(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-12
(54)【発明の名称】ジストロフィン異常症を処置するための筋標的化複合体および製剤
(51)【国際特許分類】
A61K 47/68 20170101AFI20240705BHJP
A61K 47/18 20170101ALI20240705BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20240705BHJP
A61P 21/00 20060101ALI20240705BHJP
A61K 9/19 20060101ALI20240705BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20240705BHJP
A61K 31/80 20060101ALI20240705BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20240705BHJP
C07K 16/28 20060101ALI20240705BHJP
【FI】
A61K47/68
A61K47/18
A61K47/26
A61P21/00
A61K9/19
A61K9/08
A61K31/80
A61K39/395 N
C07K16/28 ZNA
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024500474
(86)(22)【出願日】2022-07-08
(85)【翻訳文提出日】2024-02-22
(86)【国際出願番号】 US2022073540
(87)【国際公開番号】W WO2023283623
(87)【国際公開日】2023-01-12
(32)【優先日】2021-07-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521048956
【氏名又は名称】ダイン セラピューティクス,インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】DYNE THERAPEUTICS, INC.
【住所又は居所原語表記】1560 Trapelo Road,Waltham,MA 02451,United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】110003971
【氏名又は名称】弁理士法人葛和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クイン,ブレンダン
(72)【発明者】
【氏名】ナジム,ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ヒルダーブランド,スコット
(72)【発明者】
【氏名】デジャルダン,コディ,エー.
(72)【発明者】
【氏名】カタナニ,モハマド,ティー.
(72)【発明者】
【氏名】スプリング,シーン
(72)【発明者】
【氏名】サブラマニアン,ロメシュ,アール.
(72)【発明者】
【氏名】シェン,ペィイー
(72)【発明者】
【氏名】ウィーデン,ティモシー
【テーマコード(参考)】
4C076
4C085
4C086
4H045
【Fターム(参考)】
4C076AA12
4C076AA30
4C076AA95
4C076BB13
4C076BB16
4C076CC09
4C076CC26
4C076DD60
4C076DD60Z
4C076DD67
4C076EE59
4C076FF61
4C076GG07
4C085AA14
4C085BB11
4C085BB36
4C085BB41
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4C085BB50
4C085CC23
4C085DD59
4C085EE01
4C085GG02
4C085GG04
4C085GG05
4C086AA01
4C086AA02
4C086FA05
4C086MA03
4C086MA05
4C086MA17
4C086MA44
4C086MA65
4C086NA14
4C086ZA94
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA54
4H045BA72
4H045DA76
4H045EA20
(57)【要約】
本開示の側面は複合体に関し、他の側面は、抗体(例:抗TfR1抗体)に共有結合的に連結しているホスホロジアミダートモルホリノオリゴマー(例えば、DMDを標的とするのに有用なもの)を含むかかる複合体(例えば、ここで各複合体は以下に示す例示的な式のものである)を含む製剤(例:水性、凍結乾燥形態)に関する。いくつかの態様において、複合体は、特定のpH(例:約5.0~7.0)においてヒスチジン(例:L-ヒスチジン)およびスクロースと共に製剤化される。さらに提供されるのは、これらの製剤の、デュシェンヌ型筋ジストロフィーに関連する変異DMDアレルを有する対象を処置するための、使用である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗トランスフェリン受容体1(TfR1)抗体に共有結合的に連結したホスホロジアミダートモルホリノオリゴマー(PMO)を含む複合体を含む製剤であって、
ここで前記抗体が、配列番号1、7、または12に記載の配列を含む重鎖相補性決定領域1(CDR-H1)、配列番号2、8、または13に記載の配列を含む重鎖相補性決定領域2(CDR-H2)、配列番号3、9、または14に記載の配列を含む重鎖相補性決定領域3(CDR-H3)、配列番号4、10、または15に記載の配列を含む軽鎖相補性決定領域1(CDR-L1)、配列番号5または11に記載の配列を含む軽鎖相補性決定領域2(CDR-L2)、および配列番号6または16に記載の配列を含む軽鎖相補性決定領域3(CDR-L3)を含み、ならびに
ここで前記複合体が、ヒスチジンおよびスクロースと共に製剤化される、前記製剤。
【請求項2】
式:[R
1]
n1-R
2の構造を含む複合体を含む製剤であって、式中、
各R
1は、独立して、式(Ia):
【化1】
の基を含み、式中:
R
2は、抗体を含み、および
R
3は、ホスホロジアミダートモルホリノオリゴマー(PMO)を含み;
ここでR
1は、付着点AでR
2に共有結合的に連結しており;および
ここでn1は、R
1の例の数を表す1以上の整数であり、ここでR
1の各例は、抗体の異なるアミノ酸残基に共有結合的に連結しており、任意にここで、各異なるアミノ酸残基はリジンであり;
ここで複合体は、ヒスチジンおよびスクロースと共に製剤化され、
任意にここで、抗体は抗TfR1抗体であり、および任意にここで、製剤中の複合体のn1の平均値は、1~5の範囲内である、前記製剤。
【請求項3】
抗体が、配列番号1、7、または12に記載の配列を含む重鎖相補性決定領域1(CDR-H1)、配列番号2、8、または13に記載の配列を含む重鎖相補性決定領域2(CDR-H2)、配列番号3、9、または14に記載の配列を含む重鎖相補性決定領域3(CDR-H3)、配列番号4、10、または15に記載の配列を含む軽鎖相補性決定領域1(CDR-L1)、配列番号5または11に記載の配列を含む軽鎖相補性決定領域2(CDR-L2)、および配列番号6または16に記載の配列を含む軽鎖相補性決定領域3(CDR-L3)を含む、請求項2に記載の製剤。
【請求項4】
製剤が、凍結乾燥形態、水溶液、または凍結固体形態である、請求項1~3のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項5】
製剤が、水溶液中にあり、ここでヒスチジンが、水溶液中に10mM~50mMの範囲の濃度で存在する、請求項4に記載の製剤。
【請求項6】
製剤が、水溶液中にあり、ここでスクロースが、水溶液中に5%~15%の重量/体積(w/v%)の範囲の濃度で存在する、請求項4または5に記載の製剤。
【請求項7】
製剤が、水溶液中にあり、ここで水溶液が、5.0~7.0の範囲のpHを有する、請求項4~6のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項8】
製剤が、水溶液中にあり、ここでヒスチジンが水溶液中に25mMの濃度で存在し、および/または、スクロースが水溶液中に10w/v%の濃度で存在し、および/または、水溶液のpHが6.0である、請求項4~7のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項9】
抗体が、Fab断片、完全長IgG、Fab'断片、F(ab')
2断片、scFv、またはFvである、請求項1~8のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項10】
抗体が、Fab断片である、請求項9に記載の製剤。
【請求項11】
抗体が、配列番号17と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH)を含み;および/または、抗体が、配列番号18と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)を含み、任意にここで、抗体が、配列番号17のアミノ酸配列を含むVHおよび配列番号18のアミノ酸配列を含むVLを含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項12】
抗体が、配列番号19と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む重鎖を含み;および/または、抗体が、配列番号20と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖を含み、任意にここで、抗体が、配列番号19のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号20のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項13】
PMOが、15~35ヌクレオチド長の核酸塩基配列を含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項14】
PMOが、配列番号23、配列番号24、または配列番号22に対して少なくとも8連続ヌクレオチド長の相補性領域を有するヌクレオチド配列を含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項15】
PMOが、配列番号21に記載のヌクレオチド配列の少なくとも8個の連続ヌクレオチドを含み、任意にここで、PMOが、配列番号21のヌクレオチド配列を含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項16】
請求項2~15のいずれか一項に記載の製剤であって、各R
1が、式(Ib):
【化2】
の基を含み、
ここで-pNは、ホスホロジアミダートモルホリノオリゴマー(PMO)の塩基位置を示し、ここで-pは、ホスホロジアミダート連結を反映し、ここでNは、アデニン(A)、シトシン(C)、グアニン(G)、またはチミン(T)の核酸塩基に対応し、こうしてPMOは、CTCCAACATCAAGGAAGATGGCATTTCTAG(配列番号21)の核酸塩基配列を有し、および
ここでR
1は、付着点AでR
2に共有結合的に連結している、前記製剤。
【請求項17】
各R
1が、式(Ic):
【化3】
の基を含む、請求項2~16のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項18】
複合体が、製剤中に10mg/mL~50mg/mLの範囲の濃度で存在する、請求項1~17のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項19】
対象におけるジストロフィンタンパク質の発現または活性を促進するための、対象へ請求項1~18のいずれか一項に記載の製剤を投与することを含む、方法。
【請求項20】
ジストロフィンタンパク質が、短縮型ジストロフィンタンパク質である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
デュシェンヌ型筋ジストロフィーに関連する変異DMDアレルを有する対象を処置するための、対象へ請求項1~18のいずれか一項に記載の製剤を投与することを含む、方法。
【請求項22】
変異DMDアレルが、エキソン51スキッピングを受けやすい変異を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
変異DMDアレルが、エキソン51にフレームシフト変異を含む、請求項21または請求項22に記載の方法。
【請求項24】
式(I):[R
1]
n1-R
2の構造を含む複合体であって、式中各R
1は、式(Ia):
【化4】
の基を含み、
ここでR
3は、CTCCAACATCAAGGAAGATGGCATTTCTAG(配列番号21)の塩基配列を含むホスホロジアミダートモルホリノオリゴマー(PMO)を含み;
ここでR
2は、Fabを含み、およびここでFabは、表2から選択されるCDR-H1、CDR-H2、CDR-H3、CDR-L1、CDR-L2、およびCDR-L3を含み、
任意にここでFabは、配列番号17のアミノ酸配列を含むVHおよび配列番号18のアミノ酸配列を含むVLを含み、
さらに任意にここでFabは、配列番号19のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号20のアミノ酸配列を含む軽鎖を含み、
ここでR
1は、付着点AでR
2に共有結合的に連結しており;およびここでn1は独立して、各複合体におけるR
1の例の数を表す1以上の整数であり、ここでR
1の各例は、Fabの異なるアミノ酸残基に共有結合的に連結しており、任意にここで各異なるアミノ酸残基はリジンである、前記複合体。
【請求項25】
式(I):[R
1]
n1-R
2の構造を含む複合体であって、式中各R
1は、式(Ib):
【化5】
の基を含み、
ここでR
2は、Fabを含み、およびここでFabは、表2から選択されるCDR-H1、CDR-H2、CDR-H3、CDR-L1、CDR-L2、およびCDR-L3を含み、
任意にここでFabは、配列番号17のアミノ酸配列を含むVHおよび配列番号18のアミノ酸配列を含むVLを含み、
さらに任意にここでFabは、配列番号19のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号20のアミノ酸配列を含む軽鎖を含み、
ここで-pNは、ホスホロジアミダートモルホリノオリゴマー(PMO)の塩基位置を示し、ここで-pは、ホスホロジアミダート連結を反映し、およびここでNは、アデニン(A)、シトシン(C)、グアニン(G)、またはチミン(T)の核酸塩基に対応し、こうしてPMOは、CTCCAACATCAAGGAAGATGGCATTTCTAG(配列番号21)の核酸塩基配列を有し;
ここでR
1は、付着点AでR
2に共有結合的に連結しており;およびここでn1は、R
1の例の数を表す1以上の整数であり、ここでR
1の各例は、Fabの異なるアミノ酸残基に共有結合的に連結しており、任意にここで各異なるアミノ酸残基はリジンである、前記複合体。
【請求項26】
式(I):[R
1]
n1-R
2の構造を含む複合体であって、式中各R
1は、式(Ic):
【化6】
の基を含み、
ここでR
2は、表2から選択されるCDR-H1、CDR-H2、CDR-H3、CDR-L1、CDR-L2、およびCDR-L3を含むFabを含み、
任意にここでR
2は、配列番号17のアミノ酸配列を含むVHおよび配列番号18のアミノ酸配列を含むVLを含むFabを含み、
さらに任意にここでR
2は、配列番号19のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号20のアミノ酸配列を含む軽鎖を含むFabを含み;ここでR
1は、付着点AでR
2に共有結合的に連結しており;およびここでn1は、R
1の例の数を表す1以上の整数であり、ここでR
1の各例は、Fabの異なるアミノ酸残基に共有結合的に連結しており、任意にここで各異なるアミノ酸残基はリジンである、前記複合体。
【請求項27】
式(Id):
【化7】
の構造を含む、複合体であって、
式中、R
2は、表2から選択されるCDR-H1、CDR-H2、CDR-H3、CDR-L1、CDR-L2、およびCDR-L3を含むFabを含み、
任意にここでR
2は、配列番号17のアミノ酸配列を含むVHおよび配列番号18のアミノ酸配列を含むVLを含むFabを含み、
さらに任意にここでR
2は、配列番号19のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号20のアミノ酸配列を含む軽鎖を含むFabを含み;
ここで-pNは、ホスホロジアミダートモルホリノオリゴマー(PMO)の塩基位置を示し;ここで-pは、ホスホロジアミダート連結を反映し、およびここでNは、アデニン(A)、シトシン(C)、グアニン(G)、またはチミン(T)の核酸塩基に対応し、こうしてPMOは、CTCCAACATCAAGGAAGATGGCATTTCTAG(配列番号21)の核酸塩基配列を含み;
ここでR
1は、付着点AでR
2に共有結合的に連結しており;ここでn1は、R
1の例の数を表す1以上の整数であり、ここでR
1の各例は、Fabの異なるアミノ酸残基に共有結合的に連結しており、任意にここで各異なるアミノ酸残基はリジンである、前記複合体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、35 U.S.C.§119(e)の下で、2021年7月9日に提出された「ジストロフィン異常症を処置するための筋標的化複合体および製剤(MUSCLE TARGETING COMPLEXES AND FORMULATIONS FOR TREATING DYSTROPHINOPATHIES)」と題する米国仮出願第63/220,426号の出願日の利益を主張する;その内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
発明の分野
本出願は、オリゴヌクレオチド分子ペイロードを細胞に送達するための標的化複合体、かかる複合体を含む製剤、およびその使用、特に疾患の処置に関する使用に関する。
【0003】
電子配列表の参照
電子配列表(D082470061WO00-SEQ-CBD.xml、サイズ:55,409バイト、作成日:2022年7月6日)の内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0004】
発明の背景
ジストロフィン異常症はDMD遺伝子の変異から生じる一群の異なる神経筋疾患である。ジストロフィン異常症には、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、ベッカー型筋ジストロフィー、およびX染色体拡張型心筋症が含まれる。ジストロフィンをコードするDMDは、79個のエキソンと合計約260万塩基対を含有する大きな遺伝子である。エキソンのフレームシフト、欠失、置換、および重複変異などの、DMDにおける多数の変異は、機能的ジストロフィンの発現を低下させ、ジストロフィン異常症を引き起こし得る。
【発明の概要】
【0005】
発明の概要
いくつかの側面によれば、本開示は、複合体およびかかる複合体を含む製剤を提供する。いくつかの態様において、本明細書で提供される複合体は、ヒスチジン(例:L-ヒスチジン)およびスクロースと共に製剤化される。いくつかの態様において、本明細書で提供される複合体は、水性または凍結乾燥(例:凍結乾燥粉末)形態として製剤化される。いくつかの態様において、本明細書で提供される複合体は、凍結形態として製剤化される。いくつかの態様において、本明細書で提供される複合体は、抗体に共有結合的に連結したホスホロジアミダートモルホリノオリゴマー(PMO)を含む。いくつかの態様において、本明細書で提供される複合体は、抗トランスフェリン受容体1(TfR1)抗体に共有結合的に連結したPMOを含む筋標的化複合体を含む。いくつかの態様において、抗TfR1抗体は、翻訳後修飾に起因するピログルタマート形成を受けている。いくつかの態様において、複合体は、例えば表2に示す配列を有する、抗トランスフェリン受容体1(TfR1)抗体に共有結合的に連結したPMOを含む筋標的化複合体を含む。いくつかの態様において、PMOは、DMDアレル(例:変異DMDアレル)を標的とする。また提供されるのは、デュシェンヌ型筋ジストロフィーに関連する変異DMDアレル(例えば、ここで変異DMDアレルは、エキソンスキッピングを受けやすい変異を含む)を有する対象を処置するための、本明細書に記載の複合体および製剤を使用する方法、および/または、細胞(例:筋細胞)におけるジストロフィンタンパク質(例:短縮型ジストロフィンタンパク質)の発現または活性を促進する方法である。
【0006】
本開示のいくつかの側面は、抗トランスフェリン受容体1(TfR1)抗体に共有結合的に連結したホスホロジアミダートモルホリノオリゴマー(PMO)を含む複合体を含む製剤を提供し、ここで該抗体は以下を含み:配列番号1、7、または12に記載の配列を含む重鎖相補性決定領域1(CDR-H1)、配列番号2、8、または13に記載の配列を含む重鎖相補性決定領域2(CDR-H2)、配列番号3、9、または14に記載の配列を含む重鎖相補性決定領域3(CDR-H3)、配列番号4、10または15に記載の配列を含む軽鎖相補性決定領域1(CDR-L1)、配列番号5または11に記載の配列を含む軽鎖相補性決定領域2(CDR-L2)、および配列番号6または16に記載の配列を含む軽鎖相補性決定領域3(CDR-L3);およびここで複合体は、ヒスチジンおよびスクロースと共に製剤化される。
【0007】
本開示のいくつかの側面は、式:[R
1]
n1-R
2の構造を含む複合体を含む製剤を提供し、式中各R
1は独立して、式(Ia):
【化1】
の基を含み、式中:
R
2は、抗体を含み、および
R
3は、ホスホロジアミダートモルホリノオリゴマー(PMO)を含み;
ここでR
1は、付着点AでR
2に共有結合的に連結しており;および
ここでn1は、R
1の例の数を表す1以上の整数であり、
ここでR
1の各例は、抗体の異なるアミノ酸残基に共有結合的に連結しており;
ここで複合体は、ヒスチジンおよびスクロースと共に製剤化される。
【0008】
いくつかの態様において、各異なるアミノ酸残基はリジンである。
【0009】
いくつかの態様において、抗体は抗TfR1抗体である。
【0010】
いくつかの態様において、製剤中の複合体のn1の平均値は、1~5の範囲内である。
【0011】
いくつかの態様において、抗体は、以下を含む:配列番号1、7、または12に記載の配列を含む重鎖相補性決定領域1(CDR-H1)、配列番号2、8、または13に記載の配列を含む重鎖相補性決定領域2(CDR-H2)、配列番号3、9、または14に記載の配列を含む重鎖相補性決定領域3(CDR-H3)、配列番号4、10、または15に記載の配列を含む軽鎖相補性決定領域1(CDR-L1)、配列番号5または11に記載の配列を含む軽鎖相補性決定領域2(CDR-L2)、および配列番号6または16に記載の配列を含む軽鎖相補性決定領域3(CDR-L3)。
【0012】
いくつかの態様において、製剤は、凍結乾燥形態、水溶液、または凍結固体形態である。
【0013】
いくつかの態様において、製剤は水溶液中にあり、ヒスチジンは水溶液中に10mM~50mMの範囲の濃度で存在する。
【0014】
いくつかの態様において、製剤は水溶液中にあり、スクロースは水溶液中に5%~15%の重量/体積(w/v%)の範囲の濃度で存在する。
【0015】
いくつかの態様において、製剤は水溶液中にあり、水溶液は5.0~7.0の範囲のpHを有する。
【0016】
いくつかの態様において、製剤は水溶液中にあり、ヒスチジンは水溶液中に25mMの濃度で存在し、および/またはスクロースは水溶液中に10w/v%の濃度で存在し、および/または水溶液のpHは6.0である。
【0017】
いくつかの態様において、抗体は、Fab断片、完全長IgG、Fab'断片、F(ab')2断片、scFv、またはFvである。
【0018】
いくつかの態様において、抗体はFab断片である。
【0019】
いくつかの態様において、抗体は、配列番号17と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH)を含み;および/またはここで抗体は、配列番号18と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)を含む。
