(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-12
(54)【発明の名称】重い物品を持ち上げて移動させるシステム
(51)【国際特許分類】
B66C 23/04 20060101AFI20240705BHJP
B65G 67/60 20060101ALI20240705BHJP
B63B 27/16 20060101ALI20240705BHJP
B63B 35/54 20060101ALI20240705BHJP
B63H 21/17 20060101ALI20240705BHJP
【FI】
B66C23/04 A
B65G67/60 F
B63B27/16
B63B35/54
B63H21/17
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024501198
(86)(22)【出願日】2022-06-23
(85)【翻訳文提出日】2024-03-07
(86)【国際出願番号】 NO2022050148
(87)【国際公開番号】W WO2023282759
(87)【国際公開日】2023-01-12
(32)【優先日】2021-07-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NO
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524011339
【氏名又は名称】ノルレッド アーエス
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】アドルフソン カロリーナ
(72)【発明者】
【氏名】ゴドイ エリック
(72)【発明者】
【氏名】コッホ オットー
(72)【発明者】
【氏名】ランガカー ラグナル
(72)【発明者】
【氏名】ネイリー スヴェイン ジョニー
(72)【発明者】
【氏名】アンドハイム エイリク
【テーマコード(参考)】
3F077
3F205
【Fターム(参考)】
3F077AA01
3F077BA03
3F077BB02
3F077DA20
3F077EA04
3F205AA03
3F205AA10
3F205BA06
3F205CA03
3F205CB02
(57)【要約】
本発明は、物品(6)を保管領域(4)と目標領域(5)との間を往復させて輸送するための輸送システム(1)に関するものであって、当該輸送システム(1)は、保管領域(4)及び目標領域(5)のうちの一方に設置される台座(10)を備える。輸送システム(1)は、台座(10)に枢動可能に接続されるメインブーム(11)をさらに備え、メインブーム(11)は前記保管領域(4)及び前記目標領域(5)のうちの他方によって支持されるように構成される遠端部(11e)を有しつつ、メインブーム(10)と保管領域(4)及び目標領域(5)のうちの他方との間において少なくとも1つの回転自由度を許容する。メインブーム(10)のスパンは、受動的に調節可能である。さらに、輸送システム(1)は、メインブーム(11)に接続される輸送ブーム(12)と、輸送ブーム(12)によって誘導され、保管領域(4)と目標領域(5)との間を輸送される物品(6)のハンドリングをするように構成される物品ハンドラー(13)とを備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品(6)を保管領域(4)と目標領域(5)との間で往復輸送するための輸送システム(1)であって、前記輸送システム(1)は、
前記保管領域(4)及び前記目標領域(5)のうちの一方に設置される台座(10)と、
前記台座(10)に枢動可能に接続されるメインブーム(11)であって、前記保管領域(4)及び前記目標領域(5)のうちの他方によって支持されるように構成される遠端部(11e)を有しつつ、前記保管領域(4)及び前記目標領域(5)のうちの前記他方との間において少なくとも1つの回転自由度を許容し、少なくとも前記輸送システムの第1運転モードの間、スパンの長さが受動的に調節可能であるメインブーム(11)と、
前記メインブーム(11)に接続される輸送ブーム(12)と、
前記輸送ブーム(12)に沿って又は前記輸送ブーム(12)によって移動可能であり、前記保管領域(4)と前記目標領域(5)との間を輸送される前記物品(6)のハンドリングをするように構成される物品ハンドラー(13)と、
を備える輸送システム(1)。
【請求項2】
請求項1に記載の輸送システム(1)であって、
前記輸送ブーム(12)は、前記メインブーム(11)に可動なように搭載される、輸送システム(1)。
【請求項3】
請求項2に記載の輸送システム(1)であって、
前記輸送ブーム(12)と前記メインブーム(11)との間に少なくとも2つの継手(15)をさらに備え、
前記継手(15)のうちの少なくとも1つは、前記輸送ブーム(12)の位置を前記メインブーム(11)に対して適応させるために、前記輸送ブーム(12)を作動させるように構成される、輸送システム(1)。
【請求項4】
先行する請求項のいずれか1項に記載の輸送システム(1)であって、
前記メインブーム(11)の前記遠端部(11e)は、前記保管領域(4)及び前記目標領域(5)のうちの前記他方に設置される垂直支柱(14)を備える、輸送システム(1)。
【請求項5】
請求項4に記載の輸送システム(1)であって、
前記垂直支柱(14)の長さは延長可能である、輸送システム(1)。
【請求項6】
先行する請求項のいずれか1項に記載の輸送システム(1)であって、
前記メインブーム(11)は、前記メインブーム(11)の前記スパンの調節を許容する第1サブブームと第2サブブームとを備え、
前記第2サブブームは前記第1サブブームに枢動可能に接続される、輸送システム(1)。
【請求項7】
請求項6に記載の輸送システム(1)であって、
前記メインブーム(11)は、例えば垂直方向又は水平方向に折り畳み可能である、輸送システム(1)。
【請求項8】
請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の輸送システム(1)であって、
前記メインブーム(11)は、前記メインブーム(11)の前記スパンの調節を許容する少なくとも1つの伸縮式ジョイント(20)を備える、輸送システム(1)。
【請求項9】
請求項8に記載の輸送システム(1)であって、
前記メインブーム(11)は、前記メインブーム(11)の前記スパンの調節を許容する少なくとも2つの伸縮式ジョイント(20)を備える、輸送システム(1)。
【請求項10】
請求項9に記載の輸送システム(1)であって、
前記2つの伸縮式ジョイント(20)それぞれの動きは、アクチュエータ(22)によって制御される、請求項9に記載の輸送システム(1)。
【請求項11】
請求項10に記載の輸送システム(1)であって、
前記アクチュエータ(22)はそれぞれ、対応する伸縮式ジョイント(20)の位置をロックするために前記アクチュエータ(22)が固定されるロックモードと、前記メインブーム(11)の前記スパンの長さの受動的調節を許容するように前記アクチュエータ(22)が自由に伸縮し得るフリーフロートモードとを備える、輸送システム(1)。
【請求項12】
先行する請求項のいずれか1項に記載の輸送システム(1)であって、
前記物品ハンドラー(13)の前記輸送ブーム(12)に対する位置を操作する物品ハンドラーアクチュエータ(23)を備える、輸送システム(1)。
【請求項13】
先行する請求項のいずれか1項に記載の輸送システム(1)であって、
前記物品(6)の拾い上げ又は解放を容易にするために、前記物品ハンドラー(13)の長さが調節可能である、輸送システム(1)。
【請求項14】
先行する請求項のいずれか1項に記載の輸送システム(1)であって、
前記物品ハンドラー(13)は、前記物品(6)のグリップインターフェイス(25)を把持又は解放するように構成される、輸送システム(1)。
【請求項15】
請求項14に記載の輸送システム(1)であって、
前記物品ハンドラー(13)は、前記物品(6)の前記グリップインターフェイス(25)を把持するための機械式グリッパを備える、輸送システム(1)。
【請求項16】
請求項14に記載の輸送システム(1)であって、
前記物品ハンドラー(13)は、前記物品(6)の前記グリップインターフェイス(25)を把持するバキュームヘッドを備える、輸送システム(1)。
【請求項17】
先行する請求項のいずれか1項に記載の輸送システム(1)であって、
前記物品ハンドラー(13)は、前記物品(6)が前記物品ハンドラー(13)から吊り下げられるとき、前記物品(6)の向きを操作するために制御可能に回転可能である、輸送システム(1)。
【請求項18】
先行する請求項のいずれか1項に記載の輸送システム(1)であって、
前記保管領域(4)において、前記物品(6)を受け取り、前記物品(6)を前記物品ハンドラー(13)の届く範囲内又は前記物品ハンドラー(13)の届く範囲外に移動させるための輸送装置(30,31,60)をさらに備える、輸送システム(1)。
【請求項19】
先行する請求項のいずれか1項に記載の輸送システム(1)であって、
前記目標領域(5)において、前記物品(6)を受け取り、前記物品(6)を前記物品ハンドラー(13)の届く範囲内又は前記物品ハンドラー(13)の届く範囲外に移動させるための別の輸送装置(30,31,60)をさらに備える、輸送システム(1)
【請求項20】
請求項18又は請求項19に記載の輸送システム(1)であって、
前記輸送装置(30,31,60)及び/又は前記別の輸送装置(30,31,60)は、プラットフォーム、回転カルーセル、可動プラットフォーム、コンベヤーベルト、車両、ロボット貯蔵設備、フォークリフト、クレーン、及びラックピニオンシステムから成る群から選択される、輸送システム(1)。
【請求項21】
請求項18から請求項20までのいずれか1項に記載の輸送システム(1)であって、
前記輸送装置(30)及び/又は前記別の輸送装置(31)は、複数の前記物品(6)を貯蔵するハウジング(51)を備え、前記ハウジングは複数のドア(52,53)を備える、輸送システム(1)。
【請求項22】
先行する請求項のいずれか1項に記載の輸送システム(1)であって、
前記保管領域(4)及び前記目標領域(5)のうちの前記一方は、浮遊船舶(2)又は浮遊プラットフォームの上に配置される、輸送システム(1)。
【請求項23】
請求項21に記載の輸送システム(1)であって、
前記保管領域(4)及び前記目標領域(5)のうちの前記他方は、別の浮遊船舶又は浮遊プラットフォームの上に配置され、潮の条件調整及び/又は荷積み条件調整が不要である、輸送システム(1)。
【請求項24】
請求項16から請求項18までのいずれか1項を引用する請求項21に記載の輸送システム(1)であって、
前記輸送装置(30)及び/又は前記別の輸送装置(31)の高さは、潮の変化及び/又は前記保管領域(4)又は前記目標領域(5)のうちの一方の荷積み条件に適応するように調節可能である、輸送システム(1)。
【請求項25】
先行する請求項のいずれか1項を引用する請求項21に記載の輸送システム(1)であって、
前記台座(10)の高さは、潮の変化及び/又は前記保管領域(4)又は前記目標領域(5)のうちの一方の荷積み条件に適応するように調節可能である、輸送システム(1)。
【請求項26】
先行する請求項のいずれか1項に記載の輸送システム(1)であって、
