(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-12
(54)【発明の名称】急速充電システム
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20240705BHJP
B60L 53/16 20190101ALI20240705BHJP
B60L 50/60 20190101ALI20240705BHJP
【FI】
H02J7/00 301B
H02J7/00 P
B60L53/16
B60L50/60
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024500608
(86)(22)【出願日】2021-07-12
(85)【翻訳文提出日】2024-03-01
(86)【国際出願番号】 EP2021069339
(87)【国際公開番号】W WO2023284940
(87)【国際公開日】2023-01-19
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521205102
【氏名又は名称】シュンク トランジット ジステムズ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ボーヒャート オリヴァー
【テーマコード(参考)】
5G503
5H125
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB01
5G503FA03
5G503FA06
5H125AA01
5H125AC12
5H125AC23
5H125FF12
(57)【要約】
本発明は、電気駆動車両、特に乗用車、トラック、バス等のための急速充電システム(10)に関し、急速充電システムは、接触子装置(11)と、充電接触子装置(12)と、位置決め装置(13)とを備え、充電接触子装置は、車両の車両底部(14)に配置可能、又は車両の車両底部(14)の中に配置可能であり、充電接触子を有する充電接触子支持体(17)を備え、接触子装置は、車両の下の、その上を車両が走行できる地面(15)に配置可能、又は地面(15)の中に少なくとも部分的に配置可能であり、接触子を有する接触子支持体(16)を備え、それぞれの接触子は、充電接触子との接触を確立することによって、接触子間の導通を実現し得て、接触子支持体は、車両と固定式の充電ステーションとの間の導電接続が実現され得るように、位置決め装置によって、充電接触子支持体に対して接触位置に配置され得て、接触子支持体は、接触子を有する凸部(18)を有し、凸部に接触子が配置されており、充電接触子支持体は、充電接触子を有する凹部(19)を有し、凹部に充電接触子が配置されており、又は逆もまた同様であり、凸部と凹部とは、一致する幾何学的な形状のそれぞれの接触表面(20,21)を有し、凸部の輪郭は、楕円形である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気駆動車両、特に乗用車、トラック、バス等のための急速充電システム(10,27,32,38,43,47,52,63,66)であって、
前記急速充電システムは、接触子装置(11,37,67)と、充電接触子装置(12,33,69)と、位置決め装置(13,34,44,68)とを備え、
前記充電接触子装置は、
車両の車両底部(14)に配置可能、又は車両の車両底部(14)の中に配置可能であり、
充電接触子(80)を有する充電接触子支持体(17,30,35,41,46,54,71)を備え、
前記接触子装置は、
車両の下の、その上を車両が走行できる地面(15)に配置可能、又は地面(15)の中に少なくとも部分的に配置可能であり、
接触子(79)を有する接触子支持体(16,28,36,39,45,53,70)を備え、
それぞれの接触子は、充電接触子との接触を確立することによって、接触子間の導通を実現し得て、
前記接触子支持体は、前記車両と固定式の充電ステーションとの間の導電接続が実現され得るように、前記位置決め装置によって、前記充電接触子支持体に対して接触位置に配置され得て、
