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特表2024-525582誘導加熱配設を有するエアロゾル発生システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-12
(54)【発明の名称】誘導加熱配設を有するエアロゾル発生システム
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/57 20200101AFI20240705BHJP
   A24F 40/465 20200101ALI20240705BHJP
【FI】
A24F40/57
A24F40/465
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024500321
(86)(22)【出願日】2022-07-12
(85)【翻訳文提出日】2024-01-05
(86)【国際出願番号】 EP2022069508
(87)【国際公開番号】W WO2023285484
(87)【国際公開日】2023-01-19
(31)【優先権主張番号】21185047.4
(32)【優先日】2021-07-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(72)【発明者】
【氏名】ブタン ヤニック
(72)【発明者】
【氏名】シャトー マキシム
(72)【発明者】
【氏名】ストゥラ エンリコ
【テーマコード(参考)】
4B162
【Fターム(参考)】
4B162AA03
4B162AA22
4B162AB12
4B162AC12
4B162AC22
4B162AD08
4B162AD23
(57)【要約】
誘導加熱エアロゾル発生システムは、インダクタとサセプタとを有する誘導加熱配設を備える。コントローラは、動作加熱モード中に電気制御パラメータ、例えば見かけのコンダクタンス、を監視するように、かつ電気制御パラメータの目標値を参照して、誘導加熱配設に供給される電力を制御することによって、サセプタの温度を動作温度範囲内に維持するように、構成される。コントローラは、誘導加熱配設に供給される電力に対する電気制御パラメータの応答が、所定の条件を満たすかどうか、例えば供給電力に応答して上昇するかまたは低下するか、を判定するように、および応答が所定の条件を満たさない場合に動作の変更を実施するように、さらに構成される。これは、異常の場合に、温度が動作温度範囲から大幅に逸脱することを防止し得る。
【選択図】図2B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘導加熱エアロゾル発生システムであって、
インダクタおよびサセプタを有する誘導加熱配設と、
動作加熱モード中に電気制御パラメータを監視するように、かつ前記電気制御パラメータの目標値を参照して、前記誘導加熱配設に供給される電力を制御することによって、前記サセプタの温度を動作温度範囲内に維持するように構成されたコントローラと、を備え、
前記コントローラが、前記動作加熱モード中に前記誘導加熱配設に供給される電力に対する前記電気制御パラメータの応答が所定の条件を満たすかどうかを判定し、前記応答が前記所定の条件を満たさない場合、動作の変更を実施するように構成され、
電力が複数の個別の電流パルスとして前記誘導加熱配設に供給され、かつ前記電気制御パラメータの前記応答が各電流パルスについて分析されて、前記電気制御パラメータの前記値が前記パルス中に上昇するか、または低下するかを判定する、誘導加熱エアロゾル発生システム。
【請求項2】
前記コントローラが、前記誘導加熱配設に電力を供給し、前記電気制御パラメータを監視し、前記電気制御パラメータの値が前記電気制御パラメータの前記目標値と一致するときに前記誘導加熱配設に供給される前記電力を修正することによって、前記サセプタの前記温度を前記動作温度範囲内に維持するように構成される、請求項1に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項3】
前記コントローラが、前記誘導加熱配設に電流パルスを供給して、前記サセプタの前記温度を所望の動作温度範囲内に維持するように構成される、請求項1~2のいずれかに記載のエアロゾル発生システム。
【請求項4】
前記動作加熱モード中に前記誘導加熱配設に供給される電力に対する前記電気制御パラメータの前記応答が、所定の条件を満たすかどうかの判定が、各電流パルスについて実施される、請求項3に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項5】
前記所定の条件が、パルスの持続時間にわたって満たされない場合、動作の変更が実施される、請求項3または4に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項6】
前記電気制御パラメータが、前記サセプタの電気抵抗、前記誘導加熱配設の見かけの電気抵抗、前記サセプタの電気コンダクタンス、前記誘導加熱配設の見かけの電気コンダクタンス、前記誘導加熱配設に供給される電流、および前記誘導加熱配設に供給される電力から成るリストから選択されるパラメータである、請求項1~5のいずれかに記載のエアロゾル発生システム。
【請求項7】
前記所定の条件が、前記動作加熱モード中に、前記誘導加熱配設に供給される電力に応答して、前記電気制御パラメータの値が上昇すること、例えば、前記動作加熱モード中に、前記誘導加熱配設に供給される電力に応答して、前記制御パラメータの前記目標値に向かって上昇することである、請求項1~6のいずれかに記載のエアロゾル発生システム。
【請求項8】
前記サセプタの少なくとも一部分が、所定の温度範囲を通過して加熱されたときに可逆的相転移を受けるように構成される、請求項1~7のいずれかに記載のエアロゾル発生システム。
【請求項9】
前記コントローラが、前記相転移の上方境界および下方境界に関連付けられた前記電気制御パラメータの上方境界値および下方境界値を識別するように構成される、請求項8に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項10】
前記電気制御パラメータの前記目標値が、前記上方境界値と下方境界値との間の値に設定される、請求項9に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項11】
電力が、複数の個別の電流パルスとして前記誘導加熱配設に供給され、前記電気制御パラメータに対する前記応答が、各電流パルスについて分析されて、時間曲線に対する前記電気制御パラメータの傾きが、前記パルスの前記持続時間にわたって増加するのか、または減少するのかを判定する、請求項1~10のいずれかに記載のエアロゾル発生システム。
【請求項12】
前記電気制御パラメータが、誘導加熱システムの見かけのコンダクタンスであり、前記制御パラメータが、各電流パルスについて分析されて、前記電気制御パラメータの前記値が前記パルスの前記持続時間にわたって上昇するか、または低下するかを判定する、請求項11に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項13】
前記コントローラが、前記電気制御パラメータの前記値が前記パルスの持続時間にわたって低下することを検出した場合に、前記加熱モードから回復モードに切り替わるように構成される、請求項12に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項14】
前記コントローラが、前記電気制御パラメータの前記値が前記パルスの持続時間にわたって低下することを検出した場合に、例えば前記誘導加熱配設に供給される電力の負荷サイクルを低減することによって、前記サセプタを冷却することを可能にするように構成される、請求項12または13に記載のエアロゾル発生システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、誘導加熱配設を備えるエアロゾル発生システム、および誘導加熱配設を制御する方法に関する。特に、本開示は、誘導加熱配設を備えるエアロゾル発生システム、およびエアロゾル発生システム内の誘導加熱配設を制御して、過熱することなく所定の範囲内に温度を維持する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
エアロゾル形成基体を加熱してエアロゾルを生成するように構成された誘導加熱配設を備える、eシガレットおよび加熱式たばこシステムなどのエアロゾル発生システムの数が増えている。誘導加熱配設は典型的に、サセプタに誘導的に結合されるインダクタを備える。インダクタは、サセプタの加熱を引き起こす交番磁界を発生する。典型的には、サセプタはエアロゾル形成基体と直接接触し、熱はサセプタから主に伝導によってエアロゾル形成基体に伝達される。サセプタの温度は、発生するエアロゾルの量の観点から、およびその組成物の観点からの両方で最適なエアロゾル発生を提供するために制御する必要がある。
【0003】
ほとんどの誘導加熱式エアロゾル発生装置では、エアロゾル形成基体の加熱によって発生した蒸気は、気流によってサセプタから離れるように運ばれる。蒸気は気流内で冷却されて、エアロゾルを発生する。エアロゾルが吸入のために意図されている一部のエアロゾル発生装置では、気流は、ユーザーが装置で吸煙することによって発生され得る。ユーザーが装置で吸煙することにより、断続的かつ不規則な気流がサセプタを通過する。サセプタを通過するこの気流は、サセプタを冷却する。そのため、動作中、気流の冷却効果に対抗して最適なエアロゾル発生を確保するために、より多くの電力をインダクタに提供する必要がある。さらなる電力は、検出されたユーザー吸煙に対する応答として提供する必要がある。
【0004】
したがって、このようなエアロゾル発生装置にとって、最適なエアロゾルの発生およびユーザーへのエアロゾルの送達を確保するために、およびユーザーが装置で吸煙するなどの冷却イベントに対応することができるよう、サセプタの温度を正確に監視および制御することが重要である。
【0005】
誘導加熱配設は、無接触のサセプタの加熱を提供する。これは、多くの状況、特にサセプタがインダクタとは別個のシステムの構成要素内に提供される場合に有益である。同じ理由から、サセプタへの直接的な電気的接続を必要とすることなく、かつ別個の専用の温度センサを必要とすることなく、サセプタ温度を監視および制御することが望ましい。誘導回路内のサセプタの見かけの抵抗または見かけのコンダクタンスを監視して、サセプタ温度の表示を提供することができる。次いで、所望のサセプタ温度を提供するようインダクタに供給される電力を制御することができる。
【0006】
しかしながら、単に見かけの抵抗または見かけのコンダクタンスと温度との間の関係に基づく制御が、サセプタが不正確な温度に加熱されるリスクにつながる場合がある状況がある。これらの状況では、見かけの抵抗または見かけのコンダクタンスの目標値まで加熱することにのみ依存すると、過熱が生じる可能性を排除しない。こうした状況の一つは、エアロゾル発生中のサセプタおよび交番磁界の相対的動きであり得る。別のこうした状況は、エアロゾル発生中に交番磁界に干渉する磁性素子の一時的な存在であり得る。
【0007】
サセプタが所定の動作温度範囲に加熱されるという信頼性を高め、それによってサセプタを過熱する可能性を低減する誘導加熱配設および制御方法を提供することが望ましいことになる。
【発明の概要】
【0008】
本発明の実施形態によれば、誘導加熱エアロゾル発生システムが提供されている。システムは、インダクタとサセプタとを有する誘導加熱配設を備える。システムは、動作加熱モード中に電気制御パラメータを監視するように構成されたコントローラを備える。コントローラは、サセプタの温度を動作温度範囲内に維持するように構成される。電気制御パラメータの目標値を参照して、誘導加熱配設に供給される電力を制御することによって、サセプタの温度を動作温度範囲内に維持する。コントローラは、動作加熱モード中に誘導加熱配設に供給される電力に対する電気制御パラメータの応答が、所定の条件を満たすかどうかを判定するように構成される。
【0009】
例えば、誘導加熱エアロゾル発生システムは、インダクタおよびサセプタを有する誘導加熱配設と、動作加熱モード中に電気制御パラメータを監視し、電気制御パラメータの目標値を参照して誘導加熱配設に供給される電力を制御することによって、サセプタの温度を動作温度範囲内に維持するように構成されたコントローラとを備えてもよい。コントローラは、動作加熱モード中に誘導加熱配設に供給される電力に対する電気制御パラメータの応答が所定の条件を満たすかどうかを判定するように構成されてもよい。コントローラは、応答が所定の条件を満たさない場合、動作の変更を実施するように構成されてもよい。動作の変更は、動作加熱モードの修正、例えば動作加熱モードの一時停止、または動作加熱モードの中止もしくは終了であってもよい。動作の変更は、動作加熱モードから異なる動作モード、例えば、回復モード、または較正モードに切り替える工程を含み得る。動作の変更は、誘導加熱配設に供給される電力の低減をもたらしてもよく、例えば、負荷サイクルが低減されてもよく、または電源が終了されてもよい。動作の変更は、サセプタの冷却をもたらすことが好ましい。
【0010】
