(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-12
(54)【発明の名称】マイクロ波により活性化可能な相変化材料を含む食器
(51)【国際特許分類】
A47G 19/00 20060101AFI20240705BHJP
C09K 5/06 20060101ALI20240705BHJP
【FI】
A47G19/00 A
A47G19/00 C
C09K5/06 J
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024501703
(86)(22)【出願日】2022-07-13
(85)【翻訳文提出日】2024-01-22
(86)【国際出願番号】 IB2022056455
(87)【国際公開番号】W WO2023285985
(87)【国際公開日】2023-01-19
(32)【優先日】2021-07-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】BE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524013654
【氏名又は名称】プロメコ エヌブイ
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】レジャル,カリム
(72)【発明者】
【氏名】マーテンス,パスカル ガブリエル ネストル
【テーマコード(参考)】
3B001
【Fターム(参考)】
3B001AA02
3B001AA11
3B001BB10
3B001CC11
(57)【要約】
相変化材料混合物を含む食器(100)では、相変化材料混合物は、有機酸、有機アルコール及び有機エステルの群から選択される1つ以上の有機相変化材料と、グリコールの群から選択される1つ以上の有機マイクロ波サセプタとを含み、相変化材料混合物は、プラスチックパッケージ(120)に収容され、相変化材料混合物は、食物を置くことを意図する食器の中央部分の下に配置され、食物がないこと及び食器を取り扱うことを意図する食器のエッジ部分の下には配置されず、相変化材料混合物は、マイクロ波照射によって溶融され得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
相変化材料混合物を含む食器であって、
前記相変化材料混合物は、有機酸、有機アルコール、及び有機エステルの群から選択される1つ以上の有機相変化材料と、グリコールの群から選択される1つ以上の有機マイクロ波サセプタとを含み、
前記相変化材料混合物は、プラスチックパッケージに収容され、
前記相変化材料混合物は、食物を置くことを意図する前記食器の中央部分の下に配置され、食物がないこと及び前記食器を取り扱うことを意図する前記食器のエッジ部分の下には配置されず、
前記相変化材料混合物は、マイクロ波照射によって溶融させることができる、食器。
【請求項2】
前記有機相変化材料は、30~120℃の範囲、好ましくは50~90℃の範囲、より好ましくは65~80℃の範囲の融点を有する、請求項1に記載の食器。
【請求項3】
前記有機相変化材料は、150℃より高い、好ましくは200℃より高い、より好ましくは250℃より高い沸点及び引火点を有する、請求項1又は2に記載の食器。
【請求項4】
前記有機相変化材料は、有機エステルである、請求項1~3のいずれか一項に記載の食器。
【請求項5】
前記有機相変化材料は、ベヘン酸ベヘニルである、請求項4に記載の食器。
【請求項6】
前記マイクロ波サセプタは、モノプロピレングリコール及び/又はジプロピレングリコールを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の食器。
【請求項7】
前記マイクロ波サセプタは、ジプロピレングリコールである、請求項6に記載の食器。
【請求項8】
前記相変化材料混合物は、実質的に水を含まない、請求項1~7のいずれか一項に記載の食器。
【請求項9】
前記相変化材料混合物中のマイクロ波サセプタ(複数可)の含量は、2.5質量%~25質量%であり、相変化材料混合物の総量が10g~500gである、請求項1~8のいずれか一項に記載の食器。
【請求項10】
前記プラスチックパッケージは、(BO)PETフィルムを含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の食器。
【請求項11】
前記食器は、磁器、プラスチック、石器及び(強化)ガラスの群から選択される材料を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の食器。
【請求項12】
前記相変化材料混合物は、1つの有機相変化材料と1つの有機マイクロ波サセプタとからなる、請求項1~11のいずれか一項に記載の食器。
【請求項13】
電子レンジ内で250~1250Wで2~12分後に、90~95%の割合の溶融した相変化材料混合物を得ることができる、請求項1~12のいずれか一項に記載の食器。
【請求項14】
前記食器が前記電子レンジから取り出された後に、前記食器の前記中央部分は75℃を超える初期接触温度を有し、この中央部分が70~50℃の温度範囲に少なくとも30分間留まる一方で、前記食器が前記電子レンジから取り出された後に、前記食器の前記エッジ部分は50℃未満の初期接触温度を有する、請求項1~13のいずれか一項に記載の食器。
【請求項15】
前記プラスチックパッケージは、前記食器の中空空間内に配置される、請求項1~14のいずれか一項に記載の食器。
【請求項16】
相変化材料混合物を含む食器の使用方法であって、
