(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-12
(54)【発明の名称】ケイ質材料からなり、密度及び熱伝導率が低い物品の生成方法、及びその方法で得られる製造物品
(51)【国際特許分類】
C01B 33/32 20060101AFI20240705BHJP
【FI】
C01B33/32
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024501690
(86)(22)【出願日】2022-07-13
(85)【翻訳文提出日】2024-03-06
(86)【国際出願番号】 EP2022069529
(87)【国際公開番号】W WO2023285499
(87)【国際公開日】2023-01-19
(32)【優先日】2021-07-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524013528
【氏名又は名称】クワルツォ ソシアル ペル アチオニ
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パンゼーリ、ルカ
【テーマコード(参考)】
4G073
【Fターム(参考)】
4G073BA04
4G073BA63
4G073BA75
4G073BB57
4G073BB58
4G073BD21
4G073BD23
4G073CB05
4G073FB19
4G073FB41
4G073FC18
4G073FC22
4G073FC25
4G073FC27
4G073FC30
4G073FD02
4G073FD12
4G073FD23
4G073GA16
4G073UA20
(57)【要約】
ケイ質材料の球状体、又は、ケイ質材料の前記球状体によって形成された物品であって、密度及び熱伝導率の値が低く、容器の製造に、特にポリスチレン発泡容器の代替に適している物品を、製造するための方法について記載する。本発明はまた、本方法によって得られる製造物品に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
膨張ケイ酸ナトリウム球状体又は前記球状体によって形成された製造物品を生成するための方法であって、以下の工程、すなわち
a)1.0~2.6に含まれるpHを有する酸性水溶液からなる15~70重量%の第1の成分と、アルキル-トリアルコキシシラン、及びアルキル-トリアルコキシシランとテトラアルコキシシランとの混合物から選択される30~85重量%の第2の成分とを含む混合物を調製する工程、
b)前記混合物を18~35℃に含まれる温度で少なくとも8時間反応させ、ゾルを得る工程、
b’)任意選択で、工程b)で得られた前記ゾルをC1~C6アルコール又はその混合物で希釈する工程、
c)式(SiO
2)
x・(Na
2O)
y(比x/yは1.5~3.9で変わってもよい)を有するケイ酸ナトリウム水溶液を前記ゾル中に滴下し、静かに撹拌しながら維持し、前記ゾルの容器の底部にケイ酸ナトリウム球状体を得る工程、
d)前記ゾルを濾過によって除去し、ゾルの薄層で表面が覆われた前記ケイ酸ナトリウム球状体を回収する工程、
e)工程d)で得られた、ゾルの薄層で表面が覆われた前記ケイ酸ナトリウム球状体を、180~320℃の温度で熱処理し、前記ケイ酸ナトリウム球状体を分離した状態に保持し、膨張したケイ酸ナトリウムの乾燥球状体を得る工程、
あるいは、
f)工程d)で得られた、ゾルの薄層で表面が覆われた前記ケイ酸ナトリウム球状体を、所望の最終物品の形状を有する閉鎖鋳型に移送し、前記ケイ酸ナトリウム球状体を180~320℃に含まれる温度の前記鋳型に移し、製造物品を得る工程
を含む方法。
【請求項2】
塩酸、硝酸、塩素酸、及び過塩素酸から選択される酸を使用して、工程a)の混合物を調製する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
工程a)で使用される前記アルキル-トリアルコキシシランが、一般式(I)を有し、
【化1】
式中、R及びR’は、互いに等しいか又は異なり、C1~C4アルキル基である、
請求項1及び2のいずれか一項に記載の方法。
【請求項4】
前記アルキル-トリアルコキシシランがメチル-トリエトキシシランである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
工程a)において任意選択で用いられる前記テトラアルコキシシランが、一般式(II)を有し、
【化2】
式中、R”基はC1~C4アルキル基である、
請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記テトラアルコキシシランがテトラエトキシシランである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
工程a)においてアルキル-トリアルコキシシランとテトラアルコキシシランとの混合物が使用される場合、それらの重量比が17:1~1:17である、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
任意選択の工程b’)が実施される場合、前記アルコール又はアルコールの混合物が、工程b’)で得られる前記ゾルの総重量の10%~60%を構成する量で添加される、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
