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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-12
(54)【発明の名称】眼鏡のためのディスプレイシステム
(51)【国際特許分類】
   G02B 27/02 20060101AFI20240705BHJP
【FI】
G02B27/02 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024500593
(86)(22)【出願日】2022-07-12
(85)【翻訳文提出日】2024-01-12
(86)【国際出願番号】 US2022073653
(87)【国際公開番号】W WO2023288229
(87)【国際公開日】2023-01-19
(31)【優先権主張番号】63/203,174
(32)【優先日】2021-07-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521245463
【氏名又は名称】エイヴギャント コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110001656
【氏名又は名称】弁理士法人谷川国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】イーシュ,アーロン マシュー
(72)【発明者】
【氏名】グロス,アンドリュー ジョン
(72)【発明者】
【氏名】タング,エドワード チア ニン
(72)【発明者】
【氏名】ウェルチ アイアイアイ,ウォーレン,コーニーリアス
(72)【発明者】
【氏名】ウエストラ,クリストファー,デビッド
【テーマコード(参考)】
2H199
【Fターム(参考)】
2H199CA04
2H199CA12
2H199CA24
2H199CA27
2H199CA30
2H199CA32
2H199CA48
2H199CA53
2H199CA68
(57)【要約】
ヘッドマウントデバイス(HMD)用のディスプレイシステムであって、HMDのレンズ上の表示領域を備えるレンズであって、底角及び装用時前傾斜を有するレンズと、ディスプレイエンジン及び光学系と、光学系からの出力をHMDのレンズ上の表示領域に向け直して、底角及び装用時前傾斜を考慮するプリズムと、を含むディスプレイシステム。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズを含むヘッドマウントデバイス(HMD)のためのディスプレイシステムであって、
前記HMDの前記レンズ上の表示領域であって、前記レンズが、底角及び装用時前傾斜を有する、表示領域と、
画像を生成するためのディスプレイエンジン及び光学系であって、前記光学系の出力が光軸を有する、ディスプレイエンジン及び光学系と、
前記光学系からの前記出力を前記HMDの前記レンズ上の前記表示領域に向け直すプリズムであって、前記底角、前記装用時前傾斜、及び前記光軸に基づいて合成角を考慮する、プリズムと、を備える、ディスプレイシステム。
【請求項2】
前記プリズムが、色収差に対処するように設計される、請求項1に記載のディスプレイシステム。
【請求項3】
前記プリズムが、色消しプリズムである、請求項2に記載のディスプレイシステム。
【請求項4】
前記色消しプリズムが、3つのウェッジを備える、請求項3に記載のディスプレイシステム。
【請求項5】
前記プリズムが、トリミングされる、請求項3に記載のディスプレイシステム。
【請求項6】
前記プリズムが、屈折/回折プリズムである、請求項2に記載のディスプレイシステム。
【請求項7】
前記プリズムの入射面が、屈折面であり、前記プリズムの出射面が、回折面である、請求項6に記載のディスプレイシステム。
【請求項8】
前記プリズムに近接して位置決めされた導波路であって、前記プリズムが、前記画像を前記導波路の入力結合器に向けるように構成され、前記導波路が、前記出力をユーザに向けるように構成される、導波路と、を更に備える請求項1に記載のディスプレイシステム。
【請求項9】
前記プリズムが、第1の色のための第1のプリズムと、第2の色のための第2のプリズムとを備える、請求項1に記載のディスプレイシステム。
【請求項10】
前記第1の色が、赤色及び青色を含み、前記第2の色が、緑色を含む、請求項9に記載のディスプレイシステム。
【請求項11】
前記プリズムが、第3の色のための第3のプリズムを含む、請求項9に記載のディスプレイシステム。
