(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-12
(54)【発明の名称】自動化装置
(51)【国際特許分類】
B29C 65/20 20060101AFI20240705BHJP
B25J 15/08 20060101ALI20240705BHJP
【FI】
B29C65/20
B25J15/08 D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024501192
(86)(22)【出願日】2022-07-06
(85)【翻訳文提出日】2024-03-05
(86)【国際出願番号】 GB2022051739
(87)【国際公開番号】W WO2023281258
(87)【国際公開日】2023-01-12
(32)【優先日】2021-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(32)【優先日】2022-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524009657
【氏名又は名称】セルラー・オリジンズ・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル・ストレンジ
(72)【発明者】
【氏名】ポール・クリスプ
(72)【発明者】
【氏名】ピーター・クロスリー
(72)【発明者】
【氏名】マーティン・モットラム
(72)【発明者】
【氏名】エドウィン・ストーン
【テーマコード(参考)】
3C707
4F211
【Fターム(参考)】
3C707BS10
3C707CS04
3C707DS02
3C707ES03
3C707ET02
3C707NS07
4F211AD12
4F211AG08
4F211AM24
4F211TA01
4F211TC11
4F211TD07
4F211TH19
4F211TJ11
4F211TJ21
4F211TJ30
4F211TN07
4F211TQ13
(57)【要約】
第1のチューブを別のこのようなチューブに接合し、これによってそれを通る流体経路を形成するための自動化装置が、チューブと係合し、操作されるべき1つまたは複数の位置へとチューブを移動させるための手段と、チューブの一部を締め付け、これによってチューブの挟まれた部分を形成し、挟まれた部分の上流でチューブが流体封止されるようにするための手段と、挟まれた部分の下流でチューブの端部セクションを除去し、これによって、別のこのようなチューブにこれまで接触していなかった挟まれた部分内にチューブの新たな端部が形成されるようにするための手段と、チューブの新たな端部での挟まれた部分を別のこのようなチューブの対応する挟まれた部分と接合するための手段と、を含み、この装置はロボットデバイスのためのエンドエフェクタとして構成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のチューブを別のこのようなチューブに接合し、これによってそれを通る流体経路を形成するための自動化装置であって、
前記チューブと係合し、操作されるべき1つまたは複数の位置へと前記チューブを移動させるための手段と、
前記チューブの一部を締め付け、これによって前記チューブの挟まれた部分を形成し、前記チューブが前記挟まれた部分の上流で流体封止されるようにするための手段と、
前記挟まれた部分の下流で前記チューブの端部セクションを除去し、これによって、別のこのようなチューブにこれまで接触していなかった前記挟まれた部分内に前記チューブの新たな端部が形成されるようにするための手段と、
前記チューブの前記新たな端部での前記挟まれた部分を別のこのようなチューブの対応する挟まれた部分と接合するための手段と、
を含み、
前記自動化装置はロボットデバイスのためのエンドエフェクタとして構成されている、
自動化装置。
【請求項2】
前記エンドエフェクタは、外部電源から、これらの間に設けられた電気結合部を介して電力を受け取るように構成されている、請求項1に記載の自動化装置。
【請求項3】
可撓性チューブを操作するための自動化装置であって、
チューブと係合し、操作されるべき1つまたは複数の位置へと前記チューブを移動させるための手段と、
前記チューブの一部を締め付け、これによって前記チューブの挟まれた部分を形成し、前記チューブが前記挟まれた部分の上流で流体封止されるようにするための手段と、
前記挟まれた部分の下流で前記チューブの端部セクションを除去し、これによって、別のこのようなチューブにこれまで接触していなかった前記挟まれた部分内に前記チューブの新たな端部が形成されるようにするための手段と、
を含む、自動化装置。
【請求項4】
前記チューブの前記新たな端部での前記挟まれた部分を1つ以上の第2のチューブの対応する挟まれた部分と接合して、好ましくは前記チューブのそれぞれの前記新たな端部間に突合せ溶接部を形成するための手段をさらに含む、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記挟まれた部分を接合するための前記手段は、1つ以上のチューブの長手方向長さと同軸の方向に前記1つ以上のチューブを並進させるように構成されている、請求項1、2または4に記載の装置。
【請求項6】
前記チューブの一部を締め付けるための前記手段は、前記チューブの端部に向かって前記チューブの挟まれた部分を形成するように構成されている、請求項1から5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記チューブと係合するための前記手段は、前記挟まれた部分の下流で除去された前記チューブの前記端部セクションを保持するように動作可能である、請求項1から6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記チューブを締め付けるための前記手段は、前記チューブを封止するようにさらに構成されている、請求項1から7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記第1のチューブおよび/または前記第2のチューブが、前記チューブと係合するための前記手段に係合および/または位置合わせされているかどうかを判定するように構成されたセンサをさらに含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記別のこのようなチューブと一度接合された前記チューブを操作して、前記挟まれた部分を解放し、これによって前記接合されたチューブ間に流体経路を確立するための手段をさらに含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記装置は、前記チューブと係合するための前記手段、締め付けるための前記手段、除去するための前記手段、接合するための前記手段、および/または前記チューブを操作して前記挟まれた部分を解放するための前記手段の1つまたは複数の動作中、前記チューブとの係合を維持する、請求項1から10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記チューブを操作するための前記手段は、前記チューブの前記挟まれた部分の縁部を押し、これによって前記挟まれた部分を解放して前記溶接されたチューブを開き、これによって前記溶接されたチューブを通る流体経路を形成するように構成された自動化挟み解放機構を含む、請求項10に記載の装置。
【請求項13】
チューブの挟まれた部分を解放するための装置であって、前記チューブの前記挟まれた部分の縁部を押し、これによって前記挟まれた部分を解放して前記溶接されたチューブを開き、これによって前記溶接されたチューブを通る流体経路を形成するように構成された自動化挟み解放機構を含む、装置。
【請求項14】
前記自動化挟み解放機構は、前記チューブと係合して移動させるための前記手段および前記チューブの一部を締め付けるための前記手段の1つまたは複数の座部に対して前記チューブの前記挟まれた部分を圧縮するように構成されている、請求項12または13に記載の装置。
【請求項15】
前記自動化挟み解放機構は第1の解放要素および第2の解放要素を含み、前記第1の解放要素および前記第2の解放要素は、互いに接合されたときの前記第1のチューブおよび前記第2のチューブの前記新たな端部間の界面で前記チューブの前記挟まれた部分の両縁と係合するように構成されている、請求項12から14のいずれか一項に記載の装置。
【請求項16】
前記自動化挟み解放機構は、直線経路に沿って移動することによって、前記挟まれた部分の縁部を押すように構成されている、請求項12から15のいずれか一項に記載の装置。
【請求項17】
互いに接合されたときの前記第1のチューブおよび第2のチューブの前記新たな端部間の界面を引き伸ばして前記接合の完全性を検証するための手段をさらに含み、好ましくは接合するための前記手段は、引き伸ばすための前記手段を提供するようにさらに構成されている、請求項1、2または4に記載の装置。
【請求項18】
互いに接合されたときの前記第1のチューブおよび第2のチューブの前記新たな端部間の前記界面を視覚的に検査して、前記接合の完全性を検証するための手段をさらに含む、請求項1、2または4に記載の装置。
【請求項19】
チューブと係合するための前記手段は、一対のジョーを含むチューブ把持機構によって提供され、前記一対のジョーは、前記一対のジョーの間で前記チューブを受け取るための開構成と前記一対のジョーの間で前記チューブと係合するための閉構成との間で相対移動するように動作可能である、請求項1から12のいずれか一項または請求項14から18のいずれか一項に記載の装置。
【請求項20】
前記チューブの一部を締め付けるための前記手段も前記チューブ把持機構によって提供され、前記一対のジョーの前記閉構成は、前記一対のジョーの間で前記チューブを締め付けるように構成されている、請求項19に記載の装置。
【請求項21】
前記チューブ把持機構は、隣接して配置された複数対の把持要素を含み、各対の把持要素は第1の把持要素および第2の把持要素を含み、各対の把持要素は、前記開構成および前記閉構成間で移動するように構成されている、請求項20に記載の装置。
【請求項22】
隣接して配置された複数対の把持要素を含むチューブ把持機構であって、各対の把持要素は第1の把持要素および第2の把持要素を含み、前記第1の把持要素および前記第2の把持要素は、前記第1の把持要素および前記第2の把持要素の間でチューブを受け取るための開構成と前記第1の把持要素および前記第2の把持要素の間で前記チューブの一部と係合して締め付けるための閉構成との間で相対移動するように動作可能であり、各対の把持要素は、前記開構成および前記閉構成間で移動するように構成されている、チューブ把持機構。
【請求項23】
第1の対の把持要素および隣接する第2の対の把持要素が、前記チューブの端部セクションを除去するための(前記)手段をこれらの間で受け取るための間隙を提供するように離間している、請求項21または22に記載の装置または機構。
【請求項24】
第1の対の把持要素が、チューブの前記端部セクションの第1の部分と係合するように構成されてから、第2の対の把持要素が、前記チューブの前記端部セクションの隣接する第2の部分と係合するように構成され、これによって、前記チューブ内の流体を前記チューブの前記第1の部分から遠ざけてから前記チューブの前記第2の部分に向けて押し出し、それから、前記第1の対の把持要素の他方の側の前記チューブの前記端部セクションの一部を除去するように構成された前記チューブの端部セクションを除去するための(前記)手段が動作する、請求項21または22に記載の装置または機構。
【請求項25】
前記把持機構は、チューブの前記部分の異なる部分を締め付けながらチューブの前記部分の他の部分を解放するように制御可能である、請求項21から24のいずれか一項に記載の装置または機構。
【請求項26】
前記把持機構は、前記閉構成にある少なくとも一対の把持要素間でチューブの前記部分を保持するように制御可能である一方、少なくとも一対の異なる把持要素が前記開構成に移動してチューブの前記部分の一部を解放し、チューブの前記部分の前記一部が露出するようになっている、請求項25に記載の装置または機構。
【請求項27】
チューブの前記部分の前記解放されたまたは露出した部分を検査するための手段をさらに含む、請求項26に記載の装置または機構。
【請求項28】
前記チューブを操作して前記挟まれた部分を解放するための1つ以上の前記手段は、チューブの前記部分の前記解放されたまたは露出した部分を圧縮するように構成されている、請求項26または27に記載の装置または機構。
【請求項29】
前記把持機構の前記複数対の把持要素は、前記把持機構に対して、前記チューブの長手方向長さに実質的に垂直な方向に、係合されたチューブを移動させるように制御可能である、請求項21から28のいずれか一項に記載の装置または機構。
【請求項30】
請求項1から29のいずれか一項に記載の装置または機構を含む自動化および/またはロボットシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は自動化装置に関し、自動化装置は、たとえば、自動化細胞療法を実行するために使用される自動化バイオプロセシングシステムにおいて生体サンプル間の流体移送を容易にするために可撓性チューブを操作するために使用することができる。好ましい一実施形態において、本発明は、ロボットデバイスのためのエンドエフェクタとして構成することができる自動化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
出発点として小分子ではなく細胞を使用する治療が増えている。これらの生成物を製造するアプローチは、絶えず出現する新たな療法に対応するために急速に進化している。近年、多くの新たな種類の細胞療法の使用が増加してきた。1つの種類は自家細胞療法である。
【0003】
自家細胞療法は有望な種類の療法であり、これは、がんの治療から遺伝子欠損の修復に至るまで、臨床上および商業上の大きな可能性を有する。これらの療法は、患者から細胞を採取すること、数日から数週間かけて細胞を操作すること、そして細胞をその患者の体に再導入して治療効果を生み出すことを伴う。自家細胞療法中に実行されるステップはしばしば複雑であり、たとえば、典型的なCAR-Tプロセスは、凍結保存されたリューコパックで始まり、解凍、DMSOを除去するための洗浄、T細胞の濃縮、活性化、形質導入、増殖、濃縮、製剤のIVバッグへの充填、および凍結保存と、いくつかの他の中間洗浄ステップという一連のステップを伴い得る。現在まで、これらのプロセスは通常、高価な種類の5つのクリーンルームまたはアイソレータにおいて労働集約的な手動プロセスで実行されてきた。
【0004】
