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特表2024-525639楽器の触覚シミュレーションを生成するためのデバイス
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-12
(54)【発明の名称】楽器の触覚シミュレーションを生成するためのデバイス
(51)【国際特許分類】
   G10H 1/34 20060101AFI20240705BHJP
   G09B 9/00 20060101ALI20240705BHJP
   G10B 3/12 20060101ALI20240705BHJP
【FI】
G10H1/34
G09B9/00 Z
G10B3/12 130
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024500594
(86)(22)【出願日】2022-07-05
(85)【翻訳文提出日】2024-02-15
(86)【国際出願番号】 FR2022051342
(87)【国際公開番号】W WO2023281206
(87)【国際公開日】2023-01-12
(31)【優先権主張番号】2107340
(32)【優先日】2021-07-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511027965
【氏名又は名称】エコール ポリーテクニーク
(71)【出願人】
【識別番号】505351201
【氏名又は名称】セントレ ナシオナル デ ラ ルシェルシェ シエンティフィーク
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】ブティヨン,グザヴィエ
(72)【発明者】
【氏名】ドゥ グレフ,ヴァンサン
(72)【発明者】
【氏名】シシグヌ,ジェレミ
【テーマコード(参考)】
5D478
【Fターム(参考)】
5D478BD01
5D478BD06
(57)【要約】
本発明は、電子楽器に装備された鍵盤の鍵を制御するための触覚デバイス(1)であって、フレームに対して枢動可能に取り付けられた鍵(K)に関連付けられ、鍵が長手方向に延在し、高角度位置と低角度位置との間で角運動する触覚デバイス(1)であって、鍵の動的状態を検出するための手段(30)と、動的情報に応じて、鍵の押下に応じて鍵に加えられる瞬間的な抵抗力を計算するための計算手段と、回転式電気アクチュエータ(10)と、抵抗力を鍵に加えるようにアクチュエータと鍵との間に配置され、圧力下で屈曲し、牽引下で硬化する少なくとも1つの要素を備える機械的連結手段(20)とを備えることを特徴とする触覚デバイス(1)に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
同様のアコースティック楽器の使用感覚を再現するように意図された電子楽器に装備された鍵盤の鍵のための触覚制御デバイス(1)であって、
前記デバイスが、枢動軸(A1)の周りでフレームに対して枢動可能に取り付けられた前記電子楽器の鍵(K)に関連付けられるように配置され、前記鍵が、長手方向に延在し、元の位置と呼ばれる高角度位置と止め具と呼ばれる低角度位置との間の角度移動を有し、
前記デバイスが、
前記鍵の前記動的状態の情報を検出する検出手段(30)と、
このようにして検出された動的情報の関数として、前記鍵が押し下げられたことに応じて前記鍵に加えられる瞬間的な抵抗力を計算する計算手段と、
前記抵抗力を生成するように配置された回転式電気アクチュエータ(10)と、
前記鍵に前記抵抗力を加えるために、前記回転式電気アクチュエータと前記鍵との間に配置された機械的連結手段(20)であって、圧力下で屈曲し、牽引下で硬化する少なくとも1つの要素を備える、機械的連結手段(20)とを備えることを特徴とする、触覚制御デバイス(1)。
【請求項2】
前記回転式電気アクチュエータが、前記鍵の前記枢動軸(A1)に平行な回転軸を有する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記回転式電気アクチュエータが、前記鍵の長手方向に平行な回転軸を有する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項4】
前記回転式電気アクチュエータが、前記鍵の前記長手方向及び前記鍵の前記回転軸に垂直な回転軸を有する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項5】
前記鍵端部が、前記鍵の上面(K1)又は下面(K3)に取り付けられる、請求項1から4のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項6】
前記機械的連結手段(20)が、前記鍵の鍵の戻りの上面(K2)に取り付けられた鍵終端部を備える、請求項1から4のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項7】
前記機械的連結手段(20)が、アクチュエータ終端部及び鍵終端部を備え、前記鍵終端部が前記鍵に取り付けられ、
一方で、前記機械的連結手段の前記鍵終端部が前記鍵に取り付けられる鍵点から前記枢動軸(A1)を隔てるレバーアーム距離と、
前記機械的連結手段の前記アクチュエータ終端部が前記アクチュエータシャフトに取り付けられるアクチュエータ点から前記回転式電気アクチュエータの前記回転軸を隔てるレバーアーム距離と、
の比が少なくとも10である、請求項1から6のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項8】
前記機械的連結手段(20)が、圧力下で屈曲し、牽引下で硬化する少なくとも2つのリボンを備える、請求項1から7のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項9】
前記機械的連結手段(20)が、圧力下で屈曲し、牽引下で硬化する少なくとも2つのケーブルを備える、請求項1から7のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項10】
前記機械的連結手段(20)が、圧力下で屈曲し、牽引下で硬化する少なくとも1つのリボンと、圧力下で屈曲し、牽引下で硬化する少なくとも1つのケーブルとを備える、請求項1から7のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項11】
前記機械的連結手段(20)が、圧力下で屈曲し、牽引下で硬化する少なくとも3つのリボンを備える、請求項1から7のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項12】
圧力下で屈曲し、牽引下で硬化する前記少なくとも1つの要素が、圧力下で屈曲し、牽引下で硬化するケーブル、又は圧力下で屈曲し、牽引下で硬化するリボンである、請求項1から7のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項13】
前記機械的連結手段(20)が、圧力下で屈曲し、牽引下で硬化する少なくとも2つのリボンを備える少なくとも2つの可撓性要素と、前記2つのリボンの間に配置された接合部品(23)とを備え、前記接合部品が、前記2つのリボンの終端部を受容するために、互いに対して2つの対向する垂直なリボン受容面を有する、請求項1から7のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項14】
前記機械的連結手段(20)が、3つの可撓性要素と、前記アクチュエータシャフト(10)に接続されるように配置された2つの可撓性アクチュエータ要素(24a、24b)と、前記鍵に接続されるように配置された可撓性鍵要素(22)と、前記鍵要素と前記2つの可撓性アクチュエータ要素との間に配置された接合部品とを備え、前記接合部品が、前記3つのリボンの終端部を受容するように配置されている、請求項1から11のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項15】
前記機械的連結手段(20)が、少なくとも2つの可撓性要素と、前記アクチュエータシャフト(10)に接続されるように配置された可撓性アクチュエータ要素(24)と、前記鍵に接続されるように配置された可撓性鍵要素(22)と、枢動軸を有する戻り部品とを備え、前記戻り部品が、2つの可撓性要素の間に配置され、前記戻り部品が、前記機械的連結手段の非直線軌道を生成するように配置される、請求項1から11のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項16】
前記機械的連結手段(20)が、3つのリボン、すなわち、前記アクチュエータシャフト(10)に接続されるように配置されたアクチュエータリボン(24)と、第1の鍵リボン(22b)と、前記アクチュエータリボンと前記第1の鍵リボン(22b)との間に配置された接合部品(23)と、前記鍵に接続されるように配置された第2の鍵リボン(22a)と、前記第1の鍵リボン(22b)と前記第2の鍵リボン(22a)との間に配置され、直交して延在する前記リボンの終端部を受容するように設けられた戻り構成要素とを備える、請求項1から7のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項17】
前記戻り部品が、「L」字型レバー作動部品又はプーリである、請求項15又は16に記載のデバイス。
【請求項18】
前記アクチュエータの前記回転シャフトの前記角度移動を制御するように、前記アクチュエータの前記回転シャフトの周囲に又は前記回転シャフトの周りに配置されたアクチュエータ止め具(42)を備える、請求項1から17のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項19】
前記計算手段が、少なくとも1つのアコースティック楽器の少なくとも1つの鍵を制御するための機械モデルを統合するアクチュエータモジュールを備える、請求項1から18のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項20】
前記計算手段が、前記電気アクチュエータを作動させるための4象限制御手段を備える、請求項1から19のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項21】
少なくとも1つの鍵と、請求項1から20のいずれか一項に記載の少なくとも1つの触覚制御デバイスとを備え、各鍵が触覚制御デバイスに関連付けられている、触覚フィードバックを有する電子楽器鍵盤。
