(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-12
(54)【発明の名称】時間敏感ネットワークのためのネットワークスライスを構成するためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
H04L 47/72 20220101AFI20240705BHJP
H04L 45/42 20220101ALI20240705BHJP
【FI】
H04L47/72
H04L45/42
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024501982
(86)(22)【出願日】2022-07-15
(85)【翻訳文提出日】2024-03-07
(86)【国際出願番号】 US2022037367
(87)【国際公開番号】W WO2023288098
(87)【国際公開日】2023-01-19
(32)【優先日】2021-07-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390041542
【氏名又は名称】ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100135703
【氏名又は名称】岡部 英隆
(74)【代理人】
【識別番号】100221556
【氏名又は名称】金田 隆章
(72)【発明者】
【氏名】ブッシュ,スティーブン フランシス
【テーマコード(参考)】
5K030
【Fターム(参考)】
5K030GA02
5K030HA08
5K030JA11
5K030LC05
5K030LC09
(57)【要約】
システム及び方法は、5Gネットワークに通信可能に結合されたアプリケーションの時間敏感ネットワークアプリケーション構成情報を取得し、時間敏感ネットワークアプリケーション構成情報を5Gネットワークのネットワークスライス構成メカニズムと共有し、ネットワークスライス構成メカニズムによって、時間敏感ネットワークアプリケーション構成情報に基づいて送信スケジュールを決定し、送信スケジュールに従って、5Gネットワークのネットワークリソースの量を予約し、かつ送信スケジュールに従って、5Gネットワークを介してアプリケーションからのデータの送信を促進する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
方法であって、
5Gネットワークに通信可能に結合されたアプリケーションの時間敏感ネットワークアプリケーション構成情報を取得することと、
前記時間敏感ネットワークアプリケーション構成情報を前記5Gネットワークのネットワークスライス構成メカニズムと共有することと、
前記ネットワークスライス構成メカニズムによって、前記時間敏感ネットワークアプリケーション構成情報に基づいて送信スケジュールを決定することと、
前記送信スケジュールに従って、前記5Gネットワークのネットワークリソースの量を予約することと、
前記送信スケジュールに従って、前記5Gネットワークを介して前記アプリケーションからのデータの送信を促進することと、を含む、方法。
【請求項2】
前記時間敏感ネットワークアプリケーション構成情報が、スケジュールデータを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記スケジュールデータが、IEEE802.1Qbvスケジュールを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記ネットワークスライス構成メカニズムが、時間敏感ネットワークトランスレータである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記時間敏感ネットワークアプリケーション構成情報を前記ネットワークスライス構成メカニズムと共有することが、前記ネットワークスライス構成メカニズムをスケジュールデータで構成することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記送信スケジュールから予想ネットワーク通過時間を決定することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
ネットワークリソースの量を予約することが、データの前記送信が前記予想ネットワーク通過時間を満たすことを保証することを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
ネットワークリソースの量を予約することが、前記送信スケジュールをサポートするために、十分なネットワークリソースを予約することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記アプリケーションからの前記データの送信を促進することが、前記5Gネットワークの無線スケジューリング、フロントホール伝送、及びコアネットワーク処理を実行することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記5Gネットワークを介した前記アプリケーションからの前記データの前記送信に対応するパフォーマンスメトリックに基づいて、ネットワークスライス信頼性データを決定し、かつ前記ネットワークスライス信頼性データを前記アプリケーションに提供することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
1つ以上のプロセッサを備えるシステムであって、前記1つ以上のプロセッサが、
5Gネットワークに通信可能に結合されたアプリケーションの時間敏感ネットワークアプリケーション構成情報を取得することと、
前記時間敏感ネットワークアプリケーション構成情報を前記5Gネットワークのネットワークスライス構成メカニズムと共有することと、
前記ネットワークスライス構成メカニズムによって、前記時間敏感ネットワークアプリケーション構成情報に基づいて送信スケジュールを決定することと、
前記送信スケジュールに従って、前記5Gネットワークのネットワークリソースの量を予約することと、
前記送信スケジュールに従って、前記5Gネットワークを介して前記アプリケーションからのデータの送信を促進することと、を行うように構成されている、システム。
【請求項12】
前記時間敏感ネットワークアプリケーション構成情報が、スケジュールデータを含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記スケジュールデータが、IEEE802.1Qbvスケジュールを含む、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記ネットワークスライス構成メカニズムが、時間敏感ネットワークトランスレータである、請求項11に記載のシステム。
【請求項15】
前記時間敏感ネットワークアプリケーション構成情報を前記ネットワークスライス構成メカニズムと共有するように構成された前記1つ以上のプロセッサが、前記ネットワークスライス構成メカニズムをスケジュールデータで構成するように構成された1つ以上のプロセッサを含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項16】
前記送信スケジュールから予想ネットワーク通過時間を決定するように構成された1つ以上のプロセッサを更に備える、請求項11に記載のシステム。
【請求項17】
ネットワークリソースの量を予約するように構成された前記1つ以上のプロセッサが、データの前記送信が前記予想ネットワーク通過時間を満たすことを保証するように構成された1つ以上のプロセッサを含む、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
ネットワークリソースの量を予約するように構成された前記1つ以上のプロセッサが、前記送信スケジュールをサポートするために、十分なネットワークリソースを予約するように構成された1つ以上のプロセッサを含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項19】
前記アプリケーションからの前記データの送信を促進するように構成された前記1つ以上のプロセッサが、前記5Gネットワークの無線スケジューリング、フロントホール伝送、及びコアネットワーク処理を実行するように構成された1つ以上のプロセッサを含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項20】
前記5Gネットワークを介した前記アプリケーションからの前記データの前記送信に対応するパフォーマンスメトリックに基づいて、ネットワークスライス信頼性データを決定することと、前記ネットワークスライス信頼性データを前記アプリケーションに提供することと、を行うように構成された1つ以上のプロセッサを更に備える、請求項11に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年7月15日に出願された米国仮特許出願第63/222,325号の優先権を主張し、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。本出願は、2022年7月15日に出願された国際特許出願第PCT/US22/37278号にも関連し、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本明細書に記載の主題は、時間敏感ネットワークなどのコンピュータ化された通信ネットワークに関する。
【背景技術】
【0003】
IEEE802.1 Time-Sensitive Networkingタスクグループは、イーサネットネットワーク内で決定論的でスケジュールされたイーサネットフレーム配信を実装する方法を説明する一連の標準を作成した。時間敏感ネットワーキングは、時間の精度及び安定性の進歩から恩恵を受けて、通信ネットワーク内に効率的で決定論的なトラフィックフローを作成する。
