(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-12
(54)【発明の名称】マルチシーン熱湿快適性機能編地及びその調製方法
(51)【国際特許分類】
D04B 1/16 20060101AFI20240705BHJP
D02G 3/04 20060101ALI20240705BHJP
D02G 3/22 20060101ALI20240705BHJP
D01F 1/10 20060101ALI20240705BHJP
D01F 6/92 20060101ALI20240705BHJP
D04B 1/02 20060101ALI20240705BHJP
【FI】
D04B1/16
D02G3/04
D02G3/22
D01F1/10
D01F6/92 301M
D01F6/92 301Q
D04B1/02
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024500586
(86)(22)【出願日】2021-07-06
(85)【翻訳文提出日】2024-02-26
(86)【国際出願番号】 CN2021104848
(87)【国際公開番号】W WO2023272758
(87)【国際公開日】2023-01-05
(31)【優先権主張番号】202110753735.1
(32)【優先日】2021-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524007790
【氏名又は名称】ドンガン ベスト パシフィック テキスタイル リミテッド
【氏名又は名称原語表記】DONGGUAN BEST PACIFIC TEXTILE LTD
【住所又は居所原語表記】Xinsha Port Industrial Zone, Machong Town Dongguan, Guangdong 523000 (CN)
(74)【代理人】
【識別番号】110003487
【氏名又は名称】弁理士法人東海特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フー,ジュンヤン
(72)【発明者】
【氏名】ジャイ,グオジュン
(72)【発明者】
【氏名】ジャオ,シャオジュアン
(72)【発明者】
【氏名】チェン,チャンロン
(72)【発明者】
【氏名】リウ,リドン
(72)【発明者】
【氏名】ヘ,シャンデ
(72)【発明者】
【氏名】リー,ヤン
(72)【発明者】
【氏名】チェン,ビン
【テーマコード(参考)】
4L002
4L035
4L036
【Fターム(参考)】
4L002AA06
4L002AA07
4L002AA08
4L002AB02
4L002AC07
4L002BA01
4L002DA00
4L002EA01
4L002FA01
4L035EE01
4L035EE07
4L035KK05
4L036MA05
4L036MA33
4L036MA37
4L036MA39
4L036MA40
4L036PA21
4L036PA33
4L036PA46
4L036UA10
4L036UA25
(57)【要約】
本願では、マルチシーンに適用される、衣服面と肌密着面とを有する生地本体を含むマルチシーン熱湿快適性機能編地及びその調製方法を開示しており、前記生地本体は第1糸、第2糸を含む少なくとも2種類の糸を含み、そのうちの1種類の糸は光吸収発熱糸であり、第1糸のデニール数は第2糸のデニール数とは異なり、粗糸と細糸に分けられており、粗糸及び細糸の外部との接触距離は差別化されており、光吸収発熱糸が事前設定条件に基づいて生地本体の相応の領域に分布していることにより、放射エネルギーを吸収し、熱エネルギーに変換することのできる熱的快適性能と、液体水に対する生地両面における差別化された100%以上の湿気伝導能力(OWTC)とを有する生地本体を形成する。本発明は、低新陳代謝段階、高新陳代謝段階、運動後リカバリー段階を含む様々なシーンでの使用に適応することができ、異なる段階で異なる作用を果たすことで、着用の快適性を有効に向上させることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチシーンに適用される、衣服面と肌密着面とを有する生地本体を含むマルチシーン熱湿快適性機能編地において、前記生地本体は第1糸、第2糸を含む少なくとも2種類の糸を含み、そのうちの1種類の糸は光吸収発熱糸であり、第1糸のデニール数は第2糸のデニール数とは異なり、粗糸と細糸に分けられており、前記粗糸と前記細糸はD
粗:D
細≧1.2、F
粗:F
細≦0.9という構造関係を有し、D
粗は粗糸のデニール数を表し、D
細は細糸のデニール数を表し、F
粗は粗糸のフィラメント数を表し、F
細は細糸のフィラメント数を表しており、生地本体は粗糸と細糸を編んで成る若干の単位循環構造を有し、1つの単位循環構造中の粗糸と細糸は2.0≧m
粗:n
細≧0.3の比例間隔で配列され、かつm
粗≦2.0であり、n
細は細糸の数量を表し、m