【請求項22】
請求項1から20のいずれか一項に記載の少なくとも1つの触覚デバイス(1)を備える、例えば電子ピアノなどの電子楽器。
【請求項23】
請求項1から20のいずれか一項に記載の少なくとも1つの触覚制御デバイス(1)を備える電子楽器を制御するための方法であって、
前記検出手段によって、前記ユーザが前記鍵を押したことを検出するステップと、
前記押圧力に抵抗するように前記鍵に張力を加えるように、又は前記鍵をその元の位置に戻すように張力を加えるように、前記アクチュエータをリアルタイム制御するステップとを備える、方法。
【請求項24】
前記検出手段が、前記鍵の位置及び/又は加速度を周期的に測定し、次いで、この情報を前記計算手段に送信し、前記計算手段が、前記機構のダイナミクスの数学モデルから実際の楽器機構内に生成される力を計算する、請求項1から23のいずれか一項に記載の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔技術分野〕
本発明は、鍵盤ベースのデジタル楽器の触覚シミュレーション又はエミュレーションのためのデバイスに関する。
【0002】
本発明は、より詳細には、電子ピアノによってアコースティックピアノの鍵盤の触覚感覚を再現するデバイス及びその関連方法に関する。
〔背景技術〕
【0003】
電子ピアノの設計者及び製造業者は、オリジナルに近い触覚効果を提供することによって、アコースティックピアノの感覚に近づけるために、タッチの感覚を改善しようと長年努力してきた。したがって、電子ピアノの鍵盤上の鍵では、アコースティックピアノ鍵の機構の部品(ブリッジ、ジャック、ウィッペン、ハンマー、マフラー)が加える「力フィードバック」を再現することが問題である。
【0004】
従来のアコースティックピアノは、正確に動作し、良好な演奏感覚を提供するために、タッチに対する一定の抵抗及び鍵の一定の戻り速度を有するように設計されている。ピアノの鍵盤を調律する際には、下降する鍵の重みと上昇する鍵の重みに着目し、これらの値を最適に調律するための重りが付されることがある。感触のバランスは、機構の慣性にも依存する。これは、部品、主にハンマー及び重り、並びに機械式ウィッペンの質量に依存する。より具体的には、慣性は、ハンマーのストロークと鍵のストロークとの間の機械比に依存すると言うことができる。最後に、多くの他の効果、すなわち、部品間の接続フェルトの剛性、フェルト上の内部摩擦、接点上及び回転軸における乾燥摩擦も、(数学的な意味で)非線形及び時には不規則であり、感触の質に生じる。最終的に、鍵の「力フィードバック」とその動きとの間の関係は、いくつかの自由度を有する動的レンジから生じ、これは、非線形であり、不規則であり、動きの履歴に依存する。それは、インピーダンスタイプの関係によって正確に説明することができない。
【0005】
1928年から、オンド・マルトノ楽器では、楽器によって生成される音の音量を制御することを可能にする「強度鍵」又は表現鍵と呼ばれる鍵を見つけることが可能であった。鍵は、鍵を押すことによって、音を運ぶ電気信号を送信する導電性粉末のバッグを圧潰するように、レバーの形態で取り付けられている。バッグの圧潰は、粉末の抵抗率の変更をもたらし、その結果、音の振幅の変更をもたらす。このようなバッグの使用は、鍵に加えられる力と音の振幅との間の関係を可能にし、これは演奏者による心理生理学的知覚に非常に近い。
【0006】
米国特許第9275618号明細書は、この原理を改良することによってこの原理に戻っている。鍵のテールは、その端部で可撓性金属ストリップに固定され、ストリップは、鍵を枢動させるように挟まれている。力センサ及び/又は位置センサが鍵上に配置される。鍵のテールの下に配置された変形可能な止め具(エラストマー材料)は、ユーザによって加えられる下方への動きに抵抗する力を加える。この止め具の非対称孔は、止め具によって加えられる抵抗力に単調な非線形特性を与える。センサは、可撓性ストリップ及び変形可能な止め具の動作から生じる抵抗力の情報を信号の形態で復元し、この信号は次に、刺激に対応する音量を有する音を生成するために処理ユニットに供給される。
【0007】
仏国特許出願公開第2902538号明細書は、演奏者の感覚を改善するために鍵の動きに対抗する力を生成するために、粘度が磁界によって変調される磁気レオロジー流体を使用する触覚シミュレーションデバイスを記載している。この文献に開示されている鍵盤楽器は、3つのセンサ(加速度、速度及び位置)を使用しており、これらのセンサは、時間の関数として磁界を生成するための手段に対して電流制御をリアルタイムで提供するように配置されており、この磁界は、満足のいくタッチの感覚を提供するために鍵の変位に依存する反力に対抗する。生成手段は、経時的に変化する電流によって覆われたコイルからなり、これにより、鍵に固定されたストリップ上の強度が電流の値の関数として変化する力を作動させることが可能になる。
【0008】
国際公開第2020/016536号パンフレットには、従来のピアノ以外の特定の音を再現することができる触覚コントローラが記載されており、これらの特徴の1つは、一般に「アフタータッチ」という用語で指定され、その本質的な要素は、2つの凹部を有する変形可能な材料で作られた本体からなる減衰デバイスであり、本体は、鍵の底面に配置された溝に配置された突起を有する。2つの凹部は、一方が可撓性であり他方が剛性である2つの異なる減衰プロファイルに沿って、突起を介して鍵によって加えられる圧縮を吸収する。鍵の回転及び並進変位を測定するように適合されたセンサは、この変位の関数として信号を送達する。
【0009】
米国特許第7582821号明細書は、アコースティックピアノの鍵を解放する感覚を再現しようとするデバイスを開示しており、このデバイスは、本質的に、枢動レバーと、3つの鍵スイッチと、格納式荷重部材とから構成されている。演奏者が鍵を押すと、鍵はその軸を中心に枢動し、鍵と実質的に同じ長さで鍵の下に配置された枢動レバーを押す。次に、枢動レバーは、異なる長さの3つの弾性スイッチに接触し、スイッチの連続的なトリガシーケンスのおかげで、押圧の深さに関する情報を提供することを可能にする。格納式荷重部材は、スイッチ及び位置センサによって収集された情報に従ってレバーの上昇を減速させる。
【0010】
米国特許第2018286605号明細書では、反力生成デバイスは、頂点に平坦面を有する傾斜ドームの形態の変形可能要素から構成され、その傾斜は、圧力を加える鍵を安定して受容することを可能にする。
【0011】
最後に、文献「Realisation d’un dispositif a retour d’effort pour simuler le toucher de diverses mecaniques de frappe des pianos」、Guillaume Paillot、Quentin Desclee(2018)では、力フィードバックデバイスが提案されており、これは、鍵の動作(鍵と打撃機構との間の接触領域)に配置されたアクチュエータから構成され、2つの固定永久磁石と鍵と一体のコイルとから構成される。この実施形態は、従来の鍵の質量及び慣性よりも強い、この構成が与える質量及び慣性に起因する安定性の問題を提起する。
【0012】
しかしながら、これらのデバイスは、利用可能な空間のためにかさばり、及び/又は高価であり、及び/又は所与の鍵(例えばアコースティックピアノ)のダイナミクスを能動的に十分に再現することを可能にせず、このダイナミクスの起点にある、更に高価な機構、又は楽器を制御するユーザの能力に関して不満足な派生機構を使用しない。
〔発明の目的〕
【0013】
この目的のために、第1の態様によれば、本発明は、同様のアコースティック楽器の使用感覚を再現するように意図された電子楽器に装備された鍵盤の鍵を制御するための触覚デバイスであって、フレームに対して枢動軸の周りに枢動可能に取り付けられた電子楽器の鍵に関連付けられるように配置され、鍵が長手方向に延在し、元の位置と呼ばれる高角度位置と止め具と呼ばれる低角度位置との間の角度変位を有する触覚デバイスを提案する。
【0014】
このデバイスは、
鍵の動的状態の情報を検出する検出手段と、
このようにして検出された動的情報の関数として、鍵が押し下げられたことに応じて鍵に加えられる瞬間的な抵抗力を計算する計算手段と、
抵抗力を生成するように配置された回転式電気アクチュエータと、
鍵に抵抗力を加えるために、回転式電気アクチュエータと鍵との間に配置された機械的連結手段であって、圧力下で屈曲し、牽引下で硬化する少なくとも1つの要素を備える、機械的連結手段とを備える。
【0015】
本発明によるデバイスは、例えばピアノなどのアコースティック楽器の使用感覚を再現することを可能にする一方で、その作動において慣性がほとんど又は全くなく、その制御において不安定性がほとんど又は全くないコンパクトで安価な構成を提案する。それは、所定の鍵押下に対する抵抗を選択又は設定することを可能にする。加えて、それは、いくつかの内部自由度を実装することを含む、所定の動的関係に従って、鍵の押下時に動的反力を加えることを可能にする。最後に、ユーザが鍵を押すのをやめると、鍵をその元の位置に戻す傾向がある。
【0016】
上記及び/又は説明の残りの部分について、以下の用語は以下の定義を有する。
鍵:演奏者のユーザによって押されたときに音の放出を制御するように配置された手動制御部材。
【0017】
回転式電気アクチュエータ:回転電磁デバイス又はアクチュエータ。
鍵の遠位端:ユーザの指(複数可)を受容するように意図された押圧ゾーン又は端部ゾーン。
近位端:遠位端に対向する鍵の端部。
鍵の戻り:鍵の戻りの1つの面が鍵の下面又は底面に対向するように、鍵の下面又は底面から突出する部品であり、例えば、鍵の戻りは「L」字型であり、「L」字型の鍵の戻りの基部の1つの面が鍵の下面又は底面に対向している。
機械的連結手段:アクチュエータを鍵に接続する手段であって、1つ以上の相互接続された機械要素を備えることができる手段。
機械的連結手段の単一方向における可撓性要素:長手方向の弾性及び/又は限定された可撓性(一般にワイヤは非常に大きな可撓性を有する)を有することなく、特に一次元又は一方向に屈曲することができる(2つの応力方向において可撓性が0である)手段。
圧力下で屈曲し、牽引下で硬化する要素:抵抗機械トルクを、押し下げられている鍵の点に加えられる抵抗力に変換することと、鍵をその角度静止位置に戻すこととの両方のために、張力下で働くように配置された可撓性要素。
終端部:アクチュエータ終端部又は鍵終端部などの機械的連結手段の端部、及び/又は、例えばケーブル終端部又はリボン終端部などの可撓性要素の端部。
高角度位置又は元の位置:通常通り楽器を演奏するときに音を得るためにユーザが鍵を作動させ始める前に、鍵が上側当接部に配置される位置。