【0020】
いくつかの態様において、抗体は、配列番号17のアミノ酸配列を含むVHおよび配列番号18のアミノ酸配列を含むVLを含む。
【0021】
いくつかの態様において、抗体は、配列番号19と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む重鎖を含み;および/またはここで抗体は、配列番号20と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0022】
いくつかの態様において、抗体は、配列番号19のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号20のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0023】
いくつかの態様において、PMOは、15~35ヌクレオチド長の核酸塩基配列を含む。
【0024】
いくつかの態様において、PMOは、配列番号23、配列番号24、または配列番号22に対して少なくとも8連続ヌクレオチド長の相補性領域を有するヌクレオチド配列を含む。
【0025】
いくつかの態様において、PMOは、配列番号21に記載のヌクレオチド配列の少なくとも8つの連続ヌクレオチドを含む。
【0026】
いくつかの態様において、PMOは、配列番号21のヌクレオチド配列を含む。
【0027】
いくつかの態様において、各R
1は、式(Ib):
【化2】
の基を含み、
ここで-pNは、ホスホロジアミダートモルホリノオリゴマー(PMO)の塩基位置を示し、ここで-pは、ホスホロジアミダート連結を反映し、ここでNは、アデニン(A)、シトシン(C)、グアニン(G)、またはチミン(T)の核酸塩基に対応し、こうしてPMOは、CTCCAACATCAAGGAAGATGGCATTTCTAG(配列番号21)の核酸塩基配列を有し、およびここでR
1は、付着点AでR
2に共有結合的に連結している。
【0028】
いくつかの態様において、各R
1は、式(Ic):
【化3】
の基を含む。
【0029】
いくつかの態様において、複合体は製剤中に、10mg/mL~50mg/mLの範囲の濃度で存在する。
【0030】
さらに提供されるのは、対象におけるジストロフィンタンパク質の発現または活性を促進する方法であり、この方法は、本明細書に記載の製剤を対象に投与することを含む。
【0031】
いくつかの態様において、ジストロフィンタンパク質は、短縮型ジストロフィンタンパク質である。
【0032】
さらに提供されるのは、デュシェンヌ型筋ジストロフィーに関連する変異DMDアレルを有する対象を処置する方法であり、この方法は、本明細書に記載の製剤を対象に投与することを含む。
【0033】
いくつかの態様において、変異DMDアレルは、エキソン51スキッピングを受けやすい変異を含む。
【0034】
いくつかの態様において、変異DMDアレルは、エキソン51にフレームシフト変異を含む。
【0035】
本開示の他の側面は、式(I):[R
1]
n1-R
2の構造を含む複合体を提供し、式中、
各R
1は、式(Ia):
【化4】
の基を含み、
ここでR
3は、CTCCAACATCAAGGAAGATGGCATTTCTAG(配列番号21)の塩基配列を含むホスホロジアミダートモルホリノオリゴマー(PMO)を含み;
ここでR
2は、Fabを含み、およびここでFabは、表2から選択されるCDR-H1、CDR-H2、CDR-H3、CDR-L1、CDR-L2、およびCDR-L3を含み、
ここでR
1は、付着点AでR
2に共有結合的に連結しており;およびここでn1は独立して、各複合体におけるR
1の例の数を表す1以上の整数であり、ここでR
1の各例は、Fabの異なるアミノ酸残基に共有結合的に連結している。
【0036】
いくつかの態様において、Fabは、配列番号17のアミノ酸配列を含むVHおよび配列番号18のアミノ酸配列を含むVLを含む。
【0037】
いくつかの態様において、Fabは、配列番号19のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号20のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0038】
いくつかの態様において、各異なるアミノ酸残基はリジンである。
【0039】
本開示の他の側面は、式(I):[R
1]
n1-R
2の構造を含む複合体を提供し、式中、
各R
1は、式(Ib):
【化5】
の基を含み、
ここでR
2は、Fabを含み、およびここでFabは、表2から選択されるCDR-H1、CDR-H2、CDR-H3、CDR-L1、CDR-L2、およびCDR-L3を含み、
ここで-pNは、ホスホロジアミダートモルホリノオリゴマー(PMO)の塩基位置を示し、ここで-pは、ホスホロジアミダート連結を反映し、およびここでNは、アデニン(A)、シトシン(C)、グアニン(G)、またはチミン(T)の核酸塩基に対応し、こうしてPMOは、CTCCAACATCAAGGAAGATGGCATTTCTAG(配列番号21)の核酸塩基配列を有し;
ここでR
1は、付着点AでR
2に共有結合的に連結しており;およびここでn1は、R
1の例の数を表す1以上の整数であり、ここでR
1の各例は、Fabの異なるアミノ酸残基に共有結合的に連結している。
【0040】
いくつかの態様において、Fabは、配列番号17のアミノ酸配列を含むVHおよび配列番号18のアミノ酸配列を含むVLを含む。
【0041】
いくつかの態様において、Fabは、配列番号19のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号20のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0042】
いくつかの態様において、各異なるアミノ酸残基はリジンである。
【0043】
本開示の他の側面は、式(I):[R
1]
n1-R
2の構造を含む複合体を提供し、式中、
各R
1は、式(Ic):
【化6】
の基を含み、
ここでR
2は、表2から選択されるCDR-H1、CDR-H2、CDR-H3、CDR-L1、CDR-L2、およびCDR-L3を含むFabを含み;
ここでR
1は、付着点AでR
2に共有結合的に連結しており;およびここでn1は、R
1の例の数を表す1以上の整数であり、ここでR
1の各例は、Fabの異なるアミノ酸残基に共有結合的に連結している。
【0044】
いくつかの態様において、R2は、配列番号17のアミノ酸配列を含むVHおよび配列番号18のアミノ酸配列を含むVLを含む、Fabを含む。
【0045】
いくつかの態様において、R2は、配列番号19のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号20のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、Fabを含む。
【0046】
いくつかの態様において、各異なるアミノ酸残基はリジンである。
【0047】
本開示の他の側面は、式(Id):
【化7】
の構造を含む複合体を提供するが、
式中、R
2は、表2から選択されるCDR-H1、CDR-H2、CDR-H3、CDR-L1、CDR-L2、およびCDR-L3を含むFabを含み;
ここで-pNは、ホスホロジアミダートモルホリノオリゴマー(PMO)の塩基位置を示し;ここで-pは、ホスホロジアミダート連結を反映し、およびここでNは、アデニン(A)、シトシン(C)、グアニン(G)、またはチミン(T)の核酸塩基に対応し、こうしてPMOは、CTCCAACATCAAGGAAGATGGCATTTCTAG(配列番号21)の核酸塩基配列を含み;
ここでR
1は、付着点AでR
2に共有結合的に連結しており;ここでn1は、R
1の例の数を表す1以上の整数であり、ここでR
1の各例は、Fabの異なるアミノ酸残基に共有結合的に連結している。
【0048】
いくつかの態様において、R2は、配列番号17のアミノ酸配列を含むVHおよび配列番号18のアミノ酸配列を含むVLを含む、Fabを含む。
【0049】
いくつかの態様において、R2は、配列番号19のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号20のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、Fabを含む。
【0050】
いくつかの態様において、各異なるアミノ酸残基はリジンである。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【
図1】
図1は、表2に示すVH/VL配列を有する抗TfR1 Fabを含む抱合体を含む組成物であって、ここでFabが、バリン-シトルリン配列を含むリンカーを介してDMDエキソンスキッピングオリゴヌクレオチドに(リジン抱合を介して)共有結合的に連結している前記組成物が、裸のDMDエキソンスキッピングオリゴと比較して、デュシェンヌ型筋ジストロフィー患者の筋管において、対応する等モル用量のオリゴヌクレオチドでエキソンスキッピングの増強をもたらしたことを示すデータを示す。
【0052】
【
図2】
図2は、表2に示すVH/VL配列を有し、バリン-シトルリン配列を含むリンカーを介してDMDエキソン51スキッピングアンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)に(リジン抱合を介して)共有結合的に連結した抗TfR1 Fabを含む抱合体(「抱合体1」と称する)を含む組成物の、製剤1(25mMヒスチジン、10%スクロース、pH6中の25mg/mLの抱合体)中での、経時的な抱合体の濃度に関する安定性を示す。
【0053】
【
図3】
図3は、表2に示すVH/VL配列を有し、バリン-シトルリン配列を含むリンカーを介してDMDエキソン51スキッピングASO(「抱合体1」)に(リジン抱合を介して)共有結合的に連結した抗TfR1 Fabを含む製剤1の、BCAアッセイ結果を示す。抗TfR1 Fab-ASO抱合体1の濃度が25mg/mLになると、抱合体の試料を所望の容器(ガラス、EVA、PC、HDPE)に加え、-80℃で一晩凍結し、次に2~8℃で4時間解凍した。標準曲線はR
2値0.9998で作成した。試料の濃度はこの曲線に基づいて計算した。
【0054】
【
図4】
図4は、表2に示すVH/VL配列を有し、バリン-シトルリン配列を含むリンカーを介してDMDエキソン51スキッピングASOに(リジン抱合を介して)共有結合的に連結した抗TfR1 Fab(「抗TfR1 Fab-ASO抱合体」)を含む製剤1の、SEC-HPLC結果を示す。すべての試料製剤にわたり、ピークの組成に重大な変化はなかった。HMWS1は高分子量標準1を指し、LMWS1は低分子量標準1を指す。
【0055】
発明の詳細な説明
いくつかの側面によれば、本開示は、複合体およびかかる複合体を含む製剤を提供する。いくつかの態様において、複合体は、ヒスチジン(例:L-ヒスチジン)およびスクロースと共に製剤化される。いくつかの態様において、複合体は、水性または凍結乾燥(例:凍結乾燥粉末)形態として製剤化される。いくつかの態様において、複合体は、抗体に共有結合的に連結したホスホロジアミダートモルホリノオリゴマー(PMO)を含む。いくつかの態様において、複合体は、抗トランスフェリン受容体1(TfR1)抗体に共有結合的に連結したPMOを含む筋標的化複合体を含む。いくつかの態様において、複合体は、表2に示す抗トランスフェリン受容体1(TfR1)抗体に共有結合的に連結したPMOを含む筋標的化複合体を含む。また提供されるのは、本明細書に記載の複合体および製剤を、デュシェンヌ型筋ジストロフィーに関連する変異DMDアレル(例えば、ここで変異DMDアレルは、エキソンスキッピングを受けやすい変異を含む)を有する対象を処置するために使用する方法、および/または細胞におけるジストロフィンタンパク質(例:短縮型ジストロフィンタンパク質)の発現または活性を促進する方法である。
【0056】
定義された用語の説明を含む本開示のさらなる側面を、以下に提供する。
【0057】
定義
投与する(施す)こと:
本明細書で使用される場合、用語「投与する(施す)こと」または「投与(施し)」は、生理学的におよび/または(例として、および)薬理学的に有用なやり方で対象へ複合体を提供すること(例として、対象における疾病を処置すること)を意味する。
【0058】
およそ:
本明細書で使用される場合、用語「およそ」または「約」は、目的の1以上の値へ適用されるとき、規定された参照値と類似の値を指す。ある態様において、用語「およそ」または「約」は、別様に述べられない限りまたは文脈から明らかでない限り、規定された参照値のプラスマイナス(超または未満)の15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、またはこれ未満に収まる広範な値を指す(ただしかかる数字が実行可能な値の100%を超える場合を除く)。
【0059】
抗体:
本明細書で使用される場合、用語「抗体」は、少なくとも1つの免疫グロブリン可変ドメインまたは少なくとも1つの抗原決定基、例として、抗原へ特異的に結合するパラトープを包含するポリペプチドを指す。いくつかの態様において、抗体は、完全長の抗体である。いくつかの態様において、抗体は、キメラ抗体である。いくつかの態様において、抗体は、ヒト化抗体である。ただし、いくつかの態様において、抗体は、Fab断片、Fab'断片、F(ab')2断片、Fv断片、またはscFv断片である。いくつかの態様において、抗体は、ラクダ科の動物の抗体に由来するナノボディ、またはサメ抗体に由来するナノボディである。いくつかの態様において、抗体は、二重特異性抗体である。いくつかの態様において、抗体は、ヒト生殖細胞系配列を有するフレームワークを含む。別の態様において、抗体は、IgG、IgG1、IgG2、IgG2A、IgG2B、IgG2C、IgG3、IgG4、IgA1、IgA2、IgD、IgM、およびIgEの定常領域からなる群から選択される重鎖定常領域を含む。いくつかの態様において、抗体は、重(H)鎖可変領域(本明細書ではVHと略される)、および/または(例として、および)、軽(L)鎖可変領域(本明細書ではVLと略される)を含む。いくつかの態様において、抗体は、定常領域、例としてFc領域を含む。免疫グロブリン定常領域は、重鎖または軽鎖定常領域を指す。ヒトIgG重鎖および軽鎖定常領域アミノ酸配列およびそれらの機能的変異は知られている。重鎖に関し、いくつかの態様において本明細書に記載の抗体の重鎖は、アルファ(α)、デルタ(Δ)、イプシロン(ε)、ガンマ(γ)、またはミュー(μ)重鎖であり得る。いくつかの態様において、本明細書に記載の抗体の重鎖は、ヒトのアルファ(α)、デルタ(Δ)、イプシロン(ε)、ガンマ(γ)、またはミュー(μ)重鎖を含み得る。具体的な態様において、本明細書に記載の抗体は、ヒトのガンマ1 CH1ドメイン、CH2ドメイン、および/または(例として、および)、CH3ドメインを含む。いくつかの態様において、VHドメインのアミノ酸配列は、ヒトガンマ(γ)重鎖定常領域のアミノ酸配列、例えば当該技術分野において知られているいずれの配列も含む。ヒト定常領域配列の非限定例は当該技術分野において記載されており、例として、米国特許第5,693,780号および上記のKabat E A et al.,(1991)を参照されたい。いくつかの態様において、VHドメインは、本明細書で提供される可変鎖定常領域のいずれかと少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、または少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、抗体は修飾されている(例として、グリコシル化、リン酸化、SUMO化、および/または(例として、および)、メチル化を介して修飾されている)。いくつかの態様において、抗体は、1以上の糖または炭水化物分子に抱合されたグリコシル化抗体である。いくつかの態様において、1以上の糖または炭水化物分子は、N-グリコシル化、O-グリコシル化、C-グリコシル化、グリピエーション(GPIアンカー付着)、および/または(例として、および)、ホスホグリコシル化を介して、抗体に抱合されている。いくつかの態様において、1以上の糖または炭水化物分子は、単糖類、二糖類、オリゴ糖類、またはグリカンである。いくつかの態様において、1以上の糖または炭水化物分子は、分枝オリゴ糖類または分枝グリカンである。いくつかの態様において、1以上の糖または炭水化物分子は、マンノース単位、グルコース単位、N-アセチルグルコサミン単位、N-アセチルガラクトサミン単位、ガラクトース単位、フコース単位、またはホスホ脂質単位を包含する。いくつかの態様において、抗体は、リンカーポリペプチドまたは免疫グロブリン定常領域へ連結された本開示の1以上の抗原結合性断片を含むポリペプチドを含む構築物である。リンカーポリペプチドは、ペプチド結合によって結び合わされた2以上のアミノ酸残基を含み、1以上の抗原結合部と連結させるために使用される。リンカーポリペプチドの例は報告されている(例として、Holliger, P., et al. (1993) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:6444-6448;Poljak, R. J., et al. (1994) Structure 2:1121-1123を参照されたい)。またさらに、抗体は、1以上の他のタンパク質またはペプチドと、抗体もしくは抗体部分との共有結合または非共有結合の結び付きによって形成される、より大きな免疫接着分子の一部であってもよい。かかる免疫接着分子の例は、四量体scFv分子を作製するためのストレプトアビジンコア領域の使用(Kipriyanov, S. M., et al. (1995) Human Antibodies and Hybridomas 6:93-101)、ならびに二価のおよびビオチン化されたscFv分子を作製するためのシステイン残基、マーカーペプチド、およびC末ポリヒスチジンタグの使用(Kipriyanov, S. M., et al. (1994) Mol. Immunol. 31:1047-1058)を包含する。
【0060】
CDR:
本明細書で使用される場合、用語「CDR」は、抗体可変配列内の相補性決定領域を指す。典型的な抗体分子は、重鎖可変領域(VH)および軽鎖可変領域(VL)を含み、これらは通常、抗原結合に関与する。VHおよびVL領域は、「フレームワーク領域」(「FR」)として知られるより保存された領域が散在する、「相補性決定領域」(「CDR」)としても知られる超可変領域にさらに細分することができる。各VHおよびVLは、典型的には、アミノ末端からカルボキシ末端に向かって以下の順序、FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4で配置された3つのCDRおよび4つのFRで構成される。フレームワーク領域およびCDRの範囲は、当技術分野で公知の方法論を使用して、例えば、Kabat定義、IMGT定義、Chothia定義、AbM定義、および/または(例として、および)接触定義によって正確に同定され得、これらはすべて当技術分野で周知である。例として、Kabat, E.A., et al. (1991) Sequences of Proteins of Immunological Interest, Fifth Edition, U.S. Department of Health and Human Services, NIH Publication No. 91-3242;IMGT(登録商標),the international ImMunoGeneTics information system(登録商標) http://www.imgt.org, Lefranc, M.-P. et al., Nucleic Acids Res., 27:209-212 (1999);Ruiz, M. et al., Nucleic Acids Res., 28:219-221 (2000);Lefranc, M.-P., Nucleic Acids Res., 29:207-209 (2001);Lefranc, M.-P., Nucleic Acids Res., 31:307-310 (2003);Lefranc, M.-P. et al., In Silico Biol., 5, 0006 (2004) [Epub], 5:45-60 (2005);Lefranc, M.-P. et al., Nucleic Acids Res., 33:D593-597 (2005);Lefranc, M.-P. et al., Nucleic Acids Res., 37:D1006-1012 (2009);Lefranc, M.-P. et al., Nucleic Acids Res., 43:D413-422 (2015);Chothia et al., (1989) Nature 342:877;Chothia, C. et al. (1987) J. Mol. Biol. 196:901-917、Al-lazikani et al (1997) J. Molec. Biol. 273:927-948;およびAlmagro, J. Mol. Recognit. 17:132-143 (2004)を参照されたい。bioinf.org.uk/absも参照。本明細書で使用される場合、CDRは、当技術分野で公知の任意の方法によって定義されるCDRを指し得る。同じCDRを有する2つの抗体は、同じ方法、例えば、IMGT定義によって決定される場合、2つの抗体がそのCDRの同じアミノ酸配列を有することを意味する。
【0061】
重鎖および軽鎖の可変領域の各々において3つのCDRがあり、これらは可変領域の各々につきCDR1、CDR2、およびCDR3と指定される。用語「CDRセット」は、本明細書で使用される場合、抗原に結合することが可能な単一の可変領域に生じる3つのCDRの一群を指す。これらのCDRの厳密な境界は、種々の系に従い異なって定義されている。Kabat(Kabat et al.,Sequence of Proteins of Immunological Interest(国立衛生研究所,Bethesda,Md.(1987)および(1991))によって記載される系は、抗体のいずれの可変領域へも適用可能な一義的な残基番号付け系を提供するのみならず、3つのCDRを定義する正確な残基境界をも提供する。これらのCDRは、Kabat CDRと称されることもある。CDRの下位部(Sub-portions)は、L1、L2、およびL3、またはH1、H2、およびH3と指定されることがあり、ここで「L」および「H」は夫々、軽鎖および重鎖領域を指定する。これらの領域は、Kabat CDRと重複する境界を有するChothia CDRと称されることもある。Kabat CDRと重複するCDRを定義する他の境界は、Padlan(FASEB J.9:133-139(1995))およびMacCallum(J Mol Biol 262(5):732-45(1996))によって記載されている。さらに他のCDR境界定義は、上の系の1つに厳重に従わなくてもよいが、それでもなおKabat CDRと重複することがあり、具体的な残基もしくは残基の群またはCDR全体でさえも抗原結合に有意に影響を及ぼすものではないという予測あるいは実験的知見を踏まえ、それらは短縮または伸長されてもよい。本明細書で使用される方法は、これらの系のいずれかに従って定義されたCDRを利用してもよい。CDR定義系の例は表1に示される。
【表1】
【0062】
相補的:
本明細書で使用される場合、用語「相補的」は、2ヌクレオチド間または2組のヌクレオチド間の正確な対形成のための能力を指す。とりわけ、相補的は、2ヌクレオチド間または2組のヌクレオチド間に結合をもたらす水素結合対形成の程度を特徴付ける用語である。例えば、ある位置のオリゴヌクレオチドの塩基が、対応する位置の標的核酸(例として、mRNA)の塩基と水素結合することが可能である場合、そのとき塩基は、その位置にて互いに相補的であると見なされる。塩基対合は、標準的なWatson-Crick塩基対合と非Watson-Crick塩基対合(例として、Wobble塩基対合およびHoogsteen塩基対合)との両方を包含してもよい。例えば、いくつかの態様において、相補的な塩基対合として、アデノシン型塩基(A)は、チミジン型塩基(T)またはウラシル型塩基(U)に相補的であり、シトシン型塩基(C)は、グアノシン型塩基(G)に相補的であり、3-ニトロピロールまたは5-ニトロインドールなどのユニバーサル塩基は、いずれのA、C、U、またはTとハイブリダイズし得る。イノシン(I)はまた、当該技術分野においてユニバーサル塩基であるとも見なされており、いずれのA、C、U、またはTに相補的であると見なされる。
