(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-12
(54)【発明の名称】装置の中へのエアロゾル発生物品の挿入または装置からのエアロゾル発生物品の取り出しのうちの少なくとも一つを検出するための手段を備えたエアロゾル発生装置
(51)【国際特許分類】
A24F 40/50 20200101AFI20240705BHJP
A24F 40/20 20200101ALI20240705BHJP
A24F 40/465 20200101ALI20240705BHJP
【FI】
A24F40/50
A24F40/20
A24F40/465
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024501620
(86)(22)【出願日】2022-07-07
(85)【翻訳文提出日】2024-01-11
(86)【国際出願番号】 EP2022068975
(87)【国際公開番号】W WO2023285292
(87)【国際公開日】2023-01-19
(32)【優先日】2021-07-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(74)【代理人】
【識別番号】100196612
【氏名又は名称】鎌田 慎也
(72)【発明者】
【氏名】ブタン ヤニック
(72)【発明者】
【氏名】ストゥラ エンリコ
(72)【発明者】
【氏名】シャトー マクシム
(72)【発明者】
【氏名】ニゾフツェフ デニス
(72)【発明者】
【氏名】ポワドヴァン ウィリアム
【テーマコード(参考)】
4B162
【Fターム(参考)】
4B162AA03
4B162AA22
4B162AB12
4B162AC12
4B162AC22
4B162AD08
4B162AD13
(57)【要約】
本発明は、加熱された時に吸入可能なエアロゾルを形成する能力を有するエアロゾル形成基体を加熱するためのエアロゾル発生装置に関する。装置は、エアロゾル発生物品の少なくとも一部分を取り外し可能に受容するための空洞を備え、物品は、エアロゾル形成基体および基体を加熱するための誘導加熱式サセプタを含む。装置はさらに、物品が空洞の中に受容された時に、物品のサセプタを誘導加熱するための交番磁界を空洞内に発生するように構成された、誘導加熱配設を備える。装置はまた、誘導加熱配設に断続的に電力供給するための電力パルスを発生し、一つ以上の電力パルス中に、誘導加熱配設の少なくとも一つの特性の値を決定し、値が、空洞内に存在するか、または空洞に存在しないサセプタを有する物品に依存し、決定された値および所定の閾値に基づいて、空洞の中への物品の挿入、または空洞からの物品の取り出しのうちの少なくとも一つを検出するように構成された制御回路を備える。本発明はさらに、このような装置を備えるエアロゾル発生システム、およびエアロゾル発生装置の空洞内のエアロゾル発生物品の存在または不在を検出するための方法に関する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱された時に吸入可能なエアロゾルを形成する能力を有するエアロゾル形成基体を加熱するためのエアロゾル発生装置であって、
-エアロゾル発生物品の少なくとも一部分を取り外し可能に受容するための空洞であって、前記物品が、前記エアロゾル形成基体および前記基体を加熱するための誘導加熱式サセプタを含む、空洞と、
-前記物品が前記空洞の中に受容された時に、前記物品の前記サセプタを誘導加熱するための交番磁界を前記空洞内に発生するように構成された、誘導加熱配設と、
-前記誘導加熱配設に断続的に電力供給するための電力パルスを発生し、一つ以上の電力パルス中に、前記誘導加熱配設の少なくとも一つの特性の値を決定し、前記値が、前記空洞内に存在するか、または存在しないサセプタを有する物品に依存し、前記決定された値および所定の閾値に基づいて、前記空洞の中への物品の挿入または前記空洞からの物品の取り出しのうちの少なくとも一つを検出するように構成された制御回路と、を含む、エアロゾル発生装置。
【請求項2】
前記所定の閾値が、サセプタを含むエアロゾル発生物品が前記空洞に存在しないか、または前記空洞内に存在する時事前に決定された前記誘導加熱配設の前記少なくとも一つの特性の基準値の所定の関数である、請求項1に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項3】
前記所定の閾値が、サセプタを含むエアロゾル発生物品が前記空洞に存在しないか、または前記空洞内に存在する時に事前に決定された、前記誘導加熱配設の前記少なくとも一つの特性の前記基準値に、所定のスケール因子を掛けたものに対応する、請求項2に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項4】
前記所定のスケール因子が、0.8~0.98、特に0.9~0.95、より具体的には0.92~0.94の範囲内であるか、または前記所定のスケール因子が、1.02~1.2、特に1.05~1.1、より具体的には1.06~1.08の範囲内である、請求項3に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項5】
前記所定の閾値が、サセプタを含むエアロゾル発生物品が前記空洞に存在しないか、または前記空洞内に存在する時に事前に決定される、前記誘導加熱配設の前記少なくとも一つの特性の前記基準値に、所定のオフセット値をプラスまたはマイナスしたものに対応する、請求項2に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項6】
前記オフセット値が、前記誘導加熱配設の前記少なくとも一つの特性の前記所定の基準値の2パーセント~20パーセント、特に5パーセント~10パーセント、より具体的には6パーセント~8パーセントの範囲内である、請求項5に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項7】
前記誘導加熱配設の前記少なくとも一つの特性の前記基準値が、前記エアロゾル発生装置の製造中に事前に決定され、前記制御回路に保存される、請求項2~6のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項8】
前記誘導加熱配設の前記少なくとも一つの特性の前記基準値が、前記エアロゾル発生装置の寿命中に所定の規則的な間隔で更新される、請求項2~7のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項9】
前記誘導加熱配設の前記少なくとも一つの特性の前記基準値が、サセプタを含むエアロゾル発生物品が前記空洞に存在しない時、ユーザー体験の後、十回毎、特に五回毎、より具体的には二回毎に、好ましくは毎回更新される、請求項8に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項10】
前記誘導加熱配設の前記少なくとも一つの特性の前記基準値が、サセプタを含むエアロゾル発生物品が前記空洞に存在しない時、一つ以上の電力パルス中に前記誘導加熱配設の前記少なくとも一つの特性を再決定することによって、および前記制御回路内に前記再決定された値を更新された基準値として保存することによって更新される、請求項8または請求項9のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項11】
前記閾値が、物品が前記空洞に存在する時に測定される前記少なくとも一つの特性の値と、物品が前記空洞内に存在しない時に測定される前記少なくとも一つの特性の値との間にある、請求項1~10のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項12】
前記誘導加熱配設の前記少なくとも一つの特性が、前記誘導加熱配設の電流、電圧、電気抵抗、電気コンダクタンス、周波数、位相シフト、磁束、およびインダクタンスのうちの一つである、請求項1~11のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項13】
前記制御回路が、前記誘導加熱配設の前記少なくとも一つの特性を示す電流および電圧のうちの少なくとも一つを決定するための測定装置を含む、請求項1~12のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項14】
前記制御回路が、前記装置のDC電源から前記誘導加熱配設によって引き出されるDC電流を決定するための電流測定装置と、前記DC電源によって前記誘導加熱配設に供給されるDC電圧を決定するための電圧測定装置とを備え、前記制御回路が、前記決定されたDC電流と前記決定されたDC電圧との比から、前記誘導加熱配設の電気コンダクタンスの値を決定するように構成される、請求項1~13のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置と、前記装置で使用するためのエアロゾル発生物品とを備えるエアロゾル発生システムであって、前記物品の少なくとも一部分が、前記装置の前記受容空洞内に取り外し可能に受容可能であり、または取り外し可能に受容され、前記物品が前記空洞内に受容される時、前記物品が、エアロゾル形成基体と、前記基体を加熱するための誘導加熱式サセプタとを備える、システム。
【請求項16】
誘導加熱式サセプタを有するエアロゾル発生物品がエアロゾル発生装置の空洞内に存在するか、または空洞に存在しないかを検出するための方法であって、前記装置が、前記物品の少なくとも一部分を取り外し可能に受容するための空洞と、前記物品が前記空洞内に受容された時に、前記物品の前記サセプタを誘導加熱するための交番磁界を前記空洞内に発生するように構成された誘導加熱配設とを備え、前記方法が、
-前記誘導加熱配設の一つ以上の電力パルス中に、前記誘導加熱配設の少なくとも一つの特性の値を決定することであって、前記値が、前記空洞内に存在するか、または前記空洞に存在しないサセプタを有する物品に依存する、決定することと、
-前記決定された値および所定の閾値に基づいて、前記空洞の中への物品の挿入、または前記空洞からの物品の取り出しのうちの少なくとも一つを検出することと、を含む、方法。
【請求項17】
前記所定の閾値が、サセプタを含むエアロゾル発生物品が前記空洞に存在しないか、または前記空洞内に存在する時に事前に決定された前記誘導加熱配設の前記少なくとも一つの特性の基準値の所定の関数である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
-前記所定の閾値が、サセプタを含むエアロゾル発生物品が前記空洞に存在しないか、または前記空洞内に存在する時に事前に決定される、前記誘導加熱配設の前記少なくとも一つの特性の前記基準値に、所定のスケール因子を掛けたものに対応し、前記所定のスケール因子が、0.8~0.98、特に0.9~0.95、より具体的には、0.92~0.94の範囲内であり、または、前記所定のスケール因子が、1.02~1.2、特に、1.05~1.1、より具体的には、1.06~1.08の範囲内であり、
または、
-前記所定の閾値が、サセプタを含むエアロゾル発生物品が前記空洞に存在しないか、または前記空洞内に存在する時に事前に決定される、前記誘導加熱配設の前記少なくとも一つの特性の前記基準値に、所定のオフセット値をプラスまたはマイナスしたものに対応し、前記オフセット値が、前記誘導加熱配設の前記少なくとも一つの特性の前記所定の基準値のうちの2パーセント~20パーセント、特に、5パーセント~10パーセント、より具体的には、6パーセント~8パーセントの範囲内である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記誘導加熱配設の前記少なくとも一つの特性の前記基準値が、前記エアロゾル発生装置の寿命中に所定の規則的な間隔で更新される、請求項17または請求項18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記閾値が、物品が前記空洞に存在するときに測定される前記少なくとも一つの特性の値と、物品が前記空洞内に存在しない時に測定される前記少なくとも一つの特性の値との間にある、請求項16~19のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空洞を備えるエアロゾル発生装置、および空洞の中へのエアロゾル発生物品の挿入またはエアロゾル発生物品の取り出しを検出するための手段に関する。本発明はさらに、このような装置を備えるエアロゾル発生システム、およびエアロゾル発生装置の空洞内のエアロゾル発生物品の存在または不在を検出するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
