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特表2024-525676塩を含有する流体を処理するための方法及び該方法を実施するための設備
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-12
(54)【発明の名称】塩を含有する流体を処理するための方法及び該方法を実施するための設備
(51)【国際特許分類】
   F26B 5/04 20060101AFI20240705BHJP
   F26B 11/06 20060101ALI20240705BHJP
   F26B 25/00 20060101ALI20240705BHJP
【FI】
F26B5/04
F26B11/06
F26B25/00 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024501231
(86)(22)【出願日】2022-07-13
(85)【翻訳文提出日】2024-01-10
(86)【国際出願番号】 EP2022069573
(87)【国際公開番号】W WO2023285515
(87)【国際公開日】2023-01-19
(31)【優先権主張番号】21305998.3
(32)【優先日】2021-07-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506126266
【氏名又は名称】イドロメカニーク・エ・フロットマン
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】フレデリク・ガルシア
(72)【発明者】
【氏名】ジョルジュ・ヴィヤル
(72)【発明者】
【氏名】マリー-ノエル・デブシェ-ジャニー
【テーマコード(参考)】
3L113
【Fターム(参考)】
3L113AA07
3L113AC23
3L113AC58
3L113AC67
3L113BA36
3L113CA02
3L113CA03
3L113CA20
3L113DA03
(57)【要約】
本発明は、流体を処理するための方法に関し、この方法は、乾燥機(220)のチャンバ(225)内に被処理流体を導入するステップ(S31)と、チャンバ(225)内の流体を乾燥させるステップ(S32)であって、チャンバの重量が減少する間の第1の段階(B)を含み、チャンバの重量が下方の閾値に達するか、またはチャンバの重量の変化率が第1の所定値未満である場合、乾燥ステップは、チャンバの重量が上方の閾値に達するまでチャンバを補完的に充填するステップと、チャンバの重量が減少する間の第2の段階(C)を含み、重量の変化率が第2の所定値未満である場合、方法は、粉末状の固体残留物を抽出するステップ(S33)を含む。本発明はまた、この方法を実施するための設備に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体、特に塩を含有する流体を処理する方法であって、
- 乾燥機(220)のチャンバ(225)内に被処理流体を導入するステップ(S31);
- 30℃~90℃の温度及び10mbar~900mbar下の圧力に置くことによって、チャンバ(225)内の流体を乾燥させるステップ(S32)であって、該乾燥ステップは、流体の少なくとも一部を蒸発させて少なくとも水蒸気を生成するサブステップ(S321)と、前記チャンバ(225)内に収容された流体の塩濃度を増加させるサブステップ(S322)とを含み、前記乾燥ステップは、
* 前記チャンバの重量が減少する間の第1の段階(B)であって、前記チャンバの重量が下方の閾値に達するか、または前記チャンバの重量の変化率が第1の所定値未満である場合、前記乾燥ステップは、前記チャンバの重量が上方の閾値に達するまで、前記チャンバを補完的に充填するステップを含む、第1の段階;及び
* チャンバの重量が減少する間の第2の段階(C)であって、重量の変化率が第2の所定値未満である場合、前記方法は、
- 粉末状の固体残留物を抽出するステップ(S33)、
を含む、方法。
【請求項2】
前記チャンバ(225)の重量をチェックするステップ(S4)を含み、前記重量が前記下方の閾値に達したとき、または前記チャンバの重量の変化率が前記第1の所定値未満であるとき、充填バルブ(227)を開くステップ(S51)を含み、前記補完的に充填するステップが実行され、前記チャンバの重量が前記上方の閾値に達したとき、前記充填バルブ(227)を閉じるステップ(S52)を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記乾燥ステップが、含水率が0.5重量%~5重量%の前記固体残留物を生成するように構成される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記乾燥ステップ(S32)は、平均粒子サイズが100μm~1000μmの粉末の形態をとる前記固体残留物を生成するように構成される、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記乾燥機(220)からの蒸気を凝縮して凝縮液を生成するステップ(S6)を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記凝縮液を洗浄水のタンク(18)に導入するステップ(S9)を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載の方法を実施するように構成された設備(200)であって、該設備(200)は、
少なくとも1つのチャンバ(225)、特に非回転チャンバと、流体を乾燥させるための少なくとも1つの入口(221)と、固体残留物を排出するための出口(222)と、蒸気出口(223)と、を備えた少なくとも1つの乾燥機(220)を含み、
該乾燥機(220)は、前記チャンバ(225)を計量するように構成されたロードセルシステム(229)を備えている、
設備。
【請求項8】
前記乾燥機(220)は、1rpm~100rpmの間の速度で前記チャンバ(225)内で回転するように構成されたミキサ(226)、特に加熱ヘリカルミキサを含む、ことを特徴とする請求項7に記載の設備。
【請求項9】
前記乾燥機のチャンバは、該チャンバ内で処理される流体中の塊の形成を制限するように構成された塊破砕器(230)を備え、前記塊破砕器は、1500rpmの速度まで回転するように構成されている、ことを特徴とする請求項7または8に記載の設備。
【請求項10】
前記乾燥機(220)は、少なくとも1つの充填バルブ(227)を備え、前記充填バルブ(227)は、前記チャンバの重量が下方の閾値に達したとき、または前記チャンバの重量の変化率が第1の所定値未満であるときに開くように構成され、前記チャンバの重量が上方の閾値に達したときに閉じるように構成されている、ことを特徴とする請求項7~9のいずれか一項に記載の設備。