【0004】
複数のユーザが、時間敏感トラフィック及び非時間敏感トラフィックの両方に対して時間敏感ネットワークを同時に使用することがあり、新しい加入者がネットワークに参加し、ネットワークを離脱することがある。ネットワークスライスごとにネットワークを過度に予約するとコストがかかる可能性があるが、予約が過少であると、ユーザへのサービスが不十分になる可能性がある。
【発明の概要】
【0005】
いくつかの実装形態では、方法は、5Gネットワークに通信可能に結合されたアプリケーションの時間敏感ネットワークアプリケーション構成情報を取得することと、時間敏感ネットワークアプリケーション構成情報を5Gネットワークのネットワークスライス構成メカニズムと共有することと、ネットワークスライス構成メカニズムによって、時間敏感ネットワークアプリケーション構成情報に基づいて送信スケジュールを決定することと、送信スケジュールに従って、5Gネットワークのネットワークリソースの量を予約することと、送信スケジュールに従って、5Gネットワークを介してアプリケーションからのデータの送信を促進することと、を含む。
【0006】
いくつかの実装形態では、システムは、5Gネットワークに通信可能に結合されたアプリケーションの時間敏感ネットワークアプリケーション構成情報を取得することと、時間敏感ネットワークアプリケーション構成情報を5Gネットワークのネットワークスライス構成メカニズムと共有することと、ネットワークスライス構成メカニズムによって、時間敏感ネットワークアプリケーション構成情報に基づいて送信スケジュールを決定することと、送信スケジュールに従って、5Gネットワークのネットワークリソースの量を予約することと、送信スケジュールに従って、5Gネットワークを介してアプリケーションからのデータの送信を促進することと、を行うように構成された、1つ以上のプロセッサを含む。
【0007】
本発明の主題は、添付の図面を参照して、非限定的な実施形態の以下の説明を読むことによってより良好に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】いくつかの実装形態による、時間敏感ネットワークシステムを描写するブロック図である。
【
図2】いくつかの実装形態による、時間敏感ネットワークシステムに関するタイミング概念を描写する図である。
【
図3】いくつかの実装形態による、エンドツーエンドの決定論的接続性を提供する、時間敏感ネットワークコンポーネントと統合された5Gシステム300の図である。
【
図4】いくつかの実装形態による、時間敏感ネットワークアプリケーショントラフィックのための5Gネットワークスライスの構成を描写する抽象化の図である。
【
図5】いくつかの実装形態による、ネットワークスライシング及び時間敏感ネットワーク要素を使用して、5Gネットワークを介して時間敏感ネットワークアプリケーションデータを送信するための例示的なプロセスを例解するフロー図である。
【
図6】いくつかの実装形態による、時間敏感ネットワークコンポーネントと統合された5Gシステムの図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書に記載される本発明の主題の1つ以上の実施形態は、非古典的な物理学と時間敏感ネットワーキングとの間の正のフィードバックを調べることによって、時間敏感ネットワーキングの効率的な決定論を使用して、サイバーセキュリティを増加させるシステム及び方法を提供する。相対性理論に起因する経過時間の差は、ネットワークノード(例えば、スイッチ)のクロックドリフトへの寄与としてタイミング及び同期標準によって扱われ、時間敏感ネットワークの時間認識スケジューラデバイスは、ネットワークのグランドマスタクロックデバイスの時間基準に対して構成されるが、そうすると、スケジューラデバイスのローカル相対時間基準との同時性を失う。
【0010】
図1は、時間敏感ネットワーク(TSN)システム100のネットワーク制御システム107の一実施形態を概略的に例解する。
図1に示されるコンポーネントは、本明細書に記載される機能を実行するように動作する、1つ以上のプロセッサ(例えば、1つ以上のマイクロプロセッサ、フィールドプログラマブルゲートアレイ、及び/若しくは集積回路)を含む、並びに/又はそれらと接続されるハードウェア回路を表す。ネットワークシステム100のコンポーネントは、1つ以上の有線及び/又はワイヤレス接続によって互いに通信可能に結合され得る。ネットワークシステム100のコンポーネント間の全ての接続が本明細書に示されているわけではない。
【0011】
ネットワークシステム100は、ネットワークスイッチ104及び関連付けられたクロック112(
図1の「クロックデバイス」)から形成されたいくつかのノード105を含む。いくつかのノード105のみが
図1に示されるが、ネットワークシステム100は、大きな地理的領域にわたって分散されたより多くのノード105から形成され得る。ネットワークシステム100は、ノード105を通じて、又はノード105を介して、デバイス106(例えば、コンピュータ、制御システムなど)間のイーサネットリンク103に沿って、イーサネットリンク103を通して、又はイーサネットリンク103を介して、データ信号を通信するイーサネットネットワークであり得る。データ信号は、ネットワークシステム100のスケジュール上で、ノード105間で送られるデータパケットとして通信され、スケジュールは、どのデータ信号が異なる時間にノード105の各々によって通信され得るかを制限する。例えば、信号のトラフィック分類に基づいて、異なるデータ信号が異なる繰り返しスケジュールされた期間に通信され得る。いくつかの信号は、タイムクリティカルなトラフィックとして分類され、一方、他の信号は、ベストエフォートトラフィックとして分類される。タイムクリティカルなトラフィックは、動力システムの安全な動作を保証するために、指定された期間に、又は指定された期間内に通信される必要がある、又は通信されることが要求されるデータ信号であり得る。ベストエフォートトラフィックは、動力システムの安全な動作を保証するために必要ではないが、他の目的(例えば、電力システムのコンポーネントの動作を監視する)のために通信されるデータ信号を含む。
【0012】
制御システム107は、ノード105の各インターフェースが、予めスケジュールされた時間にイーサネットフレーム(例えば、1つのコンピュータデバイス106から別のデバイス106へのノード105間)を送信し、レガシーのベストエフォートのイーサネットトラフィックと同じ媒体を共有しながら、決定論的なトラフィックフローを作成することを可能にする、時間認識スケジューラデバイス102を含む。時間敏感ネットワーク100は、特にライフクリティカルな産業制御システムにおいて、タイムクリティカルなトラフィックのフレームの配信が故障を引き起こすことなくタイトなスケジュールを満たさなければならない厳しいリアルタイムアプリケーションをサポートするように開発されている。スケジューラデバイス102は、ネットワークシステム100内の各ノード105にインストールされるスケジュールを計算する。このスケジュールは、信号の異なるタイプ又は分類がスイッチ104によって通信されるタイミングを指示する。
【0013】
スケジューラデバイス102は、フレームが送信されるときに、クロックの不安定性が予測不可能な待ち時間をもたらすため、グランドマスタクロックデバイス110と同期したままである。グランドマスタクロックデバイス110は、ノード105のクロックデバイス112が同期されるクロックである。クロックドリフト累積の結果は、フレームがフレームのタイムウィンドウを逃し、次のウィンドウを待たなければならないということである。これは、同じウィンドウを必要とする次のフレームと競合し得る。
【0014】
制御システム107の集中型ネットワークコンフィギュレータデバイス108は、ネットワーク100の物理トポロジ、並びに所望の時間敏感ネットワークトラフィックフローの知識を有するソフトウェア及び/又はハードウェアで構成される。コンフィギュレータデバイス108は、ノード105及び/若しくはユーザ入力からトポロジ情報を決定する、又は別様に取得する1つ以上のプロセッサと接続されている、並びに/又はそれらを含むハードウェア回路から形成され得る。コンフィギュレータデバイス108のハードウェア回路及び/又はプロセッサは、スケジューラデバイス102のハードウェア回路及び/又はプロセッサと少なくとも部分的に共有され得る。
【0015】
ネットワークシステム100のトポロジ知識は、ノード105の位置(例えば、絶対位置及び/又は相対位置)を含むことができ、そのノード105は、他のノード105と直接結合されている。コンフィギュレータデバイス108は、この情報をスケジューラデバイス102に提供することができ、スケジューラデバイス102は、スケジュールを決定するためにトポロジ情報を使用する。コンフィギュレータデバイス108及び/又はスケジューラデバイス102は、スケジュールを異なるノード105に通信することができる。
【0016】
リンク層発見プロトコルを使用して、コンフィギュレータデバイス108とスケジューラデバイス102との間でデータを交換することができる。スケジューラデバイス102は、ネットワーク管理プロトコルを通じて時間認識システム(例えば、それぞれのクロック112を有するスイッチ104)と通信する。時間認識システムは、集中型スケジューラデバイス102からそれぞれのハードウェアにコマンドを転送する制御プレーン要素を実装する。
【0017】