工程c)において前記ゾルに滴下される前記ケイ酸ナトリウム水溶液が、前記ケイ酸ナトリウム水溶液の0.5%~3%を構成する量でグリセロールをさらに含有する、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
工程c)において前記ゾルに滴下される前記ケイ酸ナトリウム水溶液が、1つ又は複数の着色剤を、前記ケイ酸ナトリウム水溶液の0.5重量%~2重量%を構成する量でさらに含有する、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
工程c)の前記ゾルの静かな撹拌が、30~80rpmの速度で回転する機械的撹拌機又は磁気撹拌機によって達成される、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載の方法の工程e)で得られた、0.5~5mmの間の直径を有する、ケイ酸ナトリウム球状体。
【請求項13】
1~3mmの間の直径を有する、請求項8に記載ケイ酸ナトリウム球状体。
【請求項14】
0.21~0.22g/cm
3に含まれる密度を有する、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法の工程f)で得られた製造物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケイ質材料によって形成された物品であって、密度及び熱伝導率の値が低く、膨張ポリスチレン製の同様の製品を代替する物品を製造するのに適した、ケイ質材料によって形成された物品を製造するための方法に関する。本発明はまた、本方法によって得られる製造物品に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリスチレン又はポリスチレン発泡体は、その軽量性と低い熱伝導率のために、多くの分野で広く使用されている材料である。
【0003】
ポリスチレンは、膨張プロセスで水蒸気を必要とするだけであることから、特に経済的な材料である。膨張プロセスで生じたポリスチレン内部の空気により、ポリスチレンに、その機械的特性が低減されることなく、高い断熱特性が付与される。
【0004】
この材料には多くの用途があり、様々な種類の包装に使用されるだけでなく、海で、並びに商業港及び観光港、水産養殖、漁業、及び海洋活動において、例えばブイ、フロート及び桟橋を作るのに広く使用されている。
【0005】
この材料が、やはり海洋活動に関連して広く使用され得る1つの領域は、市場での魚の貯蔵、搬送及び陳列のためのクレートの製造にある。クレートは通常、ポリスチレン製であり、それは、この材料であれば、魚製品を置く氷を長期保存することができるためである。
【0006】
魚クレートは、ヨーロッパで広く使用されており、非常に多くの場合、収集及びリサイクルされず、実際に非常に多くの場合、汚れがひどいか破損している場合は海に直接投棄されている。イタリアだけでも、毎年1000万個の使い捨てのポリスチレンクレートが消費されると推定されている。
【0007】
ポリスチレンの主な欠点は、それが完全に生分解せず、海洋生物、ひいては人間の健康に深刻な脅威をもたらす可能性があることである。水中では、ポリスチレンは砕けて、海洋動物相によって食物と間違えられるマイクロプラスチック(通常、0.1マイクロメートル~5ミリメートルのサイズの範囲のプラスチック粒子)を形成し、そして人間に至るまでの食物連鎖に入る傾向がある。
【0008】
ただ1個のフィッシュクレートがいったん海に分散され、分解プロセスが開始されると、その1個のフィッシュクレートから100万個を超えるマイクロプラスチックが生成される可能性があると推定されている。
【0009】
また、大量のポリスチレン発泡体を使用する別の用途としては、建築物の断熱層がある。この層はパネルからなる場合もあれば、壁の中空空間を当該材料の球状体で充填することによって形成さる場合もある。ここでも、ポリスチレンは、パネルの形態であっても自由球状体であっても、他のがれきから分離し、別々に埋め立てて環境への分散を防がなければならないため、建物の解体又は改修作業中の廃棄を複雑にする。また、建築産業におけるポリスチレンの使用に伴う別の問題としては、この材料が、新しい産業規制の要件に反して、耐火性ではないことがある。
【0010】
ポリスチレンからの汚染が認識されているレベルであることを考慮して、その使用に関して最初の対策が既にとられており、この材料から作られた容器及びカップが禁止されている。
【0011】
本発明の目的は、ポリスチレンと同様の軽量性及び断熱特性を有し、そのため代替品として使用することができるがポリスチレンの汚染問題は引き起こさない製品を生成するための方法を、利用可能にすることである。本発明の別の目的は、前記方法によって得られた製造物品を利用可能にすることである。
【発明の概要】
【0012】
これらの目的は本発明に従って達成され、本発明は、第1の態様では、膨張ケイ酸ナトリウム球状体又は前記球状体によって形成された製造物品を生成するための方法であって、以下の工程、すなわち
a)1.0~2.6に含まれるpHを有する酸性水溶液からなる15~70重量%の第1の成分と、アルキル-トリアルコキシシラン、及びアルキル-トリアルコキシシランとテトラアルコキシシランとの混合物から選択される30~85重量%の第2の成分とを含む混合物を調製する工程、
