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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-12
(54)【発明の名称】高層ラック倉庫用のラック操作装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/04 20060101AFI20240705BHJP
【FI】
B65G1/04 551D
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024501541
(86)(22)【出願日】2022-07-05
(85)【翻訳文提出日】2024-01-29
(86)【国際出願番号】 EP2022068501
(87)【国際公開番号】W WO2023285197
(87)【国際公開日】2023-01-19
(31)【優先権主張番号】102021117938.6
(32)【優先日】2021-07-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517360594
【氏名又は名称】アモヴァ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】AMOVA GmbH
【住所又は居所原語表記】Wiesenstrasse 30, 57271 Hilchenbach, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ベアント クライン
(72)【発明者】
【氏名】ベアント ビューデンベンダー
【テーマコード(参考)】
3F022
【Fターム(参考)】
3F022EE10
3F022FF01
3F022JJ04
3F022KK11
3F022LL05
3F022MM51
3F022NN08
3F022NN12
(57)【要約】
本発明は、高層ラック倉庫(2)用のラック操作装置(1)に関する。荷物収容手段(14)のガイド(13)の外部でラック操作装置(1)のフレーム(11)に対して荷物収容手段(14)が旋回可能であり、かつ垂直方向に可動であることにより、積み替え過程における保管品(3)の位置ずれを補償することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高層ラック倉庫(2)用のラック操作装置(1)であって、
前記ラック操作装置(1)を高層ラック(21)に沿って運動させるための少なくとも1つの駆動装置を備えたフレーム(11)と、
前記ラック操作装置(1)の前記フレーム(11)に接続された、荷物収容手段(14)のための垂直方向のガイド(13)であって、該ガイド(13)は前記荷物収容手段(14)を、好ましくは前記フレーム(11)の下側の半部で、かつ/または前記ラック操作装置(1)の前記フレーム(11)の下方で案内する、ガイド(13)と、
荷物収容手段(14)であって、該荷物収容手段(14)に保管品(3)を取外し可能に取り付けるための、互いに接続された少なくとも3つの取付け点(15)を備えた荷物収容手段(14)と、
前記保管品(3)から前記荷物収容手段(14)を介して前記ラック操作装置(1)の前記フレーム(11)へ力を伝達するための、前記ラック操作装置(1)の前記フレーム(11)を前記荷物収容手段(14)に接続する接続要素(16)と、
を有しており、
保管品(3)が、前記ラック操作装置(1)による前記保管品(3)の実質的に水平方向の運動によって、前記高層ラック(21)内の保管場所(6)と交換可能であり、前記保管品(3)が、実質的に垂直方向の運動によって交通手段(4)と交換可能であり、前記荷物収容手段(14)が、前記ラック操作装置(1)の前記フレーム(11)に対して前記ガイド(13)の内部で垂直方向に可動である、
高層ラック倉庫(2)用のラック操作装置(1)において、
前記荷物収容手段(14)が、前記ラック操作装置(1)の前記フレーム(11)に対して前記ガイド(13)の外部で垂直方向に可動であり、特に1つの水平方向の平面(18)内の軸線(171,172)を中心にして旋回可能であることを特徴とする、ラック操作装置(1)。
【請求項2】
前記取付け点(15)は、前記荷物収容手段(14)を、保管品(3)であるコンテナ、特に海上コンテナに接続するために適していることを特徴とする、請求項1記載のラック操作装置(1)。