エアロゾル形成基体を加熱することによって吸入可能なエアロゾルを発生するために使用されるエアロゾル発生装置は、先行技術から一般的に公知である。こうした装置は、加熱されるエアロゾル形成基体を含むエアロゾル発生物品の少なくとも一部分を取り外し可能に受容するための空洞を備えてもよい。基体を加熱するために、装置は、電池によって電力供給され、かつ装置の使用時に、基体と熱的に近接しているかまたは物理的に直接接触しているサセプタを誘導加熱するための交番磁界を空洞内に発生するように構成された、誘導加熱配設をさらに備えてもよい。サセプタは、エアロゾル発生物品の一体型の部品であってもよい。こうした装置はさらに、加熱プロセスを有効化または無効化するために、受容空洞内にエアロゾル発生物品存在するか、または存在しないかを検出するための手段を備えてもよい。この種類の検出は、空洞内の物品の存在または不在を連続的に監視する別個のセンサー手段によって実現され得る。しかしながら、別個のセンサー手段は、一般的に、装置内に追加の組立空間を必要とする。さらに、センサーの連続的な動作はエネルギーを消費し、したがって装置の動作時間を著しく低減し得る。
【0003】
したがって、先行技術の解決策の利点を有しつつも、それらの制限を軽減する、エアロゾル発生装置を有することが望ましい。特に、装置の受容空洞の中へのエアロゾル発生物品の挿入またはエアロゾル発生物品の取り出しを検出するための改善された手段を提供する、エアロゾル発生装置を有することが望ましい。
【発明の概要】
【0004】
本発明によると、加熱された時に吸入可能なエアロゾルを形成する能力を有するエアロゾル形成基体を加熱するためのエアロゾル発生装置が提供されている。装置は、エアロゾル発生物品の少なくとも一部分を取り外し可能に受容するための空洞を備え、物品は、エアロゾル形成基体および基体を加熱するための誘導加熱式サセプタを含む。装置はさらに、物品が空洞の中に受容された時に、物品のサセプタを誘導加熱するための交番磁界を空洞内に発生するように構成された、誘導加熱配設を備える。装置はまた、誘導加熱配設に断続的に電力供給するための電力パルスを発生し、一つ以上の電力パルス中に誘導加熱配設の少なくとも一つの特性の値を決定するように構成された制御回路を備え、値は、空洞内に存在するか、または空洞に存在しないサセプタを有する物品に依存する。さらに、制御回路は、決定された値および所定の閾値に基づいて、特に決定された値と所定の閾値との比較に基づいて、より具体的には決定された値が所定の閾値を突破したことに応答して、空洞の中への物品の挿入または空洞からの物品の取り出しのうちの少なくとも一つを検出するように構成されている。
【0005】
本発明によれば、誘導加熱配設は、基体を加熱するためにだけでなく、空洞の中への物品の挿入または空洞からの物品の取り出しのうちの少なくとも一つを検出するためにも使用され得ることが見出された。したがって、誘導加熱配設は、複数の目的のために使用され得る。有利なことに、これにより、別個のセンサー手段のための追加の組立空間を回避することが可能になる。
【0006】
さらに、物品検出の目的のために、誘導加熱配設をパルスモードで動作させることは、有利なことに、電力消費量を低減し、したがって、他の解決策と比較して、装置の全体的な動作時間を増大させることが見出された。
【0007】
本発明によれば、物品の挿入または物品の取り出しは、空洞の中への物品の挿入および物品の取り出しにより、サセプタが誘導加熱配設の近くに存在する、またはそこから不在になることに起因して、誘導加熱配設の少なくとも一つの特性、特に、少なくとも一つの電気および/または磁気特性が改変される、という事実に基づいている。サセプタが存在する、または不在になることによって生じる少なくとも一つの特性の変化は、誘導加熱配設の磁界とサセプタとの間の相互作用に起因し得る。すなわち、誘導加熱配設の少なくとも一つの特性は、サセプタを有する物品が空洞内に存在するか、または空洞に存在しないかに応じて、異なる値を有する。
【0008】
しかし、物品が空洞の中へと挿入された時、または空洞から取り出された時に生じる少なくとも一つの特性の変化を検出する代わりに、本発明は、誘導加熱配設の少なくとも一つの特性の値を決定し、決定された値および所定の閾値に基づいて、空洞の中への物品の挿入または空洞からの物品の取り出しのうちの少なくとも一つを検出することを提案する。特に、本発明は、決定された値を、空洞内に存在する物品と、空洞に存在しない物品とを明確に区別することを可能にするように選択される所定の閾値と比較することを提案する。有利なことに、少なくとも一つの特性の値を決定し、決定された値を、即時測定に由来するものではない所定の閾値と比較することは、エアロゾル発生物品の挿入または取り出しの検出をより信頼性のあるものにする。特に、この手順は、例えば、徐々にまたは部分的にのみ、物品が空洞の中へと挿入される、および空洞から取り出される時などの、エアロゾル発生物品の挿入または取り出しの望ましくない偽陽性または偽陰性の検出を回避する。
【0009】
本明細書で使用される場合、制御回路によって決定される(または決定されることになる)誘導加熱配設の少なくとも一つの特性のa/値は、誘導加熱配設の少なくとも一つの特性の実際の値を、制御回路によって(即座に)決定されるものとして指し得る。制御回路によって(即座に)決定される誘導加熱配設の少なくとも一つの特性の実際の値は、実際の値の20%以内、または実際の値の15%以内、または実際の値の10%以内、または誘導加熱配設に実際に存在する誘導加熱配設の少なくとも一つの特性の実際の値の5%以内であってもよい。
【0010】
誘導加熱配設の少なくとも一つの特性は、空洞内にサセプタが存在するか、または存在しない物品に応じて異なる値を有する特性、すなわち、サセプタが存在しない場合の値と比較してサセプタが存在する場合には異なる値を有する任意の特性であり得る。例えば、少なくとも一つの特性は、誘導加熱配設の電流、電圧、電気抵抗、電気コンダクタンス、周波数、位相シフト、磁束、およびインダクタンスであり得る。
【0011】
特性は、誘導加熱配設の電気(等価)抵抗、電気(等価)コンダクタンスまたはインダクタンスのうちの少なくとも一つであることが好ましい。本明細書で使用される「電気(等価)抵抗」という用語は、測定されたAC電流に対する誘導加熱配設へ供給されたAC電圧の比として定義される複素インピーダンスの実数部を指す。したがって、「等価抵抗」はまた、誘導加熱配設の抵抗負荷として表示されてもよい。逆に、「電気(等価)コンダクタンス」という用語は、電気(等価)抵抗の逆、すなわち、測定された電流と誘導加熱配設に供給される電圧との比を指す。同様に、本明細書で使用される「インダクタンス」という用語は、測定された電流に対する供給電圧の比として定義される複素インピーダンスの虚数部を指す。インダクタンスは、一般的に、外部電磁気の影響を受けやすい電気回路の特性を含む。
【0012】
所定の閾値の突破につながる誘導加熱配設の少なくとも一つの特性の変化は、サセプタの特定の透磁率および/または特定の電気抵抗率に起因し得る。すなわち、エアロゾル発生物品内のサセプタは、特定の透磁率および/または特定の電気抵抗率を有する材料を含み得る。サセプタは、導電性材料を含むことが好ましい。例えば、サセプタは金属材料を含み得る。金属材料は、例えば、アルミニウム、ニッケル、鉄、またはその合金、例えば、炭素鋼またはフェライト系ステンレス鋼のうちの一つであってもよい。アルミニウムは、室温(20℃)で測定したとき、約2.65×10E-08オーム-メートルの電気抵抗率を有し、約1.256×10E-06ヘンリー/メートルの透磁率を有する。同様に、フェライト系ステンレス鋼は、室温(20℃)で測定した時、約6.9×10E-07オーム-メートルの電気抵抗率を有し、1.26×10E-03ヘンリー/メートル~2.26×10E-03ヘンリー/メートルの範囲の透磁率を有する。
【0013】
一般に、所定の閾値は、サセプタを含むエアロゾル発生物品が空洞に存在しない時に(事前に)決定される誘導加熱配設の少なくとも一つの特性の基準値の所定の関数であってもよい。この場合、基準値は、エアロゾル発生物品が空洞に存在しないことを示す、少なくとも一つの特性の明確な値を定義する。対照的に、閾値は、装置の動作中に一つ以上の電力パルスに対して決定される少なくとも一つの特性の値が、エアロゾル発生物品が装置の中へと挿入された時に、誘導加熱配設の少なくとも一つの特性が増大または減少するかどうかに応じて、エアロゾル発生物品が空洞内に存在することを示す、上下の値を定義する。したがって、誘導加熱配設の少なくとも一つの特性が増大または減少するかどうかに応じて、エアロゾル発生物品が装置の中へと挿入された時、この関数は、空洞内に物品が存在しない時に取得される基準値よりも閾値が大きくなるかまたは小さくなるように選択される必要がある。同様に、所定の閾値は、サセプタを備えるエアロゾル発生物品が空洞に存在する時に(事前に)決定される誘導加熱配設の少なくとも一つの特性の基準値の所定の関数であってもよい。この場合、基準値は、エアロゾル発生物品が空洞内に存在することを示す、少なくとも一つの特性の明確な値を定義する。対照的に、閾値は、装置の動作中に一つ以上の電力パルスに対して決定される少なくとも一つの特性の値が、エアロゾル発生物品が装置の中へと挿入された時に、誘導加熱配設の少なくとも一つの特性が増大または減少するかどうかに応じて、エアロゾル発生物品が空洞に存在しないことを示す、上下の値を定義する。したがって、誘導加熱配設の少なくとも一つの特性が増大または減少するかどうかに応じて、エアロゾル発生物品が装置の中へと挿入された時、この関数は、物品が空洞内に存在する時に取得される基準値よりも閾値が小さくなるか、または大きくなるように選択される必要がある。いずれの場合でも、閾値は、物品が空洞に存在する時に測定される少なくとも一つの特性の値(基準値)と、物品が空洞内に存在しない時に測定される少なくとも一つの特性の値との間のどこかにある。
【0014】
所定の関数は、線形関数であってもよい。すなわち、閾値は、サセプタを備えるエアロゾル発生物品が空洞に存在しない時に決定される誘導加熱配設の少なくとも一つの特性の基準値の線形関数であってもよい。特に、所定の閾値は、誘導加熱配設の少なくとも一つの特性の基準値-サセプタを含むエアロゾル発生物品が空洞に存在しない時に(事前に)決定される-に所定のスケール因子を掛けた値に相当し得る。同様に、閾値は、サセプタを含むエアロゾル発生物品が空洞内に存在する時に決定される誘導加熱配設の少なくとも一つの特性の基準値の線形関数であってもよい。またこの場合、所定の閾値は、誘導加熱配設の少なくとも一つの特性の基準値-サセプタを含むエアロゾル発生物品が空洞内に存在する時に(事前に)決定される-に所定のスケール因子を掛けた値に相当し得る。誘導加熱配設の少なくとも一つの特性が増大または減少するかどうかに応じて、エアロゾル発生物品が装置の中へと挿入された時、スケール因子は1よりも大きくてもよく、または小さくてもよい。
【0015】
誘導加熱配設の少なくとも一つの特性の基準値が、サセプタを含むエアロゾル発生物品が空洞に存在しない時に(事前に)決定される場合、所定のスケール因子は、エアロゾル発生物品が装置の中に挿入された時に誘導加熱配設の少なくとも一つの特性が減少する場合、0.8~0.98、特に0.9~0.95、より具体的には0.92~0.94の範囲内であってもよい。同様に、所定のスケール因子は、エアロゾル発生物品が装置の中へと挿入された時に誘導加熱配設の少なくとも一つの特性が増大する場合、1.02~1.2、特に1.05~1.1、より具体的には1.06~1.08の範囲内であってもよい。例として、誘導加熱配設の少なくとも一つの特性が誘導加熱配設の電気(等価)コンダクタンスである場合、エアロゾル発生物品が装置の中へと挿入された時にコンダクタンスは減少する。この場合、スケール因子は、例えば、0.94であってもよい。前述のスケール因子は、空洞に存在しない物品と、空洞内に存在する物品とを明確に区別するために適切であることが証明されている。
