(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-12
(54)【発明の名称】パーライト系セメント質材料、コンクリート、及び関連技術
(51)【国際特許分類】
C04B 28/02 20060101AFI20240705BHJP
C04B 14/18 20060101ALI20240705BHJP
C04B 16/04 20060101ALI20240705BHJP
C04B 24/26 20060101ALI20240705BHJP
C04B 22/14 20060101ALI20240705BHJP
C04B 20/00 20060101ALI20240705BHJP
【FI】
C04B28/02
C04B14/18
C04B16/04
C04B24/26 E
C04B22/14 A
C04B22/14 B
C04B20/00 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024501199
(86)(22)【出願日】2022-02-15
(85)【翻訳文提出日】2024-03-07
(86)【国際出願番号】 US2022016382
(87)【国際公開番号】W WO2023282939
(87)【国際公開日】2023-01-12
(32)【優先日】2021-07-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-09-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-02-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】324006153
【氏名又は名称】エコ マテリアル テクノロジーズ アイピー インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】パイク シニア. クリントン ダブリュー.
【テーマコード(参考)】
4G112
【Fターム(参考)】
4G112MB12
4G112MB23
4G112MD01
4G112PA07
4G112PA23
4G112PB10
4G112PB31
(57)【要約】
処理済みパーライト系セメント質材料、コンクリート、及び関連技術を開示する。いくつかの実施形態に従って、処理済みパーライト系セメント質材料は、パーライト粗鉱と、ポリビニルアルコール(PVA)粉末と、ポリカルボキシレート材料と、(任意で)硫酸カルシウム(CaSO
4)と亜硫酸カルシウム(CaSO
3)のうちの少なくとも一方とを相互粉砕することによって作製されてもよい。いくつかの実施形態に従って、セメント質材料には、膨張パーライト屑及び/または膨張パーライトも含まれてもよい。いくつかの実施形態に従って、パーライト粗鉱、膨張パーライト屑、及び膨張パーライトは、セメント質材料を供給する際に合わせてもよい。少なくともいくつかの場合において、セメント質材料は、粉末が全て混ぜ合わされた配合として供給してもよい。いくつかの実施形態に従って、コンクリートは、セメント質材料を、普通ポルトランドセメント(OPC)、砂、岩石、及び水と混合することによって作製されてもよい。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パーライト粗鉱と、
ポリビニルアルコール(polyvinyl alcohol:PVA)粉末と、
ポリカルボキシレート材料と、を備える、
処理済みパーライト系セメント質混合物を作製する方法。
【請求項2】
(取消)
【請求項3】
(取消)
【請求項4】
前記処理済みパーライト系セメント質混合物の作製は、前記パーライト粗鉱と、前記PVA粉末と、前記ポリカルボキシレート材料とを、前記処理済みパーライト系セメント質混合物に対して約38μmのD90粒径分布が達成されるまで相互粉砕することを含む、請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記処理済みパーライト系セメント質混合物の作製は、前記パーライト粗鉱と、前記PVA粉末と、前記ポリカルボキシレート材料とを、前記処理済みパーライト系セメント質混合物に対して約28μmのD90粒径分布が達成されるまで相互粉砕することを含む、請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記処理済みパーライト系セメント質混合物はさらに、硫酸カルシウム(CaSO
4)と亜硫酸カルシウム(CaSO
3)のうちの少なくとも一方を備える、請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記処理済みパーライト系セメント質混合物の作製は、前記パーライト粗鉱と、前記PVA粉末と、前記ポリカルボキシレート材料と、前記硫酸カルシウムと亜硫酸カルシウムのうちの少なくとも一方とを相互粉砕することを含む、請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記処理済みパーライト系セメント質混合物はさらに、膨張パーライト屑と膨張パーライトのうちの少なくとも一方を備える、請求項1記載の方法。
【請求項9】
前記処理済みパーライト系セメント質混合物の作製は、前記パーライト粗鉱と、前記PVA粉末と、前記ポリカルボキシレート材料と、前記膨張パーライト屑と膨張パーライトのうちの少なくとも一方とを相互粉砕することを含む、請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記処理済みパーライト系セメント質混合物はさらに、膨張パーライト屑と膨張パーライトとを備える、請求項1記載の方法。
【請求項11】
前記処理済みパーライト系セメント質混合物の作製は、前記パーライト粗鉱と、前記PVA粉末と、前記ポリカルボキシレート材料と、前記膨張パーライト屑と、前記膨張パーライトとを相互粉砕することを含む、請求項10記載の方法。
【請求項12】
請求項1、4~11、及び23~50のいずれか1項に従って作製される前記処理済みパーライト系セメント質混合物と、
普通ポルトランドセメント(ordinary Portland cement:OPC)と、
水と、
岩石と砂のうちの少なくとも一方と、を備えるコンクリートを作製する方法。
【請求項13】
前記処理済みパーライト系セメント質混合物と前記OPCは50:50の配合で供給される、請求項12記載の方法。
【請求項14】
請求項12に従って作製されるコンクリートを備える、コンクリート製品。
【請求項15】
パーライト粗鉱と、
ポリビニルアルコール(PVA)粉末と、
ポリカルボキシレート材料と、を備える組成物。
【請求項16】
(取消)
【請求項17】
前記組成物は約38μm±3μmのD90粒径分布を有する、請求項15及び51~78のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項18】