有機酸、有機アルコール、及び有機エステルの群から選択される1つ以上の有機相変化材料を含み、かつグリコールの群から選択される1つ以上の有機マイクロ波サセプタを含み、
前記相変化材料混合物は、プラスチックパッケージに収容され、
前記相変化材料混合物は、食物を置くことを意図する前記食器の中央部分の下に配置され、食物がないこと及び前記食器を取り扱うことを意図する前記食器のエッジ部分の下には配置されず、
前記相変化材料混合物は、マイクロ波照射によって溶融される、方法。
【請求項17】
前記有機相変化材料は、60℃~90℃の温度範囲の融点を有する、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記有機相変化材料は、200℃より高い沸点及び引火点を有する、請求項16又は17に記載の方法。
【請求項19】
前記有機相変化材料は、有機エステルである、請求項16~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記有機相変化材料は、ベヘン酸ベヘニルである、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記マイクロ波サセプタは、モノプロピレングリコール及び/又はジプロピレングリコールを含む、請求項16~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記マイクロ波サセプタは、ジプロピレングリコールである、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記相変化材料混合物は、実質的に水を含まない、請求項16~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
相変化材料(複数可)とマイクロ波サセプタ(複数可)との前記混合物中のマイクロ波サセプタ(複数可)の含量は、2.5質量%~25質量%であり、相変化材料混合物の総量は10g~500gである、請求項16~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記プラスチックパッケージは、(BO)PETフィルムを含む、請求項16~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記食器は、磁器、プラスチック、石器及び(強化)ガラスの群から選択される材料を含む、請求項16~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記相変化材料混合物は、1つの有機相変化材料及び1つの有機マイクロ波サセプタからなる、請求項16~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
電子レンジ内で250~1250Wで2~12分後に、90~95%の割合の溶融した相変化材料混合物を得ることができる、請求項16~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記食器が前記電子レンジから取り出された後に、前記食器の前記中央部分は75℃を超える初期接触温度を有し、この中央部分が、70~50℃の温度範囲に少なくとも30分間留まる一方で、前記食器が前記電子レンジから取り出された後に、前記食器の前記エッジ部分は50℃未満の初期接触温度を有する、請求項16~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記プラスチックパッケージは、前記食器の中空空間内に配置される、請求項16~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
相変化材料混合物を含む食器を製造するための方法であって:
-有機酸、有機アルコール及び有機エステルの群から選択される1つ以上の有機相変化材料と、グリコールの群から選択される1つ以上の有機マイクロ波サセプタとを少なくとも部分的に溶融及び混合することと;
-前記少なくとも部分的に溶融された相変化材料混合物を固化するか、又は前記少なくとも部分的に固化された相変化材料混合物を特定の形状にプレスすることと;
-前記固化された相変化材料混合物を、プラスチックパッケージ内に配置することと;
-前記プラスチックパッケージ内に配置された前記相変化材料混合物を、食物を置くことを意図する前記食器の中央部分の下であって、食物がないこと及び前記食器の取り扱いを意図する前記食器のエッジ部分の下ではないように配置することと、を含む方法。
【請求項32】
前記有機相変化材料は、60℃~90℃の範囲の融点を有する、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
1つ以上の有機相変化材料及び1つ以上の有機マイクロ波サセプタの少なくとも部分的な溶融及び混合は、相変化材料の融点よりも40℃まで高い温度で行われる、請求項31及び32に記載の方法。
【請求項34】