【請求項3】
前記ラック操作装置(1)の前記フレーム(11)に接続された前記ガイド(13)によって案内される、前記荷物収容手段(14)の垂直方向の変位ストローク(19)が、保管品(3)を交通手段(4)と交換する際の前記荷物収容手段の垂直方向の最大変位ストロークよりも小さいことを特徴とする、請求項1または2記載のラック操作装置(1)。
【請求項4】
前記荷物収容手段(14)と前記ラック操作装置(1)の前記フレーム(11)との間の前記接続要素(16)の力伝達長さが可変であることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載のラック操作装置(1)。
【請求項5】
前記荷物収容手段(14)および/または前記ラック操作装置(1)の前記フレーム(11)は、1つの構成アッセンブリを有しており、該構成アッセンブリによって前記荷物収容手段(14)が水平方向の平面内で回転可能であることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載のラック操作装置(1)。
【請求項6】
前記ラック操作装置(1)の前記フレーム(11)は、接続要素(16)であるケーブル、チェーンおよび/または歯付きベルト、好ましくは2本よりも多いケーブル、チェーンおよび/または歯付きベルトによって、前記荷物収容手段(14)に接続されており、
前記ケーブル、前記チェーンおよび/または前記歯付きベルトの長さが、好ましくはモータ(111)によって駆動されるドラム(112)によって可変である
ことを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載のラック操作装置(1)。
【請求項7】
2本またはそれよりも多いケーブル、チェーンおよび/または歯付きベルトが、前記荷物収容手段(14)を前記ラック操作装置(1)の前記フレーム(11)に接続しており、
一方のケーブル、チェーンおよび/または歯付きベルトの長さが、他方のケーブル、チェーンおよび/または歯付きベルトの長さとは別個に独立して調節可能である
ことを特徴とする、請求項5記載のラック操作装置(1)。
【請求項8】
前記ラック操作装置(1)の前記フレーム(11)は、前記ケーブル、前記チェーンおよび/または前記歯付きベルトの長さを調節するための少なくとも1つのドラム(112)を有することを特徴とする、請求項5または6記載のラック操作装置(1)。
【請求項9】
前記少なくとも1つの接続要素(16)が、シリンダ、好ましくはハイドロリックシリンダとして形成されていることを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項記載のラック操作装置(1)。
【請求項10】
2つよりも多いシリンダが、前記フレーム(11)を前記荷物収容手段(14)に接続していることを特徴とする、請求項8記載のラック操作装置(1)。
【請求項11】
一方のシリンダの長さが、他方のシリンダの長さとは別個に独立して調節可能であることを特徴とする、請求項9記載のラック操作装置(1)。
【請求項12】
前記荷物収容手段(14)はフレーム(19)を有しており、
前記荷物収容手段の前記フレーム(19)が、保管品、好ましくはコンテナのための3つよりも多い取付け点(15)を有しており、
前記取付け点(15)が、前記荷物収容手段(14)の前記フレーム(19)に対して可動である
ことを特徴とする、請求項1から11までのいずれか1項記載のラック操作装置(1)。
【請求項13】
前記荷物収容手段(14)の前記フレーム(19)が、前記ラック操作装置(1)の前記フレーム(11)に形状接続式または力接続式に接続可能であることを特徴とする、請求項11記載のラック操作装置(1)。
【請求項14】
前記ラック操作装置(1)の前記フレーム(11)は、前記荷物収容手段(14)の前記フレーム(19)に対して相補的な、前記両フレーム(11,19)の間の形状接続を形成するための収容部を有しており、
ロック機構、好ましくは可動のピンを備えたロック機構により、前記両フレーム(11,19)の間の形状接続の解除が困難にされており、好ましくは阻止されている
ことを特徴とする、請求項12記載のラック操作装置(1)。
【請求項15】