リボン:その厚さよりも少なくとも3倍大きい幅を有する要素、例えば、曲げ又は湾曲を可能にするもの以外の長手方向又は横方向の弾性を有することなく屈曲することができ、曲げ又は巻きに対して低いが無視できない抵抗を有する、金属又は繊維若しくは複合ポリマーで作られた薄いストリップ形状のシート。
ケーブル:2つの方向に屈曲することができるが、長手方向の弾性を有さないケーブル又は複数のケーブル(例えば、2~5本のケーブル)の平行な組み合わせ。
【0018】
好ましくは、鍵の枢動軸は、鍵の近位端に配置される。
【0019】
好ましくは、機械的連結手段は、アクチュエータと鍵との間に配置される。機械的連結手段は、アクチュエータ終端部及び鍵終端部を備える。一実施形態によれば、機械的連結手段は、単一の鍵終端部及び単一のアクチュエータ終端部を備える。
【0020】
好ましくは、鍵終端部は、一方では枢動軸から鍵の長手方向長さの少なくとも25%に等しい距離に配置される受容点と、他方では鍵の遠位端との間に配置される、締結点と呼ばれる鍵点で鍵に取り付けられる。換言すれば、鍵点は、鍵の遠位端から鍵の長手方向長さの75%に等しい距離にわたって延在する連続領域上に配置されることができる。
【0021】
アクチュエータ及びアクチュエータと鍵との間の機械的連結手段の機能は、鍵に物理的に力を加えることからなり、力は規定されるか、又は鍵の動きに対するその関係は予め決定される。鍵上の締結点に応じて、アクチュエータによって鍵に加えられるトルクは、最大で、フォルティシモのマークにおいて、約20ニュートンに遠位端のレバーアームを掛けた積として計算される。
【0022】
第1の実施形態によれば、回転式電気アクチュエータは、鍵の枢動軸に平行な回転軸を有する。
【0023】
第2の実施形態によれば、回転式電気アクチュエータは、鍵の長手方向に平行な回転軸を有する。
【0024】
第3の実施形態によれば、回転式電気アクチュエータは、鍵の長手方向及び鍵の回転軸に垂直な回転軸を有する。
【0025】
アクチュエータの回転軸が鍵の長手方向に対して平行又は垂直である位置は、鍵が静止しているとき又は元の位置にあるときに確立される位置であると理解され、鍵は、ユーザによって押されたときに数度枢動することができる。換言すれば、アクチュエータの回転軸及び鍵の長手方向は、実質的に平行又は実質的に垂直(プラスマイナス数度)であり、同じ垂直面内に配置される。
【0026】
好ましくは、回転式電気アクチュエータは直流電気モータである。
【0027】
有利には、回転式電気アクチュエータは、鍵の上方又は下方に配置される。アクチュエータ及び機械的連結手段の構成は、楽器の鍵に牽引力を加え、ユーザが鍵を押したときに押し下げに対する抵抗を形成し、ユーザが鍵を押していないときに鍵を元の位置に戻すように配置される。
【0028】
有利には、機械的連結手段は鍵の上方又は下方に配置される。好ましくは、機械的連結手段は、鍵の上面又は下面に取り付けられた機械的連結手段の鍵終端部を備える。
【0029】
上面は、電子楽器が水平に配置されたときに上方に向けられる面、及び/又は楽器の外側に向けられる面を意味するものと理解される。下面は、電子楽器が水平に配置されたときに下方に向けられる面、及び/又は楽器の内側に向けられる面を意味すると理解される。
【0030】
機械的連結手段は、鍵と接続するための手段を備える。接続手段は、鍵に取り付けられ、機械的連結手段の鍵終端部を鍵に接続するように配置される。
【0031】
機械的連結手段は、鍵終端部に対応する少なくとも1つの接続部品を備える。好ましくは、接続部品は、鍵の枢動軸から可能な限り遠くに配置される。この距離は、鍵に対してより大きな抵抗トルクを加えること、及び/又はより低い公称電流若しくはより低い電力を有するデバイスの範囲内でアクチュエータを選択することを可能にし、モータの価格及び/若しくは慣性、並びに/又はその電気制御の価格を低減する。
【0032】
例えば、一方では、機械的連結手段の鍵終端部が鍵に取り付けられる鍵点から枢動軸を隔てるレバーアーム距離と、他方では、機械的連結手段のアクチュエータ終端部がアクチュエータシャフトに取り付けられるアクチュエータ点から回転式電気アクチュエータの回転軸を隔てるレバーアーム距離との比は、少なくとも10、好ましくは少なくとも20、有利には少なくとも30、有利には少なくとも40、有利には少なくとも50である。
【0033】
1つの代替的な実施形態によれば、回転式電気アクチュエータは、鍵の下、例えば、鍵の戻りの上に配置され、鍵の戻りは、例えば、フラットピアノにおいて、鍵の下側に取り付けられるか、又は配置される。
【0034】
好ましくは、機械的連結手段の鍵終端部は、鍵の鍵の戻りの上面に取り付けられる。機械的連結手段は、鍵の戻りの上面に配置された接続部品を備える。
【0035】
有利には、回転式電気アクチュエータは、鍵の平均幅未満の直径又は幅を有する。好ましくは、回転式電気アクチュエータは、鍵の平均幅の2倍未満の直径又は幅を有する。
【0036】
それはまた、長手方向に細長い形状を有してもよく、それに応じて導電体の長さを増加させ、したがってアクチュエータ内の所与の電流に利用可能なトルクを増加させる。
【0037】
一実施形態によれば、機械的連結手段は、回転式電気アクチュエータのシャフト上に嵌合するように配置された巻線部品と、巻線部品を少なくとも部分的に取り囲むように配置された2つの分岐部を有するあぶみ形状のクランプ部品とを備える組立手段を備える。
【0038】
好ましくは、少なくとも1つの可撓性要素は、単一方向に可撓性である。例えば、単一方向に可撓性の少なくとも1つの要素は、1つ以上のリボン又は1つ以上のケーブルを備える。
【0039】
第1に、単一方向への可撓性要素のわずかな屈曲は、鍵の回転運動とアクチュエータの牽引によって課される並進運動との間の運動学的適合性を少なくとも部分的に保証する働きをする。要素の可撓性は、アクチュエータ軸の周りに巻き付くことを可能にする。機械的連結手段が単一方向の2つの可撓性要素、特に2つのリボンを備える場合、鍵の回転運動とアクチュエータとの間の運動学的適合性は、鍵リボンと呼ばれる1つのリボンによって行われ、アクチュエータ軸の周りの巻線は、鍵リボンとは別個のアクチュエータリボンと呼ばれるリボンによって行われ、2つのリボンは互いに接続される。
【0040】
第2に、(特にワイヤの場合のように無限ではない)低減された可撓性は、鍵が例えば下側止め具によってその動きをブロックされるか又は減速されるときにアクチュエータが回転し続けることを防止する働きをする。跳ね返りは、一方向における可撓性要素の長手方向圧縮性の非常に特殊な形状によって数及び持続時間が制限され、座屈限界において0であり、次いで座屈限界を超えると有限である。
【0041】
好ましくは、機械的連結手段は、圧力下で屈曲し、牽引下で硬化する少なくとも1つのリボン又は少なくとも1つのケーブルを備え、回転式電気アクチュエータのハブに接続された遠位終端部と、鍵に接続された近位終端部とを有し、リボンは、
(i)抵抗機械トルクを、鍵が押し下げられている点に加えられる抵抗力に変換することと、
(ii)鍵をその角度静止位置に戻すこととの両方のために、張力下で働くように配置される。
【0042】
少なくとも1つのリボンは、鍵に作用するのに必要な張力を実行することを可能にすると同時に、鍵の回転運動とリボンがアクチュエータによって引っ張られるときのリボンの並進運動との間の適合性を保証するために使用されるわずかな屈曲を可能にする。加えて、使用されるリボンの有限の可撓性は、鍵がそのストロークの終わりに到達したとき跳ね返り振動を防止又は消滅させる。
【0043】
好ましくは、圧力下で屈曲し、牽引下で硬化する少なくとも1つの要素は、圧力下で屈曲し、牽引下で硬化するケーブル、又は圧力下で屈曲し、牽引下で硬化するリボンを備える。
【0044】
一実施形態によれば、機械的連結手段は、圧力下で屈曲し、牽引下で硬化する少なくとも2つのリボンを備える。
【0045】
別の実施形態によれば、機械的接続手段は、圧力下で屈曲し、牽引下で硬化する少なくとも2つのケーブルを備える。
【0046】
更に別の実施形態によれば、機械的連結手段は、圧力下で屈曲し、牽引下で硬化する少なくとも1つのリボンと、圧力下で屈曲し、牽引下で硬化する少なくとも1つのケーブルとを備える。
【0047】
更に別の実施形態によれば、機械的連結手段は、圧力下で屈曲し、牽引下で硬化する少なくとも3つのリボンを備える。
【0048】
一実施形態によれば、機械的連結手段は、単一のリボンを備え、リボンは、アクチュエータシャフトに接続されるように配置されたアクチュエータ終端部と、鍵に接続されるように配置されたアクチュエータ終端部に対向する鍵終端部とを有する。
【0049】
一実施形態によれば、接続手段は、鍵と鍵終端部との間の枢動連結部を形成する。
【0050】
例えば、機械的連結手段の鍵終端部は円筒形開口部を有し、接続手段は枢動シャフトを備え、円筒形開口部が枢動シャフトに係合し、枢動シャフトの周りを枢動することができる。好ましくは、接続手段は、接続シャフトとも呼ばれる取り外し可能な枢動シャフトと、取り外し可能な枢動シャフトを受容するように配置された孔を有する本体とを備え、本体は、鍵に取り付けられるように配置され、機械的連結手段の鍵終端部の円筒形開口部を孔に位置合わせし、取り外し可能なシャフトを孔及び開口に挿入するように、孔の軸を横切る平面に沿ってスロットを備える。
【0051】
1つの代替的な実施形態によれば、孔は、接続シャフトが横方向に並進することができるように、その断面に従って、長穴の形状を有する。好ましくは、長穴の最長長さは、長穴の幅(又は最小長さ)よりも少なくとも20%大きい。
【0052】
別の実施形態によれば、機械的連結手段は、圧力下で屈曲し、牽引下で硬化する少なくとも2つの要素であって、圧力下で屈曲し、牽引下で硬化する少なくとも2つのリボンと、2つのリボンの間に配置された接合部品とを備え、接合部品は、2つのリボンの終端部を受容するために互いに対向しかつ垂直な2つのリボン受容面を有する。
【0053】
例えば、機械的連結手段は、2つのリボン、すなわち、アクチュエータシャフトに接続されるように配置されたアクチュエータリボンと、鍵に接続されるように配置された鍵リボンと、2つのリボンの間に配置され、直交して配置されたリボンの終端部を受容するように設けられた接合部品とを備える。
【0054】
特定の実施形態によれば、機械的連結手段は、3つの可撓性要素と、アクチュエータシャフトに接続されるように配置された2つの可撓性アクチュエータ要素と、鍵に接続されるように配置された可撓性鍵要素と、鍵要素と2つの可撓性アクチュエータ要素との間に配置された接合部品とを備え、接合部品は、3つのリボンの終端部を受容するように配置される。好ましくは、2つの可撓性アクチュエータ要素は、直径方向に対向する2つの点でアクチュエータシャフトの周囲に接続される。
