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特表2024-525765集結材料を製造するための装置および方法
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  • 特表-集結材料を製造するための装置および方法 図1
  • 特表-集結材料を製造するための装置および方法 図2a
  • 特表-集結材料を製造するための装置および方法 図2b
  • 特表-集結材料を製造するための装置および方法 図3
  • 特表-集結材料を製造するための装置および方法 図4a
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-12
(54)【発明の名称】集結材料を製造するための装置および方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 65/08 20060101AFI20240705BHJP
【FI】
B29C65/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024501928
(86)(22)【出願日】2022-07-12
(85)【翻訳文提出日】2024-03-07
(86)【国際出願番号】 EP2022069435
(87)【国際公開番号】W WO2023285450
(87)【国際公開日】2023-01-19
(31)【優先権主張番号】102021118046.5
(32)【優先日】2021-07-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】102021118030.9
(32)【優先日】2021-07-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524015795
【氏名又は名称】ヘルマン ウルトラシャルテヒニク ゲーエムベーハー ウント コー. カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100098729
【弁理士】
【氏名又は名称】重信 和男
(74)【代理人】
【識別番号】100206911
【弁理士】
【氏名又は名称】大久保 岳彦
(74)【代理人】
【識別番号】100204467
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 好文
(74)【代理人】
【識別番号】100148161
【弁理士】
【氏名又は名称】秋庭 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100195833
【弁理士】
【氏名又は名称】林 道広
(72)【発明者】
【氏名】ボーデ,ロビン アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】ルッセル-ガルシア,ラケル
(72)【発明者】
【氏名】ツィンク,ティモ
【テーマコード(参考)】
4F211
【Fターム(参考)】
4F211AG01
4F211AG03
4F211AG14
4F211AH63
4F211AR12
4F211TA01
4F211TJ11
4F211TN09
4F211TN22
(57)【要約】
本発明は、集結または集結可能材料を製造するための装置に関し、材料は、少なくとも2つの材料ウェブ断面と、材料ウェブ断面間に位置する少なくとも1つのスレッドとからなり、装置は、密封面を有する工具と、対向密封面を有する対向工具とを有しており、工具および対向工具は、装置の運転において集結または集結可能材料を製造するために、材料ウェブ断面およびスレッドが密封面と対向密封面によって供給方向に形成された隙間を通して誘導されるようにして、処理位置において互いに対して配設されており、工具および/または対向工具は、少なくとも部分的に少なくとも1つのスレッドを収容するための少なくとも1つの溝を有しており、溝は供給方向に配向されており、溝は、密封面および対向密封面それぞれを部分密封面に分割しており、溝は、溝底部と、溝底部に隣接している2つの側壁とを有しており、側壁は、溝底部を部分密封面に接続している。それによって上述の欠点を防止または削減する、集結または集結可能材料を製造するための装置または方法を提供するために、本発明によれば、部分密封面の少なくとも1つが、供給方向に垂直な断面図において、溝底部に向かって傾斜している少なくとも1つのフランクを有することを提案されている。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