b)前記混合物を18~35℃に含まれる温度で少なくとも8時間反応させ、ゾルを得る工程、
b’)任意選択で、工程b)で得られた前記ゾルをC1~C6アルコール又はその混合物で希釈する工程、
c)式(SiO2)x・(Na2O)y(比x/yは1.5~3.9で変わってもよい)を有するケイ酸ナトリウム水溶液を前記ゾル中に滴下し、静かに撹拌しながら維持し、前記ゾルの容器の底部にケイ酸ナトリウム球状体を得る工程、
d)前記ゾルを濾過によって除去し、ゾルの薄層で表面が覆われた前記ケイ酸ナトリウム球状体を回収する工程、
e)工程d)で得られた、ゾルの薄層で表面が覆われた前記ケイ酸ナトリウム球状体を、180~320℃の温度で熱処理し、前記ケイ酸ナトリウム球状体を分離した状態に保持し、膨張したケイ酸ナトリウムの乾燥球状体を得る工程、
あるいは、
f)工程d)で得られた、ゾルの薄層で表面が覆われた前記ケイ酸ナトリウム球状体を、所望の最終物品の形状を有する閉鎖鋳型に移送し、前記ケイ酸ナトリウム球状体を180~320℃に含まれる温度の前記鋳型に移し、製造物品を得る工程
を含む方法に関する。
【0013】
第2の態様では、本発明は、球状体又は上記の方法によって得られる製造物品に関する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、本発明の方法を実施するためのプラントを概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下の説明では、特に明記しない限り、すべてのパーセンテージは重量に基づくものである。
【0016】
本発明の第1の工程a)では、酸性水溶液を含む第1の成分と、アルキル-トリアルコキシシラン、及びアルキル-トリアルコキシシランとテトラアルコキシシランとの混合物から選択される第2の成分とを上記の比率で含む混合物を調製する。
【0017】
pH1.0~2.6の水溶液(第1の成分)は、塩酸、硝酸、塩素酸及び過塩素酸から選択される酸を蒸留水に添加することによって調製される。好ましくは、これらの酸は、それらの濃縮溶液の形態で水に添加される。pHは、水への酸の添加中に、pHメータを使用してリアルタイムで確認することができる。あるいは、予備試験に続いて、既知濃度のこれらの酸を溶液の水に較正して添加することができる。例えば、本発明者らは、濃度1規定(normal:N)のこれらの酸の溶液を、水と酸溶液との体積比が10:1~350:1で蒸留水に添加することによって、所望の範囲のpH値が得られることを実証している。好ましくは、水溶液(第1の成分)のpHは1.5~2.3の値に維持され、これは、濃度1Nの上述の酸の酸溶液を、水と酸溶液との体積比が30:1~180:1で蒸留水に添加することによって得られる。
【0018】
工程a)で使用される第2の成分は、アルキル-トリアルコキシシラン、及びアルキル-トリアルコキシシランとテトラアルコキシシランとの混合物から選択される。
【0019】
アルキルトリアルコキシシランは、一般式(I)の化合物であり、
【化1】
式中、R及びR’は、互いに等しいか又は異なり、C1~C4アルキル基である。
【0020】
最も一般的で本発明の目的にとって好ましいアルキル-トリアルコキシシランは、MTESの略語で業界において知られているメチル-トリエトキシシラン(methyl-triethoxysilane)(R=メチル、R’=エチル)である。
【0021】
テトラアルコキシシランは、一般式(II)の化合物であり、
【化2】
式中、R”基はC1~C4アルキル基である。
【0022】
最も一般的なテトラアルコキシシランは、一般にTMOSの略語で呼ばれるテトラメトキシシラン(tetramethoxysilane)(R”=メチル)、テトライソプロポキシシラン(R”=イソプロピル)、及び、最も重要で、(テトラアルコキシシランが第2の成分中に存在する場合に)本発明の目的にとって好ましく、一般にTEOSの略語で呼ばれるテトラエトキシシラン(tetraethoxysilane)(R”=エチル)である。
【0023】
上述のように、アルキルトリアルコキシシランは、それ自体で工程a)の混合物の第2の成分を構成してもよく、その場合、その量は、前記混合物の30~85重量%で変わってもよい。アルキル-トリアルコキシシランとテトラアルコキシシランとの混合物が第2の成分として使用される場合、それらの重量比は、17:1~1:17で変わってもよい。
【0024】
アルキル-トリアルコキシシラン及びテトラアルコキシシランは、広く市販されている化合物である。本発明の目的にとって好ましいその2つの化合物は、例えば、エッセン(ドイツ)のエボニック・リソース・エフィシエンシー社(Evonik Resource Efficiency GmbH)によってダイナシラン(Dynasylan、登録商標)A(TEOS)及びダイナシラン(Dynasylan、登録商標)MTES(MTES)の名称で、又は、ワッカー・ケミー・イタリア(Wacker Chemie Italia)社(セグラーテ、ミラノ県)によってワッカー(WACKER、登録商標)シリケートTES 28(TEOS)及びワッカー(WACKER、登録商標)シラン M1-トリエトキシ(MTES)の名称で販売されている。
【0025】
