(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-12
(54)【発明の名称】神経刺激装置および関連システム、装置、および方法
(51)【国際特許分類】
A61N 1/04 20060101AFI20240705BHJP
A61N 1/36 20060101ALI20240705BHJP
【FI】
A61N1/04
A61N1/36
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024501089
(86)(22)【出願日】2022-07-07
(85)【翻訳文提出日】2024-02-01
(86)【国際出願番号】 US2022073504
(87)【国際公開番号】W WO2023288180
(87)【国際公開日】2023-01-19
(32)【優先日】2021-07-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520497472
【氏名又は名称】トゥウェンティ トゥウェンティ セラピューティクス エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100104411
【氏名又は名称】矢口 太郎
(72)【発明者】
【氏名】リー、シャンナン
(72)【発明者】
【氏名】ラキヤニ、アニル クマール ラム
【テーマコード(参考)】
4C053
【Fターム(参考)】
4C053BB02
4C053JJ21
4C053JJ40
(57)【要約】
【要約】
【解決手段】 ドライアイおよびその他の眼疾患を治療するための装置および方法を提供する。前記装置は、患者の円蓋部内に配置されるように構成される。1実施形態において、装置は、可撓性基板と、前記基板の第1の側に配置されたアンテナと、前記基板の前記第1の側に配置された1若しくはそれ以上の電子部品と、前記基板の前記第1の側と反対側の第2の側に配置された第1の電極および第2の電極とを含む。前記第1の電極および前記第2の電極の各々は、電極表面と、複数の電極突起部を画定する、前記電極表面内の複数のスロットとを有する。前記複数のスロットは、前記送信機と前記アンテナとの間の近接場結合を促進または容易にする。前記1若しくはそれ以上の電子部品は、前記第1の電極および前記第2の電極に電力を供給するように構成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドライアイを治療するために眼瞼の下に配置され、使用者によって装着されるように構成された装置であって、
可撓性基板と、
前記基板の第1の側に配置され、送信機から電磁エネルギーを受け取るように構成されたアンテナと、
前記基板の前記第1の側に配置された1若しくはそれ以上の電子部品と、
前記基板の前記第1の側と反対側の第2の側に配置された第1の電極および第2の電極と
を有し、
前記第1の電極および前記第2の電極の各々は、電極表面と、複数の電極突起部を画定する、前記電極表面内の複数のスロットとを有し、
前記複数のスロットは、前記送信機と前記アンテナとの間の近接場結合を促進するものであり、
前記1若しくはそれ以上の電子部品は、前記アンテナ、前記第1の電極、および前記第1の電極と通信し、前記第1の電極および前記第2の電極に電力を供給するように構成されているものである、
装置。
【請求項2】
請求項1記載の装置において、前記アンテナおよび前記1若しくはそれ以上の電子部品は、電磁エネルギーを前記電力に変換するように構成されているものである、装置。
【請求項3】
請求項2記載の装置において、前記1若しくはそれ以上の電子部品は、整流器を有するものである、装置。
【請求項4】
請求項1記載の装置において、前記1若しくはそれ以上の電子部品は、特定用途向け集積回路(ASIC)を有するものである、装置。
【請求項5】
請求項1記載の装置において、前記1若しくはそれ以上の電子部品は、1若しくはそれ以上の個別の表面実装電子部品を有するものである、装置。
【請求項6】
請求項1記載の装置において、前記第1の電極は、第1の複数の電極突起部を有し、前記第2の電極は、第2の複数の電極突起部を有するものであり、
前記第1の複数の電極突起部および前記第2の複数の電極突起部は、反対方向に延長するものである、装置。
【請求項7】
請求項6記載の装置において、前記第1の複数の電極突起部および前記第2の複数の電極突起部は、前記可撓性基板の中心軸に向かって延長するものである、装置。
【請求項8】
請求項6記載の装置において、前記第1の複数の電極突起部および前記第2の複数の電極突起部は、前記可撓性基板の中心軸から離れる方向に向かって延長するものである、装置。
【請求項9】
請求項1記載の装置において、前記複数の電極突起部の各々は第1の幅を有し、前記複数のスロットは、前記第1の幅未満である第2の幅を有するものである、装置。
【請求項10】
請求項1記載の装置において、前記第1の電極および前記第2の電極は、前記基板の前記第2の側に互いに離間して配置されているものである、装置。
【請求項11】
請求項1記載の装置において、さらに、
前記基板の前記第1の側に配置された絶縁層を有し、当該絶縁層は、前記アンテナを絶縁かつ封止するものである、装置。
【請求項12】
請求項1記載の装置において、前記アンテナは、螺旋状に配列された第1の金属トレースを有するものである、装置。
【請求項13】
請求項12記載の装置において、前記アンテナは、アンテナ領域を画定し、前記第1および第2の電極は、当該アンテナ領域上に並列配置されているものである、装置。
【請求項14】
請求項13記載の装置において、前記第1の電極および前記第2の電極は、第2の金属トレースを有し、当該第2の金属トレースは、前記基板により前記第1の金属トレースから絶縁されているものである、装置。
【請求項15】
ドライアイを治療するために眼瞼の下に配置され、使用者によって装着されるように構成された装置であって、
可撓性基板と、
前記基板の第1の側に配置され、遠隔制御装置から電磁エネルギーを受け取るように構成されたアンテナトレースであって、アンテナ領域を包囲かつ画定する少なくとも1つのループを有するものである、前記アンテナトレースと、
前記アンテナトレースに電気的に結合された電子回路と、
前記電子回路に電気的に結合された第1の電極トレースおよび第2の電極トレースであって、前記基板の前記第1の側と反対側の第2の側に配置されているものである、前記第1の電極トレースおよび前記第2の電極トレースと
を有し、
前記第1の電極トレースおよび前記第2の電極トレースの各々は、電極表面と、複数の電極分岐部を画定する、前記電極表面内の複数のスロットとを有し、
前記複数のスロットは、前記遠隔制御装置と前記アンテナトレースとの間の近接場結合を促進するものであり、
前記第1の電極トレースおよび前記第2の電極トレースは、前記アンテナ領域と並列配置されているものである、装置。
【請求項16】
請求項15記載の装置において、前記第1の電極トレースは、平行に延長する第1の複数の電極分岐部を有するものである、装置。
【請求項17】
請求項15記載の装置において、前記第1の電極トレースの少なくとも一部分は前記アンテナトレースの少なくとも一部分と重なるものである、装置。
【請求項18】
請求項15記載の装置において、さらに、
少なくとも前記基板、前記電子回路、および前記アンテナトレースを封止するエラストマー材料を有するものである、装置。
【請求項19】
請求項15記載の装置において、前記基板は豆形状を有し、当該装置は少なくとも第1の軸に沿って湾曲しているものである、装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年7月12日付で出願した米国特許仮出願第63/220,828号および2022年7月6日付で出願した米国特許出願第17/858,706号に対して優先権および利益を主張するものであり、その内容全体がこの参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、眼球内および/または眼球周辺の神経を刺激するための眼科装置、システム、およびその関連方法に関する。特に、本開示は、強膜表面、眼球結膜、眼瞼結膜、および/または眼瞼を刺激するための、眼瞼の下、および視野外に配置される装置に関し、当該装置により涙液産生が誘発され、ドライアイの治療が行われる。