【請求項12】
前記第1の色のための第1の導波路と、
前記第2の色のための第2の導波路と、を更に備える、請求項9に記載のディスプレイシステム。
【請求項13】
レンズを含む拡張現実ヘッドマウントデバイス(HMD)のためのディスプレイシステムであって、
入力結合器及び出力結合器を含む導波路であって、前記出力結合器が、前記HMDの前記レンズ上に表示領域を含む、導波路と、
画像を生成するためのディスプレイエンジン及び光学系であって、前記光学系の前記出力が光軸を有する、ディスプレイエンジン及び光学系と、
前記光学系からの前記画像を前記導波路の前記入力結合器に向け直すプリズムであって、底角、前記出力結合器の装用時前傾斜、及び前記光軸に基づいて合成角を考慮する、プリズムと、を備える、ディスプレイシステム。
【請求項14】
前記プリズムが、色収差に対処するように設計される、請求項13に記載のディスプレイシステム。
【請求項15】
前記プリズムが、色消しプリズムである、請求項14に記載のディスプレイシステム。
【請求項16】
前記色消しプリズムが、3つのウェッジを備える、請求項15に記載のディスプレイシステム。
【請求項17】
前記プリズムが、屈折/回折プリズムであり、前記プリズムの入射面が、屈折面であり、前記プリズムの出射面が、回折面である、請求項13に記載のディスプレイシステム。
【請求項18】
前記プリズムが、前記画像内の異なる色のための複数のプリズムを含む、請求項13に記載のディスプレイシステム。
【請求項19】
前記導波路が、前記異なる色のための複数の導波路を含み、前記複数のプリズムの各々が、関連付けられた導波路を有する、更に備える、請求項18に記載のディスプレイシステム。
【請求項20】
拡張ヘッドマウントデバイス(HMD)のためのディスプレイシステムであって、
アームと、
底角及び装用時前傾斜を有するレンズと、
前記レンズ上の導波路であって、前記導波路が、拡張現実画像を表示するためのアウト結合器を有する、導波路と、
画像を生成するためのディスプレイエンジン及び光学系であって、前記光学系の出力が光軸を有する、ディスプレイエンジン及び光学系と、
前記アウト結合器によってアウト結合された前記画像が表示のための正しい角度にあるように、前記光軸から変更された角度で、前記光学系からの前記出力を前記導波路のイン結合器に向けるプリズムであって、前記プリズムが、前記底角、前記装用時前傾斜、及び前記光軸に基づいて合成角度によって前記画像の前記角度を変更するように設計されている、プリズムと、を備える、ディスプレイシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、2021年7月12日に出願された米国特許仮出願第63/203,174号の優先権を主張し、その出願全体を組み込む。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、ディスプレイに関し、より具体的には、光エンジン及び光学系の位置を画像位置から分離することに関する。
【背景技術】
【0003】
ヘッドマウントデバイス(head-mounted device、HMD)では、ディスプレイ、照明及び投影光学系、並びに画像が投影される場所の構成を設定することは複雑である。
【0004】
図1Aは、典型的なディスプレイ110、光学系120、及び画像出力130を例示する。一般に、照明及び投影光学系は一列に並んでおり、光学系の出力はユーザに表示される。
【0005】
図1B及び図1Cは、照明及び投影光学系150を有する典型的なディスプレイ140を例示しており、その出力は導波路160に入力される。これにより、画像出力170をディスプレイ140及び光学系150の位置から変位させることができる。図1Cに見られるように、光学系150の出力がある角度で導波路160にイン結合されるとき、導波路160からアウト結合された光も同様にある角度で出る。
【図面の簡単な説明】
【0006】
本発明は、添付の図面の図において、限定としてではなく例として例示され、同様の参照番号は同様の要素を指す。
図1A】従来技術の標準的なディスプレイエンジンの一実施形態の図である。
図1B】導波路を有する従来技術の標準的なディスプレイエンジンの一実施形態の図である。
図1C】光がある角度で入射するときの、導波路を有する従来技術の標準的なディスプレイエンジンの一実施形態の図である。
図2】光学系の位置と比較して角度の付いた出力を提供するプリズムを有するディスプレイエンジンの一実施形態の図である。