2つの成分(酸性水溶液及び(1つ又は複数の)シラン)を所望の比で容器に導入し、本方法の工程b)において、混合物を撹拌しながら少なくとも8時間、好ましくは少なくとも12時間、18~35℃の温度で反応させる。この段階で、シランの加水分解が起こると共に、水、加水分解シラン化合物、及び、初期シランのR基、R’基及び場合によってはR”基に対応するアルコール(又はアルコールの混合物)を含むゾルが形成される。ゲル化を避けるために、ゾルを穏やかにかき混ぜながら保持する。
【0026】
任意選択で、工程b)の完了時に、工程b)で得られたゾルをC1~C6アルコール、好ましくはC1~C3アルコール、より好ましくはメタノール、エタノール及びイソプロパノールの中から選択されるアルコールで希釈することからなるさらなる工程b’)を実施することができる。アルコールは、工程b’)で得られるゾルの総重量の10重量%~60重量%、好ましくは20重量%~50重量%を構成する量で添加することができる。後で用いられるケイ酸ナトリウムはアルコールに不溶性であるので、工程b’)におけるゾルへのアルコールの添加は、より高いケイ酸ナトリウム/ゾル比であっても、次の工程c)で形成される球状体の非凝集を確実にするさらなる制御パラメータを本方法に提供する。さらに、ケイ酸ナトリウム溶液は非常に塩基性であるため、ケイ酸ナトリウム溶液が滴下されるゾルのゲル化を誘発する可能性があり、本発明者らは、ゾルへのアルコールの添加により、このゲル化が回避又は緩和され、同じゾルでの操作時間がより長くされ得ることを認めた。
【0027】
工程b)又は工程b’)で得られたゾルを、これが形成された容器が本方法の工程c)及びd)を実施するのに適している場合はその容器内で保持することができ、又は、適切な反応器に移すことができる。
【0028】
工程c)において、x/y比が1.5~3.9で変わり得る式(SiO2)x・(Na2O)yのケイ酸ナトリウムの水溶液をゾルに滴下する。様々な組成のケイ酸ナトリウム水溶液は、無機化学において広く知られており(多くの場合「水ガラス」と呼ばれる)、多くの分野、例えば、農業、建設、セラミック産業において、並びに紙の向上剤及び接着剤として使用されている。上記の溶液は広く市販されており、イタリアでは、例えば、モントリオ(イタリア、ヴェローナ)のインジェッシル社(Ingessil s.r.l.)によってナコレン(Nacoren)と呼ばれる製品ラインで販売されている。様々な組成の上記の溶液は、SiO2とNa2Oとのモル比、及び水中の無機成分の濃度が互いに異なり、(SiO2とNa2Oとの総和として意図される)ケイ酸ナトリウムが25重量%~58重量%で異なっていてもよく、それにより密度が約1.25~1.56g/mlで異なっており、10~13.5の範囲のpHを有する。これらの溶液はすべて本発明の目的に適しており、より高濃度の無機物質を含む溶液が、生産性の理由から好ましい。
【0029】
ケイ酸ナトリウム水溶液には、グリセロール及び/又は着色剤が添加されてもよい。
【0030】
本発明者らは、少量のグリセロールをケイ酸ナトリウム水溶液に添加すると、最終球状体の膨張が高められることを認めた。グリセロールは、ケイ酸ナトリウム水溶液の0.5重量%~3重量%、好ましくは1重量%~2.5重量%を構成する量で、前記水溶液に添加されてもよい。これらの量のグリセロールの添加で得られた最終球状体の体積の増加率は、グリセロールを使用せずに得た球状体の体積と比較して最大20%に達し得る。
【0031】
ケイ酸ナトリウム水溶液に添加するための着色剤は、広範囲の化合物から選択することができる。例えば、(粉末、液体又はゲルの形態の)食品着色料、アクリル染料若しくはビニル染料、又は水系染料(例えば、イタリア、オレッジョ(ノヴァーラ)のシークヴェルク・イタリー社(Siegwerk Italy SpA)が生産販売するもの)を使用することが可能である。これらの着色剤は、最終物品において所望の色強度を得るのに十分な量で添加され、この量は、いくつかの予備試験で決定することができる。一般に、所望の結果は、(グリセロールも添加される場合と、この後者の成分が添加されない場合の両方において)ケイ酸ナトリウム水溶液の0.5重量%~2重量%を構成する量の着色剤を添加して得られる。
【0032】
ケイ酸ナトリウム水溶液をゾル中に滴下するには、粘性液体が付着することを防ぐシリコーンドリッパを使用することが好ましい。滴下ヘッドは、多くの方法で作製することができ、例えば、支持体にらせん状に巻かれ、その全長に沿って穿孔されたシリコーンチューブ、又は、同じく穿孔され、中央支持体の周りに放射状パターンで配置された等しいサイズのシリコーンチューブの切片であってもよい。ケイ酸ナトリウム溶液は、ポンプによって達成される過圧によってシリコーンチューブの穴から押し出される。
【0033】
ゾルと接触しているケイ酸ナトリウム溶液は、pH差(ケイ酸ナトリウム溶液は10~12.5の範囲のpHを有するが、ゾルは酸性である)と、ケイ酸ナトリウムが不溶性であるゾル中のアルコールの存在との複合作用により、直ちに小さな球体(球状体)に凝固する。球状体の寸法は可変であり、シリコーンチューブの穴のサイズと、ポンプによって液体に及ぼされる圧力とを調整することによって制御することができる。通常、球状体は、直径が0.5~5mm、最も一般的には1~3mmに含まれる。場合によっては、ケイ酸ナトリウム溶液の液滴は、滴下中にゾルとの衝撃のために砕けて、サイズが約0.1mmの球状体を形成する。これは普通、濾過工程d)においてゾルと共に除去される。