見かけの抵抗または見かけのコンダクタンスなどの適切な電気制御パラメータの監視は、サセプタの温度を判定することを可能にし得る。これは、次に、電気制御パラメータの目標値を参照して誘導加熱配設に供給される電力を制御することによって、サセプタ温度の制御を可能にし得る。例えば、エネルギーが誘導加熱配設に供給されてもよく、またこうしたエネルギー供給は、電気制御値の値がサセプタの目標温度に対応する値と等しいときに低減され得るか、またはオフに切り替えられ得る。エネルギー供給は、短期間後に再開されてもよく、またこのプロセスは繰り返され、それによってサセプタの温度が所定の温度範囲内に維持され得る。このプロセスは、異常が電気制御パラメータとサセプタの温度との間の関係を変えるまで良好に機能し得る。こうした状況では、電気制御パラメータの目標値を参照して誘導加熱配設にエネルギーを供給することは、サセプタの温度が所望の動作範囲外になることをもたらし得る。一部の状況では、サセプタは過度に加熱され、エアロゾル形成基体の過熱の可能性につながる場合がある。供給される電力に対する電気制御パラメータの応答が予想される応答であることをチェックすることによって、供給された電力に対する応答が所定の条件を満たすことをチェックすることによって、サセプタの温度が所望の動作範囲外であることにつながる場合がある異常または状況の変化があるかどうかを判定することができる。有利なことに、サセプタの過熱をもたらし得る異常または変化は、早期段階で、好ましくはこうした過熱がシステムのユーザーにとって検出可能になる前に検出され得る。特に有利なことに、コントローラは、任意のこうした異常または変化が発生した場合に、補正動作を取ることができてもよく、これは、任意の過熱が限界レベルに達するのを防止してもよく、またユーザーがユーザー体験を継続することを可能にしてもよい。
【0011】
コントローラは、誘導加熱配設に電力を供給し、電気制御パラメータを監視し、電気制御パラメータの値が電気制御パラメータの目標値と等しいときに誘導加熱配設に供給される電力を修正することによって、サセプタの温度を動作温度範囲内に維持するように構成されてもよい。コントローラは、誘導加熱配設に供給される電力の負荷サイクルを制御して、電気制御パラメータの値を電気制御パラメータの目標値とほぼ等しく維持するように構成されてもよい。
【0012】
好ましい例では、コントローラは、誘導加熱配設に電流パルス、例えば複数の電流パルスを供給して、サセプタの温度を所望の動作温度範囲内に維持するように構成されてもよい。電気制御パラメータの値がパルス中に電気制御パラメータの目標値と等しい場合、パルスは終了してもよい。次に、サセプタは、その後のパルスの前に、誘導加熱配設に電流が供給されない期間中にわずかに冷却されてもよい。結果として、サセプタの温度を、電気制御パラメータの目標温度に対応する温度近くに維持することができる。
【0013】
電力が電流パルスとして誘導加熱配設に供給される場合、供給される電力に対する電気制御パラメータの応答が所定の条件を満たすかどうかを判定する工程は、電流パルスごとに実施されてもよい。動作の変更は、所定の条件がパルスの持続時間にわたって満たされない場合に実施されることが好ましい。各パルスに対して所定の条件が満たされていることをチェックすることによって、好ましくはサセプタの温度が所望の動作温度範囲から大きく逸脱する前に、状況における任意の異常または変化を迅速に検出することができる。
【0014】
電気制御パラメータは、サセプタの温度を示すことが好ましい。電気制御パラメータは、温度の関数として変化するサセプタの材料特性を示し得る。電気制御パラメータは、サセプタの温度の関数として変化するパラメータであり得る。電気制御パラメータは、サセプタの電気抵抗、誘導加熱配設の見かけの電気抵抗、サセプタの電気コンダクタンス、誘導加熱配設の見かけの電気コンダクタンス、誘導加熱配設に供給される電流、および誘導加熱配設に供給される電力から成るリストから選択されるパラメータであることが好ましい。こうしたパラメータは、直接的に監視されてもよく、または他のパラメータを監視し、適切な計算を適用することによってリアルタイムで判定されてもよい。
【0015】
一部の例では、コントローラは、動作中に誘導加熱配設に供給される電力を表す少なくとも一つの電力パラメータを監視するように構成されてもよい。少なくとも一つの電力パラメータは、電気制御パラメータとして使用されてもよく、または少なくとも一つの電力パラメータは、電気制御パラメータを導出するために使用されてもよい。少なくとも一つの電力パラメータは、動作中に誘導加熱配設に供給される電流であってもよく、またはこれを含んでもよい。少なくとも一つの電力パラメータは、動作中に誘導加熱配設の両端の電圧であってもよく、またはこれを含んでもよい。
【0016】
一例として、誘導加熱配設の見かけのコンダクタンスは、式σ=I/Vによって計算されてもよく、式中、σは誘導加熱配設の見かけの導電率であり、Iは誘導加熱配設に送達される電流であり、Vは誘導加熱配設の両端の電圧である。したがって、電力が定電圧で送達される場合、見かけのコンダクタンスは、電流を監視し、式を適用することによってリアルタイムで決定され得る。電流および電圧の両方を監視してもよく、見かけのコンダクタンスを計算するために使用されるこれらのパラメータの両方の値を監視してもよい。見かけの抵抗は見かけのコンダクタンスの逆数であり、式ρ=V/Iを使用して計算することができ、式中、ρは見かけの抵抗である。
【0017】
所定の条件は、電気制御パラメータが、加熱モード中に誘導加熱配設に供給される電力に応答して満たされなければならない条件である。所定の条件は、動作加熱モード中に誘導加熱配設に供給される電力に応答して、電気制御パラメータの値が上昇すること、例えば、動作加熱モード中に誘導加熱配設に供給される電力に応答して、制御パラメータの目標値に向かって上昇することであってもよい。所定の条件は、電気制御パラメータの値が、動作加熱モード中に誘導加熱配設に供給される電力に応答して低下しないことであってもよい。
【0018】
一部の例では、電力は、複数の個別の電流パルスとして誘導加熱配設に供給されてもよい。所定の条件は、動作加熱モード中に、誘導加熱配設に供給される各電流パルスに応答して、電気制御パラメータの値が上昇すること、例えば、動作加熱モード中に、誘導加熱配設に供給される各電流パルスに応答して、制御パラメータの目標値に向かって上昇することであってもよい。所定の条件は、電気制御パラメータの値が、動作加熱モード中に誘導加熱配設に供給される各電流パルスに応答して低下しないことであってもよい。
【0019】
所定の条件が満たされる場合、動作加熱モードを修正する必要はない。所定の条件が満たされない場合、システムは、例えばサセプタの任意の過熱の可能性を軽減または防止するために、変更を実施するように構成されることが好ましい。
【0020】
所定の条件は、動作加熱モード中に、誘導加熱配設に供給される電力に応答して、電気制御パラメータの値が低下すること、例えば、動作加熱モード中に、誘導加熱配設に供給される電力に応答して、制御パラメータの目標値に向かって低下することであってもよい。所定の条件は、電気制御パラメータの値が、動作加熱モード中に誘導加熱配設に供給される電力に応答して上昇できないことであってもよい。電力が複数の個別の電流パルスとして誘導加熱配設に供給される場合、所定の条件は、動作加熱モード中に、誘導加熱配設に供給される各電流パルスに応答して、電気制御パラメータの値が低下するか、または上昇できないことであってもよい。
【0021】
一部の実施例では、電気制御パラメータは、サセプタの電気コンダクタンス、誘導加熱配設の見かけの電気コンダクタンスと、誘導加熱配設に供給される電流、および誘導加熱配設に供給される電力から成るリストから選択されるパラメータであってもよく、ならびにシステムは、動作加熱モード中に誘導加熱配設に供給される電力に応答して、電気制御パラメータの値が上昇するように、例えば、動作加熱モード中に誘導加熱配設に供給される電力に応答して、制御パラメータの目標値に向かって上昇するように、構成されてもよい。こうした場合、所定の条件は、誘導加熱配設に供給される電力に応答して電気制御パラメータの値が上昇することであってもよく、供給される電力に応答して電気制御パラメータが上昇しない場合、サセプタの加熱に影響を与えている異常がシステム内にあり得るという表示である。
【0022】
一部の実施例では、電気制御パラメータは、サセプタの電気抵抗、および誘導加熱配設の見かけの電気抵抗から成るリストから選択されるパラメータであってもよく、ならびにシステムは、動作加熱モード中に誘導加熱配設に供給される電力に応答して、電気制御パラメータの値が低下するように、例えば、動作加熱モード中に誘導加熱配設に供給される電力に応答して、制御パラメータの目標値に向かって低下するように、構成されてもよい。
【0023】
誘導加熱配設は、温度監視および温度制御を支援するように構成されてもよい。一部の例では、サセプタの少なくとも一部分は、所定の温度範囲を通過して加熱されたときに可逆的相転移を受けるように構成されてもよい。所定の温度範囲は、可逆的相変化の開始温度未満から始まり、可逆的相変化の終了温度を超えて終わる温度範囲である。所定の温度範囲は、例えば、100°C~500°C、例えば、200°C~400°Cであってもよい。
【0024】
コントローラは、相転移の上方境界および下方境界に関連付けられた電気制御パラメータの上方境界値および下方境界値を識別するように構成されることが好ましい。有利なことに、電気制御パラメータの目標値は、上方境界値と下方境界値との間の値に設定されてもよい。目標値は所定の目標値であってもよいが、有利なことに、目標値は、電気制御パラメータの上方境界値および下方境界値の識別後に決定されてもよい。
【0025】
有利な例は、インダクタおよびサセプタを有する誘導加熱配設と、電気制御パラメータを監視するように構成されたコントローラであって、電気制御パラメータの目標値を参照して誘導加熱配設に供給される電力を制御することによって、動作加熱モード中にサセプタの温度を所望の動作温度範囲内に維持するように構成されるコントローラと、を備え、そこにおいて、サセプタの少なくとも一部分が、所定の温度範囲を通過して加熱されたときに可逆的相転移を受けるように構成され、コントローラが、相転移の上部境界および下部境界に関連付けられた電気制御パラメータの上方境界値および下方境界値を識別するように構成され、かつ電気制御パラメータの目標値が、上方境界値と下方境界値との間の値に設定され、かつ動作加熱段階中に誘導加熱配設に供給される電力に対する電気制御パラメータの応答が監視され、例えば、サセプタの温度が所望の動作温度範囲内にあるかどうかを判定する、上述の誘導加熱エアロゾル発生システムを提供し得る。
【0026】
コントローラは、動作中に誘導加熱配設に供給される電力を表す少なくとも一つの電力パラメータを監視し、電力パラメータを使用して電気制御パラメータを導出するように構成されることが好ましい。
【0027】
任意の例において、サセプタは、インダクタによって発生された交流電磁場内に位置するか、または位置可能であることが好ましい。サセプタは、固定サセプタ、例えばエアロゾル発生装置の固定部分であってもよい。サセプタは、エアロゾル発生物品内に位置するか、またはその一部として位置するサセプタであってもよい。
【0028】
サセプタの少なくとも一部分が相転移を受ける場合、電気制御パラメータの上方境界値および下方境界値は、サセプタが所定の温度範囲を通過して加熱される際の電気制御パラメータの応答を監視および/または分析することによって決定され得る。例えば、電気制御パラメータの値の変動は、サセプタが所定の温度範囲を通過して加熱される際に記録されてもよく、また上方境界値および下方境界値は、例えばサセプタが所定の温度範囲を通過して加熱される際に、電気制御パラメータの値の最大値および/または最小値を検出することによって決定されてもよい。
【0029】
サセプタが所定の温度範囲を通過して加熱されるにつれて、相転移開始点および相転移終了点は、サセプタが所定の温度範囲を通して加熱される際の電気制御パラメータの値の変化によって識別可能であってもよい。有利なことに、電気制御パラメータの目標値は、相転移開始点および相転移終了点での電気制御パラメータの値の間にあると判定され得る。
【0030】
誘導加熱配設は、相転移を受けている間に、見かけの抵抗または見かけのコンダクタンスにおいて逆転を示し得る。例えば、誘導加熱システムの見かけの抵抗は、相転移の開始前にサセプタの温度が上昇するにつれて増加し得る。次に、見かけの抵抗は、相転移を通る加熱に伴い減少し、相転移の終了を超えた加熱に伴い再び増加し得る。例えば、誘導加熱システムの見かけのコンダクタンスは、相転移の開始前にサセプタの温度が上昇するにつれて減少し得る。次に、見かけのコンダクタンスは、相転移を通る加熱に伴い増加し、相転移の終了を超えた加熱に伴い再び減少し得る。
【0031】
したがって、電気制御パラメータの値は、サセプタがその相転移を通して加熱または冷却される際に、最大値および最小値を経験し得る。有利なことに、動作温度範囲は、電気制御パラメータの最大値および最小値によって境界付けられてもよい。これにより、誘導加熱配設に供給される電力に対する電気制御パラメータの特定の応答が可能になり得る。すなわち、サセプタが相転移を受ける温度範囲内で加熱されるとき、電気制御パラメータは、サセプタの温度が相転移を受ける温度範囲外であるときと比較して、印加された電力に対して異なって応答し得る。誘導加熱配設に供給される電力に対する電気制御パラメータの応答は、サセプタの温度が所望の動作温度範囲内であるかどうかの表示を提供し得る。
【0032】
電力は、複数の個別の電流パルスとして誘導加熱配設に供給され、電気制御パラメータの応答は、各電流パルスについて判定および/または分析されて、電気制御パラメータの値がパルス中に上昇するか、または低下するかを判定することが好ましい。例えば、電気制御パラメータに対する応答は、各電流パルスについて分析されて、時間曲線に対する電気制御パラメータの傾きがパルスの持続時間にわたって増加するか、または減少するかを判定し得る。