図3A】色消しプリズムを含むシステムの一実施形態の図である。
図3B】色消しプリズムを有するシステムの別の実施形態の図である。
図4A】色消しプリズムの実施形態の図である。
図4B】色消しプリズムの実施形態の図である。
図4C】色消しプリズムの実施形態の図である。
図5A】光パワーを有する色消しプリズムを有するシステムの一実施形態の図である。
図5B】屈折回折プリズムを有するシステムの一実施形態の図である。
図5C
図6】プリズム及び導波路を有するシステムの一実施形態の図である。
図7A】色消しプリズムを使用する、2つの射出瞳を有するシステムの一実施形態の図である。
図7B】レーザ照明を有する2つの射出瞳を有するシステムの一実施形態の図である。
図8A】色分離射出瞳を有するシステムの一実施形態の図である。
図8B】色分離射出瞳を有するシステムの一実施形態の図である。
図9A】導波路を利用する、2つの射出瞳を有するシステムの一実施形態の図である。
図9B】2つの導波路を利用する2つの射出瞳を有するシステムの一実施形態の図である。
図10】プリズム設計システムを利用する一実施形態のフロー図である。
図11A】本システムを示す眼鏡の一実施形態の図である。
図11B】本システムを示す眼鏡の一実施形態の図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本システムは、表示画像の位置からのディスプレイ及び光学系の変位を可能にするヘッドマウントディスプレイのための設計を提供する。プリズムを使用して出射ビーム角をシフトさせ、したがって出力画像の位置をシフトさせる。一実施形態では、プリズムは、出力軸がシステムの残りの軸と整列しないように、画像をシフトするように設計される。一実施形態では、色消しプリズムが使用される。
【0008】
設計は、装用時前傾斜及び底角を有するレンズへの表示を考慮し、ヘッドマウントデバイス(HMD)形状ファクタにおける表示を可能にする。一実施形態では、これは、ディスプレイシステムが、良好な光学性能を提供しながら、眼鏡形状ファクタに適合することを可能にする。一実施形態では、色収差を回避するために色消しプリズムが使用される。別の実施形態では、屈折面及び回折面を有するプリズムが使用される。一実施形態では、色消しプリズムにパワーを加えることができる。一実施形態では、プリズムから向け直された光は、導波路を通してユーザの眼に向けられてもよい。一実施形態では、システムは、異なる色のための複数の射出瞳を含み得、各射出瞳のための別個のプリズムを有する。
【0009】
本発明の実施形態の以下の詳細な説明は、同様の参照番号が同様の要素を示し、本発明を実施する特定の実施形態を例示として示す添付の図面を参照する。これらの実施形態の説明は、当業者が本発明を実施することを可能にするのに十分に詳細である。当業者は、他の実施形態が利用されてもよく、ロジック的、機械的、電気的、機能的、及び他の変更が、本発明の範囲から逸脱することなく行われてもよいことを理解する。したがって、以下の詳細な説明は、限定的な意味で解釈されるべきではなく、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ定義される。
【0010】
図11A及び図11Bは、拡張現実(augmented reality、AR)及び/又は仮想現実(virtual reality、VR)及び/又は複合現実(mixed reality、MR)ディスプレイを提供するように設計され得る眼鏡の一実施形態を例示する。画像は、一実施形態では、眼鏡のレンズに埋め込まれた導波路1150上に表示される。図から分かるように、導波路1150は、垂直角度ではなく、光学系1130と比較して合成角度である。この図では、光学系は眼鏡1100のアーム1110に埋め込まれている。他の実装形態では、光学系は、中心領域、目の上、又は他の場所に位置決めされ得る。しかしながら、いずれの構成においても、一般に、光学系1130の出力と、ディスプレイに使用される導波路又は他の素子のイン結合器との間に合成角度が存在する。基準平面からの光学系1130の出力の変位は、光軸角度(上部及び側部成分を有する)によって提示され得る。更に、レンズは一般に、上部(底角)及び側部(装用時前傾斜)の両方から角度が付けられる。3つの軸全てに沿って傾斜があってもよい。照明光学系1130の光軸からの導波路(又は他の表示素子)のイン結合器の全変位を構成する異なる角度の組み合わせは、合成角度と称される。したがって、本設計は、プリズムを使用して、合成角度に対応し、ディスプレイエンジン及び光学系の位置を最終画像ディスプレイの位置から分離する。この設計は、眼鏡、ゴーグル、又は他のディスプレイ構成を含む任意のヘッドマウントディスプレイに対応するのに十分に柔軟である。もちろん、これらの技術は、ディスプレイ及び照明/投影光学系が出力画像からある角度で配置される、眼鏡に関係のない形状ファクタにも適用可能である。