【0034】
球状体はゾルよりも密度が高いため、重力によって反応器の底部に沈降する。球状体が圧縮されるのを防ぐために、ゾルを、例えば機械的撹拌機又は磁気アンカによって静かに撹拌し続ける。球状体形成プロセスを害さないように、撹拌機は、30~80rpm、好ましくは60rpm付近の中程度の速度で回転させるべきである。
【0035】
本方法の工程d)において、球状体は、濾過によってゾルから分離される。このために、球状体を含有するゾル体積部の一部が、下面にフィルタを有する第2の容器に移送される。フィルタは球状体を保持するが、ゾルを流出させる。第2の容器から出るゾルは、好ましくは回収タンクに送られ、そこから工程a)に再循環される。この工程を補助するために、好ましくは、ガス(好ましくは窒素)を第2の容器に流して、液相の搬送を助ける。
【0036】
この工程では、ゾルは、球状体の表面を濡らす薄膜の形態で残存するごく少量のものを除いて、球状体からほぼ完全に分離される。
【0037】
最後に、本方法の最後の工程において、工程d)から誘導された球状体を熱処理し、球状体同士を分離した状態に保持する(工程e)か、又は鋳型内で接触させ(工程f)、それらを膨張させる。
【0038】
第1の選択肢では工程e)を実施するが、この工程では、球状体を180~320℃で熱処理し、球状体同士を分離した状態に保持して、最終製品として膨張した別々の球状体を得る。加熱処理により、出発原料に含有されるガス(空気及び水蒸気)が発生することによって、球状体が膨張する。
【0039】
球状体はトレイ又はコンベヤベルトに載せることができるが、トレイ又はコンベヤベルトは球状体の直径よりも小さい直径を有する凹部又は穴が設けられていることが好ましく、それは、トレイ又はベルトの移動中に、球状体を所定の位置に保持し離間させておくことを補助するためである。
【0040】
球状体の加熱は、例えば、コンベヤベルトで搬送する場合にはトンネルオーブンを用いて、又は、コンベヤベルトに載せかつトレイに載せて球状体を搬送する場合には高周波オーブンで、又は赤外線灯で達成され得る。球状体をオーブンの加熱ゾーン又は他の加熱手段に搬送する他の方法は、当業者には明らかであろう。
【0041】
第2の代替選択肢では、本方法の最終工程において、製造物品が生成される。
【0042】
この選択肢では、工程f)において、表面にゾルの薄層を有するケイ酸ナトリウム球状体を、所望の最終製造物品の形状を有する閉鎖鋳型に移送する。鋳型の種類に応じて、様々な方法で、例えば重力又は注入によって、鋳型を充填することができる。鋳型は普通、2つの半体からなり、球状体が移送される最初の容器を形成する下部分と、プレス機によって球状体に対して所望の位置で保持される対向鋳型とにより、完全鋳型が形成される。鋳型のその2つの部分は、好ましくは紙で被覆されており、これは製品を圧縮状態に保持するのに役立ち、当該プロセスが終了すると、乾燥球体からなる製造物品の内部を保護するのに有用となる。
【0043】
次いで、閉鎖鋳型を180~320℃に含まれる温度まで加熱する。加熱処理の持続時間は、通常2~15分であり、温度が高いほど短く、鋳型によって画定される厚さが薄いほど短い。
【0044】
加熱処理により、出発原料に含有されるガス(空気及び水蒸気)が発生することによって球状体は膨張する。球状体の膨張はそれ自体を圧縮して、鋳型の内側の空間全体を占める製造物品が形成される。この動作中、プレス機の加圧は維持される。
【0045】
加熱処理後、鋳型を開き、完成した製造物品を回収する。
【0046】
図1に、本方法の工程c)、d)及びf)を行うための可能なプラントの一例を概略的に示す。
【0047】
プラント10は、工程a)及びb)で調製されたゾルが生成又は移送される反応器11からなる。反応器11の上壁には、ケイ酸ナトリウム溶液がゾル中に滴下されるドリッパ12がある。形成された球状体(要素14として図に示されている)を運動している状態で保持し、それらが反応器の底部で押し固められ圧縮されるのを防ぐために、撹拌機13をゾルに浸漬させている。
【0048】
工程c)の実行中は閉じた状態で保持され、工程d)の実行の際は開かれる遮断弁15がある吐出ラインに、反応器11の底部は接続されている。弁15を開くことにより、球状体が存在するゾルの体積部の一部が第2の容器16に通される。第2の容器の底部には、ゾルを流すが球状体は保持するフィルタ17がある(第2の容器内の球状体は要素14’として識別されている)。フィルタ17の下流の第2の容器からの吐出ラインには、第2の容器からゾルを吐出する間、回収タンク19に向けてそのゾルを誘導する切換弁18があり、そして回収タンク19から、ゾルはポンプによって反応器11に再循環される。容器16が、適切な入口ダクト(図では「N2注入」という用語で示されている)から容器16自体への窒素流を有することによって、ゾルを出して容器16を空にすることが容易になる。窒素の流入によって生じたわずかな過圧は、球状体が鋳型20に落下するときに解放される。安全性を高めるために、容器16の上部に放出弁(図示せず)を設けることも可能である。
【0049】
容器16が空になったら、フィルタ17を除去し、工程f)を実施するために、球状体が鋳型20の下部分に落ちる位置まで弁18を移動させる。
【0050】
