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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-12
(54)【発明の名称】コーティング付き結合デバイス
(51)【国際特許分類】
   A61M 39/18 20060101AFI20240705BHJP
   A61M 39/10 20060101ALI20240705BHJP
【FI】
A61M39/18
A61M39/10 100
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024501652
(86)(22)【出願日】2022-06-30
(85)【翻訳文提出日】2024-02-13
(86)【国際出願番号】 EP2022068155
(87)【国際公開番号】W WO2023001524
(87)【国際公開日】2023-01-26
(31)【優先権主張番号】21186504.3
(32)【優先日】2021-07-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519155376
【氏名又は名称】インターリンクド・エービー
【氏名又は名称原語表記】Interlinked AB
【住所又は居所原語表記】Regeringsgatan 82,111 39 Stockholm,SWEDEN
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】アクセルソン、ロベルト
(72)【発明者】
【氏名】ヘドベック、カタリナ
(72)【発明者】
【氏名】ベジェド、レベッカ
(72)【発明者】
【氏名】ブラッカー、クリストファー
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066AA07
4C066BB01
4C066CC01
4C066JJ03
4C066JJ05
(57)【要約】
流体を移送するための結合デバイス(100)が提供される。この結合デバイスは、第1のハウジング(110)、チューブ(140)、及び第1の封止エレメント(220)を備える。結合デバイスは、チャネル(310)及び第2の封止エレメント(320)を備える第2のハウジング(300)をさらに備える。結合デバイスの接続の第1及び第2の段階において、少なくとも一方が抗菌コーティングを備える第1と第2の封止エレメントは、互いに当接してチューブとチャネルとを封止して分離するように構成され、その後、チューブは、結合デバイスを通しての移送を可能にするために第1及び第2の封止エレメントを貫通して突出する。結合デバイスの分断の第1及び第2の段階で、流体を囲むための第1の空間(400)及び第2の空間(410)がそれぞれ画定され、それによって流体は、抗菌コーティングと接触するように配置される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
主軸Aに沿って延びる第1のハウジング(110)と第2のハウジング(300)とを備える、流体を移送するための結合デバイス(100)であって、
前記第1のハウジングが、
その後端部の第1の開口部(120)、
その前端部の第2の開口部(130)、
前記第1の開口部から前記主軸Aに沿って前記第1のハウジングの中に延びるチューブ(140)、及び
第1の封止エレメント(220)を備え、
前記第2のハウジングが、
前記第2のハウジングを貫通するチャネル(310)、及び
前記チャネルを封止するように配置された第2の封止エレメント(320)を備え、
前記第1及び前記第2の封止エレメントの少なくとも一方が抗菌コーティング(330a、330b)を備え、
前記結合デバイスの接続の第1の段階において、
前記第2のハウジングが前記第1のハウジングに、その前記第2の開口部を介して挿入可能であり、前記第1の封止エレメントと第2の封止エレメントとが、互いに当接して前記チューブと前記チャネルとを封止して分離するように構成され、
前記結合デバイスの接続の第2の段階において、
前記チューブが、前記結合デバイスを通しての流体の移送を可能にする前記チャネルとの接続のために、前記第1及び第2の封止エレメントを貫通して突出し、
前記結合デバイスの分断の第1の段階において、
前記チューブが、前記第1及び第2の封止エレメントの中を通って後退させられ、前記チューブの端部(380)が前記第2の封止エレメントによって囲まれ、
前記チューブ及び前記第2の封止エレメントが、前記チューブの前記端部において第1の空間(400)を画定するように構成され、前記第1の空間が、少なくとも部分的に前記流体で満たされており、
前記結合デバイスの分断の第2の段階において、
前記チューブが前記第1の封止エレメントの中を通って後退させられ、前記チューブの前記端部が前記第2の封止エレメントに近接しており、
前記チューブ、前記第1の封止エレメント及び前記第2の封止エレメントが、前記チューブの前記端部において第2の空間(410)を画定するように構成され、前記第1の空間内の前記流体が、前記第1の空間が押し縮まるときに前記第2の空間に放出され、
前記第1の空間内の前記流体が、
前記第1の封止エレメントの前記抗菌コーティングの少なくとも一部分、及び
前記第2の封止エレメントの前記抗菌コーティングの少なくとも一部分の少なくとも一方と接触し、
前記抗菌コーティングが、前記流体と接触したときに抗菌効果をもたらすように構成されている、結合デバイス(100)。
【請求項2】
主軸Aに沿って延びる第1のハウジング(110)と第2のハウジング(300)とを備える、流体を移送するための結合デバイス(100)であって、
前記第1のハウジングが、
その後端部の第1の開口部(120)、
その前端部の第2の開口部(130)、
前記第1の開口部から前記主軸Aに沿って前記第1のハウジングの中に延びるチューブ(140)、及び
第1の封止エレメント(220)を備え、
前記第2のハウジングが、
前記第2のハウジングを貫通するチャネル(310)、及び
前記チャネルを封止するように配置された第2の封止エレメント(320)を備え、
前記第1及び第2の封止エレメントの少なくとも一方が、
抗菌コーティング(330)、及び
それぞれの前記第1及び第2の封止エレメントの前側(395a、395b)の空洞(390a、390b)を備え、
前記結合デバイスの接続の第1の段階において、
前記第2のハウジングが前記第1のハウジングに、前記第2の開口部を介して挿入可能であり、前記第1の封止エレメントと第2の封止エレメントとが、互いに当接して前記チューブと前記チャネルとを封止して分離するように構成され、前記第1及び第2の封止エレメントの少なくとも一方の空洞は、前記第1の封止エレメントと第2の封止エレメントとが接触すると第1の空間(410)を画定し、
前記結合デバイスの前記接続の第2の段階において、
前記チューブが、前記結合デバイスを通しての流体の移送を可能にする前記チャネルとの接続のために、前記第1及び第2の封止エレメントを貫通して突出し、
前記結合デバイスの分断の第1の段階において、
前記チューブが、前記第1及び第2の封止エレメントの中を通って後退させられ、前記チューブの端部(380)が前記第2の封止エレメントによって囲まれ、
前記チューブ及び前記第2の封止エレメントが、前記チューブの前記端部において第2の空間(400)を画定するように構成され、前記第2の空間が、少なくとも部分的に前記流体で満たされており、
前記結合デバイスの分断の第2の段階において、
前記チューブが前記第1の封止エレメントの中を通って後退させられ、前記チューブの前記端部が前記第2の封止エレメントに近接しており、
前記第2の空間内の前記流体が、前記第2の空間が押し縮まるときに前記第1の空間に放出され、
前記第1の空間内の前記流体が、
前記第1の封止エレメントの前記抗菌コーティングの少なくとも一部分、及び
前記第2の封止エレメントの前記抗菌コーティングの少なくとも一部分の少なくとも一方と接触し、
前記抗菌コーティングが、前記流体と接触したときに抗菌効果をもたらすように構成されている、結合デバイス(100)。
【請求項3】
前記抗菌コーティングが合成抗菌ペプチドを備える、請求項1又は2に記載の結合デバイス。
【請求項4】
前記第1及び第2の封止エレメントの少なくとも一方が、前記主軸Aに沿って延びる案内孔(420)を備え、前記案内孔が、前記チューブを前記第1及び第2の封止エレメントの少なくとも一方の中に通して案内するように配置されている、請求項1から3のいずれか一項に記載の結合デバイス。
【請求項5】
前記第1及び第2の封止エレメントの少なくとも一方が弾性膜(600)を備え、前記弾性膜は、前記第1の封止エレメントが前記第2の封止エレメントと当接すると平らになるように構成された凸形状を有している、請求項1から4のいずれか一項に記載の結合デバイス。
【請求項6】
前記結合デバイスが、前記第1のハウジングの前記前端部の第1の位置と前記第1のハウジングの前記後端部の第2の位置との間で、前記主軸Aに沿って前記第1のハウジング内に移動可能に配置された少なくとも1つの第3のハウジング(200)をさらに備え、前記第3のハウジングが前記第1の封止エレメントを囲む、請求項1から5のいずれか一項に記載の結合デバイス。
【請求項7】
前記結合デバイスの接続の前記第1の段階において、前記第2のハウジングが、前記第3のハウジングに解放可能に接続可能であり、前記主軸Aに沿って前記第1のハウジング内に移動可能に配置されるように構成されている、請求項6に記載の結合デバイス。
【請求項8】
前記第2のハウジングが、前記第1のハウジングと前記第1の封止エレメントの間に挿入可能である、請求項7に記載の結合デバイス。
【請求項9】
ロック装置(405)をさらに備え、それによって、前記第3のハウジングが、前記第2の位置で、前記ロック装置を介して前記第1のハウジングに解放可能に接続される、請求項6から8のいずれか一項に記載の結合デバイス。
【請求項10】
前記第3のハウジングに前記第2の位置で接続された前記第2のハウジングに対して、前記主軸に沿って前記第1の位置に向けて加えられた力Fが所定の閾値を超える場合に、
前記第3のハウジングが、前記第2の位置においての前記第1のハウジングとの接続から解放されるように構成され、
前記第3のハウジングが、前記第2の位置から前記第1の位置まで移動されるように構成され、
前記第2のハウジングが、前記第3のハウジングとの接続から解放されるように構成されている、請求項6から9のいずれか一項に記載の結合デバイス。
【請求項11】
前記第2のハウジングと前記第3のハウジングとの解放可能な接続のためのロック機構(500)をさらに備える、請求項6~10のいずれか一項に記載の結合デバイス。
【請求項12】
前記第2のハウジングが、前記ロック機構の第1のロックエレメント(510)を備え、前記第3のハウジングが、前記ロック機構の第2のロックエレメント(520)を備え、前記第1のロックエレメント及び前記第2のロックエレメントは、前記第1のロックエレメントと前記第2のロックエレメントとが互いに回転すると解放可能にロックするように構成されている、請求項11に記載の結合デバイス。
【請求項13】
前記第3のハウジング及び第2のハウジングの前記第1の位置から前記第2の位置への移動の間に、前記第2のロックエレメントは、前記第2のハウジングと前記第3のハウジングとが前記第2の位置で接続されるように、前記第1のロックエレメントとの嵌合係合のために前記第1のロックエレメントに対して回転するように構成され、また、前記第3のハウジング及び第2のハウジングの前記第2の位置から前記第1の位置への移動の間に、前記第2のロックエレメントは、前記第2のハウジングと前記第3のハウジングとが前記第1の位置で分断されるように、前記嵌合係合を解除するために前記第1のロックエレメントに対して回転するように構成されている、請求項12に記載の結合デバイス。
【請求項14】
流体を患者へ、又は患者から移送するための医療用チューブ(700)であって、前記医療用チューブが、請求項1から13のいずれか一項に記載の結合デバイスを少なくとも1つ備える、医療用チューブ(700)。
【請求項15】
少なくとも一端に設けられた少なくとも1つの結合装置をさらに備える、請求項14に記載の医療用チューブの少なくとも1つと、
