Am(N6,2´-O-ジメチルアデノシン);m62Am(N6,N6,O-2´-トリメチルアデノシン);m2,7G(N2,7-ジメチルグアノシン);m2,2,7G(N2,N2,7-トリメチルグアノシン);m3Um(3,2´-O-ジメチルウリジン);m5D(5-メチルジヒドロウリジン);f5Cm(5-ホルミル-2´-O-メチルシチジン);m1Gm(1,2´-O-ジメチルグアノシン);m1Am(1,2´-O-ジメチルアデノシン);τm5U(5-タウリノメチルウリジン);τm5s2U(5-タウリノメチル-2-チオウリジン));imG-14(4-デメチルワイオシン);imG2(イソワイオシン);又は、ac6A(N6-アセチルアデノシン)である。
【0135】
別の実施態様において、本発明のヌクレオシド-改変されたRNAは、前述の改変の2以上の組合せを含む。別の実施態様において、このヌクレオシド-改変されたRNAは、前述の改変の3以上の組合せを含む。別の実施態様において、このヌクレオシド-改変されたRNAは、前述の改変の4以上の組合せを含む。
【0136】
様々な実施態様において、本発明のヌクレオシド-改変されたRNAの残基の0.1%~100%は、改変されている(例えば、シュードウリジン、1-メチル-シュードウリジン、又は別の改変されたヌクレオシド塩基の存在のいずれかにより)。一実施態様において、改変された残基の割合(fraction)は、0.1%である。別の実施態様において、改変された残基の割合は、0.2%である。別の実施態様において、割合は0.3%である。別の実施態様において、割合は0.4%である。別の実施態様において、割合は0.5%である。別の実施態様において、割合は0.6%である。別の実施態様において、割合は0.7%である。別の実施態様において、割合は0.8%である。別の実施態様において、割合は0.9%である。別の実施態様において、割合は1%である。別の実施態様において、割合は1.5%である。別の実施態様において、割合は2%である。別の実施態様において、割合は2.5%である。別の実施態様において、割合は3%である。別の実施態様において、割合は4%である。別の実施態様において、割合は5%である。別の実施態様において、割合は6%である。別の実施態様において、割合は7%である。別の実施態様において、割合は8%である。別の実施態様において、割合は9%である。別の実施態様において、割合は10%である。別の実施態様において、割合は12%である。別の実施態様において、割合は14%である。別の実施態様において、割合は16%である。別の実施態様において、割合は18%である。別の実施態様において、割合は20%である。別の実施態様において、割合は25%である。別の実施態様において、割合は30%である。別の実施態様において、割合は35%である。別の実施態様において、割合は40%である。別の実施態様において、割合は45%である。別の実施態様において、割合は50%である。別の実施態様において、割合は55%である。別の実施態様において、割合は60%である。別の実施態様において、割合は65%である。別の実施態様において、割合は70%である。別の実施態様において、割合は75%である。別の実施態様において、割合は80%である。別の実施態様において、割合は85%である。別の実施態様において、割合は90%である。別の実施態様において、割合は91%である。別の実施態様において、割合は、92%である。別の実施態様において、割合は93%である。別の実施態様において、割合は94%である。別の実施態様において、割合は95%である。別の実施態様において、割合は96%である。別の実施態様において、割合は97%である。別の実施態様において、割合は98%である。別の実施態様において、割合は99%である。別の実施態様において、割合は100%である。
【0137】
別の実施態様において、この割合は、5%未満である。別の実施態様において、割合は3%未満である。別の実施態様において、割合は1%未満である。別の実施態様において、割合は2%未満である。別の実施態様において、割合は4%未満である。別の実施態様において、割合は6%未満である。別の実施態様において、割合は8%未満である。別の実施態様において、割合は10%未満である。別の実施態様において、割合は12%未満である。別の実施態様において、割合は15%未満である。別の実施態様において、割合は20%未満である。別の実施態様において、割合は30%未満である。別の実施態様において、割合は40%未満である。別の実施態様において、割合は50%未満である。別の実施態様において、割合は60%未満である。別の実施態様において、割合は70%未満である。
【0138】
別の実施態様において、所定のヌクレオシドの残基(すなわち、ウリジン、シチジン、グアノシン、又はアデノシン)の0.1%は、改変される。別の実施態様において、改変された残基の割合は、0.2%である。別の実施態様において、割合は0.3%である。別の実施態様において、割合は0.4%である。別の実施態様において、割合は0.5%である。別の実施態様において、割合は0.6%である。別の実施態様において、割合は0.7%である。別の実施態様において、割合は0.8%である。別の実施態様において、割合は0.9%である。別の実施態様において、割合は1%である。別の実施態様において、割合は1.5%である。別の実施態様において、割合は、2%である。別の実施態様において、割合は2.5%である。別の実施態様において、割合は3%である。別の実施態様において、割合は4%である。別の実施態様において、割合は5%である。別の実施態様において、割合は6%である。別の実施態様において、割合は7%である。別の実施態様において、割合は8%である。別の実施態様において、割合は9%である。別の実施態様において、割合は10%である。別の実施態様において、割合は12%である。別の実施態様において、割合は14%である。別の実施態様において、割合は16%である。別の実施態様において、割合は18%である。別の実施態様において、割合は20%である。別の実施態様において、割合は25%である。別の実施態様において、割合は30%である。別の実施態様において、割合は35%である。別の実施態様において、割合は40%である。別の実施態様において、割合は45%である。別の実施態様において、割合は50%である。別の実施態様において、割合は55%である。別の実施態様において、割合は60%である。別の実施態様において、割合は65%である。別の実施態様において、割合は70%である。別の実施態様において、割合は75%である。別の実施態様において、割合は80%である。別の実施態様において、割合は85%である。別の実施態様において、割合は90%である。別の実施態様において、割合は91%である。別の実施態様において、割合は92%である。別の実施態様において、割合は93%である。別の実施態様において、割合は94%である。別の実施態様において、割合は95%である。別の実施態様において、割合は96%である。別の実施態様において、割合は97%である。別の実施態様において、割合は98%である。別の実施態様において、割合は99%である。別の実施態様において、割合は100%である。別の実施態様において、改変された所定のヌクレオチドの割合は、8%未満である。別の実施態様において、割合は10%未満である。別の実施態様において、割合は5%未満である。別の実施態様において、割合は3%未満である。別の実施態様において、割合は1%未満である。別の実施態様において、割合は2%未満である。別の実施態様において、割合は4%未満である。別の実施態様において、割合は6%未満である。別の実施態様において、割合は12%未満である。別の実施態様において、割合は15%未満である。別の実施態様において、割合は20%未満である。別の実施態様において、割合は30%未満である。別の実施態様において、割合は40%未満である。別の実施態様において、割合は50%未満である。別の実施態様において、割合は60%未満である。別の実施態様において、割合は70%未満である。
【0139】
一部の実施態様において、本組成物は、1本鎖ヌクレオシド改変されたRNAの精製された調製品を含有する。例えば一部の実施態様において、この1本鎖ヌクレオシド改変されたRNAの精製された調製品は、二本鎖RNA(dsRNA)を実質的に含まない。一部の実施態様において、この精製された調製品は、全ての他の核酸分子(DNA、dsRNAなど)に対して、少なくとも90%、又は少なくとも91%、又は少なくとも92%、又は少なくとも93%又は少なくとも94%、又は少なくとも95%、又は少なくとも96%、又は少なくとも97%、又は少なくとも98%、又は少なくとも99%、又は少なくとも99.5%、又は少なくとも99.9%が1本鎖ヌクレオシド改変されたRNAである。
【0140】
別の実施態様において、本発明のヌクレオシド-改変されたRNAは、細胞において、同じ配列を持つ改変されないないRNA分子よりもより効率的に、翻訳される。別の実施態様において、このヌクレオシド-改変されたRNAは、標的細胞により翻訳される増強された能力を発揮する。別の実施態様において、翻訳は、その改変されない対応物に対し、2-倍(a factor of 2-fold)まで増強される。別の実施態様において、翻訳は、3-倍まで増強される。別の実施態様において、翻訳は、4-倍まで増強される。別の実施態様において、翻訳は、5-倍まで増強される。別の実施態様において、翻訳は、6-倍まで増強される。別の実施態様において、翻訳は、7-倍まで増強される。別の実施態様において、翻訳は、8-倍まで増強される。別の実施態様において、翻訳は、9-倍まで増強される。別の実施態様において、翻訳は、10-倍まで増強される。別の実施態様において、翻訳は、15-倍まで増強される。別の実施態様において、翻訳は、20-倍まで増強される。別の実施態様において、翻訳は、50-倍まで増強される。別の実施態様において、翻訳は、100-倍まで増強される。別の実施態様において、翻訳は、200-倍まで増強される。別の実施態様において、翻訳は、500-倍まで増強される。別の実施態様において、翻訳は、1000-倍まで増強される。別の実施態様において、翻訳は、2000-倍まで増強される。別の実施態様において、この倍数は、10~1000倍(-fold)である。別の実施態様において、この倍数は、10~100倍である。別の実施態様において、この倍数は、10~200倍である。別の実施態様において、この倍数は、10~300倍である。別の実施態様において、この倍数は、10~500倍である。別の実施態様において、この倍数は、20~1000倍である。別の実施態様において、この倍数は、30~1000倍である。別の実施態様において、この倍数は、50~1000倍である。別の実施態様において、この倍数は、100~1000倍である。別の実施態様において、この倍数は、200~1000倍である。別の実施態様において、翻訳は、いずれか他の有意な量又は量の範囲まで増強される。
【0141】
別の実施態様において、本発明のヌクレオシド-改変された抗原-コードしているRNAは、同じ配列の改変されないインビトロで-合成されたRNA分子と比べ、有意により強固な適応免疫応答を誘導する。別の実施態様において、この改変されたRNA分子は、その改変されない対応物よりも2倍より大きい適応免疫応答を誘導する。別の実施態様において、適応免疫応答は、3-倍まで増大される。別の実施態様において、適応免疫応答は、4-倍まで増大される。別の実施態様において、適応免疫応答は、5-倍まで増大される。別の実施態様において、適応免疫応答は、6-倍まで増大される。別の実施態様において、適応免疫応答は、7-倍まで増大される。別の実施態様において、適応免疫応答は、8-倍まで増大される。別の実施態様において、適応免疫応答は、9-倍まで増大される。別の実施態様において、適応免疫応答は、10-倍まで増大される。別の実施態様において、適応免疫応答は、15-倍まで増大される。別の実施態様において、適応免疫応答は、20-倍まで増大される。別の実施態様において、適応免疫応答は、50-倍まで増大される。別の実施態様において、適応免疫応答は、100-倍まで増大される。別の実施態様において、適応免疫応答は、200-倍まで増大される。別の実施態様において、適応免疫応答は、500-倍まで増大される。別の実施態様において、適応免疫応答は、1000-倍まで増大される。別の実施態様において、適応免疫応答は、2000-倍まで増大される。別の実施態様において、適応免疫応答は、別の倍数差まで増大される。
【0142】
別の実施態様において、「有意により強固な適応免疫応答を誘導する」とは、適応免疫応答の検出可能な増加を指す。別の実施態様において、この用語は、適応免疫応答の倍数増加(例えば、先に列挙された倍数増加の1つ)を指す。別の実施態様において、この用語は、ヌクレオシド-改変されたRNAが、改変されないRNA分子よりも少ない用量又は頻度で投与され得るが、依然類似した効果の適応免疫応答を誘導するような、増加を指す。別の実施態様において、この増加は、ヌクレオシド-改変されたRNAが、効果的な適応免疫応答を誘導するために単回用量を用いて投与され得るようなものである。
【0143】
別の実施態様において、本発明のヌクレオシド-改変されたRNAは、同じ配列の改変されないインビトロ-合成されたRNA分子よりも、有意に少ない先天性免疫原性を発揮する。別の実施態様において、この改変されたRNA分子は、その改変されない対応物よりも2-倍少ない先天性免疫応答を示す。別の実施態様において、先天性免疫原性は、1/3(-fold factor)まで減少される。別の実施態様において、先天性免疫原性は、1/4まで減少される。別の実施態様において、先天性免疫原性は、1/5まで減少される。別の実施態様において、先天性免疫原性は、1/6まで減少される。別の実施態様において、先天性免疫原性は、1/7まで減少される。別の実施態様において、先天性免疫原性は、1/8まで減少される。別の実施態様において、先天性免疫原性は、1/9まで減少される。別の実施態様において、先天性免疫原性は、1/10まで減少される。別の実施態様において、先天性免疫原性は、1/15まで減少される。別の実施態様において、先天性免疫原性は、1/20まで減少される。別の実施態様において、先天性免疫原性は、1/50まで減少される。別の実施態様において、先天性免疫原性は、1/100まで減少される。別の実施態様において、先天性免疫原性は、1/200まで減少される。別の実施態様において、先天性免疫原性は、1/500まで減少される。別の実施態様において、先天性免疫原性は、1/1000まで減少される。別の実施態様において、先天性免疫原性は、1/2000まで減少される。別の実施態様において、先天性免疫原性は、別の倍数差まで減少される。