【0011】
図2は、光学系の位置と比較して角度の付いた出力を提供するプリズムを有するディスプレイエンジンの一実施形態の図である。この角度付き出力は、上述したように、照明及び投影光学系220の光軸と画像出力240の好ましい角度との間の合成角度に対応するように設計される。ディスプレイ210は、一実施形態では、発光ダイオード(light-emitting diode、LED)ディスプレイ、マイクロLEDディスプレイ、走査レーザディスプレイ、シリコン上液晶(Liquid Crystal on Silicon、LCoS)、デジタルマイクロミラーデバイス(digital micromirror device、DMD)、又は別のタイプのディスプレイを含み得る。ディスプレイ210の出力は、1つ以上の照明及び投影光学系220を通過する。このような光学系220の使用は、当技術分野で知られている。光学系220は、照明光学系、投影光学系、又は照明光学系と投影光学系の両方の組み合わせを含むことができる。光学系220は単純なブロックとして示されているが、当業者であれば、そのような光学系が様々なレンズ及びミラーを含み得ることを理解するであろう。一実施形態では、照明及び投影光学系に含まれる素子は、1つ以上のレンズ、ミラー、ホログラフィック光学素子、及び他の光学素子を含むことができる。
【0012】
光学系220の出力は、プリズム230に渡される。プリズム230は、光の出射角度を変化させて、出力画像240をディスプレイのための正しい角度に位置決めする。しかしながら、単一のプリズム230を使用することは、色収差などのいくつかの問題を引き起こし得る。システムは、これらの色収差に対処するためにプリズム230に対する様々な修正を利用することができる。プリズム230に対する例示的な修正を以下に説明する。
【0013】
図3Aは、色消しプリズムを含むシステムの一実施形態の図である。色消しプリズム330は、色収差なしに、照明及び投影光学系320からの光の角度の変化を可能にする。一実施形態では、色消しプリズム330は、互いに接合された、異なる屈折率を有する異なるタイプのガラスを有する複数のプリズムである。一実施形態では、使用されるガラス又は他の材料のタイプが、ウェッジの数を規定する。一実施形態では、色消しプリズムの形状、サイズ、及び材料は、瞳サイズ及び偏向角と共に、光の帯域幅(すなわち、特定の波長範囲)に基づいて選択される。
【0014】
一実施形態では、プリズムは3つのウェッジで作られ、各ウェッジはSCHOTT AG製のガラスで作られる。例示的な一実施形態では、3つのウェッジは、N-PSK57、N-KZFS5、及びN-FK56ガラスである。例示的な一実施形態では、3つのウェッジの屈折率は、1.58700、1.65412、及び1.48656である。別の実施形態では、ウェッジは、OHARA CORPORATION、HOYA OPTICS、又はSUMITOMO ELECTRIC INDUSTRIESなどの他の製造業者のガラスリストからの材料から作製することができる。ウェッジの各々は、異なる材料で作られてもよい。一実施形態では、ウェッジは、プラスチック、セラミック、又は他の光学材料など、ガラス以外の材料で作られてもよい。代替として、ウェッジは、2つのタイプの材料(M1及びM2)から作製されてもよく、したがって、3つのウェッジは、M1/M2/M1構成である。より高い屈折率は、より高い色分散を引き起こし、したがって、ある範囲の屈折率を利用することによって、色消しプリズムは、ある範囲の分散を提供し、システムを平衡させ、色収差を低減又は排除する。一実施形態では、使用される材料は、ガラス、プラスチック、及び他の光学材料を含んでもよい。
【0015】
一実施形態では、色消しプリズム330は、光学的に透明な結合材料で互いに結合されたウェッジを有し得る。一実施形態では、色消しプリズム330は、近接して配置された非結合ウェッジであってもよい。一実施形態では、色消しプリズムは、図3Aに示されるように、3つのウェッジを備える。一実施形態では、ウェッジは同じサイズではない。
【0016】
