IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ シェンク ロテック ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツングの特許一覧

特表2024-525734遠心応力下における回転ロータのロータ角度ベースの膨張測定方法
<>
  • 特表-遠心応力下における回転ロータのロータ角度ベースの膨張測定方法 図1
  • 特表-遠心応力下における回転ロータのロータ角度ベースの膨張測定方法 図2
  • 特表-遠心応力下における回転ロータのロータ角度ベースの膨張測定方法 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-12
(54)【発明の名称】遠心応力下における回転ロータのロータ角度ベースの膨張測定方法
(51)【国際特許分類】
   G01M 1/16 20060101AFI20240705BHJP
【FI】
G01M1/16
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024501767
(86)(22)【出願日】2022-07-06
(85)【翻訳文提出日】2024-03-11
(86)【国際出願番号】 DE2022100482
(87)【国際公開番号】W WO2023284913
(87)【国際公開日】2023-01-19
(31)【優先権主張番号】102021118105.4
(32)【優先日】2021-07-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511040469
【氏名又は名称】シェンク ロテック ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100162824
【弁理士】
【氏名又は名称】石崎 亮
(72)【発明者】
【氏名】ハートナーゲル マティアス
【テーマコード(参考)】
2G021
【Fターム(参考)】
2G021AB10
2G021AC03
2G021AD10
2G021AK11
(57)【要約】
ロータ回転速度に基づいて回転ロータ(5)の膨張を測定する方法において、第1の距離センサ(14)がロータ表面からある距離で配置され、距離センサは、ロータ表面と第1の距離センサ(14)との間の距離を時間ベースで非接触に検出し、時間ベースの第1の電気距離信号を生成する。ゼロマークセンサ(16)は、ロータ(5)に施工されたゼロマークを時間ベースでスキャンする。第2の距離センサ(15)は、ロータ(5)の軸方向において第1の距離センサ(14)から離間して且つ膨張及び表面プロファイルが既知である基準表面(19)上に配置される。外乱変数を除去するために、第2の距離センサによって検出された信号は、第1の距離センサの信号に対してオフセットすることができる。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロータ回転速度に基づいて回転ロータ(5)の膨張を測定する方法であって、
第1の距離センサ(14)が、ロータ表面から基本距離に配置されて、前記ロータ表面と前記第1の距離センサ(14)との間の距離を時間ベースで非接触に検出し、時間ベースの第1の電気距離信号を生成し、
ゼロマークセンサ(16)が前記ロータ(5)に割り当てられ、前記ロータ(5)に施工されたゼロマークをスキャンして、時間ベースの電気ゼロマーク信号を生成し、
前記時間ベースの第1の電気距離信号及び前記時間ベースの電気ゼロマーク信号が、電気評価デバイス(17)に供給されて、前記ゼロマーク信号からロータ回転の各瞬間に割り当てられた回転速度及び回転角度を計算することによって処理され、ある瞬間に割り当てられた各回転角度が同時距離信号と組み合わされて回転角度関連距離信号になり、これから前記回転角度及び前記回転速度に依存する前記ロータ(5)の膨張が計算され、
第2の距離センサ(15)が、前記ロータ(5)の軸方向において前記第1の距離センサ(14)から離間し且つ膨張及び表面プロファイルが既知である第1の基準表面(19)上において、前記基準表面(19)から基本距離に配置され、前記第2の距離センサは、前記第2の距離センサ(15)からの前記基準表面(19)の距離を時間ベースで非接触に検出して、時間ベースの第2の電気距離信号を生成して前記電気評価デバイス(17)に供給され、