集結または集結可能材料(10)を製造するための装置であって、前記材料(10)は、少なくとも2つの材料ウェブ断面(11,12)と、前記材料ウェブ断面(11,12)間に位置する少なくとも1つのスレッド(13)とからなり、前記装置は、密封面(2)を有する工具(1)と、対向密封面を有する対向工具とを有しており、工具(1)および対向工具は、前記装置の運転において前記集結または集結可能材料を製造するために、前記材料ウェブ断面(11,12)およびスレッド(13)が前記密封面(2)と前記対向密封面によって供給方向に形成された隙間を通して誘導されるようにして、処理位置において互いに対して配設されており、前記工具(1)および/または前記対向工具は、少なくとも部分的に前記少なくとも1つのスレッド(13)を収容するための少なくとも1つの溝(3)を有しており、前記溝(3)は供給方向に配向されており、前記溝(3)は、前記密封面(2)および前記対向密封面それぞれを部分密封面(7)に分割しており、前記溝(3)は、溝底部(4)と、前記溝底部に隣接している2つの側壁(5,6)とを有しており、前記側壁(5,6)は、前記溝底部(4)を前記部分密封面(7)に接続している、前記装置において、前記部分密封面(7)の少なくとも1つは、前記供給方向に垂直な断面図において、前記溝底部(4)に向かって傾斜している少なくとも1つのフランク(8)を有することを特徴とする、前記装置。
【請求項2】
前記部分密封面(7)の各々は、前記供給方向に垂直な断面図において、前記溝底部(4)に向かって傾斜している1つ、好ましくは2つのフランク(8)を有することを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記フランク(8)は、前記供給方向に垂直な断面図において半径Rで凸状に湾曲しており、前記半径Rは好ましくは0.01mm~0.5mm、特に好ましくは0.05mm~0.2mmであることを特徴とする、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記溝底部(4)は凹状に湾曲しており、前記凹状に湾曲した溝底部(4)は好ましくは前記部分密封面(7)の前記好ましくは凸状に湾曲したフランク(8)に直接隣接していることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれかに記載の装置。
【請求項5】
前記溝底部(4)は、前記供給方向に垂直な断面図において半径Rで凹状に湾曲しており、好ましくは5R>R>0.5R、特に好ましくは2.5R>R>0.8Rであることを特徴とする、請求項3に記載の装置。
【請求項6】
前記少なくとも1つの溝(3)が前記工具(1)の前記密封面(2)に配設される、請求項1乃至5のいずれかに記載の装置。
【請求項7】
前記対向工具は円筒状で、第1の円筒軸の周りを回転可能であり、前記対向工具は、その上に前記対向密封面が配設される外側面を有しており、前記第1の円筒軸は、前記供給方向が前記外側面に接線方向であるように配向されている、請求項1乃至6のいずれかに記載の装置。
【請求項8】
前記密封面(2)は実質的に平坦である、請求項1乃至7のいずれかに記載の装置。
【請求項9】
前記溝(3)は、前記供給方向において前記工具(1)の前記密封面(2)および/または前記対向密封面の延長部に完全に延在する、請求項1乃至8のいずれかに記載の装置。
【請求項10】
前記工具(1)は円筒状であり、前記工具(1)は、第2の円筒軸の周りを回転可能で、その上に前記密封面(2)が配設される外側面を有しており、好ましくは前記少なくとも1つの溝(3)が前記工具(1)の前記外側面の周囲で円形に延びている、請求項1乃至9のいずれかに記載の装置。
【請求項11】
前記密封面(2)および/または前記対向密封面は、前記少なくとも1つのスレッド(13)を少なくとも部分的に収容するための、前記供給方向に配向された複数の溝(3)を有しており、前記溝(3)は、好ましくは0.1~10mm、特に好ましくは0.4~2.5mmの間隔を有している、請求項1乃至10のいずれかに記載の装置。
【請求項12】
複数の溝(3)は溝パケットに統合されており、溝パケットの前記溝(3)は好ましくは0.1~10mmの間隔を有しており、前記溝パケットは好ましくは互いに5~300mmの間隔を有している、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記少なくとも1つの溝(3)は、0.05mm~0.8mmの深さを有する、請求項1乃至12のいずれかに記載の装置。
【請求項14】
