(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-12
(54)【発明の名称】イヤチップ並びに関連するデバイス及び方法
(51)【国際特許分類】
H04R 1/10 20060101AFI20240705BHJP
【FI】
H04R1/10 104A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024500374
(86)(22)【出願日】2022-07-08
(85)【翻訳文提出日】2024-02-16
(86)【国際出願番号】 US2022036481
(87)【国際公開番号】W WO2023283416
(87)【国際公開日】2023-01-12
(32)【優先日】2021-07-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591009509
【氏名又は名称】ボーズ・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】BOSE CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・アンドリュー・ザリスク
(72)【発明者】
【氏名】ドナ・マリー・サリヴァン
(72)【発明者】
【氏名】カイ・ガオ
(72)【発明者】
【氏名】ショーン・ジェイ・プレヴォワール
【テーマコード(参考)】
5D005
【Fターム(参考)】
5D005BE03
(57)【要約】
イヤチップは、イヤバッドに取り付けられるように構成された本体を含む。本体は、第1の端部と、第1の端部の反対側の第2の端部と、第1の端部と第2の端部との間に延在する内壁とを含む。内壁は、音波を伝導するように構成された中空通路を画定し、取り囲む。本体はまた、第1の端部で内壁に接続され、内壁から第2の端部に向かって離れて延在する外壁を含む。内壁は、イヤバッド上の対応するノズルを収容するように構成された細長い断面形状を有する。内壁は、剛性材料から形成され、ノズルの細長い形状に係合し適合するリングを含み、これは、ノズルに対するイヤチップの不適切な取り付け及び回転を阻止する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
イヤチップであって、
イヤバッドに取り付けされるように構成された本体であって、前記本体は、
第1の端部と、
前記第1の端部の反対側の第2の端部と、
前記第1の端部と前記第2の端部との間に延在する内壁であって、前記内壁は、音波を伝導するように構成された中空通路を画定して取り囲む、内壁と、
前記第1の端部で前記内壁に接続され、前記内壁から前記第2の端部に向かって離れて延在する外壁と、を含む、本体を備え、
前記内壁は、前記イヤバッド上の対応するノズルを収容するように構成された細長い断面形状を有し、
前記内壁は、剛性材料で形成されたリングを含み、前記リングは、前記ノズルの前記細長い形状に係合して適合し、前記ノズルへの前記イヤチップの不適切な取り付けを阻止し、前記イヤチップが前記ノズルに取り付けされると、前記ノズルに対する前記イヤチップの回転を阻止する、イヤチップ。
【請求項2】
前記内壁は、
前記ノズルと前記イヤチップの前記第1の端部との間に延在する延長部の少なくとも一部を画定する高デュロメータコンプライアント材料を更に含む、請求項1に記載のイヤチップ。
【請求項3】
前記外壁は、前記高デュロメータコンプライアント材料の周りに成形され、前記外壁は、より低いデュロメータコンプライアント材料から形成される、請求項2に記載のイヤチップ。
【請求項4】
前記リングは、少なくとも1つの間隙を有する少なくとも1つのC字形部材を含み、前記高デュロメータコンプライアント材料は、前記リングの周りに成形され、前記間隙を充填する、請求項2に記載のイヤチップ。
【請求項5】
前記リングは、前記部材間に一対の間隙を有して配置された一対のC字形部材を含み、前記高デュロメータコンプライアント材料は両方の間隙を充填する、請求項4に記載のイヤチップ。
【請求項6】
前記高デュロメータコンプライアント材料は、前記ノズル上の嵌合保持部材に係合するように構成された保持部材を画定する、請求項2に記載のイヤチップ。
【請求項7】
前記リングは、前記内壁の内面の周りに延在する凹部を画定し、前記ノズルの外面に形成されてその周りに延在する対応する凹部内に着座されるOリングを受容するように構成される、請求項1に記載のイヤチップ。
【請求項8】
前記内壁は、前記ノズルと前記イヤチップの前記第1の端部との間に延在する延長部を更に含み、前記外壁及び前記延長部は、周波数補強挙動を有する粘弾性材料から少なくとも部分的に形成される、請求項1に記載のイヤチップ。
【請求項9】
前記延長部及び前記外壁は、粘弾性特性を有するスチレン系TPEから形成される、請求項8に記載のイヤチップ。
【請求項10】
前記外壁の外面は、耐皮脂性を向上させるために、電子ビーム処理及び光イオン化から選択される表面処理で処理される、請求項8に記載のイヤチップ。
【請求項11】
前記外壁の外面はソフトタッチコーティングを有する、請求項8に記載のイヤチップ。
【請求項12】
前記ソフトタッチコーティングは、50%ポリ(スチレン-イソブチレン-スチレン)(SIBS)ブロックコポリマー/50%シリコーン(wt/wt)ソフトタッチコーティングを含む、請求項11に記載のイヤチップ。
【請求項13】
前記粘弾性材料は、エラストマーと、所定の相変化温度で固体状態から液体状態への相変化能力を有する1つ以上の相変化材料と、を含む組成物を含む、請求項8に記載のイヤチップ。
【請求項14】
前記所定の相変化温度は、約25℃~約35℃である、請求項13に記載のイヤチップ。
【請求項15】
前記組成物は約5ショアA~約50ショアAの硬度を有し、前記組成物中の前記相変化材料の量は約10重量%~約40重量%である、請求項13に記載のイヤチップ。
【請求項16】
イヤチップであって、
イヤバッドに取り付けされるように構成された本体であって、前記本体は、
第1の端部と、
前記第1の端部の反対側の第2の端部と、
前記第1の端部と前記第2の端部との間に延在する内壁であって、前記内壁は、音波を伝導するように構成された中空通路を画定して取り囲む、内壁と、
前記第1の端部で前記内壁に接続され、前記内壁から前記第2の端部に向かって離れて延在する外壁と、を含む、本体を備え、
前記内壁は、前記イヤバッド上のノズルと係合するように構成され、
前記内壁は、前記ノズルと前記イヤチップの前記第1の端部との間に延在する延長部を含み、前記外壁及び前記延長部は、粘弾性特性を有するスチレン系TPEを含む粘弾性材料から少なくとも部分的に形成される、イヤチップ。
