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特表2024-525712既存の運動軸を利用することによって3Dプリンタの部品担体を受容及び固定するための装置
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  • 特表-既存の運動軸を利用することによって3Dプリンタの部品担体を受容及び固定するための装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-12
(54)【発明の名称】既存の運動軸を利用することによって3Dプリンタの部品担体を受容及び固定するための装置
(51)【国際特許分類】
   B29C 64/245 20170101AFI20240705BHJP
   B29C 64/124 20170101ALI20240705BHJP
   B29C 64/232 20170101ALI20240705BHJP
   B29C 64/236 20170101ALI20240705BHJP
   B33Y 40/00 20200101ALI20240705BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20240705BHJP
【FI】
B29C64/245
B29C64/124
B29C64/232
B29C64/236
B33Y40/00
B33Y30/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024501654
(86)(22)【出願日】2022-06-27
(85)【翻訳文提出日】2024-02-19
(86)【国際出願番号】 EP2022067577
(87)【国際公開番号】W WO2023285125
(87)【国際公開日】2023-01-19
(31)【優先権主張番号】21184953.4
(32)【優先日】2021-07-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515304558
【氏名又は名称】デンツプライ・シロナ・インコーポレイテッド
(71)【出願人】
【識別番号】519410367
【氏名又は名称】シロナ・デンタル・システムズ・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】カウフマン、ベルンハルト
(72)【発明者】
【氏名】ハーゼンツァール、トーマス
(72)【発明者】
【氏名】シュルツ、トビアス
【テーマコード(参考)】
4F213
【Fターム(参考)】
4F213AA44
4F213WA25
4F213WB01
4F213WL03
4F213WL35
4F213WL72
4F213WL73
4F213WL87
(57)【要約】
本発明は、樹脂槽と、部品担体(2)と、部品担体(2)を配置するための搬送箱(3)と、部品担体(2)を搬送箱(3)から取り出し、それを樹脂槽に搬送することと、部品担体(2)を樹脂槽内で下方及び上方に移動させることと、を行うための搬送装置(4)と、を備え、ここで、搬送装置(4)は、垂直方向及び水平方向における並進軸(5)を有し、その各々は、モータ(6)によって独立に駆動され得、搬送装置(4)は、部品担体(2)を着脱可能に接続するための係止装置(7)を有し、係止装置(7)が、それぞれのモータ(6)の駆動によって、垂直並進軸(5)に沿った下方への移動中に、垂直並進軸(5)上に位置する止め具(8)が結合要素(9)を動かす特定の位置(P)に到達し、結合要素(9)に接触した状態で配置されたばね式係止ピン(10)が、この移動によって、部品担体(2)の差込み開口部に没入され、没入された係止ピン(10)は、水平並進軸を介して、差込み開口部(2a)における係止位置へと持ってこられ得ることを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体部品を生成するための液体フォトポリマー樹脂を入れるための樹脂槽と、
前記固体部品を前記樹脂槽から層ごとに引き上げるための部品担体(2)と、
前記部品担体(2)を配置するための搬送箱(3)と、ここで、前記搬送箱(3)は、前記樹脂槽の外側の指定された位置に手動で置かれ得るか又は固定され得、
前記部品担体(2)を前記搬送箱(3)から取り出して、それを前記樹脂槽内に搬送することと、前記部品担体(2)を前記樹脂槽内で上下方向又は横方向にも移動させることと、を行うための搬送装置(4)と、を備える3Dプリンタ(1)であって、