【0016】
誘導加熱配設の少なくとも一つの特性の基準値が、サセプタを含むエアロゾル発生物品が空洞内に存在する時に(事前に)決定される場合、所定のスケール因子は、エアロゾル発生物品が装置の中へと挿入された時に誘導加熱配設の少なくとも一つの特性が減少する場合、1.02~1.2、特に1.05~1.1、より具体的には1.06~1.08の範囲内であってもよい。同様に、所定のスケール因子は、エアロゾル発生物品が装置の中へと挿入された時に誘導加熱配設の少なくとも一つの特性が増大する場合、0.8~0.98、特に0.9~0.95、より具体的には0.92~0.94の範囲内であってもよい。
【0017】
前述のスケール因子は、空洞に存在しない物品と、空洞内に存在する物品とを明確に区別するために適切であることが証明されている。
【0018】
また所定の閾値は、エアロゾル発生物品が装置の中へと挿入された時に、誘導加熱配設の少なくとも一つの特性が増大または減少するかどうかに応じて、誘導加熱配設の少なくとも一つの特性の基準値-サセプタを含むエアロゾル発生物品が空洞に存在しないか、または空洞内に存在する時事前に決定された-に、所定のオフセット値をプラスまたはマイナスして対応してもよい。オフセット値は、誘導加熱配設の少なくとも一つの特性の所定の基準値の2パーセント~20パーセント、特に5パーセント~10パーセント、より具体的には6パーセント~8パーセントの範囲内であってもよい。前述のオフセット値はまた、空洞に存在しない物品と、空洞内に存在する物品とを明確に区別するために適切であることが証明されている。
【0019】
好ましくは、誘導加熱配設の少なくとも一つの特性の基準値、およびそれ故に閾値は、(初期に)所定のものであり、エアロゾル発生装置の製造中に制御回路内に保存されてもよい。このために、装置は、制御回路が誘導加熱配設に断続的に電力供給するための一つ以上のパルスを発生するように、装置を動作させることによって、物品が空洞内に存在するかしないかにかかわらず、製造状態で較正されてもよい。一つ以上のパルスの間、制御回路は、誘導加熱配設の少なくとも一つの特性の値を決定し、これは空洞に存在しないか、または空洞内に存在する物品の誘導加熱配設の少なくとも一つの特性の基準値を定義する。この基準値は、所定の関数に基づいて閾値を決定するために使用される。所定の関数は、制御回路に保存されてもよい。それ故に決定された閾値は次に、一つ以上の電力パルス中に決定された少なくとも一つの特性の決定された値と比較するために、通常のユーザー動作中に後で利用可能となるように、装置に保存されてもよい。
【0020】
有利なことに、誘導加熱配設の少なくとも一つの特性の基準値は、エアロゾル発生装置の寿命中に所定の規則的な間隔で更新されてもよい。この手順は、自然の変化効果、特に加熱配設の電気的パラメータのドリフトに起因して、エアロゾル発生装置の寿命中に発生する可能性のある少なくとも一つの特性のドリフト(減少または増大)に対処するのに役立ち得る。例えば、加熱配設の電気コンダクタンスが少なくとも一つの特性として使用される場合、例えば、物品が空洞に存在しなかった時に、製造状態で取得されるコンダクタンスの初期基準値は、時間が経ってから再決定されるとより小さくなることが見出された。一部の事例では、既に数回の加熱サイクルの後、空洞内に物品が存在しない時に取得されるコンダクタンス値は、製造状態で初期基準値が測定され、装置内に保存されたことに基づいて決定される閾値よりもさらに小さくなっていてもよい。結果として、制御回路は、物品が空洞内に存在しない場合でも、存在することを示すものとして解釈されるコンダクタンスの値を常に返す。したがって、装置は、空洞の中への物品の挿入または取り出しを確実に検出することができなくなる。
【0021】
物品検出の誤作動の可能性を防ぐために、誘導加熱配設の少なくとも一つの特性の基準値は、サセプタを含むエアロゾル発生物品が空洞に存在しない時に、十回毎、特に五回毎、より具体的には二回毎に、好ましくはユーザー体験の後に毎回更新されてもよい。
【0022】
誘導加熱配設の少なくとも一つの特性の基準値は、サセプタを含むエアロゾル発生物品が空洞に存在しないか、または空洞内に存在する時に、一つ以上の電力パルス中に誘導加熱配設の少なくとも一つの特性を再決定することによって、および制御回路内に再決定された値を更新された基準値として保存することによって更新されることが好ましい。
【0023】
少なくとも一つの特性は、少なくとも一つの特性を示す誘導加熱配設の任意のパラメータを測定することによって観察されてもよい。パラメータは、直接的または間接的に測定されうる。好ましくは、パラメータは、電流および電圧のうちの少なくとも一つであってもよい。したがって、制御回路は、誘導加熱配設の少なくとも一つの特性を示す電流および電圧のうちの少なくとも一つを決定するための測定装置を含み得る。特に、パラメータは、装置のDC電源から誘導加熱配設に供給されるDC電流であってもよい。したがって、制御回路は、DC電源から誘導加熱配設に供給されるDC電流を測定するために配設および構成された電流測定装置を含み得る。そのために、測定装置は、DC電源と誘導加熱配設との間の直列接続で配設されたDC電流測定装置を含み得る。例えば、測定装置は、抵抗および分路増幅器を含み得る。したがって、エアロゾル発生物品がエアロゾル発生装置の空洞の中へと挿入されると、サセプタが空洞内に存在するようになり、抵抗負荷の増大に起因して等価抵抗が増大する、またはコンダクタンスが減少する。これは結果として、誘導加熱配設に供給するDC電流の低減を引き起こす。DC電流の低減は、制御回路の電流測定装置によって検出され、制御回路はその後、基体を加熱するために誘導加熱配設の加熱動作を起動し得る。同様に、エアロゾル発生物品がエアロゾル発生装置の空洞から取り出されると、空洞からサセプタが存在しなくなり、抵抗負荷の低減に起因して等価抵抗が低減する、またはコンダクタンスが増大する。これは結果として、誘導加熱配設に供給するDC電流の増大を引き起こす。DC電流の増大は、制御回路の電流測定装置によって検出され、制御回路はその後、次の加熱動作を有効化し得る。
【0024】
電流測定装置に加えて、制御回路は、DC電源によって誘導加熱配設に供給されるDC電圧を測定するために配設および構成された電圧測定装置を含み得る。電圧測定装置は、DC電源によって誘導加熱配設に供給されるDC電圧を決定するために、装置のDC電源に並列接続して配設されてもよい。
【0025】
さらに、制御回路は、決定されたDC電流と決定されたDC電圧との比から、誘導加熱配設の電気コンダクタンスの値を決定するように構成されてもよい。同様に、制御回路は、決定されたDC電圧と決定されたDC電流との比から、誘導加熱配設の電気的(等価)抵抗の値を決定するように構成されてもよい。有利なことに、決定されたDC電流および決定されたDC電圧の両方から誘導加熱配設の電気コンダクタンスまたは電気(等価)抵抗を決定することは、ドリフト、特に加熱配設を駆動するために使用される電力が徐々に減少することを考慮する。典型的には、加熱配設を駆動するために使用される電力は、電池によって提供される。したがって、制御回路は、加熱配設に提供される実際の電力に関係なく、電気コンダクタンスの値を適切に決定し得る。
【0026】
上述のように、エアロゾル発生装置は電源、特に、誘導加熱配設にDC供給電圧およびDC供給電流を提供するように構成されたDC電源を備え得る。電源はリン酸鉄リチウム電池などの電池であることが好ましい。電源は再充電可能であってもよい。電源は、一回以上のユーザー体験のために十分なエネルギーの貯蔵を可能にする容量を有してもよい。例えば、電源は約六分間、または六分の倍数の時間にわたるエアロゾルの連続的な発生を可能にするのに十分な容量を有してもよい。別の実施例では、電源は所定の吸煙回数、または誘導加熱配設の不連続的な起動を可能にするのに十分な容量を有してもよい。
【0027】
一般的に、制御回路は、加熱動作を開始するための、空洞の中へのエアロゾル発生物品の挿入、加熱動作を再び開始することを可能にするための、加熱動作後の空洞からのエアロゾル発生物品の取り出し、または、加熱動作を停止するための、加熱動作中の空洞からのエアロゾル発生物品の取り出し、のうちの少なくとも一つを検出するように構成され得る。
【0028】
第一の場合および第二の場合では、エアロゾル発生装置は、加熱動作になく、特定の物品検出モード、特に、それぞれ、物品挿入検出モードまたは物品取り出し検出モードにある。第三の場合、エアロゾル発生装置は、加熱動作、すなわち、加熱モードにある。それにもかかわらず、加熱モードでは、制御回路は、誘導加熱配設の少なくとも一つの特性の値を決定し、それを所定の閾値と比較することによって、特に、一つ以上の電力パルスに対して決定された誘導加熱配設の少なくとも一つの特性の決定された値が所定の閾値を突破したことを検出することによって、空洞からのエアロゾル発生物品の取り出しを検出することができる場合がある。第一の場合および第二の場合、すなわち、装置が物品検出モード、特に物品挿入検出モードおよび物品取り出し検出モードにある場合、制御回路によって発生される電力パルスは特に、空洞の中へのエアロゾル発生物品の挿入または空洞からのエアロゾル発生物品の取り出しの検出を目的としている。したがって、物品検出モード中、特に物品挿入検出モードおよび物品取り出し検出モードにおいて物品検出のために発生される電力パルスは、プローブ電力パルスとして表示され得る。したがって、制御回路は、プローブ電力パルスを発生するように構成され得る。第三の場合、すなわち、装置が加熱モードにある場合、制御回路によって発生される電力パルスは、パルス加熱によってエアロゾル形成基体を加熱することを目的とし得る。したがって、加熱動作中、特に加熱モード中に発生される電力パルスは、加熱電力パルスとして表示され得る。さらに、加熱動作中、すなわち、加熱モードにおいて、電力パルスは、加熱動作を停止するための、空洞からのエアロゾル発生物品の取り出しに関して装置を監視するのにも使用され得る。すなわち、加熱モード中の電力パルスはまた、誘導加熱配設の少なくとも一つの特性の値を決定し、それを所定の閾値と比較することによって、特に、一つ以上の電力パルスに対して決定された誘導加熱配設の少なくとも一つの特性の決定された値が所定の閾値を突破したことを検出することによって、空洞からのエアロゾル発生物品の取り出しを検出するために使用されてもよい。
【0029】
一般的に、物品挿入検出モードにおける電力パルス、および物品取り出しモードにおける電力パルスは同一であってもよい。また、物品挿入検出モードおよび物品取り出し検出モードにおける電力パルスは、電力パルスの振幅、パルス持続時間、および二つの連続的な電力パルス間の時間間隔などの少なくとも一つの特性によって互いに異なってもよい。同様に、物品挿入/取り出し検出モードにおける電力パルス、および加熱モードにおける電力パルスは同一であってもよい。また、挿入/取り出し検出モードおよび加熱モードにおける電力パルス、すなわち、プローブ電力パルスおよび加熱電力パルスは、電力パルスの振幅、パルス持続時間、および二つの連続的な電力パルス間の時間間隔などの少なくとも一つの特性によって互いに異なってもよい。特に、加熱電力パルスの振幅は、プローブ電力パルスの振幅よりも大きくてもよい。加えて、プローブ電力パルスは、固定のパルスパターン、特に固定の周期性を有してもよい。対照的に、加熱電力パルスは、非固定の、特に、例えば、加熱電力のパルス幅変調の場合、可変パルスパターンを有してもよい。
【0030】