【請求項17】
前記外壁の外面は、耐皮脂性を向上させるために、電子ビーム処理及び光イオン化から選択される表面処理で処理される、請求項16に記載のイヤチップ。
【請求項18】
前記外壁の外面はソフトタッチコーティングを有する、請求項16に記載のイヤチップ。
【請求項19】
前記ソフトタッチコーティングは、50%SIBS/50%シリコーン(wt/wt)ソフトタッチコーティングを含む、請求項18に記載のイヤチップ。
【請求項20】
前記粘弾性材料は、粘弾性特性を有する前記スチレン系TPEと、所定の相変化温度で固体状態から液体状態への相変化能力を有する1つ以上の相変化材料と、を含む組成物を含む、請求項16に記載のイヤチップ。
【請求項21】
前記所定の相変化温度は、約25℃~約35℃である、請求項20に記載のイヤチップ。
【請求項22】
前記組成物は約5ショアA~約50ショアAの硬度を有し、前記組成物中の前記相変化材料の量は約10重量%~約40重量%である、請求項20に記載のイヤチップ。
【請求項23】
前記粘弾性材料は、前記ノズル上の嵌合保持部材に係合するように構成された保持部材を画定する、請求項16に記載のイヤチップ。
【請求項24】
前記内壁は、硬質プラスチックで形成され、前記ノズルに係合するように構成されたリングを更に含む、請求項16に記載のイヤチップ。
【請求項25】
前記リングは、前記内壁の内面の周りに延在する凹部を画定し、前記ノズルの外面に形成されてその周りに延在する対応する凹部内に着座されるOリングを受容するように構成される、請求項24に記載のイヤチップ。
【請求項26】
前記粘弾性特性を有するスチレン系TPEはA9 TPEである、請求項16に記載のイヤチップ。
【請求項27】
イヤチップであって、
イヤバッドに取り付けされるように構成された本体であって、前記本体は、
第1の端部と、
前記第1の端部の反対側の第2の端部と、
第1のデュロメータを有する第1の材料で形成され、前記第1の端部と前記第2の端部との間に延在する内壁であって、前記内壁は、音波を伝導するように構成された中空通路を画定して取り囲む、内壁と、
前記第1のデュロメータよりも小さい第2のデュロメータを有する第2の材料から形成され、前記第1の端部において前記内壁に接続され、前記内壁から離れて前記第2の端部に向かって延在する外壁と、を含む、本体を備え、
前記内壁は、前記イヤバッド上の対応するノズルを収容するように構成された細長い断面形状を有し、
前記内壁は、2つの端部と、それらを接続する2つの側部と、を有する保持機構を画定し、
前記側部の厚さは、前記端部の厚さと異なり、
前記保持機構は、前記ノズルの相補的保持機構に係合して適合し、前記ノズルへの前記イヤチップの不適切な取り付けを阻止し、前記イヤチップが前記ノズルに取り付けされると、前記ノズルに対する前記イヤチップの回転を阻止する、イヤチップ。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本開示は、イヤチップ並びに関連するデバイス及び方法に関する。
【0002】
現代のインイヤヘッドホンは、ユーザの外耳道における周囲ノイズを低減するのに役立つ能動ノイズ低減を提供する。能動ノイズ低減は、一般に、アナログ回路又はデジタル信号処理の使用を通じて達成される。適応アルゴリズムは、周囲ノイズの波形を分析し、次いで、特定のアルゴリズムに基づいて、元の信号の極性を位相シフト又は反転させる信号を生成するように設計される。次に、この反転信号(逆位相)が増幅され、トランスデューサ(スピーカ)が、元の波形の振幅に正比例する音波を生成し、弱め合う干渉を生成する。これは、知覚可能なノイズの音量を効果的に低減する。
【0003】
この能動ノイズ低減に対する重要な補足は、ユーザの外耳道を密閉する材料によって提供されるノイズの受動注意である。その点に関して、多くの現代のインイヤヘッドホンは、典型的には低デュロメータシリコーンから作製されるコンプライアントイヤチップを含む。これらのイヤチップは、ユーザの外耳道との音響シールを形成し、周囲ノイズの伝達に対する物理的障壁として作用する。低デュロメータシリコーンは、ユーザの外耳道との良好な音響シールを確実にするのに役立つ柔軟かつコンプライアンスであるため、快適さを提供する。
【0004】
能動ノイズ低減は、より低い周波数(例えば、20Hz~1kHz)において非常に効果的であるが、ヘッドホンは、より高い周波数ノイズ(例えば、1kHz以上)を減衰(低減)させるために受動注意に大きく依存する。残念ながら、イヤチップに一般的に使用される低デュロメータシリコーンは、1kHz~1.5kHzの範囲の高周波数を減衰させるのに特に優れているわけではない。これにより、望ましくないノイズがイヤチップ材料を通過してユーザの外耳道に入る可能性がある。
【0005】
本開示は、改善された受動減衰を有するヘッドホン用イヤチップに関する。本開示は更に、楕円形ノズルと嵌合するように設計され、ノズルに嵌合されるとノズルの周りの回転に抵抗するように構成されたイヤチップに関する。
【発明の概要】
【0006】
下記で言及される全ての実施例及び特徴は、任意の技術的に可能な方式で組み合わせることができる。
【0007】
一態様において、イヤチップは、イヤバッドに取り付けられるように構成された本体を含む。本体は、第1の端部と、第1の端部の反対側の第2の端部と、第1の端部と第2の端部との間に延在する内壁とを含む。内壁は、音波を伝導するように構成された中空通路を画定し、取り囲む。本体はまた、第1の端部で内壁に接続され、内壁から第2の端部に向かって離れて延在する外壁を含む。内壁は、イヤバッド上の対応するノズルを収容するように構成された細長い断面形状を有する。内壁は、剛性材料で形成され、ノズルの細長い形状に係合して適合し、ノズルへのイヤチップの不適切な取り付けを阻止し、イヤチップがノズルに取り付けされると、ノズルに対するイヤチップの回転を阻止するリングを含む。
【0008】
実装形態は、以下の特徴のうちの1つ、又はそれらの任意の組み合わせを含み得る。
【0009】
いくつかの実装形態において、内壁は、ノズルとイヤチップの第1の端部との間に延在する延長部の少なくとも一部を画定する高デュロメータコンプライアント材料を更に含む。
【0010】
いくつかの実装形態において、外壁は、高デュロメータコンプライアント材料の周りに成形され、外壁は、より低いデュロメータコンプライアント材料から形成される。
【0011】
場合によっては、リングは、少なくとも1つの間隙を有する少なくとも1つのC字形部材を含み、高デュロメータコンプライアント材料は、リングの周りに成形され、間隙を充填する。
【0012】
場合によっては、リングは、部材間に一対の間隙を有して配置された一対のC字形部材を含み、高デュロメータコンプライアント材料は両方の間隙を充填する。
