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特表2024-525653マイクロ超臨界水酸化固体処理システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-12
(54)【発明の名称】マイクロ超臨界水酸化固体処理システム
(51)【国際特許分類】
   C02F 11/08 20060101AFI20240705BHJP
   C02F 11/12 20190101ALI20240705BHJP
【FI】
C02F11/08 ZAB
C02F11/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024500672
(86)(22)【出願日】2022-07-15
(85)【翻訳文提出日】2024-03-11
(86)【国際出願番号】 US2022073815
(87)【国際公開番号】W WO2023288329
(87)【国際公開日】2023-01-19
(31)【優先権主張番号】63/222,736
(32)【優先日】2021-07-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518038319
【氏名又は名称】ジョージア テック リサーチ コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】GEORGIA TECH RESEARCH CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】イー, シャノン
(72)【発明者】
【氏名】ハスラー, デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】リーマン, ローランド
(72)【発明者】
【氏名】セイラー, クリスチャン
(72)【発明者】
【氏名】フォレー, クリスチャン
(72)【発明者】
【氏名】ファレー, クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】ストウブ, アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】カダフ, マルコ
(72)【発明者】
【氏名】グラッタード, ジャニーヌ
(72)【発明者】
【氏名】ゲンパーリ, エイドリアン
(72)【発明者】
【氏名】フィッシャー, フロリアン
(72)【発明者】
【氏名】ルーディスウーリ, ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】フラッソン, ヴァルディネイ
(72)【発明者】
【氏名】フィッシャー, ジョセフ
(72)【発明者】
【氏名】ブレイカー, トビアス
【テーマコード(参考)】
4D059
【Fターム(参考)】
4D059AA01
4D059BC01
4D059BD01
4D059BD21
4D059BD32
4D059CA01
4D059CB04
4D059DA47
4D059EB06
4D059EB08
4D059EB16
(57)【要約】
糞便廃棄物のマイクロ超臨界水酸化固体処理のための様々なシステム及び方法が記載される。様々な例では、システムがインジェクタ容器及び反応器を含むことができる。反応器は、スラリーバッチの注入と、超臨界流体相への水の臨界点以上の温度まで経時的に加熱される圧縮空気の入力とを受け取ることができる。濃縮器と相セパレータとの組み合わせは、反応器から処理された出力を受け取り、液体及び気体の流出物から固体灰を分離することができる。乾燥トンネルは、固体灰を受け取り、乾燥させることができる。処理プロセスは、スラリーバッチを、反応器内で、超臨界流体相への臨界水点以上の温度まで加熱することと、処理された出力を生成するために、所定の処理時間の間、スラリーバッチを反応器内の最低温度に維持することとを含む。

【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
糞便廃棄物を処理するためのシステムであって、
インジェクタ容器と、
前記インジェクタ容器からのスラリーバッチの注入と、加熱時間にわたって温度まで加熱される圧縮空気の入力と、を受け取るように構成された反応器であって、前記温度は超臨界流体相への水の臨界点以上である、反応器と、
濃縮器と相セパレータとの組合せであって、
濃縮される液体を受け取り、かつ収容するように構成された濃縮器容器と、
前記反応器から処理された出力を受け取り、かつ液体及び気体の流出物から固体灰体積を分離するように構成されたセパレータと、を備える濃縮器と相セパレータとの組合せと、
前記固体灰体積を受け取り、かつ乾燥するように構成された乾燥トンネルと、を備える、
システム。
【請求項2】
前記反応器は、前記処理された出力を生成するために、所定の処理時間の間、前記スラリーバッチを前記反応器内の最低温度に維持するように構成される、
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記最低温度が374℃より高い、
請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記反応器における処理のための前記最低温度が、約350℃~約450℃である、
請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
前記所定の処理時間が約150秒である、
請求項2に記載のシステム。
【請求項6】
前記反応器が、前記所定の処理時間の間、前記反応器内で約220barの圧力を維持するように構成される、
請求項2に記載のシステム。
【請求項7】
前記濃縮器と相セパレータとの組み合わせの前記相セパレータが、前記処理された出力からの熱を利用して、前記濃縮器容器内又はその周囲に延在する前記セパレータの熱交換部分の加熱面を加熱して、そこに含まれる前記液体を加熱する熱交換器として構成される、
請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記濃縮器と相セパレータとの組み合わせは、ブロワ及び複数のディスクを備え、前記複数のディスクは軸の周りに配置され、かつ前記濃縮器容器内に収容され、前記複数のディスクを濡らすために前記収容された液体を通して回転されるように構成され、前記ブロワが前記濡れているディスクから液体を蒸発させるために、前記濃縮器容器内に空気を前記複数のディスクに向けて導くように配置される、
請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記乾燥トンネルは、乾燥機ベルトに向かって空気を押し出すように構成された収容空気ダクトシステム内に収容された乾燥機ベルトを備え、前記乾燥機ベルトは前記固体灰体積を受け取り、かつ乾燥するように構成される、