粗は粗糸の数量を表し、かつ粗糸及び細糸は外部との接触距離が差別化されており、第1糸と第2糸が生地本体内で編まれて、放射エネルギーを吸収して熱エネルギーに変換する機能層を形成することにより、放射エネルギーを吸収し、熱エネルギーに変換することができる熱的快適性能と、液体水に対する生地両面における差別化された100%以上の湿気伝導能力(OWTC)とを有する生地本体を形成することを特徴とする、マルチシーン熱湿快適性機能編地。
【請求項2】
前記粗糸の水分伝達能力と前記細糸の水分伝達能力の比がLP
細:LP
粗≧1.2であることを特徴とする、請求項1に記載のマルチシーン熱湿快適性機能編地。
【請求項3】
前記生地本体は緯編み平織り構造であり、前記第1糸は粗糸であり、かつ該第1糸は光吸収発熱糸であり、または前記第2糸は細糸であり、かつ前記第2糸は光吸収発熱糸であることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載のマルチシーン熱湿快適性機能編地。
【請求項4】
前記生地本体は基礎両面構造であり、基礎両面構造とは、生地本体の衣服面と肌密着面の組織構造が同じであることを指し、前記第1糸は粗糸であり、かつ該第1糸は光吸収発熱糸であり、かつ第1糸としての光吸収発熱糸が前記生地本体の衣服面と肌密着面に分布しており、または前記第2糸は細糸であり、かつ該第2糸は光吸収発熱糸であり、かつ第2糸としての光吸収発熱糸が前記生地本体の衣服面と肌密着面に分布していることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載のマルチシーン熱湿快適性機能編地。
【請求項5】
前記光吸収発熱糸の生地本体における含有量は10%を上回り、好適には前記光吸収発熱糸の生地本体における含有量が25%を上回ることを特徴とする、請求項3に記載のマルチシーン熱湿快適性機能編地。
【請求項6】
前記光吸収発熱糸は前記生地本体の衣服面または肌密着面に設けられ、かつカバー率は20%を上回り、好適には前記光吸収発熱糸の衣服面または肌密着面におけるカバー率が30%を上回ることを特徴とする、請求項5に記載のマルチシーン熱湿快適性機能編地。
【請求項7】
前記光吸収発熱糸は、アクリル、ポリエステル及びナイロンの中の1種または数種が光吸収物質を添加されて光吸収発熱機能を有するようになった糸であることを特徴とする、請求項6に記載のマルチシーン熱湿快適性機能編地。
【請求項8】
前記生地本体の衣服面及び/または肌密着面に、ブラッシング、サンディング及びフリーシングによる毛の効果処理を行ってパイル層を形成することを特徴とする、請求項7に記載のマルチシーン熱湿快適性機能編地。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載のマルチシーン熱湿快適性機能編地の調製方法において、デニール数が異なる第1糸と第2糸を選択し、1種類の粗糸と1種類の細糸を形成し、第1糸または第2糸は光吸収発熱糸であり、第1糸と第2糸を編むことにより、放射エネルギーを吸収し、かつ熱エネルギーに変換することのできる熱的快適性能と、液体水に対する生地両面における差別化された100%以上の湿気伝導能力(OWTC)とを有する生地本体を形成し、光吸収発熱糸を生地本体の衣服面または肌密着面に分布させるステップと、
第1糸と第2糸はD
粗:D
細≧1.2、F
粗:F
細≦0.9という対応する構造関係を有しており、D
粗は粗糸のデニール数を表し、D
細は細糸のデニール数を表し、F
粗は粗糸のフィラメント数を表し、F
細は細糸のフィラメント数を表し、生地本体は粗糸と細糸を編んで成る若干の単位循環構造を有し、1つの単位循環構造中の粗糸と細糸は2.0≧m
粗:n
細≧0.3の比例間隔で配列され、かつm
粗≦2.0であり、n
細は細糸の数量を表し、m
粗は粗糸の数量を表し、粗糸と細糸の大小関係により、粗糸及び細糸の外部との接触距離を差別化し、生地本体両面が差別化された湿気伝導能力を有するよう形成されるステップと、を含むことを特徴とする、
調製方法。
【請求項10】
得られた前記生地本体の単方向湿気伝導能力はOWTC≧100%であり、合成繊維生地に対する液体蒸発速度は≧1.0ml/hr、セルロース繊維混紡生地に対する液体蒸発速度は≧0.5ml/hrであることを特徴とする、請求項9に記載の調製方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は紡織生地の技術分野に属し、具体的には光吸収発熱する、液体水に対する生地両面において差別化された湿気伝導速乾性を有するマルチシーン熱湿快適性機能編地及びその調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
生活水準の向上に伴い、消費者の生活における様相が多様化し、生活やレジャー、仕事での多くのシーンを素早く切り換える必要が生じており、様々なシーンの需要に対応可能な機能性生地に対する需要が非常に高くなっている。特に、秋冬物の生地に対しては、現在、どのようにして保温と放熱のバランスを取るかという研究が行われており、運動や美しさも直近の研究でさらに注目されている。
