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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-12
(54)【発明の名称】ウェアラブル注入デバイス
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/145 20060101AFI20240705BHJP
【FI】
A61M5/145 500
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024500564
(86)(22)【出願日】2022-06-29
(85)【翻訳文提出日】2024-03-01
(86)【国際出願番号】 NL2022050369
(87)【国際公開番号】W WO2023282740
(87)【国際公開日】2023-01-12
(31)【優先権主張番号】21183717.4
(32)【優先日】2021-07-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524007343
【氏名又は名称】アイヴィー・メディカル・ホールディング・ベー・フェー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ピーター・リエコ・チュイン
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066AA09
4C066BB01
4C066CC01
4C066DD12
4C066EE06
4C066EE14
4C066GG06
4C066HH02
4C066HH12
4C066HH22
4C066LL07
4C066QQ14
4C066QQ15
4C066QQ77
4C066QQ82
4C066QQ92
(57)【要約】
患者の身体に着用可能なウェアラブル注入デバイスは、注入液体を保持するための少なくとも1つのリザーバと、第1のポンプ(11)と、第2のポンプ(12)と、第1のバルブ(51)と、第2のバルブ(52)と、向き検出器と、コントローラとを備える。コントローラは、第1のポンプの第1のプランジャー(31)および第2のポンプの第2のプランジャー(32)を駆動することを制御するように構成されており、第1のバルブのバルブ位置および第2のバルブのバルブ位置を切り替えることを制御するように構成されている。コントローラは、向き検出器によって検出される傾斜角度が所定の閾値を超えている傾斜角度アラート条件を決定するようにさらに構成されている。ウェアラブル注入デバイスは、患者が受けている注入療法の利益になるような様式で、比較的激しい移動および衝撃に自動的に応答することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の身体に着用可能なウェアラブル注入デバイス(1)であって、
● 注入液体を保持するための少なくとも1つのリザーバ(2、3)と、
● 第1のポンプチャンバ(41)の境界を定めている第1のポンプハウジング(21)および制御可能に駆動される第1のプランジャー(31)を含む第1のポンプ(11)であって、前記第1のプランジャーは、第1の吸入ストロークおよび第1の吐出ストロークを実施するために往復運動可能であり、前記第1の吸入ストロークおよび前記第1の吐出ストロークは、それぞれ、前記第1のポンプハウジングの外向きにおよび内向きに方向付けられており、それによって、前記第1のポンプチャンバの体積をそれぞれ増加および減少させる、第1のポンプ(11)と、
● 第2のポンプチャンバ(42)の境界を定めている第2のポンプハウジング(22)および制御可能に駆動される第2のプランジャー(32)を含む第2のポンプ(12)であって、前記第2のプランジャーは、第2の吸入ストロークおよび第2の吐出ストロークを実施するために往復運動可能であり、前記第2の吸入ストロークおよび前記第2の吐出ストロークは、それぞれ、前記第2のポンプハウジングの外向きにおよび内向きに方向付けられており、それによって、前記第2のポンプチャンバの体積をそれぞれ増加および減少させる、第2のポンプ(12)と、
● 第1のリザーバポート(61)、第1のポンプポート(71)、および第1の患者ポート(81)を含む第1のバルブ(51)であって、
- 前記第1のリザーバポート(61)および前記第1のポンプポート(71)が開いており、前記第1の患者ポート(81)が閉じられている、第1の「リザーバと連通する」バルブ位置と、
- 前記第1のポンプポート(71)および前記第1の患者ポート(81)が開いており、前記第1のリザーバポート(61)が閉じられている、第1の「患者と連通する」バルブ位置と、
- 前記第1のリザーバポート(61)、前記第1のポンプポート(71)、および前記第1の患者ポート(81)が閉じられている、第1の閉鎖バルブ位置と、
の間で制御可能に切り替え可能である、第1のバルブ(51)と、
● 第2のリザーバポート(62)、第2のポンプポート(72)、および第2の患者ポート(82)を含む第2のバルブ(52)であって、
- 前記第2のリザーバポート(62)および前記第2のポンプポート(72)が開いており、前記第2の患者ポート(82)が閉じられている、第2の「リザーバと連通する」バルブ位置と、
- 前記第2のポンプポート(72)および前記第2の患者ポート(82)が開いており、前記第2のリザーバポート(62)が閉じられている、第2の「患者と連通する」バルブ位置と、
- 前記第2のリザーバポート(62)、前記第2のポンプポート(72)、および前記第2の患者ポート(82)が閉じられている、第2の閉鎖バルブ位置と、
の間で制御可能に切り替え可能である、第2のバルブ(52)と、
● リザーバポンプ流体経路構造体(10)であって、
- 少なくとも1つの前記リザーバ(2、3)に接続されており、
