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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-12
(54)【発明の名称】作物栄養組成物
(51)【国際特許分類】
   A01N 59/16 20060101AFI20240705BHJP
   A01P 21/00 20060101ALI20240705BHJP
   A01N 59/06 20060101ALI20240705BHJP
   A01N 59/00 20060101ALI20240705BHJP
   A01N 25/04 20060101ALI20240705BHJP
   A01G 7/06 20060101ALI20240705BHJP
【FI】
A01N59/16 Z
A01P21/00
A01N59/06
A01N59/00 B
A01N25/04 102
A01G7/06 A
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024501115
(86)(22)【出願日】2022-07-07
(85)【翻訳文提出日】2024-02-29
(86)【国際出願番号】 IB2022056296
(87)【国際公開番号】W WO2023281443
(87)【国際公開日】2023-01-12
(31)【優先権主張番号】202121030573
(32)【優先日】2021-07-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524009392
【氏名又は名称】ブクハンワラ コマル
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ナイク ハーシャ ラマナンド
【テーマコード(参考)】
2B022
4H011
【Fターム(参考)】
2B022EA10
4H011AB03
4H011BB18
4H011DA15
(57)【要約】
本発明は、水不溶性マグネシウム塩、その錯体または誘導体の1種以上が全組成物の1~80%w/wの範囲にあり、および水不溶性亜鉛塩、その錯体または誘導体の1種以上が全組成物の1~50%w/wの範囲にあり、および水不溶性鉄塩、その錯体または誘導体の1種以上が全組成物の1~50%w/wの範囲にあり、それと共に少なくとも1種の農業化学的に許容される賦形剤が全組成物の0.01~97%w/wの範囲にある均質混合物を含む、水分散性顆粒の形態をとる作物栄養組成物に関し;この組成物の顆粒は、0.05mm~4.0mmのサイズ範囲にあり、0.1ミクロン~20ミクロンのサイズ範囲にある粒子を含む。本発明はさらに、植物が利用可能であるマグネシウム、亜鉛、および鉄のような必須栄養素を作製し、合成肥料の過剰使用のため主に土壌分解する様々な要因によりこれまで利用可能ではなかった土壌に存在するその他の微量栄養素および微量の元素を解放することにもよって、植物を処理しその栄養要件を満たす方法に関する。本発明は、害虫侵入に耐えるように、植物を強化することにも関する。本発明は、必須微量栄養素による植物の生物学的栄養強化の方法にも関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
全組成物の1~50%w/wの範囲の、少なくとも1種の水不溶性鉄塩、その錯体または誘導体、
全組成物の1~50%w/wの範囲の、少なくとも1種の水不溶性亜鉛塩、その錯体または誘導体、
全組成物の1~80%w/wの範囲の、少なくとも1種の水不溶性マグネシウム塩、その錯体または誘導体、
全組成物の0.01~97%w/wの範囲の、少なくとも1種の農業化学的に許容される賦形剤、
の均質混合物を含む、水分散性顆粒作物栄養組成物であって、
前記組成物の顆粒が、0.05~4.0mmのサイズ範囲にあり、0.1ミクロン~20ミクロンのサイズ範囲にある粒子を含むことを特徴とする、水分散性顆粒作物栄養組成物。
【請求項2】
請求項1に記載の組成物であって、少なくとも1種の水不溶性鉄塩が、酸化鉄、コハク酸鉄、フマル酸鉄、水酸化鉄、シュウ酸鉄、鉄スクラート、酒石酸鉄、リン酸鉄、炭酸鉄、ケイ酸鉄、カルボニル鉄、硫化鉄、または二クロム酸鉄、これらの錯体もしくは誘導体の少なくとも1種を含むことを特徴とする組成物。
【請求項3】
請求項1に記載の組成物であって、少なくとも1種の水不溶性亜鉛塩が、酸化亜鉛、炭酸亜鉛、硫化亜鉛、モリブデン酸亜鉛、リン酸亜鉛、ニトリロ三酢酸亜鉛、ホウ酸亜鉛、ケイ酸亜鉛、ピロリン酸亜鉛、およびクエン酸亜鉛、これらの錯体または誘導体の少なくとも1種を含むことを特徴とする組成物。
【請求項4】
請求項1に記載の組成物であって、少なくとも1種の水不溶性マグネシウム塩が、モリブデン酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、リン酸マグネシウムカルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ケイ酸マグネシウムカルシウム、トリケイ酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、酸化マグネシウム、これらの錯体または誘導体の少なくとも1種を含むことを特徴とする組成物。
【請求項5】
請求項1に記載の組成物であって、前記組成物が、0.1ミクロンから10ミクロンのサイズ範囲にある粒子を含むことを特徴とする組成物。
【請求項6】
請求項1に記載の組成物であって、前記組成物が、約15ミクロンの直径分布D90を有する粒子を含むことを特徴とする組成物。
【請求項7】
請求項1に記載の組成物であって、少なくとも1種の農業化学的に許容される賦形剤が、湿潤剤、界面活性剤、分散剤、崩壊剤、乳化剤、充填剤または担体または希釈剤、展着剤、着色剤、固化防止剤、バインダー、緩衝剤またはpH調節剤または中和剤、粘着付与剤、顔料、安定化剤、消泡剤または脱泡剤、沈降防止剤、浸透剤、保存剤の1種以上から選択されることを特徴とする組成物。
【請求項8】
請求項1に記載の組成物であって、前記組成物が少なくとも1種の界面活性剤を含むことを特徴とする組成物。
【請求項9】
請求項1に記載の組成物であって、前記組成物の懸濁性が少なくとも30%であることを特徴とする組成物。
【請求項10】
請求項1に記載の水分散性顆粒作物栄養組成物を調製するための方法であって、
a.全組成物の1~50%w/wの範囲の、少なくとも1種の水不溶性鉄塩、その錯体または誘導体、全組成物の1~50%w/wの範囲の、少なくとも1種の水不溶性亜鉛塩、その錯体または誘導体、全組成物の1~80%w/wの範囲の、少なくとも1種の水不溶性マグネシウム塩、その錯体または誘導体、および全組成物の0.01~97%w/wの範囲の、少なくとも1種の農業化学的に許容される賦形剤の均質なブレンドを水中でミリングして、均質なスラリーまたは湿潤混合物を得ること、
b.前記湿潤混合物を乾燥して、水分散性顆粒組成物を得ることであって、前記組成物の顆粒が0.05~4.0mmのサイズ範囲にあり、0.1ミクロンから20ミクロンのサイズ範囲にある粒子で構成される、水分散性顆粒組成物を得ること、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項1に記載の組成物であって、前記組成物が、肥料組成物、栄養組成物、作物強化組成物、土壌調整組成物、および収量増強組成物の少なくとも1種であることを特徴とする組成物。
【請求項12】
植物の健康または収量を改善するための方法であって、植物、植物繁殖材料、その部位または部分、種子、苗木;または周囲の土壌の少なくとも1種を、請求項1に記載の水分散性顆粒組成物で処理することを含む方法。
【請求項13】
全組成物の1~50%w/wの範囲の、少なくとも1種の水不溶性鉄塩、その錯体または誘導体、
全組成物の1~50%w/wの範囲の、少なくとも1種の水不溶性亜鉛塩、その錯体または誘導体、
全組成物の1~80%w/wの範囲の、少なくとも1種の水不溶性マグネシウム塩、その錯体または誘導体、
全組成物の0.01~97%w/wの範囲の、少なくとも1種の農業化学的に許容される賦形剤
の均質混合物を含み、前記組成物の顆粒が0.05mm~4.0mmのサイズ範囲にあり、0.1ミクロン~20ミクロンのサイズ範囲にある粒子を含むことを特徴とする組成物の施用により、マグネシウム、亜鉛、および鉄の摂取を高めることによって、植物を処理しその栄養要件を満たすための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水不溶性マグネシウム塩、その錯体または誘導体の1種以上、および水不溶性亜鉛塩、その錯体または誘導体の1種以上、および水不溶性鉄塩、その錯体または誘導体の1種以上の有効量と、少なくとも1種の農業化学的に許容される賦形剤との均質混合物を含む水分散性顆粒の形態をとる、作物栄養組成物に関する。本発明の水分散性顆粒組成物は、0.05mm~4.0mmのサイズ範囲にあり、0.1ミクロンから20ミクロンのサイズ範囲にある粒子から構成される。
【0002】
本発明はさらに、全組成物の1%~80%w/wの範囲の、水不溶性マグネシウム塩、その錯体または誘導体の1種以上、および全組成物の1%~50%w/wの範囲の、水不溶性亜鉛塩、その錯体または誘導体の1種以上、および全組成物の1%~50%w/wの範囲の、水不溶性鉄塩、その錯体または誘導体の1種以上と、全組成物の0.01%~97%w/wの範囲の、少なくとも1種の農業化学的に許容される賦形剤との均質混合物を含み;組成物の顆粒が0.05mm~4.0mmのサイズ範囲にあり、0.1ミクロンから20ミクロンのサイズ範囲にある粒子から構成される、水分散性顆粒組成物に関する。
【0003】
本発明はさらに、植物が利用可能なマグネシウム、亜鉛、および鉄のような必須栄養素を作製すること、および合成肥料の過剰使用が原因の主に土壌の劣化である様々な要因によりこれまで利用可能ではなかった土中に存在するその他の微量栄養素および微量元素を解放(unlocking)することによっても、植物を処理しそれらの栄養要件を満たす方法に関する。
【0004】
本発明は、害虫侵入(pest infestation)に耐えるような植物の強化にも関する。
【0005】
本発明は、必須微量栄養素による植物の生物学的栄養強化(biofortification)の方法にも関する。
【背景技術】
【0006】
本発明の実施形態を記述する際、明瞭にするために特定の用語が選択される。しかしながら本発明は、そのように選択された特定の用語に限定されるものではなく、特定の用語のそれぞれは、類似の目的を達成するのと同様の手法で作用する全ての技術的均等物を含むことを理解されたい。
【0007】
栄養は、作物(crop)の成長および発育に重要な要素である。植物への栄養素の不十分で不適切な利用可能性は、適正な成長および生理学的発育の欠如をもたらす。その結果、植物はさらに、害虫による攻撃を受け易くなる。農業に関連するその他の問題は、環境条件、例えば干ばつ、生物的および非生物的ストレス、不十分な土壌条件または土中の栄養素の枯渇であって、収量および産物の品質の低下をもたらすものである。したがって、作物の保護と共に、植物による栄養素の最大限の摂取がなされるような手法による適切でバランスのとれた栄養を提供することは、大きな課題である。土壌条件の最適化および作物栄養素の使用の管理は、作物の栄養使用効率を改善するために、農業従事者が長い間必要と感じてきたことである。土壌および植物の健康を改善するようにかなりの研究が実施されており、より良い経済的利益が農業従事者に提供され、合成殺虫剤の蔓延した使用による環境への負荷も低減される。
【0008】
並行して、全ての主要な大陸において、人口全体での隠れた飢餓および微量栄養素の欠乏が蔓延しており、世界的な疾病負担に実質的に関与している。全世界にわたり人々が通常被る微量栄養素の欠乏の中で、鉄(Fe)および(Zn)は、ヒトの栄養に見出される2つの重量な栄養素であり、中でも世界中で最も一般的な微量栄養素の欠乏である。Fe欠乏は世界人口の20%~25%に見られ、Zn欠乏は世界人口の17.3%に見られる(クーパー(Cooper)他、2012)。この重要な基礎をなす原因の1つは、不均衡な肥料実践である。栄養素の過剰で無差別な施用は、栄養素欠乏生成物をもたらす深刻な不均衡および拮抗を引き起こす可能性がある。したがって、栄養素含量に関して品質を維持しながら大量に食物を成長させることは、非常に困難で難しい仕事である。
【0009】
さらに現代の農業は、窒素、リン、およびカリウム系肥料などの合成肥料の過剰使用、栄養素が欠乏した作物を生成し収穫する過剰な栽培が原因で劣化した土壌により困難になっており、最終的にはヒトの栄養および健康に影響を及ぼす。地表の30%超は、適切な亜鉛および鉄栄養素の作物への提供に関しても難題を投げ掛ける石灰質土壌で覆われている。その上、労働および水不足の増大、高く品質のある収量への要求、現行の農業慣行は、土壌の健康の劣化、地下水面の欠乏、土壌の肥沃の低下、肥料および殺虫剤の滲出、土壌での微量栄養素の欠乏などにより、ますます問題となっている。過剰な合成肥料の使用は、土壌栄養素の膨大な不均衡をもたらした。同様収量を実現するため、20または30年前に施用された場合よりもほぼ2倍を超えた量の窒素、リン、およびカリウムなどの肥料が、今日では土壌に施用されている。過剰な窒素肥料は、土壌中の交換可能なカルシウムおよびマグネシウムイオンの低減をもたらし、植物に利用可能ではなくなって、植物の成長および土壌の健康の妨害をもたらすことが観察された。また、合成NPK肥料の長期使用は土壌を酸性にし、分解し、亜鉛、鉄、カルシウム、およびマグネシウムを含むその他の必要不可欠な栄養素の摂取も制限する。土壌中の過剰な量の窒素、リン、およびカルシウムは栄養素の不均衡をさらにもたらし、最終生成物は必須栄養素、特に亜鉛および鉄(過剰なリンに起因して)およびマグネシウム(過剰なカルシウムおよび窒素に起因して)が不足する。
【0010】
植物による成長および再生に必要とされる必須元素としての微量栄養素の役割は、長く公知であった。微量栄養素は、作物の栄養のバランスをとるのに重要な役割を演じる。さらに、栄養素の最適なレベルは、植物の正常な機能、成長に必要とされ、栄養素レベルの任意の分散が全体的な作物の成長の妨げを引き起こす可能性があり、欠乏およびまたは毒性に起因してその健康を低下させる可能性があることも公知である。植物への肥料または栄養素の不十分な利用可能性は、適正な成長の不足をもたらし、その結果、植物は害虫による攻撃をさらに受け易くなる。事実、鉄、亜鉛、およびその他の元素を含む適切な量の微量栄養素を保持するいくつかの土壌タイプがあっても、それらの作物摂取に関するバイオアベイラビリティ(bioavailability)は様々な要因に起因して限定され、最終的な収穫はこれらの栄養素が欠乏していることが観察される。
【0011】
土壌中の低濃度の必須微量栄養素に加え、欠乏に関する根本的な原因の1つは、植物の根に対する、その酸化形態での微量栄養素の低い利用可能性である。さらに、雨および灌漑に起因する水溶性栄養素の滲出も、土壌中の栄養素の利用可能性を低減させる。さらに、作物の栄養の管理は、土壌中の様々な炭酸塩レベル、土壌塩分、土壌水分、土壌アルカリ性、低温、およびその他の元素、即ち「競合的微量元素」の濃度であって、微量栄養素の利用可能性に影響を及ぼす可能性があり、時には微量栄養素の欠乏ももたらし得るものなどの要因に起因して、難しい。さらに、微量栄養素の利用可能性に応答する植物の能力は、最終的にはヒトの栄養に、作物の収量および可食組織での微量栄養素の濃度の両方で影響を及ぼす。したがって適正な栄養は、全体的な作物の収量および品質に寄与することになる植物の栄養および代謝を最適化するのに、極めて重要である。
【0012】
植物栄養における相互作用は、元素の混合物およびその組成、濃度などに応じて拮抗的または相乗的のいずれかの可能性があり、栄養使用効率に影響を及ぼし得る。過剰な栄養素の施用に起因して、植物は「栄養素拮抗」を被る可能性があり、それによって過剰な特定の元素が、植物により必要とされる別の元素の吸収を遮断する可能性があり、これは植物での欠乏をもたらし得る同様のサイズおよび電荷(正または負)の元素で起こる可能性がある。最も一般的な拮抗作用のいくつかは、亜鉛、マンガンを遮断する鉄(またはその逆)、カルシウムを遮断するマグネシウム(またはその逆)、およびマグネシウムおよびカルシウムの両方を遮断するカリウムである。欠乏している植物に関する別の理由は、元素が一緒に混合され結合するときに生じる「結合」であり、不溶性であり植物の根によって吸収することができない化合物を形成する。したがって、バランス量の最も限定的な栄養素を施用して最高収量を得ると共に栄養素の損失を最小限に抑えることは、必須事項である。「Iron-magnesium antagonism in growth and metabolism of radish;アガルワラ S.C(Agarwala S.C)およびS.C.メーロトラ(S.C.Mehrotra)et al;1984」という名称の文献は、作物中の鉄-マグネシウム拮抗を報告し、一方、「Effects of Nutrient Antagonism and Synergism on Yield and Fertilizer Use Efficiency;レネP.J.J.リエトラ(Rene P.J.J.Rietra)、マリウス・ヘイネン(Marius Heinen)et al;2017」という名称の別の文献は、亜鉛とマグネシウムとの間の拮抗を報告した。さらに、FeとZnとの間の拮抗も周知である(アロウェイ(Alloway)、2008 & カバタ-ペンディアス(Kabata-Pendias)、2001)。
【0013】