前記組成物は約28μm±3μmのD90粒径分布を有する、請求項15及び51~78のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項19】
(取消)
【請求項20】
(取消)
【請求項21】
(取消)
【請求項22】
普通ポルトランドセメント(OPC)をさらに備える、請求項15及び51~78のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項23】
前記処理済みパーライト系セメント質混合物はさらに膨張パーライト屑を備え、前記膨張パーライト屑は前記処理済みパーライト系セメント質混合物の約6wt%以下を占める、請求項1記載の方法。
【請求項24】
前記処理済みパーライト系セメント質混合物はさらに膨張パーライト屑を備え、前記膨張パーライト屑は前記処理済みパーライト系セメント質混合物の5~6wt%を占める、請求項1記載の方法。
【請求項25】
前記処理済みパーライト系セメント質混合物はさらに膨張パーライト屑を備え、前記膨張パーライト屑は前記処理済みパーライト系セメント質混合物の4~5wt%を占める、請求項1記載の方法。
【請求項26】
前記処理済みパーライト系セメント質混合物はさらに膨張パーライト屑を備え、前記膨張パーライト屑は前記処理済みパーライト系セメント質混合物の3~4wt%を占める、請求項1記載の方法。
【請求項27】
前記処理済みパーライト系セメント質混合物はさらに膨張パーライト屑を備え、前記膨張パーライト屑は前記処理済みパーライト系セメント質混合物の2~3wt%を占める、請求項1記載の方法。
【請求項28】
前記処理済みパーライト系セメント質混合物はさらに膨張パーライト屑を備え、前記膨張パーライト屑は前記処理済みパーライト系セメント質混合物の1~2wt%を占める、請求項1記載の方法。
【請求項29】
前記処理済みパーライト系セメント質混合物はさらに膨張パーライトを備え、前記膨張パーライトは前記処理済みパーライト系セメント質混合物の約1wt%以下を占める、請求項1記載の方法。
【請求項30】
前記処理済みパーライト系セメント質混合物はさらに膨張パーライトを備え、前記膨張パーライトは前記処理済みパーライト系セメント質混合物の0.75~1wt%を占める、請求項1記載の方法。
【請求項31】
前記処理済みパーライト系セメント質混合物はさらに膨張パーライトを備え、前記膨張パーライトは前記処理済みパーライト系セメント質混合物の0.5~0.75wt%を占める、請求項1記載の方法。
【請求項32】
前記処理済みパーライト系セメント質混合物はさらに膨張パーライトを備え、前記膨張パーライトは前記処理済みパーライト系セメント質混合物の0.25~0.5wt%を占める、請求項1記載の方法。
【請求項33】
前記処理済みパーライト系セメント質混合物はさらに、
膨張パーライト屑であって、前記処理済みパーライト系セメント質混合物の約5wt%を占める、膨張パーライト屑と、
膨張パーライトであって、前記処理済みパーライト系セメント質混合物の約0.5wt%を占める、膨張パーライトと、を備えた、請求項1記載の方法。
【請求項34】
前記膨張パーライト屑は約40μmのD90粒径分布を有する、請求項33記載の方法。
【請求項35】
前記膨張パーライトは約25μmのD90粒径分布を有する、請求項33記載の方法。
【請求項36】
前記PVA粉末は前記処理済みパーライト系セメント質混合物の約0.05wt%を占める、請求項33記載の方法。
【請求項37】
前記ポリカルボキシレート材料は前記処理済みパーライト系セメント質混合物の約0.2wt%を占める、請求項33記載の方法。
【請求項38】
前記処理済みパーライト系セメント質混合物はさらに、
膨張パーライト屑であって、前記処理済みパーライト系セメント質混合物の約6wt%を占める、膨張パーライト屑と、
膨張パーライトであって、前記処理済みパーライト系セメント質混合物の約0.5wt%を占める、膨張パーライトと、を備えた、請求項1記載の方法。
【請求項39】
前記膨張パーライト屑は約20μmのD90粒径分布を有する、請求項38記載の方法。
【請求項40】
前記膨張パーライトは約20μmのD90粒径分布を有する、請求項38記載の方法。
【請求項41】
前記PVA粉末は前記処理済みパーライト系セメント質混合物の約0.15wt%を占める、請求項38記載の方法。
【請求項42】
前記ポリカルボキシレート材料は前記処理済みパーライト系セメント質混合物の約0.3wt%を占める、請求項38記載の方法。
【請求項43】
前記処理済みパーライト系セメント質混合物はさらに亜硫酸カルシウム(CaSO
3)を備え、前記亜硫酸カルシウムは前記処理済みパーライト系セメント質混合物の1.5~3wt%を占める、請求項1記載の方法。
【請求項44】
前記処理済みパーライト系セメント質混合物はさらに亜硫酸カルシウム(CaSO
3)を備え、前記亜硫酸カルシウムは前記処理済みパーライト系セメント質混合物の2.5~3wt%を占める、請求項1記載の方法。
【請求項45】
前記処理済みパーライト系セメント質混合物はさらに亜硫酸カルシウム(CaSO
3)を備え、前記亜硫酸カルシウムは前記処理済みパーライト系セメント質混合物の2~2.5wt%を占める、請求項1記載の方法。
【請求項46】
前記処理済みパーライト系セメント質混合物はさらに亜硫酸カルシウム(CaSO
3)を備え、前記亜硫酸カルシウムは前記処理済みパーライト系セメント質混合物の1.5~2wt%を占める、請求項1記載の方法。
【請求項47】
前記処理済みパーライト系セメント質混合物はさらに硫酸カルシウム(CaSO
4)を備え、前記硫酸カルシウムは前記処理済みパーライト系セメント質混合物の0.1~1.5wt%を占める、請求項1記載の方法。
【請求項48】
前記処理済みパーライト系セメント質混合物はさらに硫酸カルシウム(CaSO
4)を備え、前記硫酸カルシウムは前記処理済みパーライト系セメント質混合物の1~1.5wt%を占める、請求項1記載の方法。
【請求項49】
前記処理済みパーライト系セメント質混合物はさらに硫酸カルシウム(CaSO
4)を備え、前記硫酸カルシウムは前記処理済みパーライト系セメント質混合物の0.5~1wt%を占める、請求項1記載の方法。
【請求項50】
前記処理済みパーライト系セメント質混合物はさらに硫酸カルシウム(CaSO
4)を備え、前記硫酸カルシウムは前記処理済みパーライト系セメント質混合物の0.1~0.5wt%を占める、請求項1記載の方法。
【請求項51】
膨張パーライト屑をさらに備え、前記膨張パーライト屑は前記組成物の約6wt%以下を占める、請求項15記載の組成物。
【請求項52】
膨張パーライト屑をさらに備え、前記膨張パーライト屑は前記組成物の5~6wt%を占める、請求項15記載の組成物。
【請求項53】
膨張パーライト屑をさらに備え、前記膨張パーライト屑は前記組成物の4~5wt%を占める、請求項15記載の組成物。
【請求項54】
膨張パーライト屑をさらに備え、前記膨張パーライト屑は前記組成物の3~4wt%を占める、請求項15記載の組成物。