バイオプロセシングの複雑さのため、このような高度なクリーンルームにおいてステップを実行する必要性を除去する閉鎖システムを維持しながら、(細胞療法)プロセスを自動化することが望まれている。閉鎖システムとは、プロセスが周囲環境にさらされず、そのため、環境からの汚染物質の侵入、または同時に実行されている他のプロセスからの相互汚染があり得ないようなものである。これに対する解決策を提供しようとしてきたシステムもあるが、複雑な消耗要素を伴い、この消耗要素は、たとえば、消耗要素に流体接続されたチューブを介して、サンプルをすべての他の必要な処理ステーションに接続し、ポンプおよびバルブ調整を行って特定の順序でステップを実行することを可能にする。しかしながら、これらの消耗要素は製造および設置が非常に複雑であり、結果的に比較的高価であり、信頼性が低い可能性がある。各消耗要素は、実行されているプロセスに合わせて個別に調整する必要があり、システムの変更に対する柔軟性が低くなり、新たなプロセスに適応するのが高価になっている。さらに、通常これらのシステムによって一度に1つの消耗要素が稼働/操作され得るのみであるため、複数の患者で使用するためにスケールアップするにはバイオプロセスが高価になり、スペース効率が低くなる。しばしば、システムはまだ、完全なバイオプロセシング方法に要求されるすべてのステップを実行することができず、代わりに複数の隔離されたユニットが順番に操作されることがあり、これは、隔離されたユニット間で細胞(たとえば患者サンプル)を移送するために追加の労力および専門知識が要求されることを意味する。これにより相互汚染のさらなるリスクも生じ、汚染が発生していないことを検証する簡単な方法がない。
【0005】
チューブ間に無菌接続を形成する1つの方法は、半自動化機器を使用して手動で実行されるプロセスであるチューブ溶接である。無菌チューブ溶接機により、2つのチューブ間で端部を閉じて、いずれのチューブの内容物も環境にさらすことなく接続を行うことが可能になり、無菌チューブ溶接機は、単一のシステム内で閉じた接続を再利用可能に作成(たとえば再構成)する唯一の広く受け入れられた手段である。典型的なチューブ溶接デバイスでは、オペレータがまずデバイス内に2本のチューブを挿入して締め付ける。続いて、溶接機がチューブを切断し、互いに取り付けられるようにチューブを並べ(たとえば締め具の並進または回転によって)、そしてチューブが溶接されるようにこれらを互いに押し付ける。次いでオペレータがチューブを緩め、接続を検査し、そして手でチューブを挟んで、締め具によって形成されたよじれを除去し、これによって接合部を通して流体を流す。全体的に、溶接プロセスにはオペレータの時間が4分から7分かかり得る。
【0006】
しかしながら、既存のチューブ溶接システムにはいくつかの欠点がある。これらのシステムは通常、非常に複雑で、大きくて重く、製造施設では、製造プロセスまで移動させることができる台車にチューブ溶接機を載置することが一般的な実務である。台車に搭載されたチューブ溶接機にチュービングを運ばねばならないため、しばしば、各チューブ溶接作業中、ユーザによってチューブの大部分が廃棄される。さらに、従来のチューブ溶接システムは、単一のチューブを切断し、分離されたチューブの端部を後で確実に再封止するように追加構成されておらず、これは、チューブを切断するときに内容物の密閉を維持することができないということを意味し、別個の機器(RFチューブシーラ)が通常この機能のために使用される。
【0007】
加えて、自動化細胞療法プロセスでは、各療法について数百の溶接を、そのいずれも失敗することなく実行せねばならない。個別の溶接についての成功率が99%であっても、たとえば連続して実行されれば、百の溶接について成功率は33%にすぎない。したがって、このようなプロセスにおいて許容可能な99.9%の成功を達成するには、個々の溶接の成功率が99.999%でなければならない。1つの選択肢は、プロセスによって要求されるチューブ溶接作業の数を最小化しようとすることであり、実際、細胞療法製造のための機器システムの設計に関するISO 23565規格によれば、「汚染のリスクを低減するため、チューブ溶接のようなプロセス内接続の数が最小化されるように、機器を設計および利用すべきである」。しかしながら、このアプローチは、信頼性の低いチューブ溶接の問題を回避するのみであり、したがって、多くの療法を実行することができる、そして好ましくは複数の療法を同時に実行することができる、柔軟な自律的バイオプロセシングシステムを促進するものではない。
【0008】
したがって、手動のチューブ溶接システムを自動化することは、最初は非現実的であるように思われる。特に、長い可撓性チューブを溶接機に正しく挿入すること、溶接機からチューブを正しく除去すること、そして溶接後にチューブにおけるよじれを除去することには、正確な手動操作が要求される。既存のシステムでは、溶接が成功したか確認するために、各溶接が形成された後、オペレータによる目視検査も要求され、既存のチューブ溶接機では通常チューブを溶接機から除去して検査するが、溶接が成功していなければ、これは周囲またはチューブの内容物の汚染につながる可能性がある。
【0009】
複数の接続および切断を伴う細胞療法プロセスに使用するために十分信頼できるであろう方法でこれらのステップを自動化することは、まだ進んでいない。実際、上で議論した問題は、バイオプロセシングシステムのような、信頼性および汚染の問題が重要であるシステム内で特に明らかである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、流体および細胞材料の密閉移送を可能にするため、無菌チューブ溶接部を形成する信頼できる方法の必要性があり、理想的にはこの方法は、このようなシステムにおいて操作が無菌雰囲気内で行われるか非無菌雰囲気内で行われるかに関係なく、無菌性を維持すること/消耗品および患者サンプルの汚染を防止することができる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
第1の態様によれば、可撓性チューブを操作するための(たとえば第1のチューブを第2のチューブ/別のこのようなチューブに接合し、これによってそれを通る流体経路を形成するための)自動化装置が本明細書に開示され、自動化装置は、(第1の)チューブと係合し、操作されるべき1つまたは複数の位置へと(第1の)チューブを移動させるための手段と、(第1の)チューブの一部を締め付け、これによって(第1の)チューブの挟まれた部分を形成し、挟まれた部分の上流で(第1の)チューブが流体封止されるようにするための手段と、挟まれた部分の下流で(第1の)チューブの端部セクションを除去し、これによって、別のこのような(または第2の)チューブにこれまで接触していなかった挟まれた部分内に(第1の)チューブの新たな端部が形成されるようにするための手段と、を含む。
【0012】
各チューブは、たとえば、(細胞材料の)細胞サンプル、試薬または流体を含む「消耗品」に流体接続することができ、これによって各消耗品はチューブの「上流」端に流体接続され、チューブの「上流」端はチューブの「下流」(反対)端への流体導管を提供し、チューブの「下流」(反対)端は、別のこのような(第2の)チューブに接続されていないとき、挟まれた部分によって流体封止されている。本明細書で言及するとき、「消耗品」は好ましくは、たとえば、この装置を使用して、細胞療法プロセスにおいて処理されるように意図されている、前記細胞サンプル、試薬または流体の「容器」を意味する。本明細書で使用するとき、「係合する」という用語は好ましくは、オペレータが装置内にチューブを正確に配置する必要性なくチューブを把持することを指す。
【0013】
好ましい一実施形態において、この装置は、自動化エンドエフェクタとして、より好ましくはロボットデバイスのためのエンドエフェクタとして構成することができる。有利には、このように装置をエンドエフェクタとして構成することによって、装置は、係合されるべきチューブに向かって移動し、溶接されるべき消耗品の近くのチュービングと係合して長い可撓性チューブ長さの必要性を低減することができる。これにより自動化の課題が大幅に軽減されるとともに、チュービング内に含まれるデッド容積の減少という点でバイオプロセシングシステム全体に利益がもたらされる。好ましくは、エンドエフェクタは、外部電源から、これらの間に設けられた電気結合部を介して電力を受け取るように構成されている。外部電源を設けることによって、自動化装置およびエンドエフェクタの大きさおよび重量を減少させることが可能である。
【0014】
本明細書で使用するとき、「ロボットデバイス」という用語は好ましくは、特定の機械的機能を実行するようにプログラムされた自動化機械またはデバイスを意味し、この用語は好ましくは、ロボット、協働ロボット(コボット)、x-yまたは直角座標ロボット、ロボットアーム、および、1つまたは複数のロボットエンドエフェクタも含み得る、1つまたは複数のアクチュエータを含み、通常1つまたは複数のセンサ、マイクロプロセッサおよび電源も含むことになる。「エンドエフェクタ」という用語は好ましくは、たとえば上述したような、任意のタイプの「ロボットデバイス」の一部を形成することができるツール、マニピュレータまたは同様のデバイスを意味する。
【0015】
この装置は、(第1の)チューブの新たな端部での挟まれた部分を第2のチューブ/別のこのようなチューブの対応する挟まれた部分(たとえば対応する新たな端部での)と接合するための手段をさらに含むことができる。2つのチューブ(すなわちそれぞれの端部)は互いに接合されて好ましくは2つのチューブの間に突合せ溶接部を形成する。接合するための手段は、第1のチューブの挟まれた部分を第2のチューブの挟まれた部分に押し込み、これによって突合せ溶接部を形成するように構成することができる。
【0016】
好ましくはチューブの端部セクションを除去するための手段は、その(または各)チューブの前記挟まれた部分を切断するように構成された加熱された切断要素を含み、これによって前記チューブの新たな端部での挟まれた部分を溶解し、まだ溶解されている間に(すなわちチューブの材料が冷えて固まる前に)互いに接合されたときのチューブの端部間に突合せ溶接部を形成することができるようになっている。切断要素は、加熱されるように構成されているブレード、リボン、またはワイヤを含むことができる。好ましくは、切断要素は、銅ウェハを含むブレードである。加熱された切断要素は、所定の期間チューブを切断および/または溶解するように構成することができ、かつ/または所定の熱プロファイルを有することができる。加熱された切断要素がチューブを切断するために使用される場合(別のこのようなチューブに続いて再接続することなく)、加熱された切断要素は、異なる所定の期間チューブを切断および/または溶解するように構成することができ、かつ/または異なる所定の熱プロファイルを使用することができる。換言すれば、2つのチューブの接続のための熱プロファイルは2つのチューブの切断のための熱プロファイルとは異なり得る。
【0017】
好ましくは、挟まれた部分を接合するための手段は、その(または各)チューブの長手方向長さと同軸の方向にその(または各)チューブを並進させるように構成されている。このように、この装置は、その長さに沿った1つの位置でチューブと係合し、その長さに沿った異なる位置でチューブを締め付けることができ、これによりチューブの端部セクションの長さを除去前に最小化することが可能になり、これによって無駄になるチュービングの量が減少する。さらに、空間内の固定されたまたは所定の場所(たとえばチューブが対応する容器に接続する場所)でチューブと係合し、次いで、接合するための手段がチューブの端部に到達するまで、チューブを並進させることが好ましいことがあり、これにより、装置が空間内の任意の位置でチューブと係合する必要がなくなるため、チューブと係合する際の装置の信頼性を増加させることができる。
【0018】
好ましくは、(第1の)チューブの一部を締め付けるための手段は、(第1の)チューブの端部に向かって(第1の)チューブの挟まれた部分を形成するように構成されている。このように、除去されるチュービングの量を低減することができ、これによって無駄になるチュービングの量が減少する。
【0019】
好ましくは(第1の)チューブと係合するための手段は、挟まれた部分の下流で除去された(第1の)チューブの端部セクションを保持するように動作可能である。有利には、これにより、廃棄された下流チュービングの長さが装置の周りに蓄積し、これによりその動作を妨げることを防止することができる。除去された端部セクションを保持することによって、この装置は、特定の所定の場所に端部セクションを配置するように構成することができる。
【0020】
好ましくは、(第1の)チューブと係合するための前記手段は、(第1の)チューブを別のこのような(または第2の)チューブと揃え、それぞれ、各チューブの端部セクションの除去によって形成された、各チューブの新たな端部が共通の平面を共有するように、たとえば第1のチューブおよび第2のチューブが隣接して配置されるようにするように構成されている。好ましくは、第1のチューブおよび第2のチューブは、第1のチューブまたは第2のチューブの一方が反転されるように、たとえば第1のチューブの「下流」端が第2のチューブの「上流」端に向かって延在する、またその逆になるように、配置されている。
【0021】
チューブを締め付けるための手段は、チューブを封止するようにさらに構成することができる。たとえば、切断プロセス中にチューブの封止を提供すること(加熱された切断要素によって提供される封止に加えて)が有利であり得る。端部セクションが廃棄される前のような接続プロセス中にチューブ(好ましくは下流「端」セクション)を封止することが有利であり得る。加えて、接合が成功していなければ、チューブを緩めて再溶接する前に完全に封止することができ、これによって汚染のリスクが減少する。締め付け手段でチューブを封止することによって、チューブはより広い領域にわたって封止され、これによってチューブのより堅牢な封止を提供することができる。締め付けるための手段は、一度締め付けられたチューブを溶解する熱源を含むことができ、これによって締め付けられたチューブを熱封止する。熱源は抵抗素子であってもよく、またはRF源のような電磁源であってもよい。
【0022】
この装置は、第1のチューブおよび/または第2のチューブが、チューブと係合するための手段に係合および/または位置合わせされているかどうかを判定するように構成されたセンサをさらに含むことができる。センサは、チューブの係合および/または位置合わせを視覚的に検査するためのカメラを含むことができる。センサは、機械的センサ、圧力センサ、容量性センサ、または係合するための手段においてチューブの存在および/または位置を判定することができる任意の適切なセンサまたはセンサの組み合わせを含むことができる。
【0023】
好ましくは、この装置は、前記別のこのようなチューブと一度接合されたチューブを操作して、挟まれた部分を解放し、これによって接合されたチューブ間に流体経路を確立するための手段をさらに含む。このように、流体は接合されたチューブも通過することができ、対応する容器間での流体の制御された移送が可能になる。
【0024】
この装置は、チューブと係合するための手段、締め付けるための手段、除去するための手段、接合するための手段、および/またはチューブを操作して挟まれた部分を解放するための手段の1つまたは複数の動作中、チューブとの係合を維持することができる。有利には、装置がチューブのいずれかまたは両方を解放および再係合することなく、第1のチューブを第2のチューブに接合することができる。これにより接合動作のどの部分の間でもチューブの位置ずれのリスクが低減される。たとえば、プロセス全体を通して係合を維持することによって、チューブの挟まれた部分を、チューブを操作して挟まれた部分を解放するための手段と再整列させる必要がなくなり得る。
【0025】