請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
圧縮空気の前記入力を前記反応器に送るように構成された注入圧力容器を更に備え、前記圧縮空気の入力は、前記スラリーバッチの後続の湿式酸化のためのある量の酸素を有する圧縮空気の体積である、
請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
人間の廃棄物を処理する方法であって、
インジェクタへの糞便のスラリーバッチを受け取ることと、
前記スラリーバッチを空気で加圧することと、
前記スラリーバッチを反応器へ注入することと、
前記反応器の前記スラリーバッチを加熱時間にわたって温度まで加熱することであって、前記温度は超臨界流体相への水の臨界点以上である、加熱することと、
処理された出力を生成するために、所定の処理時間の間、前記スラリーバッチを前記反応器内の最低温度に維持することであって、前記最低温度が前記水の臨界点よりも高い、維持することと、
前記処理された出力を相セパレータへ放出することと、
前記処理された出力を、固体灰体積、液体廃棄物、及び気体の流出物に分離することと、
前記固体灰体積を除去のために廃棄容器に輸送することと、を含む、
方法。
【請求項12】
前記スラリーバッチを前記反応器に注入することは、後続の湿式酸化のためのある量の酸素を前記反応器に提供することを更に含む、
請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記温度が、湿式酸化の着火温度より高い温度である、
請求項11に記載の方法。
【請求項14】
濃縮器への濃縮される液体を受け取ることを更に含む、
請求項11に記載の方法。
【請求項15】
糞便のスラリーバッチを受け取ることは、前記インジェクタへの前記スラリーバッチを受け取る前に、前記スラリーバッチを均質化することを更に含む、
請求項11に記載の方法。
【請求項16】
濃縮器と前記相セパレータとの組み合わせから、オフガスと液体廃棄物とを排出することを更に含む、
請求項11に記載の方法。
【請求項17】
前記反応器における処理のための前記最低温度が、約350℃~約450℃である、
請求項11に記載の方法。
【請求項18】
前記所定の処理時間が約150秒である、
請求項11に記載の方法。
【請求項19】
前記スラリーバッチを前記最低温度に維持することは、前記所定の処理時間の間、前記反応器内の圧力を維持することを含む、
請求項11に記載の方法。
【請求項20】
前記水の臨界点は374℃である、
請求項11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は2021年7月16日に出願された「マイクロスーパー臨界水酸化固体処理システム」と題された米国仮出願第63/222,736号の利点及び優先権を主張し、その全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
世界中で推定45億人の人々が、安全で手頃な価格の衛生システムにアクセスしていない。高レベルの小児死亡及び疾患は、病原体を含む糞便物質が食品又は水供給に侵入する口腔糞便汚染と関連付けられている。従来の衛生下水システムが利用できないか、又は非実用的である場合、非下水衛生システムが必要である。
【発明の概要】
【0003】
本明細書では、インジェクタ容器と、反応器と、濃縮器と相セパレータとの組み合わせと、乾燥トンネルとを備える固体廃棄物処理システムが開示される。反応器はインジェクタ容器からのスラリーバッチの注入と、加熱時間にわたって温度まで加熱される圧縮空気の入力と、を受け取るように構成され、温度は超臨界流体相への水の臨界点以上である。濃縮器と相セパレータとの組み合わせは、濃縮される液体を受け取り、かつ収容するように構成された濃縮器容器と、セパレータとを備える。セパレータはまた、反応器から処理された出力を受け取り、液体及び気体の流出物から固体灰体積を分離するように構成される。乾燥トンネルは固体灰体積を受け取り、乾燥するように構成される。また、開示された固体廃棄物処理システムを使用して、人間の廃棄物を処理するためのプロセスも開示される。
【0004】
本開示の他のシステム、方法、特徴、及び利点は以下の図面及び詳細な説明を検討すれば、当業者には明らかであるか、又は明らかになるのであろう。全てのそのような追加のシステム、方法、特徴、及び利点はこの説明内に含まれ、本開示の範囲内にあり、添付の特許請求の範囲によって保護されることが意図される。加えて、記載された実施形態の全てのオプションの及び好ましい特徴及び修正は、本明細書で教示される本開示の全ての態様で使用可能である。さらに、従属請求項の個々の特徴、ならびに記載された実施形態の全てのオプションの及び好ましい特徴及び修正は互いに組み合わせ可能であり、互換性がある。
【図面の簡単な説明】
【0005】
本開示の多くの態様は、以下の図面を参照してよりよく理解することができる。図面中の構成要素は必ずしも縮尺通りに描かれておらず、代わりに、本開示の原理を明確に示すことに重点が置かれている。図面において、同様の参照符号は、いくつかの図を通して対応する部分を示す。
【0006】
図1図1は、本明細書に記載の様々な実施形態による、マイクロ超臨界水酸化(mSCWO)固体処理システムの例示的な図を示す。
【0007】
図2図2は、本明細書に記載の様々な実施形態による、図1のmSCWO固体処理システムのガス処理モジュール及び反応器モジュールの例示的な部分を示す。
【0008】
図3図3は、本明細書に記載の様々な実施形態による、図2のmSCWO固体処理システムのmSCWO反応器の例示的な断面図を示す。
【0009】
図4A図4A及び図4Bは、本明細書に記載される様々な実施形態による、図1のmSCWO固体処理システムの例示的な濃縮器モジュールを図示する。
図4B】同上
【0010】
図5図5は、本明細書に記載の様々な実施形態による、図1のmSCWO固体処理システムの乾燥トンネルの一例を示す。
【0011】
図6図6は、本明細書に記載される様々な実施形態による、人間の廃棄物の処理のための例示的な方法を図示する。
【0012】
図7図7は、本明細書に記載の様々な実施形態による、非下水単一ユニットトイレシステム内のモジュールとして使用されるmSCWO固体処理システムの例示的な概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
