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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-12
(54)【発明の名称】KCNV2遺伝子治療
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/85 20060101AFI20240705BHJP
   C12N 15/12 20060101ALI20240705BHJP
   C12N 15/864 20060101ALI20240705BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20240705BHJP
   A61K 38/17 20060101ALI20240705BHJP
   A61K 35/76 20150101ALI20240705BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20240705BHJP
【FI】
C12N15/85 Z
C12N15/12 ZNA
C12N15/864 100Z
A61K48/00
A61K38/17
A61K35/76
A61P27/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024501820
(86)(22)【出願日】2022-07-13
(85)【翻訳文提出日】2024-03-08
(86)【国際出願番号】 IB2022056457
(87)【国際公開番号】W WO2023285986
(87)【国際公開日】2023-01-19
(31)【優先権主張番号】63/221,879
(32)【優先日】2021-07-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517271175
【氏名又は名称】メイラグティーエックス ユーケー アイアイ リミティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100138210
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 達則
(74)【代理人】
【識別番号】100203828
【弁理士】
【氏名又は名称】喜多村 久美
(72)【発明者】
【氏名】アナスタシオス ジョージアディス
【テーマコード(参考)】
4C084
4C087
【Fターム(参考)】
4C084AA02
4C084AA13
4C084BA02
4C084MA58
4C084MA66
4C084NA14
4C084ZA33
4C087AA01
4C087AA02
4C087BC83
4C087CA12
4C087MA58
4C087MA66
4C087NA14
4C087ZA33
(57)【要約】
本明細書では、Kv8.2の発現のための発現コンストラクト、ウイルスゲノム、及びベクター、ならびに本明細書で開示されるベクターを含む医薬組成物が提供される。また、本明細書に開示される発現コンストラクト及びベクターを使用する方法であって、網膜疾患の治療を必要とする対象における網膜疾患を治療する方法を含み、網膜疾患は、KCNV2遺伝子における1つ以上の変異に関連しており、本明細書に開示されるベクターを対象に投与することを含む、方法が提供される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)光受容体細胞に発現を与えるプロモーター配列、及び
(b)Kv8.2をコードする核酸配列;
を含む発現コンストラクトであって、前記核酸配列は前記プロモーターに作動可能に連結されている、前記発現コンストラクト。
【請求項2】
前記プロモーター配列が、CAGまたはロドプシンキナーゼ(RK)プロモーター配列である、請求項1に記載の発現コンストラクト。
【請求項3】
前記プロモーター配列が、配列番号8と少なくとも90%同一である配列を含む、請求項2に記載の発現コンストラクト。
【請求項4】
前記プロモーター配列が、配列番号8の配列を含む、請求項3に記載の発現コンストラクト。
【請求項5】
前記プロモーター配列が、配列番号7と少なくとも90%同一である配列を含む、請求項2に記載の発現コンストラクト。
【請求項6】
前記プロモーター配列が、配列番号7の配列を含む、請求項5に記載の発現コンストラクト。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の発現コンストラクトであって、転写後調節エレメントをさらに含む、前記発現コンストラクト。
【請求項8】
請求項7に記載の発現コンストラクトであって、ウッドチャック肝炎ウイルス転写後調節エレメント(WPRE)をさらに含む、前記発現コンストラクト。
【請求項9】
前記WPREが、配列番号11と少なくとも90%同一である配列を含む、請求項7に記載の発現コンストラクト。
【請求項10】
前記WPREが、配列番号11を含む配列を含む、請求項9に記載の発現コンストラクト。
【請求項11】
前記Kv8.2をコードする前記核酸配列がWT KCNV2遺伝子である、請求項1~10のいずれか1項に記載の発現コンストラクト。
【請求項12】
前記Kv8.2をコードする前記核酸配列が、配列番号9と少なくとも90%同一である配列を含む、請求項1~10のいずれか1項に記載の発現コンストラクト。
【請求項13】
前記Kv8.2をコードする前記核酸配列が、配列番号9を含む配列を含む、請求項12に記載の発現コンストラクト。
【請求項14】
前記Kv8.2をコードする前記核酸配列がコドン最適化KCNV2遺伝子配列である、請求項1~10のいずれか1項に記載の発現コンストラクト。
【請求項15】
前記Kv8.2をコードする前記核酸配列が、配列番号10と少なくとも90%同一である配列を含む、請求項1~10のいずれか1項に記載の発現コンストラクト。
【請求項16】
前記Kv8.2をコードする前記核酸配列が、配列番号10を含む配列を含む、請求項15に記載の発現コンストラクト。
【請求項17】
前記Kv8.2をコードする前記核酸配列が、配列番号13と少なくとも90%同一である配列を含むタンパク質をコードする、請求項1~16のいずれか1項に記載の発現コンストラクト。
【請求項18】
前記Kv8.2をコードする前記核酸配列が、配列番号13を含むタンパク質をコードする、請求項17に記載の発現コンストラクト。
【請求項19】
前記発現コンストラクトが、ウシ成長ホルモンポリアデニル化(BGH-ポリA)シグナルをさらに含む、請求項1~18のいずれか1項に記載の発現コンストラクト。
【請求項20】
前記ポリアデニル化シグナルが、配列番号12と少なくとも90%同一である配列を含む、請求項19に記載の発現コンストラクト。
【請求項21】
前記ポリアデニル化シグナルが配列番号12を含む、請求項20に記載の発現コンストラクト。
【請求項22】
請求項1~21のいずれか1項に記載の発現コンストラクトであって、配列番号1~4からなる群から選択される配列と少なくとも90%同一である配列を含む、前記発現コンストラクト。
【請求項23】
請求項22に記載の発現コンストラクトであって、配列番号1~4からなる群から選択される配列を含む、前記発現コンストラクト。
【請求項24】
請求項1~23のいずれか1項に記載の発現コンストラクトを含む、ベクター。
【請求項25】
請求項24に記載のベクターであって、ウイルスベクターである、前記ベクター。
【請求項26】
請求項25に記載のベクターであって、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターである、前記ベクター。
【請求項27】
請求項26に記載のベクターであって、AAV血清型AAV2に由来するゲノムを含む、前記ベクター。
【請求項28】
請求項26または27のいずれか1項に記載のベクターであって、AAV7m8由来のキャプシドを含む、前記ベクター。
【請求項29】
請求項26または27のいずれか1項に記載のベクターであって、AAV5由来のキャプシドを含む、前記ベクター。
【請求項30】
請求項24~29のいずれか1項に記載のベクター及び薬学的に許容される担体を含む、医薬組成物。
【請求項31】
網膜疾患の治療を必要とする対象における網膜疾患を治療するための方法であって、前記網膜疾患が、KCNV2遺伝子における1つ以上の変異と関連しており、請求項24~29のいずれか1項に記載のベクターまたは請求項30に記載の医薬組成物を前記対象に投与することを含む、前記方法。
【請求項32】
前記網膜疾患が、超正常杆体応答を伴う錐体ジストロフィー(CDSSR)である、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
KCNV2の発現の増加を必要とする対象におけるKCNV2の発現を増加させる方法であって、請求項24~29のいずれか1項に記載のベクターまたは請求項30に記載の医薬組成物を前記対象に投与することを含む、前記方法。
【請求項34】
Kv8.2レベルの増加を必要とする対象における光受容体におけるKv8.2レベルを増加させる方法であって、請求項24~29のいずれか1項に記載のベクターまたは請求項30に記載の医薬組成物を前記対象に投与することを含む、前記方法。
【請求項35】
前記ベクターまたは前記医薬組成物を、眼内注射によって投与する、請求項31~34のいずれかに記載の方法。
【請求項36】
前記ベクターまたは前記医薬組成物を、前記対象の網膜中心に注射する、請求項35に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、分子生物学及び医学の分野に関する。より具体的には、本発明は、網膜疾患の治療のための遺伝子治療のための組成物及び方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
Kv8.2は、KCNV2遺伝子によってコードされる電位依存性カリウムチャネルサブユニットである。KCNV2遺伝子は染色体9p24.2に位置し、545アミノ酸のタンパク質をコードする2つのエクソンで構成されている。このタンパク質は、網膜の桿体及び錐体光受容体の内節(エリプソイド及びマイオイド領域)で発現し、ヒト、マウス、及びマカクの外節には存在しない。Kv8.2は、他のカリウムサブユニット、例として、桿体及び錐体内節で発現するKv2.1、及びヒトの錐体で発現するが桿体では発現しないKv2.2と相互作用する。Kv8.2は、Kv2チャネルとさらに相互作用して、それらの生物物理学的特性を変化させる。
【0003】
Kv8.2は、これまでヒト疾患に関与していた唯一のカリウムチャネルサブユニットである。Kv8.2のバリアント/変異は、「超正常桿体反応を伴う錐体ジストロフィー」(CDSSR)として知られる重度の遺伝性光受容体ジストロフィーを引き起こす。CDSSRの症状には、視力の低下、色覚異常、b波振幅の上昇などの網膜電図応答の変化が含まれる。
【0004】
したがって、KCNV2変異(CDSSRを含むが、これに限定されない)に関連する網膜疾患の治療のための新規治療法が緊急に必要とされている。
【発明の概要】
【0005】
一態様では、本開示は、以下:
(a)光受容体細胞において発現を与えるプロモーター配列、及び
(b)Kv8.2をコードする核酸配列;を含む発現コンストラクトであって、
核酸配列はプロモーターに作動可能に連結されている、発現コンストラクトを提供する。
【0006】
実施形態では、プロモーター配列は、CAGまたはロドプシンキナーゼ(RK)プロモーター配列である。実施形態では、プロモーター配列は、配列番号8と少なくとも90%同一である配列を含む。実施形態では、プロモーター配列は配列番号8の配列を含む。他の実施形態では、プロモーター配列は、配列番号7と少なくとも90%同一である配列を含む。実施形態では、プロモーター配列は配列番号7の配列を含む。
【0007】
実施形態では、発現コンストラクトは転写後調節エレメントをさらに含む。実施形態では、発現コンストラクトはウッドチャック肝炎ウイルス転写後調節エレメント(WPRE)をさらに含む。実施形態では、WPREは、配列番号11と少なくとも90%同一である配列を含むか、または配列番号11の配列を含む。
【0008】
実施形態では、Kv8.2をコードする核酸配列は、WT KCNV2遺伝子由来のコード配列(cds)である。実施形態では、Kv8.2をコードする核酸配列は、配列番号9と少なくとも90%同一である配列を含む。実施形態では、Kv8.2をコードする核酸配列は、配列番号9を含む配列を含む。
【0009】
実施形態では、Kv8.2をコードする核酸配列は、コドン最適化KCNV2遺伝子配列である。実施形態では、Kv8.2をコードする核酸配列は、配列番号10と少なくとも90%同一である配列を含む。実施形態では、Kv8.2をコードする核酸配列は、配列番号10を含む配列を含む。
【0010】
いくつかの実施形態では、Kv8.2をコードする核酸配列は、配列番号13と少なくとも90%同一である配列を含むタンパク質をコードする。いくつかの実施形態では、Kv8.2をコードする核酸配列は、配列番号13を含むタンパク質をコードする。
【0011】
実施形態では、発現コンストラクトは、ウシ成長ホルモンポリアデニル化(BGH-ポリA)シグナルをさらに含む。実施形態では、ポリアデニル化シグナルは、配列番号12と少なくとも90%同一である配列を含む。実施形態では、ポリアデニル化シグナルは配列番号12を含む。
【0012】
実施形態では、発現コンストラクトは、配列番号1~4からなる群から選択される配列と少なくとも90%同一である配列を含む。実施形態では、発現コンストラクトは、配列番号1~4からなる群から選択される配列を含む。
【0013】
別の態様では、本開示は、本明細書に開示される発現コンストラクトを含むベクターを提供する。実施形態では、ベクターはウイルスベクターである。実施形態では、ベクターはアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターである。実施形態では、ベクターは、AAV血清型AAV2に由来するゲノムを含む。実施形態では、ベクターは、AAV7m8由来のキャプシドを含む。実施形態では、ベクターは、AAV5由来のキャプシドを含む。
【0014】
別の態様では、本開示は、本明細書に開示されるベクター及び薬学的に許容される担体を含む医薬組成物を提供する。
【0015】
別の態様では、本開示は、網膜疾患の治療を必要とする対象における網膜疾患を治療するための方法であって、網膜疾患は、KCNV2遺伝子における1つ以上の変異と関連しており、本明細書に開示されるベクターまたは医薬組成物を対象に投与することを含む、方法を提供する。実施形態では、網膜疾患は、超正常杆体応答を伴う錐体ジストロフィー(CDSSR)である。
【0016】
別の態様では、本開示は、KCNV2の発現の増加を必要とする対象におけるKCNV2の発現を増加させる方法であって、本明細書に開示されるベクターまたは医薬組成物を対象に投与することを含む、方法を提供する。
【0017】
別の態様では、本開示は、光受容体におけるKv8.2レベルの増加を必要とする対象の光受容体におけるKv8.2レベルを増加させる方法であって、本明細書に開示されるベクターまたは医薬組成物を対象に投与することを含む、方法を提供する。
【0018】