【0013】
場合によっては、高デュロメータコンプライアント材料は、ノズル上の嵌合保持部材に係合するように構成された保持部材を画定する。
【0014】
特定の例において、リングは、内壁の内面の周りに延在する凹部を画定し、ノズルの外面に形成されてその周りに延在する対応する凹部内に着座されるOリングを受容するように構成される。
【0015】
いくつかの実装形態において、内壁はまた、ノズルとイヤチップの第1の端部との間に延在する延長部を含み、外壁及び延長部は、周波数補強挙動を有する粘弾性材料から少なくとも部分的に形成される。
【0016】
特定の実装形態において、延長部及び外壁は、粘弾性特性を有するスチレン系TPEから形成される(例えば、A9 TPE)。
【0017】
場合によっては、外壁の外面は、耐皮脂性を向上させるために、電子ビーム処理及び光イオン化から選択される表面処理で処理される。
【0018】
場合によっては、外壁の外面は、ソフトタッチコーティングを有する。
【0019】
いくつかの例において、ソフトタッチコーティングは、50%ポリ(スチレン-イソブチレン-スチレン)(SIBS)ブロックコポリマー/50%シリコーン(wt/wt)ソフトタッチコーティングである。
【0020】
特定の例において、粘弾性材料は、エラストマーと、所定の相変化温度で固体状態から液体状態への相変化能力を有する1つ以上の相変化材料と、を含む組成物である。
【0021】
いくつかの実装形態において、所定の相変化温度は、約25℃~約35℃である。
【0022】
特定の実装形態において、組成物は約5ショアA~約50ショアAの硬度を有し、組成物中の相変化材料の量は約10重量%~約40重量%である。
【0023】
別の態様において、イヤチップは、イヤバッドに取り付けられるように構成された本体を含む。本体は、第1の端部と、第1の端部の反対側の第2の端部と、第1の端部と第2の端部との間に延在する内壁とを含む。内壁は、音波を伝導するように構成された中空通路を画定し、取り囲む。本体はまた、第1の端部で内壁に接続され、内壁から第2の端部に向かって離れて延在する外壁を含む。内壁は、イヤバッド上のノズルと係合するように構成される。内壁は、ノズルとイヤチップの第1の端部との間に延在する延長部を含み、外壁及び延長部は、粘弾性特性を有するスチレン系TPEを含む粘弾性材料から少なくとも部分的に形成される(例えば、A9 TPE)。
【0024】
実装形態は、上記及び/又は下記の特徴のうちの1つ、又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。
【0025】
いくつかの実装形態において、外壁の外面は、耐皮脂性を向上させるために、電子ビーム処理及び光イオン化から選択される表面処理で処理される。
【0026】
特定の実装形態において、外壁の外面は、ソフトタッチコーティングを有する。
【0027】
場合によっては、ソフトタッチコーティングは、50%SIBS/50%シリコーン(wt/wt)ソフトタッチコーティングである。
【0028】
特定の場合には、粘弾性材料は、粘弾性特性を有するスチレン系TPEと、所定の相変化温度で固体状態から液体状態への相変化能力を有する1つ以上の相変化材料と、を含む組成物を含む。
【0029】
いくつかの例において、所定の相変化温度は、約25℃~約35℃である。
【0030】
特定の例において、組成物は約5ショアA~約50ショアAの硬度を有し、組成物中の相変化材料の量は約10重量%~約40重量%である。
【0031】
いくつかの実装形態において、粘弾性材料は、ノズル上の嵌合保持部材に係合するように構成された保持部材を画定する。
【0032】
特定の実装形態において、内壁はまた、硬質プラスチックで形成され、ノズルに係合するように構成されたリングを含む。
【0033】
いくつかの場合において、リングは、内壁の内面の周りに延在する凹部を画定し、ノズルの外面に形成されてその周りに延在する対応する凹部内に着座されるOリングを受容するように構成される。
【0034】
特定の場合において、粘弾性特性を有するスチレン系TPEはA9 TPEである。
【0035】
別の態様は、イヤバッドに装着されるように構成された本体を含むイヤチップを特徴とする。本体は、第1の端部と、第1の端部の反対側の第2端部と、第1のデュロメータを有する第1の材料で形成された内壁とを含む。内壁は、第1の端部と第2の端部との間に延在する。内壁は、音波を伝導するように構成された中空通路を画定し、取り囲む。本体はまた、第1のデュロメータよりも小さい第2のデュロメータを有する第2の材料から形成される外壁を含む。外壁は、第1の端部で内壁に接続され、内壁から第2の端部に向かって離れて延在する。内壁は、イヤバッド上の対応するノズルを収容するように構成された細長い断面形状を有する。内壁は、2つの端部と、それらを接続する2つの側部と、を有する保持機構を画定する。側部の厚さは、端部の厚さと異なる。保持機構は、ノズルの相補的保持機構に係合して適合し、ノズルへのイヤチップの不適切な取り付けを阻止し、イヤチップがノズルに取り付けされると、ノズルに対するイヤチップの回転を阻止する。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図3A】本開示によるイヤチップの第1の実施態様の正面斜視図である。
【
図4】イヤバッドのノズルに取り付けられた
図3Aのイヤチップの側断面図である。
【
図5】本開示によるイヤチップの第2の実施態様の背面斜視図である。
【
図6A】本開示によるイヤチップの第3の実施態様の正面斜視図である。
【
図6D】イヤバッドのノズルに取り付けられた
図6Aのイヤチップの側断面図である。
【
図7A】本開示によるイヤチップの第4の実施態様の正面斜視図である。
【
図7D】イヤバッドのノズルに取り付けられた
図7Aのイヤチップの側断面図である。
【
図8A】本開示によるイヤチップの第5の実施態様の正面斜視図である。
【
図8D】イヤバッドのノズルに取り付けられた
図8Aのイヤチップの側断面図である。
【
図9A】本開示によるイヤチップの第6の実施態様の正面斜視図である。
【
図9D】イヤバッドのノズルに取り付けられた
図9Aのイヤチップの側断面図である。
【
図10A】本開示によるイヤチップの第7の実施態様の正面斜視図である。
【
図10D】イヤバッドのノズルに取り付けられて示されている、イヤチップの短軸に沿った
図10Aのイヤチップの断面側面図である。
【
図10F】イヤバッドのノズルに取り付けられて示されている、イヤチップの長軸に沿った
図10Aのイヤチップの断面側面図である。
【
図11】
