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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-12
(54)【発明の名称】分割ダイプレス工具
(51)【国際特許分類】
   B30B 11/02 20060101AFI20240705BHJP
【FI】
B30B11/02 F
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024500391
(86)(22)【出願日】2022-06-22
(85)【翻訳文提出日】2024-03-01
(86)【国際出願番号】 EP2022066996
(87)【国際公開番号】W WO2023280568
(87)【国際公開日】2023-01-12
(31)【優先権主張番号】21183888.3
(32)【優先日】2021-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520333435
【氏名又は名称】エービー サンドビック コロマント
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】リンドスコーグ, ペール
(57)【要約】
少なくとも2つのダイセクション(1、2)を有するダイを含む、金属を切削するための両面ダブルポジティブ切削インサートのための未焼結体(8)を、粉末を圧縮することによって形成するための分割ダイプレス工具であって、ダイセクション(1、2)は、それらの間に垂直プレッシング軸(6)に沿って延びるパンチトンネル(18)と、上部パンチユニット(3)と下部パンチユニット(4)を形成し、下部パンチユニット(4)が減圧位置の形態の遠位位置にあるとき、下部パンチユニット(4)の前端周囲(20)は、形成される未焼結体(8)の最大下方垂直減圧膨張に対応する第1の膨張レベル(24)にある。パンチトンネル(18)は、ダイセクション(1)の少なくとも1つに位置する第1の側面部分(22)を含み、第1の側面部分(22)は、第1のプレッシングレベル(23)から第1の拡張レベル(24)まで下向きに垂直な延長部を有し、未焼結体(8)の隣接する傾斜下面(13)の角度α以上の角度βだけプレッシング軸(6)から離れるように下向きに傾斜している。パンチトンネル(18)は、少なくとも1つのダイセクション(1)上に位置する第2の側面部分(25)を含み、第2の側面部分(25)は第1の側面部分(22)と垂直に整列しており、第1の拡張レベル(24)から第1の抑制レベル(27)まで下向きの垂直延長部を有し、第1の抑制レベル(27)では、下部パンチユニット(4)の隣接する前端周囲までの水平距離が、第1の拡張レベル(24)よりも小さい。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉末を圧縮することにより金属を切削するための両面ダブルポジティブ切削インサートのための未焼結体(8)を形成するための分割ダイプレス工具であって、未焼結体(8)が、頂部縁部(9)、底部縁部(10)、および頂部縁部(9)と底部縁部10(10)とを接続する側部表面(11)を有し、頂部縁部(9)が、側部表面(11)における隣接する傾斜上部表面(12)に関連付けられ、底部縁部(10)が、側部表面(11)における隣接する傾斜下部表面(13)に関連付けられ、両方のそれぞれの傾斜表面(12、13)が、正の公称角度αを有し、分割ダイプレス工具が、
- 少なくとも2つのダイセクション(1、2)を含むダイであって、
- 各ダイセクション(1、2)が、水平軸に沿ってそれぞれの近位プレッシング位置およびいくつかのそれぞれの遠位位置へ移動可能に配置され、
- 各ダイセクション(1、2)が、それらのそれぞれのプレッシング位置にあるときに、ダイセクション(1、2)が、垂直プレッシング軸(6)に沿って延在するパンチトンネル(18)をそれらの間に形成する、
ダイと、
- 上部パンチユニット(3)および下部パンチユニット(4)であって、
- どちらも、周方向前方端部周囲(20)を含む前方端部(19)を有し、どちらも、それらの前方端部(19)が互いに向かい合った状態でパンチトンネル(18)内に配置されており、
- どちらも、プレッシング軸(6)に沿ってそれぞれの近位プレッシング位置およびいくつかのそれぞれの遠位位置へ移動可能にパンチトンネル(18)内に配置されている、
上部パンチユニット(3)および下部パンチユニット(4)と、
を含み、
- ダイセクション(1、2)、下部パンチユニット(4)、および上部パンチユニット(3)が、それらのそれぞれのプレッシング位置にあるときに、下部パンチユニット(3)の前方端部周囲(20)が、第1のプレッシングレベル(23)に位置し、形成されるべき未焼結体(8)の圧縮状態に対応する圧縮空間が、パンチトンネル(18)内に形成されており、
- 下部パンチユニット(4)が減圧位置の形態の遠位位置にあるときに、下部パンチユニット(4)の前方端部周囲(20)が、形成されるべき未焼結体(8)の最大下方垂直減圧膨張に対応する第1の膨張レベル(24)に位置しており、
- パンチトンネル(18)が、ダイセクションのうちの少なくとも1つ(1)に位置する第1の側部表面部分(22)を含み、第1の側部表面部分(22)が、第1のプレッシングレベル(23)から下方に第1の膨張レベル(24)までの垂直範囲を有し、
- 第1の側部表面部分(22)が、パンチトンネル(18)の垂直横断面において見たときに、少なくとも形成されるべき未焼結体(8)の隣接する傾斜下部表面(13)の角度αの角度βだけ下方にかつプレッシング軸(6)から離れるように傾斜しており、
- パンチトンネル(18)が、ダイセクションのうちの少なくとも1つ(1)に位置する第2の側部表面部分(25)を備え、第2の側部表面部分(25)が、第1の側部表面部分(22)と垂直方向に位置合わせされ、かつ、第1の膨張レベル(24)から下方に第1の抑制レベル(27)までの垂直範囲を有し、第1の抑制レベル(27)において、下部パンチユニット(4)の隣接する前方端部周囲までの水平距離が、第1の膨張レベル(24)における水平距離未満であることを特徴とする、分割ダイプレス工具。
【請求項2】
少なくとも1つのダイセクション(1)がプレッシング位置にあるときに、第1の抑制レベル(27)における下部パンチユニット(4)の隣接する前方端部周囲(20)までの水平距離が20μm未満である、請求項1に記載の分割ダイプレス工具。
【請求項3】
第1の膨張レベル(24)から第1の抑制レベル(27)までの垂直距離(39)が、最大1mmである、請求項1または2に記載の分割ダイプレス工具。
【請求項4】
第1の膨張レベル(24)から第1の抑制レベル(27)までの垂直距離(39)が少なくとも0.05mmである、請求項1から3のいずれか一項に記載の分割ダイプレス工具。
【請求項5】
第1のプレッシングレベル(23)から第1の膨張レベル(24)までの垂直距離(38)が少なくとも0.1mmである、請求項1から4のいずれか一項に記載の分割ダイプレス工具。
【請求項6】
角度βが、2~35°であり、好ましくは5~20°である、請求項1から5のいずれか一項に記載の分割ダイプレス工具。
【請求項7】
第1の側部表面部分(22)の角度βが角度αに等しい、請求項1から6のいずれか一項に記載の分割ダイプレス工具。
【請求項8】
