(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-12
(54)【発明の名称】非侵襲的換気によるマルチモード医療ガス送出
(51)【国際特許分類】
A61M 16/12 20060101AFI20240705BHJP
A61M 16/20 20060101ALI20240705BHJP
【FI】
A61M16/12
A61M16/20 F
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024501557
(86)(22)【出願日】2022-06-29
(85)【翻訳文提出日】2024-01-11
(86)【国際出願番号】 EP2022067836
(87)【国際公開番号】W WO2023285142
(87)【国際公開日】2023-01-19
(32)【優先日】2021-07-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】弁理士法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ウィッチャー ダグラス アダム
(72)【発明者】
【氏名】セルヴァンスキー ダニエル ポール
(57)【要約】
ユーザにガス混合物を提供するための換気デバイスであって、換気デバイスが、圧縮空気を出力する圧縮機と、圧縮空気及び医療ガスを受け取り、医療ガス及び圧縮空気のうちの少なくとも一方のガス流を選択的に出力する弁と、弁の出力されたガス流を提供するように構成された患者インタフェースと、弁を制御して、吸気期間の第1の部分の間に患者インタフェースに実質的に医療ガスのみを送出し、吸気期間の第2の部分の間に患者インタフェースに実質的に圧縮空気のみを送出する制御部とを備える、換気デバイス。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザにガス混合物を提供するための換気デバイスであって、前記換気デバイスが、
圧縮空気を出力する圧縮機と、
医療ガスを出力するガス源と、
前記圧縮空気及び前記医療ガスを受け取り、前記医療ガス及び前記圧縮空気のうちの少なくとも一方を含むガス流を選択的に出力するガス源制御弁と、
前記ガス源制御弁の出力された前記ガス流を送出する患者インタフェースと、
前記ユーザの吸気期間を決定することと、
前記ガス源制御弁を制御して、前記吸気期間の第1の部分の間に前記患者インタフェースに実質的に前記医療ガスのみを送出し、前記吸気期間の第2の部分の間に前記患者インタフェースに実質的に前記圧縮空気のみを送出することと
を行う制御部と
を備える、換気デバイス。
【請求項2】
前記ガス源が、前記圧縮空気を処理して前記医療ガスとして酸素ガスを形成する、酸素濃縮器を含む、請求項1に記載の換気デバイス。
【請求項3】
前記患者インタフェースによって送出された、前記ガス源制御弁の出力された前記ガス流を絞る比例送出弁をさらに備える、請求項1に記載の換気デバイス。
【請求項4】
前記制御部が、前記ユーザの決定された前記吸気期間に従って、切替え時刻を決定する、請求項1に記載の換気デバイス。
【請求項5】
前記出力ガスの切替えが、前記切替え時刻において生じる、請求項4に記載の換気デバイス。
【請求項6】
前記医療ガスが酸素ガスであり、前記患者インタフェースにおいて、前記酸素ガスの流量が前記圧縮空気の流量と実質的に等しい、請求項1に記載の換気デバイス。
【請求項7】
前記酸素ガスの前記流量及び前記圧縮空気の前記流量が、比例送出弁によって制御される、請求項6に記載の換気デバイス。
【請求項8】
ユーザにガス混合物を提供するための換気デバイスであって、前記換気デバイスが、
圧縮空気を出力する圧縮機と、
前記圧縮空気及び医療ガスを受け取り、前記医療ガス及び前記圧縮空気のうちの少なくとも一方を含むガス流を選択的に出力するガス源制御弁と、
出力された前記ガス流を送出するために前記ガス源制御弁に流体結合された患者インタフェースと、
前記ユーザの吸気期間を決定することと、
前記ガス源制御弁を制御して、前記吸気期間中に、第1の出力ガス流の第1のパルスを送出し、その後、第2の出力ガス流の第2のパルスを送出することと
を行う制御部と
を備える、換気デバイス。
【請求項9】
前記第1のパルスが、前記医療ガスとして酸素ガスを含み、前記第2のパルスが、前記圧縮空気を含む、請求項8に記載の換気デバイス。
【請求項10】
前記ガス源制御弁が、前記圧縮機に結合された第1の入力部を持ち、前記デバイスが、前記圧縮機と前記ガス源制御弁の第2の入力部との間に結合された酸素濃縮器を備え、前記酸素濃縮器が、前記圧縮機からの前記圧縮空気を処理して、前記酸素ガスを形成し、前記酸素ガスを、前記ガス源制御弁の前記第2の入力部に送出する、請求項9に記載の換気デバイス。
【請求項11】
前記制御部が、前記ユーザの決定された前記吸気期間に従って切替え時刻を決定する、請求項8に記載の換気デバイス。
【請求項12】
前記制御部が、前記ガス源制御弁を制御して、決定された前記切替え時刻において、前記第1のパルスを終了し、前記第2のパルスを開始する、請求項11に記載の換気デバイス。
【請求項13】
前記制御部が、前記ガス源制御弁を制御して、前記第1及び第2のパルスに続く呼気期間中に前記圧縮空気の第3のパルスを導管に送出し、前記制御部が、前記第1及び第2のパルスよりも低い流量で前記第3のパルスの前記送出を制御する、請求項9に記載の換気デバイス。
【請求項14】
前記第1のパルスの流量が、前記第2のパルスの流量と実質的に等しく、前記第1及び第2のパルスの流れが、前記吸気期間中にのみ出力され、互いに持続時間が異なる、請求項8に記載の換気デバイス。
【請求項15】
ユーザにガス混合物を提供するための換気デバイスであって、前記換気デバイスが、
圧縮空気を出力する圧縮機と、
前記圧縮空気を処理して酸素ガスを形成し、前記酸素ガスを出力する酸素濃縮器と、
前記圧縮空気及び前記酸素ガスを受け取り、前記酸素ガスを含む第1のガスパルス及び前記圧縮空気を含む第2のガスパルスを選択的に送出するガス源制御弁と、
前記ガス源制御弁によって送出された前記第1及び第2のガスパルスを受け取り、前記第1及び第2のガスパルスを送出する患者インタフェースと、
ユーザの吸気期間中に生じる切替え時刻を決定することと、
前記ガス提供制御弁を制御して、前記切替え時刻において、前記第1のガスパルスの前記送出を終了し、前記第2のガスパルスの前記送出を開始することと
を行う制御部と
を備える、換気デバイス。
【請求項16】
前記制御部が、前記ユーザの呼気期間の開始前に前記第2のガスパルスを終了する、請求項15に記載の換気デバイス。
【請求項17】
前記制御部が、前記ガス源制御弁を制御して、前記第1及び第2のガスパルスに続く前記呼気期間中に前記圧縮空気の第3のガスパルスを前記患者インタフェースに送出し、前記制御部が、前記第1及び第2のガスパルスよりも低い流量で前記第3のガスパルスの前記送出を制御する、請求項16に記載の換気デバイス。
【請求項18】
前記制御部が、前記ユーザの前記吸気期間を決定する、請求項15に記載の換気デバイス。
【請求項19】
前記制御部が、前記第1のガスパルスの流量を、前記第2のガスパルスの流量と実質的に等しくなるように制御する、請求項15に記載の換気デバイス。
【請求項20】
前記患者インタフェースが、空気連行インタフェースを含む、請求項15に記載の換気デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本特許出願は、米国特許法第119条の下で、2021年7月12日に出願された米国仮出願第63/220,595号の優先権を主張し、その内容は、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0002】
[0001] 本システムは、非侵襲的ガス送出/換気を行う、換気システムなどのガス送出システムに関し、より詳細には、効率性及び携帯性が向上した医療ガスの連続又はパルス流モードを含む、酸素療法デバイスなどのマルチモードガス送出デバイス、及びその動作方法に関する。
【背景技術】
【0003】
[0002] Inogen(商標)によるTIDAL ASSIST VENTILATOR(商標)などの非侵襲的開放換気デバイス(NOVD)は、カニューレやマスクなどの空気連行送出システムを通して連続若しくはパルス流酸素療法又は酸素富化非侵襲的換気(NIV)を送出するハンドヘルドデバイスである。空気連行とは、患者インタフェースの近くのガス排出の近傍エリアにおいて低圧が発生するように、圧力下の空気/ガスがデバイスから放出される際に発生する現象である。周囲環境からのガスは、次いで、排出された空気ストリームに引き込まれて、患者インタフェースに送出されるボリュメトリック流量を増大させる。これらのNOVDは、酸素ボンベ又は固定型酸素濃縮器などの補助的な酸素源に接続する必要があり、酸素ボンベや酸素濃縮器は重く、これらのNOVDの携帯性や稼働時間を制限する。また、酸素ボンベは、容量に限界があり、固定型酸素濃縮器は、商用電源を必要とする。このようなNOVDの要件は、これらのシステムにサポートを依拠する移動型のライフスタイルを持つ個人に悪影響を及ぼす。
【0004】
[0003] 補助的な酸素源は、従来のシステムと共に使用する際、典型的には、最大5リットル毎分(LPM)の25+psi酸素を送出する必要がある。この送出要件により、15ポンド以上の重さを持つ大型の酸素ボンベの使用、又は固定型の商用電源式酸素濃縮器の使用が必要となり、いずれの品質も携帯性を損なう。バッテリ式酸素濃縮器は、いくつかの酸素送出要件を満たすが、これらのバッテリ式ユニットは重く、稼働時間が短くなる高エネルギー消費に悩まされる。これらの要因は、携帯性を損ない、これらのシステムにサポートを依存するユーザに不都合をもたらす。
【0005】
[0004] 稼働時間vs移動性
[0005] 携帯型人工呼吸器(ventilator)は、歩行又はスタンドアロンモードで使用する際に、空気連行インタフェースを駆動するためのガス源として(例えば、酸素ボンベからの)酸素を使用するが、この酸素の使用は、短時間で酸素ボンベから利用可能な酸素を枯渇させる。より具体的には、これらのデバイスは、吸気送出パルス全体の間、並びに呼気パルス中に酸素を消費し、酸素ボンベが持続する時間を劇的に短くする。したがって、移動性を維持するため、ユーザは、これらの携帯型人工呼吸器を使用して移動時の所望の稼働時間を得るために、いくつかの重たい酸素ボンベを持ち歩く必要がある。
【0006】
[0006] 標準的なM-9ボンベなどの酸素ボンベを使用することにより、ある程度の携帯性が実現されるが、M-9ボンベの使用時間(例えば、稼働時間)は、50分に満たないため、使用時間が制限される。反対に、固定型酸素濃縮器は、無制限の使用を可能にするが、(例えば、カニューレラインセットなどの)標準的な患者インタフェースラインセットの全長を超えて持ち運ぶことができない。
【0007】
[0007] 酸素療法及びその効率性
[0008] NOVDデバイスは、唯一のガス源として精製酸素を利用して、カニューレを通して空気連行を駆動する。この酸素の使用は、極めて非効率であり、その結果、以下で論じるように、非効率な酸素捕捉時間(OCT)、肺充満(LF)、及び治療用酸素療法をもたらす。
【0008】
[0009] 酸素捕捉時間