ラック操作装置(1)と高層ラック倉庫(2)とから成るシステムであって、前記ラック操作装置(1)によって保管品(3)、特にコンテナを、高層ラック(21)内の保管場所(6)と、交通手段(4)または前記高層ラック(21)内の別の保管場所(6)との間で積み替えることができるシステムにおいて、
前記ラック操作装置(1)が、請求項1から14までのいずれか1項記載の構成により形成されていることを特徴とするシステム。
【請求項16】
請求項1から14までのいずれか1項記載のラック操作装置(1)と、保管品(3)、特にコンテナ、好ましくは海上コンテナ、とから成るシステムにおいて、
前記保管品(3)が、前記荷物収容手段(14)に設けられた前記取付け点(15)に対して相補的な取付け点を有しており、
前記保管品(3)が、前記相補的な取付け点によって力接続式に前記荷物収容手段(14)に分離可能に接続可能である
ことを特徴とするシステム。
【請求項17】
保管品(3)、特にコンテナを収容するかまたは下ろす方法であって、前記保管品(3)が、交通手段(4)から、好ましくは請求項1から14までのいずれか1項記載の構成により形成されたラック操作装置(1)によって収容されるかまたは下ろされ、前記保管品(3)の少なくとも1つの取付け点が、水平方向および/または垂直方向の目標位置からずれている、方法において、
f)前記ラック操作装置(1)を前記目標位置へ運動させ、
g)前記荷物収容手段(14)を第1の荷下ろし高さまたは収容高さにまで降下させ、
h)前記荷物収容手段(14)を、少なくとも1つの取付け点(15)が垂直方向の力を伝達しなくなる第2の荷下ろし高さまたは収容高さにまで降下させかつ/または回転させ、
i)前記荷物収容手段(14)を、別の取付け点(15)が垂直方向の力を伝達しなくなる前記荷物収容手段(14)の第3の荷下ろし高さまたは収容高さにまで降下させかつ/または回転させ、
j)前記取付け点(15)を前記保管品(3)から分離させるか、または前記保管品(3)に接続する
作業ステップを実施する、方法。
【請求項18】
前記作業ステップをa)~e)の順序で実施することを特徴とする、請求項17記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高層ラック倉庫用のラック操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
高層ラック倉庫は通常、相並んで配置された任意の多数のラック(棚)から成り、この場合、個々のラックはその長手方向と高さ方向とにおいて相並んで位置する複数のラックコンパートメントを有している。所定のラックコンパートメントに対する保管品の入庫または出庫と、高層ラック倉庫内での保管品の運搬とのために、ラック操作装置、特に自動化されたラック操作装置が従来技術から知られている。このラック操作装置は、規定された引渡し点において、外部の交通手段と保管品を交換することができる。外部の交通手段とは、たとえば貨物自動車、自律走行式の運搬手段またはレール拘束式の交通手段である。
【0003】
保管品を有する外部の交通手段は、保管品交換のために、予め規定された位置にアプローチする。ラック操作装置は、高層ラック倉庫内部で、特に倉庫通路内でこれに適応する位置をとり、保管品との接続を形成する。これは典型的には、荷物収容手段の3つまたはそれよりも多い取付け点において、保管品に設けられた対応する相補的な取付け点と共に行われる。引き続き、保管品は高層ラック内の所定の位置へともたらされ、この位置に入庫される。
【0004】
国際公開第2017/158034号から、たとえば高層ラック倉庫用のラック操作装置が公知である。この公知のラック操作装置は、高層ラック倉庫内部での保管品の運搬および積み替えのために適している。さらに、この公知のラック操作装置は、外部の交通手段と保管品を交換することもできる。このラック操作装置はベースフレームを有しており、ベースフレームは高層ラックの倉庫通路内を運動することができる。このフレームには荷物収容手段が接続されており、荷物収容手段はラックコンパートメントに対する保管品の入庫または出庫のために、水平方向の平面内で可動である。さらに、保管品を外部の交通手段へ引き渡すために、荷物収容手段を垂直の方向で降下させられるようになっている。これら両運動は、それぞれ1つのテレスコープ式の構造により可能となり、このテレスコープ式の構造はフレームと荷物収容手段との間の接続を形成する。荷物収容手段はこの場合、保管品との接続のための複数の取付け点を有しており、この場合、これらの取付け点は、これらの取付け点を含む1つの取付け平面を形成する。