前記搬送装置(4)は、垂直方向及び水平方向における並進軸(5)を有し、その各々が、モータ(6)によって独立に駆動され得、
前記搬送装置(4)は、前記部品担体(2)への着脱可能な取り付けのための係止装置(7)を有する、3Dプリンタ(1)において、
前記係止装置(7)が、それぞれの前記モータ(6)の駆動によって、垂直方向並進軸(5)に沿った下方への移動中に、前記垂直方向並進軸(5)上に位置する止め具(8)が結合要素(9)を動かす特定の位置(P)に到達し、ここで、前記結合要素(9)に接続した状態で配置されたばね式の係止ピン(10)が、前記係止装置の移動によって、前記部品担体(2)の差込み開口部(2a)内に没入され、ここで、没入された前記係止ピン(10)は、水平方向並進軸を介して、前記差込み開口部(2a)における係止位置又は係止解除位置へと移動され得ることを特徴とする、3Dプリンタ(1)。
【請求項2】
前記結合要素(9)が、前記止め具(8)の傾斜部(12)によって動かされ得る水平に移動可能な押棒(11)を備え、ここで、前記係止ピン(10)は、垂直に設置されたばね付勢式連結棒(13)に取り付けられており、前記水平に移動可能な押棒(11)は、前記垂直に設置されたばね付勢式連結棒(13)上の傾斜部(14)を介して、前記部品担体(2)内への前記係止ピン(10)の下方への移動をもたらすことを特徴とする、請求項1に記載の3Dプリンタ(1)。
【請求項3】
前記水平に移動可能な押棒(11)は、その両端において、それぞれの前記傾斜部(12;14)にそれぞれ接触するためのローラ(15)を有することを特徴とする、請求項2に記載の3Dプリンタ(1)。
【請求項4】
前記結合要素(9)が、前記係止装置の下方への移動時に前記止め具(8)によって動かされ得る揺動部を備え、ここで、前記係止ピン(10)は、垂直に設置されたばね付勢式連結棒(13)に取り付けられており、前記揺動部は、前記垂直に設置されたばね付勢式連結棒(13)を、前記部品担体(2)内への前記係止ピン(10)の下方への移動へと案内することを特徴とする、請求項1に記載の3Dプリンタ(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3Dプリンタに関し、特に、3Dプリンタの造形プラットフォームに関する。
【背景技術】
【0002】
「オーバーヘッド液槽重合(overhead vat polymerization)」の原理に基づくレーザ及びDLPベースの3Dプリンタは、液体フォトポリマー樹脂を固体部品に加工する。この製造原理では、これら部品は、樹脂槽から垂直に層ごとに「引き上げられる」。この目的のために、それらは、直接的に、又は支持構造を介して間接的に、部品担体(造形プラットフォームとしても知られる)に取り付けられる。部品の欠陥を回避するために、部品担体は、印刷プロセスの間、3Dプリンタにしっかりと接続されていなければならない(Z運動学(Z-kinematics))。後処理のために、印刷プロセスが完了した後、部品は、部品担体と共に3Dプリンタから取り外されなければならない。この目的のために、3Dプリンタと部品担体との間の接続は、解除されなければならない。印刷プロセスを開始する前に、部品担体は、再び3Dプリンタに挿入され、3Dプリンタにしっかりと接続されなければならない。
【0003】
市販の3Dプリンタでは、ユーザは、通常、部品担体を手動でプリンタに挿入し、レバー機構又はねじによって、部品担体をプリンタにしっかりと接続する。代替として、ユーザの手動部分に取って代わるロボットシステムが使用される。
【発明の概要】
【0004】
本発明の目的は、追加の駆動モータなしに、造形プラットフォームのピックアップ/ドロップオフを可能にする、造形プラットフォームのためのピックアップ及び固定装置を有する3Dプリンタを提供することである。
【0005】
この目的は、請求項1に記載の3Dプリンタによって達成されている。従属請求項の主題は、更なる展開及び好ましい実施形態に関する。
【0006】