【請求項11】
前記ロードセルシステムによって測定された前記チャンバ(225)の重量に応じて、前記少なくとも1つの充填バルブ(227)の開閉を制御するように構成された制御システムを備えている、ことを特徴とする請求項9または10に記載の設備。
【請求項12】
前記チャンバ(225)は、二重ジャケットによって形成された壁を含み、前記二重ジャケットは、伝熱流体を内部に循環させるように構成されている、ことを特徴とする請求項7~11のいずれか一項に記載の設備。
【請求項13】
前記伝熱流体は、該流体が処理される前記チャンバ(225)内の温度を30℃~90℃に維持するように構成されている、ことを特徴とする請求項12に記載の設備。
【請求項14】
前記乾燥機(220)の前記チャンバ(225)内に10mbar~900mbarの圧力を生成するように構成された真空モジュール(207)を備えている、ことを特徴とする請求項7~13のいずれか一項に記載の設備。
【請求項15】
前記設備(200)は、前記乾燥機(220)の前記蒸気出口(223)に接続された凝縮器(208)を備え、該凝縮器(208)は、前記蒸気出口(223)によって前記乾燥機(220)から来る蒸気を凝縮し、凝縮液を生成するように構成されており、
前記設備(200)は、前記凝縮器(208)から凝縮液を抽出し、それをタンク(18)に戻すように構成された凝縮液供給管(210)を備えている、
ことを特徴とする請求項7~14のいずれか一項に記載の設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体、特に、例えば「塩溶液(salt solution)」と呼ばれる塩を含有する流体を、特に低濃度または中濃度の塩、すなわち、例えば500g/L未満、または場合によっては300g/L未満の塩含有量を有する塩で処理するための方法に関する。
【0002】
本発明は、特に、例えば塩浴処理ラインによって発生するような流体廃棄物をリサイクルすることに関する。
【0003】
本発明はまた、そのような方法を実施することを可能にする設備に関する。
【背景技術】
【0004】
例として、窒化の分野では、例えば鋼の部品は、一般に、窒化ライン上で、バッチ処理(batch processing)とも呼ばれる、いくつかの部品のバッチで処理される。
【0005】
このために、処理する部品は脱脂され(degreased)、次に洗浄され(rinsed)、炉で乾燥される。
【0006】
次に、乾燥部品は、高温(例えば、500~650℃程度)の容器(「るつぼ(crucible)」とも呼ばれる)内の窒化槽(nitriding bath)に浸漬される。このような窒化槽は、一般に溶融した窒化塩を主成分としている。
【0007】
窒化は、例えば、鋼部品の鋼中に窒素を拡散させることによって、部品の表面硬度を高め、その機械的特性を改善することを目的としている。
【0008】
窒化後、部品は、任意に、容器内の例えば約450℃の酸化槽(oxidizing bath)に浸漬される。このような酸化槽は、一般に溶融した酸化塩を主成分としている。
【0009】
酸化は、例えば、部品の耐食性を改善することを目的としている。一般的に、均一な黒色の外観になる。
【0010】
窒化、または場合によっては酸化の後、部品は、例えば水槽内で、槽の温度よりも非常に低い温度、すなわち比較的冷たい温度で急冷ステップ(quenching step)を受ける。
【0011】
しかし種々の槽は、連続して通過する過程で汚染される。
【0012】
洗浄タンクまたは急冷タンクの水(この水は「分解水(eau de claquage)」とも呼ばれる)はまた、酸化塩及び/または窒化塩、例えば硝酸塩及び亜硝酸塩に富んでいる。
【0013】
この急冷水は危険な液体廃棄物(liquid waste)であり、そのような廃棄物の処理を専門とする会社によって処理される必要がある。一般に、処理は焼却(incineration)によって行われる。
【0014】
更に、そのような処理のために送る前に、この急冷水を貯蔵する必要がある。
【0015】
並行して、窒化及び/または酸化槽を通過する連続的なバッチは、窒化塩及び/または酸化塩も含むスラッジを生成する。
【0016】
従って、これらの異なる形態の廃棄物は、処理のために送られる前に貯蔵を必要とする。
【0017】
保管や処理の作業は、コストが高いだけでなく、環境にも悪影響を及ぼす。
【0018】
従って、この廃棄物を処理すること、特に少なくともそれに含まれる塩をそこから回収することができる一定の必要性が生じている。
【0019】
回収された塩の粒子サイズは、粉末の揮発性の問題を回避するために、微細過ぎてはならず、また、より大きな粒子サイズの粒子は残留水をより容易に保持するので、あまり(例えば、1cmを超えるほどに)粗過ぎてもいけない。このような塩を例えば溶融塩浴中での処理に使用することは、塩の溶融時の水の瞬間的な蒸発が溶融塩の飛散を引き起こすことがあるので、危険である。
【0020】
塩を回収する目的で、ここでは窒化及び/または酸化の急冷水について、「半工業的(semi-industrial)」規模で、特に蒸発散法(evapo-concentration process)、または例えば噴霧による霧化法(process of atomization by spraying)で、乾燥技術を試験した。
【0021】
試験は真空下の蒸発散器(evapo-concentrator)とスクレーパを用いて行った。この方法により、約30%の含水率の濃縮物(concentrate)を得ることができたが、この状態では窒化/酸化ラインには使用できない。次に、少なくとも95%、可能であれば少なくとも98%の乾燥度を有する粉末を得るために、追加の乾燥ステップが必要である。遠心分離試験では、必要な乾燥度を得ることができなかった。従って、この2段階のアプローチは選択されていない。
【0022】
噴霧は、ノズルによって導入された溶液を、噴霧塔(atomization tower)内の熱風の流れによって乾燥させることで行われ、液滴は瞬時に乾燥され、粉末はサイクロン分離器に回収されている。
【0023】
シングルエフェクト噴霧器(single effect atomizer)を用いた試験では、30μm~50μmのサイズの特徴的な粉末が生成された。すなわち、求められる使用目的には微細過ぎるものでであった。
【0024】
「マルチエフェクト(multi-effect)」噴霧器を用いた他の試験では、より大きな粒子サイズの粉末を得ることができたが、求められた目的を満たすことはできなかった。実際のところ、いくつかの塩については目標乾燥度に達しておらず、得られた他の塩の粒子サイズプロファイルは要求されたプロファイルと一致しなかった。