- 前記第1のバルブの前記第1の「リザーバと連通する」バルブ位置において、前記注入液体を少なくとも1つの前記リザーバ(2、3)から前記第1のポンプ(11)へおよびその逆へ輸送するために、前記第1のバルブ(51)の前記第1のリザーバポート(61)および前記第1のポンプポート(71)を介して、前記第1のポンプ(11)に接続されており、
- 前記第2のバルブの前記第2の「リザーバと連通する」バルブ位置において、前記注入液体を少なくとも1つの前記リザーバ(2、3)から前記第2のポンプ(12)へおよびその逆へ輸送するために、前記第2のバルブ(52)の前記第2のリザーバポート(62)および前記第2のポンプポート(72)を介して、前記第2のポンプ(12)に接続されている、リザーバポンプ流体経路構造体(10)と、
● ポンプ-患者流体経路構造体(20)であって、
- 前記ウェアラブル注入デバイス(1)を着用している患者に接続可能であり、
- 前記第1のバルブの前記第1の「患者と連通する」バルブ位置において、前記注入液体を前記第1のポンプ(11)から前記患者へおよびその逆へ輸送するために、前記第1のバルブ(51)の前記第1の患者ポート(81)および前記第1のポンプポート(71)を介して、前記第1のポンプ(11)に接続されており、
- 前記第2のバルブの前記第2の「患者と連通する」バルブ位置において、前記注入液体を前記第2のポンプ(12)から前記患者へおよびその逆へ輸送するために、前記第2のバルブ(52)の前記第2の患者ポート(82)および前記第2のポンプポート(72)を介して、前記第2のポンプ(12)に接続されている、ポンプ-患者流体経路構造体(20)と、
● 地平に対する前記ウェアラブル注入デバイス(1)の向きを検出するための向き検出器(7)と、
● 前記第1のプランジャー(31)および前記第2のプランジャー(32)を駆動することを制御するように、ならびに、前記第1のバルブ(51)のバルブ位置および前記第2のバルブ(52)のバルブ位置を切り替えることを制御するように構成されているコントローラ(8)であって、前記向き検出器(7)によって検出される傾斜角度が所定の閾値を超えている傾斜角度アラート条件を決定するようにさらに構成されている、コントローラ(8)と、
を備える、ウェアラブル注入デバイス(1)。
【請求項2】
前記コントローラ(8)は、
- 前記第1のバルブ(51)の前記第1の「リザーバと連通する」バルブ位置において前記第1のプランジャー(31)の第1の吸入ストロークの間に前記傾斜角度アラート条件を決定することに応答して、前記第1のプランジャー(31)の移動を休止すると同時に、前記第1のバルブが前記第1の「患者と連通する」バルブ位置に切り替わることを防止し、前記傾斜角度アラート条件が終了した後にのみ、前記第1のプランジャー(31)の移動を再開するようにさらに構成されており、
- 前記第2のバルブ(52)の前記第2の「リザーバと連通する」バルブ位置において前記第2のプランジャー(32)の第2の吸入ストロークの間に前記傾斜角度アラート条件を決定することに応答して、前記第2のプランジャー(32)の移動を休止すると同時に、前記第2のバルブが前記第2の「患者と連通する」バルブ位置に切り替わることを防止し、前記傾斜角度アラート条件が終了した後にのみ、前記第2のプランジャー(32)の移動を再開するようにさらに構成されている、請求項1に記載のウェアラブル注入デバイス(1)。
【請求項3】
前記向き検出器(7)は、前記ウェアラブル注入デバイスが自由落下状態にあるかどうか、および/または、前記ウェアラブル注入デバイスが所定の閾値振動レベルを超えて振動しているかどうかを検出するように構成されている加速度計を含む、請求項1または2に記載のウェアラブル注入デバイス(1)。
【請求項4】
前記コントローラ(8)は、前記ウェアラブル注入デバイスが自由落下状態にあること、および/または、前記ウェアラブル注入デバイスが前記所定の閾値振動レベルを超えて振動していることを、前記加速度計が検出したことに応答して、前記第1のポンプ(11)を休止するように、および/または、前記第2のポンプ(12)を休止するように、および/または、前記第1のバルブ(51)を前記第1の閉鎖バルブ位置に切り替えるように、および/または、前記第2のバルブ(52)を前記第2の閉鎖バルブ位置に切り替えるようにさらに構成されている、請求項3に記載のウェアラブル注入デバイス(1)。
【請求項5】
前記ウェアラブル注入デバイス(1)は、
● 前記リザーバポンプ流体経路構造体(10)の中のバブルを検出するように構成および配置されているリザーバポンプ-経路バブル検出器(14)
をさらに備え、
前記コントローラ(8)は、
- 前記第1のバルブ(51)の前記第1の「リザーバと連通する」バルブ位置において前記第1のプランジャー(31)の第1の吸入ストロークの間に少なくとも1つの前記リザーバポンプ-経路バブル検出器(14)によるバブル検出に応答して、前記第1の吸入ストロークの間に、および、前記第1のプランジャー(31)の直後の第1の吐出ストロークの間に、前記第1のバルブが前記第1の「患者と連通する」バルブ位置に切り替わることを防止するようにさらに構成されており、前記直後の第1の吐出ストロークは、前記第1の吸入ストロークの直後であり、
- 前記第2のバルブ(52)の前記第2の「リザーバと連通する」バルブ位置において前記第2のプランジャー(32)の第2の吸入ストロークの間に少なくとも1つの前記リザーバポンプ-経路バブル検出器(14)によるバブル検出に応答して、前記第2の吸入ストロークの間に、および、前記第2のプランジャー(32)の直後の第2の吐出ストロークの間に、前記第2のバルブが前記第2の「患者と連通する」バルブ位置に切り替わることを防止するようにさらに構成されており、前記直後の第2の吐出ストロークは、前記第2の吸入ストロークの直後である、請求項1から4のいずれか一項に記載のウェアラブル注入デバイス(1)。
【請求項6】
前記コントローラ(8)は、