【0063】
共有結合的に連結された:
本明細書で使用される場合、用語「共有結合的に連結された」は、少なくとも1個の共有結合を介して一緒に連結されている2以上の分子の特徴を指す。いくつかの態様において、2個の分子は一緒に、分子間リンカーとして働く単結合(例として、ジスルフィド結合またはジスルフィド架橋)によって共有結合的に連結され得る。しかしながら、いくつかの態様において、複数の共有結合を介して2以上の分子を一緒に結び合わせるリンカーとして働く分子を介して、2以上の分子は一緒に、共有結合的に連結され得る。いくつかの態様において、リンカーは、切断可能なリンカーであってもよい。しかしながら、いくつかの態様において、リンカーは、切断不能なリンカーであってもよい。
【0064】
DMD:
本明細書で使用される場合、「DMD」という用語は、筋細胞、特に筋線維の、内部細胞骨格と細胞外マトリックスを架橋するジストロフィン-糖タンパク質複合体の重要な成分である、ジストロフィンタンパク質をコードする遺伝子を指す。DMDの欠失、重複、および点変異は、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、ベッカー型筋ジストロフィー、または心筋症などのジストロフィン異常症を引き起こし得る。代替プロモーターの使用および選択的スプライシングにより、この遺伝子には多数の異なる転写物バリアントおよびタンパク質アイソフォームが生じる。いくつかの態様において、DMD遺伝子は、ヒト(遺伝子ID:1756)、非ヒト霊長類(例:遺伝子ID:465559)、またはげっ歯類(例:遺伝子ID:13405;遺伝子ID:24907)の遺伝子であり得る。さらに、複数のヒト転写産物バリアント(例:GenBank RefSeqアクセッション番号:NM_000109.3、NM_004006.2(配列番号24)、NM_004009.3、NM_004010.3、およびNM_004011.3の注釈が付けられているもの)は、異なるタンパク質アイソフォームをコードするとして特徴付けられている。
【0065】
DMDアレル:
本明細書で使用される場合、用語「DMDアレル」は、DMD遺伝子の代替形態(例:野生型または変異形態)のいずれか1つを指す。いくつかの態様において、DMDアレルは、その正常かつ典型的な機能を保持するジストロフィンをコードし得る。いくつかの態様において、DMDアレルは、筋ジストロフィーを引き起こす1以上の変異を含み得る。デュシェンヌ型筋ジストロフィーを引き起こす一般的な変異には、DMDアレルに存在する79個のエキソン、例えばエキソン8、エキソン23、エキソン41、エキソン44、エキソン50、エキソン51、エキソン52、エキソン53、またはエキソン55、のうち1以上のフレームシフト、欠失、置換、および重複変異が含まれる。DMD変異のさらなる例は、例えば以下に記載されている:Flanigan KM, et al., Mutational spectrum of DMD mutations in dystrophinopathy patients: application of modern diagnostic techniques to a large cohort. Hum Mutat. 2009 Dec; 30 (12):1657-66;その内容全体は参照により本明細書に組み込まれる。
【0066】
ジストロフィン異常症:
本明細書で使用する場合、用語「ジストロフィン異常症」は、1以上の変異DMDアレルに起因する筋疾患を指す。ジストロフィン異常症には、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、ベッカー型筋ジストロフィー、DMD関連の拡張型心筋症(DCM)などのさまざまな状態(軽度から重度まで)が含まれる。いくつかの態様において、スペクトルの一端では、ジストロフィン異常症は、クレアチンホスホキナーゼ(CK)の血清濃度の無症候性増加および/または(例えば、および)ミオグロビン尿症を伴う筋けいれんと、表現型的に関連している。いくつかの態様において、スペクトルの他端では、ジストロフィン異常症は進行性筋疾患と表現型的に関連しており、該進行性筋疾患は、骨格筋が主に影響を受ける場合にはデュシェンヌ型またはベッカー型筋ジストロフィーとして、心臓が主に影響を受ける場合にはDMD関連拡張型心筋症(DCM)として、一般に分類される。デュシェンヌ型筋ジストロフィーの症状には、筋肉の喪失または変性、筋肉機能の低下、舌とふくらはぎの筋肉の仮性肥大、神経学的異常のリスクの増加、および寿命の短縮などが含まれる。デュシェンヌ型筋ジストロフィーは、Online Mendelian Inheritance in Man(OMIM)エントリー番号310200に関連付けられている。ベッカー型筋ジストロフィーは、OMIMエントリー番号300376に関連付けられている。拡張型心筋症は、OMIMエントリーX# 302045に関連付けられている。
【0067】
エキソンスプライシングエンハンサー(ESE):
本明細書で使用する場合、「エキソンスプライシングエンハンサー」または「ESE」という用語は、プレmRNAのスプライシングをmRNAへと指示または増強する遺伝子、プレmRNA、またはmRNAのエキソン内の核酸配列モチーフを指し、これは例えば、Blencowe et al., Trends Biochem Sci 25, 106-10. (2000)に記載されており、参照により本明細書に組み込まれる。ESEは、スプライシングを特徴とする。ESEは、例えば、遺伝子転写物から1以上のイントロンおよび/または1以上のエキソンを除去するために、スプライシングを指示または強化し得る。ESEモチーフは通常6~8核酸塩基長である。SRタンパク質(例えば、遺伝子SRSF1、SRSF2、SRSF3、SRSF4、SRSF5、SRSF6、SRSF7、SRSF8、SRSF9、SRSF10、SRSF11、SRSF12、TRA2AまたはTRA2Bによってコードされるタンパク質)は、RNA認識モチーフ領域を介してESEに結合し、スプライシングを促進する。ESEモチーフは、Cartegni et al., Nucleic Acids RESEarch, 2003, Vol. 31, No. 13, 3568-3571に記載されており、参照により本明細書に組み込まれる。
【0068】
フレームワーク:
本明細書で使用される場合、用語「フレームワーク」または「フレームワーク配列」は、CDRを差し引いた可変領域の残りの配列を指す。CDR配列の厳密な定義が種々の系によって決定され得ることから、フレームワーク配列の意味は、相応に異なる解釈に依存する。6つのCDR(軽鎖のCDR-L1、CDR-L2、およびCDR-L3、ならびに重鎖のCDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3)もまた、軽鎖および重鎖上のフレームワーク領域を各鎖上の4つの下位領域(FR1、FR2、FR3、およびFR4)に分け、ここでCDR1はFR1とFR2との間に、CDR2はFR2とFR3との間に、CDR3はFR3とFR4との間に位置付けられる。具体的な下位領域をFR1、FR2、FR3、またはFR4と特定しないフレームワーク領域は、他によって言及されるとき、天然に存在する単一の免疫グロブリン鎖の可変領域内の組み合わされたFR(複数)を表す。本明細書で使用される場合、FRは4つの下位領域のうち1つを表し、FR(複数)はフレームワーク領域を含有する4つの下位領域のうち2つ以上を表す。ヒト重鎖および軽鎖アクセプター配列は、当該技術分野において知られている。一態様において、当該技術分野において知られているアクセプター配列は、本明細書に開示の抗体に使用されていてもよい。
【0069】
ヒト抗体:
用語「ヒト抗体」は、本明細書で使用される場合、ヒト生殖細胞系免疫グロブリン配列に由来する可変領域および定常領域を有する抗体を包含することが意図される。本開示のヒト抗体は、例えば、CDR、とりわけCDR3において、ヒト生殖細胞系免疫グロブリン配列によってコードされないアミノ酸残基(例として、in vitroでのランダム変異誘発もしくは部位特異的変異誘発によってか、またはin vivoでの体細胞変異によって導入された変異)を包含していてもよい。ただし、用語「ヒト抗体」は、本明細書で使用される場合、マウスなどの別の哺乳動物種の生殖細胞系列に由来するCDR配列がヒトフレームワーク配列上へ接合された抗体を包含することは意図されない。
【0070】
ヒト化抗体:
用語「ヒト化抗体」は、非ヒト種(例として、マウス)からの重鎖および軽鎖の可変領域配列を含むが、VH配列および/または(例として、および)VL配列の少なくとも一部がより「ヒト様」に、すなわち、ヒト生殖細胞系可変配列とより同様なものに変更された抗体を指す。ヒト化抗体のあるタイプは、ヒトCDR配列が非ヒトVHおよびVL配列上へ導入されて対応する非ヒトCDR配列と置き換えられたCDR接合抗体である。一態様において、ヒト化された抗トランスフェリン受容体抗体および抗原結合部分が提供される。かかる抗体は、既存のハイブリドーマ技術、これに続くin vitroの遺伝子工学を使用するヒト化(Kasaianらの国際公開第2005/123126号に開示されたものなど)を使用してマウス抗トランスフェリン受容体モノクローナル抗体を得ることによって生成され得る。
【0071】
Kabat番号付け:
用語「Kabat番号付け」、「Kabat定義」、および「Kabat標識化」は、本明細書では互換的に使用される。これらの用語は、当該技術分野において認識されているが、抗体またはその抗原結合部分の重鎖および軽鎖可変領域中の、他のアミノ酸残基より可変(すなわち、高可変)であるアミノ酸残基を番号付けする系を指す(Kabat et al. (1971) Ann. NY Acad, Sci. 190:382-391および、Kabat, E. A., et al. (1991) Sequences of Proteins of Immunological Interest, Fifth Edition, U.S. Department of Health and Human Services, NIH Publication No. 91-3242)。重鎖可変領域において、超可変領域は、CDR1につきアミノ酸位置31~35、CDR2につきアミノ酸位置50~65、およびCDR3につきアミノ酸位置95~102に及ぶ。軽鎖可変領域において、超可変領域は、CDR1につきアミノ酸位置24~34、CDR2につきアミノ酸位置50~56、およびCDR3につきアミノ酸位置89~97に及ぶ。
【0072】
モルホリノ:
本明細書で使用する場合、「モルホリノ」という用語は、「ホスホロジアミダートモルホリノオリゴマー」とも称され、ホスホロジアミダート基を介して連結したメチレンモルホリン環の主鎖に付着した核酸塩基を含有する、分子構造を指す。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、モルホリノベースの化合物であり得る。モルホリノベースのオリゴマー化合物は、以下に記載されている:Dwaine A. Braasch and David R. Corey, Biochemistry, 2002, 41(14), 4503-4510);Genesis, volume 30, issue 3, 2001;Heasman, J., Dev. Biol., 2002, 243, 209-214;Nasevicius et al., Nat. Genet., 2000, 26, 216-220;Lacerra et al., Proc. Natl. Acad. Sci., 2000, 97, 9591-9596;および1991年7月23日発行の米国特許第5,034,506号。いくつかの態様において、モルホリノベースのオリゴマー化合物は、ホスホロジアミダートモルホリノオリゴマー(PMO)である(例えば、Iverson, Curr. Opin. Mol. Ther., 3:235-238, 2001;およびWang et al., J. Gene Med., 12:354-364, 2010に記載されている;これらの開示全体は参照により本明細書に組み込まれる)。
【0073】
オリゴヌクレオチド:
本明細書で使用される場合、用語「オリゴヌクレオチド」は、最大で200ヌクレオチド長のオリゴマーの核酸化合物を指す。オリゴヌクレオチドの例は、これらに限定されないが、RNAiオリゴヌクレオチド(例として、siRNA、shRNA)、マイクロRNA、ギャップマー、mixmer、ホスホロジアミダート、モルホリノ、ペプチド核酸、アプタマー、ガイド核酸(例として、Cas9ガイドRNA)等々を包含する。オリゴヌクレオチドは一本鎖または二本鎖であってもよい。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、1以上の修飾ヌクレオシド(例として、2'-O-メチル糖修飾、プリンまたはピリミジン修飾)を含んでいてもよい。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、1以上の修飾ヌクレオシド間連結を含んでいてもよい。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、RpまたはSpの立体化学配置にあってもよい1以上のホスホロチオアート連結を含んでいてもよい。
【0074】
相補性領域:
本明細書で使用される場合、用語「相補性領域」は、2つのヌクレオチド配列が生理学的な条件下(例として、細胞中)で相互にアニーリングすることが可能であるような、同族の(cognate)ヌクレオチド配列(例として、標的核酸のヌクレオチド配列)に充分に相補的である、(例えばオリゴヌクレオチドの)ヌクレオチド配列を指す。いくつかの態様において、相補性領域は、標的核酸の同族のヌクレオチド配列に完全に相補的である。しかしながら、いくつかの態様において、相補性領域は、標的核酸の同族のヌクレオチド配列に部分的に相補的(例として、少なくとも80%、90%、95%、または99%の相補性)である。いくつかの態様において、相補性領域は、標的核酸の同族のヌクレオチド配列と比較して1個、2個、3個、または4個のミスマッチを含有する。
【0075】
特異的に結合する:
本明細書で使用される場合、用語「特異的に結合する」は、結合アッセイまたは他の結合に関する文脈(binding context)において、分子が、適切な対照から結合パートナーを区別するために使用され得る親和性または結合活性の程度での、分子の、結合パートナーへの結合能を指す。抗体に関し、用語「特異的に結合する」は、親和性または結合活性の程度で(例として、本明細書に記載のとおり、抗原への結合を通してある細胞(例として、筋細胞)への優先的な標的化を許容する程度で)、適切な参照抗原、または抗体が他の抗原から特定の抗原を区別するために使用され得る抗原と比較して、抗体が特定の抗原に結合する能力を指す。いくつかの態様において、抗体が標的への結合に関して、少なくとも約10-4M、10-5M、10-6M、10-7M、10-8M、10-9M、10-10M、10-11M、10-12M、10-13M、またはこれ未満のKDを有する場合、抗体は標的へ特異的に結合する。いくつかの態様において、抗体は、トランスフェリン受容体、例として、トランスフェリン受容体の先端ドメインのエピトープへ特異的に結合する。
【0076】
対象:
本明細書で使用される場合、用語「対象」は、哺乳動物を指す。いくつかの態様において、対象は、霊長目の非ヒト動物または齧歯類動物である。いくつかの態様において、対象は、ヒトである。いくつかの態様において、対象は、変異DMD遺伝子配列、例えば、DMD遺伝子配列のエキソンにおける変異に起因する疾患を有するか、または有すると疑われるヒト患者である。いくつかの態様において、対象は、ジストロフィン異常症、例えばデュシェンヌ型筋ジストロフィーを有する。
【0077】
トランスフェリン受容体:
本明細書で使用される場合、用語「トランスフェリン受容体」(またTFRC、CD71、p90、TFR、またはTFR1としても知られている)は、エンドサイトーシスによる鉄取り込みを容易にするためのトランスフェリンに結合する、内在化する細胞表面受容体を指す。いくつかの態様において、トランスフェリン受容体は、ヒト(NCBI Gene ID 7037)、霊長目の非ヒト動物(例として、NCBI Gene ID 711568もしくはNCBI Gene ID 102136007)、または齧歯類の動物(例として、NCBI Gene ID 22042)を起源としていてもよい。加えて、受容体の種々のアイソフォームをコードした複数のヒト転写産物バリアントが(例として、GenBank RefSeqアクセッション番号:NP_001121620.1、NP_003225.2、NP_001300894.1、およびNP_001300895.1の注釈付きのものであるように)特徴付けられている。
【0078】
範囲:
本開示で提供されるすべての範囲には、終点が含まれる。
【0079】
複合体
本明細書では、オリゴヌクレオチドに共有結合的に連結した標的化剤、例えば抗体を含む、複合体が提供される。いくつかの態様において、複合体は、1以上のオリゴヌクレオチドに共有結合的に連結した筋標的化抗体を含む。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドはPMOである。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、変異DMDアレルを標的とするオリゴヌクレオチドであり、エキソンスキッピングを促進する。
【0080】
本明細書に記載の複合体は一般に、本明細書に記載の抗体(例:抗TfR1抗体のいずれか1つ)をオリゴヌクレオチド(例:PMO)に共有結合的に連結するリンカーを含む。リンカーは、少なくとも1つの共有結合を含む。
【0081】
いくつかの態様において、本明細書で提供される(例えば、本明細書に記載の組成物または製剤中の)複合体は、式(I):[R1]n1-R2の構造を含み、式中、各R1は独立して、オリゴヌクレオチド(例:PMO)を含む化合物を含み、およびR2は、抗体(例:抗TfR1抗体)を含み、式中n1は、複合体中のR1の例の数を表す(例えば1以上の)整数である。いくつかの態様において、n1は独立して、各複合体におけるR1の例の数を表す整数(例:0以上)である。いくつかの態様において、各R1は独立して、オリゴヌクレオチドを含む基を含む。いくつかの態様において、各R1は独立して、オリゴヌクレオチドに加えて追加の要素を含む基を含む。いくつかの態様において、R2は、重鎖可変領域(VH)および重鎖定常領域を含む重鎖、ならびに軽鎖可変領域(VL)および軽鎖定常領域を含む軽鎖を含む、抗体(例:抗TfR1抗体)を含む。いくつかの態様において、複合体の各R1は独立して、R2の異なるアミノ酸残基(例:リジンまたはシステイン)に共有結合的に連結している。いくつかの態様において、R2は、抗TfR1 Fabを含む。
【0082】
いくつかの態様において、各複合体において、n1は独立して、0以上の整数である。いくつかの態様において、各複合体において、n1は独立して1以上の整数である。いくつかの態様において、n1は1以上の整数である。いくつかの態様において、抗体は、表2に示される配列を含む。例えば、いくつかの態様において、抗体は、配列番号1、7、または12に記載の配列を含む重鎖相補性決定領域1(CDR-H1)、配列番号2、8、または13に記載の配列を含む重鎖相補性決定領域2(CDR-H2)、配列番号3、9、または14に記載の配列を含む重鎖相補性決定領域3(CDR-H3)を含み;および/または、配列番号4、10、または15に記載の配列を含む軽鎖相補性決定領域1(CDR-L1)、配列番号5または11に記載の配列を含む軽鎖相補性決定領域2(CDR-L2)、および配列番号6または16に記載の配列を含む軽鎖相補性決定領域3(CDR-L3)を含む。いくつかの態様において、抗体は、配列番号17と少なくとも85%(例:少なくとも95%)同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH)を含み、および/または配列番号18と少なくとも85%(例:少なくとも95%)同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)を含む。いくつかの態様において、抗体は、配列番号17のアミノ酸配列を含むVHを含み、および/または配列番号18のアミノ酸配列を含むVLを含む。いくつかの態様において、抗体は、配列番号19と少なくとも85%(例:少なくとも95%)同一のアミノ酸配列を含む重鎖を含み、および/または配列番号20と少なくとも85%(例:少なくとも95%)同一のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。いくつかの態様において、抗体は、配列番号19のアミノ酸配列を含む重鎖を含み、および/または配列番号20のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。いくつかの態様において、抗体は、Fab断片、完全長IgG、Fab'断片、F(ab')2断片、scFv、またはFvである。いくつかの態様において、抗体は、Fab断片である。
【0083】
いくつかの態様において、各複合体または任意の複合体(例:本明細書に開示される組成物または製剤のいずれかにおける任意の複合体)のn1の値は、1から、抱合が望まれるか標的とされる抗体におけるアミノ酸残基の数(例:リジン残基の数)までの、整数である。いくつかの態様において、n1の値は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、および27から選択される。いくつかの態様において、n1の値は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、および26から選択される。いくつかの態様において、n1の値は、1~27、1~26、1~10、1~5、または1~3の範囲である。いくつかの態様において、各複合体において、n1の値は独立して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、および27から選択される。いくつかの態様において、各複合体において、n1の値は独立して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、および26から選択される。いくつかの態様において、各複合体において、n1は独立して、1~27、1~26、1~10、1~5、または1~3の範囲にある。いくつかの態様において、組成物の複合体のn1の平均値は、1~5の範囲内(例:1~5、1~4、1~3、3~5、または1~2)である。いくつかの態様において、本明細書に記載の組成物は、式(I):[R1]n1-R2(式中、n1は0である)の構造を含む複合体を含む。いくつかの態様において、組成物の複合体のn1の平均値は、1~5の範囲内(例:1~5、1~4、1~3、1~2、2~4、3~5、1~4.6、1~4.5、1~4.4、1~4.3、1~4.2、1~3.5、1~2.5、1.1~5、1.1~4.5、1.1~4、1.1~3.5、1.1~3、1.1~2.5、1.1~2.2、1.2~5、1.2~4.5、1.2~4、1.2~3.5、1.2~3、1.2~2.5、1.2~2.2、1.3~5、1.3~4.5、1.3~4、1.3~3.5、1.3~3、1.3~2.5、1.3~2.2、1.4~5、1.4~4.5、1.4~4、1.4~3.5、1.4~3、1.4~2.5、1.4~2.2、1.5~5、1.5~4.5、1.5~4、1.5~3.5、1.5~3、1.5~2.5、1.5~2.2、1.6~3、1.6~2.5、1.6~2.2、1.7~3、1.7~2.5、1.7~2.2、1.8~3、1.8~2.5、または1.8~2.2)である。いくつかの態様において、各複合体タイプにおいて、n1は独立して、その複合体タイプの各複合体におけるR1の例の数を表す1以上の整数であり、組成物の異なる複合体タイプは、異なるn1値を有することを特徴とする(例えば、n1値の範囲は、1~27、1~26、1~25、1~20、1~15、1~10、1~5、または1~3)。
【0084】