第2の側部表面部分(25)が、上部部分(30)を含み、上部部分(30)が、第1の膨張レベル(24)から下方に向かって第1の緩和レベル(31)まで第1の側部表面部分(22)と同じ方向に延在している、請求項1から7のいずれか一項に記載の分割ダイプレス工具。
【請求項9】
第2の側部表面部分(25)が、下部部分(32)を含み、下部部分(32)が、第1の緩和レベル(31)から下方に向かって第1の抑制レベル(27)まで延在しており、かつ、パンチトンネル(18)の垂直横断面において見たときに、少なくとも5°、最大45°の角度γにより下方かつプレッシング軸(6)に向かって傾斜している、請求項8に記載の分割ダイプレス工具。
【請求項10】
下部パンチユニット(4)が充填位置の形態の遠位位置にあるときに、下部パンチユニット(4)の前方端部周囲(20)が、第1の抑制レベル(27)よりも下の充填レベル(35)に位置する、請求項1から9のいずれか一項に記載の分割ダイプレス工具。
【請求項11】
パンチトンネル(18)が、ダイセクションのうちの少なくとも1つ(1)に位置する底部側部表面部分(37)を含み、底部側部表面部分(37)が、第2の側部表面部分(25)と垂直方向に位置合わせされ、かつ、第1の抑制レベル(27)から下方に向かって充填レベル(35)までの垂直範囲を有し、
- 第1の抑制レベル(27)と充填レベル(35)との間の各レベルにおいて、底部側部表面部分(37)から下部パンチユニット(4)の隣接する前方端部周囲(20)までの水平距離が、同じである、請求項10に記載の分割ダイプレス工具。
【請求項12】
- 上部パンチユニット(3)がプレッシング位置にあるときに、上部パンチユニット(3)の前方端部周囲(20)が第2のプレッシングレベル(44)に位置し、
- 上部パンチユニット(3)が減圧位置の形態の遠位位置にあるときに、上部パンチユニット(3)の前方端部周囲(20)が未焼結体(8)の最大上方垂直減圧膨張に対応する第2の膨張レベル(47)に位置し、
- パンチトンネル(18)が、ダイセクションのうちの少なくとも1つ(1)に位置する第3の側部表面部分(42)を含み、第3の側部表面部分(42)が第1および第2の側部表面部分(22、25)と垂直方向に位置合わせされ、かつ、第2のプレッシングレベル(44)から上方に向かって第2の膨張レベル(47)までの垂直範囲を有し、
- 第3の側部表面部分(42)が、パンチトンネル(18)の垂直横断面において見たときに、少なくとも形成されるべき未焼結体(8)の隣接する上部傾斜表面(12)の角度αの角度βだけ上に向かってかつプレッシング軸(6)から離れるように傾斜しており、
- パンチトンネル(18)が、ダイセクションのうちの少なくとも1つ(1)に位置する第4の側部表面部分(43)を含み、第4の側部表面部分(43)が、第3の側部部分(42)と垂直方向に位置合わせされ、かつ、第2の膨張レベル(47)から上方に向かって第2の抑制レベル(46)までの垂直範囲を有し、第2の抑制レベル(46)において、上部パンチユニット(3)の隣接する前方端部周囲(20)までの水平距離が、第2の膨張レベル(47)における水平距離未満である、請求項1から11のいずれか一項に記載の分割ダイプレス工具。
【請求項13】
第1のプレッシングレベル(23)と第2のプレッシングレベル(44)との間の水平軸にわたって、第3の側部表面部分(42)が第1の側部表面部分(22)に対して対称であり、第4の側部表面部分(43)が第2の側部表面部分(25)に対して対称である、請求項12に記載の分割ダイプレス工具。
【請求項14】
粉末をさらに含み、粉末が、圧縮状態における未焼結体(8)にプレス可能であり、圧縮状態における未焼結体(8)が、未焼結体(8)を形成するために減圧可能であり、
- 未焼結体(8)が、頂部縁部(9)、底部縁部(10)、および頂部縁部(9)と底部縁部(10)とを接続する側部表面(11)を有し、
- 頂部縁部(9)が、側部表面(11)における隣接する傾斜上部表面(12)に関連付けられ、底部縁部(10)が、側部表面(11)における隣接する傾斜下部表面(13)に関連付けられ、両方のそれぞれの傾斜表面(12、13)が、正の公称角度αを有する、
請求項1から13のいずれか一項に記載の分割ダイプレス工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉末を圧縮することにより両面ポジティブ切削インサート(double-sided positive cutting insert)のための未焼結体を形成するための分割ダイプレス工具(split-die press tool)に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の切削インサートは、典型的には、頂部表面、底部表面、および周方向側部表面を有するボディを備える。頂部表面と底部表面との間には、中央平面が存在する。従来の「両面切削インサート」と一般に呼ばれるタイプの切削インサートは、頂部表面と側部表面との間の交差部における頂部切れ刃、および、底部表面と側部表面との間の交差部における底部切れ刃を有する。さらに、そのような切削インサートは、切削動作のために一時に切れ刃のうちの一方を提示するように割出し可能である。
【0003】
一群のそのような両面切削インサートが、チップ表面として、頂部切れ刃に隣接する頂部表面の一部分および底部切れ刃の一部分に隣接する底部表面の一部分を有するように配置される。頂部切れ刃に隣接する側部表面の部分、および、底部切れ刃に隣接する側部表面の部分は、それぞれの逃げ面を形成する。その逃げ面は、中央平面に対して90°傾斜している場合には、負の公称逃げ角を有し、中央平面に向かう関連する切れ刃から切削インサートの中心に向かって内方に傾斜している場合には、正の公称逃げ角を有する。両面切削インサートは、その両方の第2逃げ面が正の公称逃げ角を有する場合、ダブルポジティブ(double positive)と呼ばれる。そのようなダブルポジティブ切削インサートでは、側部表面は、典型的には、中央平面にウエストを有する。
【0004】
金属切削用の切削インサートを作製するための従来の方法は、プレス工具において粉末を圧縮することにより未焼結体を形成することである。プレス工具において未焼結体を形成するプロセスは、典型的には、プレス工具内のプレストンネルに粉末を充填する工程と、粉末を圧縮して圧縮状態における未焼結体を形成する工程と、圧縮未焼結体を減圧する工程であって、未焼結体が膨張する、工程と、を含む。次いで、膨張して弛緩した未焼結体は、プレス工具から取り出され、その後、通常は、最終的な切削インサートを形成するために、焼結、研削、および/またはコーティングなどの追加的なプロセス工程を受ける。
【0005】
両面ダブルポジティブ切削インサート(double-sided and double positive cutting insert)用の未焼結体を形成するために粉末を圧縮するときに、水平方向に移動可能かつ分離可能なダイセクションを有する分割ダイプレス工具が使用され得る。プレス工具は、垂直方向に移動可能な上下のパンチをさらに備える。両面ダブルポジティブ切削インサートを形成するための未焼結体の側部表面は、通常、未焼結体の中心に向かって内方に傾斜していることを含めて、完成した切削インサートの側部表面と同様の形状を有する。未焼結体をその圧縮状態において形成するために粉末が圧縮されるときに、下部パンチは、プレス工具内のプレストンネルの内側で最上位置にある。未焼結体が圧縮状態にあるときに未焼結体に隣接するダイセクションのプレストンネル表面が、未焼結体の側部表面に等しい範囲(extension)を有する。したがって、両面ダブルポジティブ切削インサートのための未焼結体の場合、プレストンネル表面は、未焼結体の側部表面の傾斜に従うように構成される。さらに、プレストンネルの傾斜表面は、下部パンチが最上位置にあるときに、下部パンチの前方端部表面より下に、ある垂直距離にわたって延在する。したがって、未焼結体は、傾斜した側部表面の下端部において底部縁部に損傷を与える恐れを伴わずに、減圧の際に下方に膨張することができる。