マグネシウム(Mg)は、植物の成長、健康、および発育に必要な必須マクロ元素である。マグネシウムは、光合成を含むいくつかの異なるプロセスに関わる。マグネシウムの最も重要な役割は、クロロフィル分子における中心元素または核としてである。マグネシウムがないと、クロロフィルは、光合成に必要な太陽エネルギーを獲得できない。マグネシウムは、植物の正常な代謝に関わる特定の酵素系を活性化するのも助ける。さらに、細胞分裂およびタンパク質形成にも必要であり、植物の呼吸に必須の成分である。
【0014】
土壌中のマグネシウムの利用可能性は、多数の要因に依存する。それらの1つは、源岩材料、風化度、局地気候および特定の農業システム、その管理慣習、例えば作物のタイプ、作物強度、作物の輪作、および肥料慣習である。植物中でのその高い移動度に起因して、マグネシウム欠乏症状は、下方のより古い葉で最初に出現し、その後、その症状は、より若い葉で目に見えるようになる。症状は、緑の葉脈を持ち縁に沿った黄色い葉(葉脈間クロロシス)として出現する。紫、赤、または茶色のスポットも葉に出現する可能性がある。作物の生産および農業でのマグネシウムおよびその重要性は、植物の成長および発育には必須の要素であるが、それでもしばらくの間、見落とされてきた。これは潜在的なマグネシウム欠乏を検出することが難しいという事実に起因する。
【0015】
さらに鉄(Fe)も、植物または作物の成長、発育、再生に必要とされる必須の栄養素元素であるが、比較的少量であり、したがって微量栄養素になる。鉄は、クロロフィルならびにある範囲の酵素およびタンパク質の製造など、植物での多くの重要な生理学的プロセスに関与する。作物および植物における呼吸、窒素固定、エネルギー移動、および代謝においても、極めて重要な役割を演じる。鉄は比較的固定可能な鉄であり、一旦、組織に組み込まれると、植物の上方部分に残る。その結果、1つの植物部分から別の部分への鉄の転流は制約され、鉄の欠乏に至る。植物または作物でのそのような欠乏は、一般に、白化(黄化)(chlorosis(yellowing))の原因になる。さらに不十分な鉄栄養は、マメ科作物の不十分な根粒形成(nodulation)ももたらし、低減したサイズおよび収量に繋がる。
【0016】
作物の鉄栄養の管理は、土壌中の炭酸塩レベル、塩分、土壌水分、土壌アルカリ度、低温、および鉄の利用可能性に影響を及ぼし時には鉄の欠乏ももたらし得るその他の栄養元素(例えば、リン、カルシウムなどの競合微量元素)の濃度などの要因に起因して、難しいことが観察された。また、鉄の利用可能性に応答する植物の能力は、作物の収量および可食植物組織での鉄の濃度に影響を及ぼすだけでなく、最終的には植物の栄養に影響を及ぼす。したがって、作物による適正な鉄の同化は、作物の栄養および代謝を最適化するのに極めて重要であり、これは全体的な作物の収量および品質に寄与するものである。
【0017】
必須微量栄養素としての亜鉛(Zn)の役割も、長く公知であった。これは作物での多くの代謝反応を推進させる原因であるいくつかの酵素、タンパク質に重要な構成成分であり、植物の発育にも極めて重要である。亜鉛は、ある特定のタンパク質の合成の原因となる酵素を活性化させる。これはクロロフィルおよびいくつかの炭水化物の形成、デンプンから糖への変換で使用され、植物組織でのその存在は、植物が低温に耐えるのを助ける。亜鉛は、成長の制御および茎の伸長を助けるオーキシンの形成に必須の元素である。
【0018】
亜鉛は固定化され、それに起因して欠乏症状が新しい葉で生じる。典型的には、それらは新しい葉のいくつかの様々なパターンの白化(しばしば、葉脈間)で表され、壊疽斑点が葉の先端の縁に形成される可能性があり、その結果、サイズがより小さい葉が形成され、しばしば上向きのカップ状になるかまたは歪む。症状は、低減した開花および枝分かれ、より短い節間をもたらす不十分な芽の発育も含み、植物のロゼット外観をもたらす。炭化水素、タンパク質、およびクロロフィル形成は、亜鉛欠乏植物で著しく低減される。したがって一定の連続した亜鉛供給が、最適な成長および最大収量に必要である。
【0019】
微量栄養素の利益は周知であるが、その欠乏は、世界の農業領域のほとんどで、過去数十年にわたり広がってきており、その結果、微量栄養素は、改善された植物の成長、高収量、および肥料効率に対して制限要因として示されている。
【0020】
ほぼ粉末またはダストの形態で微量栄養素の組合せを含む農業組成物は、当技術分野で公知であり、この微量栄養素は一緒にブレンドされ混合されている。しかしながらそのような粉末系組成物は、その施用に関して望ましくないと考えられる活性剤の不均一なまたは不均質混合物と、植物による栄養の不十分な摂取ももたらすと考えられる。粉末組成物は、ダストの発生のような実用的な施用に関する課題を有するだけではなく、目の刺激、呼吸のリスク、および皮膚の刺激によるリスクもほとんどの使用者に課す。そのような配合物も容易に分散できず、点滴を介して施用したときにノズルを詰まらせる傾向があり、灌漑システムでの使用が不適切になる。さらにこれらの組成物は、不十分な懸濁性を有することも見出され、目標領域に対する活性成分のランダムで不均一な分布をもたらして、望ましくない作用を引き起こし、植物または作物への栄養素の効率的な送達において問題を課し、大量に使用することも必要になる。
【0021】
従来、微量栄養素系組成物は、ベントナイト顆粒または芳香錠(pastille)、ペレット、溶融プロセスなどを通して調製された顆粒の形態のものも当技術分野で公知である。そのような、顆粒またはペレットまたは芳香錠の形態をとる微量栄養素の組合せの生成物は、膨潤クレーから構成され、いくつかの欠点に関連付けられている。これらの組成物は一般に、サイズがより大きく、水分と接触して膨潤し、不均一なサイズの大きい粒子に崩壊する膨潤クレーを含む。そのような顆粒または芳香錠は、植物栄養要件を満たさない微量栄養素の不規則な放出ももたらし、最終的には不十分な野外効力をもたらす。この場合も、これらのタイプの微量栄養素組成物は、広範な施用に適しているたけであり、それら自体の欠点により、即ちより大きい粒度へのその崩壊による、水中での不十分な分散および懸濁性により、スプレー施用でのノズルの詰まりがもたらされ、植物または作物への栄養素の送達に問題を課す。これらの欠点に起因して、微量栄養素を含有するそのような従来技術の組成物は、労働力の不足および水不足のために、今日では必須の灌漑形態である点滴またはスプリンクラー灌漑システムで、無視できる商業的利用可能性または適用可能性を有する。
【0022】
水溶性栄養素の使用に関わる、当技術分野で公知の顆粒状または粉末組成物がある。しかしながら、豪雨または灌漑中のそのような組成物は、洗い流される傾向があり、植物による吸収が失敗し、そのため地下水の汚染を引き起こす。土壌は、より塩分を含むようになり、植物は、より多くの水および栄養素を土壌から引き出すことができない。これは効率の顕著な損失をもたらすだけでなく、深刻な環境問題も有する。
【0023】
微量栄養素混合物でコーティングされた肥料顆粒または微量栄養素の水崩壊性顆粒を含む組成物も、当技術分野で公知である。しかしながらそのような組成物は、活性剤を非常にゆっくりと放出して活性剤が土壌に長期間にわたり固定され、植物からその即時栄養要件を奪うような手法で設計される。植物の初期の間、その植物における栄養欠乏の結果、様々な疾患を受け易くなり、最終的にはその成長および収量を妨げる。さらに、不均一崩壊および粒子の分布による水崩壊性顆粒組成物は、それ自体の欠点の組合せを被る。ランダムおよび不均一な粒度への崩壊により、そのような組成物は、点滴を介して施用されたときにノズルを詰まらせる傾向があり、現代の灌漑システムでの使用に不適切になる。
【0024】
さらに、当技術分野で開示されたその他の配合物は、人を液体組成物に向かわせる可能性がある。しかしながらそのような組成物は、担体としての大量の溶媒の存在に起因して低い活性負荷を持ち、したがって食物の栄養要件を満たすのに非常に有効ではない。また液体であるため、そのような大量の生成物を輸送する間、実現可能ではない。
【0025】
鉄および亜鉛と組み合わせてマグネシウムを含む、適切な水分散性顆粒組成物は公知ではなく、これは有効な量で、植物に利用可能になると考えられるものであり、したがって植物のバランス栄養要件を満たし、当技術分野で公知のそのような組成物の栄養素拮抗のような欠点に対処する。
【0026】
Zn-Fe、Zn-Mg、およびMg-Znの間の公知の拮抗にも関わらず、この問題を克服し、植物の栄養要件を首尾良く満たす農業組成物を開発することは、常に難しかった。本発明者らは意外にも、マグネシウム、亜鉛、および鉄を含む本発明の組成物が、これら個々の栄養素の間の拮抗を克服するのに有効であるだけでなく、相乗効果も示したことを見出した。本発明の組成物は、特定の粒度で配合されたとき、栄養素であるマグネシウム、亜鉛、および鉄を、植物による摂取において容易に利用可能にすることが見出された。組成物の施用は、マグネシウム、鉄、および亜鉛だけでなく、土壌に閉じ込められたままのその他の栄養素の、より多くのバランスのとれた摂取をもたらし、劣化した土壌であっても持続可能な手法で天然の生物学的栄養強化溶液を提供することが、本発明者らにより示された。
【0027】
特定の割合でマグネシウム、亜鉛、および鉄の水不溶性の塩、錯体、または誘導体の組合せを含む本発明の組成物が、特定の粒度分布と共に水分散性顆粒形態に配合されるとき、意外な効果が示されることが観察された。本発明の組成物は、土壌での栄養素の、即ち亜鉛と鉄、マグネシウムと亜鉛、マグネシウムと鉄などの間の拮抗という難題に対処することが見出された。本発明の組成物はさらに、これら栄養素の滲出を防止し、それらを作物による摂取のために最大限に利用可能にし、全体の収量を増大させることが観察された。
【0028】
植物による微量栄養素または多量栄養素の大部分の最適な吸着は、酸性または中性pHで、土壌中で生じることが、当技術分野では公知である。しかしながら本発明の発明者らは意外にも、本発明の組成物が、アルカリpHを持つ土壌または石灰質土壌中であっても栄養素の摂取をもたらすことを発見した。したがって栄養素の拮抗という難題を克服することに加え、本発明の組成物は、全ての土壌タイプで有効であり、全ての地形に合わせて非常に実現可能な組成物となることが見出された。さらに、本発明の組成物の形態での、亜鉛および鉄と一緒のマグネシウム(Mg)の存在は、組成物中に存在する有意な割合の鉄(Fe)および亜鉛(Zn)の摂取を容易にするだけでなく、土壌に閉じ込められたホウ素(B)、マンガン(Mn)、カルシウム(Ca)などのような微量栄養素の植物摂取も可能にすることが示された。
【0029】
本発明の組成物は、合成肥料の過剰使用のために劣化しているかまたはそのpHが変化している土壌のpHの調節、およびそのような土壌中であっても栄養素の摂取を容易にすることに、極めて重要な役割を演じることが見出された。本発明の組成物は、亜鉛、鉄、およびマグネシウムのような必須栄養素のバランスのとれた摂取をもたらし、したがって、これら栄養素、特に鉄、亜鉛、およびマグネシウムの摂取に関して拮抗の難題をもたらすことが公知である石灰質土壌で栄養素に富む作物を提供するという難題を克服することによって(シン(Singh)et.al.,1990,1993)、植物の栄養上のニーズを満たした。栄養素のバランスのとれた摂取が、害虫侵入に耐えることができるさらに健康な植物、全ての土壌タイプでのより高い栄養収穫、最後に全体的な土壌の健康の改善に繋がることを観察することが、さらに意外であった。本発明の組成物は、1回の施用で作物による摂取が改善された多重栄養溶液を提供することによって、作物のニーズを満たしながら栄養素使用効率組成物として作用する。
【0030】
本発明の発明者らは、水不溶性マグネシウム塩、その錯体または誘導体の1種以上の有効量と、水不溶性亜鉛塩、その錯体または誘導体の1種以上の有効量と、水不溶性鉄塩、その錯体または誘導体の1種以上の有効量と、少なくとも1種の農業化学的に許容される賦形剤との均質混合物を含む水分散性顆粒の形態をとる作物栄養組成物であって;組成物の顆粒が0.05mm~4.0mmのサイズ範囲にあり、0.1ミクロンから20ミクロンのサイズ範囲にある粒子を含む組成物が、優れた野外効力を実証することを決定した。本発明の組成物はさらに、微量栄養素のバランスのとれた摂取を容易にするように、土壌pHの調節を支援する。
【0031】
本発明の組成物は、懸濁性、分散性、および濡れ性などの優れた物理的特性も示す。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0032】
本発明者らは、水不溶性マグネシウム塩、その錯体または誘導体の1種以上の有効量、および水不溶性亜鉛塩、その錯体または誘導体の1種以上の有効量、および水不溶性鉄塩、その錯体または誘導体の1種以上の有効量と、少なくとも1種の農業化学的に許容される賦形剤との均質混合物を含む水分散性顆粒の形態をとる作物栄養組成物が、植物による摂取に容易に利用可能な栄養素マグネシウム、亜鉛、および鉄を提供し、様々な作物の全体収量を増加させ、植物の生理学的パラメーターを改善することを決定した。
【課題を解決するための手段】
【0033】
本出願の水分散性顆粒は、全組成物の1%から50重量%の濃度範囲の、1種以上の水不溶性鉄塩、その錯体または誘導体、全組成物の1%から80重量%の濃度範囲の、1種以上の水不溶性マグネシウム塩、その錯体または誘導体、全組成物の1%から50重量%の濃度範囲の、1種以上の水不溶性亜鉛塩、その錯体または誘導体、および全組成物の0.01%~97重量%の範囲の、少なくとも1種の農業化学的に許容される賦形剤を含む。
【0034】
さらに水分散性顆粒作物栄養組成物は、0.1ミクロンから20ミクロンのサイズ範囲の微細な粒子に分散する0.05mm~4.0mmのサイズ範囲の顆粒を含む。
【0035】
さらに本発明は、水不溶性マグネシウム塩、その錯体または誘導体の1種以上の有効量、および水不溶性亜鉛塩、その錯体または誘導体の1種以上の有効量、および水不溶性鉄塩、その錯体または誘導体の1種以上の有効量と、少なくとも1種の農業化学的に許容される賦形剤の有効量との均質混合物を含む水分散性顆粒の形態をとる、作物栄養組成物を調製するための方法に関する。
【0036】
本発明はさらに、植物が利用可能なマグネシウム、亜鉛、および鉄のような必須栄養素を作製し、また合成肥料の過剰使用による主に土壌の劣化である様々な要因のためこれまで利用可能ではなかった土壌中に存在するその他の微量栄養素および微量の元素も解放することによって、植物を処理し、植物の栄養要件を満たす方法に関する。本発明は、害虫侵入に耐えるような植物の強化にも関する。
【0037】
本発明は、必須微量栄養素による植物の生物学的栄養強化の方法にも関する。
【0038】
さらに本発明の組成物は、土壌pHとは無関係に有効であり、全てのタイプの土壌に関して実現可能な組成物になることが見出された。本発明の組成物の形態での亜鉛および鉄と一緒のマグネシウムの存在は、組成物中の鉄および亜鉛の摂取を容易にするだけでなく土壌に閉じ込められたホウ素、マンガン、カルシウムなどの栄養素の植物摂取を可能にすることに留意することが、より重要である。本発明の組成物は、土壌pHを調節し、合成肥料の過剰使用により劣化しているかまたはそのpHが変化している土壌であっても栄養素の摂取を容易にするのに、極めて重要な役割を演じることが見出された。さらに意外にも、本発明の組成物は、亜鉛、鉄、およびマグネシウムを含む全ての栄養素のバランスをとれた摂取をもたらし、したがってこれらの栄養素の摂取に関して拮抗という難題を提供することが公知である石灰質土壌で栄養素に富む作物を提供するという難題を、克服することが観察された。この結果、よりバランスのとれた全ての栄養素の摂取をもたらし、より健康な植物、全てのタイプの土壌におけるより高い栄養収穫、および土壌の健康の改善に至るのを観察することは、さらに意外であった。本発明の組成物は、1回の施用での作物による摂取が改善された多重栄養溶液を提供することにより、作物のニーズを満たしつつ、栄養素使用効率組成物として作用する。
【0039】
示される懸濁性、分散性、および濡れ性などの優れた物理的特性により、本発明の組成物は、マイクロ灌漑または点滴灌漑システムでの直接使用も見出している。
【発明を実施するための形態】
【0040】
本発明の実施形態を記述する際、簡略化のため特定の用語が選択される。しかしながら本発明は、そのように選択された特定の用語に限定するものではなく、そのような特定の用語は、類似の目的を達成するのと同様の手法で作用する均等物を含むことを理解されたい。本明細書に列挙される任意の数値範囲は、包含される全ての部分範囲を含むものであることが理解される。また、他に示されない限り、組成物中の成分のパーセンテージは重量パーセントとして提示される。
【0041】
本明細書で使用される「a」または「an」という用語は、1つまたは1つ以上と定義される。本明細書で使用される「含む(including)」および/または「有する(having)」という用語は、含む(comprising)(即ち、オープンな言葉)と定義される。
【0042】
本出願で使用される「植物」または「作物」という用語は同義であり、「植物」という用語が使用されたときはどこでも、類似の性質の植生、即ち作物、木、低木、ハーブなどを意味するものとする。
【0043】
栄養素使用効率(NUE)は、植物が、利用可能なミネラル栄養素をどのようにうまく使用するかの尺度と定義される。NUEの改善は、栄養素の利用可能性が低い限界耕作地への作物生産の拡張に必須の必要要件であるが、無機肥料の使用を低減させる方法でもある。
【0044】
水分散性顆粒は、微細な粒子の懸濁液を与えるよう、水に添加したときに容易に分散させまたは溶解させる、配合物と定義される。本明細書に記述される「WG」または「WDG」は、水分散性顆粒を指す。水分散性顆粒は、粉砕された固体活性成分を、界面活性剤と、水に浸漬したときにより微細な/一次粒子中に分散されるその他の配合成分とをブレンドし凝集させることによって、小さく容易に測定された顆粒(微細な粒子の凝集)として配合される。水分散性顆粒は、噴霧乾燥によってまたは押出しプロセスによって得られる。