- 前記第1のバルブ(51)の前記第1の「リザーバと連通する」バルブ位置において、前記第1のプランジャー(31)の直ぐに連続する第1の吸入ストロークおよび第1の吐出ストロークの所定の数の直ぐに連続するサイクルのそれぞれの間に、前記リザーバポンプ-経路バブル検出器(14)によるバブル検出の発生に応答して、および/または、
- 前記第2のバルブ(52)の前記第2の「リザーバと連通する」バルブ位置において、前記第2のプランジャー(32)の直ぐに連続する第2の吸入ストロークおよび第2の吐出ストロークの所定の数の直ぐに連続するサイクルのそれぞれの間に、前記リザーバポンプ-経路バブル検出器(14)によるバブル検出の発生に応答して、
前記リザーバポンプ流体経路構造体(10)の中のバブルを繰り返し検出することを示すリザーバポンプ-経路バブルアラート条件を決定するようにさらに構成されている、請求項5に記載のウェアラブル注入デバイス(1)。
【請求項7】
前記ウェアラブル注入デバイス(1)は、
● 前記ポンプ-患者流体経路構造体(20)の中のバブルを検出するように構成および配置されているポンプ-患者-経路バブル検出器(15)
をさらに備え、
前記コントローラ(8)は、前記第1のバルブ(51)の前記第1の「患者と連通する」バルブ位置において前記ポンプ-患者-経路バブル検出器(15)によるバブル検出に応答して、および、前記第2のバルブ(52)の前記第2の「患者と連通する」バルブ位置において前記ポンプ-患者-経路バブル検出器(15)によるバブル検出に応答して、前記ポンプ-患者流体経路構造体(20)の中のバブルを検出することを示すポンプ-患者-経路バブルアラート条件を決定するようにさらに構成されている、請求項1から6のいずれか一項に記載のウェアラブル注入デバイス(1)。
【請求項8】
前記ウェアラブル注入デバイス(1)は、
● 前記第1のポンプ(11)の第1のノズル(91)の中のバブルを検出するように構成および配置されている第1のポンプ-ノズルバブル検出器(16)
をさらに備え、
前記コントローラ(8)は、前記第1のポンプ(11)の前記第1のノズル(91)の中のバブルを検出することを示す第1のポンプ-ノズルバブルアラート条件を決定するようにさらに構成されている、請求項1から7のいずれか一項に記載のウェアラブル注入デバイス(1)。
【請求項9】
前記ウェアラブル注入デバイス(1)は、
● 前記第2のポンプ(12)の第2のノズル(92)の中のバブルを検出するように構成および配置されている第2のポンプ-ノズルバブル検出器(17)
をさらに備え、
前記コントローラ(8)は、前記第2のポンプ(12)の前記第2のノズル(92)の中のバブルを検出することを示す第2のポンプ-ノズルバブルアラート条件を決定するようにさらに構成されている、請求項1から8のいずれか一項に記載のウェアラブル注入デバイス(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者の身体に着用可能なウェアラブル注入デバイスに関する。より具体的には、本発明によるウェアラブル注入デバイスは、注入液体を保持するための少なくとも1つのリザーバを含み、それは、少なくとも1つのリザーバも患者の身体に着用されることとなることを意味している。
【背景技術】
【0002】
従来、患者への注入液体の静脈内投与は、患者の身体の高さ範囲よりも高い高さに吊り下げられているリザーバからの送達によって実施される。典型的に、リザーバは、ポールから吊り下げられており、ポールは、車輪の上の足部から突き出ており、または、ポールは、ベッドもしくは車椅子に装着されている。そのようなポールは、患者の移動の自由を厳しく制限する。注入療法は、長期間にわたって必要とされる可能性がある。長期間にわたって患者の移動性を制限することは、患者にとって不便であり、ナーサリーケア(nursery care)の必要性を増加させ、肉体的な運動および移動性が患者の健康に良い影響を与えることが分かっているので、とりわけ不利益である。これらの理由のために、ウェアラブル注入デバイスは有益である。
【0003】
しかし、少なくとも1つのリザーバを含む注入デバイスが、活発に動く患者の身体に着用されているときに、ウェアラブル注入デバイスの少なくとも1つのリザーバおよび液体ポンピングメカニズムは、比較的激しい移動および衝撃に曝される。時には、ウェアラブル注入デバイスは、しばらくの間、逆さまに保持される可能性さえある。同時に、注入療法にとっては、気泡/ガス気泡が患者の中へ圧送されないかまたは可能な限り少なく圧送されることが重要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、患者が受けている注入療法の利益になるような様式で、比較的激しい移動および衝撃に自動的に応答することができる、少なくとも1つの代替的なウェアラブル注入デバイスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
その目的のために、本発明は、添付の独立請求項1によるウェアラブル注入デバイスを提供する。本発明の好ましい実施形態は、添付の従属請求項2~9によって提供される。
【0006】
したがって、本発明は、患者の身体に着用可能なウェアラブル注入デバイスであって、
● 注入液体を保持するための少なくとも1つのリザーバと、
● 第1のポンプチャンバの境界を定めている第1のポンプハウジングおよび制御可能に駆動される第1のプランジャーを含む第1のポンプであって、第1のプランジャーは、第1の吸入ストロークおよび第1の吐出ストロークを実施するために往復運動可能であり、第1の吸入ストロークおよび第1の吐出ストロークは、それぞれ、第1のポンプハウジングの外向きにおよび内向きに方向付けられており、それによって、第1のポンプチャンバの体積をそれぞれ増加および減少させる、第1のポンプと、