[0010] ISO 80601-2-67規格では、酸素捕捉時間(OCT)は、吸期(IP)(例えば、吸気期間)の5分の3であると規定されている。同様に、IPは、呼吸期間(BP)の最初の1/3である。例えば、患者が20毎分呼吸数(BrPM)の呼吸数を持つ場合、BPは、3000msであり、IPは、1000msである。IPのうち、600msのみがOCTであるため、OCT後に患者に送出される酸素は、患者に送出される治療用酸素のボリュームの一部として見なされるべきではない。従来のNOVDデバイスは、唯一のガス源として精製酸素を利用し、カニューレを通して空気連行を駆動するため、OCTを超えて患者に送出される酸素は、ISO規格に従う治療用酸素ではない。
【0009】
[0011] 肺充満
[0012] 吸入する際、患者は肺に空気を引き込み、気管支、細気管支、肺胞を満たし、最終的に間質におけるガス交換毛細管に酸素を送出する。毛細管に至らない酸素は、使用されず、吐き出される。従来のNOVDデバイスは、唯一のガス源として精製酸素を利用し、カニューレを通して空気連行を駆動するため、送出され、毛細管に至らない(すなわち、細気管支、気管支、気管、口腔、又は鼻腔に残った)酸素は、吐き出され、潜在的な治療ガスの浪費となるため、非常に非効率な送出方法となっている。この従来のシステムの非常に非効率な送出方法は、酸素を浪費し、利用可能な酸素供給を枯渇させるため、治療用酸素を生成するために、大型で重い酸素ボンベか、又は電力を浪費する酸素濃縮器が必要となる。
【0010】
[0013] 酸素濃縮器
[0014] 治療用酸素は、圧力スイング吸着(PSA)などの任意の好適なプロセスを使用して酸素濃縮器により製造される。この原理に基づいて稼働するデバイスは、製作が比較的安価であり、87+%の精製酸素を確実に製造するが、電力が不足する傾向がある。例えば、RESPIRONICS(商標)のEVERFLO(商標)デバイスは、5LPMの87+%酸素を製造し、60W/リットル(L)の精製酸素を得るのに300ワット(W)の電力を消費する。携帯型酸素濃縮器は、より複雑で、高価なデバイスとなる傾向があるが、改良により効率性が向上している。例えば、従来のRESPIRONICS(商標)のSIMPLYGO MINI(商標)デバイスは、1LPMの87+%酸素を製造し、40W/リットルの精製酸素を得るのに40Wの電力を消費する。
【0011】
[0015] 一般的な経験則として、圧縮機が、1Lの酸素が製造される度に15Lの空気を提供する必要があり、従来の酸素濃縮器において最も電力を消費するコンポーネントが、その圧縮機であることを考慮すると、使用する圧縮機ができるだけ小さくなるように、酸素の使用を最小限に抑えることが望ましい。
【0012】
[0016] 従来のNOVDは、唯一のガス源として精製酸素を利用し、カニューレを通して空気連行を駆動するため、吸期のうちの3/5のみが、ISO規格に従う治療用酸素となり、また、他の効率性損失(例えば、細気管支、気管支、気管、口腔、鼻腔に残る酸素、又は吸期後に送出される酸素)がないと仮定すると、NOVD送出設定が、吸気期間全体をカバーするとき、従来のNOVDによって使用されるすべての酸素のうちの2/5が、浪費されていることになる。理解されるように、NOVD送出設定は、吸気期間全体より短くても長くてもよい。使用電力に換算すると、NOVD送出設定が吸気期間全体をカバーするとき、これは、SIMPLYGO MINI(商標)及びEVERFLO(商標)のそれぞれに対して、製造される酸素1リットル当たり16W及び24Wの浪費電力に相当する。同様に、これは、酸素1リットル当たり6LPMの浪費圧縮機空気流に換算されるため、圧縮機は、この限界を克服するために、より大型で、重くなり、より大量の電力を消費することが必要となる。いずれにしても、この資源の浪費により、ユニットが不必要に重く嵩張り、貧弱なバッテリ持続時間も伴うことになる。このことは、これらのユニットにサポートを依存する人(そのうちの多くはハンディキャップ及び/又は障害を持つ人)の移動性を制限する。
【0013】
[0017] 固定パルス幅の限界
[0018] 従来のNOVDは、患者の呼吸数、環境条件、センサフィードバック等に関わらず、各設定において一定パルス幅を維持する。このことにより、設定(典型的には、設定1から設定5)に関わらず、NIVの治療効果が低下し、患者に不快感がもたらされる。
【0014】
[0019] 例えば、設定1において、NOVDは、430msのパルス幅を持つものとする。患者が、10BrPMで呼吸している場合、吸気期間(例えば、吸入期間)は、ISO規格に従うと2000msである。これは、陽圧及びNIV療法が、吸入のおよそ5分の1で停止し、不完全な肺充満及び治療の低下がもたらされることを意味する。同様に、患者が、40BrPMで呼吸している場合、吸気時間は、ISO規格に従うと500msである。これは、陽圧及びNIV療法が、およそ吸入完了前に停止し、不完全な肺充満及び治療の低下がもたらされることを意味する。設定1において、NOVDは、10~40BrPMの呼吸数にわたって部分的な治療を行う。
【0015】
[0020] 設定5において、NOVDは、750msのパルス幅を持つものとする。患者が、10BrPMで呼吸している場合、吸気期間は、ISOに従うと2000msである。これは、陽圧及びNIV療法が、吸入のおよそ3分の1で停止し、不完全な肺充満及び治療の低下がもたらされることを意味する。反対に、患者が40BrPMで呼吸している場合、吸気時間は、ISO規格に従うと500msである。これは、陽圧及びNIV療法が、呼気へと続行するため、呼気中に送出される治療用酸素の明らかな浪費に加えて、患者が陽圧に抗って息を吐き出す必要があることを意味する。設定5では、NOVDが理想的な治療を行うのは、27BrPMにおいてのみである。27BrPM未満では、NOVDは、部分的な治療のみを提供し、27BrPMを超えると、NOVDは、呼気に抗する陽圧を印加する。これは、理想的な換気療法が適用されないため、酸素の不適切な使用や患者の不快感をもたらす。
【0016】
[0021] 酸素ガスは、ユーザに送出される医療ガスの一種であるが、医療用空気、亜酸化窒素等の他の医療ガスも、呼吸用途において送出される。ただし、これらの送出システムは、酸素送出に関して論じたものと同じ問題のうちの少なくともいくつかに悩まされるため、これらも同様に従来の送出システムにおける改善から利益を得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
[0022] したがって、本システムの実施形態は、従来のNOVDなどの酸素療法デバイスを含む、従来の医療ガス送出のこれら及び他の欠点を克服する。
【課題を解決するための手段】
【0018】
[0023] 本明細書で説明するシステム、デバイス、方法、配置構成、インタフェース、コンピュータプログラム、プロセス等(コンテキストがそうでないことを示していない限り、これらの各々は、以下、システムと呼ばれる)は、従来技術のシステムにおける問題に対処する。本システムの実施形態は、従来のシステムに存在する問題を克服する換気システムのためのシステム及び方法を提供する。
【0019】
[0024] 本システムの実施形態によれば、ユーザにガス混合物を提供するための換気デバイスであって、換気デバイスが、圧縮空気を出力するように構成された圧縮機と、医療ガスを出力するように構成されたガス源と、圧縮空気及び医療ガスを受け取り、医療ガス及び圧縮空気のうちの少なくとも一方を含むガス流を選択的に出力するように構成されたガス源制御弁と、ガス源制御弁の出力されたガス流を送出するように構成された患者インタフェースと、ユーザの吸気期間を決定することと、ガス源制御弁を制御して、吸気期間の第1の部分の間に患者インタフェースに実質的に医療ガスのみを送出し、吸気期間の第2の部分の間に患者インタフェースに実質的に圧縮空気のみを送出することとを行うように構成された制御部とを備える、換気デバイスが開示される。医療ガス源は、圧縮空気を処理して医療ガスとして酸素ガスを形成する、酸素濃縮器を含む。換気デバイスは、患者インタフェースによって送出された、ガス源制御弁の出力されたガス流を絞るように構成された比例送出弁を備える。
【0020】
[0025] 制御部は、ユーザの決定された吸気期間に従って切替え時刻(Ts)を決定するように構成される。出力ガスの切替えは、切替え時刻(Ts)において発生する。医療ガスが、酸素ガスであるとき、酸素の流量は、圧縮空気の流量と実質的に等しい。酸素ガスの流量及び圧縮空気の流量は、比例送出弁によって制御される。
【0021】
[0026] また、ユーザにガス混合物を提供するための換気デバイスであって、換気デバイスが、圧縮空気を出力するように構成された圧縮機と、圧縮空気及び医療ガスを受け取り、医療ガス及び圧縮空気のうちの少なくとも一方を含むガス流を選択的に出力するように構成されたガス源制御弁と、出力されたガス流をユーザに送出するためにガス源制御弁に流体結合された導管と、ユーザの吸気期間を決定することと、ガス源制御弁を制御して、吸気期間中に第1の出力ガス流の第1のパルスを送出し、その後、第2の出力ガス流の第2のパルスを送出することとを行うように構成された制御部とを備える、換気デバイスが開示される。第1のパルスは、医療ガスとして酸素ガスを含み、第2のパルスは、圧縮空気を含む。ガス源制御弁は、圧縮機に結合された第1の入力部を持ち、デバイスは、圧縮機とガス源制御弁の第2の入力部との間に結合された酸素濃縮器を備える。酸素濃縮器は、圧縮機からの圧縮空気を処理して、酸素ガスを形成し、その酸素ガスを、ガス源制御弁の第2の入力部に送出するように構成される。制御部は、ユーザの決定された吸気期間に従って切替え時刻(Ts)を決定するように構成される。制御部は、ガス源制御弁を制御して、決定された切替え時刻(Ts)において、第1のパルスを終了し、第2のパルスを開始するように構成される。
【0022】
[0027] 制御部は、ガス源制御弁を制御して、第1及び第2のパルスに続く呼気期間中に圧縮空気の第3のパルスを導管に送出するように構成される。制御部は、第1及び第2のパルスよりも低い流量で第3のパルスの送出の制御するように構成される。第1のパルスの流量は、第2のパルスの流量と実質的に等しい。第1及び第2のパルスの流れは、吸気期間中にのみ出力され、互いに持続時間が異なる。
【0023】
[0028] さらに、ユーザにガス混合物を提供するための換気デバイスであって、換気デバイスが、圧縮空気を出力するように構成された圧縮機と、圧縮空気を処理して酸素ガスを形成し、この酸素ガスを出力するように構成された酸素濃縮器と、圧縮空気及び酸素ガスを受け取り、酸素ガスを含む第1のガスパルス及び圧縮空気を含む第2のガスパルスを選択的に送出するように構成されたガス源制御弁と、ガス源制御弁によって送出された第1及び第2のガスパルスを受け取り、第1及び第2のガスパルスを送出するように構成された患者インタフェースと、ユーザの吸気期間中に生じる切替え時刻(Ts)を決定することと、ガス源制御弁を制御して、切替え時刻(Ts)において、第1のガスパルスの送出を終了し、第2のガスパルスの送出を開始することとを行うように構成された制御部とを備える、換気デバイスが開示される。制御部は、ユーザの呼気期間の開始前に第2のガスパルスを終了するように構成される。
【0024】
[0029] 制御部は、ガス源制御弁を制御して、第1及び第2のガスパルスに続く呼気期間中に圧縮空気の第3のガスパルスを患者インタフェースに送出するように構成される。制御部は、第1及び第2のガスパルスよりも低い流量で第3のガスパルスの送出を制御するように構成される。制御部は、ユーザの吸気期間を決定するように構成される。制御部は、第1のガスパルスの流量を、第2のガスパルスの流量と実質的に等しくなるように制御するように構成される。患者インタフェースは、空気連行インタフェースを含む。