第3の距離センサ(21)が、前記ロータ(5)の軸方向において前記第1及び第2の距離センサ(14,15)から離間し且つ膨張及び表面プロファイルが既知である別の第2の基準表面(20)上において、第2の基準表面(20)から基本距離に配置され、前記第3の距離センサは、前記基準表面(20)と前記第3の距離センサ(21)との間の距離を時間ベースで非接触に検出して、時間ベースの第3の電気距離信号を生成して前記電気評価デバイス(17)に供給され、前記電気評価デバイス(17)が、前記第2及び第3の電気距離信号を処理して、前記第1の距離センサ(14)によって検出された前記第1の距離信号を補正し、前記第2の距離信号(15)及び前記第3の距離信号(21)から前記表面の既知の膨張及び表面プロファイルを差し引いた後、そこに残る干渉振動が三角法によって前記第1距離センサ(14)の前記第1の距離信号から幾何学的に比例して除去されるようにする、方法。
【請求項2】
前記表面の既知の膨張及びプロファイルに加えて、前記第2の距離信号及び前記第3の距離信号をオフセットすることによって干渉変数として除去することにより、前記ロータ(5)の傾斜又は勾配もまた考慮され、前記第1の距離センサ(14)の前記第1の距離信号から前記第2の距離信号に残る前記干渉振動が、前記第2の距離信号から除去される、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
少なくとも1つの付加的な、特に第4の距離センサが設けられ、前記第4の距離センサが、前記基準表面(19、20)の1つから基本距離に配置されて、前記第4の距離センサからの前記基準表面(19、20)の距離を時間関連で非接触で検出し、時間関連の第4の電気距離信号を生成して前記電気評価デバイス(17)に供給され、前記第4の距離センサは、前記基準表面(19、29)上に配置された別の距離センサ(15、21)と共に、円周方向において前記第2及び第3の距離センサ(15、21)に対して異なる角度で配置されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
更なる距離センサが更なる基準表面に設けられている、ことを特徴とする、請求項1~3の何れかに記載の方法。
【請求項5】
ロータ回転速度に基づいて回転ロータ(5)の膨張を測定する方法であって、
第1の距離センサ(14)が、ロータ表面から基本距離に配置されて、前記ロータ表面と前記第1の距離センサ(14)との間の距離を時間ベースで非接触に検出し、時間ベースの第1の電気距離信号を生成し、
ゼロマークセンサ(16)が前記ロータ(5)に割り当てられ、前記ロータ(5)に施工されたゼロマークをスキャンして、時間ベースの電気ゼロマーク信号を生成し、
前記時間ベースの第1の電気距離信号及び前記時間ベースの電気ゼロマーク信号が、電気評価デバイス(17)に供給されて、前記ゼロマーク信号からロータ回転の各瞬間に割り当てられた回転速度及び回転角度を計算することによって処理され、ある瞬間に割り当てられた各回転角度が同時距離信号と組み合わされて回転角度関連距離信号になり、これから前記回転角度及び前記回転速度に依存する前記ロータ(5)の膨張が計算され、
第2の距離センサ(15)が、前記ロータ(5)の軸方向において前記第1の距離センサ(14)から離間し且つ膨張及び表面プロファイルが既知である基準表面(19)上において、前記基準表面(19)から基本距離に配置され、前記第2の距離センサは、前記第2の距離センサ(15)からの前記基準表面(19)の距離を時間関連で非接触に検出して、時間関連の第2の電気距離信号を生成して前記電気評価デバイス(17)に供給されて処理されることにより、前記第1の距離センサ(14)によって検出された前記第1の距離信号を補正し、前記第2の距離信号から前記表面の既知の膨張及びプロファイルを差し引いた後、そこに残る干渉振動が、三角法及び前記ロータ(5)の既知のピボット点によって前記第1距離センサ(14)の前記第1の距離信号から幾何学的に比例して除去されるようにする、方法。
【請求項6】
前記距離センサ(14、15、21)の基本距離を決定するために、低回転速度での複数の基準運転から平均値が形成される、ことを特徴とする、請求項1~5の何れかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遠心応力下の回転ロータのロータ角度ベースの膨張を1つのセンサのみで測定する方法に関し、膨張及び表面プロファイルが既知であり且つ外乱変数を決定するのに使用される基準表面の膨張を測定するために別のセンサが設けられる。
【背景技術】
【0002】
ロータは遠心力負荷を受けることによって拡大し、すなわちロータの直径が増大する。最も単純な場合、膨張は、回転速度に対して2次関数的に増加する。目的の用途の間にロータが受ける膨張の程度を正確に知り、その膨張を考慮できるようにしたい場合、膨張は、ロータの回転中に測定がなされる必要がある。ロータの膨張を確認するための従来適用されている方法では、ロータの直径の変化に関する結果のみ得られていた。しかしながら、一部の事例では、単一のロータセグメントの膨張も重要である。