いくつかの態様において、複数の異なる複合体を含む組成物(例:本明細書に記載の、ヒスチジンおよび/またはスクロースを含む製剤)が提供される。いくつかの態様において、複数の異なる複合体は、共通の標的化剤(例:抗体)および共通のオリゴヌクレオチド(例:PMO)を含む。かかる態様において、異なる複合体タイプは、抗体に共有結合的に連結した異なる数のオリゴヌクレオチドを有することを特徴とする。例えば、いくつかの態様において、複数の複合体タイプを含む組成物が提供され、ここで各複合体タイプは、式(I):[R1]n1-R2の構造を含み、式中、各R1は独立して、オリゴヌクレオチド(例:PMO)を含む化合物を含み、およびR2は、抗体(例:抗TfR1抗体)を含み、ここで各複合体タイプにおいて、n1は独立して、複合体タイプの各複合体におけるR1の例の数を表す1以上の整数であり、およびここで、組成物の異なる複合体タイプは、異なるn1値(例:1~27、1~26の範囲のn1値)を有することを特徴とする。いくつかの態様において、組成物の異なる各複合体タイプは、1~27、1~26、1~25、1~20、1~15、1~10、1~5、または1~3の範囲の異なるn1値を有する。いくつかの態様において、組成物の複合体において、n1は独立して整数である。いくつかの態様において、組成物の複合体のn1の平均値は、1~5の範囲内(例:1~5、1~4、1~3、1~2、2~4、3~5、1~4.6、1~4.5、1~4.4、1~4.3、1~4.2、1~3.5、1~2.5、1.1~5、1.1~4.5、1.1~4、1.1~3.5、1.1~3、1.1~2.5、1.1~2.2、1.2~5、1.2~4.5、1.2~4、1.2~3.5、1.2~3、1.2~2.5、1.2~2.2、1.3~5、1.3~4.5、1.3~4、1.3~3.5、1.3~3、1.3~2.5、1.3~2.2、1.4~5、1.4~4.5、1.4~4、1.4~3.5、1.4~3、1.4~2.5、1.4~2.2、1.5~5、1.5~4.5、1.5~4、1.5~3.5、1.5~3、1.5~2.5、1.5~2.2、1.6~3、1.6~2.5、1.6~2.2、1.7~3、1.7~2.5、1.7~2.2、1.8~3、1.8~2.5、または1.8~2.2)である。いくつかの態様において、本明細書に記載の組成物は、n1が0である複合体を含む。
【0085】
いくつかの態様において、非抱合抗体(例:微量の)および1以上のオリゴヌクレオチドに抱合した抗体を含む組成物(例:本明細書に記載の、ヒスチジンおよび/またはスクロースを含む製剤)が、本明細書で提供される。本明細書で使用される場合、「非抱合抗体」とは、オリゴヌクレオチドに抱合していない抗体を指す。いくつかの態様において、非抱合抗体は、式(I):[R1]n1-R2(式中、n1は0である)の構造を含む化合物と称されることがある。したがって、いくつかの態様において、式(I):[R1]n1-R2の構造を含む化合物(例:複合体)を含む組成物(例:本明細書に記載の製剤)が提供され、式中、各R1は独立して、オリゴヌクレオチドを含む基を含み、R2は抗体を含み、およびn1は、複合体中のR1の例の数を反映する0以上の整数である。いくつかの態様において、n1は独立して、各化合物(例:複合体)中のR1の例の数を反映する0以上の整数である。いくつかの態様において、組成物中の式(I):[R1]n1-R2の構造(式中、n1は0である)を含む化合物の、組成物中のその構造(式中、n1は1以上である)のすべての化合物に対する割合は、10%未満、5%未満、1%未満、0.5%未満、0.1%未満、0.05%未満、または0.01%未満である。したがって、いくつかの態様において、組成物の複合体のn1の平均値は、1~5の範囲内(例:1~5、1~4、1~3、1~2、2~4、3~5、1~4.6、1~4.5、1~4.4、1~4.3、1~4.2、1~3.5、1~2.5、1.1~5、1.1~4.5、1.1~4、1.1~3.5、1.1~3、1.1~2.5、1.1~2.2、1.2~5、1.2~4.5、1.2~4、1.2~3.5、1.2~3、1.2~2.5、1.2~2.2、1.3~5、1.3~4.5、1.3~4、1.3~3.5、1.3~3、1.3~2.5、1.3~2.2、1.4~5、1.4~4.5、1.4~4、1.4~3.5、1.4~3、1.4~2.5、1.4~2.2、1.5~5、1.5~4.5、1.5~4、1.5~3.5、1.5~3、1.5~2.5、1.5~2.2、1.6~3、1.6~2.5、1.6~2.2、1.7~3、1.7~2.5、1.7~2.2、1.8~3、1.8~2.5、または1.8~2.2)である。
【0086】
いくつかの態様において、複合体中のR1の各例は、抗体の異なるアミノ酸残基に抱合される。いくつかの態様において、複合体中のR1の各例は、抗体の異なるアミノ酸残基に共有結合的に連結している。いくつかの態様において、R1が共有結合的に連結しているアミノ酸は、ε-アミノ基(例:リジン、アルギニン)を含む。いくつかの態様において、各異なるアミノ酸は、ε-アミノ基(例:リジン、アルギニン)を含む。しかしながらいくつかの態様において、R1が共有結合的に連結しているアミノ酸は、システインである。いくつかの態様において、R1が共有結合的に連結している各異なるアミノ酸は、システインである。いくつかの態様において、R1は、抗体のアミノ酸残基に直接共有結合的に連結している。しかしながらいくつかの態様において、R1は、抗体のアミノ酸に間接的に共有結合的に連結している;例えば、アミノ酸上のグリコシル化部位に共有結合的に連結している。
【0087】
いくつかの態様において、R1は、抗体のCDR領域に存在するアミノ酸残基に共有結合的に連結していない。
【0088】
いくつかの態様において、本明細書に提供される(例えば、本明細書に記載の組成物または製剤中の)複合体は、式(I):[R
1]
n1-R
2の構造を含み、式中、R
1の各例は独立して、式(Ia):
【化8】
の基を含み、
式中、R
3はオリゴヌクレオチド、例えばホスホロジアミダートモルホリノオリゴマー(PMO)を含み;およびR
1は、付着点AでR
2に共有結合的に連結(例えば、間接的または直接的に連結、例えば直接的に連結)している。いくつかの態様において、各複合体においてn1は独立して、各複合体におけるR
1の例の数を表す(例えば1以上の)整数である。いくつかの態様において、R
2は、表2に記載の配列を含む抗体を含む。例えば、いくつかの態様において、R
2は、配列番号1、7、または12に記載の配列を含む重鎖相補性決定領域1(CDR-H1)、配列番号2、8、または13に記載の配列を含む重鎖相補性決定領域2(CDR-H2)、配列番号3、9、または14に記載の配列を含む重鎖相補性決定領域3(CDR-H3)を含み;かつ/または配列番号4、10、または15に記載の配列を含む軽鎖相補性決定領域1(CDR-L1)、配列番号5または11に記載の配列を含む軽鎖相補性決定領域2(CDR-L2)、および配列番号6または16に記載の配列を含む軽鎖相補性決定領域3(CDR-L3)を含む、抗体を含む。いくつかの態様において、R
2は、配列番号17と少なくとも85%(例:少なくとも95%)同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH)を含み、かつ/または配列番号18と少なくとも85%(例:少なくとも95%)同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)を含む、抗体を含む。いくつかの態様において、R
2は、配列番号17のアミノ酸配列を含むVHを含み、かつ/または配列番号18のアミノ酸配列を含むVLを含む、抗体を含む。いくつかの態様において、R
2は、配列番号19と少なくとも85%(例:少なくとも95%)同一のアミノ酸配列を含む重鎖を含み、かつ/または配列番号20と少なくとも85%(例:少なくとも95%)同一のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、抗体を含む。いくつかの態様において、R
2は、配列番号19のアミノ酸配列を含む重鎖を含み、かつ/または配列番号20のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、抗体を含む。いくつかの態様において、R
2は、Fab断片、完全長IgG、Fab'断片、F(ab')
2断片、scFv、またはFvである抗体を含む。いくつかの態様において、R
2は、Fab断片である抗体を含む。いくつかの態様において、R
3は、オリゴヌクレオチド、例えば、CTCCAACATCAAGGAAGATGGCATTTCTAG(配列番号21)の塩基配列を含むホスホロジアミダートモルホリノオリゴマー(PMO)を含む。いくつかの態様において、R
2はFabを含み、各R
1は付着点AでFabの異なるアミノ酸残基に共有結合的に連結しており、任意にここで、各異なるアミノ酸残基はリジンである。いくつかの態様において、各複合体においてn1は独立して、整数(例えば、1~27、1~26、1~10、1~5、または1~3の範囲の整数)である。
【0089】
いくつかの態様において、本明細書に提供される(例えば、本明細書に記載の組成物または製剤中の)複合体は、式(I):[R
1]
n1-R
2の構造を含み、式中、各R
1は、式(Ib):
【化9】
の基を含み、
ここで-pNは、ホスホロジアミダートモルホリノオリゴマー(PMO)の塩基位置を示し;R
1は、付着点AでR
2に共有結合的に連結(例えば、間接的または直接的に連結、例えば直接的に連結)しており、ここで-pは、ホスホロジアミダート連結を反映し、およびここでNは、アデニン(A)、シトシン(C)、グアニン(G)またはチミン(T)の核酸塩基に対応し、こうしてPMOは、CTCCAACATCAAGGAAGATGGCATTTCTAG(配列番号21)の塩基配列を含む。いくつかの態様において、各複合体において、n1は独立して、各複合体におけるR
1の例の数を表す(例えば1以上の)整数であり、および各R
1は、付着点AでR
2に共有結合的に連結している。いくつかの態様において、R
2は、表2に記載の配列を含む抗体を含む。例えば、いくつかの態様において、R
2は、配列番号1、7、または12に記載の配列を含む重鎖相補性決定領域1(CDR-H1)、配列番号2、8、または13に記載の配列を含む重鎖相補性決定領域2(CDR-H2)、配列番号3、9、または14に記載の配列を含む重鎖相補性決定領域3(CDR-H3)を含み;かつ/または配列番号4、10、または15に記載の配列を含む軽鎖相補性決定領域1(CDR-L1)、配列番号5または11に記載の配列を含む軽鎖相補性決定領域2(CDR-L2)、および配列番号6または16に記載の配列を含む軽鎖相補性決定領域3(CDR-L3)を含む、抗体を含む。いくつかの態様において、R
2は、配列番号17と少なくとも85%(例:少なくとも95%)同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH)を含み、かつ/または配列番号18と少なくとも85%(例:少なくとも95%)同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)を含む、抗体を含む。いくつかの態様において、R
2は、配列番号17のアミノ酸配列を含むVHを含み、かつ/または配列番号18のアミノ酸配列を含むVLを含む、抗体を含む。
【0090】
いくつかの態様において、R2は、配列番号19と少なくとも85%(例:少なくとも95%)同一のアミノ酸配列を含む重鎖を含み、かつ/または配列番号20と少なくとも85%(例:少なくとも95%)同一のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、抗体を含む。いくつかの態様において、R2は、配列番号19のアミノ酸配列を含む重鎖を含み、かつ/または配列番号20のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、抗体を含む。いくつかの態様において、R2は、Fab断片、完全長IgG、Fab'断片、F(ab')2断片、scFv、またはFvである抗体を含む。いくつかの態様において、R2は、Fab断片である抗体を含む。いくつかの態様において、各複合体において、n1は独立して、整数(例えば、1~27、1~26、1~10、1~5、または1~3の範囲の整数)である。いくつかの態様において、R2はFabを含み、および各R1は付着点AでFabの異なるアミノ酸残基に共有結合的に連結しており、任意にここで各異なるアミノ酸残基はリジンである。
【0091】
いくつかの態様において、本明細書に提供される(例えば、本明細書に記載の組成物または製剤中の)複合体は、式(I):[R
1]
n1-R
2の構造を含み、式中、各R
1は、式(Ic):
【化10】
の基を含み、
ここでR
1は、付着点AでR
2に共有結合的に連結(例えば、間接的または直接的に連結、例えば直接的に連結)している。いくつかの態様において、各複合体において、n1は独立して、各複合体におけるR
1の例の数を表す(例えば1以上の)整数であり、ここで各R
1は、付着点AでR
2に共有結合的に連結している。いくつかの態様において、R
2は、表2に記載の配列を含む抗体を含む。例えば、いくつかの態様において、R
2は、配列番号1、7、または12に記載の配列を含む重鎖相補性決定領域1(CDR-H1)、配列番号2、8、または13に記載の配列を含む重鎖相補性決定領域2(CDR-H2)、配列番号3、9、または14に記載の配列を含む重鎖相補性決定領域3(CDR-H3)を含み;かつ/または配列番号4、10、または15に記載の配列を含む軽鎖相補性決定領域1(CDR-L1)、配列番号5または11に記載の配列を含む軽鎖相補性決定領域2(CDR-L2)、および配列番号6または16に記載の配列を含む軽鎖相補性決定領域3(CDR-L3)を含む、抗体を含む。いくつかの態様において、R
2は、配列番号17と少なくとも85%(例:少なくとも95%)同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH)を含み、かつ/または配列番号18と少なくとも85%(例:少なくとも95%)同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)を含む、抗体を含む。いくつかの態様において、R
2は、配列番号17のアミノ酸配列を含むVHを含み、かつ/または配列番号18のアミノ酸配列を含むVLを含む、抗体を含む。いくつかの態様において、R
2は、配列番号19と少なくとも85%(例:少なくとも95%)同一のアミノ酸配列を含む重鎖を含み、かつ/または配列番号20と少なくとも85%(例:少なくとも95%)同一のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、抗体を含む。いくつかの態様において、R
2は、配列番号19のアミノ酸配列を含む重鎖を含み、かつ/または配列番号20のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、抗体を含む。いくつかの態様において、R
2は、Fab断片、完全長IgG、Fab'断片、F(ab')
2断片、scFv、またはFvである抗体を含む。いくつかの態様において、R
2は、Fab断片である抗体を含む。いくつかの態様において、各複合体において、n1は独立して、整数(例えば、1~27、1~26、1~10、1~5、または1~3の範囲の整数)である。いくつかの態様において、R
2はFabを含み、および各R
1は付着点AでFabの異なるアミノ酸残基に共有結合的に連結しており、任意にここで各異なるアミノ酸残基はリジンである。
【0092】
いくつかの態様において、本明細書に提供される(例えば、本明細書に記載の組成物または製剤中の)複合体は、式(Id):
【化11】
の構造を含み、
ここで-pNは、ホスホロジアミダートモルホリノオリゴマー(PMO)の塩基位置を示し;ここで-pは、ホスホロジアミダート連結を反映し、およびここでNは、アデニン(A)、シトシン(C)、グアニン(G)、またはチミン(T)の核酸塩基に対応し、こうしてPMOは、CTCCAACATCAAGGAAGATGGCATTTCTAG(配列番号21)の塩基配列を含み;ここでR
2は、表2に示す配列を含む抗体を含み;ここで各複合体において、n1は独立して、角括弧で囲まれた基の例の数を表す(例えば1以上の)整数であり、ここで角括弧で囲まれた基の各例は、抗体(例:Fab)の異なるアミノ酸残基に共有結合的に連結しており、任意にここで、各異なるアミノ酸残基はリジンである。いくつかの態様において、R
2は、配列番号1、7、または12に記載の配列を含む重鎖相補性決定領域1(CDR-H1)、配列番号2、8、または13に記載の配列を含む重鎖相補性決定領域2(CDR-H2)、配列番号3、9、または14に記載の配列を含む重鎖相補性決定領域3(CDR-H3)を含み;かつ/または配列番号4、10、または15に記載の配列を含む軽鎖相補性決定領域1(CDR-L1)、配列番号5または11に記載の配列を含む軽鎖相補性決定領域2(CDR-L2)、および配列番号6または16に記載の配列を含む軽鎖相補性決定領域3(CDR-L3)を含む、抗体(例:Fab)を含む。いくつかの態様において、R
2は、配列番号17と少なくとも85%(例:少なくとも95%)同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH)を含み、かつ/または配列番号18と少なくとも85%(例:少なくとも95%)同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)を含む、抗体(例:Fab)を含む。いくつかの態様において、R
2は、配列番号17のアミノ酸配列を含むVHを含み、かつ/または配列番号18のアミノ酸配列を含むVLを含む、抗体(例:Fab)を含む。いくつかの態様において、R
2は、配列番号19と少なくとも85%(例:少なくとも95%)同一のアミノ酸配列を含む重鎖を含み、かつ/または配列番号20と少なくとも85%(例:少なくとも95%)同一のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、抗体(例:Fab)を含む。いくつかの態様において、R
2は、配列番号19のアミノ酸配列を含む重鎖を含み、かつ/または配列番号20のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、抗体(例:Fab)を含む。いくつかの態様において、各複合体において、n1は独立して、整数(例えば、1~27、1~26、1~10、1~5、または1~3の範囲の整数)である。いくつかの態様において、R
2は、抗体(例:Fab)の異なるアミノ酸残基を介して共有結合的に連結している抗体(例:Fab)を含み、任意にここで、各異なるアミノ酸残基はリジンである。
【0093】
いくつかの態様において、本明細書に記載の複合体は、以下の構造:
【化12】
を含み、
式中、yは0~15(例えば3)であり、zは0~15(例えば4)である。いくつかの態様において、抗体は、抗TfR1抗体(例:表2に提供される抗TfR1抗体)である。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドはPMOであり、配列番号21のヌクレオチド配列を含む。いくつかの態様において、構造(A)において抗TfR1抗体に隣接して示されるアミドは、リジンイプシロンアミンなどの抗TfR1抗体のアミンとの反応からもたらされる。いくつかの態様において、本明細書に記載の複合体は、Fabのリジンを介してPMOの5'末端に共有結合的に連結した抗TfR1 Fabを含む。いくつかの態様において、抗体は、表2に記載の配列を含む。例えば、いくつかの態様において、抗体は、配列番号1、7、または12に記載の配列を含む重鎖相補性決定領域1(CDR-H1)、配列番号2、8、または13に記載の配列を含む重鎖相補性決定領域2(CDR-H2)、配列番号3、9、または14に記載の配列を含む重鎖相補性決定領域3(CDR-H3)を含み;および/または配列番号4、10、または15に記載の配列を含む軽鎖相補性決定領域1(CDR-L1)、配列番号5または11に記載の配列を含む軽鎖相補性決定領域2(CDR-L2)、および配列番号6または16に記載の配列を含む軽鎖相補性決定領域3(CDR-L3)を含む。いくつかの態様において、抗体は、配列番号17と少なくとも85%(例:少なくとも95%)同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH)を含み、および/または配列番号18と少なくとも85%(例:少なくとも95%)同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)を含む。いくつかの態様において、抗体は、配列番号17のアミノ酸配列を含むVHを含み、および/または配列番号18のアミノ酸配列を含むVLを含む。いくつかの態様において、抗体は、配列番号19と少なくとも85%(例:少なくとも95%)同一のアミノ酸配列を含む重鎖を含み、および/または配列番号20と少なくとも85%(例:少なくとも95%)同一のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。いくつかの態様において、抗体は、配列番号19のアミノ酸配列を含む重鎖を含み、および/または配列番号20のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。いくつかの態様において、抗体は、Fab断片、完全長IgG、Fab'断片、F(ab')
2断片、scFv、またはFvである。
【0094】
抗体
いくつかの態様において、本明細書で提供される複合体は、ヒトトランスフェリン受容体1(TfR1)に結合する抗体を含む。例示のヒトトランスフェリン受容体1アミノ酸配列は、NCBI配列NP_003225.2(トランスフェリン受容体タンパク質1アイソフォーム1、ホモ・サピエンス)に対応し、次のとおりである:
MMDQARSAFSNLFGGEPLSYTRFSLARQVDGDNSHVEMKLAVDEEENADNNTKANVTKPKRCSGSICYGTIAVIVFFLIGFMIGYLGYCKGVEPKTECERLAGTESPVREEPGEDFPAARRLYWDDLKRKLSEKLDSTDFTGTIKLLNENSYVPREAGSQKDENLALYVENQFREFKLSKVWRDQHFVKIQVKDSAQNSVIIVDKNGRLVYLVENPGGYVAYSKAATVTGKLVHANFGTKKDFEDLYTPVNGSIVIVRAGKITFAEKVANAESLNAIGVLIYMDQTKFPIVNAELSFFGHAHLGTGDPYTPGFPSFNHTQFPPSRSSGLPNIPVQTISRAAAEKLFGNMEGDCPSDWKTDSTCRMVTSESKNVKLTVSNVLKEIKILNIFGVIKGFVEPDHYVVVGAQRDAWGPGAAKSGVGTALLLKLAQMFSDMVLKDGFQPSRSIIFASWSAGDFGSVGATEWLEGYLSSLHLKAFTYINLDKAVLGTSNFKVSASPLLYTLIEKTMQNVKHPVTGQFLYQDSNWASKVEKLTLDNAAFPFLAYSGIPAVSFCFCEDTDYPYLGTTMDTYKELIERIPELNKVARAAAEVAGQFVIKLTHDVELNLDYERYNSQLLSFVRDLNQYRADIKEMGLSLQWLYSARGDFFRATSRLTTDFGNAEKTDRFVMKKLNDRVMRVEYHFLSPYVSPKESPFRHVFWGSGSHTLPALLENLKLRKQNNGAFNETLFRNQLALATWTIQGAANALSGDVWDIDNEF(配列番号35)。
【0095】
表2は、本明細書で提供される複合体において有用な抗TfR1抗体の配列の例を示す。
表2.抗TfR1抗体配列の例
【表2】
【0096】
いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、配列番号1の重鎖相補性決定領域1(CDR-H1)(IMGT定義システムによる)、配列番号2の重鎖相補性決定領域2(CDR-H2)(IMGT定義システムによる)、配列番号3の重鎖相補性決定領域3(CDR-H3)(IMGT定義システムによる)、配列番号4の軽鎖相補性決定領域1(CDR-L1)(IMGT定義システムによる)、配列番号5の軽鎖相補性決定領域2(CDR-L2)(IMGT定義システムによる)、および配列番号6の軽鎖相補性決定領域3(CDR-L3)(IMGT定義システムによる)を含む。
【0097】
いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、配列番号7の重鎖相補性決定領域1(CDR-H1)(Kabat定義システムによる)、配列番号8の重鎖相補性決定領域2(CDR-H2)(Kabat定義システムによる)、配列番号9の重鎖相補性決定領域3(CDR-H3)(Kabat定義システムによる)、配列番号10の軽鎖相補性決定領域1(CDR-L1)(Kabat定義システムによる)、配列番号11の軽鎖相補性決定領域2(CDR-L2)(Kabat定義システムによる)、および配列番号6の軽鎖相補性決定領域3(CDR-L3)(Kabat定義システムによる)を含む。
【0098】
いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、配列番号12の重鎖相補性決定領域1(CDR-H1)(Chothia定義システムによる)、配列番号13の重鎖相補性決定領域2(CDR-H2)(Chothia定義システムによる)、配列番号14の重鎖相補性決定領域3(CDR-H3)(Chothia定義システムによる)、配列番号15の軽鎖相補性決定領域1(CDR-L1)(Chothia定義システムによる)、配列番号5の軽鎖相補性決定領域2(CDR-L2)(Chothia定義システムによる)、および配列番号16の軽鎖相補性決定領域3(CDR-L3)(Chothia定義システムによる)を含む。
【0099】
いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、配列番号17のアミノ酸配列を含むVHと比較して、25個以下のアミノ酸変異(例:25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、または1個のアミノ酸変異)をフレームワーク領域に含有する重鎖可変領域(VH)を含む。代替的に、またはそれに加えて(例えば、さらに)、本開示の抗TfR1抗体は、配列番号18のアミノ酸配列を含むVLと比較して、25個以下のアミノ酸変異(例:25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、または1個のアミノ酸変異)をフレームワーク領域に含有する軽鎖可変領域(VL)を含む。
【0100】
いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、配列番号17のアミノ酸配列を含むVHと、フレームワーク領域において少なくとも75%(例:75%、80%、85%、90%、95%、98%、または99%)同一であるアミノ酸配列を含むVHを含む。代替的に、またはそれに加えて(例えば、さらに)、いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、配列番号18のアミノ酸配列を含むVLと、フレームワーク領域において少なくとも75%(例:75%、80%、85%、90%、95%、98%、または99%)同一であるアミノ酸配列を含むVLを含む。
【0101】
いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、配列番号17のアミノ酸配列を含むVHを含む。代替的に、またはそれに加えて(例えば、さらに)、いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、配列番号18のアミノ酸配列を含むVLを含む。
【0102】
いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、配列番号19のアミノ酸配列と少なくとも75%(例:75%、80%、85%、90%、95%、98%、または99%)同一であるアミノ酸配列を含む重鎖を含む。いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、配列番号19のアミノ酸配列と少なくとも75%(例:75%、80%、85%、90%、95%、98%、または99%)同一であるアミノ酸配列を含む重鎖を含む、Fabである。代替的に、またはそれに加えて(例えば、さらに)、本開示の抗TfR1抗体は、配列番号20のアミノ酸配列と少なくとも75%(例:75%、80%、85%、90%、95%、98%、または99%)同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。代替的に、またはそれに加えて(例えば、さらに)、本開示の抗TfR1抗体は、配列番号20のアミノ酸配列と少なくとも75%(例:75%、80%、85%、90%、95%、98%、または99%)同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、Fabである。
【0103】
いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、配列番号19のアミノ酸配列を含む重鎖を含む。いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、配列番号19のアミノ酸配列を含む重鎖を含むFabである。代替的に、またはそれに加えて(例えば、さらに)、本開示の抗TfR1抗体は、配列番号20のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。代替的に、またはそれに加えて(例えば、さらに)、本開示の抗TfR1抗体は、配列番号20のアミノ酸配列を含む軽鎖を含むFabである。
【0104】
いくつかの態様において、本明細書で提供される抗TfR1抗体は、1以上の翻訳後修飾を有し得る。いくつかの態様において、ピログルタマート形成(pyro-Glu)とも呼ばれるN末端環化は、抗体のN末端グルタマート(Glu)および/またはグルタミン(Gln)残基で産生中に起こり得る。したがって、N末端グルタマートまたはグルタミン残基を含む配列を有すると特定される抗体は、翻訳後修飾の結果生じるピログルタマート形成を受けた抗体を包含することが、理解されるべきである。いくつかの態様において、ピログルタマート形成は、重鎖配列で起こる。いくつかの態様において、ピログルタマート形成は、軽鎖配列で起こる。
【0105】
オリゴヌクレオチド
いくつかの態様において、本明細書に記載の複合体のオリゴヌクレオチドは、一本鎖オリゴヌクレオチドである。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、DMDを標的とするため(例えば、エキソンスキッピングのため)に有用である。いくつかの態様において、DMDを標的とするため(例えば、エキソンスキッピングのため)に有用なオリゴヌクレオチドは、DMDアレル(例:変異DMDアレル)を標的とする。いくつかの態様において、DMDを標的とするため(例えば、エキソンスキッピングのため)に有用なオリゴヌクレオチドは、DMD RNAの領域(例:配列番号24のDp427m転写物)を標的とする。いくつかの態様において、DMDを標的とするため(例えば、エキソンスキッピングのため)に有用なオリゴヌクレオチドは、DMD RNA(例えば、配列番号23のDp427m転写物)に相補的な領域を含む。いくつかの態様において、DMDを標的とするため(例えば、エキソンスキッピングのため)に有用なオリゴヌクレオチドは、DMD RNAのエキソン(例:エキソン8、23、43、44、45、46、50、51、52、53、または55)またはイントロンに相補的な領域を含む。いくつかの態様において、DMDを標的とするため(例えば、エキソンスキッピングのため)に有用なオリゴヌクレオチドは、DMD RNA(例えば、ホモ・サピエンスDMD遺伝子によってコードされるDMDプレ-mRNA(例:NCBIアクセッション番号NG_012232.1)の、スプライシングドナー部位、スプライシングアクセプター部位、分岐点、またはエキソンスプライシングエンハンサー(ESE)を標的とする。いくつかの態様において、DMDを標的とするため(例えば、エキソンスキッピングのため)に有用なオリゴヌクレオチドは、DMD中のエキソンスプライシングエンハンサー(ESE)配列(例:エキソン23、44、45、46、50、51、52、53、または55のESE配列)を標的とする。
【0106】
複合体のオリゴヌクレオチドによって標的とされ得るDMD RNA配列およびエキソン配列の例を、以下に提供する。
【0107】
ホモ・サピエンス・ジストロフィン(DMD)、転写バリアントDp427m、mRNA(NCBI参照配列:NM_004006.2)(配列番号23)。
【0108】
ホモ・サピエンス・ジストロフィン(DMD)、転写バリアントDp427m、エキソン51(NCBI参照配列:NM_004006.2のヌクレオチド位置7554~7786)
CTCCTACTCAGACTGTTACTCTGGTGACACAACCTGTGGTTACTAAGGAAACTGCCATCTCCAAACTAGAAATGCCATCTTCCTTGATGTTGGAGGTACCTGCTCTGGCAGATTTCAACCGGGCTTGGACAGAACTTACCGACTGGCTTTCTCTGCTTGATCAAGTTATAAAATCACAGAGGGTGATGGTGGGTGACCTTGAGGATATCAACGAGATGATCATCAAGCAGAAG(配列番号24)
【0109】
ホモ・サピエンス・ジストロフィン(DMD)、転写バリアントDp427m、エキソン8(NCBI参照配列:NM_004006.2のヌクレオチド位置894~1075)
ATGTTGATACCACCTATCCAGATAAGAAGTCCATCTTAATGTACATCACATCACTCTTCCAAGTTTTGCCTCAACAAGTGAGCATTGAAGCCATCCAGGAAGTGGAAATGTTGCCAAGGCCACCTAAAGTGACTAAAGAAGAACATTTTCAGTTACATCATCAAATGCACTATTCTCAACAG(配列番号25)
【0110】
ホモ・サピエンス・ジストロフィン(DMD)、転写バリアントDp427m、エキソン23(NCBI参照配列:NM_004006.2のヌクレオチド位置3194~3406)
GCTTTACAAAGTTCTCTGCAAGAGCAACAAAGTGGCCTATACTATCTCAGCACCACTGTGAAAGAGATGTCGAAGAAAGCGCCCTCTGAAATTAGCCGGAAATATCAATCAGAATTTGAAGAAATTGAGGGACGCTGGAAGAAGCTCTCCTCCCAGCTGGTTGAGCATTGTCAAAAGCTAGAGGAGCAAATGAATAAACTCCGAAAAATTCAG(配列番号26)
【0111】
ホモ・サピエンス・ジストロフィン(DMD)、転写バリアントDp427m、エキソン43(NCBI参照配列:NM_004006.2のヌクレオチド位置6362~6534)
AATATAAAAGATAGTCTACAACAAAGCTCAGGTCGGATTGACATTATTCATAGCAAGAAGACAGCAGCATGCAAAGTGCAACGCCTGTGGAAAGGGTGAAGCTACAGGAAGCTCTCTCCCAGCTTGATTTCCAATGGGAAAAAGTTAACAAAATGTACAAGGACCGACAAGG(配列番号27)
【0112】
ホモ・サピエンス・ジストロフィン(DMD)、転写バリアントDp427m、エキソン44(NCBI参照配列:NM_004006.2のヌクレオチド位置6535~6682)
GCGATTTGACAGATCTGTTGAGAAATGGCGGCGTTTTCATTATGATAAAGATATTTAATCAGTGGCTAACAGAAGCTGAACAGTTTCTCAGAAAGACACAAATTCCTGAGAATTGGGAACATGCTAAATACAAATGGTATCTTAAG(配列番号28)
【0113】
ホモ・サピエンス・ジストロフィン(DMD)、転写バリアントDp427m、エキソン45(NCBI参照配列:NM_004006.2のヌクレオチド位置6683~6858)
GAACTCCAGGATGGCATTGGGCAGCGGCAAACTGTTGTCAGAACATTGAATGCAACTGGGGAAGAAAATAATTCAGCAATCCTCAAAAACAGATGCCAGTATTCTACAGGAAAAATTGGGAAGCCTGAATCTGCGGTGGCAGGAGGTCTGCAAACAGCTGTCAGACAGAAAAAAGAG(配列番号36)
【0114】
ホモ・サピエンス・ジストロフィン(DMD)、転写バリアントDp427m、エキソン46(NCBI参照配列:NM_004006.2のヌクレオチド位置6859~7006)
GCTAGAAGAACAAAAGAATATCTTGTCAGAATTTCAAAGAGATTTAAATGAATTTGTTTTATGGTTGGAGGAAGCAGATAACATTGCTAGTATCCCACTTGAACCTGGAAAAGAGCAGCAACTAAAAGAAAAGCTTGAGCAAGTCAAG(配列番号29)
【0115】
ホモ・サピエンス・ジストロフィン(DMD)、転写バリアントDp427m、エキソン50(NCBI参照配列:NM_004006.2のヌクレオチド位置7445~7553)
AGGAAGTTAGAAGATCTGAGCTCTGAGTGGAAGGCGGTAAACCGTTTACTTCAAGAGCTGAGGGCAAAGCAGCCTGACCTAGCTCCTGGACTGACCACTATTGGAGCCT(配列番号30)
【0116】
ホモ・サピエンス・ジストロフィン(DMD)、転写バリアントDp427m、エキソン51(NCBI参照配列:NM_004006.2のヌクレオチド位置7554~7786)
CTCCTACTCAGACTGTTACTCTGGTGACACAACCTGTGGTTACTAAGGAAAACTGCCATCTCCAAACTAGAAATGCCATCTTCCTTGATGTTGGAGGTACCTGCTCTGGCAGATTTCAACCGGGCTTGGACAGAACTTACCGACTGGCTTTCTCTGCTTGATCAAGTTATAAAATCACAGAGGGTGATGGTGGGTGACCTTGAGGATATCAACGAGATGATCATCAAGCAGAAG(配列番号31)
【0117】
ホモ・サピエンス・ジストロフィン(DMD)、転写バリアントDp427m、エキソン52(NCBI参照配列:NM_004006.2のヌクレオチド位置7787~7904)
GCAACAATGCAGGATTTGGAACAGAGGCGTCCCCAGTTGGAAGAACTCATTACCGCTGCCCAAAATTTGAAAAACAAGACCAGCAATCAAGAGGCTAGAACAATCATTACGGATCGAA(配列番号32)
【0118】
ホモ・サピエンス・ジストロフィン(DMD)、転写バリアントDp427m、エキソン53(NCBI参照配列:NM_004006.2のヌクレオチド位置7905~8116)
TTGAAAGAATTCAGAATCAGTGGGATGAAGTACAAGAACACCTTCAGAACCGGAGGCAACAGTTGAATGAAATGTTAAAGGATTCAACACAATGGCTGGAAGCTAAGGAAGAAGCTGAGCAGGTCTTAGGACAGGCCAGAGCCAAGCTTGAGTCATGGAAGGAGGGTCCCTATACAGTAGATGCAATCCAAAAGAAAATCACAGAAACCAAG(配列番号33)
【0119】
ホモ・サピエンス・ジストロフィン(DMD)、転写バリアントDp427m、エキソン55(NCBI参照配列:NM_004006.2のヌクレオチド位置8272~8461)
GGTGAGTGAGCGAGAGGCTGCTTTGGAAGAAACTCATAGATTACTGCAACAGTTCCCCCTGGACCTGGAAAAGTTTCTTGCCTGGCTTACAGAAGCTGAAACAACTGCCAATGTCCTACAGGATGCTACCCGTAAGGAAAGGCTCCTAGAAGACTCCAAGGGAGTAAAAGAGCTGATGAAACAATGGCAA(配列番号34)
【0120】
いくつかの態様において、DMDを標的とするため(例えば、エキソンスキッピングのため)に有用なオリゴヌクレオチドは、ヌクレオチド長が15~40(例:15~40、15~35、15~30、15~25、15~20、20~40、20~35、20~30、20~25、25~40、25~35、25~30、25~28、28~30、30~40、30~32、32~35、30~35、または35~40)である。いくつかの態様において、DMDを標的とするため(例えば、エキソンスキッピングのため)に有用なオリゴヌクレオチドは、ヌクレオチド長が15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30、任意で20~35、または30ヌクレオチド長である。
【0121】
いくつかの態様において、DMDを標的とするため(例えば、エキソンスキッピングのため)に有用なオリゴヌクレオチドは、DMD RNAに対して少なくとも8個(例:少なくとも8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30)の連続ヌクレオチドの相補性領域を含む。いくつかの態様において、DMDを標的とするため(例えば、エキソンスキッピングのため)に有用なオリゴヌクレオチドは、DMD RNAのエキソンに対して少なくとも8個(例:少なくとも8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30)の連続ヌクレオチドの相補性領域を含む。
【0122】
いくつかの態様において、DMDを標的とするため(例えば、エキソンスキッピングのため)に有用なオリゴヌクレオチドは、配列番号23~34のいずれか1つに記載のDMD配列に対して、少なくとも8個(例:少なくとも8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30)の連続ヌクレオチドの相補性領域を含む。
【0123】
いくつかの態様において、DMDを標的とするため(例えば、エキソンスキッピングのため)に有用なオリゴヌクレオチドは、配列番号22(CTAGAAATGCCATCTTCCTTGATGTTGGAG)に記載の標的配列に対して、少なくとも8個(例:少なくとも8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30)の連続ヌクレオチドの相補性領域を含む。いくつかの態様において、DMDを標的とするため(例えば、エキソンスキッピングのため)に有用なオリゴヌクレオチドは、配列番号21(CTCCAACATCAAGGAAGATGGCATTTCTAG)に記載の配列の少なくとも8個(例:少なくとも8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30)の連続ヌクレオチドを含む。
【0124】
いくつかの態様において、DMDを標的とするため(例えば、エキソンスキッピングのため)に有用なオリゴヌクレオチドは、配列番号21のヌクレオチド配列を含む。いくつかの態様において、本明細書で提供されるオリゴヌクレオチドのいずれか1つは、PMOである。
【0125】
いくつかの態様において、C5位での核酸塩基ウラシルのメチル化によりチミンが形成されることが、理解されるべきである。したがって、いくつかの態様において、C5メチル化ウラシル(または5-メチル-ウラシル)を有するヌクレオチドまたはヌクレオシドは、チミンヌクレオチドまたはヌクレオシドとして等価に同定され得る。
【0126】
いくつかの態様において、本明細書で提供されるオリゴヌクレオチド(例:配列番号21に記載のオリゴヌクレオチド)のいずれか1つにおけるチミン塩基(T)のいずれか1以上は、独立しておよび任意に、ウラシル塩基(U)であってもよく、および/または本明細書で提供されるオリゴヌクレオチド中の任意の1以上のUは、独立しておよび任意に、Tであってもよい。
【0127】
組成物
いくつかの態様において、本明細書に記載の組成物は、複合体(すなわち、複数の複合体)を含み、複合体のそれぞれは、1以上のオリゴヌクレオチド(例:本明細書に記載のオリゴヌクレオチド)に共有結合的に連結した抗体(例:抗TFR1抗体)を含み、ここで抗体は、重鎖可変領域(VH)および重鎖定常領域を含む重鎖、ならびに軽鎖可変領域(VL)および軽鎖定常領域を含む軽鎖を含む。いくつかの態様において、かかる複合体の抗体は、表2に記載のCDR-H1、CDR-H2、CDR-H3、CDR-L1、CDR-L2、およびCDR-L3を含む。本明細書に記載の組成物の複合体は、本明細書に提供される任意の構造、例えば、式(I)(例えば、式(Ia)、式(Ib)、式(Ic)、または式(Id)の基を含むもの)または式(A)の構造を、含むことができる。
【0128】
いくつかの態様において、本明細書に記載の組成物は複合体(すなわち、複数の複合体)を含み、ここで各複合体は、式(I):[R1]n1-R2の構造を含み、式中、各R1は独立して、オリゴヌクレオチド(例:本明細書に記載のオリゴヌクレオチド)を含む化合物を含み、およびR2に共有結合的に連結しており、ここでR2は、重鎖可変領域(VH)および重鎖定常領域を含む重鎖、ならびに軽鎖可変領域(VL)および軽鎖定常領域を含む軽鎖を含む、抗体(例:抗TfR1抗体)を含む。いくつかの態様において、複合体の各R1は独立して、R2の異なるアミノ酸残基(例:リジンまたはシステイン)に共有結合的に連結している。
【0129】
いくつかの態様において、組成物中の複合体のn1の値は、独立してかつ任意で、1から、抗体(例:R2内に含まれる抗体)において抱合が望まれるかまたは標的とされるアミノ酸残基の数(例:リジン残基の数)までの、整数である。いくつかの態様において、組成物中の各複合体のn1の値は、独立してかつ任意で、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26および27から選択される。いくつかの態様において、組成物中の複合体のn1の値は、独立してかつ任意で、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25および26から選択される。いくつかの態様において、組成物中の各複合体のn1の値は、独立してかつ任意で、1~27、1~26、1~10、1~5、または1~3の範囲の整数から選択される。いくつかの態様において、組成物の複合体のn1の平均値は、1~2、1~3、1~5、1~10、1~26、または1~27の範囲内である。いくつかの態様において、本明細書に記載の組成物は、n1の値が0である複合体を含む。いくつかの態様において、組成物の複合体のn1の平均値は、1~5の範囲内(例:1~5、1~4、1~3、1~2、2~4、3~5、1~4.6、1~4.5、1~4.4、1~4.3、1~4.2、1~3.5、1~2.5、1.1~5、1.1~4.5、1.1~4、1.1~3.5、1.1~3、1.1~2.5、1.1~2.2、1.2~5、1.2~4.5、1.2~4、1.2~3.5、1.2~3、1.2~2.5、1.2~2.2、1.3~5、1.3~4.5、1.3~4、1.3~3.5、1.3~3、1.3~2.5、1.3~2.2、1.4~5、1.4~4.5、1.4~4、1.4~3.5、1.4~3、1.4~2.5、1.4~2.2、1.5~5、1.5~4.5、1.5~4、1.5~3.5、1.5~3、1.5~2.5、1.5~2.2、1.6~3、1.6~2.5、1.6~2.2、1.7~3、1.7~2.5、1.7~2.2、1.8~3、1.8~2.5、または1.8~2.2)である。
【0130】
いくつかの態様において、本明細書に記載の組成物は、オリゴヌクレオチドに抱合していない(例えば、微量の)抗体、および1以上のオリゴヌクレオチドに抱合された抗体を含む。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドに抱合していない抗体は、式(I):[R1]n1-R2(n1はゼロである)の構造を含む化合物と呼ばれることがある。したがって、いくつかの態様において、本明細書に記載の方法において対象に投与するための組成物は、式(I):[R1]n1-R2の構造を含む化合物(例:複合体)を含み、式中、各R1は独立して、オリゴヌクレオチドを含む基を含み、R2は抗体を含み、n1は独立して、各化合物(例:複合体)中のR1の例の数を反映する0以上の整数である。いくつかの態様において、n1が0である、組成物中の式(I):[R1]n1-R2の構造を含む化合物の割合を、n1が1以上である組成物中のその構造のすべての化合物と比較すると、10%未満、5%未満、1%未満、0.5%未満、0.1%未満、0.05%未満、または0.01%未満である。したがっていくつかの態様において、本明細書に開示される組成物中の複合体のn1の平均値は、1~5の範囲内(例:1~5、1~4、1~3、1~2、2~4、3~5、1~4.6、1~4.5、1~4.4、1~4.3、1~4.2、1~3.5、1~2.5、1.1~5、1.1~4.5、1.1~4、1.1~3.5、1.1~3、1.1~2.5、1.1~2.2、1.2~5、1.2~4.5、1.2~4、1.2~3.5、1.2~3、1.2~2.5、1.2~2.2、1.3~5、1.3~4.5、1.3~4、1.3~3.5、1.3~3、1.3~2.5、1.3~2.2、1.4~5、1.4~4.5、1.4~4、1.4~3.5、1.4~3、1.4~2.5、1.4~2.2、1.5~5、1.5~4.5、1.5~4、1.5~3.5、1.5~3、1.5~2.5、1.5~2.2、1.6~3、1.6~2.5、1.6~2.2、1.7~3、1.7~2.5、1.7~2.2、1.8~3、1.8~2.5、または1.8~2.2)である。
