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特表2024-525745不均質な投入材料から高純度のスクラップ材料を製造するプロセス
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  • 特表-不均質な投入材料から高純度のスクラップ材料を製造するプロセス 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-12
(54)【発明の名称】不均質な投入材料から高純度のスクラップ材料を製造するプロセス
(51)【国際特許分類】
   B02C 23/08 20060101AFI20240705BHJP
   B02C 13/00 20060101ALI20240705BHJP
   B02C 18/00 20060101ALN20240705BHJP
【FI】
B02C23/08
B02C13/00
B02C18/00 102
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024501835
(86)(22)【出願日】2022-07-08
(85)【翻訳文提出日】2024-03-08
(86)【国際出願番号】 EP2022069050
(87)【国際公開番号】W WO2023285302
(87)【国際公開日】2023-01-19
(31)【優先権主張番号】102021118108.9
(32)【優先日】2021-07-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524014994
【氏名又は名称】テーエスエル リサイクリング ゲーエムベーハー ウント コー. カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100115255
【弁理士】
【氏名又は名称】辻丸 光一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100201732
【弁理士】
【氏名又は名称】松縄 正登
(74)【代理人】
【識別番号】100154081
【弁理士】
【氏名又は名称】伊佐治 創
(74)【代理人】
【識別番号】100227019
【弁理士】
【氏名又は名称】安 修央
(72)【発明者】
【氏名】ブラックエルト、クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】ブルマー、アロン
【テーマコード(参考)】
4D065
4D067
【Fターム(参考)】
4D065AA01
4D065CA05
4D065EB02
4D065ED22
4D067DD07
4D067EE17
4D067EE22
4D067EE25
(57)【要約】
本発明は、リサイクルスクラップ製造プロセスに関する開示であり、前記リサイクルスクラップ製造プロセスは、a)不均質な鉄含有スクラップ混合物の製造または供給工程と、b)不均質な鉄含有スクラップ混合物を粉砕部において粉砕し粉砕された材料を得る粉砕工程と、c)粉砕された材料から有機および/または無機不純物を選別し予備精製された材料を得る選別工程と、d)一つ以上の第一検出装置を用いて予備精製された材料を解析して、少なくとも一つの第一材料情報を検出し、第一材料情報に従って予備精製された材料の成分を除去し、精製された材料を得る解析および除去工程と、e)一つ以上の第二検出装置を用いて精製された材料を解析して、少なくとも一つの第二材料情報を検出する解析工程と、f)検出した第二材料情報と第二材料情報に関連する所定の材料基準とを比較し、第二材料情報が関連する所定の材料基準を満たす場合は精製された材料を排出する比較工程とを含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a) 不均質な鉄含有スクラップ混合物の製造または供給工程と、
b) 粉砕部(10)において、前記不均質な鉄含有スクラップ混合物を粉砕し、粉砕された材料を得る粉砕工程と、
c) 前記粉砕された材料から、有機および/または無機不純物を選別し、予備精製された材料を得る選別工程と、
d) 一つ以上の第一検出装置によって前記予備精製された材料を解析することで少なくとも一つの第一材料情報を検出し、前記第一材料情報をもとに前記予備精製された材料の成分を除去し精製された材料を得る解析および除去工程と、
e) 一つ以上の第二検出装置によって前記精製された材料を解析し少なくとも一つの第二材料情報を検出する解析工程と、
f) 検出された前記第二材料情報と、前記第二材料情報に割当てられた所定の材料基準を比較する比較工程とを含み、
前記第二材料情報が、前記割当てられた所定の材料基準を満たす場合に、前記精製された材料がリサイクルスクラップとして取り出される、リサイクルスクラップの製造プロセス。
【請求項2】
前記工程c)における前記有機および/または金属不純物の選別工程が、長さ選別、風力選別、磁力選別、および、ふるい分け選別からなる群から選択される二つ以上、好ましくは、三つ以上、より好ましくは、四つ以上の異なる作業工程を含む、請求項1記載のプロセス。
【請求項3】
前記工程d)における前記除去工程を、自動装置によって、好ましくは、圧縮エアガンまたはロボットアームによって行う、請求項1又は2記載のプロセス。
【請求項4】
前記少なくとも一つの第一材料情報および/または前記少なくとも一つの第二材料情報、好ましくは、全ての材料情報を空間的分解および/または時間的分解、好ましくは、空間的分解および時間的分解を用いて、空間的および/または時間的に分解されたプロファイル情報を検出してそれぞれ解析し、および/または、
前記工程d)および/または工程e)における、好ましくは、前記工程d)および前記工程e)における解析工程を蛍光X線解析、光学式画像認識、好ましくは、人工知能を用いた光学式画像認識、赤外吸収分光法、特に近赤外吸収分光法からなる群から選択される一つ以上、好ましくは、二つ以上の異なる手法によって行う、請求項1から3のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項5】
前記不均質な鉄含有スクラップ混合物の成分を、前記第一材料情報および/または前記第二材料情報、好ましくは前記第一材料情報および前記第二材料情報をもとに、より好ましくは、前記不均質な鉄含有スクラップ混合物における二つ以上の鉄含有スクラップフラクションの質量比を変えることにより制御する、請求項1から4のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項6】
前記工程b)における粉砕工程を、前記第一材料情報および/または前記第二材料情報、好ましくは前記第一材料情報および前記第二材料情報をもとに制御し、好ましくは、粉砕質(12)の大きさ、排出領域における排出口(14a、14b)の大きさ、およびハンマー付ローター(16)の速度からなる群から選択される一つ以上の前記粉砕部(10)の操作パラメータを変えることにより制御する、請求項1から5のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項7】
前記リサイクルスクラップの追加処理において、少なくとも一つの第三材料情報を検出し、前記少なくとも一つの第三材料情報をもとに、前記不均質な鉄含スクラップ混合物の成分、好ましくは、前記不均質な鉄含有スクラップ混合物における鉄含有スクラップフラクションの質量比を制御し、および/または、前記工程b)および/または前記工程c)における粉砕工程を制御する、請求項1から6のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項8】
前記プロセスが、継続的また半継続的なプロセスであり、好ましくは、前記粉砕された材料および/または前記予備精製された材料および/または前記精製された材料、好ましくは、これら全ての材料の少なくとも一部を、コンベヤベルト(18a、18b、18c)および/または振動コンベヤによって運ぶ、請求項1から7のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項9】