【0144】
別の実施態様において、「有意に少ない先天性免疫原性を発揮する」とは、先天性免疫原性の検出可能な減少を指す。別の実施態様において、この用語は、先天性免疫原性の倍数減少(例えば、先に列挙された倍数減少の1つ)を指す。別の実施態様において、この用語は、ヌクレオシド-改変されたRNAの有効量が、検出可能な先天性免疫応答を惹起することなく、投与され得るような、減少を指す。別の実施態様において、この用語は、ヌクレオシド-改変されたRNAが、改変されたRNAによりコードされたタンパク質の生成を検出可能に減少するのに十分なように、先天性免疫応答を誘発することなく、反復投与され得るような、減少を指す。別の実施態様において、この減少は、改変されたRNAによりコードされたタンパク質の検出可能な生成を排除するのに十分なように、先天性免疫応答を誘発することなく、反復投与され得るようなものである。
【0145】
脂質ナノ粒子
一実施態様において、ヌクレオシド-改変されたRNAの送達は、本明細書の別所に説明された、例証的RNAトランスフェクション法を含む、いずれか好適な送達方法を含む。一部の実施態様において、ヌクレオシド-改変されたRNAの対象への送達は、接触する工程の前に、ヌクレオシド-改変されたRNAを、トランスフェクション試薬と混合することを含む。別の実施態様において、本発明の方法は更に、ヌクレオシド-改変されたRNAを、トランスフェクション試薬と一緒に投与することを含む。別の実施態様において、トランスフェクション試薬は、陽イオン性脂質試薬である。別の実施態様において、トランスフェクション試薬は、陽イオン性ポリマー試薬である。
【0146】
別の実施態様において、このトランスフェクション試薬は、脂質-ベースのトランスフェクション試薬である。別の実施態様において、トランスフェクション試薬は、タンパク質-ベースのトランスフェクション試薬である。別の実施態様において、トランスフェクション試薬は、炭水化物-ベースのトランスフェクション試薬である。別の実施態様において、トランスフェクション試薬は、陽イオン性脂質-ベースのトランスフェクション試薬である。別の実施態様において、トランスフェクション試薬は、陽イオン性ポリマー-ベースのトランスフェクション試薬である。別の実施態様において、トランスフェクション試薬は、ポリエチレンイミンベースのトランスフェクション試薬である。別の実施態様において、トランスフェクション試薬は、リン酸カルシウムである。別の実施態様において、トランスフェクション試薬は、Lipofectin(登録商標)、Lipofectamine(登録商標)、又はTransIT(登録商標)である。別の実施態様において、トランスフェクション試薬は、当該技術分野において公知のいずれか他のトランスフェクション試薬である。
【0147】
別の実施態様において、このトランスフェクション試薬は、リポソームを形成する。別の実施態様において、リポソームは、細胞内安定性を増大し、取込み効率を増大し且つ生物活性を改善する。別の実施態様において、リポソームは、細胞膜を作る、それらの脂質と類似の様式で配置された脂質で構成された、中空の球形小胞である。これらは、別の実施態様において、水-溶性化合物を捕獲し且つ直径が0.05から数ミクロンのサイズ範囲である、内側水性空間を有する。別の実施態様において、リポソームは、生物学的活性型で、RNAを細胞へ送達することができる。
【0148】
一実施態様において、本組成物は、脂質ナノ粒子(LNP)及び本明細書記載の1又は複数の核酸分子を含有する。例えば一実施態様において、本組成物は、LNP及び1又は複数の抗原をコードしている1又は複数のヌクレオシド-改変されたRNA分子、アジュバント、又はそれらの組合せを含有する。
【0149】
用語「脂質ナノ粒子」は、1又は複数の脂質、例えば式(I)、(II)又は(III)の脂質を含む、ナノメーターの桁の少なくとも1つの寸法(例えば、1~1,000nm)を有する粒子を指す。一部の実施態様において、脂質ナノ粒子は、本明細書記載のヌクレオシド-改変されたRNAを含有する製剤に含まれる。一部の実施態様において、そのような脂質ナノ粒子は、陽イオン性脂質(例えば、式(I)、(II)又は(III)の脂質)、並びに天然の脂質、帯電した脂質、ステロイド及びポリマーコンジュゲートした脂質(例えば、構造(IV)のペグ化脂質などのペグ化された脂質、化合物Ivaなど)から選択された、1又は複数の賦形剤を含む。一部の実施態様において、このヌクレオシド-改変されたRNAは、脂質ナノ粒子の脂質部分、又は脂質ナノ粒子の脂質部分の一部又は全てにより封入された水性空間に被包され、これによりこれを酵素分解又は宿主生物又は細胞の機序により誘導される他の望ましくない作用、例えば有害な免疫応答から保護する。
【0150】
様々な実施態様において、この脂質ナノ粒子は、平均直径約30nm~約150nm、約40nm~約150nm、約50nm~約150nm、約60nm~約130nm、約70nm~約110nm、約70nm~約100nm、約80nm~約100nm、約90nm~約100nm、約70~約90nm、約80nm~約90nm、約70nm~約80nm、又は約30nm、35nm、40nm、45nm、50nm、55nm、60nm、65nm、70nm、75nm、80nm、85nm、90nm、95nm、100nm、105nm、110nm、115nm、120nm、125nm、130nm、135nm、140nm、145nm、もしくは150nmを有し、並びに実質的に無毒である。一部の実施態様において、このヌクレオシド-改変されたRNAは、この脂質ナノ粒子内に存在する場合、ヌクレアーゼにより分解するよう水溶液に対し抵抗性である。
【0151】
このLNPは、それに1もしくは複数の核酸分子が結合されるか、又はその中に1もしくは複数の核酸分子が被包されるような、粒子を形成することが可能である任意の脂質を含んでよい。用語「脂質」は、脂肪酸の誘導体(例えば、エステル)であり、且つ概して水中に不溶性であるが多くの有機溶媒には可溶性であることにより特徴付けられる有機化合物の群を指す。脂質は通常、少なくとも3つのクラスに分類される:(1)「単純脂質」、これは油脂、並びにワックスを含む;(2)「複合脂質」、これはリン脂質及び糖脂質を含む;並びに(3)「誘導された脂質」、例えばステロイドなど。
【0152】
一実施態様において、LNPは、1又は複数の陽イオン性脂質、及び1又は複数の安定化脂質(stabilizing lipid)を含む。安定化脂質は、中性脂質及びペグ化脂質を含む。
【0153】
一実施態様において、LNPは、陽イオン性脂質を含む。本明細書において使用される用語「陽イオン性脂質」とは、pHが脂質のイオン化可能な基のpKよりも低いと、陽イオン性であるか、又は陽イオン性となる(プロトン化される)が、より高いpH値では次第に中性となる、脂質を指す。pKよりも低いpH値では、脂質は、負帯電した核酸と会合することができる。一部の実施態様において、陽イオン性脂質は、pHの低下時に正帯電すると推定される両性イオン性脂質を含む。
【0154】
一部の実施態様において、陽イオン性脂質は、例えば生理的pHなどの、選択されたpHにおいて、正味正帯電を保有する、数多くの脂質類のいずれかを含む。そのような脂質は、N,N-ジオレイル-N,N-ジメチルアンモニウムクロリド(DODAC);N-(2,3-ジオレイルオキシ)プロピル)-N,N,N-トリメチルアンモニウムクロリド(DOTMA);N,N-ジステアリル-N,N-ジメチルアンモニウムブロミド(DDAB);N-(2,3-ジオレオイルオキシ)プロピル)-N,N,N-トリメチルアンモニウムクロリド(DOTAP);3-(N-(N′,N′-ジメチルアミノエタン)-カルバモイル)コレステロール(DC-Chol)、N-(1-(2,3-ジオレオイルオキシ)プロピル)-N-2-(スペルミンカルボキシアミド)エチル)-N,N-ジメチルアンモニウムトリフルオロ酢酸(DOSPA)、ジオクタデシルアミドグリシルカルボキシスペルミン(DOGS)、1,2-ジオレオイル-3-ジメチルアンモニウムプロパン(DODAP)、N,N-ジメチル-2,3-ジオレオイルオキシ)プロピルアミン(DODMA)、及びN-(1,2-ジミリスチルオキシプロパ-3-イル)-N,N-ジメチル-N-ヒドロキシエチルアンモニウムブロミド(DMRIE)を含むが、これらに限定されるものではない。加えて、本発明において使用することができる数多くの陽イオン性脂質の商業的調製品が、入手可能である。これらは、例えば、LIPOFECTIN(登録商標)(GIBCO/BRL社、Grand Island、N.Y.からの、DOTMA及び1,2-ジオレオイル-sn-3-ホスホエタノールアミン(DOPE)を含む市販の陽イオン性リポソーム);LIPOFECTAMINE(登録商標)(GIBCO/BRL社からの、N-(1-(2,3-ジオレイルオキシ)プロピル)-N-(2-(スペルミンカルボキシアミド)エチル)-N,N-ジメチルアンモニウムトリフルオロ酢酸(DOSPA)及び(DOPE)を含む市販の陽イオン性リポソーム);並びに、TRANSFECTAM(登録商標)(Promega社、Madison、Wis.からの、エタノール中にジオクタデシルアミドグリシルカルボキシスペルミン(DOGS)を含む、市販の陽イオン性脂質)を含む。以下の脂質は、生理的pH以下で、陽イオン性であり、且つ正帯電を有する:DODAP、DODMA、DMDMA、1,2-ジリノレイルオキシ-N,N-ジメチルアミノプロパン(DLinDMA)、1,2-ジリノレニルオキシ-N,N-ジメチルアミノプロパン(DLenDMA)。
【0155】
一実施態様において、陽イオン性脂質は、アミノ脂質である。本発明において有用な好適なアミノ脂質は、WO2012/016184に説明されたものを含み、これはその全体が引用により本明細書中に組み込まれている。代表的アミノ脂質は、1,2-ジリノレイオキシ-3-(ジメチルアミノ)アセトキシプロパン(DLin-DAC)、1,2-ジリノレイオキシ-3-モルホリノプロパン(DLin-MA)、1,2-ジリノレオイル-3-ジメチルアミノプロパン(DLinDAP)、1,2-ジリノレイルチオ-3-ジメチルアミノプロパン(DLin-S-DMA)、1-リノレオイル-2-リノレイルオキシ-3-ジメチルアミノプロパン(DLin-2-DMAP)、1,2-ジリノレイルオキシ-3-トリメチルアミノプロパン塩化物塩(DLin-TMA.Cl)、1,2-ジリノレオイル-3-トリメチルアミノプロパン塩化物塩(DLin-TAP.Cl)、1,2-ジリノレイルオキシ-3-(N-メチルピペラジノ)プロパン(DLin-MPZ)、3-(N,N-ジリノレイルアミノ)-1,2-プロパンジオール(DLinAP)、3-(N,N-ジオレイルアミノ)-1,2-プロパンジオール(DOAP)、1,2-ジリノレイルオキソ-3-(2-N,N-ジメチルアミノ)エトキシプロパン(DLin-EG-DMA)、及び2,2-ジリノレイル-4-ジメチルアミノメチル-[1,3]-ジオキソラン(DLin-K-DMA)を含むが、これらに限定されるものではない。
【0156】
好適なアミノ脂質は、下記式を有するものである:
【0157】
【化1】
【0158】
式中、R及びRは、同じか又は異なるかのいずれかであり、並びに独立して任意に置換されたC10-C24アルキル、任意に置換されたC10-C24アルケニル、任意に置換されたC10-C24アルキニル、又は任意に置換されたC10-C24アシルであり;
【0159】
及びRは、同じか又は異なるかのいずれかであり、並びに独立して任意に置換されたC-Cアルキル、任意に置換されたC-Cアルケニル、又は任意に置換されたC-Cアルキニルであり、或いはR及びRは結合して、4~6個の炭素原子及び窒素及び酸素から選択された1もしくは2個のヘテロ原子の任意に置換された複素環を形成してもよく;
【0160】
は、水素又はC-Cアルキルが存在する場合、存在しないか又は存在するかのいずれかであり;
【0161】
m、n、及びpは、同じか又は異なるかのいずれかであり、並びにm、n、及びpは同時に0ではないことを条件に、独立して0又は1のいずれかであり;
【0162】
qは、0、1、2、3、又は4であり;並びに
【0163】
Y及びZは、同じか又は異なるかのいずれかであり、及び独立してO、S、又はNHである。
【0164】
一実施態様において、R及びRは、各々リノレイルであり、及びアミノ脂質は、ジリノレイルアミノ脂質である。一実施態様において、アミノ脂質は、ジリノレイルアミノ脂質である。
【0165】
代表的な有用なジリノレイルアミノ脂質は、下記式である:
【0166】
【化2】
【0167】
式中、nは、0、1、2、3、又は4である。
【0168】
一実施態様において、陽イオン性脂質は、DLin-K-DMAである。一実施態様において、陽イオン性脂質は、DLin-KC2-DMA(nが2である、前記DLin-K-DMA)である。
【0169】
一実施態様において、LNPの陽イオン性脂質成分は、下記式(I)の構造を有するか:
【0170】
【化3】
【0171】
又は、その医薬として許容し得る塩、互変異性体、プロドラッグ又は立体異性体であり、式中:
【0172】
及びLは、各々独立して、-O(C=O)-、-(C=O)O-、又は炭素-炭素二重結合であり;
【0173】
1a及びR1bは、各出現で、独立して、(a)HもしくはC-C12アルキルであるか、又は(b)R1aは、HもしくはC-C12アルキルであり、並びにR1bはそれが結合した炭素原子と共に、隣接R1b及びそれが結合した炭素原子と一緒になり、炭素-炭素二重結合を形成するかのいずれかであり;
【0174】