【0006】
上述した種類の分割ダイプレス工具に関連する問題は、プレス工具に未焼結体のための粉末を充填しているときに不要量の粉末が下部パンチとダイセクションの側部表面との間に漏れ出る傾向があることである。粉末の漏れは、オペレータの健康に影響するか、プレス工具に損傷を与えるか、または、材料の局所的な損失により未焼結体の縁部近くで形状偏差を生じさせる可能性がある。
【発明の概要】
【0007】
本発明の目的は、先行技術の欠点を緩和すること、および、粉末の漏れを減少させることができる分割ダイプレス工具を提供することである。この目的は、請求項1に記載の分割ダイプレス工具を用いて、本発明によって達成される。
【0008】
本発明は、粉末を圧縮することにより金属切削用の両面ダブルポジティブ切削インサートのための未焼結体を形成するための分割ダイプレス工具であって、未焼結体が、頂部縁部、底部縁部、および頂部縁部と底部縁部とを接続する側部表面を有し、頂部縁部が、側部表面における隣接する傾斜上部表面に関連付けられ、底部縁部が、側部表面における隣接する傾斜下部表面に関連付けられ、両方のそれぞれの傾斜表面が、正の公称角度αを有し、分割ダイプレス工具が、
- 少なくとも2つのダイセクションを含むダイであって、
- 各ダイセクションが、水平軸に沿ってそれぞれの近位プレッシング位置およびいくつかのそれぞれの遠位位置へ移動可能に配置され、
- 各ダイセクションがそれらのそれぞれのプレッシング位置にあるときに、ダイセクションが、垂直プレッシング軸に沿って延在するパンチトンネルをそれらの間に形成する、
ダイと、
- 上部パンチユニットおよび下部パンチユニットであって、
- どちらも、周方向前方端部周囲を含む前方端部を有し、またどちらも、それらの前方端部が互いに向かい合った状態でパンチトンネル内に配置され、
- どちらも、プレッシング軸に沿ってそれぞれの近位プレッシング位置およびいくつかのそれぞれの遠位位置へ移動可能にパンチトンネル内に配置される、
上部パンチユニットおよび下部パンチユニットと、
を備え、
- ダイセクション、下部パンチユニット、および上部パンチユニットがそれらのそれぞれのプレッシング位置にあるときに、下部パンチユニットの前方端部周囲が、第1のプレッシングレベルに位置し、形成されるべき未焼結体の圧縮状態に対応する圧縮空間が、パンチトンネル内に形成され、
- 下部パンチユニットが減圧位置の形態の遠位位置にあるときに、下部パンチユニットの前方端部周囲が、形成されるべき未焼結体の最大下方垂直減圧膨張に対応する第1の膨張レベルに位置し、
- パンチトンネルが、ダイセクションのうちの少なくとも1つに位置する第1の側部表面部分を備え、第1の側部表面部分が、第1のプレッシングレベルから下方に第1の膨張レベルまでの垂直範囲を有し、
- 第1の側部表面部分が、パンチトンネルの垂直横断面において見たときに、少なくとも形成されるべき未焼結体の隣接する傾斜下部表面の角度αの角度βだけ下方にかつプレッシング軸から離れるように傾斜しており、
- パンチトンネルが、ダイセクションのうちの少なくとも1つに位置する第2の側部表面部分を備え、第2の側部表面部分が、第1の側部表面部分と垂直方向に位置合わせされ、かつ、第1の膨張レベルから下方に第1の抑制レベルまでの垂直範囲を有し、第1の抑制レベルにおいて、下部パンチユニットの隣接する前方端部周囲までの水平距離が、第1の膨張レベルにおける水平距離未満である、
分割ダイプレス工具に関する。
【0009】
したがって、パンチトンネルにおける第1の側部表面部分は、角度βだけ下方にかつプレッシング軸から離れるように傾斜している。角度βは、少なくとも、分割ダイ工具において形成されるべき未焼結体の隣接する下部傾斜面の角度αである。さらに、第1の側部表面部分は、下部パンチユニットがプレッシング位置にあるときに下部パンチユニットの前方端部周囲が位置する所である第1のプレッシングレベルから、減圧中の未焼結体の最大下方垂直膨張に対応する、第1のプレッシングレベルより下に少し離れた所である第1の膨張レベルまでの、垂直範囲を有する。第1の側部表面部分のそのような傾斜および垂直範囲により、工具において圧縮状態に圧縮された後の未焼結体は、パンチトンネル内の側部表面との有害な接触を通じて底部縁部またはそれに関連付けられた傾斜下部表面に損傷を与えることなしに、減圧中に膨張することができる。
【0010】
第2の側部表面部分は、第1の側部表面部分と垂直方向に位置合わせされ、かつ、第1の膨張レベルから下方に第1の抑制レベルまで延在する。第1の抑制レベルにおける第2の側部表面部分と下部パンチユニットの隣接する前方端部周囲との間の水平距離が第1の膨張レベルにおける水平距離未満であるおかげで、充填中に粉末が漏れる可能性のある水平方向間隙が、第1の膨張レベルから第1の抑制レベルへ狭くなる。したがって、第1の膨張レベルを越えて漏出する粉末のうちの少なくとも一部は、第1の抑制レベルにおいて止められ得る。したがって、工具の充填中に第1の膨張レベルにおける第1の側部表面部分の下端部とパンチユニットとの間に形成される水平方向間隙を通じた粉末の不要な漏れは、発明性のある第2の側部表面部分によって防止され得る。
【0011】
本発明による分割ダイプレス工具は、サーメット、超硬合金粉末、または冶金粉末などの粉末を圧縮することにより未焼結体を形成することに適している。分割ダイプレス工具における未焼結体の形成中、未焼結体を形成するために粉末が圧縮され、この未焼結体は、意図された最大圧力が印加された後、圧縮状態を取る。圧縮状態では、未焼結体は、最小寸法を有する。圧力が除去されると、未焼結体は膨張する。減圧が完了すると、未焼結体は、もはや圧縮状態にはなく、最大減圧膨張を経験している。未焼結体が形成されてプレス工具から取り出された後、未焼結体は、焼結、研削、縁部処理、および/またはコーティングなどの他の処理を受けることができる。未焼結体からは切削インサートが得られ、例えば金属切削といった機械加工のために使用することができる。そのような切削インサートの例は、フライス削り用切削インサート、旋削用切削インサート、および穿孔用切削インサートである。
【0012】
本発明による分割ダイプレス工具は、金属切削用の両面ダブルポジティブ切削インサートのための未焼結体を形成するのに適している。未焼結体は、典型的には、頂部縁部、底部縁部、および頂部縁部と底部縁部とを接続する側部表面を備える。完成した切削インサートでは、これらの縁部は、切れ刃を構成し得る。頂部縁部は、側部表面における隣接する傾斜上部表面に関連付けられ、底部縁部は、側部表面における隣接する傾斜下部表面に関連付けられる。完成した切削インサートでは、これらの傾斜表面は、第2逃げ面を構成し得る。両方のそれぞれの傾斜表面は、例えば2~35°の正の公称角度αを有する。完成した切削インサートでは、正の公称角度αは、正の公称逃げ角に相当する。
【0013】