【0033】
一部の例では、電気制御パラメータは、誘導加熱システムの見かけのコンダクタンスであり、制御パラメータは、各電流パルスについて分析されて、電気制御パラメータの値がパルスの持続時間にわたって上昇するか、または低下するかを判定する。動作温度範囲は、電力の印加に伴い誘導加熱配設の見かけのコンダクタンスが上昇する温度範囲であることが好ましい。有利なことに、コントローラは、電気制御パラメータの値がパルスの持続時間にわたって低下することを検出する場合、サセプタの温度が動作温度範囲外であることを示し得るため、加熱モードから回復モードに切り替えるように構成され得る。
【0034】
動作温度範囲は、エアロゾル形成基体からのエアロゾルの発生を最適化するように選択されることが好ましい。動作温度範囲は、目標動作温度によって設定されてもよく、システムは、サセプタの温度を可能な限り目標動作温度に近い温度に維持するように構成されてもよい。動作温度範囲は、100°C~500°C、例えば200°C~400°Cであってもよい。好ましい動作温度範囲は、300°C~400°C、例えば350°C~390°Cであってもよい。動作加熱モードは、300°C~400°C、例えば350°C~390°C、例えば約350°C、または360°C、または370°C、または380°Cの目標動作温度を有してもよい。
【0035】
サセプタが所定の温度範囲を通過して加熱されたときに可逆的相転移を示す例では、相転移は、磁気相転移または結晶相転移であってもよい。例えば、相転移は、強磁性/常磁性相転移、またはフェリ磁性/常磁性相転移、または反強磁性/常磁性相転移であってもよい。例えば、サセプタ、またはサセプタの一部分は、所定の温度範囲内でキュリー転移を受ける材料であってもよい。
【0036】
サセプタは、所定の温度範囲内で可逆的相転移を依然として受けながら、加熱効率を最適化するように構成されてもよい。それ故に、サセプタは、所定の温度範囲中に可逆的相転移を受けない第一の材料と、所定の温度範囲中に可逆的相転移を受ける第二の材料とを備えてもよい。第一の材料は、50体積%を超える、好ましくは60体積%を超える、または70体積%を超える、または80体積%を超える、または90体積%を超える、または95体積%を超えるサセプタを含んでもよい。第一の材料は、鉄系合金、例えばステンレス鋼であってもよい。第二の材料は、ニッケルまたはニッケル系合金であってもよい。第二の材料は、第一の材料上に配置された材料のパッチとして存在してもよい。第二の材料は、第一の材料によって封入され得る。第二の材料は、第一の材料上に積層されるか、または第一の材料を封入してもよい。
【0037】
有利なことに、電気制御パラメータの目標値は、サセプタ内の材料のキュリー温度以下のサセプタ温度に対応するように決定されてもよい。サセプタは、第一のキュリー温度を有する第一のサセプタ材料と、第二のキュリー温度を有する第二のサセプタ材料とを含み得る。第二のキュリー温度は第一のキュリー温度より低くてもよい。電気制御パラメータの目標値は、第二のキュリー温度以下のサセプタ温度に対応してもよい。
【0038】
第一および第二のサセプタ材料は、一緒に結合され、それ故に互いに物理的に密着して接触し、それによって両方のサセプタ材料が熱伝導に起因して同じ温度を有することが確保される、二つの別個の材料であることが好ましい。二つのサセプタ材料は、好ましくは、それらの主表面のうちの一つに沿って結合される二つの層または細片である。サセプタはさらに、サセプタ材料のさらなる第三の層を含んでもよい。サセプタ材料の第三の層は、第一のサセプタ材料で作製されることが好ましい。サセプタ材料の第三の層の厚さは、第二のサセプタ材料の層の厚さ未満であることが好ましい。
【0039】
電気制御パラメータの目標値は、温度が上昇するにつれてサセプタのコンダクタンスが単調に増加する温度範囲内にあるサセプタ温度に対応し得る。この温度範囲の下限において、サセプタ内の材料は、強磁性またはフェリ磁性状態から常磁性状態への相変化を開始し得る。この温度範囲の上限において、材料は、強磁性またはフェリ磁性状態から常磁性状態への相変化を完了し得る。
【0040】
サセプタは、単一の構成要素として、例えば細長いピン、ブレード、ワイヤ、もしくは細片として、またはシートもしくはメッシュとして形成されてもよい。サセプタは、幅寸法または厚さ寸法よりも大きい長さ寸法を有する細長いサセプタであってもよい。サセプタは、長方形の横断断面、または円形の横断断面を有してもよい。サセプタは、材料の細片または箔の細片の形態であってもよい。
【0041】
サセプタは長さ8mm~100mm、例えば10mm~30mm、例えば12mm~20mmとし得る。サセプタは幅2mm~6mm、例えば3mm~5mm、例えば3.5mm~4.5mmとし得る。サセプタは厚さ0.01mm~2mm、例えば0.05mm~1.5mm、例えば0.1mm~1mmとし得る。
【0042】
サセプタは、複数の個別の構成要素から、例えば、複数の細長いピン、ブレード、ワイヤ、もしくは細片から、複数のシートもしくはメッシュから、または複数の粒子から形成されてもよく、例えば、サセプタは、エアロゾル形成基体と熱的に接触して、またはエアロゾル形成基体内に配置された複数の粒子から形成されてもよい。
【0043】
システムは、電源、例えばDC電源、例えばエアロゾル発生装置内に位置する電池を備えることが好ましい。エアロゾル発生装置は、AC電力をインダクタに供給するためのDCからACへのコンバータ、例えばDCからACへのインバータをさらに備えてもよい。
【0044】
インダクタは、インダクタコイルを含み得る。インダクタコイルは、らせん状コイルまたは平坦な平面状コイル、特にパンケーキコイルまたは湾曲した平面状コイルであってもよい。インダクタは、変化する磁界を発生するために使用されてもよい。変化する磁界は、高周波の変化する磁界であってもよい。変化する磁界は、500kHz(キロヘルツ)~30MHz(メガヘルツ)、具体的には5MHz~15MHz、好ましくは5MHz~10MHzの範囲内であってもよい。変化する磁界は、サセプタ材料の電気的および磁気特性に応じて、渦電流またはヒステリシス損失のうちの少なくとも一つに起因してサセプタを誘導加熱するために使用される。
【0045】
誘導加熱配設は、DC/ACコンバータと、DC/ACコンバータに接続されたインダクタとを含み得る。サセプタは、誘導的に結合して、インダクタに配設されてもよい。電源からの電力は、DC/ACコンバータを介して、複数の電流パルスとして、インダクタに供給されてもよく、各パルスは時間間隔で分離される。誘導加熱配設に提供される電力を制御することは、複数のパルスのそれぞれの間の時間間隔を制御することを含み得る。誘導加熱配設に提供される電力を制御することは、複数のパルスの各パルスの長さを制御することを含んでもよい。
【0046】
システムは、DC/ACコンバータの入力側において、電源から引き出されるDC電流を測定するように構成されてもよい。サセプタに関連付けられたコンダクタンス値または抵抗値は、電源のDC供給電圧に基づいて、および電源から引き出されるDC電流から判定され得る。システムはさらに、DC/ACコンバータの入力側において、電源のDC供給電圧を測定するように構成されてもよい。これは、サセプタの実際のコンダクタンス(サセプタが物品の一部を形成する場合には、決定できない)と、このように決定される見かけのコンダクタンスとの間に単調な関係があるという事実による(サセプタは、負荷(R)の大部分がサセプタの抵抗によるものであるため、それが結合される(DC/ACコンバータの)LCR回路のコンダクタンスを付与するため。コンダクタンスは1/Rである。したがって、このテキストにおいてサセプタのコンダクタンスに言及する場合、サセプタが別個のエアロゾル発生物品の一部を形成する場合の見かけのコンダクタンスに言及している。
【0047】
本明細書に記載されるエアロゾル発生システムは、好ましくは、エアロゾル発生物品と、エアロゾル発生物品を受けるように構成されたエアロゾル発生装置とを備える。エアロゾル発生物品は、エアロゾル形成基体を含むことが好ましく、サセプタは、エアロゾル形成基体と熱連通して配置されることが好ましい。エアロゾル発生物品は、使い捨て物品、例えば従来の紙巻たばこの形態を有する物品であることが好ましい。
【0048】
エアロゾル発生装置は、インダクタ、コントローラ、およびコントローラへ電力を供給するための電源を備えることが好ましい。エアロゾル発生装置は、電源によって供給される直流を、インダクタを供給するための交流電流に変換するためのDC/ACコンバータをさらに備えてもよい。DC/ACコンバータに供給される電流は、監視されてもよく、電気制御パラメータを形成してもよく、または電気制御パラメータの導出に使用されてもよい。エアロゾル発生装置は、使用セッション中に吸入可能なエアロゾルを発生させるために、エアロゾル形成基体を誘導加熱するように構成され得る。
【0049】
エアロゾル発生システム、またはシステムで使用するためのエアロゾル発生装置は、較正モードおよび加熱モードの両方で動作するように構成されてもよい。較正モードは、例えば、電気制御パラメータの目標値を決定するために使用されてもよく、加熱モードは、電気制御パラメータの目標値を参照して供給される電力を制御することによって、サセプタの温度を動作温度に維持するために使用されてもよい。
【0050】
較正モードは、所定の温度範囲を通過してサセプタを加熱する工程と、サセプタが所定の温度範囲を通過して冷却されることを可能にする工程と、サセプタの相転移の上方境界および下方境界に関連付けられた制御パラメータの上方境界値および下方境界値を識別する工程と、制御パラメータの目標値を決定する工程と、を含み得る。
【0051】
所定の温度範囲を通過してサセプタを加熱する工程は、誘導加熱配設に電力を供給することと、制御パラメータを監視して、所定の温度範囲を通過して加熱するときにサセプタによって受けられる相転移の境界を識別することと、を伴い得る。
【0052】
較正段階の間、所定の温度範囲を通過してサセプタを加熱するために供給される電力は、80%超、例えば90%超、例えば100%の負荷サイクルで供給されてもよい。サセプタが所定の温度範囲を通過して冷却されることを可能にする工程は、低減された負荷サイクルで誘導加熱配設に電力を供給すること、および制御パラメータを監視することを伴い得る。
【0053】
サセプタが所定の温度範囲を通過して冷却されることを可能にする工程は、エネルギーのパルス、例えば電流のパルス、例えば10%未満、例えば2%未満または1%未満の負荷サイクルを有するエネルギーのパルスとして誘導加熱配設に電力を供給することと、パルスの各々の間の制御パラメータの値を監視することと、を伴い得る。
【0054】
コントローラは、誘導加熱配設にエネルギーのパルス、例えば電流パルスを供給する工程と、制御パラメータを監視する工程と、制御パラメータがそのパルス中に目標パラメータに到達した場合にパルスを止める工程とを含む加熱モードでシステムを動作させるように構成されてもよい。
【0055】
加熱モード中に誘導加熱配設に供給される電力に対する電気制御パラメータの応答が所定の条件を満たさないと判定されたときに、システムまたは装置が加熱モードから回復モードに切り替わるように構成されてもよく、例えば一つの可能な構成では、電気制御パラメータの値が、加熱モード中に誘導加熱配設に供給される電力に応答して上昇する場合、または例えば電気制御パラメータの値が、加熱モード中に誘導加熱配設に供給される電力に応答して低下しない場合、または例えば、別の可能な構成では、電気制御パラメータの値が、加熱モード中に誘導加熱配設に供給される電力に応答して低下する場合、または例えば、電気制御パラメータの値が、加熱モード中に誘導加熱配設に供給される電力に応答して上昇できない場合である。
【0056】
回復モードは、例えば誘導加熱配設に供給される電力を低減または除去することによって、サセプタを冷却することを可能にする工程を伴い得る。回復モードは、制御パラメータの新しい目標値を決定するための再較正を伴い得る。加熱モードは、回復モードの完了後に再開されてもよい。
【0057】
本発明の一実施形態によると、エアロゾル発生装置が提供されてもよく、エアロゾル発生装置は、本明細書に記載のエアロゾル発生システムで使用されるように構成される。
【0058】
本発明の一実施形態によると、エアロゾル発生物品が提供されてもよく、エアロゾル発生物品は、本明細書に記載のエアロゾル発生システムで使用されるように構成される。
【0059】
本発明の一実施形態によると、インダクタおよびサセプタを有する誘導加熱配設と、コントローラとを備える誘導加熱エアロゾル発生システムを制御する方法が、
(a)エアロゾル発生システムの動作加熱モード中に電気制御パラメータを監視する工程と、
(b)電気制御パラメータの目標値を参照して、誘導加熱配設に供給される電力を制御することによって、サセプタの温度を動作温度範囲内に維持する工程と、
(c)動作加熱モード中に誘導加熱配設に供給される電力に対する電気制御パラメータの応答が、所定の条件を満たすかどうかをチェックする工程と、(d)応答が所定の条件を満たさない場合に動作の変更を実施する工程と、を含み得る。
【0060】
工程(c)は、誘導加熱配設に供給される電力に応答して、電気制御パラメータの値が増加するか、または減少するかのチェックを伴い得る。
【0061】
サセプタの少なくとも一部分が、所定の温度範囲を通過して加熱されたときに可逆的相転移を受けるように構成される、誘導加熱エアロゾル発生システムを制御する方法は、
動作中に誘導加熱配設に供給される電力を表す少なくとも一つの電力パラメータを監視する工程と、