【0131】
製剤
本明細書で提供される複合体は、医薬用途に適した様式で製剤化される。いくつかの態様において、複合体は、分解を最小限に抑え、送達および/または(例:および)取り込みを促進する、または製剤中の複合体に別の有益な特性を提供する製剤を使用して、対象に送達することができる。したがっていくつかの態様において、複合体(例:Fabと共有結合的に連結したPMOを含む複合体)をヒスチジンおよび/またはスクロースと共に製剤化することは、例えば本明細書に記載のような医薬用途に、特に有利であることが見出されている。したがっていくつかの態様において、本明細書で提供されるのは、ヒスチジンおよび/またはスクロースと共に複合体を含む製剤(例:水溶液、凍結乾燥形態)である。いくつかの態様において、本明細書で提供されるのは、複合体をヒスチジンおよび/またはスクロースと共に、凍結形態で含む製剤である。いくつかの態様において、本明細書に記載の製剤は、複合体(例:Fabと共有結合的に連結したPMOを含む複数の複合体)、ヒスチジン、およびスクロースを含む。いくつかの態様において、筋標的化複合体(例:Fabと共有結合的に連結したPMOを含む複合体)を含む製剤は、ヒスチジンおよび/またはスクロースと共に水溶液中で製剤化される。いくつかの態様において、複数の複合体、ヒスチジン、およびスクロースを含む製剤を、凍結乾燥することができる(例:保存のために)。いくつかの態様において、凍結乾燥製剤は、対象への投与のために(例えば、水で)再構成され得る。かかる製剤を適切に調製して、標的細胞の直接環境中にまたは全身的に対象に投与した場合に、十分な量の複合体が標的筋細胞に入るようにすることができる。
【0132】
いくつかの態様において、複合体(すなわち、複数の複合体)を含む製剤が本明細書で提供され、複合体のそれぞれは、抗体に共有結合的に連結したホスホロジアミダートモルホリノオリゴマー(PMO)を含む。いくつかの態様において、複合体を含む製剤が本明細書で提供され、ここで各複合体は、抗TfR1抗体に共有結合的に連結したホスホロジアミダートモルホリノオリゴマー(PMO)を含み、任意にここでかかる複合体の抗体は、表2に記載のCDR-H1、CDR-H2、CDR-H3、CDR-L1、CDR-L2、およびCDR-L3を含み、さらにいくつかの態様において、ここで複合体は、ヒスチジン(例:L-ヒスチジン)およびスクロースと共に製剤化される。いくつかの態様において、抗体は抗TfR1抗体である。
【0133】
いくつかの態様において、式:[R1]n1-R2の複合体を含む製剤が提供され、式中各R1は独立して、オリゴヌクレオチド(例:PMO)を含む化合物を含み、およびR2は、抗体(例:抗TfR1抗体)を含み、および式中n1は、複合体中のR1の例の数を表す1以上の整数である。いくつかの態様において、複数の複合体を含む製剤が提供され、ここで各複合体は、式(I):[R1]n1-R2の構造を含み、式中各R1は独立して、オリゴヌクレオチド(例:PMO)を含む化合物を含み、およびR2は、抗体(例:抗TfR1抗体)を含み、およびここで、各複合体においてn1は、各複合体におけるR1の例の数を表す、1以上の整数である。
【0134】
いくつかの態様において、本明細書に記載の製剤は、表2に記載のCDR-H1、CDR-H2、CDR-H3、CDR-L1、CDR-L2、およびCDR-L3を含む抗体を含む複合体を含む。いくつかの態様において、抗体は、配列番号17のアミノ酸配列を含むVHおよび配列番号18のアミノ酸配列を含むVLを含む。いくつかの態様において抗体はFabであり、配列番号19のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号20のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0135】
いくつかの態様において、製剤中の各複合体のn1の値は、独立してかつ任意で、1から、抗体(例:R2内に含まれる抗体)において抱合が望まれるかまたは標的とされるアミノ酸残基の数(例:リジン残基の数)までの、整数である。いくつかの態様において、製剤中の各複合体のn1の値は、独立してかつ任意で、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26および27から選択される。いくつかの態様において、製剤中の各複合体のn1の値は、独立してかつ任意で、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25および26から選択される。いくつかの態様において、製剤中の各複合体のn1の値は、独立してかつ任意で、1~27、1~26、1~10、1~5、または1~3の範囲の整数から選択される。いくつかの態様において、組成物の複合体のn1の平均値は、1~2、1~3、1~5、1~10、1~26、または1~27の範囲内である。
【0136】
いくつかの態様において、本明細書に記載の製剤は、オリゴヌクレオチドに抱合していない(例えば、微量の)抗体、および1以上のオリゴヌクレオチドに抱合された抗体を含む。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチド抗体に抱合していない抗体は、式(I):[R1]n1-R2(式中、n1はゼロである)の構造を含む化合物と称されることがある。したがって、いくつかの態様において、式(I):[R1]n1-R2の構造を含む化合物(例:複合体)を含む製剤が提供され、式中、各R1は独立して、オリゴヌクレオチドを含む基を含み、R2は抗体を含み、n1は独立して、各化合物(例:複合体)中のR1の例の数を反映する0以上の整数である。いくつかの態様において、n1が0である、製剤中の式(I):[R1]n1-R2の構造を含む化合物の割合を、n1が1以上である製剤中のその構造のすべての化合物と比較すると、10%未満、5%未満、1%未満、0.5%未満、0.1%未満、0.05%未満、または0.01%未満である。いくつかの態様において、本明細書に開示される製剤中の複合体のn1の平均値は、1~5の範囲内(例:1~5、1~4、1~3、1~2、2~4、3~5、1~4.6、1~4.5、1~4.4、1~4.3、1~4.2、1~3.5、1~2.5、1.1~5、1.1~4.5、1.1~4、1.1~3.5、1.1~3、1.1~2.5、1.1~2.2、1.2~5、1.2~4.5、1.2~4、1.2~3.5、1.2~3、1.2~2.5、1.2~2.2、1.3~5、1.3~4.5、1.3~4、1.3~3.5、1.3~3、1.3~2.5、1.3~2.2、1.4~5、1.4~4.5、1.4~4、1.4~3.5、1.4~3、1.4~2.5、1.4~2.2、1.5~5、1.5~4.5、1.5~4、1.5~3.5、1.5~3、1.5~2.5、1.5~2.2、1.6~3、1.6~2.5、1.6~2.2、1.7~3、1.7~2.5、1.7~2.2、1.8~3、1.8~2.5、または1.8~2.2)である。
【0137】
いくつかの態様において、本明細書の複合体(例:本明細書で提供される製剤の複合体)中のR1の各例は、抗体の異なるアミノ酸残基に抱合される。いくつかの態様において、各異なるアミノ酸は、ε-アミノ基(例:リジン、アルギニン)を含む。しかしいくつかの態様において、R1が共有結合的に連結している各異なるアミノ酸は、システインである。いくつかの態様において、R1は、抗体のアミノ酸残基に直接共有結合的に連結している。しかしいくつかの態様において、R1は、抗体のアミノ酸に間接的に共有結合的に連結している、例えば、アミノ酸上のグリコシル化部位に共有結合的に連結している。いくつかの態様において、R1が抗体のCDR領域に存在するアミノ酸残基に共有結合的に連結している複合体が、微量のみ存在するか、検出不可能な量で存在するか、あるいは全く存在しない製剤が、提供される。いくつかの態様において、R1が抗体のCDR領域に存在するアミノ酸残基に共有結合的に連結している複合体が、標準的な検出技術を使用して製剤中に検出できないような製剤が、提供される。
【0138】
いくつかの態様において、本明細書に提供される製剤は、式(I):[R
1]
n1-R
2の構造を含む複合体を含み、式中、R
1の各例は独立して、式(Ia):
【化13】
の基を含み、
式中、R
3はオリゴヌクレオチド、例えばホスホロジアミダートモルホリノオリゴマー(PMO)を含み;およびR
1は、付着点AでR
2に共有結合的に連結(例えば、間接的または直接的に連結、例えば直接的に連結)している。いくつかの態様において、各複合体においてn1は独立して、各複合体におけるR
1の例の数を表す(例えば1以上の)整数である。いくつかの態様において、R
2は、表2に記載の配列を含む抗体を含む。例えば、いくつかの態様において、R
2は、配列番号1、7、または12に記載の配列を含む重鎖相補性決定領域1(CDR-H1)、配列番号2、8、または13に記載の配列を含む重鎖相補性決定領域2(CDR-H2)、配列番号3、9、または14に記載の配列を含む重鎖相補性決定領域3(CDR-H3)を含み;かつ/または配列番号4、10、または15に記載の配列を含む軽鎖相補性決定領域1(CDR-L1)、配列番号5または11に記載の配列を含む軽鎖相補性決定領域2(CDR-L2)、および配列番号6または16に記載の配列を含む軽鎖相補性決定領域3(CDR-L3)を含む、抗体を含む。いくつかの態様において、R
2は、配列番号17と少なくとも85%(例:少なくとも95%)同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH)を含み、かつ/または配列番号18と少なくとも85%(例:少なくとも95%)同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)を含む、抗体を含む。いくつかの態様において、R
2は、配列番号17のアミノ酸配列を含むVHを含み、かつ/または配列番号18のアミノ酸配列を含むVLを含む、抗体を含む。いくつかの態様において、R
2は、配列番号19と少なくとも85%(例:少なくとも95%)同一のアミノ酸配列を含む重鎖を含み、かつ/または配列番号20と少なくとも85%(例:少なくとも95%)同一のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、抗体を含む。いくつかの態様において、R
2は、配列番号19のアミノ酸配列を含む重鎖を含み、かつ/または配列番号20のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、抗体を含む。いくつかの態様において、R
2は、Fab断片、完全長IgG、Fab'断片、F(ab')
2断片、scFv、またはFvである抗体を含む。いくつかの態様において、R
2は、Fab断片である抗体を含む。いくつかの態様において、R
3は、オリゴヌクレオチド、例えば、CTCCAACATCAAGGAAGATGGCATTTCTAG(配列番号21)の塩基配列を含むホスホロジアミダートモルホリノオリゴマー(PMO)を含む。いくつかの態様において、R
2は抗体Fabを含み、各R
1は付着点Aで抗体Fabの異なるアミノ酸残基に共有結合的に連結しており、任意にここで、各異なるアミノ酸残基はリジンである。いくつかの態様において、各複合体においてn1は独立して、整数(例えば、1~27、1~26、1~10、1~5、または1~3の範囲の整数)である。いくつかの態様において、本明細書で提供される製剤は、式(I):[R
1]
n1-R
2の構造を含む複合体を含み、式中、n1は0である。いくつかの態様において、組成物の複合体のn1の平均値は、1~5の範囲内(例:1~5、1~4、1~3、1~2、2~4、3~5、1~4.6、1~4.5、1~4.4、1~4.3、1~4.2、1~3.5、1~2.5、1.1~5、1.1~4.5、1.1~4、1.1~3.5、1.1~3、1.1~2.5、1.1~2.2、1.2~5、1.2~4.5、1.2~4、1.2~3.5、1.2~3、1.2~2.5、1.2~2.2、1.3~5、1.3~4.5、1.3~4、1.3~3.5、1.3~3、1.3~2.5、1.3~2.2、1.4~5、1.4~4.5、1.4~4、1.4~3.5、1.4~3、1.4~2.5、1.4~2.2、1.5~5、1.5~4.5、1.5~4、1.5~3.5、1.5~3、1.5~2.5、1.5~2.2、1.6~3、1.6~2.5、1.6~2.2、1.7~3、1.7~2.5、1.7~2.2、1.8~3、1.8~2.5、または1.8~2.2)である。
【0139】
いくつかの態様において、本明細書で提供される製剤は、式(I):[R
1]
n1-R
2の構造を含む複合体を含み、式中、本明細書で提供される製剤の複合体中のR
1の各例は、式(Ib):
【化14】
の基を含み、
ここで-pNは、ホスホロジアミダートモルホリノオリゴマー(PMO)の塩基位置を示し;R
1は、付着点AでR
2に共有結合的に連結(例えば、間接的または直接的に連結、例えば直接的に連結)しており、ここで-pは、ホスホロジアミダート連結を反映し、およびここでNは、アデニン(A)、シトシン(C)、グアニン(G)またはチミン(T)の核酸塩基に対応し、こうしてPMOは、CTCCAACATCAAGGAAGATGGCATTTCTAG(配列番号21)の塩基配列を含む。いくつかの態様において、各複合体において、n1は独立して、各複合体におけるR
1の例の数を表す(例えば1以上の)整数であり、および各R
1は、付着点AでR
2に共有結合的に連結している。いくつかの態様において、R
2は、表2に記載の配列を含む抗体を含む。例えば、いくつかの態様において、R
2は、配列番号1、7、または12に記載の配列を含む重鎖相補性決定領域1(CDR-H1)、配列番号2、8、または13に記載の配列を含む重鎖相補性決定領域2(CDR-H2)、配列番号3、9、または14に記載の配列を含む重鎖相補性決定領域3(CDR-H3)を含み;かつ/または配列番号4、10、または15に記載の配列を含む軽鎖相補性決定領域1(CDR-L1)、配列番号5または11に記載の配列を含む軽鎖相補性決定領域2(CDR-L2)、および配列番号6または16に記載の配列を含む軽鎖相補性決定領域3(CDR-L3)を含む、抗体を含む。いくつかの態様において、R
2は、配列番号17と少なくとも85%(例:少なくとも95%)同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH)を含み、かつ/または配列番号18と少なくとも85%(例:少なくとも95%)同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)を含む、抗体を含む。いくつかの態様において、R
2は、配列番号17のアミノ酸配列を含むVHを含み、かつ/または配列番号18のアミノ酸配列を含むVLを含む、抗体を含む。いくつかの態様において、R
2は、配列番号19と少なくとも85%(例:少なくとも95%)同一のアミノ酸配列を含む重鎖を含み、かつ/または配列番号20と少なくとも85%(例:少なくとも95%)同一のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、抗体を含む。いくつかの態様において、R
2は、配列番号19のアミノ酸配列を含む重鎖を含み、かつ/または配列番号20のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、抗体を含む。いくつかの態様において、R
2は、Fab断片、完全長IgG、Fab'断片、F(ab')
2断片、scFv、またはFvである抗体を含む。いくつかの態様において、R
2は、Fab断片である抗体を含む。いくつかの態様において、各複合体において、n1は独立して、整数(例えば、1~27、1~26、1~10、1~5、または1~3の範囲の整数)である。いくつかの態様において、R
2はFabを含み、および各R
1は付着点AでFabの異なるアミノ酸残基に共有結合的に連結しており、任意にここで各異なるアミノ酸残基はリジンである。いくつかの態様において、本明細書で提供される製剤は、式(I):[R
1]
n1-R
2の構造を含む複合体を含み、式中、n1は0である。いくつかの態様において、組成物の複合体のn1の平均値は、1~5の範囲内(例:1~5、1~4、1~3、1~2、2~4、3~5、1~4.6、1~4.5、1~4.4、1~4.3、1~4.2、1~3.5、1~2.5、1.1~5、1.1~4.5、1.1~4、1.1~3.5、1.1~3、1.1~2.5、1.1~2.2、1.2~5、1.2~4.5、1.2~4、1.2~3.5、1.2~3、1.2~2.5、1.2~2.2、1.3~5、1.3~4.5、1.3~4、1.3~3.5、1.3~3、1.3~2.5、1.3~2.2、1.4~5、1.4~4.5、1.4~4、1.4~3.5、1.4~3、1.4~2.5、1.4~2.2、1.5~5、1.5~4.5、1.5~4、1.5~3.5、1.5~3、1.5~2.5、1.5~2.2、1.6~3、1.6~2.5、1.6~2.2、1.7~3、1.7~2.5、1.7~2.2、1.8~3、1.8~2.5、または1.8~2.2)である。
【0140】
いくつかの態様において、本明細書で提供される製剤は、式(I):[R
1]
n1-R
2構造を含む複合体を含み、ここで、本明細書で提供される製剤の複合体中のR
1の各例は、式(Ic):
【化15】
の基を含み、
式中、R
1は、付着点AでR
2に共有結合的に連結(例えば、間接的または直接的に連結、例えば直接的に連結)している。
【0141】
いくつかの態様において、本明細書で提供される製剤は、式(I):[R
1]
n1-R
2の構造を含む複合体を含み、ここで、本明細書で提供される製剤の複合体中のR
1の各例は以下:
【化16】
であり、ここでR
1は、付着点AでR
2に共有結合的に連結(例えば、間接的または直接的に連結、例えば直接的に連結)している。いくつかの態様において、各複合体において、n1は独立して、各複合体におけるR
1の例の数を表す(例えば1以上の)整数である。いくつかの態様において、R
2は、表2に記載の配列を含む抗体を含む。例えば、いくつかの態様において、R
2は、配列番号1、7、または12に記載の配列を含む重鎖相補性決定領域1(CDR-H1)、配列番号2、8、または13に記載の配列を含む重鎖相補性決定領域2(CDR-H2)、配列番号3、9、または14に記載の配列を含む重鎖相補性決定領域3(CDR-H3)を含み;かつ/または配列番号4、10、または15に記載の配列を含む軽鎖相補性決定領域1(CDR-L1)、配列番号5または11に記載の配列を含む軽鎖相補性決定領域2(CDR-L2)、および配列番号6または16に記載の配列を含む軽鎖相補性決定領域3(CDR-L3)を含む、抗体を含む。いくつかの態様において、R
2は、配列番号17と少なくとも85%(例:少なくとも95%)同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH)を含み、かつ/または配列番号18と少なくとも85%(例:少なくとも95%)同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)を含む、抗体を含む。いくつかの態様において、R
2は、配列番号17のアミノ酸配列を含むVHを含み、かつ/または配列番号18のアミノ酸配列を含むVLを含む、抗体を含む。いくつかの態様において、R
2は、配列番号19と少なくとも85%(例:少なくとも95%)同一のアミノ酸配列を含む重鎖を含み、かつ/または配列番号20と少なくとも85%(例:少なくとも95%)同一のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、抗体を含む。いくつかの態様において、R
2は、配列番号19のアミノ酸配列を含む重鎖を含み、かつ/または配列番号20のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、抗体を含む。いくつかの態様において、R
2は、Fab断片、完全長IgG、Fab'断片、F(ab')
2断片、scFv、またはFvである抗体を含む。いくつかの態様において、R
2は、Fab断片である抗体を含む。いくつかの態様において、各複合体において、n1は独立して、整数(例えば、1~27、1~26、1~10、1~5、または1~3の範囲の整数)である。いくつかの態様において、R
2はFabを含み、および各R
1は付着点AでFabの異なるアミノ酸残基に共有結合的に連結しており、任意にここで各異なるアミノ酸残基はリジンである。いくつかの態様において、本明細書で提供される製剤はさらに、式(I):[R
1]
n1-R
2の構造を含む複合体を含み、式中、n1は0である。いくつかの態様において、組成物の複合体のn1の平均値は、1~5の範囲内(例:1~5、1~4、1~3、1~2、2~4、3~5、1~4.6、1~4.5、1~4.4、1~4.3、1~4.2、1~3.5、1~2.5、1.1~5、1.1~4.5、1.1~4、1.1~3.5、1.1~3、1.1~2.5、1.1~2.2、1.2~5、1.2~4.5、1.2~4、1.2~3.5、1.2~3、1.2~2.5、1.2~2.2、1.3~5、1.3~4.5、1.3~4、1.3~3.5、1.3~3、1.3~2.5、1.3~2.2、1.4~5、1.4~4.5、1.4~4、1.4~3.5、1.4~3、1.4~2.5、1.4~2.2、1.5~5、1.5~4.5、1.5~4、1.5~3.5、1.5~3、1.5~2.5、1.5~2.2、1.6~3、1.6~2.5、1.6~2.2、1.7~3、1.7~2.5、1.7~2.2、1.8~3、1.8~2.5、または1.8~2.2)である。
【0142】
いくつかの態様において、本明細書で提供される製剤は、式(Id):
【化17】
の構造を含む複合体を含み、
ここで-pNは、ホスホロジアミダートモルホリノオリゴマー(PMO)の塩基位置を示し;ここで-pは、ホスホロジアミダート連結を反映し、およびここでNは、アデニン(A)、シトシン(C)、グアニン(G)、またはチミン(T)の核酸塩基に対応し、こうしてPMOは、CTCCAACATCAAGGAAGATGGCATTTCTAG(配列番号21)の塩基配列を含み;ここでR
2は、表2に示す配列を含む抗体を含み;ここで各複合体において、n1は独立して、角括弧で囲まれた基の例の数を表す(例えば1以上の)整数であり、ここで角括弧で囲まれた基の各例は、抗体(例:Fab)の異なるアミノ酸残基に共有結合的に連結しており、任意にここで、各異なるアミノ酸残基はリジンである。いくつかの態様において、R
2は、配列番号1、7、または12に記載の配列を含む重鎖相補性決定領域1(CDR-H1)、配列番号2、8、または13に記載の配列を含む重鎖相補性決定領域2(CDR-H2)、配列番号3、9、または14に記載の配列を含む重鎖相補性決定領域3(CDR-H3)を含み;かつ/または配列番号4、10、または15に記載の配列を含む軽鎖相補性決定領域1(CDR-L1)、配列番号5または11に記載の配列を含む軽鎖相補性決定領域2(CDR-L2)、および配列番号6または16に記載の配列を含む軽鎖相補性決定領域3(CDR-L3)を含む、(例:Fab)を含む。いくつかの態様において、R
2は、配列番号17と少なくとも85%(例:少なくとも95%)同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH)を含み、かつ/または配列番号18と少なくとも85%(例:少なくとも95%)同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)を含む、抗体(例:Fab)を含む。いくつかの態様において、R
2は、配列番号17のアミノ酸配列を含むVHを含み、かつ/または配列番号18のアミノ酸配列を含むVLを含む、抗体(例:Fab)を含む。いくつかの態様において、R
2は、配列番号19と少なくとも85%(例:少なくとも95%)同一のアミノ酸配列を含む重鎖を含み、かつ/または配列番号20と少なくとも85%(例:少なくとも95%)同一のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、抗体(例:Fab)を含む。いくつかの態様において、R