【0005】
この公知のラック操作装置において欠点となるのは、このラック操作装置が、3つの主軸線のうちの1つを中心とした取付け平面の回転が原因となって生じる、荷物収容手段の取付け点と保管品の取付け点との間の位置ずれを補償することができないことである。このような位置ずれは、たとえば貨物自動車に設けられた積載面が高層ラック倉庫の保管平面に対して平行に位置していないか、または貨物自動車が、高層ラック倉庫間の通路内に斜めに位置している場合に生じ得る。その場合、所定の許容誤差を超えると、荷物収容手段と保管品との接続がもはや不可能となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明の課題は、特に回転が原因となって生じる、取付け点の位置ずれを一層良好に補償することのできるラック操作装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の課題は、請求項1に記載の特徴を有するラック操作装置、請求項15に記載の特徴を有するラック操作装置と高層ラック倉庫とから成るシステム、請求項16に記載の特徴を有するラック操作装置と保管品とから成るシステム、および請求項17に記載の特徴を有する、保管品を収容するかまたは下ろす方法によって解決される。
【0008】
ラック操作装置は、フレームと、少なくとも3つの取付け点を備えた荷物収容手段とを有しており、この場合、荷物収容手段はフレームに対して可動である。荷物収容手段の運動は、フレームに接続されたガイドによって案内される。荷物収容手段は、ラック操作装置のフレームに対してそのガイドの外部で垂直方向に可動であり、特に1つの水平方向の平面内の複数の軸線を中心にして旋回可能である。これにより、ラック操作装置は、保管平面内での取付け点の回転をも、保管平面内での1つの軸線を中心とした取付け点の回転をも補償することができる。これにより、従来技術に比べて、取付け点のより大きな位置ずれをラック操作装置によって補償することができる。
【0009】
従属項形式の請求項2~請求項14には、ラック操作装置の好適な特徴が記載されている。ラック操作装置の荷物収容手段の取付け点は、好適には荷物収容手段を、荷物であるコンテナ、特に海上コンテナに接続するために適している。この場合、コンテナは取付け点の正規化された位置を有する、標準化された保管品であることが有利である。陸上での輸送は、たいてい貨物自動車を用いて行われる。貨物自動車では、引渡し場所に関して位置ずれが生じることが多い。本発明によるラック操作装置はこの場合、これらの位置ずれを特に良好に補償することができる。
【0010】
ラック操作装置のフレームに接続されたガイドによって案内される、荷物収容手段の垂直方向の変位ストロークは、好適には、荷物を外部の交通手段と交換する際の荷物収容手段の垂直方向の最大変位ストロークよりも小さい。案内される荷物収容手段の変位ストロークが小さくなればなるほど、ますます多様の位置ずれを補償することができる。
【0011】
荷物収容手段とラック操作装置のフレームとの間の接続要素の力伝達長さは、好適には可変である。これにより、剛性的なフレーム内で保管品の運搬を行うことができるようになり、フレームの外部では、位置ずれを補償するための所要のフレキシブル性が与えられている。
【0012】
荷物収容手段および/またはラック操作装置のフレームは、好適には、1つの構成アッセンブリを有しており、この構成アッセンブリは水平方向の平面内での荷物収容手段の回転を可能にする。これにより、接続要素とは別個に独立して取付け点の位置ずれの補償が可能となる。
【0013】
ラック操作装置のフレームは、好適には、接続要素であるケーブル、チェーンおよび/または歯付きベルト、好ましくは2本よりも多いケーブル、チェーンおよび/または歯付きベルトによって、荷物収容手段に接続されている。ケーブル、チェーンおよび/または歯付きベルトの長さは、好適には、モータによって駆動されるドラムによって可変である。このような接続要素は、容易に入手可能であり、相応するモータ、変速機、制御部およびドラムの設計は、別の使用事例から導き出すことができる。
【0014】