前記少なくとも1つの結合装置を介して前記医療用チューブに接続された少なくとも1つのエレメント(810)と、を備える、医療用キット(800)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に医療デバイスの分野に関する。より詳細には、本発明は、流体を移送するための結合デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
患者の治療中、1つ又は複数の流体(血液、血液製剤、1つ又は複数の医薬品など)を患者へ、及び/又は患者から移送する必要があり得る。流体は多くの場合、この種の治療中に患者に挿入されているエレメント(たとえば、針、カニューレ、カテーテル、トロカールなど)を通して供給されるので、エレメントは、患者に挿入後は相対的に固定されたままであることが望ましい。患者又はだれか医療スタッフが、エレメントに接続されたチューブを誤って引っ張った場合には、故意ではない移動及び/又は動きが患者に挿入後のエレメントに生じ得る。さらに、患者及び/又は医療スタッフがエレメントに接続されたチューブにつまずくという事故もまた、エレメントの移動につながり得る。この種のエレメントの移動は、患者にとって苦痛であり得るだけでなく、エレメントの移動の故に流体の移送が正しく行われない場合には、望ましくない治療の結果につながり得ることを理解されたい。さらに、患者に挿入されたエレメントを無理に引っ張ることで、患者の血管を傷つけるおそれもあることが留意されなければならない。さらに、免疫系が損なわれている患者では、傷ついた血管が深刻な感染症を引き起こすおそれもある。
【0003】
加えて、患者への流体の移送のためのチューブが誤って抜かれた場合には、流体の漏洩がもしあったとしも軽減されることが望ましい。たとえば、注入液体が有毒である場合には、破損したチューブからのいかなる漏洩も特に危険であり得る。
【0004】
WO2018/087153A1は、医療目的のための結合デバイスを開示している。この結合デバイスは、結合デバイスを通しての流体の移送中と、結合デバイスを通した流体の流れの、結合デバイスの分離又は分断の結果としての中断中との両方での、封止特性及び漏洩防止特性を提供する。さらに、結合デバイスは、力、たとえば引っ張り力の作用を受けるチューブの影響、特にチューブが、流体を患者へ/から移送するためのエレメントに接続されている場合の影響を軽減する。
【0005】
医療デバイスに細菌のコロニーが付着すること、及び/又はバイオフィルムが形成することは一般に、治療中にその医療デバイスを介して患者が感染し得るので、潜在的なリスク源になる。したがって、このリスクを軽減することもまた、流体を患者へ、及び/又は患者から移送するための結合デバイスには望まれている。
【0006】
それゆえに、従来技術の結合デバイスの代替物を実現することが望まれている。より具体的には、流体を患者へ/から移送するためにチューブが使用される場合に、優れた封止特性及び漏洩防止特性を有するとともに、力、たとえば引っ張り力の作用を受けるチューブの影響を軽減することが可能であると同時に、結合デバイスが抗菌特性をさらにもたらす、結合デバイスを実現することが望まれている。
【発明の概要】
【0007】
本発明の目的は、上記の問題のうちの1つ又は複数を軽減することと、特に、患者へ/から流体を移送するためのエレメントにチューブが接続される場合に、力、たとえば引っ張り力の作用を受けるチューブの影響を簡便に軽減し得る医療目的のデバイスを提供することであり、このデバイスはさらに、優れた封止特性及び抗漏出特性を有するとともに、患者及び/又は医療スタッフの安全の向上のための抗菌特性をもたらす。
【0008】
この目的及び他の目的は、独立請求項の特徴を有する結合デバイスを提供することによって達成される。好ましい実施形態は、従属請求項に定義されている。
【0009】
したがって、本発明の第1の態様によれば、流体を移送するための結合デバイスが提供される。この結合デバイスは、主軸Aに沿って延びる第1のハウジングを備える。第1のハウジングは、その後端部の第1の開口部と、その前端部の第2の開口部とを備える。さらに、結合デバイスは、第1の開口部から主軸Aに沿って第1のハウジングの中に延びるチューブを備える。第1のハウジングは第1の封止エレメントを備える。さらに、結合デバイスは、第2のハウジングを貫通するチャネルと、このチャネルを封止するように配置された第2の封止エレメントとを備える、第2のハウジングを備える。第1及び第2の封止エレメントの少なくとも一方は、抗菌コーティングを備える。結合デバイスの接続の第1の段階で、第2のハウジングは、第1のハウジングにその第2の開口部を介して挿入可能であり、第1の封止エレメントと第2の封止エレメントは、互いに当接してチューブとチャネルとを封止して分離するように構成される。「封止して分離する」という用語によって、ここでは、第1の封止エレメントと第2の封止エレメントは、流体がチューブとチャネルの間を通過しないように、チューブとチャネルを封止するようにして分離する、ということが意味されている。結合デバイスの接続の第2の段階で、チューブは、結合デバイスを通しての流体の移送を可能にするチャネルとの接続のための第1及び第2の封止エレメントを貫通して突出する。結合デバイスの分断の第1の段階では、チューブが第1及び第2の封止エレメントの中を通って後退させられ、チューブの端部が第2の封止エレメントによって囲まれ、チューブ及び第2の封止エレメントは、チューブの端部に第1の空間を画定するように構成され、この第1の空間は、少なくとも部分的に流体で満たされる。結合デバイスの分断の第2の段階で、チューブは第1の封止エレメントの中を通って後退させられ、チューブの端部が第2の封止エレメントに近接しており、チューブ、第1及び第2の封止エレメントは、チューブの端部に第2の空間を画定するように構成され、第1の空間内の流体は、第1の空間が押し縮められると第2の空間に放出され、第1の空間内の流体は、第1の封止エレメントの抗菌コーティングの少なくとも一部分と、第2の封止エレメントの抗菌コーティングの少なくとも一部分との少なくとも一方と接触する。抗菌コーティングは、流体と接触したときに抗菌効果をもたらすように構成される。
【0010】
本発明の第2の態様によれば、流体を移送するための結合デバイスが提供される。この結合デバイスは、主軸Aに沿って延びる第1のハウジングを備える。第1のハウジングは、その後端部の第1の開口部と、その前端部の第2の開口部とを備える。さらに、結合デバイスは、第1の開口部から主軸Aに沿って第1のハウジングの中に延びるチューブを備える。第1のハウジングは第1の封止エレメントを備える。さらに、結合デバイスは、第2のハウジングを貫通するチャネルと、このチャネルを封止するように配置された第2の封止エレメントとを備える、第2のハウジングを備える。第1及び第2の封止エレメントの少なくとも一方は、抗菌コーティングと、第1及び第2の封止エレメントそれぞれの前側の空洞とを備える。結合デバイスの接続の第1の段階で、第2のハウジングは第1のハウジングに、その第2の開口部を介して挿入可能であり、第1の封止エレメントと第2の封止エレメントは、互いに当接してチューブとチャネルを封止して分離するように構成され、第1及び第2の封止エレメントの少なくとも一方の空洞は、第1の封止エレメントと第2の封止エレメントとが接触すると第1の空間を画定する。結合デバイスの接続の第2の段階で、チューブは、結合デバイスを通しての流体の移送を可能にするチャネルとの接続のための、第1及び第2の封止エレメントを貫通して突出する。結合デバイスの分断の第1の段階では、チューブが第1及び第2の封止エレメントの中を通って後退させられ、チューブの端部が第2の封止エレメントによって囲まれ、チューブ及び第2の封止エレメントは、チューブの端部に第2の空間を画定するように構成され、この第2の空間は、少なくとも部分的に流体で満たされる。結合デバイスの分断の第2の段階で、チューブは第1の封止エレメントの中を通って後退させられ、チューブの端部が第2の封止エレメントに近接しており、第2の空間内の流体は、第2の空間が押し縮められると第1の空間に放出され、第1の空間内の流体は、第1の封止エレメントの抗菌コーティングの少なくとも一部分と、第2の封止エレメントの抗菌コーティングの少なくとも一部分との少なくとも一方と接触する。抗菌コーティングは、流体と接触したときに抗菌効果をもたらすように構成される。
【0011】
このように、本発明は、流体を移送するための結合デバイスを提供するという着想に基づいており、この結合デバイスは、結合デバイスが接続されているときに外部環境に対して封止されている結合デバイスを通しての流体の移送と、結合デバイスが分断された場合の流体の移送の無漏洩中断とを可能にし得る。より具体的には、本発明の第1の態様によれば、結合デバイスの接続時、すなわち結合デバイスの接続の第1の段階において、第1の封止エレメントと第2の封止エレメントはまず、互いに当接すると封止部を形成する。本発明の第2の態様によれば、第1及び第2の封止エレメントの前側の空洞は、第1の封止エレメントと第2の封止エレメントとが接触すると第1の空間を画定する。その後、結合デバイスの接続の第2の段階で、流体の移送が、第1及び第2の封止エレメントの中を通って(貫通して)突出する結合デバイスのチューブによって、可能にされる。結合デバイスの分断時、すなわち、結合デバイスに加えられる引っ張り力によって引き起こされ得る結合デバイスの分断の第1の段階において、チューブは、第1及び第2の封止エレメントの中を通って後退させられ、チューブの端部が第2の封止エレメントによって囲まれる。この第1の段階で、本発明の第1の態様によれば、チューブ及び第2の封止エレメントは、チューブの端部に第1の空間を画定するように構成され、この第1の空間は、少なくとも部分的に流体で満たされる。したがって、第1の空間の容積は、チューブと第2の封止エレメントとの特性に対応する。代替として、この第1の段階において、本発明の第2の態様によれば、チューブ及び第2の封止エレメントは、チューブの端部に第2の空間を画定するように構成され、この第2の空間は、少なくとも部分的に流体で満たされる。
【0012】
結合デバイスの分断の第2の段階では、チューブは、第1の封止エレメントの中を通って後退させられており、チューブの端部は第2の封止エレメントに近接している。本発明の第1の態様によるこの第2の段階では、チューブ、第1及び第2の封止エレメントは、チューブの端部に第2の空間を画定するように構成される。したがって、第2の空間の容積は、チューブの特性及び第1の封止エレメントの特性に対応する。チューブが第1の封止エレメントの中を通って後退させられているので、第1の空間は押し縮まっており(押し縮まり)、第1の空間からの流体は、第1の空間の押し縮まり時に第1の空間と第2の空間が流体連通しているので、第2の空間に放出される。それゆえに、第1の空間内の流体は、第2の空間に放出され、第1の封止エレメントの抗菌コーティングの少なくとも一部分、及び/又は第2の封止エレメントの抗菌コーティングの少なくとも一部分と接触する。
【0013】
本発明の第2の態様による第2の段階では、第2の空間内の流体は、第2の空間の押し縮まり時に第1の空間と第2の空間が流体連通しているので、第1の空間に放出される。第1の空間内の流体は、第1の封止エレメントの抗菌コーティングの少なくとも一部分、及び/又は第2の封止エレメントの抗菌コーティングの少なくとも一部分と接触する。
【0014】
流体と接触するときの抗菌コーティングの効果とは、細菌及び/又は真菌の死滅による殺菌効果のことである。
【0015】
その結果、結合デバイスの分断の後、すなわち結合デバイスの分断の第1及び第2の段階を含む分断の後、結合デバイスは次に、第1及び第2の封止エレメントによって再び封止される。言い換えれば、それぞれの第1及び第2の封止エレメントは、結合デバイスの分断/分離時に、それぞれの封止エレメントのいずれかの側で流れを都合よく止めることができる。さらに、流体が第1及び第2の封止エレメントの抗菌コーティングと接触することによって、細菌、真菌のコロニーの成長及び/若しくは付着、並びに/又は第1及び/若しくは第2の封止エレメントへのバイオフィルムの形成が軽減される。したがって、本発明の結合デバイスは、優れた封止特性を実現するとともに、結合デバイスを通しての流体の移送中と、結合デバイスを通した流体の流れの、結合デバイスの分離又は分断の結果としての中断中との両方で漏洩を回避することができ、結合デバイスはさらに、その抗菌コーティングにより抗菌特性をもたらす。