衛生システムは、開放的な排便又は改善された衛生設備の欠如が一般的であり、疾患につながり得る世界の領域に必要とされる。下水から廃棄物を受け取る従来の下水及び下水処理プラントは、実施及び運転するのに費用がかかることがある。廃棄物を大量に処理するマルチユニットトイレの技術が開発されている。しかしながら、下水管接続なしで家庭内に配備することができる、安全で手頃な価格の衛生システムへのアクセスを提供するための技術が必要とされている。世界中で水不足が高まるにつれて、長距離にわたる廃棄物の輸送のための大量の水への依存を減らす衛生システムは、開発途上国だけでなく、世界的にもますます重要になるのであろう。
【0014】
これらの欠点に対処するために、独立の非下水トイレシステムで使用するためのシステムが、本明細書で論じられる。システムは、人間の廃棄物から病原体を不活性化し、安全な処分のために廃棄物を調製するように構成することができる。システムはまた、清浄水などの貴重な資源を回収することができる。システムは、入力水又は出力下水に接続せずに動作するように構成することができる。いくつかの例示的なシステムは、バッテリベースであるか、又はオフグリッド再生可能エネルギーによって電力供給され得る。システムは、低コストの製造及び低動作コストのために最適化することができる。このシステムは、先進国と発展途上国だけでなく、貧しい都市環境で活動する持続可能な衛生サービスを促進することができる。
【0015】
ISO 30500標準は、水とエネルギーの消費を最小限に抑え、人間の廃棄物を安全な出力に変換するなどの戦略を通じて、基本的な衛生ニーズに対処し、経済的、社会的、環境的持続可能性を促進するように設計された非下水衛生システムのための技術基準を提供している。これらの衛生システムはいかなる下水又は排水ネットワークにも接続せずに動作し、健康及び環境安全及び規制パラメータを満たすことを意図している。いくつかの例では、本明細書に記載のシステムが、ISO 30500標準を満たすか又はそれを超える処理された出力を提供するように構成することができる。
【0016】
例えば、人間の廃棄物ストリームは、尿、糞便、下痢などを含むことができる。衛生付随物は、トイレットペーパー、女性用衛生廃棄物、おむつ、他の紙製品などを含むことができる。いくつかのトイレシステムでは、おむつなどの非有機製品を含む衛生付随物の一部を、人間の廃棄物の流れとは別に受け取り、処理することができる。いくつかの例では、廃棄物ストリームは、人間の糞便及び尿、月経血、胆汁、洗浄水、肛門洗浄水、トイレットペーパー、他の体液及び/又は固体を含む。さらに、廃棄物ストリームは、洗浄水、すすぎ水、洗浄水、淡水、消耗水、飲料水、使用可能な水などを含む水を含むことができる。
【0017】
例えば、独立型の非下水トイレシステムは、液体処理システム及び固体処理システムを含むことができ、それらの各々は別個のシステムとして動作することができ、又は人間の廃棄物の処理のために相互接続することができる。独立の非下水トイレシステムはまた、少なくとも1つの分離システムを備えることができる。いくつかの例では、人間の廃棄物ストリームの内容物が別々に分離又は処理され得る。ストリームの分離は、元の物質を主に糞便、尿、及び廃水のストリームに分割することによって、混合内容物の人間の廃棄物のストリームよりも効率的な処理を提供することができる。100%分離は実用的ではないので、ストリーム間の交差汚染の程度は、後続の下流処理アプローチに許容可能である。本明細書に記載されるように、主に糞便を含む糞便ストリームは「茶色のストリーム」とも呼ばれ、茶色のストリームは大部分が糞便であるが、他の液体及び固体廃棄物と混合することもできる。例えば、茶色の流れは、糞便、トイレットペーパー、いくらかの尿、及びいくらかの水を含むことができる。本明細書に記載されるように、「緑色のストリーム」は大部分が水、いくらかの尿、及びいくらかのトイレットペーパーを含むことができ、通常、糞便を含まない。緑色のストリームは大部分が液体であり、いくつかの固体を有する。本明細書に記載されるように、主に尿を含有する尿流は「黄色の流れ」とも呼ばれ、例えば、黄色の流れは、尿及びいくらかの水を含むことができる。本明細書に記載されるように、廃水ストリームは「青色のストリーム」とも呼ばれ、例えば、青色のストリームは主に、洗浄水、肛門洗浄水、又はトイレに注がれる過剰な水の形態の廃水を含有することができる。いくつかの例では、青色のストリームがいくつかの尿を含むこともできる。ストリーム分離は、将来の水不足の制約を考慮すると、低容量の糞便沈着物(主に下痢として認識される)、大容量の尿沈着物、及び過剰量の洗浄及び肛門洗浄水における高度の変動性を考慮すると、より低いコスト及びよりロバスト処理プロセスを可能にすることができる。
【0018】
上述の文脈において、糞便廃棄物ストリームのためのmSCWO固形物処理のシステム及び方法の様々な例が、本明細書に記載される。マイクロスーパー臨界水酸化(mSCWO)固体処理システムは、別個に動作する固体処理システムであってもよく、又は独立の非下水トイレシステムで使用するように構成されてもよい。糞便廃棄物ストリームは、便、ならびに尿、水、及びトイレシステムに収集された廃棄物ストリームに含まれるトイレットペーパーなどの他の衛生上の出来事を含むことができる。一例では、mSCWOシステムが混合内容物の人間の廃棄物ストリームの無制限のレート及びいくつかの衛生上の付随物を受け取ることができる、より大きなトイレシステムの一部とすることができる。mSCWO固体処理システムは、独立型の非下水衛生システムにおける固体処理のためのモジュールとして統合することができる。いくつかの例では、mSCWO固体処理システムが単一ユニットトイレシステムの一部として動作するように構成することができる。例えば、mSCWO固体処理モジュールは、成人の身体廃棄物を、水分、CO、アンモニア、及び鉱物灰分にするように構成された単一ユニットトイレシステムで使用するために統合することができる。いくつかの例では、mSCWO固体処理システムがISO 30500標準を満たすか又はそれを超える処理出力を提供するように構成され得る。
【0019】
mSCWO固体処理システムは、本明細書に記載されるように、人間の廃棄物の糞便ストリーム又は茶色のストリームを処理するために使用され得る。投入前に茶色の流れを分離することによって、mSCWO固体処理システムは、その中に含まれる固体を処理するように動作することができる。さらに、茶色のストリームスラリー又は糞便スラリーは、茶色のストリームから過剰な流体を除去し、内容物を均質化することによって得ることができる。例えば、糞便スラリーは、mSCWO固体処理システムに接続された分離及び均質化システムから得られ得る。
【0020】