2本またはそれよりも多いケーブル、チェーンおよび/または歯付きベルトが、好適には荷物収容手段をラック操作装置のフレームに接続しており、少なくとも一方のケーブル、チェーンおよび/または歯付きベルトの長さは、第2のケーブル、チェーンおよび/または歯付きベルトの長さとは別個に独立して調節可能である。互いに異なる長さ制御により、2つの接続要素の場合には、1つの軸線を中心とした回転を容易に実現することができる。3つまたはそれよりも多い接続要素が互いに別個に独立して調節可能である場合には、1つよりも多い軸線を中心とした回転も実現することができる。
【0015】
ラック操作装置のフレームは、好ましくはケーブル、チェーンおよび/または歯付きベルトの長さを調節するための少なくとも1つのドラムを有している。フレームにドラムを取り付けることには、発生する力を一層良好にフレームに伝達することができるという利点がある。
【0016】
少なくとも1つの接続要素は、好適にはシリンダ、好ましくはハイドロリックシリンダとして形成されている。シリンダ、特にハイドロリックシリンダは、大きな負荷を伝達することができ、かつ極めて正確に制御することができる。これにより、位置ずれを極めて正確に補償することができる。
【0017】
2つよりも多いシリンダが、好適にはフレームを荷物収容手段に接続している。2つのシリンダの使用により、故障時における安全性が高まる。
【0018】
少なくとも一方のシリンダの長さは、好適には他方のシリンダの長さとは別個に独立して調節可能である。互いに別個に独立して制御可能な2つのシリンダにより、1つの軸線を中心とした複数の取付け点の平面の回転が可能になる。3つまたはそれよりも多いシリンダが使用されると、1つよりも多い軸線を中心とした回転も可能となる。
【0019】
好適には、荷物収容手段がフレームを有しており、荷物収容手段のこのフレームは、保管品、好ましくはコンテナのための3つよりも多い取付け点を有している。これらの取付け点は、好ましくは荷物収容手段のフレームに対して可動である。このフレームは荷物収容手段に強度を与え、これによって保管品に対する位置決めを容易にする。さらに、これらの取付け点が可動であることは、取付け平面内での各取付け点の間の互いに異なる間隔に対する適合、または保管品の取付け点に対する所要の位置合わせに対する適合を可能にする。
【0020】
荷物収容手段のフレームは、好ましくは、ラック操作装置のフレームに形状接続式または力接続式に接続可能である。これにより、ラック操作装置による高層ラック倉庫内部での運搬時に保管品を一層容易に運搬できるようになる。
【0021】
ラック操作装置のフレームは、両フレームの間での形状接続を形成するために、好ましくは荷物収容手段のフレームに対して相補的な収容部を有している。ロック機構、好ましくは可動のピンを備えたロック機構により、両フレームの間の形状接続の解除が困難にされており、好ましくは阻止されている。このような構造はさらに、高層ラック倉庫内での保管品の運搬時における安全性を高める。
【0022】
さらに、本発明の課題は、請求項15に記載の特徴を有するラック操作装置と高層ラック倉庫とから成るシステムによって解決される。この場合、ラック操作装置は、請求項1から14までのいずれか1項に記載の構成により形成されている。
【0023】
さらに、本発明の課題は、請求項16に記載の特徴を有するシステムによって解決される。保管品は、ラック操作装置の荷物収容手段に設けられた取付け点に対して相補的な取付け点を有しており、保管品は、これらの相補的な取付け点によって力接続式に荷物収容手段に分離可能に接続可能である。これにより、対応し合う各取付け点が位置ずれを有している場合でも、様々な保管品を迅速に積み替えることができる。
【0024】
さらに、本発明の課題は、請求項17に記載の特徴を有する方法によって解決される。この場合:
a)ラック操作装置を目標位置へ運動させ、
b)荷物収容手段を第1の荷下ろし高さまたは収容高さにまで降下させ、
c)荷物収容手段を、少なくとも1つの取付け点が垂直方向の力を伝達しなくなる第2の荷下ろし高さまたは収容高さにまで降下させかつ/または回転させ、
d)荷物収容手段を、別の取付け点が垂直方向の力を伝達しなくなる荷物収容手段の第3の荷下ろし高さまたは収容高さにまで降下させかつ/または回転させ、
e)取付け点を保管品から分離させるか、または保管品に接続する
作業ステップが実施される。