【0016】
上記に基づいて、本発明の第1の態様と第2の態様は、単一の一般的な本発明の概念を形成するように連結されていることに留意されたい。言い換えれば、本発明の第1の態様及び第2の態様は、特定の問題の代替的な解決策である。
【0017】
流体のいかなる漏洩も軽減するための結合デバイスの能力は、安全上の理由のために有利であることを理解されたい。たとえば、結合デバイスが有毒な液体の移送のために提供される場合、結合デバイスからのいかなる漏洩も特に危険であり得る。したがって、本発明の結合デバイスは、医療スタッフ及び/又は患者の安全を大きく向上させることができる。
【0018】
さらに、本発明の結合デバイスは、その有利な封止特性によって流体を節約し得る点で有利である。たとえば、結合デバイスが血液の移送に使用される場合、結合デバイスは、結合デバイスが分離した場合の漏洩によって生じるいかなる血液の損失及び/又は環境の汚染も軽減し得る。さらに、その優れた封止特性によって、結合デバイスは、(接続された)結合デバイスを通して移送される流体(たとえば血液)のいかなる汚染も軽減し得る。
【0019】
本発明は、結合デバイスが、結合デバイスの便利な分離(分断)を実現する点でさらに有利である。たとえば、結合デバイスが医療目的のためにチューブに接続されている場合に、たとえば患者及び/又は医療スタッフがチューブを引っ張ることが、第2のハウジングを結合デバイスの第1のハウジングから分離し、それによって、チューブのいかなるさらなる引っ張りも、その他端では軽減され得る。病院、介護施設、診療所などで一般的に使用される(医療用)チューブは、結合デバイスがチューブの「弱い連結」を構成できるので、本発明の結合デバイスを装備することが望ましいことがあり得ることを理解されたい。したがって、チューブが患者と供給源(たとえば、注入ポンプ又はバッグ)との間に接続され、本発明による結合デバイスをさらに備えるならば、結合デバイスはチューブの「弱い連結」を構成することができ、チューブは、チューブの引っ張りの結果として「切り離され」得る。
【0020】
結合デバイスは、それが医療用チューブに設けられて、患者への、及び/又は患者からの流体の移送のために患者に挿入されたエレメントに接続される場合、特に有利である。このことは、エレメントの移動が患者にとって苦痛であり得るだけでなく、エレメントの移動の故に流体の移送が正しく行われない場合には患者の望ましくない治療の結果につながり得るので、理解される。医療目的のために医療用チューブに設けられる本発明の結合デバイスによって、(注入)エレメント、ポンプ及び/又はバッグなどの、チューブに接続される機器が、医療用チューブの引っ張りによって生じる損傷を免れ得ることを理解されたい。
【0021】
医療用チューブに設けられる本発明の結合デバイスによって、(注入)エレメント、ポンプ及び/又はバッグなどの、医療用チューブに接続される機器が、医療用チューブの引っ張りによって生じる損傷を免れ得ることを理解されたい。
【0022】
本発明の結合デバイスは、医療スタッフ及び/又は患者が、1つ又は複数の結合デバイスを備える医療用チューブにつまずくこと、及び/又は転倒することに関連する結果が軽減され得るという点で、さらに有利である。
【0023】
本発明の結合デバイスは、分離又は分断された場合に、容易に、便利に、及び効率的に(再)接続される点でさらに有利である。たとえば、本発明による結合デバイスを備える医療用チューブが引き離された場合に、(注入)療法を可能な限り迅速に再開できることが望ましいことがある。本発明の結合デバイスは、結合デバイスの(再)接続が結合デバイスの革新的な構成により迅速及び直感的に行われ得るので、この要望を満たす。
【0024】
本発明の第1の態様に関して、本発明の結合デバイスは、結合デバイスの分断の第1の段階で第2の封止エレメント内に第1の空間を生成することと、結合デバイスの分断の第2の段階で第2の空間を生成することとが、第1及び/又は第2の封止エレメントの抗菌コーティングが流体と接触することを可能にする便利な動作を実現する点で、さらに有利である。同様に、本発明の第2の態様に関して、本発明の結合デバイスは、結合デバイスの分断の第1の段階で第2の封止エレメント内に第2の空間を生成することと、第1及び第2の封止エレメントの空洞によって画定された第1の空間を設けることとが、第1及び/又は第2の封止エレメントの抗菌コーティングが流体と接触することを可能にする便利な動作を実現する点で、有利である。この動作が繰り返され得ること、すなわち、本発明の第1及び/又は第2の態様による結合デバイスは数回接続及び分断されてもよく、コーティングは流体と接触し得る、ということを理解されたい。
【0025】
本発明の結合デバイスは、その構成要素(たとえば、第1及び/又は第2のハウジング、第1及び第2の封止エレメントなど)が、容易及び効率的に洗浄及び/又は殺菌され得るように、比較的滑らかな外面を有するように設計されている点で、さらに有利である。たとえば、分解された結合デバイスの洗浄及び/又は殺菌の後に、結合デバイスのそれぞれの構成要素は次に、結合デバイスになるように再度組み立てられ得る。
【0026】
本発明の結合デバイスは、製造するのが比較的安価であり、容易に組み立てられるという点でさらに有利である。その結果、結合デバイスは、主に使い捨て用として設計され得る。すなわち、結合デバイスは、たとえば、1人の患者と1回の治療(たとえば、注入)とに使用され得る。
【0027】
本発明の結合デバイスは、その設計で、結合デバイスの中を通る流路のデッドスペースを最小限にし、それによって、感染病原体の発生が軽減されるという点でさらに有利である。さらに、本発明の結合デバイスの設計は、流体の漏洩を軽減する。
【0028】
本発明の結合デバイスは、結合デバイスの中を通る流体の流れが、結合デバイスの主軸に沿って直線的であるという点でさらに有利である。言い換えれば、これによって、結合デバイスの設計では、結合デバイスの運用中の、流体の望ましくない乱流を回避することができる。
【0029】
本発明によれば、抗菌コーティングは、流体と接触したときに抗菌効果をもたらすように構成され得る。この実施形態は、細菌の死滅を意味する抗菌効果が、抗菌剤が流体と接触することによって都合よく開始される点で有利である。
【0030】
本発明の一実施形態によれば、抗菌コーティングは、合成抗菌ペプチドを備え得る。この実施形態は、(合成)抗菌ペプチドを提供することによって抗菌効果が特に効果的になる点で有利である。抗菌ペプチドは、広い活性範囲を有し、薬物耐性病原体に対して効果的であることに留意されたい。より具体的には、結合デバイスの特徴によって、抗菌コーティングと接触する流体が、第1及び/又は第2の封止エレメントの表面からのペプチドの放出を引き起こして、細菌とペプチドが一緒になり得る。これにより、ペプチドが細菌の膜を破って細菌を瞬時に死滅させることが可能になる。
【0031】
本発明の一実施形態によれば、第1及び第2の封止エレメントの少なくとも一方が、主軸Aに沿って延びる案内孔を備えることができ、この案内孔は、チューブを第1及び第2の封止エレメントの少なくとも一方の中に通して案内するように配置される。第1及び/又は第2の封止エレメントは、案内孔をたとえ備えていても、案内孔の直径が(非常に)小さいので優れた封止特性を保持することができ、したがって、流体が案内孔を通過できないと理解されたい。この実施形態は、案内孔が、第1及び/又は第2の封止エレメントそれぞれの中及び/又は外へのチューブの突出及び/又は後退中の、第1及び/又は第2の封止エレメントの摩耗を防止及び/又は軽減し得る点で有利である。言い換えれば、案内孔は、封止エレメントの望ましくない摩耗、及び/又は結合デバイスの中を通って流体が流れる際の流体の汚染が回避され得るように、封止エレメント材料の引き裂きを最小化及び/又は防止することができる。
【0032】
本発明の一実施形態によれば、第1及び第2の封止エレメントの少なくとも一方は弾性膜を備えることができ、少なくとも1つの弾性膜は、凸形状を有することができ、第1の封止エレメントが第2の封止エレメントと当接すると平らになるように構成される。弾性膜は、第2のハウジングと第3のハウジングの接続時に、第1の封止エレメントと第2の封止エレメントの間に配置される(留められる)ように構成されると理解されたい。第1及び第2の封止エレメントのそれぞれが凸形状の弾性膜を備える場合には、その膜が互いに押し付けられると、膜が空気を押し退けて気密封止を形成し、さらに、デッドスペースを最小限にできると理解されたい。この実施形態は、第2のハウジングと第3のハウジングとが接続されたときに、第2のハウジングと第3のハウジングの間のいかなる漏洩も回避され得るように、封止エレメントが、弾性膜によって第2のハウジングと第3のハウジングの間に効果的な封止を実現し得る点で有利である。したがって、この実施形態は、結合デバイスの封止特性をさらに改善し得る。一例によれば、弾性膜はシリコーンを備え得る。シリコーンは封止目的に特に適しており、それによって、結合デバイスの封止がさらに改善する。さらに、シリコーンの膜の使用は、膜の望ましくない摩耗、及び/又は結合デバイスの中を通って流体が流れる際の流体の汚染が回避され得るように、チューブが材料の引き裂きを伴わずに(又は少なくとも最小限にして)膜を貫通し得る点で有利である。
【0033】
本発明の一実施形態によれば、結合デバイスは、第1のハウジングの前端部の第1の位置と第1のハウジングの後端部の第2の位置との間で、主軸Aに沿って第1のハウジング内に移動可能に配置された少なくとも1つの第3のハウジングをさらに備えることができ、この第3のハウジングは第1の封止エレメントを囲む。「移動可能に配置される」という用語によって、ここでは、第3のハウジングが、それが第1のハウジング内で移動可能又は可動であるようにして、第1のハウジング内に配置又は取り付けられ得ることが意味されている。
【0034】
本発明の一実施形態によれば、第2のハウジングは、第1のハウジングと第1の封止エレメントの間に挿入可能であり得る。
【0035】
本発明の一実施形態によれば、結合デバイスは、ロック装置をさらに備え得る。第2の位置において、第3のハウジングは、ロック装置を介して第1のハウジングに解放可能に接続される。言い換えれば、第3のハウジングが、第1のハウジング内の、その後退させられた第2の位置にあるときに、第3のハウジングは、第1のハウジングに解放可能に接続され得る。第3のハウジングのこの位置は、結合デバイスを通しての流体の可能な移送を示唆し、この実施形態は、流体が、結合デバイスの固定状態において、すなわち、結合デバイスの1つ又は複数の構成要素に何ら圧力を加える必要なしに、デバイスを通して移送され得る点で有利であることを理解されたい。
【0036】
本発明の一実施形態によれば、それによって、第3のハウジングに第2の位置で接続された第2のハウジングに対して、主軸Aに沿って第1の位置に向けて加えられた力Fが所定の閾値を超える場合に、第3のハウジングは、第2の位置で第1のハウジングとの接続から解放されるように構成され、第3のハウジングは、第2の位置から第1の位置まで移動されるように構成され、第2のハウジングは、第3のハウジングとの接続から解放されるように構成される。したがって、第2のハウジング(又は第2のハウジングと第3のハウジングの間)に加えられる(引っ張り)力が所定の閾値を超える場合には、第2のハウジングは、開示された構成によって第3のハウジングから分離(分断)するように構成される。この実施形態は、結合デバイスが、第2のハウジングに加えられる所定の閾値を超える引っ張り力を受ける場合に、結合デバイスを通しての流体の移送が中断されるように、結合デバイスの第2のハウジングと第3のハウジングだけが分離されるように構成されている点で有利である。言い換えれば、第2のハウジングと第3のハウジングだけが、比較的強い引っ張り力の作用を受けた場合に互いに分離するように構成されている。したがって、結合デバイスの第2のハウジングと第3のハウジングは、結合デバイスが所定の閾値を超えない比較的弱い力を受けた場合には、結合デバイスが流体移送の機能を存続するように、接続されたままになるように構成されている。
【0037】