【請求項55】
膨張パーライト屑をさらに備え、前記膨張パーライト屑は前記組成物の2~3wt%を占める、請求項15記載の組成物。
【請求項56】
膨張パーライト屑をさらに備え、前記膨張パーライト屑は前記組成物の1~2wt%を占める、請求項15記載の組成物。
【請求項57】
膨張パーライトをさらに備え、前記膨張パーライトは前記組成物の約1wt%以下を占める、請求項15記載の組成物。
【請求項58】
膨張パーライトをさらに備え、前記膨張パーライトは前記組成物の0.75~1wt%を占める、請求項15記載の組成物。
【請求項59】
膨張パーライトをさらに備え、前記膨張パーライトは前記組成物の0.5~0.75wt%を占める、請求項15記載の組成物。
【請求項60】
膨張パーライトをさらに備え、前記膨張パーライトは前記組成物の0.25~0.5wt%を占める、請求項15記載の組成物。
【請求項61】
膨張パーライト屑であって、前記組成物の約5wt%を占める、膨張パーライト屑と、
膨張パーライトであって、前記組成物の約0.5wt%を占める、膨張パーライトと、をさらに備えた、請求項15記載の組成物。
【請求項62】
前記膨張パーライト屑は約40μmのD90粒径分布を有する、請求項61記載の組成物。
【請求項63】
前記膨張パーライトは約25μmのD90粒径分布を有する、請求項61記載の組成物。
【請求項64】
前記PVA粉末は前記組成物の約0.05wt%を占める、請求項61記載の組成物。
【請求項65】
前記ポリカルボキシレート材料は前記組成物の約0.2wt%を占める、請求項61記載の組成物。
【請求項66】
膨張パーライト屑であって、前記組成物の約6wt%を占める、膨張パーライト屑と、
膨張パーライトであって、前記組成物の約0.5wt%を占める、膨張パーライトと、をさらに備えた、請求項15記載の組成物。
【請求項67】
前記膨張パーライト屑は約20μmのD90粒径分布を有する、請求項66記載の組成物。
【請求項68】
前記膨張パーライトは約20μmのD90粒径分布を有する、請求項66記載の組成物。
【請求項69】
前記PVA粉末は前記組成物の約0.15wt%を占める、請求項66記載の組成物。
【請求項70】
前記ポリカルボキシレート材料は前記組成物の約0.3wt%を占める、請求項66記載の組成物。
【請求項71】
亜硫酸カルシウム(CaSO
3)をさらに備え、前記亜硫酸カルシウムは前記組成物の1.5~3wt%を占める、請求項15記載の組成物。
【請求項72】
亜硫酸カルシウム(CaSO
3)をさらに備え、前記亜硫酸カルシウムは前記組成物の2.5~3wt%を占める、請求項15記載の組成物。
【請求項73】
亜硫酸カルシウム(CaSO
3)をさらに備え、前記亜硫酸カルシウムは前記組成物の2~2.5wt%を占める、請求項15記載の組成物。
【請求項74】
亜硫酸カルシウム(CaSO
3)をさらに備え、前記亜硫酸カルシウムは前記組成物の1.5~2wt%を占める、請求項15記載の組成物。
【請求項75】
硫酸カルシウム(CaSO
4)をさらに備え、前記硫酸カルシウムは前記組成物の0.1~1.5wt%を占める、請求項15記載の組成物。
【請求項76】
硫酸カルシウム(CaSO
4)をさらに備え、前記硫酸カルシウムは前記組成物の1~1.5wt%を占める、請求項15記載の組成物。
【請求項77】
) 硫酸カルシウム(CaSO
4)をさらに備え、前記硫酸カルシウムは前記組成物の0.5~1wt%を占める、請求項15記載の組成物。
【請求項78】
硫酸カルシウム(CaSO
4)をさらに備え、前記硫酸カルシウムは前記組成物の0.1~0.5wt%を占める、請求項15記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本特許出願は、(1)2021年7月9日に出願された米国仮特許出願第63/220392号明細書、(2)2021年9月15日に出願された米国仮特許出願第63/244447号明細書、及び(3)2022年2月10日に出願された米国仮特許出願第No.63/308566号明細書の利益を主張する。これらの出願の各々はその全体を本明細書に援用する。
【0002】
[技術分野]
本開示は、セメント質材料に関し、詳細にはパーライト系セメント質材料、コンクリート、及び技術に関する。
【0003】
[背景技術]
パーライトは天然のアモルファス(非晶質)黒曜石であり、その組成は通常、二酸化ケイ素が約70~75%、酸化アルミニウムが約12~15%、酸化カリウムが約3~5%、酸化ナトリウムが約3~4%、及び酸化鉄、酸化マグネシウム、酸化カルシウムが微量に含まれている。時間とともに、パーライト粗鉱の石基は水を吸収していく。パーライトは含水率が高いので、十分に加熱されると大きく膨張する。通例では、パーライトは約1,300°F以上で加熱すると「発泡」する。その結果得られた膨張パーライトは著しく軽量で吸収性がある。
【0004】
[発明の概要]
本願の主題は、いくつかの場合では、相互に関係する製品、ある特定の問題の代替の解決法、及び/または、1つのシステムまたは物品の異なる複数の使用法を含み得る。
【0005】
一例示的実施形態は方法を提供する。本方法は、パーライトと、ポリビニルアルコール(polyvinyl alcohol:PVA)粉末と、ポリカルボキシレート材料とを含む、処理済みパーライト系セメント質混合物を作製する。いくつかの場合では、パーライトはパーライト粗鉱である。
【0006】
いくつかの場合では、処理済みパーライト系セメント質混合物の作製は、パーライト粗鉱と、PVA粉末と、ポリカルボキシレート材料とを相互粉砕することを含む。いくつかのこのような場合では、相互粉砕は、処理済みパーライト系セメント質混合物に対して約38μmのD90粒径分布が達成されるまで行われる。いくつかの他のこのような場合では、相互粉砕は、処理済みパーライト系セメント質混合物に対して約28μmのD90粒径分布が達成されるまで行われる。
【0007】
いくつかの場合では、処理済みパーライト系セメント質混合物はさらに、硫酸カルシウム(CaSO4)と亜硫酸カルシウム(CaSO3)のうちの少なくとも一方を含む。いくつかのこのような場合では、処理済みパーライト系セメント質混合物の作製は、パーライト粗鉱と、PVA粉末と、ポリカルボキシレート材料と、硫酸カルシウムと亜硫酸カルシウムのうちの少なくとも一方とを相互粉砕することを含む。
【0008】
いくつかの場合では、処理済みパーライト系セメント質混合物はさらに、膨張パーライト屑と膨張パーライトのうちの少なくとも一方を含む。いくつかのこのような場合では、処理済みパーライト系セメント質混合物の作製は、パーライト粗鉱と、PVA粉末と、ポリカルボキシレート材料と、膨張パーライト屑と膨張パーライトのうちの少なくとも一方とを相互粉砕することを含む。
【0009】
いくつかの場合では、処理済みパーライト系セメント質混合物はさらに、膨張パーライト屑と膨張パーライトとを含む。いくつかのこのような場合では、処理済みパーライト系セメント質混合物の作製は、パーライト粗鉱と、PVA粉末と、ポリカルボキシレート材料と、膨張パーライト屑と、膨張パーライトとを相互粉砕することを含む。