頂部縁部を通る垂直横断面において見たときに、傾斜上部表面は、切削インサートの中心に向かって下内方に延在する。底部縁部を通る垂直横断面において見たときに、傾斜下部表面は、切削インサートの中心に向かって上内方に延在する。横断面は、縁部を通る中央垂直平面と平行な垂直平面を構成する。場合により、側部表面は、ウエストを有し、傾斜表面はこのウエストから外方に突出して、それぞれの縁部で終わる。
【0014】
場合により、未焼結体は、上面図において見たときに、円形の形状、または例えば正方形、長方形、5角形、または6角形の形状といった多角形の形状を有する。未焼結体は、側部表面全体またはその一部分に沿って、例えば、正方形または長方形の形状を有する未焼結体の2つの側部などに沿った側部のうちのわずかな部分に、傾斜した上下の表面を有し得る。場合により、未焼結体の1つまたはいくつかの側部の側部表面の一部分のみが、上部傾斜表面および下部傾斜表面の両方を有する。
【0015】
分割ダイプレス工具は、少なくとも2つの移動可能なダイセクションと2つの移動可能なパンチユニットとを有するダイを備える。ダイセクションは、パンチユニットに直角な方向に移動可能である。
【0016】
分割ダイプレス工具が動作のために位置決めされるときに、ダイセクションは、水平軸の両方向に移動可能に配置され、パンチユニットは、垂直軸の両方向に移動可能に配置される。本出願では、垂直方向および水平方向、または「上(up)」、「下(down)」、「内方(inward)」、および「外方(outward)」のような用語は、分割ダイプレス工具の動作位置に関連して使用される。分割ダイプレス工具のレベルは、分割ダイプレス工具の垂直横断面における垂直位置に相当する。
【0017】
分割ダイプレス工具は、例えば2つまたは4つの、任意の適切な数のダイセクションを備えることができる。ダイセクションは、中心の周りで周方向に組織化されることが好ましく、その場合、ダイセクションは、中心に向かって内方に移動可能であり、かつ、中心から離れるように外方に移動可能である。したがって、パンチトンネルの形態の中心における空間が、小さくなるかまたは大きくなるように動作可能である。場合により、各ダイセクションは、個々に移動可能であるか、または、ダイセクションのうちのいくつかまたは全てと同期されて、例えば中心の反対側のダイセクションと同期されて、移動可能である。パンチトンネルがプレッシングのためのサイズを有する位置までダイセクションが内方に移動したときに、そのダイセクションは、近位プレッシング位置にある。動作中、近位プレッシング位置は、各ダイセクションのための最内側位置である。近位プレッシング位置から外方のダイセクションの任意の位置は、遠位位置である。
【0018】
パンチユニットは、垂直プレッシング軸に沿って移動可能である。場合により、各パンチユニットが単一のパンチを備えるか、または、各パンチユニットが垂直方向にいくつかの部分パンチ(part punch)に分かれる。パンチユニットの部分パンチは、例えば、同心性に配置されて、中心の周りに配置されるかまたはスライスとして隣同士に配置される垂直断面を形成する。場合により、各パンチユニットは、個々に移動可能であるか、または、他のパンチユニットと同期されて移動可能である。いくつかの部分パンチを備えるパンチユニットの場合、各部分パンチは、個々に移動可能であるか、または、部分パンチのうちのいくつかもしくは全てと同期されて移動可能であり得る。パンチユニットは、ダイセクションの中心に形成されたパンチトンネル内に配置され、上部パンチユニットは、上方から入り、下部パンチユニットは、下方から入る。したがって、それらのそれぞれの前方端部は、向かい合う。形成されるべき未焼結体に意図された最大圧力を与えるための位置までパンチユニットが内方に移動されたときに、パンチユニットは、近位プレッシング位置にある。動作中、これは、両方のパンチユニットのための最内側位置である。上部パンチユニットの任意の上方位置、および下部パンチユニットの任意の下方位置は、遠位位置である。
【0019】
全てのダイセクションおよび両方のパンチユニットがそれらのそれぞれの近位プレッシング位置にあるときに、パンチトンネルの中心における空間は、圧縮状態における形成されるべき未焼結体の寸法に対応する圧縮空間を形成する。
【0020】
各パンチユニットは、前方端部を有する。パンチユニットがいくつかの部分パンチで構成される実施形態では、前方端部は、一般に、全ての部分パンチの前方端部によって形成される。各パンチユニットは、前方端部に位置する前方端部表面を有することが好ましい。前方端部表面は、形成されるべき未焼結体の所望のトポグラフィ/幾何形状に対応するトポグラフィ/幾何形状を有する。前方端部は、パンチトンネルの中心から最も遠くに離れた前方端部の縁部、言い換えればダイセクションに最も近い縁部と理解されるべき、周囲を有する。周囲はまた、前方端部表面の外側縁部、また、パンチユニット全体の外側縁部であることが、好ましい。
【0021】
場合により、各パンチユニットは、端部表面から下方に延在する周方向側部表面を有する。パンチユニットの周方向側部表面は、垂直であることが好ましい。したがって、パンチユニットは、パンチトンネルの垂直方向に真っ直ぐな部分において誘導されて摺動し、さらに、漏れる粉末が周方向側部表面にぶつかって捕らえられる恐れが軽減される。
【0022】
パンチトンネルは、ダイセクションの中心における空間の周りに形成され、ダイセクションの側部表面に内向きに面することにより、径方向外方に制限される。これらの側部表面は、ロケーション、範囲、および/または傾斜が異なり得るいくつかの側部表面部分を備える。場合により、側部表面部分が、単一のダイセクション上に位置するか、または、いくつかのダイセクションにわたって延在する。いくつかのダイセクションにわたって延在する側部表面部分は、ダイセクションがそれらの遠位位置にあるときにダイセクション間の間隙によって分割される、非連続的な表面であってもよい。
【0023】
動作中、第1および第2の側部表面部分は、未焼結体の側部表面と、また具体的には未焼結体の側部表面における隣接する傾斜下部表面と、周方向および垂直方向に位置合わせされる。第1の側部表面部分は、減圧中に未焼結体の隣接する側部表面の形成に貢献するように、未焼結体の隣接する傾斜下部側部表面に面する。
【0024】
第1および第2の側部表面部分は、垂直方向に位置合わせされ、第1の側部表面部分は、垂直方向において第2の側部表面より上にあり、かつ、その下端部において第2の側部表面部分に接続される。
【0025】
少なくとも1つのダイセクションに位置するパンチトンネルの側部表面部分のうちの任意の1つからパンチユニットの隣接する前方端部周囲までの水平距離は、例えば垂直横断面において水平方向に測定された距離である。距離はまた、周囲が異なるレベルに位置するときに水平に測定される。第1の抑制レベルにおける水平距離は、第1の膨張レベルにおける水平距離未満である。一実施形態によれば、第1の抑制レベルにおける水平距離は、第1の膨張レベルにおける距離の50%未満であり、好ましくは25%未満である。第1の抑制レベルにおける水平距離は、最大限でも20μmであることが好ましく、好ましくは最大限で10μmである。したがって、有利には、かなりの量の粉末の漏れが防止されることが確実とされる。
【0026】
一実施形態によれば、第1の抑制レベルにおける水平距離は、少なくとも0.1μmであり、好ましくは少なくとも2μmである。したがって、パンチユニットは、パンチトンネル内で過度の摩擦を伴わずに摺動することができる。
【0027】