【背景技術】
【0003】
ドライアイ疾患(「DED:Dry Eye Disease」)に罹患している人は数多く、ドライアイには、激痛、眼部刺痛、異物感、光過敏、かすみ、感染の危険性の増加、失明の可能性などの症状がある。ドライアイ疾患(DED)は一般的に、涙液産生量の不足または涙液の蒸発過多によって生じる、患者の眼球表面の涙液量不足または涙液組成物の不均衡を特徴とする。涙液量が不足すると涙液の高浸透圧症が起こり、それによって炎症および神経損傷が生じて、涙液産生および涙液の質進行性消失が起こる可能性がある。
【0004】
ドライアイの症状は、様々な要因によって異なる。例えば、ドライアイの症状は、涙液のpH、眼圧、角膜感度、視覚感度、およびメラトニン産生の日内生理学的変動に応じて1日を通して変化する。例えば、角膜感度は朝に比べると夕方に著しく高くなることが多い。ドライアイの症状の長期的な変動は、全身投薬の使用、慢性疾患(例えば、糖尿病など)、ホルモンの変化、加齢に関連する可能性がある。また、患者の環境の変化もドライアイ症状の変動の一因となる。例えば、空調の効いたオフィスでの湿度の低下、冬の暖房、コンピュータの使用、電話の使用、アレルギー誘発物質、およびコンタクトレンズによって、ドライアイの症状が悪化することがある。
【0005】
現在のドライアイ疾患(DED)の治療は主に点眼薬によるものであり、限られた一時的な軽減効果のみを提供するものであるため、症状の重症度および発症に影響する様々な要因を考慮していない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、ドライアイを治療するための装置、システム、および方法を記載する。いくつかの観点よれば、ドライアイを治療するために眼瞼の下に配置され、使用者によって装着されるように構成された装置が提供される。前記装置は、眼球の眼球結膜および/または強膜の一部分に面するように構成された第1の表面と、眼瞼結膜および/または眼瞼に面するように構成された第2の表面とを含む。前記装置は、さらに、前記装置は、前記第1の表面に近接した複数の刺激電極を含み、当該複数の刺激電極は、強膜および/または眼球結膜を刺激するように構成されている。前記電極は、電極領域内に延長する複数のスロットによって画定された複数の電極突起部または電極分岐部を含む。前記装置は、さらに、無線遠隔制御装置から受け取った電磁エネルギーを電流および/または電圧に変換して前記複数の刺激電極に電力を供給するためのアンテナおよびその他の電子部品を含む。前記スロットは、無線遠隔制御装置との近接場結合を促進または容易にするために、電極における損失性電気渦電流の形成を抑制する不連続的または断続的な表面パターンを提供する。
【0007】
1実施形態によれば、ドライアイを治療するために眼瞼の下に配置され、使用者によって装着されるように構成された装置が提供される。前記装置は、可撓性基板と、前記基板の第1の側に配置され、送信機から電磁エネルギーを受け取るように構成されたアンテナと、前記基板の前記第1の側に配置された1若しくはそれ以上の電子部品と、前記基板の前記第1の側と反対側の第2の側に配置された第1の電極および第2の電極とを含む。いくつかの観点において、前記第1の電極および前記第2の電極の各々は、電極表面と、複数の電極突起部を画定する、前記電極表面内の複数のスロットとを有し、前記複数のスロットは、前記送信機と前記アンテナとの間の近接場結合を促進する。さらなる1観点において、前記1若しくはそれ以上の電子部品は、前記アンテナ、前記第1の電極、および前記第1の電極と通信し、前記第1の電極および前記第2の電極に電力を供給するように構成されている。
【0008】
いくつかの実施形態において、前記アンテナおよび前記1若しくはそれ以上の電子部品は、電磁エネルギーを前記電力に変換するように構成されている。いくつかの実施形態において、前記1若しくはそれ以上の電子部品は、整流器を有する。いくつかの実施形態において、前記1若しくはそれ以上の電子部品は、特定用途向け集積回路(ASIC)を有する。いくつかの実施形態において、前記1若しくはそれ以上の電子部品は、1若しくはそれ以上の個別の表面実装電子部品を有する。いくつかの実施形態において、前記第1の電極は、第1の複数の電極突起部を有し、前記第2の電極は、第2の複数の電極突起部を有するものであり、前記第1の複数の電極突起部および前記第2の複数の電極突起部は、反対方向に延長する。いくつかの実施形態において、前記第1の複数の電極突起部および前記第2の複数の電極突起部は、前記可撓性基板の中心軸に向かって延長する。いくつかの実施形態において、前記第1の複数の電極突起部および前記第2の複数の電極突起部は、前記可撓性基板の中心軸から離れる方向に向かって延長する。
【0009】
いくつかの実施形態において、前記複数の電極突起部の各々は第1の幅を有し、前記複数のスロットは、前記第1の幅未満である第2の幅を有する。いくつかの実施形態において、前記第1の電極および前記第2の電極は、前記基板の前記第2の側に互いに離間して配置されている。いくつかの実施形態において、前記装置は、さらに、前記基板の前記第1の側に配置された絶縁層を有し、当該絶縁層は、前記アンテナを絶縁かつ封止する。いくつかの実施形態において、前記アンテナは、螺旋状に配列された第1の金属トレースを有する。いくつかの実施形態において、前記アンテナは、アンテナ領域を画定し、前記第1および第2の電極は、当該アンテナ領域上に並列配置されている。いくつかの実施形態において、前記第1の電極および前記第2の電極は、第2の金属トレースを有し、当該第2の金属トレースは、前記基板により前記第1の金属トレースから絶縁されている。
【0010】
本開示の別の実施形態によれば、ドライアイを治療するために眼瞼の下に配置され、使用者によって装着されるように構成された装置が提供される。前記装置は、可撓性基板と、前記基板の第1の側に配置され、遠隔制御装置から電磁エネルギーを受け取るように構成されたアンテナトレースであって、アンテナ領域を包囲かつ画定する少なくとも1つのループを有するものである、前記アンテナトレースと、前記アンテナトレースに電気的に結合された電子回路と、前記電子回路に電気的に結合された第1の電極トレースおよび第2の電極トレースであって、前記基板の前記第1の側と反対側の第2の側に配置されているものである、前記第1の電極トレースおよび前記第2の電極トレースとを含む。いくつかの観点において、前記第1の電極トレースおよび前記第2の電極トレースの各々は、電極表面と、複数の電極分岐部を画定する、前記電極表面内の複数のスロットとを有し、前記複数のスロットは、前記遠隔制御装置と前記アンテナトレースとの間の近接場結合を促進する。さらなる観点において、前記第1の電極トレースおよび前記第2の電極トレースは、前記アンテナ領域と並列配置されている。
【0011】
いくつかの観点において、前記第1の電極トレースは、平行に延長する第1の複数の電極分岐部を有する。いくつかの観点において、前記第1の電極トレースの少なくとも一部分は前記アンテナトレースの少なくとも一部分と重なる。いくつかの観点において、前記装置は、さらに、少なくとも前記基板、前記電子回路、および前記アンテナトレースを封止するエラストマー材料を有する。いくつかの観点において、、前記基板は豆形状を有し、当該装置は少なくとも第1の軸に沿って湾曲している。
【0012】
本開示の追加の観点、特徴、および利点は、以下の詳細な説明によって明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