● 第2のポンプチャンバの境界を定めている第2のポンプハウジングおよび制御可能に駆動される第2のプランジャーを含む第2のポンプであって、第2のプランジャーは、第2の吸入ストロークおよび第2の吐出ストロークを実施するために往復運動可能であり、第2の吸入ストロークおよび第2の吐出ストロークは、それぞれ、第2のポンプハウジングの外向きにおよび内向きに方向付けられており、それによって、第2のポンプチャンバの体積をそれぞれ増加および減少させる、第2のポンプと、
● 第1のリザーバポート、第1のポンプポート、および第1の患者ポートを含む第1のバルブであって、
- 第1のリザーバポートおよび第1のポンプポートが開いており、第1の患者ポートが閉じられている、第1の「リザーバと連通する」バルブ位置(communication-with-the-reservoir valve position)と、
- 第1のポンプポートおよび第1の患者ポートが開いており、第1のリザーバポートが閉じられている、第1の「患者と連通する」バルブ位置(communication-with-the-patient valve position)と、
- 第1のリザーバポート、第1のポンプポート、および第1の患者ポートが閉じられている、第1の閉鎖バルブ位置と、
の間で制御可能に切り替え可能である、第1のバルブと、
● 第2のリザーバポート、第2のポンプポート、および第2の患者ポートを含む第2のバルブであって、
- 第2のリザーバポートおよび第2のポンプポートが開いており、第2の患者ポートが閉じられている、第2の「リザーバと連通する」バルブ位置と、
- 第2のポンプポートおよび第2の患者ポートが開いており、第2のリザーバポートが閉じられている、第2の「患者と連通する」バルブ位置と、
- 第2のリザーバポート、第2のポンプポート、および第2の患者ポートが閉じられている、第2の閉鎖バルブ位置と、
の間で制御可能に切り替え可能である、第2のバルブと、
● リザーバポンプ流体経路構造体であって、
- 少なくとも1つのリザーバに接続されており、
- 第1のバルブの前記第1の「リザーバと連通する」バルブ位置において、前記注入液体を少なくとも1つのリザーバから第1のポンプへおよびその逆へ輸送するために、第1のバルブの第1のリザーバポートおよび第1のポンプポートを介して、第1のポンプに接続されており、
- 第2のバルブの前記第2の「リザーバと連通する」バルブ位置において、前記注入液体を少なくとも1つのリザーバから第2のポンプへおよびその逆へ輸送するために、第2のバルブの第2のリザーバポートおよび第2のポンプポートを介して、第2のポンプに接続されている、リザーバポンプ流体経路構造体と、
● ポンプ-患者流体経路構造体であって、
- ウェアラブル注入デバイスを着用している患者に接続可能であり、
- ポンプ-患者流体経路構造体は、第1のバルブの前記第1の「患者と連通する」バルブ位置において、前記注入液体を第1のポンプから患者へおよびその逆へ輸送するために、第1のバルブの第1の患者ポートおよび第1のポンプポートを介して、第1のポンプに接続されており、
- 第2のバルブの前記第2の「患者と連通する」バルブ位置において、前記注入液体を第2のポンプから患者へおよびその逆へ輸送するために、第2のバルブの第2の患者ポートおよび第2のポンプポートを介して、第2のポンプに接続されている、ポンプ-患者流体経路構造体と、
● 地平に対するウェアラブル注入デバイスの向きを検出するための向き検出器と、
● 第1のプランジャーおよび第2のプランジャーを駆動することを制御するように、ならびに、第1のバルブのバルブ位置および第2のバルブのバルブ位置を切り替えることを制御するように構成されているコントローラであって、向き検出器によって検出される傾斜角度が、所定の閾値を超えている傾斜角度アラート条件を決定するようにさらに構成されている、コントローラと、
を備える、ウェアラブル注入デバイスを提供する。
【0007】
本発明によるウェアラブル注入デバイスの重要な特徴は、上述の少なくとも1つのリザーバ、第1のポンプ、第2のポンプ、第1のバルブ、第2のバルブ、向き検出器、および、上述のコントローラを含み、コントローラは、向き検出器によって検出される傾斜角度が所定の閾値を超えている前記傾斜角度アラート条件を検出することができ、コントローラは、第1のポンプおよび第2のポンプの第1のプランジャーおよび第2のプランジャーの駆動をそれぞれ制御することができ、コントローラは、第1のバルブのバルブ位置および第2のバルブのバルブ位置の切り替えを制御することができる。
【0008】
これらの重要な特徴の組合せは、患者が受けている注入療法の利益になるような多くのさまざまな様式で、ウェアラブル注入デバイスの激しい移動および衝撃にウェアラブル注入デバイスが自動的に応答することを可能にする。以下の例は、これを例示するために与えられている。
【0009】
第1のポンプの第1のプランジャーが、第1のバルブの第1の「リザーバと連通する」バルブ位置において、第1の吸入ストロークを実施しており、一方では、同時に、第2のポンプの第2のプランジャーが、第2のバルブの第2の「患者と連通する」バルブ位置において、第2の吐出ストロークを実施している、ウェアラブル注入デバイスの動作条件において、前記傾斜角度アラート条件が検出されることを想定するとする。そのような場合では、本発明は、第1のプランジャーの前記第1の吸入ストロークを休止することによって、コントローラが自動的に応答することを可能にし、したがって、少なくとも1つのリザーバからの空気バブルが第1のポンプチャンバに進入する可能性を打ち消し、一方では、同時に、第2のプランジャーの第2の吐出ストロークを継続し、したがって、注入療法を継続する。したがって、これは、少なくとも1つのリザーバからの空気バブル/ガスバブルの吸入が防止されると同時に、注入療法は中断されないという重要な利点を提供する。
【0010】