前記保管領域(4)及び前記目標領域(5)のうちの前記他方は、前記メインブーム(11)の前記端部(11e)又は前記メインブーム(11)の前記垂直支柱(14)を受けるように構成される支柱(32)を備える、輸送システム(1)。
【請求項27】
請求項4及び請求項5を引用する請求項25に記載の輸送システム(1)であって、
前記垂直支柱(14)はボール(33)を備え、前記保管領域(4)及び前記目標領域(5)のうちの前記他方の前記支柱(32)は、前記垂直支柱(14)と接触した場合に前記ボール(33)と共にボールジョイント(33)を形成するためにボールソケットを備える、輸送システム(1)。
【請求項28】
先行する請求項のいずれか1項に記載の輸送システム(1)であって、
前記輸送システム(1)を制御するための制御システムをさらに備える、輸送システム(1)。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[技術分野]
本発明は、物品を持ち上げてハンドリングするための輸送システムに関するものであり、より具体的には、海洋船舶にバッテリパックを積み降ろしするための輸送システムに関するものである。
【0002】
[背景]
近年、海事産業のCO2フットプリントを削減するために、海洋船舶を燃料駆動モータから電気推進システムに変更する努力が重ねられている。
【0003】
バッテリによって電力を得るボート、船、及びフェリーなどの海洋船舶は、通常、船舶が停泊しているときに充電される常設のバッテリを有する。乗客や車両を往復輸送するために使用される一部のフェリー及びほとんどの軽量高速船舶の埠頭滞在時間はほんの数分であり、このような種類の海洋船舶に必要な高容量電池を充電するために十分な時間ではない。
【0004】
往復輸送サービス船舶の一種は、通常は午前中と午後に継続して数時間運転し、その間に埠頭に停泊する。数時間の継続的な運転に必要な固定型バッテリ装置には大型のバッテリパックが必要とされ、船舶に大きな追加重量が積載される。軽量高速船舶は重量に対して繊細であり、エネルギー消費が増加するため、過大な重量を積載するのは望ましくない。
【0005】
別の高速船舶は、沿岸沿い又はフィヨルド内の長距離ルートを運転する。この場合の行程は、ルート沿いの中間停泊地点を経て、通常数時間になり得る。中間停泊地点では、通常充電の機会はない。つまり、充電は終点でのみ行われる必要があり、通常は航行距離を延ばすためにディーゼルエンジンが必要とされる。この距離を全て電気で賄うとすると、非常に大型の常設バッテリパックが必要となる。このようなバッテリパックの重量とサイズは、船舶において寸法問題の要因となり、船舶のサイズとコストを増加せざるを得なくする。さらに、終点で必要とされる充電電力は非常に高くなり、グリッド強化コストの高額化に繋がることがある。
【0006】
大型の常設バッテリパックの代替案として、終点であれ中間停泊地点であれ、埠頭での交換及び充電が可能な小型のバッテリパックの使用が考えられ、これによって追加の重量が抑えられる。これにより、例えば停泊地点毎に、又は一停泊地点置きにバッテリパックを交換することによって、軽量高速船舶を継続的に最大で丸一日運転することが可能となる。さらに、交換可能な小型のバッテリパックを使用することで、通常サイズの船舶が、バッテリによる運転のみで長距離ゼロエミッション航行を実行することが可能となる。また、既存のディーゼル船舶は、通常、大型のバッテリ貯蔵庫の重量を運搬するように設計されていないため、バッテリ交換は、既存のディーゼル船舶の改良においても理想的である。さらに、同じ埠頭を往復する複数の船舶間で共通のバッテリプールを共有することができ、それにより、必要とされるバッテリ容量の総量を抑え、共有型経済から恩恵を受けることができる。
【0007】
従って、船舶が埠頭に停泊している間に使用済みのバッテリを充電済みのバッテリと交換する方法を見つけることが必要である。このようなバッテリ交換は、理想的には、全自動で、船舶が停泊している短時間の間に完了するべきである。
【0008】
国際公開第2018/084716号には、浮遊している船舶のバッテリ室と船舶の外に位置する充電ステーションとの間において充電式バッテリを交換するための、船舶が充電ステーションに近接できるような輸送システムが記載されている。輸送システムは、バッテリパックを移動させるリフトテーブル、巻き上げ装置を使用してバッテリパックを持ち上げるように構成される可動アームを有する高層支持柱、又はバッテリパックを輸送するためのコンベヤーベルトに基づく。国際公開第2018/084716号に記載のシステムが提供する操作は複雑であるため、自動化するのが困難である。さらに、船、特に小型船舶の動きによって、こうしたバッテリ輸送作業に遅延が発生する可能性がある。
【0009】
国際公開第2020/190147号には、自動運転式バッテリアセンブリが陸上の充電ステーションと船舶上のドッキングステーションとの間で動作する、海洋船舶用の自律式バッテリ交換システムが記載されている。自動運転式バッテリアセンブリは、ドッキングステーションと充電ステーションとの間で自律的に動作するよう構成されている。ドッキングステーションと充電ステーションとの間を往復するために、自動運転式バッテリアセンブリは埠頭において海洋船舶のローディングランプを使用するが、これは潜在的に車両又は乗客の通行を妨害したり中断したりしてしまう恐れがあり、船舶の出港の遅延に繋がる。
【0010】
国際公開第90/08093号には、浮遊している船舶からコンテナを積み降ろしするための輸送システムが記載されている。当該輸送システムは、船舶に架かることが可能なブームと、ブームに沿って移動可能なクラブと、クラブから吊り下げられたコンテナ用の巻き上げ手段とを備える。ブームは2つの支持構造によって支持され、2つの支持構造の一方は陸上に、他方は船舶における海側に設けられた浮遊ベース上に位置する。クレーンの浮遊部は陸上搭載部から取り外し可能である。
【0011】
乗客及び車両の往復輸送サービスに使用されるもののような小型の海洋船舶は、大型のコンテナ船と比較して、埠頭に停泊している間、海水の動きによりさらされる。国際公開第90/08093号に記載の輸送システムは、大型のコンテナ船用に設計されているため、小型船舶の横揺れ及び縦揺れを十分補正しないであろう。船舶、特に小型船舶の動きは、バッテリの往復輸送中に遅延を生じさせるであろう。したがって、このクレーンシステムは、小型の海洋船舶における物品の積み降ろしにはそれほど適していない。
【0012】
以上の問題を考慮すると、浮遊船舶においてバッテリパックなどの物品を積み降ろすための輸送システムの開発がさらに必要である。
【0013】
[概要]
本発明は、船舶の動きが補正された状態で、バッテリパックだけでなく、その他の物品にも用いられる、船舶への及び船舶からの安定的な輸送システムを提供することを目的とする。
【0014】
当該目的は下記の説明及びそれに続く請求項において特定される特徴によって実現される。
本発明は独立請求項によって定義される。従属請求項は本発明の有利な実施形態を定義する。
【0015】
第1の局面において、本発明は、物品を保管領域と目標領域との間で往復輸送するための輸送システムに関する。
輸送システムは、
- 保管領域及び目標領域のうちの一方に設置される台座と、
- 台座に枢動可能に接続されるメインブームであって、保管領域及び目標領域のうちの他方によって支持されるように構成される遠端部を有しつつ、保管領域及び目標領域のうちの当該他方との間において少なくとも1つの回転自由度を許容し、少なくとも輸送システムの第1運転モードの間、スパンの長さを受動的に調節可能であるメインブームと、
- メインブームに接続される輸送ブームと、
- 輸送ブームによって誘導され、保管領域と目標領域との間を輸送される物品のハンドリングをするように構成される物品ハンドラーと、を備える。
【0016】
本発明による輸送システムの特徴の効果は以下のとおりである。まず、両端に設けられたメインブームの支柱は、輸送ブームに沿って物品ハンドラーで物品を輸送する間、両領域間の安定した機械的連結を提供する。次に、輸送システムは、以下の2つの特徴によって船舶の動きに耐える。第1の特徴は、メインブームのスパンの長さが動的に調節可能であることであり、少なくとも輸送システムの第1運転モードでメインブームが船舶の動きを補正することを許容する。代案として、メインブームの一部分が固定されている一方で、別の部分が受動的に調節可能であってもよい。メインブームのスパンの長さの受動的な調節は、本明細書においてフリーフロートモードとも呼ばれる。また、輸送システムは、メインブームのスパンの長さがアクチュエータによって能動的に制御される別の動作モードを有してもよい。補正される上下揺れ、縦揺れ、及び横揺れ等の船舶の動きを許容するために、メインブームと台座との間には枢動可能な接続が必要だが、システムも、メインブームの遠端部と台座の反対側の領域におけるその支柱との間に少なくとも1つの回転自由度を必要とする。特にこれら2つの特徴の組み合わせが、船舶が埠頭に停泊している間、船舶の横揺れ、縦揺れ、上下揺れ、及び自由な移動を完全に可能にする。調節可能なメインブームのスパンの長さは、船舶の横揺れ、上下揺れ、及び移動に起因する船舶の動きを補正することができる。船舶上で支持されるブームの遠端部は、縦揺れの動きを補正するために、少なくとも1つの回転自由度を有する必要がある。輸送システムにおいて、ブームが保管領域及び目標領域の両方に機械的に接続されている間、船舶の動きを許容することは重要である。そうでなければ、船舶の動きによって生じる力によって、システムの部品が損傷を受け壊れる可能性がある。さらに、メインブームのスパンの長さが調節可能であることにより、安全に船舶の動きを補正する(又は船舶の動きに「耐える」ともいえる)。メインブームは、船舶の動きを補正するために、台座の後部に突き出す危険性を有しつつ台座に摺動可能に接続される必要はない。これは、物品の輸送の間、メインブームは台座の後方を往復移動しないことをも意味する。したがって、人々及び車両は、物品の輸送の間、台座の後方を自由に移動してもよい。
【0017】
本発明の理解を容易にするために、以下に1つ又は複数の表現をさらに定義する。
本明細書及び請求項を通して、「メインブームのスパン」という表現は、メインブームの端部間の距離として解釈される。
【0018】
本明細書及び請求項を通して、「物品」という表現は、2つの領域間を輸送されることが可能なあらゆる種類の積み荷として解釈されなければならない。物品は、バッテリパック、水素タンク、その他のモジュール、箱、コンテナ、又は貨物であることができる。
【0019】
本明細書及び請求項を通して、「物品ハンドラー」という表現は、物品を把持して持ち上げるためのあらゆる種類の把持装置として解釈されなければならない。物品ハンドラーの代替的な表現は、ドッキングヘッド、遠隔操作車両(ROV)、ドッキングフック、ドッキングバー、ドッキングクロー、ドッキングマッシュルーム、バキュームサクションカップ、バキュームヘッド、ドッキング機構、カーゴアクチュエータ、可動トロリ、ロードアクチュエータ、ロボットグリッパ、ロボットアーム、自動フック、磁気ヘッド、及びラッチ機構である。
【0020】
本明細書及び請求項を通して、「保管領域」という表現は、物品を置くことができるあらゆる領域として解釈されなければならない。保管領域は陸上の領域、浮遊プラットフォーム上の領域、浮遊船舶上の領域、又は埠頭の領域であることができる。
