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特表2024-525725ウイルスベクターを改善するための組成物およびその方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-12
(54)【発明の名称】ウイルスベクターを改善するための組成物およびその方法
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/86 20060101AFI20240705BHJP
   C12N 15/11 20060101ALI20240705BHJP
   C12N 15/09 20060101ALI20240705BHJP
   C12N 15/113 20100101ALI20240705BHJP
   C12N 15/12 20060101ALI20240705BHJP
   C12N 15/62 20060101ALI20240705BHJP
   C12N 15/54 20060101ALI20240705BHJP
   C12N 15/55 20060101ALI20240705BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20240705BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20240705BHJP
   A61K 35/76 20150101ALI20240705BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20240705BHJP
   C12N 9/16 20060101ALN20240705BHJP
   C12N 9/10 20060101ALN20240705BHJP
   C12N 9/14 20060101ALN20240705BHJP
   C07K 14/47 20060101ALN20240705BHJP
【FI】
C12N15/86 Z ZNA
C12N15/11 Z
C12N15/09 110
C12N15/113 130Z
C12N15/12
C12N15/62 Z
C12N15/54
C12N15/55
C12N5/10
A61K48/00
A61K35/76
A61P25/00
C12N9/16 Z
C12N9/10
C12N9/14
C07K14/47
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024501750
(86)(22)【出願日】2022-07-13
(85)【翻訳文提出日】2024-03-07
(86)【国際出願番号】 US2022073682
(87)【国際公開番号】W WO2023288247
(87)【国際公開日】2023-01-19
(31)【優先権主張番号】63/221,167
(32)【優先日】2021-07-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507189666
【氏名又は名称】デューク ユニバーシティ
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】カンター, ボリス
(72)【発明者】
【氏名】チバ-ファレク, オーニット
(72)【発明者】
【氏名】モンカルボ, マリク
【テーマコード(参考)】
4B065
4C084
4C087
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA90X
4B065AA90Y
4B065AA95Y
4B065AA97Y
4B065AB01
4B065AC14
4B065AC20
4B065BA02
4B065CA24
4B065CA29
4B065CA31
4B065CA44
4C084AA13
4C084NA05
4C084NA13
4C084NA14
4C084ZA011
4C084ZA012
4C084ZA021
4C084ZA022
4C084ZC541
4C084ZC542
4C087AA01
4C087AA02
4C087AA03
4C087BC83
4C087CA12
4C087NA05
4C087NA13
4C087NA14
4C087ZA01
4C087ZA02
4C087ZC54
4H045AA10
4H045AA30
4H045BA10
4H045CA40
4H045EA20
4H045FA74
(57)【要約】
HDAC枯渇細胞を開発する方法における使用のためのウイルスベクターが本明細書中に開示される。HDAC枯渇細胞において生じる最適化されたウイルスベクターのパッケージング能を増大させる方法、力価を増加させる方法、発現能を増大させる方法、免疫原性および/または毒性を低下させる方法が本明細書中に開示される。本明細書中には、(i)Casエンドヌクレアーゼと、(ii)少なくとも1つのガイドRNAと、(iii)少なくとも1つの導入遺伝子とをコードする核酸配列を含む単離された核酸分子が開示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)Casエンドヌクレアーゼと、(ii)少なくとも1つのガイドRNAと、(iii)ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)を標的とするshRNAとをコードする核酸配列を含むウイルスベクター。
【請求項2】
少なくとも1つの導入遺伝子をさらに含む、請求項1に記載のウイルスベクター。
【請求項3】
前記Casエンドヌクレアーゼが、Cas9、バリアントCas9、dCasまたはdCas9を含む、請求項1に記載のウイルスベクター。
【請求項4】
前記バリアントCas9が、VQR、EQRまたはVRERを含む、請求項3に記載のウイルスベクター。
【請求項5】
前記dCasが、dVQR、dEQRまたはdVRERを含む、請求項3に記載のウイルスベクター。
【請求項6】
前記核酸配列がさらに、1またはそれを超えるSp1結合部位、1またはそれを超えるNFκB結合部位、またはそれらの任意の組み合わせをコードする、請求項1に記載のウイルスベクター。
【請求項7】
前記核酸配列がさらに1またはそれを超える調節エレメントを含む、請求項1に記載のウイルスベクター。
【請求項8】
前記1またはそれを超える調節エレメントが、1またはそれを超えるプロモーター、1またはそれを超えるプライマー結合部位(PBS)、1またはそれを超えるスプライスドナー(SD)部位、1またはそれを超えるスプライスアクセプター(SA)部位、1またはそれを超えるセントラルポリプリントラクト(cPPT)、1またはそれを超えるポリプリントラクト(PPT)、1またはそれを超えるRev応答エレメント(RRE)、1またはそれを超えるウッドチャック肝炎ウイルス転写後調節エレメント(WPRE)、1またはそれを超えるレトロウイルスベクターパッケージングエレメント、あるいはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項7に記載のウイルスベクター。
【請求項9】
前記レトロウイルスベクターパッケージングエレメントがpsi(ψ)シグナルを含む、請求項8に記載のウイルスベクター。
【請求項10】
前記1またはそれを超えるプロモーターが、ヒトサイトメガロウイルス(hCMV)プロモーター、コア伸長因子1αプロモーター(EFS)、ヒトU6プロモーターの1つまたはそれより多く、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項8に記載のウイルスベクター。
【請求項11】
ウイルス3’UTRおよび/またはウイルス5’UTRをさらに含む、請求項1~10のいずれか一項に記載のウイルスベクター。
【請求項12】
前記ウイルス3’LTRがU3領域の欠失を含む、請求項11に記載のウイルスベクター。
【請求項13】
ポリリンカー部位を含む、請求項1~12のいずれか一項に記載のウイルスベクター。
【請求項14】
前記ポリリンカー部位が、一対のBsmBI部位と、独特のBsrGI部位とを含む、請求項13に記載のウイルスベクター。
【請求項15】
レポーター遺伝子をさらに含む、請求項1~14のいずれか一項に記載のウイルスベクター。
【請求項16】
前記導入遺伝子がポリペプチドをコードする、請求項1~15のいずれか一項に記載のウイルスベクター。
【請求項17】
前記コードされたポリペプチドが、転写活性化活性、転写抑制活性、転写放出因子活性、ヒストン修飾活性、核酸会合活性、メチルトランスフェラーゼ活性、デメチラーゼ活性、アセチルトランスフェラーゼ活性、デアセチラーゼ活性、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項16に記載のウイルスベクター。
【請求項18】
前記導入遺伝子が神経変性疾患(NDD)関連遺伝子をコードする、請求項1~15のいずれか一項に記載のウイルスベクター。
【請求項19】
前記NDD関連遺伝子が、APOE、APP、ATXN2、CHMP2B、DCTN1、FIG4、FUS、GBA、GRN、HNRNPA1、HTT、LRRK2、MATR3、OPTN、PARK7、PFN1、PRPH、PSEN1、SETX、SIGMAR1、SNCA、SOD1、SPG11、SQSTM1、TARDBP、TBK1、TBP、TRPM7、TUBA4A、UBQLN2、UCHL1、VAPB、VCP、VPS35、それらのフラグメント、それらのバリアント、またはそれらのキメラを含む、請求項18に記載のウイルスベクター。
【請求項20】
前記gRNAが、目的とする遺伝子における領域を標的とする、請求項1~19のいずれか一項に記載のウイルスベクター。
【請求項21】
前記HDACが、HDAC1、HDAC2、HDAC3、HDAC4、HDAC6、またはHDAC8、あるいはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項1~20のいずれか一項に記載のウイルスベクター。
【請求項22】
前記HDACがHDAC8を含む、請求項21に記載のウイルスベクター。
【請求項23】
前記shRNAが、配列番号19~配列番号24のいずれか1つに示される配列を含む、請求項21に記載のウイルスベクター。
【請求項24】
HDAC遺伝子型を生じさせるために細胞株に形質導入する、請求項1~23のいずれか一項に記載のウイルスベクター。
【請求項25】
アデノ随伴ウイルス(AAV)、インテグラーゼ欠損レンチウイルス(IDLV)、またはインテグラーゼコンピテントレンチウイルス(ICLV)を含む、請求項1~24のいずれか一項に記載のウイルスベクター。
【請求項26】
前記HDAC遺伝子型が、生じたウイルスベクターのパッケージング能を増大させ、生じたウイルスベクターの力価を増加させ、生じたウイルスベクターの発現能を増大させ、生じたウイルスベクターの免疫原性および/または毒性を低下させ、生じたウイルスベクターが効率的に形質導入する能力を増大させ、あるいはそれらの任意の組み合わせをもたらす、請求項1~25のいずれか一項に記載のウイルスベクター。
【請求項27】
HDAC枯渇細胞を開発する方法であって、
1またはそれを超える細胞を請求項1~26のいずれか一項に記載のウイルスベクターと接触させること
を含み、
前記1またはそれを超える細胞への形質導入の後において、前記標的となったHDACの発現および/または活性が低下する、および/または枯渇する、方法。
【請求項28】
前記標的となったHDACが、HDAC1、HDAC2、HDAC3、HDAC4、HDAC6、HDAC8、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記HDAC枯渇細胞が、HDAC1遺伝子型、HDAC2遺伝子型、HDAC3遺伝子型、HDAC4遺伝子型、HDAC6遺伝子型、HDAC8遺伝子型、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
前記HDAC枯渇細胞がHDAC8であり、しかし、依然として、HDAC1、HDAC2、HDAC3、HDAC4、HDAC6、またはそれらの任意の組み合わせを発現する、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
HDACの発現および/または活性における前記低下および/または枯渇が完全である、請求項27~30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
HDACの発現および/または活性における前記低下および/または枯渇が不完全である、請求項27~30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
最適化されたウイルスベクターを生じさせることをさらに含む、請求項27~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記最適化されたウイルスベクターが、正常な、または野生型のHDAC発現および/またはHDAC活性を有する細胞と比較してパッケージング能における増大を明らかに示す、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記最適化されたウイルスベクターが、正常な、または野生型のHDAC発現および/またはHDAC活性を有する細胞と比較して力価における増加を明らかに示す、請求項33に記載の方法。
【請求項36】
前記最適化されたウイルスベクターが、正常な、または野生型のHDAC発現および/またはHDAC活性を有する細胞と比較して発現能における増大を明らかに示す、請求項33に記載の方法。
【請求項37】
前記最適化されたウイルスベクターが、正常な、または野生型のHDAC発現および/またはHDAC活性を有する細胞と比較して免疫原性および/または毒性における低下を明らかに示す、請求項33に記載の方法。
【請求項38】
前記最適化されたウイルスベクターが、正常な、または野生型のHDAC発現および/またはHDAC活性を有する細胞と比較して、効率的に細胞に形質導入する能力における増大を明らかに示す、請求項33に記載の方法。
【請求項39】
前記最適化されたウイルスベクターが、ICLVベクター、IDLVベクター、またはAAVベクターを含む、請求項33に記載の方法。
【請求項40】
前記最適化されたウイルスベクターが分裂細胞および/または非分裂細胞に形質導入することができる、請求項33に記載の方法。
【請求項41】
治療有効量の前記最適化されたウイルスベクターを投与することを必要とする対象に投与することをさらに含む、請求項33~40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
それを必要とする前記対象が遺伝的な欠損または障害を有する、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
それを必要とする前記対象が、NDD関連遺伝子に影響を及ぼす遺伝的な欠損または障害を有する、請求項41に記載の方法。
【請求項44】
前記NDD関連遺伝子が、APOE、APP、ATXN2、CHMP2B、DCTN1、FIG4、FUS、GBA、GRN、HNRNPA1、HTT、LRRK2、MATR3、OPTN、PARK7、PFN1、PRPH、PSEN1、SETX、SIGMAR1、SNCA、SOD1、SPG11、SQSTM1、TARDBP、TBK1、TBP、TRPM7、TUBA4A、UBQLN2、UCHL1、VAPB、VCP、VPS35、それらのフラグメント、それらのバリアント、またはそれらのキメラを含む、請求項43に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
I.関連出願の相互参照
本出願は米国仮特許出願第63/221,167号(2021年7月13日出願)に対する優先権の利益を主張し、その全体が参照によって本明細書中に組み込まれる。
配列表の参照
【0002】
II.配列表の参照
名称が“POL 22-2050-WO-109726-733539”であり、2022年7月13日に作成され、173キロバイトのサイズを有する.xmlファイルとして2022年7月13日に提出された配列表が、米国特許法施行規則§1.52(e)(5)に従って参照によりここに組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
III.背景
CRISPR/Cas9システムは、遺伝子配列および遺伝子発現の前例のない制御をヒトを含めて多くの種においてもたらすことによってゲノム編集の分野に大変革をもたらしている。しかし、現時点では、CRISPR/Casエディターに基づく治療用導入遺伝子を含めて様々な治療用導入遺伝子を送達するための理想的なベクタープラットフォームがない。
【0004】
例えば、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターが、遺伝子治療用途のために使用される最も一般的な送達システムである一方で、AAVベクターは、厳密なパッケージングサイズ限界(最大で4.7kb)を有しており、このことが、殆どのオールインワンのCRISPR/Cas系システムについての使用を思い止まらせている。レンチウイルスベクター(LV)が、大きなDNAペイロード(最大で11kb)に適応し、かつ広範囲の分裂細胞および非分裂細胞における堅固な発現を持続させるその能力のために、CRISPR/Cas9システムのための主要な送達プラットフォームの1つである。しかしながら、LVを臨床試験で用いることは、挿入変異誘発の比較的高いリスクによって妨げられている(Ortinski PIら(2017)、Mol Ther Methods Clin Dev.、5:153-164)。さらに、LVが送達するCas9/gRNAの長期の発現が、非特異的なRNA-DNA相互作用およびオフターゲットのDNA擾乱によって特徴づけられる望ましくないオフターゲット影響を引き起すことがある(Ortinski PIら(2017)、Mol Ther Methods Clin Dev.、5:153-164)。最後に、ウイルスゲノムが、基本転写機構についてはほとんど到達し難いヘテロクロマチン構造にパッケージングされるので、CRISPR/Cas9送達のために使用されるLVの利点が、その産生に関連する低い力価によって相殺されている。
したがって、遺伝子送達システムにおいて必要とされるものが、AAVベクターおよびLVベクターの両方の利点を合わせ持ち、その一方で、これらのベクターの知られている制限を最小限に抑えるベクターである。エピソーム発現を明らかに示し、高い産生収量を有し、高いパッケージング能を有し、かつ強い導入遺伝子発現を生じさせるベクターに関する大きな必要性が満たされていない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Ortinski PIら(2017)、Mol Ther Methods Clin Dev.、5:153-164
【非特許文献2】Ortinski PIら(2017)、Mol Ther Methods Clin Dev.、5:153-164 IV.図面の簡単な説明
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1A図1Cはベクター産生を詳述する。図1Aはレンチウイルスベクターカセットプラスミドの概略マップを示す。上段のバージョンはSp1結合部位を欠いており、一方で、下段のバージョンは2つのSp1結合部位を含有する。他の調節エレメントとして、プライマー結合部位(PBS)、スプライスドナー(SD)およびスプライスアクセプター(SA)、セントラルポリプリントラクト(cPPT)およびポリプリントラクト(PPT)、Rev応答エレメント(RRE)、ウッドチャック肝炎ウイルスの転写後調節エレメント(WPRE)、ならびにレトロウイルスベクターパッケージングエレメント(psi(ψ)シグナル)が含まれる。ヒトサイトメガロウイルス(hCMV)プロモーター、コア伸長因子1αプロモーター(EFS)およびヒトU6プロモーターもまた含まれる。この自己不活性化ベクター(SIN)カセットプラスミドは3’-LTRのU3領域における欠失(-18bps~-418bps)を有している(DU3)。ポリリンカー部位は、sgRNAのクローニングのために、およびその検証のためにそれぞれ使用される一対のBsmBI部位と、独特のBsrGI部位とを含有する。図1Bは、Sp1部位の有無による組み込み型(ICLV)および非組み込み型(IDLV)のウイルス粒子の産生力価を示す。結果が、1ngのp24gagを1×10個の粒子と同等と見なすコピー数/ミリリットルで記録される。図1Cは、ピューロマイシン耐性コロニーを計数することによって決定される全体的なICLV産生力価を示す。結果が、Sp1含有ベクターから得られるコロニー数と、Sp1非含有ベクターから得られるコロニー数との間の比として示される。棒グラフのデータは三連の実験からの平均±SDを表す。
【0007】
図2図2はCRISPR/Cas9媒介ノックアウトの効率を例示する。eGFP枯渇のレベルを、ICLVおよびIDLVによって送達されるsgRNAについて、形質導入後(pt)7日、14日および21日での蛍光活性化細胞選別アッセイによって評価した。ナイーブHEK293T-eGFP細胞(GFPウイルスにより形質導入されない)およびsgRNA非発現細胞(sgRNA非存在)が対照として役立った。形質導入後に残存するGFP陽性細胞の百分率を記録した。y軸は側方散乱を表し、一方で、x軸はMFIを表す。
【0008】
図3-1】図3Aは、IDLVおよびICLVによって送達されるCRISPR/Cas9のDNA切断のオンターゲット評価を例示する。評価を、IDLV-sgRNA1/Cas9およびICLV-sgRNA1/Cas9により形質導入されるGFP陽性細胞を様々なMOIで使用して形質導入後7日で行った。図3Bは、ICLV-ベクターまたはIDLV-ベクターのどちらかにより形質導入されたサンプルの標的InDelに関して評価するためのサンガー法の使用を示す。オンターゲット変異の割合を7日目に決定した。図3Cは、ICLV-CRISPR/Cas9(濃い棒)およびICLV-CRISPR/Cas9(薄い棒)によって誘導されるIndelの形成を例示する。InDelを、変異した配列を有する読み取りと総読み取りとの(百分率での)比率として計算した。
図3-2】同上。
図3-3】同上。
図3-4】同上。
【0009】
図4-1】図4Aは、GABA受容体α2サブユニットをインビボ(ラット)で枯渇させるためのIDLV-CRIPSR/Cas9システムの効力を評価するためのウエスタンブロット分析の使用を示す。2匹の対照動物(ラット)(レーン1および2)および2匹のIDLV-α2/Cas9注射動物(ラット)(レーン3および4)を使用した。チューブリン(DM1A)抗体(約40kDa)を負荷対照として使用した。図4Bは、対照動物およびIDLV-α2/Cas9注射動物からのNAc切片におけるmIPSC法の使用を例示する。図の上部(部分i)におけるイベント頻度の類似性に留意のこと。3つの異なるニューロンからのmIPSC平均(黒色記録線(black trace))は、図の下部(部分ii)におけるIDLV-α2/Cas9動物(ラット)からの切片におけるmIPSC持続時間の変動性を例示する。比較を容易にするために、それぞれの記録線を単一の対照ニューロンからのmIPSC平均(灰色記録線)に重ねた。図4Cは、すべての記録されたニューロンからのmIPSC減衰時間の分布を例示する。水平の黒色棒をそれぞれの群についての平均値で中央に置いている。図4Dは、K平均法クラスター分析により、MSNの低速mIPSC群、中速mIPSC群および高速mIPSC群についての中心値が特定されることを例示する(クラスター1、クラスター2およびクラスター3ではそれぞれ、n=1個、5個および5個のIDLV-α2/Cas9細胞、一方で、クラスター1、クラスター2およびクラスター3ではそれぞれ、n=3個、2個および2個の対照細胞)。図4Eは、mIPSC振幅の変動性がIDLV-α2/Cas9群および対照群における細胞の間で類似していたことを示す。水平の黒色棒をそれぞれの群についての平均値で中央に置いている。
図4-2】同上。
【0010】
図5図5A図5BはHEK293T細胞におけるヒストンデアセチラーゼ(HDAC)ノックダウンの検証を示す。HEK293T細胞に、HDACに対するshRNAを保有するLVにより形質導入した。ここで、代表的な画像により、HDAC2に対するshRNAと、HDAC8に対するshRNAとを使用して達成されるノックダウンが強調される。図5Aにおいて、上段のグラフは、qRT分析を使用して、ナイーブHEK293T細胞(黒色棒)、HDAC2-shRNAが形質導入されるその細胞(白色棒)、およびHDAC8-shRNAが形質導入されるその細胞(灰色棒)において測定されるHDAC8のmRNAレベルを示す。図5Aにおいて、下段のパネルは、qRT分析を使用して、ナイーブHEK293T細胞(黒色棒)、HDAC2-shRNAが形質導入されるその細胞(白色棒)、およびHDAC8-shRNAが形質導入されるその細胞(灰色棒)において測定されるHDAC2のmRNAレベルを示す。図5Bは、HDAC2形質導入細胞およびHDAC8形質導入細胞から調製される細胞溶解物に対して行われたWBによって評価されるHDAC8およびHDAC2のタンパク質レベルを示す。ヒトアクチンを負荷対照として使用した。示されるように、HDAC8の特異的かつ堅固なノックダウンが、HDAC8が標的となった細胞において達成され、その一方で、HDAC2タンパク質のレベルが、HDAC2 KD細胞株において効率的に減少した。
【0011】
図6図6は、ナイーブ細胞、HDAC1、HDAC2、HDAC3、HDAC4およびHDAC8に対するshRNAを保有する細胞、ならびに酪酸ナトリウム(Bu)により2.5mMで処理される細胞において生じるIDLVベクターの効率的な産生を示す。プロットは、記載(Tagliafierro Lら(2019)、J Vis Exp.(145):10.3791/59241)のようなp24gag ELISAを使用する産生の量測定を報告する。さらなる正規化を、HEK293T細胞への形質導入のための等しいウイルス量を適用するために行った。
【0012】
図7図7は、HDAC1、HDAC2、HDAC3、HDAC4およびHDAC8のそれぞれに対する、ヘアピンを保有するshRNAウイルスで形質導入される細胞、ならびに酪酸ナトリウム(Bu)により2.5mMで処理される細胞におけるGFP発現の可視化を報告する。ウイルス量を正規化するために、等しい濃度のp24含有量を使用した。GFP発現を、記載(Tagliafierro Lら(2019)、J Vis Exp.(145):10.3791/59241)のような蛍光顕微鏡観察法を使用して評価した。
【0013】
図8図8は、非哺乳動物shRNA対照プラスミドであるSHC002のマップを示す。SHC002は、知られている哺乳動物遺伝子をどれも標的とせず、しかし、RISCと関わる配列を含有する陰性対照である。この非哺乳動物対照はHDACノックダウンのための陰性参照として役立った。図8において、U6はU6プロモーターを意味し、cpptはセントラルポリプリントラクトを意味し、hPGKはヒトホスホグリセリン酸キナーゼの真核生物プロモーターを意味し、puroRは哺乳動物選択のためのピューロマイシン耐性遺伝子を意味し、SIN/3¢は、LTR3¢が自己不活性化する長い末端反復を意味することを意味し、f1 oriはf1複製起点を意味し、ampRは細菌選択のためのアンピシリン耐性遺伝子を意味し、pUC oriはpUC複製起点を意味し、5¢LTRは5¢の長い末端反復を意味し、PsiはRNAパッケージングシグナルを意味し、RREはrev応答エレメントを意味する。
【0014】
図9-1】図9Aは、2つのSp1部位と、GFPに対するgRNAとを保有する改善されたレンチウイルスベクター骨格を示す。図9Bは、gRNA無しで2つのSp1部位を保有する改善されたレンチウイルスベクター骨格を示す。
図9-2】同上。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0015】
V.概要
本明細書中には、1またはそれを超える開示された方法を実施する際の使用のための組成物が開示される。
【0016】
本明細書中には、(i)Casエンドヌクレアーゼと、(ii)少なくとも1つのガイドRNAと、(iii)少なくとも1つの導入遺伝子とをコードする核酸配列を含む単離された核酸分子が開示される。
【0017】
本明細書中には、(i)融合産物と、(ii)少なくとも1つのガイドRNAとをコードする核酸配列を含む単離された核酸分子が開示される。
【0018】
本明細書中には、(i)Casエンドヌクレアーゼと、(ii)少なくとも1つのガイドRNAと、(iii)少なくとも1つの導入遺伝子と、(iv)ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)を標的とするshRNAとをコードする核酸配列を含む単離された核酸分子が開示される。
【0019】
本明細書中には、(i)融合産物と、(ii)少なくとも1つのガイドRNAと、(iii)ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)を標的とするshRNAとをコードする核酸配列を含む単離された核酸分子が開示される。
【0020】
本明細書中には、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)を標的とするshRNAをコードする核酸配列を含む単離された核酸分子が開示される。本明細書中には、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)を標的とする1またはそれを超えるshRNAをコードする核酸配列を含む単離された核酸分子が開示される。本明細書中には、1またはそれを超えるヒストンデアセチラーゼ(HDAC)を標的とする1またはそれを超えるshRNAをコードする核酸配列を含む単離された核酸分子が開示される。
【0021】
本明細書中には、開示された単離核酸を含むウイルスベクターが開示される。本明細書中には、(i)Casエンドヌクレアーゼと、(ii)少なくとも1つのガイドRNAと、(iii)少なくとも1つの導入遺伝子とをコードする核酸配列を含む単離された核酸分子を含むウイルスベクターが開示される。本明細書中には、(i)融合産物と、(ii)少なくとも1つのガイドRNAとをコードする核酸配列を含む単離された核酸分子を含むウイルスベクターが開示される。
【0022】
本明細書中には、配列番号26~配列番号31のいずれか1つに示される配列を含むウイルスベクターが開示される。
【0023】
本明細書中には、配列番号26に示される配列を含み、かつ、開示された導入遺伝子を含むウイルスベクターが開示される。本明細書中には、配列番号27に示される配列を含み、かつ、開示された導入遺伝子を含むウイルスベクターが開示される。本明細書中には、配列番号28に示される配列を含み、かつ、開示された導入遺伝子を含むウイルスベクターが開示される。本明細書中には、配列番号29に示される配列を含み、かつ、開示された導入遺伝子を含むウイルスベクターが開示される。本明細書中には、配列番号30に示される配列を含み、かつ、開示された導入遺伝子を含むウイルスベクターが開示される。本明細書中には、配列番号31に示される配列を含み、かつ、開示された導入遺伝子を含むウイルスベクターが開示される。
【0024】
本明細書中には、配列番号26~配列番号31のいずれか1つに示される配列と、下記導入遺伝子の1つまたはそれより多くを含むウイルスベクターが開示される:APOE、APP、ATXN2、CHMP2B、DCTN1、FIG4、FUS、GBA、GRN、HNRNPA1、HTT、LRRK2、MATR3、OPTN、PARK7、PFN1、PRPH、PSEN1、SETX、SIGMAR1、SNCA、SOD1、SPG11、SQSTM1、TARDBP、TBK1、TBP、TRPM7、TUBA4A、UBQLN2、UCHL1、VAPB、VCP、VPS35、それらのフラグメント、それらのバリアント、またはそれらのキメラ。
【0025】
本明細書中には、配列番号01に示される配列と、下記導入遺伝子の1つまたはそれより多くを含むウイルスベクターが開示される:APOE、APP、ATXN2、CHMP2B、DCTN1、FIG4、FUS、GBA、GRN、HNRNPA1、HTT、LRRK2、MATR3、OPTN、PARK7、PFN1、PRPH、PSEN1、SETX、SIGMAR1、SNCA、SOD1、SPG11、SQSTM1、TARDBP、TBK1、TBP、TRPM7、TUBA4A、UBQLN2、UCHL1、VAPB、VCP、VPS35、それらのフラグメント、それらのバリアント、またはそれらのキメラ。
【0026】
本明細書中には、開示されたウイルスベクターにより形質導入されるウイルスプロデューサー細胞株が開示される。本明細書中には、HDAC-/-遺伝子型を含むウイルスプロデューサー細胞株が開示される。本明細書中には、HDAC1-/-遺伝子型を含むウイルスプロデューサー細胞株が開示される。本明細書中には、HDAC2-/-遺伝子型を含むウイルスプロデューサー細胞株が開示される。本明細書中には、HDAC3-/-遺伝子型を含むウイルスプロデューサー細胞株が開示される。本明細書中には、HDAC4-/-遺伝子型を含むウイルスプロデューサー細胞株が開示される。本明細書中には、HDAC6-/-遺伝子型を含むウイルスプロデューサー細胞株が開示される。本明細書中には、HDAC8-/-遺伝子型を含むウイルスプロデューサー細胞株が開示される。
【0027】
本明細書中には、1またはそれを超える開示された組成物を含むキットが開示される。本明細書中には、開示された方法における使用のための開示された組成物を含むキットが開示される。
【0028】
本明細書中には、HDAC枯渇細胞を開発する方法であって、1またはそれを超える細胞を開示されたウイルスベクターと接触させることを含み、前記1またはそれを超える細胞への形質導入の後において、前記標的となったHDACの発現および/または活性が低下する、および/または枯渇する方法が開示される。
【0029】
本明細書中には、HDAC枯渇細胞を開発する方法であって、1またはそれを超える細胞を、(i)Casエンドヌクレアーゼと、(ii)少なくとも1つのガイドRNAと、(iii)少なくとも1つの導入遺伝子とをコードする核酸配列を含む単離された核酸分子を含むウイルスベクターと接触させることを含み、前記1またはそれを超える細胞への形質導入の後において、前記標的となったHDACの発現および/または活性が低下する、および/または枯渇する方法が開示される。
【0030】
本明細書中には、HDAC枯渇細胞を開発する方法であって、1またはそれを超える細胞を、(i)融合産物と、(ii)少なくとも1つのガイドRNAとをコードする核酸配列を含む単離された核酸分子を含むウイルスベクターと接触させることを含み、前記1またはそれを超える細胞への形質導入の後において、前記標的となったHDACの発現および/または活性が低下する、および/または枯渇する方法が開示される。
【0031】
本明細書中には、ウイルスベクターのパッケージング能を増大させる方法であって、1またはそれを超える細胞を開示されたウイルスベクターと接触させることを含み、前記1またはそれを超える細胞への形質導入の後において、前記標的となったHDACの発現および/または活性が低下し、および/または枯渇し、生じた最適化ウイルスベクターが増大したパッケージング能を有する方法が開示される。本明細書中には、ウイルスベクターのパッケージング能を増大させる方法であって、1またはそれを超える細胞を、(i)Casエンドヌクレアーゼと、(ii)少なくとも1つのガイドRNAと、(iii)少なくとも1つの導入遺伝子とをコードする核酸配列を含む単離された核酸分子を含むウイルスベクターと接触させることを含み、前記1またはそれを超える細胞への形質導入の後において、前記標的となったHDACの発現および/または活性が低下し、および/または枯渇し、生じた最適化ウイルスベクターが増大したパッケージング能を有する方法が開示される。本明細書中には、ウイルスベクターのパッケージング能を増大させる方法であって、1またはそれを超える細胞を、(i)融合産物と、(ii)少なくとも1つのガイドRNAとをコードする核酸配列を含む単離された核酸分子を含むウイルスベクターと接触させることを含み、前記1またはそれを超える細胞への形質導入の後において、前記標的となったHDACの発現および/または活性が低下し、および/または枯渇し、生じた最適化ウイルスベクターが増大したパッケージング能を有する方法が開示される。
【0032】
本明細書中には、ウイルスベクターの力価を増加させる方法であって、1またはそれを超える細胞を開示されたウイルスベクターと接触させることを含み、前記1またはそれを超える細胞への形質導入の後において、前記標的となったHDACの発現および/または活性が低下し、および/または枯渇し、生じた最適化ウイルスベクターの力価が増加する方法が開示される。本明細書中には、ウイルスベクターの力価を増加させる方法であって、1またはそれを超える細胞を、(i)Casエンドヌクレアーゼと、(ii)少なくとも1つのガイドRNAと、(iii)少なくとも1つの導入遺伝子とをコードする核酸配列を含む単離された核酸分子を含むウイルスベクターと接触させることを含み、前記1またはそれを超える細胞への形質導入の後において、前記標的となったHDACの発現および/または活性が低下し、および/または枯渇し、また、生じた最適化ウイルスベクターの力価が増加する方法が開示される。本明細書中には、ウイルスベクターの力価を増加させる方法であって、1またはそれを超える細胞を、(i)融合産物と、(ii)少なくとも1つのガイドRNAとをコードする核酸配列を含む単離された核酸分子を含むウイルスベクターと接触させることを含み、前記1またはそれを超える細胞への形質導入の後において、前記標的となったHDACの発現および/または活性が低下し、および/または枯渇し、生じた最適化ウイルスベクターの力価が増加する方法が開示される。
【0033】
