(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-12
(54)【発明の名称】筋標的化複合体およびジストロフィノパチーを処置するためのその使用
(51)【国際特許分類】
C12N 15/11 20060101AFI20240705BHJP
C12N 5/077 20100101ALI20240705BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20240705BHJP
C07K 16/28 20060101ALN20240705BHJP
【FI】
C12N15/11 Z ZNA
C12N5/077
C12N5/10
C07K16/28
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024500480
(86)(22)【出願日】2022-07-08
(85)【翻訳文提出日】2024-03-11
(86)【国際出願番号】 US2022073534
(87)【国際公開番号】W WO2023283619
(87)【国際公開日】2023-01-12
(32)【優先日】2021-07-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521048956
【氏名又は名称】ダイン セラピューティクス,インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】DYNE THERAPEUTICS, INC.
【住所又は居所原語表記】1560 Trapelo Road,Waltham,MA 02451,United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】110003971
【氏名又は名称】弁理士法人葛和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】デジャルダン,コディ,エー.
(72)【発明者】
【氏名】タン,キム
(72)【発明者】
【氏名】マックスウィージェン,ジェイムズ
(72)【発明者】
【氏名】サブラマニアン,ロメシュ,アール.
(72)【発明者】
【氏名】ウィーデン,ティモシー
(72)【発明者】
【氏名】カタナニ,モハマド,ティー.
(72)【発明者】
【氏名】クイン,ブレンダン
(72)【発明者】
【氏名】ナジム,ジョン
【テーマコード(参考)】
4B065
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA90X
4B065AA90Y
4B065AB01
4B065AC14
4B065CA19
4B065CA25
4B065CA44
4H045AA10
4H045AA30
4H045BA54
4H045CA40
4H045DA76
4H045EA20
(57)【要約】
本開示の側面は、分子ペイロードへ共有結合的に連結された筋標的化剤を含む複合体に関する。いくつかの態様において態様において、筋標的化剤は、筋細胞上の内在化する細胞表面受容体へ特異的に結合する。いくつかの態様において態様において、分子ペイロードは、機能性ジストロフィンタンパク質の発現または活性を促進する。いくつかの態様において態様において、分子ペイロードは、アンチセンスオリゴヌクレオチドなどのオリゴヌクレオチド、例として、変異DMD対立遺伝子から発現されるmRNAにおいてエクソンスキッピングを引き起こすオリゴヌクレオチドである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
DMDプレ-mRNAにおいてエクソン51のスキッピングを誘導するように構成されたオリゴヌクレオチドに共有結合的に連結された抗トランスフェリン受容体1(TfR1)抗体を含む複合体であって、オリゴヌクレオチドが、配列番号160~383のいずれか1つの少なくとも8個の連続するヌクレオチドと相補的である相補性領域を含む、前記複合体。
【請求項2】
抗TfR1抗体が、
(i)配列番号33の重鎖相補性決定領域1(CDR-H1)、配列番号34の重鎖相補性決定領域2(CDR-H2)、配列番号35の重鎖相補性決定領域3(CDR-H3)、配列番号36の軽鎖相補性決定領域1(CDR-L1)、配列番号37の軽鎖相補性決定領域2(CDR-L2)および配列番号32の軽鎖相補性決定領域3(CDR-L3);
(ii)配列番号7のCDR-H1、配列番号8のCDR-H2、配列番号9のCDR-H3、配列番号10のCDR-L1、配列番号11のCDR-L2および配列番号6のCDR-L3;
(iii)配列番号7のCDR-H1、配列番号20のCDR-H2、配列番号9のCDR-H3、配列番号10のCDR-L1、配列番号11のCDR-L2および配列番号6のCDR-L3;
(iv)配列番号7のCDR-H1、配列番号24のCDR-H2、配列番号9のCDR-H3、配列番号10のCDR-L1、配列番号11のCDR-L2および配列番号6のCDR-L3;
(v)配列番号51のCDR-H1、配列番号52のCDR-H2、配列番号53のCDR-H3、配列番号54のCDR-L1、配列番号55のCDR-L2および配列番号50のCDR-L3;
(vi)配列番号64のCDR-H1、配列番号52のCDR-H2、配列番号53のCDR-H3、配列番号54のCDR-L1、配列番号55のCDR-L2および配列番号50のCDR-L3;または
(vii)配列番号67のCDR-H1、配列番号52のCDR-H2、配列番号53のCDR-H3、配列番号54のCDR-L1、配列番号55のCDR-L2および配列番号50のCDR-L3
を含む、請求項1に記載の複合体。
【請求項3】
抗TfR1抗体が、
(i)配列番号76と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH);および/または配列番号75と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL);
(ii)配列番号69と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含むVH;および/または配列番号70と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含むVL;
(iii)配列番号71と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含むVH;および/または配列番号70と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含むVL;
(iv)配列番号72と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含むVH;および/または配列番号70と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含むVL;
(v)配列番号73と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含むVH;および/または配列番号74と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含むVL;
(vi)配列番号73と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含むVH;および/または配列番号75と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含むVL;
(vii)配列番号76と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含むVH;および/または配列番号74と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含むVL;
(viii)配列番号77と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含むVH;および/または配列番号78と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含むVL;
(ix)配列番号79と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含むVH;および/または配列番号80と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含むVL;または
(x)配列番号77と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含むVH;および/または配列番号80と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含むVL、
を含む、請求項1または請求項2に記載の複合体。
【請求項4】
抗TfR1抗体が、
(i)配列番号76のアミノ酸配列を含むVHおよび配列番号75のアミノ酸配列を含むVL;
(ii)配列番号69のアミノ酸配列を含むVHおよび配列番号70のアミノ酸配列を含むVL;
(iii)配列番号71のアミノ酸配列を含むVHおよび配列番号70のアミノ酸配列を含むVL;
(iv)配列番号72のアミノ酸配列を含むVHおよび配列番号70のアミノ酸配列を含むVL;
(v)配列番号73のアミノ酸配列を含むVHおよび配列番号74のアミノ酸配列を含むVL;
(vi)配列番号73のアミノ酸配列を含むVHおよび配列番号75のアミノ酸配列を含むVL;
(vii)配列番号76のアミノ酸配列を含むVHおよび配列番号74のアミノ酸配列を含むVL;
(viii)配列番号77のアミノ酸配列を含むVHおよび配列番号78のアミノ酸配列を含むVL;
(ix)配列番号79のアミノ酸配列を含むVHおよび配列番号80のアミノ酸配列を含むVL;または
(x)配列番号77のアミノ酸配列を含むVHおよび配列番号80のアミノ酸配列を含むVL、
を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の複合体。
【請求項5】
抗TfR1抗体が、Fabフラグメント、Fab'フラグメント、F(ab')2フラグメント、scFv、Fv、または完全長IgGである、請求項1から4のいずれか一項に記載の複合体。
【請求項6】
抗TfR1抗体が、Fabフラグメントである、請求項5に記載の複合体。
【請求項7】
抗TfR1抗体が、
(i)配列番号101と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む重鎖;および/または配列番号90と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖;
(ii)配列番号97と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む重鎖;および/または配列番号85と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖;
(iii)配列番号98と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む重鎖;および/または配列番号85と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖;
(iv)配列番号99と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む重鎖;および/または配列番号85と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖;
(v)配列番号100と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む重鎖;および/または配列番号89と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖;
(vi)配列番号100と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む重鎖;および/または配列番号90と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖;
(vii)配列番号101と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む重鎖;および/または配列番号89と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖;
(viii)配列番号102と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む重鎖;および/または配列番号93と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖;
(ix)配列番号103と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む重鎖;および/または配列番号95と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖;または
(x)配列番号102と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む重鎖;および/または配列番号95と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖、
を含む、請求項6に記載の複合体。
【請求項8】
抗TfR1抗体が、
(i)配列番号101のアミノ酸配列を含む重鎖;および配列番号90のアミノ酸配列を含む軽鎖;
(ii)配列番号97のアミノ酸配列を含む重鎖;および配列番号85のアミノ酸配列を含む軽鎖;
(iii)配列番号98のアミノ酸配列を含む重鎖;および配列番号85のアミノ酸配列を含む軽鎖;
(iv)配列番号99のアミノ酸配列を含む重鎖;および配列番号85のアミノ酸配列を含む軽鎖;
(v)配列番号100のアミノ酸配列を含む重鎖;および配列番号89のアミノ酸配列を含む軽鎖;
(vi)配列番号100のアミノ酸配列を含む重鎖;および配列番号90のアミノ酸配列を含む軽鎖;
(vii)配列番号101のアミノ酸配列を含む重鎖;および配列番号89のアミノ酸配列を含む軽鎖;
(viii)配列番号102のアミノ酸配列を含む重鎖;および配列番号93のアミノ酸配列を含む軽鎖;
(ix)配列番号103のアミノ酸配列を含む重鎖;および配列番号95のアミノ酸配列を含む軽鎖;または
(x)配列番号102のアミノ酸配列を含む重鎖;および配列番号95のアミノ酸配列を含む軽鎖、
を含む、請求項6または請求項7に記載の複合体。
【請求項9】
抗TfR1抗体が、トランスフェリン受容体1のトランスフェリン結合部位に特異的に結合せず、かつ/または抗TfR1抗体が、トランスフェリン受容体1に対するトランスフェリンの結合を阻害しない、請求項1から8のいずれか一項に記載の複合体。
【請求項10】
オリゴヌクレオチドが、DMDプレ-mRNAのスプライシング特徴の少なくとも4個の連続するヌクレオチドに対する相補性領域を含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の複合体。
【請求項11】
スプライシング特徴が、DMDプレ-mRNAのエクソン51中のエクソンスプライシングエンハンサー(ESE)であり、任意にESEが、配列番号860~894のいずれか1つの配列を含む、請求項10に記載の複合体。
【請求項12】
スプライシング特徴が、分岐点、スプライスドナー部位またはスプライスアクセプター部位であり、任意に、スプライシング特徴が、DMDプレ-mRNAのエクソン50とイントロン50との接合部に跨って、イントロン50の中に、イントロン50とエクソン51との接合部に跨って、エクソン51とイントロン51との接合部に跨って、イントロン51の中に、またはイントロン51とエクソン52との接合部に跨って存在しており、さらに任意に、スプライシング特徴が、配列番号855~859および895~898のいずれか1つの配列を含む、請求項10に記載の複合体。
【請求項13】
オリゴヌクレオチドが、配列番号160~383のいずれか1つに相補的な配列を含むか、または配列番号384~831のいずれか1つの配列を含み、ここで各チミン塩基(T)が、独立しておよび任意にウラシル塩基(U)で置き換えられていてもよく、各Uが、独立しておよび任意にTで置き換えられていてもよい、請求項1から9のいずれか一項に記載の複合体。
【請求項14】
オリゴヌクレオチドが、1つ以上のホスホロジアミダートモルホリノを含み、任意に、オリゴヌクレオチドが、ホスホロジアミダートモルホリノオリゴマー(PMO)である、請求項1から13のいずれか一項に記載の複合体。
【請求項15】
抗TfR1抗体が、切断可能なリンカーを介してオリゴヌクレオチドに共有結合的に連結されており、任意に、切断可能なリンカーがバリン-シトルリン配列を含む、請求項1から14のいずれか一項に記載の複合体。
【請求項16】
抗TfR1抗体が、抗体のリジン残基またはシステイン残基への抱合を介してオリゴヌクレオチドに共有結合的に連結されている、請求項1から15のいずれか一項に記載の複合体。
【請求項17】
DMDを標的とするオリゴヌクレオチドであって、配列番号160~383のいずれか1つに対する相補性領域を含み、任意に、相補性領域が、配列番号160~383のいずれか1つと相補的な少なくとも15個の連続するヌクレオシドを含む、前記オリゴヌクレオチド。
【請求項18】
オリゴヌクレオチドが、配列番号384~831のいずれか1つの少なくとも15個の連続するヌクレオシドを含み、任意にオリゴヌクレオチドが、配列番号384~831のいずれか1つの配列を含み、ここで各チミン塩基(T)が独立しておよび任意にウラシル塩基(U)で置換されていてもよく、各Uが独立しておよび任意にTで置換されていてもよい、請求項17に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項19】
細胞にオリゴヌクレオチドを送達する方法であって、細胞を請求項1から16のいずれか一項に記載の複合体または請求項17もしくは請求項18に記載のオリゴヌクレオチドと接触させることを含む、前記方法。
【請求項20】
細胞におけるジストロフィンタンパク質の発現または活性を促進する方法であって、細胞へのオリゴヌクレオチドの内在化を促進するのに有効な量で、請求項1から16のいずれか一項に記載の複合体または請求項18もしくは請求項19に記載のオリゴヌクレオチドを細胞と接触させることを含み、任意に細胞が筋細胞である、前記方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、2021年7月9日に出願された「MUSCLE-TARGETING COMPLEXES AND USES THEREOF FOR TREATING DYSTROPHINOPATHIES」と題する米国仮出願第63/220030号に対する35 U.S.C.§119(e)の下での優先権を主張する。
【0002】
発明の分野
本出願は、分子ペイロード(例として、オリゴヌクレオチド)を細胞へ送達するための標的化複合体、およびそれらの使用、特に疾患の治療に関する使用に関する。
【0003】
電子配列表の参照
電子配列表(D082470066WO00-SEQ-COB.xml、サイズ:1,203,807バイト、作成日2022年7月7日)の内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0004】
発明の背景
ジストロフィノパチーは、ジストロフィンをコードする遺伝子の突然変異に起因する一群の異なる神経筋疾患である。ジストロフィノパチーとしては、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、ベッカー型筋ジストロフィー、およびX連鎖拡張型心筋症が挙げられる。ジストロフィンをコードするDMD遺伝子(「DMD」)は、79個のエクソンおよび約260万個の全塩基対を含む大きな遺伝子である。エキソニックフレームシフト、欠失、置換および重複突然変異などのDMDの多数の突然変異は、機能性ジストロフィンの発現を減少させることができ、ジストロフィノパチーをもたらす。ヒトDMDのエクソンを標的とするいくつかの薬剤が、米国食品医薬品局(FDA)によって承認されており、そのような薬剤としては、カシメルセン、ビルトラルセン、ゴロジルセンおよびエテプリルセンが挙げられる。このうち、エテプリルセンはエクソン51を標的とする。
【発明の概要】
【0005】
発明の概要
いくつかの側面によると、本開示は、筋細胞を、分子ペイロードをそれらの細胞へ送達することを目的として標的化する複合体、ならびにその中で使用することができる分子ペイロードを提供する。いくつかの態様において、本明細書で提供される複合体は、機能性ジストロフィンタンパク質の発現または活性を増加または回復させる分子ペイロードを送達するのに特に有用である。いくつかの態様において、複合体は、DMDエクソン51のスキッピングを促進することなどによって、インフレームのエクソンスキッピング機構または終止コドンの抑制を介して機能性ジストロフィンタンパク質の発現を促進するオリゴヌクレオチドベースの分子ペイロードを含む。いくつかの態様において、本明細書で提供される分子ペイロードは、DMDエクソン51のスキッピングなどのDMD配列におけるエクソンスキッピングを容易にするために有用である。したがって、いくつかの態様において、本明細書で提供される複合体は、分子ペイロードを筋細胞へ送達することを目的として、筋細胞の表面上の受容体へ特異的に結合する筋標的化剤(例として、筋標的化抗体)を含む。いくつかの態様において複合体は、受容体に媒介される内在化を介して細胞中へ取り入れられ、その後、分子ペイロードは細胞内部に放出されて機能を果たし得る。例えば、オリゴヌクレオチドを送達するように操作された複合体は、オリゴヌクレオチドが筋細胞における機能性ジストロフィンタンパク質の発現を(例として、DMDエクソン51のスキッピングを容易にするなどによる、エクソンスキッピング機構を介して)促進することができるようにオリゴヌクレオチドを放出し得る。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、複合体のオリゴヌクレオチドと筋標的化剤とを接続する共有結合性リンカーのエンドソーム切断によって放出される。本明細書で提供される複合体および分子ペイロードは、エクソン51のスキッピングに適した変異DMD遺伝子などの変異DMD遺伝子を有する対象を処置するために使用することができる。
【0006】
いくつかの側面によると、DMDプレ-mRNAにおいてエクソン51のスキッピングを誘導するように構成されたオリゴヌクレオチドに共有結合的に連結された抗トランスフェリン受容体1(TfR1)抗体を含む複合体が本明細書において提供され、ここで、オリゴヌクレオチドは、配列番号160~383のいずれか1つの少なくとも8個の連続するヌクレオチドと相補的である相補性領域を含む。
【0007】
いくつかの態様において、抗TfR1抗体は、
(i)配列番号33の重鎖相補性決定領域1(CDR-H1)、配列番号34の重鎖相補性決定領域2(CDR-H2)、配列番号35の重鎖相補性決定領域3(CDR-H3)、配列番号36の軽鎖相補性決定領域1(CDR-L1)、配列番号37の軽鎖相補性決定領域2(CDR-L2)および配列番号32の軽鎖相補性決定領域3(CDR-L3);
(ii)配列番号7のCDR-H1、配列番号8のCDR-H2、配列番号9のCDR-H3、配列番号10のCDR-L1、配列番号11のCDR-L2および配列番号6のCDR-L3;
(iii)配列番号7のCDR-H1、配列番号20のCDR-H2、配列番号9のCDR-H3、配列番号10のCDR-L1、配列番号11のCDR-L2および配列番号6のCDR-L3;
(iv)配列番号7のCDR-H1、配列番号24のCDR-H2、配列番号9のCDR-H3、配列番号10のCDR-L1、配列番号11のCDR-L2および配列番号6のCDR-L3;
(v)配列番号51のCDR-H1、配列番号52のCDR-H2、配列番号53のCDR-H3、配列番号54のCDR-L1、配列番号55のCDR-L2および配列番号50のCDR-L3;
(vi)配列番号64のCDR-H1、配列番号52のCDR-H2、配列番号53のCDR-H3、配列番号54のCDR-L1、配列番号55のCDR-L2および配列番号50のCDR-L3;または
(vii)配列番号67のCDR-H1、配列番号52のCDR-H2、配列番号53のCDR-H3、配列番号54のCDR-L1、配列番号55のCDR-L2および配列番号50のCDR-L3
を含む。
【0008】
いくつかの態様において、抗TfR1抗体は、
(i)配列番号76と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH);および/または配列番号75と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL);
(ii)配列番号69と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含むVH;および/または配列番号70と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含むVL;
(iii)配列番号71と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含むVH;および/または配列番号70と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含むVL;
(iv)配列番号72と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含むVH;および/または配列番号70と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含むVL;
(v)配列番号73と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含むVH;および/または配列番号74と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含むVL;
(vi)配列番号73と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含むVH;および/または配列番号75と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含むVL;
(vii)配列番号76と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含むVH;および/または配列番号74と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含むVL;
(viii)配列番号77と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含むVH;および/または配列番号78と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含むVL;
(ix)配列番号79と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含むVH;および/または配列番号80と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含むVL;または
(x)配列番号77と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含むVH;および/または配列番号80と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含むVL、
を含む。
【0009】
いくつかの態様において、抗TfR1抗体は、
(i)配列番号76のアミノ酸配列を含むVHおよび配列番号75のアミノ酸配列を含むVL;
(ii)配列番号69のアミノ酸配列を含むVHおよび配列番号70のアミノ酸配列を含むVL;
(iii)配列番号71のアミノ酸配列を含むVHおよび配列番号70のアミノ酸配列を含むVL;
(iv)配列番号72のアミノ酸配列を含むVHおよび配列番号70のアミノ酸配列を含むVL;
(v)配列番号73のアミノ酸配列を含むVHおよび配列番号74のアミノ酸配列を含むVL;
(vi)配列番号73のアミノ酸配列を含むVHおよび配列番号75のアミノ酸配列を含むVL;
(vii)配列番号76のアミノ酸配列を含むVHおよび配列番号74のアミノ酸配列を含むVL;
(viii)配列番号77のアミノ酸配列を含むVHおよび配列番号78のアミノ酸配列を含むVL;
(ix)配列番号79のアミノ酸配列を含むVHおよび配列番号80のアミノ酸配列を含むVL;または
(x)配列番号77のアミノ酸配列を含むVHおよび配列番号80のアミノ酸配列を含むVL、
を含む。
【0010】
いくつかの態様において、抗TfR1抗体は、Fabフラグメント、Fab'フラグメント、F(ab')2フラグメント、scFv、Fvフラグメント、または完全長IgGであってもよい。
【0011】
いくつかの態様において、抗TfR1抗体は、Fabフラグメントである。
【0012】
いくつかの態様において抗TfR1抗体は、
(i)配列番号101と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む重鎖;および/または配列番号90と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖;
(ii)配列番号97と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む重鎖;および/または配列番号85と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖;
(iii)配列番号98と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む重鎖;および/または配列番号85と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖;
(iv)配列番号99と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む重鎖;および/または配列番号85と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖;
(v)配列番号100と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む重鎖;および/または配列番号89と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖;
(vi)配列番号100と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む重鎖;および/または配列番号90と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖;
(vii)配列番号101と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む重鎖;および/または配列番号89と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖;
(viii)配列番号102と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む重鎖;および/または配列番号93と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖;
(ix)配列番号103と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む重鎖;および/または配列番号95と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖;または
(x)配列番号102と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む重鎖;および/または配列番号95と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖、
を含む。
【0013】
いくつかの態様において、抗TfR1抗体は、
(i)配列番号101のアミノ酸配列を含む重鎖;および配列番号90のアミノ酸配列を含む軽鎖;
(ii)配列番号97のアミノ酸配列を含む重鎖;および配列番号85のアミノ酸配列を含む軽鎖;
(iii)配列番号98のアミノ酸配列を含む重鎖;および配列番号85のアミノ酸配列を含む軽鎖;
(iv)配列番号99のアミノ酸配列を含む重鎖;および配列番号85のアミノ酸配列を含む軽鎖;
(v)配列番号100のアミノ酸配列を含む重鎖;および配列番号89のアミノ酸配列を含む軽鎖;
(vi)配列番号100のアミノ酸配列を含む重鎖;および配列番号90のアミノ酸配列を含む軽鎖;
(vii)配列番号101のアミノ酸配列を含む重鎖;および配列番号89のアミノ酸配列を含む軽鎖;
(viii)配列番号102のアミノ酸配列を含む重鎖;および配列番号93のアミノ酸配列を含む軽鎖;
(ix)配列番号103のアミノ酸配列を含む重鎖;および配列番号95のアミノ酸配列を含む軽鎖;または
(x)配列番号102のアミノ酸配列を含む重鎖;および配列番号95のアミノ酸配列を含む軽鎖、
を含む。
【0014】
いくつかの態様において、抗TfR1抗体は、トランスフェリン受容体1のトランスフェリン結合部位に特異的に結合せず、かつ/または抗TfR1抗体は、トランスフェリン受容体1へのトランスフェリンの結合を阻害しない。
【0015】
いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、DMDプレ-mRNAのスプライシング特徴の少なくとも4個の連続するヌクレオチドに対する相補性領域を含む。
【0016】
いくつかの態様において、スプライシング特徴は、DMDプレ-mRNAのエクソン51中のエクソンスプライシングエンハンサー(ESE)であり、任意に、ESEは配列番号860~894のいずれか一つの配列を含む。
【0017】
いくつかの態様において、スプライシング特徴は、分岐点、スプライスドナー部位またはスプライスアクセプター部位であり、任意に、スプライシング特徴は、DMDプレ-mRNAのエクソン50とイントロン50との接合部に跨って、イントロン50の中に、イントロン50とエクソン51との接合部に跨って、エクソン51とイントロン51との接合部に跨って、イントロン51の中に、またはイントロン51とエクソン52との接合部に跨って存在しており、さらに任意に、スプライシング特徴は、配列番号855~859および895~898のいずれか1つの配列を含む。
【0018】
いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、配列番号160~383のいずれか1つに相補的な配列を含むか、または配列番号384~831のいずれか1つの配列を含み、ここで各チミン塩基(T)は、独立しておよび任意にウラシル塩基(U)で置き換えられていてもよく、各Uは、独立しておよび任意にTで置き換えられていてもよい。
【0019】
いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、1つ以上のホスホロジアミダートモルホリノを含み、任意に、オリゴヌクレオチドはホスホロジアミダートモルホリノオリゴマー(PMO)である。
【0020】
いくつかの態様において、抗TfR1抗体は、切断可能なリンカーを介してオリゴヌクレオチドに共有結合的に連結されており、任意に、切断可能なリンカーは、バリン-シトルリン配列を含む。
【0021】
いくつかの態様において、抗TfR1抗体は、抗体のリジン残基またはシステイン残基への抱合を介してオリゴヌクレオチドに共有結合的に連結される。
【0022】
いくつかの側面によると、DMDを標的とするオリゴヌクレオチドが本明細書で提供され、ここで、オリゴヌクレオチドは、配列番号160~383のいずれか1つに対する相補性領域を含み、任意に、相補性領域は、配列番号160~383のいずれか1つと相補的な少なくとも15個の連続するヌクレオシドを含む。
【0023】
いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、配列番号384~831のいずれか1つの少なくとも15個の連続するヌクレオシドを含み、任意に、オリゴヌクレオチドは、配列番号384~831のいずれか1つの配列を含み、式中、各チミン塩基(T)は、独立しておよび任意にウラシル塩基(U)で置換されていてもよく、各Uは、独立しておよび任意にTで置換されていてもよい。
【0024】
いくつかの側面によると、オリゴヌクレオチドを細胞に送達する方法が本明細書で提供され、本方法は、細胞を本明細書に開示される複合体または本明細書に開示されるオリゴヌクレオチドと接触させることを含む。
【0025】
いくつかの側面によると、細胞におけるジストロフィンタンパク質の発現または活性を促進する方法が本明細書で提供され、本方法は、細胞を、細胞へのオリゴヌクレオチドの内在化促進するのに有効な量で本明細書に開示される複合体または本明細書に開示されるオリゴヌクレオチドと接触させることを含み、任意に、細胞は筋細胞である。
【0026】
いくつかの態様において、対象は、エクソン51のスキッピングに適したDMD遺伝子を有する。
【0027】
いくつかの態様において、DMDタンパク質は、切断型DMDタンパク質である。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】
図1は、DMDエクソンスキッピングオリゴヌクレオチドへ抱合された抗TfR1 Fab(3M12 VH4/Vκ3)を含有する抱合体が、デュシェンヌ型筋ジストロフィー患者の筋管において、ネイキッドDMDエクソンスキッピングオリゴと比較してエクソンスキッピングが増進したことを示すデータを示す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
発明の詳細な説明
本開示の側面は、ある分子ペイロード(例として、オリゴヌクレオチド、ペプチド、小分子)が筋細胞に有益な効果を有し得るものの、かかる細胞を効果的に標的化することは困難であることが証明されているという認識に関する。したがって、本明細書に記載のとおり、本開示は、かかる課題を克服するために、分子ペイロード共有結合的に連結された筋標的化剤を含む複合体を提供する。いくつかの態様において、複合体は、ジストロフィンタンパク質(例として、切断型ジストロフィンタンパク質)またはDMD(例として、変異DMD対立遺伝子)の発現または活性を調節する(例として、促進する)分子ペイロードを送達するために特に有用である。いくつかの態様において、本明細書で提供される複合体は、インフレームのエクソンスキッピングおよび/または未成熟終止コドンの抑制を促進するなどによって、ジストロフィンタンパク質またはDMDの発現および活性を促進するオリゴヌクレオチドを含み得る。例えば、複合体は、エクソン51のスキッピングを誘導するオリゴヌクレオチドなどの、DMD RNA(例として、プレ-mRNA)のエクソン(単数または複数)のスキッピングを誘導するオリゴヌクレオチドを含み得る。いくつかの態様において、ジストロフィンタンパク質またはDMDの正常な発現および活性を促進する1つ以上のタンパク質を発現する合成核酸ペイロード(例として、DNAまたはRNAペイロード)を使用することができる。
【0030】
デュシェンヌ筋型ジストロフィーは、Xp21上に位置するDMD遺伝子における1つ以上の変異によって引き起こされるX連鎖性筋障害である。ジストロフィンタンパク質は、典型的には、筋肉腫においてジストロフィン関連糖タンパク質複合体(DGC)を形成し、これは、筋肉腫構造を細胞外マトリックスに連結し、収縮誘発性損傷から筋肉腫を保護する。デュシェンヌ型筋ジストロフィーの患者には、ジストロフィンタンパク質は一般に存在せず、典型的には、筋線維は機械的な過剰緊張のために損傷する。DMD遺伝子の突然変異は、翻訳リーディングフレームが失われているか維持されているかに応じて、2つのタイプの筋ジストロフィーである、デュシェンヌ型筋ジストロフィーおよびベッカー型筋ジストロフィーに関連する。ベッカー型筋ジストロフィーは、デュシェンヌ型筋ジストロフィーの臨床的に軽度の形態であり、デュシェンヌ型筋ジストロフィーに類似した特徴を特徴とする。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチド(例として、本明細書で提供される複合体を使用して送達されるオリゴヌクレオチド)によって誘導されるエクソンスキッピングを使用して、変異DMD対立遺伝子のリーディングフレームを回復させ、筋機能を改善するのに充分に機能的な切断型ジストロフィンタンパク質の産生をもたらすことができる。いくつかの態様において、そのようなエクソンスキッピングは、デュシェンヌ筋型ジストロフィー表現型をより軽度のベッカー型筋ジストロフィー表現型に変換する。
【0031】
定義された用語の説明を含む本開示のさらなる態様は、以下に提供される。
【0032】
I.定義
投与する(施す)こと:本明細書で使用される場合、用語「投与する(施す)こと」または「投与(施し)」は、生理学的におよび/または(例として、および)薬理学的に有用なやり方で対象へ複合体を提供すること(例として、対象における疾病を処置すること)を意味する。
【0033】
およそ:本明細書で使用される場合、用語「およそ」または「約」は、目的の1つ以上の値へ適用されるとき、規定された参照値と類似の値を指す。ある態様において、用語「およそ」または「約」は、別様に述べられない限りまたは文脈から明らかでない限り(かかる数字が実行可能な値の100%を超える場合を除く)、規定された参照値のプラスマイナス(超または未満)の15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、またはこれ未満に収まる広範な値を指す。
【0034】
抗体:本明細書で使用される場合、用語「抗体」は、少なくとも1つの免疫グロブリン可変ドメインまたは少なくとも1つの抗原決定基、例として、抗原へ特異的に結合するパラトープを包含するポリペプチドを指す。いくつかの態様において、抗体は、完全長の抗体である。いくつかの態様において、抗体は、キメラ抗体である。いくつかの態様において、抗体は、ヒト化抗体である。ただし、いくつかの態様において、抗体は、Fabフラグメント、Fab'フラグメント、F(ab')2フラグメント、Fvフラグメント、またはscFvフラグメントである。いくつかの態様において、抗体は、ラクダ科の動物の抗体に由来するナノボディ、またはサメ抗体に由来するナノボディである。いくつかの態様において、抗体は、二重特異性抗体である。いくつかの態様において、抗体は、ヒト生殖細胞系配列を有するフレームワークを含む。別の態様において、抗体は、IgG、IgG1、IgG2、IgG2A、IgG2B、IgG2C、IgG3、IgG4、IgA1、IgA2、IgD、IgM、およびIgEの定常領域からなる群から選択される重鎖定常領域を含む。いくつかの態様において、抗体は、重(H)鎖可変領域(本明細書ではVHと略される)、および/または(例として、および)、軽(L)鎖可変領域(本明細書ではVLと略される)を含む。いくつかの態様において、抗体は、定常領域、例としてFc領域を含む。免疫グロブリン定常領域は、重鎖または軽鎖定常領域を指す。ヒトIgG重鎖および軽鎖定常領域アミノ酸配列およびそれらの機能的バリエーションは知られている。重鎖に関し、いくつかの態様において、本明細書に記載の抗体の重鎖は、アルファ(α)、デルタ(Δ)、イプシロン(ε)、ガンマ(γ)、またはミュー(μ)重鎖であり得る。いくつかの態様において、本明細書に記載の抗体の重鎖は、ヒトのアルファ(α)、デルタ(Δ)、イプシロン(ε)、ガンマ(γ)、またはミュー(μ)重鎖を含み得る。具体的な態様において、本明細書に記載の抗体は、ヒトのガンマ1 CH1ドメイン、CH2ドメイン、および/または(例として、および)、CH3ドメインを含む。いくつかの態様において、VHドメインのアミノ酸配列は、ヒトガンマ(γ)重鎖定常領域のアミノ酸配列、例えば当該技術分野において知られているいずれの配列も含む。ヒト定常領域配列の非限定例は当該技術分野において記載されており、例として、米国特許第5,693,780号および上記のKabat E A et al.,(1991)を参照されたい。いくつかの態様において、VHドメインは、本明細書で提供される可変鎖定常領域のいずれかと少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、または少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、抗体は修飾されている(例として、グリコシル化、リン酸化、SUMO化、および/または(例として、および)、メチル化を介して修飾されている)。いくつかの態様において、抗体は、1個以上の糖または炭水化物分子へ抱合されたグリコシル化抗体である。いくつかの態様において、1個以上の糖または炭水化物分子は、N-グリコシル化、O-グリコシル化、C-グリコシル化、グリピエーション(GPIアンカー付着)、および/または(例として、および)、ホスホグリコシル化を介して、抗体へ抱合されている。いくつかの態様において、1個以上の糖または炭水化物分子は、単糖類、二糖類、オリゴ糖類、またはグリカンである。いくつかの態様において、1個以上の糖または炭水化物分子は、分枝オリゴ糖類または分枝グリカンである。いくつかの態様において、1個以上の糖または炭水化物分子は、マンノース単位、グルコース単位、N-アセチルグルコサミン単位、N-アセチルガラクトサミン単位、ガラクトース単位、フコース単位、またはホスホ脂質単位を包含する。いくつかの態様において、抗体は、リンカーポリペプチドまたは免疫グロブリン定常領域へ連結された本開示の1個以上の抗原結合性フラグメントを含むポリペプチドを含む構築物である。リンカーポリペプチドは、ペプチド結合によって結び合わされた2個以上のアミノ酸残基を含み、1つ以上の抗原結合部と連結させるために使用される。リンカーポリペプチドの例は報告されている(例として、Holliger,P.,et al.(1993)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:6444-6448;Poljak,R.J.,et al.(1994)Structure 2:1121-1123を参照されたい)。またさらに、抗体は、1以上の他のタンパク質またはペプチドと、抗体もしくは抗体部分との共有結合または非共有結合の結び付きによって形成される、より大きな免疫接着分子の一部であってもよい。かかる免疫接着分子の例は、四量体scFv分子を作製するためのストレプトアビジンコア領域の使用(Kipriyanov,S.M.,et al.(1995)Human Antibodies and Hybridomas 6:93-101)、ならびに二価のビオチン化されたscFv分子を作製するためのシステイン残基、マーカーペプチド、およびC末端ポリヒスチジンタグの使用(Kipriyanov,S.M.,et al.(1994)Mol.Immunol.31:1047-1058)を包含する。
【0035】
分岐点:本明細書で使用される場合、「分岐点」または「分岐部位」という用語は、プレ-mRNAのmRNAへのスプライシング(すなわち、プレ-mRNAからイントロンを除去すること)に関与する遺伝子またはプレ-mRNAのイントロン内の核酸配列モチーフを指し、スプライシング特徴と呼ぶことができる。分岐点は、典型的には、イントロンの3'末端から18から40個目のヌクレオチドに位置し、アデニンを含有するが、それ以外の点では配列の制約は比較的ない。分岐点の一般的な配列モチーフは、YNYYRAY、YTRAC、およびYNYTRAYであり、ここでYはピリミジンであり、Nは任意のヌクレオチドであり、Rは任意のプリンであり、Aはアデニンである。スプライシングの間、プレ-mRNAはイントロンの5'末端で切断され、次いで、5'末端および分岐点からそれぞれグアニンとアデニンとの間のエステル交換結合を介して下流の分岐点領域に結合し、ループ状ラリアート構造を形成する。
【0036】
