(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-12
(54)【発明の名称】口腔内の歯の周囲の軟及び硬組織の疾患を予防及び/又は治療するための口腔用医薬組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 45/06 20060101AFI20240705BHJP
A61K 31/40 20060101ALI20240705BHJP
A61K 31/366 20060101ALI20240705BHJP
A61K 31/47 20060101ALI20240705BHJP
A61K 31/505 20060101ALI20240705BHJP
A61K 31/404 20060101ALI20240705BHJP
A61K 31/22 20060101ALI20240705BHJP
A61P 1/02 20060101ALI20240705BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240705BHJP
A61K 33/40 20060101ALI20240705BHJP
A61K 33/20 20060101ALI20240705BHJP
A61K 47/10 20170101ALI20240705BHJP
A61K 47/08 20060101ALI20240705BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20240705BHJP
A61K 47/02 20060101ALI20240705BHJP
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A61K 9/08 20060101ALI20240705BHJP
A61K 9/20 20060101ALI20240705BHJP
A61K 9/00 20060101ALI20240705BHJP
A61K 8/49 20060101ALI20240705BHJP
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A61K 8/22 20060101ALI20240705BHJP
A61K 8/20 20060101ALI20240705BHJP
A61Q 11/00 20060101ALI20240705BHJP
【FI】
A61K45/06
A61K31/40
A61K31/366
A61K31/47
A61K31/505
A61K31/404
A61K31/22
A61P1/02
A61P43/00 121
A61K33/40
A61K33/20
A61K47/10
A61K47/08
A61K47/26
A61K47/02
A61K9/06
A61K9/08
A61K9/20
A61K9/00
A61K8/49
A61K8/37
A61K8/22
A61K8/20
A61Q11/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024500562
(86)(22)【出願日】2021-07-02
(85)【翻訳文提出日】2024-03-01
(86)【国際出願番号】 CL2021050060
(87)【国際公開番号】W WO2023272404
(87)【国際公開日】2023-01-05
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524007332
【氏名又は名称】インガルファルマ・エセペア
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】トマス・ガルバン・ゴンザレス
(72)【発明者】
【氏名】ダビド・ローセンベルグ
(72)【発明者】
【氏名】フェリペ・ガルバン・イノストロザ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C083
4C084
4C086
4C206
【Fターム(参考)】
4C076AA09
4C076AA11
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4C206MA77
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4C206ZA67
(57)【要約】
本発明は、少なくとも1種のスタチンと少なくとも1種の殺菌剤及び/又は抗菌剤とを含む口腔用医薬組成物に関する。本発明はまた、歯肉疾患等の口腔内軟組織の疾患を予防及び/又は治療するためのその使用に関する。本発明は更に、口腔内に存在する歯の周囲の軟及び硬組織の疾患を予防及び/又は治療するための方法を開示し。前記方法は、前記医薬組成物を投与する工程を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種のスタチンと、少なくとも1種の殺菌剤及び/又は抗菌剤とを含むことを特徴とする、口腔用医薬組成物。
【請求項2】
少なくとも1種の医薬的に許容される補助的促進剤を更に含むことを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
少なくとも1種の殺菌剤及び/又は抗菌剤が酸化性化合物であることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
少なくとも1種のスタチンが脂溶性であることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
少なくとも1種のスタチンが水溶性であることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
スタチンが、ロバスタチン、シンバスタチン、アトルバスタチン、及びピタバスタチンから選択されることを特徴とする、請求項4に記載の組成物。
【請求項7】
スタチンが、プラバスタチン、フルバスタチン、及びロスバスタチンから選択されることを特徴とする、請求項5に記載の組成物。
【請求項8】
少なくとも1種のスタチンが、組成物全体に対して少なくとも0.00029質量%の量で存在することを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
少なくとも1種の酸化性殺菌剤及び/又は抗菌剤が、過酸化水素及び次亜塩素酸ナトリウムから選択され、好ましくは過酸化水素であることを特徴とする、請求項3に記載の組成物。
【請求項10】
過酸化水素が、組成物全体に対して少なくとも0.0014質量%の量で存在することを特徴とする、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
次亜塩素酸ナトリウムが、組成物全体に対して少なくとも0.0023質量%の量で存在することを特徴とする、請求項9に記載の組成物。
【請求項12】
少なくとも1種の補助的促進剤が、フェノール由来の防腐剤であることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
フェノール由来の防腐剤が、フェノール、パラクロロフェノール、アルキルパラベン、及びそれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
パラクロロフェノールが、組成物全体に対して少なくとも0.00006質量%の量で存在することを特徴とする、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
パラクロロフェノールが、カンファーに相当する担体を、組成物全体に対して少なくとも0.00009質量%の量で含むことを特徴とする、請求項13又は14に記載の組成物。
【請求項16】
アルキルパラベンが、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン、イソプロピルパラベン、及びイソブチルパラベンから選択されることを特徴とする、請求項13に記載の組成物。
【請求項17】
メチルパラベンが、組成物全体に対して少なくとも0.00071質量%の量で存在することを特徴とする、請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
少なくとも1種の補助的促進剤が精油であることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項19】
精油が、オイゲノール、カンファー、及びそれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項18に記載の組成物。
【請求項20】
オイゲノールが、組成物全体に対して少なくとも0.00014質量%の量で存在することを特徴とする、請求項19に記載の組成物。
【請求項21】
少なくとも1種の補助的促進剤が湿潤剤であることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項22】
湿潤剤がキシリトールであることを特徴とする、請求項19に記載の組成物。
【請求項23】
キシリトールが、組成物全体に対して少なくとも0.04質量%の量で存在することを特徴とする、請求項22に記載の組成物。
【請求項24】
少なくとも1種の補助的促進剤が希釈剤であることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項25】
希釈剤が精製水であることを特徴とする、請求項24に記載の組成物。
【請求項26】
pH調節剤(緩衝液)を更に含むことを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項27】