本明細書中には、ウイルスベクターの発現能を増大させる方法であって、1またはそれを超える細胞を開示されたウイルスベクターと接触させることを含み、前記1またはそれを超える細胞への形質導入の後において、前記標的となったHDACの発現および/または活性が低下し、および/または枯渇し、生じた最適化ウイルスベクターが増大した発現能を有する方法が開示される。本明細書中には、ウイルスベクターの発現能を増大させる方法であって、1またはそれを超える細胞を、(i)Casエンドヌクレアーゼと、(ii)少なくとも1つのガイドRNAと、(iii)少なくとも1つの導入遺伝子とをコードする核酸配列を含む単離された核酸分子を含むウイルスベクターと接触させることを含み、前記1またはそれを超える細胞への形質導入の後において、前記標的となったHDACの発現および/または活性が低下し、および/または枯渇し、生じた最適化ウイルスベクターが増大した発現能を有する方法が開示される。本明細書中には、ウイルスベクターの発現能を増大させる方法であって、1またはそれを超える細胞を、(i)融合産物と、(ii)少なくとも1つのガイドRNAとをコードする核酸配列を含む単離された核酸分子を含むウイルスベクターと接触させることを含み、前記1またはそれを超える細胞への形質導入の後において、前記標的となったHDACの発現および/または活性が低下し、および/または枯渇し、生じた最適化ウイルスベクターが増大した発現能を有する方法が開示される。
【0034】
本明細書中には、ウイルスベクターの免疫原性および/または毒性を低下させる方法であって、1またはそれを超える細胞を開示されたウイルスベクターと接触させることを含み、前記1またはそれを超える細胞への形質導入の後において、前記標的となったHDACの発現および/または活性が低下し、および/または枯渇し、生じた最適化ウイルスベクターが低下した免疫原性および/または毒性を有する方法が開示される。本明細書中には、ウイルスベクターの免疫原性および/または毒性を低下させる方法であって、1またはそれを超える細胞を、(i)Casエンドヌクレアーゼと、(ii)少なくとも1つのガイドRNAと、(iii)少なくとも1つの導入遺伝子とをコードする核酸配列を含む単離された核酸分子を含むウイルスベクターと接触させることを含み、前記1またはそれを超える細胞への形質導入の後において、前記標的となったHDACの発現および/または活性が低下し、および/または枯渇し、生じた最適化ウイルスベクターが低下した免疫原性および/または毒性を有する方法が開示される。本明細書中には、ウイルスベクターの免疫原性および/または毒性を低下させる方法であって、1またはそれを超える細胞を、(i)融合産物と、(ii)少なくとも1つのガイドRNAとをコードする核酸配列を含む単離された核酸分子を含むウイルスベクターと接触させることを含み、前記1またはそれを超える細胞への形質導入の後において、前記標的となったHDACの発現および/または活性が低下し、および/または枯渇し、生じた最適化ウイルスベクターが低下した免疫原性および/または毒性を有する方法が開示される。
【0035】
本明細書中には、ウイルスベクターが効率的に1またはそれを超える細胞に形質導入する能力を増大させる方法であって、1またはそれを超える細胞を開示されたウイルスベクターと接触させることを含み、前記1またはそれを超える細胞への形質導入の後において、前記標的となったHDACの発現および/または活性が低下し、および/または枯渇し、生じた最適化ウイルスベクターが、効率的に細胞に形質導入する増大した能力を有する方法が開示される。本明細書中には、ウイルスベクターが効率的に1またはそれを超える細胞に形質導入する能力を増大させる方法であって、1またはそれを超える細胞を、(i)Casエンドヌクレアーゼと、(ii)少なくとも1つのガイドRNAと、(iii)少なくとも1つの導入遺伝子とをコードする核酸配列を含む単離された核酸分子を含むウイルスベクターと接触させることを含み、前記1またはそれを超える細胞への形質導入の後において、前記標的となったHDACの発現および/または活性が低下し、および/または枯渇し、生じた最適化ウイルスベクターが、効率的に細胞に形質導入する増大した能力を有する方法が開示される。本明細書中には、ウイルスベクターが効率的に1またはそれを超える細胞に形質導入する能力を増大させる方法であって、1またはそれを超える細胞を、(i)融合産物と、(ii)少なくとも1つのガイドRNAとをコードする核酸配列を含む単離された核酸分子を含むウイルスベクターと接触させることを含み、前記1またはそれを超える細胞への形質導入の後において、前記標的となったHDACの発現および/または活性が低下し、および/または枯渇し、生じた最適化ウイルスベクターが、効率的に細胞に形質導入する増大した能力を有する方法が開示される。
【発明を実施するための形態】
【0036】
VI.詳細な説明
本開示は、製剤、配合された組成物、キット、カプセル、容器、および/またはそれらの方法を記載する。別途指定される場合を除き具体的な合成方法に、または別途指定される場合を除き特定の試薬に限定されない発明的局面は、そのため、当然のことながら様々であってもよいことが理解されなければならない。本明細書中で使用される術語は、特定の局面のみを説明するという目的のためであり、限定であることが意図されないこともまた理解されなければならない。本明細書中に記載される方法および材料と類似するものおよび同等であるものはどれも本発明の実施または試験において使用することができるにもかかわらず、例となる方法および材料が次に記載される。
【0037】
本明細書中で言及されるすべての刊行物が、これらの刊行物が引用される方法および/または材料に関連して方法および/または材料を開示するために、また説明するために参照によって本明細書中に組み込まれる。本明細書中で議論される刊行物は、本出願の出願日の前におけるそれらの開示のためにのみ提供されている。本明細書中のいかなるものも、本発明は、先行発明によってそのような刊行物に先行する資格がないことを認めるものとして解釈してはならない。
A.関連がある定義
【0038】
本発明の化合物、組成物、物品、システム、デバイスおよび/または方法が開示され、説明される前に、それらは、別途指定される場合を除き具体的な合成方法に、または別途指定される場合を除き特定の試薬に限定されず、そのため、当然のことながら様々であってもよいことが理解されなければならない。本明細書中で使用される術語は、特定の局面のみを説明するという目的のためであり、限定であることが意図されないこともまた理解されなければならない。本明細書中に記載される方法および材料と類似するものおよび同等であるものはどれも本発明の実施または試験において使用することができるにもかかわらず、例となる方法および材料が次に記載される。
【0039】
本開示により、発明的概念が具体例を参照して説明される。しかしながら、意図は、本開示と一致する発明的概念のすべての改変、均等物および代替物を網羅することである。
【0040】
本明細書および添付された請求項において使用される場合、“a”、“an”および“the”の単数形態は、内容が明らかにそうでないことを示す場合を除き、複数の参照対象を含む。
【0041】
表現“consisting essentially of”(から本質的になる)は、主張(claim)の範囲を、組成物における列挙された成分、または方法における列挙されたステップ、ならびに、主張された組成物または主張された方法の基本的かつ新規な特徴(1つまたは複数)に実質的に影響を及ぼさない成分またはステップに限定する。表現“consisting of”(からなる)は、主張において列挙されない成分、ステップまたは要素をどのようなものであれ除外する。表現“comprising”(含むこと)は、“including”(含むこと、包含すること)、“containing”(含有すること)、または“characterized by”(によって特徴づけられる)と同義であり、包括的であり、または変更可能である。“comprising”(含むこと)は、追加の列挙されない成分またはステップを除外しない。
【0042】
本明細書中で使用される場合、どのような数値であれ数値に言及するとき、用語「少なくとも」は、明記された値の±10%である範囲の範囲内に含まれる値を意味する。
【0043】
様々な範囲を、一方の「約」特定の値から、および/またはもう一方の「約」特定の値までとして本明細書中では表すことができる。そのような範囲が表されるとき、さらなる局面により、当該一方の値から、および/または当該もう一方の特定の値までが含まれる。同様に、値が先行詞「約」の使用によって近似値として表されるときには、当該特定の値がさらなる局面を形成することが理解される。範囲のそれぞれの端点は、他方の端点に関して、および、他方の端点とは独立して、の両方で有意であることがさらに理解される。多数の値が本明細書中では開示されること、そして、それぞれの値もまた本明細書中では、当該値そのものに加えて、「約」その特定の値として開示されることもまた理解される。例えば、「10」という値が開示されるならば、「約10」もまた開示される。2つの特定の1位数の間におけるそれぞれの1位数もまた開示されることもまた理解される。例えば、10および15が開示されるならば、11、12、13および14もまた開示される。
【0044】
組成物における特定の要素または成分の重量部に対する、本明細書および結論となる請求項における言及は、当該要素または成分と、重量部が表される組成物または物品におけるいかなる他の要素または成分との間における重量関係を意味する。したがって、2重量部の成分Xおよび5重量部の成分Yを含有する化合物では、XおよびYが2:5の重量比で存在しており、これらは、追加の成分が当該混成物に含有されるかどうかにかかわらず、そのような比率で存在する。
【0045】
本明細書中で使用される場合、用語「必要に応じた」または用語「必要に応じて」は、続いて記載された事象または状況が生じる可能性がある、または可能性がないこと、そして、その記載には、前記事象または状況が生じる事例、および前記事象または状況が生じない事例が含まれることを意味する。1つの局面において、開示された方法は必要に応じて、1またはそれを超える追加のステップ、例えば、投与するステップを繰り返すこと、または投与するステップを変更することなどを含むことができる。
【0046】
本明細書中で使用される場合、「CRISPR、すなわち、クラスター化されて規則的な配置の短い回文配列リピート」は、アルツハイマー病またはLOADなどの疾患に関連する様々な遺伝的異常を正すための理想的なツールである。このシステムは、ゲノムDNAを直接に標的とするように設計することができる。CRISPRシステムは、2つの主要な成分、すなわち、Cas9酵素と、ガイド(gRNA)とを必要とする。gRNAは、DNA結合(例えば、NDD関連遺伝子におけるDNA結合)のための標的となった配列と、Cas9結合のための足場配列とを含有する。Cas9ヌクレアーゼはしばしば、標的遺伝子、例えば、NDD関連遺伝子などを「ノックアウト」するために使用される。また、複数のgRNAを、複数の遺伝子を同時に抑制し、または活性化し、したがって、これにより処置効力を増大させ、また、標的遺伝子における新たな変異によって潜在的に引き起こされる抵抗性を軽減するために用いることができる。
【0047】
本明細書中で使用される場合、「CRISPR系エンドヌクレアーゼ」には、少なくとも1つのヌクレアーゼドメイン、およびガイドRNAと相互作用する少なくとも1つのドメインを含むRNA誘導エンドヌクレアーゼが含まれる。この技術分野では知られているように、ガイドRNAはCRISPR系エンドヌクレアーゼを核酸中の標的となった部位に向かわせ、その部位で、CRISPR系エンドヌクレアーゼが標的となった核酸配列の少なくとも一方の鎖を切断する。ガイドRNAが標的化切断のための特異性を与えるので、CRISPR系エンドヌクレアーゼは普遍的であり、CRISPR系エンドヌクレアーゼを、異なる標的核酸配列を切断するために異なるガイドRNAとともに使用することができる。CRISPR系エンドヌクレアーゼは、CRISPR/Casシステムに由来するRNA誘導エンドヌクレアーゼである。
【0048】
1つの局面において、開示されたCRISPR系エンドヌクレアーゼは、CRISPR/Cas I型システム、II型システム、またはIII型システムに由来することができる。好適なCRISPR/Casタンパク質の限定されない例には、Cas3、Cas4、Cas5、Cas5e(またはCasD)、Cas6、Cas6e、Cas6f、Cas7、Cas8a1、Cas8a2、Cas8b、Cas8c、Cas9、Cas10、Cas10d、CasF、CasG、CasH、Csy1、Csy2、Csy3、Cse1(またはCasA)、Cse2(またはCasB)、Cse3(またはCasE)、Cse4(またはCasC)、Csc1、Csc2、Csa5、Csn2、Csm2、Csm3、Csm4、Csm5、Csm6、Cmr1、Cmr3、Cmr4、Cmr5、Cmr6、Csb1、Csb2、Csb3、Csx17、Csx14、Csx10、Csx16、CsaX、Csx3、Csz1、Csx15、Csf1、Csf2、Csf3、Csf4、およびCu1966が含まれる。
【0049】
1つの局面において、開示されたCRISPR系エンドヌクレアーゼはII型CRISPR/Casシステムに由来することができる。例えば、1つの局面において、CRISPR系エンドヌクレアーゼはCas9タンパク質に由来することができる。Cas9タンパク質は、Streptococcus pyogenes、Streptococcus thermophilus、Streptococcus sp、Nocardiopsis dassonvillei、Streptomyces pristinaespiralis、Streptomyces viridochromogenes、Streptomyces viridochromogenes、Streptosporangium roseum、Streptosporangium roseum、Alicyclobacillus acidocaldarius、Bacillus pseudomycoides、Bacillus selenitireducens、Exiguobacterium sibiricum、Lactobacillus delbrueckii、Lactobacillus salivarius、Microscilla marina、Burkholderiales bacterium、Polaromonas naphthalenivorans、Polaromonas sp.、Crocosphaera watsonii、Cyanothece sp.、Microcystis aeruginosa、Synechococcus sp.、Acetohalobium arabaticum、Ammonifex degensii、Caldicelulosiruptor becscii、Candidatus Desulforudis、Clostridium botulinum、Clostridium difficile、Finegoldia magna、Natranaerobius thermophilus、Pelotomaculum thermopropionicum、Acidithiobacillus caldus、Acidithiobacillus ferrooxidans、Allochromatium vinosum、Marinobacter sp.、Nitrosococcus halophilus、Nitrosococcus watsoni、Pseudoalteromonas haloplanktis、Ktedonobacter racemifer、Methanohalobium evestigatum、Anabaena variabilis、Nodularia spumigena、Nostoc sp.、Arthrospira maxima、Arthrospira platensis、Arthrospira sp.、Lyngbya sp.、Microcoleus chthonoplastes、Oscillatoria sp.、Petrotoga mobilis、Thermosipho africanus、またはAcaryochloris marinaからのものであり得る。1つの局面において、CRISPR系ヌクレアーゼは、Streptococcus pyogenesからのCas9タンパク質に由来し得る。
【0050】
本明細書中で使用される場合、「dCas9」は、DNAに結合することができるが、、それを切断することができない、Cas9の酵素不活性な形態を示す。
【0051】
本明細書中で使用される場合、「プロトスペーサー隣接モチーフ」または「PAM」は、Cas酵素が標的DNAに結合するために必要である標的配列に隣接する配列を示す。
【0052】
「プロトスペーサー配列」は標的二本鎖DNAを示し、具体的には、CRISPRアレイのスペーサー配列に対して完全に、または実質的に相補的である(およびズする)標的DNAの部分(例えば、またはゲノムにおける標的領域)を示す。I型システムにおけるプロトスペーサー配列は3’側末端において、PAMによって直接挟まれている。スペーサーが、プロトスペーサーに対して相補的であるように設計される。
【0053】
一般に、gRNA(これはまた、交換可能に「gRNA足場」として本明細書中では示される)は適合性の核酸誘導型ヌクレアーゼと複合体形成することができ、かつ標的配列とハイブリダイズすることができ、それによって当該ヌクレアーゼを標的配列に向けることができる。ガイドポリヌクレオチドとの複合体形成が可能である対象核酸誘導型ヌクレアーゼは、gRNAとの適合性がある核酸誘導型ヌクレアーゼとして示すことができる。加えて、核酸誘導型ヌクレアーゼとの複合体形成が可能であるgRNAは、核酸誘導型ヌクレアーゼとの適合性があるガイドポリヌクレオチドまたはガイド核酸として示すことができる。
【0054】
gRNAには、足場配列が含まれることが可能である。一般に、「足場配列」には、標的になり得るヌクレアーゼ複合体の形成を促進させるための十分な配列を有するどのような配列も含まれることが可能であり(ただし、標的になり得るヌクレアーゼ複合体には、限定されないが、核酸誘導型ヌクレアーゼが含まれる)、ガイドポリヌクレオチドには、足場配列およびガイド配列が含まれることが可能である。標的になり得るヌクレアーゼ複合体の形成を促進させるための足場配列内の十分な配列には、足場配列内の2つの配列領域の長さに沿っての、例えば、二次構造を形成することに関与する1つまたは2つの配列領域などの長さに沿ってのある程度の相補性が含まれることが可能である。1つの局面において、前記1つまたは2つの配列領域が同じポリヌクレオチドにおいて含まれ、またはコードされる。1つの局面において、前記1つまたは2つの配列領域が別個のポリヌクレオチドにおいて含まれ、またはコードされる。最適なアライメントを、どのようなアルゴリズムであれ好適なアライメントアルゴリズムによって決定することができ、また、最適なアライメントにより、様々な二次構造、例えば、前記1つまたは2つの配列領域のどちらかの内部における自己相補性などをさらに説明することができる。1つの局面において、最適にアラインメントされたときの2つのうちの短い方の長さに沿っての前記1つまたは2つの配列領域の間における相補性の程度が、約25%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約95%、約97.5%、約99%またはそれ超、あるいは約25%超、約30%超、約40%超、約50%超、約60%超、約70%超、約80%超、約90%超、約95%超、約97.5%超、約99%超またはそれ超であることが可能である。1つの局面において、これら2つの配列領域の少なくとも1つは長さにおいて、約5個、約6個、約7個、約8個、約9個、約10個、約11個、約12個、約13個、約14個、約15個、約16個、約17個、約18個、約19個、約20個、約25個、約30個、約40個、約50個またはそれ超、あるいは約5個超、約6個超、約7個超、約8個超、約9個超、約10個超、約11個超、約12個超、約13個超、約14個超、約15個超、約16個超、約17個超、約18個超、約19個超、約20個超、約25個超、約30個超、約40個超、約50個超またはそれ超のヌクレオチドの長さであることが可能である。
【0055】
対象ガイドポリヌクレオチドの足場配列は二次構造を含むことができる。二次構造はシュードノット領域を含むことができる。1つの局面において、核酸誘導型ヌクレアーゼに対するガイドポリヌクレオチドの結合動態が部分的には、足場配列内の二次構造によって決定される。1つの局面において、核酸誘導型ヌクレアーゼに対するガイドポリヌクレオチドの結合動態が部分的には、足場配列内の核酸配列によって決定される。
【0056】
「プロモーター」は、本明細書中で使用される場合、核酸の発現を細胞において与えること、活性化すること、または増強することが可能である合成分子または天然由来分子を意味する。プロモーターは、発現をさらに増強するために、ならびに/あるいは核酸の空間的発現および/または時間的発現を変化させるために、1またはそれを超える特異的な転写調節配列を含む場合がある。プロモーターはまた、転写の開始部位から数千塩基対ものところに位置することができる遠位のエンハンサーエレメントまたはリプレッサーエレメントを含む場合がある。プロモーターは、ウイルス、細菌、真菌、植物、昆虫および動物を含めて様々な供給源に由来することができる。プロモーターは遺伝子成分の発現を構成的に、あるいは発現が生じる細胞、組織もしくは器官に関して、または発現が生じる発達段階に関して、または外部刺激(例えば、生理学的ストレス、病原体、金属イオンまたは誘導剤)に対する応答において差次的に調節する場合がある。プロモーターの代表的な例には、EFSプロモーター、バクテリオファージT7プロモーター、バクテリオファージT3プロモーター、SP6プロモーター、lacオペレーター-プロモーター、tacプロモーター、SV40後期プロモーター、SV40初期プロモーター、RSV-LTRプロモーター、CMV IEプロモーター、SV40初期プロモーターまたはSV40後期プロモーター、ヒトU6(hU6)プロモーター、およびCMV IEプロモーターが含まれる。
【0057】
用語「形質転換」、用語「トランスフェクション」および用語「形質導入」は、本明細書中では交換可能に使用されるが、異種核酸分子の細胞への導入を示す。細胞へのそのような導入は安定的または一過性であることが可能である。したがって、1つの局面において、宿主細胞または宿主生物が本開示のポリヌクレオチドにより安定的に形質転換される。1つの局面において、宿主細胞または宿主生物が本開示のポリヌクレオチドにより一過性に形質転換される。ポリヌクレオチドに関連しての「一過性の形質転換」は、ポリヌクレオチドが細胞に導入され、細胞のゲノムに組み込まれないことを意味する。細胞に導入されるポリヌクレオチドに関連しての「安定的に導入する」または「安定的に導入される」によって、導入されたポリヌクレオチドが細胞のゲノムに安定的に取り込まれ、したがって、細胞が当該ポリヌクレオチドにより安定的に形質転換されることが意図される。「安定的形質転換」または「安定的に形質転換される」は、本明細書中で使用される場合、核酸分子が細胞に導入され、当該細胞のゲノムに組み込まれることを意味する。そのため、組み込まれた核酸分子は、その子孫によって、より具体的には、複数の連続する世代の子孫によって引き継がれることが可能である。「ゲノム」には、本明細書中で使用される場合にはまた、核ゲノム、プラスミドおよび色素体ゲノムが含まれ、したがって、例えば、葉緑体ゲノムまたはミトコンドリアゲノムへの核酸構築物の組み込みが含まれる。安定的形質転換は、本明細書中で使用される場合にはまた、染色体外に、例えば、ミニ染色体またはプラスミドとして維持される導入遺伝子を示すことができる。1つの局面において、ヌクレオチド配列、構築物、発現カセットを一過性に発現させることができ、かつ/またはそれらを宿主生物のゲノムに安定的に取り込ませることができる。
【0058】
「導入遺伝子」は、本明細書中で使用される場合、1つの生物から単離されていて、異なる生物に導入される遺伝子配列を含有する遺伝子または遺伝物質を示す。DNAのこの非ネイティブセグメントは、RNAまたはタンパク質をトランスジェニック生物において産生する能力を保持する場合があり、あるいはトランスジェニック生物の遺伝暗号の正常な機能を変化させる場合がある。導入遺伝子の導入は、生物の表現型を変化させる潜在性を有する。
【0059】
本明細書中で使用される場合、用語「対象」は、投与の標的、例えば、ヒトを示す。用語「対象」にはまた、飼い慣らされた動物(例えば、ネコ、イヌなど)、家畜(例えば、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ヤギなど)、および実験室動物(例えば、マウス、ウサギ、ラット、モルモット、ショウジョウバエなど)が含まれる。したがって、本明細書中に開示された方法の対象は、脊椎動物、例えば、哺乳動物、魚類、鳥類、爬虫類または両生類であり得る。代替として、本明細書中に開示された方法の対象は、ヒト、非ヒト霊長類、ウマ、ブタ、ウサギ、イヌ、ヒツジ、ヤギ、ウシ、ネコ、モルモットまたは齧歯類であり得る。この用語は特定の年齢または性別を意味しておらず、したがって、成体および子である対象、ならびに、胎児が、雄性または雌性にかかわらず、包含されることが意図される。1つの局面において、対象はヒト患者であり得る。1つの局面において、対象は、遺伝的な疾患もしくは障害または神経学的な疾患もしくは障害を有する可能性があり、あるいは遺伝的な疾患もしくは障害または神経学的な疾患もしくは障害を有することが疑われる可能性があり、あるいは遺伝的な疾患もしくは障害または神経学的な疾患もしくは障害を発症するリスクがある可能性がある。
【0060】
「標的遺伝子」は、本明細書中で使用される場合、知られている遺伝子産物または推定上の遺伝子産物をコードするヌクレオチド配列をどのようなものであれ示す。標的遺伝子は、遺伝的な疾患もしくは障害または神経学的な疾患もしくは障害に関与する変異した遺伝子であることが可能である。
【0061】
「標的領域」は、本明細書中で使用される場合、標的遺伝子のエピゲノム修飾のための組成物が、結合し、かつ改変するように設計される標的遺伝子および/または染色体の領域を示す。
【0062】
本明細書中で使用される場合、用語「診断された」は、当業者(例えば、医師)による検査に供されたことがあり、開示された単離核酸分子(isolated nucleic acid molecule)、HDACを標的とする開示されたshRNA、開示されたウイルスベクター、開示されたプロデューサー細胞、またはそれらの組み合わせの1つまたはそれより多くによって、あるいは開示された方法の1つまたはそれより多くによって診断することができる、または処置することができる状態を有することが見出されたことを意味する。例えば、「遺伝的な疾患もしくは障害または神経学的な疾患もしくは障害と診断さされた」は、当業者(例えば、医師)による検査に供されたことがあり、開示された単離核酸分子、HDACを標的とする開示されたshRNA、開示されたウイルスベクター、開示されたプロデューサー細胞、またはそれらの組み合わせの1つまたはそれより多くによって、あるいは開示された方法の1つまたはそれより多くによって処置することができる状態を有することが見出されたことを意味する。例えば、「遺伝的な疾患もしくは障害または神経学的な疾患もしくは障害を有することが疑われた」は、当業者(例えば、医師)による検査に供されたことがあり、開示された単離核酸分子、HDACを標的とする開示されたshRNA、開示されたウイルスベクター、開示されたプロデューサー細胞、またはそれらの組み合わせの1つまたはそれより多くによって、あるいは開示された方法の1つまたはそれより多くによって処置することができそうである状態を有することが見出されたことを意味することができる。1つの局面において、検査は理学的であることが可能であり、様々な試験(例えば、血液検査、遺伝子型判定、生検など)およびアッセイ(例えば、酵素アッセイ)、またはそれらの組み合わせを伴い得る。
【0063】
「患者」は、遺伝的な疾患もしくは障害または神経学的な疾患もしくは障害と診断されている、あるいは遺伝的な疾患もしくは障害または神経学的な疾患もしくは障害を有することが疑われる対象を示し得る。1つの局面において、患者は、遺伝的な疾患または障害と診断されており、あるいは遺伝的な疾患または障害を有することが疑われ、かつ、遺伝的な疾患または障害のための処置を探し求めている、あるいは遺伝的な疾患または障害のための処置を受けている対象を示し得る。
【0064】
本明細書中で使用される場合、表現「障害のための処置を必要としていると特定された」、または同様な表現は、当該障害の処置の必要性に基づいて対象を選択することを示す。例えば、対象を、当業者による早期診断に基づいて、遺伝的な疾患もしくは障害または神経学的な疾患もしくは障害の処置の必要性があるとして特定し、その後で、その遺伝的な疾患もしくは障害または神経学的な疾患もしくは障害のための処置に供することができる。1つの局面において、特定を、診断を下す者とは異なる者によって行うことができる。1つの局面において、投与を、診断を行った者によって行うことができる。
【0065】
本明細書中で使用される場合、用語「神経学的疾患」または用語「神経学的障害」は交換可能に使用されており、対象の脳におけるニューロンに影響を及ぼす望ましくない状態の宿主を示す。これらの疾患には、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、ピック病、クフ病(Kuf’s disease)、レビー小体病、神経原線維変化、ローゼンタール線維、マロリー硝子質、老人性認知症、重症筋無力症、ジル・ド・ラ・トゥレット症候群、多発性硬化症(MS)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、進行性核上性麻痺(PSP)、てんかん、クロイツフェルト・ヤコブ病、難聴-ジトニア(dytonia)症候群、リー症候群、レーバー遺伝性視神経症(LHON)、パーキンソニズム、ジストニア、運動ニューロン疾患、神経障害-運動失調および網膜色素変性症(retinitis pimentosa)(NARP)、母系遺伝性リー症候群(MILS)、フリードライヒ運動失調症、遺伝性痙性対麻痺、モール・トラネブヤルグ(Mohr-Tranebjaerg)症候群、ウィルソン病、散発性アルツハイマー病、散発性筋萎縮性側索硬化症、散発性パーキンソン病、自律神経機能障害、高血圧、睡眠障害、精神神経障害、うつ病、統合失調症、統合失調感情障害、コルサコフ精神病、躁病、不安障害、恐怖症性障害、学習障害または記憶障害、健忘症または加齢性記憶喪失、注意欠陥障害、気分変調性障害、大うつ病性障害、強迫性障害、向精神物質使用障害、パニック障害、双極性感情障害、重度の双極性感情(気分)障害(BP-1)、片頭痛、活動亢進および運動障害が含まれるが、これらに限定されない。
【0066】
本明細書中で使用される場合、用語「神経学的障害の症状を防止する、または軽減する薬剤」、または用語「神経学的障害の処置のために使用される薬剤」は、開示された神経学的な疾患および障害の1つまたはそれより多くの処置のために使用されるそのような薬物を示す。そのような薬剤の例には、下記のものが含まれるが、それらに限定されない:抗コリン作用剤、例えば、トリヘキシフェニジル(Artane(登録商標))、ベンズトロピン(Cogentin(登録商標))、エトプロパジン(Parsitan(登録商標));ベンゾジアゼピン類、例えば、ジアゼパム(Valium(登録商標))、クロナゼパム(Klonopin(登録商標))、ロラゼパム(Ativan(登録商標));バクロフェン(Lioresal(登録商標))、ドパミン作動性薬剤、例えば、レボドパ(Sinemet(登録商標))およびブロモクリプチン(Parlodel(登録商標));テトラベナジン(Xenazine(登録商標))、ドパミン枯渇化剤、リトナビル、ロピナビル、など。神経学的障害および/または神経変性疾患の症状および/または合併症を処置する、防止する、抑制する、および/または改善する他の薬剤には、下記のものが含まれる:アカンプロサート錠剤(Campral EC)、アドレナリン(エピネフリン)(Emerade、EpiPen、Jext)、アゴメラチン錠剤(Valdoxan)、アルモトリプタン(Almogran)、アマンタジン、アミスルプリド(Solian)、アミトリプチリン(Elavil)、アポモルヒネ(APO-go、Dacepton)、アリピプラゾール(Abilify)、アリピプラゾール長時間作用注射剤(Abilify Maintena)、アセナピン錠剤(Sycrest)、アトモキセチン(Strattera)、バクロフェン(Lyflex、Lioresal)、ボツリヌス毒素A型(Botox)、ブロモクリプチン(Parlodel)、口腔内ミダゾラム(Buccolam、Epistatus)、ブプレノルフィン(BuTrans、Hapoctasin、Temgesic、Tephine、Transtec)、ブスピロン、カベルゴリン錠剤(Dostinex、Cabaser)、カルバマゼピン(Curatil、Tegretol)、クロルジアゼポキシド(Librium)、クロルプロマジン、シタロプラム(Cipramil、Celexa)、クロバザム(Frisium、Perizam、Tapclob、Zacco)、クロメチアゾール、クロミプラミン、クロナゼパム、クロザピン(Clozaril、Denzapine、Zaponex)、コベネルドパ(Co-beneldopa)(Madopar)、コカレルドパ(Co-careldopa)(Sinemet)、ダントロレン(Dantrium)、デキサンフェタミン(Amfexa)、ジアゼパム(Diazemuls、Stesolid)、ジバルプロエクスナトリウム(Depakote)、ドネペジル(Aricept)、ドキセピンカプセル剤、デュロキセチン(Cymbalta、Depalta、Duciltia)、エレトリプタン(Relpax)、エンタカポン(Comtess)、エスシタロプラム(Cipralex)、エスリカルバゼピン(Zebinix)、エトスクシミド、フィンゴリモドカプセル剤(Gilenya)、フルオキセチン(Olena、Prozac、Prozep)、フルペンチキソール長時間作用注射剤(Depixol、Psytixol)、フルペンチキソール錠剤(Depixol、Fluanxol)、フルフェナジン長時間作用注射剤(Modecate)、フルボキサミン錠剤(Faverin)、片頭痛用フロバトリプタン(Migard)、ガバペンチン(Neurontin)、ガランタミン(Acumor、Consion、Elmino、Gaalin、Galsya、Galzemic、Gatalin、Gazylan、Lotprosin、Luventa、Reminyl)、ハロペリドール(Haldol、Serenace)、ハロペリドール長時間作用注射剤(Haldol Decanoate)、ヒドロモルホン(Palladone)、イミプラミン錠剤および水剤、ラコサミド(Vimpat)、ラモトリギン(Lamictal)、てんかん用レベチラセタム(Keppra、Desitrend)、レボメプロマジン錠剤(Nozinan)、リスデキサンフェタミン(Elvanse)、リチウム錠剤および水剤(Camcolit、Liskonum、Priadel、Li-Liquid)、ロフェプラミン、ロプラゾラム、ロラゼパム、ロルメタゼパム錠剤、ルラシドン(Latuda)、メラトニン錠剤(Circadin、Slenyto)、メマンチン(Ebixa、Nemtadine)、メチルフェニデート(Concerta、Equasym、Medikinet、Ritalin、Tranquilyn)、ミアンセリン、ミドドリン(Bramox)、ミルタザピン(Zispin SolTab)、モクロベミド(Manerix)、モダフィニル錠剤(Provigil)、モルヒネ(Morphgesic、Oramorph、Zomorph)、ナラトリプタン(Naramig)、ネオスチグミン、ニトラゼパム(Mogadon)、ノルトリプチリン錠剤、オランザピン(Zalasta、Zyprexa)、オランザピン長時間作用注射剤(Zypadhera)、オルリスタットカプセル剤(Alli、Beacita、Orlos、Xenical)、オルフェナドリン、オキサゼパム、オクスカルバゼピン(Trileptal)、オキシコドン(Abtard、Longtec、OxyContin、OxyNorm、Shortec)、パリペリドン(Invega)、パリペリドン長時間作用注射剤(Xeplion、Trevicta)、パロキセチン(Seroxat)、ペランパネル(Fycompa)、ペルゴリド、ペリシアジン、フェノバルビタール、フェニトイン(Epanutin)、ピラセタム(Nootropil)、ピゾチフェン錠剤、プラミペキソール錠剤(Mirapexin、Oprymea、Pipexus、Glepark)、プレガバリン(Alzain、Axalid、Lecaent、Lyrica)、プリミドン、プロクロルペラジン(Buccastem、Stemetil)、プロシクリジン(Kemadrin)、ピリドスチグミン(Mestinon)、クエチアピン(Seroquel)、ラサギリン(Azilect)、レボキセチン錠剤(Edronax)、リスペリドン(Risperdal)、リスペリドン長時間作用注射剤(Risperdal Consta)、リバスチグミン(Alzest、Exelon、Nimvastid)、片頭痛用リザトリプタン(Maxalt)、ロピニロール錠剤(Requip、Adartrel)、ロチゴチンパッチ(Neupro)、てんかん用ルフィナミド(Inovelon)、セレギリン(Eldepryl)、セルトラリン(Lustral、Zoloft)、ナトリウムオキシベート(Xyrem)、バルプロ酸ナトリウム(Epilim、Episenta、Epival、Convulex)、スルピリド、スマトリプタン(Imigran)、テマゼパム、テトラベナジン錠剤(Tardiben、Xenazine)、チアガビン(Gabitril)、チザニジン、トルカポン(Tasmar)、トピラマート(Topamax)、トピラマート(Topamax)、トラゾドン(Molipaxin)、トリヘキシフェニジル、トリミプラミン、バルプロ酸セミナトリウム(Belvo、Depakote、Syonell)、ベンラファキシン(Efexor XL、Effexor XR)、ビガバトリン(Sabril、Kigabeq)、ボルチオキセチン(Brintellix)、ゾルミトリプタン(Zomig)、ゾルピデム錠剤(Stilnoct)、ゾニサミド(Zonegran、Desizon)、ゾピクロン錠剤(Zimovane)、およびズクロペンチキソール(Clopixol)。1つの局面において、これらの薬剤の1つまたは組み合わせをどのようなものであれ、開示された方法において使用される治療用薬剤とすることができる。
【0067】