【0003】
保温については、特許202011623625.5、「五層構造の中空保温綿ポリエステル起毛生地及び編み方」では、第1面層、第2面層及び前記第1面層と前記第2面層を接続する空気層からなる五層構造の中空保温綿ポリエステル起毛生地を開示しており、前記第1面層は第1紡績糸及び第2紡績糸を含み、前記接続糸は前記第2紡績糸に接続され、前記第1紡績糸は前記空気層から遠い方の側に設置されており、前記第2面層は第3紡績糸及び第4紡績糸を含む。上記の保温生地は、生地の厚さを増すことによって実現されるが、厚さの増加は往々にして衣服の重量の増加をもたらし、また視覚的にも太って見える。どのようにして材料の単位当たり厚さの保温性を高めるかについては、すでに幅広く研究されており、例えば、中空ポリエステル繊維は保温性能と軽量化という特徴を持つ。起毛処理後の仕上げ工程では、生地の厚さを増やすと同時に、生地により多くの静止空気を含ませることで、生地の保温性能を強化している。衣服の生地に含まれる空気の体積が大きくなるほど、伝導で失われる熱量は少なくなり、保温効果が良くなる。空気は放射熱に対する遮断作用が良くないので、通常は、保温材料中の繊維体積を増やしたり、または赤外線に対する反射または吸収機能を有する材料を使用したりする。その内部構造中の空気の流動を減らし、比表面積の大きい材料を使用することで、空気流動をうまく阻止して放熱を減少させている。
【0004】
放熱について:周知のように、運動時には放熱機能を強化する必要があり、運動の過程で生じる余分な熱量が体内に蓄積すると発汗する。多くの先行研究でも、快適性に対する生地中の汗の伝達特性の影響が幅広く研究されている。
【0005】
特許出願201922433023.2の「単方向湿気伝導生地」では、防水内層、単方向湿気伝導点、生地裏層、生地表層及び親水外層を含む単方向湿気伝導生地が開示されており、防水内層と単方向湿気伝導点は最内層に位置し、人体と接触する。捺染工程により防水内層を生地裏層の内側に複合して単方向湿気伝導点とし、浸-圧-乾-焼工程によって親水外層を生地表層の最外側に複合し、単方向湿気伝導機能を実現している。
【0006】
特許出願201710056898.8の「弾性吸水速乾編地及びその用途」では、表層と裏層を有する編地を開示しており、表層、裏層の糸はいずれもポリエステル系弾性繊維であり、1つの構造循環中の裏層の少なくとも1本は2種類の異なる編み動作によるA部分とB部分から成り、前記B部分はループ編みではない動作により形成されており、編地の吸水速度は3秒以下で、表層と裏層の吸水拡散面積比は3.0以上、裏層の保水率は20%以下である。
【0007】
特許出願201811027306.0の「多機能単方向湿気伝導生地」では、多機能単方向湿気伝導両面ニットメッシュ布が開示されており、生地の裏層にはポリエチレン糸またはポリエチレン複合繊維糸、例えば:ポリエチレン/ポリアミド、ポリエチレン/ポリエステル、ポリエチレン/ポリプロピレンが使用され、タック織り法によって網目構造が形成される。外層は、吸水性の良い糸、例えば綿糸、麻糸、再生セルロース繊維糸、ポリエステル糸などを使用して平織りされ、生地外層の表面積は裏層より大きく、冷たくサラッとしており、単方向湿気伝導機能を有している。
【0008】
生活の中では、シーンの急速な転換、例えば(1)暖かいショッピングモールと寒い道路、(2)運動スペースと休憩室、(3)蒸し暑い厨房と快適な客室などの転換が常に生じる。シーン転換においては、常に温度の急速な変化が伴うので、マルチシーンの環境に適合し、人体の保温と放熱のバランスに対応できる生地で作られた衣服を開発する必要がある。既存の技術では、保温と発汗の手段について多くの研究がなされているが、マルチシーンの生活様式において、高新陳代謝状態における放熱発汗要求と低高新陳代謝状態における保温要求の相互バランスをどのように実現するかという点についての報道は少ない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明で解決しようとする技術的課題は、マルチシーン熱湿快適性機能編地及びその調製方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
技術的解決手段
マルチシーン熱湿快適性機能編地であって、マルチシーンに適用される生地本体を含み、生地本体は衣服面と肌密着面を有し、前記生地本体は第1糸、第2糸を含む少なくとも2種類の糸を含み、そのうちの1種類の糸は光吸収発熱糸である。第1糸のデニール数は第2糸のデニール数とは異なっており、粗糸と細糸に分けられる。前記粗糸と前記細糸はD粗:D細≧1.2、F粗:F細≦0.9という構造関係を有しており、D粗は粗糸のデニール数を表し、D細は細糸のデニール数を表し、F粗は粗糸のフィラメント数を表し、F細は細糸のフィラメント数を表す。生地本体は粗糸と細糸を編んで成る若干の単位循環構造を有し、1つの単位循環構造中の粗糸と細糸は2.0≧m粗:n細≧0.3の比例間隔で配列され、かつm粗≦2.0であり、n細は細糸の数量を表し、m粗は粗糸の数量を表し、かつ粗糸及び細糸は外部との接触距離が差別化されている。第1糸と第2糸が生地本体内で編まれて放射エネルギーを吸収して熱エネルギーに変換する機能層を形成することにより、放射エネルギーを吸収し、熱エネルギーに変換することができる熱的快適性能と、液体水に対する生地両面における差別化された100%以上の湿気伝導能力(OWTC)とを有する生地本体が形成される。