2つのレベル間の垂直距離は、例えば垂直横断面において垂直方向に測定された距離である。一実施形態によれば、第1の膨張レベルから第1の抑制レベルまでの垂直距離は、最大限でも1mmであり、好ましくは最大限でも0.5mmである。したがって、下部パンチユニットと第2の側部表面部分との間の空間は、小さく保たれる。粉末の漏れは第1の抑制レベルにおいて抑制されるので、第1の膨張レベルを越えて漏れる可能性のある粉末の量は、第1の抑制レベルより上に位置するこの空間内に収まる粉末の量に相当する。したがって、そのような限られた垂直範囲は、有利には、粉末の漏れを限定することに貢献する。
【0028】
動作中の粉末充填工程において、下部パンチユニットは、下降され、パンチトンネル内の下部パンチユニットより上の空間が、粉末で充填される。後の圧縮工程において下部パンチユニットが上方に移動するように動作されるときに、下部パンチの前方端部は、粉末を圧縮空間に運び入れる。余剰の粉末が、第2の側部表面部分と下部パンチとの間の空間を満たす。一実施形態によれば、第1の膨張レベルから第1の抑制レベルまでの垂直距離は、少なくとも0.05mmであり、好ましくは少なくとも0.2mmである。したがって、そのような余剰の粉末を収容するための十分な空間が存在することが、確実とされる。
【0029】
形成されるべき未焼結体の最大垂直下方減圧膨張は、圧縮状態における未焼結体の全垂直範囲(高さ)の0.5~3%であり得る。一実施形態によれば、第1のプレッシングレベルから第1の膨張レベルまでの垂直距離は、少なくとも0.05mmであり、好ましくは少なくとも0.1mmである。これは、両面ダブルポジティブ切削インサートのための最も一般的な未焼結体の膨張に適応する。
【0030】
第1の側部表面部分は、パンチトンネルの垂直横断面において見たときに、少なくとも形成されるべき未焼結体の隣接する傾斜下部表面の角度αの角度βだけ下方にかつプレッシング軸から離れるように傾斜している。したがって、垂直横断面において、角度αおよびβは、それぞれの傾斜表面と垂直横断面の平面に直角な垂直平面との間で測定される。同じ結果が、当該の表面と垂直プレッシング軸の投影との間の垂直横断面において測定されたときに得られる。実施形態によれば、角度βは、2~35°であり、好ましくは5~20°である。これは、作製されるべき両面ダブルポジティブ切削インサートのための最も一般的な望ましい公称逃げ角に適応する。
【0031】
場合により、角度βは、角度αよりも大きく、第1の側部表面部分は、垂直横断面において見たときに、直線的にまたは凹形に延在し得る。湾曲した第1の側部表面部分を含む実施形態では、角度βは、第1の側部表面部分の接線として測定されるべきである。したがって、形成されるべき未焼結体の底部縁部が膨張中に第1の側部表面部分に接触することによって損傷を受けることからさらに保護されるように、安全マージンが作り出される。
【0032】
一実施形態によれば、角度βは、角度αに等しい。したがって、有利には、形成されるべき未焼結体は、減圧膨張中に支持される。
【0033】
一実施形態によれば、第2の側部表面部分は、第1の膨張レベルから下方に第1の緩和レベルまで延在する上部部分を備える。場合により、上部部分は、第1の側部表面部分と同じ方向に延在し、より大きな傾斜角度ε、またはわずかに凹形の形状を有する。したがって、形成されるべき未焼結体の底部縁部は、膨張中に第2の側部表面部分の上部部分に接触することによって損傷を受けることからさらに保護される。
【0034】
場合により、第1の膨張レベルから第1の緩和レベルまでの垂直距離は、0~0.5mmであり、好ましくは0.05mm~0.2mmである。
【0035】
一実施形態によれば、第2の側部表面部分は、下部部分を備え、この下部部分は、第1の緩和レベルから下方に第1の抑制レベルまで延在し、かつ、パンチトンネルの垂直横断面において見たときに、少なくとも5°であり最大限でも45°である角度γにより下方にかつプレッシング軸に向かって傾斜している。したがって、下部の第2の側部表面部分と下部パンチユニットの隣接する側部との間に最初に捕らえられる余剰の粉末が詰まらないことが確実とされる。動作中の減圧工程の後、下部パンチは後退され、切片は遠位位置へ移動され、余剰の粉末は解放されて、下部表面部分上を滑り落ちることができる。
【0036】
第2の側部表面部分の下部部分は、垂直横断面において見たときに、余剰の粉末がより容易に落下することができるように成形されることが好ましい。例えば、直線的なまたは湾曲した形状、ここで、凸面の形状が有益であり得る。
【0037】
好ましい一実施形態によれば、膨張レベルより下の第1の側部表面部分および第2の側部表面部分の全ての位置は、抑制レベルにおける水平距離よりも大きな、下部パンチユニットの隣接する前方端部周囲までの水平距離を有する。
【0038】
一実施形態によれば、下部パンチユニットが充填位置の形態の遠位の後退位置にあるときに、下部パンチユニットの前方端部周囲は、充填レベルに位置し、充填レベルは、第1の抑制レベルよりも下である。そのような低い充填位置は、最初に低密度で粉末を充填するのに十分な余地を可能にし、かつ、下部および上部のパンチユニットをそれらのそれぞれの近位プレッシング位置へ移動させるときに強い圧密をなおも達成するので、そのような低い充填位置を有する分割ダイプレス工具を設計することは、有利である。第1の抑制レベルよりも上の空間である漏れた粉末のための全ての利用可能な空間が充填位置のレベルよりも上に位置することも、有利である。
【0039】
一実施形態によれば、パンチトンネルは、ダイセクションのうちの少なくとも1つに位置する底部側部表面部分を備え、この底部側部表面部分は、第2の側部表面部分と垂直方向に位置合わせされ、かつ、第1の抑制レベルから下方に充填レベルまでの垂直範囲を有する。第1の抑制レベルと充填レベルとの間の各レベルにおいて、底部側部表面部分から下部パンチユニットの隣接する前方端部周囲までの水平距離は、同じである。したがって、下部パンチユニットは、パンチトンネル内で適切に誘導され、漏れた余剰の粉末の全ての利用可能な空間は、第1の抑制レベルよりも上に位置する。
【0040】
底部側部表面部分、およびパンチユニットの周方向側部表面の隣接する部分の両方は、垂直横断面において見たときに、直線的かつ垂直であることが好ましい。
【0041】
一実施形態によれば、第1および第2の側部表面部分に相当する側部表面部分は、上部パンチユニットに隣接して配置される。これは、プレッシング工程における粉末の圧密中に粉末が上方に漏れるのを防ぐのに有利である。例示的な一実施形態によれば、
- 上部パンチユニットがプレッシング位置にあるときに、上部パンチユニットの前方端部周囲は、第2のプレッシングレベルに位置し、
- 上部パンチユニットが減圧位置の形態の遠位位置にあるときに、下部パンチユニットの前方端部周囲は、未焼結体の最大上方垂直減圧膨張に対応する第2の膨張レベルに位置し、
- パンチトンネルは、ダイセクションのうちの少なくとも1つに位置する第3の側部表面部分を備え、この第3の側部表面部分は、第1および第2の側部表面部分と垂直方向に位置合わせされ、かつ、第2のプレッシングレベルから上方に第2の膨張レベルまでの垂直範囲を有し、
- 第3の側部表面部分は、パンチトンネルの垂直横断面において見たときに、少なくとも形成されるべき未焼結体の隣接する上部傾斜表面の角度αの角度βだけ上方にかつプレッシング軸から離れるように傾斜しており、