制御回路は、加熱動作中の空洞からの物品の取り出しを検出するのに応答して、誘導加熱配設の加熱動作を無効化するように構成されてもよい。同様に、制御回路は、以前の加熱動作の後、かつ空洞からの物品の取り出しの検出後まで、誘導加熱配設の加熱動作を無効化するように構成されてもよい。有利なことに、これにより、装置のユーザーが、枯渇したエアロゾル発生物品で新たな加熱動作を開始することが防止される。さらに、使用済みエアロゾル発生物品の再加熱は加熱配設への損傷を生じる可能性があるため、安全性が改善され得る。
【0031】
物品の取り出しが検出されると、加熱動作の無効化を停止すべきである。したがって、制御回路は、加熱動作中および加熱動作の無効化後の空洞からの物品の取り出しを検出するのに応答して、誘導加熱配設の加熱動作の起動を有効化するように構成されてもよい。同様に、制御回路は、以前の加熱動作の後、空洞からの物品の取り出しを検出するのに応答して、誘導加熱配設の加熱動作の起動を有効化するように構成されてもよい。
【0032】
一般的に、誘導加熱配設の加熱動作は、手動、すなわち、ユーザー入力によって起動されてもよい。代替的にまたは追加的に、加熱動作の起動は、イベント駆動、すなわち、特定のイベントを検出するのに応答して生じてもよい。制御回路は、空洞の中への物品の挿入を検出するのに応答して、誘導加熱配設の加熱動作を開始するように構成されることが好ましい。有利なことに、これは、さらなるユーザー入力を必要とせずに、空洞の中に物品を挿入するのに伴い加熱動作が自動的に開始するため、ユーザーの利便性を高める。
【0033】
制御回路はさらに、エアロゾル発生装置の動作を検出するための動作センサーを含み得る。有利なことに、動作センサーは、移動について装置を監視すること、およびそれ故に、例えば、ユーザーが空洞からエアロゾル発生物品を取り出すか、または物品を空洞の中に挿入し、それ故に新しいユーザー体験を開始するかを検出することを可能にする場合がある。例として、動作センサーは、装置の角配向または角速度を測定するための加速度計またはジャイロスコープのうちの少なくとも一つを含み得る。すなわち、動作センサーは、特にユーザーが装置を取り扱うことに起因して、エアロゾル発生装置の加速度、角配向、およびまたは角速度の少なくとも一つを検出するように構成され得る。アイドル段階、すなわち、エアロゾル発生装置が使用されていない期間中の不要なパルス発生を回避するために、制御回路は、エアロゾル発生装置の動作の検出のみに応答して、プローブ電力パルスの発生を開始するように構成されてもよい。よって、装置の動作の検出は、ユーザーが装置を使用しようとする場合に物品検出モードをトリガするのに使用される。有利なことに、これは電力を節約することを可能にし、したがって、エアロゾル発生装置の全体的な動作時間を増大させることを可能にする。制御回路は、装置の動作が所定の動作閾値に達する、またはこれを超えるのを検出するのに応答して、(プローブ)電力パルスの発生を開始するように構成されることが好ましい。同様に、制御回路は、装置の動作が所定の動作閾値に達する、またはこれを超えるのを検出した後の所定の時間後に、(プローブ)電力パルスの発生を停止するように構成され得る。制御回路はまた、所定のアイドル時間の間、装置の動作が所定の動作閾値に達しないことを検出するのに応答して、または所定のアイドル時間の間、動作がないことを検出するのに応答して、(プローブ)電力パルスの発生を停止するように構成され得る。有利なことに、この手順はまた、電力消費量を低減し、したがって、装置の全体的な動作時間を増大させるのに役立つ。
【0034】
電力消費量をさらに低減するために、制御回路は、所定のアイドル時間の間、装置の動作が所定の動作閾値に達しないことを検出するのに応答して、または所定のアイドル時間の間、動作がないことを検出するのに応答して、時間単位当たりの(プローブ)電力パルスの数を、例えば、二分の一または三分の一低減するように構成されてもよい。アイドル時間は、10秒~90秒、具体的には15秒~60秒、好ましくは15秒~40秒の範囲内であってもよい。別の構成によれば、制御回路は、所定の第一のアイドル時間の間、装置の動作が所定の加速度閾値に達しないことを検出するのに応答して、または所定の第一のアイドル時間の間、動作がないことを検出するのに応答して、時間単位当たりの(プローブ)電力パルスの数を、例えば、二分の一または三分の一低減し、その後、第一のアイドル時間後に開始する所定の第二のアイドル時間の間、装置の動作が所定の加速度閾値に達しないことを検出するのに応答して、または第一のアイドル時間後に開始する所定の第二のアイドル時間の間、動作がないことを検出するのに応答して、電力パルス、特にプローブ電力パルスの発生を停止するように構成されてもよい。有利なことに、この構成は、さらに電力消費量を低減し、したがって、装置の全体的な動作時間をさらにより増大させる。第一のアイドル時間は、5秒~60秒、特に10秒~30秒、好ましくは15秒~25秒の範囲内であってもよい。同様に、第二のアイドル時間は、10秒~90秒、特に15秒~60秒、好ましくは15秒~30秒の範囲内であってもよい。
【0035】
動作に関して装置を監視することによって物品検出モードをトリガすることに代替的に、または追加的に、物品検出モードはまた、他のイベントによってトリガされてもよい。例えば、物品検出モードは、装置のDC電源を再充電するために使用される電力充電ユニットからエアロゾル発生装置を取り出すことによってトリガされてもよい。この目的のために、制御回路は、電力充電ユニットからのエアロゾル発生装置の取り出しを検出し、電力充電ユニットからのエアロゾル発生装置の取り出しを検出することに応じて、(プローブ)電力パルスの発生を開始するよう構成されてもよい。同様に、制御回路が、電力充電ユニットの中へのエアロゾル発生装置の挿入を検出し、電力充電ユニットの中へのエアロゾル発生装置の挿入を検出するのに応答して、(プローブ)電力パルスの発生を停止するように構成されてもよい。この手順は、物品検出モードを能動的に開始または停止する必要がないため、不要な電力消費を回避しユーザーの利便性を高める。
【0036】
制御回路は、さまざまな条件に従って、例えば、所定の吸煙回数の検出、所定の加熱時間経過の検出、またはユーザー入力の受信のうちの少なくとも一つに応答して、装置の加熱動作を停止するように構成されてもよい。有利なことに、これらの条件のいずれかは、その後、空洞からのエアロゾル発生物品の取り出しの検出を開始し得る。したがって、制御回路は、装置の加熱動作の停止を検出するのに応答して、物品の取り出しを検出するために、電力パルス、特にプローブ電力パルスの発生を開始するように構成され得る。上述のように、この手順はまた、ユーザーの利便性を高める。
【0037】
また、制御回路を、空洞からの物品の取り出しを検出するのに応答して、誘導加熱配設の加熱動作を停止するように構成することも可能である。有利なことに、この構成は、例えば、エアロゾル発生物品が、例えば、所定の加熱時間の満了前、または所定の吸煙回数の満了前、またはユーザー入力の前に、時機を逸して取り出された場合に、加熱動作を中止するのに使用され得る。
【0038】
制御回路は、誘導加熱配設の少なくとも一つの特性の変化の第一の検出後の所定の期間に少なくとも一つの検証電力パルスを発生することによって、および、誘導加熱配設の少なくとも一つの特性の変化を再検出することによって、空洞の中への物品の挿入、または空洞からの物品の取り出しを検証するように構成され得る。
【0039】
誘導加熱配設に断続的に電力供給するための電力パルスを発生するために、制御回路は、DC電源から誘導加熱配設への電力供給を制御するように構成および配設されたスイッチを含んでもよい。このために、加熱動作を開始するための、空洞の中へのエアロゾル発生物品の挿入(物品挿入検出モード)、加熱動作を再び開始することを可能にするための、加熱動作後の空洞からのエアロゾル発生物品の取り出し(物品取り出し検出モード)、または、加熱動作を停止するための、加熱動作中の空洞からのエアロゾル発生物品の取り出し、のうちの少なくとも一つを検出するために、誘導加熱配設に断続的に電力供給するように、スイッチを断続的に開閉してもよい。
【0040】
スイッチはまた、装置の加熱モード中に、エアロゾル形成基体のパルス加熱のための電力パルスを発生するために、誘導加熱配設に電力を断続的に供給するのにも使用され得る。したがって、このモードはパルス加熱モードとして表示されてもよい。このモードでは、電力パルスはまた、加熱動作を停止するための、空洞からのエアロゾル発生物品の取り出しに関して装置を監視するのにも使用され得る。また、エアロゾル発生装置の加熱動作中、スイッチを永久的に閉じて、DC電源から誘導加熱配設にDC電圧を連続的に印加することも可能である。したがって、このモードは、連続加熱モードとして表示されてもよい。連続加熱モードでは、制御回路はまた、誘導加熱配設の少なくとも一つの特性の値を決定し、それを所定の閾値と比較することによって、特に、誘導加熱配設の少なくとも一つの特性の決定された値が所定の閾値を突破したことを検出することによって、空洞からの物品の取り出しを検出することができる場合がある。
【0041】
一般的に、二つの連続的な(プローブ)電力パルス間のパルス持続時間および時間間隔は、エネルギー枯渇の影響とユーザー体験の性能とがバランスするように選択される必要がある。(プローブ)電力パルスは、1マイクロ秒~500マイクロ秒、特に10マイクロ秒~300マイクロ秒、好ましくは15マイクロ秒~120マイクロ秒、最も好ましくは30マイクロ秒~100マイクロ秒の範囲内のパルス持続時間を有してもよい。本明細書で使用される「パルス持続時間」という用語は、加熱配設に電力供給される間、特に、上述したスイッチが閉じられている間の時間間隔を意味する。二つの連続的な(プローブ)電力パルス間の時間間隔は、50ミリ秒~2秒、特に100ミリ秒~2秒、好ましくは500ミリ秒~1秒の範囲内であってもよい。パルス持続時間および二つの連続的な電力パルス間の時間間隔の合計は、ポーリング時間、すなわち、パルスの開始と次のパルスの開始との間の時間の差として表示されてもよい。ポーリング時間は、50ミリ秒~2.5秒、特に51ミリ秒~2.5ミリ秒、より具体的には100ミリ秒~2秒、好ましくは500ミリ秒~1秒の範囲内であってもよい。
【0042】
物品検出のために、(プローブ)電力パルスは、所定の期間の間のみ発生されることが好ましい。所定の期間内に物品の挿入または取り出しが検出されない場合、電力パルスの発生、すなわち上述のように、電力を節約するために物品検出モードを停止してもよい。同様に、物品の挿入または取り出しが所定の期間内に検出される場合、検出モードは、特に、物品の挿入または取り出しの検出に応答して、直ちに停止されてもよい。
【0043】
誘導加熱配設は、高周波の交番磁界を発生するように構成され得る。本明細書において参照される通り、高周波交番磁界は、500kHz(キロヘルツ)~30MHz(メガヘルツ)、特に5MHz(メガヘルツ)~15MHz(メガヘルツ)、好ましくは5MHz(メガヘルツ)~10MHz(メガヘルツ)の範囲内であり得る。
【0044】
交番磁界を発生するために、誘導加熱配設は、DC電源に接続されたDC/ACコンバータを含み得る。DC/ACコンバータは、LCネットワークを含み得る。例えば、DC/ACコンバータは、クラスCの電力増幅器、またはクラスDの電力増幅器、またはクラスEの電力増幅器を含み得る。特に、DC/ACコンバータは、トランジスタスイッチおよびトランジスタスイッチドライバ回路およびLCネットワークを含み得る。LCネットワークは、コンデンサとインダクタの直列接続を含んでもよく、インダクタは、特にサセプタを誘導加熱するため、および物品検出のための交番磁界を空洞内に発生するように構成および配設される。LCネットワークは、トランジスタスイッチに並列な分路コンデンサをさらに含んでもよい。加えて、DC/ACコンバータは、DC供給電圧+V_DCをDC電源に供給するためのチョークインダクタを含んでもよい。
【0045】
