(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-12
(54)【発明の名称】ウルトラキャパシタモジュールを収めるデータセンターラック
(51)【国際特許分類】
H01G 11/78 20130101AFI20240705BHJP
H01G 11/10 20130101ALI20240705BHJP
H01M 50/204 20210101ALI20240705BHJP
【FI】
H01G11/78
H01G11/10
H01M50/204
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024500366
(86)(22)【出願日】2022-07-01
(85)【翻訳文提出日】2024-03-04
(86)【国際出願番号】 US2022035932
(87)【国際公開番号】W WO2023283125
(87)【国際公開日】2023-01-12
(32)【優先日】2021-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523271583
【氏名又は名称】キョーセラ・エーブイエックス・コンポーネンツ・コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー・カイン
(72)【発明者】
【氏名】ジョゼフ・エム・ホック
(72)【発明者】
【氏名】シェルビー・バートリー
【テーマコード(参考)】
5E078
5H040
【Fターム(参考)】
5E078AB13
5E078BA13
5E078BA44
5E078BA53
5E078CA06
5E078CA08
5E078DA03
5E078DA13
5E078FA02
5E078FA03
5E078FA12
5E078HA07
5E078HA12
5E078HA13
5E078JA02
5H040AA06
5H040AS01
5H040AY08
5H040NN05
(57)【要約】
データセンターラックが開示されている。データセンターラックは、コンピューティングデバイスを収容する複数のチャンバー開口部と、複数のウルトラキャパシタを備えるマウントウルトラキャパシタモジュールを収容する少なくとも1つのチャンバー開口部とを備える。データセンターラックを備えるデータセンターも開示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
データセンターラックであって、
コンピューティングデバイスを収める複数のチャンバー開口部と、
複数のウルトラキャパシタを備えるマウントウルトラキャパシタモジュールを収める少なくとも1つのチャンバー開口部とを備えるデータセンターラック。
【請求項2】
前記ウルトラキャパシタモジュールは、12Vから100Vの出力電圧を有する請求項1に記載のデータセンターラック。
【請求項3】
前記ウルトラキャパシタモジュールは、48Vの出力電圧を有する請求項1または2に記載のデータセンターラック。
【請求項4】
前記ウルトラキャパシタモジュールは、定格電圧および70℃の温度で50mA以下の漏れ電流を有する請求項1から3のいずれか一項に記載のデータセンターラック。
【請求項5】
前記ウルトラキャパシタモジュールは、50Fから1,000Fのキャパシタンスを有する請求項1から4のいずれか一項に記載のデータセンターラック。
【請求項6】
前記ウルトラキャパシタは、500Fから5,000Fのキャパシタンスを有する請求項1から5のいずれか一項に記載のデータセンターラック。
【請求項7】
前記ウルトラキャパシタモジュールは、18から60個のウルトラキャパシタを含む請求項1から6のいずれか一項に記載のデータセンターラック。
【請求項8】
前記ウルトラキャパシタモジュールは、各々ウルトラキャパシタを備えるウルトラキャパシタの少なくとも3つのバンクを含む請求項1から7のいずれか一項に記載のデータセンターラック。
【請求項9】
前記ウルトラキャパシタモジュールは、ウルトラキャパシタの複数のバンクを含み、前記複数のバンクは、電気的に並列接続される請求項1から8のいずれか一項に記載のデータセンターラック。
【請求項10】
前記ウルトラキャパシタモジュールは、スイッチング電源を備える請求項1から9のいずれか一項に記載のデータセンターラック。
【請求項11】
前記ウルトラキャパシタモジュールは、コンバータを備える請求項1から10のいずれか一項に記載のデータセンターラック。
【請求項12】
前記ウルトラキャパシタモジュールは、降圧コンバータ、昇圧コンバータ、または降圧/昇圧コンバータを備える請求項1から11のいずれか一項に記載のデータセンターラック。
【請求項13】
前記ウルトラキャパシタモジュールは、前記コンピューティングデバイスとの電気的接続のための外部端子を備える請求項1から12のいずれか一項に記載のデータセンターラック。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか一項に記載の前記データセンターラックを備えるデータセンター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、参照により全体が本明細書に組み込まれている、2021年7月6日が出願日である米国仮特許出願第63/218,566号の出願利益を主張するものである。
【背景技術】
【0002】
データセンターは、典型的には、大量の情報を記憶し、処理し、および/または配信するためのコンピューティングデバイスおよび関連コンポーネントを含むラックを備える。これらのデータセンターは、データセンターが完全な稼働状態を保つようにする電源も備え得る。従来、電源は、鉛蓄電池またはリチウムイオン電池システムなどの電池システムから構成されている。たとえば、これらのシステムは、データセンターおよびラックに適切な電力供給を行うために電気的に接続されている複数の電池を備え得る。しかしながら、電源に障害がある場合に、データセンターラックに必要な電力を供給することができる代替バックアップシステムを用意したいという要望がある。それに加えて、バックアップ電源は、データセンターラックに近接して配置され得ず、別の物理的場所に配置され得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
その結果、現在、データセンターラック用の改善された電源に対する必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の一実施形態により、データセンターラックが開示される。データセンターラックは、コンピューティングデバイスを収容する複数のチャンバー開口部と、複数のウルトラキャパシタを備えるマウントウルトラキャパシタモジュールを収容する少なくとも1つのチャンバー開口部とを備える。
【0005】
本発明の別の実施形態により、データセンターが開示される。データセンターはコンピューティングデバイスを収容する複数のチャンバー開口部と、複数のウルトラキャパシタを備えるマウントウルトラキャパシタモジュールを収容する少なくとも1つのチャンバー開口部とを備えるデータセンターラックを具備する。
【0006】
本発明の他の特徴および態様は、以下でより詳細に説明される。
【0007】
当業者を対象とする、最良の態様を含む、本発明の完全な、有用な開示は、添付図を参照する本明細書の残り部分においてより具体的に述べられている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】データセンターラックの一実施形態を例示する図である。
【
図2】ラックマウント可能ウルトラキャパシタモジュール(rack mountable ultracapacitor module)の一実施形態を例示する斜視図である。
【
図3】ラックマウント可能ウルトラキャパシタモジュールの一実施形態を例示する斜視図である。
【
図4】ウルトラキャパシタのハウジングの一実施形態を例示する図である。
【
図5】ウルトラキャパシタにおいて採用され得る集電体の一実施形態を例示する図である。
【
図6】ウルトラキャパシタにおいて採用され得る集電体/炭素コーティング構成の一実施形態を例示する図である。
【