pH調節剤が炭酸水素塩緩衝液であることを特徴とする、請求項26に記載の組成物。
【請求項28】
香味剤、甘味料、又はそれらの混合物を更に含むことを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項29】
請求項1に記載の組成物を含むことを特徴とする医薬製剤であって、練り歯磨き、ゲル、洗口液、デンタルフロス、口内で溶解させる錠剤、及び制御放出口腔内エレメント又は器具、例えば、微小粒子又はナノ粒子カプセルから選択される、製剤。
【請求項30】
口腔内に存在する歯の周囲の軟及び硬組織の疾患を予防及び/又は治療するための医薬の製造に有用であることを特徴とする、請求項1に記載の組成物の使用。
【請求項31】
歯の周囲の軟及び硬組織の疾患が、歯肉炎及び歯周炎から選択されることを特徴とする、請求項29に記載の使用。
【請求項32】
歯周炎が、慢性歯周炎及び重度の歯周炎から選択されることを特徴とする、請求項31に記載の使用。
【請求項33】
請求項1に記載の組成物及び使用説明書を含むことを特徴とする、口腔での使用のための医薬キット。
【請求項34】
請求項1に記載の口腔用医薬組成物を投与する工程を含むことを特徴とする、口腔内に存在する歯の周囲の軟及び硬組織の疾患を予防又は治療する方法。
【請求項35】
歯の周囲の軟及び硬組織の疾患が、歯肉炎及び歯周炎から選択されることを特徴とする、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
歯周炎が、慢性歯周炎及び重度の歯周炎から選択されることを特徴とする、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
口腔内に存在する歯の周囲の軟及び硬組織の疾患を予防及び/又は治療するために使用されることを特徴とする、請求項1に記載の口腔用医薬組成物。
【請求項38】
歯の周囲の軟及び硬組織の疾患が、歯肉炎及び歯周炎から選択されることを特徴とする、請求項36に記載の口腔用医薬組成物。
【請求項39】
歯周炎が、慢性歯周炎及び重度の歯周炎から選択されることを特徴とする、請求項38に記載の口腔用医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、口腔治療学又は歯科学の分野に関し、より詳細には、口腔内に存在する歯の周囲の軟及び硬組織の疾患を予防及び/又は治療するのに有用な、とりわけ歯周病を予防及び/又は治療するのに有用な医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
歯周病(PD)は、歯の周囲の組織の炎症性-感染性の破壊的状態である。科学の進歩及び経済的努力にもかかわらず、世界中の成人の90%超が罹患し続けており、それによって罹患した者の大部分が歯牙欠損を引き起こし、莫大な医療費が生じ、人々の生活の質が損ねられている。
【0003】
口腔内の細菌の蓄積に応答して、一連の細胞及び分子事象が起こる。しかし、PDの開始には細菌が必要であるが、歯周組織の破壊には免疫応答が関与している。
【0004】
口腔衛生対策が停止されると、歯肉の炎症(歯肉炎)の兆候が次第に現れるが、口腔衛生対策が再開されると、歯肉炎の兆候は消失し、歯肉はその初期状態に戻る。この理由から、歯肉炎は可逆性病変と考えられている。口腔衛生を再確立しなければ、この可逆性歯肉炎の状態は残存する可能性があり、人によっては、不確定な期間、慢性的に残存する可能性がある。しかし、理由は未だに不明であるが、人によっては、又はある種の条件下で、この疾患は、歯周炎と呼ばれる破壊的なものに進行する(
図1参照)。この過程には時間がかかり、よってこの疾患の周期的な性質が表れ、更には炎症反応の改変を引き起こすことがある他の要因、中でも、糖尿病等の基礎疾患、喫煙等の習慣、及びストレス状況が関係することから、それは多因子疾患と定義される。
【0005】
一方、歯周組織の炎症-感染症は、身体の他の場所に影響を与え、様々な全身的疾患に関連する可能性がある(中でも、心血管の病態、真性糖尿病、及び早産)。
【0006】
以上のことから、PDは、細菌の発育、宿主、及び環境要因が関与する複雑な疾患と考えられている。
【0007】
米国の成人人口における歯周炎の有病率、重症度、及び程度を推定した研究によれば、47%超の人が歯周炎を呈した。そのうち、8.7%が軽度の歯周炎、30%が中等度、そして8.5%が重度と診断された。疾患の程度に関して、成人人口の56%が3mm以上の接着の喪失を有する歯周部位を5%超有し、18%が4mm以上の歯周ポケットを有する部位を5%有していた。歯周病は、男性、メキシコ系米国人、低い経済及び教育レベルを有する成人、及び喫煙者でより高かった(Eke PIら、「Prevalence of periodontitis in adults in the United States: 2009 and 2010」. J Dent Res. 2012年10月; 91(10):914~20)。
【0008】
一方、チリでの歯周病の有病率はもっと高い。2010年に実施された研究から、35~44歳の間の93.45%の人が3mm以上の接着の喪失を有し、それらのうちの38.65%が少なくとも1つの場所に6mm以上の接着の喪失を有していたことが示された。この有病率は65~74歳のより高齢の成人で増加し、97.58%で3mm以上、69.35%で6mm以上の接着の喪失を呈した(Gamonal J.ら「Clinical attachment loss in Chilean adult population: First Chilean National Dental Examination Survey」. J Periodontol. 2010年10月;81(10):1403~10)。
【0009】
歯周病学が最も多くの科学知識を発展させる歯科の学問分野であるにもかかわらず、人々の健康指標から、PDの多くの側面が未だに未知であることが明らかである。
【0010】
歯周炎の病因はまだ十分に理解されていない。何故なら、その発病には、細菌感染、宿主の免疫応答、及び環境要因等(毒性病原体、喫煙、個人衛生、及びある種の疾患等)の、様々な要因が関与していることが報告されているからである。
【0011】
様々な研究から、2つの形態の歯周炎が提示されており、それらのうちの一方は、以下のように呼ばれる:
a) 慢性歯周炎、主に35歳を越えた人々が罹患する。このタイプの疾患は、歯肉縁下部に存在する細菌集団に関連しており、その中には、フソバクテリウム・ヌクレアタム(Fusobacterium nucleatum)、ポルフィロモナス・ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)、トレポネーマ・デンティコラ(Treponema denticola)、及びタンネレラ・フォーサイシア(Tanerella forsythia)が存在することが示されている。
b) 侵襲性歯周炎、これは、主に若年成人に関連している。Arowojoluらの研究によれば、有病率が17~34歳の範囲内にあることが見出された。しかし、それはいかなる年齢でも発病する可能性があり、そして3~4倍速く進行することがあり、多くの割合の青年が罹患することも記載されている。上述の歯肉縁下の微生物群に加えて、このタイプの疾患は、罹患した口腔部位で優勢である菌、アグリゲイティバクター・アクチノミセテムコミタンス(Aggregatibacter actinomycetemcomitans)の存在によって特徴付けられる。
【0012】
細菌感染は、PDの主な病因的要因と考えられている。しかし、最近の研究では、この病態の進展における免疫系の役割に焦点が当てられており、細菌性抗原が免疫病理学的反応の引き金を引き、それにおいて患者の感受性がこの過程の最終結果を決定することになることが示されている。
【0013】
共生細菌は忍容性が高いが、歯周病原菌は、宿主の免疫制御機構を回避して免疫応答を生じ、最終的に組織破壊過程を活性化すると推論されている。
【0014】
したがって、歯周病は複雑な多因子疾患であり、それにおいて、細菌はその病因の基本的要因であるが、宿主に生じる免疫応答も大きく関係している。
【0015】
歯周病が発病する際に起こる免疫学的過程において、多数の細胞及び分子、中でも、リンパ球、好中球、マクロファージ、サイトカイン、インターロイキン、腫瘍壊死因子等が関与し、それによってこの病態は複雑な過程となり、それについて学ぶべきことが未だに多く存在する。
【0016】
更にまた、ある要素は歯周炎に優勢であり、他の要素は歯肉炎に優勢であるが、それらの多くが両方に見出されることから、進行の正確な機構を理解し、説明することが困難になっている。
【0017】
分かっていることは、歯肉炎と呼ばれる可逆性の状態があると思われ、それは長い間この状態のままであり得るということである。又は、ある種の免疫学的条件(まだ分かっていない)が与えられると、歯肉炎は、より複雑な、不可逆的で破壊的な状態である歯周炎へと進行することがあり、それは、単に細菌のみに依存するのではなく、免疫学的要因も関与する。
【0018】
したがって、正常に機能していない免疫応答が、組織破壊の素因の原因であろう。
【0019】
歯周病の疾病原因を理解することは、この疾患の早期診断のための機構を開発し、歯周リスクの内因性及び外因性要因を特定及び説明することを可能にするだけでなく、人々に最も蔓延する疾患の1つと闘うのに真に有効な、新たな予防及び治療戦略を開発し、未だに解決策がない公衆衛生問題に対する適切な解決策を提供することも可能にするであろう。
【0020】
従来技術の説明
歯周病には様々なタイプの治療があるが、中でも疾患の化学的コントロールが抜きん出ている。
【0021】