電力パラメータから電気制御パラメータを導出する工程と、
サセプタを所定の温度範囲を通過して加熱する工程と、
相転移の上方境界および下方境界に関連付けられた電気制御パラメータの上方境界値および下方境界値を識別する工程と、
制御パラメータの目標値を決定する工程であって、制御パラメータの目標値が上方境界値と下方境界値との間にある、決定する工程と、
電気制御パラメータの目標値を参照して、動作加熱段階中に誘導加熱配設に供給される電力を制御して、サセプタの温度を所望の動作温度範囲内に維持する工程と、
動作加熱段階中に誘導加熱配設に供給される電力に対する、電気制御パラメータの応答を監視および分析して、サセプタの温度が、所望の動作温度範囲内であるかどうかを判定する工程と、を含み得る。
【0062】
電気制御パラメータの応答が不適切な応答であるとみなされる場合、方法は、誘導加熱配設に供給される電力が低減または除去される冷却モードまたは回復モードを開始する工程を含み得る。
【0063】
方法は、本明細書に記載のエアロゾル発生システムを制御する方法であってもよい。
【0064】
本明細書で使用される「エアロゾル発生装置」という用語は、エアロゾルを発生するためにエアロゾル形成基体と相互作用する装置を指す。エアロゾル発生装置は、エアロゾル形成基体を含むエアロゾル発生物品と、エアロゾル形成基体を含むカートリッジとのうちの一方または両方と相互作用してもよい。
【0065】
本明細書で使用される「エアロゾル発生システム」という用語は、エアロゾル形成基体とのエアロゾル発生装置の組み合わせを指す。エアロゾル形成基体が、エアロゾル発生物品の一部を形成する時、エアロゾル発生システムは、エアロゾル発生物品とのエアロゾル発生装置の組み合わせを指す。エアロゾル発生システムでは、エアロゾル形成基体およびエアロゾル発生装置は協働して、エアロゾルを発生する。
【0066】
本明細書で使用される「エアロゾル形成基体」という用語は、エアロゾルを形成することができる揮発性化合物を放出する能力を有する基体を指す。揮発性化合物はエアロゾル形成基体を加熱する、または燃焼することによって放出されてもよい。加熱または燃焼に代わるものとして、一部の場合において、化学反応によって、または超音波などの機械的な刺激によって揮発性化合物が放出されてもよい。エアロゾル形成基体は固体であってもよく、または固体構成成分と液体構成成分の両方を含んでもよい。エアロゾル形成基体は、エアロゾル発生物品の一部であってもよい。
【0067】
本明細書で使用される「エアロゾル発生物品」という用語は、エアロゾルを形成することができる揮発性化合物を放出する能力を有するエアロゾル形成基体を含む物品を指す。エアロゾル発生物品は使い捨てであってもよい。たばこを含むエアロゾル形成基体を含むエアロゾル発生物品は、本明細書においてたばこスティックと呼ばれる場合がある。
【0068】
エアロゾル形成基体はニコチンを含んでもよい。エアロゾル形成基体はたばこを含んでもよく、例えば加熱に伴いエアロゾル形成基体から放出される揮発性のたばこ風味化合物を含有するたばこ含有材料を含んでもよい。好ましい実施形態において、エアロゾル形成基体は、均質化したたばこ材料、例えばキャストリーフたばこを含んでもよい。エアロゾル形成基体は固体成分と液体成分の両方を含んでもよい。エアロゾル形成基体は、加熱に伴い基体から放出される揮発性のたばこ風味化合物を含有するたばこ含有材料を含んでもよい。エアロゾル形成基体は非たばこ材料を含んでもよい。エアロゾル形成基体はエアロゾル形成体をさらに含んでもよい。適切なエアロゾル形成体の例は、グリセリンおよびプロピレングリコールである。
【0069】
本明細書で使用される場合、「マウスピース」という用語は、エアロゾルを直接吸入するためにユーザーの口の中へと入れられる、エアロゾル発生物品、エアロゾル発生装置、またはエアロゾル発生システムの一部分を意味する。
【0070】
本明細書で使用される場合、「サセプタ」という用語は、磁界のエネルギーを熱へと変換する能力を有する材料を含む要素を指す。サセプタが交番磁界内に位置しているときに、サセプタは加熱される。サセプタの加熱は、サセプタ材料の電気的および磁気特性に依存して、サセプタ内で誘導されるヒステリシス損失および渦電流のうちの少なくとも一つの結果であり得る。
【0071】
本明細書で使用される場合、「誘導的に結合する」という用語は、交番磁界によって貫通されたときにサセプタを加熱することを指す。加熱は、サセプタ内の渦電流の発生によって引き起こされ得る。加熱は、磁気ヒステリシス損失によって引き起こされてもよい。
【0072】
本明細書で使用される場合、電流パルスの「負荷サイクル」という用語は、電流パルスが供給される合計期間に対するパルス持続時間、またはパルス幅の比の割合を意味する。
【0073】
本明細書で使用される場合、「吸煙」という用語は、ユーザーが、エアロゾルをユーザーの口または鼻を介してユーザーの身体に吸い込む動作を意味する。
【0074】
本発明は特許請求の範囲に定義されている。しかしながら、以下に、非限定的な実施例の非網羅的なリストを提供する。これらの実施例の特徴のうちのいずれか一つ以上は、本明細書に記載の別の実施例、実施形態、または態様の特徴うちのいずれか一つ以上と組み合わされ得る。
【0075】
実施例i
誘導加熱エアロゾル発生システムであって、
インダクタおよびサセプタを有する誘導加熱配設と、
動作加熱モード中に電気制御パラメータを監視するように、かつ電気制御パラメータの目標値を参照して、誘導加熱配設に供給される電力を制御することによって、サセプタの温度を動作温度範囲内に維持するように構成されたコントローラと、を備え、
コントローラが、動作加熱モード中に誘導加熱配設に供給される電力に対する電気制御パラメータの応答が、所定の条件を満たすかどうかを判定するように構成される、誘導加熱エアロゾル発生システム。
実施例1
誘導加熱エアロゾル発生システムであって、
インダクタおよびサセプタを有する誘導加熱配設と、
動作加熱モード中に電気制御パラメータを監視するように、かつ電気制御パラメータの目標値を参照して、誘導加熱配設に供給される電力を制御することによって、サセプタの温度を動作温度範囲内に維持するように構成されたコントローラと、を備え、
コントローラが、動作加熱モード中に誘導加熱配設に供給される電力に対する電気制御パラメータの応答が、所定の条件を満たすかどうかを判定するように、かつ応答が所定の条件を満たさない場合に動作の変更を実施するように構成される、誘導加熱エアロゾル発生システム。
実施例2
動作の変更が、動作加熱モードの修正である、実施例1に記載のエアロゾル発生システム。
実施例3
動作の変更が、動作加熱モードの終了である、実施例1に記載のエアロゾル発生システム。
実施例4
動作の変更が、動作加熱モードから異なる動作モード、例えば、回復モード、または較正モードに切り替える工程を含む、実施例1、または2に記載のエアロゾル発生システム。
実施例5
動作の変更が、サセプタの冷却をもたらす、実施例1~4のいずれかに記載のエアロゾル発生システム。
実施例6
動作の変更が、誘導加熱配設に供給される電力の低減をもたらす、例えば負荷サイクルが低減される、または電源が終了される、実施例1~5のいずれかに記載のエアロゾル発生システム。
実施例7
コントローラが、誘導加熱配設に電力を供給し、電気制御パラメータを監視し、電気制御パラメータの値が電気制御パラメータの目標値と等しいときに誘導加熱配設に供給される電力を修正することによって、サセプタの温度を動作温度範囲内に維持するように構成される、実施例i~6のいずれかに記載のエアロゾル発生システム。
実施例8
コントローラが、誘導加熱配設に電力を供給することによって、電気制御パラメータを監視することによって、かつ誘導加熱配設に供給された電力の負荷サイクルを制御して、電気制御パラメータの値を電気制御パラメータの目標値とほぼ等しく維持することによって、サセプタの温度を動作温度範囲内に維持するように構成される、実施例i~7のいずれかに記載のエアロゾル発生システム。
実施例9
コントローラが、誘導加熱配設に電流パルスを供給して、サセプタの温度を所望の動作温度範囲内に維持するように構成される、実施例i~8のいずれかに記載のエアロゾル発生システム。
実施例10
電気制御パラメータの値がパルス中に電気制御パラメータの目標値と等しい場合、パルスを終了する、実施例9に記載のエアロゾル発生システム。
実施例11
動作加熱モード中に誘導加熱配設に供給される電力に対する電気制御パラメータの応答が、所定の条件を満たすかどうかの判定が、各電流パルスについて実施される、実施例9または10に記載のエアロゾル発生システム。
実施例12
所定の条件がパルスの持続時間にわたって満たされない場合、動作の変更が実施される、実施例9~11のいずれかに記載のエアロゾル発生システム。
実施例13
電気制御パラメータが、サセプタの温度を示し、および/もしくは温度の関数として変化するサセプタの材料特性を示し、ならびに/または電気制御パラメータが、サセプタの温度の関数として変化するパラメータである、実施例i~12のいずれかに記載のエアロゾル発生システム。
実施例14
電気制御パラメータが、サセプタの電気抵抗、誘導加熱配設の見かけの電気抵抗、サセプタの電気コンダクタンス、誘導加熱配設の見かけの電気コンダクタンス、誘導加熱配設に供給される電流、および誘導加熱配設に供給される電力から成るリストから選択されるパラメータである、実施例i~13のいずれかに記載のエアロゾル発生システム。
実施例15
コントローラが、動作中に誘導加熱配設に供給される電力を表す少なくとも一つの電力パラメータを監視するように構成される、実施例i~14のいずれかに記載のエアロゾル発生システム。
実施例16
少なくとも一つの電力パラメータが、電気制御パラメータとして使用される、または少なくとも一つの電力パラメータが電気制御パラメータを導出するために使用される、実施例15に記載のエアロゾル発生システム。
実施例17
少なくとも一つの電力パラメータが、動作中に誘導加熱配設に供給される電流であるか、またはこれを含む、実施例15または16に記載のエアロゾル発生システム。
実施例18
少なくとも一つの電力パラメータが、動作中に誘導加熱配設の両端の電圧であるか、またはこれを含む、実施例i~17のいずれかに記載のエアロゾル発生システム。
実施例19
所定の条件が、動作加熱モード中に、誘導加熱配設に供給される電力に応答して、電気制御パラメータの値が上昇すること、例えば、動作加熱モード中に、誘導加熱配設に供給される電力に応答して、制御パラメータの目標値に向かって上昇することである、実施例i~18のいずれかに記載のエアロゾル発生システム。
実施例20
電力が複数の個別の電流パルスとして誘導加熱配設に供給され、所定の条件が、動作加熱モード中に、誘導加熱配設に供給される各電流パルスに応答して、電気制御パラメータの値が上昇すること、例えば、動作加熱モード中に、誘導加熱配設に供給される各電流パルスに応答して、制御パラメータの目標値に向かって上昇することである、実施例i~19のいずれかに記載のエアロゾル発生システム。
実施例21
所定の条件が、動作加熱モード中に、誘導加熱配設に供給される電力に応答して、電気制御パラメータの値が低下すること、例えば、動作加熱モード中に、誘導加熱配設に供給される電力に応答して、制御パラメータの目標値に向かって低下することである、実施例i~18のいずれかに記載のエアロゾル発生システム。
実施例22
電力が複数の個別の電流パルスとして誘導加熱配設に供給され、所定の条件が、動作加熱モード中に、誘導加熱配設に供給される各電流パルスに応答して、電気制御パラメータの値が低下すること、例えば、動作加熱モード中に、誘導加熱配設に供給される各電流パルスに応答して、制御パラメータの目標値に向かって低下することである、実施例i~18、および21のいずれかに記載のエアロゾル発生システム。
実施例23
電気制御パラメータが、サセプタの電気コンダクタンス、誘導加熱配設の見かけの電気コンダクタンス、誘導加熱配設に供給される電流、および誘導加熱配設に供給される電力から成るリストから選択されるパラメータであり、かつ電気制御パラメータの値が、動作加熱モード中に誘導加熱配設に供給される電力に応答して上昇し、例えば、動作加熱モード中に誘導加熱配設に供給される電力に応答して、制御パラメータの目標値に向かって上昇する、実施例i~20のいずれかに記載のエアロゾル発生システム。
実施例24
電気制御パラメータが、サセプタの電気抵抗、誘導加熱配設の見かけの電気抵抗から成るリストから選択されるパラメータであり、かつ電気制御パラメータの値が、動作加熱モード中に誘導加熱配設に供給される電力に応答して低下し、例えば、動作加熱モード中に誘導加熱配設に供給される電力に応答して、制御パラメータの目標値に向かって低下する、実施例i~18、21、および22のいずれかに記載のエアロゾル発生システム。
実施例25
サセプタの少なくとも一部分が、所定の温度範囲を通過して加熱されたときに可逆的相転移を受けるように構成される、実施例i~24のいずれかに記載のエアロゾル発生システム。
実施例26
コントローラが、相転移の上方境界および下方境界に関連付けられた電気制御パラメータの上方境界値および下方境界値を識別するように構成される、実施例25に記載のエアロゾル発生システム。
実施例27
電気制御パラメータの目標値が、上方境界値と下方境界値との間の値に設定される、実施例26に記載のエアロゾル発生システム。
実施例28
インダクタおよびサセプタを有する
誘導加熱配設と、電気制御パラメータを監視するように構成された
コントローラであって、電気制御パラメータの目標値を参照して誘導加熱配設に供給される電力を制御することによって、動作加熱モード中にサセプタの温度を所望の動作温度範囲内に維持するように構成されるコントローラと、を備え、