不均質な鉄含有スクラップ混合物を粉砕する少なくとも一つの粉砕部(10)と、
前記粉砕された材料から有機物および/又は金属不純物を選別する選別手段と
前記選別後に得られる材料を解析し、第一材料情報を検出する一つ以上の第一検出装置と、
前記第一材料情報に従い、前記選別後に得られる材料からフラクションを自動で除去する自動除去手段と、
前記除去後に得られる材料を解析し、第二材料情報を検出する一つ以上の第二検出装置と、
前記第二材料情報と割当てられた所定の材料基準とを比較し、前記第二材料情報が、前記割当てられた所定の材料基準を満たす場合に、装置によって精製された材料をリサイクルスクラップとして排出するよう適応されたデータ処理装置とを含み、
好ましくは請求項1から8のいずれか一項に記載のプロセスへ用いる、
スクラップリサイクル用プラント。
【請求項10】
前記粉砕された材料の排出領域(14a、14b)を少なくとも一つ備えた粉砕室(12)と、
前記粉砕室(12)内に設置され、ハンマー付である少なくとも一つのローター(16)とを含み、
好ましくは請求項1から8のいずれか一項に記載のプロセス、または請求項9記載のプラントに用いる、
粉砕部(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リサイクルスクラップの製造プロセス、前記プロセスによって製造可能な特に高鉄含有のサイクルスクラップ、前記プロセスの実施に最適化されたスクラップリサイクル用プラント、および、前記プロセスやプラントに用いる改良粉砕部に関する。
【0002】
本発明の主題は、添付の特許請求の範囲に定義される。
【背景技術】
【0003】
有価物質スクラップは、使用済み金属製品をスクラップにすることで得られる。中でも鉄や鋼のスクラップは長年、廃棄物としてだけでなく重要な二次原料としても見なされ、数々の用途に用いて、新たに製造する金属の必要性を低減することができる。スクラップを原料として使用すると、産業の希少原料への依存を抑制できるだけでなく不要な廃棄物の量を減らすことができる。金属や合金を大規模な工業生産により製造すると一般に多量のエネルギーや資源が必要となるため、新たに製造する需要が減少することで、持続可能な経済の実現にも繋がる。
【0004】
特に、高性能な用途に用いる製品の製造分野においては、鉄含有スクラップに特に高い要求が課されている。新たに製造された金属の代わりにスクラップを用いる場合、これらは新たに回収された金属と少なくともほぼ同等の材料物性を確実に有していなければならない。
【0005】
そのため、基本的に、産業用途の多くにおいて純粋なスクラップ混合物のニーズが高く、さらに有利な充填密度も持つスクラップ混合物が理想とされる。しかし、これが非常に困難な目標であることは周知であり、というのも、このようなスクラップ混合物の製造の原料は本質的に不均質だからである。例えば、二つの異なる製造元の洗濯機をスクラップにすると、類似の製品であるにも関わらず異なる性質のスクラップとなる場合がある。
【0006】
先行技術には、このような純粋なスクラップ混合物を得る様々な方法が開示されているが、概して非常に複雑な方法である。これらの方法では、基本的に、スクラップ混合物から特に適切なフラクションを単離するため、作業員によって手作業で仕分けするプロセスが行われる。
【0007】
大規模な工業規模のシュレッダープラントにおいては、比較的純粋なスクラップ混合物の製造を実際に実現するため、処理したスクラップを操作員が繰り返し処理プラントとシュレッダーに通過させ、すなわちスクラップを複数の粉砕工程にかけ、必要に応じて下流仕分作業を行い、材料のより高い純度および/または有利な充填密度の実現を目指すことが多い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
先行技術から公知であるプロセスは、例えば、材料を二回処理する必要があることから比較的時間および/またはコストが掛かるため、廃棄量が増えたり、プラントの材料処理量が少なくとも半減したりするという欠点がある。またこれらの方法では、二回目のプラント通過中に、まだ一回目の通過における排出地点までしか到達せず、プラントに残っている材料が発生することがある。このため、必要な2回目の細断工程にもかけられていないフラクションが、出口から取り出される材料に一定量含まれてしまうことがある。
【0009】
さらに、先行技術のプロセスは、出来上がった製品についてのデータが比較的少ないという欠点がある場合も多い。これが問題となるのは、高性能な用途に対して特定の品質のスクラップを提供するだけでは不十分であり、例えば法的責任の観点から、その品質をきちんと証明できることも不可欠である場合が多いためである。
【0010】
また、先行技術から公知のプロセスでは、例えば、プロセスを顧客の要求にできるだけ早く適応させるために、プロセスの作動中に製品品質を積極的に制御することも、難しい場合が多い。そのため、先行技術から公知であるプロセスでは、例えば、二つの異なる仕様のスクラップ製品を連続運転で、および/またはプラントを改造せずに、立て続けに製造することが不可能な場合が多い。
【0011】
また、従来の技術では、大規模工業生産を効率的に行える製造時間内に、ある用途に有利な高い充填密度を持つ製品を製造することも不可能な場合が多い。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の第一の目的は、先行技術における欠点を、解消または少なくとも低減可能であるリサイクルスクラップの改良プロセスを明示することである。
【0013】
そのため、本発明の目的は、一般的なスクラップフラクション、すなわち不均質で扱いが特に困難な原料から、特に有利な充填密度を持つ特に純粋なスクラップ製品を製造可能とする、高品質および高充填密度のリサイクルスクラップの改良された製造プロセスを提供することである。
【0014】
本発明の目的は、それに応じた高品質である製品を、理想的には一回の通過のみで製造可能とし、これらの高品質スクラップ製品を大量に低コストで製造する、大規模な工業規模の製造において、時間およびコスト効率の良いプロセスを運用可能とするリサイクルスクラップの製造プロセスを明示することである。
【0015】
従来技術と比較して、明示のリサイクルスクラップの製造プロセスは、特に、今までのプロセスで実現可能であった純度よりも、工業的に適切な量でかなり高い純度の実現を可能にするはずである。
【0016】
補足要件として、明示のリサイクルスクラップの製造プロセスは、原料として従来のスクラップフラクションを用いて、また従来のスクラップ処理プラントに使用できる設備を出来る限り用いて、実施可能でなければならない。
【0017】
本発明の補足的な目的は、明示のリサイクルスクラップの製造プロセスによって、製造された各ケースのスクラップバッチの物性について、より包括的な情報を自動的に提供可能とすることである。
【0018】
さらに、明示のリサイクルスクラップの製造プロセスは、柔軟性が高く容易に適応可能であり、顧客が要求する品質の変化に特に効率的に、理想的には作動中でも適応可能でなければならない。この点から、本発明の補足的な目的は、明示のリサイクルスクラップの製造プロセスにより、リサイクル材料の化学成分および/または粒子形状および/または充填密度を柔軟に適応可能とすることである。
【0019】
また、明示のリサイクルスクラップの製造プロセスは、特に、顧客が使用できない不良品スクラップバッチの製造リスクを低減することが望ましい。
【0020】
本発明のさらなる目的は、明示のリサイクルスクラップの製造プロセスを低エミッションで特に安全に作動可能とし、安全リスクと人および環境の汚染を低減することである。
【0021】
さらに、本発明の二次的な目的は、高性能な用途に適した高品質のリサイクルスクラップを明示することである。
【0022】
本発明のさらなる二次的な目的は、明示のプロセスへの使用にそれぞれ最適化されたスクラップリサイクル用改良プラントと新規な粉砕部とを明示することである。
【0023】
本発明の発明者は、前述の目的を達成する新規で強力なプロセスと、これに伴うプラントとを開発した。要するに、本発明のプロセスは、特許請求の範囲に定義するプロセス解析を用いた選別技術の独自の組み合わせを重視し、既存のプロセス技術を包括的に変更した内容に基づく。