前記部分密封面(7)は前記供給方向に垂直な断面図において曲率半径Rで凸状に湾曲しており、好ましくはR=Rである、請求項1乃至13のいずれかに記載の装置。
【請求項15】
前記工具(1)は、超音波処理装置のソノトロードまたは熱的に加熱された工具である、請求項1乃至14のいずれかに記載の装置。
【請求項16】
前記フランク(8)は前記側壁(5,6)の1つに隣接しており、前記フランク(8)は前記部分密封面(7)と第1の角度を作っており、前記第1の角度は前記側壁(5,6)が前記部分密封面(7)と作る第2の角度とは異なっている、請求項1乃至15のいずれかに記載の装置。
【請求項17】
集結または集結可能材料(10)を製造するための方法であって、前記方法は、
a.少なくとも2つの材料ウェブ断面(11,12)と、前記材料ウェブ断面(11,12)間に配設される少なくとも1つのスレッド(13)とを用意するステップと、
b.請求項1~13のいずれか1つによる装置を用意するステップと、
c.前記少なくとも2つの材料ウェブ断面(11,12)および前記少なくとも1つのスレッド(13)を前記工具(1)の前記密封面(2)と前記対向密封面の間の隙間を前記供給方向に通過させるステップであって、前記工具(1)が起動している間、前記スレッド(13)は前記密封面(2)および/または前記対向工具の前記少なくとも1つの溝(3)を誘導されている前記ステップとを含んでおり、
前記2つの材料ウェブ断面(11,12)は少なくとも2つの接続面上で溶接され、前記スレッド(13)は、前記スレッド(13)と前記材料ウェブ断面(11,12)の間で、第1および第2の方向において確実な接続が存在するようにして前記2つの接続面間に配設され、前記2つの方向は互いに垂直に整列するようになっている、前記方法。
【請求項18】
前記スレッド(13)の断面は、ステップc.の間、前記2つの材料ウェブ断面(11,12)が溶接されるだけでなく、前記スレッド(13)の外面が前記材料ウェブ断面(11,12)に溶接されるようにして処理中に選択されるので、前記スレッド(13)は前記2つの材料ウェブ断面(11,12)間にクランプされる、請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集結または集結可能材料を製造するための装置および方法に関する。
【発明の概要】
【0002】
集結または集結可能材料は、少なくとも2つの材料ウェブ断面と、材料ウェブ断面間に位置する少なくとも1つのスレッドとからなる。2つの材料ウェブ断面は、装置によるものかまたは方法にしたがった少なくとも2つの接続面で互いに接続される。スレッドは材料ウェブ断面間と2つの接続面間に配設されるため、スレッドは、スレッドと材料ウェブ断面の間で、第1の方向と、第1の方向に垂直に整列する第2の方向とにおいて確実な接続が存在するようにして材料ウェブ断面間に固定される。
【0003】
2つの材料ウェブ断面は、接続面を介して接続される2つの材料ウェブによって実現することができる。しかしながら、材料ウェブの第1の材料ウェブ断面が同じ材料ウェブの第2の材料ウェブ断面の反対側に位置し、スレッドが第1および第2の材料ウェブ断面間に配設されるようにして、材料ウェブを折り畳むことも可能である。
【0004】
装置は、密封面を有する工具と、対向密封面を有する対向工具とをさらに有しており、工具および対向工具は、装置の運転において集結または集結可能材料を製造するために、材料ウェブ断面およびスレッドが密封面と対向密封面によって供給方向に形成された隙間を通して供給されるようにして、処理位置において互いに対して配設されている。
【0005】
さらにまた、工具および/または対向工具は、少なくとも部分的に少なくとも1つのスレッドを収容するための少なくとも1つの溝を有しており、溝は供給方向に配向され、密封面または対向密封面を部分密封面に分割する。加えて、溝は、溝底部と、溝底部に隣接している2つの側壁とを有しており、側壁は、溝底部を部分密封面に接続する。
【0006】
集結または集結可能材料を製造するための対応する装置または方法は、従来技術から公知である。例えば、工具は、超音波処理装置のソノトロードまたは熱的に加熱されたローラーであってもよい。以下の記述は、超音波処理方法に基づいている。しかしながら、本発明による装置は、超音波を伴わない他の方法に利用することもできる。
【0007】
材料を超音波で処理するために、工具、すなわち、装置のソノトロードは、超音波振動に設定される。これは、密封面と対向密封面との間の隙間に位置する材料の局部加熱につながる。局部加熱は、隙間に配設された異なる層を融着させることで、非破壊的に分離することのできない強い結合を形成させることになる。超音波処理とは対照的に、局所的領域で加熱が発生した場合には、熱的に加熱されたローラーが広い領域にわたって材料を加熱する。しかしながら、残りの作動原理は同様である。