【0021】
本明細書及び請求項を通して、「目標領域」という表現は、物品を置くことができるあらゆる領域として解釈されなければならない。保管領域は陸上の領域、浮遊プラットフォーム上の領域、浮遊船舶上の領域、又は埠頭の領域であることができる。
【0022】
本明細書及び請求項を通して、「台座」という表現は、ブームを支持できるあらゆる構造として解釈されなければならない。台座の代替的な表現は、クレーン支持体、ロボットアーム支持体、ビーム支持体、及びブーム支持体である。
【0023】
本明細書及び請求項を通して、「ブーム」という表現は、水平面に延びるアームを備える構造として解釈されなければならない。ブームの代替的な表現は、アーム、ロボットアーム、部材、及びビームである。
【0024】
本明細書及び請求項を通して、「受動的に調節可能」という表現は、外力、つまり船舶が海岸に停泊しているときに、浮遊船舶の動き(つまり、縦揺れ、横揺れ、船首揺れ、上下揺れ、左右揺れ、及び前後揺れ)の影響を受けて調節可能であることとして解釈されなければならない。これは、メインブームが浮遊船舶の動きによって受動的に調節可能なときに、メインブームが意図的な反力を生成してこれらの動きを衰えさせたり逆らったりしないことを意味する。
【0025】
本明細書及び請求項を通して、「輸送ブーム」という表現は、水平面に延びるアームを有する構造であって、物品ハンドラーを動かすことができる、又はこれに沿って物品ハンドラーを誘導することができる構造として解釈されなければならない。輸送ブームの代替的な表現は、アーム、ロボットアーム、部材、ビーム、及びガイドである。
【0026】
本明細書及び請求項を通して、「継手」という表現は、2つのブームを連結するものとして解釈されなければならない。継手は、固定継手、又は可動継手若しくは摺動可能継手であることができる。継手の代替的な表現は、連結具、ロック、又はジョイントである。
【0027】
本明細書及び請求項を通して、「伸縮式ジョイント」という表現は、2つの部材を連結する、一方の部材が他方の部材の内部で摺動可能な可動連結具として解釈されなければならない。伸縮式ジョイントの代替的な表現は、伸縮式連結具及び伸縮式継手である。
【0028】
本明細書及び請求項を通して、「浮遊船舶」という表現は、水上に浮かぶ船舶として解釈されなければならない。浮遊船舶の代替的な表現は、海洋船舶、高速船舶、フェリー、船、ボート、荷船、及びいかだである。
【0029】
本明細書及び請求項を通して、「浮遊プラットフォーム」という表現は、水上に浮かぶプラットフォームとして解釈されなければならない。浮遊船舶の代替的な表現は、荷船、いかだ、平底船、ベース、及びブイである。
【0030】
本明細書及び請求項を通して、「輸送装置」という表現は、物品を受け取り、物品を物品ハンドラーの届く範囲内又は物品ハンドラーの届く範囲外に移動させることができるあらゆる装置として解釈されなければならない。輸送装置の代替的な表現は、プラットフォーム、回転可能なカルーセル(回転台、回転カルーセル)、可動プラットフォーム、コンベヤーベルト、車両、ロボット貯蔵設備、フォークリフト、クレーン、及びラックピニオンシステムである。
【0031】
本発明による輸送システムの一実施形態では、輸送ブームはメインブームに可動に搭載される。本実施形態は、輸送ブームのメインブームに対する摺動がメインブームのスパンの長さの動的調節を補正するため、有利である。
【0032】
本発明による輸送システムの一実施形態では、システムは、輸送ブームとメインブームとの間に少なくとも2つの継手をさらに備える。当該継手のうち少なくとも1つは、メインブームに対して輸送ブームの位置を適応させるために輸送ブームを作動するように構成される。これにより、メインブームに対する輸送ブームの位置の制御が可能となる。メインブームに対する輸送ブームの相対運動は、輸送ブームがメインブームの長さにわたって往復移動できるため、輸送ブームがメインブームよりも短くなり得るにも関わらず、メインブームと同じスパンを有することができることを意味する。これにより、メインブームに沿って物品を輸送する範囲を広げることが容易になる。
【0033】
本発明による輸送システムのさらなる実施形態では、メインブームの遠端部は、保管領域及び目標領域のうちの他方に設けられる垂直支柱を備える。本実施形態は、メインブームと保管領域及び目標領域のうちの当該他方との間に少なくとも1つの回転自由度を確保する単純な方法を構成する。その結果、メインブームはメインブームが支持される領域に対して枢動してもよい。
【0034】
本発明による輸送システムの別の実施形態では、垂直支柱の長さは延長可能である。これにより、垂直支柱を垂直支柱が支持される領域に配置する作業が容易になる。また、垂直支柱の長さは短縮可能であり、輸送システムが作動していないときに垂直支柱が占有する場所をより小さくすることができる。
【0035】
本発明による輸送システムの別の実施形態では、メインブームは、第1サブブームと、第1サブブームに枢動可能に接続された第2サブブームを備える。これにより、メインブームのスパンの調節が許容され、したがって、輸送システムが船舶の動きを補正することが許容される。
【0036】
一実施形態では、メインブームは、例えば垂直方向又は水平方向に折り畳み可能である。輸送システムのこれら2種類の実装方法により、メインブームのスパンの調節が可能となり、輸送システムが船舶の動きを補正することを許容する。垂直方向に折り畳み可能なメインブームは、ナックルブームと呼ばれてもよく、ナックルブームとはクレーンの技術分野で知られる用語である。
【0037】
本発明による一実施形態では、メインブームは少なくとも1つの伸縮式ジョイントを備える。これは、メインブームの長さの調節を可能にすることで、メインブームのスパンの調節を許容する、当該システム用の、ナックルブーム及び水平方向に折り畳み可能なブームの代替的な構成である。本実施形態の重要な利点は、輸送システムが収縮されて作動していないときに、ブームが占有する場所がより小さいことである。
【0038】
本発明による輸送システムの一実施形態では、メインブームのスパンの調節を許容するために、メインブームは少なくとも2つの伸縮式ジョイントを備える。本実施形態は、メインブームの長さの調節にさらなる選択肢を許容する。また、ブームのスパンが、伸縮式ジョイントを1つ有するブームと同等の大きさであり得る一方で、システムが作動していないときには、ブームはさらに短縮可能である。
【0039】
本発明による輸送システムのさらなる実施形態では、2つの伸縮式ジョイントそれぞれの動きはアクチュエータによって制御される。アクチュエータは油圧シリンダを基にしてもよく、電動アクチュエータでもよい。
【0040】
本発明による輸送システムの一実施形態では、アクチュエータはそれぞれロックモードとフリーフロートモードとを有する。アクチュエータがロックモードにある間は、対応する伸縮式ジョイントの位置をロックするため、アクチュエータは固定される。アクチュエータがフリーフロートモードにある間は、アクチュエータは自由に伸縮でき、メインブームのスパンの長さの受動的な調節を許容する。本実施形態の利点は、実際の要件、つまり、不動性か可動性かによって当該モード間での切り替えを許容することである。例えば目標側において、物品ハンドラーがメインブームの端部に設けられているため、反対側、つまり保管領域に設けられた伸縮式ジョイントのアクチュエータは、フリーフロートモードであることができる。その一方で、目標側に設けられた伸縮式ジョイントのアクチュエータはロックモードであることができる。このようにして、物品ハンドラーに一番近い伸縮式ジョイントのロック位置が、物品ハンドラーが目標領域から物品を把持して持ち上げるときに有利な不動な構成をもたらす一方で、物品ハンドラーから一番遠い伸縮式ジョイントは自由に動くことができ、そのため、船舶の動きを補正できる。物品ハンドラーが保管領域に向かって移動するにしたがって、保管領域側のアクチュエータはフリーフロートモードからロックモードに切り替わり、目標領域側のアクチュエータはロックモードからフリーフロートモードに切り替わる。したがって、メインブームの長さは目標領域側で調節可能であり、船舶の動きの補正を許容する。その一方で、メインブームは保管領域側において不動であり、保管領域における物品ハンドラーによる物品の配置を容易にする。
【0041】
本発明による輸送システムの一実施形態では、物品ハンドラーは輸送ブームに対して可動であり、輸送ブームに対する物品ハンドラーの位置を操作するためのアクチュエータを備える。本実施形態の利点は、輸送ブームに設けられた物品ハンドラーの動きが、保管領域と目標領域との間における物品の輸送のために制御できることである。これにより、物品を輸送する範囲も広がる。
【0042】
本発明による輸送システムの一実施形態では、物品の拾い上げ又は解放を容易にするために、物品ハンドラーの長さは調節可能である。高さの調整性については、物品と物品が置かれている床との間に十分なクリアランスがあるべきである。模範的な輸送システムでは、クリアランスは300mmに設計され、これによって物品ハンドラーの高さ調整性が少なくとも300mmに決定される。
【0043】
本発明による輸送システムの一実施形態では、物品ハンドラーは、物品のグリップインターフェイスを把持又は解放するように構成される。これにより、輸送作業のうちの持ち上げる工程が容易になり、また、この構成は自動化が簡単である。
【0044】
物品ハンドラーが可変の長さを有する実施形態の変形例では、物品ハンドラーは代替的に固定の長さを有する。この実施形態では、物品と物品が置かれている床との間のクリアランスを確保するために、(物品ハンドラーの代わりに)当該床が高さ調節可能に設けられ、必要なクリアランスを生成し、物品ハンドラーが輸送ブームに沿って物品を移動させることを許容する。これはもちろん保管領域及び目標領域の両方に適応される。さらなる組み合わせでは、物品ハンドラー及び対応する床両方の長さ又は高さが調節可能である。
【0045】
本発明による輸送システムの一実施形態では、物品ハンドラーは、物品のグリップインターフェイスを把持するための機械式グリッパを備える。
本発明による輸送システムの一実施形態では、物品ハンドラーは、物品のグリップインターフェイスを把持するためのバキュームヘッドを備える。
【0046】
輸送システムの一実施形態では、物品が物品ハンドラーから吊り下げられるとき、物品ハンドラーは、物品の向きを操作するために制御可能に回転可能である。本実施形態の利点は、目標領域又は保管領域における物品の配置が容易になることである。また、この工程により、輸送作業が早くなる。
【0047】
本発明による輸送システムの一実施形態では、当該システムは、保管領域において、物品を受け取り、物品を物品ハンドラーの届く範囲内又は物品ハンドラーの届く範囲外に移動させるための輸送装置をさらに備える。輸送システムの本実施形態は、複数の物品が保管領域と目標領域との間で輸送されるときに有利である。浮遊船舶と陸上との間でバッテリパックを輸送するために使用される輸送システムの場合、輸送装置は、陸上の保管領域から、例えば、使用済みのバッテリパックを充電する充電ステーションへの、バッテリパックのさらなる輸送を容易にすることができる。空のバッテリパックを充電するための充電ステーションは、陸上の輸送装置と一体化させてもよい。浮遊船舶上の保管領域に設けられた輸送装置は、浮遊船舶の電気モータと電気的に接続されるように構成されることができる。