この図には、工程f)における球体の膨張及び圧縮の加熱処理の間に使用される対向鋳型及びプレス機は示されていない。
【0051】
第2の態様では、本発明は、球状体又は本方法によって得られる製造物品に関する。
【0052】
本発明の材料は、ポリスチレンと同様の外観を有し、白色、軽量(0.21~0.22g/cm3の密度値)であり、膨張ポリスチレンの断熱係数に本質的に等しい約0.030W/mKの断熱係数を有する。しかし、膨張ポリスチレンとは異なり、本発明の製品(球状体及び製造物品)は、温度の上昇に伴ってより良好な機械的安定性を有し(膨張ポリスチレンは70℃~100℃の範囲の軟化Tを有する)、可燃性ではなく、とりわけ、水に長時間浸漬した場合に、環境汚染の問題を引き起こすことなく完全に溶解する。
【0053】
本発明を以下の例によってさらに説明する。
【0054】
例1
この例では、直径が50mmで厚さが10mmのディスクの形態の本発明の物品の生成について述べる。
【0055】
MTES(エボニック(Evonik))90kg、TEOS(エボニック(Evonik))90kg、蒸留水60L、及び1NのHCl溶液1Lを容器に導入した。得られた混合物を、室温(約21℃)で12時間撹拌している間に反応させた。この間に、シラン成分が加水分解され、ゾルが得られる。
【0056】
ゾルを、磁気アンカ撹拌機を備えた反応器に移した。
【0057】
ケイ酸ナトリウムが式(SiO2)x・(Na2O)yを有し、x/y=3.4(ナコレン(Nacoren)330F、インジェッシル社(Ingessil s.r.l))である、濃度36重量%の市販のケイ酸ナトリウム水溶液をゾルにゆっくりと滴下した。
【0058】
滴下は、ゾルと接触しているケイ酸ナトリウム溶液の「跳ね返り」によって生じる小さな球状体の形成を可能な限り避けるために、ゾルの自由表面から約10cmの反応器頂部に配置した穿孔シリコーンチューブ(直径2mmの穴)に、ケイ酸ナトリウム溶液を1.55バールの圧力でポンプ輸送することによって達成した。シリコーンチューブは、支持体の周りにらせん状に巻き付けた。ゾルを、60rpmで回転する磁気アンカによって撹拌し続けた。ゾルと接触すると、ケイ酸ナトリウム溶液の液滴は、ゾルに不混和性で分散した1~3mmに含まれる直径を有する液体球状体を形成し、これを反応器の底部に堆積させた。
【0059】
球状体を反応器の底部から下方のタンクに吐出し、そこで、圧力0.2バールの窒素流によって、球状体の表面から過剰なゾルを除去した。
【0060】
次いで、このようにして得られた球状体を、タンクの底部の吐出弁の開口部を通して、厚さ10mm及び直径50mmの円筒状鋳型の下部分に吐出した。球状体のレベルが鋳型の下部分の縁部に達したら、鋳型の下部分を対向鋳型で閉じ、その完全鋳型を250℃の温度の換気オーブン内に5分間置いた。
【0061】
加熱処理後、鋳型から製造物品を取り出し、完成品(試料1)を得た。その製造品の重量を測定したところ、4.28gであり、かさ密度は0.218g/cm3であることがわかった。
【0062】
例2
この例の試験では、例1で生成した試料1の熱伝導率を測定した。
【0063】
熱伝導率の測定は、UNI EN 12667:2001の手順に従って実施した。
【0064】
簡単に説明すると、この手順では、試料を加熱要素と冷却要素との間に置く。加熱要素は、中央測定要素と、その中央要素と同じ温度に維持した保護リングとからなり、その結果、試験試料を通して一次元熱流が発生する。
【0065】
熱伝導率は、以下の関係によって与えられる。
λ=P×s/A(Tc-Tf)
式中、
P=中央要素によって散逸される電力(W)、
s=試験試料の厚さ(m)、
A=中心要素の面積(m2)、
(Tc-Tf)=試験試料の高温面と低温面との温度差(K)。
【0066】
LASERCOMP FOX 300機器(ティー・エイ・インスツルメント(TA Instruments、登録商標))を試験に使用した。試験は、以下の実験室条件、すなわち温度22±3℃、相対湿度50±10%の下で行った。
【0067】
測定された熱伝導率値は0.031W/mKであった。
【0068】
例3
例1の調製を同一の条件下で繰り返したが、ゾルの作製に使用した3つの異なる組成のアルキル-トリアルコキシシラン/テトラアルコキシシラン成分を用いた。
【0069】
この3つの場合において、MTES及びTEOSの量を以下のようにした。
【表1】
【0070】
かさ密度を試料2~4について測定したところ、試料1について測定したものと同様であった。
【0071】
例4
この例では、液体ケイ酸ナトリウムにピンク色の食品着色料を添加することによって得られる着色製品の形成について述べる。
【0072】
容器内で、MTES(エボニック(Evonik))90kgを、1Nの塩酸1kgで酸性化した60kgのH2Oと反応させた。
【0073】
混合物を撹拌しながら12時間置いて、ゾルを得た。
【0074】
アルコール調合物60kgをゾルに添加し、得られた混合物を静かに撹拌しながら保持した。アルコール調合物は、重量で約75%のエタノール及び約25%のイソプロパノールを含む市販の配合品とした。
【0075】