前記有機相変化材料は、200℃より高い沸点及び引火点を有する、請求項31~33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記有機相変化材料は、有機エステルである、請求項31~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記有機相変化材料は、ベヘン酸ベヘニルである、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記マイクロ波サセプタは、モノプロピレングリコール及び/又はジプロピレングリコールを含む、請求項31~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記マイクロ波サセプタは、ジプロピレングリコールである、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記相変化材料混合物は、実質的に水を含まない、請求項31~38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記相変化材料混合物中のマイクロ波サセプタ(複数可)の含量は、2.5質量%~25質量%であり、前記相変化材料混合物の総量は、10g~500gである、請求項31~39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記プラスチックパッケージは、(BO)PETフィルムを含む、請求項31~40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
前記プラスチックパッケージの材料は、熱溶接によって溶接される、請求項31~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
前記食器の材料は、磁器、プラスチック、石器及び(強化)ガラスの群から選択される、請求項31~42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
前記相変化材料混合物は、1つの有機相変化材料及び1つの有機マイクロ波サセプタからなる、請求項31~43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
前記プラスチックパッケージは、前記食器の中空空間内に配置される、請求項31~44のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロ波の放射によって活性化可能な相変化材料混合物を含む食器に関する。本発明は更に、食品を保温するのに適した相変化材料混合物を含む食器を、製造及び使用する方法であって、相変化材料混合物の固体状態から液体状態への相転移がマイクロ波照射の影響下で達成され得る方法に関する。
【背景技術】
【0002】
食品を冷たく又は温かく保つために、食器に含まれる相変化材料の適用に関するいくつかの特許が知られている。これは、相変化材料の個々の固化又は溶融によって活性化し、次いで相変化材料の活性化後に冷たく又は温かく保たれる対象の食品に伝達することができる潜在エネルギーによって実現されるものである。
【0003】
食品を保温するための用途の場合、必要な活性化又は相転移(固体状態から液体状態への)は、典型的には50~80℃の温度範囲の融点を有する相変化材料を含む食器を、相変化材料の融点よりも高い温度の環境に置くことによって典型的には達成される。したがって、90℃の温度の加熱キャビネット又は120℃の温度に設定されたオーブンは、例えば、70℃の融点を有する相変化材料を溶融するのに通常は適している。
【0004】
それにもかかわらず、相転移に必要な時間は、相変化材料の潜在エネルギー及び相変化材料の量に依存して、比較的長いものとなっている。75℃の融点を有する相変化材料の場合、例えば、(通常の加熱キャビネットにおけるように)約90℃の周囲温度で相転移を完了するのに90分以上かかる場合がある。相変化材料を含むこのような食器を活性化するために必要とされるこの長い時間は、個人ユーザ及び専門ユーザの両方による用途にとって固有の欠点である。
【0005】
他に知られているものとしては、例えば58℃の融点を有する酢酸ナトリウム三水和物に基づく、マイクロ波照射によって活性化可能な相変化材料、又は例えば米国特許第9765201(B2)号に記載されているような、例えば相変化材料と膨張黒鉛との組合せに基づく材料混合物に基づく複合材料がある。しかしながら、上述した既知のマイクロ波活性化可能な相変化材料は全て、例えば、不適当な融点又は困難な製造方法、又は使用中の潜在的な火災リスクを伴う放電の危険性などの特定の欠点を有する。
【0006】
電子レンジ内で食器を(予備)加熱する際に生じる別の問題は、プレート、ディッシュ、及びボウルのエッジ部が温かくなりすぎるか又は熱くなりすぎて、例えばオーブン用グローブなどの保護材料なしでは手で取り扱うことができないが、食器の中央部分(その上又は中に食品が配置される)は、食器のその部分に配置される食品を温かく保つにはまだ温かさが不十分であることである。
【発明の概要】
【0007】
先行技術に欠けているものは、食品を保温するのに適した融点を有し、マイクロ波照射によって急速に(数分で)活性化することができる(これは固体状態から液体状態への相転移である)相変化材料を含む食器であり、食器の中央部分(食品を供給するための表面及びマイクロ波活性化可能な相変化材料が配置されるこの表面の下の空洞)は、マイクロ波照射の影響下で十分に急速に加熱され(相変化材料が溶融する間)、食器のエッジ部分(ユーザによって取り扱われなければならない)は十分に冷たいままであり、したがって保護材料を必要とせずに取り扱うことができる食器である。
【0008】
本発明の目的は、上述した問題及び制限の少なくともいくつかに対する解決策を提供することである。
【0009】