局所的に適用される化学薬品の役割及び有用性は、プラークコントロールの機械的処置の補助剤として歯周病学において集中的に調査されてきており、歯周病の予防及び補助的治療に関連している。
【0022】
洗口液
使用される化学剤を問わず、洗口液は溝及び/又は歯周ポケット(0.2mm)に大して浸透しないため、その作用は歯肉縁上のプラークのコントロール及び歯肉炎の治療管理に限定される。プロービング深さレベル及び接着レベルはいずれも有意に改善されない。
【0023】
クロルヘキシジン
それは、最も研究されている有効なプラーク防止剤である。クロルヘキシジンは、化学的にはカチオン性を有するビスビグアニジンに相当する。この分子は対称的であり、2つのクロロフェニル環及び2つのビグアニジン基が中央のヘキサメチレン鎖によって連結されている。
【0024】
【0025】
正電荷を持つクロルヘキシジン分子と細菌細胞壁における負電荷との相互作用は実証されている。これによって細胞透過性が増大し、浸透圧平衡の喪失が引き起こされ、それによって細菌溶解が生じる。それはまた、歯の表面上のフィルムの形成を低減させ、細菌接着を変化させる。
【0026】
クロルヘキシジンの重要な性質は、その高い持続性、すなわち、材料と被着体との間の長い結合であり、単純な機械的沈着で予想されるより長い時間であっても結合していることである。これによって媒体への薬剤の持続放出が促進される。
【0027】
クロルヘキシジンの場合、その持続性は0.12%の濃度で12時間である。したがって、それは、高濃度では殺菌性であり、唾液で徐々に希釈された濃度等の低濃度では静菌性である、有効な抗菌剤であると考えられる。
【0028】
歯肉縁上の歯垢及び歯肉炎の低減レベルに関する臨床結果は、それぞれ55%及び45%である。初期の臨床研究では、使用当たり20mgのクロルヘキシジンに等しい、10mLの0.2%溶液を使用していた。現在では、米国歯科医師会(ADA)の推奨に従って、18mgのクロルヘキシジンに等しい、0.12%で15mLが使用されている。使用当たりの薬剤の量はほぼ同じであり、臨床結果は同様である。その最小阻止濃度(MIC)は8~500mg/mlであり、それは歯肉縁下プラークから単離された52の細菌について研究されたものである。250mg/mLの濃度で、歯周炎を有する患者から単離された全ての細菌が阻害された。MICは、局所投与によって達成されるレベルより全て低かった。クロルヘキシジンでの抗菌剤耐性は検出されていない。
【0029】
クロルヘキシジンの有害作用には、一時的な味覚の変化及び着色歯石沈着(歯の着色)の増加が挙げられる。
【0030】
第一世代の化学剤
それらは、ある種の抗生物質、第四級アンモニウム化合物、フェノール化合物、フッ素化合物、酸素化剤、及びポビドン-ヨウ素に相当する。フェノール化合物の中で、研究された唯一の製品はListerine(登録商標)であり、それは、チモール、メントール、ユーカリプトール、及びサリチル酸メチルの精油組成物を含む。この薬剤のアルコール担体は、26.9%という極めて高い濃度に達しており、pHは5.0である。これによって、上皮損傷、粘膜潰瘍の結果としての口腔の灼熱感、及び味覚の有意な変化に関連する有害作用が説明される。
【0031】
第二世代の化学剤
第二世代の化学剤は、高い持続性(1分の洗口毎にその後25~30%の保持)によって特徴付けられる。そのような化合物は、その場で数時間活性である(クロルヘキシジン、アミンフッ化物、トリクロサン、ある種の化合物と組み合わせた場合)。トリクロサンは、非イオン性ビスフェノール殺菌剤であり、低い毒性及び広い抗菌スペクトルを有する。それは、強い正電荷がないので口腔表面にあまり結合しないために、プラーク及び歯に結合するその能力を増大させる製剤が作り出されてきた(そのプラーク防止及び抗歯石ポテンシャルを増大させるためのクエン酸亜鉛との組み合わせ、その保持時間を延ばすためのメトキシエチレンとマレイン酸とのコポリマーの取り込み)。0.2~0.5%の濃度のトリクロサン及び0.5~1%のクエン酸亜鉛は、プラーク及び歯肉炎の有意な低減を促進する。同じ効果が、0.3%のトリクロサン及び0.25%のメトキシエチレンとマレイン酸とのコポリマーを含有する練り歯磨きで達成された。0.3%での洗口液製剤は、プラーク及び歯肉炎の有意な低減を示した。クエン酸亜鉛は、前に清浄にされた表面上の細菌の増殖に対しては限定された効果を有するが、中程度の量のプラークを有する場所には有意な効果を有することに留意することが重要である。これによって、クエン酸亜鉛の主な効果は、既に形成されたプラークにおける細菌の増殖の速度を低減させることであることが示される。それとは逆に、トリクロサンは、プラークのない表面(歯を磨いた後)に大きな影響を与え、既存のプラークが増加するにつれてその抗菌ポテンシャルが減少する。これによって、トリクロサンが歯の表面に吸着し、細菌接着を防止したり、又は表面上に定着する細菌の増殖を阻害することができるという仮説が裏付けられる。
【0032】
第三世代の化学剤
効果はほとんどないが、細菌接着を妨害するこれらの抗菌物質は、第三世代の薬剤と呼ばれる(アミノアルコール:オクタピノール、デカピノール)。これらの成分を口腔衛生対策の補助として使用すると、歯垢の形成がプラセボの洗口液と比較して低減することが示された。しかし、臨床的観点から、第二世代の抗菌剤が依然として第一候補である。
【0033】
抗生物質
抗生物質は、歯垢のコントロールに適応されない。その潜在的な有害作用はその可能な治療価値を上回り、歯肉縁上のプラークのコントロール又は歯肉炎の治療に有効ではない。
【0034】
洗浄器具
洗浄器具を使用すると、歯肉縁下部への製品の到達能力を増大させることができる。しかし、幾つかの研究から、一般に、歯肉縁での洗浄は、洗浄器の先端部をポケットの3mm内側に配置したときであっても、歯肉縁下のプラークに関して十分な先端の深さを達成するにはあまり効果的ではないことが結論付けられている。現在では、電気的及び機械的な口腔洗浄器具が設計されているが、浅い場所と深い場所のいずれにおいても、歯肉裂の十分な深さに到達することについてのそれらの予測可能性は低い。
【0035】
歯肉縁下洗浄の有効性は、洗浄剤の急速なクリアランスを引き起こす歯肉溝滲出液の作用、溶液を不活性化する血液成分の存在、及び薬剤の透過を妨げる歯肉縁下歯石の存在によって限定される。
【0036】
微生物学的観点から、歯肉縁下洗浄自体は、細菌組成を一時的に変化させることができる。しかし、最初の8週間以内に、当初のレベルの歯肉縁下細菌が完全に再現する。専門家による洗浄後に運動性スピロヘータ及びバチルスを低減させることができるのは、使用される薬剤自体の効果よりも高頻度の機械的破壊に起因し得る。同様に、これらの微生物学的変化は、出血、接着レベル、又はプロービング深さに効果を及ぼさず、歯周病の進行を停止しない。
【0037】
機械的器具使用(ルートプレーニング)で得られた臨床結果(歯周炎)は、使用される化学剤にかかわらず、歯肉縁下洗浄を伴っても上回らない。唯一の機能は、機械的抗力である。高濃度のクロルヘキシジン(2%)又はテトラサイクリン(10%)の場合を除き、また5分より長く適用したときのみを除き、洗浄液に抗菌剤を添加しても、水単独又は生理食塩水溶液を使用したときに得られる利益に追加されるものは何もない。
【0038】
治療された患者の維持フェーズ中に、低レベルの機械的プラークコントロールを有する患者において、毎日の洗浄が口腔衛生及び歯肉の健康を改善することができる。しかし、これは、洗浄が病原性細菌を有する場所の再増殖を防止したり、又はメンテナンスセッション間の間隔を変更することを意味するものはない。この理由から、溝の洗浄は、歯周支援管理中の専門家による機械的器具使用に取って代わることはできない。
【0039】
練り歯磨き
練り歯磨き(ブラッシングに追加したもの)の主な機能は、プラークの量を低減させること、虫歯のリスクを低減させること、歯の汚れを除去すること、食物のかすを除去すること、及び口臭を改善することである。求められる利益は、主剤の作用、及び他の化合物(同じ製剤からのものであるか、又は他の供給源からのものであるかにかかわらず)とのその関係性に直接影響される。練り歯磨きは、上の効果に役立つ一連の化合物を含有する:
・ 研磨剤(エナメル質、象牙質、及び粘膜への損傷を引き起こすことなく、清浄にし、磨かなくてはならない;不溶性、不活性、無毒性で、好ましくは白色でなければならない;炭酸カルシウム、アルミナ、及びシリカが現在使用されている;サイズ、形状、及び粒子硬度が重要である)。
・ 充填剤(安定性及び粘稠性をもたらす;水に可溶性又は不溶性であり得る;アルギネート、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ナトリウムマグネシウム等が使用される)。
・ 界面活性剤(食物及び他のかすの分散に関与する;最も広く使用されるのはラウリル硫酸ナトリウムであり、これは抗菌性も有し、香味料及びある種の抗菌剤等の主成分の可溶化も助ける)。
・ 湿潤剤(水分の喪失の低減を助け、製品の口当たりを改善する)。
・ 香味剤。
・ 治療剤(虫歯予防、プラーク防止、象牙質知覚過敏の低減、及び白色化剤)。
【0040】
現在、ペースト又はゲルの製剤には、その主要な化学剤としてトリクロサン又はクロルヘキシジンを有するものがある。クロルヘキシジンゲルの有効性は、有効な機械的プラークコントロールを達成する患者の能力、すなわち、ゲルを口内の適正な部位に送達する患者の能力に依存している。クロルヘキシジンゲルは、適用部位から遠い場所には容易に浸透しない。よって、ゲルの幾らかの有効性は、正しい量が口の適正な場所に達し、そこに長時間留まることに依存している。
【0041】
0.1%及び1%のクロルヘキシジン濃度を有するゲルが存在する。ブラッシング中の唾液の作用による薬剤の希釈を考慮すると、このためにクロルヘキシジンの実際の濃度は低くなる。
【0042】