【0025】
[0030] 図面は、例示の目的のみのために含まれており、本システムの範囲を表すものではないことを明確に理解されたい。図は縮尺通りに描かれてはいないことを理解されたい。さらに、図中のオブジェクト間の関係は、縮尺通りではなく、実際には、サイズに関して逆の関係となる場合もある。図は、図示される各オブジェクトの構造について理解及び明確さをもたらすことを意図しており、構造の特定の特徴を示すために、いくつかの特徴が誇張されていることがある。添付の図面において、異なる図面における同様の参照番号は、同一若しくは同様の要素、同様の要素の部分、及び/又は同様の機能性を持つ要素を指す。本システムについて、例示として、組合せ可能且つ/又は分離可能な様々な例示的な実施形態の特徴を示す添付の図面を参照して、さらに詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本システムの実施形態による、酸素濃縮器(OC)の一部分のブロック図である。
【
図2】本システムの実施形態による、システムの一部分のブロック図である。
【
図3】本システムの実施形態による、システムの一部分のブロック図である。
【
図4】本システムの実施形態による、システムの一部分のブロック図である。
【
図5】本システムの実施形態による、システムの一部分のブロック図である。
【
図6】本システムの実施形態による、システムの一部分のブロック図である。
【
図7】本システムの実施形態による、システムの一部分のブロック図である。
【
図8】本システムの実施形態による、システムの一部分のブロック図である。
【
図9】本システムの実施形態による、システムの一部分のブロック図である。
【
図10】本システムの実施形態による、50mLの酸素を送出することが意図された設定における携帯型酸素濃縮器からの算出された理想標準酸素パルスと、同量の酸素ガス及び後続する圧縮空気パルスの分割パルス送出との比較を示すグラフである。
【
図11】本システムの実施形態による、およそ34~36%の酸素で250mLの配合された空気及びO
2を送出する標準配合ガス送出アプローチを示すグラフである。
【
図12】本システムの実施形態による、バイレベル治療モードを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
[0031] 以下に示すのは、以下の図面と併せると、上述の特徴及び利点並びにさらなる特徴及び利点を実証する、例示的な実施形態の説明である。以下の説明では、限定ではなく、説明の目的のために、アーキテクチャ、インタフェース、技法、要素属性等の例示的な詳細について記載している。しかし、これらの詳細から逸脱する他の実施形態が、依然として添付の特許請求の範囲内であると理解すべきであることは、当業者には明らかとなろう。さらに、明確にする目的で、よく知られたデバイス、回路、ツール、技法、及び方法の詳細な説明は、本システムの説明を不明瞭にしないようにするために省略する。
【0028】
[0032] 用語及び/又はその形成語は、記載される要素のうちの1つ又は複数のみが、特許請求の範囲の記載による、また、本システムの1つ又は複数の実施形態によるシステム内に好適に存在する必要がある(例えば、1つの記載される要素のみが存在する、記載される要素のうちの2つが存在する等、最大で記載される要素のすべてが存在する)ことを意味することを理解されたい。本実施形態のコンテキストにおいて、「約」、「実質的に」、「およそ」は、当業者が、当該特徴の技術的効果を依然として保証する精度の区間を示しており、場合によっては、「工学的公差の範囲内」も示す。用語は、±20%、±15%、±10%、±5%、±1%、±0.5%又は±0.1%の示される数値からの偏差を示す。
【0029】
[0033] 本明細書で使用される場合、「患者」という用語は、「ユーザ」という用語と互換的に使用される。
【0030】
[0034] 本明細書で使用される場合、「空気」という用語は、周囲空気として利用可能なものなどのガスの混合物、(例えば、典型的には、78%の窒素及び21%の酸素に、炭素、ヘリウム、メタン、アルゴン、及び水素の組合せから成る1%を加えたものの混合物)を示すことを意図されているが、記載の送出システムは、周囲圧力を超える圧力下の空気を提供してもよい。
【0031】
[0035] 本明細書で使用される場合、「医療ガス」は、患者に治療的に投与される医療ガスを指すことを意図するものとする。本論を簡略化する目的で、酸素ガスについて例示的に論じるが、例において、さらなる説明及び議論を必要とすることなく、多くの事例で、医療用空気、亜酸化窒素等の他の医療ガスが、酸素に代用されることが理解される。したがって、特に明記されない限り、以下の議論は、酸素ガス及び/又はこれらの他の医療ガスを含むことを理解されたい。
【0032】
[0036] 本システムの実施形態は、酸素濃縮器(OC)システムなどの換気システム(例えば、以下、システム)を提供し、このシステムは、送出ラインにおいて、空気(例えば、圧縮空気)と酸素ガスなどの医療ガスとの間の切替え若しくはそれらの配合を制御するため、且つ/又は患者インタフェースとしての空気連行カニューレなどの患者インタフェースを介して、酸素ガス及び圧縮空気のうちのいずれか若しくは両方を患者に送出するための少なくとも1つの弁を備えた、圧縮空気ラインから送出ラインへのガス流路を含む。本システムの実施形態によれば、患者にガスを送出するための別の弁が提供され、このガスは、酸素及び/又は空気などのガスの所望の混合物を含む。
【0033】
[0037] ここで、酸素濃縮器システムのいくつかの実施形態について、以下で説明する各々についての例示的な詳細動作フローを用いて、
図1~
図9を参照して説明する。
図1~
図8に示す実施形態に関して、これらの実施形態は、
図9を参照して以下でさらに詳細に論じるように、制御部又はその部分を含むことを理解されたい。
【0034】
[0038]
図1は、本システムの実施形態による、酸素濃縮器(OC)システム100(以下、システム100)の一部分のブロック図を示す。一般に、システム100は、圧縮機102、圧力スイング吸着(PSA)104として例示的に示される、任意の好適な酸素提供/製造プロセス104を採用する酸素濃縮器、ガス源制御弁(GSCV)108、及び患者インタフェース101のうちの1つ又は複数を備える。
【0035】
[0039] 圧縮機102は、PSA104及びGSCV108に結合される(例えば、流動結合される)。GSCV108は、カニューレなどの分配ラインセット(DLS)を介して患者インタフェース(PI)101に流動結合される。本明細書で使用される場合、患者インタフェース(PI)という用語は、患者にガスを送出するさらなるデバイスへの接続を可能にする治療用デバイス上のカップリングを含むものと理解されたい。例えば、患者インタフェースは、カニューレ、空気連行デバイス等のためのカップリングを含む。本システムの実施形態によれば、患者インタフェースは、送出システム(例えば、カニューレ、空気連行デバイス等)を含む。
【0036】
[0040] PI101は、空気連行カニューレなどのカニューレを介して、システムによって生成された、患者へのガス混合物を受け取る。ガス混合物は、システムによって決定されるように、空気(例えば、圧縮空気)及び酸素ガス(例えば、濃縮酸素ガス)のうちのいずれか又は両方を含む。
【0037】
[0041] センサは、システム及び/又は生体パラメータ(例えば、ユーザの脈拍、呼吸数(例えば、毎分呼吸数(BrPM))等)を感知し、対応するセンサ情報(例えば、ガス圧、気道内圧、温度、ガス解析、BrPM等)を生成し、この情報をさらなる処理のために制御部に提供する。これに応答して、制御部は、センサ情報に基づいてシステムを制御し、所望のガス圧、気道内圧、ガス組成(空気及び/若しくは酸素ガス)並びに/又は他の所望のガス流特性を含む所望のガス流を製造する。さらに制御部は、選択された弁、圧縮機等を動作させて、所望のガス流特性を得る。システム100の追加の弁は、アクチュエータを含み、且つ/又はアクチュエータに結合され、このアクチュエータは、本システムの実施形態に従って、制御部の制御下で動作し、対応する弁を開閉するか又は別法で切り替えて、所望のガス流、圧力等を得る。システムの弁は、常開(NO)又は常閉(NC)であり、制御部は、必要に応じて弁を制御する。
【0038】
[0042] 圧縮機102は、制御部の制御下で動作し、空気などの周囲ガスを圧縮し、この圧縮ガスを、PSA104と、GSCV108などのシステムの1つ又は複数の弁との両方に提供する。
【0039】
[0043] PSA104は、PSAプロセスなどの任意の好適なプロセス又は方法を採用して周囲空気から濃縮酸素を生成し、商用電源、容量性電源、及び/又はバッテリ電源などの任意の1つ又は複数の好適な電源によって給電される。PSAは、高酸素富化ガスを製造及び出力し、このガスは、高濃縮酸素ガスと見なされる、およそ87%~96%の酸素(O2)ガス(以下、酸素ガス)を含むことが想定される。動作にあたって、PSA104は、圧縮機102から圧縮空気を受け取り、それを処理して酸素ガスを生成し、濃縮酸素をGSCV108に提供する。容易に理解されるように、本明細書で開示される実施形態のいずれかによれば、酸素は、任意の他の好適な供給源によって提供されてもよい。したがって、「酸素」又は「酸素ガス」という用語が本明細書で一般的に使用されるが、濃縮酸素又は酸素キャニスタなどの任意の酸素源(例えば、ガスストリーム内の84%~96%のO2)が好適に利用されることを理解されたい。
【0040】
[0044] 次いで、GSCV108は、受け取った酸素ガスと受け取った圧縮空気との間の切替え、及び/又はそれらの配合(例えば、混合)を制御し、その後、患者による使用のために、出力ガスとして、これらのガスのいずれか若しくは両方を単独で、又は混合物としてDLSを介してPI101に出力する。したがって、GSCV108は、プロセッサなどのシステム(明確にするために、以下、これらの両方がプロセッサと呼ばれる)の制御部の制御下で動作し、患者への圧縮空気又は酸素ガスの流れ、並びにこれらの混合を選択的に制御する。いくつかの実施形態では、プロセッサは、必要に応じて、ガス圧、気道内圧、及び/又は流量に基づいてGSCV108を制御する。
【0041】
[0045] PI101は、単にカップリングであってもよいが、PI101は、空気連行カニューレなどのカニューレ(例えば、患者カニューレ)を含んでもよく、これは、(DLS)を介してガス流を受け取り、周囲空気を連行し、連行した空気と共に受け取ったガスの混合物を患者に供与する。したがって、空気連行インタフェースは、DLSからのガスを使用して、周囲空気(例えば、室内気)を連行し、これらのガスの両方を患者に提供する。
【0042】
[0046]
図2は、本システムの実施形態による、システム200の一部分のブロック図を示す。システム200は、システム100と同様であり、圧縮機102、PSA104、GSCV108、送出弁110(ガス源制御弁)、及びPI101のうちの1つ又は複数を備え、システム100と同様に動作する。送出弁110は、GSCV108とPI101との間に位置し、(DLSを介して)それらに結合され、DLSを介してPI101へのガス流の追加の制御を行う。