【0025】
更に、前述の方法を実施するために必要とされると思われる装置は、比較的かさばり、精巧であり、更に補助的な装置(evapoconcentration及びvibrofluidiser)を必要とし、これは比較的高価になる。
【0026】
「ハイブリッド」バージョン(フラッシュ噴霧器)もパイロット装置で試験されている。
【0027】
フラッシュ噴霧は噴霧塔と同じ原理に基づいているが、よりコンパクトな装置で粒子の乾燥を促進できるトロイダル乾燥ビジュアル(toroidal drying visual)によって特徴づけられる。
【0028】
しかし、実施された試験は、粉末が環状容器内で時期尚早に凝集するので、決定的結果は得られなかった。
【0029】
また、晶析装置(crystallizer)で実施される制御された粒子サイズを有する結晶化方法も存在するが、それらは、多成分溶液または非常に可溶性の塩に対して使用することが困難であるか、または十分に効果的でないことが証明されている。
【0030】
このようにして、既知の方法は、あまりにも微細であるか、あまりにも高い湿度を有するか、あまりにも高価であるか、または多成分塩を処理するのに適していない粉末を生成した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0031】
【特許文献1】米国特許出願公開第2013/153397号明細書
【特許文献2】米国特許第5011571号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0032】
従って、塩溶液中の残留塩、特に少なくとも窒化塩及び/または酸化塩を含有する流体廃棄物を回収し、リサイクルするための別の処理方法を開発することが必要であると思われる。
【0033】
従って、本発明は、少なくとも部分的に、前述の欠点を克服し、更に他の利点をもたらすことを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0034】
この目的のために、本発明の第1の態様によれば、塩、例えば、特に窒化塩及び/または酸化塩を含む流体を処理するための方法が提供され、この方法は、
- 乾燥機のチャンバ内に被処理流体を導入するステップ;
- 30℃~90℃の間の温度及び10mbar~900mbarの間の圧力に置くことによって、チャンバ内の流体を乾燥させるステップであって、乾燥ステップは、流体の少なくとも一部を蒸発させて少なくとも水蒸気を生成するサブステップと、チャンバ内に収容された流体の塩濃度を増加させるサブステップとを含み、この乾燥ステップは、
* チャンバの重量が減少する間の第1の段階であって、チャンバの重量が下方の閾値に達するか、またはチャンバの重量の変化率が第1の所定値未満である場合、乾燥ステップは、チャンバの重量が上方の閾値に達するまで、チャンバを補完的に充填するステップを含む、第1の段階;及び
* チャンバの重量が減少する間の第2の段階であって、重量の変化率が第2の所定値未満である場合、この方法は、
- 粉末状の固体残留物(solid residue)を抽出するステップ、
を含む。
【0035】
従って、このような方法は、窒化塩及び/または酸化塩を回収することを可能にするだけでなく、熱処理、例えば、塩水の淡水化から生じる塩も回収することを可能にしている。
【0036】
乾燥する流体は、例えば、窒化製造ラインのタンク、例えば急冷タンク由来の水性塩溶液(aqueous salt solution)から得ることができる。
【0037】
更に、被処理流体である塩溶液は、複数の成分を有することができ、非常に可溶性の塩を含むことができる。
【0038】
例えば、最初に乾燥させる流体は、500g/L未満の塩濃度を有し、例えば、50g/L~500g/L、または、例えば、300g/L~400g/Lであっても良い。
【0039】
従って、このような方法は、窒化ラインからの流体、例えば、急冷水及び/またはスラッジに含まれる塩を回収することを可能にし、それによって廃棄物を減少させ、付随的に、ある種の処理コストを制御下に置いている。
【0040】
このような方法は、少なくとも部分的に、または可能な限り完全にリサイクルされるので、大量の流体廃棄物を排除することを可能にしており、流体中に含まれる塩を抽出するために、これらの流体は、更に、そこから少なくとも1つのタンクを通って部品の連続的な通路に送られる。
【0041】
更に、再生不可能な資源の浪費を抑制し、原材料を回収することが可能になる。
【0042】
例えば、酸化及び/または窒化の急冷水に関して、このような方法は、特に、回収された塩の所望の粒子サイズ、組成及び乾燥を、おそらく比較的短い乾燥時間で、単一の乾燥ステップで得ることを可能にしている。
【0043】
乾燥機のチャンバは、例えば、真空下に維持されている。
【0044】
ここで、真空とは、例えば、約10mbar~900mbar(ミリバール)、例えば、20mbar~500mbar、更には、20mbar~100mbarの圧力を指している。
【0045】
そのような真空により、比較的低い温度、例えば35℃~90℃で塩溶液を蒸発させることを可能にしている。また、吸引によって被処理流体を移送するために使用することもできる。
【0046】
従って、乾燥ステップ中の補完的な充填は、チャンバの半連続的な充填、すなわち、チャンバが処理のために空になっている間に、被処理流体が乾燥機のチャンバに追加されるような充填を可能にしている。
【0047】
従って、乾燥ステップの第1段階は、チャンバの重量が下方の閾値に達するまで、またはその変化率が第1の所定値未満になるまで、蒸気が蒸発している間に流体が濃縮され、その後、補完的な充填が実行される、少なくとも1つのサイクルを含む。
【0048】
実際のところ、処理中、すなわち乾燥ステップ中、特に濃縮段階中に、流体の一部、特に流体の水が蒸発し、従ってチャンバの内容物の重量が減少する。
【0049】
並行して、チャンバ内に含まれる流体中の塩の濃度が増加する。
【0050】
例えば、乾燥機は、チャンバ内に含まれる流体の重量をチェックするように構成されたロードセルシステムを含む。
【0051】
乾燥ステップの第1段階の間に、例えば、チャンバの重量が、下方の閾値と呼ばれる特定の閾値に達した場合、またはチャンバ重量の変化率が第1の所定値未満である場合(すなわち、重量の変化が所与の期間に亘って減少する場合)、バルブが開かれて、被処理流体が導入される。重量がその閾値よりも大きい限り、または第1の所定の値よりも大きく変化する限り、チャンバは十分に充填されていると考えられ、蒸発は継続する。
【0052】