図7】ウルトラキャパシタにおいて使用され得る電極アセンブリを形成するための一実施形態を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書および図面における参照文字の繰り返し使用は、本発明の同じ、または類似する、特徴もしくは要素を表すことが意図されている。
【0010】
本開示の説明は、例示的な実施形態の説明のみであり、本発明のより広範な態様を限定することを意図されず、より広範な態様は例示的な構成において具現化されることは、当業者によって理解されるべきである。
【0011】
一般的に言えば、本発明は、その中に装着されたウルトラキャパシタモジュールを備えるデータセンターラックを対象とする。本発明者らは、ウルトラキャパシタモジュールをラック内で直接的に利用することによって、様々な利点を実現され得ることを発見した。たとえば、ウルトラキャパシタモジュールは、特に一次電源のバックアップシステムとして、データセンターラック内のコンピューティングデバイスに必要な電力を供給することができるものとしてよい。したがって、そのようなラックマウント可能ウルトラキャパシタモジュールは、バックアップ電池システムなどの他の代替的手段よりも低コストでバックアップシステムとしての役割を果たすことができるものとしてよい。それに加えて、ウルトラキャパシタモジュールをデータセンターラック内に直接備えることによって、様々な他の利点が実現され得る。たとえば、この配置は、ウルトラキャパシタモジュールが容易に取り外され、必要な場合に交換されることを可能にし、それによって途絶を最小限度に抑え得る。同様に、ウルトラキャパシタモジュールは、電力が供給され得るコンピューティングデバイスにより近接して配置される。
【0012】
一般に、データセンターは、典型的には、大量の情報を記憶し、処理し、および/または配信するためのコンピュータシステムおよび関連コンポーネントを収納する領域である。一般的に、これらのデータセンターは、コンピューティングデバイスを含む1つまたは複数のデータセンターラックを利用する。データセンターラックは、ネットワークに通信可能に結合され得る。データセンターラックは、
図1にさらに例示されている。例示されているように、データセンターラック100は、ラックマウントコンピューティングデバイス110を受け入れるための複数のチャンバー開口部130を備え得る。これに関して、データセンターラック100は、1つまたは複数のラックマウントコンピューティングデバイス110を備え得る。例示されているように、コンピューティングデバイスは、垂直アレイで保持され得る。しかしながら、コンピューティングデバイスは、水平アレイで提示され得ることも理解されるべきである。同様に、コンピューティングデバイスは、垂直アレイと水平アレイとの組合せで提示されてもよい。
【0013】
さらに、コンピューティングデバイス用のラック内の各チャンバー開口部130内で、データセンターラックは、チャンバーの背面に複数の接続開口部を有し得る。そのような複数の接続開口部は、コンピューティングデバイスの接続を円滑にし得る。さらに、コンピューティングデバイスの種類は、本発明によって必ずしも制限されない。たとえば、コンピューティングデバイスは、サーバおよび関連する電源、ネットワークスイッチなどを含み得る。コンピューティングデバイスは、オペレーティングシステムおよびオペレーティングシステム内で実行されるアプリケーションを中に記憶し得る。
【0014】
それに加えて、例示されているように、データセンターラックは、チャンバー開口部130内に少なくとも1つのウルトラキャパシタモジュール120を含む。ウルトラキャパシタモジュールは、
図2および
図3にさらに例示されている。ウルトラキャパシタモジュールは、垂直アレイに入るように水平にマウントされ得る。一実施形態において、ウルトラキャパシタモジュールは、水平アレイに入るように垂直にマウントされ得る。それに加えて、
図2および
図3に例示されるように、ウルトラキャパシタモジュールは、データセンターラックの接続開口部を通しての接続を可能にする端子140を備え得る。そのような接続は、次いで、特にバックアップシステムとして、データセンターラックおよびコンピューティングデバイスに電力を供給することを可能にし得る。
【0015】
一実施形態において、データセンターラックは、1つのラックマウントウルトラキャパシタモジュールのみを備え得る。別の実施形態では、データセンターラックは、複数のウルトラキャパシタモジュールを備え得る。たとえば、データセンターラックは、2つのウルトラキャパシタモジュールまたは3つのウルトラキャパシタモジュールを含み得る。一実施形態において、データセンターラックは、ウルトラキャパシタモジュールとバッテリーモジュールの組合せを含み得る。
【0016】
前述の内容は、データセンターラックの説明であるが、データセンターラックの構成および配向は、本発明によって必ずしも限定されないことは理解されるべきである。さらに、データセンターラックはデータセンター内に設けられてもよいことは理解されるべきである。たとえば、データセンターは、2つ以上など、3つ以上など、5つ以上など、10個以上など、20個以上など、50個以上など、100個以上など、1つまたは複数のラックを備え得る。これに関して、データセンター内のデータセンターラックの数は、本発明によって必ずしも限定されないことは理解されるべきである。
【0017】
ウルトラキャパシタモジュールは、複数のウルトラキャパシタと、複数のウルトラキャパシタを収納するためのエンクロージャとを備える。一実施形態において、上述のように、モジュール内のウルトラキャパシタは、
図2および
図3に例示されているように端子140に電気的に接続され、これによりコンピューティングデバイスに電力を供給することが可能である。そのような外部端子は、ウルトラキャパシタの接続における最初および/または最後のウルトラキャパシタに設けられてもよい。さらに、
図2および
図3にも例示されているように、ウルトラキャパシタモジュールは、ウルトラキャパシタモジュールの容易な操作を可能にするための1つまたは複数のハンドル150を備え得る。たとえば、ハンドル150は、データセンターラックからのキャパシタモジュールの比較的容易な挿入および取り外しを可能にし得る。さらに、ハンドル150は、ウルトラキャパシタモジュールの前面、背面、または前面と背面に存在してもよい。限定する意図はないが、前面および/または背面は、データセンターラックの開口部に挿入されたときに見えるウルトラキャパシタモジュールの端部であろう。
【0018】
エンクロージャは、エンクロージャを形成するために任意の数の頂部、底部、および/または側部のエンクロージャ部材を含み得る。これに関して、ウルトラキャパシタモジュールのエンクロージャの構成は、本発明によって必ずしも限定されない。この点に関して、エンクロージャ部材は、当技術分野で知られている方法を使用して互いに接続され得る。たとえば、そのような方法または技術は、インターロック機構および/または締め具を含み得る。それに加えて、エンクロージャ部材は、モジュールおよびエンクロージャに構造的完全性を提供することができる当技術分野で知られている任意の材料から作られ得る。たとえば、エンクロージャ部材は、金属から作られてもよい。この金属は、限定はしないが、銀、銅、金、アルミニウム、モリブデン、亜鉛、リチウム、タングステン、ニッケル、鉄、パラジウム、白金、スズ、それらの合金、またはそれらの組合せを含み得る。合金は、限定はしないが、鋼鉄(たとえば、ステンレス鋼)、黄銅、青銅などを含み得る。一実施形態において、アルミニウムなどの金属、特に陽極酸化アルミニウムが利用され得る。別の実施形態では、エンクロージャ部材は、ポリマーから作られ得る。たとえば、ポリマーは、熱可塑性または熱硬化性ポリマーあってもよい。特定の一実施形態において、ポリマーは、熱可塑性ポリマーであってもよい。たとえば、熱可塑性ポリマーは、限定はしないが、ポリオレフィン(たとえば、ポリエチレン、ポリプロピレンなど)、ポリアミド(たとえば、ナイロン)、スチレン(たとえば、ポリスチレン、アクリロニトリルブタジエンスチレン)、アクリル(たとえば、ポリメチルメタクリレート)、ポリカーボネート、ポリエーテルケトン、ポリアリーレンスルフィド、ポリアセタールなどを含み得る。特に、熱可塑性ポリマーは、成形(たとえば、射出成形、ブロー成形など)が可能なポリマーであってよい。それに加えて、熱可塑性ポリマーは、40℃以上、50℃以上、75℃以上、100℃以上、125℃以上、150℃以上、200℃以上など、30℃以上の溶融温度を有し得る。これに関して、熱可塑性ポリマーは、一般的に、高性能ポリマーであってもよい。一実施形態において、両方のエンクロージャ部材は、同じ種類の材料から作られてもよい。しかしながら、エンクロージャ部材は、また、異なる種類の材料から作られ得ることは理解されるべきである。
