(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-12
(54)【発明の名称】エアレイド製品の製造方法
(51)【国際特許分類】
D04H 1/732 20120101AFI20240705BHJP
D04H 1/26 20120101ALI20240705BHJP
D04H 1/736 20120101ALI20240705BHJP
【FI】
D04H1/732
D04H1/26
D04H1/736
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024500314
(86)(22)【出願日】2022-07-05
(85)【翻訳文提出日】2024-01-31
(86)【国際出願番号】 EP2022068516
(87)【国際公開番号】W WO2023280812
(87)【国際公開日】2023-01-12
(31)【優先権主張番号】102021117638.7
(32)【優先日】2021-07-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506408818
【氏名又は名称】フォイト パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】VOITH PATENT GmbH
【住所又は居所原語表記】St. Poeltener Str. 43, D-89522 Heidenheim, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】トーマス エール
(72)【発明者】
【氏名】ヨナス ベルクストレーム
【テーマコード(参考)】
4L047
【Fターム(参考)】
4L047AA08
4L047AB02
4L047AB06
4L047EA03
(57)【要約】
本発明は、出発材料、特に、例えばパルプベールのような、束の形態のパルプ材料からエアレイド製品または不織布を製造する方法であって、出発材料を、少なくとも1つの粉砕ラインにおいて少なくとも1つの粉砕装置により粉砕して粉砕材料を形成し、かつ粉砕材料を少なくとも1つの材料バッファに供給する方法に関する。粉砕材料を少なくとも1つの調量装置により調量して少なくとも1つの材料バッファから取り出し、少なくとも1つの解繊システムを備えた少なくとも1つの処理ラインに供給し、少なくとも1つの解繊システムにおいて、粉砕材料を解繊して解繊材料を形成する。解繊材料を、製造機に供給して、エアレイド製品または不織布に加工する。少なくとも1つの調量装置を、製造機に連続的な質量流量の解繊材料が供給されるように制御する。本発明はさらに、エアレイド製品または不織布を製造する方法を実施する装置に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
出発材料(42)、特に、例えばパルプベール(45)のような、束の形態のパルプ材料からエアレイド製品または不織布(16)を製造する方法であって、
前記出発材料(42)を少なくとも1つの粉砕ライン(46,46.1,46.2)において少なくとも1つの粉砕装置(48,48.1,48.2)により粉砕して粉砕材料を形成するステップと、
前記粉砕材料を少なくとも1つの材料バッファ(50,76,78)に供給するステップと、
前記粉砕材料を少なくとも1つの調量装置(54,54.1,54.2,54.3,80,80.1,80.2,80.3,82,82.1,82.2,82.3)により調量して前記少なくとも1つの材料バッファ(50,76,78)から取り出し、かつ少なくとも1つの解繊システム(58,58.1,58.2,58.3)を備えた少なくとも1つの処理ライン(56,56.1,56.2,56.3)に供給し、前記少なくとも1つの解繊システム(58,58.1,58.2,58.3)において、前記粉砕材料を解繊して解繊材料を形成する、ステップと、
前記解繊材料を製造機(60)に供給し、加工してエアレイド製品または不織布(16)を形成するステップとを有し、
前記少なくとも1つの調量装置(54,54.1,54.2,54.3,80,80.1,80.2,80.3,82,82.1,82.2,82.3)を、前記製造機(60)に連続的な質量流量の解繊材料が供給されるように、制御する、方法。
【請求項2】
前記方法の全てのステップを連続した製造ライン上で実施する、少なくとも請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記調量装置を、解繊材料の前記質量流量の、センサシステム(64,64.1,64.2,64.3)により検出された特徴的なパラメータに基づいて制御する、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記調量装置を、製造された前記エアレイド製品または前記不織布(16)の、センサシステムにより検出された特徴的なパラメータに基づいて制御し、特に前記パラメータが坪量である、請求項1から3までの少なくともいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記調量装置を、該調量装置に割り当てられた処理ライン(56,56.1,56.2,56.3)に、連続的な質量流量の粉砕材料が供給されるように、制御する、請求項1から4までの少なくともいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
特に、エアレイド製品または不織布(16)の少なくとも2つの層を含む多層の製品を製造するために、前記粉砕材料を、少なくとも2つの調量装置により調量して、前記少なくとも2つの調量装置に割り当てられた材料バッファ(50,76,78)から取り出し、それぞれ1つの解繊システム(58,58.1,58.2,58.3)を備えた少なくとも2つの処理ライン(56,56.1,56.2,56.3)に供給し、前記解繊システム(58,58.1,58.2,58.3)において、前記粉砕材料をそれぞれ解繊して解繊材料を形成し、前記少なくとも2つの調量装置のそれぞれが、前記少なくとも2つの処理ライン(56,56.1,56.2,56.3)のうちの1つの処理ラインに割り当てられており、前記少なくとも2つの処理ライン(56,56.1,56.2,56.3)の前記解繊材料を、同一の製造機(60)に供給し、該製造機(60)において加工して、特に多層のエアレイド製品または不織布(16)を形成する、請求項1から5までの少なくともいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
存在している場合に、材料バッファ(50,76,78)の少なくとも2つの調量装置を互いに独立して制御する、請求項1から6までの少なくともいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
互いに異なる少なくとも2種の出発材料(42,43,44)、特にパルプ材料を使用する、請求項1から7までの少なくともいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