2a及びR2bは、各出現で、独立して、(a)HもしくはC-C12アルキルであるか、又は(b)R2aは、HもしくはC-C12アルキルであり、並びにR2bはそれが結合した炭素原子と共に、隣接R2b及びそれが結合した炭素原子と一緒になり、炭素-炭素二重結合を形成するかのいずれかであり;
【0175】
3a及びR3bは、各出現で、独立して、(a)HもしくはC-C12アルキルであるか、又は(b)R3aは、HもしくはC-C12アルキルであり、並びにR3bはそれが結合した炭素原子と共に、隣接R3b及びそれが結合した炭素原子と一緒になり、炭素-炭素二重結合を形成するかのいずれかであり;
【0176】
4a及びR4bは、各出現で、独立して、(a)HもしくはC-C12アルキルであるか、又は(b)R4aは、HもしくはC-C12アルキルであり、並びにR4bはそれが結合した炭素原子と共に、隣接R4b及びそれが結合した炭素原子と一緒になり、炭素-炭素二重結合を形成するかのいずれかであり;
【0177】
及びRは、各々独立して、メチル又はシクロアルキルであり;
【0178】
は、各出現で、独立して、H又はC-C12アルキルであり;
【0179】
及びRは、各々独立して、C-C12アルキルであるか;又は、R及びRは、それらが結合した窒素原子と一緒に、1個の窒素原子を含む5、6もしくは7-員複素環を形成し;
【0180】
a及びdは、各々独立して、0~24の整数であり;
【0181】
b及びcは、各々独立して、1~24の整数であり;並びに
【0182】
eは、1又は2である。
【0183】
式(I)の一部の実施態様において、R1a、R2a、R3a又はR4aの少なくとも1つは、C-C12アルキルであるか、又はLもしくはLの少なくとも1つは、-O(C=O)-もしくは-(C=O)O-である。他の実施態様において、R1a及びR1bは、aが6である場合にはイソプロピルではないか、又はaが8である場合にはn-ブチルではない。
【0184】
式(I)のまた更なる実施態様において、R1a、R2a、R3aもしくはR4aの少なくとも1つは、C-C12アルキルであるか、又はLもしくはLの少なくとも1つは、-O(C=O)-もしくは-(C=O)O-であり;並びに
【0185】
1a及びR1bは、aが6である場合にはイソプロピルではないか、又はaが8である場合にはn-ブチルではない。
【0186】
式(I)の他の実施態様において、R及びRは、各々独立して、置換されないC-C12アルキルであるか;又は、R及びRは、それらが結合した窒素原子と一緒に、1個の窒素原子を含む5、6もしくは7-員複素環を形成する;
【0187】
式(I)の一部の実施態様において、L又はLのいずれか1つは、-O(C=O)-又は炭素-炭素二重結合であってよい。L及びLは、各々、-O(C=O)-であるか、又は各々炭素-炭素二重結合であってよい。
【0188】
式(I)の一部の実施態様において、L又はLの一方は、-O(C=O)-である。他の実施態様において、L及びLの両方は、-O(C=O)-である。
【0189】
式(I)の一部の実施態様において、L又はLの一方は、-(C=O)O-である。他の実施態様において、L及びLの両方は、-(C=O)O-である。
【0190】
式(I)の一部の他の実施態様において、L又はLの一方は、炭素-炭素二重結合である。他の実施態様において、L及びLの両方は、炭素-炭素二重結合である。
【0191】
式(I)のさらに他の実施態様において、L又はLの一方は、-O(C=O)-であり、及びL又はLの他方は、-(C=O)O-である。追加の実施態様において、L又はLの一方は、-O(C=O)-であり、及びL又はLの他方は、炭素-炭素二重結合である。更に追加の実施態様において、L又はLの一方は、-(C=O)O-であり、及びL又はLの他方は、炭素-炭素二重結合である。
【0192】
本明細書を通じて使用される「炭素-炭素」二重結合は、下記構造の1つを指すことが理解され:
【0193】
【化4】
【0194】
式中、R及びRは、各出現で、独立して、H又は置換基である。例えば一部の実施態様において、R及びRは、各出現で、独立して、H、C-C12アルキル又はシクロアルキル、例えばH又はC-C12アルキルである。
【0195】
他の実施態様において、式(I)の脂質化合物は、下記構造(Ia)を有する:
【0196】
【化5】
【0197】
他の実施態様において、式(I)の脂質化合物は、下記構造(Ib)を有する:
【0198】
【化6】
【0199】
更に別の実施態様において、式(I)の脂質化合物は、下記構造(Ic)を有する:
【0200】
【化7】
【0201】
式(I)の脂質化合物の一部の実施態様において、a、b、c及びdは、各々独立して、2~12の整数又は4~12の整数である。他の実施態様において、a、b、c及びdは、各々独立して、8~12又は5~9の整数である。一部の実施態様において、aは、0である。一部の実施態様において、aは、1である。他の実施態様において、aは、2である。追加の実施態様において、aは、3である。更に別の実施態様において、aは、4である。一部の実施態様において、aは、5である。他の実施態様において、aは、6である。追加の実施態様において、aは、7である。更に別の実施態様において、aは、8である。一部の実施態様において、aは、9である。他の実施態様において、aは、10である。追加の実施態様において、aは、11である。更に別の実施態様において、aは、12である。一部の実施態様において、aは、13である。他の実施態様において、aは、14である。追加の実施態様において、aは、15である。更に別の実施態様において、aは、16である。
【0202】
式(I)の一部の他の実施態様において、bは、1である。他の実施態様において、bは、2である。追加の実施態様において、bは、3である。更に別の実施態様において、bは、4である。一部の実施態様において、bは、5である。他の実施態様において、bは、6である。追加の実施態様において、bは、7である。更に別の実施態様において、bは、8である。一部の実施態様において、bは、9である。他の実施態様において、bは、10である。追加の実施態様において、bは、11である。更に別の実施態様において、bは、12である。一部の実施態様において、bは、13である。他の実施態様において、bは、14である。追加の実施態様において、bは、15である。更に別の実施態様において、bは、16である。
【0203】
式(I)の一部の追加の実施態様において、cは、1である。他の実施態様において、cは、2である。追加の実施態様において、cは、3である。更に別の実施態様において、cは、4である。一部の実施態様において、cは、5である。他の実施態様において、cは、6である。追加の実施態様において、cは、7である。更に別の実施態様において、cは、8である。一部の実施態様において、cは、9である。他の実施態様において、cは、10である。追加の実施態様において、cは、11である。更に別の実施態様において、cは、12である。一部の実施態様において、cは、13である。他の実施態様において、cは、14である。追加の実施態様において、cは、15である。更に別の実施態様において、cは、16である。
【0204】
式(I)の一部の他の実施態様において、dは、0である。一部の実施態様において、dは、1である。他の実施態様において、dは、2である。追加の実施態様において、dは、3である。更に別の実施態様において、dは、4である。一部の実施態様において、dは、5である。他の実施態様において、dは、6である。追加の実施態様において、dは、7である。更に別の実施態様において、dは、8である。一部の実施態様において、dは、9である。他の実施態様において、dは、10である。追加の実施態様において、dは、11である。更に別の実施態様において、dは、12である。一部の実施態様において、dは、13である。他の実施態様において、dは、14である。追加の実施態様において、dは、15である。更に別の実施態様において、dは、16である。
【0205】
式(I)の一部の他の様々な実施態様において、a及びdは、同じである。一部の他の実施態様において、b及びcは、同じである。一部の他の具体的実施態様において、a及びdは、同じであり、並びにb及びcは、同じである。
【0206】
式(I)におけるa及びbの合計並びにc及びdの合計は、所望の特性を有する式(I)の脂質を得るために変動されてよい因数である。一実施態様において、a及びbは、それらの合計が14~24の範囲の整数であるように、選択される。他の実施態様において、c及びdは、それらの合計が14~24の範囲の整数であるように、選択される。更なる実施態様において、a及びbの合計並びにc及びdの合計は、同じである。例えば一部の実施態様において、a及びbの合計並びにc及びdの合計は、両方共、14~24の範囲にある同じ整数である。更に追加の実施態様において、a、b、c及びdは、a及びbの合計並びにc及びdの合計が、12以上であるように選択される。
【0207】
式(I)の一部の実施態様において、eは、1である。他の実施態様において、eは、2である。
【0208】
式(I)のR1a、R2a、R3a及びR4aにおける置換基は、特に限定されない。一部の実施態様において、R1a、R2a、R3a及びR4aは、各出現で、Hである。一部の他の実施態様において、R1a、R2a、R3a及びR4aの少なくとも1つは、C-C12アルキルである。一部の他の実施態様において、R1a、R2a、R3a及びR4aの少なくとも1つは、C-Cアルキルである。一部の他の実施態様において、R1a、R2a、R3a及びR4aの少なくとも1つは、C-Cアルキルである。前述の実施態様の一部において、C-Cアルキルは、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、イソ-ブチル、tert-ブチル、n-ヘキシル又はn-オクチルである。
【0209】
式(I)の一部の実施態様において、R1a、R1b、R4a及びR4bは、各出現で、C-C12アルキルである。
【0210】
式(I)の更なる実施態様において、R1b、R2b、R3b及びR4bの少なくとも1つは、Hであるか、或いはR1b、R2b、R3b及びR4bは、各出現で、Hである。
【0211】
式(I)の一部の実施態様において、R1bは、それが結合した炭素原子と共に、隣接R1b及びそれが結合した炭素原子と一緒になり、炭素-炭素二重結合を形成する。前述の他の実施態様において、R4bはそれが結合した炭素原子と共に、隣接R4b及びそれが結合した炭素原子と一緒になり、炭素-炭素二重結合を形成する。
【0212】
式(I)のR及びRにおける置換基は、前述の実施態様において特に限定されない。一部の実施態様において、R又はRの一方又は両方は、メチルである。一部の他の実施態様において、R又はRの一方又は両方は、シクロアルキル、例えばシクロヘキシルである。これらの実施態様において、シクロアルキルは、置換されても、置換されなくともよい。一部の他の実施態様において、シクロアルキルは、C-C12アルキル、例えばtert-ブチルにより置換されている。
【0213】
における置換基は、前述の式(I)の実施態様において特に限定されない。一部の実施態様において、少なくとも1つのRは、Hである。一部の他の実施態様において、Rは、各出現で、Hである。一部の他の実施態様において、Rは、C-C12アルキルである。
【0214】
前述の式(I)の一部の他の実施態様において、R又はRの一方は、メチルである。他の実施態様において、R及びRの両方は、メチルである。
【0215】
式(I)の一部の異なる実施態様において、R及びRは、それらが結合した窒素原子と一緒に、5、6又は7-員の複素環を形成する。前述の一部の実施態様において、R及びRは、それらが結合した窒素原子と一緒に、5-員の複素環、例えばピロリジニル環を形成する。
【0216】
様々な異なる実施態様において、式(I)の脂質は、下記表1に説明した構造の1つを有する。
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【表1-5】
【表1-6】
【0217】
一部の実施態様において、これらのLNPは、式(I)の脂質、ヌクレオシド-改変されたRNA、並びに中性脂質、ステロイド及びペグ化された脂質から選択された1又は複数の賦形剤を含む。一部の実施態様において、式(I)の脂質は、化合物I-5である。一部の実施態様において、式(I)の脂質は、化合物I-6である。
【0218】
一部の他の実施態様において、LNPの陽イオン性脂質成分は、式(II)の構造:
【化8】
又はその医薬として許容し得る塩、互変異性体、プロドラッグもしくは立体異性体を有し、式中:L及びLは、各々独立して、-O(C=O)-、-(C=O)O-、-C(=O)-、-O-、-S(O)-、-S-S-、-C(=O)S-、-SC(=O)-、-NRC(=O)-、-C(=O)NR-、-NRC(=O)NR、-OC(=O)NR-、-NRC(=O)O-、又は直接結合であり;
は、C-Cアルキレン、-(C=O)-、-O(C=O)-、-SC(=O)-、-NRC(=O)-、又は直接結合であり;
は、-C(=O)-、-(C=O)O-、-C(=O)S-、-C(=O)NR、又は直接結合であり;
は、C-Cアルキレンであり;
は、H又はC-C12アルキルであり;
1a及びR1bは、各出現で、独立して:(a)HもしくはC-C12アルキルであるか;又は、(b)R1aは、HもしくはC-C12アルキルであり、並びにR1bは、それが結合した炭素原子と共に、隣接R1b及びそれが結合した炭素原子と一緒になり、炭素-炭素二重結合を形成するか:のいずれかであり;
2a及びR2bは、各出現で、独立して:(a)HもしくはC-C12アルキルであるか;又は、(b)R2aは、HもしくはC-C12アルキルであり、並びにR2bは、それが結合した炭素原子と共に、隣接R2b及びそれが結合した炭素原子と一緒になり、炭素-炭素二重結合を形成するか:のいずれかであり;
3a及びR3bは、各出現で、独立して:(a)HもしくはC-C12アルキルであるか;又は、(b)R3aは、HもしくはC-C12アルキルであり、並びにR3bは、それが結合した炭素原子と共に、隣接R3b及びそれが結合した炭素原子と一緒になり、炭素-炭素二重結合を形成するか:のいずれかであり;