2は、配列番号19のアミノ酸配列を含む重鎖を含み、かつ/または配列番号20のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、抗体(例:Fab)を含む。いくつかの態様において、各複合体において、n1は独立して、整数(例えば、1~27、1~26、1~10、1~5、または1~3の範囲の整数)である。いくつかの態様において、R
2は、抗体(例:Fab)の異なるアミノ酸残基を介して共有結合的に連結している抗体(例:Fab)を含み、任意にここで、各異なるアミノ酸残基はリジンである。いくつかの態様において、本明細書に記載の製剤は、n1が0である複合体をさらに含む。いくつかの態様において、組成物の複合体のn1の平均値は、1~5の範囲内(例:1~5、1~4、1~3、1~2、2~4、3~5、1~4.6、1~4.5、1~4.4、1~4.3、1~4.2、1~3.5、1~2.5、1.1~5、1.1~4.5、1.1~4、1.1~3.5、1.1~3、1.1~2.5、1.1~2.2、1.2~5、1.2~4.5、1.2~4、1.2~3.5、1.2~3、1.2~2.5、1.2~2.2、1.3~5、1.3~4.5、1.3~4、1.3~3.5、1.3~3、1.3~2.5、1.3~2.2、1.4~5、1.4~4.5、1.4~4、1.4~3.5、1.4~3、1.4~2.5、1.4~2.2、1.5~5、1.5~4.5、1.5~4、1.5~3.5、1.5~3、1.5~2.5、1.5~2.2、1.6~3、1.6~2.5、1.6~2.2、1.7~3、1.7~2.5、1.7~2.2、1.8~3、1.8~2.5、または1.8~2.2)である。
【0143】
いくつかの態様において、本明細書に記載の製剤中に提供される複合体は、式(A):
【化18】
の構造を含み、 式中、yは0~15(例えば3)であり、zは0~15(例えば4)である。いくつかの態様において、抗体は、抗TfR1抗体(例:表2に提供される抗TfR1抗体)である。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドはPMOであり、配列番号21の塩基配列を含む。いくつかの態様において、構造(A)において抗TfR1抗体に隣接して示されるアミドは、リジンイプシロンアミンなどの抗TfR1抗体のアミンとの反応からもたらされる。いくつかの態様において、本明細書に記載の複合体は、Fabのリジンを介してPMOの5'末端に共有結合的に連結した抗TfR1 Fabを含む。いくつかの態様において、抗体は、表2に記載の配列を含む。例えば、いくつかの態様において、抗体は、配列番号1、7、または12に記載の配列を含む重鎖相補性決定領域1(CDR-H1)、配列番号2、8、または13に記載の配列を含む重鎖相補性決定領域2(CDR-H2)、配列番号3、9、または14に記載の配列を含む重鎖相補性決定領域3(CDR-H3)を含み;および/または配列番号4、10、または15に記載の配列を含む軽鎖相補性決定領域1(CDR-L1)、配列番号5または11に記載の配列を含む軽鎖相補性決定領域2(CDR-L2)、および配列番号6または16に記載の配列を含む軽鎖相補性決定領域3(CDR-L3)を含む。いくつかの態様において、抗体は、配列番号17と少なくとも85%(例:少なくとも95%)同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH)を含み、および/または配列番号18と少なくとも85%(例:少なくとも95%)同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)を含む。いくつかの態様において、抗体は、配列番号17のアミノ酸配列を含むVHを含み、および/または配列番号18のアミノ酸配列を含むVLを含む。いくつかの態様において、抗体は、配列番号19と少なくとも85%(例:少なくとも95%)同一のアミノ酸配列を含む重鎖を含み、および/または配列番号20と少なくとも85%(例:少なくとも95%)同一のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。いくつかの態様において、抗体は、配列番号19のアミノ酸配列を含む重鎖を含み、および/または配列番号20のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。いくつかの態様において、抗体は、Fab断片、完全長IgG、Fab'断片、F(ab')
2断片、scFv、またはFvである。
【0144】
いくつかの態様において、本明細書に記載の複合体を含む製剤が提供され、ここで製剤中の複合体の濃度は、1~50mg/mL複合体、任意で10~50mg/mLまたは20~35mg/mL(例:1~10mg/mL、10~15mg/mL、15~20mg/mL、20~22mg/mL、22~24mg/mL、24~26mg/mL、24~25mg/ml、25~26mg/ml、22~25mg/ml、25~27mg/ml、27~29mg/ml、29~30mg/ml、25~30mg/ml、29~31mg/ml、30~31mg/ml、31~32mg/ml、30~32mg/ml、32~33mg/ml、32~35mg/ml、30~35mg/ml、35~40mg/ml、40~45mg/mL、45~50mg/mL)であり、任意で約25mg/mL(例:25mg/mL)または約30mg/mL(例:30mg/mL)である。
【0145】
いくつかの態様において、本明細書に記載の複合体のいずれか1以上は、ヒスチジン(例:L-ヒスチジン)およびスクロースと共に凍結乾燥形態(例:凍結乾燥粉末)で製剤化される。
【0146】
いくつかの態様において、本明細書に記載の複合体のいずれか1以上は、水溶液中でヒスチジン(例:L-ヒスチジン)およびスクロースと共に製剤化される。いくつかの態様において、ヒスチジン(例:L-ヒスチジン)は水溶液中に、10~50mM、10~20mM、20mM~30mM、または20mM~40mMの範囲の濃度で、例えば20~22mM、22~24mM、24~25mM、25~26mM、24~26mM、26~27mM、24~27mM、27~28mM、28~29mM、29~30mM、27~30mM、約22~27mM、約23~26mM、約24~26mM、約26~28mM、約28~30mM、約30~32mM、約32~35mM、約35~40mM、40~45mM、45~50mMの範囲の濃度で、約25mM、または任意で25mMで、存在する。いくつかの態様において、スクロースは水溶液中に、5%~15%の重量/体積(w/v%)の範囲で、例えば、8~15%w/v%、9~15%w/v%、9~11%w/v%、9.5~11%w/v%、または例えば5~6w/v%、6~7w/v%、7~8w/v%、8~9w/v%、9~10w/v%、10~11w/v%、11~12%w/v%、10~12w/v%、12~13%w/v%、13~14%w/v%、12~14w/v%、14~15w/v%、または8~12w/v%の範囲の濃度で存在する。いくつかの態様において、スクロースは水溶液中に、8~12w/v%(例:10w/v%)の範囲の濃度で存在する。いくつかの態様において、水溶液は、5.0~7.0の範囲のpH、例えば、5.0~5.2、5.2~5.4、5.4~5.6、5.6~5.8、5.8~6.0、5.9~6.0、5.9~6.1、6.0~6.1;例えば、5.5~6.5、または例えば、5.5~5.8、5.8~6.0、5.9~6.1、6.0~6.1、6.0~6.2、6.2~6.4、6.4~6.5、6.5~6.7、6.7~6.8、6.8~6.9、6.9~7.0、7.0~7.1、または5.8~6.2の範囲のpHを有する。いくつかの態様において、水溶液は、5.8~6.2の範囲のpH(例:5.8~6.0、5.8~6.1、5.9~6.1)を有する。いくつかの態様において、水溶液は、5.9~6.2の範囲のpHを有する。いくつかの態様において、水溶液は、6.0~6.1の範囲のpH(例:約6.0または6.0)を有する。
【0147】
いくつかの態様において、提供されるのは、1以上の複合体、ヒスチジン、およびスクロースを含む、本明細書に記載の製剤(例えば、水溶液中の)である。いくつかの態様において、本明細書に記載の製剤のいずれか1つは水溶液であり、ここで、ヒスチジン(例:L-ヒスチジン)は水溶液中に25mMの濃度で存在し、スクロースは水溶液中に10w/v%の濃度で存在し、および水溶液は、約6.0(例:6.0、5.9~6.1)のpHである。
【0148】
いくつかの態様において、提供されるのは、複数の複合体、ヒスチジン、およびスクロースを含む、本明細書に記載の製剤(例えば、水溶液中の)であり、ここでヒスチジン(例:L-ヒスチジン)は水溶液中に、25mMの濃度で存在し、スクロースは水溶液中に、10w/v%の濃度で存在し、pHは約6.0(例:6.0、5.9~6.1)であり、製剤中の複合体の濃度は、10~50mg/mLまたは20~35mg/mLであり(例:1~10mg/mL、10~15mg/mL、15~20mg/mL、20~22mg/mL、22~24mg/mL、24~26mg/mL、22~25mg/mL、25~27mg/mL、27~29mg/mL、29~31mg/mL、29~30mg/mL、30~31mg/mL、31~32mg/mL、25~30mg/mL、30~32mg/mL、32~35mg/mL、30~35mg/mL、35~40mg/mL、40~45mg/mL、45~50mg/mL)、任意で25mg/mLまたは30mg/mLである。
【0149】
本明細書に記載のように、いくつかの態様において、本明細書に提供される製剤はスクロースを含む。いくつかの態様において、スクロースは、少なくとも部分的に凍結保護剤として機能する。いくつかの態様において、スクロースは、植物から、例えば、草、果物、または野菜(例:根菜)源から(例えば、ビート(例:テンサイ、例えばSaccharum spp.))、サトウキビ(例:Beta vulgaris)ナツメヤシ、サトウカエデ、スイートソルガム、リンゴ、オレンジ、ニンジン、糖蜜、メープルシロップ、コーン甘味料)、または動物性製品(例:蜂蜜)などからのものである。いくつかの態様において、スクロースは、ビートまたはサトウキビからである(例:ビートスクロース、サトウキビスクロース)。いくつかの態様において、スクロース以外の凍結保護剤が使用され得、例えば、トレハロース、マンニトール、ラクトース、ポリエチレングリコール、またはポリビニルピロリドンである。しかしながらいくつかの態様において、崩壊温度調整剤(例:デキストラン、フィコール、またはゼラチン)が製剤中に提供されてもよい。
【0150】
いくつかの態様において、本明細書に記載の複合体のいずれか1以上は、ヒスチジンおよびスクロースと共に凍結乾燥形態(例えば、凍結乾燥粉末)で製剤化される。いくつかの態様において、凍結乾燥形態(例えば、凍結乾燥粉末)は、本明細書に記載の水溶液のいずれか1つの凍結乾燥によって得られる。
【0151】
いくつかの態様において、本明細書に記載の製剤の水溶液(例:水性形態)を凍結乾燥することを含むプロセスによって製造される生成物(例:本明細書に記載の凍結乾燥製剤)が提供される。
【0152】
いくつかの態様において、本明細書に記載の複合体のいずれか1以上は、ヒスチジンおよびスクロースと共に凍結形態(例えば、凍結水性固体)で製剤化される。いくつかの態様において、凍結形態(例えば、凍結水性固体)は、本明細書に記載の水溶液のいずれか1つを凍結することによって得られる。凍結形態は、-20℃未満(例えば、-20℃未満、-30℃未満、-40℃未満、-50℃未満、-60℃未満、-70℃未満、-80℃未満、またはそれ以下)の温度に凍結され得る。
【0153】
いくつかの態様において、提供されるのは、本明細書に記載の製剤の水溶液(例:水性形態)を凍結することを含むプロセスによって製造される、生成物(例:本明細書に記載の凍結製剤)である。
【0154】
いくつかの態様において、医薬組成物は、その意図された投与経路に適合するように製剤化される。投与経路の例としては、非経口投与、例えば、静脈内、皮内、皮下投与が挙げられる。典型的には、投与経路は静脈内または皮下である。
【0155】
使用/処置の方法
本明細書に記載の分子ペイロード(例えば、オリゴヌクレオチド、例:ホスホロジアミダートモルホリノオリゴマー(PMO))に共有結合的に連結した抗TfR1抗体(例:Fab)を含む複合体は、ジストロフィン異常症、例えばデュシェンヌ型筋ジストロフィーを有する対象を処置するのに有効である。いくつかの態様において、複合体は、オリゴヌクレオチド、例えば、変異DMDアレルから発現されるmRNAのエキソンスキッピングを促進するアンチセンスオリゴヌクレオチドである、分子ペイロードを含む。
【0156】
いくつかの態様において、対象は、ヒト対象、非ヒト霊長類対象、げっ歯類対象、または任意の適切な哺乳動物対象であり得る。いくつかの態様において、非ヒト霊長類対象はカニクイザルである。いくつかの態様において、対象はヒトである。いくつかの態様において、対象は、2~60歳(例:2~60、2~50、2~40、2~30、2~20、2~10歳)のヒト対象である。いくつかの態様において、対象は、5~30歳(例:5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30歳)のヒト対象である。いくつかの態様において、対象は、5~12歳(例:5、6、7、8、9、10、11、または12歳)のヒト対象である。いくつかの態様において、対象は、4~16歳(例:4~16、5~16、6~16、7~16、8~16、9~16、10~16、11~16、12~16、13~16、14~16、15~16、4~15、5~15、6~15、7~15、8~15、9~15、10~15、11~15、12~15、13~15、14~15、4~14、5~14、6~14、7~14、8~14、9~14、10~14、11~14、12~14、13~14、4~13、5~13、6~13、7~13、8~13、9~13、10~13、11~13、12~13、4~12、5~12、6~12、7~12、8~12、9~12、10~12、11~12、4~11、5~11、6~11、7~11、8~11、9~16、10~11、4~10、5~10、6~10、7~10、8~10、9~10、4~9、5~9、6~9、7~9、8~9、4~9、5~9、6~9、7~9、8~9、4~8、5~8、6~8、7~8、4~7、5~7、6~7、4~6、5~6、または4~5歳)のヒト対象である。いくつかの態様において、対象は、約4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、または16歳のヒト対象である。
【0157】
いくつかの態様において、対象はデュシェンヌ型筋ジストロフィーまたは他のジストロフィン異常症を有し得る。いくつかの態様において、対象は変異DMDアレルを有し、これは任意に、フレームシフト変異を引き起こし、かつ不適切なRNAスプライシング/プロセシングを引き起こす少なくとも1つの変異をDMDエキソン中に含み得る。いくつかの態様において、対象は、重度のジストロフィン異常症の症状、例えば筋萎縮または筋喪失を患っている。いくつかの態様において、対象は、クレアチンホスホキナーゼ(CK)血清濃度の無症候性の増加および/または(例えば、および)ミオグロビン尿症を伴う筋けいれんを有する。いくつかの態様において、対象は、デュシェンヌ型またはベッカー型筋ジストロフィーまたはDMD関連拡張型心筋症(DCM)などの、進行性筋疾患を有する。いくつかの態様において、対象はジストロフィン異常症の症状を患っていない。いくつかの態様において、対象は歩行可能である。いくつかの態様において、対象は歩行不能である。
【0158】
いくつかの態様において、対象は、エキソン51スキッピングを受けやすいDMD遺伝子の変異を有する。いくつかの態様において、本明細書に記載の複合体は、エキソン51スキッピングを受けやすいDMD遺伝子の変異を有する対象の処置に有効である。いくつかの態様において、複合体は、オリゴヌクレオチドを、例えば、変異DMD遺伝子(例えば、エキソン51スキッピングを受けやすい変異DMD遺伝子)からコードされるプレmRNAにおけるなどの、プレmRNAのエキソン51のスキッピングを促進するオリゴヌクレオチドを含む。
【0159】
本開示の一側面は、本明細書に記載の有効量の複合体(単数または複数)を含む製剤を対象に投与することを含む、方法を含む。いくつかの態様において、本明細書に記載のオリゴヌクレオチド(例:PMO)に共有結合的に連結した本明細書に記載の抗体(例:Fab)を含む複合体(単数または複数)を含む、有効量の医薬組成物を、処置を必要とする対象に投与することができる。いくつかの態様において、医薬組成物は全身投与される。いくつかの態様において、本明細書に記載の複合体を含む医薬組成物は適切な経路によって投与され得、これには例えばボーラスとして、または一定期間にわたる連続注入による、静脈内投与を含み得る。いくつかの態様において、投与は、静脈内、筋肉内、腹腔内、脳脊髄内、皮下、関節内、滑膜内、またはくも膜下腔内の経路によって実施され得る。いくつかの態様において、本明細書に記載の複合体(単数または複数)を含む医薬組成物は、注入(例:静脈内注入)によって投与される。いくつかの態様において、本明細書に記載の複数の複合体を含む医薬組成物は、固体形態、水性形態、または液体形態であってもよい。いくつかの態様において、水性または液体形態は、噴霧または凍結乾燥されてもよい。いくつかの態様において、凍結乾燥形態は、水溶液または液体溶液で再構成され得る。
【0160】
いくつかの態様において、提供されるのは、デュシェンヌ型筋ジストロフィーに関連する変異DMDアレルを有する対象を処置するための方法および/または使用であり、これは、本明細書に記載の複合体または複数の複合体を含む製剤を、複合体(単数または複数)の有効量において対象に投与することを含む。いくつかの態様において、提供されるのは、対象におけるジストロフィンタンパク質の発現または活性を促進する方法および/または使用であり、この方法は、細胞を、本明細書に記載の複数の複合体を含む製剤と、複合体(単数または複数)の有効量において接触させることを含む。いくつかの態様において、ジストロフィンタンパク質は、短縮型ジストロフィンタンパク質である。短縮型ジストロフィンタンパク質は、機能的である(例えば、野生型ジストロフィンタンパク質の活性を保持している)。いくつかの態様において、短縮型ジストロフィンタンパク質は、野生型ジストロフィンタンパク質の部分的機能を保持している。いくつかの態様において、本方法は、本明細書に記載の複数の複合体を含む製剤の凍結乾燥形態(例:凍結乾燥粉末)を投与することを含み、製剤の凍結乾燥形態を水溶液中で再構成すること、および、製剤の水溶液をそれを必要とする対象に投与することを含む。例えば、いくつかの態様において、複合体または複数の複合体を含む製剤の凍結乾燥形態は、凍結乾燥形態で輸送および/または保管され、製剤の水溶液を投与する場所(例:医療提供者の場所)で再構成され、再構成された形態で(例えば水溶液として)注射により、または静脈内に例えば注入により投与される。いくつかの態様において、対象は、エキソン51スキッピングを受けやすい突然変異を含む変異DMDアレルを有する。いくつかの態様において、変異DMDアレルは、エキソン51にフレームシフト変異を含む。
【0161】
いくつかの態様において、医薬組成物は、部位特異的または局部的な送達技法を介して投与される。これらの技法の例は、複合体の埋め込み型デポー供給源、局部送達カテーテル、部位特異的担体、直接注射、または直塗り(direct application)を包含する。
【0162】
いくつかの態様において、分子ペイロード(例えば、オリゴヌクレオチド、例えばホスホロジアミダートモルホリノオリゴマー(PMO))に共有結合的に連結した抗TfR1抗体(例:Fab)を含む複合体を含む医薬組成物は、対象に治療効果を付与する有効濃度にて投与される。有効量は、当業者によって認識されるとおり、疾患の重症度、処置される対象の特有な特徴、例として、年齢、体調、健康状態、または体重、処置期間、いずれの併用治療の性質、投与ルート、および関連因子に応じて変動する。これらの関連因子は当業者には公知であり、日常的な実験程度で対処し得る。いくつかの態様において、有効濃度は、患者に安全であると見なされる最大用量である。いくつかの態様において、有効濃度は、最大限の効き目を提供する、実行可能な最低濃度であろう。
【0163】
経験的考慮事項、例として、対象における複合体の半減期は一般に、処置のために使用される医薬組成物の濃度を決定するのに役立つであろう。投与頻度は、処置の効き目を最大化するために経験的に決定かつ調整されてもよい。処置の有効性は、任意の好適な方法を使用して査定され得る。いくつか態様において、処置の有効性は、ジストロフィン異常症、例えば筋萎縮または筋力低下に関連する症状の観察による評価によって、対象の自己報告された転帰、例として運動性、セルフケア、通常の活動、疼痛/不快感、および不安/抑うつの尺度を通して、または生活の質の指標、例として寿命によって評価され得る。いくつかの態様において、本明細書に記載の分子ペイロードへ共有結合的に連結された筋標的化剤を含む複合体を含む医薬組成物は、対照(例えば、処置の前の遺伝子発現のベースラインレベル)と比べて、標的遺伝子の活性または発現を少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、または少なくとも95%調節するのに充分な有効濃度にて、対象へ投与される。
【0164】
例
例1.デュシェンヌ型筋ジストロフィー患者の筋管における抗TfR1抱合体のエキソンスキッピング活性
この研究は、バリン-シトルリン配列を含むリンカーを介してDMDエキソン51スキッピングアンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)に(リジン抱合を介して)共有結合的に連結した、表2に示すVH配列およびVL配列を有する抗TfR1 Fabを含む抗TfR1抱合体の、エキソンスキッピング活性を評価した。DMDエキソン51スキッピングASOはPMOであり、配列番号21のヌクレオチド配列を含む。抱合体は以下:
【化19】
の構造を含み、式中、R
2は表2に示す抗TfR1 Fabであり、ここで各抱合体において、n1は独立して0以上の整数である。
【0165】
エキソン52欠失を有する不死化ヒト筋芽細胞を解凍し、1×10
6細胞/フラスコの密度でPromocell Skeletal Cell増殖培地(5%FBSおよび1×Pen-Strepを含む)に播種し、コンフルエントになるまで増殖させた。コンフルエントになったら、細胞をトリプシン処理し、遠心分離によってペレット化し、新鮮なPromocell Skeletal Cell増殖培地に再懸濁した。細胞数を計数し、細胞を、マトリゲルでコーティングした96ウェルプレートに50,000細胞/ウェルの密度で播種した。細胞を24時間かけて回復させた。増殖培地を吸引し、血清を含まない分化培地と交換することにより、細胞の分化を誘導した。次に細胞を、DMDエキソン51スキッピングオリゴヌクレオチド(抗体に共有結合的に連結していない、「裸の」)を用いて10μMのオリゴヌクレオチド濃度で処理するか、または、抱合体で処理して10μMオリゴヌクレオチド相当の最終濃度にした。細胞を試験品と共に10日間インキュベートし、その後、全RNAを96ウェルプレートから収集した。cDNA合成を75ngの全RNAに対して実施し、変異特異的PCRを実施して、各細胞型におけるエキソン51スキッピングの程度を評価した。変異特異的PCR産物を4%アガロースゲルで実行し、SYBR goldを使用して可視化した。デンシトメトリーを使用してスキップされたアンプリコンとスキップされていないアンプリコンの相対量を計算し、エキソンスキッピングを、エキソン51のスキップされたアンプリコンを存在するアンプリコンの総量で割った比率として決定した:
【数1】
【0166】
結果は、抱合体が、患者の筋管内の抗体に共有結合的に連結していない同じDMDエキソン51スキッピングオリゴヌクレオチドと比較して、エキソンスキッピングの強化をもたらしたことを実証する(
図1)。これは、抗TfR1 Fab(例えば、表2に記載の配列を有するもの)が、抱合体の筋細胞への細胞内移行を促進し、その結果、筋細胞においてエキソン51スキッピングオリゴヌクレオチドの活性をもたらしたことを示す。同様に、抗TfR1抗体は、他のエキソンスキッピングオリゴヌクレオチド(例えば、エキソン51スキッピングオリゴヌクレオチドなどの、本明細書で提供されるエキソンスキッピングオリゴヌクレオチド)に共有結合的に連結した抗TfR1抗体を含む抱合体の、筋細胞への内部移行を促進し、筋細胞内のエキソンスキッピングオリゴヌクレオチドの活性を促進することができる。