【0011】
さらなる手段として、前記粗糸の水分伝達能力と前記細糸の水分伝達能力の比はLP細:LP粗≧1.2である。
【0012】
さらなる手段として、前記生地本体は緯編み平織り構造であり、前記第1糸は粗糸であり、かつ該第1糸は光吸収発熱糸であり、または前記第2糸は細糸であり、かつ前記第2糸は光吸収発熱糸である。
【0013】
さらなる手段として、前記生地本体は基礎両面構造であり、基礎両面構造とは、生地本体の衣服面と肌密着面の組織構造が同じであることを指し、前記第1糸は粗糸であり、かつ該第1糸は光吸収発熱糸であり、かつ第1糸としての光吸収発熱糸が前記生地本体の衣服面及び肌密着面に分布しており、または前記第2糸は細糸であり、かつ該第2糸は光吸収発熱糸であり、かつ第2糸としての光吸収発熱糸が前記生地本体の衣服面及び肌密着面に分布している。
【0014】
さらなる手段として、前記光吸収発熱糸の生地本体における含有量は10%を上回り、好適には前記光吸収発熱糸の生地本体における含有量は25%を上回る。
【0015】
さらなる手段として、前記光吸収発熱糸は前記生地本体の衣服面または肌密着面に設けられ、かつカバー率は20%を上回り、好適には前記光吸収発熱糸の衣服面または肌密着面におけるカバー率は30%を上回る。
【0016】
さらなる手段として、前記光吸収発熱糸は、アクリル、ポリエステル及びナイロンの中の1種または数種が光吸収物質を添加されて光吸収発熱機能を有するようになった糸である。
【0017】
さらなる手段として、前記生地本体の衣服面及び/または肌密着面に、ブラッシング、サンディング及びフリーシングによる毛の効果処理を行ってパイル層を形成する。
【0018】
マルチシーン熱湿快適性機能編地の調製方法であって、以下のステップを含む。
【0019】
デニール数が異なる第1糸と第2糸を選択し、1種類の粗糸と1種類の細糸を形成し、第1糸または第2糸は光吸収発熱糸であり、第1糸と第2糸を編むことにより、放射エネルギーを吸収し、かつ熱エネルギーに変換することのできる熱的快適性能と、液体水に対する生地両面における差別化された100%以上の湿気伝導能力(OWTC)とを有する生地本体を形成し、光吸収発熱糸を生地本体の衣服面または肌密着面に分布させるステップ。
【0020】
第1糸と第2糸は、D粗:D細≧1.2、F粗:F細≦0.9という対応する構造関係を有しており、D粗は粗糸のデニール数を表し、D細は細糸のデニール数を表し、F粗は粗糸のフィラメント数を表し、F細は細糸のフィラメント数を表し、生地本体は粗糸と細糸を編んで成る若干の単位循環構造を有し、1つの単位循環構造中の粗糸と細糸は2.0≧m粗:n細≧0.3の比例間隔で配列され、かつm粗≦2.0であり、n細は細糸の数量を表し、m粗は粗糸の数量を表し、粗糸と細糸の大小関係により、粗糸と細糸の外部との接触距離を差別化し、生地本体両面が差別化された湿気伝導能力を有するよう形成するステップ。
【0021】
前記得られた生地本体の単方向湿気伝導能力はOWTC≧100%であり、合成繊維生地に対する液体蒸発速度は≧1.0ml/hr、セルロース繊維混紡生地に対する液体蒸発速度は≧0.5ml/hrである。
【発明の効果】
【0022】
有益な効果
本発明の生地は各種の衣服に幅広く応用することができ、着用過程においては、次のような異なる機能を有している。前記生地本体は放射エネルギーを吸収して熱エネルギーに変換すると同時に、生成された熱エネルギーを利用して生地表面の温度を上げる。それと同時に、湿的快適機能も有している。粗糸と細糸の外部との接触距離を差別化することで、生地に両面で伝達の差別化及び速乾という機能を持たせている。生地は着用過程において次のような異なる機能を有している。低新陳代謝段階では、熱量の放射形式での放散を減らし、かつ熱エネルギーに変換して生地の単位厚さ当たりの保温効果を高める。高新陳代謝段階では、生地の湿気伝導の違いにより、汗を体表から生地の外表面に排出しやすくして生地の裏地の爽やかさを向上させると同時に、高い生地表面温度を利用して液体水の蒸発速度を向上させるという効果も達成している。運動後のリカバリー段階では、湿気伝導の差と生地温度の上昇を利用することで、生地の乾燥過程を短縮することにさらに役立ち、運動後の冷たく湿った不快感のある時間を減らすことで、着用の快適性を高めている。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【0024】
【
図2】
図2は、本発明の実施例1の構造概略図である。