さらなる例を述べると、本発明は、傾斜角度アラート条件の間のある時点において、第1のプランジャーと第2のプランジャーとの両方が、その時点において、それぞれ、それらの第1の吐出ストロークおよび第2の吐出ストロークの最大の到達可能な端部位置にある場合(これは、それらの第1の吸入ストロークおよび第2の吸入ストロークの開始位置にそれぞれ対応する)、第1のプランジャーと第2のプランジャーとの両方を停止させるようにコントローラが構成されることも可能にする。これは、空気バブルが第1のポンプチャンバおよび/または第2のポンプチャンバの中へ取り込まれることを防止する。
【0011】
本明細書で使用されているように、向き検出器は、たとえば、3軸線形加速度計であってよく、それは、3つの相互に直交する(x,y,z)方向に重力が及ぼす力を測定することによって、検出器の向きを導出することが可能であるということが留意される。代替的に、本明細書で使用されているように、向き検出器は、たとえば、ジャイロスコープとすることが可能であり、それは、検出器の中の自由に回転するディスクの位置を見ることによって、検出器の回転を測定することが可能である。
【0012】
本発明によれば、検出される傾斜角度に関する上述の所定の閾値は、好ましくは、30度から60度の間の範囲において選ばれる。たとえば、45度は、上述の所定の閾値に関して好ましい値である。前記傾斜角度は、地平とデバイスの所定の基準平面との間の角度であるように定義されてよく、前記所定の基準平面は、少なくとも1つのリザーバから第1または第2のポンプチャンバの中への空気バブル/ガスバブルの吸入を防止することに関して、デバイスが最適な向きにあるときに、地平に対して平行になるように選ばれる。
【0013】
さらに、本明細書で使用されているように、バブル検出器は、たとえば、超音波バブル検出器であってよく、超音波バブル検出器は、流体経路を通して音波を伝達することによって、ガスバブルおよびマイクロバブルをインラインで検出することができるということが留意される。ガスバブルは、音波の速度、減衰、および散乱を見ることによって、液体と区別され得る。代替的に、本明細書で使用されているように、バブル検出器は、たとえば、容量性バブル検出器であってよく、容量性バブル検出器は、2つの平行な電極の間の静電容量を見ることによって、異なるサイズのガスバブルをインラインで検出することができる。代替的に、本明細書で使用されているように、バブル検出器は、たとえば、光学的バブル検出器とすることが可能であり、光学的バブル検出器は、エミッターからコレクターへ光を伝送することによって、空気バブルをインラインで検出することが可能である。コレクターにおいて感知される光の強度は、液体またはガスが検出器を通過するかどうかに関係する。
【0014】
本発明によるウェアラブル注入デバイスの好ましい実施形態では、コントローラは、
- 第1のバルブの第1の「リザーバと連通する」バルブ位置において第1のプランジャーの第1の吸入ストロークの間に前記傾斜角度アラート条件を決定することに応答して、第1のプランジャーの移動を休止すると同時に、第1のバルブが第1の「患者と連通する」バルブ位置に切り替わることを防止し、前記傾斜角度アラート条件が終了した後にのみ、第1のプランジャーの移動を再開するようにさらに構成されており、
- 第2のバルブの第2の「リザーバと連通する」バルブ位置において第2のプランジャーの第2の吸入ストロークの間に前記傾斜角度アラート条件を決定することに応答して、第2のプランジャーの移動を休止すると同時に、第2のバルブが第2の「患者と連通する」バルブ位置に切り替わることを防止し、前記傾斜角度アラート条件が終了した後にのみ、第2のプランジャーの移動を再開するようにさらに構成されている。
【0015】
本発明によるウェアラブル注入デバイスの別の好ましい実施形態では、向き検出器は、ウェアラブル注入デバイスが自由落下状態にあるかどうか、および/または、ウェアラブル注入デバイスが所定の閾値振動レベルを超えて振動しているかどうかを検出するように構成されている加速度計を含む。
【0016】
本発明によるウェアラブル注入デバイスの直近に述べられた好ましい実施形態のさらに好ましい実施形態では、コントローラは、ウェアラブル注入デバイスが自由落下状態にあること、および/または、ウェアラブル注入デバイスが前記所定の閾値振動レベルを超えて振動していることを、前記加速度計が検出したことに応答して、第1のポンプを休止するように、および/または、第2のポンプを休止するように、および/または、第1のバルブを第1の閉鎖バルブ位置に切り替えるように、および/または、第2のバルブを第2の閉鎖バルブ位置に切り替えるようにさらに構成されている。
【0017】
本発明によるウェアラブル注入デバイスの別の好ましい実施形態では、向き検出器は、歩数計として機能するようにさらに構成されている。歩数計からの活動情報は、患者がウェアラブル注入デバイスから利益を得るのに十分に実際に活動的であるかどうかを査定するために使用され得る。
【0018】
本発明によるウェアラブル注入デバイスの別の好ましい実施形態では、ウェアラブル注入デバイスは、
● リザーバポンプ流体経路構造体の中のバブルを検出するように構成および配置されているリザーバポンプ-経路バブル検出器
をさらに備え、
- コントローラは、第1のバルブの第1の「リザーバと連通する」バルブ位置において第1のプランジャーの第1の吸入ストロークの間に少なくとも1つのリザーバポンプ-経路バブル検出器によるバブル検出に応答して、前記第1の吸入ストロークの間に、および、第1のプランジャーの直後の第1の吐出ストロークの間に、第1のバルブが第1の「患者と連通する」バルブ位置に切り替わることを防止するようにさらに構成されており、前記直後の第1の吐出ストロークは、前記第1の吸入ストロークの直後であり、
- コントローラは、第2のバルブの第2の「リザーバと連通する」バルブ位置において第2のプランジャーの第2の吸入ストロークの間に少なくとも1つのリザーバポンプ-経路バブル検出器によるバブル検出に応答して、前記第2の吸入ストロークの間に、および、第2のプランジャーの直後の第2の吐出ストロークの間に、第2のバルブが第2の「患者と連通する」バルブ位置に切り替わることを防止するようにさらに構成されており、前記直後の第2の吐出ストロークは、前記第2の吸入ストロークの直後である。