「同一の」または「同一性」は、2またはそれを超える核酸またはポリペプチド配列に関連して本明細書中で使用される場合、指定された領域にわたって同じである指定された百分率の残基をこれらの配列が有することを意味する。この百分率は、2つの配列を最適にアラインメントし、2つの配列を指定された領域にわたって比較し、同一の残基が両方の配列において存在する位置の数を、一致した位置の数を与えるために決定し、一致した位置の数を指定された領域における位置の総数で割り、その結果に、配列同一性の百分率を与えるために100を乗じることによって計算することができる。2つの配列が異なる長さのものである場合、あるいはアラインメントにより、1またはそれを超える互い違いの末端が生じ、比較の指定された領域には単一の配列のみが含まれる場合、単一の配列の残基は、計算の分子ではなく、分母に含まれる。DNAとRNAとを比較するときには、チミン(T)とウラシル(U)とは、同等であるとみなすことができる。同一性を手作業によって、またはコンピューター配列アルゴリズム(例えば、BLASTまたはBLAST 2.0)を使用することによって行うことができる。
【0068】
ペプチドまたはポリペプチドに関する「バリアント」は、アミノ酸配列がアミノ酸の挿入、欠失または保存的置換によって異なるが、少なくとも1つの生物学的活性を保持する。バリアントはまた、少なくとも1つの生物学的活性を保持するアミノ酸配列を有する参照タンパク質と実質的に同一であるアミノ酸配列を有するタンパク質を意味する場合がある。アミノ酸の保存的置換、すなわち、あるアミノ酸を、類似する性質(例えば、帯電領域の親水性、程度および分布)の異なるアミノ酸で置き換えることが、典型的には軽微な変化を伴うものとしてこの技術分野では認識されている。このような軽微な変化を、この技術分野では理解されているように、アミノ酸のヒドロパシー指標を考慮することによって、部分的にではあるが、特定することができる。アミノ酸のヒドロパシー指標は、その疎水性および電荷を考慮することに基づく。類似するヒドロパシー指標のアミノ酸が代わりに使用され、タンパク質機能を依然として保持し得ることが、この技術分野では知られている。1つの局面において、±2のヒドロパシー指標を有するアミノ酸が代わりに使用される。アミノ酸の親水性もまた、生物学的機能を保持するタンパク質をもたらすであろう置換を明らかにするために使用される場合がある。ペプチドに関連してアミノ酸の親水性を考慮することにより、そのペプチドの最大局所的平均親水性を計算することができる。様々な置換を、互いに±2以内である親水性値を有するアミノ酸を用いて行うことができる。アミノ酸の疎水性指数および親水性値の両方がそのアミノ酸の特定の側鎖によって影響される。その観察と一致して、生物学的機能と適合するアミノ酸置換が、疎水性、親水性、電荷、サイズおよび他の特性によって明らかにされるようなアミノ酸の相対的類似性、および特にそれらのアミノ酸の側鎖に依存することが理解されている。
【0069】
「ベクター」は、本明細書中で使用される場合、複製起点を含有する核酸配列を意味する。ベクターは、ウイルスベクター、バクテリオファージ、細菌人工染色体または酵母人工染色体であることが可能である。ベクターはDNAベクターまたはRNAベクターであることが可能である。ベクターは自己複製性の染色体外ベクターであることが可能であり、好ましくはDNAプラスミドである。
【0070】
本明細書中で使用される場合、“inhibit”(阻害する)、“inhibiting”(阻害すること)、および“inhibition”(阻害)は、活性、発現、レベル、応答、状態、重症度、疾患、または他の生物学的パラメーターを減らすこと、または低下させることを意味する。これには、活性、発現、レベル、応答、状態、重症度、疾患、または他の生物学的パラメーターの完全な消失が含まれ得るが、これに限定されない。これにはまた、例えば、ネイティブレベルまたは対照レベル(例えば、野生型の、または正常なHDAC遺伝子型)と比較した場合の、活性、発現、レベル、応答、状態、重症度、疾患または他の生物学的パラメーターにおける10%の阻害または減少が含まれることが可能である。したがって、1つの局面において、阻害または減少は、ネイティブレベルまたは対照レベルと比較した場合の10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、またはその間の任意の減少量であることが可能である。1つの局面において、阻害または減少は、ネイティブレベルまたは対照レベルと比較した場合の10~20%、20~30%、30~40%、40~50%、50~60%、60~70%、70~80%、80~90%、または90~100%であることが可能である。1つの局面において、阻害または減少は、ネイティブレベルまたは対照レベルと比較した場合の0~25%、25~50%、50~75%、または75~100%であることが可能である。1つの局面において、ネイティブレベルまたは対照レベルは疾患前または障害前のレベルであることが可能である。
【0071】
本明細書中で使用される場合、用語“increase”(増大させる、増加させる)、用語“increasing”(増大させること、増加させること)、用語“increased”(増大した、増加した)、用語“enhance”(増強する)、用語“enhanced”(増強された)、用語“enhancing”(増強すること)、および用語“enhancement”(増強)(ならびにそれらの文法的変化形)は、対照と比較した場合の少なくとも約25%、50%、75%、100%、150%、200%、300%、400%、500%またはそれを超える上昇(例えば、増加した力価、増大した発現能、増大したパッケージング能、増大した形質導入効率、またはそれらの任意の組み合わせ)を表す。
【0072】
「単離された」ポリヌクレオチドまたは「単離された」ポリペプチドは、人の手によってであるが、そのネイティブ環境から離れて存在し、そのため、天然の産物ではないヌクレオチド配列またはポリペプチド配列である。1つの局面において、本開示のポリヌクレオチドおよびポリペプチドは「単離され」ている。単離されたポリヌクレオチドまたはポリペプチドは、天然に存在する生物またはウイルスの他の成分の少なくともいくつかから、例えば、細胞またはウイルスの構造成分、あるいは当該ポリペプチドまたはポリヌクレオチドに付随して一般に見出される他のポリペプチドまたはポリヌクレオチドから少なくとも部分的に分離される精製された形態で存在することができる。1つの局面において、単離されたポリヌクレオチドおよび/または単離されたポリペプチドは、少なくとも約1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、またはそれを超える純度である。
【0073】
本明細書中では交換可能に使用される「マルチシストロン性の」または「ポリシストロン性の」は、同じポリヌクレオチドから2つ以上のタンパク質を産生するための2つ以上のコード領域を有するポリヌクレオチドを示す。ポリシストロン性ポリヌクレオチド配列には、(内部リボソーム進入部位(IRES)、切断ペプチド(p2A、t2A、など)、異なるプロモーターの利用などが含まれることが可能である。
【0074】
本明細書中で使用される場合、用語「パーセント配列同一性」または用語「パーセント同一性」は、2つの配列が最適にアライメントされるときにおいて、試験(「対象」)ポリヌクレオチド分子(またはその相補鎖)と比較した場合の参照(「照会」)ポリヌクレオチド分子(またはその相補鎖)の線状ポリヌクレオチドにおける同一ヌクレオチドの百分率を示す。1つの局面において、「パーセント同一性」はアミノ酸配列における同一アミノ酸の百分率を示すことができる。
【0075】
「変異体遺伝子」または「変異した遺伝子」は、本明細書中では交換可能に使用されるが、検出可能な変異を受けている遺伝子を示す。変異体遺伝子は、遺伝子の正常な伝達および発現に影響を及ぼす変化、例えば、遺伝物質の喪失、獲得または交換を受けている。
【0076】
「ネイティブ」または「野生型」の核酸、ヌクレオチド配列、ポリペプチドまたはアミノ酸配列は、天然に存在する、または内因性の核酸、ヌクレオチド配列、ポリペプチドまたはアミノ酸配列を示す。したがって、例えば、「野生型mRNA」は、生物において天然に存在するmRNA、または生物に対して内因性であるmRNAである。「相同的」核酸は、当該核酸が導入される宿主細胞に天然において関連するヌクレオチド配列である。
【0077】
単語“treat”(処置する)、または単語“treating”(処置すること)、または単語“treatment”(処置)には、緩和処置、すなわち、疾患、病理学的状態または障害の治癒よりはむしろ症状の救済のために設計される処置;防止的処置、すなわち、関連した疾患、病理学的状態または障害の発症を最小限に抑えること、または部分的もしくは完全に抑制することに向けられる処置;および支持的処置、すなわち、関連した疾患、病理学的状態または障害(例えば、遺伝的な疾患もしくは障害または神経学的な疾患もしくは障害)の改善に向けられる別の特定の治療を補うために用いられる処置が含まれる。1つの局面において、これらの用語は、哺乳動物(例えば、ヒト)を含めて対象の処置をどのようなものであれ包含し、これらの用語には、(i)疾患に罹りやすい可能性があり、しかし、当該疾患を有するとして未だ診断されていない対象において、望ましくない生理学的変化、疾患、病理学的状態または障害が生じることを防止すること;(ii)生理学的変化、疾患、病理学的状態または障害を抑制すること、すなわち、その発達を停止させること;あるいは(iii)生理学的変化、疾患、病理学的状態または障害を救済すること、すなわち、疾患の退行を引き起こすことが含まれる。例えば、1つの局面において、遺伝的な疾患もしくは障害または神経学的な疾患もしくは障害を処置することにより、対象における確立した遺伝的な疾患もしくは障害または神経学的な疾患もしくは障害の重症度を、対照(例えば、遺伝的な疾患もしくは障害または神経学的な疾患もしくは障害を有しない個体など)と比較した場合に1%~100%軽減させることができる。1つの局面において、処置することは、遺伝的な疾患もしくは障害または神経学的な疾患もしくは障害の重症度における、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%または100%の軽減を示し得る。例えば、遺伝的な疾患もしくは障害または神経学的な疾患もしくは障害を処置することにより、対象における1またはそれを超える症状を、対照(例えば、遺伝的な疾患もしくは障害または神経学的な疾患もしくは障害を有しない個体など)と比較した場合に1%~100%軽減させることができる。1つの局面において、処置することは、確立した遺伝的な疾患もしくは障害または神経学的な疾患もしくは障害の1またはそれを超える症状の、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%の軽減を示し得る。処置は遺伝的な疾患もしくは障害または神経学的な疾患もしくは障害の治癒あるいは完全な消失または根絶を必ずしも示していないことが理解される。しかしながら、1つの局面において、処置は、遺伝的な疾患もしくは障害または神経学的な疾患もしくは障害の治癒あるいは完全な消失または根絶を示し得る。
【0078】
本明細書中で使用される場合、用語“prevent”(防止する)、または用語“preventing”(防止すること)、または用語“prevention”(防止)は、特に事前の行動によって何かが起こることを排除すること、避けること、取り除くこと、未然に防ぐこと、止めること、または妨害することを示す。reduce(軽減させる)、inhibit(抑制する、阻害する)、またはprevent(防止する)が本明細書中で使用される場合には、具体的に別途示されている場合を除き、他の2つの単語の使用もまた明示的に開示されることが理解される。1つの局面において、遺伝的な疾患もしくは障害または神経学的な疾患もしくは障害を防止することが意図される。単語“prevent”(防止する)、および単語“preventing”(防止すること)、および単語“prevention”(防止)はまた、遺伝的な疾患もしくは障害または神経学的な疾患もしくは障害の所与の関連合併症を有しない対象(例えば、個体)がその合併症に進行することから保護するための、あるいは進行することを排除するための予防的措置または防止的措置を示す。
【0079】
本明細書中で使用される場合、「短いヘアピンRNA」または「shRNA」は、プラスミドによるトランスフェクションまたはウイルスによる形質導入を介して細胞に導入することができるDNAベクターに通常の場合にはコードされる配列を示す。この技術分野では知られているように、shRNA分子は、その設計に基づいて2つの主要なカテゴリーに、すなわち、単純なステム-ループshRNAと、マイクロRNA適合shRNAとに分けることができる。単純なステム-ループshRNAは、RNAポリメラーゼIII(Pol III)プロモーターの制御のもとで転写されることが多い。50~70ヌクレオチドの転写物により、主に一本鎖RNAの領域(ループ)によって架橋される二本鎖RNAの19~29bp領域(ステム)と、ジヌクレオチドの3’側突出部とからなるステム-ループ構造が形成される。この単純なステム-ループshRNAは核において転写され、pre-マイクロRNAに類似してRNAi経路に入る。より長い(250ヌクレオチド超の)マイクロRNA適合shRNAは、ネイティブpri-マイクロRNA分子によりよく似ている設計物で、かつ、マイクロRNA様ミスマッチが含まれてもよいshRNAステム構造からなる設計物であって、ループによって架橋され、かつ、5’側および3’側の内因性マイクロRNA配列に挟まれた設計物である。このマイクロRNA適合shRNAは、単純なステム-ループ・ヘアピンと同様に、これも核において転写され、しかし、内因性pri-マイクロRNAに類似してより早くRNAi経路に入ると考えられる。
【0080】
本明細書中で使用される場合、「作動可能に連結される」は、遺伝子の発現が、当該遺伝子が空間的につながるプロモーターの制御のもとにあることを意味する。プロモーターを、その制御のもとにある遺伝子の5’側(上流側)または3’側(下流側)に配置することができる。プロモーターと遺伝子との間の距離は、そのプロモーターと、プロモーターが由来する遺伝子においてプロモーターが制御する遺伝子との間の距離とほぼ同じにすることができる。この技術分野では知られているように、この距離における変動を、プロモーター機能の喪失を伴うことなく受け入れることができる。
【0081】
「アデノ随伴ウイルス」または「AAV」は、本明細書中では交換可能に使用されるが、ヒトおよびいくつかの他の霊長類種に感染するパルボウイルス科のデペンドウイルス属に属する小型ウイルスを示すことができる。AAVは現在、疾患を引き起こすことは知られておらず、結果として、このウイルスは非常に軽度の免疫応答を引き起こす。
【0082】
用語「レンチウイルスベクター」は、本明細書中で使用される場合、1またはそれを超える「異種」(すなわち、非レンチウイルス)核酸配列が含まれるベクターを示すことができる。1つの局面において、本明細書中のレンチウイルスベクターは、レンチウイルスからの1またはそれを超えるタンパク質の非コード配列を含有する場合がある。本明細書中での使用のための「レンチウイルス移入ベクター」には、異種核酸配列、例えば、細胞内に移入されることになる異種核酸配列が含まれる場合があり、また、1またはそれを超えるレンチウイルス遺伝子、あるいはその一部分がさらに含まれる場合がある。本明細書中での使用のための「レンチウイルスパッケージングベクター」には、レンチウイルスタンパク質をコードする1またはそれを超える遺伝子、あるいはその一部分が含まれる場合がある。例えば、レンチウイルスエンベロープタンパク質には、エンベロープ(Env)タンパク質をコードする遺伝子、またはその一部分が含まれる場合がある。1つの局面において、宿主細胞を、レンチウイルスベクターと、必要に応じて、レンチウイルスのパッケージングタンパク質(例えば、VSV-G、Rev、およびGag/Pol)を発現させて、レンチウイルス粒子を培養培地に産生させるための追加のベクターとを用いてトランスフェクトすることができる。
【0083】
本明細書中で使用される場合、「キメラの」は、少なくとも2つの成分が、異なる供給源(例えば、異なる生物、異なるコード領域)に由来する核酸分子および/またはポリペプチドを示すことができる。本明細書中でもまた使用されるように、キメラのは、核酸に連結されるポリペプチドを含む構築物を示す。
【0084】
「エピゲノム修飾」は、本明細書中で使用される場合、ゲノムの修飾に由来しない遺伝子活性および遺伝子発現に影響を及ぼす1またはそれを超える染色体における修飾または変化を示す。エピゲノム修飾は、ゲノムに対する機能的に関連のある変化で、ヌクレオチド配列における変化を伴わないものに関係する。エピゲノム修飾には、ヒストンに対する修飾、例えば、アセチル化、メチル化、リン酸化、ユビキチン化および/またはSUMO化が含まれる場合がある。エピゲノム修飾には、DNAに対する修飾、例えば、メチル化が含まれる場合がある。
【0085】
「コード配列」または「コード核酸」は、本明細書中で使用される場合、タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む核酸(RNA分子またはDNA分子)を意味する。コード配列にはさらに、核酸が投与される個体または哺乳動物の細胞において発現を導くことが可能であるプロモーターおよびポリアデニル化シグナルが含まれる調節エレメントに作動可能に連結される開始シグナルおよび終結シグナルが含まれることが可能である。コード配列はコドン最適化されることが可能である。
【0086】
「融合タンパク質」は、本明細書中で使用される場合、元々は別個のタンパク質(例えば、Cas、および酵素活性を有するポリペプチド)についてコードしていた2またはそれを超える遺伝子をつなぐことにより作り出されるキメラなタンパク質を示す。融合遺伝子の翻訳により、元のタンパク質のそれぞれに由来する機能的特性を有する単一のポリペプチドがもたらされる。
【0087】
本明細書中で使用される場合、用語「投与すること」および用語「投与」は、開示された治療用薬剤、開示された医薬製剤、またはそれらの組み合わせの1つまたはそれより多くを対象に与える方法をどのようなものであれ示す。そのような様々な方法が当業者には広く知られており、これらには、下記の経路が含まれるが、それらに限定されない:経口投与、経皮投与、吸入による投与、鼻腔投与、局所投与、子宮内投与、肝臓内投与、膣内投与、眼投与、耳内投与、耳投与、脳内投与、直腸投与、舌下投与、頬側投与、および非経口投与(静脈内投与、CSF内投与、動脈内投与、筋肉内投与および皮下投与などの注射可能なものが含まれる)。投与にはまた、肝臓動脈内投与、または肝門脈(HPV)を介する投与が含まれることが可能である。開示された治療用薬剤、開示された医薬組成物、またはそれらの組み合わせの投与は、直接にCNSへの投与(例えば、実質内送達、脳室内(intracerebroventriular)送達、髄腔内(inthrathecal)大槽送達、髄腔内(腰椎)送達、深部灰白質送達、深部灰白質への対流増強送達)、またはPNSへの投与を含むことができる。投与は連続的または間欠的であることが可能である。投与は、ウイルスベクター、および/または生じた最適化ウイルスベクターを投与することを含むことができる。
【0088】
1つの局面において、「治療用薬剤(therapeutic agent)」は、局所的または全身的な生物学的効果、生理学的効果または治療的効果を、それが適用される生物学的系においてもたらすことが可能である薬剤を示す「生物学的に活性な薬剤」または「生物学的活性薬剤」または「生物活性薬剤」であることが可能である。例えば、生物活性薬剤は、数ある機能の中でも、感染または炎症を抑制するように、細胞成長および組織再生を増強するように、腫瘍成長を抑制するように、鎮痛薬として作用するように、抗細胞付着を促進するように、また、骨成長を増強するように作用することができる。他の好適な生物活性薬剤には、抗ウイルス剤、ワクチン、ホルモン、抗体(活性な抗体フラグメント、sFvフラグメント、FvフラグメントおよびFabフラグメントが含まれる)、アプタマー、ペプチド模倣物、機能的核酸、治療用タンパク質、ペプチド、または核酸が含まれることが可能である。他の生物活性薬剤には、投与されるときには生物学的に活性ではなく、しかし、対象に投与されると、代謝または何らかの他の機構を介して生物活性薬剤に変換される薬剤であるプロドラッグが含まれる。加えて、本発明の組成物のどれもが、2またはそれを超える生物活性薬剤の組み合わせを含有することができる。生物学的に活性な薬剤は、様々な対象への投与、例えば、ヒトへの投与(すなわち、医学的投与)、または動物への投与(すなわち、獣医学的投与)に関連して使用され得ることが理解される。本明細書中で使用される場合、生物学的に活性な薬剤の列挙は本質的に、その医薬的に許容される塩を包含する。
【0089】
本明細書中で使用される場合、用語「医薬的に活性な薬剤」には、「薬物」または「ワクチン」が含まれ、この用語は、診断的、治療的、予防医学的または獣医学的な目的のために生物に投与される分子、一群の分子、複合体または物質を意味する。この用語には、臨床的および獣医学的なスクリーニング、防止、予防、治癒、ウェルネス、検出、画像化、診断、治療、手術、モニタリング、化粧品、プロテーゼ、法医学などにおいて有用である調製物を含めて、体外および体内に施された局所的、限局的および全身的な、ヒトおよび動物医薬品、処置、治療薬、栄養補助食品、機能性化粧品、生物製剤、デバイス、診断薬および避妊薬が含まれる。この用語はまた、植物、動物および/またはヒトを接触させることを含む、あるいは、植物、動物および/またはヒトを接触させることが可能である細胞受容体、膜受容体、ホルモン受容体、治療用受容体、微生物、ウイルスまたは選択された標的を認識することが可能である選択された分子または選択された核酸配列を含む、アグリスーティカル、職場、軍事、産業および環境のための治療剤または治療薬に関して使用される場合がある。この用語にはまた、生物活性効果を生じさせる核酸(例えば、デオキシリボ核酸(DNA)またはリボ核酸(RNA))、およびそのような核酸を含む化合物が特に含まれることが可能である。医薬的に活性な薬剤には、本明細書中に開示されたカテゴリーおよび具体例が含まれる。カテゴリーが具体例によって限定されることは意図されない。当業者は、本明細書中に開示されたカテゴリーの範囲内に含まれ、かつ、本発明に従って有用である多数の他の化合物もまた認識する。例には、放射線増感剤、放射線増感剤と化学療法剤との組み合わせ、ステロイド類、キサンチン類、ベータ-2-アゴニスト気管支拡張剤、抗炎症剤、鎮痛剤、カルシウムアンタゴニスト、アンジオテンシン変換酵素阻害剤、ベータ遮断剤、中枢活性なアルファ-アゴニスト、アルファ-1-アンタゴニスト、炭酸脱水酵素阻害剤、プロスタグランジン類似体、アルファアゴニストとベータ遮断剤との組み合わせ、炭酸脱水酵素阻害剤とベータ遮断剤との組み合わせ、抗コリン作用性/鎮痙性薬剤、バソプレシン類似体、抗不整脈剤、抗パーキンソン病剤、抗狭心症/降圧性薬剤、抗凝固剤、抗血小板剤、鎮静剤、抗不安(ansiolytic)剤、ペプチド性薬剤、生体高分子薬剤、抗新生物剤、緩下剤、下痢止め剤、抗菌剤、抗真菌剤、またはワクチンが含まれる。さらなる局面において、医薬的に活性な薬剤は、クマリン、アルブミン;ブロモリジン;ステロイド類、例えば、ベタメタゾン、デキサメタゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、プレドニゾン、トリアムシノロン、ブデソニド、ヒドロコルチゾン、および医薬的に許容され得るヒドロコルチゾン誘導体;キサンチン類、例えば、テオフィリンおよびドキソフィリン(doxophylline);ベータ-2-アゴニスト気管支拡張剤、例えば、サルブタモール、フェンテロール、クレンブテロール、バンブテロール、サルメテロール、フェノテロール;抗炎症剤、これには、抗喘息性抗炎症剤、抗関節炎抗炎症剤、および非ステロイド性抗炎症剤が含まれ、それらの例には、スルフィド類、メサラミン、ブデソニド、サラゾピリン、ジクロフェナク、医薬的に許容され得るジクロフェナク塩、ニメスリド、ナプロキセン、アセトミノフェン、イブプロフェン、ケトプロフェンおよびピロキシカムが含まれるが、これらに限定されない;鎮痛剤、例えば、サリチル酸系化合物;カルシウムチャネル遮断剤、例えば、ニフェジピン、アムロジピンおよびニカルジピン;アンジオテンシン変換酵素阻害剤、例えば、カプトプリル、ベナゼプリル塩酸塩、ホシノプリルナトリウム、トランドラプリル、ラミプリル、リシノプリル、エナラプリル、キナプリル塩酸塩およびモエキシプリル塩酸塩;ベータ遮断剤(すなわち、ベータアドレナリン作動性遮断薬剤)、例えば、ソタロール塩酸塩、チモロールマレイン酸塩、チモール(timol)半水和物、レボブノロール塩酸塩、エスモロール塩酸塩、カルテオロール、プロパノロール(propanolol)塩酸塩、ベタキソロール塩酸塩、ペンブトロール硫酸塩、メトプロロール酒石酸塩、メトプロロールコハク酸塩、アセブトロール塩酸塩、アテノロール、ピンドロールおよびビソプロロールフマル酸塩;中枢活性なアルファ-2-アゴニスト(すなわち、アルファアドレナリン作動性受容体アゴニスト)、例えば、クロニジン、ブリモニジン酒石酸塩およびアプラクロニジン塩酸塩;アルファ-1-アンタゴニスト、例えば、ドキサゾシンおよびプラゾシン;抗コリン作用性/鎮痙性薬剤、例えば、ジサイクロミン塩酸塩、スコポラミン臭化水素酸塩、グリコピロラート、臭化クリジニウム、フラボキサートおよびオキシブチニン;バソプレシン類似体、例えば、バソプレシンおよびデスモプレシン;プロスタグランジン類似体、例えば、ラタノプロスト、トラボプロストおよびビマトプロスト;コリン作用性薬剤(すなわち、アセチルコリン受容体アゴニスト)、例えば、ピロカルピン塩酸塩およびカルバコール;グルタミン酸受容体アゴニスト、例えば、N-メチルD-アスパラギン酸受容体アゴニストのメマンチン;抗血管内皮増殖因子(VEGF)アプタマー、例えば、ペガプタニブ;抗VEGF抗体(これには、抗VEGF-A抗体が含まれるが、これに限定されない)、例えば、ラニビズマブおよびベバシズマブ;炭酸脱水酵素阻害剤、例えば、メタゾラミド、ブリンゾラミド、ドルゾラミド塩酸塩およびアセタゾラミド;抗不整脈剤、例えば、キニジン、リドカイン、トカイニド塩酸塩、メキシレチン塩酸塩、ジゴキシン、ベラパミル塩酸塩、プロパフェノン塩酸塩、フレカイミド酢酸塩、プロカインアミド塩酸塩、モリシジン塩酸塩およびジイソピラミド(diisopyramide)リン酸塩;抗パーキンソン病剤、例えば、ドパミン、L-Dopa/カルビドパ、セレギリン、ジヒドロエルゴクリプチン、ペルゴリド、リスリド、アポモルヒネおよびブロモクリプチン;抗狭心症剤および降圧剤、例えば、一硝酸イソソルビド、二硝酸イソソルビド、プロプラノロール、アテノロールおよびベラパミル;抗凝固剤および抗血小板剤、例えば、クマジン、ワルファリン、アセチルサリチル酸およびチクロピジン;鎮静剤、例えば、ベンゾジアザピン類およびバルビツール酸系化合物;抗不安(ansiolytic)剤、例えば、ロラゼパム、ブロマゼパムおよびジアゼパム;ペプチド性薬剤および生体高分子薬剤、例えば、カルシトニン、ロイプロリドおよび他のLHRHアゴニスト、ヒルジン、シクロスポリン、インスリン、ソマトスタチン、プロチレリン、インターフェロン、デスモプレシン、ソマトトロピン、チモペンチン、ピドチモド、エリスロポイエチン、インターロイキン類、メラトニン、顆粒球/マクロファージ-CSFおよびヘパリン;抗新生物剤、例えば、エトポシド、リン酸エトポシド、シクロホスファミド、メトトレキサート、5-フルオロウラシル、ビンクリスチン、ドキソルビシン、シスプラチン、ヒドロキシ尿素、ロイコボリンカルシウム、タモキシフェン、フルタミド、アスパラギナーゼ、アルトレタミン、ミトタンおよびプロカルバジン塩酸塩;緩下剤、例えば、センナ濃縮物、カサンスラノール、ビサコジルおよびナトリウムピコスルファート;下痢止め剤、例えば、ジフェノキシン塩酸塩、ロペラミド塩酸塩、フラゾリドン、ジフェノキシラート塩酸塩および微生物;ワクチン、例えば、細菌ワクチンおよびウイルスワクチン;抗菌剤、例えば、ペニシリン類、セファロスポリン類およびマクロライド類な;抗真菌剤、例えば、イミダゾール系誘導剤およびトリアゾール系誘導体;ならびに核酸、例えば、生物学的タンパク質についてコードするDNA配列、およびアンチセンスオリゴヌクレオチドが可能である。医薬的に活性な薬剤は、様々な対象への投与、例えば、ヒトへの投与(すなわち、医学的投与)、または動物への投与(すなわち、獣医学的投与)に関連して使用され得ることが理解される。本明細書中で使用される場合、医薬的に活性な薬剤の列挙は本質的に、その医薬的に許容される塩を包含する。
【0090】
1つの局面において、「治療用薬剤」は、遺伝的な疾患もしくは障害または神経学的な疾患もしくは障害を有する対象、遺伝的な疾患もしくは障害または神経学的な疾患もしくは障害を有することが疑われる対象、ならびに/あるいは遺伝的な疾患もしくは障害または神経学的な疾患もしくは障害を発症しそうである対象において、所望の臨床成績をもたらす薬剤がどのようなものであれ可能である。1つの局面において、開示された治療用薬剤はオリゴヌクレオチド治療用薬剤であることが可能である。開示されたオリゴヌクレオチド治療用薬剤は、一本鎖または二本鎖のDNA、iRNA、shRNA、siRNA、mRNA、非コードRNA(ncRNA)、アンチセンス分子、miRNA、モルホリノ、ペプチド核酸(PNA)、あるいはそれらの類似体またはコンジュゲートを含むことができる。1つの局面において、開示されたオリゴヌクレオチド治療用薬剤はASOまたはRNAiであることが可能である。1つの局面において、開示されたオリゴヌクレオチド治療用薬剤は、1またはそれを超える改変をどのような位置であれ適用可能である位置において含むことができる。
【0091】
1つの局面において、当業者は、遺伝的な疾患もしくは障害または神経学的な疾患もしくは障害を処置するために、または防止するために、1またはそれを超える開示された単離核酸分子、HDACを標的とする1またはそれを超える開示されたshRNA、1またはそれを超える開示されたウイルスベクター、1またはそれを超える開示されたプロデューサー細胞、あるいはそれらの組み合わせのための効果的な用量、効果的なスケジュール、および効果的な投与経路を決定することができる。1つの局面において、当業者はまた、1またはそれを超える開示された単離核酸分子、HDACを標的とする1またはそれを超える開示されたshRNA、1またはそれを超える開示されたウイルスベクター、1またはそれを超える開示されたプロデューサー細胞、あるいはそれらの組み合わせの効力を改善するために、投与するステップの局面を変更することができ、変えることができ、または改変することができる。1つの局面において、当業者は、1またはそれを超える開示された単離核酸分子、HDACを標的とする1またはそれを超える開示されたshRNA、1またはそれを超える開示されたウイルスベクター、1またはそれを超える開示されたプロデューサー細胞、あるいはそれらの組み合わせのための効果的な用量、効果的なスケジュール、および効果的な投与経路を決定することができる。
【0092】
本明細書中で使用される場合、「方法を改変すること」は、開示された方法の1またはそれを超えるステップの1またはそれを超える特徴または局面を改変すること、または変えることを含むことができる。例えば、1つの局面において、開示された方法は、対象に投与される1またはそれを超える開示された単離核酸分子、HDACを標的とする1またはそれを超える開示されたshRNA、1またはそれを超える開示されたウイルスベクター、1またはそれを超える開示されたプロデューサー細胞、あるいはそれらの組み合わせの量を変えることによって、あるいは1またはそれを超える開示された単離核酸分子、HDACを標的とする1またはそれを超える開示されたshRNA、1またはそれを超える開示されたウイルスベクター、1またはそれを超える開示されたプロデューサー細胞、あるいはそれらの組み合わせの投与頻度を変えることによって、あるいは対象に投与される1またはそれを超える開示された単離核酸分子、HDACを標的とする1またはそれを超える開示されたshRNA、1またはそれを超える開示されたウイルスベクター、1またはそれを超える開示されたプロデューサー細胞、あるいはそれらの組み合わせの期間を変えることによって変更することができる。
【0093】
本明細書中で使用される場合、“concurrently”(併せて)は、(1)時間的に同時に(simultaneously)、または(2)共通した処置スケジュールの経過の間の異なる時間において、を意味する。
【0094】
用語「接触させる」は、本明細書中で使用される場合、1またはそれを超える開示された単離核酸分子、HDACを標的とする1またはそれを超える開示されたshRNA、1またはそれを超える開示されたウイルスベクター、1またはそれを超える開示されたプロデューサー細胞、またはそれらの組み合わせが影響を意図された標的または標的となった領域に対して直接的または間接的にどちらであれ及ぼすような様式で、1またはそれを超える開示された単離核酸分子、HDACを標的とする1またはそれを超える開示されたshRNA、1またはそれを超える開示されたウイルスベクター、1またはそれを超える開示されたプロデューサー細胞、またはそれらの組み合わせを標的領域または意図された標的領域と一緒にすることを示す。標的領域は、細胞の集まり、または細胞株(例えば、哺乳動物細胞株など)であることが可能である。標的は分裂細胞および/または非分裂細胞を含むことができる。標的は、生じた最適化ウイルスベクターによって形質導入されることになる細胞、例えば、哺乳動物細胞(例えば、ヒト、ウマ、ウシ、ブタ、イヌ、ネコまたはげっ歯類の細胞)などであることが可能である。1つの局面において、生じた最適化ウイルスベクターによって形質導入されることになる標的細胞は、対象における細胞であることが可能である。1つの局面において、対象はヒト対象であることが可能である。1つの局面において、生じた最適化ウイルスベクターによって形質導入されることになる標的細胞は、対象の中枢神経系における細胞、例えば、脳における有糸分裂終了ニューロンなどであることが可能である。標的領域または意図された標的領域は、対象の器官(例えば、肺、心臓、肝臓、腎臓、脳など)の1つまたはそれより多くであることが可能である。1つの局面において、標的領域または意図された標的領域は、遺伝的な疾患もしくは障害または神経学的な疾患もしくは障害によって冒される細胞または器官が、どのような細胞であれ、またはどのような器官であれ可能である。1つの局面において、標的領域または意図された標的領域は脳または様々なニューロン集団であることが可能である。
【0095】
本明細書中で使用される場合、“determining”(決定すること)は、遺伝的な疾患もしくは障害または神経学的な疾患もしくは障害の存在および重症度を測定すること、または確認することを示すことができる。遺伝的な疾患もしくは障害または神経学的な疾患もしくは障害の存在および/または重症度を決定するために使用される様々な方法および/または技術が典型的には、医学分野では知られている。例えば、この技術分野は、遺伝的な疾患もしくは障害または神経学的な疾患もしくは障害の存在、重症度、または両方を特定するための、および/または診断するための方法に精通している。1つの局面において、“決定することはまた、1またはそれを超える開示されたHDACの発現または活性のレベルを測定すること、または確認することを示すことができる。1つの局面において、“決定することはまた、細胞のHDAC遺伝子型、生じた最適化ウイルスベクターのパッケージング能、生じた最適化ウイルスベクターの力価、生じた最適化ウイルスベクターの発現能、生じた最適化ウイルスベクターの免疫原性および/または毒性、生じた最適化ウイルスベクターが効率的に細胞に形質導入する能力、あるいはそれらの任意の組み合わせを測定すること、または確認することを示すことができる。
【0096】
本明細書中で使用される場合、「有効量」および「有効である量」は、所望の結果を達成するためには、例えば、遺伝的な疾患もしくは障害または神経学的な疾患もしくは障害の処置および/または防止などを達成するためには十分である量を示すことができる。本明細書中で使用される場合、用語「有効量」および用語「有効である量」は、望まれない状態(例えば、遺伝的な疾患もしくは障害または神経学的な疾患もしくは障害)に対する所望の効果を達成するためには十分である量を示すことができる。例えば、「治療有効量」は、所望の治療結果を達成するためには、または望まれない症状に対する効果を有するためには十分であり、しかし、有害な副作用を引き起こすには一般に不十分である量を示す。1つの局面において、「治療有効量」は、開示された単離核酸分子、HDACを標的とする開示されたshRNA、開示されたウイルスベクター、開示されたプロデューサー細胞、またはそれらの組み合わせの量で、(i)特定の疾患、状態または障害(例えば、遺伝的な疾患もしくは障害または神経学的な疾患もしくは障害)を処置する量、(ii)特定の疾患、状態または障害(例えば、遺伝的な疾患もしくは障害または神経学的な疾患もしくは障害)の1またはそれを超える症状を減弱する、改善する、または排除する量、あるいは(iii)本明細書中に記載される特定の疾患、状態または障害(例えば、遺伝的な疾患もしくは障害または神経学的な疾患もしくは障害)の1またはそれを超える症状の発症を遅らせる量を意味する。任意の特定の患者のための具体的な治療有効用量レベルは、処置されている障害、および障害の重症度を含めた様々な要因;用いられる開示された単離核酸分子、HDACを標的とする開示されたshRNA、開示されたウイルスベクター、開示されたプロデューサー細胞、またはそれらの組み合わせ;用いられる開示された方法;患者の年齢、体重、全身の健康状態、性別および食事;投与時間;投与経路;用いられる開示された単離核酸分子、HDACを標的とする開示されたshRNA、開示されたウイルスベクター、開示されたプロデューサー細胞、またはそれらの組み合わせの排出速度;処置の継続期間;用いられる開示された単離核酸分子、HDACを標的とする開示されたshRNA、開示されたウイルスベクター、開示されたプロデューサー細胞、またはそれらの組み合わせと組み合わせて、または同時に使用される薬物;および医学分野では広く知られている他の同様な要因に依存する。例えば、開示された単離核酸分子、HDACを標的とする開示されたshRNA、開示されたウイルスベクター、開示されたプロデューサー細胞、またはそれらの組み合わせの用量を、所望の治療効果を達成するために要求されるレベルよりも低いレベルで開始し、投薬量を、所望の効果が達成されるまで徐々に増加させることは、十分に当業者の範囲内である。所望されるならば、有効な日用量を、投与の様々な目的のために複数の用量に分割することができる。その結果、開示された単離核酸分子、HDACを標的とする開示されたshRNA、開示されたウイルスベクター、開示されたプロデューサー細胞、またはそれらの組み合わせの単回用量は、日用量を構成するためのそのような量またはその約数(submultiple)を含有することができる。投薬量は、どのような禁忌の場合でも個々の医師によって調整することができる。投薬量は様々である可能性があり、毎日1またはそれを超える用量投与で、1日または数日にわたって施すことができる。ガイダンスを、所与のクラスの医薬製品のための適切な投薬量について文献において見出すことができる。1つの局面において、調製物を「予防有効量」で、すなわち、疾患または状態、例えば、遺伝的な疾患もしくは障害または神経学的な疾患もしくは障害などの予防のために有効である量で投与することができる。