【発明の効果】
【0024】
本発明のプロセスによれば、発明者の知見からして初めて、産業上適切な量の高品質スクラップ製品を時間およびコスト効率良く一回の通過で製造可能となる。不均質な原料、すなわち一般的なスクラップフラクションを使用しても、97%以上の鉄含有率と有利な充填密度を実現しながら、有機不純物をほとんど除去して製造することが可能であり、これは、発明者の知見からして、類似の先行技術における大規模工業プロセス、少なくとも同等の材料処理量および/または再現性を持つプロセスでは実現不可能であった。また、相乗的な利点として、製造過程で得られる材料情報は、材料の特質の記録に利用でき、製造したスクラップ製品について、ほとんど労力をかけずに証明することができる。
【0025】
発明者が行った実験では、鉄含有率97%以上のリサイクルスクラップ製品を大規模な工業規模で得ることができ、さらに、本発明の好適なプラントを使用することで、略球状粒子の充填密度が約1.5t/mのリサイクルスクラップ製品を得ることができた。
【0026】
したがって、特許請求の範囲に定義するリサイクルスクラップの製造プロセス、前記製造プロセスを用いて製造可能なスクラップ、スクラップリサイクル用プラント、および粉砕部により、前述の目的を達成することができる。本発明の好適な実施形態は、従属請求項および以下の説明によって明らかである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に説明する本発明の好適な実施形態は、他の好適とされる特徴と組み合わせることが特に好ましい。したがって、以下特に好適とされる実施形態を複数組み合わせることが極めて好ましい。同様に、程度によらず好適とされる特徴と、他一つ以上の程度によらず好適とされる特徴を組み合わせた実施形態が好ましい。好適なリサイクルスクラップ、好適なスクラップリサイクル用プラント、および好適な粉砕部の特徴は、好適なプロセスの特徴によって明らかである。
【0028】
本発明は、
a) 不均質な鉄含有スクラップ混合物の製造または供給工程と、
b) 粉砕部において、前記不均質な鉄含有スクラップ混合物を粉砕し、粉砕された材料を得る粉砕工程と、
c) 前記粉砕された材料から、有機および/または無機不純物を選別し、予備精製された材料を得る選別工程と、
d) 一つ以上の第一検出装置によって前記予備精製された材料を解析することで少なくとも一つの第一材料情報を検出し、前記第一材料情報をもとに前記予備精製された材料の成分を除去し精製された材料を得る解析および除去工程と、
e) 一つ以上の第二検出装置によって前記精製された材料を解析し少なくとも一つの第二材料情報を検出する解析工程と、
f) 検出された前記第二材料情報と、前記第二材料情報に割当てられた所定の材料基準を比較する比較工程とを含み、前記第二材料情報が前記割当てられた所定の材料基準を満たす場合に前記精製された材料がリサイクルスクラップとして取り出されるリサイクルスクラップの製造プロセスに関する。
【0029】
本発明のプロセスは、基本的に小規模製造にも適している。そのため、本発明のプロセスによって、例えば、試験規模のプラントでも優れたスクラップ製品を製造できることが実証された。しかし、低い処理量では、本発明のプロセスと、より複雑な手動処理との経済的競争が一層激しくなる。例えば、実験室規模におけるスクラップ混合物の物理化学的選別によっても純粋なスクラップ製品を提供できる可能性がある。本発明のプロセスは、大規模工業プロセスにおいて大いに利点を発揮するため、このようなプロセスに用いるのが特に好ましい。本発明のプロセスにおいて、排出されるリサイクルスクラップの量が毎時30,000kg以上、好ましくは、60,000kg以上、特に好ましくは、75,000kg以上の処理であることが極めて好ましい。当業者の認識の通り、大規模な工業規模での実施、特に明示された実際の処理量での実施において、プロセス、使用する装置および原料へ需要が特に高くなる。これにより選択の幅が広がるため、例えば、不均質な鉄含有スクラップを製造するスクラップ原料に対する需要が増加し、原料の不均質性が増加する場合が多くなる。
【0030】
本発明のプロセスの工程a)において、不均質な鉄含有スクラップ混合物は、供給されるか、前記プロセスで直接製造される。
【0031】
実際の製造において、例えば、複数の鉄含有スクラップフラクションを混合してもよい。この混合を行うため、例えば、様々なスクラップフラクションを相当量続けて粉砕部に入れるか、これらのフラクションが同時に粉砕部に到達するよう、同時に粉砕部の供給口に入れてもよい。この製造方式は、特に効率的であることが実際に証明されている。複数のスクラップフラクションの混合をプロセスに組み込むことで、混合比率を適合させて混合物の成分を制御できるため、より有利となる。したがって、本発明のプロセスにおいて、工程a)における不均質な鉄含有スクラップ混合物の製造は、複数の鉄含有スクラップフラクションを混合してスクラップを作ることによって行うことが好ましく、さらにこの混合を実質的に粉砕部で行うことが好ましい。
【0032】
スクラップフラクションという用語は、金属加工分野の当業者にとって明確である。また、当業者は異なる鉄含有スクラップフラクションを容易に区別することができる。スクラップフラクションは通常、詳細な選択基準に従って収集された同属性の物体の集まりであり、集められ、および/またはまとめて処理が行われる。
【0033】
様々な鉄含有スクラップフラクションの混合物は、法律規定や業界固有仕様の変化に合わせて多様であってもよい。当業者は、例えば、いわゆる白物家電(例えば、洗濯機やオーブン等)からなるスクラップフラクションと、例えば、プレスされた車体や、金属加工作業から発生する工場発生スクラップからなるスクラップフラクションとを必ず区別する。
【0034】
当業者の理解の通り、鉄含有スクラップフラクションは理想的な同属性のスクラップを収集するための等級分け基準であり、ほとんどの場合スクラップ混合物についても同様に不均質ではあるものの、二級鉄含有スクラップフラクションのスクラップや他の類似のスクラップよりも、前記スクラップフラクション中に存在するスクラップは材料特性の偏差が小さい。実際には、該当のフラクションは通常適切な規定に従って別々に集められ、利用者によって別々に保管される。
【0035】
発明者が行った実験では、一般的なスクラップフラクションを幅広く用いて不均質な鉄含有スクラップ混合物を製造した。このうち、特定のスクラップフラクションが、入手しやすく鉄含有率が比較的高いため特に有利である。本発明の好適なプロセスにおいて、工場発生スクラップ、白物家電、複合材料、廃棄物焼却スクラップ、シュレッダー前材料、および使用済車体からなる群から選択される一つ以上の鉄含有スクラップフラクションを用いることが好ましい。当業者の理解の通り、白物家電という用語は、冷蔵庫、洗濯機、食器洗浄機、ストーブ等の家庭用電化製品を指し、いわゆる黒物家電と呼ばれる例えばテレビや携帯電話等の家電製品と区別される。シュレッダー前材料は、例えば処分作業や仕分プラントで発生し、例えば自転車、日除けおよび類似の物品を含む場合が多い。
【0036】
本発明のプロセスにおいて、製造に使用する実際のスクラップフラクションの混合物/不均質な鉄含有スクラップ混合物、すなわち特に様々な異なる部品の混合物に関して不均質な鉄含有スクラップ混合物は、最終的には決められていない。しかし、均質な原料の処理では、需要が著しく低くなるため、本発明において、鉄含有スクラップ混合物は不均質であるべきである。この基準は、実施にあたり当業者によって容易に決定できる。当業者の理解の通り、鉄含有スクラップ混合物は、複数の鉄含有スクラップフラクションを混合して製造された場合、および/または、白物家電にあたる家庭用電化製品、車体、および金属加工作業で発生した廃棄物からなる群から選択される異なる種類の複数の物品をスクラップにして得たフラクションを含む場合、不均質であるとみなされる。
【0037】
本発明のプロセスの工程b)において、鉄含有スクラップ混合物を粉砕する。本発明ではこの粉砕を粉砕部によって行う。そのため、工程b)は、例えば、先行技術から当業者に知られるシュレッダー処理の工程に該当する。