サセプタを誘導加熱するための、および物品検出のための交番磁界を空洞内に発生するために使用されるインダクタは、少なくとも一つの誘導コイル、特に単一の誘導コイルまたは複数の誘導コイルを含み得る。誘導コイルの数は、サセプタのサイズおよび/または数に依存し得る。誘導コイルまたは複数の誘導コイルは、エアロゾル発生物品中の一つ以上のサセプタの形状に合致する形状を有してもよい。同様に、誘導コイル(単一または複数)は、エアロゾル発生装置のハウジングの形状に適合する形状を有しうる。少なくとも一つの誘導コイルは、らせん状コイルまたは平坦な平面状コイル、具体的にパンケーキコイルまたは湾曲した平面状コイルであってもよい。少なくとも一つの誘導コイルは、加熱配設のハウジング、または加熱配設を備えるエアロゾル発生装置の主本体またはハウジングのうちの一つ内に保持されることができる。少なくとも一つの誘導コイルは、好ましくは円筒状コイル支持体、例えばフェライトコアの周りに巻かれてもよい。誘導加熱配設は、システムの起動後連続的に、または、毎回の吸煙ごとなど、断続的に交番磁界を発生するように構成されてもよい。
【0046】
制御回路はさらに、エアロゾル発生装置の全体的な動作を制御するように構成されてもよい。制御回路および誘導加熱配設の少なくとも一部は、エアロゾル発生装置の全体的な電気回路の一体型の部品であってもよい。
【0047】
制御回路は、マイクロプロセッサ、例えばプログラマブルマイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、または特定用途向け集積回路チップ(ASIC)もしくは制御を提供する能力を有するその他の電子回路を含み得る。制御回路は、電流電圧変換のためのトランスインピーダンスアンプ、反転信号アンプ、シングルエンドから差動への変換器、アナログデジタルコンバータ、およびマイクロコントローラのうちの少なくとも一つを含み得る。マイクロプロセッサは、誘導加熱配設に断続的に電力供給するための電力パルスを発生するために使用されるスイッチを制御すること、DC電源から誘導加熱配設に供給される電流を測定するために測定装置を読み出すこと、および誘導加熱配設のトランジスタスイッチドライバ回路を制御することのうちの少なくとも一つを行うように構成され得る。制御回路は、エアロゾル発生装置の総合コントローラであってもよく、またはエアロゾル発生装置の総合コントローラの一部であってもよい。制御回路および(インダクタから離れた)誘導加熱配設の少なくとも一部分は、共通のプリント回路基板に配設されてもよい。これは、加熱配設のコンパクト設計に関して特に有利である。
【0048】
受容空洞は挿入用開口部を備えてもよく、これを通してエアロゾル発生物品が受容空洞の中に挿入されてもよい。本明細書で使用される場合、エアロゾル発生物品が挿入される方向は、挿入方向として表示される。挿入方向は、長さ軸、特に受容空洞の中心軸の延長に対応することが好ましい。受容空洞の中への挿入後に、エアロゾル発生物品の少なくとも一部分は依然として、挿入開口部を通して外向きに延びていてもよい。外向きに延びる部分は、ユーザーとの相互作用のために、特にユーザーの口の中へと入れられるために、提供されていることが好ましい。よって、装置の使用中に、挿入開口部は口に近接している場合がある。その結果、本明細書で使用される場合、装置の使用時に挿入開口部に近接するセクション、またはユーザーの口に近接するセクションはそれぞれ、接頭辞「近位」を有して表示される。より遠くに離れて配設されているセクションは、接頭語「遠位」を有して表示される。この慣例に関して、受容空洞は、エアロゾル発生装置の近位部分に配設されてもよく、または位置してもよい。挿入開口部は、エアロゾル発生装置の近位端に、特に受容空洞の近位端に配設されてもよく、または位置してもよい。一般に、受容空洞は、任意の適切な形状を有してもよい。特に、受容空洞の形状は、その中に受容されるエアロゾル発生物品の形状に対応してもよい。好ましくは、受容空洞は、実質的に円筒状の形状またはテーパー付き形状、例えば実質的に円錐状または実質的に円錐台状の形状を有してもよい。
【0049】
エアロゾル発生装置は、空洞からの物品の取り出し、空洞の中への物品の挿入、誘導加熱配設の加熱動作の無効化または有効化、のうちの少なくとも一つの検出を示すための光学的または触覚的表示手段をさらに備えてもよい。有利なことに、こうした表示手段は、使いやすさおよびユーザーの利便性を高め得る。
【0050】
本発明は、本発明により、かつ本明細書に記載したようなエアロゾル発生装置を含むエアロゾル発生システムにさらに関する。システムはさらに、エアロゾル発生物品を備え、物品の少なくとも一部分は、装置の受容空洞の中に取り外し可能に受容可能であり得、または取り外し可能に受容され得る。物品は、少なくとも一つのエアロゾル形成基体と、物品が空洞の中に受容された時に基体を加熱するための誘導加熱式サセプタとを含む。
【0051】
エアロゾル発生物品は、特に単回使用が意図された消耗品であってもよい。エアロゾル発生物品は、たばこ物品であってもよい。特に、物品は、ロッド状の物品、好ましくは従来の紙巻たばこと似ていてもよい円筒状のロッド形状の物品であってもよい。物品は、細長い物品またはロッド状の物品であることが好ましい。細長い物品またはロッド状の物品は、従来の紙巻たばこの形状に似ている形状を有してもよい。エアロゾル発生物品、具体的に細長い物品またはロッド状の物品は、円形状または楕円状または長円形状または正方形状または長方形状または三角形状または多角形状の断面を有してもよい。
【0052】
一例として、エアロゾル発生物品は、ロッド状の物品、特に以下の要素:遠位前方プラグ要素、基体要素、第一の管要素、第二の管要素、およびフィルター要素のうちの一つ以上を備える円筒形物品であってもよい。基体要素は、加熱されるべき少なくとも一つのエアロゾル形成基体と、エアロゾル形成基体と熱的に接触している、または熱的に近接しているサセプタ配設とを備えることが好ましい。基体要素は、10ミリメートル~14ミリメートル、例えば12ミリメートルの長さを有してもよい。第一の管要素は、第二の管要素よりも遠位である。好ましくは、第一の管要素は基体要素の近位であり、第二の管要素は第一の管要素の近位であり、またフィルター要素の遠位であり、すなわち第一の管要素とフィルター要素の間である。第一の管要素および第二の管要素のうちの少なくとも一つは、中央空気通路を備えてもよい。第二の管要素の中央空気通路の断面は、第一の管要素の中央空気通路の断面よりも大きくてもよい。好ましくは、第一の管要素および第二の管要素のうちの少なくとも一つは、中空のセルロースアセテートチューブを備えてもよい。第一の管要素および第二の管要素のうちの少なくとも一つは、6ミリメートル~10ミリメートル、例えば8ミリメートルの長さを有してもよい。フィルター要素は、マウスピースとして、または第二の管要素と一緒にマウスピースの一部として機能することが好ましい。本明細書で使用される「マウスピース」という用語は、エアロゾルが通ってエアロゾル発生物品から出る物品の一部分を指す。フィルター要素は、10ミリメートル~14ミリメートル、例えば12ミリメートルの長さを有してもよい。遠位前方プラグ要素は、基体要素の遠位前方端を覆い、保護するために使用されてもよい。遠位前方プラグ要素は、3ミリメートル~6ミリメートル、例えば5ミリメートルの長さを有してもよい。遠位前方プラグ要素は、フィルター要素と同じ材料で作製されてもよい。前述のすべての要素は、上述の順序で物品の長さ軸に沿って連続的に配設されてもよく、遠位前方プラグ要素は物品の遠位端に配設されていることが好ましく、またフィルター要素は物品の近位端に配設されていることが好ましい。前述の要素の各々は、実質的に円筒状であってもよい。具体的に、すべての要素は、同じ外部断面形状および/または寸法を有してもよい。加えて、要素を一緒に保つために、およびロッド状の物品の所望の断面形状を維持するためになど、要素は一つ以上の外側ラッパーによって取り囲まれてもよい。ラッパーは紙で作製されていることが好ましい。ラッパーは、ラッパーの重なった自由端を相互に接着する接着剤をさらに備えてもよい。例えば、遠位前方プラグ要素、基体要素、および第一の管要素は、第一のラッパーによって取り囲まれてもよく、また第二の管要素およびフィルター要素は、第二のラッパーによって取り囲まれてもよい。第二のラッパーはまた、第一の管要素の少なくとも一部分を(第一のラッパーによって巻かれた後に)取り囲んで、第一のラッパーによって取り囲まれている遠位前方プラグ要素、基体要素、および第一の管要素を、第二の管要素およびフィルター要素に接続してもよい。第二のラッパーは、その円周の周りに穿孔を備えてもよい。
【0053】
本明細書で使用される場合、「エアロゾル形成基体」という用語は、加熱されたときにエアロゾルを形成することができる揮発性化合物を放出する能力を有する基体に関する。エアロゾル形成基体は、固体エアロゾル形成基体、または液体エアロゾル形成基体、またはゲル様エアロゾル形成基体であってもよい。エアロゾル形成基体は、加熱に伴い基体から放出される揮発性のたばこ風味化合物を含有するたばこ含有材料を含んでもよい。別の方法として、または追加的に、エアロゾル形成基体は非たばこ材料を含んでもよい。エアロゾル形成基体はエアロゾル形成体をさらに含んでもよい。適切なエアロゾル形成体の例はグリセリンおよびプロピレングリコールである。エアロゾル形成基体はまた、ニコチンまたは風味付け物質などのその他の添加物および成分を含んでもよい。特に、液体エアロゾル形成基体は水、溶媒、エタノール、植物抽出物、および天然の風味または人工の風味を含んでもよい。エアロゾル形成基体はまた、ペースト様の材料、エアロゾル形成基体を含む多孔性材料のサシェ、または例えばゲル化剤または粘着剤と混合されたばらのたばこであってもよく、これはグリセリンなどの一般的なエアロゾル形成体を含むことができ、その後でプラグへと圧縮または成形される。
【0054】
本明細書で使用される場合、「サセプタ」という用語は、交流電磁場内で誘導加熱される能力を有する材料を含む要素を指す。これは、サセプタ材料の電気的特性および磁気的特性に依存して、サセプタ内で誘導されたヒステリシス損失または渦電流のうちの少なくとも一つの結果であってもよい。
【0055】
サセプタは、様々な幾何学的構成を含み得る。サセプタは、粒子状サセプタ、またはサセプタフィラメント、またはサセプタメッシュ、またはサセプタウィック、またはサセプタピン、またはサセプタロッド、またはサセプタブレード、またはサセプタ細片、またはサセプタスリーブ、またはサセプタカップ、または円筒状サセプタ、または平面サセプタのうちの一つであり得る。例えば、サセプタは、8mm(ミリメートル)~16mm(ミリメートル)、特に10mm(ミリメートル)~14mm(ミリメートル)、好ましくは12mm(ミリメートル)の範囲の長さを有する、細長いサセプタ細片であり得る。サセプタ細片の幅は、例えば、2mm(ミリメートル)~6mm(ミリメートル)、特に4mm(ミリメートル)~5mm(ミリメートル)の範囲であってもよい。サセプタ細片の厚さは、好ましくは0.03mm(ミリメートル)~0.15mm(ミリメートル)、より好ましくは0.05mm(ミリメートル)~0.09mm(ミリメートル)の範囲である。
【0056】
サセプタは、多層サセプタ、例えば、多層サセプタ細片であってもよい。特に、多層サセプタプは、第一のサセプタ材料および第二のサセプタ材料を含んでもよい。第一のサセプタ材料は、熱損失に関して、またそれゆえに加熱効率に関して最適化されていることが好ましい。例えば、第一のサセプタ材料はアルミニウムであってもよく、またはステンレス鋼などの鉄材料であってよい。対照的に、第二のサセプタ材料は温度マーカーとして使用されることが好ましい。このために、第二のサセプタ材料は、サセプタ組立品の所定の加熱温度に対応するキュリー温度を有するように選ばれる。そのキュリー温度にて、第二のサセプタの磁性は強磁性から常磁性に変化し、その電気抵抗の一時的な変化が伴う。それ故に、誘導源によって吸収された電流の対応する変化を監視することによって、第二のサセプタ材料がそのキュリー温度に達した時に、およびそれ故に、所定の加熱温度に達した時に、その変化を検知することができる。第二のサセプタ材料はエアロゾル形成基体の発火点より低いキュリー温度を有し、これは摂氏500度より低いことが好ましい。第二のサセプタ材料のために好適な材料は、ニッケルおよびある特定のニッケル合金を含んでもよい。
【0057】
本発明によるエアロゾル発生システムおよびエアロゾル発生物品のさらなる特徴および利点は、本発明によるエアロゾル発生装置に関してすでに上述されており、等しく適用される。