- パンチトンネルは、ダイセクションのうちの少なくとも1つに位置する第4の側部表面部分を備え、この第4の側部表面部分は、第3の側部部分と垂直方向に位置合わせされ、かつ、第2の膨張レベルから上方に第2の抑制レベルまでの垂直範囲を有し、第2の抑制レベルにおいて、上部パンチユニットの隣接する前方端部周囲までの水平距離が、第2の膨張レベルにおける水平距離未満である。
【0042】
他の実施形態は、上部パンチユニットにおける少なくとも1つのダイセクション上に、第1の側部表面部分および第2の側部表面部分、ならびに異なって形成された表面を有する。
【0043】
第1のプレッシングレベルと第2のプレッシングレベルとの間の水平軸にわたって、第3の側部表面部分は、第1の側部表面部分に対して対称であり、第4の側部表面部分は、第2の側部表面部分に対して対称であることが、好ましい。対称性は、鏡面対称性または理論的対称性(rational symmetry)であり得る。プレス工具において形成されるべき未焼結体から作製されるべき両面切削インサートは、通常、回転対称性を有する。したがって、この実施形態は、有利には、そのような一般的な切削インサートのための未焼結体を形成するのに適している。
【0044】
本発明の別の態様によれば、上記の分割ダイプレス工具は、粉末を備え、この粉末は、圧縮状態における未焼結体にプレス可能であり、また、この未焼結体は、未焼結体を形成するために減圧可能である。したがって、分割ダイプレス工具はまた、粉末、および粉末から形成されるべき未焼結体を含む。形成された未焼結体は、頂部縁部、底部縁部、および頂部縁部と底部縁部とを接続する側部表面を有し、頂部縁部は、側部表面における隣接する傾斜上部表面に関連付けられ、底部縁部は、側部表面における隣接する傾斜下部表面に関連付けられ、両方のそれぞれの傾斜表面は、正の公称角度αを有する。
【0045】
以下、添付の図面を参照しながら、例示的な実施形態をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0046】
図1】2つのダイセクション、上部パンチ、および下部パンチがプレッシング位置にある、分割ダイプレス工具の第1の実施形態の概略図である。
図2】分割ダイプレス工具の第1の実施形態の概略分解組立図である。
図3】第1の実施形態による分割ダイプレス工具において形成された未焼結体の斜視図である。
図4】垂直横断面の平面が中央垂直平面である、図3の未焼結体を通る垂直横断面の図である。
図5】粉末を圧縮して圧縮状態における未焼結体を形成するように分割ダイプレス工具がセットされたときの第1の実施形態による分割ダイプレス工具の拡大横断面図である。
図6】未焼結体が減圧中に最大限に下方に膨張することを可能にするように分割ダイプレス工具がセットされたときの第1の実施形態による分割ダイプレス工具の図5に対応する拡大横断面図である。
図7】分割ダイプレス工具の第2の実施形態の図6の図に対応する図である。
図8a】プレスサイクル中のダイセクションおよびパンチユニットの位置を表しし示す分割ダイプレス工具の横断面図である。
図8b】プレスサイクル中のダイセクションおよびパンチユニットの位置を表しし示す分割ダイプレス工具の横断面図である。
図8c】プレスサイクル中のダイセクションおよびパンチユニットの位置を表しし示す分割ダイプレス工具の横断面図である。
図8d】プレスサイクル中のダイセクションおよびパンチユニットの位置を表しし示す分割ダイプレス工具の横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
図は全て概略的なものであり、必ずしも原寸に比例しておらず、かつ、一般にそれぞれの実施形態を明らかにするのに必要である部品のみを示しており、一方で、他の部品は、省略されるか単に示唆される場合がある。別途指示がない限り、同様の参照番号は、様々な図において、同様の部品または対応する部品を指す。
【0048】
図1および図2では、本発明による分割ダイプレス工具の一実施形態の全体的な設計が示されている。分割ダイプレス工具は、2つのダイセクション1、2、単一の上部パンチ3の形態の上部パンチユニット、および、単一の下部パンチ4の形態の下部パンチユニットを備える。
【0049】
どちらのダイセクション1、2も、水平軸5に沿って移動可能に配置され、それぞれが、それぞれの近位プレッシング位置へ移動可能であり、かつ、いくつかのそれぞれの遠位位置へ移動可能である。具体的には、ダイセクション1、2は、中心7に向かって内方に移動可能であり、かつ、中心7から離れるように外方に移動可能である。
【0050】
どちらのパンチ3、4も、垂直プレッシング軸6に沿って移動可能に配置され、それぞれが、それぞれの近位プレッシング位置へ移動可能であり、かつ、いくつかのそれぞれの遠位位置へ移動可能である。具体的には、パンチ3、4は、互いに、および中心7に向かって移動可能であり、かつ、互いに、および中心7から離れるように外方に移動可能である。
【0051】
例示的な実施形態では、どちらのダイセクション1、2およびどちらのパンチ3、4も、他方のダイセクションおよびパンチから独立して個々に移動可能である。
【0052】
分割ダイプレス工具は、粉末を圧縮することにより未焼結体を形成するように動作可能であり、粉末は、この例示的な実施形態では、超硬合金粉末である。動作中、粉末は、圧縮状態における未焼結体を形成するために圧縮され、次いで、この未焼結体は減圧されて、最終形状に膨張させられる。図2では、工具において形成された未焼結体8が示されており、未焼結体は、最終形状を有する。未焼結体8は、金属切削用の切削インサートを作製するためのプロセスにおいて後で使用されることになっている。
【0053】
図3および図4を参照すると、未焼結体8は、頂部表面14、底部表面15、および頂部表面14と底部表面15とを接続する周方向側部表面11を備える。側部表面11と頂部表面14との間の交差部には、頂部縁部9が形成されている。側部表面11と底部表面15との間の交差部には、底部縁部10が形成されている。頂部縁部9は、側部表面11における隣接する傾斜上部表面12に関連付けられ、底部縁部10は、側部表面における隣接する傾斜下部表面13に関連付けられる。図4では、中央垂直平面21である、頂部縁部9および底部縁部10を通る垂直横断面が示されている。上部表面12は、角度αだけ下内方に延在し、下部表面13は、角度αだけ上内方に延在する。どちらの角度αも、完成した切削インサートにおいて正の公称逃げ角を形成することになる正の公称角度を構成する。未焼結体8から作製された完成した切削インサートは、両面ダブルポジティブになる。未焼結体8では、公称角度αは、図4の図による垂直横断面の平面に直角な垂直平面16間の角度である。第1の実施形態では、角度αは、15°である。傾斜した上部および下部表面12、13により、未焼結体は、中央水平平面17にウエストを有する。
【0054】
ダイセクション1、2がそれらのそれぞれのプレッシング位置にあるときに、それらは、それらの間にパンチトンネル18を形成し、中心7は、パンチトンネル18の中心に位置する。図1では、どちらのダイセクション1、2およびどちらのパンチ3、4も、それらのそれぞれの近位プレッシング位置にあり、圧縮状態における未焼結体8の形状に相当する圧縮空間が、それらの間に形成されている。ダイセクション1、2および/またはパンチ3、4をそれぞれの遠位位置へ移動するように動作させることにより、構成要素1、2、3、4間の空間は、未焼結体8を膨張させるために、および、未焼結体8が分割ダイプレス工具から取り出されることを可能にするために、大きくなる。
【0055】