サセプタの少なくとも一部分が、所定の温度範囲を通過して加熱されたときに可逆的相転移を受けるように構成され、かつコントローラが、相転移の上方境界および下方境界に関連付けられた電気制御パラメータの上方境界値および下方境界値を識別するように構成され、
電気制御パラメータの目標値が、上方境界値と下方境界値との間の値に設定され、
かつ動作加熱段階中に誘導加熱配設に供給される電力に対する電気制御パラメータの応答が監視され、サセプタの温度が所望の動作温度範囲内にあるかどうかを判定する、実施例i~27のいずれかに記載のエアロゾル発生システム。
実施例29
コントローラが、動作中に誘導加熱配設に供給される電力を表す少なくとも一つの電力パラメータを監視し、電力パラメータを使用して電気制御パラメータを導出するように構成される、実施例28に記載のエアロゾル発生システム。
実施例30
サセプタが、インダクタによって発生される交流電磁場内に位置する、および/または位置可能である、実施例i~29のいずれかに記載のエアロゾル発生システム。
実施例31
電気制御パラメータの上方境界値および下方境界値が、サセプタが所定の温度範囲を通過して加熱される際の電気制御パラメータの応答を分析することによって、例えばサセプタが所定の温度範囲を通過して加熱される際の電気制御パラメータの値の変動を分析することによって、例えばサセプタが所定の温度範囲を通過して加熱される際の電気制御パラメータの値の最大値および/または最小値を検出することによって、決定される、実施例26~30のいずれかに記載のエアロゾル発生システム。
実施例32
サセプタが、所定の温度範囲を通過して加熱されるときに、可逆的相転移を受けるように構成され、相転移開始点および相転移終了点が、サセプタが所定の温度範囲を通過して加熱される際の電気制御パラメータの値の変化によって識別可能である、実施例i~31のいずれかに記載のエアロゾル発生システム。
実施例33
電気制御パラメータの目標値が、相転移開始点および相転移終了点での電気制御パラメータの値の間であると決定され、
誘導加熱配設に供給される電力に対する電気制御パラメータの応答が参照または分析されて、サセプタの温度が所望の動作温度範囲内にあるかどうかを識別する、実施例32に記載のエアロゾル発生システム。
実施例34
誘導加熱配設が、相転移を受けている間に見かけの抵抗において逆転を示す、実施例25~33のいずれかに記載のエアロゾル発生システム。
実施例35
誘導加熱配設が、相転移を受けている間に、見かけのコンダクタンスにおいて逆転を示す、実施例25~34のいずれかに記載のエアロゾル発生システム。
実施例36
誘導加熱システムの見かけの抵抗が、相転移開始前に増加し、相転移を通る加熱に伴い減少し、相転移終了を超えた加熱に伴い増加する、実施例25~35のいずれかによるエアロゾル発生システム。
実施例37
誘導加熱システムの見かけのコンダクタンスが、相転移開始前に減少し、相転移を通る加熱に伴い増加し、相転移終了を超えた加熱に伴い減少する、実施例25~36のいずれかによるエアロゾル発生システム。
実施例38
動作温度範囲が、電気制御パラメータの最大値および最小値によって区切られる、実施例i~37のいずれかに記載のエアロゾル発生システム。
実施例39
電力が、複数の個別の電流パルスとして誘導加熱配設に供給され、電気制御パラメータの応答が、各電流パルスについて分析されて、電気制御パラメータの値がパルス中に上昇するか、または低下するかを判定する、実施例i~38のいずれかに記載のエアロゾル発生システム。
実施例40
電力が、複数の個別の電流パルスとして誘導加熱配設に供給され、電気制御パラメータに対する応答が、各電流パルスについて分析されて、時間曲線に対する電気制御パラメータの傾きがパルスの持続時間にわたって増加するか、または減少するかを判定する、実施例i~39のいずれかに記載のエアロゾル発生システム。
実施例41
電気制御パラメータが、誘導加熱システムの見かけのコンダクタンスであり、制御パラメータが、各電流パルスについて分析されて、電気制御パラメータの値がパルスの持続時間にわたって上昇するか、または低下するかを判定する、実施例39または40に記載のエアロゾル発生システム。
実施例42
コントローラが、電気制御パラメータの値がパルスの持続時間にわたって低下することを検出した場合に、加熱モードから回復モードに切り替わるように構成される、実施例41に記載のエアロゾル発生システム。
実施例43
コントローラが、例えば誘導加熱配設に供給される電力の負荷サイクルを低減することによって、電気制御パラメータの値がパルスの持続時間にわたって低下することを検出した場合に、サセプタを冷却することを可能にするように構成される、実施例41または42に記載のエアロゾル発生システム。
実施例44
サセプタが、所定の温度範囲を通過して加熱されたときに可逆的相転移を示し、相転移が、磁気相転移または結晶相転移である、実施例i~43のいずれかに記載のエアロゾル発生システム。
実施例45
相転移が、強磁性/常磁性相転移、またはフェリ磁性/常磁性相転移、または反強磁性/常磁性相転移である、実施例44に記載のエアロゾル発生システム。
実施例46
サセプタが、所定の温度範囲中に可逆的相転移を受けない第一の材料と、所定の温度範囲中に可逆的相転移を受ける第二の材料とを含む、実施例44または45に記載のエアロゾル発生システム。
実施例47
第一の材料が、50体積%を超える、好ましくは60体積%を超える、または70体積%を超える、または80体積%を超える、または90体積%を超える、または95体積%を超えるサセプタを含む、実施例46に記載のエアロゾル発生システム。
実施例48
第一の材料が、鉄系合金、例えばステンレス鋼である、実施例46または47に記載のエアロゾル発生システム。
実施例49
第二の材料がニッケルまたはニッケル系合金である、実施例46~48のいずれかに記載のエアロゾル発生システム。
実施例50
サセプタが、単一の構成要素として、例えば細長いピン、ブレード、ワイヤ、もしくは細片として、またはシートもしくはメッシュとして形成される、実施例i~49のいずれかに記載のエアロゾル発生システム。
実施例51
サセプタが、幅寸法または厚さ寸法よりも大きい長さ寸法を有する細長いサセプタである、実施例i~50のいずれかに記載のエアロゾル発生システム。
実施例52
サセプタが、長方形の横断断面、または円形の横断断面を有する、実施例i~51のいずれかに記載のエアロゾル発生システム。
実施例53
サセプタが、8mm~100mm、例えば10mm~30mm、例えば12mm~20mmの長さを有する、実施例i~52のいずれかに記載のエアロゾル発生システム。
実施例54
サセプタが、2mm~6mm、例えば3mm~5mm、例えば3.5mm~4.5mmの幅を有する、実施例i~53のいずれかに記載のエアロゾル発生システム。
実施例55
サセプタが、0.1mm~2mm、例えば0.2mm~1.5mm、例えば0.4mm~1mmの厚さを有する、実施例i~54のいずれかに記載のエアロゾル発生システム。
実施例56
サセプタが、複数の個別の構成要素から、例えば、複数の細長いピン、ブレード、ワイヤ、もしくは細片から、複数のシートもしくはメッシュから、または複数の粒子から形成され、例えば、サセプタが、エアロゾル形成基体と熱的に接触して、またはエアロゾル形成基体内に、配置された複数の粒子から形成されてもよい、実施例i~55に記載のエアロゾル発生システム。
実施例57
システムが、電源、例えばDC電源、例えばエアロゾル発生装置内に位置する電池を備え、エアロゾル発生装置が、AC電力をインダクタに供給するためのDCからACへのコンバータ、例えばDCからACへのインバータをさらに備える、実施例i~56のいずれかに記載のエアロゾル発生システム。
実施例58
システムが、エアロゾル発生物品と、エアロゾル発生物品を受容するように構成されるエアロゾル発生装置と、を備える、実施例i~57に記載のエアロゾル発生システム。
実施例59
エアロゾル発生物品がエアロゾル形成基体を含み、サセプタがエアロゾル形成基体と熱連通して配設される、実施例58に記載のエアロゾル発生システム。
実施例60
エアロゾル発生物品が使い捨て物品である、実施例58または59に記載のエアロゾル発生システム。
実施例61
エアロゾル発生装置が、インダクタ、コントローラ、およびコントローラに電力を供給するための電源を備える、実施例58~60のいずれかに記載のエアロゾル発生システム。
実施例62
エアロゾル発生装置が、電源によって供給される直流を、インダクタを供給するための交流電流に変換するDC/ACコンバータをさらに備える、実施例61によるエアロゾル発生システム。
実施例63
少なくとも一つの電力パラメータが、DC/ACコンバータに供給される電流であるか、またはこれを含む、実施例62に記載のエアロゾル発生システム。
実施例64
使用セッション中に、エアロゾル形成基体を誘導加熱して吸入可能なエアロゾルを発生するように構成されたエアロゾル発生装置を備える、実施例i~63のいずれかに記載のエアロゾル発生システム。
実施例65
システムが、較正モードおよび加熱モードで動作するように構成される、実施例i~64のいずれかに記載のエアロゾル発生システム。
実施例66
コントローラが、所定の温度範囲を通過してサセプタを加熱する工程と、サセプタが所定の温度範囲を通過して冷却されることを可能にする工程と、相転移の上方境界および下方境界に関連付けられた制御パラメータの上方境界値および下方境界値を識別する工程と、制御パラメータの目標値を決定する工程と、を含む、較正モードで動作するように構成される、実施例65に記載のエアロゾル発生システム。
実施例67
所定の温度範囲を通過してサセプタを加熱する工程が、誘導加熱配設に電力を供給することと、制御パラメータを監視して、所定の温度範囲を通過して加熱するときにサセプタによって受けられる相転移の境界を識別することと、を伴う、実施例66に記載のエアロゾル発生システム。
実施例68
所定の温度範囲を通過してサセプタを加熱するために供給される電力が、80%超、例えば90%超、例えば100%の負荷サイクルで供給される、実施例66または67に記載のエアロゾル発生システム。
実施例69
サセプタが所定の温度範囲を通過して冷却されることを可能にする工程が、低減された負荷サイクルで誘導加熱配設に電力を供給すること、および制御パラメータを監視することを伴う、実施例66~68のいずれかに記載のエアロゾル発生システム。
実施例70
サセプタが所定の温度範囲を通過して冷却されることを可能にする工程が、エネルギーのパルス、例えば電流のパルス、例えば10%未満、例えば2%未満または1%未満の負荷サイクルを有するエネルギーのパルスとして誘導加熱配設に電力を供給することと、パルスの各々の間の制御パラメータの値を監視することと、を伴う、実施例66~69のいずれかに記載のエアロゾル発生システム。
実施例71
コントローラが、誘導加熱配設にエネルギーのパルス、例えば電流パルスを供給する工程と、制御パラメータを監視する工程と、制御パラメータがそのパルス中に目標パラメータに到達した場合にパルスを切断する工程と、を含む、加熱モードで動作するように構成される、実施例65~70のいずれかに記載のエアロゾル発生システム。
実施例72
加熱モード中に誘導加熱配設に供給される電力に対する電気制御パラメータの応答が所定の条件を満たさないと判定されたときに、例えば一つの可能な構成では、電気制御パラメータの値が、加熱モード中に誘導加熱配設に供給される電力に応答して上昇する場合、または例えば電気制御パラメータの値が、加熱モード中に誘導加熱配設に供給される電力に応答して低下しない場合、または例えば、別の可能な構成では、電気制御パラメータの値が、加熱モード中に誘導加熱配設に供給される電力に応答して低下する場合、または例えば、電気制御パラメータの値が、加熱モード中に誘導加熱配設に供給される電力に応答して上昇できない場合に、システムが加熱モードから回復モードに切り替わるように構成される、実施例i~71のいずれかに記載のエアロゾル発生システム。
実施例73
回復モードが、例えば誘導加熱配設に供給される電力を低減または除去することによって、サセプタを冷却することを可能にする工程を含む、実施例72に記載のエアロゾル発生システム。
実施例74
回復モードが、制御パラメータの新たな目標値を決定するための再較正を含む、実施例72または73に記載のエアロゾル発生システム。
実施例75
加熱モードが、回復モードの完了後に再開される、実施例72~74のいずれかに記載のエアロゾル発生システム。
実施例76
実施例i~75のいずれかにおいて定義されるエアロゾル発生システムで使用されるように構成された、エアロゾル発生装置。
実施例77
実施例i~75のいずれかにおいて定義されるエアロゾル発生システムで使用されるように構成された、エアロゾル発生物品。
実施例78
誘導加熱エアロゾル発生システムを制御する方法であって、システムが、インダクタおよびサセプタを有する誘導加熱配設と、
コントローラと、を備え、
方法が、
(a)エアロゾル発生システムの動作加熱モード中に電気制御パラメータを監視する工程と、
(b)電気制御パラメータの目標値を参照して、誘導加熱配設に供給される電力を制御することによって、サセプタの温度を動作温度範囲内に維持する工程と、
(c)動作加熱モード中に誘導加熱配設に供給される電力に対する電気制御パラメータの応答が、所定の条件を満たすかどうかをチェックする工程と、
(d)応答が所定の条件を満たさない場合に、動作の変更を実施する工程と、を含む、方法。
実施例79
工程(c)が、誘導加熱配設に供給される電力に応答して、電気制御パラメータの値が増加するか、または減少するかのチェックを伴う、実施例78に記載の方法。