前記接触子支持体は、前記接触子を有する凸部(18,31,42,51,55,72)を有し、前記凸部に前記接触子が配置されており、前記充電接触子支持体は、前記充電接触子を有する凹部(19,29,40,49,58,73)を有し、前記凹部に前記充電接触子が配置されており、又は、
前記接触子支持体は、前記接触子を有する凹部を有し、前記凹部に前記接触子が配置されており、前記充電接触子支持体は、前記充電接触子を有する凸部を有し、前記凸部に前記充電接触子が配置されており、
前記凸部と前記凹部とは、対応する幾何学的な形状のそれぞれの接触表面(20,21,74,77)を有し、
前記凸部の輪郭(25,56,64,75)は、楕円形である、
急速充電システム。
【請求項2】
前記接触位置において、前記接触子(79)及び前記充電接触子(80)は、前記車両底部(14)及び/又は前記地面(15)に対して平行な接触面(24)に配置される、
請求項1に記載の急速充電システム。
【請求項3】
前記凹部(19,29,40,49,58,73)及び前記凸部(18,31,42,51,55,72)は、前記接触位置において、前記凹部及び前記凸部のそれぞれの端面により、少なくとも前記接触面(24)において互いに接する、
請求項2に記載の急速充電システム。
【請求項4】
前記凹部(19,29,40,49,58,73)及び前記凸部(18,31,42,51,55,72)は、前記接触面(24)に対して傾斜させられた、対応するそれぞれの側方表面(22,23)を形成する、
請求項2又は3に記載の急速充電システム。
【請求項5】
前記凸部(18,31,42,51,55,72)の前記輪郭(25,56,64,75)は対称形である、
請求項1-4のいずれか1項に記載の急速充電システム。
【請求項6】
前記凸部(18,31,42,51,55,72)の前記輪郭(25,56,64,75)は、楕円(57,76)の形状、又は円弧多角形(65)の形状を有する、
請求項1-5のいずれか1項に記載の急速充電システム。
【請求項7】
前記楕円の主軸は、前記車両の走行方向を横断する、
請求項6に記載の急速充電システム。
【請求項8】
前記凹部(19,29,40,49,58,73)の前記輪郭(26,59,78)は、前記車両の走行方向に対する一方の側に開口する、
請求項1-7のいずれか1項に記載の急速充電システム。
【請求項9】
前記接触子支持体(16,28,36,39,45,53,70)及び/又は前記充電接触子支持体(17,30,35,41,46,54,71)は、当該の前記接触子及び/又は前記充電接触子が、前記接触子及び/又は前記充電接触子の反対の方向に押されるように、前記接触子(79)及び/又は前記充電接触子(80)にスプリング力を及ぼすバネをそれぞれ有する、
請求項1-8のいずれか1項に記載の急速充電システム。
【請求項10】
前記接触子(79)及び前記充電接触子(80)は、プリント基板によってそれぞれ構成され、
前記プリント基板は、前記接触子支持体(16,28,36,39,45,53,70)の接触子支持要素の表面の中に、及び/又は前記充電接触子支持体(17,30,35,41,46,54,71)の充電接触子支持要素の表面の中に配置され、
前記接触子支持要素は、誘電材料で形成されている、
請求項9に記載の急速充電システム。
【請求項11】
前記接触子支持体(16,28,36,39,45,53,70)及び/又は前記充電接触子支持体(17,30,35,41,46,54,71)は、前記急速充電システム(10,27,32,38,43,47,52,63,66)の鉛直の中心軸(82)に対して、少なくとも部分的に回転可能、及び/又は少なくとも部分的に旋回可能である、
請求項1-10のいずれか1項に記載の急速充電システム。
【請求項12】
前記接触子装置(11,37,67)又は前記充電接触子装置(12,33,69)は、前記位置決め装置(13,34,44,68)を有し、
前記位置決め装置は、少なくともパンタグラフ、ピボットレバー、スイングアーム、又は伸縮ガイドによって構成され、
前記接触子支持体(16,28,36,39,45,53,70)又は前記充電接触子支持体(17,30,35,41,46,54,71)は、前記位置決め装置によって、少なくとも鉛直方向に位置決めされ得る、