タイミング及び同期標準は、スケジューラデバイス102のイネーブラである。IEEE802.1AS(gPTP)標準は、グランドマスタクロックデバイス110(例えば、スイッチデバイス104のうちの1つのクロックデバイス112であり得る)を選択し、経路遅延を推定し、クロックレートの差を補償し、それによって周期的にクロックデバイス112をグランドマスタクロックデバイス110によって保持されている時間に戻して整合させることによってクロック同期を達成するために、スケジューラデバイス102によって使用され得る。クロックデバイス112を戻してグランドマスタクロックデバイス112と整合させることによって、位相ロックループ(PLL)の使用は、ネットワークシステム100の一実施形態では使用されず、これは、ループの収束が遅く、ループがピーキング効果を受ける傾向があるためである。
【0018】
クロックデバイス112は、一般化された時間精度プロトコルメッセージ(gPTP)を周期的に又は別様に繰り返し送るコンフィギュレータデバイス108又はグランドマスタクロックデバイス110によって測定され得る。この動作は、主に、ローカルスイッチデバイス104が送信又は受信する時間精度プロトコルメッセージのタイムスタンプを、隣接スイッチデバイス104によってアドバタイズされるタイムスタンプと比較することからなる。このようにして、クロックドリフトに影響を与える任意の要因が、プロトコルによって正しく検出される。
【0019】
グランドマスタクロックデバイス110によって保持される時間に対して突然過去に引き戻されるか、又は未来に進められるクロックデバイス112は、時間認識スケジュールのローカル実行に影響を与える可能性がある。例えば、タイムクリティカルなトラフィックは、タイムクリティカルなトラフィックのスケジュールされた期間内に、非同期クロックデバイス112を含むノード105によって通信されない場合がある。gPTP標準は、連続的かつ単調に増加するクロックデバイス112を提供する。したがって、スケジューラデバイス102は、調整することができないクロックデバイス112に依存し、クロックデバイス112の整合は、論理同期、グランドマスタクロックデバイス110からのオフセット、隣接するものとのリンク伝搬遅延、及びローカルクロックデバイス112間のクロックドリフトに基づいている。
【0020】
IEEE802.1AS標準は、クロックデバイス112の固有の不安定性及びドリフトを検出するために使用され得る。このドリフトは、クロックデバイス112の老朽化、温度の変化又は極端な温度の変化など、様々な理由で発生する可能性がある。特殊相対性理論及び一般相対性理論からの相対性理論的効果は、外発クロックドリフトとして見ることができ、重力及び運動時間の遅れを包含することができる。例えば、同じ固有パラメータを有する2つのクロックデバイス112は、ドリフトを検出しないが、相対性理論は、グランドマスタクロックデバイス110からのこれらのクロックデバイス112によって保持される時間のドリフトを引き起こすであろう。
【0021】
一般相対性理論はかなり複雑な場合があるが、重力による時間の遅れを適用するのは簡単である。次の式では、Gは重力定数、Mは重力体の質量(キログラム単位)、Rは半径、又は質量中心からの距離(メートル単位)、cは光速(メートル毎秒)である。2つのクロックデバイス112は、1つが、地球の重力場内の100mの高さに位置し、もう1つが、重力場から無限の距離に位置し、すなわち、重力を経験しない。時間は、重力場内でより遅く経過するため、無限遠に位置する仮定のクロックデバイス112は、最速の既知のクロックデバイス112となるであろう。無限遠に位置するクロックデバイス112で1秒が経過したとき、地球近傍のクロックによって測定された時間がどれだけ経過したかを考える。無限遠の時間をTと記し、地球上の時間はT
0と記す。地球表面にあるクロックで測定された時間の経過と比較して、高度hにあるクロックデバイス112でどれだけの時間が経過したかを決定するには、高度hでの時間の遅れ比を算出し、これを地球表面で算出された時間の遅れで除算し、その結果の平方根をとり、この算出された比に地球表面での時間間隔を乗算し、すると算出結果は、高度hの場でより高い位置にあるクロックデバイス112と比較して、より速いクロック上で11フェムト秒だけ経過した時間の量となる。
【数1】
【0022】
重力による時間の遅れによって引き起こされるクロックドリフトは、一見すると無視できるようである。特に送信速度が1Gbpsの場合である。つまり、64バイトのイーサネットフレームにその時間認識スケジュールを逃れさせるには、20バイトのプリアンブル、開始フレーム区切り文字、フレームチェックシーケンス、及びフレーム間ギャップについて考慮すると、ポート速度が1Gbpsの場合、672nsのドリフトが経過している必要がある。ネットワーク内で100mの高さクロックの差で、そのようなドリフトは、2年間中断しないサービスで取得され得る。
【0023】
一実施形態では、コンフィギュレータデバイス108によって提供されるスケジュールは、グランドマスタ時間に対して相対的であり、かつ時間の遅れを無視し得る。その結果、スケジュールの同時性が失われる。時間の遅れを無視することは、許容可能な誤差範囲内で行うことができるが、本明細書に記載される本発明の主題は、相対性理論に起因するスケジューラデバイス102上の誤差が重要であるケースに対処する。すなわち、ノード105におけるクロックドリフトによって引き起こされる誤差が、タイムクリティカルなトラフィックがノード105のうちの1つ以上において、タイムクリティカルなトラフィック用にスケジュールされた時間ウィンドウ内で通信されない原因となり得るケースである。
【0024】
時間の遅れは、重力場内の相対運動又は位置に応じて、ある観察者が別の観察者と比較して知覚する時間の減速のような物理的な用語で記述され得る。加えて、TSNのコンテキストでは、時間同期の不確実性に起因して、イーサネットフレームを送信するのにかかる時間の延伸に関して、時間の遅れが記述され得る。これは、重複するスケジュールされたフローが衝突を伴わずにシステムを通してずっと「青信号」を経験することを保証し、アプリケーションがフレーム到着時間ジッタに対して許容しなければならない許容範囲が満たされることを保証するために、TSNスケジューラに適用される必要があるアプリケーションガードバンドである(これは、必要とされる追加の許容範囲を考慮すると、より大きなフレームのように見える場合がある)。
【0025】
著しい重力勾配にさらされるピコ衛星又は高速ネットワーク(例えば、飛行機から地上への送信、高速列車通信、高速道路上の自動車と相互作用するスマートシティなど)を伴ういくつかのユースケースは、相対性理論がスケジューラデバイス102に著しいドリフトを引き起こす可能性がある例である。
【0026】
本明細書に記載される本発明のシステム及び方法の1つ以上の実施形態は、制御システム107のスケジューラデバイス102によるTSNスケジューリングに対する時間同期誤差の影響、ネットワークシステム100内のグランドマスタクロックデバイス110の位置、配置、又は選択に対する時間同期誤差の影響、及び帯域幅に対する時間同期誤差の影響を調べる。
【0027】
いくつかの実施形態では、ローカルガードバンドが定義され得る。ガードバンドは、時間の遅れの変化に基づいて、サイズを動的に変化させ得る。ガードバンドは、非タイムクリティカルなトラフィック(例えば、イーサネットフレームトラフィック)がガードバンドに割り当てられているか又は割り当てられているノード(単数又は複数)を通じて通信され得ない期間及び/又はネットワーク帯域幅として決定され得る。本開示を通して、非タイムクリティカルなトラフィックは、ベストエフォートトラフィックと称され得、タイムクリティカルなトラフィックは、スケジュールされたトラフィック又は優先度の高いトラフィックと称され得る。
【0028】
いくつかの実施形態では、2つのタイプのガードバンドが存在する。TSNガードバンド及びアプリケーションガードバンドである。TSNガードバンドは、TSN自体の中で定義され得る。一実施例では、大きなベストエフォートフレームは、ランダムな時間に来て、スケジュールされたTSNフレームが送信される必要があるときにのみ部分的に送信され得る。この時点で、システムは、ベストエフォートフレームの送信を終了させることでスケジュールを中断するか、又はスケジュールされたフレームを送ることが必要になる前の期間にガードバンドを先制的に配置して、潜在的な長いトラフィックを全てブロックすることができる。アプリケーションガードバンドは、アプリケーション内のアプリケーション層において使用され、これは、システムがTSNを使用していることがあっても、トラフィックが到着したときにまだいくつかのジッタが存在する可能性があるという事実を考慮している。アプリケーション層ガードバンドは、このジッタを考慮するために余分な期間及び/又は周波数を提供する。言い換えると、アプリケーションの観点から、ガードバンドは、それらがTSN伝送経路を介して送信された後にアプリケーションによって受信されたフレームについて見られるジッタに対処し得る。
【0029】
図2は、本明細書に記載される分析の背後にある高レベルの概念を概略的に例解する。
図2の上部に表されるクロックデバイス112のネットワークは、時間の遅れのために互いに不完全に同期すると仮定される。クロックデバイス112は、
図2の下部に表されるIEEE802.1Qbvゲート200の対応するシステムのタイミングを提供する。これらのゲート200は、
図1に示されるネットワークシステム100のノード105を表すことができる。ゲート200間のデータフレームの時間敏感データフロー202もまた、
図2に示される。クロックデバイス112は、完全に同期することはない可能性があり、同期誤差は、時間敏感ネットワークフロー202が正しく動作する能力に影響を与える。
【0030】