図3Bは、色消しプリズムを有するシステムの別の実施形態の図である。この構成は、4つのウェッジを含む色消しプリズム370を例示する。色消しプリズム370は、一実施形態では、2つ以上のウェッジを含むことができる。
【0017】
図4A図4Cは、色消しプリズムの実施形態の図である。色消しプリズムは、標準的なプリズムによって引き起こされるスペクトル分離(色収差とも称される)、なしに光を向け直すように設計されたプリズムである。
【0018】
色消しプリズム410は、示されるようにプロジェクタ450の光軸に対してある角度で位置決めされる。プロジェクタは、この文脈では、光を色消しプリズム410に向ける照明及び投影光学系の出力である。色消しプリズム410のウェッジ420、430、440は、一実施形態では、示されるように、互いに対してシフトされる。色消しプリズム410は、一実施形態では、光の角度をシフトさせて、あらゆる合成角度に対応することができ、したがって、ヘッドマウントディスプレイの装用時前傾斜及び底角傾斜の両方に対処することができる。これは、光エンジンが導波路又は他の出力素子のイン結合器とは異なる配向に保たれるシステムを可能にし、システムがHMD形状ファクタに適合されることを可能にする。一実施形態では、色消しプリズム410を構成するウェッジのための特定の材料及び材料の順序は、設計が適合されるHMDの構成に基づいて選択される。これは、本アーキテクチャが様々なHMD構成に対応することを可能にする。
【0019】
一実施形態では、プリズムをトリミングして、トリミングされた色消しプリズム460、470を生成することができる。一実施形態では、トリミングされたプリズムは、そのサイズが完全な画像を捕捉することを確実にするために、使用される光学系の射出瞳に基づいてトリミングされる。プリズムの上部及び底部をトリミングすることは、空間及び重量を節約し、両方ともヘッドマウントデバイスにおいて重要な考慮事項である。図4B及び図4Cは、色消しプリズムをトリミングするための2つの可能な構成を示し、光軸465、475を示す。当業者であれば、これらは単なる例示的なトリミング手法であり、実際のトリミングは画像サイズ及び位置制約に基づいて選択されることを理解するであろう。
【0020】
図5Aは、光パワーを有する色消しプリズムを有するシステムの一実施形態の図である。この構成では、色消しプリズム530内のウェッジのうちの1つ以上は、それらに適用される光パワーを有する。一実施形態では、これは、光を収束又は発散させるために、ウェッジの外面に曲率を提供することによって行われる。一実施形態において、光パワーは、光パワーを提供するための曲面を有するようにウェッジを成形することによって提供される。別の実施形態では、光パワーを提供するためにレンズをプリズムに接着することができる。図では、第1及び第3のウェッジが光パワーを有するように示されている。図示の曲率は誇張されている。いくつかの実施形態では、ウェッジの全てが光パワーを有してもよい。いくつかの実施形態では、外側の2つのウェッジのみが光パワーを有してもよい。いくつかの実施形態では、ウェッジのうちの1つのみが光パワーを有してもよい。他の構成が使用されてもよい。図5Bは、色消しプリズム535内のウェッジが全て光パワーを有し、ウェッジが非常に近接しているが接触していない実施形態を例示する。
【0021】
図5Cは、屈折/回折プリズムを有するシステムの一実施形態の図である。一実施形態において、プリズムは、3つ以上のウェッジを有するのではなく、回折面を有する屈折素子である単一のプリズムであってもよい。一実施形態では、色消しプリズム内のウェッジのうちの1つ以上は、屈折/回折プリズムであってもよい。一実施形態において、プリズム570は、回折出射面を有する屈折素子である。一実施形態では、回折出射面は、回折格子をプリズム570に適用することによって作製されてもよい。一実施形態では、回折格子は、表面レリーフ格子、ボリューム位相ホログラフィ格子、デジタル平面ホログラフィ格子、又は別の格子であってもよい。
【0022】