本発明による3Dプリンタは、固体部品を生成するための液体フォトポリマー樹脂を受け入れるための樹脂槽と、部品を樹脂槽から層ごとに引き上げるための部品担体と、部品担体を配置するための搬送箱と、ここで、搬送箱は、樹脂槽の外側の指定された位置において、3Dプリンタの筐体に手動で置かれ得るか又は固定され得、部品担体を搬送箱から取り出して、それを樹脂槽内に搬送することと、部品担体を樹脂槽内で上下方向又は横方向にも移動させることと、を行うための搬送装置と、を備え、ここで、搬送装置は、垂直方向及び水平方向における並進軸を有し、その各々が、モータによって独立に駆動され得、搬送装置は、部品担体への着脱可能な取り付けのための係止装置を有する。係止装置が、それぞれのモータの駆動によって、垂直並進軸に沿った下方への移動中に、垂直並進軸上に位置する止め具が結合要素を動かす特定の位置に到達すると、結合要素に接続されたばね式係止ピン(spring-loaded locking pin)が、この移動によって、部品担体の差込み開口部に没入され、ここで、没入された係止ピンは、水平並進軸を介して、差込み開口部における係止位置へと持ってこられ得る。
【0007】
本発明の重要な特徴は、部品担体を3Dプリンタと結合し、また、3Dプリンタから部品担体を結合解除するために、モータによる既存の並進運動を使用することである。
【0008】
本発明による3Dプリンタでは、3Dプリンタに存在する2つの並進軸及びそれらのそれぞれのモータが、部品担体を3Dプリンタに取り付け/部品担体を3Dプリンタから取り外すために使用され、追加のアクチュエータ/モータは必要とされない。3D印刷前に、ユーザは、搬送箱内に配置された部品担体を、3Dプリンタにおける指定された位置に置く/固定するだけでよく、又は、3D印刷後に、部品担体をそこから取り出して、後処理ステーションに運ぶだけでよい。
【0009】
好ましい実施形態では、結合要素は、水平に移動可能な押棒の形態で設けられている。下方への移動中、押棒は、止め具の傾斜部によって動かされる。係止ピンは、垂直に設置されたばね式連結棒(spring-loaded tie rod)に取り付けられている。水平に移動可能な押棒は、垂直に設置されたばね付勢式連結棒上の傾斜部を介して、係止ピンを部品担体内へと下方に移動させる。好ましくは、水平に移動可能な押棒は、その両端において、それぞれの傾斜部に接触するためのローラを有する。
【0010】
代替の好ましい実施形態では、結合要素は、揺動部(rocker)の形態で設けられる。下方への移動中、揺動部は、止め具によって動かされる。係止ピンは、垂直に設置されたばね式連結棒に取り付けられている。この移動を通じて、揺動部は、垂直に設置されたばね張力のかかった連結棒を、部品担体内への係止ピンの下方への移動へと案内する。
【0011】
以下の説明では、本発明は、図面を参照して例示的な実施形態によって、より詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本発明の一実施形態による、3Dプリンタの概略部分図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図面に示される参照番号は、以下に列挙される要素を示し、これらの要素は、例示的な実施形態の以下の説明において参照される。
1. 3Dプリンタ
2. 部品担体
2a. 差込み開口部
3. 搬送箱
4. 搬送装置
5. 並進軸
6. モータ
7. 係止装置
8. 止め具
9. 結合要素
10. 係止ピン
11. 押棒
12. 傾斜部
13. 連結棒
14. 傾斜部
15. ローラ
16. ばね
17. Zカンチレバー
18. Zタワー
19. ねじ山付きねじ
20. ねじ山付きナット
P: Zタワー(18)上の位置
【0014】
図1は、一実施形態による3Dプリンタを部分的に示す。3Dプリンタ(1)は、固体部品を生成するための液体フォトポリマー樹脂を入れるための樹脂槽(図示せず)と、この部品を樹脂槽から層ごとに引き上げるための部品担体(2)と、部品担体(2)を収容するための搬送箱(3)と、ここで、搬送箱(3)は、樹脂槽の外側の指定された位置に手動で置かれ得るか又は固定され得、部品担体(2)を搬送箱(3)から取り出して、それを樹脂槽内に搬送することと、部品担体(2)を樹脂槽内で上下方向又は横方向にも移動させることと、を行うための搬送装置(4)と、を備える。搬送装置(4)は、垂直方向及び水平方向(図示せず)における並進軸(5)を有し、その各々が、モータ(6)によって独立に駆動され得る。搬送装置(4)は、部品担体(2)への着脱可能な取り付けのための係止装置(7)を有する。垂直並進軸(5)は、Z方向におけるZタワー(18)を構成し、ここで、搬送装置(4)は、モータ(6)によって、Z方向に動かされ得る。モータ(6)は、ねじ山付きねじ(19)及びねじ山付きナット(20)によって、搬送装置(4)のZカンチレバー(17)に接続されている。