時間敏感データフロー202は、多様な現地時間基準を横断し、gPTP標準によって測定され得ない時間の遅れの対象となる。例えば、
図2は、異なる高度に位置し、異なる相対性理論に従うクロックデバイス112を示す。例えば、山に位置するクロックデバイス112は、(例えば、
図1に示されるグランドマスタクロックデバイス110の)グランドマスタ相対時間に同期されるが、クロックデバイス112に到達する時間敏感ネットワークデータフロー202は、時間の遅れのために「加速」している。
図1に示されるコンフィギュレータデバイス108は、スケジューラデバイス102の構成に補償を適用することによって、この加速度を防止又は補正することができる。この補償は、ノード105又はゲート200のうちの1つ以上でデータフローの通信のために適用されるガードバンドを決定することによって発生し得る。このガードバンドは、クロックドリフトを補正するために必要な補正量が経時的に変化するにつれて、動的に変化し得る。
【0031】
時間敏感ネットワークタイミング誤差の影響を計算するために、スケジューラデバイス102は、ネットワークブリッジ(例えば、スイッチ104)のスケジュールを計算する。スケジューラデバイス102は、非決定論的多項式時間困難(NP困難)であるヒューリスティックアプローチを使用することができる。スケジュールは、個々のクロック誤差が独立しており、正規分布していると仮定することによって計算され得る。クロックデバイス112は、平均μでドリフトし得、分散σを有し得る。各ゲートシステム200は、IEEE802.1AS標準によって同期される分散クロック112のうちの1つから時間を受信又は決定することができる。
【0032】
時間敏感データフロー経路は、完全な同期を想定して、集中型スケジューラデバイス102によってスケジュールされる。クロック同期が十分な程度の同期を達成できない場合、この失敗は、異なる時間敏感ネットワークフロー202からの複数のイーサネットフレームが同じリンク上で同時に送信されることを引き起こし得る。これは、送信における不必要で予測不可能な遅延を犠牲にして、潜在的な衝突及びフレーム損失を軽減するための代替スケジューリングメカニズムを引き起こすであろう。したがって、同期誤差の存在下で、時間敏感ネットワークフロー202内のイーサネットフレームは、それらの最大の決定論的待ち時間要件を超える確率を有し、著しいジッタを受けるであろう。特定の同期誤差の下で、イーサネットフレームは、スケジュールされた送信ウィンドウ時間を完全に逃し、別の開いているウィンドウを捕捉することさえ可能であり得、したがって、異なる時間ウィンドウ上で最初にスケジュールされた他の時間敏感ネットワークフロー202に影響を与える。ガードバンドは、動的に算出され、スケジュールに追加されて、クロック誤差を軽減し、タイムクリティカルなトラフィックが正常に通信されることを保証することができる。このように、システムが(本明細書に記載されるように)同期をより良好に処理するほど、ガードバンドは小さくなる必要がある。必要な帯域幅が少なくて済むため、より小さいガードバンドが好ましい。これは、本明細書に記載される本発明の主題の少なくとも1つの技術的効果を提供する。ガードバンドを動的に変更することは、(時間敏感ネットワークを使用するシステムの同じ動作を保証するために特定の指定された時間に配信される必要がある)パケットが、グランドマスタクロックから離れたクロックのドリフト及び/又はクロックによって追跡される時間とグランドマスタクロックによって維持されるマスタ時間との間の他の差があっても、時間通りに配信されることを保証することができる。
【0033】
本発明の主題の一実施形態では、スケジューラデバイス102は、イーサネットネットワークシステム100(
図1に示される)の詳細、及びリクエストされた時間敏感ネットワークフロー202を提供され、各フロー202のスケジュールを計算する。スケジューラデバイス102は、実際のイーサネットネットワーク100及び手動で作成された時間敏感ネットワークフロー202で動作するように設計されているが、この分析のための1つのコンポーネントは、大規模でランダムに生成されたイーサネットネットワーク100内で多数の時間敏感ネットワークフロー202をランダムに生成する能力である。したがって、スケジューラデバイス102は、大規模で複雑なネットワーク100内の大規模で複雑な時間敏感ネットワークスケジュールを分析することができる。
【0034】
ランダムジッタは予測不可能であり得、ガウス(例えば、熱ノイズ)であると仮定される。決定論的ジッタは、予測可能であり、制限され得る(例えば、デューティサイクル、歪み、及びシンボル間干渉)。クロックジッタは、ガウス分布を有することができる。ジッタ及び百万分の一(PPM)は、
【数2】
PPMによって関連させられ、式中、fは、発振器の中心周波数であり、dfは、最大周波数変動である。一実施形態では、クロックデバイス112は、スケジューラデバイス102によって、5ピコ秒の二乗平均平方根(RMS)ジッタを有する±100PPMの精度を有すると想定され得る。RMS誤差は、
【数3】
によってガウス分散に関連し得、式中、Nは、サンプル数(例えば、10,000)であり、ピークツーピーク周期ジッタは、+/-3.72RMSジッタに等しい。
【0035】
スケジューラデバイス102によって実行される分析の一部は、ジッタがあるクロックデバイス112から別のクロックデバイス112にどのように伝搬するかを調べる。ランダムノイズは、スケジューラデバイス102によって追加され得るが、ノイズの相関は、純粋に付加的な特徴を低減し、追加の不確実性を生み出す。スケジューラデバイス102は、グランドマスタクロックデバイス110からのクロックドリフト及びジッタを、他の全ての(例えば、スレーブ)クロックデバイス112を通して伝搬することができる。例えば、他のクロックデバイス112は、グランドマスタのクロックデバイス110と繰り返し同期され得る。このモデルはまた、経路遅延が、スレーブクロックデバイス112をグランドマスタクロックデバイス110と同期させ続けるgPTP標準の能力を低減させるという事実を考慮している。スケジューラデバイス102の実装は、クロック精度及び配置の実験を可能にし、時間敏感ネットワークスケジューリングに対するクロック精度実験の影響を決定する。
【0036】
図3は、エンドツーエンドの決定論的接続性を提供する、TSNコンポーネントと統合された5Gシステム300の図である。5G超信頼・低待ち時間通信(URLLC)及びTSN機能は、産業オートメーションのためのエッジクラウドに潜在的に存在する入力/出力(I/O)デバイスとそれらのコントローラとの間など、決定論的接続をエンドツーエンドで提供するために、組み合わされ、統合され得る。そのような統合は、ベースブリッジ機能及びTSNアドオンの両方のサポートを含み得る。
【0037】
システム300は、
図1及び
図2を参照して上述したいくつかのTSNコンポーネントを含む、5G-TSN統合の1つの実装形態を例解する。
図3は、完全に集中化された構成モデルを描写する。
【0038】
5Gシステムは、ネットワークの残りの部分からTSNブリッジのセットとして現れ、ユーザプレーン機能(UPF)ごとに1つの仮想ブリッジである。システム300は、ユーザプレーン及び制御プレーンの両方のために、5GシステムをTSNドメインに適合させるためのTSNトランスレータ(TT)機能を含み、TSNブリッジドネットワークから5Gシステム内部手順を隠す。
【0039】
システム300は、TT機能を通じてTSNブリッジイングレス及びエグレスポート動作を提供する。例えば、TTは、デジターリングのためのホールド及びフォワード機能をサポートする。図は、冗長性のために2つの相関TSNストリームをサポートする2つのプロトコルデータユニット(PDU)セッションを有する2つのユーザ機器(UE)の一実施例を使用する機能を例解する。しかし、展開は、RANでデュアル接続を使用する2つのPDUセッションを有する1つの物理UEのみを含み得る。図は、5Gシステムがエンドステーションをブリッジドネットワークに接続する場合を例解するが、5Gシステムはまた、ブリッジを相互接続し得る。
【0040】
本明細書に記載されるベースブリッジ機能のサポートは、5G仮想ブリッジがクラスA又はクラスB対応であるかどうかにかかわらず適用可能である。5Gシステムは、トポロジの発見及び5G仮想ブリッジの特徴など、産業ネットワークの制御及び管理に必要なリンク層発見プロトコル(LLDP)機能をサポートし得る。5Gシステムはまた、ブリッジドネットワーク内で適用されるループ防止方法に適応し得、これは、いかなるLLDP以外の分散プロトコルを用いずに完全にSDN制御され得る。
【0041】
超信頼性は、TSNドメイン及び5Gドメインの両方にわたってフレームレプリケーション及び信頼性の排除(FRER)を適用することによって、エンドツーエンドで提供され得る。これは、
図3に例解するように、両方のドメインにわたるFRERエンドポイント間のディスジョイント経路を必要とし得る。
【0042】
5G UEは、5Gネットワークを介してユーザプレーンにおいて冗長である2つのPDUセッションを確立するように構成され得る。3GPP(登録商標)メカニズムは、2つのPDUセッションのユーザプレーン経路が分離されるように、CN及びRANノード(UPF及び5G基地ステーション(gNB))の適切な選択を伴う。RANは、デュアル接続機能の使用に基づいてディスジョイントユーザプレーン経路を提供することができ、ここで、単一のUEは、2つのRANノードを通るエアインターフェースを介してデータを送受信することができる。
【0043】