【0043】
[0047] 動作にあたって、GSCV108は、圧縮機102及びPSA104からそれぞれ受け取った圧縮空気と酸素ガスとの間の切替え、又はそれらの配合を制御し、圧縮空気若しくは酸素ガスのいずれかを提供するか、又は混合ガスを製造し、これが、送出弁110に出力される。送出弁110は、患者による使用のために、プロセッサの制御下で、DLSを介してPI101へのこの受け取ったガスの流れの分配を制御する。
【0044】
[0048]
図3は、本システムの実施形態による、システム300の一部分のブロック図を示す。システム300は、システム100及び200と同様であり、圧縮機102、PSA104、第1及び第2の送出弁106及び107のそれぞれ、並びにPI101を備える。第1の送出弁106は、PI101とPSA104との間に位置し、それらに結合され、DLSを介して酸素ガスのPI101への流れを制御するように動作する。第2の送出弁107は、PI101と圧縮機103との間に位置し、DLSを介して圧縮機102から受け取った圧縮空気のPI101への流れを制御するように動作する。DLSは、「Y字」カップリングを含み、第1の送出弁106及び/又は第2の送出弁107からそれぞれ受け取ったカップリングのガスは、PI101への送出及び患者への送出の前に混合される。第1及び第2の送出弁106及び107は、それぞれ、
図1のGSCV108と同様に動作する。
【0045】
[0049] 動作にあたって、第1の送出弁106は、PI101への酸素の送出を制御し、第2の送出弁107は、PI101への圧縮空気の送出を制御する。第1及び第2の送出弁106及び107の各々は、(例えば、個別又は一緒に)切り替えられるか、又は別法で、酸素ガス、圧縮空気のいずれか若しくは両方、又は両方の混合物をPI101に提供するように構成される。
【0046】
[0050] また、第1及び第2の送出弁106及び107の両方は、PI101への酸素及び圧縮空気のそれぞれの流れを停止させるように切り替えられる(例えば、オフにされる)か、又は別法でこれを阻止する。
【0047】
[0051]
図4は、本システムの実施形態による、システム400の一部分のブロック図を示す。システム400は、システム100、200、及び300と同様であり、圧縮機102、PSA104、第1及び第2のガス制御弁112及び114のそれぞれ、ガス送出弁113並びにPI101を備える。第1のガス制御弁112は、送出弁113とPSA104との間に位置し、それらに結合され、酸素ガスの送出弁113への流れを制御するように動作する。第2のガス制御弁114は、送出弁113と圧縮機103との間に位置し、それらに結合され、圧縮機102から受け取った圧縮空気の送出弁113への流れを制御するように動作する。次いで、ガス送出弁113は、DLSを介して、第2のガス制御弁114から受け取った圧縮空気のPI101への流れを制御するように動作し、DLSを介して、第1のガス制御弁112から受け取った酸素ガスのPI101への流れを制御するように動作する。
【0048】
[0052] 動作にあたって、第1及び第2のガス制御弁112及び114の各々は、それぞれ、酸素ガス及び圧縮空気を送出弁113に選択的に提供するように制御される。次いで、送出弁113は、第1及び第2のガス制御弁112及び114のうちの1つ又は複数からそれぞれ受け取ったガスの送出を制御し、上述したように、DLSを介して、PI101に受け取ったガスを提供するように動作する。
【0049】
[0053] ここで、
図5及び
図6を参照して、逆止弁を持つ本システムによる例示的な実施形態について論じる。
【0050】
[0054]
図5は、本システムの実施形態による、システム500の一部分のブロック図を示す。システム500は、システム100~400と同様であり、圧縮機102、PSA104、GSCV108、逆止弁115、及びPI101のうちの1つ又は複数を備え、上述したシステム100~400と同様に動作する。GSCV108は、PSA104に結合され、そこから酸素ガスを受け取り、逆止弁115を介して圧縮機102から圧縮空気を受け取る。逆止弁115は、GSCV108から圧縮機102へのガスの逆流を阻止するように構成される(このガスは、時折、酸素ガス及び圧縮空気のうちの少なくとも一方を含む)。したがって、GSCV108は、2つの平行な流路を介して圧縮機102に結合され、これらの流路のうちの一方が、PSA104を備え、他方が、逆止弁115を備える。次いで、GSCV108は、DLSを介してPI101に圧縮ガス及び酸素ガスのうちの1つ又は複数を出力する。逆止弁115は、圧縮空気流路内に配置されているが、酸素ガス流路が、逆止弁115などの逆止弁を備えてもよいことを理解されたい。そのような構成が、以下の
図6を参照して示され、説明される。
【0051】
[0055]
図6は、本システムの実施形態による、システム600の一部分のブロック図を示す。システム600は、システム100及び500と同様であり、圧縮機102、PSA104、GSCV108、逆止弁115、及び患者インタフェース101のうちの1つ又は複数を備え、システム100~500と同様に動作する。GSCV108は、逆止弁115を介して、PSA104に結合され、そこから酸素を受け取る。逆止弁115は、酸素ガス及び圧縮空気などのGSCV108からガスの逆流を阻止するように構成され、PSA104から酸素を受け取る。GSCV108は、圧縮機102に結合され、そこから圧縮空気を受け取る。GSCV108は、2つの平行な流路を介して圧縮機102に結合され、流路のうちの一方が、直通であり、他方が、必要に応じてPSA104及び逆止弁115を備える。GSCV108は、圧縮空気、酸素ガス、及び/又はこれら2つの組合せのうちの1つ又は複数を、DLSを介してPI101に出力する。本実施形態に示すように、逆止弁115は、酸素ガス流路内にある。
【0052】
[0056]
図5及び
図6を参照すると、PSA104の圧力スイング吸着プロセスの正常動作下で、圧縮機102の圧力出力は、上下を繰り返し、一方又は両方のガス流路(酸素又は圧縮空気)における逆止弁115は、圧縮機出口圧力がPSAプロセス中に降下しても、ピーク圧縮機圧力で対応するガス流路の圧力を維持するように動作する。送出側でより安定的な圧力を維持することにより、患者インタフェース101、したがって患者へのガスのより安定的な送出が可能となる。
【0053】
[0057] ここで、
図7及び
図8を参照して、任意選択のリザーバを持つ実施形態について論じる。
【0054】
[0058]
図7は、本システムの実施形態による、システム700の一部分のブロック図を示す。システム700は、システム100などの上で示し、説明したシステムと同様であり、圧縮機102、PSA104、GSCV108、リザーバ118、及びPI101のうちの1つ又は複数を備え、システム100と同様に動作する。GSCV108は、PSA014に結合され、そこから酸素ガスを受け取り、リザーバ118を介して圧縮機102から圧縮空気を受け取る。したがって、GSCV108は、2つの平行な流路を介して圧縮機102に結合され、流路のうちの一方が、PSA104を備え、流路のうちの他方が、リザーバ118を備える。GSCV108は、DLSを介して圧縮空気及び酸素ガスのうちの1つ又は複数をPI101に出力する。したがって、リザーバ118は、圧縮空気側ガス流路内にあり、後の使用のために圧縮空気を貯蔵する。リザーバ118は、圧縮機がオンとオフとを繰り返すときなどに患者に送出されるガスの圧力が変動する、当技術分野で知られている従来のシステムの問題を解決する。さらに、本システムによれば、PSA104の正常動作下で、送出中に送出圧力が降下する。リザーバ118などの一方又はいずれかのガス経路におけるリザーバは、送出中の圧力降下を減衰させる役割を果たす。送出側でより安定した圧力を維持することにより、GSCV108への、したがって、患者インタフェース101へのより安定した送出が可能となる。また、リザーバ118は、それがない場合に必要となるよりも小型の圧縮機102の使用を可能にする緩衝器として機能する。ただし、理解されるように、リザーバ118はまた、
図8を参照して以下で説明するように酸素ガス流路内にあってもよい。
【0055】
[0059]
図8は、本システムの実施形態による、システム800の一部分のブロック図を示す。システム800は、システム100及び700と同様であり、圧縮機102、PSA104、GSCV108、リザーバ118、及びPI101のうちの1つ又は複数を備え、システム100及び700と同様に動作する。GSCV108は、リザーバ118を介して、PSA104に結合され、そこから酸素ガスを受け取り、リザーバ118は、PSA104からの酸素ガスを貯蔵するように構成される。GSCV108はまた、圧縮機102に結合され、そこから圧縮空気の供給を受け取る。したがって、GSCV108は、2つの平行な流路を介して圧縮機102に結合され、流路のうちの一方が、PSA104及びリザーバ118を備え、流路のうちの他方が、直通であるか、又は必要に応じて別のリザーバを備える。GSCV108は、DLSを介して圧縮空気及び酸素ガスのうちの1つ又は複数をPI101に出力する。
【0056】
[0060]
図7及び
図8を参照すると、1つ又は複数の任意選択のリザーバ118が、酸素及び圧縮空気ガス流路のいずれか又は両方の中に位置してもよい。対応するガス(例えば、酸素ガス及び/又は圧縮空気)の送出中、圧縮機102及び/又はPSA104の正常動作下で、それらから出力される送出圧力は、例えば、経時的に降下又はスイングすることにより、経時的に変動する。リザーバは、対応する1つ又は複数のガスの送出中、この変化を減衰するのに役立つ。送出側でより安定的なガス圧及び/又は流量を維持することにより、より正確で制御された結果を伴う、所望の1つ又は複数のガスのより安定的な送出を行う。
【0057】
[0061]
図9は、本システムの実施形態による、システム900の一部分のブロック図を示す。システム900は、圧縮機102、PSA104、GSCV126、比例送出弁128(以下、送出弁(
図2の送出弁110と同様である))、空気連行インタフェース130、及び患者インタフェース(PI)131のうちの1つ又は複数を備え、制御部950の下でシステム100と同様に動作する。容易に理解されるように、PI131が患者へのガスの好適な送出を行うため、空気連行インタフェース130は、任意選択である。さらに、空気連行インタフェース130は、PI131の一部分であってもよいし、システム900の使用時にPI131に単に結合されてもよい。
【0058】
[0062] 制御部950は、システム900の全体的な動作を制御し、プロセッサ120(これは、マイクロプロセッサ124並びに/又は他のハードウェア及び/若しくはソフトウェア処理システムを備える)、センサ122、アクチュエータ132、ユーザインタフェース(UI)136、ユーザ入力インタフェース142、及びメモリ140のうちの1つ又は複数を備える。以下で、制御部950のより詳細な例示的説明を行う。いくつかの実施形態では、制御部950は、デジタル及び/又はアナログ制御回路(例えば、リザーバ、圧力制御弁等)を備え、制御部950又はその部分は、システム100~800に関して例示的に説明したものなどの他のシステムのための制御部として好適に利用されることを理解されたい。
【0059】