前記互いに異なる少なくとも2種の出発材料(42,43,44)を、同一の粉砕ライン(46)または粉砕装置(48)により、特に別個に粉砕して、互いに異なる少なくとも2種の粉砕材料を形成する、少なくとも請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記互いに異なる少なくとも2種の出発材料(42,43,44)を、少なくとも2つの粉砕ライン(46.1,46.2)または粉砕装置(48.1,48.2)により粉砕して、互いに異なる少なくとも2種の粉砕材料を形成する、少なくとも請求項8記載の方法。
【請求項11】
前記互いに異なる少なくとも2種の粉砕材料のそれぞれを、別個の材料バッファ(50,76,78)に供給する、少なくとも請求項9または10記載の方法。
【請求項12】
各処理ライン(56,56.1,56.2,56.3)に、少なくとも2つの材料バッファ(50,76,78)からの互いに異なる少なくとも2種の粉砕材料から成る定義された材料組成を、前記材料バッファ(50,76,78)にそれぞれ割り当てられた調量装置により供給することができる、請求項1から11までの少なくともいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
前記少なくとも1種の出発材料(42,43,44)を、前記少なくとも1つの粉砕装置(48,48.1,48.2)により、少なくとも実質的に乾式に、特に水または溶媒の添加なしに粉砕かつ/または解繊する、請求項1から12までの少なくともいずれか1項記載の方法。
【請求項14】
前記少なくとも1種の粉砕材料を、特徴的なパラメータに関して、特にスクリーンおよび/またはサイクロン型分離器(68,68.1,68.2)により選別し、かつ/または前記少なくとも1種の解繊材料を、特徴的なパラメータに関して、特にスクリーンおよび/またはサイクロン型分離器(72,72.2)により選別する、請求項1から13までの少なくともいずれか1項記載の方法。
【請求項15】
前記少なくとも1種の粉砕材料を、特にサイクロン型分離器および/または磁気分離器(66,66.1,66.2)によりクリーニングし、かつ/または
前記少なくとも1種の解繊材料を、特にサイクロン型分離器および/または磁気分離器(70,70.2)によりクリーニングする、請求項1から14までの少なくともいずれか1項記載の方法。
【請求項16】
少なくとも1種の出発材料(42,43,44)、特に、例えばパルプベール(45)のような、束の形態のパルプ材料からエアレイド製品または不織布(16)を製造する装置(40)であって、該装置(40)が、
前記少なくとも1種の出発材料(42,43,44)を粉砕して少なくとも1種の粉砕材料を形成するための少なくとも1つの粉砕装置(48,48.1,48.2)を備えた少なくとも1つの粉砕ライン(46,46.1,46.2)と、
少なくとも1つの材料バッファ(50,76,78)であって、該材料バッファ(50,76,78)にそれぞれ割り当てられた粉砕材料を収容するための材料バッファ(50,76,78)と
を含み、前記少なくとも1つの材料バッファ(50,76,78)は、該少なくとも1つの材料バッファ(50,76,78)から前記それぞれ割り当てられた粉砕材料を調量して取り出し、かつ前記少なくとも1種の粉砕材料を少なくとも1つの処理ライン(56,56.1,56.2,56.3)に供給するためにそれぞれ少なくとも1つの制御可能な調量装置(54,54.1,54.2,54.3,80,80.1,80.2,80.3,82,82.1,82.2,82.3)を有しており、前記少なくとも1つの処理ライン(56,56.1,56.2,56.3)が、少なくとも1つの解繊システム(58,58.1,58.2,58.3)を含み、該少なくとも1つの解繊システム(58,58.1,58.2,58.3)は、前記少なくとも1種の粉砕材料を解繊して少なくとも1種の解繊材料を形成するように構成されており、
前記装置(40)がさらに、
前記少なくとも1種の解繊材料からエアレイド製品または不織布(16)を製造する製造機(60)を含み、
制御ユニット(62)が設けられており、該制御ユニット(62)は、特に請求項1から15までの少なくともいずれか1項記載の方法により、前記製造機(60)に連続的な質量流量の解繊材料が供給されるように前記少なくとも1つの調量装置(54,54.1,54.2,54.3,80,80.1,80.2,80.3,82,82.1,82.2,82.3)を制御するために構成かつ形成されている、装置(40)。
【請求項17】
前記装置の全ての構成部材が、1つの共通の製造ラインに配置されている、請求項16記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、出発材料、特に、例えばパルプベールのような、束の形態のパルプ材料からエアレイド製品または不織布を製造する方法ならびに装置に関する。
【0002】
このような方法および装置は、基本的に公知である。一般的には、フラッフパルプ(Fluff-Pulp)として知られるフラッフパルプ材料が使用される。フラッフパルプ材料はロール品として提供され、巻成されてロールを成すフラッフパルプウェブは、定義された厚さおよび定義された幅を有しているのみならず、円滑な後続加工を可能にする十分に定義された別の特性も有している。したがって、フラッフパルプは通常、高い純度、例えば0.65g/cm3未満の均一な密度ならびに均一な湿分含有量を有しており、かつ乾燥した状態で極めて良好に解繊することができ、このことは離解ともいう。このことは、不織布および乾式製品、特に空気敷設製品、いわゆるエアレイド製品の製造が、通常、水または別の溶媒を添加することなく、つまり「乾式」に行われるので、特に重要である。ロール品としてのフラッフパルプ材料は、良好な走行特性、必要とされる低い粉砕エネルギおよび低い節点含有量によって優れている。使用されるフラッフパルプ材料は通常、既に対応する所望の材料特性に処理されていて、所望の繊維組成、例えば規定された長繊維割合および短繊維割合を有している。
【0003】
フラッフパルプ材料から不織布製品および乾式製品を製造する場合、ロール品は通常、定義されたウェブ速度で繰り出され、乾式の解繊(離解)と、次いで不織布または乾式敷設機(製造機)とに供給される。フラッフパルプ材料の、解繊以上の処理は、省略される。使用されるロール品が既に、別の加工に関して必要となる特性を有しているからである。公知の製造方法にとって特徴的であるのは、一定のウェブ速度で材料ロールからフラッフパルプ材料が繰り出される場合に、フラッフパルプウェブの十分に定義された特性に基づいて、連続的な、特に時間的に一定であるパルプ材料の質量流量が形成され、この質量流量が連続的に製造機にも供給されることである。質量流量は、フラッフパルプ材料の繰出し時のウェブ速度を介して調節される。最終的に、製造機に供給される材料の質量流量を介した不織布または乾式製品の坪量(Flaechengewicht)の調節も行われる。
【0004】