【0010】
別の例示的実施形態は方法を提供する。本方法は、上記に記載されたように作製される処理済みパーライト系セメント質混合物と、普通ポルトランドセメント(ordinary Portland cement:OPC)と、水と、岩石と砂のうちの少なくとも一方とを含むコンクリートを作製する。いくつかの場合では、処理済みパーライト系セメント質混合物とOPCは50:50の配合で供給される。別の例示的実施形態は、上記に記載されたように作製されるコンクリートを含むコンクリート製品を提供する。
【0011】
別の例示的実施形態は組成物を提供する。本組成物は、パーライトと、ポリビニルアルコール(PVA)粉末と、ポリカルボキシレート材料とを含む。いくつかの場合では、パーライトはパーライト粗鉱である。いくつかの場合では、組成物は約38μmのD90粒径分布を有する。いくつかの場合では、組成物は約28μmのD90粒径分布を有する。いくつかの場合では、組成物はさらに、硫酸カルシウム(CaSO4)と亜硫酸カルシウム(CaSO3)のうちの少なくとも一方を含む。上述の場合のうちのいくつかでは、組成物はさらに、膨張パーライト屑と膨張パーライトのうちの少なくとも一方を含む。上述の場合のうちのいくつかでは、組成物はさらに、膨張パーライト屑と膨張パーライトとを含む。上述の場合のうちのいくつかでは、組成物はさらに普通ポルトランドセメント(OPC)を含む。
【0012】
本明細書に記載されている特徴と利益は全てが含まれているわけではなく、特に、当業者であれば、図面、明細書、及び請求項を見ると、数多くの追加の特徴及び利益が明らかになるであろう。さらに、本明細書内で用いられる用語は、主に読みやすさと教育上の目的で選択されたものであり、本発明の主題の範囲を限定するためのものではないことに留意すべきである。
【0013】
各実施形態のこれらの特徴及び他の特徴は、以下の詳細な説明を本明細書に記載の各図面と併せて読むことでさらに良く分かるであろう。各図面において、種々の図に示されている同一またはほぼ同一の構成要素は同様の符号で表されてもよい。分かりやすくするために、各図において全ての構成要素に符号を付与しているわけではない。さらに、本開示に鑑みると分かるように、添付図面は、一定の縮尺で描かれているものではなく、また、記載されている実施形態を図示された特定の構成に限定するものでもない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、本開示のある実施形態に従って処理済みパーライト系セメント質材料を作製する方法を図示している。
【
図2】
図2は、本開示のある実施形態に従ってコンクリートを作製する方法を図示している。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[発明の詳細な説明]
処理済みパーライト系セメント質材料、コンクリート、及び関連技術を開示する。いくつかの実施形態に従って、処理済みパーライト系セメント質材料は、パーライト粗鉱と、ポリビニルアルコール(PVA)粉末と、ポリカルボキシレート材料と、(任意で)硫酸カルシウム(CaSO4)と亜硫酸カルシウム(CaSO3)のうちの少なくとも一方とを相互粉砕することによって作製されてもよい。いくつかの実施形態に従って、セメント質材料には、膨張パーライト屑及び/または膨張パーライトも含まれてもよい。いくつかの実施形態に従って、パーライト粗鉱、膨張パーライト屑、及び膨張パーライトは、セメント質材料を供給する際に合わせてもよい。少なくともいくつかの場合において、セメント質材料は、粉末が全て混ぜ合わされた配合として供給してもよい。いくつかの実施形態に従って、コンクリートは、セメント質材料を、普通ポルトランドセメント(OPC)、砂、岩石、及び水と混合することによって作製されてもよい。本開示に鑑みて、数多くの構成や変形が明らかになるであろう。
【0016】
[全体概要]
パーライトは、水と混合する際に水の消費量が大きいため、普通ポルトランドセメント(OPC)の代用としての実用性は限られていた。これは、粗鉱の非晶質ガラスの反応性が、ガラス内にケイ酸塩は多量にあるがカルシウムはほとんどないために制限されることが、少なくともある程度影響している。その結果、パーライトを用いて作製したコンクリートは通常、代表的なOPC系コンクリートと比較して初期圧縮強度が劇的に低い。
【0017】
よって、本開示のいくつかの実施形態に従って、処理済みパーライト系セメント質材料、コンクリート、及び関連技術を開示する。いくつかの実施形態に従って、処理済みパーライト系セメント質材料は、パーライト粗鉱と、ポリビニルアルコール(PVA)粉末と、ポリカルボキシレート材料と、(任意で)硫酸カルシウム(CaSO4)と亜硫酸カルシウム(CaSO3)のうちの少なくとも一方とを相互粉砕することによって作製されてもよい。いくつかの実施形態に従って、セメント質材料には、膨張パーライト屑及び/または膨張パーライトも含まれてもよい。いくつかの実施形態に従って、パーライト粗鉱、膨張パーライト屑、及び膨張パーライトは、セメント質材料を供給する際に合わせてもよい。少なくともいくつかの場合において、セメント質材料は、粉末が全て混ぜ合わされた配合として供給してもよい。いくつかの実施形態に従って、コンクリートは、セメント質材料をOPC、砂、岩石、及び水と混合することによって作製されてもよい。
【0018】
本開示に鑑みると分かるように、本明細書にて開示されている技術は、数ある中でも例えば、園芸、遮蔽、充填、天井用タイル状石材、モルタル等の幅広い状況や用途のいずれにおいても利用可能である。
【0019】
[処理済みパーライト系セメント質材料]
図1は、本開示のある実施形態に従って処理済みパーライト系セメント質材料を作製する方法1000を図示している。図から分かるように、方法1000は、ブロック1002に示されているように、パーライト粗鉱を加えてもよい。本開示に鑑みると分かるように、パーライト粗鉱は、与えられた目的用途または最終需要に対して所望されるように調達されてもよい。いくつかの実施形態に従って、パーライト粗鉱は米国イメリス社(Imerys USA,Inc.)から入手可能なパーライトであってもよい(またはパーライトを含んでいてもよい)。いくつかの実施形態に従って、パーライト粗鉱は、Dicalite Management Group社から入手可能なDICAPERL(登録商標)パーライトであってもよい(またはDICAPERLパーライトを含んでいてもよい)。加えられるパーライト粗鉱の量は、与えられた目的用途または最終需要に対して所望されるように個別調整されてもよい。いくつかの実施形態に従って、パーライト粗鉱は、方法1000に従って作製された所定の混合物の約25~50wt%(例えば約25~30wt%、約30~35wt%、約35~40wt%、約40~45wt%、約45~50wt%、または約25~50wt%の範囲内にある他の任意のサブ範囲)を占めてもよい。本開示に鑑みると、パーライトの他の適切な種類及び量は明らかであろう。