より好ましくは、チューブを操作するための手段は、チューブの挟まれた部分の縁部を押し、これによって挟まれた部分を解放して溶接されたチューブを開き、これによってそれを通る流体経路を形成するように構成された自動化挟み解放機構を含む。
【0026】
第2の態様によれば、チューブの挟まれた部分を解放するための装置が本明細書に開示され、この装置は、チューブの挟まれた部分の縁部を押し、これによって挟まれた部分を解放して溶接されたチューブを開き、これによってそれを通る流体経路を形成するように構成された自動化挟み解放機構を含む。
【0027】
本明細書で使用するとき「自動化挟み解放機構」という用語は好ましくは、いかなるオペレータの介入もなく機能することができる機構を意味し、より具体的には、オペレータは、挟まれた部分を(直接的または間接的に)押すことが要求されず、好ましくは特定の挟まれた部分を解放するために挟み解放機構を開始または誘発する必要がない。本明細書で使用するとき、「挟まれた部分の縁部」は、一度締め付けるための手段によって挟まれたまたは平らにされた後のチューブの対向する2つの側の間の境界(または「折り目」)を指す。挟み解放機構を自動化することによって、チューブ溶接作業全体を完全に自律的に完了することができる。自動化挟み解放機構はロボットデバイスのエンドエフェクタ上に配置することができ、これは、上述した同じエンドエフェクタおよびロボットデバイスであってもよく、または別個のエンドエフェクタおよび/または別個のロボットデバイスであってもよい。
【0028】
次の任意選択の特徴を第1の態様または第2の態様のいずれか(または両方)の装置に適用することができる。
【0029】
好ましくは、挟み解放機構は、チューブと係合して移動させるための手段およびチューブの一部を締め付けるための手段の1つまたは複数の座部に対してチューブの挟まれた部分を圧縮するように構成されている。このように座部は、挟み解放機構の使用中にチューブを押す対向力を提供する。加えて、座部は、チューブの挟み解除中および/または装置の他の動作中、チューブの位置合わせを維持することができる。
【0030】
好ましくは、挟み解放機構は第1の解放要素および第2の解放要素を含み、第1の解放要素および第2の解放要素は、互いに接合されたときの第1のチューブおよび第2のチューブの新たな端部間の界面でチューブの挟まれた部分の両縁と係合するように構成されている。チューブと係合するための手段によってチューブが完全に解放されると、第1の解放要素および第2の解放要素はチューブを把持(係合)することができる。
【0031】
挟み解放機構は、直線経路に沿って移動することによって、挟まれた部分の縁部を押すように構成することができる。このように、挟み解放機構は、溶接部を損傷する可能性がある剪断またはねじり力をチューブに加えることなく、挟まれた部分を解放することができる。好ましくは、直線経路は、チューブを締め付けるための手段によってチューブが締め付けられる方向に対して垂直である。
【0032】
好ましくは、この装置は、互いに接合されたときの第1のチューブおよび第2のチューブの新たな端部間の界面を引き伸ばして(たとえばそれぞれのチューブに張力を加えてこれらをゆっくりと引き離して)接合の完全性を検証するための手段をさらに含み、好ましくは接合するための前記手段は、引き伸ばすための前記手段を提供し、これによって品質管理または品質保証(QC)チェックを実行するようにさらに構成されている。
【0033】
好ましくは、この装置は、互いに接合されたときの第1のチューブおよび別のこのような(または第2の)チューブの新たな端部間の界面を検査して、たとえば接合の完全性を検証し、これによって品質管理または品質保証(QC)チェックを実行するための手段(たとえばマシンビジョンシステム)をさらに含み、前記接合は好ましくは突合せ溶接である。締め付けるための手段は、検査中、接合の少なくとも片側、好ましくは両側で、締め付けられたチューブを閉じた状態に保ち、これによって、接合の完全性が検証されるまで、閉鎖システムを維持するように構成することができる。この装置は、接合の検査中、締め付けるための手段に対して固定された場所で接合を保持するように構成することができ、このように、検査前に接合部を損傷するリスクが低減され、チューブの上流および下流セクション間で流体が移動するリスクが低減される。界面を検査するための手段は、第1のチューブおよび/または第2のチューブが、チューブと係合するための手段に係合および/または位置合わせされているかどうかを判定するように構成されたセンサを提供することもできる。あるいは、界面を検査するため、そして係合および位置合わせを検証するため、別個のセンサを設けることもできる。
【0034】
好ましくは、チューブと係合するための手段は、一対のジョーを含むチューブ把持機構によって提供され、一対のジョーは、一対のジョーの間でチューブを受け取るための開構成と一対のジョーの間のチューブのための閉構成との間で相対移動するように動作可能である。チューブの一部を締め付けるための手段もチューブ把持機構によって提供することができ、一対のジョーの閉構成は、一対のジョーの間でチューブを締め付けるように構成されている。ジョーの閉構成を使用してチューブを締め付ける場合、開構成と閉構成との間の位置を使用してチューブと係合することができる。あるいは、締め付けるための手段は他の方法で提供されてもよく、かつ/またはチューブと係合するための手段とは異なる把持機構によって提供されてもよい。
【0035】
より好ましくは、チューブ把持機構は、隣接して配置された複数対の把持要素を含むことができ、各対の把持要素は第1の把持要素および第2の把持要素を含み、各対の把持要素は、前記開構成および閉構成間で移動するように構成されている。
【0036】
第3の態様によれば、隣接して配置された複数対の把持要素を含むチューブ把持機構が本明細書に開示され、各対の把持要素は第1の把持要素および第2の把持要素を含み、第1の把持要素および第2の把持要素は、第1の把持要素および第2の把持要素の間でチューブを受け取るための開構成と第1の把持要素および第2の把持要素の間でチューブの一部と係合して締め付けるための閉構成との間で相対移動するように動作可能であり、各対の把持要素は、前記開構成および閉構成間で移動するように構成されている。
【0037】
本明細書で使用するとき、「把持する」または「把持している」という用語は、文脈に応じて、軽く把持すること(たとえばチューブの係合または操作のため)およびきつく把持すること(たとえば溶接作業のためにチューブを締め付けてまたは挟んで閉じること)の両方を意味することができる。前記開構成および閉構成間の中間位置で各対の把持要素を動作させることができるということが理解されよう。
【0038】
次の任意選択の特徴を第1の態様または第2の態様(または両方)の装置または第3の態様の機構に適用することができる。
【0039】
好ましくは、チューブ把持機構は、対向する対の把持要素間に配置されているときにチューブに当接する座部を含む。このように、座部は、把持機構に配置されたときのチューブの位置合わせを維持することができる。これは、対向する対の把持要素間で同じ方法でチューブが常に係合されて締め付けられることを意味し、これによってチューブ間の接合の一貫性および信頼性が向上する。
【0040】
好ましくは、対向する対の把持要素の両方が移動するように構成され、チューブが開構成および閉構成間で移動する間中、中心に留まることができるようになっており、これにより、把持されたかつ/または締め付けられたときのチューブの一貫した位置合わせを保証することができる。
【0041】
好ましくは、把持要素の少なくとも1つを対応するカムによって移動させる。カムを使用して把持要素を作動させることにより、把持要素のより信頼できる正確な配置が可能になり得る。
【0042】
好ましくは、第1の対の把持要素および隣接する第2の対の把持要素が、チューブの端部セクションを除去するための前記手段を第1の対の把持要素および隣接する第2の対の把持要素の間で受け取るための間隙を提供するように離間している。このように、端部セクションを除去するための手段(たとえば切断ブレード)のためのスペースを作るために、これらの対の把持要素を調整する必要がない。
【0043】
好ましくは、第1の対の把持要素が、チューブの端部セクションの第1の部分と係合するように構成されてから、第2の対の把持要素が、チューブの端部セクションの隣接する第2の部分と係合するように構成され、これによって、チューブ内の流体をチューブの第1の部分から遠ざけてからチューブの第2の部分に向けて押し出し、それから、第1の対の把持要素の他方の側のチューブの端部セクションの一部を除去するように構成されたチューブの端部セクションを除去するための(前記)手段が動作する。加えて、または代わりに、前記間隙に近い第1の対の把持要素が、前記間隙から遠い第2の対の把持要素より前にチューブを締め付けるように構成され、これによって、チューブの端部セクションを除去するための手段の動作に先立って、チューブの締め付けられた部分から流体を除去する。このようにチューブの締め付けられた部分から流体を除去(または「圧送」)することによって、流体損失が減少し、流体が溶接プロセスを妨げる可能性が少なくなる。これにより、湿式溶接(すなわちまだいくらかの液体を収容するチューブ間の溶接)を作成するときの装置または機構の信頼性が増加する。
【0044】
好ましくは、把持機構は、チューブの前記部分の異なる部分を締め付けながらチューブの前記部分の他の部分を解放するように制御可能である。たとえば、隣接する対向する対の把持要素は、いくつかの部分が把持され(係合されまたは締め付けられ)、他の部分が解放されるように、前記開構成および閉構成間の異なる中間位置にあってもよい。さらに、隣接する対向する対の把持要素は、異なる時間に(たとえば所定の順序で)開閉することができる。換言すれば、複数の対向する対の把持要素は互いに位相をずらして移動することができる。これは、それぞれの対向する対の把持要素を別個のカムで作動させることによって達成することができ、各カムは隣接するカムに対して回転方向にずれている。
【0045】
有利には、チューブの部分の一部を選択的に把持しながら他の部分を解放することができる把持機構を設けることによって、把持機構は徐々にチューブと係合し、チューブを束ねるのではなくまっすぐにすることができる。好ましくは、把持機構は、閉構成にある少なくとも一対の把持要素間にチューブの部分を保持するように制御可能である一方、少なくとも一対の異なる把持要素が開構成に移動してチューブの前記部分の一部を解放し、チューブの前記部分の前記一部が露出するようになっている。この装置または機構は、チューブの前記部分の前記解放されたまたは露出した部分を検査するための手段をさらに含むことができる。このように、チューブの上流部分を接合部から隔離したまま、溶接が成功したかどうかを判定することが可能であり、これによってチューブの内容物が周囲にさらされることを防止することができる。これにより、装置または機構からチューブを除去することなく接合部を検査することも可能になり、これにより、チューブを再係合する必要なく直ちにチューブを再度締め付けて再溶接することが可能になる。
【0046】
好ましくは、チューブを操作して挟まれた部分を解放するための手段は、チューブの前記部分の前記解放されたまたは露出した部分を圧縮する(たとえば圧縮力を加える)ように構成されている。このように、チューブを装置または機構から完全に解放することなく、そしてチューブと再係合する必要なく、挟まれた部分を解放することが可能であり得る。このように常に溶接の同じ部分に作用するように挟み機構を構成することができるため、これにより実質的に信頼性を向上させることができ、挟みの解除に先立ってチュービングがねじれる、または他の方法で移動するリスクが実質的に減少する。
【0047】
好ましくは、把持機構の複数対の把持要素は、把持機構に対して、チューブの長手方向長さに実質的に垂直な方向に、係合されたチューブを移動させるように制御可能である。このように、第1のチューブと第2のチューブ(たとえば第2の把持機構に保持されている)との間の距離は、対応する端部セクションを除去する前および/または除去した後に変更することができ、これにより、両チューブを同時に切断するために、より小さなブレードを使用することが可能になり得る。これにより、チューブが互いに接近しているために誤って溶接されることも防止することができ、好ましくは、溶接中、第1のチューブは第2のチューブから少なくとも4mm離れている。加えて、これにより、端部セクションが除去された後にチューブを位置合わせおよび接合するのにかかる後続の時間を短縮することができ、これにより溶接の品質を向上させる(たとえば互いに接合されるときチューブが高温になることを保証する)ことができる。
【0048】
好ましくは、チューブを操作して挟まれた部分を解放するための前記手段は、隣接する把持要素間に設けられた間隙、たとえば、チューブの端部セクションを除去するための前記手段をその間に受け入れるための間隙の間でチューブと係合するように構成されている。チューブの端部セクションを除去するための手段は、チューブを操作して挟まれた部分を解放するための手段を提供することもでき、たとえば、加熱されたブレードを使用してチューブの端部セクションを除去する場合、挟まれた部分を解放するために間隙を通る前にブレードを冷却することが可能になる。
【0049】
第4の態様によれば、本明細書に記載のいずれかの装置または機構を含む自動化および/またはロボットシステムが本明細書に開示される。ロボットシステムは1つまたは複数のロボットデバイスを含むことができる。
【0050】
本明細書に記載の装置または機構のいずれも、自動化エンドエフェクタ、たとえばロボットデバイスのためのロボットエンドエフェクタとして構成することができる。
【0051】
本明細書で使用するとき、「自動化システム」という用語は好ましくは、自動化によって操作および/または制御されるシステムを意味し、この用語は好ましくは次の、ロボットデバイス、コンベヤ、容器と係合および/または容器を移動するように構成された1つまたは複数のアクチュエータ、または実際には、システム内の容器および/またはチューブを移動および/または操作することができるこれらの特徴の任意の組み合わせの、1つまたは複数を含む。
【0052】
本明細書で使用するとき、「バイオプロセシング」という用語は好ましくは、自家および同種細胞療法のような細胞療法、ならびに、たとえば、ワクチンおよび(小バッチ)バイオプロセスを含む。
【0053】
本明細書で使用するとき、「無菌接続」という用語は好ましくは、接続されるそれぞれの容器の内容物が周囲空気または雰囲気にさらされない接続を意味する。「無菌接続」という用語は、たとえば「密閉接続」または「滅菌接続」と同等に呼ぶことができる。
【0054】
本明細書で使用するとき、「流体」という用語は好ましくは液体および/または気体を意味し、その中に含まれる細胞材料のような材料をさらに含むことができる。
【0055】
本明細書に記載の任意の装置の特徴を方法の特徴として提供することができ、そしてその逆も可能であることが、当業者によって理解されよう。本明細書に記載の任意の態様において記載および定義されたさまざまな特徴の特定の組み合わせを独立して実装および/または供給および/または使用することができるということも理解されよう。
【0056】