【0025】
【
図3】
図3は、本発明の実施例1の光蓄熱性能比較試験曲線である。
【0026】
【
図4】
図4は、本発明の実施例2の構造概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の最適な実施形態
本発明の特徴、技術手法及び達成される具体的な目的、機能の理解を深めるために、以下では、図面と具体的な実施形態を結び付けて、本発明についてさらに詳細に説明する。
【0028】
人々は衣服を着用する際に様々なシーンを経験するが、よくあるシーンとしては、下表に示すものがある。
【0029】
【0030】
上記の定義において、低運動量の運動とは、通常、散歩や軽い運動と見なすことができ、この時の運動量は、通常、人が発汗するという度合いには至らない。球技やジョギングなどの高運動量では、人体の皮膚上に液体の汗が形成される。
【0031】
上の表から、環境要素が変わらないと仮定した条件下で、どのようにして小さい生地の坪量及び厚さで高い保温効果を実現するか、汗をかいた状況で、どのようにして生地内面の爽やかさを保持し、高速かつ有効な蒸発により放熱効果を達成するか、リカバリー期にどのようにして素早く生地内の水分を蒸発させるかについて、これら目的を実現するためには、生地の熱抵抗を高めることが鍵となることがわかる。具体的原理分析:(1)環境条件が不変で、生地の厚さが不変または減少する前提では、熱量が対流と伝導により伝達される総量はほぼ不変であり、厚さが減少する情況では伝導放熱がさらに進む場合もあるので、放熱を減らすこと、特に生地の放射放熱を減らすことが、実行可能な方法の一つである。(2)それと同時に、エネルギー変換材料を利用して環境中の放射エネルギーを吸収し、感知可能な熱エネルギーに変換することで、保温効果を高めるというのも、一つのアプローチである。(3)汗をかくと生地内に水分が含まれるが、これらの液体水の存在により、もとの生地の断熱特性が破壊され、熱抵抗が下がり、放熱効果が強化される。しかし、運動を停止したリカバリー段階では、この特性が逆に湿った冷たさと身体に貼り付く感じを与え、風邪を引いてしまうことがよくある。そのため、生地の両面で異なる湿気伝導機能と上昇した温度により汗の蒸発を加速させ、生地の乾燥時間をさらに短縮することで、運動後のリカバリー段階で生地内の水分量を速く減らすことが第3のポイントとなる。
【0032】
このため、
図1に示すように、本願では、マルチシーンに適用される生地本体1を含むマルチシーン熱湿快適性機能編地を提供しており、生地本体1は衣服面と肌密着面を有し、前記生地本体は第1糸Y
1、第2糸Y
2を含む少なくとも2種類の糸を含み、そのうちの1種類は光吸収発熱糸であり、第1糸Y
1のデニール数は第2糸Y
2のデニール数とは異なっており、粗糸と細糸に分けられ、前記粗糸と前記細糸はD
粗:D
細≧1.2、F
粗:F
細≦0.9という構造関係を有しており、D
粗は粗糸のデニール数を表し、D
細は細糸のデニール数を表し、F
粗は粗糸のフィラメント数を表し、F
細は細糸のフィラメント数を表し、生地本体は粗糸と細糸を編んで成る若干の単位循環構造を有し、1つの単位循環構造中の粗糸と細糸は2.0≧m
粗:n
細≧0.3の比例間隔で配列され、かつm
粗≦2.0であり、n
細は細糸の数量を表し、m
粗は粗糸の数量を表し、かつ粗糸と細糸は外部との接触距離が差別化されており、第1糸Y
1と第2糸が生地本体内で編まれて放射エネルギーを吸収して熱エネルギーに変換する機能層を形成することにより、放射エネルギーを吸収し、熱エネルギーに変換することができる熱的快適性能と、液体水に対する生地両面における差別化された100%以上の湿気伝導能力(OWTC)とを有する生地本体を形成する。光吸収発熱糸は主に赤外線放射を吸収することができる。
【0033】
光吸収発熱糸を編み込んで生地本体を形成することで、光吸収発熱糸は外部環境または人体自身からの赤外線放射を受け取る。また、糸には太さの違いがあるため、皮膚表面に汗が存在すると、粗糸は液体に接触して伝達する機会が多いが、細糸が皮膚に接触する機会は少ない。そのため、液体水は粗糸から細糸へと拡散する。衣服面の液体水は粗糸と細糸の中で共に蒸発するので、該構造の生地の水分蒸発は生地の両面で差が生じ、それによって液体水の生地両面での伝達に差が生じる。もう一つの利点として、粗糸が細糸によって離間されているので、肌密着面の水は細糸を通って拡散することができ、それによって皮膚が湿った糸に接触する機会が減り、爽快な感覚が向上する。
【0034】
前記粗糸の水分伝達能力と前記細糸の水分伝達能力の比はLP細:LP粗≧1.2であり、該比例の限定内で、全体の水分伝達性を確保することができる。
【0035】
生地の具体的な構造については、生地本体は緯編み平織り構造であり、前記第1糸Y1は粗糸であり、かつ該第1糸Y1は光吸収発熱糸であり、または前記第2糸Y2は細糸であり、かつ該第2糸Y2は光吸収発熱糸である。
【0036】