【0045】
混合物は、化学的に互いに一体化されていない2種またはそれよりも多くの物質の組合せと定義される。均質混合物は、混合物全体にわたってその組成が均一であるものと定義される。全体にわたって組成が一定であるか、または混合物を構成する成分が均一に分散しているものが、混合物のタイプである。
【0046】
本発明は、水不溶性マグネシウム塩、その錯体または誘導体の1種以上、水不溶性亜鉛塩、その錯体または誘導体の1種以上、および水不溶性鉄塩、その錯体または誘導体の1種以上、少なくとも1種の農業化学的に許容される賦形剤との均質混合物を含む水分散性顆粒の形態をとる、作物栄養のための組成物に関する。
【0047】
本発明の水分散性顆粒組成物は、水不溶性鉄塩、その錯体または誘導体の1種以上が1%から50重量%、水不溶性マグネシウム塩、その錯体または誘導体の1種以上が1%から80重量%、水不溶性亜鉛塩、その錯体または誘導体の1種以上が1%から50重量%、および農業化学的に許容される賦形剤が0.01%~97重量%の均質混合物を含む。さらに前記作物栄養組成物は、0.05mm~4.0mmのサイズ範囲の顆粒を含み、これは水に添加されたときに0.1ミクロンから20ミクロンのサイズ範囲の微細な粒子に分散し、改善された分散性および懸濁性を示すものである。実施形態によれば、農業化学的賦形剤は界面活性剤である。
【0048】
本発明者らは意外にも、マグネシウム、亜鉛、および鉄を一緒に含む水分散性顆粒の形態をとる本発明の組成物が、有効なだけでなく相乗的であることも見出した。組成物の施用は、マグネシウム、鉄、および亜鉛だけでなく、土壌に閉じ込められたままであり、劣化した土壌中であっても天然の生物学的栄養強化溶液を持続可能な手法で提供するその他の栄養素の、より大きくバランスのとれた摂取をもたらすことも、本発明者らにより述べられた。
【0049】
特定の割合でマグネシウム、亜鉛、および鉄の水不溶性塩、その錯体または誘導体の組合せを含む本発明の組成物が、特定の粒度の分布と共に水分散性顆粒形態に配合されたとき、意外な効果が示されたことが、観察された。本発明の組成物は、土壌中の、即ち亜鉛と鉄、マグネシウムと亜鉛、マグネシウムと鉄などの間での、栄養素拮抗という難題に対処することが見出された。本発明の組成物はさらに、これらの栄養素の滲出を防止し、作物による摂取に関して最大限に利用可能にし、全体収量を増加させることが観察された。
【0050】
実施形態によれば、作物栄養組成物は水分散性顆粒の形態をとり、顆粒は、0.05mmから4.0mmのサイズ範囲にある。さらなる実施形態によれば、作物栄養組成物は、顆粒が0.05mmから3.0mmのサイズ範囲にある、水分散性顆粒の形態をとる。好ましくは作物栄養組成物は、顆粒が0.05mmから2.5mmのサイズ範囲にある水分散性顆粒の形態をとる。好ましくは、作物栄養組成物は、顆粒が0.05mmから2mmのサイズ範囲にある水分散性顆粒の形態をとる。好ましくは、作物栄養組成物は、顆粒が0.05mmから1.5mmのサイズ範囲にある水分散性顆粒の形態をとる。好ましくは、作物栄養組成物は、顆粒が0.05mmから1mmのサイズ範囲にある水分散性顆粒の形態をとる。より好ましくは、作物栄養組成物は、顆粒が0.05mmから0.5mmのサイズ範囲にある水分散性顆粒の形態をとる。
【0051】
実施形態によれば、水に添加したときに水分散性顆粒の形態をとる作物栄養組成物は、0.1ミクロンから20ミクロンのサイズ範囲の粒子に、好ましくは0.1ミクロンから15ミクロンのサイズ範囲の粒子に分散する。0.1ミクロンから20ミクロンの特定の粒度で配合されたときの本発明の組成物は、栄養素であるマグネシウム、亜鉛、および鉄を、植物による摂取に容易に利用可能にし、全体収量を増加させることが、さらに観察された。したがって作物栄養組成物の0.1ミクロンから20ミクロンの粒度範囲は、施用の容易さに関してだけでなく効力に関しても重要であることが見出された。
【0052】
別の実施形態によれば、水分散性顆粒の形態をとる本発明の作物栄養組成物は、約15ミクロンであるD90の直径分布を有する粒子を含み、より好ましくは水分散性顆粒は、約10ミクロンであるD90の直径分布を有する粒子を含む。
【0053】
実施形態によれば、水分散性顆粒作物栄養組成物は、顆粒が、0.1ミクロンから20ミクロンのサイズ範囲の微細な粒子に分散する、微小顆粒の形態をとる。
【0054】
さらなる実施形態によれば、水不溶性鉄塩は、酸化鉄、水酸化鉄、リン酸鉄、フマル酸鉄、コハク酸鉄、酒石酸鉄、硫化鉄、シュウ酸鉄、カルボニル鉄、ケイ酸鉄、鉄錆、リモナイト、炭酸鉄、これらの錯体、誘導体、および混合物の1種以上を含むがこれらに限定されない。酸化鉄は、酸化第一鉄(FeO)、酸化第二鉄(Fe)またはベンガラ、および四酸化三鉄(Fe)または黒酸化鉄を含むがこれらに限定されない。水酸化鉄は、水酸化第二鉄、黄酸化鉄(FeOOH)、酸化水酸化鉄(Fe(OH))、水酸化鉄(III)、酸水酸化鉄、およびリモナイトを含むがこれらに限定されない。リン酸鉄は、リン酸第二鉄、リン酸第二鉄二水和物、リン酸第二鉄水和物、ピロリン酸第二鉄を含むがこれらに限定されない。フマル酸鉄は、フマル酸第一鉄(Ferrous Fumarate)およびフマル酸第一鉄(Ferro Fumarate)を含むがこれらに限定されない。コハク酸鉄は、コハク酸第一鉄およびコハク酸鉄(II)塩を含むがこれらに限定されない。しかしながら当業者なら、その他の水不溶性鉄塩、その錯体または誘導体を、本発明の範囲から逸脱することなく利用するのが可能であることが理解されよう。
【0055】
実施形態によれば、水不溶性鉄塩、その錯体または誘導体は、ロアルダイト、タエナイト、ウスタイト、マグネタイト、ヘマタイト、トロイライト、ゲータイト、グライガイト、リモナイト、シデライト、ピライト(マーカサイト)、ベルナライト、グリーナライトの1種以上を含む鉄鉱から選択されるがこれらに限定されない鉄含有ミネラルの1種以上を含む。しかしながら、鉱物またはミネラルの上記リストは例示的であり、本発明の範囲を限定するものではない。
【0056】
実施形態によれば、水不溶性鉄塩、その錯体、誘導体、または混合物は、全組成物の1%から50重量%の範囲で存在する。実施形態によれば、水不溶性鉄塩、その錯体、誘導体、または混合物は、全組成物の1%から40重量%の範囲で存在する。実施形態によれば、水不溶性鉄塩、その錯体、誘導体、または混合物は、全組成物の1%から30重量%の範囲で存在する。実施形態によれば、水不溶性鉄塩、その錯体、誘導体、または混合物は、全組成物の1%から20重量%の範囲で存在する。実施形態によれば、水不溶性鉄塩、その錯体、誘導体、または混合物は、全組成物の1%から10重量%の範囲で存在する。実施形態によれば、水不溶性鉄塩、その錯体、誘導体、または混合物は、全組成物の1%から5重量%の範囲で存在する。
【0057】
さらなる実施形態によれば、水不溶性亜鉛塩は、酸化亜鉛、炭酸亜鉛、硫化亜鉛、モリブデン酸亜鉛、リン酸亜鉛、ニトリロトリ酢酸亜鉛(NTA)、ホウ酸亜鉛、ケイ酸亜鉛、ピロリン酸亜鉛、クエン酸亜鉛、それらの錯体または誘導体の1種以上を含むがこれらに限定されない。しかしながら当業者なら、その他の水不溶性亜鉛塩、その錯体または誘導体を、本発明の範囲から逸脱することなく利用することが可能であることが理解されよう。
【0058】
実施形態によれば、水不溶性亜鉛塩、その錯体または誘導体は、ペリクレース、ダンバイト、アショベライト、スファレライト、ウルツ鉱の1種以上を含む亜鉛鉱から選択されるがこれらに限定されない亜鉛含有ミネラルの1種以上を含む。しかしながら鉱物またはミネラルの上記リストは例示的であり、本発明の範囲を限定するものではない。
【0059】
実施形態によれば、水不溶性亜鉛塩、その錯体、誘導体、または混合物は、全組成物の1%から50重量%の範囲で存在する。実施形態によれば、水不溶性亜鉛塩、その錯体、誘導体、または混合物は、全組成物の1%から40重量%の範囲で存在する。実施形態によれば、水不溶性亜鉛塩、その錯体、誘導体、または混合物は、全組成物の1%から30重量%の範囲で存在する。実施形態によれば、水不溶性亜鉛塩、その錯体、誘導体、または混合物は、全組成物の1%から20重量%の範囲で存在する。実施形態によれば、水不溶性亜鉛塩、その錯体、誘導体、または混合物は、全組成物の1%から10重量%の範囲で存在する。実施形態によれば、水不溶性亜鉛塩、その錯体、誘導体、または混合物は、全組成物の1%から5重量%の範囲で存在する。
【0060】
さらなる実施形態によれば、水不溶性マグネシウム塩は、モリブデン酸マグネシウム、水酸化マグネシウム(マグネシア乳)、リン酸マグネシウムカルシウム、リン酸三マグネシウム塩、炭酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ケイ酸マグネシウムカルシウム、三ケイ酸マグネシウム、リン酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、酸化マグネシウム、それらの錯体、誘導体の1種以上を含むがこれらに限定されない。しかしながら当業者なら、その他の水不溶性マグネシウム塩、その錯体、誘導体、または混合物を、本発明の範囲から逸脱することなく利用するのが可能であることが理解されよう。
【0061】
実施形態によれば、水不溶性マグネシウム塩、その錯体または誘導体は、ペリクレース、ブルサイト、セライト、コトイト、ペルツェバイト、スアナイト、マグネサイト、ザイベライト、ネイボライトの1種以上を含むマグネシウム鉱から選択されるがこれらに限定されないマグネシウム含有ミネラルの、1種以上を含む。しかしながら鉱物またはミネラルの上記リストは例示的であり、本発明の範囲を限定するものではない。
【0062】
実施形態によれば、水不溶性マグネシウム塩、その錯体、誘導体、または混合物は、全組成物の1%から80重量%の範囲で存在する。実施形態によれば、水不溶性マグネシウム塩、その錯体、誘導体、または混合物は、全組成物の1%から70重量%の範囲で存在する。実施形態によれば、水不溶性マグネシウム塩、その錯体、誘導体、または混合物は、全組成物の1%から60重量%の範囲で存在する。実施形態によれば、水不溶性マグネシウム塩、その錯体、誘導体、または混合物は、全組成物の1%から50重量%の範囲で存在する。実施形態によれば、水不溶性マグネシウム塩、その錯体、誘導体、または混合物は、全組成物の1%から40重量%の範囲で存在する。実施形態によれば、水不溶性マグネシウム塩、その錯体、誘導体、または混合物は、全組成物の1%から30重量%の範囲で存在する。実施形態によれば、水不溶性マグネシウム塩、その錯体、誘導体、または混合物は、全組成物の1%から20重量%の範囲で存在する。実施形態によれば、水不溶性マグネシウム塩、その錯体、誘導体、または混合物は、全組成物の1%から10重量%の範囲で存在する。
【0063】
別の実施形態によれば、水分散性顆粒の形態をとる作物栄養組成物は、全組成物の1%から80重量%の範囲の、水不溶性マグネシウム塩、その錯体または誘導体の1種以上、および全組成物の1%から50重量%の範囲の、水不溶性亜鉛塩、その錯体または誘導体の1種以上、および全組成物の1%から50重量%の範囲の、水不溶性鉄塩、その錯体または誘導体の1種以上、および全組成物の1%から40重量%の範囲の1種以上の界面活性剤の均質混合物を含む。
【0064】
実施形態によれば、水分散性顆粒の形態をとる作物栄養組成物は、全組成物の1%から80重量%の範囲の、酸化マグネシウムまたはケイ酸マグネシウムまたは炭酸マグネシウムまたはリン酸マグネシウムまたは水酸化マグネシウムの1種以上、および全組成物の1%から50重量%の範囲の、酸化亜鉛または炭酸亜鉛またはケイ酸亜鉛または水酸化亜鉛またはリン酸亜鉛の1種以上、および全組成物の1%から50重量%の範囲の、酸化鉄または炭酸鉄または水酸化鉄またはケイ酸鉄またはリン酸鉄の1種以上、および全組成物の0.01%から97重量%の範囲の、1種以上の農業化学的に許容される賦形剤の均質混合物を含み;この組成物は、0.05から4.0mmのサイズ範囲の顆粒を含み、0.1ミクロンから20ミクロンのサイズ範囲の粒子を有する。
【0065】
実施形態によれば、水分散性顆粒の形態をとる作物栄養組成物は、全組成物の1%から80重量%の範囲の、酸化マグネシウムまたはケイ酸マグネシウムまたは炭酸マグネシウムまたはリン酸マグネシウムまたは水酸化マグネシウムの1種以上で、および全組成物の1%から50重量%の範囲の、酸化亜鉛または炭酸亜鉛またはケイ酸亜鉛または水酸化亜鉛またはリン酸亜鉛の1種以上、および全組成物の1%から50重量%の範囲の、酸化鉄または炭酸鉄または水酸化鉄またはケイ酸鉄またはリン酸鉄の1種以上、および全組成物の1%から40重量%の範囲の1種以上の界面活性剤の均質混合物を含み、この組成物は、0.05~4.0mmのサイズ範囲にある顆粒を含み、0.1ミクロンから20ミクロンのサイズ範囲の粒子を有する。
【0066】
実施形態によれば、作物栄養組成物は、少なくとも1種の追加の水不溶性植物栄養素をさらに含んでいてもよい。
【0067】
実施形態によれば、追加の水不溶性植物栄養素は、全組成物の0.01%から40重量%の範囲で存在する。
【0068】
実施形態によれば、作物栄養組成物は、アルギン酸または尿素を主に含む肥料がない。
【0069】
実施形態によれば、水分散性顆粒の形態をとる作物栄養組成物は、少なくとも1種の農業化学的賦形剤を含む。さらなる実施形態によれば、水分散性顆粒配合物に使用される農業化学的に許容される賦形剤は、少なくとも1種の湿潤剤、界面活性剤、乳化剤、分散剤、バインダーまたは充填剤または担体または希釈剤、崩壊剤、緩衝剤、またはpH調節剤もしくは中和剤、消泡剤(antifoaming agent)、沈降防止剤、固化防止剤、浸透剤、固着剤、粘着付与剤、顔料、着色剤、安定化剤、およびこれらの混合物を含む。実施形態によれば、界面活性剤は、アニオン性、カチオン性、非イオン性、両性、およびポリマー性界面活性剤の1種以上を含む。実施形態によれば、界面活性剤は、乳化剤、湿潤剤、および分散剤の1種以上を含む。しかしながら当業者なら、追加の農業化学的に許容される賦形剤を、本発明の範囲から逸脱することなく利用するのが可能であることが理解されよう。農業化学的に許容される賦形剤は、商業的に製造され、様々な会社を通して入手可能である。
【0070】
実施形態によれば、農業化学的賦形剤は、全組成物の0.01%から97重量%の濃度範囲で存在する。実施形態によれば、農業化学的賦形剤は、全組成物の少なくとも96重量%の濃度範囲で存在する。実施形態によれば、農業化学的賦形剤は、全組成物の少なくとも95重量%の濃度範囲で存在する。実施形態によれば、農業化学的賦形剤は、全組成物の少なくとも90重量%の濃度範囲で存在する。実施形態によれば、農業化学的賦形剤は、全組成物の少なくとも75重量%の濃度範囲で存在する。実施形態によれば、農業化学的賦形剤は、全組成物の少なくとも55重量%の濃度範囲で存在する。実施形態によれば、農業化学的賦形剤は、全組成物の少なくとも35重量%の濃度範囲で存在する。実施形態によれば、農業化学的賦形剤は、全組成物の少なくとも25重量%の濃度範囲で存在する。実施形態によれば、農業化学的賦形剤は、全組成物の少なくとも15重量%の濃度範囲で存在する。実施形態によれば、農業化学的賦形剤は、全組成物の少なくとも5重量%の濃度範囲で存在する。実施形態によれば、農業化学的賦形剤は、全組成物の少なくとも1重量%の濃度範囲で存在する。実施形態によれば、農業化学的賦形剤は、全組成物の少なくとも0.1重量%の濃度範囲で存在する。
【0071】
実施形態によれば、作物栄養組成物で使用される界面活性剤は、乳化剤、湿潤剤、および分散剤の1種以上を含む。実施形態によれば、組成物に使用される界面活性剤は、アニオン性、カチオン性、非イオン性、両性、およびポリマー性界面活性剤の1種以上を含む。
【0072】
アニオン性界面活性剤は、脂肪酸の塩、安息香酸塩、ポリカルボン酸塩、アルキル硫酸エステルの塩、アルキルエーテルスルフェート、アルキルスルフェート、アルキルアリールスルフェート、アルキルジグリコールエーテルスルフェート、アルコール硫酸エステルの塩、アルキルスルホネート、アルキルアリールスルホネート、アリールスルホネート、スルホン酸リグニンン、アルキルジフェニルエーテルジスルホネート、ポリスチレンスルホネート、アルキルリン酸エステルの塩、アルキルアリールホスフェート、スチリルアリールホスフェート、スルホネートドクセート、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステルの塩、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテルスルフェート、アルキルサルコシネート、アルファオレフィンスルホネートナトリウム塩、アルキルベンゼンスルホネートまたはその塩、ラウロイルサルコシン酸ナトリウム、スルホスクシネート、ポリアクリレート、ポリアクリレート-遊離酸およびナトリウム塩、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル硫酸エステルの塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルホスフェート、ポリオキシエチレンアルキルアリールリン酸エステルの塩、スルホコハク酸-モノおよびその他のジエステル、リン酸エステル、アルキルナフタレンスルホネート-イソプロピルおよびブチル誘導体、アルキルエーテルスルフェート-ナトリウムおよびアンモニウム塩;アルキルアリールエーテルホスフェート、エチレンオキシドおよびその誘導体、ポリオキシエチレンアリールエーテルリン酸エステルの塩、モノ-アルキルスルホスクシネート、芳香族炭化水素スルホネート、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、ラウリル硫酸アンモニウム、ドクセート、ココアムホジ酢酸二ナトリウム、ラウレス硫酸マグネシウム、リン脂質、ラウリル硫酸カリウム、石鹸、石鹸置換物、アルキル硫酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、ラウレス硫酸ナトリウム、ラウロイルサルコシン酸ナトリウム、ミレス硫酸ナトリウム、ノナノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム、カルボン酸アルキル、ステアリン酸ナトリウム、アルファオレフィンスルホネート、ナフタレンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホネート脂肪酸塩、ナフタレンスルホネート縮合体-ナトリウム塩、フルオロカルボキシレート、脂肪アルコールスルフェート、アルキルナフタレンスルホネート縮合体-ナトリウム塩、ホルムアルデヒドと縮合したナフタレンスルホン酸、またはホルムアルデヒドと縮合したアルキルナフタレンスルホン酸の塩、またはこれらの塩、誘導体の1種以上であるがこれらに限定されないものを含む。