UE冗長性を含む追加の冗長性は、複数のUEを備えたデバイスに対して可能である。FRERエンドポイントは、5Gシステムの外部にあり得、これは、5GがFRER機能自体を指定する必要がないことを意味する。また、論理アーキテクチャは、エンドステーション及びUEを実装する同じ物理デバイスを含む実装オプションを制限しない。いくつかの実施形態では、そのようなデバイスは、バックアップスライス及び冗長性(TSN対応ネットワークスライス内の冗長TSNフロー)のコンテキストにおいて、IEEE802.1Qci及び/又はIEEE802.1CBに従って構成され得る。いくつかの実施形態では、冗長性は、割り当てられたネットワークスライス内の1つ以上の一次フロー及びバックアップネットワークスライス内の1つ以上の冗長フローの形態をとり得る。いくつかの実施形態では、冗長性は、同じネットワークスライス内の1つ以上の一次フロー及び1つ以上の冗長フローの形態をとり得る。
【0044】
TSNストリームの要件は、リソース管理が経路全体に沿った各ホップにネットワークリソースを割り当てるときに満たされ得る。TSN構成(例えば、802.1Qcc)に沿って、これは、5Gシステムと集中型ネットワーク構成(CNC)との間の相互作用によって達成され得る(
図3を参照)。5GシステムとCNCとの間のインターフェースは、CNCが5G仮想ブリッジの特徴を学習することを可能にし、5GシステムがCNCから受信した情報に基づいて特定のパラメータとの接続を確立することを可能にする。
【0045】
制限された待ち時間は、5Gからの決定論的遅延、及びTSNと5Gドメインとの間のQoS整合を必要とし得る。5Gは、従来の産業用有線ネットワークではいくつかのホップを介して接続されていたであろうコンポーネント間に、直接的なワイヤレスホップを提供することができる。重要な要因は、5Gが決定論的な待ち時間を提供できることであり、CNCは、5GシステムでサポートされているTSN機能と一緒に発見され得る。
【0046】
例えば、5G仮想ブリッジがクラスA TSNブリッジとして機能する場合、5Gシステムは、スケジューリングされたトラフィックに沿って(例えば、802.1Qbvによって指定されるように)時間制御パケット送信をエミュレートし得る。5G制御プレーンについて、5Gシステムのアプリケーション機能(AF)内のTTは、TSNトラフィッククラスの送信時間情報をCNCから受信し得る。5Gユーザプレーンでは、UEでのTT及びUPFでのTTは、それに応じて、時間に基づくパケット送信を調節することができる。
【0047】
TT内部の詳細は、異なる実装形態に依存し得る。例えば、トラフィッククラスごとのプレイアウト(デジッタ)バッファが実装され得る。異なるTSNトラフィッククラスは、2つのドメイン間のQoS整合の一部として、AF及びポリシー制御機能(PCF)において異なる5G QoSインジケータ(5QI)にマッピングされ得、異なる5QIは、それらのQoS要件に従って処理され得る。
【0048】
いくつかの実装形態では、システム300は、ネットワークスライシングに従って実装され得る。ネットワークスライシングにより、ネットワークオペレータは、共通のネットワークインフラストラクチャを介して、サービス又は顧客に固有の機能を有する専用の仮想ネットワークを提供することができる。したがって、ネットワークスライシングは、時間敏感ネットワークで想定される多数の多様なサービスをサポートする。
【0049】
より具体的には、ネットワークスライシングは、固定ネットワークにおけるソフトウェア定義ネットワーキング(SDN)及びネットワーク機能仮想化(NFV)の背後にある原理を使用する仮想ネットワークアーキテクチャの一形態である。SDNとNFVは、(追加的又は代替的にソフトウェアを介して)従来のネットワークアーキテクチャを、接続され得る仮想要素に分割されることを可能にすることによって、ネットワークの柔軟性を提供する。
【0050】
ネットワークスライシングにより、共通の共有物理インフラストラクチャの上に複数の仮想ネットワークを作成することができる。仮想ネットワークは、アプリケーション、サービス、デバイス、顧客、又はオペレータの特定のニーズを満たすようにカスタマイズされ得る。
【0051】
ネットワークシステム100(例えば、イーサネット、及び5Gなど)を参照して上述した原理を使用する時間敏感ネットワークの場合、単一の物理ネットワークは、異なる無線アクセスネットワーク(RAN)、又は単一のRANにわたって実行される異なるサービスタイプをサポートすることができる複数の仮想ネットワークにスライスされ得る。ネットワークスライシングは、主にコアネットワークを分割するために使用され得るが、RANにも実装され得る。
【0052】
1つのネットワークスライシングの例では、自律走行車は、低い待ち時間を必要とするが必ずしも高いスループットを必要としない、V2X(ビークルツーエブリシング)通信に依存し得る。自動車が動いている間に視聴されるストリーミングサービスは、高いスループットを必要とし得、待ち時間の影響を受けやすい。両方とも、仮想ネットワークスライス上の同じ共通の物理ネットワークを介して配信され、物理ネットワークの使用を最適化することができるであろう。別の例では、モバイルネットワーク内のTSNスライスは、高いドップラー効果(例えば、航空機を伴う)及び急速に変化するリンク待ち時間を経験し得る。これらの実施例では、これらのネットワークスライスのジッタを特徴付け、報告することが好ましい場合がある。
【0053】
ネットワークスライシングは、時間敏感ネットワークの柔軟性を最大化し、インフラストラクチャの利用及びリソースの割り当ての両方を最適化する。これにより、以前の時間敏感ネットワークと比較して、より大きなエネルギー及びコスト効率が可能になる。
【0054】
各仮想ネットワーク(ネットワークスライス)は、特定のユースケースの要件をサポートする論理ネットワーク機能の独立したセットを含み、「論理」という用語はソフトウェアを指す。
【0055】
各仮想ネットワークは、スライスを使用する特定のサービス及びトラフィックのためのリソース及びネットワークトポロジを提供するように最適化され得る。速度、容量、接続性、及びカバレッジなどの機能は、各ユースケースの特定の要求を満たすように割り当てられ得るが、機能コンポーネントは、異なるネットワークスライスにわたって共有され得る。
【0056】
各仮想ネットワークは、スライスが別のスライス内のトラフィックと干渉することができないように、完全に分離され得る。これにより、新しいサービスを導入して実行するリスクが低下し、新しいテクノロジー又はアーキテクチャを分離されたスライスで起動できるため、移行もサポートされる。サイバー攻撃が1つのスライスに違反した場合、攻撃は封じ込められ、そのスライスを超えて広がることができないため、ネットワークスライシングはセキュリティにも影響を与える。
【0057】
各ネットワークスライスは、独自のネットワークアーキテクチャ、エンジニアリングメカニズム、及びネットワークプロビジョニングで構成され得る。各ネットワークスライスは、典型的には、管理能力を含み得、これは、ユースケースに応じて、ネットワークオペレータ又は顧客によって制御され得る。各ネットワークスライスは、独立して管理及びオーケストレーションされ得る。各ネットワークスライスのユーザエクスペリエンスは、スライスが物理的に別個のネットワークであるかのように同じであり得る。
【0058】
ネットワークスライシングは、5Gサービスを用いる時間敏感ネットワークのために最適化され得る。例えば、5Gエンドツーエンド(E2E)自律ネットワークスライシングでは、異なるネットワークスライスが自動的に、かつ共有RAN、コア、及びトランスポートネットワーク上で最適化された方式で作成され得る。
【0059】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される(例えば、上記の
図1~
図3及び/又は下記の
図4~
図6及び対応する開示を参照する)TSNシステムが、TSN実装スライス内のジッタを特徴付け、報告することは有利であり得る。このコンテキストにおいて、TSN対応ネットワークスライスは、ネットワークスライス用のデータの伝送をサポートする1つ以上のTSNフローから構成されるネットワークスライスを指し得る。ジッタは、全体として(例えば、スライスの全てのフローを通して)TSN対応ネットワークスライスに対して特徴付けられ得る。
【0060】
経路のうちの1つを通る最良のジッタ、最小のジッタ、最悪の経路を通る最大のジッタ、及び全ての経路を通るジッタの平均及び/又は分散を含む、TSN対応ネットワークスライスのためのジッタを特徴付けるいくつかの方式がある。以下の考察では、ジッタは、平均及び分散を使用して特徴付けられる。しかしながら、他の実施形態では、ジッタは、任意の他の手段(例えば、上記のもののうちの1つ以上を含む)によって特徴付けられ得る。
【0061】
いくつかの実施形態では、ジッタは、二乗平均平方根(RMS)値の合計として蓄積される。言い換えると、スライス(又はスライスのサブセット)のジッタは、経路の各部分に沿ったジッタ値の平方根を、全てを合計したものとして表すことができる。以下の式は、ジッタをX
RMSとして表す。
【数4】
【0062】
式(2)において、XRMSは、特定のスライス内の1つのTSN経路のジッタであり、これは、nホップを有する経路内の各ホップに沿ったジッタXの平方根に等しい。いくつかの実施形態では、ジッタのソース(nホップの各々に対応する)が互いに無関係であるという簡素化の仮定がなされる。ホップの例としては、イーサネットスイッチ、接続ケーブルなどが挙げられる。このジッタの定義は、フレームが先行する隣接ネットワークデバイスから出てから、フレームが現在のネットワークデバイスを出るまでの時間(例えば、ケーブルを経由して現在のデバイスを通る時間)を考慮に入れている。明確にするために、ジッタは、遅延ではなく、遅延における分散である。代替的な実施形態では、遅延の第3の瞬間(すなわち、ジッタの分散、若しくは遅延の分散における分散)が特徴付けられ、報告され得るか、又は遅延の第4の瞬間(例えば、ジッタの分散における分散、若しくは遅延の分散における分散における分散)が特徴付けられ、報告され得る、などである。