または、前記生地本体は基礎両面構造であり、基礎両面構造とは、生地本体の衣服面と肌密着面の組織構造が同じであることを指し、前記第1糸Y1は粗糸であり、かつ該第1糸Y1は光吸収発熱糸であり、かつ第1糸Y1としての光吸収発熱糸が前記生地本体の衣服面と肌密着面に分布しており、または前記第2糸Y2は細糸であり、かつ該第2糸Y2は光吸収発熱糸であり、かつ第2糸Y2としての光吸収発熱糸が前記生地本体の衣服面と肌密着面に分布している。
【0037】
また、前記光吸収発熱糸は、アクリル、ポリエステルまたはナイロンなどが光吸収物質を添加されて光吸収発熱機能を得た糸、または上記の材質の混紡糸であり、好適には赤外線吸収発熱糸及びフルスペクトル光吸収発熱糸である。光吸収発熱糸の最終製品における昇温保温と蒸発加速の効果を保証するために、光吸収発熱糸の生地本体の衣服面または肌密着面におけるカバー率は20%を上回り、好適には30%であり、または生地本体内の含有量は10%を上回り、好適には25%を上回る。これにより、赤外線光吸収発熱糸が生地の中で十分顕著に放射エネルギーを吸収し、かつ放射を熱エネルギーに変換して生地の温度を上げる効果を実現することができる。
【0038】
全体的に言うと、光吸収発熱糸については、生地本体の内部、衣服面または肌密着面に分布することができ、または異なる表面に同時に存在することができる。インナー製品には内表面に応用することが好ましく、アウター生地には外表面に応用することが好ましく、人体や太陽からの赤外線放射エネルギーをより有効に吸収する助けとなる。
【0039】
光吸収発熱糸の材質は、アクリル、ポリエステルまたはナイロンなどが光吸収物質を添加されて光吸収発熱機能を得た糸、または上記の材質と他の繊維や綿などとの混紡糸であり、その特徴は、同じ規格の普通のポリエステル糸で作られた緯編み平織り生地と比較して、前記光吸収発熱糸の同一規格の生地は、GB/T 18319-2019標準に基づいて20分間継続して光を照射した際の平均温度は、ポリエステル基準サンプルに比べて少なくとも1.5℃高い。
【0040】
さらなる手段として、前記生地本体の衣服面及び/または肌密着面に、ブラッシング、サンディング及びフリーシングによる毛の効果処理を行ってパイル層を形成する。
【0041】
上記の手段では、粗糸と細糸の構造関係の限定、及び編む際の粗糸と細糸の間隔配列の関係を通して、基礎緯編み平織り生地構造を例として、1つの単位循環構造の中に粗糸と細糸を2.0≧m粗:n粗≧0.3の間隔で配列しており、かつm粗≦2.0、n粗≦6.0である。
【0042】
前記粗糸の水分伝達能力と前記細糸の水分伝達能力の比はLP細:LP粗≧1.2で、かつD粗:D細≧1.2、F粗:F細≦0.9である。該特定比率の限定によって、生地中の液体水の伝達を制御することをよりうまく実現し、肌密着面の水分の集中を減少させ、肌の爽快感を向上させることができる。
【0043】
また、具体的な編み方として、マルチシーン熱湿快適性機能編地の調製方法は、以下のステップを含む。
【0044】
デニール数が異なる第1糸Y1と第2糸Y2を選択し、1種類の粗糸と1種類の細糸を形成し、第1糸Y1または第2糸Y2は光吸収発熱糸であり、第1糸Y1と第2糸Y2を編むことにより、放射エネルギーを吸収し、かつ熱エネルギーに変換することのできる熱的快適性能と、液体水に対する生地両面における差別化された100%以上の湿気伝導能力(OWTC)とを有する生地本体を形成し、光吸収発熱糸を生地本体の衣服面または肌密着面に分布させるステップ。
【0045】
第1糸Y1と第2糸Y2はD粗:D細≧1.2、F粗:F細≦0.9という対応する構造関係を有しており、D粗は粗糸のデニール数を表し、D細は細糸のデニール数を表し、F粗は粗糸のフィラメント数を表し、F細は細糸のフィラメント数を表し、生地本体は粗糸と細糸を編んで成る若干の単位循環構造を有し、1つの単位循環構造中の粗糸と細糸は2.0≧m粗:n細≧0.3の比例間隔で配列され、かつm粗≦2.0であり、n細は細糸の数量を表し、m粗は粗糸の数量を表し、粗糸と細糸の大小関係により、粗糸と細糸の外部との接触距離を差別化し、生地本体両面が差別化された湿気伝導能力を有するよう形成するステップ。
【0046】
前記得られた生地本体の単方向湿気伝導能力はOWTC≧100%であり、合成繊維生地に対する液体蒸発速度は≧1.0ml/hr、セルロース繊維混紡生地に対する液体蒸発速度は≧0.5ml/hrである。
【0047】
以下では、具体的な実施例を挙げて説明する。
【0048】
実施例1
【0049】
図2及び
図3に示すように、生地本体は、第1糸Y
1としてのポリエステル75D/30Fの粗糸と、第2糸Y
2としてのポリエステル50D/60Fの細糸とを編んで片面平織り生地を形成したものである。そのうち、細糸には光吸収発熱糸を採用し、粗糸は非光吸収発熱糸である。粗糸の水分伝達能力と細糸の水分伝達能力の比はLP
細:LP
粗≧1.2であり、かつD
粗:D
細=1.5なので、1.2より大きいという条件を満たしており、F
粗:F
細=0.5なので、0.9より小さいという条件を満たしている。1つの単位循環構造中に粗糸と細糸が2.0≧m