【0003】
ロータの回転中、ロータ振動が発生する可能性があり、これは、距離センサによって生成された距離信号に含まれる。これらロータ振動は、アンバランス又は衝撃によって引き起こされる1次振動とすることができる。更に、ロータ軸受、例えば滑り軸受の影響に起因して振動が発生する可能性があり、その周波数は、1次振動の周波数より小さいか又は大きい。更に、その周りでロータが振動するロータ中心は、異なる速度でシフトする可能性がある。ロータは通常、滑り軸受の垂直な回転軸で取り付けられており、従って、横方向に移動し、異なる回転速度で異なる安定点を取ることができる。上述の影響及び特にロータシャフトの回転速度に依存したシフトは、外乱変数又は外乱振動として知られており、測定された距離信号に重畳することにより、測定結果の精度に影響を与える。
【0004】
Gunther,P.et al:光学センサシステムを用いた高速ロータの半径方向膨張及びタンブリング運動の測定。Mechanical Systems and Signal Processing,Vol.25(2011),pp.319~330,光学センサシステムを用いて高速で回転するロータの半径方向の膨張及びタンブリング運動を測定する方法が知られている。センサシステムは、ロータの周囲に沿って同じ高さと角度位置に配置され且つロータからの距離及び互いに120°の角度距離を有する3つのレーザードップラー距離センサを備える。3つの距離センサの正確な角度アライメントを決定するために、センサ信号をトリガーする光学マークがロータに取り付けられ、センサの正確な角度距離を決定するために、3つのセンサのトリガー信号間の時間遅延が、回転周波数との関係で使用される。測定中、センサの電気出力信号は、ロータ回転速度に適合したサンプリング速度でサンプリングされ、回転周波数に応じて、ロータ1回転中に一定数の測定点に到達するように設定される。次いで、各サンプリングステップにおいて、質量中心と半径方向の膨張が、線形方程式系を解くことによって算出され、最終的に、円筒形測定対象物と仮定されたロータに対する半径方向膨張の平均値が、多数の連続測定点から算出される。この際、ロータ膨張は、回転角との関係で決定されるものではない。
【0005】
DE 101 44 643 A1には、ロータ-ステータシステムのステータに接続され且つロータ上に配置されて非接触で測定する複数の距離センサを有する測定システムが記載され、ここでは、ステータとロータの間の半径方向の距離を検出するために、対称位置にある距離センサの2つのペアが配置されている。ロータの変位を決定するために、正反対の符号を有するペアの距離センサの測定信号が加えられる。ロータの半径方向の膨張を決定するために、正の符号を有する4つ全ての距離センサの測定信号が加えられる。ロータ膨張の回転角関連の検出手段は設けられていない。
【0006】
DE 102013 110 632 B4では、距離信号が互いに精巧にオフセットされた2つの距離センサによってロータの膨張を測定する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】ドイツ国特許DE 101 44 643 A1号明細書
【特許文献2】ドイツ国特許DE 102013 110 632 B4号明細書
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Gunther,P.他:光学センサシステムを用いた高速ロータの半径方向膨張及びタンブリング運動の測定。Mechanical Systems and Signal Processing,Vol.25(2011),pp.319~330
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、本発明は、ロータ回転速度の関数として回転ロータの膨張を測定するための方法を提示するという目的に基づいており、本方法において、生じる干渉変数を容易に除去することができる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的は、請求項1及び請求項5の特徴部によって達成される。好ましい実施形態が従属請求項に提示される。
【0011】
本発明によれば、目的は、ロータ回転速度に基づいて回転ロータの膨張を測定する方法が提供され、ここで、第1の距離センサが、ロータ表面から基本距離に配置されて、ロータ表面と第1の距離センサとの間の距離を時間ベースで非接触に検出し、時間ベースの第1の電気距離信号を生成し、