【0055】
好ましくは、接合部品は、2つのリボンを受容するための2つの対向する垂直なリボン受容面を有する。
【0056】
一実施形態によれば、接合部品は、2つのリボンの間に配置されるように、2つのリボンを受容するための、互いに対向しかつ垂直な2つのスリットを有する。各スロットは、1つのリボンの厚さ以上の厚さを有する。
【0057】
別の実施形態によれば、接合部品は、互いに垂直に配置された2つの接合部品を備え、各接合部品は、リボンを取り付けるための受容面を有する。例えば、接合部品は、同じ垂直方向に延在する2つのプレートを備える。プレートは互いに垂直に配置され、各プレートは、リボンを締結するための手段を受容するために穿孔されている。
【0058】
したがって、座屈限界を増加させ、座屈限界を超えて圧縮性を減少させるために、接合部品の近くの厚さに対して中心厚さが増加したリボン、又は短いリボンを使用することが有利である。好ましくは、中心厚さは、アクチュエータシャフト上に巻き付かれていないリボンの部分の厚さに対して増加される。
【0059】
1つ以上のリボン又はケーブルと組み合わせることができる代替実施形態によれば、機械的連結手段は、戻り構成要素を備える。
【0060】
好ましくは、機械的連結手段は、少なくとも2つの可撓性要素と、アクチュエータシャフトに接続されるように配置された可撓性アクチュエータ要素と、鍵に接続されるように配置された可撓性鍵要素と、枢動軸を有する戻り部品とを備え、戻り部品は、2つの可撓性要素の間に配置され、戻り部品は、機械的連結手段の非直線軌道を生成するように配置される。
【0061】
特定の実施形態によれば、機械的連結手段は、3つのリボン、すなわち、アクチュエータシャフトに接続されるように配置されたアクチュエータリボンと、第1の鍵リボンと、アクチュエータリボンと第1の鍵リボンとの間に配置された接合部品と、鍵に接続されるように配置された第2の鍵リボンと、第1の鍵リボンと第2の鍵リボンとの間に配置され、直交して延在するリボンの終端部を受容するように設けられた戻り構成要素とを備える。
【0062】
例えば、戻り部品は、「L」字型レバー作動部品又はプーリである。
【0063】
第1の代替実施形態によれば、戻り部品は、リボン又はケーブルがプーリと接触するように、固定又は回転プーリである。プーリの特定の構成による動作では、プーリが四分の一回転するか、又はリボン若しくはケーブルが固定プーリの円周の四分の一を移動する。好ましくは、機械的連結手段は、プーリの軸に平行なカウンタプーリ又は軸ガイドを更に備える。カウンタプーリ又はガイドは、リボン又はケーブルが一方でプーリと、他方でカウンタプーリ又はガイドと同時に接触するように、プーリの近くに配置される。
【0064】
第2の代替実施形態によれば、機械的連結手段は、レバー作動部品を備える。例えば、レバー作動部品は、「L」又はブラケットの形状を有する。レバー作動部品は、「L」の2つのアーム又はブラケットの2つのアームの交点に回転軸を備える。一実施形態によれば、「L」作動部品は、鍵の下に配置され、鍵の戻りの近くに接続される。
【0065】
任意選択的に、レバー作動部品は接合部品を形成してもよい。部品の一方又は両方の端部は、接合部品について上で定義されたようなスロットを備えてもよい。
【0066】
非網羅的に、上記で提案された特徴の組み合わせを含む様々な実施形態が以下に示される。
回転式電気アクチュエータは、鍵の軸に平行な回転軸を有し、機械的連結手段は、アクチュエータを鍵に接続するケーブル又はリボンを備え、
回転式電気アクチュエータは、鍵の軸に平行な回転軸を有し、機械的連結手段は、アクチュエータを鍵に接続するケーブル又はリボンと、ケーブル又はリボンの軌道を変更するためのアクチュエータと鍵との間の戻り部品とを備え、戻り部品は、鍵の軸に平行な枢動軸を有し、
回転式電気アクチュエータは、鍵の軸に平行な回転軸を有し、機械的連結手段は、アクチュエータを鍵に接続する2つのケーブル又は2つのリボン又はケーブル及びリボンであり得る2つの可撓性要素と、鍵の軸に平行な枢動軸を有する戻り部品とを備え、2つの可撓性要素は戻り部品によって分離され、
回転式電気アクチュエータは、鍵の長手方向に平行な回転軸を有し、機械的連結手段は、アクチュエータを鍵に接続するケーブルを備え、
回転式電気アクチュエータは、鍵の長手方向に平行な回転軸を有し、機械的連結手段は、アクチュエータを鍵に接続するリボンを備え、接続手段は、鍵の長手方向に平行な方向に動作クリアランスを達成するように、長穴形状の断面を有する孔を備え、
回転式電気アクチュエータは、鍵の長手方向に平行な回転軸を有し、機械的連結手段は、アクチュエータを鍵に接続する2つのリボンと、2つのリボンの間に配置された接合部品とを備え、
回転式電気アクチュエータは、鍵の長手方向及び鍵の回転軸に垂直な回転軸を有し、機械的連結手段は、アクチュエータを鍵に接続する1つ又は2つのケーブル又は2つのリボン又は1つのリボン及び1つのケーブルとすることができる2つの可撓性要素と、鍵の軸に平行な枢動軸を有する戻り部品とを備え、2つの可撓性要素は、戻り部品によって分離され、戻り部品は、1つ又は2つのリボンの存在下で接合部品とすることもでき、
回転式電気アクチュエータは、鍵の長手方向及び鍵の回転軸に対して垂直な回転軸を有し、機械的連結手段は、アクチュエータを鍵に接続する2つのリボン又はリボン及びケーブルとすることができる2つの可撓性要素と、鍵の軸線に対して平行な枢動軸を有する「L」字型レバー作動部品とを備え、2つの可撓性要素は、レバー作動部品によって分離され、レバー作動部品は、アクチュエータリボンを接続するように意図された端部に、鍵の長手方向に対して平行な方向に動作クリアランスを達成するように、長穴形状断面を有する孔を備え、
回転式電気アクチュエータは、鍵の長手方向及び鍵の回転軸に垂直な回転軸を有し、機械的連結手段は、アクチュエータを鍵に接続する2つのリボンと、2つのリボンの間に配置された接合部品と、接合部品に加えて、鍵の軸に平行な枢動軸を有する戻り部品、特にプーリとを備え、戻り部品は、鍵リボンの軌道を変更するために鍵リボンと接触するように配置され、
回転式電気アクチュエータは、鍵の長手方向及び鍵の回転軸に垂直な回転軸を有し、機械的連結手段は、アクチュエータを鍵に接続する3つのリボン、又は2つのリボン及びケーブルを備え、接合部品は、2つの第1のリボンの間に配置され、戻り部品、特にレバー作動部品は、接合部品に加えて、鍵の軸に平行な枢動軸を有し、レバー作動部品は、第2のリボンと第3のリボン又はケーブルとの間に配置される。
【0067】
別の特定の実施形態によれば、機械的連結手段は、少なくとも2つのリボンと、アクチュエータシャフトに接続されるように配置されたアクチュエータリボンと、鍵に接続されるように配置された鍵リボンと、2つのリボンの間に配置され、互いに直交して配置されたリボンの終端部を受容するように設けられた接合部品と、鍵リボンが協働するプーリとを備える。
【0068】
他の代替実施形態によれば、回転式電気アクチュエータは、鍵の長手方向及び鍵の回転軸に対して垂直であり、鍵の厚さを通過する平面に対してオフセットされた回転軸を有する。これらの場合、戻り部品は、鍵の長手方向に平行な枢動軸を有する。この構成において、上記で提案された特徴の組み合わせを含む様々な実施形態が以下に示される。
機械的連結手段は、2つの可撓性要素を備え、2つの可撓性要素は、2つのケーブル又は2つのリボン又はリボン及びケーブルであってもよく、アクチュエータをキーに接続し、2つの可撓性要素を分離する戻り部品であって、戻り部品は、アクチュエータリボン及び「L」字型レバー作動部品の場合、プーリ又は「L」字型レバー作動部品であってもよく、後者は、アクチュエータリボンを接続するように意図された端部に、キーの枢動軸に平行な方向に動作クリアランスを達成するように長穴形状断面を有する孔を備えることができ、及び/又は鍵リボンの場合、機械的連結手段は、キーの長手方向に平行な方向に動作クリアランスを達成するように長穴形状部分を有する穴を備える連結手段を備え、
機械的連結手段は、アクチュエータを鍵に接続する2つのリボンと、リボンを分離する接合部品と、鍵の長手方向に平行な枢動軸を有し、鍵リボンの軌道を変更するために鍵リボンと接触するように配置されたプーリとを備え、
機械的連結手段は、アクチュエータを鍵に接続する3つの可撓性要素(3つのリボン又は2つのリボン及び1つのケーブルであってもよい)と、第1のリボン及び第2のリボンを分離する接合部品及び/又は第2のリボン及び第3のリボンを分離する接合部品と、鍵の長手方向に平行な枢動軸を有し、リボンの軌道を変更するためにリボンと接触するように配置されたプーリと、2つの可撓性要素を分離する「L」字型レバー作動部品とを備え、機械的連結手段は、鍵の長手方向に平行な方向に動作クリアランスを達成するように、長穴形状断面を有する孔を備える接続手段を備え、
機械的連結手段は、アクチュエータを鍵に接続する4つのリボンと、第1のリボンと第2のリボンとを分離する接合部品及び/又は第3のリボンと第4のリボンとを分離する接合部品と、第2のリボンと第3のリボンとを分離する「L」字型レバー作動部品とを備える。
【0069】
一実施形態によれば、機械的連結手段は、少なくとも2つのリボンと、アクチュエータシャフトに接続されるように配置されたアクチュエータリボンと、鍵に接続されるように配置された少なくとも1つの鍵リボンと、2つのリボンの間に配置され、直交して配置されたリボンの終端部を受容するように設けられたレバー作動部品とを備える。
【0070】
例えば、各リボンは以下の寸法を有する。
アクチュエータリボン:
25~50ミリメートル、好ましくは15~40ミリメートル、好ましくは15ミリメートル超の長さであり、
5ミリメートルから10ミリメートルの間に含まれる幅であり、
0.05ミリメートルの厚さである。
鍵リボン:
15~30ミリメートル、好ましくは5~30ミリメートル、好ましくは5ミリメートル超、好ましくは10ミリメートル超の長さであり、
5ミリメートルから10ミリメートルの間に含まれる幅であり、
0.05ミリメートルの厚さである。
【0071】
好ましくは、機械的連結手段は金属連結手段である。アクチュエータ及び鍵リボンは、金属アクチュエータ及び鍵リボンであってもよい。
【0072】
リボンの材料は、金属(鋼、好ましくはステンレス鋼、又はアルミニウム)、又は繊維若しくは複合ポリマー材料、及び/又は合成繊維織物、例えば、ケブラー(登録商標)を含むか、又はそれらからなる。
【0073】