【0097】
本明細書中で使用される場合、用語「医薬的に許容され得るキャリア」は、無菌の水性または非水性の液剤、分散液剤、懸濁剤または乳剤、ならびに、使用直前に無菌の注射可能な液剤または分散液剤への再構成のための無菌粉末を示す。好適な水性および非水性のキャリア、希釈剤、溶媒またはビヒクルの例には、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)、カルボキシメチルセルロースおよびその好適な混合物、植物油(例えば、オリーブ油)、および注射可能な有機エステル、例えば、オレイン酸エチルが含まれる。1つの局面においては、用いられる医薬用キャリアは、固体、液体、または気体であることが可能である。1つの局面において、固体キャリアの例には、ラクトース、白土、スクロース、タルク、ゼラチン、寒天、ペクチン、アラビアゴム、ステアリン酸マグネシウムおよびステアリン酸が含まれることが可能である。1つの局面において、液体キャリアの例には、糖シロップ、ピーナッツ油、オリーブ油および水が含まれることが可能である。1つの局面において、ガス状キャリアの例には、二酸化炭素および窒素が含まれることが可能である。開示された組成物を経口剤形のために調製することにおいて、好都合な医薬用媒体はどれも用いることができる。例えば、水、グリコール、油、アルコール、矯味矯臭剤、防腐剤、着色剤などを、経口用液体調製物、例えば、懸濁剤、エリキシル剤および液剤を形成するために使用することができ、その一方で、キャリア、例えば、デンプン、糖、微結晶セルロース、希釈剤、造粒剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤などを、経口用固体調製物、例えば、粉剤・散剤(powder)、カプセル剤および錠剤を形成するために使用することができる。投与が容易であるために、錠剤およびカプセル剤が、固体の医薬用キャリアが用いられる好ましい経口投薬単位である。必要に応じて、錠剤は、標準的な水性技術または非水性技術によって被覆することができる。適切な流動性を、例えば、被覆材(例えば、レシチン)の使用によって、分散液剤の場合には要求された粒子サイズの維持によって、および界面活性剤の使用によって維持することができる。これらの組成物はまた、補助剤、例えば、防腐剤、湿潤化剤、乳化剤および分散剤を含有することができる。微生物の作用の防止を、様々な抗菌剤および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸などを含めることによって確実にすることができる。等張剤、例えば、糖、塩化ナトリウムなどが含まれることもまた望ましいことであり得る。注射可能な医薬形態の長期吸収を、吸収を遅らせる剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンが含まれることによってもたらすことができる。注射可能なデポー形態が、生分解性ポリマー(例えば、ポリラクチド-ポリグリコリド、ポリ(オルトエステル)およびポリ(酸無水物))における薬物のマイクロカプセルマトリックスを形成することによって作製される。薬物対ポリマーの比率および用いられる特定のポリマーの性質に依存して、薬物放出速度を制御することができる。デポー注射用製剤はまた、身体組織との適合性を有するリポソームまたはマイクロエマルションに薬物を閉じ込めることによって調製される。注射用製剤は、例えば、細菌保持フィルターに通すろ過によって、あるいは滅菌剤を、使用直前に無菌水または他の無菌の注射用媒体に溶解され得る、または分散され得る無菌の固体組成物の形態で組み込むことによって滅菌することができる。好適な不活性キャリアには、ラクトースなどの糖を含ませることが可能である。望ましくは、有効成分の、重量比で少なくとも95%の粒子が、0.01~10マイクロメートルの範囲での有効粒子サイズを有する。
【0098】
本明細書中で使用される場合、用語「賦形剤」は、希釈剤、ビヒクル、防腐剤、結合剤、または安定化剤として一般的に使用される不活性な物質を示し、用語「賦形剤」には、タンパク質(例えば、血清アルブミンなど)、アミノ酸(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸、リシン、アルギニン、グリシン、ヒスチジンなど)、脂肪酸およびリン脂質(例えば、アルキルスルホナート、カプリラートなど)、界面活性剤(例えば、SDS、ポリソルベート、非イオン性界面活性剤など)、糖類(例えば、スクロース、マルトース、トレハロースなど)、ならびにポリオール(例えば、マンニトール、ソルビトールなど)が含まれるが、これらに限定されない。参考として、Remington’s Pharmaceutical Sciences(1990)(Mack Publishing Co.、Easton、Pa.)もまた参照のこと(これは、その全体が参照によってここに組み込まれる)。
【0099】
本明細書中で使用される場合、用語「添付文書」は、治療用製品の市販包装物に慣例的に含まれる指示で、そのような治療用製品の使用に関する適応症、用法、投薬量、投与、禁忌および/または警告に関する情報を含有する指示を示すために使用される。
【0100】
本明細書中で使用される場合、1またはそれを超える開示された単離核酸分子、HDACを標的とする1またはそれを超える開示されたshRNA、1またはそれを超える開示されたウイルスベクター、1またはそれを超える開示されたプロデューサー細胞、またはそれらの組み合わせの投与に関連しての用語「組み合わせて」には、2つ以上の治療(例えば、追加の治療用薬剤)の使用が含まれる。1またはそれを超える追加の治療用薬剤「と組み合わせての」投与には、同時(例えば、並行)投与、および任意の順序での連続投与が含まれる。用語「組み合わせて」の使用は、治療が対象に施される順序を制限しない。限定されない例として、第1の治療(例えば、開示された薬剤、開示された治療用薬剤、開示された医薬製剤、またはそれらの組み合わせの1つまたはそれより多く)を、遺伝的な疾患もしくは障害または神経学的な疾患もしくは障害を有する対象、あるいは遺伝的な疾患もしくは障害または神経学的な疾患もしくは障害と診断される対象に対して第2の治療(例えば、1またはそれを超える開示された単離核酸分子、HDACを標的とする1またはそれを超える開示されたshRNA、1またはそれを超える開示されたウイルスベクター、1またはそれを超える開示されたプロデューサー細胞、またはそれらの組み合わせ、あるいは1またはそれを超える追加の治療用薬剤)を施す前(例えば、1分、15分、30分、45分、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、12時間、24時間、48時間、72時間、96時間、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、8週間、8週間、9週間、10週間、11週間または12週間)に、施すことと並行して、または施した後(例えば、1分、15分、30分、45分、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、12時間、24時間、48時間、72時間、96時間、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間、11週間、または12週間もしくはそれよりも長く)に施すことができる。
【0101】
開示された薬剤、開示された治療用薬剤、および/または開示された医薬製剤を調製するために使用されることになる成分、ならびに、本明細書中に開示される方法の範囲内で使用される開示された薬剤、開示された治療用薬剤、および/または開示された医薬製剤が開示される。これらの材料および他の材料が本明細書中には開示されており、これらの材料の組み合わせ、サブセット、相互作用、群などが開示されるときには、これらの化合物のそれぞれ様々な個々の組み合わせおよび並び替えならびに集合的な組み合わせおよび並び替えの具体的な参照は明示的に開示され得ないが、それぞれが本明細書中では具体的に意図されており、かつ記載されていることが理解される。例えば、特定の化合物が開示され、また議論され、そして、これらの化合物を含めて多数の分子に対して行うことができる多数の改変が議論されるならば、反することが具体的に示されている場合を除き、化合物および可能であるこれらの改変の組み合わせおよび並び替えはどれもこれもが具体的に意図される。したがって、分子A、分子Bおよび分子Cの部類が、分子D、分子Eおよび分子Fの部類と同様に開示され、組み合わせ分子の一例としてA~Dが開示されるならば、たとえそれぞれが個々に列挙されていないとしても、それぞれが個々に、また集合的に意図され、このことは、A~E、A~F、B~D、B~E、B~F、C~D、C~E、およびC~Fといった様々な組み合わせが開示されていると見なされることを意味する。同様に、これらのサブセットまたは組み合わせもまた、どのようなものであれ開示される。したがって、例えば、A~E、B~F、およびC~Eの部分群が、開示されていると見なされるであろう。この概念は、本発明の組成物を作成する方法および使用する方法におけるステップ(これに限定されない)を含めて本出願のすべての局面に当てはまる。したがって、実施することができる様々な追加のステップが存在するならば、これらの追加ステップのそれぞれが、どのような局面または組み合わせであれ開示された方法の特定の様々な局面とともに、または開示された方法の様々な局面の特定の組み合わせとともに実施され得ることが理解される。
B.開示された方法における使用のための組成物
【0102】
本明細書中には、1またはそれを超える開示された方法を実施する際の使用のための組成物が開示される。1つの局面において、開示された組成物は、開示された単離核酸分子、開示されたHDACを標的とする開示されたshRNA、開示されたウイルスベクター、開示されたウイルスプロデューサー細胞株、開示されたウイルスベクターによって形質導入される開示された細胞、またはそれらの任意の組み合わせを含むことができる。
1.単離された核酸分子
【0103】
本明細書中には、(i)Casエンドヌクレアーゼと、(ii)少なくとも1つのガイドRNAと、(iii)少なくとも1つの導入遺伝子とをコードする核酸配列を含む単離された核酸分子が開示される。
【0104】
本明細書中には、(i)融合産物と、(ii)少なくとも1つのガイドRNAとをコードする核酸配列を含む単離された核酸分子が開示される。
【0105】
本明細書中には、(i)Casエンドヌクレアーゼと、(ii)少なくとも1つのガイドRNAと、(iii)少なくとも1つの導入遺伝子と、(iv)ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)を標的とするshRNAとをコードする核酸配列を含む単離された核酸分子が開示される。
【0106】
本明細書中には、(i)融合産物と、(ii)少なくとも1つのガイドRNAと、(iii)ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)を標的とするshRNAとをコードする核酸配列を含む単離された核酸分子が開示される。
【0107】
1つの局面において、開示されたCasエンドヌクレアーゼは、Cas9、SpCas9、SaCas9、バリアントCas9、dCasまたはdCas9を含むことができる。1つの局面において、開示されているコードされたCas9は、配列番号52または配列番号53に示される配列を含むことができる。1つの局面において、開示されているコードされたCas9は、配列番号52もしくは配列番号53に示される配列またはそのフラグメントに対する、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%の同一性を有する配列を有することができる。
【0108】
1つの局面において、開示されたバリアントCas9は、VQR、EQRまたはVRERを含むことができる。1つの局面において、開示されたVRERは、配列番号55に示される配列を含むことができる。1つの局面において、開示されたVRERは、配列番号55に示される配列またはそのフラグメントに対する、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%の同一性を有する配列を有することができる。
【0109】
1つの局面において、開示されたdCasは、dVQR、dEQRまたはdVRERを含むことができる。1つの局面において、開示されているコードされたdCasは、配列番号54に示される配列を含むことができる。1つの局面において、開示されているコードされたdCas9は、配列番号54に示される配列またはそのフラグメントに対する、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%の同一性を有する配列を有することができる。
【0110】
SpCas9(3’NGG-PAM配列)は、SpCas9 VQR(3’NGANまたは3’NGNG)、SpCas9 EQR(3’NGAG)、またはSpCas9 VRER(3’NGCG)を含むことができる。
【0111】
1つの局面において、開示された単離核酸分子はさらに、1またはそれを超えるSp1結合部位、1またはそれを超えるNFκB結合部位、あるいはそれらの任意の組み合わせをコードする核酸配列を含むことができる。1つの局面において、開示された単離核酸分子はさらに、1またはそれを超える調節エレメントをコードする核酸配列を含むことができる。1つの局面において、開示された調節エレメントは、1またはそれを超えるプロモーター、1またはそれを超えるプライマー結合部位(PBS)、1またはそれを超えるスプライスドナー(SD)部位、1またはそれを超えるスプライスアクセプター(SA)部位、1またはそれを超えるセントラルポリプリントラクト(cPPT)、1またはそれを超えるポリプリントラクト(PPT)、1またはそれを超えるRev応答エレメント(RRE)、1またはそれを超えるウッドチャック肝炎ウイルス転写後調節エレメント(WPRE)、1またはそれを超えるレトロウイルスベクターパッケージングエレメント、あるいはそれらの任意の組み合わせを含むことができる。1つの局面において、開示されたレトロウイルスベクターパッケージングエレメントはpsi(ψ)シグナルを含むことができる。1つの局面において、開示されたプロモーターは、ヒトサイトメガロウイルス(hCMV)プロモーター、コア伸長因子1αプロモーター(EFS)、ヒトU6プロモーター、またはそれらの任意の組み合わせを含むことができる。1つの局面において、開示された単離核酸分子はウイルス3’UTRおよび/またはウイルス5’UTRを含むことができる。開示された単離核酸分子の1つの局面において、開示された核酸配列は、ウイルス3’LTRにおけるU3領域の欠失を含むことができる。
【0112】
1つの局面において、開示された単離核酸分子はさらに、ポリリンカー部位を含むことができる。1つの局面において、開示されたポリリンカー部位は、一対のBsmBI部位と、独特のBsrGI部位とを含むことができる。1つの局面において、開示された一対のBsmBI部位をsgRNAのクローニングのために使用することができる。1つの局面において、開示されたBsrGI部位を、クローニングされたsgRNAの検証のために使用することができる。
【0113】
1つの局面において、開示された核酸分子は、レポーター遺伝子をコードする配列を含むことができる。1つの局面において、開示されたレポーター遺伝子を検証のために使用することができる。様々なレポーター遺伝子がこの技術分野では知られている。例えば、1つの局面において、レポーター遺伝子は、検出可能であるタンパク質、または検出可能な産物を産生する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子であることが可能である。レポーター遺伝子は、検出可能なシグナルを生成する視覚的なマーカーまたは酵素をコードすることができる:例えば、cat、lacZ、udA、xyIE、アルカリホスファターゼ遺伝子、a-アミラーゼ遺伝子、α-ガラクトシダーゼ遺伝子、α-グルクロニダーゼ遺伝子、pラクタマーゼ遺伝子、西洋ワサビペルオキシダーゼ遺伝子、ルシフェリン/ルシフェラーゼ遺伝子、R遺伝子座遺伝子、チロシナーゼ遺伝子、または蛍光タンパク質をコードする遺伝子(蛍光タンパク質には、青色蛍光タンパク質、シアン蛍光タンパク質、緑色蛍光タンパク質、赤色蛍光タンパク質、パプリカ蛍光タンパク質もしくは黄色蛍光タンパク質、光変換型蛍光タンパク質、光スイッチ可能な蛍光タンパク質、またはオプチカル・ハイライター蛍光タンパク質、あるいはそれらのバリアントのいずれか(バリアントには、限定されないが、コドン最適化バリアント、迅速折り畳み型バリアント、モノマー型バリアント、安定性増大バリアントおよび蛍光強化バリアントが含まれる)が含まれるが、これらに限定されない)。1つの局面において、開示されたレポーターはGFPを含むことができる。1つの局面において、開示されたGFPは、配列番号03に示される配列を含むことができる。1つの局面において、開示されているコードされたGFPは、配列番号04に示される配列を含むことができる。
【0114】
1つの局面において、開示された導入遺伝子はポリペプチドをコードすることができる。1つの局面において、開示されているコードされたポリペプチドは、転写活性化活性、転写抑制活性、転写放出因子活性、ヒストン修飾活性、核酸会合活性、メチルトランスフェラーゼ活性、デメチラーゼ活性、アセチルトランスフェラーゼ活性、デアセチラーゼ活性、またはそれらの任意の組み合わせを含むことができる。1つの局面において、開示されているコードされたポリペプチドはヒストンデアセチラーゼまたはヘテロクロマチンタンパク質1であることが可能である。1つの局面において、開示されているコードされたポリペプチドは転写抑制活性を含むことができる。
【0115】
1つの局面において、開示された導入遺伝子は神経変性疾患(NDD)関連遺伝子を含むことができる。1つの局面において、NDDは、パーキンソン病(PD)、レビー小体型認知症(DLB)、関連したシヌクレイノパチー、アルツハイマー病(AD)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、ハンチントン病(HD)、またはそれらの任意の組み合わせを含むことができる。1つの局面において、NDD関連遺伝子は、APOE、APP、ATXN2、CHMP2B、DCTN1、FIG4、FUS、GBA、GRN、HNRNPA1、HTT、LRRK2、MATR3、OPTN、PARK7、PFN1、PRPH、PSEN1、SETX、SIGMAR1、SNCA、SOD1、SPG11、SQSTM1、TARDBP、TBK1、TBP、TRPM7、TUBA4A、UBQLN2、UCHL1、VAPB、VCP、VPS35、それらのフラグメント、それらのバリアント、またはそれらのキメラを含むことができる。
【0116】
1つの局面において、開示されているコードされたポリペプチドはヒストンデアセチラーゼ(deactylase)またはヘテロクロマチンタンパク質1であることが可能である。1つの局面において、開示されているコードされたポリペプチドは転写抑制活性を含むことができる。1つの局面において、開示されるDNMT3Aは、配列番号60に示されるアミノ酸配列または配列番号61に示されるヌクレオチド配列を有することができる。1つの局面において、開示されたDNMT3Aは、配列番号60もしくは配列番号61に示される配列またはそのフラグメントに対する、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%の同一性を有する配列を有することができる。
【0117】
1つの局面において、少なくとも1つのコードされたポリペプチドは、Kruppel関連ボックス(KRAB)、メチル-CpG結合タンパク質2(MeCP2)の転写抑制ドメイン(TRD)、またはKRAB-MeCP2の融合物(KRAB-MeCP2)を含むことができる。1つの局面において、MeCP2の開示されたTRDは、配列番号57に示されるヌクレオチド配列または配列番号56に示されるアミノ酸配列を有することができる。1つの局面において、MeCP2の開示されたTRDは、配列番号57もしくは配列番号56に示される配列またはそのフラグメントに対する、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%の同一性を有する配列を有することができる。
【0118】
1つの局面において、開示されたKRAB-MeCP2は、配列番号58に示されるヌクレオチド配列または配列番号59に示されるアミノ酸配列を有することができる。1つの局面において、開示されたKRAB-MeCP2は、配列番号58もしくは配列番号59に示される配列またはそのフラグメントに対する、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%の同一性を有する配列を有することができる。
【0119】
1つの局面において、開示されたCasエンドヌクレアーゼを、開示されたポリペプチドに融合することができる。1つの局面において、開示されたCasエンドヌクレアーゼを、酵素活性を有する開示されたポリペプチドに融合することができる。1つの局面において、開示された融合タンパク質は、開示されたCasエンドヌクレアーゼと、開示されたポリペプチドとをコードすることができる。1つの局面において、開示された融合タンパク質は、開示されたCasエンドヌクレアーゼと、酵素活性を有する開示されたポリペプチドとをコードすることができる。1つの局面において、開示された融合ポリペプチドは、転写活性化活性、転写抑制活性、転写放出因子活性、ヒストン修飾活性、核酸会合活性、メチルトランスフェラーゼ活性、デメチラーゼ活性、アセチルトランスフェラーゼ活性、デアセチラーゼ活性、またはそれらの任意の組み合わせを含むことができる。
【0120】
1つの局面において、開示された融合タンパク質は、dCas9と、DNMT3Aとを含むことができる。1つの局面において、dCas9-DNMT3A融合タンパク質は、配列番号62に示されるアミノ酸配列を有することができる。1つの局面において、dCas9-DNMT3A融合タンパク質は、配列番号63に示される配列によってコードされることが可能である。1つの局面において、開示されたdCas9-DNMT3A融合タンパク質は、配列番号62もしくは配列番号63に示される配列またはそのフラグメントに対する、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%の同一性を有する配列を有することができる。
【0121】
1つの局面において、開示されたCasエンドヌクレアーゼはdVRERであることが可能であり、ポリペプチドはDNMT3Aであることが可能である。1つの局面において、開示されたdVRER-DNMT3A融合タンパク質は、配列番号64に示されるアミノ酸配列を有することができる。1つの局面において、開示されたdVRER-DNMT3A融合タンパク質は、配列番号65に示される配列によってコードされることが可能である。1つの局面において、開示されたdVRER-DNMT3A融合タンパク質は、配列番号64もしくは配列番号65に示される配列またはそのフラグメントに対する、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%の同一性を有する配列を有することができる。
【0122】
1つの局面において、開示された融合タンパク質は、dCas9と、Kruppel関連ボックス(KRAB)、メチル-CpG結合タンパク質2(MeCP2)の転写抑制ドメイン(TRD)、またはKRAB-MeCP2の融合物(KRAB-MeCP2)とを含むことができる。1つの局面において、開示された融合タンパク質は、dVRERと、Kruppel関連ボックス(KRAB)、メチル-CpG結合タンパク質2(MeCP2)の転写抑制ドメイン(TRD)、またはKRAB-MeCP2の融合物(KRAB-MeCP2)とを含むことができる。
【0123】
1つの局面において、開示されたgRNAは、DNA結合のための標的となった配列(例えば、目的とする遺伝子、例えば、NDD関連遺伝子におけるDNA結合のための標的となった配列)と、エンドヌクレアーゼ結合(例えば、Cas9結合)のための足場配列とを含むことができる。
【0124】
1つの局面において、開示されたgRNAは、開示された目的とする遺伝子(例えば、NDD関連遺伝子など)において、プロモーター領域、メチル化領域、またはそれらの任意の組み合わせを標的とすることができる。
【0125】
1つの局面において、開示された単離核酸分子はさらに、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)を標的とするshRNAをコードする核酸配列を含むことができる。1つの局面において、開示された単離核酸分子はさらに、1またはそれを超えるヒストンデアセチラーゼ(HDAC)を標的とする1またはそれを超えるshRNAをコードする核酸配列を含むことができる。1つの局面において、開示された単離核酸配列は、1またはそれを超えるHDACを標的とする1またはそれを超えるshRNAをコードすることができる。ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)は、アセチル官能基をヒストンタンパク質および非ヒストンタンパク質の両方のリシン残基から除くことを触媒する酵素である。ヒトでは、亜鉛依存性機構またはNAD依存性機構のどちらかを、アセチルリシン基質を脱アセチル化するために使用する18個のHDAC酵素が存在する。様々なHDACが当業者には知られている。
【0126】
1つの局面において、開示されたHDACは、クラスI Rpd3様タンパク質、クラスII Hda1様タンパク質、クラスIII Sir2様タンパク質、またはクラスIVタンパク質を含むことができる。1つの局面において、開示されたクラスI Rpd3様タンパク質は、HDAC1、HDAC2、HDAC3、HDAC8、またはそれらの任意の組み合わせを含むことができる。1つの局面において、開示されたクラスII Hda1様タンパク質は、HDAC4、HDAC5、HDAC6、HDAC7、HDAC9、HDAC10、またはそれらの任意の組み合わせを含むことができる。1つの局面において、開示されたクラスIII Sir2様タンパク質は、SIRT1、SIRT2、SIRT3、SIRT4、SIRT5、SIRT6、SIRT7、またはそれらの任意の組み合わせを含むことができる。1つの局面において、開示されたクラスIVタンパク質はHDAC11を含むことができる。
【0127】
1つの局面において、開示されたHDACは、HDAC1、HDAC2、HDAC3、HDAC4、HDAC6、またはHDAC8、あるいはそれらの任意の組み合わせを含むことができる。1つの局面において、開示されたHDACはHDAC8であることが可能である。
【0128】
1つの局面において、開示されたHDACのオープンリーディングフレーム(ORF)は、配列番号07~配列番号12のいずれか一つに示される配列を含むことができる。1つの局面において、開示されたHDAC1のオープンリーディングフレーム(ORF)は、配列番号07に示される配列を含むことができる。1つの局面において、開示されたHDAC2のオープンリーディングフレーム(ORF)は、配列番号08に示される配列を含むことができる。1つの局面において、開示されたHDAC3のオープンリーディングフレーム(ORF)は、配列番号09に示される配列を含むことができる。1つの局面において、開示されたHDAC4のオープンリーディングフレーム(ORF)は、配列番号10に示される配列を含むことができる。1つの局面において、開示されたHDAC6のオープンリーディングフレーム(ORF)は、配列番号11に示される配列を含むことができる。1つの局面において、開示されたHDAC8のオープンリーディングフレーム(ORF)は、配列番号12に示される配列を含むことができる。1つの局面において、開示されたHDACのオープンリーディングフレーム(ORF)は、配列番号07~配列番号12のいずれか1つに示される配列に対する、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または95%超の同一性を有する配列を含むことができる。
【0129】
1つの局面において、開示されているコードされたHDACは、配列番号13~配列番号18のいずれか1つに示される配列を含むことができる。1つの局面において、開示されているコードされたHDAC1は、配列番号13に示される配列を含むことができる。1つの局面において、開示されているコードされたHDAC2は、配列番号14に示される配列を含むことができる。1つの局面において、開示されているコードされたHDAC3は、配列番号15に示される配列を含むことができる。1つの局面において、開示されているコードされたHDAC4は、配列番号16に示される配列を含むことができる。1つの局面において、開示されているコードされたHDAC6は、配列番号17に示される配列を含むことができる。1つの局面において、開示されているコードされたHDAC8は、配列番号18に示される配列を含むことができる。
【0130】
1つの局面において、開示されているコードされたHDACは、配列番号13~配列番号18のいずれか1つに示される配列に対する、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または95%超の同一性を有する配列を含むことができる。
【0131】
1つの局面において、開示されたshRNAは、開示されたクラスI Rpd3様タンパク質を標的とすることができる。1つの局面において、開示されたshRNAは、開示されたクラスII Hda1様タンパク質を標的とすることができる。1つの局面において、開示されたshRNAは、開示されたクラスIII Sir2様タンパク質を標的とすることができる。1つの局面において、開示されたshRNAは、開示されたクラスIVタンパク質を標的とすることができる。
【0132】
1つの局面において、開示されたshRNAは、HDAC1、HDAC2、HDAC3、HDAC4、HDA6、HDAC8、またそれらの任意の組み合わせを標的とすることができる。1つの局面において、HDAC1を標的とする開示されたshRNAは、配列番号19に示される配列を含むことができ、あるいは配列番号19に示される配列に対する、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または95%超の同一性を有する配列を含むことができる。
【0133】
1つの局面において、HDAC2を標的とする開示されたshRNAは、配列番号20に示される配列を含むことができ、あるいは配列番号20に示される配列に対する、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または95%超の同一性を有する配列を含むことができる。
【0134】
1つの局面において、HDAC3を標的とする開示されたshRNAは、配列番号21に示される配列を含むことができ、あるいは配列番号21に示される配列に対する、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または95%超の同一性を有する配列を含むことができる。
【0135】
1つの局面において、HDAC4を標的とする開示されたshRNAは、配列番号22に示される配列を含むことができ、あるいは配列番号22に示される配列に対する、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または95%超の同一性を有する配列を含むことができる。
【0136】
1つの局面において、HDAC6を標的とする開示されたshRNAは、配列番号23に示される配列を含むことができ、あるいは配列番号23に示される配列に対する、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または95%超の同一性を有する配列を含むことができる。
【0137】
1つの局面において、HDAC8を標的とする開示されたshRNAは、配列番号24に示される配列を含むことができ、あるいは配列番号24に示される配列に対する、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または95%超の同一性を有する配列を含むことができる。
【0138】
1つの局面において、HDACを標的とするshRNAをコードする開示された核酸配列を、クローンTRCN0000195467、クローンTRCN0000004819、クローンTRCN0000194993、クローンTRCN0000004832、クローンTRCN0000004839、もしくはTRCN0000004851、またはそれらの任意の組み合わせから得ることができる。
【0139】
1つの局面において、開示された単離核酸分子が、ウイルスベクター(例えば、アデノ随伴ウイルス、インテグラーゼ欠損型またはインテグラーゼコンピテント型、あるいはその組換えバージョン)内にパッケージングされることが可能である。1つの局面において、開示された単離核酸分子はウイルスベクターのパッケージング能を増大させることができ、ウイルスベクターの力価を増加させることができ、ウイルスベクターの発現能を増大させることができ、ウイルスベクターの免疫原性および/または毒性を低下させることができ、ウイルスベクターが効率的に1またはそれを超える細胞に形質導入する能力を増大させることができ、あるいはそれらの任意の組み合わせをもたらすことができる。
【0140】
1つの局面において、開示された単離核酸分子を細胞において発現させることができる。
【0141】
1つの局面において、生じた最適化ウイルスベクターによって形質導入されることになる細胞は、分裂細胞および/または非分裂細胞を含むことができる。生じた最適化ウイルスベクターによって形質導入されることになる細胞は、哺乳動物細胞、例えば、ヒト、ウマ、ウシ、ブタ、イヌ、ネコまたはげっ歯類の細胞などであることが可能である。1つの局面において、生じた最適化ウイルスベクターによって形質導入されることになる細胞は、対象における細胞であることが可能である。1つの局面において、対象はヒト対象であることが可能である。1つの局面において、生じた最適化ウイルスベクターによって形質導入されることになる細胞は、対象の中枢神経系における細胞、例えば、脳における有糸分裂終了ニューロンなどであることが可能である。
【0142】
1つの局面において、開示された単離核酸分子は、対象(例えば、遺伝的な疾患もしくは障害または神経学的な疾患もしくは障害を有するヒトなど)におけるインビボ使用のための、すべてがそろった遺伝子治療送達システムの一部とすることができる。
2.ウイルスベクター
【0143】
本明細書中には、開示された単離核酸を含むウイルスベクターが開示される。本明細書中には、(i)Casエンドヌクレアーゼと、(ii)少なくとも1つのガイドRNAと、(iii)少なくとも1つの導入遺伝子とをコードする核酸配列を含む単離された核酸分子を含むウイルスベクターが開示される。本明細書中には、(i)融合産物と、(ii)少なくとも1つのガイドRNAとをコードする核酸配列を含む単離された核酸分子を含むウイルスベクターが開示される。
【0144】
本明細書中には、(i)Casエンドヌクレアーゼと、(ii)少なくとも1つのガイドRNAと、(iii)少なくとも1つの導入遺伝子と、(iv)ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)を標的とするshRNAとをコードする核酸配列を含む単離された核酸分子を含むウイルスベクターが開示される。
【0145】
本明細書中には、(i)融合産物と、(ii)少なくとも1つのガイドRNAと、(iii)ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)を標的とするshRNAとをコードする核酸配列を含む単離された核酸分子を含むウイルスベクターが開示される。
【0146】
本開示のウイルスベクターの1つの局面において、開示されたCasエンドヌクレアーゼは、Cas9、SpCas9、SaCas9、バリアントCas9、dCasまたはdCas9を含むことができる。1つの局面において、開示されているコードされたCas9は、配列番号52または配列番号53に示される配列を含むことができる。1つの局面において、開示されているコードされたCas9は、配列番号52もしくは配列番号53に示される配列またはそのフラグメントに対する、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%の同一性を有する配列を有することができる。
【0147】
1つの局面において、開示されたバリアントCas9は、VQR、EQRまたはVRERを含むことができる。1つの局面において、開示されたVRERは、配列番号55に示される配列を含むことができる。1つの局面において、開示されたVRERは、配列番号55に示される配列またはそのフラグメントに対する、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%の同一性を有する配列を有することができる。
【0148】
1つの局面において、開示されたdCasは、dVQR、dEQRまたはdVRERを含むことができる。1つの局面において、開示されているコードされたdCasは、配列番号54に示される配列を含むことができる。1つの局面において、開示されているコードされたdCas9は、配列番号16に示される配列またはそのフラグメントに対する、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%の同一性を有する配列を有することができる。
【0149】
SpCas9(3’NGG-PAM配列)は、SpCas9 VQR(3’NGANまたは3’NGNG)、SpCas9 EQR(3’NGAG)、またはSpCas9 VRER(3’NGCG)を含むことができる。
【0150】