CDR:本明細書で使用される場合、用語「CDR」は、抗体可変配列内の相補性決定領域を指す。典型的な抗体分子は、重鎖可変領域(VH)および軽鎖可変領域(VL)を含み、これらは通常、抗原結合に関与する。VHおよびVL領域は、「フレームワーク領域」(「FR」)として知られるより保存された領域が散在する、「相補性決定領域」(「CDR」)としても知られる超可変領域にさらに細分することができる。各VHおよびVLは、典型的には、アミノ末端からカルボキシ末端に向かって以下の順序、FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4で配置された3つのCDRおよび4つのFRで構成される。フレームワーク領域およびCDRの範囲は、当技術分野で公知の方法論を使用して、例えば、Kabat定義、IMGT定義、Chothia定義、AbM定義、および/または(例として、および)接触定義によって正確に同定され得、これらはすべて当技術分野で周知である。例として、Kabat,E.A.,et al.(1991)Sequences of Proteins of Immunological Interest,Fifth Edition,U.S.Department of Health and Human Services,NIH Publication No.91-3242;IMGT(登録商標),the international ImMunoGeneTics information system(登録商標)www.imgt.org,Lefranc,M.-P.et al.,Nucleic Acids Res.,27:209-212(1999);Ruiz,M.et al.,Nucleic Acids Res.,28:219-221(2000);Lefranc,M.-P.,Nucleic Acids Res.,29:207-209(2001);Lefranc,M.-P.,Nucleic Acids Res.,31:307-310(2003);Lefranc,M.-P.et al.,In Silico Biol.,5,0006(2004)[Epub],5:45-60(2005);Lefranc,M.-P.et al.,Nucleic Acids Res.,33:D593-597(2005);Lefranc,M.-P.et al.,Nucleic Acids Res.,37:D1006-1012(2009);Lefranc,M.-P.et al.,Nucleic Acids Res.,43:D413-422(2015);Chothia et al.,(1989)Nature 342:877;Chothia,C.et al.(1987)J.Mol.Biol.196:901-917,Al-lazikani et al(1997)J.Molec.Biol.273:927-948;およびAlmagro,J.Mol.Recognit.17:132-143(2004)を参照されたい。bioinf.org.uk/absも参照されたい。本明細書で使用される場合、CDRは、当技術分野で公知の任意の方法によって定義されるCDRを指し得る。同じCDRを有する2つの抗体は、同じ方法、例えば、IMGT定義によって決定される場合、2つの抗体がそのCDRの同じアミノ酸配列を有することを意味する。
【0037】
重鎖および軽鎖の可変領域の各々において3つのCDRがあり、これらは可変領域の各々につきCDR1、CDR2、およびCDR3と指定される。用語「CDRセット」は、本明細書に使用されるとき、抗原に結合することが可能な単一の可変領域に生じる3つのCDRの一群を指す。これらのCDRの厳密な境界は、種々の系に従い異なって定義されている。Kabat(Kabat et al.,Sequence of Proteins of Immunological Interest(国立衛生研究所,Bethesda,Md.(1987)および(1991))によって記載される系は、抗体のいずれの可変領域へも適用可能な一義的な残基ナンバリング系を提供するのみならず、3つのCDRを定義する正確な残基境界をも提供する。これらのCDRは、Kabat CDRと称されることもある。CDRの下位部(Sub-portions)は、L1、L2、およびL3、またはH1、H2、およびH3と指定されることがあり、ここで「L」および「H」は夫々、軽鎖および重鎖領域を指定する。これらの領域は、Kabat CDRと重複する境界を有するChothia CDRと称されることもある。Kabat CDRと重複するCDRを定義する他の境界は、Padlan(FASEB J.9:133-139(1995))およびMacCallum(J Mol Biol 262(5):732-45(1996))によって記載されている。さらに他のCDR境界定義は、上の系の1つに厳重に従わなくてもよいが、それでもなおKabat CDRと重複することがあり、具体的な残基もしくは残基の群またはCDR全体でさえも抗原結合に有意に影響を及ぼすものではないという予測あるいは実験的知見を踏まえ、それらは短縮または伸長されてもよい。本明細書で使用される方法は、これらの系のいずれかに従って定義されたCDRを利用してもよい。CDR定義系の例が表1に示される。
【表1】
【0038】
CDR接合(-grafted)抗体:用語「CDR接合抗体」は、マウス重鎖および軽鎖可変領域を有するがマウスCDRの1つ以上(例として、CDR3)がヒトCDR配列に置き換えられている抗体などの、ある種からの重鎖および軽鎖可変領域配列を含むが、そのVHおよび/または(例として、および)VLのCDR領域の1つ以上の配列が別の種のCDR配列に置き換えられている抗体を指す。
【0039】
キメラ抗体:用語「キメラ抗体」は、ヒト定常領域へ連結されたマウス重鎖および軽鎖可変領域を有する抗体などの、ある種からの重鎖および軽鎖可変領域配列と別の種からの定常領域配列を含む抗体を指す。
【0040】
相補的:本明細書で使用される場合、用語「相補的」は、2つのヌクレオシド間または2組のヌクレシシド間の正確な対形成のための能力を指す。とりわけ、相補的は、2ヌクレオシド間または2組のヌクレオシド間に結合をもたらす水素結合対形成の程度を特徴付ける用語である。例えば、ある位置のオリゴヌクレオチドの塩基が、対応する位置の標的核酸(例として、mRNA)の塩基と水素結合することが可能である場合、そのとき塩基は、その位置にて互いに相補的であると見なされる。塩基対合は、標準的なWatson-Crick塩基対合と非Watson-Crick塩基対合(例として、Wobble塩基対合およびHoogsteen塩基対合)との両方を包含してもよい。例えば、いくつかの態様において、相補的な塩基対合として、アデノシン型塩基(A)は、チミジン型塩基(T)またはウラシル型塩基(U)に相補的であり、シトシン型塩基(C)は、グアノシン型塩基(G)に相補的であり、3-ニトロピロールまたは5-ニトロインドールなどのユニバーサル塩基は、いずれのA、C、U、またはTとハイブリダイズし得る。イノシン(I)はまた、当該技術分野においてユニバーサル塩基であるとも見なされており、いずれのA、C、U、またはTに相補的であると見なされる。
【0041】
保存アミノ酸置換:本明細書で使用される場合、「保存アミノ酸置換」は、アミノ酸置換がなされたタンパク質の相対的な電荷またはサイズの特徴を変更しないアミノ酸置換を指す。バリアントは、当業者に知られているポリペプチド配列を変更するための方法に従って調製され得、例えば、かかる方法をまとめた参考文献、例として、Molecular Cloning:A Laboratory Manual,J.Sambrook,et al.,eds.,Fourth Edition,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,New York,2012、またはCurrent Protocols in Molecular Biology,F.M.Ausubel,et al.,eds.,John Wiley&Sons,Inc.,New Yorkから見出される。アミノ酸の保存的置換は、以下の群:(a)M、I、L、V;(b)F、Y、W;(c)K、R、H;(d)A、G;(e)S、T;(f)Q、N;および(g)E、D内のアミノ酸に対してなされる置換を包含する。
【0042】
共有結合的に連結された:本明細書で使用される場合、用語「共有結合的に連結された」は、少なくとも1個の共有結合を介して一緒に連結されている2個以上の分子の特徴を指す。いくつかの態様において、2個の分子は一緒に、分子間リンカーとして働く単結合(例として、ジスルフィド結合またはジスルフィド架橋)によって共有結合的に連結され得る。しかしながら、いくつかの態様において、複数の共有結合を通して2個以上の分子を一緒に結び合わせるリンカーとして働く分子を介して、2個以上の分子は一緒に、共有結合的に連結され得る。いくつかの態様において、リンカーは、切断可能なリンカーであってもよい。しかしながら、いくつかの態様において、リンカーは、切断不能なリンカーであってもよい。
【0043】
交差反応すること:本明細書で使用される場合、および標的化剤(例として、抗体)の文脈において、用語「交差反応すること」は、同様のタイプまたはクラスの1種より多くの抗原(例として、複数のホモログ、パラログ、もしくはオルソログの抗原)へ、同様の親和性または結合活性で特異的に結合することが可能な剤の特性を指す。例えば、いくつかの態様において、同様のタイプまたはクラスのヒトおよび霊長目の非ヒト動物の抗原(例として、ヒトトランスフェリン受容体および霊長目の非ヒト動物のトランスフェリン受容体)に対して交差反応する抗体は、ヒト抗原および霊長目の非ヒト動物の抗原へ、同様の親和性または結合活性で結合することが可能である。いくつかの態様において、抗体は、同様のタイプまたはクラスのヒト抗原および齧歯類動物抗原に対して交差反応する。いくつかの態様において、抗体は、同様のタイプまたはクラスの齧歯類動物の抗原および霊長目の非ヒト動物の抗原に対して交差反応する。いくつかの態様において、抗体は、同様のタイプまたはクラスのヒト抗原、霊長目の非ヒト動物の抗原、および齧歯類動物の抗原に対して交差反応する。
【0044】
DMD:本明細書で使用される場合、「DMD」という用語は、筋細胞、特に筋線維の内部細胞骨格と細胞外マトリックスを架橋するジストロフィン-糖タンパク質複合体の重要な成分である、ジストロフィンタンパク質をコードする遺伝子を指す。DMDにおける欠失、重複および点変異は、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、ベッカー型筋ジストロフィーまたは心筋症などのジストロフィノパチーを引き起こし得る。代替的なプロモーター使用および代替的なスプライシングは、この遺伝子について多数の異なる転写変異体およびタンパク質アイソフォームをもたらす。いくつかの態様において、ジストロフィン遺伝子(DMDまたはDMD遺伝子)は、ヒト(遺伝子ID:1756)、非ヒト霊長類(例として、遺伝子ID:465559)、または齧歯類遺伝子(例として、遺伝子ID:13405、遺伝子ID:24907)であり得る。さらに、異なるタンパク質アイソフォームをコードする複数のヒト転写バリアント(例として、GenBank RefSeqアクセッション番号NM_000109.3、NM_004006.2、NM_004009.3、NM_004010.3、およびNM_004011.3で注釈が付けられている)がキャラクタライズされている。
【0045】
DMD対立遺伝子:本明細書で使用される場合、用語「DMD対立遺伝子」は、DMD遺伝子の代替形態(例として、野生型または変異型)のいずれか1つを指す。いくつかの態様において、DMD対立遺伝子は、その正常および典型的な機能を保持するジストロフィンをコードし得る。いくつかの態様において、DMD対立遺伝子は、筋ジストロフィーをもたらす1つ以上の突然変異を含み得る。デュシェンヌ型筋ジストロフィーをもたらす一般的な突然変異には、ジストロフィン対立遺伝子に存在する79個のエクソン、例として、エクソン8、エクソン23、エクソン41、エクソン44、エクソン45、エクソン50、エクソン51、エクソン52、エクソン53またはエクソン55のうちの1つ以上のフレームシフト、欠失、置換および重複突然変異が含まれる。DMD変異のさらなる例は、例えば、Flanigan KM et al.,Mutational spectrum of DMD mutations in dystrophinopathy patients:application of modern diagnostic techniques to a large cohort.Hum Mutat.2009 Dec;30(12):1657-66に開示されており、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0046】
ジストロフィノパチー:本明細書で使用される場合、「ジストロフィノパチー」という用語は、1つ以上の変異DMD対立遺伝子に起因する筋疾患を指す。ジストロフィノパチーとしては、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、ベッカー型筋ジストロフィー、およびDMD関連拡張型心筋症(DCM)などの状態のスペクトラム(軽度から重度の範囲)が挙げられる。いくつかの態様において、スペクトラムの一端で、ジストロフィノパチーは、クレアチンホスホキナーゼ(CK)の血清濃度の無症候性増加および/または(例として、および)ミオグロビン尿症を伴う筋痙攣と表現型的に関連する。いくつかの態様において、スペクトラムの他端で、ジストロフィノパチーは、骨格筋が主に罹患している場合にはデュシェンヌ型またはベッカー型筋ジストロフィーとして、心臓が主に罹患している場合にはDMD関連拡張型心筋症(DCM)として一般に分類される進行性筋疾患に表現型的と関連する。デュシェンヌ筋型ジストロフィーの症状としては、筋肉の喪失または変性、筋機能の低下、舌およびふくらはぎの筋肉の偽肥大、神経学的異常のより高いリスク、および寿命の短縮が挙げられる。デュシェンヌ筋型ジストロフィーは、Online Mendelian Inheritance in Man(OMIM)Entry#310200に関連付けられている。ベッカー型筋ジストロフィーは、OMIM Entry#300376に関連付けられている。拡張型心筋症は、OMIM Entry X#302045に関連付けられている。
【0047】
エクソンスプライシングエンハンサー(ESE):本明細書で使用される場合、「エクソンスプライシングエンハンサー」または「ESE」という用語は、例として、参照により本明細書に組み込まれるBlencowe et al.,Trends Biochem Sci 25,106-10.(2000)に記載されているように、mRNAへのプレ-mRNAのスプライシングを指示または増強する遺伝子、プレ-mRNA、またはmRNAのエクソン内の核酸配列モチーフを指す。ESEはスプライシング特徴と呼ばれる場合がある。ESEは、例えば、遺伝子転写物から1つ以上のイントロンおよび/または1つ以上のエクソンを除去するためにスプライシングを指示または増強し得る。ESEモチーフは、典型的には、6~8個の核酸塩基長である。SRタンパク質(例として、遺伝子SRSF1、SRSF2、SRSF3、SRSF4、SRSF5、SRSF6、SRSF7、SRSF8、SRSF9、SRSF10、SRSF11、SRSF12、TRA2AまたはTRA2Bによってコードされるタンパク質)は、それらのRNA認識モチーフ領域を介してESEに結合してスプライシングを促進する。ESEモチーフは、参照により本明細書に組み込まれる、Cartegni et al.,Nucleic Acids Research,2003,Vol.31,No.13,3568-3571に記載されているものなどの、いくつかの方法によって同定することができる。
【0048】
フレームワーク:本明細書で使用される場合、用語「フレームワーク」または「フレームワーク配列」は、CDRを差し引いた可変領域の残りの配列を指す。CDR配列の厳密な定義が種々の系によって決定され得ることから、フレームワーク配列の意味は、相応に異なる解釈に依存する。6つのCDR(軽鎖のCDR-L1、CDR-L2、およびCDR-L3、ならびに重鎖のCDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3)もまた、軽鎖および重鎖上のフレームワーク領域を各鎖上の4つの下位領域(FR1、FR2、FR3、およびFR4)に分け、ここでCDR1はFR1とFR2との間に、CDR2はFR2とFR3との間に、CDR3はFR3とFR4との間に位置付けられる。具体的な下位領域をFR1、FR2、FR3、またはFR4と特定することなく、フレームワーク領域が他によって言及されるとき、天然に存在する単一の免疫グロブリン鎖の可変領域内の組み合わされたFR(複数)を表す。本明細書に使用されるとき、FRは4つの下位領域のうち1つを表し、FR(複数)はフレームワーク領域を含有する4つの下位領域のうち2つ以上を表す。ヒト重鎖および軽鎖アクセプター配列は、当該技術分野において知られている。一態様においてでは、当該技術分野において知られているアクセプター配列は、本明細書に開示の抗体に使用されていてもよい。
【0049】
ヒト抗体:用語「ヒト抗体」は、本明細書で使用される場合、ヒト生殖細胞系免疫グロブリン配列に由来する可変領域および定常領域を有する抗体を包含することが意図される。本開示のヒト抗体は、例えば、CDR、とりわけCDR3において、ヒト生殖細胞系免疫グロブリン配列によってコードされないアミノ酸残基(例として、in vitroでのランダム変異誘発もしくは部位特異的変異誘発によってか、またはin vivoでの体細胞変異によって導入された変異)を包含していてもよい。しかしながら、用語「ヒト抗体」は、本明細書に使用されるとき、マウスなどの別の哺乳動物種の生殖細胞系列に由来するCDR配列がヒトフレームワーク配列上へ接合された抗体を包含することは意図されない。
【0050】
ヒト化抗体:用語「ヒト化抗体」は、非ヒト種(例として、マウス)からの重鎖および軽鎖の可変領域配列を含むが、VH配列および/または(例として、および)VL配列の少なくとも一部がより「ヒト様」に、すなわち、ヒト生殖細胞系可変配列とより同様なものに変更された抗体を指す。ヒト化抗体のあるタイプは、ヒトCDR配列が非ヒトVHおよびVL配列上へ導入されて対応する非ヒトCDR配列と置き換えられたCDR接合抗体である。一態様において、ヒト化された抗TfR1抗体および抗原結合部分が提供される。かかる抗体は、既存のハイブリドーマ技術、これに続くin vitroの遺伝子工学を使用するヒト化(Kasaianらの国際公開第2005/123126号に開示されたものなど)を使用してマウス抗TfR1モノクローナル抗体を得ることによって生成され得る。
【0051】
内在化する細胞表面受容体:本明細書で使用される場合、用語「内在化する細胞表面受容体」は、例として、外部刺激(例として、受容体に結合するリガンド)の際、細胞によって内在化される細胞表面受容体を指す。いくつかの態様において、内在化する細胞表面受容体は、エンドサイトーシスによって内在化される。いくつかの態様において、内在化する細胞表面受容体は、クラスリン媒介エンドサイトーシスによって内在化される。しかしながら、いくつかの態様において、内在化する細胞表面受容体は、クラスリンに依存しない経路、例えば、食作用、マクロピノサイトーシス、カベオラ-およびラフト-媒介取り込み、またはクラスリンに依存しない構成的エンドサイトーシスなどによって内在化される。いくつかの態様において、内在化する細胞表面受容体は、細胞内ドメイン、膜貫通ドメイン、および/または(例として、および)、細胞外ドメインを含み、これらは任意にさらにリガンド結合ドメインを含む。いくつかの態様において、細胞表面受容体は、リガンド結合後に細胞によって内在化されるようになる。いくつかの態様において、リガンドは、筋標的化剤または筋標的化抗体であってもよい。いくつかの態様において、内在化する細胞表面受容体は、トランスフェリン受容体である。
【0052】
単離された抗体:「単離された抗体」は、本明細書で使用される場合、異なる抗原特異性を有する他の抗体が実質的にない抗体を指すことが意図される(例として、トランスフェリン受容体に特異的に結合する単離された抗体は、トランスフェリン受容体以外の抗原に特異的に結合する抗体が実質的にない)。しかしながら、トランスフェリン受容体複合体に特異的に結合する単離された抗体は、他の種からのトランスフェリン受容体分子などの他の抗原への交差反応性を有していてもよい。その上、単離された抗体は、他の細胞の材料および/または(例として、および)化学物質が実質的になくてもよい。
【0053】
Kabatナンバリング:用語「Kabatナンバリング」、「Kabat定義」、および「Kabat標識化」は、本明細書では互換的に使用される。これらの用語は、当該技術分野において認識されているが、抗体またはその抗原結合部分の重鎖および軽鎖可変領域中の他のアミノ酸残基より可変(すなわち、超可変)であるアミノ酸残基をナンバリングする系を指す(Kabat et al.(1971)Ann.NY Acad,Sci.190:382-391および、Kabat,E.A.,et al.(1991)Sequences of Proteins of Immunological Interest,Fifth Edition,U.S.Department of Health and Human Services,NIH Publication No.91-3242)。重鎖可変領域において、超可変領域は、CDR1につきアミノ酸位置31~35、CDR2につきアミノ酸位置50~65、およびCDR3につきアミノ酸位置95~102に及ぶ。軽鎖可変領域において、超可変領域は、CDR1につきアミノ酸位置24~34、CDR2につきアミノ酸位置50~56、およびCDR3につきアミノ酸位置89~97に及ぶ。
【0054】
分子ペイロード:本明細書で使用される場合、用語「分子ペイロード」は、生物学的結果(biological outcome)をモジュレートするよう機能する分子または種を指す。いくつかの態様において、分子ペイロードは、筋標的化剤へ連結されているか、または別様に結び付けられている。いくつかの態様において、分子ペイロードは、小分子、タンパク質、ペプチド、核酸、またはオリゴヌクレオチドである。いくつかの態様において、分子ペイロードは、DNA配列の転写をモジュレートするよう、タンパク質の発現をモジュレートするよう、またはタンパク質の活性をモジュレートするよう機能する。いくつかの態様において、分子ペイロードは、標的遺伝子に対する相補性領域を有する鎖を含むオリゴヌクレオチドである。
【0055】
筋標的化剤:本明細書で使用される場合、用語「筋標的化剤」は、筋細胞上に発現されている抗原へ特異的に結合する分子を指す。筋細胞中または筋細胞上の抗原は、膜タンパク質、例えば、内在性膜タンパク質または表在性膜タンパク質であってもよい。典型的には、筋標的化剤は、筋細胞中への筋標的化剤(および結び付けられたいずれかの分子ペイロード)の内在化を容易にさせる筋細胞上の抗原へ特異的に結合する。いくつかの態様において筋標的化剤は、筋肉上の内在化する細胞表面受容体へ特異的に結合し、受容体媒介内在化を通して筋細胞中へ内在化されることが可能である。いくつかの態様において、筋標的化剤は、小分子、タンパク質、ペプチド、核酸(例として、アプタマー)、または抗体である。いくつかの態様において、筋標的化剤は、分子ペイロードへ連結されている。
【0056】
筋標的化抗体:本明細書で使用される場合、用語「筋標的化抗体」は、筋細胞中または筋細胞上に見出される抗原へ特異的に結合する抗体である筋標的化剤を指す。いくつかの態様において、筋標的化抗体は、筋細胞中への筋標的化抗体(および結び付けられたいずれかの分子ペイロード)の内在化を容易にする筋細胞上の抗原へ特異的に結合する。いくつかの態様において、筋標的化抗体は、筋細胞上に存在する、内在化する細胞表面受容体へ特異的に結合する。いくつかの態様において、筋標的化抗体は、トランスフェリン受容体へ特異的に結合する抗体である。
【0057】
オリゴヌクレオチド:本明細書で使用される場合、用語「オリゴヌクレオチド」は、最大で200ヌクレオチド長のオリゴマーの核酸化合物を指す。オリゴヌクレオチドの例は、これらに限定されないが、RNAiオリゴヌクレオチド(例として、siRNA、shRNA)、マイクロRNA、ギャップマー、mixmer、ホスホロジアミダート、モルホリノ、ペプチド核酸、アプタマー、ガイド核酸(例として、Cas9ガイドRNA)等々を包含する。オリゴヌクレオチドは一本鎖または二本鎖であってもよい。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、1つ以上の修飾ヌクレオシド(例として、2'-O-メチル糖修飾、プリンまたはピリミジン修飾)を含んでいてもよい。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、1つ以上の修飾ヌクレオシド間連結を含んでいてもよい。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、RpまたはSpの立体化学配置にあってもよい1個以上のホスホロチオアート連結を含んでいてもよい。
【0058】
組換え抗体:用語「組換えヒト抗体」は、本明細書に使用されるとき、組換え手段によって調製、発現、創出、もしくは単離されたすべてのヒト抗体、例えば、宿主細胞中へトランスフェクトされた組換え発現ベクターを使用して発現された抗体(本開示により詳細に記載される)、組換えコンビナトリアルヒト抗体ライブラリから単離された抗体(Hoogenboom H.R.,(1997)TIB Tech.15:62-70;Azzazy H.,and Highsmith W.E.,(2002)Clin.Biochem.35:425-445;Gavilondo J.V.,and Larrick J.W.(2002)BioTechniques 29:128-145;Hoogenboom H.,and Chames P.(2000)Immunology Today 21:371-378)、ヒト免疫グロブリン遺伝子トランスジェニック動物(例として、マウス)から単離された抗体(例として、Taylor,L.D.,et al.(1992)Nucl.Acids Res.20:6287-6295;Kellermann S-A.,and Green L.L.(2002)Current Opinion in Biotechnology 13:593-597;Little M.et al(2000)Immunology Today 21:364-370を参照されたい)、またはヒト免疫グロブリン遺伝子配列の他のDNA配列とのスプライシングを伴ういずれかの他の手段によって調製、発現、創出、もしくは単離された抗体を包含することが意図される。かかる組換えヒト抗体は、ヒト生殖細胞系免疫グロブリン配列に由来する可変領域および定常領域を有する。ただし、ある態様において、かかる組換えヒト抗体は、in vitroでの変異誘発(または、ヒトIg配列トランスジェニック動物が使用されるとき、in vivoでの体細胞変異誘発)へ供され、よって、組換え抗体のVHおよびVL領域のアミノ酸配列は、ヒト生殖細胞系のVH配列およびVL配列に由来しかつこれに関するとはいえ、in vivoでのヒト抗体の生殖細胞系列レパートリー内には天然に存在しないだろう配列である。本開示の一態様は、当該技術分野において周知である技法を使用して、例えば、これらに限定されないが、ヒトIgファージライブラリ(例えば、Jermutusらの国際公開第2005/007699号に開示されたもの)を使用する技法を使用して生成され得るヒトトランスフェリン受容体に結合することが可能な完全ヒト抗体を提供する。
【0059】
相補性領域:本明細書で使用される場合、用語「相補性領域」は、2つのヌクレオチド配列が生理学的な条件下(例として、細胞中)で相互にアニーリングすることが可能であるような、同族の(cognate)ヌクレオチド配列(例として、標的核酸のヌクレオチド配列)に充分に相補的であるヌクレオチド配列(例として、オリゴヌクレオチドのヌクレオチド配列)を指す。いくつかの態様において、相補性領域は、標的核酸の同族のヌクレオチド配列に完全に相補的である。しかしながら、いくつかの態様において、相補性のある領域は、標的核酸の同族のヌクレオチド配列に部分的に相補的(例として、少なくとも80%、90%、95%、または99%相補性)である。いくつかの態様において、相補性のある領域は、標的核酸の同族のヌクレオチド配列と比較して1個、2個、3個、または4個のミスマッチを含有する。
【0060】
特異的に結合する:本明細書で使用される場合、用語「特異的に結合する」は、結合アッセイまたは他の結合に関する文脈(binding context)において、分子が、適切な対照から結合パートナーを区別するために使用され得る親和性または結合活性の程度での、分子の、結合パートナーへの結合能を指す。抗体に関し、用語「特異的に結合する」は、親和性または結合活性の程度で(例として、本明細書に記載のとおり、抗原への結合を通してある細胞(例として、筋細胞)への優先的な標的化を許容する程度で)、適切な参照抗原、または抗体が他の抗原から特定の抗原を区別するために使用され得る抗原と比較して、抗体が特定の抗原に結合する能力を指す。いくつかの態様において、抗体が標的へ結合する際少なくとも約10-4M、10-5M、10-6M、10-7M、10-8M、10-9M、10-10M、10-11M、10-12M、10-13M、またはこれ未満のKDを有する場合、抗体は標的へ特異的に結合する。いくつかの態様において、抗体が、トランスフェリン受容体、例として、トランスフェリン受容体の先端ドメインのエピトープへ特異的に結合する。
【0061】
スプライスアクセプター部位:本明細書で使用される場合、「スプライスアクセプター部位」または「スプライスアクセプター」という用語は、プレ-mRNAのmRNAへのスプライシング(すなわち、プレ-mRNAからイントロンを除去すること)に関与する遺伝子またはプレ-mRNAのイントロンの3'末端またはイントロン/エクソン接合部に跨る核酸配列モチーフを指し、スプライシング特徴と呼ぶことができる。スプライスアクセプター部位は、イントロンの3'末端に末端AG配列を含み、これは通常、ピリミジンが多い領域(C/U)が先行する(5'方向)。スプライスアクセプター部位の上流は分岐点である。分岐点とスプライスドナー部位との間のエステル交換反応によるラリアートループ中間体構造の形成は、5'エクソンの3'-OHを放出し、これはその後3'エクソンの第1のヌクレオチドと反応し、それによってエクソンを結合し、イントロンラリアートを放出する。スプライスアクセプター部位のイントロンの3'末端のAG配列は、これらのヌクレオチドの1つを変化させるとスプライシングの阻害をもたらすので、適切なスプライシングにとって重要であることが知られている。まれに、代替のスプライスアクセプター部位は、イントロンの3'末端に、より一般的なAGではなくACを有する。一般的なスプライスアクセプター部位モチーフは、[Yリッチ領域]-NCAGGまたはYxNYAGGの配列またはそれに類似する配列を有し、ここではピリミジンを表し、Nは任意のヌクレオチドを表し、xは4から20の数である。切断部位は、切除されたイントロンの3'末端ヌクレオチドを表すAGに続く。
【0062】
スプライスドナー部位:本明細書で使用される場合、「スプライスドナー部位」または「スプライスドナー」という用語は、プレ-mRNAのmRNAへのスプライシング(すなわち、プレ-mRNAからイントロンを除去すること)に関与する遺伝子またはプレ-mRNAのイントロンの5'末端またはエクソン/イントロン接合部に跨る核酸配列モチーフを指し、スプライシング特徴と呼ぶことができる。スプライスドナー部位は、より大きく、ほとんど拘束されていない配列内に、イントロンの5'末端に末端GU配列を含む。スプライシング中、分岐点内のヌクレオチドの2'-OHは、スプライスドナー部位内のイントロンの5'Gに対する求核攻撃を介してエステル交換反応を開始する。これにより、Gはプレ-mRNAから切断され、代わりに分岐点ヌクレオチドに結合し、ループラリアート構造を形成する。上流エクソンの3'ヌクレオチドはその後スプライスアクセプター部位に結合し、エクソンを結合し、イントロンを切除する。典型的なスプライスドナー部位は、GGGURAGUまたはAGGURNGの配列またはこれに類似する配列を有し、ここでRはプリンを表し、Nは任意のヌクレオチドを表す。切断部位は、切除されたイントロンの5'末端ヌクレオチドを表す第1のGU(すなわち、GG/GURAGUまたはAG/GURNG)に先行する。
【0063】
対象:本明細書で使用される場合、用語「対象」は、哺乳動物を指す。いくつかの態様において、対象は、霊長目の非ヒト動物または齧歯類動物である。いくつかの態様において、対象は、ヒトである。いくつかの態様において、対象は、疾患を有するかまたは疾患を有すると疑われるペイシェント、例として、ヒト患者である。いくつかの態様において、対象は、変異したDMD遺伝子配列、例として、DMD遺伝子配列のエクソンにおける変異に起因する疾患を有するかまたは有すると疑われるヒト患者である。いくつかの態様において、対象は、ジストロフィノパチー、例として、デュシェンヌ型筋ジストロフィーを有する。いくつかの態様において、対象は、エクソン51のスキッピングに適したDMD遺伝子の突然変異を有する患者である。
【0064】
トランスフェリン受容体:本明細書に使用されるとき、用語「トランスフェリン受容体」(またTFRC、CD71、p90、またはTFR1としても知られている)は、エンドサイトーシスによる鉄取り込みを促進するためのトランスフェリンへ結合する、内在化する細胞表面受容体を指す。いくつかの態様において、トランスフェリン受容体は、ヒト(NCBI Gene ID 7037)、霊長目の非ヒト動物(例として、NCBI Gene ID 711568もしくはNCBI Gene ID 102136007)、または齧歯類の動物(例として、NCBI Gene ID 22042)を起源としていてもよい。加えて、受容体の種々のアイソフォームをコードした複数のヒト転写産物バリアントが(例として、GenBank RefSeq受託番号:NP_001121620.1、NP_003225.2、NP_001300894.1、およびNP_001300895.1の注釈付きのものであるように)特徴付けられている。
【0065】
2'修飾ヌクレオシド:本明細書で使用される場合、用語「2'修飾ヌクレオシド」および「2'修飾リボヌクレオシド」は互換的に使用され、2'位にて修飾された糖部分を有するヌクレオシドを指す。いくつかの態様において、2'修飾ヌクレオシドは、2'-4'二環式ヌクレオシドであり、ここで糖の2'および4'位は架橋されている(例として、メチレン、エチレン、または(S)-拘束エチル架橋による)。いくつかの態様において、2'修飾ヌクレオシドは非二環式2'修飾ヌクレオシドであり、例として、ここで糖部分の2'位は置換されている。2'修飾ヌクレオシドの非限定例は、以下:2'デオキシ、2'-フルオロ(2'-F)、2'-O-メチル(2'-O-Me)、2'-O-メトキシエチル(2'-MOE)、2'-O-アミノプロピル(2'-O-AP)、2'-O-ジメチルアミノエチル(2'-O-DMAOE)、2'-O-ジメチルアミノプロピル(2'-O-DMAP)、2'-O-ジメチルアミノエチルオキシエチル(2'-O-DMAEOE)、2'-O-N-メチルアセトアミド(2'-O-NMA)、ロックド核酸(LNA、メチレン架橋核酸)、エチレン架橋核酸(ENA)、および(S)-拘束エチル架橋核酸(cEt)を包含する。いくつかの態様において、本明細書に記載の2'修飾ヌクレオシドは高親和性修飾ヌクレオシドであり、2'修飾ヌクレオシドを含むオリゴヌクレオチドは、未修飾のオリゴヌクレオチドと比べて標的配列に対する増大した親和性を有する。2'修飾ヌクレオシドの構造の例は、下に提供される:
【化1】
これらの例はリン酸基を用いて示されているが、任意のヌクレオシド間結合が2'修飾ヌクレオシド間で企図される。
【0066】
II.複合体
本明細書で提供されるのは、標的化剤、例として、分子ペイロードへ共有結合的に連結された抗体を含む複合体である。いくつかの態様において、複合体は、オリゴヌクレオチドへ共有結合的に連結された筋標的化抗体を含む。複合体は、単一の抗原部位に特異的に結合する抗体、または同じ抗原上もしくは異なる抗原上に存在していてもよい少なくとも2つの抗原部位へ結合する抗体を含んでいてもよい。
【0067】
複合体は、少なくとも1つの遺伝子、タンパク質、および/または(例として、および)、核酸の活性あるいは機能をモジュレートするために使用されてもよい。いくつかの態様において、複合体の中に存在する分子ペイロードは、遺伝子、タンパク質、および/または(例として、および)、核酸のモジュレーションを担う。分子ペイロードは、細胞中の遺伝子、タンパク質、および/または(例として、および)、核酸の活性あるいは機能をモジュレートすることが可能な、小分子、タンパク質、核酸、オリゴヌクレオチド、あるいはいずれの分子実体であってもよい。
【0068】
いくつかの態様において、複合体は、例として、変異DMD対立遺伝子からコードされる転写物において、分子ペイロード、例として、DMDを標的としてエクソンスキッピングを促進するアンチセンスオリゴヌクレオチドに共有結合的に連結された筋標的化剤、例として、抗トランスフェリン受容体抗体を含む。いくつかの態様において、複合体は、DMDプレ-mRNAを標的とし、DMDプレ-mRNA中のエクソン51のスキッピングを促進する。
【0069】
A.筋標的化剤
本開示のいくつかの側面は、筋標的化剤、例として、分子ペイロードを筋細胞へ送達するための筋標的化剤を提供する。いくつかの態様において、かかる筋標的化剤は、例として、筋細胞上の抗原への特異的な結合を介して、筋細胞に結合すること、および結び付けられた分子ペイロードを筋細胞へ送達することが可能である。いくつかの態様において、分子ペイロードは、筋標的化剤へ結合されて(例として、共有結合的に結合されて)おり、筋標的化剤が筋細胞上の抗原へ結合した際、例として、エンドサイトーシスを介して、筋細胞中へ内在化される。当然のことながら、様々なタイプの筋標的化剤が本開示に従って使用され得る。当然のことながら、任意の筋標的(例として、筋肉表面タンパク質)は、本明細書に記載の任意の種類の筋標的剤によって標的化され得る。例えば、筋標的化剤は、核酸(例として、DNAまたはRNA)、ペプチド(例として、抗体)、脂質(例として、マイクロベシクル)、または糖部(例として、多糖類)を含んでいてもよく、またはこれらからなっていてもよい。筋標的化剤は、小分子を含み得、または小分子からなり得る。例示の筋標的化剤は本明細書さらに詳細に記載されているが、しかしながら、当然のことながら、本明細書で提供される例示の筋標的化剤が限定されることを意図していない。
【0070】
本開示のいくつかの側面は、骨格筋、平滑筋、または心筋などの筋肉上の抗原へ特異的に結合する筋標的化剤を提供する。いくつかの態様において、本明細書で提供される筋標的化剤のいずれも、骨格筋細胞、平滑筋細胞、および/または(例として、および)、心筋細胞上の抗原に結合する(例として、特異的に結合する)。
【0071】
筋肉特異的細胞表面認識要素(例として、細胞膜タンパク質)との相互作用によって、組織局在化と筋細胞への選択的取り込みとの両方が達成され得る。いくつかの態様において、筋肉の取り込みトランスポーターの基質である分子は、分子ペイロードを筋組織中へ送達するのに有用である。筋肉表面認識要素への結合、これに続くエンドサイトーシスは、抗体などの巨大分子さえも筋細胞へ侵入できるようにし得る。別の例として、トランスフェリンまたは抗TfR1抗体へ抱合された分子ペイロードは、トランスフェリン受容体への結合を介し筋細胞によって取り入れられ得、次いで、例としてクラスリン媒介エンドサイトーシスを介して取り込まれ得る。
【0072】
筋標的化剤の使用は、他の組織において効果に関連する毒性を低減しつつ、筋肉中の分子ペイロード(例として、オリゴヌクレオチド)を濃縮するのに有用な場合がある。いくつかの態様において、筋標的化剤は、対象内の別の細胞型と比較して、筋細胞中の結合された分子ペイロードを濃縮させる。いくつかの態様において、筋標的化剤は、筋細胞(例として、骨格筋細胞、平滑筋細胞、または心筋細胞)中の結合された分子ペイロードを、非筋細胞(例として、肝臓細胞、神経細胞、血液細胞、または脂肪細胞)中の量より少なくとも1倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、15倍、20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、または100倍多い量に濃縮する。いくつかの態様において、筋標的化剤へ結合された場合の分子ペイロードの対象における毒性は、これが対象へ送達されたとき、少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、90%、または95%低減される。
【0073】
いくつかの態様において、筋肉選択性を獲得するために、筋肉認識要素(例として、筋細胞抗原)が必要とされ得る。一例として、筋標的化剤は、筋肉特異的取り込みトランスポーターの基質である小分子であってもよい。別の例として、筋標的化剤は、トランスポーター媒介エンドサイトーシスを介して筋細胞へ侵入する抗体であってもよい。別の例として、筋標的化剤は、筋細胞上の細胞表面受容体へ結合するリガンドであってもよい。当然のことながら、トランスポーターをベースとしたアプローチが細胞侵入への直通路を提供するのに対し、受容体をベースとした標的化が所望の作用部位に達するために刺激されたエンドサイトーシスを伴うこともある。
【0074】
i.筋標的抗体
いくつかの態様において、筋標的化剤は抗体である。一般に、それらの標的抗原に対する抗体の高い特異性は、筋細胞(例として、骨格筋細胞、平滑筋細胞、および/または(例として、および)、心筋細胞)を選択的に標的化する可能性をもたらす。この特異性はまた、オフターゲット毒性(off-target toxicity)を限定することもある。筋細胞の表面抗原を標的化することが可能な抗体の例は報告されており、かつ本開示の範囲内にある。例えば、筋細胞の表面を標的化する抗体は、Arahata K.,et al.「Immunostaining of skeletal and cardiac muscle surface membrane with antibody against Duchenne muscular dystrophy peptide」Nature 1988;333:861-3;Song K.S.,et al.「Expression of caveolin-3 in skeletal,cardiac,and smooth muscle cells.Caveolin-3 is a component of the sarcolemma and co-fractionates with dystrophin and dystrophin-associated glycoproteins」J Biol Chem 1996;271:15160-5;およびWeisbart R.H.et al.,「Cell type specific targeted intracellular delivery into muscle of a monoclonal antibody that binds myosin IIb」Mol Immunol.2003 Mar,39(13):78309に記載されており、これら各々の内容全体は参照により本明細書に組み込まれる。
【0075】
a.抗トランスフェリン受容体(TfR)抗体
本開示のいくつかの側面は、トランスフェリン受容体、例として、抗トランスフェリン受容体抗体へ結合する剤は筋細胞を標的化することが可能であるという認識に基づく。トランスフェリン受容体は、細胞膜を越えてトランスフェリンを輸送し細胞内鉄レベルの調節およびホメオスタシスに加わる内在化する細胞表面受容体である。本開示のいくつかの側面は、トランスフェリン受容体に結合することが可能なトランスフェリン受容体結合タンパク質を提供する。したがって、本開示の側面は、トランスフェリン受容体に結合する結合タンパク質(例として、抗体)を提供する。いくつかの態様において、トランスフェリン受容体へ結合する結合タンパク質は、結合されたいずれの分子ペイロードと共に、筋細胞中へ内在化される。本明細書で使用される場合、トランスフェリン受容体に結合する抗体は、トランスフェリン受容体抗体、抗トランスフェリン受容体抗体、または抗TfR1抗体と互換的に称されることもある。トランスフェリン受容体へ結合する、例として特異的に結合する抗体は、トランスフェリン受容体へ結合した際、例として受容体媒介エンドサイトーシスを通して、細胞中へ内在化されてもよい。
【0076】
当然のことながら、抗TfR1抗体が、知られている数種の方法論、例として、ファージディスプレーを使用するライブラリ設計を使用して、産生、合成、および/または(例として、および)、誘導体化され得る。例示の方法論は当該技術分野において特徴付けられており、参照により組み込まれる(Diez,P.et al.「High-throughput phage-display screening in array format」,Enzyme and microbial technology,2015,79,34-41.;Christoph M.H.and Stanley,J.R.「Antibody Phage Display:Technique and Applications」J Invest Dermatol.2014,134:2.;Engleman,Edgar(Ed.)「Human Hybridomas and Monoclonal Antibodies.」1985,Springer)。他の態様において、抗TfR1抗体はこれまでにキャラクタライズされているかまたは開示されている。トランスフェリン受容体へ特異的に結合する抗体は当該技術分野において知られている(例として、米国特許第4,364,934号、1979年12月4日出願、「Monoclonal antibody to a human early thymocyte antigen and methods for preparing same」、米国特許第8,409,573号、2006年6月14日出願、「Anti-CD71 monoclonal antibodies and uses thereof for treating malignant tumor cells」、米国特許第9,708,406号、2014年5月20日出願、「Anti-transferrin receptor antibodies and methods of use」;米国特許第9,611,323号、2014年12月19日出願、「Low affinity blood brain barrier receptor antibodies and uses therefor」、国際公開第2015/098989号、2014年12月24日出願、「Novel anti-Transferrin receptor antibody that passes through blood-brain barrier」、Schneider C.et al.「Structural features of the cell surface receptor for transferrin that is recognized by the monoclonal antibody OKT9.」J Biol Chem.1982,257:14,8516-8522.、Lee et al.「Targeting Rat Anti-Mouse Transferrin Receptor Monoclonal Antibodies through Blood-Brain Barrier in Mouse」2000,J Pharmacol.Exp.Ther.,292:1048-1052を参照されたい)。
【0077】
いくつかの態様において、本明細書に記載の抗TfR1抗体は、高い特異性および親和性でトランスフェリン受容体に結合する。いくつかの態様において、本明細書に記載の抗TfR1抗体は、トランスフェリン受容体のいずれかの細胞外エピトープまたは抗体に対して暴露されるようになるエピトープに特異的に結合する。いくつかの態様において、本明細書で提供される抗TfR1抗体はヒト、霊長目の非ヒト動物、マウス、ラットなどからのトランスフェリン受容体に特異的に結合する。いくつかの態様において、本明細書で提供される抗TfR1抗体はヒトトランスフェリン受容体に結合する。いくつかの態様において、本明細書に記載の抗TfR1抗体は、配列番号105~108に提供されるような、ヒトまたは非ヒト霊長類トランスフェリン受容体のアミノ酸セグメントに結合する。いくつかの態様において、本明細書に記載の抗TfR1抗体は、トランスフェリン受容体の先端ドメインにはない、配列番号105に示されるヒトトランスフェリン受容体のアミノ酸90~96に対応するアミノ酸セグメントに結合する。
【0078】
いくつかの態様において、本明細書に記載の抗TfR1抗体(例として、以下の表2の抗TfRクローン8)は、TfR1のエピトープに結合し、エピトープは、配列番号105のアミノ酸214~241および/またはアミノ酸354~381の残基を含む。いくつかの態様において、本明細書に記載の抗TfR1抗体は、配列番号105のアミノ酸214~241およびアミノ酸354~381の残基を含むエピトープに結合する。いくつかの態様において、本明細書に記載の抗TfR1抗体は、配列番号105に示されるヒトTfR1の残基Y222、T227、K231、H234、T367、S368、S370、T376、およびS378のうちの1つ以上を含むエピトープに結合する。いくつかの態様において、本明細書に記載の抗TfR1抗体は、配列番号105に示されるヒトTfR1の残基Y222、T227、K231、H234、T367、S368、S370、T376およびS378を含むエピトープに結合する。
【0079】