リボンは、鍵テープがアクチュエータによって引っ張られるときに、鍵の回転と鍵テープの並進運動との間の適合性を保証するためにわずかな屈曲を可能にしながら、鍵に作用するのに必要な張力を実行することを可能にする。リボンの限定された可撓性によって提供される第2の機能は、鍵が減速されたときに、それ自体の慣性によって駆動されるアクチュエータのストロークを制限することからなる。それらは、跳ね返り振動を防止又は消滅させることを可能にする。更に、可撓性リボン連結部は、バックラッシュの欠点を有さず、張力の解放中に安定した平衡構成という利点を有する。
【0074】
別の実施形態によれば、触覚デバイスは、特に接続手段がケーブルを実装する場合、アクチュエータの回転シャフトの角度移動を制御するように、アクチュエータの回転シャフトの周囲に又は回転シャフトの周囲に配置されたアクチュエータ止め具を備える。例えば、止め具は、アクチュエータの回転シャフト上に、又はシャフトの近くに、例えば接線方向に配置されてもよい。一実施形態によれば、止め具は円筒形である。アクチュエータ止め具は、接続手段又はアクチュエータのすぐ近くに配置される。好ましくは、アクチュエータ止め具は、鍵が停止位置に到達する瞬間に到達される。
【0075】
圧力下で屈曲し、牽引下で硬化する少なくとも1つの要素の存在及び/又はアクチュエータ止め具の存在は、機械的連結手段の変位を制御するための機械的手段を構成する。制御手段は、アクチュエータの回転シャフトの角度移動を鍵の角度移動の関数として制御することを可能にする。それらはまた、連結手段の望ましくない動き又は過剰な動きを回避することを可能にする。
【0076】
有利には、機械的連結手段の変位を制御するための機械的手段は、本質的に機械的であり、連結手段及びアクチュエータのすぐ近くに配置され、手段は、張力が停止した瞬間に、鍵に対して連結手段及びアクチュエータを絶対的に有する幾何学的構成で連結手段及びアクチュエータを保持する機能を有する。
【0077】
好ましくは、機械的連結手段の動きを制御するための機械的手段は、少なくとも1つの可撓性要素である。リボンの使用は、主に、その安定した自然平衡構成によって、この幾何学的復元機能を確実にすることを可能にする。
【0078】
ワイヤ接続、特に安定した平衡の自然な構成を有さないワイヤ接続は、取り付けが困難であり、モータのストロークを制限する際に複雑であるという欠点を有し、これは、他の手段、すなわちアクチュエータ停止手段又は電気位置制御手段によって保証されなければならない。
【0079】
相補的に、アクチュエータは、4象限動作に従って制御され、機械的連結手段の制御に関与し、モータがそれ自体の運動量の下で回転することを防止することができる。
【0080】
好ましくは、触覚デバイスは、鍵を高位置に保持するための手段を更に備える。それを高位置に保持することは、それを元の位置に保持することを意味すると理解される。高位置保持手段はまた、ユーザが鍵を押していないときに鍵を元の位置に戻すことを可能にする。特に、高位置保持手段は、回転式電気アクチュエータから独立していてもよい。例えば、高位置保持手段は、少なくとも1つのばね、少なくとも2つの永久磁石、又はこのように装備された鍵が使用されていないときに電流が連続的に通過する保持アクチュエータを備え得る。
【0081】
別の実施形態によれば、計算手段は、機械的連結手段を介して高位置保持機能を実行するように回転式電気アクチュエータを制御することができる。好ましくは、計算手段は、電気アクチュエータを作動させるための4象限制御手段を含む。
【0082】
検出手段は、関連付けられた鍵の位置及び/若しくは加速度、又はユーザによって関連付けられた鍵に加えられた力を検出又は測定するように配置及び構成される。それらは、計算手段によって実装される計算アルゴリズムを通知することを可能にする。
【0083】
好ましくは、鍵検出手段は、鍵の運動学のためのセンサを含む。センサは、例えば、位置センサ、運動センサ、加速度センサ、角速度センサである。
【0084】
鍵検出手段は、例えば歪みゲージタイプの力センサを含む。
【0085】
一実施形態によれば、鍵検出手段は2つのセンサを備える。
【0086】
変形実施形態によれば、検出手段は、鍵の下、好ましくは鍵の下面に配置される。
【0087】
別の実施形態によれば、検出手段は、アクチュエータの電流を測定する手段を備える。
【0088】
計算手段は、好ましくは、自律ボード上の集積マイクロプロセッサと、制御インターフェースと、再現しようとする実際の楽器の機構のダイナミクスの数学モデルを含むソフトウェアとを含む。
【0089】
好ましくは、計算手段は、少なくとも1つのアコースティック楽器の少なくとも1つの鍵を制御するための機械モデルを統合するアクチュエータモジュールを備える。モジュールは、再現しようとする実際の楽器の機構のダイナミクスの数学モデルを統合する。モジュールはまた、電気制御がない場合に、実際の楽器を再現するために使用されるデジタル鍵盤の機構のダイナミクスの数学モデルを統合する。好ましくは、計算手段は、関連するアクチュエータが電流を受け取っていないときに、本明細書に記載の鍵盤の少なくとも1つの鍵を制御するための機械モデルを統合するアクチュエータモジュールを備える。モジュールは、実際の楽器を再現するために使用される鍵盤の機構のダイナミクスの数学モデルを統合し、電気制御がないことによって受動的にされる。モジュールはまた、電気制御がない場合の鍵、連結手段及びアクチュエータのダイナミクスの数学モデルを組み込む。
【0090】
再現しようとする実際の楽器の機構のダイナミクスの数学モデルに関しては、例えば、Anders Thorinによる論文「Non-smooth model of the grand piano action」(https://pastel.archives-ouvertes.fr/pastel-00939493)を参照されたい。
【0091】
第2の態様によれば、本発明は、少なくとも1つの鍵と少なくとも1つの触覚デバイスとを備え、各鍵が第1の態様の特徴のうちの1つ以上によるデバイスに関連付けられている、触覚フィードバック電子楽器鍵盤を提案する。
【0092】
第3の態様によれば、本発明は、第1の態様の特徴のうちの1つ以上による少なくとも1つの触覚デバイスを備えるか、又は第2の態様による鍵盤を備える電子楽器、例えば電子ピアノを提案する。
【0093】
好ましくは、電子楽器はいくつかの触覚デバイスを備える。触覚デバイスは、互いに隣接して配置される。一実施形態によれば、触覚デバイスは、回転式電気アクチュエータが互いに平行に配置されるように配置される。
【0094】
第4の態様によれば、本発明は、第1の態様の特徴のうちの1つ以上に従って少なくとも1つの触覚デバイスを備える電子楽器を制御するための方法を提案する。
【0095】
この方法は、圧力検出手段によって測定された鍵上のユーザの所与の動きに応じて、ユーザの荷重力に対して所定の保持力を加えるように、鍵に関連付けられた少なくとも1つの回転式電気アクチュエータを制御することを目的とする。この保持力は、同じ動きを得るために、したがって従来の楽器機構のダイナミクスをエミュレートするために、同様の従来の楽器又はアコースティック楽器の鍵に対向する力に実質的に対応する。
【0096】
この制御方法は、少なくとも、
検出手段によって、ユーザが鍵を押したことを検出するステップと、
押圧力に抵抗するように鍵に張力を加えるように、又は鍵をその元の位置に戻すように張力を加えるように、アクチュエータをリアルタイム制御するステップとを含む。
【0097】
検出手段は、鍵の位置及び/又は加速度を周期的に測定し、次いで、この情報を計算手段に送信する。計算手段は、機構のダイナミクスの数学モデルから実際の楽器機構において生成される力を計算する。
【0098】
計算手段は、鍵のモデルをリアルタイムでシミュレートするのに十分な計算能力を有していなければならない。サイクル時間(測定/計算/作動)は、ピアノの鍵の動きによって制約され、定義される。サンプリング周波数は例えば2kHzである。より低い値では、従来のピアノ鍵のシミュレーションは不安定性を有する。計算手段は、例えばコンピュータである。
【0099】
好ましくは、様々な構成要素間で情報を送信するために、計算手段は、
パワーエレクトロニクスと、
信号電子機器と、
リアルタイムシミュレーションモデルに基づくコンピューティングボードと、
MIDI(Musical Instrument Digital Interface)ハブと、
ルータとを更に備える。
【0100】
計算手段の機能は、測定された信号を処理し、従来の鍵盤及びデジタル鍵(シミュレーション)のダイナミクスをリアルタイムで計算し、アクチュエータに適用されるコマンドを生成することである。
【0101】
計算手段は、シミュレートされるべき楽器の動的モデル及び検出手段からのリアルタイム測定値に基づいて、アクチュエータに加えられるべき電流又は電圧を計算する。
【0102】
したがって、本発明による制御方法は、
低コストで調整可能かつ変更可能である機構、
異なる、同じ鍵盤上であるが、異なる楽器、例えば、ハープシコード、フォルテピアノ、クラビコード又はオルガンを指す機構、
アコースティック楽器には存在しないが、例えば、非常に若いピアノ学習者によるより良好な制御を可能にする、例えば、現代の軽いタッチのピアノに関して所望され得る機構、
乾燥摩擦のない鍵、ワイヤ上の衝撃点に非常に近いハンマーの脱進点などの物理的問題のために存在せず、これらは、例えば、「ピアノ」マークで演奏するときの制御のより大きな容易さ、より大きな可能な繰り返し率などの異なる理由で望ましいが、その可能な採用はいくつかの生態学的問題を引き起こす可能性がある機構のダイナミクスをエミュレート又はシミュレートすることを可能にする。
【0103】
コンピューティングボードは、センサからの信号の処理を介して、従来の鍵盤の鍵のダイナミクスをエミュレートするための計算をリアルタイムで実行し、アクチュエータに関連付けられたパワーエレクトロニクス回路の測定を実行し、任意選択で、システムの特定の不完全性、例えば遅延を補正することを目的として、力信号に対する制御アルゴリズムの適用を実行する。
【0104】
アクチュエータが単一の鍵に関連付けられている好ましい構成によれば、制御方法は、少なくとも1つの回転式電気アクチュエータの閉ループ制御を提供し、それにより、少なくとも1つのアクチュエータは、リアルタイムでコンピュータによって与えられ、パワーエレクトロニクスによって中継されるコマンドに従って、経時的に可変の力を加える。
【0105】