【0073】
非イオン性界面活性剤は、ポリオールエステル、ポリオール脂肪酸エステル、ポリエトキシル化エステル、ポリエトキシル化アルコール、エトキシル化およびプロポキシル化脂肪アルコール、エトキシル化およびプロポキシル化アルコール、エチレンオキシド(EO)/プロピレンオキシド(PO)コポリマー:EOおよびPOブロックコポリマー、ジ、トリ-ブロックコポリマー;ポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコールのブロックコポリマー、ポロキサマー、ポリソルベート、アルキルポリグリコシドなどのアルキル多糖およびそのブレンド、アミンエトキシレート、ソルビタン脂肪酸エステル、グリコールおよびグリセロールエステル、グルコシジルアルキルエステル、獣脂脂肪酸ナトリウム、ポリオキシエチレングリコール、ソルビタンアルキルエステル、ソルビタン誘導体、ソルビタンの脂肪酸エステル(Span)およびそれらのエトキシル化誘導体(Tweens)、および脂肪酸のスクロースエステル、コカミドジエタノールアミン(DEA)、コカミドモノエタノールアミン(MEA)、デシルグルコシド、デシルポリグルコース、モノステアリン酸グリセロール、ラウリルグルコシド、マルトシド、モノラウリン、狭範囲のエトキシレート、Nonidet P-40、ノノキシノール-9、ノノキシノール、オクタエチレングリコールモノドデシルエーテル、N-オクチルベータ-D-チオグルコピラシド、オクチルグルコシド、オレイルアルコール、PEG-10ヒマワリグリセリド、ペンタエチレングリコールモノドデシルエーテル、ポリドカノール、ポロキサマー、ポロキサマ-407、ポリエトキシル化獣脂アミン、ポリグリセロールポリリシノレエート、ポリソルベート、ポリソルベート20、ポリソルベート80、ソルビタン、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタントリステアレート、ステアリルアルコール、サーファクチン、ラウリン酸グリセリル、ラウリルグルコシド、ノニルフェノールポリエトキシエタノール、ノニルフェノールポリグリコールエーテル、ヒマシ油エトキシレート、ポリグリコールエーテル、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドの重付加物、ポリアルキレングリコールエーテルおよびヒドロキシステアリン酸のブロックコポリマー、トリブチルフェノキシポリエトキシエタノール、オクチルフェノキシポリエトキシエタノール、エト-プロポキシル化トリスチリルフェノール、エトキシル化アルコール、ポリオキシエチレンソルビタン、脂肪酸ポリグリセリド、脂肪酸アルコールポリグリコールエーテル、アセチレングリコール、アセチレンアルコール、オキシアルキレンブロックポリマー、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンスチリルアリールエーテル、ポリオキシエチレングリコールアルキルエーテル、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、アルコールエトキシレート-C6からC16/18アルコール、直鎖状および分岐状、アルコールアルコキシレート-様々な疎水性物質およびEO/PO含量および比、脂肪酸エステル-モノおよびジエステル、ラウリン酸、ステアリン酸、およびオレイン酸、グリセロールエステル-EOがありおよびないもの、ラウリン酸、ステアリン酸、ココア、およびトール油由来、エトキシル化グリセリン、ソルビタンエステル-EOがありおよびないもの;ラウリン酸、ステアリン酸、およびオレイン酸系、モノおよびトリエステル(trimesters)、ヒマシ油エトキシレート-5から200モルEO、非水素化および水素化、ブロックポリマー、アミンオキシド-エトキシル化および非エトキシル化;アルキルジメチル、脂肪アミンエトキシレート-ココ、獣脂、ステアリル、オレイルアミン、ポリオキシエチレン水素化ヒマシ油、またはポリオキシプロピレン脂肪酸エステル、これらの塩または誘導体の1種以上であるがこれらに限定されないものを含む。
【0074】
両性または双性イオン性界面活性剤は、ベタイン、ココおよびラウリルアミドプロピルベタイン、ココアルキルジメチルアミンオキシド、アルキルジメチルベタイン;C8からC18、アルキルジプロピオネート-ラウリミノジプロピオン酸ナトリウム、ココアミドプロピルヒドロキシルスルホベタイン、イミダゾリン、リン脂質ホスファチジルセリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルコリンおよびスフィンゴミエリン、ラウリルジメチルアミンオキシド、アルキルアンホアセテートおよびプロピオネート、アルキルアンホ(ジ)アセテートおよびジ-プロピオネート、レシチンおよびエタノールアミン脂肪アミド、またはその塩、誘導体の1種以上に限定されない1種以上を含む。
【0075】
界面活性剤は、Atlas G5000、TERMUL 5429、TERMUL 2510、ECOTERIC(登録商標)、EULSOGEN(登録商標)118、Genapol(登録商標)X、Genapol(登録商標)OX-080、Genapol(登録商標)C 100、Emulsogen(登録商標)EL 200、Arlacel P135、Hypermer 8261、Hypermer B239、Hypermer B261、Hypermer B246sf、Solutol HS 15、Promulgen(商標)D、Soprophor 7961P、Soprophor TSP/461、Soprophor TSP/724、Croduret 40、Etocas 200、Etocas 29、Rokacet R26、Cetomacrogol 1000、CHEMONIC OE-20、Triton N-101、Triton X-100、Tween 20、40、60、65、80、Span20、40、60、80、83、85、120、Brij(登録商標)、Atlox 4912、Atlas G5000、TERMUL 3512、TERMUL 3015、ECOTERIC(登録商標)T85、ECOTERIC(登録商標)T20、TERIC 12A4、IGEPAL CA-630、およびIsoceteth-20の1種以上に限定されない商標の下で市販されている。
【0076】
しかしながら当業者なら、本発明の範囲から逸脱することなく、その他の従来から公知の界面活性剤を利用するのが可能であることが理解されよう。界面活性剤は、商業的に製造され、様々な会社を通して入手可能である。
【0077】
実施形態によれば、界面活性剤は、全組成物の0.1%から40%w/wの量で存在する。実施形態によれば;界面活性剤は、全組成物の0.1%から30%w/wの量で存在する。さらなる実施形態によれば、界面活性剤は、全組成物の0.1%から20%w/wの量で存在する。さらなる実施形態によれば、界面活性剤は、全組成物の0.1%から10%w/wの量で存在する。
【0078】
実施形態によれば、作物栄養組成物で使用される分散剤は、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、スルホン酸リグニン、フェノールナフタレンスルホネート、アルカリ金属、アルカリ土類金属、およびリグノスルホン酸のアンモニウム塩、リグニン誘導体、ジブチルナフタレン-スルホン酸、アルキルアリールスルホネート、アルキルスルフェート、アルキルスルホネート、脂肪アルコールスルフェート、脂肪酸および硫酸化脂肪アルコールグリコールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ジオクチルスルホスクシネート、硫酸ラウリル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルスルフェート、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテルスルフェートエステル塩および同様のもの、そのアルカリ金属塩、アンモニウム塩またはアミン塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、またはポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステル、および同様のもの、ナフタレンスルホン酸尿素ホルムアルデヒド縮合体のナトリウム塩とフェノールスルホン酸ホルムアルデヒド縮合体エトキシル化アルキエルフェノールのナトリウム塩との混合物、エトキシル化脂肪酸、アルコキシル化直鎖アルコール、多環芳香族スルホネート、ナトリムアルキルアリールスルホネート、グリセリルエステル、マレイン酸無水物コポリマーのアンモニウム塩、マレイン酸無水物コポリマー、リン酸エステル、アリールスルホン酸およびホルムアルデヒドの縮合生成物、エチレンオキシドおよび脂肪酸エステルの付加生成物、エチレンオキシドおよび脂肪酸エステルの付加生成物の塩、イソデシルスルホコハク酸ハーフエステルのナトリウム塩、ポリカルボキシレート、ナトリウムアルキルベンゼンスルホネート、スルホン化ナフタレンのナトリウム塩、スルホン化ナフタレンのアンモニウム塩、ポリアクリル酸の塩、縮合フェノールスルホン酸のナトリウム塩ならびにナフタレンスルホネート-ホルムアルデヒド縮合体、ナトリウムナフタレンスルホネートホルムアルデヒド縮合体、トリスチリルフェノールエトキシレートホスフェートエステル、脂肪族アルコールエトキシレート、アルキル脂肪酸、アルコキシル化直鎖アルコール、多環芳香族スルホネート、ナトリウムアルキルアリールスルホネート、グリセリルエステル、マレイン酸無水物コポリマーのアンモニウム塩、マレイン酸無水物コポリマー、リン酸エステル、アリールスルホン酸とホルムアルデヒドとの縮合生成物、エチレンオキシドと脂肪酸エステルとの付加生成物、エチレンオキシドと脂肪酸エステルとの付加生成物の塩、イソデシルスルホコハク酸ハーフエステルのナトリウム塩、ポリカルボキシレート、ナトリウムアルキルベンゼンスルホネート、スルホン化ナフタレンのナトリウム塩、スルホン化ナフタレンのアンモニウム塩、ポリアクリル酸の塩、縮合フェノールスルホン酸のナトリウム塩ならびにナフタレンスルホネートホルムアルデヒド縮合体、ナトリウムナフタレンスルホネートホルムアルデヒド縮合体、トリスチリルフェノールエトキシレートホスフェートエステル、脂肪族アルコールエトキシレート、アルキルエトキシレート、EO-POブロックコポリマー、グラフトコポリマー、スルホン化ナフタレンのアンモニウム塩、ポリアクリル酸の塩、これらの塩、誘導体の1種以上を含むがこれらに限定されない。
【0079】
市販の分散剤は、「Morwet D425」(ナトリウムナフタレンホルムアルデヒド縮合体、例えばNouryon、USA)、「Morwet EFW」硫酸化アルキルカルボキシレートおよびアルキルナフタレンスルホネート--ナトリウム塩、「Tamol PP」(フェノールスルホン酸縮合体のナトリウム塩)、「Reax 80N」(リグノスルホン酸ナトリウム)、「Wettol D1」ナトリウムアルキルナフタレンスルホネート(例えばBASF)を含む。しかしながら当業者なら、本発明の範囲から逸脱することなく、その他の従来から公知の分散体を利用するのが可能であることが理解されよう。分散剤は、商業的に製造されており、様々な会社を通して入手可能である。
【0080】
実施形態によれば、分散剤は、全組成物の0.1%~40%w/wの量で存在する。実施形態によれば、分散剤は、全組成物の0.1%~30%w/wの量で存在する。実施形態によれば、分散剤は、全組成物の0.1%~20%w/wの量で存在する。
【0081】
実施形態によれば、作物栄養組成物に使用される湿潤剤は、フェノールナフタレンスルホネート、アルキルナフタレンスルホネート、ナトリウムアルキルナフタレンスルホネート、ナフタレンスルホネートナトリウム塩、スルホン化アルキルカルボキシレートのナトリウム塩、ポリオキシアルキル化エチルフェノール、ポリオキシエトキシル化脂肪アルコール、ポリオキシエトキシル化脂肪アミン、リグニン誘導体、アルカンスルホネート、アルキルベンゼンスルホネート、ポリカルボン酸の塩、スルホコハク酸のエステルの塩、アルキルポリグリコールエーテルスルホネート、アルキルエーテルホスフェート、アルキルエーテルスルフェート、およびアルキルスルホコハク酸モノエステル、これらの塩、誘導体の1種以上を含むがこれらに限定されない。しかしながら当業者なら、発明の範囲から逸脱することなく、その他の従来から公知の湿潤剤を利用するのが可能であることが理解されよう。湿潤剤は商業的に製造されており、様々な会社を通して入手可能である。
【0082】
実施形態によれば、湿潤剤は、全組成物の0.1%~30%w/wの量で存在する。実施形態によれば、湿潤剤は、全組成物の0.1%~20%w/wの量で存在する。実施形態によれば、湿潤剤は、全組成物の0.1%~10%w/wの量で存在する。
【0083】
作物栄養組成物で使用される乳化剤は、Atlas G5000、TERMUL 5429、TERMUL 2510、ECOTERIC(登録商標)、EMULSOGEN(登録商標)118、Genapol(登録商標)X、Genapol(登録商標)OX-080、Genapol(登録商標)C 100、Emulsogen(登録商標)EL 200、Arlacel P135、Hypermer 8261、Hypermer B239、Hypermer B261、Hypermer B246sf、Solutol HS 15、Promulgen(商標)D、Soprophor 7961P、Soprophor TSP/461、Soprophor TSP/724、Croduret 40、Etocas 200、Etocas 29、Rokacet R26、CHEMONIC OE-20、Triton(商標)N-101、Tween 20、40、60、65、80、Span20、40、60、80、83、85、120、Brij(登録商標)、Triton(商標)、Atlox 4912、TERMUL 3512、TERMUL 3015、TERMUL 5429、TERMUL 2510、ECOTERIC(登録商標)T85、ECOTERIC(登録商標)T20、TERIC 12A4の1種以上を含むがこれらに限定されない。しかしながら当業者なら、本発明の範囲から逸脱することなく、その他の従来から公知の乳化剤を利用するのが可能であることが、理解されよう。乳化剤は、商業的に製造されており、様々な会社を通して利用可能である。
【0084】
実施形態によれば、乳化剤は、全組成物の0.1%~40%w/wの量で存在する。実施形態によれば、乳化剤は、全組成物の0.1%~30%w/wの量で存在する。実施形態によれば、乳化剤は、全組成物の0.1%~20%w/wの量で存在する。
【0085】
実施形態によれば、作物栄養組成物中で使用される崩壊剤は、無機水溶性塩、例えば塩化ナトリウム、硝酸塩;水溶性有機化合物、例えばヒドロキシプロピルデンプン、カルボキシメチルデンプンエーテル、微結晶質セルロース、架橋ナトリウムカルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、ナトリウムトリポリホスフェート、ナトリウムヘキサメタホスフェート、セルロース粉末、デキストリン、メタクリル酸コポリマー、Polyplasdone(登録商標)XL-10(架橋ポリビニルピロリドン)、スルホン化スチレン-イソブチレン-マレイン酸無水物コポリマー、メタクリレートのポリアクリレートの塩、デンプン-ポリアクリロニトリルグラフトコポリマー、カリウムナトリウム重炭酸/カーボネート、またはそれらの混合物、またはクエン酸およびフマル酸などの酸との塩、またはこれらの塩、誘導体の1種以上を含むがこれらに限定されない。しかしながら当業者なら、本発明の範囲から逸脱することなく、種々の崩壊剤を利用するのが可能であることが理解されよう。崩壊剤は、商業的に製造されており、様々な会社を通して利用可能である。
【0086】
実施形態によれば、崩壊剤は、組成物の0.1%から20%w/wの量で存在する。実施形態によれば、崩壊剤は、組成物の0.1%から10%w/wの量で存在する。実施形態によれば、崩壊剤は、組成物の0.1%から5%w/wの量で存在する。
【0087】
実施形態によれば、作物栄養組成物で使用される結合剤またはバインダーは、炭水化物、例えば単糖、二糖、オリゴ糖、および多糖、複合有機物質、スルホン酸リグニン、ポリビニルピロリドン、合成有機ポリマー、またはこれらの誘導体および組合せの1種以上を含むがこれらに限定するものではない。しかしながら当業者なら、本発明の範囲から逸脱することなく種々の結合剤を利用するのが可能であることが理解されよう。結合剤は、商業的に製造されており、様々な会社を通して入手可能である。