請求項1-11のいずれか1項に記載の急速充電システム。
【請求項13】
前記位置決め装置(13,34,44,68)は、前記急速充電システム(10,27,32,38,43,47,52,63,66)の鉛直の中心軸(82)に対して、星型のように配置されて、かつそれぞれの端部(83)に接触子(79)又は充電接触子(80)が配置される旋回可能な腕(81)によって構成される、
請求項1-12のいずれか1項に記載の急速充電システム。
【請求項14】
前記位置決め装置(44)は、前記車両の高さ制御をするように構成され、
前記充電接触子装置は、前記高さ制御によって、少なくとも鉛直方向における位置決めがされ得る、
請求項1-11のいずれか1項に記載の急速充電システム。
【請求項15】
前記接触子装置(11,37,67)及び/又は前記充電接触子装置(12,33,69)のそれぞれは、少なくとも1つの移動可能なプレートを有する保護要素を有し、
前記接触子(79)及び/又は前記充電接触子(80)の端側は、前記保護要素によって完全に覆われ得る、
請求項1-14のいずれか1項に記載の急速充電システム。
【請求項16】
前記接触子装置(11,37,67)は、前記車両が前記接触子装置上を走行できるように、及び/又は前記車両が前記接触子装置に乗り上げられるように構成される、
請求項1-15のいずれか1項に記載の急速充電システム。
【請求項17】
前記接触子装置(11,37,67)及び/又は前記充電接触子装置(12,33,69)は、トランスポンダユニットを有し、
前記トランスポンダユニットは、前記位置決め装置と結合され得て、データが、前記トランスポンダユニットと前記位置決め装置(13,34,44,68)との間で伝達され得る、
請求項1-16のいずれか1項に記載の急速充電システム。
【請求項18】
車両、特に乗用車、トラック、バス等であって、
前記車両は、請求項1-17のいずれか1項に記載の急速充電システム(10,27,32,38,43,47,52,63,66)を備える、
車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気駆動車両のための急速充電システムと、この種の急速充電システムを有する車両、特に乗用車、トラック、バス等に関し、急速充電システムは、接触子装置、充電接触子装置及び位置決め装置を備え、充電接触子装置は、車両の車両底部に配置可能、又は車両の車両底部の中に配置可能であり、かつ充電接触子を有する充電接触子支持体を備え、接触子装置は、車両の下の、その上を車両が走行できる地面に配置可能、又は地面の中に少なくとも部分的に配置可能であり、かつ接触子を有する接触子支持体を備え、それぞれの接触子は、充電接触子との接触を確立することによって、接触子間の導通を実現し得て、接触子支持体は、車両と固定式の充電ステーションとの間の導電接続が実現され得るように、位置決め装置によって、充電接触子支持体に対して接触位置に配置され得る。
【0002】
この種の急速充電システムは、先行技術から知られており、例えば、停止位置において電気駆動車両を充電するために、一般に使用されている。この場合、車両の屋根に配置される急速充電システムと、車両の底の下に配置される急速充電システムとは、区別される。
【0003】
充電システムは、プラグ-ソケット接続からも構成され得るが、この場合、低電流だけが伝送され得て、このことは充電時間を延ばす。さらに、多くの場合、オペレータによるプラグとソケットとの手動の結合が要求され、人を守るための電気的な安全装置のための特別な要件が遵守されなければならず、このことは、人の手の届かない自動化されている急速充電システムには当てはまらない。したがって、この場合、特に高電流、例えば750Vまでの電圧の500A-1000Aの電流が伝送され得るので、乗用車、トラック又はバスのような車両の下に急速充電システムを配置することは、妥当であるように思われる。既知の急速充電システムにおいて、接触子装置は、典型的には、車両の下の地面に設けられるか、地面の穴又は同様の種類の凹部の中に配置される。
【0004】