【0019】
ウルトラキャパシタモジュール内のウルトラキャパシタは、当技術分野において知られている手段を使用して互いに接続され得る。たとえば、ウルトラキャパシタは、インターコネクト(バスバーとも称される)を使用して接続されてもよい。それに加えて、ウルトラキャパシタは、望まれる特定の特性に応じて、直列または並列に電気的に一緒に接続され得る。たとえば、一実施形態では、ウルトラキャパシタは、一方のウルトラキャパシタの特定の極性(たとえば、正)の端子が他方のウルトラキャパシタの反対極性(たとえば、負)の端子に接続されるように電気的に直列に接続され得る。代替的に、一実施形態において、ウルトラキャパシタは、並列に接続されてもよい。
【0020】
利用されるインターコネクトおよび材料の種類は、本発明によって必ずしも限定されない。たとえば、インターコネクトは、様々な材料から形成され得る。インターコネクトは、導電性である限り、任意の好適なプラスチック、樹脂、金属などを含み得る。一実施形態において、インターコネクトは、導電性金属などの、導電性材料から形成される。導電性金属は、限定はしないが、銅、スズ、ニッケル、アルミニウムなど、さらには合金および/または被覆金属を含み得る。特定の一実施形態において、インターコネクトは、アルミニウムから形成される。それに加えて、一実施形態において、インターコネクトは、比較的平坦であり得る。代替的に、インターコネクトは、表面積を増大させたものであってもよい。後者に関して、インターコネクトは、突出部/突起部を有し得るか、または、ワイヤ、ブレイド、コイルなどからも形成され得る。
【0021】
とにかく、ウルトラキャパシタは、ウルトラキャパシタのそれぞれの端子に取り付けられるか、またはウルトラキャパシタの端子を接続するインターコネクトを使用して接続され得る。この点に関して、インターコネクトは、ウルトラキャパシタの端子が位置決めされる空隙を含む。インターコネクトは、端子を取り囲み、電気的接続を可能にする。インターコネクトは、ウルトラキャパシタの端子に、レーザー溶接などで溶接され得る。しかしながら、インターコネクトをウルトラキャパシタの端子に接続するために他の手段も採用され得ることは理解されるべきである。たとえば、端子がスクリューの形状を有する場合、端子は、インターコネクトの空隙を通って突起し、それによって、ナットがインターコネクトを端子に接続し、構造的完全性を維持するために利用され得る。上記に加えて、他の手段も、インターコネクトをそれぞれの端子に固定するために利用され得ることを理解されるべきである。
【0022】
ウルトラキャパシタモジュールは、また、回路ボードなどの、電子回路ボードも備え得る。たとえば、回路ボードは、当技術分野において一般的に知られているような平衡回路であってもよい。一般に、平衡回路は、能動平衡回路または受動平衡回路であってもよい。たとえば、アクティブバランシング回路は、レギュレータなどの、アクティブコンポーネントを含み得る。一般に、レギュレータは、入力電圧を参照電圧と比較して出力を提供するように動作可能な任意のデバイスであり得る。いくつかの実施形態において、レギュレータは、単一のパッケージ(たとえば、集積回路)に設けられたコンパレータおよび/または1つもしくは複数のスイッチング素子を含むことができる。一方、受動平衡回路は、抵抗器などの、受動コンポーネントを含み得る。以下に示されているように、ウルトラキャパシタはバンクで提示され得る。これに関して、一実施形態において、各個別のバンクは、それ自体の回路ボードを有し得る。
【0023】
ウルトラキャパシタモジュールは、また、制御ボードであってもよい。制御ボードは、ウルトラキャパシタモジュールの動作さらには最終用途アプリケーションを支援するための電子コンポーネントを含み得る。制御ボードは、キャパシタモジュールに固定され得る。以下に示されているように、ウルトラキャパシタはバンクで提示され得る。これに関して、一実施形態において、各個別のバンクは、それ自体の制御ボードを有し得る。
【0024】
ウルトラキャパシタモジュールは、その出力上にスイッチモード電源を備え得る。たとえば、キャパシタモジュールは、コンバータを含んでもよい。コンバータは、降圧コンバータ、昇圧コンバータ、または降圧/昇圧コンバータであってもよい。一実施形態において、コンバータは、降圧/昇圧コンバータであってもよい。別の実施形態において、コンバータは、降圧コンバータであってもよい。さらなる実施形態において、コンバータは、昇圧コンバータであってもよい。この点に関して、ウルトラキャパシタの電圧が影響を受ける場合、コンバータは、ウルトラキャパシタモジュールの出力電圧が望み通りであることを可能にし得る。たとえば、一実施形態において、出力電圧は、約48Vになるように変換され得る。
【0025】
ウルトラキャパシタモジュールは、冷却デバイスも備え得る。たとえば、一実施形態において、ウルトラキャパシタモジュールは、ウルトラキャパシタモジュールのコンポーネントを冷却するために利用できるファンを備え得る。
【0026】
ウルトラキャパシタ
本明細書において示されているように、本発明は、複数のウルトラキャパシタを含むラックマウント可能ウルトラキャパシタモジュールを対象とする。モジュール内で利用されるウルトラキャパシタの数は、本発明によって必ずしも限定されない。たとえば、モジュールは、少なくとも4個、少なくとも6個、少なくとも10個、少なくとも14個、少なくとも18個、少なくとも24個、少なくとも30個、少なくとも40個、少なくとも50個、少なくとも54個など、少なくとも2個のキャパシタを備え得る。限定されるものではないが、モジュールは、400個以下、300個以下、200個以下、100個以下、80個以下、60個以下、40個以下など、500個以下のウルトラキャパシタを備え得る。
【0027】
一実施形態において、ウルトラキャパシタは、1つのウルトラキャパシタバンク内にすべてまとめて設けられ得る。代替的に、ウルトラキャパシタは、2つ以上のバンクに設けられてもよく、これらは接続されモジュールを形成する。たとえば、ウルトラキャパシタモジュールが54個のウルトラキャパシタを含む場合、ウルトラキャパシタは、各々18個のキャパシタの3つのバンクを含むものとしてよく、バンクは必要な電力を供給するために電気的に接続されている。したがって、ウルトラキャパシタモジュールは、2バンク、3バンク、4バンクから10バンク以下、8バンク以下、6バンク以下、5バンク以下など、1バンクより多いバンクを含み得る。各バンクは、少なくとも4個、少なくとも6個、少なくとも10個、少なくとも14個、少なくとも18個など、少なくとも2個のウルトラキャパシタを含み得る。必ずしも限定されないが、各バンクは、80個以下、50個以下、40個以下、30個以下、20個以下、15個以下など、100個以下のウルトラキャパシタを含み得る。一実施形態において、各バンクは、同じ数のウルトラキャパシタを含み得る。
【0028】
さらに、一実施形態において、各バンクは電気的に直列接続され得る。別の実施形態では、各バンクは、電気的に並列接続され得る。後者の場合、バンク内の個々のウルトラキャパシタは、電気的に直列接続され得る。
【0029】
さらに、ウルトラキャパシタモジュールのエンクロージャ内で利用されるウルトラキャパシタは、本発明によって必ずしも限定されない。一般に、ウルトラキャパシタは、電極アセンブリおよび電解質が保持され封止されているハウジングを備える。ウルトラキャパシタは、電極アセンブリ内のそれぞれの電極に電気的に接続された端子も含む。たとえば、一実施形態において、少なくとも1つの外部端子がウルトラキャパシタの頂面上に設けられ得るが、第2の外部端子はウルトラキャパシタの底面上に設けられ得る。この点に関して、外部端子は、電極アセンブリおよびウルトラキャパシタの対向する端部から延在する。別の実施形態において、両方の外部端子は、ウルトラキャパシタの頂面などの同じ表面上に設けられ得る。この点に関して、外部端子は、電極アセンブリおよびウルトラキャパシタの同じ側から延在し得る。