【0038】
使用できる粉砕部は、例えばスクラップシャー、Kondirator粉砕機、Zerdirator粉砕機など様々だが、多量の材料の処理においてはシュレッダーまたはZerdirator粉砕機の使用が特に有利であることが証明されている。本発明において、Zerdirator粉砕機とは、粉砕室の底部に一般的に鉄格子で覆われた粉砕された材料の排出領域を備えた粉砕部を意味する。また、Zendirator粉砕機は粉砕室の上部にさらに任意の排出領域を備えていてもよい。対してシュレッダーという用語は、粉砕された材料の排出領域を粉砕室の底部には備えず、一般的に鉄格子で覆われた粉砕された材料の排出領域を粉砕室の上部に備えた粉砕部を意味する。
【0039】
本発明において使用する粉砕部は、粉砕室から粒子を排出可能な排出口を変更可能とする可動式基板および/または蓋板とともに建設されていることが極めて好ましい。
【0040】
これにより、排出される粉砕済粒子を減らし、粉砕部内における粒子の平均滞留時間を増加させることが可能である。そのため、作業中でも外側から粉砕強度を制御することが可能となり有利である。平均滞留時間を長くすることで、排出領域が一時的に完全に閉鎖する場合もあり、要求や需要に応じて精製能力の向上および/または粒子の小径化、および充填密度の増加が可能である。したがって、本発明のプロセスにおいて、粉砕部の粉砕室が粉砕された材料の排出領域を少なくとも一つ備え、排出領域には可動要素、好ましくは、可動式基板および/または蓋板、特に好ましくは、油圧可動式基板および/または蓋板が設置され、これにより、粉砕室から粒子を排出可能な排出口を変更可能であることが明らかに好ましい。
【0041】
本発明の発明者は、前述の処理モードを実現可能とするには、可動式基板および/または蓋板を例えば粉砕室の内部か外部、好ましくは外部に取り付けることが最も有利であるという結論に至った。可動要素は、遠隔で可動であることが好ましい。前述の観点から、本発明のプロセスの工程b)において、粉砕部におけるスクラップ混合物の滞留時間、特に平均滞留時間を、排出領域に設置された可動要素を用いて制御することにより粉砕された材料の平均粒子径を制御することが、基本的に好ましい。
【0042】
粉砕部が、シュレッダーである場合、少なくとも一つの可動要素、例えば可動式の蓋が粉砕室の上部の排出領域に設けられていることが好ましい。粉砕部がZerdirator粉砕機である場合、少なくとも一つの可動要素が粉砕室の底部の排出領域に設けられていることが好ましい。しかし、本発明の好適な粉砕部としては、少なくとも一つの第一可動要素が粉砕室の上部の排出領域に設けられ、第二可動要素が粉砕室の底部の排出領域に設けられた粉砕部を使用することが極めて好ましい。粉砕部において、二つの異なる可動要素を用いてもスクラップ混合物の滞留時間を有利に制御可能であるが、下部の排出領域に配置された可動要素を動かして粉砕室の底部の排出領域を完全に閉鎖することによっても有利に制御可能である。これにより、粉砕部をZerdirator粉砕機としてもシュレッダーとしても柔軟に作動可能であり有利である。例えば処理しにくいスクラップ混合物は、基板を閉じてシュレッダーモードで粉砕してもよい。対して、例えば、特に金属板を含む比較的処理しやすいスクラップ混合物の場合は、基板を開けZerdirator粉砕機モードにして処理量を高めても良い。
【0043】
本発明の発明者は、特に適切な粉砕部の操作パラメータを見出した。それによれば本発明のプロセスにおいて、粉砕部のハンマー付ローターが電動モータによって駆動し、電動モータの出力電力が、好ましくは、2,000kWより大きく、特に好ましくは、2,400kWより大きく、極めて好ましくは、2,800kWより大きいことが好ましい。
【0044】
特に、高材料処理量の場合、工程b)において多量の粉塵が発生する場合がある。特に粉砕室から粒子を排出可能な排出口を制御する処理モードの場合は、継続的な作動でも、従来の方法で実現できる粒子径よりある程度小さい粒子径を実現可能である。そのため、特に粉塵の問題は本発明のプロセスにおいて多くのケースで指摘されている。本発明の発明者は自ら行った実験に基づき、可能な限り環境汚染を回避するため、粉砕部に除塵部を直接設けることを提案する。したがって本発明のプロセスにおいて、粉砕部が除塵部、好ましくは乾式除塵部、好ましくは一つ以上の活性炭フィルターを備えた乾式除塵部を含むことが好ましい。
【0045】
工程c)において、粉砕部から得た粉砕された材料から有機および/または無機不純物を除去する第一処理段階を行う。この選別工程は、先行技術のいくつかのプロセスにも見られるが、多くの場合、処理を行う装置は、単一で比較的簡素である。
【0046】
この選別により有利に、一般的に肉眼で見える不純物を可能な限り多く補足する。当業者の理解の通り、工程c)は全ての不純物を選別すると定義されておらず、少なくとも部分的な選別である。本発明のプロセスにおいて、無機不純物は金属不純物または鉱物不純物であることが好ましく、金属不純物であることがより好ましい。
【0047】
例えば、コンベヤベルトで仕分けを行う等、工程c)の選別を手動で行うことは少なくとも理論上では考えられるが、特に本件のような大規模な工業規模でのスクラップ処理では多大な労力が必要となるため、少なくとも、ほとんどの工業先進国においては非経済的である。したがって、本発明のプロセスにおいては、工程c)の選別を一つ以上の選別装置、好ましくは自動選別装置を用いて行うことが好ましい。
【0048】
本発明の発明者は、数ある選別プロセスの中で、本発明のプロセスに特に適切な選別プロセスを見出した。これらの適切な選別プロセスは長さ選別、風力選別、磁力選別、およびふるい分け選別を含む。これらの選別方法、また使用される装置は一般的に当業者に知られるものである。
【0049】
得られるスクラップ製品の品質を最適化するため、本発明の発明者はこれらの作業工程を複数組み合わせることを提案する。したがって本発明のプロセスにおいて、工程c)の有機および/または金属不純物の選別は、長さ選別、風力選別、磁力選別、およびふるい分け選別からなる群から選択される二つ以上、好ましくは三つ以上、特に好ましくは四つ以上の異なる作業工程を含むことが好ましい。
【0050】
本発明の発明者は、今まで行われた実験において、コスト効率の問題を考慮せず、出来るだけ高いリサイクルスクラップの製品品質を実現することを重視して本発明のプロセスおよびプラントに特に適した構成を見出した。発明者の意見によると、本発明のプロセスにおいて有機および/または金属不純物の選別は、長さ選別、好ましくは、複数のカスケードを含むエアシフターを用いた風力選別、磁力選別、および、ふるい分け選別を含み、この順序で行うことが好ましく、磁力選別では二つ以上の、好ましくは、電磁石の磁力選別機を使用することが好ましく、電磁石の磁界の強さが調整可能であることが特に好ましい。
【0051】
本発明のプロセス独自の特徴は、工程c)で得た予備精製された材料、すなわち有機および/無機不純物が少なくとも部分的に取り除かれた粉砕された材料を、工程d)において第一検出装置を用いて解析する点である。
【0052】
少なくとも一つの材料情報、好ましくは、二つ以上の材料情報を検出する。つまり、予備精製の後、予備精製された材料を自動的に検査する。ほとんどの場合、このようにして測定した第一材料情報は、予備精製された材料の化学成分および/または粒子形状および/または粒子径と相関するよう選ばれる。前記材料情報は、予備精製された材料から得た例えば分光計測値でもよいし、光学画像でもよい。
【0053】
続いて、工程d)で検出した材料情報に従い、予備精製された材料の成分の除去を行う。つまり、例えば、第一材料情報が、例えば、化学成分または形状に関する所定の基準または仕様に合っていない場合、その精製された材料に含まれたフラクションを材料情報に基づいて除去する。本発明のプロセスの工程d)は検出装置によって補助して行う除去全体を意味する。検出装置としては、当業者に知られる検出装置、特に分光式および光学式検出装置を任意に使用してよい。
【0054】