エアレイド製品または不織布を製造する公知の方法および装置の、出発材料に対するこれらの特別な要件は、多種多様な紙類を湿式に製造する場合、例えばティッシュ製造時に使用されるような、市販の束の形態の従来のパルプ材料の使用を実質的に不可能にする。一般的には、互いに積み重ねられた複数のパルプシートから構成されるパルプベールの形態のパルプが使用可能である。フラッフパルプ材料と比べて、パルプベールは、大きなコスト上の利点を有している。しかし、一般的に、定義された寸法および定義された厚さを有するロール品として提供されていないパルプベールもしくはパルプ材料は、解繊されたパルプ材料の必要となる連続的な質量流量へと直接に加工することができない。さらに、解繊の他にも別の処理ステップ、例えばクリーニングおよび/または選別が必要であり、これらの処理ステップも同様に、解繊されたパルプ材料の連続的な材料流を妨げ得る。
【0005】
本発明の課題は、より高い経済性とよりフレキシブルな使用可能性を有する、エアレイド製品または不織布を製造する方法および装置を提供することである。
【0006】
この課題は、請求項1の特徴を有する方法および請求項16の特徴を有する装置によって解決される。
【0007】
出発材料、特に、例えばパルプベールのような、束の形態のパルプ材料からエアレイド製品または不織布を製造する本発明に係る方法では、出発材料を、少なくとも1つの粉砕ラインにおいて少なくとも1つの粉砕装置を用いて粉砕して粉砕材料を形成し、粉砕材料を少なくとも1つの材料バッファに供給する。粉砕材料を少なくとも1つの調量装置を用いて調量して少なくとも1つの材料バッファから取り出し、少なくとも1つの解繊システムを備えた少なくとも1つの処理ラインに供給する。この解繊システムにおいて、粉砕材料を解繊して解繊材料を形成する。解繊材料を製造機に供給し、加工してエアレイド製品または不織布を形成する。少なくとも1つの調量装置を、製造機に連続的な質量流量の解繊材料が供給されるように、制御する。
【0008】
少なくとも1種の出発材料、特に、例えばパルプベールのような、束の形態のパルプ材料からエアレイド製品または不織布を製造する装置は、少なくとも1種の出発材料を粉砕して少なくとも1種の粉砕材料を形成するための少なくとも1つの粉砕装置を備えた少なくとも1つの粉砕ラインを含んでいる。さらに、この装置は、少なくとも1つの材料バッファであって、この材料バッファにそれぞれ割り当てられた粉砕材料を収容するための材料バッファを含んでおり、少なくとも1つの材料バッファは、少なくとも1つの材料バッファからそれぞれ割り当てられた粉砕材料を調量して取り出し、かつ少なくとも1種の粉砕材料を少なくとも1つの処理ラインに供給するためにそれぞれ少なくとも1つの制御可能な調量装置を有している。少なくとも1つの処理ラインは、少なくとも1種の粉砕材料を解繊して少なくとも1種の解繊材料を形成するように構成されている少なくとも1つの解繊システムを含んでいる。装置は、少なくとも1種の解繊材料からエアレイド製品または不織布を製造する製造機をさらに含み、製造機に連続的な質量流量の解繊材料が供給されるように少なくとも1つの調量装置を制御するように調整されかつ構成されている制御ユニットが設けられている。本発明による装置により、本発明による製造方法を実施することができる。
【0009】
本発明によれば、出発材料を、解繊される前にまず第1の方法区分において、粉砕装置により粉砕して粉砕材料を形成し、かつ材料バッファ、例えば貯蔵部に導入し、貯蔵部内で、粉砕材料をいわば中間貯蔵することが提案される。第2の方法区分において、材料バッファから粉砕材料を解繊機械および製造機に供給する。
【0010】
出発材料を粉砕し、粉砕材料を材料バッファに供給するまでの、解繊に前置された第1の方法区分は、ロール形状の高価なフラッフパルプ材料の使用とは無関係に、不織布またはエアレイド製品を製造する本発明による方法を成し、その代わりに、任意の市販の束の出発材料の使用を可能にする。例えば、パルプベールを使用することができる。これにより、コストの他にエネルギも節約することができる。フラッフパルプの低い密度に基づいて、パルプベールのような従来のパルプ材料に比べて、フラッフパルプの製造時にはより高い熱乾燥割合が必要となるからである。同様に、これらの利点は、本発明による装置によって、特に少なくとも1つの粉砕ラインと、少なくとも1つの調量装置を備えた少なくとも1つの材料バッファとが設けられていることによって達成される。
【0011】
使用されるパルプベールは、積み重ね束ねられて1つのベールを形成する、個別の安定的かつコンパクトな複数のパルプ材料プレートから構成されている。パルプベールは、通常極めて頻繁に使用されるコットンベールとは、このコットンベールが極めて容易にほどけて、僅かな解繊しか必要としないという点において相違している。
【0012】
使用されるパルプ材料プレートは、通常では、400g/m3以上、特に600g/m2以上、好適には1200g/m3以下の坪量を有する。プレートは極めて安定的であり、粉砕するために、この特性に適合された粉砕装置を必要とする。
【0013】
この方法ならびに装置は、パルプ材料だけではなく、極めて一般的には、特に束形状とは無関係に、乾式に解繊され得る任意の出発材料のためにも使用することができる。出発材料は、例えば緩く、僅かにプレスされて、またはロール形態で方法もしくは装置に導入することができる。例えば古紙および/または製造廃棄材料を、記載された形式で処理することができる。
【0014】
エアレイド製品は、ティッシュウェブ、ダスター、ハンドタオル、ナプキン、テーブルカバー、ペーパーウェブ、筆記紙および印刷紙等のグループから成る乾式敷設製品を含んでいてもよい。不織布は、ダスター、ハンドタオル、ナプキン、テーブルカバー等のグループから成る乾式敷設製品を含んでいてもよい。上記のグループの製品は、単に例示的なものであると理解されるべきであり、完全な列挙には相当しない。
【0015】
第1の方法ステップにおいて、出発材料は粉砕されて、特定の最大破片サイズを有する粉砕材料となり、この粉砕材料は特に積重ね可能かつ調量可能であり、かつ材料バッファ内に積み重ねられるか、または別の形態で中間貯蔵される。材料バッファ、例えば貯蔵部は、有利には、粉砕材料の積重ねまたは中間貯蔵に先行する方法ステップが、粉砕材料の積重ねまたは中間貯蔵に続く方法ステップと無関係に実施可能であるように形成されるか、もしくは寸法設定されている。したがって、粉砕ラインもしくは第1の方法区分におけるバッチ運転が可能であり、このバッチ運転では、材料バッファ内に特に粉砕材料のストックが作られる。
【0016】
積重ねまたは中間貯蔵に続く第2の方法区分において、粉砕材料が、解繊され(離解され)、一般的には連続的に作業する製造機に供給される。したがって、均一なエアレイド製品または均一な不織布を得るためには、連続的な、特に時間的に一定の質量流量の解繊材料が必要である。本発明によれば、連続的な質量流量の解繊材料を提供することは、少なくとも1つの材料バッファからの粉砕材料の取出しを、少なくとも1つの調量装置を用いて調量して、特に制御(開ループ制御)または調整(閉ループ制御)された形式で行うことにより可能にされる。少なくとも1つの調量装置は、単位時間毎に意図的に定義された量の粉砕材料を処理ラインに供給することができる。