実施形態では、ベクターまたは医薬組成物は、眼内注射によって投与する。開示された方法の実施形態では、ベクターまたは医薬組成物は、対象の網膜中心に注射する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】発現コンストラクト:pCAG-KCNV2 WT、pCAG-KCNV2 Opti、pRT-KCNV2 WT、及びpRT-KCNV2 Optiの概略図を示す。
図2】qPCRにより決定した、ARPE19細胞におけるKCNV2 WT及びKCNV2 OptiのmRNAレベルと比較した、HEK293細胞におけるKCNV2 WT及びKCNV2 OptiのmRNAレベルを示す(トランスフェクションの48時間後)。
図3】pCAG-GFP(上列)、pCAG-KCNV2 Opti(中列)、及びpCAG-KCNV2 WT(下列)をトランスフェクトしたARPE19細胞のKv8.2免疫蛍光を示す。スケールバー=10μm。
図4】FACSによって分析されたHEK293細胞からのデータを示す。Aは、それぞれ、pCAG-KCNV2 WT及びpCAG-KCNV2 Opti発現コンストラクトをトランスフェクトしたHEK293細胞に対する3つの独立した実験からの平均蛍光強度(MFI)を示すFACSデータを示す。Bは、非トランスフェクト対照対pCAG-KCNV2 WTまたはpCAG-KCNV2 Opti発現コンストラクトをトランスフェクトした細胞それぞれにおけるKv8.2-Alexa488陽性細胞集団のパーセンテージを示すFACSデータを示す。コドン最適化(Opti)ベクターと野生型(WT)ベクターとの間で、%Kv8.2陽性細胞に有意差はなかった。
図5】形質導入されたARPE19細胞における形質導入効率を示す。Aは、2つの感染多重度(MOI)で、示されたAAV5ベクターをトランスフェクトしたKv8.2免疫標識ARPE19細胞におけるKv8.2蛍光強度を示す(細胞当たりの平均積分密度)。Bは、2つのMOIで、示されたAAV5ベクターによる形質導入後にKv8.2陽性であったDAPI陽性ARPE19細胞のパーセントを示す。
図6】網膜オルガノイドの形態を示す。網膜オルガノイド全体のライブ明視野イメージング。形質導入が行われた140日目のWT(上段)及びKCNV2 KO網膜オルガノイドの典型的な形態。網膜オルガノイドは積層されており、光受容体の外節(「刷子縁」)、及び時折網膜色素上皮(RPE)のクラスターを有する。WT網膜オルガノイドとノックアウト(KO)網膜オルガノイドの間には、肉眼での形態学的差異は観察されなかった。
図7】KCNV2 KO網膜オルガノイド(K28D5)におけるトランスジェニックKv8.2発現を示す。AAV7m8による形質導入から3週間後の共焦点タイルスキャン分析。シグナルは最外層の光受容体細胞層で検出される。スケールバー=100μm及び10μm。
図8】網膜内細胞のAAV7m8形質導入を示す。Kv8.2及び杆体双極細胞マーカーPKCaで共染色した形質導入網膜凍結切片。WTオルガノイドは、外顆粒層(ONL)に加えて、内顆粒層(INL)(破線でONLから分離されている)にいくつかのKv8.2陽性網膜内細胞(矢印)を含有しているが、Kv8.2陽性形質導入細胞の大部分は外顆粒層にあった。pRK-KCNV2ベクターは、検出可能なKv8.2タンパク質をほとんど生成しなかった(下のパネル)が、AAV7m8 RK-KCVN2 Opti条件(*)のONLではKv8.2陽性光受容体細胞を若干見ることができた。スケールバー=10μm。
図9】RPE細胞のAAV形質導入を示す。光受容体に加えて、オルガノイドにはRPE細胞が存在する。RPEは、インビボで見られるように、光受容体外節に隣接する平面シートではなくクラスター(矢印)として存在する。RPEは極性があり、その頂端面でCRALBPを発現し(A)、核は基底部に位置する(B)。AAVが効率的に形質導入された網膜オルガノイドのRPE細胞では、細胞質全体で高レベルのKv8.2が検出される。対照的に、AAV RK-KCNV2は、RPE細胞において検出可能なレベルのKv8.2発現を生じなかった。
図10】AAV5 pCAG-KCNV2-Opti、AAV5 pRK-KCNV2-Opti、AAV7m9 pCAG-KCNV2-Opti、及びAAV7m9 pRK-KCNV2-Optiによるミュラーグリア細胞の形質導入をそれぞれ示す。CRALBPは、神経網膜に跨り、桿体細胞及び錐体細胞との密着接合を介して外境界膜を形成するミュラーグリア細胞を染色する。ミュラーグリアは、光受容体細胞に近接しているにもかかわらず、Kv8.2については共染色されなかった。
図11】トランスジェニックKv8.2発現が細胞膜及び光受容体内節に局在化していることを示す。ロドプシン及びKv8.2で染色した、CAGプロモーターによって駆動されるコドン最適化KCNV2ベクターとWT KCNV2ベクター(CAG KCNV2-WT及び7m8 CAG KCVN2 Opti)の両方を備えた7m8AAVベクターを形質導入されたクローンK28(分化5)。核はDAPIで対比染色する。
図12】光受容体内節におけるKv8.2とKv.2.1の共局在を示す。WTオルガノイド対AAV5 CAG-WTまたはAAV5 CAG-Optiベクターを形質導入された形質導入KCNV2 KOオルガノイドの高倍率共焦点顕微鏡観察。カリウムチャネルKv2.1は球状内節構造の原形質膜に局在し、ベクター由来のKv8.2はWTと同様の発現パターンで内節内において共発現する。
図13A】WT、対照、及び形質導入網膜オルガノイドにおけるTUNEL染色を示す。DAPI及びアポトーシスの指標であるターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼdUTPニック末端標識(TUNEL)で染色したWT網膜オルガノイド凍結切片の全体共焦点タイルスキャン(倍率40倍)である。TUNEL反応性は、網膜細胞層(INL及びONL)では乏しい~不存在であったが、オルガノイドの中心(破線領域)及び非網膜組織の領域では検出することができた。
図13B】WT、対照、及び形質導入網膜オルガノイドにおけるTUNEL染色を示す。定性的には、WTと比較してKCNV2 KOオルガノイドにおけるTUNEL反応性の増加はなく、AAV7m8で形質導入されたKOオルガノイドにおける増加はなかった。
図13C】WT、対照、及び形質導入網膜オルガノイドにおけるTUNEL染色を示す。定性的には、WTと比較してKCNV2 KOオルガノイドにおけるTUNEL反応性の増加はなく、WTまたはコドン最適化KCNV2を含むAAV5ベクターを形質導入されたKOオルガノイドにおける増加はなかった。
図14】AAV形質導入網膜オルガノイドにおける錐体細胞数を示す。LMオプシン染色を使用して、WT、KCNV2 KO、及び示されたベクターを形質導入されたオルガノイドにおける100μmあたりの錐体数の平均を決定した。各点は、1つの7μm網膜凍結切片から錐体を計数した1つの形質導入オルガノイドを表す。オルガノイド全体を倍率40倍で画像化し、1μmあたりの錐体数を計数した(オルガノイドあたり34~483個の間を計数した)。すべてのオルガノイドは錐体細胞が良好に分布していた。非形質導入KCNV2 KOオルガノイドは、WT非編集対照よりも有意に多くの錐体を有していた(p=0.004、対応のないt検定)。AAV形質導入(すべてのベクターを群分け)によって、WTと比較して錐体数は減少しなかったが(p=0.2)、非形質導入と比較して錐体数が減少した(p=0.02)。エラーバー=標準偏差
図15】qPCRによって決定された、形質導入網膜オルガノイドにおける相対的なmRNAレベルを示す。Aは、KCNV2遺伝子の2つの異なるバージョン:コドン最適化またはWTの発現を駆動する光受容体特異的RKまたは構成的CAGプロモーターのいずれかを含有する異なるAAVベクターを形質導入されたKCNV2 KOクローンK5、K12、及びK28におけるKCNV2発現を示す。未処理KO KCNV2クローン、及びWT同質遺伝子対照、I5を比較のために含める。グラフは、異なるAAVベクター、すなわちAAV5-CAG-KCNV2opti、AAV7m8-CAG-KCNV2opti、AAV5-RK-KCNV2opti、またはAAV7m8-RK-KCNV2-Optiによる形質導入の21日後のコドン最適化KCNV2の発現を示す。結果を、最も発現の低い試料(AAV5 CAG-KCNV2-Opti)と比較したKCNV2 mRNA発現の倍数変化として表す。Bは、示されたAAVベクターによる形質導入の21日後のWT KCNV2の発現を示すグラフである。結果を、同じKOクローン由来の年齢が一致した非形質導入対照と比較したWT KCNV2 mRNAの倍数変化として表す。
図16A】網膜オルガノイド免疫蛍光の定量化を示す。外顆粒層(ONL)における総Kv8.2蛍光を示す。バー=測定面積に対して正規化された形質導入オルガノイドの平均蛍光、及びWT対照オルガノイドにおける蛍光%として表す。タイルスキャン画像を取得して、ONLの全長にわたる蛍光測定値を得た。点線は、非形質導入KO対照オルガノイドにおける平均「バックグラウンド」シグナルを表す。各点は1つのオルガノイドを表す。n=独立した実験からの3~4個のオルガノイド。エラーバー=+/-SEM。7m8及びAAV5キャプシドの両方において、CAGプロモーターとRKプロモーターの間の総蛍光には有意差があった(それぞれp=0.031及び0.028、両側、対応のあるスチューデントt検定)。コドン最適化(Opti)ベクターでは蛍光強度が増加する傾向があるにもかかわらず、CAGまたはRKプロモーターを含むベクターではWTとOptiの間に有意差はなかった。
図16B】網膜オルガノイド免疫蛍光の定量化を示す。形質導入KCNV2 KO、WT、及びAAV7m8 Kv8.2形質導入オルガノイドの光受容体層における代表的な免疫蛍光を示す。Kv8.2及びカリウムチャネルサブユニットKv.2.1、錐体アレスチン(Arr3)及び核をDAPIで染色する。スケールバー=10μm。
図17】形質導入オルガノイドにおけるKv8.2及びKv2.1の相対的共局在を示す。オルガノイド凍結切片をKv.2.1及びKv8.2で共染色し、総共局在化面積をFIJIのしきい値処理画像で測定し、オルガノイドごとにアッセイされた網膜の長さに対して正規化した。結果を、非形質導入対照と比較した倍数変化として表す。結果を、一元配置ANOVA及びダネットの多重比較検定によって分析した。*p=0.02、**p=0.002。
図18A】形質導入オルガノイドにおける近接ライゲーションアッセイ(PLA)シグナル特異性を示す。Kv2.1及びKv8.2共染色後のPLAシグナル(点)は、光受容体の内節/外節が位置する外周の網膜オルガノイドに豊富であった。
図18B】形質導入オルガノイドにおける近接ライゲーションアッセイ(PLA)シグナル特異性を示す。PLAシグナルは、KCNV2 KOオルガノイドのONL(光受容体層)にはほとんど存在しなかった。
図18C】形質導入オルガノイドにおける近接ライゲーションアッセイ(PLA)シグナル特異性を示す。オルガノイドあたりの測定面積(n=3の関心領域(ROI))に対して正規化されたPLA涙点の定量化(画像化されたJ)である。WT(クローンK28及びK12)と比較して、KCNV2 KO光受容体ではPLAシグナルが有意に減少した(p<0.03)。エラーバー=SEM。
図19】AAV5及びAAV7m8形質導入光受容体におけるPLAシグナルを示す。7μmオルガノイド凍結切片からの63x最大強度投影。光受容体層(ONL)は、核を有さない外網状層の上のDAPIチャネルに見られる特有の緻密な構造を有する。PLAシグナル(点)は、Kv.2.1/Kv8.2タンパク質間相互作用を示す。PLAシグナルは、光受容体内節(IS)の領域内のONLの頂端に集中していた。形質導入オルガノイドは、IPSCクローンK12由来の非形質導入KCNV2 KOオルガノイドよりも高いPLAシグナル密度を有していた。
図20】形質導入網膜オルガノイドクローン((A)クローン12、(B)クローン28)におけるPLA涙点の定量を示す。バーは、測定面積に対して正規化された、視野あたりのONL内のPLA涙点の平均数を表す(100~150の光受容体あたりおよそ32、視野あたり10~600の涙点が計数される)。エラーバー=SEM)。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本明細書では、カリウム電位依存性チャネル修飾因子サブファミリーVメンバー2(Kv8.2)の発現のための発現コンストラクト、ウイルスゲノム、及びベクター、ならびにKCNV2遺伝子の1つ以上の変異に関連する網膜疾患を治療するために発現コンストラクト、ウイルスゲノム、及びベクターを使用する方法が提供される。
【0021】
Kv8.2
Kv8.2は、電位依存性カリウムチャネルサブユニットである。KCNV2遺伝子は染色体9p24.2上に位置し、545アミノ酸のKv8.2タンパク質をコードする2つのエクソンを含む。Kv8.2は機能的ホモマーチャネルを形成することができないが、他のカリウムチャネルサブユニットKv2.1及びKv2.2と相互作用して、それらの生物物理学的特性を変化させる。Kv8.2は、これまでヒト疾患に関与していた唯一のサイレントサブユニットである。バリアント/変異は、「超正常桿体反応を伴う錐体ジストロフィー」(CDSSR)として知られる重度の遺伝性光受容体ジストロフィーを引き起こす。
【0022】
KCNV2(Kv8.2)は、網膜の桿体及び錐体光受容体の内節(エリプソイド及びマイオイド領域)で発現するが、ヒト、マウス、及びマカクの外節には存在しない。Kv8.2は、桿体及び錐体内節で発現するKv2.1、及びヒトの錐体で発現するが桿体では発現しないKv2.2と相互作用する。
【0023】
KCNV2(Kv8.2)ホモ接合性ノックアウト(KO)マウスは、明るい光刺激に対するa波の減少及びb波応答の上昇を伴う網膜電図(ERG)を含む、ヒトの障害と多くの類似点を示す。KCNV2 KOマウスは、錐体細胞数の減少(WTの80%)、網膜全体にわたるTUNEL陽性細胞の増加(1、3、及び6か月齢)、及び外顆粒層の全体的な薄化(ONL、6か月齢でWTの60%)を示す。
【0024】
多くの重要な光受容体タンパク質の正確な細胞内局在が以前に実証されている(例えば、ロドプシン、RetGC、ABCA4は杆体外節に位置し、バスーン(Bassoon)、リブアイ(Ribeye)はシナプス末端に位置する)。単一細胞RNA配列によってヒト網膜オルガノイドにおいてKCNV2転写物の存在が検出されているが、ヒト胚性幹細胞(HESC)または人工多能性幹細胞(IPSC)由来のヒト網膜オルガノイドにおけるカリウムチャネルサブユニットKv8.2、Kv2.1、及びKv2.2の存在は、どの出版物においてもまだ調査されていない。Kv8.2とその結合パートナーの機能における種特異的な差異(例えば、マウス網膜にはKv2.2が存在しない)が報告されているため、潜在的なKCNV2 AAV遺伝子治療の開発にはヒト細胞モデルの使用が重要となっている。
【0025】
KCNV2の変異は、超正常桿体反応を伴う錐体ジストロフィー(CDSSR)などの光受容体ジストロフィーを含む網膜疾患を引き起こす可能性がある。このような疾患の診断は電気生理学的評価によって確立される;機能的結果は、病期及び固体の年齢に依存する。例えば、CDSSRは、明るい光刺激に対するa波の減少及びb波応答の上昇を伴う網膜電図(ERG)に関連している。錐体ジストロフィーの診断は、錐体細胞数の減少(正常の約80%)の実証によって裏付けることができる。例えば、異常なKCNV2発現を有する網膜では、TUNEL陽性細胞が増加し、外顆粒層が全体的に薄くなっている(ONL、正常の60%)場合がある。