【0020】
方法1000は、ブロック1004に示されているように、ポリビニルアルコール(PVA)粉末を加えてもよい。PVA粉末の量は、与えられた目的用途または最終需要に対して所望されるように個別調整されてもよい。いくつかの実施形態に従って、PVA粉末は、方法1000に従って作製された所定の混合物の約0.1~0.4wt%(例えば約0.1~0.15wt%、約0.15~0.2wt%、約0.2~0.25wt%、約0.25~0.3wt%、約0.3~0.35wt%、約0.35~0.4wt%、または約0.1~0.4wt%の範囲内にある他の任意のサブ範囲)を占めてもよい。本開示に鑑みると、PVA粉末の他の適切な量は明らかであろう。
【0021】
方法1000は、ブロック1006に示されているように、1つ以上のポリカルボキシレート材料を加えてもよい。一般に、ポリカルボキシレート材料は、様々なポリカルボキシレートのヘテロ重合体または共重合体(つまり2つの単量体からなる)材料のいずれであってもよい。いくつかの実施形態に従って、ポリカルボキシレート材料は高性能減水剤であってもよい。1つのポリカルボキシレート材料を使用してもよい場合もあれば、異なる2つ以上のポリカルボキシレート材料の組み合わせを用いてもよい場合もある。少なくともいくつかの場合において、ポリカルボキシレート材料(または複数のポリカルボキシレート材料)が粉末状であることが望ましいこともあるが、これは必須ではない。加えられるポリカルボキシレート材料(または複数のポリカルボキシレート材料)の量は、与えられた目的用途または最終需要に対して所望されるように個別調整されてもよい。いくつかの実施形態に従って、ポリカルボキシレート材料(または複数のポリカルボキシレート材料)は、方法1000に従って作製された所定の混合物の約0.1~0.3wt%(例えば約0.1~0.15wt%、約0.15~0.2wt%、約0.2~0.25wt%、約0.25~0.3wt%、または約0.1~0.3wt%の範囲内にある他の任意のサブ範囲)を占めてもよい。本開示に鑑みると、ポリカルボキシレート材料(または複数のポリカルボキシレート材料)の他の適切な量は明らかであろう。
【0022】
特定の例示的実施形態に従って、ポリカルボキシレート材料は、高性能減水剤として記載されているポリカルボキシレート共重合体、例えばニューヨーク州グレートネックのWEGO Chemical and Mineral Corporation社から入手可能なPolycarboxylate-PCX CAS番号59233-52-2(以下、WEGO Polycarboxylate-PCX)等であってもよい。WEGO Polycarboxylate-PCXは以下のような一般化学構造を有する。ここで、(1)M、Y、及びXは脱離基、(2)R1~R4は脂肪族炭素鎖、(3)エチレンオキシド(ethylene oxide:EO)は親水性成分、(4)プロピレンオキシド(propylene oxide:PO)は疎水性成分である。
【0023】
【0024】
WEGO Polycarboxylate-PCXの親水性EO成分は以下のような化学構造を有する。
【0025】
【0026】
また、WEGO Polycarboxylate-PCXの疎水性PO成分は以下のような化学構造を有する。
【0027】
【0028】
WEGO Polycarboxylate-PCXの場合、変数a、b、c、及びnは1以上の整数全体であってもよく、図示されているWEGO Polycarboxylate-PCXの化学構造から省略されている炭素結合は水素(H)と結合してもよい。さらに、M、Y、及びXという脱離基は、WEGO Chemical and Mineral Corporation社の外部には知られていない独占権下の構成要素であることに留意すべきである。それにもかかわらず、M、Y、及びXの脱離基を知らなくても、当業者であれば、WEGO社の市販のPolycarboxylate-PCXを利用することを含めた、本明細書で開示されている技術を利用して、本開示のいくつか実施形態に従って、本明細書に様々に記載されているように製品を作製することができる。また、いくつかの実施形態に従って、WEGO Polycarboxylate-PCXと類似した化学作用のポリカルボキシレート材料を1つ以上、追加または代替として利用してもよいことに留意すべきである。
【0029】
いくつかの実施形態に従って、方法1000は任意で、ブロック1008に示されているように、硫酸カルシウム(CaSO4)と亜硫酸カルシウム(CaSO3)のうちの少なくとも一方を加えてもよい。硫酸/亜硫酸カルシウムの量は、与えられた目的用途または最終需要に対して所望されるように個別調整されてもよい。いくつかの実施形態に従って、硫酸カルシウム(CaSO4)は、方法1000に従って作製された所定の混合物の約0.1~1.5wt%(例えば約0.1~0.5wt%、約0.5~1wt%、約1~1.5wt%、または約0.1~1.5wt%の範囲内にある他の任意のサブ範囲)を占めてもよい。いくつかの実施形態に従って、亜硫酸カルシウム(CaSO3)は、方法1000に従って作製された所定の混合物の約1.5~3wt%(例えば約1.5~2wt%、約2~2.5wt%、約2.5~3wt%、または約1.5~3wt%の範囲内にある他の任意のサブ範囲)を占めてもよい。本開示に鑑みると、硫酸カルシウム(CaSO4)及び亜硫酸カルシウム(CaSO3)の他の適切な量は明らかであろう。
【0030】
方法1000は、ブロック1010に示されているように、(1)パーライト粗鉱、(2)PVA粉末、(3)ポリカルボキシレート材料(または複数のポリカルボキシレート材料)、及び(任意で)(4)硫酸カルシウム及び/または亜硫酸カルシウムを相互粉砕してもよい。いくつかの実施形態に従って、前述の材料を互いに(例えばすべてを一度に、または1回以上途中の組み合わせを介在して)相互粉砕することによって、処理済みパーライト系セメント質材料が得られてもよい。
【0031】
本開示に鑑みると明らかであるように、相互粉砕は任意の適切な粉砕手段を利用して行ってもよい。例えば、いくつかの実施形態に従って、相互粉砕は、ある程度または全てにおいて、ミルを粉砕助剤及び媒介物とともに利用して行ってもよい。特定の種類のミルは、与えられた目的用途または最終需要に対して所望されるように個別調整されてもよい。いくつかの場合では、ミルは例えばボールミル等の回転ミルであってもよい。いくつかの実施形態に従って、相互粉砕は(ある程度または全てにおいて)米国特許第9254490号明細書(「Process for Treating Fly Ash and a Rotary Mill Therefor」)に開示されているように構成されるミルを利用して行ってもよく、この特許の内容全体を参照により本明細書に援用する。いくつかの実施形態に従って、相互粉砕は、米国特許第9254490号明細書に開示されているように構成される粉砕助剤及び媒介物を伴っていてもよい。