【0048】
本発明による輸送システムの一実施形態では、当該システムは、目標領域において、物品を受け取り、物品を物品ハンドラーの届く範囲内又は物品ハンドラーの届く範囲外に移動させるための別の輸送装置をさらに備える。輸送システムの本実施形態は、複数の物品が保管領域と目標領域との間で輸送されるときに有利である。浮遊船舶と陸上との間でバッテリパックを輸送するために使用される輸送システムの場合、当該別の輸送装置は、陸上の目標領域から、例えば、使用済みのバッテリパックを充電する充電ステーションへの、バッテリパックのさらなる輸送を容易にすることができる。空のバッテリパックを充電するための充電ステーションは、陸上の別の輸送装置と一体化させてもよい。浮遊船舶上の目標領域に設けられた当該別の輸送装置は、浮遊船舶の電気モータと電気的に接続されるように構成されることができる。
【0049】
本発明による輸送システムの一実施形態では、輸送装置及び/又は別の輸送装置は、プラットフォーム、回転カルーセル、可動プラットフォーム、コンベヤーベルト、車両、ロボット貯蔵設備、フォークリフト、クレーン、及びラックピニオンシステムから成る群から選択されることができる。上述したように、本発明の本実施形態は、複数の物品が保管領域と目標領域との間で輸送されるときに有利である。回転カルーセルの場合、物品ハンドラーは、カルーセルの空いたスペースに物品を置いて物品を解放し、物品と物品ハンドラーとの間に空間を設けるために上方へ移動される。その後カルーセルが回転し、次の物品が物品ハンドラーの下に配置され、物品ハンドラーによる把持及び持ち上げを可能にする。同様に、コンベヤーベルトは輸送された物品を物品ハンドラーの下から取り除くことができ、次の輸送作業のために、次の輸送対象物品を物品ハンドラーの下に配置できる。可動プラットフォームは、貯蔵庫と目標領域との間で物品を輸送する方向に実質的に直交する方向に可動であってよい。
【0050】
本発明による輸送システムのさらなる実施形態では、輸送装置及び/又は別の輸送装置は、複数の物品を貯蔵するハウジングを備え、ハウジングは複数のドアを備える。ハウジングは、風や雨のような悪天候条件から物品を保護する。複数のドアは、物品ハンドラーが物品を把持して輸送装置又は別の輸送装置から持ち上げることができてもよいように、開放される。
【0051】
本発明による輸送システムのさらなる実施形態では、保管領域及び目標領域のうちの一方は、浮遊船舶又は浮遊プラットフォームの上に配置される。浮遊船舶の場合、目標領域及び保管領域は、好ましくは、メインブームを支持する台座が船舶上に位置しないように配置されるべきである。それにもかかわらず、メインブームを支持する台座を船舶上に位置することもできるが、この場合、船舶への荷重を増大させ、船舶の運航時のエネルギー消費を増大させる。それでもなお、大型の浮遊プラットフォームが保管領域として機能するのであれば可能であり、この問題は該当しない。
【0052】
本発明による輸送システムの別の実施形態では、保管領域及び目標領域のうちの他方は、別の浮遊船舶又は浮遊プラットフォームの上に配置される。保管領域又は目標領域のうちの一方が浮遊船舶又はプラットフォームの上に配置された場合、システムに、潮の条件及び/又は浮遊船舶又はプラットフォームの荷積み条件に合わせて調整するメカニズムを備えるのが有利であろう。保管領域及び目標領域のうちの他方を別の浮遊船舶又は浮遊プラットフォームの上に配置することによって、潮の条件及び/又は荷積み条件に合わせた調整が不要になるであろう。
【0053】
本発明による輸送システムの一実施形態では、輸送装置及び/又は別の輸送装置の高さは調節可能である。この高さの調節によって、潮の変化及び/又は浮遊船舶の荷積み条件に対する適応が可能になる。代替案として、この高さ調節性は、物品ハンドラーの届く範囲内に物品を持ってくること(つまり物品及び床とのクリアランスを狭めること)、又は、物品ハンドラーから物品を受け取ることに利用されてもよい。これは、特に物品ハンドラーの長さが調節不可能である実施形態において便利である。
【0054】
輸送システムのさらなる実施形態では、台座の高さは調節可能である。この高さ調節によって、潮の変化及び/又は浮遊船舶の荷積み条件に対する適応が可能になる。
【0055】
本発明による輸送システムの一実施形態では、保管領域及び目標領域のうちの他方は、メインブームの端部又はメインブームの垂直支柱を受けるように構成される支柱を備える。本実施形態は、メインブームと支柱との間の機械的接続をさらに安定させることができ、メインブームと保管領域及び目標領域のうちの他方との間の接続作業を簡単にするため、有利である。
【0056】
本発明による輸送システムの一実施形態では、垂直支柱はボールを備え、保管領域及び目標領域のうちの他方の支柱は、垂直支柱と接触した場合にボールと共にボールジョイントを形成するためにボールソケットを備える。本実施形態の利点は、ボールジョイントが垂直支柱と保管領域及び目標領域のうちの他方の支柱との間の機械的接続を維持しつつ、これら2つの部材間に枢動可能な接続を形成することである。
【0057】
本発明による輸送システムの一実施形態では、輸送システムは、輸送システムを制御するための制御システムをさらに備える。当該制御システムを用いて完全自動化システムを生成することが可能である。詳細な説明では、このような制御システムを構築する方法をさらに議論する。
【図面の簡単な説明】
【0058】
以下に、添付の図面において説明する実施形態の例を記載する。
【
図1】
図1は、パーキングモードにある輸送システムを示す図であって、台座が陸上の保管領域に配置され、目標領域が浮遊船舶上に位置する図である。
【
図2】
図2は、作動中の
図1の輸送システムを示す図であって、メインブームが浮遊船舶上の支柱によって支持され、物品ハンドラーが目標領域に向かって移動される図である。
【
図3】
図3は、作動中の
図1の輸送システムを示す図であって、物品ハンドラーが浮遊船舶に移動されて、物品ハンドラーが輸送される物品をピックアップする準備ができている図である。
【
図4】
図4は、作動中の
図1の輸送システムを示す図であって、物品ハンドラーが物品を持ち上げていて、物品が陸側に向けて移動されている図である。
【
図5】
図5は、作動中の
図1の輸送システムを示す図であって、物品ハンドラーが物品を持ち上げていて、物品が陸側に移動されて保管領域に配置される準備ができている図である。
【
図6】
図6は、代替的な輸送システムを示す図であって、輸送ブームがメインブームと一体化された図である。
【
図7】
図7は、代替的な輸送システムを示す図であって、輸送装置が可動プラットフォームを備える図である。
【
図8】
図8は、パーキングモードにある
図7の輸送システムを示す図である。
【
図9】
図9は、作動中の
図7の輸送システムを示す図であって、メインブームが回転し、プラットフォームが上昇し、メインブームが延長されている図である。
【
図10】
図10は、作動中の
図7の輸送システムを示す図であって、プラットフォームが物品の輸送方向に直交して移動し、物品ハンドラーが物品を持ち上げ、物品が貯蔵庫と目標領域との間にある図である。
【
図11】
図11は、陸と浮遊船舶との間でバッテリパックを交換するための、自動化された輸送システムのフローを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0059】
[詳細な説明]
以下に、本主題の種々の実例的実施形態を記載する。明確性のために、本明細書には、実際の実施の全ての特徴を記載してはいない。言うまでもなく、これら実際の実施形態の発展形において、開発者の特定の目標を達成するために、実施毎に異なるシステム関係及びビジネス関係の制約の順守など、実施に特有の多数の決定がなされなければならないことが理解されるであろう。さらに、このような開発努力は、複雑かつ時間のかかるものかもしれないが、それでもなお、本開示から利益を受ける当業者にとっては日常的な行為となるかもしれないことが理解されるであろう。
【0060】
本主題を添付の図面を参照して説明する。図面において、説明の目標のみのために、そして、本開示の当業者に周知の詳細事項によって本開示を不明瞭にしないために、種々のシステム、構造、及び装置は概略的に描写される。しかしながら、添付の図面は、本開示の実例を記載し説明するために添付される。本明細書で使用される語句は、関連する技術における当業者の理解と一致する意味を持つものと理解及び解釈されるべきである。用語又は語句の特別な定義、つまり、当業者によって理解されるような通常かつ慣例的な意味とは異なる定義は、本明細書における用語及び語句の一貫した使用によって示唆されることはない。用語及び語句が特別な意味、つまり、当業者によって理解されるもの以外の意味を持つことを意図する場合は、そのような特別な定義は、当該用語及び語句の特別な定義を直接的に明白に与える定義的方法で、本明細書において明確に説明される。
【0061】
図面を参照して、本発明はさらに詳細に議論される。図面は主に、先行する図面と異なる場合に議論される。
図1に、本発明の一実施形態による輸送システム1を示す。輸送システム1は、保管領域4、ここでは陸地又は埠頭3と、目標領域5、ここではフェリーなどの浮遊船舶2との間で、物品6を輸送するために構築される。図示された例では、保管領域は埠頭又は陸地3に設けられる。本実施形態では、物品はバッテリパックである。しかしながら、本発明はあらゆる他の種類の貨物を輸送するためにも使用されてよい。さらに、本実施形態では、輸送システム1は、目標領域5に位置する空のバッテリパック6を、保管領域4に位置する満充電されたバッテリパック6と交換するために使用される。バッテリパック6は、保管領域4上の輸送装置30の上、及び目標領域5の別の輸送装置31の上に保管される。本実施形態では、2つの輸送装置30、31は回転カルーセルを備える。輸送システム1は、保管領域4に設けられた台座10と、台座10に枢動可能に接続されたメインブーム11とをさらに備える。
【0062】
図1に、メインブーム11の体積を最小限にするためにメインブーム11が縮小された、パーキング位置にある輸送システム1を示す。パーキング位置では、メインブーム11は陸地3と平行である。輸送システム1は、メインブーム11に接続された輸送ブーム12をさらに備える。メインブーム11及び輸送ブーム11は、同一方向に延在している。パーキング位置では、メインブーム11の体積を最小限にするために、輸送ブーム12は、輸送ブーム12を受けるメインブーム11の受容部内に引っ込められることができる。物品ハンドラー13は、輸送ブーム12に接続され、輸送ブーム12に沿って可動であり、保管領域4と目標領域5との間を輸送するためにバッテリパック6をハンドリングするように構成される。
【0063】
図2に、作動中の
図1の輸送システム1を示す。メインブーム11は、パーキングモードにおける位置と比較して、実質的な水平面で90度回転し、浮遊船舶2に向けて延びている。カルーセル30及び台座30は、パーキングモードにおけるそれぞれの位置と比較して上昇している。メインブーム11は、2つの伸縮式ジョイント20,つまり、20-1,20-2によって接続された3つの部分19-1,19-2,19-3を備える。
【0064】