いくつかの態様において、本明細書に記載の抗TfR1抗体(例として、以下の表2の3M12およびそのバリアント)は、配列番号105のアミノ酸258~291および/またはアミノ酸358~381の残基を含むTfR1のエピトープに結合する。いくつかの態様において、本明細書に記載の抗TfR1抗体(例として、以下の表2の3M12およびそのバリアント)は、配列番号105のアミノ酸258~291およびアミノ酸358~381の残基を含むエピトープに結合する。いくつかの態様において、本明細書に記載の抗TfR1抗体(例として、以下の表2の3M12およびそのバリアント)は、配列番号105に示されるヒトTfR1の残基K261、S273、Y282、T362、S368、S370、およびK371の1つ以上を含むエピトープに結合する。いくつかの態様において、本明細書に記載の抗TfR1抗体(例として、以下の表2の3M12およびそのバリアント)は、配列番号105に示されるヒトTfR1の残基K261、S273、Y282、T362、S368、S370、およびK371を含むエピトープに結合する。
【0080】
NCBI配列NP_003225.2(トランスフェリン受容体タンパク質1アイソフォーム1、homo sapiens)に対応する、ヒトトランスフェリン受容体アミノ酸配列の例は、以下のとおりである:
MMDQARSAFSNLFGGEPLSYTRFSLARQVDGDNSHVEMKLAVDEEENADNNTKANVTKPKRCSGSICYGTIAVIVFFLIGFMIGYLGYCKGVEPKTECERLAGTESPVREEPGEDFPAARRLYWDDLKRKLSEKLDSTDFTGTIKLLNENSYVPREAGSQKDENLALYVENQFREFKLSKVWRDQHFVKIQVKDSAQNSVIIVDKNGRLVYLVENPGGYVAYSKAATVTGKLVHANFGTKKDFEDLYTPVNGSIVIVRAGKITFAEKVANAESLNAIGVLIYMDQTKFPIVNAELSFFGHAHLGTGDPYTPGFPSFNHTQFPPSRSSGLPNIPVQTISRAAAEKLFGNMEGDCPSDWKTDSTCRMVTSESKNVKLTVSNVLKEIKILNIFGVIKGFVEPDHYVVVGAQRDAWGPGAAKSGVGTALLLKLAQMFSDMVLKDGFQPSRSIIFASWSAGDFGSVGATEWLEGYLSSLHLKAFTYINLDKAVLGTSNFKVSASPLLYTLIEKTMQNVKHPVTGQFLYQDSNWASKVEKLTLDNAAFPFLAYSGIPAVSFCFCEDTDYPYLGTTMDTYKELIERIPELNKVARAAAEVAGQFVIKLTHDVELNLDYERYNSQLLSFVRDLNQYRADIKEMGLSLQWLYSARGDFFRATSRLTTDFGNAEKTDRFVMKKLNDRVMRVEYHFLSPYVSPKESPFRHVFWGSGSHTLPALLENLKLRKQNNGAFNETLFRNQLALATWTIQGAANALSGDVWDIDNEF(配列番号105)
【0081】
NCBI配列NP_001244232.1(トランスフェリン受容体タンパク質1、Macaca mulatta)に対応する、霊長目の非ヒト動物トランスフェリン受容体アミノ酸配列の例は、以下のとおりである:
MMDQARSAFSNLFGGEPLSYTRFSLARQVDGDNSHVEMKLGVDEEENTDNNTKPNGTKPKRCGGNICYGTIAVIIFFLIGFMIGYLGYCKGVEPKTECERLAGTESPAREEPEEDFPAAPRLYWDDLKRKLSEKLDTTDFTSTIKLLNENLYVPREAGSQKDENLALYIENQFREFKLSKVWRDQHFVKIQVKDSAQNSVIIVDKNGGLVYLVENPGGYVAYSKAATVTGKLVHANFGTKKDFEDLDSPVNGSIVIVRAGKITFAEKVANAESLNAIGVLIYMDQTKFPIVKADLSFFGHAHLGTGDPYTPGFPSFNHTQFPPSQSSGLPNIPVQTISRAAAEKLFGNMEGDCPSDWKTDSTCKMVTSENKSVKLTVSNVLKETKILNIFGVIKGFVEPDHYVVVGAQRDAWGPGAAKSSVGTALLLKLAQMFSDMVLKDGFQPSRSIIFASWSAGDFGSVGATEWLEGYLSSLHLKAFTYINLDKAVLGTSNFKVSASPLLYTLIEKTMQDVKHPVTGRSLYQDSNWASKVEKLTLDNAAFPFLAYSGIPAVSFCFCEDTDYPYLGTTMDTYKELVERIPELNKVARAAAEVAGQFVIKLTHDTELNLDYERYNSQLLLFLRDLNQYRADVKEMGLSLQWLYSARGDFFRATSRLTTDFRNAEKRDKFVMKKLNDRVMRVEYYFLSPYVSPKESPFRHVFWGSGSHTLSALLESLKLRRQNNSAFNETLFRNQLALATWTIQGAANALSGDVWDIDNEF
(配列番号106)
【0082】
NCBI配列XP_005545315.1(トランスフェリン受容体タンパク質1、Macaca fascicularis)に対応する、霊長目の非ヒト動物トランスフェリン受容体アミノ酸配列の例は、以下のとおりである:
MMDQARSAFSNLFGGEPLSYTRFSLARQVDGDNSHVEMKLGVDEEENTDNNTKANGTKPKRCGGNICYGTIAVIIFFLIGFMIGYLGYCKGVEPKTECERLAGTESPAREEPEEDFPAAPRLYWDDLKRKLSEKLDTTDFTSTIKLLNENLYVPREAGSQKDENLALYIENQFREFKLSKVWRDQHFVKIQVKDSAQNSVIIVDKNGGLVYLVENPGGYVAYSKAATVTGKLVHANFGTKKDFEDLDSPVNGSIVIVRAGKITFAEKVANAESLNAIGVLIYMDQTKFPIVKADLSFFGHAHLGTGDPYTPGFPSFNHTQFPPSQSSGLPNIPVQTISRAAAEKLFGNMEGDCPSDWKTDSTCKMVTSENKSVKLTVSNVLKETKILNIFGVIKGFVEPDHYVVVGAQRDAWGPGAAKSSVGTALLLKLAQMFSDMVLKDGFQPSRSIIFASWSAGDFGSVGATEWLEGYLSSLHLKAFTYINLDKAVLGTSNFKVSASPLLYTLIEKTMQDVKHPVTGRSLYQDSNWASKVEKLTLDNAAFPFLAYSGIPAVSFCFCEDTDYPYLGTTMDTYKELVERIPELNKVARAAAEVAGQFVIKLTHDTELNLDYERYNSQLLLFLRDLNQYRADVKEMGLSLQWLYSARGDFFRATSRLTTDFRNAEKRDKFVMKKLNDRVMRVEYYFLSPYVSPKESPFRHVFWGSGSHTLSALLESLKLRRQNNSAFNETLFRNQLALATWTIQGAANALSGDVWDIDNEF(配列番号107)
【0083】
NCBI配列NP_001344227.1(トランスフェリン受容体タンパク質1、mus musculus)に対応する、マウストランスフェリン受容体アミノ酸配列の例は、以下のとおりである:
MMDQARSAFSNLFGGEPLSYTRFSLARQVDGDNSHVEMKLAADEEENADNNMKASVRKPKRFNGRLCFAAIALVIFFLIGFMSGYLGYCKRVEQKEECVKLAETEETDKSETMETEDVPTSSRLYWADLKTLLSEKLNSIEFADTIKQLSQNTYTPREAGSQKDESLAYYIENQFHEFKFSKVWRDEHYVKIQVKSSIGQNMVTIVQSNGNLDPVESPEGYVAFSKPTEVSGKLVHANFGTKKDFEELSYSVNGSLVIVRAGEITFAEKVANAQSFNAIGVLIYMDKNKFPVVEADLALFGHAHLGTGDPYTPGFPSFNHTQFPPSQSSGLPNIPVQTISRAAAEKLFGKMEGSCPARWNIDSSCKLELSQNQNVKLIVKNVLKERRILNIFGVIKGYEEPDRYVVVGAQRDALGAGVAAKSSVGTGLLLKLAQVFSDMISKDGFRPSRSIIFASWTAGDFGAVGATEWLEGYLSSLHLKAFTYINLDKVVLGTSNFKVSASPLLYTLMGKIMQDVKHPVDGKSLYRDSNWISKVEKLSFDNAAYPFLAYSGIPAVSFCFCEDADYPYLGTRLDTYEALTQKVPQLNQMVRTAAEVAGQLIIKLTHDVELNLDYEMYNSKLLSFMKDLNQFKTDIRDMGLSLQWLYSARGDYFRATSRLTTDFHNAEKTNRFVMREINDRIMKVEYHFLSPYVSPRESPFRHIFWGSGSHTLSALVENLKLRQKNITAFNETLFRNQLALATWTIQGVANALSGDIWNIDNEF
(配列番号108)
【0084】
いくつかの態様において、抗TfR1抗体は、以下のように受容体のアミノ酸セグメントに結合し:FVKIQVKDSAQNSVIIVDKNGRLVYLVENPGGYVAYSKAATVTGKLVHANFGTKKDFEDLYTPVNGSIVIVRAGKITFAEKVANAESLNAIGVLIYMDQTKFPIVNAELSFFGHAHLGTGDPYTPGFPSFNHTQFPPSRSSGLPNIPVQTISRAAAEKLFGNMEGDCPSDWKTDSTCRMVTSESKNVKLTVSNVLKE(配列番号109)トランスフェリン受容体とトランスフェリンおよび/または(例として、および)ヒト血色素症タンパク質(HFEとしても知られる)との間の結合相互作用を阻害しない。いくつかの態様において、本明細書に記載の抗TfR1受容体抗体は、配列番号109のエピトープには結合しない。
【0085】
適切な方法論は、例として、組換えDNAプロトコルの使用を通じて、抗体、抗体フラグメント、もしくは抗原結合剤を得るか、および/または(例として、および)、産生するために使用されてもよい。いくつかの態様において、抗体はまた、ハイブリドーマの生成を通しても産生されてよい(例として、Kohler,G and Milstein,C.「Continuous cultures of fused cells secreting antibody of predefined specificity」Nature,1975,256:495-497を参照されたい)。関心のある抗原は、いずれの型または実体の、例として、組換え型もしくは天然に存在する型または実体の免疫原として使用されてもよい。ハイブリドーマは、標準的な方法、例としてELISAスクリーニングを使用してスクリーニングされることで、具体的な抗原を標的化する抗体を産生する少なくとも1個のハイブリドーマが見出される。抗体はまた、抗体を発現するタンパク質発現ライブラリ(例として、ファージディスプレーライブラリ)のスクリーニングを通しても産生されてよい。ファージディスプレーライブラリ設計はまた、いくつかの態様において使用されてもよい(例として、米国特許第5,223,409号、1991年3月1日出願、「Directed evolution of novel binding proteins」、国際公開第1992/18619号、1992年4月10日出願、「Heterodimeric receptor libraries using phagemids」、国際公開第1991/17271号、1991年5月1日出願、「Recombinant library screening methods」、国際公開第1992/20791号、1992年5月15日出願、「Methods for producing members of specific binding pairs」、および国際公開第1992/15679号、1992年2月28日出願、「Improved epitope displaying phage」を参照されたい)。いくつかの態様において、関心のある抗原は、非ヒト動物、例として、齧歯類の動物またはヤギを免疫するために使用されてもよい。いくつかの態様において、次いで抗体が非ヒト動物から得られたら、任意に数多の方法論を使用し、例として組換えDNA技法を使用し、修飾してもよい。抗体産生および方法論の追加の例も当該技術分野において知られている(例として、Harlow et al.「Antibodies:A Laboratory Manual」,Cold Spring Harbor Laboratory,1988を参照されたい)。
【0086】
いくつかの態様において、抗体は修飾されている(例として、グリコシル化、リン酸化、SUMO化、および/または(例として、および)、メチル化を介して修飾されている)。いくつかの態様において、抗体は、1個以上の糖または炭水化物分子へ抱合されたグリコシル化抗体である。いくつかの態様において、1個以上の糖または炭水化物分子は、N-グリコシル化、O-グリコシル化、C-グリコシル化、グリピエーション(GPIアンカー付着)、および/または(例として、および)、ホスホグリコシル化を介して、抗体へ抱合されている。いくつかの態様において、1個以上の糖または炭水化物分子は、単糖類、二糖類、オリゴ糖類、またはグリカンである。いくつかの態様において、1個以上の糖または炭水化物分子は、分枝オリゴ糖類または分枝グリカンである。いくつかの態様において、1個以上の糖または炭水化物分子は、マンノース単位、グルコース単位、N-アセチルグルコサミン単位、N-アセチルガラクトサミン単位、ガラクトース単位、フコース単位、またはホスホ脂質単位を包含する。いくつかの態様において、糖分子は、約1~10個、約1~5個、約5~10個、約1~4個、約1~3個、または約2個存在する。いくつかの態様において、グリコシル化抗体は、全体的にまたは部分的にグリコシル化されている。いくつかの態様において、抗体は、化学反応によって、または酵素的な手段によってグリコシル化されている。いくつかの態様において、抗体は、in vitroでまたは細胞(任意にN-またはO-グリコシル化経路中の酵素(例として、グリコシルトランスフェラーゼ)を欠乏していてもよい)内部でグリコシル化される。いくつかの態様において、抗体は、「Modified antibody,antibody-conjugate and process for the preparation thereof」と題する2014年5月1日に公開された国際公開第2014065661号に記載されるような糖または炭水化物分子で官能化されている。
【0087】
いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、表2~7のうちのいずれか1つから選択される抗TfR1抗体のいずれか1つのVLドメインおよび/または(例として、および)VHドメインを含み、IgG、IgE、IgM、IgD、IgA、またはIgY免疫グロブリン分子、いずれかのクラス(例として、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、およびIgA2)、またはいずれかのサブクラス(例として、IgG2aおよびIgG2b)の免疫グロブリン分子の定常領域のアミノ酸配列を含む定常領域を含む。ヒト定常領域の非限定例は当該技術分野において記載されており、例として、上述のKabat E A et al.,(1991)を参照されたい。
【0088】
いくつかの態様において、トランスフェリン受容体に結合する薬剤、例として抗TfR1抗体は、筋細胞を標的化することができ、および/または(例として、および)血液脳関門を通過する薬剤の輸送を媒介する。トランスフェリン受容体は、細胞膜を越えてトランスフェリンを輸送し細胞内鉄レベルの調節およびホメオスタシスに加わる内在化する細胞表面受容体である。本開示のいくつかの側面は、トランスフェリン受容体に結合することが可能なトランスフェリン受容体結合タンパク質を提供する。トランスフェリン受容体へ結合する、例として特異的に結合する抗体は、トランスフェリン受容体へ結合した際、例として受容体媒介エンドサイトーシスを通して、細胞中へ内在化されてもよい。
【0089】
いくつかの側面では、トランスフェリン受容体に高い特異性および親和性で結合するヒト化抗体が本明細書で提供される。いくつかの態様において、本明細書に記載のヒト化抗TfR1抗体は、トランスフェリン受容体のいずれかの細胞外エピトープ、または抗体に対して暴露されるようになるエピトープに特異的に結合する。いくつかの態様において、本明細書で提供されるヒト化抗TfR1抗体はヒト、霊長目の非ヒト動物、マウス、ラットなどからのトランスフェリン受容体に特異的に結合する。いくつかの態様において、本明細書で提供されるヒト化抗TfR1抗体はヒトトランスフェリン受容体に結合する。いくつかの態様において、本明細書に記載のヒト化抗TfR1抗体は、配列番号105~108に提供されるような、ヒトまたは非ヒト霊長類トランスフェリン受容体のアミノ酸セグメントに結合する。いくつかの態様において、本明細書に記載のヒト化抗TfR1抗体は、トランスフェリン受容体の先端ドメインにはない、配列番号105に示されるヒトトランスフェリン受容体のアミノ酸90~96に対応するアミノ酸セグメントに結合する。いくつかの態様において、本明細書に記載のヒト化抗TfR1抗体は、TfR1に結合するが、TfR2には結合しない。
【0090】
いくつかの態様において、抗TFR1抗体は、少なくとも約10-4M、10-5M、10-6M、10-7M、10-8M、10-9M、10-10M、10-11M、10-12M、10-13M、またはより小さい結合親和性(例として、Kdによって指し示される)をもってTfR1(例として、ヒトまたは霊長目の非ヒト動物TfR1)に特異的に結合する。いくつかの態様において、本明細書に記載の抗TfR1抗体はサブナノモル範囲のKDをもってTfR1に結合する。いくつかの態様において、本明細書に記載の抗TfR1抗体はトランスフェリン受容体1(TfR1)に選択的に結合するが、トランスフェリン受容体2(TfR2)には結合しない。いくつかの態様において、本明細書に記載の抗TfR1抗体はヒトTfR1およびカニクイTfR1に結合するが(例として、10-7M、10-8M、10-9M、10-10M、10-11M、10-12M、10-13M、またはより小さいKdをもって)、マウスTfR1には結合しない。抗TfR1抗体の親和性および結合動態は、限定するものではないが、バイオセンサ技術(例として、OCTETまたはBIACORE)などの任意の好適な方法を使用して試験され得る。いくつかの態様において、本明細書に記載の抗TfR1抗体のいずれか1つの結合は、TfR1へのトランスフェリン結合と競合も阻害もしない。いくつかの態様において、本明細書に記載の抗TfR1抗体のいずれか1つの結合は、TfR1に対するHFE-ベータ2-ミクログロブリン結合と競合も阻害もしない。
【0091】
抗TfR1抗体の非限定的な例は表2に示される。
【表2-1】
【表2-2】
【表2-3】
【表2-4】
【0092】
いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、表2に示される抗TfR1抗体のいずれか1つのヒト化バリアントである。いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、表2に提供される示される抗TfR1抗体のいずれか1つのCDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3と同じCDR-H1、CDR-H2、CDR-H3、CDR-L1、CDR-L2、およびCDR-L3を含み、ヒト化重鎖可変領域および/または(例として、および)ヒト化軽鎖可変領域を含む。
【0093】
本明細書に記載の抗TfR1抗体のアミノ酸配列の例は、表3に示される。
【表3-1】
【表3-2】
【0094】
いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、表3に示される抗TfR1抗体のいずれか1つのCDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3を含むVHを含み、表3に提供されるそれぞれのVHと比較して、1つ以上(例として、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個またはそれ以上)のアミノ酸変異を含む。あるいは、または加えて(例として、加えて)、本開示の抗TfR1抗体は、表3に提供される抗TfR1抗体のいずれか1つのCDR-L1、CDR-L2、およびCDR-L3を含むVLを含み、表3に提供されるそれぞれのVLと比較して、1つ以上(例として、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個またはそれ以上)のアミノ酸変異を含む。いくつかの態様において、抗TfR1抗体のVHはヒト化VHであり、かつ/または抗TfR1抗体のVLはヒト化VLである。
【0095】
いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、表3に示される抗TfR1抗体のうちのいずれか1つのCDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3を含み、かつ、表3に示されるそれぞれのVHと比較して、フレームワーク領域において少なくとも70%(例として、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%)同一であるアミノ酸配列を含むVHを含む。あるいは、または加えて(例として、加えて)、本開示の抗TfR1抗体は、表3に示される抗TfR1抗体のいずれか1つのCDR-L1、CDR-L2およびCDR-L3を含み、かつ、表3に示されるそれぞれのVLと比較してフレームワーク領域において少なくとも70%(例として、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%)同一であるアミノ酸配列を含むVLを含む。いくつかの態様において、抗TfR1抗体のVHはヒト化VHであり、かつ/または抗TfR1抗体のVLはヒト化VLである。
【0096】
いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、配列番号69のアミノ酸配列を含むVHおよび配列番号70のアミノ酸配列を含むヒト化VLを含む。
【0097】
いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、配列番号71のアミノ酸配列を含むVHおよび配列番号70のアミノ酸配列を含むヒト化VLを含む。
【0098】
いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、配列番号72のアミノ酸配列を含むVHおよび配列番号70のアミノ酸配列を含むヒト化VLを含む。
【0099】
いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、配列番号73のアミノ酸配列を含むVHおよび配列番号74のアミノ酸配列を含むヒト化VLを含む。
【0100】
いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、配列番号73のアミノ酸配列を含むVHおよび配列番号75のアミノ酸配列を含むヒト化VLを含む。
【0101】
いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、配列番号76のアミノ酸配列を含むVHおよび配列番号74のアミノ酸配列を含むヒト化VLを含む。
【0102】
いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、配列番号76のアミノ酸配列を含むVHおよび配列番号75のアミノ酸配列を含むヒト化VLを含む。
【0103】
いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、配列番号77のアミノ酸配列を含むVHおよび配列番号78のアミノ酸配列を含むヒト化VLを含む。
【0104】
いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、配列番号79のアミノ酸配列を含むVHおよび配列番号80のアミノ酸配列を含むヒト化VLを含む。
【0105】
いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、配列番号77のアミノ酸配列を含むVHおよび配列番号80のアミノ酸配列を含むヒト化VLを含む。
【0106】
いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、配列番号154のアミノ酸配列を含むVHおよび配列番号155のアミノ酸配列を含むヒト化VLを含む。
【0107】
いくつかの態様において、本明細書に記載の抗TfR1抗体は、完全長IgGであり、これはヒト抗体からの重鎖定常領域および軽鎖定常領域を包含し得る。いくつかの態様において、本明細書に記載の抗TfR1抗体のいずれかの重鎖は、重鎖定常領域(CH)またはそのある部分(例として、CH1、CH2、CH3、またはそれらの組み合わせ)を含み得る。重鎖定常領域は、任意の好適な起源、例として、ヒト、マウス、ラット、またはウサギに由来し得る。特定の一例において、重鎖定常領域は、ヒトIgG(ガンマ重鎖)、例として、IgG1、IgG2、またはIgG4に由来する。ヒトIgG1定常領域の例は、下に与えられる:
ASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号81)
【0108】
いくつかの態様において、本明細書に記載の抗TfR1抗体のいずれかの重鎖は、変異ヒトIgG1定常領域を含む。例えば、ヒトIgG1のCH2ドメイン上のLALA変異の導入(ヒンジ下部残基Leu234 Leu235をAla234およびAla235によって置き換えるように変異させられたmAb b12に由来する変異体)は、Fcγ受容体結合を低減することが知られている(Bruhns,P.,et al.(2009)およびXu,D.et al.(2000))。変異ヒトIgG1定常領域を以下に示す(変異が太字で表され、および下線が付されている):
【数1】
【0109】
いくつかの態様において、本明細書に記載の抗TfR1抗体のいずれかの軽鎖はさらに、軽鎖定常領域(CL)を含み得、これは当該技術分野において知られているいずれかのCLであり得る。いくつかの例において、CLは、カッパ軽鎖である。他の例において、CLは、ラムダ軽鎖である。いくつかの態様において、CLはカッパ軽鎖であって、その配列は以下に示される。
RTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC(配列番号83)
【0110】
他の抗体の重鎖および軽鎖定常領域は当該技術分野において周知であり、例として、IMGTデータベース(www.imgt.org)において、またはwww.vbase2.org/vbstat.php.にて提供されるものであるが、これらの両方とも参照により本明細書に組み込まれる。
【0111】
いくつかの態様において、本明細書に記載の抗TfR1抗体は、表3に挙げられるVHまたはそれらのいずれかのバリアントのいずれか1つ、および配列番号81または配列番号82と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも99%同一である重鎖定常領域を含む重鎖を含む。いくつかの態様において、本明細書に記載の抗TfR1抗体は、表3に挙げられるVHまたはそれらのいずれかのバリアントのいずれか1つ、および配列番号81または配列番号82と比較して25個以下のアミノ酸変異(例として、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、または1個以下のアミノ酸変異)を含有する重鎖定常領域を含む重鎖を含む。いくつかの態様において、本明細書に記載の抗TfR1抗体は、表3に挙げられるVHまたはそれらのいずれかのバリアントのいずれか1つ、および配列番号81に示される重鎖定常領域を含む重鎖を含む。いくつかの態様において、本明細書に記載の抗TfR1抗体は、表3に挙げられるVHまたはそれらのいずれかのバリアントのいずれか1つ、および配列番号82に示される重鎖定常領域を含む重鎖を含む。
【0112】
いくつかの態様において、本明細書に記載の抗TfR1抗体は、表3に挙げられるVLまたはそれらのいずれかのバリアントのいずれか1つ、および配列番号83と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも99%同一である軽鎖定常領域を含む軽鎖を含む。いくつかの態様において、本明細書に記載の抗TfR1抗体は、表3に挙げられるVLまたはそれらのいずれかのバリアントのいずれか1つ、および配列番号83と比較して25個以下のアミノ酸変異(例として、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、または1個以下のアミノ酸変異)を含有する軽鎖定常領域を含む軽鎖を含む。いくつかの態様において、本明細書に記載の抗TfR1抗体は、表3に挙げられるVLまたはそれらのいずれかのバリアントのいずれか1つ、および配列番号83で表されるとおりの軽鎖定常領域を含む軽鎖を含む。
【0113】
記載される抗TfR1抗体のIgG重鎖および軽鎖アミノ酸配列の例は、下の表4に示される。
【表4-1】
【表4-2】
【表4-3】
【表4-4】
【0114】
いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、配列番号84、86、87、88、91、92、94、および156のいずれか1つに示される重鎖と比較して、25個以下のアミノ酸変異(例として、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、または1個以下のアミノ酸変異)を含有する重鎖を含む。あるいは、または加えて、(例として、追加で)、本開示の抗TfR1抗体は、配列番号85、89、90、93、95および157のいずれか1つに示される軽鎖と比較して、25個以下のアミノ酸変異(例として、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、または1個以下のアミノ酸変異)を含有する軽鎖を含む。
【0115】
いくつかの態様において、本明細書に記載の抗TfR1抗体は、配列番号84、86、87、88、91、92、94および156のいずれか1つと少なくとも75%(例として、75%、80%、85%、90%、95%、98%、または99%)同一であるアミノ酸配列を含む重鎖を含む。あるいは、または加えて(例として、加えて)、本明細書に記載の抗TfR1抗体は、配列番号85、89、90、93、95、および157のうちのいずれか1つと少なくとも75%(例として、75%、80%、85%、90%、95%、98%、または99%)同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。いくつかの態様において、本明細書に記載の抗TfR1抗体は、配列番号84、86、87、88、91、92、94および156のいずれか1つのアミノ酸配列を含む重鎖を含む。あるいは、または加えて(例として、加えて)、本明細書に記載の抗TfR1抗体は、配列番号85、89、90、93、95および157のいずれか1つのアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0116】
いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、配列番号84のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号85のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0117】
いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、配列番号86のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号85のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0118】
いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、配列番号87のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号85のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0119】
いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、配列番号88のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号89のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0120】
いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、配列番号88のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号90のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0121】
いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、配列番号91のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号89のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0122】
いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、配列番号91のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号90のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0123】
いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、配列番号92のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号93のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0124】
いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、配列番号94のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号95のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0125】
いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、配列番号92のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号95のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0126】
いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、配列番号156のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号157のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0127】
いくつかの態様において、抗TfR1抗体は、インタクトな抗体(完全長抗体)のFabフラグメント、Fab'フラグメント、またはF(ab')2フラグメントである。インタクトな抗体(全長抗体)の抗原結合フラグメントは定型的な方法によって(例として、組み換え的に、または全長IgGの重鎖定常領域をパパインなどの酵素を使用して消化することによって)調製され得る。例えば、F(ab')2フラグメントは抗体分子のペプシンまたはパパイン消化によって生じ得、FabフラグメントはF(ab')2フラグメントのジスルフィド架橋を還元することによって作出され得る。いくつかの態様において、本明細書に記載の抗TfR1抗体のFabフラグメント上の重鎖定常領域は、以下:ASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHT(配列番号96)のアミノ酸配列を含む。
【0128】
いくつかの態様において、本明細書に記載の抗TfR1抗体は、表3に挙げられるVHまたはそれらのいずれかのバリアントのいずれか1つ、および配列番号96と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも99%同一である重鎖定常領域を含む重鎖を含む。いくつかの態様において、本明細書に記載の抗TfR1抗体は、表3に挙げられるVHまたはそれらのいずれかのバリアントのいずれか1つ、および配列番号96と比較して25個以下のアミノ酸変異(例として、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、または1個以下のアミノ酸変異)を含有する重鎖定常領域を含む重鎖を含む。いくつかの態様において、本明細書に記載の抗TfR1抗体は、表3に挙げられるVHまたはそれらのいずれかのバリアントのいずれか1つ、および配列番号96に示される重鎖定常領域を含む重鎖を含む。
【0129】
いくつかの態様において、本明細書に記載の抗TfR1抗体は、表3に挙げられるVLまたはそれらのいずれかのバリアントのいずれか1つ、および配列番号83と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも99%同一である軽鎖定常領域を含む軽鎖を含む。いくつかの態様において、本明細書に記載の抗TfR1抗体は、表3に挙げられるVLまたはそれらのいずれかのバリアントのいずれか1つ、および配列番号83と比較して25個以下のアミノ酸変異(例として、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、または1個以下のアミノ酸変異)を含有する軽鎖定常領域を含む軽鎖を含む。いくつかの態様において、本明細書に記載の抗TfR1抗体は、表3に挙げられるVLまたはそれらのいずれかのバリアントのいずれか1つ、および配列番号83で表されるとおりの軽鎖定常領域を含む軽鎖を含む。
【0130】
記載される抗TfR1抗体のFab重鎖および軽鎖アミノ酸配列の例は、下の表5に示される。
【表5-1】
【表5-2】
【表5-3】
【0131】
いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、配列番号97~103、158および159のいずれか1つに示される重鎖と比較して、25個以下のアミノ酸変異(例として、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、または1個以下のアミノ酸変異)を含有する重鎖を含む。あるいは、または加えて、(例として、追加で)、本開示の抗TfR1抗体は、配列番号85、89、90、93、95および157のいずれか1つに示される軽鎖と比較して、25個以下のアミノ酸変異(例として、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、または1個以下のアミノ酸変異)を含有する軽鎖を含む。
【0132】
いくつかの態様において、本明細書に記載の抗TfR1抗体は、配列番号97~103、158および159のいずれか1つと少なくとも75%(例として、75%、80%、85%、90%、95%、98%、または99%)同一であるアミノ酸配列を含む重鎖を含む。あるいは、または加えて(例として、加えて)、本明細書に記載の抗TfR1抗体は、配列番号85、89、90、93、95、および157のうちのいずれか1つと少なくとも75%(例として、75%、80%、85%、90%、95%、98%、または99%)同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。いくつかの態様において、本明細書に記載の抗TfR1抗体は、配列番号97~103、158および159のいずれか1つのアミノ酸配列を含む重鎖を含む。あるいは、または加えて(例として、加えて)、本明細書に記載の抗TfR1抗体は、配列番号85、89、90、93、95および157のいずれか1つのアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0133】
いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、配列番号97のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号85のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0134】
いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、配列番号98のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号85のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0135】
いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、配列番号99のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号85のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0136】
いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、配列番号100のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号89のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0137】
いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、配列番号100のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号90のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0138】
いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、配列番号101のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号89のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0139】
いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、配列番号101のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号90のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0140】
いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、配列番号102のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号93のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0141】
いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、配列番号103のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号95のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0142】
いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、配列番号102のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号95のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0143】
いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、配列番号158のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号157のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0144】
いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、配列番号159のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号157のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0145】
他の公知の抗TfR1抗体
当該技術分野において知られているいずれか他の適切な抗TfR1抗体は、本明細書に開示の複合体において筋標的化剤として使用され得る。知られている抗TfR1抗体(関連する参考文献および結合エピトープを包含する)の例は、表6に挙げられる。いくつかの態様において、抗TfR1抗体は、本明細書で提供される抗TfR1抗体のいずれかの相補性決定領域(CDR-H1、CDR-H2、CDR-H3、CDR-L1、CDR-L2、およびCDR-L3)、例として表6に列挙される抗TfR1抗体を含む。
【表6-1】
【表6-2】
【表6-3】
【0146】
いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、表6から選択される抗TfR1抗体のいずれか1つからのCDR-H(例として、CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3)アミノ酸配列の1つ以上を含む。いくつかの態様において、抗TfR1抗体は、表6から選択される抗TfR1抗体のいずれか1つについて提供されるCDR-L1、CDR-L2、およびCDR-L3を含む。いくつかの態様において、抗TfR1抗体は、表6から選択される抗TfR1抗体のいずれか1つについて提供されるCDR-H1、CDR-H2、CDR-H3、CDR-L1、CDR-L2、およびCDR-L3を含む。
【0147】
いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、表6から選択される抗TfR1抗体のいずれか1つなどの、任意の抗TfR1抗体の重鎖可変ドメインおよび/または(例として、および)軽鎖可変ドメインを含む任意の抗体を含む。いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、任意の抗TfR1抗体の重鎖可変対および軽鎖可変対を含む、表6から選択される抗TfR1抗体のいずれか1つなどの任意の抗体を含む。
【0148】
本開示の側面は、本明細書に記載のもののいずれかに相同な重鎖可変(VH)および/または(例として、および)軽鎖可変(VL)ドメインアミノ酸配列を有する抗TfR1抗体を提供する。いくつかの態様において、抗TfR1抗体は、表6から選択される抗TfR1抗体のいずれか1つなどの任意の抗TfR1抗体の重鎖可変配列および/またはいずれの軽鎖可変配列と少なくとも75%(例として、80%、85%、90%、95%、98%、または99%)同一の重鎖可変配列または軽鎖可変配列を含む。いくつかの態様において、相同な重鎖可変および/または(例として、および)軽鎖可変アミノ酸配列は、本明細書で提供されるCDR配列のいずれかにおいては変動しない。例えば、いくつかの態様において、配列変異の程度(例として、75%、80%、85%、90%、95%、98%、または99%)は、本明細書で提供されるCDR配列のいずれかを除外した重鎖可変および/または(例として、および)軽鎖可変配列内で起こり得る。いくつかの態様において、本明細書で提供される抗TfR1抗体のいずれも、表6から選択される抗TfR1抗体のいずれか1つなどの任意の抗TfR1抗体のフレームワーク配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、98%、または99%同一のフレームワーク配列を含む重鎖可変配列および軽鎖可変配列を含む。
【0149】
本開示に従って使用され得るトランスフェリン受容体抗体の例は、参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2016/081643号に記載されている。この抗体のアミノ酸配列は表7に示される。
【表7-1】