【0017】
本発明の有利な構成は、従属請求項、明細書および図面から判る。
【0018】
好適な或る実施形態によれば、不織布またはエアレイド製品を製造する方法の全てのステップは、連続した製造ラインで実施される。したがって、エアレイド製品または不織布を製造する装置の全ての構成部材が1つの共通の製造ラインに纏められていてもよい。連続した製造ラインから離れた材料中間製品の搬送、または連続的な製造ライン外に配置された別の加工ライン上での付加的な中間製品の製造は、予定されていない。
【0019】
調量装置は、特に制御ユニットによって、解繊材料の質量流量の、センサシステムにより検出された特徴的なパラメータに基づいて制御することができる。解繊材料の質量流量は、製造されるエアレイド材料または不織布に関して特に重要である。この質量流量は、製造機により処理すべき、この製造機に供給される材料量に直接に相当するからである。例えば、少なくとも1つの処理ラインは、解繊システム内または解繊システムの下流側にセンサ装置を有していてもよく、このセンサ装置は、製造機に供給される前に解繊材料の質量流量を特に光学測定する。解繊材料の求められた質量流量に基づいて、調量装置によって材料バッファから搬出される粉砕材料の量が、解繊材料の所望の質量流量を形成するために適合され得る。
【0020】
別の或る実施形態によれば、調量装置は、特に制御装置により、製造されたエアレイド製品または不織布の、センサシステムにより検出された特徴的なパラメータに基づいて制御され、特にこの場合、パラメータは坪量である。この場合、搬出される粉砕材料の量は、製造されるエアレイド製品または不織布の特性に基づいて直接に調整され、これによりエアレイド製品または不織布の品質もしくは均一性が意図的に改善される。
【0021】
調量装置は、この調量装置に割り当てられた処理ラインに、連続的な質量流量の粉砕材料が供給されるように、制御することもできる。この手順および製造設備の構成において、処理ラインに供給される連続的な質量流量が、いわば自動的に製造機のための連続的な質量流量にもなることを仮定し得る場合、状況によっては、別の複雑なセンサシステムまたは調整技術を省略することができる。調量装置の相応する制御のみが必要であるからである。
【0022】
特に、エアレイド製品または不織布の少なくとも2つの層を備えた多層の製品を製造するために、粉砕材料を、少なくとも2つの調量装置により調量して、少なくとも2つの調量装置に割り当てられた材料バッファから取り出し、それぞれ1つの解繊システムを備えた少なくとも2つの処理ラインに供給することができる。解繊システムにおいて、粉砕材料をそれぞれ解繊して解繊材料を形成する。少なくとも2つの調量装置のそれぞれが、少なくとも2つの処理ラインのうちの1つの処理ラインに割り当てられていてもよい。少なくとも2つの処理ラインの解繊材料を、同一の製造機に供給することができ、この製造機において加工して、特に多層のエアレイド製品または不織布を形成することができる。基本的に、1つの材料バッファに2つよりも多くの調量装置が割り当てられていてもよく、材料バッファの各調量装置は、1つの処理ラインへの装入のために設けられている。処理ラインは、例えば、製造すべきエアレイド製品または製造すべき不織布のための製品層の材料を処理するために働くことができる。
【0023】
設けられている場合、材料バッファの少なくとも2つの調量装置は、互いに独立して制御され得る。したがって、少なくとも2つの調量装置のうちのそれぞれ1つの調量装置に割り当てられている少なくとも2つの互いに異なる処理ラインには、互いに無関係に、特に互いに異なる、定義された量の粉砕材料が材料バッファから装入され得る。これによって例えば、エアレイド製品または不織布の互いに異なる種類の製品層を製造することができる。
【0024】
この方法および/または装置では、互いに異なる少なくとも2種の出発材料、特にパルプ材料が使用され得る。例えば、製品要求および製造機の要求に応じて、長繊維パルプ、短繊維パルプ、廃棄材料および/または別の出発材料を使用することができる。互いに異なる少なくとも2種の出発材料は、別個の、材料固有の束、または既に材料混合物を含む束で方法または装置に導入され得る。
【0025】
或る実施形態によれば、互いに異なる少なくとも2種の出発材料を、同一の粉砕ラインまたは粉砕装置により、特に別個に粉砕して、互いに異なる少なくとも2種の粉砕材料を形成する。互いに異なる少なくとも2種の出発材料の粉砕は、例えば同一の粉砕装置を用いて相前後して行うことができる。
【0026】
別の或る実施形態によれば、互いに異なる少なくとも2種の出発材料を、少なくとも2つの粉砕ラインまたは粉砕装置により粉砕して互いに異なる少なくとも2種の粉砕材料を形成する。不織布またはエアレイド製品を製造する装置または製造ラインは、この目的のために、互いに異なる2つの粉砕装置または粉砕ラインを有していてもよい。これらの粉砕装置または粉砕ラインは、それぞれ特定の出発材料に特に適している種々異なる仕様を有していてもよい。したがって、互いに異なる少なくとも2種の粉砕材料の高い粉砕品質を保証することができる。
【0027】
互いに異なる少なくとも2種の粉砕材料のそれぞれを、別個の材料バッファに供給することができる。互いに異なって粉砕された材料は、互いに別個に、それぞれ固有の材料バッファ内に貯蔵もしくは積み重ねられ、かつこの材料バッファから別個に引出し可能であってもよい。
【0028】
或る実施形態によれば、各処理ラインに、少なくとも2つの材料バッファからの互いに異なる少なくとも2種の粉砕材料から成る定義された材料組成を、これらの材料バッファにそれぞれ割り当てられた調量装置を用いて供給することができる。互いに異なる少なくとも2種の粉砕材料は、処理ラインの解繊システムにより一緒に解繊されてもよく、粉砕された少なくとも2種の材料が混合されて、均質に解繊された材料が得られる。互いに異なる材料バッファからの互いに異なる粉砕材料は、材料バッファの調量装置が、特に制御ユニットを用いて相応に制御されることにより、任意の割合で自由に混合することができる。
【0029】
基本的には、所望の装置または製造ラインが得られるように、任意の数の粉砕装置を含む粉砕ライン、任意の数の材料バッファならびに解繊システムを備えた、任意の数の処理ラインを互いに無関係に組み合わせることができる。したがって、要求される製造量、使用されるパルプ材料および個別機械の容量に応じて構成され得る、多数の製品要求に適合可能な極めてフレキシブルな製造方法が提供される。多層の製品が製造される場合、方法のフレキシビリティは、個別の製品層の種々異なる材料組成をも可能にする。
【0030】
少なくとも1種の出発材料を、少なくとも1つの粉砕装置により、少なくとも実質的に乾式に、特に水または溶媒の添加なしに粉砕し、かつ/または解繊することができる。特に、出発材料、粉砕材料および/または解繊材料の湿分含有量は、製造方法中に10%の値、特に8%または7%の値を上回らないことが規定されていてもよい。
【0031】