また、本発明は単に例として本明細書に記載されており、本発明の範囲内で詳細の変更を行うことができるということが理解されよう。さらに、本明細書で使用するとき、いずれの「ミーンズプラスファンクション」の特徴も、その対応する構造の観点で代替的に表現することができる。
【0057】
添付の図面を参照して、単に例として、1つまたは複数の実施形態を次に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【
図1】自動化(バイオプロセシング)システムの概略図である。
【
図2a】本発明によるエンドエフェクタを備えたロボットアームを含む装置の一実施形態を示す図である。
【
図2b】
図2aのエンドエフェクタの破断(内面)図である。
【
図3a】可撓性チューブを操作するさまざまな段階での
図2のエンドエフェクタの破断図である。
【
図3b】可撓性チューブを操作するさまざまな段階での
図2のエンドエフェクタの破断図である。
【
図3c】可撓性チューブを操作するさまざまな段階での
図2のエンドエフェクタの破断図である。
【
図3d】可撓性チューブを操作するさまざまな段階での
図2のエンドエフェクタの破断図である。
【
図3e】可撓性チューブを操作するさまざまな段階での
図2のエンドエフェクタの破断図である。
【
図3f】可撓性チューブを操作するさまざまな段階での
図2のエンドエフェクタの破断図である。
【
図3g】可撓性チューブを操作するさまざまな段階での
図2のエンドエフェクタの破断図である。
【
図3h】可撓性チューブを操作するさまざまな段階での
図2のエンドエフェクタの破断図である。
【
図3i】可撓性チューブを操作するさまざまな段階での
図2のエンドエフェクタの破断図である。
【
図3j】可撓性チューブを操作するさまざまな段階での
図2のエンドエフェクタの破断図である。
【
図3k】可撓性チューブを操作するさまざまな段階での
図2のエンドエフェクタの破断図である。
【
図3l】可撓性チューブを操作するさまざまな段階での
図2のエンドエフェクタの破断図である。
【
図3m】可撓性チューブを操作するさまざまな段階での
図2のエンドエフェクタの破断図である。
【
図4a】
図3のエンドエフェクタの破断背面図である。
【
図4b】エンドエフェクタの複数のジョーを制御するように構成された一組のカムを示す図である。
【
図4c】エンドエフェクタの複数のジョーを制御するように構成された一組のカムを示す図である。
【
図5a】可撓性チューブを切断するさまざまな段階での
図2および
図3のエンドエフェクタのジョーを形成する把持要素を示す概略図である。
【
図5b】可撓性チューブを切断するさまざまな段階での
図2および
図3のエンドエフェクタのジョーを形成する把持要素を示す概略図である。
【
図5c】可撓性チューブを切断するさまざまな段階での
図2および
図3のエンドエフェクタのジョーを形成する把持要素を示す概略図である。
【
図5d】可撓性チューブを切断するさまざまな段階での
図2および
図3のエンドエフェクタのジョーを形成する把持要素を示す概略図である。
【
図5e】可撓性チューブを切断するさまざまな段階での
図2および
図3のエンドエフェクタのジョーを形成する把持要素を示す概略図である。
【
図5f】可撓性チューブを切断するさまざまな段階での
図2および
図3のエンドエフェクタのジョーを形成する把持要素を示す概略図である。
【
図6a】エンドエフェクタを通してチューブを長手方向に移動させるエンドエフェクタの把持要素を示す概略図である。
【
図6b】エンドエフェクタを通してチューブを長手方向に移動させるエンドエフェクタの把持要素を示す概略図である。
【
図6c】エンドエフェクタを通してチューブを長手方向に移動させるエンドエフェクタの把持要素を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0059】
例示的なバイオプロセシングシステム1が
図1に示されている。システム1は、バイオプロセシングのための処理ステップを実行するように構成された一連(たとえば「複数」)の処理ステーション20と、プロセス(の少なくとも一部)を自動化するための(自動化)システムと、を有する。
【0060】
この例示的なシステム1において、処理ステーション20は、解凍ステーション4、遠心分離機6、磁気細胞分離器8、コントローラレート冷凍庫10、および冷蔵庫11を含むが、システム1によって実行される特定のプロセスに応じて、処理のための追加および代替のステーション20(図示せず)を設置することもできる。
【0061】
処理ステーション20は、濃縮ステーション、凍結保存ユニット、洗浄ステーション、細胞濃縮ステーション、細胞増殖ステーション、細胞選択ステーション、細胞数、細胞生存率もしくは細胞タイプを判定するためのステーション、または任意の他の適切な処理または分析ステップのためのステーションの任意の組み合わせを含むことができる。システム1はまた、灌流下を含めて、一度に複数の消耗品13を収容および培養するのに十分な大きさのインキュベータ12を有する。
【0062】
たとえば、インキュベータ12は、20個の消耗品13を保管することが可能であり、約37℃で動作することができるが、消耗品13の数は、実行されるべき特定のバイオプロセシングのニーズを満たすように選択することができる。各消耗品13は、細胞サンプル、試薬または流体を含むことができ、各消耗品13はチューブ(150、図示せず)の第1の「上流」端に接続し、第1の「上流」端はチューブ150の第2の「下流」端につながり、第2の「下流」端は未接続(または「自由」)のとき流体封止されている。したがって、本明細書で言及するとき、「消耗品」は「容器」の形態とすることができ、容器はたとえば細胞療法プロセスにおいて処理されるべき細胞材料を保持することができる。
【0063】
特定のバイオプロセスが始まる前に、消耗品13および試薬のすべてをシステム1に事前装填することができるが、要求されればプロセス全体にわたって(たとえば10日間の療法プロセスの7日目に)追加の試薬を追加することができる。追加の試薬は、細胞の再活性化のため、またはたとえば消耗品13に追加の培地を追加するために要求されることがある。
【0064】
バイオプロセシングワークフローによって特定のバイオプロセスを定義することができ、好ましくはいくつかのバイオプロセシングワークフローを実行するようにシステム1を構成することができる。たとえば、システム1は、複数の患者サンプルについて同じバイオプロセシングワークフローを並行して実行することができ、または複数の患者サンプルについて異なるバイオプロセシングワークフローを並行して実行することができる。各バイオプロセシングワークフローは、システム1における処理ステーション20の異なるサブセットを使用することができる。好ましい一実施形態において、システム1は、濃縮、洗浄およびインキュベーションプロセスを実行するステーション20を含む。
【0065】
システム1は、1つまたは複数の消耗品13を一連の処理ステーション20のそれぞれに設置するように、そしてステーション20間で消耗品13を移動させるように構成された自動化システムを含む。自動化システムは、さまざまなステーション20間で消耗品13を移動させることができるロボットデバイス2を含み、消耗品13のそれぞれに接続しているチューブ150(たとえば流体導管)を操作することができる。
【0066】
ロボットデバイス2はレール18上に搭載することができ、これによりロボットデバイス2がステーション20のようなシステム1のすべての領域にアクセスすることが可能になる。ロボットデバイス2は、工場のフロアを自律的に移動してバイオリアクタからのサンプリングのようなタスクを実行することができるように、自律移動ロボット上に搭載することもできる。ロボットデバイス2は協働ロボット(「コボット」)として構成することができる。ロボットデバイス2は、たとえば、XYもしくは直角座標ロボット、またはガントリ上のロボットであってもよい。ロボットデバイス2は、ここに示すように、消耗品13およびチューブ150を操作するためのロボットアーム3を有することができ、またはコンベヤベルト、1つまたは複数のアクチュエータ、または上の態様の任意の組み合わせを含むことができる。
【0067】
自動化システムは、第1の消耗品13と分離可能な第2の消耗品との間の流体接続を操作し、これによって、第1の消耗品13と第2の消耗品13との間の流体または細胞材料の制御された移送を可能にする無菌接続部を作成するように構成されている。ここで、ロボットデバイス2を使用してチューブ150間の流体接続部を形成(または操作)し、別個の消耗品13を互いに接続することができるようにする。
【0068】
2つのチューブ150間の接続は好ましくはチューブ溶接機のような装置によって実行され、この装置は処理ステーション20の1つに配置することができる。この装置は、たとえば、ロボットアーム3上および/またはXYもしくは直角座標ロボットまたはガントリにおけるロボット上に配置されたエンドエフェクタ100として構成することができる。この装置(たとえばエンドエフェクタ100)は、「マニピュレータ」もしくは「ツール」、またはより一般的には「チューブ接続手段」と同等に呼ぶことができる。本明細書に記載のチューブ接続手段(たとえばエンドエフェクタ100)の任意の特徴を静的チューブ溶接装置として実装することができ、静的チューブ溶接装置はバイオプロセシングシステム1の一部を形成することができ、または装置の別個の部品として提供することができるということが理解されよう。別個のチューブ150間の接続は、消耗品13およびチューブ150の内容物がいかなる段階でも決して開かず、または周囲空気もしくは雰囲気にさらされないように、無菌的に行われる。
【0069】
流体接続も再構成可能であり、要求されるバイオプロセシング方法を実行するため、一度互いに接合された2つの別個のチューブ150を、必要に応じて何度でも後で切断して異なる消耗品13に再接続することができるようになっている。換言すれば、自動化システムは、流体または細胞材料の移送が完了した後に切断することができる無菌接続部を作成し、第1の消耗品と分離可能な第3の消耗品との間でさらなるこのような流体接続部を操作することが可能になるように構成されている。好ましくは、チューブ150に沿って前の接続とは異なる位置で後続の接続が行われる。上記のように、接続および切断の両方の間、消耗品13およびそのそれぞれのチューブ150は、その内容物が周囲空気または雰囲気に決してさらされず、流体および/または細胞材料の制御された移送が、それぞれのチューブ150を介して互いに接続されている消耗品13の間でのみ生じるようになっている。結果として、ステーション20、消耗品13、またはロボットデバイス2の周りに無菌雰囲気を有することが厳密には要求されないが、オペレータによるアクセスを防止するため、かつ/または無菌雰囲気を提供する、または他の方法で、たとえば、温度、光レベルまたは他の条件を制御することによって、環境を制御するために、筐体14を設けることができる。
【0070】
システム1は好ましくは、ロボットデバイス2が2つの消耗品13をそれぞれのチューブ150を介して接続することに成功した後、チューブ150に沿って流体を圧送するように構成された圧送ユニット(図示せず)も有する。圧送ユニットはロボットアーム3上に配置されてもよく、または圧送を行うためにロボットアーム3によってチューブ150が配置されるステーション20の1つに配置される静的構成要素であってもよい。圧送ユニットが好ましいが、たとえば重力によって、または滅菌フィルタを介したガスの添加によって、流体および細胞材料の移送を行うこともできる。
【0071】
対処されねばならない次の課題から理解されるように、チューブ溶接プロセスを自動化することは簡単なことではない。実際、最初はチューブ溶接が自動化と両立しないように見えるいくつかの理由がある。
【0072】
第1に、チューブ溶接には長い可撓性チューブの取り扱いが要求され、長い可撓性チューブを自動化装置が取り扱うのは非常に困難である。特に、可撓性チュービングは、たとえばロボットデバイスによって、一度移動すると、明確に定義された決定的な場所内に常に留まるとは限らず、チューブの係合、位置合わせおよび配向が困難になる。特に、人間の介入なしに可撓性チュービングを自由空間で係合してチュービングをチューブ溶接機に自動装填することは非常に困難である。一端で拘束された、十分に長い可撓性チューブの端部が他方で操作されるとき、チューブによって定義される経路には、チューブにおける内部応力に依存して、拘束された端部と操作される端部との間の経路が何を占めることになるかについて多数の非一意的な解決策があることになる。このようなシステムには多くの自由度がある。このような用途は人間にとっては理想的であるが、自動化には非常に困難であり、したがって通常は人間のオペレータに任せられる。さらに、溶接強度はチューブの正確な配置および圧縮に非常に依存するため、ロボットによるチュービングの係合に誤差があると、溶接の失敗につながる可能性がある。したがって、既存のチューブ溶接装置を単純に採用し、それをロボットエンドエフェクタ上で自動化してチューブと係合することは実現可能ではなかった。
【0073】
第2に、典型的なチューブ溶接機の大きさおよび重量により、これらはロボットアームのためのエンドエフェクタに組み込むのが非常に不適切になっている。典型的なチューブ溶接機の重量は少なくとも2.5kgであり、通常は5kgより重い。バイオプロセシングシステムでの使用に適したロボットアームは通常、重いペイロード(たとえば5kgより重い)を取り扱うことができるように設計されていないため、エンドエフェクタの重量を担持するために使用されるいかなる許容重量でも、バイオプロセスシステムにおけるチューブおよび他の物体を操作するとき、ロボットデバイスの有効性が制限される可能性がある。さらに、典型的なチューブ溶接機は通常、長さが30cmを超える大きさであり、自動化バイオプロセシングシステムに組み込まれると、エンドエフェクタは、バイオプロセシングシステムにおけるチュービングおよび他の機器と係合するために比較的小さい必要がある。
【0074】
第3に、チューブ溶接作業には多数のステップが要求され、これらステップはすべて確実に完了されねばならず、そしていかなる手動介入もなしに完全に自動化されねばならない。これは、チュービングと係合する(上で議論したように)、チューブの存在を検出する、流体のない領域においてチュービングを締め付ける、チューブを溶接する、チューブの挟みを解除する、かつ溶接の品質管理(QC)を実行するための特徴を、エンドエフェクタが含まねばならないことを意味する。前述したように、チューブを溶接機に正しく挿入すること、チューブを溶接機から正しく除去すること、そして溶接後にチューブにおけるよじれを除去することには、正確な手動操作が要求される。
【0075】
図2aに示すロボットデバイス2を参照して、第1のチューブ150aを別のこのようなチューブ150bに接合し、これによってそれを通る流体経路を形成するための自動化装置100の好ましい一実施形態を次に説明する。この例示的な実施形態において、ロボットデバイス2は、前記装置100を提供するように構成されたエンドエフェクタ100を備えたロボットアーム3を含む。加えて、または代わりに、装置100は、2つのチューブ150間の流体無菌接続部を操作し、これによってそれを通る流体経路を形成するのに適していると説明することもできる。
【0076】
エンドエフェクタ100の内部構成要素が