図10Aのイヤチップと共に使用するためのイヤバッド用ノズルの正面斜視図である。
【0037】
図中の共通にラベル付けされた構成要素は、例示目的のために実質的に同等の構成要素であるとみなされ、それらの構成要素の重複する説明は、明確化のために省略する。様々な実装形態に従って記載した数値範囲及び値は、そのような範囲及び値の単なる例であり、これらの実装形態を限定することを意図するものではない。場合によっては、「約」という用語は、値を修正するために使用され、これらの場合、これらの値は、最大1~5パーセントの範囲であり得る測定誤差などの誤差のマージンを指すことができる。
【発明を実施するための形態】
【0038】
図1A、
図1B及び
図2は、本開示に従って構成された例示的なイヤピース100を示す。イヤピース100は、イヤバッド102及びイヤチップ104を含む。イヤバッド102はまた、イヤチップ104に連結されるように構成されたノズル108を画定するハウジング106を含む。ハウジング106は、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリカーボネート/アクリロニトリルブタジエンスチレン(PCB/ABS)、ポリエーテルイミド(PEI)、又はステレオリソグラフィ(SLA)樹脂などの硬質プラスチックから、例えば型成形により、形成されてもよい。ハウジング106は、電気音響変換器111(「スピーカ」又は「受信機」又は「ドライバ」とも呼ばれる)、バッテリ114、及び電子回路116が配置され得る空洞110を画定する。空洞110は、ノズル108内の音響通路112に音響的に連結されており、例えば、イヤピースが取り付けされたときに、電気音響変換器111がユーザの耳に音響的に連結され得る。ハウジング106はまた、1つ以上のマイクロホン118を支持してもよい。
【0039】
図1Bに示すように、ノズル108は、細長い断面形状、例えば、楕円、長円、レーストラックの形状(平行側面及び平行側面の間に延在する丸みのある端部、別名「スタジアム」を有する)、又は
図1Bに示すような丸みを帯びた端部とそれらを接続する湾曲したスプラインとを有する細長い形状を有する。ここで、「断面(cross-section)」又は「断面(cross-sectional)」は、ノズルの中心軸に対して垂直であると理解されるべきである。これは、単純な円形断面よりも良好にユーザの外耳道に適合することが期待される。イヤピース100はまた、イヤピース100をユーザの耳内に保持するのを補助するための安定手段を含んでもよい。
【0040】
図3A~
図3Dを参照すると、イヤチップ104は、人の外耳道内に少なくとも部分的にフィットするように構成される。イヤチップ104は、イヤバッド102上に取り付けされるように構成された本体120を含む。本体120は、第1の端部122と、第1の端部122の反対側の第2の端部124とを含む。本体120は、第1の端部122と第2の端部124との間に延在する内壁126を更に含む。内壁126は、音波を伝導するように構成され得る中空通路128を画定し、取り囲む。内壁126は、細長い断面形状、例えば、楕円、長円、レーストラックの形状(平行側面及び平行側面の間に延在する丸みのある端部、別名「スタジアム」を有する)、又は
図3Bに示すような丸みを帯びた端部とそれらを接続する湾曲したスプラインとを有する細長い形状を有する。ここで、「断面」又は「断面の」は、内壁126の中心軸に対して垂直であると理解されるべきである。本体120はまた、第1の端部122において内壁126に接続された外壁130を含む。外壁130は、内壁126から離れて、第2の端部124に向かって延在する。図示の例では、外壁130はドーム状の形状であるが、しかしながら、円錐形などの他の形状も考えられる。
図3Cに示すように、外壁130は、第2の端部124を越えて延在する。代替的な実装形態において、外壁130は、第2の端部124に向かって延在してもよいが、必ずしも第2の端部124に達しなくてもよい。
【0041】
図3A~
図3Cに示す実施形態は、異なる硬度の3つの異なる材料を使用して、3ショット成形プロセスで形成されるイヤチップ104を形成する。第1の材料である硬質プラスチック(例えば、ガラス充填ポリイミド)は、回転防止のためにノズル108に係合するリング132を提供するために使用される。この点に関して、リング132は、ノズル108の細長い形状に適合し、これにより、イヤチップ104の不適切な取り付けが阻止され、イヤチップ104がノズル108に取り付けられると、ノズル108に対するイヤチップ104の回転が阻止される。
図4に示されるように、リング132は、リング132がノズル108を収容することを可能にするいくらかのコンプライアンスを可能にする間隙134を有するC字形であり得る。
【0042】
第2の材料は、リング132の周りに成形される、高デュロメータシリコーン、例えば、60ショアA~80ショアAシリコーン、例えば、70ショアAシリコーンなどの高デュロメータコンプライアント材料である。リング132及び第2の材料は共に内壁126を形成する。第2の材料は、内壁126の内面の周りに延在し、ノズル108の外面によって画定されてその周りに延在する相補的保持機構136、例えば凹部と係合するように構成された保持機構134、例えば突起を画定する。保持機構134、136の係合は、イヤチップ104をノズル108上に保持するのに役立ち、イヤバッド102とイヤチップ104との間に良好な音響シールを提供する。
【0043】
第2の材料はまた、リング132内の間隙134を充填し、これにより、ノズル108上に適合するいくらかのコンプライアンスを可能にし、リング132の端部が互いに対して変位されることを可能にする一方で、イヤチップ104の第2の端部124に閉じた形状(閉じたリング)を提供する。
【0044】
第2の材料は更に、ノズル108とイヤチップ104の第1の端部122との間に延在する延長部138の少なくとも一部を画定する。この領域における高デュロメータ材料の使用は、低デュロメータシリコーンは、過度のノイズを通過させるが、この領域において低デュロメータシリコーンを使用した従来技術のイヤチップよりも改善された受動減衰性能を提供する。
【0045】
最後に、外壁130が高デュロメータ材料の周りに成形される。外壁130は、快適さのために、低デュロメータ材料、例えば、低デュロメータシリコーン、例えば、10ショアA~30ショアAシリコーン、例えば、20ショアAシリコーンで形成される。外壁130は、ユーザの外耳道に接触して適合し、その間に音響シールを形成するイヤチップの部分である。
図3Aに示すように、外壁130は、細長い断面形状、例えば、楕円、長円、レーストラックの形状(平行側面及び平行側面の間に延在する丸みのある端部、別名「スタジアム」を有する)、又は