mSCWO固体処理のための方法及びシステムは、人間の廃棄物のスラリーを、超臨界流体相への水の臨界点以上まで加熱及び加圧し、全ての病原体を死滅させ、複雑な有機分子を単純な化学的構成単位に還元するバッチ式プロセスを含むことができる。本明細書では糞便スラリー又は茶色のストリームスラリーとも呼ばれる、人間廃棄物のスラリーは、尿及び糞便を含む人間の身体廃棄物、ならびに衛生上の付随物を含むことができる。mSCWO固体処理システムは、尿及び糞便を含む人間の身体廃棄物を処理する少なくとも1つの分離又は処理システムから糞便スラリーを受け取るように構成することができる。例えば、少なくとも1つの分離又は処理システムは、混合内容物廃棄物から液体を部分的に分離することができ、mSCWO固体処理システムに送られる糞便ストリーム又は茶色のストリーム中の液体の量を低減する。例えば、少なくとも1つの分離又は処理システムは、糞便スラリーを形成するように構成されたホモジナイザーを含むことができる。糞便スラリーは、主に液体成分を有する固体である組成物を有することができる。液体成分は、尿、洗浄水、すすぎ水、洗浄水、淡水、消耗水、飲料水などを含むことができる。いくつかの例では、身体的廃棄物の液体成分の一部は、糞便スラリーを形成する少なくとも1つのホモジナイザーシステムの前に、又はそれと併せて別々に処理され得る。
【0021】
糞便スラリーは、mSCWO固体処理システムのインジェクタにおいてスラリーバッチとして受け取られ得り、そこで、圧縮空気を用いて加圧され得る。例えば、加圧スラリーバッチをmSCWO反応器に注入することができる。スラリーバッチを受け取った後、mSCWO反応器は、加熱時間にわたって超臨界流体相への水の臨界点以上まで加熱され得る。水の臨界点は374℃、221barである。例えば、mSCWO反応器は、約2~3分間にわたって、超臨界流体相への水の臨界点以上まで加熱され得る。mSCWO反応器は、病原体を不活性化するための処置のための保持時間の間、この状態を維持することができる。例えば、保持時間は、約8~10分間この状態に維持され得る。保持時間が満了した後、mSCWO流出物を排出することができ、ここで、mSCWO流出物は、病原体減少又は病原体を含まない出力である。mSCWO流出物は、固体灰と液体廃棄物との混合物を含むことができる。反応器サイクルが完了し、スラリーが処理されると、病原体を含まない反応器出力は、濃縮器モジュールの相セパレータに排出され得る。濃縮器モジュールは、液体廃棄物及び気体生成物から固体灰を分離するように構成された、濃縮器と相セパレータとの組み合わせを備えることができる。濃縮器と相セパレータの組合せは、mSCWO流出物からエネルギーを回収することができる。分離された流出物の固体廃棄物は、乾燥トンネル内の乾燥機ベルトに輸送され得り、そこで乾燥され、次いで、システムから取り出すために廃棄容器に輸送され、液体廃棄物は、尿及び廃水処理システムなどの液体廃棄物処理システムにおけるさらなる処理又は工程のために輸送され得る。
【0022】
以下の議論では、mSCWO固体処理システム及び構成要素の動作の議論を含む、mSCWO固体処理システム及び構成要素の一般的説明が提供される。mSCWO固体処理システムの非限定的な例を論じる。いくつかの例では、構成は、mSCWO固体処理システムを、独立の非下水衛生システムを備える他のシステムと統合するための任意選択の接続を含むことができる。例えば、mSCWO固体処理システムは、バッファタンク分離システム及び/又は尿及び廃水処理システムと統合することができる。
【0023】
図1に示すように、mSCWO固体処理システム100は、反応器モジュール110、ガス処理モジュール140、及び濃縮器モジュール150を含むことができる。mSCWO固体処理システム100は、本明細書では糞便スラリーとも呼ばれる、少なくとも糞便を含む固体スラリーを受け取って処理するように構成され得る。糞便スラリーは、タンク、例えば、mSCWO固体処理システム100とインターフェース接続するように構成された分離システムから受け取られ得る。例えば、mSCWO固体処理システム100は、単一ユニットトイレシステムのバッファタンク分離及び均質化システムから糞便スラリーを受け取ることができる。いくつかの例では、糞便スラリーは、mSCWO固体処理システム100への送達前に、混合、浸軟、又は粉砕され得る。いくつかの例では、糞便スラリーは、任意選択で、反応器モジュール110のホモジナイザー118内に受け取られ得り、ここで、糞便スラリーの固体はさらに分解される。茶色のストリームスラリー又は糞便スラリーは、糞便と、尿、トイレットペーパー、及び水のうちの少なくとも1つとを含む。水は、洗浄水、洗浄水、淡水、消耗水、飲料水などであり得る。例えば、茶色のストリームスラリーの全乾燥固体質量比率は、約7~12%の範囲であり得る。例えば、一日で、収集された茶色の流れは、3.967kgの質量を有することができ、全乾燥固形分は0.374kgであり、9.4%の固形分質量比率をもたらす。
【0024】
反応器モジュール110は、インジェクタ112及びmSCWO反応器114を含むことができる。いくつかの例では、反応器モジュール110はまた、ホモジナイザー118を含むことができる。いくつかの例では、糞便スラリーが別のシステムからインジェクタ112内に直接受け取られ得る。別の例では、図1に示すように、糞便スラリーはまた、ホモジナイザー118を介して反応器モジュール110内に受け取られ得る。任意のホモジナイザー118は、インジェクタへの送達前に受け取ったスラリー内のより大きな固体をさらに分解するために、グラインダー又は粉砕機を含むことができる。ホモジナイザー118は、インジェクタ112と流体接続することができる。
【0025】
インジェクタ112は、糞便スラリーのバッチ又は投入量を受け取るように構成され得る。圧縮空気の体積をガス処理モジュール140から受け取って、糞便スラリーの体積をインジェクタ112からmSCWO反応器114に移動させることができる。ガス処理モジュール140は、注入圧力容器142及び圧縮機144を含むことができる。注入圧力容器142は、一定の容積を有することができ、圧力及び温度は変化することができる。いくつかの例では、ガス処理モジュール140が注入圧力容器142の温度、圧力、及び熱を測定するためのセンサを含むことができる。いくつかの例では、ガス処理モジュール140が任意選択で酸素濃縮器を含むことができる。インジェクタ112は、糞便スラリーのバッチ又は投入量をmSCWO反応器114に送るように構成され得る。例えば、ガス処理モジュール140は、22mlの供給物に対して200barで約7~8リットルの空気を提供することができる。インジェクタ112は、後続の湿式酸化のためのある量の酸素を反応器に提供するように構成され得り、酸素は圧縮空気として送られ得る。
【0026】