添付の図面を参照して本開示の例示的な実施形態を説明する。
【
図1】
図1は、本開示のいくかの観点による、患者の眼球内および眼球周辺の神経を刺激するための治療装置の斜視図である。
【
図2】
図2は、本開示のいくかの観点による、治療装置の斜視図であり、この治療装置は、患者の眼瞼の内側に装着され、遠隔制御装置によって無線制御される。
【
図3】
図3は、本開示のいくつかの観点による、患者の眼球内および眼球周辺の神経を刺激するための治療装置の上面図である。
【
図4】
図4は、本開示のいくつかの観点による、円蓋部内に装着されるように構成された治療装置の断面図である。
【
図5】
図5は、本開示のいくつかの観点による、円蓋部内に装着されるように構成された治療装置の断面図である。
【
図6】
図6は、本開示のいくつかの観点による、円蓋部内に装着されるように構成された治療装置の眼瞼結膜に面した側の斜視図である。
【
図7】
図7は、本開示のいくかの観点による、患者の眼球内および眼球周辺の神経を刺激するための治療装置の電子回路図である。
【
図8A】
図8Aは、本開示のいくかの観点による、患者の眼球内および眼球周辺の神経を刺激するための治療装置の上面図であり、この治療装置は、外側に延長する電極突起部を有する。
【
図8B】
図8Bは、本開示のいくかの観点による、患者の眼球内および眼球周辺の神経を刺激するための治療装置の上面図であり、この治療装置は、外側に延長する電極突起部を有する。
【
図8C】
図8Cは、本開示のいくかの観点による、患者の眼球内および眼球周辺の神経を刺激するための治療装置の上面図であり、この治療装置は、内側に延長する電極突起部を有する。
【
図8D】
図8Dは、本開示のいくかの観点による、患者の眼球内および眼球周辺の神経を刺激するための治療装置の上面図であり、この治療装置は、内側に延長する電極突起部を有する。
【
図9A】
図9Aは、本開示のいくかの観点による、治療装置の第1の側の上面図であり、この治療装置は、基板の反対側の表面上にそれぞれ配置された電極を有する。
【
図9B】
図9Bは、本開示のいくかの観点による、
図9Aに示す治療装置の第2の側の上面図である。
【
図10】
図10は、患者の眼瞼の下に装着されるように構成された治療装置を使用して神経を刺激する方法のフロー図である。
【
図11】
図11は、本開示のいくかの観点による、患者の眼球内および眼球周辺の神経を刺激するための治療装置の上面図である。
【
図12A-12B】
図12Aは、本開示のいくかの観点による、神経刺激装置とともに使用される電気パルス波形のグラフである。
図12Bは、本開示のいくかの観点による、神経刺激装置とともに使用される神経刺激波形のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本開示の原理の理解を深めるために、次に、図面に示す実施形態を参照するとともに、当該実施形態を特定の用語を使用して説明する。但し、本開示の範囲に対する限定を意図しているものではないことを理解されたい。記載する装置、システム、および方法に対する任意の変更およびさらなる修正、ならびに本開示の原理のさらなる任意の適用は、本開示が関連する技術分野の当業者が通常行うように当然考えられ、また本開示の範囲内に含まれる。特に、1実施形態に関して記載された特徴、コンポーネント、および/または工程は、本開示の別の実施形態に関して記載された特徴、コンポーネント、および/または工程と組み合せることができることが当然考えられる。しかしながら、簡略化のため、これらの組み合わせについて、別途繰り返して説明しない。
【0015】
本明細書において、眼瞼の下、特に患者の眼瞼と眼球との間の空間である円蓋部(fornix)内に配置される装置を開示する。具体的には、本明細書に記載の装置は、眼瞼結膜と眼球結膜との間に配置され、かつそれらに直接接触するように構成することができる。前記装置は、眼瞼(例えば、眼瞼結膜)に対面する一方の表面と、眼球(例えば、強膜および/または眼球結膜)に対面する他方の表面とを含む。いくつかの実施形態では、前記装置は、強膜および/または眼球結膜を刺激して涙液産生を誘発させるように構成された電極を含む。前記装置は、異なる深さ、強度、および/または周波数で、患者の眼組織または他の組織に電流を誘導するように構成することができる。本明細書で開示する装置は、眼瞼内で利用可能な限られた空間内に適合するように比較的小さい実装面積(footprint)を有し、患者の快適性を高めるために可撓性かつ薄肉であり、患者の神経を刺激して所望の生理学的反応を達成するのに十分な電圧および/または電流を発生させることが有利である。
【0016】
図1は、患者の眼球内および/または眼球周辺の神経を刺激するために、患者の眼瞼の下(例えば、円蓋部内)に装着するように構成された治療装置100の斜視図である。装置100は、少なくとも1つの軸に沿って可撓性を有し、
図2に示すように、患者の眼瞼の内側に装着されるようにサイズ、形状、およびその他の点が構成されている。再び
図1を参照すると、装置100は、患者の眼球内および眼球周辺の神経を刺激するように構成された電極110、120を含み、これにより、ドライアイまたはその他の眼疾患を治療するための涙液産生またはその他の生理学的反応が生じる、若しくは増進される。
【0017】
装置100は、基板102上に配置された第1の電極110と、第2の電極120とを含む。アンテナ140は、基板102の反対側に配置され、無線装置(例えば、
図2に示す遠隔制御装置70)から電磁エネルギーを受け取り、当該電磁エネルギーを利用して装置100の構成要素のための電力を生成するように構成されている。電子部品130もまた基板102に取り付けられ、アンテナ140および電極110、120と電気通信している。
【0018】
基板102は、液晶ポリマー(LCP)、ポリアミド(例えば、KAPTON(登録商標))、または任意のその他の適切な種類の基板などの可撓性ポリマー材料を含むことができる。基板102は、少なくとも1つの軸に沿って撓む、湾曲する、若しくは屈曲するように構成され、また、電気部品(電極110、120、アンテナ140)を互いに電気的に絶縁するように構成されている。基板102は、単一の材料の層、または同じ材料若しくは異なる材料からなる複数の層を含むことができる。例えば、いくつかの実施形態では、基板102はポリマー材料の少なくとも2つの層を含み、アンテナ140は材料の2つの層の間に配置される。基板102は、様々な電子部品130、電極110、120、およびアンテナ140に対して十分な電気的絶縁を提供する。
【0019】
第1の電極110は、複数のスロット114によって分離または画定される複数の電極突起112(電極指または電極分岐部ともいう。)を有する。スロット114は、電極110の外側領域または境界から電極110の内側部分または中央部分に向かって延長し、突起部112は、当該内側部分または中央部分において電極スパイン116によって電気的に接続されている。同様に、第2の電極120は、複数のスロット124によって分離または画定される複数の電極突起部122を有する。スロット124は、電極120の外側領域または境界から電極120の内側部分または中央部分に向かって延長し、突起部122は、当該内側部分または中央部分において電極スパイン126によって電気的に接続されている。電極110、120はそれぞれ、電子部品130およびアンテナ140と電気通信しているが、その一方で互いに電気的に絶縁されていてもよい。
【0020】
いくつかの態様において、第1の電極110および第2の電極120は、各電極110、120の外形または実装面積によって画定される電極表面を含むものとして説明する。この点において、スロット114、124は、それぞれの対応する電極表面内に延長しているということができる。図示された実施形態では、電極110、120は、電極突起部112、122が基板102の中心軸から離れる反対方向外側に向かって延長するように配向される。しかしながら、以下にさらに説明するように、電極110、120は、電極突起部112、122が基板102の中心軸に向かう反対方向内側向かって延長するように配向されてもよい。別の実施形態では、電極突起部112、122は、装置100の上側、または装置の下側に向かって平行に延長してもよい。別の実施形態では、電極突起部112、122は、右または左など、同じ方向に延長してもよい。