【0008】
集結または集結可能材料を製造するために、処理作業において互いに異なる弾性を有する材料を結合することが必要である。この目的のために、例えば、材料ウェブ断面自身よりも大幅に弾性のあるスレッドが2つの材料ウェブ断面間に配置される。機械加工処理の間、スレッドは、張力をかけられて、材料ウェブ断面間でそれらを融着することによって少なくとも2つの空間方向にクランプされる。
【0009】
この目的のために、従来技術から公知の方法では、スレッドが配設されていない材料ウェブ断面の領域だけが溶接される。換言すれば、材料ウェブ断面だけは溶接されるが、スレッドはされない。
【0010】
ここで処理済み材料が装置から取り出され、スレッドが緩められると、糸と材料ウェブ断面間の摩擦力によって、例えば、材料が集結するようになる。あるいは、材料は後の作業ステップにおいて集結させてもよく、スレッドはそれに応じて縮む。
【0011】
一般的に、そのような処理作業で用いられるのはたった1つのスレッドではなく、多数のスレッドが材料ウェブ断面間に配設される。そのような集結または集結可能材料の代表的な応用例は、例えば、おむつ等の衛生用品で見ることができる。
【0012】
スレッドを材料ウェブ断面に正確に位置決めするために、密封面または対向密封面またはその両方に配設された溝にスレッドを誘導することが現状技術から公知である。しかしながら、個々のスレッドが溝の間で変化することが起こり得る。この場合、部分密封面の領域に、すなわち、溝のないところに、個々のスレッドが残存することで、材料ウェブ断面へのスレッドの不必要な溶接につながり、製造される材料の集結特性が損なわれることが起こり得る。
【0013】
したがって、本発明は、それによって上述の欠点を防止または削減する、集結または集結可能材料を製造するための装置または方法を提供するという目的に基づいている。
【0014】
本発明によれば、この課題は上述のタイプの装置によって解決されるものであり、部分密封面の少なくとも1つは、供給方向に垂直な断面図において、溝の底部に向かって傾斜している少なくとも1つのフランクを有している。換言すれば、部分密封面と溝の間の移行部は、溝間のスレッドを変化させるのを難しくするか、またはスレッドに損傷を与える可能性がある鋭端が存在しなくなるようにして設計される。
【0015】
好ましい実施形態では、供給方向に垂直な断面図における部分密封面の各々は、溝の底部に向かって傾斜する1つおよび好ましくは2つのフランクを有する。この場合、密封面または対向密封面はいかなる鋭端も有しなくなる。
【0016】
本発明による溝間の部分密封面の設計は、一方ではスレッドに与える損傷、ひいてはスレッド破損の可能性を削減し、他方ではスレッドを個々の溝に位置決めするのを容易にする。スレッドがフランクを介して溝により容易に摺動するので、スレッドが部分密封面の領域に位置決めされる頻度が減少し、スレッドの意図的でない溶接のリスクが低下する。
【0017】
好ましい実施形態では、フランクは、供給方向に垂直な断面図において半径Rで凸状に湾曲しており、半径Rは好ましくは0.01mm~0.5mm、特に好ましくは0.05mm~0.2mmである。
【0018】
凸状湾曲としてのフランクの設計は、部分密封面と溝の側壁の間に縁部が何も存在しなくなるという利点を提供するが、部分密封面は均一曲率で溝の側壁に突き当たる。これは、スレッドに与える損傷を防止するのに特に効果的である。
【0019】
さらなる実施形態では、溝底部は凹状に湾曲しており、凹状に湾曲した溝底部は好ましくは部分密封面の凸状に湾曲したフランクに直接隣接している。
【0020】
本発明のために、凸状という用語は、凸状に湾曲した表面の任意の2つの選択点間の直線が工具または対向工具本体内に完全に延在することを意味する。一方、凹状という用語は、表面の2つの任意の選択点間の直線が本体の外側に完全に延在することを意味する。
【0021】
溝底部の凹状湾曲、特に、凹状に湾曲した溝底部の凸状に湾曲したフランクへの直接移行部は、本発明による装置の溝が、被処理材料の繊維が蓄積する可能性がある角部または縁部を何も有しなくなるという利点を提供する。これにより、不適切なスレッド誘導につながるであろう、溝の詰まりを防止する。
【0022】
さらなる実施形態では、溝底部は、供給方向に垂直な断面図において半径Rで凹状に湾曲しており、好ましくは5R>R>0.5R、特に好ましくは2.5R>R>0.8Rである。溝底部の曲率半径Rは、部分密封面が十分な幅を有する、すなわち、先端までテーパーしないようにして、フランクの曲率半径Rに関連して選択される。これにより、部分密封面の摩耗を低減する。