上部パンチ3および下部パンチ4は、それぞれ、未焼結体の頂部表面14底部表面15それぞれの所望のトポグラフィに対応する前方端部表面19を有する。各前方端部表面19は、周方向周囲20を有する。パンチトンネルにおける下部および上部パンチ3、4の位置に応じて、それぞれの周囲は、パンチトンネル18内の対応する異なる高さ、言い換えればレベルに位置する。
【0056】
図5に示されるように下部パンチ4が近位プレッシング位置にあるときに、その前方端部周囲20は、第1のプレッシングレベル23に位置する。未焼結体は、圧縮状態にある。図6に示されるように下部パンチ4が遠位減圧位置にあるときに、その前方端部周囲20は、第1の膨張レベル24に位置する。第1のプレッシングレベル23と第1の膨張レベル24との間の垂直距離38は、未焼結体8が圧縮状態から解放された後の未焼結体8の最大下方垂直減圧膨張に対応する。第1の実施形態によれば、垂直距離38は、0.1mmである。したがって、第1の膨張レベル24は、第1のプレッシングレベル23よりも下に位置する。
【0057】
動作中に分割ダイプレス工具に粉末が充填されるときに、上部パンチ3は、パンチトンネル18を露出させるために脇に動かされ、下部パンチ4は、遠位充填位置にあり、図8aを参照されたい。下部パンチ4が充填位置にあるときに、前方端部周囲20は、充填レベル35に位置する。
【0058】
上部および下部パンチ3、4は、それぞれ、それぞれの前方端部表面19の周囲20から後方に延在する周方向側部表面36を有する。第1の実施形態によれば、周方向側部表面36は、それぞれ、垂直であり、かつ、図5および図6の横断面において見たときに、プレッシング軸6と平行である。
【0059】
パンチトンネル18は、第1のダイセクション1に位置する第1の側部表面部分22を備え、図5および図6を参照されたい。図1および図2から導き出され得るように、説明される第1の実施形態では、第2のダイセクション2もまた、対応する第1の側部表面部分22を備える。第1の側部表面部分22は、未焼結体8の隣接する傾斜下部表面13と周方向に位置合わせされて位置し、かつ、第1のプレッシングレベル23から下方に第1の膨張レベル24までの垂直範囲を有する。第1の側部表面部分22は、第1のプレッシングレベル23から、角度βだけプレッシング軸6から離れるように下外側方に傾斜しており、図6を参照されたい。角度βはまた、第1の側部表面部分22と図6の図による垂直横断面の平面に直角な垂直平面16との間の角度として測定され得る。示された第1の実施形態では、角度βは15°であり、したがって、角度αに等しい。他の実施形態では、角度βは、角度αよりも大きい。
【0060】
パンチトンネル18は、第2の側部表面部分25をさらに備え、第2の側部表面部分25もまた、第1のダイセクション1に位置する。第1の実施形態では、第2のダイセクション2もまた、第2の側部表面部分25を備える。第2の側部表面部分25は、第1の側部表面部分22と垂直方向に位置合わせされ、第1の膨張レベル24において、第1の側部表面部分22の下端部に接続されている。第2の側部表面部分25は、第1の膨張レベル24から下方に第1の抑制レベル27までの垂直範囲を有する。第1の抑制レベル27は、第1の膨張レベル24よりも下であるパンチトンネル18におけるレベルであり、第1の膨張レベル24から第1の抑制レベル27までの垂直距離39は、0.19mmである。第1の実施形態では、第1のプレッシングレベル23から第1の抑制レベル27までの総距離は、距離38と距離39の和であり、これは、第1の実施形態では、0.29mmになる。
【0061】
第1および第2の側部表面部分22、25上の各点は、下部パンチ4の隣接する前方端部周囲20までの水平距離を有する。この水平距離は、図6の横断面において見たときの水平方向において測定される距離であり、また、周囲20が異なるレベルに位置するときにも水平に測定される。
【0062】
図5を参照すると、第1の抑制レベル27における第2の側部表面部分25と下部パンチ4の前方端部周囲20との間の水平距離28は、第1の膨張レベル24における第2の側部表面部分25(または、第1の側部表面部分22)と下部パンチ4の前方端部周囲20との間の水壁距離29未満である。図5に示されるように第1のダイセクション1が近位プレッシング位置にあるときに、第1の抑制レベル27における第2の側部表面部分25と下部パンチ4の前方端部周囲20との間の水平距離28は、5μmであり、第1の膨張レベル24における第2の側部表面部分25(または、第1の側部表面部分22)と下部パンチ4の前方端部周囲20との間の水平距離29は、最大下方垂直減圧膨張および角度βによって決定される。
【0063】
第2の側部表面部分25は、第1の膨張レベル24から下方に第1の緩和レベル(relieving level)31まで延在する上部部分30を備える。説明される第1の実施形態では、上部部分30は、第1の側部表面部分22と同じ方向に延在する。上部部分30は、角度εによりプレッシング軸6から離れるように下外側方に傾斜している。角度εは、上部部分30と図5の図による垂直横断面の平面に直角な垂直平面16との間の角度として測定され得る。示される第1の実施形態では、角度εは、15°であり、したがって、角度αおよびβに等しい。
【0064】
第2の側部表面部分25は、第1の緩和レベル31から下方に第1の抑制レベル27まで延在する下部部分32をさらに備える。下部部分32は、30°の角度γによりプレッシング軸6に向かって下方に延在する。角度γは、下部部分32と図5の図による垂直横断面の平面に直角な垂直平面16との間の角度として測定され得る。
【0065】
第1の実施形態によれば、上部部分30および下部部分32のどちらも、図6の横断面において見たときに、直線的な範囲を有する。第1の実施形態では、第1の膨張レベル24と第1の緩和レベル31との間の垂直距離33は、0.1mmであり、第1の緩和レベル31から第1の抑制レベル27までの垂直距離は、0.09mmである。第1の実施形態では、第1の膨張レベル24から第1の抑制レベル27までの第2の側部表面部分25の総垂直距離39は、距離33と距離40の和である。図5に示されるように第1のダイセクション1が近位プレッシング位置にあるときに、第1の緩和レベル31における第2の側部表面部分25から下部パンチ4の前方端部周囲20までの水平距離34は、角度εおよび距離33に影響される。これは、パンチトンネル18の側部表面から下部パンチ4の前方端部周囲20までの最大水平距離である。
【0066】
最後に、パンチトンネル18は、同様に第1のダイセクション1に位置する底部側部表面部分37を備える。第1の実施形態では、第2のダイセクション2もまた、底部側部表面部分37を備える。底部側部表面部分37は、第1および第2の側部表面部分22、25と垂直方向に位置合わせされ、かつ、第1の抑制レベル27において、第2の側部表面部分25の下部部分32の下端部に接続される。底部側部表面部分37は、第1の抑制レベル27から下方に充填レベル35までの垂直範囲を有し、底部側部表面部分37は、垂直である。充填レベル35は、第1の抑制レベル27よりも下であり、第1のプレッシングレベル23から充填レベル35までの垂直距離41は、圧縮状態における未焼結体の総垂直範囲(高さ)の50%である。第1の抑制レベル27と充填レベル35との間の各レベルにおいて、底部側部表面部分から下部パンチ4の隣接する前方端部周囲20までの水平距離は、同じである。したがって、下部パンチ4の周方向側部表面36と底部側部表面部分37との間の間隙は、一定であり、かつ、第1の抑制レベル27における水平距離28に等しい。図5に示されるように第1のダイセクション1が近位プレッシング位置にあるときに、水平距離28および間隙は、5μmである。