【0026】
発現コンストラクト
一態様では、(a)光受容体細胞において発現を与えるプロモーター配列、及び(b)カリウム電位依存性チャネル修飾因子サブファミリーVメンバー2(Kv8.2)をコードする核酸配列を含む発現コンストラクトであって;核酸配列はプロモーターに作動可能に連結されている、発現コンストラクトが提供される。本明細書で使用される場合、「作動可能に連結された」とは、Kv8.2のコード配列と連続する発現制御配列(例えば、プロモーター)と、Kv8.2の発現を制御するためにトランスでまたは離れて作用する発現制御配列の両方を指す。発現制御配列には、適切な転写開始配列、終結配列、プロモーター配列及びエンハンサー配列;スプライシングシグナル及びポリアデニル化シグナルなどの効率的なRNAプロセシングシグナル;細胞質mRNAを安定化させる配列;翻訳効率を高める配列(すなわち、コザックコンセンサス配列);タンパク質の安定性を高める配列;及び、所望される場合、タンパク質のプロセシング及び/または分泌を強化する配列が含まれる。
【0027】
多数の発現制御配列、例えば天然、構成的、誘導性及び/または組織特異的配列が当技術分野で公知であり、所望の発現のタイプに応じて、遺伝子の発現を駆動するために利用することができる。真核細胞の場合、発現制御配列には典型的には、プロモーター配列、エンハンサー配列、及びスプライスドナー部位及びスプライスアクセプター部位を含み得るポリアデニル化配列が含まれる。ポリアデニル化(ポリA)配列は、一般に、Kv8.2をコードする配列の後に、3’ITR配列の前に挿入される。本明細書に開示される方法において有用なrAAVの別の調節成分は、内部リボソーム進入部位(IRES)である。IRES配列を使用して、単一の遺伝子転写物から複数のポリペプチドを産生することができる。IRES(または他の好適な配列)を使用して、複数のポリペプチド鎖を含有するタンパク質を産生するか、または同じ細胞からまたは同じ細胞内で2つの異なるタンパク質を発現する。例示的なIRESは、光受容体、RPE及び神経節細胞における導入遺伝子の発現を支持するポリオウイルス内部リボソーム進入配列である。好ましくは、IRESは、rAAVベクター中のKv8.2をコードする配列の3’側に位置する。
【0028】
一実施形態では、プロモーター配列はロドプシンキナーゼ(RK)プロモーター配列を含む。いくつかの実施形態では、プロモーター配列は、配列番号7と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一である配列を含む。一実施形態では、プロモーター配列は配列番号7を含む。
【0029】
一実施形態では、プロモーター配列は、合成サイトメガロウイルス由来プロモーター配列(CAG)を含む。いくつかの実施形態では、プロモーター配列は、配列番号8と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一である配列を含む。一実施形態では、プロモーター配列は配列番号8を含む。
【0030】
いくつかの実施形態では、プロモーターは光受容体細胞に特異的である、すなわち、プロモーターは光受容体細胞では活性を有するが、他の細胞型では活性が低下しているか、または活性を有していない。
【0031】
一実施形態では、Kv8.2をコードする核酸配列は、WT KCNV2遺伝子由来のコード配列である。いくつかの実施形態では、Kv8.2をコードする核酸配列は、配列番号9と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一である配列を含む。一実施形態では、Kv8.2をコードする核酸配列は、配列番号9を含む。
【0032】
一実施形態では、Kv8.2をコードする核酸配列は、コドン最適化遺伝子配列である。いくつかの実施形態では、Kv8.2をコードする核酸配列は、配列番号10と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一である配列を含む。一実施形態では、Kv8.2をコードする核酸配列は、配列番号10を含む。
【0033】
いくつかの実施形態では、Kv8.2をコードする核酸配列は、配列番号13と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一である配列を含むタンパク質をコードする。いくつかの実施形態では、Kv8.2をコードする核酸配列は、配列番号13を含むタンパク質をコードする。
【0034】
一実施形態では、発現コンストラクトは転写後調節エレメントを含む。一実施形態では、発現コンストラクトはウッドチャック肝炎ウイルス転写後調節エレメント(WPRE)を含む。いくつかの実施形態では、転写後調節エレメントは、配列番号11と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一である配列を含む。一実施形態では、転写後調節エレメントは配列番号11を含む。
【0035】
一実施形態では、発現コンストラクトはポリアデニル化シグナルを含む。一実施形態では、発現コンストラクトはウシ成長ホルモンポリアデニル化(BGH-ポリA)シグナルを含む。いくつかの実施形態では、ポリアデニル化シグナルは、配列番号12と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一である配列を含む。一実施形態では、ポリアデニル化シグナルは、配列番号12を含む。
【0036】
ベクター
一態様では、組換えベクター、及び細胞への導入遺伝子または発現コンストラクトの導入のためのその使用が提供される。いくつかの実施形態では、組換えベクターは、宿主細胞におけるDNAの複製及び適切なレベルでの標的細胞における標的遺伝子の発現をもたらすDNAセグメントを含む追加のDNAエレメントを含む組換えDNAコンストラクトを含む。当業者は、発現制御配列(プロモーター、エンハンサーなど)が、標的細胞における標的遺伝子の発現を促進する能力に基づいて選択されることを理解する。本明細書で使用される「ベクター」とは、インビトロまたはインビボで宿主細胞に送達されるべきポリヌクレオチドを含むビヒクルを意味する。ベクターの非限定的な例としては、組換えプラスミド、酵母人工染色体(YAC)、ミニ染色体、DNAミニサークル、またはウイルス(ウイルス由来の配列を含む)が挙げられる。ベクターはまた、インビトロまたはインビボのいずれかで宿主細胞に送達される核酸を含むビリオンを指してもよい。いくつかの実施形態では、ベクターは、組換えウイルスゲノムを含むビリオンを指し、ここで、組換えウイルスゲノムは、1つ以上のITR及び導入遺伝子を含む。
【0037】
一実施形態では、組換えベクターは、ウイルスベクターまたは複数のウイルスベクターの組み合わせである。
【0038】
一態様では、本明細書に開示される発現コンストラクトのいずれかを含むベクターが提供される。
【0039】
一態様では、(a)光受容体細胞において発現を与えるプロモーター配列、及び(b)Kv8.2をコードする核酸配列、を含む核酸を含むベクターであって、Kv8.2をコードする核酸配列は、プロモーターに作動可能に連結されている、ベクターが提供される。
【0040】
一実施形態では、プロモーター配列は、ロドプシンキナーゼ(RK)プロモーター配列を含む。いくつかの実施形態では、プロモーター配列は、配列番号7と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一である配列を含む。一実施形態では、プロモーター配列は配列番号7を含む。
【0041】
一実施形態では、プロモーター配列は、合成サイトメガロウイルス由来プロモーター配列(CAG)を含む。いくつかの実施形態では、プロモーター配列は、配列番号8と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一である配列を含む。一実施形態では、プロモーター配列は配列番号8を含む。
【0042】
いくつかの実施形態では、プロモーターは、光受容体細胞に特異的である。
【0043】
一実施形態では、Kv8.2をコードする核酸配列は、WT KCNV2遺伝子由来のコード配列である。いくつかの実施形態では、Kv8.2をコードする核酸配列は、配列番号9と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一である配列を含む。一実施形態では、Kv8.2をコードする核酸配列は、配列番号9を含む。
【0044】
一実施形態では、Kv8.2をコードする核酸配列は、コドン最適化遺伝子配列である。いくつかの実施形態では、Kv8.2をコードする核酸配列は、配列番号10と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一である配列を含む。一実施形態では、Kv8.2をコードする核酸配列は、配列番号10を含む。
【0045】
いくつかの実施形態では、Kv8.2をコードする核酸配列は、配列番号13と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一である配列を含むタンパク質をコードする。いくつかの実施形態では、Kv8.2をコードする核酸配列は、配列番号13を含むタンパク質をコードする。
【0046】
一実施形態では、ベクターは、転写後調節エレメントを含む核酸を含む。一実施形態では、ベクターは、ウッドチャック肝炎ウイルス転写後調節エレメント(WPRE)を含む核酸を含む。いくつかの実施形態では、転写後調節エレメントは、配列番号11と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一である配列を含む。一実施形態では、転写後調節エレメントは配列番号11を含む。
【0047】
一実施形態では、ベクターは、ポリアデニル化シグナルを含む核酸を含む。一実施形態では、ベクターは、ウシ成長ホルモンポリアデニル化(BGH-ポリA)シグナルを含む核酸を含む。いくつかの実施形態では、ポリアデニル化シグナルは、配列番号12と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一である配列を含む。一実施形態では、ポリアデニル化シグナルは、配列番号12を含む。
【0048】
一実施形態では、ベクターは、1つ以上の逆方向末端反復(ITR)を含む核酸を含む。一態様では、ITR配列はAAV血清型2に由来する。一実施形態では、5’ITR配列は、配列番号5と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一である配列を含む。一実施形態では、5’ITR配列は配列番号5を含む。一実施形態では、3’ITR配列は、配列番号6と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一である配列を含む。一実施形態では、3’ITR配列は配列番号6を含む。
【0049】
いくつかの実施形態では、ベクターは、配列番号1~4からなる群から選択される配列を含む核酸を含む。
【0050】
一実施形態では、以下の1つ以上を含む核酸を含むベクターが提供される:
(a)RKプロモーター配列を含むプロモーター配列;
(b)Kv8.2をコードする核酸配列であって、Kv8.2をコードする核酸配列がプロモーターに作動可能に連結されている、核酸配列;
(c)WPRE;
(d)BGH-ポリAシグナル;及び
(e)1つ以上のITR。いくつかの実施形態では、核酸は2つのITR配列を含む。
【0051】
一実施形態では、以下の1つ以上を含む核酸を含むベクターが提供される:
(a)CAGプロモーター配列を含むプロモーター配列;
(b)Kv8.2をコードする核酸配列であって、Kv8.2をコードする核酸配列がプロモーターに作動可能に連結されている、核酸配列;
(c)WPRE;
(d)BGH-ポリAシグナル;及び
(e)1つ以上のITR。いくつかの実施形態では、核酸は2つのITR配列を含む。
【0052】
一実施形態では、以下の1つ以上を含む核酸を含むベクターが提供される:
(a)RKプロモーター配列を含むプロモーター配列;
(b)Kv8.2をコードするコドン最適化核酸配列であって、Kv8.2をコードする核酸配列がプロモーターに作動可能に連結されている、コドン最適化核酸配列;
(c)WPRE;
(d)BGH-ポリAシグナル;及び
(e)1つ以上のITR。いくつかの実施形態では、核酸は2つのITR配列を含む。
【0053】
一実施形態では、以下の1つ以上を含む核酸を含むベクターが提供される:
(a)CAGプロモーター配列を含むプロモーター配列;
(b)Kv8.2をコードするコドン最適化核酸配列であって、Kv8.2をコードする核酸配列がプロモーターに作動可能に連結されている、コドン最適化核酸配列;
(c)WPRE;
(d)BGH-ポリAシグナル;及び
(e)1つ以上のITR。いくつかの実施形態では、核酸は2つのITR配列を含む。
【0054】
一実施形態では、以下の1つ以上を含む核酸を含むベクターが提供される:
(a)配列番号7と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一である配列を含む、プロモーター配列を含むプロモーター配列;
(b)Kv8.2をコードする核酸配列であって、Kv8.2をコードする核酸配列がプロモーターに作動可能に連結されており、Kv8.2をコードする核酸配列が、配列番号9と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一である配列を含む、核酸配列;
(c)配列番号11と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一である配列を含む、転写後調節エレメント;
(d)配列番号12と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一である配列を含む、ポリアデニル化シグナル;及び
(e)1つ以上のITR。いくつかの実施形態では、核酸は2つのITR配列を含む。
【0055】
一実施形態では、以下の1つ以上を含む核酸を含むベクターが提供される:
(a)配列番号8と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一である配列を含む、プロモーター配列を含むプロモーター配列;
(b)Kv8.2をコードする核酸配列であって、Kv8.2をコードする核酸配列がプロモーターに作動可能に連結されており、Kv8.2をコードする核酸配列が、配列番号9と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一である配列を含む、核酸配列;
(c)配列番号11と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一である配列を含む、転写後調節エレメント;
(d)配列番号12と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一である配列を含む、ポリアデニル化シグナル;及び
(e)1つ以上のITR。いくつかの実施形態では、核酸は2つのITR配列を含む。
【0056】
一実施形態では、以下の1つ以上を含む核酸を含むベクターが提供される:
(a)配列番号7と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一である配列を含む、プロモーター配列を含むプロモーター配列;