【0063】
XRMSのジッタを決定すると、全ての経路の平均及び分散がスライスジッタについて報告される。以下の式は、スライスジッタの平均(XEslice)及び分散(XVslice)を表す。
xEslice=E[xRMS](3)
xVslice=Var[xRMS](4)
【0064】
式(3)において、XEsliceは、そのスライスについてのジッタXRMSの予想平均値であり、式(4)において、XVsliceは、そのスライスについてのジッタXRMSにおける分散である。
【0065】
したがって、例示的な方法では、管理及びオーケストレーション(MANO)モジュールは、まず、所与のスライス内の全ての経路のジッタX
RMSを算出し、次いで、スライスの全ての経路にわたる平均XEslice及び分散XVsliceを決定し、次いで、これらの値を、TSNスライス内のフレームをスケジューリングするように構成されたスケジューラモジュール(例えば、
図1の102)又は任意の他のモジュールに報告し、かつ/又はジッタの平均及び分散に基づいて(及び/又はジッタの他の定義又は特徴に基づいて)ガードバンドを調整する。
【0066】
いくつかの実施形態では、これらの分散報告を受信するモジュール(例えば、
図1の102、又はMANOモジュール)は、スライスを特徴付け(例えば、それがどのような種類のスライスであるかをジッタに基づいて決定する)、かつ/又はスライスが現在どのように動作しているかを報告し(例えば、管理及び報告の目的のために)得る。これらの報告は、潜在的に矛盾するフロー及び/又は動的ガードバンド長及び/又は周波数再調整に対する動的再スケジューリングを実行するために、ベストエフォートトラフィック統計及びTSNフロートラフィックサイズ(例えば、1つ以上のフレームに対するフレーム長統計)と併せて使用され得る。
【0067】
例えば、TSNスケジュールが既に所定の位置にあり、特定のゲートがt=5msの周期で開き、t=6msの周期で閉じるようにスケジュールされている場合、スケジュールされたフレームのタイミング及びサイズに依存して、スケジュールされたフレームがキューを通過するのに十分な長さである場合又はそうでない場合がある。TSNが実行されている場合、ベストエフォートトラフィックは常に利用可能であり、いずれのオープンキュー上でも実行が可能である。ベストエフォートトラフィックを有するオープンな任意のキューは、送信を許可され、TSNトラフィックと同時に非TSNトラフィックを実行し続けることができる。しかし、送信に2msかかる長いベストエフォートフレームがあり、それがt=4msで送信を開始すると、t=5msでスケジュールされたトラフィックのためにゲートが開いたときにフレームが中途半端にのみ送信されるため、t=5msで衝突が発生することになる。この例では、TSNゲートを開く前に全てのゲートが2ms前に閉じられていることを確認することによって、又はその送信の途中で長いベストエフォートトラフィックを停止すること(TSNフレームプリエンプションと称される)によって、これらのタイプの衝突は防止され得るが、これは所望の結果ではない。適切に配置され、タイミング調整されたガードバンドは、TSNフレームプリエンプションの必要性を防止する。
【0068】
ベストエフォートトラフィック統計及びTSNフロートラフィックサイズに加えて、又はその代替として、ジッタ平均及び分散報告は、動的再スケジューリングデータ(例えば、データフローのスケジュール)、個々のネットワークデバイスジッタ(例えば、ブリッジ、ルータ、スイッチ、ハブなどのネットワークデバイスによって引き起こされるジッタ)、並びに/又はベストエフォートトラフィックが使用されているかどうか、及びそれが緩衝して、ジッタを引き起こす可能性があるかどうかの指標と併せて使用され得る。
【0069】
例示的な方法を続けると、報告されたジッタが許容可能であるかどうか(例えば、ジッタが所与のアプリケーション又はアプリケーションに関連付けられた所与の機能の許容可能性の閾値を満たすかどうか)に関する決定が行われ得る。この決定は、スライスに関連付けられたトラフィックが、それがTSNシステムから出てきた後に特定のスケジュールに従っているかどうかの決定を含み得る。トラフィックがスケジュールに従っていない(例えば、遅れている)場合、ジッタは許容不可能である。いくつかの実施形態では、ジッタが許容不可能である場合、TSNスケジューラ(例えば、
図1の102)は、特定のTSN経路を異なるスライスに再割り当てすることができる。いくつかの実施形態では、ジッタが許容不可能である場合、1つ以上のガードバンドは、動的に変化し得る(例えば、時間的に増加するか、又は周波数的に変化し得る)。いくつかの実施形態では、ガードバンドが延長されなければならない量は、TSNトラフィックがいつオーバーフローするか、又は別様に許容不可能なタイミングを有するかに関する不確実性(ジッタ)の量に直接関連し得る。したがって、TSNトラフィックタイミングに関する不確実性の量は、ジッタ報告及び上で考察された他の要因に基づいて、ガードバンドを動的に再スケジューリング及び/又は調整することによって管理され得る。例えば、アプリケーション層ガードバンドが変化し得る(例えば、低い待ち時間が重要であるジェットエンジン制御システムなどの航空システムの一部として)。
【0070】
いくつかの実施形態では、5Gネットワークのインフラストラクチャプロバイダ(TSN対応の5Gスライスを提供しているプロバイダ)は、TSN対応のネットワークスライスをネゴシエーション(例えば、標準に基づく交換)の形態でTSNアプリケーション(又はジッタ依存的であるか、又は別様に時間敏感である非TSNアプリケーション)に提供し得る。プロバイダは、スライスの平均ジッタ(又はスライスの平均ジッタの予想値)及びスライスのジッタにおける分散(又はスライスのジッタにおける予想分散値)を提供し得る。TSNアプリケーションは、(いくつかの事例では、プロバイダがスライスを割り当てる前に)平均ジッタ及び/又はジッタにおける分散がそれぞれの許容可能性の閾値を超えているという決定に基づいて、拒否によって応答し得る。TSNアプリケーションは、スライスを割り当てる前に、平均ジッタ及び/又はジッタにおける分散を最小化するようにプロバイダにリクエストするか又は要求する通知で応答し得る。そのようなTSNアプリケーションは、適切に機能するために、より少ない分散を必要とし得る。それに応じて、プロバイダは、TSNスライスの平均ジッタ及び/又はジッタにおける分散を減少させるために、それらのスライスのTSNフローを再割り当てし得る。
【0071】
いくつかの実施形態では、統計プロット、ベル曲線、ガウス表現、正規表現、及び/若しくはジッタを特徴付けるか、又は別様に記述するための任意のグラフィカル技法を含む、ジッタの任意の表現が記述及び報告され得る。いくつかの実施形態では、ジッタ統計を記述するために、(例えば、サンプルから収集された)待ち時間のヒストグラムが使用され得る。いくつかの実施形態では、(ゲートに関する)IEEE802.1Qbv及び/又はIEEE802.1Qavに準拠するTSNトラフィックの送信(TSNのためのリーキーバケットスロットリングメカニズムに関する)は、上述したジッタ報告、並びに動的再スケジューリング及びガードバンド調整とともに使用され得る。一般に、任意の時間敏感及び/又は時間認識シェーパメカニズムは、上述したジッタ報告及び動的再スケジューリング並びにガードバンド調整と併せて使用され得る。
【0072】
いくつかの実施形態では、5Gシステムを別々に構成されたTSNブロックに分割するとき、上述したジッタ報告、並びに動的再スケジューリング及びガードバンド調整は、分離されたTSNとともに使用され得、そのため、各ブロックは、ジッタの独自の平均及び分散(又は他の統計値)を有し得る。これらの実施形態では、上述したXRMS計算は、5Gシステム内の分離されたTSNブロックを通して行われ得る。したがって、5G経路の各コンポーネントは、5Gシステム内でTSN対応であり得、所与の経路内の各ホップは、5Gシステムのあるエンドポイントから別のエンドポイントまでの、又は5Gシステムの単なる部分(例えば、あるエンドポイントから途中のポイントまで)に対するXRMSジッタ算出に関連付けられ得る。一般に、上述したジッタ報告、並びに動的再スケジューリング及びガードバンド調整は、フローがTSNスライスを有効化しているかどうかに関係なく、5Gシステムを通る任意のTSNフローに対して使用され得る。
【0073】
いくつかの実施形態では、上述したようにジッタ係数(例えば、平均及び/又は分散を含む)を報告することは、ジッタデータを表すためにTSN YANGモジュールを使用して、MANOモジュールにジッタ係数を報告することを含む。このように、TSN対応スライスのジッタ平均及び/又は分散は、YANGモジュールの一部であり得る。
【0074】
いくつかの実施形態では、ホワイトラビットアプローチ(IEEE1588高精度プロファイル)は、改善された時間同期のために5Gネットワークで使用され得る。このように、より厳しい動作仕様(ガードバンドなど)を中心に革新することで、TSNが時間同期を処理できるようにするためのより高い時間精度及び要件に対する推進力がある。したがって、上述したジッタ報告、並びに動的再スケジューリング及びガードバンド調整は、そのような用途に有用であり得る。
【0075】
いくつかの実施形態では、上述したジッタ報告、並びに動的再スケジューリング及びガードバンド調整は、量子技術(例えば、量子無線、量子メモリなど)を使用する5Gアプリケーションにおいて有用であり得、これは、そのようなアプリケーションの極端な感度及びタイミング要件に起因する。
【0076】