【0030】
電極アセンブリ
一般に、ウルトラキャパシタは、第1の電極、第2の電極、およびセパレータを含む電極アセンブリを収容する。たとえば、第1の電極は、典型的には、第1の集電体に電気的に結合された第1の炭素コーティング(たとえば、活性炭粒子)を収容する第1の電極を含み、第2の電極は、典型的には、第2の集電体に電気的に結合された第2の炭素コーティング(たとえば、活性炭粒子)を含む。セパレータが、第1の電極と第2の電極との間に位置決めされ得る。それに加えて、ウルトラキャパシタは、第1および第2の電極にそれぞれ電気的に接続される第1および第2の端子を含む。
【0031】
そのようなアセンブリの様々な実施形態が、以下でより詳細に説明されている。
【0032】
電極
上で示されているように、ウルトラキャパシタは、第1の電極および第2の電極を含む電極アセンブリを含む。アセンブリ内で採用される電極は、一般的に集電体を収容する。集電体は、同じ材料または異なる材料から形成され得る。たとえば、一実施形態において、各電極の集電体は、同じ材料から形成される。いずれにせよ、各集電体は、典型的には、アルミニウム、ステンレス鋼、ニッケル、銀、パラジウムなどの導電性金属、さらにはそれらの合金を含む基材から形成される。アルミニウムおよびアルミニウム合金は、本発明での使用に特に適している。
【0033】
集電体基材は、箔、シート、プレート、メッシュなどの形態であり得る。基材は、約200マイクロメートル以下など、約150マイクロメートル以下など、約100マイクロメートル以下など、約80マイクロメートル以下など、約50マイクロメートル以下など、約40マイクロメートル以下など、約30マイクロメートル以下などの比較的小さい厚さを有していてもよい。基材は、約5マイクロメートル以上など、約10マイクロメートル以上など、約20マイクロメートル以上など、約1マイクロメートル以上の厚さを有し得る。
【0034】
決して必須ではないが、基材の表面は、処理されてもよい。たとえば、一実施形態において、表面は、洗浄、エッチング、ブラスティングなどによって粗面化されてもよい。いくつかの実施形態において、集電体は、基材から外向きに突出する複数の繊維状ウィスカーを収容し得る。理論によって限定されること意図せず、これらのウィスカーは、集電体の表面積を効果的に増大し、また集電体を対応する電極に付着する接着性も改善することができると考えられる。これは、第1の電極および/または第2電極において比較的低いバインダー含有量を使用することを可能にし、電荷移動を改善し、界面抵抗を低減し、その結果、非常に低いESR値をもたらすことができる。ウィスカーは、典型的には、炭素および/または炭素と導電性金属との反応生成物を含む材料から形成される。一実施形態において、たとえば、材料は、炭化アルミニウム(Al
4C
3)などの、導電性金属の炭化物を含み得る。
図5を参照すると、たとえば、基材1から外向きに突出している複数のウィスカー21を収容する集電体の一実施形態が図示されている。望ましい場合に、ウィスカー21は、基材1内に埋め込まれたシード部分3から任意選択で突出し得る。ウィスカー21と同様に、シード部分3も、炭素および/または導電性金属の炭化物(たとえば、炭化アルミニウム)などの炭素と導電性金属との反応生成物を含有する材料から形成され得る。さらに、
図6は、本明細書において説明されている炭素コーティング22と組み合わせて基材1から外向きに突出する複数のウィスカー21を有する前述の集電体を含む電極を例示している。
【0035】
このようなウィスカーが基材上に形成されるのに用いられる方式は、望み通り変わり得る。一実施形態において、たとえば、基材の導電性金属は、炭化水素化合物と反応させられる。このような炭化水素化合物の例としては、たとえば、メタン、エタン、プロパン、n-ブタン、イソブタン、ペンタンなどのパラフィン炭化水素化合物、エチレン、プロピレン、ブテン、ブタジエンなどのオレフィン炭化水素化合物、アセチレンなどのアセチレン炭化水素化合物、さらには前述のいずれかの誘導体または組合せを含み得る。一般的に、反応中、炭化水素化合物はガス状であることが望まれる。したがって、メタン、エタン、およびプロパンなどの、加熱時にガス状である炭化水素化合物を使用することが望まれ得る。必ずしも必要ではないが、炭化水素化合物は、典型的には、基質100重量部に基づき、約0.1重量部から約50重量部、いくつかの実施形態では、約0.5重量部から約30重量部の範囲内で採用される。炭化水素と導電性金属との反応を開始させるために、基材は、一般的に、約300℃以上、いくつかの実施形態では約400℃以上、いくつかの実施形態では約500℃から約650℃の温度である雰囲気中で加熱される。加熱時間は、選択された正確な温度に依存するが、典型的には約1時間から約100時間の範囲内である。雰囲気は、典型的には、基材の表面上の誘電体フィルムの形成を最小限度に抑えるために比較的少量の酸素を含む。たとえば、雰囲気の酸素含有量は、約1体積%以下であってよい。
【0036】
また、ウルトラキャパシタにおいて使用される電極は、集電体の対向する側面にコーティングされる炭素材料を含有する。これらは、同じまたは異なる種類の材料から形成され、1つまたは複数の層を含み得るが、炭素コーティングの各々は、一般的に、活性化粒子を含む少なくとも1つの層を含む。いくつかの実施形態において、たとえば、活性炭層は、集電体の上に直接的に位置決めされ、任意選択で炭素コーティングの唯一の層であってもよい。好適な活性炭粒子の例は、たとえば、ヤシ殻ベースの活性炭、石油コークスベースの活性炭、ピッチベースの活性炭、ポリ塩化ビニリデンベースの活性炭、フェノール樹脂ベースの活性炭、ポリアクリロニトリルベースの活性炭、および石炭、木炭、または他の天然有機源などの天然源からの活性炭を含み得る。
【0037】
いくつかの実施形態において、活性炭粒子の粒度分布、表面積、細孔径分布などの、活性炭粒子のいくつかの態様を選択的に制御して、1回以上の充放電サイクルを受けた後のいくつかの種類の電解質に対するイオン移動度を改善することを助けることが望まれ得る。たとえば、粒子の少なくとも50体積%(D50サイズ)は、約0.1マイクロメートル以上など、約0.5マイクロメートル以上など、約1マイクロメートル以上から約30マイクロメートル以下など、約25マイクロメートル以下など、約20マイクロメートル以下など、約15マイクロメートル以下など、約10マイクロメートル以下など、約0.01マイクロメートル以上の範囲内のサイズを有し得る。粒子の少なくとも90体積%(D90サイズ)は、同様に、約5マイクロメートル以上など、約6マイクロメートル以上から約40マイクロメートル以下など、約30マイクロメートル以下など、約20マイクロメートル以下など、約15マイクロメートル以下など、約2マイクロメートル以上の範囲内のサイズを有し得る。BET表面は、また、約1,000m2/g以上など、約1,100m2/g以上など、約1,200m2/g以上から約3,000m2/g以下など、約2,500m2/g以下など、約2,000m2/g以下など、約1,800m2/g以下など、約1,500m2/g以下など、約900m2/g以上の範囲内であってもよい。
【0038】