【0058】
本発明はさらに、本発明によるエアロゾル発生システムの、または本発明によるエアロゾル発生装置で使用するためのエアロゾル発生物品に関する。エアロゾル発生物品は、エアロゾル形成基体、および基体を加熱するための誘導加熱式サセプタを備える。エアロゾル発生物品のさらなる特徴および利点は、本発明によるエアロゾル発生装置およびエアロゾル発生システムに関してすでに上述されており、等しく適用される。
【0059】
本発明はさらに、誘導加熱式サセプタを有するエアロゾル発生物品が、エアロゾル発生装置の空洞内に存在するか、または空洞に存在しないかを検出するための方法に関し、装置は、物品の少なくとも一部分を取り外し可能に受容するための空洞、物品が空洞内に受容された時に、物品のサセプタを誘導加熱するための交番磁界を空洞内に発生するように構成された誘導加熱配設を備える。エアロゾル発生装置は、本発明による、および本明細書に記載のエアロゾル発生装置であることが好ましい。方法は:
【0060】
-誘導加熱配設の一つ以上の電力パルス中に、誘導加熱配設の少なくとも一つの特性の値 を決定することであって、値が、空洞内に存在するか、または空洞に存在しないサセプタを有する物品に応じる、決定することと、
【0061】
-決定された値および所定の閾値に基づいて、特に、決定された値と所定の閾値との比較に基づいて、より具体的には、決定された値が所定の閾値を突破したことに応答して、空洞の中への物品の挿入または空洞からの物品の取り出しのうちの少なくとも一つを検出することと、を含む。
【0062】
装置に関して上述したように、所定の閾値は、サセプタを含むエアロゾル発生物品が空洞に存在しないか、または空洞内に存在する時、事前に決定された誘導加熱配設の少なくとも一つの特性の基準値の所定の関数である。特に、所定の閾値は、誘導加熱配設の少なくとも一つの特性の基準値-サセプタを含むエアロゾル発生物品が空洞に存在しないか、または空洞内に存在する時事前に決定された-に、所定のスケール因子を掛けて対応してもよい。所定のスケール因子は、0.8~0.98、特に0.9~0.95、より具体的には0.92~0.94の範囲内であるか、または所定のスケール因子は、1.02~1.2、特に1.05~1.1、より具体的には1.06~1.08の範囲内である。同様に、所定の閾値は、誘導加熱配設の少なくとも一つの特性の基準値-サセプタを含むエアロゾル発生物品が空洞に存在しないか、または空洞内に存在する時事前に決定された-に、所定のオフセット値をプラスまたはマイナスして対応し得る。オフセット値は、誘導加熱配設の少なくとも一つの特性の所定の基準値の2パーセント~20パーセント、特に5パーセント~10パーセント、より具体的には6パーセント~8パーセントの範囲内であってもよい。
【0063】
好ましくは、誘導加熱配設の少なくとも一つの特性の基準値は、最初に事前に決定され、装置の製造中にエアロゾル発生装置内に保存されてもよい。
【0064】
また、装置に関して上述したように、基準値および閾値は、加熱配設の電気パラメータのドリフトを受け得る。したがって、方法は、エアロゾル発生装置の寿命中に、誘導加熱配設の少なくとも一つの特性の基準値を所定の規則的な間隔で更新することをさらに含み得る。特に、誘導加熱配設の少なくとも一つの特性の基準値の更新は、サセプタを含むエアロゾル発生物品が空洞に存在しない時に、十回毎、特に五回毎、より具体的には二回毎に、好ましくはユーザー体験の後に毎回発生してもよい。誘導加熱配設の少なくとも一つの特性の基準値を更新することは、サセプタを含むエアロゾル発生物品が空洞に存在しないか、または空洞内に存在する時に、一つ以上の電力パルス中に誘導加熱配設の少なくとも一つの特性を再決定することと、装置内に再決定値を更新された基準値として保存することと、を含み得る。
【0065】
本発明による方法のさらなる特徴および利点は、本発明によるエアロゾル発生装置およびエアロゾル発生システムに関してすでに上述されており、等しく適用される。
【0066】
本発明は特許請求の範囲に定義されている。しかしながら、以下に非限定的な実施例の非網羅的なリストを提供している。これらの実施例の任意の一つ以上の特徴は、本明細書に記載される別の実施例、実施形態、または態様の任意の一つ以上の特徴と組み合わせられてもよい。
【0067】
実施例1:
加熱された時に吸入可能なエアロゾルを形成する能力を有するエアロゾル形成基体を加熱するためのエアロゾル発生装置であって、
実施例2:
-エアロゾル発生物品の少なくとも一部分を取り外し可能に受容するための空洞であって、物品が、エアロゾル形成基体および基体を加熱するための誘導加熱式サセプタを含む、空洞と、
-物品が空洞の中に受容された時に、物品のサセプタを誘導加熱するための交番磁界を空洞内に発生するように構成された、誘導加熱配設と、
-誘導加熱配設に断続的に電力供給するための電力パルスを発生し、一つ以上の電力パルス中に、空洞内に存在する、または空洞に存在しないサセプタを有する物品に応じて異なる値を有する誘導加熱配設の少なくとも一つの特性の値を決定し、決定された値および所定の閾値、特に、決定された値と所定の閾値との比較に基づいて、空洞の中への物品の挿入または空洞からの物品の取り出しのうちの少なくとも一つを検出するように構成された制御回路と、を備える、エアロゾル発生装置。
実施例1a:
加熱された時に吸入可能なエアロゾルを形成する能力を有するエアロゾル形成基体を加熱するためのエアロゾル発生装置であって、
-エアロゾル発生物品の少なくとも一部分を取り外し可能に受容するための空洞であって、物品が、エアロゾル形成基体および基体を加熱するための誘導加熱式サセプタを含む、空洞と、
-物品が空洞の中に受容された時に、物品のサセプタを誘導加熱するための交番磁界を空洞内に発生するように構成された、誘導加熱配設と、
-誘導加熱配設に断続的に電力供給するために、電力パルスを発生し、一つ以上の電力パルス中に、空洞内に存在する、または空洞に存在しないサセプタを有する物品に応じて異なる値を有する誘導加熱配設の少なくとも一つの特性の値を決定し、決定された値が所定の閾値を突破したことに応答して、空洞の中への物品の挿入または空洞からの物品の取り出しのうちの少なくとも一つを検出するように構成された、制御回路と、を備える、エアロゾル発生装置。
実施例3:
所定の閾値が、サセプタを含むエアロゾル発生物品が空洞に存在しないか、または空洞内に存在する時事前に決定された誘導加熱配設の少なくとも一つの特性の基準値の所定の関数である、実施例1または実施例1aに記載のエアロゾル発生装置。
実施例4:
所定の閾値が、誘導加熱配設の少なくとも一つの特性の基準値-サセプタを含むエアロゾル発生物品が空洞に存在しないか、または空洞内に存在する時事前に決定された-に、所定のスケール因子を掛けて対応する、実施例1または2のいずれか一つに記載のエアロゾル発生装置。
実施例5:
所定のスケール因子が、0.8~0.98、特に0.9~0.95、より具体的には0.92~0.94の範囲内であるか、または所定のスケール因子が、1.02~1.2、特に1.05~1.1、より具体的には1.06~1.08の範囲内である、実施例3に記載のエアロゾル発生装置。
実施例6:
所定の閾値が、誘導加熱配設の少なくとも一つの特性の基準値-サセプタを含むエアロゾル発生物品が空洞に存在しないか、または空洞内に存在する時事前に決定された-に、所定のオフセット値をプラスまたはマイナスして対応する、実施例1、実施例1a、または実施例2のいずれか一つに記載のエアロゾル発生装置。
実施例7:
オフセット値が、誘導加熱配設の少なくとも一つの特性の所定の基準値の2パーセント~20パーセント、特に5パーセント~10パーセント、より具体的には6パーセント~8パーセントの範囲内である、実施例5に記載のエアロゾル発生装置。
実施例8:
誘導加熱配設の少なくとも一つの特性の基準値が、エアロゾル発生装置の製造中に、事前に決定され、制御回路に保存される、実施例1~6のいずれか一つに記載のエアロゾル発生装置。
実施例9:
誘導加熱配設の少なくとも一つの特性の基準値が、エアロゾル発生装置の寿命中に所定の規則的な間隔で更新される、実施例1~7のいずれか一つに記載のエアロゾル発生装置。
実施例10:
誘導加熱配設の少なくとも一つの特性の基準値が、サセプタを含むエアロゾル発生物品が空洞に存在しない時に、十回毎、特に五回毎、より具体的には二回毎に、好ましくはユーザー体験の後に毎回更新される、実施例8に記載のエアロゾル発生装置。
実施例11:
誘導加熱配設の少なくとも一つの特性の基準値が、サセプタを含むエアロゾル発生物品が空洞に存在しないか、または空洞内に存在する時、一つ以上の電力パルス中に誘導加熱配設の少なくとも一つの特性を再決定することによって、および制御回路内に再決定された値を更新された基準値として保存することによって更新される、実施例8または実施例9のいずれか一つに記載のエアロゾル発生装置。
実施例12:
誘導加熱配設の少なくとも一つの特性が、誘導加熱配設の電流、電圧、電気抵抗、電気コンダクタンス、周波数、位相シフト、磁束、およびインダクタンスのうちの一つである、実施例1~10のいずれか一つに記載のエアロゾル発生装置。
実施例13:
制御回路が、誘導加熱配設の少なくとも一つの特性を示す電流および電圧の少なくとも一つを測定するための測定装置を含む、実施例1~11のいずれか一つに記載のエアロゾル発生装置。
実施例14:
制御回路が、装置のDC電源から誘導加熱配設によって引き出されるDC電流を決定するための電流測定装置と、DC電源によって誘導加熱配設に供給されるDC電圧を決定するための電圧測定装置とを備え、制御回路が、決定されたDC電流と決定されたDC電圧との比から、誘導加熱配設の電気コンダクタンスの値を決定するように構成される、実施例1~12のいずれか一つに記載のエアロゾル発生装置。
実施例15:
物品の少なくとも一部分が、装置の受容空洞内に取り外し可能に受容可能であり、または取り外し可能に受容され、物品が、物品が空洞内に受容された時に、エアロゾル形成基体と、基体を加熱するための誘導加熱式サセプタとを備える、実施例1~13のいずれか一つに記載のエアロゾル発生装置、および装置とともに使用するためのエアロゾル発生物品を備える、エアロゾル発生システム。
実施例16:
誘導加熱式サセプタを有するエアロゾル発生物品がエアロゾル発生装置の空洞内に存在するか、または空洞に存在しないかを検出するための方法であって、装置が、物品の少なくとも一部分を取り外し可能に受容するための空洞と、物品が空洞内に受容された時に、物品のサセプタを誘導加熱するための交番磁界を空洞内に発生するように構成された誘導加熱配設とを備え、方法が、
- 誘導加熱配設の一つ以上の電力パルス中に、誘導加熱配設の少なくとも一つの特性の値を決定することであって、値が、空洞内に存在するか、または空洞に存在しないサセプタを有する物品に依存する、決定することと、
- 決定された値および所定の閾値に基づいて、特に決定された値と所定の閾値との比較に基づいて、空洞の中への物品の挿入または空洞からの物品の取り出しのうちの少なくとも一つを検出することと、を含む、方法。
実施例15a:
誘導加熱式サセプタを有するエアロゾル発生物品がエアロゾル発生装置の空洞内に存在するか、または空洞に存在しないかを検出するための方法であって、装置が、物品の少なくとも一部分を取り外し可能に受容するための空洞と、物品が空洞内に受容された時に、物品のサセプタを誘導加熱するための交番磁界を空洞内に発生するように構成された誘導加熱配設とを備え、方法が、
-誘導加熱配設の一つ以上の電力パルス中に、誘導加熱配設の少なくとも一つの特性の値を決定することであって、値が、空洞内に存在するか、または空洞に存在しないサセプタを有する物品に依存する、決定することと、
-決定された値が所定の閾値を突破したことに応答して、空洞の中への物品の挿入、または空洞からの物品の取り出しのうちの少なくとも一つを検出することと、を含む、方法。
実施例17:
所定の閾値が、サセプタを含むエアロゾル発生物品が空洞に存在しないか、または空洞内に存在する時事前に決定された誘導加熱配設の少なくとも一つの特性の基準値の所定の関数である、実施例15または実施例15aに記載の方法。
実施例16a:
誘導加熱配設の少なくとも一つの特性の基準値を、エアロゾル発生装置の寿命中に所定の規則的な間隔で更新することをさらに含む、実施例16に記載の方法。
実施例18:
誘導加熱配設の少なくとも一つの特性の基準値を更新することが、サセプタを含むエアロゾル発生物品が空洞に存在しない時に、十回毎、特に五回毎、より具体的には二回毎に、好ましくはユーザー体験の後に毎回発生する、実施例16aに記載の方法。
実施例19:
誘導加熱配設の少なくとも一つの特性の基準値を更新することが、サセプタを含むエアロゾル発生物品が空洞に存在しないか、または空洞内に存在する時、一つ以上の電力パルス中に誘導加熱配設の少なくとも一つの特性を再決定することと、装置内に再決定された値を更新された基準値として保存することと、を含む、実施例16aまたは実施例17に記載の方法。
実施例20:
所定の閾値が、誘導加熱配設の少なくとも一つの特性の基準値-サセプタを含むエアロゾル発生物品が空洞に存在しないか、または空洞内に存在する時事前に決定された-に、所定のスケール因子を掛けて対応する、実施例15~18のいずれかに記載の方法。
実施例21:
所定のスケール因子が、0.8~0.98、特に0.9~0.95、より具体的には0.92~0.94の範囲内であるか、または所定のスケール因子が、1.02~1.2、特に1.05~1.1、より具体的には1.06~1.08の範囲内である、実施例19に記載の方法。
実施例22:
所定の閾値が、誘導加熱配設の少なくとも一つの特性の基準値-サセプタを含むエアロゾル発生物品が空洞に存在しないか、または空洞内に存在する時事前に決定された-に、所定のオフセット値をプラスまたはマイナスして対応する、実施例15~18のいずれかに記載の方法。
実施例23:
オフセット値が、誘導加熱配設の少なくとも一つの特性の所定の基準値の2パーセント~20パーセント、特に5パーセント~10パーセント、より具体的には6パーセント~8パーセントの範囲内である、実施例21に記載の方法。
ここで、以下の図を参照しながら実施例をさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【
図1】
図1は、エアロゾル発生装置および装置で使用するためのエアロゾル発生物品を含む、本発明によるエアロゾル発生システムの例示的な実施形態を概略的に示す。
【
図2】
図2は、エアロゾル発生装置および装置で使用するためのエアロゾル発生物品を含む、本発明によるエアロゾル発生システムの例示的な実施形態を概略的に示す。
【
図3】
図3は、
図1および2によるエアロゾル発生装置の誘導加熱配設を概略的に示す。
【
図4】
図4は、本発明による方法の動作詳細を概略的に示す。
【
図5】
図5は、本発明による方法の動作詳細を概略的に示す。
【
図6】
図6は、その寿命中の
図1および
図2に示す加熱配設のコンダクタンスのドリフトを概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0069】
図1および
図2は、エアロゾル形成基体を加熱することによって吸入可能なエアロゾルを発生させるのに使用される、本発明によるエアロゾル発生システム1の例示的な実施形態を概略的に示す。システム1は、加熱されるエアロゾル形成基体21を含むエアロゾル発生物品10と、物品10を装置100と係合させるのに伴い基体を加熱するためのエアロゾル発生装置100とを備える。
図1で特に分かるように、エアロゾル発生物品10は、従来の紙巻きたばこの形状に似た実質的にロッド形状を有する。本実施形態では、物品10は、同軸整列で連続的に配設された五つの要素:遠位前方プラグ要素50、基体要素20、第一の管要素40、第二の管要素45、およびフィルター要素60を備える。遠位前方プラグ要素50は、物品10の遠位端に配設されていて、基体要素20の遠位前方端を覆い、保護し、一方フィルター要素60は、物品10の近位端に配設されている。遠位前方プラグ要素50とフィルター要素60の両方は、同じフィルター材料で作製されてもよい。フィルター要素60は、マウスピースとして、好ましくは第二の管要素45と一緒にマウスピースの一部として機能することが好ましい。フィルター要素は、10ミリメートル~14ミリメートル、例えば12ミリメートルの長さを有してもよく、一方遠位前方プラグ要素50は、3ミリメートル~6ミリメートル、例えば5ミリメートルの長さを有してもよい。基体要素20は、加熱されるエアロゾル形成基体21と、交番磁界に曝露されている時に基体21を加熱するように構成され、かつ配設されているサセプタ30とを備える。サセプタ配設30は、基体21と熱的に直接接触するように、基体21の中に完全に埋め込まれている。基体要素20は、10ミリメートル~14ミリメートル、例えば12ミリメートルの長さを有してもよい。第一の管要素40および第二の管要素45の一つずつは、中央空気通路41、46を有する中空セルロースアセテート管であり、第二の管要素45の中央空気通路46の断面は、第一の管要素40の中央空気通路41の断面よりも大きい。第一の管要素40および第二の管要素14は、6ミリメートル~10ミリメートル、例えば8ミリメートルの長さを有してもよい。
【0070】
使用時に、基体要素20から放出される揮発性化合物によって形成されたエアロゾルは、第一の管要素40と第二の管要素45およびフィルター要素60を通して、物品10の近位端に向かって引き出される。前述の要素50、20、40、45、60の各々は、実質的に円筒状であってもよい。具体的に、すべての要素50、20、40、45、60は、同じ外部断面形状および寸法を有してもよい。加えて、要素を一緒に保つために、およびロッド状の物品の所望の断面形状を維持するためになど、要素は一つ以上の外側ラッパーによって取り囲まれてもよい。本実施形態において、遠位前方プラグ要素50、基体要素20、および第一の管要素40は、第一のラッパー71によって取り囲まれていて、一方第二の管要素45およびフィルター要素60は、第二のラッパー72によって取り囲まれている。第二のラッパー72はまた、第一の管要素40の少なくとも一部分を(第一のラッパー71によって巻かれた後に)取り囲んで、(第一のラッパー71によって取り囲まれている)遠位前方プラグ要素50、基体要素20、および第一の管要素40を第二の管要素45およびフィルター要素60に接続する。第一のラッパー71および第二のラッパー72は、紙で作製されていることが好ましい。加えて、第二のラッパー72は、その円周の周りに穿孔を備えてもよい(図示せず)。ラッパー71、72は、ラッパーの重複した自由端を相互に接着する接着剤をさらに備えてもよい。
【0071】
細長いエアロゾル発生装置100は基本的に、近位部分102および遠位部分101の二つの部分を有する。近位部分102内で、装置100は、エアロゾル発生物品10の少なくとも一部分を取り外し可能に受容するための空洞103を備える。遠位部分101内で、装置100は、装置100に電力供給し、かつその動作を制御するための電源150とコントローラ160とを備える。基体を加熱するために、装置100は、交番磁界、特に高周波磁界を空洞103内に発生させるための誘導コイル118を含む、誘導加熱配設110を備える。本実施形態では、誘導コイル118は、円筒状の受容空洞103を円周方向に包囲するように、装置の近位部分102内に配設されたらせん状コイルである。コイル118は、エアロゾル発生物品10のサセプタ30が、物品10を装置100と係合させるときに電磁場を経験するように配設される。交番磁界は、物品10が空洞103の中に受容された時に、エアロゾル発生物品10内のサセプタ30を誘導的に加熱するために使用される。したがって、物品10を装置100の空洞103の中に挿入して(
図2を参照)加熱配設110を起動させるのに伴い、空洞103内の交番電磁場は、サセプタ材料の磁気的および電気的特性に応じて、サセプタ30の渦電流および/またはヒステリシス損失を誘発する。結果として、サセプタ30は、物品10内でサセプタ30を取り囲むエアロゾル形成基体21を気化するのに十分な動作温度に達するまで加熱される。システムの使用において、ユーザーが吸煙をする、すなわち、陰圧が物品10のフィルター要素60に印加されると、装置100の物品挿入開口部105のリムで空気が空洞103内に引き込まれる。気流は、円筒状の空洞103の内表面と物品10の外表面との間に形成される通路を通って、空洞103の遠位端に向かってさらに延びる。空洞103の遠位端において、気流は、基体要素20を通してエアロゾル発生物品10に入り、そしてさらに、第一の管要素40、第二の管要素45、およびフィルター要素60を通過し、最終的に物品10を出る。基体要素20では、エアロゾル形成基体21からの気化した材料が気流の中へと同伴される。その後、第一の管要素40、第二の管要素45、およびフィルター要素60を通過する時、気化した材料を含む気流は、フィルター要素60を通って物品10を抜け出るエアロゾルを形成するように冷却される。
【0072】
図3は、交番磁界を空洞103内に発生するのに使用される誘導加熱配設110のさらなる詳細を示す。本実施形態によれば、誘導加熱配設110は、
図1および2に示すDC電源150に接続されたDC/ACインバータを備える。DC/ACインバータは、クラスEの電力増幅器を含み、これは、以下の構成要素、電界効果トランジスタT(FET)、例えば、金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)を含むトランジスタスイッチ111と、切換信号(ゲート・ソース間電圧)をトランジスタスイッチ111に供給するための矢印112で示したトランジスタスイッチ供給回路と、分路コンデンサC1、およびコンデンサC2とインダクタL2の直列接続を含むLC負荷ネットワーク113とを含む。インダクタL2は、交番磁界を空洞103内に発生するために使用される
図1および2に示す誘導コイル118に対応する。加えて、DC供給電圧+V_DCをDC電源150に供給するためのチョークL1が提供されている。同じく
図3に示すように、システムの使用時、すなわち、物品が装置100の空洞103の中に挿入された時の総等価抵抗または総抵抗負荷114を表すオーム抵抗Rは、L2でマークされたインダクタコイル118のオーム抵抗とサセプタのオーム抵抗の合計である。そうでない場合、空洞103の中に物品が挿入されない場合、等価抵抗または抵抗負荷114は、インダクタコイル118のオーム抵抗のみに対応する。
【0073】
様々な目的のために、特に、加熱プロセスを自動的に有効化または無効化するため、および/またはユーザーが枯渇したエアロゾル発生物品を再加熱することを防止するために、受容空洞103の中へのエアロゾル発生物品の挿入および受容空洞103からのエアロゾル発生物品の取り出しのうちの少なくとも一つを検出することが望ましい場合がある。このために、本実施形態によるエアロゾル発生装置は、物品挿入検出モードまたは物品取り出し検出モードのうちの少なくとも一つで動作し得る。
【0074】
本発明によれば、空洞103への物品10の挿入および/または取り出しの検出は、加熱配設110を介して実現される。有利なことに、これにより、別個のセンサー手段のための追加の組立空間が回避される。基本的な考えは、誘導加熱配設110の少なくとも一つの特性の値を決定し、サセプタ30が空洞103内に存在するか、または存在しない物品10に応じた値が、決定された値および所定の閾値に基づいて、特に決定された値が所定の閾値を突破したことに応答して、空洞103の中への物品10の挿入、または空洞103からの物品10の取り出しのうちの少なくとも一つを検出することである。本実施形態では、受容空洞103内の物品10の存在または不在を示す誘導加熱配設の特性として使用されるのは加熱配設110の電気コンダクタンスである。先に説明したように、加熱配設110の電気コンダクタンスの値は、加熱配設110の総等価抵抗または総抵抗負荷114の逆数であり、両方が誘導コイル118の近くにおけるサセプタ30の存在または不在に依存する。物品が装置100の空洞103の中へと挿入された場合、総等価抵抗は、インダクタコイル118のオーム抵抗とサセプタ30のオーム抵抗の合計に対応する。対称的に、物品が空洞103内に受容されない場合、等価抵抗は、インダクタコイル118のオーム抵抗のみに対応する。等価抵抗のこの変化は、加熱配設110の電気コンダクタンスの対応する逆の変化を伴う。したがって、エアロゾル発生物品10がエアロゾル発生装置100の空洞103の中へと挿入されると、サセプタ30の存在により、抵抗負荷114の増大に起因して加熱配設110のコンダクタンスが減少する。その逆で、エアロゾル発生物品10が空洞103から取り出されると、サセプタ30の不在により、抵抗負荷114の低減に起因して加熱配設110のコンダクタンスが増大する。