mSCWO反応器114は、処理されるある量の糞便スラリーを含むように構成され得る。スラリーバッチを受け取った後、mSCWO反応器114は、加熱時間にわたって水の臨界点以上の温度に加熱され得る。温度は、湿式酸化の着火温度を上回ることができる。例えば、mSCWO反応器114は、約2分間にわたって、超臨界流体相への水の臨界点以上まで加熱され得る。mSCWO反応器114は、病原体を除去するための保持時間の間、超臨界流体相中への水の臨界点以上の温度を維持することができる。例えば、保持時間は、約8~約10分間、この状態に維持され得る。保持時間が満了した後、流出物又は病原体を含まない出力は排出され得る。病原体を含まない反応器出力又はmSCWO流出物は、固体灰及び液体廃棄物の混合物を含むことができる。mSCWO固体処理システム100はまた、図1に示されていない様々なセンサ、弁、ポンプ、及び制御デバイスを含むことができる。mSCWO固体処理システム100は、様々なセンサ、弁、ポンプ、及び制御デバイスの動作を制御するように構成されたコントローラ115を備えることができる。
【0027】
濃縮器モジュール150は、本明細書では濃縮器と相セパレータとの組み合わせとも呼ばれ、セパレータ152及び濃縮器154を備えることができる。濃縮器モジュール150は、mSCWO反応器114からmSCWO流出物を受け取るように構成された、本明細書では相セパレータ152とも呼ばれるセパレータ152を含むことができる。いくつかの態様では、セパレータ152は相セパレータとすることができ、加熱面などの熱交換部分を含むこともできる。反応器サイクルが完了し、糞便スラリーが処理されると、mSCWO流出物は、濃縮器モジュール150の相セパレータ152に排出され得る。mSCWO流出物は、mSCWO反応器114の処理された出力である。相セパレータ152は、液体及び気体の流出物から固体灰を分離するように構成され得る。濃縮器モジュール150のセパレータ152は、濃縮器154の内部容積内に延在するように、又は濃縮器容器156の一部分を取り囲むように構成され得り、組み合わされたユニットを形成する。いくつかの例では、濃縮器モジュール150の濃縮器154は、別のシステムから液体入力を受け取ることができる。例えば、mSCWO固体処理システムが単一ユニットのトイレシステム内に接続される場合、液体入力は、mSCWO固体処理システムに接続された、尿及び廃水処理システムなどの液体処理システムから受け取られ得る。相セパレータ152は、濃縮器154と連動して動作して、mSCWO流出物からの熱を利用して、濃縮器154内に含まれる液体廃棄物を加熱及び凝縮するように構成された熱交換器として作動することができる。濃縮器モジュール150は、本明細書でさらに詳細に説明される。動作中、相セパレータ152及び濃縮器154は、オフガスを生成することができる。例えば、相セパレータ152は二酸化炭素(CO)を放出することができ、濃縮器154は水蒸気を生成することができる。オフガスは、濾過され、環境に出力され得る。例えば、気体排出物は、CO、CO、HO、及びNO、ならびに他の窒素又は硫黄酸化物などを含むことができる。いくつかの例では、濃縮器モジュール150のガス出力は、ISO 30500標準を満たすか又はそれを超えるガス出力をフィルタリングするように構成される。
【0028】
乾燥トンネル170は、濃縮器モジュール150の相セパレータ152から凝縮mSCWO流出物を受け取るように構成された乾燥機ベルト190を備えることができる。灰スラッジは、乾燥機ベルト190上で凝縮されたmSCWO流出物から分離され、乾燥灰に処理され得る。一例では、mSCWO固体処理システム100からの乾燥灰出力は、ISO 30500標準を満たすか、又はそれを超えることができる。一例では、凝縮mSCWO流出物から分離された流体がさらなる処理のために別のシステムに出力され得る。一例では、乾燥トンネル170は、乾燥機ベルト190の乾燥プロセスから接続されたバッファタンクシステムに過剰な流体逆流を送る出口を有するように構成され得る。濃縮器モジュール150はまた、濃縮器モジュール150の濃縮器154内に受け取られた液体又は液体廃棄物から形成された濃縮物を出力することができる。例えば、濃縮物出力は、乾燥トンネル170内の乾燥機ベルト190に送られ、灰スラッジと同様の方法で固体廃棄物として乾燥され得る。いくつかの例では、第2のオプションがさらなる処理のために濃縮物出力を別のシステムに戻すことを含むことができる。例えば、濃縮器154からの一部の濃縮物は、バッファタンク分離システムに送られ得る。
【0029】
mSCWO固体処理システム100の例示的な部分を、図2により詳細に示す。図示のように、この例は、反応器モジュール110に接続されたガス処理モジュール140の一部を示す。圧縮空気は、圧縮空気入口120を介して圧縮機144(図示せず)から注入圧力容器142内に受け取られ得る。注入圧力容器142は、一定の容積を有することができ、必要に応じて、圧力逃がし弁148を介して圧力を逃がすことができる。本実施形態では、注入圧力容器142は、500mlの容積(VIPV)を有することができる。注入圧力容器142内の圧力は、約150~160barとすることができる。ガス処理モジュール140は、インジェクタ112に入力される圧縮空気を調整するための注入弁146をさらに備えることができる。同様に、投与弁122、124は、インジェクタ112への、及びそこからの糞便スラリーの流れを可能にする。例えば、糞便スラリーは、入口116を介して、接続された分離及び均質化システム又は任意のホモジナイザー118(図示せず)から受け取られ得る。この実施形態では、インジェクタ112が約10~15mlの投入量(Vfeed)を有することができる。投入量は、スラリーバッチとしてmSCWO反応器114に注入され得る。mSCWO反応器114のための入口弁126及び出口弁128は、それぞれ弁アクチュエータ127、129によって作動させられ得る。mSCWO反応器114は、mSCWO反応器114内の温度及び圧力を測定するために、温度センサ138及び圧力センサ139を含むように構成され得る。
【0030】
図3は、mSCWO反応器114の断面図の一例を示す。図示のように、反応器本体132は、反応器容器134を取り囲む。この実施形態では、mSCWO反応器114は、34mm未満の径(d)を有する約150mlの体積(V)を有することができる。反応器本体132は加熱器を含むことができ、又は加熱要素133と共に組み込まれ得る。反応器容器134は、インジェクタ112(図示せず)からのスラリーバッチの注入と、加熱時間にわたって温度まで加熱される圧縮空気の入力とを受け取るように構成され得り、ここで、温度は、超臨界流体相への水の臨界点以上である。例えば、反応器容器は、約95~150mlの容積を有することができる。入力は、入口136を介して反応器容器134内に受け取られ得り、反応サイクルが完了し、糞便スラリーが処理されると、mSCWO流出物は出口137を介して排出され得る。反応器容器134のための入口弁126及び出口弁128は、それぞれ弁アクチュエータ127、129によって作動させることができる。