【表7-2】
【0150】
いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、表7に示されるCDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3と同じであるCDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3を含む。あるいは、または加えて(例として、加えて)、本開示の抗TfR1抗体は、表7に示されるCDR-L1、CDR-L2、およびCDR-L3と同じであるCDR-L1、CDR-L2、およびCDR-L3を含む。
【0151】
いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、CDR-L3を含み、これは表7に示されるCDR-L3と比較して3個以下のアミノ酸変異(例として、3、2、または1個以下のアミノ酸変異)を含む。いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、表7に示されるCDR-L3と比較して1つのアミノ酸変異を含有するCDR-L3を含む。いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、QHFAGTPLT(KabatおよびChothia定義系に従う配列番号126)またはQHFAGTPL(Contact定義系に従う配列番号127)のCDR-L3を含む。いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、表7に示されるCDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3と同じであるCDR-H1、CDR-H2、CDR-H3、CDR-L1、およびCDR-L2を含み、QHFAGTPLT(配列番号126)(KabatおよびChothia定義系に従う)またはQHFAGTPL(配列番号127)(Contact定義系に従う)のCDR-L3を含む。
【0152】
いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、表7に示される重鎖CDRと、合わせて少なくとも80%(例として、80%、85%、90%、95%、または98%)同一である重鎖CDRを含む。あるいは、または加えて、(例として、加えて)、本開示の抗TfR1抗体は、表7に示される軽鎖CDRと、合わせて少なくとも80%(例として、80%、85%、90%、95%、または98%)同一である軽鎖CDRを含む。
【0153】
いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、配列番号124のアミノ酸配列を含むVHを含む。あるいは、または加えて(例として、加えて)、本開示の抗TfR1抗体は、配列番号125のアミノ酸配列を含むVLを含む。
【0154】
いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、配列番号128のアミノ酸配列を含むVHを含む。あるいは、または加えて(例として、加えて)、本開示の抗TfR1抗体は、配列番号129のアミノ酸配列を含むVLを含む。
【0155】
いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、配列番号128に示されるVHと比較して、25個以下のアミノ酸変異(例として、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、または1個以下のアミノ酸変異)を含有するVHを含む。あるいは、または加えて(例として、加えて)、本開示の抗TfR1抗体は、配列番号129に示されるVLと比較して、15個以下のアミノ酸変異(例として、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、9、8、7、6、5、4、3、2、または1個以下のアミノ酸変異)を含有するVLを含む。
【0156】
いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、完全長IgG1抗体であり、これはヒト抗体からの重鎖定常領域および軽鎖定常領域を含み得る。いくつかの態様において、本明細書に記載の抗TfR1抗体のいずれかの重鎖は、重鎖定常領域(CH)またはそのある部分(例として、CH1、CH2、CH3、またはそれらの組み合わせ)を含み得る。重鎖定常領域は、任意の好適な起源、例として、ヒト、マウス、ラット、またはウサギに由来し得る。特定の一例において、重鎖定常領域は、ヒトIgG(ガンマ重鎖)、例として、IgG1、IgG2、またはIgG4に由来する。ヒトIgG1定常領域の例は下記のとおりである:
ASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号81)
【0157】
いくつかの態様において、本明細書に記載の抗TfR1抗体のいずれかの軽鎖はさらに、軽鎖定常領域(CL)を含み得、これは当該技術分野において知られているいずれかのCLであり得る。いくつかの例において、CLは、カッパ軽鎖である。他の例において、CLは、ラムダ軽鎖である。いくつかの態様において、CLはカッパ軽鎖であって、その配列は以下に示される。
RTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC(配列番号83)
【0158】
いくつかの態様において、本明細書に記載の抗TfR1抗体は、配列番号132のアミノ酸配列を含む重鎖を含むキメラ抗体である。あるいは、または加えて(例として、加えて)、本明細書に記載の抗TfR1抗体は、配列番号133のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0159】
いくつかの態様において、本明細書に記載の抗TfR1抗体は、配列番号134のアミノ酸配列を含む重鎖を含む完全ヒト抗体である。あるいは、または加えて(例として、加えて)、本明細書に記載の抗TfR1抗体は、配列番号135のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0160】
いくつかの態様において、抗TfR1抗体は、インタクトな抗体(完全長抗体)の抗原結合性フラグメント(Fab)である。いくつかの態様において、本明細書に記載の抗TfR1 Fabは、配列番号136のアミノ酸配列を含む重鎖を含む。あるいは、または加えて(例として、加えて)、本明細書に記載の抗TfR1 Fabは、配列番号133のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。いくつかの態様において、本明細書に記載の抗TfR1 Fabは、配列番号137のアミノ酸配列を含む重鎖を含む。あるいは、または加えて(例として、加えて)、本明細書に記載の抗TfR1 Fabは、配列番号135のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0161】
本明細書に記載の抗TfR1抗体は、いずれかの抗体形態であり得、インタクトな(すなわち全長)抗体、それらの抗原結合フラグメント(Fab、Fab'、F(ab')2、Fvなど)、一本鎖抗体、二重特異性抗体、またはナノボディを含むが、これらに限定されない。いくつかの態様において、本明細書に記載の抗TfR1抗体はscFvである。いくつかの態様において、本明細書に記載の抗TfR1抗体は、scFv-Fabである(例として、定常領域のある部分に融合されたscFv)。いくつかの態様において、本明細書に記載の抗TfR1抗体は、定常領域(例として、配列番号81で示されるヒトIgG1定常領域)と縮合されたscFvである。
【0162】
いくつかの態様において、保存的突然変異は、例えば、結晶構造に基づき決定されるとき、その残基が標的抗原(例として、トランスフェリン受容体)との相互作用に関与しそうにない位置にて、抗体配列(例として、CDRまたはフレームワーク配列)中へ導入され得る。いくつかの態様において、1つ、2つまたはそれ以上の変異(例として、アミノ酸置換)は、血清半減期、補体結合、Fc受容体結合、および/または(例として、および)細胞への抗原依存的細胞傷害性などの、抗体の1つ以上の機能特性を変更させるために、本明細書に記載の抗TfR1抗体のFc領域中(例として、Kabatナンバリング系(例として、KabatのEUインデックス)に従うナンバリングで、CH2ドメイン(ヒトIgG1の残基231~340)中、および/または(例として、および)CH3ドメイン(ヒトIgG1の残基341~447)中、および/または(例として、および)ヒンジ領域中)へ導入される。
【0163】
いくつかの態様において、1つ、2つまたはそれ以上の変異(例として、アミノ酸置換)は、ヒンジ領域中のシステイン残基の数が、例として米国特許第5,677,425号に記載のとおり変動(例として、増大または減少)され得るように、Fc領域(CH1ドメイン)のヒンジ領域に導入される。CH1ドメインのヒンジ領域中のシステイン残基の数は、例として、軽鎖と重鎖の会合を容易にさせるために、または抗体の安定性を変える(例として、増大または減少させる)ため、またはリンカーの抱合を容易にさせるために、変更され得る。
【0164】
いくつかの態様において、1つ、2つまたはそれ以上の変異(例として、アミノ酸置換)は、抗体の、エフェクター細胞表面上のFc受容体(例として、活性化されたFc受容体)への親和性を増加または減少させるため、本明細書に記載の筋標的化抗体のFc領域中(例として、Kabatナンバリング系(例として、KabatのEUインデックス)に従うナンバリングで、CH2ドメイン(ヒトIgG1の残基231~340)中、および/または(例として、および)CH3ドメイン(ヒトIgG1の残基341~447)中、および/または(例として、および)ヒンジ領域中)へ導入される。抗体のFc受容体への親和性を増大または減少させる抗体のFc領域中の変異、およびかかる変異をFc受容体中またはそのフラグメントに導入するための技法は、当業者に知られている。抗体のFc受容体への親和性を変更するためになされ得る、抗体のFc受容体中の突然変異の例は、例として、Smith P et al.,(2012)PNAS 109:6181-6186、米国特許第6,737,056号、ならびに国際公開第02/060919号、同第98/23289号、および同第97/34631号(これらは参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている。
【0165】
いくつかの態様において、1つ、2つまたはそれ以上のアミノ酸変異(すなわち、置換、挿入、または欠失)は、in vivoでの抗体の半減期を変更(例として、増加または減少)させるため、IgG定常領域またはそのFcRn-結合フラグメント(好ましくは、Fcまたはヒンジ-Fcドメインフラグメント)に導入される。例として、in vivoでの抗体の半減期を変更(例として、増加または減少)させるであろう変異の例として、国際公開第02/060919号、国際公開第98/23289号、および国際公開第97/34631号、ならびに米国特許第5,869,046号、米国特許第6,121,022号、米国特許第6,277,375号、および米国特許第6,165,745号を参照されたい。
【0166】
いくつかの態様において、1つ、2つまたはそれ以上のアミノ酸変異(すなわち、置換、挿入、または欠失)は、in vivoでの抗TfR1抗体の半減期を減少させるため、IgG定常領域またはそのFcRn-結合フラグメント(好ましくは、Fcまたはヒンジ-Fcドメインフラグメント)に導入される。いくつかの態様において、1つ、2つまたはそれ以上のアミノ酸変異(すなわち、置換、挿入、または欠失)は、in vivoでの抗体の半減期を増加させるため、IgG定常領域またはそのFcRn-結合フラグメント(好ましくは、Fcまたはヒンジ-Fcドメインフラグメント)に導入される。いくつかの態様において、抗体は、KabatのEUインデックス(上記のKabat E A et al.,(1991))に従うナンバリングで第2定常(CH2)ドメイン(ヒトIgG1の残基231~340)中および/または(例として、および)第3定常(CH3)ドメイン(ヒトIgG1の残基341~447)中に、1つ以上のアミノ酸変異(例として、置換)を有し得る。いくつかの態様において、本明細書に記載の抗体のIgG1定常領域は、KabatにあるようなEUインデックスに従ってナンバリングされた位置252におけるメチオニン(M)からチロシン(Y)への置換、位置254におけるセリン(S)からトレオニン(T)への置換、および位置256におけるトレオニン(T)からグルタミン酸(E)への置換を含む。米国特許第7,658,921号(これは、参照により本明細書に組み込まれる)を参照されたい。「YTE突然変異体」と称されるこのタイプの突然変異IgGは、同じ抗体の野生型バージョンと比較して4倍増大した半減期を発揮したことが示されている(Dall'Acqua W F et al.,(2006)J Biol Chem 281:23514-24を参照されたい)。いくつかの態様において、抗体は、KabatにあるようなEUインデックスに従ってナンバリングされた位置251~257、285~290、308~314、385~389、および428~436でのアミノ酸残基の、1、2、3以上のアミノ酸置換を含むIgG定常領域を含む。
【0167】
いくつかの態様において、1つ、2つまたはそれ以上のアミノ酸置換は、抗TfR1抗体のエフェクター機能を変更するため、IgG定常領域Fc領域に導入される。自身への親和性が変更されたエフェクターリガンドは、例えば、Fc受容体または補体のC1構成要素であり得る。このアプローチは、米国特許第5,624,821号および第5,648,260号においてさらに詳細に記載される。いくつかの態様において、定常領域ドメインの欠失または不活化(点突然変異または他の手段を通して)は、循環抗体のFc受容体への結合を低減し、それによって腫瘍局在化を増大し得る。定常領域を欠失または不活化し、それによって腫瘍局在化を増大させる変異の記載については、例として、米国特許第5,585,097号および米国特許第8,591,886号を参照されたい。いくつかの態様において、1つ以上のアミノ酸置換は、Fc領域上の潜在的なグリコシル化部位を除去するため(これによってFc受容体への結合が低減されることもある)、本明細書に記載の抗体のFc領域に導入されてもよい(例として、Shields R L et al.,(2001)J Biol Chem 276:6591-604を参照されたい)。
【0168】
いくつかの態様において、本明細書に記載の抗TfR1抗体の定常領域中の1つ以上のアミノ酸残基は、抗体が変更されたC1q結合および/または(例として、および)低減もしくは消失された補体依存性細胞傷害性(CDC)を有し得るように、異なるアミノ酸残基に置き換えられ得る。このアプローチは、米国特許第6,194,551号(Idusogie et al)においてさらに詳細に記載されている。いくつかの態様において、本明細書に記載の抗体のCH2ドメインのN末端領域中の1以上のアミノ酸残基が変更されて、それによって抗体の補体結合能を変更する。このアプローチは、国際公開第94/29351号においてさらに詳しく記載されている。いくつかの態様において、本明細書に記載の抗体のFc領域は、抗体の、細胞への抗体依存性細胞傷害性(ADCC)の媒介能を増大させるため、および/または(例として、および)、抗体のFcγ受容体への親和性を増大させるため、修飾されている。このアプローチは、国際公開第00/42072号においてさらに詳しく記載されている。
【0169】
いくつかの態様において、本明細書で提供される抗体の重鎖および/または(例として、および)軽鎖可変ドメイン(単数または複数)配列(単数または複数)は、本明細書の他の箇所に記載されるとおり、例えば、CDR接合抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、もしくは複合ヒト抗体、または抗原結合性フラグメントを生成するために使用され得る。当業者によって理解されるとおり、本明細書で提供される抗体のいずれかに由来するいずれのバリアント、CDR接合抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、または複合抗体は、本明細書に記載の組成物および方法に有用であってもよく、バリアント、CDR接合抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、または複合抗体が、これが由来する元の抗体と比べて、トランスフェリン受容体への少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%以上の結合を有し得るように、トランスフェリン受容体への特異的結合能を維持するであろう。
【0170】
いくつかの態様において、本明細書で提供される抗体は、所望の特性を抗体へ付与する突然変異を含む。例えば、ネイティブなIgG4 mAbに生じることが知られているFabアーム交換(Fab-arm exchange)に起因する潜在的合併症を回避するため、本明細書で提供される抗体は、安定化「Adair」突然変異を含んでいてもよく(Angal S.,et al.,「A single amino acid substitution abolishes the heterogeneity of chimeric mouse/human(IgG4)antibody」,Mol Immunol 30,105-108;1993)、ここでセリン228(EUナンバリング;残基241 Kabatナンバリング)は、IgG1様ヒンジ配列をもたらすプロリンへ変換されている。したがって、抗体のいずれも、安定化「Adair」突然変異を包含していてもよい。
【0171】
いくつかの態様において、抗体は修飾されている(例として、グリコシル化、リン酸化、SUMO化、および/または(例として、および)、メチル化を介して修飾されている)。いくつかの態様において、抗体は、1個以上の糖または炭水化物分子へ抱合されたグリコシル化抗体である。いくつかの態様において、1個以上の糖または炭水化物分子は、N-グリコシル化、O-グリコシル化、C-グリコシル化、グリピエーション(GPIアンカー付着)、および/または(例として、および)、ホスホグリコシル化を介して、抗体へ抱合されている。いくつかの態様において、1個以上の糖または炭水化物分子は、単糖類、二糖類、オリゴ糖類、またはグリカンである。いくつかの態様において、1個以上の糖または炭水化物分子は、分枝オリゴ糖類または分枝グリカンである。いくつかの態様において、1個以上の糖または炭水化物分子は、マンノース単位、グルコース単位、N-アセチルグルコサミン単位、N-アセチルガラクトサミン単位、ガラクトース単位、フコース単位、またはホスホ脂質単位を包含する。いくつかの態様において、糖分子は、約1~10個、約1~5個、約5~10個、約1~4個、約1~3個、または約2個存在する。いくつかの態様において、グリコシル化抗体は、全体的にまたは部分的にグリコシル化されている。いくつかの態様において、抗体は、化学反応によって、または酵素的な手段によってグリコシル化されている。いくつかの態様において、抗体は、in vitroでまたは細胞(任意にN-またはO-グリコシル化経路中の酵素(例として、グリコシルトランスフェラーゼ)を欠乏していてもよい)内部でグリコシル化される。いくつかの態様において、抗体は、「Modified antibody,antibody-conjugate and process for the preparation thereof」と題する2014年5月1日に公開された国際公開第2014065661号に記載されるような糖または炭水化物分子で官能化されている。
【0172】
いくつかの態様において、本明細書に記載の抗TfR1抗体のいずれか1つは、重鎖および/または(例として、および)軽鎖配列上にシグナルペプチド(例として、N末端シグナルペプチド)を含み得る。いくつかの態様において、本明細書に記載の抗TfR1抗体は、VHおよびVL配列のいずれか1つ、IgG重鎖および軽鎖配列のいずれか1つ、または本明細書に記載のF(ab')重鎖および軽鎖配列のいずれか1つを含み、さらにシグナルペプチド(例として、N末端シグナルペプチド)を含む。いくつかの態様において、シグナルペプチドはMGWSCIILFLVATATGVHS(配列番号104)のアミノ酸配列を含む。
【0173】
いくつかの態様において、本明細書で提供される抗体は、1以上の翻訳後修飾を有し得る。いくつかの態様において、ピログルタミン酸形成(ピロGlu)ともまた呼ばれるN末端環化が、産生の間にN末端グルタミン酸(Glu)および/またはグルタミン(Gln)残基において抗体に生起し得る。したがって、当然のことながら、N末端グルタメートまたはグルタミン残基を含む配列を有すると特定される抗体は、翻訳後修飾に起因するピログルタメート形成を受けた抗体を包含する。いくつかの態様において、ピログルタミン酸形成は、重鎖配列に生起する。いくつかの態様において、ピログルタミン酸形成は軽鎖配列に生起する。
【0174】
b.他の筋標的抗体
いくつかの態様において、筋標的化抗体は、ヘモジュベリン(hemojuvelin)、カベオリン-3、デュシェンヌ型筋ジストロフィーペプチド、ミオシンIIb、またはCD63に特異的に結合する抗体である。いくつかの態様において、筋標的化抗体は、筋原性前駆体タンパク質に特異的に結合する抗体である。例示の筋原性前駆体タンパク質は、限定せずに、ABCG2、M-カドヘリン/カドヘリン-15、カベオリン-1、CD34、FoxK1、インテグリンアルファ7、インテグリンアルファ7ベータ1、MYF-5、MyoD、ミオゲニン、NCAM-1/CD56、Pax3、Pax7、およびPax9を包含する。いくつかの態様において、筋標的化抗体は、骨格筋タンパク質に特異的に結合する抗体である。例示的な骨格筋タンパク質としては、限定するものではないが、アルファ-サルコグリカン、ベータ-サルコグリカン、カルパインインヒビター、クレアチンキナーゼMM/CKMM、eIF5A、エノラーゼ2/ニューロン特異的エノラーゼ、イプシロン-サルコグリカン、FABP3/H-FABP、GDF-8/ミオスタチン、GDF-11/GDF-8、インテグリンアルファ7、インテグリンアルファ7ベータ1、インテグリンベータ1/CD29、MCAM/CD146、MyoD、ミオゲニン、ミオシン軽鎖キナーゼインヒビター、NCAM-1/CD56、およびトロポニンIが挙げられ、いくつかの態様において、筋標的化抗体は、平滑筋タンパク質に特異的に結合する抗体である。例示の平滑筋タンパク質は、限定せずに、アルファ-平滑筋アクチン、VE-カドヘリン、カルデスモン/CALD1、カルポニン1、デスミン、ヒスタミンH2 R、モチリンR/GPR38、トランスジェリン(Transgelin)/TAGLN、およびビメンチンを包含する。しかしながら、当然のことながら、追加の標的への抗体が本開示の範囲内であること、および本明細書で提供される標的の例示のリストが限定することを意図していない。
【0175】
c.抗体の特徴/変更
いくつかの態様において、保存的突然変異は、例えば、結晶構造に基づき決定されるとき、その残基が標的抗原(例として、トランスフェリン受容体)との相互作用に関与しそうにない位置にて、抗体配列(例として、CDRまたはフレームワーク配列)中へ導入され得る。いくつかの態様において、1つ、2つまたはそれ以上の変異(例として、アミノ酸置換)は、血清半減期、補体結合、Fc受容体結合、および/または(例として、および)細胞への抗原依存的細胞傷害性などの、抗体の1つ以上の機能特性を変更させるために、本明細書に記載の筋標的化抗体のFc領域中(例として、Kabatナンバリング系(例として、KabatのEUインデックス)に従うナンバリングで、CH2ドメイン(ヒトIgG1の残基231~340)中、および/または(例として、および)CH3ドメイン(ヒトIgG1の残基341~447)中、および/または(例として、および)ヒンジ領域中)へ導入される。
【0176】
いくつかの態様において、1つ、2つまたはそれ以上の変異(例として、アミノ酸置換)は、ヒンジ領域中のシステイン残基の数が、例として米国特許第5,677,425号に記載のとおり変動(例として、増大または減少)され得るように、Fc領域(CH1ドメイン)のヒンジ領域に導入される。CH1ドメインのヒンジ領域中のシステイン残基の数は、例として、軽鎖と重鎖の会合を容易にさせるために、または抗体の安定性を変える(例として、増大または減少させる)ため、またはリンカーの抱合を容易にさせるために、変更され得る。
【0177】
いくつかの態様において、1つ、2つまたはそれ以上の変異(例として、アミノ酸置換)は、抗体の、エフェクター細胞表面上のFc受容体(例として、活性化されたFc受容体)への親和性を増加または減少させるため、本明細書に記載の筋標的化抗体のFc領域中(例として、Kabatナンバリング系(例として、KabatのEUインデックス)に従うナンバリングで、CH2ドメイン(ヒトIgG1の残基231~340)中、および/または(例として、および)CH3ドメイン(ヒトIgG1の残基341~447)中、および/または(例として、および)ヒンジ領域中)へ導入される。抗体のFc受容体への親和性を増大または減少させる抗体のFc領域中の変異、およびかかる変異をFc受容体中またはそのフラグメントに導入するための技法は、当業者に知られている。抗体のFc受容体への親和性を変更するためになされ得る、抗体のFc受容体中の突然変異の例は、例として、Smith P et al.,(2012)PNAS 109:6181-6186、米国特許第6,737,056号、ならびに国際公開第02/060919号、同第98/23289号、および同第97/34631号(これらは参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている。
【0178】
いくつかの態様において、1つ、2つまたはそれ以上のアミノ酸変異(すなわち、置換、挿入、または欠失)は、in vivoでの抗体の半減期を変更(例として、増加または減少)させるため、IgG定常領域またはそのFcRn-結合フラグメント(好ましくは、Fcまたはヒンジ-Fcドメインフラグメント)に導入される。例として、in vivoでの抗体の半減期を変更(例として、増加または減少)させるであろう変異の例として、国際公開第02/060919号、国際公開第98/23289号、および国際公開第97/34631号、ならびに米国特許第5,869,046号、米国特許第6,121,022号、米国特許第6,277,375号、および米国特許第6,165,745号を参照されたい。
【0179】
いくつかの態様において、1つ、2つまたはそれ以上のアミノ酸変異(すなわち、置換、挿入、または欠失)は、in vivoでの抗トランスフェリン受容体抗体の半減期を減少させるため、IgG定常領域またはそのFcRn-結合フラグメント(好ましくは、Fcまたはヒンジ-Fcドメインフラグメント)に導入される。いくつかの態様において、1つ、2つまたはそれ以上のアミノ酸変異(すなわち、置換、挿入、または欠失)は、in vivoでの抗体の半減期を増加させるため、IgG定常領域またはそのFcRn-結合フラグメント(好ましくは、Fcまたはヒンジ-Fcドメインフラグメント)に導入される。いくつかの態様において、抗体は、KabatのEUインデックス(上記のKabat E A et al.,(1991))に従うナンバリングで第2定常(CH2)ドメイン(ヒトIgG1の残基231~340)中および/または(例として、および)第3定常(CH3)ドメイン(ヒトIgG1の残基341~447)中に、1つ以上のアミノ酸変異(例として、置換)を有し得る。いくつかの態様において、本明細書に記載の抗体のIgG1定常領域は、KabatにあるようなEUインデックスに従ってナンバリングされた位置252におけるメチオニン(M)からチロシン(Y)への置換、位置254におけるセリン(S)からトレオニン(T)への置換、および位置256におけるトレオニン(T)からグルタミン酸(E)への置換を含む。米国特許第7,658,921号(これは、参照により本明細書に組み込まれる)を参照されたい。「YTE突然変異体」と称されるこのタイプの突然変異IgGは、同じ抗体の野生型バージョンと比較して4倍増大した半減期を発揮したことが示されている(Dall'Acqua W F et al.,(2006)J Biol Chem 281:23514-24を参照されたい)。いくつかの態様において、抗体は、KabatにあるようなEUインデックスに従ってナンバリングされた位置251~257、285~290、308~314、385~389、および428~436でのアミノ酸残基の、1、2、3以上のアミノ酸置換を含むIgG定常領域を含む。
【0180】
いくつかの態様において、1、2以上のアミノ酸置換は、抗トランスフェリン受容体抗体のエフェクター機能(単数または複数)を変更するため、IgG定常領域Fc領域中へ導入される。自身への親和性が変更されたエフェクターリガンドは、例えば、Fc受容体または補体のC1構成要素であり得る。このアプローチは、米国特許第5,624,821号および第5,648,260号においてさらに詳細に記載される。いくつかの態様において、定常領域ドメインの欠失または不活化(点突然変異または他の手段を通して)は、循環抗体のFc受容体への結合を低減し、それによって腫瘍局在化を増大し得る。定常領域を欠失または不活化し、それによって腫瘍局在化を増大させる変異の記載については、例として、米国特許第5,585,097号および米国特許第8,591,886号を参照されたい。いくつかの態様において、1つ以上のアミノ酸置換は、Fc領域上の潜在的なグリコシル化部位を除去するため(これによってFc受容体への結合が低減されることもある)、本明細書に記載の抗体のFc領域に導入されてもよい(例として、Shields R L et al.,(2001)J Biol Chem 276:6591-604を参照されたい)。
【0181】
いくつかの態様において、本明細書に記載の筋標的化抗体の定常領域中の1つ以上のアミノ酸残基は、抗体が変更されたC1q結合および/または(例として、および)低減もしくは消失された補体依存性細胞傷害性(CDC)を有し得るように、異なるアミノ酸残基に置き換えられ得る。このアプローチは、米国特許第6,194,551号(Idusogie et al)においてさらに詳細に記載されている。いくつかの態様において、本明細書に記載の抗体のCH2ドメインのN末端領域中の1以上のアミノ酸残基が変更されて、それによって抗体の補体結合能を変更する。このアプローチは、国際公開第94/29351号においてさらに詳しく記載されている。いくつかの態様において、本明細書に記載の抗体のFc領域は、抗体の、細胞への抗体依存性細胞傷害性(ADCC)の媒介能を増大させるため、および/または(例として、および)、抗体のFcγ受容体への親和性を増大させるため、修飾されている。このアプローチは、国際公開第00/42072号においてさらに詳しく記載されている。
【0182】
いくつかの態様において、本明細書で提供される抗体の重鎖および/または(例として、および)軽鎖可変ドメイン(単数または複数)配列(単数または複数)は、本明細書の他の箇所に記載されるとおり、例えば、CDR接合抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、もしくは複合ヒト抗体、または抗原結合性フラグメントを生成するために使用され得る。当業者によって理解されるとおり、本明細書で提供される抗体のいずれかに由来するいずれのバリアント、CDR接合抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、または複合抗体は、本明細書に記載の組成物および方法に有用であってもよく、バリアント、CDR接合抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、または複合抗体が、これが由来する元の抗体と比べて、トランスフェリン受容体への少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%以上の結合を有し得るように、トランスフェリン受容体への特異的結合能を維持するであろう。
【0183】
いくつかの態様において、本明細書で提供される抗体は、所望の特性を抗体へ付与する突然変異を含む。例えば、ネイティブなIgG4 mAbに生じることが知られているFabアーム交換(Fab-arm exchange)に起因する潜在的合併症を回避するため、本明細書で提供される抗体は、安定化「Adair」突然変異を含んでいてもよく(Angal S.,et al.,「A single amino acid substitution abolishes the heterogeneity of chimeric mouse/human(IgG4)antibody」,Mol Immunol 30,105-108;1993)、ここでセリン228(EUナンバリング;残基241 Kabatナンバリング)は、IgG1様ヒンジ配列をもたらすプロリンへ変換されている。したがって、抗体のいずれも、安定化「Adair」突然変異を包含していてもよい。
【0184】
本明細書で提供されるとおり、本開示の抗体は、任意に、定常領域またはその一部を含んでいてもよい。例えば、VLドメインは、そのC末端にて、軽鎖定常領域様CκまたはCλへ付着されていてもよい。同様に、VHドメインまたはその一部は、すべてのまたは一部の重鎖様IgA、IgD、IgE、IgG、およびIgM、およびいずれのアイソタイプのサブクラスへ付着されていてもよい。抗体は、好適な定常領域を包含していてもよい(例えば、Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,No.91-3242,National Institutes of Health Publications,Bethesda,Md.(1991)を参照されたい)。したがって、本開示の範囲内の抗体は、いずれの好適な定常領域と組み合わされて、VHおよびVLドメイン、またはその抗原結合部を包含していてもよい。
【0185】
ii.筋標的化ペプチド
本開示のいくつかの側面は、筋標的化ペプチドを筋標的化剤として提供する。特定の細胞型に結合する短いペプチド配列(例として、5~20アミノ酸長のペプチド配列)は記載されている。例えば、細胞標的化ペプチドは、Vines e.,et al.,A.「Cell-penetrating and cell-targeting peptides in drug delivery」Biochim Biophys Acta 2008,1786:126-38、Jarver P.,et al.,「In vivo biodistribution and efficacy of peptide mediated delivery」Trends Pharmacol Sci 2010;31:528-35、Samoylova T.I.,et al.,「Elucidation of muscle-binding peptides by phage display screening」Muscle Nerve 1999;22:460-6、米国特許第6,329,501号、2001年12月11日発行、表題「METHODS AND COMPOSITIONS FOR TARGETING COMPOUNDS TO MUSCLE」、およびSamoylov A.M.,et al.,「Recognition of cell-specific binding of phage display derived peptides using an acoustic wave sensor.」Biomol Eng 2002;18:269-72に記載されており、これら各々の内容全体は参照により本明細書に組み込まれる。特定の細胞表面抗原(例として、受容体)と相互作用するようにペプチドを設計することによって、所望される組織、例として、筋肉への選択性が獲得され得る。骨格筋標的化が調査されており、広範な分子ペイロードが送達されることができる。巨大な抗体またはウイルス粒子についての実際上の不利な点の多くが存在しないこれらのアプローチは、筋組織への高選択性を有していてもよい。したがって、いくつかの態様において、筋標的化剤は、4アミノ酸長から50アミノ酸長の筋標的化ペプチドである。いくつかの態様において、筋標的化ペプチドは、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、または50アミノ酸長である。筋標的化ペプチドは、ファージディスプレーなどのいくつかの方法のいずれかを使用して生成され得る。
【0186】
いくつかの態様において、筋標的化ペプチドは、他のある細胞と比較して、筋細胞において過剰発現されているかまたは相対的に高度に発現されている、内在化する細胞表面受容体(例として、トランスフェリン受容体)に結合し得る。いくつかの態様において、筋標的化ペプチドは、トランスフェリン受容体を標的化し得る(例として、トランスフェリン受容体に結合し得る)。いくつかの態様において、トランスフェリン受容体を標的化するペプチドは、天然に存在するリガンド、例として、トランスフェリンのセグメントを含み得る。いくつかの態様において、トランスフェリン受容体を標的化するペプチドは、米国特許第6,743,893号、11/30/2000出願、「RECEPTOR-MEDIATED UPTAKE OF PEPTIDES THAT BIND THE HUMAN TRANSFERRIN RECEPTOR」に記載のとおりである。いくつかの態様において、トランスフェリン受容体を標的化するペプチドは、Kawamoto,M.et al,「A novel transferrin receptor-targeted hybrid peptide disintegrates cancer cell membrane to induce rapid killing of cancer cells.」BMC Cancer.2011 Aug 18;11:359に記載のとおりである。いくつかの態様において、トランスフェリン受容体を標的化するペプチドは、米国特許第8,399,653号、2011年5月20日出願、「TRANSFERRIN/TRANSFERRIN RECEPTOR-MEDIATED SIRNA DELIVERY」に記載のとおりである。
【0187】
上述のとおり、筋標的化ペプチドの例は報告されている。例えば、筋肉特異的ペプチドは、表面へプタペプチドを提示するファージディスプレーライブラリを使用して同定された。一例として、アミノ酸配列ASSLNIA(配列番号943)を有するペプチドは、in vitroでC2C12マウス筋管へ結合し、かつin vivoでマウス筋組織へ結合した。したがって、いくつかの態様において、筋標的化剤は、アミノ酸配列ASSLNIA(配列番号943)を含む。このペプチドは、肝臓、腎臓、および脳への結合が低減された、マウスへの静脈内注射後の心筋組織および骨格筋組織への結合について改善された特異性を発揮した。追加の筋肉特異的ペプチドがファージディスプレーを使用して同定されている。例えば、デュシェンヌ型筋ジストロフィーの処置という文脈において、12アミノ酸ペプチドが、筋標的化のためのファージディスプレーライブラリによって同定された。Yoshida D.,et al.,「Targeting of salicylate to skin and muscle following topical injections in rats.」Int J Pharm 2002;231:177-84を参照されたい。この内容全体はこれによって参照により組み込まれる。ここで、配列SKTFNTHPQSTP(配列番号944)を有する12アミノ酸ペプチドが同定され、この筋標的化ペプチドは、ASSLNIA(配列番号943)ペプチドと比べてC2C12細胞への改善された結合を示した。
【0188】
他の細胞型より筋肉(例として、骨格筋)に対して選択的なペプチドを同定するためのいずれの追加の方法はin vitroでの選択を含み、これはGhosh D.,et al.,「Selection of muscle-binding peptides from context-specific peptide-presenting phage libraries for adenoviral vector targeting」J Virol 2005;79:13667-72に記載されている。この内容全体は参照により本明細書に組み込まれる。ランダム12-merペプチドファージディスプレーライブラリを非筋細胞型の混合物とプレインキュベートすることによって、非特異的細胞バインダーが選出された。選択を繰り返した後、12アミノ酸ペプチドTARGEHKEEELI(配列番号945)が最も頻繁に現れた。したがって、いくつかの態様において、筋標的化剤は、アミノ酸配列TARGEHKEEELI(配列番号945)を含む。
【0189】
筋標的化剤は、アミノ酸含有分子またはペプチドであってもよい。筋標的化ペプチドは、筋細胞から見出されたタンパク質受容体へ優先的に結合するタンパク質の配列に対応していてもよい。いくつかの態様において、筋標的化ペプチドは、ペプチドが筋細胞を優先的に標的にし得るように、疎水性アミノ酸(例として、バリン)の性質を強く有する。いくつかの態様において、筋標的化ペプチドは、これまでに特徴付けも開示もされていない。これらのペプチドは、数種の方法論のいずれか、例として、ファージディスプレードペプチドライブラリ、1ビーズ・1化合物(one-bead one-compound)ペプチドライブラリ、または位置走査性(positional scanning)合成ペプチドコンビナトリアルライブラリを使用して、想起、産生、合成、および/または(例として、および)、誘導体化されてもよい。例示の方法論は、当該技術分野において特徴付けられてきており、参照により組み込まれる(Gray,B.P.and Brown,K.C.「Combinatorial Peptide Libraries:Mining for Cell-Binding Peptides」Chem Rev.2014,114:2,1020-1081.;Samoylova,T.I.and Smith,B.F.「Elucidation of muscle-binding peptides by phage display screening.」Muscle Nerve,1999,22:4.460-6.)。いくつかの態様において、筋標的化ペプチドはこれまでに開示されている(例として、Writer M.J.et al.「Targeted gene delivery to human airway epithelial cells with synthetic vectors incorporating novel targeting peptides selected by phage display.」J.Drug Targeting.2004;12:185;Cai,D.「BDNF-mediated enhancement of inflammation and injury in the aging heart.」Physiol Genomics.2006,24:3,191-7.;Zhang,L.「Molecular profiling of heart endothelial cells.」Circulation,2005,112:11,1601-11.;McGuire,M.J.et al.「In vitro selection of a peptide with high selectivity for cardiomyocytes in vivo.」J Mol Biol.2004,342:1,171-82を参照されたい)。例示の筋標的化ペプチドは、以下の群のアミノ酸配列を含む:CQAQGQLVC(配列番号946)、CSERSMNFC(配列番号947)、CPKTRRVPC(配列番号948)、WLSEAGPVVTVRALRGTGSW(配列番号949)、ASSLNIA(配列番号943)、CMQHSMRVC(配列番号950)、およびDDTRHWG(配列番号951)。いくつかの態様において、筋標的化ペプチドは、約2~25アミノ酸、約2~20アミノ酸、約2~15アミノ酸、約2~10アミノ酸、または約2~5アミノ酸を含んでいてもよい。筋標的化ペプチドは、天然に存在するアミノ酸、例として、システイン、アラニン、または天然に存在しないか、もしくは修飾アミノ酸を含んでいてもよい。天然に存在しないアミノ酸は、β-アミノ酸、ホモ-アミノ酸、プロリン誘導体、3-置換アラニン誘導体、線形コアアミノ酸、N-メチルアミノ酸、および当該技術分野において知られているその他のアミノ酸を包含する。いくつかの態様において、筋標的化ペプチドは線状であってもよい;他の態様において、筋標的化ペプチドは環状(例として、二環式)であってもよい(例として、Silvana,M.G.et al.Mol.Therapy,2018,26:1,132-147を参照されたい)。
【0190】
iii.筋標的化受容体リガンド
筋標的化剤は、リガンド、例として、受容体タンパク質へ結合するリガンドであってもよい。筋標的化リガンドは、タンパク質、例としてトランスフェリンであってもよく、それは筋細胞によって発現される内在化する細胞表面受容体へ結合する。したがって、いくつかの態様において、筋標的化剤は、トランスフェリン、またはトランスフェリン受容体へ結合するその誘導体である。筋標的化リガンドは、代替的に、小分子、例として、他の細胞型と比べて優先的に筋細胞を標的化する親油性小分子であってもよい。筋細胞を標的にしてもよい例示の親油性小分子は、コレステロール、コレステリル、ステアリン酸、パルミチン酸、オレイン酸、オレイル、リノレン酸、リノール酸、ミリスチン酸、ステロール、ジヒドロテストステロン、テストステロン誘導体、グリセリン、アルキル鎖、トリチル基、およびアルコキシ酸を含む化合物を包含する。
【0191】
iv.筋標的化アプタマー
筋標的化剤は、他の細胞型と比べて優先的に筋細胞を標的化するアプタマー、例としてRNAアプタマーであってもよい。いくつかの態様において、筋標的化アプタマーはこれまでに特徴付けも開示もされていない。これらのアプタマーは、数種の方法論のいずれか、例として、指数関数的濃縮によるリガンドの体系的進化を使用して、着想、産生、合成、および/または(例として、および)、誘導体化されてもよい。例示の方法論は当該技術分野において特徴付けされており、参照により組み込まれる(Yan,A.C.and Levy,M.「Aptamers and aptamer targeted delivery」RNA biology,2009,6:3,316-20.;Germer,K.et al.「RNA aptamers and their therapeutic and diagnostic applications.」Int.J.Biochem.Mol.Biol.2013;4:27-40)。いくつかの態様において、筋標的化アプタマーはこれまでに開示されている(例として、Phillippou,S.et al.「Selection and Identification of Skeletal-Muscle-Targeted RNA Aptamers.」Mol Ther Nucleic Acids.2018,10:199-214.;Thiel,W.H.et al.「Smooth Muscle Cell-targeted RNA Aptamer Inhibits Neointimal Formation.」Mol Ther.2016,24:4,779-87を参照されたい)。例示の筋標的化アプタマーは、A01B RNAアプタマーおよびRNA Apt 14を包含する。いくつかの態様において、アプタマーは、核酸をベースとしたアプタマー、オリゴヌクレオチドアプタマー、またはペプチドアプタマーである。いくつかの態様において、アプタマーは、約5~15kDa、約5~10kDa、約10~15kDa、約1~5Da、約1~3kDa、またはこれより小さいものであってもよい。
【0192】
v.他の筋標的化剤
筋細胞(例として、骨格筋細胞)を標的化するための1つのストラテジーは、筋線維鞘上に発現されたトランスポータータンパク質などの筋肉トランスポータータンパク質の基質を使用することである。いくつかの態様において、筋標的化剤は、筋組織に特異的な流入トランスポーターの基質である。いくつかの態様において、流入トランスポーターは、骨格筋組織に特異的である。骨格筋の筋線維鞘上に発現されるトランスポーターの二大クラスは、(1)骨格筋組織からの流出に容易にさせる、アデノシン三リン酸(ATP)結合カセット(ABC)スーパーファミリー、および(2)基質の骨格筋中への流入を容易にし得る、溶質輸送体(solute carrier)(SLC)スーパーファミリーである。いくつかの態様において、筋標的化剤は、トランスポーターのABCスーパーファミリーまたはSLCスーパーファミリーへ結合する基質である。いくつかの態様において、トランスポーターのABCまたはSLCスーパーファミリーへ結合する基質は、天然に存在する基質である。いくつかの態様において、トランスポーターのABCまたはSLCスーパーファミリーへ結合する基質は、天然に存在しない基質、例えば、トランスポーターのABCまたはSLCスーパーファミリーへ結合するその合成誘導体である。
【0193】