(b)Kv8.2をコードする核酸配列であって、Kv8.2をコードする核酸配列がプロモーターに作動可能に連結されており、Kv8.2をコードする核酸配列が、配列番号10と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一である配列を含む、核酸配列;
(c)配列番号11と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一である配列を含む、転写後調節エレメント;
(d)配列番号12と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一である配列を含む、ポリアデニル化シグナル;及び
(e)1つ以上のITR。いくつかの実施形態では、核酸は2つのITR配列を含む。
【0057】
一実施形態では、以下の1つ以上を含む核酸を含むベクターが提供される:
(a)配列番号8と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一である配列を含む、プロモーター配列を含むプロモーター配列;
(b)Kv8.2をコードする核酸配列であって、Kv8.2をコードする核酸配列がプロモーターに作動可能に連結されており、Kv8.2をコードする核酸配列が、配列番号10と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一である配列を含む、核酸配列;
(c)配列番号11と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一である配列を含む、転写後調節エレメント;
(d)配列番号12と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一である配列を含む、ポリアデニル化シグナル;及び
(e)1つ以上のITR。いくつかの実施形態では、核酸は2つのITR配列を含む。
【0058】
一実施形態では、以下の1つ以上を含む核酸を含むベクターが提供される:
(a)配列番号7と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一である配列を含む、プロモーター配列;
(b)Kv8.2タンパク質をコードする核酸配列であって、Kv8.2タンパク質が、配列番号13と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一である配列を含み、Kv8.2タンパク質をコードする核酸配列が、プロモーターに作動可能に連結されている、核酸配列;
(c)配列番号11と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一である配列を含む、転写後調節エレメント;
(d)配列番号12と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一である配列を含む、ポリアデニル化シグナル;及び
(e)1つ以上のITR。いくつかの実施形態では、核酸は2つのITR配列を含む。
【0059】
一実施形態では、以下の1つ以上を含む核酸を含むベクターが提供される:
(a)配列番号8と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一である配列を含む、プロモーター配列;
(b)Kv8.2タンパク質をコードする核酸配列であって、Kv8.2タンパク質が、配列番号13と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一である配列を含み、Kv8.2タンパク質をコードする核酸配列が、プロモーターに作動可能に連結されている、核酸配列;
(c)配列番号11と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一である配列を含む、転写後調節エレメント;
(d)配列番号12と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一である配列を含む、ポリアデニル化シグナル;及び
(e)1つ以上のITR。いくつかの実施形態では、核酸は2つのITR配列を含む。
【0060】
一実施形態では、以下の1つ以上を含む核酸を含むベクターが提供される:
(a)配列番号7を含むプロモーター配列;
(b)Kv8.2をコードする核酸配列であって、Kv8.2をコードする核酸配列がプロモーターに作動可能に連結されており、Kv8.2をコードする核酸配列が配列番号9を含む、核酸配列;
(c)配列番号11を含む転写後調節エレメント;
(d)配列番号12の配列を含むポリアデニル化シグナル;及び
(e)1つ以上のITR。いくつかの実施形態では、核酸は2つのITR配列を含む。
【0061】
一実施形態では、以下の1つ以上を含む核酸を含むベクターが提供される:
(a)配列番号8を含むプロモーター配列;
(b)Kv8.2をコードする核酸配列であって、Kv8.2をコードする核酸配列がプロモーターに作動可能に連結されており、Kv8.2をコードする核酸配列が配列番号9を含む、核酸配列;
(c)配列番号11を含む転写後調節エレメント;
(d)配列番号12の配列を含むポリアデニル化シグナル;及び
(e)1つ以上のITR。いくつかの実施形態では、核酸は2つのITR配列を含む。
【0062】
一実施形態では、以下の1つ以上を含む核酸を含むベクターが提供される:
(a)配列番号7を含むプロモーター配列;
(b)Kv8.2をコードする核酸配列であって、Kv8.2をコードする核酸配列がプロモーターに作動可能に連結されており、Kv8.2をコードする核酸配列が配列番号10を含む、核酸配列;
(c)配列番号11を含む転写後調節エレメント;
(d)配列番号12の配列を含むポリアデニル化シグナル;及び
(e)1つ以上のITR。いくつかの実施形態では、核酸は2つのITR配列を含む。
【0063】
一実施形態では、以下の1つ以上を含む核酸を含むベクターが提供される:
(a)配列番号8を含むプロモーター配列;
(b)Kv8.2をコードする核酸配列であって、Kv8.2をコードする核酸配列がプロモーターに作動可能に連結されており、Kv8.2をコードする核酸配列が配列番号10を含む、核酸配列;
(c)配列番号11を含む転写後調節エレメント;
(d)配列番号12の配列を含むポリアデニル化シグナル;及び
(e)1つ以上のITR。いくつかの実施形態では、核酸は2つのITR配列を含む。
【0064】
一実施形態では、以下の1つ以上を含む核酸を含むベクターが提供される:
(a)配列番号7を含むプロモーター配列;
(b)Kv8.2タンパク質をコードする核酸配列であって、Kv8.2タンパク質が配列番号13を含み、Kv8.2タンパク質をコードする核酸配列がプロモーターに作動可能に連結されている、核酸配列;
(c)配列番号11を含む転写後調節エレメント;
(d)配列番号12の配列を含むポリアデニル化シグナル;及び
(e)1つ以上のITR。いくつかの実施形態では、核酸は2つのITR配列を含む。
【0065】
一実施形態では、以下の1つ以上を含む核酸を含むベクターが提供される:
(a)配列番号8を含むプロモーター配列;
(b)Kv8.2タンパク質をコードする核酸配列であって、Kv8.2タンパク質が配列番号13を含み、Kv8.2タンパク質をコードする核酸配列がプロモーターに作動可能に連結されている、核酸配列;
(c)配列番号11を含む転写後調節エレメント;
(d)配列番号12の配列を含むポリアデニル化シグナル;及び
(e)1つ以上のITR。いくつかの実施形態では、核酸は2つのITR配列を含む。
【0066】
ウイルスベクター
標的細胞、組織、または生物において標的遺伝子を発現させるためのウイルスベクターは、当技術分野で公知であり、例えば、AAVベクター、アデノウイルスベクター、レンチウイルスベクター、レトロウイルスベクター、ポックスウイルスベクター、バキュロウイルスベクター、単純ヘルペスウイルスベクター、ワクシニアウイルスベクター、または合成ウイルスベクター(例えば、キメラウイルス、モザイクウイルス、もしくはシュードタイプウイルス、及び/または外来タンパク質、合成ポリマー、ナノ粒子、もしくは小分子を含有するウイルス)、が挙げられる。
【0067】
AAVベクター
アデノ随伴ウイルス(AAV)は、効率的な複製を促進するためにヘルパーウイルスを必要とする小さな一本鎖DNAウイルスである。AAVの4.7kbゲノムは、2つの逆方向末端反復配列(ITR)と、それぞれRepタンパク質及びCapタンパク質をコードする2つのオープンリーディングフレームを特徴とする。Repリーディングフレームは、分子量78kD、68kD、52kD、及び40kDの4つのタンパク質をコードする。これらのタンパク質は主に、AAVの複製及びレスキュー及び宿主細胞の染色体へのAAVの組み込みの制御において機能する。Capリーディングフレームは、ビリオンキャプシドを形成する、分子量85kD(VP1)、72kD(VP2)、及び61kD(VP3)の3つの構造タンパク質をコードする。AAVビリオン中の総タンパク質の80%超がVP3からなる。rep及びcapのオープンリーディングフレームの5’及び3’末端に隣接するのは、約141bp長のITRである。ITRは、AAVの複製、レスキュー、パッケージング、及びAAVゲノムの組み込みに必須の唯一のシス要素である。repドメイン及びcapドメイン全体を切り出し、治療用またはレポーター導入遺伝子で置き換えることができる。
【0068】
組換えアデノ随伴ウイルス「rAAV」ベクターには、任意のアデノ随伴ウイルス血清型に由来する任意のベクターが含まれる。rAAVベクターは、全体または一部が欠失したAAV野生型遺伝子、好ましくはRep及び/またはCap遺伝子のうちの1つ以上を有することができるが、機能的な隣接ITR配列を保持している。
【0069】
いくつかの実施形態では、ウイルスベクターは、rAAVゲノム及び1つ以上のキャプシドタンパク質を含むrAAVビリオンである。いくつかの実施形態では、rAAVゲノムは、本明細書に開示される発現カセットを含む。
【0070】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるウイルスベクターは、Kv8.2をコードする配列に対してそれぞれ5’及び3’に位置するAAV 5’ITR及び3’ITRを含む核酸を含む。しかし、ある特定の実施形態では、核酸が、タンデムに、例えば、5’-3’で、もしくは頭-尾で、または別の代替配置で配置された5’ITR配列及び3’ITR配列を含有することが望ましい場合がある。さらに他の実施形態では、核酸がITRの複数のコピーを含有するか、またはKv8.2をコードする配列の5’及び3’の両方に位置する5’ITR(または逆に3’ITR)を有することが望ましい場合がある。ITR配列は、異種分子のすぐ上流及び/または下流に位置していてもよく、あるいは介在配列が存在していてもよい。ITRは、野生型ヌクレオチド配列である必要はなく、配列が機能的なレスキュー、複製、及びパッケージングを提供する限り、(例えば、ヌクレオチドの挿入、欠失、または置換によって)改変することができる。ITRは、本明細書に記載されるように、AAV2から、または他のAAV血清型の中から選択することができる。
【0071】
いくつかの実施形態では、ウイルスベクターは、AAVベクター、例として、AAV1(すなわち、AAV1 ITR及びAAV1キャプシドタンパク質を含有するAAV)、AAV2(すなわち、AAV2 ITR及びAAV2キャプシドタンパク質を含有するAAV)、AAV3(すなわち、AAV3 ITR及びAAV3キャプシドタンパク質を含有するAAV)、AAV4(すなわち、AAV4 ITR及びAAV4キャプシドタンパク質を含有するAAV)、AAV5(すなわち、AAV5 ITR及びAAV5キャプシドタンパク質を含有するAAV)、AAV6(すなわち、AAV6 ITR及びAAV6キャプシドタンパク質を含有するAAV)、AAV7(すなわち、AAV7 ITR及びAAV7キャプシドタンパク質を含有するAAV)、AAV8(すなわち、AAV8 ITR及びAAV8キャプシドタンパク質を含有するAAV)、AAV9(すなわち、AAV9 ITR及びAAV9キャプシドタンパク質を含有するAAV)、AAVrh74(すなわち、AAVrh74 ITR及びAAVrh74キャプシドタンパク質を含有するAAV)、AAVrh.8(すなわち、AAVrh.8 ITR及びAAVrh.8キャプシドタンパク質を含有するAAV)、またはAAVrh.10(すなわち、AAVrh.10 ITR及びAAVrh.10キャプシドタンパク質を含有するAAV)である。
【0072】
いくつかの実施形態では、ウイルスベクターは、1つのAAV血清型に由来するITR、及び異なるAAV血清型に由来するキャプシドタンパク質を含む、偽型AAVベクターである。いくつかの実施形態では、偽型AAVはAAV2/5(すなわち、AAV2 ITR及びAAV5キャプシドタンパク質を含有するAAV)である。いくつかの実施形態では、偽型AAVはAAV2/7m8(すなわち、AAV2 ITR及びAAV7m8キャプシドタンパク質を含有するAAV)である。
【0073】
いくつかの実施形態では、AAVベクターは、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAVrh74、AAVrh.8、またはAAVrh.10由来の1つ以上のキャプシドタンパク質のキメラを含有するキャプシドタンパク質など、組換えキャプシドタンパク質を含有する。実施形態では、キャプシドは、AAV2バリアントrAAV2-レトロ(WO2017/218842からの配列番号44、参照により本明細書に組み込まれる)などのバリアントAAVキャプシドである。
【0074】
一態様では、(a)光受容体細胞において発現を与えるプロモーター配列、及び(b)Kv8.2をコードする核酸配列、を含む核酸を含むウイルスゲノムであって、Kv8.2をコードする核酸配列は、プロモーターに作動可能に連結されている、ウイルスゲノムが提供される。
【0075】
一実施形態では、プロモーター配列は、RKプロモーター配列を含む。いくつかの実施形態では、プロモーター配列は、配列番号7と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一である配列を含む。一実施形態では、プロモーター配列は配列番号7を含む。
【0076】
一実施形態では、プロモーター配列は、CAGプロモーター配列を含む。いくつかの実施形態では、プロモーター配列は、配列番号8と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一である配列を含む。一実施形態では、プロモーター配列は配列番号8を含む。
【0077】
いくつかの実施形態では、プロモーターは、光受容体細胞に特異的である。
【0078】
一実施形態では、Kv8.2をコードする核酸配列は、野生型KCNV2遺伝子由来のコード配列である。いくつかの実施形態では、Kv8.2をコードする核酸配列は、配列番号9と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一である配列を含む。一実施形態では、RetGCをコードする核酸配列は、配列番号9を含む。
【0079】