【0088】
さらなる実施形態によれば、結合剤は、組成物の0.1%から30%w/wの量で存在する。さらなる実施形態によれば、結合剤は、組成物の0.1%から20%w/wの量で存在する。さらなる実施形態によれば、結合剤は、組成物の0.1%から10%w/wの量で存在する。
【0089】
実施形態によれば、作物栄養組成物で使用される担体は、固体担体または充填剤または希釈剤の1種以上を含むがこれらに限定されない。別の実施形態によれば、担体は、ミネラル担体、植物担体、合成担体、水溶性担体を含む。しかしながら当業者なら、本発明の範囲から逸脱することなく、種々の担体を利用するのが可能であることが理解されよう。担体は、商業的に製造されており、様々な会社を通して入手可能である。
【0090】
固体担体は、天然ミネラル、例えばチャイナクレー、酸性クレーなどのクレー、カオリナイト、ディッカイト、ナクライト、およびハロイサイトなどのカオリン、クリソタイル、リザルダイト、アンチゴライト、アメサイト、合成および珪藻土シリカなどのサーペンタイン、ナトリウムモンモリロナイトなどのモンモリロナイトミネラル、サポナイト、ヘクトライト、サウコナイト、ヒデライトなどのスメクタイト、ピロフィライト、タルク、アガルマトライト、ムスコバイト、フェンガイト、セリサイト、およびイリタイトなどのマイカ、シリカ、例えばクリストバライト、および石英、例えばアタパルジャイトおよびセピオライト、バーミキュライト、ラポナイト、軽石、ボーキサイト、水和アルミナ、パーライト、重炭酸ナトリウム、ボルクレー、石灰、天然および合成ケイ酸塩、チャコール、シリカ、湿式プロセスシリカ、乾式プロセスシリカ、湿式プロセスシリカのか焼生成物、表面修飾シリカ、マイカ、ゼオライト、珪藻土、これらの誘導体、チョーク(Omya(登録商標))、フラー土、黄土、ミラビライト、ホワイトカーボン、消石灰、合成ケイ酸、デンプン、加工デンプン(Pineflow、松谷化学工業株式会社から入手可能)、セルロース、植物担体、例えばセルロース、籾殻、小麦粉、木粉、デンプン、米ぬか、小麦ふすま、および大豆粉、カゼインナトリウム、スクロース、芒硝、ピロリン酸カリウム、トリポリリン酸ナトリウム、またはこれらの誘導体もしくは混合物を含む。市販のシリケートは、Aerosilブランド、Sipernatブランド、例えばSipernat(登録商標)50S、およびCALFLO E、およびカオリン1777である。しかしながら当業者なら、本発明の範囲から逸脱することなく種々の固体担体を利用するのが可能であることが理解されよう。固体担体は、商業的に製造されており、様々な会社を通して入手可能である。
【0091】
実施形態によれば、担体は、組成物の0.1%から97%w/wの量で存在する。さらなる実施形態によれば、担体は、組成物の0.1%から80%w/wの量で存在する。さらなる実施形態によれば、担体は、組成物の0.1%から60%w/wの量で存在する。さらなる実施形態によれば、担体は、組成物の0.1%から40%w/wの量で存在する。さらなる実施形態によれば、担体は、組成物の0.1%から20%w/wの量で存在する。
【0092】
実施形態によれば、作物栄養組成物で使用される消泡剤または脱泡剤(defoamer)は、シリカ、シロキサン、二酸化ケイ素、ポリジメチルシロキサン、アルキルポリアクリレート、エチレンオキシド/プロピレンオキシドコポリマー、ポリエチレングリコール、シリコーン油、およびステアリン酸マグネシウム、またはこれらの誘導体の1種以上を含むがこれらに限定されない。好ましい消泡剤は、シリコーンエマルジョン(例えば、Silikon(登録商標)SRE、WackerまたはRhodorsil(登録商標)、Rhodia製など)、長鎖アルコール、脂肪酸、フルオロ-有機化合物を含む。しかしながら当業者なら、本発明の範囲から逸脱することなく、その他の従来から公知の消泡剤を利用するのが可能であることが理解されよう。消泡剤は、商業的に製造されており、様々な会社を通して入手可能である。
【0093】
実施形態によれば、消泡剤は、全組成物の0.01%から20%w/wの量で存在する。
【0094】
実施形態によれば、組成物に使用されるpH調節剤または緩衝剤または中和剤は、有機または無機タイプの酸および塩基の両方、およびこれらの混合物を含む。さらなる実施形態によれば、pH調節剤または中和剤は、有機酸、無機酸、およびアルカリ金属化合物、またはこれらの塩、誘導体の1種以上を含むがこれらに限定されない。実施形態によれば、有機酸は、クエン酸、リンゴ酸、アジピン酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、および酒石酸、またはこれらの塩、誘導体、およびこれらの酸の一、二、または三塩基性塩、またはこれらの誘導体の1種以上を含むがこれらに限定されない。アルカリ金属化合物は、アルカリ金属の水酸化物、例えば水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウム、アルカリ金属の炭酸塩、例えば炭酸ナトリウム、アルカリ金属の炭酸水素、例えば炭酸水素ナトリウム、およびアルカリ金属リン酸塩、例えばリン酸ナトリウム、およびこれらの混合物の1種以上を含むがこれらに限定されない。実施形態によれば、無機酸の塩は、アルカリ金属塩、例えば塩化ナトリウム、塩化カリウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、リン酸一水素ナトリウム、リン酸一水素カリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、および同様のものの1種以上を含むがこれらに限定されない。混合物は、pH調節剤または緩衝剤または中和剤を創出するのに使用することもできる。しかしながら当業者なら、本発明の範囲から逸脱することなく、その他の従来から公知のpH調節剤または緩衝剤または中和剤を利用するのが可能であることを理解されたい。pH調節剤または緩衝剤または中和剤は、商業的に製造され、様々な会社を通して入手可能である。
【0095】
実施形態によれば、pH調節剤または緩衝剤は、全組成物の0.01%から20%w/wの量で存在する。実施形態によれば、pH調節剤または緩衝剤は、全組成物の0.01%から10%w/wの量で存在する。実施形態によれば、pH調節剤または緩衝剤は、全組成物の0.01%から5%w/wの量で存在する。実施形態によれば、pH調節剤または緩衝剤は、全組成物の0.01%から1%w/wの量で存在する。
【0096】
実施形態によれば、組成物で使用される展着剤は、マレイン酸とスチレン化合物とのコポリマー、(メタ)アクリル酸コポリマー、多価アルコールとジカルボン酸無水物からなるポリマーのハーフエステル、ポリスチレンスルホン酸の水溶性塩、脂肪酸、ラテックス、脂肪族アルコール、植物油、例えば綿実油、または無機油、石油蒸留物、変性トリシロキサン、ポリグリコール、またはこれらの塩もしくは誘導体の1種以上を含むがこれらに限定されない。しかしながら当業者なら、本発明の範囲から逸脱することなく、その他の従来から公知の展着剤を利用するのが可能であることを、理解されたい。展着剤は、商業的に製造されており、様々な会社を通して入手可能である。
【0097】
実施形態によれば、展着剤は、全組成物の0.01%から20%w/wの量で存在する。実施形態によれば、展着剤は、全組成物の0.01%から5%w/wの量で存在する。
【0098】
実施形態によれば、組成物で使用される固着剤は、パラフィン、ポリアミド樹脂、ポリアクリレート、ポリオキシエチレン、ワックス、ポリビニルアルキルエーテル、アルキルフェノール-ホルマリン縮合体、脂肪酸、ラテックス、ポリビニルピロリドン、脂肪族アルコール、ガム、例えばキサンタンガム、ガッチガム、アラビアガムなど、植物油、例えば綿実油、または無機油、石油蒸留物、変性トリシロキサン、ポリグリコール、合成樹脂エマルジョン、またはこれらの塩もしくは誘導体の1種以上を含むがこれらに限定されない。しかしながら当業者なら、本発明の範囲から逸脱することなく、その他の従来から公知の固着剤を利用するのが可能であることが理解されよう。固着剤は、商業的に製造されており、様々な会社を通して入手可能である。
【0099】
実施形態によれば、固着剤は、全組成物の0.01%から30%w/wの量で存在する。実施形態によれば、固着剤は、全組成物の0.01%から15%w/wの量で存在する。
【0100】
本発明者らはさらに、本発明の組成物が意外にも、分散性、懸濁性、湿潤時間という高い物理的性質を有し、取扱い易さを提供し、包装時ならびに現場施用中に生成物を取り扱う間に材料損失を低減することも決定した。
【0101】
濡れ性は、湿潤可能である条件または状態であり、固相と液相との間の接着の力によって測定される、固体が液体によって濡れる程度と定義することができる。顆粒組成物の濡れ性は、湿潤可能な配合物の完全に濡れた時間を決定するための手順を記述する、規格CIPAC試験MT-53を使用して測定される。顆粒組成物の計量された量が、指定された高さからビーカー内の水上に滴下され、完全に濡れた時間を決定した。
【0102】
実施形態によれば、本発明の組成物は2分未満の濡れ性を有する。実施形態によれば、組成物は1分未満の濡れ性を有する。実施形態によれば、組成物は、30秒未満の濡れ性を有する。
【0103】
本出願の水分散性顆粒組成物の分散性は、規格CIPAC試験、MT 174に従い決定される。実施形態によれば、水分散性顆粒組成物は、少なくとも30%の分散性を有する。実施形態によれば、水分散性顆粒組成物は、少なくとも40%の分散性を有する。実施形態によれば、水分散性顆粒組成物は、少なくとも50%の分散性を有する。実施形態によれば、水分散性顆粒組成物は、少なくとも60%の分散性を有する。実施形態によれば、水分散性顆粒組成物は、少なくとも70%の分散性を有する。実施形態によれば、水分散性顆粒組成物は、少なくとも80%の分散性を有する。実施形態によれば、水分散性顆粒組成物は、少なくとも90%の分散性を有する。実施形態によれば、水分散性顆粒組成物は、少なくとも99%の分散性を有する。
【0104】
実施形態によれば、水分散性顆粒組成物は、100%の分散性を有する。
【0105】
実施形態によれば、水分散性顆粒の形態をとる作物栄養組成物は、ほとんど瞬間的な分散を示し、したがって活性剤は作物が容易に利用可能になる。
【0106】
懸濁性は、言及される高さの液体のカラム内で、所与の時間後に懸濁した活性成分の量と定義され、当初の懸濁液中の活性成分の量に対するパーセンテージと表される。懸濁性に関する試験は、CIPACハンドブック、「懸濁性に関するMT 184試験」に従い行われる。
【0107】
実施形態によれば、本発明の組成物は少なくとも30%の懸濁性を有する。実施形態によれば、組成物は少なくとも40%の懸濁性を有する。実施形態によれば、組成物は少なくとも50%の懸濁性を有する。実施形態によれば、組成物は少なくとも60%の懸濁性を有する。実施形態によれば、組成物は少なくとも70%の懸濁性を有する。実施形態によれば、組成物は少なくとも80%の懸濁性を有する。実施形態によれば、組成物は少なくとも90%の懸濁性を有する。実施形態によれば、組成物は少なくとも99%の懸濁性を有する。実施形態によれば、殺虫組成物は100%の懸濁性を有する。
【0108】
実施形態によれば、本発明の組成物は、加速貯蔵条件下(ATS)で優れた懸濁性を実証する。実施形態によれば、組成物は、ATS下で90%よりも高い懸濁性を実証する。実施形態によれば、組成物は、ATS下で80%よりも高い懸濁性を実証する。実施形態によれば、組成物は、ATS下で70%よりも高い懸濁性を実証する。実施形態によれば、組成物は、ATS下で60%よりも高い懸濁性を実証する。実施形態によれば、組成物は、ATS下で50%よりも高い懸濁性を実証する。実施形態によれば、組成物は、ATS下で40%よりも高い懸濁性を実証する。実施形態によれば、組成物は、ATS下で30%よりも高い懸濁性を実証する。
【0109】
実施形態によれば、本発明の組成物は、ATS下で90%よりも高い分散性を実証する。実施形態によれば、組成物は、ATS下で80%よりも高い分散性を実証する。実施形態によれば、組成物は、ATS下で70%よりも高い分散性を実証する。実施形態によれば、組成物は、ATS下で60%よりも高い分散性を実証する。実施形態によれば、組成物は、ATS下で50%よりも高い分散性を実証する。実施形態によれば、組成物は、ATS下で40%よりも高い分散性を実証する。実施形態によれば、組成物は、ATS下で30%よりも高い分散性を実証する。
【0110】
実施形態によれば、本発明は、水不溶性マグネシウム塩、その錯体または誘導体の1種以上の有効量と、水不溶性亜鉛塩、その錯体または誘導体の1種以上の有効量と、水不溶性鉄塩、その錯体または誘導体の1種以上の有効量と、少なくとも1種の農業化学的に許容される賦形剤との均質混合物を含む、水分散性顆粒の形態をとる作物栄養組成物を調製するための方法に関する。
【0111】
さらなる実施形態によれば、本発明は、全組成物の1%~80%w/wの範囲の、水不溶性マグネシウム塩、その錯体または誘導体の1種以上、および全組成物の1%~50%w/wの範囲の、水不溶性亜鉛塩、その錯体または誘導体の1種以上、および全組成物の1%~50%w/wの範囲の、水不溶性鉄塩、その錯体または誘導体の1種以上、および全組成物を0.01%~97%w/wの範囲の少なくとも1種の農業化学的に許容される賦形剤の均質混合物を含む、水分散性顆粒組成物の形態をとる作物栄養組成物を調製するための方法に関し、この組成物の顆粒は、0.05mm~4.0mmのサイズ範囲にあり、0.1ミクロン~20ミクトンのサイズ範囲の微細な粒子から構成される。
【0112】
水分散性顆粒の形態をとる作物栄養組成物は、噴霧乾燥、流動床造粒、押出し、凍結乾燥、球形化などの様々な技法によって作製される。
【0113】
実施形態によれば、水分散性顆粒組成物を調製する方法は、水不溶性鉄塩、その錯体または誘導体の1種以上と、水不溶性亜鉛塩、その錯体または誘導体の1種以上と、1種以上の水不溶性マグネシウム塩、その錯体または誘導体と、少なくとも1種の農業化学的に許容される賦形剤の均質なブレンドをミリングして;スラリー、または水に混合した湿潤混合物を得ることを含む。組成物はさらに、少なくとも1種の追加の水不溶性植物栄養素を含む。次いで得られた湿潤混合物を、例えば噴霧乾燥機、流動床乾燥機、または任意の適切な造粒設備で乾燥し、その後、篩にかけて、アンダーサイズおよびオーバーサイズの顆粒を除去することにより、0.05mm~4.0mmのサイズ範囲にある水分散性顆粒を得る。
【0114】
別の実施形態によれば、水分散性顆粒の形態をとる作物栄養組成物は、水不溶性鉄塩、その錯体または誘導体の1種以上と、水不溶性亜鉛塩、その錯体または誘導体の1種以上と、水不溶性マグネシウム塩、その錯体または誘導体の1種以上と、少なくとも1種の農業化学的に許容される賦形剤とを、エアーミルまたはジェットミルで乾式ミリングして、微細な粒度を持つ均質混合物を得ることによっても作製される。水が乾燥粉末に添加され、混合物はブレンドされて、ドウまたはペーストを得、次いで押出し機に通して押し出し、その後、篩にかけてアンダーサイズおよびオーバーサイズの顆粒を除去することにより、0.05から4.0mmのサイズ範囲の顆粒を得る。
【0115】
実施形態によれば、本発明はさらに、栄養組成物、作物強化組成物、土壌調整組成物、作物保護、および収量増強組成物の少なくとも1種としての作物栄養組成物の使用に関する。
【0116】
実施形態によれば、本発明はさらに、植物の健康または収量を改善するための方法に関し、この方法は、植物、植物繁殖材料、その部位または部分(locus)、種子、苗木;または周囲の土壌の少なくとも1種を、本発明の水分散性顆粒組成物で処理することを含む。
【0117】
実施形態によれば、本発明は、1種以上の水不溶性鉄塩、その錯体または誘導体を1%から50重量%、1種以上の水不溶性マグネシウム塩、その錯体または誘導体を1%から80重量%、1種以上の水不溶性亜鉛塩、その錯体または誘導体を1%から50重量%、および農業化学的に許容される賦形剤を0.01%~97重量%の均質混合物を含む水分散性顆粒の形をした作物栄養組成物の有効量を、施用する方法にも関し、この組成物の顆粒は0.05mm~4.0mmのサイズ範囲にあり、0.1ミクロン~20ミクロンのサイズ範囲にある粒子を含み、組成物は、種子、苗木、作物、植物、植物繁殖材料、部位、部分に施用され、または周囲の土壌に施用される。
【0118】
実施形態によれば、本発明は、植物が利用可能なマグネシウム、亜鉛、および鉄のような必須栄養素を作製し、また土壌に存在するその他の微量栄養素および微量の元素を解放し、それらを、合成肥料の過剰使用による主に土壌劣化である様々な要因によりこれまで利用可能ではなかった植物で利用可能にすることによって、植物を処理し、それらの栄養要件を満たす方法に関する。本発明は、害虫侵入に耐えるような植物の強化にも関する。本発明は、必須微量栄養素による植物の生物学的栄養強化の方法にも関する。
【0119】
本発明はさらに、全ての栄養素のバランスのとれた摂取を提供し、作物の健康を改善し、必須栄養素の摂取を容易にすることによって作物栄養を改善し、作物を保護し、作物の収量を増強し、植物を強化し、または土壌を調整するのを支援する。
【0120】
実施形態によれば、本発明は:
全組成物の1~50%w/wの範囲の、少なくとも1種の水不溶性鉄塩、その錯体または誘導体、
全組成物の1~50%w/wの範囲の、少なくとも1種の水不溶性亜鉛塩、その錯体または誘導体、
全組成物の1~80%w/wの範囲の、少なくとも1種の水不溶性マグネシウム塩、その錯体または誘導体、