例えば、対応する接触子装置が車両底部の下に配置された充電接触子装置との接触を確立する急速充電システムが知られている。この場合、接触子支持体は、急速充電システムの位置決め装置によって接触位置に案内され、接触位置における接触子は、導電接続を形成するために、充電接触子装置の充電接触子との接触を確立する。このプロセスにおいて、充電回路のための、かつ例えば制御ライン、接地又はデータ伝送のための接触子間の導通が実現される。したがって、複数の接触子とそれぞれに割り当てられた充電接触子との間に確立されるべき接触が常に意図される。この種の急速充電システムは、例えば独国特許出願公開第102009001080号明細書から知られている。
【0005】
接触子装置と充電接触子装置とが位置決め装置によって接続されているとき、接触子間の導通を実現させるため、接触子装置及び/又は接触子が、充電接触子装置の充電接触子に対して、この目的のために提供された位置に動かされるべきという問題が常にある。もし車両が、車両の使用者によって、又は車両の自動制御によって接触子装置の上方に配置されたとしても、接触子装置と充電接触子装置とが位置決め装置によって接続されているときに位置の修正が必要とされるように、充電接触子装置の水平位置は、接触子装置の位置と常に異なっている。この位置の修正は、位置決め装置自体によって実行され得て、多くの場合に、複雑な制御と、位置を検出するためのセンサ技術とを必要とする。同時に、特に、接触を確立するプロセスは可能な限り早く実行されるべきなので、接触子装置と充電接触子装置との正確な相対的な位置決めは、この種の制御を伴っては不可能である。特に、接触子装置と充電接触子装置との接触表面には、それゆえに、多くの場合、望ましくない摩耗又は損傷が、長期間の運用寿命の間に、接触を確立するプロセスの結果として生じる。
【発明の概要】
【0006】
したがって、本願における本発明の目的は、長期間の使用であっても、接触を確実かつ早急に確立することを可能にする急速充電システムを提案することにある。
【0007】
この目的は、請求項1の特徴を有する急速充電システムと、請求項18の特徴を有する車両とによって達成される。
【0008】
電気駆動車両、特に乗用車、トラック、バス等のための本発明に係る急速充電システムにおいて、急速充電システムは、接触子装置と、充電接触子装置と、位置決め装置とを備え、充電接触子装置は、車両の車両底部に配置可能、又は車両の車両底部の中に配置可能であり、充電接触子を有する充電接触子支持体を備え、接触子装置は、車両の下の、その上を車両が走行できる地面に配置可能、又は地面の中に少なくとも部分的に配置可能であり、接触子を有する接触子支持体を備え、それぞれの接触子は、充電接触子との接触を確立することによって、接触子間の導通を実現し得て、接触子支持体は、車両と固定式の充電ステーションとの間の導電接続が実現され得るように、位置決め装置によって、充電接触子支持体に対して接触位置に配置され得て、接触子支持体は、接触子を有する凸部を有し、凸部に接触子が配置されており、充電接触子支持体は、充電接触子を有する凹部を有し、凹部に充電接触子が配置されており、又は、接触子支持体は、接触子を有する凹部を有し、凹部に接触子が配置されており、充電接触子支持体は、充電接触子を有する凸部を有し、凸部に充電接触子が配置されており、凸部と凹部とは、対応する幾何学的な形状のそれぞれの接触表面を有し、凸部の輪郭は、楕円形である。
【0009】
本発明に係る急速充電システムは、凸部と凹部とが互いに対して適切な位置に配置されたときに、接触子及び充電接触子も互いに対して適切な位置に配置されるように、互いに嵌合する凸部及び凹部をこのように有する。凸部は、接触子支持体、又は充電接触子支持体に設けられ得て、凹部は充電接触子支持体、又は接触子支持体に設けられ得る。接触位置において互いに接触する凸部及び凹部のそれぞれの接触表面は、充電接触子支持体と接触子支持体とを、確実に、適切な位置に配置することを可能にする、少なくとも部分的に対応する幾何学的な形状を有する。凸部の輪郭、つまり凸部の外周上を走る線、又は凸部の接触表面に沿って走る線は、楕円形である。したがって、輪郭は、円形状とは異なり、非円形で角がない。