ゼロマークセンサがロータに割り当てられ、ロータに施工されたゼロマークをスキャンして、時間ベースの電気ゼロマーク信号を生成し、時間ベースの第1の電気距離信号及び時間ベースの電気ゼロマーク信号が、電気評価デバイスに供給されて、時間ベースのゼロマーク信号からロータ回転の各瞬間に割り当てられた回転速度及び回転角度を計算することによって処理され、ある瞬間に割り当てられた各回転角度が同時距離信号と組み合わされて回転角度関連距離信号になり、これから回転角度及び回転速度に依存するロータの膨張が計算され、
第2の距離センサが、ロータの軸方向において第1の距離センサから離間し且つ膨張及び表面プロファイルが既知である第1の基準表面上に第1の基準表面から基本距離に配置され、第2の距離センサは、第2の距離センサからの第1の基準表面の距離を時間ベースで非接触に検出して、時間ベースの第2の電気距離信号を生成して電気評価デバイスに供給され、
第3の距離センサが、ロータの軸方向において第1及び第2の距離センサから離間し且つ膨張及び表面プロファイルが既知である別の第2の基準表面上に第2の基準表面から基本距離に配置され、第3の距離センサは、第2の基準表面と第3の距離センサとの間の距離を時間ベースで非接触に検出して、時間ベースの第3の電気距離信号を生成して電気評価デバイスに供給され、電気評価デバイスが、第2及び第3の電気距離信号を処理して、第1の距離センサによって検出された第1の距離信号を補正し、第2の距離信号及び第3の距離信号から表面の既知の膨張及び表面プロファイルを差し引いた後、そこに残る干渉振動が三角法によって第1距離センサの第1の距離信号から幾何学的に比例して除去されるようにする。
【0012】
本発明によれば、目的はまた、ロータ回転速度に基づいて回転ロータの膨張を測定する方法が提供され、ここで、第1の距離センサが、ロータ表面から基本距離に配置されて、ロータ表面と第1の距離センサとの間の距離を時間ベースで非接触に検出し、時間ベースの第1の電気距離信号を生成し、
ゼロマークセンサがロータに割り当てられ、ロータに施工されたゼロマークをスキャンして、時間ベースの電気ゼロマーク信号を生成し、時間ベースの第1の電気距離信号及び時間ベースの電気ゼロマーク信号が、電気評価デバイスに供給されて、時間ベースのゼロマーク信号からロータ回転の各瞬間に割り当てられた回転速度及び回転角度を計算することによって処理され、ある瞬間に割り当てられた各回転角度が同時距離信号と組み合わされて回転角度関連距離信号になり、これから回転角度及び回転速度に依存するロータの膨張が計算され、
第2の距離センサが、ロータの軸方向において第1の距離センサから離間し且つ膨張及び表面プロファイルが既知であるロータ表面上にロータ表面から基本距離に配置され、第2の距離センサは、第2の距離センサからの基準表面の距離を時間関連で非接触に検出して、時間関連の第2の電気距離信号を生成して電気評価デバイスに供給されて処理されることにより、第1の距離センサによって検出された第1の距離信号を補正し、第2の距離信号から表面の既知の膨張及びプロファイルを差し引いた後、そこに残る干渉振動が、三角法及びロータの既知のピボット点によって第1距離センサの第1の距離信号から幾何学的に比例して除去されるようにする。
【0013】
第3の距離センサが、第1の基準表面から基本距離に配置され、第3の距離センサからの表面の距離を時間関連で非接触で検出し、時間関連の第3の電気距離信号を生成して電気評価デバイスに供給し、ロータの傾斜又は勾配が、第2の距離信号及び第3の距離信号をオフセットすることによって外乱変数として除去され、第1の距離センサの第1の距離信号から第2の距離信号に残る外乱振動が第2の距離信号から除去されることを提供することができる。その結果、ロータの傾斜は、干渉変数として幾何学的に決定され、ロータの膨張信号から正しい重み付けで除去されるという点で、ロータの傾斜を考慮することができる。
【0014】
本発明により、測定により記録されたロータ表面のトラックの各点について、遠心力によって引き起こされ且つ回転速度に依存するロータの膨張を決定することができ、何れかの外乱変数を考慮してゼロ点に関連する回転角度により決定される。
【0015】
膨張の測定は、膨張が既知である基準表面上でも行われるので、外乱変数は、実際の距離測定と同時に簡単な方法で決定することができ、ロータ上の距離測定値から差し引かれる。これにより、わずか数個のセンサによる簡単な測定が可能となり、迅速に実施することができる。公知の測定方法では、ロータ測定トラック1つにつき2つのセンサを使用しなければならない。これに対し、本発明による方法では、1つの測定トラックにつき1つのセンサで十分である。本発明の目的のために、基準表面はロータの部品、部分又は領域とすることができる。
【0016】