【0032】
方法1000に関係する材料の相互粉砕時間は、与えられた目的用途または最終需要に対して所望されるように個別調整されてもよい。例えば、いくつかの実施形態に従って、相互粉砕は約1~15分間行われてもよい。いくつかの実施形態に従って、相互粉砕は約3~8分間行われてもよい。本開示に鑑みると分かるように、少なくともいくつかの場合において、材料の相互粉砕は、例えば所定の目標粒径分布が達成されるまで行われてもよい。例えば、いくつかの場合において、相互粉砕は、約20~40μmの範囲内(例えば約20~25μm、約25~30μm、約30~35μm、約35~40μm、または約20~40μmの範囲内にある他の任意のサブ範囲)にあるD90粒径分布が達成されるまで行われてもよい。いくつかの場合では、相互粉砕は約38μm(±3μm)のD90粒径分布が達成されるまで行われてもよい。いくつかの場合では、相互粉砕は約28μm(±3μm)のD90粒径分布が達成されるまで行われてもよい。本開示に鑑みると、方法1000に関連する材料の他の適切な粉砕時間及び目標粒径分布は明らかであろう。
【0033】
いくつかの実施形態に従って、方法1000は任意で、ブロック1003に示されているように、(1)膨張パーライト屑(パーライト粗鉱を膨張させて「発泡」パーライトを作製する最中に生成される)と(2)膨張パーライトのうちの少なくとも一方を加えてもよい。いくつかの実施形態に従って、膨張パーライト屑と膨張パーライトの両方をパーライト粗鉱と合わせてもよい。いくつかの実施形態に従って、膨張パーライトは、米国イメリス社から入手可能なHARBORLITE(商標登録)熱膨張パーライトであってもよい(または熱膨張パーライトを含んでいてもよい)。本開示に鑑みると、膨張パーライトの他の適切な種類は明らかであろう。
【0034】
膨張パーライト屑及び/または膨張パーライトの量は、与えられた目的用途または最終需要に対して所望されるように個別調整されてもよい。いくつかの実施形態に従って、膨張パーライト屑は、方法1000に従って作製された所定の混合物の約6wt%以下(例えば約1~2wt%、約2~3wt%、約3~4wt%、約4~5wt%、約5~6wt%、または約6wt%以下の範囲内にある他の任意のサブ範囲)を占めてもよい。いくつかの実施形態に従って、膨張パーライトは、方法1000に従って作製された所定の混合物の約1wt%以下(例えば約0.25~0.5wt%、約0.5~0.75wt%、約0.75~1wt%、または約1wt%以下の範囲内にある他の任意のサブ範囲)を占めてもよい。本開示に鑑みると、膨張パーライト屑及び膨張パーライトの他の適切な量は明らかであろう。
【0035】
いくつかの場合では、膨張パーライト屑及び/または膨張パーライトは、ミル(例えば本明細書で述べたミルのうちのいずれか)内で、PVA粉末と1つ以上のポリカルボキシレート材料とともに粉砕され、その後に細粉砕されたパーライト原鉱と、このミル内で相互粉砕(例えば1~5分間)することによって混合してもよい。この添加材(またはこれらの添加材)は、いくつかの実施形態に従って、本明細書にて記載されているように反応促進のために添加されてもよい別個の製品として用意されてもよい。いくつかの実施形態に従って、膨張パーライト屑は、約0.2wt%以下の範囲内(例えば約0.05~0.1wt%、約0.1~0.15wt%、約0.15~0.2wt%、または約0.2wt%以下の範囲内にある他の任意のサブ範囲)のPVA粉末量で処理されてもよい。いくつかの場合では、PVA粉末の量は約0.15wt%±0.05wt%であってもよい。本開示に鑑みると、膨張パーライト屑の処理のためのPVA粉末の他の適切な量は明らかであろう。
【0036】
[コンクリート]
図2は、本開示のある実施形態に従ってコンクリートを作製する方法2000を図示している。図から分かるように、方法2000は、ブロック2002に示されているように、方法1000(
図1参照)によって作製された処理済みパーライト系セメント質材料を加えてもよい。このように加えられるセメント質材料の量は、与えられた目的用途または最終需要に対して所望されるように個別調整されてもよい。いくつかの実施形態に従って、セメント質材料は、方法2000に従って作製された所定のコンクリートの約25~50wt%(例えば約25~30wt%、約30~35wt%、約35~40wt%、約40~45wt%、約45~50wt%、または約25~50wt%の範囲内にある他の任意のサブ範囲)を占めてもよい。本開示に鑑みると、セメント質材料の他の適切な量は明らかであろう。
【0037】
方法2000は、ブロック2004に示されているように、OPCを加えてもよい。加えられるOPCの量は、与えられた目的用途または最終需要に対して所望されるように個別調整されてもよい。いくつかの実施形態に従って、OPCは、方法2000に従って作製された所定のコンクリートの約25~50wt%(例えば約25~30wt%、約30~35wt%、約35~40wt%、約40~45wt%、約45~50wt%、または約25~50wt%の範囲内にある他の任意のサブ範囲)を占めてもよい。いくつかの実施形態に従って、OPC及び処理済みパーライト系セメント質材料は50:50の粉末配合比で供給されてもよい。本開示に鑑みると、OPCの他の適切な量は明らかであろう。
【0038】
方法2000は、ブロック2006に示されているように、水と、砂と岩石のうちの少なくとも一方とを加えてもよい。いくつかの実施形態に従って、砂は例えばASTM C989規格に適合する篩砂を含んでもよい。いくつかの実施形態に従って、岩石材料は例えばASTM C33規格に適合する3/4”石灰岩石を含んでもよい。加えられる砂及び/または岩石の量は、与えられた目的用途または最終需要に対して所望されるように個別調整されてもよい。いくつかの実施形態に従って、砂は、方法2000に従って作製された所定のコンクリートの約45~55wt%(例えば約45~50wt%、約50~55wt%、または約45~55wt%の範囲内にある他の任意のサブ範囲)を占めてもよい。いくつかの実施形態に従って、岩石は、方法2000に従って作製された所定のコンクリートの約45~55wt%(例えば約45~50wt%、約50~55wt%、または約45~55wt%の範囲内にある他の任意のサブ範囲)を占めてもよい。本開示に鑑みると、砂及び岩石の他の適切な種類及び量は明らかであろう。
【0039】