或る実施形態によれば、少なくとも1種の粉砕材料を、特徴的なパラメータに関して、特にスクリーンおよび/またはサイクロン型分離器により選別する。代替的または付加的には、少なくとも1種の解繊材料を、特徴的なパラメータに関して、特にスクリーンおよび/またはサイクロン型分離器により選別することができる。特徴的なパラメータは、例えば、粉砕材料もしくは解繊材料の破片サイズであってもよく、最大の破片サイズを上回る材料は、選別され、かつ場合によっては新たに粉砕または解繊に供給される。したがって、粉砕材料および/または解繊材料の高い均一性が保証され、この均一性は、後続の方法ステップに有利に、かつ最終的には、製造される不織布またはエアレイド製品の品質に有利に作用する。
【0032】
別の実施形態によれば、少なくとも1種の粉砕材料を、特にサイクロン型分離器および/または磁気分離器を用いてクリーニングする。代替的または付加的に、少なくとも1種の解繊材料を、特にサイクロン型分離器および/または磁気分離器によりクリーニングすることができる。清浄で均質に粉砕かつ/または解繊された材料を得るために、障害物、例えば金属製の異物および/または重い部分を、粉砕材料および/または解繊材料から除去することができる。
【0033】
別の或る実施形態によれば、材料バッファは、パルプ材料の供給される少なくとも1つ、好適には2つの束、特に1つ、好適には2つのパルプベールを収容するために適している。有利には、材料バッファは、少なくとも1つ、好適には2つのパルプベール全体のバッファリングを可能にし、かつベールが断続的に供給される場合に交換時間を橋渡しするように設計されている。バッファサイズは、後続の製造機の連続運転にとって重要である。
【0034】
別の或る実施形態によれば、材料バッファは、パルプ材料の粉砕装置の下流側かつ解繊システムの上流側に、解繊システムの上流側でのバッファリングと、解繊システム、好適にはハンマーミルの連続動作とを可能にするように配置されている。このことは、連続的な供給時により少なく摩耗する、使用される解繊システム、好適にはハンマーミルの寿命にとって、かつ連続的な品質にとって有利である。断続的な運転時に、解繊された最初のパルプ材料と最後のパルプ材料とにおいて差異が生じてしまうからである。
【0035】
別の或る実施形態によれば、使用されるパルプ材料は、400g/m3以上、特に600g/m2以上、好ましくは1200g/m3以下の坪量を有している。これにより、有利には、省スペースにかつ省空間で必要な量の出発材料を貯蔵することができる。しかし、高い坪量は、使用される粉砕装置に特別な要求も課す。
【0036】
別の或る実施形態によると、エアレイド製品または不織布の製造機は、抄紙機および/またはティッシュマシンである。
【0037】
別の或る実施形態によれば、出発材料はパルプベールによってのみ提供される。有利には、高価なロール品は使用されない。
【0038】
以下に、添付の図面に基づいて、本発明の好適な実施形態を純粋に例示的に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【
図1】従来技術による、フラッフパルプ材料から成る不織布またはエアレイド製品の製造装置を示す概略図である。
【
図2】粉砕ラインと、少なくとも1つの材料バッファと、解繊システムを備えた少なくとも1つの処理ラインとを備えた、ベール状の出発材料から成る、不織布またはエアレイド製品のための本発明による製造装置を示す概略図である。
【
図3】2つの粉砕ラインと、3つの材料バッファと、それぞれ1つの解繊システムを備えた3つの処理ラインとを備えた、ベール状の出発材料から成る三層の不織布または三層のエアレイド製品の本発明による製造装置を示す概略図である。
【0040】
図1は、材料ロール12に巻成されたフラッフパルプ材料ウェブ14の形態で提供される、フラッフパルプ材料から成るエアレイド製品または不織布16を製造する従来技術による装置10の概略図を示している。フラッフパルプ材料が、材料ロール12から定義されたウェブ速度で繰り出され、解繊システム18を備えた処理ライン11に供給される。この解繊システムにおいて、フラッフパルプ材料ウェブ14が解繊される。次いで、解繊されたパルプ材料は、製造機20に供給され、この製造機20において解繊されたパルプ材料からエアレイド製品または不織布16が製造される。
【0041】
フラッフパルプ材料ウェブ14が定義された寸法および均一な密度を有しているので、フラッフパルプ材料ウェブ14を材料ロール12から定義されたウェブ速度で繰り出すことによって、装置10において、フラッフパルプ材料の一定の質量流量を有する連続的な材料流が提供され、この材料流は、連続的に作業する製造機20に供給される。解繊されたパルプ材料の質量流量は、解繊システム18と製造機20との間で、センサ装置22によって検出され得る。検出された質量流量が目標質量流量から逸脱している場合、材料ロール12からのフラッフパルプ材料ウェブ14の繰出し時のウェブ速度の適合によって、質量流量を目標質量流量に調節することができる(調整24)。
【0042】
任意選択的に、製造機20に付加的な材料を供給することができ、このことは、
図1では、自由選択的な性質を強調するために破線で示されている。一方では、既に準備された1種または複数種の材料26を、解繊システム18によって解繊されたパルプ材料と一緒に製造機20に供給することができる。他方では装置10が、第2の処理ライン28を含んでいてもよく、第2の処理ラインにおいて、第2のフラッフパルプ材料ウェブ32が第2の材料ロール30から繰り出され、定義されたウェブ速度で第2の解繊システム34に供給されるので、第2の解繊材料の連続的な質量流量が生じる。この第2の解繊材料も、製造機20に供給することができ、第2の処理ライン28においても、上述したようなウェブ速度の調整38が、第2のセンサ装置36によって行われてもよい。
【0043】
従来技術による装置10は、定義されて繰出し可能な材料ロール12,30の形態のフラッフパルプ材料ウェブ14,32の使用を必要とする。こうすることによってしか、連続的な質量流量のフラッフパルプ材料が製造機20に供給されることを保証することができないからである。
【0044】
これとは異なり、本発明による装置は、任意の結合形態の出発材料を使用することができるように形成かつ構成されている。
図2は、少なくとも1種の出発材料42からエアレイド製品または不織布16を製造する装置40を示している。装置40の必要不可欠な構成部材は、実線で図示されており、任意の構成部材は、破線で示されている。
【0045】
図2によれば、装置40の全ての構成部材または構成要素は、連続する1つの共通の製造ラインに配置されており、この製造ラインでは、エアレイド製品または不織布16を製造する方法が実施可能である。以下では、装置40の基本的な機能形式と、装置40を用いて実施可能な製造方法とが、まずは基本的な装置構成要素および方法ステップにつき説明される。
【0046】
出発材料として、