特定のサイズおよび表面積を有することに加えて、活性炭粒子は、特定のサイズ分布を有する細孔も含み得る。たとえば、サイズが約2ナノメートル未満の細孔(すなわち、「微細孔」)の量は、全細孔容積の、約40容積%以下など、約30容積%以下など、約20容積%以下など、約15容積%以下など、約10容積%以下など、約5容積%以下など、約50容積%以下の細孔容積をもたらし得る。サイズが約2ナノメートル未満の細孔(すなわち、「微細孔」)の量は、全細孔容積の、約0.1容積%以上など、約0.5容積%以上など、約1容積%以上など、約0容積%以上の細孔容積をもたらし得る。サイズが約2ナノメートルから約50ナノメートルの間の細孔(すなわち「メソ細孔」)の量は、同様に、全細孔容積の、約25容積%以上など、約30容積%以上など、約35容積%以上など、約40容積%以上など、約50容積%以上など、約20容積%以上であってもよい。サイズが約2ナノメートルから約50ナノメートルの間の細孔(すなわち「メソ細孔」)の量は、全細孔容積の、約80容積%以下など、約75容積%以下など、約65容積%以下など、約55容積%以下など、約50容積%以下など、約90容積%以下であってよい。最後に、サイズが約50ナノメートルより大きい細孔(すなわち、「マクロ細孔」)の量は、全細孔容積の、約5容積%以上など、約10容積%以上など、約15容積%以上など、約1容積%以上であってもよい。サイズが約50ナノメートルより大きい細孔(すなわち「マクロ細孔」)の量は、全細孔容積の、約40容積%以下など、約35容積%以下など、約30容積%以下など、約25容積%以下など、約50容積%以下であってよい。炭素粒子の全細孔容積は、約0.4cm3/g以上など、約0.5cm3/g以上から約1.5cm3/g以下など、約1.3cm3/g以下など、約1.0cm3/g以下など、約0.8cm3/g以下など、約0.2cm3/g以上の範囲内にあり得る。細孔幅中央値は、約5ナノメートル以下など、約4ナノメートル以下など、約8ナノメートル以下であってよい。細孔幅中央値は、約2ナノメートル以上など、約1ナノメートル以上であり得る。細孔径および全細孔容積は、窒素吸着を使用して測定され、当技術分野で知られているように、Barrett-Joyner-Halenda(「BJH」)技術によって分析され得る。
【0039】
本発明の独特の一態様は、電極が、ウルトラキャパシタ電極において従来から採用されている実質的な量のバインダーを含む必要がないことである。すなわち、バインダーは、炭素コーティング中の炭素100部当たり、約40部以下など、約30部以下など、約25部以下など、約20部以下など、約60部以下から、約5部以上など、約1部以上の量で存在し得る。バインダーは、たとえば、炭素コーティングの全重量の、約10重量%以下など、約8重量%以下など、約5重量%以下など、約4重量%以下など、約15重量%以下を構成し得る。バインダーは、炭素コーティングの全重量の、約0.5重量%以上など、約1重量%以上など、約0.1重量%以上を構成し得る。
【0040】
それにもかかわらず、採用されるときには、様々な好適なバインダーのいずれも、電極に使用することができる。スチレンブタジエンコポリマー、ポリ酢酸ビニルホモポリマー、酢酸ビニルエチレンコポリマー、酢酸ビニルアクリルコポリマー、エチレン塩化ビニルコポリマー、エチレン塩化ビニル酢酸ビニルターポリマー、アクリルポリ塩化ビニルポリマー、アクリルポリマー、ニトリルポリマー、ポリテトラフルオロエチレンまたはポリビニリデンフルオライドなどのフルオロポリマー、ポリオレフィンなど、さらにはそれらの混合物などの、不水溶性有機バインダーがいくつかの実施形態において採用され得る。多糖類およびその誘導体などの水溶性有機バインダーも採用され得る。特定の一実施形態において、多糖類は、アルキルセルロースエーテル(たとえば、メチルセルロースおよびエチルセルロース)などの非イオン性セルロースエーテル、ヒドロキシアルキルセルロースエーテル(たとえば、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルヒドロキシブチルセルロース、ヒドロキシエチルヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルヒドロキシブチルセルロース、ヒドロキシエチルヒドロキシプロピルヒドロキシブチルセルロースなど)、アルキルヒドロキシアルキルセルロースエーテル(たとえば、メチルヒドロキシエチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシプロピルセルロース、メチルエチルヒドロキシエチルセルロースおよびメチルエチルヒドロキシプロピルセルロース)、カルボキシアルキルセルロースエーテル(たとえば、カルボキシメチルセルロース)など、さらにはカルボキシメチルセルロースナトリウムなどの前述のいずれかのプロトン化塩であってよい。
【0041】
望む場合、炭素材料の活性炭層内に他の材料も採用され得る。たとえば、いくつかの実施形態において、導電性をさらに高めるために導電性促進剤が採用され得る。例示的な導電性促進剤は、たとえば、カーボンブラック、グラファイト(天然もしくは人工)、グラファイト、カーボンナノチューブ、ナノワイヤまたはナノチューブ、金属繊維、グラフェンなど、さらにはこれらの混合物を含み得る。一実施形態では、カーボンブラックが特に好適である。別の実施形態では、カーボンナノチューブが特に好適である。採用されるときに、導電性促進剤は、典型的には、炭素コーティング中の炭素100部当たり、約40部以下など、約30部以下など、約25部以下など、約20部以下など、約60部以下から、約5部以上など、約1部以上を構成する。導電性促進剤は、たとえば、炭素コーティングの全重量の、約10重量%以下など、約8重量%以下など、約5重量%以下など、約4重量%以下など、約15重量%以下を構成し得る。導電性促進剤は、炭素コーティングの全重量の、約0.5重量%以上など、約1重量%以上など、約0.1重量%以上を構成し得る。その一方で、活性炭粒子は、同様に、典型的には、炭素コーティングの全重量の、約90重量%以上など、約95重量%以上など、約97重量%以上など、85重量%以上を構成する。活性炭粒子は、炭素コーティングの全重量の、約99.5重量%以下など、約99重量%以下など、約98重量%以下など、100重量%未満を構成し得る。
【0042】
炭素材料が集電体の側面にコーティングされる特定の方式は、印刷(たとえば、輪転グラビア印刷)、スプレー、スロットダイコーティング、ドロップコーティング、ディップコーティングなど、当業者によく知られているように異なり得る。どのような方式で塗布されるかにかかわらず、その結果得られる電極は、典型的には、約100℃以上、いくつかの実施形態では約200℃以上、いくつかの実施形態では約300℃から約500℃の温度などで、乾燥させられコーティングから水分を除去する。電極は、また、ウルトラキャパシタの体積効率を最適化するために圧縮(たとえば、カレンダー処理)され得る。任意選択の圧縮の後、各炭素コーティングの厚さは、一般的に、ウルトラキャパシタの所望の電気的性能および動作範囲に基づき変化し得る。しかしながら、典型的に、コーティングの厚さは、約20から約200マイクロメートル、30から約150マイクロメートル、いくつかの実施形態では約40から約100マイクロメートルである。コーティングは、集電体の片面または両面に存在し得る。それにもかかわらず、電極全体(集電体および任意選択の圧縮後の炭素コーティングを含む)の厚さは、典型的には、約20から約350マイクロメートル、いくつかの実施形態では約30から約300マイクロメートル、いくつかの実施形態では約50から約250マイクロメートルの範囲内である。
【0043】
セパレータ
上で示されているように、電極アセンブリは、第1の電極と第2の電極との間に位置決めされたセパレータを含み得る。セパレータは、電気的短絡を防止するが2つの電極の間のイオンの輸送を依然として許すのを助けるように一方の電極を他方の電極から電気的に絶縁することを可能にし得る。いくつかの実施形態において、たとえば、セルロース系繊維性材料(たとえば、エアレイド紙ウェブ、ウェットレイド紙ウェブなど)、不織繊維性材料(たとえば、ポリオレフィン不織布ウェブ)、織布、フィルム(たとえば、ポリオレフィンフィルム)などを含むセパレータが採用され得る。セルロース系繊維性材料は、天然繊維、合成繊維などを含むものなど、ウルトラキャパシタに使用するのに特に適している。セパレータにおいて使用するための好適なセルロース系繊維の具体例は、たとえば、広葉樹パルプ繊維、針葉樹パルプ繊維、レーヨン繊維、再生セルロース系繊維などを含み得る。
【0044】