本発明の結合デバイスが装備された医療目的のチューブが提供される場合には、結合デバイスは、結合デバイスの一方の側のチューブの一部分に加えられた何らかの比較的大きい力が、結合デバイスの他方の側においてチューブの他方の部分に伝達される前に、結合デバイスが分離され得るという点でさらに有利であると理解されたい。たとえば、エレメントがチューブに接続されている場合、結合デバイスは、エレメントのいかなる引っ張り、急な動き、引きつけなども軽減することができる。
【0038】
本発明の結合デバイスは、医療スタッフ及び/又は患者が、1つ又は複数の結合デバイスを備えるチューブにつまずくこと、及び/又は転倒することに関連する結果が軽減され得るという点でさらに有利である。
【0039】
この実施形態は、力Fの閾値が、結合デバイスの目的に応じて都合よく設定又は決定され得る点で有利である。たとえば、針が患者に挿入されるときに結合デバイスが使用される場合には、力Fの閾値は比較的低く決定され得る。対照的に、尿道カテーテルが使用されるときに結合デバイスが使用される場合には、力Fの閾値は比較的高く決定され得る。
【0040】
本発明の一実施形態によれば、結合デバイスは、第2のハウジングと第3のハウジングとの解放可能な接続のためのロック機構を備え得る。この実施形態は、第2のハウジングがロックエレメントによって第3のハウジングと都合よく接続(又は分断)され得る点で有利である。
【0041】
本発明の一例によれば、第3のハウジングの第2の位置において、第2のハウジングと第3のハウジングはロック機構によって接続され得る。したがって、第3のハウジングの後退させられた第2の位置において、結合デバイスを通しての流体の移送を可能にするために、チューブが第1及び第2の封止エレメントを貫通して通路の中に突出するとき、ロック機構は、第3のハウジングと第2のハウジングを互いに接続する。この実施形態は、第3及び第2のハウジングが、結合デバイスを通しての流体の封止された(漏洩防止された)移送を行うように、ロック機構が、第3のハウジングと第2のハウジングの信頼できる互いの接続を実現できる点で有利である。
【0042】
本発明の一例によれば、第2のハウジングは、ロック機構の第1のロックエレメントを備えることができ、第3のハウジングは、ロック機構の第2のロックエレメントを備えることができ、第1のロックエレメント及び第2のロックエレメントは、第1のロックエレメントと第2のロックエレメントとが互いに回転すると解放可能にロックするように構成される。たとえば、この実施形態又は以前に開示されたいずれかの実施形態による、第3のハウジングと第2のハウジングを接続するためのロック機構は、オスメス型の接続を備えることができる。オスメス型のロック機構は、少なくとも1つの溝と、その少なくとも1つの溝の中に突出するように構成された少なくとも1つの突起とを備え得ると理解されたい。
【0043】
本発明の一実施形態によれば、第3のハウジング及び第2のハウジングの第1の位置から第2の位置への移動の間に、第2のロックエレメントは、第2のハウジングと第3のハウジングとが第2の位置で接続されるように、第1のロックエレメントとの嵌合係合のために第1のロックエレメントに対して回転するように構成され、また、第3のハウジング及び第2のハウジングの第2の位置から第1の位置への移動の間に、第2のロックエレメントは、第2のハウジングと第3のハウジングとが、引き出された第1の位置で分断されるように、嵌合係合を解除するために第1のロックエレメントに対して回転するように構成される。言い換えれば、第3及び第2のハウジングが結合デバイスの第1のハウジングの中に第1の位置から第2の位置へ押し込まれるときに、第3のハウジングと第2のハウジングは、第1のロックエレメントと第2のロックエレメントとが互いに回転することによって接続する。同様に、第3及び第2のハウジングが結合デバイスの第1のハウジングの外へ第2の位置から第1の位置へ引き出されるときに、第3のハウジングと第2のハウジングは、第1のロックエレメントと第2のロックエレメントとが互いに回転することによって分断する。
【0044】
本発明の一例によれば、第1及び第2の封止エレメントの少なくとも一方は弾性膜を備えることができ、少なくとも1つの弾性膜は案内孔を備え、また、少なくとも1つの弾性膜は、第1及び/又は第2の封止エレメントのそれぞれの取り付け具の中に配置されるように構成され、少なくとも1つの弾性膜のサイズは、案内孔が、少なくとも1つの弾性膜を取り付け具の中に配置するときに圧縮されるべく構成されるように、取り付け具よりも大きい。この例は、チューブが、封止エレメントを通してチューブが突出するときに、圧縮された案内孔によって案内され得る点で有利である。この例は、圧縮された案内孔が、チューブが封止エレメントを貫通するときの膜材料の破れを回避する、又は少なくとも最小限にすることができる点でさらに有利である。
【0045】
本発明の一例によれば、結合デバイスは、結合デバイスが分断された場合に警報を発するように構成された警報装置をさらに備え得る。たとえば、警報装置は、第3のハウジングと第2のハウジングとが分断された場合に警報を発するように構成することができる。この例は、警報装置が、結合デバイスが分断又は分離されたこと、並びに結合デバイスを通しての(及び、結合デバイスが医療用チューブに設けられている場合には、さらに医療用チューブを通しての)流体輸送が中断されたことを、患者、医療スタッフ及び/又は他の人に迅速及び効果的に警告し得る点で有利である。
【0046】
本発明の一例によれば、警報は、視覚警報及び可聴警報の少なくとも一方を備え得る。この例は、患者にしばしば視力障害及び/又は聴力障害があり得ることを考慮すると特に有利である。この例は、警報が、患者と同じ部屋にはいない医療スタッフに警告し得る点でさらに有利である。
【0047】
本発明の一例によれば、結合デバイスは、第2のハウジングが第2の位置にあるときに、操作者に対する触覚フィードバックを生成するように構成され得る。「触覚フィードバック」という用語によって、ここでは、結合デバイスを取り扱うときに操作者によって感じられ得る物理的感覚、警告などが意味される。たとえば、結合デバイスは、結合デバイスが接続されたときに、たとえば、第3のハウジングが、その第2の位置にあり、第1のハウジングに接続されるときに、操作者に対する触覚フィードバックを生成するように構成することができる。この実施形態は、たとえば第3のハウジングが、後退させられた第2の位置にあるときには、これによって結合デバイスが、結合デバイスを通しての流体の移送を可能にするように構成されているので、結合デバイスが正しく結合又は接続されていることを操作者が確信させられ得る点で有利である。
【0048】
本発明の一実施形態によれば、流体を患者へ、又は患者から移送するための医療用チューブが提供され、この医療用チューブは、前述の実施形態のいずれか1つによる少なくとも1つの結合デバイスを備える。言い換えれば、医療用チューブは、第1のチューブ部分及び第2のチューブ部分を備えることができ、結合デバイスは、第1のチューブ部分と第2のチューブ部分の間に配置され得る。用語の「医療用チューブ」によって、ここでは、医療目的の実質的にあらゆるチューブ、たとえば注入チューブ又は尿道カテーテルが意味されている。この実施形態は、医療用チューブが結合デバイスによって都合よく分断又は分離され得る点で有利である。たとえば、患者及び/又は医療スタッフが医療用チューブを引っ張ることが、第3のハウジングを結合デバイスの第2のハウジングから分離し、それによって、チューブのどんなさらなる引っ張りも、その他端では軽減され得る。したがって、医療用チューブは、結合デバイスによって「弱い連結」を備えることができ、この結合デバイスは、病院、介護施設、診療所などで使用される医療用チューブでは特に有利である。さらに、結合デバイスを備える医療用チューブは、結合デバイスの抗菌コーティングが抗菌特性をもたらすので、患者及び/又は医療スタッフの安全の向上を実現し得る。
【0049】
本発明の一実施形態によれば、前述の実施形態による少なくとも1つの医療用チューブを備える医療用キットが提供される。少なくとも1つの医療用チューブは、その少なくとも一端に設けられた少なくとも1つの結合装置と、その少なくとも1つの結合装置によって医療用チューブに接続された少なくとも1つのエレメントとを備える。結合装置は、実質的に任意のタイプであってよく、たとえば、多くの異なる種類のエレメントに結合することが可能であり得る、標準化された結合部であってよいことを理解されたい。たとえば、(医療)エレメントは、針、カニューレ、カテーテル、トロカールなどの、患者に挿入するように配置された、並びに、流体を患者に、又は患者から移送するように構成された、エレメントであってよい。代替として、又は加えて、エレメントは、流体を医療用チューブに通して患者へ/から供給するように配置された少なくとも1つの容器であってもよい。この実施形態は、医療キットが、医療処理中、たとえば注入処理中の安全を向上させ得る点で有利である。より具体的には、医療用キットは、たとえば、患者及び/又は医療スタッフによる医療用チューブの引っ張りによって、及び特に医療用チューブが、流体を患者へ、及び/又は患者から移送するためのエレメントに接続されているときに、力の作用を受けた医療用チューブの影響を都合よく軽減し得る。
【0050】
本発明のさらなる目的、特徴及び利点は、以下の詳細な開示、図面、及び添付の特許請求の範囲を検討すれば明らかになろう。当業者には、以下で説明されるもの以外の実施形態を生成するために、本発明の異なる特徴が組み合わされ得ることが理解されよう。
【0051】
次に、本発明のこの態様及び他の態様が、本発明の実施形態を示す添付図面を参照してより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0052】
図1a】本発明の例示的な実施形態による結合デバイスを示す概略図。
図1b】本発明の例示的な実施形態による結合デバイスを示す概略図。
図2a】本発明の例示的な実施形態による結合デバイスを示す概略断面図。
図2b】本発明の例示的な実施形態による結合デバイスを示す概略断面図。
図2c】本発明の例示的な実施形態による結合デバイスを示す概略断面図。
図2d】本発明の例示的な実施形態による結合デバイスを示す概略断面図。
図3a】本発明の第1の態様の例示的な実施形態による結合デバイスの一部分を示す概略断面図。
図3b】本発明の第1の態様の例示的な実施形態による結合デバイスの一部分を示す概略断面図。
図4a】本発明の第2の態様の例示的な実施形態による結合デバイスの一部分を示す概略断面図。
図4b】本発明の第2の態様の例示的な実施形態による結合デバイスの一部分を示す概略断面図。
図4c】本発明の第2の態様の例示的な実施形態による結合デバイスの一部分を示す概略断面図。
図5a】本発明の例示的な実施形態による結合デバイスのロック動作及びロック解除動作を概略的に示す図。
図5b】本発明の例示的な実施形態による結合デバイスのロック動作及びロック解除動作を概略的に示す図。
図6】結合デバイスの分断を概略的に示す図。
図7】本発明の一実施形態による医療キットを示す概略図。
【発明を実施するための形態】
【0053】
図la~図1bは、本発明の例示的な実施形態による結合デバイス100の概略図である。図la~図1bは、結合デバイス100の初めの説明のために提示されていること、並びに、結合デバイス100の特性及び動作についてのより詳細な説明は、後に続く図及び関連する文で提示されることを理解されたい。
【0054】
結合デバイス100は、結合デバイス100がその接続状態にあるときに、結合デバイス100を通して流体を移送するために提供される。図laでは、結合デバイス100の接続が開始されており、これについては以下の文及び関連する図でより詳細に説明される。図lbでは、結合デバイス100の分断が開始されている。最終的に、結合デバイス100は分断(分離)され、それによって、結合デバイス100を通しての流体の移送が中断される。
【0055】
図2a~図2dは、本発明の例示的な実施形態による結合デバイス100の概略断面図である。4つの図2a~図2dは、結合デバイス100の動作の理解が高まるように、結合デバイス100の接続の例示的及び瞬間的な位置を開示していることを理解されたい。結合デバイス100の分断が、図3a及び図3b、並びに図4a~図4cに提示されている。
【0056】