例1で用いたのと同じナコレン(Nacoren)330Fケイ酸ナトリウム水溶液を、ケイ酸ナトリウムの原料として使用した。この溶液を、ピンク色の液体食品着色料(イタリア、サレルノのカルマ社(Karma S.r.l.))によって販売されている製品、デコラ(Decora)、コード9600503)を0.6%物質重量(body weight:b.w.)のパーセンテージで添加することによって着色した。
【0076】
この種類の染料の配合物はグリセロールも含み、この成分は、既に述べたように、当該材料の膨張能力を高めるのに役立つ。
【0077】
次いで、当該材料が1.5バールの圧力で内部にポンプ輸送された穿孔シリコーンらせん体を使用して、例1に記載したように、着色ケイ酸ナトリウム溶液を希釈ゾルの中に滴下した。
【0078】
所望量の球状体が得られたら、その球状体24gを反応器の底部からタンクに吐出し、圧力0.2バールの窒素流により、過剰なゾルを球状体の表面から除去した。
【0079】
このようにして生成された球状体を半閉鎖テフロン(登録商標)コートの鋳型の内部に挿入した。これは、鋳型の下半分の上に蓋が置かれているが、鋳型は封止されていないことを意味する。鋳型は、横方向サイズが10×10cmの正方形の幾何形状を有するものであった。鋳型を工業用の高周波オーブン内に置き、乾燥及び膨張プロセスを行った。
【0080】
乾燥が完了したら、製品をテフロン(登録商標)コートの鋳型から取り出し、ピンク色のケイ酸塩発泡体の10×10×2cmパネルを得た。
【0081】
例5(比較例)
この例では、膨張ケイ酸ナトリウムの別々の分離球状体の生成について述べる。
【0082】
容器内で、MTES(エボニック(Evonik))90kgを、1Nの塩酸1kgで酸性化した60kgのH2Oと反応させた。
【0083】
混合物を撹拌しながら12時間置いて、ゾルを得た。
【0084】
例4で用いたのと同じケイ酸ナトリウム水溶液(ナコレン(Nacoren)330F)を、8つの穿孔シリコーン分岐体を含む多岐管システムを使用して、ゾルの内部に滴下させた。ケイ酸ナトリウムは、1.5バールの圧力で、穿孔管のこれらの分岐体にポンプ輸送した。
【0085】
例1に記載したように、前の工程で形成された球状体を回収し、過剰なゾルを除去した。テフロン(登録商標)コートの敷物上に球状体を、球状体が敷物上に広がり、互いに分離した状態を保持するように注意しながら置いた。敷物が280℃の熱風トンネルを10分で通過することにより、球状体は乾燥及び膨張した。
【0086】
熱処理が終了したら、当該材料の貯蔵を目的とした容器に球状体を吐出した。これらの球状体は非粘着性であり、断熱材として作用するように、中空空間を充填するのに使用できる状態であった。
【手続補正書】
【提出日】2024-03-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
膨張ケイ酸ナトリウム球状体又は前記球状体によって形成された製造物品を生成するための方法であって、以下の工程、すなわち
a)1.0~2.6に含まれるpHを有する酸性水溶液からなる15~70重量%の第1の成分と、アルキル-トリアルコキシシラン、及びアルキル-トリアルコキシシランとテトラアルコキシシランとの混合物から選択される30~85重量%の第2の成分とを含む混合物を調製する工程
であって、前記の酸性水溶液は、塩酸、硝酸、塩素酸及び過塩素酸から選択される酸を蒸留水に添加することによって調製される、前記の工程、
b)前記混合物を18~35℃に含まれる温度で少なくとも8時間反応させ、ゾルを得る工程、
b’)任意選択で、工程b)で得られた前記ゾルをC1~C6アルコール又はその混合物で希釈する工程、
c)式(SiO
2)
x・(Na
2O)
y(比x/yは1.5~3.9で変わってもよい)を有するケイ酸ナトリウム水溶液を前記ゾル中に滴下し、静かに撹拌しながら維持し、前記ゾルの容器の底部にケイ酸ナトリウム球状体を得る工程、
d)前記ゾルを濾過によって除去し、ゾルの薄層で表面が覆われた前記ケイ酸ナトリウム球状体を回収する工程、
e)工程d)で得られた、ゾルの薄層で表面が覆われた前記ケイ酸ナトリウム球状体を、180~320℃の温度で熱処理し、前記ケイ酸ナトリウム球状体を分離した状態に保持し、膨張したケイ酸ナトリウムの乾燥球状体を得る工程、
あるいは、
f)工程d)で得られた、ゾルの薄層で表面が覆われた前記ケイ酸ナトリウム球状体を、所望の最終物品の形状を有する閉鎖鋳型に移送し、前記ケイ酸ナトリウム球状体を180~320℃に含まれる温度の前記鋳型に移し、製造物品を得る工程
を含む方法。
【請求項2】
工程a)で使用される前記アルキル-トリアルコキシシランが、一般式(I)を有し、
【化1】
式中、R及びR’は、互いに等しいか又は異なり、C1~C4アルキル基である、
請求項
1に記載の方法。
【請求項3】
前記アルキル-トリアルコキシシランがメチル-トリエトキシシランである、請求項
2に記載の方法。
【請求項4】
工程a)において任意選択で用いられる前記テトラアルコキシシランが、一般式(II)を有し、
【化2】
式中、R”基はC1~C4アルキル基である、
請求項1から
3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記テトラアルコキシシランがテトラエトキシシランである、請求項
4に記載の方法。
【請求項6】
工程a)においてアルキル-トリアルコキシシランとテトラアルコキシシランとの混合物が使用される場合、それらの重量比が17:1~1:17である、請求項1から