各コンピューティングボードは、電子回路を使用して、それが制御する鍵上で演奏される音符に対応するMIDIコードを提供する。コードは、MIDI規格に従って信号に変換される。様々なコンピューティングボードの信号は、MIDI(内部又は外部)ハブに送信され、MIDIハブは、音合成に必要なMIDIコードをコンピュータ(自律プロトタイプの場合)又はデジタルピアノに送信する。自律プロトタイプの場合、コンピュータは、音声合成ソフトウェア、例えば、ソフトウェアPianoteq(登録商標)によって音声合成を実行する。
【0106】
本発明の他の特徴及び利点は、添付の図を参照した本発明の以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【0107】
より明確にするために、種々の実施形態の同一又は類似の要素は、全ての図において同一の参照符号によって示される。
〔発明を実施するための形態〕
【0108】
図1図2a及び図2bは、電子楽器の触覚制御デバイス1の第1の実施形態を示す。楽器、例えば、図3a及び図16に示すピアノは、いくつかの鍵を含む鍵盤から構成される楽器であり、そのうちの単一の鍵が図1図2a及び図2bに示されている。
【0109】
触覚デバイス及び鍵Kは、側面図で見られ、鍵は、水平長方形によって表される。鍵Kは、ピアノの鍵を示す。それは、フレーム、例えば鍵盤のフレームに対して枢動軸A1を中心に枢動可能に取り付けられる(図3a及び図16参照)。枢動軸A1は、回転シャフトを表す円盤上に、ターゲットを表す互いに垂直な2本の破線によって表されている。枢動軸A1は、図1図2a、及び図2bの左側で、鍵Kの下で、鍵の近位端と呼ばれる第1の端部の近くに示されている。第1の端部に対向する遠位端と呼ばれる第2の端部の近くであって、鍵の上面K1の上方に、楽器のユーザの指が示されており、図1でのみ見ることができる。
【0110】
鍵の下で、遠位端の近くに、触覚デバイスは、ユーザによる鍵の押下及び動きを検出及び/又は測定するための手段30を備える。図1を参照すると、検出及び/又は測定手段は、2つの運動センサ31、32、例えば加速度計を備える。それらは、鍵の動きを測定し、この情報を触覚デバイス(図示せず)のサーボ及び制御手段とも呼ばれる計算手段に送信するように配置される。
【0111】
触覚制御デバイス1は、回転式電気アクチュエータ10を備える。好ましくは、アクチュエータは、その駆動シャフトが軸B1に沿って延在する直流電気モータである。モータは、鍵Kに対して、回転軸B1が鍵Kの長手方向K0に平行になるように、特に元の位置において、方向K0及び軸B1が垂直に位置合わせされるように配置される。本実施形態では、回転軸B1は実質的に水平である。
【0112】
図1図2図3a及び図16を参照すると、触覚制御デバイスは、モータ10のシャフトを鍵の上面K1に接続する機械的連結手段20を更に備える。機械的連結手段20は、互いに接続された複数の要素又は部品、すなわち、組立手段25(図1及び図2では見えない)と、アクチュエータリボン24(図16の2つのアクチュエータリボン24a、24b)と、接合部品23と、鍵リボン22と、接続手段21とを備える。
【0113】
組立手段は、アクチュエータリボンを電気モータの回転シャフトに接続することを可能にする(図3a及び図3b参照)。例えば、図7を参照すると、組立手段25は、巻線部品25e及びクランプ部品25s、又は2つの分岐部を有するあぶみを備える。巻線部品は、電気モータの回転シャフト上に嵌合されるように配置された孔を有する(図3a及び図3b参照)。それは更に、孔に対して半径方向に延在する長方形部分を有し、その部分には、嵌合を可能にするためにスロットが形成される。クランプ部品25sは、巻線部品25eの長方形部分に重なるようにU字型に形成されている。クランプ部品は、その分岐部の1つに、巻線部品の長方形部分に対して垂直に配置された雌ねじを含む。アクチュエータリボンが取り付けられるとき、アクチュエータリボンは、クランプ部品の内面と長方形部分の第1の外面との間で押される(図3a及び図3b参照)。第1の面に対向する面は、クランプ部品の雌ねじに取り付けられたねじの端部を受容する。ねじ込み動作により、巻線部品の長方形部分のスロットを閉じて巻線部品を駆動シャフトに締め付けることと、アクチュエータリボンの終端部がクランプされるまで押すこととの両方が可能になる。
【0114】
アクチュエータリボン24は、組立手段25と接合部品23との間に配置される。アクチュエータリボンは、モータの回転シャフトに対して垂直かつ接線方向に延在する。
【0115】
鍵リボン22は、接合部品23と接続手段21との間に配置される。鍵リボンは、特に元の位置において、鍵を横切る平面に平行な平面に沿って垂直に延在する。
【0116】
別の実施形態によれば、図3aとの差異によって説明される図16を参照して、機械的連結手段20は、一対のアクチュエータリボン24a及び24bを備える。各リボン24a、24bは、アクチュエータ10を接合部品に接続する。2つのリボンは、スリーブ形状の組立手段25を介して、アクチュエータ10のシャフトの周囲に取り付けられる。リボン24a、24bのアクチュエータ終端部は直径方向に対向して配置される。アクチュエータリボン24aは、接合部品とアクチュエータとの間に直接接続される。アクチュエータリボン24bは、ホイール11によって接合部品とアクチュエータとの間に接続される。ホイール11は、リボン24bがホイール11の周りに巻き付かれてから、リボン24aのアクチュエータ終端部の取り付け点と実質的に直径方向に対向するアクチュエータの周囲の点に取り付けられるように、アクチュエータに対して持ち上げられて配置される。この構成は、アクチュエータの作動中に、アクチュエータシャフトの周りに反対方向に二重の牽引を加えることを可能にする。アクチュエータ24a及び24bのリボンは、アクチュエータの軸及びリボンを備えるデバイスに関連付けられた鍵の長手方向の両方に平行な平面に対して実質的に対称に配置される。
【0117】
図17によって表される代替実施形態によれば、アクチュエータは、2つのハーフシャフト111、112を備え、機械的連結手段20は、ホイール11に接続される前に駆動シャフトの2つのハーフシャフトの間を通過する単一のアクチュエータリボン24を備える。各ハーフシャフトは、その長手方向軸に沿って長方形面を有し、その一辺はシャフトの直径に対応し、湾曲面は円形半円筒に対応する。ハーフシャフトの接合は、シャフトを得ることを可能にする。
【0118】
リボン(又はケーブル)は、例えば2つのねじによって互いに締め付けられた2つの半円筒を備えるクランプ部品によってモータの軸上に一緒に締め付けられた2つの半ロッドの間でアクチュエータ(モータ)のシャフトを通過する。
【0119】
リボン(又はケーブル)の2つの端部は、鍵上で交わる。このようにして、リボン(又はケーブル)の2つの端部は、鍵に同じ力を加える(これらの力は累積する)が、モータの軸に反対符号の力も加える。その結果、鍵には力が加わり、モータには互いに打ち消し合う一対の力が加わる。
【0120】
鍵に加えられた力が、横方向に逸れることなく垂直軸にまっすぐに引っ張ることを可能にするために、中間方向変更部材、例えばプーリ又はホイール11が使用される。
【0121】
図8aを参照すると、接合部品23は、2つのリボン22、24の終端部を受容するための2つの互いに対向して垂直なスリット26、27を備える。接合部品は、リボン配向変換器の機能を果たす。接合部品の第1の端部は、アクチュエータリボン24の終端部を受容するように配置されたスロット26を有し、第1の端部に対向する第2の端部は、鍵リボン22の終端部を受容するように配置されたスロット27を有する。
【0122】
図8bに示される接合部品の別の実施形態によれば、接合部品23は、同じ垂直方向に延在する2つのプレートを備える。プレートは互いに垂直に配置され、各プレートは、リボンを締結するための手段を受容するために穿孔されている。
【0123】
最後に、接続手段21は、鍵Kの上面K1(図1図2a、及び図2b)に取り付けられる。図9aを参照すると、接続手段は、2つのロッド、すなわち連結ロッド21a及び鍵ロッド21bの形態を有する。連結ロッドaは、スロット端部と呼ばれる一端に、鍵リボン終端部を受容するように配置されたスロットを備える。スロットは、鍵の横断面に平行な平面に沿って向けられている。鍵ロッドは、鍵に形成された雌ねじに嵌合するように配置されたねじ付き本体を備える。鍵ロッドは、スロット端部に対向する接続ロッドの端部を受容するための中空本体を備える。中空本体の周壁は、鍵ロッド内の連結ロッドの位置をロックすることを可能にするねじを受容するために半径方向に延在する雌ねじを備える。
【0124】
図9bに示される別の実施形態によれば、接続手段21は、互いに垂直にかつ異なる方向に配置された2つのプレートを備える。第1のプレートは、鍵Kに取り付けられるように水平に延在し、第2のプレートは、鍵リボンに接続されるように垂直に延在する。各プレートは、ねじを通すための孔を備える。
【0125】
図1を参照すると、接続手段は、枢動軸A1から鍵の長手方向距離の25%に等しい距離に配置される鍵点において、鍵上に配置される。好ましくは、鍵点は、鍵の中央と鍵の遠位端との間に配置される。好ましくは、それらは枢動軸A1から可能な限り遠くに取り付けられる。
【0126】
例えば、接続手段は、鍵点が枢動軸から少なくとも50ミリメートル、好ましくは少なくとも100ミリメートル、有利には少なくとも150ミリメートルの距離にあるように鍵上に配置される。組立手段、特に巻線部品は、アクチュエータ点がモータの軸から3ミリメートルの距離に位置するように、モータの軸上に配置される。これらの後者の表示(150及び3ミリメートル)の場合、モータと鍵との間の角度変位の減少比、すなわちトルク増倍比は50に等しい。
【0127】
好ましくは、連結部品の各スロット又は各穴は、締結手段、例えばねじと関連付けられる。例えば、雌ねじは、ねじを受容するために部品の軸に対して半径方向又は垂直に延在する。
【0128】
図2aを参照すると、鍵Kは、実質的に水平位置又は上昇位置に配置されている。上面K1及び鍵の遠位端付近を押すと、鍵は、遠位端が下がるように枢動され、鍵リボン22は、鍵の枢動により傾斜して曲がる(図2b参照)。アクチュエータリボン24は、垂直のまま巻き戻され、電流が供給される電気モータ10によって保持されて、アコースティック楽器の鍵盤機構のダイナミクス(又は以前に決定された任意の他のダイナミクス)を再現する。各モータは電流によって制御される。押すと、モータのトルクが鍵の下降(発電機動作)を制動することを可能にする。解放されると、同じ電流制御が鍵を上げること(モータ動作)を可能にする。モータによって生成されるトルクは、常に同じ符号を保持する。鍵を押すことと解放することとの間で回転方向のみが変化する(2象限動作)。図10は、デバイスのパワーエレクトロニクスの図を示す。別の実施形態によれば、計算手段は、パワーエレクトロニクス図のその場限りの変更を使用して、4象限動作を実行するためにアクチュエータを制御することができる。