図2aは、流体を移送するための結合デバイス100の概略図であり、結合デバイス100が分断された状態で示されている。結合デバイス100は、楕円形の断面を持つ円柱形状の第1のハウジング110を備え、この第1のハウジング110は主軸Aに沿って延びている。第1のハウジング110は、第1のハウジング110の後端部(たとえば底部)の中心部分にある第1の開口部120と、第1のハウジング110の前端部にある第2の開口部130とを備える。結合デバイス100は、第1のハウジング110の第1の開口部120から主軸Aに沿って第1のハウジング110の内部に延びる、チューブ140をさらに備える。第1のハウジング110の内部に向いているチューブ140の端部は、鋭い、又は尖った形にされてよく、図2aに例示されたチューブ140の端部には傾斜が付けられている。しかし、チューブ140の端部は、代替として真っ直ぐであってもよく、すなわち鋭い、又は尖った端部が何もなくてもよい。
【0057】
一例によれば、結合デバイス100は、第1のハウジング110によって囲まれている、及び第1のハウジング110の中に主軸Aに沿って移動可能に配置されている、第3のハウジング200をさらに備えることができる。第3のハウジング200は、たとえば溝などによって、第1のハウジング110の中に勘合して配置され得ることを理解されたい。図2aでは、第3のハウジング200は、第1のハウジング110内の第1の(引き出された)位置に配置されている。たとえば、引き出された第1の位置は、第1のハウジング110の前端部の方の(又は前端部の)位置になり得る。結合デバイス100は第1の封止エレメント220を備え、図2aの例による第1の封止エレメント220は、第1のハウジング及び/又は第3のハウジング200によって囲まれ、及び/又はこれらの中に配置される。第1の封止エレメント220は、第1のハウジング110のチューブ140の端部に配置されたクッション又はパッド様エレメントとして例示されている。
【0058】
結合デバイス100は、第2のハウジング300をさらに備え、これは、結合デバイス100の分断状態において、結合デバイス100の第1のハウジング110から(及び諸例によれば、第3のハウジング200からも)分離されている。第2のハウジング300は、第2のハウジング300を貫通して配置されたチャネル310を備える。第2のハウジング300は、第2のチャネル310を封止するように配置されている第2の封止エレメント320をさらに備える。
【0059】
図2aに示された結合デバイス100の分断状態では、結合デバイス100の中を流体が通過することはあり得ないことを理解されたい。より具体的には、第1の封止エレメント220は、第3のハウジング200又は第1のハウジング110中を流体が通過することがないようにチューブ140を封止する。同様に、第2の封止エレメント320は、第2のハウジング300中を流体が通過することがないように第2のチャネル310を封止する。
【0060】
第1の封止エレメント220及び/又は第2の封止エレメント320は、封止目的のそれぞれの弾性膜600を備えることができ、又はそれらから構成され得る。膜600は、封止目的に適している実質的に任意の材料、たとえばシリコーンを備えることができ、又はそれから構成され得る。さらに、第1の封止エレメント220及び/又は第2の封止エレメント320は、凸形状を有し得る。一代替実施形態によれば、弾性膜600は案内孔、すなわちチューブ140を案内するための貫通孔を備えることができ、弾性膜600は、第1の封止エレメント220及び/又は第2の封止エレメント320の留め具の中に配置されるように構成され得る(図示せず)。これによって、弾性膜600のサイズは、案内孔が、留め具の中に弾性膜600が配置されるときに圧縮されるべく構成されるように、留め具よりも大きくすることができる。
【0061】
第2のハウジング300は、第1のハウジング110の第2の開口部130を介して第1のハウジング110に挿入可能である。したがって、第1のハウジング110は、その第2の開口部130を介して第2のハウジング300を受け入れることができ、第2のハウジング300を第1のハウジング110に収容することができる。第1のハウジング110及び第2のハウジング300は楕円形の断面を有し得るのに対して、第3のハウジング200は円形の断面を有し得る。楕円形の断面を設けることがハウジング間の結合を容易にすることを理解されたい。たとえば、第2のハウジング300は、第2のハウジング300と第3のハウジング200の間の0°又は180°の相対配置によって、第3のハウジング200と接続され得る。
【0062】
図2aの結合デバイス100の例示的な実施形態では、結合デバイス100は、第2のハウジング300を第3のハウジング200に解放可能に接続するためのロック機構500を備える。第2のハウジング300は、ロック機構500の第1のロックエレメント510を備え、第1のロックエレメント510は、第2のハウジング300から突出する1つ又は複数のフックの形を有する。第3のハウジング200は、ロック機構500の第1のロックエレメント510とロック係合するための、ロック機構500の第2のロックエレメント(図示せず)を備える。
【0063】
結合デバイス100は、第3のハウジング200を第1のハウジング110に解放可能にロック及び/又は接続するためのロック装置405をさらに備える。ロック装置405は、第3のハウジング200のロックエレメントが嵌合係合するように構成されている(図3aに示された)第1のハウジング110内に、少なくとも1つの溝410を備える。結合デバイス100のロック装置405は、第2のハウジング300が第2の位置にあるときに、操作者への触覚フィードバックを生成するように構成され得る。たとえば、ロック装置部405は、操作者が、第3のハウジング200が第2の位置で第1のハウジング110に接続されたことを知らされ得るように、又は認識させられ得るように、ロック時にスナップ感及び/又はクリック感を生成するように構成され得る。
【0064】
図2bは、流体を移送するための結合デバイス100の概略図であり、図2aと比較して、第2のハウジング300が、その第2の開口部130を介して、及び主軸Aに沿って第1のハウジング110に挿入されている。さらに、結合デバイス100のこの状態又は位置において、第1のハウジング110及び/又は第3のハウジング200の第1の封止エレメント220と、第2のハウジング300の第2の封止エレメント320とが当接する。ここで、第1の封止エレメント220と第2の封止エレメント320の両方とも、それぞれのエレメントの中心部分が、第2のハウジング300が第1のハウジング110に挿入されるときに接触するべく最初に構成されているように、凸形状の弾性膜600を備える。この実施形態において、第1の封止エレメント220及び第2の封止エレメント320の凸形状の膜は、第1の封止エレメント220と第2の封止エレメント320とが当接すると平らになるように構成される。このようにして、第1の封止エレメント220及び第2の封止エレメント320は、第1のハウジング110のチューブ140と第2のハウジング300のチャネル310とを封止して分離することができる。
【0065】
図2cは、流体を移送するための結合デバイス100の概略図であり、第3のハウジング200及び第2のハウジング300は、第1のハウジング110内で移動している。結合デバイス100のこの描写された現在の状態では、第1の封止エレメント220及び第2の封止エレメント320の凸形状の膜が、第1の封止エレメント220と第2の封止エレメント330の間の力の結果として平らになっており、凸状の膜の元の形状が概略的に示されている。第2のハウジングの引き出された第1の位置から後退させられた第2の位置までの、第3のハウジング200(及び第2のハウジング300)の動きの間中に、第1のハウジング110のチューブ140は、結合デバイス100を通しての流体の移送を可能にするためのチャネル310との接続のために、第1の封止エレメント220及び第2の封止エレメント320を貫通して徐々に突出する。さらに、この動きの間中に、第2のハウジング300と第3のハウジング200は、第1のロックエレメントと第2のロックエレメントとが互いに回転するとロック機構によって係合して解放可能にロックするように構成されている。
【0066】
図2dは、流体を移送するための結合デバイス100の概略図であり、第3のハウジング200は、第1のハウジング110内の第2の位置に配置され、第2のハウジング300は第3のハウジング200に接続されている。この位置で、第2のハウジング300と第3のハウジング200は、ロック機構(図示せず)によって接続されている。チューブ140は、第1の封止エレメント220及び第2の封止エレメント320中に突出し、又はこれらを貫通する。さらに、チューブ140は、第2のハウジング300のチャネル310に勘合して挿入され、出て行く。結合デバイス100のこの構成では、結合デバイス100を通しての流体の移送が可能にされる。
【0067】
図3a及び図3bは、本発明の第1の態様の例示的な実施形態による結合デバイス100の一部分の概略断面図である。図2a~図2dで説明された結合デバイス100に関する結合デバイス100の特徴及び/又は参照符号が単純化のために除去されており、結合デバイス100の動作の理解を高めるために図2a~図2dが参照されることに留意されたい。2つの図3a及び図3bは、結合デバイス100の動作の理解を高めるために、結合デバイス100の分断の例示的及び瞬間的な段階を開示していることを理解されたい。
【0068】
図3aは、本発明の第1の態様による結合デバイス100の分断の第1の段階における、結合デバイス100の一部分の概略断面図である。結合デバイス100に加えられた引っ張り力によって引き起こされ得る、結合デバイス100の分断のこの第1の段階では、チューブ140は、第1の封止エレメント220及び第2の封止エレメント320の中を通って後退させられる。したがって、図2dで、結合デバイス100の接続の第2段階において結合デバイス100を通しての流体の移送のためにチャネル310と流体接触していたチューブ140は、チューブ140の端部380が第2の封止エレメント320によって囲まれるように後退させられている。結合デバイス100は、第1の封止エレメント220及び/又は第2の封止エレメント320に案内孔420を備え、この案内孔420は、チューブを第1の封止エレメント220及び/又は第2の封止エレメント320の中に通して案内するように配置されている。この第1の段階で、チューブ140及び第2の封止エレメント320は、第1の空間400をチューブ140の端部380において画定するように構成される。図3aで、第1の空間400は、チューブ140(の端部380)及び第2の封止エレメント320によって画定された円錐形状の容積部として例示されている。第1の空間400の容積及び/又は形状は、第2の封止エレメント320及び/又はチューブ140の1つ又は複数の特性、たとえば第2の封止エレメント320の材料、チューブ140の材料及び/又は形状などに依存し得ることを理解されたい。たとえば、第1の空間400の容積及び/又は形状は、第2の封止エレメント320とチューブ140の間の摩擦に依存し得る。図3aで、第1の空間400は、結合デバイス100が接続状態にあるときに移送する、結合デバイス100がそのために配置されている、流体で少なくとも部分的に満たされている。言い換えれば、結合デバイス100が接続状態で移送する、結合デバイス100がそのために配置されている、流体の一部分は、結合デバイス100の分断の第1の段階で第1の空間400に存在し、第1の空間400を少なくとも部分的に満たしている。
【0069】