5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
任意選択の工程b’)が実施される場合、前記アルコール又はアルコールの混合物が、工程b’)で得られる前記ゾルの総重量の10%~60%を構成する量で添加される、請求項1から
6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
工程c)において前記ゾルに滴下される前記ケイ酸ナトリウム水溶液が、前記ケイ酸ナトリウム水溶液の0.5%~3%を構成する量でグリセロールをさらに含有する、請求項1から
7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
工程c)において前記ゾルに滴下される前記ケイ酸ナトリウム水溶液が、1つ又は複数の着色剤を、前記ケイ酸ナトリウム水溶液の0.5重量%~2重量%を構成する量でさらに含有する、請求項1から
8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
工程c)の前記ゾルの静かな撹拌が、30~80rpmの速度で回転する機械的撹拌機又は磁気撹拌機によって達成される、請求項1から
9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
0.21~0.22g/cm
3に含まれる密度を有する、請求項1から
10のいずれか一項に記載の方法の工程f)で得られた製造物品。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0012】
これらの目的は本発明に従って達成され、本発明は、第1の態様では、膨張ケイ酸ナトリウム球状体又は前記球状体によって形成された製造物品を生成するための方法であって、以下の工程、すなわち
a)1.0~2.6に含まれるpHを有する酸性水溶液からなる15~70重量%の第1の成分と、アルキル-トリアルコキシシラン、及びアルキル-トリアルコキシシランとテトラアルコキシシランとの混合物から選択される30~85重量%の第2の成分とを含む混合物を調製する工程であって、前記の酸性水溶液は、塩酸、硝酸、塩素酸及び過塩素酸から選択される酸を蒸留水に添加することによって調製される、前記の工程、
b)前記混合物を18~35℃に含まれる温度で少なくとも8時間反応させ、ゾルを得る工程、
b’)任意選択で、工程b)で得られた前記ゾルをC1~C6アルコール又はその混合物で希釈する工程、
c)式(SiO2)x・(Na2O)y(比x/yは1.5~3.9で変わってもよい)を有するケイ酸ナトリウム水溶液を前記ゾル中に滴下し、静かに撹拌しながら維持し、前記ゾルの容器の底部にケイ酸ナトリウム球状体を得る工程、
d)前記ゾルを濾過によって除去し、ゾルの薄層で表面が覆われた前記ケイ酸ナトリウム球状体を回収する工程、
e)工程d)で得られた、ゾルの薄層で表面が覆われた前記ケイ酸ナトリウム球状体を、180~320℃の温度で熱処理し、前記ケイ酸ナトリウム球状体を分離した状態に保持し、膨張したケイ酸ナトリウムの乾燥球状体を得る工程、
あるいは、
f)工程d)で得られた、ゾルの薄層で表面が覆われた前記ケイ酸ナトリウム球状体を、所望の最終物品の形状を有する閉鎖鋳型に移送し、前記ケイ酸ナトリウム球状体を180~320℃に含まれる温度の前記鋳型に移し、製造物品を得る工程
を含む方法に関する。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0013】
第2の態様では、本発明は、上記の方法によって得られる製造物品に関する。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0040
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0040】
球状体の加熱は、例えば、コンベヤベルトで搬送する場合にはトンネルオーブンを用いて、又は、コンベヤベルトに載せかつトレイに載せて球状体を搬送する場合には高周波オーブンで、又は赤外線灯で達成され得る。球状体をオーブンの加熱ゾーン又は他の加熱手段に搬送する他の方法は、当業者には明らかであろう。
これらの球状体は、本発明の一部ではない。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0051
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0051】
第2の態様では、本発明は、本方法によって得られる製造物品に関する。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0052
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0052】
本発明の材料は、ポリスチレンと同様の外観を有し、白色、軽量(0.21~0.22g/cm3の密度値)であり、膨張ポリスチレンの断熱係数に本質的に等しい約0.030W/mKの断熱係数を有する。しかし、膨張ポリスチレンとは異なり、本発明の製品(製造物品)は、温度の上昇に伴ってより良好な機械的安定性を有し(膨張ポリスチレンは70℃~100℃の範囲の軟化Tを有する)、可燃性ではなく、とりわけ、水に長時間浸漬した場合に、環境汚染の問題を引き起こすことなく完全に溶解する。
【国際調査報告】