結論として、歯周の健康を維持するための予防策並びに歯肉炎及び歯周炎を治療するために使用される治療作用は、プラークの除去及びコントロールに基づいている。
【0043】
最も有効なプラークコントロールは、妥当なブラッシング及びフロス技法を実践することによる機械的除去、並びに専門家による予防法である。
【0044】
口腔衛生のために化学薬品を機械的除去と組み合わせると、利点が提供される。何故なら、高濃度の細菌負荷を機械的に低減させることができるので、幾つかの無秩序で薄いプラークが残され、それは化学製品で除去することができるからである。
【0045】
歯肉縁下洗浄が歯周病の治療において重要な役割を担うためには、細菌組成に有意で持続的な効果を及ぼし、歯周炎の臨床パラメータに及ぼす長期的なプラスの効果及びルートプレーニング単独で達成される効果を上回る有益効果を達成することが必要である。
【0046】
歯垢の管理、歯石形成の低減、及び象牙質知覚過敏のための幾つかの製品が存在する。これらの化合物の臨床的選択は、科学的妥当性及びそれと患者の真のニーズとの関係性に基づいたものでなければならない。
【0047】
スタチン
細菌の化学的コントロールの有害作用を低減させる方法として、スタチンに焦点を当てて努力が為されている。
【0048】
スタチンは、アテローム性動脈硬化症を発病するリスクの高い心血管疾患のエピソードを有する患者における高コレステロール血症を治療するために広く使用されてきた医薬品である。スタチンは、肝臓でのコレステロール生合成を阻害する強力なコレステロール低下剤であり、それ故に虚血性心疾患の一次及び二次予防に有益効果を実証してきた。これらの薬物は、肝臓におけるHMG-CoAのメバロン酸(コレステロール前駆体)への変換に関与する、酵素3-ヒドロキシ-3-メチルグルタリル補酵素A還元酵素(HMG CoA還元酵素)を阻害し(Essig, M.ら、3-hydroxi-3-methylglutaryl coenzyme A reductase inhibitors increase fibrinolytic activity in rat aortic endothelial cells. Circ. Res. 1998;83:683~690)、低密度コレステロール(LDL)レベルの低減及び脂質プロファイルの他の変化をもたらす。
【0049】
上記の背景に基づくと、心血管疾患の発病に関与する炎症性機構に関して、これらと歯周病の病理発生に関与する炎症性変化との間にある種の類似点が存在する。両疾患の間の潜在的な関係性を研究することへの関心が最近数十年で高まってきており、歯周の健康と心血管の健康とを関連付けると思われる根底にある共通の機構の存在が示唆されている。in vitro研究及びin vivo治験から、歯周病におけるスタチンの使用の可能性が示唆されており、数件の遡及研究からは、スタチンで治療された進行性慢性歯周炎を有する患者の予後が改善したことさえ示されている。最後に、スタチンが、骨形成を増大させる効果、血管新生を増大させる効果、及び殺菌効果も有することが記載されている。
【0050】
歯科用組成物におけるスタチンの使用に関しては、米国特許第6300377号が補酵素Qを含む液体組成物を開示している。開示された組成物は、歯周炎及び歯肉関連障害の治療を意図するものである。この組成物は、洗口液、練り歯磨き、又はチューインガムに製剤化することができる。該組成物が含み得る成分の中には、ゲル化剤、界面活性剤、トリグリセリド、及びリン脂質がある。更にまた、それは、任意選択で、組成物の総質量に対して0.01%~20%の間の濃度で第2の活性剤を含んでもよく、第2の活性剤は、ロバスタチン、シンバスタチン、アトルバスタチン、フルバスタチン、プラバスタチン、メバスタチン、セリバスタチン等のスタチンであってもよいことが述べられている。
【0051】
特許出願WO2014030132は、ヒト又は動物の歯周病の一次予防又は治療に有用な組成物の製造のための唯一の活性成分として0.2%~10%の間の範囲内のアトルバスタチンを含む局所用組成物の使用を開示している。
【0052】
文献「the use of topical subgingival application of simvastatin gel in treatment of peri implant mucositis: A pilot study」は、シンバスタチンの局所使用を通したインプラント周囲粘膜炎の治療についての文献に相当する。シンバスタチンは、1.2%の濃度を有するゲルに製剤化される。該文書は、インプラント周囲粘膜炎のための口腔殺菌剤の使用についても開示しており、該口腔殺菌剤は、0.12%及び0.2%の用量のクロルヘキシジンを含み、ゲルの形態で適用される。しかし、この文献は、歯周炎の治療のためのこの組成物の使用については述べていない。
【0053】
最後に、Kaminskaら、2018年からの文献:「Effects of statins on multispecies oral biofilm identify simvastatin as a drug candidate targeting Porphyromonas gingivalis」は、慢性歯周炎を引き起こす歯周恒常性細菌(periodontal homeostasis bacteria)、例えば、フソバクテリウム・ヌクレアタム、ポルフィロモナス・ジンジバリス、及びタンネレラ・フォーサイシアに対するスタチンの抗菌活性についての研究を開示している。この試験では、4つのタイプのスタチン(アトルバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、及びシンバスタチン)のこれらの細菌に対する有効性が調査され、それによって、試験された細菌の一部でしか有効性が生じないこと、加えて、前記有効性がスタチンの各々の濃度に大きく依存することが示された。これは、スタチンであるアトルバスタチン及びシンバスタチンがいずれの殺菌効果も生じることができなかったときに実証されている。例えば、フソバクテリウム・ヌクレアタムに対しては、高濃度でのその使用にもかかわらず、殺菌効果を生じることができなかった。
【0054】
したがって、歯周病と闘うために為された研究及び努力にもかかわらず、この疾患に対する有効な解決策を見出すことが未だにできていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0055】
【特許文献1】米国特許第6300377号
【特許文献2】WO2014030132
【非特許文献】
【0056】
【非特許文献1】Eke PIら、「Prevalence of periodontitis in adults in the United States: 2009 and 2010」. J Dent Res. 2012年10月; 91(10):914~20
【非特許文献2】Gamonal J.ら「Clinical attachment loss in Chilean adult population: First Chilean National Dental Examination Survey」. J Periodontol. 2010年10月;81(10):1403~10
【非特許文献3】Essig, M.ら、3-hydroxi-3-methylglutaryl coenzyme A reductase inhibitors increase fibrinolytic activity in rat aortic endothelial cells. Circ. Res. 1998;83:683~690
【非特許文献4】the use of topical subgingival application of simvastatin gel in treatment of peri implant mucositis: A pilot study
【非特許文献5】Kaminskaら、2018年:「Effects of statins on multispecies oral biofilm identify simvastatin as a drug candidate targeting Porphyromonas gingivalis」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0057】
本発明の目的は、歯肉炎、歯周炎、とりわけ慢性及び侵襲性歯周炎の治療及び予防における有効な代案を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0058】
この必要性に応えて、本発明は、慢性及び侵襲性の歯周病の出現に関連する様々な細菌種と闘うための相乗的な抗菌効果を生じる、スタチンと殺菌剤及び/又は抗菌剤との組み合わせを補助的促進剤と共に含む医薬組成物を提供する。この相乗的組成物によって、広範な異なる種類のスタチンの使用が可能になり、それらは極めて低い濃度であっても有効であることが示されている。
【0059】
この驚くべき知見によって、歯周炎の病因における重要な要因の一つである細菌感染を治療することを目標とする、この病態をコントロールする新たな療法を提示することが可能になる。
【0060】
本発明は、少なくとも1種のスタチンを、少なくとも1種の酸化性殺菌剤及び/又は抗菌剤と、少なくとも1種の医薬的に許容される補助的促進剤と組み合わせて含む医薬組成物について記載する。
【0061】
本発明による組成物は、例えば、限定するものではないが、中でも、練り歯磨き、洗口液、デンタルフロス、口内で溶解させる錠剤、制御放出口腔内エレメント又は器具に製剤化される。
【0062】
これらの組成物は、口腔内に存在する軟組織の疾患の治療に適用される。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【