図2では、パルプベール45の形態のパルプ材料が設けられており、このパルプベール45は、互いに上下に積み重ねられたパルプシート(図示せず)により形成されている。基本的には、任意の束の形態の出発材料42を使用することができる。まず、出発材料42、例えばパルプベール45全体またはパルプベール45の一部が、装置40の粉砕ライン46に供給される。この粉砕ライン46は、出発材料42を粉砕して粉砕材料を形成する粉砕装置48を含んでいる。出発材料42は、水の添加なしに乾式に粉砕されることが規定されている。
【0047】
粉砕装置48は、例えば一軸粉砕機または多軸粉砕機を含んでいてもよい。粉砕装置48は、スクリーンを備えていてもよく、このスクリーンは、粉砕装置48から取り出す粉砕材料の最大破片サイズを定義し、したがってこの材料を少なくとも部分的に均質化しかつ調量可能にする。粉砕装置48からの粉砕材料の取出しは、例えば搬送ベルト、コンベヤスクリュまたはサクションボックスによって行うことができる。好適には、取出しは、サクションボックスまたは支援されたサクション部を備えたコンベヤスクリュによって行われる。サクション部によって、粉砕装置48の領域における塵の集まりが阻止される。さらに、粉砕材料の、吸込みによって支援された円滑な取出しは、粉砕品質に有利な影響を及ぼす。
【0048】
装置40は、材料バッファ50、例えば貯蔵部を含み、材料バッファ50は粉砕材料を収容するために設けられている。粉砕材料を材料バッファ50に供給するために、材料は粉砕装置48の取出し部から空気通路に与えられ、空気流によって材料バッファ50の方向に搬送され得る。空気流は、粉砕装置の下流側で粉砕材料の材料流内に配置されているオープンインペラを備えた搬送ファンによって形成され得る。代替的または付加的には、クローズインペラを備えた、エネルギ効率のよい搬送ファンが設けられていてもよい。この搬送ファンは特に材料バッファ50の下流側に接続されていてもよく、この材料バッファでは粉砕材料が既に空気流から分離されて材料バッファ50内に積み重ねられているか、または別の形態で中間貯蔵されている。粉砕材料を空気流から分離するために、かつ/または粉砕材料を材料バッファ50内に中間貯蔵するためには、特にそのために設けられたサイクロン型分離器および/またはスクリーン分離器が設けられていてもよい。
【0049】
材料バッファ50は、粉砕装置48に一度に供給することができるよりも大量の粉砕材料を収容することができるように寸法設定されていてもよい。したがって、材料バッファ50によって、粉砕ライン46におけるバッチ運転が可能にされる、つまり出発材料42の一連の束、例えば複数のパルプベール45を粉砕装置48によって粉砕して粉砕材料を形成し、この粉砕材料を次いで材料バッファ50に供給し、場合によってはこの材料バッファ50内に中間貯蔵することができる。その限りでは、出発材料42の粉砕から、材料バッファ50内における粉砕材料の中間貯蔵に至るまでの第1の方法区分52は、後続の製造ステップとは無関係に実施可能である。このことは
図2において一点鎖線により示唆されており、この一点鎖線の上側に第1の方法区分52(バッチ運転)が図示されている。
【0050】
第2の方法区分53(連続的またはいわば連続的な運転)は、材料バッファ50(
図2、一点鎖線の下側)からの粉砕材料の取出しにより開始する。材料バッファ50は、この目的のために、制御可能な調量装置54を有しており、この調量装置54を用いて、粉砕材料を材料バッファ50から調量して取り出すことができる。調量装置54は、粉砕材料を処理ライン56に供給する。制御可能な調量装置54は、回転数制御されたコンベヤスクリュとして形成されていてもよく、このコンベヤスクリュは、材料バッファ50内に積み重ねられた粉砕材料の取出しおよび調量を実施し、かつ粉砕材料の制御された質量流量を処理ライン56に供給する。
【0051】
処理ライン56は、粉砕材料を解繊して解繊材料を形成する解繊システム58を含んでいる。結果として生じた解繊材料を次いで装置40の製造機60に供給し、この製造機60において、解繊材料からエアレイド製品または不織布16が製造される。解繊システム58への装入は、搬送ベルト、コンベヤスクリュにより、または空気流を用いて行うことができる。有利な或る実施形態によれば、粉砕材料は、制御可能な調量装置54によって、処理ライン56に割り当てられた通路内に直接に与えられ、搬送ファンによって形成された空気流を用いて解繊システム58に供給される。材料バッファ50と解繊システム58とは、このような種類の装入では、空間的に互いに独立して位置決めされてもよく、処理ライン56の通路を用いてフレキシブルに接続され得る。さらに、調量装置54によって行われる、処理ライン56に供給される粉砕材料の調量の変更は、空気流の高い搬送速度に基づいて、解繊システム58内、ひいては最終的に製造機60においても極めて小さな時間遅延を伴って有効になるので、製造プロセスの特に直接的な制御が可能であり、このことは最終的に、製造されたエアレイド製品または不織布16の品質に有利に作用する。
【0052】
解繊システム58は、粉砕材料を、実質的に乾燥した状態で水の添加なしに解繊するように構成されている。解繊システム58は、粉砕材料を解繊する少なくとも1つの第1のハンマーミルを含んでいてもよい。改善された解繊品質を達成するために、解繊システム58が、第1のハンマーミルに後置された第2のハンマーミルを付加的に有していてもよい。第1のハンマーミルは、粉砕材料の、解繊されていない完全な部分が第1のハンマーミルから出て第2のハンマーミルに到達することを阻止するために、スクリーンを備えていてもよい。第2のハンマーミルは、第1のハンマーミルよりも細く、かつ密集して打ち付ける複数のハンマーを有していてもよく、第1のハンマーミルによって解繊材料から場合によっては存在する結節点を取り除き、このことは、最終的に、製造されるエアレイド製品または不織布16の品質に有利に影響を及ぼす。
【0053】
乾式に解繊されたパルプ材料は次いで、例えば解繊システム58に接続する通路システムを介して、搬送ファンにより形成された空気流により製造機60に供給される。製造機60は、従来の連続的に作業する製造機60であってもよく、これにより、均一なエアレイド製品または均一な不織布16を得るためには、この製造機60に連続的な質量流量の解繊材料を供給する必要がある。このことを達成するために、製造機60に連続的な質量流量の解繊材料が供給されるように調量装置54を制御することが規定されている。この目的のために、装置40は、制御ユニット62を有しており、この制御ユニット62は、制御可能な調量装置54を相応の形式で制御するように構成および形成されている。
【0054】
調量装置54の制御は、
図2によれば、解繊システム58と製造機60との間の解繊材料の質量流量の特徴的なパラメータに基づいて行われる。解繊材料の質量流量を特定するために、センサ装置64は、例えば通路システム内で解繊システム58のすぐ下流側に、または場合によってはクリーニング装置70の下流側に、かつ/または選別装置72の下流側に取り付けられており、センサ装置64は、実際に存在する質量流量を、例えばカメラシステムまたは別の適切なセンサを用いて検出する。実際に検出された質量流量は、制御可能な調量装置54のための制御変数として用いられる。実際に検出された質量流量が目標質量流量から逸脱する場合、この目標質量流量を達成するために、調量装置54は制御または後調整(調整55)される。