図6は、TSN及びモバイルエッジコンピューティング(MEC)システムと統合された例示的な5Gネットワークのトポロジ600を示す。この実施例では、
図3に例解される実施例と同様に、5Gシステム(5GS)は、IEEE802.1Q下の論理TSNブリッジとして外部ネットワークと統合される。この統合システムは、IEEE802.1Qccで指定されているTSNの完全集中型モデル構成をサポートし、IEEE802.1Qbvに基づくスケジューリングをサポートし得る。そのような統合システムは、IEEE802.1AS「時間認識システム」とみなすことができる。このシステムでは、5GSブリッジは、ユーザプレーン機能ごと(UPF)にあり、各UPFが、単一のUPF上の複数のポートにマッピングされ得る複数のプロトコルデータユニット(PDU)セッションをサポートする。いくつかの実装形態では、TSNは、5Gシステムのエンドシステム/ステーション及びコア(例えば、アンテナ制御、MIMO制御などのためのTSN)と統合されるか、又はそれらに実装される。
【0077】
図4は、TSNアプリケーショントラフィックのための5Gネットワークスライスの構成を描写する抽象化400の図である。いくつかの実装形態では、5Gシステム402(例えば、システム300に対応する)は、TSN対応5Gネットワーク要素404(例えば、
図3のTSNブリッジ、5Gシステムコンポーネント、及びSDNコントローラコンポーネントに対応する)を含む。TSN能力を有する5Gスライス406は、TSNアプリケーション408(例えば、1つ以上の時間敏感ネットワークプロトコルを使用して、5Gシステムを介してデータを送信及び/又は受信するアプリケーション)によって使用され得る。
【0078】
上述したように、ネットワークスライシングは、同じ物理ネットワークインフラストラクチャ上で仮想化され、かつ独立した論理ネットワークを可能にする。このように、5Gネットワークスライシングは、同じ5Gネットワークインフラストラクチャ(例えば、システム300)上で仮想化され、かつ独立した論理ネットワークを可能にする。そのようなネットワークシステム402の場合、各ネットワークスライス406は、特定のアプリケーション408によってリクエストされる要件を満たすように調整された隔離されたエンドツーエンドのネットワークとして機能し得る。
【0079】
TSNアプリケーション408は、それらが存在するTSNプロトコルスイートの性質によって、特定の5G要件を有し得る。したがって、TSNアプリケーション408に提供される5Gネットワークスライス406の要件は、アプリケーションによって使用されるTSN構成(TSNアプリケーション構成情報とも称される)から直接導出され得る。
【0080】
所与のTSNアプリケーション408に対して、TSNアプリケーションに関連付けられたTSN構成は、TSN集中型ユーザ構成(CUC)/集中型ネットワークコントローラ(CNC)エンティティと5G制御プレーンとを接続するためのTSNアプリケーション機能(AF)によって指定され得る。アプリケーションによって使用されるTSN構成は、5Gシステム402を使用するアプリケーションの実行に関連付けられたデータの送信/受信に関連する帯域幅、待ち時間、サービスの質(QoS)、及び/又は他のパラメータの要件に関する特定の値、範囲、又は上限若しくは下限閾値を含み得る。いくつかの実装形態では、アプリケーションに関連付けられたTSN構成情報は、IEEE802.1Qbvスケジュールデータを含み得る。
【0081】
いくつかの実装形態では、TSNアプリケーション408は、(スライスに関連付けられた)仮想化されかつ独立した論理ネットワーク要素の必要かつ十分なセットが5Gネットワーク内で適切に予約され、かつ構成されることを保証するために、そのTSN構成情報を5Gネットワークスライス406の構成メカニズム(5Gネットワークスライス構成メカニズムとも称される)と共有する。
【0082】
5Gネットワークスライス構成メカニズムは、5Gシステム402のTSNトランスレータ(TT)によって実装され得るか、又は別様にそれに関連付けられ得る。TTは、例えば、そのIEEE802.1Qbvスケジュールを含む、ユーザのTSNアプリケーションに関する情報で構成され得る。TTは、5Gネットワーク402を通る予想通過時間に関するこのスケジュールから情報を導出し得る。したがって、所望のスケジュールをサポートするために、十分な5Gネットワークリソースが予約され得る。いくつかの実装形態では、5Gネットワークがスケジュールをサポートすることができない場合、5Gネットワークはこのことをアプリケーションに示す。
【0083】
スケジューリングは、5Gネットワークの複雑な分析を含み得る。いくつかの実装形態では、そのようなスケジューリングは、gNB無線スケジューリング、フロントホール伝送、5Gコアネットワーク(CN)処理、及び別のgNB無線を含み得る。TSN及び非TSNの両方のトラフィックのために、複数のユーザが同時にこのインフラストラクチャを使用し得、新しい加入者がネットワークに参加し、ネットワークを離脱し得る。各ネットワークスライスに対してネットワークリソースを過度に予約すると、コストがかかる可能性がある(ネットワークリソースが十分に使用されていないため)が、予約が過少であると、顧客へのサービスが低下する可能性がある(ネットワークリソースが過度に使用されているため)。
【0084】
いくつかの実装形態では、5Gシステム402は、TSNネットワークスライスの信頼性を含む抽象化を介して、ネットワークスライス406の能力に関する洞察をTSNユーザに提供する。これは、ユーザが、IEEE802.1CB(冗長TSNフローセグメント)をより良好に構成する方法を決定することを可能にする。これはまた、ライフクリティカルな制御アプリケーションなどのアプリケーションにとって重要な5Gネットワークの信頼性を確認する能力をユーザに提供する。
【0085】
図5は、ネットワークスライシング及び時間敏感ネットワーク要素を使用して、5Gネットワークを介して時間敏感ネットワークアプリケーションデータを送信するための例示的なプロセス500を例解するフロー図である。プロセス500は、任意選択的に、コンピュータメモリ又は非一時的コンピュータ可読記憶媒体に記憶され、5Gネットワークの1つ以上のプロセッサ(例えば、
図3のCNC及び/又はTT)によって実行される命令によって管理される。コンピュータ可読記憶媒体は、磁気又は光ディスクストレージデバイス、フラッシュメモリなどのソリッドステートストレージデバイス、又は他の不揮発性メモリデバイスを含み得る。コンピュータ可読記憶媒体に記憶された命令は、ソースコード、アセンブリ言語コード、オブジェクトコード、又は1つ以上のプロセッサによって解釈される他の命令フォーマットのうちの1つ以上を含み得る。プロセス500におけるいくつかの動作は、組み合わされ得、及び/又はいくつかの動作の順序は、変更され得る。
【0086】
動作502において、5Gネットワークに通信可能に結合された時間敏感ネットワークアプリケーションは、5Gネットワークの時間敏感ネットワークコンポーネントと共有するために、時間敏感ネットワークアプリケーション構成情報を取得する(決定する)。いくつかの実装形態では、時間敏感ネットワークアプリケーション構成情報は、IEEE802.1Qbvスケジュールなどのスケジュールデータを含む。
【0087】
動作504において、アプリケーションは、時間敏感ネットワークアプリケーション構成情報を5Gネットワークのネットワークスライス構成メカニズムと共有する(伝達する)。いくつかの実装形態では、ネットワークスライス構成メカニズムは、
図3を参照して上述したような時間敏感ネットワークトランスレータ(TT)である。いくつかの実装形態では、時間敏感ネットワークアプリケーション構成情報をネットワークスライス構成メカニズムと共有することは、ネットワークスライス構成メカニズムをスケジュールデータ(送信スケジュールデータ)で構成することを含む。
【0088】
動作506において、ネットワークスライス構成メカニズムは、時間敏感ネットワークアプリケーション構成情報に基づいて、送信スケジュールを決定する。いくつかの実装形態では、ネットワークスライス構成メカニズムは、時間敏感ネットワークアプリケーション構成情報から(例えば、送信スケジュールから)予想ネットワーク通過時間を決定する。一実施例では、ネットワークスライスは、その上で実行されている多くのTSNフロー(フローインフロー)を有し得る企業全体によって共有され得る。この実施例では、ネットワークスライスは単一のフローに等しいのではなく、代わりに、企業がそのスライスから望み得るものをサポートする全てのフローのセットに等しい。これには、ベストエフォートフロー又はTSNフロー(TSN実装スライスの上)が含まれ得る。いくつかの実施形態では、TSN実装スライスは、上で考察されるようなジッタ特徴(例えば、平均及び分散)を報告する。このように、いくつかの実施形態では、予想ネットワーク通過時間は、報告されたジッタ特徴に少なくとも部分的に基づき得る。
【0089】
動作508において、5Gネットワーク(又はアプリケーション)の1つ以上の時間敏感ネットワークコンポーネントは、送信スケジュールに従って、5Gネットワークのネットワークリソースの量を予約する。いくつかの実装形態では、ネットワークリソースの量を予約することは、データの送信が送信スケジュールから導出された予想ネットワーク通過時間を満たすことを保証することを含む。いくつかの実装形態では、ネットワークリソースの量を予約することは、送信スケジュールをサポートするために、十分なネットワークリソースを予約することを含む。
【0090】