前の選別の結果、除去するべき破壊的粒子の数は通常比較的少ないため、少なくとも理論上は工程d)の除去を手動で行いやすそうである。この場合、第一材料情報が、例えば、モニターやその他のインターフェイスで操作員に表示されると、操作員が予備精製された材料において取り除くべきフラクションに関する情報を得やすい。しかし、実現可能な材料処理量と、特に選別の正確性の観点から、選別を自動化して行うことが明らかに好ましい。発明者は自身のプラントにおいて、例えば、データ処理装置やネットワークを通して第一検出装置に接続された、特に高性能な装置を見出すことに成功した。本発明のプロセスは、工程d)の選別を自動装置、好ましくは、例えば、複数の圧縮空気ノズルを備えた棒状の圧縮エアガンまたはロボットアームを使用して行うことが好ましく、ロボットアームを使用して行うことが特に好ましい。
【0055】
本発明のプロセスにおいて、このように精製された材料は、少なくとも一つの第二材料情報、好ましくは二つ以上の材料情報を検出するさらなる検出装置を通過する。本発明では、この第二材料情報を該当の材料情報やそれぞれの材料情報に割当てられた材料基準と比較する。つまり、例えば、分光式に計測された値を閾値と比較、または光学的に測定した粒子形状を容認された粒子形状の雛型と比較する。
【0056】
本発明のプロセスにおいて、第二材料情報が割当てられた所定の材料基準を満たす場合のみ、精製された材料はリサイクルスクラップとして、すなわち、例えば、コンベヤベルトで適切な保管設備に運べる製品として排出される。その他の場合、精製された材料は例えば廃棄されるか、後処理用の下流プラントに運ばれるか、本発明のプロセスによって再び処理されるが、後者が基本的に好ましい。効率の観点から、リサイクレートを粉砕部に戻さずに工程c)または工程d)で処理する方が有利である。したがって、本発明のプロセスにおいて、少なくとも一つの第二材料情報が所定の材料基準に満たない精製された材料は、工程b)、工程c)または工程d)で再度処理することが好ましい。
【0057】
比較はデータ処理装置、例えば、コンピュータで行うことが好ましい。したがって本発明のプロセスにおいて、所定の材料基準をデータ処理装置で伝達し、および/または、記憶部から検索を行うことが好ましい。
【0058】
本発明のプロセスにおいて、全ての第二材料情報がそれぞれに割当てられた所定の材料基準を満たした場合に精製された材料が、リサイクルスクラップとして排出されることが好ましい。
【0059】
工程d)と工程e)の解析は、類似点が多い。
【0060】
好適な継続的または半継続的なプロセスにおける効率的な処理モードとしては、検出装置も継続的に作動することが望ましい。本発明のプロセスにおいて、工程d)および/または工程e)の解析、好ましくは工程d)および工程e)の解析を継続的に、特にインライン方式で実施することが好ましい。
【0061】
可能な限り最適な材料特質を実現するため、特に鉄含有率、有機不純物の含有率および/または粒子形状を同時に最適化するため、第一検出装置および/または第二検出装置がそれぞれ独立して複数の材料情報を検出することが特に有利であると証明されている。よって本発明のプロセスにおいて、工程d)で少なくとも二つ、好ましくは少なくとも三つの第一材料情報を検出し、および/または、工程e)で少なくとも二つ、好ましくは少なくとも三つの第二材料を検出することが好ましい。また、本発明のプロセスにおいて、少なくとも一つの第一材料情報および/または少なくとも一つの第二材料情報、好ましくは全ての材料情報が解析された材料の化学成分および/または粒子形状および/または機械的物性、好ましくは化学成分と相関していることも好ましい。
【0062】
この目的のため、本発明のプロセスの大多数においては、第一材料情報の少なくとも一つおよび第二材料情報の少なくとも一つが同じ材料の粒子物性と相関することが好ましい。
【0063】
本発明の発明者の意見によると、空間的および/または時間的に分解して検出を行うことが特に有利であり、これは他のプラントの構成、また前記プラントが継続的に作動しているか否かに特に左右される。このような分解により、不純物の正確な除去が可能となり、材料の廃棄を最小限に抑えられるため、特に工程d)において有利である。また、このような分解は工程e)においても有利であり、これは材料基準との乖離が、例えば部分的であり少なくとも精製された材料のフラクションはリサイクルスクラップとして排出できる場合もあるためである。プロセスの継続的または半継続的な作動において、時間的分解によってさらに、材料情報をそれぞれ排出されたリサイクルスクラップのフラクションと相関させることもできる。したがって、本発明のプロセスにおいて、少なくとも一つの第一材料情報および/または少なくとも一つの第二材料情報、好ましくは、全ての材料情報を、空間的および/または時間的、好ましくは空間的および時間的に分解して検出し、結果として各ケースにおいて空間的および/または時間的に分解されたプロファイル情報を得ることが好ましい。したがって、同様に、本発明のプロセスにおいて、工程d)および/または工程e)、好ましくは工程d)および工程e)の解析を空間的および時間的に分解する計測方法を用いて行うことが好ましい。
【0064】
さらに、この好適な処理モードにより、測定した材料情報、特に第二材料情報を排出されたリサイクルスクラップの仕様書、証明書、および認証に同時に用いることが相乗的に可能となる。これにより、前記リサイクルスクラップを、特に安全性に関する理由からスクラップ製品に対する要求が高い用途に使用することも可能となる。
【0065】
本発明のプロセスにおいて、少なくとも一つの第一材料情報および/または少なくとも一つの第二材料情報、好ましくは少なくとも一つの第二材料情報をデータ処理装置の記憶部に記憶することが好ましく、さらに好ましくはこれらの材料情報を少なくとも一つの作動情報、好ましくは一つの時間的情報と相関させ、排出されたリサイクルスクラップにそれぞれの材料情報が割当てられるようにすることが好ましい。それぞれの材料情報は、それぞれ排出されたリサイクルスクラップのフラクションに証明書、好ましくは電子証明書を用いて付与することが好ましい。
【0066】
本発明の発明者は実験を通して、特に適切な検出方法/それに伴う検出装置を見出すことができた。これらの方法は優れた純度をもたらすものであり、各ケースの計測に複数の方法を用いることが特に効果的であると証明されている。本発明のプロセスにおいて、工程d)および/または工程e)、好ましくは工程d)および工程e)の解析を、蛍光X線解析、光学式画像認識、好ましくは人工知能を用いた光学式画像認識、赤外吸収分光法、特に近赤外吸収分光法からなる群から選択される一つ以上、好ましくは二つ以上の異なる方法を用いて行うことが好ましい。蛍光X線解析は例えば元素の含有率の測定に使用し、赤外線/近赤外線吸収分光法は例えば有機物の含有率の測定に使用する。
【0067】
基本的に、検出装置は工程d)および工程e)において同じ形式のものを使用可能であり、これにより第一および第二材料情報として同じ形式の計測値を検出、または第一および第二材料情報を例えば画像等の同じデータ形式で取得することが可能である。しかし、本発明の発明者は、特に同じ材料や粒子物性と相関する材料情報の検出に使用する場合、異なる検出方法を用いることが効果的であると見出した。これにより、計測エラーを最小限に抑え、異なる方法同士で欠点を補い処理の正確性を向上させることが相乗的に可能となる。したがって、本発明のプロセスにおいて、第一および第二材料情報を異なる検出方法を用いて検出し、好ましくは第一および第二材料情報を同じ材料または粒子物性と相関させることが好ましい。
【0068】
前述の通り、本発明のプロセスの大きな利点は、継続的な作動においても優れた結果を得られ、そのため時間およびコスト効率が特に高い処理モードを実現できる点であると考えられる。したがって本発明のプロセスは、継続的または半継続的なプロセスであることが極めて好ましく、粉砕された材料および/または予備精製された材料および/または精製された材料、好ましくはこれら全ての材料の少なくとも一部をコンベヤベルトおよび/または振動コンベヤを用いて運ぶことがさらに好ましい。
【0069】