いくつかの態様において、筋標的化剤は、輸送体のSLCスーパーファミリーを標的化する本明細書に記載のいずれかの筋標的化剤(例として、抗体、核酸、小分子、ペプチド、アプタマー、脂質、糖部分)である。いくつかの態様において、筋標的化剤は、トランスポーターのSLCスーパーファミリーの基質である。SLCトランスポーターは、平衡型であるか、または基質の輸送を推進させる膜にわたって創出されたプロトンもしくはナトリウムのイオン勾配を使用するかのいずれかである。骨格筋への高発現を有する例示のSLCトランスポーターは、限定せずに、SATTトランスポーター(ASCT1;SLC1A4)、GLUT4トランスポーター(SLC2A4)、GLUT7トランスポーター(GLUT7;SLC2A7)、ATRC2トランスポーター(CAT-2;SLC7A2)、LAT3トランスポーター(KIAA0245;SLC7A6)、PHT1トランスポーター(PTR4;SLC15A4)、OATP-Jトランスポーター(OATP5A1;SLC21A15)、OCT3トランスポーター(EMT;SLC22A3)、OCTN2トランスポーター(FLJ46769;SLC22A5)、ENTトランスポーター(ENT1;SLC29A1およびENT2;SLC29A2)、PAT2トランスポーター(SLC36A2)、およびSAT2トランスポーター(KIAA1382;SLC38A2)を包含する。これらのトランスポーターは、基質の骨格筋中への流入を容易にさせることで、筋標的化のための好機を提供し得る。
【0194】
いくつかの態様において、筋標的化剤は、平衡型ヌクレオシドトランスポーター2(ENT2)トランスポーターの基質である。他のトランスポーターと比べて、ENT2は、骨格筋において最高発現するmRNAの1つを有する。ヒトENT2(hENT2)は、脳、心臓、胎盤、胸腺、膵臓、前立腺、および腎臓などのほとんどの体器官に発現されるものの、特に骨格筋に豊富である。ヒトENT2は、その基質の取り込みを、それらの濃度勾配に応じて容易にさせる。ENT2は、広範なプリンおよびピリミジン核酸塩基を輸送することによってヌクレオシドホメオスタシスを維持する役割を果たす。hENT2トランスポーターは、イノシンを除くすべてのヌクレオシド(アデノシン、グアノシン、ウリジン、チミジン、およびシチジン)に対して低親和性を有する。したがって、いくつかの態様において、筋標的化剤は、ENT2基質である。例示のENT2基質は、限定せずに、イノシン、2',3'-ジデオキシイノシン、およびクロファラビンを包含する。いくつかの態様において、本明細書で提供される筋標的化剤のいずれも、分子ペイロード(例として、オリゴヌクレオチドペイロード)に関連する。いくつかの態様において、筋標的化剤は、分子ペイロードへ共有結合的に連結されている。いくつかの態様において、筋標的化剤は、分子ペイロードへ非共有結合的に連結されている。
【0195】
いくつかの態様において、筋標的化剤は、ナトリウムイオン依存性の高親和性カルニチントランスポーターである有機カチオン/カルニチントランスポーター(OCTN2)の基質である。いくつかの態様において、筋標的化剤は、カルニチン、ミルドロネート、アセチルカルニチン、またはOCTN2へ結合するそのいずれかの誘導体である。いくつかの態様において、カルニチン、ミルドロネート、アセチルカルニチン、またはそれらの誘導体は、分子ペイロード(例として、オリゴヌクレオチドペイロード)へ共有結合的に連結されている。
【0196】
筋標的化剤は、筋細胞を標的化する少なくとも1つの可溶性形態で存在するタンパク質であるタンパク質であってもよい。いくつかの態様において、筋標的化タンパク質は、鉄過剰およびホメオスタシスに関与するタンパク質ヘモジュベリン(またrepulsive guidance molecule Cまたはヘモクロマトーシスタイプ2タンパク質としても知られている)であってもよい。いくつかの態様において、ヘモジュベリンは、完全長もしくはフラグメントであっても、または機能的ヘモジュベリンタンパク質と少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%配列同一性を有する突然変異体であってもよい。いくつかの態様において、ヘモジュベリン突然変異体は、可溶性フラグメントであってもよく、N末端シグナリングを欠いていてもよく、かつ/または(例として、かつ)、C末端アンカードメイを欠いていてもよい。いくつかの態様において、ヘモジュベリンは、GenBank RefSeq受託番号NM_001316767.1、NM_145277.4、NM_202004.3、NM_213652.3、またはNM_213653.3の注釈付きのものであってもよい。当然のことながら、ヘモジュベリンがヒト、霊長目の非ヒト動物、または齧歯類の動物を起源とするものであってもよい。
【0197】
B.分子ペイロード
本開示のいくつかの側面は、例として生物学的成果、例としてDNA配列の転写、RNA配列のスプライシングおよびプロセシング、タンパク質の発現、またはタンパク質の活性を調節するための分子ペイロードを提供する。いくつかの態様において、分子ペイロードは、筋標的化剤へ連結されているか、または別様に結び付けられている。いくつかの態様において、かかる分子ペイロードは、例として、結び付けられた筋標的化剤による筋細胞への送達を受けた筋細胞中の核酸またはタンパク質への特異的結合を介して、筋細胞を標的化することが可能である。当然のことながら、様々なタイプの分子ペイロードが本開示に従って使用されてもよい。例えば、分子ペイロードは、オリゴヌクレオチド(例として、アンチセンスオリゴヌクレオチド)、ペプチド(例として、疾患に関連する筋細胞中の核酸もしくはタンパク質に結合するペプチド)、タンパク質(例として、疾患に関連する筋細胞中の核酸もしくはタンパク質に結合するタンパク質)、または小分子(例として、疾患に関連する筋細胞中の核酸もしくはタンパク質の機能をモジュレートする小分子)を含んでいてもよく、またはこれらからなっていてもよい。いくつかの態様において、分子ペイロードは、変異DMD対立遺伝子に対する相補性領域を有する鎖を含むオリゴヌクレオチドである。例示の分子ペイロードは本明細書にさらに詳細に記載されているが、しかしながら、当然のことながら、本明細書で提供される例示の分子ペイロードが限定されることを意図していない。
【0198】
i.オリゴヌクレオチド
本開示の側面は、例として、DMD対立遺伝子由来のジストロフィンの発現を調節する(例として、増加させる)ように構成されたオリゴヌクレオチドに関する。いくつかの態様において、本明細書で提供されるオリゴヌクレオチドは、DMDプレ-mRNAのスプライシングを変化させてジストロフィンタンパク質(例として、機能的な切断型ジストロフィンタンパク質)の発現を促進するように構成される。いくつかの態様において、本明細書で提供されるオリゴヌクレオチドは、リーディングフレームを回復させるために、DMDにおける、例として、変異DMD対立遺伝子における1つ以上のエクソンのスキッピングを促進するように構成される。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、機能的なジストロフィンタンパク質の発現を可能にする(例として、Kinali M,Arechevala-Gomeza V,Feng L,et al.Local restoration of dystrophin expression with the morpholino oligomer AVI-4658 in Duchenne muscular dystrophy:a single-blind,placebo-controlled,dose-escalation,proof-of-concept study.Lancet Neurol.2009;8(10):918-928、およびWatanabe N,Nagata T,Satou Y,et al.NS-065/NCNP-01:an antisense oligonucleotide for potential treatment of exon 53 skipping in Duchenne muscular dystrophy.Mol Ther Nucleic Acids.2018;13:442-449に記載されている)。いくつかの態様において、提供されるオリゴヌクレオチドは、エクソン51のスキッピングを促進して、ジストロフィンのより短いが機能的なバージョン(例として、フレーム内欠失を含む)を生成するように構成される。いくつかの態様において、エクソン51のスキッピングを促進するオリゴヌクレオチドが提供される(例として、これは、例えば、DMDエクソン3~50、4~50、5~50、6~50、9~50、10~50、11~50、13~50、14~50、15~50、16~50、17~50、19~50、21~50、23~50、24~50、25~50、26~50、27~50、28~50、29~50、30~50、31~50、32~50、33~50、34~50、35~50、36~50、37~50、38~50、39~50、40~50、41~50、42~50、43~50、45~50、47~50、48~50、49~50、50、52、52~58、52~61、52~63、52~64、52~66、52~76、または52~77において欠失を有する患者などの、エクソン51のスキッピングに適した相当な数の患者に適し得る)。
【0199】
表8は、DMDの標的化、例として、エクソンスキッピング、およびDMD内の標的配列に有用なオリゴヌクレオチドの配列の非限定的な例を示す。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、表8に示される任意のアンチセンス配列または表8に示される標的配列に相補的な配列を含み得る。
【表8-1】
【表8-2】
【表8-3】
【表8-4】
【表8-5】
【表8-6】
【表8-7】
【表8-8】
【表8-9】
【0200】
いくつかの態様において、DMDを標的化するために(例として、エクソンスキッピングのために)有用なオリゴヌクレオチドは、DMD配列の領域を標的化する。いくつかの態様において、DMDを標的化するために(例として、エクソンスキッピングのために)有用なオリゴヌクレオチドは、DMD RNA(例として、配列番号130のDp427m転写物)の領域を標的化する。いくつかの態様において、DMDを標的化するために(例として、エクソンスキッピングのために)有用なオリゴヌクレオチドは、DMD RNA(例として、配列番号130のDp427m転写物)に対する相補性領域を含む。いくつかの態様において、DMDを標的化するために(例として、エクソンスキッピングのために)有用なオリゴヌクレオチドは、DMD RNA(例として、配列番号131、838、または854)のエクソンに対する相補性領域を含む。いくつかの態様において、DMDを標的化するために(例として、エクソンスキッピングのために)有用なオリゴヌクレオチドは、DMD RNA(例として、配列番号834または846)のイントロンに対する相補性領域を含む。いくつかの態様において、DMDを標的化するために(例として、エクソンスキッピングのために)有用なオリゴヌクレオチドは、DMD配列(例として、配列番号832、844、833、845、835、836、847-852、837、853、839~843のいずれか1つによって提供される配列)の一部に対する相補性領域を含む。DMD配列の例を以下に示す。以下に示されるDMD配列のそれぞれは、チミンヌクレオチド(T)を含むが、当然のことながら、各配列は、Tのいずれかまたはすべてがウラシルヌクレオチド(U)で置換されるDNA配列またはRNA配列を表すことができる。
【0201】
Homo sapiensジストロフィン(DMD)、転写変異体Dp427m、mRNA(NCBI参照配列:NM_004006.2)
TCCTGGCATCAGTTACTGTGTTGACTCACTCAGTGTTGGGATCACTCACTTTCCCCCTACAGGACTCAGATCTGGGAGGCAATTACCTTCGGAGAAAAACGAATAGGAAAAACTGAAGTGTTACTTTTTTTAAAGCTGCTGAAGTTTGTTGGTTTCTCATTGTTTTTAAGCCTACTGGAGCAATAAAGTTTGAAGAACTTTTACCAGGTTTTTTTTATCGCTGCCTTGATATACACTTTTCAAAATGCTTTGGTGGGAAGAAGTAGAGGACTGTTATGAAAGAGAAGATGTTCAAAAGAAAACATTCACAAAATGGGTAAATGCACAATTTTCTAAGTTTGGGAAGCAGCATATTGAGAACCTCTTCAGTGACCTACAGGATGGGAGGCGCCTCCTAGACCTCCTCGAAGGCCTGACAGGGCAAAAACTGCCAAAAGAAAAAGGATCCACAAGAGTTCATGCCCTGAACAATGTCAACAAGGCACTGCGGGTTTTGCAGAACAATAATGTTGATTTAGTGAATATTGGAAGTACTGACATCGTAGATGGAAATCATAAACTGACTCTTGGTTTGATTTGGAATATAATCCTCCACTGGCAGGTCAAAAATGTAATGAAAAATATCATGGCTGGATTGCAACAAACCAACAGTGAAAAGATTCTCCTGAGCTGGGTCCGACAATCAACTCGTAATTATCCACAGGTTAATGTAATCAACTTCACCACCAGCTGGTCTGATGGCCTGGCTTTGAATGCTCTCATCCATAGTCATAGGCCAGACCTATTTGACTGGAATAGTGTGGTTTGCCAGCAGTCAGCCACACAACGACTGGAACATGCATTCAACATCGCCAGATATCAATTAGGCATAGAGAAACTACTCGATCCTGAAGATGTTGATACCACCTATCCAGATAAGAAGTCCATCTTAATGTACATCACATCACTCTTCCAAGTTTTGCCTCAACAAGTGAGCATTGAAGCCATCCAGGAAGTGGAAATGTTGCCAAGGCCACCTAAAGTGACTAAAGAAGAACATTTTCAGTTACATCATCAAATGCACTATTCTCAACAGATCACGGTCAGTCTAGCACAGGGATATGAGAGAACTTCTTCCCCTAAGCCTCGATTCAAGAGCTATGCCTACACACAGGCTGCTTATGTCACCACCTCTGACCCTACACGGAGCCCATTTCCTTCACAGCATTTGGAAGCTCCTGAAGACAAGTCATTTGGCAGTTCATTGATGGAGAGTGAAGTAAACCTGGACCGTTATCAAACAGCTTTAGAAGAAGTATTATCGTGGCTTCTTTCTGCTGAGGACACATTGCAAGCACAAGGAGAGATTTCTAATGATGTGGAAGTGGTGAAAGACCAGTTTCATACTCATGAGGGGTACATGATGGATTTGACAGCCCATCAGGGCCGGGTTGGTAATATTCTACAATTGGGAAGTAAGCTGATTGGAACAGGAAAATTATCAGAAGATGAAGAAACTGAAGTACAAGAGCAGATGAATCTCCTAAATTCAAGATGGGAATGCCTCAGGGTAGCTAGCATGGAAAAACAAAGCAATTTACATAGAGTTTTAATGGATCTCCAGAATCAGAAACTGAAAGAGTTGAATGACTGGCTAACAAAAACAGAAGAAAGAACAAGGAAAATGGAGGAAGAGCCTCTTGGACCTGATCTTGAAGACCTAAAACGCCAAGTACAACAACATAAGGTGCTTCAAGAAGATCTAGAACAAGAACAAGTCAGGGTCAATTCTCTCACTCACATGGTGGTGGTAGTTGATGAATCTAGTGGAGATCACGCAACTGCTGCTTTGGAAGAACAACTTAAGGTATTGGGAGATCGATGGGCAAACATCTGTAGATGGACAGAAGACCGCTGGGTTCTTTTACAAGACATCCTTCTCAAATGGCAACGTCTTACTGAAGAACAGTGCCTTTTTAGTGCATGGCTTTCAGAAAAAGAAGATGCAGTGAACAAGATTCACACAACTGGCTTTAAAGATCAAAATGAAATGTTATCAAGTCTTCAAAAACTGGCCGTTTTAAAAGCGGATCTAGAAAAGAAAAAGCAATCCATGGGCAAACTGTATTCACTCAAACAAGATCTTCTTTCAACACTGAAGAATAAGTCAGTGACCCAGAAGACGGAAGCATGGCTGGATAACTTTGCCCGGTGTTGGGATAATTTAGTCCAAAAACTTGAAAAGAGTACAGCACAGATTTCACAGGCTGTCACCACCACTCAGCCATCACTAACACAGACAACTGTAATGGAAACAGTAACTACGGTGACCACAAGGGAACAGATCCTGGTAAAGCATGCTCAAGAGGAACTTCCACCACCACCTCCCCAAAAGAAGAGGCAGATTACTGTGGATTCTGAAATTAGGAAAAGGTTGGATGTTGATATAACTGAACTTCACAGCTGGATTACTCGCTCAGAAGCTGTGTTGCAGAGTCCTGAATTTGCAATCTTTCGGAAGGAAGGCAACTTCTCAGACTTAAAAGAAAAAGTCAATGCCATAGAGCGAGAAAAAGCTGAGAAGTTCAGAAAACTGCAAGATGCCAGCAGATCAGCTCAGGCCCTGGTGGAACAGATGGTGAATGAGGGTGTTAATGCAGATAGCATCAAACAAGCCTCAGAACAACTGAACAGCCGGTGGATCGAATTCTGCCAGTTGCTAAGTGAGAGACTTAACTGGCTGGAGTATCAGAACAACATCATCGCTTTCTATAATCAGCTACAACAATTGGAGCAGATGACAACTACTGCTGAAAACTGGTTGAAAATCCAACCCACCACCCCATCAGAGCCAACAGCAATTAAAAGTCAGTTAAAAATTTGTAAGGATGAAGTCAACCGGCTATCAGGTCTTCAACCTCAAATTGAACGATTAAAAATTCAAAGCATAGCCCTGAAAGAGAAAGGACAAGGACCCATGTTCCTGGATGCAGACTTTGTGGCCTTTACAAATCATTTTAAGCAAGTCTTTTCTGATGTGCAGGCCAGAGAGAAAGAGCTACAGACAATTTTTGACACTTTGCCACCAATGCGCTATCAGGAGACCATGAGTGCCATCAGGACATGGGTCCAGCAGTCAGAAACCAAACTCTCCATACCTCAACTTAGTGTCACCGACTATGAAATCATGGAGCAGAGACTCGGGGAATTGCAGGCTTTACAAAGTTCTCTGCAAGAGCAACAAAGTGGCCTATACTATCTCAGCACCACTGTGAAAGAGATGTCGAAGAAAGCGCCCTCTGAAATTAGCCGGAAATATCAATCAGAATTTGAAGAAATTGAGGGACGCTGGAAGAAGCTCTCCTCCCAGCTGGTTGAGCATTGTCAAAAGCTAGAGGAGCAAATGAATAAACTCCGAAAAATTCAGAATCACATACAAACCCTGAAGAAATGGATGGCTGAAGTTGATGTTTTTCTGAAGGAGGAATGGCCTGCCCTTGGGGATTCAGAAATTCTAAAAAAGCAGCTGAAACAGTGCAGACTTTTAGTCAGTGATATTCAGACAATTCAGCCCAGTCTAAACAGTGTCAATGAAGGTGGGCAGAAGATAAAGAATGAAGCAGAGCCAGAGTTTGCTTCGAGACTTGAGACAGAACTCAAAGAACTTAACACTCAGTGGGATCACATGTGCCAACAGGTCTATGCCAGAAAGGAGGCCTTGAAGGGAGGTTTGGAGAAAACTGTAAGCCTCCAGAAAGATCTATCAGAGATGCACGAATGGATGACACAAGCTGAAGAAGAGTATCTTGAGAGAGATTTTGAATATAAAACTCCAGATGAATTACAGAAAGCAGTTGAAGAGATGAAGAGAGCTAAAGAAGAGGCCCAACAAAAAGAAGCGAAAGTGAAACTCCTTACTGAGTCTGTAAATAGTGTCATAGCTCAAGCTCCACCTGTAGCACAAGAGGCCTTAAAAAAGGAACTTGAAACTCTAACCACCAACTACCAGTGGCTCTGCACTAGGCTGAATGGGAAATGCAAGACTTTGGAAGAAGTTTGGGCATGTTGGCATGAGTTATTGTCATACTTGGAGAAAGCAAACAAGTGGCTAAATGAAGTAGAATTTAAACTTAAAACCACTGAAAACATTCCTGGCGGAGCTGAGGAAATCTCTGAGGTGCTAGATTCACTTGAAAATTTGATGCGACATTCAGAGGATAACCCAAATCAGATTCGCATATTGGCACAGACCCTAACAGATGGCGGAGTCATGGATGAGCTAATCAATGAGGAACTTGAGACATTTAATTCTCGTTGGAGGGAACTACATGAAGAGGCTGTAAGGAGGCAAAAGTTGCTTGAACAGAGCATCCAGTCTGCCCAGGAGACTGAAAAATCCTTACACTTAATCCAGGAGTCCCTCACATTCATTGACAAGCAGTTGGCAGCTTATATTGCAGACAAGGTGGACGCAGCTCAAATGCCTCAGGAAGCCCAGAAAATCCAATCTGATTTGACAAGTCATGAGATCAGTTTAGAAGAAATGAAGAAACATAATCAGGGGAAGGAGGCTGCCCAAAGAGTCCTGTCTCAGATTGATGTTGCACAGAAAAAATTACAAGATGTCTCCATGAAGTTTCGATTATTCCAGAAACCAGCCAATTTTGAGCAGCGTCTACAAGAAAGTAAGATGATTTTAGATGAAGTGAAGATGCACTTGCCTGCATTGGAAACAAAGAGTGTGGAACAGGAAGTAGTACAGTCACAGCTAAATCATTGTGTGAACTTGTATAAAAGTCTGAGTGAAGTGAAGTCTGAAGTGGAAATGGTGATAAAGACTGGACGTCAGATTGTACAGAAAAAGCAGACGGAAAATCCCAAAGAACTTGATGAAAGAGTAACAGCTTTGAAATTGCATTATAATGAGCTGGGAGCAAAGGTAACAGAAAGAAAGCAACAGTTGGAGAAATGCTTGAAATTGTCCCGTAAGATGCGAAAGGAAATGAATGTCTTGACAGAAT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【0202】
Homo sapiensジストロフィン(DMD)、転写変異体Dp427m、エクソン50(NCBI参照配列:NM_004006.2のヌクレオチド位置7445~7553、NCBI参照配列:NG_012232.1のヌクレオチド位置1524527~1524635)
AGGAAGTTAGAAGATCTGAGCTCTGAGTGGAAGGCGGTAAACCGTTTACTTCAAGAGCTGAGGGCAAAGCAGCCTGACCTAGCTCCTGGACTGACCACTATTGGAGCCT(配列番号131)
【0203】
Homo sapiensジストロフィン(DMD)エクソン50/イントロン50接合部(NCBI参照配列:NG_012232.1のヌクレオチド位置1524606~1524665)
TAGCTCCTGGACTGACCACTATTGGAGCCTGTAAGTATACTGGATCCCATTCTCTTTGGC(配列番号832)
【0204】
Homo sapiensジストロフィン(DMD)、エクソン50/イントロン50接合部標的配列1(NCBI参照配列:NG_012232.1のヌクレオチド位置1524626~1524677)
ATTGGAGCCTGTAAGTATACTGGATCCCATTCTCTTTGGCTCTAGCTATTTG(配列番号833)
【0205】
Homo sapiensジストロフィン(DMD)、イントロン50(NCBI参照配列:NG_012232.1のヌクレオチド位置1524636~1570417)
GTAAGTATACTGGATCCCATTCTCTTTGGCTCTAGCTATTTGTTCAAAAGTGCAACTATGAAGTGATGACTGGGTGAGAGAGAAAATTTGTTTCAATTCTAAAGATAGAGATAAACCTTTGTGTTATTGACTGTGCAAAAAGTCTTAGAGTACATTCCTTGGAAATTGACTCTGATTCAAAGTGTTGCATGACAACGGGATATGGGGAGTGTTCTCTGGAGATACACCCACAAGGAAGAGAAGAGCACAAGGGAGATTGTGGGAGAGTCTGAAATGTGATTTGTCTGCAGCAGAGGCCTAAGCCAGTCTCGCAGGAGCCCTACATCTGGGCTGGCTGTGCAGAGCTGTCCTGAATTGCAGGCAGTGGGCCTGGCCCTTGTATTCCTGATCCAGCCAGCCATTGGCCAGGGGCTGGCTGCTGCCTGAGAGTGGAAGGACAACTTGGACAAGTTTTCTGAGGCCGAAGGCAATTCTTAGTAAGGAACACCATTAACAACCAATATTCCTAGCATCCAGGGATGTGTGCATTGTTCCTGAAGAGGGACAAGTATGTCTACAAAAATCACAGAAACCACAGAAACACACACAGTCCTACTAGCACCTCTCCCTGTCCCATTTGCAAACAATTTAAGAGCTCTCCCATTTTTAGTTCAAGAAAAAGAAAAATGGATTGGGAGGACCACAAGCTGACTTGGGGGAGGAATATTTCCTCATTTAGCTGTAGTTTTAACTTTTGTTTTCACTGCATATTTTCAGTCTATTTTATTTTCTTTCCTCTTCAGTTGTTGATAGAAGGTATTCATAAATTCTCATGGCAATGTTAATGCTGGCTTTGACTCTCAGGGGAAAGAGGCCAGAAAACTTCTTTGCTGTACCATTCCATAATTAGGCAGAACTAAAAACATCTTTGGGTGTTGTTTTTTGTTTTTGTTTTTTTTTTTGCCTTGTCTGCTTTTCAAAGATCAAATGATTGAAGCATTAAAGCATGGTGACTGGTTCTTCAGGTAAAGTTGATTTTTATTTTATGTCAAGTAGAAAAATACTGAACTGGAAGAATCACAGCTGGGGTAGCACAATCATAATTCATTAGAAGGCATAAATAGTGCTTGGATTAAAAGAAGCCCTACAATCTGGGGACAGTGCATCTCATGTGCCCTCTGGGATTACTCGGCAGTCATCAGAGTTAGATTTAACGACTTTGGAGACTTAAGCATTATGGTTTTTTTTTTTTGTCAATCTGGGACACTGAAATTGCTGTATCAGGGTTATACTCAACTGTGTCAGGTTTATTTGTTTTTATGAGCTGTAATTTTTGGTTCCCTCAGCGCATATGCATAGTTTGTTCCTATGTTATCATTTATTGGTGTCTGTTTTCTGGCTGTCTCTGGTAGGTTCAGCCTCAGACTCTGTAACTCCATGAAGAGATTATGTTCCAATGATGTTTTATAAGTTTGTTAAACTCTGAACTCATGAGTTTATGTCCCATATAAGCCACGTTACACATGGTAGGAAGGCTCCAAAACCAGGGCGCCGAAATCCATTTAACGTGTAACTTACCTAAATGTAACAATGTTTATAAGAAAAATACATTGGAAGTTCCAGTTTTGACTTCCAGCAACATATATAATTCATCCACTTTATTTATTAACTTCCATGTGTTGAGCATCATACTGGTGCTGCGAGTACAGCATAGAATAAAAGTCTCTCCTTTCATAAAACATATATTGTAATTGAAAGAGAAAGACAATAAACTAATGAAGAAAATATATACTGTCTCAATAATTATAAGTGCTGTAGAGTGTAGTCTACAGATTGATGTCAATGGGTATTTGTTAGACACACAGAATCTGAGGCCCCTATCCTAGACCCACTGAATCACAATCTGCATTTTAATAGAATCCCCAGGTGAATCCTGTGCACACTGACATTTGAGAAACACCATTACAGAGAACAACTAAGCAGGGAGATGGGATGAGGGTATTATTGTCTATAGTGTGGTCAGGGAAGCTTGTCTGTTAAGAGAACATCAGAAAACTGATGTAAGTGAGGAAGTGAGCCTGGTGTATTTCTGGGAAAATTATTCCAGGCAGGGAGAGAAAAGACTGAGCAACGATACTGAAGTAGGAACAAGATGACGGAATATTAAGGAGATCAGTGAGACTAGAGGAGTGGGTCAGGGGAAGTGTGATGGAAGCCATGAGAGATACTCATCTTTCATAGCACTGCCCTACTTCCTTCTCCCCAACATGAGGGTCTCATCACCCCCCACCACTCTTGTCTTCTCCTATGTCCTCCACATTGCTGCCAGTATGGAGAGTCTGGGAATGCCCTCAGCTCAAAGCTGTTTGGTGATAGCTGGCAGAGTTGTGGTAGTAGCTAAAAAAGAATTAAGGGAAAGAGGAATTTTCTCAAAAGCAGGTGCTTTTCATCCTCTTTAGCAAACCGAAACAGATCTGAGCATTAAGTCAAGATGTTAAATACACAAATGTTGAATGAAAAAAAAAACAAAAGGTAGTCATTTAAATTCAGAGCTGCTTTTATTAAAATAAGATTTTCTTTTTTCTTTACTGTGGTAGTTCAAATATCAGAATAAAGAATTGTTTCTATTCCCGACTTCCTGACTTGCAGGAAGTTAATCAGAAATAAATGCAATATAAAAAAAGAAAATCTAATTTGTATTATGCTTCTTGTATATGTTTATTATTTCATGTACTGTATTACAATGTAATAGAATTTATAATTCATTATAGCAGATTGTTTCCATTGCATTCCTACTATTAAATATGTAGAAGCTACACATATACTTGTAGCTTTAACATATATGTCTTTATCCTCAAAATAACTGCAAAGAACATATAGATAATTTTTAAAGATTAAGGAGCCTGAGGTTTAGAGGGGAGATAGCTAGATTAAGGCCACACAGCTAGAAAGCAAGCAAGCAAGGGTTTCAGTCCACATGTCAAGCTCCACAGCCTGTGTTTTGTTTTGTGGCTGTGCTTTACACTATCTCTCTGTCCAAGAACCTAATGGAAAATTACAGATACAGATGCAGCTGGCCAGCAGTTAATATAATTTAACTCAATCTTAAATTTATCTGGAGTAAAAGTGATACAAGTTTCCGTGTTTTTTCTTTTCTTTCTTTCTTTTTTCTTTGTGTGTGTGTGTGTGTGTGTGTGTGTGACAGAATCTTGCTCTGTTGCCCAGGCTGGAGTGCAGTGGTGCGATCTCGGTTTACTACAACCTCTGCCTTTCAGGTTCAAGCGATTCTCCTGCCTCAGCCTCCCAAGTAGCTGGGATACAGGTGCGCACCACCATGCCCAGCTAATTTTTGTAGTTTTAGTAAAGACGGGGTTGCTCCATGTTGATCAGGCTGGTCTTAAACTCCTGACCTCAAGTGATCCGCCTGCCTCAGCCTCTCAAAGTGCTGGGATTACAGGCATGAGCCACCTTGACTGGCCTGTTTCTGTGTTTTTTCTACTTAAGAAGTAGAAAAAATTGGTTCACTCTATTTGAATTTCTTAGAACCATAGAAATCCAAACTTGGAATAATTATTGCAATTATTATCTAGTTGAGTATTCTTCTTTTATAGATGTAGAAGCTGAGGCCTAAAGTTGCTTGTTTTGTTTTATGAACACTAAACCAAACTACCTTGTGGCTGCTTACTTAAATTATAAATTATAATGGGGTGGCCTTGCCTGAGCTGTATAAATTGTTTTAATTATCAGGACAAATCAACATACTGGAAAAAAAAAGCAAAACTTGCAATTGTTGTTGCTTAGACACCTGTCCATATCAGTTTCTATTGTTGCATAGAAGCACCCCAAAACTTAACAGTTCAAAACGAGTGATTTATTGCTCATAATTCTGTGTGTCTGAAGTTTGCTCTGTGATTAGCTGGATAGTTATTCTGATGGTCTTGCTTGGTGTTACTTATGTGGATGCAGTTATCTAGCAAGTGAACAGGAGCTAGATGGTCTAAAATGCACTCTCTCAGATATCTGACAGCTGGCTGTTGGTTGCAGAACCTTGATTCTTCATAAGGCCACTCATCATCCTGTAGGCTAGATTAGGCTTCATTACATGGTATTCTCAGGGCAGTTTTCCAAGAGAGGGCGGGTGGAAGCTACAAGACCTTCTGATGCCTAGGCTTTGAAACGTGTAGGTTACTTCTGCTAAGTTATATTGGTCAAAGCACCTCAAAAGATCAGCCCAGATTCAAGAGATGAGGAAATTACTTCATCTCGTGAAAGGAGGAGATGCCACATCGCATATCAAAGGGGTATGCATATTGGGGATAGAAGGTTTTATTGTCACCGTATTTATACACAAATCACTACATTGGGGAAAAGGAGGGAAACTGGAGATCAAAAGTGTTGGTCTTAATCCAACTTAATTCTCAAAAATTACCATGCGTTAGAACCACCCAGTTCTTCGCAAAGTATAGATTACTGGGCTTCAACCCCAGAGTTTCTGATTTACTAGCTCTGGGGTGAGACCTGCATCTCTCTCTCTCTCTTTTTTTTTGAGACTGAGTCTTGCTCTGTCACCCAGGCTGGAGTGCAGTGGTGCAATCTCGGCTCACAGCAACCTCTGCCTCCTGGGTTGAAGCGGTTCTCCTGCCTCAGCCTCCTGAGTAGCTAGGATTATAGGCACCCGCCACCACGCCTGGCTAATTTTTGTATTTTTAGTAGAGACAGGGTTTCACCATGTTGGTCAGGCTGGTCTCGAACTCCTGACCTCAGGTGATCCACCTGCCTCAGCCTCCCATAGTGCTGGGATTACAGGCGTGAGCCACTGTGCCCAGCCAAGACTTGCATCTCTGAAAAGTTCCTAGGTTATGCTGATGCTGGCCTATGCTTTGAGAACTACTACCACAGACATACAGTGAGTGGGGAAGAATAAATTCATCCCTTCTGCTGTGTGCAGCAAGGAGTGGGATTCCAATGAGATCCAGTGCTGTGAATGCTAAAGGGAAATCCATCTTATTTTAGCACCTCTA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【0206】
Homo sapiensジストロフィン(DMD)、イントロン50標的配列1(NCBI参照配列:NG_012232.1のヌクレオチド位置1524636~1524685)
GTAAGTATACTGGATCCCATTCTCTTTGGCTCTAGCTATTTGTTCAAAAG(配列番号835)
【0207】
Homo sapiensジストロフィン(DMD)、イントロン50標的配列2(NCBI参照配列:NG_012232.1のヌクレオチド位置1570168~1570417)
CGTTTTTTAAAAAATTGTTAAATGTATATTAATGAAAAGGTTGAATCTTTTCATTTTCTACCATGTATTGCTAAACAAAGTATCCACATTGTTAGAAAAAGATATATAATGTCATGAATAAGAGTTTGGCTCAAATTGTTACTCTTCAATTAAATTTGACTTATTGTTATTGAAATTGGCTCTTTAGCTTGTGTTTCTAATTTTTCTTTTTCTTCTTTTTTCCTTTTTGCAAAAACCCAAAATATTTTAG(配列番号836)
【0208】
Homo sapiensジストロフィン(DMD)イントロン50/エクソン51接合部(NCBI参照配列:NG_012232.1のヌクレオチド位置1570388~1570447)
TCCTTTTTGCAAAAACCCAAAATATTTTAGCTCCTACTCAGACTGTTACTCTGGTGACAC(配列番号837)
【0209】
Homo sapiensジストロフィン(DMD)、転写変異体Dp427m、エクソン51(NCBI参照配列:NM_004006.2のヌクレオチド位置7554~7786、NCBI参照配列:NG_012232.1のヌクレオチド位置1570418~1570650)
CTCCTACTCAGACTGTTACTCTGGTGACACAACCTGTGGTTACTAAGGAAACTGCCATCTCCAAACTAGAAATGCCATCTTCCTTGATGTTGGAGGTACCTGCTCTGGCAGATTTCAACCGGGCTTGGACAGAACTTACCGACTGGCTTTCTCTGCTTGATCAAGTTATAAAATCACAGAGGGTGATGGTGGGTGACCTTGAGGATATCAACGAGATGATCATCAAGCAGAAG(配列番号838)
【0210】
Homo sapiensジストロフィン(DMD)、エクソン51標的配列1(NCBI参照配列:NG_012232.1のヌクレオチド位置1570442~1570487)
TGACACAACCTGTGGTTACTAAGGAAACTGCCATCTCCAAACTAGA(配列番号839)
【0211】
Homo sapiensジストロフィン(DMD)、エクソン51標的配列2(NCBI参照配列:NG_012232.1のヌクレオチド位置1570455~1570498)
GGTTACTAAGGAAACTGCCATCTCCAAACTAGAAATGCCATCTT(配列番号840)
【0212】
Homo sapiensジストロフィン(DMD)、エクソン51標的配列3(NCBI参照配列:NG_012232.1のヌクレオチド位置1570465~1570506)
GAAACTGCCATCTCCAAACTAGAAATGCCATCTTCCTTGATG(配列番号841)
【0213】
Homo sapiensジストロフィン(DMD)、エクソン51標的配列4(NCBI参照配列:NG_012232.1のヌクレオチド位置1570442~1570506)
TGACACAACCTGTGGTTACTAAGGAAACTGCCATCTCCAAACTAGAAATGCCATCTTCCTTGATG(配列番号842)
【0214】
Homo sapiensジストロフィン(DMD)、エクソン51標的配列5(NCBI参照配列:NG_012232.1のヌクレオチド位置1570518~1570567)
TGCTCTGGCAGATTTCAACCGGGCTTGGACAGAACTTACCGACTGGCTTT(配列番号843)
【0215】
Homo sapiensジストロフィン(DMD)エクソン51/イントロン51接合部(NCBI参照配列:NG_012232.1のヌクレオチド位置1570621~1570680)
GATATCAACGAGATGATCATCAAGCAGAAGGTATGAGAAAAAATGATAAAAGTTGGCAGA(配列番号844)
【0216】
Homo sapiensジストロフィン(DMD)、エクソン51/イントロン51接合部標的1(NCBI参照配列:NG_012232.1のヌクレオチド位置1570623~1570674)
TATCAACGAGATGATCATCAAGCAGAAGGTATGAGAAAAAATGATAAAAGTT(配列番号845)
【0217】
Homo sapiensジストロフィン(DMD)、イントロン51(NCBI参照配列:NG_012232.1のヌクレオチド位置1570651~1614861)
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CCTATTTCATAGGGTTGCTATTTATAACCACTTCACTCAACTCTGGGGGGACTTAGTGAGATTAAAGACTTCTGATTCACTTTGTATTTGAAGAATTTTTTTTCCTCCATCTTTGCTCAGCTAGTGGAATCCATGATGAATTCTCATCTCCAAGGGGTAAGCAGTTTTTAGTAAAGCCCAGTAGCTGACTTATGACTCCTTAGAAATAGCATTGATTCCTTCCTTCTCCTGTGTTTTGTTT
CCTCTAGAATGATAGAATCCATGTAGACACGATCCATTATCATGCTTAGGTACTGGTAAGCATGTAATGATTTTAGTTTTGTTCGCTTTAAGTTATTTGTGTCACAAATATCTGGGATCATATCAGAGAAATAAATAAGCACAATTAGCATTCTACTTGTTTGTTATGACTAAAGCTAGGTTGAGGAAACAGAAAAGGACCAGAGGTCATATGAGGATGAAGATAATACTAGGAACAGCATGTTTGGGAGAGTAACATCTGGTAGGGGTAGCAGATTGGGGGCAGAGAACAGAATTTTATAGATGGATATTTTGGAGGCAAGTAGTTTGAGTAATGATTAGATCTAAGGTGTTTTCTCATCTGTGGGTGGCTCGAAGGAATAGAGGTGAAGGTCAGTTTATTTGAGAAGTTCTGGAATTATAAAACTAAGTTGAAGTCAAAGAAAGTATAGTAGCAAATAAATAGAATACCCTTAAAAGGAAACCAAATGAAAAATAATCGTTACTCTCACCATATGCTTGTGTTCTTATTAGCAAGAAATTCTTTTAACCACTGTTTTTATAATATCTTAATGAAAAAATACTGAAGCGTATGCCATATTAAATCCCTCTCTTTATTTCTAGAAAGGGAATCAAAGGAGAAAATTCCCATTCTGCTATACTAAAAGACCACTAAGTAAAGAGCCTATTAGTGTATGATAAATCCCATAGCAATATACATTATCATTTTACAGCTTCTTTGTTGAAATGAATGTTTGTATGTGTTGACCATAGAGTGGGATAAAAAGTTGAAATTTTGTTTTGAAATATTTTAGAAATGCATAGTTGTACTGCAGTTGTGAACCTCCTTAGATTTTTAAGGAGGCTGCTTCAAAGGATCTCATTAATAATCTTCTCAGGTGCTTACAAAGCATGTGTCTGTCAGCAGAATTAGAGAATCACCCAACTAGAGAACAGGTTTCACAATACCCTGAGACCTATTTTGTTCATTAGAGAGGAAAATGGCTTGTTTTGAGTCTAAGTTGACATGCTTGCTAATTTCAGCAATAAAAGCTGTTCATTGTGGTCAGGTTTAATTTAGAGCCTGGTAAGGTTCAGATTAAAGTTGATCAACTTACTTTTACAACATACTTCTTAAATGAACTTTGAAATCTTAAAAGAAGGAAAAAAGTATAGCAAACAGTGAATAATGTATCTAAAACTGAGAAGCAAAAAAAATCTGGTTATGTGAGAGTGAATTAAAAGAAGAACAACCCAATAAAGATAATCTTTGTTATATAAAAATTTCCAAGTATCGAAAAGCACGATTTTTCATGTGAGTTACACACTATACCGAATATATTTGTCCACTGCCACATGCATAGTCCCTAGAATAGTGCCTAGTGCTGAAAAATATTTATTAAAATGAATGGATGAGTAAATGAATTTATGTATTTTGCCAGCCCTGTGTATTTAAAGTTCTCTGTTAACTTTGAGGTGAAAATTTGACTTCATCTGAGGTTTCTGGGTAAGTCCGTTTTAAAAATTCTATTGAACATATTCAAACATTTTAGGGTAGGCAATTCCAAAGCAACCTTTCAGCTTCCCATGTCACAGATGACCAGAGTTTCACATTCTAACACTGGAAAACATCTTATTTCATAAAATCTACCTGCTACTATATGGTTCCTACTTTAAAATTTGTTCAGTACTCTCCAGCTGACTTATGCCACTTACTTCAATAGCTGTCTTTGGCAATTTGTTCCATATTTCAAACACTCTGTTGTGTAAAGAAACCATAAAAGTTAGAAACCTGAAAATTGGATTTTTTTTCTGAGCAATCACAGCTTACAAATGTGGAAAATTTGTTAAAAGTTAGCCCCTCCAATTTTTCAATACAGAGAGGAGAAAGTGCCTAAAGTAGATGTACAATGTTTGGAAAAGTTTTTTGCATTATTTTACTATTACCAAAAGCAATTGAGTTTAAATCACAAAGCCTGTCTCCCTACCTCTTCACAGAAGAAACACTACAGAATGATCAAAATTTGGCCTTTCCAAAACCAAAATTCGTTAGAAAATCAGCAGGAGTCAAAGTACAGAGTAAATAACTAAGTTTCATATAAGTTTCAGATACATTACTATCTACCACTTTCATCTCTTCATCTTCATTGGCCTCATGTGGTAGAACATCATATTTAAAATTATACAAACTTGCTGGCTTGTTTACTAGTGTGGTTATTATAAGAAAAAAATGAGAAAATATAGATAAAACATCTGTCACATATTGCTTATAAACTAACAGTAAATATTACTTGTATTTTCCCCAATTAAAATAAAATTTACTGAGTTTTAGAACCAGAGCTAGTCAGATGCCTTTTTTTCATAAATTTCTTCATAAATACCTCTGAGATTGTGGTCCTTAAATCTAGAGAGACTAAGATGACAGAGAAAATAGACACTGAAGAAAGGGAAGAATATCTTAATGATTTACATTACTACCTATAAATTAAAAATTGTTAACTTTATTATATTTGTATTTTTATTTAAAATAGTGCTATATTAAAGTCATTTATAATACAGGGGAATAGGAATACTAACCTGTAATCTGATGCTCTCCAAACTTGCCTAAATCATAAAAGTTAATTAGATAATTTATTTAAAATGCAAGATTTGCAGCCCTTTCCACTACATATTCATTAGTTCTGGAGGGAGGCAAAAAGGTTTGGTGATTCTTACGGACAGGCAGCTTAGGAGAAAAGCTGATTTAGCTCGTCTACTTCACCTTTTCATTTGACAGGTGAGAAATCTCAGGGGTACAATGAAGTTAAATAAGTAATATCTCTTAAATCGGTTCTGTGCTTTTTCTGTTTTTAAAATAAATATACCTTAATTTTGACGTCACACAGAATGATATTATAAGTATAAATAGTTATCTATCTTTTAAATACATTGTCGTAATTCAGAATAACATTTCTTACTCAAGGCATTCAGACAGTGGTTTAAGTAATCCGAGGTACTCCGGAATGTCTCCATTTGAGCCTTTAAATGAAGAAAATCTATAGTCAAGATTTTCATTTGAAATATTTTTGATATCTAAGAATGAAACATATTTCCTGTTAAATTGTTTTCTATAAACCCTTATACAGTAACATCTTTTTTATTTCTAAAAGTGTTTTGGCTGGTCTCACAATTGTACTTTACTTTGTATTATGTAAAAGGAATACACAACGCTGAAGAACCCTGATACTAAGGGATATTTGTTCTTACAG(配列番号846)
【0218】
Homo sapiensジストロフィン(DMD)、イントロン51標的配列1(NCBI参照配列:NG_012232.1のヌクレオチド位置1570651~1570700)
GTATGAGAAAAAATGATAAAAGTTGGCAGAAGTTTTTCTTTAAAATGAAG(配列番号847)
【0219】
Homo sapiensジストロフィン(DMD)、イントロン51標的配列2(NCBI参照配列:NG_012232.1のヌクレオチド位置1570651~1570693)
GTATGAGAAAAAATGATAAAAGTTGGCAGAAGTTTTTCTTTAA(配列番号848)