4a及びR4bは、各出現で、独立して:(a)HもしくはC-C12アルキルであるか;又は、(b)R4aは、HもしくはC-C12アルキルであり、並びにR4bは、それが結合した炭素原子と共に、隣接R4b及びそれが結合した炭素原子と一緒になり、炭素-炭素二重結合を形成するか:のいずれかであり;
及びRは、各々独立して、H又はメチルであり;
は、C-C20アルキルであり;
及びRは、各々独立して、C-C12アルキルであるか;又は、R及びRは、それらが結合した窒素原子と一緒に、5、6もしくは7-員の複素環を形成し;
a、b、c及びdは、各々独立して、1~24の整数であり;並びに
xは、0、1又は2である。
【0219】
式(II)の一部の実施態様において、L及びLは、各々独立して、-O(C=O)-、-(C=O)O-、又は直接結合である。他の実施態様において、G及びGは、各々独立して、-(C=O)-又は直接結合である。一部の異なる実施態様において、L及びLは、各々独立して、-O(C=O)-、-(C=O)O-、又は直接結合であり;並びに、G及びGは、各々独立して、-(C=O)-又は直接結合である。
【0220】
式(II)の一部の異なる実施態様において、L及びLは、各々独立して、-C(=O)-、-O-、-S(O)-、-S-S-、-C(=O)S-、-SC(=O)-、-NR-、-NRC(=O)-、-C(=O)NR-、-NRC(=O)NR、-OC(=O)NR-、-NRC(=O)O-、-NRS(O)NR-、-RS(O)-、又は-S(O)NR-である。
【0221】
前述の式(II)の他の実施態様において、この脂質化合物は、下記構造(IIA)又は(IIB)の一方を有する:
【化9】
【0222】
式(II)の一部の実施態様において、この脂質化合物は、構造(IIA)を有する。他の実施態様において、この脂質化合物は、構造(IIB)を有する。
【0223】
前述の式(II)の実施態様のいずれかにおいて、L又はLの一方は、-O(C=O)-である。例えば一部の実施態様において、L及びLの各々は、-O(C=O)-である。
【0224】
式(II)の一部の異なる実施態様において、L又はLの一方は、-(C=O)O-である。例えば一部の実施態様において、L及びLの各々は、-(C=O)O-である。
【0225】
式(II)の異なる実施態様において、L又はLの一方は、直接結合である。本明細書において使用される「直接結合」は、基(例えば、L又はL)が存在しないことを意味する。例えば一部の実施態様において、L及びLの各々は、直接結合である。
【0226】
式(II)の他の異なる実施態様において、R1a及びR1bの少なくとも1つの出現に関して、R1aは、H又はC-C12アルキルであり、並びにR1bは、それが結合した炭素原子と共に、隣接R1b及びそれが結合した炭素原子と一緒になり、炭素-炭素二重結合を形成する。
【0227】
式(II)の更に他の異なる実施態様において、R4a及びR4bの少なくとも1つの出現に関して、R4aは、H又はC-C12アルキルであり、並びにR4bは、それが結合した炭素原子と共に、隣接R4b及びそれが結合した炭素原子と一緒になり、炭素-炭素二重結合を形成する。
【0228】
式(II)の追加の実施態様において、R2a及びR2bの少なくとも1つの出現に関して、R2aは、H又はC-C12アルキルであり、並びにR2bは、それが結合した炭素原子と共に、隣接R2b及びそれが結合した炭素原子と一緒になり、炭素-炭素二重結合を形成する。
【0229】
式(II)の他の異なる実施態様において、R3a及びR3bの少なくとも1つの出現に関して、R3aは、H又はC-C12アルキルであり、並びにR3bは、それが結合した炭素原子と共に、隣接R3b及びそれが結合した炭素原子と一緒になり、炭素-炭素二重結合を形成する。
【0230】
式(II)の様々な他の実施態様において、この脂質化合物は、下記構造(IIC)又は(IID)の1つを有し:
【化10】
式中、e、f、g及びhは、各々独立して、1~12の整数である。
【0231】
式(II)の一部の実施態様において、この脂質化合物は、構造(IIC)を有する。他の実施態様において、この脂質化合物は、構造(IID)を有する。
【0232】
構造(IIC)又は(IID)の様々な実施態様において、e、f、g及びhは、各々独立して、4~10の整数である。
【0233】
式(II)の一部の実施態様において、a、b、c及びdは、各々独立して、2~12の整数又は4~12の整数である。他の実施態様において、a、b、c及びdは、各々独立して、8~12、又は5~9の整数である。一部の実施態様において、aは、0である。一部の実施態様において、aは、1である。他の実施態様において、aは、2である。追加の実施態様において、aは、3である。更に別の実施態様において、aは、4である。一部の実施態様において、aは、5である。他の実施態様において、aは、6である。追加の実施態様において、aは、7である。更に別の実施態様において、aは、8である。一部の実施態様において、aは、9である。他の実施態様において、aは、10である。追加の実施態様において、aは、11である。更に別の実施態様において、aは、12である。一部の実施態様において、aは、13である。他の実施態様において、aは、14である。追加の実施態様において、aは、15である。更に別の実施態様において、aは、16である。
【0234】
式(II)の一部の実施態様において、bは、1である。他の実施態様において、bは、2である。追加の実施態様において、bは、3である。更に別の実施態様において、bは、4である。一部の実施態様において、bは、5である。他の実施態様において、bは、6である。追加の実施態様において、bは、7である。更に別の実施態様において、bは、8である。一部の実施態様において、bは、9である。他の実施態様において、bは、10である。追加の実施態様において、bは、11である。更に別の実施態様において、bは、12である。一部の実施態様において、bは、13である。他の実施態様において、bは、14である。追加の実施態様において、bは、15である。更に別の実施態様において、bは、16である。
【0235】
式(II)の一部の実施態様において、cは、1でる。他の実施態様において、cは、2である。追加の実施態様において、cは、3である。更に別の実施態様において、cは、4である。一部の実施態様において、cは、5である。他の実施態様において、cは、6である。追加の実施態様において、cは、7である。更に別の実施態様において、cは、8である。一部の実施態様において、cは、9である。他の実施態様において、cは、10である。追加の実施態様において、cは、11である。更に別の実施態様において、cは、12である。一部の実施態様において、cは、13である。他の実施態様において、cは、14である。追加の実施態様において、cは、15である。更に別の実施態様において、cは、16である。
【0236】
式(II)の一部の実施態様において、dは、0である。一部の実施態様において、dは、1である。他の実施態様において、dは、2である。追加の実施態様において、dは、3である。更に別の実施態様において、dは、4である。一部の実施態様において、dは、5である。他の実施態様において、dは、6である。追加の実施態様において、dは、7である。更に別の実施態様において、dは、8である。一部の実施態様において、dは、9である。他の実施態様において、dは、10である。追加の実施態様において、dは、11である。更に別の実施態様において、dは、12である。一部の実施態様において、dは、13である。他の実施態様において、dは、14である。追加の実施態様において、dは、15である。更に別の実施態様において、dは、16である。
【0237】
式(II)の一部の実施態様において、eは、1である。他の実施態様において、eは、2である。追加の実施態様において、eは、3である。更に別の実施態様において、eは、4である。一部の実施態様において、eは、5である。他の実施態様において、eは、6である。追加の実施態様において、eは、7である。更に別の実施態様において、eは、8である。一部の実施態様において、eは、9である。他の実施態様において、eは、10である。追加の実施態様において、eは、11である。更に別の実施態様において、eは、12である。
【0238】
式(II)の一部の実施態様において、fは、1である。他の実施態様において、fは、2である。追加の実施態様において、fは、3である。更に別の実施態様において、fは、4である。一部の実施態様において、fは、5である。他の実施態様において、fは、6である。追加の実施態様において、fは、7である。更に別の実施態様において、fは、8である。一部の実施態様において、fは、9である。他の実施態様において、fは、10である。追加の実施態様において、fは、11である。更に別の実施態様において、fは、12である。
【0239】
式(II)の一部の実施態様において、gは、1である。他の実施態様において、gは、2である。追加の実施態様において、gは、3である。更に別の実施態様において、gは、4である。一部の実施態様において、gは、5である。他の実施態様において、gは、6である。追加の実施態様において、gは、7である。更に別の実施態様において、gは、8である。一部の実施態様において、gは、9である。他の実施態様において、gは、10である。追加の実施態様において、gは、11である。更に別の実施態様において、gは、12である。
【0240】
式(II)の一部の実施態様において、hは、1である。他の実施態様において、eは、2である。追加の実施態様において、hは、3である。更に別の実施態様において、hは、4である。一部の実施態様において、eは、5である。他の実施態様において、hは、6である。追加の実施態様において、hは、7である。更に別の実施態様において、hは、8である。一部の実施態様において、hは、9である。他の実施態様において、hは、10である。追加の実施態様において、hは、11である。更に別の実施態様において、hは、12である。
【0241】
式(II)の一部の他の様々な実施態様において、a及びdは、同じである。一部の他の実施態様において、b及びcは、同じである。一部の他の具体的実施態様において、a及びdは、同じであり、並びにb及びcは、同じである。
【0242】
式(II)のa及びbの合計並びにc及びdの合計は、所望の特性を有する脂質を得るために変動されてよい因数である。一実施態様において、a及びbは、それらの合計が14~24の範囲の整数であるように選択される。他の実施態様において、c及びdは、それらの合計が14~24の範囲の整数であるように選択される。更なる実施態様において、a及びbの合計、並びにc及びdの合計は、同じである。例えば一部の実施態様において、a及びbの合計並びにc及びdの合計は両方共、14~24の範囲にある同じ整数である。更に追加の実施態様において、a、b、c及びdは、a及びbの合計並びにc及びdの合計が、12以上であるように選択される。
【0243】
式(II)のR1a、R2a、R3a及びR4aにおける置換基は、特に限定されない。一部の実施態様において、R1a、R2a、R3a及びR4aの少なくとも1つは、Hである。一部の実施態様において、R1a、R2a、R3a及びR4aは、各出現で、Hである。一部の他の実施態様において、R1a、R2a、R3a及びR4aの少なくとも1つは、C-C12アルキルである。一部の他の実施態様において、R1a、R2a、R3a及びR4aの少なくとも1つは、C-Cアルキルである。一部の他の実施態様において、R1a、R2a、R3a及びR4aの少なくとも1つは、C-Cアルキルである。前述の実施態様の一部において、C-Cアルキルは、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、イソ-ブチル、tert-ブチル、n-ヘキシル又はn-オクチルである。
【0244】
式(II)の一部の実施態様において、R1a、R1b、R4a及びR4bは、各出現で、C-C12アルキルである。
【0245】
式(II)の更なる実施態様において、R1b、R2b、R3b及びR4bの少なくとも1つは、Hであるか、又はR1b、R2b、R3b及びR4bは、各出現で、Hである。
【0246】
式(II)の一部の実施態様において、R1bは、それが結合した炭素原子と共に、隣接R1b及びそれが結合した炭素原子と一緒になり、炭素-炭素二重結合を形成する。前述の他の実施態様において、R4bは、それが結合した炭素原子と共に、隣接R4b及びそれが結合した炭素原子と一緒になり、炭素-炭素二重結合を形成する。
【0247】
式(II)のR及びRにおける置換基は、前述の実施態様において特に限定されない。一部の実施態様において、R又はRの一方は、メチルである。他の実施態様において、R又はRの各々は、メチルである。
【0248】
式(II)のRにおける置換基は、前述の実施態様において特に限定されない。一部の実施態様において、Rは、C-C16アルキルである。一部の他の実施態様において、Rは、C-Cアルキルである。これらの実施態様の一部において、Rは、-(C=O)OR、-O(C=O)R、-C(=O)R、-OR、-S(O)、-S-SR、-C(=O)SR、-SC(=O)R、-NR、-NRC(=O)R、-C(=O)NR、-NRC(=O)NR、-OC(=O)NR、-NRC(=O)OR、-NRS(O)NR、-NRS(O)、又は-S(O)NRにより置換されており、式中:Rは、H又はC-C12アルキルであり;Rは、C-C15アルキルであり;並びに、xは、0、1又は2である。例えば一部の実施態様において、Rは、-(C=O)OR又は-O(C=O)Rにより置換されている。
【0249】
前述の式(II)の様々な実施態様において、Rは、分岐されたC-C15アルキルである。例えば一部の実施態様において、Rは、下記構造の1つを有する:
【化11】
【0250】
前述の式(II)の一部の他の実施態様において、R又はRの一方は、メチルである。他の実施態様において、R及びRの両方は、メチルである。
【0251】
式(II)の一部の異なる実施態様において、R及びRは、それらが結合した窒素原子と一緒に、5、6又は7-員の複素環を形成する。前述の一部の実施態様において、R及びRは、それらが結合した窒素原子と一緒に、5-員の複素環、例えばピロリジニル環を形成する。前述の一部の異なる実施態様において、R及びRは、それらが結合した窒素原子と一緒に、6-員の複素環、例えばピペラジニル環を形成する。