図3Aに示すような丸みを帯びた端部とそれらを接続する湾曲したスプラインとを有する細長い形状を有するドームの形状である。ここで、「断面」又は「断面の」は、ドーム/外壁130の中心軸に対して垂直であると理解されるべきである。
【0046】
イヤチップ104は、第1の成形工程でリング132が形成され、続いて第2の成形工程で内壁126の残りが形成され、最後に第3の成形工程で外壁130が形成される3ショット成形プロセスで形成することができる。
【0047】
図5は、リング132が2つの別個のC字形部材から形成され、両方とも硬質プラスチック材料(例えば、ガラス充填ポリイミド)から形成され、それらの部分の間に一対の間隙500を有する代替実装形態を示す。間隙500は、成形プロセス中に第2の材料で充填される。
【0048】
図6A~
図6Dは、イヤバッド(例えば、
図1A及び
図1Bのイヤバッド102)に取り付けられるように構成された本体620を含むイヤチップ604の別の実装形態を示す。本体620は、第1の端部622と、第1の端部622の反対側の第2の端部624とを含む。本体620は、第1の端部622と第2の端部624との間に延在する内壁626を更に含む。内壁626は、音波を伝導するように構成され得る中空通路628を画定し、取り囲む。内壁626は、細長い断面形状、例えば、楕円、長円、レーストラックの形状(平行側面及び平行側面の間に延在する丸みのある端部、別名「スタジアム」を有する)、又は
図6Bに示すような丸みを帯びた端部とそれらを接続する湾曲したスプラインとを有する細長い形状を有する。ここで、「断面(cross-section)」又は「断面(cross-sectional)」は、内壁626の中心軸に対して垂直であると理解されるべきである。本体620はまた、第1の端部622において内壁626に接続された外壁630を含む。外壁630は、内壁626から離れて、第2の端部624に向かって延在する。図示の例において、外壁630はドーム状の形状であるが、しかしながら、円錐形などの他の形状も考えられる。
図6Cに示すように、外壁630は、第2の端部624を越えて延在する。代替的な実装形態において、外壁630は、第2の端部624に向かって延在してもよいが、必ずしも第2の端部624に達しなくてもよい。
【0049】
図6A~
図6Dに示す実施形態は、異なる硬度の3つの異なる材料を使用して、3ショット成形プロセスで形成されるイヤチップ604を形成する。第1の材料である硬質プラスチック(例えば、ガラス充填ポリイミド)は、回転防止のためにノズル108に係合するリング632を提供するために使用される。この点に関して、リング632は、ノズル108の細長い形状に適合し、これにより、イヤチップ604がノズル108に取り付けられると、イヤチップ604の不適切な取り付けが阻止される。
【0050】
図6C及び
図6Dに示すように、リング632は、内壁626の内面の周りに延在する凹部634(例えば環状溝)を画定し、ノズル108の外面に形成されてその周りに延在する対応する凹部136(例えば環状溝)内に着座するOリング635(例えばゴムOリング)を受容するように構成される。この実装形態において、保持機構634、136とOリング635との係合は、イヤチップ604をノズル108上に保持するのに役立ち、また、イヤバッド102とイヤチップ604との間に良好な音響シールを提供する。
【0051】
図6C及び
図6Dに示すように、リング632はまた、ノズル108の端部に重なるリップ637を画定することができる。リップ637は、ワックスガード638、例えば、リップ637に熱かしめされ得るスクリーンを支持することができる。これは、ノズル108自体の上のワックスガード640(
図6D)の代替であり得るか、又はそれに加え得る。
【0052】
第2の材料は、リング632の周りに成形される、高デュロメータシリコーン、例えば、60ショアA~80ショアAシリコーン、例えば、70ショアAシリコーンなどの高デュロメータコンプライアント材料である。リング632及び第2の材料は共に内壁626を形成する。第2の材料は、ノズル108とイヤチップ604の第1の端部622との間に延在する延長部642の少なくとも一部を画定する。この領域における高デュロメータ材料の使用は、低デュロメータシリコーンは、過度のノイズを通過させるが、この領域において低デュロメータシリコーンを使用した従来技術のイヤチップよりも改善された受動減衰性能を提供する。
【0053】
最後に、外壁630が高デュロメータ材料の周りに成形される。外壁630は、快適さのために、低デュロメータシリコーン、例えば、10ショアA~30ショアAシリコーン、例えば、20ショアAシリコーンなどの低デュロメータコンプライアント材料から形成される。外壁630は、ユーザの外耳道に接触して適合し、その間に音響シールを形成するイヤチップの部分である。
図6Aに示すように、外壁130は、細長い断面形状、例えば、楕円、長円、レーストラックの形状(平行側面及び平行側面の間に延在する丸みのある端部、別名「スタジアム」を有する)、又は
図6Aに示すような丸みを帯びた端部とそれらを接続する湾曲したスプラインとを有する細長い形状を有するドームの形状である。ここで、「断面(cross-section)」又は「断面(cross-sectional)」は、ドーム/外壁630の中心軸に対して垂直であると理解されるべきである。
【0054】
図7A~
図7Dは、イヤバッド(例えば、
図1A及び
図1Bのイヤバッド102)に取り付けられるように構成された本体720を含むイヤチップ704の更に別の実装形態を示す。本体720は、第1の端部722と、第1の端部722の反対側の第2の端部724とを含む。本体720は、第1の端部722と第2の端部724との間に延在する内壁726を更に含む。内壁726は、音波を伝導するように構成され得る中空通路728を画定し、取り囲む。内壁726は、細長い断面形状、例えば、楕円、長円、レーストラックの形状(平行側面及び平行側面の間に延在する丸みのある端部、別名「スタジアム」を有する)、又は
図7Bに示すような丸みを帯びた端部とそれらを接続する湾曲したスプラインとを有する細長い形状を有する。ここで、「断面(cross-section)」又は「断面(cross-sectional)」は、内壁726の中心軸に対して垂直であると理解されるべきである。本体720はまた、第1の端部722において内壁726に接続された外壁730を含む。外壁730は、内壁726から離れて、第2の端部724に向かって延在する。図示の例において、外壁730はドーム状の形状である。しかしながら、円錐形などの他の形状も考えられる。
【0055】