粗:n
細≧0.3の比例間隔で配列されており、本実施例では、m
粗=1、n
細=1で、マルチシーン熱的快適性能と、液体水に対する生地両面における差別化された100%以上の湿気伝導能力(OWTC)とを有する生地本体を形成している。この時、光吸収発熱糸(細糸、即ち第2糸Y
2)の生地本体における含有量は72%であり、光吸収発熱糸は同時に衣服面と肌密着面に分布し、かつ衣服面と肌密着面のカバー率はいずれも52%である。
【0050】
GB/T 18319-2019標準を参照して光を20分間持続的に照射して行う蓄熱試験の比較は以下の通りである。
【0051】
比較サンプル:第1糸Y1と第2糸Y2にいずれもポリエステル75D/30Fの粗糸を採用して編んだ平織り緯編み構造の生地であって、該比較サンプルの蓄熱試験データは表2の通りである。
【0052】
【0053】
本願の実施例1の蓄熱試験データは表3に示す通りである。
【0054】
【0055】
上記の実験データから、まず平織り緯編み構造で該糸に対する性能確定を行い、同じ規格の普通のポリエステル糸で作られた緯編み平織りの織物と比較すると、光吸収発熱糸の同一規格の生地にGB/T 18319-2019標準を参照して光を持続的に20分間照射した時の平均温度は、ポリエステル基準サンプルの温度より2.5℃高く、少なくとも1.5℃高いという要求を満たしていることがわかる。
【0056】
光吸収発熱糸は、織物の肌密着面であろうと衣服面であろうと、環境や人体自身からの光線放射を受け取ることができる。生地本体は、放射エネルギーを吸収して熱エネルギーに変換すると同時に、発生する熱エネルギーを利用して生地本体表面の温度を上昇させ、それによって蒸発効率を高めて、速乾の機能目的を実現することができる。
【0057】
同時に、糸には太さの違いがあるため、皮膚表面に汗が存在する時は、粗糸は液体に接触して伝達する機会が多いが、細糸が皮膚に接触する機会は少ない。そのため、液体水は粗糸から細糸へと拡散する。織物の衣服面の液体水は粗糸と細糸の中で共に蒸発するので、該構造の織物の水分蒸発は織物の両面で差があり、それによって液体水の織物両面間の伝達に差が生じる。もう一つの利点として、粗糸が細糸によって離間されているので、肌密着面の水は細糸を通って拡散する必要があり、それによって皮膚が湿った糸に接触する機会が減り、爽快な感覚が向上して、液体水の織物両面における伝達の差別化と速乾という機能を実現している。
【0058】
本実施例では、編地を標準AATCC 195「Liquid Moisture Management Properties of Textile Fabrics 紡織品の液体水分管理性能」に基づいて測定している。今回測定した生地本体の単方向湿気伝導能力OWTC(one way transport capability)は205%であった。
【0059】
本実施例で、編地を標準AATCC 201に基づいて測定したところ、その液体水蒸発速度は1.32ml/hrであった。
【0060】
実施例2
【0061】
図4に示すように、生地本体は、第1糸Y
1としてのポリエステル50D/48Fの粗糸と、第2糸Y
2としてのポリエステル40D/72Fの細糸を編んで両面平織り生地を形成したものである。そのうち、細糸には光吸収発熱糸を採用している。本実例において、粗糸の水分伝達能力と細糸の水分伝達能力の比はLP
細:LP
粗≧1.2であり、かつD
粗:D
細=1.25で、F
粗:F
細=0.667なので、いずれも限定条件内にある。1つの単位循環構造中に粗糸と細糸が2.0≧m
粗:n
細≧0.3の比例間隔で配列されており、本実施例では、m
粗=1、n
細=1で、熱的快適性能と、液体水に対する織物両面における差別化された100%以上の湿気伝導能力(OWTC)とを有する生地本体を形成している。この時、光吸収発熱糸の生地本体における含有量は68%であり、光吸収発熱糸は生地本体の衣服面と肌密着面に分布しており、かつカバー率はいずれも48%である。
【0062】
本実施例では、編地を標準AATCC 195「Liquid Moisture Management Properties of Textile Fabrics 紡織品の液体水分管理性能」に基づいて測定している。今回測定した生地本体の単方向湿気伝導能力OWTC(one way transport capability)は270%であった。本実施例で、編地を標準AATCC 201に基づいて測定したところ、その液体水蒸発速度は1.21ml/hrであった。
【0063】
同様に、GB/T 18319-2019標準を参照し、20分間の蓄熱試験の比較を行った。光吸収発熱糸は、織物の肌密着面であろうと衣服面であろうと、環境または人体自身からの光線放射を受け取ることができる。生地本体は、放射エネルギーを吸収して熱エネルギーに変換すると同時に、発生する熱エネルギーを利用して生地本体表面の温度を上昇させるので、同じ規格の普通のポリエステル糸で作られた緯編み平織りの織物と比較すると、光吸収発熱糸の同一規格の生地は、GB/T 18319-2019標準に基づく20分間の平均温度が、ポリエステル基準サンプルに比べて少なくとも1.5℃高い。