図2bの破断図に示されている。エンドエフェクタ100は、それぞれのチューブ150a、150bを把持するための2つの把持機構110a、110bを有する。エンドエフェクタ100は、チューブ150a、150bの内側と周囲との間の封止を維持しながら(すなわちチューブおよび消耗品13の内容物が雰囲気にさらされない)、第1のチューブ150aと第2のチューブ150bとを互いに流体接続するように構成されている。各チューブ150a、150bは、それぞれの消耗品13(図示せず)に流体接続することができる。
【0077】
本明細書で使用するとき、「上流」という用語は、それぞれの消耗品13に向かうチューブ150a、150bに沿った方向を指す。同様に、「下流」という用語は、チューブ150a、150bの「自由」端に向かうチューブ150a、150bに沿った方向を指す。第1の把持機構110aおよび第2の把持機構110bは、処理ステーション20間で消耗品13を移動させることのような、細胞療法プロセスにおける他のステップを実行するために使用することもできる。後でより詳細に説明するように、エンドエフェクタ100はまた、切断面141(図示せず)に沿って移動することができるブレードアーム145に取り付けられ、これによってチューブ150a、150bを切断する、ブレード140を含む。切断が行われるとき、チューブ150a、150bは、好ましくは、互いに平行に、そして切断面141に対して垂直に配向される。チューブ150a、150bに平行な方向は、長手方向と呼ぶことができる。
【0078】
図3aから
図3mを参照して、エンドエフェクタ100の動作を次に詳細に説明する。
図3aおよび
図3bに示すように、第1の把持機構110aは第1のジョー112aおよび第2のジョー114aを有する。同様に、第2の把持機構110bは第1のジョー112bおよび第2のジョー114bを有する。ジョー112、114は、これらの間でそれぞれのチューブ150a、150bを把持するように動作可能である。「締め付ける」または「係合する」という用語を使用して、ジョー112、114間でチューブ150a、150bを把持することを指すこともできる。
【0079】
把持機構110a、110bが2つのチューブ150a、150bを互いに接合(たとえば突合せ溶接)するように動作するとき、チューブ150a、150bを挟んで完全に閉じるように、把持機構110a、110bのそれぞれによって形成されたジョー112a、114a、112b、114bの間で、これらをきつく把持する、またはきつく「締め付ける」ことができる。他方、チューブ150a、150bは、バイオプロセシングシステム1の内側で操作されているとき、流体がチューブ150a、150bの把持領域を依然として通過することができるように、把持機構110a、110bのジョー112a、114a、112b、114bの間で代わりに軽く把持または「係合」することができる。
【0080】
各把持機構110のジョー112、114はそれぞれ、複数の把持要素115(本明細書では「フィンガ要素」または「フィンガ」とも呼ぶ)を含むことができ、複数の把持要素115は、チューブ150を把持するように個別に作動させることができる。対向する一対の把持要素115をしたがって、一対の前記ジョー112、114を形成するものと呼ぶことができる。一対のジョー112、114は、複数の対向する対の把持要素115をさらに含むことができる。ジョー112、114上の把持要素115は互いに隣接して配置され、これによって一対のジョー112、114を形成する隣接する把持要素115の「アレイ」を提供することができる。
図3aから
図3mに示すように、ジョー112、114の各対は、5つの対向する対の把持要素115を含む。しかしながら、任意の数の対向する対の把持要素115を使用することができるが、好ましくは、各把持機構110は、切断面141の両側に配置された少なくとも一対の対向する把持要素115を含む。たとえば、切断面141の各側に一対のみの対向する把持要素115が設けられていれば、別個の把持ユニット(図示せず)を使用してチューブ150a、150bと係合および/または操作してこれらを装置100上の一対のジョー112、114の間に配置することができる。
【0081】
対向する各対の把持要素115は、把持要素115a、115bがチューブ150a、150bを挟む、または「締め付ける」閉構成と、チューブ150a、150bが把持要素115a、115bによって受容または解放される開構成と、の間で移動可能である。対向する各対の把持要素115は、チューブ150を挟んで閉じることなくそれと係合するように、開構成および閉構成間の任意の位置に移動させることができる。
【0082】
図3aにおいて、チューブ150a、150bはそれぞれ、それぞれの把持機構110の一対のジョー112、114の間に配置されているが、ジョー112、114はまだチューブ150a、150bを把持するように作動していない。換言すれば、対向する対の把持要素115a、115bのすべてが「開構成」にある。エンドエフェクタ100は第1のベースプレート102および第2のベースプレート104を含む。エンドエフェクタ100はまた第1の搭載プレート106および第2の搭載プレート108を含むことができ、第1の搭載プレート106および第2の搭載プレート108はベースプレート102、104に対して移動することができる。第1の把持機構110aは第1の搭載プレート106に搭載され、第2の把持機構110bは第2の搭載プレート108に搭載されている。後述するように、エンドエフェクタ100の部品を作動させるように、モータまたは他のアクチュエータをベースプレート102、104または搭載プレート106、108に搭載することもできる。あるいは、エンドエフェクタ100のアクチュエータおよび他の部品を、その全体的な動作に影響を及ぼすことなく他の場所に搭載することもできる。エンドエフェクタ100の配向はロボットアーム3によって変更することができる。たとえば、
図2aおよび
図2bは、チューブ150a、150bを水平に保持するエンドエフェクタ100を示す一方、
図3aから
図3lは、チューブ150a、150bを鉛直に保持するエンドエフェクタ100を示す。
【0083】
図3bはエンドエフェクタ100を通る断面を示す。チューブ150がブレード140によって切断されることになる切断面141が、点線を使用して示されている。第1の把持機構110aおよび第2の把持機構110bは両方とも、切断面141の両側に一対の対向する把持要素115を有する。換言すれば、両把持機構110a、110bは、切断面141の両側に、第1のジョー112a、112bおよび第2のジョー114a、114bのそれぞれからの少なくとも把持要素115a、115bを有する。隣接する把持要素115間の空間は、ブレード140がその間を通過するための間隙を許容するため、切断面141の両側に配置された把持要素115、115’の方が、切断面141の同じ側に配置された把持要素115より大きくなり得る。
図3iを参照して後でさらに詳細に説明するように、リフティング機構120を使用して、この間隙を増減させることができる。
【0084】
本実施形態において、各対のジョー112、114上に、それぞれのチューブ150a、150bのための切断面141の下流に配置されている1つの把持要素115a’、115b’があり、これらの把持要素115a’、115b’を、以降、「下流」把持要素115a’、115b’と呼ぶことができる。本実施形態は、ジョー112、114のそれぞれに、切断面141の「上流」に配置されている4つの対向する対の把持要素115a、115bを有し、これらの把持要素115a、115bを、以降、上流把持要素115a、115bと呼ぶことができる。一対のジョー112、114を形成する異なる数の上流把持要素115a、115bおよび/または下流把持要素115a’、115b’が、把持機構110a、110bのいずれかまたは両方にあってもよい。
【0085】
以降「把持要素」を「フィンガ」と呼び、チューブ150と接触するフィンガ115の領域を「指先」と呼ぶことができる。任意選択で、指先は、フィンガ115の残りから除去することができ、フィンガ115の全体を交換することなく洗浄することができるようになっている。これを可能にするため、任意の適切な解放可能なコネクタを使用して、指先を差したり、フィンガ115の残りの部分から抜いたりすることができる。加えて、フィンガ115の長さを増加させて、指先からそれぞれの把持機構110の残りへの汚染物質の侵入を低減することができる。フィンガ115によって把持されたときのチューブ150の位置ずれに対応するためのより大きな開口を作成するため、フィンガ115の可動範囲を増加させることもできる。
【0086】
図3cおよび
図3dは、それぞれ、閉構成および開構成にある対向する一対のフィンガ115によって形成された一対のジョー112、114を示す。フィンガ115のそれぞれは、近位端115-1、指先が配置されている遠位端115-2を有し、両フィンガ115は、近位端115-1と遠位端115-2との間に配置された共通のピボット115-3を中心に回転する。作動機構がフィンガ115を閉構成および開構成間で移動させる。この実施形態において、作動機構は、対向する一対のフィンガ115の近位端115-1の間に配置されたカム116を含む。フィンガ115は、ばね117のような弾性部材117を使用してカム116に向かって弾性的に付勢することができ、カム116がフィンガ115の近位端115-1と接触したままになるようになっている。
【0087】
図3cに示す位置において、カム116は、弾性部材117の力に対抗してフィンガ115の近位端115-1を互いに遠ざけるように押している。このように、フィンガ115の遠位端115-2は、ピボット115-3を中心とする回転を介して閉構成へと互いに向かって押される。カム116が
図3dに示す位置にあるとき、フィンガ115の近位端115-1は互いに向かって移動し、これによって、ピボット115-3を中心とする回転を介して、フィンガの遠位端115-2を開構成へと互いに遠ざけるように移動させる。フィンガ115を開構成および閉構成間の任意の構成に移動させることができるように、カム116を任意の中間位置に回転させることができる。このように、対向する一対のフィンガ115は、閉構成においてチューブ150を完全に締め付けることができ、または開構成においてチューブ150を完全に解放することができ、または中間構成でチューブ150を軽く把持もしくは係合することができる。カム116は、たとえば、モータ118を使用して回転駆動することができる。
【0088】
フィンガ115のいずれかまたは両方は、フィンガ115間に配置されているときにチューブ150に当接するように配置された座部115-4を有することができる。このように、フィンガ115が開構成から閉構成に移動するとき、これらの間の同じ位置でチューブ150が一貫して把持されるように、「基準」または「データム」が提供される。座部115-4が開構成および閉構成の両方においてチューブ150に接触することを保証するため、フィンガ115は、
図3cおよび
図3dにおいて点線によって示すように、互いに重なるように構成されている。加えて、対向するフィンガ115の両方が、カム116の回転中、同時に移動することができ、これは、チューブ150が開構成および閉構成間の移動全体を通して中心に留まることができるということを意味する。これにより、チューブ150がフィンガ115間で一貫して位置合わせされることが保証される。
【0089】
対向する対のフィンガ115のそれぞれは、上述したような作動機構を使用して動作することができる。対向する各対のフィンガ115は別個のカム116を使用して作動するため、対向する対のフィンガ115のそれぞれは、所定の方法で他の対のフィンガ115から独立して動作(たとえば開閉)することができる。換言すれば、各対のフィンガ115は別個のカム116によって駆動されるため、一対のフィンガは、他の(たとえば隣接する)対のフィンガ115とは異なる時間で(たとえば所定の順序で)開閉するように(それぞれのカム116の配置を介して)制御することができる。各対のフィンガ115が開閉する順序は、対向する各対のフィンガ115を制御する別個のカム116が共通のモータ118によって制御されるため、事前構成および固定することができる。少数の(たとえば3)対のフィンガ115で、これら(たとえば3)の対応するカム116はこれらの間で、各対のフィンガ115の「オンザフライ」の個別制御を可能にするのに十分な数の休止点を提供することができる。これは、他の対のフィンガ115が閉構成にある一方、開構成にある対応する一対のフィンガ115に対応するカム116上の休止点まで、これらすべてを制御する共通のモータ118を回転させることによって達成することができる。このような個別の制御は、要求される可能な開構成/閉構成、および結果的に休止点の数が増加するため、対のフィンガ115(およびしたがって対応するカム116)の数が増加するにつれて、より困難になる。
【0090】
開構成および閉構成間の各対のフィンガ115の運動は、たとえば、線形ねじまたは線形アクチュエータを使用することによって、または個別のサーボでフィンガ115を直接移動させることによって、他の方法で作動させることができる。代替の一実施形態(図示せず)において、フィンガ115を線形アクチュエータによって置き換えることができる。
【0091】
次に、
図3eを参照して、把持機構110a、110bによるチューブ150a、150bの締め付けを説明する。動作中、第1のジョー112および第2のジョー114のフィンガ115のそれぞれが、上述の作動機構を使用して互いに向かって移動し、これによってそれぞれのチューブ150を絞って締め付ける。任意選択で、作動機構はまず第1のジョー112および第2のジョー114を中間構成に移動させて、チューブ150と係合するが締め付けないようにして、チューブ150をバイオプロセシングシステム1において操作することができるようにする。チューブ150が把持機構110a、110bによって均一に挟まれるように、チューブ150に接触する指先のそれぞれの部分は好ましくは平坦な表面を有する。
【0092】
対向する対のフィンガ115は好ましくは、チューブ150を把持するとき、同時に移動せず、すなわち独立して移動することができる。上流の対のフィンガ115をまず移動させることができ、切断面141に最も近いフィンガ115で始まり、切断面141から最も遠いフィンガ115で終わる。続いて、下流の対のフィンガ115’を移動させることができる。複数対の下流フィンガ115’がある実施形態において、これらを切断面141に最も近いもので始めて移動させることもできる。このように、チューブ150に含まれるいかなる流体もチューブ150の把持された部分から除去し、代わりに消耗品13に向かって押すことができる。これにより、いかなる流体の損失も防止され、流体が溶接プロセスを妨げることが抑制される。任意選択で、消耗品13に向かって流体を上流に圧送するように、圧送ユニットを動作させることができる。これは、チューブ150が切断面141で空であることを保証するのに役立つことができ、これは、チューブ150を挟まれ閉じられたままにするのに役立つ。
【0093】