【0075】
加熱配設110の電気コンダクタンスは、DC電源150から誘導加熱配設110、すなわちLC負荷ネットワーク113に提供されるDC電圧V_DCおよびDC電流I_DCを介して検出することができる。このために、エアロゾル発生装置100は、DC電源150とLC負荷ネットワーク113との間に直列接続された電流測定装置140と、DC電源150に並列接続された電圧測定装置145を備える。電流測定装置140および電圧測定装置145は両方とも、エアロゾル発生装置100の全体的なコントローラであってもよく、またはその一部であってもよい制御回路の一部である。制御回路は、決定されたDC電流と決定されたDC電圧との比から、誘導加熱配設110の電気コンダクタンスの値を決定するように構成される。
【0076】
エアロゾル発生装置100が物品検出モード(例えば、物品挿入検出モードまたは物品取り出し検出モードのいずれか)にある場合、全体的な電力消費量を低減するために、加熱組立品110は連続モードでは動作されず、パルスモードで動作される。このため、エアロゾル発生装置100は、DC電源150から誘導加熱配設110への電力供給を制御するように配設および構成されたスイッチ130を備える。本実施形態では、スイッチ130は、DC電源150とLC負荷ネットワーク113との間に直列接続で配設される。物品検出モード中、誘導加熱配設130に断続的に電力供給するための電力パルスを発生するように、スイッチは断続的に開閉される。対照的に、エアロゾル発生装置100の加熱モード中、スイッチ130を永久的に閉じて、DC電源から誘導加熱配設110にDC電圧を連続的に印加してもよい。また、エアロゾル形成基体のパルス加熱のための加熱電力パルスを発生するように、エアロゾル発生装置の加熱モード中にスイッチが断続的に開閉されてもよい。したがって、このモードはパルス加熱モードとして表示されてもよい。
【0077】
図3に示すように、制御回路のマイクロプロセッサ160は、誘導加熱配設110に断続的に電力供給するための電力パルスを発生するために、スイッチ130を制御するために使用される。マイクロプロセッサ160はまた、誘導加熱配設110のトランジスタスイッチドライバ回路112を制御し、決定されたDC電流と決定されたDC電圧との比から誘導加熱配設110の電気コンダクタンスの値を決定するために、電流測定装置140および電圧測定装置145を読み取るように構成される。物品の挿入/取り出し検出モードでは、マイクロプロセッサ160は、所定の閉時間間隔の間スイッチ130を閉じることによってスイッチ130の駆動を開始し、それによって閉時間間隔に対応するパルス持続時間T1を有する電力パルスを発生する。パルス持続時間T1は、1マイクロ秒~500マイクロ秒、特に10マイクロ秒~300マイクロ秒、好ましくは15マイクロ秒~120マイクロ秒、最も好ましくは30マイクロ秒~100マイクロ秒の範囲内であってもよい。閉時間間隔の終了時に、マイクロプロセッサ160は、所定の開時間間隔の間スイッチ130を再び開き、それによって加熱配設への電流の通過を中断する。開時間間隔は、二つの連続的な電力パルス間の時間間隔に対応し、これは、物品検出について、50ミリ秒~2秒、特に100ミリ秒~2秒、好ましくは500ミリ秒~1秒の範囲内であってもよい。スイッチ130の開閉は、誘導加熱配設110に定期的に電力供給するために周期的な電力パルスを発生するように、規則的な時間間隔で発生し得る。したがって、閉時間間隔および開時間間隔の合計、またはパルス持続時間および二つの連続的な電力パルス間の時間間隔の合計は、一連のパルスの周期性に対応する。一般的に、二つの連続的なプローブ電力パルス間の時間間隔T2は、エネルギー枯渇の影響とユーザー体験の性能とがバランスするように選択される必要がある。パルス持続時間T1は、コンダクタンスの信頼性の高い測定を提供するために、可能な限り短時間である必要がある。
【0078】
図4は、時間tにわたる一連の電力パルスに対して決定されたコンダクタンスGの変化を示すグラフである。本実施形態では、一連の電力パルスは、100マイクロ秒のパルス持続時間T1、および1秒の二つの連続的な電力パルス間の時間間隔T2で発生される。当然のことながら、これらの値は例示に過ぎず、変化し得る。エアロゾル発生物品が挿入されていない限り、制御回路は、各パルスについて、決定されたDC電流と決定されたDC電圧との比から、値G_NAを有するコンダクタンスを決定する(「NA」は「物品なし」を表す)。上述のように、コンダクタンスG_NAの値は、物品が存在しない場合のオーム負荷114の関数、すなわち、基本的にインダクタL2のオーム抵抗のみに依存する関数である。対照的に、ユーザーがエアロゾル発生物品を空洞103の中へと挿入すると、オーム負荷がインダクタL2のオーム抵抗およびサセプタ21のオーム抵抗に等しいため、オーム負荷114が増大する。オーム負荷の増大に起因して、加熱配設110のコンダクタンスは、G_NAよりも低いG_Aの値(「A」は「挿入された物品」を意味する)まで減少する。
【0079】
しかし、コンダクタンスの変化を検出する代わりに、本発明は、空洞103内に存在する物品10と、空洞103に存在しない物品とを明確に区別することを可能にするために、値G_NAとG_Aとの間にあるように選択される所定の閾値とコンダクタンスの決定された値Gを比較することを提案する。すなわち、制御回路は、コンダクタンスの決定された値G(各電力パルスに対して決定される)が所定の閾値G_閾値を突破することに応答して、空洞103の中への物品10の挿入、または空洞103からの物品10の取り出しを検出するように構成される。有利なことに、コンダクタンスの値Gを決定し、それを、即時測定に由来しない所定の閾値G_閾値と比較すると、物品検出の信頼性がより高くなる。特に、この手順は、例えば、徐々にまたは部分的にのみ、物品が空洞の中へと挿入される、および空洞から取り出される時などの、エアロゾル発生物品の挿入または取り出しの望ましくない偽陽性または偽陰性の検出を回避する。一旦検出されると、所定の閾値G_閾値の突破は、加熱モードの開始をトリガし得る。
【0080】
図4は、物品挿入検出モードのみを示すが、
図5は、物品挿入検出モード(
図5の左半分を参照)中、ならびに物品取り出し検出モード(
図5の右半分を参照)中の両方の、コンダクタンスの変化を示す。物品挿入検出モードについては、
図4の上記説明を参照する。物品取り出し検出モード中のコンダクタンスの変化は逆になる。すなわち、物品取り出し検出モード中、制御回路は、エアロゾル発生物品10がなおも空洞103の中に受容されているかぎり、各パルスに対するG_Aの値を有するコンダクタンスを決定する。物品10が空洞103から取り出されるとすぐに、オーム負荷114が低減し、加熱組立品のコンダクタンスが増大する。したがって、制御回路は、所定の閾値G_閾値を超える値G_NAを有するコンダクタンスを決定し、それ故に空洞103からの物品10の取り出しまたは不在を示す。
【0081】
一般に、所定の閾値は、エアロゾル発生物品が空洞に存在しない時に(事前に)決定される誘導加熱配設の特性の基準値の所定の関数であってもよい。本実施形態では、閾値G_閾値は、物品10が空洞103に存在しない時に(事前に)決定されるコンダクタンスの基準値G_refの線形関数である。例えば、基準値G_refよりも6パーセント小さい閾値G_閾値は、空洞103内に存在する物品10と、空洞103に存在しない物品とを明確に区別するのに適切であることが見出された。したがって、この特定の実施例の基準値G_refからの閾値G_閾値の依存性を記述する線形関数は、G_閾値=0.94×G_ref 言い換えれば、閾値G_閾値は、物品10が空洞103に存在しない時に(事前に)決定されるコンダクタンスの基準値G_refから、基準値G_refの6パーセントのオフセットを引いた値に対応する。
【0082】
コンダクタンスの基準値G_refは、エアロゾル発生装置100の製造中に予め決定され、制御回路に保存されることが好ましい。このため、装置100は、例えば、物品10が空洞103内に存在することなく、製造状態で較正されてもよい。較正は、制御回路が誘導加熱配設110に断続的に電力供給するための一つ以上のパルスを発生するように、装置100を動作させることによって達成されてもよい。一つ以上のパルスの間、制御回路は、空洞に存在しない物品のコンダクタンスの基準値G_refを定義するコンダクタンスの値を決定する。この基準値G_refは、制御回路に記憶された所定の関数に基づいて閾値G_閾値を決定するために使用される。こうして決定された閾値G_閾値は次に、コンダクタンスの値との比較のために、通常のユーザー操作中に後で利用可能となるように、装置に保存されうる。
【0083】
有利なことに、コンダクタンスの基準値G_refは、エアロゾル発生装置10の寿命中に所定の規則的な間隔で更新される。この手順は、特に加熱配設110の電気パラメータのドリフトに起因して、装置10の寿命中に発生する可能性のあるコンダクタンスのドリフト(減少または増大)に対処するのに役立ち得る。このドリフト挙動は
図6に例示的に示されており、時間tにわたるコンダクタンス(閉じた実線)の測定値G_NAおよびG_Aを月単位で示す。見て分かるように、両方の値は経時的に徐々に減少する。動作の数日後のみ、コンダクタンスの値G_NAは、空洞内に物品が存在しない場合、初期基準値G_ref(破線)が製造状態(矢印999で示すように)で測定され、装置に保存されたことに基づいて決定される閾値G_閾値(一点鎖線)よりもさらに小さくなり得る。結果として、制御回路は、物品10が空洞103内に存在しない場合でも、存在することを示すものとして解釈されるコンダクタンスの値を常に返す。したがって、装置100は、空洞103の中への物品10の挿入または取り出しを確実に検出することができなくなる。観察されたドリフト挙動を補償するために、コンダクタンスの基準値は、少なくとも十回毎に、好ましくはユーザー体験後に毎回、一つ以上の電力パルス中に、物品10が空洞内に存在しない時にコンダクタンスの値を再決定することによって、および制御回路内に再決定された値を更新された基準値G_ref*として記憶することによって、更新される。更新された基準値G_ref*は基本的に、以前のユーザー体験サイクルの物品挿入検出モードまたは物品取り出し検出モード中に決定された値G_NAに対応する。更新され保存された基準値G_ref*は、その後、閾値G_閾値*を更新するために使用されてもよく、これは次に、次のユーザー体験サイクルの物品挿入検出モードまたは物品取り出し検出モード中に使用されて、エアロゾル発生物品10が装置100の空洞103内に存在するか、または存在しないかを決定してもよい。
【0084】
本明細書および添付の特許請求の範囲の目的において、別途示されていない限り、量(amounts)、量(quantities)、割合などを表すすべての数字は、すべての場合において用語「約」によって修飾されるものとして理解されるべきである。また、すべての範囲は、開示された最大点および最小点を含み、かつその中の任意の中間範囲を含み、これらは本明細書に具体的に列挙されている場合もあり、列挙されていない場合もある。したがって、この文脈において、数AはA±5%として理解される。この文脈内において、数Aは、数Aが修正する特性の測定値に対する一般的な標準誤差内にある数値を含むとみなされ得る。数Aは、添付の特許請求の範囲で使用される一部の実例において、特許請求する本発明の基本的かつ新規の特性に著しく影響しない限り、上記に列挙される割合だけ逸脱してもよい。また、すべての範囲は、開示された最大点および最小点を含み、かつその中の任意の中間範囲を含み、これらは本明細書に具体的に列挙されている場合もあり、列挙されていない場合もある。
【国際調査報告】