【0019】
本発明によるウェアラブル注入デバイスの直近に述べられた好ましい実施形態のさらに好ましい実施形態では、コントローラは、
- 第1のバルブの第1の「リザーバと連通する」バルブ位置において、第1のプランジャーの直ぐに連続する第1の吸入ストロークおよび第1の吐出ストロークの所定の数の直ぐに連続するサイクルのそれぞれの間に、リザーバポンプ-経路バブル検出器によるバブル検出の発生に応答して、および/または、
- 第2のバルブの第2の「リザーバと連通する」バルブ位置において、第2のプランジャーの直ぐに連続する第2の吸入ストロークおよび第2の吐出ストロークの所定の数の直ぐに連続するサイクルのそれぞれの間に、リザーバポンプ-経路バブル検出器によるバブル検出の発生に応答して、
リザーバポンプ流体経路構造体の中のバブルを繰り返し検出することを示すリザーバポンプ-経路バブルアラート条件を決定するようにさらに構成されている。
【0020】
本発明によるウェアラブル注入デバイスの別の好ましい実施形態では、ウェアラブル注入デバイスは、
● ポンプ-患者流体経路構造体の中のバブルを検出するように構成および配置されているポンプ-患者-経路バブル検出器
をさらに含み、
コントローラは、第1のバルブの第1の「患者と連通する」バルブ位置においてポンプ-患者-経路バブル検出器によるバブル検出に応答して、および、第2のバルブの第2の「患者と連通する」バルブ位置においてポンプ-患者-経路バブル検出器によるバブル検出に応答して、ポンプ-患者流体経路構造体の中のバブルを検出することを示すポンプ-患者-経路バブルアラート条件を決定するようにさらに構成されている。
【0021】
本発明によるウェアラブル注入デバイスの別の好ましい実施形態では、ウェアラブル注入デバイスは、
● 第1のポンプの第1のノズルの中のバブルを検出するように構成および配置されている第1のポンプ-ノズルバブル検出器
をさらに備え、
コントローラは、第1のポンプの第1のノズルの中のバブルを検出することを示す第1のポンプ-ノズルバブルアラート条件を決定するようにさらに構成されている。
【0022】
前記第1のポンプ-ノズルバブルアラート条件を前記決定することは、第1のバルブの第1の「リザーバと連通する」バルブ位置において、第1のポンプ-ノズルバブル検出器によるバブル検出に応答すること、および、第1のバルブの第1の「患者と連通する」バルブ位置において、第1のポンプ-ノズルバブル検出器によるバブル検出に応答することが可能である。
【0023】
本発明によるウェアラブル注入デバイスの別の好ましい実施形態では、ウェアラブル注入デバイスは、
● 第2のポンプの第2のノズルの中のバブルを検出するように構成および配置されている第2のポンプ-ノズルバブル検出器
をさらに備え、
コントローラは、第2のポンプの第2のノズルの中のバブルを検出することを示す第2のポンプ-ノズルバブルアラート条件を決定するようにさらに構成されている。
【0024】
前記第2のポンプ-ノズルバブルアラート条件を前記決定することは、第2のバルブの第2の「リザーバと連通する」バルブ位置において、第2のポンプ-ノズルバブル検出器によるバブル検出に応答すること、および、第2のバルブの第2の「患者と連通する」バルブ位置において、第2のポンプ-ノズルバブル検出器によるバブル検出に応答することが可能である。
【0025】
以下において、本発明は、非限定的な実施形態を参照して、および、以下の図が示される、添付の図面の中の概略図を参照して、さらに解明される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明によるウェアラブル注入デバイスの一実施形態の例を極めて概略的に示す図である。
図2図1のウェアラブル注入デバイスのポンプアセンブリの一実施形態の例の概略断面図である。
図3図2の状況を再び示す図であり、ここでは、ポンプアセンブリが図2と比較して異なる動作状態にある図である。
図4図1のウェアラブル注入デバイスのポンプアセンブリの代替的な実施形態の例を、図2のものと同じ図で示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図面の図の簡単な説明を含めて、上記の導入部の説明に基づいて、および、図1図4において使用される下記に列挙された参照記号に基づいて、図1図4の例は、大部分が容易に明白である。以下の追加説明が与えられる。
【0028】
図1において、ウェアラブル注入デバイス1がポンプアセンブリ4を含むことが分かる。図2および図3において見られるように、ポンプアセンブリ4は、少なくとも、ウェアラブル注入デバイス1の第1のポンプ11と、第2のポンプ12と、第1のバルブ51と、第2のバルブ52と、リザーバポンプ流体経路構造体10の少なくとも一部と、ポンプ-患者流体経路構造体20の少なくとも一部と、リザーバポンプ-経路バブル検出器14と、ポンプ-患者-経路バブル検出器15とを含む。
【0029】
図2および図3において、ポンプアセンブリ4は、リザーバセレクターバルブ53をさらに含み、リザーバセレクターバルブ53は、第1のポンプ11および第2のポンプ12に対して、(両方とも図1に示されている)第1のリザーバ2および/または第2のリザーバ3を選択的に接続するかまたは切り離すための第1のリザーバ選択ポート63、ポンプ側接続ポート73、および第2のリザーバ選択ポート83を含むことがさらに分かる。その目的のために、リザーバセレクターバルブ53は、コントローラ8の制御下において、少なくとも以下のバルブ位置の間で切り替え可能であり、すなわち、
図2および図3に示されているバルブ位置であって、第1のリザーバ選択ポート63が閉じられており、一方では、ポンプ側接続ポート73および第2のリザーバ選択ポート83が開いており、それにより、第1のリザーバ2が切り離されており、第2のリザーバ3が接続されている(図2および図3において、リザーバセレクターバルブ53の中の矢印記号は、流体フローの方向を示している)、バルブ位置と、