【0025】
作業ステップがa)~e)の順序で実施されると好適であり、この場合、好ましくは、作業ステップa)とb)および/またはc)とd)が少なくとも部分的に同時に実施されてもよい。
【0026】
本明細書には以下の5つの図面が添付されている。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】ラック操作装置を備えた高層ラック倉庫と外部の交通手段とを示す図である。
図2】位置ずれを有する保管品の取付け点の平面と、荷物収容手段の取付け点の平面とを示す図である。
図3a】垂直方向の変位を有する荷物収容手段を備えたラック操作装置を示す図である。
図3b】閉じられたロック機構を有する運搬状態におけるラック操作装置を示す図である。
図3c】交通手段への保管品の引渡し時におけるラック操作装置を示す図である。
図4】可動の取付け点を有する荷物収容手段を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下において、上記図面に基づき本発明を実施例の形で詳しく説明する。全ての図面において、同一の技術的な構成要素には同じ符号が付されている。
【0029】
図1には、ラック操作装置1を備えた高層ラック倉庫2の概略図が図示されている。ラック操作装置1は、2つの高層ラック21の間の通路5の内部を運動することができる。外部の交通手段4、たとえば貨物自動車は、両高層ラック21の間の通路5の下方に位置している。ラック操作装置1は、主に水平な運動によって海上コンテナをその保管場所6から取り出し、主に垂直な運動によってこの海上コンテナを交通手段4、つまりこの場合には貨物自動車上に下ろすことができる。この全過程において、海上コンテナは4つの取付け点15においてラック操作装置1の荷物収容手段14に接続されている。
【0030】
図2には、荷物収容手段14の取付け点15と、保管品3の取付け点31とが図示されている。これらの取付け点は、これらの取付け点を含むそれぞれ1つの平面を形成している。これら両平面は、矢印で示した回転によって取付け点(15,31)の接続のために互いに平行に、かつ互いに合致するように位置合わせされなければならない。荷物収容手段14の取付け点15の間隔はこの場合、相応して保管品3の取付け点31の間隔に適合されることができる。荷物収容手段の取付け点15はさらに、回転可能に支持されているので、これらの取付け点15は角度ずれを補償することができる。
【0031】
図3a~図3cには、ラック操作装置1のフレーム11に関する荷物収容手段14の様々な位置が例示的に図示されている。荷物収容手段14は、互いに別個に独立して制御可能な4本のケーブルを用いてラック操作装置1のフレーム11に接続されている。ケーブルの長さは、モータ111または変速機によって制御されたケーブルドラム112によって変更することができる。図3aには、高層ラック21内の保管場所6に対する保管品3の入庫または出庫の際における水平方向の変位が示されている。
【0032】
図3bには、保管品3が荷物収容手段14と共に運搬位置で示されている。4つのロックピンにより、荷物収容手段14は、ラック操作装置1のフレーム11からの分離が防止されている。これらのロックピンは、各作動駆動装置、たとえばハイドロリックシリンダによって可動である。
【0033】
図3cには、保管品3を有するラック操作装置1が、交通手段4への荷下ろしの直前の状態で示されている。位置ずれを補償するために、荷物収容手段14が、この荷物収容手段14に接続された保管品3と共に2つの軸線を中心にして回転させられている。貨物自動車4の積載面はこの場合、水平線に対して傾けられ、かつ積載面に対して垂直な軸線を中心にして回転させられている。
【0034】
図4には、4つの可動の取付け点15と回転手段とを備えた荷物収容手段14が図示されている。これらの取付け点15は、それぞれ2つの軸線において回転可能に第1のフレーム191に取り付けられている。すなわち、それぞれ個々の取付け点は、別の取付け点とは別個に独立して第1のフレームに対して直角の位置から運動することができる。第1のフレーム191は、その上に位置する第2のフレーム192に、垂直な軸線を中心にして回転可能に接続されている。両フレーム191,192の互いに対する回転は、たとえば歯車193を備えた駆動装置または変速機により行われる。その場合、第2のフレーム192は、接続要素16、この場合には3つのハイドロリックシリンダによって、ラック操作装置1のフレーム11に接続されている。