図2】細菌フソバクテリウム・ヌクレアタムの菌叢並びに組成物1、2、3、及び4を有するプレートの写真である。
【
図3】組成物1の連続希釈液及びそれらの対照の写真である。
【
図4】組成物1の連続希釈液及びそれらの対照の写真である。
【
図5】対照溶液及び組成物1を有するプレートの写真である。
【
図6】組成物2の連続希釈液及びそれらの対照の写真である。
【
図7】組成物2の連続希釈液及びそれらの対照の写真である。
【
図8】対照溶液及び組成物2を有するプレートの写真である。
【
図9】組成物3の連続希釈液及びそれらの対照の写真である。
【
図10】組成物3の連続希釈液及びそれらの対照の写真である。
【
図11】対照溶液及び組成物3を有するプレートの写真である。
【
図12】組成物4の連続希釈液及びそれらの対照の写真である。
【
図13】組成物4の連続希釈液及びそれらの対照の写真である。
【
図14】対照溶液及び組成物4を有するプレートの写真である。
【
図15】対照溶液及び組成物1を有するプレートの写真である。
【
図16】対照溶液及び組成物2を有するプレートの写真である。
【
図17】対照溶液及び組成物3を有するプレートの写真である。
【
図18】対照溶液及び組成物4を有するプレートの写真である。
【
図19】細菌アグリゲイティバクター・アクチノミセテムコミタンスの菌叢並びに組成物1、2、3、及び4を有するプレートの写真である。
【
図20】組成物1の連続希釈液及びそれらの対照の写真である。
【
図21】組成物1の連続希釈液及びそれらの対照の写真である。
【
図22】対照溶液及び組成物1を有するプレートの写真である。
【
図23】組成物2の連続希釈液及びそれらの対照の写真である。
【
図24】組成物2の連続希釈液及びそれらの対照の写真である。
【
図25】対照溶液及び組成物2を有するプレートの写真である。
【
図26】組成物3の連続希釈液及びそれらの対照の写真である。
【
図27】組成物3の連続希釈液及びそれらの対照の写真である。
【
図28】対照溶液及び組成物3を有するプレートの写真である。
【
図29】組成物4の連続希釈液及びそれらの対照の写真である。
【
図30】組成物4の連続希釈液及びそれらの対照の写真である。
【
図31】対照溶液及び組成物4を有するプレートの写真である。
【
図32】対照溶液及び組成物1を有するプレートの写真である。
【
図33】対照溶液及び組成物2を有するプレートの写真である。
【
図34】対照溶液及び組成物3を有するプレートの写真である。
【
図35】対照溶液及び組成物4を有するプレートの写真である。
【
図36】細菌フソバクテリウム・ヌクレアタムの菌叢並びに組成物7、8、9、10、及び11を有するプレートの写真である。
【
図37】組成物7の連続希釈液及びそれらの対照の写真である。
【
図38】対照溶液及び組成物7を有するプレートの写真である。
【
図39】組成物10の連続希釈液及びそれらの対照の写真である。
【
図40】対照溶液及び組成物10を有するプレートの写真である。
【
図41】組成物7の連続希釈液及びそれらの対照の写真である。
【
図42】組成物10の連続希釈液及びそれらの対照の写真である。
【
図43】細菌アグリゲイティバクター・アクチノミセテムコミタンスの菌叢並びに組成物7、8、9、10、及び11を有するプレートの写真である。
【
図44】組成物7の連続希釈液及びそれらの対照の写真である。
【
図45】組成物7の連続希釈液及びそれらの対照の写真である。
【
図46】組成物9の連続希釈液及びそれらの対照の写真である。
【
図47】組成物9の連続希釈液及びそれらの対照の写真である。
【
図48】組成物7の連続希釈液及びそれらの対照の写真である。
【
図49】組成物9の連続希釈液及びそれらの対照の写真である。
【
図50】細菌フソバクテリウム・ヌクレアタムの菌叢並びに組成物A、S、R、及びPを有するプレートの写真である。
【
図51】細菌アグリゲイティバクター・アクチノミセテムコミタンスの菌叢並びに組成物A、S、R、及びPを有するプレートの写真である。
【発明を実施するための形態】
【0064】
本発明は、少なくとも1種のスタチンと、酸化性を有する少なくとも1種の殺菌剤及び/又は抗菌剤と、少なくとも1種の医薬的に許容される補助的促進剤とを含む医薬組成物に関する。同様に、本発明は、口腔内に存在する歯の周囲の軟及び硬組織の疾患を予防及び/又は治療するための医薬組成物の使用を対象とする。具体的には、歯周病を予防及び/又は治療するための医薬組成物の使用を対象とする。
【0065】
本発明の組成物は、限定するものではないが、ロバスタチン、ロスバスタチン、プラバスタチン、シンバスタチン、フルバスタチン、セリバスタチン、アトルバスタチン、及びピタバスタチン、又は医薬的に許容されるそれらの塩から選択される少なくとも1種のスタチンを含む。
【0066】
本発明の組成物は、限定するものではないが、過酸化水素、塩、又は塩素及び/若しくは臭素を含有するオキシ塩、例えば、中でも、次亜塩素酸ナトリウム、亜塩素酸ナトリウムから選択される、少なくとも1種の酸化性殺菌剤及び/又は抗菌剤も含む。
【0067】
本発明の組成物は、限定するものではないが、少なくとも1種の精油、少なくとも1種のフェノール由来の防腐剤、及び少なくとも1種の湿潤剤から選択される、少なくとも1種の医薬的に許容される補助的促進剤も含む。
【0068】
本発明の防腐剤又は防腐補助剤は、組成物の劣化の遅延又は予防を助ける化合物を指す。本発明によって使用することができるフェノール系防腐剤の例として、フェノール、パラクロロメタキシレノール(parachloromethoxylenol)、パラクロロフェノール、クレゾール、ヘキシルレゾルシノール、アルキルパラベン、例えば、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン、イソプロピルパラベン、及びイソブチルパラベンが挙げられる。
【0069】
本発明の補助的湿潤剤は、口腔に潤いを与え、加えて、唾液分泌を促進及び刺激し、その脱水を防止することができるだけでなく、ある種の活性成分を可溶化することもできる。本発明による湿潤剤の例として、キシリトール、グリセリン、ソルビトール、及びグリコール、例えば、プロピレングリコール及びポリエチレングリコール並びにそれらの混合物が挙げられる。
【0070】
本発明の補助的促進剤は、歯科学で広く使用される他の薬剤の中でも、オイゲノール、カンファー、チモール(ユーカリプトールとも呼ばれる)、及びメントールから選択される少なくとも1種の精油からも選択され、これらは、療法への患者の遵守を改善する官能的性質を有する。
【0071】
本発明の口腔用組成物のpHは、6.0~8.0の範囲内、好ましくは6.5~7.5の間である。したがって、本発明の組成物は、中でも炭酸水素塩及びリン酸塩から選択される、補助的pH調節剤(緩衝液)を任意選択で含んでもよい。
【0072】
任意選択で、本組成物は、少なくとも1種の植物抽出物及び香味料、又はそれらの組み合わせを含む。
【0073】
本発明の組成物は、患者に利益をもたらし得る他の薬剤、例えば、抗生物質、亜鉛塩、及び/又はフッ化物誘導体も含んでもよい。
【0074】
任意選択で、本発明の組成物は、組成物の香味を強化することを可能にする任意の化合物又はそれらの混合物から選択することができる香味剤も含む。本発明によれば、適正な香味料は、口内に芳香及び/又は冷感若しくは温感等の他の感覚的効果をもたらす成分である。そのような成分として、限定するものではないが、中でも、メントール、酢酸イソアミル、酢酸メチル、サリチル酸メチル、乳酸メチル、カンファー、ユーカリ油、ユーカリプトール、オキサノン、オレンジエッセンス、チェリーエッセンス、ハッカ油、アニス油、アネトール、バニリン、パパイヤ、及びエタノールが挙げられる。
【0075】
本発明の組成物は、甘味剤を更に含んでもよい。口腔用組成物に使用するためのこれらの甘味剤として、例えば、中でも、サッカリン、デキストロース、スクロース、スクラロース、ステビア、アルロース、及びタガトースが挙げられる。
【0076】
本発明の組成物は、各成分を混合し、それらを適正な量の医薬的に許容される賦形剤、例えばビヒクル、溶媒等に組み込むことによって調製することができる。
【0077】
本発明による組成物は、使用される濃度で、投与される対象に望ましくないいかなる作用も引き起こさない、1種以上の医薬的に許容される賦形剤を更に含む。そのような医薬的に許容される賦形剤は、当技術分野で周知である。それらは、親油性又は親水性担体、希釈剤(水、アルコール、ラクトース、マルトース、及びトレハロース等)、結合剤、崩壊剤、流動性向上剤、pH調節剤、安定化剤、粘度調整剤、防腐剤、ゲル化又は膨潤剤、界面活性剤、懸濁化剤からなる群から選択することができる。当業者であれば理解するように、医薬的に許容される賦形剤の具体的な選択は、具体的な形態又は製剤に依存する。
【0078】
当業者であれば、本発明の組成物に使用される全ての成分(構成成分)の合計が、組成物全体の100質量%になることを理解するであろう。更にまた、特に指示がない限り、本明細書に記載される全ての百分率は、組成物全体の質量百分率を指す。
【0079】
好ましい実施形態では、本発明の組成物は、局所用又は口腔用に製剤化され、例えば、限定するものではないが、練り歯磨き、洗口液、口内で溶解させる錠剤、口腔内で使用するためのエレメント又は器具、及びデンタルフロスに製剤化される。
【0080】
別の実施形態では、本発明は、前に説明した医薬組成物及び対応する使用説明書を含む医薬キットに関する。
【0081】
別の実施形態では、本発明の組成物は、歯周病の一次予防及び治療に使用される。
【0082】
更なる実施形態では、本発明は、本発明の組成物を投与する工程を含む、口腔内に存在する軟組織の疾患を予防及び/又は治療する治療方法、具体的には、歯周病を予防及び/又は治療する治療方法に関する。