【0023】
さらなる実施形態では、少なくとも1つの溝が工具の密封面に配設される。これには、対向工具が滑らかな対向密封面を備えることができるという利点があり、対向工具を非常にコスト効率よく製造することができることを意味する。
【0024】
さらなる実施形態では、対向工具は円筒状で、第1の円筒軸の周りを回転可能であり、対向工具は、その上に対向密封面が配設される外側面を有しており、第1の円筒軸は、供給方向が外側面に接線方向であるように配向されている。円筒状対向工具の選択には、被処理材料が、対向工具上を転動することによって供給方向に対向工具上を移動することができるという利点がある。したがって、被処理材料に損傷を与える可能性がある鋭端が回避される。加えて、摩耗の低減により、生じる繊維が少なくなるが、この繊維は、工具部分に堆積することで、装置の耐用年数の減少につながる可能性がある。
【0025】
本発明のさらなる実施形態では、工具の密封面は供給方向において基本的に平坦である。その結果、工具によって被処理材料システムに印加される力を均一に分配することができる。
【0026】
しかしながら、材料供給に応じて、密封面が、工具の隙間に流れ込む被処理材料が工具の鋭端によって損傷も与えられないように、供給方向に平行な断面図において、少なくとも材料が供給される供給方向において、丸みを帯びた縁部を有するならば有利であり得る。これは、スレッドの引き裂きを最小限に抑え、さらに溝への繊維の堆積を少なくする。
【0027】
さらなる実施形態では、溝は、供給方向において密封面および/または対向密封面の延長部に完全に延在する。スレッドが本発明による装置の全体の処理幅にわたって特に安定した方法で誘導されるように、そして、処理装置によるスレッドの意図的でない処理がいかなる点でも発生しないように、これは必要である。
【0028】
さらなる実施形態では、工具は円筒状であり、工具は、第2の円筒軸の周りを回転可能で、その上に密封面が配設される外側面を有しており、好ましくは少なくとも1つの溝が工具の外側面の周囲で円形に延びている。ちょうど円筒状対向工具と同様に、円筒状工具には、材料損傷が防止され、材料が工具上を転動することができるという利点がある。
【0029】
さらなる実施形態では、密封面および/または対向密封面は、少なくとも1つのスレッドを少なくとも部分的に収容するための、供給方向に配向された複数の溝を有しており、溝は、好ましくは0.1mm~10mm、特に好ましくは0.4~2.5mmの間隔を有している。2つの溝間の距離は、1つの溝の中心からすぐ隣接する溝の中心までと定義される。
【0030】
工具の密封面または対向密封面のいくつかの溝は、いくつかのスレッドを材料ウェブ間に同時に配設することを可能にし、これによって材料の集結特性を改善する。加えて、所望の材料幅にわたる均一な集結がこのようにして達成することができる。集結の力は、他の要因の中でも、張力をかけられていない状態へのそれらの復元力によって材料ウェブ断面上に力を及ぼす、スレッドの数によって決定される。
【0031】
さらなる実施形態では、複数の溝は溝パケットに統合されており、溝パケットの溝は好ましくは0.1~1mmの間隔を有しており、溝パケットは好ましくは互いに5~300mmの間隔を有している。溝パケットの距離は、溝間の距離と同じように、溝パケットの中心から隣接する溝パケットの中心までと定義される。
【0032】
さらなる実施形態では、少なくとも1つの溝は、0.05mm~0.8mmの深さを有する。この深さでは、スレッドを十分な精度で誘導することができ、同時に、溝は製造観点から製造するのが比較的容易である。特に溝間の距離が小さい場合は、より深い溝は工具の不安定性につながる可能性があるので、狭い部分密封面だけが残存するが、これらは溝底部から比較的遠く離れて配設される。溝底部およびフランクの両方が湾曲している場合、溝の深さは好ましくはフランクの曲率半径Rおよび溝底部の曲率半径Rの合計によって決定される。
【0033】
さらなる実施形態では、部分密封面は供給方向に垂直な断面図において曲率半径Rで凸状に湾曲しており、好ましくは部分密封面はフランクに延在し、好ましくはR=Rである。換言すれば、部分密封面は、好ましくはフランクの曲率半径に対応する曲率半径を有する凸状湾曲を形成する。したがって、部分密封面は平坦面を有しなくなるが、あらゆる地点で湾曲する。このようにして、材料ウェブは供給方向において単に直線状に溶接される。これは、スレッドの不必要な処理を防止するのに特に効果的である。