【0129】
図3a及び図3bを参照すると、複数の鍵、特にピアノの黒鍵及び白鍵を備える鍵盤の場合の電気モータの配置が示されている。電気モータは、回転シャフトが2つの水平列に配置され、機械的連結手段が位置合わせされるようにオフセットされるように配置される。
【0130】
図4a及び図4bは、第2の実施形態を示しており、この第2の実施形態は、前述の実施形態に対する差異によって説明される。
【0131】
図示された鍵は、フラットピアノの鍵に対応し、鍵は、「L」を形成するように、鍵の下に遠位端から延在する鍵の戻りRを備える。この場合、回転式電気アクチュエータ及び機械的連結手段は、鍵の戻りの上面K2の上方に配置される。鍵の戻りの上面K2を下面K3から隔てる距離は、例えば、45ミリメートルに等しい。図4aを参照すると、接続手段は、鍵の戻りの上面K2に取り付けられている。図4bを参照すると、鍵リボンの終端部は、鍵の戻りRの遠位横断面に取り付けられている。
【0132】
図4bに示す代替的な実施形態によれば、鍵の下面K3は、アクチュエータを部分的に受容するために、例えば凹形状の凹部を有してもよい。この特徴は、更にコンパクトなデバイスを提案することを可能にする。
【0133】
図4cに示され、図4aとの差異によって説明される別の代替実施形態によれば、デバイスは、アクチュエータの駆動シャフトの端部に配置されたねじ付きロッドを備える。好ましくは、ねじ付きロッドはねじVである。
【0134】
更に、デバイスは、鍵の戻り上に配置された取り付けフィンガPを備える。フィンガは、ねじ付きロッドの上方に、好ましくは駆動シャフト又はねじ付きロッドに実質的に平行に配置される。図示の実施形態によれば、取り付けフィンガは円筒形状を有し、上面K1に垂直な面に取り付けられる。
【0135】
更に、機械的連結手段20は、2本のケーブル、すなわち、鍵の戻りの遠位端をねじ付きロッドに接続するケーブル24c1と、ねじ付きロッドを取り付けフィンガに接続するケーブル24c2とを備える。
【0136】
動作において、鍵の戻りR及び取り付けフィンガPは、鍵が下降又は上昇するとき、例えば、示された実施形態に従って垂直に、並進において一体化される。ねじVはアクチュエータ軸と一体であり、駆動シャフトの幾何学的軸に沿って回転可能である。ねじ付きロッド、特にねじVは並進しない。
【0137】
好ましくは、機械的連結手段20は、2つのストランド24c1及び24c2を有する単一のケーブル24cを備える。後者の場合、ケーブル24cは、ねじVの周りに1回以上巻き付かれ、ケーブルが摺動するのを防止するためにねじに取り付けられる。例えば、ケーブル24cは、接着によってねじ又はねじ付きロッドに取り付けられる。好ましくは、ストランド又はケーブル部分24c1及び24c2は、ねじ付きロッド又はねじVの同じ側に現れる。ケーブル24c2のストランド(その端部は鍵に固定されている)の役割は、鍵が底部止め具に到達したときにその運動量を停止させることによってアクチュエータの回転をロックすることである。ケーブルストランド24c2は、鍵が停止されたときにのみ力を加え、モータを保持する役割のみを果たす。動作中、鍵を押すと、ケーブルストランド24c2はねじVの周りに巻き付き、ケーブルストランド24c1はねじVから巻き戻される。
【0138】
図4dによって表される更に別の代替的な実施形態によれば、それは、先行する変形例に対するその差異によって説明される。デバイスは、プーリ又はホイール121と、2つのストランド24d1及び24d2を備えるケーブル24dとを更に備える。図4dによれば、プーリ121は、ねじVの上方に配置され、アクチュエータフレームに取り付けられ、プーリ121の軸は、アクチュエータの軸に実質的に平行である。ケーブル24dは、実質的にプーリ121の円周を通って移動し、ねじ付きロッド又はねじVの周りに部分的に巻き付く。鍵の遠位端を接続するケーブルのストランド24d1は、ねじ付きロッド又はねじVに、及びプーリ121をねじ付きロッド又はねじVに接続するケーブルのストランド24d2に接触することなく接近することによってプーリ121に戻る。ストランド24d2の遠位端の接続点は、ケーブルのストランド24c2の遠位端の接続点と直径方向に対向する点でねじ付きロッドの周囲に固定される。図4dを参照すると、接続点も軸方向にオフセットされている。前述の変形例と同様に、ストランド24c1及び24c2は、ねじ付きロッド又はねじVの同じ側に取り付けられるか、又はねじVの外周線に沿って軸方向にオフセットされる。
【0139】
動作中、鍵が押されると、ケーブルのストランド24c2がねじVの周りに巻き付き、ストランドの長さが減少し、ケーブルのストランド24d2がねじVから巻き戻され、ケーブルのストランド24c1がねじVから巻き戻され、ストランドの長さが増加し、ケーブルのストランド24d1の長さが増加する。2本のケーブル24c及び24dは、アクチュエータ軸に一対の対向する力を加える一方で、鍵の戻りに蓄積する力を加える。ケーブル24dの機能は、ストランド24c1のように鍵を引っ張ることであるが、戻りプーリ121のおかげで、アクチュエータを同じ方向に回転させながら、モータをストランド24c1の方向と反対の方向に引っ張る。
【0140】
図5aは、第1の実施形態に対するその差異によって説明される第3の実施形態を示す。電気モータ10は、鍵Kの上方に配置され、フレーム(図示せず)に固定されている。電気モータの回転軸B1は、鍵Kの長手方向に対して垂直である。アクチュエータリボン24は、モータの回転シャフトに対して水平かつ接線方向に延在する。簡略化のために、組立手段、接合手段及び接続手段はここでは示されていない。機械的連結手段は、回転軸が枢動軸A1に平行であるプーリ28を更に備える。プーリはフレーム(図示せず)に接続されている。プーリは、その経路に沿って鍵リボン22をその円周上に受容することを可能にする。接合部品とプーリとの間で、鍵リボンの部品は実質的に水平に延在する。プーリと接続手段との間で、鍵リボンの部品は実質的に垂直に延在する。図5bに示す代替的な実施形態によれば、デバイスは、円筒形のカウンタプーリ51を更に備え、プーリ28に対して接線方向に配置される。カウンタプーリは、鍵リボン22と接触又は準接触している。カウンタプーリは、鍵リボンの動きを案内及び/又は制御することを可能にし、したがって、鍵リボンをプーリ28の周囲に保持することを可能にする。カウンタプーリは、鍵リボンがプーリから外れるのを防止する。
【0141】
図5cは、第4の実施形態を示しており、この第4の実施形態は、前述の実施形態に対する差異によって説明される。機械的連結手段は、プーリ28の代わりに、回転軸C1が枢動軸A1に平行であるブラケット29を備える。ブラケットの軸C1は、フレーム(図示せず)に接続されている。ブラケットは、その経路に沿って鍵リボン22を受容する。鍵リボン22は、第1の鍵リボン22bと第2の鍵リボン22aとを備える。接合部品とブラケットとの間で、第1の鍵リボン22bは実質的に水平に延在する。ブラケットと接続手段との間で、第2の鍵リボン22aは、実質的に垂直に延在する。
【0142】
図6aは、第3の実施形態に対するその差異によって説明される第5の実施形態を示す。図示の鍵は、フラットピアノの鍵に対応しており、鍵は、第2の実施形態と同様に鍵の戻りRを備えている。電気モータ10は、鍵Kの下方に配置されている。モータの回転軸B1は、鍵の長手方向に対して垂直であり、枢動軸A1に対して垂直である。機械的連結手段は、鍵の下面K3の下に延在する。プーリ28は、鍵の戻りRの上面と鍵の下面K3との間に配置されている。接続手段(図示せず)は、鍵の戻りの上面K2に取り付けられる。
【0143】
図6bは、第6の実施形態を示しており、この第6の実施形態は、先行する実施形態に対する差異によって説明される。プーリ28はブラケット29に置き換えられ、鍵及びアクチュエータリボンに対するブラケット29の配置は、第4の実施形態と同様又は同一である。
【0144】
先の実施形態に対する差異によって説明される、図6cによって表される代替的な実施形態によれば、アクチュエータ10は、枢動軸A1の近くに配置される。デバイスは、アクチュエータリボン24の動きを案内することを可能にするリボンガイド61のうちの1つを更に備える。各リボンガイドは、リボンがそれらの間で並進することができるように、互いに離間された一対のロッドを備える(図6dも参照)。
【0145】
前述の実施形態の全てに統合することができる代替実施形態を表す図6dを参照すると、機械的連結手段は、アクチュエータの回転シャフトの近くに配置されたアクチュエータ止め具42を更に備え、シャフトの角度移動を制限する。止め具42は円筒形状であり、フレームに固定されている。止め具42は、組立手段25を介してアクチュエータの回転シャフトの回転を制限するために設けられる。
【0146】
図6eに示される代替実施形態によれば、デバイスは、同軸に配置されたホイール291及びローラ292を備え、ホイール291の直径は、ローラの直径よりも大きく、例えば少なくとも3倍大きい。ホイール291及びローラ292のアセンブリは、鍵リボン22がローラ292及び鍵の戻りの遠位端に接続されるように、鍵の戻りの近くに配置される。前述の実施形態と比較して、アクチュエータリボン24は、下側ストランドと呼ばれる2つのストランド24e1と、上側ストランドと呼ばれる24e2とを有するケーブル24eに置き換えられている。好ましくは、ケーブル24eはホイール291に取り付けられ、特に、ホイールの周囲と接触するケーブルの摺動を制限又は防止することを可能にする。
【0147】
更に、アクチュエータ10は枢動軸A1の近くに配置され、アクチュエータの回転軸は枢動軸A1に対して実質的に垂直である。アクチュエータは、上部シャフト及び下部シャフトの2つの回転シャフトを備え、各回転シャフトは、アクチュエータの一方の軸方向端部に配置される。ケーブル24eは、上部シャフトに接続された一端を有し、上側ストランド24e2を形成するようにホイール291まで延在し、ホイール291の円周の実質的に半分を移動し、下側ストランド24e<1を形成するように下部シャフトまで延在し、下部シャフトに接続される。24e1の一端は、アクチュエータの軸の下部に巻き付いている。端部は、異なる回転方向に巻き付かれ、一方の端部が巻き付かれると、他方の端部は巻き戻される。
【0148】