[0063] システム900によれば、圧縮機102は、PSA104及びGSCV126の両方に流動結合され、それらに圧縮空気を提供する。PSA104は、圧縮空気を受け取り、PSAプロセスなどの任意の好適なプロセスを使用して高濃縮された酸素ガスを形成した後、酸素ガスをGSCV126に提供する。
【0060】
[0064] GSCV126は、それに提供される酸素ガス及び圧縮空気を受け取り、プロセッサ120の制御下で、受け取った酸素ガス及び/又は圧縮空気を比例送出弁128に選択的に提供する。
【0061】
[0065] 比例送出弁128は、酸素ガス、圧縮空気、及び/又はそれら2つの混合物を受け取り、受け取ったガスの圧力及び/又は流れを受動的又は能動的に調整し(例えば、そのうちの後者(能動的調整)は、プロセッサ120の制御下で起こる)、酸素ガス及び圧縮空気のいずれか又は両方(例えば、混合物)を出力する。したがって、GSCV126は、プロセッサ120の制御下で、酸素ガス、圧縮空気、並びに酸素ガスと圧縮空気との混合物のうちの1つを選択的に出力する。GSCV126は、以下で論じるように選択された動作モードに従って、BPの別々の部分の間に、酸素ガスなどの第1のガス、圧縮空気などの第2のガス、及び/又はこれらのガスの(受動的に、又はプロセッサ120の制御下などで能動的に)制御された混合物を提供するように、BP中に切り替えられる。
【0062】
[0066] 例えば、分割パルス送出中に、制御部は、GSCV126を制御して、吸気期間の第1の部分の間に酸素ガス(例えば、第1のガス)を出力するように(例えば、GSCV126の1つ又は複数の弁の制御を介して)切り替え、(
図10に関して以下で論じるように)切替え時刻(Ts)において、圧縮空気(例えば、第1のガスとは異なる第2のガス)を出力するように切り替えて、酸素ガス(例えば、第1のガス)の出力を終了する。次いで、GSCVの出力ガス流は、比例送出弁128及びDLSを介して空気連行インタフェース130に流動結合され、後述するように本システムによる分割パルス送出を作り出す。
図10を参照して以下で例示的に説明するように、例えば、システムによって決定されるBPの吸気期間中にこの切替えが生じることが想定される。
【0063】
[0067] GSCV126は、(例えば、圧縮機からの)圧縮空気、(例えば、PSA等からの)酸素ガス、及び/又はこれら2つの組合せなどの1つ又は複数の選択されたガスの比例送出弁128への流れを選択的に制御するための1つ又は複数の弁及び/又は混合器を備え、比例送出弁128は、GSCV126によって出力されたガス流の流れ及び/又は圧力を制御する。いくつかの実施形態では、GSCV126及び比例送出弁128は、互いに一体化される。
【0064】
[0068] 使用中、プロセッサ120は、例えば、呼吸センサ(例えば、センサ122)からセンサ情報を取得して、患者の呼吸数(例えば、BrPM)、吸気サイクルの開始、吸気サイクルの持続時間、呼気サイクルの開始、及び/又は呼気サイクルの持続時間を決定する。次いで、プロセッサ120は、GSCV126を制御して、任意選択でセンサ情報(例えば、吸気期間)及び/又はモード情報(例えば、選択された分割パルス送出モード)に従って、2つのガス源(例えば、酸素ガス及び圧縮空気)の間で(上述したように)出力ガス流タイプを切り替え、任意選択の比例送出弁128を介して出力ガス流をDLSに提供する。次いで、空気連行インタフェース130は、GSCV126から受け取ったガス流を使用して空気を連行し、患者による使用のためにこの組合せ流(例えば、DLSからの流れ及び連行した空気(例えば、室内気))を患者インタフェース131に提供する。
【0065】
[0069] いくつかの実施形態によれば、GSCV126は、例えば、システム、治療者、患者等によって決定されるように、(例えば、ガスのうちの1つ又は複数の)所定のボリューム、所定の時刻、ユーザの決定されたBrPMに基づくタイミング、比例送出弁128のために選定された設定、空気連行インタフェース130のタイプ又は設定、センサ情報(例えば、SPO2センサ等からなどのフィードバック情報)、ユーザからの入力(例えば、患者が、治療中にどのように感じているかについてのフィードバックを提供する)等のうちの1つ又は複数に基づいて、この切替えを実行するように、(例えば、プロセッサ120によって)制御される。したがって、比例送出弁128は、それに提供されるガス流を(例えば、受動的、能動的、又は半能動的に)調整し、調整されたガス流を空気連行インタフェース130に提供する。
【0066】
[0070] 空気連行インタフェース130は、ベンチュリ原理等の任意の好適な方法又は原理を使用して、それに提供されるガス流を方向付けて周囲空気を連行し、連行した空気流(例えば、DLSからのガス並びに連行した空気)を、PI131を介して患者に提供する。例えば、PI131に提供される現在のガスが、酸素のパルス(例えば、現在のガス流が酸素ガス流であるとき)であると仮定すると、空気連行インタフェース130は、ベンチュリ原理を利用して、それに提供される酸素のパルスに空気を連行することで、より大きな流れ及びボーラスを作り出し、次いで、これらが患者インタフェース101に送出されると、ガスの速度は患者の気道に入ると遅くなるため、これにより、次に、吸気気道陽圧(IPAP)が作り出される。
【0067】
[0071] プロセッサ120は、マイクロプロセッサ(例えば、μプロセッサ124)、フィードバック回路等の1つ又は複数の論理デバイスを備え、1つ又は複数のセンサ122からセンサ情報を受け取る。
【0068】
[0072] センサ122は、流量センサ、圧力センサ、温度センサ、高度計、ガスタイプ/解析センサ、パルスオキシメトリ、BrPMセンサ等の生体情報センサなどのセンサを含み、それに結合されたシステム(例えば、本例示の例ではシステム900であるが、システム100~800の動作にも適用可能である)のパラメータを感知し、対応するセンサ情報を生成し、このセンサ情報をさらなる解析のためにプロセッサ120に提供する。次いで、プロセッサ120は、本システムの実施形態に従って、それに結合されたシステム(例えば、システム900)を制御する。例えば、流量センサは、患者インタフェース131への流れを決定するために利用され、圧力センサは、システム設定を設定/制御するために患者に適切な圧力が送出されることを保証するために利用される。このように、流量及び圧力センサは、比例送出弁、リザーバ、圧縮機及び/又は患者インタフェースに流れを送る他の弁/システムを制御し、これにより、最終的に、必要に応じて患者気道内圧を作り出すために利用される。このように、本システムは、例えば、処方箋に基づいて、気道内圧を設定レベルに制御することができる。
【0069】
[0073] システムバスは、システム900内に電力及び信号流を提供する。さらに、システム900は、1つ又は複数の有線及び/又は無線方法(例えば、Bluetooth(商標)、WiFi(商標)、5G、6G等)を介して他のシステム及び/又はその部分と通信可能な通信部分を備える。プロセッサ120はまた、ユーザインタフェース(UI)136を介して1人又は複数のユーザと通信し、UI136は、非タッチ式及び/又はタッチ式スクリーンディスプレイなどのディスプレイ138、スピーカ、アラーム、触覚フィードバック、ライト(照明要素(例えば、カラーインジケータ用ライト等)を含む)等のうちの1つ又は複数を備える。UI136は、制御部950に対してローカル又はリモートに配置されることが想定される。プロセッサ120は、コンテンツを生成し、このコンテンツをUI136上でレンダリングする。例えば、システムは、ユーザによる選択のために、モード選択項目、圧力設定、流量設定等を生成し、UI136上でそれをレンダリングする。次いで、システムは、ユーザが、UI136を使用して選択を行った(例えば、モードを選択した)という判定に応答して、対応するモード、圧力、流れ等をアクティブ化する。例えば、ユーザは、パルスモード等の本明細書で説明する1つ又は複数のモードから選択し、この選択を検出すると、システムは、選択されたモードを適用し、選択されたモードに従って動作する。制御部950、プロセッサ120等のシステム900によって動作される、選択されたモードのための動作命令は、メモリ140などのシステムのメモリに記憶されることが想定される。
【0070】
[0074] プロセッサ120は、比例送出弁128、GSCV126等のシステムの1つ若しくは複数の弁と通信し、且つ/又はそれらを制御するアクチュエータ132をさらに制御する。アクチュエータ132は、例えば、プロセッサ120の制御下で、1つ又は複数の流量及び/又は圧力調整器の設定を調節する。プロセッサ120は、本システムの実施形態に従って、圧縮機102及び/若しくはPSA104と通信し、且つ/又はそれらを制御することをさらに行う。
【0071】
[0075] これらのシステム(例えば、システム100~900)において説明される弁の各々は、バイナリ(オン/オフ)弁として、特定の値にガス流を制御する(例えば、ガス流量を制御する)弁として、特定の圧力に流れを制御する(例えば、ガス圧を制御する)弁として、及び/又はこれらの制御方法のいずれかの組合せで機能することを理解されたい。したがって、弁の状態(例えば、オン/オフ、設定、圧力設定、流れ、温度、ガスタイプ、飽和度等)を示すトランスデューサ及び/又はエンコーダ(例えば、ロータリーエンコーダ)は、本システムの実施形態に従って、対応するセンサ情報のために弁の状態を感知すると共に、この情報をさらなる処理のためにプロセッサ120に提供するために設けられる。
【0072】
[0076] 各ガス流路における流量、圧力、及び/又は混合は、オリフィス、流れ制限要素等を用いて受動的に制御されるか、又は例えば、プロセッサ120の制御下で、能動的に制御される。したがって、弁及び/又は流れ制限器は、本システムの実施形態に従って、提供され、プロセッサ120によって制御される。プロセッサ120は、流量、流れ圧力、流れ温度などのセンサ情報、並びに患者の気道内圧及びパルスオキシメトリ(患者に送出されるO2)等の他のパラメータを取得し、このセンサ情報を処理し、センサ情報及び/又は選択されたモードなどのシステム設定に従って、弁、調整器、ポンプ、及び/又はPSAのうちの1つ又は複数を制御する。
【0073】
[0077] 各ガス流路におけるガス流、ガス送出ボリューム、圧力、及び/又はガス送出時間は、弁開放時間若しくは設定圧力等の開ループ制御及び方法を通して制御されるか、又は圧力センサ、流量センサ等のシステムの1つ又は複数のセンサから取得されるものなどの閉ループフィードバックを通して制御される。ただし、アナログ制御(空気圧論理(固定の容器サイズ等))の方法が、開又は閉ループ制御のために採用されることも想定される。
【0074】
[0078] 任意の連続的な送出モードで動作する際、デバイスは、予め設定されたガス流量、圧力を送出するか、或いは患者呼吸パターン(例えば、BrPM、吸気サイクルの開始及び/若しくは長さ、呼気サイクルの開始及び/若しくは長さ)並びに/又は1つ若しくは複数のセンサからのフィードバックに基づいて、ガス流量、圧力等を変動させる。
【0075】
[0079] 任意のパルス送出モードで動作する際、デバイスは、予め設定されたパルスボリューム、圧力等になるように送出するか、又は患者呼吸パターン若しくはセンサからのフィードバックに基づいて、パルスボリューム、圧力等を変動させる。
【0076】