【0167】
例2.カニクイザルにおけるin vivoでの抗TfR1 Fab-ASO抱合体のエキソンスキッピング活性
例1に記載の抗TfR1オリゴヌクレオチド抱合体を、健康な非ヒト霊長類におけるそれらのin vivoでのエキソンスキッピング活性について試験した。未処置の雄のカニクイザル(群当たりn=4~5)に、ビヒクル、30mg/kgの裸の(すなわち、抗体に共有結合的に連結していない)ASO、または、DMDエキソン51スキッピングオリゴヌクレオチドに共有結合的に連結した122mg/kgの抗TfR1 Fab(30mg/kgのASO相当)を、2回、静脈内注入で1日目と8日目に投与した。動物を犠牲にし、組織を初回投与の2週間または4週間後に採取した。全RNAを組織試料からPromega Maxwell(登録商標)のRSC機器を用いて収集し、cDNA合成をqScript cDNA SuperMixを用いて実施した。エキソン51スキッピングの評価は、エンドポイントPCRを使用して実施した。
【0168】
PCR産物のキャピラリー電気泳動を使用して、エキソンスキッピングを評価し、エキソン51スキッピング%を次の式を用いて計算した。
【数2】
エキソン51スキッピングの計算結果を表4に示す。
表4.カニクイザルDMDにおけるDMDのエキソン51スキッピング
【表4】
【0169】
組織のASO蓄積も、ASO配列に相補的なプローブを用いたハイブリダイゼーションELISAを使用して定量した。標準曲線を作成し、ASOレベル(ng/g)を標準曲線の線形回帰から導出した。ASOは、非抱合型ASO(抗体に共有結合的に連結していない)の投与と比較して、抗TfR1 Fab-ASO抱合体の投与後に、より高いレベルで評価されたすべての組織に分布していた。非抱合型ASOの静脈内投与は、初回投与後2週間および4週間で評価したすべての組織で、バックグラウンドレベルに近いASOレベルをもたらした。抱合体の投与は、最初の投与から2週間後に、組織におけるASOの分布の、次の順位:心臓>横隔膜>二頭筋>四頭筋>腓腹筋>脛骨筋、の評価をもたらした。組織濃度の持続時間も評価した。ASOレベルは、投与後4週間ですべての組織において検出可能であった(表5)。これは、表2に示す抗TfR1 Fabが、in vivoで抱合体の筋細胞への細胞内移行を可能にし、その結果、筋細胞内でエキソンスキッピングオリゴヌクレオチドの活性をもたらしたことを示す。
表5.カニクイザルにおけるDMDエキソン51スキッピングASOの組織分布
【表5】
【0170】
例3.異なる例示的製剤の凍結解凍安定性試験の比較
以下の製剤を調製した。製剤は、バリン-シトルリン配列を含むリンカーを介してDMDエキソン51スキッピングASOに(リジン抱合を介して)共有結合的に連結した、表2に示されるVH/VL配列を有する抗TfR1 Fabを含み、ここで抗TfR1 Fab-ASO抱合体は、500μLの充填容量を有する2mLのガラスバイアル中、25mg/mlの濃度であった。DMDエキソン51スキッピングASOはPMOであり、配列番号21のヌクレオチド配列を含む。
【0171】
製剤1:25mMヒスチジン、10%スクロース、pH6
【0172】
製剤2:25mMヒスチジン、10%スクロース、pH5.5
【0173】
製剤3:25mMヒスチジン、10%スクロース、pH6.5
【0174】
製剤4:25mMヒスチジン、10%スクロース、0.02%PS-80、pH6
【0175】
製剤5:10mMヒスチジン、10%スクロース、pH6
【0176】
製剤6:50mMヒスチジン、10%スクロース、pH6
【0177】
製剤7:25mMヒスチジン、150mMのNaCl、pH6
【0178】
製剤8:25mMリン酸塩、150mMのNaCl、pH7
【0179】
製剤を-80℃で凍結し、続いて周囲温度(例えば約20℃の室温)で5×F/T(凍結/解凍)サイクルで解凍し、分析前に2~8℃に3~4時間保持した。
【0180】
製剤緩衝液の調製:製剤原薬(formulation drug substance)(本明細書に記載の抱合体を有する製剤)を、適切な製剤緩衝液と緩衝液交換した。Sartorius Vivaspinフィルターを使用した(30kDaのMWCO)。緩衝液を5回交換した後、抗TfR1 Fab-ASOを25mg/mlまで濃縮した。製剤(drug product)を滅菌濾過し、バイアルに充填した(バイアルには700μLの充填物を使用した)。試料製剤を以下の時点で目視で観察した:T0(0週目)、T1(1週目)、T2(2週目)、T4(4週目)、T8(8週目)、および-20℃、2~8℃、25℃、および40℃の温度にて。
【0181】
時点T0、T1、T2、T4、およびT8において、製剤1~6は、-20℃、2~8℃、25℃、および40℃を含むすべての温度で透明かつ無色であることが観察された。製剤7および8は、-20℃、2~8℃、25℃、および40℃を含むすべての温度で乳光および粒子を伴う沈殿を示すことが観察された。
【0182】
例4.例示的製剤の熱安定性の分析
以下の製剤を調製した。製剤は、バリン-シトルリン配列を含むリンカーを介してDMDエキソン51-スキッピングASO(配列番号21のヌクレオチド配列を含むPMO)に(リジン抱合を介して)共有結合的に連結した、表2に示されるVH/VL配列を有する抗TfR1 Fabを含み、ここで抗TfR1 Fab-ASO抱合体は、500μL充填容量の2mLガラスバイアル中、25mg/mlの濃度であった。この製剤(製剤1)においては、25mMヒスチジン、10%スクロース、pH6であった。
【0183】
製剤緩衝液を調製した:製剤原薬(本明細書に記載の抱合体を有する製剤)を、適切な製剤緩衝液と緩衝液交換した。Sartorius Vivaspinフィルターを使用した(30kDaのMWCO)。緩衝液を5回交換した後、抗TfR1 Fab-ASOを25mg/mlまで濃縮した。製剤(drug product)を滅菌濾過し、バイアルに充填した(バイアルには700μLの充填物を使用した)。次に、例4で上述した製剤(「製剤1」)の熱安定性の分析を行った。この分析は、T0(0週目)およびT8(8週目)の指定された時点および指定された温度での、抗TfR1 Fab-ASO抱合体の抱合体濃度を示す。
図2を参照。標準的BCA(ビシンコニン酸)分析を使用して、タンパク質抱合体濃度を測定した。BCAアッセイは標準的な手順を使用して実行した:
1)作業試薬(WR)の準備。各試料について100uLのWRが、マイクロプレート手順で必要である。WRを、50:1(BCA試薬A:BCA試薬B)でよく混合して調製する。10mLのWR試薬が96ウェルプレート全体で必要である。したがって、10mLの試薬Aと200μLの試薬Bを混合し、緩衝液が室温であることを確認し、混合後90分以内に使用する。新しく作った作業溶液の使用を推奨する。
2)未知の試料の標準曲線と希釈曲線を作成する。10μLの標準試料または未知試料を、200μLのWRに添加し、60℃で10分間インキュベートする。これをプレートの最初の列に添加し、次の列で100μL:100μLに連続希釈する。96ウェル透明プレート:標準:既知のFab:15G11(11mg/mL)。8点の標準曲線および、各点を1:1希釈した未知試料の希釈曲線を作成する。
3)5分間インキュベートする。
4)480nMでの吸光度をプレートリーダーで測定する。
5)標準曲線を使用して、各未知試料のタンパク質濃度を決定する(6つの希釈物を測定した)。
【0184】
製剤1では、抱合体の濃度のわずかな減少が、異なる容器(「バイアル」と呼ばれる600μLの充填容積を有する2mLのガラスバイアル;「フレックス」と呼ばれる1mLの充填容積を有するプラスチック製Flexboyバッグ)中で観察され、指定された温度および指定された容器中でのこの製剤の全体的な安定性を示す。-20℃および2~8℃の温度において、ガラス製バイアルと比較してプラスチック製Flexboyバッグ内の製剤では、0週目(T0)から8週目の時点(T8)までの抱合体濃度の減少はより少なかった。しかしながら、40℃のガラスバイアル中の製剤1の時点8(T8)では、抱合体濃度の減少は観察されなかった。
【0185】
例5.容器種類への材料の付着の分析
製剤の付着を通して材料損失を分析し、様々なプラスチックへの付着の可能性を評価する研究を行った;該製剤は、バリン-シトルリン配列を含むリンカーを介してDMDエキソン51スキッピングASO(配列番号21のヌクレオチド配列を含むPMO)に(リジン抱合を介して)共有結合的に連結している、表2に示すVH/VL配列を有する例示的な抗TfR1 Fabを含む。例3に記載の製剤1(25mMヒスチジン、10%スクロース緩衝液(pH6))に製剤化されたこのTfR1 Fab-ASO抱合体は、材料損失が少ないことを示した。研究は次のように実施した:例3の以前の研究を25mg/mLで繰り返し;製剤をプラスチックに加え、凍結/解凍(F/T)サイクルを1回実行する(-80℃で一晩凍結し、2~8℃で4時間解凍);Visual、BCA、SEC-HPLC(SEC)などの標準テストによって分析する。記載のように-80℃での凍結解凍サイクルを1回行った後、製剤1中の抱合体の濃度を測定した。標準的なBCA(ビシンコニン酸)分析を使用して、例4に開示されているようにタンパク質抱合体濃度を測定した。
【0186】
SEC-HPLC分析方法は、以下の通りであった:
・HPLCシステムThermo Ultimate-3000 UHPLCシステム
・試料濃度:1mg/mL(HPLCグレードの水で希釈);注入量:10μL
・緩衝液:100mMのリン酸ナトリウム、100mMのNaCl、15%アセトニトリル、pH7.0
・実行(run):アイソクラティック、0.25mL/分、20分
・カラムオーブン温度:周囲温度。カラム:Waters AQUITY UPLC Protein BEHSECカラム200Å、1.7μm、4.6×300mm(P/N:186005226)
・波長:280nmおよび260nm、試料はデュプリケートで注入し、平均値を報告する。
【0187】
抱合体の配合の25mMヒスチジン、10%スクロース、pH6.0を使用すると、強力な安定性および、さまざまなプラスチック容器種類(エチレン酢酸ビニルプラスチック(EVA)、ポリカーボネートプラスチック(PC)、高密度ポリエチレンプラスチック(HDPE))に対する表面付着力の欠如が、
図3および4にまとめて実証されている。
図3および4は、良好な安定性および表面付着性の欠如を示し、これは、ガラス容器の低濃度の抱合体と比較して、プラスチック容器種類での製剤1の高濃度の抱合体によって実証される。
図4は、SEC分析により、すべての試料にわたってHPLCピークの組成に大きな変化がなかったことを示す;ここで試料は以下である:10mg/mlのガラス標準(約10mg/mLのFDC抱合体はガラスに保存し、1回の凍結解凍サイクル(出荷時から凍結、2~8℃に保持)に供した)、およびガラスまたは指定のプラスチック内の25mg/mlの試料(25mg/mLの抱合体をスピンフィルターで濃縮し、次に指定されたプラスチックまたはガラスに添加し、1回のF/Tサイクルを実施)。
【0188】
図4の結果は、製剤1の安定性が良好であることを示す。
追加の態様
1.抗トランスフェリン受容体1(TfR1)抗体に共有結合的に連結したホスホロジアミダートモルホリノオリゴマー(PMO)を含む複合体を含む製剤であって、ここで前記抗体が、配列番号1、7、または12に記載の配列を含む重鎖相補性決定領域1(CDR-H1)、配列番号2、8、または13に記載の配列を含む重鎖相補性決定領域2(CDR-H2)、配列番号3、9、または14に記載の配列を含む重鎖相補性決定領域3(CDR-H3)、配列番号4、10、または15に記載の配列を含む軽鎖相補性決定領域1(CDR-L1)、配列番号5または11に記載の配列を含む軽鎖相補性決定領域2(CDR-L2)、および配列番号6または16に記載の配列を含む軽鎖相補性決定領域3(CDR-L3)を含み、ここで前記複合体が、ヒスチジンおよびスクロースと共に製剤化される、前記製剤。
2.式:[R
1]
n1-R
2を含む複合体を含む製剤であって、式中、各R
1は独立して、式:
【化20】
の基を含み、
R
2は、抗体を含み、および
R
3は、ホスホロジアミダートモルホリノオリゴマー(PMO)であり;
ここでR
1は、付着点AでR
2に共有結合的に連結しており;および
ここでn1は、R
1の例の数を表す1以上の整数であり、
ここでR
1の各例は、抗体の異なるアミノ酸残基に共有結合的に連結しており、任意にここで、各異なるアミノ酸残基はリジンであり;
ここで複合体は、ヒスチジンおよびスクロースと共に製剤化され、
任意にここで、抗体は抗TfR1抗体であり、および任意にここで、製剤中の複合体のn1の平均値は、1~5の範囲内である、前記製剤。
3.抗体が、配列番号1、7、または12に記載の配列を含む重鎖相補性決定領域1(CDR-H1)、配列番号2、8、または13に記載の配列を含む重鎖相補性決定領域2(CDR-H2)、配列番号3、9、または14に記載の配列を含む重鎖相補性決定領域3(CDR-H3)、配列番号4、10、または15に記載の配列を含む軽鎖相補性決定領域1(CDR-L1)、配列番号5または11に記載の配列を含む軽鎖相補性決定領域2(CDR-L2)、および配列番号6または16に記載の配列を含む軽鎖相補性決定領域3(CDR-L3)を含む、態様2に記載の製剤。
4.製剤が凍結乾燥形態である、態様1~3のいずれか一項に記載の製剤。
5.製剤が水溶液中にある、態様1~3のいずれか一項に記載の製剤。
6.ヒスチジンが、水溶液中に10mM~50mMの範囲の濃度で存在する、態様5に記載の製剤。
7.スクロースが、水溶液中に5%~15%の重量/体積(w/v%)の範囲の濃度で存在する、態様5または6に記載の製剤。
8.水溶液が、5.0~7.0の範囲のpHを有する、態様5~7のいずれか一項に記載の製剤。
9.ヒスチジンが水溶液中に25mMの濃度で存在し、および/または、スクロースが水溶液中に10w/v%の濃度で存在し、および/または、水溶液のpHが6.0である、態様5~8のいずれか一項に記載の製剤。
10.抗体が、Fab断片、完全長IgG、Fab'断片、F(ab')
2断片、scFv、またはFvである、態様1~9のいずれか一項に記載の製剤。
11.抗体がFab断片である、請求項10に記載の製剤。
12.抗体が、配列番号17と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH)を含み;および/または、抗体が、配列番号18と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)を含み、任意にここで、抗体が、配列番号17のアミノ酸配列を含むVHおよび配列番号18のアミノ酸配列を含むVLを含む、態様1~11のいずれか一項に記載の製剤。
13.抗体が、配列番号19と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む重鎖を含み;および/または、抗体が、配列番号20と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖を含み、任意にここで、抗体が、配列番号19のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号20のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、態様1~12のいずれか一項に記載の製剤。
14.PMOが、15~35ヌクレオチド長のヌクレオチド配列を含む、態様1~13のいずれか一項に記載の製剤。
15.PMOが、配列番号23、配列番号24、または配列番号22に対して少なくとも8連続ヌクレオチド長の相補性領域を有するヌクレオチド配列を含む、態様1~14のいずれか一項に記載の製剤。
16.PMOが、配列番号21に記載のヌクレオチド配列の少なくとも8個の連続ヌクレオチドを含み、任意にここで、PMOが、配列番号21のヌクレオチド配列を含む、態様1~15のいずれか一項に記載の製剤。
17.態様2~16のいずれか一項に記載の製剤であって、各R
1が、式:
【化21】
を含み、ここで-pNは、ホスホロジアミダートモルホリノオリゴマー(PMO)の塩基位置を示し、R
1は、付着点AでR
2に共有結合的に連結しており;ここで-pは、ホスホロジアミダート連結を反映し、ここでNは、アデニン(A)、シトシン(C)、グアニン(G)、またはチミン(T)の核酸塩基に対応し、こうしてPMOは、CTCCAACATCAAGGAAGATGGCATTTCTAG(配列番号21)の核酸塩基配列を有する、前記製剤。
18.各R
1が、式:
【化22】
を含む、態様2~16のいずれか一項に記載の製剤。
19.複合体が、製剤中に10mg/mL~50mg/mLの範囲の濃度で存在する、態様1~18のいずれか一項に記載の製剤。
20.対象におけるジストロフィンタンパク質の発現または活性を促進するための、対象に態様1~19のいずれか一項に記載の製剤を投与することを含む、方法。
21.ジストロフィンタンパク質が、短縮型ジストロフィンタンパク質である、態様20に記載の方法。
22.デュシェンヌ型筋ジストロフィーに関連する変異DMDアレルを有する対象を処置するための、対象に態様1~19のいずれか一項に記載の製剤を投与することを含む、方法。
23.変異DMDアレルが、エキソン51スキッピングを受けやすい変異を含む、態様22に記載の方法。
24.変異DMDアレルが、エキソン51にフレームシフト変異を含む、態様22または態様23に記載の方法。
25.式(I):[R
1]
n1-R
2の構造を含む複合体であって、式中各R
1は、式:
【化23】
の基を含み、
ここでR
2は、Fabを含み、およびここでFabは、表2から選択されるCDR-H1、CDR-H2、CDR-H3、CDR-L1、CDR-L2、およびCDR-L3を含み、任意にここでFabは、配列番号17のアミノ酸配列を含むVHおよび配列番号18のアミノ酸配列を含むVLを含み、さらに任意にここでFabは、配列番号19のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号20のアミノ酸配列を含む軽鎖を含み、ここで-pNは、ホスホロジアミダートモルホリノオリゴマー(PMO)の塩基位置を示し、ここで-pは、ホスホロジアミダート連結を反映し、およびここでNは、アデニン(A)、シトシン(C)、グアニン(G)、またはチミン(T)の核酸塩基に対応し、こうしてPMOは、CTCCAACATCAAGGAAGATGGCATTTCTAG(配列番号21)の核酸塩基配列を有し;ここでR
1は、付着点AでR
2に共有結合的に連結しており;およびここでn1は、R
1の例の数を表す1以上の整数であり、ここでR
1の各例は、Fabの異なるアミノ酸残基に共有結合的に連結しており、任意にここで各異なるアミノ酸残基はリジンである、前記複合体。
26.式(I):[R
1]
n1-R
2の構造を含む複合体であって、式中、
R
1は、式:
【化24】
の基を含み、
ここでR
2は、表2から選択されるCDR-H1、CDR-H2、CDR-H3、CDR-L1、CDR-L2、およびCDR-L3を含むFabを含み、任意にここでR
2は、配列番号17のアミノ酸配列を含むVHおよび配列番号18のアミノ酸配列を含むVLを含むFabを含み、さらに任意にここでR
2は、配列番号19のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号20のアミノ酸配列を含む軽鎖を含むFabを含み;ここでR
1は、付着点AでR
2に共有結合的に連結しており;およびここでn1は、R
1の例の数を表す1以上の整数であり、ここでR
1の各例は、Fabの異なるアミノ酸残基に共有結合的に連結しており、任意にここで各異なるアミノ酸残基はリジンである、前記複合体。
27.製剤であって、態様25または態様26の複数の複合体、25mMの濃度のヒスチジン、および10w/v%の濃度のスクロースを含み、ここで製剤は水溶液中にあり、pHが6.0である、前記製剤。
28.態様27の製剤の、凍結乾燥形態。
29.態様27の製剤を凍結乾燥することを含むプロセスによって製造される、生成物。
30.態様27の製剤の、凍結形態。
31.態様27の製剤を凍結することを含むプロセスによって製造される、生成物。
【0189】
均等物および用語
例証的に本明細書に記載された開示は、好適には、本明細書で具体的には開示されないいずれかの要素、限定の非存在下において実施され得る。それゆえに、例えば、本明細書の各事例において、用語「含む」、「から本質的になる」、および「からなる」のいずれかは、他の2つの用語のどちらかによって置き換えられ得る。採用された用語および表現は、限定ではなく記載の用語として使用され、かかる用語および表現の使用には、示されるおよび記載される特徴のいずれかの均等物またはそれらの部分を排除する意図はなく、種々の改変が本開示の範囲内で可能であることが認識される。それゆえに、本開示は好ましい態様によって具体的に開示されたが、本明細書に開示される概念の任意の特徴、改変、および変形が当業者によって頼られ得ることと、かかる改変および変形は本開示の範囲内であると考慮されることは理解されるべきである。
【0190】
加えて、本開示の特徴または側面がマーカッシュ群または代替物の他の群分けとして記載されるところでは、当業者は、本開示がそれによってマーカッシュ群または他の群のいずれかの個々の構成員または構成員のサブグループとしてもまた記載されることを認識するであろう。
【0191】
当然のことながら、いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドまたは他の核酸の構造を記載する際には、配列表で提示される配列が参照され得る。かかる態様において、実際のオリゴヌクレオチドまたは他の核酸は、指定された配列と本質的に同じかまたは類似の相補的な特性を保持しながら、指定された配列と比較して、1以上の代替的なヌクレオチド(例として、DNAヌクレオチドのRNAカウンターパート、またはRNAヌクレオチドのDNAカウンターパート)および/または(例として、および)1以上の修飾ヌクレオチドおよび/または(例として、および)1以上の修飾されたヌクレオチド間連結および/または(例として、および)1以上の他の改変を有し得る。
【0192】
本発明を説明する文脈における(特に以下の請求項の文脈における)用語「a」および「an」および「the」ならびに同様のレファレントの使用は、本明細書に別段の指示がないかまたは文脈と明らかに矛盾しない限り、単数および複数の両方を包含すると解釈されるべきである。用語「含む(comprising)」、「有する」、「含む(including)」、および「含有する」は、特に断りのない限り、オープンエンドの用語として解釈されるべきである(すなわち、「含むが、それらに限定されない」を意味する)。本明細書における値の範囲の記載は、本明細書に別段の指示がない限り、単に、範囲内に収まる各別個の値を個々に参照する簡略な方法として働くことが意図され、各別個の値は、それがあたかも本明細書に個々に記載されているかのように本明細書に組み込まれる。本明細書に別段の指示がないかまたは文脈と明らかに矛盾しない限り、本明細書に記載のすべての方法は任意の好適な順序で行われ得る。別様の主張がなされない限り、本明細書で提供されるありとあらゆる例または例示的な文言(例として、「などの」)の使用は、単に本発明をより良く解き明かすことが意図され、本発明の範囲に限定を課さない。本明細書のいかなる文言も、いずれかの請求されない要素を本発明の実施にとって必須であると指し示すものと解釈されるべきではない。
【0193】
本発明の態様が本明細書に記載されている。それらの態様の変形は、先述の記載を読むことによって当業者には明らかになり得る。
【0194】
本発明者は当業者がかかる変形を適当に採用することを予期し、本発明者は本発明が本明細書に具体的に記載されるとおりとは別様に実施されることを意図する。したがって、本発明は、然るべき法律によって許可される本明細書に添付される請求項に記載される主題のすべての改変および均等物を包含する。その上、それらのすべての可能な変形における上に記載された要素のいずれかの組み合わせは、本明細書に別段の指示がないかまたは文脈と明らかに矛盾しない限り、本発明によって包摂される。当業者は、本明細書に記載される本発明の特定の態様の多くの均等物を認識するか、またはせいぜい慣例的な実験作業を用いて確かめることができるであろう。かかる均等物は次の請求項によって包摂されることを意図される。
【配列表】
【国際調査報告】