図3bは、本発明の第1の態様による結合デバイス100の分断の第2の段階における、結合デバイス100の一部分の概略断面図である。結合デバイス100の分断のこの第2の段階では、図3aに示された第1の段階と比較して、チューブ140は、第1の封止エレメント220の中を通って後退させられる。図3aと比較して、図3bのチューブ140は、チューブ140の端部380が第2の封止エレメント320(の面)に近接するように第2の封止エレメント320の中を通って後退させられている。チューブ140、第1の封止エレメント220及び第2の封止エレメント320は、チューブ140の端部380に第2の空間410を画定するように構成されている。第2の空間410の容積及び/又は形状は、第1の封止エレメント220及び/又はチューブ140の1つ又は複数の特性、たとえば第1の封止エレメント220の材料、チューブ140の材料及び/又は形状などに依存し得ることを理解されたい。たとえば、第2の空間410の容積及び/又は形状は、第1の封止エレメント220とチューブ140の間の摩擦に依存し得る。図3aでチューブ140及び第2の封止エレメント320によって画定された第1の空間400は、図3bでは、チューブ140が後退するときに押し縮まっている。したがって、図3bで、第2の封止エレメント320は、その偏っていない元の状態を保持しており、図3aで第1の空間400に存在していた流体は、第2の空間410に入っている(その中に放出されている)。
【0070】
第1の封止エレメント220及び/又は第2の封止エレメント320はそれぞれ、抗菌コーティング330a、330bを備えることができる。抗菌コーティング330a、330bは、流体と接触したときに抗菌効果をもたらす、又は達成するように配置又は構成される。たとえば、抗菌コーティング330a、330bは、合成抗菌ペプチドを備え得る。結合デバイス100の特徴によって、抗菌コーティング330a、330bと接触する流体が、第1の封止エレメント220及び/又は第2の封止エレメント320の表面からのペプチドの放出を引き起こして、細菌とペプチドが一緒になり得る。これにより、ペプチドが細菌の膜を破って細菌を瞬時に死滅させることが可能になる。
【0071】
抗菌ペプチドは、広い活性範囲を有し、薬物耐性病原体に対して効果的であることを理解されたい。このような宿主防御ペプチドの断片の1つのラクトフェリン(母乳中に存在する)は、ラクトフェリシンと呼ばれる。広範な構造活性相関調査により、その抗菌ファーマコフォア特性は、本発明の一実施形態による抗菌ペプチドを構成し得る低分子AMC-109に利用されている。AMC-109は、代謝分解に対抗する拡張された安定性及び製造の容易さなどの、工業的に利用可能な製品に要求される特性を獲得しながら、天然ペプチドに特徴的な抗菌特性を保持及び増幅することができる。AMC-109は、ブドウ球菌、MRSA、連鎖球菌、腸球菌、コルネバクテリウム、シュードモナス、大腸菌、腸内細菌、コアグラーゼ陰性ブドウ球菌、黄色ブドウ球菌、インフルエンザ菌、カンジダなどの、広範囲の細菌及び真菌に対して有効である。
【0072】
図3bによる結合デバイス100の分断の第2の段階において、第1の空間400から放出されて第2の空間410に入った流体は、第1の封止エレメント220の抗菌コーティング330aの少なくとも一部分、及び/又は第2の封止エレメント320の抗菌コーティング330bの少なくとも一部分と接触する。
【0073】
図4a~図4cは、本発明の第2の態様の例示的な実施形態による結合デバイス100の一部分の概略断面図である。図2a~図2dで説明された結合デバイス100に関する結合デバイス100の特徴及び/又は参照符号が単純化のために除去されており、結合デバイス100の動作の理解を高めるために図2a~図2dが参照されることに留意されたい。図4a~図4cは、結合デバイス100の動作の理解を高めるために、本発明の第2の態様による結合デバイス100の接続及び分断の例示的及び瞬間的な段階を開示していることを理解されたい。
【0074】
図4aは、本発明の第2の態様による結合デバイス100の一部分の封止エレメント220、320を概略的に開示している。結合デバイス100はその分断状態にあり、図2aに示された結合デバイス100の状態に対応している。結合デバイス100は、第1の封止エレメント220及び第2の封止エレメント320に案内孔420を備え、この案内孔420は、チューブ(図の拡大/理解の向上のために図4aには示されていない)を第1の封止エレメント220及び/又は第2の封止エレメント320の中に通して案内するように配置されている。第1の封止エレメント220及び/又は第2の封止エレメント320は、抗菌コーティング330を備える。抗菌コーティング330は、第1の封止エレメント220の前側395a、及び/又は第2の封止エレメント320の前側395bに配置されている。第1の封止エレメント220は、その前側395aに空洞390aをさらに備え、第2の封止エレメント320は、その前側395bに空洞390bをさらに備える。この例によれば、空洞395a、395bは(鏡面)対称であるが、空洞395a、395bの他の形もまた可能である。本発明のこの第2の態様による結合デバイス100の接続の第1の段階(図示せず)において、第1の封止エレメント220及び第2の封止エレメント320は、これによって互いに当接するように構成され、第1の封止エレメント220の空洞395a、及び/又は第2の封止エレメント320の空洞395bは、第1の封止エレメントと第2の封止エレメントとが接触すると第1の空間を画定する。
【0075】
図4bは、本発明の第2の態様による結合デバイス100の分断の第1の段階における結合デバイス100の一部分の概略断面図である。結合デバイス100に加えられた引っ張り力によって引き起こされ得る、結合デバイス100の分断のこの第1の段階では、チューブ140は、第1の封止エレメント220及び第2の封止エレメント320の中を通って後退させられる。したがって、図2dで、結合デバイス100の接続の第2段階において結合デバイス100を通しての流体の移送のためにチャネル310と流体接触していたチューブ140は、チューブ140の端部380が第2の封止エレメント320によって囲まれるように後退させられている。この第1の段階で、チューブ140及び第2の封止エレメント320は、第2の空間400をチューブ140の端部380において画定するように構成される。図4bで、第2の空間400は、チューブ140(の端部380)及び第2の封止エレメント320によって画定された円錐形状の容積部として例示されている。第2の空間400の容積及び/又は形状は、第2の封止エレメント320及び/又はチューブ140の1つ又は複数の特性、たとえば第2の封止エレメント320の材料、チューブ140の材料及び/又は形状などに依存し得ることを理解されたい。図4bで、第1の空間400は、少なくとも部分的に流体で満たされている。言い換えれば、結合デバイス100がその移送のために配置されている、流体の一部分が第2の空間400に存在し、第2の空間400を少なくとも部分的に満たしている。
【0076】
図4cは、本発明の第2の態様による結合デバイス100の分断の第2の段階における、結合デバイス100の一部分の概略断面図である。結合デバイス100の分断のこの第2の段階では、チューブ140は、第1の封止エレメント220の中を通って後退させられる。図4bと比較して、図4cのチューブ140は、チューブ140の端部380が第2の封止エレメント320(の面)に近接するように第2の封止エレメント320の中を通って後退させられている。図4bでチューブ140及び第2の封止エレメント320によって画定された第2の空間400は、図4cでは、チューブ140が後退するときに押し縮まっている。したがって、図4cで、第2の封止エレメント320は、その偏っていない元の状態を保持しており、図4bで第2の空間400に存在していた流体は、第1の封止エレメント220及び第2の封止エレメント320それぞれの前側395a、395bに空洞390a、390bによって画定された第1の空間410に入っている(その中に放出されている)。
【0077】
第1の封止エレメント220及び/又は第2の封止エレメント320はそれぞれ、抗菌コーティング330a、330bを備えることができる。抗菌コーティング330a、330bは、流体と接触したときに抗菌効果をもたらす、又は達成するように配置又は構成される。たとえば、抗菌コーティング330a、330bは、合成抗菌ペプチドを備え得る。図4cに例示された本発明の第2の態様による結合デバイス100の分断の第2の段階において、第2の空間400から放出されて第1の空間410に入った流体は、第1の封止エレメント220の抗菌コーティング330aの少なくとも一部分、及び/又は第2の封止エレメント320の抗菌コーティング330bの少なくとも一部分と接触する。
【0078】
図5aは、以前に説明された結合デバイス100の一部分の簡略図を概略的に示す。ここでは、第3のハウジング200と第2のハウジング300のロック動作を理解するために、第3のハウジング200及び第2のハウジング300が結合デバイス100から抜き出されている。図5aのロック機構は、第2のハウジング300の第1のロックエレメント510を備え、この第1のロックエレメント510は、それぞれが溝を備える2つの突出部分を備える。図5aのロック機構は、第3のハウジング200の第2のロックエレメント520をさらに備え、この第2のロックエレメント520は、2つの突起を備える。矢印535で示されるように、第2のハウジング300が第3のハウジング200に向かって移動するとき、第2のロックエレメント520は、矢印545で示されるように、第2のロックエレメント520が第1のハウジングの溝(図示せず)によって案内される結果として、回転するように構成される。第2のロックエレメント520は、これによって、第2のハウジング300と第3のハウジング200が第2のハウジング300の第2の位置で接続されるように第1のロックエレメント510と嵌合係合するために、第1のロックエレメント510に対して回転する。第2の位置にある第3のハウジング200は、少なくとも1つの溝410(図2a参照)と第2のロックエレメント520とを介して第1のハウジング110に解放可能に接続されることを理解されたい。
【0079】
同様に、図5bは、以前に説明された結合デバイス100の一部分の簡略図を概略的に示し、さらに、結合デバイス100の第3のハウジング200と第2のハウジング300のロック解除動作を概略的に示す。第3のハウジング200及び第2のハウジング300が、矢印555で示されるように、後退させられた第2の位置から引き出された第1の位置へ移動中に、第2のロックエレメント520は、矢印565で示されるように、第1のロックエレメント510に対して回転するように構成される。その結果として、第2のロックエレメント520は、第2のハウジング300との嵌合係合を解除する。これによって、第2のロックエレメント520は、第2のハウジング300と第3のハウジング200が第3のハウジング200の第1の位置で分断されるように、第1のロックエレメント510に対して回転される。
【0080】
図6は、主軸Aに沿って第2のハウジング300に加えられる力Fが所定の閾値FTを超える場合の、結合デバイス100の分断を概略的に示す。この場合、第3のハウジング(図示せず)は、その後退させられた第2の位置にあるときに、第1のハウジング110との接続から解放されるように構成される。その後、第3のハウジング及び第2のハウジング300は、第2の位置から第1の位置へ移動されるように構成され、第2のハウジング300は、その第3のハウジングとの接続から解放されるように構成される。最終的に、結合デバイス100は分断(分離)され、それによって、結合デバイス100を通しての流体の移送が中断される。
【0081】
結合デバイス100はさらに、警報装置(図示せず)を備え得ることを理解されたい。警報装置は、結合デバイス100が分断された場合に警報を発するように構成され得る。警報器は、たとえば、視覚警報器及び/又は可聴警報器を備え得る。さらに、警報器は、患者を見守るために医療スタッフによって使用される他の任意の機器に(ワイヤレス又は有線で)結合され得る。
【0082】
図7は、本発明の一実施形態による医療キット800を示す。医療キット800は、医療用(たとえば注入)チューブ700を備え、このチューブ700は、概略的に示された結合デバイス100を備える。1つ又は複数のエレメントが、医療用チューブ700の端部に設けられた結合装置を介して医療用チューブに接続されてよく、この結合装置は、異なる種類のエレメントに結合するための標準化されたタイプであってよい。たとえば、図7に示されるように、エレメント810が医療用チューブ700の端部に接続され、このエレメント810は、患者に挿入するように配置されており、流体を患者へ、及び/又は患者から移送するように構成されている。さらに、医療用チューブ700の他端では、医療用チューブ700は、(注入)流体を医療用チューブ700及びエレメント810に通して患者に供給するように配置された容器820(たとえば注入バッグ)に結合されている。医療用チューブ700は、複数の結合デバイス100を備え得るが、図7は、簡単にするために1つの結合デバイス100の使用を示しているだけであることを理解されたい。結合デバイス100は、異なる種類のエレメントに結合するために、たとえば結合デバイス100の一端又は両端に配置された少なくとも1つの結合装置をさらに備え得る。さらに、結合装置は、実質的に任意のタイプでよく、たとえば、多くの異なる種類のエレメントに結合することが可能である標準化された結合部であってよい。たとえば、結合装置は、ルアーロックタイプ及び/又はルアースリップタイプの結合部を備え得る。