【0034】
さらなる実施形態では、工具は、超音波処理装置のソノトロードまたは熱的に加熱することができる工具である。超音波処理方法および熱処理方法の両方は、熱可塑性材料の異なる層の分離不能の接合によく適している。
【0035】
好ましい変形例では、フランクは側壁の1つに隣接しており、フランクは第1の角度を部分密封面で囲んでおり、第1の角度は側壁が部分密封面で囲む第2の角度とは異なっている。
【0036】
本発明の基礎をなす課題は、上述のタイプの集結または集結可能材料を製造するための方法によってさらに解決されるものであり、前記方法は、
a)少なくとも2つの材料ウェブ断面と、材料ウェブ断面間に配設される少なくとも1つのスレッドとを用意するステップと、
b)上記の実施形態の1つによる装置を用意するステップと、
c)少なくとも2つの材料ウェブ断面および少なくとも1つのスレッドを工具の密封面と対向密封面の間の隙間を供給方向に通過させるステップであって、工具が起動している間、スレッドは密封面または対向工具の少なくとも1つの溝を誘導されている前記ステップとを含んでいる。
【0037】
したがって、2つの材料ウェブ断面は少なくとも2つの接続面上で溶接されており、スレッドは、スレッドと材料ウェブ断面の間で、第1および第2の方向において確実な接続が存在するようにして2つの接続面間に配設されており、2つの方向は互いに垂直に整列している。
【0038】
換言すれば、スレッドは材料ウェブ断面に対して供給方向にのみ移動することができるので、材料の集結が達成される。
【0039】
ソノトロードの場合、例えば、工具の起動とは、工具が超音波振動によって励起されることを意味する。熱加熱ローラーの場合、起動は、工具の送り込み動作を意味することもできる。
【0040】
本発明による方法のさらなる実施形態では、スレッドの断面は、ステップc)の間、2つの材料ウェブ断面が溶接されるだけでなく、スレッドの外面が材料ウェブ断面に溶接されるようにして処理中に選択されるので、スレッドは2つの材料ウェブ断面間にクランプされる。特に、スレッドの外面は2つの材料ウェブ断面に確実に接続される。
【0041】
スレッドは、材料結合によって、すなわち、スレッドの少なくとも1つの部分またはスレッドの少なくとも1つのフィラメントを材料ウェブ断面の材料に埋め込むことによって、材料ウェブ断面に確実に接続することができる。例えば、材料ウェブ断面の材料は、溶接の間に融解してもよく、スレッド部分またはスレッドフィラメントが融解物に取り込まれた後、融解物は再凝固する。したがって、固定接続は非分離的であるか、または、材料ウェブが作られる材料が再加熱される場合にだけ解除することができる。スレッドと材料ウェブ間のスレッドの方向への相対運動は、固定接続によって防止される。
【0042】
確実に接続された領域のスレッドが材料ウェブ断面と共に移動することができるだけであることは、重要である。スレッドが、ステップc)の間張力がかかって、処理後に解放されると、材料ウェブ断面はスレッドが再収縮するときに集結する。
【0043】
さらなる実施形態では、固定接続は、スレッド方向に対して垂直な断面図において、スレッドが円周方向の領域において材料ウェブ断面に確実に接続されるだけであるようにして行われ、固定接続は、好ましくは、スレッド方向に対して垂直な断面図において、スレッドが円周方向の2つの別個の領域において材料ウェブ断面に確実に接続されるようにして行われる。したがって、スレッドは、円周方向において材料ウェブ断面に連続的に接続されない。それは、スレッドを長手方向において材料ウェブ断面に連続的に接続する必要もない。その代わりに、好ましい実施形態では、接続は、長手方向、すなわち、スレッドの方向の領域においても行われるだけである。
【0044】
本実施形態では、スレッドは、材料ウェブ断面間で遊動するように配設されなくなるが、供給方向において材料ウェブ断面にさらに固定される。このようにして、材料ウェブ断面におけるスレッドの位置を特に正確に定めることができる。結合される材料の異なる弾性と溶接中のスレッドの張力によって、材料はそれでもなお集結する。この工程を用いて作られた製品は、スレッドが材料ウェブ断面間の固定位置に確実に配設されるので、高レベルの精度および再現性のある品質を有する。
【0045】
さらなる利点、特徴および可能な用途は、実施形態および関連する図の以下の説明から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0046】
図1】本発明による装置の一実施形態の一部の断面図を示す。
図2a】従来技術から公知の方法を用いた溶接後の材料ウェブ間のスレッドの配置を概略的に示す。