第1の態様において、本発明は、請求項1~15に記載の、マイクロ波活性化可能な相変化材料を含む食器に関する。第2の態様において、本発明は、請求項16~30に記載の、マイクロ波活性化可能な相変化材料を含む食器を使用する方法に関する。第3の態様において、本発明は、請求項31~45に記載の、マイクロ波活性化可能な相変化材料を含む食器を製造する方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本発明の、上述した、以下に述べる、及び他の有利な特性及び目的は、添付の図面、表、及びグラフと組み合わせて読むとき、以下の詳細な説明に基づいてより明らかになり、本発明はより良く理解されるであろう。
【
図1】本発明による、食器によって形成された中空空間又は空洞に収容される相変化材料を含む、1個の食器の部品の例示的な一実施形態を示す図である。
【
図2】
図1に示された部品から組み立てられた1個の食器を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、新しい食器100に関し、その食器100は、食器100の中空空間又は空洞に収容された相変化材料120を含むものである。
図1及び
図2に示すように、中空空間又は空洞は、好ましくは、互いに取り付けられるか又は互いに組み立てられる上側部品110及び下側部品130によって形成される。食器100は、食品及び/又は飲料を保温するのに適しており、相変化材料120は、通常の電子レンジにおけるようなマイクロ波照射によって活性化することができる。相変化材料は、有利には、保温される食品が置かれる食器表面の下に配置される。相変化材料の固体状態から液体状態への相転移を引き起こすマイクロ波放射による活性化の後、食器100を電子レンジから手動で取り出すために使用される食器のエッジ部分111は、食品を置くことができる中央部分112よりも低温のままであり、好ましくはオーブン用グローブなどの保護材料を利用する必要なく取り扱うのに十分に低温である。
【0012】
本発明はまた、新しい相変化材料混合物に関し、これは、有機相変化材料、好ましくは有機酸、有機アルコール若しくは有機エステル、例えばベヘン酸ベヘニル、又はそのような相変化材料の組合せと、有機マイクロ波サセプタ又はそのような有機マイクロ波サセプタの組合せ、好ましくはグリコール、マイクロ波サセプタの組合せ、好ましくは、例えばモノプロピレングリコール及び/又はジプロピレングリコールなどのグリコールであって、溶融と固化のサイクルを連続的に行った後でも、次いで、混合物を得るために液体状態で最初に混合した後であっても、液相及び固相の両方において、ほぼ均質又は更に均質な混合物を形成するものであり、相変化材料とマイクロ波サセプタとの混合物中のマイクロ波サセプタ(複数可)の含量が、好ましくは最大2.5~25質量%、より好ましくは最大5~15質量%、更により好ましくは最大7.5~12.5質量%であるものである。相変化材料混合物は、相変化材料として有機エステルを含むことがより好ましく、ベヘン酸ベヘニルを含むことが更に好ましく、マイクロ波サセプタとしてジプロピレングリコールを含むことが更に好ましい。なぜなら、これらは、上述の割合で混合した後に均質な液体混合物を形成し、固化及び溶融の連続的サイクル後にも、均質な液体混合物を形成するからである。更により好ましくは、ベヘン酸ベヘニル及びジプロピレングリコールを含むこの相変化材料混合物は、実質的に水を含まない。「実質的に水を含まない」とは、相変化材料混合物が、5重量%未満、好ましくは2重量%未満、より好ましくは1重量%未満の水を含むことを意味すると理解される。水の存在は、固化及び溶融の連続サイクル後の分離に起因する不均一性をもたらす。水の存在の別の欠点は、エステル交換のリスクであり、したがって間接的に、相変化材料混合物の相変化材料機能の不安定性である。水を含む相変化材料混合物の場合、適用試験において、相変化材料混合物からの水の分離は、マイクロ波照射への曝露時の望ましくないホットゾーン(具体的には、含水量の増加を伴う)の観察によって更に検出された。同様のリスクは、相変化材料混合物が、有機酸、有機アルコール、及び水の組合せを含む場合に生じ、これは、エステル化の可能性のため、相変化材料混合物の不安定な組成物及び更に存在する水の分離をもたらす。
【0013】
このような相変化材料混合物は、混合する材料の融点よりも高い(プロセス)温度、好ましくは相変化材料の融点よりも20~40℃高い(プロセス)温度で撹拌しながら混合することによって調製することができる。
【0014】
有機相変化材料の融点は、30~120℃の範囲であることが好ましく、50~90℃の範囲であることがより好ましく、65~80℃の範囲であることが更に好ましい。
【0015】
有機相変化材料は、好ましくは150℃より高い、より好ましくは200℃より高い、更により好ましくは250℃より高い沸点及び引火点を有する。
【0016】
有機マイクロ波サセプタは、好ましくは相変化材料の融点よりも少なくとも25℃高い、より好ましくは相変化材料の融点よりも少なくとも35℃高い、更により好ましくは相変化材料の融点よりも少なくとも45℃高い沸点及び引火点を有する。
【0017】
混合後、溶融した相変化材料混合物を容器に注入することができ、次いで相変化材料混合物を容器内で固化させることができ、それによって相変化材料混合物を特定の固化形状で得ることができる。この目的のために必要な容器は、レセプタクルからなることができるが、冷却することができるプレート、好ましくはステンレス鋼又はアルミニウムの冷却可能な金属プレート上に配置される、例えば金属、好ましくはアルミニウム又はアルミニウム含有合金のリングによって形成することもできる。あるいは、相変化材料混合物は、少なくとも部分的に固化した状態でレセプタクル内に押し込まれて、特定の形状を与えることができる。
【0018】