図2において、内側部分19-1は内側伸縮式ジョイント20-1によって中央部分19-2と接続され、中央部分19-2の反対側は外側伸縮式ジョイント20-2によって外側部分19-3と接続される。ジョイント20-1,20-2は、いずれも、メインブーム11の遠端部11eが目標領域5の上方に位置するように延びる。本実施形態では、遠端部11eは延長可能な垂直支柱14を備える。目標領域5は、垂直支柱14を受けるように構成される支柱32を備える。
【0065】
延長可能な垂直支柱14は、支柱32に支持され、支柱32と共に枢動可能な継手を形成する。つまり、これらの部品は共にボールジョイント33を形成する。この枢動可能な継手によって、浮遊船舶2は、確実に、自由に横揺れ及び縦揺れできる。輸送システム1は台座10とメインブーム11との間に傾斜アクチュエータ24をさらに備える。垂直支柱14が浮遊船舶2上で支柱32に支持されているとき、メインブーム11が、浮遊船舶2の垂直方向の動きに追随し、確実に、自由に枢動できるようにするため、傾斜アクチュエータ24はフリーフロートモードにある。延長可能な垂直支柱14と支柱32との間の枢動可能な継手、及びメインブーム11と台座10との間の枢動可能な継手は、垂直支柱の支柱32に対する並進運動、及び、メインブーム11の台座10に対する並進運動なしで、システムが船舶の動きに耐えることを許容する。
【0066】
伸縮式ジョイント20はそれぞれ、伸縮式アクチュエータ22によって制御される。伸縮式アクチュエータ22はメインブーム11に平行である。内側伸縮式アクチュエータ22-1の一端は、内側部分19-1に接続され、内側伸縮式アクチュエータ22-1の他端は中央部分19-2に接続される。同様に、外側伸縮式アクチュエータ22-2の一端は、中央部分19-2に接続され、外側伸縮式アクチュエータ22-2の他端は、外側部分19-3に接続される。伸縮式アクチュエータ22はそれぞれ、対応する伸縮式ジョイント20の位置を固定する、あるいは、フリーフロートモードで、メインブーム11の対応する伸縮式ジョイント20の受動的な動きを許容することができる。
【0067】
物品ハンドラー13が台座10よりもメインブーム11の遠端部11eに近接すると、外側伸縮式アクチュエータ22-2はロックモードになり、一方で内側伸縮式アクチュエータ22-1はフリーフロートモードになる。これにより、物品ハンドラー13が浮遊船舶2に近接するとき、目標領域5と物品ハンドラー13との間の動きが確実に最小限になり、カルーセル31からバッテリパック6を把持して持ち上げることが容易になる。同時に、内側伸縮式ジョイント20-1の許容された受動的な動きは、浮遊船舶2の動きを補正することができる。
【0068】
図2では、輸送ブーム12はレールを備え、2つの継手15によってメインブーム11に接続される。輸送ブーム12は、メインブーム11に対して摺動可能である。一方の継手15は輸送ブーム12用のリニアアクチュエータ15aであり、メインブーム11に対して輸送ブーム12を往復移動させるように構成される。リニアアクチュエータ15aは中央部分19-2に接続され、一方で他方の継手15は、輸送ブーム12を外側部分19-3と接続する摺動可能な継手15bであり、輸送ブーム12がメインブーム11上で外側部分19-3に沿って動けることを確実にする。
【0069】
物品ハンドラー13は、輸送ブーム12のレールに沿って可動であり、輸送ブーム12に対する物品ハンドラー13の位置を操作するための物品ハンドラーアクチュエータ23を備える。
図2では、物品ハンドラー13及び輸送ブーム12が、浮遊船舶2に向かって、D1方向に移動している。アクチュエータ22,23,24は、油圧シリンダ又は、リニアアクチュエータのような電動アクチュエータを備えることができる。
【0070】
図3に、作動中の
図1の輸送システム1を示す。ここでは、輸送ブーム12及び物品ハンドラー13は、メインブーム11に対して、物品ハンドラー13が浮遊船舶2上の目標領域5でカルーセル31に配置された空のバッテリパック6の上方に位置するように動く。物品ハンドラー13は、バッテリパック6のグリップインターフェイス25を把持及び解放するように構成されるロックシステム26を有して構成される。ロックシステム26がグリップインターフェイス25上に固定されてもよいように、物品ハンドラー13はD2方向に下降させられる。物品ハンドラー13の下降及び上昇は、例えば、油圧シリンダを備えるシステム又はジャッキシステムによって制御されることができる。本明細書の導入部で既に述べたように、代替的な実施形態では、物品ハンドラー13は下降又は上昇されず、むしろその長さが固定され、一方で、バッテリパック(物品)6が置かれた又は置かれる対応する「床」の高さが調節可能であり、物品ハンドラー13はバッテリパック6の把持及び解放だけをすればよい。物品ハンドラー13のロックシステム26は、グリップインターフェイス25を把持するための機械式グリッパ又はバキュームヘッドを備えることができる。
【0071】
図4に、輸送システム1を示す。ここでは、物品ハンドラー13がバッテリパック6を持ち上げ、バッテリパック6を運搬している物品ハンドラー13が陸地3に向かってD3方向に移動させられる。同時に、輸送ブーム12が同じくD3方向に移動させられる。物品ハンドラー13が、メインブーム11の遠端部11eよりも台座10に近接するとき、内側伸縮式アクチュエータ22-1は、フリーフロートモードからロックモードへと切り替わる。逆に、外側伸縮式アクチュエータ22-2は、外側伸縮式ジョイント20-2が受動的に移動でき、浮遊船舶2の動きを補正できるように、ロックモードからフリーフロートモードへと切り替わる。内側伸縮式ジョイント20-1のロック位置は、空のバッテリパック6を運搬する物品ハンドラー13と陸地3に設けられたカルーセル30との間における最小限の動きを許容する。バッテリパック6を運搬する物品ハンドラー13が保管領域4に向かって移動させられると、物品ハンドラー13は、保管領域4上へのバッテリパック6の配置を容易にするために、バッテリパック6の向きを操作できる。
【0072】
図5に、輸送システム1を示す。ここでは、輸送ブーム12及び物品ハンドラー13は、バッテリパック6を運搬する物品ハンドラー13がカルーセル30上の空いたスペースの上方に位置するように、メインブーム11に対して移動させられる。輸送ブーム12及び物品ハンドラー13はいずれも、
図4に記載のそれぞれの位置と比較して、台座10に向けてさらに移動している。物品ハンドラー13は、空のバッテリパック6をカルーセル30の上に置くようにD4方向に下降させられる。ロックシステム26は、バッテリパック6のグリップインターフェイス25を解放する。物品ハンドラー13は上方に引っ込められ、浮遊船舶2に輸送される新たな満充電されたバッテリパック6を把持して持ち上げる準備が整う。本実施形態では、
図5に回転方向R1として記載されているように、カルーセル30は垂直中心軸を中心として回転可能である。カルーセル30は、満充電されたバッテリパック6を物品ハンドラー13の下に配置するために回転することができる。その後、物品ハンドラー13は再び下降されて、満充電されたバッテリパック6のグリップインターフェイス25に固定され、バッテリパック6を浮遊船舶2の目標領域5に移動するために、上述したような輸送作業を利用することができる。全ての輸送作業が完結すると、垂直支柱14は支柱32から引っ込められ、伸縮式ジョイント20はメインブーム11の幅を最小化するように縮小され、メインブーム11は回転して
図1に示すパーキング位置に戻ることができる。
【0073】
図6に、輸送システム1の別の実施形態を示す。本実施形態では、メインブーム11は、4つの伸縮式ジョイント20-3,20-4,20-5,20-6によって接続された5つのセクション19-4,19-5,19-6,19-7,19-8を備える。本図では、図示のとおり、第1セクション19-4が第1の伸縮式ジョイント20-3によって第2セクション19-5に接続され、第2セクション19-5が第2の伸縮式ジョイント20-4によって第3セクション19-6に接続され、第3セクション19-6が第3の伸縮式ジョイント20-5によって第4セクション19-7に接続され、第4セクション19-7が第4の伸縮式ジョイント20-6によって第5セクション19-8に接続されている。伸縮式ジョイント20-3,20-4,20-5,20-6は、油圧式シリンダ又は別の種類のアクチュエータを使用することによって延長及び収縮することができる。アクチュエータは、メインブーム11の側部、
図1から5に示すようにメインブーム11の頂部、又は、セクション19-4,19-5,19-6,19-7,19-8の内部に設けられてもよい。本実施形態では、輸送ブーム12は第3セクション19-6に対して移動不可能なように第3セクション19-6に一体化される。物品ハンドラー13は、輸送ブーム12に沿って移動させられうる。本実施形態では、メインブーム11のスパンの長さは上述したものと同様に調節可能である。また、メインブーム11は、保管領域4及び目標領域5の両方において同様に支持される。本実施形態においてより多くの伸縮式ジョイント20を備える理由は、物品ハンドラー13が物品6を拾い上げるために十分な長さを確実に備えるためである。各サイドにおいてより多くの伸縮式ジョイント20を備えることで、第3セクション19-6の可動性が増加する。
【0074】
図6に示す実施形態は、以下のように実施されてもよい。物品ハンドラー13が目標領域5に近接するとき、第4の伸縮式ジョイント20-6はロック位置にあり、一方で、第1の伸縮式ジョイント20-3はフリーフロートモードである。物品ハンドラー13が目標領域5に向かって移動させられる場合、第3セクション19-6はメインブーム11の遠端部11eに向かって移動させられる。物品ハンドラー13がバッテリパック6を把持して持ち上げること、又は、バッテリパック6をカルーセル31上に配置して開放することのいずれかをするためにカルーセル31上の任意の位置の上方に位置するために、第3セクション19-6が適切な位置に配置されている場合、第2、第3の伸縮式ジョイント20-4,20-5はロックされる。
【0075】
一方で、物品ハンドラー13が保管領域4に近接するとき、第1の伸縮式ジョイント20-3はロック位置にあり、一方で、第4の伸縮式ジョイント20-6はフリーフロートモードである。同様に、物品ハンドラー13が保管領域4に向かって移動させられる場合、第3セクション19-6は台座10に向かって移動させられる。物品ハンドラー13が保管領域4に近接するとき、第1の伸縮式ジョイント20-3はロック位置にあり、一方で、第4の伸縮式ジョイント20-6はフリーフロートモードである。物品ハンドラー13がバッテリパック6を把持して持ち上げること、又は、バッテリパック6をカルーセル30上に配置して開放することのいずれかをするためにカルーセル30上の任意の位置の上方に位置するために、第3セクション19-6が適切な位置に配置されている場合、第2、第3の伸縮式ジョイント20-4,20-5はロックされる。
【0076】
また、本実施形態は、目標領域5上のメインブーム11の遠端部11eを支持するための別の解決策を示す。垂直支柱14は作動可能に設けられるが、その他の点では、垂直支柱14の部品及び機能性は
図1から5に記載の垂直支柱14と同一である。垂直支柱14は目標領域5上の支柱32の内部に入るように下降させられる。垂直支柱14は(ここでは円柱のピストン棒として設けられる)支柱アクチュエータ45によって制御される。
【0077】