実施例80
サセプタの少なくとも一部分が、所定の温度範囲を通過して加熱されたときに可逆的相転移を受けるように構成され、
方法が、
動作中に誘導加熱配設に供給される電力を表す少なくとも一つの電力パラメータを監視する工程と、
電気制御パラメータを電力パラメータから導出する工程と、
サセプタを所定の温度範囲を通過して加熱する工程と、
相転移の上方境界および下方境界に関連付けられた電気制御パラメータの上方境界値および下方境界値を識別する工程と、
制御パラメータの目標値を決定する工程であって、制御パラメータの目標値が上方境界値と下方境界値との間にある、決定する工程と、
電気制御パラメータの目標値を参照して、動作加熱段階中に誘導加熱配設に供給される電力を制御して、サセプタの温度を所望の動作温度範囲内に維持する工程と、
動作加熱段階中に誘導加熱配設に供給される電力に対する電気制御パラメータの応答を監視および分析して、サセプタの温度が所望の動作温度範囲内にあるかどうかを判定する工程と、を含む、実施例78または79に記載の誘導加熱エアロゾル発生システムを制御する方法。
実施例81
電気制御パラメータの応答が不適切な応答であるとみなされる場合、誘導加熱配設に供給される電力が低減または除去される冷却モードまたは回復モードを開始する、さらなる工程を含む、実施例78、79、または80に記載の方法。
実施例82
実施例i~75のいずれかにおいて定義されるエアロゾル発生システムを使用して、実施例78~81のいずれかにおいて定義されるエアロゾル発生システムを制御する方法。
【0076】
ここで、以下の図を参照しながら実施例をさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0077】
図1図1はエアロゾル発生物品の概略断面図を示す。
図2A図2Aは、図1に示すエアロゾル発生物品と共に使用するためのエアロゾル発生装置の概略断面図を示す。
図2B図2Bは、図1に示すエアロゾル発生物品と係合するエアロゾル発生装置の概略断面図を示す。
図3図3図2に関連して説明したエアロゾル発生装置の誘導加熱装置を示すブロック図である。
図4図4図3に関連して説明した誘導加熱装置の電子構成要素を示す概略図である。
図5図5は、図4に関連して説明した誘導加熱装置のLC負荷ネットワークのインダクタ上の概略図である。
図6図6はサセプタ材料がそのキュリー点に関連する相転移を受けるときに発生する、遠隔検出可能な電流の変化を示したDC電流対時間のグラフである。
図7図7はサセプタ材料がそのキュリー点に関連する相転移を受けるときに発生する、遠隔検出可能な電流の変化を図示した見かけのコンダクタンス対時間のグラフである。
図8図8は、サセプタが導体に対して位置を移動する時の見かけのコンダクタンス曲線のシフトを示すグラフである。
図9図9は、見かけのコンダクタンス曲線のシフトがシステムの温度制御に与え得る効果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0078】
図1は、エアロゾル発生システムで使用するためのエアロゾル発生物品100が示す。図1に示すエアロゾル発生物品100は、エアロゾル発生基体のロッド12と、エアロゾル発生基体のロッド12の下流の位置にある下流セクション14と、を備える。さらに、エアロゾル発生物品100は、エアロゾル発生基体のロッド12の上流の場所に上流セクション16を備える。したがって、エアロゾル発生物品100は、上流または遠位端18から下流または口側端20まで延在する。
【0079】
下流セクション14は、エアロゾル発生基体のロッド12のすぐ下流に位置する支持要素22を備え、支持要素22は、ロッド12と長軸方向に整列している。図1の実施形態では、支持要素22の上流端は、エアロゾル発生基体のロッド12の下流端に当接している。加えて、下流セクション14は、支持要素22のすぐ下流に位置するエアロゾル冷却要素24を備え、エアロゾル冷却要素24は、ロッド12および支持要素22と長軸方向の整列の状態にある。図1の実施形態において、エアロゾル冷却要素24の上流端は、支持要素22の下流端に当接している。
【0080】
支持要素22およびエアロゾル冷却要素24は共に、エアロゾル発生物品100の中間中空セクション50を画定する。全体として、中間中空セクション50は、エアロゾル発生物品の全体的なRTDに実質的に寄与しない。
【0081】
支持要素22は、第一の中空管状セグメント26を備える。第一の中空管状セグメント26は、セルロースアセテートで作製された中空円筒状管の形態で提供されている。第一の中空管状セグメント26は、第一の中空管状セグメントの上流端30から第一の中空管状セグメント26の下流端32まで全面的に延在している、内部空洞28を画定する。内部空洞28は、実質的に空であり、そのため、内部空洞28に沿って、実質的に制限のない気流が可能である。
【0082】
第一の中空管状セグメント26は、約8ミリメートルの長さ、約7.25ミリメートルの外径、および約1.9ミリメートルの内径(DFTS)を有する。したがって、第一の中空管状セグメント26の周辺壁の厚さは、約2.67ミリメートルである。
【0083】
エアロゾル冷却要素24は、第二の中空管状セグメント34を備える。第二の中空管状セグメント34は、セルロースアセテートで作製された中空円筒状管の形態で提供されている。第二の中空管状セグメント34は、第二の中空管状セグメントの上流端38から第二の中空管状セグメント34の下流端40に全面的に延在している内部空洞36を画定する。内部空洞36は、実質的に空であり、そのため、内部空洞36に沿って、実質的に制限のない気流が可能である。
【0084】
第二の中空管状セグメント34は、約8ミリメートルの長さ、約7.25ミリメートルの外径、および約3.25ミリメートルの内径(DSTS)を有する。したがって、第二の中空管状セグメント34の周辺壁の厚さは、約2ミリメートルである。
【0085】
エアロゾル発生物品100は、第二の中空管状セグメント34に沿った場所に提供された通気ゾーン60を備える。より詳細には、通気ゾーンは、第二の中空管状セグメント34の上流端から約2ミリメートルにて提供されている。エアロゾル発生物品100の通気レベルは、約25パーセントである。
【0086】
図1の実施形態では、下流セクション14は、中間中空セクション50の下流の位置にマウスピース要素42をさらに備える。より詳細には、マウスピース要素42は、エアロゾル冷却要素24のすぐ下流に位置付けられる。図1の図面に示す通り、マウスピース要素42の上流端は、エアロゾル冷却要素18の下流端40に当接する。
【0087】
マウスピース要素42は、低密度酢酸セルロースの円筒形プラグの形態で提供されている。マウスピース要素42は、約12ミリメートルの長さ、および約7.25ミリメートルの外径を有する。
【0088】
ロッド12は、上述のタイプのうちの一つのエアロゾル発生基体を含む。エアロゾル発生基体のロッド12は、約7.25ミリメートルの外径、および約12ミリメートルの長さを有する。
【0089】
エアロゾル発生物品100は、エアロゾル発生基体のロッド12内に細長いサセプタ要素44をさらに備える。より詳細には、サセプタ要素44は、ロッド12の長軸方向に対してほぼ平行になるように、エアロゾル発生基体内に実質的に長軸方向に配置されている。図1の図面に示されるように、サセプタ要素44は、ロッド内の半径方向で中央の位置に位置付けられており、ロッド12の長軸方向軸に沿って効果的に延びる。
【0090】
サセプタ要素44は、ロッド12の上流端から下流端まで全面的に延びている。実際には、サセプタ要素44は、エアロゾル発生基体のロッド12と実質的に同じ長さを有する。
【0091】
図1の実施形態では、サセプタ要素44は、細片の形態で提供されており、約12ミリメートルの長さ、約60マイクロメートルの厚さ、および約4ミリメートルの幅を有する。上流セクション16は、エアロゾル発生基体のロッド12のすぐ上流に位置する上流要素46を備え、上流要素46は、ロッド12と長軸方向に整列している。図1の実施形態では、上流要素46の下流端は、エアロゾル発生基体のロッド12の上流端に当接する。これにより、有利なことに、サセプタ要素44が外れることを防止する。さらに、これにより、消費者が使用後に加熱されたサセプタ要素44に偶発的に接触し得ないことを確実にする。
【0092】
上流要素46は、硬質ラッパーによって囲まれたセルロースアセテートの円筒形プラグの形態で提供される。上流要素46は、約5ミリメートルの長さを有する。
【0093】
サセプタ44は、少なくとも二つの異なる材料を含む。サセプタ44は、少なくとも二つの層、すなわち、第二のサセプタ材料の第二の層と物理的に接触して配置される第一のサセプタ材料の第一の層を含む。第一のサセプタ材料および第二のサセプタ材料は各々、キュリー転移を受ける材料であってもよく、従って各々キュリー温度を有してもよい。この場合、第二のサセプタ材料のキュリー温度は第一のサセプタ材料のキュリー温度よりも低い。第一の材料は、キュリー転移を受けなくてもよく、キュリー温度を有しなくてもよい。第一のサセプタ材料は、アルミニウム、鉄またはステンレス鋼であってもよい。第二のサセプタ材料は、ニッケルまたはニッケル合金であってもよい。サセプタ44は、第二のサセプタ材料の少なくとも一つのパッチを第一のサセプタ材料の細片上に電気めっきすることによって形成されてもよい。サセプタは、第二のサセプタ材料の細片を第一のサセプタ材料の細片に被覆することによって形成され得る。
【0094】
使用において、空気は、遠位端18から口側端20に、ユーザーによってエアロゾル発生物品100を介して引き出される。エアロゾル発生物品100の遠位端18はまた、エアロゾル発生物品100の上流端として記述されてもよく、エアロゾル発生物品100の口側端20はまた、エアロゾル発生物品100の下流端として記述されてもよい。口側端20と遠位端18との間に位置するエアロゾル発生物品100の要素は、口側端20の上流、または代替的に遠位端18の下流にあると記述することができる。エアロゾル形成基体12は、エアロゾル発生物品100の遠位端または上流端18に位置する。
【0095】
図1に示したエアロゾル発生物品100は、図2Aに示したエアロゾル発生装置200などのエアロゾル発生システムのエアロゾル発生装置と係合して、エアロゾルを生成するように設計されている。エアロゾル発生装置200は、エアロゾル発生物品100を受容するよう構成された空洞220を有するハウジング210を含む。エアロゾル発生装置200は、エアロゾルを生成するためのエアロゾル発生物品100を加熱するように構成された誘導加熱装置230をさらに含む。図2Bは、エアロゾル発生物品100が空洞220内に挿入されるときの、エアロゾル発生装置200を示す。
【0096】
誘導加熱装置230は、図3にブロック図として示されている。誘導加熱装置230は、DC電源310および加熱配設320(電源電子回路とも呼ぶ)を備える。加熱配設は、コントローラ330、DC/ACコンバータ340、整合ネットワーク350、およびインダクタ240を含む。
【0097】
DC電源310は、DC電力を加熱配設320に提供するように構成される。具体的には、DC電源310は、DC供給電圧(VDC)およびDC電流(IDC)をDC/ACコンバータ340に提供するように構成される。電源310はリチウムイオン電池などの電池であることが好ましい。代替として、電源310はコンデンサなどの別の形態の電荷蓄積装置であってもよい。電源310は再充電を必要とする場合がある。例えば、電源310はおおよそ六分間、または六分の倍数の時間にわたるエアロゾルの連続的な発生を可能にするのに十分な容量を有してもよい。別の例において、電源310は所定の回数の吸煙、または加熱配設の不連続的な起動を可能にするのに十分な容量を有してもよい。
【0098】
DC/ACコンバータ340は、高周波の交流電流をインダクタ240に供給するように構成される。本明細書で使用される場合、「高周波の交流電流」という用語は、約500キロヘルツ~約30メガヘルツの周波数を有する、交流電流を意味する。高周波の交流電流は、約1メガヘルツ~約30メガヘルツ(約1メガヘルツ~約10メガヘルツ、または約5メガヘルツ~約8メガヘルツなど)の周波数を有してもよい。
【0099】
図4は、誘導加熱装置230、特にDC/ACコンバータ340の電気構成要素を概略的に示す。DC/ACコンバータ340は、好ましくはクラスE電力増幅器を備える。クラスE電力増幅器は、電界効果トランジスタ420、例えば金属酸化膜半導体電界効果トランジスタを含むトランジスタスイッチ410と、電界効果トランジスタ420に切換信号(ゲート・ソース電圧)を供給するための矢印430で示したトランジスタスイッチ供給回路と、分路コンデンサC1およびインダクタ240に対応するコンデンサC2とインダクタL2の直列接続を含むLC負荷ネットワーク440とを備える。さらに、チョークL1を備えるDC電源310が、動作中にDC電源310から引き出される、DC電流IDCと共に、DC供給電圧VDCを供給するために示されている。インダクタL2のオーム抵抗Rcoilと、サセプタ44のオーム抵抗Rloadとの和である、合計オーム負荷450を表すオーム抵抗Rが、図5により詳細に示される。
【0100】
DC/ACコンバータ340は、クラスE電力増幅器を含むものとして示されているが、DC/ACコンバータ340は、DC電流をAC電流に変換する任意の適切な回路を使用し得ることが理解されるべきである。例えば、DC/ACコンバータ340は、二つのトランジスタスイッチを含むクラスD電力増幅器を備えてもよい。別の例として、DC/ACコンバータ340は、対で作用する四つのスイッチングトランジスタを有するフルブリッジ電力インバータを備えてもよい。