凸部の輪郭が楕円形なので、凸部と凹部とが接続されるとき、損傷又は摩耗の増大が効果的に避けられる。一方、角のある凸部の場合において、接触表面は、接触子支持体と充電接触子支持体とが接続されるときに、凸部の角が凹部の接触表面にぶつかった場合、傷が付けられたり、又は破損させられたりするおそれがある。凸部の輪郭が楕円形なので、輪郭の幾何学的な形状だけで、接触子と充電接触子とを正確に位置決めをすることがさらに可能である。円形の輪郭は、この場合において、接触子支持体が充電接触子支持体に対して回転させられるおそれがあるので、このことを可能にしないだろう。さらにこの場合、接触子及び/又は充電接触子もまた、同心円状に設計されて、同心円状に配置されなければならないだろう。本発明に係る急速充電システムの場合において、接触子及び充電接触子は、基本的に、どのような幾何学的な形状であってもよく、凸部及び/又は凹部の領域に配置され得る。総じて、単純な手段によって、急速充電システムの、安全かつ信頼できる機能を確実にすることが、このように可能となる。
【0010】
接触位置において、接触子及び充電接触子は、車両底部及び/又は地面に対して平行な接触面に配置され得る。この場合、凸部及び凹部は、凸部及び凹部のそれぞれの接触表面により、接触位置において、接触面で互いに接し得る。凸部及び凹部の接触表面内に、接触子及び/又は充電接触子が、互いに対向して配置され得る。よって、急速充電システムは、高電流の伝送のための特に大きな接触表面を有し得て、さらに低い全高も有し得る。
【0011】
凹部及び凸部は、接触位置において、凹部及び凸部のそれぞれの端面で、少なくとも接触面において互いに接し得る。この場合、端面は、実質的に平坦であり、かつさらに突き出ている凸部又は凹部は有さないように構成され得る。
【0012】
凹部及び凸部は、接触面に対して傾斜させられた、対応するそれぞれの側方表面を形成し得る。凹部及び凸部のそれぞれの側方表面が傾斜させられるので、凸部は、接触子支持体と充電接触子支持体とが、位置決め装置によって接続されているとき、凹部の中央に置かれ得る。この側方表面は、接触位置に達するまで、接続プロセスの間、互いに沿って摺動し得る。凸部の輪郭が楕円形なので、側方表面も、この場合、凸部及び/又は凹部の実質的な損傷又は摩耗が、接続プロセスの間に発生し得ないように、接触面に対して楕円を成すように延びる。側方表面の傾きは、側方表面が接触面に対して鈍角になるよう構成され得るように、比較的大きくなり得る。
【0013】
凸部の輪郭は対称形であり得る。よって、輪郭の非対称形の構成とは対照的に、接触位置において力が均一に分布し、これにより、確実な接触が確立される。さらに、対称的な輪郭は、製造することが比較的容易である。
【0014】
凸部の輪郭は、楕円の形状、又は円弧多角形の形状を有し得る。円弧多角形は、一定の長さの曲線と、大きく丸みを付けられた角を有するように構成され得る。楕円は、凸部と凹部との安定した接触が達成され得て、かつ同時に、望ましくない回転が防止され得るように、円に近い形状を有する。
【0015】
有利なことに、楕円の主軸は、車両の走行方向を横断し得る。原則として、車両の走行方向を横断する方向に楕円の短軸が配置されることも、しかしながら可能である。この場合、車両の走行方向は、車両の長手方向軸であると理解される。
【0016】
凹部の輪郭は、車の走行方向に対する一方の側に開口し得る。この場合、凹部は、ベイのように構成され得る。特に、車両及び/又は地面に対する鉛直方向における、凸部と凹部との接続が可能である。もし凹部が一方の側に開口するなら、凸部も、水平方向に、凹部の中へ挿入され得る。この場合、接触子装置の方への車両を走らせること、よって、互いに接近した凸部と凹部とを動かすこと、及び凸部と凹部とを接触位置に運ぶことも可能である。さらに、位置決め装置による凸部と凹部との接続が、鉛直方向及び水平方向において実施されるように、位置決め装置が構成されることも可能である。
【0017】