- 別のバルブ位置であって、第1のリザーバ選択ポート63およびポンプ側接続ポート73が開いており、一方では、第2のリザーバ選択ポート83が閉じられており、それにより、第1のリザーバ2が接続されており、第2のリザーバ3が切り離されている、別のバルブ位置と、
- さらに別のバルブ位置であって、第1のリザーバ選択ポート63、ポンプ側接続ポート73、および第2のリザーバ選択ポート83が、すべて閉じられており、それにより、第1のリザーバ2および第2のリザーバ3が切り離されている、さらに別のバルブ位置と、
の間で切り替え可能である。
【0030】
図1において、ウェアラブル注入デバイス1は、エネルギー供給源5およびプランジャー駆動メカニズム6をさらに含むことがさらに分かる。プランジャー駆動メカニズムは、第1のプランジャー31および第2のプランジャー32を駆動するように構成されている。(たとえば、電気的バッテリーである)エネルギー供給源5は、ウェアラブル注入デバイス1のさまざまな機能のためのエネルギー、たとえば、プランジャー駆動メカニズム6、第1のバルブ51、第2のバルブ52、リザーバセレクターバルブ53、コントローラ8、向き検出器7、リザーバポンプ-経路バブル検出器14、ポンプ-患者-経路バブル検出器15、第1のポンプ-ノズルバブル検出器16、および第2のポンプ-ノズルバブル検出器17によって行われる機能などのためのエネルギーを提供する。
【0031】
ここで図2を参照すると、図2は、動作条件にあるウェアラブル注入デバイス1のポンプアセンブリ4を示しており、そこでは、第1のポンプ11の第1のプランジャー31は、第1のバルブ51の第1の「リザーバと連通する」バルブ位置において、第1の吸入ストロークを実施しており、一方では、同時に、第2のポンプ12の第2のプランジャー32は、第2のバルブ52の第2の「患者と連通する」バルブ位置において、第2の吐出ストロークを実施している。図2において、第1のバルブ51の中の矢印記号、および、より一般的には、リザーバポンプ流体経路構造体10の中の矢印記号は、リザーバ3から第1のポンプ11の第1のポンプチャンバ41に向かう流体フローの方向を示している。さらに、図2において、第2のバルブ52の中の矢印記号、および、より一般的には、ポンプ-患者流体経路構造体20の中の矢印記号は、第2のポンプチャンバ42(番号42は、図3に示されている)から患者に向かう流体フローの方向を示している。
【0032】
図2の動作条件において、向き検出器7が傾斜角度アラート条件を検出する場合には、コントローラ8は、第1のプランジャー31の第1の吸入ストロークを休止することによって自動的に応答し、したがって、リザーバ3からの空気バブルが第1のポンプチャンバ41に進入する可能性を打ち消し、一方では、同時に、第2のプランジャー32の第2の吐出ストロークを継続し、したがって、注入療法を継続する。したがって、これは、少なくとも1つのリザーバからの空気バブル/ガスバブルの吸入が防止されると同時に、注入療法は中断されないという重要な利点を提供する。
【0033】
ここで図3を参照すると、図3は、図2の類似の状況を示している。すなわち、図2は、動作条件にあるウェアラブル注入デバイス1のポンプアセンブリ4を示しており、そこでは、第2のポンプ12の第2のプランジャー32は、第2のバルブ52の第2の「リザーバと連通する」バルブ位置において、第2の吸入ストロークを実施しており、一方では、同時に、第1のポンプ11の第1のプランジャー31は、第1のバルブ51の第1の「患者と連通する」バルブ位置において、第1の吐出ストロークを実施している。図3において、第2のバルブ52の中の矢印記号、および、より一般的には、リザーバポンプ流体経路構造体10の中の矢印記号は、リザーバ3から第2のポンプ12の第2のポンプチャンバ42に向かう流体フローの方向を示している。さらに、図3において、第1のバルブ51の中の矢印記号、および、より一般的には、ポンプ-患者流体経路構造体20の中の矢印記号は、第1のポンプチャンバ41(番号41は、図2に示されている)から患者に向かう流体フローの方向を示している。図3の動作条件において、向き検出器7が傾斜角度アラート条件を検出する場合には、コントローラ8は、第2のプランジャー32の第2の吸入ストロークを休止することによって自動的に応答し、したがって、リザーバ3からの空気バブルが第2のポンプチャンバ42に進入する可能性を打ち消し、一方では、同時に、第1のプランジャー31の第1の吐出ストロークを継続し、したがって、注入療法を継続する。繰り返しになるが、これは、少なくとも1つのリザーバからの空気バブル/ガスバブルの吸入が防止されると同時に、注入療法は中断されないという重要な利点を提供する。
【0034】
図1図3の例では、ウェアラブル注入デバイス1が上述のリザーバポンプ-経路バブル検出器14を有すること分かる。上述されたように、コントローラ8は、好ましい実施形態では、上述のリザーバポンプ-経路バブルアラート条件を決定するようにさらに構成され得る。そのようなリザーバポンプ-経路バブルアラート条件は、傾斜角度アラート条件と同時に存在する可能性がある。そのケースでは、傾斜角度アラート条件は、ウェアラブル注入デバイス1の好ましくない向きがリザーバポンプ流体経路構造体10の中の検出されたバブルを引き起こした可能性があるという意味で、リザーバポンプ-経路バブルアラート条件を引き起こした可能性がある。代替的に、ウェアラブル注入デバイス1は、リザーバポンプ-経路バブルアラート条件にあることがあり、一方では、同時に、それは傾斜角度アラート条件にない。そのケースでは、空のリザーバ2または空のリザーバ3が、リザーバポンプ流体経路構造体10の中の検出されたバブルを引き起こした可能性がある。これらの例は、本発明によれば、コントローラ8が、ウェアラブル注入デバイス1の異なる検出器を介して取得される組み合わせられた検出結果に基づいて、ウェアラブル注入デバイス1の検出された条件の異なる原因を決定するように構成され得ることを例示している。