1つの局面において、開示されたウイルスベクターはさらに、1またはそれを超えるSp1結合部位、1またはそれを超えるNFκB結合部位、あるいはそれらの任意の組み合わせをコードする核酸配列を含むことができる。
【0151】
1つの局面において、開示されたウイルスベクターはさらに、1またはそれを超える調節エレメントをコードする核酸配列を含むことができる。1つの局面において、開示された調節エレメントは、1またはそれを超えるプロモーター、1またはそれを超えるプライマー結合部位(PBS)、1またはそれを超えるスプライスドナー(SD)部位、1またはそれを超えるスプライスアクセプター(SA)部位、1またはそれを超えるセントラルポリプリントラクト(cPPT)、1またはそれを超えるポリプリントラクト(PPT)、1またはそれを超えるRev応答エレメント(RRE)、1またはそれを超えるウッドチャック肝炎ウイルス転写後調節エレメント(WPRE)、1またはそれを超えるレトロウイルスベクターパッケージングエレメント、あるいはそれらの任意の組み合わせを含むことができる。
【0152】
1つの局面において、開示されたレトロウイルスベクターパッケージングエレメントはpsi(ψ)シグナルを含むことができる。
【0153】
1つの局面において、開示されたプロモーターは、ヒトサイトメガロウイルス(hCMV)プロモーター、コア伸長因子1αプロモーター(EFS)、ヒトU6プロモーター、またはそれらの任意の組み合わせを含むことができる。1つの局面において、開示されたウイルスベクターはウイルス3’UTRおよび/またはウイルス5’UTRをさらに含むことができる。1つの局面において、開示されたウイルスベクターは、ウイルス3’LTRにおけるU3領域の欠失を含むことができる。
【0154】
1つの局面において、開示されたウイルスベクターはさらに、ポリリンカー部位を含むことができる。1つの局面において、開示されたポリリンカー部位は、一対のBsmBI部位と、独特のBsrGI部位とを含むことができる。1つの局面において、開示された一対のBsmBI部位をsgRNAのクローニングのために使用することができる。1つの局面において、開示されたBsrGI部位を、クローニングされたsgRNAの検証のために使用することができる。
【0155】
1つの局面において、開示されたウイルスベクターは、レポーター遺伝子をコードする配列を含むことができる。1つの局面において、開示されたレポーター遺伝子を検証のために使用することができる。様々なレポーター遺伝子がこの技術分野では知られている。例えば、1つの局面において、レポーター遺伝子は、検出可能であるタンパク質、または検出可能な産物を産生する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子であることが可能である。レポーター遺伝子は、検出可能なシグナルを生成する視覚的なマーカーまたは酵素をコードすることができる:例えば、cat、lacZ、udA、xyIE、アルカリホスファターゼ遺伝子、a-アミラーゼ遺伝子、α-ガラクトシダーゼ遺伝子、α-グルクロニダーゼ遺伝子、pラクタマーゼ遺伝子、西洋ワサビペルオキシダーゼ遺伝子、ルシフェリン/ルシフェラーゼ遺伝子、R遺伝子座遺伝子、チロシナーゼ遺伝子、または蛍光タンパク質をコードする遺伝子(蛍光タンパク質には、青色蛍光タンパク質、シアン蛍光タンパク質、緑色蛍光タンパク質、赤色蛍光タンパク質、パプリカ蛍光タンパク質もしくは黄色蛍光タンパク質、光変換型蛍光タンパク質、光スイッチ可能な蛍光タンパク質、またはオプチカル・ハイライター蛍光タンパク質、あるいはそれらのバリアントのいずれか(バリアントには、限定されないが、コドン最適化バリアント、迅速折り畳み型バリアント、モノマー型バリアント、安定性増大バリアントおよび蛍光強化バリアントが含まれる)が含まれるが、これらに限定されない)。1つの局面において、開示されたレポーターはGFPを含むことができる。1つの局面において、開示されたGFPは、配列番号03に示される配列を含むことができる。1つの局面において、開示されているコードされたGFPは、配列番号04に示される配列を含むことができる。
【0156】
本開示のウイルスベクターの1つの局面において、開示された導入遺伝子はポリペプチドをコードすることができる。1つの局面において、開示されているコードされたポリペプチドは、転写活性化活性、転写抑制活性、転写放出因子活性、ヒストン修飾活性、核酸会合活性、メチルトランスフェラーゼ活性、デメチラーゼ活性、アセチルトランスフェラーゼ活性、デアセチラーゼ活性、またはそれらの任意の組み合わせを含むことができる。1つの局面において、開示されているコードされたポリペプチドはヒストンデアセチラーゼまたはヘテロクロマチンタンパク質1であることが可能である。1つの局面において、開示されているコードされたポリペプチドは転写抑制活性を含むことができる。
【0157】
本開示のウイルスベクターの1つの局面において、開示された導入遺伝子は神経変性疾患(NDD)関連遺伝子を含むことができる。1つの局面において、NDDは、パーキンソン病(PD)、レビー小体型認知症(DLB)、関連したシヌクレイノパチー、アルツハイマー病(AD)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、ハンチントン病(HD)、またはそれらの任意の組み合わせを含むことができる。1つの局面において、NDD関連遺伝子は、APOE、APP、ATXN2、CHMP2B、DCTN1、FIG4、FUS、GBA、GRN、HNRNPA1、HTT、LRRK2、MATR3、OPTN、PARK7、PFN1、PRPH、PSEN1、SETX、SIGMAR1、SNCA、SOD1、SPG11、SQSTM1、TARDBP、TBK1、TBP、TRPM7、TUBA4A、UBQLN2、UCHL1、VAPB、VCP、VPS35、それらのフラグメント、それらのバリアント、またはそれらのキメラを含むことができる。
【0158】
本開示のウイルスベクターの1つの局面において、開示されているコードされたポリペプチドはヒストンデアセチラーゼまたはヘテロクロマチンタンパク質1であることが可能である。1つの局面において、開示されているコードされたポリペプチドは転写抑制活性を含むことができる。1つの局面において、開示されるDNMT3Aは、配列番号60に示されるアミノ酸配列または配列番号61に示されるヌクレオチド配列を有することができる。1つの局面において、開示されたDNMT3Aは、配列番号60もしくは配列番号61に示される配列またはそのフラグメントに対する、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%の同一性を有する配列を有することができる。
【0159】
1つの局面において、少なくとも1つのコードされたポリペプチドは、Kruppel関連ボックス(KRAB)、メチル-CpG結合タンパク質2(MeCP2)の転写抑制ドメイン(TRD)、またはKRAB-MeCP2の融合物(KRAB-MeCP2)を含むことができる。1つの局面において、MeCP2の開示されたTRDは、配列番号57に示されるヌクレオチド配列または配列番号56に示されるアミノ酸配列を有することができる。1つの局面において、MeCP2の開示されたTRDは、配列番号57もしくは配列番号56に示される配列またはそのフラグメントに対する、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%の同一性を有する配列を有することができる。1つの局面において、開示されたKRAB-MeCP2は、配列番号58に示されるヌクレオチド配列または配列番号59に示されるアミノ酸配列を有することができる。1つの局面において、開示されたKRAB-MeCP2は、配列番号58もしくは配列番号59に示される配列またはそのフラグメントに対する、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%の同一性を有する配列を有することができる。
【0160】
本開示のウイルスベクターの1つの局面において、開示されたCasエンドヌクレアーゼを、開示されたポリペプチドに融合することができる。1つの局面において、開示されたCasエンドヌクレアーゼを、酵素活性を有する開示されたポリペプチドに融合することができる。本開示のウイルスベクターの1つの局面において、開示された融合タンパク質は、開示されたCasエンドヌクレアーゼと、開示されたポリペプチドとをコードすることができる。1つの局面において、開示された融合タンパク質は、開示されたCasエンドヌクレアーゼと、酵素活性を有する開示されたポリペプチドとをコードすることができる。1つの局面において、開示された融合ポリペプチドは、転写活性化活性、転写抑制活性、転写放出因子活性、ヒストン修飾活性、核酸会合活性、メチルトランスフェラーゼ活性、デメチラーゼ活性、アセチルトランスフェラーゼ活性、デアセチラーゼ活性、またはそれらの任意の組み合わせを含むことができる。
【0161】
1つの局面において、開示された融合タンパク質は、dCas9と、DNMT3Aとを含むことができる。1つの局面において、dCas9-DNMT3A融合タンパク質は、配列番号62に示されるアミノ酸配列を有することができる。1つの局面において、dCas9-DNMT3A融合タンパク質は、配列番号63に示される配列によってコードされることが可能である。1つの局面において、開示されたdCas9-DNMT3A融合タンパク質は、配列番号62もしくは配列番号63に示される配列またはそのフラグメントに対する、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%の同一性を有する配列を有することができる。
【0162】
1つの局面において、開示されたCasエンドヌクレアーゼはdVRERであることが可能であり、ポリペプチドはDNMT3Aであることが可能である。1つの局面において、開示されたdVRER-DNMT3A融合タンパク質は、配列番号64に示されるアミノ酸配列を有することができる。1つの局面において、開示されたdVRER-DNMT3A融合タンパク質は、配列番号65に示される配列によってコードされることが可能である。1つの局面において、開示されたdVRER-DNMT3A融合タンパク質は、配列番号64もしくは配列番号65に示される配列またはそのフラグメントに対する、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%の同一性を有する配列を有することができる。
【0163】
1つの局面において、開示された融合タンパク質は、dCas9と、Kruppel関連ボックス(KRAB)、メチル-CpG結合タンパク質2(MeCP2)の転写抑制ドメイン(TRD)、またはKRAB-MeCP2の融合物(KRAB-MeCP2)とを含むことができる。1つの局面において、開示された融合タンパク質は、dVRERと、Kruppel関連ボックス(KRAB)、メチル-CpG結合タンパク質2(MeCP2)の転写抑制ドメイン(TRD)、またはKRAB-MeCP2の融合物(KRAB-MeCP2)とを含むことができる。
【0164】
本開示のウイルスベクターの1つの局面において、開示されたgRNAは、DNA結合のための標的となった配列(例えば、目的とする遺伝子、例えば、NDD関連遺伝子におけるDNA結合のための標的となった配列)と、エンドヌクレアーゼ結合(例えば、Cas9結合)のための足場配列とを含むことができる。
【0165】
1つの局面において、開示されたgRNAは、開示された目的とする遺伝子(例えば、NDD関連遺伝子など)において、プロモーター領域、メチル化領域、またはそれらの任意の組み合わせを標的とすることができる。
【0166】
1つの局面において、開示されたウイルスベクターはさらに、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)を標的とするshRNAをコードする核酸配列を含むことができる。1つの局面において、開示されたウイルスベクターはさらに、1またはそれを超えるヒストンデアセチラーゼ(HDAC)を標的とする1またはそれを超えるshRNAをコードする核酸配列を含むことができる。1つの局面において、開示されたウイルスベクターは、1またはそれを超えるHDACを標的とする1またはそれを超えるshRNAをコードすることができる。ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)は、アセチル官能基をヒストンタンパク質および非ヒストンタンパク質の両方のリシン残基から除くことを触媒する酵素である。ヒトでは、亜鉛依存性機構またはNAD依存性機構のどちらかを、アセチルリシン基質を脱アセチル化するために使用する18個のHDAC酵素が存在する。様々なHDACが当業者には知られている。
【0167】
1つの局面において、開示されたHDACは、クラスI Rpd3様タンパク質、クラスII Hda1様タンパク質、クラスIII Sir2様タンパク質、またはクラスIVタンパク質を含むことができる。1つの局面において、開示されたクラスI Rpd3様タンパク質は、HDAC1、HDAC2、HDAC3、HDAC8、またはそれらの任意の組み合わせを含むことができる。1つの局面において、開示されたクラスII Hda1様タンパク質は、HDAC4、HDAC5、HDAC6、HDAC7、HDAC9、HDAC10、またはそれらの任意の組み合わせを含むことができる。1つの局面において、開示されたクラスIII Sir2様タンパク質は、SIRT1、SIRT2、SIRT3、SIRT4、SIRT5、SIRT6、SIRT7、またはそれらの任意の組み合わせを含むことができる。1つの局面において、開示されたクラスIVタンパク質はHDAC11を含むことができる。
【0168】
1つの局面において、開示されたHDACは、HDAC1、HDAC2、HDAC3、HDAC4、HDAC6、またはHDAC8、あるいはそれらの任意の組み合わせを含むことができる。1つの局面において、開示されたHDACはHDAC8であることが可能である。
【0169】
1つの局面において、開示されたHDACのオープンリーディングフレーム(ORF)は、配列番号07~配列番号12のいずれか一つに示される配列を含むことができる。1つの局面において、開示されたHDAC1のオープンリーディングフレーム(ORF)は、配列番号07に示される配列を含むことができる。1つの局面において、開示されたHDAC2のオープンリーディングフレーム(ORF)は、配列番号08に示される配列を含むことができる。1つの局面において、開示されたHDAC3のオープンリーディングフレーム(ORF)は、配列番号09に示される配列を含むことができる。1つの局面において、開示されたHDAC4のオープンリーディングフレーム(ORF)は、配列番号10に示される配列を含むことができる。1つの局面において、開示されたHDAC6のオープンリーディングフレーム(ORF)は、配列番号11に示される配列を含むことができる。1つの局面において、開示されたHDAC8のオープンリーディングフレーム(ORF)は、配列番号12に示される配列を含むことができる。1つの局面において、開示されたHDACのオープンリーディングフレーム(ORF)は、配列番号07~配列番号12のいずれか1つに示される配列に対する、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または95%超の同一性を有する配列を含むことができる。
【0170】
1つの局面において、開示されているコードされたHDACは、配列番号13~配列番号18のいずれか1つに示される配列を含むことができる。1つの局面において、開示されているコードされたHDAC1は、配列番号13に示される配列を含むことができる。1つの局面において、開示されているコードされたHDAC2は、配列番号14に示される配列を含むことができる。1つの局面において、開示されているコードされたHDAC3は、配列番号15に示される配列を含むことができる。1つの局面において、開示されているコードされたHDAC4は、配列番号16に示される配列を含むことができる。1つの局面において、開示されているコードされたHDAC6は、配列番号17に示される配列を含むことができる。1つの局面において、開示されているコードされたHDAC8は、配列番号18に示される配列を含むことができる。
【0171】
1つの局面において、開示されているコードされたHDACは、配列番号13~配列番号18のいずれか1つに示される配列に対する、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または95%超の同一性を有する配列を含むことができる。
【0172】
本開示のウイルスベクターの1つの局面において、開示されたshRNAは、開示されたクラスI Rpd3様タンパク質を標的とすることができる。1つの局面において、開示されたshRNAは、開示されたクラスII Hda1様タンパク質を標的とすることができる。1つの局面において、開示されたshRNAは、開示されたクラスIII Sir2様タンパク質を標的とすることができる。1つの局面において、開示されたshRNAは、開示されたクラスIVタンパク質を標的とすることができる。
【0173】
本開示のウイルスベクターの1つの局面において、開示されたshRNAは、HDAC1、HDAC2、HDAC3、HDAC4、HDA6、HDAC8、またそれらの任意の組み合わせを標的とすることができる。
【0174】
1つの局面において、HDAC1を標的とする開示されたshRNAは、配列番号19に示される配列を含むことができ、あるいは配列番号19に示される配列に対する、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または95%超の同一性を有する配列を含むことができる。1つの局面において、HDAC2を標的とする開示されたshRNAは、配列番号20に示される配列を含むことができ、あるいは配列番号20に示される配列に対する、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または95%超の同一性を有する配列を含むことができる。1つの局面において、HDAC3を標的とする開示されたshRNAは、配列番号21に示される配列を含むことができ、あるいは配列番号21に示される配列に対する、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または95%超の同一性を有する配列を含むことができる。1つの局面において、HDAC4を標的とする開示されたshRNAは、配列番号22に示される配列を含むことができ、あるいは配列番号22に示される配列に対する、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または95%超の同一性を有する配列を含むことができる。1つの局面において、HDAC6を標的とする開示されたshRNAは、配列番号23に示される配列を含むことができ、あるいは配列番号23に示される配列に対する、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または95%超の同一性を有する配列を含むことができる。1つの局面において、HDAC8を標的とする開示されたshRNAは、配列番号24に示される配列を含むことができ、あるいは配列番号24に示される配列に対する、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または95%超の同一性を有する配列を含むことができる。
【0175】
本開示のウイルスベクターの1つの局面において、HDACを標的とするshRNAをコードする開示された核酸配列を、クローンTRCN0000195467、クローンTRCN0000004819、クローンTRCN0000194993、クローンTRCN0000004832、クローンTRCN0000004839、もしくはTRCN0000004851、またはそれらの任意の組み合わせから得ることができる。
【0176】
1つの局面において、開示されたウイルスベクターは、1またはそれを超える細胞と接触させることができる。1つの局面において、開示されたウイルスベクターは、細胞株に形質導入することができる。
【0177】
1つの局面において、開示されたウイルスベクターは、アデノ随伴ウイルス(AAV)、インテグラーゼ欠損レンチウイルス(IDLV)、またはインテグラーゼコンピテントレンチウイルス(ICLV)を含むことができる。レンチウイルスには、ウシ免疫不全ウイルス(BIV)、ヤギ関節炎脳炎ウイルス(CAEV)、ウマ伝染性貧血ウイルス(EIAV)、ネコ免疫不全ウイルス(FIV)、ピューマレンチウイルス(PLV)、サル免疫不全ウイルス(SIV)、ビスナ/マエディウイルス(VMV)、ヒト免疫不全ウイルス1(HIV-1)およびヒト免疫不全ウイルス2(HIV-2)、またはそれらの組換え体、またはそれらの変異、またはそれらのバリアント、またはそれらのフラグメントが含まれる。
【0178】
1つの局面において、開示されたウイルスベクターは、HDAC遺伝子型を生じさせるために細胞株に形質導入することができる。1つの局面において、開示されたHDAC細胞株は、生じた最適化ウイルスベクターのパッケージング能を増大させるために使用することができ、生じた最適化ウイルスベクターの力価を増加させることができ、生じた最適化ウイルスベクターの発現能を増大させることができ、生じた最適化ウイルスベクターの免疫原性および/または毒性を低下させることができ、生じた最適化ウイルスベクターが効率的に1またはそれを超える細胞に形質導入する能力を増大させることができ、あるいはそれらの任意の組み合わせをもたらすことができる。
【0179】
本明細書中には、配列番号26~配列番号31のいずれか1つに示される配列を含むウイルスベクターが開示される。本明細書中には、配列番号26~配列番号31のいずれか1つに示される配列に対する、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または95%超の同一性を有する配列を含むウイルスベクターが開示される。
【0180】
本明細書中には、配列番号26に示される配列を含み、かつ、開示された導入遺伝子(例えば、開示されたNDD関連遺伝子など)を含むウイルスベクターが開示される。本明細書中には、配列番号27に示される配列を含み、かつ、開示された導入遺伝子(例えば、開示されたNDD関連遺伝子など)を含むウイルスベクターが開示される。本明細書中には、配列番号28に示される配列を含み、かつ、開示された導入遺伝子(例えば、開示されたNDD関連遺伝子など)を含むウイルスベクターが開示される。本明細書中には、配列番号29に示される配列を含み、かつ、開示された導入遺伝子(例えば、開示されたNDD関連遺伝子など)を含むウイルスベクターが開示される。本明細書中には、配列番号30に示される配列を含み、かつ、開示された導入遺伝子(例えば、開示されたNDD関連遺伝子など)を含むウイルスベクターが開示される。本明細書中には、配列番号31に示される配列を含み、かつ、開示された導入遺伝子(例えば、開示されたNDD関連遺伝子など)を含むウイルスベクターが開示される。
【0181】
本明細書中には、配列番号26~配列番号31のいずれか1つに示される配列と、下記導入遺伝子の1つまたはそれより多くを含むウイルスベクターが開示される:APOE、APP、ATXN2、CHMP2B、DCTN1、FIG4、FUS、GBA、GRN、HNRNPA1、HTT、LRRK2、MATR3、OPTN、PARK7、PFN1、PRPH、PSEN1、SETX、SIGMAR1、SNCA、SOD1、SPG11、SQSTM1、TARDBP、TBK1、TBP、TRPM7、TUBA4A、UBQLN2、UCHL1、VAPB、VCP、VPS35、それらのフラグメント、それらのバリアント、またはそれらのキメラ。
【0182】
本明細書中には、配列番号26~配列番号31のいずれか1つに示される配列に対する、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または95%超の同一性を有する配列と、下記導入遺伝子の1つまたはそれより多くを含むウイルスベクターが開示される:APOE、APP、ATXN2、CHMP2B、DCTN1、FIG4、FUS、GBA、GRN、HNRNPA1、HTT、LRRK2、MATR3、OPTN、PARK7、PFN1、PRPH、PSEN1、SETX、SIGMAR1、SNCA、SOD1、SPG11、SQSTM1、TARDBP、TBK1、TBP、TRPM7、TUBA4A、UBQLN2、UCHL1、VAPB、VCP、VPS35、それらのフラグメント、それらのバリアント、またはそれらのキメラ。
【0183】
本明細書中には、配列番号01に示される配列を含むウイルスベクターが開示される。本明細書中には、配列番号01に示される配列に対する、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または95%超の同一性を有する配列を含むウイルスベクターが開示される。本明細書中には、配列番号01に示される配列を含み、かつ、開示された導入遺伝子(例えば、開示されたNDD関連遺伝子など)を含むウイルスベクターが開示される。本明細書中には、配列番号01に示される配列と、下記導入遺伝子の1つまたはそれより多くを含むウイルスベクターが開示される:APOE、APP、ATXN2、CHMP2B、DCTN1、FIG4、FUS、GBA、GRN、HNRNPA1、HTT、LRRK2、MATR3、OPTN、PARK7、PFN1、PRPH、PSEN1、SETX、SIGMAR1、SNCA、SOD1、SPG11、SQSTM1、TARDBP、TBK1、TBP、TRPM7、TUBA4A、UBQLN2、UCHL1、VAPB、VCP、VPS35、それらのフラグメント、それらのバリアント、またはそれらのキメラ。
【0184】
本明細書中には、配列番号01に示される配列に対する、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または95%超の同一性を有する配列と、下記導入遺伝子の1つまたはそれより多くを含むウイルスベクターが開示される:APOE、APP、ATXN2、CHMP2B、DCTN1、FIG4、FUS、GBA、GRN、HNRNPA1、HTT、LRRK2、MATR3、OPTN、PARK7、PFN1、PRPH、PSEN1、SETX、SIGMAR1、SNCA、SOD1、SPG11、SQSTM1、TARDBP、TBK1、TBP、TRPM7、TUBA4A、UBQLN2、UCHL1、VAPB、VCP、VPS35、それらのフラグメント、それらのバリアント、またはそれらのキメラ。
【0185】
1つの局面において、生じた最適化ウイルスベクターによって形質導入されることになる細胞は、分裂細胞および/または非分裂細胞を含むことができる。生じた最適化ウイルスベクターによって形質導入されることになる細胞は、哺乳動物細胞、例えば、ヒト、ウマ、ウシ、ブタ、イヌ、ネコまたはげっ歯類の細胞などであることが可能である。1つの局面において、生じた最適化ウイルスベクターによって形質導入されることになる細胞は、対象における細胞であることが可能である。1つの局面において、対象はヒト対象であることが可能である。1つの局面において、生じた最適化ウイルスベクターによって形質導入されることになる細胞は、対象の中枢神経系における細胞、例えば、脳における有糸分裂終了ニューロンなどであることが可能である。
【0186】
1つの局面において、開示されたウイルスベクターは、対象(例えば、遺伝的な疾患もしくは障害または神経学的な疾患もしくは障害を有するヒトなど)におけるインビボ使用のための、すべてがそろった遺伝子治療送達システムの一部とすることができる。
【0187】
本明細書中には、HDAC枯渇細胞を開発する開示された方法によって作製される最適化されたウイルスベクターが開示される。
3.HDACを標的とするshRNA
【0188】
本明細書中には、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)を標的とするshRNAをコードする核酸配列を含む単離された核酸分子が開示される。本明細書中には、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)を標的とする1またはそれを超えるshRNAをコードする核酸配列を含む単離された核酸分子が開示される。本明細書中には、1またはそれを超えるヒストンデアセチラーゼ(HDAC)を標的とする1またはそれを超えるshRNAをコードする核酸配列を含む単離された核酸分子が開示される。
【0189】
1つの局面において、開示されたshRNAは、開示されたHDAC、例えば、配列番号07~配列番号12のいずれか一つに示される配列を含むHDACのオープンリーディングフレーム(ORF)を標的とすることができる。1つの局面において、開示されたHDAC1のオープンリーディングフレーム(ORF)は、配列番号07に示される配列を含むことができる。1つの局面において、開示されたHDAC2のオープンリーディングフレーム(ORF)は、配列番号08に示される配列を含むことができる。1つの局面において、開示されたHDAC3のオープンリーディングフレーム(ORF)は、配列番号09に示される配列を含むことができる。1つの局面において、開示されたHDAC4のオープンリーディングフレーム(ORF)は、配列番号10に示される配列を含むことができる。1つの局面において、開示されたHDAC6のオープンリーディングフレーム(ORF)は、配列番号11に示される配列を含むことができる。1つの局面において、開示されたHDAC8のオープンリーディングフレーム(ORF)は、配列番号12に示される配列を含むことができる。
【0190】
1つの局面において、開示されたshRNAは、開示されたHDAC、例えば、配列番号07~配列番号12のいずれか1つに示される配列に対する、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または95%超の同一性を有する配列を含むHDACのオープンリーディングフレーム(ORF)を標的とすることができる。
【0191】
1つの局面において、開示されたshRNAは、配列番号13~配列番号18のいずれか1つに示される配列を含むコードされたHDACを標的とすることができる。1つの局面において、開示されているコードされたHDAC1は、配列番号13に示される配列を含むことができる。1つの局面において、開示されているコードされたHDAC2は、配列番号14に示される配列を含むことができる。1つの局面において、開示されているコードされたHDAC3は、配列番号15に示される配列を含むことができる。1つの局面において、開示されているコードされたHDAC4は、配列番号16に示される配列を含むことができる。1つの局面において、開示されているコードされたHDAC6は、配列番号17に示される配列を含むことができる。1つの局面において、開示されているコードされたHDAC8は、配列番号18に示される配列を含むことができる。
【0192】
1つの局面において、開示されたshRNAは、配列番号13~配列番号18のいずれか1つに示される配列に対する、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または95%超の同一性を有する配列を含むコードされたHDACを標的とすることができる。ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)は、アセチル官能基をヒストンタンパク質および非ヒストンタンパク質の両方のリシン残基から除くことを触媒する酵素である。ヒトでは、亜鉛依存性機構またはNAD依存性機構のどちらかを、アセチルリシン基質を脱アセチル化するために使用する18個のHDAC酵素が存在する。
【0193】
1つの局面において、開示されたshRNAは、開示されたクラスI Rpd3様タンパク質を標的とすることができる。1つの局面において、開示されたshRNAは、開示されたクラスII Hda1様タンパク質を標的とすることができる。1つの局面において、開示されたshRNAは、開示されたクラスIII Sir2様タンパク質を標的とすることができる。1つの局面において、開示されたshRNAは、開示されたクラスIVタンパク質を標的とすることができる。1つの局面において、開示された、標的となったHDACは、クラスI Rpd3様タンパク質、クラスII Hda1様タンパク質、クラスIII Sir2様タンパク質、またはクラスIVタンパク質を含むことができる。1つの局面において、開示された、標的となったクラスI Rpd3様タンパク質は、HDAC1、HDAC2、HDAC3、HDAC8、またはそれらの任意の組み合わせを含むことができる。1つの局面において、開示された、標的となったクラスII Hda1様タンパク質は、HDAC4、HDAC5、HDAC6、HDAC7、HDAC9、HDAC10、またはそれらの任意の組み合わせを含むことができる。1つの局面において、開示された、標的となったクラスIII Sir2様タンパク質は、SIRT1、SIRT2、SIRT3、SIRT4、SIRT5、SIRT6、SIRT7、またはそれらの任意の組み合わせを含むことができる。1つの局面において、開示された、標的となったクラスIVタンパク質はHDAC11を含むことができる。1つの局面において、開示されたHDACは、HDAC1、HDAC2、HDAC3、HDAC4、HDAC6、またはHDAC8を含むことができる。1つの局面において、開示されたshRNAは、HDAC1、HDAC2、HDAC3、HDAC4、HDAC6、HDAC8、またそれらの任意の組み合わせを標的とすることができる。
【0194】
1つの局面において、HDAC1を標的とする開示されたshRNAは、配列番号19に示される配列を含むことができ、あるいは配列番号19に示される配列に対する、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または95%超の同一性を有する配列を含むことができる。
【0195】
1つの局面において、HDAC2を標的とする開示されたshRNAは、配列番号20に示される配列を含むことができ、あるいは配列番号20に示される配列に対する、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または95%超の同一性を有する配列を含むことができる。
【0196】
1つの局面において、HDAC3を標的とする開示されたshRNAは、配列番号21に示される配列を含むことができ、あるいは配列番号21に示される配列に対する、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または95%超の同一性を有する配列を含むことができる。
【0197】
1つの局面において、HDAC4を標的とする開示されたshRNAは、配列番号22に示される配列を含むことができ、あるいは配列番号22に示される配列に対する、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または95%超の同一性を有する配列を含むことができる。
【0198】
1つの局面において、HDAC6を標的とする開示されたshRNAは、配列番号23に示される配列を含むことができ、あるいは配列番号23に示される配列に対する、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または95%超の同一性を有する配列を含むことができる。
【0199】
1つの局面において、HDAC8を標的とする開示されたshRNAは、配列番号24に示される配列を含むことができ、あるいは配列番号24に示される配列に対する、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または95%超の同一性を有する配列を含むことができる。
【0200】
1つの局面において、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)を標的とするshRNAをコードする開示された核酸配列を、クローンTRCN0000195467、クローンTRCN0000004819、クローンTRCN0000194993、クローンTRCN0000004832、クローンTRCN0000004839、またはTRCN0000004851から得ることができる。
【0201】
1つの局面において、開示されたHDACを標的とする開示されたshRNAを、開示された単離核酸分子に組み込むことができる。1つの局面において、開示されたHDACを標的とする開示されたshRNAを、(i)Casエンドヌクレアーゼと、(ii)少なくとも1つのガイドRNAと、(iii)少なくとも1つの導入遺伝子とをコードする核酸配列を含む開示された単離核酸分子に組み込むことができる。1つの局面において、開示されたHDACを標的とする開示されたshRNAを、(i)融合産物と、(ii)少なくとも1つのガイドRNAとをコードする核酸配列を含む開示された単離核酸分子に組み込むことができる。
【0202】
1つの局面において、開示されたHDACを標的とするshRNAをコードする開示された核酸配列が、ウイルスベクター(例えば、アデノ随伴ウイルス、インテグラーゼ欠損型またはインテグラーゼコンピテント型のレンチウイルス、あるいはそれらの組換えバージョン)内にパッケージングされることが可能である。
【0203】
1つの局面において、開示されたHDACを標的とするshRNAをコードする開示された核酸配列を細胞において発現させることができる。
【0204】
1つの局面において、開示されたshRNAを、HDAC-/-遺伝子型をもたらすために使用することができる。1つの局面において、開示されたHDAC1を標的とする開示されたshRNAを、HDAC1-/-遺伝子型をもたらすために使用することができる。1つの局面において、開示されたHDAC2を標的とする開示されたshRNAを、HDAC2-/-遺伝子型をもたらすために使用することができる。1つの局面において、開示されたHDAC3を標的とする開示されたshRNAを、HDAC3-/-遺伝子型をもたらすために使用することができる。1つの局面において、開示されたHDAC4を標的とする開示されたshRNAを、HDAC4-/-遺伝子型をもたらすために使用することができる。1つの局面において、開示されたHDAC6を標的とする開示されたshRNAを、HDAC6-/-遺伝子型をもたらすために使用することができる。1つの局面において、開示されたHDAC8を標的とする開示されたshRNAを、HDAC8-/-遺伝子型をもたらすために使用することができる。
【0205】