方法2000に従って作製されたコンクリートの水とセメントの比(w/c)もまた、与えられた目的用途または最終需要に対して所望されるように個別調整されてもよい。いくつかの場合では、w/c比は、約0.2~0.4の範囲内(例えば約0.2~0.25、約0.25~0.3、約0.3~0.35、約0.35~0.4、または約0.25~0.4の範囲内にある他の任意のサブ範囲)であってもよい。いくつかの場合では、w/c比は、約0.25~0.38の範囲内(例えば約0.25~0.31、約0.31~0.38、または約0.25~0.38の範囲内にある他の任意のサブ範囲)であってもよい。いくつかの場合では、w/c比は、約0.2~0.33の範囲内(例えば約0.2~0.26、約0.26~0.33、または約0.2~0.33の範囲内にある他の任意のサブ範囲)であってもよい。いくつかの場合では、w/c比は約0.23~0.3または0.23~0.4の範囲内であってもよい。本開示に鑑みると、方法2000に関連する材料の他の適切なw/c比は明らかであろう。
【0040】
方法2000は、ブロック2008に示されているように、(1)処理済みパーライト系セメント質材料、(2)OPC、(3)水、及び(4)砂と岩石のうちの少なくとも一方を混合してもよい。いくつかの実施形態に従って、前述の材料を互いに(例えばすべてを一度に、または1回以上途中の組み合わせを介在して)混合することによって、処理済みパーライト系セメント質材料を含むコンクリートが得られてもよい。混合は、コンクリート製品で通常行われるように実行されてもよい。さらに、方法2000に関係する材料の混合時間は、与えられた目的用途または最終需要に対して所望されるように個別調整されてもよい。本開示に鑑みると分かるように、所望するようにコンクリートの打設・成形等を行うために十分な供給時間を持って、混合の短縮ができるようにすることが望ましいこともある。
【0041】
[コンクリートバッチ例#1]
ある例示的実施形態に従って、(1)処理済みパーライト系セメント質材料、(2)標準的な粉末度分布を有するType1-2 OPC、(3)ASTM C989規格に適合する篩砂、及び(4)水、という構成材料を含む第1コンクリートバッチ例を作製した。処理済みパーライト系セメント質材料は、OPCの約50wt%置換で使用された。
【0042】
上述の処理済みパーライト系セメント質材料は、(1)パーライト粗鉱、(2)0.15wt%PVA粉末、(3)0.3wt%WEGO Polycarboxylate-PCX、及び(4)0.05wt%トリエタノールアミン(TEA)粉砕助剤、のように混合されている。パーライト系セメント質材料は、D90が38μmであるPSDを有する。
【0043】
下記の表1は、ASTM C989規格に適合する条件で、約73°F(±3°F)の範囲の周囲温度で硬化したコンクリートの立方体数個の圧縮強度の測定値を示したものである。圧縮強度は立方体を破壊することによって求めた。
【0044】
【0045】
[コンクリートバッチ例#2]
ある例示的実施形態に従って、(1)処理済みパーライト系セメント質材料、(2)標準的な粉末度分布を有するType1-2 OPC、(3)ASTM C989規格に適合する篩砂、及び(4)水、という構成材料を含む第2コンクリートバッチ例を作製した。処理済みパーライト系セメント質材料は、OPCの約50wt%置換で使用された。
【0046】
上述の処理済みパーライト系セメント質材料は、(1)パーライト粗鉱、(2)0.15wt%PVA粉末、(3)0.3wt%WEGO Polycarboxylate-PCX、及び(4)0.05wt%トリエタノールアミン(TEA)粉砕助剤、のように混合されている。パーライト系セメント質材料は、D90が28μmであるPSDを有する。
【0047】
下記の表2は、ASTM C989規格に適合する条件で、約73°F(±3°F)の範囲の周囲温度で硬化したコンクリートの立方体数個の圧縮強度の測定値を示したものである。圧縮強度は立方体を破壊することによって求めた。
【0048】
【0049】
[コンクリートバッチ例#3]
ある例示的実施形態に従って、(1)処理済みパーライト系セメント質材料、(2)標準的な粉末度分布を有するType1-2 OPC、(3)ASTM C989規格に適合する篩砂、及び(4)水、という構成材料を含む第3コンクリートバッチ例を作製した。処理済みパーライト系セメント質材料は、OPCの約50wt%置換で使用された。
【0050】
上述の処理済みパーライト系セメント質材料は、(1)パーライト粗鉱、(2)5wt%class Cフライアッシュ、(3)0.15wt%PVA粉末、(4)0.3wt%WEGO Polycarboxylate-PCX、及び(5)0.05wt%トリエタノールアミン(TEA)粉砕助剤、のように混合されている。パーライト系セメント質材料は、D90が28μmであるPSDを有する。
【0051】
下記の表3は、ASTM C989規格に適合する条件で、約73°F(±3°F)の範囲の周囲温度で硬化したコンクリートの立方体数個の圧縮強度の測定値を示したものである。圧縮強度は立方体を破壊することによって求めた。
【0052】
【0053】
[コンクリートバッチ例#4]
ある例示的実施形態に従って、(1)処理済みパーライト系セメント質材料、(2)標準的な粉末度分布を有するType1-2 OPC、(3)ASTM C33規格に適合する3/4”石灰岩石、(4)ASTM C989規格に適合する篩砂、及び(5)水、という構成材料を含む第4の5.02-sakコンクリートバッチ例を作製した。処理済みパーライト系セメント質材料は、OPCの約50wt%置換で使用された。本バッチの水とセメントの比(w/c)は0.45であった。
【0054】
上述の処理済みパーライト系セメント質材料は、(1)D90が約36μmであるPSDを有する約94.2wt%パーライト粗鉱、(2)D90が約40μmであるPSDを有する約5wt%膨張パーライト微細屑(パーライト原鉱に対する膨張処理から発生した)、(3)D90が約25μmであるPSDを有する約0.5wt%膨張パーライト、(4)約0.05wt%PVA粉末、(5)約0.2wt%WEGO Polycarboxylate-PCX、及び(6)約0.05wt%TEA粉砕助剤、のように混合されている。
【0055】
下記の表4は、ASTM C989規格に適合する条件で、約90°F(±3°F)の範囲の周囲温度で硬化したコンクリートの円柱数個の圧縮強度の測定値を示したものである。圧縮強度は円柱を破壊することによって求めた。
【0056】
【0057】
[コンクリートバッチ例#5]
ある例示的実施形態に従って、(1)処理済みパーライト系セメント質材料、(2)標準的な粉末度分布を有するType1-2 OPC、(3)ASTM C33規格に適合する3/4”石灰岩石、(4)ASTM C989規格に適合する篩砂、及び(5)水、という構成材料を含む第5の5.02-sakコンクリートバッチ例を作製した。処理済みパーライト系セメント質材料は、OPCの約50wt%置換で使用された。本バッチの水とセメントの比(w/c)は0.63であった。
【0058】
上述の処理済みパーライト系セメント質材料は、(1)D90が約36μmであるPSDを有する約94.2wt%パーライト粗鉱、(2)D90が約40μmであるPSDを有する約5wt%膨張パーライト微細屑(パーライト原鉱に対する膨張処理から発生した)、(3)D90が約25μmであるPSDを有する約0.5wt%膨張パーライト、(4)約0.05wt%PVA粉末、(5)約0.2wt%WEGO Polycarboxylate-PCX、及び(6)約0.05wt%TEA粉砕助剤、のように混合されている。