一実施形態では、Kv8.2をコードする核酸配列は、コドン最適化遺伝子配列である。いくつかの実施形態では、Kv8.2をコードする核酸配列は、配列番号10と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一である配列を含む。一実施形態では、RetGCをコードする核酸配列は、配列番号10を含む。
【0080】
いくつかの実施形態では、Kv8.2をコードする核酸配列は、配列番号13と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一である配列を含むタンパク質をコードする。いくつかの実施形態では、Kv8.2をコードする核酸配列は、配列番号13を含むタンパク質をコードする。
【0081】
一実施形態では、ウイルスゲノムは、転写後調節エレメントを含む核酸を含む。一実施形態では、ウイルスゲノムは、WPREを含む核酸を含む。いくつかの実施形態では、転写後調節エレメントは、配列番号11と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一である配列を含む。一実施形態では、転写後調節エレメントは配列番号11を含む。
【0082】
一実施形態では、ウイルスゲノムは、ポリアデニル化シグナルを含む核酸を含む。一実施形態では、ウイルスゲノムは、BGH-ポリAシグナルを含む核酸を含む。いくつかの実施形態では、ポリアデニル化シグナルは、配列番号12と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一である配列を含む。一実施形態では、ポリアデニル化シグナルは、配列番号12を含む。
【0083】
一態様では、ウイルスゲノムは、1つ以上の逆方向末端反復(ITR)を含む核酸を含む。一実施形態では、ITR配列はAAV血清型2に由来する。一実施形態では、5’ITR配列は、配列番号5と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一である配列を含む。一実施形態では、5’ITR配列は配列番号5を含む。一実施形態では、3’ITR配列は、配列番号6と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一である配列を含む。一実施形態では、3’ITR配列は配列番号6を含む。
【0084】
いくつかの実施形態では、ウイルスゲノムは、配列番号1~4の配列のいずれかと少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一である配列を含む核酸を含む。いくつかの実施形態では、ウイルスゲノムは、配列番号1~4からなる群から選択される配列を含む核酸を含む。
【0085】
一実施形態では、以下の1つ以上を含む核酸を含むウイルスゲノムが提供される:
(a)RKプロモーター配列を含むプロモーター配列;
(b)Kv8.2をコードする核酸配列であって、Kv8.2をコードする核酸配列がプロモーターに作動可能に連結されている、核酸配列;
(c)WPRE;
(d)BGH-ポリAシグナル;及び
(e)1つ以上のITR。いくつかの実施形態では、ウイルスゲノムは2つのITR配列を含む。
【0086】
一実施形態では、以下の1つ以上を含む核酸を含むウイルスゲノムが提供される:
(a)CAGプロモーター配列を含むプロモーター配列;
(b)Kv8.2をコードする核酸配列であって、Kv8.2をコードする核酸配列がプロモーターに作動可能に連結されている、核酸配列;
(c)WPRE;
(d)BGH-ポリAシグナル;及び
(e)1つ以上のITR。いくつかの実施形態では、ウイルスゲノムは2つのITR配列を含む。
【0087】
一実施形態では、以下の1つ以上を含む核酸を含むウイルスゲノムが提供される:
(a)RKプロモーター配列を含むプロモーター配列;
(b)コドン最適化Kv8.2をコードする核酸配列であって、Kv8.2をコードする核酸配列がプロモーターに作動可能に連結されている、核酸配列;
(c)WPRE;
(d)BGH-ポリAシグナル;及び
(e)1つ以上のITR。いくつかの実施形態では、ウイルスゲノムは2つのITR配列を含む。
【0088】
一実施形態では、以下の1つ以上を含む核酸を含むウイルスゲノムが提供される:
(a)CAGプロモーター配列を含むプロモーター配列;
(b)コドン最適化Kv8.2をコードする核酸配列であって、Kv8.2をコードする核酸配列がプロモーターに作動可能に連結されている、核酸配列;
(c)WPRE;
(d)BGH-ポリAシグナル;及び
(e)1つ以上のITR。いくつかの実施形態では、ウイルスゲノムは2つのITR配列を含む。
【0089】
一実施形態では、以下の1つ以上を含む核酸を含むウイルスゲノムが提供される:
(a)配列番号7と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一である配列を含む、プロモーター配列;
(b)Kv8.2をコードする核酸配列であって、Kv8.2をコードする核酸配列がプロモーターに作動可能に連結されており、Kv8.2をコードする核酸配列が、配列番号9と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一である配列を含む、核酸配列;
(c)配列番号11と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一である配列を含む、転写後調節エレメント;
(d)配列番号12と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一である配列を含む、ポリアデニル化シグナル;及び
(e)1つ以上のITR。いくつかの実施形態では、ウイルスゲノムは2つのITR配列を含む。
【0090】
一実施形態では、以下の1つ以上を含む核酸を含むウイルスゲノムが提供される:
(a)配列番号8と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一である配列を含む、プロモーター配列;
(b)Kv8.2をコードする核酸配列であって、Kv8.2をコードする核酸配列がプロモーターに作動可能に連結されており、Kv8.2をコードする核酸配列が、配列番号9と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一である配列を含む、核酸配列;
(c)配列番号11と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一である配列を含む、転写後調節エレメント;
(d)配列番号12と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一である配列を含む、ポリアデニル化シグナル;及び
(e)1つ以上のITR。いくつかの実施形態では、ウイルスゲノムは2つのITR配列を含む。
【0091】
一実施形態では、以下の1つ以上を含む核酸を含むウイルスゲノムが提供される:
(a)配列番号7と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一である配列を含む、プロモーター配列;
(b)コドン最適化Kv8.2をコードする核酸配列であって、Kv8.2をコードする核酸配列がプロモーターに作動可能に連結されており、Kv8.2をコードする核酸配列が、配列番号10と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一である配列を含む、核酸配列;
(c)配列番号11と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一である配列を含む、転写後調節エレメント;
(d)配列番号12と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一である配列を含む、ポリアデニル化シグナル;及び
(e)1つ以上のITR。いくつかの実施形態では、ウイルスゲノムは2つのITR配列を含む。
【0092】
一実施形態では、以下の1つ以上を含む核酸を含むウイルスゲノムが提供される:
(a)配列番号8と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一である配列を含む、プロモーター配列;
(b)コドン最適化Kv8.2をコードする核酸配列であって、Kv8.2をコードする核酸配列がプロモーターに作動可能に連結されており、Kv8.2をコードする核酸配列が、配列番号10と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一である配列を含む、核酸配列;
(c)配列番号11と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一である配列を含む、転写後調節エレメント;
(d)配列番号12と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一である配列を含む、ポリアデニル化シグナル;及び
(e)1つ以上のITR。いくつかの実施形態では、ウイルスゲノムは2つのITR配列を含む。
【0093】
一実施形態では、以下の1つ以上を含む核酸を含むウイルスゲノムが提供される:
(a)配列番号7と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一である配列を含む、プロモーター配列;
(b)Kv8.2タンパク質をコードする核酸配列であって、Kv8.2タンパク質が、配列番号13と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一である配列を含み、Kv8.2タンパク質をコードする核酸配列が、プロモーターに作動可能に連結されている、核酸配列;
(c)配列番号11と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一である配列を含む、転写後調節エレメント;
(d)配列番号12と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一である配列を含む、ポリアデニル化シグナル;及び
(e)1つ以上のITR。いくつかの実施形態では、ウイルスゲノムは2つのITR配列を含む。
【0094】
一実施形態では、以下の1つ以上を含む核酸を含むウイルスゲノムが提供される:
(a)配列番号8と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一である配列を含む、プロモーター配列;
(b)Kv8.2タンパク質をコードする核酸配列であって、Kv8.2タンパク質が、配列番号13と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一である配列を含み、Kv8.2タンパク質をコードする核酸配列が、プロモーターに作動可能に連結されている、核酸配列;
(c)配列番号11と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一である配列を含む、転写後調節エレメント;
(d)配列番号12と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一である配列を含む、ポリアデニル化シグナル;及び
(e)1つ以上のITR。いくつかの実施形態では、ウイルスゲノムは2つのITR配列を含む。
【0095】
一実施形態では、以下の1つ以上を含む核酸を含むウイルスゲノムが提供される:
(a)配列番号7を含むプロモーター配列;
(b)Kv8.2をコードする核酸配列であって、Kv8.2をコードする核酸配列がプロモーターに作動可能に連結されており、Kv8.2をコードする核酸配列が配列番号9を含む、核酸配列;
(c)配列番号11を含む転写後調節エレメント;
(d)配列番号12の配列を含むポリアデニル化シグナル;及び
(e)1つ以上のITR。いくつかの実施形態では、ウイルスゲノムは2つのITR配列を含む。
【0096】
一実施形態では、以下の1つ以上を含む核酸を含むウイルスゲノムが提供される:
(a)配列番号8を含むプロモーター配列;
(b)Kv8.2をコードする核酸配列であって、Kv8.2をコードする核酸配列がプロモーターに作動可能に連結されており、Kv8.2をコードする核酸配列が配列番号9を含む、核酸配列;
(c)配列番号11を含む転写後調節エレメント;
(d)配列番号12の配列を含むポリアデニル化シグナル;及び
(e)1つ以上のITR。いくつかの実施形態では、ウイルスゲノムは2つのITR配列を含む。
【0097】
一実施形態では、以下の1つ以上を含む核酸を含むウイルスゲノムが提供される:
(a)配列番号7を含むプロモーター配列;
(b)Kv8.2をコードする核酸配列であって、Kv8.2をコードする核酸配列がプロモーターに作動可能に連結されており、Kv8.2をコードする核酸配列が配列番号10を含む、核酸配列;
(c)配列番号11を含む転写後調節エレメント;
(d)配列番号12の配列を含むポリアデニル化シグナル;及び
(e)1つ以上のITR。いくつかの実施形態では、ウイルスゲノムは2つのITR配列を含む。
【0098】
一実施形態では、以下の1つ以上を含む核酸を含むウイルスゲノムが提供される:
(a)配列番号8を含むプロモーター配列;
(b)Kv8.2をコードする核酸配列であって、Kv8.2をコードする核酸配列がプロモーターに作動可能に連結されており、Kv8.2をコードする核酸配列が配列番号10を含む、核酸配列;
(c)配列番号11を含む転写後調節エレメント;
(d)配列番号12の配列を含むポリアデニル化シグナル;及び
(e)1つ以上のITR。いくつかの実施形態では、ウイルスゲノムは2つのITR配列を含む。
【0099】
一実施形態では、以下の1つ以上を含む核酸を含むウイルスゲノムが提供される:
(a)配列番号7を含むプロモーター配列;
(b)Kv8.2タンパク質をコードする核酸配列であって、Kv8.2タンパク質が配列番号13を含み、Kv8.2タンパク質をコードする核酸配列がプロモーターに作動可能に連結されている、核酸配列;
(c)配列番号11を含む転写後調節エレメント;
(d)配列番号12の配列を含むポリアデニル化シグナル;及び
(e)1つ以上のITR。いくつかの実施形態では、ウイルスゲノムは2つのITR配列を含む。
【0100】
一実施形態では、以下の1つ以上を含む核酸を含むウイルスゲノムが提供される:
(a)配列番号8を含むプロモーター配列;
(b)Kv8.2タンパク質をコードする核酸配列であって、Kv8.2タンパク質が配列番号13を含み、Kv8.2タンパク質をコードする核酸配列がプロモーターに作動可能に連結されている、核酸配列;
(c)配列番号11を含む転写後調節エレメント;
(d)配列番号12の配列を含むポリアデニル化シグナル;及び
(e)1つ以上のITR。いくつかの実施形態では、ウイルスゲノムは2つのITR配列を含む。
【0101】
アデノウイルス(AV)ベクターとしては、例えば、E1及びE3領域の欠失により複製欠損性とされたヒトアデノウイルス2型及びヒトアデノウイルス5型に基づくものが挙げられる。転写カセットをE1領域に挿入して、E1/E3欠失組換えAVベクターを得ることができる。アデノウイルスベクターには、ウイルスコード配列を含有しないヘルパー依存性大容量アデノウイルスベクター(大容量、「ガットレス(gutless)」または「ガッティド(gutted)」ベクターとしても知られる)が含まれる。これらのベクターは、ウイルスDNA複製及びパッケージングに必要なシス作用性エレメントを含有し、主に逆方向末端反復配列(ITR)及びパッケージングシグナル(CY)を含有する。これらのヘルパー依存性AVベクターゲノムは、数百塩基対から最大およそ36kbの外来DNAを担持する可能性がある。