【0021】
電極110、120は、ループアンテナ140の実装面積の大部分を占めるようなサイズおよび形状にすることができる。この点から、各電極110、120が装置100の全表面積において比較的大きな部分を占めることが有利である。すなわち、電極110、120と患者の組織/神経との接触面積がより大きくなることにより、神経刺激が向上される。しかしながら、アンテナ140と重なる導電面が大きい場合、アンテナ140が無線により電磁(EM)エネルギーを利用して装置100の電極110、120およびその他の電子部品130に提供する能力が妨害される可能性がある。例えば、アンテナ140を通過する電磁エネルギー場から電気渦電流が生じる可能性がある。しかしながら、スロット114、124により渦電流の形成が低減、制限、または除去され、それによってアンテナ140は、装置100の構成要素のために電力をより効率的に活用することが可能となる。スロット114、124は、
図1の実施形態に示されているものよりも幅広でも幅狭でもよいが、各電極110、120の表面積を相対的に大きく維持するために、スロット114、124を非常に狭く(例えば、25μm~150μm)することが有利である。したがって、電極110、120のスロットおよび突起部の構成により、装置100と無線遠隔制御装置(例えば、
図2の70)との間の近接場結合が促進される。
【0022】
電極110、120の電極領域内に延長するスロット114、124の数は、
図1に示されているものよりもより多くまたはより少なくてもよい。さらに、スロット114、124は、直線状かつ互いに平行なものとして示されているが、弓形形状、ジグザグ形状、曲線形状、非平行形状、またはその他の適切な形状を有してもよいことが理解される。さらに、電極110、120は、図示されているもの以外の形状または実装面積を画定してもよい。例えば、各電極は、スロット114、124がそれぞれの電極領域内に延長する、円形または略円形の電極領域を画定してもよい。別の実施形態では、電極110、120は、長方形領域、楕円形領域、豆形状領域、三角形領域、六角形領域、または任意のその他の適切な形状を画定してもよい。いくつかの実施形態では、電極110、120は、
図1に示されるものよりも多かれ少なかれアンテナ140と重なる。例えば、電極110、120の一方または双方は、少なくとも1つの方向(例えば、幅)においてループアンテナ140の全体と重なってもよい。例えば、電極110、120の一方または双方は、少なくとも1つの方向(例えば、幅)においてループアンテナ140全体と重なってもよい。別の実施形態では、電極110、120のいずれの部分もアンテナ140のいずれの部分とも重ならないように、電極110、120の一方または双方は、アンテナ140の最も内側のループ内に完全に適合するサイズおよび形状であってもよい。別の実施形態では、電極110、120の一方または双方は、少なくとも一方向にアンテナ140の実装面積を超えて延長してもよい。
【0023】
電極110、120は、基板102上に配置された金属トレース、薄膜、または箔を有してもよい。例えば、電極110、120は、化学蒸着、スパッタリング、レーザー溶接、実装、接着、手作業による作製、またはその他の任意の適切な工程によって基板102上に配置されてもよい。電極110、120は、金、白金、イリジウム、または金、白金、および/またはイリジウムを含む合金、または任意のその他の適切な材料などの生体適合性導電材料を含んでもよい。同様に、アンテナ140は、金、白金、イリジウム、またはそれらの合金などの導電材料の1若しくはそれ以上のトレースを含んでもよい。例えば、いくつかの実施形態では、アンテナ140および電極110、120は同じ種類の材料を有し、別の実施形態では、電極110、120はアンテナ140とは異なる材料を有する。
【0024】
図示する実施形態では、アンテナ140は、4つのループを有する金属トレースの螺旋状部を含む。4つのループは、アンテナ140が単一の製造工程によって基板102上に堆積可能なように、同心かつ重複しない態様であってもよい。しかしながら、別の実施形態では、ループアンテナ140は、1若しくはそれ以上の態様で示されているものとは異なっていてもよいことが理解される。例えば、ループアンテナ140は、
図1に示されているものよりもより少ないまたはより多いループを含むことができる。いくつかの実施形態では、ループアンテナ140は、金属材料の単一のループを含む。いくつかの実施形態では、ループアンテナ140は、螺旋状に配置されていない複数の電気接続されたトレースを含んでもよい。例えば、アンテナ140は、別個の同心状ループのトレースを含んでもよい。アンテナ140は、装置100上の利用可能な表面積において、
図1に示すものよりもより大きいまたはより小さい表面積を占めてもよい。さらに、アンテナ140は、腎臓または豆形状を画定しているが、楕円形状、円形状、矩形状、三角形状、または任意のその他の適切な形状などのその他の外形状を画定してもよいことが理解される。アンテナ140は、電極110、120に対して基板102の反対側に配置されている。したがって、電極110、120はアンテナ140と重なっているが、電極110、120は基板102によってアンテナ140から絶縁されている。
【0025】
装置100は、複数のビア118、128、129を含み、これらのビアは、電極110、120と、基板102の反対側に配置された電子部品130および/またはアンテナ140との間の電気的接続点を提供する。ビア118、128、129は、基板102を貫通して延びる穴部または孔部を含むことができ、孔部を画定する壁または内面は、金、白金、イリジウム、それらの合金、または任意のその他の適切な導電材料などの導電材料で被覆されている。電極110、120、電子部品130、アンテナ140間の電気接続については、
図7を参照して以下さらに説明する。
【0026】
電子部品130は、アンテナ140によって供給される電磁エネルギーを直流に変調するための電気整流器を含む、若しくは提供することができる。さらに、電子部品130は、電極110、120の一方または双方を選択的に作動させるための電子制御部品を含むことができる。電子部品130は、基板102に結合、若しくは基板102上に配置された1若しくはそれ以上の導電性トレース、フィラー(filars)、またはその他の導電体によって互いに接続、電極110、120に接続、および/またはアンテナ140に接続されてもよい。いくつかの実施形態では、電子部品130は、特定用途向け集積回路(ASIC)などの単一のチップに含むか、若しくはパッケージ化することができる。いくつかの実施形態では、電子部品130は、コンデンサ、抵抗器、ダイオード、インダクタ、トランジスタ、および/または任意のその他の適切な個別の表面実装部品などの1若しくはそれ以上の個別の表面実装部品を含む。いくつかの実施形態では、電子部品130は、1若しくはそれ以上の個別の表面実装部品に加えて、1若しくはそれ以上のASICを含む。電子部品130は、装置の安全性を改善または向上させる電子機器をさらに含むことができる。
図1に示す実施形態は、装置100が無線装置のみによって給電されるバッテリレス(battery-less)動作用に構成されている。バッテリレス動作により、より小型で快適なフォームファクタが可能となる。別の実施形態では、装置100は電池を含み、ASICのメモリに格納された設定スケジュールに従って臨時に神経刺激を行うことができる。
【0027】