図2b】本発明による方法の一実施形態によるスレッドの配置を概略的に示す。
図3】本発明による装置の一実施形態の概略全体図を示す。
図4a】集結していない状態の、本発明による材料の一実施形態の縦断面の概略図を示す。
図4b】集結した状態の、本発明による材料の一実施形態の縦断面の概略図を示す。
図4c】本発明による材料の一実施形態の三次元表示の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0047】
図3は、ソノトロード密封面2を備えたソノトロード1と、形状が円筒状であり、ソノトロード1のソノトロード密封面2の反対側に位置する対向工具14とを有する、本発明による装置の一実施形態を示す。ソノトロード1および対向工具14は、材料ウェブ断面11,12およびスレッド13が供給方向に誘導される、隙間を形成する。
【0048】
図1に示す本発明による装置の実施形態によれば、スレッド13を収容するための溝3は、ソノトロード1のソノトロード密封面2に配設される。溝3は供給方向に延びており、図1に示す断面図のシート平面に延在している。加えて、溝3は、ソノトロード密封面2をいくつかの部分密封面7に分割する。
【0049】
溝3は、溝底部4と、溝底部に隣接している2つの側壁5,6を有しており、側壁5,6は溝底部4を部分密封面7と接続する。
【0050】
図1に示す断面図では、部分密封面7は各々、供給方向に垂直に溝底部4に向かって傾斜している2つのフランク8を有する。
【0051】
傾斜したフランク8は半径Rで凸状に湾曲しているので、部分密封面7全体は半径R=Rで凸状に湾曲している。さらにまた、溝底部4はさらに、半径Rで凹状に湾曲し、部分密封面7の凸状に湾曲したフランクに直接隣接している。湾曲した部分密封面7の半径Rは、凹状に湾曲した溝底部4の半径Rに対応しており、0.1mmである。
【0052】
溝も0.22mmの幅Bを有しており、幅は凹状に湾曲した溝底部4と凸状に湾曲したフランク8の2つの移行点の間で測定される。
【0053】
加えて、溝3は0.21mmの深さTを有する。溝3の深さTは、溝底部4の最も深い地点と部分密封面7の最も高い地点との間で定められる。2つの溝の間の距離Aは0.42mmであり、距離Aは溝底部4の最も深い地点で測定される。
【0054】
集結可能または集結材料10を製造するために、2つの材料ウェブ断面11,12がソノトロード1のソノトロード密封面2と対向工具(図示せず)の対向密封面との間に配設され、その間にスレッド13が配設される。スレッド13は、溝3の中に延びるようにして誘導される。材料ウェブ断面11,12の超音波処理は、部分密封面7の領域において生じるだけである。
【0055】
従来技術から、さらに本発明による方法の実施形態において公知の方法では、スレッド13の直径は、スレッドが張力をかけられている状態において溝3の深さよりも小さくなるように選択される。これは、スレッド13がソノトロード1によって処理されないことを意味する。
【0056】
従来技術から公知の装置を伴う、すなわち、その溝が鋭端を有する装置を伴うそのような工程の結果は、図2aおよび4cに示す。スレッド13は、材料10の材料ウェブ断面11,12間のキャビティにおいてクランプされるが、材料ウェブ断面11,12に対して供給方向に移動可能である。下方の材料ウェブ断面12は、ソノトロードまたは対向工具またはその両方に配設することができる、溝の形状を有する。
【0057】
本発明による方法の別の実施形態では、スレッド13の断面は溝3の深さよりも大きくなるように選択される。本発明による方法の結果は、図2bに示す。スレッド13のより大きな断面を選択することによって、スレッド13は部分密封面7の領域で溶接される。その結果、スレッド13は材料ウェブ断面11,12にも取り付けられて、供給方向において移動することができなくなる。
【0058】
このようにして、集結または集結可能材料を製造することができ、図4a~4cに示すように、それらのスレッドは常に同じ位置に配設されている。図4aは、供給方向に沿った縦断面を示しており、スレッド13は延伸している、すなわち、材料ウェブ断面11,12は集結していないが、図4bは、スレッド13の延伸していない状態を示しており、材料ウェブ断面11,12は供給方向において集結している。
【符号の説明】
【0059】
1 ソノトロード
2 ソノトロード密封面
3 溝
4 溝底部
5,6 側壁
7 部分密封領域
8 フランク
10 集結または集結可能材料
11,12 材料ウェブ断面
13 スレッド
14 対向工具
図1
図2a
図2b
図3
図4a
図4b
図4c
【国際調査報告】