本発明のプロセスは、特に有利な鉄含有率、形状因子、および/または充填密度を再現性よく発揮するリサイクルスクラップを多量に得ることを有利に可能とする。したがって本発明のプロセスにおいて、対応するパラメータを実現するよう行うことが特に有利であり、これによって先行技術と比べて利点が明白となる。
【0070】
本発明のプロセスにおいて、リサイクルスクラップの最大粒子径が100mm以下、好ましくは80mm以下、特に好ましくは60mm以下であることが好ましい。
【0071】
本発明のプロセスにおいて、リサイクルスクラップの平均粒子径が60~250mm、好ましくは80~200mm、特に好ましくは100~150mmの範囲内であることが好ましい。
【0072】
本発明のプロセスにおいて、リサイクルスクラップの長さ÷幅の平均形状因子が1~5、好ましくは1~2.5、より好ましくは1~1.25の範囲内であることが好ましく、リサイクルスクラップの粒子が略球状であることが極めて好ましい。
【0073】
本発明のプロセスにおいて、リサイクルスクラップの充填密度が1.0t/m以上、好ましくは1.2t/m以上、特に好ましくは1.5t/m以上であることが特に好ましい。
【0074】
さらに、本発明のプロセスにおいて、リサイクルスクラップの鉄含有率がリサイクルスクラップの質量に対して97%以上、好ましくは98%以上、より好ましくは99%以上であることが好ましい。
【0075】
本発明の発明者は発明したプロセスを原点として、さらに本発明のプロセスにおける構成との相互作用による特に有利な開発を見出した。ここで、プロセスを制御し最適化するための三つのいわゆるフィードバックについて説明する。
【0076】
最初の二つのフィードバックには、本発明のプロセスにおけるスクラップ処理中に検出した材料情報を使用する。また、記録した材料情報に従って本発明のプロセスの各工程の制御を行う。
【0077】
本発明のプロセスは、不均質な鉄含有スクラップ混合物の成分を、第一材料情報および/または第二材料情報、好ましくは第一および第二材料情報に従って制御し、特に好ましくは鉄含有スクラップ混合物における複数の鉄含有スクラップフラクションの質量比を変更して制御する、いわゆる第一フィードバックを含むことが好ましい。
【0078】
この処理モードにより、スクラップの特性、特に化学成分の乖離に積極的に対応し、プロセスの上流部分における原料の選択を積極的に制御することができる。これはデータ処理装置、好ましくはニュートラルネットワークまたは同等の人工知能、好ましくはニュートラルネットワークを利用したデータ処理装置を用いて行うことが好ましい。また使用するデータ処理装置は、対応する所定の目標値、特に材料基準からの材料情報の乖離が記録されると、測定された乖離の適切な補正方法として、不均質な鉄含有スクラップ混合物の製造において複数の鉄含有スクラップフラクションの質量比を変更して対応するよう訓練された装置であることが好ましい。プロセスにおいて第一材料情報の方が早く検出されるため、より早い対応のために第一材料情報に基づいてこの第一フィードバックを行うことで有利となり得る。
【0079】
本発明のプロセスは、工程b)における粉砕を、第一材料情報および/または第二材料情報、好ましくは第一および第二材料情報に従って制御し、好ましくは、粉砕室の大きさ、排出領域において排出可能な排出口の大きさ、およびハンマー付ローターの速度からなる群から選択される一つ以上の粉砕部の操作パラメータを変更することで制御する、いわゆる第二フィードバックを含むことが好ましい。第一フィードバックと基本的な考え方は同じでも、第二フィードバックでは、検出した材料情報に従って不均質な鉄含有スクラップ混合物の成分を制御するのではなく、粉砕部の操作パラメータを制御する。粉砕部の操作パラメータの制御において、粒子排出口の大きさが好適な操作変数である。本発明のプロセスに本発明の粉砕部を使用する場合にこのフィードバックを用いることが特に効果的である。工程b)の制御においても、データ処理装置、好ましくはニュートラルネットワークまたは同等の人工知能、好ましくはニュートラルネットワークを利用したデータ処理装置であり、対応する所定の目標値、特に材料基準からの材料情報の乖離が記録されると、測定された乖離の適切な補正方法として粉砕部の操作パラメータを変更して対応するよう訓練された装置を使用することが好ましい。
【0080】
最後の第三フィードバックには、材料情報を用いるが、本発明のプロセスではなく追加処理の過程で検出された材料情報を用いる。この検出は、前述で説明した第一および第二材料情報の検出と基本的に同様に行われる。この材料情報はリサイクルスクラップ処理により得た、例えば、混合物や変換製品等の製品から検出し、例えば、材料成分や強度に関する。少なくとも一つの第三材料情報が定期的に外部ソース、例えば、コンバータ用冷却スクラップを受け取った顧客等から、本発明のプロセスの操作員に提供される。
【0081】
本発明のプロセスは、少なくとも一つの第三の材料情報をリサイクルスクラップの追加処理中に検出し、不均質な鉄含有スクラップ混合物の成分、好ましくは不均質な鉄含有スクラップ混合物における鉄含有スクラップフラクションの質量比を好ましくは好適として前述に記載の通り、および/または、工程b)における粉砕を好ましくは好適として前述に記載の通り、および/または、工程c)における選別を前記少なくとも一つの第三材料情報に従って制御する、いわゆる第三フィードバックを含むことが好ましい。ここで、ニュートラルネットワークまたは同等の人工知能、好ましくはニュートラルネットワークの使用が有利である。
【0082】
本発明のプロセスは、第一および第二フィードバックを含むことが好ましく、第一、第二、および第三フィードバックを含むことが特に好ましい。
【0083】
さらに本発明は、本発明のプロセスによって製造され、または製造可能であり、鉄含有率がリサイクルスクラップの質量に対し97重量%以上、好ましくは98重量%以上、特に好ましくは99重量%以上のリサイクルスクラップに関する。このような本発明のリサイクルスクラップは要求の高い用途にも適切であり、品質は新しく製造した金属とほとんど差がないため、特に有利である。
【0084】
さらに、本発明は、
不均質な鉄含有スクラップ混合物を粉砕する少なくとも一つの粉砕部、好ましくは本発明の粉砕部と、
粉砕された材料から有機物および/または金属不純物の選別を行う選別手段と、
選別後に得られる材料を解析し、第一材料情報を検出する一つ以上の第一検出装置と、
前記第一材料情報に従い、選別後に得られる材料からフラクションを自動で除去する自動除去手段と、
除去後に得られる材料を解析し、第二材料情報を検出する一つ以上の第二検出装置と、
前記第二材料情報と割当てられた所定の材料基準を比較し、第二材料情報が、前記割当てられた前記所定の材料基準を満たした場合に、装置によって精製された材料をリサイクルスクラップとして排出するように適応されたデータ処理装置とを含む、好ましくは本発明のプロセスに用いるスクラップリサイクル用プラントに関する。
【0085】
本発明のプラントは、本発明のプロセスの実施に適しているため有利である。本発明のプラントは、本発明のプロセスを好適な実施形態で実施するために必要な追加の構成要素、特に前述の第一、第二、および/または第三フィードバックを実現するよう適応された特定の粉砕部、選別装置、検出装置、およびデータ処理装置を含むことが特に好ましい。
【0086】
最後に、本発明は、
粉砕された材料の排出領域を少なくとも一つ備えた粉砕室と、
粉砕室に設置された少なくとも一つのハンマー付ローターとを含み、排出領域において排出可能な粉砕室からの粉砕された材料の排出口を制御するよう設計された可動要素を含む、好ましくは本発明のプロセスまたは本発明のプラントにおいて使用する粉砕部に関する。また、この粉砕部は排出領域において排出可能な粉砕室からの粉砕済粒子の排出口を変更できる可動基板および/または蓋板、特に好ましくは油圧可動式基板および/または蓋板を備えることが好ましい。
【0087】
当業者の理解の通り粉砕室は、一般的に、本発明における粉砕された材料の排出領域とは別に、処理するスクラップ混合物を粉砕室内に投入するための入口開口を含む。
【0088】