本発明はまた、ケーシング、例えば、2つの個別の、任意選択で熱安定化された(BO)PETフィルムから構築されたプラスチックケーシング内の特定の形状の固体相変化材料混合物(1つ以上の有機相変化材料及び1つ以上の有機マイクロ波サセプタを含む)の包装に関する。これらは、例えば熱溶接を使用して、又は例えば超音波溶接若しくはレーザ溶接によっても互いに溶接される上側フィルム及び(深絞り)下側フィルムである。
【0019】
上記のフィルムで包装することに加えて、本発明はまた、例えば二重壁カップ又は二重壁水飲などの食器を得るために、開発された相変化材料混合物を別の硬質パッケージ、例えばプラスチック(例えばSPS又はシンジオタクチックポリスチレン、あるいは(高密度)ポリプロピレン)、ガラス(例えば強化ガラス)、石器、磁器などの硬質材料によって形成された中空空間又は空洞に入れることに関する。マイクロ波放射の低吸収を特徴とする材料は、好ましくは、硬質包装として、特に、例えばテーブル上に置かれ、それと接触する食器の部分に使用される。
【0020】
本発明はまた、相変化材料混合物に他の材料を添加して、相変化材料混合物の融点より高い温度でその固体形態を維持する新しい材料を得ることに関し、これは、例えば、ポリマー系の組成物を添加することによるか、又は高融点、例えば、125℃より高い、好ましくは150℃より高い、より好ましくは175℃より高い、更により好ましくは200℃より高い融点を有する材料に混合することによるものであり、そのために、例えば、ポリエチレン及びポリプロピレンをベースとするワックスが選択肢である。相転移サイクル全体にわたって固体形態を達成するためのこの添加のための材料は、好ましくは断熱特性を有さず、したがって好ましくは少なくとも0.2W/m・Kの熱伝導率によって特徴付けられる。
【0021】
本発明はまた、相変化材料混合物の総量が10~2000gである相変化材料混合物で充填された(プラスチック)ケーシングを、下側及び上側プレート又は下側及び上側ディッシュ(又は下側及び上側部品の別の全体若しくは他の組合せ、又は内側及び外側部品の別の全体若しくは他の組合せ)によって形成された(食器の)キャビティ内に配置することに関する。これは、相変化材料混合物を含む(プラスチック)ケーシングの上部フィルムを、上側部品の下側に任意選択的に接着することを介し、次に、プラスチック、磁器、ガラス、金属、又は他の材料からなることができるプレート又はディッシュ全体の下側部品に上側部品を接着及び任意選択で封止することによって、任意選択でプラスチック、磁器、ガラス、金属、又は他の材料の選択が異なる上側部品及び下側部品の変形例を用いて、任意選択で組み立てることによる。
【0022】
本発明はまた、パッケージされた相変化材料混合物を含む食器の電子レンジでの使用に関し、これは、この食器を電子レンジに入れ、それを250~1250Wで1~12分間、例えば相変化材料混合物が例えば50g配置された単一の通常(ディナー)プレートについては例えば600~1000Wで例えば3分間、より大きな(サービング)ディッシュ(相変化材料混合物の量がより多い、例えば100又は150g)については例えば600~1000Wで例えば5分間、又は6つのディナープレートのスタック(例えば相変化材料混合物が6×50g)については例えば600~1000Wで例えば6分間活性化することによる。
【0023】
マイクロ波照射へのこの曝露期間の間、相変化材料混合物は溶融し、これは、マイクロ波サセプタの存在による熱の発生のためであり、食器の中央部分も加熱されるが、エッジ部分はあまり急速に加熱されず、中央部分よりも低い温度のために、取り扱いを続けることができる。例えば90~95%以上溶融した相変化材料混合物及び中央部分の温度がおよそ80~100℃の(例えば70~75℃の融点を有する相変化材料混合物を例えば50g含むディナープレートの場合、800Wで例えば3~4分後)場合、エッジ部分については、次いで70℃未満、更には60℃未満の温度である。
【0024】
相変化材料混合物が配置されていない(ディナー)プレート及び(サービング)ディッシュについては、エッジ部分は、マイクロ波活性化の対応する条件下で、電子レンジ内で中央部分と同じ速度で、更には中央部分よりも急速に温まる。これは、電子レンジ内でのプレートの加熱において知られている問題であり、これは、ディナープレート及びサービングディッシュのエッジ部分が温かくなりすぎるか又は更に熱くなることである。通常のディナープレートでは、例えば800Wの電子レンジ内で4分後に、中央部分で45℃未満の温度が判定され、エッジ部分で75℃を超える温度が判定された。通常の上側プレートとその下に取り付けられた下側プレートとからなるディナープレートでは、例えば800Wの電子レンジ内で4分後に、中央部分で60℃未満の温度が測定され、エッジ部分で70℃を超える温度が観察された。
【0025】
マイクロ波照射への曝露の同じ条件下で、通常のプレートのエッジ部分の温度が、マイクロ波活性化可能な相変化材料混合物を含む同様のプレートのエッジ部分よりもはるかに高いというこの判定は、マイクロ波活性化可能な相変化材料混合物の存在により、プレート全体、したがってエッジ部分及び中央部分が、マイクロ波活性化可能な相変化材料混合物を含まない通常のプレートと比較してより急速に加熱されるという予想と一致しなかった。マイクロ波活性化可能な相変化材料混合物を含むプレートでは、電力及び時間に関して同一のマイクロ波照射への曝露後に、エッジ部分で到達する温度が、通常のプレートよりもかなり低いことは注目に値する。
【0026】