図7A~
図7Dに示す実装態様は、粘弾性特性を有するスチレン系熱可塑性エラストマー(TPE)、例えばA9 TPEなどの、周波数補強挙動を有する粘弾性材料を利用する。適切なA9熱可塑性プラスチックエラストマーは、イリノイ州McHenryのAvient(以前はPolyOne)から入手可能な商品名GLS(商標)、製品番号LC AB5-741で入手可能である。粘弾性材料は、外壁730と、ノズル108とイヤチップ704の第1の端部722との間に延びる延長部742の少なくとも一部を含む内壁726の少なくとも一部とを形成する。この延長部領域において周波数補強挙動を有する材料の使用は、低デュロメータシリコーンは、過度のノイズを通過させるが、この領域において低デュロメータシリコーンを使用した従来技術のイヤチップに対して、1kHz~1.5kHzの周波数帯域において改善された受動減衰性能を提供する。材料は粘弾性であるので、減衰特性を有する。それは、衝撃及びショック及び振動を減衰させるのに役立ち、安定性にも役立つ。他の適切な粘弾性材料は、「Earpiece Employing Viscoelastic Materials」という名称の米国特許第10623846号に記載され、特許請求されており、その完全な開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0056】
例えば、場合によっては、粘弾性材料は、1つ以上のエラストマーを含む組成物からなってもよく、組成物は、約0.5~約1の低周波数弾性率測定基準(Mlf)、約0.5~約1の高周波数弾性率測定基準(Mhf)、及び約-25℃~約30℃のガラス転移温度(Tg)を有する。1つ以上のエラストマーの少なくとも1つは、ポリノルボルネン、ポリウレタン、スチレン系熱可塑性エラストマー、ブチルゴム、アクリル、熱可塑性加硫物、ニトリルゴムなどであってもよい。1つ以上のエラストマーの少なくとも1つは、ポリノルボルネンであってもよい。ポリノルボルネンは、約0.8~約1.2kg/dm3の密度、約10~約20ショアAの硬度、及び約2~約8MPaの引張強度を有してもよい。組成物は、ポリノルボルネン、酸化防止剤、UV安定剤、硬化剤、阻害剤、可塑剤、充填剤などを含んでもよい。Tgは、約5℃~約30℃であってもよい。Tgは約20℃~約30℃であってもよい。Tgは約5℃~約25℃であってもよい。Mhfは約0.7~約1であってもよい。Mlfは、約0.7~約1であってもよい。MhfとMlfとの積は、約0.5~約1であってもよい。
【0057】
粘弾性材料、特にTPEは、皮脂に対して脆弱であり得る。その点に関して、イヤチップ704の外面、例えば、少なくとも外壁730の外面は、イヤチップ704の外側層内に架橋マトリックスを形成するために、電子ビーム処理又は光イオン化などの表面処理で処理されてもよく、その結果、外側層は、イヤチップ704の内側層(又は未処理領域(単数又は複数))よりも皮脂に対する親和性が低い。表面処理に関する追加の詳細は、「Sebum Resistance Enhancement for Wearable Devices」と題された米国特許第10856069号に記載され、特許請求されており、その完全な開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0058】
電子ビーム処理がTPEに対して行うのは、硬化工程である。TPEがその所望の形状に成形されると、電子ビーム処理は、材料中に化学架橋を生成し、これが材料をシリコーン様状態に変換して、優れた耐皮脂性及び耐薬品性を提供する。これは耐皮脂性を助け、その上にソフトタッチトップコートを加える能力を解放する。電子ビーム処理はまた、熱衝撃を含む多くの試験において改善された性能を提供することができる。
【0059】
いくつかの実装形態において、イヤチップ704、少なくとも外壁730は、2021年4月16日に出願された「Soft Touch Material」という名称の米国特許出願第17/232479号に記載され特許請求されているものなどのソフトタッチコーティングで処理されてもよく、その完全な開示は参照により本明細書に組み込まれる。例えば、外壁730を形成するTPEは、50%ポリ(スチレン-イソブチレン-スチレン)(SIBS)ブロックコポリマー/50%シリコーン(wt/wt)ソフトタッチコーティングで処理することができる。
【0060】
上述したように、電子ビーム処理は、部品を損傷することなくソフトタッチトップコートの塗布を可能にすることができる。トップコートは、スプレーを介して適用され得、次いで硬化される。トップコートを塗布するプロセスにおいて、部品(イヤチップ704)は溶媒で応力を加えられる。その後、高温で硬化させる。この全てが部品に応力を加える可能性がある。電子ビーム処理は、部品を架橋し、溶媒及び温度に対するその耐性を増加させる。
【0061】
ソフトタッチコーティングは、ユーザが触れるであろう任意の場所に塗布することができる。ソフトタッチトップコートは、高級仕上げを提供し、シール及び初期快適性を助ける。ソフトタッチトップコートはまた、防塵に役立ち得、A9 TPE材料は、多くの塵を集める傾向を有する。
【0062】
粘弾性材料はまた、「Earpiece Employing Cooling and Sensation Inducing Materials」と題され、その完全な開示は、参照することによって本明細書に組み込まれる、米国特許第10531174号に説明及び請求されるような、冷却及び感覚誘導材料を含んでもよい。例えば、粘弾性材料は、エラストマー、例えば、A9 TPEなどの粘弾性特性を有するスチレン系TPEと、所定の相変化温度、例えば、約25℃~約35℃で固体状態から液体状態への相変化能力を有する1つ以上の相変化材料とを含む組成物を含んでもよい。組成物は、約5ショアA~約50ショアAの硬度を有してもよく、組成物中の相変化材料の量は、約10重量%~約40重量%である。
【0063】
図7A~
図7Dに示す実施態様において、粘弾性材料は、内壁726の内面の周りに延在し、ノズル108の外面によって画定されてその周りに延在する相補的保持機構136、例えば凹部と係合するように構成された保持機構734、例えば突起を画定する。保持機構734、136の係合は、イヤチップ704をノズル108上に保持するのに役立ち、また、イヤバッド102とイヤチップ704との間に良好な音響シールを提供する。
【0064】
図7B~