下方の閾値は、流体の添加がチャンバの内容物の温度に小さな影響を及ぼすように選択され(例えば、温度は、添加前のチャンバの内容物の平均温度に対して、20%未満、またはおそらく15%未満、または10%未満、または5%未満、または例えば3%未満で変動する)、例えば、下方の閾値は、チャンバの最大容積の約85%を表すように選択される。
【0053】
閾値は、例えば、実質的に一定の充填体積を表すように、各々の相補的充填物に対して決定される。実際のところ、乾燥ステップが進行するにつれて、チャンバ内の流体は、塩により濃縮されている。従って、同じ体積でも次第に重くなる。このため、閾値は、相補的な充填動作ごとに異なる可能性がある。
【0054】
従って、例えば、方法は、チャンバの重量をチェックするステップを含み、重量が下方の閾値に達した場合、またはチャンバの重量の変化率が第1の所定値未満である場合、方法は、充填バルブを開くステップを含み、チャンバ内で被処理流体を補完的に充填するステップが実施される。
【0055】
更に、例えば、チャンバの重量が上方の閾値に達すると、方法は、充填バルブを閉じるステップを含む。
【0056】
例えば、ロードセルシステムはまた、第2段階の終了時に、乾燥の終了を検出するように構成されている。例えば、チャンバの重量が経時的に比較的一定のままである場合(すなわち、経時的なチャンバの重量の変動が第2の所定値未満になる場合)、全ての水が蒸発し、製品が「乾燥」している(目標とする乾燥度に達している)と考えられる。
【0057】
第1の予め定められた値と第2の予め定められた値は等しくても異なっていても良く、例えば、第2の予め定められた値は第1の予め定められた値より小さくても良く、例えば、第2の予め定められた値はゼロに近くても良い。
【0058】
例えば、予め定められた数の相補的な充填動作の後、またはチャンバが特定の重量に達したとき、第2の段階が実施される。
【0059】
例えば、チャンバ内に収容された流体中の塩の濃度が目標値、例えば、酸化塩及び/または窒化塩に対して少なくとも400g/L、好ましくは少なくとも500g/Lに達するまで、第1段階の相補的な充填操作が繰り返されるが、目標値はもちろん塩の性質及び/または考慮される用途に依存している。
【0060】
実施例では、乾燥ステップは、0.5重量%~5重量%、または更に0.5重量%~3重量%、または更に1重量%~2重量%の含水率を有する固体残留物を生成するように構成されている。
【0061】
含水率は、例えば、固体残留物から採取されたサンプルについて、例えばサーマルバランスによって監視されている。
【0062】
実施例では、乾燥ステップは、特定の粒子サイズを有する固体残留物を生成するように構成されている。
【0063】
例えば、固体残留物は、平均して100μm~1000μm、例えば200μm~500μmの粒子サイズの粉末の形態をとる。
【0064】
粒子サイズは、粉末の揮発性の問題を回避するために、微細過ぎてはならず、また、より大きなサイズの粒子は残留水をより容易に保持するので、あまり(例えば、1cmを超えるほどに)粗過ぎてもいけない。
【0065】
このような乾燥ステップにより、本発明に関連して後述する乾燥機を用いて、所望の粒子サイズを得ることができる。
【0066】
実施例では、乾燥ステップは、塊破砕ステップ(lump-breaking step)を含む。
【0067】
このようなステップは、チャンバ内の塊の形成を制限するか、または防止さえすることを目的としている。
【0068】
実施例では、本方法は、乾燥機からの蒸気を凝縮して凝縮液を生成するステップを含む。
【0069】
この方法は更に、凝縮液の再利用による水の消費量の削減を可能にしている。
【0070】
例えば、方法は次に、凝縮液をタンク、例えば洗浄水のタンクに導入するステップを含む。
【0071】
例えば、得られた凝縮液は、洗浄水として使用することができる。
【0072】
水を凝縮するステップは、例えば、凝縮器で実施される。
【0073】
実施オプションによれば、この方法は、スクラバとも呼ばれる吸収中和器(absorber-neutralizer)によって蒸気を凝縮するステップで発生するガスを吸収中和するステップを含む。
【0074】
有利な実施形態では、本方法は、被処理流体を窒化ラインのタンクから、または例えば貯蔵タンクからも抽出するステップを含む。
【0075】
例えば、本方法は、乾燥機のチャンバに導入するステップの前に、被処理流体を濾過するステップを含む。
【0076】
濾過ステップは、例えば、50μm以下、例えば2μm~50μmのメッシュサイズのスクリーンを通して流体を通過させるステップを含む。
【0077】
濾過ステップは、例えば、磁性バーによりパーティクルを除去するステップを含む。
【0078】
例えば、そのような磁性バーは、磁性粒子、特に、例えば酸化鉄を捕捉している。
【0079】
本発明はまた、上述したステップの少なくともいくつかを含む方法を実施するように構成された設備に関している。
【0080】
このために、設備は、少なくとも乾燥ステップを実施するように構成された少なくとも1つの乾燥機を含む。
【0081】
乾燥機は、主にチャンバを含む。
【0082】
チャンバは、例えば、ほぼ円筒形状である。
【0083】
チャンバは、例えば、非回転式チャンバである。
【0084】
例えば、チャンバは、乾燥する流体をチャンバ内に導入するように構成された、流体を乾燥させるための少なくとも1つの入口を備えている。
【0085】
例えば、チャンバは、固体残留物を排出するための少なくとも1つの出口を備えている。
【0086】
例えば、チャンバは、少なくとも1つの蒸気出口を備えている。
【0087】
有利な例示的実施形態では、乾燥機は、ミキサ、特に、例えば伝熱流体(heat-conveying fluid)の循環によって加熱される加熱ヘリカルミキサ(heated helical mixer)を含む。
【0088】
例えば、ミキサは、チャンバ内で、例えば中程度の速度で、例えば100rpmまで、例えば1rpm~100rpmの間、例えば1rpm~25rpmの間で回転するように構成され、これにより、ここで、流体を十分に均一に混合して乾燥させ、チャンバの壁との接触を改善することが可能になる。
【0089】
ミキサは、例えば、チャンバの壁からある距離を通過して、壁を削り取ることを回避し、従ってミキサの摩耗を制限している。
【0090】
すなわち、混合物の均質性とチャンバ内の温度の均一性を確保するために、らせん状の撹拌機が加熱され、チャンバの壁の近傍まで延在している。
【0091】
有利な例示的実施形態では、チャンバは円錐形の底部を含む。
【0092】
このような円錐状の底部は、得られた固体残留物の排出を容易にしている。
【0093】
例えば、固体残留物(例えば、粉末形態)は、重力によって乾燥機のチャンバから排出される。