(ディナー)プレート及び(サービング)ディッシュが通常のオーブン又は加熱キャビネット内で加熱される場合(例えば、90又は120℃で30~120分間)、過度に熱く、保護機器なしで取り扱うことができないというエッジ部分での同じ問題が発生し、食器の様々な部分が同様に熱くなり、したがって、エッジ部分が過度に温かい又は熱くさえあるという同じ測定も伴う。上記オーブン及び加熱キャビネットにおける上述の滞留時間で、このオーブン及び加熱キャビネットの設定温度に近くなった、中央部分及びエッジ部分について温度を判定し、ここでは、(ディナー)プレート及び(サービング)ディッシュの中央部分及びエッジ部分について同様の温度が観察された。
【0027】
本発明はまた、熱伝導性であり及び/又はマイクロ波サセプタを含む接着剤の塗布に関し、パッケージされた相変化材料混合物を保温されるべき表面(例えば、ディナープレート又はサービングディッシュ)の下側に接着するためにそのような接着剤を使用することによって、パッケージされた相変化材料混合物のマイクロ波放射曝露下での溶融に必要な時間を、30秒超、更には60秒超短縮することができる。
【0028】
本発明は、(固体状態から液体状態への相転移のための)マイクロ波活性化と組み合わせて、(パッケージされた)相変化材料混合物を食器内に配置することによって、(ディナー)プレート及び(サービング)ディッシュを加熱し、相変化材料機能を活性化することが可能になり、これにより、プレート又はディッシュの中央部分を判定された温度(例えば50℃)より高い温度に、例えば30分から45分を超えて維持することが可能になり、したがって、中央部分上に置かれた食品を例えば50℃の温度に維持することも可能になるという技術的効果を提供し、その一方で、プレートのエッジ部は、最初取り扱うのに十分に冷たく、例えば最初は60℃未満、更には50℃未満である。
【0029】
サイクル試験を実施することによって、相変化材料混合物及びパッケージされた相変化材料混合物を含む食器の耐久性も実証される。これは、電子レンジ内での安定した必要溶融時間の観察と、食器を電子レンジから取り出してその上に食品を置いた後の安定した保温時間の判定とによって判定される。これは、温度センサ及び赤外線温度計用いて判定される。またこれは、食器自体及び食器上に置かれた食品の両方において、ディナープレート及びサービングディッシュに関して、食器において行われる。これはスープボウル及びコーヒーカップの場合も同様である。安定した融解時間及び保温時間のこの観察は、相変化材料の機能性の安定性を示し、したがって、相変化材料混合物の連続的な相転移サイクル、すなわち、次いで相変化材料混合物の融解及び固化の連続的なサイクルの後の相変化材料混合物の耐久性の安定性を示す。
【0030】
したがって、ディナープレート及びサービングディッシュなどの上述の製品における用途に加えて、本発明は、(スープ)ボウル、(コーヒー)マグカップ、(飲料)カップなどの製品における用途にも関する。
【0031】
以下、本発明を例示する非限定的な実施例に基づいて本発明を説明するが、これらの実施例は、本発明の範囲を限定することを意図するものではなく、本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきでもない。
【0032】
以下の実施例において説明される要素の利点及び技術的効果については、詳細な説明において上述された対応する要素の利点及び技術的効果が参照される。
【実施例1】
【0033】
融解点74℃を有する相変化材料、この例では機能的にマイクロ波で活性化可能ではないCrodaTherm 74は、撹拌しながら混合容器内で約90℃に加熱され、約90℃に維持される。相変化材料が溶融した瞬間から、マイクロ波サセプタ、この場合はジプロピレングリコールを、相変化材料90重量%及びマイクロ波サセプタ10重量%の割合で添加して、マイクロ波で活性化可能な相変化材料混合物を得る。
【0034】
十分な混合時間、例えば90℃で30分の後、相変化材料混合物をポンプで汲み上げ、冷却可能なプレート、この例では具体的には直径130mmのアルミニウムリング上に配置された直径20~300mmの10~180gの円形アルミニウムリング内に注ぐ。
【0035】
相変化材料混合物を溶融状態でリングにポンプ輸送し、60gの質量をアルミニウムリングに投入する。固化する相変化材料混合物を有するアルミニウムリングは、十分な又は完全な固化が達成されるまで冷却される。十分な固化とは、相変化材料混合物が、簡単な方法で移動又は取り扱うことができる程度に固化されることを意味すると理解される。
【0036】
円盤状相変化材料混合物を食器に入れる前に、Hostaphan RHSTなどの(BO)PETフィルムをベースとするプラスチックケーシングに包装する。
【0037】
このプラスチックパッケージは、2層のフィルムからなり、その下側フィルムは、直径130mm、厚さ5mmの凹部を形成し、相変化材料混合物を配置するための空間を形成するように、真空を用いて熱的に予備成形される。
【0038】
次に、特定の形状を有する固化した相変化材料混合物を、上で形成された空間に配置する。次いで、上部フィルムを配置し、その後、下部フィルム及び上部フィルムを175℃の温度で互いに熱二重溶接する。
【0039】
熱溶接中、相変化材料混合物を含むプラスチックパッケージ内にも真空が生成される。空気が存在しないことは、相変化材料混合物と、食品が置かれる保温されるべき表面との間のより良好な接触を提供し、これは、改善された熱伝導率及び熱伝達を可能にする。
【0040】
溶接後、パッケージされた相変化材料混合物は、二重フィルムロールから機械的に切断される。このようにして、パッケージングされた相変化材料混合物からなるディスクの直径よりも約20mm大きい直径を有するプラスチックパッケージが形成される。この例では、相変化材料混合物を含み、直径150mmの、(BO)PETフィルムからなるプラスチックパッケージが使用された。