この本発明の粉砕部は、本発明のプロセスにおける使用に最適化されており、特に工程b)の工程を前述の通り制御、また第二フィードバックを特に容易に実現できるため好ましい。先行技術に比べ、本発明の粉砕部は粉砕室における粒子の平均滞留時間を作動中でも変化させ、例えば粒子径や処理済スクラップの精製度合いを変化させることが可能である。
【0089】
本発明の粉砕部は、粉砕室の上部における粉砕部が、第一排出領域において排出可能な、粉砕室からの粉砕された材料の排出口を制御できるよう設計された第一可動要素を有する第一排出領域を備え、粉砕室の底部における粉砕部が、第二排出領域において排出可能な、粉砕室からの粉砕された材料の排出口を制御できるよう設計された第二可動要素を有する第二排出領域を備えていることが特に好ましい。この本発明の粉砕部により、発明者の知見からして初めて、柔軟に、すなわち、例えば、作動中でもシュレッダーとZerdirator粉砕機とを切り替えられる粉砕部を実現可能であるため特に好ましい。そのため本発明の粉砕部は、粉砕室の排出領域における一つ以上の要素を動かすことでシュレッダーとしてもZerdirator粉砕機としても作動できることが特に好ましい。
【0090】
前述の好適なプロセスの特徴を一つ以上組み合せた本発明のプロセスにおいて、粉砕部が防音エンクロージャーを含むことが極めて好ましい。
【0091】
前述の好適なプロセスの特徴を一つ以上組み合わせた本発明のプロセスにおいて、粉砕部は基礎によって地中に定着していることが極めて好ましい。
【0092】
前述の好適なプロセスの特徴を一つ以上組み合わせた本発明のプロセスにおいて、スクラップ混合物および/または粉砕された材料および/または予備精製された材料および/または精製された材料の重さを量ることが極めて好ましい。
【0093】
前述の好適なプロセスの特徴を一つ以上組み合わせた本発明のプロセスにおいて、制御部によってプロセスを制御することが極めて好ましい。
【0094】
前述の好適なプロセスの特徴を一つ以上組み合わせた本発明のプロセスにおいて、異常が生じた場合は聴覚的または視覚的警報が発せられることが極めて好ましい。
【0095】
前述の好適なプロセスの特徴を一つ以上組み合わせた本発明のプロセスにおいて、粉砕部が75重量%を超える範囲のスチール製であることが極めて好ましい。
【0096】
前述の好適なプロセスの特徴を一つ以上組み合わせた本発明のプロセスにおいて、排出されたリサイクルスクラップを保管庫に保管することが極めて好ましい。
【0097】
前述の好適なプロセスの特徴を一つ以上組み合わせた本発明のプロセスにおいて、排出されたリサイクルスクラップを重量物運搬車、貨物列車または貨物船、好ましくは貨物列車または貨物船に載せて運送することが極めて好ましい。
【0098】
前述の好適なプロセスの特徴を一つ以上組み合わせた本発明のプロセスは、非常スイッチによって中断できることが極めて好ましい。
【0099】
前述の好適なプラントの特徴を一つ以上組み合わせた本発明のプラントは、信号装置および/または警告装置を含むことが極めて好ましい。
【0100】
前述の好適なプラントの特徴を一つ以上組み合わせた本発明のプラントは、プラントを停止させる非常スイッチを含むことが極めて好ましい。
【0101】
前述の好適なプラントの特徴を一つ以上組み合わせた本発明のプラントにおいて、粉砕部が75重量%を超える範囲のスチール製であることが極めて好ましい。
【0102】
前述の好適なプラントの特徴を一つ以上組み合わせた本発明のプラントは、プラントを制御する制御部を含むことが極めて好ましい。
【0103】
前述の好適なプラントの特徴を一つ以上組み合わせた本発明のプラントは、全長が5mより大きく、好ましくは10m以上より大きく、より好ましくは15mより大きいことが極めて好ましい。
【0104】
前述の好適な粉砕部の特徴を一つ以上組み合わせた本発明の粉砕部は、基礎、好ましくはコンクリート基礎を有することが極めて好ましい。
【0105】
前述の好適な粉砕部の特徴を一つ以上組み合わせた本発明の粉砕部は、スチール製のハンマーを含むことが極めて好ましい。
【0106】
前述の好適な粉砕部の特徴を一つ以上組み合わせた本発明の粉砕部は、操作手段を含むことが極めて好ましい。
【0107】
前述の好適な粉砕部の特徴を一つ以上組み合わせた本発明の粉砕部は、重量が100kgより大きく、好ましくは200kgより大きいことが極めて好ましい。
【0108】
前述の好適な粉砕部の特徴を一つ以上組み合わせた本発明の粉砕部は、75重量%を超えるスチール製であることが極めて好ましい。
【0109】
以下、本発明の発明者が特に有利であると見出した本発明のプロセス、およびこれに使用する本発明のプラントの好適な実施形態について説明する。これらの好適な実施形態は、有機物をほとんど含まず鉄含有率が97%であり、略球状粒子すなわち形状因子が約1であり最大粒子径が約80mmである粒子の充填密度が約1.5t/mであるリサイクルスクラップを大規模な工業規模で製造可能とする包括的な最適化を通じて見出された。
【0110】
処理された材料をコンベヤベルトで運び、プロセスを継続的なプロセスとして作動させる。
【0111】
製造される原料は、不均質な鉄含有スクラップ混合物である。粉砕部の供給口において複数の鉄含有スクラップフラクション、すなわち白物家電、工場発生スクラップ、シュレッダー前材料、プレスされた使用済車体等を混合して製造する。
【0112】
不均質な鉄含有スクラップ混合物を、図1に示す本発明の粉砕部で粉砕する。この粉砕部は油圧可動式の基板および蓋板を備え、これらを用いて排出可能な粉砕室からの粉砕された材料の排出口を変更してもよい。これにより、粉砕室における粒子の平均滞留時間を制御し、粉砕された材料の平均粒子径を制御できる。粉砕室の底部に設置された可動式基板により、下部の排出領域を閉鎖し、粉砕室の上部の排出領域のみを排出可能にできる。そのため、本発明の粉砕部はシュレッダーとしてもZerdirator粉砕機としても作動可能である。実施の実験において粉砕部は通常シュレッダーとして作動する。
【0113】
粉砕部は、さらに、複数の活性炭フィルターを含む乾式除塵部を有する。
【0114】
シュレッダー済材料を選別機構に通過させ、粉砕された材料から有機および無機不純物を選別して予備精製された材料を得る。
【0115】
選別機構は、直列配置の、一般的な長さ選別機、3段のカスケードを含むウィンドシフター、調整可能な磁力選別用電磁石を用いた二つの磁力選別機、およびふるいを含む。
【0116】
材料ストリームを、二つの第一検出装置によって解析する。カメラによって予備精製された材料におけるフラクションの形状および大きさに関する情報を検出し、連続作動近赤外線分光器によって、解析された材料の化学成分と相関する測定値を材料情報として計測する。これらの空間的および時間的に分解された材料情報はコンピュータ制御によって、提供されたデータに基づき所定の要件を満たさないと特定された不純物/フラクションをセンサ支援により除去するロボット仕分け装置に送られる。
【0117】
その後、精製された材料は、コンベヤベルトに載せられ再解析を行う領域をさらに通過する。ここで使用できる検出装置は、連続作動近赤外線分光器に加えて蛍光X線分光器を含み、後者は、化学成分に関する補足的な情報を提供する(例えば、カメラを用いた粒子の寸法の再確認は本プロセスでは実施していないが、実施してもよい)。このように記録した情報と割当てられた所定の材料基準、本実施形態においては選ばれた有機および金属不純物、特に銅の有無とを、データ処理装置を用いて比較する。
【0118】
全ての材料基準が満たされた場合、出来上がった材料がリサイクルスクラップとして排出され、コンベヤベルトで保管庫に送られる。
【0119】
検出した第二材料情報は、コンピュータに記憶され、製造時間/排出時間と関連付けられる。これらの材料情報は電子証明書を用いて対応するバッチと関連付けられる。この電子証明書は顧客が後で利用することも可能で、特定の用途におけるスクラップ製品の認証に用いることができる。
【0120】