図7Dに示すように、内壁726は、ガラス充填ポリイミドなどの硬質プラスチック材料で形成されたリング132である。リング726は、回転防止のためにノズル108に係合するように構成される。この点に関して、リング732は、ノズル108の細長い形状に適合しており、これにより、イヤチップ104がノズル108に取り付けられると、イヤチップの不適切な取り付けが阻止される。すなわち、リング732は、チップがノズル108に対して適切に配向されたときにのみチップがノズルに嵌合することを確実にし、リング732及びノズル108の細長い断面形状は、リング732の剛性と共に、イヤチップ704がいったん取り付けられるとノズル108の周りで回転できないことを確実にするのに役立つ。
図7Bに示すように、リング732は、楕円形、例えば、レーストラック形状の閉形態(例えば、閉ループ)とすることができる。代替として、リング732は、リング732がノズル108を収容することを可能にするいくらかのコンプライアンスを可能にする間隙を有するC字形などの開放形態であることができる。間隙は、イヤチップ704が形成される成形プロセス中に粘弾性材料で充填することができる。場合によっては、リング732は、
図5に示すように、2つの別個のC字形部材で形成することができる。
図7A~
図7Dの実施態様において、リング732及び粘弾性材料は共に内壁726を形成する。
【0065】
イヤチップ704は、リング732が最初に第1の成形工程で形成され、次いでイヤチップ704の残りの部分(すなわち、内壁726及び外壁730の残りの部分)が第2の成形工程で形成されるツーショット成形プロセスで形成され得る。
【0066】
図8A~
図8Dは、イヤバッド(例えば、
図1A及び
図1Bのイヤバッド102)に取り付けられるように構成された本体820を含むイヤチップ804の別の実装形態を示す。本体820は、第1の端部822と、第1の端部822の反対側の第2の端部824とを含む。本体820は、第1の端部822と第2の端部824との間に延在する内壁826を更に含む。内壁826は、音波を伝導するように構成され得る中空通路828を画定し、取り囲む。内壁826は、細長い断面形状、例えば、楕円、長円、レーストラックの形状(平行側面及び平行側面の間に延在する丸みのある端部、別名「スタジアム」を有する)、又は
図8Bに示すような丸みを帯びた端部とそれらを接続する湾曲したスプラインとを有する細長い形状を有する。ここで、「断面(cross-section)」又は「断面(cross-sectional)」は、内壁826の中心軸に対して垂直であると理解されるべきである。本体820はまた、第1の端部822において内壁826に接続された外壁830を含む。外壁830は、内壁826から離れて、第2の端部824に向かって延在する。図示の例において、外壁830はドーム状の形状である。しかしながら、円錐形などの他の形状も考えられる。
図8Cに示すように、外壁830は、第2の端部824を越えて延在する。代替的な実装形態において、外壁830は、第2の端部824に向かって延在してもよいが、必ずしも第2の端部824に達しなくてもよい。
【0067】
図8A~
図8Dに示す実装態様は、やはり、粘弾性特性を有するスチレン系TPE、例えばA9 TPEなどの、周波数補強挙動を有する粘弾性材料を利用する。粘弾性材料は、
図7A~7Dに関して上述した表面処理又は化合物のいずれかを含んでもよい。
【0068】
図8B~
図8Dに示すように、イヤチップ804は、回転防止のためにノズル108に係合するリング832を含むことができる。この点に関して、リング832は、ノズル108の細長い形状に適合しており、これにより、イヤチップ804がノズル108に取り付けられると、イヤチップの不適切な取り付けが阻止される。上述した様々な実施形態と同様に、リング832は、ガラス充填ポリイミドなどの硬質プラスチックで形成されてもよい。
【0069】
図8C及び
図8Dに示すように、リング832は、内壁826の内面の周りに延在する凹部834(例えば環状溝)を画定し、ノズル108の外面に形成されてその周りに延在する対応する凹部136(例えば環状溝)内に着座するOリング835(例えばゴムOリング)を受容するように構成される。この実装形態において、保持機構834、136とOリング835との係合は、イヤチップ804をノズル108上に保持するのに役立ち、また、イヤバッド102とイヤチップ804との間に良好な音響シールを提供する。
【0070】
図8C及び
図8Dに示すように、リング832はまた、ノズル108の端部に重なるリップ837を画定することができる。リップ837は、ワックスガード838(例えば、リップ837に熱かしめされ得るスクリーン)を支持することができる。これは、ノズル108自体の上のワックスガード840(
図8D)の代替であり得るか、又はそれに加え得る。
【0071】
図9A~
図9Dは、イヤバッド(例えば、
図1A及び
図1Bのイヤバッド102)に取り付けられるように構成された本体920を含むイヤチップ904の別の実装形態を示す。本体920は、第1の端部922と、第1の端部922の反対側の第2の端部924とを含む。本体920は、第1の端部922と第2の端部924との間に延在する内壁926を更に含む。内壁926は、音波を伝導するように構成され得る中空通路928を画定し、取り囲む。内壁926は、細長い断面形状、例えば、楕円、長円、レーストラックの形状(平行側面及び平行側面の間に延在する丸みのある端部、別名「スタジアム」を有する)、又は
図9Bに示すような丸みを帯びた端部とそれらを接続する湾曲したスプラインとを有する細長い形状を有する。ここで、「断面(cross-section)」又は「断面(cross-sectional)」は、内壁926の中心軸に対して垂直であると理解されるべきである。本体902はまた、第1の端部922において内壁926に接続された外壁930を含む。外壁930は、内壁926から離れて、第2の端部924に向かって延在する。図示の例において、外壁930はドーム状の形状であるが、しかしながら、円錐形などの他の形状も考えられる。
図9Cに示すように、外壁930は、第2の端部924を越えて延在する。代替的な実装形態において、外壁930は、第2の端部924に向かって延在してもよいが、必ずしも第2の端部924に達しなくてもよい。
【0072】
図9A~
図9Dに示される実施形態は、ここでも、粘弾性特性を有するスチレン系TPE、例えばA9 TPEなどの、周波数補強挙動を有する粘弾性材料を利用する。粘弾性材料は、
図7A~7Dに関して上述した表面処理又は化合物のいずれかを含んでもよい。
【0073】
図9B~