【0220】
Homo sapiensジストロフィン(DMD)、イントロン51標的配列3(NCBI参照配列:NG_012232.1のヌクレオチド位置1570703~1570765)
TTTCCACCAATCACTTTACTCTCCTAGACCATTTCCCACCAGTTCTTAGGCAACTGTTTCTCT(配列番号849)
【0221】
Homo sapiensジストロフィン(DMD)、イントロン51標的配列4(NCBI参照配列:NG_012232.1のヌクレオチド位置1614751~1614804)
TATTTCTAAAAGTGTTTTGGCTGGTCTCACAATTGTACTTTACTTTGTATTATG(配列番号850)
【0222】
Homo sapiensジストロフィン(DMD)、イントロン51標的配列5(NCBI参照配列:NG_012232.1のヌクレオチド位置1614793~1614847)
CTTTGTATTATGTAAAAGGAATACACAACGCTGAAGAACCCTGATACTAAGGGAT(配列番号851)
【0223】
Homo sapiensジストロフィン(DMD)、イントロン51標的配列6(NCBI参照配列:NG_012232.1のヌクレオチド位置1614612~1614861)
CGGAATGTCTCCATTTGAGCCTTTAAATGAAGAAAATCTATAGTCAAGATTTTCATTTGAAATATTTTTGATATCTAAGAATGAAACATATTTCCTGTTAAATTGTTTTCTATAAACCCTTATACAGTAACATCTTTTTTATTTCTAAAAGTGTTTTGGCTGGTCTCACAATTGTACTTTACTTTGTATTATGTAAAAGGAATACACAACGCTGAAGAACCCTGATACTAAGGGATATTTGTTCTTACAG(配列番号852)
【0224】
Homo sapiensジストロフィン(DMD)イントロン51/エクソン52接合部(NCBI参照配列:NG_012232.1のヌクレオチド位置1614832~1614891)
CCTGATACTAAGGGATATTTGTTCTTACAGGCAACAATGCAGGATTTGGAACAGAGGCGT(配列番号853)
【0225】
Homo sapiensジストロフィン(DMD)、転写変異体Dp427m、エクソン52(NCBI参照配列:NM_004006.2のヌクレオチド位置7787~7904、NCBI参照配列:NG_012232.1のヌクレオチド位置1614862~1614979)
GCAACAATGCAGGATTTGGAACAGAGGCGTCCCCAGTTGGAAGAACTCATTACCGCTGCCCAAAATTTGAAAAACAAGACCAGCAATCAAGAGGCTAGAACAATCATTACGGATCGAA(配列番号854)
【0226】
いくつかの態様において、DMDを標的化するために(例として、エクソンスキッピングのために)有用なオリゴヌクレオチドは、DMD配列(例として、DMDプレ-mRNA)のスプライシング特徴を標的化する。いくつかの態様において、DMD配列のスプライシング特徴は、DMD配列のエクソンスプライシングエンハンサー(ESE)、分岐点、スプライスドナー部位、またはスプライスアクセプター部位である。いくつかの態様において、ESEは、DMD配列(例として、DMDプレ-mRNA)のエクソン51内にある。いくつかの態様において、分岐点は、DMD配列(例として、DMDプレ-mRNA)のイントロン50またはイントロン51にある。いくつかの態様において、スプライスドナー部位は、DMD配列(例として、DMDプレ-mRNA)のエクソン50とイントロン50の接合部に跨って、イントロン50の中に、エクソン51とイントロン51の接合部に跨って、またはイントロン51の中に存在する。いくつかの態様において、スプライスアクセプター部位は、DMD配列(例として、DMDプレ-mRNA)のイントロン50の中に、イントロン50とエクソン51の接合部に跨って、イントロン51の中に、またはイントロン51とエクソン52の接合部に跨って存在する。いくつかの態様において、DMDを標的化するのに有用なオリゴヌクレオチドは、DMD配列(例として、DMDプレ-mRNA)のスプライシング特徴(例として、ESE、分岐点、スプライスドナー部位、またはスプライスアクセプター部位)を標的化するなどによって、エクソン51のスキッピングを促進する。ESE、分岐点、スプライスドナー部位およびスプライスアクセプター部位の例を表9に示す。
【0227】
いくつかの態様において、DMDを標的化するために(例として、エクソンスキッピングのために)有用なオリゴヌクレオチドは、DMD配列中のエクソンスプライシングエンハンサー(ESE)を標的化する。いくつかの態様において、DMDを標的化するために(例として、エクソンスキッピングのために)有用なオリゴヌクレオチドは、DMDエクソン51中のESE(例として、表9に列挙されたESE)を標的化する。
【0228】
いくつかの態様において、DMDを標的化するのに(例として、エクソン51のスキッピングなどのエクソンスキッピングのために)有用なオリゴヌクレオチドは、DMD転写物の1つ以上の完全なまたは部分的なESE(例として、表9に列挙された1つ以上の完全または部分的なESE)を含む標的配列に対する相補性領域を含む。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、DMDエクソン51の1つ以上の完全なまたは部分的なESEを含む標的配列に対する相補性領域を含む。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、配列番号860~894に示される1つ以上の完全なまたは部分的なESEを含む標的配列に対する相補性領域を含む。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、配列番号860~894のいずれか1つに示されるESEの少なくとも4つ(例として、4、5、6、7、または8つ)の連続するヌクレオチドを含む標的配列に対する相補性領域を含む。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、配列番号904~938のいずれか1つに示されるESEアンチセンス配列の少なくとも4つ(例として、4、5、6、7、または8つ)の連続するヌクレオチドを含む。
【0229】
いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、DMDエクソン51の1つ以上のESE(例として、2、3、4つ、またはそれ以上の隣接するESE)の少なくとも6つ(例として、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20個またはそれ以上)のヌクレオチドを含む標的配列に対する相補性領域を含む。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、配列番号860~894に示される1つ以上のESE(例として、2、3、4つ、またはそれ以上の隣接するESE)の少なくとも6つ(例として、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20個またはそれ以上)のヌクレオチドを含む標的配列に対する相補性領域を含む。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、配列番号904~938に示される1つ以上のESEアンチセンス配列(例として、2、3、4つ、またはそれ以上の隣接するESEのアンチセンス配列)の少なくとも6つ(例として、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20個またはそれ以上)のヌクレオチドを含む。
【0230】
いくつかの態様において、DMDを標的化するのに(例として、エクソン51のスキッピングなどのエクソンスキッピングのために)有用なオリゴヌクレオチドは、18~35ヌクレオチド長であり、配列番号860~894のいずれか1つに示されるESEの少なくとも4つ(例として、4、5、6、7、または8つ)の連続するヌクレオチドを含む標的配列に対する相補性領域を含む。いくつかの態様において、DMDを標的化するのに(例として、エクソン51のスキッピングなどのエクソンスキッピングのために)有用なオリゴヌクレオチドは、20~30(例として、20、25、30)ヌクレオチド長であり、配列番号860~894のいずれか1つに示されるESEの少なくとも4つ(例として、4、5、6、7、または8つ)の連続するヌクレオチドを含む標的配列に対する相補性領域を含む。いくつかの態様において、DMDを標的化するのに(例として、エクソン51のスキッピングなどのエクソンスキッピングのために)有用なオリゴヌクレオチドは、20~25(すなわち、20、21、22、23、24、または25)ヌクレオチド長であり、配列番号860~894のいずれか1つに示されるESEの少なくとも4つ(例として、4、5、6、7、または8つ)の連続するヌクレオチドを含む標的配列に対する相補性領域を含む。いくつかの態様において、DMDを標的化するのに(例として、エクソンスキッピングのために)有用なオリゴヌクレオチドは、30ヌクレオチド長であり、配列番号860~894のいずれか1つに示されるESEの少なくとも4つ(例として、4、5、6、7、または8つ)の連続するヌクレオチドを含む標的配列に対する相補性領域を含む。
【0231】
いくつかの態様において、DMDを標的化するために(例として、エクソンスキッピングのために)有用なオリゴヌクレオチドは、DMD配列中の分岐点を標的化する。いくつかの態様において、DMDを標的化するために(例として、エクソンスキッピングのために)有用なオリゴヌクレオチドは、DMDイントロン50またはイントロン51における分岐点(例として、表9に列挙された分岐点)を標的化する。
【0232】
いくつかの態様において、DMDを標的化するために(例として、エクソン51のスキッピングなどのエクソンスキッピングのために)有用なオリゴヌクレオチドは、DMD転写物の完全または部分的分岐点(例として、表9に列挙された完全または部分的な分岐点)を含む標的配列に対する相補性領域を含む。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、DMDイントロン50またはイントロン51の完全なまたは部分的な分岐点を含む標的配列に対する相補性領域を含む。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、配列番号856~858、896、および897のいずれか1つに示される完全または部分的な分岐点を含む標的配列に対する相補性領域を含む。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、配列番号856~858、896、および897のいずれか1つに示される分岐点の少なくとも4つ(例として、4、5、6、または7つ)の連続するヌクレオチドを含む標的配列に対する相補性領域を含む。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、配列番号900~902、940、および941のいずれか1つに示される分岐点アンチセンス配列の少なくとも4つ(例として、4、5、6、または7つ)の連続するヌクレオチドを含む。
【0233】
いくつかの態様において、DMDを標的化するのに(例として、エクソン51のスキッピングなどのエクソンスキッピングのために)有用なオリゴヌクレオチドは、18~35ヌクレオチド長であり、配列番号856~858、896、および897のいずれか1つに示される分岐点の少なくとも4つ(例として、4、5、6、または7つ)の連続するヌクレオチドを含む標的配列に対する相補性領域を含む。いくつかの態様において、DMDを標的化するのに(例として、エクソン51のスキッピングなどのエクソンスキッピングのために)有用なオリゴヌクレオチドは、20~30(例として、20、25、30)ヌクレオチド長であり、配列番号856~858、896、および897のいずれか1つに示される分岐点の少なくとも4つ(例として、4、5、6、または7つ)の連続するヌクレオチドを含む標的配列に対する相補性領域を含む。いくつかの態様において、DMDを標的化するのに(例として、エクソン51のスキッピングなどのエクソンスキッピングのために)有用なオリゴヌクレオチドは、20~25(すなわち、20、21、22、23、24、または25)ヌクレオチド長であり、配列番号856~858、896、および897のいずれか1つに示される分岐点の少なくとも4つ(例として、4、5、6、または7つ)の連続するヌクレオチドを含む標的配列に対する相補性領域を含む。いくつかの態様において、DMDを標的化するのに(例として、エクソンスキッピングのために)有用なオリゴヌクレオチドは、30ヌクレオチド長であり、配列番号856~858、896、および897のいずれか1つに示される分岐点の少なくとも4つ(例として、4、5、6、または7つ)の連続するヌクレオチドを含む標的配列に対する相補性領域を含む。
【0234】
いくつかの態様において、DMDを標的化するために(例として、エクソンスキッピングのために)有用なオリゴヌクレオチドは、DMD配列中のスプライスドナー部位を標的化する。いくつかの態様において、DMDを標的化するのに(例として、エクソンスキッピングのために)有用なオリゴヌクレオチドは、エクソン50とイントロン50の接合部に跨る、イントロン50の中の、エクソン51とイントロン51の接合部に跨る、またはイントロン51の中のスプライスドナー部位(例として、表9に列挙されるスプライスドナー部位)を標的化する。
【0235】
いくつかの態様において、DMDを標的化するのに(例として、エクソン51のスキッピングなどのエクソンスキッピングのために)有用なオリゴヌクレオチドは、DMD転写物の完全または部分的なスプライスドナー部位(例として、表9に列挙される完全または部分的なスプライスドナー部位)を含む標的配列に対する相補性領域を含む。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、DMDのエクソン50とイントロン50の接合部に跨る、イントロン50において、エクソン51とイントロン51の接合部に跨る、またはイントロン51の中の完全なまたは部分的なスプライスドナー部位を含む標的配列に対する相補性領域を含む。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、配列番号855または895に示される完全または部分的なスプライスドナー部位を含む標的配列に対する相補性領域を含む。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、配列番号855または895に示されるスプライスドナー部位の少なくとも4つ(例として、4、5、6、または7つ)の連続するヌクレオチドを含む標的配列に対する相補性領域を含む。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、配列番号899または939に示されるスプライスドナー部位アンチセンス配列の少なくとも4つ(例として、4、5、6、または7つ)の連続するヌクレオチドを含む。
【0236】
いくつかの態様において、DMDを標的化するのに(例として、エクソン51のスキッピングなどのエクソンスキッピングのために)有用なオリゴヌクレオチドは、18~35ヌクレオチド長であり、配列番号855または895に示されるスプライスドナー部位の少なくとも4つ(例として、4、5、6、または7つ)の連続するヌクレオチドを含む標的配列に対する相補性領域を含む。いくつかの態様において、DMDを標的化するのに(例として、エクソン51のスキッピングなどのエクソンスキッピングのために)有用なオリゴヌクレオチドは、20~30(例として、20、25、30)ヌクレオチド長であり、配列番号855または895に示されるスプライスドナー部位の少なくとも4つ(例として、4、5、6、または7つ)の連続するヌクレオチドを含む標的配列に対する相補性領域を含む。いくつかの態様において、DMDを標的化するのに(例として、エクソン51のスキッピングなどのエクソンスキッピングのために)有用なオリゴヌクレオチドは、20~25(すなわち、20、21、22、23、24、または25)ヌクレオチド長であり、配列番号855または895に示されるスプライスドナー部位の少なくとも4つ(例として、4、5、6、または7つ)の連続するヌクレオチドを含む標的配列に対する相補性領域を含む。いくつかの態様において、DMDを標的化するのに(例として、エクソンスキッピングのために)有用なオリゴヌクレオチドは、30ヌクレオチド長であり、配列番号855または895に示されるスプライスドナー部位の少なくとも4つ(例として、4、5、6、または7つ)の連続するヌクレオチドを含む標的配列に対する相補性領域を含む。
【0237】
いくつかの態様において、DMDを標的化するために(例として、エクソンスキッピングのために)有用なオリゴヌクレオチドは、DMD配列中のスプライスアクセプター部位を標的化する。いくつかの態様において、DMDを標的化するために(例として、エクソンスキッピングのために)有用なオリゴヌクレオチドは、イントロン50の中の、イントロン50とエクソン51の接合部に跨る、イントロン51の中の、またはイントロン51とエクソン52の接合部に跨るスプライスアクセプター部位(例として、表9に列挙されるスプライスアクセプター部位)を標的化する。
【0238】
いくつかの態様において、DMDを標的化するのに(例として、エクソン51のスキッピングなどのエクソンスキッピングのために)有用なオリゴヌクレオチドは、DMD転写物の完全または部分的なスプライスアクセプター部位(例として、表9に列挙される完全または部分的なスプライスアクセプター部位)を含む標的配列に対する相補性領域を含む。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、DMDのイントロン50の中の、イントロン50とエクソン51の接合部に跨る、イントロン51の中の、またはイントロン51とエクソン52の接合部に跨る完全なまたは部分的なスプライスアクセプター部位を含む標的配列に対する相補性領域を含む。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、配列番号859または898に示される完全なまたは部分的なスプライスアクセプター部位を含む標的配列に対する相補性領域を含む。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、配列番号859または898に示されるスプライスアクセプター部位の少なくとも4つ(例として、4、5、6、7、8、または9つ)の連続するヌクレオチドを含む標的配列に対する相補性領域を含む。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、配列番号903または942に示されるスプライスアクセプター部位アンチセンス配列の少なくとも4つ(例として、4、5、6、7、8、または9つ)の連続するヌクレオチドを含む。
【0239】
いくつかの態様において、DMDを標的化するのに(例として、エクソン51のスキッピングなどのエクソンスキッピングのために)有用なオリゴヌクレオチドは、18~35ヌクレオチド長であり、配列番号859または898に示されるスプライスアクセプター部位の少なくとも4つ(例として、4、5、6、7、8、または9つ)の連続するヌクレオチドを含む標的配列に対する相補性領域を含む。いくつかの態様において、DMDを標的化するのに(例として、エクソン51のスキッピングなどのエクソンスキッピングのために)有用なオリゴヌクレオチドは、20~30(例として、20、25、30)ヌクレオチド長であり、配列番号859または898に示されるスプライスアクセプター部位の少なくとも4つ(例として、4、5、6、7、8、または9つ)の連続するヌクレオチドを含む標的配列に対する相補性領域を含む。いくつかの態様において、DMDを標的化するのに(例として、エクソン51のスキッピングなどのエクソンスキッピングのために)有用なオリゴヌクレオチドは、20~25(すなわち、20、21、22、23、24、または25)ヌクレオチド長であり、配列番号859または898に示されるスプライスアクセプター部位の少なくとも4つ(例として、4、5、6、7、または8つ)の連続するヌクレオチドを含む標的配列に対する相補性領域を含む。いくつかの態様において、DMDを標的化するのに(例として、エクソンスキッピングのために)有用なオリゴヌクレオチドは、30ヌクレオチド長であり、配列番号859または898に示されるスプライスアクセプター部位の少なくとも4つ(例として、4、5、6、7、8、または9つ)の連続するヌクレオチドを含む標的配列に対する相補性領域を含む。
【0240】
いくつかの態様において、DMDを標的化するために(例として、エクソンスキッピングのために)有用なオリゴヌクレオチドは、DMD RNAのエクソンとイントロンの接合部(例として、配列番号832、833、837、844、845、および853によって提供されるエクソン/イントロン接合部のいずれか1つ)に対する相補性領域を含む。いくつかの態様において、DMDを標的化するために(例として、エクソンスキッピングのために)有用なオリゴヌクレオチドは、DMD RNAのエクソンとイントロンの接合部(例として、配列番号832、833、837、844、845、および853によって提供されるエクソン/イントロン接合部のいずれか1つ)の少なくとも10個(例として、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25個またはそれ以上)の連続するヌクレオシドに対する相補性領域を含む。いくつかの態様においてDMDを標的化するために(例として、エクソンスキッピングのために)有用なオリゴヌクレオチドは、配列番号832、833、837、844、845、および853のいずれか1つに相補的である。
【0241】
いくつかの態様において、DMDを標的化するのに(例として、エクソンスキッピングのために)有用なオリゴヌクレオチドは、DMD RNAの標的配列(例として、配列番号833、835~837、845、847~853、および839~843のいずれか1つによって提供される標的配列)に対する相補性領域を含む。いくつかの態様において、DMDを標的化するために(例として、エクソンスキッピングのために)有用なオリゴヌクレオチドは、DMD RNAの標的配列(例として、配列番号833、835~837、845、847~853、および839~843のいずれか1つによって提供される標的配列)の少なくとも10個(例として、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25個、またはそれ以上)の連続するヌクレオシドに対する相補性領域を含む。いくつかの態様においてDMDを標的化するために(例として、エクソンスキッピングのために)有用なオリゴヌクレオチドは、配列番号833、835~837、845、847~853、および839~843のいずれか1つに相補的である。
【表9-1】
【表9-2】
【0242】
いくつかの態様において、DMDを標的化するために(例として、エクソンスキッピングのために)有用なオリゴヌクレオチドのいずれか1つは、ホスホロジアミダートモルホリノオリゴマー(PMO)である。
【0243】
いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、突然変異体DMD対立遺伝子、例えば、フレームシフトおよび不適当なRNAスプライシング/プロセシングに繋がるヒト中DMDのエクソン1~79のいずれかにおける少なくとも1個の突然変異を伴うDMD対立遺伝子、と相補性のある領域を有してもよい。
【0244】
いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドのいずれか1つは、例として、ナトリウム、カリウム、またはマグネシウム塩としての塩形態であり得る。
【0245】
いくつかの態様において、本明細書に記載のオリゴヌクレオチドのいずれか1つの5'または3'ヌクレオシド(例として、末端ヌクレオシド)は、任意にスペーサーを介してアミン基に抱合される。いくつかの態様において、スペーサーは脂肪族部分を含む。いくつかの態様において、スペーサーはポリエチレングリコール部分を含む。いくつかの態様において、ホスホジエステル連結がスペーサーとオリゴヌクレオチドの5'または3'ヌクレオシドとの間に存在する。いくつかの態様において、本明細書に記載のオリゴヌクレオチドのいずれかの5'または3'ヌクレオシド(例として、末端ヌクレオシド)はスペーサーに抱合され、これが置換もしくは非置換の脂肪族、置換もしくは非置換のヘテロ脂肪族、置換もしくは非置換のカルボシクリレン、置換もしくは非置換のヘテロシクリレン、置換もしくは非置換のアリーレン、置換もしくは非置換のヘテロアリーレン、-O-、-N(RA)-、-S-、-C(=O)-、-C(=O)O-、-C(=O)NRA-、-NRAC(=O)-、-NRAC(=O)RA-、-C(=O)RA-、-NRAC(=O)O-、-NRAC(=O)N(RA)-、-OC(=O)-、-OC(=O)O-、-OC(=O)N(RA)-、-S(O)2NRA-、-NRAS(O)2-、またはそれらの組み合わせであり;各RAは独立して水素または置換もしくは非置換のアルキルである。ある種の態様において、スペーサーは置換もしくは非置換のアルキレン、置換もしくは非置換のヘテロシクリレン、置換もしくは非置換のヘテロアリーレン、-O-、-N(RA)-、または-C(=O)N(RA)2、あるいはそれらの組み合わせである。
【0246】
いくつかの態様において、本明細書に記載のオリゴヌクレオチドのいずれか1つの5'または3'ヌクレオシドは、式-NH2-(CH2)n-の化合物に抱合され、nは1~12の整数である。いくつかの態様において、nは6、7、8、9、10、11、または12である。いくつかの態様において、ホスホジエステル連結が式NH2-(CH2)n-の化合物とオリゴヌクレオチドの5'または3'ヌクレオシドとの間に存在する。いくつかの態様において、式NH2-(CH2)6-の化合物は6-アミノ-1-ヘキサノール(NH2-(CH2)6-OH)とオリゴヌクレオチドの5'リン酸との間の反応によってオリゴヌクレオチドに抱合される。
【0247】
いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、標的化薬剤、例として抗TfR1抗体などの筋標的化剤に、例としてアミン基を介して抱合される。
【0248】
a.オリゴヌクレオチドのサイズ/配列
オリゴヌクレオチドは、例としてフォーマットに応じて、様々な異なる長さのものであってもよい。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、35、40、45、50、75、または以上のヌクレオチド長である。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、8から50ヌクレオチド長、8から40ヌクレオチド長、8から30ヌクレオチド長、10から15ヌクレオチド長、10から20ヌクレオチド長、15から25ヌクレオチド長、21から23ヌクレオチド長、20から25ヌクレオチド長などである。
【0249】
いくつかの態様において、本開示の目的のためのオリゴヌクレオチドの核酸配列は、標的核酸に特異的にハイブリダイズ可能である場合、標的核酸に「相補的」である。いくつかの態様において、標的核酸(例として、mRNAまたはプレ-mRNA分子)にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドは、標的の活性または発現の調節(例として、mRNA翻訳の減少、プレ-mRNAスプライシングの変化、エクソンスキッピング、標的mRNA分解など)をもたらす。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドの核酸配列は、その標的核酸に対して、非特異的結合の回避が望まれる条件下、例として生理学的条件下で非標的配列にハイブリダイズしないように、充分な程度の相補性を有する。よって、いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、標的核酸の連続したヌクレオチドに少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%相補的であり得る。いくつかの態様において、相補的なヌクレオチド配列は、標的核酸に特異的にハイブリダイズ可能であるか、または標的核酸に特異的であるその標的の配列に100%相補的である必要はない。特定の態様において、オリゴヌクレオチドは、標的核酸に対して1つ以上のミスマッチ核酸塩基を含む。特定の態様において、標的に関連する活性は、そのようなミスマッチによって低下するが、非標的に関連する活性は、より大きく低下する(すなわち、標的核酸に対する選択性が増加し、標的外効果が減少する)。
【0250】
いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、8から15、8から30、8から40、または10から50、または5から50、15から20、20から25、または5から40ヌクレオチド長の範囲にある標的核酸と相補性のある領域を含む。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドの、標的核酸と相補性のある領域は、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、または50ヌクレオチド長である。いくつかの態様において、相補性のある領域は、標的核酸の少なくとも連続した8ヌクレオチドと相補的である。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、標的核酸の一部の連続したヌクレオチドと比較して1、2または3塩基ミスマッチを含有していてもよい。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、15塩基にわたり最大3ミスマッチまで、または10塩基にわたり最大2ミスマッチまで有していてもよい。
【0251】
いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、本明細書に記載されるオリゴヌクレオチド(例として、表8に列挙されるオリゴヌクレオチド)のいずれか1つの標的配列に対して相補的である(例として、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%相補的である)。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、配列番号384~831によって提供されるオリゴヌクレオチドのいずれか1つの標的配列に対して相補的である(例として、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%相補的である)。いくつかの態様において、かかる標的配列は表8に列挙されるオリゴヌクレオチドに対して100%相補的である。いくつかの態様において、かかる標的配列は配列番号384~831によって提供されるオリゴヌクレオチドに対して100%相補的である。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、本明細書で提供される標的配列(例として、表8に列挙される標的配列)に対して相補的である(例として、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%相補的である)。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、配列番号160~383のいずれか1つに相補的(例として、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%相補的)である。
【0252】
いくつかの態様において、DMDを標的化するのに(例として、エクソンスキッピングのために)有用なオリゴヌクレオチドは、DMD RNAの標的配列(例として、配列番号160~383のいずれか1つによって提供される標的配列)に対する相補性領域を含む。いくつかの態様において、DMDを標的化するために(例として、エクソンスキッピングのために)有用なオリゴヌクレオチドは、DMD RNAの標的配列(例として、配列番号160~383のいずれか1つによって提供される標的配列)の少なくとも8つ(例として、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25個、またはそれ以上)の連続するヌクレオシドに対する相補性領域を含む。いくつかの態様において、DMDを標的化するために(例として、エクソンスキッピングのために)有用なオリゴヌクレオチドは、配列番号160~383のいずれか1つに相補的である。
【0253】
いくつかの態様において、DMDを標的化するために(例として、エクソンスキッピングのために)有用なオリゴヌクレオチドは、本明細書で提供されるDMD標的化配列(例として、表8に列挙されるアンチセンス配列)の少なくとも8つ(例として、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25個、またはそれ以上)の連続する核酸塩基を含む配列を含む。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、配列番号384~831のいずれか1つの少なくとも8つ(例として、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25個、またはそれ以上)の連続する核酸塩基を含む配列を含む。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、配列番号384~831のいずれか1つの配列を含む。
【0254】
いくつかの態様において、当然のことながら、C5位での核酸塩基ウラシルのメチル化がチミンを形成する。したがって、いくつかの態様において、C5メチル化ウラシル(または5-メチル-ウラシル)を有するヌクレオチドまたはヌクレオシドは、チミンヌクレオチドまたはヌクレオシドとして同等に同定されてもよい。
【0255】
いくつかの態様において、本明細書で提供されるオリゴヌクレオチド(例として、表8に列挙されるオリゴヌクレオチド)のいずれか1つのチミン塩基(T)のいずれか1つ以上は、独立しておよび任意に、ウラシル塩基(U)であってもよく、かつ/または本明細書で提供されるオリゴヌクレオチド中のUのいずれか1つ以上は、独立しておよび任意に、Tであってもよい。いくつかの態様において、配列番号608~831によって提供されるオリゴヌクレオチドのいずれか1つの中の、または配列番号160~383のいずれか1つに相補的なオリゴヌクレオチドの中のチミン塩基(T)のいずれか1つ以上は、任意にウラシル塩基(U)であってもよく、かつ/またはオリゴヌクレオチドの中のUのいずれか1つ以上は、任意にTであってもよい。いくつかの態様において、配列番号384~607によって提供されるオリゴヌクレオチドのいずれか1つの中の、または配列番号160~383のいずれか1つに相補的なオリゴヌクレオチドの中のウラシル塩基(U)のいずれか1つ以上は、任意にチミン塩基(T)であってもよく、かつ/またはオリゴヌクレオチドの中のTのいずれか1つ以上は、任意にUであってもよい。
【0256】
b.オリゴヌクレオチド修飾:
本明細書に記載のオリゴヌクレオチドは、修飾されていてもよく、例として、修飾された糖部、修飾されたヌクレオシド間連結、修飾ヌクレオチドもしくはヌクレオシド、および/または(例として、および)それらの組み合わせを含む。加えて、いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、以下の特性の1つ以上を呈してもよい:選択的スプライシングを媒介しない;免疫刺激性ではない;ヌクレアーゼ抵抗性である;非修飾オリゴヌクレオチドと比較して改善された細胞取り込みを有する;細胞または哺乳動物への毒性がない;改善されたエンドソームの内部への出口を細胞中に有する;TLR刺激を最小限に抑える;または、パターン認識受容体を回避する。本明細書に記載のオリゴヌクレオチドの修飾された化学的性質またはフォーマットのいずれも、互いに組み合わせられ得る。例えば、1、2、3、4、5、またはこれより多くの異なるタイプの修飾が、同じオリゴヌクレオチド内に包含され得る。
【0257】
いくつかの態様において、それらが組み込まれているオリゴヌクレオチドを、天然のオリゴデオキシヌクレオチドまたはオリゴリボヌクレオチド分子よりもヌクレアーゼ消化に対して耐性にする特定のヌクレオチドまたはヌクレオシド修飾を使用することができ、これらの修飾されたオリゴヌクレオチドは、修飾されていないオリゴヌクレオチドよりも長期間インタクトに存続する。修飾されたオリゴヌクレオチドの特定例としては、修飾された主鎖、例えば、ホスホロチオアート、ホスホトリエステル、メチルホスホナート、短鎖アルキルもしくはシクロアルキル糖間連結、または短鎖ヘテロ原子のもしくは複素環式の糖間連結などの修飾されたヌクレオシド間連結を含むものが挙げられる。したがって、本開示のオリゴヌクレオチドは、修飾、例として、ヌクレオチドまたはヌクレオシド修飾の組み込みなどによる核酸分解に対して安定化され得る。
【0258】
いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、最大50ヌクレオチド長または最大100ヌクレオチド長であり得、オリゴヌクレオチドの2~10、2~15、2~16、2~17、2~18、2~19、2~20、2~25、2~30、2~40、2~45個、またはそれ以上のヌクレオチドもしくはヌクレオシドは修飾ヌクレオチド/ヌクレオシドである。オリゴヌクレオチドは、8から30ヌクレオチド長であり得、オリゴヌクレオチドの2~10、2~15、2~16、2~17、2~18、2~19、2~20、2~25、2~30個のヌクレオチドまたはヌクレオシドは修飾ヌクレオチド/ヌクレオシドである。オリゴヌクレオチドは、8~15ヌクレオチド長であり得、オリゴヌクレオチドの2~4、2~5、2~6、2~7、2~8、2~9、2~10、2~11、2~12、2~13、2~14個のヌクレオチドまたはヌクレオシドは修飾ヌクレオチド/ヌクレオシドである。任意に、オリゴヌクレオチドは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個のヌクレオチド/ヌクレオシドを除くすべてのヌクレオチドまたはヌクレオシドが修飾され得る。オリゴヌクレオチド修飾は本明細書にさらに記載されている。
【0259】
c.修飾ヌクレオシド
いくつかの態様において、本明細書に記載のオリゴヌクレオチドは、糖の2'位において修飾された少なくとも1つのヌクレオシドを含む。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは少なくとも1つの2'修飾ヌクレオシドを含む。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチド上のヌクレオシドのすべては2'修飾ヌクレオシドである。
【0260】
いくつかの態様において、本明細書に記載のオリゴヌクレオチドは、1以上の非二環式2'-修飾ヌクレオチド、例として、2'-デオキシ、2'-フルオロ(2'-F)、2'-O-メチル(2'-O-Me)、2'-O-メトキシエチル(2'-MOE)、2'-O-アミノプロピル(2'-O-AP)、2'-O-ジメチルアミノエチル(2'-O-DMAOE)、2'-O-ジメチルアミノプロピル(2'-O-DMAP)、2'-O-ジメチルアミノエチルオキシエチル(2'-O-DMAEOE)、または2'-O-N-メチルアセトアミド(2'-O-NMA)の修飾ヌクレオシドを包含する。
【0261】
いくつかの態様において、本明細書に記載のオリゴヌクレオチドは、1つ以上の2'-4'二環式ヌクレオシドを含むが、ヌクレオシド中リボース環は、その環中2個の原子を接続する(例として、メチレン(LNA)架橋、エチレン(ENA)架橋、または(S)-拘束エチル(cEt)架橋を介して、2'-O原子を4'-C原子へ接続する)架橋部分を含む。LNAの例は、2008年4月17日公開の「RNA Antagonist Compounds For The Modulation Of PCSK9」と題する国際公開第2008/043753号に記載されており、この内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。ENAの例は、2005年5月12日に公開され「APP/ENA Antisense」と題する国際公開第2005/042777号、Morita et al.,Nucleic Acid Res.,Suppl 1:241-242,2001;Surono et al.,Hum.Gene Ther.,15:749-757,2004;Koizumi,Curr.Opin.Mol.Ther.,8:144-149,2006、およびHorie et al.,Nucleic Acids Symp.Ser(Oxf),49:171-172,2005に提供されており、これらの開示はそれらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。cEtの例は、米国特許7,101,993;7,399,845および7,569,686に提供されており、これら各々はそれら全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0262】
いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、以下の米国特許または特許出願公開:米国特許第7,399,845号、2008年7月15日発行、表題「6-Modified Bicyclic Nucleic Acid Analogs」、米国特許第7,741,457号、2010年6月22日発行、表題「6-Modified Bicyclic Nucleic Acid Analogs」、米国特許第8,022,193号、2011年9月20日発行、表題「6-Modified Bicyclic Nucleic Acid Analogs」、米国特許第7,569,686号、2009年8月4日発行、表題「Compounds And Methods For Synthesis Of Bicyclic Nucleic Acid Analogs」、米国特許第7,335,765号、2008年2月26日発行、表題「Novel Nucleoside And Oligonucleotide Analogues」、米国特許第7,314,923号、2008年1月1日発行、表題「Novel Nucleoside And Oligonucleotide Analogues」、米国特許第7,816,333号、2010年10月19日発行、表題「Oligonucleotide Analogues And Methods Utilizing The Same」、および米国特許出願公開第2011/0009471号であって、現在は米国特許第8,957,201号、2015年2月17日発行、表題「Oligonucleotide Analogues And Methods Utilizing The Same」(あらゆる目的のために、これら各々の内容全体は参照により本明細書に組み込まれる)のうちの1つに開示された修飾ヌクレオシドを含む。
【0263】
いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、少なくとも1個の修飾ヌクレオシドも有さないオリゴヌクレオチドと比較して、1℃、2℃、3℃、4℃、または5℃の範囲にあるオリゴヌクレオチドのTmの増大をもたらす少なくとも1個の修飾ヌクレオシドを含む。オリゴヌクレオチドは、修飾ヌクレオシドを有さないオリゴヌクレオチドと比較して、合計で2℃、3℃、4℃、5℃、6℃、7℃、8℃、9℃、10℃、15℃、20℃、25℃、30℃、35℃、40℃、45℃、またはこれを超える温度の範囲にあるオリゴヌクレオチドのTmの増大をもたらす複数の修飾ヌクレオシドを有していてもよい。
【0264】
オリゴヌクレオチドは、異なる種類のヌクレオシドのミックスを含み得る。例えば、オリゴヌクレオチドは、2'-デオキシリボヌクレオシドまたはリボヌクレオシドおよび2'-フルオロ修飾ヌクレオシドのミックスを含み得る。オリゴヌクレオチドは、デオキシリボヌクレオシドまたはリボヌクレオシドおよび2'-O-Me修飾ヌクレオシドのミックスを含み得る。オリゴヌクレオチドは、2'-フルオロ修飾ヌクレオシドおよび2'-O-Me修飾ヌクレオシドのミックスを含み得る。オリゴヌクレオチドは、2'-4'二環式ヌクレオシドおよび2'MOE、2'-フルオロ、または2'-O-Me修飾ヌクレオシドのミックスを含み得る。オリゴヌクレオチドは、非二環式2'修飾ヌクレオシド(例として、2'-MOE、2'-フルオロ、または2'-O-Me)および2'-4'二環式ヌクレオシド(例として、LNA、ENA、cEt)のミックスを含み得る。
【0265】
オリゴヌクレオチドは、異なる種類の交互のヌクレオシドを含み得る。例えば、オリゴヌクレオチドは、交互の2'-デオキシリボヌクレオシドまたはリボヌクレオシドおよび2'-フルオロ修飾ヌクレオシドを含み得る。オリゴヌクレオチドは、交互のデオキシリボヌクレオシドまたはリボヌクレオシドおよび2'-O-Me修飾ヌクレオシドを含み得る。オリゴヌクレオチドは、交互の2'-フルオロ修飾ヌクレオシドおよび2'-O-Me修飾ヌクレオシドを含み得る。オリゴヌクレオチドは、交互の2'-4'二環式ヌクレオシドおよび2'-MOE、2'-フルオロ、または2'-O-Me修飾ヌクレオシドを含み得る。オリゴヌクレオチドは、交互の非二環式2'修飾ヌクレオシド(例として、2'-MOE、2'-フルオロ、または2'-O-Me)および2'-4'二環式ヌクレオシド(例として、LNA、ENA、cEt)を含み得る。
【0266】
いくつかの態様において、本明細書に記載のオリゴヌクレオチドは、5'-ビニルホスホン酸修飾、1以上の無塩基残基、および/または1以上の逆向きの無塩基残基を含む。
【0267】
d.ヌクレオシド間連結/主鎖
いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、ホスホロチオアートまたは他の修飾ヌクレオシド間連結を含有していてもよい。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、ホスホロチオアートヌクレオシド間連結を含む。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、ホスホロチオアートヌクレオシド間連結を、少なくとも2個のヌクレオシド間に含む。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、ホスホロチオアートヌクレオシド間連結を、すべてのヌクレオシド間に含む。例えば、いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、修飾ヌクレオシド間連結を、ヌクレオチド配列の5'または3'末端の、第1の、第2の、および/または(例として、および)、第3のヌクレオシド間連結にて含む。
【0268】
使用されてもよい、リンを含有する連結は、これらに限定されないが、正常な3'-5'連結、これらの2'-5'連結類似体を有する、ホスホロチオアート、キラルのホスホロチオアート、ホスホロジチオアート、ホスホトリエステル、アミノアルキルホスホトリエステル、メチルおよび他のアルキルホスホナート(3'アルキレンホスホナートおよびキラルのホスホナートを含む)、ホスフィナート、ホスホロアミダート(3'-アミノホスホロアミダートおよびアミノアルキルホスホロアミダートを含む)、チオノホスホロアミダート、チオノアルキルホスホナート、チオノアルキルホスホトリエステル、ならびにボラノホスファートと、逆方向の極性を有するこれら(ここでヌクレオシド単位の隣接する対は3'-5'から5'-3'へまたは2'-5'から5'-2'へ連結されている)とを包含する;米国特許第3,687,808号;第4,469,863号;第4,476,301号;第5,023,243号;第5,177,196号;第5,188,897号;第5,264,423号;第5,276,019号;第5,278,302号;第5,286,717号;第5,321,131号;第5,399,676号;第5,405,939号;第5,453,496号;第5,455,233号;第5,466,677号;第5,476,925号;第5,519,126号;第5,536,821号;第5,541,306号;第5,550,111号;第5,563,253号;第5,571,799号;第5,587,361号;および第5,625,050号を参照されたい。
【0269】
いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、メチレン(メチルイミノ)またはMMI主鎖、アミド主鎖(De Mesmaeker et al.Ace.Chem.Res.1995,28:366-374を参照されたい)、モルホリノ主鎖(SummertonおよびWeller、米国特許第5,034,506号を参照されたい)、またはペプチド核酸(PNA)主鎖(ここでオリゴヌクレオチドのホスホジエステル主鎖がポリアミド主鎖に置き換えられており、ヌクレオチドがポリアミド主鎖のアザ窒素原子へ直接的または間接的に結合されている、Nielsen et al.,Science 1991,254,1497を参照されたい)などのヘテロ原子主鎖を有していてもよい。
【0270】
e.立体特異的オリゴヌクレオチド
いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドのヌクレオチド間のリン原子はキラルであり、およびオリゴヌクレオチドの特性はキラルのリン原子の立体配置に基づき調整される。いくつかの態様において、適切な方法は、立体制御されたやり方(例として、Oka N,Wada T,Stereocontrolled synthesis of oligonucleotide analogs containing chiral internucleotidic phosphorus atoms.Chem Soc Rev.2011 Dec;40(12):5829-43に記載のとおりの)でP-キラルオリゴヌクレオチド類似体を合成するために使用されてもよい。いくつかの態様において、実質的にすべてのSpホスホロチオアート糖間連結または実質的にすべてのRpホスホロチオアート糖間連結のいずれかによって互いに結合されたヌクレオシド単位を含む、ホスホロチオアート含有オリゴヌクレオチドが提供される。いくつかの態様において、実質的にキラル純粋な糖間連結を有するかかるホスホロチオアートオリゴヌクレオチドは、例えば、1996年12月12日に発行された米国特許第5,587,261号(この内容は全体が参照されることによって本明細書に組み込まれる)に記載されるように、酵素合成または化学合成によって調製される。いくつかの態様において、キラル制御されたオリゴヌクレオチドは、標的核酸の選択的切断パターンを提供する。例えば、いくつかの態様において、キラル制御されたオリゴヌクレオチドは、例えば、2017年2月2日に公開された表題「CHIRAL DESIGN」の米国特許出願公開20170037399号(この内容は全体が参照されることによって本明細書に組み込まれる)に記載のとおり、核酸の相補的な配列内に単一の切断部位を提供する。
【0271】
f.モルホリノ
いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、モルホリノをベースとした化合物であってもよい。モルホリノをベースとしたオリゴマー化合物は、Dwaine A.Braasch and David R.Corey,Biochemistry,2002,41(14),4503-4510)、Genesis,volume 30,issue 3,2001、Heasman,J.,Dev.Biol.,2002,243,209-214、Nasevicius et al.,Nat.Genet.,2000,26,216-220、Lacerra et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.,2000,97,9591-9596、および1991年7月23日発行の米国特許第5,034,506号に記載されている。いくつかの態様において、モルホリノをベースとしたオリゴマー化合物は、ホスホロジアミダートモルホリノオリゴマー(PMO)である(例として、Iverson,Curr.Opin.Mol.Ther.,3:235-238,2001、およびWang et al.,J.Gene Med.,12:354-364,2010に記載のとおり。これらの開示はこれら全体が参照により本明細書に組み込まれる)。
【0272】
g.ペプチド核酸(PNA)
いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドのヌクレオチド単位の糖とヌクレオシド間連結(主鎖)との両方とも、新規な基に置き換えられている。いくつかの態様において、塩基単位は、適切な核酸標的化合物とのハイブリダイゼーションのために維持されている。かかるオリゴマー化合物の1つである、優れたハイブリダイゼーション特性を有することが示されているオリゴヌクレオチド模倣物は、ペプチド核酸(PNA)と称される。PNA化合物中のオリゴヌクレオチドの糖-主鎖は、アミド含有主鎖、例えば、アミノエチルグリシン主鎖に置き換えられている。核酸塩基は保持されており、主鎖のアミド部分のアザ窒素原子へ直接的または間接的に結合されている。PNA化合物の調製を報告する代表的な刊行物は、これらに限定されないが、米国特許第5,539,082号;第5,714,331号;および第5,719,262号(これら各々は参照により本明細書に組み込まれる)を包含する。PNA化合物のさらなる教示は、Nielsen et al.,Science,1991,254,1497-1500に見出され得る。
【0273】
h.Mixmer
いくつかの態様において、本明細書に記載のオリゴヌクレオチドは、mixmerであってもよく、またはmixmer配列パターンを含んでいてもよい。一般に、mixmerは、天然に存在するヌクレオシドと天然に存在しないヌクレオシドとの両方を含むオリゴヌクレオチドであるか、または2つの異なるタイプの天然に存在しないヌクレオシドを、典型的には互い違いなパターンで含むオリゴヌクレオチドである。Mixmerは一般に、非修飾オリゴヌクレオチドより高い結合親和性を有し、標的分子に特異的に結合する、例として、標的分子上の結合部位を遮断するために使用されてもよい。一般に、mixmerは、RNaseを標的分子へ動員させず、よって標的分子の切断を促進しない。RNase Hを動員することが可能ではない、かかるオリゴヌクレオチドは記載されており、例えば、国際公開第2007/112754号または国際公開第2007/112753号を参照されたい。
【0274】
いくつかの態様において、mixmerは、ヌクレオシド類似体と天然に存在するヌクレオシドとの反復パターン、もしくはあるタイプのヌクレオシド類似体と別のタイプのヌクレオシド類似体との反復パターンを含むか、またはこれらからなる。しかしながら、mixmerは、反復パターンを含む必要がなく、その代わりに、修飾ヌクレオシドと天然に存在するヌクレオシドとのいずれの配置も、または1タイプの修飾ヌクレオシドともう1タイプの修飾ヌクレオシドとのいずれの配置も含むことができる。反復パターンは、実例として、2ヌクレオシド毎または3ヌクレオシド毎に、LNAなどの修飾ヌクレオシドであってもよく、残りのヌクレオシドは、DNAなどの天然に存在するヌクレオシドであるか、あるいは2'MOEもしくは2'フルオロ類似体などの2'置換ヌクレオシド類似体、または本明細書に記載のいずれの他の修飾ヌクレオシドである。LNA単位などの修飾ヌクレオシドの反復パターンが、固定された位置にて-例として5'末端または3'末端にて、修飾ヌクレオシドと組み合わされてもよいことが確認されている。
【0275】
いくつかの態様において、mixmerは、6つ以上、5つ以上、4つ以上、または3つ以上連続した、DNAヌクレオシドなどの天然に存在するヌクレオシドの領域を含まない。いくつかの態様において、mixmerは、少なくとも2つの連続したLNAなどの、少なくとも2つの連続した修飾ヌクレオシドからなる領域を少なくとも含む。いくつかの態様において、mixmerは、少なくとも3つの連続したLNAなどの、少なくとも3つの連続した修飾ヌクレオシドからなる領域を少なくとも含む。
【0276】
いくつかの態様において、mixmerは、8つ以上の、7つ以上の、6つ以上の、5つ以上の、4つ以上の、または3つ以上の連続した、LNAなどのヌクレオシド類似体の領域を含まない。いくつかの態様において、LNA単位は、本明細書に言及されたヌクレオシド類似体などの他のヌクレオシド類似体に置き換えられていてもよい。
【0277】
Mixmerは、非限定例におけるLNAヌクレオシドおよび2'-O-Meヌクレオシドなどの親和性増強修飾ヌクレオシドの混合物を含むよう設計されていてもよい。いくつかの態様において、mixmerは、修飾ヌクレオシド間連結(例として、ホスホロチオアートヌクレオシド間連結または他の連結)を、少なくとも2つの、少なくとも3つの、少なくとも4つの、少なくとも5つの、またはこれより多くのヌクレオシド間に含む。
【0278】
mixmerは、いずれの好適な方法を使用しても産生されてよい。mixmerの調製を教示する代表的な米国特許、米国特許公開、およびPCT公開は、米国特許公開第US20060128646号、US20090209748号、US20090298916号、US20110077288号、およびUS20120322851号、および米国特許第7687617号を包含する。
【0279】
いくつかの態様において、mixmerは、1以上のモルホリノヌクレオシドを含む。例えば、いくつかの態様において、mixmerは、1つ以上の他のヌクレオシド(例として、DNA、RNAヌクレオシド)または修飾ヌクレオシド(例として、LNA、2'-O-Meヌクレオシド)と(例として、交互に)ミックスされたモルホリノヌクレオシドを含んでいてもよい。
【0280】
いくつかの態様において、mixmerは、例えば、Touznik A.,et al.,LNA/DNA mixmer-based antisense oligonucleotides correct alternative splicing of the SMN2 gene and restore SMN protein expression in type 1 SMA fibroblasts Scientific Reports,volume 7,Article number:3672(2017),Chen S.et al.,Synthesis of a Morpholino Nucleic Acid(MNA)-Uridine Phosphoramidite,and Exon Skipping Using MNA/2'-O-Methyl Mixmer Antisense Oligonucleotide,Molecules 2016,21,1582(これら各々の内容は参照により本明細書に組み込まれる)に報告されるとおり、スプライシングの修正またはエクソンスキッピングに有用である。
【0281】
i.マルチマー
いくつかの態様において、分子ペイロードは、リンカーによって接続された2以上のオリゴヌクレオチドのマルチマー(例として、コンカテマー)を含んでいてもよい。このように、いくつかの態様において、複合体のオリゴヌクレオチドの負荷(loading)は、標的化剤上の利用可能な連結部位(例として、抗体上の利用可能なチオール部位)を超えて増大され得るか、または具体的なペイロード負荷量に達するよう別様に整え得る。マルチマー中のオリゴヌクレオチドは、同じかまたは異なり得る(例として、異なる遺伝子、もしくは同じ遺伝子上の異なる部位、またはそれらの産物を標的化する)。
【0282】
いくつかの態様において、マルチマーは、切断可能なリンカーによって一緒に連結された2以上のオリゴヌクレオチドを含む。しかしながら、いくつかの態様において、マルチマーは、切断不能なリンカーによって一緒に連結された2以上のオリゴヌクレオチドを含む。いくつかの態様において、マルチマーは、一緒に連結された2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはこれより多くのオリゴヌクレオチドを含む。いくつかの態様において、マルチマーは、一緒に連結された2から5、2から10、または4から20オリゴヌクレオチドを含む。
【0283】
いくつかの態様において、マルチマーは、(線状配置において)末端間(end-to-end)で連結された2以上のオリゴヌクレオチドを含む。いくつかの態様において、マルチマーは、オリゴヌクレオチドベースのリンカー(例として、ポリ-dTリンカー、塩基性リンカー)を介して、末端間で連結された2以上のオリゴヌクレオチドを含む。いくつかの態様において、マルチマーは、別のオリゴヌクレオチドの3'末端に連結された1つのオリゴヌクレオチドの5'末端を含む。いくつかの態様において、マルチマーは、別のオリゴヌクレオチドの3'末端に連結された1つのオリゴヌクレオチドの3'末端を含む。いくつかの態様において、マルチマーは、別のオリゴヌクレオチドの5'末端に連結された1つのオリゴヌクレオチドの5'末端を含む。またさらに、いくつかの態様において、マルチマーは、分枝リンカーによって一緒に連結された複数のオリゴヌクレオチドを含む分枝構造を含み得る。
【0284】
本明細書で提供される複合体に使用されてもよいマルチマーのさらなる例は、例えば、2015年11月5日に公開され、Methods of delivering multiple targeting oligonucleotides to a cell using cleavable linkersと題する米国特許出願第2015/0315588号、2015年9月3日に公開され、Multimeric Oligonucleotide Compoundsと題する米国特許出願第2015/0247141号、2011年6月30日に公開され、Immunostimulatory Oligonucleotide Multimersと題する米国特許出願第2011/0158937号、および1997年12月2日に発行され、Triplex-Forming Antisense Oligonucleotides Having Abasic Linkers Targeting Nucleic Acids Comprising Mixed Sequences Of Purines And Pyrimidinesと題する米国特許第5,693,773号に開示されており、これら各々の内容はそれら全体が参照されることにより本明細書に組み込まれる。
【0285】
C.リンカー
本明細書に記載の複合体は一般に、本明細書に記載の抗TfR1抗体のいずれか1つを分子ペイロードに共有結合的に連結するリンカーを含む。リンカーは、少なくとも1つの共有結合を含む。いくつかの態様において、リンカーは、抗TfR1抗体を分子ペイロードに共有結合的に連結する単結合、例として、ジスルフィド結合またはジスルフィド架橋であり得る。しかしながら、いくつかの態様において、リンカーは、複数の共有結合を介して、本明細書に記載の抗TfR1抗体のいずれか1つを分子ペイロードに共有結合的に連結し得る。いくつかの態様において、リンカーは、切断可能なリンカーであってもよい。しかしながら、いくつかの態様において、リンカーは、切断不能なリンカーであってもよい。リンカーは、典型的には、in vitroおよびin vivoで安定しており、特定の細胞環境において安定し得る。加えて、典型的にリンカーは、抗TfR1抗体または分子ペイロードのいずれかの機能特性に負の影響を及ぼさない。リンカー合成の例および方法は、当該技術分野において知られている(例として、Kline,T.et al.「Methods to Make Homogenous Antibody Drug Conjugates.」Pharmaceutical Research,2015,32:11,3480-3493.;Jain,N.et al.「Current ADC Linker Chemistry」Pharm Res.2015,32:11,3526-3540.;McCombs,J.R.and Owen,S.C.「Antibody Drug Conjugates:Design and Selection of Linker,Payload and Conjugation Chemistry」AAPS J.2015,17:2,339-351.を参照されたい)。
【0286】
リンカーは、典型的には、抗TfR1抗体と分子ペイロードとの両方へ付着できる2つの異なる反応性の高い種を含む。いくつかの態様において、2つの異なる反応性の高い種は、求核試薬および/または求電子試薬であってもよい。いくつかの態様において、リンカーは、2つの異なる求核剤または求電子剤に特異的な2つの異なる求電子剤または求核剤を含む。いくつかの態様において、リンカーは、抗TfR1抗体のリジン残基またはシステイン残基への抱合を介して、抗TfR1抗体に共有結合的に連結されている。いくつかの態様において、リンカーは、マレイミド含有リンカーを介して抗TfR1抗体のシステイン残基に共有結合的に連結されており、任意に、マレイミド含有リンカーは、マレイミドカプロイルまたはマレイミドメチルシクロヘキサン-1-カルボキシラート基を含む。いくつかの態様において、リンカーは、3-アリールプロピオニトリル官能基を介して、抗TfR1抗体のシステイン残基またはチオール官能化分子ペイロードに共有結合的に連結されている。いくつかの態様において、リンカーは、抗TfR1抗体のリジン残基に共有結合的に連結されている。いくつかの態様において、リンカーは、独立して、アミド結合、カルバメート結合、ヒドラジド、トリアゾール、チオエーテル、および/またはジスルフィド結合を介して、抗TfR1抗体および/または分子ペイロード(例として、および)に共有結合的に連結されている。
【0287】
i.切断可能なリンカー
切断可能なリンカーは、プロテアーゼ感受性リンカー、pH感受性リンカー、またはグルタチオン感受性リンカーであってもよい。これらのリンカーは典型的には、細胞内のみで切断可能であって、好ましくは、細胞外環境において、例として、筋細胞の細胞外において安定している。
【0288】
プロテアーゼ感受性リンカーは、プロテアーゼ酵素活性によって切断可能である。これらのリンカーは、典型的にはペプチド配列を含んでおり、2~10アミノ酸長、約2~5アミノ酸長、約5~10アミノ酸長、約10アミノ酸長、約5アミノ酸長、約3アミノ酸長、または約2アミノ酸長であってもよい。いくつかの態様において、ペプチド配列は、天然に存在するアミノ酸、例として、システイン、アラニン、または天然に存在しないかもしくは修飾されたアミノ酸を含んでいてもよい。天然に存在しないアミノ酸は、β-アミノ酸、ホモ-アミノ酸、プロリン誘導体、3-置換アラニン誘導体、線形コアアミノ酸、N-メチルアミノ酸、および当該技術分野において知られているその他のアミノ酸を包含する。いくつかの態様において、プロテアーゼ感受性リンカーは、バリン-シトルリンまたはアラニン-シトルリンの配列を含む。いくつかの態様において、プロテアーゼ感受性リンカーは、リソソームのプロテアーゼ、例として、カテプシンB、および/または(例として、および)エンドソームのプロテアーゼによって切断され得る。
【0289】
pH感受性リンカーは、高または低pH環境において容易に分解される共有結合の連結である。いくつかの態様において、pH感受性リンカーは、4~6の範囲にあるpHにて切断されてもよい。いくつかの態様において、pH感受性リンカーは、ヒドラゾンまたは環状アセタールを含む。いくつかの態様において、pH感受性リンカーは、エンドソームまたはリソソーム内で切断される。
【0290】
いくつかの態様において、グルタチオン感受性リンカーは、ジスルフィド部を含む。いくつかの態様において、グルタチオン感受性リンカーは、細胞内部でのグルタチオン種とのジスルフィド交換反応によって切断される。いくつかの態様において、ジスルフィド部はさらに、少なくとも1つのアミノ酸、例としてシステイン残基を含む。
【0291】
いくつかの態様において、リンカーは、バリン-シトルリン配列を含む(例として、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,214,345号に記載されているように)。いくつかの態様において、抱合の前に、リンカーは、以下の構造を含む。
【化2】
【0292】
いくつかの態様において、抱合後に、リンカーは、以下の構造を含む。
【化3】
【0293】
いくつかの態様において、抱合の前に、リンカーは、以下の構造を含む。
【化4】
(式中、nは0~10の任意の数である。)いくつかの態様において、nは3である。
【0294】
いくつかの態様において、リンカーは、以下の構造を含む。
【化5】
(式中、nは0~10の任意の数であり、mは0~10の任意の数である。)いくつかの態様において、nは3であり、および/または(例として、および)mは4である。
【0295】
いくつかの態様において、リンカーは、以下の構造を含む。
【化6】
(式中、nは0~10の任意の数であり、mは0~10の任意の数である。)いくつかの態様において、nは3であり、および/または(例として、および)mは4である。
【0296】
ii.切断不能リンカー
いくつかの態様において、切断不能なリンカーが使用されてもよい。一般に、切断不能なリンカーは、細胞環境または生理環境において容易に分解され得ない。いくつかの態様において、切断不能なリンカーは、任意に置換されていてもよいアルキル基を含むが、ここで置換は、ハロゲン、ヒドロキシル基、酸素種、および他の一般的な置換を含んでいてもよい。いくつかの態様において、リンカーは、任意に置換されていてもよいアルキル、任意に置換されていてもよいアルキレン、任意に置換されていてもよいアリーレン、ヘテロアリーレン、少なくとも1個の非天然アミノ酸を含むペプチド配列、トランケートされたグリカン、酵素的に分解され得ない糖(単数もしくは複数)、アジド、アルキン-アジド、LPXT配列を含むペプチド配列、チオエーテル、ビオチン、ビフェニル、反復単位のポリエチレングリコールもしくは等価な化合物、酸エステル、酸アミド、スルファミド、および/または、アルコキシ-アミンリンカーを含んでいてもよい。いくつかの態様において、ソルターゼ媒介ライゲーションは、LPXT配列を含む抗TfR1抗体を、(G)n配列を含む分子ペイロードへ共有結合的に連結するために利用され得る(例として、Proft T.Sortase-mediated protein ligation:an emerging biotechnology tool for protein modification and immobilization.Biotechnol Lett.2010,32(1):1-10.を参照されたい)。
【0297】
いくつかの態様において、リンカーは、置換されたアルキレン、任意に置換されていてもよいアルケニレン、任意に置換されていてもよいアルキニレン、任意に置換されていてもよいシクロアルキレン、任意に置換されていてもよいシクロアルケニレン、任意に置換されていてもよいアリーレン、N、O、およびSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子をさらに含む任意に置換されていてもよいヘテロアリーレン、N、O、およびSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子をさらに含む任意に置換されていてもよいヘテロシクリレン、イミノ、任意に置換されていてもよい窒素種、任意に置換されていてもよい酸素種O、任意に置換されていてもよい硫黄種、またはポリ(アルキレンオキシド)、例として、ポリエチレンオキシドまたはポリプロピレンオキシドを含んでいてもよい。いくつかの態様において、リンカーは、切断不能なN-ガンマ-マレイミドブチリル-オキシスクシンイミドエステル(GMBS)リンカーであり得る。
【0298】
iii.リンカーの抱合
いくつかの態様において、リンカーは、ホスファート、チオエーテル、エーテル、炭素-炭素、カルバマート、またはアミド結合を介して抗TfR1抗体および/または(例として、および)分子ペイロードに共有結合的に連結されている。いくつかの態様において、リンカーは、ホスファートまたはホスホロチオアート基、例として、オリゴヌクレオチド主鎖の末端のホスファートを介してオリゴヌクレオチドに共有結合的に連結されている。いくつかの態様において、リンカーは、抗TfR1抗体上に存在するリジン残基またはシステイン残基を介して、抗TfR1抗体に共有結合的に連結されている。
【0299】
いくつかの態様において、リンカーまたはその一部が、トリアゾールを形成するアジドとアルキンとの間のシクロ付加反応によって、抗TfR1抗体および/または(例として、および)分子ペイロードに共有結合的に連結されており、アジドまたはアルキンは、抗TfR1抗体、分子ペイロード、またはリンカー上に位置し得る。いくつかの態様において、アルキンは、環状アルキン、例としてシクロオクチンであってもよい。いくつかの態様において、アルキンは、ビシクロノニン(またビシクロ[6.1.0]ノニンまたはBCNとしても知られている)または置換ビシクロノニンであってもよい。いくつかの態様において、シクロオクチンは、2011年11月3日に公開の国際特許出願公開WO2011136645号、表題「Fused Cyclooctyne Compounds And Their Use In Metal-free Click Reactions」に記載のとおりである。いくつかの態様において、アジドは、アジドを含む糖または炭水化物分子であってもよい。いくつかの態様において、アジドは、6-アジド-6-デオキシガラクトースまたは6-アジド-N-アセチルガラクトサミンであってもよい。いくつかの態様において、アジドを含む糖または炭水化物分子は、2016年10月27日公開の国際公開第2016170186号、表題「Process For The Modification Of A Glycoprotein Using A Glycosyltransferase That Is Or Is Derived From A β(1,4)-N-Acetylgalactosaminyltransferase」に記載のとおりである。いくつかの態様において、トリアゾールを形成するアジドとアルキンとの間のシクロ付加反応(ここでアジドおよびアルキンは、抗TfR1抗体、分子ペイロード、またはリンカー上に位置し得る)は、2014年5月1日に公開の国際公開第2014065661号、表題「Modified antibody,antibody-conjugate and process for the preparation thereof」;または2016年10月27日に公開の国際公開第2016170186号、表題「Process For The Modification Of A Glycoprotein Using A Glycosyltransferase That Is Or Is Derived From A β(1,4)-N-Acetylgalactosaminyltransferase」に記載のとおりである。
【0300】
いくつかの態様において、リンカーは、スペーサー、例として、ポリエチレングリコールスペーサーまたはアシル/カルバモイルスルファミドスペーサー、例として、HydraSpace(商標)スペーサーを含む。いくつかの態様において、スペーサーは、Verkade,J.M.M.et al.,「A Polar Sulfamide Spacer Significantly Enhances the Manufacturability,Stability,and Therapeutic Index of Antibody-Drug Conjugates」,Antibodies,2018,7,12に記載のとおりである。
【0301】
いくつかの態様において、リンカーは、求ジエン体とジエン/ヘテロ-ジエンとの間のディールス・アルダー反応によって、抗TfR1抗体および/または(例として、および)分子ペイロードに共有結合的に連結されるが、求ジエン体またはジエン/ヘテロ-ジエンは、抗TfR1抗体、分子ペイロード、またはリンカー上に位置し得る。いくつかの態様において、リンカーは、エン反応などの他のペリ環状反応によって、抗TfR1抗体および/または(例として、および)分子ペイロードに共有結合的に連結される。いくつかの態様において、リンカーは、アミド、チオアミド、またはスルホンアミド結合反応によって、抗TfR1抗体および/または(例として、および)分子ペイロードに共有結合的に連結される。いくつかの態様において、リンカーは、リンカーと抗TfR1抗体および/または(例として、および)分子ペイロードとの間に存在するオキシム基、ヒドラゾン基、またはセミカルバジド基を形成する縮合反応によって、抗TfR1抗体および/または(例として、および)分子ペイロードに共有結合的に連結される。
【0302】
いくつかの態様において、リンカーは、求核試薬、例として、アミン基またはヒドロキシル基と求電子試薬、例として、カルボン酸、カーボナート、またはアルデヒドとの間の共役付加反応によって、抗TfR1抗体および/または(例として、および)分子ペイロードに共有結合的に連結される。いくつかの態様において、リンカーと抗TfR1抗体または分子ペイロードとの間の反応に先立ち、求核試薬はリンカー上に存在し得、求電子試薬は抗TfR1抗体または分子ペイロード上に存在し得る。いくつかの態様において、リンカーと抗TfR1抗体または分子ペイロードとの間の反応に先立ち、求電子試薬はリンカー上に存在し得、求核試薬は抗TfR1抗体または分子ペイロード上に存在し得る。いくつかの態様において、求電子試薬は、アジド、ペンタフルオロフェニル、ケイ素中心、カルボニル、カルボン酸、無水物、イソシアナート、チオイソシアナート、スクシニミジルエステル、スルホスクシニミジルエステル、マレイミド、アルキルハロゲン化物、アルキル擬ハロゲン化物、エポキシド、エピスルフィド、アジリジン、アリール、活性化リン中心、および/または、活性化硫黄中心であってもよい。いくつかの態様において、求核試薬は、任意に置換されていてもよいアルケン、任意に置換されていてもよいアルキン、任意に置換されていてもよいアリール、任意に置換されていてもよいヘテロシクリル、ヒドロキシル基、アミノ基、アルキルアミノ基、アニリド基、および/またはチオール基であってもよい。
【0303】
いくつかの態様において、リンカーは、反応性化学部分(例として、クリックケミストリーのためのアジド部分またはBCN部分)に共有結合的に連結されたバリン-シトルリン配列を含む。いくつかの態様において、反応性化学部分(例として、クリックケミストリーのためのアジド部分)に共有結合的に連結されたバリン-シトルリン配列を含むリンカーは、以下の構造を含む。
【化7】
(式中、nは0~10の任意の数である。)いくつかの態様において、nは3である。
【0304】
いくつかの態様において、式(A)の構造を含むリンカーは、分子ペイロード(例として、オリゴヌクレオチド)に(例として、任意に追加の化学部分を介して)共有結合的に連結されている。いくつかの態様において、式(A)の構造を含むリンカーは、例として、カルバメート結合を形成するアミン-L1-オリゴヌクレオチドによる求核置換を介して、オリゴヌクレオチドに共有結合的に連結され、以下の構造を含む化合物を生じる。
【化8】
(式中、nは0~10の任意の数である。)いくつかの態様において、nは3である。
【0305】
いくつかの態様において、式(B)の化合物はさらに、トリアゾールを介してさらなる部分に共有結合的に連結され、トリアゾールは、式(A)または式(B)のアジドと、ビシクロノニン上に提供されるアルキンとの間のクリック反応によって形成される。いくつかの態様において、ビシクロノニンを含む化合物は、以下の構造を含む。
【化9】
(式中、mは0~10の任意の数である。)いくつかの態様において、mは4である。
【0306】
いくつかの態様において、構造(B)の化合物のアジドは、構造(C)の化合物のアルキンとのクリック反応を介してトリアゾールを形成し、以下の構造を含む化合物を形成する。
【化10】
(式中、nは0~10の任意の数であり、mは0~10の任意の数である。)いくつかの態様において、nは3であり、mは4である。
【0307】
いくつかの態様において、構造(D)の化合物はさらに、抗TfR1抗体のリジンに共有結合的に連結され、以下の構造を含む複合体を形成する。
【化11】
(式中、nは0~10の任意の数であり、mは0~10の任意の数である。)いくつかの態様において、nは3であり、および/または(例として、および)mは4である。当然のことながら、式(E)において抗TfR1抗体に隣接して示されるアミドは、リジンイプシロンアミンなどの抗TfR1抗体のアミンとの反応から生じる。
【0308】
いくつかの態様において、式(C)の化合物はさらに、抗TfR1抗体のリジンに共有結合的に連結され、以下の構造を含む化合物を形成する。
【化12】
(式中、mは0~15(例として、4)である。)当然のことながら、式(F)において抗TfR1抗体に隣接して示されるアミドは、リジンイプシロンアミンなどの抗TfR1抗体のアミンとの反応から生じる。
【0309】
いくつかの態様において、構造(B)の化合物のアジドは、構造(F)の化合物のアルキンとのクリック反応を介してトリアゾールを形成し、以下の構造を含む複合体を形成する。
【化13】
(式中、nは0~10の任意の数であり、mは0~10の任意の数である。)いくつかの態様において、nは3であり、および/または(例として、および)mは4である。当然のことながら、式(E)において抗TfR1抗体に隣接して示されるアミドは、リジンイプシロンアミンなどの抗TfR1抗体のアミンとの反応から生じる。
【0310】
いくつかの態様において、構造(A)の化合物のアジドは、構造(F)の化合物のアルキンとのクリック反応を介してトリアゾールを形成し、以下の構造を含む化合物を形成する。
【化14】
(式中、nは0~10の任意の数であり、mは0~10の任意の数である。)いくつかの態様において、nは3であり、および/または(例として、および)mは4である。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、式(G)の構造を含む化合物に共有結合し、それにより、式(E)の構造を含む複合体を形成する。当然のことながら、式(G)において抗TfR1抗体に隣接して示されるアミドは、リジンイプシロンアミンなどの抗TfR1抗体のアミンとの反応から生じる。
【0311】
いくつかの態様において、本明細書に記載の複合体のいずれか1つにおいて、抗TfR1抗体は、抗TfR1抗体のリジンを介し、以下の構造を含むリンカーを介して分子ペイロード(例として、オリゴヌクレオチド)に共有結合的に連結されている。
【化15】
(式中、nは0~10の任意の数であり、mは0~10の任意の数である。)いくつかの態様において、nは3であり、および/または(例として、および)mは4である。
【0312】
いくつかの態様において、本明細書に記載の複合体のいずれか1つにおいて、抗TfR1抗体は、抗TfR1抗体のリジンを介し、以下の構造を含むリンカーを介して分子ペイロード(例として、オリゴヌクレオチド)に共有結合的に連結されている。
【化16】
(式中、nは0~10の任意の数であり、mは0~10の任意の数である。)いくつかの態様において、nは3であり、および/または(例として、および)mは4である。
【0313】
いくつかの態様において、式(B)、(D)、(E)、および(I)中、L1は、いくつかの態様において、置換もしくは非置換の脂肪族、置換もしくは非置換のヘテロ脂肪族、置換もしくは非置換のカルボシクリレン、置換もしくは非置換のヘテロシクリレン、置換もしくは非置換のアリーレン、置換もしくは非置換のヘテロアリーレン、-O-、-N(R
A)-、-S-、-C(=O)-、-C(=O)O-、-C(=O)NR
A-、-NR
AC(=O)-、-NR
AC(=O)R
A-、-C(=O)R
A-、-NR
AC(=O)O-、-NR
AC(=O)N(R
A)-、-OC(=O)-、-OC(=O)O-、-OC(=O)N(R
A)-、-S(O)
2NR
A-、-NR
AS(O)
2-、またはそれらの組み合わせであるスペーサーであり、R
Aは、独立して、水素または置換もしくは非置換アルキルである。いくつかの態様において、L1は、
【化17】
である。(式中、L2は、
【化18】
または
【化19】
であり、aは、式(B)、(D)、(E)および(I)のカルバメート部分に直接結合した部位を表し、bは、オリゴヌクレオチドに(直接または追加の化学部分を介して)共有結合的に連結した部位を表す。)
【0314】
いくつかの態様において、L1は、
【化20】
である。(式中、aは、式(B)、(D)、(E)、および(I)のカルバメート部分に直接連結された部位を表し、bは、オリゴヌクレオチドに(直接または追加の化学部分を介して)共有結合的に連結した部位を表す。)
【0315】
いくつかの態様において、L1は、
【化21】
である。
【0316】
いくつかの態様において、L1は、オリゴヌクレオチドの5'ホスファートに連結される。いくつかの態様において、リン酸塩はホスホジエステルである。いくつかの態様において、L1は、オリゴヌクレオチドの5'ホスホロチオアートに連結される。いくつかの態様において、L1は、オリゴヌクレオチドの5'ホスホロアミダートに連結される。いくつかの態様において、L1は、ホスホロジアミデート結合を介してオリゴヌクレオチドの5'末端に連結される。
【0317】
いくつかの態様において、L1は、任意である(例として、存在する必要はない)。
【0318】
いくつかの態様において、本明細書に記載の複合体のいずれか1つは、以下の構造を有する。
【化22】
(式中、nは0~15(例として、3)であり、mは0~15(例として、4)である。)当然のことながら、式(J)において抗TfR1抗体に隣接して示されるアミドは、リジンイプシロンアミンなどの抗TfR1抗体のアミンとの反応から生じる。
【0319】
いくつかの態様において、本明細書に記載の複合体のいずれか1つは、以下の構造を有する。
【化23】
(式中、nは0~15(例として、3)であり、mは0~15(例として、4)である。)
【0320】
いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、化合物、例として、式(A)または式(G)の化合物に連結する前に、5'末端もしくは3'末端に、または内部に(例として、アミン官能化核酸塩基として)アミン基を含むように修飾される。
【0321】
リンカー抱合は抗TfR1抗体およびオリゴヌクレオチド分子ペイロードに関連して説明されているが、当然のことながら、他の筋標的化抗体などの他の筋標的化剤および/または他の分子ペイロードに対するそのようなリンカー抱合の使用が企図される。
【0322】
D.抗体-分子ペイロード複合体の例
本明細書に記載の分子ペイロード(例として、オリゴヌクレオチド)のいずれかへ共有結合的に連結された、本明細書に記載のいずれか1つの抗TfR1抗体を含む複合体の非限定的な例が、本明細書でさらに提供される。いくつかの態様において、抗TfR1抗体(例として、表2~7に示される抗TfR1抗体のいずれか1つ)は、リンカーを介して分子ペイロード(例として、表8に示されるオリゴヌクレオチドなどのオリゴヌクレオチド)に共有結合的に連結されている。本明細書に記載のリンカーのいずれも、使用されてもよい。いくつかの態様において、分子ペイロードがオリゴヌクレオチドである場合、リンカーは、オリゴヌクレオチドの5'末端、オリゴヌクレオチドの3'末端、またはオリゴヌクレオチドの内部部位に連結される。いくつかの態様において、リンカーは、チオール反応性の連結を介して(例として、抗TfR1抗体中のシステインを介して)抗TfR1抗体へ連結されている。いくつかの態様において、リンカー(例として、バリン-シトルリン配列を含むリンカー)は、アミン基を介して(例として、抗体中のリジンを介して)抗体(例として、本明細書に記載される抗TfR1抗体)に連結される。いくつかの態様において、分子ペイロードは、DMD標的化オリゴヌクレオチド(例として、配列番号384~831のいずれか1つによって提供されるか、または配列番号160~383のいずれか1つに相補的な、表8に列挙されるDMD標的化オリゴヌクレオチド)である。
【0323】
リンカーを介して分子ペイロードに共有結合的に連結された抗TfR1抗体を含む複合体の構造の例が、以下に提供される。
【化24】
(式中、リンカーは、チオール反応性連結を介して(例として、抗体中のシステインを介して)抗体に共有結合的に連結されている。)いくつかの態様において、分子ペイロードは、DMD標的化オリゴヌクレオチド(例として、配列番号384~831のいずれか1つによって提供されるか、または配列番号160~383のいずれか1つに相補的な、表8に列挙されるDMD標的化オリゴヌクレオチド)である。
【0324】
リンカーを介して分子ペイロードに共有結合的に連結された抗TfR1抗体を含む複合体の構造の別の例が、以下に提供される。
【化25】
(式中、nは0~10の間の数であり、mは0~10の間の数であり、リンカーはアミン基(例として、リジン残基上の)を介して抗体へ連結され、および/または(例として、および)リンカーはオリゴヌクレオチドへ(例として、5'末端、3'末端、または内部に)連結される。)いくつかの態様において、リンカーはリジンを介して抗体へ連結され、リンカーはオリゴヌクレオチドに5'末端にて連結され、nは3であり、mは4である。いくつかの態様において、分子ペイロードは、DMD標的化オリゴヌクレオチド(例として、配列番号384~831のいずれか1つによって提供されるか、または配列番号160~383のいずれか1つに相補的な、表8に列挙されるDMD標的化オリゴヌクレオチド)である。当然のことながら、式(E)において抗TfR1抗体に隣接して示されるアミドは、リジンイプシロンアミンなどの抗TfR1抗体のアミンとの反応から生じる。
【0325】
当然のことながら、抗体は、種々の化学量論で分子ペイロードへ連結され得ることが解されるはずであって、その特性は薬物抗体比(DAR)と称されてもよく、「薬物」は分子ペイロードである。いくつかの態様において、1つの分子ペイロードが抗体へ連結されている(DAR=1)。いくつかの態様において、2つの分子ペイロードが抗体へ連結されている(DAR=2)。いくつかの態様において、3つの分子ペイロードが抗体へ連結されている(DAR=3)。いくつかの態様において、4つの分子ペイロードが抗体へ連結されている(DAR=4)。いくつかの態様において、各々が異なるDARを有する異なる複合体の混合物が提供される。いくつかの態様において、かかる混合物中の複合体の平均DARは、1~3、1~4、1~5以上の範囲にあってもよい。混合物中の複合体の平均DARは整数値である必要はない。DARは、分子ペイロードを抗体上の種々の部位へ抱合させることによって、および/または(例として、および)、マルチマーを抗体上の1以上の部位へ抱合させることによって、増大されてもよい。例えば、2のDARは、単一分子ペイロードを抗体上の2つの異なる部位へ抱合させることによって、または二量体分子ペイロードを抗体の単一部位へ抱合させることによって、達成されてもよい。
【0326】
いくつかの態様において、本明細書に記載の複合体は、分子ペイロードに共有結合的に連結した本明細書に記載の抗TfR1抗体(例として、表2~7に示される抗体)を含む。いくつかの態様において、本明細書に記載の複合体は、リンカー(例として、バリン-シトルリン配列を含むリンカー)を介して分子ペイロードに共有結合的に連結された本明細書に記載の抗TfR1抗体(例として、表2~7に示される抗体)を含む。いくつかの態様において、リンカー(例として、バリン-シトルリン配列を含むリンカー)は、チオール反応性結合を介して(例として、抗体中のシステインを介して)抗体(例として、本明細書中に記載される抗TfR1抗体)に結合している。いくつかの態様において、リンカー(例として、バリン-シトルリン配列を含むリンカー)は、アミン基を介して(例として、抗体中のリジンを介して)抗体(例として、本明細書に記載される抗TfR1抗体)に連結される。いくつかの態様において、分子ペイロードは、DMD標的化オリゴヌクレオチド(例として、配列番号384~831のいずれか1つによって提供されるか、または配列番号160~383のいずれか1つに相補的な、表8に列挙されるDMD標的化オリゴヌクレオチド)である。
【0327】
いくつかの態様において、本明細書に記載される複合体は、分子ペイロードに共有結合的に連結された抗TfR1抗体を含み、抗TfR1抗体は、表2に列挙される抗体のいずれか1つのCDR-H1、CDR-H2、CDR-H3、CDR-L1、CDR-L2、およびCDR-L3を含む。いくつかの態様において、分子ペイロードは、DMD標的化オリゴヌクレオチド(例として、配列番号384~831のいずれか1つによって提供されるか、または配列番号160~383のいずれか1つに相補的な、表8に列挙されるDMD標的化オリゴヌクレオチド)である。
【0328】
いくつかの態様において、本明細書に記載の複合体は、分子ペイロードへ共有結合的に連結された抗TfR1抗体を含み、抗TfR1抗体は、配列番号69、配列番号71または配列番号72のアミノ酸配列を含むVH、および配列番号70のアミノ酸配列を含むVLを含む。いくつかの態様において、分子ペイロードは、DMD標的化オリゴヌクレオチド(例として、配列番号384~831のいずれか1つによって提供されるか、または配列番号160~383のいずれか1つに相補的な、表8に列挙されるDMD標的化オリゴヌクレオチド)である。
【0329】
いくつかの態様において、本明細書に記載の複合体は、分子ペイロードへ共有結合的に連結された抗TfR1抗体を含み、抗TfR1抗体は、配列番号73または配列番号76のアミノ酸配列を含むVH、および配列番号74のアミノ酸配列を含むVLを含む。いくつかの態様において、分子ペイロードは、DMD標的化オリゴヌクレオチド(例として、配列番号384~831のいずれか1つによって提供されるか、または配列番号160~383のいずれか1つに相補的な、表8に列挙されるDMD標的化オリゴヌクレオチド)である。
【0330】
いくつかの態様において、本明細書に記載の複合体は、分子ペイロードへ共有結合的に連結された抗TfR1抗体を含み、抗TfR1抗体は、配列番号73または配列番号76のアミノ酸配列を含むVH、および配列番号75のアミノ酸配列を含むVLを含む。いくつかの態様において、分子ペイロードは、DMD標的化オリゴヌクレオチド(例として、配列番号384~831のいずれか1つによって提供されるか、または配列番号160~383のいずれか1つに相補的な、表8に列挙されるDMD標的化オリゴヌクレオチド)である。
【0331】
いくつかの態様において、本明細書に記載の複合体は、分子ペイロードへ共有結合的に連結された抗TfR1抗体を含み、抗TfR1抗体は、配列番号77を含むVHおよび配列番号78のアミノ酸配列を含むVLを含む。いくつかの態様において、分子ペイロードは、DMD標的化オリゴヌクレオチド(例として、配列番号384~831のいずれか1つによって提供されるか、または配列番号160~383のいずれか1つに相補的な、表8に列挙されるDMD標的化オリゴヌクレオチド)である。
【0332】
いくつかの態様において、本明細書に記載の複合体は、分子ペイロードへ共有結合的に連結された抗TfR1抗体を含み、抗TfR1抗体は、配列番号77または配列番号79のアミノ酸配列を含むVH、および配列番号80のアミノ酸配列を含むVLを含む。いくつかの態様において、分子ペイロードは、DMD標的化オリゴヌクレオチド(例として、配列番号384~831のいずれか1つによって提供されるか、または配列番号160~383のいずれか1つに相補的な、表8に列挙されるDMD標的化オリゴヌクレオチド)である。
【0333】
いくつかの態様において、本明細書に記載の複合体は、分子ペイロードへ共有結合的に連結された抗TfR1抗体を含み、抗TfR1抗体は、配列番号154を含むVHおよび配列番号155のアミノ酸配列を含むVLを含む。いくつかの態様において、分子ペイロードは、DMD標的化オリゴヌクレオチド(例として、配列番号384~831のいずれか1つによって提供されるか、または配列番号160~383のいずれか1つに相補的な、表8に列挙されるDMD標的化オリゴヌクレオチド)である。
【0334】
いくつかの態様において、本明細書に記載の複合体は、分子ペイロードへ共有結合的に連結された抗TfR1抗体を含み、抗TfR1抗体は、配列番号84、配列番号86または配列番号87のアミノ酸配列を含む重鎖、および配列番号85のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。いくつかの態様において、分子ペイロードは、DMD標的化オリゴヌクレオチド(例として、配列番号384~831のいずれか1つによって提供されるか、または配列番号160~383のいずれか1つに相補的な、表8に列挙されるDMD標的化オリゴヌクレオチド)である。
【0335】
いくつかの態様において、本明細書に記載の複合体は、分子ペイロードへ共有結合的に連結された抗TfR1抗体を含み、抗TfR1抗体は、配列番号88または配列番号91のアミノ酸配列を含む重鎖、および配列番号89のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。いくつかの態様において、分子ペイロードは、DMD標的化オリゴヌクレオチド(例として、配列番号384~831のいずれか1つによって提供されるか、または配列番号160~383のいずれか1つに相補的な、表8に列挙されるDMD標的化オリゴヌクレオチド)である。
【0336】
いくつかの態様において、本明細書に記載の複合体は、分子ペイロードへ共有結合的に連結された抗TfR1抗体を含み、抗TfR1抗体は、配列番号88または配列番号91のアミノ酸配列を含む重鎖、および配列番号90のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。いくつかの態様において、分子ペイロードは、DMD標的化オリゴヌクレオチド(例として、配列番号384~831のいずれか1つによって提供されるか、または配列番号160~383のいずれか1つに相補的な、表8に列挙されるDMD標的化オリゴヌクレオチド)である。