【0055】
代替的には、調量装置54の制御は、製造されたエアレイド製品または不織布16の特徴的なパラメータに基づいて、例えば、適切なセンサシステムを用いて検出された、エアレイド製品または不織布16の実際の坪量に基づいて行うことができる。実際に検出された坪量が目標坪量から逸脱している場合、粉砕材料の適合された量を処理ラインに供給し、これにより目標坪量を達成するために、調量装置は相応して制御もしくは後調整される。原則的には、粉砕材料の連続的な、特に一定の、すなわち時間的に不変の質量流量が処理ライン56に供給されるように、調量装置54を制御することができる。
【0056】
図2には、装置40の、任意選択的に設けられ得る別の構成部材が破線で図示されている。粉砕ライン46は、クリーニング装置66を含んでおり、クリーニング装置66は、粉砕装置48の下流側に接続されていて、かつ例えば粉砕材料を搬送するための通路システム内に配置されている。クリーニング装置66は、粉砕材料から金属製の異物を除去する磁気分離器を含んでいてもよい。クリーニング装置66の下流側には、選別装置68が接続されていてもよく、選別装置68は、例えばサイクロン型分離器を含み、このサイクロン型分離器は、重い部分を排出し、その後に粉砕され、クリーニングされ、選別された材料が材料バッファ50に供給される。
【0057】
同様の形式で、代替的または付加的に、クリーニング装置70および/または選別装置72が、処理ライン56において、解繊システム58の下流側に配置されていてもよく、これにより、解繊材料の異物および障害物をクリーニングし、解繊材料を、例えばその破片サイズに関して選別することができる。この目的のためには、磁気分離器、サイクロン型分離器および/またはスクリーン分離器を使用することができる。
【0058】
さらに装置40は、製造機60の上流側に、既に処理が終わった別の材料のための供給部74を有していてもよい。さらに装置40は、第2の処理ライン56.2を有していてもよく、この第2の処理ライン56.2には、材料バッファ50の制御可能な第2の調量装置54.2により、粉砕材料が供給され得る。したがって各処理ライン56,56.2には別個の、制御可能な調量装置54,54.2が割り当てられており、これらの調量装置54,54.2により、処理ライン56,56.2に、材料バッファ50からの粉砕材料が供給される。逆に、材料バッファ50は、各処理ライン56,56.2のために別個の調量装置54,54.2を有している。調量装置54,54.2は、互いに独立して制御可能であり、これにより各処理ライン56,56.2に、粉砕材料の別個に定義可能な量を材料バッファ50から供給することができる。
【0059】
処理ライン56と同様に、第2の処理ライン56.2は、粉砕材料を解繊するための第2の解繊システム58.2を含んでいる。さらに、第1の処理ライン56に関連して上述したように、第2の処理ライン56.2には、第2のクリーニング装置70.2および第2の選別装置72.2が設けられていてもよい。第2の処理ライン56.2では、第2の解繊システム58.2のすぐ下流側に、または第2のクリーニング装置70.2または第2の選別装置72.2の下流側に、第2のセンサ装置64.2が配置されている。この第2のセンサ装置64.2は、解繊材料の質量流量を検出する。実際に検出された質量流量が、第2の処理ライン56.2のために定義された目標質量流量から逸脱している場合、このことに基づいて、目標質量流量を達成するために、第2の処理ライン56.2に割り当てられた第2の調量装置54.2が後調整もしくは制御(調整55.2)される。
【0060】
多層のエアレイド製品または不織布16の製造時には、処理ライン56,56.2のそれぞれが、1つの製品層のために出発材料42を解繊し、製造機60に供給するために設けられていてもよい。各処理ライン56,56.2には、割り当てられた調量装置54,54.2によって、この目的のために、粉砕された出発材料の適切な量を装入することができる。
【0061】
エアレイド製品または不織布16の製造のために、種々異なる材料、特に出発材料42の他に、第2の出発材料43および第3の材料44を使用することができる。例えば、出発材料42として、長繊維パルプ、第2の出発材料43として、短繊維パルプがそれぞれベールの形態で、かつ第3の出発材料44として、既に粉砕された廃棄材料を使用することができる(
図2、右上)。装置40は、材料42,43,44のそれぞれのために、別個の材料バッファを有していてもよく、特に第2の出発材料43を収容するための第2の材料バッファ76と、場合によっては前処理された別個に提供される廃棄材料44を収容するための第3の材料バッファ78とを有していてもよい。
【0062】
粉砕時に長繊維パルプベールと短繊維パルプベールとは同様に挙動するので、長繊維パルプベールと短繊維パルプベールとは、粉砕ライン46において同一の粉砕装置48によって粉砕され、任意には、同一のクリーニング装置66、特に同一の磁気分離器と、同一の選別装置68、特に同一のサイクロン型分離器とを用いてクリーニングされ、かつ選別され得る。出発材料42,43の粉砕、クリーニングおよび選別は、別個に、つまり例えば相前後して行われるので、結果として生じる粉砕材料は、それぞれ単に1つの材料種類しか含まない。粉砕された種々異なる材料のそれぞれを、これらの材料に割り当てられた材料バッファ50,76内に堆積させるために、粉砕ライン46の通路システムを、長繊維パルプ42からの粉砕材料が貯蔵部50に供給され、短繊維パルプ43からの粉砕材料が貯蔵部76に供給されるように切り替えることができる。既に粉砕された廃棄材料44は、第3の材料貯蔵部78に供給される。それぞれの材料42,43,44を積層させるために、各材料バッファ50,76,78は、好適にはサイクロン型分離器および/またはスクリーン分離器を有している。
【0063】
第2の材料バッファ76および第3の材料バッファ78も、それぞれ2つの調量装置80,80.2もしくは82,82.2を有していてもよく、これら調量装置は、それぞれ処理ライン56,56.2のうちの一方に割り当てられていて、互いに独立して制御可能である。したがって、制御ユニット62を介して、両処理ライン56,56.2のそれぞれに、互いに無関係に、粉砕材料の、長繊維パルプ42、短繊維パルプ43および廃棄材料44の任意に選択可能な割合を有する定義された材料組成を供給することができる。それぞれの処理ライン56,56.2に供給された、粉砕された全ての材料は、対応する処理ライン56,56.2に配置されている解繊システム58,58.2において一緒に解繊され、その際に混合される。したがって、多層の、
図2によれば二層のエアレイド製品または不織布製品16を、個別の製品層の異なる材料組成で製造することができる。
【0064】
両処理ライン56,56.2のセンサ装置64,64.2を用いて、既に材料バッファ50の調量装置54,54.2のために説明したように、それぞれの処理ライン56,56.2内の質量流量を検出することができる。センサ装置64により検出されたデータに基づいて、処理ライン56に割り当てられた調量装置54,80,82は、後調整もしくは制御される(調整55,81,83)。第2のセンサ装置64.2によって検出されたデータに基づいて、第2の処理ライン56.2に割り当てられた調量装置54.2,80.2,82.2は、後調整もしくは制御される(調整55.2,81.2,83.2)。