【0031】
この実施形態では、mSCWO反応器114は、約400℃~約450℃の温度(T)、350bar未満の圧力(p)、及び約150秒~200秒の処理時間(τ)を含む処理パラメータを得るように構成され得る。mSCWO反応器114は、熱を含むように断熱され得る。mSCWO反応器114は、mSCWO反応器114の反応器容器134内の温度及び圧力を測定するために、温度センサ138及び圧力センサ139を含むように構成され得る。反応器モジュール110は、反応器容器134から圧力を解放するための安全破裂ディスク130をさらに備えることができる。反応器モジュール110はまた、圧力バランスラインを含むことができる。mSCWO反応器114の処理された出力は、濃縮器モジュール150のセパレータ152に受け取られ得る。この例では、セパレータ152は、約4lの容積を有することができ、セパレータ152の壁は熱交換器として構成された加熱面とすることができる。
【0032】
図4A及び4Bは、mSCWO固体処理システム100の濃縮器モジュール150を示す。濃縮器モジュール150は、濃縮器154及びセパレータ152を含むことができる。セパレータ152は、mSCWO反応器114から処理済みスラリーバッチ又はmSCWO流出物を受け取るように構成され得る。濃縮器モジュール150はまた、液体処理システムの濃縮タンクと連動することができる低温殺菌及び蒸発モジュールであってもよい。例えば、液体処理システムは、固体を含有し、かつ液体処理システムにおいて処理することができないリジェクトされた流体を出力することができる。リジェクトされた流体は、濃縮器154内の流体を加熱することによって体積を減少させることができる。一例では、加湿空気及び/又はオフガスが放出され、濃縮物が残るように、加圧空気を濃縮器に導入することができる。例えば、mSCWO固体処理システム100が非下水単一ユニットトイレシステムの一部である場合、濃縮器154は、塩及び/又は他の粒子状固体を含有するリジェクトされた流体を液体処理システムから受け取ることができる。濃縮器154内に含まれる流体はまた、少なくとも部分的に、濃縮器モジュール150のセパレータ152によって加熱され得る。
【0033】
濃縮器モジュール150は、mSCWO反応器114の処理された出力からの熱を利用して、セパレータ152の加熱表面を加熱するように構成することができ、濃縮器154の濃縮器容器156内に含まれる流体を加熱することができる。一例では、セパレータ152は、濃縮器容器156内の流体がセパレータ152の加熱面と接触することができるように、濃縮器容器156内に延在するように構成され得る。別の例では、図4Bに示すように、セパレータ152は、セパレータ152の加熱面の少なくとも一部が濃縮器容器156と接触して、濃縮器容器156内に収容された流体に熱を伝達するように、濃縮器容器156の外部に配置され得る。mSCWO流出物又は処理された排出物からの熱は、セパレータ152の壁に伝達され得る。処理された出力及び凝縮された流出物からの灰は、セパレータ152から乾燥機ベルト190に送られ得り、ここで、灰スラッジは、乾燥トンネル170の乾燥機ベルト190上に沈降する。
【0034】
図4Aに示すように、濃縮器モジュール150は、ある体積の流体を保持するように構成された開放濃縮器容器156と、開放濃縮器容器156内に収容された複数のディスク166とを備えることができる。図4Bの断面図に示されるように、複数のディスク166は、軸168が回転するときに複数のディスク166の少なくとも一部が流体によって濡らされるように、モータ169によって回転され得る軸168の周りに配置され得る。セパレータ152は、濃縮器容器156内の流体を加熱するために熱を伝達するように構成することができるが、濃縮器モジュール150は必要に応じて、補助熱のための加熱コイル174を備える加熱器172も含むことができる。図4Bに示すように、加熱器172は、加熱コイル174が開放濃縮器容器156内に延びて、開放濃縮器容器156内に含まれるある体積の流体を加熱するように配置され得る。いくつかの例では、濃縮器モジュール150はまた、開放濃縮器容器156の上に配置されたエンクロージャ162を含むことができる。いくつかの例では、濃縮器モジュール150は、濃縮される流体の蒸発を助けるために、濡れている複数のディスク166上に空気流を提供するための空気取入口163及び空気出口165をさらに備えることができる。例えば、ブロワ又は1つ以上のファン(図示せず)は、空気流を濃縮器154を通して導くことができる。図4Aに示すように、エンクロージャ162は、濃縮器容器156を通して、及び複数のディスク166上に空気を引き込むように配置され得る。空気取入口163は、開放濃縮器容器156とエンクロージャ162との間のギャップにあってもよい。別の例では、システムブロワ(図示せず)は、複数のディスク166上に同様の方法で空気流を提供して、濃縮される流体の蒸発を助けることができる。
【0035】
いくつかの例では、濃縮器154は、塩及び/又は他の粒子状固体を含有するある体積のリジェクトされた流体を液体処理モジュールから受け取ることができる。その体積の流体は、開放濃縮器容器156によって収容され得る。その体積の流体は、軸168の回転を越えて流れない、又はそれを妨げないレベルに維持され得る。その体積の流体は、流体の蒸発を助けるために、加熱器172のセパレータ152及び/又は加熱コイル174によって加熱され得る。一例では、加湿空気及び/又はオフガスが放出され、濃縮物が残るように、加圧空気を濃縮器に導入することができる。複数のディスクは、加熱された体積の流体を通して回転されると、空気取入口163は、流体が蒸発して受け取った流体の固体を残すように、空気を複数のディスク166の上の濃縮器154に導くように構成することができる。図4Aに示す矢印は、一例では蒸発のための空気流の方向を示している。別の例では、空気流が反対方向に提供されるように、空気取入口163及び空気出口165を逆にすることができる。例えば、ブロワは、濃縮器154を通して空気を引き込むように、又は逆方向に動作して、空気を濃縮器154内に吹き込み、開放濃縮器容器156とエンクロージャ162との間のギャップから吹き出すように構成することができる。
【0036】