動作中、鍵が押されると、鍵の戻りも下降し、鍵リボン22の引っ張りは、ケーブル24e1のストランドに牽引力を作用させ、下部シャフトからケーブル24e1を巻き戻すように、ローラ及びホイール291アセンブリの反時計回り方向の回転を駆動し、したがって、抵抗力を加えアクチュエータを駆動する。この代替的な実施形態は、アクチュエータの回転角度と鍵の回転角度との間の非常に大きな比を得ることを可能にし、この比は、鍵に加えられるトルクに対してアクチュエータから要求されるトルクをそれに応じて減少させることを可能にする。
【0149】
図12は、第1の実施形態に対するその差異によって説明される第7の実施形態を示す。電気モータ10は、鍵の上面K1の上方に配置され、モータの回転軸は、鍵の枢動軸A1に平行に延在する。機械的連結手段は、アクチュエータリボン24及び鍵リボン22の両方を実行する単一のリボンを含む。組立手段25は、図3a及び図3bの組立手段に適合する。接続手段21は、図9bの接続手段に従う。図13の上部は、白鍵に接続された、図12による2つの触覚デバイスを表す。白鍵に関連付けられた2つのアクチュエータは、鍵の上に配置され、重ね合わされ、互いに対してオフセットされる。
【0150】
図13の下部を参照して、第8の実施形態が示され、第8の実施形態は、前の実施形態に対するその差異によって説明される。図示された黒鍵はそれぞれ、「L」を形成するように鍵の下に延在する鍵の戻りRを備える。この場合、回転式電気アクチュエータ及び機械的連結手段は、鍵の戻りの上面K2の上方に配置される。黒鍵に関連する鍵は、鍵の下に配置され、互いにオフセットされる。接続手段は、鍵の戻りの端部の前面に取り付けられる。鍵リボンの終端部は、鍵の戻りRの遠位横断面に取り付けられる。
【0151】
図13の下部に見られる代替の実施形態によれば、機械的連結手段は、鍵の戻りRと電気モータ10との間に配置された戻りプーリ28を備える。
【0152】
図13の実施形態は、アクチュエータの横方向配置によってもたらされる嵩の問題を解決するための特定の配置を提案し、アクチュエータの長さは鍵の平均幅の数倍である。この図は、4つの鍵の斜視図を示しており、そのうちの3つは、構成AxR1のアクチュエータ及び連結手段に関連付けられており、第1の平面の黒鍵は、構成AxR1PxR1のアクチュエータ及び連結手段に関連付けられている。アクチュエータの軸は鍵の回転軸に平行であり、接続手段は単一のリボン及びその締結部品に縮小される。
【0153】
図14は、第1の実施形態に対するその差異によって説明される第9の実施形態を示す。機械的連結手段は、アクチュエータリボン24及び鍵リボン22の両方の機能を実行する単一のリボンを含む。組立手段25は、図3a及び図3bの組立手段に適合する。リボンは、特定の接続手段21によって鍵に接続される。図15を参照すると、接続手段は、本体を備える接続部品21であり、本体から、2つの平行なプレートが、鍵の長手方向に垂直に、かつ鍵の枢動軸に垂直に延在し、プレートは、スロットを画定するように互いに離間される。スロットは、リボンの鍵終端部の挿入を可能にする幅を有する。プレートはそれぞれ孔を有し、孔の軸は鍵の枢動軸に平行に延在し、孔は同軸である。加えて、鍵終端部は開口部を備える。接続手段は、孔及び開口部に挿入されるように配置された接続シャフトを備える。1つの特定の実施形態によれば、各孔は、その断面に従って、接続シャフトが横方向に並進することができるように長穴の形状を有する。好ましくは、長穴の最長長さは、長穴の幅(又は最小長さ)よりも少なくとも20%大きい。長円形の穴は、鍵の長手方向に平行な方向に動作クリアランスを達成することを可能にする。
【0154】
図11を参照すると、従来の楽器又はアコースティック楽器の保持力を計算する方法が、そのダイナミクスをシミュレートするために示されている。
【0155】
シミュレーションの様々な段階を以下に説明する。
初期化:システムのジオメトリ及び係数が初期化される予備ステップ。
測定:鍵の位置及び加速度の測定値が現在の瞬間に収集され、フィルタが測定ノイズを低減するために適用され、鍵の速度が計算される。
ジオメトリの更新:システムの要素の位置が、現在の瞬間の測定値及び前の瞬間における方程式の分解の結果で更新される。
力のモーメントの計算であって、接触力のモーメントと、重みと、ばねによる力と、粘性摩擦のトルクとの並行した計算。
関節における及び部品間の接触における乾燥摩擦のトルクの推定:この計算は、適切に完了するために上述の全てを必要とする。
一方では、エミュレートしようとする機械システム(アコースティック楽器鍵盤又は他の楽器鍵盤)のダイナミクスを表し、他方では、電気制御がない場合に採用された触覚インターフェースのダイナミクスを表す連立方程式の各々の解の計算。
【0156】
以上、本発明を例示的に説明した。当業者は、本発明の範囲から逸脱することなく、本発明の異なる変形実施形態を作り出すことができることが理解される。
【図面の簡単な説明】
【0157】
図1】電子アップライトピアノの鍵に関連付けられた第1の実施形態による触覚制御デバイスの概略側面図であり、デバイスは、電気モータと、モータと鍵の上面との間の金属リボンタイプの機械的連結手段とを備え、モータの回転軸は鍵の長手方向に平行である。
図2a】鍵及び機械的連結手段の動きを誇張して示す図1の概略側面図であり、図2aは、元の位置を示す。
図2b】鍵及び機械的連結手段の動きを誇張して示す図1による概略側面図であり、図2aは、ユーザが鍵を押したときの停止位置を示す。
図3a】第1の実施形態による3つの触覚制御デバイスの斜視図であり、各デバイスは、一実施形態による機械的連結手段を備える。
図3b】アクチュエータの回転シャフトを有するゾーンにおける図3aの詳細図であり、各デバイスは、それぞれの回転シャフトの近くに配置されたアクチュエータ止め具を備える。
図4a】第2の実施形態による触覚制御デバイスの概略側面図であり、モータは鍵の下面の下方に配置され、機械的連結手段はフラットピアノの鍵の戻りの上面の上方に配置され、アクチュエータの回転軸は鍵の長手方向に平行である。
図4b図4aによる触覚デバイスの例示的な実施形態の断面図である。
図4c図4aに示される実施形態の変形である触覚デバイスの例示的な実施形態の斜視図である。
図4d】前の図のシステムの上面斜視図である。
図5a】第3の実施形態による触覚制御デバイスの概略斜視図であり、モータ及び機械的連結手段は、鍵の上面の上方に配置され、アクチュエータの回転軸は、鍵の長手方向及び枢動軸に垂直であり、機械的連結手段は、鍵リボンと協働するプーリを更に備える。
図5b図5aに従った図であり、周辺表面が鍵リボンと接触しているカウンタプーリを更に備え、カウンタプーリは、プーリに対して実質的に接線方向に配置されている。
図5c】第4の実施形態による触覚制御デバイスの概略斜視図であり、モータ及び機械的連結手段は、鍵の上面の上方に配置され、アクチュエータの回転軸は、鍵の長手方向及び枢動軸に垂直であり、機械的連結手段は、回転ブラケットと、アクチュエータリボンとブラケットとの間に配置される追加のリボンとを更に備える。
図6a】第5の実施形態による触覚制御デバイスの概略側面図であり、モータは鍵の下面の下に配置され、機械的連結手段はフラットピアノの鍵の戻りの上面に接続され、アクチュエータの回転軸は鍵の長手方向及び枢動軸に垂直であり、機械的連結手段はプーリを更に備え、鍵リボンガイドはプーリのすぐ近くに配置することができるが、図示されていない。
図6b】第6の実施形態による触覚制御デバイスの概略側面図であり、モータが鍵の下面の下に配置され、機械的連結手段がフラットピアノの鍵の戻りの上面に接続され、アクチュエータの回転軸が長手方向及び鍵の枢動軸に垂直であり、機械的連結手段が回転ブラケットと、ブラケットとアクチュエータリボンとの間に配置された追加のリボンとを更に備え、アクチュエータリボンが垂直軸を有する一連の二重ガイドによって案内される。
図6c】アクチュエータリボンガイドを更に備える、図6bによる触覚デバイスの例示的な実施形態の断面図である。
図6d】アクチュエータ回転シャフトの近くに配置されたアクチュエータ止め具を備える変形実施形態による触覚制御デバイスの部分斜視図であり、アクチュエータリボンの組立手段が止め具と接触している状態を示す。
図6e】ウィンチホイールを備える、図6a、6b、及び6cに示される実施形態の変形である触覚デバイスの例示的実施形態の側面図である。
図7】一実施形態による組立手段の斜視図である。
図8a】2つのリボンの間の接合部品の例示的な実施形態の斜視図である。
図8b】2つのリボンの間の接合部品の別の例示的な実施形態の斜視図である。
図9a】接続ピースの例示的な実施形態の斜視図である。
図9b】接続ピースの別の例示的な実施形態の斜視図である。
図10】触覚制御デバイスの電気回路図を示す。
図11】従来の楽器又はアコースティック楽器のダイナミクスの関数として保持力を計算するための図を示す。
図12】電子アップライトピアノの鍵に関連付けられた第7の実施形態による触覚制御デバイスの概略斜視図であり、デバイスは、電気モータと、モータと鍵の上面との間に単一の金属リボンを備える機械的連結手段とを備え、モータの回転軸は鍵の枢動軸に平行である。
図13】4つの触覚制御デバイスの概略斜視図であり、2つの触覚制御デバイスは前述の実施形態によるものであり、2つの触覚制御デバイスは第8の実施形態によるものであり、各デバイスは、関連する鍵の下面の下に配置されたモータと、関連する鍵の鍵の戻りを連結する機械的連結手段とを備え、機械的連結手段は、モータと鍵の鍵の戻りの面との間に単一の金属リボンを備え、モータの回転軸は鍵の枢動軸に平行であり、2つのデバイスのうちの1つは戻りプーリを更に備える。
図14】電子アップライトピアノの鍵に関連付けられた第9の実施形態による触覚制御デバイスの概略斜視図であり、デバイスは、電気モータと、モータと鍵の上面との間に単一の金属リボンを備える機械的連結手段とを備え、モータの回転軸は鍵の長手方向に平行であり、機械的連結手段は、長手方向に動作クリアランスを達成するように配置された接続手段を備える。
図15】鍵の長手方向に垂直な軸に沿った孔を有する図14による接続手段の斜視図である。
図16】第10の実施形態による3つの触覚制御デバイスの斜視図であり、各デバイスは、デバイスごとに2つの可撓性アクチュエータ要素を備える特定の実施形態による機械的連結手段を備える。
図17】前述の実施形態の変形である、第11の実施形態による触覚制御デバイスの斜視図である。
図1
図2a
図2b
図3a
図3b
図4a
図4b
図4c
図4d
図5a
図5b
図5c
図6a
図6b
図6c
図6d
図6e
図7
図8a
図8b
図9a
図9b
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
【国際調査報告】