【0035】
図1図3の例では、ウェアラブル注入デバイス1は、上述のポンプ-患者-経路バブル検出器15をさらに有しており、その助けを借りて、コントローラは、上述のポンプ-患者-経路バブルアラート条件を決定することができることがさらに分かる。
【0036】
ここで図4を参照すると、図4は、ポンプアセンブリ104を示しており、ポンプアセンブリ104は、図2および図3のポンプアセンブリ4と比較して代替的な実施形態である。ポンプアセンブリ4との唯一の相違点は、図4のポンプアセンブリ104が、ポンプアセンブリ4のリザーバポンプ-経路バブル検出器14を有しておらず、また、ポンプ-患者-経路バブル検出器15を有していないことである。その代わりに、ポンプアセンブリ104は、第1のポンプ11の第1のノズル91に配置されている上述の第1のポンプ-ノズルバブル検出器16と、第2のポンプ12の第2のノズル92に配置されている上述の第2のポンプ-ノズルバブル検出器17とを有する。第1のポンプ-ノズルバブル検出器16の助けを借りて、コントローラは、上述の第1のポンプ-ノズルバブルアラート条件を決定することができる。第2のポンプ-ノズルバブル検出器17の助けを借りて、コントローラは、上述の第2のポンプ-ノズルバブルアラート条件を決定することができる。
【0037】
第1のノズル91および第2のノズル92にそれぞれ第1のポンプ-ノズルバブル検出器16および第2のポンプ-ノズルバブル検出器17を配置すること(図4)は、リザーバポンプ流体経路構造体10およびポンプ-患者流体経路構造体20にそれぞれリザーバポンプ-経路バブル検出器14およびポンプ-患者-経路バブル検出器15を配置すること(図2図3)と比較して、ウェアラブル注入デバイス1のさまざまなパーツの互いに対するよりコンパクトな配置を可能にする。
【0038】
本発明は、多くのさまざまな状況における、リザーバポンプ-経路バブルアラート条件、ポンプ-患者-経路バブルアラート条件、第1のポンプ-ノズルバブルアラート条件、および第2のポンプ-ノズルバブルアラート条件の検出の発生に応答して多くのさまざまな方式で、第1のプランジャー31および/または第2のプランジャー32および/または第1のバルブ51および/または第2のバルブ52および/またはリザーバセレクターバルブ53を制御するための多くのさまざまな方式でコントローラ8が構成されることを可能にする。
【0039】
本発明は、先述の説明においておよび図面の図において、詳細に説明および例示されてきたが、そのような説明および例示は、模範的なおよび/または例示的なものであると考えられるべきであり、制限的なものではないと考えられるべきである。すなわち、本発明は、開示されている実施形態に限定されない。
【0040】
たとえば、示されている例では、ウェアラブル注入デバイス1は、注入液体を保持するための2つのリザーバを有する。その代わりに、本発明によるウェアラブル注入デバイスは、1つのみのそのようなリザーバまたは3つ以上のそのようなリザーバを有することも可能である。さらに、示されている例では、ウェアラブル注入デバイス1は、2つのポンプ11および12ならびに2つのバルブ51および52を有する。その代わりに、本発明によるウェアラブル注入デバイスは、そのようなポンプの3つ以上、および、そのようなバルブの3つ以上を有することも可能である。さらに、示されている例では、ウェアラブル注入デバイス1は、リザーバポンプ-経路バブル検出器14およびポンプ-患者-経路バブル検出器15を有するか、または、第1のポンプ-ノズルバブル検出器16および第2のポンプ-ノズルバブル検出器17を有するかのいずれかである。その代わりに、本発明によるウェアラブル注入デバイスは、これらの4つの検出器のさまざまな選択または組合せ、たとえば、検出器14のみ、検出器16および17のみ、検出器14、16、および17の組合せ、検出器14、15、16、および17の組合せを有することも可能である。また、これらのまたは他の検出器のうちの1つまたは複数の追加的な検出器が、さまざまな場所に追加されてもよい。
【0041】
図1図4において使用される参照記号は、本発明の上述の部分および態様、ならびに、関連の部分および態様を、以下の様式で指す。
【符号の説明】
【0042】
1 ウェアラブル注入デバイス
2 少なくとも1つのリザーバの第1のリザーバ
3 少なくとも1つのリザーバの第2のリザーバ
4 ポンプアセンブリ
5 エネルギー供給源
6 プランジャー駆動メカニズム
7 向き検出器
8 コントローラ
10 リザーバポンプ流体経路構造体
11 第1のポンプ
12 第2のポンプ
14 リザーバポンプ-経路バブル検出器
15 ポンプ-患者-経路バブル検出器
16 第1のポンプ-ノズルバブル検出器
17 第2のポンプ-ノズルバブル検出器
20 ポンプ-患者流体経路構造体
21 第1のポンプハウジング
22 第2のポンプハウジング
31 第1のプランジャー
32 第2のプランジャー
41 第1のポンプチャンバ
42 第2のポンプチャンバ
51 第1のバルブ
52 第2のバルブ
53 リザーバセレクターバルブ
61 (第1のバルブ51の)第1のリザーバポート
62 (第2のバルブ52の)第2のリザーバポート
63 (リザーバセレクターバルブ53の)第1のリザーバ選択ポート
71 (第1のバルブ51の)第1のポンプポート
72 (第2のバルブ52の)第2のポンプポート
73 (リザーバセレクターバルブ53の)ポンプ側接続ポート
81 (第1のバルブ51の)第1の患者ポート
82 (第2のバルブ52の)第2の患者ポート
83 (リザーバセレクターバルブ53の)第2のリザーバ選択ポート
91 第1のノズル
92 第2のノズル
104 代替的なポンプアセンブリ
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】