全組成物の0.01~97%w/wの範囲の、少なくとも1種の農業化学的に許容される賦形剤
の均質混合物を含む組成物を施用することによりマグネシウム、亜鉛、および鉄の摂取を強化することによって、植物を処理しそれらの栄養要件を満たすための方法に関し、
この組成物の顆粒は、0.05mm~4.0mmのサイズ範囲にあり、0.1ミクロン~20ミクロンのサイズ範囲の粒子を含む。
【0121】
本発明の組成物はさらに、微量栄養素のバランスのとれた摂取が容易になるように、土壌pHを調節するのを支援する。さらに本発明の組成物は、土壌pHとは無関係に有効であり、全てのタイプの土壌に関して実現可能な組成物になることが見出された。本発明の組成物の形態での亜鉛および鉄と一緒のマグネシウムの存在が、組成物中に存在する有意な割合の鉄および亜鉛の摂取を容易にするだけでなく、土壌に閉じ込められたホウ素、マンガン、カルシウムなどの微量栄養素の植物摂取も可能にするのが示されたことは、より重要である。
【0122】
本発明の組成物は、土壌pHを調節するのに、および合成肥料の過剰使用のため劣化しているかまたはそのpHが変化している土壌であっても栄養素の摂取を容易にするのに、極めて重要な役割を演じることが見出された。本発明の組成物は、亜鉛、鉄、およびマグネシウムのような必須栄養素のバランスのとれた摂取を提供し、したがってこれらの栄養素の摂取に関する拮抗の難題をもたらすことが公知の石灰質土壌で栄養素に富む作物を提供する難題を克服することによって、植物の栄養ニーズを満たした。栄養素のバランスのとれた摂取が、害虫侵入に耐えることができるさらに健康な植物、全ての土壌タイプでのより高い栄養収穫、および最終的に全体的な土壌の健康が改善されることに繋がるのを観察することは、さらに意外であった。本発明の組成物は、1回の施用での作物による摂取が改善された多重栄養溶液を提供することにより、作物のニーズを満たしつつ、栄養素使用効率組成物として作用する。
【0123】
本発明の組成物は、様々な方法を通して施用することができる。土壌に施用する方法は、組成物が土壌に侵入するのを確実にする任意の適切な方法、例えば苗床トレー施用、インファロー施用、点滴灌漑、スプリンクラー灌漑、土壌ドレンチ、土壌注入、または土壌への組込み、およびそのようなその他の方法を含む。組成物は、葉面噴霧の形態で施用することもできる。
【0124】
組成物の施用率または投与量は、使用のタイプ、作物のタイプ、または組成物中の特定の活性成分に依存するが、活性成分は、作物保護、作物の収量、および栄養摂取などの所望の作用を提供するための有効量にあるようなものである。
【実施例
【0125】
A.調製の実施例:
以下の実施例は、本発明の組成物の基本的な方法および多用途性を示す。準備の実施例で具体化された、鉄、マグネシウム、および亜鉛の水不溶性供給源は、それぞれ請求項に記載される濃度範囲を変化させて、本発明に包含されるようなこれらの栄養素の、任意のその他の水不溶性塩、その錯体または誘導体により置き換えることができる。本発明は、これらの具体例に限定されないことに留意すべきである。
【0126】
[水不溶性マグネシウム塩、水不溶性亜鉛塩、および水不溶性鉄塩の水分散性顆粒組成物]
1. 1%の酸化鉄、40%の酸化マグネシウム、および40%の酸化亜鉛の水分散性顆粒組成物
水分散性顆粒組成物を、1部の酸化鉄、40部の酸化マグネシウム、および40部の酸化亜鉛、2部のナフタレンスルホネート縮合体、7部のリグノスルホン酸ナトリウム、5部のカオリン、および5部のクエン酸ナトリウムをブレンドしてブレンドを得ることにより調製した。得られたブレンドをミリングして、15ミクロンサイズ未満の粉末を得た。粉末を、適切な混合設備で水と混合して、スラリーまたは湿潤混合物を形成した。
得られたスラリーを、適切な粉砕設備で湿式粉砕した。得られた湿式ミリング済みスラリーを、175℃未満の入口温度および90℃未満の出口温度で噴霧乾燥して、顆粒を得た。組成物は、5.5ミクロンの粒度分布D90を有する。組成物の顆粒サイズは、0.1~1.5mmの範囲にある。組成物は、75%の分散性、65%の懸濁性、および25秒未満の濡れ性を有する。組成物はさらに、約63%の懸濁性および71%の分散性、30秒の濡れ性を、加速貯蔵条件下で実証した。
【0127】
2. 50%の水酸化亜鉛、40%の炭酸マグネシウム、および1%のフマル酸鉄の水分散性顆粒組成物
水分散性組成物は、40部の炭酸マグネシウム、50部の水酸化亜鉛、1部のフマル酸鉄、4部のナフタレンスルホネートナトリウム縮合体塩、3部のポリカルボキシレートナトリウム、および2部のソープストーン(タルク)をブレンドすることにより、実施例1に従い調製する。組成物は、6.3ミクロン未満の粒度分布D90を有する。組成物の顆粒サイズは、0.1~2mmの範囲にある。組成物は、85%の分散性、80%の懸濁性、および20秒未満の濡れ性を有する。組成物はさらに、約75%の懸濁性および80%の分散性、25秒の濡れ性を、加速貯蔵条件下で実証した。
【0128】
3. 40%のホウ酸亜鉛、23%のケイ酸マグネシウム、および1%のリン酸鉄の水分散性顆粒組成物
水分散性組成物は、23部のケイ酸マグネシウム、40部のホウ酸亜鉛、1部のリン酸鉄、2部のSoprophor 4D/384(フルボ酸)、6部のリグニンスルホネートナトリウム、2部のポリカルボキシレートナトリウム、10部のフルボ酸、6部のクエン酸ナトリウム、および10部の陶土をブレンドすることにより、実施例1に従い調製される。組成物は、7.9ミクロンの粒度分布D90を有する。組成物の顆粒サイズは、0.1~1.5mmの範囲にある。組成物は、75%の分散性、68%の懸濁性、および30秒未満の濡れ性を有する。組成物はさらに、約62%の懸濁性および72%の分散性、38秒の濡れ性を、加速貯蔵条件下で実証した。
【0129】
4. 4%の硫化亜鉛、8%の酸化マグネシウム、および1%の酸化鉄の水分散性顆粒組成物
水分散性組成物は、8部の酸化マグネシウム、4部の硫化亜鉛、1部の酸化鉄、8部のアラビアガム、17部のフルボ酸、および30部のStepsperse DF200および32部のリグノスルホネートをブレンドすることによって、実施例1に従い調製される。組成物は、6.5ミクロンの粒度分布D90を有する。組成物の顆粒サイズは、0.1~2.5mmの範囲にある。組成物は、65%の分散性、58%の懸濁性、および23秒の濡れ性を有する。組成物はさらに、約55%の懸濁性および60%の分散性、32秒の濡れ性を、加速貯蔵条件下で実証した。
【0130】
5. 4%のケイ酸亜鉛、71%の炭酸マグネシウム、および5%のフマル酸鉄の水分散性顆粒組成物
水分散性組成物を、71部の炭酸マグネシウム、4部のケイ酸亜鉛、5部のフマル酸鉄、7部のニームガム、3部のナフタレンスルホネート縮合体ナトリウム塩、5部のカオリン、および5部のラクトースをブレンドすることによって、実施例1に従い調製する。組成物は、4.5ミクロンの粒度分布D90を有する。組成物の顆粒サイズは0.1~2.5mmの範囲にある。組成物は、71%の分散性、65%の懸濁性、および15秒未満の濡れ性を有する。組成物はさらに、約62%の懸濁性および65%の分散性、25秒の濡れ性を、加速貯蔵条件下で実証した。
【0131】
6. 9%のリン酸亜鉛、60%のケイ酸マグネシウム、および11%のシュウ酸鉄の水分散性顆粒組成物
水分散性組成物を、60部のケイ酸マグネシウム、9部のリン酸亜鉛、11部のシュウ酸鉄、4部のポリアクリレートナトリウム、3部のナフタレンスルホネート縮合体ナトリウム塩、6部のガッチガム、および7部のフルボ酸をブレンドすることによって、実施例1に従い調製する。組成物は、5ミクロンの粒度分布D90を有する。組成物の顆粒サイズは、0.1~1.5mmの範囲にある。組成物は、55%の分散性、45%の懸濁性、および30秒未満の濡れ性を有する。組成物はさらに、約40%の懸濁性および51%の分散性、35秒の濡れ性を、加速貯蔵条件下で実証した。
【0132】
7. 20%の酸化亜鉛、30%の炭酸マグネシウム、および40%のケイ酸鉄の水分散性顆粒組成物
水分散性組成物を、30部の炭酸マグネシウム、20部の酸化亜鉛、40部のケイ酸鉄、4部のナフタレンスルホネート縮合体ナトリウム塩、2部のラーチガム、3部のStepsperse DF200、および1部のクエン酸ナトリウムをブレンドすることによって、実施例1に従い調製する。組成物は、9.5ミクロンの粒度分布D90を有する。組成物の顆粒サイズは、0.1~2.5mmの範囲にある。組成物は、45%の分散性、40%の懸濁性、および30秒未満の濡れ性を有する。組成物はさらに、約38%の懸濁性、40%の分散性、35秒の濡れ性を、加速貯蔵条件下で実証した。
【0133】
8. 35%のリン酸亜鉛、25%のリン酸マグネシウム、および17%のリン酸鉄の水分散性顆粒組成物
水分散性組成物は、35部のリン酸亜鉛、25部のリン酸マグネシウム、17部のリン酸鉄、3部のリン酸エステル界面活性剤、3部のナフタレンスルホネート縮合体ナトリウム塩、10部のフルボ酸、および7部のカオリンをブレンドすることにより、実施例1に従い調製される。組成物は、9.5ミクロンの粒度分布D90を有する。組成物の顆粒サイズは、0.1~2.0mmの範囲にある。組成物は、82%の分散性、70%の懸濁性、および28秒未満の濡れ性を有する。組成物はさらに、約64%の懸濁性および77%の分散性、35秒の濡れ性を、加速貯蔵条件下で実証した。
【0134】
9. 12%の水酸化亜鉛、25%の水酸化マグネシウム、および50%の水酸化鉄の水分散性顆粒組成物
水分散性組成物は、12部の水酸化亜鉛、25部の水酸化マグネシウム、および50部の水酸化鉄、7部のGeropon T77、3部のアラビアガム、および3部のフルボ酸をブレンドすることによって、実施例1に従い調製される。組成物は、12ミクロンの粒度分布D90を有する。組成物の顆粒サイズは、0.1~2.0mmの範囲にある。組成物は、89%の分散性、80%の懸濁性、および12秒未満の濡れ性を有する。組成物はさらに、約76%の懸濁性および85%の分散性、20秒の濡れ性を、加速貯蔵条件下で実証した。
【0135】
10. 30%の酸化亜鉛、25%の酸化鉄、および35%の酸化マグネシウムの水分散性顆粒組成物
水分散性組成物は、30部の酸化亜鉛、25部の酸化鉄、35部の酸化マグネシウム、5部のナトリウムアルキルベンゼンスルホネート、3部のポリカルボン酸のナトリウム塩、および2部のシリカをブレンドすることによって、調製される。得られたブレンドをミリングして、15ミクロン未満のサイズの粉末を得た。粉末を、適切な混合設備で水と混合して、スラリーまたは湿潤混合物を形成した。湿潤状の塊を適切な押出し機に通して押し出し、押し出された顆粒を適切な乾燥機で乾燥して、押出し顆粒を得た。組成物は、下記の粒度分布を有する:D90が15ミクロン。組成物の顆粒サイズは、0.1mm~4mmの範囲にある。組成物は、75%の分散性、70%の懸濁性、および20秒未満の濡れ性を有する。組成物はさらに、約65%の懸濁性、約70%の分散性、および約15秒の濡れ性を、加速貯蔵条件下で実証した。
【0136】
B.野外研究:
実験1:小麦中に水不溶性亜鉛塩および水不溶性マグネシウム塩および水不溶性鉄塩を含む水分散性顆粒の影響を研究すること
【0137】
野外実験方法:
野外試験は、Karnal、Haryanaで、小麦中に水不溶性亜鉛塩および水不溶性マグネシウム塩および水不溶性鉄塩を含む水分散性顆粒組成物の効果を見るために実施した。試験は、乱塊法(RBD)で、4回繰り返される、未処理の対照を含む13の処理により、ラビシーズン中に計画された。各処理ごとに、30平方メートル(6m×5m)のプロットサイズを維持した。試験生成物は、様々な亜鉛塩、鉄塩、マグネシウム塩のみと、それらの本発明による水分散性顆粒組成物での組合せであり、定められた用量の様々な濃度範囲のものが、小麦の1回目の灌漑の時(播種から25日後)に土壌に施用された。試験現場の小麦作物を、適正農業規範に従い育てた。
【0138】
実験の詳細
a)試験場所:Karnal、Haryana
b)作物:小麦(var:PBW 343)
c)実験季節:Rabi 2021
d)試験設計:乱塊法
e)反復:4
f)処理:6
g)プロットサイズ:6m×5m=30平方メートル
h)播種日:2021年11月4日
i)施用日:2021年11月30日
j)施用方法:土壌施用
k)収穫日:2022年4月19日
l)土壌pH:6.5~7
【0139】
観察を収穫時に記録し、平均データを表1に示して、本発明の実施形態に従い調製された水分散性顆粒組成物の効力を列挙した。
【0140】
【表1】
【0141】
【表2】
【0142】
表1で観察されたデータから、本発明の実施形態による組成物T4、T8、およびT12は、相乗効果挙動を実証することがわかる。
【0143】
「相乗効果」は、コルビーS.R.(Colby S.R)の「Calculation of the synergistic and antagonistic responses of herbicide combinations」という名称の、Weeds,1967,15,p.20-22で1967年に公表された論文により定義される。2種の活性成分の所定の組合せに関して予測される作用は、下記の通り計算することができる:
E=X+Y+Z-(XY+YZ+XZ)/100
式中、
E=定められる用量での2種の生成物X、Y、およびZの混合物によって予測される効果%である。
X=生成物Aによる、観察された効果%
Y=生成物Bによる、観察された効果%
Z=生成物Cによる、観察された効果%
【0144】
相乗効果因子(SF)は、Abbottの方程式(Eq.(2)(Abbott、1925))により計算される。
SF=観察された効果/予測された効果
式中、相乗効果反応に関してSF>1;拮抗反応に関してSF<1;付加反応に関してSF=1である。
【0145】
組合せに関して観察された収量効果のパーセンテージが、予測されたパーセンテージよりも大きいとき、組合せの相乗効果を推測することができる。組合せに関して観察された収量効果のパーセンタージが、予測されるパーセンテージに等しいとき、付加効果のみ推測でき、組合せに関して観察された収量効果のパーセンタージが、予測されるパーセンテージよりも低いとき、組合せの拮抗効果を推測することができる。
【0146】
相乗効果因子は、「酸化亜鉛+酸化鉄(II)+水酸化マグネシウム」、「ホウ酸亜鉛+フマル酸鉄+酸化マグネシウム」、および「酸化亜鉛+ケイ酸鉄+炭酸マグネシウム」のWDG組成物がそれぞれ相乗効果を持つ性質であることを示す表1からわかるように、処理T4、T8、およびT12に関して1.35、1.35、および1.39であることを、観察することができる。本発明の実施形態によるWDGの形態をとる「水不溶性亜鉛塩および水不溶性マグネシウム塩および水不溶性鉄塩」のこの相乗効果挙動は、小麦作物の収量から観察することができる。4つの処理、即ちT1(32%の酸化亜鉛WDG)、T2(15%の酸化鉄(II)WDG)、T3(40%の水酸化マグネシウムWDG)、およびT4(酸化亜鉛6%+酸化鉄(II)6%+水酸化マグネシウム80%-WDG)を、同じ活性投与量で、即ち120.51gm/ha亜鉛、116.61gm/ha鉄、および833.68gm/haマグネシウムで施用した。処理T4は、収量-32Qt/haである処理T1、収量-32Qt/haであるT2、および収量-34Qt/haであるT3と比較したとき、約40キンタル(Qt)/haの最高収量を示す。収量で予測される増加%は21.44%であったが、処理T4に関して観察された収量の増加%は29.03%であり、相乗効果を実証した。
【0147】
このように、本発明の実施形態によるWDG形態をとる酸化亜鉛6%+酸化鉄(II)6%+水酸化マグネシウム80%の組合せは、相乗的であり、同じ投与量で施用したときに個々の活性剤の施用と比較してより高い作物の収量を提供する。収量に関する類似の傾向は、本発明の実施形態による組成物の相乗効果挙動を示す、それぞれ処理T5、T6、T7および処理T9、T10、T11と比較したときに、処理T8、T12でも観察された。
【0148】
小麦作物での植物の高さおよび分げつの数は、活性剤の個々の施用、即ち30%酸化亜鉛WDGによるT9、30%ケイ酸鉄WDGによるT10、および30%炭酸マグネシウムWDGによるT11と比較して、20%酸化亜鉛+40%ケイ酸鉄+30%炭酸マグネシウム-WDGの処理T12で高いことが、観察された。処理T9~T12と比較すると、処理T12は、それぞれ48cmおよび8個である植物の高さおよび分げつの数を有し、それに対して処理T9、T10、およびT11は、それぞれ41.70、39.50、33cmの植物の高さ、ならびに5、5、および4個の分げつを有することを、示すことができる。
【0149】
未処理の対照も、29cmの植物の高さと3個の分げつを有する。処理T4、T8、およびT12で処理した小麦プロットの葉は、処理T1~T3、T5~T7、T9~T11ならびに黄色の葉が観察された未処理のプロットと比較してさらに緑色であることも観察された。
【0150】
表1から、本発明の実施形態により調製されたWDG組成物に関する亜鉛、マグネシウム、および鉄の利用可能性は、土壌pH6.5~7で、自立的に施用された同じ活性剤で観察されたものより大きいことも観察することができる。4.5mg、3.5mg、および110mgの亜鉛、鉄、およびマグネシウムは、T8のWDG組成物-ホウ酸亜鉛40%+フマル酸鉄33%+酸化マグネシウム18%に関する摂取に利用可能であり、それに対して2.1mg、1.4mg、1.5mgの亜鉛、1.2mg、1.3mg、1.2mgの鉄、および67mg、65mg、70mgのマグネシウムのみが、個々の活性剤それぞれの処理T5、T6、およびT7の施用による植物への摂取に利用可能であったこともわかる。
【0151】