【0067】
第1の実施形態の第1のダイセクションは、第3の側部表面部分42および第4の側部表面部分43を備える。これらの側部表面部分42、43は、未焼結体8の頂部縁部9、未焼結体8の上部表面12、および上部パンチ3に対するロケーションおよび範囲を有し、このロケーションおよび範囲は、未焼結体8の底部縁部10、未焼結体8の下部表面13、および下部パンチ4に対する第1の側部表面部分22および第2の側部表面部分25のロケーションおよび範囲に対応する。したがって、第3の側部表面42および第4の側部表面43は、詳細には説明されない。第1の実施形態では、圧縮状態における未焼結体のウエストにおける中央中立水平平面にわたって、第3の側部表面部分42は、第1の側部表面部分22に対して鏡面対称であり、第4の側部表面部分43は、第2の側部表面部分25に対して鏡面対称である。しかし、他の実施形態では、第3の側部表面部分42および第4の側部表面部分43は、中立面における水平軸にわたって他の対称性を有する。さらなる他の実施形態は、第1の側部表面部分22および第2の側部表面部分25のみを有し、かつ、上部パンチにおいて様々な側部表面を有する。
【0068】
図8a~図8fを参照しながら、第1の実施形態による分割ダイプレス工具が動作されるときのプレッシングサイクル中の位置および工程を説明する。
【0069】
図8aでは、第1のダイセクション1および第2のダイセクション2は、それらのそれぞれの近位プレッシング位置にあり、かつ、それらの間にパンチトンネル18を形成する。上部パンチ3は、パンチトンネルが上方からアクセス可能であるように、パンチトンネル18から取り出されている。下部パンチ4は、充填位置の形態の遠位位置にあり、前方端部周囲20は、充填レベル35に位置する。所定量の超硬合金粉末が、パンチトンネル18に充填される。粉末は、パンチトンネル18で下方に流れて、下部パンチ4の前方端部19から上方にパンチトンネル18内の空間を満たす。図に示すように、第2の側部表面部分25の下部部分32は、下方にプレッシング軸6に向かって延在する。この有利な設計のおかげで、下部パンチ4の周囲20と第1のダイセクション1との間には、小さな間隙しか存在しない。第1のダイセクション1および第2のダイセクション2がそれらのそれぞれの近位プレッシング位置にあるときに、間隙の水平距離28は、5μmである。この狭い間隙のおかげで、少量の粉末しか下部パンチ4の前方端部周囲20を越えて漏れることができない。
【0070】
図8bでは、分割ダイプレス工具は、下部パンチ4をその近位プレッシング位置へ移動させるように動作されており、下部パンチ4の周囲20は、第1のプレッシングレベル23に位置する。さらに、分割ダイプレス工具は、上部パンチ3をその近位プレッシング位置へ移動させるように動作されており、上部パンチ3の周囲20は、第2のプレッシングレベル44に位置する。したがって、粉末は圧縮され、圧縮状態における未焼結体8が形成される。余剰の粉末が、一方では第1および第2の側部表面部分22、25と他方では下部パンチ4との間の空間を満たす。同様に、余剰の粉末が、一方では第3および第4の側部署表面部分42、43と他方では上部パンチ3との間の空間を満たす。上方にプレッシング軸6に向かって延在する(第2の側部表面部分25の下部部分32に対応する)第4の側部表面43の上部部分48により、上部パンチ3の周囲20と第1のダイセクション1の側部表面との間には、小さな間隙しか存在しない。第1のダイセクション1および第2のダイセクション2がそれらのそれぞれの近位プレッシング位置にあるときに、間隙の水平距離28は、5μmである。この狭い間隙のおかげで、粉末が圧密されるときに、少量の粉末しか上部パンチ3の前方端部周囲20を越えて噴出することができない。
【0071】
第1の実施形態による分割ダイプレス工具は、第1の緩和レベル31に対応する第2の緩和レベル45、および、第1の抑制レベル27に対応する第2の抑制レベル46をさらに備える。
【0072】
プレッシング後、下部パンチ4は、その減圧位置の形態の遠位位置へ移動するように動作され、ここで、周囲20は第1の膨張レベル24に位置し、図8cを参照されたい。それと同時に、上部パンチ3は、その減圧位置の形態の遠位位置へ移動するように動作され、ここで、周囲20は、第2の膨張レベル47に位置する。第1のダイセクション1および第2のダイセクション2は、なおもそれらのそれぞれのプレッシング位置にある。したがって、未焼結体8は、垂直減圧膨張を経験し、ここで、未焼結体8は、垂直方向に膨張する。図6に示されるように、第1の側部表面部分22および第3の側部表面部分42の傾斜角βは、それぞれ、未焼結体8の下部の隣接する表面13および上部の隣接する表面12の傾斜角αに等しい。したがって、有利には、減圧膨張中に底部縁部10および頂部縁部9が側部表面によって損傷を受けることが回避される。第1の膨張レベル24および第2の膨張レベル47は、未焼結体8の総最大垂直減圧膨張に対応する。第2の膨張レベル47と第1の膨張レベル24との間の垂直距離は、最終形状における未焼結体8の頂部縁部9から底部表面10までの垂直距離に対応する。
【0073】
減圧後、第1のダイセクション1および第2のダイセクション2は、完成した未焼結体8を解放するためのそれぞれの遠位位置へとさらに離れるように動作される。したがって、未焼結体8は、水平減圧膨張を経験し、ここで、未焼結体8は、水平方向に膨張する。図8dを参照すると、パンチトンネル18内に捕らえられた余剰の粉末は、下方に漏出して分割ダイプレス工具から除去され得る。これは、30°である第2の側部表面部分25の下部部分32の傾斜角γによって促進され、図6を参照されたい。最後に、上部パンチ3は、パンチトンネル18から取り出され、下部パンチ4は、前方端部表面19の上に載っている完成した未焼結体8と一緒に押し出される。
【0074】
分割ダイプレス工具の第2の実施形態が、図7に示されている。第2の実施形態は、第1の側部表面部分22および第2の側部表面部分25の設計において、第1の実施形態とは異なる。第1の側部表面部分22、上部部分30、および第2の側部表面部分25の下部部分32の大部分は、凹形に湾曲している。第2の側部表面部分25の下部部分32の最下部は、垂直な底部側部表面部分37と滑らかに接触するために、凸状である。この実施形態は、鋭い隅部またはポケットに粉末がはまり込む恐れがなおもさらに軽減される点で、有利である。第2の実施形態は、角度βが角度αよりも大きい実施形態の一例である。
【0075】
第2の実施形態の第1のダイセクションは、第3の側部表面部分42および第4の側部表面部分43を備える。これらの側部表面部分42、43は、未焼結体8の頂部縁部9、未焼結体8の上部表面12、および上部パンチ3に対するロケーションおよび範囲を有し、このロケーションおよび範囲は、未焼結体8の底部縁部、未焼結体8の下部表面13、および下部パンチ4に対する第1の側部表面部分22および第2の側部表面部分25のロケーションおよび範囲に対応する。したがって、それらは、図においてさらに説明または図示されない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8a
図8b
図8c
図8d
【国際調査報告】