【0102】
あるいは、レンチウイルスベクターなどの他の系を使用することもできる。レンチウイルスベースの系は、非分裂細胞ならびに分裂細胞を形質導入することができるため、例えば、CNSの非分裂細胞を標的とする用途に有用になる。レンチウイルスベクターは、ヒト免疫不全ウイルスに由来し、そのウイルスと同様に、宿主ゲノムに組み込まれ、非常に長期の遺伝子発現の可能性を提供する。
【0103】
発現カセットを含有する標的遺伝子を担持する、プラスミド、YAC、ミニ染色体及びミニサークルを含むポリヌクレオチドはまた、例えば、カチオン性脂質、ポリマー、またはその両方を担体として使用する非ウイルスベクター系によって細胞または生物に導入することができる。コンジュゲートポリ-L-リシン(PLL)ポリマー及びポリエチレンイミン(PEI)ポリマー系を使用して、ベクターを細胞に送達することもできる。ベクターを細胞に送達する他の方法には、細胞培養と生物の両方に対する、流体力学的注入、及びエレクトロポレーション、及び超音波の使用が含まれる。遺伝子送達のためのウイルス及び非ウイルス送達系の総説については、参照により本明細書に組み込まれるNayerossadat,N.et al.(Adv Biomed Res.2012;1:27)を参照のこと。
【0104】
rAAVビリオン産生
本明細書に開示されるrAAVビリオンは、本明細書に記載される材料及び方法、ならびに当業者に公知の材料及び方法を使用して構築及び産生することができる。本発明の任意の実施形態を構築するために使用されるそのような工学的方法は、核酸操作の当業者に公知であり、遺伝子工学、組換え工学、及び合成技術を含む。例えば、上で引用したSambrook et al及びAusubel et al.;ならびに国際特許公開第WO95/13598号を参照のこと。さらに、アデノウイルスキャプシド内でrAAVカセットを産生するのに好適な方法は、米国特許第5,856,152号及び同第5,871,982号に記載されている。
【0105】
簡単に述べると、rAAVゲノムをrAAVビリオンにパッケージングするために、宿主細胞は、AAV rep及びAAV capまたはその機能的断片を発現するのに必要な配列、ならびにAAV産生に必要なヘルパー遺伝子を含有しなければならない。AAV rep及びcap配列は、本明細書に見出されるAAV供給源から得られる。AAV rep配列及びAAV cap配列は、当業者に公知の任意の様式で宿主細胞に導入することができ、トランスフェクション、エレクトロポレーション、リポソーム送達、膜融合技術、高速DNAコーティングペレット、ウイルス感染及びプロトプラスト融合、を含むがこれらに限定されない。一実施形態では、rep配列及びcap配列は、1つ以上の核酸分子によって宿主細胞にトランスフェクトして、エピソームとして細胞内に安定に存在することができる。別の実施形態では、rep配列及びcap配列は、細胞のゲノムに安定して組み込まれる。別の実施形態では、宿主細胞内で一過的に発現するrep配列及びcap配列を有する。例えば、そのようなトランスフェクションに有用な核酸分子は、5’から3’に、プロモーター、プロモーターとrep遺伝子配列の開始部位との間に挿入される任意のスペーサー、AAV rep遺伝子配列、及びAAV cap遺伝子配列を含む。
【0106】
rep配列及びcap配列は、それらの発現制御配列とともに、単一のベクター上に供給してもよく、または各配列をそれ自体のベクター上に供給してもよい。好ましくは、rep配列及びcap配列は、同じベクター上に供給される。あるいは、rep配列及びcap配列は、宿主細胞に導入され得る他のDNA配列を含有するベクター上に供給してもよい。好ましくは、このコンストラクトで使用されるプロモーターは、当業者に公知の任意の好適な構成的プロモーター、誘導性プロモーター、または天然プロモーターであり得る。repタンパク質及びcapタンパク質を提供する分子は、これらの成分を宿主細胞に輸送する任意の形態であってもよい。望ましくは、この分子はプラスミドの形態であり、マーカー遺伝子の配列などの他の非ウイルス配列を含有し得る。この分子はAAV ITRを含有せず、一般にAAVパッケージング配列を含有しない。相同組換えの発生を回避するために、このプラスミドでは他のウイルス配列、特にアデノウイルスの配列は避けられる。このプラスミドは、細胞に安定にトランスフェクトすることができるように構築されることが望ましい。
【0107】
rep及びcapを提供する分子は、宿主細胞に一過的にトランスフェクトすることができるが、宿主細胞は、例えばエピソームとして、または宿主細胞の染色体への組み込みによって、宿主細胞内で機能的rep/capタンパク質を発現するのに必要な配列で安定に形質転換されることが好ましい。そのような安定にトランスフェクトされた宿主細胞の発現を制御するプロモーターに応じて、rep/capタンパク質は一過的に発現することができる(例えば、誘導性プロモーターの使用を通じて)。
【0108】
本発明の実施形態を構築するために使用される方法は、上記の参考文献に記載されているような、従来の遺伝子工学または組換え工学技術である。例えば、rAAVは、製造業者の指示に従って、リン酸カルシウム法(Clontech)またはEffectene試薬(Qiagen、Valencia、Calif.)のいずれかを使用するトリプルトランスフェクション法を利用して生成することができる。導入遺伝子を有するプラスミド、CPA-RPE65、AAV rep及びcapを含有するヘルパープラスミド、ならびにE2A、E4Orf6及びVAのアデノウイルスヘルパー機能を供給するプラスミドを用いる、以下の実施例で使用する方法について、Herzog et al,1999,Nature Medic.,5(1):56-63を参照のこと。本明細書は、本明細書に提供される情報を使用して、特定のコンストラクトの実例を提供するが、当業者は、スペーサー、プロモーター、及び少なくとも1つの翻訳開始及び翻訳停止シグナルを含むその他のエレメントの選択、ならびにポリアデニル化部位の任意選択の付加を使用して、他の好適なコンストラクトを選択し、設計することができる。
【0109】
次に、rAAVビリオンは、rAAVビリオンにパッケージングされるrAAVゲノム、AAV rep配列及びAAV cap配列を含有する、本明細書に記載のrAAVウイルスを含有する宿主細胞を、その発現を誘導する調節配列の制御下で培養することによって産生される。他の考えられるヘルパー遺伝子の中でも、好適なウイルスヘルパー遺伝子、例えばアデノウイルスE2A、E4Orf6及びVAは、当技術分野で公知の様々な方法で、好ましくは別個のプラスミド上で、培養物に提供することができる。その後、導入遺伝子の発現を誘導する組換えAAVビリオンを、混入ヘルパーウイルスまたはWT AAVの非存在下で、細胞または細胞培養物から単離する。
【0110】
KCNV2遺伝子の発現は、当技術分野で公知の方法で測定することができる。例えば、標的細胞をインビトロで感染させ、細胞内の導入遺伝子のコピー数をサザンブロッティングまたは定量的ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって監視することができる。RNA発現レベルは、ノーザンブロッティングまたは定量的逆転写酵素(RT)-PCR(qPCR)によって監視することができる;またタンパク質発現レベルは、ウェスタンブロッティング、免疫組織化学、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)によって、または以下の実施例で詳述する特定の方法によって監視することができる。
【0111】
医薬組成物
本明細書では、本明細書に開示されるベクターのいずれか及び薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物が提供される。
【0112】
Kv8.2をコードする遺伝子を含有する組換えAAVを、好ましくは従来の方法によって汚染について評価し、次に患者への投与に好適な医薬組成物に製剤化する。
【0113】
このような製剤は、pHを適切な生理学的レベルに維持するために、薬学的及び/または生理学的に許容されるビヒクルまたは担体、特に緩衝生理食塩水または他の緩衝液、例えば、HEPES、などの網膜下注射に好適なビヒクルまたは担体の使用を伴う。
【0114】
本発明のベクターは、医薬組成物に製剤化することができる。これらの組成物は、ベクターに加えて、薬学的及び/または生理学的に許容される賦形剤、担体、緩衝液、安定剤、抗酸化剤、防腐剤、または当業者に周知の他の添加剤を含んでもよい。このような材料は非毒性であるべきであり、活性成分の有効性を妨げるものであってはならない。担体または他の材料の正確な性質は、投与経路に従って当業者が決定することができる。医薬組成物は、典型的には液体形態である。液体医薬組成物は、一般に、水、石油、動物油または植物油、鉱油または合成油などの液体担体を含む。追加の担体は、参照により本明細書に組み込まれる国際特許公開第WO00/15822号に提供されている。生理食塩水、塩化マグネシウム、デキストロース、もしくは他の糖溶液、またはエチレングリコール、プロピレングリコールもしくはポリエチレングリコールなどのグリコールを含めてもよい。場合によっては、界面活性剤、例としてプルロン酸(PF68)0.001%を使用してもよい。場合によっては、リンゲル液、加乳酸リンゲル液、またはハルトマン液を使用する。必要に応じて、防腐剤、安定剤、緩衝剤、抗酸化剤及び/または他の添加剤を含むことができる。
【0115】
遅延放出の場合、ベクターを、生体適合性ポリマーから形成されたマイクロカプセルまたは当技術分野で公知の方法によるリポソーム担体系など、徐放用に製剤化された医薬組成物に含めてもよい。
【0116】
ウイルスを長期保存する場合、グリセロールの存在下で凍結してもよい。
【0117】
治療方法
網膜疾患の治療を必要とする対象における網膜疾患を治療する方法であって、網膜疾患は、KCNV2遺伝子における1つ以上の変異と関連しており、本明細書に開示されるベクターを対象に投与することを含む、方法が、本明細書において提供される。網膜疾患の治療を必要とする対象における網膜疾患を治療する方法において使用するためのベクターであって、網膜疾患は、KCNV2遺伝子における1つ以上の変異と関連している、ベクターが、本明細書において提供される。いくつかの実施形態では、対象はKCNV2に変異を有する。
【0118】
いくつかの実施形態では、対象は哺乳動物である。本明細書で使用される「哺乳動物」という用語は、ヒト、実験動物、家庭用ペット、及び家畜を含むことを意図しているが、これらに限定されない。哺乳動物には、ヒト、または非ヒト哺乳動物、例としてウシ、ウマ、イヌ、ヒツジ、もしくはネコなどが含まれるが、これらに限定されない。個体及び患者も、本明細書では対象となる。
【0119】
本明細書で使用される「治療する(treat)」、「治療される(treated)」、「治療すること(treating)」、または「治療(treatment)」という用語は、治療的処置を指し、その目的は、望ましくない生理学的状態、障害または疾患を減速させる(軽減させる)こと、または有益なもしくは所望の臨床結果を得ることである。本発明の目的において、有益なまたは所望の臨床結果としては、症状の軽減;状態、障害、もしくは疾患の程度の低下;病態、障害、もしくは疾患の状態の安定化(すなわち、悪化しない);状態、障害、もしくは疾患の発症の遅延、または状態、障害、もしくは疾患の進行の遅延;状態、障害、もしくは病状の改善;及び寛解(部分的もしくは完全)、または状態、障害、もしくは疾患の向上または改善が挙げられるが、これらに限定されない。治療には、過剰なレベルの副作用を伴わずに、臨床的に有意な応答を誘発することが含まれる。治療はまた、治療を受けていなかった場合に予測される生存期間と比較して、生存期間を延長することも含む。「予防する」、「予防」などの用語は、明らかな疾患もしくは障害の発症前に作用すること、疾患もしくは障害が発症するのを防ぐこと、または疾患もしくは障害の程度を最小限に抑えるか、あるいはその進行過程を遅らせることを指す。
【0120】
いくつかの実施形態では、網膜疾患は錐体ジストロフィーである。一実施形態では、網膜疾患は、超正常杆体応答を伴う錐体ジストロフィー(CDSSR)である。
【0121】
一態様では、以下を含む方法が提供される。
(a)対象がKCNV2遺伝子に変異を保有しているかどうかを決定すること;及び
(b)対象がKCNV2遺伝子に変異を保有する場合、本明細書に開示されるベクターを含む医薬組成物を対象に投与すること。
【0122】
投与の経路及び方法
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるベクターまたは医薬組成物は、眼内注射によって投与する。いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるベクターまたは医薬組成物は、直接網膜注射、網膜下注射、または硝子体内注射によって投与する。いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるベクターまたは医薬組成物は、対象の中心網膜に投与する。
【0123】
本発明のベクターの用量は、種々のパラメータに従って、特に治療される患者の年齢、体重及び状態、特定の眼障害及び進行性である場合は障害が進行している程度、投与経路、及び必要なレジメンに従って決定することができる。また、医師は特定の患者に必要な投与経路及び投与量を決定することができる。プロモーター配列の制御下で所望の導入遺伝子をコードする核酸配列を担持するrAAVの有効量は、望ましくは、約1×10~2×1012の間のrAAVゲノム粒子、または1×1010~2×1011の間のゲノム粒子の範囲である。ゲノム粒子は、本明細書では、配列特異的方法(リアルタイムPCRなど)を用いて定量することができる一本鎖DNA分子を含有するAAVキャプシドとして定義される。いくつかの実施形態では、約1×10~2×1012のrAAVゲノム粒子は、約150~約800μlの間の体積で提供される。いくつかの実施形態では、約1×1010~2×1011のrAAVゲノム粒子は、約250~約500μlの間の体積で提供される。これらの範囲のさらに他の用量は、主治医が選択することができる。
【0124】
用量は単回用量として提供してもよいが、僚眼に対して、または何らかの理由(手術合併症など)でベクターが網膜の正しい領域を標的にしなかった場合には、繰り返してもよい。治療は、好ましくは各眼に対する単一の永久治療であるが、例えば将来的に及び/または異なるAAV血清型による反復注射を考慮してもよい。したがって、本明細書に開示される医薬組成物の「ブースター」投与量を複数回投与することが望ましい場合がある。例えば、眼の標的細胞内の導入遺伝子の持続期間に応じて、ブースター投与量を6か月間隔で、または最初の投与の後から1年ごとに送達することができる。このようなブースター投与量及びその必要性は、例えば、当技術分野で公知の網膜及び視覚機能検査及び視覚行動検査を使用して、主治医が監視することができる。他の同様の検査を使用して、治療対象の状態を経時的に判定してもよい。適切な検査の選択は主治医が行うことができる。さらに代替的に、本明細書に開示される方法はまた、WT網膜で見られるレベルに近い視覚機能のレベルが可能になるために、単一または複数回の感染においてより大量のベクター含有溶液の注射を伴ってもよい。