【0083】
当業者は、本発明が上述の好ましい実施形態に決して限定されないことを理解する。それどころか、多くの変更及び変形が添付の特許請求の範囲内で可能である。たとえば、図は、本発明の実施形態による結合デバイス100の単なる概略図であることを理解されたい。したがって、結合デバイスの任意のエレメント/構成要素は、描写及び/又は説明されているものとは異なる寸法、形状及び/又はサイズを有し得る。
図1a
図1b
図2a
図2b
図2c
図2d
図3a
図3b
図4a
図4b
図4c
図5a
図5b
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2024-03-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
主軸Aに沿って延びる第1のハウジング(110)と第2のハウジング(300)とを備える、流体を移送するための結合デバイス(100)であって、
前記第1のハウジングが、
その後端部の第1の開口部(120)、
その前端部の第2の開口部(130)、
前記第1の開口部から前記主軸Aに沿って前記第1のハウジングの中に延びるチューブ(140)、及び
第1の封止エレメント(220)を備え、
前記第2のハウジングが、
前記第2のハウジングを貫通するチャネル(310)、及び
前記チャネルを封止するように配置された第2の封止エレメント(320)を備え、
前記第1及び第2の封止エレメントの少なくとも一方が、
抗菌コーティング(330)、及び
それぞれの前記第1及び第2の封止エレメントの前側(395a、395b)の空洞(390a、390b)を備え、
前記結合デバイスの接続の第1の段階において、
前記第2のハウジングが前記第1のハウジングに、前記第2の開口部を介して挿入可能であり、前記第1の封止エレメントと第2の封止エレメントとが、互いに当接して前記チューブと前記チャネルとを封止して分離するように構成され、前記第1及び第2の封止エレメントの少なくとも一方の空洞は、前記第1の封止エレメントと第2の封止エレメントが接触すると第1の空間(40)を画定し、
前記結合デバイスの前記接続の第2の段階において、
前記チューブが、前記結合デバイスを通しての流体の移送を可能にする前記チャネルとの接続のために、前記第1及び第2の封止エレメントを貫通して突出し、
前記結合デバイスの分断の第1の段階において、
前記チューブが、前記第1及び第2の封止エレメントの中を通って後退させられ、前記チューブの端部(380)が前記第2の封止エレメントによって囲まれ、
前記チューブ及び前記第2の封止エレメントが、前記チューブの前記端部において第2の空間(40)を画定するように構成され、前記第2の空間が、少なくとも部分的に前記流体で満たされており、
前記結合デバイスの分断の第2の段階において、
前記チューブが前記第1の封止エレメントの中を通って後退させられ、前記チューブの前記端部が前記第2の封止エレメントに近接しており、
前記第2の空間内の前記流体が、前記第2の空間が押し縮まるときに前記第1の空間に放出され、
前記第1の空間内の前記流体が、
前記第1の封止エレメントの前記抗菌コーティングの少なくとも一部分、及び
前記第2の封止エレメントの前記抗菌コーティングの少なくとも一部分の少なくとも一方と接触し、
前記抗菌コーティングが、前記流体と接触したときに抗菌効果をもたらすように構成されている、結合デバイス(100)。
【請求項2】
前記抗菌コーティングが合成抗菌ペプチドを備える、請求項1に記載の結合デバイス。
【請求項3】
前記第1及び第2の封止エレメントの少なくとも一方が、前記主軸Aに沿って延びる案内孔(420)を備え、前記案内孔が、前記チューブを前記第1及び第2の封止エレメントの少なくとも一方の中に通して案内するように配置されている、請求項1又は2に記載の結合デバイス。
【請求項4】
前記第1及び第2の封止エレメントの少なくとも一方が弾性膜(600)を備え、前記弾性膜は、前記第1の封止エレメントが前記第2の封止エレメントと当接すると平らになるように構成された凸形状を有している、請求項1からのいずれか一項に記載の結合デバイス。
【請求項5】
前記結合デバイスが、前記第1のハウジングの前記前端部の第1の位置と前記第1のハウジングの前記後端部の第2の位置との間で、前記主軸Aに沿って前記第1のハウジング内に移動可能に配置された少なくとも1つの第3のハウジング(200)をさらに備え、前記第3のハウジングが前記第1の封止エレメントを囲む、請求項1からのいずれか一項に記載の結合デバイス。
【請求項6】
前記結合デバイスの接続の前記第1の段階において、前記第2のハウジングが、前記第3のハウジングに解放可能に接続可能であり、前記主軸Aに沿って前記第1のハウジング内に移動可能に配置されるように構成されている、請求項に記載の結合デバイス。
【請求項7】
前記第2のハウジングが、前記第1のハウジングと前記第1の封止エレメントの間に挿入可能である、請求項に記載の結合デバイス。
【請求項8】
ロック装置(405)をさらに備え、それによって、前記第3のハウジングが、前記第2の位置で、前記ロック装置を介して前記第1のハウジングに解放可能に接続される、請求項からのいずれか一項に記載の結合デバイス。
【請求項9】
前記第3のハウジングに前記第2の位置で接続された前記第2のハウジングに対して、前記主軸に沿って前記第1の位置に向けて加えられた力Fが所定の閾値を超える場合に、
前記第3のハウジングが、前記第2の位置においての前記第1のハウジングとの接続から解放されるように構成され、
前記第3のハウジングが、前記第2の位置から前記第1の位置まで移動されるように構成され、
前記第2のハウジングが、前記第3のハウジングとの接続から解放されるように構成されている、請求項からのいずれか一項に記載の結合デバイス。
【請求項10】
前記第2のハウジングと前記第3のハウジングとの解放可能な接続のためのロック機構(500)をさらに備える、請求項のいずれか一項に記載の結合デバイス。
【請求項11】
前記第2のハウジングが、前記ロック機構の第1のロックエレメント(510)を備え、前記第3のハウジングが、前記ロック機構の第2のロックエレメント(520)を備え、前記第1のロックエレメント及び前記第2のロックエレメントは、前記第1のロックエレメントと前記第2のロックエレメントとが互いに回転すると解放可能にロックするように構成されている、請求項1に記載の結合デバイス。
【請求項12】
前記第3のハウジング及び第2のハウジングの前記第1の位置から前記第2の位置への移動の間に、前記第2のロックエレメントは、前記第2のハウジングと前記第3のハウジングとが前記第2の位置で接続されるように、前記第1のロックエレメントとの嵌合係合のために前記第1のロックエレメントに対して回転するように構成され、また、前記第3のハウジング及び第2のハウジングの前記第2の位置から前記第1の位置への移動の間に、前記第2のロックエレメントは、前記第2のハウジングと前記第3のハウジングとが前記第1の位置で分断されるように、前記嵌合係合を解除するために前記第1のロックエレメントに対して回転するように構成されている、請求項1に記載の結合デバイス。
【請求項13】
流体を患者へ、又は患者から移送するための医療用チューブ(700)であって、前記医療用チューブが、請求項1から1のいずれか一項に記載の結合デバイスを少なくとも1つ備える、医療用チューブ(700)。
【請求項14】
少なくとも一端に設けられた少なくとも1つの結合装置をさらに備える、請求項1に記載の医療用チューブの少なくとも1つと、
前記少なくとも1つの結合装置を介して前記医療用チューブに接続された少なくとも1つのエレメント(810)と、を備える、医療用キット(800)。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0074
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0074】
図4aは、本発明の第2の態様による結合デバイス100の一部分の封止エレメント220、320を概略的に開示している。結合デバイス100はその分断状態にあり、図2aに示された結合デバイス100の状態に対応している。結合デバイス100は、第1の封止エレメント220及び第2の封止エレメント320に案内孔420を備え、この案内孔420は、チューブ(図の拡大/理解の向上のために図4aには示されていない)を第1の封止エレメント220及び/又は第2の封止エレメント320の中に通して案内するように配置されている。第1の封止エレメント220及び/又は第2の封止エレメント320は、抗菌コーティング330を備える。抗菌コーティング330は、第1の封止エレメント220の前側395a、及び/又は第2の封止エレメント320の前側395bに配置されている。第1の封止エレメント220は、その前側395aに空洞390aをさらに備え、第2の封止エレメント320は、その前側395bに空洞390bをさらに備える。この例によれば、空洞39a、39bは(鏡面)対称であるが、空洞39a、39bの他の形もまた可能である。本発明のこの第2の態様による結合デバイス100の接続の第1の段階(図示せず)において、第1の封止エレメント220及び第2の封止エレメント320は、これによって互いに当接するように構成され、第1の封止エレメント220の空洞39a、及び/又は第2の封止エレメント320の空洞39bは、第1の封止エレメントと第2の封止エレメントとが接触すると第1の空間を画定する。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0075
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0075】
図4bは、本発明の第2の態様による結合デバイス100の分断の第1の段階における結合デバイス100の一部分の概略断面図である。結合デバイス100に加えられた引っ張り力によって引き起こされ得る、結合デバイス100の分断のこの第1の段階では、チューブ140は、第1の封止エレメント220及び第2の封止エレメント320の中を通って後退させられる。したがって、図2dで、結合デバイス100の接続の第2段階において結合デバイス100を通しての流体の移送のためにチャネル310と流体接触していたチューブ140は、チューブ140の端部380が第2の封止エレメント320によって囲まれるように後退させられている。この第1の段階で、チューブ140及び第2の封止エレメント320は、第2の空間40をチューブ140の端部380において画定するように構成される。図4bで、第2の空間40は、チューブ140(の端部380)及び第2の封止エレメント320によって画定された円錐形状の容積部として例示されている。第2の空間40の容積及び/又は形状は、第2の封止エレメント320及び/又はチューブ140の1つ又は複数の特性、たとえば第2の封止エレメント320の材料、チューブ140の材料及び/又は形状などに依存し得ることを理解されたい。図4bで、第の空間40は、少なくとも部分的に流体で満たされている。言い換えれば、結合デバイス100がその移送のために配置されている、流体の一部分が第2の空間40に存在し、第2の空間40を少なくとも部分的に満たしている。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0076
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0076】