【0094】
例えば、円錐状の底部は、固体残留物の排出口を含む。
【0095】
更に、従来の乾燥機は、通常、バッチ操作のために提供され、乾燥時にペースト状の製品を乾燥させ、チャンバの容積の60%~100%の充填率である。
【0096】
ここで、被処理流体を考慮すると、バッチモードでのそのような操作は、方法の生産性及び収率を大きく制限するであろう。例えば、2000Lの流体を乾燥させた後に得られる乾燥残留物は、ここで考察する乾燥機のチャンバの容積の約20%しか占めない。
【0097】
従って、ここで考察する乾燥機は、「半連続」モードで作業することを可能にしている。
【0098】
このために、例えば、ロードセルシステムを備えている。
【0099】
このようなロードセルシステムは、チャンバを、場合によっては連続的に計量し、付随的にチャンバの内容物を計量するように構成されている。
【0100】
例えば、ロードセルシステムは、少なくとも1つの計量センサを含む。
【0101】
チャンバの重量を適切に測定するために、チャンバは、例えば、入口及び出口に可撓性パイプを使用して、設備の残りの部分から機械的に分離されることが好ましい。
【0102】
例えば、特に処理された流体からの水の蒸発によるチャンバの内容物の重量損失は、被処理流体の添加によって補償することができる。これにより、乾燥動作に伴ってチャンバ内に収容される流体の塩分濃度を段階的に高めることができる。
【0103】
このようにして最終的に得られる乾燥残留物の体積は、チャンバの体積の50%~75%のオーダーであり、場合によっては80%を超え、理想的には90%を超える。
【0104】
この「半連続」充填操作は、完全に自動化することができ、例えば、添加数及び添加当たりの流体の量を設定可能(configurable)にすることができる。流体の添加は、乾燥中に行われる。流体は、例えば、チャンバの真空を放出すること無く、乾燥機に接続されたタンク、例えば貯蔵タンクまたはバッファタンクからの圧力差によって「吸引(sucked)」されている。
【0105】
このために、例えば、乾燥機は、少なくとも1つの充填バルブを備えている。
【0106】
例えば、充填バルブは、チャンバの重量が下方の閾値に達したとき、またはチャンバの重量の変化率が第1の所定値未満であるときに開くように構成され、チャンバの重量が上方の閾値に達したとき、またはチャンバの充填がその最大レベルに達したときに閉じるように構成されている。
【0107】
ロードセルシステムによって測定された重量は、例えば、チャンバの充填比と相関関係にある。
【0108】
例えば、設備は、ロードセルシステムによって測定されたチャンバの重量に応じて、少なくとも1つの充填バルブの開閉を制御するように構成された制御システムを含む。
【0109】
有利な例示的実施形態では、チャンバは、二重ジャケットによって形成された壁を含む。
【0110】
二重ジャケットは、例えば、伝熱流体を内部に循環させるように構成されている。
【0111】
伝熱流体は、例えば、流体が処理されるチャンバ内の温度を30℃~90℃に維持するように構成されている。
【0112】
例えば、同じ伝熱流体が、チャンバの壁及びヘリカルミキサ内を循環している。
【0113】
例えば、乾燥機は、真空中で撹拌される縦型の乾燥機-ミキサである。
【0114】
例示的な実施形態では、乾燥機チャンバは、チャンバ内で処理される流体中の塊の形成を制限するように構成された塊破砕器を含む。
【0115】
この塊破砕器は、例えば、チャンバの底部に配置されたブレード付き塊破砕器である。
【0116】
このような塊破砕器は、例えば、1500rpmの速度まで回転するように構成されている。
【0117】
例示的実施形態では、設備は、被処理流体をリザーバから、例えば窒化ラインのタンクから乾燥機に搬送するように構成された抽出システムを含む。
【0118】
例えば、抽出システムは濾過システムを含む。
【0119】
濾過システムは、例えば、50μm以下、例えば、2μm~50μm、場合によっては、例えば、5μm~10μmのメッシュサイズのスクリーンを含む。
【0120】
例えば、濾過システムは、例えば、被処理流体中に含まれ得る磁性粒子を除去するように構成される磁性バーを更に含む。
【0121】
例えば、乾燥機の蒸気出口にはフィルタが設けられている。
【0122】
フィルタは、例えば、蒸気を濾過するように構成されている。このために、フィルタは、例えば、圧縮空気によって目詰まりを除去するフィルタカートリッジを含む。
【0123】
例えば、フィルタは超微粉(ultrafine powder)を保持している。目詰まりを取ることで、この粉を落とし、フィルタの効果を回復させる。
【0124】
例示的な実施形態によれば、詰まっていない粉末は、重力によって乾燥機チャンバ内に落下する。
【0125】
実施例によれば、設備は、乾燥機のチャンバを所望の温度に維持するように構成されたボイラを含む。
【0126】
ボイラは、例えば、チャンバの二重ジャケット内を循環する伝熱流体を約130℃まで加熱すると共に、ヘリカルミキサ内を加熱するように構成されている。
【0127】
ボイラは、生成された固体残留物の温度を低下させるために、加熱モード及び冷却モードを有するように構成されている。
【0128】
例示的な実施形態では、設備は真空モジュールを含む。
【0129】
例えば、真空モジュールは、乾燥機のチャンバ内に適度な真空、すなわち、10mbar~900mbar、例えば、20mbar~500mbar、または20mbar~100mbarの圧力を生成するように構成されている。
【0130】
例えば、真空モジュールは、乾燥構成において約10mbarの圧力を生成するように構成されている。
【0131】
例えば、真空モジュールは、蒸発構成において約50mbarの圧力を生成するように構成されている。
【0132】
従って、真空に例えられるこのような圧力は、低温、すなわち30℃~90℃の間の温度で流体から水を蒸発させることを可能にしている。
【0133】
真空モジュールは、例えば、乾燥機からの蒸気出口に接続されている。
【0134】
例えば、真空モジュールは、少なくとも1つの真空ポンプを備えている。
【0135】
例示的実施形態では、設備は、凝縮器を更に含む。
【0136】
凝縮器は、例えば、蒸気出口によって乾燥機から来る蒸気を凝縮し、凝縮液を生成するように構成されている。
【0137】
凝縮器は、例えば、乾燥機の蒸気出口に接続されている。
【0138】
凝縮器は、例えば、管状凝縮器である。
【0139】
これにより設備は、水を回収して再利用することを可能としている。
【0140】
例示的な実施形態では、設備は、冷却器を更に備えている。
【0141】
例えば、管状熱交換器が冷却器に接続されている。