【0125】
追加の方法
一態様では、Kv8.2の発現の増加を必要とする対象におけるKv8.2の発現を増加させる方法であって、本明細書に開示されるベクターを対象に投与することを含む、方法を提供する。一態様では、細胞におけるKv8.2の発現を増加させる方法であって、細胞を本明細書に開示されるベクターと接触させることを含む、方法を提供する。
【0126】
製造品及びキット
本明細書に記載の方法で使用するためのキットまたは製造品も提供される。態様では、キットは、本明細書に記載される組成物(例えば、Kv8.2コード配列の送達のための組成物)を好適なパッケージングで含む。本明細書に記載される組成物(注射用の眼用組成物など)の適切なパッケージングは当技術分野で公知であり、これには、例えば、バイアル(密封バイアルなど)、容器、アンプル、ボトル、ジャー、柔軟なパッケージング(例えば、密封マイラーまたはビニール袋)などが含まれる。これらの製造品は、さらに、滅菌及び/または密封されてもよい。
【0127】
本明細書に記載の組成物を含むキットも提供される。これらのキットは、本明細書に記載される使用など、組成物の使用方法に関する説明書(複数可)をさらに含んでもよい。本明細書に記載されるキットは、緩衝液、希釈剤、フィルター、針、シリンジ、及び組成物の投与を実行するためのまたは本明細書に記載される任意の方法を実行するための説明書を含む添付文書を含む、商業的及びユーザーの観点から望ましい他の材料をさらに含み得る。例えば、いくつかの実施形態では、キットは、標的細胞におけるKv8.2タンパク質の発現のためのKCNV2導入遺伝子を含むrAAV、注射に好適な薬学的に許容される担体、ならびに緩衝液、希釈剤、フィルター、針、シリンジ、及び注射を行うための説明書を含む添付文書のうちの1つ以上を含む。
【0128】
本発明は、記載された特定の分子、組成物、方法論、またはプロトコルに限定されず、これらは変化し得ることを理解すべきである。本明細書に記載の方法及び材料に類似したまたは同等の、任意の方法及び材料を、本発明の実施形態の実践または試験に使用することができる。さらに、本明細書における本発明の開示は、そのような特定の特徴の全ての考えられる組み合わせを含むことを理解すべきである。例えば、特定の特徴が本発明の特定の態様もしくは実施形態、または特定の請求項に関連して開示されている場合、その特徴も、本発明の他の特定の態様及び実施形態と組み合わせて、及び/または本発明の他の特定の態様及び実施形態との関連で、及び本発明において、一般に、可能な限り使用することができる。
【0129】
本明細書において、2つ以上の定義されたステップを含む方法について言及する場合、それらの定義されたステップは、任意の順序でまたは同時に実行することができ(文脈がその可能性を除外する場合を除く)、この方法には、定義されたステップのいずれかの前、定義されたステップのうちの2つの間、または定義されたステップすべての後に行われる1つ以上の他のステップを含めることができる(文脈によりこれらの可能性が除外される場合を除く)。
【0130】
他のすべての参照特許及び出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。さらに、参照により本明細書に組み込まれる参考文献における用語の定義または使用が、本明細書に提供されるその用語の定義と一致しない、または矛盾する場合、本明細書に提供されるその用語の定義が適用され、参考文献におけるその用語の定義は適用されない。
【0131】
本発明のより良い理解を容易にするために、特定の実施形態の以下の実施例が与えられる。以下の実施例は、本発明の範囲全体を限定または定義するものとして解釈されるべきではない。
【実施例
【0132】
実施例1:AAV-KCNV2発現コンストラクトの設計及び作製
まず、KCNV2 cDNAまたはコドン最適化KCNV2 cDNAを、ユビキタスCAGプロモーターまたは光受容体特異的RK1プロモーターの下流のAAV一本鎖骨格にクローニングした。コザックコンセンサス配列を、プロモーターと導入遺伝子との間に配置した。ウッドチャック肝炎ウイルス変異体6(WPREm6)配列を、導入遺伝子とポリAとの間に配置した。ポリA配列は、ウシ成長ホルモンポリA(BghpA)配列であった。4つの発現コンストラクトの概略図については、図1を参照のこと。クローニングは、VectorBuilder,Inc.(Chicago、IL、USA)で実行した。プラスミドを受け取ったら、Genewiz(South Plainfield、NJ、USA)で完全なシーケンシング(ITR領域を含む)を実行し、Snapgene(San Diego、CA、USA)を使用して配列をプラスミドマップにアラインメントさせた。4つのコンストラクトを、HEK293T細胞へのトリプルトランスフェクションによってAAV5及び7m8キャプシドの両方にパッケージングし、SignaGen laboratories(Frederick、MD、USA)で塩化セシウム遠心分離によって精製した。
【0133】
実施例2:細胞株におけるトランスフェクションによるCAG発現コンストラクトの検証。
トランスジェニック発現コンストラクトを検証するために、HEK293及び発生している網膜色素上皮(ARPE19)細胞に、標準的なヌクレオフェクション技術を使用してトランスフェクトした。最初に、CAGプロモーターの制御下で、それぞれWT KCNV2遺伝子またはコドン最適化KCNV2遺伝子を含む発現コンストラクト(pCAG-KCNV2 WT及びpCAG-KCNV2 Opti)を、細胞にトランスフェクトした。緑色蛍光タンパク質(GFP)導入遺伝子及びヒトサイトメガロウイルス(CMV)プロモーター(CMV-GFP)を含む発現プラスミドを、対照として使用した。発現を、qPCR、免疫蛍光、及びFACSによって検証した。
【0134】
qPCRによるCAG発現コンストラクトの検証。
KCNV2 WT及びKCNV2 Opti mRNAレベルを、それぞれpCAG-KCNV2 WTまたはpCAG-KCNV2 Opti発現コンストラクトを用いたHEK293またはARPE19細胞のそれぞれのヌクレオフェクションの48時間後に評価した。mRNAレベルを、WT及びOpti転写物を検出するように設計したTAQMANプライマープローブセットを用いたqPCRで決定した。発現レベルを、ハウスキーピング遺伝子GAPDH及びβアクチンに対して正規化した。両方の発現プラスミドは、両方の細胞株において検出可能なKCNV2 mRNAを産生した。同量のプラスミドDNAをトランスフェクションしたにもかかわらず、ARPE19は48時間時点でHEK293よりもWT転写物とOpti転写物の両方が少なく、トランスフェクション効率が低いことを示唆していた(図2)。プライマー対間の増幅効率の差異のため、この分析ではOptiとWTの転写レベルを直接比較することはできない。
【0135】
免疫蛍光によるCAG発現コンストラクトの検証。
ARPE19細胞に、pCAG-KCNV2 WT及びpCAG-KCNV2 Opti発現コンストラクトをそれぞれヌクレオフェクトした。ARPE19細胞には、対照としてLonza Biosciences(Morrisville、NC、USA)製のpmaxGFP(CAGプロモーターによって駆動されるGFP)発現コンストラクトもトランスフェクトした。Kv8.2タンパク質は、KCNV2ウサギポリクローナル一次抗体(Sigma Aldrich #HPA031131、1:100)及びロバ抗ウサギAlexa Fluor555二次抗体を使用して検出した。両方のKCNV2発現プラスミドをトランスフェクトしたある特定のARPE19細胞は、免疫蛍光によって検出可能なKv8.2タンパク質を産生した(図3)。検出可能なKv8.2タンパク質を有しなかった多くのARPE19細胞によって示されるように、トランスフェクションレベルは低かった。Kv8.2タンパク質は、細胞膜及び細胞質に局在した。
【0136】
蛍光活性化単一細胞ソーティング(FACS)によるCAG発現コンストラクトの検証
HEK293細胞に、3.5μgのpCAG-KCNV2 WTまたはpCAG-KCNV2 Opti発現コンストラクトをトランスフェクトし、48時間後に回収した。pCMV-GFP発現コンストラクトを対照として使用した。細胞を、Kv8.2一次抗体(Sigma Aldrich #HPA031131、1:100)及びAlexa Fluor488抗ウサギ抗体を用いて懸濁液中で染色した。細胞集団を、非トランスフェクト対照に対してゲート処理した(図4)。WTプラスミド中対コドン最適化プラスミド中のKv8.2発現細胞の数には、48時間で有意差はなかった(n=3の独立した実験)。
蛍光強度中央値(MFI)を使用して、トランスフェクト細胞におけるKv8,2タンパク質発現レベルを定量した。48時間の時点で、KCNV2 WT発現コンストラクト対KCNV2 Opti発現コンストラクトにおけるKv8.2/Alexa Fluor488染色細胞の蛍光中央値の間に有意差はなかった(n=3の独立した実験)。
【0137】
実施例3:ARPE19細胞における発現コンストラクトのAAV形質導入
AAV5 KCNV2ベクター(CAG-KCNV2 WT、CAG-KCNV2 Opti、RK-KCNV2 WT、及びRK-KCNV2 Opti)を、2つの感染多重度(MOI)(細胞あたり1E4ベクターゲノム(VG)及び細胞あたり1E5 VG)でチャンバースライド上のARPE19細胞に形質導入して、21日後に固定した。Kv8.2一次抗体及びAlexa Fluor 555二次抗体で染色した細胞を、共焦点で画像化した。条件ごとに3つの画像(3つのウェルから)を撮影し、FIJIで分析する前に盲検化した(Image J)。Kv8.2発現細胞のパーセントをDAPIに対してスコア化し、Kv8.2発現細胞の平均染色強度(積分密度)をFIJIで定量した(Image J)。
【0138】
CAGプロモーター発現AAV(Opti及びWT)は、Kv8.2発現細胞のパーセント及びKv8.2染色強度レベルにおいて、RK(Opti及びWT)よりも高いスコアを有していた。CAG Optiベクター及びCAG WTベクターは、変動性は高かったが、いずれのMOIにおいてもKv8.2発現細胞において有意に異なる染色強度レベルを有しなかった。CAG Optiは、1E4条件において有意により多いKv8.2陽性細胞を有していたが、1E5では有さなかった(図5)。
【0139】
実施例4:オルガノイドにおける発現コンストラクトのAAV形質導入
発現コンストラクトを用いたオルガノイドのAAV形質導入のための方法
網膜オルガノイドを96ウェル低付着プレート(ウェルあたり1つのオルガノイド)に移し、網膜オルガノイドに、140日目に8つのAAV KCNV2コンストラクト(AAV5 CAG-KCNV2 WT、AAV5 CAG-KCNV2 Opti、AAV5 RK-KCNV2 WT、AAV5 RK-KCNV2 Opti、AAV7m8 CAG-KCNV2 WT、AAV7m8 CAG-KCNV2 Opti、AAV7m8 RK-KCNV2 WT、及びAAV7m8 RK-KCNV2 Opti)のうちの1つを、合計100μLの培地中、オルガノイドあたり3E11ウイルスゲノム(VG)の用量で形質導入した。翌日、オルガノイドを24ウェル低付着プレートに移し、培地を3日後に交換した。形質導入のための網膜オルガノイドを、形態に基づいて選択した;透明な積層構造及び目に見える外節の刷子縁(図6)の存在を、固定及び免疫蛍光による分析のために選択した。内部ロゼット構造(光受容体が内部構造に存在する)を有するオルガノイドに、qPCR分析のために形質導入し、qPCR分析において、全オルガノイド由来のmRNAをアッセイした。
【0140】
オルガノイドを更に3週間培養し、その後、全オルガノイドの瞬間凍結(qPCR及びウエスタンブロット)または4%パラホルムアルデヒド(PFA)中での4℃での30分間の固定により回収した。次に、オルガノイドを標準的なリン酸緩衝食塩水(PBS)中で2回洗浄し、続いて30%スクロースを含むPBS中に4℃にて一晩浸漬した。翌日、オルガノイドを最適な切断温度(optimal cutting temperature、OCT)コンパウンドに包埋し、7μmでの凍結切片化前に-80℃で保存した。
【0141】
KCNV2 KOオルガノイドの各形質導入について、同じクローン及び分化バッチからの非形質導入対照及びWT(非CRISPR編集)対照を含めた。
【0142】
光受容体細胞の最外層におけるAAV7m8 KCNV2形質導入
AAV形質導入の3週間後、KCNV2 KO網膜オルガノイドを切片化し、トランスジェニックKCNV2タンパク質産物Kv8.2についてアッセイした。網膜オルガノイド全体の共焦点分析により、KCNV2 WT及びKCNV2コドン最適化ベクターが、ともに光受容体最外層において発現したことが明らかになった(図7)。
【0143】
網膜内細胞のAAV7m8 KCNV2形質導入
形質導入オルガノイド中の網膜内層には、検出可能なKv8.2産物はほとんどなかった。双極性細胞マーカーPKCaとの共染色により、Kv8.2染色PKCa陽性双極性細胞が存在しないことが明らかになったが、WT網膜オルガノイドは、Kv8.2に対して免疫陽性のいくつかの網膜内細胞(図7の白い矢印)、おそらくアマクリン細胞、水平細胞または錐体双極細胞を有していた。対照的に、形質導入KCNV2 KO網膜オルガノイドは、CAGプロモーター含有ベクターにおける形質導入光受容体での高い発現にもかかわらず、Kv8.2陽性網膜内細胞をほとんど有さず(図8)、これはAAVがこれらの層にアクセスできないこと及び/または光受容体細胞に対する優先的なベクター指向性を示している。
【0144】
網膜色素上皮(RPE)細胞のAAV7m8 KCNV2形質導入
色素性RPE細胞及び光受容体は、同じ発生前駆細胞集団に由来する。インビボでは、RPE単層は、網膜下空間の境界を画定する光受容体外節に隣接して存在する。網膜オルガノイド内のRPE細胞は、オルガノイドの外表面上にクラスターを形成して配置されている(図9、左パネル)。存在する場合、RPE細胞には、AAV5及び7m8の両方が形質導入され、CAG-KCVN2は、高レベルのKv8.2タンパク質を発現した。RK-KCNV2は、おそらくRKプロモーターの光受容体特異性に起因して、RPE細胞において検出可能なKv8.2を発現しなかった。
【0145】
ミュラーグリア細胞のAAV7m8 KCNV2形質導入
ミュラーグリア細胞は、網膜の全厚に跨り、構造上の支持を提供し、外境界膜及び内境界膜を形成する。RPE細胞に加えて、CRALBPは、内顆粒層と外顆粒層に跨って外境界膜を形成していることが見られる網膜オルガノイドにおけるミュラーグリアのマーカーである。CRALBPとKv8.2との共染色では、これら2つのマーカーの共染色は示されず、AAV5及びAAV7m8が、ミュラーグリア細胞において導入遺伝子を形質導入及び/または発現することを示唆している(図10)。
【0146】
実施例5:AAV7m8 KCNV2形質導入細胞におけるKv8.2の局在
光受容体内節におけるKv8.2の局在
内因性KCNV2(Kv8.2)タンパク質は、杆体及び錐体の内節の原形質膜で発現し、外節では発現しないと報告されている。光受容体タンパク質を正しい細胞内コンパートメントに輸送することは、その機能にとって重要であり、誤って折りたたまれたタンパク質の誤った輸送が、多くの遺伝性網膜変性障害の病原性の根底にある。