1つの局面において、開示されたshRNAを、HDAC-/-遺伝子型を1またはそれを超える細胞においてもたらすために使用することができる。1つの局面において、開示されたshRNAを、HDAC-/-遺伝子型を細胞株においてもたらすために使用することができる。1つの局面において、開示されたshRNAを、HDAC-/-遺伝子型を1またはそれを超える細胞においてもたらすために使用することができ、この場合、HDAC-/-細胞株を、最適化されたウイルスベクターを生じさせるために使用することができる。1つの局面において、開示されたHDAC-/-細胞株は、生じた最適化ウイルスベクターのパッケージング能を増大させることができ、生じた最適化ウイルスベクターの力価を増加させることができ、生じた最適化ウイルスベクターの発現能を増大させることができ、生じた最適化ウイルスベクターの免疫原性および/または毒性を低下させることができ、生じた最適化ウイルスベクターが効率的に1またはそれを超える細胞に形質導入する能力を増大させることができ、あるいはそれらの任意の組み合わせをもたらすことができる。
【0206】
1つの局面において、生じた最適化ウイルスベクターによって形質導入されることになる細胞は、分裂細胞および/または非分裂細胞を含むことができる。生じた最適化ウイルスベクターによって形質導入されることになる細胞は、哺乳動物細胞、例えば、ヒト、ウマ、ウシ、ブタ、イヌ、ネコまたはげっ歯類の細胞などであることが可能である。1つの局面において、生じた最適化ウイルスベクターによって形質導入されることになる細胞は、対象における細胞であることが可能である。1つの局面において、対象はヒト対象であることが可能である。1つの局面において、生じた最適化ウイルスベクターによって形質導入されることになる細胞は、対象の中枢神経系における細胞、例えば、脳における有糸分裂終了ニューロンなどであることが可能である。
【0207】
1つの局面において、開示されたHDACを標的とするshRNAは、対象(例えば、遺伝的な疾患もしくは障害または神経学的な疾患もしくは障害を有するヒトなど)におけるインビボ使用のための、すべてがそろった遺伝子治療送達システムの一部とすることができる。
4.ウイルスプロデューサー細胞
【0208】
本明細書中には、開示されたウイルスベクターにより形質導入されるウイルスプロデューサー細胞株が開示される。本明細書中には、HDAC-/-遺伝子型を含むウイルスプロデューサー細胞株が開示される。様々なHDACが当業者には知られている。本明細書中には、HDAC1-/-遺伝子型を含むウイルスプロデューサー細胞株が開示される。本明細書中には、HDAC2-/-遺伝子型を含むウイルスプロデューサー細胞株が開示される。本明細書中には、HDAC3-/-遺伝子型を含むウイルスプロデューサー細胞株が開示される。本明細書中には、HDAC4-/-遺伝子型を含むウイルスプロデューサー細胞株が開示される。本明細書中には、HDAC6-/-遺伝子型を含むウイルスプロデューサー細胞株が開示される。本明細書中には、HDAC8-/-遺伝子型を含むウイルスプロデューサー細胞株が開示される。
【0209】
1つの局面において、開示されたウイルスプロデューサー細胞株は、哺乳動物細胞株、例えば、ヒト細胞株、ウマ細胞株、ウシ細胞株、ブタ細胞株、イヌ細胞株、ネコ細胞株またはげっ歯類細胞株(例えば、ラットまたはマウス)であり得る。1つの局面において、開示されたウイルスプロデューサー細胞株は、HEK細胞(例えば、HEK293T細胞)を含むことができる。
【0210】
1つの局面において、開示されたHDAC-/-遺伝子型は、HDAC1、HDAC2、HDAC3、HDAC4、HDAC6、HDAC8、またはそれらの任意の組み合わせであることが可能である。1つの局面において、開示されたHDAC細胞はHDAC1であることが可能であり、しかし、依然として、HDAC2、HDAC3、HDAC4、HDAC6、HDAC8、またはそれらの任意の組み合わせを発現することができる。1つの局面において、開示されたHDAC細胞はHDAC2であることが可能であり、しかし、依然として、HDAC1、HDAC3、HDAC4、HDAC6、HDAC8、またはそれらの任意の組み合わせを発現することができる。1つの局面において、開示されたHDAC細胞はHDAC3であることが可能であり、しかし、依然として、HDAC1、HDAC2、HDAC4、HDAC6、HDAC8、またはそれらの任意の組み合わせを発現することができる。1つの局面において、開示されたHDAC細胞はHDAC4であることが可能であり、しかし、依然として、HDAC1、HDAC2、HDAC3、HDAC6、HDAC8、またはそれらの任意の組み合わせを発現することができる。1つの局面において、開示されたHDAC細胞はHDAC6であることが可能であり、しかし、依然として、HDAC1、HDAC2、HDAC3、HDAC4、HDAC8、またはそれらの任意の組み合わせを発現することができる。1つの局面において、開示されたHDAC細胞はHDAC8であることが可能であり、しかし、依然として、HDAC1、HDAC2、HDAC3、HDAC4、HDAC6、またはそれらの任意の組み合わせを発現することができる。
【0211】
1つの局面において、開示されたHDAC細胞は、発現および/または活性における完全な低下および/または枯渇(例えば、100%または約100%)を含むことができる。1つの局面において、開示されたHDAC細胞は、発現および/または活性における不完全な低下および/または枯渇を含むことができる。1つの局面において、発現および/または活性における不完全な低下および/または枯渇は、正常な、または野生型のHDAC発現および/またはHDAC活性を有する細胞と比較して、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または95%超の低下および/または枯渇を含むことができる。
【0212】
本明細書中には、(i)Casエンドヌクレアーゼと、(ii)少なくとも1つのガイドRNAと、(iii)少なくとも1つの導入遺伝子とをコードする核酸配列を含む単離された核酸分子を含むウイルスベクターにより形質導入されるウイルスプロデューサー細胞株が開示される。
【0213】
本明細書中には、(i)融合産物と、(ii)少なくとも1つのガイドRNAとをコードする核酸配列を含む単離された核酸分子を含むウイルスベクターにより形質導入されるウイルスプロデューサー細胞株が開示される。
【0214】
本明細書中には、(i)融合産物と、(ii)少なくとも1つのガイドRNAと、(iii)ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)を標的とするshRNAとをコードする核酸配列を含む単離された核酸分子を含むウイルスベクターにより形質導入されるウイルスプロデューサー細胞株が開示される。
【0215】
本明細書中には、(i)Casエンドヌクレアーゼと、(ii)少なくとも1つのガイドRNAと、(iii)少なくとも1つの導入遺伝子と、(iv)ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)を標的とするshRNAとをコードする核酸配列を含む単離された核酸分子を含むウイルスベクターにより形質導入されるウイルスプロデューサー細胞株が開示される。
【0216】
本開示のウイルスベクターの1つの局面において、開示されたCasエンドヌクレアーゼは、Cas9、SpCas9、SaCas9、バリアントCas9、dCasまたはdCas9を含むことができる。1つの局面において、開示されているコードされたCas9は、配列番号52または配列番号53に示される配列を含むことができる。1つの局面において、開示されているコードされたCas9は、配列番号52もしくは配列番号53に示される配列またはそのフラグメントに対する、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%の同一性を有する配列を有することができる。
【0217】
1つの局面において、開示されたバリアントCas9は、VQR、EQRまたはVRERを含むことができる。1つの局面において、開示されたVRERは、配列番号55に示される配列を含むことができる。1つの局面において、開示されたVRERは、配列番号55に示される配列またはそのフラグメントに対する、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%の同一性を有する配列を有することができる。1つの局面において、開示されたdCasは、dVQR、dEQRまたはdVRERを含むことができる。1つの局面において、開示されているコードされたdCasは、配列番号54に示される配列を含むことができる。1つの局面において、開示されているdCas9は、配列番号54に示される配列またはそのフラグメントに対する、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%の同一性を有する配列を有することができる。
【0218】
SpCas9(3’NGG-PAM配列)は、SpCas9 VQR(3’NGANまたは3’NGNG)、SpCas9 EQR(3’NGAG)、またはSpCas9 VRER(3’NGCG)を含むことができる。
【0219】
1つの局面において、開示されたウイルスベクターはさらに、1またはそれを超えるSp1結合部位、1またはそれを超えるNFκB結合部位、あるいはそれらの任意の組み合わせをコードする核酸配列を含むことができる。
【0220】
1つの局面において、開示された単離核酸分子はさらに、1またはそれを超える調節エレメントをコードする核酸配列を含むことができる。1つの局面において、開示された調節エレメントは、1またはそれを超えるプロモーター、1またはそれを超えるプライマー結合部位(PBS)、1またはそれを超えるスプライスドナー(SD)部位、1またはそれを超えるスプライスアクセプター(SA)部位、1またはそれを超えるセントラルポリプリントラクト(cPPT)、1またはそれを超えるポリプリントラクト(PPT)、1またはそれを超えるRev応答エレメント(RRE)、1またはそれを超えるウッドチャック肝炎ウイルス転写後調節エレメント(WPRE)、1またはそれを超えるレトロウイルスベクターパッケージングエレメント、あるいはそれらの任意の組み合わせを含むことができる。
【0221】
1つの局面において、開示されたレトロウイルスベクターパッケージングエレメントはpsi(ψ)シグナルを含むことができる。
【0222】
1つの局面において、開示されたプロモーターは、ヒトサイトメガロウイルス(hCMV)プロモーター、コア伸長因子1αプロモーター(EFS)、ヒトU6プロモーター、またはそれらの任意の組み合わせを含むことができる。1つの局面において、開示されたウイルスベクターはウイルス3’UTRおよび/またはウイルス5’UTRをさらに含むことができる。1つの局面において、開示されたウイルスベクターは、ウイルス3’LTRにおけるU3領域の欠失を含むことができる。
【0223】
1つの局面において、開示されたウイルスベクターはさらに、ポリリンカー部位を含むことができる。1つの局面において、開示されたポリリンカー部位は、一対のBsmBI部位と、独特のBsrGI部位とを含むことができる。1つの局面において、開示された一対のBsmBI部位をsgRNAのクローニングのために使用することができる。1つの局面において、開示されたBsrGI部位を、クローニングされたsgRNAの検証のために使用することができる。
【0224】
1つの局面において、開示されたウイルスベクターは、レポーター遺伝子をコードする配列を含むことができる。1つの局面において、開示されたレポーター遺伝子を検証のために使用することができる。様々なレポーター遺伝子がこの技術分野では知られている。例えば、1つの局面において、レポーター遺伝子は、検出可能であるタンパク質、または検出可能な産物を産生する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子であることが可能である。レポーター遺伝子は、検出可能なシグナルを生成する視覚的なマーカーまたは酵素をコードすることができる:例えば、cat、lacZ、udA、xyIE、アルカリホスファターゼ遺伝子、a-アミラーゼ遺伝子、α-ガラクトシダーゼ遺伝子、α-グルクロニダーゼ遺伝子、pラクタマーゼ遺伝子、西洋ワサビペルオキシダーゼ遺伝子、ルシフェリン/ルシフェラーゼ遺伝子、R遺伝子座遺伝子、チロシナーゼ遺伝子、または蛍光タンパク質をコードする遺伝子(蛍光タンパク質には、青色蛍光タンパク質、シアン蛍光タンパク質、緑色蛍光タンパク質、赤色蛍光タンパク質、パプリカ蛍光タンパク質もしくは黄色蛍光タンパク質、光変換型蛍光タンパク質、光スイッチ可能な蛍光タンパク質、またはオプチカル・ハイライター蛍光タンパク質、あるいはそれらのバリアントのいずれか(バリアントには、限定されないが、コドン最適化バリアント、迅速折り畳み型バリアント、モノマー型バリアント、安定性増大バリアントおよび蛍光強化バリアントが含まれる)が含まれるが、これらに限定されない)。1つの局面において、開示されたレポーターはGFPを含むことができる。1つの局面において、開示されたGFPは、配列番号03に示される配列を含むことができる。1つの局面において、開示されているコードされたGFPは、配列番号04に示される配列を含むことができる。
【0225】
本開示のウイルスベクターの1つの局面において、開示された導入遺伝子はポリペプチドをコードすることができる。1つの局面において、開示されているコードされたポリペプチドは、転写活性化活性、転写抑制活性、転写放出因子活性、ヒストン修飾活性、核酸会合活性、メチルトランスフェラーゼ活性、デメチラーゼ活性、アセチルトランスフェラーゼ活性、デアセチラーゼ活性、またはそれらの任意の組み合わせを含むことができる。1つの局面において、開示されているコードされたポリペプチドはヒストンデアセチラーゼまたはヘテロクロマチンタンパク質1であることが可能である。1つの局面において、開示されているコードされたポリペプチドは転写抑制活性を含むことができる。
【0226】
本開示のウイルスベクターの1つの局面において、開示された導入遺伝子は神経変性疾患(NDD)関連遺伝子を含むことができる。1つの局面において、NDDは、パーキンソン病(PD)、レビー小体型認知症(DLB)、関連したシヌクレイノパチー、アルツハイマー病(AD)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、ハンチントン病(HD)、またはそれらの任意の組み合わせを含むことができる。1つの局面において、NDD関連遺伝子は、APOE、APP、ATXN2、CHMP2B、DCTN1、FIG4、FUS、GBA、GRN、HNRNPA1、HTT、LRRK2、MATR3、OPTN、PARK7、PFN1、PRPH、PSEN1、SETX、SIGMAR1、SNCA、SOD1、SPG11、SQSTM1、TARDBP、TBK1、TBP、TRPM7、TUBA4A、UBQLN2、UCHL1、VAPB、VCP、VPS35、それらのフラグメント、それらのバリアント、またはそれらのキメラを含むことができる。
【0227】
本開示のウイルスベクターの1つの局面において、開示されているコードされたポリペプチドはヒストンデアセチラーゼ(deactylase)またはヘテロクロマチンタンパク質1であることが可能である。1つの局面において、開示されているコードされたポリペプチドは転写抑制活性を含むことができる。1つの局面において、開示されるDNMT3Aは、配列番号60に示されるアミノ酸配列または配列番号61に示されるヌクレオチド配列を有することができる。1つの局面において、開示されたDNMT3Aは、配列番号60もしくは配列番号61に示される配列またはそのフラグメントに対する、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%の同一性を有する配列を有することができる。
【0228】
1つの局面において、少なくとも1つのコードされたポリペプチドは、Kruppel関連ボックス(KRAB)、メチル-CpG結合タンパク質2(MeCP2)の転写抑制ドメイン(TRD)、またはKRAB-MeCP2の融合物(KRAB-MeCP2)を含むことができる。1つの局面において、MeCP2の開示されたTRDは、配列番号57に示されるヌクレオチド配列または配列番号56に示されるアミノ酸配列を有することができる。1つの局面において、MeCP2の開示されたTRDは、配列番号57もしくは配列番号56に示される配列またはそのフラグメントに対する、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%の同一性を有する配列を有することができる。1つの局面において、開示されたKRAB-MeCP2は、配列番号58に示されるヌクレオチド配列または配列番号59に示されるアミノ酸配列を有することができる。1つの局面において、開示されたKRAB-MeCP2は、配列番号58もしくは配列番号59に示される配列またはそのフラグメントに対する、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%の同一性を有する配列を有することができる。
【0229】
本開示のウイルスベクターの1つの局面において、開示されたCasエンドヌクレアーゼを、開示されたポリペプチドに融合することができる。1つの局面において、開示されたCasエンドヌクレアーゼを、酵素活性を有する開示されたポリペプチドに融合することができる。本開示のウイルスベクターの1つの局面において、開示された融合タンパク質は、開示されたCasエンドヌクレアーゼと、開示されたポリペプチドとをコードすることができる。1つの局面において、開示された融合タンパク質は、開示されたCasエンドヌクレアーゼと、酵素活性を有する開示されたポリペプチドとをコードすることができる。1つの局面において、開示された融合ポリペプチドは、転写活性化活性、転写抑制活性、転写放出因子活性、ヒストン修飾活性、核酸会合活性、メチルトランスフェラーゼ活性、デメチラーゼ活性、アセチルトランスフェラーゼ活性、デアセチラーゼ活性、またはそれらの任意の組み合わせを含むことができる。
【0230】
1つの局面において、開示された融合タンパク質は、dCas9と、DNMT3Aとを含むことができる。1つの局面において、dCas9-DNMT3A融合タンパク質は、配列番号62に示されるアミノ酸配列を有することができる。1つの局面において、dCas9-DNMT3A融合タンパク質は、配列番号63に示される配列によってコードされることが可能である。1つの局面において、開示されたdCas9-DNMT3A融合タンパク質は、配列番号62もしくは配列番号63に示される配列またはそのフラグメントに対する、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%の同一性を有する配列を有することができる。
【0231】
1つの局面において、開示されたCasエンドヌクレアーゼはdVRERであることが可能であり、ポリペプチドはDNMT3Aであることが可能である。1つの局面において、開示されたdVRER-DNMT3A融合タンパク質は、配列番号64に示されるアミノ酸配列を有することができる。1つの局面において、開示されたdVRER-DNMT3A融合タンパク質は、配列番号65に示される配列によってコードされることが可能である。1つの局面において、開示されたdVRER-DNMT3A融合タンパク質は、配列番号64もしくは配列番号65に示される配列またはそのフラグメントに対する、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%の同一性を有する配列を有することができる。
【0232】
1つの局面において、開示された融合タンパク質は、dCas9と、Kruppel関連ボックス(KRAB)、メチル-CpG結合タンパク質2(MeCP2)の転写抑制ドメイン(TRD)、またはKRAB-MeCP2の融合物(KRAB-MeCP2)とを含むことができる。1つの局面において、開示された融合タンパク質は、dVRERと、Kruppel関連ボックス(KRAB)、メチル-CpG結合タンパク質2(MeCP2)の転写抑制ドメイン(TRD)、またはKRAB-MeCP2の融合物(KRAB-MeCP2)とを含むことができる。
【0233】
本開示のウイルスベクターの1つの局面において、開示されたgRNAは、DNA結合のための標的となった配列(例えば、目的とする遺伝子、例えば、NDD関連遺伝子におけるDNA結合のための標的となった配列)と、エンドヌクレアーゼ結合(例えば、Cas9結合)のための足場配列とを含むことができる。1つの局面において、開示されたgRNAは、開示された目的とする遺伝子(例えば、NDD関連遺伝子など)において、プロモーター領域、メチル化領域、またはそれらの任意の組み合わせを標的とすることができる。
【0234】
1つの局面において、開示されたウイルスベクターはさらに、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)を標的とするshRNAをコードする核酸配列を含むことができる。1つの局面において、開示されたウイルスベクターはさらに、1またはそれを超えるヒストンデアセチラーゼ(HDAC)を標的とする1またはそれを超えるshRNAをコードする核酸配列を含むことができる。1つの局面において、開示されたウイルスベクターは、1またはそれを超えるHDACを標的とする1またはそれを超えるshRNAをコードすることができる。ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)は、アセチル官能基をヒストンタンパク質および非ヒストンタンパク質の両方のリシン残基から除くことを触媒する酵素である。ヒトでは、亜鉛依存性機構またはNAD依存性機構のどちらかを、アセチルリシン基質を脱アセチル化するために使用する18個のHDAC酵素が存在する。様々なHDACが当業者には知られている。
【0235】
1つの局面において、開示されたHDACは、クラスI Rpd3様タンパク質、クラスII Hda1様タンパク質、クラスIII Sir2様タンパク質、またはクラスIVタンパク質を含むことができる。1つの局面において、開示されたクラスI Rpd3様タンパク質は、HDAC1、HDAC2、HDAC3、HDAC8、またはそれらの任意の組み合わせを含むことができる。1つの局面において、開示されたクラスII Hda1様タンパク質は、HDAC4、HDAC5、HDAC6、HDAC7、HDAC9、HDAC10、またはそれらの任意の組み合わせを含むことができる。1つの局面において、開示されたクラスIII Sir2様タンパク質は、SIRT1、SIRT2、SIRT3、SIRT4、SIRT5、SIRT6、SIRT7、またはそれらの任意の組み合わせを含むことができる。1つの局面において、開示されたクラスIVタンパク質はHDAC11を含むことができる。
【0236】
1つの局面において、開示されたHDACは、HDAC1、HDAC2、HDAC3、HDAC4、HDAC6、またはHDAC8、あるいはそれらの任意の組み合わせを含むことができる。1つの局面において、開示されたHDACはHDAC8であることが可能である。
【0237】
1つの局面において、開示されたHDACのオープンリーディングフレーム(ORF)は、配列番号07~配列番号12のいずれか一つに示される配列を含むことができる。1つの局面において、開示されたHDAC1のオープンリーディングフレーム(ORF)は、配列番号07に示される配列を含むことができる。1つの局面において、開示されたHDAC2のオープンリーディングフレーム(ORF)は、配列番号08に示される配列を含むことができる。1つの局面において、開示されたHDAC3のオープンリーディングフレーム(ORF)は、配列番号09に示される配列を含むことができる。1つの局面において、開示されたHDAC4のオープンリーディングフレーム(ORF)は、配列番号10に示される配列を含むことができる。1つの局面において、開示されたHDAC6のオープンリーディングフレーム(ORF)は、配列番号11に示される配列を含むことができる。1つの局面において、開示されたHDAC8のオープンリーディングフレーム(ORF)は、配列番号12に示される配列を含むことができる。1つの局面において、開示されたHDACのオープンリーディングフレーム(ORF)は、配列番号07~配列番号12のいずれか1つに示される配列に対する、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または95%超の同一性を有する配列を含むことができる。
【0238】
1つの局面において、開示されているコードされたHDACは、配列番号13~配列番号18のいずれか1つに示される配列を含むことができる。1つの局面において、開示されているコードされたHDAC1は、配列番号13に示される配列を含むことができる。1つの局面において、開示されているコードされたHDAC2は、配列番号14に示される配列を含むことができる。1つの局面において、開示されているコードされたHDAC3は、配列番号15に示される配列を含むことができる。1つの局面において、開示されているコードされたHDAC4は、配列番号16に示される配列を含むことができる。1つの局面において、開示されているコードされたHDAC6は、配列番号17に示される配列を含むことができる。1つの局面において、開示されているコードされたHDAC8は、配列番号18に示される配列を含むことができる。
【0239】
1つの局面において、開示されているコードされたHDACは、配列番号13~配列番号18のいずれか1つに示される配列に対する、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または95%超の同一性を有する配列を含むことができる。
【0240】
本開示のウイルスベクターの1つの局面において、開示されたshRNAは、開示されたクラスI Rpd3様タンパク質を標的とすることができる。1つの局面において、開示されたshRNAは、開示されたクラスII Hda1様タンパク質を標的とすることができる。1つの局面において、開示されたshRNAは、開示されたクラスIII Sir2様タンパク質を標的とすることができる。1つの局面において、開示されたshRNAは、開示されたクラスIVタンパク質を標的とすることができる。
【0241】
本開示のウイルスベクターの1つの局面において、開示されたshRNAは、HDAC1、HDAC2、HDAC3、HDAC4、HDA6、HDAC8、またそれらの任意の組み合わせを標的とすることができる。
【0242】
1つの局面において、HDAC1を標的とする開示されたshRNAは、配列番号19に示される配列を含むことができ、あるいは配列番号19に示される配列に対する、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または95%超の同一性を有する配列を含むことができる。1つの局面において、HDAC2を標的とする開示されたshRNAは、配列番号20に示される配列を含むことができ、あるいは配列番号20に示される配列に対する、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または95%超の同一性を有する配列を含むことができる。1つの局面において、HDAC3を標的とする開示されたshRNAは、配列番号21に示される配列を含むことができ、あるいは配列番号21に示される配列に対する、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または95%超の同一性を有する配列を含むことができる。1つの局面において、HDAC4を標的とする開示されたshRNAは、配列番号22に示される配列を含むことができ、あるいは配列番号22に示される配列に対する、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または95%超の同一性を有する配列を含むことができる。1つの局面において、HDAC6を標的とする開示されたshRNAは、配列番号23に示される配列を含むことができ、あるいは配列番号23に示される配列に対する、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または95%超の同一性を有する配列を含むことができる。1つの局面において、HDAC8を標的とする開示されたshRNAは、配列番号24に示される配列を含むことができ、あるいは配列番号24に示される配列に対する、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または95%超の同一性を有する配列を含むことができる。
【0243】
本開示のウイルスベクターの1つの局面において、HDACを標的とするshRNAをコードする開示された核酸配列を、クローンTRCN0000195467、クローンTRCN0000004819、クローンTRCN0000194993、クローンTRCN0000004832、クローンTRCN0000004839、もしくはTRCN0000004851、またはそれらの任意の組み合わせから得ることができる。
【0244】
1つの局面において、開示されたウイルスベクターは、1またはそれを超える細胞と接触させることができる。1つの局面において、開示されたウイルスベクターは、開示されたウイルスプロデューサー細胞または開示されたウイルスプロデューサー細胞株をもたらすために細胞株に形質導入することができる。
【0245】
1つの局面において、開示されたウイルスベクターは、HDAC遺伝子型を生じさせるために細胞株に形質導入することができる。1つの局面において、開示されたHDAC細胞株は生じた最適化ウイルスベクターのパッケージング能を増大させ、生じた最適化ウイルスベクターの力価を増加させ、生じた最適化ウイルスベクターの発現能を増大させ、生じた最適化ウイルスベクターの免疫原性および/または毒性を低下させ、生じた最適化ウイルスベクターが効率的に1またはそれを超える細胞に形質導入する能力を増大させ、あるいはそれらの任意の組み合わせをもたらするために使用することができる。
【0246】
1つの局面において、開示されたウイルスプロデューサー細胞は、生じた最適化ウイルスベクターのパッケージング能を増大させるために使用することができ、生じた最適化ウイルスベクターの力価を増加させることができ、生じた最適化ウイルスベクターの発現能を増大させることができ、生じた最適化ウイルスベクターの免疫原性および/または毒性を低下させることができ、生じた最適化ウイルスベクターが効率的に1またはそれを超える細胞に形質導入する能力を増大させることができ、あるいはそれらの任意の組み合わせをもたらすことができる。
【0247】
1つの局面において、開示されたウイルスプロデューサー細胞株は、最適化されたウイルスベクターを生じさせることができる。1つの局面において、開示されたウイルスプロデューサー細胞株は、生じた最適化ウイルスベクターのパッケージング能を増大させることができ、生じた最適化ウイルスベクターの力価を増加させることができ、生じた最適化ウイルスベクターの発現能を増大させることができ、生じた最適化ウイルスベクターの免疫原性および/または毒性を低下させることができ、生じた最適化ウイルスベクターが効率的に1またはそれを超える細胞に形質導入する能力を増大させることができ、あるいはそれらの任意の組み合わせをもたらすことができる。
【0248】
1つの局面において、開示されている生じた最適化ウイルスベクターは、正常な、または野生型のHDAC発現および/またはHDAC活性を有するウイルスプロデューサー細胞によって産生されるウイルスベクターと比較して、増加した力価、増大したパッケージング能、増大した発現能、低下した免疫原性および/または毒性、増大した形質導入効率、あるいはそれらの任意の組み合わせを有することができる。
【0249】
1つの局面において、開示されたウイルスベクターは、アデノ随伴ウイルス(AAV)、インテグラーゼ欠損レンチウイルス(IDLV)、またはインテグラーゼコンピテントレンチウイルス(ICLV)を含むことができる。レンチウイルスには、ウシ免疫不全ウイルス(BIV)、ヤギ関節炎脳炎ウイルス(CAEV)、ウマ伝染性貧血ウイルス(EIAV)、ネコ免疫不全ウイルス(FIV)、ピューマレンチウイルス(PLV)、サル免疫不全ウイルス(SIV)、ビスナ/マエディウイルス(VMV)、ヒト免疫不全ウイルス1(HIV-1)およびヒト免疫不全ウイルス2(HIV-2)、またはそれらの組換え体、またはそれらの変異体、またはそれらのバリアント、またはそれらのフラグメントが含まれる。
【0250】
1つの局面において、開示されている生じた最適化ウイルスベクターは、アデノ随伴ウイルス(AAV)、インテグラーゼ欠損レンチウイルス(IDLV)、またはインテグラーゼコンピテントレンチウイルス(ICLV)を含むことができる。レンチウイルスには、ウシ免疫不全ウイルス(BIV)、ヤギ関節炎脳炎ウイルス(CAEV)、ウマ伝染性貧血ウイルス(EIAV)、ネコ免疫不全ウイルス(FIV)、ピューマレンチウイルス(PLV)、サル免疫不全ウイルス(SIV)、ビスナ/マエディウイルス(VMV)、ヒト免疫不全ウイルス1(HIV-1)およびヒト免疫不全ウイルス2(HIV-2)、またはそれらの組換え体、またはそれらの変異、またはそれらのバリアント、またはそれらのフラグメントが含まれる。
【0251】
1つの局面において、開示されたウイルスプロデューサー細胞は、開示されている単離されたウイルスベクターを使用して生じさせることができる。
【0252】
1つの局面において、開示されたウイルスプロデューサー細胞は、開示されたウイルスベクターを生じさせるために使用することができる。1つの局面において、開示されたウイルスプロデューサー細胞は、増大したパッケージング能、増加した力価、増大した発現能、低下した免疫原性および/または毒性、ならびに効率的に細胞に形質導入する増大した能力を有するウイルスベクターを生じさせるために使用することができる。
【0253】
1つの局面において、生じた最適化ウイルスベクターによって形質導入されることになる細胞は、分裂細胞および/または非分裂細胞を含むことができる。生じた最適化ウイルスベクターによって形質導入されることになる細胞は、哺乳動物細胞、例えば、ヒト、ウマ、ウシ、ブタ、イヌ、ネコまたはげっ歯類の細胞などであることが可能である。1つの局面において、生じた最適化ウイルスベクターによって形質導入されることになる細胞は、対象における細胞であることが可能である。1つの局面において、対象はヒト対象であることが可能である。1つの局面において、生じた最適化ウイルスベクターによって形質導入されることになる細胞は、対象の中枢神経系における細胞、例えば、脳における有糸分裂終了ニューロンなどであることが可能である。
【0254】
1つの局面において、開示されたウイルスプロデューサー細胞は、対象(例えば、遺伝的な疾患もしくは障害または神経学的な疾患もしくは障害を有するヒトなど)におけるインビボ使用のための、すべてがそろった遺伝子治療送達システムの一部とすることができる。
5.キット
【0255】
本明細書中には、1またはそれを超える開示された組成物を含むキットが開示される。本明細書中には、開示された方法における使用のための開示された組成物を含むキットが開示される。本明細書中には、HDAC枯渇細胞を開発する開示された方法における使用のためのキットが開示される。本明細書中には、ウイルスベクターのパッケージング能を増大させる開示された方法における使用のためのキットが開示される。本明細書中には、ウイルスベクターの力価を増加させる開示された方法における使用のためのキットが開示される。本明細書中には、ウイルスベクターの発現能を増大させる開示された方法における使用のためのキットが開示される。本明細書中には、ウイルスベクターの免疫原性および/または毒性を低下させる開示された方法における使用のためのキットが開示される。本明細書中には、ウイルスベクターが効率的に1またはそれを超える細胞に形質導入する能力を増大させる開示された方法における使用のためのキットが開示される。
【0256】
本明細書中には、開示された方法の1つまたはそれより多くを実施するために必要である試薬を含むキットが開示される。本明細書中には、開示された方法の1つまたはそれより多くを実施するために必要である開示された組成物を含むキットが開示される。本明細書中には、開示された単離核酸分子、HDACを標的とする開示されたshRNA、開示されたウイルスベクター、開示されたプロデューサー細胞、またはそれらの組み合わせの1つまたはそれより多くを含むキットが開示される。
【0257】
1つの局面において、開示されたキットは細胞または細胞株を含むことができる。1つの局面において、開示された細胞または開示された細胞株は、HEK細胞(例えば、HEK293細胞、HEK293T、HEK293FT、HEK293S、HEK293FT、HEK293SG、HEK293SGGD、HEK293H、HEK293E、HEK293A、HEK293MSRなど)を含むことができる。
【0258】
1つの局面において、開示されたキットは、キットを構成する少なくとも2つの構成成分を含むことができる。一緒になって、これらの構成成分により、所与の目的(例えば、HDAC枯渇細胞を開発することなど)のための機能的ユニットが構成される。要素となる個々の構成成分(individual member components)を物理的に、一緒に、または別個に包装することができる。例えば、キットを使用するための指示を含むキットには、当該指示が物理的に、要素となる他の個々の構成成分とともに含まれてもよく、または含まれなくてもよい。代わりに、指示を、紙の形態で、またはコンピューター読み取り可能な記憶デバイスで供給され得る、もしくはインターネットウェブサイトからダウンロードされ得る電子的な形態でのどちらかでの、要素となる別個の構成成分として、あるいは記録された表示として供給することができる。1つの局面において、開示された方法における使用のためのキットは、開示された単離核酸分子、HDACを標的とする開示されたshRNA、開示されたウイルスベクター、開示されたプロデューサー細胞、またはそれらの組み合わせを保持する1またはそれを超える容器と、使用のための指示を伴うラベルまたは添付文書とを含むことができる。1つの局面において、好適な容器には、例えば、ボトル、バイアル、シリンジ、ブリスターパックなどが含まれる。容器は、様々な材料から、例えば、ガラスまたはプラスチックから形成されることが可能である。容器は、例えば、開示された単離核酸分子、HDACを標的とする開示されたshRNA、開示されたウイルスベクター、開示されたプロデューサー細胞、またはそれらの組み合わせを保持することができ、かつ無菌アクセスポートを有することができる(例えば、容器は、点滴静注バッグ、または皮下注射針によって穿刺可能な栓を有するバイアルであることが可能である)。ラベルまたは添付文書は、開示された単離核酸分子、HDACを標的とする開示されたshRNA、開示されたウイルスベクター、開示されたプロデューサー細胞、またはそれらの組み合わせが、遺伝的な疾患もしくは障害または神経学的な疾患もしくは障害を処置するために、防止するために、抑制するために、および/または改善するために使用され得ることを示すことができる。1つの局面において、開示されたキットは、投与のために必要である追加の構成成分、例えば、他の緩衝液、希釈剤、フィルター、ニードルおよびシリンジなどを含むことができる。