採用される特定の材料にかかわらず、セパレータは、典型的には、約100マイクロメートル以下など、約80マイクロメートル以下など、約50マイクロメートル以下など、約40マイクロメートル以下など、約30マイクロメートル以下など、約150マイクロメートル以下の厚さを有する。セパレータは、約5マイクロメートル以上など、約10マイクロメートル以上など、約20マイクロメートル以上など、約1マイクロメートル以上の厚さを有し得る。
【0045】
非水電解質
それに加えて、ウルトラキャパシタは、ハウジング内に採用される電解質も含み得る。電解質は、一般的に、非水性であり、したがって少なくとも1つの非水溶媒を含有する。ウルトラキャパシタの動作温度範囲を広げるのを助けるために、非水溶媒が、約150℃以上、いくつかの実施形態では約200℃以上、いくつかの実施形態では約220℃から約300℃などの比較的高い沸点温度を有することが一般的に望ましい。特に好適な高沸点溶媒は、たとえば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネートなどの環状炭酸エステル溶媒を含み得る。プロピレンカーボネートは、その高い導電性および分解電圧、さらには広い温度範囲にわたって使用できることにより特に好適である。もちろん、他の非水溶媒も、単独で、または環状炭酸エステル溶媒と組み合わせて採用され得る。そのような溶媒の例は、たとえば、開鎖カーボネート(たとえば、炭酸ジメチル、炭酸エチルメチル、炭酸ジエチルなど)、脂肪族モノカルボン酸(たとえば、酢酸メチル、プロピオン酸メチルなど)、ラクトン系溶媒(たとえば、ブチロラクトン、バレロラクトンなど)、ニトリル(たとえば、アセトニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリル、メトキシアセトニトリル、3-メトキシプロピオニトリルなど)、アミド(たとえば、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジエチルアセトアミド、N-メチルピロリジノンなど)、アルカン(たとえば、ニトロメタン、ニトロエタンなど)、硫黄化合物(スルホラン、ジメチルスルホキシドなど)などを含み得る。
【0046】
電解質は、また、少なくとも1つのイオン液体を含有し、これは非水溶媒中に溶解され得る。イオン液体の濃度は変化し得るが、典型的には、イオン液体が比較的高い濃度で存在することが望ましい。たとえば、イオン液体は、電解質1リットル当たり約0.8モル(M)またはそれ以上、いくつかの実施形態では約1.2Mまたはそれ以上など、約1.3Mまたはそれ以上など、約1.5Mまたはそれ以上など、約1.0Mまたはそれ以上の量で存在し得る。イオン液体は、約1.8M以下など、約1.5M以下など、約1.4M以下など、約1.3M以下など、約2.0M以下の量で存在し得る。
【0047】
イオン液体は、一般的に、約400℃以下、いくつかの実施形態では約350℃以下、いくつかの実施形態では約1℃から約100℃、いくつかの実施形態では約5℃から約50℃などの、比較的低い融解温度を有する塩である。塩は、カチオン種および対イオンを含有する。カチオン種は、少なくとも1つのヘテロ原子(たとえば、窒素またはリン)を「カチオン中心」として有する化合物を含む。そのようなヘテロ原子化合物の例は、たとえば、アンモニウム(たとえば、トリメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウムなど)、ピリジニウム、ピリダジニウム、ピラミジニウム、ピラジニウム、イミダゾリウム、ピラゾリウム、オキサゾリウム、トリアゾリウム、チアゾリウム、キノリニウム、ピペリジニウム、ピロリジニウム、2つ以上の環がスピロ原子(たとえば、炭素、ヘテロ原子など)によって結合された第四球アンモニウムスピロ化合物、第四級アンモニウム縮合環構造(たとえば、キノリニウム、イソキノリニウムなど)などの、非置換または置換有機第四級アンモニウム化合物を含む。特定の一実施形態において、たとえば、カチオン種は、環式環を有する対称または非対称N-スピロ二環式化合物などのN-スピロ二環式化合物であってもよい。そのような化合物の一例は、下記の構造
【化1】
を有し、
mおよびnは、独立して、3から7までの数であり、いくつかの実施形態では、4から5までの数である(たとえば、ピロリジニウムまたはピペリジニウム)。
【0048】
カチオン種に対する適切な対イオンは、同様に、ハロゲンイオン(たとえば、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオンなど)、硫酸イオンまたはスルホン酸イオン(たとえば、メチル硫酸イオン、エチル硫酸イオン、ブチル硫酸イオン、ヘキシル硫酸イオン、オクチル硫酸イオン、硫酸水素イオン、メタンスルホン酸イオン、ドデシルベンゼンスルホン酸イオン、ドデシル硫酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、ヘプタデカフルオロオクタンスルホン酸イオン、ドデシルエトキシ硫酸ナトリウムなど)、スルホコハク酸イオン、アミドイオン(たとえば、ジシアンアミドイオン)、イミドイオン(たとえば、ビス(ペンタフルオロエチルスルホニル)イミドイオン、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドイオン、ビス(トリフルオロメチル)イミドイオンなど)、ホウ酸イオン(たとえば、テトラフルオロホウ酸イオン、テトラシアノホウ酸イオン、ビス[オキサラト]ホウ酸イオン、ビス[サリチラト]ホウ酸イオンなど)、リン酸イオンまたはホスフィン酸イオン(ヘキサフルオロリン酸イオン、ジエチルホスフィン酸イオン、ビス(ペンタフルオロエチル)ホスフィン酸イオン、トリス(ペンタフルオロエチル)-トリフルオロリン酸イオン、トリス(ノナフルオロブチル)トリフルオロリン酸イオンなど)、アンチモン酸イオン(たとえば、ヘキサフルオロアンチモン酸イオン)、アルミン酸イオン(たとえば、テトラクロロアルミン酸イオン)、脂肪酸カルボン酸イオン(たとえば、オレイン酸イオン、イソステアリン酸イオン、ペンタデカフルオロオクタン酸イオンなど)、シアン酸イオン、酢酸イオンなど、さらには前述のいずれかの組合せを含み得る。
【0049】
好適なイオン液体のいくつかの例は、たとえば、スピロ-(1,1’)-ビピロリジニウムテトラフルオロボレート、トリエチルメチルアンモニウムテトラフルオロボレート、テトラエチルアンモニウムテトラフルオロボレート、スピロ-(1,1’)-ビピロリジニウムヨージド、トリエチルメチルアンモニウムヨージド、テトラエチルアンモニウムヨージド、メチルトリエチルアンモニウムテトラフルオロボレート、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレート、テトラエチルアンモニウムヘキサフルオロホスフェートなどを含み得る。
【0050】
ハウジング
本発明のウルトラキャパシタは、電極アセンブリおよび電解質が保持されるハウジングを採用している。コンポーネントがハウジング内に挿入される方式は、当技術分野において知られているように様々であり得る。たとえば、電極およびセパレータは、最初に折り畳まれるか、巻かれるか、または他の方法で一緒に接触させられて電極アセンブリを形成し得る。電解質は、任意選択で、アセンブリの電極内に浸漬され得る。特定の一実施形態において、電極、セパレータ、および任意選択の電解液は、「ゼリーロール」構成を有する電極アセンブリに巻かれ得る。たとえば、
図7を参照すると、そのようなゼリーロール電極アセンブリ1100の一実施形態が図示されており、これは第1の電極1102、第2の電極1104、および電極1102と1104との間に位置決めされたセパレータ1106を含む。この特定の実施形態では、電極アセンブリ1100は、第2の電極1104の上に位置決めされる別のセパレータ1108も含む。この方式で、電極の2つのコーティング済み表面の各々は、セパレータによって分離され、それによって単位体積当たりの表面積および静電容量を最大化する。決して必須ではないが、電極1102および1104は、この実施形態では、それぞれの接触エッジが第1および第2のセパレータ1106および1108の第1および第2のエッジをそれぞれ超えて延在するようにオフセットされている。他にもあるがとりわけ、これは、電極の間の電流の流れに起因する「短絡」を防止するのに役立ち得る。しかしながら、他の構成も利用され得ることは理解されるべきである。たとえば、別の実施形態では、電極、セパレータ、および任意選択の電解質は、層状構成を有する電極アセンブリとして提供されてもよい。