[0080] 任意の配合ガス送出モードで動作する際、システムは、予め設定された配合率、配合圧力等になるよう送出するために制御されるか、或いは患者呼吸パターン(例えば、BrPM)又は流量センサなどのシステムの1つ若しくは複数のセンサからのフィードバックに基づいて、配合率、配合圧力等を変動させる。
【0077】
[0081] システムは、制御部950の制御下で、システムが生成する情報、並びに動作命令、ユーザ設定、システムパラメータ、患者情報、治療者設定等を、後の使用のためにメモリ140に記憶する。セキュリティ目的でユーザを認証するために、認証方法を採用することがさらに想定される。
【0078】
[0082] 任意の分離ガス送出モードで動作する際、システムは、いずれかのガス(例えば、圧縮空気及び/又は酸素ガス)を予め設定されたボリューム、送出時間、圧力、及び/又は流量となるように送出するか、或いは患者呼吸パターン又はシステム900の1つ若しくは複数のセンサからのフィードバックに基づいてボリューム、送出時間、圧力、及び/又は流量を変動させる。
【0079】
[0083] デバイスは、限定されないが、連続流空気(例えば、圧縮空気)とパルス酸素(例えば、酸素ガス)との混合、分離パルス酸素とパルス配合物(例えば、圧縮空気及び酸素ガス)との混合等、送出モードを混合させる場合もある。
【0080】
動作モード
[0084]
図1~
図9をさらに参照すると、システム100~900の構成は、各々、(a)可変パルス幅モード、(b)酸素療法モード、(c)NIVモード、(d)酸素富化NIV配合(OENIVB)モード、及び(e)分割パルス送出モードなどのいくつかの可能なモードにおける動作を提供し、これらのモードの各々について、以下でさらに詳細に説明する。
【0081】
[0085] 可変パルス幅モード
[0086] このモードでは、システムの制御部は、弁を制御して、圧縮空気の流れを停止させつつ酸素ガスを送出し、その後、酸素ガスの流れを停止させつつ圧縮空気を送出する。これは、本システムによれば、あるガスの1つのパルスが、別のガスの1つのパルスに続くためである。また、システムの制御部は、弁を制御して、呼気期間のすべて又は一部分の間など、さらなる区間中に酸素ガス及び圧縮ガスの流れを停止させる。(例えば、
図1及び
図5~
図8の108、
図2の108及び110、
図3の106及び107、
図4の101、112~114、並びに
図9の126及び128を参照されたい。)このようにして、本システムは、デバイスモード(例えば、分割パルス送出モード)、デバイス設定、患者呼吸パターン、呼吸数、及び/又はセンサフィードバックのうちの1つ又は複数に基づいて(例えば、酸素ガス及び/又は圧縮空気の)ガス送出のパルス幅を変動させる能力を持つ。パルス幅可変性は、患者の呼吸数(例えば、BrPM)に関わらず、患者の呼吸サイクル(respiratory cycle)(例えば、呼吸期間又は呼吸サイクル(breathing cycle))の吸気部分の最適な部分において酸素ガスの送出を行う。同様に、可変パルス幅は、NIVが、患者の吸気期間とより緊密に同期することを可能にし、吸気期間が完了する前に陽圧が停止するか、又は陽圧が吸気期間を過ぎて呼気期間へと続行する、従来システムと比較すると快適性が向上する。したがって、治療的利益及び患者快適性における向上が得られる。
【0082】
[0087] 酸素療法モード
[0088] このモードでは、1つ又は複数の弁(例えば、
図1及び
図5~
図8の108、
図2の108及び
図110、
図3の106及び110、
図4の101、112及び114、並びに
図9の126及び128を参照されたい)が、圧縮空気の流れが停止され、酸素ガス(PSA104からの加圧ガス)の流れが、(例えば、該当する場合、
図9の送出弁130を介して)DLSに連続的に(例えば、連続流中に)又は選択的に(例えば、パルス流中に)提供されるように、制御される。このモードでは、高純度酸素ガスが、制御部の制御下で連続流又はパルス流において患者インタフェースのカニューレを介して患者に送出される。
【0083】
[0089] NIVモード
[0090] このモードでは、圧縮空気が、DLSに選択的に提供されるが、酸素ガスは提供されない。したがって、DLSへの圧縮空気の流れを制御する1つ又は複数の弁は、(例えば、連続流のために)連続的に開放されるか、又は(例えば、パルス流のために)選択的に開放され、DLSへの酸素ガスの流れを制御する1つ又は複数の弁は、閉じたままとなるように制御される。したがって、システムは、NIVモードで動作し、圧縮空気は、連続流又はパルス流において、例えば、空気連行カニューレを含む患者インタフェースを介した陽圧を用いて、患者インタフェースを介して患者に送出される。
【0084】
[0091] HFOTモード
[0092] このモードでは、標準的な酸素療法が提供する流量よりも大幅に高い流量で、連続流又はパルス流において患者インタフェースのカニューレを介して圧縮空気と配合された高純度酸素ガスを患者に送出するように、DLSへの圧縮空気の流れを制御する1つ又は複数の弁が開放されると共に、DLSへの酸素ガスの流れを制御する1つ又は複数の弁が開放される。したがって、HFOTは、本システムのPSAなどの酸素濃縮器を介して患者に送出される。
【0085】
[0093] OENIVBモード
[0094] このモードでは、圧縮空気と酸素ガスとの混合物がDLS及び患者インタフェースを介して患者に提供されるように、DLSへの圧縮空気の流れを制御する1つ又は複数の弁が制御可能に開放されると共に、DLSへの酸素ガスの流れを制御する1つ又は複数の弁が制御可能に開放される。患者インタフェースは、空気連行カニューレを利用し、(例えば、高純度の)酸素ガスが、圧縮空気と配合され、連続流又はパルス流において換気圧で患者に送出される。
【0086】
[0095] 分割パルス送出モード
[0096] このモードでは、総送出サイクルの一部分に対して、圧縮空気の流れを制御する1つ又は複数の弁(例えば、
図9のGSCV126)が、DLSへの圧縮空気の流れを停止させるか又は別法で阻止するように閉じられる一方、(例えば、
図9のGSCV126から)DLSへの酸素ガスの流れを制御する1つ又は複数の弁が開放されており、次いで、総送出サイクルの残りの部分に対して、DLSへの圧縮空気の流れを制御する弁が開放され、DLSへの酸素ガスの流れを制御する弁が閉じられるように、これら1つ又は複数の弁がトグルされるか又は切り替えられる。次いで、DLSは、空気連行インタフェース(例えば、空気連行カニューレ)などの患者インタフェースを介して、DLSが受け取ったガスを患者インタフェースに送出する。このモードでは、患者は、酸素捕捉時間が最も関係する呼吸NIV送出の最初の部分において、より濃縮された量の酸素を受け取り、次いで、PSA104など、酸素ガスを提供する酸素供給部に対する負担を軽減するためだけに、NIV送出の残りの部分が、圧縮空気を用いて行われる。
【0087】
[0097] したがって、システムは、患者にガスのパルスを送出し、これは、パルス全体の間、換気圧を提供するが、パルスは、呼吸サイクルの最初の部分の間の酸素ガスパルスと、呼吸サイクルの後半部分の間の圧縮空気とに分割される。したがって、PSAなどの酸素濃縮器をガス源として採用して、酸素ガスをパルスとして空気連行患者インタフェースに供給し、配合アプローチのように、圧縮ガスによる後続の希釈を必要とすることなく高酸素富化ガス(濃縮器のPSAプロセスの出力は、およそ87%~96%のO2)を患者インタフェースに送出する。
【0088】
[0098] したがって、本システムの実施形態は、分割パルス送出モードを採用し、このモードでは、酸素ガスパルスが、まず、空気連行インタフェースに送出され、続いて、圧縮空気パルス(又は流量)が送出されて、酸素の意図的な希釈なしで、所望の換気IPAPを作り出す。これは、患者の吸気期間中、且つそれに続く呼気期間の前に生じるが、制御が時間(例えば、一定時間)に基づくときなど、呼気期間中に少なくとも部分的に生じてもよい。
【0089】
[0099]
図10は、本システムの実施形態による、50mLの酸素を送出することが意図された設定における携帯型酸素濃縮器からの算出された理想標準酸素パルス1001と、同量の酸素ガス及び後続する圧縮空気パルスの分割パルス送出との比較を示すグラフ1000である。このグラフでは、第1及び第2のパルス流1003及び1005をそれぞれ含む分割パルス流は、本システムの実施形態に従って吸気期間中に送出され、酸素ガスの第1のパルス流1003及び圧縮空気の第2のパルス流1005などの異なるガスの第1及び第2のパルス流を含む。したがって、吸気期間中にシステムは複数のガス流を提供し、それらの各々は、互いに異なり、他方に対して時間において実質的に排他的である。例えば、吸気期間の開始(例えば、本実施形態では、T
0=100ms)を検出すると、プロセスは、吸気期間の最初の部分(例えば、T
0から吸気期間中に生じる切替え時刻Tsまで)の間に、1つ又は複数の弁(例えば、ガスタイプごとに制御される126及び128)を制御して酸素ガス(例えば、第1のガスタイプ)を流し、その後、スイッチオーバー点1009及び1011によって示されるように、Tsにおいてガス流タイプを切り替えて、吸気期間の第2の部分の間に圧縮空気(例えば第2のガスタイプ)を流す。スイッチオーバー点1009及び1011では、第1のパルス流を制御する弁が酸素ガスの第1のパルス流1003を停止させるために閉止され、第2のパルス流を制御する弁が、圧縮空気を流すために開放される。理解されるように、第1のパルス流1003の開始及び時刻Tsは、第1及び第2のパルス流1003及び1005の開始時及び/又は終了時においてカニューレ内などのシステム内に残っている酸素及び/又は空気を考慮して調節される。スイッチオーバー期間は、Tr-Tsとして定義され、Trは、(例えば、圧縮空気の標準リットル毎分(SLPM)における)流量が、第1のパルス中の酸素ガスの流量と実質的に等しくなる復帰時刻を示す。このスイッチオーバー期間は、できる限り短いものとする。さらに、このスイッチオーバー期間中、酸素ガスの流れが減少し、圧縮空気の流れが増大する。
【0090】
[00100] 例えば、吸気期間は、ユーザが、呼吸筋を働かせて、上気道に空気を引き込み始めると開始し、ユーザが、呼吸筋を働かせて、気道から空気を吐き出すと終了する。呼吸数の期間は、例えば、1:2などの典型的なI:E比を仮定することによって(ただし他の比率が好適に利用されるか、又は所与のユーザのセンサデータに基づいて決定されてもよい)、予想吸気時間を決定するために使用される。例示の例では、20BrPMの所与の呼吸数が、3000msの呼吸期間をもたらし、その結果、3秒に1回の呼吸となる。I:E比を1:2と仮定すると、ユーザは、1000msの吸気時間及び2000msの呼気時間を持つ。治療的であると見られている吸気時間の60%などの基準(ISO規格では酸素捕捉時間と呼ばれる)を使用することによって、TSの上界がもたらされる。ただし、本システムによれば、トリガ遅延(すなわち、吸入の始まりから吸入の始まりが検出され得る時刻までにかかる時間(100msほど))などの他の公差及び考慮事項もあり、これにより、吸気時間の60%に基づく上界よりも短いTSを設定することになる。本システムの実施形態によれば、吸気時間の33%~50%から選択して、真に60%の時間枠内で酸素ガスを送出することを保証できるが、他の範囲も想定される。さらに、例えば、33%と50%との間や、その範囲における何らかの他の数値の選定は、ピーク流量(例えば、患者快適性の理由のために、流れが特定のレベルを超えることが望まれない場合)又はシステムの圧力要件(例えば、極めて低い送出時間%を達成するのに必要な流れを得るのに十分な圧力がない場合)に基づいて決められる。