一例では、濃縮器容器156からの濃縮物が乾燥機ベルト190に送られ、及び/又は乾燥機ベルト190上に受け取られる灰スラッジに追加され得り、残留水分含有量を除去することができる。一例では、乾燥機ベルト190は、セパレータ152からの流出物又は灰スラッジに加えて、濃縮器154から濃縮物を受け取ることができる。例えば、乾燥機ベルト190は、濃縮物及び/又は灰スラッジ上に空気を押し付けるように構成された乾燥トンネル170内に配置される。例えば、乾燥トンネル170は、4L/日まで、又はそれ以上の濃縮物及び/又は灰分を蒸発させることができる。いくつかの実施形態では、乾燥トンネル170が気体を排出するための手段をさらに備えることができる。別の例では、開放濃縮器容器156内に含まれる体積の50%までを、さらなる処理のためにバッファタンクシステム又は他の処理モジュールに戻すことができる。
【0037】
図5に示されるように、乾燥トンネル170は、輸送中に灰の蒸発乾燥を提供するために、灰スラッジ及び/又は濃縮物(図示せず)上に空気を押しやるために、収容空気ダクトシステム182内に収容された乾燥機ベルト190を備えることができる。乾燥トンネル170は近位端184及び遠位端186を有し、乾燥機ベルト190は、近位端184及び遠位端186の各々に配置されたローラ188a、188bの周りに延在する。灰スラッジ及び/又は濃縮物は、トンネル入口194を介して近位端184の乾燥トンネル170内に受け取られ得る。乾燥機ベルト190は灰スラッジを運ぶように構成され、灰スラッジがセパレータ152の近位端184から遠位端186に送られ、灰はトンネル出口196を介して固体廃棄容器内に放出される。いくつかの例では、乾燥機ベルト190が近位端184から遠位端186まで傾斜して配置される。いくつかの例では、乾燥機ベルト190が空気流を可能にするための穴又は穿孔を備えることができる。例えば、乾燥機ベルト190は、ポリマーメッシュ又は金属メッシュで作製することができる。mSCWO固体処理システム100はまた、乾燥灰又は乾燥濃縮物を受け取るための固体廃棄容器を含むことができる。
【0038】
図6は、本明細書に記載されるような人間の廃棄物の処理のための例示的な方法を示す。ボックス1402において、本方法は、注入容器内に糞便のスラリーバッチを受け取ることを含むことができる。例えば、スラリーバッチは、収集タンク、ホモジナイザー、又は糞便スラリーを前処理する別個のシステムから受け取られ得る。一例では、スラリーバッチがインジェクタ容器内に送られる前に、反応器モジュールの任意のホモジナイザー内に受け取られ得る。
【0039】
ボックス1404において、本方法は、スラリーバッチを空気で加圧することを含むことができる。ボックス1406において、本方法はスラリーバッチを反応器に注入することと、後続の湿式酸化のために十分な量の酸素を反応器に供給することを含むことができる。提供される酸素は、ある体積の圧縮空気であり得る。
【0040】
ボックス1408において、本方法は、反応器内で、超臨界流体相への水の臨界点以上の温度まで加熱時間にわたって、スラリーバッチを加熱することを含むことができる。水の臨界点は374℃、221barである。温度は、湿式酸化の着火温度よりも高い所定の温度とすることができる。
【0041】
ボックス1410において、方法は処理された出力を生成するために、所定の処理時間の間、反応器内の最低温度にスラリーバッチを維持することを含むことができ、最低温度は、水の臨界点よりも高い。ボックス1412において、方法は、処理された出力を相セパレータに排出することを含むことができる。処理された出力は、液体及び灰を含む流出物である。
【0042】
ボックス1414において、本方法は、処理された出力を、固体灰体積、液体廃棄物、及び気体流出物に分離することを含むことができる。いくつかの例では、方法が処理された出力を解放することを更に含むことができる。例えば、ボックス1416において、本方法は、濃縮器と相セパレータとを組み合わせたものから相セパレータオフガスを排出することを含むことができる。例えば、ボックス1418において、方法は、濃縮器と相セパレータとを組み合わせたものから液体廃棄物を排出することを含むことができる。例えば、液体廃棄物は、バッファタンクシステムなどの別のシステムに輸送され得る。例えば、ボックス1420において、本方法は除去のために、固体灰体積を廃棄容器に輸送することを含むことができる。いくつかの例では、固体灰体積が固体廃棄物出力に対してISO 30500に準拠している。いくつかの例では、1つ又は複数のステップを省略及び/又は追加することができる。本方法は、列挙された順序で、又は論理的に可能な任意の他の順序で実施され得る。
【0043】
mSCWO固体処理システム100は、様々なシステム及び用途で使用するように構成され得る。上述したように、一例として、mSCWO固体処理システム100は、独立型の非下水トイレシステムで使用するように構成された固体処理システムとすることができる。mSCWO固体処理システム100は、液体処理システム及び/又は分離システムなどのシステムを含む、単一ユニットトイレシステムの一部として動作し、それと一体化するように構成され得る。
【0044】
図7は、フロントエンドシステム1と、バッファタンクシステム2と、尿及び廃水処理システム3と、水酸化固体処理システム4とを含む非下水単一ユニットトイレシステムの例示的な概略図を示す。この例では、水酸化固体処理システム4は、本明細書に記載のmSCWO固体処理システム100を含むことができる。この例では、フロントエンドシステム1が人間の廃棄物を捕捉し、混合された廃棄物ストリームを、緑色のストリーム及び茶色のストリームの少なくとも一方に分離するように構成され得る。いくつかの例では、黄色の流れを分離することもできる。分離された緑色、茶色、及び/又は黄色の流れは、バッファタンクシステム2によってさらに処理され得る。バッファタンクシステム2は、浄化された緑色の流れを尿及び廃水処理システム3に、茶色の流れスラリーを水酸化固体処理システム4に出力するように構成され得る。さらに、バッファタンクシステム2は、追加の処理のために、単一ユニットトイレシステムのシステム又はモジュールのうちの1つ又は複数から入力を受け取ることができる。単一ユニットトイレシステムは、処理された液体出力及び処理された固体出力を送るように構成され得る。清浄水及び/又は処理水はまた、フロントエンドシステム1内の洗浄水のためにシステム内で使用され得るか、又はシステム又はモジュールのうちの1つ又は複数における処理のために使用され得る。単一ユニットトイレシステムは、システムの動作のための少なくとも1つのコントローラ、及び/又は弁、ポンプ、モータ、センサ、及び他のデバイスを含むシステムの1つ又は複数のモジュールを備える制御部をさらに備えることができる。制御部はまた、本明細書に記載のmSCWO固体処理システム100のためのコントローラを含むことができる。
【0045】
態様
【0046】
例示的な態様の以下のリストは本明細書で提供される開示を支持し、それによって支持される。
【0047】
態様1.