図3eにおいて、チューブ150aが上述のプロセスの途中で示されており、第1の把持機構110aのフィンガ115aのそれぞれが異なる位置にある。特に、下流フィンガ115a’はまだ開いており、上流フィンガ115aは移動している途中である。チューブ150bは、締め付けプロセスが完了した後が示されており、第2の把持機構110b上のすべてのフィンガ115b、115b’が互いに向かって完全に作動している。この位置において、チューブ150bは完全に挟まれて閉じられ、把持された部分を流体が通過することができないようになっている。チューブ150a、150bの締め付けは同時に実行されてもよく、または異なる時間で実行されてもよい。たとえば、ロボットアーム3は、チューブ150の一方を締め付けるようにエンドエフェクタ100を移動させてから、チューブ150の他方を締め付けるようにエンドエフェクタ100を移動させることができる。両チューブ150が把持機構110a、110bの両方の第1のジョー112と第2のジョー114との間に既に存在すれば、締め付けを同時に行うことができる。
【0094】
任意選択で、ロボットデバイス2は、力センサ、トルクセンサ、および/またはコンプライアンスセンサ(図示せず)を含み、溶接前にチューブ150a、150bに予荷重がかかっていないことを保証する。これらのセンサの1つまたは複数を、ロボットアーム3において、エンドエフェクタ100において、または把持機構110a、110bの一方または両方内に配置することができる。たとえば、力が所定の値(10ニュートンのような)を超えている、またはチューブ150がねじれていると、力/トルク/コンプライアンスセンサが判定すれば、測定された力が溶接に適したレベルになるまで、把持機構110a、110bは、チューブ150a、150bの一方または両方を解放および再把持することができる。カメラ(図示せず)および処理ユニット(図示せず)を含むことができるマシンビジョンシステムを使用して、チューブ150a、150bが係合されているかどうかを確認することもできる。
【0095】
図3fにおいて、チューブ150a、150bを互いに近づけるように、第2の把持機構110bを第1の把持機構110aに向かって移動させることができる。換言すれば、チューブ150a、150bは、チューブ150a、150bの長手方向に対して実質的に垂直な方向に移動する。この例において、第1のカム132-1(
図4aに見える)の回転により、第2の搭載プレート108がピボット(図示せず)を中心に回転し、これによって第2の把持機構110bを第1の把持機構110aに向かって移動させる。第2の搭載プレート108は、第2の搭載プレート108を回転させる第1のカム132-1に向かってばね134によって付勢され、これらの間の接触を維持している。この例において、第1の把持機構110aは静止している。あるいは、第1の把持機構110aを第2の把持機構110bに向かって移動させてもよく、または両把持機構110a、110bを互いに向かって移動させてもよい。他の実施形態において、把持機構110a、110bのいずれも移動しない。
【0096】
第2の把持機構110bの第1のジョー112bおよび第2のジョー114bは両方とも第2の搭載プレート108に搭載されているため、これらはその相対位置を変えることなく同時に移動する。このように、チューブ150a、150bは、挟まれて閉じられ、移動中、互いに平行なままである。第1のストッパ130a(
図3iに見える)が第1の把持機構110aの第2のジョー114a上の下流フィンガ115a’に取り付けられている。第2のストッパ130bが第2の把持機構110bの第1のジョー112b上の下流フィンガ115b’に取り付けられている。第1の把持機構110aが第2の把持機構110bに対して移動すると、第1のストッパ130aは第2の搭載プレート108に当接する。同様に、第2のストッパ130bは第1の搭載プレート106に当接する。このように、第2の把持機構110bは常に第1の把持機構110aから一定の所定の距離に移動する。
【0097】
続いて、ブレード140を300℃と400℃との間に加熱して、ブレード140を滅菌および脱パイロジェンすることができる。ブレード140またはブレード140と接触している搭載ブロック142は、抵抗加熱を使用して加熱することができ、ブレード140および/または搭載ブロック142における抵抗要素に電力が供給される。
【0098】
あるいは、ブレード140は別個の熱源によって加熱することができ、またはたとえばレーザヒータを通して直接接触せずに加熱することができる。ブレード140は、チューブ150を切断するために使用される前に部分的に冷却されてもよい。ブレード140を加熱するための電源および/または変圧器は、エンドエフェクタ100の重量および大きさを低減するため、エンドエフェクタ100の外側(たとえば外部)に配置することができる。たとえば、電源および/または変圧器はロボットシステム2における他の場所に配置することができ、ワイヤを使用して電力をエンドエフェクタ100に伝達することができる。この電力を使用して、エンドエフェクタ100のアクチュエータまたはモータのような他の構成要素を動作させることもできる。この実施形態において、エンドエフェクタ100の重さは1.8kgほどとすることができ、寸法は20cm掛ける10cmほどとする(たとえばこの「設置面積」を有する)ことができ、これによって既存のチューブ溶接機の大きさおよび重量が実質的に改善される。
【0099】
チューブ150a、150bを切断するためのブレード140の移動は多くの方法で作動させることができる。この実施形態において、
図3fは、前述した把持機構110a、110bの動作に影響を及ぼさない後退位置にあるブレードアーム145を示す。ブレードアーム145は、第1のベースプレート102の外面上に延在する第1のエンドプレート143を含む。ブレードアーム145はまた、第2のベースプレート104の外面上に延在する第2のエンドプレート(図示せず)を含むことができる。第2のエンドプレートの作動および運動は第1のエンドプレート143の作動および運動に対応することができ、したがって詳細には説明しない。
【0100】
第1のベースプレート102上には、第1のエンドプレート143におけるスロット143-2内へ延在するピン143-1がある。このように、第1のエンドプレート143はピン143-1を中心に回転することができ、スロット143-2の方向に第1のベースプレート102に対して平行に並進することができる。リンクアーム144がロッド144-1によって第1のエンドプレート143の近位端に枢動可能に結合されている。ロッド144-1は、リンクアーム144におけるスロット144-4を通って第1のベースプレート102におけるスロットまたは溝144-2内へ延在することができる。スロットまたは溝144-2は、特定の経路に沿ったロッド144-1の運動を制限する輪郭を有することができる。
【0101】
モータ146(
図4aに見える)によって、そして好ましくはギアボックス147を介して駆動されると、リンクアーム144はシャフト144-3を中心に回転し、スロット144-2の湾曲部分を通してロッド144-1を移動させる。この運動により第1のエンドプレート143が最初にピン143-1を中心に回転し、これによってブレードアーム145が旋回して、搭載ブロック142およびブレード140がチューブ150a、150bに隣接して配置されるようになる。リンクアーム144が回転し続けている間、ロッド144-1はスロット144-2の直線部分を通って移動する。これにより第1のエンドプレート143が直線方向に移動し、ピン143-1が第1のエンドプレート143におけるスロット143-2を通って移動する。これにより第1のエンドプレート143およびブレードアーム145が並進し、ブレード140が切断面141に沿って移動して、チューブ150a、150bと交差する。ブレードアーム145の最終位置が
図3gに示されており、矢印はブレードアーム145の上述の運動を示している。
【0102】
結果として、第1のチューブ150aは、消耗品13に接続している上流セクション150aと、チューブ150aの端部を先に形成していた下流セクション150a’と、に切断することができる。同様に、第2のチューブ150bは、消耗品13に接続している上流セクション150bと、チューブ150bの端部を先に形成していた下流セクション150b’と、に切断することができる。このように、下流セクション150a’、150b’の除去によって形成された、上流部分150a、150bの新たな端部は、共通の平面を共有する。
【0103】
ブレード140は、ブレード140の温度を迅速に変化させることが可能になるように熱伝導率が高い銅ウェハとすることができる。ブレード140は、溶接ごとに清潔な表面を確保するために各チューブ溶接作業間で交換することができる。ブレード140を交換するため、搭載ブロック142または他の場所にウェハのカートリッジを配置することができる。あるいは、ブレード140を材料のリボンによって提供することができ、各溶接作業後にリボンの新しい部分を所定の位置に移動させることができるようになっている。
【0104】
図3hにおいて、上流フィンガ115a、115bは、チューブ150a、150bの上流セクションを長手方向に並べるように移動している。こうするため、第2の搭載プレート108を回転させる第1のカム132-1(図示せず)が回転し続け、これによって第2の搭載プレート108および第2の把持機構110bを第1の把持機構110aに向かって押す。ストッパ130bが第1の搭載プレート106に当接することにより、第2の把持機構110bの下流フィンガ115b’のさらなる運動が防止されるが、上流フィンガ115bは移動し続けることができる。
【0105】
結果として、第2のチューブの上流セクション150bは第2のチューブの下流セクション150b’との位置合わせから外れ、第1のチューブの上流セクション150aと位置合わせされる。これが起こると、ストッパ130a(
図3iに見られる)が第2の搭載プレート108に当接するため、第1の把持機構110aの下流フィンガ115a’も押されて、第1のチューブの下流セクション150a’が第1のチューブの上流セクション150aとの位置合わせから押し出されるようになる。
【0106】
ブレード140はチューブ150a、150b間に留まり、これによって熱源からの熱を伝達してチューブ150a、150bの新たな端部を溶解する。ブレード140は、チューブ150a、150b間に所定の期間保持することができ、所定の熱プロファイルを有することができる。所定の期間および所定の熱プロファイルは、チューブ150a、150bが後続の溶接のために十分に溶解されるが、チューブ150a、150bに含まれる生物学的材料を破壊する、またはチューブ150a、150bの構造的完全性を損なうほど熱くならないように、選択することができる。
【0107】
赤外線カメラまたは赤外線レーザを閉ループにおいて使用して、チューブ150a、150bの端部が溶接に適した温度に達していること、および均一な温度に達していることを確認することができる。あるいは、温度を監視するため、サーミスタ、熱電対、または測温抵抗体(RTD)を、ブレード140、搭載ブロック142または熱源のような構成要素上に搭載することができる。代わりに、または加えて、ブレード140の温度を検出および制御するため、抵抗要素の抵抗を直接測定することができる。
【0108】
図3hに描くように、チューブ150a、150bの下流部分150a’、150b’を把持する下流フィンガ115a’(図示せず)、115b’は、所定の場所に留まることができる。任意選択で、上流チューブ150a、150bが下流チューブ150a’、150b’に誤って溶接されることを防止するため、下流フィンガ115a’、115b’を上流フィンガ115a、115bから遠ざけるように移動させることができる。上流チューブ150a、150bが誤って下流チューブ150a’、150b’に溶接されたら、チューブ150を分離するために要求される力によって上流チューブ150a、150b間の溶接が裂ける可能性がある。これを防止するため、チューブ150は好ましくは少なくとも4mm離れて保持される。
【0109】
続いて、上流フィンガ115a、115bと下流フィンガ115a’、115b’との間からブレード140を除去することができる。
図3iに見られるように、リフティング機構120を作動させて第2の把持機構110bの上流フィンガ115bを第1の把持機構110aの上流フィンガ115aに向かって移動させることができる。この位置は「上昇」位置と呼ぶことができる。下流フィンガ115a’、115b’もリフティング機構120によって移動させることができる。この移動により第2のチューブ150bの上流部分150bが第1のチューブ150aの上流部分150aに押し込まれる。好ましくは、チューブ150a、150bの端部が接触したときまだ溶融しているように、リフティング機構120はブレード140の除去後十分にすぐに作動する。リフティング機構120は、第2の把持機構110bの上流フィンガ115bを第1の把持機構110aの上流フィンガ115aに向かって押す任意のタイプのアクチュエータとすることができる。たとえば、線形アクチュエータまたはねじ機構を使用して、上流フィンガ115a、115bのいずれかまたは両方のセットを互いに向かって移動させることができる。フィンガ115a、115bは、たとえば、連続的に、または一連の所定の移動で移動するように構成することができる。
【0110】
この実施形態においてリフティング機構120は、エンドエフェクタ100の第2のベースプレート104に搭載されたリフティングパッド120である。
図4aに関連して後述するように、モータ135によって作動すると、リフティングパッド120は第2のベースプレート104および第1の把持機構110aの上流フィンガ115aに対して回転することができる。リフティングパッド120の回転は、カム機構を通して第2の搭載プレート108の線形運動に変換することができる。上流フィンガ115bが第2の搭載プレート108に搭載されているため、第2の搭載プレート108の線形運動により第2の把持機構110bの上流フィンガ115bが第1の把持機構の上流フィンガ115aに向かって移動する。ばね122を使用してリフティングパッド120をその初期位置に戻すことができる。加えて、リフティングパッドがその初期位置に戻ると、ばね124(
図4aに見える)が上流フィンガ115a、115bを互いに離れるように付勢することができる。たとえば、ばね124は第2の搭載プレート108を第2のベースプレート104に向かって付勢することができる。
【0111】
このように、溶接が成功したかどうかを判定するため、第2の把持機構110bの上流フィンガ115bに対する第1の把持機構110aの上流フィンガ115aの位置を監視することができる。たとえば、第2の搭載プレート108がその初期位置に戻ったとセンサ(図示せず)が判定すれば、溶接はばね124からの力に打ち勝つほど強くはなく、したがって不成功である。他方、溶接がばね124の力に対抗して第2の搭載プレート108をその「上昇」位置に保持するのに十分な強さであれば、溶接は成功である。
【0112】
リフティング機構120は同等に第1のベースプレート102に搭載されてもよく、代わりに第1の搭載プレート106の線形運動を介して第1の把持機構110aの上流フィンガ115aを移動させてもよい。他の実施形態において、第1のベースプレート102および第2のベースプレート104の両方に別個のリフティング機構120を搭載することができる。搭載プレート106、108の相対運動を作動させることによって、フィンガ115の面外移動がなくなる。あるいは、リフティング機構120が上流フィンガ115a、115bを互いに対して直接移動させてもよい。