【0041】
以下、組立プレート100の製造方法の各ステップについて説明する。
図1は、上側プレート110、下側プレート130、及び組み立てられたプレート100を得るために必要な相変化材料混合物120を含むプラスチックケーシング又はプラスチックパッケージを示す。
図2は、組み立てられたプレート100を示し、その中に相変化材料混合物を有するケーシング120は、上側プレート110と下側プレート130との間のプレート100の内部キャビティ内に位置し、したがって見えない。プレート100のエッジ部分111及び中央部分112が更に指定されている。
【0042】
相変化材料混合物を含むプラスチックパッケージ120は、例えば27cmの外径を有する組み立てられたプレート100内に配置される。このプレートは、上側プレート110及び下側プレート130からなり、両方とも好ましくは磁器製である。それらは一緒になって、プレートの中心に空洞を形成し、その中に相変化材料混合物120を含むプラスチックケーシング又はプラスチックパッケージを配置することができる。
【0043】
相変化材料混合物120を含むプラスチックパッケージは、上側プレート110とパッケージ120との間の可能な限り最良の接触を有するために、例えばシラン系の接着剤などの結合剤を用いて上側プレート110の下側に取り付けられる。この例では、Bostik Simson ISR 70-03などの7gの接着剤をパッケージ120の中心に塗布した。次に、接着剤がパッケージ120の上側の表面の大部分に広がり、パッケージ120と上側プレート110の下側との間に閉じ込められる空気の量が最小限になるように、これを上側プレート110にしっかりと押し付けた。次いでこれを少なくとも24時間放置して硬化させる。
【0044】
次に、下側プレート130が上側プレート110に接着され、相変化材料混合物を含むプラスチックパッケージ120が、典型的にはDowsil 732などのシリコーン系接着剤で上側プレート110の下側に接着される。第2の接着の後、好ましくは少なくとも24時間の硬化時間が再度適用される。
【0045】
最後に、上側プレートと下側プレートとの間の縁部は、この縁部ゾーンにおける水の浸透及び汚染を回避するために、任意選択でMomentive RTV 118などのシーラントで仕上げられる。
【0046】
このようにして、
図2に示すような組み立てられたプレート100が得られる。
【0047】
下側に沿った望ましくない水損失を回避するために、相変化材料混合物を含むプラスチックパッケージ120と下側プレート130との間に直接接触がないことが最適である。この試験では、これを回避するために、磁器製下側プレート130とパッケージ120との間に十分な距離があった。
【0048】
距離が小さすぎるために直接接触を防ぐことができない場合、直接的な熱接触を避けるために、ネオプレンなどの断熱材料の薄い層を適用することが可能である。
【0049】
上述したように、組み立てられたプレート100は、2つの部品からなる磁器製プレートである。上側プレート110は、27cmの全直径を有する。中央部分112は、15cmの直径を有し、約6mmの厚さを有する。上側プレート110の質量は約660gであり、下側プレート130の質量は約200gである。
【実施例2】
【0050】
実施例2では、3つのプレートの、特に時間0分での初期温度と、冷却とを比較する。温度センサを使用して、この比較は、中央部分112及びエッジ部分111の両方について行われ、これは、それぞれの場合において、840Wで4分間、マイクロ波照射にそれぞれ曝露後である。
【0051】
第1のプレートは、プレートタイプ1と称される通常の磁器製ディナープレートであり、第2のプレートは、プレートタイプ2と称される、下側プレートとして配置された磁器製プレートを有する同じ通常の磁器製ディナープレートであり、第3のプレートは、プレートタイプ3と称される、キャビティ内にパッケージされた相変化材料混合物を有する、上記のディナープレート及び下側プレートからなるプレートである。
【0052】
中央部分及びエッジ部分について連続する時点で判定された温度は、
図3の表に示されている。エッジ部分の温度は、時間「0」においてのみ測定された。
【0053】
プレートタイプ1については、電子レンジから取り出した後、中央部分について42℃の温度が判定され、一方、エッジ部分について78℃の温度が測定される。
【0054】
プレートタイプ2については、電子レンジから取り出した後、中央部分について56℃の温度が判定され、エッジ部分については、70℃の温度が測定される。
【0055】
プレートタイプ3については、電子レンジから取り出した後、100℃の温度が判定され、エッジ部分について58℃の温度が測定される。
【0056】
プレートタイプ1については、電子レンジから取り出した10分後に中央部分について32℃の温度が判定され、20分後に27℃、及び30分後に26℃が測定される。
【0057】
プレートタイプ2については、電子レンジから取り出した10分後に中央部分について45℃の温度が判定され、20分後に37℃、及び30分後に32℃が測定される。
【0058】
プレートタイプ3については、電子レンジから取り出した10分後に中央部分について73℃の温度が判定され、20分後に62℃、30分後に59℃、40分後に57℃、50分後に53℃の温度が測定される。
【実施例3】
【0059】