基準表面はまた、ロータに接続することができ、膨張が既知であり、例えばロータにねじ止めすることができ、又は他の方法で固定することができる部品、部品又は領域とすることもできる。これは、基準ピンのような少なくとも1つの基準表面を有する基準構成要素とすることができる。基準表面の膨張は、別個の測定で事前に決定することもでき、又は表面の性質により無視できるほど小さくすることもできる。
【0017】
軸受の等方性が与えられない場合、有利には、少なくとも1つの追加の、特に第4及び第5の距離センサが設けられ、距離センサは、基準表面の1つから基本距離で配置され、第4の距離センサからの表面の距離を時間関連で非接触で検出して、時間関連の第4の電気距離信号を生成して電気評価デバイスに供給され、第4の距離センサは、基準表面上に配置された距離センサの別のものと共に、既に導入された第2及び第3のセンサに対して円周方向に異なる角度(好ましくは90°又はそれ以下)で配置されることを提供することができる。これにより、その効果を相応に考慮することができる。
【0018】
以下、図面に例示される実施形態を参照して本発明をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】回転ロータの膨張を測定するデバイスの概略図である。
図2】2つの基準表面を有する概略的な測定セットアップを示す図である。
図3】1つの基準表面を有する概略的な測定セットアップを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は、高速スピニング用及び回転ロータの膨張測定用の例示的なデバイスを示しており、本発明の実施形態の1つの実施可能な応用を概略的に例示している。デバイスは、測定運転中に回転ロータを受け入れて取り囲む円筒形保護容器1を備える。保護容器1は、カバー2で閉鎖することができ、その上側には、保護容器1の外側に位置して、シャフト4を備えたギアボックス3が配置されている。シャフト4は、カバー2を貫通して案内され、カバー2の下側に測定されるロータ5を固定するためのフランジを有する。シャフト4は、ベルトドライブ7によってギアボックス3に接続された電気モータ6によって駆動される。カバー2は、油圧リフティングユニット9のアーム8に取り付けられ、これによりリッド2を保護容器1から持ち上げてその上に置くことができる。リフティングユニット9の油圧制御は、リフティングユニット9のフレーム上に配置されたハウジング10に収容されている。密閉された保護容器1は、駆動損失及び容器内部の過度の加熱を避けるため、真空ポンプ11によって排気することができる。電気制御ユニット12は、電気モータ6、リフティングユニット9及び真空ポンプ11を制御する役割を果たす。
【0021】
ロータ5の膨張を測定するために、非接触測定距離センサ14をロータ表面から短距離でカバー2に取り付けることができる。別の距離センサ15は、基準表面(この場合はピン)を用いて概略的に示された構成要素からある距離で配置することができる。この配置も図3に概略的に示されている。
【0022】
更に、シャフト4上のゼロマークをスキャンするゼロ点センサ16が、シャフト4の露出部分に隣接してカバー2上に配置される。ロータ5はフランジを用いてシャフト4に固定接続されているので、ゼロマークのスキャンはロータ5にも適用される。距離センサ14、15及びゼロ点センサ16は、評価プログラムがプログラムされたコンピュータを含む評価デバイス17にライン(図示せず)により接続されている。距離センサ14、15はアナログ電圧を発生し、これは、評価デバイス17の入力においてデジタル距離信号に変換される。ゼロ点センサ16の電圧信号もデジタル化される。
【0023】
ロータ5の膨張を測定するために、カバー2は、リフティングユニット9によって保護容器1上に置かれる。これによりロータ5及び距離センサ14,15は、保護容器1の内部に入り、ここで制御ユニット12による測定運転を行うことができる。測定運転では、ロータ5は、ギアボックス3及びシャフト4を介して電気モータ6により駆動され、異なる回転速度で回転される。
【0024】
一実施形態では、測定開始時に複数の基準運転を低速で行うことができ、これは、2つの距離センサ14,15間の基本距離を決定するのに役立つ。次いで、膨張を測定するために、ロータ5は極めて高い回転速度まで加速される。一定の回転速度で、2つの距離センサ14、15の距離信号及びゼロマークセンサ16のゼロマーク信号が同時に検出され、評価デバイス17に供給されて、これによって時間ベースで処理される。本発明の本質的な利点は、測定が起動中にも行うことができることであり、これはひいては時間節減に関連する。
【0025】