【0065】
図3は、3つの互いに異なる出発材料42,43,44から三層のエアレイド製品または不織布16を製造する別の装置40を示しており、これらの出発材料42,43,44は、それぞれベールの形態で装置40に供給される。
図2に関連して説明したように、これらの出発材料は、例えば、長繊維パルプ42、短繊維パルプ43および廃棄材料44であってもよい。出発材料42,43,44を粉砕するために、装置40は、長繊維パルプ材料42および短繊維パルプ材料43(
図2参照)のための第1の粉砕ライン46.1と、廃棄材料44のための第2の粉砕ライン46.2とを有しており、これらの粉砕ラインは、それぞれ粉砕装置48.1,48.2、クリーニング装置66.1,66.2および選別装置68.1,68.2を含んでいる。廃棄材料44のために、有利には別個の粉砕装置48.2ならびに別個の磁気分離器およびサイクロン型分離器が、クリーニングおよび選別のために使用される。これによって形状、材料特性および生産量に関する廃棄材料44の要求への適合が可能であるからである。したがって、長繊維パルプ材料および短繊維パルプ材料42,43は、廃棄材料44に依存せずに粉砕することができ、粉砕品質は、全ての出発材料42,43,44のために改善することができ、かつ典型的には、使用される廃棄材料量が比較的少ないことに基づいて、第2の粉砕ライン46.2において比較的小さな機械が使用され、したがってエネルギを節約することができる。
【0066】
粉砕される3つの出発材料42,43,44のそれぞれは、別個の材料バッファ50,76,78に供給される。特にそれぞれ個別の材料組成を有する3つの製品層を製造するために、装置は、第1の処理ライン56.1、第2の処理ライン56.2および第3の処理ライン56.3を有している。したがって材料バッファ50,76,78のそれぞれは、独立して制御可能な3つの調量装置を有しており、これらの調量装置のうちのそれぞれ1つの第1の調量装置54.1,80.1,82.1は、第1の処理ライン56.1への装入のために、それぞれ1つの第2の調量装置54.2,80.2,82.2は、第2の処理ライン56.2への装入のために、それぞれ1つの第3の調量装置54.3,80.3,82.3は、第3の処理ライン56.3への装入のために設けられている。処理ライン56.1,56.2,56.3毎の解繊システム58.1,58.2,58.3を用いて、解繊システム58.1,58.2,58.3にそれぞれ供給された、粉砕材料が解繊され、均質に混合され、次いで、三層のエアレイド製品または不織布16を製造する製造機60に供給される。
【0067】
3つの処理ライン56.1,56.2,56.3のそれぞれは、固有のセンサ装置64.1,64.2,64.3を有しており、これらのセンサ装置は、
図2に関連して上述したように、それぞれの粉砕システム58.1,58.2,58.3と製造機60との間に配置されていて、かつそれぞれの処理ライン56.1,56.2,56.3における解繊材料の質量流量を検出する。実際に各処理ライン56.1,56.2,56.3において検出された質量流量と、目標質量流量との比較は、第1の調量装置54.1,80.1,82.1、第2の調量装置54.2,80.2,82.2および/または第3の調量装置54.3,80.3,82.3の各々を場合により、目標質量流量が達成され、対応して連続的な、特に時間的に一定の質量流量が製造機60に供給されるように、制御するためのベースとして用いられる。
【0068】
上述した実施形態から、本発明に係るコンセプトは簡単な形式でそれぞれの要求プロフィールに適合可能であることが明らかである。3つの処理ライン56.1,56.2,56.3は独立していてもよく、ひいてはエアレイド製品または不織布16の3つの層は、それぞれ独立して3つの材料42,43,44から構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0069】
10 従来技術による装置
11 処理ライン
12 材料ロール
14 フラッフパルプ材料ウェブ
16 エアレイド製品または不織布
18 解繊システム
20 製造機
22 センサ装置
24 第1の処理ラインのウェブ速度の調整
26 処理が終わった材料の供給部
28 第2の処理ライン
30 第2の材料ロール
32 第2のフラッフパルプ材料ウェブ
34 第2の解繊システム
36 第2のセンサ装置
38 第2の処理ラインのウェブ速度の調整
40 エアレイド製品または不織布を製造する装置
42 出発材料
43 第2の出発材料
44 第3の出発材料
45 パルプベール
46 粉砕ライン
46.1 第1の粉砕ライン
46.2 第2の粉砕ライン
48 粉砕装置
48.1 第1の粉砕装置
48.2 第2の粉砕装置
50 材料バッファ
52 第1の方法区分
53 第2の方法区分
54 材料バッファの制御可能な調量装置
54.1 材料バッファの制御可能な第1の調量装置
54.2 材料バッファの制御可能な第2の調量装置
54.3 材料バッファの制御可能な第3の調量装置
55 材料バッファの調量装置の調整
55.2 材料バッファの第2の調量装置の調整
56 処理ライン
56.1 第1の処理ライン
56.2 第2の処理ライン
56.3 第3の処理ライン
58 解繊システム
58.1 第1の解繊システム
58.2 第2の解繊システム
58.3 第3の解繊システム
60 製造機
62 制御ユニット
64 センサ装置
64.1 第1のセンサ装置
64.2 第2のセンサ装置
64.3 第3のセンサ装置
66 粉砕材料のためのクリーニング装置
66.1 第1の粉砕ラインの粉砕材料のためのクリーニング装置
66.2 第2の粉砕ラインの粉砕材料のためのクリーニング装置
68 粉砕材料のための選別装置
68.1 第1の粉砕ラインの粉砕材料のための選別装置
68.2 第2の粉砕ラインの粉砕材料のための選別装置
70 解繊材料のためのクリーニング装置
70.2 解繊材料のための第2のクリーニング装置
72 解繊材料のための選別装置
72.2 解繊材料のための第2の選別装置
74 別の材料の供給部
76 第2の材料バッファ
78 第3の材料バッファ
80 第2の材料バッファの制御可能な調量装置
80.1 第2の材料バッファの制御可能な第1の調量装置
80.2 第2の材料バッファの制御可能な第2の調量装置
80.3 第2の材料バッファの制御可能な第3の調量装置
81 第2の材料バッファの調量装置の調整
81.2 第2の材料バッファの第2の調量装置の調整
82 第3の材料バッファの制御可能な調量装置
82.1 第3の材料バッファの制御可能な第1の調量装置
82.2 第3の材料バッファの制御可能な第2の調量装置
82.3 第3の材料バッファの制御可能な第3の調量装置
83 第3の材料バッファの調量装置の調整
83.2 第3の材料バッファの第2の調量装置の調整
【国際調査報告】