【0337】
いくつかの態様において、本明細書に記載の複合体は、分子ペイロードへ共有結合的に連結された抗TfR1抗体を含み、抗TfR1抗体は、配列番号92または配列番号94のアミノ酸配列を含む重鎖、および配列番号95のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。いくつかの態様において、分子ペイロードは、DMD標的化オリゴヌクレオチド(例として、配列番号384~831のいずれか1つによって提供されるか、または配列番号160~383のいずれか1つに相補的な、表8に列挙されるDMD標的化オリゴヌクレオチド)である。
【0338】
いくつかの態様において、本明細書に記載の複合体は、分子ペイロードへ共有結合的に連結された抗TfR1抗体を含み、抗TfR1抗体は、配列番号92のアミノ酸配列を含む重鎖、および配列番号93のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。いくつかの態様において、分子ペイロードは、DMD標的化オリゴヌクレオチド(例として、配列番号384~831のいずれか1つによって提供されるか、または配列番号160~383のいずれか1つに相補的な、表8に列挙されるDMD標的化オリゴヌクレオチド)である。
【0339】
いくつかの態様において、本明細書に記載の複合体は、分子ペイロードへ共有結合的に連結された抗TfR1抗体を含み、抗TfR1抗体は、配列番号156のアミノ酸配列を含む重鎖、および配列番号157のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。いくつかの態様において、分子ペイロードは、DMD標的化オリゴヌクレオチド(例として、配列番号384~831のいずれか1つによって提供されるか、または配列番号160~383のいずれか1つに相補的な、表8に列挙されるDMD標的化オリゴヌクレオチド)である。
【0340】
いくつかの態様において、本明細書に記載の複合体は、分子ペイロードへ共有結合的に連結された抗TfR1抗体を含み、抗TfR1抗体は、配列番号97、配列番号98または配列番号99のアミノ酸配列を含む重鎖、および配列番号85のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。いくつかの態様において、分子ペイロードは、DMD標的化オリゴヌクレオチド(例として、配列番号384~831のいずれか1つによって提供されるか、または配列番号160~383のいずれか1つに相補的な、表8に列挙されるDMD標的化オリゴヌクレオチド)である。
【0341】
いくつかの態様において、本明細書に記載の複合体は、分子ペイロードへ共有結合的に連結された抗TfR1抗体を含み、抗TfR1抗体は、配列番号100または配列番号101のアミノ酸配列を含む重鎖、および配列番号89のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。いくつかの態様において、分子ペイロードは、DMD標的化オリゴヌクレオチド(例として、配列番号384~831のいずれか1つによって提供されるか、または配列番号160~383のいずれか1つに相補的な、表8に列挙されるDMD標的化オリゴヌクレオチド)である。
【0342】
いくつかの態様において、本明細書に記載の複合体は、分子ペイロードへ共有結合的に連結された抗TfR1抗体を含み、抗TfR1抗体は、配列番号100または配列番号101のアミノ酸配列を含む重鎖、および配列番号90のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。いくつかの態様において、分子ペイロードは、DMD標的化オリゴヌクレオチド(例として、配列番号384~831のいずれか1つによって提供されるか、または配列番号160~383のいずれか1つに相補的な、表8に列挙されるDMD標的化オリゴヌクレオチド)である。
【0343】
いくつかの態様において、本明細書に記載の複合体は、分子ペイロードへ共有結合的に連結された抗TfR1抗体を含み、抗TfR1抗体は、配列番号102のアミノ酸配列を含む重鎖、および配列番号93のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。いくつかの態様において、分子ペイロードは、DMD標的化オリゴヌクレオチド(例として、配列番号384~831のいずれか1つによって提供されるか、または配列番号160~383のいずれか1つに相補的な、表8に列挙されるDMD標的化オリゴヌクレオチド)である。
【0344】
いくつかの態様において、本明細書に記載の複合体は、分子ペイロードへ共有結合的に連結された抗TfR1抗体を含み、抗TfR1抗体は、配列番号102または配列番号103のアミノ酸配列を含む重鎖、および配列番号95のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。いくつかの態様において、分子ペイロードは、DMD標的化オリゴヌクレオチド(例として、配列番号384~831のいずれか1つによって提供されるか、または配列番号160~383のいずれか1つに相補的な、表8に列挙されるDMD標的化オリゴヌクレオチド)である。
【0345】
いくつかの態様において、本明細書に記載の複合体は、分子ペイロードへ共有結合的に連結された抗TfR1抗体を含み、抗TfR1抗体は、配列番号158または配列番号159のアミノ酸配列を含む重鎖、および配列番号157のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。いくつかの態様において、分子ペイロードは、DMD標的化オリゴヌクレオチド(例として、配列番号384~831のいずれか1つによって提供されるか、または配列番号160~383のいずれか1つに相補的な、表8に列挙されるDMD標的化オリゴヌクレオチド)である。
【0346】
本明細書に記載の例示的な複合体のいずれかにおいて、いくつかの態様において、抗TfR1抗体は、以下の構造を含むリンカーを介して分子ペイロードに共有結合的に連結されている。
【化26】
(式中、nは3であり、mは4である。)
【0347】
いくつかの態様において、本明細書に記載される複合体は、抗TfR1抗体のリジンを介してDMD標的化オリゴヌクレオチド(例として、配列番号384~831のいずれか1つによって提供されるか、または配列番号160~383のいずれか1つに相補的な、表8に列挙されるDMD標的化オリゴヌクレオチド)の5'末端に共有結合的に連結された抗TfR1抗体を含み、抗TfR1抗体は、表2に列挙される抗体のいずれか1つのCDR-H1、CDR-H2、CDR-H3、CDR-L1、CDR-L2、およびCDR-L3を含み、複合体は以下の構造を有する。
【化27】
(式中、nは3であり、mは4である。)当然のことながら、式(E)において抗TfR1抗体に隣接して示されるアミドは、リジンイプシロンアミンなどの抗TfR1抗体のアミンとの反応から生じる。
【0348】
いくつかの態様において、本明細書に記載される複合体は、抗TfR1抗体のリジンを介してDMD標的化オリゴヌクレオチド(例として、配列番号384~831のいずれか1つによって提供されるか、または配列番号160~383のいずれか1つに相補的な、表8に列挙されるDMD標的化オリゴヌクレオチド)の5'末端に共有結合的に連結された抗TfR1抗体を含み、抗TfR1抗体は、表3に列挙される抗体のいずれか1つのVHおよびVLを含み、複合体は以下の構造を有する。
【化28】
(式中、nは3であり、mは4である。)当然のことながら、式(E)において抗TfR1抗体に隣接して示されるアミドは、リジンイプシロンアミンなどの抗TfR1抗体のアミンとの反応から生じる。
【0349】
いくつかの態様において、本明細書に記載される複合体は、抗TfR1抗体のリジンを介してDMD標的化オリゴヌクレオチド(例として、配列番号384~831のいずれか1つによって提供されるか、または配列番号160~383のいずれか1つに相補的な、表8に列挙されるDMD標的化オリゴヌクレオチド)の5'末端に共有結合的に連結された抗TfR1抗体を含み、抗TfR1抗体は、表4に列挙される抗体のいずれか1つの重鎖および軽鎖を含み、複合体は以下の構造を有する。
【化29】
(式中、nは3であり、mは4である。)当然のことながら、式(E)において抗TfR1抗体に隣接して示されるアミドは、リジンイプシロンアミンなどの抗TfR1抗体のアミンとの反応から生じる。
【0350】
いくつかの態様において、本明細書に記載される複合体は、抗TfR1抗体のリジンを介してDMD標的化オリゴヌクレオチド(例として、配列番号384~831のいずれか1つによって提供されるか、または配列番号160~383のいずれか1つに相補的な、表8に列挙されるDMD標的化オリゴヌクレオチド)の5'末端に共有結合的に連結された抗TfR1 Fabを含み、抗TfR1 Fabは、表5に列挙される抗体のいずれか1つの重鎖および軽鎖を含み、複合体は以下の構造を有する。
【化30】
(式中、nは3であり、mは4である。)当然のことながら、式(E)において抗TfR1抗体に隣接して示されるアミドは、リジンイプシロンアミンなどの抗TfR1抗体のアミンとの反応から生じる。
【0351】
いくつかの態様において、本明細書に記載される複合体の例のいずれか1つにおいて、L1は、
【化31】
である。(式中、L2は、
【化32】
または
【化33】
であり、aは、式(B)、(D)、(E)および(I)のカルバメート部分に直接結合した部位を表し、bは、オリゴヌクレオチドに(直接または追加の化学部分を介して)共有結合的に連結された部位を表す。)
【0352】
いくつかの態様において、L1は、
【化34】
である。(式中、aは、式(B)、(D)、(E)、および(I)のカルバメート部分に直接連結された部位を表し、bは、オリゴヌクレオチドに(直接または追加の化学部分を介して)共有結合的に連結した部位を表す。)
【0353】
いくつかの態様において、L1は、オリゴヌクレオチドの5'ホスファートに連結される。いくつかの態様において、リン酸塩はホスホジエステルである。いくつかの態様において、L1は、オリゴヌクレオチドの5'ホスホロチオアートに連結される。いくつかの態様において、L1は、オリゴヌクレオチドの5'ホスホロアミダートに連結される。いくつかの態様において、L1は、ホスホロジアミデート結合を介してオリゴヌクレオチドの5'末端に連結される。
【0354】
いくつかの態様において、L1は、任意である(例として、存在する必要はない)。
【0355】
III.製剤
本明細書で提供される複合体は、いずれの好適なやり方でも製剤化されていてよい。一般に、本明細書で提供される複合体は、医薬への使用に好適なやり方で製剤化されている。例えば、複合体は、分解を最小限に抑え、送達および/または(例として、および)取り込みを容易にする製剤を使用して、対象へ送達され得るか、あるいは、製剤中の複合体へ別の有益な特性を提供する。いくつかの態様において、本明細書で提供されるのは、複合体および薬学的に許容し得る担体を含む組成物である。かかる組成物は、対象の標的細胞周囲の環境中または対象の全身のいずれかへ投与されたとき充分量の複合体が標的筋細胞に侵入できるように、好適に製剤化され得る。いくつかの態様において、複合体は、リン酸緩衝生理食塩溶液などの緩衝溶液中、リポソーム中、ミセル構造体中、およびカプシド中に製剤化される。
【0356】
当然のことながら、いくつかの態様において、組成物が、本明細書で提供される複合体の1以上の構成要素(例として、筋標的化剤、リンカー、分子ペイロード、またはこれらのいずれか1つの前駆体分子)を個別に包含していてもよい。
【0357】
いくつかの態様において、複合体は、水中または水性溶液(例として、pH調整された水)中に製剤化される。いくつかの態様において、複合体は、塩基性緩衝水性溶液(例として、PBS)中に製剤化される。いくつかの態様において、本明細書に開示のとおりの製剤は、賦形剤を含む。いくつかの態様において、賦形剤は、組成物へ、改善された安定性、改善された吸収、改善された可溶性、および/または(例として、および)、活性成分の治療増強を付与する。いくつかの態様において、賦形剤は、緩衝剤(例として、クエン酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、トリス塩基、もしくは水酸化ナトリウム)、またはビヒクル(例として、緩衝溶液、ワセリン、ジメチルスルホキシド、または鉱油)である。
【0358】
いくつかの態様において、複合体またはその構成要素(例として、オリゴヌクレオチドまたは抗体)は、その貯蔵寿命を延長するため凍結乾燥され、次いで使用(例として、対象への投与)前に溶液にさせられる。したがって、本明細書に記載の複合体またはその構成要素を含む組成物中の賦形剤は、凍結保護剤(例として、マンニトール、ラクトース、ポリエチレングリコール、もしくはポリビニルピロリドン)、または崩壊温度修飾因子(例として、デキストラン、フィコール、もしくはゼラチン)であってもよい。
【0359】
いくつかの態様において、医薬組成物は、その意図された投与ルートに適合するよう製剤化されている。投与経路の例としては、非経口投与、例として、静脈内投与、皮内投与、皮下投与が挙げられる。典型的には、投与ルートは、静脈内投与または皮下投与である。
【0360】
注射剤への使用に好適な医薬組成物は、滅菌水性溶液(ここで水に可溶性である)または分散溶液、および滅菌注射剤溶液または分散溶液の即時調製のための滅菌粉末を包含する。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、および液体ポリエチレングリコールなど)、および好適なそれらの混合物を含有する溶媒または分散媒体であり得る。いくつかの態様において、製剤は、組成物中に等張剤、例えば、糖、マンニトール、ソルビトールなどのポリアルコール、および塩化ナトリウムを包含する。滅菌注射剤溶液は、要求量の複合体を、上に列挙された成分の1つまたはそれらの組み合わせとともに、選択された溶媒に組み込むこと、要求に応じ、これに続き濾過滅菌することによって調製され得る。
【0361】
いくつかの態様において、組成物は、少なくとも約0.1%の複合体またはその構成要素、またはそれ以上を含有し得るが、活性成分のパーセンテージは組成物全体の重量または体積の約1%~約80%、またはそれ以上であってもよい。可溶性、バイオアベイラビリティ、生物学的半減期、投与ルート、産物の貯蔵寿命などの因子、ならびに他の薬理学的留意事項は、かかる医薬製剤を調製する当業者によって企図されるであろう。そのため様々な投薬量および処置計画が所望されることもある。
【0362】
IV.使用方法/処置方法
本明細書に記載の分子ペイロードに共有結合的に連結された筋標的化剤を含む複合体は、ジストロフィノパチー、例として、デュシェンヌ型筋ジストロフィーを有する対象の処置に有効である。いくつかの態様において、複合体は、オリゴヌクレオチド、例として、変異DMD対立遺伝子から発現されるプレ-mRNAのエクソンスキッピングを容易にするアンチセンスオリゴヌクレオチドである分子ペイロードを含む。
【0363】
いくつかの態様において、対象は、ヒト対象、霊長目の非ヒト動物対象、齧歯類動物対象、またはいずれの好適な哺乳動物対象であってもよい。いくつかの態様において、対象は、デュシェンヌ型筋ジストロフィーまたは他のジストロフィノパチーを有し得る。いくつかの態様において、対象は、フレームシフト変異を引き起こし、不適切なRNAスプライシング/プロセシングをもたらすDMDエクソン中の少なくとも1つの変異を任意に含み得る変異DMD対立遺伝子を有する。いくつかの態様において、対象は、重度のジストロフィノパチーの症状、例として、筋萎縮または筋肉減少を患っている。いくつかの態様において、対象は、クレアチンホスホキナーゼ(CK)の血清濃度の無症候性増加および/または(例として、および)ミオグロビン尿症を伴う筋痙攣を有する。いくつかの態様において、対象は、デュシェンヌまたはベッカー型筋ジストロフィーまたはDMD関連拡張型心筋症(DCM)などの進行性筋疾患を有する。いくつかの態様において、対象は、ジストロフィノパチーの症状を患っていない。
【0364】
いくつかの態様において、対象は、エクソン51のスキッピングに適したDMD遺伝子の突然変異を有する。いくつかの態様において、本明細書に記載の分子ペイロードに共有結合的に連結された筋標的化剤を含む複合体は、エクソン51のスキッピングに適したDMD遺伝子の突然変異を有する対象の処置に有効である。いくつかの態様において、複合体は、オリゴヌクレオチド、例として、変異DMD遺伝子(例として、エクソン51のスキッピングに適した変異DMD遺伝子)からコードされるプレ-mRNAなどのプレ-mRNAのエクソン51のスキッピングを容易にするアンチセンスオリゴヌクレオチドである分子ペイロードを含む。
【0365】
本開示の側面は、本明細書に記載の有効量の複合体を対象へ投与することを伴う方法を含む。いくつかの態様において、分子ペイロードへ共有結合的に連結された筋標的化剤を含む複合体を含む有効量の医薬組成物は、処置を必要とする対象へ投与され得る。いくつかの態様において、本明細書に記載のとおりの複合体を含む医薬組成物は、静脈内投与を包含してもよい好適なルートによって、例として、ボーラスとして、またはある期間にわたる連続注入によって、投与されてもよい。いくつかの態様において、投与は、筋肉内経路、腹腔内経路、脳脊髄内経路、皮下の、関節内経路、滑液嚢内経路、または髄腔内経路によって実施されてもよい。いくつかの態様において、医薬組成物は、固体形態、水性形態、または液体形態であってもよい。いくつかの態様において、水性または液体形態は、噴霧されてもよく、または凍結乾燥されてもよい。いくつかの態様において、噴霧形態または凍結乾燥形態は、水性または液体溶液で再構成されてもよい。
【0366】
静脈内投与のための組成物は、植物油、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、乳酸エチル、炭酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、エタノール、およびポリオール(グリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコールなど)などの様々な担体を含有していてもよい。静脈内注射のための水可溶性抗体は点滴法によって投与され得、これによって抗体および薬学的に許容し得る賦形剤を含有する医薬製剤が注入される。生理学的に許容し得る賦形剤は、例えば、5%デキストロース、0.9%生理食塩水、リンガー溶液、または他の好適な賦形剤を包含していてもよい。筋肉内用調製物、例として、抗体の好適な可溶性の塩形態の滅菌製剤は、注射用水、0.9%生理食塩水、または5%グルコース溶液などの医薬賦形剤に溶解されて投与され得る。
【0367】
いくつかの態様において、分子ペイロードへ共有結合的に連結されたた筋標的化剤を含む複合体を含む医薬組成物は、部位特異的または局部的な送達技法を介して投与される。これらの技法の例は、複合体の埋め込み型デポー供給源、局部送達カテーテル、部位特異的担体、直接注射、または直塗り(direct application)を包含する。
【0368】
いくつかの態様において、分子ペイロードへ共有結合的に連結された筋標的化剤を含む複合体を含む医薬組成物は、治療効果を対象に付与する有効濃度にて投与される。有効量は、当業者によって認識されるとおり、疾患の重症度、処置される対象の特有な特徴、例として、年齢、体調、健康状態、または体重、処置期間、いずれの併用治療の性質、投与ルート、および関連因子に応じて変動する。これらの関連因子は当業者には公知であり、日常的な実験程度で対処し得る。いくつかの態様において、有効濃度は、患者に安全であると見なされる最大用量である。いくつかの態様において、有効濃度は、最大限の有効性を提供する、実行可能な最低濃度であろう。
【0369】
経験的考慮事項、例として、対象における複合体の半減期は一般に、処置のために使用される医薬組成物の濃度を決定するのに役立つであろう。投与頻度は、処置の有効性を最大化するために経験的に決定かつ調整されてもよい。
【0370】
処置の有効性は、いずれか好適な方法を使用して査定されてもよい。いくつかの態様において、処置の有効性は、ジストロフィノパチーに関連する症状、例として、筋萎縮、または筋力低下の観察の評価によって、対象の自己報告された転帰、例として運動性、セルフケア、通常の活動、疼痛/不快感、および不安/抑うつの尺度を通して、または生活の質の指標、例として寿命によって評価され得る。
【0371】
いくつかの態様において、本明細書に記載の分子ペイロードへ共有結合的に連結された筋標的化剤を含む複合体を含む医薬組成物は、対照(例として、処置に先立つ遺伝子発現のベースラインレベル)と比べて、標的遺伝子の活性または発現を少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、または少なくとも95%調節するのに充分な有効濃度で対象へ投与される。
追加の態様
1.DMDプレ-mRNAにおいてエクソン51のスキッピングを誘導するように構成された分子ペイロードに共有結合的に連結された抗トランスフェリン受容体1(TfR1)抗体を含む複合体であって、抗TfR1抗体が、表2~7のいずれか1つにおいて特定される抗体である、複合体。
2.抗TfR1抗体が、
(i)配列番号33の重鎖相補性決定領域1(CDR-H1)、配列番号34の重鎖相補性決定領域2(CDR-H2)、配列番号35の重鎖相補性決定領域3(CDR-H3)、配列番号36の軽鎖相補性決定領域1(CDR-L1)、配列番号37の軽鎖相補性決定領域2(CDR-L2)および配列番号32の軽鎖相補性決定領域3(CDR-L3);
(ii)配列番号7のCDR-H1、配列番号8のCDR-H2、配列番号9のCDR-H3、配列番号10のCDR-L1、配列番号11のCDR-L2および配列番号6のCDR-L3;
(iii)配列番号7のCDR-H1、配列番号20のCDR-H2、配列番号9のCDR-H3、配列番号10のCDR-L1、配列番号11のCDR-L2および配列番号6のCDR-L3;
(iv)配列番号7のCDR-H1、配列番号24のCDR-H2、配列番号9のCDR-H3、配列番号10のCDR-L1、配列番号11のCDR-L2および配列番号6のCDR-L3;
(v)配列番号51のCDR-H1、配列番号52のCDR-H2、配列番号53のCDR-H3、配列番号54のCDR-L1、配列番号55のCDR-L2および配列番号50のCDR-L3;
(vi)配列番号64のCDR-H1、配列番号52のCDR-H2、配列番号53のCDR-H3、配列番号54のCDR-L1、配列番号55のCDR-L2および配列番号50のCDR-L3;または
(vii)配列番号67のCDR-H1、配列番号52のCDR-H2、配列番号53のCDR-H3、配列番号54のCDR-L1、配列番号55のCDR-L2および配列番号50のCDR-L3
を含む、態様1に記載の複合体。
3.抗TfR1抗体が、
(i)配列番号76と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH);および/または配列番号75と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL);
(ii)配列番号69と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含むVH;および/または配列番号70と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含むVL;
(iii)配列番号71と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含むVH;および/または配列番号70と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含むVL;
(iv)配列番号72と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含むVH;および/または配列番号70と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含むVL;
(v)配列番号73と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含むVH;および/または配列番号74と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含むVL;
(vi)配列番号73と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含むVH;および/または配列番号75と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含むVL;
(vii)配列番号76と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含むVH;および/または配列番号74と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含むVL;
(viii)配列番号77と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含むVH;および/または配列番号78と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含むVL;
(ix)配列番号79と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含むVH;および/または配列番号80と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含むVL;または
(x)配列番号77と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含むVH;および/または配列番号80と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含むVL、
を含む、態様1または態様2に記載の複合体。
4.抗TfR1抗体が、
(i)配列番号76のアミノ酸配列を含むVHおよび配列番号75のアミノ酸配列を含むVL;
(ii)配列番号69のアミノ酸配列を含むVHおよび配列番号70のアミノ酸配列を含むVL;
(iii)配列番号71のアミノ酸配列を含むVHおよび配列番号70のアミノ酸配列を含むVL;
(iv)配列番号72のアミノ酸配列を含むVHおよび配列番号70のアミノ酸配列を含むVL;
(v)配列番号73のアミノ酸配列を含むVHおよび配列番号74のアミノ酸配列を含むVL;
(vi)配列番号73のアミノ酸配列を含むVHおよび配列番号75のアミノ酸配列を含むVL;
(vii)配列番号76のアミノ酸配列を含むVHおよび配列番号74のアミノ酸配列を含むVL;
(viii)配列番号77のアミノ酸配列を含むVHおよび配列番号78のアミノ酸配列を含むVL;
(ix)配列番号79のアミノ酸配列を含むVHおよび配列番号80のアミノ酸配列を含むVL;または
(x)配列番号77のアミノ酸配列を含むVHおよび配列番号80のアミノ酸配列を含むVL、
を含む、態様1から3のいずれか1つに記載の複合体。
5.抗TfR1抗体が、Fabフラグメント、Fab'フラグメント、F(ab')2フラグメント、scFv、Fv、または完全長IgGである、態様1から4のいずれか1つに記載の複合体。
6.抗TfR1抗体がFabフラグメントである、態様5に記載の複合体。
7.抗TfR1抗体が、
(i)配列番号101と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む重鎖;および/または配列番号90と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖;
(ii)配列番号97と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む重鎖;および/または配列番号85と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖;
(iii)配列番号98と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む重鎖;および/または配列番号85と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖;
(iv)配列番号99と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む重鎖;および/または配列番号85と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖;
(v)配列番号100と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む重鎖;および/または配列番号89と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖;
(vi)配列番号100と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む重鎖;および/または配列番号90と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖;
(vii)配列番号101と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む重鎖;および/または配列番号89と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖;
(viii)配列番号102と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む重鎖;および/または配列番号93と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖;
(ix)配列番号103と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む重鎖;および/または配列番号95と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖;または
(x)配列番号102と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む重鎖;および/または配列番号95と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖、
を含む、態様6に記載の複合体。
8.抗TfR1抗体が、
(i)配列番号101のアミノ酸配列を含む重鎖;および配列番号90のアミノ酸配列を含む軽鎖;
(ii)配列番号97のアミノ酸配列を含む重鎖;および配列番号85のアミノ酸配列を含む軽鎖;
(iii)配列番号98のアミノ酸配列を含む重鎖;および配列番号85のアミノ酸配列を含む軽鎖;
(iv)配列番号99のアミノ酸配列を含む重鎖;および配列番号85のアミノ酸配列を含む軽鎖;
(v)配列番号100のアミノ酸配列を含む重鎖;および配列番号89のアミノ酸配列を含む軽鎖;
(vi)配列番号100のアミノ酸配列を含む重鎖;および配列番号90のアミノ酸配列を含む軽鎖;
(vii)配列番号101のアミノ酸配列を含む重鎖;および配列番号89のアミノ酸配列を含む軽鎖;
(viii)配列番号102のアミノ酸配列を含む重鎖;および配列番号93のアミノ酸配列を含む軽鎖;
(ix)配列番号103のアミノ酸配列を含む重鎖;および配列番号95のアミノ酸配列を含む軽鎖;または
(x)配列番号102のアミノ酸配列を含む重鎖;および配列番号95のアミノ酸配列を含む軽鎖、
を含む、態様6または態様7に記載の複合体。
9.抗TfR1抗体が、トランスフェリン受容体1のトランスフェリン結合部位に特異的に結合せず、かつ/または抗TfR1抗体がトランスフェリン受容体1に対するトランスフェリンの結合を阻害しない、態様1から8のいずれか1つに記載の複合体。
10.分子ペイロードが、オリゴヌクレオチドを含む、態様1から9のいずれか1つに記載の複合体。
11.オリゴヌクレオチドが、DMDプレ-RNAにおいてアンチセンス媒介エクソンスキッピングを促進する、態様10に記載の複合体。
12.オリゴヌクレオチドが、DMDプレ-mRNAのスプライシング特徴に対する相補性領域を含む、態様10または11に記載の複合体。
13.スプライシング特徴が、DMDプレ-mRNAのエクソンスプライシングエンハンサー(ESE)である、態様12に記載の複合体。
14.スプライシング特徴がDMDプレ-mRNAのエクソン51にあり、任意にESEが配列番号860~894のいずれか1つの配列を含む、態様13に記載の複合体。
15.スプライシング特徴が、分岐点、スプライスドナー部位またはスプライスアクセプター部位である、態様12に記載の複合体。
16.スプライシング特徴が、DMDプレ-mRNAのエクソン50とイントロン50の接合部に跨って、イントロン50の中に、イントロン50とエクソン51の接合部に跨って、エクソン51とイントロン51の接合部に跨って、イントロン51の中に、またはイントロン51とエクソン52の接合部に跨って存在し、任意に、スプライシング特徴が、配列番号855~8595、および895~898のいずれか1つの配列を含む、態様15に記載の複合体。
17.相補性領域が、スプライシング特徴に相補的な少なくとも4つの連続するヌクレオシドを含む、態様12から16のいずれか1つに記載の複合体。
18.分子ペイロードが、配列番号160~383のいずれか1つに相補的な配列を含むか、または配列番号384~831のいずれか1つの配列を含むオリゴヌクレオチドを含み、式中、各チミン塩基(T)が独立しておよび任意にウラシル塩基(U)で置換されていてもよく、各Uが独立しておよび任意にTで置換されていてもよい、態様1から9のいずれか1つに記載の複合体。
19.オリゴヌクレオチドが少なくとも1つの修飾されたヌクレオシド間結合を含む、態様10から18のいずれか1つに記載の複合体。
20.少なくとも1つの修飾されたヌクレオシド間連結が、ホスホロチオアート連結である、態様19に記載の複合体。
21.オリゴヌクレオチドが、1つ以上の修飾ヌクレオシドを含む、態様10から20のいずれか1つに記載の複合体。
22.1つ以上の修飾ヌクレオシドが2'修飾ヌクレオシドである、態様21に記載の複合体。
23.オリゴヌクレオチドが、1つ以上のホスホロジアミダートモルホリノを含み、任意に、オリゴヌクレオチドがホスホロジアミダートモルホリノオリゴマー(PMO)である、態様10から18のいずれか1つに記載の複合体。
24.抗TfR1抗体が、切断可能なリンカーを介して分子ペイロードに共有結合的に連結されている、態様1から23のいずれか1つに記載の複合体。
25.切断可能なリンカーがバリン-シトルリン配列を含む、態様24に記載の複合体。
26.抗TfR1抗体が、抗体のリジン残基またはシステイン残基への抱合を介して分子ペイロードに共有結合的に連結されている、態様1から25のいずれか1つに記載の複合体。
27.DMDプレ-mRNAにおいてエクソン51のスキッピングを誘導するように構成されたオリゴヌクレオチドに共有結合的に連結された抗TfR1抗体を含む複合体であって、オリゴヌクレオチドが配列番号160~383のいずれか1つに対する相補性領域を含む、複合体。
28.抗TfR1抗体が、表2~7のいずれか1つにおいて特定される抗体である、態様27に記載の複合体。
29.DMDプレ-mRNAにおいてエクソン51のスキッピングを誘導するように構成されたオリゴヌクレオチドに共有結合的に連結された抗TfR1抗体を含む複合体であって、オリゴヌクレオチドが、DMDプレ-mRNAのスプライシング特徴に対する相補性領域を含む、複合体。
30.DMDを標的とするオリゴヌクレオチドであって、オリゴヌクレオチドが配列番号160~383のいずれか1つに対する相補性領域を含む、オリゴヌクレオチド。
31.相補性領域が、配列番号160~383のいずれか1つに相補的な少なくとも15個の連続するヌクレオシドを含む、態様30に記載のオリゴヌクレオチド。
32.オリゴヌクレオチドが配列番号384~831のいずれか1つの少なくとも15個の連続するヌクレオシドを含み、任意にオリゴヌクレオチドが配列番号384~831のいずれか1つの配列を含み、式中、各チミン塩基(T)が独立しておよび任意にウラシル塩基(U)で置換されていてもよく、各Uが独立しておよび任意にTで置換されていてもよい、態様30または31に記載のオリゴヌクレオチド。
33.細胞に分子ペイロードを送達する方法であって、方法が細胞を態様1から26のいずれか1つに記載の複合体と接触させることを含む、方法。
34.オリゴヌクレオチドを細胞に送達する方法であって、方法が細胞を態様27から29のいずれか1つに記載の複合体と接触させることを含む方法。
35.細胞におけるジストロフィンタンパク質の発現または活性を促進する方法であって、方法が分子ペイロードの細胞への内在化を促進するのに有効な量で、細胞を態様1から26のいずれか1つに記載の複合体と接触させることを含み、任意に細胞が筋細胞である、方法。
36.細胞におけるジストロフィンタンパク質の発現または活性を促進する方法であって、方法がオリゴヌクレオチドの細胞への内在化を促進するのに有効な量で細胞を態様27から29のいずれか1つに記載の複合体と接触させることを含み、任意で細胞が筋細胞である、方法。
37.細胞がin vitroである、態様35または36に記載の方法。
38.細胞が対象内にある、態様35または36に記載の方法。
39.対象がヒトである、態様38に記載の方法。
40.対象が、エクソン51のスキッピングに適したDMD遺伝子を有する、態様39に記載の方法。
41.ジストロフィンタンパク質が切断型ジストロフィンタンパク質である、態様35から40のいずれか1つに記載の方法。
42.ジストロフィノパチーに関連する変異DMD対立遺伝子を有する対象を処置する方法であって、方法が有効量の態様1から29のいずれか1つに記載の複合体を対象に投与することを含む、方法。
43.細胞におけるDMDプレ-mRNA転写物のエクソン51のスキッピングを促進する方法であって、方法が細胞を態様1から29のいずれか1つに記載の有効量の複合体と接触させることを含む、方法。
44.ジストロフィノパチーに関連する変異DMD対立遺伝子を有する対象を処置する方法であって、方法が有効量の態様1から29のいずれか1つに記載の複合体を対象に投与することを含む、方法。
【0372】
例
例1.デュシェンヌ型筋ジストロフィー患者の筋管における抗TfR1抗体抱合体のエクソンスキッピング活性
本実験では、DMDエクソン51スキッピングアンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)に共有結合的に連結された抗TfR1 Fab(3M12 VH4/Vκ3)を含む抗TfR1抗体抱合体のエクソンスキッピング活性を評価した。ASOをスキッピングするDMDエクソン51は、30ヌクレオチド長のホスホロジアミダートモルホリノオリゴマー(PMO)であり、配列TGGAGGT(配列番号877)を有するDMDエクソン51中のESEを標的とする。DMD遺伝子にエクソン52欠失を有する不死化ヒト筋芽細胞を解凍し、Promocell骨格筋細胞成長培地(5%FBSおよび1×Pen-Strepを含む)に1e6細胞/フラスコの密度で播種し、コンフルエントになるまで成長させた。ひとたびコンフルエントになると、細胞をトリプシン処理し、遠心によってペレット化し、新鮮なPromocell骨格筋細胞成長培地に再懸濁した。細胞数をカウントし、細胞をマトリゲルコーティング96ウェルプレートに50000細胞/ウェルの密度で播種した。細胞が24時間にわたって回復することを許した。増殖培地を吸引し、血清を含まない分化培地で置換することによって、細胞を筋管に分化するように誘導した。次いで、細胞を、10μM ASOのDMDエクソン51スキッピングオリゴヌクレオチド(抗体に共有結合的に連結されていない-「ネイキッド」)または10μM ASO当量のDMDエクソン51スキッピングオリゴヌクレオチドに共有結合的に連結された抗TfR1 Fab(3M12 VH4/Vκ3)で処理した。細胞を試験物と10日間インキュベートし、次いで、全RNAを96ウェルプレートから回収した。75ngの全RNAを用いてcDNA合成を行い、変異特異的PCRを行って細胞内におけるエクソン51のスキッピングの程度を評価した。突然変異特異的PCR産物を4%アガロースゲルに流し、SYBR goldを使用して視覚化した。デンシメトリーが使用されて、スキップされたおよびスキッピングされなかったアンプリコンの相対量を計算し、エクソンスキッピングは、存在するアンプリコンの全量によって除算された、エクソン51がスキップされたアンプリコンの比として決定された。
【数2】
【0373】
これらの結果は、抱合体が、患者の筋管においてネイキッドDMDエクソン51スキッピングオリゴヌクレオチドと比較して、エクソンスキッピングを増進したことを実証している(
図1)。これは、抗TfR1 Fab 3M12 VH4/Vκ3が、筋細胞への抱合体の細胞内在化を可能にして、筋細胞中のオリゴヌクレオチドをスキッピングするエクソン51の活性をもたらしたことを示す。同様に、抗TfR1抗体(例として、抗TfR1 Fab 3M12 VH4/Vκ3)は、他のエクソンスキッピングオリゴヌクレオチド(例として、本明細書で提供されるエクソンスキッピングオリゴヌクレオチド、例えば、エクソン51スキッピングオリゴヌクレオチド)に共有結合的に連結された抗TfR1抗体を含む抱合体の筋肉細胞への内在化を可能にし、筋細胞におけるエクソンスキッピングオリゴヌクレオチドの活性を促進することができる。
【0374】
例2.カニクイザルにおけるin vivoでの抗TfR1 Fab-ASO抱合体のエクソンスキッピング活性
抗TfR1 Fab 3M12 VH4/Vκ3を、例1で使用したアンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)をスキッピングするDMDエクソン51に共有結合的に連結させた。抱合体のエクソンスキッピング活性は、健康な非ヒト霊長類においてin vivoで試験された。ナイーブ雄性カニクイザル(n=4~5/群)に、2用量のビヒクル、30mg/kgネイキッドASO(すなわち、抗体に共有結合していない)、またはDMDエクソン51スキッピングオリゴヌクレオチド(30mg/kg ASO当量)に共有結合的に連結された122mg/kg抗TfR1 Fab(3M12 VH4/Vκ3)を、静脈内注入によって1日目および8日目に投与した。最初の用量が投与された2週間後または4週間後に動物は屠殺され、組織が採取された。Promega Maxwell(登録商標)RSC装置を使用して組織サンプルから全RNAを収集し、qScript cDNA SuperMixを使用してcDNA合成が行われた。エクソン51スキッピングの評価は、エンドポイントPCRを使用して行われた。
【0375】
PCR産物のキャピラリー電気泳動を使用してエクソンスキッピングを評価し、以下の式を使用してエクソン51スキッピング%が計算された。
【数3】
計算されたエクソン51スキッピング結果は表10に示される。
【表10】
【0376】
組織ASO蓄積も、ASO配列に相補的なプローブを用いたハイブリダイゼーションELISAを用いて定量された。標準曲線が作成され、標準曲線の線形回帰からASOレベル(ng/g)が導出された。ASOは、ネイキッドASOの投与と比較して、抗TfR 1 Fab VH4/Vκ3-ASO抱合体の投与後により高いレベルで評価したすべての組織に分布していた。ネイキッドASOの静脈内投与は、最初の投与の2週間および4週間後に評価したすべての組織においてバックグラウンドレベルに近いASOレベルをもたらした。抗TfR1 Fab VH4/Vκ3-ASO抱合体の投与は、最初の投与の2週間後に、心臓>横隔膜>二頭筋>四頭筋>腓腹筋>前脛骨筋の順位で評価した組織の至るところにASOの分布をもたらした。組織濃度の持続時間も評価された。四頭筋、二頭筋および横隔膜のASOの濃度は、評価した期間(2~4週間)にわたって50%未満減少したが、心臓、前脛骨筋および腓腹筋のASOのレベルは、実質的に変化しないままであった(表11)。これは、抗TfR1 Fab 3M12 VH4/Vκ3が、in vivoで筋細胞への抱合体の細胞内在化を可能にし、筋細胞中のエクソンスキッピングオリゴヌクレオチドの活性をもたらすことを示している。同様に、抗TfR1抗体(例として、抗TfR1 Fab 3M12 VH4/Vκ3)は、in vivoで、他のエクソンスキッピングオリゴヌクレオチド(例として、本明細書で提供されるエクソンスキッピングオリゴヌクレオチド、例えば、エクソン51スキッピングオリゴヌクレオチド)に共有結合的に連結された抗TfR1抗体を含む抱合体の筋細胞への内在化を可能にし、筋細胞におけるエクソンスキッピングオリゴヌクレオチドの活性を促進することができる。
【表11】
【0377】
均等物および用語
例証的に本明細書に記載された開示は、好適には、本明細書に具体的には開示されないいずれかの要素(単数または複数)、限定(単数または複数)の非存在下において実施され得る。それゆえに、例えば、本明細書の各事例において、用語「含む」、「から本質的になる」、および「からなる」のいずれかは、他の2つの用語のどちらかによって置き換えられ得る。採用された用語および表現は、限定ではなく記載の用語として使用され、かかる用語および表現の使用には、示されるおよび記載される特徴のいずれかの均等物またはそれらの部分を排除する意図はなく、種々の改変が本開示の範囲内で可能であることが認識される。それゆえに、本開示は好ましい態様によって具体的に開示されたが、本明細書に開示される概念の任意の特徴、改変、および変形が当業者によって頼られ得ることと、かかる改変および変形は本開示の範囲内であると考慮されることとは理解されるべきである。
【0378】
加えて、本開示の特徴または態様がマーカッシュ群または代替物の他の群分けとして記載されるところでは、当業者は、本開示がそれによってマーカッシュ群または他の群のいずれかの個々の構成員または構成員のサブグループとしてもまた記載されることを認識するであろう。
【0379】
当然のことながら、いくつかの態様において態様において、オリゴヌクレオチドまたは他の核酸の構造を記載する際には、配列表で提示される配列が参照され得る。かかる態様において態様において、実際のオリゴヌクレオチドまたは他の核酸は、指定された配列と本質的に同じかまたは類似の相補的な特性を保持しながら、指定された配列と比較して、1つ以上の代替的なヌクレオチドまたはヌクレオシド(例として、DNAヌクレオシドのRNAカウンターパート、またはRNAヌクレオシドのDNAカウンターパート)および/または(例として、および)1つ以上の修飾ヌクレオチド/ヌクレオシドおよび/または(例として、および)1つ以上の修飾されたヌクレオシド間連結および/または(例として、および)1つ以上の他の改変を有し得る。
【0380】
本発明を記載する文脈における(特に次の請求項の文脈における)用語「a」および「an」および「the」ならびに類似のレファレントの使用は、本明細書に別段の指示がないかまたは文脈と明らかに矛盾しない限り、単数および複数両方をカバーすると解釈されるべきである。用語「備える」、「有する」、「含む」、および「含有する」は、特に断りのない限り、オープンエンドの用語として解釈されるべきである(すなわち、「含むが、それらに限定されない」を意味する)。本明細書における値の範囲の記載は、本明細書に別段の指示がない限り、単に、範囲内に収まる各別個の値を個々に参照する簡略な方法として働くことが意図され、各別個の値は、それがあたかも本明細書に個々に記載されているかのように本明細書に組み込まれる。本明細書に別段の指示がないかまたは文脈と明らかに矛盾しない限り、本明細書に記載のすべての方法は任意の好適な順序で行われ得る。別様の主張がなされない限り、本明細書で提供されるありとあらゆる例または例示的な文言(例として、「などの」)の使用は、単に本発明をより良く解き明かすことが意図され、本発明の範囲に限定を課さない。本明細書のいかなる文言も、いずれかの請求されない要素を本発明の実施にとって必須であると指し示すものと解釈されるべきではない。
【0381】
本発明の態様が本明細書に記載されている。それらの態様の変形は、先述の記載を読むことによって当業者には明らかになり得る。
【0382】
本発明者は当業者がかかる変形を適当に採用することを予期し、本発明者は本発明が本明細書に具体的に記載されるとおりとは別様に実施されることを意図する。したがって、本発明は、然るべき法律によって許可される本明細書に添付される請求項に記載される主題のすべての改変および均等物を包含する。その上、それらのすべての可能な変形における上に記載された要素のいずれかの組み合わせは、本明細書に別段の指示がないかまたは文脈と明らかに矛盾しない限り、本発明によって包摂される。当業者は、本明細書に記載される本発明の特定の態様の多くの均等物を認識するか、またはせいぜい慣例的な実験作業を用いて確かめることができるであろう。かかる均等物は次の請求項によって包摂されることが意図される。
【配列表】
【国際調査報告】