【0091】
[00101] 同様な酸素のボリュームが提供されるが、本システムの分割パルスの概念は、酸素ガスである単一ガスのみを送出する、算出された理想標準酸素パルス1001とは異なる。例えば、パルス流1001は、50mLの87~96%酸素を送出する。対照的に、分割パルス流において、パルス流1003は、空気連行インタフェースを介して患者インタフェースに送出される50mLの87~96%酸素ガスを含み、パルス流1005は、およそ21%酸素において200mLの圧縮空気(例えば、周囲空気)を送出する。
【0092】
[00102] グラフ1000から分かるように、パルス流1003及び1005の各々は、標準酸素パルス1001よりも高いレベルで実行され、そのように行うことにより、空気連行インタフェースによって増大した吸気気道陽圧(IPAP)が作り出される。空気連行インタフェースによって送出されるIPAPはまた、圧縮空気パルスである、第2のパルス1005の終了時まで維持され、患者呼吸パターンなどのシステムによって取得される感覚情報に基づいて、且つ/或いは、工場出荷時に設定される、呼吸療法士によって設定される、且つ/又は、システム設定に応じて所望及び/若しくは許可されるように患者によって設定される、システムの所定の設定によって調節される。より高いレベルの送出ガスはまた、スイッチオーバーにおける(例えば、Ts後且つTr前の)パルス流が、図示されるような10SLPMの酸素ガス又は圧縮空気などの閾値未満となることがないことを確実にする。さらに、パルス流の各々は、実質的に同じ流量値を持つ。ただし、パルス流の各々は、互いに異なる流量値を持つことも想定される。第1のパルス及び第2のパルスの各々は、互いに異なる持続時間を持つ。例えば、各々の対応する期間中に0~30SLPMの酸素ガス及び圧縮空気が提供され、ガス流の各々は、同じであってもよいし互いに異なっていてもよい。
【0093】
[00103]
図11は、およそ34~36%の酸素で250mLの配合された空気及びO
2を送出する標準配合ガス送出アプローチを示すグラフ1100である。
【0094】
[00104]
図10と
図11とを比較すると、本システムの実施形態は、酸素濃縮器による酸素出力が混合され、PSAからの空気によって希釈されて、空気連行インタフェースに入る総流量が作り出される、グラフ1100に示す標準配合アプローチよりも効率的である。酸素濃縮器からの50mLの酸素が、200mLの圧縮空気と配合されると仮定すると、総パルスボリュームは250mLとなり、結果として得られる、空気連行インタフェースに入るガスの酸素純度は、約34~36%と算出される。このアプローチは、例えば、
図10に示す、本システムの実施形態の分割パルス送出を使用して得られるのと同様の総パルスボリュームが得られるが、この標準的な方法では、送出される酸素の大部分が肺のガス交換領域に入ることを可能にする、患者の吸気期間の第1の部分の間における約87~96%の酸素純度の空気連行インタフェースへの流入は得られない。本システムのこのプロセスにより、患者への酸素送出が増大し、結果として快適性及び移動性が向上し、これらのすべてが、従来のシステムよりも小型の圧縮機及びPSAを採用しながら、より低い電力使用で達成される。
【0095】
[00105] 本システムの実施形態は、例えば、圧縮機102に対してGSCV126を開放したままで保持し、比例送出弁128を使用して空気連行インタフェース130を通過する圧縮空気の流量を絞ることによって、空気連行インタフェース130に圧縮空気のみを送出し、患者と流動連通している患者インタフェース101を介して患者にバイレベル(IPAP及び呼気気道陽圧(EPAP)サイクルの)換気療法を行うように構成される。容易に理解されるように、
図1~
図8に示すものなど、本システムの他の実施形態は、IPAPサイクルとEPAPサイクルとの間で繰り返すように好適に制御される。圧縮空気のみの流れの場合の例示的なタイミング及び流量について、
図12を参照して示す。
図12は、本システムの実施形態による、IPAP及びEPAP換気療法サイクルを作り出すための空気連行インタフェースへの圧縮空気駆動流のみのタイミング及び流量を示すグラフ1200である。グラフ1200を参照すると、グラフは、例示的に示すように、吸気及び呼気期間を含む呼吸サイクルにわたって第1、第2、及び第3の流れ(例えば、サイクル)1201、1203、及び1205をそれぞれ含む。第1の流れ1201及び第3の流れ1205を参照すると、これらの流れは、(2つの連続する呼吸サイクルの)吸気期間の開始時に実行され、各々が、20SLPMを送出してIPAPを生成する。第2の流れ1203を参照すると、この流れは、第1の呼吸サイクルの呼気期間中に10SLPMを送出する。第2の流れ1203と同様のパルスが、パルス流1205に続く、次の呼気期間に対して反復される。この空気駆動NIVのみのモード中、呼吸サイクルごとにこのパターンが反復されて、一例として、16cmのH2O IPAPサイクル及び6cmのH2O EPAPサイクルを作り出す。本システムの実施形態によれば、患者インタフェースへの駆動流は、0~25cmのH
2Oの範囲の所望のIPAP及びEPAPレベルを作り出すために、例示的に0~30SLPMの範囲内とする。圧力の傾斜的上昇/降下は、非常に急勾配の増加/減少(例えば、正方形波形状)を持つものとして図に例示的に示されているが、実際には、傾斜率上昇時間及び/又は降下時間の勾配はよりなだらかであるか、又は指数関数的上昇時間/降下時間などの傾斜以外の別の形状となる場合もあることに留意されたい。このようにして、1つの圧力から別の圧力に切り替える際の患者快適性が向上し、且つ/又はシステム能力が適応される。
【0096】
[00106] したがって、本システムの実施形態は、軽量且つ携帯型の換気システムを使用して空気駆動式のIPAP及びEPAPサイクリングを実現するために圧縮機からの圧縮空気を完全に利用するモードを持つ携帯型酸素濃縮器システムを提供する。このモードでは、設定に応じて、システムは、(例えば、PSA104をオフにすることによって)PSAプロセスを一次的に中断するように動作し、空気連行インタフェースと併せて圧縮機からの圧縮空気を使用して、患者のためにIPAP及びEPAPの両方を作り出す。PSAプロセスは、例えば、それが必要となるモード変更があると、再開される。
【0097】
[00107] また、バイレベル治療モードでは、上述した完全空気駆動換気(例えば、IPAP及びEPAPサイクル)を利用するが、本システムの実施形態に従って、まず酸素ガスパルスによって駆動され、空気パルスが後続する分割パルスIPAPサイクルの後に、呼気期間中に空気駆動EPAPサイクルが後続してもよい。この分割パルスIPAPサイクルにより、患者の吸気時間の最も効率的且つ有用な部分の間に酸素を送出しながら、完全換気療法が可能となる。
【0098】
[00108] システムの携帯性及び電力消費
[00109] 本システムの実施形態は、システムの携帯性を高めることで、ユーザが、従来のNOVDよりも高い移動性及び快適性を経験することが可能となる。例えば、酸素ガス流路と圧縮空気流路との間でガス流の再調整を行うことによって、圧縮空気流路の流れを増強しつつ、酸素送出流路における流れの低減を実現する。これにより、システムのエネルギー消費及び重量が低減される。例えば、治療に関係しない酸素の製造負担を除去することによって、大幅に小さい圧縮機及び/又は大幅に小さいサイズのシーブベッドで、従来のNOVDと比較して同じ総ガスボリューム出力を達成することができる。より小型の圧縮機を使用することによって、従来のシステムよりもコスト、電力、ノイズ、及び重量の節約を実現する。例えば、最大5LPMの酸素で従来のNOVDを駆動するために、濃縮器は、75LPM
【数1】
用サイズの圧縮機を必要とする。対照的に、本システムの実施形態は、実質的に吸期の完全に臨床的に関係がある部分に対して酸素を送出した後、圧縮空気のみの送出に切り替えるモードで動作するとき、47LPM
【数2】
用サイズの圧縮機を持つ濃縮器を必要とする。これは、従来の圧縮機のサイズの半分に満たず、結果として、従来のシステムよりもコスト、重量及びエネルギーの節約となる。
【0099】
[00110] 酸素療法及びその効率性
[00111] 本システムの実施形態により、従来のNOVDと比較してNIVモードで送出される酸素のより効率的な使用が可能となる。これは、毛細管への酸素移送が生じる際に、吸気中の酸素の臨床的に関係があるボリュームのみが患者に送出されるためである。送出の開始時における酸素のオンタイムの送出ボリューム及び流量が、最適な治療的利益を得るために調節される一方、送出の残りの部分は、空気連行を介して空気によって患者インタフェースへと駆動される。
【0100】
[00112] 可変パルス幅
[00113] 本システムの実施形態は、デバイスモード、デバイス設定、患者呼吸パターン、呼吸数及び/又は他の感覚フィードバックに基づいて、送出のパルス幅を変動できるようにすることで、予め設定されたタイミングを使用するものなど、いくつかの従来システムよりも治療的利益及び患者快適性の向上を実現する。本システムによるパルス幅可変性により、呼吸数に関わらず、吸期の最適な部分において酸素を送出することが可能となる。同様に、可変パルス幅により、NIVが、患者の吸期とより緊密に同期することが可能となり、吸期の完了前に陽圧が停止するか、又は陽圧が呼期へと続行するNOVDと比較すると快適性が向上する。
【0101】
[00114] さらに、本システムの実施形態によって説明される様々なモード及び構成は、空気連行患者インタフェースを含む患者インタフェースの使用を介した非侵襲的換気をもたらす従来の酸素濃縮器に適用される。
【0102】
[00115]
図9の制御部950を再度参照すると、これは、本システムの実施形態に従って動作するシステム(例えば、システム100~900等)などを制御するためのシステムの一部分を表す。例えば、制御部950などの本システムの一部分は、メモリ140に動作可能に結合されたプロセッサ120と、ディスプレイ138などのレンダリングデバイスを備えるユーザインタフェース(UI)136と、センサ122と、ユーザ入力インタフェース142とを備える。メモリ140は、アプリケーションデータ、並びに説明した動作に関連する他のデータを記憶するための任意のタイプのデバイスである。アプリケーションデータ及び他のデータは、本システムに従って動作上の操作を実行するようにプロセッサ120を構成する(例えば、プログラミングする)ためにプロセッサ120によって受け取られる。そのように構成されたプロセッサ120は、従来のシステム(例えば、プロセッサ)よりも向上しており、本システムの実施形態に従って実行するのに特に適した専用機械となる。
【0103】