【0252】
前述の式(II)の脂質の更に他の実施態様において、Gは、C-Cアルキレン、例えばCアルキレンである。
【0253】
様々な異なる実施態様において、この脂質化合物は、下記表2において説明した構造の1つを有する。
【表2-1】
【表2-2】
【表2-3】
【表2-4】
【表2-5】
【0254】
一部の実施態様において、これらのLNPは、式(II)の脂質、ヌクレオシド-改変されたRNA、並びに中性脂質、ステロイド及びペグ化された脂質から選択された1又は複数の賦形剤を含む。一部の実施態様において、式(II)の脂質は、化合物II-9である。一部の実施態様において、式(II)の脂質は、化合物II-10である。一部の実施態様において、式(II)の脂質は、化合物II-11である。一部の実施態様において、式(II)の脂質は、化合物II-12である。一部の実施態様において、式(II)の脂質は、化合物II-32である。
【0255】
一部の他の実施態様において、これらのLNPの陽イオン性脂質成分は、式(III)の構造:
【化12】
又はその医薬として許容し得る塩、互変異性体、プロドラッグ又は立体異性体を有し、式中:
又はLの一方は、-O(C=O)-、-(C=O)O-、-C(=O)-、-O-、-S(O)-、-S-S-、-C(=O)S-、SC(=O)-、-NRC(=O)-、-C(=O)NR-、NRC(=O)NR-、-OC(=O)NR-、又は-NRC(=O)O-であり、並びにL又はLの他方は、-O(C=O)-、-(C=O)O-、-C(=O)-、-O-、-S(O)-、-S-S-、-C(=O)S-、SC(=O)-、-NRC(=O)-、-C(=O)NR-、NRC(=O)NR-、-OC(=O)NR-、又は-NRC(=O)O-又は直接結合であり;
及びGは、各々独立して、非置換のC-C12アルキレン又はC-C12アルケニレンであり;
は、C-C24アルキレン、C-C24アルケニレン、C-Cシクロアルキレン、C-Cシクロアルケニレンであり;
は、H又はC-C12アルキルであり;
及びRは、各々独立して、C-C24アルキル又はC-C24アルケニルであり;
は、H、OR、CN、-C(=O)OR、-OC(=O)R、又は-NRC(=O)Rであり;
は、C-C12アルキルであり;
は、H又はC-Cアルキルであり;並びに
xは、0、1又は2である。
【0256】
前述の式(III)の一部の実施態様において、この脂質は、下記構造(IIIA)又は(IIIB)の1つを有し:
【化13】
式中:
Aは、3~8-員のシクロアルキル又はシクロアルキレン環であり;
は、各出現で、独立して、H、OH又はC-C24アルキルであり;
nは、1~15の範囲の整数である。
【0257】
前述の式(III)の一部の実施態様において、この脂質は、構造(IIIA)を有し、並びに他の実施態様において、この脂質は、構造(IIIB)を有する。
【0258】
式(III)の他の実施態様において、この脂質は、下記構造(IIIC)又は(IIID)の1つを有し:
【化14】
式中、y及びzは、各々独立して、1~12の範囲の整数である。
【0259】
前述の式(III)のいずれかの実施態様において、L又はLの一方は、-O(C=O)-である。例えば一部の実施態様において、L及びLの各々は、-O(C=O)-である。前述のいずれかの一部の異なる実施態様において、L及びLは、各々独立して、-(C=O)O-又は-O(C=O)-である。例えば一部の実施態様において、L及びLの各々は、-(C=O)O-である。
【0260】
式(III)の一部の異なる実施態様において、この脂質は、下記構造(IIIE)又は(IIIF)の1つを有する:
【化15】
【0261】
前述の式(III)の実施態様の一部において、この脂質は、下記構造(IIIG)、(IIIH)、(IIII)、又は(IIIJ)の1つを有する:
【化16】
【0262】
前述の式(III)の実施態様の一部において、nは、2~12、例えば2~8、又は2~4の範囲の整数である。例えば一部の実施態様において、nは、3、4、5又は6である。一部の実施態様において、nは、3である。一部の実施態様において、nは、4である。一部の実施態様において、nは、5である。一部の実施態様において、nは、6である。
【0263】
前述の式(III)の一部の他の実施態様において、y及びzは、各々独立して、2~10の範囲の整数である。例えば一部の実施態様において、y及びzは、各々独立して、4~9又は4~6の範囲の整数である。
【0264】
前述の式(III)の一部の実施態様において、Rは、Hである。前述の他の実施態様において、Rは、C-C24アルキルである。他の実施態様において、Rは、OHである。
【0265】
式(III)の一部の実施態様において、Gは、置換されない。他の実施態様において、G3は、置換されている。様々な異なる実施態様において、Gは、線状C-C24アルキレン又は線状C-C24アルケニレンである。
【0266】
前述の式(III)の一部の他の実施態様において、R又はR、又は両方は、C-C24アルケニルである。例えば一部の実施態様において、R及びRは、各々独立して、下記構造を有し:
【化17】
式中:
7a及びR7bは、各出現で、独立して、H又はC-C12アルキルであり;並びに
aは、2~12の整数であり、
ここでR7a、R7b及びaは各々、R及びRが、各々独立して、6~20個の炭素原子を含むように選択される。例えば一部の実施態様において、aは、5~9、又は8~12の範囲の整数である。
【0267】
前述の式(III)の一部の実施態様において、R7aの少なくとも1つの出現は、Hである。例えば一部の実施態様において、R7aは、各出現で、Hである。前述の他の異なる実施態様において、R7bの少なくとも1つの出現は、C-Cアルキルである。例えば一部の実施態様において、C-Cアルキルは、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、イソ-ブチル、tert-ブチル、n-ヘキシル、又はn-オクチルである。
【0268】
式(III)の異なる実施態様において、R又はR、又は両方は、下記構造の1つを有する:
【化18】
【0269】
前述の式(III)の一部の実施態様において、Rは、OH、CN、-C(=O)OR、-OC(=O)R、又は-NHC(=O)Rである。一部の実施態様において、Rは、メチル又はエチルである。
【0270】
様々な異なる実施態様において、式(III)の陽イオン性脂質は、下記表3に説明した構造の1つを有する。
【表3-1】
【表3-2】
【表3-3】
【表3-4】
【表3-5】
【0271】
一部の実施態様において、これらのLNPは、式(III)の脂質、ヌクレオシド-改変されたRNA、並びに中性脂質、ステロイド及びペグ化された脂質から選択された1又は複数の賦形剤を含む。一部の実施態様において、式(III)の脂質は、化合物III-3である。一部の実施態様において、式(III)の脂質は、化合物III-7である。
【0272】
一部の実施態様において、この陽イオン性脂質は、LNP中に、約30~約95モル%の量で存在する。一実施態様において、陽イオン性脂質は、LNP中に、約30~約70モル%の量で存在する。一実施態様において、陽イオン性脂質は、LNP中に、約40~約60モル%の量で存在する。一実施態様において、陽イオン性脂質は、LNP中に、約50モル%の量で存在する。一実施態様において、LNPは、陽イオン性脂質のみを含む。
【0273】
一部の実施態様において、このLNPは、粒子の形成時に、粒子の形成を安定化する、1又は複数の追加の脂質を含む。
【0274】
好適な安定化する脂質は、中性脂質及び陰イオン性脂質を含む。
【0275】
用語「中性脂質」は、生理的pHで、非帯電又は中性のいずれかの両性イオン型で存在する、数多くの脂質種のいずれか1つを指す。代表的中性脂質は、ジアシルホスファチジルコリン、ジアシルホスファチジルエタノールアミン、セラミド、スフィンゴミエリン、ジヒドロスフィンゴミエリン、セファリン、及びセレブロシドを含む。
【0276】
例証的中性脂質は、例えば、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、ジオレオイルホスファチジルコリン(DOPC)、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、ジオレオイルホスファチジルグリセロール(DOPG)、ジパルミトイルホスファチジルグリセロール(DPPG)、ジオレオイル-ホスファチジルエタノールアミン(DOPE)、パルミトイルオレオイルホスファチジルコリン(POPC)、パルミトイルオレオイル-ホスファチジルエタノールアミン(POPE)及びジオレオイル-ホスファチジルエタノールアミン4-(N-マレイミドメチル)-シクロヘキサン-1-カルボキシラート(DOPE-mal)、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン(DPPE)、ジミリストイルホスホエタノールアミン(DMPE)、ジステアロイル-ホスファチジルエタノールアミン(DSPE)、16-O-モノメチルPE、16-O-ジメチルPE、18-1-トランスPE、1-ステアロイル(stearioyl)-2-オレオイル-ホスファチジルエタノールアミン(SOPE)、及び1,2-ジエライドイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(transDOPE)を含む。一実施態様において、中性脂質は、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DSPC)である。
【0277】
一部の実施態様において、LNPは、DSPC、DPPC、DMPC、DOPC、POPC、DOPE及びSMから選択された中性脂質を含む。様々な実施態様において、陽イオン性脂質(例えば、式(I)の脂質)の中性脂質に対するモル比は、約2:1から約8:1の範囲である。
【0278】
様々な実施態様において、これらのLNPは更に、ステロイド又はステロイドアナログを含む。「ステロイド」は、下記の炭素骨格を有する化合物である:
【化19】
【0279】
一部の実施態様において、このステロイド又はステロイドアナログは、コレステロールである。一部のこれらの実施態様において、陽イオン性脂質(例えば、式(I)の脂質)のコレステロールに対するモル比は、約2:1から1:1の範囲である。
【0280】
用語「陰イオン性脂質」は、生理的pHで負帯電している任意の脂質を指す。これらの脂質は、ホスファチジルグリセロール、カルジオリピン、ジアシルホスファチジルセリン、ジアシルホスファチジン酸、N-ドデカノイルホスファチジルエタノールアミン、N-スクシニルホスファチジルエタノールアミン、N-グルタリルホスファチジルエタノールアミン、リシルホスファチジルグリセロール、パルミトイルオレオイル(oleyol)ホスファチジルグリセロール(POPG)、及び中性脂質に結合された他の陰イオン修飾された基を含む。
【0281】
一部の実施態様において、このLNPは、糖脂質(例えば、モノシアロガングリオシドGM)を含む。一部の実施態様において、このLNPは、コレステロールなどのステロールを含む。
【0282】
一部の実施態様において、これらのLNPは、ポリマーにコンジュゲートされた脂質を含む。用語「ポリマーにコンジュゲートされた脂質」は、脂質部分及びポリマー部分の両方を含む分子を指す。ポリマーにコンジュゲートされた脂質の例は、ペグ化された脂質である。用語「ペグ化された脂質」は、脂質部分及びポリエチレングリコール部分の両方を含む分子を指す。ペグ化された脂質は、当該技術分野において公知であり、且つ1-(モノメトキシ-ポリエチレングリコール)-2,3-ジミリストイルグリセロール(PEG-s-DMG)及び同類のものを含む。
【0283】
一部の実施態様において、このLNPは、ポリエチレングリコール-脂質(ペグ化された脂質)である、追加の安定化している-脂質を含む。好適なポリエチレングリコール-脂質は、PEG-修飾されたホスファチジルエタノールアミン、PEG-修飾されたホスファチジン酸、PEG-修飾されたセラミド(例えば、PEG-CerC14又はPEG-CerC20)、PEG-修飾されたジアルキルアミン、PEG-修飾されたジアシルグリセロール、PEG-修飾されたジアルキルグリセロールを含む。代表的ポリエチレングリコール-脂質は、PEG-c-DOMG、PEG-c-DMA、及びPEG-s-DMGである。一実施態様において、ポリエチレングリコール-脂質は、N-[(メトキシポリ(エチレングリコール)2000)カルバミル]-1,2-ジミリスチルオキシルプロピル-3-アミン(PEG-c-DMA)である。一実施態様において、このポリエチレングリコール-脂質は、PEG-c-DOMG)である。他の実施態様において、これらのLNPは、ペグ化されたジアシルグリセロール(PEG-DAG)、例えば1-(モノメトキシ-ポリエチレングリコール)-2,3-ジミリストイルグリセロール(PEG-DMG)など、ペグ化されたホスファチジルエタノール(ethanolo)アミン(PEG-PE)、PEGコハク酸ジアシルグリセロール(PEG-S-DAG)、例えば4-O-(2’,3’-ジ(テトラデカノイルオキシ)プロピル-1-O-(ω-メトキシ(ポリエトキシ)エチル)ブタンジオエート(PEG-S-DMG)など、ペグ化されたセラミド(PEG-cer)、又はPEGジアルコキシプロピルカルバメート、例えばω-メトキシ(ポリエトキシ)エチル-N-(2,3-ジ(テトラデカンオキシ)プロピル)カルバメートもしくは2,3-ジ(テトラデカンオキシ)プロピル-N-(ω-メトキシ(ポリエトキシ)エチル)カルバメートなどを含む。様々な実施態様において、陽イオン性脂質のペグ化された脂質に対するモル比は、約100:1から約25:1の範囲である。
【0284】
一部の実施態様において、これらのLNPは、下記構造(IV)を有するペグ化された脂質:
【化20】
又は、その医薬として許容し得る塩、互変異性体もしくは立体異性体を含み、式中:
10及びR11は、各々独立して、10~30個の炭素原子を含む、直鎖又は分岐した、飽和又は不飽和のアルキル鎖であり、ここでアルキル鎖は、任意に、1又は複数のエステル結合により中断されており;並びに
zは、30~60の範囲の平均値を有する。
【0285】
前述のペグ化された脂質(IV)の一部の実施態様において、R10及びR11は、zが42である場合に、両方共n-オクタデシルではない。一部の他の実施態様において、R10及びR11は、各々独立して、10~18個の炭素原子を含む、直鎖又は分岐した、飽和又は不飽和のアルキル鎖である。一部の実施態様において、R10及びR11は、各々独立して、12~16個の炭素原子を含む、直鎖又は分岐した、飽和又は不飽和のアルキル鎖である。一部の実施態様において、R10及びR11は、各々独立して、12個の炭素原子を含む、直鎖又は分岐した、飽和又は不飽和のアルキル鎖である。一部の実施態様において、R10及びR11は、各々独立して、14個の炭素原子を含む、直鎖又は分岐した、飽和又は不飽和のアルキル鎖である。他の実施態様において、R10及びR11は、各々独立して、16個の炭素原子を含む、直鎖又は分岐した、飽和又は不飽和のアルキル鎖である。更に追加の実施態様において、R10及びR11は、各々独立して、18個の炭素原子を含む、直鎖又は分岐した、飽和又は不飽和のアルキル鎖である。更に他の実施態様において、R10は、12個の炭素原子を含む、直鎖又は分岐した、飽和又は不飽和のアルキル鎖であり、並びにR11は、14個の炭素原子を含む、直鎖又は分岐した、飽和又は不飽和のアルキル鎖である。
【0286】
様々な実施態様において、zは、(II)のPEG部分が、平均分子量約400~約6000g/molを有するように選択される範囲に広がっている。一部の実施態様において、平均zは、約45である。
【0287】
他の実施態様において、このペグ化された脂質は、下記構造の1つを有し:
【化21】
式中、nは、ペグ化された脂質の平均分子量が、約2500g/molであるように選択された整数である。
【0288】
一部の実施態様において、この追加の脂質は、LNP中に、約1~約10モル%の量で存在する。一実施態様において、追加の脂質は、LNP中に、約1~約5モル%の量で存在する。一実施態様において、追加の脂質は、LNP中に、約1モル%又は約1.5モル%で存在する。
【0289】
一部の実施態様において、これらのLNPは、式(I)の脂質、ヌクレオシド-改変されたRNA、中性脂質、ステロイド及びペグ化された脂質を含む。一部の実施態様において、式(I)の脂質は、化合物I-6である。異なる実施態様において、中性脂質は、DSPCである。他の実施態様において、ステロイドは、コレステロールである。更に異なる実施態様において、ペグ化された脂質は、化合物IVaである。
【0290】
一部の実施態様において、このLNPは、LNPを細胞又は細胞集団に標的化することが可能である、1又は複数の標的化部分を含む。例えば一実施態様において、この標的化部分は、LNPを細胞表面上に認められた受容体へ方向付ける、リガンドである。
【0291】
一部の実施態様において、このLNPは、1又は複数のインターナリゼーションドメインを含む。例えば一実施態様において、LNPは、細胞へ結合し、LNPのインターナリゼーションを誘導する、1又は複数のドメインを含む。例えば一実施態様において、この1又は複数のインターナリゼーションドメインは、細胞表面上に認められる受容体に結合し、LNPの受容体-媒介した取込みを誘導する。一部の実施態様において、LNPは、インビボにおいて生体分子に結合することが可能であり、ここでLNP-結合した生体分子は次に、細胞-表面受容体により認識され、インターナリゼーションを誘導することができる。例えば一実施態様において、LNPは、全身性ApoEに結合し、これは、LNP及び会合されたカーゴ(cargo)の取込みに繋がる。
【0292】
他の例証的LNP及びそれらの製造は、例えば、米国特許出願第US20120276209号、Sempleら、2010、Nat Biotechnol.、28(2):172-176;Akincら、2010、Mol Ther.、18(7): 1357-1364;Bashaら、2011、Mol Ther、19(12): 2186-2200;Leungら、2012、J Phys Chem C Nanomater Interfaces、116(34): 18440-18450;Leeら、2012、Int J Cancer.、131(5): E781-90;Belliveauら、2012、Mol Ther Nucleic Acids、1: e37;Jayaramanら、2012、Angew Chem Int Ed Engl.、51(34): 8529-8533;Muiら、2013、Mol Ther Nucleic Acids. 2、e139;Maierら、2013、Mol Ther.、21(8): 1570-1578;及び、Tamら、2013、Nanomedicine、9(5): 665-74など、当該技術分野において説明されており、これらの各文献はそれらの全体が引用により本明細書中に組み込まれている。
【0293】
下記反応スキームは、式(I)、(II)又は(III)の脂質を作製する方法を例示している。
【化22】
【0294】
式(I)の脂質(例えば、化合物A-5)の実施態様は、全般的反応スキーム1(「方法A」)に従い調製することができ、ここでRは、飽和又は不飽和のC-C24アルキルもしくは飽和又は不飽和のシクロアルキルであり、mは、0又は1であり、並びにnは、1~24の整数である。全般的反応スキーム1に関して、構造A-1の化合物は、商業的供給業者から購入するか、又は当業者が熟知している方法に従い調製することができる。A-1、A-2及びDMAPの混合物を、DCCにより処理し、臭化物A-3を生じる。臭化物A-3、塩基(例えば、N,N-ジイソプロピルエチルアミン)及びN,N-ジメチルジアミンA-4の混合物を、いずれか必要な後処理及び/又は精製工程の後、A-5を生成するのに十分な温度及び時間加熱する。
【0295】
【化23】
式(I)の化合物(例えば、化合物B-5)の他の実施態様は、全般的反応スキーム2(「方法B」)に従い調製することができ、ここでRは、飽和又は不飽和のC-C24アルキルもしくは飽和又は不飽和のシクロアルキルであり、mは、0又は1であり、並びにnは、1~24の整数である。全般的反応スキーム2に示されるように、構造B-1の化合物は、商業的供給業者から購入するか、又は当業者が熟知している方法に従い調製することができる。B-1(1当量)の溶液を、酸塩化物B-2(1当量)及び塩基(例えば、トリエチルアミン)で処理する。この粗生成物を、酸化剤(例えば、クロロクロム酸ピリジニウム)により処理し、中間生成物B-3を回収する。その後粗B-3、酸(例えば、酢酸)、及びN,N-ジメチルアミノアミンB-4の溶液を、還元剤(例えば、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム)により処理し、いずれか必要な後処理及び/又は精製の後、B-5を得る。
【0296】
出発材料A-1及びB-1は飽和されたメチレン炭素のみを含むように先に描写されているが、炭素-炭素二重結合を含む出発材料もまた、炭素-炭素二重結合を含む化合物の調製に利用されてよいことは留意されるべきである。
【0297】
【化24】
式(I)の脂質(例えば、化合物C-7又はC9)の異なる実施態様を、全般的反応スキーム3(「方法C」)に従い調製することができ、ここでRは、飽和又は不飽和のC-C24アルキルもしくは飽和又は不飽和のシクロアルキルであり、mは、0又は1であり、並びにnは、1~24の整数である。全般的反応スキーム3に関して、構造C-1の化合物は、商業的供給業者から購入するか、又は当業者が熟知している方法に従い調製することができる。
【0298】
【化25】
式(II)の化合物(例えば、化合物D-5及びD-7)の実施態様は、全般的反応スキーム4(「方法D」)に従い調製することができ、ここでR1a、R1b、R2a、R2b、R3a、R3b、R4a、R4b、R、R、R、R、L、L、G、G、G、a、b、c及びdは、本明細書に定義されたものであり、並びにR7’は、R又はC-C19アルキルを表す。全般的反応スキーム1に関して、構造D-1及びD-2の化合物は、商業的供給業者から購入するか、又は当業者が熟知している方法に従い調製することができる。D-1及びD-2の溶液を、還元剤(例えば、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム)により処理し、いずれか必要な後処理後、D-3を得る。D-3及び塩基(例えば、トリメチルアミン、DMAP)の溶液を、アシルクロリドD-4(又は、カルボン酸及びDCC)により処理し、いずれか必要な後処理及び/又は精製後、D-5を得る。D-5は、LiAlH D-6により還元することができ、いずれか必要な後処理及び/又は精製後、D-7を生じる。
【0299】
【化26】
式(II)の脂質(例えば、化合物E-5)の実施態様は、全般的反応スキーム5(「方法E」)に従い調製することができ、ここでR1a、R1b、R2a、R2b、R3a、R3b、R4a、R4b、R、R、R、R、R、L、L、G、a、b、c及びdは、本明細書に定義されたものである。全般的反応スキーム2を参照し、構造E-1及びE-2の化合物は、商業的供給業者から購入するか、又は当業者が熟知している方法に従い調製することができる。E-1(過剰量)、E-2及び塩基(例えば、炭酸カリウム)の混合物を、加熱し、いずれか必要な後処理後、E-3を得る。E-3及び塩基(例えば、トリメチルアミン、DMAP)の溶液を、アシルクロリドE-4(又は、カルボン酸及びDCC)により処理し、いずれか必要な後処理及び/又は精製後、E-5を得る。
【0300】
【化27】
全般的反応スキーム6は、式(III)の脂質の調製のための、例証的方法(方法F)を提供する。全般的反応スキーム6におけるG、G、R及びRは、式(III)について本明細書において規定されているものであり、並びにG1’は、G1の1個の炭素だけ短い相同体を指す。構造F-1の化合物は、購入するか、又は当該技術分野において公知の方法に従い調製することができる。F-1のジオールF-2との好適な縮合条件下(例えば、DCC)での反応は、エステル/アルコールF-3を生じ、これは次に酸化され(例えば、PCC)、アルデヒドF-4となることができる。F-4のアミンF-5との還元的アミノ化条件下での反応は、式(III)の脂質を生じる。
【0301】
式(III)の脂質の調製のための様々な代替の戦略が、当業者により利用可能であることは、留意されるべきである。例えば、式中L及びLがエステル以外である他の式(III)の脂質は、好適な出発材料を使用し、類似の方法に従い調製することができる。更に全般的反応スキーム6は、式(III)の脂質の調製を描写し、ここでG及びGは、同じであるが;しかし、これは、本発明の必要とされる局面ではなく、並びにG及びGが異なる化合物を生じるために、先の反応スキームの改変が、可能である。
【0302】
当業者により、本明細書記載のプロセスにおいて、中間化合物の官能基は、適切な保護基により保護される必要があり得ることは、理解されるであろう。そのような官能基は、ヒドロキシ、アミノ、メルカプト及びカルボン酸を含む。ヒドロキシに適した保護基は、トリアルキルシリル又はジアリールアルキルシリル(例えば、t-ブチルジメチルシリル、t-ブチルジフェニルシリル又はトリメチルシリル)、テトラヒドロピラニル、ベンジル、及び同類のものを含む。アミノ、アミジノ及びグアニジノに適した保護基は、t-ブトキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル、及び同類のものを含む。メルカプトに適した保護基は、-C(O)-R″(式中、R″は、アルキル、アリール又はアリールアルキルである)、p-メトキシベンジル、トリチル及び同類のものを含む。カルボン酸に適した保護基は、アルキルエステル、アリールエステル又はアリールアルキルエステルを含む。保護基は、当業者に公知であり且つ本明細書に記載されたような、標準技術に従い、付加又は除去されてよい。保護基の使用は、Green, T.W.及びP.G.M. Wutz、Protective Groups in Organic Synthesis (1999)、第3版、Wileyにおいて、詳細に説明されている。当業者が理解するように、保護基はまた、Wang樹脂、Rink樹脂又は2-クロロトリチル-クロリド樹脂などの、ポリマー樹脂であってもよい。
【0303】
医薬組成物
本明細書記載の医薬組成物の製剤は、薬学技術分野において公知の又は今後開発される任意の方法により、調製されてよい。概して、そのような予備的方法は、活性成分を、担体又は1もしくは複数の他の付属成分と会合させる工程、並びに次に、必要もしくは望ましいならば、この製品を所望の単回-もしくは反復-用量単位に成形もしくは包装する工程を含む。
【0304】
本明細書に提供される医薬組成物の説明は、主にヒトへの要処方投与に適している医薬組成物に対する指示であるが、そのような組成物は一般に全ての種類の動物への投与に適していることは、当業者により理解されるであろう。医薬組成物を様々な動物への投与に適したものとするための、ヒトへの投与に適した医薬組成物の改変は、良く理解されており、且つ通常の技術の獣医薬理学者は、たとえあったとしても、単に通常の実験により、そのような改変をデザインし及び実行することができる。本発明の医薬組成物の投与が意図される対象は、ヒト及び他の霊長類、非-ヒト霊長類、畜牛、ブタ、ウマ、ヒツジ、ネコ、及びイヌなど、商業的に関連のある哺乳動物を含む哺乳動物を含むが、これらに限定されるものではないことが意図される。
【0305】
本発明の方法において有用である医薬組成物は、眼科用、経口、経直腸、経膣、非経口、局所、経肺、鼻腔内、口腔内、静脈内、脳室内、皮内、筋肉内、又は他の投与経路に適した製剤において、調製されるか、包装されるか、又は販売されてよい。他の意図された製剤は、射出されるナノ粒子、リポソーム調製品、活性成分を含む再封入された(resealed)赤血球、及び免疫原性-ベースの製剤を含む。