患者の眼瞼の下に装着するように構成された装置100は、眼球結膜表面を刺激して涙腺分泌を遠心的に活性化するように構成することができる。眼球結膜の神経密度は比較的まばらであるため、比較的大きな表面積を有する電極を使用することが有利な場合がある。装置100は、装置100を動作させるためのアンテナ140との高周波(RF)結合および電力伝送を低下させることなく、より大型の電極の使用を可能とする。以下さらに説明するように、装置100はまた、磁気導波路裏打ち材料を含むことで、高周波(RF)電力結合の効率をさらに改善することができる。この効率の改善により、ハンドヘルド型遠隔制御装置の充電間の寿命を延長することができる。さらに、患者に対する電磁放射量を制限するために、より低い高周波(RF)電力を使用して装置を動作させることができる。電極サイズをより大型にすることにより、所与の電荷密度限界に対して刺激電荷をより大きくすることが可能となり、より多くの神経(例えば、毛様体神経)を網羅して、より改善された治療を行うことができる。さらに、スロット付き電極110、120は、空間的磁場パターンの生成を可能とし、これにより、神経または細胞近傍の空間的磁場勾配を利用して神経刺激の有効性を向上させることができる。
【0028】
図2は、眼球55の下の下眼瞼の内側に神経刺激装置100を装着した患者50の斜視図である。装置100は、装置100に向けて電磁エネルギー75を放射する遠隔制御装置70によって制御されている。いくつかの態様では、遠隔制御装置70は送信機または制御装置と呼ばれる。遠隔制御装置70は、所定のプロトコルに従って電磁エネルギー75を放射するように構成されている。電磁エネルギー75を放射するために使用されるプロトコルによって、装置100の電極のうち作動される電極110、120、作動時間、および/または作動強度が決定される。いくつかの実施形態では、遠隔制御装置70は、無線自動車キーフォブまたは光学温度計に類似していてもよい。遠隔制御装置70は、内部電池によって給電され、患者50がいかなる場所に行く場合でも遠隔制御装置70を保持できるように、小型かつ携帯型であってもよい。それにより、患者50は、遠隔制御装置70を使用して、例えば、ドライアイ症状の発症時に装置100の電極110、120を作動させることができる。いくつかの態様では、患者50は、遠隔制御装置70を使用して、所定のまたは規定のスケジュールに従って装置100を作動させることができる。
【0029】
いくつかの態様において、遠隔制御装置70は、ネックレスとして着用されるように構成されてもよい。いくつかの実施形態において、無線遠隔制御装置70は、NFC機能を有するように構成されたスマートフォン装置を含むことができる。いくつかの態様において、遠隔制御装置70は、使用データを記録、および/または患者の安全性を担保するように構成されている。いくつかの態様において、遠隔制御装置70は、疾病管理およびコンプライアンスを支援するアプリを実行するように構成されてもよい。
【0030】
図3は、装置100の上面図である。装置100は、豆形状または腎臓形状を有する。装置100の形状は、患者の眼瞼と眼球表面との間の空間である円蓋部内の利用可能な空間に対応する。さらに、装置100の形状は、患者が装着している間の装置100の少なくとも1つの軸における曲率を考慮して選択される。いくつかの態様において、この豆形状により、装置100は円蓋部内の利用可能な体積、および角膜の曲率に適合することが可能になり、電極による眼球結膜、強膜、および/またはその縁郭への接触が容易になる。いくつかの態様では、電極が十分に離間され、かつ円蓋部内で利用可能な体積の大部分占める場合、装置100を縁郭を刺激するために使用することができる。
【0031】
装置100の実装面積の大部分は、電極110、120によって占められている。複数の電子部品130は、電極110と電極120との間の電子部品領域132に配置される。別の実施形態では、電子部品領域132は、電極110、120の下方、上方、または右側若しくは左側に配置されてもよい。装置100は、幅162と高さ164とを含む。装置100の幅162、高さ164、および形状により、装置のサイズ、面積、または実装面積が画定または決定される。この点において、装置100の幅162、高さ164、形状、および全体的な実装面積は、患者の眼瞼の下および円蓋部内に配置するのに適するものである。例えば、装置100の幅162は5mm~25mmの範囲であってもよく、装置100の高さ164は2mm~15mmの範囲であってもよい。これに関連して、装置100の面積または実装面積は、10mm2~400mm2の範囲とすることができる。さらに、電極110、120は、全体として、装置100の面積または実装面積の実質的な部分を占めてもよい。例えば、電極110、120は、双方合わせて、装置の総面積または実装面積の50%を超える面積を占めてもよい。図示する実施形態においては、装置100の全体的なサイズまたは実装面積は、アンテナトレース140の実装面積のサイズに実質的に対応する。しかしながら、いくつかの実施形態では、装置は、アンテナ140の実装面積よりも実質的に大きい実装面積を有する。例えば、いくつかの実施形態において、電極110、120によって占有される領域は、1若しくはそれ以上の方向において、アンテナトレース140によって画定されるアンテナ領域を通過または越えて延びる。本明細書に記載された寸法および範囲は例示的なものに過ぎず、限定的なものではないことが理解される。例えば、装置100は、本明細書で明示されるものよりもより大きい、またはより小さい幅162、高さ164、またはその他の寸法を含むことができる。
【0032】
図4および
図5はそれぞれ、
図3に示す装置100の線4-4および線5-5に沿った断面図である。
図4を参照すると、装置100は、患者の円蓋部に挿入された後の湾曲した状態で示されている。電子部品130は、患者の眼球から離れた装置100の後部側、背面側、後方側ともいわれる、眼瞼結膜に面した側に配置され、電極110、120は、眼球組織と電気的に連通するように、装置100の反対側の眼球結膜に面した側にある。装置100はまた、可撓性コーティングまたは封止剤104を含み、基板102、電子部品130、および電極110、120は、封止剤104内に埋め込まれ、かつ封止剤104によって取り囲まれている。封止剤104は、シリコーンエラストマー、ヒドロゲル、シリコーンヒドロゲル、または任意のその他の適切な生体適合性材料などの生体適合性エラストマー材料を含有してもよい。いくつかの実施形態では、封止剤104は、LCP、ポリイミド、または任意のその他の適切なポリマー材料を含む。いくつかの実施形態では、電極110、120は、電極が患者の眼と直接物理的に接触可能なように、封止剤104によって被覆または封止されない。別の実施形態では、電極110、120は封止剤104によって被覆または封止されているが、電極上に配置された封止剤104の少なくとも一部は、電極110、120が封止剤104を介して神経を刺激できるように導電性である。
【0033】
図5を参照すると、封止材104が除去された状態の装置100の断面図を示す。第2の電極120の電極突起部122は、基板102の第1の側に配置された態様で示されており、アンテナトレース140が基板102の反対側の第2の側に配置されることで、基板102によって電極突起部122がアンテナトレース140から電気的に絶縁される。さらに、外側突起部122は、ループのいずれかの側においてアンテナトレース140の全幅に対応するアンテナトレース領域142と重なる。
図5の実施形態では、コーティング層または絶縁層106が、アンテナトレース140および基板102の第2の側上に配置されている。いくつかの実施形態では、コーティング層106は封止材104である。別の実施形態では、コーティング層106は、異なる層および/または材料を有する。例えば、コーティング層106は、基板102に接着されたLCPまたはポリイミド層を含むことができる。この点に関連して、コーティング層106は、基板102と同じ材料を含んでもよいし、異なる材料を含んでもよい。
【0034】
さらに、