【符号の説明】
【0035】
1 ラック操作装置
11 フレーム
111 モータ
112 ドラム
14 荷物収容手段
15 取付け点
16 接続要素
17 回転軸線
171 水平方向の軸線
172 水平方向の軸線
191 フレーム
192 フレーム
193 歯車
2 高層ラック倉庫
21 高層ラック
3 保管品
31 保管品に設けられた取付け点
4 交通手段
5 通路
6 保管場所
図1
図2
図3a
図3b
図3c
図4
【手続補正書】
【提出日】2024-01-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高層ラック倉庫(2)用のラック操作装置(1)であって、
前記ラック操作装置(1)を高層ラック(21)に沿って運動させるための少なくとも1つの駆動装置を備えたフレーム(11)と、
前記ラック操作装置(1)の前記フレーム(11)に接続された、荷物収容手段(14)のための垂直方向のガイド(13)であって、該ガイド(13)は前記荷物収容手段(14)を、好ましくは前記フレーム(11)の下側の半部で、かつ/または前記ラック操作装置(1)の前記フレーム(11)の下方で案内する、ガイド(13)と、
荷物収容手段(14)であって、該荷物収容手段(14)に保管品(3)を取外し可能に取り付けるための、互いに接続された少なくとも3つの取付け点(15)を備えた荷物収容手段(14)と、
前記保管品(3)から前記荷物収容手段(14)を介して前記ラック操作装置(1)の前記フレーム(11)へ力を伝達するための、前記ラック操作装置(1)の前記フレーム(11)を前記荷物収容手段(14)に接続する接続要素(16)と、
を有しており、
保管品(3)が、前記ラック操作装置(1)による前記保管品(3)の実質的に水平方向の運動によって、前記高層ラック(21)内の保管場所(6)と交換可能であり、前記保管品(3)が、実質的に垂直方向の運動によって交通手段(4)と交換可能であり、前記荷物収容手段(14)が、前記ラック操作装置(1)の前記フレーム(11)に対して前記ガイド(13)の内部で垂直方向に可動である、
高層ラック倉庫(2)用のラック操作装置(1)において、
前記荷物収容手段(14)が、前記ラック操作装置(1)の前記フレーム(11)に対して前記ガイド(13)の外部で垂直方向に可動であり、特に1つの水平方向の平面(18)内の軸線(171,172)を中心にして旋回可能であることを特徴とする、ラック操作装置(1)。
【請求項2】
前記取付け点(15)は、前記荷物収容手段(14)を、保管品(3)であるコンテナ、特に海上コンテナに接続するために適していることを特徴とする、請求項1記載のラック操作装置(1)。
【請求項3】
前記ラック操作装置(1)の前記フレーム(11)に接続された前記ガイド(13)によって案内される、前記荷物収容手段(14)の垂直方向の変位ストローク(19)が、保管品(3)を交通手段(4)と交換する際の前記荷物収容手段の垂直方向の最大変位ストロークよりも小さいことを特徴とする、請求項1または2記載のラック操作装置(1)。
【請求項4】
前記荷物収容手段(14)と前記ラック操作装置(1)の前記フレーム(11)との間の前記接続要素(16)の力伝達長さが可変であることを特徴とする、請求項1記載のラック操作装置(1)。
【請求項5】
前記荷物収容手段(14)および/または前記ラック操作装置(1)の前記フレーム(11)は、1つの構成アッセンブリを有しており、該構成アッセンブリによって前記荷物収容手段(14)が水平方向の平面内で回転可能であることを特徴とする、請求項1記載のラック操作装置(1)。
【請求項6】
前記ラック操作装置(1)の前記フレーム(11)は、接続要素(16)であるケーブル、チェーンおよび/または歯付きベルト、好ましくは2本よりも多いケーブル、チェーンおよび/または歯付きベルトによって、前記荷物収容手段(14)に接続されており、
前記ケーブル、前記チェーンおよび/または前記歯付きベルトの長さが、好ましくはモータ(111)によって駆動されるドラム(112)によって可変である
ことを特徴とする、請求項1記載のラック操作装置(1)。
【請求項7】