【0059】
下記の表5は、ASTM C989規格に適合する条件で、約90°F(±3°F)の範囲の周囲温度で硬化したコンクリートの円柱数個の圧縮強度の測定値を示したものである。圧縮強度は円柱を破壊することによって求めた。
【0060】
【0061】
[コンクリートバッチ例#6]
ある例示的実施形態に従って、(1)処理済みパーライト系セメント質材料、(2)標準的な粉末度分布を有するType1-2 OPC、(3)ASTM C989規格に適合する篩砂、及び(4)水、という構成材料を含む第6コンクリートバッチ例を作製した。処理済みパーライト系セメント質材料は、OPCの約50wt%置換で使用された。
【0062】
上述の処理済みパーライト系セメント質材料は、(1)D90が約38μmであるPSDを有する約93.5wt%パーライト粗鉱(例えば米国イメリス社から入手可能であり、コロラド州から調達している)、(2)D90が約20μmであるPSDを有する約6wt%膨張パーライト屑(例えば米国イメリス社から入手可能であり、テキサス州から調達している)、(3)D90が約20μmであるPSDを有する約0.5wt%膨張パーライト(例えばイメリス社のHARBORLITE(登録商標)熱膨張パーライト)、のように混合されている。膨張パーライト屑と膨張パーライトはそれぞれ、約0.15wt%PVA粉末と、約0.3wt%WEGO Polycarboxylate-PCXと、約0.05wt%TEA粉砕助剤とで処理された。これらの材料は、1つのミル内で案分で一緒に混合され、約0.15wt%PVA粉末と約0.3wt%WEGO Polycarboxylate-PCXと約0.05wt%TEA粉砕助剤とがある状態でD90が約38μm/kgであるPSDになるように粉砕される(例えば約20分)。
【0063】
下記の表6は、ASTM C989規格に適合する条件で硬化したコンクリートの立方体数個の圧縮強度の測定値を示したものである。圧縮強度は立方体を破壊することによって求めた。
【0064】
【0065】
[コンクリートバッチ例#7]
ある例示的実施形態に従って、(1)処理済みパーライト系セメント質材料、(2)標準的な粉末度分布を有するType1-2 OPC、(3)ASTM C989規格に適合する篩砂、及び(4)水、という構成材料を含む第7コンクリートバッチ例を作製した。処理済みパーライト系セメント質材料は、OPCの約50wt%置換で使用された。
【0066】
上述の処理済みパーライト系セメント質材料は、(1)D90が約38μmであるPSDを有する約93.5wt%パーライト粗鉱(例えばニューメキシコ州から調達しているDicalite社のDICAPERL(登録商標)パーライト)、(2)D90が約20μmであるPSDを有する約6wt%膨張パーライト屑(例えばDicalite Management Group社から入手可能であり、米国メインから調達している)、(3)D90が約20μmであるPSDを有する約0.5wt%膨張パーライト(例えばイメリス社のHARBORLITE(登録商標)熱膨張パーライト)、のように混合されている。膨張パーライト屑と膨張パーライトはそれぞれ、約0.15wt%PVA粉末と、約0.3wt%WEGO Polycarboxylate-PCXと、約0.05wt%TEA粉砕助剤とで処理される。これらの材料は、1つのミル内で案分で一緒に混合され、約0.15wt%PVA粉末と約0.3wt%WEGO Polycarboxylate-PCXと約0.05wt%TEA粉砕助剤とがある状態でD90が約38μm/kgであるPSDになるように粉砕される(例えば約35分)。
【0067】
下記の表7は、ASTM C989規格に適合する条件で硬化したコンクリートの立方体数個の圧縮強度の測定値を示したものである。圧縮強度は立方体を破壊することによって求めた。
【0068】
【0069】
[分析及び結論]
上述の表1~7のデータは、パーライト粗鉱は、粉砕して微細な粒径にしなくても反応性を高められる(例えば、D90が約28~38μmで十分であり得る)ことをおおむね示している。本データはまた、より広い表面積の粒子(より小さい粒径)を処理する際の違いが結果に表れることをおおむね示している。さらに、本データは、パーライトの表面をPVA粉末で被覆するとパーライト原鉱のセメント性反応の向上に役立ち得る一方で、ポリカルボキシレートは水消費量の制御に役立ちうるので、流動性を良くすることができることをおおむね示している。本データはまた、これらの反応が、同じ処理を用いていて、良好な流動性を得るためにw/c比を変化させたコンクリートバッチで起こり得ることを示している。本データは、このように混合すると、w/c比が低いにもかかわらず、OPCのみの混合で得られる値かそれ以上の標準的な28日強度に達し得ることをおおむね示している。さらに、本データは、PVA粉末とポリカルボキシレート材料をミルによる処理と組み合わせて使用すると、セメント質材料及びコンクリートの作製において、他のポゾラン(例えばフライアッシュやスラグ等)に代わる、実用可能で置換性の高い代替物を得ることができることをおおむね示している。また、本データは、少なくともいくつかの場合では、膨張パーライト屑の軽量という性質は、本明細書にて記載されているように処理した場合には、約7lbs./ft3から約12lbs./ft3に増加したが、その反応性はパーライト粗鉱そのものよりも高かったことを示している。
【0070】
さらに、パーライトのアルカリ量の試験では、本明細書にて様々に記載されているように、約6~8%の範囲の総アルカリ値が示された。アルカリシリカ反応性(Alkali-silica reactivity:ASR)試験では、ガラス石基中のアルカリの約1%未満(例えば約0.5~0.9%またはそれ以下)が「利用可能」であると示された。したがって、class Cフライアッシュはパーライトよりも利用可能なアルカリを多く有するので、利用可能なアルカリに対する試験を行った際に、開示されているD90粒子径に粉砕された材料に問題は見られなかった。少なくともいくつかの場合において、いくつかの実施形態に従って、一連の添加材(例えば、約0.15~0.3wt%のパーライト原鉱/ガラスとともに粉砕された炭酸/水酸化リチウム)を含有すると、ASR関連の問題を防ぎ得る(または低減し得る)。
【0071】
上述の例示的実施形態の記述は、例示かつ説明のために提示されたものであり、網羅的であることや、本開示を開示された形態に厳密に限定することを意図するものではない。本開示に鑑みて、数多くの修正や変形が可能である。本開示の範囲は、この詳細な説明によっては限定されないことが意図されている。本願に対する優先権を主張する、今後提出される出願は、この開示された主題を異なるやり方で主張し得るとともに、一般に、本明細書にて様々に開示または明示されているような1つ以上の限定からなるいかなる組も含み得る。
【国際調査報告】