【0113】
リフティング機構120が作動して上流チューブ150a、150bを互いに押し付けると、ブレード140によってチューブ150a、150bに事前に伝達された熱が上流チューブ150a、150bを溶接し、これらチューブ150a、150bが単一のチューブ150を形成するようになる。互いに接合されたチューブ150a、150b間の接合部または「界面」は「突合せ溶接部」とさらに呼ぶことができる。
【0114】
図3jにおいて、チューブ150が依然としてフィンガ115a、115b間に係合されるが、フィンガ115a、115bによってきつく締め付けられないように、上流フィンガ115a、115bを部分的に後退させることができる。同様に、下流フィンガ115a’、115b’も、下流チューブ150b’、150b’と係合するが、きつく締め付けないように、部分的に後退することができる。切断面141に最も近い対向する対のフィンガ115a、115bを完全に開構成に移動させて、チューブ150a、150b間の突合せ溶接部を露出させることができる。切断面141から最も遠い対向する対のフィンガ115a、115bは、所定の位置に留まって、チューブ150と係合し、好ましくは、消耗品13につながるチューブ150のセクションから突合せ溶接部を流体封止することができる。これは、たとえ溶接が不成功であっても、消耗品13またはチューブ150内に収容されるいかなる流体も大気にさらされることがないということを意味する。
【0115】
切断面に最も近い上流フィンガ115a、115bを移動させることによって突合せ溶接部が露出しても、チューブ150の一部が依然として上流チューブ150a、150b間の接続部で挟まれたままである。この挟まれた部分は「よじれ」と呼ばれることがあり、任意の流体がチューブ150を通過することができるようになる前に除去されねばならない。これが起こる前に、マシンビジョンシステムを使用して2つのチューブ150a、150b間の接続を検査することができる。切断面141に最も近い上流フィンガ115a、115bを開構成に移動させることによって、チューブ150の挟まれた部分の一部が露出して検査が可能になる。
【0116】
マシンビジョンシステムのカメラは好ましくは顕微鏡レンズを有し、処理ユニット(図示せず)に接続され、処理ユニットは溶接が成功したかどうかを識別する。カメラは、溶接を観察するための任意の適切な場所に設置することができ、カメラの場所に応じて、1つまたは複数のミラーを含むことができ、カメラがミラーにおける反射を介して溶接を観察することができるようになっている。たとえば、ミラーをブレードアーム145上に配置することができる。カメラは、可視光、赤外線(IR)および/または紫外線(UV)放射を検出することができる。処理ユニットはチューブ150の物理的な位置合わせを検査して、溶接が成功したかどうかを判定することができる。代わりに、または加えて、溶接部の周りの「バリ」を検査して溶接部の完全性を判定することもできる。リフティングパッド120はフィンガ115を介してチューブ150に引張力を加えるために使用することができ、チューブ150の応力ひずみプロファイルの測定を提供することもできる。応力ひずみプロファイルを処理ユニットによって分析して、溶接が成功したかどうかを確認することもできる。
【0117】
たとえば、ねじり試験または振動試験のような、他の機械的試験を使用することもできる。超音波源またはX線源を使用して、接続部に空洞が存在するかどうかを試験することもできる。チューブ150を通して流体を圧送することもでき、カメラを使用して漏れの存在を検出することもできる。
【0118】
代わりに、または加えて、ガス感知方法を使用して溶接部を検査することもでき、接続部は封止された容器または容積に配置される。たとえば、容積を最初に不活性ガスで充填することができ、容器は、溶接部から容積内への漏れがあれば検出する水蒸気または酸素センサを有することができる。あるいは、容積をヘリウムのようなトレーサガスで充填することができ、トレーサガスは続いて容積から除去される。次いで容積内のセンサが溶接部からのトレーサガスの漏れを検出することができる。容器の内側の圧力変化を検出することによって漏れを示す圧力センサを容器に装着することができる。たとえば、容器が最初に加圧されていれば、圧力の減少は、溶接部へガスが漏れていることを示している可能性がある。カメラを使用して、接続部へ空気が漏れているかどうかを観察することもできる。あるいは、溶接前にチューブ150a、150b内へ空気を圧送することができ、次いで封止容器に真空を加えて、空気が漏れ出るかどうかを見ることもできる。
【0119】
接続部の検査は、チューブ150からよじれが除去される前に実行することができる。よじれが除去される前にチューブ150を検査することによって、たとえ接続部に漏れが存在しても、消耗品13の内容物は依然として周囲空気および大気から隔離されたままになる。溶接が成功していないと処理ユニットが判定すれば、チューブ150を再度締め付けて再溶接することができる。これは多くの方法で実行することができ、たとえば、ロボットデバイス2は、再溶接するためにさらに上流の異なる位置で再把持する前に、チューブ150a、150bを外部締め具に持っていくことができる。あるいは、チューブ150a、150bは、(
図5aから
図5cに関連してさらに説明するように)把持機構を通して長手方向に移動させることができ、接合部がさらに上流に形成されるようになっている。
【0120】
よじれを除去(すなわちチューブ150の挟まれた部分を解放)してチューブ150を開くため、挟み解放機構170を使用することができる。挟み解放機構170は、チューブ150a、150b間の接合部で挟まれた部分の縁部を押す。好ましくは、挟み解放機構170は、チューブ150がジョー112、114によって締め付けられる方向に対して垂直な方向に突合せ溶接部を押し、これによって、ポアソン比の効果により、挟まれた部分が「パッと開く」ようにする。
【0121】
挟み解放機構170を実装することができる多くの方法がある。たとえば、ポッパプレートを備えた別個のアームがあってもよく、このアームは切断面141に沿って移動してチューブ150をフィンガ115の座部115-4に押し付ける。別個の一組のジョー(たとえば第1の解放要素および第2の解放要素を含む)があってもよく、これらジョーはチューブ150の挟まれた部分の縁部を把持および圧縮してよじれを除去する。チューブが把持機構110a、110bによって解放されているときでも、この一対のジョーはチューブ150を把持することができる。さらなる代替として、ブレード140は、ブレードアーム145の作動を通して突合せ溶接部に押し付けられる前に冷却することができる。
【0122】
この実施形態において、挟み解放機構170は、搭載ブロック142上に配置されたポッパヒール170を含む。搭載ブロック142はブレードアーム145にピン171によって接続され、ピン171を中心に搭載ブロック142が回転することができる。挟み解放機構170を動作させるため、搭載ブロック142がチューブ150の挟まれた部分に隣接するようにブレードアーム145が旋回する。ブレードアーム145の旋回は、
図3fおよび
図3gに関連して既に説明した同じ方法で起こる。
図4aに関連して後述するように、ポッパヒール170がチューブ150に隣接して配置されるように、搭載ブロック142もピン171を中心に回転する。続いて、ブレードアーム145は、
図3fおよび
図3gに関連して既に説明した同じ機構を使用して並進し、これによってポッパヒール170とフィンガ115の座部115-4との間でチューブ150を圧縮する。切断面141に最も近い上流フィンガ115a、115bが開構成に移動しているため、ポッパヒール170は、対向する対のフィンガ115a、115b間に嵌合して、チューブ150a、150b間の接合部を圧縮することができる。あるいは、ポッパヒール170は、第1の把持機構110aの上流フィンガ115aと第2の把持機構110bの上流フィンガ115bとの間の間隙に嵌合するプレートであってもよい。
【0123】
図3lにおいて、ブレードアーム145はその後退位置に戻っている。チューブ150は、切断面141から最も遠い上流フィンガ115a、115bによって軽く係合されたままであり、下流チューブ150a’、150b’は、下流フィンガ115a’、115b’によって係合されたままである。前述の検査ステップは、チューブ150におけるよじれが除去された後に実行されてもよく、これによりチューブ150についてより良好な機能的試験を提供することができる。好ましくは、検査ステップは、チューブ150が上流フィンガ115a、115bによって部分的に解放される前、そしてチューブ150からよじれが除去されて流体の流れが可能になった後の両方で実行される。
【0124】
図3mにおいて、フィンガ115は完全に開構成に移動して、チューブ150、150a’、150b’を落とす。これは同時に行われてもよく、またはチューブ150、150a’、150b’は、解放される前に別個の場所に移動することができるように別個に解放されてもよい。下流チューブ150a’、150b’は両端が閉じられたままであり、したがって下流チューブ150a’、150b’の内側が周囲にさらされることなく廃棄することができる。下流チューブ150a’、150b’は、廃棄物処理用の容器のような、バイオプロセシングシステム1内の特定の容器内へ廃棄することができる。2つの消耗品13間のチューブ150もエンドエフェクタ100によってバイオプロセシングシステム1内の特定の場所に配置することもできる。これは、ロボットシステム2がバイオプロセシング方法における他のステップを実行することが可能になるように、そして後でチューブ150を迅速に配置することが可能になるように行うことができる。元のチューブ150a、150b間の接続が完了したので、細胞療法プロセスにおけるステップを実行するため、圧送ユニットを動作させて消耗品13間のチューブ150を通して流体を圧送することができる。任意選択で、チューブ150は、圧送中、エンドエフェクタ100によって係合されたままであってもよい。
【0125】
エンドエフェクタ100の背面図が
図4aに示されており、明確にするために、搭載プレート106、108および把持機構110のような構成要素が除去されている。ギアボックス147を介してシャフト144-3およびリンクアーム144の回転を駆動するモータ146が示されている。一旦作動すると、このモータ146は、既に説明した方法でブレードアーム145を旋回および並進させるために使用される。前述したように、第2の把持機構110bを第1の把持機構110aに向けて移動させる第1のカム132-1も示されている。第1のカム132-1はギアボックス132を介してモータ135によって回転する。この実施形態において、モータ135はモータ146とは異なるモータであり、ギアボックス132はギアボックス147とは異なる。第2のカム132-2もギアボックス132を介してモータ135によって駆動される。第2のカム132-2を使用してリフティング機構120を作動させるとともに搭載ブロック142を回転させ、ポッパヒール170をチューブ150に隣接して配置することができるようになる。第2のカム132-2の輪郭のため、リフティング機構120および搭載ブロック142は両方とも、第2のカム132-2の回転のみを使用して作動させることができる。あるいは、別個のカムおよび/またはモータを使用してリフティング機構120および搭載ブロック142のそれぞれを作動させてもよい。
【0126】
リフティング機構120を作動させるため、第2のカム132-2はリフトプレート駆動アーム121を押す。リフトプレート駆動アーム121は、
図3iに関連して既に説明したように、ばね122の力に対抗してリフティングパッド120を押す。搭載ブロック142を回転させるため、第2のカム132-2はポッパ係合アーム172を押し、これによりばね173の力に対抗して搭載ブロック142が回転する。
【0127】
図4bは、モータ118から回転駆動入力を受け取るためにウォームギアホイール116-2が搭載されたカムシャフト116-1に沿って配置された一連のカム116を示す。ノッチ116-5を備えた位置合わせディスク116-4もカムシャフト116-1上に配置されている。カムシャフト116-1およびカム116の回転位置を判定するため、位置合わせ検出器116-6によってノッチ116-5の場所を検出することができる。フィンガ115の位置を確認することができるように、追加のノッチ、一連のノッチおよび/または追加の位置合わせ検出器116-6も存在し得る。たとえば、位置合わせ検出器116-6は、フィンガ115が完全に把持された位置、完全に開いた位置、または任意の組み合わせにあるかどうかを確認することができる。
図4cは、把持機構110を駆動するように構成されたカムシャフト116-1およびカム116を示し、ウォームギアホイール116-2は、ウォームギア116-3を介して回転を出力するように構成されたモータ118から回転駆動入力を受け取るように構成されている。モータ118によるカム116の回転中、フィンガ115は、前述の方法で開構成および閉構成間で移動する。把持機構110a、110bの両方を、別個のモータ118を使用して上述のように作動させる。あるいは、たとえば、共通のモータによって把持機構110a、110bを作動させてもよい。
【0128】
チューブ150が切断されるときのいかなる漏れの機会もさらに最小化するために次のように上の方法を改良することができる。チューブ150a、150bがまず把持機構110a、110bによって把持されると、リフティング機構120が作動して、上流フィンガ115a、115bと下流フィンガ115a’、115b’との間の距離を増加させ、これによってチューブ150a、150bに張力を加えることができる。次いでチューブ150a、150bがブレード140によって切断され、上流チューブ150a、150bが並べられると、リフティング機構120は、上流フィンガ115a、115b間の距離を減少させて、チューブ150a、150bを互いに押し付けて(すなわちチューブ150a、150b間の圧縮を提供して)これらを互いに溶接する。好ましくは、リフティング機構120は一定範囲の位置を通してフィンガ115を移動させることができ、所定の力を加えることができる。たとえば、リフティング機構120は、少なくとも3つの所定の位置、すなわち、チューブ150が単純に保持される初期基準位置、締め付けられたチューブ150が引き伸ばされる位置、および2つのチューブ150a、150bの端部が互いに押し付けられる位置、を有するように構成することができる。
【0129】
2つの消耗品13の切断プロセス(たとえばチューブ150の再構成)を次に
図5aから
図5fを参照して説明するが、
図5aから
図5fは
図3bに示すエンドエフェクタ100のフィンガ115を描いている。
図5aにおいて、2つの消耗品13を接続する溶接チューブ150が、第1の把持機構110aおよび第2の把持機構110bの上流フィンガ115a、115b間に配置されているが、把持機構110a、110bはまだチューブ150を挟むように作動していない。下流フィンガ115a’、115b’は、切断プロセス中は使用されない。