第4の伸縮式ジョイント20-6がロック位置にあるとき、支柱アクチュエータ45も同様であり、これにより物品ハンドラー13と目標領域5との間の安定した構造を確実にする。支柱アクチュエータ45がロック位置にあるとき、傾斜アクチュエータ24はフリーフロートモードにあり、これは、第1の伸縮式ジョイント20-3の受動的動作と共に、浮遊船舶2による横揺れ、縦揺れ、上下揺れ、及び自由な動きを確実に可能にする。同様に、第1の伸縮式ジョイント20-3がロック位置にあるとき、台座10とメインブーム11との間において傾斜アクチュエータ24も同様にロック位置にある。これにより、物品ハンドラー13と保管領域4との間の安定した構造を確実にする。そして、支柱アクチュエータ45及び第4の伸縮式ジョイント20-6はフリーフロートモードになり、システムが浮遊船舶2の動作を補正することを許容する。
【0078】
バッテリパック6を運搬する物品ハンドラー13が保管領域4と目標領域5との間を移動させられるとき、カルーセル30,31上におけるバッテリパック6の配置を容易にするために、物品ハンドラー13はバッテリパック6の向きを操作することができる。アクチュエータ24,45は、油圧式シリンダを備えることもでき、又は、電気的に駆動されることもできる。
【0079】
図1から6に記載の輸送システムの部品は、以下に記載するおおよその寸法であってもよい。パーキング位置におけるメインブーム11の長さは6.5mでもよく、伸縮式ジョイント20が完全に延長されたときのメインブーム11の長さは13mであってもよい。内側部分19-1の長さは5mであってもよく、中央部分19-2及び外側部分19-3の長さは4mであってもよい。輸送ブーム12の長さは6mであってもよい。台座10及びメインブーム11の全高は約7mであってもよい。完全に延長されたときの垂直支柱14の高さは、1mまでであってもよく、支柱32の高さは2.5mであってもよい。物品ハンドラー13の直径は1mであってもよく、高さは1.5mであってもよい。バッテリパック6は長さ2.5m、幅1.6m、高さ1.7mであってもよく、重さは10トンであってもよい。回転カルーセル30,31の直径は5.1mであってもよい。
【0080】
図7から11に代替的な輸送システム1を示す。ここでは、陸地3上の輸送装置はプラットフォーム60を備える。
図7に、輸送システム1と、保管領域4が位置する陸地3に近づく浮遊船舶2とを示す。バッテリパック6は陸地3上のプラットフォーム60と、浮遊船舶2上の回転カルーセル31に貯蔵される。先に議論した実施形態と同様に、メインブーム11の遠端部11eは垂直支柱14を備え、浮遊船舶2上の目標領域5は、垂直支柱14を受けるように構成された支柱32を備える。垂直支柱14は支柱32によって支持され、支柱32と共に枢動可能な継手を形成する。
【0081】
図8に、パーキングモードにある輸送システム1を示す。メインブーム11は、その体積を最小化するために縮小される。パーキング位置において、メインブーム11は陸地3と平行である。
【0082】
プラットフォーム60は、プラットフォーム60を上昇及び下降させるように構成されたリフト機構61を備える。
図8から11に記載のように、リフト機構61は、垂直ビーム63に沿ってプラットフォームを上昇及び下降させてもよい。別の例では、プラットフォームは、シザーリフトなどの別のリフト機構によって上昇及び下降されてもよい。輸送システム1がパーキングモードにあるとき、プラットフォーム60は下降位置にある。
【0083】
輸送装置は、ハウジング51がプラットフォーム60と共に上昇及び下降されてもよいように、リフト機構61に接続されたハウジング51をさらに備える。また、ハウジング51は、プラットフォーム60に固定されてもよい。ハウジング51は、バッテリパック6の貯蔵及び充電の間、例えば風や雨からバッテリパック6を保護してもよい。ハウジング51は、輸送システム1がパーキングモードにあるときに閉鎖される2つの摺動可能な中間ドア52を備える。
【0084】
図9に、作動中の輸送システム1を示す。メインブーム11は、パーキングモードにおける位置と比較して、実質的に水平な面において90度回転させられ、浮遊船舶2(ここでは図示せず)に向かって延びている。輸送ブーム12はメインブーム11に接続され、物品ハンドラー13は輸送ブーム12に接続されて輸送ブーム12に沿って可動であり、保管領域4と目標領域5との間におけるバッテリパック6の輸送を処理するように構成される。
【0085】
図9において、リフト機構61は、プラットフォーム60を浮遊船舶2上のカルーセル31(ここでは図示せず)とほぼ同じ高さまで上昇させている。中間ドア52は、物品ハンドラー13によって輸送されるバッテリパック6を受けるためにバッテリパック用空きスロットが使用可能であるように開放される。こうして、浮遊船舶2から輸送される空のバッテリパック6は、中間ドア52が開放されているときに、プラットフォーム60の中間スロットに受容されてもよい。
【0086】
図10に示すように、プラットフォーム60は摺動プレート62をさらに備える。摺動プレート62は、リフトプレート61及びハウジング51に対して摺動可能であり、陸地3と浮遊船舶2(ここでは図示せず)上の目標領域5との間においてバッテリパック6を輸送する方向にほぼ直交する方向に可動である。
【0087】
ハウジング51は、側方ドア53をさらに備える。
図10に示すように、ハウジング51の各端部に位置する側方ドア53は、側方ドア53が摺動プレート62と共にハウジング51に対して可動であるように、摺動プレート62に接続される。摺動プレート62は、バッテリパック6がメインブーム11の下に位置するように、バッテリパック6を中間ドア52の間の隙間に移動させてもよい(
図10参照)。こうして、バッテリパック6は、輸送ハンドラー13による拾い上げが可能となる。物品ハンドラー13は、バッテリパック6のグリップインターフェイス25を把持するための機械式グリッパを備えるロックシステム26を備える。摺動プレート62は、空きスロットがメインブーム11の下に位置するように、プラットフォーム60上の空きスロットを中間ドア52の間の隙間に移動させてもよい。こうして、物品ハンドラー13によって輸送ブーム12に沿って輸送されるバッテリパック6を受けるために、空きスロットが使用可能となってもよい。
【0088】
図11に、物品ハンドラー13によって輸送されるバッテリパック6を示す。
以下のようにして、浮遊船舶2から輸送される空のバッテリパック6とプラットフォーム60に貯蔵された満充電されたバッテリパック6との交換が行われてもよい。浮遊船舶2が陸地3における保管領域4の横に係留されると、台座10及びプラットフォーム60は適切な高さまで上昇させられ、メインブーム11は浮遊船舶2に向かって延び、垂直支柱14は船舶2の目標領域5上の支柱32と共に枢動可能な継手を形成する。本実施例では、浮遊船舶2上のカルーセル31は、保管領域4の2つの満充電されたバッテリパック6と交換される2つのバッテリパック6を貯蔵する。
【0089】
摺動する中間ドア52は、プラットフォーム60の中央にバッテリパック6用の空きスロットが露出するように開放される。
物品ハンドラー13は、浮遊船舶2上のカルーセル31に向かって移動する。物品ハンドラー13が第1の空のバッテリパック6の上に位置すると、物品ハンドラー13は、ロックシステム26が第1の空のバッテリパック6のグリップインターフェイス25を把持するように下降させられる。物品ハンドラー13は上昇させられ、陸地3上のプラットフォーム60に向かって移動させられる。バッテリパック6は、プラットフォーム60に向かって輸送される前に、カルーセル31から十分な空間を確保するために短距離だけ持ち上げられてもよい。上述したように、物品ハンドラー13が輸送ブーム12に沿って動いている間、メインブーム11の伸縮式ジョイント、メインブーム11と台座10との間の枢動可能な継手、及び、垂直支柱14と支柱32との間の枢動可能な継手は、ロックモードとフリーフロートモードとの間で切り替わる。
【0090】
第1の空のバッテリパック6を運搬する物品ハンドラー13がプラットフォーム60の中央の空きスロットに到着すると、物品ハンドラー13は、浮遊船舶2から輸送された第1の空のバッテリパック6が空きスロットに配置されるように下降させられる。
【0091】
そして、物品ハンドラー13は、プラットフォーム60から空間を確保するために上方に移動させられる。摺動プレート62は、プラットフォーム60の右端に位置する第1の満充電されたバッテリパック6が開放された中間ドア52の間においてメインブーム11の下に位置するように、左に移動させられる。
【0092】
物品ハンドラー13は、ロックシステム26が第1の満充電されたバッテリパック6のグリップインターフェイス25を把持するように下降させられる。物品ハンドラー13は上昇させられ、浮遊船舶2上のカルーセル31に向かって移動させられる。バッテリパック6は、カルーセル31に向かって輸送される前に、プラットフォーム60から十分な空間を確保するために短距離だけ持ち上げられてもよい。
【0093】
第1の満充電されたバッテリパック6を運搬する物品ハンドラー13がカルーセル31上の(第1の空のバッテリパック6が以前に貯蔵されていた)空きスロットに到着すると、物品ハンドラー13は、第1の満充電されたバッテリパック6がカルーセル31上の空きスロットに配置されるように下降させられる。
【0094】
そして、物品ハンドラー13は、カルーセル31から空間を確保するために、カルーセル31から上方に移動させられる。カルーセル31は、第2の空のバッテリパック6が物品ハンドラー13の下に位置するように回転させられる。
【0095】
物品ハンドラー13は、ロックシステム26が第2の空のバッテリパック6のグリップインターフェイス25を把持するように下降させられる。物品ハンドラー13は上昇させられ、陸地3上のプラットフォーム60に向かって移動させられる。
【0096】
第2の空のバッテリパック6を運搬する物品ハンドラー13がプラットフォーム60の開放された中間ドア52の間における空きスロットに到着すると、物品ハンドラー13は、浮遊船舶2から輸送された第2の空のバッテリパック6が空きスロットに配置されるように下降させられる。
【0097】
そして、物品ハンドラー13は、プラットフォーム60から空間を確保するために、プラットフォーム60から上方に移動させられる。摺動プレート62は、プラットフォーム60の左端に位置する第2の満充電されたバッテリパック6が開放された中間ドア52の間においてメインブーム11の下に位置するように、右に移動させられる。
【0098】
物品ハンドラー13は、ロックシステム26が第2の満充電されたバッテリパック6のグリップインターフェイス25を把持するように、下降させられる。物品ハンドラー13は上昇され、浮遊船舶2上のカルーセル31に向かって移動させられる。
【0099】
第2の満充電されたバッテリパック6を運搬する物品ハンドラー13がカルーセル31上の(第2の空のバッテリパック6が以前に貯蔵されていた)空きスロットに到着すると、物品ハンドラー13は、第2の満充電されたバッテリパック6がカルーセル31上の空きスロットに配置されるように下降させられる。
【0100】
こうして、浮遊船舶2上のカルーセル31上の2つの空のバッテリパック6は、プラットフォーム6から輸送された2つの満充電されたバッテリパック6と交換された。ここで輸送装置1は、パーキングモードに戻ってもよく、浮遊船舶2は保管領域3から出航してもよい。
【0101】