【0306】
本発明の医薬組成物は、単回単位用量として、又は複数の単回単位用量として、調製されるか、包装されるか、又はバルク販売されてよい。本明細書において使用される「単位用量」は、予め決定された量の活性成分を含有する医薬組成物の個別の量である。この活性成分の量は、一般に、活性成分の投与量と等しく、これは、例えば、そのような投与量の1/2又は1/3などの、そのような投与量の都合の良い画分を対象へ投与する。
【0307】
本発明の医薬組成物中の、この活性成分、医薬として許容し得る担体、及び任意の追加の成分の相対量は、治療される対象の独自性、サイズ、及び状態に応じて、並びに更にはこの組成物が投与される経路に応じて、変動するであろう。例として、この組成物は、0.1%~100%(w/w)活性成分を含有してよい。
【0308】
活性成分に加え、本発明の医薬組成物は、1又は複数の追加の医薬活性のある薬剤を、更に含有してよい。
【0309】
本発明の医薬組成物の制御された-又は持続された-放出の製剤は、通常の技術を用い製造されてよい。
【0310】
本明細書において使用される医薬組成物の「非経口投与」は、対象の組織の物理的ブリーチング(physical breaching)、並びに組織内のブリーチを通る医薬組成物の投与により特徴付けられる、任意の投与経路を含む。従って非経口投与は、組成物の注入による、外科的切開を通る組成物の適用による、及び組織-浸透する非外科的創傷を通る組成物の適用によるなどによる医薬組成物の投与を含むが、これらに限定されるものではない。特に非経口投与は、眼球内、硝子体内、皮下、腹腔内、筋肉内、皮内、胸骨内注入、腫瘍内、静脈内、脳室内及び腎臓透析注入の技術を含むが、これらに限定されるものではないことが意図される。
【0311】
非経口投与に適した医薬組成物の製剤は、滅菌水又は滅菌等張食塩水などの、医薬として許容し得る担体と組合せた、活性成分を含有する。そのような製剤は、ボーラス投与又は連続投与に適した形状で、調製されるか、包装されるか、又は販売されてよい。注射用製剤は、保存剤を含有する、アンプル又は反復用量容器などの、単位剤形で、調製されるか、包装されるか、又は販売されてよい。非経口投与のための製剤は、懸濁剤、液剤、油性もしくは水性ビヒクル中の乳剤、泥膏、及び埋植可能な持続-放出もしくは生分解可能な製剤を含むが、これらに限定されるものではない。そのような製剤は更に、非限定的に、懸濁化剤、安定化剤、又は分散剤を含む、1又は複数の追加の成分を含有してよい。非経口投与のための製剤の一実施態様において、この活性成分は、再構成された組成物の非経口投与の前に、好適なビヒクル(例えば、滅菌パイロジェンフリー水)により再構成するための、乾燥(すなわち、粉末もしくは顆粒)形状で提供される。
【0312】
本医薬組成物は、無菌の注射可能な水性もしくは油性の懸濁剤もしくは液剤の形状で、調製されるか、包装されるか、又は販売されてよい。この懸濁剤又は液剤は、公知の技術に従い製剤化されてよく、且つこの活性成分に加え、本明細書記載の分散剤、湿潤剤、又は懸濁化剤などの、追加の成分を含有してよい。そのような無菌の注射可能な製剤は、例えば水もしくは1,3-ブタンジオールなどの、無毒の非経口的に許容し得る希釈剤又は溶媒を用いて、調製されてよい。他の許容し得る希釈剤及び溶媒は、リンゲル液、等張塩化ナトリウム溶液、及び合成モノ-もしくはジ-グリセリドなどの不揮発性油を含むが、これらに限定されるものではない。有用である他の非経口-投与可能な製剤は、微晶質型中、リポソーム調製品中、又は生分解性ポリマーシステムの構成成分として、本活性成分を含有するものを含む。持続放出又は埋植のための組成物は、医薬として許容し得るポリマー性もしくは疎水性物質、例えばエマルション、イオン交換樹脂、難溶性ポリマー、又は難溶性塩などを含有してよい。
【0313】
本発明の医薬組成物は、口腔を介した経肺投与に適している製剤中に、調製されるか、包装されるか、又は販売されてよい。そのような製剤は、本活性成分を含有し、且つ約0.5~約7ナノメーターの範囲の直径を有する、乾燥粒子を含有してよい。一部の実施態様において、この製剤は、本活性成分を含有し、且つ約1~約6ナノメーターの範囲の直径を有する、乾燥粒子を含有してよい。そのような組成物は、好都合なことに、それへの噴射剤の流れが、この粉末の分散を指示することができる乾燥粉末貯蔵庫を備える装置を使用する投与、又は例えば密閉容器内の低沸点噴射剤中に溶解又は懸濁された活性成分を含む装置など自己-噴射式溶媒/粉末-分散する容器を使用する投与のための、乾燥粉末の形状である。一部の実施態様において、そのような粉末は、粒子を含み、ここでこれらの粒子の少なくとも98重量%は、0.5ナノメーター以上の直径を有し、及び粒子の数の少なくとも95%は、7ナノメーター未満の直径を有する。一部の実施態様において、粒子の少なくとも95重量%は、1ナノメーター以上の直径を有し、及び粒子の数の少なくとも90%は、6ナノメーター未満の直径を有する。一部の実施態様において、乾燥粉末組成物は、砂糖などの固形の微細な粉末希釈剤を含み、並びに好都合なことに単位剤形で提供される。
【0314】
低沸点噴射剤は一般に、大気圧で65°F以下の沸点を有する液体噴射剤を含む。一般にこの噴射剤は、本組成物の50~99.9%(w/w)を構成し、並びにこの活性成分は、本組成物の0.1~20%(w/w)を構成してよい。この噴射剤は更に、液体の非イオン性もしくは固形の陰イオン性の界面活性剤又は固形の希釈剤(活性成分を含有する粒子と同じ桁の粒子サイズを有する一部の場合において)などの、追加の成分を含有してよい。
【0315】
非経口投与に適した医薬組成物の製剤は、滅菌水又は滅菌等張食塩水などの、医薬として許容し得る担体と組合せられた、本活性成分を含有する。そのような製剤は、ボーラス投与又は連続投与に適した形状で、調製されるか、包装されるか、又は販売されてよい。注射可能な製剤は、保存剤を含む、アンプル又は反復-投与量容器などの、単位剤形で、調製されるか、包装されるか、又は販売されてよい。非経口投与のための製剤は、懸濁剤、液剤、油性もしくは水性ビヒクル中の乳剤、泥膏、及び埋植可能な持続-放出又は生分解可能な製剤を含むが、これらに限定されるものではない。そのような製剤は更に、非限定的に、懸濁化剤、安定化剤、又は分散剤を含む、1又は複数の追加の成分を含有してよい。非経口投与のための製剤の一実施態様において、この活性成分は、再構成された組成物の非経口投与の前に、好適なビヒクル(例えば、滅菌パイロジェンフリー水)により再構成するための、乾燥(すなわち、粉末もしくは顆粒)形状で提供される。
【0316】
本医薬組成物は、無菌の注射可能な水性もしくは油性の懸濁剤もしくは液剤の形状で、調製されるか、包装されるか、又は販売されてよい。この懸濁剤又は液剤は、公知の技術に従い製剤化されてよく、且つこの活性成分に加え、本明細書記載の分散剤、湿潤剤、又は懸濁化剤などの、追加の成分を含有してよい。そのような無菌の注射可能な製剤は、例えば水もしくは1,3-ブタンジオールなどの、無毒の非経口的に許容し得る希釈剤又は溶媒を用いて、調製されてよい。他の許容し得る希釈剤及び溶媒は、リンゲル液、等張塩化ナトリウム溶液、及び合成モノ-もしくはジ-グリセリドなどの不揮発性油を含むが、これらに限定されるものではない。有用である他の非経口-投与可能な製剤は、微晶質型中、リポソーム調製品中、又は生分解性ポリマーシステムの構成成分として、本活性成分を含有するものを含む。持続放出又は埋植のための組成物は、医薬として許容し得るポリマー性もしくは疎水性物質、例えばエマルション、イオン交換樹脂、難溶性ポリマー、又は難溶性塩などを含有してよい。
【0317】
本明細書において使用する「追加の成分」は、以下の1又は複数を含むが、これらに限定されるものではない:賦形剤;界面活性剤;分散剤;不活性希釈剤;造粒剤及び崩壊剤;結合剤;滑沢剤;甘味剤;香味剤;着色剤;保存剤;生理的に分解可能な組成物、例えばゼラチンなど;水性ビヒクル及び溶媒;油性ビヒクル及び溶媒;懸濁化剤;分散剤又は湿潤剤;乳化剤、鎮痛薬;緩衝剤;塩類;増粘剤;充填剤;乳化剤;抗酸化剤;抗生物質;抗真菌剤;安定化剤;並びに、医薬として許容し得るポリマー性もしくは疎水性物質。本発明の医薬組成物中に含まれ得る他の「追加の成分」は、当該技術分野において公知であり、並びに例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences (1985、Genaro編集、Mack Publishing Co.、Easton、PA)に説明されており、これは引用により本明細書中に組み込まれている。
【0318】
治療方法
本発明は、HCV p7タンパク質及び少なくとも1種の追加のHCV抗原をコードしている1又は複数の単離された核酸を含有する組成物の有効量を投与することを含む、対象においてHCVに対する適応免疫応答を誘導する方法を提供する。
【0319】
一実施態様において、本方法は、対象において、HCV、HCV感染症に対する、又はHCVに関連した疾患もしくは障害に対する、免疫を提供する。従って本発明は、HCVに関連した感染症、疾患、又は障害を治療又は予防する方法を提供する。
【0320】
一実施態様において、本組成物は、HCVに関連した感染症、疾患、又は障害を有する対象へ、投与される。一実施態様において、本組成物は、HCVに関連した感染症、疾患、又は障害を発症するリスクのある対象へ投与される。例えば、本組成物は、HCVと接触するリスクがある対象へ投与されてよい。一実施態様において、本組成物は、HCVが蔓延している地理的領域で、生活する、旅行する、又は旅行を予定している対象へ投与される。一実施態様において、本組成物は、HCVが蔓延している地理的領域で、生活する、旅行する、又は旅行を予定している別のヒトと、接触するか又は接触することが予想される、対象へ投与される。一実施態様において、本組成物は、自身の職業上の、性的、又は他の接触を通じてHCVに曝露されることがわかっている対象へ投与される。
【0321】
一実施態様において、本方法は、HCV p7タンパク質及び少なくとも1種の追加のHCV抗原をコードしている、1又は複数のヌクレオシド-改変された核酸分子を含有する組成物を投与することを含む。
【0322】
一部の実施態様において、本方法は、複数のヌクレオシド-改変されたmRNA分子を対象へ投与することを含み、ここで各mRNA分子は、HCV p7タンパク質及び少なくとも1種の追加のHCV抗原をコードしている。
【0323】
一実施態様において、本方法は、系統ワクチンとして、HCV p7タンパク質及び少なくとも1種の追加のHCV抗原をコードしている、ヌクレオシド-改変された核酸分子を含有する、一連の組成物を投与することを含む。一部の実施態様において、本方法は、複数の組成物の時差投与を含み、ここで各組成物は、HCV p7タンパク質及び少なくとも1種の追加のHCV抗原をコードしているヌクレオシド-改変された核酸分子を含有する。
【0324】
一部の実施態様において、本発明の方法は、投与後少なくとも数日にわたる、本明細書記載の、HCV p7タンパク質、少なくとも1種のHCV抗原、又はアジュバントの持続された発現を可能にする。一部の実施態様において、本発明の方法は、投与後少なくとも2週間にわたる、本明細書記載のHCV p7タンパク質、少なくとも1種のHCV抗原、タンパク質又はアジュバントの持続された発現を可能にする。一部の実施態様において、本発明の方法は、投与後少なくとも1ヶ月にわたる、本明細書記載のHCV p7タンパク質、少なくとも1種のHCV抗原、又はアジュバントの持続された発現を可能にする。しかし本方法は、一部の実施態様においては、この核酸が対象ゲノムへ組み込まれないので、一部の実施態様においてまた、一過性発現も提供する。
【0325】
一部の実施態様において、本方法は、ヌクレオシド-改変されたRNAを投与することを含み、これは、本明細書記載のHCV p7タンパク質、少なくとも1種のHCV抗原、又はアジュバントの安定した発現を提供する。一部の実施態様において、ヌクレオシド-改変されたRNAの投与は、先天性免疫応答をほとんど又は全く生じない一方で、有効な適応免疫応答を誘導する。
【0326】
一部の実施態様において、本方法は、HCVに対する持続された防御を提供する。例えば一部の実施態様において、本方法は、2週間より長きにわたる、HCVに対する持続された防御を提供する。一部の実施態様において、本方法は、1ヶ月以上にわたる、HCVに対する持続された防御を提供する。一部の実施態様において、本方法は、2ヶ月以上にわたる、HCVに対する持続された防御を提供する。一部の実施態様において、本方法は、3ヶ月以上にわたる、HCVに対する持続された防御を提供する。一部の実施態様において、本方法は、4ヶ月以上にわたる、HCVに対する持続された防御を提供する。一部の実施態様において、本方法は、5ヶ月以上にわたる、HCVに対する持続された防御を提供する。一部の実施態様において、本方法は、6ヶ月以上にわたる、HCVに対する持続された防御を提供する。一部の実施態様において、本方法は、1年以上にわたる、HCVに対する持続された防御を提供する。
【0327】
一実施態様において、本組成物の単回の免疫処置は、1ヶ月以上、2ヶ月以上、3ヶ月以上、4ヶ月以上、5ヶ月以上、6ヶ月以上、又は1年以上にわたる、HCVに対する持続された防御を誘導する。
【0328】
治療方法における本発明の組成物の投与は、当該技術分野において公知の方法を使用し、数多くの異なる様式で、達成され得る。一実施態様において、本発明の方法は、例えば、腸内又は非経口投与を含む、対象の全身投与を含む。一部の実施態様において、本方法は、本組成物の皮内送達を含む。別の実施態様において、本方法は、本組成物の静脈内送達を含む。一部の実施態様において、本方法は、本組成物の筋肉内送達を含む。一実施態様において、本方法は、本組成物の皮下送達を含む。一実施態様において、本方法は、本組成物の吸入を含む。一実施態様において、本方法は、本組成物の鼻腔内送達を含む。
【0329】
本発明の組成物は、単独で、又は別の薬剤と一緒に、対象へ投与されてよいことは、理解されるであろう。
【0330】