【0051】
本明細書で示したように、コンポーネントは、ウルトラキャパシタのハウジング内に設けられ、任意選択で気密封止され得る。ハウジングの性質は、望み通りに変えてよい。いくつかの実施形態において、たとえば、ハウジングは、ウルトラキャパシタのコンポーネントを封入する容器を収容し得る。たとえば、ハウジングは、タンタル、ニオブ、アルミニウム、ニッケル、ハフニウム、チタン、銅、銀、鋼鉄(たとえば、ステンレス)、それらの合金、それらの複合材(たとえば、導電性酸化物でコーティングされた金属)などから形成されたものなどの金属容器(「缶」)を収容し得る。アルミニウムは、本発明での使用に特に適している。金属容器は、円筒形、D形など、様々な異なる形状のいずれかを有し得る。円筒形の容器が特に適している。
【0052】
電極アセンブリは、様々な異なる技術を使用して円筒形ハウジング内に気密封止され得る。
図4を参照すると、電極アセンブリ2108を収容するウルトラキャパシタの一実施形態が図示されており、これは、上で説明されているようにゼリーロール構成で一緒に巻かれた層2106を含む。この特定の実施形態において、ウルトラキャパシタは、ディスク形状部分2134、スタッド部分2136、および締め具2138(たとえば、ネジ)を収容する、第1の集電体ディスク2114を収容する。集電体ディスク2114は、電極アセンブリの中央に形成された、中空コア2160の第1の端部と位置合わせされ、スタッド部分2136は、ディスク形状部分2134が第1の接触エッジ2110において電極アセンブリ2108の第1の端部に当たるようにコアの開口部内に挿入される。蓋2118が第1の端子2116に溶接(たとえば、レーザー溶接)され、たとえば、ねじ切りされたものとしてよい、ソケットが締め具2138に結合される。ウルトラキャパシタは、ディスク形状部分2142、スタッド部分2140、および第2の端子2144を収容する第2の集電体ディスク2120も収容する。第2の集電体ディスク2120は、中空コア2160の第2の端部と位置合わせされ、スタッド部分2140は、集電体ディスク部分2142が電極アセンブリ2108の第2の端部に当たるようにコアの開口部内に挿入される。
【0053】
金属容器2122(たとえば、円筒形状の缶)は、その後、電極アセンブリ2108の上に摺動され、第2の集電体ディスク2120は最初に容器2122内に入り、第1の絶縁ワッシャ2124を通過し、容器2122の端部のところの軸方向の穴を通過し、次いで第2の絶縁ワッシャ2126を通過する。第2の集電体ディスク2120は、また、平ワッシャ2128およびスプリングワッシャ2130も通過する。ロックナット2132がスプリングワッシャ2130の上に締め付けられ、スプリングワッシャ2130を平ワッシャ2128に押し付け、それにより、スプリングワッシャ2130は、第2の絶縁ワッシャ2126に押し付けられる。第2の絶縁ワッシャ2126は、金属容器2122の軸方向孔の外周に押し付けられ、この圧縮力によって第2の集電体ディスク2120が軸方向の穴に向かって引き寄せられると、第1の絶縁ワッシャ2124は、第2の集電体ディスク2120と容器2122の軸方向孔の内周との間で圧縮される。第1の絶縁ワッシャ2124上のフランジは、第2の集電体ディスク2120と軸方向の穴のリムとの間の電気的接触を抑制する。同時に、蓋2118は、蓋2118のリムが容器2122の開口部のリップのすぐ内側に収まるように容器2122の開口部内に引き込まれる。次いで、蓋2118のリムは、容器2122の開口部のリップに溶接される。
【0054】
ロックナット2132がスプリングワッシャ2130に当てて締め付けられると、軸方向の穴、第1の絶縁ワッシャ2124、第2の絶縁ワッシャ2126、および第2の集電体ディスク2120の間に気密封止が形成され得る。同様に、蓋2118を容器2122のリップに溶接すること、および蓋2118を第1の端子2116に溶接することは、別の気密封止を形成し得る。蓋2118内の穴2146は、上で説明されている電解質の注入口として機能するように開いたままにすることができる。電解質が一旦缶内に入ると(すなわち、上で説明されているように真空下で缶内に引き込まれると)、ブッシング2148が穴2146に挿入され、穴2146の内側エッジのフランジ2150に当たる。ブッシング2148は、たとえば、プラグ2152を受けるように作られた中空の円筒形であってもよい。円筒形状のプラグ2152は、ブッシング2148の中心に押し込まれ、それによってブッシング2148を穴2146の内側に押し当てて、穴2146、ブッシング2148、およびプラグ2152の間に気密封止を形成する。プラグ2152およびブッシング2148は、ウルトラキャパシタ内で所定の圧力レベルに達したときに外れるように選択され、それによって過圧安全機構を形成し得る。
【0055】
上で説明されている実施形態は、一般的に、ウルトラキャパシタ内の単一電極アセンブリの使用を指す。しかしながら、本発明のキャパシタは、2つ以上の電極アセンブリを収容し得ることはもちろん理解されるべきである。たとえば、そのような一実施形態では、たとえば、ウルトラキャパシタは、同じであっても異なっていてもよい、2つ以上の電極アセンブリのスタックを含み得る。
【0056】
特性および用途
本明細書において開示されているようなウルトラキャパシタモジュールは、DC用途に利用され、したがってデータセンターラックに利用され得る。この点に関して、ウルトラキャパシタモジュールは、16V以上など、20V以上など、24V以上など、30V以上など、36V以上など、40V以上など、48V以上など、12V以上の出力(たとえば、DC出力)を有し得る。それに加えて、ウルトラキャパシタモジュールは、400V以下など、300V以下など、250V以下など、200V以下など、180V以下など、150V以下など、120V以下など、100V以下など、80V以下など、60V以下など、50V以下など、40V以下など、500V以下の出力(たとえば、DC出力)を有し得る。
【0057】
各個別のウルトラキャパシタは、特定の電圧を有し得る。たとえば、各個別のウルトラキャパシタは、2.2V以上など、2.5V以上など、2.7V以上など、3V以上など、2V以上の電圧を有し得る。ウルトラキャパシタは、4V以下など、3.5V以下など、3.2V以下など、3V以下など、2.9V以下など、5V以下の電圧を有し得る。たとえば、一実施形態において、ウルトラキャパシタは、2.7Vまたは3.0Vの電圧を有し得る。一実施形態において、ウルトラキャパシタは、2.7Vの電圧を有し得る。別の実施形態において、ウルトラキャパシタは、3.0Vの電圧を有し得る。
【0058】
さらに、ウルトラキャパシタモジュールは、比較的高いキャパシタンスを有し得る。たとえば、ウルトラキャパシタモジュールの定格キャパシタンスは、100F以上など、200F以上など、300F以上など、400F以上など、450F以上など、500F以上など、50F以上であり得る。ウルトラキャパシタモジュールの定格キャパシタンスは、800F以下など、700F以下など、600F以下など、550F以下など、500F以下など、1,000F以下であり得る。その一方で、各個別のウルトラキャパシタの定格キャパシタンスは、また、比較的高くてもよい。たとえば、ウルトラキャパシタの定格キャパシタンスは、100F以上など、200F以上など、300F以上など、500F以上など、800F以上など、1,000F以上など、1,500F以上など、2,000F以上など、2,500F以上など、3,000F以上など、50F以上であり得る。ウルトラキャパシタの定格キャパシタンスは、4,000F以下など、3,500F以下など、3,000F以下など、5,000F以下であり得る。
【0059】