さらに、WDG組成物が本発明の実施形態により調製された処理T12の施用による、観察された亜鉛、鉄、およびマグネシウムの摂取は、個々の処理T9~T12ならびに処理T13、即ち活性ZnおよびFeがT9~T12の場合と同じ活性投与量で施用された酸化亜鉛20%+ケイ酸鉄40%のWDG組成物と比較したとき、より高いことが見出された。1.6mgの亜鉛、1.1mgの鉄、および75mgのマグネシウムのみが、処理T13に関する摂取に利用可能であるのを観察することは、意外であった。しかしながらT12-酸化亜鉛20%+ケイ酸鉄40%+炭酸マグネシウム30%-WDGの施用では、亜鉛、鉄、およびマグネシウムの利用可能性は、T12およびT13が同じ活性投与量の亜鉛および鉄で施用されたにも関わらず、それぞれ3.8mg、3.7mg、および124mgに劇的に増大した。処理T12で観察された、亜鉛および鉄の利用可能性のこの目に見える増大は、本発明の実施形態により配合された組成物、即ち、作物により摂取される、組成物中に存在する微量栄養素、即ちマグネシウム、鉄、および亜鉛の全範囲の増大した利用可能性を容易にする、処理12で粒度が0.1ミクロンから20ミクロンである水分散性顆粒の形態をとる組成物中の、亜鉛および鉄と一緒のマグネシウムの存在のためであることが示された。
【0152】
したがって、水分散性顆粒の形態をとる水不溶性亜鉛塩および水不溶性マグネシウム塩および水不溶性鉄塩の組合せを含む組成物は、前記活性剤の個々の施用ならびにマグネシウムが欠けた鉄および亜鉛のみの組成物の施用と比較したときに、マグネシウム、亜鉛、および鉄のより良好な摂取を実証することが示された。
【0153】
前述のデータから、種々の投与量でおよび請求項に記載される濃度範囲で、本発明の実施形態によるWDGの形態で「水不溶性亜鉛塩および水不溶性マグネシウム塩および水不溶性鉄塩」を含む組成物は、微量栄養素の著しく高い摂取、より高い収量、植物の高さ、根の発育、および分げつの数を実証したと結論付けることができる。
【0154】
本発明の発明者らは、さらに、上記表1に列挙された亜鉛、マグネシウム、および鉄塩とは別に、本出願の請求項に記載されるその他の亜鉛、マグネシウム、および鉄塩も、本発明の実施形態に従い施用したときに類似の効果を示すことを観察した。
【0155】
実験2:落花生作物に対する本発明の水分散性顆粒組成物の効果を研究すること
【0156】
野外試験は、本発明の組成物の実施形態の評価のために、Wadgaon
Khed、Maharashtraで、落花生作物、品種:Kasturi 108に関して実行した。試験は、未処理の対照を含む9回の処理で、4回繰り返す、乱塊法(RBD)で計画された。各処理ごとに、プロットサイズ35平方メートル(7m×5m)を維持した。試験栄養組成物である様々な亜鉛塩、鉄塩、マグネシウム塩のみ、およびそれらの組合せであって、定められた用量を持つ様々な濃度範囲にある本発明による水分散性顆粒であるものを、基肥(basal)施用で、落花生作物の播種時に施用した。
【0157】
実験の詳細は、下記の通りである:
a)試験場所:Wadgaon Khed、Maharashtra
b)作物:落花生(品種:Kasturi 108)
c)実験季節:Rabi 2022
d)試験設計:乱塊法
e)繰返し:4
f)処理:6
g)プロットサイズ:7m×5m=35平方メートル
h)施用日:2022年1月17日
i)播種日:2022年1月18日
j)施用方法:基肥
k)収穫日:2022年6月17日
l)土壌pH:6.5~7
【0158】
観察を収穫時に記録し、平均データを表2に提示して、本発明の実施形態により調製された「水不溶性亜鉛塩および水不溶性マグネシウム塩および水不溶性鉄塩」の水分散性顆粒の効力を列挙した。
【0159】
【表3】
【0160】
【表4】
【0161】
表2で観察されたデータから、本発明の実施形態による組成物T4、T8は、相乗効果挙動を実証することがわかる。
【0162】
選択された水不溶性鉄塩、水不溶性亜鉛塩、および水不溶性マグネシウム塩、ならびに上記表で使用された濃度は例示的であり、本発明の実施形態による別の水不溶性鉄塩、水不溶性亜鉛塩、および水不溶性マグネシウム塩でそれぞれ置き換えることもできる。
【0163】
表2に提示されたデータおよび行われた計算に基づいて、落花生カーネル収量で予測される増加パーセンテージは、28.64%および26.78%であることが見出された。しかしながら上記表2から、本発明の実施形態によるホウ酸亜鉛5%+ケイ酸鉄6%+酸化マグネシウム1%-WDGでの処理T4が、落花生カーネルの42.16%の収量増加を示し、ケイ酸亜鉛20%+フマル酸鉄30%+炭酸マグネシウム40%-WDG組成物による処理T8が、落花生カーネルの52.45%の収量増加を示すことを、明確に知ることができる。
【0164】
しかしながら、20%のホウ酸亜鉛WDGによる処理T1、24%のケイ酸鉄WDGによるT2、および20%の酸化マグネシウムWDGによるT3は、それぞれ、落花生作物のカーネル収量がわずか10.39%、7.84%、および13.73%であることを実証した。同様に、30%のケイ酸亜鉛WDGによる処理T5、30%のフマル酸鉄WDGによるT6、および40%の炭酸マグネシウムによるT7は、それぞれ、落花生作物のカーネル収量で6.86%、4.61%、および17.65%の増加のみ実証した。したがって、本発明の実施形態による水分散性顆粒による処理T4およびT8は、個々の活性剤での処理と比較して、相乗効果を実証した。結果は、全ての処理T1~T4およびT5~T8が同じ投与量の亜鉛塩、鉄塩、およびマグネシウム塩で施用され、即ちそれぞれ625.05g/haの亜鉛、394.30g/haの鉄、120.62g/haのマグネシウム、ならびに352.14g/haの亜鉛、295.85g/haの鉄、346.01g/haのマグネシウムで土壌に施用されるので、なお一層意外である。
【0165】
さらに処理T4およびT8は、処理T1~T7に関して観察されたさや/植物の数、即ち14.1~14.9の間と比較したとき、それぞれ約16.5および16.8の最高数のさや/植物を示した。
【0166】
本発明の実施形態による組成物による処理T4、T8は、処理T1~T3およびT5~T7と比較して、収穫時のナスでFusarium wilt真菌を制御するのに非常に有効であることも観察された。制御%は、それぞれ11.11%、5.55%、11.11%、5.55%、11.11%、および16.6%である処理T1~T3、T5~T7と比較して、T4、T8の施用によりそれぞれ83.3%および72.2%であることが観察された。本発明の組成物は、植物の全体的な栄養要件を満たすことができ、その結果、害虫侵入に耐えることができ、最終的にはより良好な収量をもたらすのを観察することができる。
【0167】
本発明の実施形態による組成物による処理T4およびT8は、処理T1~T3およびT5~T7で観察されなかった、即ち前記活性剤の個々の施用で観察されなかった亜鉛、マグネシウム、および鉄のような栄養素の、驚くべき摂取を、6.5~7の土壌pHで、活性剤が同じ施用投与量で施用されたときであっても示したことを、表2からさらに見ることができる。処理T4、T8で観察された栄養素の利用可能性におけるこの目に見える増大は、本発明の実施形態により配合された、即ち粒度が0.1ミクロンから20ミクロンの範囲にある粒度の水分散性顆粒の形態で配合された組成物中の、亜鉛および鉄と一緒のマグネシウムの存在のためであり、これは組成物中に存在する微量栄養素、即ち作物により摂取されるマグネシウム、鉄、および亜鉛の全範囲の利用可能性を増大させることが示された。
【0168】
前述のデータから、本発明の実施形態によるWDGの形態をとる「水不溶性亜鉛塩および水不溶性マグネシウム塩および水不溶性鉄塩」を含む組成物は、種々の投与量でおよび請求項に記載される濃度範囲で、微量栄養素の著しく高い摂取、より高い収量、さやの数/植物、植物の高さ、および枝の数/植物を実証したと、結論付けることができる。
【0169】
本発明の発明者らはさらに、上記表2に列挙された亜鉛、マグネシウム、および鉄塩とは別に、本出願の請求項に記載されるその他の亜鉛、マグネシウム、および鉄塩も、本発明の実施形態により施用されたときに類似の効果を示すことを観察した。
【0170】
実験番号3:カリフラワーの収量に対する、酸化亜鉛+酸化鉄+酸化マグネシウム-WDGを含む組成物における粒度分布の影響を評価すること
【0171】
野外実験方法:
野外試験は、Nasik、Maharashtraでのカリフラワーの収量に対する、酸化亜鉛+酸化鉄+酸化マグネシウム-WDGの組成物に関して種々の範囲の粒度の効果を観察するために実施した。
【0172】
試験は、未処理の対照を含む5つの処理による、4回繰り返される乱塊法(RBD)で、春季中に計画された(laid out)。各処理ごとに、30平方メートル(6m×5m)のプロットサイズを維持した。定められた用量の試験生成物を、カリフラワーの移植から15日後に点滴灌漑することによって施用した。試験現場でのカリフラワー作物は、適正農業規範に従い成長させた。カリフラワーの種子、品種Pant Shubhraを使用して、列間50cmおよび植物同士の間隔30cmで播種した。
【0173】
実験の詳細
a)試験場所:Nasik、Maharashtra
b)作物:カリフラワー(Pant Shubhra)
c)実験季節:春-3月から5月
d)試験設計:乱塊法
e)繰返し:4
f)処理:5
g)プロットサイズ:6m×5m=30平方メートル
h)移植日:2022年3月1日
i)施用日:2022年3月14日
j)施用方法:点滴灌漑
k)収穫日:2022年5月13日
【0174】
収量に関する観察を収穫時に記録し、平均データを表3に提示して、「水不溶性亜鉛塩および水不溶性マグネシウム塩および水不溶性鉄塩」を含むWDG組成物の粒度分布の、カリフラワーの収量に対する影響を見た。
【0175】
【表5】
【0176】
【表6】
【0177】
表3から、処理T1(本発明の実施形態による、酸化亜鉛30%+酸化鉄25%+酸化マグネシウム35%の水分散性顆粒組成物でありその粒度は0.1ミクロンから20ミクロンの範囲にある)は、酸化亜鉛30%+酸化鉄25%+酸化マグネシウム35%の水分散性顆粒でありその粒度が0.1から50ミクロンの範囲にあるものの処理T2、酸化亜鉛30%+酸化鉄25%+酸化マグネシウム35%-WDGであって0.1から100ミクロンの範囲の粒度を有するものでの処理T3と比較したとき、カリフラワーの収量および平均花蕾重量の著しい増加を示したことがわかる。処理T1は、カリフラワーの収量において意外に有意な27.18%の増加を示し、それに対して処理T2およびT3は、未処理の対照と比較したときにそれぞれ11.36%および7.73%の収量増加を示しただけであることが観察された。
【0178】
さらに、鉄、マグネシウム、亜鉛などの栄養素の摂取は、処理T2およびT3と比較して、処理T1で非常に高いことが見出された。したがって収量および栄養素の摂取に関する優れた効力は、本発明による水分散性顆粒配合物で観察され、組成物は、より高い粒度範囲の水分散性顆粒配合物と比較したとき、0.1ミクロン~20ミクロンのサイズ範囲の粒子を含むことが示された。
【0179】
実験4:商業栽培されたトマト作物農地での「水不溶性鉄塩、水不溶性亜鉛塩、および水不溶性マグネシウム塩」の種々の配合物の効力を評価すること
【0180】
野外実験方法:
試験は、未処理の対照を含む13回の処理で、4回の繰返しによる乱塊法(RBD)で、Kharifシーズン中に計画された。各処理ごとに、40平方メートル(8m×5m)のプロットサイズを維持した。評価した組成物は、亜鉛塩、鉄塩、マグネシウム塩のみと、水不溶性亜鉛塩、水不溶性鉄塩、水不溶性マグネシウム塩の組合せを含む種々の配合物を含み、亜鉛塩、鉄塩、マグネシウム塩は、同じ投与量で各処理において施用された。組成物は、トマト作物の開花段階の直前に、ベンド/サイドプレースメントを介して施用した。試験現場のトマト作物を、適正農業規範に従い成長させた。トマトの種子、品種Veer 2182を、研究に使用し、120cmの列間隔でおよび45cmの植物間隔で植えた。実験の詳細は下記の通りである:
【0181】
実験の詳細
a)試験場所:Jaulkedindori、Nasik(MH)
b)作物:トマト(品種Veer 2182)
c)実験季節:Kharif 2021
d)試験設計:乱塊法
e)繰返し:4
f)処理:6
g)プロットサイズ:8m×5m=40平方メートル
h)施用日:2021年7月27日
i)施用方法:ベンド/サイドプレースメント
j)移植日:2021年8月20日
k)採集日:1回目-2021年10月3日;2回目-2021年10月11日;3回目-2021年10月16日;4回目-2021年10月22日;5回目-2021年10月28日;6回目-2021年11月4日
【0182】
実止まりの観察は、週に一度、新たに開いた花にタグ付けし、1週間後に実止まりした、タグ付けされた花の数を数えることによって実施した。実は6回収穫し、その都度計量した。全ての観察の平均データを表4に提示して、本発明による水分散性顆粒形態にあるならびに芳香錠形態および粉末形態にある亜鉛の水不溶性塩、マグネシウムの水不溶性塩、および鉄の水不溶性塩を含む組合せの、トマト収量およびその他のパラメーターに対する影響を示した。
【0183】
【表7】
【0184】
上記表4から、本発明の実施形態によるケイ酸亜鉛20%+ケイ酸鉄25%+ケイ酸マグネシウム水和物45%WDGでの処理T3は、トマトの実で26.17%の収量増加を示したことが、明らかにわかる。しかしながら、ケイ酸亜鉛20%+ケイ酸鉄25%+ケイ酸マグネシウム水和物45%-ペレットでの処理T1は9.03%の増加のみを実証し、一方、ケイ酸亜鉛20%+ケイ酸鉄25%+ケイ酸マグネシウム水和物45%-粉末での処理T2は、トマトの実の収量において10.72%の増加のみ実証した。データ、および処理T1~T6を参照することによりなされた計算に基づき、実の収量で予測される増加パーセンテージは13.93%であった。したがって本発明による処理T3-WDGは、芳香錠または粉末組成物による同じ処理、即ちそれぞれ処理T1、T2、ならびに個々の活性剤の施用、即ち処理T4~T6と比較して、亜鉛、鉄、およびマグネシウムの施用の同じ投与量でそれぞれ施用したにも関わらず、相乗効果を実証したことを示すことができる。結果は、処理T1からT6全てが、土壌に施用される亜鉛、鉄、およびマグネシウムの同じ投与量を有していたので、即ち亜鉛が469.52gm/ha、鉄が328.59gm/ha、およびマグネシウムが313.81gm/haの投与量を有していたので、全てがさらに驚くべきものである。
【0185】
さらに酸化亜鉛10%+酸化鉄(II)10%+ケイ酸マグネシウム水和物70%-WDGによる処理T9は、酸化亜鉛10%+酸化鉄(II)10%+ケイ酸マグネシウム水和物70%-ペレットによる処理T7(実の収量432g)、酸化亜鉛10%+酸化鉄(II)10%+ケイ酸マグネシウム水和物70%-粉末による処理T8(実の収量-454g)と比較して、約515gの最高の実の収量を示した。本発明の実施形態による組成物での処理T3およびT9は、芳香錠および粉末組成物と比較して、即ち処理T1~T2およびT7~T8とそれぞれ比較して、益々青々とし、改善されたトマトの実のサイズおよび色を示したことが、さらに観察された。
【0186】
したがって本発明の実施形態による水分散性顆粒の形態をとる「水不溶性鉄塩、水不溶性亜鉛塩、および水不溶性マグネシウム塩」の組成物は、本来、相乗的であることが示され、その他の公知の配合物タイプと比較して、収量の驚くべき増強ならびに改善された植物の生理学的パラメーターが示されたことに留意されたい。
【0187】
実験番号5:ナスにおける本発明の水分散性顆粒組成物の効果を研究すること
【0188】
試験は、未処理の対照を含む5つの処理で、4回の繰返しによる乱塊法(RBD)で、Rabiシーズン中に、即ち1月から4月に計画された。評価された組成物は、試験プロットでナスの苗木を植えた後の土壌施用として、本発明のWDG組成物を含む。試験現場でのナス作物を、適正農業規範に従い育てた。
【0189】
実験の詳細
a)試験場所:Dehgam、Gandhinagar
b)作物:ナス
c)実験季節:Rabi
d)試験設計:RBD
e)繰返し:5
f)処理:5
g)プロットサイズ:5×6=30平方メートル
h)播種日:2021年12月10日
i)施用日:2021年12月10日
j)施用方法:根域付近での土壌施用
k)作物品種:MAHY Super-10
l)収穫日:2022年3月10日
m)土壌pH:6~6.5
【0190】
観察を、収穫時に記録し、平均データを表5に示して、本発明の実施形態により調製された「水不溶性亜鉛塩および水不溶性マグネシウム塩および水不溶性鉄塩」を含む水分散性顆粒の効力を列挙した。
【0191】
【表8】
【0192】
【表9】
【0193】
表5から、本発明の実施形態による亜鉛塩、鉄塩、およびマグネシウム塩を含むWDG組成物は、活性ZnおよびFeが同時活性投与量で施用された酸性土壌pH条件で、亜鉛塩+鉄塩のWDG組成物の施用で観察される摂取と比較して、栄養素の摂取の有意な強化を示すことを観察することができる。例えば:本発明の実施形態による硫化亜鉛25%+酸化鉄15%+ケイ酸マグネシウム水和物50%-WDGでの処理T2は、亜鉛の摂取が2.67mg、鉄が3.22mg、およびマグネシウムが20mgであることを実証し、一方、マグネシウムが欠けた硫化亜鉛20%+酸化鉄12%-WDGでの処理T1は、亜鉛が0.21mg、鉄が0.13mg、およびマグネシウムが4.6mgという低減した摂取を示し、亜鉛および鉄の摂取は、一般に栄養素の摂取に好ましいと見なされる酸性土壌pHであっても非常に低いことが見出された。処理T2で観察される亜鉛および鉄の利用可能性のこの目に見える増大は、本発明の実施形態により配合された組成物中での、即ち処理T2で粒度が0.1ミクロンから20ミクロンの範囲にある水分散性顆粒の形態での、亜鉛および鉄と一緒のマグネシウムの存在のためであり、これは組成物中に存在する微量栄養素、即ち作物により摂取されるマグネシウム、鉄、および亜鉛の全範囲に関して増大する利用可能性を容易にすることが示された。