図5に示す実施形態では、磁気導波路裏打ち材料105が絶縁層106の後方側または背面側に結合されている。磁気導波路裏打ち材料105は、遠隔制御装置(
図2の70)によって生成される入射磁場を大型電極110、120から遠ざけるように案内することができ、その結果、電極110、120における電力損失が低下し、遠隔制御装置とアンテナ140との間の無線電力結合の効率を向上させることができる。磁性裏打ち材料105による効率の向上は、使用される磁性材料の量および位置に依存する可能性がある。通常、フェライト材料の特性としては、対象周波数における実透磁率は<150であり、虚数透磁率(imaginary permeability)は<5である。また、磁気導波路裏打ち材料105は、図示するものとは異なる構成で基板102および/または絶縁層106に結合されてもよいことが理解される。例えば、いくつかの実施形態では、磁気導波路裏打ち材料105は、基板102において、電極突起部122とは反対側の第2の側に配置され、アンテナ140および絶縁層106は、磁気導波路裏打ち材料105上に配置される。別の実施形態では、磁気導波路裏打ち材料105はアンテナ140の上に直接配置され、基板102と絶縁層106との間に配置される。別の実施形態では、装置100は磁気裏打ち材料105を含まない。いくつかの実施形態では、磁気導波路裏打ち材料105は可撓性フェライトシートを含む。この可撓性フェライトシートは、磁場結合を促進するために鉄系材料を含むことができる。可撓性フェライトシートの一例としては、Laird Technologies Inc.製のMCP-DS-MHLLシートがある。
【0035】
図6は、装置100の眼瞼結膜に面する側の斜視図であり、後方側、後部側、背面側ともいう。
図6に示す実施形態では、装置100の眼瞼結膜に面する側は、基板102および電子部品130の上に配置された絶縁層106を含む。絶縁層106は、絶縁層106が電子部品130を絶縁するように、基板102に取り付け、接着、堆積、または他の方法で結合することができる。いくつかの実施形態では、絶縁層106はまた、アンテナトレース140(
図5)を絶縁、被覆、および/または封止する。別の実施形態では、アンテナトレース140は、異なる絶縁層または基板層によって絶縁され、絶縁層106は、その異なる絶縁層または基板層の上に配置される。
【0036】
電子部品130は、装置100の眼瞼結膜に面する側に取り付けられるか、または堆積される。いくつかの態様では、膨出または突出した電子部品130を装置100の眼瞼結膜に面した側に配置することにより、装置100が患者の円蓋部に挿入された際に突出した電子部品130が患者の眼球組織から離れた位置に配置されるため、患者の快適性を向上させることができる。絶縁層106は、電子部品130を収容し、より快適またはより滑らかな表面を提供するために、熱収縮、型押、またはその他の方法で変形させることができる。別の実施形態では、電子部品130は、装置100の眼球結膜に面する側、すなわち前面側に取り付けまたは堆積される。
【0037】
図7は、本開示の1実施形態による、治療装置の電子部品130の図式である。電子部品130は、アンテナ140および電極110、120と電気通信するコンデンサ133、134と、ダイオード136、138と、抵抗器135とを含む。いくつかの態様において、
図7に示すアンテナ140をループインダクタという。電子部品130は、アンテナ140によって供給されるパルス高周波(RF)を、電極110、120に電力を供給するためのパルス電気エネルギーに変換するように構成された1若しくはそれ以上の電気整流器を提供することができる。例えば、電子部品130は、電極110、120の一方または双方に電流パルスまたは電圧パルスを供給するように構成することができる。いくつかの実施形態では、電子部品130は、二相性パルスを供給するように構成されてもよい。別の実施形態では、電子部品130は単相パルスを供給するように構成される。
【0038】
図7に示す実施形態は説明のみを目的としており、電子部品130は図示されたものとは異なっていてもよいことが理解される。例えば、いくつかの態様では、電子部品130は、アンテナ140によって供給される電気エネルギーを整流するように構成された1若しくはそれ以上の特定用途向け集積回路(ASIC)に含まれる。別の実施形態では、電子部品130は、
図7に示されるものよりもより少ないまたはより多い部品を含む。
【0039】
図8A~8Dは、本開示の様々な実施形態による神経刺激装置200、300、400、500の上面図である。特に、
図8A~8Dに示す実施形態は、様々な電極突起部および間隔構成による神経刺激装置を示す。これに関連して、電極(例えば、210、220)は、近接して配置されてもよいし、離間して配置されてもよい。さらに、電極突起部(212、222)は、装置の中心軸から離れるように外側に延長してもよいし、装置の中心軸に向かって内側に延長してもよい。
【0040】
図8Aを参照すると、装置200は、基板202上に取り付けられた電極210、220を含む。電極210、220は、装置200の中心軸から離れる方向に延長する突起212、222の対応するセットを有する。すなわち、電極210、220は、電極表面の外側の境界からそれぞれの電極表面に延長するスロットを含む。さらに、電極210、220は、装置200の中心軸に対して互いに比較的近接しているといえる。いくつかの実施形態では、電極210、220間の間隔は、各電極210、220の幅の10%~200%であってもよい。
【0041】
図8Bを参照すると、装置300は、基板302上に取り付けられた電極310、320を含む。
図8Aに示す装置と同様に、電極310、320は、装置300の中心軸から離れる方向に延長する突起312、322の対応するセットを有する。すなわち、電極310、320は、電極表面の外側の境界からそれぞれの電極表面に延長するスロットを含む。さらに、電極310、320は、装置300の中心軸に対して互いに相対的に離間して配置されているといえる。いくつかの実施形態では、電極310、320間の間隔は、各電極310、320の幅の10%~200%であってもよい。
【0042】
図8Cを参照すると、装置400は基板402に取り付けられた電極410、420を含む。電極410、420は、装置400の中心軸に向かって内側に延長する突起412、422の対応するセットを有する。すなわち、電極410、420は、電極表面の内側の境界からそれぞれの電極表面に延長するスロットを含む。さらに、電極410、420は、
図8Aに示す装置200と同様に、装置400の中心軸に対して互いに比較的近接しているといえる。
【0043】
図8Dを参照すると、装置500は、基板502上に取り付けられた電極510、520を含む。電極510、520は、
図8Cに示す装置400と同様に、装置500の中心軸に向かって内側に延長する突起512、522の対応するセットを有する。すなわち、電極510、520は、電極表面の内側の境界からそれぞれの電極表面に延長するスロットを含む。さらに、電極510、520は、
図8Bに示す装置300と同様に、装置500の中心軸に対して互いに相対的に離間して配置されているといえる。
【0044】
図9Aおよび
図9Bは、本開示の別の実施形態による神経刺激装置600を示す。図示の実施形態では、装置600は、当該装置の第1の側604に取り付けられた第1の電極610と、当該装置の反対側の第2の側606に取り付けられた第2の電極620とを含む。いくつかの態様において、第1の側604は、眼瞼結膜に面する側であってもよく、第2の側606は、眼球結膜に面する側であってもよい。電極610、620は、ポリマー材料からなる1若しくはそれ以上の層を有する、1若しくはそれ以上の基板に取り付けることができる。特に、第1の電極610は第1の基板層に取り付けられ、またアンテナは、第1の基板層の反対側の第2の側に装着、結合、または取り付けられてもよい。さらに、第2の基板層がアンテナと反対側の側面上に配置され、第2の電極620は第2の基板層の反対側の第2の側に取り付けられる。したがって、アンテナは2つの基板層の間に配置され、また電極610、620はそれぞれの基板層の反対側の外側面に取り付けられる。さらに、電気回路は電極層の間に配置されてもよい。この装置は、第1の側604上の第1の電気ビア612と、第2の側606上の第2の電気ビア614とを含む。電気ビア612、622は、それぞれの基板層を通って延び、電極610、620をそれぞれの基板層間に配置された電子部品および/またはアンテナトレースと電気的に接続する。