【0083】
本発明の好ましい実施形態
本発明は、少なくとも1種のスタチンと少なくとも1種の殺菌剤及び/又は抗菌剤とを含む口腔用医薬組成物を対象とする。
【0084】
本発明の一実施形態では、本組成物は、少なくとも1種の医薬的に許容される補助的促進剤を更に含む。
【0085】
本発明の好ましい実施形態では、本組成物の少なくとも1種の殺菌剤及び/又は抗菌剤は酸化性化合物であり、該化合物は、過酸化水素及び次亜塩素酸ナトリウムから選択され、好ましくは過酸化水素であり、それは組成物全体に対して少なくとも0.0014質量%未満の量で存在する。
【0086】
本発明の別の実施形態では、次亜塩素酸ナトリウムは、組成物全体に対して少なくとも0.0023質量%の量で存在する。
【0087】
本発明の一実施形態では、少なくとも1種のスタチンは脂溶性であり、ロバスタチン、シンバスタチン、アトルバスタチン、及びピタバスタチンから選択される。
【0088】
本発明の別の実施形態では、スタチンは水溶性であり、プラバスタチン、フルバスタチン、及びロスバスタチンから選択される。
【0089】
本発明の好ましい実施形態では、スタチンは、組成物全体に対して少なくとも0.00029質量%の量で存在する。
【0090】
本発明の一実施形態では、少なくとも1種の補助的促進剤は、フェノール由来の防腐剤であり、フェノール、パラクロロフェノール、アルキルパラベン、及びそれらの混合物から選択される。
【0091】
本発明の好ましい実施形態では、パラクロロフェノールは、組成物の全体に対して少なくとも0.00006質量%で存在する。ここで、パラクロロフェノールは、組成物の全体に対して少なくとも0.00009質量%の量のカンファーに相当するビヒクルを含む。
【0092】
本発明の別の実施形態では、アルキルパラベン(alkylaparaben)は、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン、イソプロピルパラベン、及びイソブチルパラベンから選択され、好ましくはメチルパラベンであり、それは組成物の全体に対して少なくとも0.00071質量%の量で存在する。
【0093】
本発明のある実施形態では、精油での少なくとも1種の補助的促進剤は、好ましくは、オイゲノール、カンファー、又はそれらの組み合わせである。
【0094】
本発明の好ましい実施形態では、オイゲノールは、組成物の全体に対して少なくとも0.00014質量%の量で存在する。
【0095】
本発明の更に別の実施形態では、少なくとも1種の補助的促進剤は湿潤剤であり、好ましくはキシリトールに相当し、それは組成物の全体に対して少なくとも0.04質量%の量で存在する。
【0096】
本発明のある実施形態では、少なくとも1種の補助的促進剤は希釈剤であり、好ましくは精製水である。
【0097】
本発明のある実施形態では、本組成物は、pH調節剤(緩衝液)、好ましくは炭酸水素塩緩衝液を更に含む。
【0098】
本発明の別の実施形態では、本組成物は、香味剤、甘味料、又はそれらの混合物を更に含む。
【0099】
更にまた、本発明は、本発明による組成物を含む医薬製剤であって、練り歯磨き、ゲル、洗口液、デンタルフロス、口内で溶解させる錠剤、及び口腔内放出制御エレメント又は器具、例えば、微小粒子又はナノ粒子カプセルから選択される、医薬製剤を対象とする。
【0100】
加えて、本発明は、口腔内に存在する歯の周囲の軟及び硬組織の疾患を予防及び/又は治療するための医薬品を製造するための、本組成物の使用を対象とする。好ましくは、歯の周囲の軟及び硬組織の疾患は、歯肉炎及び歯周炎から選択される。更により好ましくは、慢性歯周炎及び重度の歯周炎である。
【0101】
本発明はまた、請求項1に記載の組成物及び使用説明書を含む、口腔での使用のための医薬キットを対象とする。
【実施例】
【0102】
(実施例1)
Table 1(表1)は、本発明を代表する様々な調製組成物を示す。
【0103】
【0104】
加えて、Table 1(表1)からの組成物は、香味剤、甘味料、緩衝剤、及び精製水を含む。
【0105】
(実施例2)
慢性及び侵襲性歯周炎に関連する細菌に対する本発明の組成物の抗菌活性を評価するために、希釈剤として水を100質量%になるまで使用して、Table 1(表1)中の組成物1~4に示す活性成分を有する4つの組成物を、細菌フソバクテリウム・ヌクレアタム及びアグリゲイティバクター・アクチノミセテムコミタンスに対して試験した。
【0106】
最小阻止濃度(MIC)及び最小殺菌濃度(MBC)を使用して、組成物の阻害活性を研究した。
【0107】
方法論
阻害活性の決定
標準化されたKirby-Bauerディスク拡散プロトコルを使用して本研究を実施した。研究する細菌、アグリゲイティバクター・アクチノミセテムコミタンス及びフソバクテリウム・ヌクレアタムに対して本組成物が阻害活性を有するかどうかを確定するために、センシディスクへの担持を各組成物5μL、10μL、及び20μLで実施し、室温で8時間インキュベートした後に、研究する細菌のTSVB培地中の菌叢上でそれらを試験し、このプレートを二酸化炭素環境(capnophilia)で48時間37℃でインキュベートした。
【0108】
最小阻止濃度(MIC)の決定
本研究では、最初にどの組成物及び/又は化合物が阻害活性を示すのか決定しなければならず、Table 1(表1)に記載する組成物の以下の希釈:1/10、1/50、1/60、1/70、1/80、1/90、1/100、1/500、1/1000、及び1/2000を2mLの液体BHI培地中で実施し、それに標的細菌の単離コロニーを添加し、二酸化炭素環境で24時間37℃でインキュベートした。その後、選択したサンプルをマルチウェルプレート中で8回連続希釈(1:100)して計数し、5μLの各希釈液を三連でBHIプレート上に播種し、24時間嫌気状態でインキュベートした。
【0109】
最小殺菌濃度(MBC)の決定
本研究は、2mLの液体BHI培地を有する8本の試験管中に菌株の単離コロニーを播種することによって実施する。これらの管を二酸化炭素環境で24時間インキュベートし、次いで組成物又は化合物を添加して、1/10、1/50、1/100、1/500、1/1000、及び1/2000の比率で評価する。新たな24時間のインキュベートの後、選択したサンプルをマルチウェルプレート中で8回連続希釈(1:100)して計数する。5μLの各希釈液を三連でBHIプレート上に播種し、24時間二酸化炭素環境でインキュベートした。
【0110】
アッセイ2.1:フソバクテリウム・ヌクレアタムに対する抗菌活性の評価
化合物の予備研究は、化合物が阻害活性を有するかどうかを決定することに基づいていた。この実験方法を通して、組成物1、2、3、及び4がフソバクテリウム・ヌクレアタムに対する阻害活性を有することを確定することが可能であった。
【0111】
図2に、細菌の菌叢及び培養物上に置かれた10μL及び20μLの各組成物を予め担持させたセンシディスクを有するプレートを見ることができる。
【0112】
最小阻止濃度(MIC)の決定
組成物1
1/10~1/2000の連続希釈液を、細菌を有する及び有しないそれぞれの対照と共に調製した。予備研究から、MICは1/50~1/10希釈の範囲内に確定された(
図3)。
【0113】
前記予備希釈範囲内での後続研究から、1/20~1/15の間に増殖の変動が示され、後者では増殖が存在しなかった(
図4)。
【0114】
対照及び1/20溶液の計数から(
図5)、増殖の明らかな減少が存在することが示され、それぞれ9.43×10
9UFC/mL及び2.86×10
9UFC/mLであることが認められた。それによって組成物1の1/20希釈では阻害率が69,9%であることが確定される。
【0115】
組成物2
最小阻止濃度を確定できるように、この組成物の1/10~1/2000の連続希釈液を、細菌を有する及び有しないそれぞれの対照と共に調製した。
【0116】
予備研究から、MICは1/50~1/10希釈の範囲内に確定され(
図6)、前記範囲内での希釈の後続研究から1/20~1/15の間に増殖の変動が示され(
図7)、後者では増殖が存在しなかった。
【0117】
対照及び1/20溶液の計数から(
図8)、増殖の明らかな減少が存在することが示され、それぞれ9.43×10
9UFC/mL及び4.6×10
9UFC/mLであることが認められた。それによって組成物2の1/20希釈では阻害率は85,31%となる。
【0118】
組成物3
この組成物の1/10~1/2000の連続希釈液を、細菌を有する及び有しないそれぞれの対照と共に調製し、次いで最小阻止濃度を確定することが可能となるように、1/5~1/25の希釈液の第2の群を、細菌を有する及び有しないそれぞれの対照と共に調製した。
【0119】
予備研究から、MICは1/50~1/10希釈の範囲内に確定され(
図9)、その範囲内での希釈の後続研究から(
図10)、1/20~1/15の間に増殖の変動が示され、後者では増殖が存在しなかった。
【0120】
対照及び1/20溶液の計数から(
図11)、増殖の明らかな減少が存在することが示され、それぞれ9.43×10
9UFC/mL及び1.4×10
9UFC/mLであることが認められた。それによって組成物3の1/20希釈では阻害率が51.73%であることが確定される。
【0121】
組成物4
この組成物の1/10~1/2000の連続希釈液を、細菌を有する及び有しないそれぞれの対照と共に調製し、次いで最小阻止濃度を確定することが可能となるように、1/5~1/25の希釈液の第2の群を、細菌を有する及び有しないそれぞれの対照と共に調製した。
【0122】
予備アッセイから、MICは1/50~1/10希釈の範囲内に確定され(