Zタワー(18)全体が、水平並進軸(図示せず)を介して、水平方向に移動可能である。Zタワー(18)のフレームは、別のねじ山付きねじ及びねじ山付きナットを介して、第2のモータに接続されている。係止装置(7)がそれぞれのモータ(6)の駆動によって、垂直並進軸(5)に沿った下方への移動(下向き矢印参照)中に特定の位置(P)に到達すると、結合要素(9)が、垂直並進軸(5)上に位置する止め具(8)によって動かされる。この移動は、結合要素(9)に接続して配置されたばね式係止ピン(10)を、部品担体(2)の差込み開口部(2a)内に没入させる。部品担体(2)は、印刷が行われ得る造形プラットフォームを下側に有する。没入された係止ピン(10)は、水平並進軸を介して、差込み開口部(2a)における係止位置へと持ってこられ得る。
【0015】
結合要素(9)は、好ましくは、止め具(8)の傾斜部(12)によって動かされ得る水平に移動可能な押棒(11)の形態で設けられている。係止ピン(10)は、垂直に設置されたばね式連結棒(13)に取り付けられている。水平に移動可能な押棒(11)は、垂直に設置されたばね張力のかかった引棒(13)上の傾斜部(14)を介して、部品担体(2)内への係止ピン(10)の下方への移動をもたらす。水平に移動可能な押棒(11)は、好ましくは、その両端において、それぞれの傾斜部(12;14)に接触するためのローラ(15)を有する。代替として、揺動部(図示せず)が、水平に移動可能な押棒(11)の代わりに使用され得る。
【0016】
以下の説明では、動作モード(ピックアップ/ドロップオフ)が、一実施形態に従って詳細に説明される。
【0017】
下方への移動(図1中の下向き矢印を参照)
【0018】
Zカンチレバー(17)が下方への移動中、Zタワー(18)上の特定の位置(P)に到達すると、押棒(11)は、Zタワー(18)上に位置する傾斜部(12)を介して、水平方向に移動される。この移動は、Zタワー(17)において垂直に設置されたばね張力のかかった連結棒(13)上の傾斜部(14)を介して、連結棒(13)の下方への移動と、係止ピン(10)の解放とをもたらす。係止ピン(10)は、部品担体(2)内に入り込み、Zタワー(18)の水平移動を介して、ピックアップのための係止位置(又は、ドロップオフのための係止解除位置)へと持ってこられ得る。
【0019】
上方への移動(図1の上向き矢印を参照)
【0020】
Zタワー(17)の上方への移動中、部品担体(2)は、係止ピン(10)上の係止位置に留まり、搬送箱(3)から取り出される。Zタワー(18)上の傾斜部(12)の範囲内で、押棒(11)は、次に、連結棒(13)を解放し、これは、部品担体(2)、及び造形プラットフォームを、ばね張力(16)を介してZタワー(17)にしっかりと引き寄せる。
【0021】
3Dプリンタ(1)は、好ましくは、指定された位置において搬送箱(3)を検出するセンサ(図示せず)を有する。3Dプリンタ(1)は、好ましくは、係止装置(7)において部品担体(2)を検出するか、又は力測定を行う別のセンサ(図示せず)を有する。3Dプリンタ(1)は、搬送箱(3)からの部品担体(2)のピックアッププロセス、そこから樹脂槽内への搬送プロセス、樹脂槽における3D印刷プロセス、それについての樹脂槽から搬送箱(3)への搬送プロセス、及び部品担体(2)の搬送箱(3)内への配置プロセスを自動的に制御する制御装置を有する。3D印刷中、部品担体(2)はまた、垂直及び水平の並進軸によって、ある角度をなして移動され得る。センサ信号は、制御装置に送信される。力センサ、存在/不在センサが、センサとして使用され得る。
【0022】
搬送箱(3)は、この目的のために設けられた空間(図示せず)又は指定された位置において、樹脂槽の外側及び3Dプリンタ(1)の内側に手動で置かれ得るか又は取り付けられ得る。搬送箱(3)は、部品担体(2)によって、好ましくは、シールによって、緊密に密封される。搬送箱(3)は、3D印刷後に、部品と共に後処理ステーション(図示せず)にユーザによって手動で搬送され得る。後処理ステーションにおいて、上記で定義された搬送装置(4)は、部品担体(2)を後処理チャンバに搬送するために同様に使用され得る。後処理チャンバは、部品を後露光、洗浄、及び/又は乾燥させるために使用され得る。搬送箱(3)は、UV不透過性又は部分的にUV透過性の材料で作製され得る。好ましくは、UV放射及び液体の漏れに対して密封するために、部品担体(2)と搬送箱(3)の開口部との間には、シールが設けられる。
図1
【国際調査報告】