【0045】
図9Aおよび
図9Bに示す実施形態では、装置600の反対側の面に配置された電極610、620によって生成される電流経路は、(例えば、電極110、120などの)他の電極構成と比較して、より浅い若しくは表面的である。したがって、装置600は、より表面付近にある特定の種類の神経を刺激するためにより適切または好適である。例えば、装置600は、眼瞼結膜内の神経、すなわち、マイボーム腺を刺激するために使用することができ、または刺激波形を調整することによって、眼瞼結膜内のマイボーム腺と、眼球結膜および強膜の反射性涙液を制御する求心性神経の双方を刺激するために使用することができる。本装置は、部分的に湾曲した外形を有するものとして示されているが、装置600は、図示されているもの以外の形状、実装面積、または外形状を含んでもよいことが理解される。例えば、装置600は、矩形状、円形状、楕円形状、三角形状、豆形状、または任意のその他の適切な外形状を含むことができる。同様に、電極610、620は、図示されているもの以外の外形状を含んでもよく、装置600の全体的な外形状に対応または一致していてもよいし、していなくてもよい。例えば、電極610、620は、円形状、楕円形状、矩形状、三角形状、豆形状、または任意のその他の適切な外形状を含むことができる。
【0046】
図10は、神経刺激装置を使用して神経を刺激するための方法700を示すフロー図である。これに関して、方法700は、本明細書に記載の装置100、200、300、400、500、600、800のいずれかを用いて実行することができる。特に、方法700は、電磁エネルギーを受け取るように構成されたアンテナと、患者の組織内に電流を生成するように構成された1若しくはそれ以上の電極と、アンテナによって受け取られた電気エネルギーを、1若しくはそれ以上の電極によって使用される電力に変換するように構成された電子回路とを含む神経刺激装置を使用して実行することができる。さらに、方法700は、
図2に示す遠隔制御装置70のような無線遠隔制御装置を用いて実行することができる。
【0047】
ブロック710において、神経刺激装置は、アンテナ領域を画定するループアンテナにより電磁(EM)エネルギーを受け取る。電磁(EM)エネルギーは、所定のプロトコルまたは波形に従って変化する電磁(EM)場を放射する遠隔制御装置によって提供される。可変電磁(EM)場がアンテナ領域を通過する際、可変電磁(EM)場によりアンテナに電流が誘導され、この電流が装置の電子機器に供給される。
【0048】
ブロック720において、装置、具体的には装置の電子回路は、受け取った電磁(EM)エネルギーに基づいて電気パルスパターンを生成する。この点において、電気パルスパターンは、遠隔制御装置によって放射される所定のプロトコルまたは波形に対応する。電気パルスパターンは、パルス、パルス強度、パルス周波数、電極極性、または任意のその他の適切な特性などの様々な特性を含むことができる。いくつかの態様では、電気パルスパターンは、アンテナから供給される交流(AC)電流を直流(DC)電流に変換する電子回路の整流器を用いて生成することができる。
【0049】
ブロック730において、本装置は、電気パルスパターンに基づいて第1の電極および第2の電極を作動させる。第1の電極および第2の電極はアンテナによって画定されたアンテナ領域と重なる。また、第1の電極および第2の電極は、電極表面と、それぞれの電極表面内の複数のスロットとを有する。電極表面内に延長するスロットによって、神経刺激装置のアンテナと遠隔制御装置との間の近接場結合を促進することが可能となる。例えば、電極を複数の電極突起部または電極指に分離するスロットによって、効率の低下および電力伝送の損失を生じさせる可能性のある損失性電気渦電流の発生を制限または抑制することができる。したがって、電極にスロットを含めることにより、アンテナ領域と実質的にまたは完全に重なるように電極表面のサイズまたは実装面積を拡大することが可能となり、アンテナが電磁(EM)エネルギーを利用する際に干渉が低減される。
【0050】
いくつかの態様において、無線遠隔制御装置は、スマート刺激機能を有するように構成されてもよい。例えば、方法700において、無線遠隔制御装置は、スマートフォンを含むか、若しくはスマートフォンのアプリを使用してスマートフォンとの無線接続(例えば、Bluetooth(登録商標))を提供することができる。ハンドヘルド型ワンドは、遠隔操作装置の治療動作を追跡する加速度計、および/またはより有効な治療アドバイス(治療の「盲点」を把握するなど)を提供するための携帯電話との無線接続などの様々な治療追跡機能を含むことができる。無線遠隔制御装置は、治療時間や治療期間を追跡し、リマインダーを送信することができる。
【0051】
図11は、患者の円蓋部に装着されるように構成された治療装置800の上面図である。上述した装置と同様に、装置800は、基板802上に配置または取り付けられた第1の電極810と第2の電極820とを含む。各電極810、820は、複数のスロットによって互いに分離された複数の電極突起部または分岐部812、822を含む。電極突起部812、822は、基板802の中央領域に取り付けられた電子部品830に向かって反対の方向から内側に延長する。装置800は、基板802上に配置されたアンテナトレース840をさらに含む。アンテナトレース840および電子部品830は、基板802の眼瞼結膜側、または後部側に配置され、電極810、820は、基板802の眼球結膜、または内側に配置される。装置800は、豆形状または腎臓形状を有する。装置800の形状は、患者が装着している間の装置800の少なくとも1つの軸における曲率を考慮して選択される。さらに、電極810、820は、その外側領域において上方に湾曲している。いくつかの態様において、装置800がより幅広の寸法を有し、電極810、820が離間した構成を有するとともに、湾曲部を有することによって、電極間の電流密度分布を改善することができ、それにより均一な電流密度で神経の漸増を向上させることができる。また、寸法をより幅広にすることで、組織体積に対する電流密度の分布が改善され、神経細胞の漸増が向上し、装置800がより大きな曲率を有することが可能となるため、図示された構成では、眼球周辺における電極810、820の湾曲構造によって眼球組織のより深い位置まで刺激が提供される。さらに、電極が上向に湾曲していることで、神経密度がより高い縁郭に近接した神経に刺激を提供することができ、より効率的な刺激が可能となる。
【0052】
装置800は、第1の電極810上の第1の電気ビア814と、第2の電極820上の第2の電気ビア824および第3の電気ビア826とを含む。電気ビア814、824、826は、電極810、820内、および基板802を通って基板802の反対側の電子部品830に至る孔部または開口部を含むことができる。ビア814、824、826は、孔部または開口部を通って延びる金属層またはコーティング(例えば、金、銅、白金、イリジウムなど)を含むことができ、この金属層またはコーティングは、電子部品830の対応する部品に繋がる電気トレースに接続される。ビア814、824、826は、突起部812、822よりも幅広の導電性リング領域を含む。ビア814、824、826は、突起部または分岐部を有する電極810、820に配置されるが、平行またはともに延長する電極突起部812、822のパターンを中断する態様で配置される。この点に関して、電極810、820は、各ビア814、824、826が、その外側において単一の突起部812、822に直接接続され、その内側(すなわち、電子部品830に近い側)において2若しくはそれ以上の突起部812、822に接続されるように、少なくとも1つの突起部812、822に中断部を含む。