【0142】
例えば、設備は、凝縮した蒸気を収集するように構成された凝縮液リザーバを含む。
【0143】
例示的な実施形態では、設備は、凝縮器から凝縮液を抽出し、場合によってはそれをタンク、例えば洗浄水タンクに戻すように構成された凝縮液供給配管を含む。
【0144】
有利なオプションによれば、凝縮液供給配管は、フィルタを備えている。
【0145】
有利なオプションによれば、設備はまた、ここでは、一般にスクラバと呼ばれる吸収中和器を含む。
【0146】
例えば、スクラバは凝縮器に接続され、凝縮液に含まれる可能性のある有毒または腐食性ガス(例えば、窒化の場合のアンモニア)の存在の可能性を低減または排除することさえ可能にしている。
【図面の簡単な説明】
【0147】
図1】従来の窒化ラインの概略図である。
図2図1に示すような窒化ラインと並列に設置された、本発明の例示的な実施形態による処理設備を示す図である。
図3】例示的な一実施形態による乾燥機の図である。
図4】本発明の一実施形態による処理方法を示す図である。
図5】半連続充填による乾燥機220のチャンバ225内の流体処理を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0148】
本発明は、例示的な実施形態に従って、適切に理解され、その利点は、添付の図面を参照して、決して限定されない例示的な例によって与えられる以下の詳細な説明を読むことによってより明確になる。
【0149】
図1は、窒化ライン10の一例を示す。
【0150】
例えば鋼の部品は、バッチ処理とも呼ばれる数個の部品のバッチで処理されるように、ケージ11内に配置される。
【0151】
このために、ケージ11は、例えば、脱脂槽を含む第1のタンク12に浸漬されている。
【0152】
次に部品は、例えばケージ11を連続して洗浄水槽13に浸漬することによって、または連続したいくつかの洗浄水槽13a、13b、13cに浸漬することによって洗浄される。
【0153】
次に、部品は炉14で乾燥される。
【0154】
次に、ケージ11は、ここに図示するように、少なくとも1つの窒化槽15、または連続する2つの槽15a、15bに浸漬される。このような窒化槽15は、一般に溶融した窒化塩を主成分とし、その温度は500℃~650℃程度である。
【0155】
窒化後、これらの部品は任意で酸化槽16に浸漬される。このような酸化槽16は、一般に、約450℃の温度の溶融酸化塩を主成分としている。
【0156】
窒化または場合によっては酸化の後、部品は、例えば急冷水タンク17内で、槽の温度よりも非常に低い温度、すなわち比較的低温で急冷ステップを受ける。
【0157】
次に、部品は、後処理洗浄タンク18、またはいくつかのタンク18a、18b、18cで順次洗浄される。
【0158】
可能であれば、例えば含浸(impregnation)等の他の処理操作を適用しても良い。次いで、ケージを例えば含浸槽19に浸漬することができる。
【0159】
しかし、さまざまな槽は、連続して通過する過程で汚染されている。
【0160】
例えば、スラッジは、窒化塩及び/または酸化塩を含有する窒化槽及び/または酸化槽15、16に隠されている(secreted)。
【0161】
後処理洗浄タンク18または急冷タンク17の水(「消費水(expend water)」とも呼ばれる)はまた、酸化塩及び/または窒化塩、例えば硝酸塩及び亜硝酸塩で富化されている。
【0162】
この急冷水17は、危険な液体廃棄物であり、そのような廃棄物の処理を専門とする会社によって処理される必要がある。
【0163】
従って、これらの異なる形態の廃棄物は、処理のために送られる前に貯蔵を必要としている。
【0164】
図2は、この廃棄物の少なくとも一部を、それに含まれる塩をリサイクルすることによって処理することを可能にする設備200の例を示す。
【0165】
この例では、急冷タンク17から塩を含む流体を抽出しているが、塩溶液を構成する流体を含む他のタンクであっても良いことは言うまでもない。
【0166】
このために、設備200は、図3により詳細に概略的に示される乾燥機220を主に備えている。
【0167】
被処理流体をタンク(ここでは急冷タンク17)から乾燥機220に運ぶために、ここでの設備は、第一に抽出システム201を含む。
【0168】
ここで、抽出システム201は、例えば、バッファタンク203と、被処理流体が抽出されるタンクからバッファタンク203に通じる少なくとも1つの上流パイプ202とを含む。
【0169】
ここで、上流パイプ202は、例えば、濾過システム205を含む。
【0170】
濾過システム205は、例えば、50μm以下、例えば、2μm~50μm、または場合によっては、例えば、5μm~10μmのメッシュサイズのスクリーンを含む。
【0171】
ここで、濾過システム205は、例えば、処理する粒子中に含まれ得る磁性粒子を除去するように構成された磁性バーを更に含む。
【0172】
バッファタンク203の下流では、抽出システム201は、例えば、バッファタンク203から乾燥機220、特に流体を乾燥させるための乾燥機220の入口221に通じる少なくとも1つの下流パイプ204を含む。
【0173】
ここで、乾燥機220は、少なくとも2つの出口222、223、すなわち、固体残留物を排出するための出口222及び蒸気出口223を含む。
【0174】
蒸気出口223には、真空モジュール207に接続された2つの平行経路が設けられている。
【0175】
蒸気出口223から来る2つの経路のうちの第1の経路には、例えば、フィルタ224が設けられている。
【0176】
フィルタ224は、例えば、蒸気を濾過するように構成されている。このために、フィルタ224は、例えば、圧縮空気によって目詰まりを除去するフィルタカートリッジを含む。
【0177】
例えば、乾燥機の内容物が十分に液体である限り、蒸気は、フィルタ224を通過すること無く、すなわち、蒸気出口223から来て真空モジュール207に至る2つの経路のうちの第2の経路を通過することによって、直接凝縮されている。
【0178】
しかし、内容物が比較的乾燥している場合、例えば、以下に説明する方法の段階Cの間に、蒸気によって混入される(entrained)ダストが存在する可能性があり、その場合、フィルタ224を通過すること、すなわち、蒸気出口223から来る2つの経路のうちの第1の経路を通過することが好ましい。
【0179】
従って、フィルタ224は、例えば、方法のフェーズCの間に作動される。
【0180】
この設備は、例えば、乾燥機のチャンバを所望の温度に維持するように構成されたボイラ206も含む。
【0181】
ボイラ206は、例えば、チャンバの内部を所望の温度に維持するように構成された伝熱流体を約130℃に加熱するように構成されている。
【0182】