該当のプラントは、異なるフィードバック、すなわち検出した材料物性に従ったプロセスの制御を実行可能なコンピュータ制御手段を備える。本実施形態において、粉砕部の操作パラメータ、より正確には排出領域における出力および可動式基板の調整を、カメラで検出した第一材料情報に従って制御した。不均質な鉄含有スクラップ混合物の成分を、近赤外線測定値/蛍光X線測定値に従って変更した。現段階の開発においてこの適応作業は、掘削機の操作員への指示をディスプレイに表示して投入するべきスクラップフラクションの量を指示する、操作員への視覚的な指示手段によって実施される。しかし、対応策として自動供給が求められている。
【0121】
プロセスとプラントは、リサイクル材料の利用者からの第三材料情報を受け取り、この第三材料情報によって粉砕部の操作パラメータおよび不均質な鉄含有スクラップ混合物の成分を制御するよう適応している。実際の利用者がいないため、現在はこのフィードバックを想定実験データでしか検証できないが、プラントは本発明の通りに適応する。
【0122】
材料情報の継続的な検出、この検出をもとにしたプロセスの制御、およびその後の検出を同じ検出手段を用いて行うことで、包括的なデータセットを有利に取得可能である。これにより、フィードバックをより正確に行い専門家の経験的知識の必要性を可能な限り低減するよう、ニュートラルネットワークを訓練できる。
【0123】
以下、本発明の粉砕部とその好適な実施形態について、図面を参照してより具体的に説明する。図1は本発明の粉砕部における好適な実施形態を示す模式断面図である。
【図面の簡単な説明】
【0124】
図1図1は、好適な本発明の粉砕部10の模式断面図の一例である。
【0125】
粉砕部10は、本発明のプロセス/本発明のプラントへの使用に特に適しており、粉砕室12を含む。
粉砕室12は、入口開口22を含み、例えば、コンベヤベルト18aによって供給されたスクラップ混合物は入口開口22を通じて粉砕室12へ投入される。さらに粉砕室12は二つの排出領域14a、14bを含む。
【0126】
第一排出領域14aは、粉砕室12の上部に設置され、第一排出領域14aにおいて排出可能な粉砕室12からの粉砕された材料の排出口を制限するよう設計された第一可動要素20aを含む。本実施形態において第一可動要素20aは油圧式に調整可能な蓋板である。
第二排出領域14bは、粉砕室12の底部に設置され、第二排出領域14bにおいて使用可能な粉砕室12からの粉砕された材料の排出口を制限するよう設計された第二可動要素20bを含む。本実施形態において、第二可動要素20bは油圧式に調整可能な基板であり、二つの部品で両開き蓋状に形成されている。
【0127】
図1において、可動要素20a、20bの可動性を両矢印で示す。排出領域14a、14bは、粉砕室12から過大な粒子が出ないようそれぞれ鉄格子で覆われている。好ましくは、排出領域14a、14bにおける鉄格子は網目の大きさが調整可能および/または可逆的および非破壊的に置き換え可能であってよい。
【0128】
粉砕室12において、スクラップ混合物は、ハンマー付のローター16によって粉砕される。粉砕室12に一定時間滞留後、粉砕済粒子は排出領域14a、14bのどちらかを通じて粉砕部10から排出され、例えば、コンベヤベルト18a、18bによって追加処理に送られても良い。
【0129】
可動要素20a、20bを制御することで、粉砕室12における粒子の平均滞留時間を制御可能である。さらに第二可動要素20bによって第二排出領域14bを完全に閉鎖し、粉砕部10の作動をZerdirator粉砕機からシュレッダーへ切り替えることが可能である。
【符号の説明】
【0130】
10 粉砕部
12 粉砕室
14a、14b 排出領域
16 ローター
18a~18c コンベヤベルト
20a、20b 可動要素
22 入口開口
図1
【手続補正書】
【提出日】2024-03-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a) 不均質な鉄含有スクラップ混合物の製造または供給工程と、
b) 粉砕部(10)において、前記不均質な鉄含有スクラップ混合物を粉砕し、粉砕された材料を得る粉砕工程と、
c) 前記粉砕された材料から、有機および/または無機不純物を選別し、予備精製された材料を得る選別工程と、
d) 一つ以上の第一検出装置によって前記予備精製された材料を解析することで少なくとも一つの第一材料情報を検出し、前記第一材料情報をもとに前記予備精製された材料の成分を除去し精製された材料を得る解析および除去工程と、
e) 一つ以上の第二検出装置によって前記精製された材料を解析し少なくとも一つの第二材料情報を検出する解析工程と、
f) 検出された前記第二材料情報と、前記第二材料情報に割当てられた所定の材料基準を比較する比較工程とを含み、
前記第二材料情報が、前記割当てられた所定の材料基準を満たす場合に、前記精製された材料がリサイクルスクラップとして取り出される、リサイクルスクラップの製造プロセス。
【請求項2】
前記工程c)における前記有機および/または金属不純物の選別工程が、長さ選別、風力選別、磁力選別、および、ふるい分け選別からなる群から選択される二つ以上の異なる作業工程を含む、請求項1記載のプロセス。
【請求項3】
前記工程d)における前記除去工程を、自動装置によって行う、請求項1記載のプロセス。
【請求項4】
前記少なくとも一つの第一材料情報および/または前記少なくとも一つの第二材料情報を空間的分解および/または時間的分解を用いて、空間的および/または時間的に分解されたプロファイル情報を検出してそれぞれ解析し、および/または、
前記工程d)および/または工程e)における解析を蛍光X線解析、光学式画像認識、赤外吸収分光法からなる群から選択される一つ以上の異なる手法によって行う、請求項1記載のプロセス。
【請求項5】
前記不均質な鉄含有スクラップ混合物の成分を、前記第一材料情報および/または前記第二材料情報より制御する、請求項1記載のプロセス。
【請求項6】
前記工程b)における粉砕工程を、前記第一材料情報および/または前記第二材料情報により制御する、請求項1記載のプロセス。
【請求項7】
前記リサイクルスクラップの追加処理において、少なくとも一つの第三材料情報を検出し、前記少なくとも一つの第三材料情報をもとに、前記不均質な鉄含スクラップ混合物の成分、および/または、前記工程b)における粉砕工程、および/または前記工程c)における選別工程を制御する、請求項1記載のプロセス。
【請求項8】
前記プロセスが、継続的また半継続的なプロセスである、請求項1記載のプロセス。
【請求項9】
不均質な鉄含有スクラップ混合物を粉砕する少なくとも一つの粉砕部(10)と、
前記粉砕された材料から有機物および/又は金属不純物を選別する選別手段と
前記選別後に得られる材料を解析し、第一材料情報を検出する一つ以上の第一検出装置と、
前記第一材料情報に従い、前記選別後に得られる材料からフラクションを自動で除去する自動除去手段と、
前記除去後に得られる材料を解析し、第二材料情報を検出する一つ以上の第二検出装置と、
前記第二材料情報と割当てられた所定の材料基準とを比較し、前記第二材料情報が、前記割当てられた所定の材料基準を満たす場合に、装置によって精製された材料をリサイクルスクラップとして排出するよう適応されたデータ処理装置とを含み
求項1記載のプロセスへ用いる、
スクラップリサイクル用プラント。
【請求項10】
前記粉砕された材料の排出領域(14a、14b)を少なくとも一つ備えた粉砕室(12)と、
前記粉砕室(12)内に設置され、ハンマー付である少なくとも一つのローター(16)とを含み、
前記粉砕部(10)が、前記排出領域(14a、14b)内で利用可能な、前記粉砕室(12)からの粉砕済材料の排出領域を制御するよう設計された可動要素(20a、20b)を備え、前記粉砕室(12)の上部において、前記粉砕部(10)が、前記第一排出領域(14a)を有し、前記第一排出領域(14a)において利用可能な、前記粉砕室(12)からの粉砕済材料の排出領域を制御するよう設計された第一可動要素(20a)を有し、前記粉砕部(10)が、前記粉砕室(12)の底部に、第二可動要素(14b)を有し、前記第二排出領域(14b)において利用可能な、前記粉砕室(12)からの被粉砕物の排出領域を制御するよう設計された第二可動要素(20b)を有する、
請求項1記載のプロセス、または請求項9記載のプラントに用いる、
粉砕部(10)。
【国際調査報告】