図11に示す、突起部812、822およびビア814、824、826の中断構成によって、電極810、820およびビア814、824、826を含む導電層における電気渦電流の形成が抑制され、アンテナトレース840と遠隔制御装置との間の近接場結合を促進または容易にすることができる。電極810、820内のビア814、824、826の位置は、電子部品830から十分な間隔を置いていることがよく、このような態様は製造上有利である。
【0053】
図12Aおよび
図12Bは、ドライアイ疾患(DED)などの眼疾患の治療に使用するための電気パルス波形900、910の図式である。この点に関して、神経刺激装置の電極は、所定のパターンまたは波形に従って(例えば、
図2の無線遠隔制御装置70を使用して)パルス化され、涙液産生を誘発するために患者の眼球内および眼球周辺の神経を刺激することができる。
図12Aを参照すると、神経刺激装置は、正の電流I
1を有する第1の位相と、負の電流I
2を有する第2の位相とを有する二相パルスを提供するように構成することができる。波形900は、パルス幅t
pulse、パルス間幅t
interpulse、および同じ位相のパルス間の期間であるパルス周期t
PulsePeriodによって記述または定義することができる。いくつかの態様では、パルス周期t
PulsePeriodはパルス波形の周波数に反比例する(例えば、パルス間周波数=1/t
PulsePeriod)。いくつかの実施形態では、I
1は0~3.3mAの範囲であってもよく、I
2は0~-3.3mAの範囲であってもよい。電流値は、電極面積、t
pulse、電極材料などを含む(これらに限定されるものではない)様々なその他の変数に依存する。さらに、t
pulseは約10μs~1msの範囲であってもよい。一例において、t
pulseは100μsである。いくつかの実施形態において、t
interpulseは約10μs~1msの範囲であってよい。一例では、t
interpulseは10μsである。これらの値は単に例示的なものであり、I
1、I
2、t
PulsePeriod、t
pulse、および/またはt
interpulseについて、その他の値を本開示の範囲内で使用可能であることが理解される。
【0054】
図12Aに示す波形900は、パルスの数だけ、および所定の期間繰り返されてもよい。期間中、パルス周期t
PulsePeriodを変化させてもよい。例えば、パルス周期t
PulsePeriodは、パルス間にわたって増加または減少してもよく、若しくは、同じt
PulsePeriodが、所定の期間にわたって漸進的に変化する前に、複数のパルスに使用されてもよい。例えば
図12Bに示す波形910では、パルス周期の逆数(1/t
PulsePeriod)に基づくパルスの周波数がF
1とF
2との間で直線的に増減するようにパルス周期t
PulsePeriodが変化する。
【0055】
神経を刺激して涙液産生を誘発するのに有効な周波数は、患者によって異なる場合がある。個々の患者に対して最も有効なパルス周波数(t
PulsePeriod)を決定することは、ある意味で現実的ではない。したがって、
図12Aおよび
図12Bに示す波形900、910は、F
1とF
2の間の複数のパルス周波数を周期的に掃引する、広範囲に適用可能なパルスパターンを提供する。F
1からF
2までの周波数の範囲は、公衆の大部分、公衆の大多数、または公衆全体に対して少なくとも部分的に有効な神経パルス周波数を含む。波形910は、F
1からF
2の間の各周波数が少なくとも2回、少なくとも3回、またはそれ以上パルス化される所定の時間窓にわたって実行されてもよい。その他の態様では、波形は、F
1からF
2の間の各周波数で1回パルス化されてもよい。
【0056】
一例では、F
1は約20Hzであり、F
2は約640Hzである。したがって、
図12Bに示す波形を参照すると、電極は最初20Hzでパルス化され、次に20Hzから640Hzまで直線的に増加し、次に20Hzまで直線的に減少し、その後再び640Hzまで直線的に増加する。いくつかの態様では、
図12Bに示すパルス化波形910に使用される時間窓は、全体で約1.5秒であってもよい。しかしながら、上記の値は単に例示的なものであり、明示した周波数よりも大きいまたは小さい周波数を含む、任意の適切な値をF
1およびF
2として使用可能なことが理解される。さらに、別の実施形態では、神経刺激装置は、パルス周波数を非線形的に増加および/または減少させるように構成することができる。
【0057】
いくつかの実施形態では、
図12Aおよび
図12Bに関連して説明した波形900、910の様々なパラメータは、無線遠隔制御装置または送信機によって決定または制御することができる。例えば、
図2を参照すると、遠隔制御装置70は、電圧源(例えば、電池)と、1若しくはそれ以上の抵抗器および/またはコンデンサとループインダクタとを含むインダクタ回路と、プロセッサと、プログラムコードまたは命令が格納されたメモリ要素とを含むことができる。いくつかの態様において、遠隔制御装置70は、電池を含む電源を含み、この電源は、可変電圧および/または電流(例えば、正弦波)を出力するように構成されてもよい。プロセッサは、メモリ上に格納された命令であって、本明細書で説明した波形パラメータを含む、若しくは定義する命令を実行するように構成されている。例えば、いくつかの実施形態では、プロセッサは、可変電源を制御するように構成されてもよい。遠隔制御装置70は、
図12Aおよび
図12Bに示す波形900、910に対応するパルス電磁(EM)エネルギーを伝送することによって、装着型神経刺激装置100を制御する。別の実施形態では、神経刺激装置の電子部品は、波形900、910の1若しくはそれ以上の特性を決定しすることができる。
【0058】
本明細書に記載した装置およびシステムは、家庭で安全に使用することができ、バックグラウンド、またはオンデマンド(急性期治療)方式で不可視の治療オプションを提供する。このシステムはまた、その他のデータ駆動型診断のために眼球位置および瞬目率データを収集することもできる。眼瞼下装置による局所的で保護された加熱では、他の先行技術のシステムのように侵襲的である必要はなく、また麻酔薬を適用するも必要もないため、在宅での適用が可能となる。2つの異なる二次的ハードウェア装置(フレームまたはハンドヘルド型外部装置)により、1つの眼瞼下装置を用いて2つの異なる治療戦略(バックグラウンドで継続的に適用する治療、またはオンデマンドの手動治療(急性期治療))を適用することができる。
【0059】
本明細書に記載の神経刺激装置、システム、および方法は、2020年3月25日付で出願された米国特許出願公開第2020/0306537号明細書、および2020年3月25日付で出願された米国特許出願公開第2020/0306538号明細書に記載されている構成要素、装置、システム、または方法の1若しくはそれ以上を利用することができ、その内容全体がこの参照により本明細書に組み込まれる。
【0060】
当業者であれば、上述した装置、システム、および方法を様々な態様で変更できることを認識すると考えられる。したがって、当業者であれば、本開示によって包含される実施形態は、上述した特定の例示的な実施形態に限定されないことを理解すると考えられる。この点について、例示的な実施形態を示し、また説明してきたが、上述の開示において、広範囲の修正、変更、および代替が考えられる。本開示の範囲から逸脱することなく、そのような変更を上述の実施形態に対してなすことができることが理解される。したがって、添付の特許請求の範囲は、広範囲に、本開示と一致するように解釈されることが適切である。
【国際調査報告】