[00116] プロセッサ120は、システムのUI上で静止画又は動画情報などのコンテンツをレンダリングする。この情報は、動作パラメータ、命令、フィードバックに関する情報、及び/又はシステム若しくはその部分の動作に関連する他の情報を含む。例えば、プロセッサ120は、センサ122のうちの1つ又は複数からセンサ情報を受け取り、システムの1つ又は複数の部分を通る(例えば、比例送出弁、GSCV等を通る)現在の空気流及び/又は圧力に関連する空気流情報を閾値の空気流及び/又は圧力情報と比較し、それに従ってシステムを制御する。このようにして、プロセッサ120は、弁、ポンプ、PSA等が、動作パラメータの範囲外で動作しているかどうかを判定し、ユーザの利便性のためにこの判定の結果をUI136上などにレンダリングする。センサ122は、図示しているものなどのシステム及び/又はその部分のセンサを含む。したがって、センサ122は、関連するパラメータを感知し、センサ情報を形成し、このセンサ情報をプロセッサ120に提供する。
【0104】
[00117] ユーザ入力インタフェース142は、キーボード、マウス、トラックボール、又はタッチ感応式ディスプレイなどの他のデバイスを含み、これらは、スタンドアロンであってもよいし、人工呼吸器、OC、麻酔用デバイス、ラップトップ、携帯情報端末(PDA)、携帯電話(例えば、スマートフォン)、スマートウォッチ、スマートフォン、電子書籍リーダ、モニタ、スマート若しくはダム端末、又は有線及び/若しくは無線通信リンクなどの任意の動作可能なリンクを介してプロセッサ120と通信するための他のデバイスの一部など、システムの一部であってもよい。
【0105】
[00118] 本システムの方法は、コンピュータソフトウェアプログラムによって実行されるのに特に適しており、そのようなプログラムは、説明され、且つ/又は本システムによって想定される個々のステップ又は操作のうちの1つ又は複数に対応するモジュールを含む。当然ながら、そのようなプログラムは、集積チップ、周辺デバイス、又はメモリ140若しくはプロセッサ120に結合された他のメモリ等のメモリなどのコンピュータ可読媒体において具現化される。
【0106】
[00119] メモリ140に含まれるプログラム及び/又はプログラムの部分は、本明細書で開示される方法、動作上の操作、及び機能を実施するようにプロセッサ120を構成する。メモリは、例えば、クライアント及び/又はサーバ、若しくはローカルの間で分散されてもよく、プロセッサ120は、追加のプロセッサが提供される場合、同様に分散されてもよいし、単独であってもよい。メモリは、電気、磁気、若しくは光メモリ、又はこれら若しくは他のタイプの記憶デバイスの任意の組合せとして実装される。さらに、「メモリ」という用語は、プロセッサ120によってアクセス可能な、アドレス指定可能な空間から読み出し可能であるか、又はその空間内にアドレス指定するために書き込み可能な任意の情報を包含するのに十分広範であるものと解釈されるべきである。この定義では、プロセッサ120が、本システムによる動作のためにネットワークから情報を取得するため、ネットワークを通してアクセス可能な情報であっても、メモリ内にあるものとする。
【0107】
[00120] プロセッサ120は、ユーザ入力デバイス142からの入力信号、並びにセンサ122などのネットワークの他のデバイスに応答して制御信号を提供し、且つ/又は動作を実行し、メモリ140に記憶された命令を実行するように動作可能である。プロセッサ120は、マイクロプロセッサ、特定用途向け及び/又は汎用集積回路、論理デバイス等のうちの1つ又は複数を備える。さらに、プロセッサ120は、本システムに従って実行するための専用プロセッサであってもよく、且つ/又は、多くの機能のうちの1つのみが、本システムに従って実行するために動作する、汎用プロセッサであってもよい。プロセッサ120は、プログラム部分、複数のプログラムセグメントを利用して動作してもよく、且つ/又は専用若しくは多目的集積回路を利用するハードウェアデバイスであってもよい。
【0108】
[00121] プロセッサ120は、説明したように、1つ又は複数の換気デバイス及び/又は他のデバイスを制御するように動作可能である。同様に、プロセッサ120は、例えば、本システムの実施形態に従って動作する加湿器及び/又はヒータ回路など、人工呼吸器と共に動作する周辺デバイスを制御するように動作可能である。
【0109】
[00122] したがって、本システムの実施形態は、ローカル及び/又はリモート通信を使用して、人工呼吸器の状態をモニタリングするためのシステムを提供し、且つ/又は、人工呼吸器の設定及び/若しくはパラメータを制御するためのユーザインタフェースをユーザに提供する。人工呼吸器及びレンダリングデバイス138の部分とシステムとの間のBluetooth(商標)又はWi-Fiリンク(商標)などの無線通信リンクにより、レンダリングデバイス138のUI136上でシステムパラメータをレンダリングすることが可能となり、これはまた、ユーザがシステムの人工呼吸器設定、パラメータ等のパラメータを変更する入力エリアを提供する。また、制御部950又はその部分は、双方向通信を使用して2つ以上の人工呼吸器システムをリンクさせるように構成されてもよい。この接続により、バッテリシステムパラメータがレンダリングされ、且つ/又は空気流量、温度、湿度等が、表示され、且つ/若しくはそれらがユーザによって調節される。温度、圧力、流れ、電圧、バッテリ充電、比酸素(SpO2)、二酸化炭素(CO2)、湿度等のパラメータが決定され、ユーザの利便性のために、それらがシステムのUI上でレンダリングされる。UIを通して、ユーザは、本システムの実施形態に従って対話を行い、パラメータを選択及び/又は変更する。
【0110】
[00123] 本システムの実施形態は、例えば、移動性及び使い易さを高めるために、低電力要件の酸素濃縮器を使用して、患者に高流量酸素療法を送出するように構成される。本システムの実施形態は、Millennium M10(商標)、EverFlo(商標)、SimplyGo(商標)、SimplyGo Mini(商標)、及び多くの他の酸素療法デバイス、並びにV60(商標)、Trilogy(商標)、Trilogy Evo(商標)、及びE30(商標)デバイスなどの在宅及び院内換気デバイス等、多くの既存の酸素製品と共に動作することが想定される。本システムの実施形態はまた、持続的気道陽圧(CPAP)/バイレベル気道陽圧(BiPAP)デバイス及び他の気道陽圧デバイスと共に動作する。
【0111】
[00124] 最後に、上記議論は、本システムの単なる例示となることを意図しており、添付の特許請求の範囲を、任意の特定の実施形態又は実施形態のグループに限定するものであると解釈されるべきではない。したがって、本システムについて、例示的な実施形態を参照して説明したが、下記の特許請求の範囲に記載される本システムのより広範な意図される精神及び範囲から逸脱することなく、所与の実施形態及び他の想定される実施形態に関して説明される特徴を使用することを含む、多くの修正形態及び代替実施形態が当業者によって考案されることも理解されたい。例えば、本システムについて、携帯型酸素濃縮器などの酸素濃縮器システムを参照して例示的に説明しているが、例示的に説明し、図に示すシステムに関して容易に理解されるように、酸素濃縮器は、異なる医療ガスの供給(例えば、医療用空気、酸素、亜酸化窒素等(それらの組合せを含む)を含む)によって容易に置き換えられる。例えば、酸素ガスは、酸素キャニスタ、ライン酸素(病院又は臨床現場におけるものなど)、非携帯型酸素濃縮器システム等によって提供されてもよく、それでもなお、医療ガス供給の浪費の削減、電力浪費の削減等の本システムの利益が得られる。したがって、本明細書に例示的に示される図の各々は、示されるそのような代替医療ガス及びガス送出システムを含むか又は代用するものと見なされる。例えば、図に例示的に示される圧縮機及び酸素製造プロセスは、示される例示的な実施形態の精神及び範囲から逸脱することなく、酸素キャニスタ及び圧力調整器(又はさらに言えば、他の医療ガス/酸素送出システム)によって置き換えられる。したがって、そのような代替選択肢は、本システムの範囲内であると見なされるべきである。本システムのさらなる変形は、当業者であれば容易に思いつくものであり、以下の特許請求の範囲によって包含される。
【0112】
[00125] また、本明細書に含まれる任意のセクション見出しは、検討を容易にすることを意図しており、本システムの範囲を限定することを意図するものではない。また、本明細書及び図面は、例示的な形で考えられるべきものであり、添付の特許請求の範囲を限定することを意図するものではない。
【0113】
[00126] 添付の特許請求の範囲を解釈する際、以下の点を理解すべきである。
a)「備える(含む、有する)」という用語は、所与の請求項に挙げられるもの以外の他の要素又は操作の存在を排除しない。
b)単数形の要素は、複数のそのような要素の存在を排除するものではない。
c)特許請求の範囲内の任意の参照符号は、それらの範囲を限定しない。
d)いくつかの「手段」が、同一のアイテム、ハードウェア、又はソフトウェアで実装された構造又は機能によって表されてもよい。
e)開示される要素のうちのいずれかが、ハードウェア部分(例えば、個別及び集積電子回路を含む)、ソフトウェア部分(例えば、コンピュータプログラミング)、及びそれらの任意の組合せによって構成されてもよい。
f)ハードウェア部分は、アナログ及びデジタル部分のうちの一方又は両方で構成されてもよい。
g)特に明記されない限り、開示されるデバイス、特徴、及び/又はそれらの部分のいずれかが、一緒に組み合わされるか又はさらなる部分に分離されてもよい。
h)特に示されない限り、特定の順序の操作又はステップを必要とすることを意図するものではない。
i)要素の「複数の」という用語は、特許請求される要素のうちの2つ以上を含み、任意の特定の範囲の数の要素を示唆するものではない。すなわち、複数の要素は、2つの要素などの少ないものである場合もあるし、膨大な数の要素を含む場合もある。
【手続補正書】
【提出日】2024-05-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザにガス混合物を提供するための換気デバイスであって、前記換気デバイスが、
圧縮空気を出力する圧縮機と、
前記圧縮空気を処理して酸素ガスを形成し、前記酸素ガスを出力する酸素濃縮器と、
前記圧縮空気及び前記酸素ガスを受け取り、前記酸素ガスを含む第1のガスパルス及び前記圧縮空気を含む第2のガスパルスを選択的に送出するガス源制御弁と、
前記ガス源制御弁によって送出された前記第1及び第2のガスパルスを受け取り、前記第1及び第2のガスパルスを送出する患者インタフェースと、
ユーザの吸気期間中に生じる切替え時刻を決定することと、
前記ガス
源制御弁を制御して、前記切替え時刻において、前記第1のガスパルスの前記送出を終了し、前記第2のガスパルスの前記送出を開始することと
、
前記ユーザの呼気期間の開始前に前記第2のガスパルスを終了することと
を行う制御部と
を備える、換気デバイス
において、
前記制御部が、前記ガス源制御弁を制御して、前記第1及び第2のガスパルスに続く前記呼気期間中に前記圧縮空気の第3のガスパルスを前記患者インタフェースに送出し、前記制御部が、前記第1及び第2のガスパルスよりも低い流量で前記第3のガスパルスの前記送出を制御することを特徴とする、換気デバイス。
【請求項2】
前記制御部が、前記ユーザの前記吸気期間を決定する、請求項
1に記載の換気デバイス。
【請求項3】
前記制御部が、前記第1のガスパルスの流量を、前記第2のガスパルスの流量と実質的に等しくなるように制御する、請求項
1に記載の換気デバイス。
【請求項4】
前記患者インタフェースが、空気連行インタフェースを含む、請求項
1に記載の換気デバイス。
【国際調査報告】