【0130】
図5bにおいて、上流フィンガ115a、115bは、チューブ150を把持および挟持して閉じるように移動している。接続プロセスと同様に、上流フィンガ115a、115bは、異なる時間でチューブ150と係合(およびこれによって挟持)することができる。たとえば、切断面141に最も近い上流フィンガ115a、115bを最初に、続いて切断面141から最も遠いものを移動させることができる。このように、チューブ150に収容されるいかなる流体もチューブ150の把持された部分から除去し、代わりに消耗品13の1つに向かって押すことができる。これにより流体のいかなる損失も防止され、流体が溶接プロセスを妨げることが抑制される。
【0131】
続いて、ブレード140が熱源(図示せず)によって300℃と400℃との間に加熱され、ブレード140を滅菌および/または脱パイロジェンする。チューブ150をより良好に封止するため、切断中に使用される加熱プロファイルは、接続中に使用される加熱プロファイルとは異なり得る。ブレード140は部分的に冷却される。接続プロセスと同様に、
図5cに示すように、ブレード140を切断面141に沿って移動させてチューブ150と交差させる。これによりチューブ150が、第1の消耗品13に接続している第1のチューブ150aと、第2の消耗品13に接続している第2のチューブ150bと、に切断される。ブレード140は、チューブ150a、150bの端部を溶解するために所定の期間チューブ150a、150b間に留まり、これによってチューブ150a、150bを封止する。切断中にチューブ150a、150bの端部を溶解するために使用される所定の期間は、接続中にチューブ150a、150bの端部を溶解するために使用される所定の期間とは異なり得る。所定の期間は切断処理中の方が長くなり得る。
図5dにおいて、ブレード140は第1のチューブ150aと第2のチューブ150bとの間から除去される。
【0132】
あるいは、封止および切断機能を分離し、ブレード140だけを使用して達成することができるより大きな長さにわたって切断されるべきチューブ150を封止することが望まれ得る。チューブ150はまず指先で生成された熱またはRFエネルギーのいずれかの印加によって封止されることになる。チューブ150を熱封止するため、個々の指先を抵抗素子から作製し、チューブ150を圧縮しながら電力を供給することができ、熱はチューブ150を通って伝導して内側表面を一緒に溶解する。好ましくは、指先は非粘着性材料で被覆されることになる。あるいは、RF熱封止を提供するための手段として個々のフィンガ115を使用してもよい。指先はセラミックから作製し、MHzまたはGHzの周波数範囲、好ましくは40.68MHzで動作する交流を供給することができる。チューブ材料がより広い領域にわたって、そしてチューブ150の断面を通してより均一な温度分布で溶解し、したがってチューブ150のより広くより堅牢な封止が可能になるため、RF法は有利である。
【0133】
図5eにおいて、第1の把持機構110aの上流フィンガ115aは第2の把持機構110bの上流フィンガ115bから離れるように移動し、これによって第1のチューブ150aを第2のチューブ150bから分離する。こうして、上流フィンガ115a、115bは下流フィンガ115a’、115b’と再整列する。
【0134】
図5fにおいて、チューブ150a、150bは、第1の把持機構110aおよび第2の把持機構110bによって解放されている。チューブの解放は同時に行われてもよく、または異なる時間で行われてもよい。たとえば、第1のチューブ150aおよび第2のチューブ150bは、第1の把持機構110aおよび第2の把持機構110bによって解放される前に、ロボットアーム3によって異なる場所に移動させることができる。これは、細胞治療法における後続のステップを容易にするためであり得る。任意選択で、第1のチューブ150aおよび第2のチューブ150bは、チューブが分離される前に解放されてもよい。上流フィンガ115a、115bはしたがって、ブレード140の除去後であるが、上流フィンガ115a、115bが下流フィンガ115a’、115b’と整列する前に解放されてもよい。
【0135】
上述の接続および切断プロセスは、特定のバイオプロセシング方法に要求される回数だけ実行することができる。各接続ステップ中、下流チューブ150a’、150b’の部分が廃棄されるので、下流端と消耗品13との間のチューブ150の長さは時間の経過とともに短くなることになる。これを考慮して、バイオプロセシングシステム1にチューブ150の予備供給を提供することができ、予備供給からのチューブに既存のチューブ150を溶接することによって既存のチューブ150を延長するようにエンドエフェクタ100を動作させることができる。任意選択で、チューブ150を延長する必要があるとき新しいチュービングが常に利用可能であるように、チューブの予備供給をエンドエフェクタ100に直接組み込むことができる。好ましくは、接続プロセス中、把持機構110a、110bは、下流端の近くでチューブ150a、150bを把持し、廃棄される下流チューブ150a’、150b’の長さが最小化されるようになっている。
【0136】
把持機構110a、110bは、把持機構110a、110bによってチューブ150が保持されている間、チューブ150を長手方向に移動させるように動作させることもできる。「長手方向」という用語は、チューブの軸に平行または「同軸」の方向を指し、これにより、把持機構110a、110bによって把持されるチューブ150上の場所を、それぞれの消耗品13に近くなるように、またはチューブ150の下流端に近くなるように調整することが可能になる。これにより、把持機構110a、110bの制御の程度が増加し、接続プロセス中に生成される廃棄される下流チューブ150a’、150b’の大きさが減少する。チューブ150の長手方向移動は、インチウォームドライブと同様の方法で達成され、把持機構がチューブ150を完全に解放することなく、チューブ150が把持機構110を通して徐々に引きずられる。
【0137】
図6aから
図6cを参照して、チューブ150の長手方向移動を次に説明する。把持機構110の1つのみが示されているが、把持機構110の両方により長手方向移動が可能になり、同時にこれを行うことができるということが理解されよう。
【0138】
チューブ150を長手方向に移動させるため、フィンガ115は、たとえば連続的に、または所定の順序で、周期的に互いに位相をずらしてチューブ150を把持および解放する。
図6aはプロセスにおける第1の段階での把持機構110を描いており、下流フィンガ115’がチューブ150を絞るように互いに移動している。下流フィンガ115’はチューブ150を完全に挟んでもよく、またはチューブ150が軽く絞られているが完全には挟まれていない位置にあってもよい。上流フィンガ115は、下流フィンガ115’から離れる方向に徐々に遠ざかっていく。
図6bはプロセスにおける後の段階での把持機構110を描いており、下流フィンガ115’が離れるように移動し始めて、対向する一対の上流フィンガ115がチューブ150を絞っているところである。対向する一対の上流フィンガ115はチューブ150を完全に挟んでもよく、またはチューブ150が軽く絞られているが完全には挟まれていない位置にあってもよい。
図6cはプロセスにおけるさらに後の段階での把持機構110を描いており、下流フィンガ115’が離れるように移動して、把持機構110の対向端での上流フィンガ115がチューブ150を絞っているところである。
【0139】
図6aから
図6cに示すステップが何度も繰り返されると、チューブ150は矢印190の方向に移動することになる。この運動は、チューブ150を挟むフィンガ115の駆動波と呼ぶことができる。上述のプロセスを逆にすることによって、チューブ150は反対方向に移動することになる。フィンガ115、115’のそれぞれの運動は正弦波運動であってもよく、隣接するフィンガ115、115’は特定の位相角だけずれていてもよい。この位相角は、把持機構110に存在するフィンガ115、115’の総数に依存し得る。
【0140】
あるいは、リフティング機構120を使用することによってチューブ150の長手方向運動を達成することができる。第1の段階で、上流フィンガ115が最初にチューブ150を把持することができる(が完全に挟まない)。後続の段階で、下流フィンガ115’がチューブ150を把持し、上流フィンガ115が後退する。次いでリフティング機構120が作動して、(閉じた)下流フィンガ115’を(開いた)上流フィンガ115の近くに移動させる。次いで上流フィンガ115は再びチューブ150を把持し、下流フィンガ115’はチューブ150を解放する。続いて、リフティング機構120がオフになり、(開いた)下流フィンガ115’が(閉じた)上流フィンガ115から離れるように移動する。したがって、把持機構110はその元の位置に戻るが、チューブ150はこれに対して長手方向に移動する。これを何度も繰り返して、把持機構110を通してチューブ150を移動させることができる。プロセスを逆にしてチューブ150を反対方向に移動させることもできる。
【0141】
チューブ150を長手方向に移動させるように把持機構110を動作させるとき、挟み解放機構170をフィンガ115の前に配置してチューブ150を把持機構110に保持することができる。あるいは、チューブ150が把持機構110から落ちないように、チューブ150を長手方向に移動させるとき、把持機構110を特定の配向に移動させることができる。
【0142】
本明細書に記載のエンドエフェクタ100に関連して説明した任意の特徴を静的チューブ溶接装置において実装することができる。たとえば、挟み解放機構170は、ロボットアーム3上に配置されているか他の方法で配置されているかにかかわらず、任意のチューブ溶接機と組み合わせることができ、別個の構成要素として供給することができる。チューブ溶接機は、本明細書に記載のようなマシンビジョンシステムまたはカメラを有し、チューブが正しく係合されているかどうかを確認することができる。チューブ150の挟みを解除する前および/または解除した後にマシンビジョンシステムまたはカメラを使用して、溶接が成功したかどうかを確認することもできる。このようなチューブ溶接機には、ジョー112、114間にチューブを配置する手動操作(または別個のロボットデバイス)が要求されることがある。しかしながら、締め付け、切断、位置合わせ、検査および挟み解放機構170の操作のような後続のステップを、チューブ溶接機によって自律的に動作させることができる。
【0143】
同様に、複数対の把持要素115を備えた把持機構110a、110bは、静的であろうと、エンドエフェクタ100上に配置されていようと、手動および自動の両方のチューブ溶接機において、別個に供給または使用することができる。このような把持機構110a、110bは、たとえばチューブ150の長手方向移動のため、または切断面141の近くから流体を除去するため、本明細書に記載のステップのいずれかにしたがって動作させることができる。
【0144】
本明細書で使用するとき、把持機構110a、110bを集合的に「締め付けユニット」と呼ぶことができる。把持機構110a、110bのそれぞれの第1のジョー112a、112bを同等に締め付けユニットの第1のジョーと呼ぶことができる。同様に、把持機構110a、110bのそれぞれの第2のジョー114a、114bを同等に締め付けユニットの第2のジョーと呼ぶことができる。
【0145】
第1の把持機構110aの第1のジョー112aの上流フィンガ115aおよび第2の把持機構110bの第1のジョー112bの下流フィンガ115b’を集合的に第1のジョーの第1の部分と呼ぶことができる。第1の把持機構110aの第1のジョー112aの下流フィンガ115a’および第2の把持機構110bの第1のジョー112bの上流フィンガ115bを集合的に第1のジョーの第2の部分と呼ぶことができる。第1の把持機構110aの第2のジョー114aの上流フィンガ115aおよび第2の把持機構110bの第2のジョー114bの下流フィンガ115b’を集合的に第2のジョーの第1の部分と呼ぶことができる。第1の把持機構110aの第2のジョー114aの下流フィンガ115b’および第2の把持機構110bの第2のジョー114bの上流フィンガ115bを集合的に第2のジョーの第2の部分と呼ぶことができる。
【0146】
上記は本発明の例示的な実施形態に関するものであるが、本発明は純粋に例として本明細書に記載されており、本発明の範囲内で詳細の変更を行うことができるということが理解されよう。さらに、本明細書に開示される実施形態に、または本明細書に詳細に記載または特許請求の範囲に定義されていない添付の図に示されるいかなる詳細にも、本発明が限定され得ないことを、当業者は理解するであろう。実際、このような余分な特徴は、本発明を損なうことなく図から削除することができる。本明細書に記載の任意の態様に記載および定義されるさまざまな特徴の特定の組み合わせを、独立して実装および/または供給および/または使用することができるということも理解されよう。本明細書に記載の任意の装置の特徴を方法の特徴として組み込むこと、そしてその逆も可能である。
【0147】
また、本発明の他のさらなる実施形態が、明細書の検討から当業者に明らかとなり、添付の特許請求の範囲によって決定されるその基本的な範囲から逸脱することなく考案され得る。
【符号の説明】
【0148】
1 バイオプロセシングシステム
2 ロボットデバイス
3 ロボットアーム
4 解凍ステーション
6 遠心分離機
8 磁気細胞分離器
10 コントローラレート冷凍庫
11 冷蔵庫
12 インキュベータ
13 消耗品
14 筐体
18 レール
20 処理ステーション
100 エンドエフェクタ
102 第1のベースプレート
104 第2のベースプレート
106 第1の搭載プレート
108 第2の搭載プレート
110a 第1の把持機構
110b 第2の把持機構
112a 第1のジョー
112b 第1のジョー
114a 第2のジョー
114b 第2のジョー
115 フィンガ
115-1 近位端
115-2 遠位端
115-3 ピボット
115-4 座部
115a 上流フィンガ
115a’ 下流フィンガ
115b 上流フィンガ
115b’ 下流フィンガ
116 カム
116-1 カムシャフト
116-2 ウォームギアホイール
116-4 位置合わせディスク
116-5 ノッチ
116-6 位置合わせ検出器
117 弾性部材
118 モータ
120 リフティング機構
121 リフトプレート駆動アーム
122 ばね
124 ばね
130a 第1のストッパ
130b 第2のストッパ
132 ギアボックス
132-1 第1のカム
132-2 第2のカム
134 ばね
135 モータ
140 ブレード
141 切断面
142 搭載ブロック
143 第1のエンドプレート
143-1 ピン
143-2 スロット
144 リンクアーム
144-1 ロッド
144-2 溝
144-3 シャフト
144-4 スロット
145 ブレードアーム
146 モータ
147 ギアボックス
150 チューブ
150a 上流セクション
150a’ 下流セクション
150b 上流セクション
150b’ 下流セクション
170 挟み解放機構
171 ピン
172 ポッパ係合アーム
173 ばね
190 矢印
【国際調査報告】