【0101】
図3に戻ると、インダクタ240は、負荷への最適な適合のために整合ネットワーク350を介してDC/ACコンバータ340から交流電流を受信してもよいが、整合ネットワーク350は必須ではない。整合ネットワーク350は小型の整合変成器を備え得る。整合ネットワーク350は、DC/ACコンバータ340とインダクタ240との間の電力伝達効率を改善し得る。
【0102】
図2Aに示すように、インダクタ240は、エアロゾル発生装置200の空洞220の遠位部分225に隣接して位置する。したがって、エアロゾル発生装置200の動作中に、インダクタ240に供給される高周波の交流電流は、インダクタ240に、エアロゾル発生装置200の遠位部分225内に高周波の交番磁界を発生させる。交番磁界は、好ましくは1~30メガヘルツ、好ましくは2~10メガヘルツ、例えば5~7メガヘルツの周波数を有する。図2Bから分かるように、エアロゾル発生物品100が空洞200に挿入されるとき、エアロゾル発生物品100のエアロゾル形成基体12は、エアロゾル発生物品100のサセプタ44がこの交番磁界内に位置するように、インダクタ240に隣接して位置する。交番磁界がサセプタ44を貫通すると、交番磁界がサセプタ44の加熱を引き起こす。例えば、渦電流は、結果として加熱されるサセプタ44内で発生される。さらなる加熱がサセプタ44内の磁気ヒステリシス損失により提供される。加熱されたサセプタ44は、エアロゾルを形成するのに十分な温度までエアロゾル発生物品100のエアロゾル形成基体12を加熱する。エアロゾルはエアロゾル発生物品100を通って下流に引き出され、ユーザーによって吸い込まれる。
【0103】
コントローラ330はマイクロコントローラ、好ましくはプログラム可能なマイクロコントローラであってもよい。コントローラ330は、サセプタ44の温度を制御するために、DC電源310から誘導加熱配設320への電力供給を調節するようにプログラムされる。コントローラは、説明されるように、吸煙センサ360から入力を受信してもよい。
【0104】
図6は、サセプタ44の温度(温度は破線620で示される)が上昇するにつれて経時的に電源310から引き出されるDC電流IDC間の関係を示す。DC電流は線600で示される。電源310から引き出されるDC電流IDCは、DC/ACコンバータ340の入力側で測定される。この図の目的上、電源310の電圧VDCはほぼ一定であると想定され得る。インダクタおよびサセプタは、誘導加熱配設の一部を形成する。サセプタ44が誘導加熱されると、誘導加熱配設およびサセプタ自体の見かけの抵抗が増加し、コンダクタンスが抵抗の逆数であるため、誘導加熱配設の見かけのコンダクタンスは減少する。抵抗の増加は、電源310から引き出されるDC電流IDCの減少として観察され、定電圧では、サセプタ44の温度が上昇するにつれて減少する。インダクタ240によって提供される高周波の交番磁界は、サセプタ表面の近くで、表皮効果として既知の効果である渦電流を誘導する。サセプタ44の抵抗は、第一のサセプタ材料の電気抵抗率、第二のサセプタ材料の抵抗率に部分的に、および誘導された渦電流に利用可能なそれぞれの材料の表皮層の深さに部分的に依存し、抵抗率は温度に依存する。第二のサセプタ材料がそのキュリー温度に達すると、その磁気特性が失われる。これにより、第二のサセプタ材料内で渦電流に利用可能な表皮層が増え、これによりサセプタ44の見かけの抵抗が減少する。その結果、第二のサセプタ材料の皮膚深度が増加し始め、抵抗が下がり始めると、検出されたDC電流IDCの一時的な増加が生じる。これは図6の谷602(局所最小値)として見られる。電流は、第二のサセプタ材料がその自然磁気特性を失った点と整合する最大皮膚深度に達するまで増加し続ける。この点はキュリー温度と呼ばれ、図6では丘601(局所最大値)として見られる。この時点で、第二のサセプタ材料は、強磁性またはフェリ磁性状態から常磁性状態への相変化を受けている。この時点で、サセプタ44は既知の温度(固有材料特異的温度であるキュリー温度)にある。インダクタ240が、キュリー温度に達した後、交番磁界を発生し続ける場合(すなわち、DC/ACコンバータ340への電力が中断されない)、サセプタ44内で発生される渦電流が、サセプタ44の抵抗に対して流れ、これにより、サセプタ44のジュール加熱が継続され、これにより、抵抗は再び増加し(抵抗は温度の多項式依存性を有し、大半の金属サセプタ材料については、発明者らの目的のために三次多項式依存性に近似することができる)、電流は、インダクタ240がサセプタ44に電力を供給し続ける限り、再び低下し始める。
【0105】
したがって、図6から分かるように、サセプタ44の見かけの抵抗(および対応する電源310から引き出される電流IDC)は、サセプタ44の特定の温度範囲にわたる厳密に単調な関係にあるサセプタ44の温度によって変化し得る。厳密に単調な関係により、見かけの抵抗または見かけのコンダクタンス(1/R)の決定からのサセプタ44の温度の明確な決定が可能になる。これは、見かけの抵抗の決定された値がそれぞれ、温度の一つの値のみを表すためであり、その関係に曖昧性がない。サセプタ44の温度と見かけの抵抗との単調な関係は、サセプタ44の温度を判定および制御することができるようにし、したがってエアロゾル形成基体12の温度を判定および制御することができる。サセプタ44の見かけの抵抗は、少なくともDC電源310から引き出されるDC電流IDCを監視することによって遠隔的に検出することができる。
【0106】
少なくとも、電源310から引き出されるDC電流IDCは、コントローラ330によって監視される。好ましくは、電源310から引き出されるDC電流IDCおよびDC供給電圧VDCの両方が監視される。コントローラ330は、コンダクタンス値または抵抗値に基づいて、加熱配設320に提供される電力の供給を調節する。コンダクタンスは、DC電流IDCのDC供給電圧VDCに対する比率として定義され、抵抗は、DC供給電圧VDCのDC電流IDCに対する比率として定義される。加熱配設320は、DC電流IDCを測定するための電流センサ(図示せず)を備えてもよい。加熱配設は、DC供給電圧VDCを測定するための電圧センサ(図示せず)を随意に含み得る。電流センサおよび電圧センサは、DC/ACコンバータ340の入力側に位置する。DC電流IDC、および任意選択でDC供給電圧VDCは、コントローラ330へのフィードバックチャネルによって提供され、インダクタ240へのAC電力PACのさらなる供給を制御する。
【0107】
コントローラ330は、サセプタ44の温度を電気制御パラメータ(これは測定された見かけのコンダクタンス値または測定された見かけの抵抗値であり得る)を、サセプタ44の目標動作温度に対応する目標値に維持することによって制御し得る。コントローラ330は、任意の適切な制御ループを使用して、例えば、比例積分微分制御ループを使用することによって、測定されたコンダクタンス値または測定された抵抗値を目標値に維持してもよい。
【0108】
サセプタ44の見かけの抵抗(または見かけのコンダクタンス)とサセプタ44の温度との間の厳密に単調な関係を利用するために、エアロゾルを生成するためのユーザー操作中、コンダクタンス値またはサセプタと関連付けられ、DC/ACコンバータ340の入力側で測定される抵抗値が、第一の較正温度に対応する第一の較正値と、第二の較正温度に対応する第二の較正値との間に維持される。第二の較正温度は、第二のサセプタ材料(図6の電流プロットの丘601)のキュリー温度である。第一の較正温度は、第二のサセプタ材料の皮膚深度が増加し始める(抵抗の一時的な低下をもたらす)、サセプタの温度以上の温度である。したがって、第一の較正温度は、第二のサセプタ材料の最大透過性における温度以上の温度である。第一の較正温度は、好ましくは第二の較正温度より少なくとも摂氏50度低い。少なくとも第二の較正値は、以下でより詳細に説明するように、サセプタ44の較正によって決定されてもよい。第一の較正値および第二の較正値は、コントローラ330のメモリ内に較正値として記憶されてもよい。
【0109】
コンダクタンス(抵抗)は、温度に対する多項式依存性を有するため、コンダクタンス(抵抗)は、温度の関数として非線形に挙動する。しかしながら、第一および第二の較正値は、第一の較正値と第二の較正値との間の差が小さいために、この依存性が第一の較正値と第二の較正値との間で線形として近似され得るように、そして第一および第二の較正値が動作温度範囲の上部にあるように選択される。したがって、温度を目標動作温度に調整するために、コンダクタンスは、線形方程式を介して、第一の較正値および第二の較正値に従って調整される。例えば、第一および第二の較正値がコンダクタンス値である場合、目標動作温度に対応する目標コンダクタンス値は、次のように与えられ得る:
Target=GLower+(x×ΔG)
式中、ΔGは、第一のコンダクタンス値と第二のコンダクタンス値との間の差であり、xはΔGの割合である。
【0110】
コントローラ330は、DC/ACコンバータ340のスイッチングトランジスタ410の負荷サイクルを調整することによって、加熱配設320への電力の提供を制御してもよい。例えば、加熱中に、DC/ACコンバータ340は、サセプタ44を加熱する交流電流を継続的に発生し、また同時にDC供給電圧VDCおよびDC電流IDCは、好ましくは一ミリ秒ごとに100ミリ秒間測定されてもよい。コントローラ330によってコンダクタンスが監視される場合、コンダクタンスが目標動作温度に対応する値に達するまたは超えると、スイッチングトランジスタ410の負荷サイクルが低減される。コントローラ330によって抵抗が監視される場合、抵抗が目標動作温度に対応する値に達するまたは下回るとき、スイッチングトランジスタ410の負荷サイクルが低減される。例えば、スイッチングトランジスタ410の負荷サイクルは、約9%に低減され得る。言い換えれば、スイッチングトランジスタ410は、1ミリ秒の持続時間の間、10ミリ秒ごとにのみパルスを発生するモードに切り替わってもよい。スイッチングトランジスタ410のこの1ミリ秒のオン状態(導電状態)の間、DC供給電圧VDCの値およびDC電流IDCの値が測定され、コンダクタンスが決定される。コンダクタンスが減少する(または抵抗が増加する)と、サセプタ44の温度は目標動作温度を下回ることを示すため、トランジスタ410のゲートは、システムの選択された駆動周波数でパルスのトレーンを再び供給される。
【0111】
電力は、電流の連続した一連のパルスの形態でコントローラ330によってインダクタ240に供給されてもよい。特に、電力は、それぞれが時間間隔ごとに分離された一連のパルスで、インダクタ240に供給されてもよい。連続した一連のパルスは、二つ以上の加熱パルスおよび連続した加熱パルス間の一つ以上のプロービングパルスを含んでもよい。加熱パルスは、サセプタ44を加熱するなどの強度を有する。プロービングパルスは、サセプタ44を加熱するのではなく、むしろコンダクタンス値または抵抗値、次いでサセプタ温度の進化(減少)に関するフィードバックを得るような強度を有する分離されたパワーパルスである。コントローラ330は、DC電源によってインダクタ240に供給される電力の連続した加熱パルス間の時間間隔の持続時間を制御することによって、電力を制御してもよい。追加的または代替的に、コントローラ330は、DC電源によってインダクタ240に供給される電力の連続した加熱パルスのそれぞれの長さ(言い換えれば、持続時間)を制御することによって、電力を制御し得る。
【0112】
コントローラ330は、コンダクタンスがサセプタ44の既知の温度で測定される較正値を得るために、較正プロセスを実施するようにプログラムされる。サセプタの既知の温度は、第一の較正値に対応する第一の較正温度と、第二の較正値に対応する第二の較正温度とであってもよい。好ましくは、較正プロセスは、ユーザーがエアロゾル発生装置200を操作するたびに、例えば、ユーザーがエアロゾル発生物品100をエアロゾル発生装置200に挿入するたびに実施される。
【0113】
較正プロセス中、コントローラ330は、DC/ACコンバータ340を制御して、サセプタ44を加熱するために、継続的にまたは断続的に電力をインダクタ240に供給する。コントローラ330は、電源によって引き出される電流IDC、および場合により、供給電圧VDCを測定することによって、誘導加熱配設またはサセプタ44に関連するコンダクタンスまたは抵抗を監視する。図6に関連して上述したように、サセプタ44が加熱されると、測定された電流は、第一の転換点602に達し、電流が増加するまで減少する。この第一の転換点または谷602は、局所最小コンダクタンス値(局所最大抵抗値)に対応する。コントローラ330は、第一の較正値として、コンダクタンスの局所最小値(または抵抗の局所最大値)を記録してもよい。コントローラは、最小電流に達した後の所定の時間におけるコンダクタンスまたは抵抗の値を第一の較正値として記録し得る。コンダクタンスまたは抵抗は、測定された電流IDCおよび測定された電圧VDCに基づいて決定され得る。あるいは、電源310の既知の特性である、供給電圧VDCがほぼ一定であると仮定されてもよい。第一の較正値におけるサセプタ44の温度は、第一の較正温度と称される。第一の較正温度は、摂氏150度~摂氏350度であることが好ましい。より好ましくは、エアロゾル形成基体12がたばこを含む場合、第一の較正温度は摂氏320度である。第一の較正温度は、第二の較正温度より少なくとも摂氏50度低い。
【0114】