本発明に従って利用されるウルトラキャパシタは、特に高温に曝されたときに、優れた電気的特性を示し得る。たとえば、ウルトラキャパシタは、23℃の温度、120Hzの周波数、および印加電圧なしで測定された、約6ファラッド/立方センチメートル(「F/cm3」)以上、いくつかの実施形態において約8F/cm3以上、いくつかの実施形態において約9から約100F/cm3、およびいくつかの実施形態において約10から約80F/cm3のキャパシタンスを示し得る。ウルトラキャパシタは、また、温度23℃、周波数1kHz、および印加電圧なしで決定された、約150mΩ以下、いくつかの実施形態では約125mΩ以下、いくつかの実施形態では約0.01から約100mΩ、およびいくつかの実施形態では約0.05から約70mΩなどの低い等価直列抵抗(「ESR」)を有し得る。上で示されているように、その結果得られるウルトラキャパシタは、改善されたキャパシタンスおよびESR値など、多種多様な有益な電気的特性を示し得る。特に、ウルトラキャパシタは、高温に曝されたときでも優れた電気的特性を示し得る。たとえば、ウルトラキャパシタは、約80℃以上、いくつかの実施形態では約100℃から約150℃、いくつかの実施形態では約105℃から約130℃(たとえば、85℃または105℃)の温度を有する雰囲気と接触させられ得る。キャパシタンスおよびESR値は、約100時間以上、いくつかの実施形態では約300時間から約5000時間、およびいくつかの実施形態では約600時間から約4500時間(たとえば、168、336、504、672、840、1008、1512、2040、3024、または4032時間)などの、実質的時間期間の間にそのような温度で安定を保つことができる。
【0060】
一実施形態において、たとえば、高温雰囲気(たとえば、85℃または105℃)に1008時間の間曝された後のウルトラキャパシタのキャパシタンス値と、最初に高温雰囲気に曝されたときのウルトラキャパシタのキャパシタンス値との比は、約0.75以上、いくつかの実施形態では約0.8から1.0、いくつかの実施形態では約0.85から1.0である。そのような高いキャパシタンス値は、また、電圧を印加されたときおよび/または湿度の高い雰囲気中など、様々な極限条件下でも維持され得る。たとえば、高温雰囲気(たとえば、85℃または105℃)および印加電圧に曝された後のウルトラキャパシタのキャパシタンス値と、高温雰囲気に曝されたとき、ただし電圧を印加される前のウルトラキャパシタの初期キャパシタンス値との比は、約0.60以上、いくつかの実施形態では約0.65から1.0、いくつかの実施形態では約0.7から1.0であってもよい。電圧は、たとえば、約1ボルト以上、いくつかの実施形態では約1.5ボルト以上、およびいくつかの実施形態では約2から約10ボルト(たとえば、2.1ボルト)であり得る。一実施形態において、たとえば、上で述べた比は、1008時間以上維持され得る。ウルトラキャパシタは、また、約40%以上、いくつかの実施形態では約45%以上、いくつかの実施形態では約50%以上、いくつかの実施形態では約70%以上(たとえば、約85%から100%)の相対湿度を有する雰囲気に接触したときなど、高湿度レベルに曝されたときに上で述べたキャパシタンス値を維持し得る。相対湿度は、たとえば、ASTM E337-02、Method A (2007年)に従って決定され得る。たとえば、高温雰囲気(たとえば、85℃または105℃)および高湿度(たとえば、85%)に曝された後のウルトラキャパシタのキャパシタンス値と、高温雰囲気に曝されたとき、ただし高湿度に曝される前のウルトラキャパシタの初期キャパシタンス値との比は、約0.7以上、いくつかの実施形態では約0.75から1.0、いくつかの実施形態では約0.80から1.0であり得る。一実施形態において、たとえば、この比は、1008時間以上の間維持され得る。
【0061】
ESRは、また、上で述べたような実質的な時間期間の間そのような温度で安定を保つことができる。一実施形態において、たとえば、高温雰囲気(たとえば、85℃または105℃)に1008時間の間曝された後のウルトラキャパシタのESRと、最初に高温雰囲気に曝されたときのウルトラキャパシタのESRとの比は、約1.5以下、いくつかの実施形態では約1.2以下、およびいくつかの実施形態では約0.2から1である。特に、そのような低いESR値は、また、上で説明されているように高電圧を印加されたときおよび/または湿度の高い雰囲気中など、様々な極限条件下でも維持され得る。たとえば、高温雰囲気(たとえば、85℃または105℃)および印加電圧に曝された後のウルトラキャパシタのESRと、高温雰囲気に曝されたとき、ただし電圧を印加される前のウルトラキャパシタの初期ESRとの比は、約1.8以下、いくつかの実施形態では約1.7以下、およびいくつかの実施形態では約0.2から1.6であってもよい。一実施形態において、たとえば、上で述べた比は、1008時間以上維持され得る。ウルトラキャパシタは、また、高湿度レベルに曝されたときに上で述べたESR値を維持し得る。たとえば、高温雰囲気(たとえば、85℃または105℃)および高湿度(たとえば、85%)に曝された後のウルトラキャパシタのESRと、高温雰囲気に曝されたとき、ただし高湿度に曝される前のウルトラキャパシタの初期キャパシタンス値との比は、約1.5以下、いくつかの実施形態では約1.4以下、およびいくつかの実施形態では約0.2から約1.2であり得る。一実施形態において、たとえば、この比は、1008時間以上の間維持され得る。
【0062】
ウルトラキャパシタは、また、比較的低い漏れ電流を有し得る。一般に「漏れ電流」は、所与のDC電圧、たとえばウルトラキャパシタの定格DC電圧でキャパシタを流れる電流の量である。この点に関して、70℃で100アンペアおよび48Vの出力電流を用いて試験したときに、最大漏れ電流は、80mA以下など、50mA以下など、45mA以下など、40mA以下など、30mA以下など、20mA以下など、10mA以下など、100mA以下であり得る。
【0063】
試験方法
等価直列抵抗(ESR):等価直列抵抗は、0.0ボルト、1.1ボルト、または2.1ボルトのDCバイアス(0.5ボルトのピークツーピーク正弦波信号)で、Keithley 3330 Precision LCZメーターを使用して測定され得る。動作周波数は1kHzである。様々な温度および相対湿度レベルが試験され得る。たとえば、温度は、23℃、85℃、または105℃であり、相対湿度は25%または85%であり得る。
【0064】
キャパシタンス:キャパシタンスは、0.0ボルト、1.1ボルト、または2.1ボルトのDCバイアス(0.5ボルトのピークツーピーク正弦波信号)で、Keithley 3330 Precision LCZメーターを使用して測定され得る。動作周波数は120Hzである。様々な温度および相対湿度レベルが試験され得る。たとえば、温度は、23℃、85℃、または105℃であり、相対湿度は25%または85%であり得る。
【0065】
本発明のこれらおよび他の修正および変更は、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、当業者によって実施され得る。それに加えて、様々な実施形態の態様は、全体としてまたは部分的に交換され得ることは理解されるべきである。さらに、当業者であれば、前述の説明は単なる例であり、そのような付属の請求項においてさらにそのように説明されている本発明を限定することを意図するものではないことを理解するであろう。
【符号の説明】
【0066】
1 基材
21 ウィスカー
100 データセンターラック
110 ラックマウントコンピューティングデバイス
120 ウルトラキャパシタモジュール
130 チャンバー開口部
150 ハンドル
1100 ゼリーロール電極アセンブリ
1102 第1の電極
1104 第2の電極
1106 セパレータ
1108 セパレータ
2106 層
2108 電極アセンブリ
2110 第1の接触エッジ
2114 第1の集電体ディスク
2116 第1の端子
2118 蓋
2120 第2の集電体ディスク
2122 金属容器
2124 第1の絶縁ワッシャ
2126 第2の絶縁ワッシャ
2128 平ワッシャ
2130 スプリングワッシャ
2132 ロックナット
2134 ディスク形状部分
2136 スタッド部分
2138 締め具
2140 スタッド部分
2142 ディスク形状部分
2144 第2の端子
2146 穴
2148 ブッシング
2150 フランジ
2152 プラグ
2160 中空コア
【国際調査報告】