接触子支持体及び/又は充電接触子支持体は、当該の接触子及び/又は充電接触子が、接触子及び/又は充電接触子の反対の方向に押されるように、接触子及び/又は充電接触子にスプリング力を及ぼすバネをそれぞれ有し得る。接触子が充電接触子の方向に押されるように、又は充電接触子が接触子の方向に押されるように、バネによって、スプリング力が、接触子及び/又は充電接触子に及ぼされ得る。接触子及び/又は充電接触子は、圧縮バネ、特にうず巻バネによって、バネ装着がされ得る。結果として、このように、接触子と充電接触子との正確な接触、つまり接触表面が、バネの予荷重下において接触位置に形成され得る。スプリング力は、接触子と充電接触子とが、それぞれ充電接触子及び接触子に向かう方向へ常に押されるように、かつ接触子間の導通が実現されていないとき、正面端の位置に移動されるように選択され得る。接触子及び充電接触子は、1500Vまでの電圧の500A-1000Aの電流、好ましくは440Vの電圧の350Aの電流が接触位置において伝送され得るように実現され得る。よって、750kW-1500kWの電力、好ましくは150kWの電力が、この急速充電システムを介して伝送され得る。バネの予荷重の場合、少なくとも2つの接触子及び/又は充電接触子が、それぞれの高さにおいて、それぞれの接触表面に対して突出し得る。よってこの場合、少なくとも2つの接触子間の導通が実現されるとき、それぞれの接触子と充電接触子との間で接触子間の導通が確立されている間、所定のオーダーを確保することが可能である。
【0018】
接触子及び充電接触子は、プリント基板によってそれぞれ構成され得て、プリント基板は、接触子支持体の接触子支持要素の表面の中に、及び/又は充電接触子支持体の充電接触子支持要素の表面の中に配置され得て、前記接触子支持要素は、誘電材料で形成されている。例えば、接触子支持要素及び/又は充電接触子支持要素は、プラスチック材料で形成され得る。プリント基板は、プラスチック材料に埋め込まれ得るか、又はプラスチック材料の表面をわずかに超えて突出し得る。プリント基板は、実質的に円形、楕円形又は帯形状であり得る。
【0019】
接触子支持体及び/又は充電接触子支持体は、急速充電システムの鉛直の中心軸に対して、少なくとも部分的に回転可能、及び/又は少なくとも部分的に旋回可能であり得る。この接触子支持体及び/又は充電接触子支持体の回転可能性及び/又は旋回可能性は、凸部が凹部に挿入されるとき、公差の補償を考慮に入れる。車両の移動は、例えば、人が車両に入ること、又は車両から出ることにより、充電プロセスの間にも生じ得るので、この場合のためにも、車両の移動が補償され得る。特に、位置決め装置は、制限内において回転可能及び旋回可能であるように設計され得る。
【0020】
接触子装置又は充電接触子装置は、位置決め装置を有し得て、位置決め装置は、少なくともパンタグラフ、ピボットレバー、スイングアーム、又は伸縮ガイドによって構成され得て、接触子支持体又は充電接触子支持体は、位置決め装置によって、少なくとも鉛直方向に位置決めされ得る。例えば、位置決め装置は、地面又は車両に配置され得るか、及び/又は構成され得る。原則として、接触子装置及び充電接触子装置のそれぞれに位置決め装置を用いることも可能である。位置決め装置が、鉛直方向に、接触子支持体及び/又は充電接触子支持体を移動させ得ることは極めて重要である。しかし、位置決め装置の設計に応じて、水平移動も、鉛直移動を実行する間に同時に実行され得る。
【0021】
位置決め装置は、急速充電システムの鉛直の中心軸に対して星型のように配置されて、かつそれぞれの端部に接触子又は充電接触子が配置され得る旋回可能な腕によっても構成され得る。伸縮ガイドと比較すると、この種の位置決め装置は、特に平坦であり、有利なことに地面又は車両の真下に配置され得る。この腕は、中心の電気駆動によって駆動され得て、バネによって凸部と凹部との間の接触力を補助的に発揮する。
【0022】
代替的に、位置決め装置は、車両の高さ制御をするように構成され得て、充電接触子装置は、前記高さ制御によって、少なくとも鉛直方向における位置決めがされ得る。この高さ制御は、空気圧によって支持される車両の車台によって構成され得て、地面に対して車両の高さを低くすることを可能にする。充電接触子支持体は、車両の高さを低くすることによって、接触子支持体と接続され得る。この場合、位置決め装置を特別に設ける必要はなく、もともと車両に存在している車台の高さ制御が位置決め装置として使用され得るので、特に有利である。