図4cは、本発明の第2の態様による結合デバイス100の分断の第2の段階における、結合デバイス100の一部分の概略断面図である。結合デバイス100の分断のこの第2の段階では、チューブ140は、第1の封止エレメント220の中を通って後退させられる。図4bと比較して、図4cのチューブ140は、チューブ140の端部380が第2の封止エレメント320(の面)に近接するように第2の封止エレメント320の中を通って後退させられている。図4bでチューブ140及び第2の封止エレメント320によって画定された第2の空間40は、図4cでは、チューブ140が後退するときに押し縮まっている。したがって、図4cで、第2の封止エレメント320は、その偏っていない元の状態を保持しており、図4bで第2の空間40に存在していた流体は、第1の封止エレメント220及び第2の封止エレメント320それぞれの前側395a、395bに空洞390a、390bによって画定された第1の空間40に入っている(その中に放出されている)。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0077
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0077】
第1の封止エレメント220及び/又は第2の封止エレメント320はそれぞれ、抗菌コーティング330a、330bを備えることができる。抗菌コーティング330a、330bは、流体と接触したときに抗菌効果をもたらす、又は達成するように配置又は構成される。たとえば、抗菌コーティング330a、330bは、合成抗菌ペプチドを備え得る。図4cに例示された本発明の第2の態様による結合デバイス100の分断の第2の段階において、第2の空間40から放出されて第1の空間40に入った流体は、第1の封止エレメント220の抗菌コーティング330aの少なくとも一部分、及び/又は第2の封止エレメント320の抗菌コーティング330bの少なくとも一部分と接触する。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0083
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0083】
当業者は、本発明が上述の好ましい実施形態に決して限定されないことを理解する。それどころか、多くの変更及び変形が添付の特許請求の範囲内で可能である。たとえば、図は、本発明の実施形態による結合デバイス100の単なる概略図であることを理解されたい。したがって、結合デバイスの任意のエレメント/構成要素は、描写及び/又は説明されているものとは異なる寸法、形状及び/又はサイズを有し得る。
以下に、出願当初の特許請求の範囲に記載の事項を、そのまま、付記しておく。
[1] 主軸Aに沿って延びる第1のハウジング(110)と第2のハウジング(300)とを備える、流体を移送するための結合デバイス(100)であって、
前記第1のハウジングが、
その後端部の第1の開口部(120)、
その前端部の第2の開口部(130)、
前記第1の開口部から前記主軸Aに沿って前記第1のハウジングの中に延びるチューブ(140)、及び
第1の封止エレメント(220)を備え、
前記第2のハウジングが、
前記第2のハウジングを貫通するチャネル(310)、及び
前記チャネルを封止するように配置された第2の封止エレメント(320)を備え、
前記第1及び前記第2の封止エレメントの少なくとも一方が抗菌コーティング(330a、330b)を備え、
前記結合デバイスの接続の第1の段階において、
前記第2のハウジングが前記第1のハウジングに、その前記第2の開口部を介して挿入可能であり、前記第1の封止エレメントと第2の封止エレメントとが、互いに当接して前記チューブと前記チャネルとを封止して分離するように構成され、
前記結合デバイスの接続の第2の段階において、
前記チューブが、前記結合デバイスを通しての流体の移送を可能にする前記チャネルとの接続のために、前記第1及び第2の封止エレメントを貫通して突出し、
前記結合デバイスの分断の第1の段階において、
前記チューブが、前記第1及び第2の封止エレメントの中を通って後退させられ、前記チューブの端部(380)が前記第2の封止エレメントによって囲まれ、
前記チューブ及び前記第2の封止エレメントが、前記チューブの前記端部において第1の空間(400)を画定するように構成され、前記第1の空間が、少なくとも部分的に前記流体で満たされており、
前記結合デバイスの分断の第2の段階において、
前記チューブが前記第1の封止エレメントの中を通って後退させられ、前記チューブの前記端部が前記第2の封止エレメントに近接しており、
前記チューブ、前記第1の封止エレメント及び前記第2の封止エレメントが、前記チューブの前記端部において第2の空間(410)を画定するように構成され、前記第1の空間内の前記流体が、前記第1の空間が押し縮まるときに前記第2の空間に放出され、
前記第1の空間内の前記流体が、
前記第1の封止エレメントの前記抗菌コーティングの少なくとも一部分、及び
前記第2の封止エレメントの前記抗菌コーティングの少なくとも一部分の少なくとも一方と接触し、
前記抗菌コーティングが、前記流体と接触したときに抗菌効果をもたらすように構成されている、結合デバイス(100)。
[2] 主軸Aに沿って延びる第1のハウジング(110)と第2のハウジング(300)とを備える、流体を移送するための結合デバイス(100)であって、
前記第1のハウジングが、
その後端部の第1の開口部(120)、
その前端部の第2の開口部(130)、
前記第1の開口部から前記主軸Aに沿って前記第1のハウジングの中に延びるチューブ(140)、及び
第1の封止エレメント(220)を備え、
前記第2のハウジングが、
前記第2のハウジングを貫通するチャネル(310)、及び
前記チャネルを封止するように配置された第2の封止エレメント(320)を備え、
前記第1及び第2の封止エレメントの少なくとも一方が、
抗菌コーティング(330)、及び
それぞれの前記第1及び第2の封止エレメントの前側(395a、395b)の空洞(390a、390b)を備え、
前記結合デバイスの接続の第1の段階において、
前記第2のハウジングが前記第1のハウジングに、前記第2の開口部を介して挿入可能であり、前記第1の封止エレメントと第2の封止エレメントとが、互いに当接して前記チューブと前記チャネルとを封止して分離するように構成され、前記第1及び第2の封止エレメントの少なくとも一方の空洞は、前記第1の封止エレメントと第2の封止エレメントとが接触すると第1の空間(410)を画定し、
前記結合デバイスの前記接続の第2の段階において、
前記チューブが、前記結合デバイスを通しての流体の移送を可能にする前記チャネルとの接続のために、前記第1及び第2の封止エレメントを貫通して突出し、
前記結合デバイスの分断の第1の段階において、
前記チューブが、前記第1及び第2の封止エレメントの中を通って後退させられ、前記チューブの端部(380)が前記第2の封止エレメントによって囲まれ、
前記チューブ及び前記第2の封止エレメントが、前記チューブの前記端部において第2の空間(400)を画定するように構成され、前記第2の空間が、少なくとも部分的に前記流体で満たされており、
前記結合デバイスの分断の第2の段階において、
前記チューブが前記第1の封止エレメントの中を通って後退させられ、前記チューブの前記端部が前記第2の封止エレメントに近接しており、
前記第2の空間内の前記流体が、前記第2の空間が押し縮まるときに前記第1の空間に放出され、
前記第1の空間内の前記流体が、
前記第1の封止エレメントの前記抗菌コーティングの少なくとも一部分、及び
前記第2の封止エレメントの前記抗菌コーティングの少なくとも一部分の少なくとも一方と接触し、
前記抗菌コーティングが、前記流体と接触したときに抗菌効果をもたらすように構成されている、結合デバイス(100)。
[3] 前記抗菌コーティングが合成抗菌ペプチドを備える、[1]又は[2]に記載の結合デバイス。
[4] 前記第1及び第2の封止エレメントの少なくとも一方が、前記主軸Aに沿って延びる案内孔(420)を備え、前記案内孔が、前記チューブを前記第1及び第2の封止エレメントの少なくとも一方の中に通して案内するように配置されている、[1]から[3]のいずれか一項に記載の結合デバイス。
[5] 前記第1及び第2の封止エレメントの少なくとも一方が弾性膜(600)を備え、前記弾性膜は、前記第1の封止エレメントが前記第2の封止エレメントと当接すると平らになるように構成された凸形状を有している、[1]から[4]のいずれか一項に記載の結合デバイス。
[6] 前記結合デバイスが、前記第1のハウジングの前記前端部の第1の位置と前記第1のハウジングの前記後端部の第2の位置との間で、前記主軸Aに沿って前記第1のハウジング内に移動可能に配置された少なくとも1つの第3のハウジング(200)をさらに備え、前記第3のハウジングが前記第1の封止エレメントを囲む、[1]から[5]のいずれか一項に記載の結合デバイス。
[7] 前記結合デバイスの接続の前記第1の段階において、前記第2のハウジングが、前記第3のハウジングに解放可能に接続可能であり、前記主軸Aに沿って前記第1のハウジング内に移動可能に配置されるように構成されている、[6]に記載の結合デバイス。
[8] 前記第2のハウジングが、前記第1のハウジングと前記第1の封止エレメントの間に挿入可能である、[7]に記載の結合デバイス。
[9] ロック装置(405)をさらに備え、それによって、前記第3のハウジングが、前記第2の位置で、前記ロック装置を介して前記第1のハウジングに解放可能に接続される、[6]から[8]のいずれか一項に記載の結合デバイス。
[10] 前記第3のハウジングに前記第2の位置で接続された前記第2のハウジングに対して、前記主軸に沿って前記第1の位置に向けて加えられた力Fが所定の閾値を超える場合に、
前記第3のハウジングが、前記第2の位置においての前記第1のハウジングとの接続から解放されるように構成され、
前記第3のハウジングが、前記第2の位置から前記第1の位置まで移動されるように構成され、
前記第2のハウジングが、前記第3のハウジングとの接続から解放されるように構成されている、[6]から[9]のいずれか一項に記載の結合デバイス。
[11] 前記第2のハウジングと前記第3のハウジングとの解放可能な接続のためのロック機構(500)をさらに備える、[6]~[10]のいずれか一項に記載の結合デバイス。
[12] 前記第2のハウジングが、前記ロック機構の第1のロックエレメント(510)を備え、前記第3のハウジングが、前記ロック機構の第2のロックエレメント(520)を備え、前記第1のロックエレメント及び前記第2のロックエレメントは、前記第1のロックエレメントと前記第2のロックエレメントとが互いに回転すると解放可能にロックするように構成されている、[11]に記載の結合デバイス。
[13] 前記第3のハウジング及び第2のハウジングの前記第1の位置から前記第2の位置への移動の間に、前記第2のロックエレメントは、前記第2のハウジングと前記第3のハウジングとが前記第2の位置で接続されるように、前記第1のロックエレメントとの嵌合係合のために前記第1のロックエレメントに対して回転するように構成され、また、前記第3のハウジング及び第2のハウジングの前記第2の位置から前記第1の位置への移動の間に、前記第2のロックエレメントは、前記第2のハウジングと前記第3のハウジングとが前記第1の位置で分断されるように、前記嵌合係合を解除するために前記第1のロックエレメントに対して回転するように構成されている、[12]に記載の結合デバイス。
[14] 流体を患者へ、又は患者から移送するための医療用チューブ(700)であって、前記医療用チューブが、[1]から[13]のいずれか一項に記載の結合デバイスを少なくとも1つ備える、医療用チューブ(700)。
[15] 少なくとも一端に設けられた少なくとも1つの結合装置をさらに備える、[14]に記載の医療用チューブの少なくとも1つと、
前記少なくとも1つの結合装置を介して前記医療用チューブに接続された少なくとも1つのエレメント(810)と、を備える、医療用キット(800)。
【手続補正7】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図4
【補正方法】変更
【補正の内容】
図4b
【手続補正8】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図4
【補正方法】変更
【補正の内容】
図4c
【国際調査報告】