【0147】
形質導入網膜オルガノイドをロドプシンで染色したところ、膜性外節構造に正確に局在することが見出された。トランスジェニックkv8.2(7m8 CAG-WT及び7m8 CAG-Opti)は、光受容体細胞体の内節(IS)及び原形質膜に局在することが見出された(図11)。Kv8.2染色は、外節(OS)には存在しなかった。これは、WT及びコドン最適化ベクターの両方から産生されたタンパク質が、翻訳後に適切に輸送されることを示唆する。
【0148】
AAV7m8 KCNV2形質導入細胞におけるKv8.2とKv2.1の共局在
KCVN2遺伝子産物Kv8.2は、網膜におけるカリウムチャネルサブユニットKv2.1と相互作用する。Kv8.2は、サイレントKvチャネルサブユニットであり、従って、より大きなKvチャネルサブユニットとのその相互作用を介してのみ機能することができる。WT網膜オルガノイドにおいて、aKv2.1抗体は、錐体内節(エリプソイド領域)においてより強いシグナルで光受容体内節を明確に標識した(図12)。内因性Kv8.2タンパク質(図12)は、Kv2.1と共局在する桿体及び錐体内節に存在した。Kv8.2が存在しないKO網膜オルガノイドでは、Kv2.1染色の内節エリプソイドパターンが光受容体で検出される。AAV由来Kv8.2タンパク質(WTベクター及びコドン最適化ベクターの両方)も、形質導入網膜オルガノイドの光受容体内節構造において発現し、両方の導入遺伝子がタンパク質に翻訳され、正しい細胞内コンパートメントに効率的に輸送されることが示された(図12)。
【0149】
実施例6:AAV形質導入後のレスキュー及び毒性の評価:
網膜全体のTUNEL反応性の増加が、1、3及び6か月齢のKCNV2 KOマウスモデルにおいて報告されており、mm2あたりの錐体細胞数がWTの80%に減少したことが6か月齢で報告されている。本発明者らの胎児期KCNV2 KO網膜細胞モデルが形質導入時にこれらの表現型を再現するかどうかを決定するため、及び任意のベクター関連細胞毒性を評価するために、TUNEL反応性及び錐体細胞数を、WT対KOオルガノイド及び全てのAAVベクターを形質導入されたKOオルガノイドにおいて測定した。
【0150】
AAV形質導入オルガノイドにおけるTUNEL反応性
TUNELは、アポトーシス中に生成される二本鎖DNA切断における3’-ヒドロキシル末端を標識することによってDNA断片化を検出するための方法である。網膜オルガノイド凍結切片におけるTUNEL反応性を、KCNV2 KO形質導入オルガノイド対非形質導入対照及びWTにおいて評価した。
【0151】
図13Aは、形質導入3週間後の、AAV5 CAG-KCNV2-Opti処理網膜オルガノイド(クローンK28)のTUNEL染色を示す。TUNEL陽性細胞は主にオルガノイドの中心(破線)に認められ、網膜細胞層(ONL、INL)にはTUNEL陽性細胞が存在しないか、または非常にわずかであった。WTと比較してKCNV2 KO光受容体のTUNEL反応性の増加はなく、このモデルのこの時点では「インビトロ」網膜変性が起こっていないことを示唆している。
【0152】
2つのAAV血清型のいずれも、WTまたはコドン最適化導入遺伝子によりONLまたはINLにおいて有意なレベルのTUNEL陽性細胞を引き起こさなかった(図13b及び13c)。このことは、試験したAAV血清型及び過剰発現トランスジェニックタンパク質が網膜細胞に対して細胞傷害性ではないことを示唆している。オルガノイドの中心にTUNEL陽性細胞が存在することは、他のHIPSC網膜オルガノイドモデルでも広く報告されており、網膜オルガノイドの中心の低酸素及び/またはその中心の細胞への不十分な栄養伝達による可能性が最も高い。
【0153】
AAV形質導入オルガノイドにおけるクローン細胞数
KCNV2 KOマウスは、6か月齢でWTレベルの80%までの錐体細胞の軽度の喪失を示す。この表現型がヒト胎児期の網膜オルガノイドで再現されるかどうかを判定するために、WT網膜オルガノイド及びKCNV2 KO網膜オルガノイドにおける網膜組織100μmあたりの錐体細胞を免疫蛍光によって定量した。L/Mオプシン陽性錐体細胞数を、倍率40倍で撮影したオルガノイド全体のタイルスキャン(7μm網膜凍結切片)から計数し、網膜組織の全長に対して正規化した。合計12のWT網膜オルガノイド及び8の未処理KO網膜オルガノイドの平均錐体細胞数を計数した。WTと比較して、KCNV2 KO細胞株では錐体細胞数の有意な増加があった(図14)。形質導入網膜オルガノイド(すべてのベクターをn=30に群分け)では、WTオルガノイドと形質導入オルガノイドの間に統計的有意差は示されなかったが(p=0.2)、非形質導入KOと比較して有意な減少が示された(p=0.02)。
【0154】
実施例7:形質導入オルガノイドにおけるトランスジェニックKCNV2 mRNA及びKv8.2タンパク質の定量的評価。
形質導入オルガノイドにおけるKCNV2 mRNAレベルのqPCR評価
ベクター駆動型導入遺伝子発現の定量的比較をqPCRによって行った。KCNV2 mRNA発現レベルを、RKまたはCAGプロモーターによって駆動され、AAV2/5またはAAV2/7m8のいずれかによって送達される、WT及びコドン最適化バージョンのKCNV2遺伝子を形質導入されたKCNV2 KOオルガノイドにおいて評価した。クローンK12、K5及びK28からの形質導入オルガノイド全体を、瞬間凍結により形質導入の21日後に回収した。RNAを抽出し、DNAse処理し、SOP(PRCL-SOP-RNA精製cDNA合成)に従って0.1μgのRNAからcDNAを作製した。遺伝子発現レベルを内因性ハウスキーピング遺伝子GAPDH及びβアクチンに対して正規化し、ΔΔCT法を使用して相対発現を決定した。
【0155】
AAV5-RK-コドン最適化KCNV2、AAV5-CAG-コドン最適化KCNV2、またはAAV7m8-CAG-コドン最適化KCNV2のいずれかを受けた網膜オルガノイドと比較して、AAV7m8-RK-コドン最適化KCNV2を形質導入された網膜オルガノイドにおいて、最も高いレベルのKCNV2-Opti発現が観察された(図15a)。
【0156】
AAV7m8-CAG-WT KCNV2を形質導入されたオルガノイドにおいて、最も高いレベルのベクター由来KCNV2 WT mRNAが観察された。AAV7m8-CAG-WT KCNV2で処理したオルガノイドにおけるKCNV2発現は、非形質導入KCNV2 KO対照より約138倍高く(図9b)、AAV7m8-RK-WT KCNV2は、非形質導入対照より約86倍高かった。CAGプロモーターまたはRKプロモーターのいずれかの制御下で、AAV5とともに送達されたKCNV2 WT遺伝子の異なるバージョンを形質導入された網膜オルガノイドは、非形質導入対照より約10倍高かった(図15B)。
【0157】
全体として、AAV2-7m8は、網膜オルガノイドにおける光受容体の形質導入においてAAV5よりも有効であることが見出された。興味深いことに、光受容体特異的RKプロモーターまたは構成的CAGプロモーターによって駆動されるベクターにおいて、WT KCNV2 mRNAまたはOpti KCNV2 mRNAのいずれにおいても有意差はなかった。
【0158】
免疫蛍光によって評価した、形質導入オルガノイドにおけるKv8.2タンパク質レベル。
Kv8.2タンパク質レベルは、形質導入オルガノイドの外顆粒層で発現した(図7図16Bを参照のこと)。ベクター間の相対的累積タンパク質レベルを決定するために、オルガノイド凍結切片をKv8.2抗体で染色し、ONLの総累積蛍光(生の積分密度)をFIJIで定量し(Image J)、測定された総ONL面積に対して正規化した。図16は、同じブロックに包埋され、同じ日に画像化されたWTオルガノイドのパーセンテージとして表される総蛍光を示す。7m8キャプシド及びAAV5キャプシドの両方において、CAGプロモーターとRKプロモーターとの間の総蛍光に有意差があった(それぞれp=0.031及び0.028、両側、対応のあるスチューデントt検定)。コドン最適化(Opti)ベクターでは蛍光強度が増加する傾向があるにもかかわらず、CAGまたはRKプロモーターを含むベクターではWTとOptiの間に有意差はなかった。
【0159】
実施例8:形質導入網膜オルガノイドにおけるKv8.2及びKv2.1の共局在。
免疫蛍光法によって評価したKv8.2及びKv2.1の相対共局在
Kv8.2は、電位依存性カリウムチャネルKv2.1とヘテロマーを形成することによって網膜内で機能する。定性的分析により、ベクター由来Kv8.2と内因性Kv2.1が光受容体内節に共局在することが明らかになった(図12)。回復したKv8.2の相対レベルを決定するために、定量的免疫蛍光分析及び共局在分析を行った。7umオルガノイド凍結切片をKv8.2及びKv2.1で共染色し、オルガノイド切片全体を倍率40倍で画像化し、その後LSMソフトウェアでマージしてオルガノイド全体のタイルスキャンを作成し、これをFIJI画像解析ソフトウェアにエクスポートした。1ベクターあたりn=3~5個のオルガノイドのタイルスキャンを取得し、FIJI(Image J)で分析した。Kv.2.1とKv8.2の両チャネルでしきい値を超えるピクセルを決定するために、「image calculate>and」関数を使用して、内節領域の総共局在面積を決定した。この値は、様々な網膜オルガノイドのサイズを考慮して、関心領域の長さに正規化した。
【0160】
WT(CTR)と未処理KCNV2 KOオルガノイドとの間には有意差があった(図16)。7m8 CAG-WT及び7m8 CAG-Optiで処理したオルガノイドでは、平均共局在面積が増加する傾向があったが、その差異は有意には達しなかった(一元配置ANOVA、ダネットの多重比較検定)。7m8 RK-WT及びRK-Optiの平均共局在面積は未処理と同様であり、この方法で検出可能なベクター由来Kv8.2発現が欠如していることを示していた。
【0161】
近接ライゲーションアッセイによって評価したKv8.2及びKv2.1の共局在性及び近接性
カリウムチャネルサブユニットKv8.2とKv2.1との間の光受容体におけるタンパク質-タンパク質相互作用を評価するために、近接ライゲーションアッセイ(PLA)を開発した。形質導入KCNV2 KO網膜オルガノイドを、WT(陽性対照)及び非形質導入KO(陰性対照)とともに固定し、凍結切片用の同じブロック上のOCTに包埋した。7μmの凍結切片を、Kv8.2(ウサギ)及びKv2.1(マウス)抗体、ならびにウサギ及びマウスのPLAプラス及びマイナスプローブで共染色した。ライゲーション及び増幅ステップ(duo link-オレンジ)の後、外顆粒層のPLA涙点を共焦点顕微鏡により倍率63倍で視覚化した。オルガノイドを全体として観察すると、光受容体細胞層の位置、具体的には光受容体内節が位置する場所に、明らかにPLAシグナルが集中していた(図18A)。これにより、予想される細胞型及び細胞内コンパートメントにおけるkv.8.2/Kv2.1相互作用の特異性が確認される。さらに、特異性は、KCNV2 KO網膜オルガノイドのONLにおけるシグナルの有意な減少によって確認された(図18B、18C)。PLAシグナルの定量により、同じスライド上で処理されたWTオルガノイドと比較して、KCNV2 KOクローン(K28及びK12)におけるONLの面積あたりのPLA涙点数の有意な減少が明らかになった(図18C)。
【0162】
形質導入網膜オルガノイドにおけるPLAシグナルの定量
AAVベクターを形質導入されたKCNV2 KO網膜オルガノイドは、KCNV2 mRNA及びKv8.2タンパク質を発現する。ベクター由来の翻訳タンパク質の機能は、電位依存性カリウムチャネルkv2.1とヘテロマーを形成する能力に依存する。ベクター由来のKCNV2転写物及びタンパク質中のKv8.2の総量を評価することに加えて、PLAを使用してKv2.1との相互作用の程度を評価した。
【0163】
クローン株由来の8つの示されたベクターのうちの1つで形質導入されたKCNV2 KOオルガノイドを、WT(陽性対照)及び非形質導入KCNV2 KOオルガノイド(陰性対照)と同じ凍結保存組織ブロックに包埋して、実験をKCNV2 KOクローン細胞株K12及びK28で繰り返した。上記のように、7μmの凍結切片を、Kv8.2(ウサギ)及びKv2.1(マウス)抗体、ならびにウサギ及びマウスのPLAプラス及びマイナスプローブで共染色した。倍率63倍での最大強度z投影を使用して、視野ごとのPLA涙点を定量した。各z投影は100~150個の光受容体細胞を捕捉し、17個(非形質導入)~550個の間の涙点(最大シグナル)を含んでいた。Kv8.2抗体力価を100分の1から400分の1に低下させて、PLA涙点の合体を伴わないでシグナルを最大化した。図19は、AAV2/5及びAAV7m8キャプシドの両方で形質導入されたKCNV2 KOクローンK12対WT及び非形質導入からの代表的な最大強度投影を示す。PLA涙点は、非形質導入オルガノイドと比較して形質導入オルガノイドにおいて豊富であり、シグナル周波数は光受容体内節の領域の頂端において最も高かった。ONL中の涙点を、FIJI(Image J)「analyse particles」関数を使用して定量した。ONLサイズの領域差により、測定されたONL面積に対するシグナルの正規化が必要になった。
【0164】
PLA涙点数に対するAAV形質導入の有意な効果があった(P>0.001、一元配置ANOVA)、個々の比較により、すべてのベクターが非形質導入よりも有意に高いシグナルを生成したことが示された(図20A及び20B)。CAG WTベクターは、RK WTベクターよりも有意に高いPLAシグナルを生成した(K12 p=0.02、K28 P=0.01)が、CAG OptiベクターとRK Optiベクターとの間に有意差はなかった(K12 p=0.17、K28 p=0.77)。両方のクローンにおいて、7m8 RK Wtと7m8 RK Optiの間に有意差があった(K12 p<0.0001、K28 p>0.01)。
【0165】
KCNV2 KO光受容体におけるより高いPLAシグナルは、より高い機能的タンパク質レベルの指標である。クローンK12における7m8 RK-WTを除き、すべての7m8ベクターにおいて、シグナルはWTレベルと有意に異ならなかった。
【0166】
これは、すべての7m8ベクターが、機能的Kv2.1/Kv8.2ヘテロマーのWTレベルへの回復が可能になる十分な有効性で、KCNV2をヒト光受容体細胞に送達することができることを示す。
【0167】
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【表1-5】
【表1-6】
【表1-7】
【表1-8】
【表1-9】
【表1-10】
【表1-11】
【表1-12】
【表1-13】
【表1-14】
【表1-15】
【表1-16】
【表1-17】
【表1-18】
【表1-19】
【表1-20】
【表1-21】
【表1-22】
【表1-23】
【表1-24】
【表1-25】
【表1-26】
【表1-27】
【表1-28】
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13A
図13B
図13C
図14
図15
図16A
図16B
図17
図18A
図18B
図18C
図19
図20
【配列表】
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【国際調査報告】