【0023】
接触子装置及び/又は充電接触子装置のそれぞれは、少なくとも1つの移動可能なプレートを有する保護要素を有し得て、接触子及び/又は充電接触子の端側は、保護要素によって完全に覆われ得る。この場合、接触子装置の上側及び/又は充電接触子装置の下側が、例えば誘電材料で形成されたプレートによって覆われ得る。プレートの誘電材料は、プラスチック材料、例えば繊維強化プラスチックであり得る。この場合、プレートは、接触子支持体及び/又は充電接触子支持体を完全に覆い得て、よって使用されていないときに、接触子支持体及び/又は充電接触子支持体を汚れや損傷から防ぎ得る。
【0024】
接触子装置は、車両が接触子装置上を走行できるように、及び/又は車両が接触子装置に乗り上げられるように構成され得る。接触子装置は、車両の一対のタイヤの間に収まるように構成され得る。同時に、接触子装置の一部、又はその代わりとして接触子装置の全体は、充電プロセスの間、その車輪が接触子装置上にある状態に車両が位置するように、車両が接触装置に乗り上げることができるように構成され得る。この場合も、接触子装置の寸法は、例えば駐車場の広さに応じて、車両の寸法に合わせられ得る。
【0025】
接触子装置及び/又は充電接触子装置は、トランスポンダユニットを有し得て、トランスポンダユニットは、位置決めユニットと結合され得て、データが、トランスポンダユニットと位置決め装置との間で伝達され得る。この場合、トランスポンダユニットは、位置決めユニットの制御のために、位置決めの補助として使用され得る。よって、この場合、位置決めユニットの制御は、例えば、車両が接触子装置の上方に位置するかどうか、そして充電接触子装置が、所望の方法で、接触子装置の近くに移動されたかどうかを検出し得る。接触子装置と充電接触子装置とが接続されているとき、トランスポンダユニットは、接続プロセスを制御するために使用され得る。接触位置において、データの交換も、例えば、充電プロセスを処理するために実施され得る。
【0026】
本発明に係る車両、特に乗用車、トラック、バス等は、本発明に係る急速充電システムを備える。車両のさらに有利な実施形態は、請求項1を参照する従属請求項によって提供される。
【0027】
本発明は、充電を必要とするバッテリによって電力を供給される、任意の種類の電気車両のために基本的に使用され得る。
【図面の簡単な説明】
【0028】
以下、本発明の好ましい実施形態が、添付の図面を参照してより詳細に説明される。
【
図1】
図1は、急速充電システムの第1実施形態の側面図を示す。
【
図2】
図2は、急速充電システムの第2実施形態の側面図を示す。
【
図3】
図3は、急速充電システムの第3実施形態の側面図を示す。
【
図4】
図4は、急速充電システムの第4実施形態の側面図を示す。
【
図5】
図5は、急速充電システムの第5実施形態の側面図を示す。
【
図6】
図6は、急速充電システムの第6実施形態の側面図を示す。
【
図7】
図7は、急速充電システムの第7実施形態の上面図を示す。
【
図8】
図8は、急速充電システムの第8実施形態の上面図を示す。
【
図9】
図9は、急速充電システムの第9実施形態の充電接触子装置の上面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1は、接触子装置11、充電接触子装置12、及び位置決め装置13を備える急速充電システム10の概略図を示す。充電接触子装置12は、車両(本願ではより詳細には不図示)の車両底部14に配置される。充電接触子装置12の下方に、位置決め装置13が、車両が走行し得る地面15に配置される。接触子装置11の接触子支持体16は、位置決め装置13に配置され、ここで前記接触子支持体16は、充電接触子装置12の充電接触子支持体17の方向に、往復運動させられ得る。よって、接触子装置11は、この場合、接触子支持体16と位置決め装置13とを備える。
【0030】