【0064】
以上のように、生地本体は着用過程において次のような異なる機能を有している。即ち、低新陳代謝段階では、熱量の放射形式での放散を減らし、かつ熱エネルギーに変換して織物の単位厚さ当たりの保温効果を高める。高新陳代謝段階では、織物の湿気伝導の違いにより、汗を体表から織物の外表面に排出しやすくして織物の裏地の爽快さを向上させると同時に、液体水の蒸発速度を上げる。運動後のリカバリー段階では、湿気伝導の差と織物温度の上昇を利用することで、織物の乾燥過程を短縮し、運動後の冷たく湿った不快感を減らすことにさらに役立つ。
【0065】
説明しておかなければならないが、上で述べているのは本発明の好適な実施例であって、本発明を限定するためのものではない。実施例を参照して本発明を詳細に説明してきたが、当業者であれば、前述の実施例に記載された技術手法を修正したり、またはその中の一部の技術的特徴に対して同等の置換を行ったりすることはできるものの、本発明の主旨及び原則内で行われる修正、同等の置換、改良などは、すべて本発明の保護範囲内に含まれるものとする。
【手続補正書】
【提出日】2024-06-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
衣服面と肌密着面とを有する生地本体を含むマルチシーン熱湿快適性機能編地において、前記生地本体は
、少なくとも2種類の糸
、(1)第1糸Y
1
及び(2)第2糸Y
2
を含み、
かつそのうちの
1つの糸は光吸収発熱糸であり、第1糸のデニール数は第2糸のデニール数とは異なり、粗糸と細糸に分けられており、前記粗糸と前記細糸
にはD
粗:D
細≧1.2、F
粗:F
細≦0.9
の糸が採用されており、かつ1つの単位循環構造中の前記粗糸と前記細糸は2.0≧m粗:n細≧0.3の比例間隔で配列され、かつm
粗≦2.0
、n
細
≦6.0であり、
式中のmはデニール数の大きい糸、nはデニール数の小さい糸であり、放射エネルギーを吸収し、熱エネルギーに変換することができる熱的快適性能と、液体水
の織物両面
で差別化された100%以上の湿気伝導能力(OWTC)とを有する
前記速乾生地本体
として編まれていることを特徴とする、マルチシーン熱湿快適性機能編地。
【請求項2】
前記粗糸の
糸水分伝達能力と前記細糸の
糸水分伝達能力の比がLP
細:LP
粗≧1.2であることを特徴とする、請求項1に記載のマルチシーン熱湿快適性機能編地。
【請求項3】
その構造は緯編み平織り
であってよく、前記第1糸
Y
1
は粗糸であり、かつ
m
粗
には光吸収発熱糸
が採用されているか、
或いは、前記第2糸
Y
2
は細糸であり、かつ
n
細
には光吸収発熱糸
が採用されていることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載のマルチシーン熱湿快適性機能編地。
【請求項4】
その構造は基礎両面構造で
あってよく、前記第1糸
Y
1
は粗糸であり、かつ
m
粗
には光吸収発熱糸
が採用され、前記光吸収発熱糸が前記生地本体の衣服面
及び肌密着面に分布して
いるか、
或いは、前記第2糸
Y
2
は細糸であり、かつ
n
細
には光吸収発熱糸
が採用され、前記光吸収発熱糸が前記生地本体の衣服面
及び肌密着面に分布していることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載のマルチシーン熱湿快適性機能編地。
【請求項5】
前記光吸収発熱糸の
織物中の含有量は10%を上回り、好適には前記光吸収発熱糸の
織物中の含有量が25%を上回ることを特徴とする、請求項
1~4のいずれか一項に記載のマルチシーン熱湿快適性機能編地。
【請求項6】
前記光吸収発熱糸は前記生地本体の衣服面または肌密着面に
あり、かつカバー率は20%を上回り、好適には前記光吸収発熱糸の
織物中のカバー率が30%を上回ることを特徴とする、請求項5に記載のマルチシーン熱湿快適性機能編地。
【請求項7】
前記光吸収発熱糸
が、アクリル、ポリエステル
またはナイロン
などが光吸収物質を添加されて光吸収発熱機能を
得た糸、または上記の材質の混紡糸であることを特徴とする、請求項
1~6
のいずれか一項に記載のマルチシーン熱湿快適性機能編地。
【請求項8】
前記生地本体の
少なくとも1つの面に、ブラッシング、サンディング及びフリーシングによる毛の効果処理を行って
、織物の保温特性及び手触りを
向上させることを特徴とする、請求項
1または請求項7に記載のマルチシーン熱湿快適性機能編地。
【請求項9】
その単方向湿気伝導能力はOWTC≧100%
(AATCC 195、GB21655.2)であり、合成繊維生地に対する液体蒸発速度は≧1.0ml/hr、セルロース繊維混紡
織物に対する液体蒸発速度は≧0.5ml/hr
(AATCC 201)である
、請求項
1または請求項7に記載の
マルチシーン熱湿快適性機能編地。
【国際調査報告】