図9Dに示すように、イヤチップ904は、回転防止のためにノズル108に係合するリング932を含むことができる。この点に関して、リング932は、ノズル108の細長い形状に適合しており、これにより、イヤチップ904がノズル108に取り付けられると、イヤチップの不適切な取り付けが阻止される。上述した様々な実施形態と同様に、リング932は、ガラス充填ポリイミドなどの硬質プラスチックで形成されてもよい。リング932はまた、内壁926の内面から外向きに延在し、ノズル108の外面によって画定された相補的保持機構136、例えば凹部に係合するように構成された1つ以上の保持機構934、例えば1つ以上の突起を画定する。保持機構934、136の係合は、イヤチップ904をノズル108上に保持するのに役立つ。
【0074】
粘弾性材料は、ノズル108の端部との締まり嵌めを提供するように、中空通路928を狭めて内向きに先細になる内壁926の先細部分935を画定する。内壁926の先細部分935とノズル108との間の干渉936は、イヤバッド102とイヤチップ904との間に良好な音響シールを提供する。
【0075】
図10A~
図10Fは、人の外耳道内に少なくとも部分的に嵌合するように構成されたイヤチップ1004の更に別の実装形態を示す。イヤチップ1004は、イヤバッド102上に取り付けされるように構成された本体1020を含む。本体1020は、第1の端部1022と、第1の端部1022の反対側の第2の端部1024とを含む。本体1020は、第1の端部1022と第2の端部1024との間に延在する内壁1026を更に含む。内壁1026は、音波を伝導するように構成され得る中空通路1028を画定し、取り囲む。内壁1026は、細長い断面形状、例えば、楕円、長円、レーストラックの形状(平行側面及び平行側面の間に延在する丸みのある端部、別名「スタジアム」を有する)、又は
図10Bに示すような丸みを帯びた端部とそれらを接続する湾曲したスプラインとを有する細長い形状を有する。ここで、「断面(cross-section)」又は「断面(cross-sectional)」は、内壁1026の中心軸に対して垂直であると理解されるべきである。本体1020はまた、第1の端部1022において内壁1026に接続された外壁1030を含む。外壁1030は、内壁1026から離れて、第2の端部1024に向かって延在する。図示の例において、外壁1030はドーム状の形状であるが、しかしながら、円錐形などの他の形状も考えられる。
図10Cに示すように、外壁1030は、第2の端部1024を越えて延在する。代替的な実装形態において、外壁1030は、第2の端部1024に向かって延在してもよいが、必ずしも第2の端部1024に達しなくてもよい。
【0076】
図10A~
図10Eに示す実施形態は、異なる硬度の2つの異なる材料を使用して、2ショット成形プロセスで形成されるイヤチップ1004を形成する。第1の材料、例えば60ショアA~80ショアAシリコーン、例えば70ショアAシリコーンなどの高デュロメータシリコーンなどの高デュロメータコンプライアント材料が、内壁1026を形成するために使用される。第1の材料はまた、内壁1026の内面の周りに延在し、ノズル1008の外面によって画定され、その周りに延在する相補的保持機構1036、例えば凹部と係合するように構成された保持機構1034、例えば突起を画定する。保持機構1034、1036の係合は、イヤチップ1004をノズル108上に保持するのに役立ち、イヤバッド1002とイヤチップ1004との間に良好な音響シールを提供する。
【0077】
保持機構1034は、2つの平坦な端部1035と、それらを接続する2つの湾曲したスプライン1037とを有する。スプライン1037の厚さt1(
図10C)は、端部1035の厚さt2(
図10E)よりも厚い。
図11に示すように、ノズル108上の凹部1036は、同様に、2つの平坦な端部1039と、それらを接続する2つのスプライン1041とで構成される。スプライン1037に沿った凹部1036の幅w1(
図10D)は、平坦な端部1039に沿った幅w2(
図10F)よりも広く、突出部1034のスプライン1041の追加の厚さを収容する。同様に、平坦な端部1035に沿った凹部1036の幅w2は、突出部1034の平坦な端部1039を収容するようにサイズ決めされる。したがって、突出部1034及び凹部1036のそれぞれの形状は、ノズル108上へのイヤチップ1004の不適切な取り付けを阻止し、ノズル108に対するイヤチップ1004の回転を阻止するように、互いに固定される。
図11のノズル108は、一体型ワックスガード1040と共に示されている。
【0078】
外壁1030は、高デュロメータ材料の周りに成形される。外壁1030は、快適さのために、低デュロメータ材料、例えば、低デュロメータシリコーン、例えば、10ショアA~30ショアAシリコーン、例えば、20ショアAシリコーンで形成される。外壁1030は、ユーザの外耳道に接触して適合し、その間に音響シールを形成するイヤチップ1004の部分である。特に、
図10Aに示されるように、外壁1030は、細長い断面形状、例えば、楕円、長円、又はレーストラックの形状(平行側面及び平行側面の間に延在する丸みのある端部、別名「スタジアム」を有する)を有するドームの形状である。ここで、「断面(cross-section)」又は「断面(cross-sectional)」は、ドーム/外壁1030の中心軸に対して垂直であると理解されるべきである。
【0079】
イヤチップ1004は、第1の成形工程において内壁1026が形成され、続いて第2の成形工程において外壁130が形成されるツーショット成形プロセスで形成され得る。
【0080】
本明細書において、様々な例について記載及び例解してきたが、当業者であれば、様々な他の手段、及び/若しくは、機能を実施し、かつ/又は結果、及び/若しくは、本明細書に記載の1つ以上の利点を得るための構造を容易に着想し、こうした変更形態、及び/若しくは変形形態の各々は、本明細書に記載の例の範囲内にあるとみなされる。より一般的には、当業者であれば、本明細書に記載のパラメータ、寸法、材料、及び構成の全てが例示的であること、更に、実際のパラメータ、寸法、材料、及び/又は構成は、特定の用途、又は本発明の教示が使用される用途に依存することを容易に理解するであろう。当業者であれば、日常的な実験を行うだけで、本明細書に記載されている特定例に相当する多くの等価物を認識又は確認することができるであろう。したがって、前述の例は、例示のみとして提示されたものであり、添付の特許請求の範囲及びその同等物の範囲内で、明確に記載、特許請求された以外の方法で例を実施することができるということを理解されたい。本開示の例は、本明細書に記載の各個々の特徴、システム、物品、材料、キット、及び/又は方法を対象とする。更に、2つ以上のこうした特徴、システム、物品、材料、キット、及び/又は方法のいかなる組み合わせも、こうした特徴、システム、物品、材料、キット、及び/又は方法が相互に矛盾しない場合、本開示の発明の範囲内に含まれる。
【国際調査報告】