従って本発明の治療的及び発症予防的方法は、本発明の方法を実践するための、本明細書記載のHCV p7タンパク質及び少なくとも1種の追加のHCV抗原をコードしている医薬組成物の使用を包含している。本発明を実践するのに有用な医薬組成物は、1ng/kg/日から100mg/kg/日の用量を送達するように投与されてよい。一実施態様において、本発明は、哺乳動物において、10nMから10μMの、本発明の化合物の濃度を生じる用量の投与を想起している。
【0331】
典型的には、本発明の方法において哺乳動物、例えばヒトへ投与され得る投与量は、哺乳動物体重1kg当たり0.01μg~約50mgの量の範囲である一方で、投与される正確な投与量は、非限定的に、哺乳動物の種類及び治療される病態の種類、哺乳動物の年齢及び投与経路を含む、いくつかの要因に応じて、変動するであろう。一部の実施態様において、本化合物の投与量は、哺乳動物の体重1kg当たり約0.1μg~約10mgを変動するであろう。一部の実施態様において、この投与量は、哺乳動物の体重1kg当たり約1μg~約1mgを変動するであろう。
【0332】
本組成物は、1日数回など頻繁に、哺乳動物へ投与されてよいか、或いはより少ない頻度で、例えば1日1回、1週間に1回、2週間に1回、1ヶ月に1回など、又は更に少ない頻度、例えば、数ヶ月毎に、数年毎に1回、又は更により少ない頻度で、例えば10~20年毎に、15~30年毎に1回など、又は更に少ない頻度で、例えば50~100年毎などで、投与されてよい。この投薬頻度は、当業者により容易に理解され、且つ非限定的に、治療される疾患の種類及び重症度、哺乳動物の種類及び年齢などの、いくつかの要因に左右されるであろう。
【0333】
一部の実施態様において、本発明の免疫原性組成物又はワクチンの投与は、単回投与により実行されるか、又は反復投与によりブーストされてよい。
【0334】
一実施態様において、本発明は、HCV p7タンパク質及び少なくとも1種のHCV抗原をコードしている1又は複数の組成物を投与することを含む、方法を含む。一部の実施態様において、本方法は、相加作用を有し、ここでHCV p7タンパク質及び少なくとも1種のHCV抗原の組合せの投与の全般的効果は、HCV p7タンパク質及び少なくとも1種のHCV抗原の投与の効果の合計と等しい。他の実施態様において、本方法は、相乗効果を有し、ここでHCV p7タンパク質及び少なくとも1種のHCV抗原の組合せの投与の全般的効果は、HCV p7タンパク質及び少なくとも1種のHCV抗原の投与の効果の合計よりも大きい。
【実施例
【0335】
実験的実施例
本発明は、以下の実験的実施例を参照し、更に詳細に説明される。これらの実施例は、例証のみを目的として提供され、並びに別に特定されない限りは、限定されることは意図されない。従って本発明は、決して下記実施例に限定されないと解釈されるべきであり、むしろ本明細書に提供される内容の結果として明らかになるいずれか及び全ての変動を包含すると解釈されるべきである。
【0336】
更なる説明を伴わずに、当業者は、先行する説明及び以下の例証的実施例を使用し、本発明を行い及び利用し、並びに請求された方法を実践することができると考えられるべきである。従って以下の作業実施例は、決して、本開示の残りの部分を限定すると解釈されるべきではない。
【0337】
実施例1:ヌクレオシド-改変されたmRNAワクチン接種によるC型肝炎ウイルス(HCV)防御
2種の異なるmRNA構築体を、インビトロにおいて研究した。これらは両方共、構造性HCVタンパク質C、E1、及びE2をコードしているmRNAを含む。第二の構築体はまた、感染性ウイルスの集成及び放出において役割を果たす、小型ウイルスタンパク質p7もコードしている(図1A)。
【0338】
ウェスタンブロットは、タンパク質C、E1、及びE2が、数種の一般的細胞株由来の細胞溶解液中で、それらの予想されたサイズで発現されることを示している(図1B)。p7それ自身は、直接視認するには小さすぎるが、このmRNA構築体中のp7の封入は、他のウイルスタンパク質の発現に負の影響を及ぼさないことが示された。このウイルスタンパク質の細胞上清への分泌を視認する最初の努力は巧くいかなかったが、現在努力中である。
【0339】
4種の実験群を試験する免疫原性試験を行った(図2)。第1群「-p7」は、p7を伴わないワクチン構築体を表す。第2群「+p7」は、p7タンパク質を含むワクチン構築体を表す。sE2は、mRNAワクチンに使用した患者と同じ患者由来の可溶性タンパク質E2である。これは、このmRNA構築体と比較した場合、適切な免疫応答を生じるであろうという予想を基に、含まれた。
【0340】
図3は、最低希釈で示された、異なる実験的ワクチン構築体により免疫処置されたマウス由来の血清の結合抗体反応をまとめている棒グラフを示す。自己ウイルスタンパク質(そのワクチン配列が由来したものと同じウイルス由来のタンパク質)に対し、3種の実験群全て(陰性対照の空のLNPを除く)は、同等の高-レベルの結合を示した(図3A)。異種ウイルスタンパク質(すなわち、ワクチン配列が由来したものと異なるウイルス由来のタンパク質。このウイルスは、同じ遺伝子型1aであるが、別の患者から単離される)に対して、-p7構築体は、最小の抗体結合を示した。sE2構築体は、中間-レベルの結合を示した。p7を含む構築体は、高-レベルの結合を示した(図3B)。
【0341】
これらの曲線は、自己ウイルスタンパク質及び異種ウイルスタンパク質の両方に対する全ての実験群からの結合抗体反応に関する完全データを示している。左側の、3種のワクチン構築体-p7、+p7、及びsE2からの曲線は、自己ウイルスタンパク質に対する異なる希釈での両方の結合レベルにおける、類似性を示している。右側の、曲線は、結合の異なるレベルを示し、+p7化合物は、より良い結合反応を生じている。
【0342】
図3Cは、-p7群及び+p7群の両方由来の各マウスの抗体結合を示している。p7を伴わないmRNA構築体を受け取るマウスは、変動する反応を有し、異種ウイルス偽粒子に対し、3匹のマウスは結合を示さず、及び2匹のマウスは中間から最小の結合を伴ったことを示す。対照的に、p7を含むmRNA構築体で免疫処置したマウスは、この群の5匹のマウス全てで、高-レベルの結合を示した。この構築体中のp7の封入は、免疫応答の効力、並びにワクチンによる反応速度の両方が増大するように見える。
【0343】
図4は、立体構造エピトープ対線状エピトープへの結合に起因した、結合抗体反応の破綻(breakdown)を示す、分円図を提供する。立体構造エピトープは、循環中の機能性ウイルスによる感染症の状況においてみられることが多いような、それが適切にフォールディングされた場合の、タンパク質の3D成分である。線状エピトープは、タンパク質のフォールディングパターンに起因した、互いに隣接しているアミノ酸に対するものとして、それらの配列に従い並置して認められるアミノ酸の配列である。これらは、フォールディングされたタンパク質及びフォールディングされないタンパク質の両方で認めることができるが、立体構造エピトープは、フォールディングされたタンパク質のみにおける抗体による認識のために主に利用される。従って、立体構造エピトープの標的化は、真の感染症の状況へのより高い関連性のために、ワクチン構築体にとって、より望ましいことができる。異種ウイルスタンパク質に対する結合は、異なるウイルスバリアントを超えてより広範に保存されているエピトープの結合を表すのに対し、自己ウイルスタンパク質に対する結合は、その個別のウイルスに対し特異的であるエピトープ又はウイルスバリアントを超えて広範に保存されているエピトープのいずれかに対し方向付けられることができる。
【0344】
-p7構築体により誘発される自己及び異種抗体結合反応の両方(図3に示す)は、立体構造エピトープとは反対に、線状エピトープを主に標的化する(図4A)。
【0345】
+p7構築体に関して、自己ウイルスタンパク質に対する抗体結合の事実上全ては、立体構造ではなく、線状エピトープに対して方向付けられている。しかし対照的に、より広範に保存されたエピトープ(異種ウイルスタンパク質において認められる)を標的化する抗体結合は、立体構造エピトープに対して優先的に方向付けられている(図4B)。
【0346】
図4B同様、sE2タンパク質に関して、自己ウイルスタンパク質に対する反応の事実上全ては、線状エピトープに対するが、しかし異種ウイルスタンパク質の結合は、主に立体構造エピトープに対する(図4C)。
【0347】
これは、広範に保存された立体構造エピトープの標的化は、多様なHCVウイルスバリアントに対する防御のより高いレベルを生じるので、+p7構築体は、ワクチン構築体としての増加した望ましさを示すことを指摘してる。
【0348】
図5は、ワクチン接種したマウス由来の血清は、易感染性細胞由来の偽粒子を防御することが可能であるかどうかを評価するための、HCV偽粒子を使用する、中和アッセイの結果を示す。マウス血清は、異なる希釈で細胞へ送達され、どのくらい強力に血清(及びそれに含まれる抗体)が、それらの表面上にHCV E1及びE2糖タンパク質を発現している偽粒子を中和することができるか(aka、感染細胞由来の偽粒子を防御)を決定した。
【0349】
自己ウイルスタンパク質に対し、-p7及び+p7ワクチン群は、試験した最低希釈(最高濃度)で、いくらかの中和レベルを示した(図5A)。中和を示したマウスの数は、-p7群については明確ではなく、そのためこの試験は、より明確さを提供するために繰り返されるが、全ての+p7マウスは、自己ウイルス偽粒子に対し中和を示したことは、明らかである。対照的に、sE2群は、中和を示さなかった。
【0350】
異種ウイルスタンパク質に対し、-p7、+p7、及びsE2ワクチン群は、明確な中和を示さなかった(図5B)。
【0351】
図6は、広範な結合/中和抗体を同定するための、追加の免疫原性試験の実験デザインを概説している。
【0352】
実施例2:C型肝炎ワクチンデザインにおけるp7の役割の理解
ここで提示されたデータは、HCVのためのmRNA-LNPワクチンのデザイン及び最適化を説明している。
【0353】
構造タンパク質(C、E1、E2)は、液性反応を促進するので、これらはHCVワクチン内の封入について恩恵がある。非構造タンパク質(NS)2-5B、C、E1及びE2は全て、細胞性反応を促進する。しかし、ワクチン中のNS1(aka p7)の役割は不明である。ここで提示されたデータは、p7を伴う及び伴わないワクチンデザインの1対1の比較を提供する。
【0354】
図7は、ウイルスタンパク質は、細胞内に発現されること、並びに
【0355】
p7の含有は、はるかに高い発現に繋がることを示している。ウイルスタンパク質は、予想されたサイズで発現された(複数の細胞株において)(図7A)。ピーク発現は、24時間であった(図7B)。+p7溶解液中において、-p7よりも有意に高いCタンパク質が存在した(図7C)。
【0356】
図8は、ウイルスタンパク質は、+/-p7において分泌され、並びに濃縮されることを示している。ウイルスタンパク質は、上清に分泌され、72時間でピークに達した(図8A)。+p7及び-p7上清の分析は、E1E2ヘテロ二量体の生成を示している(図8B及び8C)。
【0357】
p7の免疫原性に対する効果を試験するための試験が、デザインされた(図9)。-p7及び+p7の両方は、多機能性CD4及びCD8 T細胞反応を誘発する(図10)。対照的に、sE2は、機能性CD4又はCD8反応を誘発しなかった。
【0358】
インビボにおいてp7の免疫原性に対する効果を試験するために、試験がデザインされた(図11)。p7の含有は、異種立体構造エピトープのより高い結合(図12)、はるかに広範な抗体結合(図13)、より良い全般的中和(図14)、並びに多様なHCVバリアントのより広範で、より強力な中和(図15)に繋がる。
【0359】
従って、提示されたデータは、mRNA-LNPワクチン構築体中のウイルスタンパク質p7の含有は、多様なHCVバリアントの広いアレイの劇的に改善された結合及び中和に繋がることを明文化している。これは、概してウイルスタンパク質の、及び特にp7が存在する場合のVLPの、改善された発現及び分泌に起因するように見える。
【0360】
実施例3:配列
全ての免疫原構築体は、DNA合成の前に、下記ベクターに挿入される:
【0361】
2560_pUC-modTEV-A101 (配列番号:1)
【0362】
【化28】
【0363】
免疫原構築体配列(DNA)
【0364】
以下に提供される免疫原は、図6の樹系図を基に、A-Iとラベルされる。
【0365】
HCV A CE1E2p7 (配列番号:2)
【0366】
【化29】
【0367】
HCV B CE1E2p7 (配列番号:3)
【0368】
【化30】
【0369】
HCV C CE1E2p7 (配列番号:4)
【0370】
【化31】
【0371】
HCV D CE1E2p7 (配列番号:5)
【0372】
【化32】
【0373】
HCV E CE1E2p7 (配列番号:6)
【0374】
【化33】
【0375】
HCV F CE1E2p7 (配列番号:7)
【0376】
【化34】
【0377】
HCV G CE1E2p7 (配列番号:8)
【0378】
【化35】
【0379】
HCV H CE1E2p7 (配列番号:9)
【0380】
【化36】
【0381】
HCV I CE1E2p7 (配列番号:10)
【0382】
【化37】
【0383】
本明細書に引用された各々及び全ての特許、特許出願、及び刊行物の開示は、それらの全体が引用により本明細書中に組み込まれている。本発明は、具体的実施態様を参照し明らかにされているが、本発明の他の実施態様及び変種は、本発明の真の精神及び範囲から逸脱しない限りは、当業者により考案され得ることは、明白である。添付された請求項は、そのような実施態様及び等価の変種の全てを含むと解釈されるべきであることが意図される。
図1-1】
図1-2】
図2
図3-1】
図3-2】
図3-3】
図4-1】
図4-2】
図4-3】
図5-1】
図5-2】
図5-3】
図5-4】
図6-1】
図6-2】
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
【配列表】
2024525578000001.xml
【国際調査報告】