ボイラ206は、加熱モードまたは冷却モードに切り替えられて、固体残留物を排出するための出口222を介して、排出段階中にチャンバ内で生成される固体残留物の温度を低下させることができる。
【0183】
乾燥機の下流では、設備は次に、蒸気出口223に接続された真空モジュール207を含む。
【0184】
真空モジュールは、例えば、乾燥機220のチャンバ内に中程度の真空、すなわち10mbar~900mbarの圧力を生成するように構成された少なくとも1つの真空ポンプを含む。
【0185】
真空モジュールは、例えば、直列にまたは個別に(必要とされる用途及び有効性に応じて)使用され得る2つのポンプ、例えば、ルーツポンプ、及び液体リングポンプを含む。
【0186】
設備は、蒸気出口223によって乾燥機220から来る蒸気を凝縮するように構成された凝縮器208を更に含むことができる。凝縮器は、例えば、管状凝縮器である。凝縮器208は、例えば、管状熱交換器を含む。
【0187】
このために、設備は冷却器209を更に備えることができる。
【0188】
例えば、管状熱交換器208は、冷却器209に接続されている。
【0189】
凝縮した蒸気は、凝縮液リザーバに収集することができる。
【0190】
ここで、凝縮器208の下流で、設備は、凝縮器から凝縮液を抽出し、場合によってはそれを洗浄水タンク、例えばここでは洗浄タンク18cに戻すように構成された凝縮液供給管210を含む。
【0191】
なお、ここで言う凝縮液とは、例えば、乾燥機からの水蒸気が凝縮してできた液体の水である。
【0192】
本実施形態では、凝縮液供給管210は、必要に応じて、フィルタ211を備えている。
【0193】
有利なオプションによれば、設備はまた、ここでは、一般にスクラバ212と呼ばれる吸収中和器を含む。ここで、スクラバ212は凝縮器208に接続され、有毒ガスまたは腐食性ガスの存在の可能性を低減または排除することさえ可能にしている。
【0194】
このようなガス、例えばアンモニアは、凝縮液に含まれている可能性がある。
【0195】
乾燥機220は、図3により詳細に示されている。
【0196】
乾燥機220は、塩を含む流体を、それらが液体であろうとスラッジであろうと、真空中で乾燥するように構成されている。これらの流体は、塩溶液とも呼ばれる。
【0197】
乾燥機220は、真空乾燥機、特に加熱された垂直ミキサであり、中程度の速度で回転して生成物の上昇する周囲の流れを得て、チャンバの加熱された壁と接触している生成物を再生している。
【0198】
このために、乾燥機は、流体を乾燥させるための入口221と、固体残留物を排出するための出口222と、蒸気出口223とを備えたチャンバ225を主に含む。
【0199】
ここで、チャンバ225は、回転しないように固定されており、取付部228によって保持されている。
【0200】
ここで、チャンバ225は、得られた固体残渣の排出を容易にする円錐形の底部を含む。
【0201】
従って、固体残留物を排出するための出口222は、好ましくは、チャンバの底部の円錐形の底部の端部に形成されている。
【0202】
固体残留物を排出するための出口222は、例えば、金属-金属接触を有する球状弁を含む。
【0203】
好ましい特徴によれば、チャンバ225は、二重ジャケット、すなわち、外壁と内壁とを備え、これらの間に伝熱流体の循環を可能にする空間が画定されている。
【0204】
伝熱流体は、例えばボイラ206等の電気的な加熱により加熱され、例えば130℃に加熱される。
【0205】
例えば、伝熱液体は、オイルを含む。
【0206】
従って、この例示的な実施形態では、内壁は、例えばハステロイC22(登録商標)または任意の同等の材料からなる内部タンクを形成している。
【0207】
チャンバ225において、乾燥機は、ここでは、チャンバの内容物、すなわち被処理流体を混合し、乾燥するように構成されたミキサ226を含む。
【0208】
ミキサは、例えば、伝熱流体の循環によって加熱される螺旋ブレードを含む。
【0209】
ミキサ226は、例えば、必要に応じて、例えば100rpmまでの可変速度で回転するように構成されている。
【0210】
ここで、ミキサ226は、チャンバ225の内壁から一定の距離を置いて通過し、壁を削り取ってミキサの摩耗を制限することを回避している。
【0211】
ここに存在する有利なオプションによれば、乾燥機は、チャンバ225内に塊破砕器(チョッパー)230を備え、そのような塊破砕器230は、例えば、可能な塊を破砕するために1500rpmまでの速度で回転するように構成されている。
【0212】
半連続的な充填を行うために、乾燥機は、充填バルブ227を備えている。
【0213】
この例示的な実施形態では、充填バルブ227は、流体を乾燥させるために乾燥機入口221に接続されている。
【0214】
例えば、充填バルブ227は、被処理流体のためのリザーバと乾燥機との間に配置されている。
【0215】
充填バルブ227は、チャンバの重量に応じて開閉される。
【0216】
充填バルブが開いているとき、真空モジュール207による流体の吸引を通じて、流体を乾燥させるための注入口221を介して、チャンバ内への被処理流体の導入が可能とされている。
【0217】
チャンバの重量を知るために、乾燥機はロードセルシステム229を含む。
【0218】
これにより、チャンバの充填状態を知ることができ、被処理流体を導入することができる。
【0219】
この例示的な実施形態では、ロードセルシステム229は、チャンバの周囲に規則的に間隔を置いて配置された少なくとも2つ、好ましくは3つの計量センサを含む。次に、それらの測定値は、例えば平均化(または加算)されて、チャンバの重量を決定し、従って、その充填状態を知る。
【0220】
ここでは、チャンバの肩部と取付部228との間に計量センサが概略的に配置されている。
【0221】
図4は、本発明の実施例による塩を含む流体を処理するための方法の主要なステップを、例えば、図2に示されるような設備に関連して示す。
【0222】
この方法は、例えば、以下の一連のステップを含む。
【0223】
方法はまず、タンク、ここでは窒化ラインの急冷タンク17から被処理流体を抽出するステップS1を含む。
【0224】
被処理流体は、窒化及び酸化のために前の槽から来る塩を含む急冷水であり、抽出システム201によって搬送される。
【0225】
この方法は、例えば、被処理流体を、例えば濾過システム205によって濾過するステップS2を含む。ここでの濾過ステップS2は、同時に、流体を濾過システム205のスクリーンを通過させるステップS21と、酸化鉄等の磁性粒子を磁性バーによって除去するステップS22とを含む。
【0226】
次の方法は、流体を処理するステップS3を含み:
- 流体を乾燥させるための入口221を介して、被処理流体を乾燥機220のチャンバ225に導入するステップS31;
- チャンバ225内の流体を、30℃~90℃の間の温度及び10mbar~900mbarの間の圧力に置くことによって乾燥させるステップS32;及び
- 例えば、固体残留物を排出するための出口222を介して回収される、粉末状の固体残留物を抽出するステップS33。
【0227】
乾燥ステップS32は、同時に行われる2つのステップを含む:
* 流体の少なくとも一部を蒸発させ、蒸気出口223によってチャンバ225から抽出される少なくとも水蒸気を生成するサブステップS321、及び
* チャンバ225内の流体の塩分濃度を増加させるサブステップS322。
【0228】
図5に関連してより詳細に記載されるように、ここでの乾燥ステップは、2つの段階を含む:
* チャンバの重量が減少する間の第1の段階(図5において「B」として示される)であって、チャンバの重量が下方の閾値に達するか、またはチャンバの重量の変化率が第1の所定値未満である場合、乾燥ステップは、チャンバの重量が上方の閾値に達するまで、チャンバを補完的に充填するステップを含む、第1の段階;及び
* チャンバの重量が減少する間の第2の段階(図5において「C」として示される)であって、重量の変化率が第2の所定値未満である場合、固体残留物を抽出するステップS33が実施される、第2の段階。
【0229】
充填を半連続的に行うために、ここでの方法は、例えばロードセルシステム229によってチャンバ225の重量をチェックするステップS4を含み、重量が下方の閾値(下方の充填閾値に対応する)に達したとき、またはチャンバの重量の変化率が第2の所定値未満であるとき、方法は、充填バルブ227を開くステップS51を含み、チャンバ225内で被処理流体を補完的に充填するステップが実施される。チャンバの重量が上方の閾値(上方の充填閾値に対応する)に達すると、方法は、充填バルブ227を閉じるステップS52を含む。
【0230】
これと並行して、チャンバの内部は真空に保たれ、充填バルブ227が開いているときに、被処理流体をチャンバ内に吸引することができる。
【0231】
また、ここでは、乾燥機220からの蒸気を凝縮器208により蒸気出口223で凝縮させて凝縮液を生成するステップS6を含む。
【0232】
ここで示されるオプションによれば、方法は、スクラバ212による蒸気スクラビングのステップS7を含む。
【0233】
凝縮液は、例えば、次に凝縮液供給管210によって搬送される。
【0234】
また、ここでは、凝縮液供給管210のフィルタ211で凝縮液を濾過するステップS8が示されている。
【0235】
次に、洗浄タンク18cに凝縮液を注入するステップS9が行われる。
【0236】
図5は、半連続充填による乾燥機220のチャンバ225内の流体処理を示すグラフを提示している。
【0237】
このグラフは、より具体的には、チャンバの充填率(%)の変化をy軸に示し、ここでは任意の単位を有する時間をx軸に示している。
【0238】
このグラフは、最初は空である乾燥機220のチャンバ225に被処理流体を導入するステップS31に対応するフェーズ「A」、チャンバの内容物が主に塩に濃縮される乾燥ステップS32の第1のフェーズに対応するフェーズ「B」、乾燥ステップS32の第2のフェーズに対応するフェーズ「C」、及び最後に、例えば固体残留物を排出するための出口222によって固体残留物を抽出するステップS33に対応するフェーズ「D」の4つのフェーズを経時的に示している。
【0239】
充填は、通常、リフトポンプ(図示せず)で行われる。充填の終了は、計量または体積測定によって検出することができる。
【0240】
チャンバは、例えば真空モジュール207によって被処理流体を導入するステップS31の充填後に真空下に置かれる。
【0241】
第1の段階「B」の間、チャンバの重量は、例えば、連続的に監視され、下方の閾値に達するか、または第1の所定の値に達するまで減速すると、充填バルブ227の開放がトリガされ、次いで、流体は真空によって吸引され、上方の閾値に達すると、充填バルブ227の再びの閉鎖がトリガされる。流体の添加により、チャンバ内の塩含有量は次第に増加する。上方の閾値及び下方の閾値は、充填操作の過程で、特に体積に関して一定の充填比を維持するために、変化しても良い。実際のところ、塩の密度は水の密度と異なることがあり、重量は塩含有量に依存する。
【0242】
充填操作の回数及び閾値の変動は、予めプログラムされても良く、あるいは、重量、流量、または塩含有量の測定によって完全に制御されても良い。
【0243】
所望の含有量に到達すると、第1のフェーズ「B」が終了する。次いで、第2の段階「C」が始まり、その間、流体の更なる添加は無い。
【0244】
このステップでは、例えば、真空モジュールの真空ポンプの上流のロータリーコンプレッサー(ルーツポンプ)を用いてポンピングを強化することができ、これにより、より高い乾燥度を達成することが可能になる。このステップでは、重量も常に監視されている。単位時間当たりの重量損失(蒸発速度に相当)は、残留含水率を推定し、乾燥の終了を決定することを可能にしている。
【0245】
塊破砕器が作動するように設定されるのは、第2の段階「C」の間であることが好ましく、これは、開始からすぐに、または特定の含水率に達したときのいずれかである。
【0246】
最後に、乾燥機を空にする。
【0247】
一例として、窒化物製造ラインからの酸化急冷水の乾燥操作を行った。処理する溶液の平均濃度は255g/Lであった。2324kgの初期重量(1857Lの容積に対して)を乾燥機チャンバに導入した。チャンバを、液体リングポンプによって真空下(すなわち、約50mbar未満)に置いた。溶液を38℃の温度にした。
【0248】
次に、蒸発/濃縮サイクルを開始した。合計で、3397kgの急冷水を10段階(すなわち、1回の添加当たり平均377kg)で2421分間(相Bの持続時間を構成する)、52質量%の濃度に達するまで添加した。
【0249】
次いで、91.67%(乾燥度)で分析された乾燥残留物について、21時間の乾燥後に液相-固相転移(liquid-solid phase transition)が観察されるまで、最終乾燥段階(C相)がトリガされた。蒸気濾過モードへの切り替えを行い、塊破砕器を作動させ、ルーツポンプを作動させた後、10mbarの真空を達成した。
【0250】
85℃で6時間乾燥させた後、99.09%の乾燥抽出物を有する1217kgの粉末を乾燥機から抽出し、品質に影響を与えること無く窒化製造ラインで再利用した。乾燥操作と並行して4335kgの凝縮液が発生し、窒化製造ラインのリンス操作に再利用された。
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】