実施例3では、同じプレートの初期温度及び冷却を比較する。温度センサを使用して、この比較は、中央部分112及びエッジ部分111の両方について行われ、これは、電子レンジプレートについては840Wの電子レンジ内で4分後、オーブンプレートについては120℃のオーブン内で60分後である。
【0060】
プレート(それぞれ電子レンジ及びオーブンに適用するために電子レンジプレート及びオーブンプレートと呼ばれる)は、上記のディナープレート110及び下側プレート130からなり、キャビティ内にパッケージされた相変化材料混合物を有する。
【0061】
判定された温度を
図4の表に示す。エッジ部分の温度は、時間「0」においてのみ測定された。
【0062】
電子レンジプレートについては、電子レンジから取り出した後、中央部分について100℃の温度が判定され、一方、エッジ部分について58℃の温度が測定される。
【0063】
オーブンプレートについては、オーブンから取り出した後、中央部分について96℃の温度が測定され、エッジ部分について72℃の温度が測定される。
【0064】
電子レンジプレートについては、73℃の温度が、電子レンジから取り出した10分後に中央部分について測定され、20分後に62℃、30分後に59℃、40分後に57℃、及び50分後に53℃である。
【0065】
オーブンプレートについては、73℃の温度が、オーブンから取り出した10分後に中央部分について判定され、20分後に61℃、30分後に58℃、40分後に56℃、50分後に52℃である。
【実施例4】
【0066】
実施例4では、4枚のプレートのスタックの初期温度及び冷却を判定する。温度センサを使用して、この判定は、中央部分112及びエッジ部分111の両方について行われ、これは、840Wの電子レンジ内で7分温めた後に行われる。
【0067】
プレートは、実施例2で既に説明したプレートタイプ3である。
【0068】
判定された温度を
図5の表に示す。エッジ部分の温度は、時間「0」においてのみ測定された。
【0069】
上側プレートについては、電子レンジから取り出した後、中央部分について82℃の温度が判定され、一方、エッジ部分について、42℃の温度が測定される。
【0070】
下側プレートについては、電子レンジから取り出した後、中央部分について93℃の温度が測定され、エッジ部分について43℃の温度が測定される。
【0071】
上側プレートについては、電子レンジから取り出した後、10分後に中央部分について73℃の温度が測定され、20分後に58℃、30分後に56℃、40分後に53℃、50分後に46℃の温度が測定される。
【0072】
下側プレートについては、電子レンジから取り出した10分後に中央部分について67℃の温度が判定され、20分後に64℃、30分後に61℃、40分後に56℃、50分後に49℃の温度が測定される。
【実施例5】
【0073】
実施例5では、強化ガラスのサービングディッシュの初期温度及び冷却を判定する。温度センサを使用して、この判定は、中央部分及びエッジ部分の両方について行われ、これは、840Wの電子レンジ内で6分後に行われる。
【0074】
この例では、直径35cm、厚さ4mm、質量920gの上側部品と、直径33cm、質量850gの構成要素と、から組み立てられた強化ガラスのサービングディッシュを、それぞれ60gの相変化材料混合物をキャビティ内に含む3つのプラスチックパッケージと共に使用する。
【0075】
判定された温度を、
図6の表に示す。エッジ部分の温度は、時間「0」においてのみ測定された。
【0076】
電子レンジ内で6分間の活性化の後、ディッシュの中央部分は、75℃、10分後に64℃、20分後に62℃、30分後に60℃、40分後に58℃、50分後に54℃、及び60分後に47℃の温度を有した。エッジの初期温度は59℃であった。
【実施例6】
【0077】
実施例6において、実施例2で説明したタイプ3のプレートの初期温度及び冷却が判定される、これは、
図7のグラフに示されるように、それぞれの場合において、マイクロ波照射(840W)への4分間の連続的な個々の曝露後に実施される。
【0078】
1回目の使用におけるタイプ3のプレートの冷却は、10回目、20回目及び30回目の使用後の冷却と同様であると判定され、これは、マイクロ波活性化可能相変化材料混合物及びパッケージされたマイクロ波活性化可能相変化材料混合物自体を含む食器の安定性を示す。
【実施例7】
【0079】
この実施例では、食品皿、より具体的には、包装上の調製方法に従って調製された250gの調製ラザーニアの冷却が判定されたが、これは、通常のオーブン内で180℃で30分間であった。調製後、調製したラザーニア250gの部分を、実施例2で説明したタイプ2のプレート上及びタイプ3のプレート上に置いた。
【0080】
判定された温度を
図8の表に示す。エッジ部分の温度は、時間「0」においてのみ測定された。
【0081】
表5に示すように、タイプ2のプレートでは、ラザーニアは15.2分後に60°に冷却され、一方、タイプ3のプレートでは21.6分後に冷却される。
【0082】
最も重要な温度間隔(これはラザーニアの60℃から50℃への冷却である)については、タイプ2のプレートでは9.5分の時間が判定され、一方、タイプ3のプレートではこれは38.4分かかった。
【0083】
70℃~50℃の温度範囲におけるラザーニアの冷却のための合計時間は、タイプ2のプレートでは17.0分であり、これは、タイプ3のプレートでは52.3分であった。
【0084】
当業者であれば、本発明が上述の実施形態及び実施例に限定されないこと、並びに以下の特許請求の範囲によってのみ定義される本発明の範囲内で多くの修正形態及び変形形態が可能であるということを理解するであろう。
【国際調査報告】