【0194】
さらに、本発明の実施形態によるホウ酸亜鉛4%+酸化鉄(II)15%+酸化マグネシウム1%-WDGでの処理4の施用は、ナスの実の9.14%の収量を示す処理T3と比較して、ナスの実の収量の43.11%の増加を示した。本発明の実施形態による組成物での効力の増強は、本発明によるWDG組成物で施用される亜鉛および鉄の投与量ならびにマグネシウムが欠けた二元処理、即ちT3での投与量が同じであるので、驚くべきものである。さらに類似の結果は、亜鉛塩+鉄塩の二元組成物の処理T1と比較したとき、本発明の処理T2の場合に観察された。
【0195】
さらに、驚くべき効力は、本発明の実施形態による3種の活性剤が存在する、即ち単一組成物中に特定の濃度で存在する、処理T2およびT4のナスの実の収量に関して観察され、この組成物は、0.1ミクロンから20ミクロンのサイズ範囲の粒子を含むものである。収量増加がそれぞれ約40.86%および43.11%である処理T2およびT4は、市販の微量栄養素混合物、即ち高い配合物用量で施用されたにも関わらず17.81%の収量増加しか示さない処理T5と比較したときに、より高い効力を実証することが、さらに示された。
【0196】
処理T5では、亜鉛、鉄、およびマグネシウムの摂取がそれぞれ1.2mg、1.7mg、および8mgであることが見出され、処理T3では、亜鉛、鉄、およびマグネシウムの摂取がそれぞれ0.5、0.4mg、および4.5mgであることが見出されたことが、さらに観察された。一方、処理T4では、亜鉛、鉄、およびマグネシウムの摂取はそれぞれ、3.67mg、3.9mg、および16mgであることが見出された。処理T4で観察された亜鉛および鉄の利用可能性の、この目に見える増大は、本発明の実施形態により配合された組成物中の、即ち粒度が処理T4で0.1ミクロンから20ミクロンの範囲の水分散性顆粒の形態をとる、亜鉛および鉄と一緒のマグネシウムの存在のためであることが示され、それが組成物中に存在する全範囲の微量栄養素、即ち作物により摂取されるマグネシウム、鉄、および亜鉛の増大した利用可能性を容易にする。したがって、水分散性顆粒の形態で水不溶性亜鉛塩および水不溶性マグネシウム塩および水不溶性鉄塩の組合せを含む組成物は、市販の多重栄養素粉末組成物、ならびにマグネシウムが欠けた鉄および亜鉛のみの組成物の施用と比較したとき、マグネシウム、亜鉛、および鉄の、より良好な摂取を実証することが示された。
【0197】
前述のデータから、種々の投与量でおよび請求項に記載される濃度範囲で、本発明の実施形態によるWDGの形態で「水不溶性亜鉛塩および水不溶性マグネシウム塩および水不溶性鉄塩」から構成される組成物は、微量栄養素の著しく高い摂取、より高い収量を、実証したと結論付けることができる。
【0198】
本発明の発明者らは意外にも、本発明の組成物中のマグネシウムの存在が、鉄および亜鉛の摂取を高めるだけでなく、これまで植物には全く利用できなかったカルシウム、ホウ素などの土壌に閉じ込められたその他の微量栄養素の摂取も高めることを示した。ホウ素、カルシウムのような閉じ込められた微量栄養素の摂取が高められた結果は、表5に提示される結果から示すこともでき、この表は、処理T2、T4が、処理T1、T3、T5、および未処理の対照の場合と比較して、カルシウムおよびホウ素の摂取の最高値を有することを示している。
【0199】
したがって、水分散性顆粒組成物の形態をとる本発明の組成物は、高い栄養素使用効率肥料であることが見出された。
【0200】
実験番号6:種々の土壌pH条件での亜鉛、マグネシウム、および鉄の摂取に対する、本発明の組成物の効果を研究すること
【0201】
ポット試験実験を、Nashik、Maharashtra(インド)のビニールハウス内のタマネギ作物においてある期間にわたる、種々の土壌タイプでの亜鉛、マグネシウム、および鉄の利用可能性に対する、WDGの形態をとる本発明の組成物の効果を観察するために実施した。
【0202】
上面直径20cm×底面直径15.5cm×高さ16.5cmのサイズの5つのポットを、各処理ごとに、乱塊法(RBD)で配置構成し、各実験ごとに2つの処理を行うために標識した。
【0203】
定められた用量の以下に示される試験栄養組成物を、土壌の表面積計算に基づいて測定し、それぞれの処理ポットの上部土壌に施用し、5cmに深さまで、土壌中で十分混合した。その後、25日が過ぎたタマネギの苗木を各ポットに植えた。5つのポットに植えたタマネギの苗木を、タマネギの鱗茎の収穫または完全な発育までGAP(適正農業規範)で育てた。
【0204】
処理の詳細は下記の通りである:
T1-酸化亜鉛15%+酸化鉄(III)10%+ケイ酸マグネシウム水和物60%-WDG
T2-酸化亜鉛15%+酸化鉄(III)10%-WDG
【0205】
実験の詳細は、下記の通りである:
a)試験場所:Nasik(Maharashtra)
b)作物:タマネギ(品種 Nasik red)
c)実験季節:Rabi 2021-2022
d)試験設計:各処理で5つのポットによる乱塊法
e)繰返し:13
f)処理:7
g)ポットサイズ:上面直径20cm×底面直径15.5cm×高さ16.5cm
h)施用日:2021年11月22日
i)苗木を植えた日:2021年11月22日
j)施用方法:基肥(土壌施用)
k)収穫日:2022年3月2日
【0206】
栄養素の摂取に関する観察を、収穫時に記録し、平均データを表6A、6B、6Cに提示して、種々のpH条件での亜鉛、マグネシウム、および鉄の利用可能性を列挙した。
【0207】
【表10】
【0208】
【表11】
【0209】
【表12】
【0210】
表6Bおよび表6Cから、亜鉛および鉄は、同じ処理にも関わらず、即ち酸化亜鉛15%+酸化鉄(III)10%-WDGが同じ活性投与量の亜鉛および鉄で施用されたにも関わらず、土壌pHがアルカリ性である処理T2(表6A)で観察された場合と比較して、それぞれ酸性土壌および中性土壌pHの両方で施用されたとき、処理T2による摂取に適度に利用可能であることが示された。
【0211】
本発明の実施形態による酸化亜鉛15%+酸化鉄(III)10%+ケイ酸マグネシウム水和物60%-WDGでの処理T1が施用されたとき、亜鉛、マグネシウム、および鉄のような栄養素の摂取は、全ての土壌pH条件で比較的同じであることが見出されたことが、表6A、6B、および6Cからさらに観察された。表6Aの処理T1、T2に関して提示された結果を比較すると、亜鉛および鉄の摂取は、処理T2では観察されなかったアルカリ性のpHであるにも関わらずケイ酸マグネシウム水和物が酸化亜鉛15%+酸化鉄(III)10%-WDGの組成物に添加された処理T1(本発明の実施形態による)で実質的に増大するのが見出されたことを観察することは、さらに驚くべきことであった。
【0212】
したがって、本発明の実施形態による「水不溶性鉄塩、水不溶性亜鉛塩、および水不溶性マグネシウム塩」のWDG組成物は、同じpHでの鉄塩および亜鉛塩の二元混合物で観察されなかったアルカリpHであっても、鉄および亜鉛の著しく高い摂取を示すことが、示された。観察された結果から、本発明の実施形態により配合された組成物中の、即ち粒度が0.1ミクロンから20ミクロンである水分散性顆粒の形態をとる組成物中の、亜鉛および鉄と一緒のマグネシウムの存在により、マグネシウムが欠けた組成物、即ち処理T2では観察されなかったアルカリ性土壌での鉄および亜鉛の摂取が容易になると、理解することができる。
【0213】
さらに、本発明の実施形態による処理T1-WDGは、栄養素使用効率的であることが見出され、酸性、中性、ならびにアルカリ性pH土壌条件で、3種全ての栄養素の良好なアップデートを実証する。
【0214】
実験番号7:トマト作物において、多重栄養素の市販の水溶性粉末に対して本発明の組成物の効果を比較すること
【0215】
野外試験は、トマトにおける、市販の水溶性多重栄養素粉末、製品「SPIC Nourish」(Zn、Fe、Mn、B、Mg、Cuを含む)に対し、亜鉛、マグネシウム、鉄の水不溶性塩の組合せを含むWDG組成物の効果を比較するため、MaharashtraのNshikで商業的に栽培されたトマト畑で実施した。試験は、2022年1月から2022年5月の春季中に、未処理の対照を含む5つの処理による乱塊法(RBD)で計画された。定められた用量の本発明の組成物を、植えてから20日後に点滴灌漑で施用した。
【0216】
試験現場におけるトマト作物を、適正農業規範に従い育てた。品種Avinashのトマトの苗木を、試験現場で植えるのに使用し、列間120cmおよび植物間の間隔45cmで植えた。
【0217】
実験の詳細
a)試験場所:Nasik(MH)
b)作物:トマト-品種「Avinash」
c)実験季節:春季(2022年1月から2022年5月)
d)試験設計:乱塊法
e)繰返し:7
f)処理:3
g)プロットサイズ:8m×5m=40平方メートル
h)植えた日:2022年1月9日
i)施用日:2022年1月30日
j)施用方法:点滴システムによる土壌施用
【0218】
実験の詳細
a)試験場所:Nasik(MH)
b)作物:トマト-品種「Avinash」
c)実験季節:春季(2022年1月から2022年5月)
d)試験設計:乱塊法
e)繰返し:7
f)処理:3
g)プロットサイズ:8m×5m=40平方メートル
h)植えた日:2022年1月9日
i)施用日:2022年1月30日
j)施用方法:点滴システムによる土壌施用
【0219】
【表13】
【0220】
表7の処理T1から、本発明の実施形態により調製されたWDG組成物は、施用される組成物が市販の水溶性多重栄養素混合物である処理T2および未処理のプロットと比較して、より良好な収量を実証したことを、観察することができる。処理T1は、収量増加がわずか7.64%である処理T5と比較して、低減された投与量で施用されたにも関わらず、約31.56%の収量増加を示した。さらに、T1およびT2の施用によるトマトの実の重量は、それぞれ505g/植物および400g/植物であることが観察された。したがって、低減された投与量であっても、本発明の実施形態によるWDGの形態をとる「水不溶性鉄塩、水不溶性亜鉛塩、および水不溶性マグネシウム塩」の組合せは、市販の水溶性多重栄養素混合物の場合よりも、実の重量、実の収量に著しい改善を示すと結論付けることができる。
【0221】
実験8:伝統的な肥料慣習と比較して、本発明のWDG組成物の効果を研究すること
【0222】
野外試験は、タマネギ作物、品種:Kasturi 108に対し、Junagadh、Gujarat(インド)の石灰質土壌での伝統的な肥料慣習の施用の場合と共に、栄養素の利用可能性に対する本発明の組成物の効果を決定するため実施した。試験は、未処理の対照を含む3つの処理により、7回繰り返す、乱塊法(BRD)で計画された(laid down)。各処理ごとに、40平方メートル(8m×5m)のプロットサイズを維持した。
【0223】
土壌を、処理の施用前に、栄養素の利用可能性を評価するために分析し、観察内容は下記の通りである。
【0224】
【表14】
【0225】
実験の詳細は、下記の通りである:
a)試験場所:Junagadh(Gujarat)
b)作物:タマネギ(品種.Red Onion-11)
c)実験季節:Rabi 2021~2022
d)試験設計:各処理で5ポットの乱塊法
e)繰返し:7
f)処理:3
g)プロットサイズ:8m×5m=40平方メートル
h)施用日:2021年12月20日
i)苗木を植えた日:2021年12月20日
j)施用方法:基肥(土壌施用)
k)収穫日:2022年4月5日
l)土壌pH:8.35
【0226】
タマネギ作物での栄養素の利用可能性に関する観察を、収穫時に記録し、平均データを表8に示して石灰質土壌での本発明の組成物の効果を列挙する。
【0227】
【表15】
【0228】
表8から、本発明の実施形態により調製された処理T1-WDG組成物は、処理T2およびT3、即ちそれぞれ市販の水溶性NPK肥料、および水溶性の微量栄養素組成物を含む市販のNPK(Nutrifast、Stanes製)と比較して、ならびに未処理のプロット上とも比較して、石灰質土壌での栄養素のより良い摂取を実証したことを観察することができる。
【0229】
NPK、およびカルシウム、ホウ素、マンガンなどのその他の微量栄養素を含むNPKの施用慣習は、より高い施用投与量であっても、植物の栄養要件を満たさず、本発明の組成物で観察されたその他の栄養素と一緒に亜鉛、鉄、およびマグネシウムの適切な摂取も提供できないことが観察された。したがって、石灰質土壌で施用されるにも関わらず、本発明の実施形態によるWDGの形態をとる水不溶性鉄塩、水不溶性亜鉛塩、および水不溶性マグネシウム塩の組合せは、処理T2およびT3と比較して、即ち合成肥料混合物と比較して、植物に対する有意な栄養素利用可能性を示すことに、留意することができる。
【0230】
観察された結果から、本発明の実施形態により配合された組成物中の、即ち粒度が0.1ミクロンから20ミクロンの範囲にある水分散性顆粒の形態での、亜鉛および鉄と一緒のマグネシウムの存在により、石灰質土壌で鉄および亜鉛の摂取がなされるだけでなく、市販の水溶性NPK肥料および水溶性微量栄養素組成物を含む市販のNPK、即ち処理T2、T3では観察されなかったマンガン、カルシウム、ホウ素などを含むその他の微量栄養素も摂取されることを、理解することができる。本発明は、マグネシウム、亜鉛、および鉄のような必須栄養素の同化を容易にするだけでなく、主に報告されたCa-Mg、Ca-Fe、およびCa-Znの間での拮抗作用によりミネラルに富む石灰質土壌での摂取に利用可能ではなかった微量栄養素および微量の元素を解放して、植物による摂取で利用可能にすることも支援する。
【0231】
さらに、本発明の発明者らは、チリ、ヒヨコマメのようなその他の作物に関して、本発明のWDG組成物も試験した。本発明の組成物はさらに、麦わらの重量、植物の高さのような作物特性を高め、作物の栄養価も高めることが観察された。さらにそのような組合せが、作物の収量を改善するのをさらに助け、光合成を改善し、クロロフィル含量および作物による栄養の摂取を増加させてもよい。
【0232】
本発明の組成物は、野外での高められた、効果的な、および優れた挙動を実証することが観察された。本発明の組成物を通し、栄養素、肥料、または殺虫剤の施用回数または量が最小限に抑えられる。さらに本発明の組成物は、従来の公知の組成物と比較して、組成物の低減された施用投与量で、驚くほど高い野外効力を示す。組成物は、使用者におよび環境に非常に安全である。この新規な組成物は、植物の収量、全ての栄養素のバランスのとれた摂取、葉の低減した黄化、および植物の生理学的パラメーターを改善するのを助け、例えば発根を増大させ、群葉を改善し、耐病性を改善し、作物をさらに青々とさせて栄養に富む作物を提供するのを助ける。
【0233】
さらに、本発明による組成物に関連した様々な有利な性質は、改善された安定性、改善された毒性および/または生体毒性挙動、改善された作物特性であって作物の収量、作物の品質および特性を含むもの、ならびに当業者に馴染みのあるその他の利点を含むが、これらに限定されない。
【0234】
前述から、本発明の新規な概念の真の精神および範囲から逸脱することなく、数多くの修正および変形を有効にできることが、観察されることになる。例示される特定の実施形態に関する限定は、意図されるものではなくまたは推測されるべきではないことを、理解されたい。
【手続補正書】
【提出日】2023-04-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0143
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0143】
「相乗効果」は、コルビーS.R.(Colby S.R)の「Calculation of the synergistic and antagonistic responses of herbicide combinations」という名称の、Weeds,1967,15,p.20-22で1967年に公表された論文により定義される。2種の活性成分の所定の組合せに関して予測される作用は、下記の通り計算することができる:
E=X+Y+Z-(XY+YZ+XZ)/100+(XYZ)/10000
式中、
E=定められる用量での2種の生成物X、Y、およびZの混合物によって予測される効果%である。
X=生成物Aによる、観察された効果%
Y=生成物Bによる、観察された効果%
Z=生成物Cによる、観察された効果%
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0159
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0159】
【表3】
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0163
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0163】
表2に提示されたデータおよび行われた計算に基づいて、落花生カーネル収量で予測される増加パーセンテージは、32.07%および32.06%であることが見出された。しかしながら上記表2から、本発明の実施形態によるホウ酸亜鉛5%+ケイ酸鉄6%+酸化マグネシウム1%-WDGでの処理T4が、落花生カーネルの42.16%の収量増加を示し、ケイ酸亜鉛20%+フマル酸鉄30%+炭酸マグネシウム40%-WDG組成物による処理T8が、落花生カーネルの52.45%の収量増加を示すことを、明確に知ることができる。
【国際調査報告】