C.開示された方法
1.HDAC枯渇細胞を開発する方法
【0259】
本明細書中には、HDAC枯渇細胞を開発する方法であって、1またはそれを超える細胞を開示されたウイルスベクターと接触させることを含み、前記1またはそれを超える細胞への形質導入の後において、前記標的となったHDACの発現および/または活性が低下し、および/または枯渇する方法が開示される。本明細書中には、HDAC枯渇細胞を開発する方法であって、1またはそれを超える細胞を、(i)Casエンドヌクレアーゼと、(ii)少なくとも1つのガイドRNAと、(iii)少なくとも1つの導入遺伝子とをコードする核酸配列を含む単離された核酸分子を含むウイルスベクターと接触させることを含み、前記1またはそれを超える細胞への形質導入の後において、前記標的となったHDACの発現および/または活性が低下し、および/または枯渇する方法が開示される。様々なウイルスベクターが上記で開示される。本明細書中には、HDAC枯渇細胞を開発する方法であって、1またはそれを超える細胞を、(i)融合産物と、(ii)少なくとも1つのガイドRNAとをコードする核酸配列を含む単離された核酸分子を含むウイルスベクターと接触させることを含み、前記1またはそれを超える細胞への形質導入の後において、前記標的となったHDACの発現および/または活性が低下し、および/または枯渇する方法が開示される。様々なウイルスベクターが上記で論じされる。
【0260】
1つの局面において、開示された形質導入細胞は、哺乳動物細胞株、例えば、ヒト細胞株、ウマ細胞株、ウシ細胞株、ブタ細胞株、イヌ細胞株、ネコ細胞株またはげっ歯類細胞株(例えば、ラットまたはマウス)を含むことができる。1つの局面において、開示された形質導入細胞株は、HEK細胞(例えば、HEK293細胞、HEK293T、HEK293FT、HEK293S、HEK293FT、HEK293SG、HEK293SGGD、HEK293H、HEK293E、HEK293A、HEK293MSRなど)を含むことができる。
【0261】
1つの局面において、開示されたHDAC細胞は、生じた最適化ウイルスベクターのパッケージング能を増大させることができる。1つの局面において、開示されたHDAC細胞は、生じた最適化ウイルスベクターの力価を増加させることができる。1つの局面において、開示されたHDAC細胞は、生じた最適化ウイルスベクターの発現能を増大させることができる。1つの局面において、開示されたHDAC細胞はさらに、生じた最適化ウイルスベクターの免疫原性および/または毒性を低下させることができる。1つの局面において、開示されたHDAC細胞は、生じた最適化ウイルスベクターが効率的に1つまたは複数の細胞に形質導入する能力を増大させることができる。
【0262】
1つの局面において、開示されたHDAC細胞は、正常な、または野生型のHDAC発現および/またはHDAC活性を有する細胞と比較して、生じた最適化ウイルスベクターのパッケージング能を増大させることができ、生じた最適化ウイルスベクターの力価を増加させることができ、生じた最適化ウイルスベクターの発現能を増大させることができ、生じた最適化ウイルスベクターの免疫原性および/または毒性を低下させることができ、生じた最適化ウイルスベクターが効率的に1またはそれを超える細胞に形質導入する能力を増大させることができ、あるいはそれらの任意の組み合わせをもたらすことができる。
【0263】
1つの局面において、開示されたHDAC細胞は、HDAC1、HDAC2、HDAC3、HDAC4、HDAC6、HDAC8、またはそれらの任意の組み合わせであることが可能である。1つの局面において、開示されたHDAC細胞はHDAC1であることが可能であり、しかし、依然として、HDAC2、HDAC3、HDAC4、HDAC6、HDAC8、またはそれらの任意の組み合わせを発現することができる。1つの局面において、開示されたHDAC細胞はHDAC2であることが可能であり、しかし、依然として、HDAC1、HDAC3、HDAC4、HDAC6、HDAC8、またはそれらの任意の組み合わせを発現することができる。1つの局面において、開示されたHDAC細胞はHDAC3であることが可能であり、しかし、依然として、HDAC1、HDAC2、HDAC4、HDAC6、HDAC8、またはそれらの任意の組み合わせを発現することができる。1つの局面において、開示されたHDAC細胞はHDAC4であることが可能であり、しかし、依然として、HDAC1、HDAC2、HDAC3、HDAC6、HDAC8、またはそれらの任意の組み合わせを発現することができる。1つの局面において、開示されたHDAC細胞はHDAC6であることが可能であり、しかし、依然として、HDAC1、HDAC2、HDAC3、HDAC4、HDAC8、またはそれらの任意の組み合わせを発現することができる。1つの局面において、開示されたHDAC細胞はHDAC8であることが可能であり、しかし、依然として、HDAC1、HDAC2、HDAC3、HDAC4、HDAC6、またはそれらの任意の組み合わせを発現することができる。
【0264】
1つの局面において、開示されたHDAC細胞は、発現および/または活性における完全な低下および/または枯渇(例えば、100%または約100%)を含むことができる。1つの局面において、開示されたHDAC細胞は、発現および/または活性における不完全な低下および/または枯渇を含むことができる。1つの局面において、発現および/または活性における不完全な低下および/または枯渇は、正常な、または野生型のHDAC発現および/またはHDAC活性を有する細胞と比較して、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または95%超の低下および/または枯渇を含むことができる。
【0265】
1つの局面において、開示されたHDAC細胞は、ICLVベクターまたはIDLVベクターを生じさせるために使用することができる。1つの局面において、開示されたHDAC細胞は、AAVベクターまたはrAAVベクターを生じさせるために使用することができる。1つの局面において、開示されたHDAC枯渇細胞は、高度の製造技術との適合性を有するウイルスベクターを生じさせることができる。
【0266】
1つの局面において、開示されたHDAC細胞は、分裂細胞および/または非分裂細胞(例えば、例えば、脳の有糸分裂終了ニューロンなど)に効率的に形質導入することができるウイルスベクターを生じさせることができる。
【0267】
HDAC枯渇細胞を開発する方法の1つの局面において、方法はさらに、治療有効量の生じた最適化ウイルスベクターを投与することを必要とする対象に投与することを含むことができる。1つの局面において、それを必要とする対象は、遺伝的な欠損または障害を有する対象を含むことができる。例えば、1つの局面において、対象は、NDD関連遺伝子に影響を及ぼす遺伝的な欠損または障害を有し得る。
【0268】
1つの局面において、HDAC枯渇細胞を開発する開示された方法は、対象(例えば、遺伝的な疾患もしくは障害または神経学的な疾患もしくは障害を有するヒトなど)におけるインビボ使用のための、すべてがそろった遺伝子治療送達システムの一部とすることができる。
【0269】
1つの局面において、開示された方法はさらに、1またはそれを超える細胞のHDAC遺伝子型、生じた最適化ウイルスベクターのパッケージング能、生じた最適化ウイルスベクターの力価、生じた最適化ウイルスベクターの発現能、生じた最適化ウイルスベクターの免疫原性および/または毒性、生じた最適化ウイルスベクターが効率的に細胞に形質導入する能力、あるいはそれらの任意の組み合わせを決定することを含み得る。
2.ウイルスベクターのパッケージング能を増大させる方法
【0270】
本明細書中には、ウイルスベクターのパッケージング能を増大させる方法であって、1またはそれを超える細胞を開示されたウイルスベクターと接触させることを含み、前記1またはそれを超える細胞への形質導入の後において、前記標的となったHDACの発現および/または活性が低下し、および/または枯渇し、生じた最適化ウイルスベクターが増大したパッケージング能を有する方法が開示される。
【0271】
本明細書中には、ウイルスベクターのパッケージング能を増大させる方法であって、1またはそれを超える細胞を、(i)Casエンドヌクレアーゼと、(ii)少なくとも1つのガイドRNAと、(iii)少なくとも1つの導入遺伝子とをコードする核酸配列を含む単離された核酸分子を含むウイルスベクターと接触させることを含み、前記1またはそれを超える細胞への形質導入の後において、前記標的となったHDACの発現および/または活性が低下し、および/または枯渇し、生じた最適化ウイルスベクターが増大したパッケージング能を有する方法が開示される。様々なウイルスベクターが上記で開示される。
【0272】
本明細書中には、ウイルスベクターのパッケージング能を増大させる方法であって、1またはそれを超える細胞を、(i)融合産物と、(ii)少なくとも1つのガイドRNAとをコードする核酸配列を含む単離された核酸分子を含むウイルスベクターと接触させることを含み、前記1またはそれを超える細胞への形質導入の後において、前記標的となったHDACの発現および/または活性が低下し、および/または枯渇し、生じた最適化ウイルスベクターが増大したパッケージング能を有する方法が開示される。様々なウイルスベクターが上記で開示される。
【0273】
本明細書中には、ウイルスベクターのパッケージング能を増大させる方法であって、1またはそれを超える細胞を、(i)Casエンドヌクレアーゼと、(ii)少なくとも1つのガイドRNAと、(iii)少なくとも1つの導入遺伝子と、(iv)ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)を標的とするshRNAとをコードする核酸配列を含む単離された核酸分子を含むウイルスベクターと接触させることを含み、前記1またはそれを超える細胞への形質導入の後において、前記標的となったHDACの発現および/または活性が低下し、および/または枯渇し、生じた最適化ウイルスベクターが増大したパッケージング能を有する方法が開示される。様々なウイルスベクターが上記で開示される。
【0274】
本明細書中には、ウイルスベクターのパッケージング能を増大させる方法であって、1またはそれを超える細胞を、(i)融合産物と、(ii)少なくとも1つのガイドRNAと、(iii)ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)を標的とするshRNAとをコードする核酸配列を含む単離された核酸分子を含むウイルスベクターと接触させることを含み、前記1またはそれを超える細胞への形質導入の後において、前記標的となったHDACの発現および/または活性が低下し、および/または枯渇し、生じた最適化ウイルスベクターが増大したパッケージング能を有する方法が開示される。様々なウイルスベクターが上記で開示される。
【0275】
1つの局面において、開示された形質導入細胞は、哺乳動物細胞株、例えば、ヒト細胞株、ウマ細胞株、ウシ細胞株、ブタ細胞株、イヌ細胞株、ネコ細胞株またはげっ歯類細胞株(例えば、ラットまたはマウス)を含むことができる。1つの局面において、開示された形質導入細胞株は、HEK細胞(例えば、HEK293細胞、HEK293T、HEK293FT、HEK293S、HEK293FT、HEK293SG、HEK293SGGD、HEK293H、HEK293E、HEK293A、HEK293MSRなど)を含むことができる。
【0276】
1つの局面において、パッケージング能を増大させる開示された方法はさらに、生じた最適化ウイルスベクターの力価を増加させることができる。1つの局面において、パッケージング能を増大させる開示された方法はさらに、生じた最適化ウイルスベクターの発現能を増大させることができる。1つの局面において、パッケージング能を増大させる開示された方法はさらに、生じた最適化ウイルスベクターの免疫原性および/または毒性を低下させることができる。1つの局面において、パッケージング能を増大させる開示された方法はさらに、生じた最適化ウイルスベクターが効率的に1つまたは複数の細胞に形質導入する能力を増大させることができる。
【0277】
1つの局面において、パッケージング能を増大させる開示された方法はさらに、正常な、または野生型のHDAC発現および/またはHDAC活性を有する細胞と比較して、力価を増加させることができ、発現能を増大させることができ、免疫原性および/または毒性を低下させることができ、生じた最適化ウイルスベクターが効率的に1またはそれを超える細胞に形質導入する能力を増大させることができ、あるいはそれらの任意の組み合わせをもたらすことができる。
【0278】
パッケージング能を増大させる開示された方法の1つの局面において、開示されたHDAC細胞は、HDAC1、HDAC2、HDAC3、HDAC4、HDAC6、HDAC8、またはそれらの任意の組み合わせであることが可能である。パッケージング能を増大させる開示された方法の1つの局面において、開示されたHDAC細胞はHDAC1であることが可能であり、しかし、依然として、HDAC2、HDAC3、HDAC4、HDAC6、HDAC8、またはそれらの任意の組み合わせを発現することができる。パッケージング能を増大させる開示された方法の1つの局面において、開示されたHDAC細胞はHDAC2であることが可能であり、しかし、依然として、HDAC1、HDAC3、HDAC4、HDAC6、HDAC8、またはそれらの任意の組み合わせを発現することができる。パッケージング能を増大させる開示された方法の1つの局面において、開示されたHDAC細胞はHDAC3であることが可能であり、しかし、依然として、HDAC1、HDAC2、HDAC4、HDAC6、HDAC8、またはそれらの任意の組み合わせを発現することができる。パッケージング能を増大させる開示された方法の1つの局面において、開示されたHDAC細胞はHDAC4であることが可能であり、しかし、依然として、HDAC1、HDAC2、HDAC3、HDAC6、HDAC8、またはそれらの任意の組み合わせを発現することができる。パッケージング能を増大させる開示された方法の1つの局面において、開示されたHDAC細胞はHDAC6であることが可能であり、しかし、依然として、HDAC1、HDAC2、HDAC3、HDAC4、HDAC8、またはそれらの任意の組み合わせを発現することができる。パッケージング能を増大させる開示された方法の1つの局面において、開示されたHDAC細胞はHDAC8であることが可能であり、しかし、依然として、HDAC1、HDAC2、HDAC3、HDAC4、HDAC6、またはそれらの任意の組み合わせを発現することができる。
【0279】
パッケージング能を増加させる開示された方法の1つの局面において、開示されたHDAC細胞は、発現および/または活性における完全な低下および/または枯渇(例えば、100%または約100%)を含むことができる。1つの局面において、発現および/または活性における不完全な低下および/または枯渇は、正常な、または野生型のHDAC発現および/またはHDAC活性を有する細胞と比較して、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または95%超の低下および/または枯渇を含むことができる。
【0280】
1つの局面において、開示されたHDAC細胞は、ICLVベクターまたはIDLVベクターを生じさせるために使用することができる。1つの局面において、開示されたHDAC細胞は、AAVベクターまたはrAAVベクターを生じさせるために使用することができる。1つの局面において、開示されたHDAC枯渇細胞は、高度の製造技術との適合性を有するウイルスベクターを生じさせることができる。
【0281】
パッケージング能を増大させる開示された方法の1つの局面において、開示されたHDAC細胞は、分裂細胞および/または非分裂細胞(例えば、例えば、脳の有糸分裂終了ニューロンなど)に効率的に形質導入することができるウイルスベクターを生じさせることができる。
【0282】
パッケージング能を増大させる開示された方法の1つの局面において、方法はさらに、治療有効量の生じた最適化ウイルスベクターを投与することを必要とする対象に投与することを含むことができる。1つの局面において、それを必要とする対象は、遺伝的な欠損または障害を有する対象を含むことができる。例えば、1つの局面において、対象は、NDD関連遺伝子に影響を及ぼす遺伝的な欠損または障害を有し得る。
【0283】
1つの局面において、パッケージング能を増大させる開示された方法は、対象(例えば、遺伝的な疾患もしくは障害または神経学的な疾患もしくは障害を有するヒトなど)におけるインビボ使用のための、すべてがそろった遺伝子治療送達システムの一部とすることができる。
【0284】
1つの局面において、開示された方法はさらに、1またはそれを超える細胞のHDAC遺伝子型、生じた最適化ウイルスベクターのパッケージング能、生じた最適化ウイルスベクターの力価、生じた最適化ウイルスベクターの発現能、生じた最適化ウイルスベクターの免疫原性および/または毒性、生じた最適化ウイルスベクターが効率的に細胞に形質導入する能力、あるいはそれらの任意の組み合わせを決定することを含み得る。
3.ウイルスベクターの力価を増加させる方法
【0285】
本明細書中には、ウイルスベクターの力価を増加させる方法であって、1またはそれを超える細胞を開示されたウイルスベクターと接触させることを含み、前記1またはそれを超える細胞への形質導入の後において、前記標的となったHDACの発現および/または活性が低下し、および/または枯渇し、生じた最適化ウイルスベクターの力価を増加する方法が開示される。様々なウイルスベクターが上記で開示される。
【0286】
本明細書中には、ウイルスベクターの力価を増加させる方法であって、1またはそれを超える細胞を、(i)Casエンドヌクレアーゼと、(ii)少なくとも1つのガイドRNAと、(iii)少なくとも1つの導入遺伝子とをコードする核酸配列を含む単離された核酸分子を含むウイルスベクターと接触させることを含み、前記1またはそれを超える細胞への形質導入の後において、前記標的となったHDACの発現および/または活性が低下し、および/または枯渇し、生じた最適化ウイルスベクターの力価を増加する方法が開示される。様々なウイルスベクターが上記で開示される。
【0287】
本明細書中には、ウイルスベクターの力価を増加させる方法であって、1またはそれを超える細胞を、(i)融合産物と、(ii)少なくとも1つのガイドRNAとをコードする核酸配列を含む単離された核酸分子を含むウイルスベクターと接触させることを含み、前記1またはそれを超える細胞への形質導入の後において、前記標的となったHDACの発現および/または活性が低下し、および/または枯渇し、生じた最適化ウイルスベクターの力価を増加する方法が開示される。様々なウイルスベクターが上記で開示される。
【0288】
本明細書中には、ウイルスベクターの力価を増加させる方法であって、1またはそれを超える細胞を、(i)融合産物と、(ii)少なくとも1つのガイドRNAと、(iii)ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)を標的とするshRNAとをコードする核酸配列を含む単離された核酸分子を含むウイルスベクターと接触させることを含み、前記1またはそれを超える細胞への形質導入の後において、前記標的となったHDACの発現および/または活性が低下し、および/または枯渇し、生じた最適化ウイルスベクターが増大したパッケージング能を有する方法が開示される。様々なウイルスベクターが上記で開示される。
【0289】
本明細書中には、ウイルスベクターの力価を増加させる方法であって、1またはそれを超える細胞を、(i)Casエンドヌクレアーゼと、(ii)少なくとも1つのガイドRNAと、(iii)少なくとも1つの導入遺伝子と、(iv)ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)を標的とするshRNAとをコードする核酸配列を含む単離された核酸分子を含むウイルスベクターと接触させることを含み、前記1またはそれを超える細胞への形質導入の後において、前記標的となったHDACの発現および/または活性が低下し、および/または枯渇し、生じた最適化ウイルスベクターの力価を増加する方法が開示される。様々なウイルスベクターが上記で開示される。
【0290】
1つの局面において、開示された形質導入細胞は、哺乳動物細胞株、例えば、ヒト細胞株、ウマ細胞株、ウシ細胞株、ブタ細胞株、イヌ細胞株、ネコ細胞株またはげっ歯類細胞株(例えば、ラットまたはマウス)を含むことができる。1つの局面において、開示された形質導入細胞株は、HEK細胞(例えば、HEK293細胞、HEK293T、HEK293FT、HEK293S、HEK293FT、HEK293SG、HEK293SGGD、HEK293H、HEK293E、HEK293A、HEK293MSRなど)を含むことができる。
【0291】
1つの局面において、ウイルスベクターの力価を増加させる開示された方法はさらに、生じた最適化ウイルスベクターのパッケージング能を増大させることができる。1つの局面において、ウイルスベクターの力価を増加させる開示された方法はさらに、生じた最適化ウイルスベクターの発現能を増大させることができる。1つの局面において、ウイルスベクターの力価を増加させる開示された方法はさらに、生じた最適化ウイルスベクターの免疫原性および/または毒性を低下させることができる。1つの局面において、ウイルスベクターの力価を増加させる開示された方法はさらに、生じた最適化ウイルスベクターが効率的に1つまたは複数の細胞に形質導入する能力を増大させることができる。
【0292】
1つの局面において、ウイルスベクターの力価を増加させる開示された方法はさらに、正常な、または野生型のHDAC発現および/またはHDAC活性を有する細胞と比較して、パッケージング能を増大させることができ、発現能を増大させることができ、免疫原性および/または毒性を低下させることができ、生じた最適化ウイルスベクターが効率的に1またはそれを超える細胞に形質導入する能力を増大させることができ、あるいはそれらの任意の組み合わせをもたらすことができる。
【0293】
ウイルスベクターの力価を増加させる開示された方法の1つの局面において、開示されたHDAC細胞は、HDAC1、HDAC2、HDAC3、HDAC4、HDAC6、HDAC8、またはそれらの任意の組み合わせであることが可能である。ウイルスベクターの力価を増加させる開示された方法の1つの局面において、開示されたHDAC細胞はHDAC1であることが可能であり、しかし、依然として、HDAC2、HDAC3、HDAC4、HDAC6、HDAC8、またはそれらの任意の組み合わせを発現することができる。ウイルスベクターの力価を増加させる開示された方法の1つの局面において、開示されたHDAC細胞はHDAC2であることが可能であり、しかし、依然として、HDAC1、HDAC3、HDAC4、HDAC6、HDAC8、またはそれらの任意の組み合わせを発現することができる。ウイルスベクターの力価を増加させる開示された方法の1つの局面において、開示されたHDAC細胞はHDAC3であることが可能であり、しかし、依然として、HDAC1、HDAC2、HDAC4、HDAC6、HDAC8、またはそれらの任意の組み合わせを発現することができる。ウイルスベクターの力価を増加させる開示された方法の1つの局面において、開示されたHDAC細胞はHDAC4であることが可能であり、しかし、依然として、HDAC1、HDAC2、HDAC3、HDAC6、HDAC8、またはそれらの任意の組み合わせを発現することができる。ウイルスベクターの力価を増加させる開示された方法の1つの局面において、開示されたHDAC細胞はHDAC6であることが可能であり、しかし、依然として、HDAC1、HDAC2、HDAC3、HDAC4、HDAC8、またはそれらの任意の組み合わせを発現することができる。ウイルスベクターの力価を増加させる開示された方法の1つの局面において、開示されたHDAC細胞はHDAC8であることが可能であり、しかし、依然として、HDAC1、HDAC2、HDAC3、HDAC4、HDAC6、またはそれらの任意の組み合わせを発現することができる。
【0294】
ウイルスベクターの力価を増加させる開示された方法の1つの局面において、開示されたHDAC細胞は、発現および/または活性における完全な低下および/または枯渇(例えば、100%または約100%)を含むことができる。1つの局面において、発現および/または活性における不完全な低下および/または枯渇は、正常な、または野生型のHDAC発現および/またはHDAC活性を有する細胞と比較して、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または95%超の低下および/または枯渇を含むことができる。
【0295】
1つの局面において、開示されたHDAC細胞は、ICLVベクターまたはIDLVベクターを生じさせるために使用することができる。1つの局面において、開示されたHDAC細胞は、AAVベクターまたはrAAVベクターを生じさせるために使用することができる。1つの局面において、開示されたHDAC枯渇細胞は、高度の製造技術との適合性を有するウイルスベクターを生じさせることができる。
【0296】
ウイルスベクターの力価を増加させる開示された方法の1つの局面において、開示されたHDAC細胞は、分裂細胞および/または非分裂細胞(例えば、例えば、脳の有糸分裂終了ニューロンなど)に効率的に形質導入することができるウイルスベクターを生じさせることができる。
【0297】
ウイルスベクターの力価を増加させる開示された方法の1つの局面において、方法はさらに、治療有効量の生じた最適化ウイルスベクターを投与することを必要とする対象に投与することを含むことができる。1つの局面において、それを必要とする対象は、遺伝的な欠損または障害を有する対象を含むことができる。例えば、1つの局面において、対象は、NDD関連遺伝子に影響を及ぼす遺伝的な欠損または障害を有し得る。
【0298】
1つの局面において、ウイルスベクターの力価を増加させる開示された方法は、対象(例えば、遺伝的な疾患もしくは障害または神経学的な疾患もしくは障害を有するヒトなど)におけるインビボ使用のための、すべてがそろった遺伝子治療送達システムの一部とすることができる。
【0299】
1つの局面において、開示された方法はさらに、1またはそれを超える細胞のHDAC遺伝子型、生じた最適化ウイルスベクターのパッケージング能、生じた最適化ウイルスベクターの力価、生じた最適化ウイルスベクターの発現能、生じた最適化ウイルスベクターの免疫原性および/または毒性、生じた最適化ウイルスベクターが効率的に細胞に形質導入する能力、あるいはそれらの任意の組み合わせを決定することを含み得る。
4.ウイルスベクターの発現能を増大させる方法
【0300】
本明細書中には、ウイルスベクターの発現能を増大させる方法であって、1またはそれを超える細胞を開示されたウイルスベクターと接触させることを含み、前記1またはそれを超える細胞への形質導入の後において、前記標的となったHDACの発現および/または活性が低下し、および/または枯渇し、生じた最適化ウイルスベクターが増大した発現能を有し、増大する方法が開示される。様々なウイルスベクターが上記で開示される。
【0301】
本明細書中には、ウイルスベクターの発現能を増大させる方法であって、1またはそれを超える細胞を、(i)Casエンドヌクレアーゼと、(ii)少なくとも1つのガイドRNAと、(iii)少なくとも1つの導入遺伝子とをコードする核酸配列を含む単離された核酸分子を含むウイルスベクターと接触させることを含み、前記1またはそれを超える細胞への形質導入の後において、前記標的となったHDACの発現および/または活性が低下し、および/または枯渇し、生じた最適化ウイルスベクターが増大した発現能を有し、増大する方法が開示される。様々なウイルスベクターが上記で開示される。
【0302】
本明細書中には、ウイルスベクターの発現能を増大させる方法であって、1またはそれを超える細胞を、(i)融合産物と、(ii)少なくとも1つのガイドRNAとをコードする核酸配列を含む単離された核酸分子を含むウイルスベクターと接触させることを含み、前記1またはそれを超える細胞への形質導入の後において、前記標的となったHDACの発現および/または活性が低下し、および/または枯渇し、生じた最適化ウイルスベクターが増大した発現能を有し、増大する方法が開示される。様々なウイルスベクターが上記で開示される。
【0303】
本明細書中には、ウイルスベクターの発現能を増大させる方法であって、1またはそれを超える細胞を、(i)Casエンドヌクレアーゼと、(ii)少なくとも1つのガイドRNAと、(iii)少なくとも1つの導入遺伝子と、(iv)ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)を標的とするshRNAとをコードする核酸配列を含む単離された核酸分子を含むウイルスベクターと接触させることを含み、前記1またはそれを超える細胞への形質導入の後において、前記標的となったHDACの発現および/または活性が低下し、および/または枯渇し、生じた最適化ウイルスベクターが増大した発現能を有し、増大する方法が開示される。様々なウイルスベクターが上記で開示される。
【0304】
本明細書中には、ウイルスベクターの発現能を増大させる方法であって、1またはそれを超える細胞を、(i)融合産物と、(ii)少なくとも1つのガイドRNAと、(iii)ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)を標的とするshRNAとをコードする核酸配列を含む単離された核酸分子を含むウイルスベクターと接触させることを含み、前記1またはそれを超える細胞への形質導入の後において、前記標的となったHDACの発現および/または活性が低下し、および/または枯渇し、生じた最適化ウイルスベクターが増大した発現能を有し、増大する方法が開示される。様々なウイルスベクターが上記で開示される。
【0305】
1つの局面において、開示された形質導入細胞は、哺乳動物細胞株、例えば、ヒト細胞株、ウマ細胞株、ウシ細胞株、ブタ細胞株、イヌ細胞株、ネコ細胞株またはげっ歯類細胞株(例えば、ラットまたはマウス)を含むことができる。1つの局面において、開示された形質導入細胞株は、HEK細胞(例えば、HEK293細胞、HEK293T、HEK293FT、HEK293S、HEK293FT、HEK293SG、HEK293SGGD、HEK293H、HEK293E、HEK293A、HEK293MSRなど)を含むことができる。
【0306】
1つの局面において、ウイルスベクターの発現能を増大させる開示された方法はさらに、生じた最適化ウイルスベクターのパッケージング能を増大させることができる。1つの局面において、ウイルスベクターの発現能を増大させる開示された方法はさらに、生じた最適化ウイルスベクターの力価を増加させることができる。1つの局面において、ウイルスベクターの発現能を増大させる開示された方法はさらに、生じた最適化ウイルスベクターの免疫原性および/または毒性を低下させることができる。1つの局面において、ウイルスベクターの発現能を増大させる開示された方法はさらに、生じた最適化ウイルスベクターが効率的に1つまたは複数の細胞に形質導入する能力を増大させることができる。
【0307】
1つの局面において、ウイルスベクターの発現能させる開示された方法はさらに、正常な、または野生型のHDAC発現および/またはHDAC活性を有する細胞と比較して、パッケージング能を増大させることができ、力価を増加させることができ、免疫原性および/または毒性を低下させることができ、生じた最適化ウイルスベクターが効率的に1またはそれを超える細胞に形質導入する能力を増大させることができ、あるいはそれらの任意の組み合わせをもたらすことができる。
【0308】
ウイルスベクターの発現能を増大させる開示された方法の1つの局面において、開示されたHDAC細胞は、HDAC1、HDAC2、HDAC3、HDAC4、HDAC6、HDAC8、またはそれらの任意の組み合わせであることが可能である。ウイルスベクターの発現能を増大させる開示された方法の1つの局面において、開示されたHDAC細胞はHDAC1であることが可能であり、しかし、依然として、HDAC2、HDAC3、HDAC4、HDAC6、HDAC8、またはそれらの任意の組み合わせを発現することができる。ウイルスベクターの発現能を増大させる開示された方法の1つの局面において、開示されたHDAC細胞はHDAC2であることが可能であり、しかし、依然として、HDAC1、HDAC3、HDAC4、HDAC6、HDAC8、またはそれらの任意の組み合わせを発現することができる。ウイルスベクターの発現能を増大させる開示された方法の1つの局面において、開示されたHDAC細胞はHDAC3であることが可能であり、しかし、依然として、HDAC1、HDAC2、HDAC4、HDAC6、HDAC8、またはそれらの任意の組み合わせを発現することができる。ウイルスベクターの発現能を増大させる開示された方法の1つの局面において、開示されたHDAC細胞はHDAC4であることが可能であり、しかし、依然として、HDAC1、HDAC2、HDAC3、HDAC6、HDAC8、またはそれらの任意の組み合わせを発現することができる。ウイルスベクターの発現能を増大させる開示された方法の1つの局面において、開示されたHDAC細胞はHDAC6であることが可能であり、しかし、依然として、HDAC1、HDAC2、HDAC3、HDAC4、HDAC8、またはそれらの任意の組み合わせを発現することができる。ウイルスベクターの発現能を増大させる開示された方法の1つの局面において、開示されたHDAC細胞はHDAC8であることが可能であり、しかし、依然として、HDAC1、HDAC2、HDAC3、HDAC4、HDAC6、またはそれらの任意の組み合わせを発現することができる。
【0309】
ウイルスベクターの発現能を増加させる開示された方法の1つの局面において、開示されたHDAC細胞は、発現および/または活性における完全な低下および/または枯渇(例えば、100%または約100%)を含むことができる。1つの局面において、発現および/または活性における不完全な低下および/または枯渇は、正常な、または野生型のHDAC発現および/またはHDAC活性を有する細胞と比較して、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または95%超の低下および/または枯渇を含むことができる。
【0310】
1つの局面において、開示されたHDAC細胞は、ICLVベクターまたはIDLVベクターを生じさせるために使用することができる。1つの局面において、開示されたHDAC細胞は、AAVベクターまたはrAAVベクターを生じさせるために使用することができる。1つの局面において、開示されたHDAC枯渇細胞は、高度の製造技術との適合性を有するウイルスベクターを生じさせることができる。
【0311】
ウイルスベクターの発現能を増大させる開示された方法の1つの局面において、開示されたHDAC細胞は、分裂細胞および/または非分裂細胞(例えば、例えば、脳の有糸分裂終了ニューロンなど)に効率的に形質導入することができるウイルスベクターを生じさせることができる。
【0312】
ウイルスベクターの発現能を増大させる開示された方法の1つの局面において、方法はさらに、治療有効量の生じた最適化ウイルスベクターを投与することを必要とする対象に投与することを含むことができる。1つの局面において、それを必要とする対象は、遺伝的な欠損または障害を有する対象を含むことができる。例えば、1つの局面において、対象は、NDD関連遺伝子に影響を及ぼす遺伝的な欠損または障害を有し得る。
【0313】
1つの局面において、ウイルスベクターの発現能を増大させる開示された方法は、対象(例えば、遺伝的な疾患もしくは障害または神経学的な疾患もしくは障害を有するヒトなど)におけるインビボ使用のための、すべてがそろった遺伝子治療送達システムの一部とすることができる。
【0314】
1つの局面において、開示された方法はさらに、1またはそれを超える細胞のHDAC遺伝子型、生じた最適化ウイルスベクターのパッケージング能、生じた最適化ウイルスベクターの力価、生じた最適化ウイルスベクターの発現能、生じた最適化ウイルスベクターの免疫原性および/または毒性、生じた最適化ウイルスベクターが効率的に細胞に形質導入する能力、あるいはそれらの任意の組み合わせを決定することを含み得る。
5.ウイルスベクターの免疫原性および/または毒性を低下させる方法
【0315】
本明細書中には、ウイルスベクターの免疫原性および/または毒性を低下させる方法であって、1またはそれを超える細胞を開示されたウイルスベクターと接触させることを含み、前記1またはそれを超える細胞への形質導入の後において、前記標的となったHDACの発現および/または活性が低下し、および/または枯渇し、生じた最適化ウイルスベクターが低下した免疫原性および/または毒性を有する方法が開示される。様々なウイルスベクターが上記で開示される。
【0316】
本明細書中には、ウイルスベクターの免疫原性および/または毒性を低下させる方法であって、1またはそれを超える細胞を、(i)Casエンドヌクレアーゼと、(ii)少なくとも1つのガイドRNAと、(iii)少なくとも1つの導入遺伝子とをコードする核酸配列を含む単離された核酸分子を含むウイルスベクターと接触させることを含み、前記1またはそれを超える細胞への形質導入の後において、前記標的となったHDACの発現および/または活性が低下し、および/または枯渇し、生じた最適化ウイルスベクターが低下した免疫原性および/または毒性を有する方法が開示される。様々なウイルスベクターが上記で開示される。
【0317】
本明細書中には、ウイルスベクターの免疫原性および/または毒性を低下させる方法であって、1またはそれを超える細胞を、(i)融合産物と、(ii)少なくとも1つのガイドRNAとをコードする核酸配列を含む単離された核酸分子を含むウイルスベクターと接触させることを含み、前記1またはそれを超える細胞への形質導入の後において、前記標的となったHDACの発現および/または活性が低下し、および/または枯渇し、生じた最適化ウイルスベクターが低下した免疫原性および/または毒性を有する方法が開示される。様々なウイルスベクターが上記で開示される。