動作510において、5Gネットワーク(又はアプリケーション)のうちの1つ以上の時間敏感ネットワークコンポーネントは、送信スケジュールに従って、5Gネットワークを介したアプリケーションからのデータの送信を促進する。いくつかの実装形態では、アプリケーションからのデータの送信を促進することは、5Gネットワークの無線スケジューリング、フロントホール伝送、及びコアネットワーク処理を実行することを含む。
【0091】
いくつかの実装形態では、方法500は、5Gネットワークを介したアプリケーションからのデータの送信に対応するパフォーマンスメトリック(例えば、実際の通過時間、待ち時間、及び/又はサービスの質)に基づいて、ネットワークスライスの信頼性データを決定すること(例えば、ネットワークスライスの信頼性を含む抽象化を介してネットワークスライスの能力に関する洞察を提供すること)と、ネットワークスライスの信頼性データをアプリケーションに提供すること(例えば、アプリケーションのユーザへの出力のために)とを、更に含む。
【0092】
上述したように、TSNアプリケーション構成情報をネットワークスライス構成メカニズムと共有することは、TSNアプリケーションに特化した5Gネットワークスライスの構成を可能にし、5Gネットワークスライシング概念を利用したTSNのためのより信頼性の高い5G動作を提供する。
【0093】
本明細書で使用するとき、単数形で記述され、かつ「a」又は「an」という語が前に付けられた要素又はステップは、排除することが明確に記載されていない限り、複数の該要素又はステップを排除するものではないと理解すべきである。更に、現在説明されている主題の「一実施形態」への言及は、記述された特徴も組み込んでいる追加的な実施形態の存在を除外するものとして解釈されることを意図するものではない。更に、逆の意味で明確に記述されていない限り、特定の特性を有する1つの要素又は複数の要素を「備える」又は「有する」実施形態は、その特性を有しない追加的なそのような要素を含み得る。
【0094】
上記の説明が例解的であり、限定的ではないことが意図されることを理解されたい。例えば、上述した実施形態(及び/又はその態様)は、互いに組み合わせて使用され得る。加えて、特定の状況又は材料を本発明の範囲を逸脱することなく本明細書に記載された主題の教示に適合させるために多くの修正が行われ得る。本明細書に記載された寸法及び材料の種類は、開示された本発明の主題のパラメータを定義することを意図しているが、それらは決して限定的なものではなく、例示的な実施形態である。他の多くの実施形態は、上記の説明を検討することにより、当業者には明らかであろう。したがって、本明細書に記載された主題の範囲は、添付の特許請求の範囲を参照して、そのような特許請求の範囲が権利を与えられる均等物の全範囲とともに決定されるべきである。添付の特許請求の範囲において、「including」及び「in which」という用語は、「comprising」及び「wherein」というそれぞれの用語の平易な英語での同義語として使用されている。更に、以下の請求項において、「第1」、「第2」、「第3」などの用語は、単にラベルとして使用されており、その対象に数値的な要件を課すことを意図していない。更に、以下の請求項の限定事項は、手段プラス機能の形式で書かれておらず、そのような請求項の限定事項が、「means for」という語句の後に更なる構造を欠いた機能の記述を明示的に使用しない限り、かつ使用するまで、35U.S.C§112(f)に基づいて解釈されることを意図するものではない。
【0095】
この書面による説明は、実施例を使用して、最良の形態を含む本明細書に記載された主題のいくつかの実施形態を開示するために、また、当業者が、任意のデバイス又はシステムを製作及び使用すること、並びに方法を行うことを含む、開示された主題の実施形態を実践することを可能にする。本明細書に記載された主題の特許可能な範囲は、特許請求の範囲によって定義され、また、当業者に見出される他の例を含み得る。そのような他の例は、それらが特許請求の範囲の文字通りの言葉と異ならない構造要素を有する場合、又はそれらが特許請求の範囲の文字通りの言葉とは実質的に異ならない差を伴う均等な構造要素を含む場合、特許請求の範囲の範囲内に入ることが意図されている。
【手続補正書】
【提出日】2024-03-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
方法であって、
5Gネットワークに通信可能に結合されたアプリケーションの時間敏感ネットワークアプリケーション構成情報を取得することと、
前記時間敏感ネットワークアプリケーション構成情報を前記5Gネットワークのネットワークスライス構成メカニズムと共有することと、
前記ネットワークスライス構成メカニズムによって、前記時間敏感ネットワークアプリケーション構成情報に基づいて送信スケジュールを動的に構成することと、
前記送信スケジュールに従って、前記5Gネットワークのネットワークリソースの量を予約することと、
前記送信スケジュールに従って、前記5Gネットワークを介して前記アプリケーションからのデータの送信を促進することと、を含む、方法。
【請求項2】
前記時間敏感ネットワークアプリケーション構成情報が、スケジュールデータを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記スケジュールデータが、IEEE802.1Qbvスケジュールを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記ネットワークスライス構成メカニズムが、時間敏感ネットワークトランスレータである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記時間敏感ネットワークアプリケーション構成情報を前記ネットワークスライス構成メカニズムと共有することが、前記ネットワークスライス構成メカニズムをスケジュールデータで構成することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記送信スケジュールから予想ネットワーク通過時間を決定することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
ネットワークリソースの量を予約することが、データの前記送信が前記予想ネットワーク通過時間を満たすことを保証することを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記5Gネットワークを介した前記アプリケーションからの前記データの前記送信に対応するパフォーマンスメトリックに基づいて、ネットワークスライス信頼性データを決定し、かつ前記ネットワークスライス信頼性データを前記アプリケーションに提供することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
1つ以上のプロセッサを備えるシステムであって、前記1つ以上のプロセッサが、
5Gネットワークに通信可能に結合されたアプリケーションの時間敏感ネットワークアプリケーション構成情報を取得することと、
前記時間敏感ネットワークアプリケーション構成情報を前記5Gネットワークのネットワークスライス構成メカニズムと共有することと、
前記ネットワークスライス構成メカニズムによって、前記時間敏感ネットワークアプリケーション構成情報に基づいて送信スケジュールを動的に構成することと、
前記送信スケジュールに従って、前記5Gネットワークのネットワークリソースの量を予約することと、
前記送信スケジュールに従って、前記5Gネットワークを介して前記アプリケーションからのデータの送信を促進することと、を行うように構成されている、システム。
【請求項10】
前記時間敏感ネットワークアプリケーション構成情報が、スケジュールデータを含む、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記スケジュールデータが、IEEE802.1Qbvスケジュールを含む、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記ネットワークスライス構成メカニズムが、時間敏感ネットワークトランスレータである、請求項9に記載のシステム。
【請求項13】
前記時間敏感ネットワークアプリケーション構成情報を前記ネットワークスライス構成メカニズムと共有するように構成された前記1つ以上のプロセッサが、前記ネットワークスライス構成メカニズムをスケジュールデータで構成するように構成された1つ以上のプロセッサを含む、請求項9に記載のシステム。
【請求項14】
前記送信スケジュールから予想ネットワーク通過時間を決定するように構成された1つ以上のプロセッサを更に備える、請求項9に記載のシステム。
【請求項15】
ネットワークリソースの量を予約するように構成された前記1つ以上のプロセッサが、データの前記送信が前記予想ネットワーク通過時間を満たすことを保証するように構成された1つ以上のプロセッサを含む、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記アプリケーションからの前記データの前記送信に対応するパフォーマンスメトリックに基づいて、ネットワークスライス信頼性データを決定するように構成された1つ以上のプロセッサを更に備える、請求項9に記載のシステム。
【請求項17】
前記送信スケジュールは、動的ガードバンド構成に基づいて動的に構成される、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記送信スケジュールは、ジッタの計算に基づいて動的に構成される、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記送信スケジュールは、動的ガードバンド構成に基づいて動的に構成される、請求項9に記載のシステム。
【請求項20】
前記送信スケジュールは、ジッタの計算に基づいて動的に構成される、請求項9に記載のシステム。
【国際調査報告】