図12)、前記範囲内での希釈の後続研究から(
図13)、1/20~1/15の間に増殖の変動が示され、後者では増殖が存在しなかった。
【0123】
対照及び1/20溶液の計数から(
図14)、増殖の明らかな減少が存在することが示され、それぞれ9.43×10
9UFC/mL及び3.4×10
9UFC/mLであることが認められた。それによって組成物4の1/20希釈では阻害率が64.33%であることが確定された。
【0124】
最小殺菌濃度(MBC)の決定
組成物1
希釈液の計数から(
図15)、細菌が組成物1の1/10希釈液中で死滅したことが示され、MBCは1/50希釈に確定された。対照には4.4×10
9CFU/mL、1/50希釈には13.6×10
8CFU/mLが認められ、それによって組成物1の1/50希釈では殺菌作用が91.82%であることが確定された。
【0125】
組成物2
希釈液の計数から(
図16)、MBCは1/10画分に確定された。対照には4.4×10
9UFC/mL、1/10画分には5.2×10
9UFC/mLが認められ、それによって組成物2の1/10希釈では殺菌作用が88.2%であることを確定することが可能となった。
【0126】
組成物3
1/10~1/2000の連続希釈から、希釈液を計数することによってMBCを決定することが可能となり(
図17)、MBCは1/10希釈に確定された。対照には4.4×10
9UFC/mL、1/10画分には2.8×10
9UFC/mLが認められ、それによって組成物3の1/10希釈では殺菌作用は36.4%となる。
【0127】
組成物4
1/10~1/2000の連続希釈から、希釈液を計数することによってMBCを決定することが可能になり(
図18)、1/10希釈液中で細菌が死滅したことが示され、MBCは1/50画分に確定された。対照には4.4×10
9UFC/mL、1/50画分には4.1×10
8UFC/mLが認められ、それによって組成物4の1/50希釈では殺菌作用が90.91%であることが確定された。
【0128】
結論
組成物1、2、3、及び4は、フソバクテリウム・ヌクレアタムに対して阻害効果を生じた。
【0129】
Table 2(表2)は、フソバクテリウム・ヌクレアタムの増殖の阻害における、本発明の組成物の各々の希釈液の有効性を示す。
【0130】
【0131】
組成物1、2、3、及び4では、1/10希釈は100%の阻害を達成した。
【0132】
Table 3(表3)は、フソバクテリウム・ヌクレアタムの除去における本発明の組成物の各々の希釈液の有効性を示す。
【0133】
【0134】
本発明による組成物全てについて、1/10希釈は、細菌フソバクテリウム・ヌクレアタムの100%の除去を達成した。
【0135】
興味深いことに、ある組成物は、阻害効果より良好な殺菌効果が観察されることに留意されたい。例えば、組成物1では、希釈倍率が20であると69.9%のフソバクテリウム・ヌクレアタムを阻害することが可能であるが、より高い希釈、FD 50であると、同じ細菌の91.8%の除去が示された。生物活性成分は高濃度で凝集(凝集形成)してその活性を減少させることがあり、したがって、希釈すると脱凝集するためにその活性が増大することが、この挙動の理由であると考えられる。アトルバスタチンを含有する組成物1の例では、前記スタチンは水溶性が低いので、希釈すると最終溶液中で全体の分散が達成され、より高い活性レベルに達するために、この説明は極めて筋が通っている。
【0136】
アッセイ2.2:アグリゲイティバクター・アクチノミセテムコミタンスに対する抗菌活性の評価
化合物の予備研究は、化合物が阻害活性を有するかどうかを確定することに基づいていた。この実験方法によって、組成物1、2、3、及び4がアグリゲイティバクター・アクチノミセテムコミタンスに対する阻害活性を呈することが確定された。
【0137】
図19に、細菌の菌叢を有し、培養物上に10μL及び20μLの各組成物を予め担持させたセンシディスクが置かれたプレートを観察することができる。
【0138】
最小阻止濃度(MIC)の決定
組成物1
この組成物の連続希釈によって、最小阻止濃度を確定することが可能となった。予備研究から、MICは1/100~1/50希釈の範囲内に確定され(
図20)、この範囲内での希釈の後続研究から(
図21)、増殖は組成物1の1/60画分までであり、1/50画分では増殖が存在しないことが示された。
【0139】
対照及び1/60溶液の計数から(
図22)、増殖の明らかな減少が存在することが示され、対照では5.7×10
9UFC/mL、組成物1の1/60希釈では5.46×10
6UFC/mLが認められた。それによって1/60希釈では阻害率が99.91%であることが確定される。
【0140】
組成物2
連続希釈の予備研究から、MICは1/100~1/50希釈の範囲内に確定され(
図23)、前記範囲内での希釈の後続研究から(
図24)、増殖は組成物1の1/70画分までであり、1/60画分では増殖が存在しないことが示された。
【0141】
対照及び組成物2の1/70希釈液の計数から(
図25)、増殖の明らかな減少が存在することが示され、それぞれ5.7×10
9UFC/mL及び1.106×10
9UFC/mLであることが認められた。それによって組成物2の1/70希釈では阻害率が80,6%であることが確定された。
【0142】
組成物3
予備アッセイから、MICは1/100~1/50希釈の範囲内に確定され(
図26)、前記範囲内での希釈の後続研究から(
図27)、増殖は組成物3の1/60画分までであり、1/50画分では増殖が存在しないことが示された。
【0143】
対照及び1/60希釈液の計数から(
図28)、細菌の増殖の明らかな減少が存在することが示され、それぞれ5.7×10
9UFC/mL及び9.52×10
8UFC/mLであることが認められた。それによって組成物3の1/60希釈では阻害率が83,3%であることが示された。
【0144】
組成物4
予備アッセイから、MICは1/100~1/50希釈の範囲内に確定され(
図29)、前記範囲内での希釈の後続研究から(
図30)、増殖は組成物4の1/60画分までであり、1/50画分では増殖が存在しないことが示された。
【0145】
対照及び1/60溶液の計数から(
図31)、増殖の明らかな減少が存在することが示され、それぞれ5.7×10
9UFC/mL及び9.8×10
8UFC/mLであることが認められた。それによって1/60希釈では阻害率が82,81%であることが確定された。
【0146】
最小殺菌濃度(MBC)の決定
組成物1
1/10~1/2000の連続希釈から、希釈液を計数することによってMBCを確定することが可能となり(
図32)、MBCは1/10画分に確定された。対照には4.4×10
9UFC/mL、1/10画分には5.12×10
8UFC/mLが認められ、それによって1/10希釈では殺菌作用が91.08%であることが確定された。
【0147】
組成物2
1/10~1/2000の連続希釈から、希釈液を計数することによってMBCを確定することが可能となり(
図33)、それは1/10画分に確定された。対照には4.4×10
9UFC/mLが認められ、1/10画分には8.4×10
8UFC/mLが認められ、それによって組成物2の1/10希釈では殺菌作用が85.26%であることが決定された。
【0148】
組成物3
1/10~1/2000の連続希釈から、希釈液を計数することによってMBCを確定することが可能となり(
図34)、それは1/10画分に確定された。対照には4.4×10
9UFC/mLが認められ、1/10画分には4.8×10
8UFC/mLが認められ、それによって組成物3の1/10希釈では殺菌作用が91,57%となった。
【0149】
組成物4
希釈液を計数することによって、MCBは1/10画分に確定された(
図35)。対照には4.4×10
9UFC/mL、1/10画分には7,86×10
8UFC/mLが認められ、それによって組成物4の1/10希釈では殺菌作用が86,21%となった。
【0150】
結論
組成物1、2、3、及び4は、アグリゲイティバクター・アクチノミセテムコミタンスに対して阻害効果を生じた。
【0151】
Table 4(表4)は、アグリゲイティバクター・アクチノミセテムコミタンスの増殖の阻害における、本発明の組成物の各々の希釈液の有効性を示す。
【0152】
【0153】
阻害率100%は、組成物1、3、及び4では1/50希釈で、組成物2では1/60希釈で達成された。
【0154】
Table 5(表5)に、アグリゲイティバクター・アクチノミセテムコミタンスの除菌における本発明の組成物の各々の希釈液の有効性を要約する。
【0155】
【0156】
(実施例3)
スタチンを本発明による組成物の残りの活性化合物と組み合わせて使用することに関連する相乗効果があるのかどうかを評価するために、いかなるタイプのスタチンも組み込んでいないTable 6(表6)中に詳述する組成物を用いてアッセイを実施した。
【0157】
【0158】
アッセイ3.1:フソバクテリウム・ヌクレアタムに対する抗菌活性の評価
フソバクテリウム・ヌクレアタムに対するTable 6(表6)中の組成物の抗菌活性を決定するために、実施例2に記載した方法に従った。
【0159】
結果
組成物7、8、9、10、及び11についての予備研究から、これらのうちのいずれが何らかの阻害活性を呈するかどうかを確定することが可能となった。この研究の結果は、組成物5及び8のみがフソバクテリウム・ヌクレアタムに対する阻害活性を呈することを確定することができた。
【0160】
図36は、フソバクテリウム・ヌクレアタムに対する化合物の抗菌性試験を示す。細菌の菌株、培養物上に置かれた10μL及び20μLの各組成物を予め担持させたセンシディスクを有するプレートを観察することができる。
【0161】
最小阻止濃度(MIC)の決定