本実施例では、浮遊船舶2上のカルーセル31は2つのバッテリパック6を貯蔵する。しかしながら、2つよりも多い又は少ない数のバッテリパック6が、浮遊船舶上のカルーセル31に貯蔵されてもよい。同様に、本実施例では、プラットフォーム60は2つのバッテリパック6を貯蔵する。2つよりも多い又は少ない数のバッテリパック6が、陸地3上のプラットフォーム6に貯蔵されてもよい。本実施例のプラットフォーム60は、バッテリパック6を受けるための1つの空きスロットを備える。プラットフォーム60は、バッテリパック6を受けるための1つ以上の空きスロットを備えてもよい。別の実施例では、プラットフォーム60は空きスロットを備えなくてもよく、カルーセル31はバッテリパック6を受けるための1つ又は複数の空きスロットを備えてもよい。
【0102】
上記に開示した具体的な実施形態は単に理解を助けるものであり、本発明は、本開示の教示内容の恩恵を受ける当業者にとって明白な、本開示とは異なるが同等の方法で修正されても実施されてもよい。本開示に記載の実施例は、バッテリパック6を浮遊船舶2へ、及び浮遊船舶2から輸送することに関するものである一方で、当業者は、本開示に記載のシステム及び装置が、あらゆる種類の物品6を、いずれの領域も陸地に位置する、又は、いずれの領域も同じ浮遊船舶若しくはプラットフォーム、又は、2つの浮遊船舶若しくはプラットフォームに位置する2つの領域間で輸送するために使用してもよいと理解するであろう。
【0103】
説明図において、保管領域4は陸地3上に配置され、目標領域5は浮遊船舶2上に配置されるが、逆でもよく、保管領域4が浮遊船舶2上に配置されることもでき、目標領域5が陸地3上に配置されることもできる。船舶2の負荷を最小化するために台座10を浮遊船舶2上に配置しないことが有利ではあるが、台座10は保管領域4上に配置されることも、目標領域5上に配置されることもできる。
【0104】
輸送装置及び台座10はバリア又はフェンスによって囲まれてもよい。
図1から
図6に示す実施形態では、保管領域4及び目標領域5はそれぞれ、回転カルーセル30,31の形で輸送装置を備える。本発明による別の実施形態では、こういった輸送装置を使用しなくてもよく、又は、保管領域4及び目標領域5のいずれか一方で1つのみ使用してもよい。輸送装置は、
図7から11に記載の可動プラットフォーム60や、コンベヤーベルト、車両、又は、プラットフォームなどの代替的な構成を有することもできる。浮遊船舶2と陸地3との間においてバッテリパック6を輸送するために使用される輸送システム1の場合、陸地3上の輸送装置は、使用済みのバッテリを充電するためにバッテリパック6を充電ステーションへさらに輸送することを容易にすることもでき、又は、充電ステーションは陸地3上の輸送装置と一体化されてもよい。浮遊船舶2上の保管領域4又は目標領域5上の輸送装置31は、浮遊船舶2の電気モータと電気的に接続されるように構成されることもできる。輸送装置は、バッテリパック6を輸送装置の空きスロットに配置することを容易にするために、機械的誘導要素を備えてもよい。
【0105】
図1から
図11に記載の実施形態では、メインブーム11は、メインブーム11のスパンの動的調節のために伸縮式ジョイント20を備える。本発明による別の実施形態では、メインブーム11は、第1サブブームと、メインブームのスパンの調節を許容するために第1サブブームに枢動可能に接続された第2サブブームとを備えることができる。メインブーム11は、例えば垂直方向又は水平方向に折り畳み可能であることができる。垂直方向に折り畳み可能なメインブームは、ナックルブームであってもよい。
【0106】
上述した説明において、輸送される物品6はバッテリパック6として述べられる。当業者は、輸送システム1が、例えば、これらに限定はされないが、重量モジュール又は水素タンクなどの、あらゆる種類の物品6を輸送するために使用できることを理解するであろう。物品ハンドラー13の機能は、ロックシステム26、又は、物品6のグリップインターフェイス25に依存しない。物品ハンドラー13は、ドッキングヘッド、遠隔操作車両(ROV)、ドッキングフック、ドッキングバー、ドッキングクロー、ドッキングマッシュルーム、バキュームサクションカップ、バキュームヘッド、ドッキング機構、カーゴアクチュエータ、可動トロリ、ロードアクチュエータ、ロボットグリッパ、ロボットアーム、自動フック、磁気ヘッド、及びラッチ機構であることができる。
【0107】
本発明による輸送システム1の実施形態では、輸送システム1は輸送システムを制御するための制御システムをさらに備える。この制御システムを利用した完全に自動化されたシステムを生成することが可能である。
図1から
図11に記載の輸送システム1の実施形態を利用すると、輸送システム1は、浮遊船舶2上の空のバッテリパック6を陸地3上の満充電されたバッテリパック6と交換するために利用できる。
図1から5に記載の輸送システム1は、
図12に記載のフロー図によるステップに従って、制御システムを利用して作動されてもよい。
【0108】
第1のステップ100は、浮遊船舶2からの到着前シグナル(信号)を備え、到着前シグナルは、船舶2の陸地3への到着より5~10分前に、輸送システム1の機械的動力システムを作動させる。到着前シグナルを受けて、陸地3上の保管領域4上に設けられるカルーセル30及び台座10は、カルーセル30が浮遊船舶2上のカルーセル31と同様の高さになるように、潮汐水及び浮遊船舶2の荷積み条件に基づいて適正な高さに上昇する。メインブーム11は、実質的に水平な面において、パーキング位置から海面に向かって90度回転する。
【0109】
次のステップ101は、浮遊船舶2が陸地3に停泊したときに、浮遊船舶2から自動シグナルを受信する制御システムを備える。このシグナルは、船舶2が陸地に沿って正しい位置に安全に停泊したときに、船舶2のブリッジ乗組員によって確認される。制御システムは、2つの伸縮式ジョイントを延長することによるメインブーム11の延長を始動させ、これにより、垂直支柱14は、浮遊船舶2上の目標領域5上の支柱32の上方に位置する。制御システムは垂直支柱14の支柱32内に向かう延長を始動する。
【0110】
ステップ102では、支柱32に支持される垂直支柱14からのセンサシグナルによって、内側伸縮式アクチュエータ22-1及び傾斜アクチュエータ24がフリーフロートモードへ切り替わり、また、外側伸縮式アクチュエータ22-2がロックモードに切り替わる。そして、制御システムは、目標領域5における、船舶2から持ち上げられる空のバッテリパック6の上方への、物品ハンドラー13の移動を始動させる。
【0111】
次のステップ103では、物品ハンドラー13又はバッテリパック6上のセンサ(図示せず)が、制御システムに正しい位置を確認し、制御システムは、物品ハンドラー13が下降し、ロックシステム26を用いてバッテリパック6のグリップインターフェイス25に固定されるように、物品ハンドラー13を始動させる。物品ハンドラー13は、カルーセル31からバッテリパック6を持ち上げる。正しい位置を決定するセンサは、先行技術により知られ、カメラ、近接センサ、又はレーザを備えてもよい。
【0112】
次のステップ104では、物品ハンドラー13は輸送ブーム12に沿って移動させられる。物品ハンドラー13及び、物品ハンドラー13から吊り下げられたバッテリパック6がメインブーム11を渡る途中で、制御システムにシグナルが送信され、それにより、外側伸縮式アクチュエータ22-2がロックモードからフリーフロートモードに切り替わり、内側伸縮式アクチュエータ22-1がフリーフロートモードからロックモードに切り替わる。物品ハンドラー13の向きは、物品ハンドラー13から吊り下げられたバッテリパック6が陸地2のカルーセル30上の配置において正しい向きとなるように、変更されてもよい。空のバッテリパック6とともに物品ハンドラー13は、カルーセル30上の空きスロットの上方の位置に移動させられる。
【0113】
ステップ105では、物品ハンドラー13又はバッテリパック6上のセンサは、制御システムに正しい位置を確認し、制御システムは、バッテリパック6をカルーセル30上の空きスロットに配置するために、物品ハンドラー13が下降し、バッテリパック6のグリップインターフェイス25を解放するように、物品ハンドラー13を始動させる。
【0114】
次のステップ106では、物品ハンドラー13は引っ込められ、空のバッテリパック6の頂部に向けて垂直に空間が設けられる。そして、制御システムは、満充電されたバッテリパック6と物品ハンドラー13とを整列させるために回転するようカルーセル30にシグナルを送信する。カルーセル30上に3つのバッテリパック6が配置される実施形態では、カルーセル30は120度回転しなければならない。
【0115】
さらなるステップ107では、物品ハンドラー13又はバッテリパック6上のセンサは、制御システムに正しい位置を確認し、制御システムは、物品ハンドラー13が下降させられ、ロックシステム26を用いて、満充電されたバッテリパック6のグリップインターフェイス25に固定されるように、物品ハンドラー13を始動させる。物品ハンドラー13は、満充電されたバッテリパック6をカルーセル30から持ち上げる。
【0116】
次のステップ108では、物品ハンドラー13は、輸送ブーム12に沿って移動させられる。物品ハンドラー13及び、物品ハンドラー13から吊り下げられた満充電されたバッテリパック6がメインブーム11を渡る途中で、制御システムにシグナルが送信され、それにより、内側伸縮式アクチュエータ22ー1がロックモードからフリーフロートモードに切り替わり、外側伸縮式アクチュエータ22-2がフリーフロートモードからロックモードに切り替わる。満充電されたバッテリパック6とともに物品ハンドラー13は、カルーセル31上の空きスロットの上方の位置に移動させられる。
【0117】
ステップ109は、物品ハンドラー13又はバッテリパック6上に、制御システムが正しい位置を確認するためのセンサを備え、制御システムは、物品ハンドラー13が下降させられ、バッテリパック6のグリップインターフェイス25を解放し、バッテリパック6をカルーセル31上の空きスロットに配置するように、物品ハンドラー13を始動させる。
【0118】
次のステップ110では、物品ハンドラー13は引っ込められ、満充電されたバッテリパック6の頂部に向けて垂直に空間が設けられる。
1つの空のバッテリパック6が、満充電されたバッテリパック6と交換され、作業を終了できる、又は、当該サイクルを繰り返すことができる。
【0119】
最終ステップ111では、物品ハンドラー13が台座10に向かって移動され、垂直支柱14が引っ込められ、セクション19がいずれも引っ込められ、輸送ブーム12がメインブーム11の受容部内に引っ込められ、メインブーム11が
図1に示すようにパーキング位置へと回転させられる。
【0120】
バッテリパック6をさらに輸送するために、ステップ112は、第2の空のバッテリパック6と物品ハンドラー13とを整列させるようにカルーセル31を回転させるシグナルを、カルーセル31に送信する制御システムを備える。カルーセル31上に2つのバッテリパック6が配置された実施形態では、カルーセル31は180度回転しなければならない。ステップ103から110は、全ての空のバッテリパック6が満充電されたバッテリパック6と交換されるまで繰り返されることができる。
【0121】