さらに、凸部18が、接触子支持体16に設けられ、接触子(本願では不図示)が、前記凸部18に配置される。凹部19が、充電接触子支持体17に設けられ、充電接触子(本願ではより詳細には不図示)が、前記凹部19に配置され、接触子は、前記充電接触子との電気的接触を確立し得る。接触子支持体16と充電接触子支持体17とが接続されているとき、凸部18は、凹部19内へ接触装置に達するまで挿入される。接触位置では、車両及び/又は車両のバッテリそれぞれの充電を可能にする、接触子と充電接触子との接触子間の導通が実現される。接触位置において、凸部18の接触表面20は、凹部19の接触表面21と接触する。さらに、凸部18の側方表面22は、車両底部14及び/又は地面15に対して平行に延びる接触面24に対して傾斜し、かつ接続プロセスの間、接触子支持体16が中央に置かれるように、接続プロセスの間、凹部19の側方表面23に沿って摺動し得る。凹部19は、輪郭25と部分的に一致する輪郭26も有する。特に、凸部18の輪郭25は、接続プロセスの間、正確な位置決めが実行され得るように、楕円形である。
【0031】
図2は、
図1の急速充電システムとは対照的に、接触子支持体28が凹部29を有するように構成され、充電接触子支持体30が凸部31を有するように構成された急速充電システム27を示す。
【0032】
図3は、
図1の急速充電システムとは対照的に、充電接触子装置33が位置決め装置34を備え、充電接触子支持体35が位置決め装置34によって動かされる急速充電システム32を示す。この場合、接触子装置37にある接触子支持体36は、地面15に直接に配置される。
【0033】
図4は、
図3の急速充電システムとは対照的に、接触子支持体39が凹部40を有するように構成され、充電接触子支持体41が凸部42を有するように構成される急速充電システム38を示す。
【0034】
図5は、
図1の急速充電システムとは対照的に、車両(本願ではより詳細には不図示)が位置決め装置44を構成する急速充電システム43を示す。この場合、位置決め装置44は、車両(不図示)の高さ制御をするように構成される。この場合、接触子支持体45は、地面15に直接的に配置され、接触子支持体46は車両底部14に配置される。
【0035】
図6は、
図5の急速充電システムとは対照的に、接触子支持体48が凹部49を有するように構成され、充電接触子支持体50が凸部51を有するように構成される急速充電システム47を示す。
【0036】
図7は、接触子支持体53と充電接触子支持体54とを有する急速充電システム52の簡略化された上面図を示す。接触子支持体53は、楕円57の形状を有する輪郭56を形成する凸部55を有するように構成される。充電接触子支持体54は、凸部55を受け、かつ主軸60に沿った一方側に楕円57の形状に近い輪郭59を形成する凹部58を形成する。したがって、充電接触子支持体54は、凸部55が楕円57の短軸62に沿って挿入され得るベイ61のように構成される。
【0037】
図8は、急速充電システム63の同等の図を示し、この場合、
図7に示される急速充電システムとは対照的に、輪郭64は、円弧多角形65の形状に構成される。
【0038】
図9及び
図10は、急速充電システム66の異なる図を示す。接触子装置67は、車両底部(本願ではより詳細には不図示)の下の充電接触子装置69の方向への移動を可能にする位置決めユニット68を有するように構成される。接触子装置67は、充電接触子装置69の充電接触子支持体71へ挿入され得る接触子支持体70を有する。接触子支持体70は、充電接触子支持体71の凹部73に挿入され得る凸部72を有するように構成される。接触子支持体70の接触表面74は、楕円76の形状の輪郭75を有する。凹部73の接触表面77は、楕円76の形状の輪郭78を部分的に有する。接触子79は接触子支持体70に配置され、充電接触子80は充電接触子支持体70に配置される。接触子79が充電接触子80に対して適切な位置に合わせられて、接触子間の導通が安定して達成されることを確保するように、接触子支持体70が充電接触子支持体71と接続されたとき、輪郭75及び輪郭78は、互いに接触する。位置決めユニット68は、星型のように配置され、中心軸82に対して旋回可能であるアーム81を有するように構成される。接触子79は、アーム81の自由端83のそれぞれに配置される。
【国際調査報告】