図6は、プリズム及び導波路を有するシステムの一実施形態の図である。いくつかの実施形態では、プリズム630の出力は、ユーザの眼に直接出力されない。むしろ、プリズム630の出力は導波路への入力である。これにより、ディスプレイ610及び光学系620を画像出力670の位置から更に移動させることができる。分かるように、照明及び投影光学系620は導波路640に対して角度が付けられているが、プリズム630を使用することにより、これらの角度の補正が可能になり、その結果、光は正しい角度で導波路640の入力結合器650に入り、出力結合器660を通る画像出力670は歪められない。一実施形態では、プリズム630は単一のプリズムであってもよい。別の実施形態では、プリズム630は、色消しプリズム、屈折/回折プリズムなどの上述のプリズムのうちのいずれかであってもよく、及び/又はそれに適用される光パワーを有してもよい。プリズム630の使用は、眼鏡形状ファクタの制約に準拠しながら、任意の設計の光エンジンからの光の方向付けを提供する。
【0023】
図7Aは、色消しプリズムを使用する、2つの射出瞳を有するシステムの一実施形態の図である。一実施形態では、ディスプレイ710は、照明及び投影光学系720を通過する光データを生成する。照明及び投影光学系720の出力は色分解される。次いで、これらの色分解された出力は、2つ以上のプリズム730、735に向けられて、画像出力740を生成する。プリズム730、735は、一実施形態では、波長によって分割される。一実施形態では、色分解された出力の各々に対する光の帯域幅は、色消しプリズムを構成するために使用されるプリズムの特性を選択する際に使用される。
【0024】
一実施形態では、各プリズム730、735は、ディスプレイ710からの色のサブセットを向け直す。一実施形態では、2つのプリズムに対して、プリズムのうちの1つは、2つの色(例えば、赤色及び青色)用であってもよく、他方のプリズムは、残りの色(例えば、緑色)用であってもよい。別の実施形態では、一方のプリズムが2色(赤及び緑)用であり、他方のプリズムが同様に2色(青及び緑)用であってもよい。プリズム間で色を分割する他の方式が使用されてもよい。光は、その後、導波路又は他の素子によって表示のために結合される。
【0025】
図7Bは、レーザ照明を有する2つの射出瞳を有するシステムの一実施形態の図である。レーザディスプレイ750の場合、レーザ光源の狭い帯域幅が色収差の問題を軽減するので、色ごとに色消しプリズムではなく単一のプリズム770、775を使用することができる。したがって、プリズム770、775は、光を曲げるために使用されるが、収差を補正するためには使用されない。一実施形態では、フルカラーディスプレイの光の各色に1つずつ、3つの出力瞳及びプリズムを使用することができる。
【0026】
図8A及び図8Bは、色分離射出瞳を有するシステムの一実施形態の図である。この図では、3つの別個のカラープリズムが示されている。照明及び投影光学系820からの色分解画像データは、3つのカラープリズム830、840、850に渡される。一実施形態では、システムは、色ごとに別個のプリズムを含む。一実施形態では、プリズム830、840、850は、図8Bに示すように、互いにシフトされて配置される。一実施形態では、配置は三次元であり、プリズムは3つの次元全てに沿ってシフトされてもよい。一実施形態では、照明源は同一平面上になくてもよく、したがって、射出瞳は、光学エンジンに対して異なる位置にある。
【0027】
図9Aは、導波路を利用する、2つの射出瞳を有するシステムの一実施形態の図である。ディスプレイ910は画像データを生成し、画像データは次に照明及び投影光学系920によって2つ又は3つのプリズム930、940に出力される。プリズム930、940の出力は、導波路950に結合される。一実施形態では、導波路は、色1のための第1のイン結合器935と、色2のための第2のイン結合器945とを有する。上述したように、「色1」及び/又は「色2」の各々は、2つの色を表すことができ、例えば、色1は赤色及び青色であってもよく、色2は緑色波長である。例示される導波路イン結合器は、両方の軸に沿って変位されてもよい。導波路950は、合成画像をユーザにアウト結合するためのアウト結合器955を含む。図9Aは、2つのプリズム930、940の出力のための別個のイン結合器を例示するが、別の実施形態では、導波路は、両方のプリズムからの画像を入力結合するために使用される単一のイン結合器を有してもよい。
【0028】
図9Bは、2つの導波路を利用する2つの射出瞳を有するシステムの一実施形態の図である。ディスプレイ910は画像データを生成し、画像データは次に照明及び投影光学系920によって2つ又は3つのプリズム930、940に出力される。この構成では、各プリズム930、940は、関連する導波路960、970を有する。一実施形態では、導波路960、970のためのイン結合器935、945は、互いにオフセットされる。一実施形態では、出力結合器965、975は、互いの上に位置決めされる。3プリズムシステムの場合、一実施形態では、3つの別個の導波管があってもよい。別の実施形態では、3プリズムシステムに対して、2つの導波路があってもよく、そのうちの1つは、2つのプリズムからのデータを伝送する。