当業者は、当該輸送システムの代替的な解決法を容易に見出すかもしれない。本発明は、独立請求項に包含される限り、これらの変形例を全て包含する。本明細書に記載の構造又は設計の詳細において、下記の請求項に記載のもの以外、いかなる限定も意図されない。それゆえに、上記で開示された特定の実施形態が変更又は変形されてもよく、そのような変形例が全て本発明の範囲であるとみなされることは明白である。したがって、本明細書で求める保護は、下記の請求項に記載のとおりである。
【0122】
上述の実施形態は、本発明を限定するよりもむしろ本発明を説明するものであり、当業者は添付の請求の範囲から逸脱することなく多くの代替の実施形態を設計することができることは、特筆すべきである。請求項では、括弧内の参照符号はいずれも請求項を限定するものとして解釈されない。「備える」という動詞、及びその活用形の使用によって、請求項に記載されたもの以外の要素又は工程の存在を排除されない。要素の前に付された単数を表す冠詞によって、その要素が複数存在することを排除されない。複数の手段が互いに異なる従属項に記載されているという単なる事実は、それらの手段の組み合わせが有利に用いられ得ないことを示さない。本発明は、いくつかの明らかに異なる要素を備えるハードウェアによって実施されてもよく、適切にプログラムされたコンピュータによって実施されてもよい。いくつかの手段を列挙するデバイスの請求項において、これらの手段のうちのいくつかが、ハードウェアの1つの及び同一のアイテムによって具体化されてもよい。
【手続補正書】
【提出日】2024-04-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品(6)を保管領域(4)と目標領域(5)との間で往復輸送するための輸送システム(1)であって、前記輸送システム(1)は、
前記保管領域(4)及び前記目標領域(5)のうちの一方に設置される台座(10)と、
前記台座(10)に枢動可能に接続されるメインブーム(11)であって、前記保管領域(4)及び前記目標領域(5)のうちの他方によって支持されるように構成される遠端部(11e)を有しつつ、前記保管領域(4)及び前記目標領域(5)のうちの前記他方との間において少なくとも1回転自由度を許容し、少なくとも前記輸送システムの第1運転モードの間、スパンの長さが受動的に調節可能であり、
伸縮式又は折り畳み可能である、メインブーム(11)と、
前記メインブーム(11)に接続され
、作動時に、前記保管領域から前記目標領域へ水平方向に延長する輸送ブーム(12)と、
前記輸送ブーム(12)に沿って又は前記輸送ブーム(12)によって移動可能であり、前記保管領域(4)と前記目標領域(5)との間を輸送される前記物品(6)のハンドリングをするように構成される物品ハンドラー(13)と、を備える、
輸送システム(1)。
【請求項2】
請求項1に記載の輸送システム(1)であって、
前記輸送ブーム(12)は、前記メインブーム(11)に可動なように搭載される、輸送システム(1)。
【請求項3】
請求項2に記載の輸送システム(1)であって、
前記輸送ブーム(12)と前記メインブーム(11)との間に少なくとも2つの継手(15)をさらに備え、
前記継手(15)のうちの少なくとも1つは、前記輸送ブーム(12)の位置を前記メインブーム(11)に対して適応させるために、前記輸送ブーム(12)を作動させるように構成される、輸送システム(1)。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載の輸送システム(1)であって、
前記メインブーム(11)の前記遠端部(11e)は、前記保管領域(4)及び前記目標領域(5)のうちの前記他方に設置される垂直支柱(14)を備える、輸送システム(1)。
【請求項5】
請求項1又は請求項2に記載の輸送システム(1)であって、
前記メインブーム(11)は、前記メインブーム(11)の前記スパンの調節を許容する第1サブブームと第2サブブームとを備え、
前記第2サブブームは前記第1サブブームに枢動可能に接続され
、
前記メインブーム(11)は、垂直方向又は水平方向に折り畳み可能である、輸送システム(1)。
【請求項6】
請求項1又は請求項2に記載の輸送システム(1)であって、
前記メインブーム(11)は、前記メインブーム(11)の前記スパンの調節を許容する少なくとも1つの伸縮式ジョイント(20)を備える、輸送システム(1)。
【請求項7】
請求項1又は請求項2に記載の輸送システム(1)であって、
前記物品ハンドラー(13)の前記輸送ブーム(12)に対する位置を操作する物品ハンドラーアクチュエータ(23)を備える、輸送システム(1)。
【請求項8】
請求項1又は請求項2に記載の輸送システム(1)であって、
前記物品(6)の拾い上げ又は解放を容易にするために、前記物品ハンドラー(13)の長さが調節可能である、輸送システム(1)。
【請求項9】
請求項1又は請求項2に記載の輸送システム(1)であって、
前記物品ハンドラー(13)は、前記物品(6)のグリップインターフェイス(25)を把持又は解放するように構成される、輸送システム(1)。
【請求項10】
請求項1又は請求項2に記載の輸送システム(1)であって、
前記物品ハンドラー(13)は、前記物品(6)が前記物品ハンドラーから吊り下げられるとき、前記物品(6)の向きを操作するために制御可能に回転可能である、輸送システム(1)。
【請求項11】
請求項1又は請求項2に記載の輸送システム(1)であって、
前記保管領域(4)において、前記物品(6)を受け取り、前記物品(6)を前記物品ハンドラー(13)の届く範囲内又は前記物品ハンドラー(13)の届く範囲外に移動させるための輸送装置(30,31,60)をさらに備える、輸送システム(1)。
【請求項12】
請求項1又は請求項2に記載の輸送システム(1)であって、
前記目標領域(5)において、前記物品(6)を受け取り、前記物品(6)を前記物品ハンドラー(13)の届く範囲内又は前記物品ハンドラー(13)の届く範囲外に移動させるための別の輸送装置(30,31,60)をさらに備える、輸送システム(1)。
【請求項13】
請求項1又は請求項2に記載の輸送システム(1)であって、
前記保管領域(4)及び前記目標領域(5)のうちの前記一方は、浮遊船舶(2)又は浮遊プラットフォームの上に配置され
、
前記保管領域(4)及び前記目標領域(5)のうちの前記他方は、別の浮遊船舶又は浮遊プラットフォームの上に配置され、潮の条件調整及び/又は荷積み条件調整が不要である、輸送システム(1)。
【請求項14】
請求項11に記載の輸送システム(1)であって、
前記輸送装置(30)の高さは、潮の変化及び/又は前記保管領域(4)又は前記目標領域(5)のうちの一方の荷積み条件に適応するように調節可能である、輸送システム(1)。
【請求項15】
請求項12に記載の輸送システム(1)であって、
前記別の輸送装置(31)の高さは、潮の変化及び/又は前記保管領域(4)又は前記目標領域(5)のうちの一方の荷積み条件に適応するように調節可能である、輸送システム(1)。
【請求項16】
請求項1又は請求項2に記載の輸送システム(1)であって、
前記保管領域(4)及び前記目標領域(5)のうちの前記他方は、前記メインブーム(11)の前記
遠端部(11e)又は前記メインブーム(11)の垂直支柱(14)を受けるように構成される支柱(32)を備える、輸送システム(1)。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0015】
第1の局面において、本発明は、物品を保管領域と目標領域との間で往復輸送するための輸送システムに関する。
輸送システムは、
-保管領域及び目標領域のうちの一方に設置される台座と、
-台座に枢動可能に接続されるメインブームであって、保管領域及び目標領域のうちの他方によって支持されるように構成される遠端部を有しつつ、保管領域及び目標領域のうちの当該他方との間において少なくとも1つの回転自由度を許容し、少なくとも輸送システムの第1運転モードの間、スパンの長さを受動的に調節可能であり、伸縮式又は折り畳み可能であるメインブームと、
-メインブームに接続される輸送ブームであって、作動時に、保管領域から目標領域へ水平方向に延長する輸送ブームと、
-輸送ブームに沿って又は輸送ブームによって移動され、保管領域と目標領域との間を輸送される物品のハンドリングをするように構成される物品ハンドラーと、を備える。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0053
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0053】
本発明による輸送システムの一実施形態では、輸送装置の高さは調節可能である。輸送システムのさらなる実施形態では、別の輸送装置の高さは調節可能である。この高さの調節によって、潮の変化及び/又は浮遊船舶の荷積み条件に対する適応が可能になる。代替案として、この高さ調節性は、物品ハンドラーの届く範囲内に物品を持ってくること(つまり物品及び床とのクリアランスを狭めること)、又は、物品ハンドラーから物品を受け取ることに利用されてもよい。これは、特に物品ハンドラーの長さが調節不可能である実施形態において便利である。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0058
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0058】
以下に、添付の図面において説明する実施形態の例を記載する。
【
図1】
図1は、パーキングモードにある輸送システムを示す図であって、台座が陸上の保管領域に配置され、目標領域が浮遊船舶上に位置する図である。
【
図2】
図2は、作動中の
図1の輸送システムを示す図であって、メインブームが浮遊船舶上の支柱によって支持され、物品ハンドラーが目標領域に向かって移動される図である。
【
図3】
図3は、作動中の
図1の輸送システムを示す図であって、物品ハンドラーが浮遊船舶に移動されて、物品ハンドラーが輸送される物品をピックアップする準備ができている図である。
【
図4】
図4は、作動中の
図1の輸送システムを示す図であって、物品ハンドラーが物品を持ち上げていて、物品が陸側に向けて移動されている図である。
【
図5】
図5は、作動中の
図1の輸送システムを示す図であって、物品ハンドラーが物品を持ち上げていて、物品が陸側に移動されて保管領域に配置される準備ができている図である。
【
図6】
図6は、代替的な輸送システムを示す図であって、輸送ブームがメインブームと一体化された図である。
【
図7】
図7は、代替的な輸送システムを示す図であって、輸送装置が可動プラットフォームを備える図である。
【
図8】
図8は、パーキングモードにある
図7の輸送システムを示す図である。
【
図9】
図9は、作動中の
図7の輸送システムを示す図であって、メインブームが回転し、プラットフォームが上昇し、メインブームが延長されている図である。
【
図10】
図10は、作動中の
図7の輸送システムを示す図であって、プラットフォームが物品の輸送方向に直交して移動し、物品ハンドラーが物品を持ち上げ、物品が貯蔵庫と目標領域との間にある図である。
【
図11】
図11は、
作動中の図7の輸送システムを示す図であって、物品が物品ハ
ンドラーによって輸送される図である。
【
図12】
図12は、陸と浮遊船舶との間でバッテリパックを交換するための、自動化された輸送システムのフローを示す図である。
【国際調査報告】