組成物7
組成物7の連続希釈から、MICを1/1000に確定することが可能になった(
図37)。この連続希釈は、1/1000~1/500の間で増殖の変動を示し、後者では増殖がなかった。
【0162】
対照及び1/1000溶液の計数から(
図38)、増殖の明らかな減少が存在することが示され、それぞれ8.4×10
9UFC/mL及び4.1×10
8UFC/mLであることが認められた。それによって組成物7の1/1000希釈では阻害率は95.1%となる。
【0163】
組成物10
MICは1/1000希釈で確定され(
図39)、1/1000~1/500の間で増殖の変動を示し、後者では増殖がなかった。
【0164】
対照及び1/1000溶液の計数から(
図40)、増殖の明らかな減少が存在することが示され、それぞれ8.4×10
9UFC/mL及び3.6×10
9UFC/mLであることが認められた。それによって組成物10の1/1000希釈では阻害率を42.8%に確定することが可能となる。
【0165】
最小殺菌濃度(MBC)の決定
組成物7
この組成物の1/10~1/2000の連続希釈から、最小殺菌濃度を確定することが可能となった(
図41)。溶液の混濁度から、細菌は希釈にかかわらず影響を受けないことが示された。
【0166】
組成物10
この組成物の1/10~1/2000の連続希釈から、最小殺菌濃度を確定することが可能となった(
図42)。溶液の混濁度から、細菌は希釈にかかわらず影響を受けないことが示された。
【0167】
結論
組成物7及び10は、細菌が培養下であるとき、関連する阻害効果を呈しない。したがって、それらの発育は前記組成物によって妨害されない。よって、これらの組成物は、経時的に持続しない瞬間的な効果を呈すると結論付けることができる。
【0168】
アッセイ3.2:アグリゲイティバクター・アクチノミセテムコミタンスに対する抗菌活性の評価
Table 6(表6)中の組成物の各々について、アグリゲイティバクター・アクチノミセテムコミタンスに対する抗菌活性を、実施例2に記載したのと同じ方法論に従って決定した。
【0169】
全ての組成物についての予備研究は、化合物が阻害活性を有するかどうかを確定することに基づいていた。この実験方法を通して、組成物7及び9のみがアグリゲイティバクター・アクチノミセテムコミタンスに対する阻害活性を呈することが決定された。
【0170】
図43は、細菌の菌叢、及び培養物上に置かれた10μL及び20μLの各組成物を予め担持させたセンシディスクを示す。
【0171】
最小阻止濃度(MIC)の決定
組成物7
予備研究から、MICは1/500~1/100希釈の範囲内に確定され(
図44)、前記範囲内での希釈の後続研究から、増殖は組成物7の1/200画分までであり、1/100画分では増殖が存在しないことが示された。
【0172】
対照及び1/200溶液の計数から(
図45)、増殖の明らかな減少が存在することが示され、それぞれ1.2×10
11UFC/mL及び6.1×10
9UFC/mLであることが認められた。それによって組成物7の1/200希釈では阻害率が94%となった。
【0173】
組成物9
組成物9の希釈研究から(
図46)、増殖は1/2画分までであることが示された。
【0174】
対照及び1/2溶液の計数から(
図47)、増殖の明らかな減少が存在することが示され、それぞれ1.2×10
11UFC/mL及び5.8×10
8UFC/mLであることが認められた。それによって組成物9の1/2希釈では阻害率が99.51%であることを確定することが可能となった。
【0175】
最小殺菌濃度(MBC)の決定
組成物7
組成物7の1/10~1/2000の連続希釈から、最小殺菌濃度を確定することが可能となった(
図48)。溶液の混濁度から、細菌は希釈にかかわらず影響を受けないことが示された。
【0176】
組成物9
この組成物の1/10~1/2000の希釈から、最小殺菌濃度を確定することが可能となった(
図49)。溶液の混濁度から、細菌は希釈にかかわらず影響を受けないことが示された。
【0177】
組成物7及び9は、細菌が培養下であるとき、関連する阻害効果を呈しない。したがって、それらの発育は前記組成物によって妨害されない。よって、これらの組成物は、経時的に持続しない瞬間的な効果を呈すると結論付けることができる。
【0178】
(実施例4)
0.02質量%程度の低い濃度のスタチンが単独で歯周炎(慢性及び重度)を引き起こす細菌に対する何らかの殺菌活性を有するかどうかを決定するために、以下の組成物を用いて試験を実施した:
【0179】
【0180】
アッセイ4.1:フソバクテリウム・ヌクレアタムに対する抗菌活性
予備研究は、組成物A、S、R、及びPが阻害活性を呈するかどうかを確定することに基づいていた。この実験方法を通して、これらの組成物のうちのいずれもフソバクテリウム・ヌクレアタムに対して阻害活性を有しないことが決定された(
図50)。
【0181】
図Pでは、細菌の菌株、培養物上に置かれた10μL及び20μLの各組成物を予め担持させたセンシディスクを有するプレートを見ることが可能である。
【0182】
アッセイ4.2:アグリゲイティバクター・アクチノミセテムコミタンスに対する抗菌活性
組成物A、S、R、及びPを使用する予備研究から、それらがTable 7(表7)中に示す濃度で阻害活性を有するかどうかを確定することが可能となった。
【0183】
組成物A、S、R、及びPのうちのいずれもアグリゲイティバクター・アクチノミセテムコミタンスに対して阻害活性を呈しないことが決定された(
図51)。
【0184】
細菌の菌株、培養物上に置かれた10μL及び20μLの各組成物を予め担持させたセンシディスクを有するプレートを見ることが可能である。
【0185】
(実施例5)
スタチンが補助剤と一緒であれば、歯周炎(慢性及び重度)を引き起こす細菌に対して何らかの殺菌活性を有するのかを決定するために。
【0186】
Table 8(表8)は、使用した組成物を示す。
【0187】
【0188】
アッセイ5.1:フソバクテリウム・ヌクレアタムに対する抗菌活性
予備研究は、Table 8(表8)中の組成物が阻害活性を呈するかどうかを確定することに基づいていた。この実験を通して、フソバクテリウム・ヌクレアタムに対する阻害活性はなかったことが決定された。
【0189】
アッセイ5.2:アグリゲイティバクター・アクチノミセテムコミタンスに対する抗菌活性
Table 8(表8)の組成物を使用する予備研究から、これらが阻害活性を有するのかを確定することが可能となった。
【0190】
この結果から、使用した濃度では、アグリゲイティバクター・アクチノミセテムコミタンスに対する阻害活性はなかったことが示された(
図51)。
【0191】
結論
実施された試験から、本発明による組成物1、2、3、及び4は、フソバクテリウム・ヌクレアタム及びアグリゲイティバクター・アクチノミセテムコミタンスに対して阻害活性及び殺菌活性を有することが示される。
【0192】
比較組成物に関して、スタチンを含有しない組成物7、8、9、及び10は、フソバクテリウム・ヌクレアタムに対して殺菌効果を示さず、アグリゲイティバクター・アクチノミセテムコミタンスに対しても示さなかった。
【0193】
スタチンを0.02質量%の濃度でしか含まない組成物A、S、R、及びPの抗菌活性の評価は、上述の細菌に対する阻害効果を示さなかった。補助剤を組成物Pに組み込むが、過酸化水素等の酸化性抗菌剤を組み込まない場合も、研究した細菌に対して活性を示さなかった。
【0194】
実施した研究から、本発明による組成物が、慢性及び重度の歯周炎に関与する細菌に対する阻害及び殺菌作用の相乗効果を呈することは明白である。この相乗効果は、スタチン-酸化性抗菌剤を活性化合物の作用を促進する補助剤と一緒に組み合わせることに起因し得る。
【0195】
実際、スタチンが存在しない組成物(7、8、9、及び10)は、研究の幾つかの結果は阻害活性を示したものの、それらは歯周炎を引き起こす細菌に対する除去効果を呈さない。一方、0.02質量%の濃度のスタチンしか含まない製剤(A、S、R、及びP)は、歯周炎を引き起こす細菌に対していずれの効果も示さず、阻害作用も殺菌作用も示さなかった。
【0196】
理論に限定されるものではないが、本発明者らは、組成物の相乗効果は、相乗的に作用すると思われる組成物の各成分の異なる作用機構に起因し得ると考える。すなわち、嫌気性細菌に対する過酸化水素の酸化性及び破壊効果は、メチル基又はシクロプロピル環とアミノ酸残基との相互作用を通して細菌性バイオフィルムの増殖を阻害するスタチンの能力を増大及び向上させて、活性成分の相乗作用に寄与する促進剤(複数可)の存在下で、バイオフィルムの形成を低減させ、フソバクテリウム・ヌクレアタム及びアグリゲイティバクター・アクチノミセテムコミタンスほど耐性の細菌を本発明の組成物の抗生物質攻撃に抵抗できないようにすることを可能にすると思われる。この効果は、活性成分が低濃度であっても、本発明の組成物が、促進剤(1種又は複数)の存在下でのみ有効であったときに実証されている。
【0197】
得られた結果は、アグリゲイティバクター・アクチノミセテムコミタンスほど攻撃的な細菌のコントロール及び除去に、各成分の極めて低い濃度で効果を有することが可能であることが観察されたときに重要なものとなり、それによって、これらの組成物が見出すことができる形式に大きな多様性がもたらされる。
【0198】
前出の明細書は、例示目的のためだけに提供されており、本発明の全ての可能な態様を説明することを意図するものではない。本発明は、本明細書において様々な例示的実施形態に関して示され、詳細に記載されてきたが、当業者であれば、その趣旨及び範囲から逸脱することなく、この記載への軽微な変更、並びに様々な他の修正、省略、及び追加が為されることを理解するであろう。
【国際調査報告】