糞便廃棄物を処理するためのシステムであって、
インジェクタ容器と、
前記インジェクタ容器からのスラリーバッチの注入と、加熱時間にわたって温度まで加熱される圧縮空気の入力と、を受け取るように構成された反応器であって、前記温度は超臨界流体相への水の臨界点以上である、反応器と、
濃縮器と相セパレータとの組合せであって、
濃縮される液体を受け取り、かつ収容するように構成された濃縮器容器と、
前記反応器から処理された出力を受け取り、かつ液体及び気体の流出物から固体灰体積を分離するように構成されたセパレータと、を備える濃縮器と相セパレータとの組合せと、
前記固体灰体積を受け取り、かつ乾燥するように構成された乾燥トンネルと、を備える、
システム。
【0048】
態様2.
前記反応器は、前記処理された出力を生成するために、所定の処理時間の間、前記スラリーバッチを前記反応器内の最低温度に維持するように構成される、
態様1に記載のシステム。
【0049】
態様3.
前記最低温度が374℃より高い、
態様2に記載のシステム。
【0050】
態様4.
前記反応器における処理のための前記最低温度が、約350℃~約450℃である、
態様2に記載のシステム。
【0051】
態様5.
前記所定の処理時間が約150秒である、
態様2に記載のシステム。
【0052】
態様6.
前記反応器が、前記所定の処理時間の間、前記反応器内で約220barの圧力を維持するように構成される、
態様2に記載のシステム。
【0053】
態様7.
前記濃縮器と相セパレータとの組み合わせの前記相セパレータが、前記処理された出力からの熱を利用して、前記濃縮器容器内又はその周囲に延在する前記セパレータの熱交換部分の加熱面を加熱して、そこに含まれる前記液体を加熱する熱交換器として構成される、
態様1に記載のシステム。
【0054】
態様8.
前記濃縮器と相セパレータとの組み合わせは、ブロワ及び複数のディスクを備え、前記複数のディスクは軸の周りに配置され、かつ前記濃縮器容器内に収容され、前記複数のディスクを濡らすために前記収容された液体を通して回転されるように構成され、前記ブロワが前記濡れているディスクから液体を蒸発させるために、前記濃縮器容器内に空気を前記複数のディスクに向けて導くように配置される、
態様1に記載のシステム。
【0055】
態様9.
前記乾燥トンネルは、乾燥機ベルトに向かって空気を押し出すように構成された収容空気ダクトシステム内に収容された乾燥機ベルトを備え、前記乾燥機ベルトは前記固体灰体積を受け取り、かつ乾燥するように構成される、
態様1に記載のシステム。
【0056】
態様10.
圧縮空気の前記入力を前記反応器に送るように構成された注入圧力容器を更に備え、前記圧縮空気の入力は、前記スラリーバッチの後続の湿式酸化のためのある量の酸素を有する圧縮空気の体積である、
態様1に記載のシステム。
【0057】
態様11.
人間の廃棄物を処理する方法であって、
インジェクタへの糞便のスラリーバッチを受け取ることと、
前記スラリーバッチを空気で加圧することと、
前記スラリーバッチを反応器へ注入することと、
前記反応器の前記スラリーバッチを加熱時間にわたって温度まで加熱することであって、前記温度は超臨界流体相への水の臨界点以上である、加熱することと、
処理された出力を生成するために、所定の処理時間の間、前記スラリーバッチを前記反応器内の最低温度に維持することであって、前記最低温度が前記水の臨界点よりも高い、維持することと、
前記処理された出力を相セパレータへ放出することと、
前記処理された出力を、固体灰体積、液体廃棄物、及び気体の流出物に分離することと、
前記固体灰体積を除去のために廃棄容器に輸送することと、を含む、
方法。
【0058】
態様12.
前記スラリーバッチを前記反応器に注入することは、後続の湿式酸化のためのある量の酸素を前記反応器に提供することを更に含む、
態様11に記載の方法。
【0059】
態様13.
前記温度が、湿式酸化の着火温度より高い温度である、
態様11に記載の方法。
【0060】
態様14.
濃縮器への濃縮される液体を受け取ることを更に含む、
態様11に記載の方法。
【0061】
態様15.
糞便のスラリーバッチを受け取ることは、前記インジェクタへの前記スラリーバッチを受け取る前に、前記スラリーバッチを均質化することを更に含む、
態様11に記載の方法。
【0062】
態様16.
濃縮器と前記相セパレータとの組み合わせから、オフガスと液体廃棄物とを排出することを更に含む、
態様11に記載の方法。
【0063】
態様17.
前記反応器における処理のための前記最低温度が、約350℃~約450℃である、
態様11に記載の方法。
【0064】
態様18.
前記所定の処理時間が約150秒である、
態様11に記載の方法。
【0065】
態様19.
前記スラリーバッチを前記最低温度に維持することは、前記所定の処理時間の間、前記反応器内の圧力を維持することを含む、
態様11に記載の方法。
【0066】
態様20.
前記水の臨界点は374℃である、
態様11に記載の方法。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
【国際調査報告】