2本またはそれよりも多いケーブル、チェーンおよび/または歯付きベルトが、前記荷物収容手段(14)を前記ラック操作装置(1)の前記フレーム(11)に接続しており、
一方のケーブル、チェーンおよび/または歯付きベルトの長さが、他方のケーブル、チェーンおよび/または歯付きベルトの長さとは別個に独立して調節可能である
ことを特徴とする、請求項記載のラック操作装置(1)。
【請求項8】
前記ラック操作装置(1)の前記フレーム(11)は、前記ケーブル、前記チェーンおよび/または前記歯付きベルトの長さを調節するための少なくとも1つのドラム(112)を有することを特徴とする、請求項または記載のラック操作装置(1)。
【請求項9】
前記少なくとも1つの接続要素(16)が、シリンダ、好ましくはハイドロリックシリンダとして形成されていることを特徴とする、請求項1記載のラック操作装置(1)。
【請求項10】
2つよりも多いシリンダが、前記フレーム(11)を前記荷物収容手段(14)に接続していることを特徴とする、請求項記載のラック操作装置(1)。
【請求項11】
一方のシリンダの長さが、他方のシリンダの長さとは別個に独立して調節可能であることを特徴とする、請求項10記載のラック操作装置(1)。
【請求項12】
前記荷物収容手段(14)はフレーム(19)を有しており、
前記荷物収容手段の前記フレーム(19)が、保管品、好ましくはコンテナのための3つよりも多い取付け点(15)を有しており、
前記取付け点(15)が、前記荷物収容手段(14)の前記フレーム(19)に対して可動である
ことを特徴とする、請求項1記載のラック操作装置(1)。
【請求項13】
前記荷物収容手段(14)の前記フレーム(19)が、前記ラック操作装置(1)の前記フレーム(11)に形状接続式または力接続式に接続可能であることを特徴とする、請求項12記載のラック操作装置(1)。
【請求項14】
前記ラック操作装置(1)の前記フレーム(11)は、前記荷物収容手段(14)の前記フレーム(19)に対して相補的な、前記両フレーム(11,19)の間の形状接続を形成するための収容部を有しており、
ロック機構、好ましくは可動のピンを備えたロック機構により、前記両フレーム(11,19)の間の形状接続の解除が困難にされており、好ましくは阻止されている
ことを特徴とする、請求項13記載のラック操作装置(1)。
【請求項15】
ラック操作装置(1)と高層ラック倉庫(2)とから成るシステムであって、前記ラック操作装置(1)によって保管品(3)、特にコンテナを、高層ラック(21)内の保管場所(6)と、交通手段(4)または前記高層ラック(21)内の別の保管場所(6)との間で積み替えることができるシステムにおいて、
前記ラック操作装置(1)が、請求項1記載の構成により形成されていることを特徴とするシステム。
【請求項16】
請求項1記載のラック操作装置(1)と、保管品(3)、特にコンテナ、好ましくは海上コンテナ、とから成るシステムにおいて、
前記保管品(3)が、前記荷物収容手段(14)に設けられた前記取付け点(15)に対して相補的な取付け点を有しており、
前記保管品(3)が、前記相補的な取付け点によって力接続式に前記荷物収容手段(14)に分離可能に接続可能である
ことを特徴とするシステム。
【請求項17】
保管品(3)、特にコンテナを収容するかまたは下ろす方法であって、前記保管品(3)が、交通手段(4)から、好ましくは請求項1記載の構成により形成されたラック操作装置(1)によって収容されるかまたは下ろされ、前記保管品(3)の少なくとも1つの取付け点が、水平方向および/または垂直方向の目標位置からずれている、方法において、
)前記ラック操作装置(1)を前記目標位置へ運動させ、
)前記荷物収容手段(14)を第1の荷下ろし高さまたは収容高さにまで降下させ、
)前記荷物収容手段(14)を、少なくとも1つの取付け点(15)が垂直方向の力を伝達しなくなる第2の荷下ろし高さまたは収容高さにまで降下させかつ/または回転させ、
)前記荷物収容手段(14)を、別の取付け点(15)が垂直方向の力を伝達しなくなる前記荷物収容手段(14)の第3の荷下ろし高さまたは収容高さにまで降下させかつ/または回転させ、
)前記取付け点(15)を前記保管品(3)から分離させるか、または前記保管品(3)に接続する
作業ステップを実施する、方法。
【請求項18】
前記作業ステップをa)~e)の順序で実施することを特徴とする、請求項17記載の方法。
【国際調査報告】