【0318】
本明細書中には、ウイルスベクターの免疫原性および/または毒性を低下させる方法であって、1またはそれを超える細胞を、(i)Casエンドヌクレアーゼと、(ii)少なくとも1つのガイドRNAと、(iii)少なくとも1つの導入遺伝子と、(iv)ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)を標的とするshRNAとをコードする核酸配列を含む単離された核酸分子を含むウイルスベクターと接触させることを含み、前記1またはそれを超える細胞への形質導入の後において、前記標的となったHDACの発現および/または活性が低下し、および/または枯渇し、生じた最適化ウイルスベクターが低下した免疫原性および/または毒性を有する方法が開示される。様々なウイルスベクターが上記で開示される。
【0319】
本明細書中には、ウイルスベクターの免疫原性および/または毒性を低下させる方法であって、1またはそれを超える細胞を、(i)融合産物と、(ii)少なくとも1つのガイドRNAと、(iii)ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)を標的とするshRNAとをコードする核酸配列を含む単離された核酸分子を含むウイルスベクターと接触させることを含み、前記1またはそれを超える細胞への形質導入の後において、前記標的となったHDACの発現および/または活性が低下し、および/または枯渇し、生じた最適化ウイルスベクターが低下した免疫原性および/または毒性を有する方法が開示される。様々なウイルスベクターが上記で開示される。
【0320】
1つの局面において、開示された形質導入細胞は、哺乳動物細胞株、例えば、ヒト細胞株、ウマ細胞株、ウシ細胞株、ブタ細胞株、イヌ細胞株、ネコ細胞株またはげっ歯類細胞株(例えば、ラットまたはマウス)を含むことができる。1つの局面において、開示された形質導入細胞株は、HEK細胞(例えば、HEK293細胞、HEK293T、HEK293FT、HEK293S、HEK293FT、HEK293SG、HEK293SGGD、HEK293H、HEK293E、HEK293A、HEK293MSRなど)を含むことができる。
【0321】
1つの局面において、ウイルスベクターの免疫原性および/または毒性を低下させる開示された方法はさらに、生じた最適化ウイルスベクターのパッケージング能を増大させることができる。1つの局面において、ウイルスベクターの免疫原性および/または毒性を低下させる開示された方法はさらに、生じた最適化ウイルスベクターの力価を増加させることができる。1つの局面において、ウイルスベクターの免疫原性および/または毒性を低下させる開示された方法はさらに、生じた最適化ウイルスベクターの発現能を増大させることができる。1つの局面において、ウイルスベクターの免疫原性および/または毒性を低下させる開示された方法はさらに、生じた最適化ウイルスベクターが効率的に1つまたは複数の細胞に形質導入する能力を増大させることができる。
【0322】
1つの局面において、ウイルスベクターの免疫原性および/または毒性を低下させる開示された方法はさらに、正常な、または野生型のHDAC発現および/またはHDAC活性を有する細胞と比較して、生じた最適化ウイルスベクターのパッケージング能を増大させることができ、生じた最適化ウイルスベクターの力価を増加させることができ、生じた最適化ウイルスベクターの発現能を増大させることができ、生じた最適化ウイルスベクターが効率的に1またはそれを超える細胞に形質導入する能力を増大させることができ、あるいはそれらの任意の組み合わせをもたらすことができる。
【0323】
ウイルスベクターの免疫原性および/または毒性を低下させる開示された方法の1つの局面において、開示されたHDAC細胞は、HDAC1、HDAC2、HDAC3、HDAC4、HDAC6、HDAC8、またはそれらの任意の組み合わせであることが可能である。ウイルスベクターの免疫原性および/または毒性を低下させる開示された方法の1つの局面において、開示されたHDAC細胞はHDAC1であることが可能であり、しかし、依然として、HDAC2、HDAC3、HDAC4、HDAC6、HDAC8、またはそれらの任意の組み合わせを発現することができる。ウイルスベクターの免疫原性および/または毒性を低下させる開示された方法の1つの局面において、開示されたHDAC細胞はHDAC2であることが可能であり、しかし、依然として、HDAC1、HDAC3、HDAC4、HDAC6、HDAC8、またはそれらの任意の組み合わせを発現することができる。ウイルスベクターの免疫原性および/または毒性を低下させる開示された方法の1つの局面において、開示されたHDAC細胞はHDAC3であることが可能であり、しかし、依然として、HDAC1、HDAC2、HDAC4、HDAC6、HDAC8、またはそれらの任意の組み合わせを発現することができる。ウイルスベクターの免疫原性および/または毒性を低下させる開示された方法の1つの局面において、開示されたHDAC細胞はHDAC4であることが可能であり、しかし、依然として、HDAC1、HDAC2、HDAC3、HDAC6、HDAC8、またはそれらの任意の組み合わせを発現することができる。ウイルスベクターの免疫原性および/または毒性を低下させる開示された方法の1つの局面において、開示されたHDAC細胞はHDAC6であることが可能であり、しかし、依然として、HDAC1、HDAC2、HDAC3、HDAC4、HDAC8、またはそれらの任意の組み合わせを発現することができる。ウイルスベクターの免疫原性および/または毒性を低下させる開示された方法の1つの局面において、開示されたHDAC細胞はHDAC8であることが可能であり、しかし、依然として、HDAC1、HDAC2、HDAC3、HDAC4、HDAC6、またはそれらの任意の組み合わせを発現することができる。
【0324】
ウイルスベクターの免疫原性および/または毒性を低下させる開示された方法の1つの局面において、開示されたHDAC細胞は、発現および/または活性における完全な低下および/または枯渇(例えば、100%または約100%)を含むことができる。1つの局面において、発現および/または活性における不完全な低下および/または枯渇は、正常な、または野生型のHDAC発現および/またはHDAC活性を有する細胞と比較して、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または95%超の低下および/または枯渇を含むことができる。
【0325】
1つの局面において、開示されたHDAC細胞は、ICLVベクターまたはIDLVベクターを生じさせるために使用することができる。1つの局面において、開示されたHDAC細胞は、AAVベクターまたはrAAVベクターを生じさせるために使用することができる。1つの局面において、開示されたHDAC枯渇細胞は、高度の製造技術との適合性を有するウイルスベクターを生じさせることができる。
【0326】
ウイルスベクターの免疫原性および/または毒性を低下させる開示された方法の1つの局面において、開示されたHDAC細胞は、分裂細胞および/または非分裂細胞(例えば、例えば、脳の有糸分裂終了ニューロンなど)に効率的に形質導入することができるウイルスベクターを生じさせることができる。
【0327】
ウイルスベクターの免疫原性および/または毒性を低下させる開示された方法の1つの局面において、方法はさらに、治療有効量の生じた最適化ウイルスベクターを投与することを必要とする対象に投与することを含むことができる。1つの局面において、それを必要とする対象は、遺伝的な欠損または障害を有する対象を含むことができる。例えば、1つの局面において、対象は、NDD関連遺伝子に影響を及ぼす遺伝的な欠損または障害を有し得る。
【0328】
1つの局面において、ウイルスベクターの免疫原性および/または毒性を低下させる開示された方法は、対象(例えば、遺伝的な疾患もしくは障害または神経学的な疾患もしくは障害を有するヒトなど)におけるインビボ使用のための、すべてがそろった遺伝子治療送達システムの一部とすることができる。
【0329】
1つの局面において、開示された方法はさらに、1またはそれを超える細胞のHDAC遺伝子型、生じた最適化ウイルスベクターのパッケージング能、生じた最適化ウイルスベクターの力価、生じた最適化ウイルスベクターの発現能、生じた最適化ウイルスベクターの免疫原性および/または毒性、生じた最適化ウイルスベクターが効率的に細胞に形質導入する能力、あるいはそれらの任意の組み合わせを決定することを含み得る。
6.ウイルスベクターが効率的に細胞に形質導入する能力を増大させる方法
【0330】
本明細書中には、ウイルスベクターが効率的に1またはそれを超える細胞に形質導入する能力を増大させる方法であって、1またはそれを超える細胞を開示されたウイルスベクターと接触させることを含み、前記1またはそれを超える細胞への形質導入の後において、前記標的となったHDACの発現および/または活性が低下し、および/または枯渇し、生じた最適化ウイルスベクターが増大した効率的に細胞に形質導入する能力を有する方法が開示される。様々なウイルスベクターが上記で開示される。
【0331】
本明細書中には、ウイルスベクターが効率的に1またはそれを超える細胞に形質導入する能力を増大させる方法であって、1またはそれを超える細胞を、(i)Casエンドヌクレアーゼと、(ii)少なくとも1つのガイドRNAと、(iii)少なくとも1つの導入遺伝子とをコードする核酸配列を含む単離された核酸分子を含むウイルスベクターと接触させることを含み、前記1またはそれを超える細胞への形質導入の後において、前記標的となったHDACの発現および/または活性が低下し、および/または枯渇し、生じた最適化ウイルスベクターが増大した効率的に細胞に形質導入する能力を有する方法が開示される。様々なウイルスベクターが上記で開示される。
【0332】
本明細書中には、ウイルスベクターが効率的に1またはそれを超える細胞に形質導入する能力を増大させる方法であって、1またはそれを超える細胞を、(i)融合産物と、(ii)少なくとも1つのガイドRNAとをコードする核酸配列を含む単離された核酸分子を含むウイルスベクターと接触させることを含み、前記1またはそれを超える細胞への形質導入の後において、前記標的となったHDACの発現および/または活性が低下し、および/または枯渇し、生じた最適化ウイルスベクターが増大した効率的に細胞に形質導入する能力を有する方法が開示される。様々なウイルスベクターが上記で開示される。
【0333】
本明細書中には、ウイルスベクターが効率的に1またはそれを超える細胞に形質導入する能力を増大させる方法であって、1またはそれを超える細胞を、(i)Casエンドヌクレアーゼと、(ii)少なくとも1つのガイドRNAと、(iii)少なくとも1つの導入遺伝子と、(iv)ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)を標的とするshRNAとをコードする核酸配列を含む単離された核酸分子を含むウイルスベクターと接触させることを含み、前記1またはそれを超える細胞への形質導入の後において、前記標的となったHDACの発現および/または活性が低下し、および/または枯渇し、生じた最適化ウイルスベクターが増大した効率的に細胞に形質導入する能力を有する方法が開示される。様々なウイルスベクターが上記で開示される。
【0334】
本明細書中には、ウイルスベクターが効率的に1またはそれを超える細胞に形質導入する能力を増大させる方法であって、1またはそれを超える細胞を、(i)融合産物と、(ii)少なくとも1つのガイドRNAと、(iii)ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)を標的とするshRNAとをコードする核酸配列を含む単離された核酸分子を含むウイルスベクターと接触させることを含み、前記1またはそれを超える細胞への形質導入の後において、前記標的となったHDACの発現および/または活性が低下し、および/または枯渇し、生じた最適化ウイルスベクターが増大した効率的に細胞に形質導入する能力を有する方法が開示される。様々なウイルスベクターが上記で開示される。
【0335】
1つの局面において、開示された形質導入細胞は、哺乳動物細胞株、例えば、ヒト細胞株、ウマ細胞株、ウシ細胞株、ブタ細胞株、イヌ細胞株、ネコ細胞株またはげっ歯類細胞株(例えば、ラットまたはマウス)を含むことができる。1つの局面において、開示された形質導入細胞株は、HEK細胞(例えば、HEK293細胞、HEK293T、HEK293FT、HEK293S、HEK293FT、HEK293SG、HEK293SGGD、HEK293H、HEK293E、HEK293A、HEK293MSRなど)を含むことができる。
【0336】
1つの局面において、ウイルスベクターが効率的に1またはそれを超える細胞に形質導入する能力を増大させる開示された方法はさらに、生じた最適化ウイルスベクターのパッケージング能を増大させることができる。1つの局面において、ウイルスベクターが効率的に1またはそれを超える細胞に形質導入する能力を増大させる開示された方法はさらに、生じた最適化ウイルスベクターの力価を増加させることができる。1つの局面において、ウイルスベクターが効率的に1またはそれを超える細胞に形質導入する能力を増大させる開示された方法はさらに、生じた最適化ウイルスベクターの発現能を増大させることができる。1つの局面において、ウイルスベクターが効率的に1またはそれを超える細胞に形質導入する能力を増大させる開示された方法はさらに、生じた最適化ウイルスベクターの免疫原性および/または毒性を低下させることができる。
【0337】
1つの局面において、ウイルスベクターが効率的に1またはそれを超える細胞に形質導入する能力を増大させる開示された方法はさらに、正常な、または野生型のHDAC発現および/またはHDAC活性を有する細胞と比較して、生じた最適化ウイルスベクターのパッケージング能を増大させることができ、生じた最適化ウイルスベクターの力価を増加させることができ、発現能を増大させることができ、生じた最適化ウイルスベクターの免疫原性および/または毒性を低下させることができ、あるいはそれらの任意の組み合わせをもたらすことができる。
【0338】
ウイルスベクターが効率的に1またはそれを超える細胞に形質導入する能力を増大させる開示された方法の1つの局面において、開示されたHDAC細胞は、HDAC1、HDAC2、HDAC3、HDAC4、HDAC6、HDAC8、またはそれらの任意の組み合わせであることが可能である。ウイルスベクターが効率的に1またはそれを超える細胞に形質導入する能力を増大させる開示された方法の1つの局面において、開示されたHDAC細胞はHDAC1であることが可能であり、しかし、依然として、HDAC2、HDAC3、HDAC4、HDAC6、HDAC8、またはそれらの任意の組み合わせを発現することができる。ウイルスベクターが効率的に1またはそれを超える細胞に形質導入する能力を増大させる開示された方法の1つの局面において、開示されたHDAC細胞はHDAC2であることが可能であり、しかし、依然として、HDAC1、HDAC3、HDAC4、HDAC6、HDAC8、またはそれらの任意の組み合わせを発現することができる。ウイルスベクターが効率的に1またはそれを超える細胞に形質導入する能力を増大させる開示された方法の1つの局面において、開示されたHDAC細胞はHDAC3であることが可能であり、しかし、依然として、HDAC1、HDAC2、HDAC4、HDAC6、HDAC8、またはそれらの任意の組み合わせを発現することができる。ウイルスベクターが効率的に1またはそれを超える細胞に形質導入する能力を増大させる開示された方法の1つの局面において、開示されたHDAC細胞はHDAC4であることが可能であり、しかし、依然として、HDAC1、HDAC2、HDAC3、HDAC6、HDAC8、またはそれらの任意の組み合わせを発現することができる。ウイルスベクターが効率的に1またはそれを超える細胞に形質導入する能力を増大させる開示された方法の1つの局面において、開示されたHDAC細胞はHDAC6であることが可能であり、しかし、依然として、HDAC1、HDAC2、HDAC3、HDAC4、HDAC8、またはそれらの任意の組み合わせを発現することができる。ウイルスベクターが効率的に1またはそれを超える細胞に形質導入する能力を増大させる開示された方法の1つの局面において、開示されたHDAC細胞はHDAC8であることが可能であり、しかし、依然として、HDAC1、HDAC2、HDAC3、HDAC4、HDAC6、またはそれらの任意の組み合わせを発現することができる。
【0339】
ウイルスベクターが効率的に1またはそれを超える細胞に形質導入する能力を増大させる開示された方法の1つの局面において、開示されたHDAC細胞は、発現および/または活性における完全な低下および/または枯渇(例えば、100%または約100%)を含むことができる。1つの局面において、発現および/または活性における不完全な低下および/または枯渇は、正常な、または野生型のHDAC発現および/またはHDAC活性を有する細胞と比較して、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または95%超の低下および/または枯渇を含むことができる。
【0340】
1つの局面において、開示されたHDAC細胞は、ICLVベクターまたはIDLVベクターを生じさせるために使用することができる。1つの局面において、開示されたHDAC細胞は、AAVベクターまたはrAAVベクターを生じさせるために使用することができる。1つの局面において、開示されたHDAC枯渇細胞は、高度の製造技術との適合性を有するウイルスベクターを生じさせることができる。ウイルスベクターが効率的に1またはそれを超える細胞に形質導入する能力を増大させる開示された方法の1つの局面において、開示されたHDAC細胞は、分裂細胞および/または非分裂細胞(例えば、例えば、脳の有糸分裂終了ニューロンなど)に効率的に形質導入することができるウイルスベクターを生じさせることができる。
【0341】
ウイルスベクターが効率的に1またはそれを超える細胞に形質導入する能力を増大させる開示された方法の1つの局面において、方法はさらに、治療有効量の生じた最適化ウイルスベクターを投与することを必要とする対象に投与することを含むことができる。1つの局面において、それを必要とする対象は、遺伝的な欠損または障害を有する対象を含むことができる。例えば、1つの局面において、対象は、NDD関連遺伝子に影響を及ぼす遺伝的な欠損または障害を有し得る。
【0342】
1つの局面において、ウイルスベクターが効率的に1またはそれを超える細胞に形質導入する能力を増大させる開示された方法は、対象(例えば、遺伝的な疾患もしくは障害または神経学的な疾患もしくは障害を有するヒトなど)におけるインビボ使用のための、すべてがそろった遺伝子治療送達システムの一部とすることができる。
D.その他
【0343】
本明細書中には、Sp1およびNF-kBが含有されるベクターを含む、配列番号01で提供される組成物が開示される。本明細書中には、GFPに対するgRNAを保有し、配列番号02で提供される、Sp1およびNF-kBを含有するベクターを含む組成物が開示される。本明細書中には、GFPに対するgRNAを含む、配列番号05または配列番号06で提供される組成物が開示される。
【0344】
本明細書中には、HDAC2のORFを含む、配列番号08で提供される組成物が開示される。本明細書中には、HDAC3のORFを含む、配列番号09で提供される組成物が開示される。本明細書中には、HDAC4のORFを含む、配列番号10で提供される組成物が開示される。本明細書中には、HDAC6のORFを含む、配列番号11で提供される組成物が開示される。本明細書中には、HDAC8のORFを含む、配列番号12で提供される組成物が開示される。
【0345】
本明細書中には、shRNAクローンTRCN0000195467が標的としている、配列番号19で提供されるHDAC1配列を含む組成物が開示される。本明細書中には、shRNAクローンTRCN0000004819が標的としている、配列番号20で提供されるHDAC2配列を含む組成物が開示される。本明細書中には、shRNAクローンTRCN0000194993が標的としている、配列番号21で提供されるHDAC3配列を含む組成物が開示される。本明細書中には、shRNAクローンTRCN0000004832が標的としている、配列番号22で提供されるHDAC4配列を含む組成物が開示される。本明細書中には、shRNAクローンTRCN0000004839が標的としている、配列番号23で提供されるHDAC6配列を含む組成物が開示される。本明細書中には、shRNAクローンTRCN0000004839が標的としている、配列番号24で提供されるHDAC8配列を含む組成物が開示される。
【0346】
本明細書中には、哺乳動物遺伝子を標的としないスクランブルshRNAを運搬する、配列番号25で提供されるpLK0.1ウイルスベクター骨格を含む組成物が開示される。本明細書中には、HDAC1 shRNAを運搬する、配列番号26で提供されるpLK0.1ウイルスベクター骨格を含む組成物が開示される。本明細書中には、HDAC2 shRNAを運搬する、配列番号27で提供されるpLK0.1ウイルスベクター骨格を含む組成物が開示される。本明細書中には、HDAC3 shRNAを運搬する、配列番号28で提供されるpLK0.1ウイルスベクター骨格を含む組成物が開示される。本明細書中には、HDAC4 shRNAを運搬する、配列番号29で提供されるpLK0.1ウイルスベクター骨格を含む組成物が開示される。本明細書中には、HDAC6 shRNAを運搬する、配列番号30で提供されるpLK0.1ウイルスベクター骨格を含む組成物が開示される。本明細書中には、HDAC8 shRNAを運搬する、配列番号31で提供されるpLK0.1ウイルスベクター骨格を含む組成物が開示される。
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【実施例
【0347】
VII.実施例
CRISPR/Cas9システムは、遺伝子配列および遺伝子発現の前例のない制御をヒトを含めて多くの種においてもたらすことによってゲノム編集の分野に大変革をもたらしている。レンチウイルスベクター(LV)は、大きなDNAペイロードに適応し、かつ広範囲の分裂細胞および非分裂細胞における堅固な発現を持続させるその能力に起因して、CRISPR/Cas9システムのための主要な送達プラットフォームの1つである。インビボにおける有糸分裂終了ニューロンへのレンチウイルスベクターの効率的な形質導入を明らかに示す最初の刊行物(Naldini Lら(1996)、Science.272(5259):263-267)以降、数千の研究が、CNSならびに他の組織および器官への遺伝子送達のためのHIV系ベクターの使用を探索してきた。このベクターは、パーキンソン病、アルツハイマー病、ウィスコット・アルドリッチ症候群、X連鎖副腎白質ジストロフィー、異染性白質ジストロフィーなどが含まれる多くの臨床試験において首尾よく使用されている(このことが、Kantor Bら(2014)、Adv Genet、87:71-124において総説される)。レンチウイルスが、SNCA遺伝子をエピジェネティックに標的とするために使用された(Kantor Bら(2018)、Mol Ther.、26(11):2638-2649)。
【0348】
その成功にもかかわらず、インテグラーゼコンピテントベクター(ICLV)の広範な使用が、挿入変異誘発の比較的高いリスクによって妨げられ得る(Ortinski PIら(2017)、Mol Ther Methods Clin Dev.、5:153-164)。さらに、LVが送達するCas9/gRNAの長期の発現が、非特異的なRNA-DNA相互作用およびオフターゲットのDNA擾乱によって特徴づけられる望ましくないオフターゲット影響を引き起すことがある(Ortinski PIら(2017)、Mol Ther Methods Clin Dev.、5:153-164)。これらの短所を避けるための明白な選択がアデノ関連ベクター(AAV)の使用であろう。実際、様々なAAVベクターが近年では、CRISPR/Cas9成分の送達のための広く採用されているプラットフォームになってきている。しかしながら、CRISPR/Cas9導入遺伝子の大きいサイズが、重大な負担をAAVのパッケージング能に強いている(このことが、Rittiner JEら(2020)、Front Mol Neurosci.、13:148において総説される)。AAVベクターとは対照的に、インテグラーゼ欠損レンチウイルスベクター(IDLV)は大きいパッケージング能(最大で11kbs)を有しており、そのため、CRISPR/Cas9送達のためにより好適である。加えて、IDLVでは、広範囲の細胞向性および組織向性、ならびに示された最小限の細胞傷害性および免疫原性が明らかにされる。重要なことに、IDLVは非常に弱い組み込み能を保持しており、そのため、そのインテグラーゼコンピテント対応物よりも安全である。
【0349】
しかしながら、AAVの大きいベクターコピー数は、重篤な毒性を非ヒト霊長類において引き起こす可能性があり、このことから、ウイルスベクターの製造技術を改善することの差し迫った必要性が強調される。実際、製造実務に直接に関連づけられる重大な安全上の懸念が最近では、デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)を対象とした第I/II相臨床試験であるIGNITE研究を後退させた。(この臨床試験を主導した)スポンサー企業は、SGT-001(新規なAAV系システム)が注射される2人の患者が重大な有害事象を経験したことを発表した。AAVをX連鎖筋細管ミオパシー(XMTM)の小児において使用する異なる臨床試験において、スポンサー企業は、死亡した3名の少年が高用量の実験用ベクターを受けたことを報告した。なおもさらに、スポンサー企業は、Lenti-Globin(鎌状赤血球病のための遺伝子治療)を評価する臨床試験を、5年超の前に処置された患者が急性骨髄性白血病(AML)を発症した後で中断した。スポンサー企業は最近、利用されたウイルス発現カセットに関連づけられ得る類似する毒性上の懸念を引用して、治験のSMA1遺伝子治療であるBIIB089の開発の終了を発表した。すべてのそれらの研究において、重大な懸念が、ウイルスベクター製造プロセスの安全性、効率および拡大縮小可能性に関して表されている。
【0350】
ウイルス媒介遺伝子移入は、神経系への治療用カーゴの送達のための選り抜きの方法を表す。極めて重要なことに、ウイルス媒介遺伝子移入は通常の場合、それが遺伝性障害のための遺伝子置換戦略であれ、CNSの疾患および障害を処置するためのゲノム改変構築物またはエピゲノム改変構築物の送達であれ、単回注射のみを必要とする。したがって、相当の努力が、CNSを含めて異なる組織および器官への遺伝子移入のための改善されたベクターシステムの開発に向けられてきたことは理解できる。様々な異なるウイルスベクターは当然のことながら、それらの具体的な適用に合わせられるが、しかし、一般には、いくつかの重要な特性を共有しなければならない。
【0351】
下記に提供される具体的な実施例では、理想的なウイルスベクターが、大きいパッケージング能(これは特大のCRISPR/Casツールの送達のためにとりわけ有益である)、堅固で、かつ持続した発現と対になる効率的な遺伝子移入、発癌性、毒性および病原性の欠如を含めて改善された安全性、ならびに臨床適用のための拡大縮小可能な製造を組み込んでいることが明らかにされる。
実施例1
レンチウイルスベクターカセットプラスミドの構築
【0352】
図1Aに示されるように、2つのレンチウイルスベクターカセットプラスミドを構築した。上段のバージョンはSp1結合部位を欠いており、一方で、下段のバージョンは2つのSp1結合部位を含有する。他の調節エレメントとして、プライマー結合部位(PBS)、スプライスドナー(SD)およびスプライスアクセプター(SA)、セントラルポリプリントラクト(cPPT)およびポリプリントラクト(PPT)、Rev応答エレメント(RRE)、ウッドチャック肝炎ウイルスの転写後調節エレメント(WPRE)、ならびにレトロウイルスベクターパッケージングエレメント(psi(ψ)シグナル)が含まれる。ヒトサイトメガロウイルス(hCMV)プロモーター、コア伸長因子1αプロモーター(EFS)およびヒトU6プロモーターもまた含まれる。この自己不活性化ベクター(SIN)カセットプラスミドは3’-LTRのU3領域における欠失(-18bps~-418bps)を有している(DU3)。ポリリンカー部位は、sgRNAのクローニングのために、およびその検証のためにそれぞれ使用される一対のBsmBI部位と、独特のBsrGI部位とを含有する。
【0353】
この目的のために、図1Bは、Sp1部位の有無による組み込み型(ICLV)および非組み込み型(IDLV)のウイルス粒子の産生力価を示す。結果が、1ngのp24gagを1×10個の粒子と同等と見なすコピー数/ミリリットルで記録された。図1Cは、ピューロマイシン耐性コロニーを計数することによって決定される全体的なICLV産生力価を示す。結果が、Sp1含有ベクターから得られるコロニー数と、Sp1非含有ベクターから得られるコロニー数との間の比として示される。棒グラフのデータは三連の実験からの平均±SDを表す。
実施例2
CRISPR/Cas9媒介ノックアウトの効率
【0354】
eGFP枯渇のレベルを、ICLVおよびIDLVによって送達されるsgRNAについて、形質導入後(pt)の7日目、14日目および21日目での蛍光活性化細胞選別アッセイによって評価した。ナイーブHEK293T-eGFP細胞(GFPウイルスにより形質導入されない細胞)およびsgRNA非発現細胞(sgRNA非存在)が対照として役立った。形質導入後に残存するGFP陽性細胞の百分率を記録した。y軸は側方散乱を表し、一方で、x軸はMFIを表す。実施例3
実施例3
オンターゲットDNA切断の評価
【0355】
図3Aは、IDLVおよびICLVによって送達されるCRISPR/Cas9のDNA切断のオンターゲット評価を示す。評価を、IDLV-sgRNA1/Cas9およびICLV-sgRNA1/Cas9により形質導入されるGFP陽性細胞を様々なMOIで使用して形質導入後7日で行った。図3Bは、ICLV-ベクターまたはIDLV-ベクターのどちらかにより形質導入されたサンプルの標的InDelに関して評価するためのサンガー法の使用を示す。オンターゲット変異の割合を7日目に決定した。図3Cは、ICLV-CRISPR/Cas9(濃い棒;配列番号32~配列番号41を参照のこと)およびICLV-CRISPR/Cas9(薄い棒;配列番号42~配列番号51を参照のこと)によって誘導されるInDelの形成を例示する。InDelを、変異した配列を有する読み取りと総読み取りとの(百分率での)比率として計算した。
実施例4
標的遺伝子のインビボ枯渇の評価
【0356】
図4Aは、GABA受容体α2サブユニットをインビボ(ラット)で枯渇させるためのIDLV-CRIPSR/Cas9システムの効力を評価するためのウエスタンブロット分析の使用を示す。2匹の対照動物(ラット)(レーン1および2)および2匹のIDLV-α2/Cas9注射動物(ラット)(レーン3および4)を使用した。チューブリン(DM1A)抗体(約40kDa)を負荷対照として使用した。図4Bは、対照動物およびIDLV-α2/Cas9注射動物からのNAc切片におけるmIPSC法の使用を例示する。図の上部(i)におけるイベント頻度の類似性に留意のこと。3つの異なるニューロンからのmIPSC平均(黒色記録線)は図の下部(ii)において、IDLV-α2/Cas9動物(ラット)からの切片におけるmIPSC持続時間の変動性を例示する。比較を容易にするために、それぞれの記録線を単一の対照ニューロンからのmIPSC平均(灰色記録線)に重ねた。図4Cは、すべての記録されたニューロンからのmIPSC減衰時間の分布を例示する。水平の黒色棒をそれぞれの群についての平均値で中央に置いている。図4Dは、K平均法クラスター分析により、MSNの低速mIPSC群、中速mIPSC群および高速mIPSC群についての中心値が特定されることを例示する(クラスター1、クラスター2およびクラスター3ではそれぞれ、n=1個、5個および5個のIDLV-α2/Cas9細胞、一方で、クラスター1、クラスター2およびクラスター3ではそれぞれ、n=3個、2個および2個の対照細胞)。最後に、図4Eは、mIPSC振幅の変動性がIDLV-α2/Cas9群および対照群における細胞の間で類似していたことを示す。水平の黒色棒をそれぞれの群についての平均値で中央に置いている。
実施例5
HDACノックダウンの検証
【0357】
図5A図5BはHEK293T細胞におけるヒストンデアセチラーゼ(HDAC)ノックダウンの検証を示す。HEK293T細胞に、HDACに対するshRNAを保有するLVにより形質導入した。ここで、代表的な画像により、HDAC2に対するshRNAと、HDAC8に対するshRNAとを使用して達成されるノックダウンが強調される。図5Aにおいて、上段のグラフは、qRT分析を使用して、ナイーブHEK293T細胞(黒色棒)、HDAC2-shRNAが形質導入されるその細胞(白色棒)、およびHDAC8-shRNAが形質導入されるその細胞(灰色棒)において測定されるHDAC8のmRNAレベルを示す。図5Aにおいて、下段のパネルは、qRT分析を使用して、ナイーブHEK293T細胞(黒色棒)、HDAC2-shRNAが形質導入されるその細胞(白色棒)、およびHDAC8-shRNAが形質導入されるその細胞(灰色棒)において測定されるHDAC2のmRNAレベルを示す。図5Bは、HDAC2形質導入細胞およびHDAC8形質導入細胞から調製される細胞溶解物に対して行われたWBによって評価されるHDAC8およびHDAC2のタンパク質レベルを示す。ヒトアクチンを負荷対照として使用した。示されるように、HDAC8の特異的かつ堅固なノックダウンが、HDAC8が標的となった細胞において達成され、その一方で、HDAC2タンパク質のレベルが、HDAC2 KD細胞株において効率的に減少した。
実施例6
HDAC枯渇細胞において生じるベクターの評価
【0358】
図6は、ナイーブ細胞、HDAC1、HDAC2、HDAC3、HDAC4およびHDAC8に対するshRNAを担持する細胞、ならびに酪酸ナトリウム(Bu)により2.5mMで処理される細胞において生じるIDLVベクターの効率的な産生を示す。プロットは、記載(Tagliafierro Lら(2019)、J Vis Exp.(145):10.3791/59241)のようなp24gag ELISAを使用する産生の量測定を報告する。さらなる正規化が、HEK293T細胞への形質導入のための等しいウイルス量を適用するために行われる。
実施例7
HDAC枯渇細胞において生じるベクターにおける導入遺伝子発現の評価
【0359】
図7は、HDAC1、HDAC2、HDAC3、HDAC4およびHDAC8のそれぞれに対する、ヘアピンを保有するshRNAウイルスで形質導入される細胞、ならびに酪酸ナトリウム(Bu)により2.5mMで処理される細胞におけるGFP発現の可視化を報告する。ウイルス量を正規化するために、等しい濃度のp24含有量を使用した。GFP発現を、記載(Tagliafierro Lら(2019)、J Vis Exp.(145):10.3791/59241)のような蛍光顕微鏡観察法を使用して評価した。
実施例の概要
【0360】
酪酸ナトリウム(SB)はAAVベクターおよびLVベクターの両方のエピソームゲノムの発現および産生を増加させた(Kantor Bら(2009)、Proc Natl Acad Sci USA.、106(44):18786-18791;Monahan PEら(2010)、Mol Ther.、18(11):1907-1916)。しかし、SBは、細胞周期停止、細胞分化における変化、およびアポトーシスシグナル伝達を含めたその広範なオフターゲット影響のために、ベクターの産生および発現を増強させるために使用することができない。
【0361】
この技術的障害を克服するために、本明細書中に提示されるデータは、IDLVベクター、およびAAVのような他の非組込み型ベクターの産生および発現が、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)活性をプロデューサー細胞株において妨害することによって実質的に増強されたことを示す。実際、HDAC欠失細胞から生じるベクターは、実質的により高い産生力価であり、(ナイーブHEK293T細胞または野生型HEK293T細胞の発現特徴と比較して)より良好な発現特性を有した。具体的には、本明細書中に提供される実施例は、HDACを不活性化する(それにより、エピソーム型ウイルスのパッケージング能および発現能を妨害する、かつ/または妨げる抑制性クロマチン構成を除く)ための機能喪失スクリーニング方法を記載する。
【0362】
この方法を使用して、HDAC8が、IDLV発現およびIDLV産生の負の調節のための重要な因子として特定された。これらのデータは、特異的ノックダウンを介するHDAC8の不活性化がIDLVゲノムの非常に実質的なアップレギュレーションをもたらしたことを明らかに示す。これらの結果は、CRISPR/Casが含まれる広範囲の基礎研究ツールおよび治療ツールの効率的な産生のためのAAV、LV(IDLVおよびICLV)、ならびに他のウイルスおよびベクターを生じさせるために拡張され得る、HDAC8が枯渇するHEK293T細胞に基づくプロデューサー細胞株を作り出すための道を開いた。
【0363】
そのうえ、本明細書中に記載される新規なプロデューサー細胞の開発により、遺伝子治療に関連づけられるいくつかの大きな課題が回避される。具体的には、開示された最適化ウイルスベクターは、(i)特大のCRISPR/Cas9成分の送達(これには、例えば、有糸分裂終了ニューロンのような非分裂細胞への送達が含まれる)のための高い効率を有し、(ii)広範囲の細胞向性のための好適性を明らかにし、(iii)低い細胞傷害性および免疫原性を示し、かつ(iv)AAVプラットフォームおよびLVプラットフォームの両方に関連のある高度の製造技術との適合性を示す。本明細書中に開示される組成物および方法により、AAVベクターおよびLVベクターの両方の利点を合わせ持ち、一方で、これらのベクターの知られている制限を最小限に抑える遺伝子送達システムが提供された。
図1
図2
図3-1】
図3-2】
図3-3】
図3-4】
図4-1】
図4-2】
図5
図6
図7
図8
図9-1】
図9-2】
【配列表】
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【国際調査報告】