評価デバイス17は、ゼロマーク信号を使用して距離信号の回転角度基準を計算し、測定が一定速度で行われる実施形態では、複数のロータ回転にわたって測定された距離信号から平均値を計算することができる。始動時に測定する場合、回転速度に対する角度に対する拡大を出力することができる。
【0026】
ここで、評価デバイス17は、2つの距離センサ14,15の各々から角度に関連した、詳細には平均化された距離信号を有する。距離センサ14の距離信号は、回転角度に関連し且つロータ5の膨張に依存する測定距離を含み、これは、回転速度並びに回転角度にも依存する。距離信号はまた、回転速度に依存しない基本距離及び更なる外乱変数も含まれる。同じことが、距離センサ15によって決定された距離信号にも当てはまる。膨張を計算するために、基準表面の距離信号は、ロータ測定トラックの距離信号から減算され、比例減算は、測定トラックの位置の幾何学的比に依存することができ、この幾何学的比は、三角法を使用して決定することができる。その結果、基準表面にも発生する干渉信号が除去される。
【0027】
図2は、2つの基準表面を有する概略的な測定セットアップを示し、図3は、基準ピンの形態の基準構成要素を有する概略的な測定セットアップを示す。上記の例で既に説明したように、ロータ5は、フランジ18を介して駆動シャフトに接続されている。ロータ5とフランジ18の間には領域が存在することができ、この領域は、本発明により基準表面又は基準領域と呼ばれ、遠心応力下での膨張及び表面プロファイルが既知である。これはまた、例えばロータ5にねじ止めされた基準表面又は複数の基準表面を有する基準ピン19のように、ロータ5に接続することができる別個の基準構成要素とすることもできる。ロータ5の設計又はロータ5の測定デバイスへの固定に応じて、ロータ5は、2つの基準ピン19、20の間に1又は2以上の囲みで配置することができる。対照的に、図3には1つの基準ピン19のみが示されている。
【0028】
ゼロ点センサ16は、例えばフランジ18上のゼロマークを検出するために設けられている。更に、非接触で距離信号を検出する距離センサ14が、ロータからある距離で配置されている。更に、基準ピン19とセンサ間の距離信号を検出するために、第2の距離センサ15を設けることができる。図示の実施形態では、第3の距離センサ21が、第2の基準ピン20からある距離で配置されている。
【0029】
図3に高度に簡略化して示された実施形態では、第1の距離センサ14及び少なくとも1つの基準表面を有する基準構成要素19に加えて、第2の距離センサ15のみが設けられている。この場合、第2の距離センサ15によって検出された第2の距離信号から表面の既知の膨張及びプロファイルを差し引いた後、三角法及びロータ5の既知のピボット点を用いて、第1の距離センサ14の第1の距離信号から、そこに残る外乱振動を幾何学的に除去することができる。これにより、ロータ5の傾斜又は勾配も考慮することができる。
【0030】
傾斜はまた、第2の距離信号及び第3の距離信号をオフセットし、第1の距離センサ14の第1の距離信号から第2の距離信号に残る外乱振動を第2の距離信号から除去することにより、外乱変数として排除することで考慮することができる。
【0031】
換言すると、本発明による方法は、(既知のピボット点が与えられた)1つのセンサのみ、又は既知の幾何形状及び回転速度に対する膨張を有する基準表面又は複数の基準表面上の距離信号を検出して、これらを距離センサによって検出されたロータからの距離信号によってオフセットする少なくとも2つの更なるセンサを用いて、遠心応力下で回転ロータのロータ角度に関連する膨張の測定中に生じる干渉成分の除去を可能にする。測定セットアップの設計は簡単であり、干渉成分は、1つの測定レベルにつき1つのセンサのみが必要であり、外乱変数を記録するために1又は2のセンサが追加で必要とされるので、容易に排除することができる。更に、本発明による方法に起因して、始動時の膨張の過渡測定も実施可能である。
【0032】
干渉の影響の減少を更に低減するため、又は三角測量の精度を向上させるため、追加の距離センサを他の基準表面に設けることができる。これらの測定値は、基本的に上述のように考慮される。
【0033】
本発明の別の利点は、回転速度に対する基準表面の膨張及び幾何形状(例えば完全な円形)が既知である場合に、1F特徴(例えば溝)がロータ5における膨張の決定に影響を及ぼさないことである。しかしながら、既知の方法では、複雑な1Fフィルタリングを実行しなければならない。
【符号の説明】
【0034】
1 保護容器
2 カバー
3 ギアボックス
4 シャフト
5 ロータ
6 電気モータ
8 アーム
9 リフティングユニット
10 ハウジング
11 真空ポンプ
12 電気制御ユニット
図1
図2
図3
【国際調査報告】