【0029】
このようにして、システムは、プリズム及び導波路の様々な構成に対応することができる。
【0030】
図10は、プリズム設計システムを利用する一実施形態のフロー図である。プロセスはブロック1010で開始する。ブロック1020において、設計のためのHMDの構成が受信される。図11A及び図11Bは、HMD眼鏡の例示的な構成を例示する。
【0031】
ブロック1030において、プロセスは、HMD構成に基づいてディスプレイエンジン及び光学系の位置を決定し、HMD構成は、眼鏡の場合、眼鏡レンズ及びフレーム構成を含む。一実施形態では、ディスプレイエンジンの位置は、一般に、レンズに近接した眼鏡のアーム内にある。しかしながら、いくつかの構成では、ディスプレイエンジン及び/又は光学系は、眼鏡のアームに沿って更に後方に移動されてもよく、又はフレームの中心部分若しくは他の場所にあってもよい。これは、ディスプレイエンジン及び光学系の光軸を規定する。
【0032】
ブロック1040において、光軸と画像出力位置との間の合成角度が計算される。画像出力位置は、一実施形態では、導波路のイン結合器によって規定されてもよい。合成角度は、底角、装用時前傾斜、及び投影及び中間光学ブロックの出力の光軸に基づいて計算することができる。
【0033】
ブロック1050において、プロセスは、光学系からの光をディスプレイに向けるために、合成角に基づいて最適なプリズム構成を計算する。一実施形態におけるプリズム構成は、角度の変化、並びに色収差を回避するための材料の選択を規定する。プリズム構成は、プリズムに適用される任意の光パワーを更に含む。一実施形態では、プリズム構成は、色消しプリズムの形状、サイズ、及び材料を含む。これらの態様は、瞳孔サイズと共に、合成角度、光の帯域幅(すなわち、特定の波長範囲)に基づいて選択される。
【0034】
ブロック1060において、一実施形態では、システムは、プリズムのサイズを最小化するためにプリズムトリムを決定する。プリズムは、利用されない三角プリズムの部分を除去するようにトリミングされてもよい。
【0035】
ブロック1070において、一実施形態では、カスタマイズされたプリズムが生成され、HMD構成からの光エンジン及び光学系の位置の分離を可能にする。一実施形態において、光学系、及びトリミングされたプリズムは、ブロック1080において、AR/VR HMDを可能にするために、HMD構成と共に組み立てられる。次にプロセスは、ブロック1090で終了する。このようにして、本プロセスは、様々なHMD構成及び制約に対応する設計を可能にする。
【0036】
図11A図11Bは、本システムが使用される眼鏡の一実施形態の図である。分かるように、眼鏡1100は、中央部分1115に結合された2つのアーム1110を含む。中央部分1115は、2つのレンズを支持する。レンズは、底角1160及び装用時前傾斜1170を有する。一実施形態では、底角は1~10度である。一実施形態では、装用時前傾斜は、1~12度である。一実施形態では、光軸角度は0~5度である。
【0037】
任意の拡張現実(AR)システムの出力は、眼鏡の合成変位角と整合するように設計されるであろう。一般に、ディスプレイエンジン1120は、眼鏡のアーム1110の各々に位置決めされる。照明及び投影光学系1130は、ディスプレイエンジン1120に近接して位置決めされる。しかしながら、実際の画像出力は、眼鏡のレンズ内の導波路1150上に位置決めされるように設計される。したがって、本明細書で説明されるように、プリズム1140は、そのような眼鏡の実際の構成のための照明及び投影光学系の出力の位置決めを可能にするために使用される。
【0038】
前述の明細書において、本発明は、その特定の例示的な実施形態を参照して説明されている。しかしながら、添付の特許請求の範囲に記載された本開示のより広い趣旨及び範囲から逸脱することなく、様々な修正及び変更がなされ得ることは明らかであろう。したがって、本明細書及び図面は、限定的な意味ではなく例示的な意味で考慮されるべきである。
図1A
図1B
図1C
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図5C
図6
図7A
図7B
図8A
図8B
図9A
図9B
図10
図11A
図11B
【国際調査報告】