コントローラ330が、DC/ACコンバータ340によって提供されるインダクタ240への電力を制御し続けると、測定された電流は、測定された電流が減少し始める前に、第二の転換点601に達し、最大電流(第二のサセプタ材料のキュリー温度に対応する)が観察されるまで増加する。この転換点または丘601は、局所最大コンダクタンス値(局所最小抵抗値)に対応する。コントローラ330は、コンダクタンスの局所最大値(または抵抗の局所最小値)を第二の較正値として記録する。第二の較正値でのサセプタ44の温度は、第二の較正温度と称される。好ましくは、第二の較正温度は、摂氏200度~摂氏400度である。最大値が検出されると、コントローラ330は、DC/ACコンバータ340を制御して、インダクタ240への電力の提供を中断し、その結果、サセプタの冷却をもたらす。
【0115】
サセプタ44を継続的に加熱して第一の較正値および第二の較正値を得るこの較正プロセスは、較正の信頼性を改善するために少なくとも一回繰り返されてもよい。
【0116】
較正プロセスの信頼性をさらに改善するために、コントローラ310は、較正プロセスの前に予熱プロセスを実施するように任意にプログラムされてもよい。例えば、エアロゾル形成基体12が特に乾燥しているか、または類似の条件である場合、較正は、熱がエアロゾル形成基体12内に広がる前に実施され、較正値の信頼性が低減されことがある。エアロゾル形成基体12が湿っていた場合、サセプタ44は谷温度に達するのにより長い時間がかかる(基体12の水分含量による)。
【0117】
予熱プロセスを実施するために、コントローラ330は、継続的に電力をインダクタ240に供給するように構成される。上述のように、電流は、サセプタ44の温度の上昇と共に減少し始め、最小値に達する。この段階で、コントローラ330は、加熱を続ける前にサセプタ44が冷却できるように所定の期間待機するように構成される。したがって、コントローラ330は、DC/ACコンバータ340を制御して、インダクタ240への電力の提供を中断する。所定の期間の後、コントローラ330は、DC/ACコンバータ340を制御して、最小値に達するまで電力を供給する。この時点で、コントローラはDC/ACコンバータ340を制御して、再度、インダクタ240への電力の提供を中断する。コントローラ330は再び、同じ所定の時間待機して、加熱を続ける前にサセプタ44を冷却させる。このサセプタ44の加熱および冷却は、予熱プロセスの所定の持続時間にわたって繰り返される。予熱プロセスの所定の持続時間は、好ましくは11秒である。予熱プロセスの所定の組み合わせた持続時間に続いて、較正プロセスは、好ましくは20秒である。
【0118】
エアロゾル形成基体12が乾燥している場合、予熱プロセスの第一の最小値は、所定の時間内に達し、電力の中断は、所定の時間の終了まで繰り返される。エアロゾル形成基体12が湿っている場合、予熱プロセスの第一の最小値は、所定の時間の終了に向かって達する。したがって、所定の持続時間の間予熱プロセスを実施することは、基体12の物理的状態にかかわらず、継続的に電力を供給して第一の最大値に達する準備ができている状態になるために、基体12が最低温度に達するのに十分な時間であることを保証する。これにより、基体12が事前に谷に達していないというリスクを負わずに、可能な限り早期に較正が可能となる。
【0119】
さらに、エアロゾル発生物品100は、最小値が常に予熱プロセスの所定の持続時間内に達成されるように構成されてもよい。予熱プロセスの所定の持続時間内に最小値に達しない場合、これは、エアロゾル形成基体12を含むエアロゾル発生物品100が、エアロゾル発生装置200での使用に適さないことを示し得る。例えば、エアロゾル発生物品100は、エアロゾル発生装置200で使用することが意図されたエアロゾル形成基体100とは異なる、またはより低品質のエアロゾル形成基体12を含む場合がある。別の例として、エアロゾル発生物品100は、例えば、エアロゾル発生物品100およびエアロゾル発生装置200が異なる製造業者によって製造される場合、加熱配設320と共に使用するように構成されない場合がある。したがって、コントローラ330は、エアロゾル発生装置200の動作を停止する制御信号を発生するように構成されてもよい。
【0120】
予熱プロセスは、例えば、エアロゾル発生装置200のユーザー起動などのユーザー入力の受信に応答して実施されてもよい。追加的または代替的に、コントローラ330は、エアロゾル発生装置200内のエアロゾル発生物品100の存在を検出するように構成されてもよく、予熱プロセスは、エアロゾル発生装置200の空洞220内のエアロゾル発生物品100の存在を検出することに応答して実施されてもよい。
【0121】
予熱プロセスおよび較正プロセスに続いて、コントローラ330は、サセプタ44に関連付けられたコンダクタンスまたは抵抗を目標値に維持するようDC/ACコンバータ340を制御する。これは、加熱プロセスまたは動作加熱モードと呼ばれる。目標値は、連続的または段階的に経時的に変化してもよいが、常に較正プロセス中に判定される最大値と最小値との間にある。再較正プロセスは、装置の使用期間にわたってドリフトし得る最大値および最小値を再確立するために、加熱プロセス中に設定された時間間隔で実施されてもよい。
【0122】
サセプタ44に関連付けられたコンダクタンスまたは抵抗を目標値に維持するために、コントローラ330はDC/ACコンバータ340の負荷サイクルを変化させる。サセプタが、システムでのユーザー吸煙中など、サセプタを通過する増加した気流によって冷却される場合、サセプタに関連付けられたコンダクタンスは低下する。次いで、コントローラ330は、電流パルスの負荷サイクルを増加させてインダクタに提供される電力を増加させ、それによってサセプタのコンダクタンスを目標値に向けて戻す。
【0123】
動作中の装置またはサセプタの過熱を防止するために、一つ以上の安全プロセスを実施してもよい。図7図8、および図9に関して概略的に図示された一つの安全プロセスは、誘導加熱配設に供給される電流パルスに対する電気制御パラメータの応答、すなわち、供給電流に対する見かけのコンダクタンスの応答を監視して、所定の条件が満たされていることをチェックすることを伴う。所定の条件は、動作加熱モード中に各パルスの持続時間にわたってコンダクタンス値が上昇することである。この条件が満たされない場合、コントローラは、サセプタを冷却し、再較正を実施してコンダクタンスの更新された目標値を決定する回復モードを実施する。
【0124】
図7は、例えば上述の較正モードにおけるような、誘導加熱配設の計算された見かけのコンダクタンスの、電力の連続的な供給に対する応答を示す。サセプタの過熱をもたらし得るため、較正モードが、参照番号704によって示される最大値を実質的に超えるサセプタの加熱をもたらす可能性は低いことに留意されたい。線705は、例示の目的で、図7の最大値704を超えて続いている。物品および装置は、上述の通りである。インダクタに電流を供給すると、サセプタの温度が上昇する。サセプタの温度が上昇すると、そのコンダクタンスは最初に低下する701。サセプタは、特定の温度(例えば、約300~400°Cの温度範囲内)で、相転移、特に強磁性相から常磁性相へのキュリー転移を受ける材料の一部分(ニッケル合金など)を含む。上述のように、この転移の開始は、コンダクタンスにおける極小値702によって検出可能である。サセプタの温度が電流供給の継続と共に上昇し続けると、相転移が進行し、コンダクタンスが上昇し続ける703。転移するサセプタ材料のキュリー温度にて、相転移は完了する。これは、コンダクタンスの極大値704によって検出可能である。コンダクタンスと温度との関係は、ここでその元の状態に戻り、コンダクタンスは、温度の上昇と共に減少する705。
【0125】
較正モードを動作させることによって、見かけのコンダクタンスの値を、任意の特定の誘導加熱配設(すなわち、特定のインダクタ/サセプタの組によって形成されるもの)の温度と整合させることができる。したがって、キュリー温度は既知であるため、この温度は、極大値704での見かけのコンダクタンスの値と等しいと判定され得る。次に、サセプタの温度は、較正されたコンダクタンス時間曲線の極小値702と極大値704との間に設定された見かけのコンダクタンス750の目標値を参照して制御され得る。
【0126】
見かけのコンダクタンスの目標値は、最小値702と最大値701との間に設定されることが注目に値する。この領域では、見かけのコンダクタンスは、温度の上昇と共に増加する。相転移の両側、すなわち、最小値702の前または最大値704の後、見かけのコンダクタンスは温度と共に減少する。また、見かけのコンダクタンス750の目標値は、サセプタがその相転移を受けている間(すなわち、最小値702と最大値704の間)、目標動作温度に等しいが、一方で曲線のs字形状は、見かけの抵抗の同じ値がより低い温度でも、より高い温度でも生じることを意味することも注目すべきである。
【0127】
エアロゾルを発生するための加熱モードの間、電流は誘導加熱配設に電流パルスとして供給され、これらのパルスは、上述のように、見かけのコンダクタンスの目標値を参照して制御される。サセプタの温度が正しく制御されていることをチェックするために、電流パルスに対する見かけのコンダクタンスの応答が判定される。サセプタが正しい温度に維持されている場合、見かけのコンダクタンスは電流パルスに応答して上昇する。これは、サセプタの温度が較正によって決定される最大値と最小値との間にあること、および所望の動作温度が、見かけのコンダクタンスの目標値を参照して制御することによって、達成されることを確認する。見かけのコンダクタンスが、電流パルスに応答して上昇するべきこの所定の基準を満たさない場合、障害が想定され、コントローラは、サセプタを冷却し、較正モードを実施する回復モードを実施する。
【0128】
図7に図示した曲線は、較正モードに対する見かけのコンダクタンスの応答の例である。こうしたモードは、エアロゾルを発生する前に物品が装置の中へと挿入されたときに実行されてもよい。較正を無効にし、サセプタの温度が不正確に維持される結果となる可能性のある、いくつかのシナリオが発生し得る。
【0129】
例えば、較正が行われるときに、物品が装置の中へと不正確に挿入される場合がある。これにもかかわらず、装置は、較正によって決定されるコンダクタンス目標値750に、温度を正常に調節する。しかしながら、使用中、物品は装置の中にさらに押し込まれる場合があり、それによってサセプタがインダクタに対して移動される。これにより、S曲線は、図8に示すように、その初期較正値700から新しい位置800にシフトダウンする。
【0130】
問題は、コンダクタンス目標値750が今や、新しいs曲線800の最大値804の上方に位置することである。結果として、装置は、較正された目標値750を参照して電流の供給を制御するよう試みるが、新しい最大値804が到達可能な最大コンダクタンス値であるs曲線の再配置に起因して、この目標値には到達することができない。装置は、較正されたコンダクタンス目標750を満たすために加熱を継続するが、最終的に新しい最大値804に達する。新しい最大値804に達した後、装置は、最大値804を実際に通過するまで加熱を継続する。最大値804の後、温度に対するコンダクタンスの応答は反転され、これは、電力パルスがトリガして見かけのコンダクタンスの減少を引き起こすことを意味する。
【0131】
効果は、図9に見ることができる。初期較正後、目標コンダクタンス750は、較正曲線の最大値704と最小値702との間に設定される。最初、加熱モードの間、電流パルスは誘導加熱配設に供給され、目標コンダクタンス値750を参照して制御される。こうした制御されたパルスは、図9のパルス900の群に見られる。これらのパルスの傾きは、コンダクタンスが各パルスの持続時間にわたって増加するにつれて、ポジティブであることが分かる。物品が装置内で移動した後、上述のようにs曲線が変位する。その結果、この変則的な移動905の後の第一の電流パルスは、より低い見かけのコンダクタンスを記録する。コントローラがコンダクタンスを目標レベル750まで上昇させようとすると、コンダクタンスは後続のパルスと共に増加する。しかしながら、新しい最大値804は、目標値750よりも低く、これは、電流パルスが制御されないことを意味する。サセプタの温度が上昇すると、供給電力に対する見かけのコンダクタンスの応答が変化し、コンダクタンスは各パルス910と共に低下し始める。安全機構がない場合、温度はコンダクタンスが低下するにつれて上昇し続ける場合がある。しかしながら、第一のパルスがその持続時間にわたってコンダクタンスの増加を示さないと検出されると(例えば、パルス910)、コントローラは回復モードを開始する。
【0132】
本明細書および添付の特許請求の範囲の目的において、別途示されていない限り、量(amounts)、量(quantities)、割合などを表す全ての数字は、全ての場合において用語「約」によって修飾されるものとして理解されるべきである。また、全ての範囲は、開示された最大点および最小点を含み、かつその中の任意の中間範囲を含み、これらは本明細書に具体的に列挙されている場合もあり、列挙されていない場合もある。この文脈内で、数字Aは、数字Aが修正する特性の測定値に対する一般的な標準誤差内にある数値を含むと考えられてもよい。数字Aは、添付の特許請求の範囲で使用される通りの一部の場合において、Aが逸脱する量が特許請求する本発明の基本的かつ新規の特性に実質的に影響を及ぼさないという条件で、上記に列挙された割合だけ逸脱してもよい。また、全ての範囲は、開示された最大点および最小点を含み、かつその中の任意の中間範囲を含み、これらは本明細書に具体的に列挙されている場合もあり、列挙されていない場合もある。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【国際調査報告】